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桜ノ匣庭~帝都学園殺人事件

#サクラミラージュ #桜ノ匣庭

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#桜ノ匣庭


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●桜源郷の学園
 はらり、ひらり、此処は満開桜咲く常春の桜源郷。
 そして日々大いに学び、鍛え、遊び、愉しみ――青春を目一杯謳歌せよ、と。
 そう理念を掲げるのは、帝都の者達が集う学び舎。
 幼稚舎から大学まで同敷地内にある、広大な桜咲く帝都の学園。

 学園の一日は、その人それぞれ。
 何の変哲もなく、けれども刺激的で。静かであり、賑やかでもある。
 朝から、遅刻遅刻! と慌ただしく時間との戦いを繰り広げ駆け込む者もいれば。
 ゆったりとこの世界有数の蔵書数を誇る学園の図書館で、静かに読書に耽る者も。
 真剣に学問を学ぶ者もいれば、慌てて次の授業の課題を写す者、こくりと舟を漕ぐ者。
 健やかに身体を鍛え、武を磨き競い合う級友たち。
 昼になれば、ナポリタン、パンケエキ、ホットサンド、日替わりランチ等々。
 大正浪漫の雰囲気溢れる学食で、話に華を咲かせながらのランチタイムも良いし。
 購買部では人気の焼きそばパンやコロッケ争奪戦が今日も繰り広げられていて。
 幻朧桜咲く空の下、ピクニックかの様に、中庭や屋上で弁当を広げる者達の姿も沢山。
 そしておなかを満たせば、広い桜源郷の学園内を散歩するのも良いだろう。
 涼し気な水音聞こえる川辺を歩く花逍遥、それに――こんな噂も。
 ひらり舞う桜の花弁を地におちるまでに捕まえられれば戀や願いが叶う、だとか。
 満開の桜の下で結ばれた二人は幸せになれる、だとか。
 まさに、仄かに咲く青春を謳歌し、学園ものの恋愛模様を楽しむのも良いし。
 そんな戀や願いや色々な話題に華咲かせつつ、ラウンジで桜菓子を楽しむ女子会と洒落込むのもまた良いだろう。
 午後の授業が終われば、部活動に勤しむ生徒や教師も少なくはないし。
 友人と放課後の学園で楽しいひとときを過ごすのも、いつもの光景。
 生徒も先生も職員も、思い思いに過ごす学園の一日。

 けれど――この学園がモデルとの噂もある、あの人気作家が書いた小説の様に。
 下校時刻の鐘が鳴り響くのを合図に、学園に不穏な殺人事件が起こるのだという。
 そう、稀代のバカミス『帝都学園殺人事件』の幕が今、上がろうとしているのだ。

●帝都学園殺人事件
「何やら、学園もののバカミス、ということであるようだが……」
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)はそうふと首を傾げ、ぎこちない手付きでスマートフォンを操作した後。
「……成程。バカミスとは、そんなバカな、と叫ばずにはいられないようなバカバカしい展開のミステリーだそうだ」
 何とかバカミスの意味をスマートフォンで調べ頷いてから、視た予知を語り始める。
「サクラミラージュの世界にある学園で、「影朧による連続殺人」が行われることが分かった。よって、その日その時刻、関係者全員に学園には居ないよう告げたのだが」
 それで事件は起こらず、めでたしめでたし――ではあるものの。
「だが、その事件を引き起こそうとした影朧も倒したいところ。そこで、「殺人事件の被害者になってくれる猟兵達」を今回募りたいと」
 猟兵ならばきっと、普通の人が死ぬようなトリックでもどうにかして多分生還するだろうし。犠牲者が誰であれ、予知通りの「連続殺人」さえ発生すれば影朧はのこのこ出てくるそうなので、それをやっつけましょう、と。そういうわけである。

「そして今回の殺人事件だが、ある小説を元にして行われるというのだ。その小説とは、サクラミラージュの人気作家である櫻居・四狼の短編集『桜ノ匣庭』に収録されている『帝都学園殺人事件』という作品であるが。これは、普段は繊細で情緒ある心中物語を紡ぐ彼の作品の中でも賛否両論あるという、所謂バカミスであるという」
 そしてこの帝都学園のモデルとなったと噂の学園で、この小説のような「そんなバカな! と叫ばずにはいられないバカバカしい展開の殺人事件」が起こるのだという。
 誰でもないこの作品の著者――櫻居・四狼で在った影朧の手によって。
 櫻居・四狼は、サクラミラージュの世界で売れっ子の人気作家で。
 作品の独特な世界観は勿論、整ったその容姿も相まり、絶大な人気を誇って。
 そして急に姿を消したというミステリアスさが、今でも熱烈な信者の心を掴んで離さないのだという。
 彼は生前から、その容姿通り女たらしの人たらしで、楽しければ何でもいいという思考の持ち主であり、肌身離さず持ち歩く硯箱を『桜の君』と呼んで何よりも大切にしているというが、それは影朧になっても変わっていないようだ。
 そして彼の作品の多くは、心中が絡んでいるものが多いのだという。
「この『帝都学園殺人事件』も相変わらずラストは、共犯者である実は正体がライバル校の生徒会長の従姉妹であるというスパイなヒロインと、犯人が心中するという内容であるが。学園の下校時刻を告げる鐘が鳴った以降に次々と起こるという殺人の内容が、バカミス……そんなばかな、という死に方ばかりだそうなので。まずは犯人に気取られぬよう学園生活を送り、そして下校時刻を告げる鐘が鳴った後、そんなバカなというような死に方をそれぞれして影朧を誘き寄せ、のこのこ出てきた作家の残影を撃退して欲しい」
 まずは、桜源郷の学園とも呼ばれるこの学び舎で。
 影朧に気取られぬよう下校時刻を告げる鐘が鳴り始めるまで、好きなように自由に、学園生活を謳歌して欲しい。
 生徒でも教師でもその他職員でも、好きに演じて貰って構わないし。
 学園内の施設も、自由に使って良いのだという。売店や学食等も営業しているようだ。
 幼稚舎から大学迄あり、同行者と年齢差あっても違和感はないだろうし。
 実年齢と演じる設定が違っても、言及されることはそうそうないだろう。
 学園の制服は、男女とも白の軍服の様なデザインもので貸出も行なっているが。特に制服指定ではないため、何を着て貰っても構わない。制服は勿論、世界観に合わせて、書生やハイカラさんなど大正浪漫風な格好をすれば、より怪しまれないのは確かだ。
「桜源郷の学園とも言われているこの学園には、色々な桜に纏わる噂話などもあるようなので。散策し追ってみたり試してみるのも良いかもしれない」
 清史郎はそう微笑んでから、その後はバカミスや影朧退治もよろしく頼む、と。
 掌に満開桜を咲かせ、皆を桜源郷の学園へと導くのだった。


志稲愛海
 学パロ、バカミス、やりませんか!
 志稲愛海です、よろしくお願いします。

 ※ご連絡※ 第1章は、9/10(木)朝8:31より受付開始します。
 第1章の断章をOP公開後に掲載致します。

 今回の依頼内容は以下です。

 第1章:しあわせのひとひら(日常)
 第2章:死んでいる……いったい誰がこんなことを!(冒険)
 第3章:或る作家の残影(ボス戦)

 1章2章は、POW/SPD/WIZは参考程度に行動いただいてOKです!

 第1章は、学園の生徒や教師や職員に扮し、学園生活を送って頂きます。
 舞台は、しあわせのひとひらの噂などもある桜源郷の学園です。
 学園内で出来る事でしたら、常識の範囲内でお好きに学パロして下さい!
 幼稚舎から大学迄あり、同行者と年齢差あっても違和感はありません。
 時間は朝の登校~日暮れ前の下校時刻の鐘が鳴る迄、の間でご自由に。
 OPの内容以外でも、お好きに学パロしていただければと。
 学食やラウンジのメニューもお好きなものをどうぞ!
 学園の制服は白軍服の様なデザインで、ズボンとスカートタイプがあります。
 ご希望の場合貸出ししますが、制服指定ではないので。
 書生やハイカラさんや私服等、ご自由に。

 第2章は、皆様に殺人事件の被害者になっていただきますが。
 死に方は自由、「そんなバカな!?」という死に方だと尚良しです。
 謎のバナナの皮で滑って、とか、餅が喉に詰まって、とか下らないものから。
 その部屋だけ謎の重力変化が起こって、とか大掛かりなものから。
 いつの間にか死んでいたとか、普通に不慮の事故で等々、お好みに死んで下さい!
 影朧も下らない仕掛け等するようなので、お付き合いいただいても。

 第3章はボス戦です。
 櫻居・四狼は、当方の『桜ノ匣庭~』タイトルの依頼に出てきていますが。
 特に未読でも問題ありません。参考程度にと。

 公序良俗に反する事、他の人への迷惑行為は厳禁です。
 締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。

●お願い
 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。

 グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
 ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。

 可能な限り皆様書かせていただきたく思っています。
 お気軽にご参加ください!
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第1章 日常 『しあわせのひとひら』

POW   :    桜の花弁をつかまえて

SPD   :    花より団子、白亜の館で桜菓子を楽しむ桜茶会

WIZ   :    満開の桜の下、あなたと一緒に

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●帝都学園・旧校長室
『殺人事件、楽しみだなぁっ。どんなバカバカしい死に方させちゃおっかなー。繊細な作品が多い天才作家でも、たまにはバカミスとか書きたくなる時あるよねー』
 そうわくわく端正な顔に子供染みた笑みを浮かべるのは、或る作家で在ったモノ。
 けれどすぐに彼――櫻居・四狼という名の作家であった影朧は、原稿用紙に向かう。
『その前に少しでも、今書いてる小説の執筆進めちゃおっと……サムライの国で売れなかった作家が、ひょんなことからやって来た桜咲く世界で売れっ子作家になって、富も地位も名誉も得て……そして人生を謳歌した後、愛しの絶世の美女『桜の君』と心中を果たす――それが僕の、最後にして最高傑作になるはず、なんだけど~』
 でも……肝心の、ラストの心中の場面が――何故か、思った様にうまく書けない。
 今まで心中のシーンで筆が止まったことも、普段はあまり書かないバカミスを書いた時でさえも、すらすらと書けたというのに。
 むう、と作家はひとつ唸り、大きく溜息をついて呟く。
『だってダサいでしょ……ファンって言うどこのどいつか分からない女に、心中まがいなことされて……挙句、僕だけ死んじゃっただなんて、そんな結末』
 ――あの時は、大切な『桜の君』をあの子に託し手放した後だったのが、不幸中の幸い……。
 そこまで脳裏に浮かんだ後、ハッと我に返ったように顔をあげてから、影朧はふるふると首を振る。
『って、大事な『桜の君』は、ちゃんと此処にあるし……僕はまだまだ、自分の好きなことして、楽しいこといっぱいしたいから』
 ――何だかよく分かんないけど、まぁいっか。それよりも、バカミス殺人事件楽しみー!
 作家であった残影は、そう、自分の作品の内容を実行に移すその時を、わくわくと待ちながらも。
 いつまでも終わらぬ原稿用紙に走らせていた筆を、美しい桜模様の硯箱に収めた後。
 普段通り、何の変哲もないように見える桜源郷の学園の様子を、窓からそっと窺うのだった。
平平・晴
ひゃわわっ、遅刻遅刻!
私、夢晴。恋に恋する23…17歳(偽装)!
転校早々寝坊するなんてドジ過ぎだよ…
私のバカ!アホ!クソザコナメクジ!

パンケエキを頬張りながら曲がり角を曲がった拍子にぶつかった彼とは印象最悪の出会い…しかも席は隣…
面白い女だって何故か気に入られちゃった
気づけば周囲は華族の御曹司、若き銀幕スタアや
著名な学生文豪、異常に権力のある生徒会の会長…
帝都の今を時めく超絶ハイスペイケメンズだらけ…!

花弁、髪についてたぞって微笑み手を伸ばす級友に鼓動が跳ねて
思い出すのは桜のひとひらの噂話
突然の戀の予感!
私の胸キュン帝都学園ライフ…
これから一体どうなっちゃうの~?

あ、眼鏡を取ったら美少女です



 まさに、学園がはじまる朝に相応しい、きっと誰かがやってくれるだろうと思っていたお約束。
 ――ひゃわわっ、遅刻遅刻!
 そうバタバタと駆けるのは、平平・晴(一般人・f27247)。
 いや、今の彼女は違う。
 ――私、夢晴。恋に恋する23……17歳!
 ……偽装? だって学生っていえば、ピチピチの17歳のはず。なんのことかわかりません!
 そんな夢晴はダッシュしながらも、ふうっとひとつ溜息を落とす。
「転校早々寝坊するなんてドジ過ぎだよ……私のバカ! アホ! クソザコナメクジ!」
 ドジでクソザコナメクジなのは、ヒロインの王道ですから……!?
 そしてこの夢女は、どこまでも王道を愛する。
 パンよりも可愛いパンケエキをはむり頬張りながら、曲がり角を曲がれば。
「きゃっ」
 ぶつかったのは、同じ学園の制服を着た男子生徒。
 それは印象最悪の出会いで……しかも。
 ずざーっと何とか滑り込んだ教室で、夢晴は思わず瞳をぱちくり。
「面白い女だ」
 隣の席は、さっきの彼。それに何故か気に入られちゃった!?
 いや、学園での出逢いはそれだけではなくて。
 華族の御曹司、若き銀幕スタアや著名な学生文豪、異常に権力のある生徒会の会長……気づけば周囲は、帝都の今を時めく超絶ハイスペイケメンズだらけ……!?
 けれどそんなハイスぺたちに言い寄られる中でも。
「花弁、髪についてたぞ」
 不意に伸ばされた、大きな掌。
 同時に、摘まんだひとひらを見つめ微笑む級友に、どきんっと鼓動が跳ねて。
 ……ひらり舞う桜の花弁を地におちるまでに捕まえられれば戀や願いが叶う。
 ハッと思い出すのは、そんな桜のひとひらの噂話。
 もしかして、これってもしかすると――突然の戀の予感!!
 そして夢晴は、この心臓の音が彼に聞こえちゃうんじゃないかなんて、ドキドキしながらも。
(「私の胸キュン帝都学園ライフ……これから一体どうなっちゃうの~?」)
 夢女にとってまたとないシチュに無限大の妄想を膨らませながら、眼鏡の奥の瞳でちらり彼を見上げる。
 あ、勿論――眼鏡を取ったら美少女です!

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
紅(f01176)と

制服に身を包み声楽の授業
窓の外、向かいの教室に見慣れた色

クレナイだっ
気づくかな
胸の前で手をぶんぶん振って

ふふ、ねむそう
あっ、気づいたっ

え、なに?うしろ?
振り返ったら先生が
わあ、ごめんなさい

お昼はぱっと食べて中庭へ
クレナイの席はもうしってるもの
窓ノック
クレナイ、あーそーぼっ

なにたべてたの?
わあ、たべるっ
口をあけて
ほんとだ、おいしいっ

ね、さんぽしにいこっ
飛び出そうとするクレナイに笑って
手を取りお手伝い
たんけんたいだ、れっつごーっ

ぶかつっ
ものがたりつくるところ?
たのしそうっ
あっ、ゲームするところもいいな
またポーカーするんだ

手を引かれ
音に惹かれ
駆ける足も軽やかに
がっこう、たのしいね


朧・紅
オズさん(f01136)と

授業ってこんなに退屈なのですかっ
憧れで初めての学校なのに
ふぁと欠伸
うゆ、寝たら危険ですのに…
ぅや
オズさん!
と、センセー!
はわぁ怒られちゃった
っふふ眠気どっかいっちゃったです

窓ノックを笑顔で迎え
お昼に買った桜菓子ですよ
どーぞっ
お口にぽーい
おいし~の♪

お散歩、いくっ!
勢いの侭窓に足かけ
手を引かれてぽーんとジャンプ
れっつご~

運動場に響く声援
部活ってやつですね
ね、何に入りたいです?
僕は運動…あ、物語作る所も気になるっ
ポーカーやりたい!
僕そっちにもはいるー

ぅや、ピアノの音が…
こっち!
外廊下で汚れた上履き放って
手を引いて制服で廊下軋ませ駆ける
心ドキドキ
僕の知らないがっこうのせかい



 桜舞う窓の外はとても良い天気で。
 特に、お日様の光が降り注ぐ窓側の席は、あったかくてぽかぽかの陽気。
 黒板の前で授業をする先生の声がまた、子守歌の様で――。
(「授業ってこんなに退屈なのですかっ」)
 朧・紅(朧と紅・f01176)の口からふぁと漏れるのは、もう何回目か分からない欠伸。
 憧れで初めてであるはずの学校なのに。ごしごしと、紅は懸命に瞳を擦りながらも。
(「うゆ、寝たら危険ですのに……」)
 油断したらきっと、すやすや夢の中……必死に眠気と戦っている最中です。
 そんな紅の耳にふと聞こえてきたのは、窓の外、向かいの教室から聞こえる歌声。
 そう――そこは、音楽室。
 オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は丁度その音楽室で、声楽の授業を受けていたのだけれど。
 楽しそうに歌いながらも、ふと青の瞳に飛び込んできた、見慣れたその色に気付いて。
 ――クレナイだっ。気づくかな。
(「ふふ、ねむそう」)
 そううとうとしている姿に瞳細めながらも、胸の前で手をぶんぶんと振ってみれば。
(「ぅや、オズさん!」)
(「あっ、気づいたっ」)
 紅も、音楽室で手を振るオズを発見!
 オズも自分に向けられる視線で察知し、再びぶんぶん手を振るけれど。
 でも紅が見つけたのは、オズだけではなくて――。
(「オズさん! と、センセー!」)
 自分へと手を振っているオズの背後から迫る、声楽の先生の姿!?
 そして懸命に、うしろ、うしろ! とアピールしてみるけれども。
「え、なに? うしろ?」
 紅の様子に、オズはひとつ首を傾げてから振り返ってみれば。
「わあ、ごめんなさい」
 瞬間、先生が持っている教科書が、彼の頭を軽くぽかっ。
(「はわぁ怒られちゃった」)
 紅はそんな様子に、思わず瞳を見開いてぱちくりさせるけれど。
 次に零れるのは、笑み。だって気付いたから。
(「っふふ眠気どっかいっちゃったです」)
 それから何とか、午前中の授業が全て終われば――次は待ちに待った、お昼休み。
 けれどもオズはお昼ごはんをぱっと食べて済ませて、中庭へ。
 そして、迷うことなく。
(「クレナイの席はもうしってるもの」)
 こんこん、と窓をノック。
「クレナイ、あーそーぼっ」
 そんなノックを笑顔で迎える紅だけれど、まだはむりとごはん中。
「なにたべてたの?」
 オズがそう聞けば、ずいっとその目の前に差し出されるのは。
 ラウンジに売っている、完売必至の人気の逸品。
「お昼に買った桜菓子ですよ」
 それをオズにも、どーぞっ、と。
「わあ、たべるっ」
 紅は、開けられた彼のお口へとぽーい。
「おいし~の♪」
「ほんとだ、おいしいっ」
 ふたり同時にそう笑い合いながら、仲良く桜菓子のお裾分けを。
 それをもぐもぐ美味しく堪能した後も、まだまだ昼休みはこれから。
「ね、さんぽしにいこっ」
「お散歩、いくっ!」
 嬉しい誘いの声に、がしっと勢いのままに。
 紅が窓にその足かければ、オズも手を取りお手伝い。
 そして取ってくれた手を頼りに、ぽーんとジャンプすれば、お散歩のはじまり。
「たんけんたいだ、れっつごーっ」
 そんなオズの隣を歩きながら。
 紅もこくりと、れっつご~!
 ひらり桜舞う下、学校の冒険にいざ出発!
 そしておなかもいっぱい、眠さピークの午後の授業もなんとか耐えきれば。
 やってきた放課後、運動場に響く声援の理由を辿って。
「部活ってやつですね」
「ぶかつっ」
 そう、部活動!
 紅はきょろり視線を巡らせた後、オズへと訊ねてみる。
「ね、何に入りたいです? 僕は運動……あ、物語作る所も気になるっ」
「ものがたりつくるところ? たのしそうっ」
 運動に物語作り、そしてあと紅が気になったのは――これ。
「ポーカーやりたい!」
 ……僕そっちにもはいるー、って。
「またポーカーするんだ」
 また美味しいクッキーをかけた、ポーカー勝負再び……!?
 それから紅はおもむろに、外廊下で汚れた上履きをぽぽいっと放って。
「ぅや、ピアノの音が……」
 白軍服の制服を着ている同士、オズの手を引いて。廊下軋ませ、タタタッと軽やかに駆け出す。
 手を引き気合い、音に惹かれ――心は踊る様に、ドキドキと弾んで。
「がっこう、たのしいね」
 聞こえたオズのそんな声に、紅は笑顔で頷く。
 まだまだ未知なこと、やりたいことがいっぱいで。何よりも、体験してみればとってもたのしい。
 ――僕の知らないがっこうのせかい、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リリスフィア・スターライト
(SPD)
他の猟兵達との絡み可

優しくお淑やかな人格のフィアで参加します。
学生として学園生活を満喫しますね。
サクラミラージュの世界も女学生服を着るのも
久しぶりですし、少しぎこちないかもしれませんが、
こういうのは楽しんだもの勝ちですよね。
他の女学生達に交じって談笑します。
仲良くなれた所でバカミスの話題を持ちかけてみたいですね。
作家である櫻居・四狼を知っていたら、詳しく聞いてみたいです。
あとは印象に残った犠牲者の殺害方法とか
死体の置かれ方とかについても女学生達に聞ければと思います。
引かれてしまうようでしたら、こういう話題は
女の子同士でするものではないのでしょうか?
と落ち込んでしまいそうです。



 はらり桜舞う中、学園の中をゆるり歩くのは、リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)。
 いや、今の彼女は、優しくお淑やかな人格のフィア。
 そして纏うのは帝都の学園に相応しい、大正浪漫な女学生服。
(「サクラミラージュの世界も女学生服を着るのも久しぶりですし、少しぎこちないかもしれませんが、こういうのは楽しんだもの勝ちですよね」)
 そうそっと控えめに、ひらり裾を靡かせながら。
 ……フィアちゃん、こっちこっち、と。
 仲良くなった級友たちとお喋りを楽しむべく、窓の外に満開の桜を臨めるラウンジへ。
 最初は他愛のない日常的な会話や恋の噂話、帝都で流行りの話題などだったけれども。
 十分に打ち解けたところで、フィアは彼女たちに訊ねてみる。
「作家である櫻居・四狼を知っていますか?」
 そんなフィアの言葉に、女学生達は一瞬にして、ぱあっと笑顔を宿して。
「櫻居先生! 私、大ファンよ。フィアちゃんも好きなのっ?」
「それにすごくイケメンだし……櫻居先生、憧れちゃう」
「先生、気さくで楽しい性格みたいだけど、作品は本当に繊細で……そのギャップも堪らない!」
 きゃあきゃあとそう饒舌に語る彼女たち。
 フィアはそんな女学生達に、引き続き話を振ってみる。
「櫻居・四狼の『帝都学園殺人事件』は読みました? この学園がモデルと聞いたので興味を持って」
「私はその話は、少しいつもの先生の作品と違うから、苦手かな」
「確かに、ちょっと普段とは違う作風だけど、私は好き。すごいビックリな展開だったけど」
「人によって、好き嫌い分かれそうだけど。でも先生は、バカバカしい中でもフェアに伏線も描写していたよね」
 所謂バカミスであるというこの作品は、やはり聞いていた通り、ファンの間でも賛否両論あるようだが。
 これから起こることも踏まえ、フィアはさらにこう訊ねてみる。
「あとはこの小説で、印象に残った犠牲者の殺害方法とか、死体の置かれ方とか」
「え……?」
「……フィアちゃんって、そういうところに興味あるんだ」
 フィアの問いに、一瞬引いたような表情をする女学生達。
 そんな彼女たちの様子に、ぱちくりと瞳を瞬かせて。
 一瞬引いたものの、何事もなかったかのように次の話題に花を咲かせ始めた彼女たちをちらりと見遣りながら。
(「こういう話題は、女の子同士でするものではないのでしょうか?」)
 そう何気にちょっぴり落ち込む、フィアであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
ハイカラさん姿の学生生活、一度体験してみたかったのよね…わたし外国産ヤドリガミだからそういうのなかったし。

真面目にお勉強したり、木の下でお弁当食べたりするんでしょう?
パンをくわえて走ってくる人とコーナーでぶつかったりするのよね?(偏った知識によります)

しばらくしたら殺人事件をやらなきゃいけないみたいだから、それまでは精一杯かりそめの生活を楽しむわよ。



 桜源郷と言われているだけあり、学園に咲き誇るのは満開の幻朧桜。
 そんな薄紅の絨毯をブーツでそうっと踏みしめ、学園を歩くのは、ひとりの女学生。
(「ハイカラさん姿の学生生活、一度体験してみたかったのよね……わたし外国産ヤドリガミだからそういうのなかったし」)
 いや、ハイカラさんの格好でばっちりと臨む、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)であった。
 確かにヴィオレッタは、少し前まではひとではなく物であったし、しかも器物も外国産の宝珠であるのだけれども。
 でも、学校がどういうところかは、一応知っています……!
(「真面目にお勉強したり、木の下でお弁当食べたりするんでしょう?」)
 学校とは、勉学に励む学び舎。
 先生の授業を聞き、様々な事を勉強して。
 昼になれば、眼前に並んだ桜の木の下とかで、広げた弁当を食べたりする場所。
 ええ、その知識は間違っていません。
 ここまでは、何も間違ってはいないけれども。
(「パンをくわえて走ってくる人とコーナーでぶつかったりするのよね?」)
 ヴィオレッタはそうきょろりと、そういう人がいないか、色の違う瞳を周囲へと巡らせてみる。
 いえ……仕方ありません、だって外国産ヤドリガミですから!
 少々、いやかなり偏った知識なのもご愛敬、ということで。
 ……もしかしたら、そういう人もさっきいたかもしれませんし。
 都市伝説というか、妄想の産物というか、お約束というか。
 そんなパンをくわえて走っている人は、生憎見られなかったけれども。
 今のところ平和な学園だが、これから此処で起こると予知されたことをヴィオレッタはふと思い返してみる。
 この学園をモデルとして書かれたバカミスを、再現しようとしている輩がいるということを。
(「しばらくしたら殺人事件をやらなきゃいけないみたいだから」)
 けれどもまずは今は、元凶の影朧に、潜入していることを気取られないように。
 ヴィオレッタはひらり、ハイカラさんな着物の袖や大きなリボンを揺らしながら、そっと藍と紫の瞳を細める。
 ――それまでは精一杯かりそめの生活を楽しむわよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロカジ・ミナイ
有/f00133

色んなとこで学んだけども
こういう学校!ってのには入った事がない
有ちゃんは?学校初めて?そいつはいい!

ここは大学のとある研究室
助教授の僕と学生の有ちゃんの二人きり
理系の分厚い本の表紙の文字が陽に照らされて曖昧に滲む
側から見れば甘酸っぱい背景のひとつも思い浮かべちまうかもね
まぁね、この眼鏡、伊達なんだけどね

響くのは君のためだけに開かれた講義

温度が高すぎるとよくないの
マッチは温度が低いから都合がいい
いい匂で変な匂いも隠してくれるんだよ

噛み砕いた言葉で紡ぐのは
マッチでつける煙草の話

ふふ
実践するなら僕にも火を分けておくれよ

学校とマッチの味、初めてが二つ
今日はよく学ぶ日になったじゃないの


芥辺・有
ロカジ/f04128

学校入った事ないのに学んでたの
なんだ、意外と勉強しいなのか
……私?ないよ。初めてさ
学校なんて縁もなかったからね

だから学生なんてったって急に勤勉にゃなれないし
いかにも難しそうな本には眉を寄せて
つい窓の外でも見てたい気分になるけど
まあコウギする気らしい「ロカジさん」の方を向く
……眼鏡なんかしてたかい?
伊達?あっそう

眼鏡の縁を眺めたり箱をいじったり
それでも一応耳は傾けて
温度。におい。単語をオウム返しするのは意外と興味深かったので
そんな事ひとつふたつで違うもんか
マッチを一本とって矯めつ眇めつ

まあそれはそうとして、別に実践でもいいんだけど
……はいよ
結果的にそうなったみたいだね、どうも



 学校――それは書いて字の如く、所謂学ぶための場所。
 客に間違った薬は飲ませられないし、他にもあれやそれやと。
 ロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)は、確かにこれまで沢山学んではきたけれど。
「色んなとこで学んだけども、こういう学校! ってのには入った事がない」
「学校入った事ないのに学んでたの」
 芥辺・有(ストレイキャット・f00133)は、ふと彼の声に首を傾けるけれど。
 ……なんだ、意外と勉強しいなのか。
 そう続けた彼女に、有ちゃんは? と訊ねてみれば。
「……私? ないよ。初めてさ。学校なんて縁もなかったからね」
「学校初めて? そいつはいい!」
 ロカジは、そう笑まずにはいられない。
 だって、お互い初めての学校ときたもんだ。
 それに初体験は何だってドキドキするし、学ぶって事の入り口にきっと違いないから。
 そんなふたりがいるのは、大学の、とある研究室。
 今は、助教授の「ロカジさん」と学生の有の二人きり……なのだけれど。
「だから学生なんてったって急に勤勉にゃなれないし」
 眉を寄せる有のその目の前にあるのは、いかにも難しそうな理系の分厚い本。
 そんな、早速表紙から知らない単語の羅列である小難し気な本に、有はつい窓の外でも見ていたい気分になるけど。
 差し込める陽に照らされて曖昧に滲む文字。
 学校と言えば、勉強は勿論なのだけれど。
 ……側から見れば甘酸っぱい背景のひとつも思い浮かべちまうかもね、なんて。
 ロカジは、自分へと不意に向けられた彼女の瞳に、そうふと目を細めて返して。
 勉強だけでなく、二人きりの甘酸っぱい学園のひとときも、もしかしたら体験――。
「……眼鏡なんかしてたかい?」
 ――とは、さすがにいかないようだ。
 けれども眼鏡を掛ければ、いい男度も知的さも、きっと増しましに違いないから。
「まぁね、この眼鏡、伊達なんだけどね」
「伊達? あっそう」
 くいっと伊達眼鏡を得意げに上げてみせるロカジに、やはり有が返す声はぶっきらぼうで気だるげ。
 だがそんな有だけのために、助教授の「ロカジさん」が開くのは特別講義。
「温度が高すぎるとよくないの。マッチは温度が低いから都合がいい。いい匂で変な匂いも隠してくれるんだよ」
 そう講義を始める「ロカジさん」は、酒と煙草と薬のことならばお手の物。
 そして有の眼前にひとつ置かれたのは、小さなマッチ箱。
 有は、彼の眼鏡の縁を眺めたりマッチ箱をいじったりしながらも。
 それでも一応、自分の為だけに響く彼の講義には耳は傾けて。
 ――温度。におい。
 ぽつりとそう、オウム返し。
 小難しくてつまらないかと思いきや……意外と興味深かったから。
「そんな事ひとつふたつで違うもんか」
 そしてふとマッチを一本手に取り、矯めつ眇める。
 助教授「ロカジさん」が、噛み砕いた言葉で紡ぐのは――マッチでつける煙草の話。
 そして……まあそれはそうとして、別に実践でもいいんだけど、って。
 それを擦ってみようとする彼女に、ロカジはこうお願いしてみる。
「ふふ、実践するなら僕にも火を分けておくれよ」
 有はそんな彼をちらりと見てから、しゅっとマッチを擦って……はいよ、って。
 マッチ独特の匂いが漂う中、咥えられた彼の煙草に火をつけてあげる。
 そして自分の煙草にも火をつけて。
「学校とマッチの味、初めてが二つ。今日はよく学ぶ日になったじゃないの」
 煙を燻らせ「ロカジさん」へと紡ぐ。
 ――結果的にそうなったみたいだね、どうも、って。
 学んだばかりの、温度やにおいを感じながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
俺達の故郷には学校なんてのは無かったからね
せっかくだから学生ごっこを楽しんじゃおう
おぉー、格好良いじゃないか梓
こんな機会もう無いかもしれないし写真も撮っておこう

学校ごっこの定番といえばやっぱりあれだよ
屋上でのお弁当タイム
細かいことはいいのいいの
梓、お弁当は用意してくれた?
俺より梓のほうが断然料理が上手いから
お弁当作りを任せたわけだけど…
想像以上の大作が出てきた
なにこれすごい
あ、ちゃんとタコさんウィンナーもある
なんだかテンション上がるよねコレ
見た目だけでなく勿論お味も一級品
梓、良いお母さんになれるよ
なんてジョークで褒め

アオハルって感じだよねぇ
梓のお弁当がまた食べられるなら俺は大歓迎だよ


乱獅子・梓
【不死蝶】
もう学生なんて歳じゃないだろう…とは思うが
どうせなら学生が良いと綾が言うもんだから
白軍服風の学生服に身を包む
ハハッ、お前は正直あんまり似合ってないな
いつも黒尽くめだから白い衣装の綾は新鮮

普通、学校の屋上って
生徒が自由に出入り出来ない気がするんだが…
ああ、弁当らしい弁当なんて
作ったことから少し苦労したがな
三段重ねの弁当箱におかずをぎっちり詰め
だし巻き卵、唐揚げ、ポテトサラダ、
アスパラベーコン、うさぎ林檎、他色々
おにぎりとサンドイッチもあるぞ
おい、そこは良いお父さんとか旦那さんだろうが
笑いながら小突く

青空の下で弁当広げて
こんな穏やかな時間を過ごすのも良いもんだな
またピクニックにでも行くか



 まるで、学園生活を送る生徒達を見守るかの様に。満開に咲く幻朧桜が、薄紅色の花弁を降らせる中。
(「俺達の故郷には学校なんてのは無かったからね。せっかくだから学生ごっこを楽しんじゃおう」)
 鳴り始めたチャイムを聞きながら常春の学園を歩く灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、ふと桜空から降ってきたひとひらをつかまえてみる。
 自分達がいた常夜の世界にはなかった、空の色や学校という場所。
(「もう学生なんて歳じゃないだろう……とは思うが」)
 ……どうせなら学生が良いと綾が言うもんだから、と。
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が纏うのは、白軍服風のデザインをしたこの学園の制服。
 綾はそんな隣を歩く彼の姿を映した瞳を、より細めて。
「おぉー、格好良いじゃないか梓」
「ハハッ、お前は正直あんまり似合ってないな」
 逆に、そう笑んで返す梓。
 似合っていないというよりは、見慣れていない、という方が本当は正しいのかもしれない。
 いつも黒尽くめな綾の白い衣装は、一緒に居る時間が多いからこそ新鮮で。
 自分達は敢えてそう言い合えるような間柄であるから。
 現に綾は、揃いの制服に心弾ませる様ににこにこと笑んだままで。
「こんな機会もう無いかもしれないし写真も撮っておこう」
 学生生活のひとときに、ぱしゃりとシャッターを切る。
 そしてどこか、そわりとした様子で周囲を見回して。
 上へと続く階段を見つければ、梓を促しながらも言い切る。
「学校ごっこの定番といえばやっぱりあれだよ。屋上でのお弁当タイム」
 ぽかぽか陽気の空に近い屋上で食べるお弁当! これぞ、学園ものの定番?
「普通、学校の屋上って、生徒が自由に出入り出来ない気がするんだが……」
 何気に現実的な事を口にする梓に、細かいことはいいのいいの、と笑んでから。
 綾は、幸い施錠など特にされていない扉を開け放って。
 屋上へと足を踏み入れた瞬間、再び迎えてくれるのは、吹き抜ける心地良い風と桜花弁たち。
 そんな屋上の中でも、一等眺めの良い場所にふたり並んで座って。
「梓、お弁当は用意してくれた?」
 そう向けられた視線と声に、こくりと頷いてから。
「ああ、弁当らしい弁当なんて作ったことから少し苦労したがな」
 梓が広げたのは、二人分のお弁当。
 いや……ただのお弁当ではない。
 綾は広げられたそれらに、向けた糸目を一瞬見開いてしまう。
(「俺より梓のほうが断然料理が上手いから、お弁当作りを任せたわけだけど……」)
「なにこれすごい」
 思わずそう呟いてしまうほどの……想像以上の大作が、出てきたのだから。
 まず、弁当箱から三段重ねという豪華さ。
 さらにその蓋をぱかりと開けば、ぎっちり詰められた彩りも鮮やかなおかずたち。
 だし巻き卵に唐揚げ、ポテトサラダ、アスパラベーコン等々。デザートの林檎は勿論、うさぎさん。
 三段重ねの弁当箱の中身はもっと豪勢で、何よりとても美味しそう。
「おにぎりとサンドイッチもあるぞ」
「あ、ちゃんとタコさんウィンナーもある」
 綾は、いただきます、と口にしてから。
 まず最初に、ひょいっと箸で摘まんでみたのは。
「なんだかテンション上がるよねコレ」
 お弁当と言えば欠かせない、定番だけど気持ちも上がるタコさん。
 けれど勿論、見た目だけではなく。
 はむりと豪勢なおかずを口に運べば……零れるのは、今までで一番の笑み。
 そんな美味しいおかずたちへと止まらぬ箸を向け、笑み絶やさぬまま。
「梓、良いお母さんになれるよ」
 紡ぐのは、ジョークまじりの賛辞。
 そんな向けられた誉め言葉に、梓はこつんと綾を小突きつつも。
「おい、そこは良いお父さんとか旦那さんだろうが」
 そう笑いながらもふと、その手を伸ばす。
 綾、頭に花弁ついてるぞ、と……やっぱり、良いお母さん?
 気持ち良い風が優しく頬を撫でる中、青空の下で食べる美味しいお弁当。
「アオハルって感じだよねぇ」
「こんな穏やかな時間を過ごすのも良いもんだな」
 学園でしか味わえない、こんな特別な屋上ランチタイムは――まさにアオハル。
 学校で弁当を食べる機会は、なかなかないかもしれないけれど。
 梓は、隣で美味しそうに色々なおかずを食べている綾へと、こんな提案を。
「またピクニックにでも行くか」
 そして勿論綾は、すぐにこくりと頷く。
 ――梓のお弁当がまた食べられるなら俺は大歓迎だよ、って。
 可愛らしいうさぎさん林檎を、嬉しそうに摘みながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨野・雲珠
ヨシュカくんと/f10678
・黒学ラン、帽子なし
・外見は中等部

バカミスの一部になれる機会もさることながら、
学校…本で知るだけだった憧れの舞台!

これと決めた窓辺の机をお借りして…
へへ、今日だけ俺の席です。
見てみたかったんです、昼間の教室。
頬杖をついて校庭を眺めたりとか…
(びくっとした後笑う)
…焦りました!
必要もないのに声をひそめて笑います
彼みたいな学友と一緒なら、きっと毎日楽しいだろうな

自習に飽きたら学食に行って、
パンケエキをぱくつきます

ね、ヨシュカくん。
お昼からはあちこち見て回りませんか。
俺、理科室と音楽室を見てみたいんです。
そうそう、七不思議。それから体育館裏も!
…バンカラみたいなものかしら


ヨシュカ・グナイゼナウ
【雲珠さま(f22865)と】
黒学ランに学帽

窓の外を眺めている雲珠さまに気付かれないようこっそりと
教卓に置いてあった指示棒をビシッと向けて
「コラ!雨野くん!余所見はいけません」
なんて、なんて!びっくりしました?ふふふ!
その後、彼の前の席に着き後ろを向いてお話を
あ、何か同級生みたい
それにしても、ここに沢山生徒が集まって
お勉強したりするのでしょう?何だか不思議ですよね
でもとっても楽しそう

学食ではホットサンドをいただきながら彼の提案に耳を傾けて
理科室と音楽室ですか?…動く人体模型。は!七不思議に会えるかも?行きましょう!
体育館裏!識ってます。「テメェちょっと面貸せ」ってやつです
(ヤンキー漫画知識)



 はあっと溜息を漏らし空を仰ぐのは、黒の学ランを纏う中等部の生徒。
 感嘆の溜息を漏らした彼――雨野・雲珠(慚愧・f22865)の瞳が輝いているのは、今が自習時間だからというわけではなさそうだ。
 雲珠は夢中で最近読み耽っている1冊の本をぎゅっと両手で抱えながら、もう一度息を吐く。
(「バカミスの一部になれる機会もさることながら、学校……」)
 そう、何て言ったってそこは――本で知るだけだった憧れの舞台!
 活字でしか知らなかった風景が今、自分の目の前にあるのだ。
 そんな雲珠が選んだのは、桜舞う景色がよく見える、ぽかぽか陽気が降り注ぐ窓辺の机。
「へへ、今日だけ俺の席です」
 これと決めた自分の席へと嬉々と座ってみて。
 ――見てみたかったんです、昼間の教室。
 本の中では何度も目にしていたけれど……初めて実際見るその光景へと視線を巡らせ、心躍らせながら。
(「頬杖をついて校庭を眺めたりとか……」)
 青空の下、そう窓の外へと瞳移した――その時だった。
「コラ! 雨野くん! 余所見はいけません」
「!?」
 急にビシッと向けられた指示棒と声に、思わずびくっと身体を跳ね上がらせて。
 慌てて顔を上げ、視線を教室を戻してみれば。
「なんて、なんて! びっくりしました?」
 ふふふ! と悪戯っぽく笑むのは、先生ではなくて。
 雲珠に気付かれないようこっそりと事に及んだ、黒学ランに学帽をかぶったヨシュカ・グナイゼナウ(明星・f10678)。
 雲珠はそんな彼の姿を見て、驚いた顔から笑みへと表情を変えて。
「……焦りました!」
 ふふふ、と一緒に、必要もないのに声をひそめてふたり笑い合う。
 それから雲珠の前の席に座ったヨシュカは、くるりと後ろを向いて。
 賑やかな教室の中、ふたりでお喋りしながらも思う。
 ……あ、何か同級生みたい、って。
 いや、自分達も今はクラスメイトだけど、周囲にも同じ年頃の子たちが沢山。
「それにしても、ここに沢山生徒が集まってお勉強したりするのでしょう? 何だか不思議ですよね」
 今は自習時間で先生は不在だけれど。学校という場所では、授業というものが行われていて。
 皆で勉学やその他の事に励む場所らしいことは、知識として知っているけれど。
 実際に教室の机に座ってみて、はじめてヨシュカはわかった気がする。
 ……でもとっても楽しそう、って。
 そんな言葉に、雲珠もこくりと頷きながらも思う。
 ――彼みたいな学友と一緒なら、きっと毎日楽しいだろうな、って。
 けれど学校にあるのは、教室だけではありません。
 丁度自習にも飽きた頃、耳に響くのは、午前の授業の終わりを告げるチャイム。
 そして教室を出たふたりが廊下や階段を進むたび鼻をくすぐるのは、美味しそうな匂い。
 辿り着いたのは、そう――学食!
 雲珠はパンケエキを、ヨシュカはホットサンドを、それぞれ購入して。
 やはり窓側の席を確保し座って、ぱくりとランチタイム。
 雲珠はパンケエキを幸せそうにぱくつきながらも、ふと眼前の1日限りの級友へと、こんな提案を。
「ね、ヨシュカくん。お昼からはあちこち見て回りませんか。俺、理科室と音楽室を見てみたいんです」
「理科室と音楽室ですか?」
 そんな雲珠の提案に、ヨシュカはピンとくる。
 理科室や音楽室といえば――そう!
「……動く人体模型や勝手に鳴り響くピアノ。は! 七不思議に会えるかも?」
 ――行きましょう!
 そうぱあっと笑み咲かせるヨシュカに、こくこくと雲珠も頷いて。
「そうそう、七不思議。それから体育館裏も!」
「体育館裏!」
 勿論その場所のことだって、ヨシュカは識ってます……!?
「「テメェちょっと面貸せ」ってやつです」
 ヤンキー漫画で、ばっちり予習済ですから!
 そんな彼の声に、雲珠は思わず一瞬、瞳をぱちくりとさせるけれども。
 自分達も現に、それっぽい黒の学ランを着ていることだし、と。
 そうっと周囲を見回しつつも、ふと首を傾けるのだった。
 ……バンカラみたいなものかしら、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天音・亮
巴(f02927)と

先生の教科書を読み上げる声
窓から聴こえてくる体育の授業の賑わいBGMに
ペン先をとんとんとん
リズムを刻んで無意識に零れ始める鼻歌

すっかり熱中していたものだから
突然の大声に驚いて固まっちゃった
されるがままに連れられて教室の外
じわじわと状況理解したなら…ぷっ、あははっ…!
きみが笑い始めるからつられちゃって

巴ってば強引。先生の顔すごかったよ、見た?
ぴえん顔もさすがの出来だったし…ふふ、あははっ…!

ってまだ1限目なのにもうお腹空いたの?
しょーがないなぁマブダチ亮ちゃんが付き合ってしんぜよう

なんて階段の一段上でどーんと胸張り
それが可笑しくて
また二人笑い合って
手を取りいざ行かん、食堂へ


五条・巴
亮(f26138)

隣の席で仲良しの亮は授業を聞かずノートに歌詞を書いている
鼻歌交じり、多分あと少しでバレて怒られちゃうな
身内に甘いぼくは目の前で寝ている別の生徒の丸まった背中にスーッと指を立ててみる

教室中に響く声
驚き怒る先生に僕がやったとすぐバラされるがここで必殺技

先生の授業、楽しいから彼も起こしてあげようと思って…

うるうると先生に訴えかける
このぴえん顔は効果抜群だろうそうだろう

隣で未だ先程の大声に驚き目をぱちくりしている亮の腕をつかみ立ち上がる

ぼく、責められて悲しくなっちゃったので休んできますね
黙って亮も引っ張って廊下へ

階段を降りる頃には笑いが耐えられなくなっちゃう
ああお腹すいたね
早弁しよ?



 学校には、様々な音が溢れている。
 教科書を読み上げる先生の声、窓から聴こえてくる体育の授業の賑わい。
 そして――とんとんとん、とペン先で刻まれるリズムに、零れ始める鼻歌……?
 そんな教室の中、五条・巴(照らす道の先へ・f02927)は知っている。
 隣の席の天音・亮(手をのばそう・f26138)が、授業を聞かずにノートに歌詞を書いていることを。
 けれど、鼻歌交じりの声を聞けば、ちょっぴりだけ巴は心配になる。
(「多分あと少しでバレて怒られちゃうな」)
 授業を全く聞いていないことが今にもバレそうな、彼女のことが。
 そこで、仲良しの身内に甘い彼が取った行動は。
「……ひゃあっ!?」
 刹那、教室中に響き渡ったのは、誰かの悲鳴……!?
 それは、巴の目の前で寝ていた生徒の声。
 でもその生徒が飛び上がり、声を上げたのも無理はない。
 だって巴が、その生徒の丸まった背中に、スーッと指を立ててみたのだから。
「……!?」
 そんな突然響いた大きな声に驚いて固まる亮。すっかり、熱中していたものだから。
 そして何事かと傍までやってきて驚き怒る先生に、巴に悪戯された事をすぐにバラす前の席の生徒。
 刹那、先生の怒りの目が自分に向けば――ここですかさず、必殺技です!
「先生の授業、楽しいから彼も起こしてあげようと思って……」
 巴はうるうると先生を見上げ、そう訴えかける。
(「このぴえん顔は効果抜群だろうそうだろう」)
 必殺の、ぴえん顔で!
 先生はそんな綺麗な巴の顔に宿るぴえんな表情に、すっかり翻弄されて。
 授業中に寝ていたことが悪いと、怒りを再び前の席の生徒へと戻すけれど。
「ぼく、責められて悲しくなっちゃったので休んできますね」
 ぴえんこえてぱおんと言わんばかりに、より憂いの表情を宿し、ガタッと席から立ち上がる巴。
 隣で未だ目をぱちくりさせている、亮の腕をそっとつかみながら。
 そして黙ってその手を引いて、彼女も一緒に、廊下へと出ていく。
 そんな、されるがままに連れられた教室の外。
 廊下を抜けて階段を降りる頃には、ついに耐えられなくなって。
「ふふっ、上手くいったね」
「……ぷっ、あははっ……! 巴ってば強引。先生の顔すごかったよ、見た?」
 じわじわと状況理解した亮は、笑い始めた彼につられて噴き出してしまう。
「ぴえん顔もさすがの出来だったし……ふふ、あははっ……!」
「最近は演技も勉強してるけど、あのぴえん顔は効果抜群だっただろう?」
 そう顔を見合せては、ふたり笑いあって。
 巴が亮を連れて向かう先は――食堂。
「ってまだ1限目なのにもうお腹空いたの?」
 目的の場所が何処か気付いた亮は、そう彼へと視線を向けるけれど。
「ああお腹すいたね」
 笑みを宿し、巴は続ける――早弁しよ? って。
 そんな彼へと、階段の一段上でどーんと胸張りながらも。
「しょーがないなぁマブダチ亮ちゃんが付き合ってしんぜよう」
 えっへんと言い放てば、それがまた可笑しくて。
 何度も笑い合いながら……手を取り、いざ行かん。
 次第に鼻を擽り始めた良い匂いを辿る様に、足取り軽く。
 楽しくて美味しい学園生活を目一杯、ふたりで謳歌するために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

不知火・藍
【琥藍荘】

小学部の教師役
新任だが確りと務めさせてもらおう
…監督役が何故かだらけているが、まぁよいか…

教壇に立ち
主である琥珀様の凜々しい軍服姿が眼に入り、感動
立派です…琥珀様

…授業を始めろ?おっと、そうだった


計算問題
…いぬ
正解です、さすが琥珀様

朗読
堂々とした語り口
流石です、琥珀様

…?善人殿は毎度何を言っているのだ
貴殿こそ随分愉快な顔をしているぞ
(真顔で首傾げ)

なお、主以外の生徒には滞りなく、寧ろ良い教師然として対応

学び舎なるものは
私には縁のないものと思っていたよ
本で読むより面白いな

嗚呼そうだ
善人殿には追試を受けてもらおう
ふふ、これもやってみたかったのだ

なっ…琥珀様も?
うむ、それなら…3人で、だな


不知火・琥珀
【琥藍荘】
小学校の生徒になる
2年生だ

学校、というものはよく知らないが
とても楽しいところだと聞いたことがある
みんなとお揃いのこの制服とやらも悪くない
うむ、悪くない

らんとぜんは先生になるんだな?

