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籠絡ラムプは筆を折らせず

#サクラミラージュ #幻朧戦線 #籠絡ラムプ

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#籠絡ラムプ


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『そう、そうよ……女に罵声を浴びせた男は、次の朝首を絞められて殺されていたの』
「あぁ、あぁそうだ。そうして女は復讐を続けるんだ」
 ある男が一人、原稿用紙に文字を書き殴る。物語はある女性の復讐譚だ。
『いいわ。そうして次は女……』
 その脇に立つのは、黒髪の女性。足元にはラムプがぼんやりと朧げに揺れていた。
「なるほど……ふ、ふひひ、これは良い」
 男は何かに取り憑かれるように筆を走らせる。……否。実際に取り憑かれているのだ。
「ひ、ひひっ、すごいぞ、言葉が溢れてくる。物語が渦巻いている。次も大評判間違いなしだ」
 そう言いながら、男は一心不乱に文章を書き続けるのであった。

●偽の文豪、温泉にて
「籠絡ラムプというものをご存じかしら?」
 エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)が猟兵達に向けて問いかけた。
「最近サクラミラージュで話題となっている、不思議なオイルランプなんですの。この籠絡ラムプを使えば、危険な影朧を手懐けて、その力をまるで自分のもののように利用することが出来るんだとか」
 なんとも危険な話だ。実際、エリルは眉を顰め言葉を続ける。
「これは現在サクラミラージュを騒がせている幻朧戦線がばらまいた『影朧兵器』なんですの。使い続けていれば、いつかは影朧は暴走して、使い手を含めた帝都に甚大な被害を及ぼしますの」
 そうなる前に回収しなくてはならない。そしてエリルは今回の目標の説明を始めた。
「今回の目標は太田・治助(おおた・はるすけ)。元々は売れない作家だったのだけれど、最近メキメキと頭角を現し始めた文豪ですわ。けれど、その影には『影朧ラムプ』の力があるんですの」
 治助が手懐けた影朧は、かつて人気を博した作家の影朧である。その影朧はある時第三者からの誹謗中傷を受けたことがきっかけで人気が失墜、ついには自殺をしてしまったのだという。
「影朧は治助に文豪としての文章力を授け、かつての経験や恨みを物語として発表させているみたいですわ。その生々しさが評判となっているみたいですわね」
 影朧の力なのに……と、エリルが困ったように言った。
「まずは、皆様は治助様のもとへ向かって、彼に接触してくださいまし。治助様は現在、有名な温泉地で湯治をしながら次の作品を執筆しているようですわ。ただし……」
 エリルが難しい顔で言う。
「治助様の滞在している場所については現在不明。調査する必要がありますわね。温泉地には宿がいくつもある上、治助様は編集者が押しかけないようにと偽名を使っているということだから、それぞれの宿の宿帳などを片っ端から調べても、簡単には見つからなさそうですわね」
 どうやって見つければいいだろうか、様々考える必要がありそうだ。
「ともあれ、温泉地は猟兵であればサアビスチケットで入り放題。温泉を楽しみながら調査をしてみてはいかがかしら?」
 そうしてエリルはグリモアを輝かせた。
 いざ、籠絡ラムプを求め、桜散る温泉地へ――。


G.Y.
 こんにちは。G.Y.です。
 今回はサクラミラージュの『籠絡ラムプ』事件を追う物語となります。

 第1章は温泉地で日常生活をしながら、太田・治助(おおた・はるすけ)の居場所を調査してください。
 温泉地は宿が多数あり、どこかに治助が滞在しています。
 治助は偽名を使って宿をとっている為、宿帳を調べるだけではわからないでしょう。
 折角なので温泉を楽しみつつ、客とのコミュニケーションを取ったりしながら調査をしましょう。
 第2章では、治助が籠絡ラムプで従えている影朧を倒す必要があります。
 うまく影朧を倒すことが出来れば、第3章では治助の過ちを正す為行動することになるでしょう。

 それでは、皆様の参加をお待ちしております!
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第1章 日常 『浴場めぐりは波乱の予感?』

POW   :    サウナに水風呂、ちょっと熱めのお湯や電気風呂。制覇めざし体力続く限り巡っていく。

SPD   :    お風呂上りにはコレだよね、といって色々な飲み物、食べ物を楽しんでいく。

WIZ   :    健康的な薬草風呂や入浴方法などで前より健康に、そして綺麗になっていく。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

六条寺・瑠璃緒
温泉地…悪くない
しかし自らの才能で書かぬ作家と云ふのには疑問があるから邪魔だてさせて貰おうか

僕はスタアで、物書きの端くれだ
書くなら、そう、客室が多くなく、一見よりも常連の多い宿が多いと思う
そうした宿に部屋を取って温泉街を遊び尽くそうか
好きではないが、話を聞くなら温泉街の足湯等も悪くないだろう
UCで誘惑と催眠術を強化の上、客たちと話そうか
地元民が望ましい
原稿を仕上げに来たんだ、そうした目的に打って付けの宿はどこだろう?と

嗚呼そう、温泉と言えば温泉饅頭も捨て置けない
此処で商売をしている人々なら、何か知っているかもしれないね?
筆を執る者として先輩に聞きたいこともあるんだ…君の知ることを教えてくれ給え



 緑深い山間に豪奢な建物が並ぶ。ところどころで湯気が沸き立ち、その熱気に幻朧桜がふんわり空を舞った。
 ここは帝都東京よりほど近い温泉地。名のある文豪達もふらりと訪れる、由緒正しき名湯である。
「温泉地……悪くない」
 六条寺・瑠璃緒(常夜に沈む・f22979)はその眺めに目を細めて言う。この地に籠絡ラムプを持った太田・治助がいるというのだが、この地を目的の為にひた走るのも勿体ない。彼は宿を取り、温泉街を楽しむこととした。

