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夜を喰らう

#UDCアース

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#UDCアース


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●UDCアース、日本、X県Y市
 よく晴れた真夜中、草木も眠る丑三つ時。動くものもない廃工場の跡地の入り口に男が二人。
 緑色の野戦服にヘルメット。手には自動小銃。人によってはミリタリーオタクかサバイバルゲームオタクと勘違いしそうな格好で、二人は何かを見張るように立ち続けていた。
「……なあ、本当にこの仕事大丈夫なんだろうな?」
 二人組の男のひとりが、不安そうな顔でもう一人の男に尋ねる。
「余計な事考えるなよ……俺たちはただここで朝まで見張りをしてればいいだけだって社長も言ってただろ?」
「だけど、よぉ……あいつら、明らかに普通じゃなかったぜ?目も虚ろだったし……薬でもキメてたのか、もしくはなんかの宗教……」
 怯えた様子の男がそこまで言いかけた時、工場の敷地内から響いた悍ましい叫び声が彼の声を遮った。
 不幸な事に、どうやら彼の不安は現実になってしまったらしい。そしてもっと不幸な事に、今日が彼らの人生最後の日になるらしかった。気が付いた時には、既に彼らを餌と見做した数多の口が開かれていたのだから。

●グリモアベース
「お集まり頂いてありがとうございます。それでは、早速説明に入りますね」
 グリモアベースの一角にて、銀髪のグリモア猟兵、水瀬・和奏(重装型戦闘人形・f06753)が、猟兵を集めブリーフィングを始める。

「UDCアースにて、邪神復活の儀式を行おうとしている連中がいるようです。
 狂信者たちが呼び出そうとしているのは――『牙で喰らうもの』です」
 彼女の口から告げられたのは、暴食の邪神の名。100以上の口を持ち、都市一つを喰らい尽くした事もあるとさえ言われる怪物。
 そのようなバケモノが蘇った日には、とんでもない被害が出るのは火を見るより明らかだ。故に狂信者たちの計画は何としても阻止しなければならない。
「そこで皆さんには、儀式の阻止をお願いしたいんです。
 ……それと、蘇ってしまった邪神の撃破も。」
 曰く、儀式はある程度進行してしまっており、邪神の復活そのものを阻止することは難しいのだという。
 しかし、儀式を中断させることができれば、邪神は復活したとしても不完全な力しか得ることができず、猟兵たちの力で撃破することが可能となる。
 そして、幸いなことに、既に組織の調査で儀式の場所と日時は特定できている。あとは儀式場に乗り込んで儀式を阻止すればいいだけだ。
「……ただ、連中は、儀式場の護衛としてわざわざ傭兵を雇ったようなんです。
 一般の信徒よりもはるかに厄介な相手ですから、くれぐれもご注意を」
 もっとも、腕はあっても依頼人を見る目はなかったようですが、と付け加えてから、左手に持ったタブレット端末を操作し、現地の地図と傭兵たちの情報を次々と表示していく和奏。
「儀式場は、既に使われなくなった廃工場。この近くに皆さんを転送します。
 時間は夜ですが、街灯や月明りもありますし、中では儀式のために明かりを点けているので、照明等はなくても大きな問題にはならないかと」

「あとは……そうだ、無事に邪神を撃破できたら、朝ご飯を食べて帰るのもいいかもしれませんね」
 和奏によれば、現場の近くに組織の職員御用達の店があるのだという。彼女にこの店を教えた職員曰く、特に朝がゆが絶品なのだとか。
 夜勤明けに家で食べたり、出勤途中に買って職場で食べる職員も多いのか、頼めばテイクアウトにも対応してくれたり……と、色々融通も利くらしい。

「……まずは儀式を阻止してから、ですけどね。では、準備ができた方から順次転送します!」
 和奏は、猟兵たちを鼓舞するように努めて明るく言うと、転送の準備に取り掛かった。


一人
 新人マスターの一人(にのまえひとし)です。
 初シナリオで何かと至らない点が多々あるかとは思いますが、よろしくお願い致します。

 三章につきましては、お呼び頂ければ和奏が出てきます。
 呼ばなくても多分その辺でお粥食べてます。

 時間帯は夜ですが、和奏が説明した通り照明等は最低限あるため、
 光源等がなくても判定に不利な影響はありません。
 あったらプラスになるかもしれない、程度と考えて頂ければ。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『歩兵』

POW   :    武器使用
【装備している武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    制圧射撃
【合図をして】から【機関銃による連続射撃】を放ち、【弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    援軍要請
自身が戦闘で瀕死になると【追加の兵士】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

星噛・式
SPDで対応

大勢の傭兵が敷地内を警備している姿を闇夜に紛れて式は見ていた

「毎度毎度邪神の復活って飽きないもんかねぇ。俺だったら飽きてる」

今まで幾度の儀式&邪神の討伐をやってきたかわからないくらいにはやってきた彼女にとって人間の傭兵など朝飯前いや朝粥前である

「とっとと終わらして依頼主の言ってた朝粥と行きますか」

インビジブル・ステップで傭兵の中に飛び込む
突如現れた敵に銃を乱射する

「銃弾ごとき止まって見えるね。なんなら掴んでやろうか?」

嘘ではなく"見切り"による恐ろしいほどの動体視力でまさに式には恐ろしくゆっくりに見える

弾幕の中を舞うように飛び交い背中の野太刀により2〜3人まとめて一刀両断して行く


朧・遊鬼
儀式の為に傭兵まで雇うとは…それ程儀式を止められたくはないらしいな
まぁ、何が来ようと薙ぎ倒すまでだがな
『さぁ、俺と遊ぼうではないか』

初めにユーベルコードブレイズフレイムを使用。左偽手を切り落とし地獄の炎を纏う
次に地獄の炎を纏った夕闇を使用して傭兵達を【凪ぎ払う】
当たればもれなく戦闘不能になるまで燃えるぞ?
近づいてきた者には鎧をも砕く一撃を狙ってみよう(【鎧砕き】)

