取り戻せ!まりかおーちょー!
●大ピンチ!まりかおーちょー!
「ひっひっひ……こんな所に、こんないい国があったなんてねぇ」
「其方何者じゃ! 妾の臣民たちに手出しはさせぬぞ!」
チョコレートの花が咲き、小動物の幼女が住む平和な国、『まりかおーちょー』に、突如として人喰いの魔女が現れた。
おーちょーの主であるアリス、赤いロングヘアに、黄金の剣を持ち、エプロンドレスを着た6~7歳の小柄な童女、有珠川・茉莉花は、おーちょーの臣民である小動物幼女たちを守るために剣を構えて迎え撃つ。
だが……。
「姫様が!姫様が!」
「姫様が食べられちゃうよーーーー!?」
●グリモアベースにて
「迷宮災厄戦に勝利して……でもそれですべてのアリスラビリンスの国が平和になったわけじゃないのよ」
集まった猟兵たちを前に、湯上・アリカ(こいのか荘のアリカさん・f00440)は語り始めた。
「みんなは覚えているかしら?
迷い込んだアリスの有珠川・茉莉花(ありすがわ・まりか)が、愉快な仲間である小動物の幼女たちと作り上げた平和な国、『まりかおーちょー』のことを」
かつてアリカの案内で、デストラップダンジョンでできた迷宮の国から救い出された茉莉花は、その後、オウガのいない平和な国に迷い込み、そこの愉快な仲間たちと可愛らしい王朝を開いていた。
そしてその王朝を襲撃してきたオウガを、やはり再びアリカの予知をもとに猟兵が対処して、今度こそ平和な幼女たちの国が出来上がったのだったが……。
「迷宮災厄戦のあと、その戦いで支配の揺らいだオウガの1体が、平和だったまりかおーちょーに侵入したのよ。そして瞬く間におーちょーの宮殿……茉莉花のお家を占拠して、そこで茉莉花を食べようとしているの」
平和な国を壊す予知に、悔しそうに顔をしかめるアリカである。
「そこでみんなにお願いなの!
茉莉花が食べられちゃう前に助けてあげてほしいのよ!」
幸いというか、おーちょーに陣取ったオウガは、この国でたった1人のアリスである茉莉花をすぐには食べようとはせず、丸々太らせてから美味しくいただこうとしているらしい。
おかげでまだ時間的な余裕はある。
さらに、おーちょー民たる小動物の幼女が何人か逃げ出しており、彼女たちの力を借りれば、いきなり敵オウガのいる本拠に忍び込んで急襲も可能になる。
「そうして無事にオウガのボスの『人喰いの魔女』を倒すことができたら、その後は、おーちょー民たちとチョコレートのお花で作ったスイーツを食べたりして英気を養いながら、魔女の配下のオウガを迎え撃ってほしいのよ。
平和なおーちょーを守ってあげてほしいのよ。お願いするのね!」
そう言って、アリカは皆を送り出すのだった。
雅瑠璃
こんにちは、またはこんばんは。
雅です。
今回は幼女たちの国からお届けします。
……といっても、すでにオウガに襲われて支配されている状態で、全然平和ではなくなっているわけですけどね。
今回登場するアリス、有珠川・茉莉花は、以前別の雅のシナリオにも登場した幼女アリスです。
『アリス・イン・デストラップダンジョン』
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=11370
『襲撃!まりかおーちょー!』
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=19633
以前のシナリオはこちらになりますが、特に読まなくても大丈夫です。
このとき参加していた人がもしまた来てくれたなら、茉莉花も顔見知りと思ってくれるくらいですかね。
改めて解説すると、今回のアリスは、有珠川・茉莉花(ありすがわ・まりか)といいます。
赤いロングヘアに、黄金の剣を持ち、エプロンドレスを着た6~7歳の小柄な童女です。
元の世界の記憶はありませんが、どこかの良家の子女だったのか、言葉遣いが姫っぽいという事で、この国の愉快な仲間に『姫様』と呼ばれて持ち上げられ、その気になって自分の王朝を建ててます。
愉快な仲間たちは、身長50センチくらいの小人の幼女で、栗鼠とか鼬とか狸とか熊とかの動物の耳と尻尾が生えてます。
基本かわいい幼女たちで、木の実爆弾とかお花手裏剣とかで多少は戦えますが、それでも猟兵の助けがなければ数に押されて撒けますし、そもそもボスと戦えるような力はありません。
1章はボス戦です。
おーちょー民の幼女たちの案内で、いきなりボスの『人喰いの魔女』のいるおーちょーの宮殿(茉莉花のお家)の台所に、裏口のドアから急襲できます。
とはいえおーちょー民はボス相手に戦える力はないので、案内だけです。
そして茉莉花は、縛られてお皿の上に乗せられ、これから調理される……といった状況なので、助けてあげてくださいね。
2章は日常です。
この国に咲くチョコレートの花を使ったスイーツを、おーちょー民たちが作ってくれますので、それを食べながら英気を養ったり、この後の配下オウガの襲撃に備えたりしてください。
3章は集団戦です。
詳細はその時に。
というわけで、素敵なプレイングお待ちしてますね。
第1章 ボス戦
『人喰いの魔女』
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POW : 眠りの雲
【大釜から自身以外を昏睡させる紫の雲】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
SPD : 魔女の呪い
【魔法の杖】から【変化魔法】を放ち、【小鳥か子豚か子羊に強制的に変身させること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 影絵のドラゴン
無敵の【影絵のドラゴン】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11
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●潜入!まりか御殿!
転送された猟兵たちを、身長50㎝ほどの、栗鼠や兎や猫や鼬や狸といった小動物の耳と尻尾を生やした5人の幼女たち……おーちょー民である愉快な仲間たちが出迎える。
「姫様が食べられちゃうのー!」
「姫様を助けてほしいのー!」
この5人は、なんとかまりか御殿……人喰いの魔女に占拠された茉莉花の住むお菓子の家から逃げてきたのだという。
彼女たちの案内で、あたりのチョコの花が咲く草原をうろつく配下オウガの目を逃れて、お菓子の家の裏口にやって来た猟兵たちは、そこから一気に人喰いの魔女に急襲をかける。
裏口の、チョコレートの扉を開けて、魔女の待つ台所へ。
皿に乗せられ縛られた囚われの姫様を助けるために!
ゲルハルド・バルザーク
◎
またもや食われておる…マリカは何か美味そうな香りでも発しておるのか?
…まぁよい、盟友の危機とあらば助けるのが覇王の務めよ。
【戦法】
「待てぇぇぇい!そこな少女は我がバルザーク帝国が同盟国マリカ王朝の王なるぞ!
貴様のような輩が食してよいものでは断じてなぁぁぁい!」
威厳を込めた大声にて威圧し、魔剣ヴァーゼルを振りかぶり突撃。
皇帝の覇気(オーラ防御)と魔剣の薙ぎ払いにより面妖な紫の雲を吹き飛ばして無効化し、返す刃で覇王の一閃を放ち魔女を釜ごと両断する。
「目覚めよマリカぁぁぁぁ!王たる者ぉぉぉ!臣下を守る務めを忘れるなぁぁぁぁ!」
フレミア・レイブラッド
◎♥♥♥
茉莉花も可愛いけど、この王国の子達も可愛いわね♪…犯罪かしら
茉莉花、久しぶりね。
お菓子の家の手土産もなく、戦争後早々に騒ぎを起こすなんて…空気も読めないし気が利かない魔女ね(理不尽な酷評)
裏口から奇襲前に【ブラッディ・フォール】で「時計の国の少年アリス」の「狂える時計ウサギ」のうさ耳とドレス姿へ変化。
奇襲開始と同時に【フェイタル・ショータイム】で時間を停止し、敵の後方から心臓や腹部の内臓狙いの一撃を加え、敵が苦痛に喘いでる間に茉莉花を救出。
【フェイタル・ショータイム】で時間を停止から【サディスティック・メルヘン】で敵を拘束し、最後は魔女らしく大釜かオーブンの中にでも叩き込んであげるわ
アイリス・レコード
◎
アリスを助けるのが、私の使命です……!
何よりまずは、アリス……茉莉花さんの安全の確保ですね
オウガが彼女に食欲を向けているのは間違いないはず、
なら……力を、貸してください
【指定UC】で三月兎娘さんを呼び出し、彼女の力でオウガが茉莉花さんに向けている食欲の対象を私に強制変更してもらいます
三月兎娘『アリス、本気!?』
後は自身を《鼓舞》し、《地形の利用》《第六感》《激痛耐性》で他の方が彼女の安全を確保するまで守りに徹します
安全確保後は反撃を『もう我慢しないウサ!ばあさんオウガ×アリスとか絶許!欲望の対象をその影絵に再変更ですよ!その“無敵”の竜、食えるもんなら食ってみろウサー!』
え、あの……?
メラニー・インレビット
オリジン亡き今、少しは平和になると思っていましたが、
よりにもよってこの国が襲われるとは……
オウガは憎いですが、
何よりもまずアリス様を無事お救いすることが先決
台所に踏み込んだ瞬間に【時間加速】を発動し、
奴が動くよりも早くアリス様を皿の上から奪還しましょう
その際変化の魔法を放たれても、
加速した反応速度なら対応はそう難しい事ではございません
ウサギ時計を身代わりに『盾受け』することで防ぎます
無事アリス様をお救いできましたら、すぐに縄を解き、民と共に御殿より避難していただきましょう
……さて、アリス様の心配が無くなれば、
あとはこのオウガの時間を終わらせるだけだ
己の愚行を後悔しながら死んでいくがいい
ヴェール・フィエーニクス
◎
またまた茉莉花さんがピンチ、です!?
いただかれちゃったらまた会う事も出来なくなっちゃいますから
何としても助けないと、です…!
裏口から急襲する際に
正面から切り込んでいく仲間の人の後ろに隠れ
敵がそちらに気を取られている内に、素早くこっそり死角に回り込み
「差し伸べる、救いの手」で攻撃!