「お部屋はこちらにございます」
 女将が案内した部屋は、窓を大きくとった広めの部屋であった。
 国民的スタアであり、文豪でもある瑠璃緒は、もし自分が執筆をするのなら……と客室の少ない宿を選んだ。
「これは正解だ」
 窓を開けば、足元を流れる渓流のせせらぎが心地よい。常連も多い名宿というだけあって、無粋な喧騒とも無縁であった。
「このような部屋に太田も泊っているのだろうか」
 風に乗って桜の花びらが部屋に舞い込んだ。それをぼんやりと眺め、瑠璃緒は思う。太田・治助は小説家の影朧を従え、その力で人気を呼んでいるという。
「……自らの才能で書かぬ作家と云ふのには、疑問があるな」
 瑠璃緒は花びらをつまんで言う。
「邪魔建てさせて貰おうか」

(話を聞くなら、足湯等も悪くない)
 温泉街を歩くと、ふとしたところにそういう場所が用意されていたりする。
 あまり好きではないと瑠璃緒は思うが、そこでのんびりと浸かる者達の中には地元民も少なくない。話を聞くにはもってこいだ。
 足をちゃぷりと漬けると、早速老婆が話しかけてきた。
「おやまぁ、別嬪さんだこと」
「やぁ、地元の人かな。……少し、話をしよう」
 舞台下に与ふ慈悲――ファンサァビス――。瑠璃緒の言葉の、その声の揺らぎが老婆の瞳をとろんとさせる。
「原稿を仕上げに来たんだ、そうした目的に打って付けの宿はどこだろう?」
「おや、あんた物書きかい? それならねぇ……」
 言われるままに、疑問にすら思わず、老婆が指をさす。
「あの宿なんて有名な人がよく泊ってるっていうよ。最近だとねぇ、なんだっけ、あの……近頃話題のさぁ」
 そこで老婆が頭をコンコンと叩くので、瑠璃緒が助け舟を出す。
「太田治助かい?」
「ああそうそう、その人だよぉ!」
 つっかえが取れた、という具合に気持ちよく笑う老婆に、瑠璃緒は微笑み返す。
「ありがとう」
 そう言って立ち上がる瑠璃緒を、老婆は手を振って見送るのであった。

「嗚呼、そうそう」
 道中、瑠璃緒の目に鮮やかなのぼりの色が飛び込んできた。
「温泉といえばこれも捨て置けない」
 それは温泉饅頭。瑠璃緒は店員にほかほか蒸したてを所望して、ほふっと頬張る。
「そうだ、此処で商売をしている人々なら、何か知っているかもしれないね?」
 先程の老婆はあくまで噂話。情報はあるに越したことはない。そう考えた再び瑠璃緒の声に揺らぎが混ざると、その声を聞いた店員を、何もかもを打ち明けたい気分にさせる。
「筆を執る者として先輩に聞きたいこともあるんだ……君の知ることを教えてくれ給え」
「あぁ……それなら……」
 こうして、瑠璃緒の得た情報は、ただの噂から徐々に確信に変わってゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベム・クラーク
アドリブ連携歓迎です!

「ここが温泉ですか。効能?ほうほう、実に興味深いですね。」
上機嫌で片っ端から湯を堪能します。巨大な機械の体が入れる温泉に限りますが。
「温度…成分分析…ふむおおむね表示の通りですね、肩こり、冷え性はわかりませんが。ああこんにちは、この温泉の利用時間と身体的変化について伺っても?そうですか、ではこのあたりの旅館に文豪が宿泊している噂などは?ええ、私ファンでして。」
とりあえず、温泉の興味ついでに聞き込みをしてみます。

ふと、温泉を眺めながら
「ああそれと温泉卵といいますが、オスとメスの見分け方を伺っても?」
まあ、マシンには興味が尽きません。



「ここが温泉ですか」
 幻朧桜の咲く並木道。ところどころで湯気が立ち上る温泉地で、巨大な機械の身体をがしゃがしゃと音を立てながらベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)は物珍しそうに周囲を見回っていた。ふと見れば、足元には看板が立てられ、ベムはそれを覗き込む。
「効能? ほうほう、実に興味深いですね」
 肩こり、冷え性、切り傷、リウマチ……様々な効能が記されている様子に、湧き上がる好奇心はとどまるところを知らない。
 ベムは上機嫌でその『温泉』を堪能しようと宿を巡る。とはいえベムの身体は大きい。世界の加護があるうえ、サクラミラージュは異種族の転生者が多いので、人々からは違和感なく受け入れられるが、その体格だけは如何ともしがたい。
 せめてその身体が入れるだけの温泉に……と思っていたベムであったが、そこに嬉しい情報が飛び込んだ。
「サァビスチケットをお持ちのユーベルコヲド使い様、是非自慢の温泉にお入りください!」
「是非是非こちらにも!」
 なんと猟兵が浸かったという『箔』をつけたい宿から引っ張りだこになったのだ。しかもその巨体に合わせて、温泉への入り方も色々工夫してくれるのだという。
「なんと素晴らしい! では、失礼して……」
 ベムはさらに機嫌を良くしながら、温泉のはしごを決行するのであった。

