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あれが野獣の眼だ!

#キマイラフューチャー #戦後 #一人称リレー形式 #にゃんこ #アルパカ

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●キマイラフューチャーにて
 摩天楼の一角。ビルに囲まれた大きな広場。
 噴水付きの人工池が中央に設けられているために『噴水広場』という安直極まりない名前で呼ばれているその場所に多くの人々が集まっていた。
 そして、多くの動物も集まっていた。
 自慢のペットをお披露目するイベントが開かれているからだ。
 子猫を抱いたキマイラ、大型犬に引きずられているテレビウム、小鳥を肩に乗せたヒーローマスク(の装着者)、熱帯魚のホログラムを周囲に泳がせているバーチャルキャラクター……様々な種族が様々な動物とともに歩き回り、目尻を下げ、歓声を上げ、おかしを与え、写真を撮り、楽しく語り合い、互いに相手のペットを褒めそやしつつ、『でも、うちの子がいちばん可愛いもんねー!』と心の中で叫んでいる。
 しかし、彼らや彼女らから物理的にも精神的にも距離を置き、冷ややかな眼差しを向ける者もいた。
「フン! 野生の魂を忘れて家畜と化した動物なんぞを尊ぶとは……なんと、愚かな連中パカ」
 それは筋骨隆々たる体躯をフルボディの水着に包み込んだ獣頭人身の怪人。ビルの影に身を潜めながら、意味もなくダブル・バイセップスのポーズを決めている。いや、当人にとっては重要な意味があるのかもしれないが。
「奴らに教えてやるパカ。真の野獣の強さを! 逞しさを! 恐ろしさを! ……と、言いたいところだが、俺がわざわざ手をくだすまでもないパカ」
 怪人はダブル・バイセップスを決めたままの状態で振り返り――
「おまえら、ちょっと一暴れしてこいパカ」
 ――と、背後に控えていた手下たちに命じた。
「お任せあれにゃー!」
「やってやるにゃー!」
「にゃにゃにゃーん!」
 勇ましくも愛らしい鬨の声をあげて、手下たちは駆け出した。
 平和ボケしたキマイラフューチャーの住人たちに『本物の野獣』とやらの強さと逞しさと恐ろしさを教えるために。

●グリモアベースにて
「キマイラフューチャーで『第四十二回 ステキすぎるうちの子を見てちょーだい祭り』というイベントが開催されるんですよー」
 黒猫を抱いた娘が猟兵たちに語り出した。
 グリモア猟兵のリリ・リーボウィッツである。
「名前から察しがつくとは思いますけど、ようはペットを自慢するイベントですね。私もネーベルと一緒に参加したいところですが、そういうわけにもいきません。ここに残って、皆さんを転送しなくてはいけませんから」
「にゃー」
 と、リリの腕の中で黒猫が鳴いた。彼もしくは彼女が『ネーベル』であろう。
 猟兵たちを転送するからには、そこで事件が起きるということだ。リリが予知した事件の内容は、キマイラフューチャーではおなじみの怪人襲撃。まずは手下たちが会場に乗り込んできて、その後に首領格が現れるのだという。
「手下も首領も獣人タイプのようです。それ以上のことは予知できませんでしたが……まあ、凶暴で獰猛で凶猛な奴らであることは間違いないでしょうねー」
『これ、前振りかな?』『うん、前振りだな』『絶対、前振りだよ』と目顔でやりとりする猟兵たち。
 それに気付くことなく、リリはネーベルを床に降ろして、グリモアを取り出した。
「では、転送を始めまーす。皆さん、私の代わりにイベントを楽しんで……じゃなくて、凶暴で獰猛で凶猛なオブリビオンたちをやっつけてきてくださいね!」


土師三良
 土師三良(はじ・さぶろう)です。
 新世界に飛び立つ前にキマイラフューチャーでゆる~い一時を過ごしませんか?

 第1章は広場でのペットショー。正式名称は『第四十二回 ステキすぎるうちの子を見て見ちょーだい祭り』です。バディペット、ドラゴンランス、グリードオーシャンの騎乗用動物、カクリヨファンタズムの使い魔、ユーベルコードで召喚できるあれやこれや……などなど、バラエティーに富んだペットを自慢するもよし、ただひたすらにペットを愛でるもよし。
 からくり人形やサーチドローンをペットだと言い張ってもいいですし、動物系の種族の猟兵は(いや、動物要素が皆無でも強引に)ペットの立場で参加するのも面白いかもしれません。
 また、ペットを同伴せず、ギャラリーに徹しても構いません。

 第2章は集団戦にゃん。広場に乗り込んでくるオブリビオンたちを倒すのにゃん。敵は獣人タイプらしいけど、詳細は不明にゃん。いったい、どんな獣人なんだろうにゃん?

 第3章はボス戦パカ。第2章と同様に敵は獣人タイプだけど、詳細は不明パカ。いったい、どんな獣人なんだろうパカ?

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。

 ※章の冒頭にあるPOW/SPD/WIZのプレイングはあくまでも一例です。それ以外の行動が禁止というわけではありません、念のため。

 ※基本的に一度のプレイングにつき一種のユーベルコードしか描写しません。あくまでも『基本的に』であり、例外はありますが。
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第1章 日常 『うちの子が一番かわいい!!』

POW   :    うちの子はこんなに逞しい! 力強さや足の速さをアピールする

SPD   :    うちの子はこんなに綺麗! 品格や凛々しい外見をアピールする

WIZ   :    うちの子はこんなにお利口! 賢さや多彩な芸をアピールする

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
『第四十二回 ステキすぎるうちの子を見てちょーだい祭り』という文字が投射された空の下で、多彩な種族が多彩な動物と触れ合っていた。
 猫を撫でている者、犬と遊んでいる者、鳥の囀りを聴いている者、トカゲに餌を与えている者、昆虫を手に這わせている者、金魚が泳ぐガラス鉢を覗き込んでいる者、精巧な電子ペットと歩いている者、スマートフォンに表示されたバーチャルペットに話しかけている者……。
 自分のペットに愛情を注いでいるという以外にはなんの共通点のないそのカオスな一団に加わるべく、猟兵たちは足を踏み出した。
『ステキすぎるうちの子』とともに。


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●リリからのお知らせ
 第1章はペットショーでーす。なにかの賞を狙って競い合うガチなイベントではありませんので、御自慢の『うちの子』と楽しい一時を自由にお過ごしください。もちろん、『よその子』でもいいですよ。
 ペット用の御飯や遊び道具が必要な時は、広場を囲んでいるビルのどこかをコンコンコーンしてくださいね。
『動物なんぞと触れ合うつもりはない!』というかたは動物のことなどガン無視してオブリビオンの警戒とかしてくださって構いませんよ。もっとも、あなたがどれだけガン無視しようとも、動物たちは『構って! 構って! ねえ、構ってー!』と寄ってくるかもしれませんが。
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本山・葵
・方針
ペットはいないが動物が好きなので、会場を駆け巡りふれあいを満喫する

「わんこ!にゃんこ!うさぎにハムスターにその他いろいろ勢ぞろいっすね!」
「へい、へーい!そこのカワイ子ちゃん(注:ペット)!ちょっと写真撮らせてもらえないっすか?」
「おお、その子かっこいいっすね!おさわりOKっすか?よーしよしよし♪」
「マジっすか!?その子どうやって会場まで運んだんすか!?」

※アドリブ、共闘ご自由にどうぞ


エウロペ・マリウス
最近は、殺伐とした戦いに身を置いてばかりだったせいかな
こういった催し物での、心の洗濯を忘れてはいけないね

行動 WIZ

ボク自身は、ペットはいないので見学しようか
でも、誰かの可愛らしいご自慢のペットを見ているだけでも癒やされるものだよ
人混みは苦手だから、隅っこでまったり観賞
持参したお茶を飲みながら、ホクホク顔

動物やらペットは大好きだから、ボクに向かってくる動物は大歓迎だよ
ボクは運動は不得手だから、身体を動かして遊んだりしてあげるのはできないけれど、戯れるぐらいならば問題ないだろうから
ゆっくりと心穏やかな時間を過ごせれば満足かな


カフェラテ・ホーランド
【兎星】

ご紹介に預かりましてステージに上がりますのは…
わ・た・く・し・で・す・わ!!!
(一瞬で地が出る)

ああ、アステル
なんてお上手なのかしら
うふふ、もっと褒めても良いんですのよ
いいえ、もっとこう…その…
もうっ、最後まで言わせないの!
ほら、撫でなさいな!!
存分にもふりなさいな!!!
(ずいずい頭差し出す)
(とても厚かましい)

わたくし、今日はとっても気分がよろしいですわ
せっかくの晴れ舞台、より盛り上げて差し上げましょう

「ユーベル・うさぎさん・コード、メーイクアーップ!!!」

※【ドレスアップ・プリンセス】発動

花びら舞うステージの中心で!
素敵なお洋服を身にまとうわたくしを!!
もっと愛でなさいなー!!!


アステル・サダルスウド
【兎星】

※動物愛が深すぎる

いつもは男の娘だけど、今日は執事の格好で颯爽と登場!
今日ご紹介するのはこちらのお姫様さ!
僕のお友達、カフェラテ君!!

ペットなんて三文字に収まりきらないこの可愛さを見て頂きたい!
ふわふわの毛並み!ぱっちりおめめ!もふもふのあんよ!ぽんぽんの尻尾!
しかもとっても賢いんだよ!
もう全部可愛い!
もふもふの星の、うさぎの国のお姫様…可愛いが留まるところを知らないよ!

えっ、撫でていいの?
わぁい!喜んで!!(ギャラリー完全スルーでなでなで。幸せそうだ!)
ああ、このふわふわ感はなでた人にしか分からないよね…しあわせ…

わわ、ドレスアップで更に可愛いねぇ!
誰よりも大きな拍手を送っちゃうよ!


榊・ポポ
ポポちゃんペットじゃない!
飼い主......じゃない!雇い主はシャッチョさん!
ポポちゃん、不動産屋の事務員!

ペット自慢すればいいのかー?
お供ロボもペットか?
そうだね!ペットだね!
『ミニポポちゃん』だよ!ちっちゃいカカポだよ!
手乗りサイズだよ!かわいいよ!
いっぱいいるよ!おかわりもあるぞ!
おどるよ!光るよ!七色だよ!
巷でブームのゲーミングだよ!
あっ、おどかしちゃだめ!目からビーム出るからね!



●カフェラテ・ホーランド(賢い可愛いうさぎのプリンセス・f24520)
 大きな赤いカーテンがステージの内と外を仕切っております。
 もちろん、わたくしのいる場所は内側ですわ。カーテンが開けば、外側の人たちの視線は釘付けになるでしょうね。数あるウサギの品種の中でも最も愛らしいホーランド・ロップ――その中でも最も麗しいわたくしの艶姿に!
「キマイラフューチャーの人々は美への理解が深いですわ。わたくしのためにこのようなショーをわざわざ開催してくれるのですから」
「いや、カフェラテ君のために開催されたわけじゃないと思うよ」
 と、ミレナリィドールの男の子が苦笑を浮かべて水を差してきました。彼はお友達のアステル。普段は女装している(人間たちが言うところの『男の娘』ですね)のですが、今日は執事の格好をしています。
「いいえ、アステル。たとえ、わたくし個人のショーでなくても――」
 わたくしは垂れ耳を前足で軽く揺らして(人間の女性が髪を払う仕草を真似てみました)、確定した未来をアステルに教えてさしあげました。
「――最終的にはわたくしが皆の賞賛と羨望を独占するはずですわ!」
「それは否定しないけどね。そろそろ、カーテンを開けて『賞賛と羨望を独占』してみる?」
「いえ、真打ちは最後に登場するものですわ。今はまだ様子を見ておきましょう」
 カーテンの端のほうから、ステージの外側――噴水広場を覗いてみました。
 動物がいっぱいいますわ。数だけでなく、種類も豊富。愛らしい(まあ、わたくしには遠く及びませんけれどね)動物もいれば、滑稽な動物もいます。人を乗せられるほど大きな動物もいれば、人の手に乗るほど小さな動物もいます。短い足で忙しなく動き回っている動物もいれば、長い尻尾をゆらゆらと揺らしている動物もいます。
 それらを見ているギャラリーも多種多様ですわね。キマイラフューチャー原住の種族の他、神隠し等によって異世界から来たであろう種族もちらほら見かけますわ。
 その中でもとくに目立っているのは――
「おお!? その子、かっこいいっすね!」
 ――ハイテンションな葵です。一見、眼鏡をかけた普通のお姉さんですが、実はヤドリガミなのだとか。
「え? おさわりOKっすか! よーしよし!」
『かっこいい』と評した毛むくじゃらの大型犬(オールド・イングリッシュ・シープドッグでしょうか?)に抱きついて愛撫する葵。恍惚の表情ですわね。
 でも、犬なんかに心を奪われるのも今だけ。
 今日の主役はわたくしなのですから!

●本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)
「よーしよしよしよし!」
 モッフモフな大型犬の首根っこにかじりつくようにして、もしゃもしゃと撫で回したり、ぺろぺろと舐め回されたり……はぁーん! めちゃくちゃ幸せっす! このモフモフにずっと埋もれていたい!
 でも、そういうわけにはいかないっすよ。他にも沢山の動物がいるっすっから。
「ありがとうっす! さよならっす!」
 モフモフちゃんに別れを告げ、新たな動物との出会いをもとめて歩き始めると……五歩も歩かないうちに目が合っちゃったっすよ。
 大きなカバと。
「……って、何故にカバ!? ここは動物園っすか!」
 さすがの自分も吃驚仰天っす。
「この子、どうやって会場まで運んだっすか?」
「え? 普通に連れて歩いてきたんだけど……」
 と、戸惑い気味に答えたのは飼い主らしきキマイラさん(カラスっぽい翼とタヌキっぽい尻尾が生えてるっす)。よく見ると、カバにはハーネスが装着されていて、それに付いてる紐の先をキマイラさんが握ってるす。カバ用のハーネスが売ってる(というか、コンコンコンしたら出てきたっすか?)とは……恐るべし、キマイラフューチャー。
『アフリカで最も多くの人命を奪っている動物はカバ』というトリビアが広まったせいでUDCアースでは『カバ=獰猛』というイメージが定番になっているし、実際に獰猛な動物なんでしょうけれど、このカバはおとなしそうっすね。ペット用に遺伝子改造された? それとも、よく出来たロボット?
「さわってもいいっすか?」
「いいよ」
 キマイラさんの許可をもらって、おとなしいカバの鼻先を掌でぺたぺた。弾力がそこそこあるっすけど、思っていたよりも硬いっす。
 この独特の手触りを独り占めするのも罪な気がしますから、他の人にも勧めてみるっすかね。
「一緒に触れ合ってみないっすか?」
 自分が声をかけた相手は、隅のほうにちょこなんと座り込んでお茶を飲んでいた女の子。オラトリオのエウロペさんっす。
「ううん。ボクは見てるだけでいい」
 ぷるぷると首を横に振るエウロペさん。遠慮しているとか嫌がっているとかいうわけじゃなくて、本当に見ているだけで満足しているみたいっすね。楽しげな笑顔がその証拠。
 じゃあ、自分一人でカバさんとのスキンシップを満喫させてもらうっす……と、カバさんにまた向き直ろうとした時、もっとインパクトのある動物が視界に飛び込んできたっすよ。
 それは丸っこい体をした大きな鳥。たぶん、フクロウオウムとかいう鳥っすね。だけど、ハトやカラスやニワトリのように珍しくない鳥だとしても、インパクト抜群であることに変わりはないっすよ。
 鳥なのにヘルメットを被って、原付バイクに乗っているんすから。
「うわー。おもしろい鳥だねー。誰のペットなの?」
 カバを連れたキマイラさんが誰にともなく問いかけたっす。
 すると、ヘルメット姿の鳥さんは――
「ポポちゃん、ペットじゃない!」
 ――翼をばたつかせながら、そう叫んだっす。