(切り込んでいく人にはあらかじめそうする事を伝えておきます)
もし攻撃前に気づかれたら
攻撃の回避を優先して立て直し、隙を見て攻勢に転じます!
影絵のドラゴンには
(可能なら)お部屋の明かりを1つ取って照らして
その形を崩して弱体化を狙います!
そして、敵に隙が出来た、またはこちらに手が回らない時を狙って
茉莉花さんの救出も!
アムリタ・リシ
◎
へいわなくにが…まりかさんが、あくいにのみこまれようと…
あくいをいましめ、まりかさんをたすけましょう…!
裏口を開け、一気に飛び出しつつ
「兵器形成・偽神」でランスに変えた右腕による突進突きで先制攻撃
また、その際に髪を扇風機の羽のように変えて回転させ
さらに勢いを足していきます
眠りの雲が沸いて来たら、そうして変えた髪の回転を利用して
雲を味方がいない方へ吹き飛ばします
魔女の呪いはしっかり回避しつつ
影絵のドラゴンが出て来たら左手を懐中電灯に変え
光で照らして影を消していく事を試みます
茉莉花さん救出に回った人がいたら
その人や茉莉花さんの前に立ち
両手を鏡の盾に変えて守ります
出来そうなら、救出のお手伝いも!
セシル・バーナード
まりかおーちょーか。懐かしいね。
だけど、こんなところにまで戦争の余波が。
茉梨花、必ず助けるよ。
裏口から突入次第、雷球乱舞で人喰い魔女を攻撃する。駆けろ、雷霆珠!
影絵のドラゴンがでてきたら、ぼくはそっちの囮を引き受けるよ。
雷球乱舞の絶え間ない全方位攻撃で、影絵のドラゴンの動きを鈍らせる。
雷霆珠の放つ電撃のスパークで、影がかき消されないかな? まあ、これは駄目元。
ドラゴンの絶対性が揺らぎ始めたら、「全力魔法」の黄金魔眼で影絵のドラゴンの動きを封じ、これを押さえ込む。下手に倒して二匹目を召喚されても厄介だ。
魔女の方は決着付きそうかな? そっちは任せてるから、よろしくお願い。
さあ、茉梨花を助け出そう。
菫宮・理緒
【恋華荘】
茉莉花さんとおーちょーがピンチ!?
これは絶対に見過ごせないね。
愛でに……ううん、助けにいかないとだね!
魔女だっけ?
茉莉花さんを美味しくいただこうなんて、そうはさせないよ!
いただくなら、わたしがいただくんだから!
ということで、茉莉花さんさんに会えたら、
魔女とかどうでもいいので、とりあえず再会と親愛のハグ。
え? せっかくの再会を邪魔しないで?
なに? 変化の魔法ならわたしだって得意だよ。
【虚実置換】で魔女をかわいーい幼女に変えてあげちゃうよ。
もちろん、そのままおーちょー民になったり、
茉莉花さんに協力してくれるなら、許してあげなくもない!
あ、そのときは、もちろんわたしに愛でられるけどね!
●おーちょー民との再会
「へいわなくにが……まりかさんが、あくいにのみこまれようと……」
「オリジン亡き今、少しは平和になると思っていましたが、よりにもよってこの国が襲われるとは……」
悲しい瞳をしながら小さく呟くアムリタ・リシ(ナノマシン群体型偽神兵器・f25098)に応えるように、オウガへの憎しみもこもった難しい顔をしているメラニー・インレビット(クロックストッパー・f20168)は、悔しそうに言う。
この国、まりかおーちょーは、アムリタにとってもメラニーにとっても思い入れの深い地だ。直接自らの手で救ったアリスの国なのだから。
いや、それは2人だけの話ではない。今回の戦いに集まった猟兵のほとんどが、かつてこの国に訪れた経験がある。
「まりかおーちょーか。懐かしいね。……だけど、こんなところにまで戦争の余波が」
そういうのは、最初に茉莉花がアリスラビリンスに迷い込んだ頃からの付き合いになるセシル・バーナード(セイレーン・f01207)だ。
「またまた茉莉花さんがピンチ、です!?」
「茉莉花さんとおーちょーがピンチ……これは絶対に見過ごせないね! 愛でに……ううん、助けにいかないとだね!」
「はい! いただかれちゃったらまた会う事も出来なくなっちゃいますから、何としても助けないと、です……!」
そしてこちら、仲のいい人呼んでカタメカクレ同盟のヴェール・フィエーニクス(「涙を拭う手」のアサシン・f00951)と菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)のコンビも、茉莉花との付き合いがあるがゆえに、決意を込めて拳を握る。ヴェールは最初から、理緒はこのおーちょーができてからと、茉莉花との付き合いの時間に差はあるが、茉莉花を想う気持ちは一緒だ。若干理緒の方に不純な空気を感じないでもないが、多分気のせい。
「みんなが来てくれて嬉しいのー!」
「心強いのー!」
「姫様を助けてほしいのー!」
「姫様が食べられちゃうのー!」
こんな猟兵達を出迎えたのは、賑やかにぴょんぴょん飛び跳ねつつ口々に可愛い声で皆に甘えてくるような5人の幼女。身長50cm程度の栗鼠や兎や猫や鼬や狸の耳と尻尾を生やした幼女たちだ。
「茉莉花も可愛いけど……この王国の子達も可愛いわよね♪ ……犯罪かしら?」
なんて意味深なことを呟きつつ、そんな小動物幼女を抱き上げているのは、こちらも茉莉花とは最初からの付き合いになるフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)だ。抱きかかえられている幼女たちは、私たちはいいから早く姫様をーときゃあきゃあ言っているものの、フレミアに撫でられ可愛がられてまんざらでもなさそうな感じ。犯罪というのは、この子たちの可愛さが犯罪的ということか、それともこの子たちを持ち帰るのは犯罪だろうか?と話だろうか……詳しくは問うまい。
「それにしても、またもや食われそうになっておるとは……マリカは何か美味そうな香りでも発しておるのか?」
フレミアの横で腕を組んで仁王立ちしているゲルハルド・バルザーク(覇道の皇帝・f18758)もやはり、茉莉花とは最初からの付き合いになる。茉莉花に姫としての自覚を与えた最初のきっかけともいえる彼は、自らの帝国の同盟国だと、まりかおーちょーを評しているのだ。
「まぁ、茉莉花は可愛らしいからねぇ。オウガ的には美味しそうなのかも?」
「……まぁよい、盟友の危機とあらば助けるのが覇王の務めよ。其方もそろそろ民を離すがよい」
「っと、そうね。茉莉花の所への案内頼まなきゃ」
ゲルハルドの言葉に頷いておーちょー民の幼女たちを解放したフレミアは、そのまま小動物幼女たちに案内を頼む。
「わかってるのー!」
「姫様の所に直行する裏口に案内するのー!」
「よろしくお願いします。アリスを助けるのが、私の使命です……! 何よりまずは、アリス……茉莉花さんの安全の確保しないとです!」
そして今回のメンバーの中では唯一茉莉花との面識のないアイリス・レコード(記憶の国の継ぎ接ぎアリス・f26787)だが、アリスを救うという己に課せられた騎士の使命は誰よりも強い。見知らぬアリスであろうとも、彼女はアリスを守る騎士。アイリスも他の7人に負けないほど、茉莉花救出に心を燃やしていた。
そして5人の小動物幼女たちは、8人の猟兵を連れて、こっそりとチョコの花咲く草原を進んでいく。
そのあたりを彷徨う配下のオウガに気付かれないように、まりか御殿……おーちょーの中心たるお菓子の家を目指し、そして裏口へと到達した。
「このドアを開ければ、すぐに台所なのー」
「台所に、姫様縛られてお皿に乗せられてるはずなのー」
「まだ料理の準備してたから、たぶん間に合ってると思うのー……」
小声で不安そうに呟く幼女たちを安心させるように頷くと、8人は扉を破って、魔女と茉莉花のいる台所へと急襲した。
●人喰い魔女と皿の上の茉莉花
「きっひっひっひ……もうすぐ、もうすぐ出汁の効いたいいスープが出来上がるからねぇ? そうしたら、丸々太ったお前を、生きたまま煮込んで、最高の料理にしてやろうねぇ……!」
「くっ……これまでか……」
ぐつぐつと煮たっている鍋の傍で不気味な笑いを浮かべる人喰いの魔女。
そして下着姿のまま縛られ、傍のテーブルの上の皿に乗せられている……ちょっとだけふっくらとしている茉莉花。魔女が茉莉花を美味しく食べるために、フォアグラの如く少し太らされているのである。
そして魔女が、茉莉花を煮えたぎる鍋に入れようとしたその時、バンッと大きな音を立てて、裏口の扉が開く。
「待てぇぇぇい! そこな少女は我がバルザーク帝国が同盟国マリカ王朝の王なるぞ! 貴様のような輩が食してよいものでは断じてなぁぁぁい!」
と同時に響き大音声。もちろんゲルハルドの一喝だ。
「なんだい!?」
「その声! ゲルハルド帝かや!?」
そして声に反応した魔女と茉莉花に向かって、強い電撃を帯びた球が飛んでくる。
「駆けろ、雷霆珠!」
扉が開いてゲルハルドが一喝したと同時に室内に飛び込んだセシルの放った【雷球乱舞】だ。正確に自身に向けて飛んできた雷の球を避けようと、魔女は茉莉花から離れて後ずさった。
そしてそこに小さな影が飛び込んでくる。【兵器形成・偽神】で、ナノマシン製の己の身体を変形させ右腕をランスに変えて構えて突進してきたアムリタだ。
「あくいをいましめ、ます……!」
髪を扇風機のプロペラのように変形させ、その風の勢いで一気に飛び込んできたアムリタによる先制攻撃が、魔女の身体に突き刺さった。
「アリス様、ご無事ですか!?」
「茉莉花、久しぶり……ちょっと太った?」
そしてセシルとアムリタによる先制攻撃の隙に、メラニーとフレミアの2人が、奇しくも2人同時に時間を操り、魔女の体勢が整う前に茉莉花を奪還する。メラニーが【時間加速】にて加速して茉莉花に近付けば、フレミアは【ブラッディ・フォール】にてウサミミとドレス姿の時計ウサギに変身したことによって解放された力で時間を停止してメラニーと共に茉莉花を確保する。
「メラニーに、フレミアか……それにセシルやアムリタも。皆にまた会えるとは思わなかったのじゃ……あと太ったのは妾のせいではなないのじゃ!?」
メラニーに皿から降ろされ、縄を解いてもらっている間、茉莉花はふっくらした自分の身体を恥じて真っ赤になっていた。もちろん、無理矢理魔女に食べさせられて太ったので、茉莉花のせいではない。
「ちょっとふっくらした茉莉花さんも可愛いよー♪」
そしてさらにいつの間に近付いてきたのか、理緒が茉莉花に抱きついて、再会と親愛のハグをしていた。
「り、理緒!? 再会は妾も嬉しいが、苦しいのじゃ、やめるのじゃ
……!?」
「理緒さん、茉莉花さん困ってる、です!」
そんな理緒を宥める声は、魔女の背後から聞こえてきた。
アムリタの突進の影に隠れて死角から背後に回りこんでいたヴェールの声だ。ヴェールはそんな理緒に向けての声を発すると同時に、魔女の背中へと【差し伸べる、救いの手】による攻撃を仕掛ける。
「ぎゃぁっ……な、なんなんだい
……!?」
「これ以上アリスに危害を加えさせません。喰うなら私にしなさい!」
『アリス、本気!?』
そして魔女と茉莉花の間に立ちふさがったアイリスが、【断章「妄想の沼に溺れた色ボケ兎」】によって呼び出した三月兎娘の力で魔女の興味を自分たちに引き付けて、茉莉花の安全を確保しようとする。ちなみに本気かと尋ねた声は、呼び出された三月兎娘のものだ。
「……よくも邪魔しおって……なら望み通り、お前らから食べてやろうかねぇ!」
アイリスの目論見通り、アイリスをはじめとした猟兵達に興味を映した魔女は、茉莉花を無視して猟兵達に攻撃を仕掛けてくるのだった。
●魔女退治!