向かってくる攻撃は【見切り】で立ち回るぞ



 儀式場となっている工場跡から数百メートル離れた資材置き場に、第一陣の猟兵たちが転送されてくる。
 見張りの傭兵たちから死角となって発見されにくいその場所で、武器の最終確認をする者や他の猟兵と打ち合わせをする者、周囲の様子を伺う者。
 各々が準備を進める中、星噛・式(赤水晶・f10488)と朧・遊鬼(心此処にあらず・f12670)の2人は、闇に紛れて先行し、敷地内の様子を伺っていた。
 敷地内には既に多数の傭兵が展開しており、各自の持ち場で警戒に当たっている。土嚢や建築資材で構築された即席の陣地のような物もあり、突破することは難しいように思われた。――ただし、相手が猟兵でなければ、の話ではあるが。
「儀式の為に傭兵まで雇うとは……狂信者共、余程儀式を止められたくないらしいな」
「まあ、連中からすれば、何度も儀式を止められるのは癪だろうからな……しかし、毎度毎度邪神の復活って飽きないもんかねぇ。俺だったら飽きてる」

「……まあ、何が来ようと薙ぎ倒すだけだがな」
「ああ、さっさと終わらせて朝粥と行きますか」
 言葉を交わすと、二人は同時に敷地内へと飛び込んでいく。
 そして、狂乱の夜の幕が上がる。

「……誰だ!」
 二つの人影に気付いた傭兵が、銃を構えながらその影に問いかける。
 しかし、その問いに対する返事はない。代わりに、二つの影のうちの一つが消えたかと思うと、次の瞬間には彼の背後へと回り込んで――そこで、彼の意識は途切れた。
 背後の人影――連続跳躍によって超加速して飛び込んだ式の野太刀が、一瞬にして彼を両断していたのだから。

「……て、敵襲!」
「弾幕を張れ、奴を寄せ付けるな!」
 仲間が切り捨てられたのを見た傭兵たちが、一斉に攻撃を開始する。彼らの手にした自動小銃が、即席の陣地に据え付けられた機関銃が、合図とともに一斉に火を噴き、猛烈な弾幕を形成する。普通ならば、弾幕に捉えられ一瞬にして蜂の巣になるような猛攻撃。
 しかし、何百発の弾幕のうちの一発たりとも、式の身体はおろか、服にさえ傷をつけることはない。
「そんななまくら弾、止まって見えるね。なんなら掴んでやろうか?」
 不敵に笑いながらそう言い放つ式。彼女の常人離れした動体視力の前には、飛び交う数多の銃弾も、その全てがスローモーションのように見えているのだ。
 そして、弾幕を掻い潜った式は、目についた陣地の一つに飛び込むと、中で機関銃を撃っていた傭兵たちを、機関銃もろとも切り捨てた。

 弾幕の中を舞い踊り傭兵たちを切り捨てる式に対し、遊鬼の動きは幾分ゆったりとしたものだった。
 傭兵たちの前で、手にした剣を振るったかと思えば自らの左腕を切り落とす。彼が何をしているのかわからず一瞬呆気にとられた傭兵たちの目に飛び込んできたのは、切り落とされた部分から吹き上がる炎。
「……さあ、俺と遊ぼうではないか」
 我に返った傭兵たちの攻撃が遊鬼にも殺到するが、彼はそれを紙一重で見切り、傭兵らへと肉薄する。
 次の瞬間、左腕から吹き上がる炎を纏った薙刀が、数人の傭兵を纏めて薙ぎ払った。
「うぁぁ、あ、熱……!」
 もしかすると、一撃で切り払われ絶命した者は、まだ幸運だったのかもしれない。……この一撃で死ねなかった者は、地獄の炎で生きたまま焼かれて死ぬのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アドニード・プラネタリア
前衛しまーす♪
銃じゃ何処居ても同じだしねー。
歩兵如きに負けないもん!

ユーベルで(全力魔法)を込めて。
数に圧倒されてね♪

攻撃技能(生命力吸収,2回攻撃,衝撃波,敵を盾にする,範囲攻撃,破魔)のレベルは10以上だよ!
覚悟ゎいいかな?

防御技能(残像,敵を盾にする,盾受け,見切り)のレベルも10以上!
当てにくいよ?