授業?
なんだ、このイスに座って…?
とりあえずまわりのマネをしておこう

算数?何だそれは
いちたすいち?
い、が付くものを言えばいいのか?
じゃあ、「いぬ」

次は国語
この本を読めばいいんだな?わかった
…読めない字があるな
かんじ?何だそれは
まあ、読めない字は飛ばして読めばいいよな
大丈夫だ、ひらがなは読める

らんに褒められた
さすがおれだな!

ん?どうした、ぜん
ぜんは追試?
何だそれは、面白そうだな!

らん、こはくもついし、やるぞ!


津々楽・善人
【琥藍荘】

小学部の教員役
一応、藍の監督って体で
教室の後ろに陣取り授業の見学
という名のサボり

いやなかなかどうして
琥珀もサマんなってんじゃねぇの
今日ばっかりは茶々も控えめにしてあげましょうかね(希望)
さぁて、2人のお手並み拝見

…藍先生、一部凝視しすぎなんだよなぁ?

待って
いや待って
そうはならんやろ
逐一声に出して突っ込んじゃう
いや何で2人ともそんな顔なん
俺間違ってないよね???

駄目だこいつら
俺が…俺がちゃんと突っ込んでやらないと…(責任感)


なんで???
すげぇ雑に追試食らった…俺も先生なのに…
ああ…琥珀くん張り切ってるねぇ
きみは本当いい子だねぇ
…こら逃げれんなぁ

わーったよ
後で3人でお勉強な



 此処は、帝都学園小学部。
 子供らしく元気に健やかに。そして勉学に励みつつも、発想力や柔軟さをも育む教育方針……らしい。
 そんな小学部2年生の教室にやって来たのは、不知火・琥珀(不知火家当主・f06806)。
(「学校、というものはよく知らないが、とても楽しいところだと聞いたことがある」)
 そうきょろりと視線を巡らせれば、同じ年頃の子たちが沢山。
 それだけでも、何だかわくわくそわりとするのに。
(「みんなとお揃いのこの制服とやらも悪くない」)
 ……うむ、悪くない、と。
 ふと窓に映る制服を着た自分の姿を見て、満足気にひとつこくり。
 それから、共に教室へと赴いたふたりへと順に視線を向ける。
(「らんとぜんは先生になるんだな?」)
 今回は、学園への潜入依頼。
 生徒としてだけでなく、不知火・藍(藍澄鏡・f06808)や津々楽・善人(綴れ生く・f12578)の様に、教師として身を置く猟兵も少なくない。
 担当する小学部2年生の教室へとやって来た藍は今回、新任教師という役どころであるが。
(「新任だが確りと務めさせてもらおう」)
 まだ賑やかな担当クラスをふと、ぐるりと見回すけれど。
 目についたのは、教室の後ろに陣取り授業の見学をせんとしている、もうひとりの教師の姿。
 いや……一応、新任教師の監督という体ではあるのだが。
(「……監督役が何故かだらけているが、まぁよいか……」)
 監督という名のサボり状態である善人にちらりと目を向けるも、すぐにその視線は守護する主へ。
 そんな主――琥珀はというと。
「あ、転校生の子? 授業始まるよ! えっと、きみの席は此処だよ」
「授業? なんだ、このイスに座って……?」
 声を掛けてくれたクラスメイトの言葉に首を傾けながらも。
 ……とりあえずまわりのマネをしておこう。
 教えて貰った席にすとんと座り、お行儀良く背筋を伸ばして、手はちょこんとお膝に。
 そんな白軍服風の制服を纏い、きちんと着席している様子を後ろから眺めつつ。
(「琥珀もサマんなってんじゃねぇの」)
 ……今日ばっかりは茶々も控えめにしてあげましょうかね、なんて。
 善人は、むしろそんな希望を心に抱きながらも。
「さぁて、2人のお手並み拝見――」
 そう小声で呟いた、その時だった。
(「立派です……琥珀様」)
 堪らずに顔をそっと覆うのは、新任の藍先生。
 教壇に立ち、ただ見つめるのは、主である琥珀の凜々しい軍服姿。
 学園生活に慣れている他の子と遜色のない、いや一際凛とした主の振舞いを前に、感激しない従者がいるだろうか。いや、いるはずがない。
 そんな感動にふるりと密かに震える新任教師を見遣りながら。
(「……藍先生、一部凝視しすぎなんだよなぁ?」)
 早速、心の中で茶々を入れる善人先生。
 けれど……おっと、そうだった、と。
 主も、感激するほど立派に務めを果たしているのだから。
 真面目に授業を始めるべく、教科書をぱらりと開く藍先生。
 時間割によれば、この時間に学ぶ教科は算数。
 藍先生は黒板にカツカツと問題を書き、生徒達へと訊ねてみる。
「1+1、この答えが分かる人」
 そんな彼の声に、沢山の手が挙がる中。
 皆に倣って、びしっと手を挙げてみた琥珀をやはり一番に指す、安定の藍先生。
 ……でも。
(「算数? 何だそれは」)
 ――いちたすいち?
 ほぼノリで手を挙げた琥珀は、再び大きく首を傾げるけれど。
 ぽんっと手を打って、ひとつ頷く。
(「い、が付くものを言えばいいのか?」)
 そして堂々と口にした答えは。
「じゃあ、「いぬ」」
「……いぬ」

 ――1+1=いぬ。

 藍先生はふと顔を上げ、そう答えを導き出した主へと改めて視線を向けてから。
「正解です、さすが琥珀様」
 こくりと、大きく頷く。
 そんな、予想斜め上な回答と解答に。
「1+1=いぬ。……って、待って。いや待って」
 思わず瞳を大きく見開く善人先生だけれど。
 そんな声にも構わず、1+1=の横に犬の絵をカツカツと描き、特大の花丸を付ける藍先生。
 周囲の級友たちも琥珀の正答に、すげー! と沸き立っている手前もあり……色々とツッコミどころは満載ではあるが。
 主である琥珀は勿論のこと、他の生徒にも滞りなく寧ろ良い教師然として対応している藍先生を、とりあえず今は見守る事にする善人先生。
 そして算数の次は、国語の授業。
「では、この話を朗読してくれる人」
 勿論、真っ先に藍先生が指したのは、琥珀くん。
(「この本を読めばいいんだな? わかった」)
 さっきの算数とやらはよく分からなかったが。
 今度の国語は、何をすればいいか、すぐに分かったから。
 教科書を構え、いざ読み上げようとした琥珀であったけれど。
(「……読めない字があるな」)
 ……かんじ? 何だそれは、と。またもや、こてんと首を傾ける。
 けれど、それで臆するような不知火家当主ではない。
(「まあ、読めない字は飛ばして読めばいいよな」)
 ――大丈夫だ、ひらがなは読める。
 そう胸を張って、意気揚々と朗読を。
「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが…んでいました。おじいさんは…にしばかりに、おばあさんは…にせんたくに…きました――」
「堂々とした語り口。流石です、琥珀様」
 ――らんに褒められた。さすがおれだな!
 そうえっへん得意顔をする琥珀と、こくこく何度も頷く藍先生に。
「確かに、堂々とした桃太郎……って、いや待って、そうはならんやろ」
 やはり逐一声に出して突っ込まずにはいられない善人先生だけど。
「ん? どうした、ぜん」
「……? 善人殿は毎度何を言っているのだ」
「いや何で2人ともそんな顔なん」
 ――俺間違ってないよね???
 二人から向けられる理不尽な視線や声に、思わず首を横にふるふる。
 だが、真顔で首を傾げながらも。
「貴殿こそ随分愉快な顔をしているぞ」
 そうひとつ溜息をついた藍先生は、授業中に騒ぐ善人先生に注意を促す。
 ……桃太郎に退治されないよう、静かに、と。
 いえ一応、退治されるような悪い鬼じゃないです、先生です!
 そして藍先生は、相変わらず理不尽を感じたままの善人先生を後目に。
(「学び舎なるものは、私には縁のないものと思っていたよ」)
 琥珀を始めとする、可愛い生徒達を見つめる深い藍のいろを柔く細める――本で読むより面白いな、って。
 そして。
「……駄目だこいつら」
 ぽつりとそう呟いた善人先生は、めげる事なく。
 ――俺が……俺がちゃんと突っ込んでやらないと……!
 むしろそんな責任感に駆られ、使命感に密かに燃えるけれど。
 ぱちり、教壇の藍先生と視線が合えば。
「嗚呼そうだ――追試」
「えっ?」
「善人殿には追試を受けてもらおう」
「なんで???」
 いきなり言い渡されたのは、謎の追試……!?
 そんな追試の理由、それは。
(「ふふ、これもやってみたかったのだ」)
 やってみたかったから!
「すげぇ雑に追試食らった……俺も先生なのに……」
「ん? どうした、ぜん」
 謎すぎる追試を先生なのに食らった善人に、琥珀は不思議そうに瞳をぱちくりとさせるけれど。
「ぜんは、ついし? 何だそれは、面白そうだな!」
 ついし、という未知の言葉を耳にし、藍へと視線を移して。
「らん、こはくもついし、やるぞ!」
 張り切って、びしっと挙手!
 そんな、自ら追試を受けると、生徒の琥珀が申し出るのならば。
「ああ……琥珀くん張り切ってるねぇ。きみは本当いい子だねぇ」
 ……こら逃げれんなぁ、って。
 善人先生も教師として、腹を括って追試を受けます!
 そして、追試を言い渡した張本人の藍先生は。
「なっ……琥珀様も?」
 まさかの主の追試希望の言葉に、思わず声を上げるけれど。 
「うむ、それなら……3人で、だな」
「らん、ぜん、3人でついしだな!」
 こうなったら、3人で仲良く追試です!
 そしてそんなふたりへと、順に紫の視線を巡らせながら。
 わーったよ、と善人はその瞳を細める。
 ――後で3人でお勉強な、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘスティア・イクテュス
【宙花】
櫻居・四狼ね、蛍の迷ひ路なら友人が読んでたのを見たけど…
そもそも心中とか合わなかったわね…
まぁ、良いわ…学校でなんて事件を起こそうとするその顔だけの影朧をわたしはぶっ飛ばすだけ


…のつもりだったんだけど…
目の前で桜色のポーチを取り出しわたしの爪をネイルしている
女装中の変態を半目で見やる

似合うわね、女装…いや、用意したのわたしだけど…
なんでポーチ持ってるの?女子力高いわね…?
等といじりながら塗られる爪を見る

まぁ、塗られるマニキュア自体のセンスは良いしそれには文句は一切ないけど…
(塗られたマニキュアを見て楽しげなのを頑張って隠しながら)
このナマモノ本当性別医者が誤診してるんじゃ…


栗花落・澪
【宙花】

なにがどうしてこうなったのか…
サクミラ風の女子制服を身に纏いつつ
椅子を後ろ向きにして1つの机を挟みながら
ヘスティアさんと向き合うように座り

服には納得いかないし学生生活ってなにしていいかわかんないけど
とりあえず教室で自由にしてればいいならで
持ち込んだのは桜柄のコスメポーチ!
ヘスティアさん素材がいいし、一度やってみたかったんだよね
元々姉のですぅー
お色直しの手伝い用に持たされてるんだよ

青系のマニキュアと金ベースのラメ系マニキュアを出して
下地に濃紺、重ねて青色、爪先に空色を
トップコートを重ねながらグラデーションに変化させ
ラメを散りばめれば星空イメージのネイルの完成!
あ、乾くまで暴れちゃ駄目だよ



 眼前に広がる学園の風景は、平和そのもの。
 ……のように、見えるのだけれど。
 予知によれば、この日この学園で、バカバカしいけれど間違いなく惨劇が起こるのだという。
 この桜咲く世界で人気だという作家で在った、影朧の手によって。
(「櫻居・四狼ね、蛍の迷ひ路なら友人が読んでたのを見たけど……そもそも心中とか合わなかったわね……」)
 ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は、そう彼の作品のひとつを思い出しながら、微かに首を傾けつつも。
(「まぁ、良いわ……学校でなんて事件を起こそうとするその顔だけの影朧をわたしはぶっ飛ばすだけ」)
 女たらしな顔だけ軟派野郎をぶっ飛ばす、つもりだったのだけれど。
 ぐっと拳を握る……ことは、叶わなかった。
 今のヘスティアはそれどころか、動く事すら許されない状態なのである。
 そんな彼女のすぐ傍で。
(「なにがどうしてこうなったのか……」)
 そう思わずにはいられないのは、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
 椅子を後ろ向きにして1つの机を挟みながら、ヘスティアと向き合うように座っている……サクラミラージュ風の女子制服を身に纏った、己の現状に。
 とはいえ、率先して自ら着たわけでは決してないのだ。女子制服を。
「似合うわね、女装……いや、用意したのわたしだけど……」
 用意したのは、そうちらりと視線を向けるヘスティア。
 いや、本人は不本意かもしれないけれど……正直、それは澪にすごく似合っていて。
 そして一見すると完全に女子同士に見えるふたりが、向かい合って何をしているのかと言えば。
 机に置かれているのは、青系のマニキュアと金ベースのラメ系マニキュア、そしてトップコート。
 ヘスティアは眼前の、彼女曰く女装中の変態を半目で見遣る。
(「服には納得いかないし学生生活ってなにしていいかわかんないけど、とりあえず教室で自由にしてればいいなら」)
 そう目の前で桜柄のポーチを取り出し、自分の爪にネイルをしている澪を。
「ヘスティアさん素材がいいし、一度やってみたかったんだよね」 
「なんでポーチ持ってるの? 女子力高いわね……?」
「元々姉のですぅー。お色直しの手伝い用に持たされてるんだよ」
 何度も言うけれど、澪自身は納得いかないのである。
 いくら女子制服が似合うと言っても、女子力高いポーチを持っていても。
 けれどまぁ楽しんだ者勝ちではあるし、何処かで見ているかもしれない影朧に怪しまれるわけにはいかないので。
 澪は楽しみながら、ヘスティアの爪を塗っていく。
 そして、身動きは取れないとはいえ。
(「まぁ、塗られるマニキュア自体のセンスは良いしそれには文句は一切ないけど……」)
 ちらりと、いろが重ねられてゆく様を見遣る瞳が何気に興味津々なのは、きっと気のせい……ということに。
 そんな楽しげな気持ちを頑張って隠すヘスティアの爪に塗られていくのは、幾重にも折り重なる彩。
 まずは濃紺を乗せた後、重ねて青色を。その爪先を彩るのは、空のような色。
 トップコートを重ねながら、それを綺麗なグラデーションへと変化させて。
 ラメを散りばめれば――星空イメージのネイルの完成!
 そんな、女子力も完成度も高いネイルに、何気に満更でもなさそうな様子ながらも。
 ヘスティアは改めて澪を見遣り、思うのだった。
(「このナマモノ本当性別医者が誤診してるんじゃ……」)
 まぁともかくネイルも完成したのならば、ようやく動ける――かと思いきや。
「あ、乾くまで暴れちゃ駄目だよ」
 まだもうちょっと、じっとしていないとダメみたい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ドゥルジー
【邪蛸】
俺は何の変哲もねえ高等部學徒
手芸部在籍の三年生
俺には好きな人がいるんだ、それは…

「ブラフマンせんせ!」
下校前、校門で声をかけたのは
サッカー部コーチのちっちゃくてかわいい先生
ガキの頃に出逢ってからずっと好きだった
この学園に転校してきて再会できた

今は、先生と生徒だけど
「ジャスパー君が卒業したら付き合ってくれないかな」って言ってくれた
真面目で誠実なとこ、あの頃から変わってなくて
…すげえ好き

「せんせ、コレやるよ」
紙袋の中には俺の手作りのネックウォーマー
バイク乗りの先生がこれからの季節寒くねえように
「じゃーな、また明日!」
怪しまれねえようにすぐに離れてくけど
ホントはもっとずっとそばに居たいな


パウル・ブラフマン
【邪蛸】
オレの職業は
と或る学園の蹴球(サッカー)部の指南役(コーチ)。
目の負傷で選手生命は断たれたけれど
今は楽しく、学園で第二の青春を謳歌してるんだ♪

最近はちょっと…ううん、すごく気になる生徒が居て。
「ドゥルジーくん!」
母国の病院で出逢った少年は
こんなに元気で立派な青年に成長していて…
桜舞うこの地で互いの想いが交わるのに、そう時はかからなかった。

渡された紙袋をそっと覗き見れば
手編みの贈物に愛しさがこみあげてくる。
「嬉しい…!ありがとう、宝物にするね」
本当は卒業の日など待たず
今この腕に掻き抱いてしまえたら良いのに。
「うんっ、また明日」

平穏な日常が変わらず続いていくと
この時オレは…まだ信じていた。



 見た目はちょっと小悪魔的でファンキーだけど。
 桜花弁が舞う学園を歩くのは、本人曰く何の変哲もない、ひとりの高等部學徒。
 手芸部在籍の三年生、ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)くんである。
 けれど彼には、見かけただけで尻尾がきゅんと上がってしまうような、密かな想い人がいるのだ。
 それは――。
「ブラフマンせんせ!」
 校門でふと、ジャスパーが声を掛けたのは。
 サッカー部コーチの、ちっちゃくてかわいい、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)先生。
 彼は、目の負傷で選手生命こそ断たれてしまったのだというけれど。
 今は蹴球部の指南役として、楽しく学園で第二の青春を謳歌しているのだという。
 指導者として携わるサッカーに……それに、恋にと。
 そう、ブラフマン先生にも、最近ちょっと……ううん、すごく気になる生徒が居るのだ。
「ドゥルジーくん!」
 ふいに呼ばれ、即座に振り返って呼び返す彼の名前。
 いや、今でこそ、先生と生徒という関係であるふたりだが。
 はじめて出逢ったのは、ブラフマン先生……いや、パウルの母国の病院で、ジャスパーが幼い時である。
 そしてその頃から、ジャスパーはずっと好きだったのだ。眼前にいるパウルのことが。
 パウルも、出逢った時は少年であった彼が学園に転校してきて。
 再会を果たし、こんなに元気で立派な青年に成長しているその姿を目にすれば。
 桜舞うこの地で、互いの想いが交わるのに……そう時はかからなかった。
 そして、此処で結ばれた二人は幸せになれる――そんな噂がある満開桜の木の下で。
 ひらり花弁が舞う中、紡いでくれた告白の言葉。
 ――ジャスパー君が卒業したら付き合ってくれないかな、って。
(「真面目で誠実なとこ、あの頃から変わってなくて」)
 ……すげえ好き。
 そう思わず尻尾をゆらり、左右に揺らしつつも。
 ぎゅっと、鞄に付けている手作りめんだこマスコットを、悟られないように握りしめながら。
「せんせ、コレやるよ」
 ジャスパーがさり気なく手渡したのは、紙袋。
 それをパウルがそっと覗き見れば……中身は、手編みの贈り物。
 そしてこみあげてくる、愛しさ。
「嬉しい……! ありがとう、宝物にするね」
 紙袋の中に入っていたのは、ジャスパー手作りのネックウォーマーであった。
 バイク乗りの彼が、これからの季節寒くないように……って。
 それからふたりは、互いに手を振り合う。
「パ……ブラフマンせんせ。じゃーな、また明日!」
「うんっ、また明日。ドゥルジーくん」
 大切な相手を守るためにも、怪しまれないようにすぐに互いの傍から離れるけど。
 でも――本当は。
(「もっとずっとそばに居たいな」)
(「卒業の日など待たず、今この腕に掻き抱いてしまえたら良いのに」)
 そっと振り返る相手の背中に想う事は、一緒。
 でもジャスパーの卒業まで、ふたりが結ばれるまで……あともう少し。
 ……いや、この時のパウルは、まだ信じていた。
 切ないけれど幸せな、こんな甘酸っぱくて平穏な日常が――これからも変わらず、続いていくと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【KOR】
俺は大学生で、服は私服で、シャツとパンツだ。

昼ご飯は、焼きそばパンとコロッケパン。
あと牛乳!
メイちゃんとふーちゃんと一緒に買った。

仲間達もだんだん集まってきた。
弁当組は凄いな。
俺は弁当作れない。

慧華ちゃん、沢山食べるなぁ。
育ち盛りの神様の胃袋は宇宙だ。

え、ボール遊び?
このメンバーだと大激戦になるんじゃないかなぁ(遠い目)。

とはいえ、ボール遊びには混ざりたい。
仕方ないだろう、狐はボールが大好きなんだ。
ちっちゃい子には気をつけつつ、ボール遊び。
皆、目が真剣に見える。ちょっと怖い。

あっボールが!
流石クロムさん。
でも、あの嬉しそうな顔、狐のスイッチが入ったやつだ!
クロムさんも、混ざりましょ!


クロム・エルフェルト
【KOR】学校の事務員。細筆と花押で書類仕事を片付ける。
丁度硯の墨が尽きた所でお昼の鐘を聞き、
仲の良い子達とお昼ご飯を共にする為に中庭へ。

曲げわっぱのお弁当箱を持参。
中身は梅ちらしご飯と天ぷら、筑前煮、卵焼き、鴬豆。
皆から見たら、ちょっと古風かも。
皆、流石は食べ盛り。
……ん、何だか足りてない子もいるみたい?
少し作り過ぎちゃったから、良かったら私のおかずもどうぞ。

元気良く遊ぶ子達を微笑ましく見守る。
表情には、出さないけど(尻尾は機嫌良さげに揺らしつつ)。
ボールが窓硝子に当たりそうなら、縮地の歩法で神速キャッチ。
……これ、案外楽しいかも(目キラキラ)。
都月さんの誘いにコクコクと頷き飛び入り参加。


朱雀・慧華
【KOR】

見て見て、せーふく!
似合う?似合うー?

ミニ丈の袴をベースにした小学生らしい女子制服で
皆に見せるようにくるりくるりと回って見せ

えへへ、これ動きやすいし可愛くっていいね
私こういうお洋服だーいすき!
あっ、お弁当!私お弁当作ってきたの!

細身な体からは想像つかないくらい
実は【大食い】
沢山のおかずを詰めた重箱を
ミッキュにも運ぶのを手伝ってもらいながらどーんっと置いて
勿論おやつのプリンも忘れずに!

あれ、皆それで足りるの?
いっぱい食べなきゃ元気になれないって、偉い人言ってたよ!
勿論全部ぺろりと完食しちゃう

ボール遊び!
私どっちぼーる?っていうのやってみたい!
ぶーんどかーんってやるんだよね!


花屋敷・幽兵
【KOR】 ほう…制服プレイか。我々の業界ではご褒美です。 バンカラを気取った明治時代風の学生という設定でいくぞ。 これはイケてる、そうだろはっちゃけアヤネさん。 今回初めてのメンツだし面白おかしく行かないとな! そうだろオクさん…何なら肩に乗るか? さて、飯にするか。 「男」はこれだろ、ドカベン!たっぷりお米の日の丸弁当。 慧華は中々食うな。将来が楽しみだぜ。 クロムは和食党か。バランスより好みという感じか。嫌いじゃないぜ。 明…取り合えず牛乳とパンは意外とカロリーがあるぞ。 (そして一番風紀の乱れを感じる子が風紀委員なのは突っ込まないでおこう) なあ、サクラコ先生。そうは思わんかね?


城島・冬青
【KOR】

私生活は普通に学生なのでここで真面目に学生しても面白みがないな
なのでカツラを被り白い学ラン姿に木刀を携え腕には風紀委員の腕章を着用します
風紀を乱す輩はこの僕が許さん!
厳しい風紀委員の設定です
しかも男装ですよ
靴が上げ底で少し背が高いのはここだけの秘密です
格好いいと言われてご機嫌
ふふ、明君は模範的生徒だね
よく噛んで食べたまえ

しかし小声で身長を指摘してくるアヤネ君は目敏い
ふっ僕を焦らせるとは
面白い女だ…
まぁ今はお昼ご飯の時間だから
平和に昼を食べ…あ
白ランだからうっかり食べ零したら汚れが目立つ
なのでここはゼリー飲料で誤魔化します
普通の学ランにすればよかったかな
でもエプロンとピザは有難く頂くよ


アヤネ・ラグランジェ
【KOR】
実は学生生活に縁がなくてもちろん制服なんて初めて
皆仮装するみたいだから僕もそれらしく
黒縁眼鏡にセーラー服
髪を後ろで結えて手には本を
清楚図書委員長でどう?
きりっ

皆似合ってるネ
ユーヘイはそういうの合ってるわね

あらソヨゴさん
身長が3センチほど高いかしら?
小声でそれだけは指摘

お昼ご飯と言えば
ピザにコーラが定番だけど
ちょっと違う?でも用意しちゃった

皆で揃ってお昼ご飯
ソヨゴがゼリー飲料だけ?
ははあなるほど

そっと紙エプロンをつけてあげる
これならピザでも食べられるわよ
ピザを用意して正解だったわね
委員長カップルという感じで

ボール遊びはいつもよりは控えめに
図書委員長だし


鏡彌・サクラコ
【KOR】
ではサクラコは「先生」でいす!
ほほほ先生もお昼ご飯に混ぜるのでいす…です!
語尾は普通っぽく!
衣装はいつも通り
設定だけで押し通しましょう

中庭の芝生の上に集まってお弁当を広げます
クロムさまもこちらにいらっしゃい
ではみなさま揃っていただきます!
慧華ちゃんはたくさん食べるのですね
きっとすごく背が高くなりますよ!

ボール遊びは嫌な予感しかしませんが
アヤネさまと幽兵さまが暴れなければ大丈夫かしら?
サクラコは審判をやります
さあ正々堂々開始!


日隠・オク
【KOR】
学生服着て生徒をを演じます(尻尾をスカートからゆらし
スカートひらひらゆらし

か、肩ですか
一瞬乗りたそうな顔しつついえいえと手をふり

みんなでお弁当、です。
(買ってきたサンドイッチやサラダを広げ

先生も一緒にご飯、ですね!

重箱、曲げわっぱ……みなさんお弁当、すごいです
あ、焼きそばパンもおいしそう……

芝生でお弁当、おいしいです(みんなの様子を眺めてもぐもぐ

ボール遊び、も参加します
しっかり受け取りつつ、ボールはふわっとトスの感じで参加です


辰神・明
【KOR】
妹人格:メイで参加
ぬいぐるみ『ふーちゃん』とお揃い、制服コーデ

中庭で、みなさんと、お昼なのです
メイもね、メイもね
きちゅ……木常野先輩、と
購買?で、パンと牛乳を買いました、です!
サクラコせんせーも、一緒!とっても、にぎやかさん、なのです

ふーき、いいん……さん?
城島先輩、かっこいいです!すごい、です!(尊敬の眼差し
せーふくにも、色々あるんです、ね

三色パンって、はじめて……
わ、わ、みなさんのおべんと、すごい……!
沢山の綺麗、すごい、に感動しきり
ふーちゃん。みなさんと食べると、おいしい、ですね(へにゃり

ぼーる遊び、です?
メイも、やりたいです……!ぶーん!



 午前の授業が終わるチャイムが鳴ったのは、丁度硯の墨が尽きた所。
 いや、学校の事務員として細筆と花押で書類仕事を片付けていたクロム・エルフェルト(半熟仙狐の神刀遣い・f09031)にとっては、授業の終わりというよりも、午前の業務の終わりと言った方が正しいだろう。
 そしてチャイムが鳴っている間に、簡単にさっとデスクの上を片付けて。
 クロムが向かったのは、桜花弁が舞う学園の中庭。
 これから、仲の良い子達と、お昼ご飯を共にするのだから。
 そんなクロムよりも早く中庭に現れたのは……マスクド番長?
 いや、 バンカラを気取った明治時代風の学生。
 花屋敷・幽兵(粗忽なダークヒーロー・f20301)は待ち合わせしている中庭へと次々とやってくる仲間達を見てこくりと頷く。
「ほう……制服プレイか。我々の業界ではご褒美です」
 どこの業界人ですか。深く考えてはいけない。
 そう、中庭に集まる約束をしているのは、まるで最初から学園に所属しているかのような面々であるが。
 実は――学園に潜伏する、猟兵達なのである!
 そしてバンカラ幽兵は、宿したどや顔を、あるひとりの女生徒へと向ける。
「これはイケてる、そうだろはっちゃけアヤネさん」
「ユーヘイはそういうの合ってるわね」
 そんなバンカラに、はっちゃけ呼ばわりされた彼女であるが。
 はっちゃけているようには到底見えない黒縁眼鏡にセーラー服、髪は後ろで結えて。
 手には本を持っている、いかにも大人しそうなキャラや口調の女生徒。
 けれど、キランと黒縁眼鏡の奥の緑の瞳を巡らせて。
(「実は学生生活に縁がなくてもちろん制服なんて初めて。皆仮装するみたいだから僕もそれらしく」)
 ――清楚図書委員長でどう?
 そう、きりっとするのは、アヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)。
「皆似合ってるネ」
 アヤネは小声で言った後、あるひとりの男子生徒へとまじまじ視線を向ける。
「風紀を乱す輩はこの僕が許さん!」
 彼は、白い学ラン姿に木刀を携えた厳しい風紀委員。腕には風紀委員の証である腕章が。
 いや……本当は。
(「私生活は普通に学生なのでここで真面目に学生しても面白みがないな。なので厳しい風紀委員の設定です。しかも男装ですよ」)
 一見男子学生に見える彼……いや彼女は、カツラを被って男装した城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)。
 厳しい風紀委員を演じる為に、上げ底の靴で身長増しましなのは、ここだけの秘密。
「ふーき、いいん……さん?」
 そんな、風紀委員だという冬青くんに、こてんと首を傾げるけれど。
 すぐに桜の様な色をした円らな瞳をキラキラとさせて。
「城島先輩、かっこいいです! すごい、です!」
 そう尊敬の眼差しを向けるのは、辰神・明(双星・f00192)。
 明も勿論、学園に潜入するための格好は万端。
 ばっちり着こなしているのは、ぎゅうと抱っこしている紅紫のリボンを付けた黒狐のふーちゃんとお揃いの双子制服コーデ。
 そんな制服のスカートの裾を花のようにひらり躍らせながら。
 白学ランなイケメン冬青やセーラー服を着たアヤネ、バンカラな幽兵たちをきょろりと改めて明は見回す。
「せーふくにも、色々あるんです、ね」
 そして、明に格好いいと言われてご機嫌な表情を宿した冬青に。
「あらソヨゴさん。身長が3センチほど高いかしら?」
 すかさず小声で囁くのは、清楚図書委員長。
 そんな、さすがいつも冬青の事を見ているアヤネの鋭い指摘に。
 ……アヤネ君は目敏い、なんて焦る風紀委員だけれど。
「ふっ僕を焦らせるとは、面白い女だ……」
 ――まぁ今はお昼ご飯の時間だから、と。
 硬派な風紀委員ムーブをかました後、さり気に話題を変えつつも。
「ふふ、明君は模範的生徒だね。よく噛んで食べたまえ」
 格好いいと言ってくれた明へと、やっぱりご機嫌に微笑みかける。
 そしてそんな、風紀委員曰く模範的生徒な明が言っていたように、一言に制服と言っても、その種類は多種多彩。
 いや、この学園は、制服はあるものの、制服指定ではないので。
 格好は生徒達の好きなもので大丈夫。
 現に学園の大学生であるという木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)の服は、シャツとパンツの私服。
 そんな都月は、いつもの様に賑やかな皆を見回しながら。
(「仲間達もだんだん集まってきた」)
 またひとり、中庭に足を踏み入れた見知った顔に、自分達の居場所を知らせるべく手を上げる。
 ぴょこり尻尾をスカートから揺らしながらやってきたのは、学生服を着た女子学生。
 そんなスカートと尻尾をひらひらさせる日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)に幽兵も片手を上げつつ。
「今回初めてのメンツだし面白おかしく行かないとな! そうだろオクさん」
 ……何なら肩に乗るか?
 そう硬派なはずのバンカラらしくない面白提案をしてみる幽兵。
「か、肩ですか」
 そして、ちらり。何だかちょっぴり乗りたそうな視線を一瞬だけ向けるけれど……いえいえと手をふりふりするオク。だって今は女子学生だから!
 そんなバンカラに、風紀委員に取り締まられますよ、と視線を向けるのは、ひとりの先生。
 勿論、先生がここにやって来たのも。
「ほほほ先生もお昼ご飯に混ぜるのでいす……です!」
 みんなでお昼を食べる為です!
 纏う衣装は皆と違い、桜の風景に良く合う、普段通りのままであるが。
(「サクラコは「先生」でいす! 語尾は普通っぽく!」)
 先生としての設定だけで押し通さんとするのは、鏡彌・サクラコ(鏡界に咲く花・f09974)。きっと全然大丈夫!
 そして、そんなサクラコ先生やみんなの前で、くるりくるり。
「見て見て、せーふく! 似合う? 似合うー?」
 ミニ丈の袴をベースにした小学生らしい女子制服を纏って。
 皆に披露するように回ってみせるのは、朱雀・慧華(純真天使・f17361)。
 そしてすぐにこくこく笑顔で頷く皆の前で、無邪気にひらひらスカートを靡かせながら。
「えへへ、これ動きやすいし可愛くっていいね」
 ……私こういうお洋服だーいすき!
 そう花の様に、ぱあっと笑み咲かせる。
 けれど、慧華がだいすきなのは、可愛いお洋服だけではありません。
「あっ、お弁当! 私お弁当作ってきたの!」
 今からみんなで、楽しくて美味しいお弁当タイム!
「中庭で、みなさんと、お昼なのです」
 明はそうわくわくそわそわしつつ、ふーちゃんもちょこんとお行儀良く隣に座らせて。
「サクラコせんせーも、一緒! とっても、にぎやかさん、なのです」
「先生も一緒にご飯、ですね!」
 中庭の芝生の上でお弁当を広げるサクラコへと、オクと一緒に笑んで。
 そんな明やオクに笑み返した後、顔を上げたサクラコは、ひらりと手招く。
「クロムさまもこちらにいらっしゃい」
 中庭から一番遠い事務室で職務に当たっていたクロムの到着に気付いて。
 そして、ぐるりと集まった面々を見回してから。
「ではみなさま揃っていただきます!」
 仲良く全員で手を合わせて、いただきまーす!
 纏う格好も様々だけど、それぞれが持参したお昼ごはんも多種多彩。
 都月の昼食は、焼きそばパンとコロッケパン、あとパンには欠かせない牛乳!
「メイちゃんとふーちゃんと一緒に買ったんだ」
「メイもね、メイもね、きちゅ……木常野先輩、と。購買? で、パンと牛乳を買いました、です!」
 購買で売っているパンと牛乳は、学園でも美味しいと評判の定番の人気商品。
 嬉しそうに都月とほわほわ笑み合いながら、はむりちょっぴりパンを口にしてみる明に、バンカラ幽兵は教えてあげる。
「明……取り合えず牛乳とパンは意外とカロリーがあるぞ」
「かろりー? 三色パンって、はじめて……」
 きょとりとそう首を傾けるも、はじめて食べる三色パンの甘くて美味しい味に、瞳をキラキラ。
 カロリー摂取で、午後からも頑張れるはず!
 いや、パンや牛乳よりも高カロリーなものといえば。
「お昼ご飯と言えば、ピザにコーラが定番だけど」
 ……ちょっと違う? でも用意しちゃった、って。
 そう首を傾けるアヤネのお昼は、さすがアメリカナイズなチョイス。
「みんなでお弁当、です」
 あ、焼きそばパンもおいしそう……なんて。
 オクも買ってきたサンドイッチやサラダをはむりと食べながらも、瞳をぱちくり。
「重箱、曲げわっぱ……みなさんお弁当、すごいです」
「わ、わ、みなさんのおべんと、すごい……!」
 明も、手作りしてきている皆の広げたお弁当に思わず目を奪われて。
 沢山の綺麗、すごい、に感動しきり。
 クロムは曲げわっぱのお弁当箱をぱかりと開いた後。
 ……ん、何だか足りてない子もいるみたい? 皆、流石は食べ盛り、って。
 表情は変えないながらも、向けられる視線に首をそっと傾けた後。
「少し作り過ぎちゃったから、良かったら私のおかずもどうぞ」
 皆から見たら、ちょっと古風かも、なんて思うけれど。
 梅ちらしご飯に天ぷら、筑前煮、卵焼きに、鴬豆。
「クロムは和食党か。バランスより好みという感じか。嫌いじゃないぜ」
 幽兵も頷く、美味しそうで彩りも綺麗な和のお弁当。
 そして、食べ盛りと言えば。
 ぱたぱた羽をはばたかせるフェネックのミッキュにも運ぶのを手伝ってもらいながら。
 どーんっと慧華が置いたのは、沢山のおかずがぎゅうぎゅう詰まった重箱!
 さらに、勿論忘れません。おやつの中でも特に大好きなプリンも!
 そう……慧華は、細身な体からは想像つかないくらい、実は大食い。
「弁当組は凄いな。俺は弁当作れない」
 都月も焼きそばパンをはむりと食べながら、そう感心した様に呟くけれど。
 誰でも作れる、究極のお弁当が実はあるんです……!
「さて、飯にするか」
 そう幽兵が持参した弁当箱を、満を持して開けば。
 ――「男」はこれだろ、ドカベン!
 見事なほどに単純明快な、たっぷりお米の日の丸弁当!
 そんな日の丸弁当を男らしくかき込みながら。
「慧華は中々食うな。将来が楽しみだぜ」
 あれだけおかずが詰まっていたのに、いつの間にかぺろりと完食しちゃっている慧華にサムズアップ!
 慧華はきょろりと皆のお昼ごはんを見回してから。
「あれ、皆それで足りるの?」
 ――いっぱい食べなきゃ元気になれないって、偉い人言ってたよ!
 ミッキュと顔を見合わせてから、おやつのプリンをわくわく手に取って。
「慧華ちゃん、沢山食べるなぁ」
 ……育ち盛りの神様の胃袋は宇宙だ。
 そう思わず瞳を瞬かせ言った都月に、こくり頷いて。
「慧華ちゃんはたくさん食べるのですね。きっとすごく背が高くなりますよ!」
「サクラコ先生が言うと妙に説得力あるな」
 そう言った幽兵を後目に、サクラコはオクと仲良くおかずの交換こ。
 そんな皆の様子を眺めた後、冬青もお昼を食べようと……したのだけれど。
「平和に昼を食べ……あ」
 気付いてしまったのだ。
 白ランだから、うっかり食べ零したら汚れが目立つということに。
 そうなっては、厳しい風紀委員として何かしまらないから。
(「普通の学ランにすればよかったかな」)
 そう思いつつも取り出したのは、白学ランも汚れないゼリー飲料。これで何とか誤魔化せます!
 けれども、冬青の一挙一動をアヤネが見逃すわけはなく。
(「ソヨゴがゼリー飲料だけ?」)
 ふと、そうっとゼリー飲料をちゅーっとすする様子に一瞬首を傾けるけれど。
 察しも良い彼女は、ははあなるほど、と。
 すぐに眼鏡の奥の瞳をそっと細めてから。
 白学ランの上につけてあげるのは、紙エプロン。
「これならピザでも食べられるわよ」
 ……ピザを用意して正解だったわね、って。
 そう清楚に、にこり。
 そんなアヤネの行動に、瞳をぱちくりとさせながらも。
 エプロンとピザは有難く頂くよ、なんて。嬉々と、アヤネとピザを分けあいこする冬青。
 このふたり……実は委員長カップルだという噂が、あるとかないとか??
 そんな異性と交際疑惑がある風紀委員から、一番風紀の乱れを感じる気がしないでもない幽兵だが。
 敢えてそこは突っ込まないでおくのが、硬派なバンカラの心意気……かもしれない。
 そしてもぐもぐ、皆の様子を眺めつつ笑みながら。
「芝生でお弁当、おいしいです」
 オクの言葉に、明もこくり頷いて。
「ふーちゃん。みなさんと食べると、おいしい、ですね」
 ふーちゃんと、へにゃりと幸せそうに笑みを交わすのだった。

 それから――おなかいっぱいになって、ごちそうさまをした後は。
「ボール遊び! 私どっちぼーる? っていうのやってみたい!」
 きゃっきゃはしゃぐように、そう提案する慧華。
「ぼーる遊び、です?」
 そんな声に、明はこてんと首を傾げるけれど。
 すぐに同じ様に、ぱっと瞳を輝かせて。
「メイも、やりたいです……!」
 そう慧華と一緒に挙手!
 そして、表情にこそ出さないが……機嫌良さげに、琥珀の尻尾はゆうらゆら。
 元気良く遊ぼうとする子達をそっと、微笑ましく見守るクロムだけれど。
 都月は慧華と明の声に、思わず瞳を見開いて呟く。
「え、ボール遊び? このメンバーだと大激戦になるんじゃないかなぁ」
 これまでのことを考えたら、そう遠い目になってしまうのも仕方ない。
 でも今回は、小さい子たちの提案だから大丈夫かも……? なんて、一瞬だけ思うも。
「ぶーんどかーんってやるんだよね!」
「メイも、ぶーん!」
 やはり不安しかない。
「ボール遊びは嫌な予感しかしませんが」
 サクラコもそう口にはするけれど。
 ……アヤネさまと幽兵さまが暴れなければ大丈夫かしら? って。
 ちらりと見遣るのは、いつも大抵、大乱闘エクストリームボール遊びになる元凶たち。
 けれど今日は、清楚系図書委員長と硬派なバンカラ。風紀委員だって目を光らせているし。
 それに、都月は思う――とはいえ、ボール遊びには混ざりたい、と。
「仕方ないだろう、狐はボールが大好きなんだ」
 本能にはなかなか抗えないもの。それは仕方がない!
 ということで、ちっちゃい子には気をつけつつ、ボール遊びをすることになったものの。
(「皆、目が真剣に見える。ちょっと怖い」)
 やっぱり、何だか目が怖い気がしないでもない。
「さあ正々堂々開始!」
 そして、そうガチめの号令をかけるのは、審判をつとめるサクラコ先生。
 けれど、オクは飛んできたボールをしっかり受け取りつつも。
 ふわっとトスする感じで、空へと上げて。
(「ボール遊びはいつもよりは控えめに。図書委員長だし」)
 キャラを大事に、今日はお淑やかにしておくらしいアヤネ。
 もしかして、平和なボール遊び……?
 いえ、確かにいつもよりは普通に平和なのだけれど。
「あっボールが!」
 そこは、手練れの猟兵たち。
 たまーにちょっぴり力が入って、ぶーんどかーんってなるけれど。
 さすがは学校職員??
 刹那、窓硝子にどかーんと当たりそうになったボールを縮地の歩法で神速キャッチするのは、皆のことを見守っていたクロム。
 そしてやはり表情は変わらないけれど。
(「……これ、案外楽しいかも」)
 尻尾をそうっとふりふり、何気に目をキラキラと輝かせる。
 そんな様子に、狐の直感が働く都月。
(「流石クロムさん。でも、あの嬉しそうな顔、狐のスイッチが入ったやつだ!」)
 ええ、狐はボール遊びが大好きですから!
「クロムさんも、混ざりましょ!」
 そう掛けられた声に、クロムもコクコクと頷いて、飛び入り参加!
 そして、審判のサクラコ先生に手渡されたボールが。
 賑やかにはしゃぐ皆の声と同時に――桜花弁踊る青空へと、再び高くふわりと舞い上がる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニーナ・アーベントロート
【nyx】
今日だけは全員同級生
眩しい制服姿の友人達と
屋上で試験勉強&昼食を

勉強会では難問に頭悩ませ
ライラさん、歴史教えて?
なんて奮闘も束の間
白い上着が宙に舞うのを合図に離脱
紙飛行機、飛ばそーか
怒られるときも勿論一緒ね
これぞ青春だー!と風に乗せるノートの切れ端
菫さんのスカートは素早く押さえて

こらこら、千鶴くん
この卵焼きの対価は高いぞー
ジト目でお弁当を防御してたけど
折れたふりして卵焼きのオマケに差し出すのは
密かに苦手なミニトマト
勝者たる刻さんが持つコロッケには
尊敬と羨望の眼差しでおかずを提供
華やぐ交換会に声弾ませて

こんないいお天気なら、お昼寝しないと勿体無いね
楽しい語らいの続きは
桜色のゆめのなかで


ライラ・ユグドラシル
【nyx】
憧れていた、お揃いの制服
みんなとクラスメイトという、夢のような学園生活に心弾ませ

歴史や理科なら、少しは力になれるかも
うん、任せて!
ニーナと菫に笑顔でこたえて
勉強会を頑張りつつ
千鶴が飛ばした紙飛行機をのんびり眺め
はしゃぐ菫につられて、にこにこ
手招かれたら頷いて、一緒に作ってみる

刻が取り出したものには、きらきらと
わあ、コロッケだ!
焼きそばパンもある
ニーナの卵焼き、俺も食べたいな
彩り豊かな菫のお弁当も、綺麗で美味しそう
ね、千鶴。飴はどんな味があるの?
たまごサンドと交換してほしいな
みんなにお願いしてみよう

桜舞うひだまりは心地よく
夢の中でも、みんなと一緒がいいなと願いながら
穏やかな、ひと時を


君影・菫
【nyx】
今日は全員くらすめいと
屋上で勉強とお弁当
みんなの制服、素敵やねえ…!