「アリス様、今のうちに逃げてください」
「すまぬ、ここは言葉に甘えさせてもらうのじゃ……」
「姫様こっちー!」
「早く早くー!」
魔女の攻撃がアイリスに向いているうちに、メラニーは茉莉花とおーちょー民をまりか御殿のお菓子の家から逃げるように促していく。
アイリスは魔女の杖の攻撃を受け止め、茉莉花たちが立ち秘するまで守りに徹しながら魔女を引きつけていた。
さらに他の者たちも魔女に攻撃を仕掛けようとしたが、魔女も多勢に無勢はわかっているので、自分の味方を召喚した。
「なら、これでどうだい。お前たち、やっておしまい!」
魔女は己の影から呼び出した無数の影絵ドラゴンたちが、お菓子の家自体をぶち壊すほどの大群となって、猟兵たちに襲いかかってくる。
だが、影絵は所詮は影絵だ。
「こいつは僕に任せてよ」
セシル自らドラゴンを引き付ける囮となるべく飛び出していく。
先程と同じ【雷球乱舞】を再び多数生み出し辺りに雷撃を走らせた。全方位からの攻撃で影絵ドラゴンたちをその場に縫い留めていく。
さらに、その影絵を消すために左右から光が当たる。
部屋の明かりを取り外してスポットライトのように使っているヴェールが左から、己の片腕を懐中電灯のように変化させたアムリタが右から、影絵のドラゴンたちを照らす。
光に照らされて薄くなる影絵を、セシルの雷球が消し飛ばしていき、ヴェールの刃が切り裂いていった。
「こっちは大丈夫、です。みなさんは魔女をお願いします……!」
ヴェールの声を受け、他の猟兵達は魔女へと攻撃を仕掛けていく。
「……ちっ、生意気な。なら、これはどうだい!」
影絵ドラゴンを抑えられた魔女は、ならばと次は眠りをもたらす紫の雲を生み出して、猟兵達を迎え撃つ。
だが、それもアムリタが、影絵を光で照らしながら、さらに己の髪を扇風機にして風を起こし吹き飛ばしていき、そして薄くなった紫の雲は、帝の気合で消し飛ばされた。
「見ておるかマリカぁぁぁぁ! 王たる者ぉぉぉ! 臣下を守る務めを忘れるなぁぁぁぁ!」
「ゲルハルド帝……」
気合の大音声で雲を吹き飛ばしたゲルハルドは、魔剣ヴァーゼルを振りかぶり、魔女に向けて突撃していく。退避していた茉莉花も、その声を受けて、共に逃げてきた小動物幼女たちを庇うようにして、猟兵達の戦いを見ていた。
「不敬者が! さっさと消え失せろぉぉぉぉぉ!」
そしてゲルハルドはそのまま【覇王の一閃】の一撃。魔女の胴体を薙ぎ払うと同時に、鍋を一刀のもとに斬り捨てる。
「ぎゃっ!? なんてことをするんだい、私の鍋がっ!?」
真っ二つになった鍋から、熱い出汁汁が流れこぼれていく。
さらにここで、茉莉花が安全になったと判断したアイリスが……いや、アイリスの呼び出した三月兎娘が吠える。
『もう我慢しないウサ! ばあさんオウガ×アリスとか絶許! 欲望の対象をその影絵に再変更ですよ! その“無敵”の竜、食えるもんなら食ってみろウサー!』
「え、あの……?」
戸惑うアイリスをよそに、三月兎娘の力で興味の対象を強制的に影絵ドラゴンに向けられた魔女は、猟兵達に背を向けてしまう。セシルやヴェールたちが抑えていた影絵ドラゴンの残りの方にふらふらと向かっていく魔女。
「こっちは片付きそうだけど……って、おや?」
自分たちの方にふらふらと向かってくる魔女に気付いたセシルが首をひねるが、その次の瞬間、魔女の背後にフレミアが現れた。
再び時を止めて回りこんでいたフレミアは、そのまま背後から攻撃を仕掛けていく。最初のヴェールの奇襲で傷ついていた部分を、更にえぐるように攻撃を加え、苦痛に顔をしかめる魔女を、さらに拷問用の拘束具で動きを封じていった。
「お、おのれ……! お前らなぞ、豚になってしまえ!」
拘束されつつある魔女は、まだ動かせた片腕で悪あがきに杖を振り、猟兵達を子豚に変化させようとしたが……。
「なに? 変化の魔法ならわたしだって得意だよ!」
理緒の電脳魔術が、魔女の変化の術を打ち消す。それどころか、魔女自身が逆に【虚実置換】で、おーちょー民のような小動物幼女へと変えられてしまった。この変化は確実に理緒の趣味だろう。
「な、なんだい、これは……」
「そのままおーちょー民になるなら、許してあげなくもない!」
もちろん愛でる気満々の理緒にそんなことを言われて、素直に頷くわけもなく。
「ふざけるでないよ! 誰が……!」
自らを変化させて再び老婆の姿に戻った魔女は、理緒の物言いに怒って、もう一度反撃に出ようとする。
が。
「そう、それなら魔女らしい最後にしてあげるわ!」
そんな魔女を、フレミアは冷酷に蹴り飛ばして、オーブンの中へと叩き入れた。
魔女の最後の足掻きで放たれた変化の魔法を、時計を盾にして防いだメラニーが、そのままオーブンの蓋を閉める。
「己の愚行を後悔しながら死んでいくがいい」
「ぎゃあああああああああ……」
そしてオーブンに火がつけられ、魔女はその中で燃え尽きていくのだった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 日常
『スイーツ・ヘヴン』
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POW : 独特な素材の斬新なスイーツ
SPD : フルーツをふんだんに使ったスイーツ
WIZ : 趣向を凝らしたお洒落なスイーツ
👑5
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●おーちょーでの休息
「みんなありがとうなのー!」
「姫様無事だったのー!」
栗鼠や兎や猫や鼬や狸の小動物幼女、おーちょー民たちは、無事に救出された姫様と、助けてくれた猟兵達を囲んできゃいきゃいとはしゃいでいた。
「皆、すまぬな。助けてくれてありがとうなのじゃ……」
そして、魔女のせいでちょっぴり太ってしまった茉莉花も、猟兵達に向けて頭を下げる。
「あとは、あの魔女が放っていた配下のオウガを掃討するべきなのじゃろうが……その前に、皆も少しでも休息してほしいのじゃ」
「休息するのー!」
「スイーツ食べるのー!」
「スイーツ作るのー!」
戦いの前に少しでも休息してほしいと、おーちょー民の幼女たちが、この国に咲くチョコの花を使った、様々なチョコスイーツを持ち出してくる。
「それに、まりか御殿壊れちゃったの……」
「御殿も直さないといけないのー……」
もうひとつ、まりか御殿であるお菓子の家は、魔女が影絵ドラゴンを呼び出した際に壊れてしまった。
おーちょー民たちが用意してくれるスイーツを使って、御殿の修復をするのもいいかもしれない。
「この後戦う事になる魔女の配下オウガは、巨大な芋虫なのじゃ。御殿を修復すれば、そこを砦にして戦えるかもしれぬのう」
そういいながら、茉莉花もスイーツを手にしようとするが……。
「姫様は太ったからおやつぬきなのー!」
「痩せるまでおやつはダメなのー!」
「なんじゃとぉ!?」
……おーちょー民に取り上げられてしまったのである。
ともあれ、猟兵達は、茉莉花やおーちょー民と交流したり、チョコスイーツを食べて休憩したり、戦いに備えてまりか御殿のお菓子の家を修復したりと、戦いの前の一時を過ごすことにするのだった。
メラニー・インレビット
アリス様!ご無事で本当によかった!
それに少しふっくらとされたアリス様も、たいへん愛らしゅうございますよ?
思わずぎゅっと抱きしめたく……はっ、わたくしめは何とおそれ多い妄想を……!