これらの技能を重視して戦闘を行います。



 突然の襲撃者によって廃工場が混乱に包まれる中、新たな猟兵が戦場へと飛び込んでいく。
「銃を持ってるんじゃ、どこにいても同じだし……前に出る!」
 まだ年端もいかない赤毛の少年、アドニード・プラネタリア(天文得業生・f03082)。幼いながらも、既に幾多の戦場に立つ歴戦の猟兵である。
 相手も飛び道具を持っている以上、距離をとるメリットは薄い。そう判断した彼は即座に行動を開始する。
 銃弾を掻い潜って手近な傭兵の背後に回り込むと、そのまま抱き付くように組みついた。もちろん、猟兵とはいえ幼子の力で完全に動きを封じられるほど、傭兵も貧弱ではないし、アドニードもそれを理解したうえでこうした。
 ……彼らがアドニードを撃とうとすれば、必然的に仲間を撃つことになるのだ。傭兵たちはアドニードの意図に気付き慌てて射撃を止めるが、それより先に銃口を飛び出していた弾丸は止められない。弾丸はアドニードではなく傭兵の身体へと過たず飛び込み、哀れフレンドリーファイアで蜂の巣になった男はその場に崩れ落ちる。

「必神火帝、万魔拱服!」
 そして、詠唱と共に、ゆうに100本近くはあろうかという炎の矢が放たれる。アドニードの全力の魔法が込められたユーベルコード『炎の術』。それは、戦場を昼間のように明るく照らしながら地上の傭兵たちへと降り注ぐ。
 数分後、断末魔の悲鳴と応援要請を聞きつけ別エリアから駆け付けた増援部隊が見たのは、燃え盛る仲間の死体だけだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リコリス・シュピーゲル
ごめん遊ばせ、これも仕事ですの
傭兵を名乗るのならわかってくださるわよね?

「暗殺」で死角から放つ【ドラゴニック・エンド】で傭兵たちを蹴散らしてしまいましょう
「スナイパー」で敵の手元を狙って、「武器落とし」が出来れば理想ね
まぁ、当たればいいのですけど

残った敵はフラム、頼みますわ
「属性攻撃」で強化した炎で「二回攻撃」、「範囲攻撃」で「凪ぎ払い」なさい

絡みアドリブ等大歓迎


虚偽・うつろぎ
ほほう、兵士たちがお相手かな
肉壁としての訓練には丁度良い相手だね
さぁ僕を見ると良い
そして僕だけを攻撃するのである

ムテキモードを使用
技能の存在感、おびき寄せを駆使して敵をこちらに引きつける
オーラ防御で多少は打たれ強くなってるかな
敵がこちらに攻撃をしかけたのを確認したら
ムテキモードによる無敵状態で敵の攻撃を引き受け
囮となり肉壁としての役目を果たそう

攻撃は出来ないので、仲間に自分のことは気にせず
自分もろとも攻撃してもらうよ
無敵だから平気さ

引きつけている間は
あはははははは!と
棒読みな高笑いで存在感を更にアップしておくね




 猟兵の襲撃を受け大損害を被りながらも、必死の応戦で何とか戦線を維持し続ける傭兵達。そんな彼らの正気を試すかのように、闇夜よりも黒いなにかが現れる。彼の名は、虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)。
 異能の力を放つ猟兵らの中にあっても、その異質さは群を抜いている――混乱する傭兵達が皆彼に注目してしまうほどに。黒い粘液状の物体が文字の形を成し、人の声を発するのだから無理もないが。
 知らない者が見れば邪神の仲間かと思うようなその姿に、恐慌状態に陥った者が滅茶苦茶に撃ちまくる。しかし、いくら銃弾を当てても、彼の身体に傷一つ付けることができない。
 これこそが、うつろぎの持つユーベルコード。回避を捨てる代わりにあらゆる攻撃を寄せ付けない"最硬の存在"となる力。
 彼は初めから自ら囮となることを前提にここに来ていた。そして、傭兵たちは見事に彼の策に嵌ったというわけだ。
「あはははははは!」
 うつろぎがまるで感情の籠っていない笑い声を放つと、一段と異様さが増しさらに傭兵たちの意識を自身に向けさせていく。
 そして、うつろぎに気を取られた傭兵たちの背後から、さらなる刺客が迫ってきていた。
 直立不動で動かないうつろぎを吹き飛ばそうとした一人の傭兵が、ミサイルランチャーを構えて照準器にうつろぎの姿を収めた次の瞬間。音もなく飛来した槍が、ランチャーもろとも彼の腕を貫く。
「――ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」
 仲間の叫び声に周囲を見回す傭兵達。その視界に飛び込んできたのは、月明りに照らされて輝く金髪の少女、リコリス・シュピーゲル(月華の誓い・f01271)。
 傭兵を貫いた槍は、彼女の放つユーベルコード『ドラゴニック・エンド』。狙い澄ました一撃は、彼女の意図通り相手の武器を封じ込めることに成功した。
 しかし、このユーベルコードはそれだけでは終わらない。
「……フラム」
 彼女の呼びかけに応じて召喚されたのは、ドラゴン。現代日本では空想上の生き物でしかないそれが、現実世界に姿を得て現れる。
 その姿を信じられないといった様子で呆然と見つめる傭兵達。しかし、それが現実であることを、この後彼らは身を以て知ることになる。
「残った敵は任せましたわ。――"薙ぎ払い"なさい」
 リコリスが命じれば、あとは一瞬。ドラゴンの吐く灼熱の炎はうつろぎをも巻き込み傭兵達を焼き払う。骨すらも残さず焼き尽くす炎が消えた時、そこに立っていたのはうつろぎただ一人。
「……大丈夫ですの?」
「ああ、無敵だから平気さ」
 いくら本人が無敵と言っているとはいえ流石に大丈夫ではないのでは、と心配するリコリスに対し、うつろぎは平気な様子で答える。全くの無傷かどうかはともかくとして、どうやら大丈夫だったようだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブやアレンジは歓迎します。

正面から【礼儀作法】【存在感】で優雅に歩いて行く。
「ふぅん、雇われただけで教団とは関係ないか」
相棒の銃や長剣ではなく、麻痺毒付きナイフをクルリと引き抜き
「殺すのは忍びないわね」