勉強って新鮮やわあ
うちも歴史教えてほしいて便乗の挙手
紙飛行機の誘惑には勝てへんくて
飛ばせば、これ楽しいなあて
ライラも一緒に飛ばそ!って手招き
はためく白のスカートだってニーナが守ってくれるから
ありがとってふわり
全力で遊んでまう

ちぃはもっと食べなアカンよ
うちも飴ちゃんほしい!
刻はとっておき分けてくれはるの?
ふふ、粋やねえ
気にしてくれるならライラも交換しよか
彩り豊かな和風のおかず達
好きなのどーぞって
どうせならみんなで味のわけっこ出来たらええなあ

ころんて寝転べば、ふわふわな心地
なあなあ、お昼寝せえへん?
――桜のゆめにみんなで


宵鍔・千鶴
【nyx】
クラスメイトと屋上で勉強&昼食

空を仰ぐと桜ひらり
ノートの上に落ちれば
集中力はぷつりと

歴史の羅列は新鮮だけれど
なー、ベンキョー飽きた
白制服の上着を放り投げ
破ったノートで紙飛行機を飛ばし
菫もニーナもやる気じゃん、競争しようぜ
叱られたら謝れば良いよね

あ、その卵焼き美味しそ
ニーナと菫のお弁当の中身も狙って
トマトも遠慮なくぱくり
お裾分けの御礼は
飴ちゃんしか無いや、要る?
種類は沢山、ばらばらと鞄から取り出して
たまごサンド…!ライラも好きなだけどうぞ
刻の勝利のパン達に平伏す
俺の昼はいちごミルクだけだけど
口の中は満たされ

頭使い、お腹一杯
桜と麗かな陽気に誘われて午睡の時
皆で寝転んでみるも良いかもね


飛白・刻
【nyx】

屋上にて勉強会とは名ばかりの昼食時
揃いの制服に袖通すも学舎にて過すも
青春謳歌、此処では己の羨望がそこに

少し遅れも戸を開けば
ひらり花弁と紙飛行機が足元落ち
飛ばし返すは勉学飽きたその輪中
飽き早くはないかと思いつつ
手にした参考書はどうやら役立たなそうだ
遊びも勉学という、誘いに乗ろう
皆共犯ならば仕方あるまい

頃合、袋から取り出すは
例のコロッケに焼きそばパン
遅れたはその所為と
戦略秘めつ皆で分けようか
これなら千鶴も拒否れまい
ライラも交換してくれないか
菫とニーナも食べるといい
俺も皆の物から頂くとしよう

食後の眠気は付きものと皆を真似て寝転がる
見上げ空にそよぐ風
この心地は成程抗えぬ
謳歌の続きは桜花と共に



 たまには、教室を飛び出して。
 桜花弁舞う青空の下で一緒に取り組んだ方が、もしかしたら捗るかもしれない。
 ……なんて、勉強会と称したそんなお昼時。
 屋上にやって来たのは、賑やかなクラスメイト同士。
 いや、正確に言えば……今日だけ特別な、全員クラスメイト。
 勿論袖を通しているのは、皆お揃いで眩しい学園の制服。
「みんなの制服、素敵やねえ……!」
 何だかちょっぴり擽ったい気もするけど。
 君影・菫(ゆびさき・f14101)の言葉に、それぞれ互いの制服姿を見比べたりして。
 ライラ・ユグドラシル(星詠・f01350)も、憧れていたお揃いの制服に、思わず笑み零れてしまうし。
 みんなとクラスメイトだなんて、夢のような学園生活に、心弾ませずにはいられない。
 けれど……今はみんな学生だから。
 学生の本分はそう、勉強です!
 でも、腹が減ってはなんとやら……勉強と、お昼ごはんもしっかりと。
 いえいえ、まずは勉強を頑張ります!
 とはいえ、立ち向かうべき問題は、なかなかの難問。
 損な難問を前に、うーんと暫く頭悩ませていたニーナ・アーベントロート(埋火・f03448)であったが。
 これは勉強会、何も一人で悩むことなんてない。
「ライラさん、歴史教えて?」
 歴史や理科が得意だと言っていたライラに、ヘルプ!
 勉強って新鮮やわあ、なんて思っていた菫も、すかさず便乗の挙手。
「うちも歴史教えてほしい」
「うん、任せて!」
 勿論、そんなニーナと菫に笑顔でこたえるライラ。
 教えるのも教えられるのも、どちらも効率的な、良い勉強法。
 いや、楽しく一緒に勉強すればきっと、ひとりでは解けない難問だって、倒せるはず!
 そう勉強会を頑張る女子達だけれど……そんな奮闘も、束の間。
 マイペースにノートを開いた宵鍔・千鶴(nyx・f00683)は、ふと視線を上げて。
 青空を仰げば――桜のひとひらが、くるり。
 ひらりとノートの上に落ちれば、ぷつりと切れちゃう集中力。
 花弁に飾られたノートに並ぶ歴史の羅列は、確かに新鮮ではあるのだけれど。
「なー、ベンキョー飽きた」
 その声と同時にばさりと宙に舞うのは、千鶴の放り投げた白たち。
 舞った制服の上着がふわり地に落ちたかわりに。
 彼の手を離れ、青空へと投じられるのは、破られたノート。
 いや――桜空をすいっと飛んでゆく、紙飛行機。
 そして、参考書の活字から空飛ぶ紙飛行機へと、自然と追う対象を変えた瞳たち。
 だって、誘惑に勝てるわけがない。
「紙飛行機、飛ばそーか」
「これ楽しいなあ」
 せーの、で千鶴号のあとを追って飛ぶのは、ニーナ号と菫号。
 のんびり紙飛行機たちを行方を眺めていたライラも、そんなはしゃぐふたりにつられて、にこにこ。
「菫もニーナもやる気じゃん、競争しようぜ」
 千鶴は今度はもっと飛ぶようにと、さっきとちょっと違う折り方をしてみながら。
 そう持ちかけるのは、楽しい競争。
 勿論それを、受けて立たないわけがありません。
「ライラも一緒に飛ばそ!」
 もうこうなったらみんなで、勉強会改め、紙飛行機大会です!
 菫に手招かれたライラも迷いなく頷いて、一緒に紙飛行機を作ってみれば。
「叱られたら謝れば良いよね」
 みんなでごめんなさいすれば、多分きっと怖くない。
 ――これぞ青春だー!
 ニーナはそう、皆と一緒に風に乗せる。
 さっきまではノートの切れ端であった、青春の紙飛行機たちを。
 それを全力で青空に飛ばせる様に、って。はためく菫の白のスカートだって、素早く押さえてフォローもばっちり。
 そんなニーナに、ありがとってふわり笑んでから。
 菫もまた全力の一投を、空へ。
 ――その頃、皆から少し遅れて。
 屋上への階段を上がるのは、飛白・刻(if・f06028)。
 学園への潜入の任とはいえ――揃いの制服に袖通すも、学舎にて過すも。
 それはまさに、青春謳歌。
 此処では己の羨望がそこに、と……屋上へと続く扉を開け放てば。
 刻の足元へと滑るように着陸したのは、桜花弁と紙飛行機。
 それを拾って、すっと飛ばし返せば――その行先は、勉学飽きた輪の中。
 ……飽き早くはないか、と。
 そう思わずにはいられないけれど。
(「手にした参考書はどうやら役立たなそうだ」)
 刻も、己の姿を見つけて手招く、クラスメイトたちの元へと。
 日々大いに学び、鍛え――そして、遊び、愉しめと。
 そう理念を掲げる学び舎に在るからには、迷うことなどない。
(「遊びも勉学という、誘いに乗ろう」)
 ――皆共犯ならば仕方あるまい、って。
 そして、いっぱいはしゃいで遊べば、くうっと鳴る誰かのおなか。
 ちょっとだけ勉強して、いっぱい遊べば、次に皆で過ごすのは勿論。
「あ、その卵焼き美味しそ」
 待ちに待った、お弁当タイム!
 千鶴が狙いを定めるのは、ニーナの卵焼き。菫のお弁当の中身もさり気なく。
「こらこら、千鶴くん。この卵焼きの対価は高いぞー」
 そうジト目で、ニーナはお弁当を防御! ……していたのだけれど。
 見つめるその視線についには折れて、卵焼きのお裾分け。
 ……いや、折れたふりして。
 卵焼きのオマケにとニーナが差し出すのは、密かに苦手なミニトマト。
 そんなおまけのトマトも、千鶴は遠慮なくぱくり。まさにこれこそウィンウィン。
「ちぃはもっと食べなアカンよ」
 そう菫もおかずを分けてあげれば。
 鞄の中へと手を入れた千鶴が探すのは、お裾分けの御礼。
 そして、ぱっと掴んだその掌を開けば。
「飴ちゃんしか無いや、要る?」
 種類は沢山、ばらばらと出てきたのは飴ちゃん。
 そんな色々ないろの飴を眺めながら。
「ね、千鶴。飴はどんな味があるの? たまごサンドと交換してほしいな」
 交渉に乗り出すのは、ライラ。
 そんな交換この申し出に。
「たまごサンド…! ライラも好きなだけどうぞ」
 即座に頷く千鶴。速攻で交渉成立です!
「うちも飴ちゃんほしい!」
「卵焼きの対価、どれにしようかなー」
 菫とニーナも、どの味にしようかと思わず目移り。
 そんな交渉がひと段落した頃合いにと。
 刻が取り出すのは――勝利の証。
「わあ、コロッケだ! 焼きそばパンもある」
 思わず見つめたライラの瞳がキラキラ輝くのは、無理もない。
 それは、争奪戦を勝ち抜いた者しか手に出来ない、購買の花形メニューなのだから。
 遅れたはその所為と、戦略は秘めつつ。
「皆で分けようか」
 ……これなら千鶴も拒否れまい。
 そうちらりと刻が見遣れば、案の定。勝利のパン達に平伏す姿が。
「ライラも交換してくれないか。菫とニーナも食べるといい。俺も皆の物から頂くとしよう」
「刻はとっておき分けてくれはるの?」
 ふふ、粋やねえ、って笑む菫の隣で。
 コロッケを見つめた後、ニーナも勿論、自分のおかずを提供。
 勝者たる刻へと、尊敬と羨望の眼差しを向けながら。
 そして、焼きそばパンやコロッケもだけど。
「ニーナの卵焼き、俺も食べたいな。彩り豊かな菫のお弁当も、綺麗で美味しそう」
「ライラも交換しよか。みんな、好きなのどーぞ」
「やった、どれもおいしそー」
 どうせならみんなで味のわけっこできれば、もっともっと楽しくて美味しいから。
 そんな華やぐ交換会に声弾ませる皆を見つめながら、千鶴は思う。
(「俺の昼はいちごミルクだけだけど」)
 でも今の口の中は、色々な美味しさでいっぱい。
 そして――おなかも心も幸せで満たされれば。
 ぽかぽか陽気が、心地良くて。
「なあなあ、お昼寝せえへん?」
 ころんと寝転べば、ふわふわな心地。
 そんな菫に続いて、みんなもころん。
「こんないいお天気なら、お昼寝しないと勿体無いね」
「皆で寝転んでみるも良いかもね」
 ニーナと千鶴も、桜と麗かな陽気に誘われて午睡のひととき。
 食後の眠気は付きものであるし。一緒に見上げた空にそよぐ風が、優しくて。
 ――この心地は成程抗えぬ。
 謳歌の続きは桜花と共に……そう刻も、皆を真似て寝転がる。
 そしてライラも桜舞うひだまりの中、そっとこう願いを。
 ――夢の中でも、みんなと一緒がいいな、って。
 頭も使って、お腹も一杯。
 楽しい語らいの続きは――穏やかな、桜色のゆめのなかで。
 勿論、仲良しなクラスメイトの、みんなで一緒に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸迎櫻館

学園に通う…なんとも心が躍るね
噫、私のことは生徒会長とでも呼んでおくれ
たまにはこういうのも良いだろう
似合うだろうか?
千織くんも碧くんも、よく似合っているよ
ヴォルフガングくんによすがくんも普段と違う雰囲気がまた良いな

ふふ……リルくん
私にその手紙を?有難く受け取っておこう
恋文の類だったらすまないな
私には心に決めた存在が……(という設定よ!)
そんな今にも死にそうな顔をしないで

写真?いいね
皆で撮ろうか
変顔は任せておくよ

千織くんが良い提案をしてくれた
皆で甘味を楽しもうじゃないか
噫、私は勿論
生クリームは山のように搾ってもらう
甘いものは好きなんだよ

…こうして普段と違う己を演ずるのも
楽しいものねぇ!


ヴォルフガング・ディーツェ
🌸迎櫻館


ふふ、折角の機会だ。夢幻の様に儚く愛おしい学園生活を体験しようか

タイを緩め、ボタンを幾つか外した緩い学生服を纏い
口調は…年相応ならこんなモンだろ?(斜に構えた少年の顔で)
そういうお前らも全然空気ちげーな!クールな千織に堅物桜宵、砕けた碧やよすが…リルは足大丈夫か?
いーじゃん写メ!皆で記念に撮ろうぜ!…何か一部記念にならねー空気感出してっけど。展開はえーな!?
碧は器用だな、なら加工は任せてイイか?手が必要なら言ってくれよ、俺も多少なら分かるしなー

パンケーキ良いんじゃね?
トッピング全乗せいくか、甘いの得意…じゃねーが、そうそう、修行!(よすがに力強く頷き)
だから喰うな千織!祟るぞコラ!?


リル・ルリ
🐟迎櫻館

制服!
千織はかわいいし、碧やヴォルフはかっこいい!
よすがもよく似合ってる!
僕は尾鰭だから心配だ…

ふふ……今日も誘名生徒会長は麗しいな
お姿をみられたから、今日も良い事があるし良い歌が歌えるぞ!
(密やかに生徒会長に想いをよせる歌劇部員…て設定)

よすが?ヨルが気になる?
抱っこする?可愛いんだ
あ!生徒会長!
ヨルをそのまま託して櫻宵の所へ直行
これ!受け取ってください!
愛をしたためた手紙を今日こそ渡すんだ
受け取って貰えたと喜んだのも束の間
何だって?!
誰だよ相手
泡になりそう

写真、いいね撮ろう!
ひゃ!櫻宵がこんなに近く!
宝物にするよ

学食でおやつ
こうなったら!ぱんけきをやけ食いしてやる
ヨル!とめるな!


夜霞・よすが
🌸迎櫻館

初めて制服を着てみて
ボタンきっちりは緊張のしるし
大丈夫だよな?

あ、千織三つ編みだ!紅一点だし
何かあったらみんなで守る
碧とヴォルフはすごい真似たい!
会長のファンが出来るのわかる…
リルは気をつけてな!

えっっ?!ヨルさん?!いいのか?
わあわあすっごい気持ちいい
って?あれリル?行っちゃった…

写真とるの?じゃあいろんなの撮ろう!
託されたヨルさんも一緒
え、変顔?楽しそう!
抱っこしたままのヨルさんもきゅいって変顔
会長の話気になるけど、ほら、まずはピース

パンケーキ!俺も甘いの好き!
俺はクリームたっぷり、チョコ、バナナ
碧も千織も会長も気が合いそう
みんな美味しそうだ
リル、お水お水!
ヴォルフは…克服修行?


橙樹・千織
🌸迎櫻館

え…これ、スカート短くないですか?
私が着て大丈夫ですかねぇ
ゆるく身に纏うのは尻尾穴もちゃんとある学生服
左側に三つ編みを一房編めば、変装完了

ふふふ、みんな似合ってま……似合ってる
今日は学生。いつもの口調はちょっとお休み
なんか既視感があるのだけど…気のせい?
紅一点?…ほんとだ、気付かなかった
ふふ、それは頼もしいね

へぇ、会長そんな人いたんだ?
写真?ん、いいよ
変顔は…よすがに任せる

学食でパンケエキが食べられるって…行かない?
トッピングとかできるかな…生クリームとかフルーツとか
苦手なら甘くないトッピングだけにしたら?
…じゃあヴォルフの甘いとこはもらっちゃお
リル、元気になったのは良いけど程々にね


劉・碧
🌸迎櫻館
お、生徒会長も千織もいい感じじゃね?
俺は制服のYシャツの第2ボタンまで開けてゆったり着るのが好きだな

そんじゃほら、恒例の写メ撮ろうぜ!
生徒会長はリルとちょっと距離詰めな、ほらこっち向けって
3.2.1…はいチーズ!よっし上手くいったな、あとでツーショットに加工したやつ欲しい?

へらへらしながら千織やよすが、ヴォルフガングとも写メりてーな。笑顔や変顔をリクエストしつつ学生気分を楽しむ

学食ってそんなのもあるのか…
生クリームに苺ジャムのせたやつがいいなァ…よし行くか!



 薄紅がひらり舞う常春の桜源郷でも、今日の舞台は桜の学び舎。
 そしてそこに集まった皆も、いつもとは何処か違う、桜色した夢物語の登場人物。
 今回桜の導きにて此処を訪れた目的は、桜舞う学園への潜入依頼であるけれど。
 そのためにはまず、準備を整えることから。
「え……これ、スカート短くないですか?」
 ……私が着て大丈夫ですかねぇ、と。
 ふわふわ浮かぶ笑みの中にも、そうちょっぴり遠慮気味に紡ぎながらも。
 橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)がゆるく身に纏うのは、学生服。
 スカートは何だか少し短い気がしないでもないけれど……ちゃんと尻尾穴もあります。
 そして学生服を纏ったら、ゆうるり左側に編まれるのは、一房の三つ編み。
 これで変身完了、準備も完了……?
「ふふふ、みんな似合ってま……似合ってる」
 いえ、今日は学生。だから、いつもの口調はちょっとお休み。
 千織はそう皆へと紡いだ後、ふと首を傾げる。
「なんか既視感があるのだけど……気のせい?」
 それは――数多の心に寄り添い、雪解けを齎す春告の桜樹だけが知っている……かも?
 そんな学生へと変わった千織の姿を見て、ぱっと楽し気な笑み宿すのは、夜霞・よすが(目眩・f24152)。
「あ、千織三つ編みだ! 紅一点だし」
「紅一点? ……ほんとだ、気付かなかった」
 そして、そうもう一度首を傾けた千織が、スカートの丈をちょっぴり気にしていたことを思い出して。
 ――何かあったらみんなで守る。
 そうぐっと気合いを入れて、約束!
 千織はそう言ってくれたよすがに、橙の瞳を細めて。
「ふふ、それは頼もしいね」
 紅一点に相応しい、先程までの柔らかなものとは少し印象の違った微かな笑みを、守ってくれるのだという彼等へと返す。
 そして千織と同じ様に、よすがが纏うのも学生服。
 けれど何せ、初めての制服だから。
「大丈夫だよな?」
 上まできっちり止められたボタンが、緊張のしるし。
 そんなよすがに、大丈夫似合ってるよ、って返して。
「ふふ、折角の機会だ。夢幻の様に儚く愛おしい学園生活を体験しようか」
 そう皆と一緒に、ひとときの学生生活を楽しまんとしているのは、ヴォルフガング・ディーツェ(誓願の獣・f09192)。
 学生服に袖を通した後、仕上げにネクタイを緩めボタンを幾つか外したら、出来上がり!
「口調は……年相応ならこんなモンだろ?」
 そんな学生仕様のヴォルフガングは、緩く制服を着た、斜に構えた少年の顔。
 楽し気にゆらりと尻尾を揺らしながら、皆を見回して笑う。
「そういうお前らも全然空気ちげーな!」
「俺もゆったり着るのが好きだな」
 そしてヴォルフガングと似た感じの着こなしで制服を纏うのは、劉・碧(夜来香・f11172)。
 碧は見た目今時風な、緩い着崩しスタイルが似合う男子学生。
 そんなヴォルフガングや碧の緩い制服の着方を見て。
「碧とヴォルフはすごい真似たい!」
 よすがはそうちょこっとだけ、きっちりを緩めてみる。
 まだ緊張しているから、ほんのちょっぴりの気持ちだけだけど。
 そんな皆をぐるりと一通り、薄花桜の瞳に映して。
「制服! 千織はかわいいし、碧やヴォルフはかっこいい! よすがもよく似合ってる!」
 新鮮な姿に、リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)ははしゃぐようにそう言うけれど。
「僕は尾鰭だから心配だ……」
 ちょっぴりだけ不安顔に。
「クールな千織に、砕けた碧やよすが……リルは足大丈夫か?」
「リルは気をつけてな!」
 けれどきっと大丈夫! みんなも……そして、誘名・櫻宵(貪婪屠櫻・f02768)も一緒だから。
 そんな櫻宵だけれど。
「学園に通う……なんとも心が躍るね」
 麗しさは相変わらずだけれど、花冷えの眼差しと熱のない微笑みを皆へと向けて続ける。
 ――噫、私のことは生徒会長とでも呼んでおくれ、と。
「たまにはこういうのも良いだろう。似合うだろうか? 千織くんも碧くんも、よく似合っているよ。ヴォルフガングくんによすがくんも普段と違う雰囲気がまた良いな」
 そうふっと笑む姿は、見紛うことなきイケメン生徒会長。
「生徒会長な堅物桜宵か」
「お、生徒会長も千織もみんなも、いい感じじゃね?」
「会長のファンが出来るのわかる……」
 碧やよすがの言う通り、いい感じ。モテないわけがないオーラが半端ない。
 そんなわいわい楽しく準備が完了すれば。
 さぁ、これから幕が上がるのは――学園で過ごす、楽しくて不思議なひととき。
 桜舞う学園の校舎を幸せそうな表情でゆくのは、歌劇部員のリル。
 どうしてそんなに幸せそうなのかと言えば。
「ふふ……今日も誘名生徒会長は麗しいな」
 ――お姿をみられたから、今日も良い事があるし良い歌が歌えるぞ!
 密やかに想いをよせる生徒会長を見かけたから。
 そんな思わず笑みを漏らしながら、リルはふと気付く。
 腕の中のヨルへと向けられた、熱い視線に。
 その視線の主に、リルはふと声を掛ける。
「よすが? ヨルが気になる?」
 ……抱っこする? 可愛いんだ、と。
 そう手渡されるヨルと差し出すリルを交互に見遣って。
「えっっ!? ヨルさん!? いいのか?」
 ぱあっと嬉しさ前回の笑顔を宿すよすが。
 そして、キューッと鳴くヨルをそうっと抱っこして。
 ……わあわあすっごい気持ちいい、って、感激しながらも。
 ふとよすがは首を傾ける。
「あ! 生徒会長!」
「って? あれリル? 行っちゃった……」
 意中の生徒会長を見つけ、ヨルをそのまま託して直行!
 リルは今日こそ渡すんだ、とドキドキしながらも差し出す。
「これ! 受け取ってください!」
 愛をしたためた手紙を。
 そんなリルの姿に、生徒会長は瞳を細めて。
「ふふ……リルくん。私にこの手紙を? 有難く受け取っておこう」
 しなやかで美しいその手で、リルの手紙へと手を伸ばして。
 受け取って貰えた――そう喜んだのも、束の間。
「恋文の類だったらすまないな。私には心に決めた存在が……」
「何だって!? ――誰だよ相手」
 今までと一変、泡になりそう……そう、今にも死にそうな顔に。
 そんな目に見えて打ちひしがれているリルに、生徒会長……いや、櫻宵は心の中で何度も叫ぶ。
(「……という設定よ!」)
 そして、泡になりそうに儚くなっているリルを何気に心配気にちらりと見た後。
「へぇ、会長そんな人いたんだ?」
 意外そうに呟く千織。
 そんな早速展開された学園の戀模様を後目に。
「そんじゃほら、恒例の写メ撮ろうぜ!」
 碧がしゃきんと取り出すのは、スマートフォン。
 その提案にヴォルフガングも勿論頷くけれど。
「いーじゃん写メ! 皆で記念に撮ろうぜ! ……何か一部記念にならねー空気感出してっけど」
 展開はえーな!? と思わずつっこまずにはいられない。
 けれど、写真はやっぱり撮っておきたいから。
「写真、いいね撮ろう!」
「写真? ん、いいよ」
 リルと千織が頷けば、よすがも勿論賛成!
「写真とるの? じゃあいろんなの撮ろう!」
 託されたヨルも、抜かりなく一緒に。
 そして生徒会長も。
「写真? いいね、皆で撮ろうか」
 ふふ、と微かに笑んで頷く。
 そんな生徒会長に、自撮りカメラに切替て構える碧は、さり気にこう声を。
「生徒会長はリルとちょっと距離詰めな、ほらこっち向けって」
「……こうか?」
 そうずいっと一気に距離が縮まって、リルは思わずドキドキしてしまう。
(「ひゃ! 櫻宵がこんなに近く!」)
 そんな接近したふたりに大きく頷いてから、碧はカウントダウンを。
「まずは笑顔だな、3.2.1……はいチーズ!」
 やはり1枚目は笑顔をリクエスト! 全員を器用にフレームに入れて、ぱしゃり。
 そして撮れた画像を確認すれば。
「よっし上手くいったな、あとでツーショットに加工したやつ欲しい?」
 碧の言葉に、こくこくと即頷くリル。
「宝物にするよ」
「碧は器用だな、なら加工は任せてイイか? 手が必要なら言ってくれよ、俺も多少なら分かるしなー」
 そしてそう言ったヴォルフガングや皆に、へらへらと碧は笑み向けて。
「千織やよすが、ヴォルフガングとも写メりてーな。次は変顔とか?」
「え、変顔? 楽しそう!」
 いち早く反応したよすがに同時に目を向けるのは、千織と生徒会長。
「変顔は……よすがに任せる」
「変顔は任せておくよ」
 よすがは何気に生徒会長の話が気になっていたりしながらも。
「ほら、まずはピース!」
 任されたよすがは、碧やヴォルフガングは勿論、抱っこしたままのヨルも一緒に。
 きゅいって、今度は変顔の一枚を!
 そして色々な顔や光景を沢山写真に収めた後。
 ふと千織は皆に、こんな提案を。
「学食でパンケエキが食べられるって……行かない?」
 その誘いに一番に反応したのは、生徒会長。
「千織くんが良い提案をしてくれた」
 ――皆で甘味を楽しもうじゃないか、と。
 実は生徒会長、甘いものが好きなのです。
「パンケーキ良いんじゃね?」
「パンケーキ! 俺も甘いの好き!」
 ヴォルフガングとよすがも、すぐに賛成!
「学食ってそんなのもあるのか……」
 碧はそう呟きつつも、勿論同じく賛成の意を。
 そんな全員一致で、すぐに賛成してくれた皆を見遣った後。
「トッピングとかできるかな……生クリームとかフルーツとか」
 何気に千織はそう、そわり。
 碧も聞こえた彼女の声に、金緑石の瞳を細める。
「生クリームに苺ジャムのせたやつがいいなァ……よし行くか!」
 そして早速、辿り着いた学食でパンケーキを頼んで。
「噫、私は勿論、生クリームは山のように搾ってもらう」
 ……甘いものは好きなんだよ、って。
 普段はちょっぴり近寄りがたいけれど、何気に嬉し気に見える生徒会長。
「俺はクリームたっぷり、チョコ、バナナ」
 そして先程言っていた希望通り、生クリームとフルーツや、生クリームに苺ジャムのせのトッピングをする千織や碧のパンケーキを見つめて。
「碧も千織も会長も気が合いそう」
 ……みんな美味しそうだ、って。そうよすがは瞳をキラキラ。
 それからふと、隣のヴォルフガングへと視線を移せば。
「トッピング全乗せいくか、甘いの得意……じゃねーが」
 甘いのは得意……じゃないと言いながらも、何故かトッピング全乗せしようとする彼に首を傾げて。
 思い当たった理由を、よすがは口にしてみる。
「ヴォルフは……克服修行?」
 まさかの、トッピング全乗せの甘ーい修行!?
 そんなよすがの言葉に、こくりとひとつ、力強く頷くヴォルフガングだけど。
「そうそう、修行!」
「苦手なら甘くないトッピングだけにしたら?」
 ……じゃあヴォルフの甘いとこはもらっちゃお、って。
 容赦なくメインの苺へとぷすり、フォークを刺した千織に、ヴォルフガングは思わず声を上げる。
「だから喰うな千織! 祟るぞコラ!?」
 苦手なものを取られて祟らんとするなんて、とても修行熱心!
 甘いのは得意……じゃありませんから! 決して大好きとかありませんよ、ええ。
 そんな、きゃいきゃい賑やかな皆を後目に。
「学食でおやつ」
 そうぽつりと呟いたリルだが。
 ぐっと、気合いを入れて。
「こうなったら! ぱんけきをやけ食いしてやる」
 ――ヨル! とめるな!
 こうなったらと、やけ食いにはしります!
「リル、お水お水!」
「リル、元気になったのは良いけど程々にね」
 慌てて水を用意するよすがに、そう声を掛ける千織。
 そして――。
(「だから、リル! という設定よ!」)
 心の中で、やはりそう何度も叫びながらも。
 櫻宵はいつものような甘やかな笑みをつい零しながらも、思わずにはいられない。
 ……こうして普段と違う己を演ずるのも、楽しいものねぇ! って。
 そう――桜の魔法にかかったかの様なひとときを皆と、もう少しだけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

志島・小鉄
【彩夜】

※獣の姿で参加します。

ふかふか毛皮ノずんぐりむっくりな動物姿デス。
コレならランドセルも似合いゐマショウ。

ルーシー、ルーシー、待って下サレ
ぽてぽて、短い足デ走リマス
今日ハお菓子パーティーデス!

七結サン今日ハ
早ゐでショウとも、楽しみで仕様が無かったノデス

先生も一緒ニパーティーデスネ
皆で食べるトお菓子もモット美味しくなるノデス
持って来たお饅頭ヲ先ニ食べ……馬デスカ
馬ハ可愛いノデ良いデスヨ
わしは応援シマス

お菓子もお茶も美味しいデスネ
わしはこの様ナ菓子を初めて見マシタ
茶に合う良い菓子なのでせう

いやはや、ほっとシマス
今度ハわしも自慢の亀ニ乗り乍ら
菓子と茶ヲ飲んで登校しまショウ

学校ハ楽しムものデス!


宵雛花・十雉
【彩夜】

放課後に残った仕事を片付けてたところ
ふらっと廊下に繰り出せばかかった声
おう、どうした蘭
先生はサボ…いや息抜きの真っ最中さ
へぇ、お菓子ぱーてぃねぇ
可愛い生徒からの誘いを断るわけにゃいかねぇな

お、ブルーベルは宿題かい
偉いなぁ
飴やろうか

歌獣とチェコットは馬で登校してんの?しかも2人乗りときた
懐かしいねぇ、先生も若い頃はヤンチャしたモンだよ
はは、志島は亀に乗るって?
浦島さんみてぇになりそうだなァ

へぇ、この紅茶は朧が
お前そういうの得意そうだもんな
ん、美味い
焼き菓子ともよく合うよ
って今オモチャって言ったか?言ったな?

やっぱ学生にゃこういった楽しみも必要だよなぁ
成績に響かない程度にしとけよ?
なんてな


蘭・七結
【彩夜】

国語の補講を受けていたら遅れてしまったわ
皆さんはもう集まっているのかしら
……あら、
御機嫌よう、ときじ先生
これからお菓子ぱーてぃをするの
あなたもご一緒に如何?
甘いものをたくさんご用意するわ

コテツさんとルーシーさんはお早いのね
マイさんとメリルさんは……、
まだいらしていないよう
揃ってからユェーさんのお茶をいただきましょう

聞こえる足音はふたり分
噂をすれば、と云うものね
お待ちをしていたわ、おふたりとも
ステキなお茶会をはじめましょう

調理実習で焼き菓子を仕立てたの
すてんどぐらすくっきー、と云うのよ
彩豊かで、とてもキレイでしょう

ユェーさんの紅茶はとてもおいしいわ
屹度、はじめての方も気に入ることでしょう


ルーシー・ブルーベル
【彩夜】
始めての学校
授業も給食も楽しかった
後は掃除……ええと確かこういう時は
「ちょっとダンシィー。ソージしなさいヨー」

終礼後はランドセルを背負い
後ろを幾度も振り返り
さあ小鉄さん、いきましょう!

こんにちわー!
ある教室を開けてもがらんどう
ルーシー達が一番乗りかしら?
宿題して待つの

七結さん
十雉せんせい、ごきげんよう
いる!頂いた飴をコロリと口に転がし
ゆぇパ……ゆぇ兄さまの紅茶?いいわね
早くみんな来ないかな

覚えある足音
苺、メリルさん
おかえりなさい!
学校はどう?ふふ、ルーシーも

まあ
キレイなクッキーね!
食べるのが勿体ない位
ルーシーは給食に出た袋菓子を持って来たの

何時もと違う場所で何時もの紅茶の香り
少しフシギ


歌獣・苺
【彩夜】
う、メリルちゃんごめんね…
私が森に住んでる黒のサラブレッドに乗って一緒に登校しようなんて言ったから先生にバレて一緒に怒られることになっちゃった…。

…でも!今からはとっても素敵なお菓子パーティーだよ!ふふ!ようし!教室まで競走~!

(ドタバタと音を立てて2人で教室へ)
いっちばー…はっ!みんな揃ってる…!よすが先生まで!ご、ごめん!馬で2人乗りして登校したの先生にばれちゃって…えへへ。

わ!美味しそうなお菓子…!
私は動物型のちょこ
持ってきたよ!
もぐもぐ、ごくごく。
お菓子も
ゆぇの紅茶もおいしいっ♪

小鉄くんは馬好きなんだ!
へ?亀で登校…?
…早起きしなきゃだね…?

あぁ、心が『幸せ』で満たされる…♪


メリル・チェコット
【彩夜】

ううん、気にしないで
怒られちゃったけど、とっても楽しかったから!
わーっ、苺ちゃん!
廊下走ったらまた怒られちゃうよー!

みんなそろってる!
あっ、先生も! こんにちはっ
七結ちゃんが声掛けてくれたんだ!
ふふ、今日も楽しかったよー
ルーシーちゃんはどうだった? 

わあ、本当にステンドグラスみたい!
すごいねすごいねっ
あ、メリルもね、もってきたよ
いろんな動物のクッキー
お茶会が楽しみで、張り切って作りすぎちゃった
ユェーくん、お茶ありがとう!
配るの手伝うねっ

馬は怒られちゃったけど、亀は……ふふ、どうなんだろう?
のんびりだから遅刻に気をつけてね

みんなとの時間、楽しくってあっという間
明日からも勉強がんばろうっと


朧・ユェー
【彩夜】

七結ちゃん、生徒会長。いらっしゃい
おや?お菓子パーティー?
ふふっ、いつも楽しい事を思いつきますねぇ
じゃ美味しい紅茶を淹れましょうか?

おや、十雉先生は生徒想いでお優しいですねぇ。だからこの組のオモチャ…アイドルですねぇ。ふふっ
えぇ、ルーシーちゃん。掃除はきちんとしないとねぇ。(彼女をひと撫でして)
小鉄のランドセル姿もとても可愛らしいですね。おや?次は亀??それは夜から出ないと大変ですね。

苺とメリルちゃんは一緒に登校だったのかい?
おやおや、馬で登校ですか?何もしないで落ちたら大変ですよ?次は気をつけてねぇ

焼き菓子とても美味しそうですね
ではそれにあう紅茶を用意しましょうね



 桜花弁舞う学園は、授業が終わった放課後だって、とても賑やか。
 そして此処は、桜源郷の学園の小学部。
 ルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)にとって、始めての学校は、授業も給食も楽しくて。
 後は……掃除を終わらせれば、放課後なのだけれど。
(「……ええと確かこういう時は」)
 ふと首を傾けてから、こくりと頷いて。
「ちょっとダンシィー。ソージしなさいヨー」
 ……センセーに言いつけるわヨー。
 雑巾を丸めて野球ごっこをしている男子へとお約束の言葉を、きちんとクラスメイトの女子軍団で言い放ちます!
 そんな学校生活を満喫しているのは、ルーシーだけではない。
「国語の補講を受けていたら遅れてしまったわ」
 ……皆さんはもう集まっているのかしら、と。
 そう少しだけいつもよりも急ぎ足で、皆の待つ教室へと向かうのは、蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)。
 そんな七結の足が、少しだけ止まって。
「……あら、御機嫌よう、ときじ先生」
 不意に声を掛けたのは、残った仕事を片付けていた宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)先生。
 ふらっと廊下に繰り出したところ掛かった声に、ふと顔を上げて。
「おう、どうした蘭。先生はサボ……いや息抜きの真っ最中さ」
 七結は、サボ……大変な業務の息抜きをしているという先生にお誂え向きな、こんなお誘いを。
「これからお菓子ぱーてぃをするの。あなたもご一緒に如何?」
 ……甘いものをたくさんご用意するわ、って。
 そう笑めば、返ってくる言の葉は勿論。
「へぇ、お菓子ぱーてぃねぇ。可愛い生徒からの誘いを断るわけにゃいかねぇな」
 サボリ……もとい、休憩にもうってつけな甘やかな誘いに応じないわけありません。
 そんな並んで歩きだした七結と十雉が到着するよりも、少しだけ早く。
 パーティーが開かれる教室へと向かっているのは、ふかふか毛皮のずんぐりむっくりな動物さん……!?
「コレならランドセルも似合いゐマショウ」
 いや、獣の姿で学園生活に臨む、志島・小鉄(文具屋シジマ・f29016)である。
 そんな小鉄はふと、前を行く見覚えのある後ろ姿を見つけて。
「ルーシー、ルーシー、待って下サレ」
 同じ様に終礼後、ランドセルを背負って向かっていたルーシーに追いつくべく。
 短い足で、ぽてぽてと走ります!
 そんなぽてぽて頑張る彼を、幾度も振り返りつつも。
「さあ小鉄さん、いきましょう!」
 ようやく追いついた小鉄に、こくりとひとつルーシーは頷いて。
「今日ハお菓子パーティーデス!」
 ランドセルを背負っている小学生同士、ぽてぽててくてく、並んで歩きます。
 そして子供らしく元気よく、ルーシーはがらりと、或る教室の扉を開けるけれど。
「こんにちわー! あれ……ルーシー達が一番乗りかしら?」
 教室の中は、まだ誰もいないがらんどう。
 仕方ないから小鉄と一緒に、書き書き宿題をして待つことに。
 けれど、程無くして。
 次に教室へとやって来たのは、朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)。
 そんなユェーに、ルーシーは挨拶した後。
「ダンシィーがソージしてくれなくて、女子みんなでセンセーに言いつけに行ったの」
 学園生活の報告を兼ねた雑談を。
 そんな彼女をひと撫でして。
「えぇ、ルーシーちゃん。掃除はきちんとしないとねぇ」
 ユェーは今度は、何となくランドセルを背負ってみせた小鉄へと視線を向けて。
「小鉄のランドセル姿もとても可愛らしいですね」
 ふかふか毛皮の彼も、優しくもふもふ。
 そんな、雑談や宿題をしていれば。
「コテツさんとルーシーさんはお早いのね」
 姿をみせたのは、七結と彼女に誘われた十雉先生。
「七結サン今日ハ」
 そうぺこり返した小鉄は彼女へと、わくわくこう続ける。
「早ゐでショウとも、楽しみで仕様が無かったノデス」
「七結さん、十雉せんせい、ごきげんよう」
 ルーシーもそうご挨拶すれば。
「お、ブルーベルは宿題かい。偉いなぁ」
 ……飴やろうか、って。
 そう、ちゃんと宿題する優等生には、甘いご褒美を。
 そんな十雉先生をキラキラした瞳で見上げて。
 ――いる!
 元気にびしっと挙手したルーシーは、貰った飴をコロリ、口に転がして。
「先生も一緒ニパーティーデスネ。皆で食べるトお菓子もモット美味しくなるノデス」
 小鉄も先生から飴ちゃんを貰って、ほくほく。
「七結ちゃん、生徒会長。いらっしゃい」
 そしてユェーは、聞かされたこれからの時間に、瞳をぱちくりさせながらも。
「おや? お菓子パーティー? ふふっ、いつも楽しい事を思いつきますねぇ」
 楽しい放課後の時間に、笑み零す。
 ――じゃ美味しい紅茶を淹れましょうか? って。
 けれど、紅茶を淹れるのは、まだ少し早いみたい。
 七結はきょろり、視線を巡らせて。
「マイさんとメリルさんは……、まだいらしていないよう。揃ってからユェーさんのお茶をいただきましょう」
「ゆぇパ……ゆぇ兄さまの紅茶? いいわね。早くみんな来ないかな」
 今淹れたら、ふたりが来る前に紅茶が冷めてしまうから……もう少しだけ、我慢。
 そして――同じ頃。
「う、メリルちゃんごめんね……」
 急いで階段を降りながら、しょぼんとメリル・チェコット(ひだまりメリー・f14836)に謝るのは、歌獣・苺(苺一会・f16654)。
 ふたりが遅くなってしまった理由、それは。
「私が森に住んでる黒のサラブレッドに乗って一緒に登校しようなんて言ったから、先生にバレて一緒に怒られることになっちゃった……」
 そんな苺に、ふるふると首を振るメリル。
「ううん、気にしないで。怒られちゃったけど、とっても楽しかったから!」
「メリルちゃん……」
「それにあの馬を乗りこなせるのは苺ちゃんだけだよ! あの馬に乗らなかったら遅刻してたもん」
 馬に二人乗りした上に遅刻までしてたらもっと怒られたよ、ずさーって門が閉まる直前に滑り込めてよかった! って。
 それに一緒に怒られるのも、何だか面白かった気もする……なんて、一瞬そっと思ったけれど。
「……でも! 今からはとっても素敵なお菓子パーティーだよ! ふふ! ようし! 教室まで競走~!」
「わーっ、苺ちゃん! 廊下走ったらまた怒られちゃうよー!」
 馬に乗ってなくても廊下を走ったら、生徒指導室のお説教に逆戻りです!
 けれど怒られないよう一生懸命、競歩くらいの速度に留めたから。
 ドタバタと音を立てつつも、苺とメリルも、皆が待つ教室へ。
 そんなちょっぴり激しい二人分の足音は、聞き覚えがあるから。
「いっちばー……はっ! みんな揃ってる……! よすが先生まで!」
「みんなそろってる! あっ、先生も!」
「苺、メリルさん、おかえりなさい!」
 苺とメリルへと、声を掛けるルーシー。
「学校はどう?」
 そんな問いに、メリルは笑みと共に返す。
「ふふ、今日も楽しかったよー。ルーシーちゃんはどうだった?」
「ふふ、ルーシーも」
 そしてそう笑い合うふたりを微笑まし気に眺めた後。
「噂をすれば、と云うものね。お待ちをしていたわ、おふたりとも」
 七結は揃った皆を見回して、嬉々と紡ぐ。
 ――ステキなお茶会をはじめましょう、って。
 そして自分たちが最後だと知って、手を合わせる苺。
「ご、ごめん! 馬で2人乗りして登校したの先生にばれちゃって……えへへ」
「歌獣とチェコットは馬で登校してんの? しかも2人乗りときた」
 ……懐かしいねぇ、先生も若い頃はヤンチャしたモンだよ、なんて。
 そう、ヤンチャしてきたあれそれを思い返す十雉先生に、メリルもご挨拶。
「先生、こんにちはっ。2人乗りはたまたま……そしたら見つかっちゃった。先生は、七結ちゃんが声掛けてくれたんだ!」
 そんなふたりの送れた理由に、ユェーと小鉄も瞳をぱちくりさせて。
「苺とメリルちゃんは一緒に登校だったのかい? ……おやおや、馬で登校ですか?」
「持って来たお饅頭ヲ先ニ食べ……馬デスカ」
 馬で登校はさすがに、一周回ってなかなか新しいかもしれない。しかも二人乗り。
 けれどそれぞれ、馬で登校したふたりに言葉を掛ける。
「何もしないで落ちたら大変ですよ? 次は気をつけてねぇ」
「馬ハ可愛いノデ良いデスヨ。わしは応援シマス」
 ええ、今度は見つからないように……!?
 そんな馬騒動の話などで盛り上がる中。
「調理実習で焼き菓子を仕立てたの。彩豊かで、とてもキレイでしょう」
 ――すてんどぐらすくっきー、と云うのよ、と。
 七結が差し入れたのは、キラキラ輝くキャンディーで彩られたステンドグラスクッキー。
「まあ、キレイなクッキーね! 食べるのが勿体ない位」
「わ! 美味しそうなお菓子……!」
「わあ、本当にステンドグラスみたい! すごいねすごいねっ」
「焼き菓子とても美味しそうですね」
 そしてクッキーと同じように、とりどり輝く皆の瞳。
「わしはこの様ナ菓子を初めて見マシタ。茶に合う良い菓子なのでせう」
 そんな小鉄の言葉に、ユェーはこくりと頷いて。
「ではそれにあう紅茶を用意しましょうね」
「ユェーくん、お茶ありがとう! 配るの手伝うねっ」
 皆も待ちに待っている、美味しい紅茶の準備を。
 そして、甘いものは彩り鮮やかなクッキーだけでなく。
「ルーシーは給食に出た袋菓子を持って来たの」
「私は動物型のちょこ、持ってきたよ!」
「あ、メリルもね、もってきたよ。いろんな動物のクッキー。お茶会が楽しみで、張り切って作りすぎちゃった」
「わしはお饅頭ヲ持って来マシタ」
「へぇ、豪華じゃねぇか。甘いもんはオレも好きだ。先生は飴でいいかい?」
 ずらりと並ぶ甘い物に、お菓子に合う美味しい紅茶。
 それを皆で、賑やかに味わいながら。
「ゆぇの紅茶もおいしいっ♪」
「いやはや、ほっとシマス」
 そう笑み零す苺や小鉄に、七結も頷いて。
「ユェーさんの紅茶はとてもおいしいわ。屹度、はじめての方も気に入ることでしょう」
 美味しい紅茶を頂くことも、勿論だけど。
 その一等美味しい紅茶をはじめて味わった時の、幸せそうに零れる笑みを見るのも楽しみだから。
 そして十雉も、良い香りがする紅茶をひとくち味わってみれば。
「へぇ、この紅茶は朧が。お前そういうの得意そうだもんな。ん、美味い。焼き菓子ともよく合うよ」
 そんな誉め言葉に、笑って返すユェー。
「おや、十雉先生は生徒想いでお優しいですねぇ。だからこの組のオモチャ……アイドルですねぇ。ふふっ」
「って今オモチャって言ったか? 言ったな?」
 ユェーはそれには敢えて返さずに、にっこりと笑んで勧める。
 ……十雉先生、お代わりいかがですか? って。
 そしてもぐもぐとお菓子を食べながら、苺は先程小鉄が言っていたことを思い出す。
「小鉄くんは馬好きなんだ!」
 そんな問いにこくりと小鉄は頷いてから。
 こう、続ける。
「今度ハわしも自慢の亀ニ乗り乍ら、菓子と茶ヲ飲んで登校しまショウ」
「はは、志島は亀に乗るって? 浦島さんみてぇになりそうだなァ」
 そう愉快そうに笑う十雉の隣で、瞳を瞬かせる苺。
「へ? 亀で登校……? ……早起きしなきゃだね……?」
「馬は怒られちゃったけど、亀は……ふふ、どうなんだろう? のんびりだから遅刻に気をつけてね」
 苺と一緒に馬に乗って怒られちゃったメリルも、小鉄へと言って。
「おや? 次は亀?? それは夜から出ないと大変ですね」
 ユェーも亀の歩みを思い返しつつ、そう紡ぐ。
 むしろ、乗らない方が早い気しかしない。
 そんな美味しくて楽しい時間は、何度も皆で過ごしているのだけれど。
(「何時もと違う場所で何時もの紅茶の香り。少しフシギ」)
 ルーシーは飲みなれているはずの紅茶を新鮮な気持ちで味わいながら、そっと瞳を細めて。
「あぁ、心が『幸せ』で満たされる……♪」
「やっぱ学生にゃこういった楽しみも必要だよなぁ」
「学校ハ楽しムものデス!」
 それから十雉は、先生らしく続ける
「成績に響かない程度にしとけよ? なんてな」
「ふふ、また勉強の息抜きに、お菓子ぱーてぃをしましょうね」
 ……その時はまたお付き合いくださるかしら。
 そう微笑む七結に、勿論すぐに全員が頷いて。
(「みんなとの時間、楽しくってあっという間」)
 メリルは笑み咲かせながらも思うのだった。
 ――明日からも勉強がんばろうっと、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

風切・櫻
【櫻夜】
普段の羽織姿で文学の教師に扮する
知人を尋ね図書室を訪れる

見つけた少女は本に夢中
ややあって顔を上げた彼女に応じ、微笑みを浮かべ――やあ、咲夜くん

内容を訊けば戀物語だと云う
そういった物語が好みなのかな?
然し、破壊しか知らぬか――嗚呼、まるで
否、それを意図はしていないだろうと打ち消して

いい人?
褒められるのは、悪い気はしないが。残念ながら縁が無い
――唯、嗚呼。彼女は自覚しているのだろうか

眼前に寄り、棚に手を付き見下ろす
「咲夜くん、先生はひとりの男性で、君はひとりの女性だ
 二人きりの時にそう言うことを言うものでは無いぞ?」

……
などと。小説にはこういう場面もあったのでは?
はは、いい顔が見れたものだ


東雲・咲夜
【櫻夜】
馴染みの濃紫の袴に
桜のレースストールを纏って
昼下がりの放課後
穏やかな図書室

奥まった棚の前
手にした本に何時の間にやら夢中になって
ふと、顔を上げれば……こんにちは、櫻センセ

本の内容を問われれば
浪漫ちっくな恋愛小説です、と
破壊しか知らへんかった少年が戀結ぶ物語
『僕は君を守る為に生まれたんだ。でも、それだけじゃない。
 僕は――』
読み上げる一節
嗚呼、素敵…

櫻センセはええひと居ぃひんの?
誠実で、格好ええ美しさで、
こないに素敵な殿方や…放っとかれへんやろ

降立つ聲に視線を上げれば
距離が、近く――
言葉も失い、一息に貌が火照る

逡巡
戸惑
懐疑

今のは、いったい…?

脳裏に焼き付いた彼の眸に囚われて
唯、動けずに…



 ひらりと桜が踊るのは何も、見上げる青空だけに限ったものではない。
 昼下がりの放課後、馴染みの濃紫の袴に身を包んだ東雲・咲夜(桜妃*水守姫・f00865)は、桜咲くレースストールをふわり靡かせながら。
 足を向けた先は、穏やかな時が流れる学園の図書室。
 いや、咲夜は勿論、この学園の本当の生徒ではない。依頼を受け、赴いているのだけれど。
 それは、普段の羽織姿で文学の教師に扮する、風切・櫻(ヤドリガミの剣豪・f01441)も同じ。
 彼の足もまた、図書館へと向いていた。知人を、尋ねるべく。
 そして静かな館内で、そっと黒の瞳を巡らせれば――奥まった棚の前。
 見つけた少女はどうやら、手にした本に夢中のようだ。
 けれどふとその顔が上がり、瑞々しい藍眸に彼の姿を捉えれば。
「……こんにちは、櫻センセ」
 そんな澄んだ桜貴姫の声に、微笑みと共に櫻は返す。
「――やあ、咲夜くん」
 そして彼は訊ねてみる。
 ……君を夢中にするその本は、どんな本なんだ? って。
「浪漫ちっくな恋愛小説です。破壊しか知らへんかった少年が戀結ぶ物語」
 それは、戀物語なのだと云う。
(「そういった物語が好みなのかな?」)
 それから、彼がふと心に思うことも知らず。
 柔らかながらも朗々と読み上げるられるのは、そんな戀物語の一節。
『僕は君を守る為に生まれたんだ。でも、それだけじゃない。僕は――』
 ――嗚呼、素敵……。
 そう漏れる吐息に、櫻はふと彼女を映した瞳を細める。
(「然し、破壊しか知らぬか――嗚呼、まるで」)
 けれどすぐに打ち消す。否、それを意図はしていないだろう、って。
 そして今度は逆に、咲夜が彼に問う。
「櫻センセはええひと居ぃひんの? 誠実で、格好ええ美しさで、こないに素敵な殿方や……」
 放っとかれへんやろ、って。
 そんな意外な言葉に、櫻は一瞬瞳を瞬かせるも。
「いい人? 褒められるのは、悪い気はしないが。残念ながら縁が無い」
 そしてふっと微かに落とす息。
 ――唯、嗚呼。彼女は自覚しているのだろうか、と。
 不意に眼前に寄った刹那……とん、と。
 図書館の奥――本棚に手を付き、咲夜を見下ろす櫻。
 それから彼女の耳を擽る様に、囁き紡ぐ。
「咲夜くん、先生はひとりの男性で、君はひとりの女性だ。二人きりの時にそう言うことを言うものでは無いぞ?」
 少しだけ乱れた、ふわり甘香る桜銀絲を整えながら。
 そんな突然降立つ聲に視線を上げれば。
(「距離が、近く――」)
 言葉を失ったかわり、一息に火照る貌。
 そして同時に心に生じるのは。
 ――逡巡。
 ――戸惑。
 ――懐疑。
 錯綜する、こんな感情たち。
 脳裏に焼き付いた彼の眸に、囚われて。
(「今のは、いったい……?」)
 唯、動けずに……目を逸らすこともできずに、そのいろに縛られたまま。
 けれど、ふっとそのいろが柔く変わって。
「……などと。小説にはこういう場面もあったのでは?」
 まだ動けずにいる彼女からそっと離れ、櫻は紡ぐ。
 ――はは、いい顔が見れたものだ、なんて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雪華・風月
櫻居・四狼の桜ノ匣庭ですか…
女中の方にも何人かファンがおられましたが、正直あまりわたしの好みの作風では…でしたね
もう少し派手な立ち回りがあるものや喜劇ものの方が…
まぁ、わたしの好みはともかく…その事件を起こそうとした影朧を置いとくことはできませんね
はい、雪華・風月。学園へ参ります


制服を借り受け生徒として活動を
ふむ、こういった制服を着るのは新鮮ですね

折角ですので、向かうのは学食へ
桜學府では無いものを頼み、鐘を待つとしましょう
ふむ、売店の桜菓子の方も良いですね…


おまかせ



 今回向かうは、桜舞う世界の学び舎だという。
 そこで事件を起こすと予知された人物。
 そんな彼の名や作品を、雪華・風月(若輩侍少女・f22820)は何度か耳にしたことがあった。
「櫻居・四狼の桜ノ匣庭ですか……」
 本屋に行けばずらりと並べられているのを見れば、人気なのは分かるし。
 身近にも、彼の作品を読んでいる者はいた。
 中には、国民的スタァかの如く、その整った容姿に黄色い声を上げる者も。
 ……けれど。
(「女中の方にも何人かファンがおられましたが、正直あまりわたしの好みの作風では……でしたね」)
 一度手に取ってみたが、風月の趣向とは合わない作風であったことは覚えている。
 繊細な情景描写や心の機微、恋愛模様に切ない心中……そんなものが色濃い彼の作品よりも。
「もう少し派手な立ち回りがあるものや喜劇ものの方が……」
 快活明快、動きのあるものや楽しいものが風月は好きなのである。
 とはいえ、小説は好みではなくても。
(「まぁ、わたしの好みはともかく……その事件を起こそうとした影朧を置いとくことはできませんね」)
 猟兵として、彼を放っておくことはできないから。
 ――はい、雪華・風月。学園へ参ります。
 借り受けた制服を纏い、生徒として活動を。
「ふむ、こういった制服を着るのは新鮮ですね」
 そう呟きながら、折角ですので、と。
(「桜學府では無いものを頼み、鐘を待つとしましょう」)
 向かうのは、学食へ。
 そして豊富なメニューに目移りしながらも、ふと顔を上げて。
「ふむ、売店の桜菓子の方も良いですね……」
 下校の鐘がなるまで、まだもう暫くあるとはいえ。
 学食に売店にと――迷う選択肢が、また増えてしまいました!