こほん。わたくしめは力仕事は不得手でございますし、
皆様に紅茶をお出しさせて頂きます
ああ、どうぞお気遣いなく!
以前も申し上げたと思いますが、
アリス様のお世話をさせていただく事がわたくしめの喜びでございますので!
そうだ、御殿の修復をされている皆様にも紅茶を振る舞いたく存じます
よろしければ共に参りませんか?
とお誘いして茉莉花様を連れ出し、
民の目を盗んで一口大のお菓子をこっそり差し上げます
うふふ、皆様には内緒でございますよ?
アムリタ・リシ
◎
まりかさんをたすけられて、ほんとうによかったです…
…でもはばむものがまたやってきますから、まずは…
と、御殿修復のお手伝いをします
(見た目より力もあるので、重い物も割と大丈夫)
兵器形成・偽神を利用し、修復箇所に応じて腕や足をおっきくしたり延ばしたりして、資材を運んだりします
また、修復の際に、投石機など
防衛に仕えそうな設備の建造もお手伝いして、襲撃への準備も進めていきます
修復が完了して、まだ余裕がありそうだったら、
みんなとスイーツをいただきつつお休み&交流していきます
その時に、みんなに勧められて、おーちょー製のお洋服を着せてもらったら
おーちょーの人共々みんなにきゃいきゃいされちゃうかも!?
菫宮・理緒
まりか御殿もお菓子の家とはいえ、
お家の修復のほうが、まだ料理よりは見込みがあるかな?
と、いうことで! タブレットで調べて、わたしは御殿の修復をしちゃうから、
ヴェールさんには、みんなと美味しいお菓子を作って欲しいなー♪ なんて思ってみたり。
次に控えているのが芋虫っていうのが、ちょーっと気が重いけど、
まぁ、あんまり見ないで戦うためにも御殿の修復はしっかりしておきたいよね。
今回はカタメカクレみんなでお茶会できないから、
アリカさんのぶんのお土産も、しっかり確保して帰ったらあらためてお茶会しないとね!
……え? 茉莉花さんおやつ抜きなの?
しかたないなー♪
えっと、みんなには内緒だからね? こっそり食べよー♪
アイリス・レコード
【POW】
(危機は去ってないが戦闘中ではないので素に近い言動になる)
まだ、オウガが残っていますし、
茉莉花さんがまた狙われるかもしれないですから、
守りを固めるという意味でも御殿を直した方がいいですよね……
私個人はそこまで力仕事が得意というわけじゃないですけど、
出来るだけのことは、させてもらいますね
(主に御殿の修復の手伝いをします。はしゃぐおーちょー民のテンションに少し押され気味だけれど、距離を置いたりとかはしません。楽しいし、そういう空気そのものは好きな為。ただ自身の話を求められると記憶喪失なのもあって少し困った様子を見せ、どちらかというと聞き手に回ろうとします)
※アドリブ絡み等歓迎です
ヴェール・フィエーニクス
【恋華荘】
茉莉花さんを無事助けられました、です…!
ここはみんなで一緒に…って、茉莉花さんはおやつぬき、です!?
と、ともあれ、まずは御殿を直さないと、ですっ
重すぎる物を運ぶのは難しいですけど
高い所に登るのは得意ですので、それを利用して
高い所の修理をお手伝いできれば、ですっ
直し終わったら、みんなでスイーツタイム、ですっ!
スイーツにほわほわして
これをアリカさんへのおみやげにしようと考えたので
それが出来るかどうかを聞いてみます
そうしたら、何故かおーちょー製のドレスも…?
って、それを着てくれたら、です!?
どきどきしつつ着替えたら
周りの視線や声が!
さらにどきどきした所でカメラまで向けられちゃう事に!?
セシル・バーナード
まずは茉梨花もみんなも無事に助けられてよかったよ。
今は一休みするとしようか。
せっかくだからプラチナちゃんと一緒に。
ん、ああ。ぼくの恋人の一人だよ。
(それを証明するようにキス)
さ、一緒にチョコレート食べよう。
ああ、すごく甘いね。ぼくの旅団の周りにも生えてくればいいのにな。
プラチナちゃんはどう? おいしい?
この前までアリスラビリンスで戦争してたんだけど、ここは大丈夫だった?
オブリビオン・フォーミュラのオウガ・オリジンは討滅したけど、はぐれオウガの動きが活発化したみたいだね。
またオウガが現れた時のために、シェルター作ろうか?
ごちそうさま。紅茶で口の中をさっぱりさせて。
さあ、次に備えよう。
フレミア・レイブラッド
やっぱりこの子達可愛いわよね♪魔城に連れて帰りたいわ♪
とりあえず、小動物幼女達が用意してくれたスイーツを食べながら、幼女達を抱きかかえて膝に乗せ、撫でたり抱きしめたり「はい、あーん」ってスイーツ食べさせたりと徹底的に愛で愛でして愛で倒すわ♪
この子達が可愛すぎるのがイケナイのよ!
ついでに、座って愛で愛でしながら【サイコキネシス】【念動力】でスイーツを宙に浮かべて運んだりし、まりか御殿を修復するわ。
いっそ、オウガが攻めて来た時の為に要塞化したり、風雲まりか城とか作ったり(改造したり)しても良いかもしれないわね♪
後は、茉莉花も早く痩せないとね♪頑張って痩せたら茉莉花も可愛がってあげるわ♪(いらない)
ゲルハルド・バルザーク
◎
ふぅむ、よくよく見ると確かに今のマリカは肥えておるが…よい、よいぞ!
【スィーツ天国】
「王が痩せ細るなど笑止千万!王たる者は誰よりも強大でなければならぬぅ!
故にマリカよ!食え、喰らえ!スィーツを心ゆくまで喰らい尽くしもっと肥えるのだ!」
手本を見せるように豪快にスィーツを喰らい、マリカにもずいっと勧める。
「王とは不動なる山、王とは天高く聳える巨木!
決して揺らがず、寄りかかる全てを背負ってなお倒れる事は許されぬ、その為には力が必要なのだ!
マリカも余のように大きく強くなれぃ!
肥え太り、更に魅力的な女性になるのだ!」
●おーちょーのスイーツタイム!
「アリス様! ご無事で本当によかった!」
「わわっ、め、メラニー、心配かけてすまなかったのじゃ……」
おーちょー民の幼女たちに連れられて、いつものエプロンドレスに着替えた茉莉花は、出てくるなりメラニー・インレビット(クロックストッパー・f20168)の大歓迎を受けていた。いきなり飛び掛かって抱きつかんばかりの勢いでくるメラニーに、さすがの茉莉花も驚いて後ずさる。
とはいえ、茉莉花が無事で喜んでいるのは、他の皆も同じだ。
「茉莉花さんを無事助けられました、です……!」
「まりかさんをたすけられて、ほんとうによかったです……」
「うむ、ヴェールもアムリタもありがとうの。心配かけてしまったのじゃ」
茉莉花の無事な姿を見てホッとしているヴェール・フィエーニクス(「涙を拭う手」のアサシン・f00951)やアムリタ・リシ(ナノマシン群体型偽神兵器・f25098)にも、安心させるように笑顔を見せる茉莉花である。
だが……その笑顔もすぐに曇ってしまうのだった。
なぜなら……。
「まずは無事でよかったよ。今は一休みするとしようか?」
「ここはみんなで一緒にスイーツを……」
というセシル・バーナード(セイレーン・f01207)とヴェールの言葉に目を輝かせて、おやつタイムにしようとした茉莉花に、おーちょー民の小動物幼女の2人、栗鼠幼女と狸幼女が待ったをかけたからだ。
「姫様は太ったからおやつぬきなのー!」
「痩せるまでおやつはダメなのー!」
「なんじゃとぉ!?」
「茉莉花さんはおやつぬき、です!?」
臣下である2人に待ったをかけられて声をあげる茉莉花。ヴェールも可哀想……という目で見ているが、栗鼠幼女と狸幼女は譲らない。
「おやつ大臣のめーれーなの!」
「姫様のじじょとしても、太った姫様には食べさせられないの! ドレスがぱっつんぱっつんなの!」
どうやら栗鼠幼女がおーちょーのおやつ大臣で、狸幼女が茉莉花の侍女らしい。おーちょー民にもちゃんと役職があるのだ。
そして狸幼女の言うとおり、茉莉花のエプロンドレスは、主に腰回りがぱっつんぱっつんなのであった。
「ふぅむ、確かによくよく見ると確かに今のマリカは肥えておるが……」
「うぅ……あの魔女めに無理矢理太らされたのじゃ……」
ゲルハルド・バルザーク(覇道の皇帝・f18758)の無慈悲な感想に涙目でがっくりとなる茉莉花である。
もっとも、ゲルハルドは別に太った茉莉花を貶しているわけではない。
「……だが、よい、よいぞ! 王が痩せ細るなど笑止千万! 王たる者は誰よりも強大でなければならぬぅ!」
「な、なんと
……!?」
ゲルハルドの価値観としては、王とは十分に肥えているべき、なのであろう。
多少太ったのは、むしろ貫禄というべきだと力説する。
そしてメラニーも、茉莉花をフォローするように言う。
「それに少しふっくらとされたアリス様も、たいへん愛らしゅうございますよ?
思わずぎゅっと抱きしめたく……」
「お、おう……?」
先程同様にずずいっと茉莉花の前に乗り出して、今にも抱きしめそうなメラニーだった。
「はっ、わたくしめは何とおそれ多い妄想を……!」
「い、いや、別に良いのじゃが……」
もっとも、アリスに使えることを喜びとするメラニーは、本当に抱きしめるような事はせず、そう考えたことを恥じらって赤面しているが、……茉莉花はその勢いに圧されてついつい後ずさってしまうのだった。
「そうとも。肥える事を恐れる必要はない! 故にマリカよ! 食え、喰らえ! スィーツを心ゆくまで喰らい尽くしもっと肥えるのだ!」
手本を見せるように、おやつ大臣たちが運んできたエクレアやチョコケーキをはじめとする様々なチョコスイーツを豪快に食べながら、ゲルハルドは持論を展開している。
「王とは不動なる山、王とは天高く聳える巨木!