敵の攻撃は【視力】【聞き耳】で【見切り】ステップを踏むように【残像】で回避するわ。
「まぁ、わたしを殺すつもりで来てるみたいだからオシオキくらいはさせてね?」

接近したら踊るように、ナイフによる【毒使い】【マヒ攻撃】【二回攻撃】
「少し痺れるわよ?」
拳や蹴りによる【怪力】【気絶攻撃】【鎧砕き】
「骨の一本や二本は許してね?」

通信機ごと【断罪擊】で【なぎ払い】
「流石に面倒ね」
「ふふっ♪お休みなさい」



 戦闘が始まってわずか数十分。戦況は、猟兵側の圧倒的優位で推移し続けていた。まともに猟兵と対峙していた傭兵部隊は既に8割以上が死傷、沈みかかった船に乗ってはいられないと持ち場を離れて逃げ出した者もあり、まともに動けるのはごく僅か。
 それでもなお、動ける者は踏みとどまって部隊を再編成し、抵抗を試みようとする。それは、傭兵として雇い主に忠実であろうとする使命感か、それとも仲間と運命を共にしようとするただの意地か――いずれにせよ、彼らの敗北は間近に迫っていた。
 銃を構え戦闘態勢を整えた彼らの目の前に現れたのは、この戦場には不自然なほど優雅に歩く美女、ミーナ・ヴァンスタイン(罪人殺しの聖女・f00319)。月明りに照らされ、神秘さすら感じさせるほどの気品と美貌は、思わずここが戦場であることを忘れてしまう兵も出るほどに。
 だが、彼女が手にした得物を見ると、流石に彼らも我に返る。再び銃声が鳴り響き、工場の敷地が賑やかになり始める。
 しかし、彼らの攻撃を一方的に受けてもなおミーナから優雅さが失われることはない。傭兵たちの動き、発砲音、その全てをフルに活用し、まるで踊るかのように攻撃を回避してしまう。

「雇われただけで教団とは無関係、か……殺すには忍びないわね」
 彼らは本来邪神の信奉者でも何でもない。ただ金で雇われ、たまたまこの場に居合わせてしまっただけに過ぎない。そんな彼らの命を無駄に奪う気は彼女には毛頭なかった。
「ただし、私を殺す気で来ているみたいだから」
――ただ、自分に刃を向けてきた対価は払ってもらう、ただそれだけ。
「オシオキくらいはさせてね?」
 接近すると、手にしたナイフで素早く兵士の一人を斬りつける。急所を外した、かすり傷程度の攻撃。しかし、斬りつけられた兵士はたちまちその場に崩れ落ちる。彼女が手にしていたナイフに塗られていたのは、即効性の麻痺毒。
 慌てふためく仲間たちも、ミーナの拳と蹴りにより次々と戦闘能力を奪われていく。

「クソっ、ぞ、増援を――」
 崩れ落ちた傭兵の数メートル後方で、指揮を執っていた兵士が通信機に向かって叫ぼうとする。既に残っている味方がいるかどうかもわからない。それでも、一縷の望みに賭けて――が、その声が味方に届くことはない。
 彼が気付かぬ間に近づいてきたミーナが、通信機ごと彼を吹き飛ばしていたのだから。
「……さすがにこれ以上援軍を呼ばれたら面倒だもの。お休みなさい」
気絶し、地面に大の字で伸びた男を見ながら、ミーナは不敵な笑みを浮かべた。

 こうして、傭兵達を難なく排除した猟兵たちは次々と儀式場となった工場内へと突入していく。
 ――総てを喰らう化け物を討ち、次の朝を迎えるために。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『牙で喰らうもの』

POW   :    飽き止まぬ無限の暴食
戦闘中に食べた【生物の肉】の量と質に応じて【全身に更なる口が発生し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    貪欲なる顎の新生
自身の身体部位ひとつを【ほぼ巨大な口だけ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    喰らい呑む悪食
対象のユーベルコードを防御すると、それを【咀嚼して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

朧・遊鬼
『これがなんとしても召喚したかったものか。まぁ、野放しにしていたら良からぬことになるのは明白だな』

真の力を解放し炎の色が唐紅から紺青に変化

序盤は【咎力封じ】を使用
俺や周りの被害を抑えられるよう敵の攻撃力を下げに動く。運良くユーベルコードを封印出来れば最高だな
『口が多くて猿轡が足りんな』

敵が攻撃してくれば【見切り】で回避
WIZの攻撃で得た攻撃は鉄塊剣で【凪ぎ払い】の風圧でスピードを落として【見切り】

隙が出来れば敵に近づき【鎧砕き】の一撃を叩き込む
上記の一撃で傷が残れば弱点を作るために夕闇で【傷口をえぐる】
『悪いな、これも戦術なんだ。』


リコリス・シュピーゲル
ずいぶん大きなお口ですこと
丸のみされてしまいそう
ですが、差し出せるほどの贅肉は持ち合わせてませんの
さあ、しつけの時間よ

【ドラゴニック・エンド】で少し離れた所から攻撃するわ
初撃の「槍投げ」は「スナイパー」の正確さで頭を狙おうかしら
うまく首を落とせれば、その後食べられる心配が減りそうだもの