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、アヒルさん、どうしてくれなかったのですか?
これじゃあ、遅刻ですよ。
ふぇ、頼まれてないからって、いつもは勝手につついて起こすじゃないですか。
それも嫌ですけど。
それにしても、このままでは遅刻です。
何か方法はありませんか?

近道って、これは絶対道ではないですし、なんで恋?物語まで発動しているんですか。



 ……いや確かに、学園ものに遅刻はつきもの。
 むしろ、王道展開と言えるほどのイベントなのであるが。
 同じ、遅刻遅刻~! でも。
 慌ててダッシュするフリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)の瞳は、すごく涙目。
「ふええ、アヒルさん、どうしてくれなかったのですか?」
 ……これじゃあ、遅刻ですよ、って。
 そう抗議の視線を、すぐ傍らのアヒルさんへと向けるフリルだけれど。
 返って来たのは、こんな理由。
「ふぇ、頼まれてないからって、いつもは勝手につついて起こすじゃないですか」
 よりによって、転校初日から遅刻だなんて。
 明らかに、仄かな甘いものなどではなく、もっとおどおどしてしまう展開である。
 ……いえ、結構本気だし、すごく痛いので。
 勝手に鋭いくちばしでツンツンされるのも、嫌ではあるのだけれど。
「それにしても、このままでは遅刻です。何か方法はありませんか?」
 もう寝坊してしまったものは、仕方がないから。
 これからの事をと訊ねてみたフリルに、アヒルさんはある名案を閃く。
 ――それは!
 全力疾走による出会い頭の突進を生む、ユーベルコード!
 下り坂や追われている等の、加速する状況下だと威力が増す『衝撃?的な出会いから始まる恋?物語』は、時間に追われている遅刻寸前の今の状況に、ぴったり……!?
 けれどフリルは大きな帽子を押さえながら、ふるふると首を振る。
「近道って、これは絶対道ではないですし、なんで恋?物語まで発動しているんですか」
 果たしてフリルとアヒルさんは間に合うのか、はたまた恋は生まれるのか――それは誰にも、わかりません??

大成功 🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
【花守】
小洒落た書生風の格好で年甲斐もなく学生に紛れ、アヲハルって奴を謳歌へ――今日は!邪魔者抜きで!

しかも春の方からこっそり文で、ひと気の無ない校舎裏の桜の下にお呼び出しとか
コレはもうアレしかないよネ
そう、愛の――
いやココは何かあま~い感じのアレが始まるトコじゃないの??
待って、色々と誤解が…そういう迫り方はちがうっていうか…いや分かったぞ、さてはヤキモチだな?
ハイゴメンナサイ
いやでも春チャンはちょっと真面目過ぎると思うのヨ
折角の青春なんだし、もうちょっとこう遊びも覚えよ?
オレがその辺、指導を…

い~や~!ココまで来てそんな紙と見詰め合うなんて!
甘がつかないしょっぱい(涙目)だけの展開なんて!


永廻・春和
【花守】放課後
普段と違う楚々とした女学生の装いながらも、普段通り至って真面目に勉学と鍛練に励む日常を(既に思考が噛み合っていない)

本日の課題は、前々から募りに募っていた呉羽様への彼是をお伝えする事
あまり人前で告げるも憚られる為、ひっそりと校舎裏へ…と文を下駄箱へ

――はい、鬼の風紀委員として、(特に愛も血も涙もない)個別指導のお時間です
何やら他の学生さんに気安く声を掛け回ったり、勝手に屋上へ抜け出したりと、素行不良な言動が目立っていると聞きましたので
餅?おやつと戯言は後にしてください

(よく分からない発言はスルーし)
遊行もなりませぬ
貴方様には今から反省文と向き合って頂きますので(きっぱりばっさり)



 学び舎の場所こそ、いつもとは違うのだけれど。
 永廻・春和(春和景明・f22608)が送る日常は、何ら変わらず。
 普段と違う楚々とした女学生の装いながらも、普段通り至って真面目に勉学と鍛練に励んでいる。
 いえ……既に何だか色々と噛み合っていない気がするけれど。
 きりっとその瞳に宿るのは、本日の課題に対する使命感。
(「前々から募りに募っていた呉羽様への彼是をお伝えする事」)
 けれど、あまり人前で告げるも憚られる為と。
 春和が取った行動は、呉羽・伊織(翳・f03578)の下駄箱へと、したためた文をそっと。
 ……ええ、顔は整っているのだ。小洒落た書生風の格好も、容姿の面で言えばよく似合っている。
 そんな伊織は、年甲斐もなく学生に紛れながら。
(「――今日は! 邪魔者抜きで!」)
 やって来たかもしれないアヲハルって奴を謳歌するべく、今までにない軽やかな足取りで、ある場所へと向かっていた。
『ひっそりと校舎裏へ……』
 いや、これは自分が呼び出したわけではない。
 春和の方からこっそりと、文で呼び出されたのだ。
 ひと気の無ない校舎裏の桜の下に。
「コレはもうアレしかないよネ」
 もう、アレ意外考えられない。確実にアレに決まっている。
 ……そう、愛の――。
(「いやココは何かあま~い感じのアレが始まるトコじゃないの??」)
 何やらこの学園には、桜の木の下で結ばれると云々とか、花弁を掴まえるとどうだとか……そんな桜の噂話だってあるらしい。
 ――もう絶対、アレでしょ……!
 そんな期待しかしていない伊織が待ち合わせの校舎裏へと足を踏み入れれば、既に春和の姿が。
 そしていよいよ、お待ちかねのアレである。
「――はい、鬼の風紀委員として、個別指導のお時間です」
 特に愛も血も涙もない、鬼の風紀指導!
 春和はいつも以上にへらりと緩んでいるその顔を見遣りながら。
 びしっと指導にあたる。
「何やら他の学生さんに気安く声を掛け回ったり、勝手に屋上へ抜け出したりと、素行不良な言動が目立っていると聞きましたので」
「待って、色々と誤解が……そういう迫り方はちがうっていうか……」
 予想外のアレに、伊織は慌ててそう言うけれど。
 まだ夢見たい気持ち故に、こう続ける。
「……いや分かったぞ、さてはヤキモチだな?」
「餅? おやつと戯言は後にしてください」
「ハイゴメンナサイ」
 ますます深い溜息をつかれながら、あっさり謝るけれど。
 でもやはり彼女だって、アヲハル真っ只中なお年頃の乙女。
 だから伊織は、春和の為を思って、助言を。
「いやでも春チャンはちょっと真面目過ぎると思うのヨ。折角の青春なんだし、もうちょっとこう遊びも覚えよ?」
 ――オレがその辺、指導を……。
 けれどやはり、そんなよく分からない発言はさくっとスルーして。
「遊行もなりませぬ」
 びしっときっぱりばっさりと。
 春和が付きつけるのは――紙。
 勿論それは、甘ーい恋文などであるわけはなく。
「貴方様には今から反省文と向き合って頂きますので」
 ――い~や~! ココまで来てそんな紙と見詰め合うなんて!
 そう嘆くのも空しく、伊織は反省文を書くため連行されるのだった。
「甘がつかないしょっぱいだけの展開なんて!」
 やはりいつも通り、甘さの欠片も無い……しょっぱい涙目になりながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティル・レーヴェ
ライラック殿(f01246)と

用意された制服に身を包み
憧れの学園生活に眸を輝かせ
桜源郷の異名に相応しい様にも心が弾む

ライラックせんせい
桜とっても綺麗ですね!
せんせいの特別授業
わくわくします

教師然とする彼の様も新鮮で
口調も呼び名も慣れぬ響き
どきりとする裡悟られぬよう
生徒の顔に隠して

花逍遥兼ねた授業も
彼の課題も興味深く
景色楽しみ真面目に取り組めど
ふと過ぎった桜の謂れ

今此処で
満開の中結ばれる…のは難しくも
戀叶えの花弁は捕まえられるかしら
と跳ねて

見られた姿が面映く頬染め乍ら
彼の手に花弁が収まったなら
お礼を告げて
後で謂れを教えてあげよう

ねぇせんせい
授業後
質問に伺っていいですか?

長く傍にいたいと
本音は裡に


ライラック・エアルオウルズ
ティルさん(f07995)と

襟正して、国語教師として
ひとを導くのも初めてながら
縁遠い學園生活なるものに
何処か心浮き立つままに

ふふ、そう言って貰えると
趣向を変えた甲斐があります
――けれど、レーヴェさん?
燥いで、課題を忘れないよう

慣れぬ姿と慣れぬ詞
“先生”と呼ぶあどけなさ
どれもが愛らしく綻ぶばかり
『桜を眺めた時の想いを
 作文か俳句に纏めなさい』
貴方を眺めるばかりの僕こそ
そんな課題を忘れたようで

反面教師、此処に極まれり
密か含み笑いすれば
跳ねる姿に気付いて首傾ぎ

花弁が欲しいなら取ろうかと
謂れも知らぬまま、手伸ばし
収まる其れをてのひらへ

ええ、勿論
先生に答えられるものなら

惚けて延長するも良いかと
本心は裡に



 桜花弁舞う青空の下を並んで歩くのは、学園の制服に身を包んだ女生徒と彼女の先生。
 用意された制服に袖を通し、ひらり花弁のようにスカートの裾を躍らせるティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)の眸が輝いているのも当然のこと。
 憧れの学園生活、それに桜源郷の異名に相応しい景色にも、心弾むから。
 そんな彼女の隣でそっと襟正すのは、国語教師のライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)。
 ひとを導くのも初めてながら、學園生活なるものにも縁遠くて。
 けれどその心は、何処か浮き立つままに。
 彼女のためにだけ開くのは、桜舞う特別な野外授業。
「ライラックせんせい、桜とっても綺麗ですね!」
 ――せんせいの特別授業、わくわくします。
 そう耳に声届けば、思わず笑み零れてしまうけれど。
「ふふ、そう言って貰えると、趣向を変えた甲斐があります」
 でも今自分は、彼女の国語教師。
 ライラック先生はきりっと真剣な表情を宿し、こう続ける。
「――けれど、レーヴェさん? 燥いで、課題を忘れないよう」
 自分こそ燥いでしまいそうになりながら……油断するとつい笑んでしまうのを堪えつつも。
 ティルはそんな教師然とする新鮮な彼の様を見上げて。
 耳を擽るのは、聞き慣れているはずの声なのに――口調も呼び名も慣れぬ響きに、どきりしてしまう。
 けれど、そんな胸跳ねた裡を悟られぬように、ティルはそっとそれを隠す。生徒の顔と朧に咲く花霞の中に。
 でも慣れないのは、ライラックだって一緒。
 慣れぬ姿と慣れぬ詞……それに彼女の、“先生”と呼ぶあどけなさ。
 どれもが愛らしく綻ぶばかりで。
(「貴方を眺めるばかりの僕こそ、忘れてしまったようだ」)
『桜を眺めた時の想いを、作文か俳句に纏めなさい』なんて――彼女へと出した、課題すら。
 そしてティルは、花逍遥兼ねた授業も彼の課題も、興味深くて。
 彼と共に景色を楽しみつつ、真面目に取り組んでいたけれど。
 目の前でくるり踊る桜花弁を藤の眸にも躍らせながら……ふと過ぎったのは、桜の謂れ。
(「今此処で、満開の中結ばれる……のは難しくも」)
 ――戀叶えの花弁は捕まえられるかしら。
 そうぴょこぴょこ、手を伸ばして跳ねてみれば。
 ……反面教師、此処に極まれり、なんて。
 密か含み笑いしていたライラックは、ふと気が付き首を傾ぐ。
 目の前で何故か跳んでいる、その姿が映って。
 そして彼女のお目当てを察し、手を伸ばす。
「花弁が欲しいなら取ろうか」
 その謂れも知らぬままに――収まる其れをてのひらへと招いて。
 ティルはぴょこり跳ねていた姿を見られたことが面映くて、桜の花の如く仄かに頬染めるけれど。
 大きなその手に花弁が収まったのを見届け、差し出されたひとひらのお礼を告げてから。
 彼へと、こう訊ねてみる。
「ねぇせんせい。授業後、質問に伺っていいですか?」
 そんな彼女の声に、ライラックはこくりとすぐに頷く。
「ええ、勿論。先生に答えられるものなら」
 刹那鳴り始めるのは、授業の終わりを告げる鐘の音。
 ――惚けて延長するも良いかと。
 ――長く傍にいたいと。
 そんな本音や本心は、裡に留めたまま。
 そしてティルはそうっと彼を見上げながらも思う。
 課題を提出して質問しに行った時に、逆に先生に教えてあげようと。
 桜源郷に咲き誇る、桜の謂れを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『死んでいる……いったい誰がこんなことを!』

POW   :    機転と勘を働かせて犯人を捜す。「犯人はお前だ!」

SPD   :    現場の状況から犯人を推理する。「つまり君が犯人だ」

WIZ   :    遺体の状況から犯人を特定する。「このような殺しは、貴方にしかできません」

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※お知らせ※
 第2章プレイング送信の受付は、【9/19(日)朝8:31】より開始いたします。
 それ以前に送信された分は流れてしまう可能性が高いのでご注意ください。
 追加情報を記載したOPを受付開始前日迄に掲載いたします。
 送信締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください。
.
※訂正※
 第2章プレイング送信の受付は、【9/19(土)朝8:31】からです。
 19日土曜日の朝8:31から受付開始致します。
.

●帝都学園バカミス殺人事件
 事件の幕が上がるのは、下校のチャイムがなった、その時から。
 まだそれまで……もう少し、時間があるけれど。
 わくわくした気持ちを抑えきれず、彼――作家・櫻居・四狼であった影朧はそうっとある場所へと足を向ける。
 その場所とは。
『……あれ? 閉まるの早くない?』
「あ、今日は早めに閉館なんです」
 学園にいくつかある図書館のうちの、ひとつ。
 普段よりも図書館が閉まるのが早いのは、生徒教師職員等、学園関係者全てに、今日は早めに帰宅するようにと指示が出ているからである。
 影朧が起こすと予知された殺人事件に、巻き込まれないように。
 けれど特に何も疑問に持たず、作家は図書館司書に話し掛ける。
『ねぇ、櫻居・四狼の『桜ノ匣庭』って置いてある?』
「ええ、勿論! でも大人気で、櫻居先生の小説はどれも予約待ちになりますね。私も大好きです」
『まぁそうだろうねー』
 ちょっぴりえっへんと得意顔の作家に、図書館司書は続ける。
「短編集『桜ノ匣庭』の『帝都学園殺人事件』って、この学園がモデルって噂があるから……配属された時は、すごく嬉しかったんです」
『『帝都学園殺人事件』ねー。あれってファンの間でも賛否両論ある作品だけど、君はどう思う?』
「ネタバレだけ聞いたら確かにくだらなくて、本を壁に投げたくなるような仕掛けなんですけど……櫻居先生のすごいところは、読者を飽きさせない描写力と、バカバカしい有り得ないトリックに関してもフェアに伏線を散りばめていて、読み返しても納得しちゃう説得力じゃないかなと。ちょっと突拍子もない展開だけど、人物も魅力的だし」
『『帝都学園殺人事件』のトリック、ねー』
 司書の褒めまくりな感想に、上機嫌ににこにこ笑みながら。
 作家は、こう続ける。
『まさかびっくりするよねー。実は物語の舞台の学園が、この世界とは違う惑星だなんて。重力が違うから、バナナの皮や落とし穴でも致命傷になるってやつでしょ』
「言葉だけで聞いたらバカバカしいんですけれど……作品としての完成度は素晴らしいです」
『まぁ賛否両論あるのは仕方ないよね。でも、君はとっても優秀な司書だねー』
 ……だからあげるね! って。
 ふと懐から『桜ノ匣庭』の本を取り出し、表紙にさらさらっとサインを書いて手渡す作家。
 そしてにっこり笑んで、またねーっと満足げに図書館を去る。
 そんな、容姿の良い顔に宿る笑みに暫し見惚れていた司書だが。
「えっ、え? も、もしかして……さ、櫻居先生!?」
 去り行く彼の背中を見つめ、殺人事件のトリックを知った時よりも驚いた表情で固まってしまうのだった。
 それからすっかりご満悦な様子で、彼は学園中に仕掛けていく。
 バナナの皮だとか、落とし穴だとか、ドアに挟んだ黒板消しだとか、売店のメニューにそっと餅を加えたりとか……バカバカしい仕掛けを。
 けれども、ふと考えこむ。
『……重力を変えることは……ちょっと、できないなぁ』
 ……どうしよ、これじゃ死なないかもしれない。そう一瞬だけ、思うけれど。
 すぐに気を取り直し、追いバナナの皮を階段の途中にも置く。
『まぁ死んでなさそうなら、僕がさくっと止めさせばいいしねー』
 なんとも、ご都合主義であるが。
 けれどいくらバカバカしくても、影朧が殺人事件を起こそうとしているのは事実。
 しかも、うきうきと準備を続ける彼が萎えて逃げないよう、気取られぬように。
 まずは、何らかの手段で殺される必要がある。
 そんな、帝都学園バカミス殺人事件の幕が上がるまで――あと、もう少し。

●マスターより
 一応、バカミス……所謂「そんなバカな!?」というような連続殺人を影朧は望んではいますが。
 死に方は自由、要するに何でもアリです。
 お菓子食べ過ぎて喉につまった、好きな人やスタアを見て萌え死んだ、いきなり謎の集団催眠術にかかって殺し合う、ひとりが階段から落ちる際に巻き添えになってみんな死んだ、何でか知らないがいつの間にか死んでいた……等々、死んだフリさえしていただければ、勝手に設定生やしていただいても何でも構いませんし、逆にそうバカミスに拘ることもありません。
 常識のない迷惑行為、公序良俗に反する事でなければ、お好きに死んで頂けます。
 場所も、学園内でしたらどこでもご自由に。
 第2章は死んだフリをするまでとなり、影朧と対面するのは第3章になります。
 開始は、最終下校時刻のチャイムが鳴った時、日が落ち始めた頃です。
 その頃には、猟兵以外の一般人は全て下校が完了していますので、猟兵と影朧以外は誰もいません。
 普段だったら、そんなことじゃ死なないし!? みたいなことでも全然大丈夫です。
 とりあえず、死んじゃいました! というフリをしていただければOKです。
 その他に関しましては、OPやOP公開時のマスターコメントをご確認ください。
 送信締切等の連絡事項も、MS個別ページやTwitter等でお知らせ致します。
朧・紅
オズさん(f01136)と

オズさん知っているですか
学校にはなんとっ『七不思議』なる伝説があるらしーのですよ(神妙な顔

トイレに
花の子なる妖精さんが…!
いませんね?

夕暮れの廊下
足音に振り返るとテコテコなる妖怪が…!
オズさんがいました
ニコニコですねっ(にこっ
たしかにー
コワイ噂だった気がするですが
楽し♪

後は無い筈の階段が…
うや?
指さされた先

チョコレートですっ!
七不思議には無かったですが
ハッ

コレ第8の不思議では…!

ワクワク心が誘われた先は家庭科室

わぁ
お菓子の学校!
召し上がれって書いてあるの
そこゼリーです?
壁はウェハース!(ぱく
わ、ピアノかわいっ

ふふ学校8不思議も大したことな…
笑顔でパタリ

死因:たべすぎ


オズ・ケストナー
紅(f01176)と

ななふしぎ?
しんみょうな顔にこくりと頷き返し
がっこうのふしぎな伝説をおいかけて
たんけんかいしだっ

まずはトイレっ
ようせいさーん
しーん
顔合わせ
おでかけ中かな?

後ろを歩いて
クレナイが振り返ったらにこにこ
テコテコいた?
ふふ、たのしいんだもの
つぎはどこがふしぎ?

校長室に踊り場の鏡
音楽室も理科室も巡って
クレナイ、あれあれ
指さしたのは廊下に置かれた

チョコレートだっ
点々と置かれたお菓子を集めて

わあっ
すごい、おかしのがっこう?
添えてあったスプーンで池のゼリーをぱく
クレナイにもあーん
砂糖の桜も
飴の窓を開ければチョコのピアノもある
ぜんぶたべられるよっ

おいしいふしぎだねえ
完食したら
満足笑顔でぱたり



 窓の外に見えていた青空が、夕焼け色に染まる頃。
 ――キーンコーン、カーンコーン……。
 学園内に静かに鳴り響くのは、最終下校時刻を告げるチャイム。
 校庭で部活動に励んでいた生徒も、自習室で勉強していた生徒も、友達同士教室でお喋りしていた皆も。
 このチャイムが鳴れば、速やかに下校しなければならない。
 けれどこの日、チャイムが鳴り終わった後、まだ学園に残っている生徒は。
 そんなバカな! と思わず叫びたくなるような理由で……みーんな、死んでしまいます。
 それが『帝都学園殺人事件』――バカバカしくも奇妙な殺人劇の幕が今、あがる。

「オズさん知っているですか」
 本当はもう、帰らないといけない時間なのだけれど。
 敢えてまだ学園に残っているのは、朧・紅(朧と紅・f01176)。
 いや、下校時刻が過ぎた後でないと、意味はないのだ。
 紅は神妙な顔つきで、傍にいるオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)へと告げる。
「学校にはなんとっ『七不思議』なる伝説があるらしーのですよ」
「ななふしぎ?」
 学園に伝わる七つの不思議な噂話。
 この七不思議に出会うためには、下校時刻を過ぎた後でないといけないから。
 オズは紅の神妙な顔を見つめつつ、こくりと頷き返して。
「がっこうのふしぎな伝説をおいかけて、たんけんかいしだっ」
 いざ、ふたりで『七不思議』を追いかける探検に出発!
 まずやってきたのは、校舎の端にあるトイレ。
 そして紅とオズは呼びかけてみる。トイレにいると言われている、噂のあの子を。
「トイレに、花の子なる妖精さんが……!」
「ようせいさーん」
 ――シーン。
 返事はありません。
 そんな様子に、ふたり顔を見合わせて首を傾けて。
「いませんね?」
「おでかけ中かな?」
 今は妖精さん、いないみたい??
 そして次の七不思議を追うべく、夕暮れの廊下を歩いていた紅はハッと顔を上げる。
 背後から聞こえるのは、足音……!?
「足音に振り返るとテコテコなる妖怪が……!」
「クレナイ、テコテコいた?」
「オズさんがいました」
 いたのはテコテコではなく、ニコニコなオズ。
「ニコニコですねっ」
「ふふ、たのしいんだもの」
 その言葉に紅は、たしかにー、と頷く。
 自分もオズの言葉に、にこっと笑み返しているから。
「コワイ噂だった気がするですが、楽し♪」
「つぎはどこがふしぎ?」
 学園の七不思議は、コワイどころかわくわく楽しい。
 校長室には歴代の校長先生の幽霊が?
 踊り場の鏡を覗けば、そこに映ったのは……?
 音楽室で勝手に鳴るピアノに、理科室にいるのは動くガイコツさん?
 そんな学園の不思議を、きゃっきゃと巡って。
「後は無い筈の階段が……」
 そう紅が口にした、刹那。
「クレナイ、あれあれ」
 何かに気が付いたオズが指したその先を追えば。
「うや?」
「チョコレートだっ」
 廊下に置かれていたのは、チョコレート!?
 紅は、それをそうっと拾ってみて。
「チョコレートですっ! 七不思議には無かったですが」
 ハッと、あることに気付くのだった。
「コレ第8の不思議では……!」
 なんと学園の不思議は、実は7つだけではなかった……!?
 これは、追ってみなければなりません!
 紅とオズは、点々と置かれたお菓子を集めていって。
 わくわく心誘われながらも、辿り着いたのは――家庭科室。
 そこにあった、8つめの不思議とは!
「わあっすごい、おかしのがっこう?」
「お菓子の学校! 召し上がれって書いてあるの」
 美味しそうなお菓子でできた学校!
 けれど――この時のふたりは思ってもいなかった。
 これが、殺人犯が仕掛けた恐るべき罠であるということを……。
「あ、池はゼリーだっ」
「そこゼリーです?」
 添えてあったスプーンでオズが掬ったのは、中庭の池のゼリー。
 それをオズは、あーんと紅にもお裾分けして。
「壁はウェハース!」
「砂糖の桜や飴の窓に、チョコのピアノもある」
「わ、ピアノかわいっ」
「ぜんぶたべられるよっ」
 目の前の学園は、全部食べられる――甘くて美味しい学校!
 ……けれど、それをぺろりと完食したその時。
「おいしいふしぎだねえ」
「ふふ学校8不思議も大したことな……」
 ――パタッ。
 ――ぱたりっ。
 ふたりは同時に、その場に倒れ込んでしまう。
 そして……満足そうな笑顔でその場に倒れたふたりは、死んでしまったのだ。
 何という悲劇……いや、むしろ喜ばしい死に方??
 そう――ふたり揃って、たべすぎという死因で!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

平平・晴
ひゃわわっ、下校下校!
私、腐晴。掛け算大好き23…17歳(詐称)!
居残り補習ですっかり遅くなっちゃった…
私のバカ!グズ!ヘッポコイモムシ!

櫻の樹の下に佇むは学園ツートップの先輩イケメンズ
ッハーー超絶絵になる~と陰からこそり伺い見れば
見つめ合い唇重ねる二人…きゃあぁぁっ
この二人付き合ってるんだ成程理解

お前が櫻に攫われそうでとか櫻が見てるとか見せつけてやろうぜとか熱帯びた囁き声
ご免なさい櫻だけでなく私も見てますガン見ですすいません有り難うございます無理最高

幻朧桜に腐乱の嵐
滾る萌の桜吹雪が人生最大瞬間風速を記録した刹那意識は途切れ
噴出す涙混じりの鼻血で「尊い」と記しながら召されます

あ、死因は尊死です



 最終下校時刻のチャイムは、もうとっくに鳴り終わっているというのに。
 ――ひゃわわっ、下校下校!
 そうバタバタと駆けるのは、平平・晴(一般人・f27247)。
 いや、今の彼女は。
 ――私、腐晴。掛け算大好き23……17歳!
 詐称?? なんのことか、やっぱりわかりません!
 そんな夢晴はやっぱりダッシュしながらも、再びふうっとひとつ溜息を落とす。
「居残り補習ですっかり遅くなっちゃった……私のバカ! グズ! ヘッポコイモムシ!」
 だって仕方がない、脳内であんなシチュやこんなCPの掛け算で忙しかったから!
 そんな妄想フル回転な腐晴は、桜花弁が舞い降る夕焼けの中、ハッと顔を上げる。
 櫻の樹の下に佇むは――学園ツートップの先輩イケメンズ。
 しかも、ちょっぴり俺様な生徒会長と眼鏡の副生徒会長。生徒会ものとか、なにそれ王道!
(「ッハーー超絶絵になる~」)
 勿論、ばっちり脳内は●REC!
 ふたりの左右がどっちがどっちなのかなんて掛け算な妄想を巡らせつつ、そっと陰からこそり伺い見れば。
 満開の桜の下で結ばれた二人は幸せになれる――そんな噂のある木に、どんっ。
 壁ドンならぬ桜ドンをした後。
(「見つめ合い唇重ねる二人……きゃあぁぁっ」)
 ――この二人付き合ってるんだ成程理解。
 そして勿論、瞬きするのも惜しいくらい目も見開いているけれど、超絶耳をそばだてれば。
 聞こえてくるのは……熱帯びた囁き声。
「お前が櫻に攫われそうで――」
「……櫻が見てる」
「見せつけてやろうぜ」
 ――ご免なさい櫻だけでなく私も見てますガン見ですすいません有り難うございます無理最高。
 息継ぎ?? そんなのしている暇なんてあるわけないです!
 そして吹き荒れるは、幻朧桜に腐乱の嵐。
 滾る萌の桜吹雪が、人生最大瞬間風速を記録した刹那。
「……やばいやばい待って控えめに言って天使もうホント無理しんどい……ッ」
 溢れ捗るリビドーを抑えられず、ぷつりと途切れる腐晴の意識。
 そして安らかな気持ちで召されるのだった。
 噴出す涙混じりの鼻血で「尊い」と記しながら。
 そう――死因は尊死です!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
さて、今日は死ぬにはいい日じゃないかしら?

パンくわえた人とはぶつかることがなかったから、私がパンをくわえて校内を走るわよ(廊下は走ってはいけません)

そして階段に設置されたバナナの皮を盛大に踏む。
くるりと体が回転(袴は手で押さえます!)してくわえていたパンが飛んでいく。
咄嗟に階段にもう片手を突くと同時に飛んで行ったパンが階段の上においてあった荷物のバランスを崩して大雪崩。
雪崩に巻き込まれた女学生、あえなくお亡くなりになるというピタ×ラスイッチ状態が成立するわね。

[WIZ]
状況は荷物雪崩とバナナとパンよ。
つまりこのような殺しは学食で配膳している人にしかできないわ。
(パンは私が準備したことは忘れて)



 最終下校時刻の鐘の音を聞き終わった後。
(「さて、今日は死ぬにはいい日じゃないかしら?」)
 そんなことを思いながらも、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は、その手にパンを持っていた。
 ……いえ、パンをくわえて走ってくる人とコーナーでぶつかったりすることはなかったから。
「私がパンをくわえて校内を走るわよ」
 もう自分で走っちゃいます!? それ以前に、廊下は走ってはいけません!
 けれど、周囲に誰もいない放課後の学園。
 それに、走らなければ、角でぶつかるソレをできないから。
 ヴィオレッタは満を持して、はむりとパンをくわえた後、ちょっぴり控えめにダッシュしてみて。
 角を曲がれば、誰かとぶつかる――ことはなかったけれど。
「……!」
 瞬間、盛大に踏んだのは、階段に影朧が仕掛けたバナナの皮!
 袴を手で抑えつつも、くるりと体が回転。
 刹那、すぽーんと飛んで行く、くわえていたパン。
 ヴィオレッタは咄嗟に、階段にもう片手をつくけれど……悲劇の連鎖は止まらない。
 同時に、飛んで行ったパンが階段の上においてあった荷物のバランスを崩して大雪崩!
 そして女学生は哀れ――あえなくお亡くなりになってしまったのだ。
 からくり的なあのスイッチ状態が成立し、雪崩に巻き込まれて。
 それから薄れゆく意識の中、ヴィオレッタはこう推理を披露するのだった。
「……状況は荷物雪崩とバナナとパンよ。つまりこのような殺しは学食で配膳している人にしかできないわ」
 だから、犯人は……。
 ――ぱたり。
 此処で無念、事切れてしまうヴィオレッタ。
 ……パンは私が準備したことは忘れて、と呟きを落としながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨野・雲珠
ヨシュカくんと/f10678

あれをやります!
教室の扉をちょっとだけ開けて、
隙間に黒板消しを挟んで、開けたら落ちるあの仕掛け…
あ、念入りにクリーナーはかけておきます。

大成功……ってホギャーーー!!
ぶっ飛んできた生首を咄嗟に受け止めようとして
想像以上の衝撃に足を滑らせ後ろにすっ転び、
壁なり机なりに後頭部をごちん。
あっしまった、小枝がちょっとメキってなった
打ちどころが悪くそのままずるずる倒れて、
何故か学友の首を抱えて死ぬ生徒の図の完成です!

……。
…ヨシュカくん…
大丈夫ですよね?
静かですけど、ほんとに死んでませんよね?
頭とれてますけど…

(薄目)
(かっ開いた金色と目が合う)
(びくっとして目を閉じる)


ヨシュカ・グナイゼナウ
雲珠さまと/f22865


雲珠さまがアレの準備をしている間に
わたしは良い感じに死ぬ為の準備を

頭部がうまーく雲珠さまのお手元に届くように
【鋼糸】で細工をしておきましょう
頭に結んだ鋼糸をあそこの机の脚にでも通せば、手元の鋼糸を引っ張った時
良い感じに頭がポーンと飛んで行きそうですね
後は頭部と胴体の接続を緩めて置いて…人形って便利

題して、『落ちて来た黒板消しが頭に直撃した瞬間物理演算が暴走して生首吹っ飛び死』です

よーし、準備も出来たし死にましょう!
落ちて来た黒板消しにタイミングを合わせて…鋼糸をぐいっと
頭部が胴体から離れるその一瞬
あ、目を閉じ忘れてた。まあいいか!

(頭部離脱により意識の消失)



 最終下校時刻のチャイムが鳴る直前の教室に、いまだ残っている生徒の姿。
 念入りに黒板消しにクリーナーを掛けている、雨野・雲珠(慚愧・f22865)である。
 けれど彼が黒板消しを手にしているのは、日直であるからではない。
 これから展開される、ある意味壮絶で壮大な仕掛けの為。
 そして黒板消しが綺麗になった事を確認し、教室の扉をちょっぴりだけ開けて。
 雲珠は、そうっとそれを挟む。
 そう――扉を開けたら黒板消しが落ちてくるあの仕掛け!
 雲珠がそんなアレを仕込んでいる間に、ヨシュカ・グナイゼナウ(明星・f10678)も準備しておく。
(「わたしは良い感じに死ぬ為の準備を」)
 良い感じに死ねるような、計算尽くされたあれそれを。
 その手には、絡繰人形の操り糸を改造した鋼糸。
 頭にそっと結んだそれを机の脚にでも通せば、手元の糸を引っ張った時、きっと良い感じに飛んで行くだろう。
 ポーンと、うまーく雲珠の手元に――外れた自分の頭が。
(「後は頭部と胴体の接続を緩めておいて……」)
 ヨシュカはそう抜かりなく準備を進めながら思う……人形って便利、って。
 人形だから成せる大掛かりな殺人劇。
 そして、最終下校時刻を告げるチャイムが鳴れば――いざ、実行の時。
(「よーし、準備も出来たし死にましょう!」)
 ヨシュカはこくり雲珠と目を合わせ頷き合って。
 ガラリと、教室の扉を開けた、瞬間。
 ――ぼふんっ。
 ――ぐいっ。

 ポーン!!

「……!」
 なんということでしょう!
 黒板けしが直撃した刹那、頭部が胴体から離れ、勢いよくぶっ飛ぶヨシュカの首。
(「あ、目を閉じ忘れてた。まあいいか!」)
 頭部がポーンとなるその一瞬、ヨシュカはそう自分のうっかりに気付くけれど。
 いい感じに飛んだから、まぁどんまい!
 ミステリーというよりはホラーの絵面な気がしないでもないが。
 いえ……これは、黒板消しの悪戯から端を発する完全な殺人劇!
 そして飛んできた彼の首を、雲珠は咄嗟にしっかりキャッチ――かと思いきや。
「……ってホギャーーー!!」
 想像以上の衝撃に足を滑らせて、すてんっと後ろにすっ転んで。
 ――ごちんっ!
 教卓の角に、豪快に後頭部をぶつけてしまいました!
 ……いや、仕掛けも完璧な大成功! なのであるが。
(「あっしまった、小枝がちょっとメキってなった」)
 けれど今は、それを気にするわけにはいかない。
 瞬間、ずるりと崩れ落ちる雲珠の身体。なんという悲劇の連鎖。
 ぶつけた後頭部の打ちどころが悪くて、第2の犠牲者が出てしまいました……!
 そう――何故か学友の首を抱えて死ぬ生徒の図の完成です!
「…………」
 それから雲珠は、頭部離脱により意識消失している彼に思う。
(「……ヨシュカくん……大丈夫ですよね? 静かですけど、ほんとに死んでませんよね?」)
 頭とれてますけど……って。
 そう、そうっと薄目を開いて、手元をチラ見してみれば。
「……!?」
 ばちっと視線が合ったのは、かっ開いた金色の瞳。
 そんなホラー……いえ、完全なるミステリーな学友の死に様に、びくっと思わず身体を震わせるも。
 目を閉じてガクッと、自分も事切れる雲珠。
 そう――これは、れっきとした殺人事件!
 教室に横たわるのは、ふたつの学ランを着た生徒の死体。
 ……こんなことある?? ええ、現に惨劇は起きたのだから……!
 ということで、死因は。
 『落ちて来た黒板消しが頭に直撃した瞬間物理演算が暴走して生首吹っ飛び死』と。
 『吹っ飛んできた学友の頭を受け止めようとして足を滑らせて後頭部を打っちゃった死』です!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リリスフィア・スターライト
アドリブ可
UCで1人2役を演じる

●死体役
優しくお淑やかな人格のフィア

●目撃者役
明るく強気な人格のリリス
ツンデレ口調で話す

●現場
学園内の教会

●事件
銀猫のリンフォースが教会を見上げ、にゃあにゃあと騒ぐ
リリスが見上げるとステンドグラスに張り付けにされている
フィアの死体を目撃して悲鳴をあげる
フィアからは目立った外傷はなく
青ざめた表情で目を閉じ口からは血が流れた跡がある
床にはフィアが大事にしていた白熊のぬいぐるみが落ちていて
ナイフが突き立てられている
死因もどうやって死体を張り付けされているのかも
ぬいぐるみの意味もわからないと
リリスは小説のような説明口調で狼狽える
最後は銀猫の悲しそうな鳴き声だけが聞こえる



 最終下校時刻を告げるチャイムも鳴り終わった、夕焼け色に染まる学園の教会に。
 ――キャアァッ!!
 突如響き渡るのは、少女の……リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)の悲鳴。
 いや、悲鳴を上げたのは、明るく強気な人格のリリス。
 そんな強気であるはずのリリスが思わず悲鳴を上げた、その理由は。
「し、死んでる……!?」
 そう――青い瞳に映っているのは、ステンドグラスに張り付けにされているフィアの死体。
 銀猫のリンフォースが教会を見上げ、にゃあにゃあと騒いでいたから。
 その視線を、ふと追ってみれば。
 なんと、フィアが死んでいるのを見つけたのである……!
 いや、これは発動させたオルタナティブ・ダブルで一人二役……いえ、なんでもありません!
 それからリリスは、フィアの死体や周囲の状況へと目を向けてみる。
 フィアに目立った外傷はなく、その表情は青ざめていて。
 目を閉じ、口からは血が流れた跡がある。
 さらに床に落ちているのは、フィアが大事にしていた白熊のぬいぐるみ。
 その白熊さんには、突き立てられたナイフが。
 これは――どこからどう見ても、殺人事件です……!!
「でも、死因は一体? それにどうやって死体を張り付けに……ナイフの突き立てられたぬいぐるみの意味もわからない……」
 そう、まるで小説のような説明口調で狼狽えるリリス。
 それからふと、こうも思う。
 もしかしたら……自分にも、殺人事件の魔の手が迫っているかもしれない??
 ハッと顔を上げるリリスだけれど。
「……!!」
 刹那――にゃあん、と。
 最後に響き渡るのは、銀猫の悲しそうな鳴き声だけであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪華・風月
さて、下校時間ですね…
殺人事件が起こるとされてる時間…

演技は苦手ではあるのですが、最近身につけた秘技で見事殺人事件が起きたように偽装してみせましょう!


目の前にあるのは先程買い込んだ売店の桜菓子
此れを思う存分堪能し、ご馳走様と…

そして、背の竹刀袋に入れた紅蓮刀を解放し再封印
代償を受け机に倒れ込めばあたかも毒かなにかで殺されたように…


はい、完璧な演技です!
では、次の戦闘まで受けたダメージを癒すために少々仮眠を…
けふ…っ



 学食で桜學府には無いものを十分堪能して、売店の桜菓子もばっちり沢山買い込んだ。
 そんな学園生活を存分に謳歌していた、雪華・風月(若輩侍少女・f22820)であったけれど。
 刹那、学園中に鳴り響くのは――最終下校時刻を告げる鐘の音。
 さて、下校時間ですね……と。
 そう呟きながらも、風月はふとその表情を微かに変える。
 だってこれは――ただ下校時間を知らせるだけのチャイムではないのだから。
(「殺人事件が起こるとされてる時間……」)
 この学園で起こる惨劇『帝都学園殺人事件』の幕開けを告げるものでもあるのだ。
 ……演技は苦手ではあるのですが、なんて、そう心の中で思いながらも。
 決意した様に、風月はこくりとひとつ、大きく頷く。
 影朧を誘き寄せる為に必要なのは、殺人事件の被害者を装うことなのだというから。
 ――最近身につけた秘技で見事殺人事件が起きたように偽装してみせましょう! と。
 そんな風月の目の前にあるのは、先程買い込んだ売店の桜菓子たち。
 その甘さと美味しさを思う存分堪能し、ご馳走様と……手を合わせた後。
 おもむろに背の竹刀袋から取り出すのは、燃え尽きたような黒い鞘に収まった大太刀。
 そしてその赤い柄の妖刀・紅蓮刀を解放し再封印した――瞬間。
「……ッ!」
 ぱたりと、机に倒れ込んでしまう風月。
 まさか、先程食べた売店の桜菓子に毒が……!?
(「はい、完璧な演技です!」)
 いえ、紅蓮刀を使う度に蝕まれる代償を受けたその身は、あたかも毒かなにかで殺されたかの様で。
 きっとどこからどう見ても、毒殺死体に見えるに違いありません!
 そして倒れ伏した風月の意識は、みるみる遠ざかる。
(「では、次の戦闘まで受けたダメージを癒すために少々仮眠を……」)
 代償で受けたダメージを回復させるために、ちょっと休憩です!
 けれど瞳を瞑った風月は、演技に余念はない。
「けふ……っ」
 そう最後に抜かりなく呟いて。違う意味で、意識を失うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘスティア・イクテュス
【宙花】
教室を熱するダルマストーブ
机や椅子をどけて中央に座する炬燵
炬燵の上グツグツと煮える激辛餃子鍋…

ねぇ、澪…
こ れ な に ?
なんでわたし達このクソ暑い時期に我慢大会やってるの?


暑さで思考が霞む中、浮かぶのはこのナマモノに負けられないという対抗心
こっそりと澪の器にはタバスコを入れて、これで勝ちは確定ね…

さぁ、この激辛の汁をたっぷり吸った餃子+タバスコで葬ってくれるわ!
まぁ、わたしも辛いのは得意じゃないけど普通くらいの激辛ならね
倒れ伏した澪を見つつ優越感と共に食べましょう


口内を刺激する熱と辛味、そして暑さのトリプルパンチが意識を刈り取る…
そういえば、わたし達なんでこの学校に来たんだっけ(死)


栗花落・澪
【宙花】

はぁーちょっとお腹空いてきたなぁ
帰りにマックでも…おっとー何故かこんなところに炬燵と鍋がー(棒
…本当になんで?

結局何故か2人して炬燵にちょこんと入り
いや知らないよ僕だって聞きたいよ
暑いし熱いし刺激臭が…うわ絶対辛いやつだこれ

ただいつもなんだかんだ理由をつけて喧嘩売ってくるヘスティアさんの器に
いつもの仕返しのつもりでこっそりとタバスコをイン
向こうも同じ事をしてるとは気付かず…せめて牛乳くらい飲んじゃダメかな(遠い目

まぁでも外食はお金かかるし?
食費が浮くよやったーと喜ぶフリで覚悟を決めてぱくり

はい
僕辛いのダメなんですよねー言わないけどー!
とりあえずヘスティアさん許すまじ…(死)



 もうとっくに、最終下校時刻を告げるチャイムは鳴り終わっているのだけれど。
 学園の教室に残っているのは、見た目はふたりの女子学生。
 女子にありがちな、終わらぬ放課後のお喋りに興じている――のかと思いきや。
「ねぇ、澪……」
 ――こ れ な に ?
 ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は、そう聞かずにはいられない。
 だって、下校時刻を過ぎた学園の教室で、今。
「なんでわたし達このクソ暑い時期に我慢大会やってるの?」
 ふたりがしているのは――謎の我慢大会!?
「いや知らないよ僕だって聞きたいよ」
 いや……そう今、首をふるり振っている栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、確かに言った。
「はぁーちょっとお腹空いてきたなぁ」
 学園の一日が終われば、小腹もすいてくるもの。
 そして見た目は完璧な女学生である澪がその空腹を満たす場所と言えば、やはり定番のファーストフード店!
 ……かと思ったのだけれど。
 腹ペコな彼……いや、見た目彼女は見つけてしまったのだ。
「おっとー何故かこんなところに炬燵と鍋がー」
 棒読みな澪の言う様に……何でだか教室に設置されているのは、炬燵と鍋!?
 いや、ただ炬燵に鍋があるだけではない。
 机や椅子をどけて中央に座する炬燵の傍には、教室を熱するダルマストーブ。
 炬燵の上にグツグツと煮える鍋の中身は、激辛餃子鍋!
 そう――ヘスティアの言った通り、どこからどうみても、コレって我慢大会。
「……本当になんで?」
 何故でしょうか、ほんとうにわかりません(棒)。
 そしてこれまた何故か、結局素直に、炬燵にちょこんと入っているふたり。
 澪はそっと、ぐつぐつ煮えている鍋を覗いてみて。
「暑いし熱いし刺激臭が……うわ絶対辛いやつだこれ」
 もう、食べる前から分かるやつ。
 そんな澪と共に炬燵に入り、暑さで思考が霞む中。
 ヘスティアの心に生じるのは――このナマモノに負けられないという対抗心。
 そして鍋の中身に気を取られている澪の器に、しれっとタバスコを入れれば。
(「これで勝ちは確定ね……」)
 ――さぁ、この激辛の汁をたっぷり吸った餃子+タバスコで葬ってくれるわ!
 心の中で、高らかに勝利宣言+殺人予告!?
 けれど……殺人計画を目論むのは、何もヘスティアだけではない。
「……せめて牛乳くらい飲んじゃダメかな」
 ヘスティアさん、お箸取ってくれる? なんて、雑談をしつつもそう頼んだ隙に。
 いつもなんだかんだ理由をつけて喧嘩売ってくるヘスティアの器に、こっそりとイン!
 いつもの仕返しのつもりで、やっぱりタバスコを。
 そしてまさか、相手も同じ事をしているとは気付かずに。
「まぁでも外食はお金かかるし?」
 ……食費が浮くよやったー、って。
 喜ぶフリで覚悟を決めて――激辛餃子を、ぱくり。
「……!!?」
 刹那、思わず瞳を大きく見開いてジタバタする澪。
 いえ、言わないけれど……ただでさえ、実は辛いのはダメなのに。
 激辛の汁をたっぷり吸った餃子+タバスコは、まさに殺人的な辛さ!!
 ――ぱたり。
 そのあまりの辛さに、なんと澪は死んでしまいました!?
(「とりあえずヘスティアさん許すまじ……」)
 仕掛けられた、タバスコの罠に気付いて。
 けれど、時すでに遅し。辛さに倒れ伏し死んでしまったそんな澪を見つつ。
「まぁ、わたしも辛いのは得意じゃないけど普通くらいの激辛ならね」
 そう優越感と共に、激辛餃子をはむりと口にすれば。
「……!!」
 瞬間、ヘスティアを襲うのは――口内を刺激する熱と辛味、そして暑さ!
 そんなトリプルパンチに意識を刈り取られ、ぱたりと倒れ伏しながらも。
 死ぬ間際、ヘスティアは思うのだった。
 ――そういえば、わたし達なんでこの学校に来たんだっけ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロカジ・ミナイ
有/f00133

一服しに外へ出て
背中を喫煙スペースのレンガ壁に預けて
マッチで煙草に火を付け合って
どうだい?マッチの味は気に入ったかい?
僕は好きよ

そんな風に他愛のない会話をしながら
そうね、肘を壁について、君がよく見えるようにね
こっちへおいでって誘ってね
うんうん
何でって?学校と有ちゃんの組み合わせなんて一生見れないだろうから
目に焼きつけとかないと
君の事は、なるべく多くね

……うん?今この壁ミシッて言わなかった?
なんて確かめる間にも体が揺らいで

ああっ!?ああ!壁が、崩れ、ギャァァァ
有ちゃんあぶないっ、助け、

…と、まぁそんな感じで老朽化したレンガ壁の下敷きになって
僕らは仲良くお陀仏になるのだった


芥辺・有
ロカジ/f04128

外に出るとスッキリするな……
難しいモンないし
火をつけたあとのマッチをポイと灰皿に捨てて
火のついたタバコでダラダラ一服しながら
ああ……まあ、悪くないね
持ち歩くのが手間なことは残念だけど

?何
来いと言われりゃとりあえず近くに行って
ついでに壁に寄りかかる
棒立ちよりも壁にもたれたほうが楽だし
……そんなことかい?
まあこの先一生縁はないだろうけど
覚えるほどのことでもないだろ
怪訝な顔して壁に深くもたれて……

……あ?
何、って振り向こうとしたら後ろに傾く感覚がして
は?
なんて軽く驚いてる間にバラバラ落ちてくる壁の破片が視界に入る
そのまま落ちるレンガと一緒に埋まって
めでたく死体がふたつ完成かい



 いくら特別講義が意外と興味深くったって。
 小難しい本と睨めっこしたまま籠りっきりなのは、性にも合わないし、頭痛だって酷くなる。
「外に出るとスッキリするな……難しいモンないし」
 そう少々げんなり気味に落とされたのは、溜息交じりの芥辺・有(ストレイキャット・f00133)の声。
 学園の最終下校時刻を告げる鐘の音はとっくに鳴り終わったけれど。
 研究室に缶詰めで作業しなければならないことも珍しくはない助教授や大学生にとっては、全く関係のないもので。
 とりあえず一服と――やって来たのは、校舎の外に設置されている喫煙スペース。
 日が落ちかけの空の下、レンガ壁に身を預けて。
 ロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)が、そう何度目かの溜息をついた有へとおもむろに差し出したのは、シュッと擦ったマッチの炎。
 それを貰った有もお返しに、彼の煙草の先へと気怠げに火を向けて。燃え尽きたマッチをポイと灰皿へ。
 そして互いに火を付け合った煙草を燻らせ、夕焼け空を仰ぎ見る様に吐き出してはダラダラと一服。
「どうだい? マッチの味は気に入ったかい?」
 ……僕は好きよ。
 そう笑うロカジへと、ちらり視線を投げて。
「ああ……まあ、悪くないね」
 ……持ち歩くのが手間なことは残念だけど、なんて続けながらも。
 有は、肺に入れた煙を再び空へと吐き出す。
 ツンと微か残るマッチ特有の匂いと、いつもと何処か違う気がする煙草の味に、結構満更でもなさそうに。
 そんな風にふたり他愛のない会話を交わし一服しつつも。
 ロカジは壁に肘をつき、有へと視線を向ける……君がよく見えるようにね、なんて。
 そしてちょいちょい手招きして誘う。こっちへおいで、って。
「? 何」
 有は向けられた声に、ふと首を傾げるけれど。
 来いと言われりゃとりあえず近くに寄って、ついでに壁にトンと寄りかかる。
 ……棒立ちよりも壁にもたれたほうが楽だし、と。
 そんな誘いに応じてくれた様子に、うんうん、と満足気に頷いた後。
 まだ首を傾けたままの彼女に、ロカジはこう笑んで返す。
「何でって? 学校と有ちゃんの組み合わせなんて一生見れないだろうから」
 目に焼きつけとかないと……君の事は、なるべく多くね、って。
 そんなにこにこと笑むロカジの言葉に怪訝な顔して。
「……そんなことかい? まあこの先一生縁はないだろうけど」
 ……覚えるほどのことでもないだろ。
 そう有が、さらに壁へと深くもたれれば――。
「……うん? 今この壁ミシッて言わなかった?」
「……あ?」
 何、って――続けて振り向こうとした刹那。
 ミシミシ、ビシッと音が鳴ると共に、後ろへとぐらり傾く感覚がして。
 確かめる間にも大きく揺らぐ体。
 ――そして。
「ああっ!? ああ! 壁が、崩れ、ギャァァァ」
「は? ……!」
「有ちゃんあぶないっ、助け、」
 そう彼の声が聞こえたのが、最後。
 軽く驚いている間にも視界に入るのは、バラバラと落ちてくる壁の破片。
 そして哀れ……老朽化し崩れ落ちたレンガ壁の下敷きになって。
 ふたり仲良くお陀仏に――ふたつの死体が完成しましたとさ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

辰神・明
【KOR】
妹人格:メイで参加
ぬいぐるみ『ふーちゃん』と一緒

アヤネさんと、城島さん
とーっても仲良しさん、なんです、ね(ほわり)

えっと、メイも……
お手伝いさん、出来ないかな……?