 露天の岩風呂からどばぁーっとお湯が溢れ出す。温泉に身体を沈めたベムは、その湯に目を落としてカチカチと情報を引き出す。
「温度……成分分析……ふむ。おおむね表示の通りですね」
 先ほどの看板を思い返しながら、ベムは感心する。
「肩こり、冷え性はわかりませんが……」
 と、ベムは隣で気持ちよさそうに浸かる男と目が合った。
「ああこんにちは、この温泉の利用時間と身体的変化について伺っても?」
 気さくな態度で問うベムに、男は湯を顔にばしゃっと浴びせてから答える。
「かれこれ一時間は入ってるかねぇ、ここのお湯はいくらだって入れるもんなぁ」
 男は湯から出ると、へりの岩に腰を下ろす。時にはこうやって身体を冷ますのが長く入るコツなのだとか。ベムは興味深げに頷いた後、さらに聞く。
「そうですか。ではこのあたりの旅館に文豪が宿泊している噂などは? ええ、私ファンでして」
 好奇心でいっぱいの彼はマシンガンのように質問をぶつける。男は流石に気圧されながらも、面白い奴だと答えていく。
「そうだなぁ、ここらじゃ湯治に来る物書きさんなんてそう珍しいもんじゃないって言うからなぁ……あそうだ、さっき饅頭屋で聞いたけど……」
「なるほど、その旅館ですね」
 地道な聞き込みが功を奏したと言えよう。ベムは無事に太田・治助の居場所を聞き出すことに成功する。そして。
「ああそれと温泉卵といいますが、オスとメスの見分け方を伺っても?」
「えぇっ!?」
 いきなりの話題転換。ベムの興味は、まだまだ尽きそうもなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜田・鳥獣戯画
桜舞い散る温泉地にて浴場巡りとは!極楽ではないか!
仕事であることを忘れかねんぞ。どうしよう。
それはそうと下準備として、文豪太田の著作を入手しておきたい。

とは言え私が入れるのは女湯のみ。(別に男湯に乱入しても構わんのだが)
警戒されぬよう二人連れの女性客などに話し掛け、最近読む本や太田について、ひいては例のラムプ、そして影朧の大元の作家についても情報を集めたい。
あとは直球だが「道行く人の指先に強烈なペンだこがないか」も気をつけてみる。

ところで炭酸風呂はあるか。赤い鉄の湯は?
あまり長風呂はせず、多くの浴場を巡るのがコツだ!(POW)
ゆっくり入るのは夜、宿に戻ってから…そういえば宿泊費は出るのか!?



『その男は乱暴に言ふのだ。この女は怪物だ、と……』
 これはある小説の一説だ。そこにひらりと桜の花びらがページの隙間に挟まって、本が閉じられる。その本の著者名は『太田・治助』。
 太田の本を手にした桜田・鳥獣戯画(デスメンタル・f09037)は温泉地の各所から立ち上る湯気と、舞い散る幻朧桜を見ながら思う。
「……極楽ではないか!!」
 目的は当然『太田・治助』の捜索である。しかし。
「仕事であることを忘れかねんぞ。どうしよう」
 鳥獣戯画はあまりの誘惑に我を忘れそうになる。しかし、楽しまなければ損なのもまた事実なのだ。
「ということで、炭酸風呂はあるか。赤い鉄の湯は?」
 鳥獣戯画は観光案内にグイグイと迫るのであった。

「ふぃー……まさに極楽」
 鳥獣戯画は温泉に浸かりながら、ぐぅっと身体を伸ばした。
 この温泉には美肌効果もあるということで、若い女性達にも人気なようだ。帝都の流行に敏感な女性達、ともなれば、人気作家の話題も自ずと聞き出せるというもの。
(まぁ私は別に男湯に乱入しても構わんのだが)
 そういうわけにもいかないと、彼女は温泉に入りに来る女性客に声をかける。
「なぁ、少しいいか?」
「はい?」
 鳥獣戯画が注目したのは、何人かのグループ客。突然声をかける形となる鳥獣戯画を警戒しないようにと考え、今回は二人組に声をかけた。
「ここは結構、文豪も入りに来るんだろう? 誰か見かけたか?」
「えー? どうかしらねぇ?」
 女達は顔を見合わせる。そこに、鳥獣戯画は言葉を続ける。
「例えば、最近は太田の本を読んでいてな」
 その言葉に、女性客がぴくんと反応する。興味深そうに女が話に乗ってくる。
「あら、太田・治助? 恐ろしいわよねぇ、女の情念っていうかぁ」
「けど、治助っていうくらいなんだから男なんでしょお?」
 隣の女も話題に加わる。最初に食いついた女はにやっと悪そうな顔で小指を立てて言葉を返す。
「女がいるのよ、オ・ン・ナ。色々貢いでるって噂よ? 真夜中にラムプなんてぶら下げて帝都をこっそり歩いてる姿が何回も見られてるんだから」
 流石噂好きの女達。話し出せば溢れんばかりに話題が膨らむ。
「そういえば、女と言えばあの自殺した小説家……」
「ああ、小金井町子? あの子も可哀想よね。たしか私達くらいの年齢でしょお?」
 鳥獣戯画の問いにガンガン食いつく女性達。どうやら甘くも背徳的な『不倫』を題材とした恋愛小説をよく発表していたようだ。
 さて、作家達の情報は多く集まった。しかし肝心の太田の居場所に関する情報は少ない。諦めて次へ行くか、と思ったその時。
「あ、そうそう! その小金川町子なんだけどね、よくこの辺に来てたみたいよ。あの老舗の旅館。あそこでよく泊ってた部屋があるとかって」
「……!」
 とうとう繋がった。これは有力な情報になるに違いない。
「男連れ込んでたとかじゃないのお?」
「それがね……あら、もう出るの?」
 ざばぁ、と突然鳥獣戯画は立ち上がるその様子に、女性客達も思わず言葉を止めた。
「浴場巡りをしているんでな。あまり長風呂はせず、多くの浴場を巡るのがコツだ!」
 びしっと格好つけながら、鳥獣戯画は二人のもとを離れるのであった。