●エウロペ・マリウス(揺り籠の氷姫・f11096)
「ポポちゃん、不動産屋の事務員! 飼い主……じゃなくて、雇い主はシャッチョさん!」
 ポポがバイクのシートの上で飛び跳ねながら、自分はペットではないと主張してる。本人は真剣なのかもしれないけど、傍から見る分には可愛い。
「これ、ペットを自慢するイベントだよね? ポポちゃんもペット連れてきたよー」
 ポポは飛び跳ねるのをやめて、たすき掛けした鞄(そう、ヘルメットだけじゃなくて鞄も身に着けてたの)から鳥を取り出した。でも、本物の鳥じゃない。ポポをそのまんま縮小したかのような人形。
「じゃーん! 『ミニポポちゃん』だよー! ……って、お供ロボもペットに入るのかな? うん、入るよね。入る、入るー」
 と、ポポが語っている間に彼女の手(じゃなくて、羽だね)の上で『ミニポポちゃん』が羽をぱたぱたさせながら、体をくるくると回し始めた。
「おどるよ! 光るよ! 七色だよ! 巷でブームのゲーミングだよ!」
『ゲーミング』とかいうのはよく判らないけど、確かに七色に点滅してるね。
「いっぱい、いるよ! おかわりもあるぞ!」
 ポポはミニポポちゃんを地面に置くと、新たなミニポポちゃんを取り出して横に置き、その横にまた別のミニポポちゃんを置いて……と、本人が言うところの『おかわり』を繰り返して、七体のミニポポちゃんを並べた。それぞれの点滅のタイミングがちょっとずつズレているので、七色の波が横に走っていくように見える。幻想的だけど、ミニポポちゃんのユニークな見た目とはミスマッチな感じ。でも、それが良い。
「いやー、機械仕掛けのペットてのも悪くないっすね」
 葵が腰を屈めてミニポポちゃんに顔を近付けようしたけれど、ポポが制止した。
「あっ? おどかしちゃダメ! 目からビームが出るからね!」
「なにそれ!? 怖いっす!」
 うん。怖いね。だけど、怖さよりも可愛さのほうがちょっと勝ってるかも。
 動物たちは可愛いし、天気は良いし、お茶は美味しいし……あー、癒されるなあ。こういう風にまったりした時間を過ごすのは久しぶり。最近は、ダークセイヴァーの殺伐とした戦場に身を置きっぱなしだったから……と、感慨に耽ってたら、マイク越しの声が特設ステージのほうから聞こえてきた。
「はい! 皆さん、注目!」
 見ると、いつの間にかカーテンが上がっていた。マイクを手にした執事姿のアステルがステージの中央に立っている。
「本日ご紹介するのはこちらのお姫様! 僕のお友達、カフェラテ君!」
 アステルが片腕を振り上げると、垂れ耳ウサギのカフェラテが舞台袖から姿を現した。
 優雅な足取りで。

●榊・ポポ(デキる事務員(鳥)・f29942)
 しゃなりしゃなりと気取って歩くカフェラテ。
 だけど、ステージの真ん中にいるアステルの傍まで来ると――
「わ、た、く、し、で、す、わー!」
 ――はい、ハジけたー。
 マイクを持ってるアステルのほうもはじけてるよ。
「どうですか! 『ペット』なんて三文字に収まり切らない……そう、三千字を費やしても正確に表すことなどできるはずもない、この可愛さは?」
 確かに可愛い。ミニポポちゃんたちに勝るとも劣らないレベルだね。
 ……ん? ということは、ミニポポちゃんたちの可愛さを表すのも三千字では足りない? 名前はたったの七文字なのにー。
「ふわふわの毛並み!」
 アステルの言葉に合わせて、カフェラテがポーズを決めた。
「ぱっちりおめめ!」
 今度はステージの外に流し目を送ってきたよ。
「もふもふのあんよ!」
 クイッと片足を上げたね。
「ぽんぽんの尻尾!」
 こっちに背中を向けて、お尻を振り振り。
「しかも、とっても賢いんだよー!」
 いやいや、賢さはポポちゃんのほうが上だよ。ポポちゃん、デキる事務員だもんね。給料分以上の働きをするから、シャッチョさんも大満足。
「あー! もう、ぜんぶ可愛い! ぜんぶ可愛い! まさにもふもふの星のうさぎの国のお姫様! 可愛いがとどまるところを知らないよぉーっ!」
 とどまるところを知らないのはおまえのテンションだ。少し落ち着け、アステル。
 周りの人たちもアステルに乗せられて興奮気味。ステージに向かって、口々に『かわいいー!』とか『すてきー!』とか叫んでるぞ。
 そんな中でもエウロベはまったりペースだ。のんびりとお茶を啜ってる。だけど、カフェラテに興味がないわけじゃないみたい。やさしい笑顔でステージのほうを眺めてるよ。
「犬だのカバだのに夢中になった葵もわたくしの愛らしさに魅せられていることでしょうね」
 お尻を振っていたカフェラテが前に向き直って、自信満々といった表情を見せた。
 そういえば、葵はどこに行ったんだろ?
 ぐるりと見回してみたら、すぐに見つかった。分厚い眼鏡の前にスマホを構えてる。
「へいへーい、そこのカワイ子ちゃん! ちょっと、写真を撮らせてもらえないっすか?」
 でも、スマホを向けた先はステージの上のカフェラテじゃない。
 そして、さっきのカバでもない。
 ワニだった。

●アステル・サダルスウド(星影のオルゴール・f04598)
 怪獣の着ぐるみを纏ったテレビウムが連れている小型犬サイズのワニ。
 葵はそれに魂を持っていかれてしまったらしく、ステージそっちのけで写真を撮りまくっている。
 だけど、幸いなことにカフェラテ君は気付いてないみたい。葵以外のギャラリーの注目を浴びているからね。
「ほら、アステル」
 カフェラテ君が僕の執事服(けっこう似合うでしょ?)の裾を引っ張ってきた。
「もっと褒めてくださいな」
「うん」
 僕はマイクを顔に近付けて、カフェラテ君の素晴らしさをギャラリーにまたアピールしようとしたけれど――
「いえ、褒めるだけじゃなくて……」
 ――カフェラテ君がなにか言いたげな様子なので中断した。
「どうしたの、カフェラテ君?」
「その……なんというか……もっとこう……」
「うん?」
「もうっ! 察しが悪いですわね! 最後まで言わせないの!」
 カフェラテ君は頭を突き出し、僕の脚にぐりぐりと押しつけてきた。なにこの攻撃? 控えめに言っても最高なんだけど?
「ほら、撫でなさいな! 存分にもふりなさいな!」
「えっ? いいの?」
「特別に許可してさしあげますわ!」
「わぁーい! 喜んで!」
 アピールなんか、もうどうでもいい! 僕はマイクを投げ捨て、カフェラテ君を撫でまくった。なでなでなでなでなでー……嗚呼、直に触れた者にしか判らない、このふわふわ感! 指先から幸せが伝わってきて、心の底から喜びが込み上げてくる!
 だけど、至福の時間は唐突に終わった。カフェラテ君が僕から離れたから。
「どうしたの、カフェラテ君? 撫でかたが気に食わなかった?」
「違いますわ。むしろ、とっても良い気分。なので――」
 片足で爪先立ちになって、くるりとターンを決めるカフェラテ君。
「――より盛り上げてさしあげましょう!」
 小さな体がドレスに包まれ、無数の花片が周囲に舞い散った。ユーベルコードの『ドレスアップ・プリンセス』を使ったんだね。
「わわっ! ドレスアップで更に可愛いねぇ!」
「そう! 更に更に更に可愛くなったのですわー! さあ、もっと愛でなさいなー!」
 言われなくても愛でますとも。
 ドレス姿のお姫様に僕は拍手を送った。ギャラリーの中にも拍手している人たちがいるけれど、僕の拍手が一番大きいんじゃないかな――そう思って、広場のほうに目をやった。うん、やっぱり、僕以上に大きな拍手をしている人はいない。そもそも拍手をしてない人もいるけれどね。ワニの撮影を続けてる葵とか、ミニポポちゃんたちに新たなフォーメーションを組ませているポポとか……それにエウロペ。
 いつの間にやら、エウロペは何匹もの猫や犬に取り囲まれて、じゃれつかれていた。それらの相手をするのにいっぱいいっぱいだから、拍手を送る余裕がないみたい。まあ、『いっぱいいっぱい』と言っても、当人はとても幸せそうだけどね。
 たぶん、その幸せを表すには三億字でもまだ足りないんじゃないかな。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
オブリビオンをきっちり海へ還すけど
まずは楽しむぜ
リリ&ネーベルの分まで

行動
地獄の炎から迦楼羅を呼び出す
まずは掌サイズで

ペットじゃなくて相棒かな

周りを飛び回らせる
キラキラして綺麗だろ

上空の障害物がない空間で
今度は一気に20m位に

本来は全長三百里(約1179km)なんだけど
流石に色々アレなんで
こん位で

それでも翼の風が半端ないし
黄金の輝きも眩しいから
お披露目すんだら
すぐ鷹位の大きさに

他のペットと触れ合いとか遊ばせたり
序に上空から怪人の姿がないか見てもらう

折角だし
俺自身も皆のペットや相棒とも
楽しく触れ合いたいぜ
お邪魔虫にならない程度で

皆や広場の楽し気な雰囲気に興が乗って
ギターも弾いちゃうぜ


レンディア・バルフォニー
おお、動物がいっぱい
楽しいねぇサクラ……って、ちょっと警戒気味かな? もう少しすれば慣れると思うけど
みんなのうちの子自慢も楽しみだし、俺もサクラを紹介(自慢?)しちゃおう

この子はサクラ
アカハネジネズミっていう動物でね
ネズミと付くけど、実はネズミの仲間じゃなくてゾウとかツチブタとかの仲間に近い生き物さ
外見の魅力は大きな目と長い鼻、ちょこちょこすばしっこく動く姿かな。桜の耳飾りもお洒落でしょ?
そして、掃除が得意な綺麗好きさん
床やテーブルの上にゴミがあると、小さな手や長い尻尾で一生懸命ゴミをどかして一箇所に集めておいてくれるんだ
頑張ったご褒美に果物をあげると、満足げにもぐもぐ食べて可愛いんだよねぇ


アルゲディ・シュタインボック
玄ちゃん(f06807)と

まぁ、沢山の動物が勢揃いね
どの子も飼い主さんに愛されているのが見てとれるわ

…さて玄ちゃん
私達も負けてられないわ
御主人が私ってことは玄ちゃんはペットってことよね

普段からたっぷり甘やかしてるから、見てこの甘やかされたでっぷりお腹!!
何でも食べてくれるのよ、この子
コンコンコンで出てきた食べ物をあーんと玄ちゃんに食べさせつつ
この食いっぷり、可愛いでしょ?堪らないでしょ?
みんなもどんどん与えて構わないわよ!

メタボ? んー、本人が気にしてないし良いんじゃないかしら
そこはほら、イイ大人なんだし自己責任でしょ?
あら玄ちゃん何か言ったかしら?(ヒール脱いで直足で踏み)(今日は優しい)


一之瀬・玄十郎
アルゲディ(f03929)と
もげぇ…。にゃんだかたくさんの動物がおるにゃ
なんぞここ?あっし何で呼ばれたにゃん?
…ぬな!ルディ、あっしをペット扱いするにゃか!にゃにゃ!
合点承知の助にゃ、任せるにゃよこれでもかというワガママぼでーを見ていかに愛されているか見るがいいにゃ!

あざと可愛くごろにゃんするにゃ!ほれほれほれ!!(ものすんごくムカつく顔して)もっちもちのあっしを愛でるにゃ

わーい、ごはんにゃごはんにゃ(もぐもぐぅ~
なんでも食べちゃうにゃよーどんどん食べさせるのにゃ
むふふ、いいようにルディを使えるとは思わなんだにゃ…ぎにゃ!(踏まれる)



●木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)
 見上げれば、空には『第四十二回 ステキすぎるうちの子を見てちょーだい祭り』という文字。
 見下ろせば、ペットを連れたキマイラフューチャーの住人たち。
 そのペットたちがまた実にバラエティー豊か……というか、カオスって感じだな。犬だの猫だのだけじゃなくて、珍獣奇獣の類もいるし、動物の範疇に入るかどうか怪しいやつもいる。
 キマイラフューチャーだけあって、飼い主たちのほうも個性的だぜ。ミニブタを抱いたキマイラとか、金魚鉢を抱えたバーチャルキャラクターとか、ゾウガメの甲羅に乗ってるテレビウムとか。
 そういうのに比べると、あっちにいる飼い主とペットの取り合わせは普通かな? 飼い主は、見るからにお嬢様って感じのエルフ。その横にいるペットは太り気味の三毛猫。うん、普通だ。
 その猫がケットシーだってことを無視すればの話だけど。
「にゃんだか、たくさんの動物がおるにゃ。なんぞ、ここ? あっし、なんで呼ばれたにゃん?」
 太り気味のケットシー――玄十郎は物珍しげにきょろきょろと周りを見回してる(周りの奴も玄十郎のことを物珍しげに見てるけどな)。どうやら、今回の任務の内容を把握してないらしい。
「まあ! 動物がこんなに沢山!」
 エルフのアルゲディも見回してるけど、物珍しげじゃなくて、感動の眼差し。漫画みてえに瞳がキラキラしてるぜ。
「どの子も飼い主さんに愛されているのが見てとれるわ」
「ちょっと、ルディ! 無視するにゃー」
 玄十郎がアルゲディの脚をちょんちょんとつついて、さっきの質問を繰り返した。
「あっし、なんで呼ばれたにゃん?」
「そんなこと、訊くまでもないでしょう。これはペットをお披露目するイベントなのよ」
「……なぬ!? まさか、あっしをペット扱いするつもりかにゃ?」
「そうよ。なにか不満でも?」
 一瞬、アルゲディの目の光が『キラキラ』から『ギラッ!』に変わったように見えたのは気のせいか?
 とはいえ、玄十郎にもプライドってもんがあるだろうからな。ペット役なんかを引き受けるわけが――
「合点承知の助にゃ」
 ――あった!? 三秒で引き受けやがったぞ。
「任せるにゃよ。これでもかというくらいのワガママぼでーを見せつけて、あっしがいかに愛されているかを世間の皆々様に知らしめてやるにゃ!」
 背中を丸めてない状態なのにやたらと丸っこい『ワガママぼでー』とやらをぶるぶる揺らして、玄十郎は妙なポーズを決めた。たぶん、本人は本物の猫のようにあざとかわいく振る舞っているつもりなんだろうけど……なんか、表情が妙にムカつくんだよなぁ。