(ぴこん!閃いた!)
あの、朱雀さん
良かったら、メイも隣で……お絵かき、いいです、か?
メイが描くのは、普通の動物さんの絵だけれど
その、かもふらーじゅ?になるかなって
似顔絵……ふーちゃん、じっとしてて、なのです

浮かび上がったら、あわあわ!?
えっと、たいぴんぐめっせーじ、考えなきゃ……!
床にそっと落下したら、
ふーちゃんと、一緒に倒れます……ね?

マ、マスク道とは……わ、わすれちゃっ……(ぱたり)


木常野・都月
【KOR】

(今回は、俺頑張らないと)

地の精霊様に頼んで、皆の足元に電磁場を作って貰って、いつでも重力操作出来るようにしておきたい。

(地の精霊様、よろしくお願いします)

慧華ちゃんのアイコンタクトが来たら、重力を操作して、全員、勿論俺も含めて打ち上げたい。
勿論、こっそり。

打ち上げ、ちょっと不安なので、UC【妖狐の通し道】で重力操作の不自然さをカットしたい。
妖気は3割程度。

着地は慧華ちゃんに任せます。

なんだっけ、こういうの、確か遊園地の、ふりーふぉーる……?
皆も俺も宙を舞ってる……。

無事地面に落下して、ホッとする。

え?死ぬ前に一言?
あっ……必死過ぎて……
何も……(バタリ)


朱雀・慧華
【KOR】
空飛んで死ぬのも楽しいのでは?
とりあえず乙女の死には準備がひつよーなので!

【指定UC】の【アート】を使って
魔力を込めた鉛筆で紙にお絵描きするよ!
皆の似顔絵とかー、景色とか!
後で拾えば思い出にもなるし?
メイちゃんも描こー!(きゃっきゃっ

描き終わったらその紙をばら撒く!
おーっと何も無いところで躓いちゃったー☆
(都月にアイコンタクト)

絵のある空間なら皆の体は思いのまま!
都月の重力操作による上昇後に浮遊力で皆をふわりと浮かせ
落下に見せかけて衝撃を抑えるね!

事件の時はだ…ダイビングメッセージ??
が定番って聞いたから、落ちた後指先に付けた赤い絵の具で書き残すね
もっとプリンがたべたか…(がくっ


城島・冬青
【KOR】

ふむふむ
バカっぽく死ねばいいんですね
いや、死ぬ?
以前心中の真似事をした際のアヤネさんの動揺っぷりが頭によぎる…
あー、やっぱり
まぁまぁこれは演技ですし
ギャグ時空のやらせみたいなものなので深く考えるずにこなしましょう?
大丈夫
次のコマには無傷で喋ってるやつですよ、これ

都月さんと慧華ちゃんの重力操作に任せ
それっぽく演技
これはいったい何だ?心霊現象か?!
叩きつけられる前にアヤネさんを庇おうとするも後頭部に愛用の木刀が直撃
いったー!!(目から星が飛んでガクリ)
うう、このまま意識を失う演技を続行します
え?図書委員に抱きしめられてるリア充死?
まぁそうともいいますね

都月さんと慧華ちゃんはお疲れ様ですよ


花屋敷・幽兵
【KOR】
空高く飛ばされて地面にいくのか。
トムとジェリーみたいだな。
取り合えずアヤネがうるさいな。クールビューティ何処行った。冬青と二人してコント風味。
オクはスパッツ履いてるから大丈夫?そうか…(?)
クロムは何かトラウマでも思い出したのか?…ほう、それは大変だな(放置)
都月と慧華には恨みがましいっぽい視線でも向けておこう。地味にこの二人が大変なんだよな。
おのれプリンたぬき…(混ぜた)首を変な角度に曲げて死因を演出。
明…マスク道とは…如何に面白おかしく死ぬかだ。
リア充…愛は死なないのだな(REC)そうだ…アヤネ…ヘタレずに攻めろ
そうだろサクラコさん…え、犯人は俺?(がくっ)


日隠・オク
【KOR】
ミステリー小説、読みたくなりました。
この難しいトリックが、みやぶれるでしょうか。
彼らの死因とは何か、事故か他殺か、謎があなたを襲う、のでした(こほん
ちょっと説明?してみたらしい
名探偵サクラコ先生、サクラコ先生の、事件簿……

スカートですが中にスパッツも履いてるので準備ばっちりです(頷き
任せてください!(どや)という顔を幽兵さんに向けている

自分の力ではない飛んでる感じが、良いと思います
(楽しそう
途中で止めてもらえるの分かってるので気楽です

地面に落ちたら死んだふり
さ、最後の言葉、言葉……ええと、「し、しにました」


アヤネ・ラグランジェ
【KOR】
ソヨゴが死んじゃうの、ヤダ
小学生のように膨れっ面で駄々をこねる

やらせ?
むー
説得されて不承不承うなづく

頭では理解できるけど感情はどうしようもない
ソヨゴが死んだら世界の終焉なのだから

重力操作とは大掛かりだネ
ソヨゴと手を繋いで
覚悟を決める

騒霊現象かも知れませんね
と飛ばされながら眼鏡きらり

墜落寸前につい抱きしめてしまう
それでも木刀に当たるとは器用だネ

まあこれで死ぬことは無いわけで安心

そう言えばソヨゴを心配するあまり自分が死んだフリを考えてなかった
やーらーれーたー
と口にして倒れる
一体誰に?そんなこと聞かないで


鏡彌・サクラコ
【KOR】
ふふふどんな謎でも名探偵サクラコはお見通しなのでいす!
オクちゃんのモノローグに反応しつつ
おっと今回は先生の役割でしたねい
校内を見廻りつつ何やらバンジージャンプめいたサムシングを嗅ぎつけて現場に到着でいす
クロムさまそれは銀の雨が

重力反転でいす!
ひゅーう!空に向かって落下する感覚なんてとても新鮮!
わーい遊園地の遊具みたいで楽しいですねい!
都月さま慧華さまさすがでいす

みなさまの着地が失敗しないように
UC発動
お盆じゃなくて銅鏡で着地の衝撃をこっそり和らげます

着地したら大袈裟に倒れ込んで
地面に
はんにんはゆーへい…
とダイイングメッセージを書きつつ
最後に…を入れるのは余裕があり過ぎたと反省でいす


クロム・エルフェルト
【KOR】事務仕事最後の巡回。私が通ったのは『寺子屋』だけど、運動場は何処か懐かしい気が。
こう、七不思議とか……ゴースト、タウ……?ンん、頭痛が。
心配してくれる花屋敷さんには「大丈夫……ちょっと、持病の走馬灯が」と返事。

皆の居る場所に向かい、明さんと慧華さんの可愛らしいお絵描きをほんわり見守りつつ合図を待つ。
飛ばされたら、大袈裟に「そんな、馬鹿な?!」という表情。
や、出来るよ?普段はしない顔だけど――あ、不味い。表情筋が攣りそう。
叩きつけられる瞬間はこっそり受け身で衝撃を逃しつつ、大きな音を立てて「打ち所悪かった」演出。
朦朧とする演技をしながら「助けて……ますくど、ひーろー(がくっ)」



 最終下校時刻を告げる鐘の音が鳴り響くまで、あともう少し。
 この鐘の鳴り響いた後、次々と起こってしまうというのだ。
 学園を舞台とした、凄惨な殺人事件が。
 ――この難しいトリックが、みやぶれるでしょうか。
「彼らの死因とは何か、事故か他殺か、謎があなたを襲う、のでした」
 語り手・日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)がこほんと告げるのは、これから始まる殺人事件のモノローグ。
 その、ちょっと説明してみたらしい言の葉に反応するのは、鏡彌・サクラコ(鏡界に咲く花・f09974)。
 ……いいえ!
「ふふふどんな謎でも名探偵サクラコはお見通しなのでいす!」
 名探偵サクラコ!? ……でも、良いのですけれど。
(「おっと今回は先生の役割でしたねい」)
 今は名探偵だけでなく、先生でした!
 ということで、多分こうです。
「名探偵サクラコ先生、サクラコ先生の、事件簿……」
 ……ミステリー小説、読みたくなりました。
 そう今度読んでみようと思いながらも言ったオクの言葉通り――名探偵サクラコ先生の事件簿!?
 そんなサクラコ先生や皆と校舎を巡るのは、クロム・エルフェルト(半熟仙狐の神刀遣い・f09031)。
 事務仕事最後の巡回を行なう中、クロムはふと誰もいなくなった運動場へと目を向けながらも思う。
(「私が通ったのは『寺子屋』だけど、運動場は何処か懐かしい気が」)
「こう、七不思議とか……ゴースト、タウ……?」
 七不思議に辿り着いた新聞部とか、最強メンバーだと言われた全盛期の野球部とか……?
「クロムさまそれは銀の雨が」
「ンん、頭痛が……!」
 これ以上は諸事情で何故か思い出せませんし、なんのことかさっぱりわかりません!
「クロムは何かトラウマでも思い出したのか?」
 謎の頭痛に見舞われるクロムにそう声を掛けるのは、花屋敷・幽兵(粗忽なダークヒーロー・f20301)。
 そんな心配してくれる幽兵に、ふうっとひとつ溜息をついた後、クロムは返す。
「大丈夫……ちょっと、持病の走馬灯が」
「……ほう、それは大変だな」
 そして適当に返事しながらも、彼女を放置する幽兵であった。
 ――そんな何でもない雑談を話していた、その時。
「……!」
 サクラコ先生が嗅ぎつけたのは、何やらバンジージャンプめいたサムシング。
 そして到着した現場は――学園の屋上。
 そこには、数名の生徒の姿があった。
 そんな中、着々と密かにある計画の準備を進めているのは、朱雀・慧華(純真天使・f17361)と木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)。
 まさか、壮大な殺人計画!?
 いえ……ある意味、殺人計画と言えばそうではあるのだが。
 ――空飛んで死ぬのも楽しいのでは?
(「とりあえず乙女の死には準備がひつよーなので!」)
 慧華が着々と進めるのは、空飛んで死ぬ準備!?
(「今回は、俺頑張らないと」)
 そして都月が、よろしくお願いします、と。そっと頼みごとをするのは、地の精霊様。
 そう……都月も、慧華と一緒に、空飛んで死ぬ準備中!
 けれど、殺人は殺人でも。
 ――皆の足元に電磁場を作って貰って、いつでも重力操作出来るようにしておきたい。
 これは影朧を欺くための、違う意味での偽装殺人計画。
 そして現場に駆けつけた幽兵が、都月と慧華のふたりに向けるのは……恨みがましいっぽい視線!?
(「空高く飛ばされて地面にいくのか。地味にこの二人が大変なんだよな」)
 これも殺人劇の演出のひとつみたいです。
 そんな、仲良く喧嘩するような展開かの如く死ぬ準備をふたりが進める中。
 幽兵が次に視線を移したのは、オク。
 だって女学生のオクが今着ているのは、ひらひらスカート。
 けれど大丈夫です! 
「スカートですが中にスパッツも履いてるので準備ばっちりです」
「オクはスパッツ履いてるから大丈夫? そうか……」
 ――任せてください!
 そう、どや、という顔を幽兵に向けるオクも、空を飛んで死ぬために抜かりはありません。
 いえ、これは殺人事件の被害者になって死んだフリをするだけ。
 しかもバカミスなので、なんでもアリ……なのだけれど。
(「ふむふむ。バカっぽく死ねばいいんですね」)
 イケメン風紀委員こと城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)は、そんなバカな! という死に方をするため、皆と共に屋上にいたが。
 ――いや、死ぬ?
 ふと瞬間思い返すのは、あの日のこと。
 ……以前心中の真似事をした際のアヤネさんの動揺っぷりが頭によぎる……なんて、思っていたら。
「ソヨゴが死んじゃうの、ヤダ」
「あー、やっぱり」
 いつもはクールなアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)……いえ、清楚な図書委員長が、ヤダヤダ、と。
 小学生のように膨れっ面で駄々をこねている。
「取り合えずアヤネがうるさいな。クールビューティ何処行った」
 幽兵も思わずツッコミを入れてしまうほど、クールビューティが行方不明なアヤネ。
 そんなゴネてぶんぶん首を振る彼女へと、冬青は宥める様に言って聞かせる。
「まぁまぁこれは演技ですし、ギャグ時空のやらせみたいなものなので深く考えるずにこなしましょう?」
「やらせ?」
「大丈夫、次のコマには無傷で喋ってるやつですよ、これ」
 そう説得されて、むーと唸りつつも、アヤネはようやく不承不承頷くけれど。
 ……頭では勿論、理解できるのだ。
 理解できるのだけれど……感情は、どうしようもない。
(「ソヨゴが死んだら世界の終焉なのだから」)
 そんな、まさに世界の終わりみたいな顔をしているアヤネと冬青の二人のやり取りを見守る幽兵。
 ……二人してコント風味、と。
 そして二人の姿を交互に見上げながら。
「アヤネさんと、城島さん。とーっても仲良しさん、なんです、ね」
 ふーちゃんをぎゅっと抱っこしてほわりと笑むのは、辰神・明(双星・f00192)。
 それからきょろりと視線を巡らせて。
(「えっと、メイも……お手伝いさん、出来ないかな……?」)
 色々と準備をしている皆の姿を見つめていた明であったが。
 ……ぴこん! 閃いた!
 そしてとことこ駆け寄るのは、お絵描きをしている慧華の元。
 いや、慧華が描いているのはただのお絵描きではない。
(「皆の似顔絵とかー、景色とか! 後で拾えば思い出にもなるし?」)
 それはまさに『具現化される夢』――実体のある対象ごと浮遊させる能力を描き出すユーベルコード。
 れっきとした、死ぬ準備の一環なのだけれど。
「あの、朱雀さん。良かったら、メイも隣で……お絵かき、いいです、か?」
「メイちゃんも描こー!」
 紙に筆をさらさらっと筆を走らせながらきゃっきゃっとはしゃぐ慧華の隣に、明とふーちゃんもちょこんと座って。
 一緒に、お絵描きタイム!
(「メイが描くのは、普通の動物さんの絵だけれど。その、かもふらーじゅ? になるかなって」)
 それから、皆の顔を描いている慧華を真似てみて。
「似顔絵……ふーちゃん、じっとしてて、なのです」
 んとんと……って、一生懸命、ふーちゃんの姿を紙に描き描き。
 そんなお絵描きする慧華と明の可愛らしいお絵描きを、クロムはほんわり見守りつつ。
 ふと鳴り始めた最終下校時刻を告げるチャイムを聞きながら、待つのだった。
 仲間から出される、バカミス……いえ、惨劇の幕開けの合図を。
「できたよー!」
 慧華がそう声を上げた刹那ー―ばさばさーっと空へと舞うのは、お絵描きされた紙たち。
「おーっと何も無いところで躓いちゃったー☆」
 そしてさり気なく視線を合わせた都月に、ぱちりとウインク。
 そんな慧華のアイコンタクトに、こくりと頷いて。
「……っ!」
 都月が操るトリックは、小説『帝都学園殺人事件』よろしく――重力!
 屋上にいる者達、勿論彼自身も含めて……みーんな、空へと打ち上げます!
 勿論、犯行がバレてはいけないから、こっそりと。
 いや、やりすぎてしまったらと不安なので『妖狐の通し道』をそうっと使用して。
 大掛かりな仕掛けなので、成功の代償を受けた妖気は3割程度。
 重力操作の不自然さもこれでカットの一石二鳥。
 ということで。
 ――そんな、馬鹿な!?
 いきなり空へと飛ばされて、尻尾も耳もぴこぴこ、さらには驚愕の表情を浮かべるクロム。
(「や、出来るよ? 普段はしない顔だけど」)
 いつもは、感情が表情には余り出ないけれど……でも、やろうと思えばできるのです!
(「――あ、不味い。表情筋が攣りそう」)
 ちょっと、顔がぴくぴくしているけれど。
「これはいったい何だ? 心霊現象か!?」
「騒霊現象かも知れませんね」
 図書委員長なアヤネは、それっぽく演技……いや、驚きの声を上げる風紀委員の冬青と、確りと繋いだその手を離さずに。
 飛ばされながら、眼鏡きらり。
(「重力操作とは大掛かりだネ」)
 冬青が死んでしまうなんて絶対嫌だし、そうなればアヤネにとっては世界の終焉であるが。
 都月と慧華の重力操作に身を任せながらも覚悟を決め、冬青や皆と一緒に、空へと投げ出されて。
 明もふーちゃんを抱きしめながら飛ばされて、あわあわ!?
 いや、これは大掛かりな殺人トリック……のはずなのだけれど。
「わーい遊園地の遊具みたいで楽しいですねい!」
 ――重力反転でいす!
 そう、めっちゃ楽しそうなサクラコに。
「ひゅーう! 空に向かって落下する感覚なんてとても新鮮!」
「自分の力ではない飛んでる感じが、良いと思います」
 オクもこくり頷き、同じく楽しそう。
 けれど楽しいと思えるのは、ちゃんと分かっているから。
(「都月さま慧華さまさすがでいす」)
(「途中で止めてもらえるの分かってるので気楽です」)
 ――絵のある空間なら皆の体は思いのまま!
 都月の重力操作による上昇後に、浮遊力で皆をふわりと浮かせて。
(「落下に見せかけて衝撃を抑えるね!」)
 慧華が、みんなの着地の安全をばっちり担います!
「なんだっけ、こういうの、確か遊園地の、ふりーふぉーる……?」
 ――皆も俺も宙を舞ってる……。
 重力操作をしたのは、誰でもない自分なのだけど。
 仕掛け人のひとりである都月も、何だか不思議な遊園地気分。
 そしてさらに、皆の着地が失敗しないようにと。
 サクラコが着地の衝撃を和らげるべくこっそりと成すのは、お盆……ではなくて、いくつもの銅鏡。
 そんなお膳立ても完璧な中、墜落寸前に。
「……!」
 つい冬青を抱きしめてしまうアヤネ。
 冬青も地に叩きつけられる前に、アヤネを庇おうとするけれど。
 ――ガツンッ。
「いったー!!」
 後頭部に直撃したのは、愛用の木刀!
 その衝撃に、思わず目から星が飛ぶけれど。
 ――ガクリ。
 うう、と唸りたい気持ちのまま、意識を失う演技を続行する冬青。
 いや、しっかり抱きしめて庇ったのだけれど。
(「それでも木刀に当たるとは器用だネ」)
 そう、明らかに痛いのを必死に我慢する様子を見つめ、そっと瞳を細めるアヤネ。
 ――まあこれで死ぬことは無いわけで安心、って。
 そんな思わぬ衝撃はあったものの。これはどう見ても、あれです。
(「え? 図書委員に抱きしめられてるリア充死?」)
 じんじんする後頭部の痛みに堪えながら、自分を抱きしめて死んだフリをする図書委員長を薄目で見つつ。
 冬青は小さく頷く……まぁそうともいいますね、って。
(「リア充……愛は死なないのだな」)
 そんなふたりのリア充死をちゃっかり●RECしつつも。
(「そうだ……アヤネ……ヘタレずに攻めろ」)
 幽兵は心の中でそう、サムズアップ。
 そして、地面に無事落下すれば。
「おのれプリンたぬき……」
 色々混ぜた最期の言葉を呟いてから、ごきっと首を変な角度に曲げて死にました!
 そう――被害者が死ぬ間際に残す一言。
 都月は無事地面に落下して、ホッとしたのも束の間。
(「え? 死ぬ前に一言? あっ……必死過ぎて……何も……」)
 重力操作に気を取られ、考えてなかったから。
 ――バタリ。
 とにかく死にました!
 そして、そっと地に落下して。
 ふーちゃんと一緒にこてんと倒れた明と。皆をふわり着地させた後、自分もぱたんと倒れた慧華も。
(「えっと、たいぴんぐめっせーじ、考えなきゃ……!」)
(「事件の時はだ……ダイビングメッセージ??」)
 必死に、たいぴんぐ……ダイビング……なんかそんな感じのメッセージを、うーんうーんと考えて。
「マ、マスク道とは……わ、わすれちゃっ……」
 ――ぱたり。
 そう、ふーちゃんを抱いたまま事切れた明の隣で。
『もっとプリンがたべたかっ……』
 ――がくっ。
 指先に付けた赤い絵の具……いえ、多分きっと血だろう赤でそう書き残し、死んでしまった慧華。
 そしてさっき死んだはずの幽兵は心の中で答える。
(「明……マスク道とは……如何に面白おかしく死ぬかだ」)
 おかしな方向に首を曲げたまま。
 いや、死の間際にマスクに思いを馳せるのは、何も明や幽兵だけではない。
 衝撃は仲間の能力で和らいではいるけれど。
 叩きつけられる瞬間、こっそり受け身で衝撃を逃しつつも、大きな音を立てるクロム。
 わぁ、打ち所が悪かったみたい……!
 そんな演出をしながら、朦朧とする意識にふらつくように上体を揺らして。
「助けて……ますくど、ひーろー」
 ――がくっ。
 クロムもきっちり、死んじゃいました!
 オクも、地面に落ちて死んだふりをするその前に。
(「さ、最後の言葉、言葉……ええと、」)
 ちょっぴり慌てながら、がくりと倒れ込んで口にする。
「し、しにました」
 はい、オクもしんじゃいました!
 そんな次々と死んでいく皆を薄目で見ながらも。
(「都月さんと慧華ちゃんはお疲れ様ですよ」)
 冬青は、今回の大掛かりなトリックを実行してくれたふたりをリア充死しながらも、そっと労って。
 そんな彼女……彼? と一緒に倒れたアヤネはふと気付く。
(「そう言えばソヨゴを心配するあまり自分が死んだフリを考えてなかった」)
 それから少し考え、こう口にする。
「やーらーれーたー」
 ……やられたって、一体誰に? そんなこと聞かないで。
 けれども、思い出して欲しい。
 これは、名探偵サクラコ先生の事件簿……だった気がするから。
 サクラコ先生は、くるくる回ってばたん、大袈裟に倒れ込んだ後。
 地面に、決定的な証拠を書き綴るのだった。
 ――はんにんはゆーへい……。
(「最後に……を入れるのは余裕があり過ぎたと反省でいす」)
 そう、反省しながらも。
 そしてさっき死んだはずの幽兵はそんな驚愕の事実に、ちょっぴりだけ息を吹き返して。
「……え、犯人は俺?」
 ――がくっ。
 また、ちゃんと死にました!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蘭・七結
【彩夜】

ぱりんと割れる硝子
透明な破片が反射して眩しいこと
皆さんが黒馬さんに気を取られているうちに
ちょっぴり悪戯をしましょうか

催眠薬の粉砂糖をふわりと振り撒いて
甘くて刺激的な焼き菓子に早変わり
ちゃぽん、と鳴った音には気をとめず
向かい合うふたりを見て笑みを溢す

黒い色眼鏡を掛けたなら
気分はまるで悪役だわ

あらあら、まあまあ
あのプリンは何方の手に渡るのかしら

刺し違えを高みの見物
少し冷めた紅茶を飲み干せば、くらくらり
なんて甘ったるい紅茶
……もしや、先程の音は

まさか、まさか
催眠薬のお砂糖を紅茶に落としていただなんて…!
途端に毒が回って机上へと伏す
知らぬ間に死屍累々だわ

惨劇の結末は、黒馬の御姐さまのみぞが知る


宵雛花・十雉
【彩夜】
なんだ!?
歌獣がパンケーキに食われたぞ!?
ま、まさかこれが学園七不思議の一つ、人食いパンケーキ…!

その時、硝子の割れる派手な音と暴れ馬が
思わず目もそっちに向いて
その間に何か企む者がいても気付かない
あ、けど動物同士の追いかけっこはちょっと可愛い

って、殺し合いなんてやめろよ2人とも!
プリンならオレのをやるから…へぶっ!?
チェコットとブルーベルの仲裁に入ろうとして
フライパンでぱこーんとやられ後ずさったところへ
偶然通過したサラに跳ね飛ばされてテーブルにぶつかり、そのまま倒れる
真っ赤な血…もといイチゴジャム塗れになりながら

意識を手放す直前に見えたのは蘭の黒い笑み
そして黒衣の男
お、お前だったのか…


ルーシー・ブルーベル
【彩夜】

クッキーをメリルさんと分けっこ
とってもおいしいかった!はずなのに
楽しいお茶会は突然お馬さんが入って来て終わりをつげるの

あっ、小鉄さんが!
踏むお馬さんは何だか得意げ……楽しそうね?
ああ、苺
パンケーキは食べるもので食べられてしまうものでは

その内に頭がくらり
何かが囁いてくる
ころせと
これは、さいみんやく……?
七結さん
そのメガネは一体……まさか

ーーそうよ、ゆるさないわ
れいぞうこのなかのプリンは、ルーシーのなんだから……!
包丁(刃が戻るオモチャ)片手にメリルさんへかけゆく
十雉先生はだまって!
これはルーシーとメリルさんと
プリンの問題よ!

うわーやられたー
ぱたり

最期に見たのは
ブラックティー、マン……?


歌獣・苺
【彩夜】
むぐむぐ…おいしー♪
(頬にいっぱいお菓子を詰め込み)

…?…!?(2度見)
あ、あんな所にとっても大きな
パンケーキ…!?
わわ…美味しそう…!
(ふらふらと導かれるように
パンケーキの方へ)

わぁ…!
いっただっき…(ばくん!とパンケーキに食べられ脚と尾だけ出ている)

ーーーパリィン!

サラ:ブルルッ!(マイ!迎えに…ってマイ!?なんてこったい!アタイの愛弟子が!)
ブルッ!(そこの毛むくじゃら!アンタがマイを殺ったんだねっ!?覚悟しなッ!)

(小鉄を追っかけ
パンケーキの横でついに踏みつけに成功)

…ブルルルッ!(…おや、アンタなかなかいい毛並みしてんじゃないか。気に入ったよ。)(とてもご満悦でふみふみ)


朧・ユェー
【彩夜】

馬の乱入でパーティーが終了を告げる。
パンケーキに挟まれる苺に馬に踏まれて倒れる小鉄さん

ルーシーちゃんとメリルちゃんが突然刺し合い
それを止めようした十雉先生がテーブルの角で倒れる

その悪戯に成功した七結生徒会長は優雅に紅茶を飲み毒へと侵される

おやおや、これはこれは
笑みを浮かべ後、チッと舌打ちをする
嗚呼、俺の紅茶の毒で全員殺すつもりだったのに
自分の姿が白が黒へと変わる

誰も誰もが白い方の紅茶が美味いと云フ
俺の紅茶の方が美味いに決まってる
白をせっかく殺して隠し、認めない奴らを喰う筈だった
あぁ、勝手に死んだのならいいか

ドッペルゲンガーの黒い者はくくっと笑って消えていく
皆とホンモノの遺体を残して


志島・小鉄
【彩夜】

※獣の姿で参加します。

ふかふか毛皮ノずんぐりむっくりな動物姿デス。
あゝ、皆様大丈夫でせうか?!?!
一体誰がこんなコトヲしてゐるのでショウ……。

……あーれー、教室二黒ゐサラブレッドが窓カラ飛び込んデ来マシタ。
サラブレッドがわしノ方二向かって来マシタ。

あゝ、お助けヲ~。
わしはパンケーキの隣で黒いサラブレッドのサラの姐御に踏まれませう。
サラの姐御、わしのもふもふノ毛並みヲ堪能して下サイ。
あゝ、手加減ハして下サレ……。

サラの姐御ハわしの上でドヤ顔をしてゐるのでせうか。
わしもソノ顔ヲ見たかったデス。
力を振り絞って、床に
『馬 登校』
と書いておきませう。


メリル・チェコット
【彩夜】

パンケーキなんてあったっけ
苺ちゃんが挟まれてる……楽しいのかな?
サラねえ!?
ああ、ガラスが……また怒られちゃう……!

同じお菓子を取ろうとしたルーシーちゃんとクッキーを半分こ
美味しいね、なんて笑ったのも束の間
馬に踏まれる小鉄くんの姿が
助けなきゃ!
立ち上がるけれど、すぐにくらりと蹲る

……ルーシーちゃん、だめだよ
プリンはメリルのって決めてたの!
おもちゃのフライパン(※柔らかいゴム製)を手に、ゆらり近づき
十雉先生はあっちいってて!(ぱこーん)
――覚悟っ!

うっ……や、やられ……
ぱたり

ぼんやりとした視界のなか
彼女の楽しむような顔がうつる
まさか、七結ちゃん――

それに、後ろの漆黒は
ユェー……くん……?



 彩り鮮やかな甘いお菓子に香り高い美味しい紅茶、楽しく交わされるお喋り。
 そんな、和やかな放課後のお茶会のひととき。
 けれど……そんな優雅な時間はもう、あと僅かだということを。
 この時、一体何人が予想できていただろうか。
 まさか、最終下校時刻を告げるチャイムが鳴り響いた後……あんな惨劇が起こるだなんて。
 いや、思いもしないだろう。
「むぐむぐ……おいしー♪」
 頬にいっぱいお菓子を詰め込み、幸せそうな笑みを浮かべている歌獣・苺(苺一会・f16654)が。
 まさかの出オチ……いえ、第一の犠牲者になるなんてことを。
 もぐもぐと甘い物を口に運んでは頬を膨らませていた苺は、見つけてしまったのだ。
「……? ……!?」
 ――あ、あんな所にとっても大きなパンケーキ……!?
 思わず二度見してしまうほど大きなパンケーキを。
 そして、ふらふらと導かれるように。
「わわ……美味しそう……!」
 巨大パンケーキの方へと歩み寄る苺。
 メリル・チェコット(ひだまりメリー・f14836)は、手にしたお菓子をはむりと食べつつも、そんな苺の様子にふと首を傾ける。
「パンケーキなんてあったっけ」
 けれども、そんな疑問は最早、苺には届いておらず。
「わぁ……! いっただっき……」
 ――ばくん!
「なんだ!? 歌獣がパンケーキに食われたぞ!?」
 思わず大きく瞳を見開き声を上げるのは、宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)先生。
 眼前には――苺を食べ、彼女の脚と尾だけが出ているパンケーキが……!
 けれど先生の驚愕の声にも、まだ呑気に首を傾けているのは、メリルとルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)。
「苺ちゃんが挟まれてる……楽しいのかな?」
「ああ、苺。パンケーキは食べるもので食べられてしまうものでは」
 そんな二人の声に、十雉はふるりと首を振ってから。
 ハッと顔を上げ、言い放つのだった。
「ま、まさかこれが学園七不思議の一つ、人食いパンケーキ……!」
 なんということでしょう!
 パンケーキを食べるどころか、パンケーキに食べられてしまいました!?
 そもそもどうして此処に、人食いパンケーキが……?
 ひとりでパンケーキがとことこ歩いてくるとは思えない。
 ということは――。
「あゝ、大丈夫でせうか!?!?!」
 一体誰がこんなコトヲしてゐるのでショウ……。
 人食いパンケーキにぱくんとされた苺へと心配気な視線と声を向けるのは、ふかふか毛皮のずんぐりむっくりな動物さん。
 いや、いまだふかふか獣の姿であった志島・小鉄(文具屋シジマ・f29016)であるが。
 ――パリィン!
 楽しいお茶会は、いよいよ本格的に終わりを告げるのだった。
 刹那、窓を派手に割って乱入してきたのは、お馬さん!?
「サラねえ!?」
 メリルは今朝乗せて貰ったばかりであるお馬さんの姿に、瞳を大きく見開いてから。
「ああ、ガラスが……また怒られちゃう……!」
 そうふるふると首を横に振る。
 このままでは、さっきも怒られたのに、また生徒指導室行きです!
 そしてお馬さん――サラは見つけるのだった。
『ブルルッ! (マイ! 迎えに……ってマイ!? なんてこったい! アタイの愛弟子が!)』
 パンケーキに食べられてしまって変わり果てた、苺の姿を。
 そしてブルッと周囲を見回せば……ぱちりと視線が合ったのは。
「……あーれー、教室二黒ゐサラブレッドが窓カラ飛び込んデ来マシタ」
 ずんぐりむっくりな動物さんこと小鉄。
 そんなふかふかな彼を見て、サラはますます鼻息を荒くする。 
『ブルッ!(そこの毛むくじゃら! アンタがマイを殺ったんだねっ!? 覚悟しなッ!)』
 それから刹那始まるのは、動物さん同士の追いかけっこ??
「サラブレッドがわしノ方二向かって来マシタ」
 ぽてぽてと逃げる小鉄に、追うサラブレッド。
 硝子の割れる派手な音と乱入してきた暴れ馬。
 十雉先生は思わずそっちに目が向いてしまって。
 不覚にも気が付かなかったのだ……その間に、何かを企む者がいることを。
「あ、けど動物同士の追いかけっこはちょっと可愛い」
 でも眼前の光景は、動物さんの大運動会みたいで可愛いです!
 ――透明な破片が反射して眩しいこと。
 そう、キラキラ輝くぱりんと割れた窓の硝子片に、蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)はそっと瞳を細めて。
 ふふ、と微か笑みを漏らす。
(「皆さんが黒馬さんに気を取られているうちに、ちょっぴり悪戯をしましょうか」)
 刹那、七結がふわり振り撒くのは、催眠薬の粉砂糖。
 それがぱらりと、お菓子に舞い積もれば――甘くて刺激的な焼き菓子に早変わり。
 けれど、七結はこの時、気に留めてなどいなかった。
 ちゃぽん、とふいに鳴った音には。
 そんな中、懸命にぽてぽて逃げていた小鉄が。
 ――げしいっ。
 ついに、馬に踏まれ捕まってしまう。
「あっ、小鉄さんが!」
「あゝ、お助けヲ~」
 丁度、苺をぱくっとした大きなパンケーキのすぐ傍で。
 そして踏まれながらも小鉄は思う。
(「サラの姐御、わしのもふもふノ毛並みヲ堪能して下サイ」)
 あゝ、手加減ハして下サレ……って。
 そんな小鉄の想い通り、サラはふかふか毛並みな小鉄をげしげしもふもふして。
『……ブルルルッ!(……おや、アンタなかなかいい毛並みしてんじゃないか。気に入ったよ)』
「踏むお馬さんは何だか得意げ……楽しそうね?」
 ルーシーの言う様に、とてもご満悦でふみふみ。
 小鉄も、自分をもふもふしているその嬉々とした様子は分かるものの。
(「サラの姐御ハわしの上でドヤ顔をしてゐるのでせうか。わしもソノ顔ヲ見たかったデス」)
 力を振り絞って、床にこう書き記し事切れる。
 ――『馬 登校』と。
 そんなダイイングメッセージを残し、教室に死体がふたつとなれば。
 馬に踏まれる小鉄の姿に、助けなきゃ! と声を上げるメリル。
 けれどちょっとその前にと、甘いクッキーに伸ばした瞬間、重なる手と手。
 ルーシーと、ふと同じお菓子を取ろうとして。
 ふたり顔を見合わせて笑った後、それを仲良く分けっこ。
 美味しいね、とってもおいしいかった! なんて……そう、笑っていたのに。
 そろそろ小鉄を助けなければと、メリルは立ち上がるけれど、すぐにくらりと蹲ってしまう。
 いや……それはメリルだけでなく、ルーシーも同じ。
 頭がくらりとし、何かが囁いてくる――ころせと。
 そしてルーシーがハッと七結を見遣れば、いつの間にか、すちゃりと掛けられた黒い色眼鏡。
 ――気分はまるで悪役だわ。
 そう、向かい合う自分達を見て、艶やかな笑み溢すその姿に。
「これは、さいみんやく……? 七結さん、そのメガネは一体……まさか」
 ルーシーはあからさまにアレなその黒い色眼鏡に瞳を見開くけれど。
 次第にその視線がただ映すのは、七結ではなく、メリルの姿。
 いや、メリルだって同じ。
「――そうよ、ゆるさないわ。れいぞうこのなかのプリンは、ルーシーのなんだから……!」
「……ルーシーちゃん、だめだよ。プリンはメリルのって決めてたの!」
 刹那、プリンを取り合う二人が手にするのは、立派な凶器である包丁とフライパン。
 ……刃が戻ったり柔らかいゴム製? なんのこと??
 ふたりはそんな玩具……いえ、得物を手に。
 どちらがプリンを食べるのに相応しいか、それをはっきりさせるべく。
 七結の思惑通り、ころしあい!?
「あらあら、まあまあ。あのプリンは何方の手に渡るのかしら」
 そうくすりと笑み零す七結を後目に。
 咄嗟にふたりを止めに入るのは、十雉先生。
「って、殺し合いなんてやめろよ2人とも!」
 けれど、恐るべき催眠術。恐るべき魅惑のプリン。
「十雉先生はだまって! これはルーシーとメリルさんとプリンの問題よ!」
「十雉先生はあっちいってて!」
「プリンならオレのをやるから……へぶっ!?」
 ――ぱこーん!
 仲裁に入ろうとして、フライパンでぱこーんとやられる十雉先生。
 そして思わず後ずさった、瞬間。
『……ブルルッ!(そんなところに突っ立てたら邪魔だよ、退きな!)』
「だあァッ!?」
 偶然通過したサラに、ばこーんと豪快に跳ね飛ばされて。
 ――ゴンッ。
 哀れ、十雉先生…テーブルにぶつかり、そのままずるりと倒れてしまう。
 イチゴジャム……もとい真っ赤な血に塗れになりながら。
 そんな第3の犠牲者が出た事にも構わずに。
 ――覚悟っ!
 ルーシーとメリルが同時に玩具……得物を振り上げれば。
「うわーやられたー」
「うっ……や、やられ……」
 ――ぱたり。
 ――ぱたり。
 なんと、相討ち……!?
 同時にころんと、その場に崩れ落ちる。
 そしてぼんやりとした視界の中、メリルは見てしまうのだ。
 自分達を見下ろし微笑む、彼女の楽しむような顔が。
「まさか、七結ちゃん――」
 けれど、それ以上言の葉が紡がれることはなく。
 そんな刺し違えを高みの見物と洒落込んでいた七結は、カチャリとティーカップを手にして。
 少し冷めた紅茶を飲み干す。
 だが……次の瞬間、口に広がる甘さと、くらくらりと揺れる視界。
 そこで、七結は初めて気が付くのだった。
「なんて甘ったるい紅茶……もしや、先程の音は」
 ――まさか、まさか。
(「催眠薬のお砂糖を紅茶に落としていただなんて……!」)
 そう分かっても、時すでに遅し。
 途端に毒が回って、ぱたりと机上へと伏す七結。
 ……知らぬ間に死屍累々だわ、なんて。
 ブルルルッ! という嘶きを耳にしながら事切れる。
 ――惨劇の結末は、黒馬の御姐さまのみぞが知る、って。
 そんな皆の様子をぐるりと見回すのは、ただひとり残った男。
 朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)はふっと瞳を細め、これまでの惨劇を思い返し、紡ぐ。
 硝子の割れる音と共に、馬の乱入で終了を告げたパーティー。
 ――パンケーキに挟まれる苺に馬に踏まれて倒れる小鉄さん。
 ――ルーシーちゃんとメリルちゃんが突然刺し合い、それを止めようした十雉先生がテーブルの角で倒れる。
 ――その悪戯に成功した七結生徒会長は優雅に紅茶を飲み毒へと侵される。
「おやおや、これはこれは」
 そうふっとユェーは笑みを浮かべるけれど、すぐにチッと舌打ちをする。
「嗚呼、俺の紅茶の毒で全員殺すつもりだったのに」
 瞬間、彼のその姿が変わる……白が黒へと。
 そして黒き彼は、ふるりと首を横に振る。
「誰も誰もが白い方の紅茶が美味いと云フ。俺の紅茶の方が美味いに決まってる」
 ――白をせっかく殺して隠し、認めない奴らを喰う筈だったのに。
 けれど、ぐるりと倒れている皆を見回せば、また再び楽しそうに嗤う。
「あぁ、勝手に死んだのならいいか」
 七結の浮かべた黒い笑みの、その後ろで嗤う黒衣の男。
「ユェー……くん……?」
「お、お前だったのか……」
 その正体は、そう――。
「ブラックティー、マン……?」
 けれどもう、微か残っていた者たちの意識も、完全に途切れて。
 ドッペルゲンガーの黒い彼は、くくっと笑って消えていく。
 ――皆とホンモノの遺体と、お馬さんを残して。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

不知火・藍
【琥藍荘】
放課後は追試の時間
教室に3人で

では授業のおさらいから
琥珀様の苦手科目は…算数ですね
計算問題を丁寧に教え

善人殿は…こら、聞いているのか
まず貴殿は姿勢がなっていない
服装も乱れて…って誰がママか
と小言を展開している間に

…琥珀様?琥珀様!
突っ伏した主に顔面蒼白

(大丈夫、これは演技の筈…だが

琥珀様を失ったら私はどうすれば良い
主を守れぬ従者に存在する価値はない
先代様に何と詫びれば…!

※突っ込みは聞こえない

(これは演技だ、しかし

くっ、駄目だ耐えられぬ…!
悲しみのあまり本気で倒れる

善人殿…後は任せた、ぞ

そして懐から零れ落ちるお菓子達
嗚呼、主の為に用意したご褒美が

そう、これが後の伏線に…なるかは知らぬ


不知火・琥珀
【琥藍荘】
放課後だ
らんとぜんと、約束していた「ついし」をするぞ

さんすう、をするらしいが
…うん、わからん
らんは、同じ言葉を話しているのか?
かける?わる…?
…うん、わかった
こはくはよくわかった
おれは、さんすうが、きらいだと!
こんなわけがわからないもの、
こはくの頭はおかしくなって死んでしまうのではないか?

…なるほど、これだ!
こはくは、さんすうのせいで死ぬことにする

ならば、このまま死んだふりをするぞ
だいいんぐめっせーじ、とやらを残すといいのだったな

「おのれ、さんすう」とノートに書いて、机に突っ伏すぞ
みんなさんすうが悪いからな

…らんとぜんの声が気になるが、ガマンだ
お菓子も気になるが、ガマンだぞ、こはく!


津々楽・善人
【琥藍荘】
観念して追試に臨んだものの
まあやる気なんて湧く筈無いのよ
落書きしながらぐーだぐだ

へいへい聞いてる聞いてる
もー、お前俺の母ちゃんかよ
この場に居るだけでも褒めてよママ
適当にお小言聞き流しつつ
お、琥珀ー
それ答え間違ってね?

お、チャイム鳴った

琥珀の迫真の死(笑)おもろ
算数に負ける妖狐(笑)
ってあの、藍さん?
(…あれ、こいつマジじゃね?)
えぇ〜…?

迫真ってレベルじゃないガチさに
ツッコミが追いつかない
てか聞いてねぇなこいつ
これどうすんのって琥珀に目線でSOS
うん、目ェ合わないね!