 そして、十分な情報は集まった。十中八九、太田はその旅館に潜んでいるのだろう。
 しかし夜は更け、乗り込むのは明日と決めた。鳥獣戯画は最後に、宿の温泉にじっくりと浸かり、英気を養うのであった。
 なお、宿泊費はサァビスチケットで賄われた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『魔縁ノ作家』

POW   :    〆切の無間地獄
非戦闘行為に没頭している間、自身の【敵の周辺空間が時間・空間・距離の概念】が【存在しない無間の闇に覆われ、あらゆる内部】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD   :    ジャッジメント・ザ・デマゴギー
自身の【書籍、又は自身への誹謗中傷】を代償に、【誹謗中傷を行った一般人を召喚、一般人】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【敵に有効な肉体に変質・改造し続ける事】で戦う。
WIZ   :    イェーガー・レポート~楽しい読書感想文~
対象への質問と共に、【400字詰原稿用紙を渡した後、自身の書籍】から【影の怪物】を召喚する。満足な答えを得るまで、影の怪物は対象を【永久的に追跡、完全無敵の身体を駆使する事】で攻撃する。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「な、なんだあんた達……」
 テーブルに向かって万年筆を走らせていた男の手が止まった。
 その脇には、ぼんやりと光るオイルランプ。

 影朧『魔縁ノ作家』こと小金井町子がかつて愛した旅館の一室に、今猟兵達は乗り込んでいる。
 万年筆を持つ男。間違いない。彼が太田・治助である。
 写真よりも目は落ち窪み、大きな隈が出来ている。床に積み上げられた原稿用紙はゆうに単行本5冊分にもなろうというほどで、それらは彼がこの地に滞在してからほぼ全ての時間を執筆に費やしていたことを示していた。
「あぁ……そう、そうか……」
 虚ろな目で太田が笑う。目の前にいる者達が猟兵であることを悟ったのだ。そうなれば、もはやこの生活も終わる。終わってしまう。
「いいや……終わらせたくない……!!」
 太田は籠絡ラムプを手にして、それを掲げた。
「出て来い、頼む!」
 その言葉に応じ、『魔縁ノ作家』小金井町子が猟兵達に立ちはだかった。
『何故邪魔をするの……あいつらは私の全てを奪ったのよ。せめて、これくらいの復讐はさせなさいよ……!』
 忌々しそうにしながら、町子は猟兵達へと襲い掛かるのであった。
琥珀川・れに(サポート)
※人が多いなら流すも自由さ

「貴族たるもの余裕を忘れてはいけないな」
「やあ、なんて美しい人だ」

ダンピール貴族
いかにも王子様っぽければねつ造歓迎さ
紳士的ジョークやいたずらも好きかな

敵も味方も性別か見た目が女性ならとりあえず一言は口説きたいね
ナンパではなくあくまで紳士的にだよ?

実は男装女子で
隠しはしないが男風源氏名レニーで通している
その方がかっこいいからね

戦闘スタイルは
・剣で紳士らしくスマートに
・自らの血を操作した術技
が多い
クレバーで余裕を持った戦いができれば嬉しいよ
早めに引くのも厭わない

説得系は
キラキライケメンオーラやコミュ力で
相手を照れさせてみせよう



「やあ」
 『魔縁ノ作家』小金井町子の前に、キラキラとしたスーツを身に纏った麗しい姿……それはまさに『王子様』であった。
「なんて美しい人だ」
 ゆらりとステップを踏むように町子へと歩み寄ると、ごく自然にかしづいて、その手をとった。
「えっ……!?」
 思わず町子がときめいた。町子を見上げる瞳はまるでアメジストのように美しく、微笑む唇にたたえた薄い紅に心が奪われる。
「君のような人を傷つける者がいたなんて、遺憾極まりないよ。君を失ったなんて、この世界の損失さ」
 そう言って手の甲に口付けを贈る『王子様』の名は琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)。男性とも見紛う容姿の彼女は、レニーという名で王子様として振る舞っているのだ。
「あ、あう、あうあ……」
 顔を真っ赤にしてオロオロする町子。不倫を含んだ恋愛を題材とした傑作を披露し続けていた人気作家は、実生活では案外ウブであった。
「ま、町子……?」
 太田が戸惑うように言う。今まで見たことのない町子の姿に、彼も動揺しているようだった。
 ずるりと町子の手から白紙の原稿用紙が滑り落ちた。それと同時に町子の本から影の怪物が出現する。
「はっ!?」
 その怪物に、何故か町子までもが驚いた。完全に舞い上がってる。
 怪物は原稿用紙に感想文を書くまでレニーを攻撃し続ける。そんな非常に危険な技が発動してしまったのだ。
「おや、これは……」
 レニーが動じず、原稿用紙を拾い上げる。迷うことなくさらさらと原稿用紙を埋めると、レニーがそれを町子に返す。
「はい、どうぞ」
 ぱらりと町子はその文を読み始める。
「……!!?」
 まるで火山が噴火したかのように町子の顔が真っ赤に染まった。甘い甘い、彼女の文才を称えた言葉が一杯に詰まって、怪物はあっさり消えてゆく。
 満足そうにレニーが笑うと、刃を抜く。
「さぁ、その傷を癒そう」
「えっ!?」
 町子が思わず叫んだ。レニーの刃は、自らの手首を切りつけたのだ。噴き上がる血は雨となって、部屋中に降り注ぐ。それと共に、町子の身体を蝕んでいた疲労感が吹き飛んで行く。
 これは贄の天涙。その血は、触れた者を癒す雨となった。
 嗚呼、何故この人はそんなに美しい、陶器のような肌を傷つけてまで私を癒すのだろう?
 そしてどうして、血に濡れたその姿は美しいのだろう。
「身体も心も癒えたかい?」
 血を止めてレニーが笑う。
「は、はいぃぃ~……」
 もはや町子はレニーにメロメロになってしまうのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

六条寺・瑠璃緒
そうか、君がその作家に書かせて居たんだね
君、恥ずかしくはないのかな?

