迷宮災厄戦⑱-8~Hungry Alice
「みんな、アリスラビリンスの戦争……特に猟書家の迎撃、お疲れ様。」
グリモア猟兵の一人、ティモシーが呼びかける。……猟書家は先制攻撃を放つ分、労いを強めたらしい。
「ただ、猟書家を倒してもオウガ・オリジンは倒れない……どころか、力を取り戻すからそのアリス・オリジンを倒して欲しいんだ。……より正確には、アリス・オリジンから分裂した力を摩耗させる、感じ?」
あるいは、現実改変により「同時に複数箇所に存在できる」ようになった可能性もあるが……いずれにせよ、全てのアリス・オリジンを倒せば世界の滅亡が回避される。
「それで、向かって欲しいアリス・オリジンのいる国……なんだけど、料理を作れば戦闘を回避できそうなんだ。」
料理に毒を盛ればいいんだな、と意気込む猟兵を慌てて制止するヤドリガミ。
「えっと、普通は美味しそうな料理に毒を盛ればダメージになるんだけど、アリス・オリジンは逆に毒で回復するんだ……つまり、ダメージにするためには『安全で美味しい』料理にしなきゃダメみたいで。」
言いつつ、予知を逃れて猟兵が来なかった場合らしい未来を投影する――配下が料理を作るが、剣山やら毒キノコやら洗剤やら、その他人体には有害なものを混ぜている。そして完成した、見た目だけは美味しそうな料理を平らげたアリス・オリジンは、回復したらしくどこかへ向かった。
「アリス・オリジン、毒で回復して無毒でダメージ……っていう性質以上に、『見た目が美味しそうじゃないと見向きもしない』性質もあるみたいだから、盛り付けも工夫しないとダメかも……?」
だんだん不安そうな声になるヤドリガミ……まぁ自炊程度なら、見た目は無視して盛り付ける事も多々あるだろう。
とはいえ、よほどひどい盛り付けでもなければ、有毒料理を少し離すだけで食べてしまうだろう――なんせ、食材と厨房のある国を作るほど、空腹なのだから。
「えっと、大抵の食材と調理器具は用意されていると思うけど……こだわりのある人は、持ち込むのもありだと思うよ?」
でもマイナー食材とか、どうやって量と質を揃えたんだろう……というヤドリガミの疑問顔を残して。
転送ゲートを潜り、料理バトルが今始まる――。
唐傘
はじめての方ははじめまして。唐傘です。
アリスラビリンスの戦争、『料理でアリス・オリジンを倒す戦場』です。
プレイングボーナスは『美味しい料理を作り、オウガ・オリジンに食べさせる』事なので、美味しければ美味しいほど(無毒なら)オウガにダメージが入ります。
逆にクソマズ料理や『美味しいが有毒な料理』を食べさせた場合、回復した上で反撃してきます。
判定が不安な方は、レシピと関係なしに反撃用ユーベルコードを選んだほうが安心できるかも知れません。(もしくは、調理補助にだけ使ってもOKです)
第1章 ボス戦
『『オウガ・オリジン』と美食嫌い厨房』
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POW : ハングリー・バースト
【飢餓感と、自分を敬わない者達への怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : 女王は常に独り食す
非戦闘行為に没頭している間、自身の【肉体】が【虚無を映す漆黒の液体で覆われ】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ : 炎なくして食事なし
レベル×1個の【美食嫌い厨房にある、無数のかまどから】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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鈴木・志乃
UC発動
伊勢海老の味噌汁ーをつーくろー♪(つーくろー♪)
豪快にー1尾まるままーつっ込めー♪(つっ込めー♪)
半分にかち割ってー断面からミソがとろーりー♪(とろーりー♪)
磯の香り閉じ込めーて弱火でーぐつぐつー♪(ぐつぐつー♪)
かつお出汁とー白味噌ーで溢れだーすー旨味ー♪
真っ赤にー色鮮やかー伊勢海老ーの味噌汁ー♪
ほかほかーの釜炊きご飯もー一緒にどーぞー♪
つやっつやのお焦げの香りとー海老の甘味かーら逃げられるもんならやってみろー♪
(パフォーマンス能力で綺麗に盛り付けします。変な歌歌ってる? 戦争疲れじゃないですかね)
材料を集め、調理器具を集め。ユーベルコードを発動し、技能レベルをブーストする鈴木・志乃(f12101)。
「伊勢海老の味噌汁ーをー、つーくろー♪」
(つーくっろー♪)
「豪快にー1尾まるままーつっ込めー♪」
(つっ込めー♪)
技能レベルをブーストしたせいか、愉快な仲間たちがバックコーラスを担当している……いや、彼らは単に賑やかな雰囲気に釣られただけか。