●一之瀬・玄十郎(さすらいのまんぞくさん・f06807)
「ほらほら! みんな、見てー!」
 ルディがあっしの頭をぽんぽんと叩きながら、イベントの参加者たちに呼びかけたにゃ。
「どう? このお腹? 普段からたっぷり甘やかしてるから、こんなにでっぷりしてるのよ」
「にゃにゃにゃーん♪」
『たっぷり』によって『でっぷり』になったお腹をあっしは突き出してみせたにゃ。ルディが頭を叩くタイミングに合わせて腹鼓をぽんぽんぽーん♪
 すると、みるみるうちに人だかりができたにゃ。これもあっしの魅力のなせるワザ。
「わー。ヘンなニャンコだね」
「すっごいデブッてるぅ」
「ぶさかわいいー」
 ……あれ? なんか、ギャラリーのリアクションが思ってたのと違わにゃい? 『ぶさかわいい』って、どういうことにゃの? 頭に『ぶさ』はつけなくてもいいにゃん。
「お? 一之瀬くん、大人気だねえ」
 キマイラフューチャーの住人だけじゃなくて、猟兵仲間も寄ってきたにゃ。サングラスが似合うこのウンディーヌはレンディア。ネズミみたいな小さな動物を肩に乗せてるにゃん。
「それにしても、見事な太鼓腹だ」
 レンディアはあっしのおなかをつついてきた。
「滑らかな曲面にデベソがぽちっと突き出てるのが良い感じだね。このデベソって、実はなにかのスイッチだったりするの?」
「よくぞ気付いたにゃ。これを押すと、三秒で爆発……って、そんなわけないにゃー!」
 おっと、ノリツッコミしてる場合じゃないにゃん。ギャラリーにあっしの魅力をもっと伝えにゃくては……と、思った矢先にギャラリーの一人であるバーチャルキャラクターの女の子がレンディアに声をかけたにゃ。
「ねえねえ、おじさん。その肩に乗ってるネズミみたいなのはなーに?」
「この子はサクラ」
 レンディアが肩に手をやると、そのネズミモドキは掌に飛び移ったにゃん。
「アカハネジネズミっていう動物でね。ネズミとつくけど、実はネズミじゃなくて、ゾウとかツチブタとかの仲間に近い生き物さ」
「へー! かわいいー!」
 にゃにゃ!? ギャラリーの興味があっしからネズミモドキに移りそうにゃん。しかも、あっちは頭に『ぶさ』がついてにゃい。ちょっと悔しいにゃん。
 ちらりとルディに目をやると、彼女も同じようにゃことを考えていたらしく――
「負けていられないわね」
 ――と、呟いたにゃん。
 そう、ネコがネズミに負けるわけにはいかないにゃ。

●レンディア・バルフォニー(朱龍・f27097)
「アカハネジネズミの外見の魅力は大きな目と長い鼻。それから、ちょこちょことすばしっこく動く姿かな。桜の耳飾りもお洒落でしょ?」
 可愛い可愛いサクラについて、俺は語り続けた。ルディことアルゲディちゃんの『負けていられないわね』という呟きが聞こえてきたような気がしたけれど、べつに気にしなーい。
 最初のうちは人だかりに怯えて小さい体を更に小さく縮こませていたサクラだけれど、今はもう慣れたみたい。掌の上で頭をもたげて、尖った鼻先をヒクヒクと動かしている。空気の匂いを嗅いでいるのかな。
「サクラは掃除が得意な綺麗好きさんでもあるんだ」
「掃除が得意?」
 と、聞き返したのは木霊くん。額のところに傷がある男の子だ。
「うん。床やテーブルの上にゴミがあると、小さな手や長い尻尾でせっせとゴミをどかして、一箇所に集めておいてくれるんだ」
「そいつぁ、すげえ。集めるだけじゃなくて、分別してゴミ出しもしてくれたら、もう完璧だな」
 そう言いながら、木霊くんはサクラに指先を近付けた。慎重に、ゆっくりと。
 サクラは一瞬だけビクっとしたけれど、すぐに警戒を解き、『撫でてもいいよ』とでも言うように頭を少し垂れた。指を近付けてきた相手が悪人じゃないということを動物的な本能で悟ったのかも。
 木霊くんがサクラを指先で撫でていると――
「聞いて、聞いてー」
 ――アルゲディちゃんが片手をぶんぶんと振って、皆の注意を引いた。いつの間にか、反対の手に皿を持っている。そこにこんもりと盛られているのはドライタイプのキャットフード。所謂『カリカリ』だ。
「この子ったらね、なんでも食べてくれるのよ」
「わーい! ごはんにゃ、ごはんにゃ!」
 喜びの声を発して飛び跳ねる一之瀬くん。その動きに合わせてお腹がたぷたぷ揺れる様が見苦しくもあり、微笑ましくもあり……。
「はい、あーん」
 アルゲディちゃんは山盛りのカリカリの一部をスプーンでざくりと掬い取り、一之瀬くんへと差し出した。いや、よく見ると、カリカリだけじゃない。煮干しの頭やペット用ジャーキーの端っこがそこかしこから覗いてる。全部、そこらへんのビルでコンコンコンして調達してきたものだろうね。
「にゃん!」
 一之瀬くんは口吻を突き出すようにして、カリカリ&ミックスを口に含んだ。そして、極上の美食でも味わっているかのように恍惚とした顔をして、もぐもぐもぐもぐ……。
「はい、あーん」
 咀嚼が終わる頃を見計らって、アルゲディちゃんがまたスプーンでカリカリ&その他ミックスを掬い取って、一之瀬くんの顔に近付けた。
「にゃん!」
 またもや、恍惚のもぐもぐタイム。
 そんな『あーん&にゃん』を何度か繰り返した後、アルゲディは周囲の人たちを見回した。
「この食いっぷり、可愛いでしょ? 堪らないでしょ? 皆もどんどん与えて構わないわよ!」
 すると、人々は一之瀬くんに殺到し、様々な食べ物を我先にと差し出した。まあ、誰しも逆らえないものだからね。自分があげたものを美味そうに食べる動物を見るという快感には……。

●アルゲディ・シュタインボック(白金の癒杖・f03929)
「にゃーん! あっちはなんでも食べちゃうにゃよー。どんどん、食べさせるのにゃー」
 いろんな人からいろんな御飯を貰って、玄ちゃんはご満悦。
 でも、ウタとレンディアは――
「これって、メタボ一直線じゃねえのか?」
「いや、既にメタボってるような気がするね」
 ――ちょっと呆れてるわね。
「本人は気にしてないんだし、べつにいいんじゃないかしら。メタボになったとしても、それは自己責任ってやつでしょ。いい大人なんだから」
『いい大人』であるところの玄ちゃんへのカリカリの提供を私は再開した。スプーンで掬って、『あーん』と差し出し、スプーンで掬って、『あーん』と差し出し……なんだか、雛に餌を運んであげる親鳥の気分だわ。
 で、雛のほうはといえば、なにやら調子に乗ってる感じ。
「むふふ。いいようにルディを使えるとは思わなんだにゃー」
「あら? 玄ちゃん、なにか言ったかしら?」
「ぎにゃ!?」
 カリカリを差し出す代わりに頭をぐりぐり踏んづけてやったら、玄ちゃんは少しだけおとなしくなった。周りの人たちはちょっと退いてるみたいだけど。
「おいおい。あたりが強すぎないか」
 ウタが苦笑いしてる。
「いいえ。むしろ、今日はいつもより優しく接してるわ。わざわざヒールを脱いで、直足で踏んでるんだから」
「ひどいにゃー!」
「黙って食べてなさい」
 情けない声を出す玄ちゃんの頭を踏み続けながら、私はウタに訊いた。
「ところで、あなたはペット同伴じゃないの?」
「いつだって同伴してるよ。ペットというか、相棒だけどな」
 ウタは、先程までサクラちゃんを撫でていた指を口のあたりに近付けた。
 そして、いきなり噛み切った!
 でも、心配御無用。彼はブレイズキャリバーだから。指の傷口から出てきたのは血じゃなくて、地獄の炎よ。
「こいつの名は迦楼羅だ」
 炎が掌サイズの鳥に変わり、周囲を飛び回った。金色の翼をはためかせて。小さな火の粉か金粉のようなものを撒き散らしながら。
「キラキラして綺麗だろ? こんなこともできるぞ」
 迦楼羅が急上昇した。打ち上げ花火さながらに一直線に。距離があいたので、その姿は小さく……なるはずなのに、逆に大きく見えるわ。
「巨大化できるの?」
「ああ。今の大きさは二十メートルほどだな。その気になれば、もっと大きくなるけれど、流石に色々とアレなんで……」
 いえ、二十メートルの時点で『色々とアレ』だと思う。とても眩しいし、はばたきで生じる風が強烈。だけど、とても綺麗だわ。周りの人たちもうっとりと空を見上げてる。
 玄ちゃんだけは御飯を食べるのに夢中になっているけどね。
 私たち(玄ちゃんを覗く)の目をたっぷり楽しませてくれた後、迦楼羅は降下してきた。高度に合わせて体も縮めたらしく、ウタの肩に止まった時には鷹ほどの大きさになっていた。
「いやー、幻想的な光景だったよ」
 レンディアが拍手をした。
 ……ん? 拍手? じゃあ、掌に乗ってたサクラちゃんはどこにいるの? ああ、いたいた。いつの間にか、地面に降りてたわ。玄ちゃんの足下で尻尾を左右に振ってる。なにをしているのかしら?
「おまえ、もしかして――」
 と、ウタがサクラに声をかけた。
「――玄十郎がこぼした食べかすを掃いてるのか?」
「そうだよ」
 サクラに代わってレンディアが頷き、ニッと笑った。
「綺麗好きだって言ったろう?」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『にゃんこアーティスト』

POW   :    これでキミともニャン友にゃん
【対象の発言に対し、いいね】が命中した対象を爆破し、更に互いを【相互フォロー】で繋ぐ。
SPD   :    とりあえず、ぶっかけてみた
【瞬間凝固ペンキをぶっかけ芸術活動する攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を題材にしたアートが開始され】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    にゃんこ絵描き歌
【にゃんこ絵描き歌】を披露した指定の全対象に【真似してみたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
「どけどけどけー! 道をあけるにゃー!」
「天下御免のにゃんこアーティスト団のお通りだにゃ!」
「にゃにゃにゃーん!」
 突然、奇妙な一団が公園広場に乱入してきた。
 いや、キマイラフューチャーでのペットショーというシチュエーション下では、さして奇妙には見えないかもしれない。
 彼らは猫だったのだから。
 当然のことながら、普通の猫ではない。ケットシーのように直立し、骨を模した大きな絵筆を担ぎ、塗料で汚れたツナギを身に着けている。
「アイガンドーブツなんぞにうつつを抜かしている愚か者ども! お遊びはこれまでにゃ!」
「真の野獣の恐ろしさを知るがいいにゃ!」
「にゃにゃにゃーん!」
 ツナギ姿の猫たちは見得を切るかのように筆を構えて、つぶらな瞳で周囲の人々をねめつけた。本人(本猫?)たちは睨みを利かせているつもりなのだろう。
 人々はじりじりと後退りして、猫たちから距離を開けた。恐怖に駆られたからではない。この椿事をなにかのアトラクションだと思いこみ、猫たちが動きやすいように場所を開けたのだ。
「さあ、恐怖の殺人アートショーの始まりにゃ!」
「覚悟しろにゃ!」
「にゃにゃにゃーん!」
『野獣の恐ろしさ』と『アート』というのは相反するもののように思えるが、猫たちは気にしていないようだ。
 ギャラリーのほうも気にしていなかった。皆、これから始まるアトラクション(と、まだ思い込んでいるのだ)に期待し、目を輝かせている。『かわいいー♥』と黄色い声をあげて、猫たちにスマートフォン等を向けている者もいた。


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●リリからのお知らせ
 第2章は集団戦でーす。凶暴で獰猛で凶猛なにゃんこ軍団をやっつけちゃってくださーい。
 ギャラリーに取り囲まれている状態での戦闘になりますが、にゃんこ軍団は猟兵だけを狙うので、ギャラリーの安全とかに配慮する必要はありません。
 にゃんこ軍団との戦い方は次の二つのうちのどちらかを選んでください。

その1 普通にユーベルコードをぶつけて戦う。

その2 ペット(自分のペットでもいいですし、ギャラリーのペットを借りてもいいです)に芸をさせたり、可愛い仕草とかを見せる。第1章と同じノリですね。

 二番目のやりかたでギャラリーに大受けしたりすると、敵のにゃんこたちは負けを認めて勝手に消滅します。
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エウロペ・マリウス
おや?
新しい動物たちかな?

行動 WIZ

普段の戦闘時の冷静さは完全に何処かにぶん投げだしており、
構って欲しくて寄ってきてると勘違い
一応攻撃には無意識に【オーラ防御】と【結界術】で防御
寄ってきた『にゃんこアーティスト』には、
冷静を装っているが、興奮して制御できていないままの魔力、氷の【属性攻撃】での【鎧無視攻撃】【貫通攻撃】を用いて撫で回す

キミ(にゃんこアーティスト)が泣いても(喜んで鳴いていると勘違い)、
撫でる(攻撃する)のを辞めない!(ある意味、普段よりも情け無用)

逃げたり、倒して消えていったりすると悲しげ呟く

「猫って、構い過ぎても駄目なんだね……」(しょぼんとしている)


本山・葵
・手下の姿が予想と違ったので驚く
「現れたっすね!とがったキバ!鋭いツメ!輝く瞳、ふわふわの毛並み、魅惑的な肉球、まさに猛…獣…?」
「ちょっ!この子たちをやっつけるんすか!?子供のトラウマになったり、動物愛護団体あたりからクレーム飛んだりしないっすか?」

・(SPD対策)素早くペンキ缶を狙い撃ちして、ペンキを撒くのを妨害する
「おおっと、落書きは禁止っすよ!」
技能:早業、スナイパー、視力

・UCを使いスタンモードにしたブラスターで一掃する
「にゃんこをいじめるのは気が引けるのでみねうちで勘弁してやるっす」
技能:マヒ攻撃、なぎ払い、援護射撃

※アドリブ、共闘ご自由にどうぞ


榊・ポポ
※1.UC使用

いっぱい!いっぱい!猫いっぱい!
でもポポちゃんの方が可愛いね!
パンチが足りない?じゃあアレ使うかぁ...(『ゲーミングドリンク』)

おっ
おっ
おっ
テンション、あが、あがっ、あがががががが
キエーッ!!三倍アイスクリーム!!(サムバディスクリームと言ったつもり)

七色に光り輝きながらそこら中を暴走飛行
ドリブルしたりバウンドしたりして敵をおはじきみたいに弾き飛ばすよ!
巻き込むかもしれないけど頑張って避けてね!
ポポちゃん、こうなったら自力では止まらないし止められないんだよね!

最後はそこらへんの壁や地面に激突して犬神家みたいな恰好で埋まっているんじゃないかな



●本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)
 リリさんが言うところの『凶暴で獰猛で凶猛なオブリビオン』たちがついに現れたっす!

 尖った牙! (ギラッ!)

 鋭い爪! (ジャキーン!)