…あ、はい。

主好きすぎ死って何よ…
独り遺され天仰ぎ
胃を抑えて真っ白に燃え尽きる
…何かこれ菓子食って死んだみたいで癪だな



 授業やホームルームも終わり、やってきた放課後。
 ――らんとぜんと、約束していた「ついし」をするぞ。
 そう意気揚々と、わくわく「ついし」を受けんとするのは、不知火・琥珀(不知火家当主・f06806)。
 最終下校時間前の教室に今あるのは、自ら「ついし」を希望した琥珀くんと。
 観念して、謎に先生なのに雑に言い渡された追試に臨んだものの。
(「まあやる気なんて湧く筈無いのよ」)
 いぬと鬼の落書きをしながら、ぐーだぐだな様子の津々楽・善人(綴れ生く・f12578)先生。
 そして、やってみたかったから、追試を善人先生へと言い渡した不知火・藍(藍澄鏡・f06808)先生。
「では授業のおさらいから。琥珀様の苦手科目は……算数ですね」
 藍先生はそう、計算問題を丁寧に教え始めるけれど。
(「かける? わる……? ……うん、わからん」)
 ――らんは、同じ言葉を話しているのか?
 もう藍が話していることが、宇宙語にしか聞こえない琥珀。
 とりあえず、2×2は、にゃーで猫かな? と、猫の絵を描いてみる。
 そんな苦手な算数にも一生懸命に取り組む主の姿に、心打たれながら。
「善人殿は……こら、聞いているのか」
 藍先生は今度は、やる気のない善人先生へとちらり、視線を移して。
「へいへい聞いてる聞いてる」 
「まず貴殿は姿勢がなっていない。服装も乱れて……」
 展開するのは、だらだらしたけしからん態度や風紀を正すべく小言を。
 けれど、適当に善人先生はお小言聞き流しつつ。
「もー、お前俺の母ちゃんかよ。この場に居るだけでも褒めてよママ」
「そもそも、そのいぬの絵は何だ。新手の影朧か……って誰がママか」
 ママ……もとい藍先生を後目に、ひょいっと琥珀のノートを覗き見れば。
「お、琥珀ーそれ答え間違ってね?」
「にかけるには、ねこじゃないのか?」
 刹那、鳴り始めたのは――最終下校時刻を告げるチャイム。
「お、チャイム鳴った」
 これで、謎の追試も終わりのはず、なんて。
 そう善人先生が思った、刹那。
「……うん、わかった。こはくはよくわかった」
 追試の成果か、そうこくりと頷く琥珀。
 琥珀はこの追試でよく理解したのだ。
(「おれは、さんすうが、きらいだと!」)
 そして思う――こんなわけがわからないもの、こはくの頭はおかしくなって死んでしまうのではないか? と。
 そう思った瞬間……なるほど、これだ! と、琥珀は閃いたのだった。
 その閃きとは。

 ――ぱたり。

 ……こはくは、さんすうのせいで死ぬことにする、って。
 そんな、算数のせいで突然倒れた琥珀に。
「……琥珀様? 琥珀様!」
 高速で瞬きをしつつ、突っ伏した主に顔面蒼白になる藍。
 それから琥珀は、このまま死んだふりをしながらも。
(「だいいんぐめっせーじ、とやらを残すといいのだったな」)
 最後の力を振り絞り、ノートにダイイングメッセージを残す。
 ――「おのれ、さんすう」と。
(「みんなさんすうが悪いからな」)
 そして、ガクリと。算数に殺されてしまいました!
 そんな琥珀の迫真の死に、算数に負ける妖狐の姿に、おもろ、と。
 つい吹き出しそうになる善人であったが。
「……琥珀様を失ったら私はどうすれば良い」
 ……大丈夫、これは演技の筈……だが。
 それは一応、分かっているのだけれど。
 目の前で主が算数に殺されてしまった姿を見て、動揺しない従者がいるか。いやいない……!
 そう、ふるふると微かに震える藍に、善人は瞳をぱちくりさせる。
 ……あれ、こいつマジじゃね? って。
「ってあの、藍さん?」
「主を守れぬ従者に存在する価値はない。先代様に何と詫びれば……!」
「えぇ〜……?」
 全く自分の突っ込みが聞こえていない藍にもう、そうしか言えない善人。
 そして藍は机に突っ伏している主の姿に、もう一度視線を向けて。
(「これは演技だ、しかし」)
 くっ、駄目だ耐えられぬ……!!
 ――ぱたり。
 悲しみのあまり本気で倒れるのだった。
 そんな、迫真というレベルではないガチさに。
(「……ツッコミが追いつかない」)
 てか聞いてねぇなこいつ、と崩れ落ちた藍をチラ見しつつ。
 これどうすんのって、琥珀に目線でSOSを出すけれど。
「うん、目ェ合わないね!」
 だって、算数に殺されてしまったから!
 そしてある意味虫の息であった藍も、ついに事切れる。
「善人殿……後は任せた、ぞ」
「……あ、はい」
 そう言い残し動かなくなった藍に、善人は心の中で突っ込む。
 ――主好きすぎ死って何よ……と。
 それから、独り遺され、遠い目で天仰いでいれば。
 藍の懐からふいに零れ落ちるのは、主の為に用意したご褒美のお菓子達。
 琥珀は机に突っ伏したまま、ついそんなお菓子が気になってしまうけれど。
(「……らんとぜんの声が気になるが、ガマンだ。お菓子も気になるが、ガマンだぞ、こはく!」)
 今は死んでいるのだから……我慢!
 そして地へと落ちるお菓子たちが。
 嗚呼、これが後の伏線に……なるかは分からないけれど。
 ――うっ、と。
 とにかく何となくなノリで、善人は胃を抑え真っ白に燃え尽き、謎に倒れ込む。
 ……何かこれ菓子食って死んだみたいで癪だな、なんて思いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天音・亮
巴(f02927)

学生生活はやんちゃが醍醐味だった現役時代を思い出した
先生のお小言中はなんだか髪の位置がちょっと…
いや大分気になりはしたけど…

あ、巴
やること終わったら2ケツして帰ろうよ
制服で放課後自転車二人乗り!
これめっちゃ“アオハル”じゃない?(どやぁ)

って、ぶちゃ!
なんだよまたおやつでもねだりに来たの?
よ~っしおいで!私の胸に飛び込んでぐふっ…!!

な、なかなか良いタックル…決める、じゃん…
当たり所が悪かった
口から血が流れる(血糊)

巴…巴…?
どうして?巴が倒れてる
タックルされたのは私だけの、はず

巴、巴
ああ、どうしよう
目が霞む…
助けられないもどかしい気持ちを抱えたまま
意識がだんだん遠のいていく


五条・巴
亮(f26138)

早弁してから昼休みまで、だらだらとテラスで過ごしたあとは比較的真面目に授業を受けた。(とてもえらいと思う)
放課後、揃って先生の軽い注意を受け流し、職員室を出る頃に下校時刻
髪の位置はね。フフ。

アオハルしようかあ、と言ってた矢先、視界に大きな毛玉、ぶちゃと呼び親しまれている猫が飛び込んできた

抱き上げついでにぶちゃの腹を吸い、嫌がるぶちゃの肉球パンチを味わう所までワンセット

嫌がるぶちゃは亮の元へ
可愛いなあ、なんて思ってたら

急に、身体が重くなる
足を前に進むことも出来ず倒れ込んでしまった
ああ、段々意識が朦朧と……

何だ、

亮も血を吐いて、ああ助けなきゃ。

手は彼女に到底届くことも無いまま──



 教室を抜け出すこちに成功して、学食で早弁してから。
 昼休みまで、だらだらとテラスで過ごしたあとは、比較的真面目に午後の授業は受けた。
 えらい。とてもえらい。
 そして放課後、揃って先生の軽い注意を受け流してから。
 天音・亮(手をのばそう・f26138)は、やんちゃが醍醐味だった現役時代を思い出しつつも、こうぼそり。
「先生のお小言中はなんだか髪の位置がちょっと……」
 いや、ちょっとどころではなく、大分気になりはしたけど……なんて。
 そんな言葉に、五条・巴(照らす道の先へ・f02927)もこくりと頷いて。
「髪の位置はね。フフ」
 思わずふたり、顔を見合せ笑い合う。
 だって先生の髪の毛、あれは絶対――。
 ……まぁ、それはともかく。
 お小言も終わったことだし、これで晴れて自由な放課後!
「あ、巴。やること終わったら2ケツして帰ろうよ」
 ――制服で放課後自転車二人乗り! これめっちゃ“アオハル”じゃない?
 そう、どやぁと言った亮の誘いに、巴はすぐに乗って。
 ……アオハルしようかあ、と言っていた矢先。
 視界に飛び込んできたのは、大きな毛玉!?
 いいえ、毛玉は毛玉でも。
「ぶちゃ、おいで」
 ぶちゃと呼ばれ親しまれている猫。
 巴は、ひょいっと抱き上げついでにぶちゃの腹を吸って。
 てしっと嫌がるぶちゃの肉球パンチを味わう所まで、いつものワンセット。
 うにゃあっと嫌がるぶちゃは、タタッと亮の元へ。
 嫌がられはしたけれど、そんな姿に可愛いなあ――なんて、巴が思っていたら。
「って、ぶちゃ! なんだよまたおやつでもねだりに来たの?」
 ――よ~っしおいで!
 両手をいっぱいに広げ、ぶちゃを待ち構える亮。
 そして。
「私の胸に飛び込んでぐふっ……!!」
 ――ぼすんっ!
 すごい勢いで、まさに全力で容赦なく、胸に飛び込んできたぶちゃ。
 いえ、どのくらい凄いかと言いますと。
「な、なかなか良いタックル……決める、じゃん……」
 当たり所も悪かったのか、つぅっと口から血糊……いえ、血が流れるほどの威力でした!?
 いや、くらりと上体を揺らしたのは、亮だけではなかったのだ。
「巴……巴……?」
 急に身体が重くなって、足を前に進むことも出来ず。
(「ああ、段々意識が朦朧と……」)
 亮の声を、遠い意識の中で聞きながら――ぱたり、と。
 何故か倒れ込んでしまった巴。
 そして亮は大きく瞳を見開き、湧き出る疑問を思わず口にする。
「どうして? 巴が倒れてる。タックルされたのは私だけの、はず」
 本当に何ででしょうか、でもきっと考えたら負け!
 いや、倒れるのは巴だけでなく。
「巴、巴。ああ、どうしよう、目が霞む……」
 彼を助けられないもどかしい気持ちを抱えたまま、亮の意識もだんだん遠のいていく。
 そして倒れ込んで、ぶちゃに、てしてしされながらも。
 ――何だ、亮も血を吐いて……ああ助けなきゃ。
 そう巴は、傍らにどさりと倒れ込んだ彼女へと、そうっと手を伸ばすけれど。
 その手は彼女に到底届くことも無いまま――。
 そして突如襲った謎の死の展開に、うにゃあっ、と。
 今回ふたりを死に至らしめたと思われる凶器・ぶちゃは、倒れているふたりに交互に、遊んで―と猫パンチしながらも。
 不敵に、もうひと鳴きするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
あ、下校のチャイムだ
あっという間に一日が終わっちゃったなぁ
ちょっと名残惜しさを感じながら下校の準備

おっ、いいねー
購買のパンも学校生活の醍醐味だよね
梓から焼きそばパンを受け取り
満面の笑みでひとかじり
うん、美味しい
ねー、梓のコロッケパンも一口ちょうだ……

!?

その瞬間、凄まじい苦しみに襲われ
口から血(※ケチャップ)が流れる
これはもしかして、毒…?
そんな、まさか梓が…?
訳が分からぬまま、その場に倒れ動かなくなる…

(倒れたあとはひたすら死んだふりをしながら
梓たちの演技を聞いている
たまに吹き出しそうになるけど我慢
俺は死体、俺は死体)

(ああ、それにしても
もし本当に死ぬ時も、毒死は正直嫌だなぁ)


乱獅子・梓
【不死蝶】
購買でパン買っておいたから
これ食いながら帰るとするか
綾にほいっと焼きそばパンを渡す
俺はコロッケパンをかじり

なっ、綾…!?
突然血を流し倒れる綾の姿に困惑
違う、俺じゃない!一体誰が…ハッ!?
ふと横を見るとしてやったり顔の零が

まさか、これはお前の仕業か…!?
『そうよ、邪魔者は始末したわ!』
※零の台詞が書かれたフリップを焔が掲げている

何故こんなことをしたんだ!
『私というものがありながら
そんな男と一緒にアオハルだなんて許さない!』
『こうなったら、あなたを殺して私も死ぬわ!!』
なん、だと…!?
馬鹿なことはやめるんだ、零!!

俺の静止も聞かず、零は突進し
俺の首にガブリと鋭い牙を突き立てた――



 日が落ち始めた空の下、夕焼けに校舎が染まる頃。
 学園に鳴り響くのは、最終下校時刻を告げる鐘の音。
「あ、下校のチャイムだ」
 ……あっという間に一日が終わっちゃったなぁ、なんて。
 ちょっと名残惜しさを感じながらも下校の準備をする灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、まだ知らない。
 平和な学園生活から一変、愛憎に塗れた殺人劇がこの学園で繰り広げられることを……!
 そんな綾に、おい忘れてるぞ、と。
 制服の白の軍帽をばさり、やはりお母さんよろしく被せてから。
「購買でパン買っておいたから、これ食いながら帰るとするか」
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)がほいっと綾に渡すのは、人気の焼きそばパン!
「おっ、いいねー。購買のパンも学校生活の醍醐味だよね」
 放課後は小腹がすくもの。
 隣でコロッケパンをかじる梓から、焼きそばパンを受け取った綾は。
 満面の笑みで――ひとかじり。
 うん、美味しい、って、そう思わず笑み零してから。
「ねー、梓のコロッケパンも一口ちょうだ……」
 そうふと微かに梓を見上げた――その時だった。
「!?」
 綾を突如襲うのは、凄まじい苦しみ!?
 同時に、口からケチャッ……いえ、血がぼとりと流れ落ちて。
 赤に染まる掌を見つめた後、ようやく綾は気付くのだった。
「これはもしかして、毒……?」
 そして、信じられないという様な疑惑の視線を、隣の彼へと向ける。
 ――そんな、まさか梓が……? って。
 それから、どさり、地に崩れ落ちてしまう綾。
 訳が分からぬまま、その場に倒れ動かなくなって……。
「なっ、綾……!?」
 そんな、突然血を流し倒れる綾の姿に困惑して。
「違う、俺じゃない! 一体誰が……ハッ!?」
 向けられた疑惑に、ふるふると大きく首を横に振っていた梓は、気付いてしまったのだった。
 ふと見た横にある、してやったり顔の零に。
「まさか、これはお前の仕業か……!?」
『そうよ、邪魔者は始末したわ!』
 ガウとひと鳴きし、ふるりと得意げに尾を振る零。
 ええ……零の台詞の掛かれたフリップを一生懸命キューと掲げるのは、焔のお仕事です!
 けれど、何故零はこんな犯行に及んだのか。
「何故こんなことをしたんだ!」
 そう言い放った梓に、零は隠していた愛憎を顕わにする。
『私というものがありながら、そんな男と一緒にアオハルだなんて許さない!』
 それからぺらりめくられたテロップ……いや零は、こう紡ぐのだった。
 ――『こうなったら、あなたを殺して私も死ぬわ!!』
 そんなヤンデレ化した零の言葉に、梓は瞳を見開いて。
「なん、だと……!? 馬鹿なことはやめるんだ、零!!」
 必死に、何とか説得しようと試みる。
 そんなを梓たちの演技を、倒れた背中から聞きながら。
 死んだフリをしている綾は、たまに思わず、ぷっと吹き出しそうになるけれど。
(「我慢、我慢……俺は死体、俺は死体」)
 死んでいるのだから、動くわけにいきません……!
 そう何とか笑わずに耐えている綾を後目に、さらに展開をみせる愛憎劇。
 刹那、ガウ、と……梓の静止も聞かず、突進してくる零。
 そして――ガブリッ。
 梓の首に突き立てたのだった。その鋭い牙を。
 それから、顔は動かせないから見られないけれど。
 隣に崩れ落ちる梓の気配を感じながら……ああ、それにしても、と続けるのだった。
 ――もし本当に死ぬ時も、毒死は正直嫌だなぁ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、今日は結局遅刻でした。
というより、なんであんな道でもないような場所でハイカラさんの自転車や警官さんに出会ってしまうのでしょう。
恋?物語恐るべしです。

とりあえず、下校時間になりましたし帰りましょうか?
あれ?なんでまた恋?物語が・・・。
ふええ、なんで私目掛けてボールが飛んでくるんですか。
まさか、ボール・ミーツ・ガールとか言いませんよね。

ボールの当たりどころが悪かった私は死んでしまったそうです。
ちなみにアヒルさんは私に当たったボールが嘴に詰まっての窒息死だそうです。
一石二鳥ではなく一球二鳥になったそうです。



 今日は何だかとても慌ただしかった、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)の学園生活。
 まず朝から必死に、遅刻遅刻! と猛ダッシュしたものの。
(「ふええ、今日は結局遅刻でした」)
 やはり間に合わず、遅刻してしまったし。
「というより、なんであんな道でもないような場所でハイカラさんの自転車や警官さんに出会ってしまうのでしょう」
 どしん、とぶつかったのは、同じ学校の隣の席の男子……とかでは全くなかったのである。
 フリルはそんなドタバタであった朝を思い返しながら、改めて溜息をつく。
 ――恋?物語恐るべしです、って。
 けれど何とか学校に登校できたし……無事に一日も終わり、今は放課後。
「とりあえず、下校時間になりましたし帰りましょうか?」
 そうアヒルさんに言って、校舎を出たフリルだったが。
 再び発動するのは――『衝撃?的な出会いから始まる恋?物語』!
「ふええ、なんで私目掛けてボールが飛んでくるんですか」
 それはもしかして、恋の始まりの予感!?
 ……まさか、ボール・ミーツ・ガールとか言いませんよね。
 なんて思った瞬間――がつんっ、と。
 恋の始まりどころか、なんと、命の終わりを迎えてしまったフリル。
 そう――ボールの当たりどころが悪くて。
 フリルは哀れ、死んでしまいました!?
 ちなみにアヒルさんの死因は、フリルにに当たったボールが嘴に詰まっての窒息死だそうです……!?
 そう、それはまさに……一石二鳥ではなく、一球二鳥です!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ライラック・エアルオウルズ
ティルさん(f07995)と

延長する密やかな特別
図書室の特等席と招いて
課題に纏わる御話も
弾む先で噂話に早変わり

新任故か、聞く噂は初耳で
ついと抱くのは、好奇心
『噂話の由来とは?』
次の授業が始まりますよ、何て
窘め乍らも裡は燥ぐばかり

本棚には、見覚えがなく
何処か胸騒ぎを覚えども
装丁と貴方に誘われ、覗く
その本には、何て――?
頁上の花弁に気付いた途端
舞う花が、ふたりを、さらって

ふ、と気付けば闇咲く白花
呼び声に、真先と駆け出して

レーヴェさん、何処ですか?

見付ける貴方を抱き締める
不思議か怪異かも知らずとも
これが戀叶えであるのなら
少し皮肉だ、とは、闇に溶け、

――後に残るは、本と花
ふたりの行方を知る者は、居ない


ティル・レーヴェ
ライラック殿(f01246)と

桜舞う特別授業の後は
せんせいと図書室へ
課題を渡せば
此処で花咲くのはふたりのお喋り

素敵な桜の噂話にも
始まりの物語が?なんて
気になったら調べずにいられない
ね、せんせい
此処ならきっと何か!と手を引いて

図書室の奥、隅の棚
不思議な装丁と桜の文字が目を惹く一冊
手招き彼を呼び2人で覗く
その一冊が終わりの始まりとも知らないで

攫われた先は真っ暗な闇
ぼうっと白彼岸だけが咲き乱れ
ひとりぼっちになった気分

ライラック、せんせい?

小さくか細く彼の名を呼ぶ
身を包む彼を抱き返し
その温もりに安堵して
花満つ世界にふたりぼっち

七不思議だって怪異だって
そう、もう戻れなくたって
せんせいと一緒ならかまわない



 桜舞う特別授業の後は――延長する密やかな特別。
 ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)が招くのは、図書室の特等席。
 せんせいと図書室へとやって来たティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)は、確りとこなした課題を渡して。
 課題に纏わる御話も程々に……此処で花咲くのはふたりのお喋り。
 弾む先で早変わりするのは、あの噂話。
 ……ひらり舞う桜の花弁を地におちるまでに捕まえられれば戀や願いが叶う、だとか。
 ……満開の桜の下で結ばれた二人は幸せになれる、だとか。
 新任故か、聞く噂はライラックにとっては初耳のものばかりで。
 ついと抱くのは、好奇心。
 そして次の課題はこれで決まり――『噂話の由来とは?』
「次の授業が始まりますよ、レーヴェさん」
 なんて、窘め乍らも紡いでみるけれど。
 その裡は勿論、燥ぐばかりで。
「ね、せんせい。此処ならきっと何か!」
 ……素敵な桜の噂話にも始まりの物語が? なんて。
 気になったら調べずにいられないから。
 ティルは逸る様に取って引く。せんせいの大きな手を。
 それから図書室の奥――隅の棚。
 ふと瞳に飛び込んできたのは、不思議な装丁と桜の文字が目を惹く一冊。
 そして、せんせい、って。
 手招きし己を呼ぶ声に、ふと顔を上げながらも。
 ライラックは何故か覚える……本棚に見覚えはなく、妙な胸騒ぎを。
 けれど、装丁と彼女に誘われ、覗いてみれば。
「その本には、何て――?」
 それは、頁上の花弁に気付いた瞬間だった。
 舞う花が――ふたりを、さらってゆく。
 知らなかったのだ。その一冊が、終わりの始まりであるなんてこと。
 そしてティルがそうっと瞳を開けば……攫われた先は真っ暗な闇。
 ぼうっと白彼岸だけが咲き乱れ、ひとりぼっち。
 ……いや、ひとりぼっちでは、ないはず。
「ライラック、せんせい?」
 そう紡いで、彼の姿を探す。
 同じ時、やはりライラックの眼前にも……ふ、と気付けば闇咲く白花。
 けれど、微か耳に聞こえた呼び声に、真先と駆け出して。
「レーヴェさん、何処ですか?」
 ひとりぼっちにしてしまった、彼女の名を呼び返す。
 そして――小さくか細くその名を再び呼べば、ふわりと。
 見つけてくれて、身を包んでくれた彼を抱き返して。
 その温もりに安堵して……花満つ世界に、ふたりぼっち。
 不思議か怪異かも知らずとも――これが戀叶えであるのなら、少し皮肉だ。
 そう綴ったライラックの台詞は、闇に溶け――。
(「七不思議だって怪異だって。そう、もう戻れなくたって」)
 ――せんせいと一緒ならかまわない。
 学園に伝わる桜の戀の謂れも……もしかしたら本当なのかもしれない、なんて。
 そうティルが彼と繋いだ、その掌の中にただあるのは。
 せんせいが掴まえてくれた、特別なひとひらだけ。
 そして――後に残るは、本と花。
 夢か幻か、幸せか悲劇か……その戀物語の結末は――ふたりの行方を知る者は、誰も居ない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
【邪蛸】
放課後、手芸部部室の在る旧校舎へ。
ネックウォーマーの御礼…
まだちゃんと、渡してなかったよね。

ドゥルジーくん、まだ中に居る?
ふと背筋を悪寒が奔り
猛ダッシュで手芸部へと向かう途中の階段下。
床に転がるメンダコマスコットと
最愛の人の変わり果てた姿を見つけ、駆け寄って。
応急処置を施している最中に
原因と思しき…イカを踊り場に発見!

何故こんなトコにイカが!?
まさか、誰かがわざと…でも、一体何の為に!
ドゥルジーくんを助けるのに夢中で
オレは忍び寄る魔(イカ)の手に気付かなかった。

ウワッ!目が…コレは、イカスミ!?
隻眼もあだとなり、視界が奪われてしまう。
堪らず昏倒しながらも、手はしっかり重ね繋いだままで。


ジャスパー・ドゥルジー
【邪蛸】
早めに帰れとは言われてっけどさァ
……部室に宿題忘れちまって
諸事情で出席日数足りてねえから宿題まで忘れるのはやべェんだよな

手芸部は弱小だから
旧校舎の空き教室が部室代わりなんだけど、すげー古い木造で
下校時間過ぎて誰もいねェと正直ちょっと不気味
…いや、学園の七不思議なんて俺は信じねェぞ

おそるおそる古い木造階段を上ってく
不意に何か踏んじまってバランスを崩す
滑る足元からすっ飛んでったのは、鞄にしっかりつけてた筈のめんだこマスコット
「パウル…!」
手を伸ばすけど届かない
角が重いせいで俺は頭から真っ逆さまだ

こんなことになるなら、先生が先生を続けられなくなったとしても
――キスぐらい、しとけば良かったな



 今日は早く帰宅するようにって、そうは言われていたものの。
(「諸事情で出席日数足りてねえから宿題まで忘れるのはやべェんだよな」)
 ……部室に宿題忘れちまって、と。
 最終下校時刻のチャイムが鳴り終わった学園を歩くのは、ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)くん。
 あともうちょっとで、約束の卒業なのに――また高校3年生をするわけには、いかないから。
 足を向けたのは、手芸部の部室。
 けれど、手芸部は弱小だから旧校舎の空き教室が部室代わり。
 その旧校舎がまた、すごく古い木造で。
(「下校時間過ぎて誰もいねェと正直ちょっと不気味」)
 いかにも、なにかがでそうで――なんて思えば、悪魔尻尾もついふるりと震えしまうけれど。
「……いや、学園の七不思議なんて俺は信じねェぞ」
 そう自分に言い聞かせる様に声に出して、おそるおそる古い木造階段を上っていくジャスパー。
 そしてお化けとか無事に何も出てこずに、もうすぐ部室――だと思った、瞬間。
「!?」
 ジャスパーは、ぐらり大きくバランスを崩してしまう。
 不意に何かを踏んでしまって。
 そして滑る足元からすっ飛んでいったのは――鞄にしっかりつけてた筈のめんだこマスコット。
「パウル……!」
 無意識のうちに彼の名を呼びながら、必死に手を伸ばすけど……届かなくて。
 掌が空を切った刹那、角が重いせいで――逆に、頭から真っ逆さま。
 そして同じ旧校舎に足を踏み入れたのは、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)。
(「ネックウォーマーの御礼……まだちゃんと、渡してなかったよね」)
 けれどパウルは、シンと静まり返った旧校舎に、何だか嫌な予感を覚えて。
「ドゥルジーくん、まだ中に居る?」
 ふと背筋を悪寒が奔り、猛ダッシュで手芸部の部室へと向かえば。
「……!!」
 向かう途中の階段下――見つけたのは、床に転がるメンダコマスコットと。
 最愛の人の変わり果てた姿。
 けれど、パウルは諦めずに駆け寄って。
 応急処置を施している最中、踊り場に見つけたのは……原因と思しき、イカ!?
「何故こんなトコにイカが!? まさか、誰かがわざと……でも、一体何の為に!」
 応急処置をする手は止めず、そう助けるのに夢中で。
 パウルは、忍び寄る魔……いや、忍び寄るイカの手に、気付かなかったのだ。
 ――ぶしゅっ。
「ウワッ! 目が……コレは、イカスミ!?」
 刹那、隻眼もあだとなり、イカスミによって視界が奪われてしまうパウル。
 そしてジャスパーと折り重なるように、堪らず昏倒してしまう。
 その手は、しっかり重ね繋いだままで。
 ……卒業まで、あと少し。
 そしたら、晴れて結ばれると……そう、信じていたのに。
 ジャスパーはふいに重なった温もりを感じながら、薄れゆく意識の中、思うのだった。
(「こんなことになるなら、先生が先生を続けられなくなったとしても」)
 ――キスぐらい、しとけば良かったな、って。
 ぎゅっと無意識に……繋がれたままのその手を、握り返しながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻沫

生徒会長……まさか、生徒会長が好きな人が…
神斬先生だったなんて!!!
前々からちょっと怪しいなって思ってた

(なんかすごいロケットランチャーみたいな水鉄砲を構える、鬼気迫る名演だ。何せ僕は元グランギニョルの人魚)

退いてくれ!生徒会長…いや、櫻宵!!
そいつ殺せない!

(ヨルも一緒に水鉄砲を構えてる)
僕の生徒会長の心を奪った重罪
潔く死ぬといい……そして僕は櫻宵と!
ふふ……心はいずれ手に入れる
そいつさえいなくなればな!

僕の愛を思い知れ!

光喪った瞳をして引き金を引く
途端爆発する水鉄砲!
不良品だったようだ

生徒会長っ!
巻き込まれ共に倒れる

一緒にしねるなら本望だ…

(いつか読んだ漫画っぽい展開に密かに満足だ


誘名・櫻宵
🌸櫻沫

お、落ち着くんだ!リルくん!
はやまってはいけない!

否定はしない、否定はしないがしかし!
これは、私が勝手に……想いを…
神斬先生はなにも……悪くない!!

背後に師匠こと神斬先生がいると仮定して、背に庇う演技をするわ
(ちょっとリル、目が据わってない?
マジはいってない?大丈夫??)

(エア神斬先生を背に庇う名演よ
え、ヨルまで?なんか表情凛々しくなってない?)

くっ!
待て、リルくん!
例えここで、神斬先生を始末したとしても私の心は……
話が通じない……ッ!
先生、はやく逃げて……!

うわーー!!
暴発した水鉄砲、噴き出す尋常ではない水にのまれて、そのまま地に倒れ伏す

(リルを怒らせないようにしよ)

密かに胸に誓うわ



 ――心に決めた存在がいると。
 そう、憧れの誘名・櫻宵(爛漫護櫻・f02768)生徒会長に告げられて。
 一時は泡になりかけた、リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)だったけれど。
 みんなで足を運んだ学食で、ぱんけきをやけ食いして。
 すっきり――したかと、思いきや。
「生徒会長……まさか、生徒会長が好きな人が……神斬先生だったなんて!!!」
 人魚の戀の炎は、そう簡単には消えやしない。
 誰だよと思っていた相手が分かれば、その気持ちは尚、抑えきれるわけはなく。
 ……前々からちょっと怪しいなって思ってた、と。
 しゃきんっと構えるのは、なんかすごいロケットランチャーみたいな水鉄砲!?
 何せリルは元グランギニョルの人魚、鬼気迫る名演である。
 ……いや、果たして演技、なのかはともかく。
 やたら凄みのあるその姿に、生徒会長は説得の声を投げる。
「お、落ち着くんだ! リルくん! はやまってはいけない!」
 けれど、ふるりと首を横に振って。
 ちゃきっと引き金に指を添え、リルは言い放つ。
「退いてくれ! 生徒会長……いや、櫻宵!!」
 ――そいつ殺せない!
 そう叫ぶリルを、とにかく説得し続ける生徒会長。
「否定はしない、否定はしないがしかし! これは、私が勝手に……想いを……」
 ――神斬先生はなにも……悪くない!!
 そしてバッと先生の前へと立ち、両手を広げ守る……演技をしながら。
 背後に、師匠こと神斬先生がいると仮定して。
(「ちょっとリル、目が据わってない? マジはいってない? 大丈夫??」)
 これは、エア神斬先生を背に庇う名演。
 ……である、はずだけど。
(「え、ヨルまで? なんか表情凛々しくなってない?」)
 きりりと一緒に水鉄砲を構えているヨルも、何だか目が本気!?
 そんなヨルと、こくり頷き合って。
「僕の生徒会長の心を奪った重罪、潔く死ぬといい……そして僕は櫻宵と! ふふ……心はいずれ手に入れる」
 ――そいつさえいなくなればな!
 ぐっと、引き金に掛けた指に力を込めるリル。
「くっ! 待て、リルくん! 例えここで、神斬先生を始末したとしても私の心は……」
 けれど、邪魔者を始末するべく薄ら笑っているリルには、話が通じない……ッ!
 ――先生、はやく逃げて……!
 そうエア神斬先生へと、くるり振り返って櫻宵が叫んだ、瞬間。

 ……僕の愛を思い知れ!

 光喪った瞳をしたリルの手によって遂に引かれる、ロケットランチャーみたいな水鉄砲の引き金。
 ……けれど。
「!?」
 ――ぼんっ!
 途端、爆発する水鉄砲!?
 どうやら不良品だったようです。
 そして――起こってしまう惨劇。
「うわーー!!」
 ぶしゅうっ! と、暴発した水鉄砲から噴き出すのは、尋常ではない量と勢いの水!
 そんな水にのまれて――ぱたり、と。
 そのまま地に倒れ伏してしまう櫻宵。
「生徒会長っ!」
 そして勿論、暴発した水鉄砲を撃ったリルもヨルも、無事であるはずはなく。
 ――ぱたり、こてっ。
 生徒会長に折り重なるように、巻き込まれ共に倒れるリルとヨル。
 けれど、そんなリルの顔は満たされていた。
 だって、一緒ににしねるなら本望だ……。
 ――なんて、いつか読んだ漫画っぽい展開みたいだ、って。そう密かに満足気。
 そして櫻宵は、改めて思う。
(「リルを怒らせないようにしよ」)
 こてりと一緒に死んだフリをしつつ――そう密かに、胸に誓うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『或る作家の残影』

POW   :    蒼桜心中
【心中用に持ち出した桜の意匠が凝らされた刀】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    心中遊戯
【甘く蕩ける桜色の毒物】【切腹できる桜模様の短剣】【桜の木で首を吊る為の丈夫なロープ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    乱桜吹雪
自身の装備武器を無数の【原稿用紙と乱れ舞い散る桜】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠筧・清史郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※お知らせ※
 第3章プレイング送信の受付は、【9/28(月)朝8:31】より開始いたします。
 それ以前に送信された分は流れてしまう可能性が高いのでご注意ください。
 追加情報を記載したOPを受付開始前日迄に掲載いたします。
 送信締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください。
.

●或る作家の残影
 夕焼け色に染まる校舎で、次々と起こった凄惨な殺人劇。
 いや、ただの死の連鎖ではない。
「え、そんなバカな……!?」
 まさに、仕掛け人である作家の残影が楽し気に声をあげた通り――そんなバカな!? と思わず言わずにはいられない、立派にバカバカしい死因ばかりである。
 そろりと物陰から様子を窺ってみた限りでは、どうやら自分が手を下さなくても皆、何故かちゃんと死んでそうだなーと。
 そうは思いつつも。
「もしも誰か死に損ねてたら、殺人事件も台無しだから……ちゃんとみんな死んでるか、確認しとこーかなー」
 隠れてこっそりバカミス殺人を見物していた作家・櫻居・四狼は、のこのこと姿を現す。
 死体の……いや、死体のフリをしている、猟兵達の前に。
「でもちょっと聞いてみたかったなぁ、バカバカしく死んだ感想」
 死体に口無しなのが残念だよーなんて、呑気に笑って。
 そしてわくわくした様子でシンと静まり返った校舎を歩きつつ、整った容姿に笑みを宿す。
 大切に抱える桜模様の硯箱を、そっと撫でながら。
「今が楽しければ、僕はそれでいいから」

●マスターより
 第3章は、或る作家の残影との戦闘です。
 普通に戦って倒して頂くというご対応は勿論。
 皆様に興味深々なので、何か話しかければそれなりに応じるかと思います。
 ですが、影朧ですので、まともな受け答えをするかは分かりません。
 迎え撃って真面目に倒すのも、殺人劇のお礼参りでも、影朧まじえての殺人ごっこの続きでも、物書きとして等々語り合う感じでもetc……お好きに影朧に対応していただければです。
 楽しいこと大好き! なので、何か振った場合はノリノリだと思います。
 ですが影朧ですので、最後にはさくっと倒していただければです。
 今が楽しい感満載で転生する気はなさそうですので、骸の海に還していただければと。
 その他に関しましては、OPやOP公開時のマスターコメントをご確認ください。
 送信締切等の連絡事項も、MS個別ページやTwitter等でお知らせ致します。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「とりあえず殺人事件っぽい何かは沢山起きた気がするけど、犯人役はそれだけ数用意しているのかしら?」

踏んづけたバナナの皮を頭に載せつつ、大真面目に突っ込むわ。
バナナを突っ込まれてもそこはさらっとスルー。
それと、バカミステリーなんだから犯人もバカっぽい行動は必須じゃない?
ともう一つ拾っておいたバナナの皮を渡すわよ。
踏むのも頭に載せるのもご自由に。

「さて、バカのノルマは完遂よ。あとは」

お仕置きの時間です。
クイックドロウで素早く抜いた銃で撃ったら、ユーベルコード【ブルー・インフェルノ】。
【蒼炎】属性の【電離プラズマ】で原稿用紙ごと焼き尽くしてあげる。

…書いた後の原稿用紙燃えるのって悲劇じゃないかしら?



 帝都の桜源郷の学園で次々と起こった死の連鎖。
 そんなバカな!? という殺人劇は、全員が無事に死体となったことで終わりを迎える。
 そして……犯人は現場に戻る、という様式美を守るかの様に。
 『帝都学園殺人事件』の黒幕・作家の櫻居・四狼が、のこのこと死体たちの前に姿を現せば。
 殺人事件の終章が今、綴られる。猟兵達の手によって。

『折角だから、僕もパンをくわえてみたんだけどなぁ、もう死んじゃってるかー』
 そうはむりと何故かパンをくわえつつ角から現れた作家は、荷物の雪崩の下敷きになっている女生徒をじーっと見遣り、首を傾けながらも。
 そんなバカなと思わず言わずにはいられない、パンとバナナと荷物の連鎖から起きた悲劇に、楽し気に笑う。
 ……だが、その時だった。
「とりあえず殺人事件っぽい何かは沢山起きた気がするけど、犯人役はそれだけ数用意しているのかしら?」
 死体が……喋った!?
 そうむくりと荷物の中から身体を起こしたのは、死んだはずのヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)。
 そんな息を吹き返したかのような彼女の姿に、作家は瞳をぱちくりさせるけれど。
 ふと、視線を金色の髪の天辺に向ける。
『いや、大真面目に突っ込むのはいいんだけどさ……なんで頭にバナナの皮を』
「バカミステリーなんだから犯人もバカっぽい行動は必須じゃない?」
 何故、頭にバナナの皮を乗せたのか。それは分からない。いや、バカミスだからか。
 そしてまた謎に、ヴィオレッタはもうひとつ、拾っておいたバナナの皮を手にして。
 踏むのも頭に載せるのもご自由に――そう、作家にもバナナの皮をお裾分け。
 それをとりあえず受け取った作家は彼女に倣い、何故か頭の上にちょこんとバナナの皮を乗せて。
『てか、ちゃんと死んでくれないと困るんだよねー。何なら、僕と心中する?』
 そう、バナナの皮を頭に乗せたまま、死に損なった女学生に迫る犯人。
 けれど勿論、ヴィオレッタはただのバナナの皮を頭に乗せた女学生ではない。
「さて、バカのノルマは完遂よ。あとは」
 ――お仕置きの時間です。
 刹那抜き放たれ、素早く引き金が引かれたのは、長い銃身を持つ艶無き黒の回転式拳銃。
『……!』
 向けられ『平和を作るモノ』から撃ち出された弾丸に、一瞬怯むも。
 犯人は女学生を今度こそ死体にするべく、乱れ舞い散る桜花弁と原稿用紙を犯行現場にばら撒くけれど。
 ――全てを焼き尽くす星界の炎よ。
『! 熱っ!?』
「……書いた後の原稿用紙燃えるのって悲劇じゃないかしら?」
 蒼炎宿す電離プラズマが、原稿用紙ごと犯人を焼き尽くします!?

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪華・風月
享楽主義、今が楽しければ…そういうのはどうかと思いますが
まぁ影朧に言ってもですね

バカバカしく死んだ感想ですか…?
わたし自身は特に…ですね

いっそ自分で体験してみてはどうでしょう?殺した死体に殺される…
大分バカバカしいと思いません?


霊脈に乗り、接近!
短剣、ロープは『見切り』、雪解雫にて切り払い【武器受け】を
毒物は…可能な限り避けるしかありませんか……

そして雪解雫の一刀をもって斬り伏せます!



 パタリと机に突っ伏して死んでいるのは、ひとりの少女。
 そして、死体となった彼女――雪華・風月(若輩侍少女・f22820)の傍らに残るのは、売店で購入した桜菓子を食べた形跡。
 おそらくこのお菓子に、何故か毒が入っていたに違いない。
 食べた桜菓子もそれなりの量、これだけ食べれば、毒も回って確実に死んでいるだろう。
 けれど一応、本当に死んじゃったのか確認しようと。
 そうっと現れた作家、櫻居・四狼の残影は、ひょこりとその顔を覗き込んで。
『ちゃんと死んでるー?』
 そう、風月の死体に声を掛けた――その時。
「……享楽主義、今が楽しければ……そういうのはどうかと思いますが」
 ……まぁ影朧に言ってもですね、と。
 何事もなかったかのように、瞳と口を開く風月。
 ちょっと死ぬ際に、紅蓮刀の代償でダメージは受けたものの。
 故に迫真の演技となったのは間違いないし、作家がくるまでパタリと死んだフリして休めたから、問題ありません!
『あれれ、生きてるの!?』
 実は死んでいなかったその姿を見た作家は、驚きの声を上げるけれど。
 すぐに、興味津々な様子で。
『ねぇねぇ、バカバカしく死にかけてどうだった? 今後の作品の参考に、聞かせてよー』
 またちゃんと殺してあげるけど……その前に教えてー、なんて楽しそうに笑う。
 そんな作家の問いに、風月は微かに首を傾けてから。
「バカバカしく死んだ感想ですか……? わたし自身は特に……ですね」
 ――いっそ自分で体験してみてはどうでしょう?
 刹那、颯爽と乗るのは大地を走る霊脈。
『!』
 作家も今度こそちゃんと死んでもらわんと、手にした心中道具を放つけれど。
 桜模様の短剣と首吊り用のロープの軌道を見切り、白い柄に青い鞘の日本刀を抜き放って。
 甘い毒が、じゅっと音を立て、掠った黒髪を僅か溶かすけれど。
 身を翻しその直撃を避けた風月は、握る雪解雫の刃で殺人事件の黒幕を斬り伏せんと振り下ろす。
『! わわっ』
「殺した死体に殺される……大分バカバカしいと思いません?」
 殺したはずの死体に殺されるなんていうそんなバカミスのオチを、作者である彼自身に飾らせるために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
紅(f01176)と

ねーっ、クレナイ
とってもおいしかったねえ
両頬を手で包んでにこにこ

ショータイムっ
大きな調理道具たち

わあ
しーちゃん、おかしをごちそうするねっ

パカッとガジェットが割った卵に溶かしバター
粉をふるって混ぜて
毒物も短剣もまな板ガード
さくら色にするなら一滴の食紅
こっちはもう少しぽたぽた、あかい生地に

こっちは桜
たんぽぽも、ヒガンバナもっ
型抜きしたら
おっきなオーブンへ
わ、クレナイのクッキーはロウくん?
ねこさんに微笑んで

でーきたっ
おおきなクッキーはおかわりもどんどん飛び出して
わたしたちは食べごろになった子をわけっこしてさくり
おいしくできてるよっ

うんうん、調理実習もたのしいし
がっこうってすてきっ


朧・紅
オズさん(f01136)と

バカミスの感想知りたいです?

死人がパチっと目開け口開け
ほっぺ落ちる幸せーなバカミス死だったですよぅ(思い出せばお口幸せ
ねーっオズさん

そして
貴方の好きな楽しきお時間はまだ続くの
ショータイム!

ぅや
お菓子作り一式?
オズさんも
という事は…
キラリ目配せ

四狼さんは甘いのお好きです?
続バカミス喰らってみませんですか
学校八不思議
真夜中の調理実習

ヘラでクッキー生地をぐるるん
延べ棒で一緒にぎゅー
お花の型抜き僕らみたいっ
チョコでお絵描き
そぅロウくん♪

オーブンでチン
あつあつクッキーが飛び出し食べるまで追いかける
召し上がれ♪
お残しは許されないの
クッキーんまー
オズさん学校は素敵がいっぱいですねっ



 無事にぱたり、美味しい食べ過ぎ死を遂げたふたり。
 そんなふたつの何だか幸せそうな死体がある家庭科室のドアが、そろりと開いて。
 ちゃんと死んでいるのか様子を見に来たのは、作家の櫻居・四狼……この事件の黒幕である。
 作家は仕掛けておいたお菓子で見事死んでいる様子のふたりへと目を向け、口を開く。
『おなかいっぱいになりすぎて、ちゃんと死んじゃってる? 死ぬ時、やっぱり幸せだったのかなぁ』
 ――その時だった。
「バカミスの感想知りたいです?」
 パチっと目と口を開いた死体……いや、朧・紅(朧と紅・f01176)は、むくりと身体を起こして。
「ほっぺ落ちる幸せーなバカミス死だったですよぅ」
 口いっぱいに広がった美味しさや甘さを思い出し、幸せそうに笑んで。
「ねーっオズさん」
 隣に横たわるもうひとつの死体、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)へと首をちょこり傾けて声を掛ければ。
 同じ様にひょこっと起き上がったオズも、満面の笑顔でこくり頷く。
「ねーっ、クレナイ。とってもおいしかったねえ」
 思い出した美味しさでほっぺが落ちないように、両頬を手で包んで、にこにこ。
 そんなふたりの感想に、作家はなるほどーと呟いて。
『まぁ幸せそうに死ぬ犠牲者がいるのもアリだと……って、ちゃんと死んでないし!』
 ふたりが死んでいないことに、ハッとようやく気付く。
 けれど、楽しいことが好きな影朧だと、そう聞いているし。
 何より、紅とオズだって、楽しいことが好きだから。
「そして貴方の好きな楽しきお時間はまだ続くの」
 ――ショータイム!
 まだまだ、学園ミステリーは終わっていません!?
 そして、ふたりが成したもの……それは!
「ぅや、お菓子作り一式?」
「わあ、おおきな調理道具たちっ」
 そうこてんと首を傾げつつ言った紅と、青の瞳瞬かせ声をあげたオズの言葉通り――大きなお菓子作りのための調理道具たち?
 ……いや、此処は家庭科室。そして目の前には調理道具たち、とくれば。
「オズさんも、という事は……」
 紅はオズと、キラリ目配せして。
「四狼さんは甘いのお好きです? 続バカミス喰らってみませんですか」
 そう、これぞ学校八不思議――真夜中の調理実習!?
 紅の声に、作家は桜色の瞳をキラキラ輝かせて。
『僕、甘い物はとても好きだよ!』
「しーちゃん、おかしをごちそうするねっ」
 パカッと刹那、ガジェットがボールに割ったのは、卵。
 それに溶かしバターを入れて、粉をさらさらふるって混ぜて。
 見ているだけじゃ手持無沙汰なのか悪戯なのか、たまに桜の短剣や甘い毒をぽいっと投げて来る作家の心中道具も、すちゃっと立てたまな板でガード。
「さくら色にするなら食紅は一滴、こっちはもう少しぽたぽたであかい生地だよっ」
 そうオズが、生地を綺麗なピンクやあかや黄色にすれば。
 ヘラでクッキー生地をぐるるん。ふたり一緒にえいえいって、延べ棒でぎゅー。
 十分に伸びた生地を、手にした型抜きで、ぽんぽんっ。
「こっちは桜。たんぽぽも、ヒガンバナもっ」
「お花の型抜き僕らみたいっ」
 あっという間にトレイの上が、クッキー生地のお花畑に!
 それから全部型抜きしてお花にしたら、今度はお花たちを、あたためておいたおっきなオーブンへ。
 そして――クッキーが焼き上がれば。
「わ、クレナイのクッキーはロウくん?」
「そぅロウくん♪」
 ねこさんに微笑んで言ったオズに、チョコでお絵描きする紅はもう一度こくりと頷いて。
 お花畑に、ロウくんみたいな黒猫さん――でーきたっ。
 そう、完成の一声!
 いや……焼き上がったのは何も、小さなひとくちサイズのお花やねこさんクッキーだけではありません。
 オーブンがチン、とまた鳴れば。
「しーちゃんには、おおきなクッキーをあげるねっ」
「召し上がれ♪ お残しは許されないの」
『わぁいっ! 僕、甘いものも桜もねこさんも、大好……あちっ、あつつ!?』
 影朧へとごちそうするのは、食べるまで追いかけるあつあつクッキー!
 あつあつで食べられない作家にも容赦なく、おかわりもどんどん飛び出して。
 甘々ではなくあつあつクッキーに、影朧がダメージを受けている間に。
 オズと紅は、食べごろになった子を仲良くわけっこして、さくり。
「おいしくできてるよっ」
「クッキーんまー」
 はむりと、真夜中のおやつタイム!
 そしてふたり、ふふりと笑み合って。
「だいせいこうだねっ、クレナイ」
「ふふ、学校八不思議は、たのしおいしいですよぅ」
 学校八不思議――真夜中の調理実習は、大成功!
 ほわほわ笑顔で、自分達で作ったクッキーを一緒に食べながら。
 オズと紅は改めて顔を見合せ、笑って頷き合う。
「オズさん学校は素敵がいっぱいですねっ」
「うんうん、調理実習もたのしいし」
 ――がっこうってすてきっ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヨシュカ・グナイゼナウ
雲珠さま/f22865と

(雲珠さまにより頭部装着)(起動)
………!おはようございます
ううん、生き返るってきっとこんな感じ…
そこな美丈夫さんはどちら様ですか?ああ、あなたさまが『帝都学園殺人事件』の櫻居先生!
如何でしたか?我々の死にっぷりは!二人で色々と考えたのですよね
中々に良い死に様だと思うのですが

はい!先生に質問です。
何故今までと作風の違う、所謂バカミスを書く心境に?
成る程、その様な理由で。お答えいただき感謝いたします

それはそれとして(おいといてのポーズ)(ドス【開闢・煌】を構える)
楽しい時間はいずれ終わりが来るもの
この『帝都殺人事件』最後の被害者は先生です!

殺(や)りましょう雲珠さま!


雨野・雲珠
ヨシュカくんと/f10678

(相手に背を向けたまま)
申し訳ございません、ちょっとだけ待っていただけますか?
今とても大事なとこなので…
ほら、ご覧ください。神様が作ったとしか思えない、この繊細な造形。
髪の毛なんて絹糸のようです。
よい、しょっと…(慎重に頭部装着)
…こんな雑にはめて大丈夫でしょうか…

わぁ、ヨシュカくん!やったあ!(拍手)
えっ
…あ、あなたが!!

(正座して拝聴)
うーん。民間人を殺す気だった以上
生前の彼とは一線を画しているのでしょうが。
こんなにも楽しそうな影朧がいるとは…

はい、先生。(挙手)
ちなみに転生にご興味などは…(※UC発動のための質問)
ですよねー…
――ならば仕方ありません。お覚悟!