決して揺らがず、寄りかかる全てを背負ってなお倒れる事は許されぬ、その為には力が必要なのだ!
マリカも余のように大きく強くなれぃ! 肥え太り、更に魅力的な女性になるのだ!」
「そ、それは妾も、其方のように大きくはなりたいが……肥えるのは、どうかとは思うのじゃ、ぞ……?」
ゲルハルドの大音声の演説に、圧倒されている茉莉花である。
が、ゲルハルドやメラニーがこうも推してくるのなら、と、茉莉花はそーっとスイーツに手をのばす。茉莉花自身はスイーツお預けなんて望んでいないのだからして……。
しかし。
「だめなの! 姫様はおやつ抜きなのー!」
「それはないじゃろ!? 皆もそういってるのだし……」
「だめなのー! 食べたければ、運動してからなの!」
……やはり臣下である幼女たちに阻まれる茉莉花だった。
「皆さんは、いっぱい食べてほしいのー!」
「あ、おやつ大臣様、わたくしが紅茶を入れてまいりますね」
「お客様だから、座って待っててほしいの!」
「ああ、どうぞお気遣いなく! 以前も申し上げたと思いますが、アリス様のお世話をさせていただく事がわたくしめの喜びでございますので!」
おーちょー民たちは、他の面々へスイーツを配ってお世話をしている。
途中、自分も給仕するというメラニーと、互いに遠慮し合う場面もあったが、結局はメラニーと一緒に給仕をするのだった。
その給仕を受けて、セシルは、ユーベルコードで呼び出した少女と一緒にスイーツを食べている。
「あら、その子はどなた?」
先程までいなかった相手と2人仲睦まじく食べているセシルの様子を見て、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は小首を傾げつつ尋ねてみると、セシルは恋人だよと言わんばかりにその少女にキスをするのだった。
「子供も見てるのだから、やめなさいな」
と常識的なことを言いながら、フレミアは自分にチョコスイーツを配りに来た鼬幼女を捕まえて抱っこして撫でまわしていた。
「やっぱりこの子達可愛いわよね♪ 魔城に連れて帰りたいわ♪」
……こちらもあまり常識的ではなかったかもしれない。いや、可愛いのは確かだろうけれど。
「お持ち帰りは困るのー。わたしは姫様のしんかなのー!」
「ああ、もぉ、可愛いんだからぁ♪ はい、あーん」
「あーん、なの」
本気で持ち帰るつもりがあるのかどうかはわからないが……本気なような気もするが……ともあれフレミアは膝の上に抱っこした鼬幼女を愛で愛でしている。
「ああ、すごく甘いね」
セシルはセシルで、恋人といちゃいちゃ食べさせ合っている。
どうにも幼女たちの教育に悪そうな2人なのであった。
「そういえば、まだオウガはいるんだっけ? シェルターでも作ろうか?」
「シェルターはともかく、壊れたまりか御殿の修復はしないといけないわね?」
「けんせつ大臣たちが直しに行ってるのー!」
見るとどうやら兎幼女がけんせつ大臣らしい。
痩せるために運動を強制された茉莉花と、それから修復の手伝いをしている猟兵達と一緒に、壊れたまりか御殿……お菓子の家を直すべく、チョコの扉やビスケットの壁などを一生懸命修復している様子が見えている。
「ああ、そうね。茉莉花も早く痩せないとね♪ 頑張って痩せたら茉莉花も可愛がってあげるわ♪」
ゾクッ。
「な、何か背中に冷や汗が……」
「姫様、サボりはダメなのー!」
幼女を愛で愛でしながらのフレミアの視線にぞくっとした茉莉花である。
それはさておき。
「それじゃ、わたしも手伝いましょうか。いっそ、オウガが攻めて来た時の為に要塞化したり、風雲まりか城とか作ったりしても良いかもしれないわね♪」
といいつつ、やっぱり幼女愛で愛でしながら、この場から【サイコキネシス】で手伝うフレミアであった。
●修復!まりか御殿!
「はばむものがまたやってきますから、まずは……」
「まずは御殿を直さないと、ですっ」
けんせつ大臣の兎幼女とその手伝いをする猫幼女の所に、アムリタとヴェールもやってきた。そして痩せるまでおやつ抜きだと言われた茉莉花も。
それと……。
「次に控えているのが芋虫っていうのが、ちょーっと気が重いけど……」
「茉莉花さんがまた狙われるかもしれないですから、守りを固めるという意味でも御殿を直した方がいいですよね……」
なるべく見たくないなー……という顔の菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)と、あまり力仕事は得意ではないけど、できるだけのことはさせて貰いますねとぎゅっと拳を握るアイリス・レコード(記憶の国の継ぎ接ぎアリス・f26787)も、此方の手伝いだ。
「ではやるぞ! いっぱい仕事して、そのあとはスイーツタイムじゃ!」
「「おー!!」」
運動して痩せてスイーツを食べたい茉莉花と、けんせつ大臣の兎幼女と手伝いの猫幼女が気勢を上げる。
理緒はそのノリに乗って一緒になって声をあげているが、アイリスはどうやらこのノリとテンションには面食らっているらしく、目を白黒させてしまうのだった。
「それじゃ、修復の現場監督は任せて!」
タブレットで立体図を示しながら、理緒はてきぱきと作業を指示していく。ついでに【虚実置換】でタブレットの画像に映し出された完成図を、そのまま現実に置き換えて修復したりもする。
「おかしのかべ、はこびます」
アムリタは【兵器形成・偽神】を応用して、ナノマシン製の自らの手足を伸ばして、高い所に資材(お菓子の家の壁や屋根なので、やっぱりお菓子)を運んでいく。見た目よりも力のあるアムリタだ、自分の身体よりも大きなお菓子も、軽々と運んでいくので、幼女たちに感心されていた。
「上での作業は任せてください、です」
さらに、アムリタの力で上に運ばれた資材は、身軽なヴェールがすたたっと屋根に上って細かな作業をしていく。
「むむむ……このまま理緒やアムリタやヴェールに任せておればよいような気がしてきたのじゃ……」
「でもそれだと、姫様おやつは食べられないの!」
「それは困るのじゃ!?」
「私もお手伝いしますから、一緒に頑張りましょう」
アイリスに宥められながら、茉莉花もちまちまと修復を手伝っていく。
「ぼうえいのぶきとかもつくりますか?」
「あ、いいねー。芋虫に近付かないで倒せそうなやつ!」
そしてアムリタの発案で防衛設備として投石機が作られる。投石といいつつ、放たれるのは大きな飴玉だ。理緒がタブレット上でさっさと設計したのを、アイリスや茉莉花たちが一生懸命に制作して、御殿の周りに作っていくのだった。
「皆さま、作業お疲れ様です。一休みされてはいかがですか?」
作業中の茉莉花たちのもとに、メラニーが紅茶を持ってやってくる。
「そだねー。だいたい作業もいい感じに終わったし」
「今度こそスイーツじゃな!」
メラニーの声を聴いて、理緒たちも作業を切り上げてきた。茉莉花は十分運動したのだからもういいじゃろと、今度こそおやつを食べる気満々のようだ。
が。
「姫様はダメなのー!」
「おようふく大臣は、太った姫様の新しい服作るの面倒なのー」
「それでも大臣かおのれはー!?」
どうやら猫幼女は、おようふく大臣らしい。確かにこれ以上茉莉花が太ったら新調しなくてはいけないのだろう。
「……え? 茉莉花さんおやつ抜きなの?」
「ううう……もう十分運動したから食べてもいいと思うのじゃ……」
悲しそうにつぶやく茉莉花は、理緒の哀れみの視線を受けてしまうのだった。
「みなさんは、いっぱい食べてなのー!」
そんな主君をさておき、おやつ大臣の栗鼠幼女は、たくさんのチョコスイーツを猟兵達のもとへと運んでくる。
「カタメカクレ同盟揃ってのおやつタイムにできなかったのが残念だ、ねー?」
「アリカさん来れないの、残念、です」
仲良しの理緒とヴェールは、ここにハコれなかったグリモア猟兵のことを思い、お土産に持ち帰れないかなどと話していたりする。
「あ、アイリスさんもアムリタさんも一緒に食べよー?」
そしてこの場にいない同盟の仲間の代わりとばかりに、アイリスとアムリタにも声をかけて仲良くお茶会を始めるのだった。
人懐っこい理緒は、ここぞとばかりに幼女たちだけでなく、アイリスやアムリタもかまっていく。2人の事を知ろうと色々聞いてみたりもするのだが、口下手なアムリタも記憶槍汁のアイリスも、突っ込んだ話には答えようもなく、少し困った様子で、逆に理緒やヴェール、あるいは茉莉花や幼女たちの話を聞く側に回っていた。
そんな中、アイリスはふと、手元のスイーツを手に取る。他のとは違い、色合いがちょっと緑っぽい。記憶喪失ゆえか、そういうのもあるのだろうと手に取り口に入れたアイリスを見て、おやつ大臣の栗鼠幼女が慌てて叫ぶ。
「これは、ずいぶん変わった色のお菓子ですね?」
「あ、それは、姫様のおしおき用の……!」
「……!?」
悪戯用のワサビ入りスイーツだったらしい。ワサビの刺激にげふっと噴き出したアイリスは、紅茶カップを倒してしまい、アムリタとヴェールの服に引っ掛けてしまった。
「ああっ、すみません……」
「大変なの。お着換え用意するのー!」
「い、いえ、これくらいなら……」「だいじょうぶ……」
遠慮するヴェールとアムリタだったが、2人ともおようふく大臣の猫幼女に引っ張られて、茉莉花やおーちょーの幼女たちとお揃いのエプロンドレスに着せ替えられてしまうのだった。
「サイズあっててよかったのー!」
「よく似合うのー!」
「え、いえ、その……」
「えっと……」
しきりに恐縮する2人だが、幼女たちに囲まれて囃し立てられ、顔を赤くして恥ずかしがってしまうのだった。
「2人は犠牲になったのだ……って、今のうち、だねっ。ほら、茉莉花さん、こっそり食べよー♪」
「アリス様の分はちゃんとキープしておきました。うふふ、皆様には内緒でございますよ?」
「おお、おぬしら……ありがとうなのじゃ!」
そして、ヴェールとアムリタに幼女たちの視線が集中している隙をついて、理緒とメラニーがこっそりと、茉莉花にスイーツを食べさせる。
こうしてようやく、茉莉花もおやつにありつけたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『グリードキャタピラー』
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POW : キャタピラーファング
【無数の歯の生えた大口で噛みつくこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 脱皮突進
【無数の足を蠢かせての突進】による素早い一撃を放つ。また、【脱皮する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 汚らわしき蹂躙
全身を【表皮から溢れる粘液】で覆い、自身が敵から受けた【敵意や嫌悪の感情】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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※3章の受付は断章投稿後になります。連休終わりの22日~23日くらいの予定です。
※お待たせしました。受付再開します。
●おーちょーの大反撃!