 輝く瞳! (きらきら~☆)

 ふわふわの毛並み! (もっふもふぅ~ん♪)

 そして、魅惑的な肉球! (ぷにぷに~♥)

 ……って、なんか思ってたのと違ぁーう! あと、人のモノローグに『ギラッ!』とかのSEを入れてるのはどこの誰っすか!? 勝手なことをしないでくださいっす!
「恐怖のどん底に突き落としやるにゃー!」
「命乞いしても無駄だにゃー!」
「にゃにゃにゃーん!」
 凶暴で(略)なオブリビオンたちは凄んでいるつもりみたいっすけど、公園内の人たちはまったく怖がってないっすね。それどころか、目尻下げっぱなし、相好崩しっぱなし、口元ニヤニヤ弛めっぱなしっすよ。このにゃんこたちがオブリビオンだということに気付いてないみたいっすね。
 当然のことながら、自分を始めとする猟兵は違うっすよ。愛らしい外見に惑わされず、相手をちゃんとオブリビオンとして認識してるっす。
 ほら、あちらにいるエウロペさんも――
「おや? この子たちも誰かのペットなのかな? かわいいねー」
 ――めっちゃ、惑わされてるぅーっ!? ちょっと待って! エウロペさんって、そんなキャラだった?
 いや、だけど……おかしいのは彼女だけっすよ。他の猟兵は大丈夫っす。
 たとえば、そちらにいるポポさんとか――
「いっぱい! いっぱい! 猫、いっぱい! でも、ポポちゃんのほうが可愛いね!」
 ――なんか、変な対抗意識を燃やして、翼をばさばさしてるぅーっ!? ちょっと待って! ポポさんって……あー、そんなキャラだったね、うん。
「さあて、誰を殺人アートショーの最初の生贄にしてやろうかにゃ?」
「あの片眼鏡をつけた女にするにゃん!」
「にゃにゃにゃーん!」
 にゃんこたちがエウロペさんに目をつけて、襲いかかったすよ。こうなったら、エウロペさんもさすがに状況を把握できるはずっすね。
「うん? キミたち、撫でてほしいのかい?」
 把握してない! ものの見事に把握してない! にこにこ笑って、にゃんこたちを受け入れようとしているっす!
「逃げてー! エウロペさん、逃げてー!」

●榊・ポポ(デキる事務員(鳥)・f29942)
「逃げてー! エウロペさん、逃げてー!」
 葵がぎゃーぎゃー喚いているけど、エウロペの耳には届いてないみたいね。めちゃくちゃイイ笑顔で、敵の猫たちと触れ合おうとしてるよ。
 だけど、猫たちはエウロペに触れる前に――
「うにゃー!?」
「うにゃにゃー!?」
「うにゃにゃーん!?」
 ――次々と弾き飛ばされちゃった。
 普通のヒトには、なにが起こったか判らないだろうね。でも、デキる事務員にして高性能アニマロイドでもあるポポちゃんには理解できたよ。猫たちが弾かれたのは、エウロペが無意識のうちにオーラの防壁を展開したり、結界を張ったりしたから。無意識だから、当のエウロペも首を傾げてるけど。
「あれ? どうしたの、キミたち? そっちが来ないなら――」
 今度はエウロペのほうが猫たちに近付いていく。
「――こっちから行くね。思い切り撫でてあげる」
 その宣言通り、エウロペは猫たちを『思い切り撫で』始めたよ。でも、普通の撫で方じゃない。青白い妖精を杖に変えて、氷の魔法っぽい攻撃を猫たちに容赦なくぶつけてるの。
「うにゃにゃにゃにゃーっ!?」
 悲鳴を上げて凍り付いていく猫たち。なにこれ、こわい。
 葵もおろおろしてるよ。
「ちょっ……こういうのって、見ている子供のトラウマになったり、動物愛護団体とかからクレームが飛んできたりしないっすか?」
 それは心配しなくてもいいみたい。周りの人たちは笑って見てるから。たぶん、誰一人として、これを実戦だとは思っていない。
 そもそも、エウロペ自身も実戦のつもりでやってるわけじゃないしね。
「猫ォォオオーっ! キミたちがっ! 鳴いても! 撫でるのをやめないっ!」
 猫たちの悲鳴を喜びの鳴き声だと勘違いして、撫で続けてる……というか、攻め続けてるよ。
 だけど、エウロペばっかりを目立たせるわけにはいかないね。猫たちなんかよりもポポちゃんのほうが可愛いということを皆に教えてあげるよ。
 とはいえ、このままでパンチが足りないから……じゃーん! 取り出したるは『ゲーミングドリンク』! 元気を前借りするスーパー飲料だよ! これをぐびりと飲めば……。
 おっ?
 おっ?
 おっ?
 テンション、あが、あがっ、あがががががが……なんか、来たぁーっ!
 聞け、ポポちゃんの魂の叫びぃーっ!
「Somebody scream!」

●エウロペ・マリウス(揺り籠の氷姫・f11096)
 じゃれついてくる猫たちを撫でていると、ヘンな声が聞こえてきた。
「さんむばぁいすくりーんむ!」
 叫んでいるのはポポだった。声だけじゃなくて、全体的にヘン。翼をはばたかせる勢いがさっきよりも激しくなってる。
「三倍アイスクリームっすか……これはまたベタなネタをブッ込んできたっすね」
 葵が呆れてる。『三倍アイスクリーム』って、なんだろう?
 それを彼女に尋ねようとした時――、
「さんむばぁいすくりーんむ!」
 ――ポポが猛スピードで猫の群れの中に飛び込んだ。さっき見せてくれたミニポポちゃんみたいに体を七色に輝かせながら。
「さんむばぁいすくりーんむ!」
 七色の軌跡をジグサグに描き、あっちからこっちに突進したかと思えば、こっちからそっちに驀進して……たぶん、これはユーベルコードだね。
「にゃ、にゃんだ、この鳥はぁーっ!?」
「こっち来んにゃー!」
「にゃにゃにゃーん!?」
 猫たちは右往左往している。でも、暴走中のポポに跳ね飛ばされた子は一匹もいない。あのユーベルコードは戦闘には使えない類のものなのかな?
 だからといって、すべての猫が無傷では済んだわけじゃない。
「自分もやるっすよー!」
 と、葵が猫たちめがけて熱線銃を撃ち始めたから。ひどい。
「やめてよ、葵。どうして、猫をいじめるの?」
「いやいやいや! いじめてるわけじゃないっすよ。一応、熱線銃はスタンモードにしてるし。てゆーか、あいつはにゃんこじゃなくて、オブリビオンっす!」
「なに言ってるの? 目を覚ましてよ」
「目を覚ますべきはエウロペさんのほうっすよぉーっ!」
 と、やりとりをしている間に一匹の猫が開封済みのペンキの缶をどこからか取り出した。
 そして、その中身を葵にかけようとしたけど――
「隙ありにゃー!」
「おおっと! 落書きは禁止っすよ!」
 ――葵のほうが速かった。
 缶は狙い撃ちされて猫の手から離れ、後ろの猫にペンキがぶちまけられた。その更に後ろをポポが超高速で通過。
「さんむばぁいすくりーんむ!」
 ああ、もうカオスってレベルじゃない。なにがなんだか判らない。
 せめて、ボクだけは猫たちを可愛がってあげよう……あれ? いつの間にか、ボクが撫でていた猫たちが氷漬けになってるよ。ショックだなぁ。
「猫って、構い過ぎてもダメなんだね……」
「いや、そういうことじゃないっすから」
 しょんぼりと呟いたボクに葵がツッコミを入れてきた。
 そして、ポポがまた超高速で通過した。
「さんむばぁいすくりーんむ!」
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

中村・裕美
「……リア獣っぽい空気に入り込むのを躊躇してたら……戦闘が始まってしまった」
そんな訳で遅れながらも参戦。

【エレクトロレギオン】を召喚し、一斉射撃。多分、目からビームとか翼の裏からミサイルとか出るんじゃないかな?
「……人前で歌うとか……恥ずかしいし」
レギオンはイラストみたいな見た目。
「……この子達も……結構かわいいでしょ? ……慣れれば……そう見えてくるわ……多分」
などとちょっとだけペット感覚でアピールしてみるけど、ちょっと恥ずかしくなる。
「……ごめん。……あまりかわいくないわよね? ……かっこいい系よね」


木霊・ウタ
心情
可愛らしい外見だけどオブリビオンだ
海へ還すぜ

戦闘
アトラクションっぽく行動した方が
パニックとか起きないかも

凶暴で獰猛で凶猛なにゃんこ軍団!
貴様らの好きにはさせないぜ
と特撮アトラクションのノリで見栄をきる

ペットイベントだし
迦楼羅を主軸に戦う
頼んだぜ、相棒

大きさはそのまま鷹サイズで

上空から
黄金の羽を舞い散らせて
その光で視界を焼く

羽はに敵に触れると爆発したり
炎に変じて燃やす

この辺
プロジェクションマッピングの
演出っぽく思ってくれると

更に迦楼羅が火を吐くのに呼応し
俺も指先の傷口から獄炎を噴出させ攻撃
特撮アトラクション風に

いいねもフォローも
その概念ごと焼却だ

事後
格好良い曲を奏でる
アトラクションだから


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!



●木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)
 エウロペが撫で回し(とても撫でているようには見えねえけど、本人はそのつもりらしい)、葵が撃ちまくり、ポポが飛び跳ねる――そんな混沌とした混迷の混戦状態に混乱しながらも、オブリビオンの猫たちは猟兵に反撃しようとしていた。
「怯むにゃ! 負けるにゃ! ぶちかませー!」
「反撃あるのみにゃー!」
「にゃにゃにゃーん!」
 さっきから気になってたんだけど、語彙力ゼロの奴が一匹だけまじってないか? 『にゃにゃにゃーん』としか言ってないぞ。
 まあ、それはさておき、周りの見物客には大受けしてるな。猟兵たちの暴走っぷりも。猫たちの反応も。
 だけど、このノリを受け入れることができず、隅っこのほうでぼそぼそと呟いてる奴もいる。
「リア充どもが開いているパーティーのような……このバカ騒ぎ……ついていけない……」
 グルグル眼鏡をかけた裕美だ。自分の両腕を抱きしめて体を縮めるようにして、お祭りじみた乱戦を眺めている。その姿からも判るように所謂『コミュ障』だの『陰キャ』だのと呼ばれるタイプだが、けっこう頼りになる電脳魔術士なんだぜ。
「……もう帰りたい」
「帰らないでください」
 そそくさと立ち去ろうとする裕美を止めたのは咲夜。桃色の着物を纏った桜の精だ。
「正直、私もこの賑やかな雰囲気に戸惑ってはおりますが、オブリビオンを前にして猟兵が逃亡するのは問題かと……」
「それもそうね……」
 と、裕美が考え直した矢先、猫たちが攻撃を仕掛けてきた。
 いや、攻撃と言えるのかな?
「もっふもふ山のぉ、西側にぃ、とんがり岩がありましたぁ~♪」
「東側にもぉ、ありますよぉ~♪」
「にゃにゃにゃーん♪」
 歌ってやがる。どうやら、なにかの絵描き歌らしい。
 正直、歌唱のレベルはさして高くない(俺はサウンドソルジャーだから、音楽関連の評価はどうしても辛くなっちまうんだ)。でも、見た目の可愛さと単純なメロディに釣られて、ついつい一緒に歌いたくなってくるぜ。もしかして、これは洗脳みたいな効果を持つユーベルコードなのか?
「う、歌いたい……」
 と、裕美が呻いた。体をぶるぶると震わせて、絵描き歌の効果に耐えている。
「でも……歌いたくない……人前で歌うとか……恥ずかしいし……」
 あー、確かに裕美みたいなタイプにとっては拷問に等しいだろうな。
 俺はそういうのは苦にならないというか、むしろ楽しいけど、歌うのが絵描き歌となると……やっぱり、ちょっと恥ずかしいかな。

●中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)
「アーモンド型のぉ、お池が二つぅ~♪」
「笹型の橋をかけましてぇ~♪」
「にゃにゃにゃーん♪」
 猫たちは歌い続けてる(一匹だけ『にゃにゃにゃーん』としか言ってない子がいるけれど)。少しでも気を抜くと、『一緒に歌いたい』という気持ちが羞恥心を上回ってしまいそう。なんて、恐ろしい攻撃なの……。
「アーモンド型の♪ ……あ? いけない」
 咲夜さんが絵描き歌を口ずさんだけど、すぐに正気に返り、首を左右に軽く振った。
 そして、猫たちを見やり――
「続きは夢の中で歌ってください」
 ――豪奢な着物の袖でなにかを払うような仕種をした。
 その動きに合わせて現れ出たのは無数の桜の花片。着物が桜色だから、袖から薄皮が剥がれて花片に変わっていくようにも見える。
「黒い丸石ぃ、お尻を……にゃにゃ!?」
 猫たちは絵描き歌を中断して後退しようとしたけど、間に合わなかった。桜吹雪に包まれて、一匹また一匹と倒れていく。でも、死んでいるようには見えない。どうやら、複数の対象を眠らせるユーベルコードだったようね。
「よくもやったにゃー!」
「許さないにゃー!」
「にゃにゃにゃーん!」
 桜吹雪を浴びなかった猫たちが咲夜さんに襲いかかろうとした。
 だけど――
「そうはいかねえ!」
 ――ウタさんが行く手を塞ぎ、ヒーローめいたポーズを決めた。
「凶暴で獰猛で凶猛なにゃんこ軍団! 貴様らの好きにはさせないぜ!」
 なんなの、この芝居がかったノリ? もしかして、一連の騒ぎをアトラクションかなにかと勘違いしているであろうギャラリーに調子を合わせてる?
「行け、相棒!」
 ウタさんが(これまた芝居がかった所作で)腕を振り下ろすと、彼の頭上を旋回していた火の鳥(『迦楼羅』とかいうんだっけ?)が翼を激しく動かし、黄金の羽を舞い散らせた。猫たちに向かって。
「うにゃっ!? 眩しいにゃあー!」
「目がぁ! 目がぁー!」
「にゃにゃにゃーん!?」
 羽が放つ輝きに視界を焼かれたらしく、猫たちは両目を押さえて悶絶した。ごめん寝(寝てないけど)みたいで可愛い……。
「ごめん寝みたいで可愛いな……」
 ウタさんがぼそりと呟いた。皆、考えることは同じね。
「しかし、どんなに可愛かろうと、オブリビオンだ。骸の海に――」
 またもや芝居がかった所作で右腕を突き出すウタさん。人差し指の先端に小さな傷がある。迦楼羅を最初に出現させた時につけた傷。
「――還ってもらうぜ!」
 その傷から地獄の炎が噴き出した。

●姫神・咲夜(静桜・f24808)
「あちちちちっ!?」
「燃えるにゃあー!」
「にゃにゃにゃーん!?」
 ウタさんの地獄の炎を浴び、猫たちは次々と灰に変わって……いえ、灰も残さずに消滅していきます。
 しかし、炎を躱した猫たちもいました。
 そのうちの一匹が――
「さっきの『骸の海に還ってもらうぜ』という台詞に……『いいね』してやるにゃ!」
 ――ウタさんの動作を真似るかのように前足を突き出しました。
 すると、前足の先端から奇妙なものが放たれました。親指を立てた手のマークです。『いいねマーク』とでも呼べばいいのでしょうか?
 ユーベルコードの産物らしきそのマークはウタさんに向かって飛んでいきます。命中したら、なにか良からぬことが起こるに違いありません。
「相互フォロー、お願いしますにゃー!」
「お断りだ! ブロォーック!」
 謎の叫びを発する猫に対してウタさんも負けじと叫び返し、自分に迫るいいねマークを炎で迎撃しました。
「にゃにゃにゃにゃー!? 『いいね』してあげたのにー!」
 いいねマークもろとも焼かれて消えゆく猫。なんだか可愛そうですが、同情している余裕はありません。まだ何匹も残っていますから。
「ペットを自慢するイベントだから……私もこの子たちの力を……お披露目して……みようかな」
 残された猫たちに裕美さんが向かっていきます。どこからともなく現れた何十体もの『この子たち』とともに。
 それらは竜とも獣とも虫ともつかない単眼の生物……いえ、小型の機械です。もちろん、戦闘用の機械。赤い目から光線を発射し、あるいは翼の裏からミサイルを撃ち出し、あるいは小さいながらも鋭い爪を閃かせて、猫たちを倒していきます。
「まあ、ペットとは呼べないかもしれないけど……この子たちも……けっこう、可愛いでしょ?」
 分厚い眼鏡をこちらに向けて、裕美さんは同意を求めてきました。困りましたね……どう答えたらいいものでしょうか?
「第一印象はアレかもしれないけど……見慣れれば……可愛いと思えてくるわ……多分ね……そう思わない?」
 食い下がる裕美さん。
 これは『はい』と答えない限り、解放してもらえそうにないですね……と、思いきや、裕美さんは前に向き直り、眼鏡越しの視線を私から外しました。
「……ごめん……そんなに可愛くないわよね……」
 微かに頬が紅潮しています。戦闘機械たちの可愛さについて語るのが恥ずかしくなったのでしょうか。
「だって、この子たちは……可愛いというよりも……かっこいい系だし……」
 うーん。『かっこいい』というのとは少し違うような気が……。
 すると、ウタさんが――
「~~~♪」
 ――間違いなく『かっこいい』といえる楽曲をギターで奏でながら、歌い始めました。
 このアトラクションじみた戦いを更に盛り上げるかのように。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

カフェラテ・ホーランド
【兎星】

まあ!何も分かっておりませんのね
いいこと?
わたくし達動物と人とは共存する姿こそが美しいの
す・な・わ・ち!
調和を乱すあなた方オブリビオンはお呼びでなくってよ!