 教室には、学ランを来た学生ふたりの死体。
 いや、その死に至るまでの一部始終をそうっと覗いていた作家は、思わず呟く。
『……さすがにアレは、死んでるよね?』
 だって、首がぽーんとなって、豪快にごつんと頭をぶつけていたから。
 けれど念の為、ふたりが死んでいる教室へと踏み込んで。
『もしもーし、死んでるよねー?』
 そう一応、声を掛けてみれば。
 学友の首を抱えた方の死体が、むくりと起き上がって。
「申し訳ございません、ちょっとだけ待っていただけますか?」
 ――今とても大事なとこなので……。
 そう、声を掛けてきた作家へと背を向けたまま、起き上がった死体……いや、雨野・雲珠(慚愧・f22865)は、教室内へときょろり視線を巡らせて。
 学友の胴体の傍へと、とてとて歩みを進める。
 そして、きょとんとしつつも、悪役の様式美に則ってか謎に言われた通り待っている作家へと。
「ほら、ご覧ください。神様が作ったとしか思えない、この繊細な造形。髪の毛なんて絹糸のようです」
 学友の首を見せ、その艶やかな乳白色の髪を整えてから。
「よい、しょっと……」
 ――がしゃんっ。
 慎重に、胴体へと頭部を装着!
「……こんな雑にはめて大丈夫でしょうか……」
 ちょっぴりドキドキと、ぽーんと飛んだ学友の頭を胴体へとくっつけてみれば。
「………! おはようございます」
 ぴょこりと何事もなかったかの様に起き上がったのは、ヨシュカ・グナイゼナウ(明星・f10678)。
「わぁ、ヨシュカくん! やったあ!」
「ううん、生き返るってきっとこんな感じ……」
 無事に生き返った彼に、ぱちぱち手を叩き喜ぶ雲珠につられて、何故か一緒に拍手しつつ。
『えっ、え? 何、どういうこと?』
 驚きながらも、作家は興味津々。
 復活したヨシュカは大きく伸びをした後、ふと自分を見つめている作家へと目を向け、首を傾ける。
「そこな美丈夫さんはどちら様ですか?」
『あ、僕? 僕は超売れっ子な人気作家だよー』
「ああ、あなたさまが『帝都学園殺人事件』の櫻居先生!」
「えっ……あ、あなたが!!」
 今更その存在に気付いた雲珠が声をあげれば、サインいるー? と満更でもなさそうな作家。
 それからヨシュカは、ドヤ顔する影朧に訊いてみる。
「如何でしたか? 我々の死にっぷりは! 二人で色々と考えたのですよね」
 ……中々に良い死に様だと思うのですが、と。
 その言葉に、うんうんと大きく頷いて。
『すごいね、アレどうやったの!? 首がぽーんってなって……ねぇ、小説のネタになるかもだから、教えてよー!』
 当初の目的など忘れて、わくわくと逆に訊ねて来る。
 そんな彼の話を、ちょこんと正座して聴きつつも雲珠は思う。
(「うーん。民間人を殺す気だった以上、生前の彼とは一線を画しているのでしょうが」)
 ――こんなにも楽しそうな影朧がいるとは……と。
 いや、影朧である以上、このまま放置するわけにはいかないけれど。
「はい! 先生に質問です」
 すちゃっと手を挙げたヨシュカは、何ー? と首を傾げる作家に再び訊ねてみる。
「何故今までと作風の違う、所謂バカミスを書く心境に?」
『僕ってさー繊細で巧みな心理描写や情景描写が人気の作風なんだけどー。でも、たまにははっちゃけたものも書きたいなーって。それに、こんなのも書けるよ! って、知って貰いたくてー』
 いくら好きでも和食ばかりじゃ飽きるから、たまには洋食も食べたくなるでしょー? って。
 その答えに、こくこくとヨシュカが頷けば。
「成る程、その様な理由で。お答えいただき感謝いたします」
「はい、先生」
 今度は、雲珠が挙手して訊ねる。
「ちなみに転生にご興味などは……」
『転生? 地位も名誉も得たし、お金も女性もあるのに、絶対やだー』
「ですよねー……」
 予想通りのそんな答えに、そう口を開いた刹那。
『……!?』
 ――照覧あれ、神鹿が芳容。
 背負った箱宮から召喚されるのは、角に花咲く神鹿。
 そう……雲珠の質問は、神鹿の絢爛たる蹄で作家をげしげしやるべく向けられたもの。
 だって、分かっていたから。その質問に、満足な答えが返ってこないことを。
「それはそれとして」
 ヨシュカも、おいといてのポーズを取った後。
「楽しい時間はいずれ終わりが来るもの」
 体内を巡る術式回路を起動させながら、刃渡り一尺ほどのドス――『開闢・煌』を構える。
「この『帝都殺人事件』最後の被害者は先生です!」
 殺人事件の最後の殺人を、成し遂げるべく!
『え、僕は被害者になるのも転生するのも、やだってば!』
 そうぶんぶん首を振って駄々をこねる作家は実際、もう死んではいるのだが。
 ――殺りましょう雲珠さま!
 そんなヨシュカの声に、雲珠もこくりと頷いて。
 殺人の凶器となる刃や神鹿を共に作家へと繰り出しながら、最後の犠牲者へと言い放つ。
 ――ならば仕方ありません。お覚悟! と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふえ?アヒルさん、死んだふりっていつまでしてればいいのでしょうか?
そういえば、ここに現れる影朧さんって、どなたでしたっ・・・け?
ふええええ、どうして櫻居先生がここにいるんですか?
アヒルさん、どうしてここに来る影朧さんが櫻居先生だって教えてくれなかったのですか?
ふええ、私が全然聞いてなかったって、
というより、こんな血だらけの姿をお見せできませんよ。
えっと、こういう時は恋?物語で雨を降らせて血を洗い流せばいいんです。
ふええ、雨が強すぎですし、雷までなってますし。

私に落ちた雷の巻添えに近くにいたアヒルさんと櫻居先生まで落雷にあったそうです。
これが心中というものなんですね。
ふえ?全然違うのですか?



 不幸にも飛んできたボールに直撃したり、嘴に詰まって窒息したり。
 哀れ、死んでしまったフリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)とアヒルさんだけれど。
「ふえ? アヒルさん、死んだふりっていつまでしてればいいのでしょうか?」
 そうっと薄目を開けつつ、そう隣でこてんと倒れた演技をしているアヒルさんに訊ねてみたフリルだけれど。
 ふと、今まで知らなかったことを思い出す。
「そういえば、ここに現れる影朧さんって、どなたでしたっ……け?」
 瞬間、顔を上げれば。
『あれれ? きみ、死んでないのー?』
「ふええええ、どうして櫻居先生がここにいるんですか?」
 ぱちりと目があったのは、何度か今まで顔を合わせている作家、櫻居・四狼であった。
 当の彼は影朧故に、フリルのことは覚えてはいないけれど。
 僕のファンかなー? なんてにっこり営業スマイル。
「アヒルさん、どうしてここに来る影朧さんが櫻居先生だって教えてくれなかったのですか?」
 ……ふええ、私が全然聞いてなかったって、と。
 相変わらず軽薄そうだが顔の良い作家の残影に、わたわたと慌てるフリルだけれど。
「というより、こんな血だらけの姿をお見せできませんよ」
 ふと、ピカッと閃く名案!
 ――えっと、こういう時は恋?物語で雨を降らせて血を洗い流せばいいんです。
 刹那、展開するのは『突然の大雨と雨宿りが齎す恋? 物語』……なのだけれど。
『ちょ、ゲリラ豪雨!? 雨強すぎじゃない!?』
「ふええ、雨が強すぎですし、雷までなってますし」
 降り出したのは、突然の大雨!!
 さらに。
『ん? 雷……って、ぎゃあっ!?』
「!?」
 近くにいたアヒルさんと櫻居先生まで、フリルに落ちた雷の巻添えに!?
 そんな、みんな揃って落雷にあいながらも。
「これが心中というものなんですね」
 ようやく、櫻居先生が大好きな、心中というものが分かりました!?
 いえ……ふるふると首を横に振る作家とアヒルさんの様子に、首を傾けるフリル。
 ――ふえ? 全然違うのですか? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロカジ・ミナイ
有/f00133

有ちゃんを庇うように背中にレンガを背負って……
有ちゃん生きてるー?僕はもうちょっと死んでる
しばらく味わってたいからね
……あっ、置いて行かないで

今日も呑気な作家のにーちゃんが感想聞きたいって
どうだった?
僕と死ぬのは飽きないだろう、うんうん

今が楽しいのが一番ってのは同感よ
でも残念ながら僕には明日も明後日も何年後も
下手すりゃ来世も来来世もあるっぽいから
明日の僕や有ちゃんが生き易いように用意しとかなきゃなんない
面倒そうだろう?けど意外と楽しいんだよ、これも
ほらこんな風に有ちゃんの面倒も見れちゃう ……ん?

さて有ちゃん、やっちまおう、埋めよう
阿呆の影朧をやっつけるのは気が晴れるからねぇ


芥辺・有
ロカジ/f04128

でかい壁が崩れたけど
もういっこでかい壁があって助かったな
あんまり破片も当たんなかったし、生きてるよ
……何、瓦礫まみれがお好みなのかい?
私はさっさとオイトマしたいね
痛いしホコリくさいし
それじゃごゆっくり

――って言いたいとこだが、ああ、作家先生
今回は一番バカバカしかったんじゃない?お望みどおり
感想たってそれ以上は特にない
まあ飽きはしないけど。実際死んでもないけどね

影朧ってのになっても今は楽しいかい
そう…… ゼイタクな奴だ
まあ、私は用意だ何だなんてのは面倒だし
そこのロカジにでも任せたいがね

結局楽しませなきゃなんなかったのもそれなりに癪だったんだ
どうせなら生き埋め体験もしてくといい



 見事に崩れ落ちた壁、そして巻き込まれた死体がふたつ。
 この壁の下敷きになれば、きっとふたりとも、ぺしゃんこのお陀仏……のはず。
 ……いや、ちょっとレンガを背負った背中は痛いけれど。
 そんなのをおくびに出さないのが、粋な良い男に違いないから。
「有ちゃん生きてるー?」
 ロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)は咄嗟に庇った彼女へと、そうそっと声を掛けてみれば。
「でかい壁が崩れたけど、もういっこでかい壁があって助かったな」
 ……あんまり破片も当たんなかったし、生きてるよ、と。
 芥辺・有(ストレイキャット・f00133)は、もういっこのでかい壁……いや、ロカジへとそう返す。
 けれど、背中はやはりちょっぴり痛いけれど。この状況は、なかなか随分と美味しいことにも違いないから。
「僕はもうちょっと死んでる」
 ……しばらく味わってたいからね、なんて。
 またガクリと事切れようとするけれど。
「……何、瓦礫まみれがお好みなのかい? 私はさっさとオイトマしたいね。痛いしホコリくさいし」
 それじゃごゆっくり、とあっさり自分を放置して立ち上がる有に。
「……あっ、置いて行かないで」
 ロカジも続いて、仕方なく起き上がる。
 そんなふたりのことを、じーっと見つめていたのは。
「――って言いたいとこだが、ああ、作家先生」
『あれっ、死んでないの?』
 ……ちゃんと死んだかな? って様子を窺っていた作家、櫻居・四狼その人であった。
 そんな作家のかわりに、ロカジは有へと訊ねる。
「今日も呑気な作家のにーちゃんが感想聞きたいって。どうだった?」
 有は自分の答えを待っている野郎ふたりに、ちらりと気怠そうな視線を向けた後。
 ふっと溜息と同時に紡ぐ。
「今回は一番バカバカしかったんじゃない? お望みどおり」
 ……感想たってそれ以上は特にない、と。
 それから有は、埃っぽくなった服を雑に払いつつも、続ける。
「まあ飽きはしないけど。実際死んでもないけどね」
「僕と死ぬのは飽きないだろう、うんうん」
 ロカジはそんな彼女の言葉に、満足気にこくこくと頷いた後。
『ふうん、バカバカしい死に方なら、死ぬのも楽しそーだねー』
 相変わらず呑気な作家先生へと視線を向ける。
 そんな彼がいつも口にする言葉。
「今が楽しいのが一番ってのは同感よ」
 けれど自分達にあるのは、『今』だけではないから。
「でも残念ながら僕には明日も明後日も何年後も、下手すりゃ来世も来来世もあるっぽいから。明日の僕や有ちゃんが生き易いように用意しとかなきゃなんない」
 ……面倒そうだろう?
 そう瞳を細めるロカジに、作家は大きく首を傾ける。
『用意? 地位も名誉も、金だってある僕にはそんなのいらないしー。やっぱ僕は、今が楽しければそれでいいや』
「影朧ってのになっても今は楽しいかい。そう……ゼイタクな奴だ」
 有はへらへら笑う作家のその顔を見つつ、そう口にして。
 そんな彼女へと笑みながら、ロカジは続ける。
「面倒そうだけど意外と楽しいんだよ、これも」
「まあ、私は用意だ何だなんてのは面倒だし、そこのロカジにでも任せたいがね」
「ほらこんな風に有ちゃんの面倒も見れちゃう……ん?」
 そしてぱちりと一瞬瞳を瞬かせる彼を後目に、有は作家へと紡ぐ。
「結局楽しませなきゃなんなかったのもそれなりに癪だったんだ」
 ――どうせなら生き埋め体験もしてくといい、と。
 それには勿論、ロカジだって同感。
 いつだってへらり笑む顔の良い野郎は、いけ好かないから。
「さて有ちゃん、やっちまおう、埋めよう」
『なんで僕が埋められちゃうの!? ぎゃあっ』
 刹那、作家を埋めるために向けられるのは、雷電を纏う得物と無数の赤い杭。
 そして、作家目掛け崩れ落ちる壁を見つつ、ロカジは愉快に笑う。
 ――阿呆の影朧をやっつけるのは気が晴れるからねぇ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

ジャンルとしてよくわからなかったから今来たんだけど。でも聞きたいことがあってな。

このジャンルって面白いのか?(首こてり)
ミステリーは綿密に立てられた殺人計画とかアリバイ工作とか、怨恨や心情が絡む物しか読んだ事無いからなぁ。作者としての意見が聞きたいかなって。

一通り話を聞けたら攻撃をしかける。話ができるかまぁ賭けっぽいとこはあるが。
可能な限りマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC剣刃一閃。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛耐性で耐える。



 訪れた学園のそこかしこには、沢山の死体が。
 それは、そんなバカな!? というような死に方をした、殺人劇の犠牲者たち。
 いや……正直、やはりよくわからない。
 黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は予知を聞いても、バカミスとやらがどんなものなのか、ジャンルとしてピンとこなかったから。
 ちょっぴり遅れて影朧が出て来る頃合いを見計らい、学園へと足を運んだのだけれど。
 いや、分からないからこそ。
「でも聞きたいことがあってな」
 校内にいるはずの、バカミスとやらの作品を書いた作家を探して。
『あれ、また死んでない人がー?』
 当然ではあるが、ぴんぴんしている瑞樹を見てきょとりとする作家、櫻居・四狼へと早速訊いてみる。
「このジャンルって面白いのか?」
 首をこてりと、傾けながら。
 いや、普通のミステリーならば分かるのだ。
「ミステリーは綿密に立てられた殺人計画とかアリバイ工作とか、怨恨や心情が絡む物しか読んだ事無いからなぁ」
 だから、バカミスとはどういうもので、何が面白いのか。
 作者としての意見が聞きたいかなって、そう思ったから。
 そんな彼の問いに、作家は楽しそうに答える。
『バカミスって、普通のミステリーより難しいんだよー。バカな展開ながらも、ミステリーと銘打ってるからさー、ちゃんと読者を納得させなきゃいけないし。本を投げられないよう、魅力的なものにしなきゃでしょ。バカバカしいけどなんか納得してしまうと思わせれば思惑通りというか。それが醍醐味かなー? そんなバカな!? っていう、作品としての話題性もあるしねー』
 まぁ賛否両論あるジャンルなんだけどね、と。
 話ができるかは、まぁ賭けっぽいところはあったものの。
 そう持論ながらも返って来た答えを、一通り聞いた後。
『え、これ、どういう展開!?』
 瑞樹はマヒ攻撃を乗せた暗殺の剣刃一閃を、慌てて心中用の刀を抜く作家へと繰り出す。
 結局バカミスとはどんなジャンルなのか……分かったような、分からないような感じだけれど。
 この殺人劇の結末は多分――黒幕の退場が相応しいだろうから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

平平・晴
うーん…覚醒覚醒…私、夢晴…
鼻血溜りの中目を開ければこっち覗き込み微笑む超絶イケメン作家様
なんかキラッッキラしてますよね天使かな?遂に私本格的にGOTOヘヴン?

かっ顔が赤いのは(自分の)返り血のせいで…
頬が熱いのは地面と衝突してたから…
ね、熱なんてありませんっ…

頬や額に触れられれば目はぐるぐる口ぱくぱく
近い近い恥ずかしい嬉しい苦しい眩しい楽しい熱い照れくさい恐縮驚愕畏怖顔がいい尊い感謝
あらゆる感情が混ぜこぜに押し寄せて
作家の貴方ならこの感情を何と表現するんでしょうか

語彙を無くした一般人はこう表現するしかないんです
「ア゜アアアアアアアアアーーーー!!!!!」(ボディブロー)

あ、技名は尊パンチです



 幸せな妄想の海の中、尊死を遂げた平平・晴(一般人・f27247)。
 けれど、確かに色々とアレで死んだはずなのだけれど。
 うっすらと瞳を開くのは、先輩イケメンズたちの右左や掛け算を堪能した腐晴ではなく。
「うーん……覚醒覚醒……」
 NLを好む夢女人格の「夢晴」であった。
 そして鼻血溜りの中、ぱちりと瞳を開ければ。
『あれ? きみ、死んでないの? めっちゃ血塗れだけど』
 夢晴の顔を覗き込み微笑むのは、そう……超絶イケメン作家様――!!?
 ――なんかキラッッキラしてますよね天使かな?
「遂に私本格的にGOTOヘヴン?」
『なんか顔赤いけど、大丈夫ー?』
 ……熱でもあるのかなー? なんて。
 手慣れた様に、細く長いその指で夢晴の前髪をスッと上げて。
 ぴたり、大きな掌をおでこに添える、超絶イケメン作家こと櫻居・四狼。
 そんなぐっと距離が縮まった彼の整った顔をちらっちらっと見上げながら。
「かっ顔が赤いのは返り血のせいで……頬が熱いのは地面と衝突してたから……ね、熱なんてありませんっ……」
 顔が赤いのはきっと、自分の返り血と地面の摩擦のせいです!
 喉から飛び出しそうなこの心臓の高鳴りが、また彼に聞こえてしまいそうで。
 しかもこれは、禁断の恋。とっても美味しくいただけます!
 そしてイケメン作家は、頬や額に触れながら、掛けている彼女の眼鏡をそっと外して。
『やっぱり。眼鏡外したら、もっと可愛いねー』
 ――きゅんっ。
 とにかく顔がいい作家のそんな一挙一動に、夢晴の目はぐるぐる口ぱくぱく。
 だってもう待って無理耐えられない。
(「近い近い恥ずかしい嬉しい苦しい眩しい楽しい熱い照れくさい恐縮驚愕畏怖顔がいい尊い感謝」)
 もう、あらゆる感情が混ぜこぜに押し寄せて。
 ……作家の貴方ならこの感情を何と表現するんでしょうか。
 頭をぽんっとかまでしちゃうイケメン作家へと、心の中で問うので精一杯。
 そして。
「ア゜アアアアアアアアアーーーー!!!!!」
『じゃあ、そろそろ死ん……えっ、ぐふぅっ!?』
 ――どぼぉっ!!
 あまりの尊さにぐっと握りしめた夢女の拳が、至近距離のイケメン作家の腹へと炸裂!
 そう……語彙を無くした一般人はこう表現するしかないんです!
 ていうかもう蹲って悶えるその姿も顔がいい尊い可愛いイケメン感謝しかない。
 あ、ちなみに技名は、尊パンチです。

大成功 🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【不死蝶】
のこのこ現れたな、影朧!
首にまとわりついたケチャップ拭き
よくやったと零と焔を撫でてやりつつ

フッ、どうだ俺脚本の寸劇
一人の少女(※役者:零)が嫉妬に狂った末に
引き起こしてしまう愛憎の殺人劇…
タイトル『真紅の金曜日』!
櫻居・四狼も顔負けの文豪になれるかもな俺…!
ええい、やかましい!
それじゃアクションものになるだろうが!

ハッ、綾と言い合いしてたら影朧のこと忘れていた
人生楽しそうなのは何よりだがな
今回の件、猟兵なら「うわーバカだなぁ」で済むが
一般人が巻き込まれて死んだら笑い話じゃ済まない
またバカなことを思いつく前におねんねしてもらうぞ

UC発動し、零の咆哮を響かせる
燃やすのは勘弁しておいてやる


灰神楽・綾
【不死蝶】
影朧が現れたら、もういい?と起き上がり
いやぁ、ずっと死んだふりするのも疲れるね
あーあ、せっかくの制服が汚れちゃった

自信作に酔いしれているところ悪いけど
俺が完全に噛ませ犬だったのがちょっとねぇ
それにどうせなら毒殺じゃなくて
一騎討ちの末の壮絶な相打ちとかの方が良かったなぁ
ぶーぶーと脚本に文句垂れ

おっと、帰ってもらっちゃ困るよ
UC発動、Phantomを一斉に飛ばし敵を捕縛
君のおかげで学生ごっこが楽しめたし感謝しているよ
「今が楽しければいい」そういう生き方嫌いじゃないし
影朧じゃなければ色々話してみたかったんだけどね

でも…どうせ倒されても
またすぐにひょっこり出てきそうだよね、彼
今を楽しむために



 転がる焼きそばパン、ガブリと噛みついた口元を血で濡らす仔ドラゴン。
 そしてその傍らには、ふたつの死体。
 殺人の動機は……抑えきれなかった嫉妬心。
 アオハルな学園生活が一変、放課後の惨劇と化してしまったのだ。
 ……という旨の焔が持つテロップをふむふむ、と見遣って。
『なるほどー、犯人は嫉妬に狂った仔ドラゴン! って、そんなバカな!?』
 思わずそうツッコんだのは、人気作家であった櫻居・四狼という男の残影。
 そんな作家が、自分たちの死を確認しにやって来た刹那。
「のこのこ現れたな、影朧!」
 すかさず復活したのは、血塗れ……いや、ケチャップ塗れの首を拭き拭きする、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)。
 そして零の口元も拭いてあげつつ、キューとテロップ係を頑張った焔と一緒に、よくやったと撫でてあげる。
 いや、起き上がった死体はひとつではない。
「……もういい?」
 そうむくりと立ち上がったのは、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)。
「いやぁ、ずっと死んだふりするのも疲れるね」
 うーんと伸びするかのようにそう言った後。
 綾は、口から垂れた血……いや、ケチャップと、地面に突っ伏した際に汚れた白軍服を見遣る。
「あーあ、せっかくの制服が汚れちゃった」
 白い服にケチャップは、シミ抜きが大変そう。
 そんな綾に、ほら、と白の軍帽を渡しつつも、梓は作家に言い放つ。
『いや、そもそも死んでなかったの!?』
「フッ、どうだ俺脚本の寸劇。一人の少女が嫉妬に狂った末に引き起こしてしまう愛憎の殺人劇……」
 ――タイトル『真紅の金曜日』!
 勿論、犯人役の演技派少女は零です!
「櫻居・四狼も顔負けの文豪になれるかもな俺……!」
「自信作に酔いしれているところ悪いけど。俺が完全に噛ませ犬だったのがちょっとねぇ」
 えっへんとドヤ顔する、そんな脚本家兼役者の梓にすかさず物申す綾。
「それにどうせなら毒殺じゃなくて、一騎討ちの末の壮絶な相打ちとかの方が良かったなぁ」
「ええい、やかましい! それじゃアクションものになるだろうが!」
 ぶーぶーと渾身の脚本に文句垂れる綾に、そう今度は梓が言い返すも。
『えっと……脚本家さん、コントは終わったー?』
「俺の脚本は、どこからどう見ても、アクションでもコントでもないミステリーだろう!?」
 そう何気にツッコまれて、ハッと気が付く。
 ……綾と言い合いしてたら影朧のこと忘れていた、と。
 そして、もういい? と楽しそうに首を傾けている作家に言い放つ。
「人生楽しそうなのは何よりだがな。今回の件、猟兵なら「うわーバカだなぁ」で済むが。一般人が巻き込まれて死んだら笑い話じゃ済まない」
 ――またバカなことを思いつく前におねんねしてもらうぞ、と。
 それには、こくりと綾も頷いて。
「おっと、帰ってもらっちゃ困るよ」
 ――離してあげないから、覚悟してね。
『……!』
 赤く光る蝶の群れがひらり舞い飛ぶと同時に、作家を縛る鎖と化して。
 ……君のおかげで学生ごっこが楽しめたし感謝しているよ、と。
 屋上ランチに放課後の焼きそばパン、梓と揃いの制服、そんなアオハルな学園生活をふと思い返すけれど。
「「今が楽しければいい」そういう生き方嫌いじゃないし、影朧じゃなければ色々話してみたかったんだけどね」
 楽しかったそんなひとときは、影朧を誘き出す為のもの。
 綾は敵を決して逃さぬよう、蒼き桜の刀を抜かんとする作家の動きを制すべく、赤き蝶を戦場へと解き放って。
 ――歌え、氷晶の歌姫よ。
 赤が舞い飛ぶ戦場に響くのは、影朧を在るべき場所へと葬送する、氷竜の神秘的な咆哮。
『……く、!』
「燃やすのは勘弁しておいてやる」
「でも……どうせ倒されても、またすぐにひょっこり出てきそうだよね、彼」
 零の咆哮を聴きながら言った梓の声を耳に、綾は作家を見遣り続ける。
 きっと、また――『今』を楽しむために、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘスティア・イクテュス
【宙花】
そうか、貴様か…
あの炬燵やストーブ、激辛餃子鍋を用意してわたし達がのたうち回ったのも(※自分達で用意しました)
澪が何故か自分の性別を男性と思い込んでるのも全て貴様が原因かぁ!!
(※冤罪です)

その所業許すまじ、澪この全ての元凶を叩き潰すわよ!!


澪に言われて窓からティターニアで空へ【空中戦】
わー(ドン引き)この世界にもあんなに親衛隊が…本当このナマモノ世界を支配でき…滅ぼすべきなんじゃ…??

落ちてマニキュアを塗られた作家にはついでに止め
残ってた激辛餃子(トッピング:タバスコ)を口の中に叩き込む!
バカバカしく死んだ感想?自分で味わって口に出すことね!

※近接片手武器:箸


栗花落・澪
【宙花】

いや僕男!誤認説を広めるんじゃない!

しょうがないなぁ…とりあえずネタ一つ提供しようか
こんなのはどう?
あ、ヘスティアさん外出て外
絶対詰まる

自分達はちゃっかり屋外に出て飛行しつつ
櫻居さんの場所目掛けて【指定UC】

はい君達はこの学校の生徒!
毎日徹夜で準備したなんかもコンテスト、櫻居先生のおかげで大成功!
胴上げです!はいアクション!

親衛隊が詰まりながら先生をわっしょいわっしょい
手が滑って横わっしょい!!(投
地面にべしょっと衝突死、なんてね

…ちょっと楽しかったけどね
あ、動かないで

ミステリーによくある挑発痕とばかりに
先生の指にもマニキュアを
黒と紺のグラデ地に桜柄を描き
乾くまでそのままでよろしくー



 教室の中にあるのは、見た目女学生なふたつの死体。
 いや……教室、のはずなのだけれど。
『なんで炬燵にストーブに激辛鍋?? って、暑っ!』
 ……そんなバカな!?
 ちゃんとふたりが死んでいるのか確認しにのこのこやって来た作家、櫻居・四狼がお約束通りそう言った、その時だった。
「そうか、貴様か……あの炬燵やストーブ、激辛餃子鍋を用意してわたし達がのたうち回ったのも」
 ゆらりと起き上がった死体は、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)。
 いやコレ、自分達で用意しましたけれど!
 さらにヘスティアは影朧へと罪を突きつけ、びしいっと言い放つ。
「澪が何故か自分の性別を男性と思い込んでるのも全て貴様が原因かぁ!!」
 いや、冤罪ですけれど!
 むしろそんなヘスティアの声に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)へと目を向けて。
 大きくぶんぶんと首を振る作家。
『ていうか、こんな可愛い子ちゃんが男のわけないじゃん!』
「いや僕男! ヘスティアさんは誤認説を広めるんじゃない! 櫻居先生も、僕男だから!」
 そう思わず叫ばずにいられない澪であるが。
「その所業許すまじ、澪この全ての元凶を叩き潰すわよ!!」
『いやだからこんな可愛い子ちゃんが男なわけないでしょ!?』
「ねえ、聞いて!? ふたりとも!」
 ふたりとも、全然聞いていません。
 そんな性別誤認説だったり男だと信じて貰えない言動に溜息をついてから。
「しょうがないなぁ……とりあえずネタ一つ提供しようか。あ、ヘスティアさん外出て外。絶対詰まる」
 ティターニアで窓から空へと出たヘスティアの後に続いて。
 ――こんなのはどう?
 ちゃっかり自分も屋外へと出て飛行しつつ、澪は展開する。
 わらわらと召喚するのはそう、澪ちゃん親衛隊!
「わーこの世界にもあんなに親衛隊が……本当このナマモノ世界を支配でき……滅ぼすべきなんじゃ……??」
 そんな大人気がすぎる澪とその親衛隊たちを見遣り、ドン引きするヘスティア。
 ……また人数増えた? なんて、澪もそう首を小さく傾けながらも。
 親衛隊たちへと、こう声を。
「はい君達はこの学校の生徒! 毎日徹夜で準備したなんかのコンテスト、櫻居先生のおかげで大成功!」
 ――胴上げです! はいアクション!
 刹那、親衛隊が詰まりながらも、作家先生をわっしょいわっしょい!!
『わ!? えっ、でもなんかちょっと楽しい……?』
 最初はそう、満更でもなさそうにわっしょいされていた影朧だけれど。
 ――手が滑って横わっしょい!!
『!?』
 おっとうっかり、手が滑って窓の外に放り投げちゃいました!
 そして衝突死よろしく、地面にべしょっとなった作家に。
「あ、動かないで」
 ……ちょっと楽しかったけどね、なんて思いながらも、澪は塗り塗り。
 それはミステリーによくある挑発痕??
 黒と紺のグラデ―ション地に桜柄を描いて。
『わ、オサレだね!』
「乾くまでそのままでよろしくー」
 気に入ったのか、うんわかった、と頷く作家へと、すかさず距離を詰めるヘスティア。
 その手に――残っていた激辛餃子を携えて。
 そして、箸という名の得物を、影朧へと素早く繰り出す。
「バカバカしく死んだ感想? 自分で味わって口に出すことね!」
『! 女の子のあーんは歓迎だけど、僕は甘い物が好……辛っっっ!!!?』
 ――蝶のように舞い……蜂のように……激辛を突っ込む!
 まさに百聞は一見に如かず、黒幕の作家にも同じ辛さを味合わせます!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リリスフィア・スターライト
優しくお淑やかな人格のフィアで参加

死体のフリは思いのほか大変でしたね
事件現場の教会付近で無色変換で姿を消して櫻居が来るのを待ちます
教会にはナイフが突き立てられた、ぬいぐるみに
私が貼り付けにされていた痕跡が残っています
死体が消えるのもミステリーのお約束ですね
櫻居が現場を見て怪しんでいる所に
背後から忍び寄ってこう言います
「あなたも死んでみてはいかがですか?きっと楽しいですよ」

バカバカしく死んでみた感想も聞きたいのですよね?
そうですね…演技をするのは思っていたよりドキドキしましたね
あなたもすぐに知る事になりますよ
最期にミステリーの被害者となって障害を終える
作家にとっては悪くないのではないでしょうか



 教会にはりつけられた凄惨なる少女の死体と、響いた銀猫の鳴き声。
 けれど、さらにミステリーにありがちな展開が事件現場では起こっていたのだ。
 そう――それは、死体消失!?
 先程まであったはずの少女・リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)の死体は、忽然とその場から消えていたのだ!
(「死体のフリは思いのほか大変でしたね」)
 そんなリリスフィア……今は優しくお淑やかな人格のフィアは、無色変換を発動させて。
 姿を消し、事件現場の教会付近で、黒幕が来るのを待っているのであった。
 教会には、ナイフが突き立てられたぬいぐるみ。
 そして少女が先程まで磔にされていた痕跡。
 死体が消えるのもミステリーのお約束!
『……あれ? 死体は?』
 鳴いてた猫ちゃんなら知ってるかな? なんて。
 そう足を踏み入れた教会できょとりとするのは、まんまと現れた作家の影朧。
 そして――消えた少女の死体と一緒に、聞こえた鳴き声の主もきょろりと探してみているその背後から忍び寄って。
「あなたも死んでみてはいかがですか? きっと楽しいですよ」
 黒幕の耳元でそう紡ぐフィア。
『! え、死んでなかったの!?』
 突如聞こえた声に、作家・櫻居・四狼は咄嗟に振り返りつつも驚いた表情を宿して。
 そんな作家が知りたいと思っていたことを、教えてあげる。
「バカバカしく死んでみた感想も聞きたいのですよね? そうですね……演技をするのは思っていたよりドキドキしましたね」
 ――あなたもすぐに知る事になりますよ、って。
 そう、誰でもない作家自身の、その身をもって。
『ちょっと楽しそうだよね……って、演技じゃダメだから!』
 ……ちゃんと死んでくれないと! と。
 原稿用紙や桜花弁を舞わせながら言った影朧に、フィアはこう返す。
「最期にミステリーの被害者となって障害を終える」
 ――作家にとっては悪くないのではないでしょうか、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【KOR】

そうか。楽しいのが好きか。
折角なら影朧も飛んでみるか?

慧華ちゃんと明ちゃんにそっと目配せして。

地の精霊様に頼んで、重力操作を!

どーーん!

さっきは皆を飛ばしたけど、今回は1人だからな。
さっきよりも早く高く打ち上げサービスしたい。

後は慧華ちゃんと明ちゃんに任せます。

プリン大きいな!
これは食べてもいいやつ?ですか?

クロムさん…それは?初めてみました。
とーゆポンプ?
あ、なるほど…

俺は自分のペースで食べたいかな。

売店でスプーン貰ってきた!
冬青さん、皆、スプーン使いますか?

こんなに大きなプリン、次いつ食べられるか分からない。

チィ、出ておいで!
凄い一杯なプリンだぞ!


辰神・明
【KOR】
妹人格:メイで参加
ぬいぐるみ『ふーちゃん』と一緒

ふりーふぉーる、ぷりん……!
すごい、すごい、すごーい!……なの、です!
合図を受けてから
UC:大切なともだち、を発動します

くまさーん、りすさーん!
えと、落ちてきた影朧せんせーが
起き上がらないように、ぺったんこ、お願いします……!
朱雀さんの、UC発動と同時に
くまさんとりすさんには、離れてもらう、です

木常野さん、スプーンありがとう御座います、です!
わあ、おっきなぷりん……!
ふーちゃん、いい香り、するです、ね

もらったスプーンで、ぱくっと食べてみる
えへへ……おいしー、です(ほわり)

ところで、ばかみす?って……なんでしょう、ね?


朱雀・慧華
【KOR】
楽しい事してもいいの!?
じゃあさじゃあさ、影朧のお兄さんも一緒に楽しくしのーよ!

無邪気な笑顔を見せつつ仲間と連携
都月が重力操作でお兄さんを打ち上げ落下
かわいいくまさんりすさんがお兄さんを押さえ
からの私が指先をびしっと向けて【プリンは至高のおやつ】発動
お兄さんがすっぽり埋まっちゃうくらいおっきなプリンをお兄さんの上に落とすね
あ、勿論皆も食べれるよー(もぐもぐ
影朧さんも食べたい?今動けないだろうしあーんしてあげる!(スプーンで差出し
え、とーゆ…なに?わぁ。わー…溺れそう

空から落ちるのも楽しいし、美味しいものに包まれるのも最高に幸せだよね!

攻撃はスケートと風魔法の【属性攻撃】で回避・軽減


城島・冬青
【KOR】

やー、酷い目に遭いました!
タンコブとかできてないですよね?(頭をさすり)

で、櫻居先生もどうですか?
物書きや女性との交際では
フリーフォールなんて出来ないでしょう?
獲物を狙うハヤブサみたいに急降下してみて下さい
プリンもあるそうですよ
影朧だから糖尿病の心配はいりませんよね?

見た目が清史郎さんだから彼が大変な目に遭ってるようで少し気の毒になるけど
まぁそれよりこのプリン美味しいですね
今度旅団でプリンの食べ比べしてみるのもいいかも♪

は!このままだとプリン食べて終わってしまう
戦わないと!
…先生
プリンでベトベトしてますが大丈夫ですか
タオル貸しましょうか?
まぁそれはそれとして容赦なくUCはぶつけますね


クロム・エルフェルト
【KOR】コキコキと首を鳴らしながら何事も無かったように起き上がる。
昔から、狐は人を化かすのがお約束。
慧華さんと一緒に、私も影朧先生に「はい、あーん」。
……ん、これ?『灯油ぽんぷ』という便利道具らしい。
本物の事務員さんから使い方は聞いてある。大丈夫。任せて。
プリンの強制給餌をしながら、重力のトリックとやらに疑問をぶつける。
寒い所に生きる動物は寒い環境に特化するし、海の底の生き物は海底の環境に特化する。(ポンプにぎにぎ)
重力の強い所に生きる異星の人間は、その環境に特化してなかったの?(ポンプにぎにぎ)
おっと。考え込むと、ついそっちに集中してしまうのが私の悪い癖。
……あれ?影朧先生、生きてる?


アヤネ・ラグランジェ
【KOR】
ソヨゴの頭をさすり
大丈夫血も出ていないネ

というわけで
そこの作家らしい人
よくもうちの風紀委員長に怪我をさせたわね
この代償は身体で支払っていただきましょう
都月さんお願いします

おお高い高い
この後どうなるか知らないと生きた心地がしないだろうネ
派手な着地におお!どよめくモブ役もこなしつつ

その後のプリンを与える作業を見守ろう
なかなかエグいけど仕方ないネ
糖尿病にはならなくても肥満にはなるかも?

プリンを僕らもいただこう
スプーンも用意してきましたよ
委員長の分は私が食べさせてあげますね
最後まで委員長カップルは続けよう

おやまだ戦う気が残っているの?
UC発動
影朧はしばらく大人しくしてて
今僕は忙しいんだから


花屋敷・幽兵
【KOR】
おお、中々ふざけた奴だな。可哀そうに…普段温厚なのにこういうのに厳しいのが今回はそろっているんだなあ。
俺には介錯位しかできん(槍ちらちら)
慧華と都月はあれSだな。さらば影朧。
俺もあーんされたいな、その後が地獄だとしても。
冬青はSとかそういう次元じゃないんだよなあ。アヤネ止めろ。お願いします。
クロムもまあ…クセの強い女じゃあ!(声真似)
俺の癒しはオクと明くらいだ。サクラコも一応入れとこう。
いや…隅っこでいい子同士でプリン食うか。後はサディストたちに任せよう。
魔王城を思い出すな…こういうの。取り合えずスチームエンジンで強化して攻撃出来る様ににしておこう。


鏡彌・サクラコ
【KOR】
かなり派手な着地でしたがみなさまお怪我はありませんかねい
よし全員生存確認でいす

くるりと影朧に向き直り
バカバカしく死んだ感想が聞きたいのでいす?
それより体験なさった方が早いのでは?
都月さまよろしくでいす!

ぽーん
見事な対空時間
見事なプリンダイブ
これは芸術点が高そうですねい

プリンを食べさせてあげるなんて
みなさまお優しい
わけでも無いですねい
食べ過ぎで死亡というのもバカバカしくて良いかも

さておきプリンをいただきましょう
用意しておいたお皿に取り分けて
UC発動
銅鏡でみなさまにお配りします

影朧に給餌しているみなさまはおまかせして
純粋にプリンを楽しみます
オクちゃんの分は手渡しで
一緒にいただきましょう!


日隠・オク
【KOR】
大きいプリン!夢!ドリーム!……ではないでしょうか
プリンをいただきます
サクラコさんと一緒に
はむ
最近とっても大好きです
この黄色みが良いですね
とても、まろやかです
(口の中で味わっている
おいしいですね(えへへ
えっとこれが連携という……(もぐもぐ
幽兵さんもたべましょう、おいしいです

その、バカミスも、楽しいですよ、ね
タイトルとのギャップ、それも合うときは合う気がします。

でも本当にやったらいけないと思います
(うん、と頷き

攻撃時はナイフ取り出し握り
シーブズギャンビットで攻撃は仕掛けます
素早い動きで地を起点とした動きは得意



 そうっと一部始終、物陰から一連の死の連鎖を見ていたその作家、櫻居・四狼は。
『えっ、本当に重力が変わっちゃってる?』
 のこのこと姿を見せつつ、その死に様にいたく感激していた。
 文字の世界の中だけの、そんなバカな!? という事象が目の前で起こったからである。
 そんな瞳をキラキラさせて登場した黒幕の姿を確認してから。
『……!? ちょ、え、死体が動いた!?』
「かなり派手な着地でしたがみなさまお怪我はありませんかねい」
 むくりを起き上がり、次々に同じ様に身を起こした皆を見回して。
 桜色の瞳を丸くする影朧を後目に、鏡彌・サクラコ(鏡界に咲く花・f09974)はこくりと頷く。
「よし全員生存確認でいす」
 一応ちゃんと、危なくないようにはしていたのだけれど。
「やー、酷い目に遭いました!」 
 ……タンコブとかできてないですよね?
 そう、頭をさするのは、ある意味器用に木刀が頭に当たった風紀委員こと城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)。
 そんな冬青の頭を一緒にさするのは、清楚な図書委員長ことアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)。
「大丈夫血も出ていないネ」
 やはりこの風紀委員と図書委員のふたりは、噂通りカップルなのだろうかと。
 作家もつい気になる、学園ものの恋物語……では、今回はなく。
 そう、これはミステリー。しかも、バカミスである。
 皆と一緒に、コキコキと首を鳴らしながら、事務員さんことクロム・エルフェルト(半熟仙狐の神刀遣い・f09031)も、何事も無かったように起き上がる。
 人を化かすことは、彼女にとってはお手の物。だって昔から、狐は人を化かすのがお約束だから。
『……そんなバカな!?』
 そうベタに声をあげる作家は、何だか心なしかすごく楽しそうであるが。
「おお、中々ふざけた奴だな」
 花屋敷・幽兵(粗忽なダークヒーロー・f20301)は、今は楽しそうな作家が迎えるだろう末路を哀れに思う。
「可哀そうに……普段温厚なのにこういうのに厳しいのが今回はそろっているんだなあ」
 俺には介錯位しかできん、と槍をちらちらさせる幽兵。
 一見、温厚そうに見えるけれど……何て言ったって、手練れ揃いのうさぎ団。
 これから自分がどんな目に遭うか、この時の作家は予想もしていないだろう。
 ――楽しい事してもいいの!?
 そう無邪気に声をあげるのは、朱雀・慧華(純真天使・f17361)。
 慧華はまさに純真無垢な天使スマイルで、作家へときゃっきゃ言い放つ。
「じゃあさじゃあさ、影朧のお兄さんも一緒に楽しくしのーよ!」
 そんな慧華の言葉に、冬青も続ける。
「で、櫻居先生もどうですか? 物書きや女性との交際では、フリーフォールなんて出来ないでしょう?」
 ……獲物を狙うハヤブサみたいに急降下してみて下さい、って。
『フリーフォール?』
 冬青の言葉にきょとんとする作家に、アヤネとサクラコも口を開く。
「というわけで、そこの作家らしい人。よくもうちの風紀委員長に怪我をさせたわね……この代償は身体で支払っていただきましょう」
「バカバカしく死んだ感想が聞きたいのでいす? それより体験なさった方が早いのでは?」
 そしてふたり、声を合わせて同時に紡ぐ。
 ……都月さんお願いします。
 ……都月さまよろしくでいす!
 作家も大興奮の、重力トリック? を仕掛けたのはそう、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)。
「そうか。楽しいのが好きか」
 うきうき何だか楽しそうな作家をちらりと見た後。
 ……折角なら影朧も飛んでみるか?
 そして、そっとぱちり、慧華と辰神・明(双星・f00192)へと目配せして。
『!!? えっ、何……わぁ!?』
 ――どーーん!!
 地の精霊様に頼んで、重力操作を!
「さっきは皆を飛ばしたけど、今回は1人だからな」
 さっきよりも早く高く打ち上げサービスしたい、と。
 作家へと、たっぷりフリーフォール体験をさせてあげます!
 そんな空へと打ち上げられた作家の姿を、おお高い高い、と見上げつつも。
「この後どうなるか知らないと生きた心地がしないだろうネ」
『……ふぎゃっ!?』
 アヤネは、その派手な着地に、おお! とどよめくモブ役も担います。
 けれど、フリーフォールだけでは勿論終わりません。
 次に彼を襲うのは――。
「ふりーふぉーる、ぷりん……!」
「プリンもあるそうですよ。影朧だから糖尿病の心配はいりませんよね?」
 ……ぷりん!?
「大きいプリン! 夢! ドリーム! ……ではないでしょうか」
 明と冬青に続いて、こくりと頷く日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)。
 それから、合図を受ければ。
 ――くまさん、りすさん、お願い、なのです……!
 明が喚んだのは、巨大なもふもふクマさんと巨大なもふもふリスさん。
『えっ、もふもふ動物さんは僕大好きだよ! てか、可愛……ぎゃあっ!?』
「くまさーん、りすさーん! えと、落ちてきた影朧せんせーが起き上がらないように、ぺったんこ、お願いします……!」
 明のお願いを受けて、どすんっ、と作家をぺったんこするクマさんとリスさん。
 そしてもふもふ動けなくなった影朧へと、慧華はびしっと指先を向ける。
 影朧にお見舞いするために――そう、プリンを!
 慧華の『プリンは至高のおやつ』の発動と同時に、ささっと離れるクマさんとリスさん。
 次の瞬間……どどーん! と。
『……そんなバカな!? へぶっ』
 落ちてきたのは、作家先生がすっぽり埋まっちゃうくらい、おっきなプリン!
 ちなみにこの巨大プリン。
「プリン大きいな! これは食べてもいいやつ? ですか?」
「あ、勿論皆も食べれるよー」
 普通に美味しく皆でいただけます!
 明は、どーんと上がって、どかーんっと落ちてきた作家の上に乗った大きなプリンに瞳をキラキラ。
「すごい、すごい、すごーい!……なの、です!」
「慧華と都月はあれSだな」
 これまでの様子を見守っていた幽兵は、さらば影朧、と。
 容赦のないふたりの姿に、そうぽつり。
 サクラコも、ぽーんと飛んでプリンの下敷きになっている作家を見遣り、紡ぐ。
「見事な対空時間、見事なプリンダイブ。これは芸術点が高そうですねい」
 それから、すかさず用意するのはお盆……もとい、数多の銅鏡。
 用意しておいた皿へとプリンを取り分け、銅鏡で皆へと取り分けるサクラコ。
 いや、勿論用意しているのは皿やお盆だけではありません。
「売店でスプーン貰ってきた!」
 ……皆、スプーン使いますか?
 そう都月からスプーンを渡されて、ふーちゃんと一緒にぺこり。
「木常野さん、スプーンありがとう御座います、です!」
 お礼を言った明は、うんと首を伸ばして。
「わあ、おっきなぷりん……! ふーちゃん、いい香り、するです、ね」
 もらったスプーンで、ぱくっとプリンを食べてみれば。
「えへへ……おいしー、です」
 浮かぶのは、ほわり幸せそうな笑み。
 冬青も受け取ったスプーンでプリンを口に運びつつ、巨大プリンの下敷きになっている影朧へと視線を向けて。
(「見た目が清史郎さんだから彼が大変な目に遭ってるようで少し気の毒になるけど」)
 そう何故か見知った彼に似ているその姿に、そっと思うものの。
『ずるーい! 僕もプリン食べたーい! 生のトマトは嫌いだけど……甘い物は超大好きなんだよー』
 見た目は似ていても、ぶーぶー文句言っているその言動が違いすぎるし。
「まぁそれよりこのプリン美味しいですね」
 ……今度旅団でプリンの食べ比べしてみるのもいいかも♪
 文句垂れている作家はさておき、もうひとくちプリンを食べようとする冬青だけれど。
「委員長の分は私が食べさせてあげますね」
 あーんと、風紀委員な冬青に食べさせてあげる図書委員長のアヤネ。
 やはりふたりは、お似合いの甘ーい委員長カップル……!?
 それから慧華はふと、影朧の声に視線を向けて。
「影朧さんも食べたい? 今動けないだろうしあーんしてあげる!」
『え、ほんと!? やったぁっ、あーん……ん、おいしーっ』
 はい! と慧華が差し出したスプーンのプリンを嬉々と食べる、実は無類の甘い物好きらしい作家。
 そんな影朧先生に、クロムも慧華と一緒に――「はい、あーん」。
『えっ、それ何……ふごっ!?』
「……ん、これ? 『灯油ぽんぷ』という便利道具らしい」
「とーゆポンプ?」
「本物の事務員さんから使い方は聞いてある。大丈夫。任せて」
 そう胸を張り、こくりと頷いてから。
 クロムは、プリン?? の強制給餌をしつつも、作家の著書で使われたという重力のトリックとやらに疑問をぶつける。
「寒い所に生きる動物は寒い環境に特化するし、海の底の生き物は海底の環境に特化する」
 ポンプをにぎにぎしながら。
「重力の強い所に生きる異星の人間は、その環境に特化してなかったの?」
 さらに、ポンプをにぎにぎしながら。
 そしてにぎにぎしていたクロムは、おっと、と我に返る。
 ……考え込むと、ついそっちに集中してしまうのが私の悪い癖、って。
 それから、ふと気付く。
「……あれ? 影朧先生、生きてる?」
 何かすごくぴくぴくなりつつも静かになった作家に。
「え、とーゆ……なに? わぁ。わー……溺れそう」
「あ、なるほど……」
「クロムもまあ……クセの強い女じゃあ!」
 灯油ぽんぷの使用方法を見つめ、ぽつりと呟く慧華と都月、そして何か声真似して言い放つ幽兵。
 サクラコも、影朧に色んなあーんをしてあげる様子を見ながら口を開く。
「プリンを食べさせてあげるなんて、みなさまお優しい……わけでも無いですねい」
 ……食べ過ぎで死亡というのもバカバカしくて良いかも、なんて。
「なかなかエグいけど仕方ないネ。糖尿病にはならなくても肥満にはなるかも?」
「俺もあーんされたいな」
 プリンを与える作業を同じく見守っていたアヤネの隣で、ちょっぴり幽兵は羨ましそう……?
 ……その後が地獄だとしても、と。
 エグいのは、うん、よく知っているから。
 そんな影朧の給餌は、皆に任せて。
「オクちゃん、一緒にいただきましょう!」
「はい、サクラコさん」
 手渡しでプリンを受け取ったオクは、サクラコさんと一緒に、純粋にプリンを楽しむことに。
 はむ、と試しにひとくち、食べてみれば。
「最近とっても大好きです。この黄色みが良いですね。とても、まろやかです」
 口の中で味わいながら、おいしいですね、って。
 そう、えへへと、思わず零れる笑み。
「えっとこれが連携という……」
「俺の癒しはオクと明くらいだ。サクラコも一応入れとこう」
「一応って、何でですか」
「幽兵さんもたべましょう、おいしいです」
「いや……隅っこでいい子同士でプリン食うか」
 あーんはまぁ羨ましくはあるけれど。
 ――後はサディストたちに任せよう、と。
 幽兵もプリンを楽しむべくスプーンを手にして。
「俺は自分のペースで食べたいかな」
 都月はまじまじと、影朧の上のプリンを見遣って呟く。
 ――こんなに大きなプリン、次いつ食べられるか分からない、と。
 だから。
「チィ、出ておいで! 凄い一杯なプリンだぞ!」
 喜ぶように、チィ、と鳴く狐のチィも喚んで、プリンタイム!
 そんな皆やふーちゃんと一緒に、ほわわとプリンを食べていた明は、ふと首を傾ける。
「ところで、ばかみす?って……なんでしょう、ね?」
「空から落ちるのも楽しいし、美味しいものに包まれるのも最高に幸せだよね!」
 楽しいバカミス?? に、そう笑む慧華に頷きながらも。
「その、バカミスも、楽しいですよ、ね。タイトルとのギャップ、それも合うときは合う気がします」
 オクは今までのことを思い出しつつ、円らな緑色の瞳を細めるけれど。
 ごちそうさまでした、とちゃんと手を合わせた後。スプーンから、握り替える。
「でも本当にやったらいけないと思います」
 うん、と頷きながらも――鋭い刃を持つ、ナイフに。
 そんなオクの声を聞いて、冬青も、は! と顔を上げる。
「このままだとプリン食べて終わってしまう」
 ……戦わないと! と。
 けれど敵は今、大きなプリンの下敷きに。
「……先生、プリンでベトベトしてますが大丈夫ですか。タオル貸しましょうか?」
『……ん、ありがと……』
 ぷるぷるする手で、何とか作家は冬青からタオルを受け取ったものの。
「まぁそれはそれとして」
『え? ……ぎゃあっ!?』
 ――カラスくんと遊んで下さい。
 冬青が刹那召喚したコルヴォが、甘ーくなった作家へと容赦なくツンツン!
 オクも得意とする地を起点とした素早い動きで、敵にナイフをぷすり。
『いたっ、痛っ!? ちょ、何するの……!』
「冬青はSとかそういう次元じゃないんだよなあ。アヤネ止めろ。お願いします」
 何だかピンク色な拷問部屋があったりするかもしれない魔王城を何だか思い出しながらも。
 取り合えずスチームエンジンで強化し、オクに続いて槍でぷすりとしておく幽兵。
 そして、性懲りもなくプリンの下から原稿用紙や桜花弁を飛ばしてくる作家に。
「おやまだ戦う気が残っているの? 影朧はしばらく大人しくしてて」
『……!?』
 冬青へと、再び掬ったプリンをあーんしながらも。
 アヤネが放ったのは、自身の影から伸ばした、複数の蛇に似た異界の触手。
 そんな触手で作家の動きを封じつつ、アヤネは眼鏡をくいっと上げながら続ける。
 ――今僕は忙しいんだから、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

志島・小鉄
【彩夜】

※獣の姿で参加します。

体験ヲしてもらうノでせうか。
サラ姐ニ認めてもらうニハ、わしのやうなふかふかノ毛並みにならないト駄目デス。
そうしなゐト踏み潰さレテしまゐマス。

サテサテ、準備ハ良ゐデスカ?
順番ニ体験ヲして貰っテ、いよいよサラ姐ノ番デス。
わしよりモふかふかノ毛は中々居マセン。

窓ガラスヲ割って入って来たサラ姐に追いかけらレテ
転ケテ、踏み潰されるノデス。
サラ姐が乗レと言ふなら、わしハ乗りませう。
ティースプーンヲ片手ニ。ティーカップを空いた手ニ。ナポレオンの真似デス。
いやはやわしはナポレオンヲ見たコトが有リマセンが。

パンケーキノ隣デスヨ。
サラ姐カッコイイデス!もっとやって下さゐ!