さぁ、原稿用紙をおくれ
何故君は全てを奪われたのか?何故僕達は邪魔をするのか?
前者について君に非はない
僻みか妬みか、いずれにしても気の毒だと心底思う
さぞ無念だったろう
後者は、そこにいる彼は彼自身の言葉を綴るべきだからだ
君の無念を人に背負わせるべきじゃない、まして同じ夢を追う物書きだ

女史、君の本はいつか読んだよ
君の名は本の著者として後世に残るべきであって、こんな事件で残るべきじゃない
解るかな?
「じゃあ、君がすべき事も、わかるね?」

攻撃にはオーラ防御を
催眠術のように言いくるめて転生又はUCによる自滅を促す



 立ちはだかる『魔縁ノ作家』小金井町子を前に、瑠璃緒は嗚呼とため息をつく。
「そうか、君がその作家に書かせて居たんだね」
 その言葉に、労わりと僅かな侮蔑が籠る。
「君、恥ずかしくないのかな?」
 澄ました表情で語り掛ける瑠璃緒に、町子は図星を突かれたか、みるみる眉がつり上がる。
「私はこのままではっ……!」
「さぁ、原稿用紙をおくれ」
 町子の言葉を遮り、瑠璃緒は手を差し出す。虚をつかれた町子は、言われるままに原稿用紙を手渡した。直後、周囲の影がねじれ浮き上がり、怪物となって瑠璃緒を睨みつけた。
 それにも意に介さず、瑠璃緒は原稿に文字を書き連ねながら語り掛ける。
「何故君は全てを奪われたのか? 何故僕達は邪魔をするのか?」
 万年筆を走らせる小気味の良い音を響かせ、目は町子に向かず。
「前者について、君に非はない」
 妬み、僻み。恨みつらみ。いつの世にだってそれは人に這い寄り、そして蝕む。それに巻き込まれた町子は、不運だったとも言える。だから瑠璃緒が町子を不憫に思う気持ちは本物だ。
「気の毒だと、心底思う。さぞ無念だったろう」
「……」
 偽りのない言葉が響いたか、町子は言葉を失い俯いた。その背後には、ハラハラと二人を見守る太田の姿があった。その太田を指して、瑠璃緒は「後者は」と言葉を続ける。
「そこにいる彼は彼自身の言葉を綴るべきだからだ」
 影の怪物達は、手を止めた瑠璃緒へと襲い掛かろうとする。しかし彼の張ったオーラの障壁はそれを弾き返し、瑠璃緒は顔色一つ変えずに言い放つ。
「君の無念を人に背負わせるべきじゃない。まして、同じ夢を追う『物書き』だ」
 その言葉に、町子と太田がハッとした表情を浮かべた。けれど、今更引き返せはしない。今の太田の言葉は、町子の言葉なのだ。町子の言葉無くして、太田の今の地位は無い。
 共依存のような関係性となった二人の取るべき道は、目の前の猟兵を倒し、逃げ去り、そして新たな地で執筆をする以外にないのだ。だから、町子は瑠璃緒の言葉を振り払い、影の獣を差し向ける。
「女史。君の本はいつか読んだよ」
 あと一行……というところで筆を止めた瑠璃緒がまっすぐに町子を見つめて言う。
「君の名は本の著者として後世に残るべきであって、こんな事件で残るべきじゃない」
 その言葉が町子の頭を揺らす。思考が波にさらわれるように真っ白になって、影の獣達が動きを止める。
「解るかな?」
「…………」
 町子は虚ろな瞳でぼっと瑠璃緒を見つめた。
「……町子?」
 心配そうな太田の声に、町子は反応しない。瑠璃緒はじっと見つめながら、町子に問う。
「じゃあ、君がすべき事も、わかるね?」
 町子が無言のまま影の獣を自らへ向けた。影の獣は指示されるがまま、町子に食らいつく。
 ――君に拠る葬送。瑠璃緒の言葉は、町子の心の根底にあった罪悪感を膨れ上がらせ、自傷行為へと発展させたのだ。
「ま、町子!!」
 太田が叫ぶ。その声に我に返った町子は、影の獣を振り払う。
「よくも……!」
「さぁ、女史。完成したよ」
 最後の一文を添えて、瑠璃緒が原稿用紙を差し出した。そこには彼女の著書の感想が連ねられており、影の獣が姿を消してゆく。
「僕の感想は君の著書に対するもの。君の言葉は、君の言葉のままであるべきだ」
「……そんなこと……」
 もう出来る訳がない。だが、それでも。自身の中に憎悪と執着が失われつつあることを、町子自身も自覚を始めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ケルスティン・フレデリクション(サポート)
人や動物を傷つけたり、道具にしたりする敵には殺意高め。
ひとは、オブリビオンのどうぐじゃないし、きずつけられるためにいきてるんじゃないもん
だから、助けなきゃ!