アリスである茉莉花が太ったり、おやつ大臣の目を盗んでコッソリチョコスイーツを食べたりしている間に、まりか御殿であるお菓子の家は見事に修復されていた。
さらに、防御兵装として、キャンディー投石機まで設置されているのだ。
「おお、これなら、あの芋虫どもを蹴散らせそうじゃな!」
「飴玉ぶつけるのー!」
「姫様の援護するのー!」
復活したまりか御殿を見て満足そうに頷く、まだちょっとふっくらとしている茉莉花と、その周りでえいえいおーと気勢を上げる、栗鼠と猫と兎と鼬と狸の小動物幼女のおーちょー民たち。
そして、その気勢を聞きつけたわけではないだろうが、この国を荒らしまわっていた巨大な芋虫……グリードキャタピラーが、わらわらとまりか御殿を目指して集まってくる。
支配していた魔女がいなくなって統率を失った芋虫たちは、ただ目の前にあるモノを喰らおうと、御殿とおーちょー民たちを目指してくるのだ。
「よし! あとはあの芋虫どもを全て打ち倒してしまえば、我がおーちょーに平和が戻るのじゃ!」
そういった後、茉莉花は猟兵達の方を見て、お願いをする。
自分たちだけでは戦力が足りないからだ。
「皆、すまぬがもう少しだけ力を貸してくれぬか?」
茉莉花は、猟兵達と共に前線で剣を振るうつもりだ。この黄金の剣は茉莉花のユーベルコードによって形作られたもの、芋虫相手の戦闘は多少はこなせる。
さらに、おーちょー民たちは、キャンディー投石機で援護をする。
それでも、主力はあくまでも猟兵達だ。
茉莉花やおーちょー民と共に芋虫を倒し、この国に平和を取り戻そう!
セシル・バーナード
こんな見苦しい芋虫までこの国に入り込んでたなんてね。助けに来るのが間に合ってよかったよ。
散歩でもしてる感じで、手をズボンのポケットに入れたまま戦闘開始。
「全力魔法」「貫通攻撃」雷の「属性攻撃」で、雷球乱舞。芋虫を蜂の巣だ。
とどめはプラチナちゃんにも一部任せよう。鉄塊剣(「鎧無視攻撃」「鎧砕き」「なぎ払い」「貫通攻撃」)の使い心地にも慣れてきたかな?
ぼくの周囲に来た芋虫はもうボロボロだから、鉄塊剣を飛ばしてとどめ刺しちゃって。うん、よくできました。
これにておーちょーの奪還劇は幕引き。あとはスタッフロールが流れるだけの大団円だ。
いつかオフの時にこの国に遊びに来たいなぁ。それじゃ、元気でね、茉梨花。
鍋島・小百合子
WIZ重視
アドリブ絡みOK
茉莉花殿の国の一大事に遅れてすまなんだ
今よりわらわが率いる英霊の軍が助太刀に参る!
「王国の危機を救うためにわらわ達で勝利を起こすぞ!全軍!突撃!」
UC「天騎要塞陣」発動にて浮遊城塞を召喚
そこから435名もの天馬武者の軍団を出撃、戦闘知識込みで指揮
鶴翼の陣の集団戦術を持って芋虫の大群を包囲・殲滅を命ず
わらわも天馬に騎乗して軍団の先鋒として切り込みをかけていき芋虫共を蹴散らす!(なぎ払い、範囲攻撃、鎧砕き、破魔、空中戦併用)
軍団に攻撃させる際の注意として他の猟兵や王国の民を巻き込まないように心がける
戦が終われば茉莉花殿に挨拶していこうかの
ゲルハルド・バルザーク
◎
フン、虫ケラどもがウジャウジャと来たか!
丁度よい、マリカよ!王の戦い方というものを見せてやるぅぅ!
【覇王の戦争】
「インペリアルナイツ!この地は我らが帝国の同盟国であるマリカ王朝であぁぁる!
余の認めし王の治める国を守る戦、帝国を守る戦と同等であると考えよ!」
魔導戦車に仁王立ちし突撃号令にて呼び出したインペリアルナイツを威厳ある大喝にて気合を入れ士気を高める。
そして魔剣を指し示す先を魔導戦車の砲撃で吹き飛ばし、それを皮切りにインペリアルナイツを攻撃回数重視の命令で突撃させ虫ケラどもを薙ぎ払い蹂躙する。
「よいかマリカよ、臣民を戦に駆り立てるのもまた王の務めなり」
●どーめー国の戦い
「フン、虫ケラどもがウジャウジャと来たか!」
「こんな見苦しい芋虫が入り込んでたなんてね」
まりか御殿に向けて迫ってくる芋虫……グリードキャタピラーの第一陣を迎え撃つのは男2人、ゲルハルド・バルザーク(覇道の皇帝・f18758)とセシル・バーナード(セイレーン・f01207)だ。
ゲルハルドの傍らにはおーちょーの姫である茉莉花が、セシルの傍らには先程のお茶会の際にユーベルコードで呼び出していた恋人が、それぞれに控えている。
そして向かってくる芋虫の群れの前に、ゲルハルドが腕を組んで仁王立ちした。
「丁度よい、マリカよ! 王の戦い方というものを見せてやるぅぅ!」
「お、おお……」
芋虫をも吹き飛ばしそうな強烈な気合と大音声。隣で圧倒される茉莉花である。
そのゲルハルドは、仁王立ちのまま敵の軍勢を見据えると自らの配下を召喚した。
帝の周囲に呼び出された騎士たちは、一糸乱れぬ統制を持って芋虫の軍勢の前に立ちふさがる。
そして、帝の【突撃号令】が下った。
「インペリアルナイツ!この地は我らが帝国の同盟国であるマリカ王朝であぁぁる!
余の認めし王の治める国を守る戦、帝国を守る戦と同等であると考えよ!」
「「「然り! 然り! 然り!」」」
「行け、インペリアルナイツ! マリカの敵を粉砕せよ!」
帝が剣を前方に振りかざすと、騎士たちは号令に従って芋虫に向けて吶喊していく。
「お、おお……すごいのじゃ。妾にもできるかのう……?」
妾の民は、ここまで統制はとれておらんし、皆幼子じゃしなぁ……と少しだけ遠い目になった茉莉花だが、そんな茉莉花にゲルハルドは優しく語りかけるのだった。
「よいかマリカよ、臣民を戦に駆り立てるのもまた王の務めなり」
「むむむ……しかし、民を守るのが王ではないかや?」
「当然である。しかし、守られるばかりが民ではない。国とは、民もまた戦って作るものなのだ」
ゲルハルドの言葉に考えさせられ、むむむと首をひねる茉莉花であった。
「ま、今すぐ難しいこと考えなくてもいいんじゃない?」
悩む茉莉花に、セシルは軽く声をかけた。
ポケットに手を入れたまま、散歩でもしているような気軽さで。
とはいえ一応、インペリアルナイツが抑えている方とは別の方からはぐれてやってくるキャタピラーに【雷球乱舞】の雷をぶつけ、雷に焼かれたキャタピラーに鉄塊剣を持たせた恋人を向かわせてトドメを刺させていたりはする。
「うん、そうそう。よくできました」
「むむ……なんだかんだ言うて、おぬしも人を使っておるのう……妾には難しいのじゃ」
恋人と連携して、そして一部は恋人に任せているセシルの姿を見て、茉莉花はこれが自分のおーちょー民たちにできるだろうかと、やっぱり考えてしまうのだった。
「陛下、第二陣が別方向より来ます」
「む。そちらはおよそ片付きそうだな。ならば兵を別けて……」
インペリアルナイツたちの奮闘で、正面から押し寄せてきたグリードキャタピラーの群れはかなりが退治されていった。
だが、そこに側面から別の群れが迫ってくる。
ゲルハルドはそちらに兵を差し向けようとするが……この場に新たに現れた凛とした声が、帝の言葉を遮ったのだった。
「それには及ばぬぞ!」
「誰じゃ……って、小百合子ではないか!」
颯爽と新たに現れたのは、これまた茉莉花とも顔見知りである鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)だった。
「遅参お詫び申す。茉莉花殿の国の一大事に遅れてすまなんだ」
「いや、むしろいいところで来てくれたのじゃよ。何より、来てくれただけでも妾は嬉しいのじゃ!」
新たな顔見知りの参戦に喜ぶ茉莉花。そんな姫に笑顔を返して、小百合子は迫ってくる芋虫の群れを見据えた。
「温かい言葉痛み入る。ならばわらわたちにこちらは任せよ。今よりわらわが率いる英霊の軍が助太刀に参る!」
茉莉花とあいさつ代わりの言葉を交わした後、小百合子もまた、ゲルハルドと同じように、自らの兵を召喚する。
空に浮かぶ移動要塞、【天騎要塞陣】から舞い降りるは数多の天馬武者。
「鶴翼の陣をもって芋虫を殲滅す! わらわに続け!」
小百合子は、自らも天馬に跨ると、英霊の武者たちを引き連れて自ら先陣を切ってキャタピラーの群れへと吶喊していった。
小百合子以下、天馬に跨る武者たちが、薙刀を振るい次々とキャタピラーを切り刻んでいく。その戦いぶりは、インペリアルナイツたちに勝るとも劣らず、見事な連携で持って確実に芋虫の群れを仕留めていったのだった。
「ふむ、あちらの軍もなかなか練度が高いではないか。これならば任せてもよかろう」
「妾はどちらかというと小百合子のように、自ら切り込んでいく方が好みじゃなぁ……」
「なら、こっちはもう十分だろうし、あっちの方で民と一緒に戦ってきたら?」
小百合子たちの戦いぶりを見て感嘆していたゲルハルドと茉莉花に、セシルが声をかける。その指さす方向は、他の猟兵達がおーちょー民と一緒に戦っている戦場だ。
「ふむ。こちらは余たちで十分におつりが来よう。マリカよ。王の戦い学んだなら、実践してくるがよい」
「こちらはわらわたちがいるから問題ない。終わってから改めて挨拶させてもらおうぞ?」
そしてゲルハルドも小百合子も茉莉花を促す言葉を告げた。
「皆、ありがとうなのじゃ。ではこちらは任せるのじゃぞ!」
そして茉莉花は、続々迫ってくるグリードキャタピラーの群れの本体を任せて、おーちょー民や他の猟兵達の戦場へと駆けていくのだった。
「では、こちらは遠慮なく蹂躙してくれようか」
「武者たちよ。こちらの戦場の芋虫の殲滅を命ず!」
「おーちょーの奪還劇もそろそろ幕引き。アットはスタッフロールが流れるエンディングだね」
かくして、こちらの大群対軍勢の戦いは、芋虫の数だけは多いのでそれなりに時間もかかったが、ほどなく猟兵達の勝利で終わったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイリス・レコード
◎
あのオウガ、茉莉花さんだけでなくこの国ごと喰い尽くしそうな顔をしてます……
でも、茉莉花さん達の物語をここでおしまいになんかさせません……!