当たった後はフラムの出番
「2回攻撃」「属性攻撃」「範囲攻撃」で少しでも多くの敵をウェルダンに焼き上げてくださいな

しつけのなってない子の噛みつきは「見切り」で回避
フラムにも警戒を促すわよ

絡みアドリブ等大歓迎



 それは、地面に描かれた魔法陣の中央で、松明の炎に照らされていた。儀式場へと突入した猟兵たちを待ち受けていたのは、事前情報にあった通りの姿をした異形『牙で喰らうもの』。
 暴食の神は自らを呼び出した信者を手始めに喰ったのか、儀式を行っていたであろう狂信者たちの姿は一つとしてなく、代わりに赤い染みが地面を汚していた。

「……これがなんとしても召喚したかったものか。それに喰われては意味がないと思うが……」
 その声を新たな餌のものだと思ったのか、邪神の頭が遊鬼の方を向いた。
「まあ、野放しにしていたら良からぬことになるのは明白だな」
 そう言うが早いか、彼の左腕を覆う炎の色がみるみる変化していく。それは、傭兵達との戦いでは隠されていた彼の真の力の一端が解放された証。
 新たな餌を喰い飢えを満たさんとする邪神の一撃を間一髪で避けると、手にした拘束具を素早く邪神へと放つ。それは、ユーベルコードをも封じる力を秘めた代物。
 しかし、惜しくも邪神の動きを完全に封じ込めるまでには至らない。戒めを逃れた片腕がみるみるうちに巨大な頭部へと姿を変え、その咢で遊鬼を喰らわんとするが――牙が彼の眼前に迫ったその時、横合いから飛んできた槍が、今まさに遊鬼を喰おうとした頭を貫いた。
「間一髪でしたわね……大丈夫ですの?」
 槍の主は、少し離れた所にいたリコリス。
「すまない、助かった……まったく、口が多すぎて猿轡が足りんな」
 彼女の援護を受け、遊鬼はすぐに体勢を立て直し攻撃を続ける。味方の援護を重点に置いた彼の攻撃が功を奏し、完全にではないが、その動きを封じ力を削ぐことに成功していた。
 一方の邪神は、食事の邪魔をされ怒っているのか、それともまだ食欲を満たそうとしているのか、あるいはその両方か。今度はその矛先をリコリスに変え襲い掛かった。
「まあ、大きなお口ですこと。油断したら丸呑みされてしまいそう」
迫る顎を見て感慨深げにそう独りごちるリコリス。しかし、彼女の表情は一切揺るがない。
「……でも、生憎貴方に差し出すほどの贅肉は持ち合わせておりませんの。――フラム」
 目の前の少女を喰らって飢えを満たそうという邪神の願いは叶わなかった。
 先程遊鬼を助けるために投げた槍は、彼女の次なる攻撃の布石。外で傭兵達を焼き払った緋色の竜が再び現れ、邪神を焼き払わんとする。
 突如現れた竜によりその身を焼かれ、苦悶ともとれる叫び声を上げる邪神。しかし、目の前の物を喰らわんとする意思はまだ潰えてはいないようだ。

 ――戦いはまだ始まったばかり。夜はまだ終わらない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

星噛・式
SPDで対応

「怪物退治が俺の本職だから今から本番ってことだな」

式は''堕鬼"の代償として手首をわざと切りつけ血を流し死鬼を憑依させる

「俺だって長く憑依させると堕ちちまうから早めに決めさせてもらうぜ」

怪物が1つの大きな口となり襲いかかってくるが怪物相手でも式の"見切り"は健在で紙一重でかわしていく。堕兄により身体能力を極限まで高めている状態ではなおさらである

そのまま背後に回りその大きな口を叩っ斬る

変異した大きな口は切り落とせたもののまだやる気な怪物

「チッ、カロリー消費考えろよ。朝粥だけじゃ足りなくなるぞ」

やや冗談も交えながら戦う彼女からは化物を相手にしているとは思えないほどの余裕を回りは感じる。



 遊鬼達と同時に突入した式は、リコリスの呼んだ竜にその身を焼かれ苦悶の叫びをあげる邪神を見ていた。自らの本職を怪物退治と自認する式にとっては、傭兵達は前菜でここからがメインディッシュといったところか。
「さて、ここからが本番だな……限界まで堕ちる」
 彼女が自分の腕を斬りつけると、赤水晶の身体からさらに赤い血が流れ出る。それは、力を得るための代償であり、死鬼を呼び寄せる呼び水。
「コイツをずっと使ってると本当に堕ちちまうからな……早めに決めさせてもらうぜ」
 そう言うと、自ら怪物の懐へと飛び込んでいく式。それを喰わんとする邪神は、まだ残っていた腕を悍ましい牙の並ぶ口へと作り替えられ乱暴に振り回す。
 しかし、死鬼をその身に宿し自らを強化した彼女の前では、邪神の攻撃でさえ生身の人間が繰り出すそれと変わらない。
「……遅いんだよ」
 速度を全く落とすことなく背後に回り込むことに成功した式の妖刀が、巨大な頭部と化した邪神の腕を斬り落とした。
 しかし、深手を負ってもなお邪神の戦意は失われていない。残った腕を乱暴に振り回し、式を捕え喰おうとしている。
「チッ、カロリー消費考えろよ。朝粥だけじゃ足りなくなるぞ」
 執拗な攻撃にうんざりしつつ、高速で離脱し一旦距離を取る式。化物を相手にし、死鬼を宿して戦うほどの状況にあってもなおその余裕は失われていないようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブやアレンジは歓迎するわ。

眼鏡を外し、真の姿である真紅の瞳と漆黒の翼を持つ吸血鬼に変化します。
「化け物の相手は化け物が相応しいわ」
二丁拳銃から【2回攻撃】【破魔】の弾丸を放つ。
「地獄へ送り返してあげるわ」