さぁ、アステル!行きましょう!
もふもふとはいえ、奴らは敵
手加減は無用ですわ!

ということで
ユーベルコードをぶつけての真っ向勝負ですわ!
【うさぎ王国民】いらっしゃいな!

此度はアステルのお友達のコーギー様方が
力を貸してくださいますわ!
頼もしい皆様と共に!存分に!!
戦場を駆け回りましょう!!!

わたくしも自ら
コーギー様の一匹の背に乗って敵陣へ
Forbidden fruit、起動
身体能力を引き上げて…突撃!
さあ、もふもふに埋もれて眠りなさいな!


アステル・サダルスウド
【兎星】
動物らぶ

殺人ショーとか言ってるけど、動物はありのままの姿がもうアートじゃないかな?(真顔)
何より可愛いカフェラテ君に惨劇は見せられない
さあ、ありのままのもふもふの素晴らしさを見せてあげよう!

【小麦色の突撃隊】発動!
『動物使い』『動物と話す』を活用し
コーギー君達に「皆、うさぎ王国の皆を守りつつ、周りのお客さんに迷惑が掛からないようにするんだよ!」と呼びかける
カフェラテ君がコーギー君に乗りたがったら、体格のいいリーダー各の子にお願いするよ

どうかなこの可愛いと可愛いの共演は!
数が増えれば増えるほど可愛いが高まって…ここが天国かな?
今回ばかりは敵がちょっと羨ましいなー…僕も埋もれたい踏まれたい


一之瀬・玄十郎
SPD

アルゲディ(f03929)と

おっとっとぉ?新たな挑戦者が来たるっちゅ―ことかにゃ?
野良にゃんも俺たちも可愛いんだぞっちゅーことを言いたいんにゃね
にゃふー。餌付けされまくったあっしの本当の力を見せてしんぜようにゃ
げっふっふ

うっしうっし。任せるにゃアルゲディ。あっしのお腹が火を噴く…ふくかにゃ?
まーこまけえこたぁいいにゃん。(ぽいんぽいん)
おぉーっと、ここで落書きはダメにゃーん。
敵UCをコピーしてそっくりそのままお返しにゃ

でべそビィーーーーーム!(ズビビビビビ

ふー、運動したらお腹すいたにゃ。カロリー欲しいにゃあ
カレーは正義っ!!にゃっほー


アルゲディ・シュタインボック
玄ちゃん(f06807)と

野良猫の分際でショーに乱入するなんて不届き千万ね!
飼い慣らされて鍛え抜かれたうちのペットの凄さに恐れを成して、尻尾を巻いて逃げ帰るなら今のうちよ

私のペットは彼だけじゃないわ
起きてセクンダ! そして大きくなぁれ!
すごく大きくて丸い光の精霊がどーんと出現
その生意気なツナギの猫達と遊んであげなさい!
と命じれば、ごろんごろんと転がって敵にゃんこを押し潰す

さぁ玄ちゃんも容赦無くやっちゃいなさい!
食べた分くらいは動いてくれないとね
飛んでくるペンキで汚れたくないし、さり気なく玄ちゃんを盾にして庇って貰い
さぁ、反撃開始よ?
3、2、1…いてまえーっ!

頑張ったし、後でカレーご馳走するわね



●アステル・サダルスウド(星影のオルゴール・f04598)
 ウタの演奏と歌声が流れる中、裕美の戦闘機械たちが敵を攻め続けている。
 周囲のギャラリーも大盛り上がり。獣の咆哮のごとき歓声をあげるキマイラ、体を点滅させて手拍子をするバーチャルキャラクター、地面に頭突きするような勢いでヘッドバンキングするテレビウム。
 こんなに楽しそうなお祭り騒ぎを黙って見ている手はないよね。そろそろ、僕らも加わろうか……と、カフェラテ君と一緒に前に出ようとしたんだけど、アルゲディが先に動いた。
「野良猫の分際でショーに乱入するなんて、不届き千万ね!」
 肩をそびやかして、ぎろりと睥睨。背丈は僕とさして変わらないのに(ちなみに僕は百六十五センチくらい)なんとも言い難い迫力がある。
「でも、調子に乗っていられるのも今のうち。飼い慣らされて鍛え抜かれたうちのペットの凄さを目の当たりにすれば、尻尾を巻いて逃げたくなるわよ!」
「……きたえぬかれたぺっと?」
 棒読み気味に復唱して、カフェラテ君がアルゲディの横に目をやった。
 そこにいるのはケットシーの玄十郎。背丈は僕の四分の一くらいしかないのに、なんとも見苦しい迫力がある。その迫力を生み出しているのは主に太鼓腹だ。ポッチのようなデベソ付きのね。
「そう、あっしこそが……」
「私のペットは玄ちゃんだけじゃないわ」
 玄十郎はなにかカッコいいことを言いたかったみいだけれど、アルゲディがそれを遮り、水晶の付いた杖を一振りした。
「起きて、セクンダ!」
 杖の先端から光が放たれ、精霊みたいなものが現れた。『みたいなもの』がつくのは、正体がよく判らないから。その姿は毛玉のようにぽわぽわしていて、玄十郎のお腹よりも丸っこい。
 いや、丸っこさだけじゃなくて――
「そして、大きくなぁれ!」
 ――大きさの点でも玄十郎を追い抜いた。アルゲディの叫び応じて、むくむくと巨大化したんだ。
「その生意気なツナギの猫たちと遊んであげなさい!
 球体にして巨体の精霊(みたいなもの)は猫たちに襲いかかった……のだと思う、たぶん。少なくとも、本人は襲いかかったつもりなんじゃないかな。
 ごろごろと転がっているようにしか見えないけどね。
 でも、大きくなっているから、転がるだけでも十二分に脅威だ。猫たちは次々と巨体に巻き込まれ、『にゃー!?』と悲鳴をあげて押し潰され、紙のように薄っぺらくなった挙げ句、何千何万もの光の粒子に変じて散っていった。

●一之瀬・玄十郎(さすらいのまんぞくさん・f06807)
 ルディの召喚した『セクンダ』とかいうのがあっちにごろごろ、こっちにごろごろして、ツナギ姿の野良にゃんたちをノシイカに変えてるにゃ。滑稽ながらも凄惨な光景だにゃん。
 だけども、見物人たちは大喝采。まーだ、これが本当の戦いだってことに気付いてないみたいにゃ。まあ、いいけど。
「あの野良にゃんたちは殺人アートショーが云々とか言ってたけど、いま目の前で繰り広げられている光景こそが殺人アートショーと呼ぶに相応しい気がするにゃ」
「そもそも、動物が沢山いる場所でアートショーを開く必要なんかないんだよ。だって――」
 アステルくんがグッと拳を握りしめ、空を見上げたにゃ。
「――動物はありのままの姿がもうアートなんだから」
 ……ごめん。ちょっと、なに言ってるか判らないにゃ。
「そう! 動物はアートにゃ!」
 と、敵の野良にゃんがアステルくんに理解を示したにゃ。まさかの展開。
 その野良にゃんはセクンダのごろごろ攻撃から逃れて、何匹かの仲間とともにこっちに向かってきたにゃん。
「しかし、動物は動物のみでアートたりえるのにゃ! 人間は不用だにゃん!」
「だから、ペットとして人の傍に侍っているような輩にアートは体現できないのにゃん!」
「にゃにゃにゃーん!」
 そんなことをほざく野良にゃんたちに対して――
「まあ! なにも判っておりませんのね!」
 ――垂れ耳ウサギのカフェラテちゃんがガツーンと言い返したにゃ。
「いいこと? わたくしたち動物は、人と共存する姿こそが美しいの! す、な、わ、ち! 人との調和を乱すあなたがたはお呼びではないということよー!」
 声を張り上げるカフェラテちゃんの右隣に可愛いウサギが現れたにゃ。すぐに左隣にも、後ろにも、斜め後ろにも……ぞろぞろと出てきたにゃん。たぶん、五十羽を軽く超えてるにゃ。
 これって、もしかして分身の術? いや、違うにゃ。垂れ耳じゃないウサギも交じってるし、それぞれが独立して動いてるみたいだにゃん。
「うさぎ王国民の皆様! 今日も清く正しく可愛らしく生きますわよ!」
 カフェラテちゃんが前足を振り下ろすと、ウサギ軍団は一斉に飛び出したにゃ。迫り来る野良にゃんたちに向かって。津波のように。
「にゃにゃ!? 数で攻めるとは卑怯だにゃ!」
「草食動物のくせに生意気にゃー!」
「にゃにゃにゃーん!」
 野良にゃんたちは悪態をつきながら(数で攻めてるのはお互い様だと思うけどにゃ)退却しようとしたけれど、あっという間に……いや、ニャっという間にウサギ軍団に飲み込まれてしまったにゃん。

●アルゲディ・シュタインボック(白金の癒杖・f03929)
 何十羽ものウサギの群れ、それらに飲み込まれていく猫たち、その後方でごろごろ転がり続けるセクンダ……シュールかつ可愛い光景だわ。
 十秒も経たないうちに更にシュールかつ可愛い光景になった。
 何匹かの猫がウサギたちの間をなんとかすり抜けて、おかしな歌を歌い始めたから。
「もっふもふ山のぉ、西側にぃ、とんがり岩がありましたぁ~♪」
「東側にもぉ、ありますよぉ~♪」
「にゃにゃにゃーん♪」
 そう、咲夜たちを苦しめていた(?)あの絵描き歌よ。
「アーモンド型のぉ、お池が二つぅ~♪」
「笹型の橋をかけましてぇ~♪」
「にゃにゃにゃーん♪」
 なんというか……知性というものが微塵も感じられない歌ね。だけど、それ故に可愛く思えるわ。そして、可愛さに惑わされて、一緒に歌いたくなってしまう。
「黒い丸石ぃ、お尻を出したら~♪」
「ヒゲが六本、はえてきたぁ~♪」
「にゃにゃにゃーん♪」
 カフェラテや他のウサギたちも歌が効いているらしく、攻撃が鈍っている。これはピンチ!
 とはいえ……正直、『猫たちと一緒に絵描き歌を合唱するウサギ軍団』という絵面には心惹かれるものがあるわね。絶対、可愛いに決まってるから。
 でも、幸か不幸か(いえ、『幸』だということはよく判ってるけど)、その魅惑的な絵面を見ることはできなかった。
 カフェラテたちが歌い出すより先に、アステルが叫びとともにユーベルコードを発動させたから。
「もふもふなその力を! 今、もふもふ!」
『もふもふな力ってなに?』という疑問を口に出す間もなく、答えが現れた。
 集団で現れた。
 それは短足な犬の群れ。UDCアースで『ウェルシュ・コーギー』と呼ばれている犬種ね。正確な数は判らないけど、三百匹くらいはいると思う。
「うさぎ王国の皆に続けぇーっ!」
 アステルの指示に従い、コーギー軍団はウサギ軍団に加わって、猫たちにじゃれついた……いえ、攻め立てた。
 何百匹ものコーギーと何十羽ものウサギの共演。もう、これだけで『可愛い満腹中枢』とでも呼ぶべきものが限界に達しそう。
 だけど、可愛いのフルコースは終わっていなかった。
「さあ、頼もしい皆様とともに! 存分に! 戦場を駆け回りましょう!」
 そう叫んで、カフェラテが一匹のコーギーの背に飛び乗ったの。
 短足の犬にまたがる垂れ耳のウサギ……これって、犯罪級の可愛さじゃない? 法で取り締まるべきだわ。

●カフェラテ・ホーランド(賢い可愛いうさぎのプリンセス・f24520)
 今のわたくしは馬上の姫騎士ならぬ犬上のウサ騎士。プリンセスハートに秘めた特殊コード『Forbidden Fruit』を起動させたので、身体能力も上昇しておりますのよ。
「もふもふに埋もれて眠りなさいな!」
 コーギーに乗って駆け回りながら、バックパックを荷電粒子砲に変形させて、右の猫を撃ち、左の猫を撃ち、正面の猫を撃ち……とにかく、撃って撃って撃ちまくりました。もふもふとはいえ、奴らは敵。手加減は無用ですわ!
「胴体と前足と後ろ足と尻尾を付けてぇ♪」
「可愛いにゃんこの出来上がりぃ~♪」
「にゃにゃにゃーん♪」
 猫たちはまたもや絵描き歌(どうでもいいですが、歌詞が手抜きになってませんこと?)で反撃してきましたが、往時の勢いはありません。わたくしだけでなく、うさぎ王国民の皆様やアステルが召喚したコーギーの皆様、それにアルゲディの丸っこい精霊も攻撃を続けておりますから。
「どうかな? この可愛いと可愛いの共演は!」
『もふもふ連合軍』とでも呼ぶべき軍勢に見惚れながら、アステルが誰にともなく力説しました。
「数が増えれば増えるほど、可愛いが高まって……ああ、ここは天国? ねえ、天国? 今回ばかりは敵がちょっと羨ましいかも。僕も埋もれたい……踏まれたい……」
「じゃあ、代わりに我らが踏んでやるにゃ!」
「踏み潰してやるにゃ!」
「にゃにゃにゃーん!」
 猫たちがアステルに狙いを定めたようです。
 私は馬首ならぬ犬首を巡らせて、彼らを背後から討とうとしましたが、思いとどまりました。
「はいはいはい。判るにゃ。よーく判るにゃ。」
 と、したり顔で頷きながら、玄十郎が猫たちの前に立ちはだかったからです。アルゲディとともに。
「つまり、野良にゃんたちは『俺らも可愛いんだぞー』っちゅーことを言いたいんにゃね」
「いや、そうじゃないにゃ!」
 猫たちは否定しましたが、玄十郎は耳を貸すことなく、お腹を揺らして笑いました。
「げっふっふっ! 餌付けされまくったあっしの本当の力を見せてしんぜようにゃ!」
「そうよ、玄ちゃん。容赦なくやっちゃいなさい!」
 餌付けの主であろうアルゲディが叫ぶと、玄十郎はお腹を叩きました。『ぽんぽこぽん♪』という良い音がこちらまで聞こえてきましたよ。
「任せるにゃ、ルディ。あっしのお腹が火を噴く……いや、さすがに火は噴かないかにゃ? まー、こまけえこたぁいいにゃーん。げっふっふっ!」
 またもや、お腹を揺らして笑っています。
「なめるにゃー!」
 猫の一匹が怒声を発し、ペンキ缶をどこからか取り出しました。きっと、その中身を玄十郎とアルゲディに浴びせるつもりなのでしょう。
「そんなものは効かないわ!」
 アルゲディが凛然と断言し、ペンキを素早く躱す……のかと思いきや、玄十郎の体を持ち上げて前面に突き出しました。これはひどい。
 次の瞬間、玄十郎はペンキまみれになりました。彼を盾にしたアルゲディは無傷。
 でも、玄十郎は動じることなく――
「さぁ、反撃開始よ! 三、二、一……いてまえーっ!」
「でべそビィーム!」
 ――アルゲディのカウントダウンに合わせて、お腹を突き出しました。
 すると、お腹から……いえ、お腹でしっかと自己主張しているオヘソからペンキが噴き出しました。受け止めた技をコピーするユーベルコードを使ったのでしょうか?
「にゃにゃにゃーん!?」
 浴びせたはずのペンキを浴びせられ、転倒する猫たち。
 すかさず、私は荷電粒子砲で追撃いたしました。