一人称 わたし
二人称 名前を呼び捨て

口調は幼く
言い切る形や「〜なの」「〜よ」言葉尻を伸ばすことも多い

基本的には皆のお手伝い役
戦闘や情報収集、その他言われた事を行います。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


早臣・煉夜(サポート)
どんな方だろうとも、容赦なんてしませんですよ
僕はそのために作られたんですからね

妖刀もしくはクランケヴァッフェを大鎌にかえて
それらを気分で使って攻撃です
妖剣解放を常時使用して突っ込みます
使えそうならアルジャーノンエフェクト
怪我なんて気にしません
この身は痛みには鈍いですから
死ななきゃいいんです
死んだらそれ以上倒せなくなるので困るです

僕は平気なのですが、なんだかはたから見たら危なっかしいみたいですので
もし、誰かが助けてくださるならお礼を言います
ありがとーございますです

勝利を優先しますが、悲しそうな敵は少し寂しいです
今度は、別の形で出会いたいですね

なお、公序良俗に反する行動はしません
アドリブ歓迎です



「あぁ、こうしちゃいられないわ。締め切りは明後日なのよ。まだまだ書きたいことはあるんだから」
 籠絡ラムプから現れた『魔縁ノ作家』小金井・町子は突如そう言って太田・治助を促した。
「あ、あぁ、そうだ。そうだった」
 無名の小説家である太田・治助は、生前、人気作家であった町子の力を借りて、人気小説家に仲間入りした太田には、書くべきものが何万文字とある。だがそれ以上に、町子の『書かねばならぬ』という強迫観念に囚われているように思えた。。
 落ち窪んだ目、痩せた不健康な身体。だからこそ、ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)はその姿を許すことが出来なかった。
「ひとは、オブリビオンのどうぐじゃないし、きずつけられるためにいきてるんじゃないのよ」
 このままでは太田は近いうちに倒れてしまうだろう。そうでなくとも、籠絡ラムプをこのままにしていては暴走してしまうことが予知で知らされていた。
「うるさいわ! わたしはもっと書きたかった! 頭にはまだ沢山の物語があるの!」
 原稿用紙とともに影の獣が猟兵達を襲う。
「それにしては、あなたの今書いている文は憎しみばかりでつまらないですね」
 早臣・煉夜(夜に飛ぶ鳥・f26032)は原稿用紙に感想を書き殴る。
「……うっ……」
 影の獣が消える。今の町子の文章は、言ってしまえば自分を自殺へと追い込んだ者達への恨みつらみだ。元の文章力のおかげで世間からは評価されているが、本来ならばもっと良いものが書けているはずだ、と、それは町子自身も気が付いていた。
「まぁ、どんな相手だろうと容赦しませんですよ。僕はそのために作られたんですからね」
 煉夜は妖刀を抜き、構える。そして一気に脳の演算速度を爆発的に増強する。アルジャーノンエフェクトが発動した。
 その異様な気配に、町子は一瞬で危険を察知すると、太田へと振りなおった。
「くっ、早く!」
 町子が太田に早く文章を書くように促す。二人で執筆活動に没頭することで、猟兵達を無間の闇に閉じ込めようという算段だ。
「だめよっ。くまさん、でてきてー!」
 ケルスティンが叫ぶ。すると巨大でファンシーなくまさんが出現し、太田と町子の間に割って入る。
「そ、そんなっ!」
 これでは執筆活動に没頭が出来ない。その隙を突き、煉夜が町子へ妖刀を振り下ろした。
「きゃあああっ!!!」
 痛みに悲鳴を上げる町子。その様子に、煉夜はふと寂しそうな顔をした。
 彼女もまた被害者なのだ。幻朧桜に癒され、いつか転生できることを祈る。
「今度は、別の形で出会いたいですね」
 そう言って、がくんと身体が崩れ落ちた。アルジャーノンエフェクトの効果が切れたのだ。
「きゃっ」
 ケルスティンはくまさんを操り、急いで煉夜を抱きかかえる。煉夜は能力の解放の反動で、昏睡状態に陥っていた。
(怪我なんて気にしません。この身は痛みに鈍いですから、死ななきゃいいんです)
 そう言っていたことをケルスティンは思い出す。
「もう、猟兵だって身体を大切にしなきゃだめなのよ」
 そう言って、ぷぅとふくれるケルスティン。
「……ありがとーございますです」
 目覚めた煉夜は何だか暢気な口調で、そうお礼を返すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クレア・フォースフェンサー
おぬしは、自分の名など出さずとも自分の作品を世に出せれば良い
おぬしは、自分の力ではなくとも自分の名が売れればそれで良い
なるほど、まさしくゴーストライターという奴じゃな
このまま太田殿が衰弱死するにしろ、それを受け入れているというのであれば、特に何も言うことはない

唯一の問題は、おぬしが籠絡ランプに封じられている影朧ということじゃ
そのランプは、帝都に混乱を巻き起こすために幻朧戦線がばら撒いたもの
いずれおぬしは暴走し、いや、暴走させられ、太田殿だけではなく、おぬしも思い入れがあるこの地に破壊と混沌をもたらすであろう

光剣を抜き、問う

さて、ともに桜學府へと赴くか、ここでわしらを倒して逃げるか選ぶが良いぞ



「邪魔をしないで! まだ書きたいことは沢山あるのよ!」
 猟兵達に大きな傷をつけられた『魔縁ノ作家』小金井町子がヒステリックに叫ぶ。このままでは、この身体が滅んでしまうだろう。だが、そんなことを構っている暇は無い。
 失った命の先でもう一度チャンスに恵まれたのだから、それを活かさない手はないのだ。町子の文章で売れ始めた太田も、それを望んでいるに違いない。
「だ、だから……!」
 町子はジロリと太田を睨むと、太田は慌てて筆を取る。
 ――執筆せねば。執筆せねば! 執筆せねば!!!
「……うわぁっ!?」
 その時、太田の筆が弾け飛んだ。それは執筆に没頭すること……すなわちユーベルコヲドを拒否するかのようで、得体のしれない力が戦場全体に広がってゆく。
「おぬしは、自分の名など出さずとも自分の作品を世に出せれば良い」
 その力の中心に、一人の女が立っていた。長く煌めく金の髪をなびかせ、白い軍服で堂々とした立ち振る舞いで町子を見やると、続けて太田へと目線を移した。
「おぬしは、自分の力ではなくとも自分の名が売れればそれで良い……なるほど、まさしくゴーストライターという奴じゃな」
 女が頷く。彼女を取り巻く力に圧倒され、執筆するだけの集中力が失われてゆく。
 それこそが彼女……クレア・フォースフェンサー(UDCエージェント・f09175)の力であった。