相手の攻撃は【視力】【聞き耳】で【見切り】【残像】回避するわ。
「当たるのはマズそうね」
躱したすきに【ダッシュ】で近づき【怪力】【グラップル】による蹴りで【カウンター】【鎧砕き】を放つ。
「これならどうかしら」

味方が危ない時は【援護射撃】で麻痺毒付きダガーを【投擲】【毒使い】【マヒ攻撃】動きを鈍らせるわ。
「毒が効きづらいわね」

一度見たコードは【断罪撃】を放ち相殺する。
「二度は使わせないわ!」



 片腕を切り裂かれてもなお戦意が衰える様子を見せない邪神。その様子を見ていたミーナは、静かに眼鏡を外す。
 落ち着いた雰囲気を作り出していた漆黒の瞳は禍々しさを孕んだ真紅へと変わり、さっきまで影も形もなかった漆黒の翼が明かりを受けて壁に大きな影を作る。――そこに立っていたのは、真の姿を現した夜の女王。
「さあ、いらっしゃい。地獄に送り返してあげるわ」
 ――化け物の相手は、化け物こそ相応しい。自嘲めいたその言葉とともに、両者の距離が一気に縮まる。
 先に仕掛けたのは、邪神。残った腕を力任せに振るい、ミーナを捕えようとする。
「これは……当たったらタダじゃ済まなさそうね?」
 対するミーナは、手にした二丁拳銃に込めた破魔の弾丸を頭部目掛けて撃ち込み牽制。頭部に吸い込まれるように飛び込んだ弾丸は、致命傷を負わせるとはいかなかったものの、一瞬の隙を生み出していた。その隙を利用し、振るわれた腕を間一髪で避けたミーナは、次なる一手を放つ。
「……これなら、どうかしら?」
 邪神がミーナの方へ向き直り次の攻撃を放とうとした瞬間、それよりも速くミーナの拳が邪神を捉え吹き飛ばした。
 攻撃を受ける直前、それがユーベルコードによるものだと本能的に察したのか、邪神もその権能を以て、相手のユーベルコードをも喰らおうとしていた――が、それは叶わない。彼女の拳に込められた力は、ユーベルコードを相殺する魔力。不完全な状態で復活した邪神の力では、それを止めることは能わない。

 息をつく間も与えない攻撃により、猟兵らが主導権を握ったまま戦いは佳境に差し掛かる。
そして、長い夜の終わりも、少しずつではあるが確実に近づいていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

枯井戸・マックス
「こいつは大層なUDCだ。これだけ口があれば胃袋もでかいんだろうなぁ」

緊張感のない声と共に唐突にフラっと現れたマックス。
額にひっかけていた仮面を顔につけなおすと、すっと雰囲気が引き締まる。

「だがお前にくれてやる肉も珈琲もねえ。代わりにコレでも喰らいな!」

愛用のマグナムを抜き、ユーベルコード「マイティショット」を発動。
今回重視するのは命中率。
【暗視】で廃工場内を駆け抜け【挑発】。
新しい口を生やして飛ばして来たら、向かってきた口を【スナイパー】で打ち抜く。
弾がなくなったら物陰に隠れてファストリロード。
接近戦をする仲間がいれば【援護射撃】でサポートだ。

アドリブ、苦戦、特技応用、連携など歓迎です。



 先陣を切って突入した猟兵たちが、邪神と激しい戦いを繰り広げること十数分。趨勢の決まりかけた戦場に、また猟兵が到着する。緊迫した戦場にはいささか似つかわしくない雰囲気を纏ったその男の名は、枯井戸・マックス(サモナー・ザ・アーティファクト・f03382)。

「ほう、こいつは大層なUDCだ。これだけ口があれば胃袋もでかいんだろうなぁ」
 切り裂かれ、焼かれ、その数を減らしたとはいえ未だに数多の口を蠢かせる化け物を前に、全く緊迫感のない感想を述べるマックス。
 しかし、それは彼の顔の一つに過ぎない。額の仮面をつけ直せば、精強な猟兵としての顔が現れる。
「だがお前にくれてやる肉も珈琲もねえ。代わりにコレでも喰らいな!」
 目にも留まらぬ速さで抜かれたコンバットマグナムから撃ち出された銃弾が虚空に軌跡を描き、回避する間もなく邪神の脳天を直撃する。
 ――痛打必中。確実に敵に当てることを意図して撃ち出された銃弾は、紛れもなくマックスのユーベルコード。
 攻撃を受けた邪神も反撃を試みるが、マックスは工場内を縦横無尽に駆け巡り、放置された機械や高所の手すりさえも利用して飛び回るように攻撃を回避し続ける。
「ほら、どうした?そんな攻撃じゃ俺様は捕まえられないぜ?」
 わざと目の前に現れて挑発したかと思えば、素早く身を翻し怒り狂った邪神の一撃を難なく躱してみせる。さらに、向かってきた口目掛けて銃弾を撃ち込めば、既に満身創痍の邪神の悲鳴が廃工場を揺るがす。

 マックスの登場により、勝負はほぼ決しようとしていた。
 ――夜が明けるまで、あと少し。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブやアレンジは歓迎よ。

銃をしまい【礼儀作法】で優雅に【誘惑】【おびき寄せ】るようにゆったり接近していくわ。
「おいで」
正面は【視力】【暗視】で、背面は【聞き耳】【第六感】で、これまでの攻撃パターンから全てを【見切り】【断罪撃】で【グラップル】【怪力】【カウンター】
「大丈夫よ。アナタを救済してあげる」
まるで最初の兵士たちを相手にした時のように、殺気すらなく優しく話しかけ【恐怖を与える】
全ての攻撃を見て理解したことで、吸血鬼が持つ無尽蔵の魔力で相殺できることを確信した時点で、彼女にとって彼は敵ではすらなくなった。