 数分後、すべての敵が力尽きました。
「ふー、運動したら、お腹すいたにゃ」
 玄十郎がお腹をさすっていますわ。
「カロリー、欲しいにゃあ……」
「じゃあ、後でカレーご馳走してあげる」
 そのアルゲディの言葉を聞くと、玄十郎は飛び上がって喜びました(慣用句ではなく、本当に飛び上がったのです)。
「にゃっほー! カレーは正義ぃーっ!」
「いや、違うよ」
 と、かぶりを振ったのはアステルです。
「カレーじゃなくて、可愛いこそが正義なんだ」
 可愛いが正義?
 ならば、誰よりも可愛いわたくしは正義の体現者ですわね。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『怪人アルパカスプラッシュ』

POW   :    シンクロナイズドポージング
【量産怪人アルパカマッスルブラザーズ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    水も滴るいい体
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    アルパカウォータースライダー
戦場全体に、【ウォータースライダー】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
「カレーが正義だとぉ? ふざけるなパカ!」
 猛々しい声が公園に響いた。
「あんな高カロリーで高脂質で高糖質な食べ物が正義なわけないパカ!」
 人の海が二つに割れ、声の主――オブリビオンの怪人が猟兵たちの視界に入った。
 全身これ筋肉といった屈強な体躯の怪人である。フルボディの水着が今にもはち切れそうだ。しかも、異形の獣頭人身。相対した者は皆、脅威を覚えずにはいられないだろう。
 獣頭の部分がアルパカだということを無視すれば。
「骸の海に追い返されたにゃんこアーティストたちに代わって――」
 大胸筋を誇示するかのように上体を反らし気味にして、怪人は猟兵たちに近付いてきた。
 リングに向かうボクサーのごとき力強い足取り。
 しかし、頭はアルパカ。
「――このアルパカスプラッシュ様が真の野獣の恐ろしさを教えてやるパカ! パーカパカパカパカ!」
 怪人は足を止め、どうでもいい注釈を入れた。
「あ? 今の『パーカパカパカパカ』は笑い声パカよ」


========================================
●リリからのお知らせ
 というわけで、第3章はパカパカ笑う凶暴で獰猛で凶猛なアルパカ男との戦いでーす。難しいことは考えず、前章と同じノリでやっちゃってください。パーカパカパカパカ!
========================================
 
エウロペ・マリウス
Σくぁwせdrftgyふじこlp
(突然癒しの場に現れた変質者に、普段は露出度の高さから人前で晒すことを恥ずかしがるはずの真の姿になってる事に気が付かないぐらい混乱)

行動 WIZ

普段のように冷静に詠唱することもなく、
ひたすら『射殺す白銀の魔弾(ホワイト・フライクーゲル)』を乱射

「へ、変態ですっ! それも極めて特殊な変態ですっ!」

動揺し過ぎて、冒険者として立ち振る舞いは失われており、
完全に年相応の少女と化している

色々と破壊し尽くした後に、肩で息をしながら、少し落ち着きを取り戻した後、周りも見渡して一言

「……嫌な、事件だったね」
(まだ地味に動揺していて、口調が冒険者時風に)


本山・葵
・怪人の姿に再び驚く
「どうせまたモフモフしたくなる可愛いやつが出るんすね。もう騙されないっすよ。」
「今度はそっち方面っすか!?キモいっす!」

・(SPD対策)試しに攻撃して硬さを確かめてからUCでイタズラする
「ふむ、確かに攻撃が通じないっすね、『攻撃』は」
「腹筋が崩壊するまでパカパカするがいいっす!」

・怪人をブラスターで容赦なく攻撃
「こいつには手加減無用っすね、最大出力で発射っす!」
技能:スナイパー、視力、一斉発射

※アドリブ、共闘ご自由にどうぞ



●本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)
 どうせ、親玉の怪人もモフモフしたくなるような可愛いアニマルさんタイプのオブリビオンっすよね? 凶暴でも獰猛でも凶猛でもないにゃんこたちには意表を突かれちゃいましたけど、同じパターンは二度も通用しないっすよー。

 そう思っていた時期が自分にもあったっす。

 それなのに……まさか……そっち方面で攻めてくるとは!
「パーカパカパカー!」
『そっち方面』のアルパカマッチョはバカ笑いしながら、足を『く』の字にして両手を後ろに回し、ボディビルぽいポーズ(サイドトライセップスとかいうヤツっすかね)を決めてるっす。なかなか立派な筋肉っすけど、正視に耐えないっすね。
 でも、クールなエウロペさんはドン退きすることなく、鋭い眼差しで敵をまっすぐ見据えてるっすよ。さすがっすね。
 そして、静かにこう言ったっす。
「くぁwせdrftgyふじこlp!」
 ……いえ、静かじゃなかったっす。よく見ると、眼差しもべつに鋭くないっす。なにより、ぜっんぜんクールじゃないっす。めちゃくちゃ、動揺してるじゃないっすかー。どうやら、アルパカマッチョのような変態っぽいキャラに免疫がないみたいっすね。
「あzsxdcfvgbhんjmk、l!」
 おおう!? 奇声を発し続けるエウロペさんの体が急成長して、アダルティーな感じになったっす。オラトリオの翼も氷で形成されたような形に変わったすよ。無意識のうちに真の姿を解放したんすね。
 そんな彼女にアルパカマッチョが目を向けたっすけど――
「むむっ!? このアルパカスプラッシュ様の筋肉美に対抗するために変身したパカか?」
 ――なんか、勘違いしているっすね。
「しかーし! 貴様ごときが変身したところで、真の野獣だけが持つマッスルパワーには敵わないパカ! いくぞ、アルパカウォータースラ……」
「zqxwcえvrbtnyむ、い。お!」
 アルパカマッチョの言葉の途中にエウロペさん(オトナの女バージョン)が奇声で割り込み、氷の礫を撃ち出したっす。何百発も。
「い、痛っ!? ちょ……待てパカ! 待てパカって!」
「くぁwせdrftgyふじこlp!」
「やめろ、パカ! せ、せめて、この筋肉が映えるような、外連みのある戦い方をしろパカ!」
「あzsxdcfvgbhんjmk、l!」
 アルパカマッチョがごちゃごちゃ言ってるっすけど、エウロペさんは耳を貸さずに氷の礫をどかどか撃ち続けてるっす。いや、耳を貸してないわけじゃなくて、気が動転してなにも聞こえてないだけっすかね。
 でも、ある程度は落ち着いてきたらしく、わけの判らない奇声が意味のある言葉に変わったす。
「へ、変態ですっ! 変態がいます! それも極めて特殊な変態ですぅ!」

●エウロペ・マリウス(揺り籠の氷姫・f11096)
「失礼なことを言うなパカ! 俺は変態じゃないパカー!」
 アルパカの顔をした変態が怒鳴っています。四百個以上の氷の魔弾を浴びて傷だらけになっているにもかかわらず、倒れる気配はありません。なんと頑強な変態でしょう。
「百歩……いや、一億歩ゆずって変態だとしても、特殊な変態じゃないパカ! スタンダードな変態パカよ!」
 微塵も説得力のない主張をしながら、変態は両手を頭の後にやり、片足を前に出して爪先を立てました。UDCアースの『ボディビルダー』と呼ばれる人たちならば、このポーズを取ることで筋肉を美しく見せることができるのでしょう。しかし、獣頭の水着姿の変態が披露すると、なんとも言えぬ如何わしさが感じられます。
 顔を引き攣らせて苦笑しながら、葵が呟きました。
「あれはアブドミナル・アンド・サイっすね」
「いえ、べつにポーズの名前とか知りたくないですから……」
「そうっすか。ところで、エウロペさん。口調というかキャラ全般が変わってっるすよ」
「え?」
 言われてみれば、いつの間にか、色々と変わってしまっていたようです。
『こほん』と軽く咳払いして、私……ではなく、ボクが自分が取り戻している間に葵は熱線銃を抜き、変態めがけて発射した。
「その筋肉が見かけ倒しかどうかを確かめさせてもらうっすよ!」
「おう! 確かめるがいいパカ!」
 変態は両腕を曲げて力瘤をつくり、厚い胸で熱線を受け止めた。だけど、ボクが魔弾をぶつけた時と違い、傷は負わなかった。ユーベルコードで筋肉を鎧のように硬化させたんだろうね。
「鋼モードに変じた筋肉に攻撃は通じないパカ! パーカパカパカパカ!」
「ふむ。確かに攻撃は通じないみたいっすね。攻撃は……」
 葵は熱線銃を仕舞うと、すたすたと歩いて相手に近付き、カクリヨファンタズムのあやかしメダルをお腹に貼り付けた。
 変態のほうはそれを避けようともしない。たぶん、『鋼モード』とやらになっている時は動けないんだと思う。
「ん? いったい、なんの真似パカ? こんなメダルごときで俺の鋼モードは破れやしな……」
 変態の言葉が途切れ、そして――
「……パ、パ、パーカパカパカパカパカッ!」
 ――笑い声に変わった。
「この『倩兮女(けらけらおんな)』のメダルを貼られた者は大笑いせずにいられないんすよ。腹筋が崩壊するまで、パカパカするがいいっす!」
「パーカパカパカパカパカァーッ!」
 勝ち誇る葵の前で、変態は文字通りに腹を抱えて笑ってる。腹を抱えているということは、体が動かせるようになったということ。つまり、筋肉の硬化も解除されたということだね。
「変態野郎には手加減無用っすね」
 葵は再び熱線銃を抜いた。
「最大出力で発射っす!」
 熱線が迸り、変態の胸に命中。もちろん、今度は無傷では済まなかった。
「ぐわぁーっ!? パーカパカパカ!」
 変態は吹き飛ばされ、頭から地に落ちた。
 笑い続けながら。
「パーカパカパカ! パーカパカパカ!」
「痛い思いをしているのに笑うなんて……やっぱり、特殊な変態だったっすね」
「な、なに言ってるパカ! おまえが妙なメダルを貼ったからだろうパカ! パーカパカパカパカパカ!」
 うっとうしい笑い声を響かせつつ、変態は苦しげに身をよじってる。
 その醜悪な姿から視線を外して、ボクは空を見上げた。
「嫌な戦いだったね……」
「締めっぽい台詞を吐くなパカ! まだ終わってないパカァーッ!」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カフェラテ・ホーランド
【兎星】

あらあら、野獣の恐ろしさだなんて
もう少しお上品な言い方はなくて?

それにしても困りましたわね
ウォータースライダーの迷路だなんて
地の利は怪人にあるじゃありませんの

いえ、手はありますわね
ここは今から【私立うさぎさん女学園】
お嬢様に相応しく振る舞ったもの勝ちですわ!

では、お姉さま(=怪人)
迷路の出口へ案内してくださいませ
迷える下級生に手を差し伸べるのは
上級生の責務ですわよ?

あら、ありがとうアステル
ゴリラさんもお目付け役、よろしくお願いしますわね
ああ、お姉さま!いけませんわ!
筋肉は適度に緩めるのがレディの嗜みですわよ!

迷路の出口が見えたら
お姉さまに恭しく一礼し、お礼の砲撃
では、永遠にご機嫌よう


アステル・サダルスウド
【兎星】
動物らぶ

…一部だけアルパカの人間が野獣とかちょっと意味わかんない

けど、このウォータースライダーの迷路は厄介だね
【feat. 大猩猩】でゴリラ君に手伝ってもらおう
…ん?カフェラテ君、手があるって…

こ、これがウサジョ…!
おっと、僕とゴリラ君もお嬢様らしく振舞わないとね

カフェラテさん、抱っこしてもよろしくて?
小さい貴女では出口は遠いでしょうから

それではアルパカお姉さま、よろしくお願いしますね
見失わないよう、ゴリラさんはお姉さまの傍について貰いましょう

賢い兎のお嬢様をなでつつ
お姉さまの挙動を注視
淑女に野獣の二文字は不要ですわ、お姉さま

出口が見えたらカフェラテさんを降ろし
砲撃に合わせ『援護射撃』


榊・ポポ
あー、スッキリしたッ(ドリンクの効果切れ)

...!!、ギエッ!アルパカのバケモノ!コワイ!
首から下が筋肉おばけ!キモイ!
ポポちゃん、ただの鳥ロボ!(ぷるぷる)
たすけて『ミニポポちゃん』!
ミニポポちゃんズで蹂躙してやるぅ~
纏わり付いてつっついたり、目からビームで嫌がらせしてやるぅ~
(団体行動・レーザー射撃)
攻撃あんま通ってないよ?
こうなったら、焼く!!
カッ!!!!!!