「このまま太田殿が衰弱死するにしろ、それを受け入れているというのであれば、特に何も言うことはない」
 痩せこけた太田の姿に、クレアが言う。しかし直後、クレアはキッと厳しい目つきで町子へと向いた。
「唯一の問題は、おぬしが籠絡ランプに封じられている影朧ということじゃ」
 町子と太田の二人が思わず足元を向いた。そこには今もぼんやりと灯る籠絡ラムプが炎をゆらゆらと揺らしていた。
「そのランプは、帝都に混乱を巻き起こすために幻朧戦線がばら撒いたもの。いずれおぬしは暴走し……いや、暴走させられ、太田殿だけではなく、おぬしも思い入れがあるこの地に破壊と混沌をもたらすであろう」
「そ、そんな……!?」
 町子が狼狽した。そんな話は聞いていない。そんなこと、あってはならない。だが、クレアの言葉にはやけに真実味が感じられた。
「う、嘘だろ……」
 太田もそのことを知らない様子で身体を震わせた。クレアはそんな二人を前にして、光の剣を抜く。
「さて……」
 切っ先を向け、問う。
「ともに桜學府へと赴くか、ここでわしらを倒して逃げるか……選ぶが良いぞ」
「あ、わ……わたし……!」
 わなわなと震え、へたり込む町子。影朧となった自分は、ずっとこの場にいてはいけないことは分かっていた。だが、同時に影朧としての本能がこの世への執着を強め、偶然入り込んだ籠絡ラムプは太田治助という男を引き寄せた。そして生まれた本は、再び創造の喜びを蘇らせようとしていた、というのに。
「……ま、町子……」
 太田が不安げに語り掛ける。彼とはきっと波長が合っていたのだろう。良い人と出会えたと今も思う。思い出の旅館での執筆は楽しかった。だから、それらの全てが破滅へ向かっていたなど、考えらえるだろうか。
 けれど――。
 町子は窓の外で散る桜を眺める。
「……この人は、この場所は、壊したくないわ」
 ふっと笑って町子が呟く。その言葉に、クレアは一つ頷いた。
「良いだろう」
 光剣を振う。パキンという乾いた音とともに町子ともども籠絡ラムプが真っ二つに割れた。
「……次転生したら、今度はもっと素敵な話を書きたいわ」
 消えてゆく町子が笑いながら治助に言う。
「例えば、そうね……思い出の場所での、新しい出会い……」
 言いかけて、町子は消えてゆく。
 そして籠絡ラムプの炎が消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『籠絡ラムプの後始末』

POW   :    本物のユベルコヲド使いの矜持を見せつけ、目指すべき正しい道を力強く指し示す

SPD   :    事件の関係者や目撃者、残された証拠品などを上手く利用して、相応しい罰を与える(与えなくても良い)

WIZ   :    偽ユーベルコヲド使いを説得したり、問題を解決するなどして、同じ過ちを繰り返さないように教育する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 こうして、籠絡ラムプは失われ、小金井町子の魂は桜の癒しと共に天へと還ってゆく。
 残された太田治助は、壊れた籠絡ラムプを手に取って、ぽたりと涙を一粒垂らした。
「……町子……」
 太田治助はもはやユーベルコヲド使いではなく、文豪としての才能も失った。
 彼女がいたから、太田は人気作家となることが出来た。そんな彼女を失ったことへの強い喪失感は、この先の執筆への不安も勿論だが、それ以上に彼女との間に築かれた絆がそうさせているのだと感じた。

 項垂れる治助に、猟兵達が何かをしてやれることはないだろうか。
 それこそが、このサクラミラージュで起きた籠絡ラムプ事件の、最後の後始末となるだろう。
六条寺・瑠璃緒
彼女は根が聡明な女性だったのだろうね
女史の新しい生が祝福に満ちたものであらんことを…

「…おや、君。そんな腑抜けた有様で何をしている?」

君が一時でも愛した女性の、最期の言葉を聞かなかったのか?
君やこの場所を案じて転生を決めた彼女は来世にまで夢を追うと言うのに
今夢を追える筈の君がその有様で良いとでも?

「さぁ、書くと良い。反省文の代わりだ」
UC発動、誘惑する声音で催眠術の様に
ペンと原稿を突きつける
「今の君には書きたいものがあるだろう?」
最初は嘘でも良い、操られてでも良い
「書いた」自信を彼が得られるなら

女史がいつか書く話には頼りない文学青年が登場するだろうか
彼の目線の物語を君が今書いても罰は当たらない


クレア・フォースフェンサー
実を言うと、わしも先程までのおぬしと同じでな
先の力はおろか、この身体すらも借り物じゃ
故に偉そうなことを言える立場にはない
言えるとしたら、その力を何の為に使うのか、ということくらいかの

おぬし達は、桜學府であれば執筆を続けられたかもしれぬ
じゃが、町子殿はこの世に害を及ぼさぬようにとこの地での転生を選んだ
自らが紡いだ物語を世に出すことはあくまで手段
世に彩を添えることをこそ求めていたのかもしれぬな

さて、それはさておきじゃ
事務的で済まぬが、先ほど申したようにこのランプは幻朧戦線がばら撒いたもの
おぬしが何処で手に入れたのかは、この帝都を守るために非常に重要な情報じゃ
わしとともに桜学府に来てもらえぬかの?