もし予想外の攻撃が来たら【残像】で避けて【ダッシュ】で接近し【2回攻撃】【鎧砕き】



「そろそろ頃合いかしらね」
 満身創痍の邪神を見たミーナが、再び動き出した。なんと彼女は、先程まで両手に構えていた銃を仕舞い、丸腰で邪神へと歩み寄っていくではないか。
 周囲にいた猟兵たちも流石にその行動に驚きを隠せなかったが、当の本人はそんな事はお構いなしといった様子で、およそこの戦場には似つかわしくない優雅な所作で邪神の元へと歩を進める。
「おいで――アナタを救済してあげる」
 一切の殺意を感じさせない、慈愛すら感じさせる呼びかけ。しかし、当然それに対する答えは、新たに生やした口による一撃。
 暴食の神にも、恐怖という感情があったのか。彼女の姿を見た化け物は間違いなく、目の前に立つ化け物に"恐怖"していた。彼女を近づかせまいと、最後の力を振り絞り、狂ったように抵抗を試みるが――その全てが、ユーベルコードによって無へと還る。
 ミーナには、邪神の動き全てが理解できている。そして、真の姿を現した彼女の力は、目の前の死にかけた化け物が繰り出してくる攻撃全てを受け止めるには十分すぎた。
「終わりね」
 膨大な魔力を込められた掌が、邪神の頭に触れる。
 それは、ほんの一瞬。しかし、この戦いを終わらせるにはそれで十分。
 不完全な邪神程度の化け物には到底制御できない魔力が、内側からその身を灼き――断末魔の悲鳴と共に、肉体は消え去った。

 夜が明ける。
 血と狂気と狂乱が吹き荒れた夜が明ける。
 ――そして、昨日までと変わらない朝がまたやって来る。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『お腹に優しい朝がゆ』

POW   :    がっつりしっかりお腹いっぱい、食べる。

SPD   :    少量ずつ、色んな種類を満喫して食べる。

WIZ   :    眠いので、後で食べれるようお持ち帰りをお願いします。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

虚偽・うつろぎ
POW

お粥食べるよもらー
というわけでお粥の大量摂取を所望します
わんこそばの如く次から次へと持ってきてくれるとありがたく

口というものがないので手からずぶずぶと溶け込むように吸収します
腕は7本あるので7杯同時でいけますな

わんこそば改めてわんこ粥状態でがっつりいきます
食器はちゃんと残すので大丈夫です

量が多くなるにつれてフォントが変わっていくかもです
最終的には丸々と肥えた丸ゴシック体とか

アドリブ等ご自由にお願いします


ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブやアレンジ歓迎するわ。
もちろん、ほかの猟兵さんとの絡みも歓迎よ。

吸血鬼の力は使うと疲れるのよ。
「軽めのを頂こうかしら」
疲労による気怠げな様子で彼女により色っぽい雰囲気を醸し出してます。
「……ん、美味しいわ」
そうだ、ティアリス(f12213)にもお土産にお持ち帰りしてあげたいわね。
頼んでも大丈夫かしら?

他の猟兵の人がいたら、挨拶しておきましょうか。
「お疲れ様。流石に徹夜は疲れるわね」


朧・遊鬼
POWの方針
戦った後で腹が減った故、がっつり食べるぞ

朝粥が旨いのならそれを頼んでみよう
「ふむ…確かに塩気もゴマも効いていて旨いな」
黙々と食べていたが、食べ終わると「足りぬな…」と呟いて別の料理も追加注文をするぞ

和奏がいればここに送ってくれたお礼として朝粥とごま団子でもテイクアウトして渡しておこう
人との交流が苦手故、睨んでおるやもしれぬがな…


星噛・式
「さてさてお待ちかねの朝粥だな。依頼主のオススメがどんなものか拝見っと」

店の朝粥を少量ずつ全て注文し食べ比べを始める

さして強敵でもなく激しい戦いだったわけでもないが徹夜明けのお腹に優しく温かいお粥が染み渡る

「流石オススメとだけあってどれも美味しいな」

普段、殺し合いの中に身を置き目を光らせる猟兵だがこの時だけは年相応の女性の笑顔がうつる

全て味見し最終的になって梅のお粥をもう一度注文する

「全て美味しいが、やっぱりシンプルが1番わかりやすく美味しいな」

朝日と共にお粥を食べる姿は美しく輝き温かい絵のような景色であった

むろん、男口調の彼女が黙っていればの話だが


枯井戸・マックス
「はいはい、お疲れさん。これでまた世界は一つ平和になったな、うん」

戦闘が終わっり仮面を額に掛け直した瞬間にスイッチが切れる。
髪をくしゃくしゃしながら欠伸するなど、気怠げな雰囲気を漂わせる。

「じゃ、俺は店の開店準備があるからここらで……誰も引き止めてくれないの?」

面倒くさいおじさんである。

●WIZ
「そんなに美味いのか。確かに良い香りだ。こりゃうちの喫茶店でも真似してみようかな?……いや、珈琲とは合わないか。
ま、とりあえずテイクアウトして常連に意見を聞いてみるか」

アドリブ、連携歓迎です

自分から味に関する感想を言うのはNG
本体は仮面
依代は食べるふりをするだけ
ゆえに仮面に食は必要なく、味は分からない



 悍ましい邪神が消え去った後には、猟兵と松明の火しか残っていない。朝になれば表の死体もUDC職員により処理され、僅かに生き残った傭兵達も今夜の事は全て忘れさせられるのだろう。
「はいはい、お疲れさん。これでまた世界は一つ平和になったな、うん。……じゃ、俺は店の開店準備があるからここらで」
 すべてが終わったことを見届け、マスクを外したマックスがまた気怠げな雰囲気を纏う。そのまま踵を返し、工場の入り口まで歩き……そこで足を止めた。
「……えっ、誰も引き止めてくれないの?」
 ……うん、、誰にも止めさせなかった俺が悪かったからマックスも一緒に行こう、な?