散々破壊光線を撃った後、口から蒸気を吐いて電池切れ(立ち寝)で終了
ホンジツノエイギョウハシュウリョウイタシマシタ
後はミニポポちゃんたちが棒立ちのポポちゃんを回収し撤収



●カフェラテ・ホーランド(賢い可愛いうさぎのプリンセス・f24520)
「ぜーはー、ぜーはー……お、俺としたことが……不覚を取ったパカ……」
 アルパカな怪人が立ち上がりました。笑い声に代わって、荒い息を吐いてますわ。お腹を抱えて転げ回っているうちに葵のメダルは剥がれてしまったのでしょう。
「そろそろ、本気を出させてもらうパカ!」
「今までだって本気だったくせに」
「黙れパカ!」
 茶々を入れるアステルを怒鳴りつけ、怪人はわたくしたちに指を突きつけてきました。
「今度こそ、貴様らに教えてやるパカ! 真の野獣の恐ろしさを!」
「あらあら」
 わたくしは思わずかぶりを振ってしまいました(耳が頬にぺちぺちと当たって、ちょっと痛いですわ)。
「野獣の恐ろしさだなんて……もう少しお上品な言い方はなくて?」
「てゆーか、頭だけアルパカの人間が『野獣の恐ろしさを云々』とか言ってもねー。ちょっと意味わかんないんだけど?」
 アステルも呆れておりますわ。
 そんなわたくしたちに対して、怪人はなにやら言い返そうとしましたが――
「あー、スッキリしたっ!」
 ――緊張感に欠けた声に先を越されました。
 声の主はポポ。あやしげなドリンクを飲んで『三倍アイスクリーム!』などと叫んで暴れ回っていましたが、ようやく正気に返ったようです。
 もっとも、彼女が冷静でいられたのはほんの数秒でした。
 怪人の姿が目に止まりましたから。
「ギエッ!? アルパカのバケモノ! コワい!」
「コワい言うなパカ! 俺はバケモノではないパカ!」
「首から下が筋肉オバケ! キモい!」
「キモい言うなパカ! 俺はオバケではないパカ!」
 ポポが絶叫する度、ポーズを決めて怒声を返す怪人。コントのような光景ですね。周りで観戦しているキマイラフューチャーの人々も笑っておられますわ。
「お願いだから、食べないでー! ポポちゃん、ただの鳥ロボ! 食べても美味しくないよー!」
「食べるわけないパカー!」
 怪人はポーズを解くと、顔を怒りに赤く染めて(もふもふに覆われているので、赤く見えるのは目の周囲と鼻先だけですが)、ポポにずんずんと迫り始めました。
 自称『ただの鳥ロボ』のポポはただ震えるばかり……と、思いきや、助っ人を呼び出しました。
「たすけてぇー! ミニポポちゃーん!」
 それに答えて現れたのは、小さな鳥の人形――ミニポポちゃんの群れ。ポポの前にずらりと並び、体を七色に点滅させています。
 ポポはもう震えていません。ミニポポちゃんたちを頼もしげに眺めています。
 そして、誰もいない場所に目をやり、謎の言葉を口にしました。
「ミニポポちゃんのことを忘れた人や知らない人は第1章を読んでねー」
「メタい発言はやめろパカ!」

●榊・ポポ(デキる事務員(鳥)・f29942)
 ポポちゃん、片方の翼をカッコよく&勢いよく振り下ろして、ミニポポちゃんたちに命令するよ。
「いけ、ミニポポちゃんズ! あの筋肉オバケを蹂躙してやれぇーい!」
 ミニポポちゃんの半分が筋肉オバケに飛びかかった。
 残りの半分は目からビームを出して攻撃。
 でも……効いてない! ちっとも効いてない!
「パーカパカパカパカ! 野生を忘れた鳥獣の攻撃なんぞ、痛くも痒くもないパカ!」
 ミニポポちゃんの半分にまとわりつかれて嘴で突っつかれ、残りの半分からビームを浴びせれているのに筋肉オバケはパカパカ笑ってるよ。
「さてはまた防御力がアップするユーベルコードを使ったな?」
 そう言いながら、アステルがなにか仕掛けようとした。
 だけど、筋肉オバケはそれを察したのか、ブルルンと体を振ってミニポポちゃんたちを弾き飛ばし、ヘンなポーズを決めたよ。
「いくぞ、アルパカウォータースライダー! 曲がりくねるチューブの中で永遠に流され続けるがいいパカ!」
 アルパカウォータースライダー?
 ……って、うわぁぁぁぁぁぁー!?

 ポポちゃん、吃驚仰天!
 広場で筋肉オバケと向かい合っていたはずなのに、一瞬にしてウォータースライダーのチューブの中に飛ばされちゃったー!
 大きなチューブの中を水と一緒にものすごい勢いで滑りながら、ぐいーんと右に曲がり、すぎゅーんと左にくねり、ばっしゃーんと急降下して……楽しいけど、いつまでも経ってもゴールが見えてこなーい。どうなってんのー?
「これはウォータスライダーの迷路を作り出すユーベルコードなのかしら?」
「うん。たぶん、アステルに使おうとして失敗したやつだね」
 ポポちゃんの前(というか斜め下?)を滑りながら、カフェラテとアステルがやりとりしてる。カフェラテの長い耳は思い切り後ろにたなびいてるし、アステルの執事服はびしょびしょ。でも、二人とも落ち着いてるよ。
「おまえら、もうちょっと危機感を持てぇーっ!」
「ええ、判っておりますわ。このままでは不利……どころか、戦闘になりませんものね」
 ポポちゃんが叫ぶと、振り返りもせずにカフェラテがそう答えた。
 暫くすると、ポポちゃんたちの体が滑る音と水が流れる音に紛れて、『ぺちん』という音が聞こえてきたよ。たぶん、カフェラテがなにか思いついて、片手の掌を反対の手で打ったんだね。普通なら『ポン!』という小気味いい音がするところだけど、カフェラテの手は小さな肉球なので『ぺちん』なのかな。
「ここは今から『私立うさぎさん女学園』。略して、『うさじょ』ですわ」
 と、カフェラテが宣言すると、どこからともなく良い香りが漂ってきたよ。とっても良い香り。
 そして、カフェラテとアステルの姿が見えなくなった。黒い影がいきなり出現して、ポポと二人の間を遮ったから。
 その影の正体は――
「ウホッ! ウホホッ!」
 ――え? ゴリラ!? ゴリラァーッ!?

●アステル・サダルスウド(星影のオルゴール・f04598)
 ウォータースライダーのチューブの中が香りで満たされた。花を連想させる、上品な香り。『ウサジョ』とかいうユーベルコードがもたらしたものかな?
 すぐ前を滑っているカフェラテ君に僕は尋ねた。
「『うさじょ』って、なんなの?」
「お嬢様と呼ばれるに相応しい者だけが栄光を掴める空間ですわ」
 なるほど……まあ、なんとなく判ったよ。このユーベルコードの効果範囲内では、お嬢様然とした振る舞いをしていると有利になるということだね。たぶん。
 だったら、お嬢様らしい言動を心掛けないといけないな。僕も。それに彼もね。
 おっと、言い忘れていた。彼というのは、僕の後ろを滑っているゴリラ君のことだよ(もしかしたら『彼』じゃなくて『彼女』かもしれないけど)。さっき、ユーベルコードで召喚したんだ。
「ゴリラ!? ゴリラァーッ!?」
 うるさいよ、ポポ。
「カフェラテさん、抱っこしてもよろしくて? 小さい貴女では出口は遠いでしょうから」
「あら? ありがとう、アステル」
 お嬢様っぽく言葉を交わしながら(カフェラテ君のほうは平常運転だけどね)、僕は腕を伸ばし、カフェラテ君を抱き上げた。
「ウホホー!」
 ゴリラ君が鳴いている。きっと、お嬢様らしいことを言ったつもりなんだろう。
 僕らのそういう振る舞いが功を奏したのか、この迷宮ウォータースライダーの出口が近付いてきたみたい。前方が明るくなってきたよ。
「しっかり掴まっていてくださいな、カフェラテさん」
 カフェラテ君を抱きしめて、着水に備える。
 さあ、そろそろだ。三、二、一……どーん!
 チューブから飛び出した先は元の噴水広場。いつの間にか、地面は水浸しになっている。そこをお尻で滑りながら(慣性はまだ消えていない)、僕は視線を巡らせて怪人の姿を探した。
「なにー!? もう脱出したパカ!」
 見つけた。水飛沫の向こうで騒いでる。
「ウホッ!」
 と、後ろからゴリラの声が聞こえた。お嬢様風に『わたくしに任せてくださいな』とでも言ったつもりなんじゃないかな。
 振り返ると、彼もしくは彼女は足裏で地面を擦るようにしてブレーキをかけていた。そして、素早く立ち上がり、怪人に飛びかかった。
「な、なんだ、このゴリラは!? さっきまではいなかったパカ!」
「ウホッ!」
 慌てふためく怪人をゴリラは羽交い締めにした。
 その機を見逃すようなカフェラテ君じゃない。バックパックを展開して荷電粒子砲を突き出し――
「ああ、お姉さま! いけませんわ! 筋肉は適度に緩めるのがレディの嗜みですわよ!」
 ――『お姉さま』こと怪人めがけて発射した。
 ほぼ同時に僕も攻撃した(ちなみにもう慣性は消えて体は止まってるよ)。ハープ型の弓『Staccato Rain』でね。これは矢を射る度に雨音が弾ける武器なんだ。水浸しの戦場に相応しいと思わない?
「パーカパカパカァーッ!?」
 荷電粒子と矢を続け様に食らい、怪人は悲鳴らしきものを発した。『らしきの』がつくのは笑い声と区別がつかないから。
 その悲鳴(らしきもの)に咆哮が重なった。
「……カァーッ!」
 次の瞬間、閃光が走った。咆哮の主――ポポが目から光線を放ったんだ。
 発射元である瞳はつぶらで小さいのに、その光線の迫力は凄まじいものだった。怪人を羽交い締めにしていたゴリラが慌てて逃げ出すほど。
 で、逃げ遅れた怪人はというと――
「パッカァーン!?」
 ――枯れ葉のように吹き飛ばされた。迫力だけでなく、威力のほうも凄まじかったみたい。
「見事な攻撃ですわね」
 カフェラテ君がポポに賛辞を送った。
 でも、ポポは無反応。開きっ放しの嘴から煙を吹いて、立ち尽くしてる。今の一撃で力尽きたみたい。
『ホンジツノエイギョウハシュウリョウイタシマシタ』
 と、ポポの体のどこかから電子音声が聞こえてきた。
 そして、ミニポポちゃんたちがフリーズ状態の彼女を担ぎ上げ、どこかに運んでいった。
 聴いたことがあるようなないような曲を奏でながら。
『そどぉ~どど、みれぇ~どれ、みどどみそぉらぁ~♪』
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
あいつがこの騒動の首謀者か
アルパカを海へ還してやろうぜ

戦闘
引き続きアトラクションノリで行くぜ
貴様がボスか
悪巧みもここまでだ

迦楼羅のキラキラ羽で目晦ましだ
唾は注意して避けるんだぞ

その成否によらず
迦楼羅が口から
俺は指先からの火炎放射で挟み撃つ

あの軽い足取り
それでも避けられるかも

けど俺の紅蓮の炎と
迦楼羅の黄金の炎とが渦巻き
拡がる炎渦に巻き込む
そんな唾じゃ消せないぜ?

毛皮が焦げちまったな

トドメは合体攻撃だよな
やっぱり

迦楼羅!と叫んで跳躍合体
炎の翼を顕現
そのまま突っ込んで炎の突撃で薙ぎ払う

事後
鎮魂曲
安らかにな

その後は楽しくて踊りたくなるような曲
アルパカ絵描き歌とか?
動物も一緒にワイワイやろうぜ


中村・裕美
「……アルパカって……臭そうよね……ツバ吐くし」

とりあえず、【邪竜降臨】で自身を強化して仕留めにかかる。代償はドラゴンエナジー飲むのと各種耐性で耐える。
「……もう一匹……ペットを紹介しないとね。……出番よ……スカイフォール」
夜の帳の如く黒き小竜を呼び出す。正直、いつからの付き合いかは覚えていない。肉弾戦になった時は頼りになる相棒。
そんな竜をランスに変え、敵を早業で串刺しにかかる。槍捌きは竜任せ
敵が無敵状態になったら
「……我慢比べの……開始よ」
槍に黒炎を灯し、ひたすら敵を炙る。動けば焼かれ、動かなくても多分熱いっちゃ熱い
「……アルパカ焼き……美味しくなさそうね」



●木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)
 カフェラテが背負ってる大砲みたいなものを食らい、アステルに矢を射られた挙げ句、ポポの豪快なビームで吹き飛ばされ、アルパカ怪人は骸の海に還った。
「あばよ、アルパカ。静かに眠りな」
「勝手に眠らすなパカァーッ!」
 あ? まだ生きてた。ボロボロの状態だけど、ポーズを決めて筋肉を盛り上げてやがる。
「もう許さんパカ! 貴様らに真の野獣の力を教えてやるパカァーッ!」
「さっきも同じようなことを言ってたよな」
「うるさいパカ!」
「うわぁ……」
 と、裕美が首を竦めるようにして後退りした。だが、アルカパの剣幕に恐れをなしたってわけじゃないらしい。グルグル眼鏡で目の部分が隠されていても判る。その顔に浮かんでいる感情が恐怖じゃなくて嫌悪だってことはな。
 その嫌悪を裕美は言葉に変えて吐き出した。
「とても……くさそう……」
「く、くさくないパカ! なにを根拠にくさいとか言うパカ!」
「だって……アルパカって、強烈なニオイの……唾を吐くし……」
 うんうん。俺も聞いたことがある。アルパカの唾はとんでもなくクサいらしいな。
「いやいやいやいや! アルパカの唾はお花畑の香りパカ! それをくさいと感じるのは心が穢れている証拠パカ!」
「……」
 アルパカはわけの判らねえことを言い出したが、裕美はガン無視。懐中からエナジードリンクらしき缶飲料を取り出し、指先で弾くようにしてタブを開け(めちゃくちゃ開け慣れてるぜ。毎日のように飲んでるんだろうな)、ごくごくと一気に飲み干した。
 そして――
「……もう一匹……ペットを紹介しないとね……出番よ、スカイフォール」
 ――体長三十センチほどの黒いドラゴンを呼び出した。
「正直、いつからの付き合いかは……覚えていないけど……肉弾戦の時には……とても頼りになる相棒なの……」
 スカイフォールとやらは槍に姿を変えた。ただのチビドラゴンじゃなくて、ドラゴンランスだったらしい。
 裕美はそれを手にして、アルパカに突きを繰り出した。目にとまらぬ早業だ。スピードだけじゃなくて、威力も並じゃないはず……と、思ったんだが、甘かった。
「パーカパカパカ! 肉弾戦は俺のほうが得意パカ!」
 アルパカが笑ってる。その胸には槍の穂先が減り込んでいた。そう、貫いているんじゃなくて、ほんの少し減り込んでいるだけ。筋肉効果のユーベルコードをまた使いやがったな。
 だが、裕美は動じなかった。
「そのユーベルコードを使っている間は……動けないのよね? じゃあ……我慢比べといきましょうか」
「パカ?」
 目をテンにするアルパカ。
 一方、裕美は唇を微かに痙攣させた。不適な笑みってやつを浮かべたつもりなのかもしれない。
「……じっくりと……炙ってあげる」
 槍の穂先に炎が灯った。