 消えてゆく町子を見上げ、瑠璃緒は手を合わせる。
「彼女は根が聡明な女性だったのだろうね。女史の新しい生が祝福に満ちたものであらんことを……」
 そう願い、ふと顔を向ける。
「おや、君」
 呼ばれた治助が力なく振り向く。瑠璃緒は呆れた口調で、しかし柔和な表情は崩さずに問う。
「そんな腑抜けた有様で何をしている?」
 瑠璃緒が足元に散らばった原稿用紙を拾い上げた。
「俺、は……」
 からりと籠絡ラムプの破片が落ちる。どうやら影朧を失ったことで、力を失ったのだろう。ぼろりと崩れ、砂となって形を無くしてゆく。
 それを握る治助は、何かを言いたそうだ。しかし、言葉が出てこない。
「君が一時でも愛した女性の、最期の言葉を聞かなかったのか?」
 少し怒りの籠った口調で瑠璃緒が言う。
「君やこの場所を案じて転生を決めた彼女は来世にまで夢を追うと言うのに」
 続けて、瑠璃緒はペンを拾い上げた。
「今夢を追える筈の君がその有様で良いとでも?」
 瑠璃緒が治助の前に紙とペンを置く。
「さぁ、書くと良い。反省文の代わりだ」
 その言葉に、治助の手がペンに伸びた。だが、触れようとしてぴたりと止まる。
 瑠璃緒の催眠の言葉に、身体は、心は既に書かなくては、という心で満ちているはずだ。だが、治助の心の中で、強い不安がそれを押しとどめているのだ。
「……実を言うと」
 その様子を前に、クレアが語り始めた。
「わしも先程までのおぬしと同じでな。先の力はおろか、この身体すらも借り物じゃ。故に偉そうなことを言える立場にはない」
 胸に手を置いてクレアが言う。人の姿に見えるその身体は、その実、微細なナノマシンで構築されている。さらに、その内側には、武芸者の魂が封じられているのだという。
 それが借り物……そこまでクレアは語らないが、治助に説くように言葉を続けた。
「言えるとしたら、その力を何のために使うのか、ということくらいかの」
 前置きはそれくらいにして、とクレアは治助と町子の書いた原稿を手に取った。
「おぬし達は、桜學府であれば執筆を続けられたかもしれぬ……じゃが」
 続けて、崩れた籠絡ラムプに目を落とし、続ける。
「町子殿はこの世に害を及ぼさぬようにとこの地での転生を選んだ」
 治助の脳裏に、消えてゆく町子の安らかな笑顔が浮かび上がった。
「自らが紡いだ物語を世に出すことはあくまで手段。世に彩を添えることをこそ求めていたのかもしれぬな」
「彩を添える……」
 町子の考える物語は刺激的で、スリリングだった。その言葉を文字にする時、背徳的な気持ちになりつつも、新たな世界の扉を一つ一つ開くようで、そして、その度に治助の鈍色の世界に色が戻ってゆくようだった。
 それが楽しかった。金の為でも、売れる為でもない。だから、治助は町子の力を借りて、二人で一つの物語を作り上げた。
「あ、あぁ……そうだ」
 治助の心の奥底にあった感情に言葉がついた時、食いつくように治助はペンを取る。
「……そうだ、今の君には書きたいものがあるだろう?」
 目的を得た、瑠璃緒の声が後押しをする。
「そうだ。書きたい……俺に彩を添えた、その物語を俺も……!」
 嘘でも操られてでも――。瑠璃緒はそんな気持ちで治助を焚きつけていた。
「けれどこれならば……」
 きっと彼は自分自身で『自信』を取り戻すはずだ。

「さて……」
 治助の書いた原稿を読みながら、クレアが言う。
「事務的で済まぬが、先ほど申したようにこのランプは幻朧戦線がばら撒いたもの。そして今ここに書かれている物語は……帝都を守るために非常に重要な情報じゃ」
 原稿用紙には、治助と町子をモチーフにした男女の出会いが書かれていた。
 夜の街、街灯の下――。ぼかしているようだが、それは籠絡ラムプを手に入れ、治助が町子と過ごした時間の一端であることは明白であった。
「これは世に出せぬが、わしとともに桜學府に来て、続きを書いてもらえぬかの?」
「……それで帝都の彩を守ることになるのなら」
 治助の決意に満ちた眼差しに、クレアは満足げに頷くのであった。

 その後、出版された太田治助の小説は『まるで人が変わったかのように稚拙』と評され、愛好家の一部からは痛烈な批判を浴びることとなる。
 しかし同時に『初期作品の味が戻ってきた』や『まっすぐ直情的な文章が真に迫る』とも評され、当時ほどの勢いは失われたものの、治助は実力派の小説家としてその名を知らしめることとなってゆく。
 とある雑誌で、彼はインタビュウにてこう答えている。
「全てが終わって許されるならば、一つお見せしたい物語があるのです」
 それが一体どういう意味であるのか読者には皆目見当も付かなかったが、そんなことを語る彼の手元には、常にキラキラと輝く砂粒の詰まった、小さな瓶が置かれていたのだとか。

「女史がいつか書く話には頼りない文学青年が登場するだろうか」
 瑠璃緒は治助の原稿を手に、空を見上げた。
 その時までには、この、彼の目線の物語が世の光を浴びてもらえるだろうか――。

 籠絡ラムプは筆を折らせず。了。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月05日


挿絵イラスト