UCの効果で自身が強化され、相手のUCの間合いを外し距離を維持しつつ、
隙を見てランスで貫くように戦います
また、聞いた話からすると茉莉花さんは何度もオウガに狙われているみたいですから、
いざというとき茉莉花さんをいつでも《かばえる》ようにしておきます
多少の傷は自身への《鼓舞》と《激痛耐性》で我慢です
今の私には集団を一度に相手取る手段が無いですから、
他の皆さんの攻撃で残った敵や、投飴機で止めきれない敵を優先で確実に倒していきます……!
ヴェール・フィエーニクス
【恋華荘】
腹ペコすぎる敵がわんさかやって来ました、です…!
おーちょーごといただかれちゃわないように
みんなで力を合わせていきましょう、ですっ!
頭からガブリ、されちゃわないように
シーブズ・ギャンビットで素早く立ち回りつつ攻撃!
可能なら、死角から攻撃していきます
茉莉花さんやおーちょーのみなさん、そして仲間がピンチの時は
急いで駆けつけ救援を!
連携できそうなら、積極的にしていきます
相手がスピードアップしてきたら、こちらも同様にスピードアップ!
また、こっそり持ち込んでいた
お菓子の御殿修復に使った建材の端材をだれもいない方
あるいは敵の方に投げて、敵の食欲を利用してそちらに気を向かわせ
その隙に渾身の一撃を!
アムリタ・リシ
◎
みらいをくらう、むしのむれ…
くちにしてはいけないものがわからないものたちを
いましめましょう…
兵器形成・偽神で右手を剣に、左手を盾に変えて迎撃します
茉莉花さんを始め、みんなの救援を優先し
守りつつ戦います
茉莉花さんやおーちょ―の人たちには、特に早めの救援を!
距離のある相手、特に仲間を攻撃しようとしている敵には
腕を伸ばして攻撃したり
髪を伸ばして絡みつかせ拘束して阻止!
また、投石器から飛んできたアメ玉が砕けていなかった
あるいは、砕けていてもまだ攻撃に使えそう
(鋭くとがった部分のある欠片など)なら
掴んで敵に投げ飛ばし
細かいのは敵の習性を利用し陽動に利用します
攻勢に転じれそうなら、みんなと息を合わせて!
フレミア・レイブラッド
勿論、手は貸してあげるけど、今後も茉莉花やおーちょーの子達はここを守っていくわけだし…今後の事を考えて、この辺で実践経験を積ませておくのも良いわよね(幼女を抱っこして愛で愛でしつつ思案)
【吸血姫の契り】を発動。
茉莉花やおーちょーの子達と血の契約を結び、一時的に吸血鬼化させて能力を超強化。
自身も相互魔力で強化し、芋虫を魔槍で倒して手本を見せたり、危なそうな時は手出ししつつ、茉莉花やおーちょーの子達だけで戦わせて戦闘経験を積ませたりするわ。
実践に勝る訓練は無いものね♪
ただ、一部茉莉花に過保護な子(猟兵)には怒られそうかしら…?
(名残惜しく愛で。そして、吸血と戦闘による運動で茉莉花の体重が元に…)
メラニー・インレビット
アリス様のお役に立つ事は我が喜び
もう少しなどと言わず、いくらでもお力添え致します!
さあ、害虫どもを一匹残らず駆除し、この国に平和を取り戻しましょう!
此方には手練れの猟兵に加え、投石機の援護もあるとはいえ油断は禁物
アリス様の居所には常に気を配り、いざとなればこの身を挺してでもお守りできますよう備えます
奴らの素早い突進は厄介ですが、此方に届く前にUCにて細切れにしてやりましょう
(攻撃は全て敵に向けます。アリス様の御命に比べれば代償など安いものです)
皆様、無事に全ての敵を倒す事ができましたら、勝利を祝し改めてお茶会に致しましょうね!
菫宮・理緒
茉莉花さんの力になれるのは嬉しいし、もちろん力にはなりたいんだけど……。
芋虫がうぞうぞ迫ってくるとか、予想はしてたけどあんまり見たくない景色だね。
ま、ああいうのは近寄られる前に焼いちゃうのがいいよね。
復活したまりか御殿から【Nimrud lens】で砲撃して、
茉莉花さんの援護をしながら、焼き芋虫にしちゃおう。
焼き芋と違って、美味しくはなさそうだけどね。
それに、潰したりするとビジュアル的に酷いことになって、
戦いが終わったあとのおやつがマズくなりそうだし、やっぱり焼きだね!
ヴェールさんやほかのみんなと連携しながら、しっかり芋虫を焼却していくよ。
戦い終わったらこんどこそ茉莉花さんとおやつタイムだー!
●おーちょー民も戦うのー
軍勢を率いて討って出た猟兵達とは別に、まりか御殿の近くでは、おーちょー民の幼女たちを守るべく6人の猟兵達が控えていた。
そしてこちらにもグリードキャタピラーが押し寄せてきたのである。
「腹ペコすぎる敵がわんさかやって来ました、です……!」
「みらいをくらう、むしのむれ……」
「あのオウガ、茉莉花さんだけでなくこの国ごと喰い尽くしそうな顔をしてます……」
おーちょー民の前に立ち迎え撃つ猟兵達。
芋虫の襲来を見てその姿に嫌悪感を抱くヴェール・フィエーニクス(「涙を拭う手」のアサシン・f00951)とアムリタ・リシ(ナノマシン群体型偽神兵器・f25098)とアイリス・レコード(記憶の国の継ぎ接ぎアリス・f26787)だったが、3人ともだからといって逃げるような選択肢はない。
「でも、茉莉花さん達の物語をここでおしまいになんかさせません……!」
アイリスは【救世の国のアリス】の力で自己強化しつつランスを構える。
「くちにしてはいけないものがわからないものたちを、いましめましょう……」
静かに呟きながらアムリタは、【兵器形成・偽神】にてナノマシン製の己の身体を変化させる。右手を剣に、左手を盾に。
「おーちょーごといただかれちゃわないように、みんなで力を合わせていきましょう、ですっ!」
そしてヴェールも愛用のダガーを構え、いつでも飛び出せるよう膝に力を込めた。
その時、別の戦場に向かっていた茉莉花の声が聞こえてくる。
「皆、すまぬ。こちらにも芋虫が向かってきたのじゃ! もう少し力を貸してくれぬか?」
「アリス様のお役に立つ事は我が喜び。もう少しなどと言わず、いくらでもお力添え致します!」
御殿とおーちょー民の方にまでキャタピラーの群れが流れてきたことを受けて、茉莉花もこちらに戻ってきたのだ。
守りについていた猟兵達に力を貸してほしいと願う茉莉花に、メラニー・インレビット(クロックストッパー・f20168)は当然のように良しと答える。
もちろんメラニーだけではない。ヴェールもアムリタもアイリスも。そして……。
「茉莉花さんの力になれるのは嬉しいし、もちろん力にはなりたいんだけど……」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)も同じように答えるのだが……何か煮え切らないように言葉を濁した。
「けど……?」
理緒の態度に小首をかしげる茉莉花だったが、その疑問に対しては理緒に代わってフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)が答えてくれた。
「勿論、手は貸してあげるけど、今後も茉莉花やおーちょーの子達はここを守っていくわけだし……今後の事を考えて、この辺でこの子たちにも実践経験を積ませておくのも良いわよね?」
この子たち、というのは、先程からずっとフレミアに抱っこされて愛で愛で可愛がられている鼬幼女をはじめとするおーちょー民のことだ。
……というかフレミアさん。お茶会の時からずっと抱っこしっぱなしだったんですか……?