 廃工場から歩いて10分ほど、日中ならそこそこ人通りのありそうな大通りを猟兵たちは歩いていた。とはいえ、街はまだ目覚めたばかりの時間帯。彼らを除けば、通りを歩く人影はほぼない。そんな時間でありながら、一つだけ灯りを点けている店があった。
「……ここがその店か」
 猟兵一行の先頭で心なしかウキウキしたような声色の式。どうやら相当楽しみにしていたようだ。

「いらっしゃい、タナカさんから話は聞いてるよ」
 猟兵たちが店に入ると、店主らしき老夫婦が彼らを出迎えた。既にUDC職員から連絡が行っていたのだろう、店の奥にある広めのテーブルへと案内する。
 店内には、ややお疲れ気味の男性客が2,3人。突然の団体客に一瞬目をやると、軽く会釈をしてから再び目の前の朝食へと視線を戻す。恐らくは、彼らも組織の関係者だろうか。

 席に着くなり、うつろぎと式がまず大量オーダー。
「さて、オススメの朝粥がどんなもんか拝見っと」
 メニューに載っている多種多様な朝粥を、小さな茶碗に少量ずつ全種類注文する式。全て揃ったところで、綺麗に並んだ茶碗を一度眺めてからその一つを手に取り食べ始める。
「うん、流石オススメだけあってどれも美味しいな……」
普段はなかなかできない贅沢な食べ比べを楽しむその顔は、先程まで戦場で見せていた顔とは違う、年齢相応の女性のものだ。窓から差し込む朝日を受けて輝く姿は、何かの絵画のようでもある。
 一方のうつろぎは、7杯同時に注文すると、その全てに腕を突っ込み一気食い。
「お客さん、よく食べるね……いくらお粥とはいえ食べ過ぎには気を付けるんだよ?」
「いやー、徹夜で仕事しててもうお腹減っちゃって……あ、おかわりもお願いします」
 人間離れした(ブラックタールだけど)旺盛な食欲に、店主も若干引き気味だが。あと後ろの方で組織に請求する金額を想像して青くなってる奴が若干一名。

 朝から全開運転で食べまくるうつろぎの横にも大食い勢、もとい遊鬼。
彼のチョイスは、シンプルに胡麻を散らした朝粥。
「ふむ……確かに塩気も胡麻も効いていて旨い。が……足りぬな……」
 やはり戦闘後の大の男には足りなかったらしく、そこそこ大き目の茶碗に入った粥を平らげると追加注文。
「すまん、それと粥と胡麻団子を1人前、後で持ち帰りで後ろの子に渡してやってくれ」
「……え、いいんですか?」
「ここまで送って貰ったからな、その礼だ。後で食べるといい」
「……あ、ありがとうございます!」
さらに、慣れない仕事で苦労したであろうグリモア猟兵を労い、朝食を持たせてやる。

「ははは、皆よく食べるねぇ」
 隣の卓には、そんな賑やかな朝食の様子を眺めるマックスの姿が。仮面である彼は食事を必要としない故、そのテーブルには何も置かれていない。
「お疲れ様。ここ、いいかしら?」
「勿論。美人さんなら大歓迎だぜ」
 その向かい側にミーナが腰掛け自分の分の朝食をオーダー。普段は秘めている力を解放しての激しい戦いも相当の疲労をもたらしたのだろう、気怠げな様子だが、それが不思議と色っぽい雰囲気を醸し出していた……とはマックスの談。
 しばらくすると、ミーナの前に運ばれてきたのはシンプルな卵粥。
「……ん、美味しいわ。貴方は食べないの?」
「ああ、ちょっとね……しかし、確かにいい香りだ。うちの店でも真似してみるかな?……喫茶店だけど」
 コーヒーと朝粥の組み合わせはどうなのか、等色々考える事はあるような気はするが、ひとまずテイクアウトして常連客に食べさせてみることにしたらしい。

 来た時には静かだった外の通りが段々と賑やかになり、猟兵たちもそろそろ帰ろうか、という雰囲気になってきた頃。全種類のお粥を制覇した式は、色々考えた末に最後にもう一杯、とシンプルな梅粥を再びオーダー。
「……うん、全部美味しかったが、こういうシンプルなのが一番いいな」
美味しいお粥でしっかりお腹を満たし大満足そうだ。
 その隣では、数えるのも面倒になるほどの茶碗を積み重ねたうつろぎが極太の丸ゴシック体と化していた。
 こうして、思い思いにゆっくりと朝食を楽しんだ猟兵たちは、それぞれの日常へと帰っていく。
 ――あとで領収書を渡されたUDCの経理担当が苦笑いしたり、それを持って行ったグリモア猟兵が平謝りしたりしたのはまた別の話。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月11日


挿絵イラスト