●中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)
 スカイフォールの先端――怪人の胸に触れている箇所で炎が揺らめいている。炎の色は黒。スカイフォールの色と同じ。
「熱っ!? 熱いパカ!」
 怪人が悲鳴をあげている。でも、逃げられないわ。硬化を解除しない限りはね。
「その槍、炎も出せるのか。便利だなあ」
「いいえ……」
 ウタさんの言葉に私はかぶりを振った。
「これはスカイフォールの力ではなく……さっき、私が発動させたユーベルコード……『邪心降臨(ウロボロスインストール)』がもたらした力よ……」
「そういえば、あのエナジードリンクはなんだったんだ?」
「『邪心降臨』は毒だのなんだのといった代償を……必要とするから……それを少しでも軽減するために……飲んだの……」
「体を張りすぎじゃないか? もう少し自分を労ったほうがいいぞ」
「てゆーか、俺を労れパカァーッ!」
 怪人が泣き叫び、炎から逃れるために飛び退った。我慢比べはこちらの勝ち。
 相手がまた筋肉を硬化させるよりも先に私は踏み込み、スカイフォールの突きを見舞った。
「ぎゃあぁぁぁーパカー!」
 悲鳴にまで『パカ』を付けなくてもいいと思う。
「さて、俺もやるか」
 ウタさんが表情を真剣なものに変え、猫たちと対峙していた時と同じようにヒーローめいたポーズを披露した。アトラクション・モード再開というわけね。
「貴様がボスだな? 悪巧みもここまでだ!」
「いや、今はじめて会ったような芝居はやめろパカ!」
 怪人のツッコミなど聞こえないような顔をして、ウタさんはあの迦楼羅とかいう炎の鳥を飛ばした。
「唾は注意して避けろよ、迦楼羅」
「唾ネタを引っ張るなパカ! 人間どもが流布した唾ネタのせいで、アルパカ全体が深刻な風評被害を受けてるパカよー!」
 風評被害もなにもアルパカの唾がくさいのは事実なんだけど……。
「真の野獣がどうこうとか嘯いてる奴が――」
 ウタさんが指先から炎を放射した。ブレイズフレイムね。
「――人間からの風評被害なんざを気にしてんじゃねえよ!」
 そう叫ぶウタさんの頭上で迦楼羅が口から炎を吐き出した。一人と一羽の連係攻撃。怪人はそれを躱すことができず(たぶん、キラキラと輝く迦楼羅の羽に目を眩まされたのね)、たちまちのうちに火達磨になった。アルパカ焼き……美味しくなさそう。
「こうなっちまったら、もう唾なんかでは消せないぜ?」
「だから、唾ネタを引っ張るなパカー! ……って、うわぁー!?」
 アルパカの怒声が驚声に変わった。目の前にいるウタさんの体がいきなり燃え上がったから。
 いえ、本当に燃えたわけじゃない。降下してきた迦楼羅と一体化したの。
「やっぱり、とどめは合体攻撃だよな。いくぜ、迦楼羅!」
 炎の翼を背中から広げて、ウタさんは怪人へと突っ込んだ。
「ぎょえぇぇぇーっ!?」
 何度目かの怪人の悲鳴が広場に響く。今度は『パカ』をつける余裕はなかったみたい。
 体当たりで彼を弾き飛ばしたウタさんは弧を描いて急上昇し、空で迦楼羅と分離。地面に降り立った時には、全身を覆っていた炎は消えていた。
 固唾を呑んで観戦していた見物客たちが我に返り、一斉に拍手をした。まだアトラクションだと思い込んでるのね。
 拍手が収まると、ウタさんはギターを取り出し、物悲しい曲を奏で始めた。
 それは怪人へのレクイエム。
「あばよ、アルパカ。静かに眠りな」
「勝手に眠らすなパカァーッ!」
 あ? まだ生きてたみたい。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レンディア・バルフォニー
※アドリブ、連携歓迎

これまたアクの強い怪人が現れたねぇ
頭はもふもふアルパカなのに、体は筋骨隆々って……
あ、そうだ。ボディビルの大会でやるような掛け声をしてみようかな
と言っても、どんな掛け声があるか知らないので、スマホで素早く検索!
ふむふむ、なるほどなるほど
怪人の筋肉を指差して「仕上がってるねぇ!」「ナイスバルク!」とか言いつつ……UCの『kili hau』を発動!
油断しているところを攻撃しちゃおう。指先を向けたのはUCを使うための動作だったんだよねぇ(先制攻撃、騙し討ち)
卑劣な手段だったかな? ごめんね
でも、ほら、もっと水も滴る良い体になってるよ。カッコいー
とかなんとか適当に言っておこう、うん


一之瀬・玄十郎
アルゲディ(f03929)と

んだんだ、神聖なるカレーを貶すたぁとんでもねえやっちゃ
ルディの姐さん!やっちゃってくださいにゃー
…って、なーに筋肉に反応してるにゃよ!
イケメンじゃにゃーよ?アルゲディのセンス最悪にゃね?
さすがのあっしもさすがに引いてしまうにゃぁ
もぎゃあ!(お空高くに放り投げられる)

にゃんごろにゃんごろ
放り投げられても大丈夫にゃ
こんな時のためのUCにゃね
ひゃっふー!!(巨大なマンガ肉をどこからともなく)

わー。あとでみんなで一緒に食べるにゃー
あり?パカがケツ押さえてるにゃ…これはまさかの…!
ひぎぃ!(合掌)
敵ながら哀れにょよぅ
にゃ、でもカレー貶したから哀れむこともにゃいか

肉食べるにゃよ


アルゲディ・シュタインボック
玄ちゃん(f06807)と

その真髄は薬膳にして総合栄養食――それがカレー
聖なるカレーを貶した愚か者は死あるのみ!慈悲は無いわ!

しかし草食動物の癖にイイ身体してるじゃないの…
ちょっとその大胸筋や上腕二頭筋、良く見せて頂戴
ああ、良いわね……なんてデカい筋肉してるの…
背面の筋肉もさぞかし鍛えられてるんでしょう?
バックラットスプレッドをリクエスト
何てキレてるハムストリングス…!

キャーキャー言いつつその手には石突きを前に持った杖
ただ、それだけ鍛えられててもここだけは鍛えられないでしょうね!
全力の魔力籠めて無花果発動

降って来たマンガ肉に潰されるアルパカに目を丸くして
あら玄ちゃんお帰り~
お肉パーティよー!



●レンディア・バルフォニー(朱龍・f27097)
 木霊くんの奏でる曲が物悲しいレクイエムからアップテンポの明るくて楽しげなものに変わった。
 戦いを見物しているキマイラフューチャーの人たちも手拍子を始めたりなんかして。
 もっとも、怪人は怒り狂ってるけど。
「貴様ら、楽に死ねると思うなパカ! 真の野獣の恐ろしさを教えてやるパカァーッ!」
「その台詞、何度目だっけ?」
「うるさいパカー!」
『頭から湯気を立てる』なんて言い回しがあるけど、怪人の頭の上には湯気ならぬ煙が漂ってる。中村ちゃんや木霊くんに炎の攻撃を食らって、燃やされたからね。モフモフだった被毛もチリチリのアフロっぽくなってるよ。
 だけど、怒ってるのは怪人だけじゃないんだなあ。頭から湯気こそ出してないけど、アルゲディちゃんもお冠だ。
「許さない……」
 ほら。怪人を睨みつけて、憎々しげに呟いてるでしょ。
 どうして、そんなに怒っているのかというと――
「カレーのことを高カロリーだの高脂質だの高糖質だのと蔑むような愚か者には死あるのみ! 慈悲は無いわ!」
 ――ってことなんだって。
「んだんだ! 神聖なるカレーを貶すたぁ、とんでもねえやっちゃ!」
 と、一之瀬くんが全力で同意してる。いいコンビだね。
「ルディの姐さん! やっちゃってくださいにゃー!」
「ええ」
 一之瀬くんの言葉に応じて、アルゲディちゃんが前に出た。
 そして、怒りを込めた一撃を怪人に……あれ? ぶつけなかった。それどころか、表情を笑顔に変えて、怪人を惚れ惚れと眺めてるよ。
「あらー? こうして間近で見ると、草食動物のくせに良いカラダしてるじゃない」
「フン! 今頃になって、俺の筋肉美に気付いたパカ? なんと鈍い女だパカ」
 とかなんとか言ってるけど、怪人も満更でもなさそう。またもや、ボディビルのようなポーズを決めてるし。
「まあ、すごーい! 鋼みたーい!」
「こらぁーっ! なーに、筋肉に反応してるにゃよー!」
 目を輝かせるアルゲディちゃんの傍に一之瀬くんが駆け寄り、足を掴んで揺さぶった。
 でも、アルゲディちゃんは怪人の筋肉に魅せられっぱなし。
「その大胸筋や上腕二頭筋、もっとよく見せてちょうだい」
「ああ、見るがいいパカ! 気が済むまで見るがいいパカ! パーカパカパカ!」
「なんて、デカい筋肉。これ、絶対に裏切らないやつだわー」
「はあ?」
 と、一之瀬くんは露骨に顔をしかめてみせた。
「ルディはイケメン好きだとばかり思ってにゃけど、いつの間にか男を見る目が腐ってたようだにゃ。こんな変態くさい輩に惚れ込むとは……さすがのあっしもドン退きしてしまうにゃあ」
「うるさい」
 アルゲディちゃんは一之瀬くんの首根っこを掴み、思い切り放り投げた。怪人に目を向けたままの状態で。
「もぎゃあぁぁぁーっ!?」
 悲鳴のエコーを残して、空高くに消えゆく一之瀬くん。訂正しよう。べつにいいコンビじゃなかったみたい。

●一之瀬・玄十郎(さすらいのまんぞくさん・f06807)
 あっしはルディにぽいっと投げ飛ばされたにゃ。
 空中に投影された『第四十二回 ステキすぎるうちの子を見てちょーだい祭り』という文字をすり抜け、更に上昇。もっと上昇。
 青い空にゃ。
 白い雲にゃ。
 あ? 鳥が飛んでるにゃ。
 虹も見えたら、いいのにゃあ。
 ……なんてことを考えている間に重力くんがあっしをギュッと掴まえて、地上に引き戻し始めたにゃ。
 それでも落ち着いていられるのは、安全確実に着地する方法があるからにゃ。
 だけど、その方法をいきなり使うのも芸がないにゃん。降下しながら、地上の様子を観察させてもらうにゃ。文字通り、高みの見物。
「キレてる! うん、キレてるよー!」
 にゃにゃにゃ? パカに向かって、レンディアが叫んでるにゃ。確か、『キレてる』っていうのはボディビルの定番の掛け声だっけにゃ? なんで、ルディだけじゃなくて、レンディアまでもがパカに賛辞を送ってるにゃ?
「ナイスバルク!」
 距離があるのではっきりとは判らないけど、レンディアは手になにかを持ってるにゃ。たぶん、スマホだにゃ。
「大胸筋が歩いてるぅー!」
 どうやら、ボディビルの掛け声をスマホで検索してるみたいにゃ。
「土台が違うよぉ!」
 パカの場合、人としての土台に問題があるけどにゃ。いや、人じゃなくて怪人だけど。
「冷蔵庫!」
 自分の体を家電呼ばわりされて喜ぶ人種は世界中でボディビルダーだけだろうにゃ。
「マッチョを通り越して、ムッチョのレベルに達してる!」
 いやいやいやいや。そんな掛け声は絶対にないと思う。ネットの情報を真に受けちゃダメにゃよ、レンディア。
 でも、そのウソくさい掛け声にパカは酔いしれてるみたいにゃ。戦うことを忘れて、レンディアが叫ぶ度にポーズを変えてるにゃん。
 そして、男を見る目が腐っちゃったルディもあいかわらずキャーキャー言ってるにゃ。
「ああ、良いわ……背面の筋肉もさぞかし鍛えられてるんでしょうね。ねえ、次はバックラットスプレッドをお願い!」
「パーカパカパカ! 背面に限ったことじゃないパカ。俺の筋肉は三百六十度どこから見ても完璧パカ!」
 リクエストに応じて、パカはくるりと背中を向けたにゃ。
「なんてキレてるハムストリングス! 仕上がってるわねー!」
 ルディはパカの背中の筋肉をぺたぺた触り始めたにゃ。ただし、片手だけで。
「でも、どんなに仕上げようと――」
 もう片方の手には杖を持ってるにゃん。
 そう、セクンダを召喚した時に振っていた、水晶付きの杖にゃ。
「――ここだけは鍛えられないでしょうね!」
「んぎょっぐぇんがぁぁぁぁーっ!?」
 パカが絶叫したにゃ。
 ケツを押さえにゃがら。
 そのケツの間には杖の石突きが突き込まれているにゃ。うひぃ……神聖なるカレーを貶した憎き敵とはいえ、こればっかりは同情せずにいられにゃいにゃ。
 とはいえ、まだ石突きのほうで良かったにゃん。
 水晶が付いてるほうを突っ込まれてたら、もっとヒドいことになってるにゃ。

●アルゲディ・シュタインボック(白金の癒杖・f03929)
 言うまでもないことだけど、私はアルパカの筋肉に本気で心酔していたわけじゃないわ。黄色い声を出して媚びまくったのは芝居よ。相手を油断させるためのね。
 で、その芝居を見抜けなかった愚かで哀れなアルパカは――
「うぉぉぉ……」
 ――必殺のユーベルコード『刺激的な無花果(ファイゲ・アインラウフ)』のダメージが消えていないらしく、お尻を押さえて悶絶しているわ。いい気味ね。薬膳にして完全食であるカレーを馬鹿にした報いよ。
「お尻、ムー大陸!」
 ボディビルの大会でよく聞く(かどうかは知らないけど)掛け声をレンディアがまた発した。肩の上にナントカネズミのサクラが立ち、尖った鼻先の両横に左右の前足を添えて『キィキィ!』と鳴いている。主人と一緒に叫んでいるつもりなんでしょうね。
「腹筋、いい感じに割れてるよ! お尻も割れてるよー!」
 掛け声を響かせながら、レンディアはアルパカに指をつきつけた。ギャラリーに『ほら、あの筋肉を見て』とでも言うように。
 だけど、その行為には別の意味があったみたい。
 ユーベルコードを発動させるという意味が。
「凍てつくような雨に打たれてみるかい?」
 レンディアがそう問いかけた瞬間、雨が降ってきた。
 だけど、それを浴びたのはアルパカだけ。超極地的な雨だったから。
「ひぇーッ!」
 アルパカは悶絶の呻き声を苦痛の叫び声に変えた。体のそこかしこに霜が生じている。『凍てつくような』というのは比喩じゃなかったみたい。
「水も滴る良い体になってるよー! かっこいいー!」
 いいかげんな掛け声を再開するレンディア。サクラも『キィキィ』の声量を少しばかり上げた。
 今までのアルパカなら、それに乗せられてまたポージングをしていたかもしれないわね。だけど、ここまでダメージを受けて虚仮にされたとなれば、そうもいかない。
「うぉー! 茶番はここまでだパカァーッ! 今度こそ、貴様らに真の野獣の恐ろしさを――」
「――教える時間はもう残ってないと思うよ」
 と、アルパカの怒号にレンディアが割り込んだ。
 空を見上げながら。
「次の一手で勝負が決まるだろうからね」
「いや、貴様らの不意打ちはもう食らわないパカ! カンチョーだろうと、雨だろうと、避けてみせるパカ!」
「確かに俺やアルゲディちゃんの不意打ちは二度も通じないかもね。だけど、一之瀬くんの分はどうかな?」
「は?」
 アルパカが首をかしげた。
 次の瞬間――
「ひゃっふぅーっ!」
 ――空の彼方に放り投げられたはずの(私が放り投げたんだけどね)玄ちゃんが戻ってきた。
 とてつもなく巨大な肉と一緒に。両側から骨が突き出た、所謂『マンガ肉』というやつね。
 どーん! ……と、地響きをあげて地面に減り込むマンガ肉。さすがの私も目を丸くしちゃうようなシチュエーションだけど、すぐに理解できたわ。玄ちゃんがテレポート系のユーベルコードを使ったということはね。テレポートに伴って肉(それも超巨大サイズ)が出現する理屈までは判らないけど。
「玄ちゃん、おかえりー」
 肉の上にすっくと立っている玄ちゃんに私は声をかけた。
「この肉、皆で食べるにゃよー!」
「そうね。お肉パーティーしましょう」
「お肉パーティーか……いいねぇ」
 レンディアさんが楽しげに楽しげに笑った。
 周囲のギャラリーも――
「お肉! お肉! お肉!」
 ――と、お肉コールを始めた。ちゃっかりと相伴にあずかる気ね。まあ、大きい肉だから、全員に行き渡るでしょう。
 でも、パーティーの前にアルパカを倒さなきゃ……って、あれ? アルパカの姿が見えないわ。どこに行ったの?
 ああ、肉に押し潰されちゃったのね。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月15日


挿絵イラスト