「わたしたち、なのー?」
「そうよ。今回はわたし達がいるからいいけど、わたし達が来る前、茉莉花が捕まってたじゃない? せっかく御殿に武器も付けたんだし、いい機会だから使い方覚えないとね?」
膝の上で愛で愛でされている鼬幼女に語り掛けるように言うフレミアである。
そういうことでしょ?と理緒に目配せをすると、何故か慌てたようにこくこくと頷く理緒だった。
「そ、そう。もちろんそうだよ、そういう事言いたかったわけで……ね?ね?」
「……う、うむ。実をいうと先程も言われたことじゃしなぁ。妾も王なら、民を率いて戦う事も覚えろとな」
なぜか冷や汗をかいてどもっている理緒の様子には気づかなかったようで、茉莉花は猟兵達に言われたことを反芻している。
(「……わたしはただ、芋虫がうぞうぞ迫ってくるとか、予想はしてたけどあんまり見たくない景色だなーって思ってただけで、そんな深い事は考えてなかったんだけどっ」)
なので、こんな理緒の内心は、幸いなことに茉莉花にもフレミアにも気付かれることはなかったのだった。唯一カタメカクレ同盟仲間のヴェールが首を傾げているようだが……あえて口にはしないだろう。良かったね。
それはさておき。
「え、えっと、ともあれああいうのには、みんなはなるべく近付かないように、遠くから攻撃するんだよ。わたしも一緒にやるから、ねー」
「おぬしらは投石機の準備なのじゃ!」
「「「はいなのー!」」」
栗鼠幼女と兎幼女と狸幼女は、理緒と茉莉花の言葉に従ってそれぞれにキャンディ投石機の準備を始める。
そして、フレミアは、抱っこしていた鼬幼女と、ついでに捕まえた猫幼女を愛で愛でしながら幼女たちに語り掛けた。
「投石機のないあなたたちは、わたしと一緒に行きましょうか?」
「「いっしょに……たたかうのー?」」
「お、おい、それは危なくないかや? 妾ならともかく……」
幼女たちは揃って小首をかしげ、慌てたように質問を投げかける茉莉花だったが、フレミアは大丈夫よと言いながら【吸血姫の契り】を発動させる。
鼬幼女と猫幼女に魔力をリンクさせ、フレミアの魔力を受けて一時的に吸血鬼化した幼女たち。
「さ、戦い方の見本はわたし達が見せてあげるから、ついてきて真似してみなさいな?」
「「はいなのー!」」
「……大丈夫じゃろうか……?」
茉莉花はまだ半信半疑のようだが、それでもこれ以上は悩んでいる猶予もない。
前線で先に戦っているアイリスたちから、援護を頼む声がする。
「むむ。仕方ない。覚悟を決めようか。我がおーちょーの民たちよ! 猟兵の皆とともに、我らの国を守るのじゃ! 投石開始! 進むものは我に続くのじゃっ!!」
「「「「「おーーーー
!」」」」」
茉莉花の号令に、幼女たちと、そして猟兵達の鬨の声が上がった。
●おーちょーの大反撃!
吶喊していく茉莉花たちの背後で、理緒がキャンディ投石機部隊の栗鼠幼女と兎幼女と狸幼女に指示を飛ばす。
「それじゃみんな、援護始めるよー!」
「「「なのー!」」」
ちょこまかと可愛く動いて投石機からキャンディを飛ばしていく幼女たち。
飛ばされたキャンティは、まるで岩のように固く、高速の勢いで芋虫たちに命中していく。
さらに。
「よし、わたしも援護行くよ。みんな焼き芋虫にしちゃおう!」
理緒は自らの電脳魔術【Nimrud lens】にて空気中のレンズに手収束させた光を芋虫に当てて焼いていった。
「……焼き芋と違って、美味しくはなさそうだけどね」
まぁ、それでも、潰したりしてぐちゃっとビジュアル的に酷いことになるよりはマシかな……あまりひどいの見たら食欲無くなっちゃいそうだしねー、などと考える理緒である。
「援護かたじけないのじゃよ。
よーし、敵はひるんでおるぞ、このまま一気に押し返すのじゃ!」
「「おーー!!」」
投石機から次々と飛んでくるキャンディの岩や、理緒の熱線でひるむキャタピラーに対し、黄金の剣を携えた茉莉花と、フレミアの魔力で強化された鼬幼女と猫幼女が向かっていく。もちろん、フレミア本人や、見本を見せるべくその前に立って進んでいく。
「さぁ、みんな、いきなさい。実践に勝る訓練は無いものね♪」
紅い魔槍で芋虫を突き刺しながら、幼女たちを促すフレミア。
茉莉花も幼女たちも、やると決めた以上は本気だ。茉莉花が黄金の剣で斬りかかり、猫幼女と鼬幼女はその獣の爪で引っ掻きに行く。
黄金の剣も、獣幼女の爪も、何度かキャタピラーの身体を削っているのだが、それでもなかなか倒れない。猟兵であるフレミアの槍は一撃でそれを貫いたというのに。
「……むむむ、なかなか固いのじゃ」
「それでも姫様の剣が一番切れ味いいのー」
「わたしの爪はなかなか姫様みたいに切り裂けないのー」
茉莉花たち3人は夢中になって1匹のキャタピラーを削っていた。
それでも苦戦はしているものの、3対1ならなんとか抑え込むことはできているようだ。
ただもちろん。茉莉花たちが1匹に集中できているのも周りの援護があってこそ。
「……まったく。アリス様に何かあったらどうするつもりなのですか」
「そう言わないの。わたし達がいない時でも身を守れるようにしないとね?」
やはりアリスを守ることを至上の喜びとするメラニーあたりは、茉莉花や幼女たちに実戦経験を積ませることには不満な様子。
でも、戦う茉莉花たちのもとに他のキャタピラーが乱入しないように、突進してくるキャタピラーが近付く前に、【九死殺戮刃】の素早い連続する斬撃でコマ切れにしていく。本来このユーベルコード、味方を巻き込まなければ己の寿命を削ってしまう諸刃の剣なのだが……。
(「……アリス様の御命に比べれば代償など安いものです」)
メラニーは代償覚悟ですべての攻撃をキャタピラーに向けていた。……一応不満をぶつけたりするような事はしない理性はちゃんと残っている。
別方面では、先行していた3人も、茉莉花の所に余計な芋虫を行かせないように戦っている。
「まりかさんたちを、まもります……!」
「今の私には集団を一度に相手取る手段が無いですけど……!」
「援護もあるから、1匹ずつ確実に仕留めていければっ」
キャンディ投石機や熱線によって行動が乱れ右往左往するキャタピラーたちを、アムリタは己の変形する身体を駆使して撹乱していく。伸ばした腕で離れていくキャタピラーを攻撃したり、更には伸ばした髪を絡めることで足止めしたり。
更にそこに吶喊したアイリスのランスが確実に貫いてとどめを刺していく。
あるいは、死角から飛び込んでいくヴェールが【シーブズ・ギャンビット】で切り裂いていく。
「ついでに、これでもくらえ、ですっ!」
おまけにヴェールは、御殿の修復の際に余ったお菓子をここに持ち込んでいた。それをキャタピラーたちの真ん中へと放り投げると、お菓子を喰らおうとキャタピラーたちが群がっていく。
「おかしがほしいのなら、これもあげましょう」
アムリタも、辺りに転がっていたキャンディ……投石機で飛ばされて芋虫に当たって砕けた破片を代理用とばかりに掴んでは群がる芋虫に投げつけていった。
その混乱から抜け出て、茉莉花のもとに行こうとするものは、アイリスのランスが確実に貫いていく。
「茉莉花さんの所にはいかせませんっ!」
3人とも、いざという時にはいつでも茉莉花のもとへと駆けつけられるように、茉莉花の戦いに意識を割きながらも、見事なコンビネーションを見せてキャタピラーを屠っていくのだった。
それでも手数が足りないときは、遠くから理緒が熱線でピンポイントに援護もしてくるし、フレミアやメラニーも手を休めることなく芋虫狩りを続けている。
猟兵達の活躍で、茉莉花たちの戦いに乱入するものは何もない。茉莉花たちは集中してキャタピラーとの戦いを続けていた。
そして……。
「これで、トドメじゃ!!」
茉莉花の黄金の剣が、ついにキャタピラーの身体を大きく切り裂いていく。
「トドメなの!」
「なのー!」
その傷めがけて飛び込んでいった猫幼女と鼬幼女の爪が、キャタピラーにとどめを刺した。
「やったのじゃ! 妾達だけでも芋虫を倒せたのじゃ!」
「「やったのー!」」
茉莉花たちの方もとうとうキャタピラーにとどめを刺すことができたようだ。
……まぁ、実際のところ、茉莉花たちが1匹倒している間に、他の面々は周りの群れを全て屠っていたわけなのだが、そこはそれ。1匹だけでも、茉莉花たちの力で倒せたことが大事なのだ。(もっともフレミアによる強化は受けてはいるが……。)
「どうやらこれですべての芋虫を退治できたようね」
フレミアがあたりを見回しても、もう動いている芋虫の姿はない。
鬨の声が聞こえるので、別戦場の猟兵達も大群を片付け終えたようだ。
「皆様、無事に全ての敵を倒す事ができましたし、勝利を祝し改めてお茶会に致しましょう!」
「賛成! こんどこそ茉莉花さんとおやつタイムだー!」
メラニーの提案に、いつの間にここまで来ていたのか理緒が真っ先に賛同の意を示す。もちろん、他の者たちも異存はない。
異存があるとしたら、おやつ大臣の栗鼠幼女くらいだろうか……恐る恐ると茉莉花は栗鼠幼女の方をチラ見した。
「妾も今度こそ、……食べてよいかの?」
「ふふ、茉莉花も十分運動したし、体重も元に戻ったんじゃない?」
再び鼬幼女と猫幼女を捕まえて愛で愛でしながら、フレミアもそうフォローする。
そんな茉莉花とフレミアをはじめとする猟兵達の視線を受けて、おやつ大臣も折れたのだった。
「姫様、頑張ったので、おやつ解禁なの!」
「「やったーーーー!!」」
かくして今日一番の大歓声が上がり、平和を取り戻したおーちょーで、今度こそ茉莉花も堂々と猟兵達と共におやつにありつけたのだった。
大成功
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