蘭・七結
【彩夜】

まあ、ステキな作家さん
わたしたちが死した感想を告げずとも
あなたに体験をしていただきましょう
七度の死を、楽しんでちょうだいね

まずは、そうね
せっかくいらしてくださったのだもの
あたたかい紅茶は如何かしら
嗚呼。角砂糖をひとつ、欠かさぬよう
とっておきの甘さを味わってほしいもの

とびきりのお味は如何でしょう
気に入っていただけると、うれしいのだけれど

あなたもプリンが欲しい?
ならば其方のおふたりを越えて往くことね

ぱりんと再び硝子が散って
黒くて麗しいお姿が見えるようだわ
サラの御姉さまに物語を結んでいただきましょう
彼の踏み心地は如何かしら

嗚呼、見事に飛んでいかれたのね
流星の曲線を見たようだわ
ふふ、一件落着ね


ルーシー・ブルーベル
【彩夜】

あら、ごきげんよう
新たなひがいしゃのお出ましね
とびきりのおもてなしをしなくっちゃ
そうね、例えば7回くらい

あまいお茶を干したなら
お菓子なんて欲しくなったりしない?
あまくてカラメルがちょっぴり苦いプリンなんてぴったりね

でもプリンは勝者がたべられるもの
この先を進みたければルーシーたちがお相手しましょう
(玩具の)包丁をもってアタック、ぐさり
ふっ。あなたにプリンは百年はやいの
あのプリンはメリルさんとルーシーでいただきます
さあさあ、まだまだ事件はおわらないわ
めくるめくサンゲキをご覧あれよ

さいごは、ステキなレディのサラおねえさん
やっちゃって!
……やっぱり、イキイキしてる?


宵雛花・十雉
【彩夜】
おうおうおう
よく来てくれたなぁ、作家先生よ
にこにこと友好的な笑みを浮かべて出迎える

いやぁ、死を七つも体験できるなんざ滅多にないぜ
アンタはホントに運がいい
さぁて、んじゃあ覚悟はいいかい?
よくなくっても始めちまうがな

よしきた!
いいぜメリルちゃん、ナイスパース!
タイミングを見計らい、後ろ手に隠した玩具のフライパンでぱこんと叩いてやれば
ちょうどサラ姐さんが跳ね飛ばしてくれる筈さ
そのままテーブルの方まで飛んでいっちまいな

とどめは頼んだぜ、サラ姐さん
よっ、いいオンナ!さすがだねェ

へへ、案外みんな容赦なかったなァ
あースッキリした
これにて一件落着ってな


朧・ユェー
【彩夜】

嗚呼、いらっしゃい
皆さんの死に方を観て体験した感想はどうですか?
これで素敵な作品が作れますねぇ
パンケーキに挟まれて、ナイフに刺されて、フライパンで殴られる
そして毒で死ぬ

でもね、それは本当の貴方でしょうか?
貴方の影が貴方の替わりに
嗚呼折角ネタになる楽しい死に方なのに残念でしたね
本当の死というのは一人静かに死んでいくもの
誰にも気づかれず、誰にも看取られず
一人淋しく死んで逝く

嗚呼、可哀想に貴方に素敵な死をあげましょう
孤独死を

でもね、大丈夫
ほら、ティースプーンを持って馬に乗った素敵な騎士がやって来ましたよ
素敵なレディが貴方の最期を看取ってくれるはずですよ


歌獣・苺
【彩夜】
作家さんいらっしゃい!遊びに来たの?
それならふふふ
こっちこっち!
おっきなぱんけーきでしょ?
ねね、一緒にたべーーーばくんっ!(作家と共に食われる黒兎)

ーーバリィン!
ブルル!(マイ…マイっ!アンタ何回そんな姿にされりゃ気が済むんだいッ!今度は…)

(パンケーキから出てきた作家を見つけ)

ブルルンッ!(あんたかいっ!?マイの仇!コテツ乗りな!追っかけるよ!!!)

(小鉄を乗せヒヒンと前足を上げれば
まるでナポレオン…?)

(パンケーキの横まで追い詰めふみふみ)

ブル…(なんだいあんたは柔らかくないねぇ)

ブルッ?(最後はアタイ?コイツをぶっ飛ばせばいいのかい?まかせなッ!自慢の後ろ足で)

ーーーパコーンッ☆


メリル・チェコット
【彩夜】

ようこそ、先生!
パンケーキと紅茶はどうだった?
苺ちゃんを食べちゃうくらい大きなパンケーキに
ユェーくんの淹れてくれた紅茶と、七結ちゃんの入れてくれたお砂糖
どれもとびきり美味しかったでしょ?

そうだね、お茶会の締めにプリンはぴったり
食べられるのはメリルたちを倒した後、だけどねっ!
(玩具の)包丁が刺さったのを見届けたら
今度は(玩具の)フライパンでぱこーん!
テニスの要領で、十雉先生にパスを
十雉くん、そっちいったよ!
ふふ、プリンはわたしとルーシーちゃんで半分こするんだから!

最後はサラねえ、おねがーい!
これは……あの有名な絵画……!?

スッキリしたし楽しかったー!
それじゃ、みんなで仲良く下校しよっか!



 優雅な放課後のお茶会のはずが、死屍累々。
 それぞれ、そんなバカな!? という死の連鎖からは逃れられずに。
 お茶会に参加した者全てが死を遂げた――はずだったのだけれど。
『お茶会かぁ、僕は甘い物が好きだから参加したかったなぁー』
 ちゃんと皆死んでいるのか確認しにやって来た櫻居・四狼という作家は、そう惨劇のお茶会を見回してへらりと笑む。
 でも、まだ――お茶会は、終わってはいない。
「まあ、ステキな作家さん」
「おうおうおう。よく来てくれたなぁ、作家先生よ」
 ゆらりと起き上がるのは、ふたつの死体!?
 まんまとやって来た作家に花笑む蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)と、友好的な笑みを浮かべ言った宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)は、彼の訪問を歓迎する。
 だって、作家自身が知りたがっていたから。
「わたしたちが死した感想を告げずとも、あなたに体験をしていただきましょう」
 ――七度の死を、楽しんでちょうだいね、って。
 七結がそう作家へと告げた後、ルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)も作家へとご挨拶。
「あら、ごきげんよう。新たなひがいしゃのお出ましね。とびきりのおもてなしをしなくっちゃ」
 ……そうね、例えば7回くらい。
 お茶会で起きた、そんなバカな!? と言いたくなるような惨劇、全てを。
 そんな皆の言葉に、体験ヲしてもらうノでせうか、と。
 呟きを落とすのは、ふかふか毛皮ノずんぐりむっくりな動物さん……な姿の、志島・小鉄(文具屋シジマ・f29016)。
 それから小鉄は、乱入してきたサラブレッドに踏み踏みされた自分の死を思い出しつつも口にする。
「サラ姐ニ認めてもらうニハ、わしのやうなふかふかノ毛並みにならないト駄目デス」
 ……そうしなゐト踏み潰さレテしまゐマス、と。
 けれど眼前の作家は、顔は良いがもふもふはしていない。
『って、何でみんな死んでないの! ちゃんと死んでよっ』
 そう文句を言う作家に、十雉はからりと笑う。
「いやぁ、死を七つも体験できるなんざ滅多にないぜ。アンタはホントに運がいい」
 ――さぁて、んじゃあ覚悟はいいかい?
 けれど特に、作家の答えなんて聞かなくても問題ない。
「よくなくっても始めちまうがな」
 再び始まるのは、7つの死。
 今度は黒幕自身に降りかかる、バカバカしい惨劇たち。
「作家さんいらっしゃい! 遊びに来たの? それならふふふ、こっちこっち!」
 まず作家に声を掛け手招くのは、先程見事な出オチ死を遂げた歌獣・苺(苺一会・f16654)。
 苺の誘いにつられて視線を向けた作家は、瞳を大きく見開く。
『わ、すごい大きい……! 僕、甘い物大好きなんだー』
「おっきなぱんけーきでしょ?」
 そう……苺の傍には、例の大きなパンケーキ。
 甘い物が好きだという影朧は、軽率に苺と大きなパンケーキに近づいて。
「ねね、一緒にたべ――」
『わぁいっ、一緒にたべ――!?』
 ――ばくんっ!
 大きなパンケーキに食べられてしまう、黒兎と黒幕。
 なんということでしょう!
 これはやはり、学園七不思議の一つ――人食いパンケーキ!?
 ……いや、さっきも苺は食べられていましたが。
『えっ、そんなバカな……!』
 そうまず一回死んだ作家は、バカミスらしい言葉を吐きつつもパンケーキから抜け出して。
「まずは、そうね。せっかくいらしてくださったのだもの。あたたかい紅茶は如何かしら」
 そんな作家を、改めて持て成す七結。
『麗しいお嬢さんと紅茶が飲めるなんて、光栄だよー』
「まあ、作家さんはお上手ね」
 女たらしな言の葉と軽薄な笑みに、さらりとそう返してから。
 七結は作家のカップに忘れぬよう、ちゃぽん、と落とす。
「嗚呼。角砂糖をひとつ、欠かさぬよう」
 ……とっておきの甘さを味わってほしいもの、って。
 それを、いただきまーす、と作家が口にすれば。
「とびきりのお味は如何でしょう。気に入っていただけると、うれしいのだけれど」
『ん、なんかすごく甘くて、美味し……!?』
 刹那、口に広がった毒の甘ったるさに、くらりと視界を揺らして。
「あまいお茶を飲み干したなら、お菓子なんて欲しくなったりしない?」
 お茶の次はお菓子をと、彼に勧めるルーシー。
「あまくてカラメルがちょっぴり苦いプリンなんてぴったりね」
『プリン! 僕、プリン大好きっ』
「あなたもプリンが欲しい?」
 ルーシーの言葉に声を上げた作家へ、七結は言の葉を続ける。
 ――ならば其方のおふたりを越えて往くことね、って。
 七結の紡いだふたり、それは作家にプリンを進めたルーシーと。
「ようこそ、先生! パンケーキと紅茶はどうだった?」
 そう作家へと訊ねる、メリル・チェコット(ひだまりメリー・f14836)。
「苺ちゃんを食べちゃうくらい大きなパンケーキに、ユェーくんの淹れてくれた紅茶と、七結ちゃんの入れてくれたお砂糖。どれもとびきり美味しかったでしょ?」
 そして締めは、最後に食べるに相応しい、プリン……なのだけれど。
「でもプリンは勝者がたべられるもの。この先を進みたければルーシーたちがお相手しましょう」
「そうだね、お茶会の締めにプリンはぴったり。食べられるのはメリルたちを倒した後、だけどねっ!」
 プリン食べたいっとはしゃぐ影朧の前に立ちはだかる、ルーシーとメリル。
 その手に、先程殺し合った時と同じ、凶器を握って。
 そして――ぐさりっ。
 ルーシーは作家目掛け、玩具……いえ、得物の包丁をもってアタック!
『うぐっ、玩具でも意外と痛いね……って、ぎゃっ!?』
 ルーシーはふるった包丁が作家に刺さった刹那――ぱこーん! と。
 玩具……いえ、立派な凶器であるフライパンの一撃を見舞うメリル。
 そしてテニスの要領で、十雉先生にパス!
「十雉くん、そっちいったよ!」
「よしきた! いいぜメリルちゃん、ナイスパース!」
 ――ぱこんっ!
 タイミングを見計らい、後ろ手に隠していた玩具……凶器のフライパンで、十雉も作家を叩いてやれば。
『ちょ、いたっ、痛!?』
「ふふ、プリンはわたしとルーシーちゃんで半分こするんだから!」
「あのプリンはメリルさんとルーシーでいただきます」
 プリンはやっぱりあげられません!
 けれど、これだけでは勿論終わらない。
「そのままテーブルの方まで飛んでいっちまいな」
「さあさあ、まだまだ事件はおわらないわ。めくるめくサンゲキをご覧あれよ」
 十雉が死んだ時と同じ様に、きっと『彼女』が彼を跳ね飛ばしてくれるはず。
 そして、よろよろする作家に笑むのは、朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)。
「嗚呼、いらっしゃい。皆さんの死に方を観て体験した感想はどうですか?」
 ……これで素敵な作品が作れますねぇ、って。
 パンケーキに挟まれて、ナイフに刺されて、フライパンで殴られて――そして、毒で死ぬ。
 七結が毒の砂糖を先程投じた美味しい紅茶を淹れたのは、誰でもない彼。
 そう――ブラックティーマン……? 
 そして彼は、でもね、と問うてから続ける。
「それは本当の貴方でしょうか?」
 ――貴方の影が貴方の替わりに、と。
「嗚呼折角ネタになる楽しい死に方なのに残念でしたね」
 ……本当の死というのは一人静かに死んでいくもの。
 誰にも気づかれず、誰にも看取られず……一人淋しく死んで逝く。
 そんな死を、ユェーは彼にも与えてあげる。
「嗚呼、可哀想に貴方に素敵な死をあげましょう」
 そう――孤独死を。
『ひとりはヤダー。僕は心中が好きなんだ』
 成りかわらんとする黒の影に、ふるりと首を降る作家に。
 ユェーは妖しく輝く金の瞳をふっと細め、告げる。
「でもね、大丈夫。ほら、ティースプーンを持って馬に乗った素敵な騎士がやって来ましたよ」
 ……素敵なレディが貴方の最期を看取ってくれるはずですよ、って。
 そして、次の瞬間。
 ――バリィン!!
『!? わ、ふぎゃっ!』
 急に鳴った硝子の砕け散る音にびっくりして後退った作家は、再び大きなパンケーキに、ぱっくんっ。
 同時に、教室へと乱入してきたのは。
「黒くて麗しいお姿が見えるようだわ」
 そう、黒くて麗しい――サラブレッド。馬、である。
 そして再びやって来た馬……サラ姐は、きょろり視線を巡らせ見つけるのだった。
『ブルル!(マイ……マイっ! アンタ何回そんな姿にされりゃ気が済むんだいッ! 今度は……)』
 またパンケーキに挟まれ変わり果てた姿となった、苺の姿を。
 いや、今回は彼女だけではない。
『二回もとか……そんなバカな……!』
 そう言いつつも、ずるりとパンケーキから這い出てきた作家も一緒。
 そんな彼の姿を見つけて。
『ブルルンッ!(あんたかいっ!? マイの仇! コテツ乗りな! 追っかけるよ!!!)』
「サテサテ、準備ハ良ゐデスカ?」
 ……順番ニ体験ヲして貰っテ、いよいよサラ姐ノ番デス、と。
 先程、動物さん大運動会を繰り広げたことを思い出しつつも、作家の末路を告げる。
「窓ガラスヲ割って入って来たサラ姐に追いかけらレテ。転ケテ、踏み潰されるノデス」
 さっき自分が死んだ通りに、きっと彼も死ぬだろうから。
 そして小鉄はぽてぽてと、サラ姐の上へとちょこんと乗る。
 ティースプーンを片手ニ、ティーカップを空いた手に。
 そんな小鉄を乗せ、サラ姐がヒヒンと勇ましく前足を上げれば――その姿は、そう!
「これは……あの有名な絵画……!?」
 思わず声をあげたメリルに、小鉄はこくりと頷く。
「ナポレオンの真似デス」
 なんと、ナポレオン!
「いやはやわしはナポレオンヲ見たコトが有リマセンが」
 見たことはないけど……うん、きっと大丈夫!
 どこからどうみてもナポレオンです、多分!
 そんなナポレオン状態なサラブレッドたちを見遣って。
「サラの御姉さまに物語を結んでいただきましょう」
「最後はサラねえ、おねがーい!」
 七結やメリルの言葉に応えるように、鼻息荒く。
『わ、ちょっと……何で!?』
 追いかけてきたサラ姐にびっくりしつつ、逃げ回る作家。
 そして逃げた先は、そう……パンケーキの横。
 サラはすかさず、追い詰めた作家目掛け、前足を高々と上げて。
 ――げしいっ。
『うぎゃあっ!』
 その足で、踏み踏みぐりぐり。
「サラ姐カッコイイデス! もっとやって下さゐ!」
「彼の踏み心地は如何かしら」
 そう訊ねる七結の声に、首を傾けるサラ。
『ブル……(なんだいあんたは柔らかくないねぇ)』
 そんな不服気そうなサラ姐に、小鉄はちょっぴり得意顔で、えっへん。
「わしよりモふかふかノ毛は中々居マセン」
 自慢のふかふか毛皮ですから!
 そしてゲシゲシと作家を踏み踏みしている彼女へと、すかさず声を掛けるルーシーと十雉。
「さいごは、ステキなレディのサラおねえさん……やっちゃって!」
「とどめは頼んだぜ、サラ姐さん」
『ブルッ?(最後はアタイ? コイツをぶっ飛ばせばいいのかい? まかせなッ!)』
 刹那、くるりとサラ姐が後ろを向いた……瞬間。
 ――パコーンッ☆
『!! ふぎゃあっ』
 自慢の後ろ足で蹴りあげられた影朧が、学園の空を舞う。
 そう……それはまるで。
「嗚呼、見事に飛んでいかれたのね。流星の曲線を見たようだわ」
 ふふ、と笑む七結の言う様に、流れ星のよう!?
 そんな、影朧を撃退した後。
「……やっぱり、イキイキしてる?」
「へへ、案外みんな容赦なかったなァ」
 ふと振り返りつつも、そうこてんと首を傾けるルーシーの横で。
 あースッキリした、と愉快気に笑む十雉。
 そんな十雉に、メリルもこくこく頷いて。
「スッキリしたし楽しかったー!」
 皆へとぐるり視線を巡らせ、続ける。
 ――それじゃ、みんなで仲良く下校しよっか! って。
 これにて、放課後お茶会も惨劇も、お開きの一件落着だから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天音・亮
巴(f02927)と

どこうして私は死んじゃったの?
なぜ私の身体は冷たいの?
私を殺したのは……

き み ?

ゾンビみたいな巴につられて私も
背後からにゅっと手を伸ばし掴んだ彼の肩
長い髪が前へと流れて片目が隠れた姿
下向く眼球も声色も雰囲気出して

ふふ!
びっくりした?びっくりした?
こういうのも楽しいでしょ?
にしたってぶちゃの突進は洒落にならないよ~
本気で息止まるかと思っちゃったもん

だからこれはちょっとした仕返し!
ぶちゃ!
突撃~~~!!!
なんて声あげ彼目掛けて投げた鶏ささみ一切れ
くらえ、ぶちゃの突進攻撃!

よーしよくやった偉いぞぶちゃ~
あ!やるやる!わーいアオハルだー!
よし行こう!ぶちゃも連れて、三人で!


五条・巴
亮と(f26138)

倒れている僕らの方へ、足音が聞こえる
僕らに近づいてきたら
ゾンビさながら彼の足首を掴もうと狙う

ハア、、、フフフ
ぶちゃのの大事な肉球に毒を仕込むなんてまさか…
君がやったのか!

ぶちゃは亮の近くでにゃあと鳴いている
お腹が空いたのかな…

今は目の前の敵、櫻居が真の犯人だと責め立てる

僕のぶちゃとのルーティンを知ってこその作戦
恐れ入ったよ…ぶちゃの猫パンチまで組み込んだ巧妙な作戦だ。まさか僕のこと好きなの?ありがとう。

だけどね、僕の動物愛が勝った…だからお見舞いしてあげる
ともえパンチ
ユーベルコードを使わない、渾身の一撃を櫻居の腹にぶち込む

ふう、亮、これ終わったらアオハルの続きしよう



 ぱたりと、地に転がる死体がふたつ。
 その傍らには、恰幅のよい大きな毛玉が。
 そして、そんな横たわる死体に、そうっと近づいてくる足音が。
『きっちり死んだー?』
 そう……のこのことやってきたのは、この殺人劇の黒幕、作家であった影朧。
 それから、二人が死んでいるのを確認するべく、すぐ傍まで歩みよった――瞬間。
「ハア、、、フフフ。ぶちゃのの大事な肉球に毒を仕込むなんてまさか……君がやったのか!」
 ――ガシィッ!!
『うわぁっ、お化けー!?』
 自分が死んでいるのに、そう声をあげてびびる作家。
 そんな彼の彼の足首をゾンビさながらに掴んだ五条・巴(照らす道の先へ・f02927)に続いて。
「……どうして私は死んじゃったの? なぜ私の身体は冷たいの? 私を殺したのは……」
 ――き み ?
 そう耳元で聞こえたその声と同時に、にゅっと肩へと伸びるのは――手。
『……え? ひやぁっ!?』
 背後から肩を掴まれ、再び驚きの声をあげた作家が慌てて振り返れば。
『!! ぎゃあっ』
 前に流れた金の長い髪から覗く、片目だけみえる青の瞳。
 その眼球は下を向き、声もおどろおどろしい……まさに、ゾンビ!
 いや、巴につられてゾンビみたいにしてみた、天音・亮(手をのばそう・f26138)である。
 そんな演技は雰囲気抜群!
 合わせて、亮の近くでにゃあと鳴くぶちゃ。
 その声を聞きながら、巴は思う――お腹が空いたのかな……って。
 けれど今は今は目の前の敵、櫻居・四狼が真の犯人だと責め立てる。
「僕のぶちゃとのルーティンを知ってこその作戦。恐れ入ったよ……ぶちゃの猫パンチまで組み込んだ巧妙な作戦だ」
 それから巴は、営業スマイルを作家へと向ける。
 ――まさか僕のこと好きなの? ありがとう、って。
『いや、僕は可愛い子ちゃんが好きだし……』
 そんな、ふるふるとそう首を横に振る作家が驚いた様子を思い出し、笑ってしまう亮。
「ふふ! びっくりした?びっくりした? こういうのも楽しいでしょ?」
『もーめっちゃびっくりして、寿命が縮むかと思ったよー』
 もう死んでいるのだが、そう返す影朧に笑みながらも。
 亮はふと、おなかがすいているらしいぶちゃを、ひょいっと抱っこして。
「にしたってぶちゃの突進は洒落にならないよ~。本気で息止まるかと思っちゃったもん」
 そして巴も、ぶちゃを利用した綿密な黒幕の犯行を指摘し、真相を暴きながらも、こう続ける。
「だけどね、僕の動物愛が勝った……だからお見舞いしてあげる」
 ぐっと、拳を握りしめて――ともえパンチ!
『え、何で……ぐふうっ!』
 作家の腹に思いっきりぶち込む。ユーベルコードを使わない、渾身の一撃を!
 そして亮も巴に続いて、堪らず蹲っている作家へと、ちょっとした仕返し!
「ぶちゃ! 突撃~~~!!!」
『けほっ……って、ちょっ!?』
 刹那、作家へと勢いよく突っ込む大きな毛玉。
 ぽいっと影朧目掛けて亮が投げたのは、そう……鶏ささみ一切れ。
 おなかすいているぶちゃが、飛びつかないわけはなく。
「くらえ、ぶちゃの突進攻撃!」
『え、待って……ぎゃふっ!』
 ――ばこんっ。
 強烈な猫キックが、作家に炸裂です!
 そしてちゃっかり作家を踏み台にし、鶏ささみをゲットした毛玉を再び抱えて。
「よーしよくやった偉いぞぶちゃ~」
「ふう、亮、これ終わったらアオハルの続きしよう」
 そう言った巴の声に、亮も勿論賛成!
「あ! やるやる! わーいアオハルだー!」
 そして、にくきゅう、と何故かダイイングメッセージを書く作家を後目に。
 もう、ゾンビは終わり。亮は巴とともに、アオハルを再開!
 いや……今度は、巴とふたりだけではなく。
 ――よし行こう! ぶちゃも連れて、三人で! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ドゥルジー
【邪蛸】
死ぬにしてもイカよりタコに殺されてェなあ、俺は
ゴキゴキ首を鳴らしつつ起き上がる

そーそー、パウルは初めましてだよな
あれが櫻居せんせーよ
のらりくらりしてっけど、やってることはそこそこえげつねーぞ

…んふ、「パウル」
ブラフマンせんせもなかなか良かったけど
こうして気兼ねなく名前を呼べる間柄が、やっぱイイな

【ゲヘナの紅】の焔を全身に纏う
多少斬り刻まれた方が火力が上がるってね
原稿用紙も花びらもぜんぶ燃やしながら近づくぜ

そんなにその硯箱が大切なら、そろそろ隠居も考えたらァ?
戦場でうっかり傷ついちまうかもだろ、こんな風に!
硯箱を狙うと見せかけて、狙うは先生本人
炎纏ったナイフを突き立てる


パウル・ブラフマン
えへへ、学園物ごっこ超楽しかったね!(起床)
でもホントのオレは
ブラフマン先生程誠実じゃないもの。
キミを前にして
きっと我慢なんかできないよ、ジャスパー。

貴方が櫻居センセ!
センセの著書は全て拝読致しました!
本人にお会いできるなんてタコ感激♪
【コミュ力】を活かしつつ
朗らかに話しかけ、オレの方に注意を引きつけとくね。

センセの作品では命は失われてばかりだけれど
男女の交わり以外で命が『宿る』コトってあると想います?
長年重宝された品物、例えばその綺麗な『硯箱』とかに。

ジャスパーが十分に接近した
タイミングを見計らってUC発動―!
焔で散り散りになった原稿用紙を
花吹雪の如く轟かせ、センセのもとへお返ししちゃうぞ☆



 旧校舎で起きた凄惨で卑劣な、忍び寄るイカの手による殺人事件。
 折角、あと少しで卒業だったのに……そしたら、晴れて結ばれたのに……。
 ――なんて。
「死ぬにしてもイカよりタコに殺されてェなあ、俺は」
 イカの陰謀で死んだはずのジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)は、ゴキゴキと首を鳴らしつつ起き上がって。
「えへへ、学園物ごっこ超楽しかったね!」
 そう一緒にむくりと起き上がり、はいこれ、と。
 拾っておいたメンダコマスコットを差し出すパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)。
 そしてパウルは、大事そうにそれを受け取ろうと手を伸ばした彼に微笑んだ後。
「でもホントのオレは、ブラフマン先生程誠実じゃないもの」
 その手をそっと取って、耳元で紡ぐ。
 ――キミを前にして、きっと我慢なんかできないよ、ジャスパー、って。
『え、イカに殺されたんじゃなかったの?』
 それから、自分たちが死んだかどうか確かめにきた影朧へと視線を移して。
「貴方が櫻居センセ! センセの著書は全て拝読致しました!」
 ……本人にお会いできるなんてタコ感激♪
 コミュ力を活かしつつも、朗らかに作家に話しかけるパウル。
 自分の方に、作家の注意を引き付けるために。
 そんなパウルの言葉に、作家先生は満更でもなさそうに上機嫌に。
『え? 嬉しいなー。あ、タコさん、サインいる?』
「櫻居センセに会えるだなんて感激です!」
 そうさらに調子に乗せて気を引こうとするパウルの言葉に、ジャスパーは頷く。
「そーそー、パウルは初めましてだよな。あれが櫻居せんせーよ」
 そして、もう見るのも何度目になるか。
 相変わらずへらりと軽薄な笑み宿す影朧を映す瞳を細め、続ける。
 ……のらりくらりしてっけど、やってることはそこそこえげつねーぞ、って。
 それからふと一瞬、悪魔尻尾をゆらり揺らして。
 ちらりと、ピンクと紫混ざる彩を嬉し気に向け、笑みながらも紡ぐ。
 ――んふ、「パウル」、って。
「ブラフマンせんせもなかなか良かったけど、こうして気兼ねなく名前を呼べる間柄が、やっぱイイな」
 先生と生徒の禁断の恋も、誠意の塊のブラフマン先生も、よかったのだけれど。
 でもやっぱり――ありのままのパウルが、一番。
『ふーん、仲良しなんだねー』
 そう興味深そうに笑みながらも作家が戦場に撒き散らすのは、原稿用紙と桜花弁の嵐。
 乱舞する鋭撃が、ジャスパーの身を斬り刻むけれど。
 だがそれは、余計に燃え盛る紅を滾らせて。
 激しく燃ゆる紅を纏った彼の前では、原稿用紙も桜花弁も、焔の花を咲かせ灰となって散るだけ。
 そしてぜんぶ燃やしながら、作家へと歩みを止めぬジャスパー。
 そんな彼から意識を自分へと向けるべく、パウルは作家先生へと問う。
「センセの作品では命は失われてばかりだけれど、男女の交わり以外で命が『宿る』コトってあると想います?」
 彼が大事に抱くそれに、視線を向けながら。
 ――長年重宝された品物、例えばその綺麗な『硯箱』とかに、って。
 その言葉に、ぱっと櫻居・四狼は表情を変えて。
『タコさん、きみ、いい感性持ってるねー! 僕はあると思うよ、だってこの子と出会ったのは運命だもん』
 そして作家は興奮気味にこう続ける。
 ……きっとこの『桜の君』は超絶別嬪な、一等のいい女だよ、って。
 そんな興奮気味な作家は気付かない。ジャスパーがこの間に、十分に接近したことを。
 刹那、タイミングを見計らったパウルが発動するのは、作家の撒き散らしたものを拝借する、悪魔を憐れむ歌。
『……えっ!? わわっ!』
 愛しいいろに燃えて散り散りになった原稿用紙を花吹雪の如く轟かせ、センセのもとへお返しすれば。
「そんなにその硯箱が大切なら、そろそろ隠居も考えたらァ?」
 ――戦場でうっかり傷ついちまうかもだろ、こんな風に!
 けらりとそう悪魔の如く笑んでみせて、ジャスパーが握るナイフを振り上げれば。
『く、させない……って、ちょっ、いたっ!?』
 炎纏った刃が刹那、突き立てられる。
 硯箱を狙うと見せかけて――今回の事件の黒幕である、櫻居・四狼本人に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティル・レーヴェ
ライラック殿(f01246)と

種明かしもまた楽しいもの
彼と演じた一幕は
恒と違う一面は裡へと刻み

此処より紡ぐは
真なるふたりの物語
終りなど何冊分も先の事と
綴って咲かせて
まだ見ぬ未来も、戀の花も
密か交わる視線に綻んで

あゝ嘗ても今も
其方は楽しげに笑うけど
幾度も現る其の裡には未練がおあり?

終り迄が満たされぬ?
終りの形が描けぬの?
其れとも
望まぬ終りを見てしもうたの?

望む結末は解らぬも
せめて"今"の終りが其処に繋がるよう

あゝされど
そうも願えど
心中の刃を彼に向けないで
戯れとて不愉快よ

顰めた眉を其の儘に
増やす手数で結界紡ぎ
及ぶ刀を弾いて庇う

さあさ
此度の筆は置く時間
其方の朝を迎える為
彼の直した原稿抱いて今はお眠り


ライラック・エアルオウルズ
ティルさん(f07995)と

本と花だけ、な筈の図書館
作家の訪れをふたりで迎え
事件の種明かしとゆこう

バカミスに混じる怪奇譚
御楽しみ頂けたかい
演じた身は、未だ浮かれて
生徒たる彼女を惜しみ
侭に次章を紡ぎたい位だが

恒のふたりも、続けてゆける
怪奇譚に――戀物語も、何て
密か視線交えて、作家を見据え

幾度も身を砕かれども
筆を折らずにいるのは
見届けた終わりを想うに
“書き終えていない”から?

そうであれ、赦されやしない
人の終わりを貴方が綴るなど

担当の様に修正してやろう
万年筆を手に空に黒線引き
彼女が弾いた隙を狙って
手元狙う一線で刀落とし
追い込むよう、身を断ちに

次は幸せな終わりを綴ってごらん
今だけでなく、続く楽しみをさ



 桜の噂話を追い、図書館の奥で開いた不思議な本。
 それはふたりの身を攫った、終わりの始まりを綴る一冊。
 そして図書館に残ったのは、本と花だけ――のはずだけれど。
『ん? あれ、死んだんじゃないの?』
 もしかして心中? って思ったんだけど、と。
 心中にその心囚われている作家は興奮気味にそう紡ぐ。
 けれどこれは、心中物語ではない――桜の噂を追った先生と生徒の、学園怪奇譚。
 図書館へとやって来たそんな作家の訪れをふたりで迎えながら。
「事件の種明かしとゆこう」
「種明かしもまた楽しいもの」
 ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)の言の葉に、藤の眸を細めるティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)。
 そして、そうっと裡へと綴る様に刻む……彼と演じた一幕を、恒と違う一面を。
「バカミスに混じる怪奇譚、御楽しみ頂けたかい」
 教師と生徒、それは一時期の戯れ事。
 けれど、演じた身は未だ浮かれて。同時にライラックに生じるは、生徒たる彼女を惜しむ心。
 故に、侭に次章を紡ぎたい位であるが。
『うん、なかなか趣向が凝らされててよかったよー』
 そう満足気に笑む影朧のための物語ではない。
 此処より紡ぐは、真なるふたりの物語。
 これからもふたり、綴って咲かせるのだ。
 まだ見ぬ未来も、戀の花も……怪奇譚に――戀物語も、何て。
(「恒のふたりも、続けてゆける」)
 密か交わる視線が、声で紡がずとも互いの想いを語っているから。
 そして影朧へと視線を移す。これからの未来の物語を紡ぐために。
 そんな彼の柔い瞳に綻びながらも、ティルが眼前の作家に訊ねれば。
「あゝ嘗ても今も、其方は楽しげに笑うけど。幾度も現る其の裡には未練がおあり?」
「幾度も身を砕かれども筆を折らずにいるのは、見届けた終わりを想うに……“書き終えていない”から?」
 ライラックも作家へと、言の葉を綴る。
 嘗て彼は作家に問うた。……金や名誉が作家の本懐とでも? と。
 けれど返るこたえに頷くことはできなくて。
 彼への興味も失せてしまったけれど……でもやはり、彼は影朧と成っても作家で在るのだから。
 作家の未練と言えば、自ずとこたえはみえてくるもので。
「終り迄が満たされぬ? 終りの形が描けぬの? 其れとも」
 ティルは真っ直ぐに向けた瞳にその身を映し、続ける。
 ――望まぬ終りを見てしもうたの? と。
『望まぬ終わり? まだ、僕の綴る物語は終わってないよ』
 影朧と成った今、それは彼自身の記憶や想いも朧なものになっているのかもしれない。
 いや、たとえそうであれ。
 ライラックはふるり首を横に振り、はっきりと作家へと紡ぐ。
「人の終わりを貴方が綴るなど」
 ――赦されやしない、と。
 ティルも彼の声に、こくりと頷く。
 望む結末は解らぬも……せめて"今"の終りが其処に繋がるよう、と。
 けれど、そうも願えど。
『じゃあ、そろそろ殺人事件の被害者は、ちゃんと死んでくれるー?』
「あゝされど、心中の刃を彼に向けないで」
 ……戯れとて不愉快よ、と。
 スラリと抜かれた心中用の蒼き桜の刃に、ティルは眉を顰めて。
 其の心の儘に、増やす手数で結界紡ぎ及ぶ刀を弾く。彼がその刃で傷つかぬ様に。
『!』
 そして、桜の刃が弾かれたその隙を狙って。
「担当の様に修正してやろう」
 空に万年筆で引かれるは、修正の黒線。
 手元の刀を落とすよう狙い定め一線を引けば、追い込むよう身を断ちに出るライラック。
 そんな彼の背中を守りながら、ティルは花笑む。
「さあさ、此度の筆は置く時間」
 ――其方の朝を迎える為、彼の直した原稿抱いて今はお眠り、と。
 嘗てライラックは作家に、こうも問うた。
 ……何の為に作品を綴り始めた? と。
 そのこたえはいまだ、聞けてはいないけれど。
 彼がまだ、作家で在るのであれば――。
 ライラックはふと、聞いた心に温もり灯る、あの素敵な桜の噂話を思い返しながら。
 眼前の作家へと、衝撃と共に紡ぐ。
『……っ!』
「次は幸せな終わりを綴ってごらん」
 ――今だけでなく、続く楽しみをさ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

津々楽・善人
【琥藍荘】
いつまで死んでりゃ良いんだ
そろっと薄目にバッチリ敵さん
やっべもう居るわ
お前ら朝よ起きなさーい!

いや一体何をじゃないが
お前あんだけ…乱れておいて…
忘れるなんてひどい…
おやつは後でな
いつまでも放っといたらあの子も泣いちゃうでしょ
武器振り回しながら敵さん顎指し

茶番させてくれた礼もしなきゃなぁ
お仕置きの時間だ!
薙刀構え

藍に信置き琥珀の守護任せ
前出て引き付け役

教室斬り付けぬよう
刃先は向けず棍代わり
攻撃は【武器受け】にて捌く
柄尻で敵を突く
見切られても体勢崩せりゃ御の字

あっぶな!
いま絶対狙ったろ
後で覚えてろよお前!

捕縛が成りゃ
後は坊ちゃんのお仕事
かぁーっこいー

まぁ
またやっても良いかもなぁ
学校ごっこ


不知火・琥珀
【琥藍荘】
む、死んだふりは終わりか?
よし、こはくは生き返るぞ

おれ、ふっかーつ!

元気よく起き上がって
一番に目にとまるのは、散らばったお菓子
…と、たおれてる、らん

む、らん?どうした?
ぜん、らんはどうし…あ、おきた
なんだ、泣いてるのか?お菓子食うか?

…おぉ?もう一人いるな…
わかった、あいつが、わるもの!
はんにん、だな!

らんとぜんを見ながら、マネをして

しおきの、じかんだ!

戦いは、前には出ずにうしろから
らんに守られながら、しっかりとはんにん…敵を見て
チャンスを作ってもらえば、それをのがさずに、光矢をうつ

やったか?

…こはくは、今回のことで、わかった
さんすうはきらいだが
この学校という場所は、きらいじゃないぞ


不知火・藍
【琥藍荘】
むくり起き上がり

…む?私は一体何を…?(記憶飛んだ)
追試をしていた筈だが…
琥珀様の顔を見ると何故か泣けてくる
善人殿は何を言っているのだ(2回目)
それから今は夕刻だ、ママ

そうですね、お菓子を食べ…
おや、作家殿も居たのか
良く分からぬが作戦成功だな

さすが琥珀様、名推理です
真犯人は作者、間違いはない

何にせよ命を軽視する言動は頂けぬ
要反省、と敵に教鞭ならぬ護符を突きつけ
仕置きの時間だ

善人殿に前衛任せ中衛からサポート
琥珀様への攻撃は庇う
敵が怯んだ隙に距離を詰め護符を
…おっと善人殿に当たるところだった
とフェイントを入れつつ護符を当て捕縛
最後は任せました、琥珀様

そうだな
次は平和な物語となりますよう



 言い渡された追試が招いた、放課後の殺人劇。
 いや――なんかもう結構な時間、死体になっている気がする。
(「いつまで死んでりゃ良いんだ」)
 そう、そろっと薄目を開けてみた津々楽・善人(綴れ生く・f12578)であったが。
『ちゃんとみんな、死んでるー?』
「やっべもう居るわ」
 いつの間にか来ていた影朧と、ぱちりと目と目が合って。
 ガバッと起き上がり、まだ死んでいるふたりにすかさず声を。
 ――お前ら朝よ起きなさーい!
 その声に、お菓子の誘惑にも負けず頑張っていた不知火・琥珀(不知火家当主・f06806)は、ぱちっと瞳を開いて。
「む、死んだふりは終わりか? よし、こはくは生き返るぞ」
 ――おれ、ふっかーつ!
 そう、元気よく起き上がってみれば。
 赤い瞳に一番にとまったのは、散らばったお菓子。
 ……と、色々な意味で死んでいる、不知火・藍(藍澄鏡・f06808)の姿。
 そんな微動だにせず主好きすぎ死を遂げたままの藍の様子に、琥珀は首を傾けて。
「む、らん? どうした?」
 そう、倒れて動けない従者の名を口にすれば。
 主の声に、ぴくっと反応する藍。
 そして。
「ぜん、らんはどうし……あ、おきた」
「……む? 私は一体何を……?」
 ――追試をしていた筈だが……。
 あまりにも態度がなっていない善人先生に、やってみたかった追試を課したことと。
 琥珀が追試を立派にこなしていて感激せずにいられなかったことまでは、覚えているが。
 それ以降のことは、あまりの衝撃に、記憶が飛んだようです。
「いや一体何をじゃないが」
 そんな藍に、思わずツッコまずにはいられない善人は。
「お前あんだけ……乱れておいて……忘れるなんてひどい……」
 そう、うっと顔を覆ってみたりしてみるけど。
「善人殿は何を言っているのだ」
 普通に2回目のマジレスを真顔でされた上に。
「それから今は夕刻だ、ママ」
「聞こえてたんならさっさと起きようよ!?」
 ツッコまれつつも、ツッコミどころ満載である。
 けれど、そんな善人をスルーしつつ、溺愛する主へと視線を向ければ。
「琥珀様の顔を見ると何故か泣けてくる……」
 再び顔を覆わずにはいられない藍。
 そんな様子に琥珀はきょとりとしつつも、お菓子を手にして。
「なんだ、泣いてるのか? お菓子食うか?」
「そうですね、お菓子を食べ……」
 追試の後の、おやつタイム――にしたいところだけれど。
「おやつは後でな。いつまでも放っといたらあの子も泣いちゃうでしょ」
 自分達のやり取りを見つめている作家を顎で指しながら、握る御法を振り回す善人。
 なんですけれど。
『僕、甘いもの大好き! 僕もお菓子食べたーいっ』
「ん? 一緒にたべるか?」
「では、皆でお菓子を……」
「いや待って、それ敵!」
 そして一斉に向けられた視線に、思わず声をあげる善人。
「……いやだから何でそんな、何言ってるのコイツみたいな顔なん」
 そんな善人を後目に、琥珀はふと気が付く。
「……おぉ? もう一人いるな……」
「おや、作家殿も居たのか。良く分からぬが作戦成功だな」
「いや、さっきから言ってるんだが……」
 それから琥珀は、ピカンッと再び閃く。
「わかった、あいつが、わるもの! はんにん、だな!」
「さすが琥珀様、名推理です」
 ……真犯人は作者、間違いはない。
 藍もそう、こくりと深く頷いて。
 色々理不尽なことはあるけれど、とりあえず主従揃って気付いてくれたようだし。
「茶番させてくれた礼もしなきゃなぁ」
 薙刀構える善人に続き、藍も突きつける。
「何にせよ命を軽視する言動は頂けぬ」
 鞭ならぬ護符を、要反省、と。
 そしてふたり同時に、影朧へと言い放つ。
 ――お仕置きの時間だ!
 ――仕置きの時間だ。
 そんなふたりの様子を見ながら、琥珀も真似してびしっと口にする。
「しおきの、じかんだ!」
『あれ? お菓子タイムしないの? じゃあ、今度はちゃんと死んでよー』
 そう蒼き桜咲く刀を抜く作家の前に、地を蹴って踊り出るのは善人。
 教室斬り付けぬよう、刃先は向けず棍代わりに揮いながら。
 琥珀の守護は信置ける藍に任せ、敵を引き付けるように立ち回って。
 放たれる斬撃を御法の刃で受け止め、柄尻で敵へと突きを繰り出す。
 そして放たれた心中道具から琥珀を庇いながら、微か体勢崩し生じた作家の隙を逃さずに。
『……!』
 すかさず距離を詰め、フェイントを入れ護符を放つ藍。
「……おっと善人殿に当たるところだった」
「あっぶな! いま絶対狙ったろ」
 丁度前にいた、善人すれすれに。
 けれど、そのフェイントが効いたのか、作家へと当てた護符がその身を捕縛して。
「……後で覚えてろよお前!」
「最後は任せました、琥珀様」
 善人の言葉を後目に、主へと目を向ければ。
 守られながらも確りと犯人……敵を見ていた琥珀はこくりと頷き、詠唱する。
 ……みそぎはらえ、せいばつのこうし――そぉれ、とんでゆけ!
 刹那、影朧目掛け放たれるは、破魔の力宿す琥珀色の光矢。
 その眩き清祓の光矢が、作家の残影である影朧の身を的確に射抜いて。
『! まぁ楽しかったし……こういうオチも悪くな……ッ!』
 捕縛が成りゃ、後は坊ちゃんのお仕事……そう見守っていた善人も声を上げる。
「かぁーっこいー」
「やったか?」
「お見事です、さすが琥珀様」
 確りと躯の海へと影朧を還した琥珀は、100点満点の花丸です! 
 そして帝都学園殺人事件も無事完結、静けさが戻ってきた学園の教室で。
「まぁ、またやっても良いかもなぁ。学校ごっこ」
「そうだな。次は平和な物語となりますよう」
 そう言うふたりを交互に見遣り、琥珀はひとつ頷くのだった。
「……こはくは、今回のことで、わかった。さんすうはきらいだが」
 ――この学校という場所は、きらいじゃないぞ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月06日
宿敵 『或る作家の残影』 を撃破!


挿絵イラスト