バックコーラスの愉快な仲間たちも、アリス――オウガ・オリジンに睨まれるとそそくさと撤収して各自の料理に戻る。……が、すぐに鈴木のバックコーラスに復帰する。
「半分にかち割ってー、断面からミソがーとーろりー♪」
(とーろりー♪)
「磯の香り閉じ込めてー弱火でーぐつぐつー♪」
(ぐっつぐつー♪)
「かつお出汁とー白味噌ーでー溢れだーすー旨味ー♪」
(うっまそー♪)
「真っ赤にー色鮮やかー伊勢海老ーの味噌汁ー♪」
(みっそしるー♪)
「ほかほかー釜炊きご飯もー一緒にどーぞー♪」
(美味しいよー♪)
「つやっつやのーお焦げの香りとー海老の甘味かーら逃げられるもんならやってみろー♪」
(のがれーられーないー♪)
歌いつつも、踊るように料理をし、パフォーマーのような動きで盛り付ける……さながらミュージカルのようだが、味噌汁の一滴も、米の1粒も零さない――彼女は料理人、パフォーマンスは魅せるための補助。
そうしてオウガ・オリジンの前に置かれる料理――が、すぐに顔の代わりの空洞にオウガ自らが放り込み、すぐに空の食器で出てくる。
「これは、味噌汁のダシを動物性で衝突しないよう、昆布ダシだけにしたな……。」
もぐもぐ、ボリボリ。咀嚼音を出しつつも料理の評価を行うオウガ・オリジン。
「伊勢海老も、歌の通りに磯の香りと甘みを存分に発揮し……」
満足そうな声色で味の評価を下すが、ふと気付いた様子のオウガ・オリジン。
「……毒物が入ってないではないか!」
ボフン、と大規模な爆発音を響かせ、かなりダメージが入った様子。……要するにかなり美味しい。
攻撃の余力がないオウガ・オリジンを尻目に、料理の後片付けをする鈴木。彼女のもとに、「次の歌はいつ歌うのか」と聞く愉快な仲間たちが殺到するが……彼女は歌っていないと主張しているあたり、きっと連戦で記憶が混濁しているのだろう。
大成功
🔵🔵🔵
備傘・剱
美味い飯を食べさせれば、問題ない、とな?
それは俺に対する挑戦だな?
調理開始、発動、だ!
材料があるのならば、極上の味と香り、そして、誰もが目を見張る美味い料理を作ってやる
知ってるか?酒場にはよ、予算ってのがあって、作れる料理には限りってもんだあるんだ、今日は其のリミッターを完全に取っ払ってやるよ
食器、飲み物、雰囲気に演出、美味い料理ってのは、料理中の姿を含めて美味いといわせなきゃな
出来上がったものを給仕して、じっくりと味わってもらおう
食事後のお茶も忘れずに、な
さて、腹も満たされたのなら、次は戦いだ
苦しんでる所に、暗殺を仕掛けた後、衝撃波、呪殺弾、誘導弾を正面から叩き込むぜ
アドリブ、好きにしてくれ
「美味い飯を食べさせれば問題ない……つまりそれは、俺に対する挑戦だな?」
居酒屋を営む備傘・剱(f01759)にとっては、食材が無制限の料理とは何でもありということ……。
「いや、さすがに食えるものしか使わねーよ? 洗剤とかトリカブトは論外として、なんで黄色いゴーヤと黄色いキュウリもあるんだよ!」
収穫時期を過ぎた、黄色い実野菜。本来は未熟な緑色の状態で調理し、食べるのだが……その未熟な緑と、完熟した黄色が並ぶというのはどういうことか。……いや、実を付ける前の花や、食材として不適切なはずの茎すら並ぶあたり、この食料庫は何でもありなのだろう。
「はっ、もしや味噌やみりんに紛れ込ませる形で……」
何か嫌な感じがしたので、慌てて調味料コーナーを探すが……八丁味噌や白味噌のような分類ごとに別れており、糠味噌が遠く離れた場所に置かれていた。杞憂だったらしい……。
ともあれ、食材を集めた備傘は調理を開始する――。
「できたぞ……まずはゴーヤとキュウリは肉と炒めもの。あと完熟キュウリは肉そぼろと煮込んでみたぞ。」
料理が出されると同時に、顔の空洞に放り込むアリス・オリジン。
「ふぅむ……炒める方は豚肉、煮込む方は牛肉と種類を変えて飽きさせない工夫か。そして完熟キュウリは酸味のために用意したが……酸味のある種部分を捨てて果肉を柔らかくしたか……」
だいぶ美味しかったらしく、低い爆発音を響かせる。
「苦しんでいるところ悪いが、トドメを刺させてもらおう!」
暗殺じみた動きで呪殺弾を打ち込むが、手応えはない……。どうやら、食レポと同時に粘液で覆われ、攻撃を防いでいるようだが……備傘は失敗したと誤解して、そのままアリス・オリジンから距離を取る。
大成功
🔵🔵🔵
尾守・夜野
■アドリブ歓迎
「お腹空いるのね
ならば沢山美味しい料理を作らなくてわ…!」
見た目という事だし…牛フィレ肉のポワレを作りましょう
お肉は予め刻印で取り込んだのを利用するわよ
でも食べれる物であることは変わらないし成分も変わらない=毒ではないのだわ
最高級のお肉にしっかり下ごしらえをし、赤ワインソースも…アルコールは毒に分類されそうだからしっかりアルコールは飛ばすわ
年齢的に飛ぶまで私も危ないから飛ばすのは他の人にお願いするのだわ
最後に焼いた付け合わせの夏野菜とお肉を彩りよく盛り付け、ソースを飾り…最後に黒胡椒をふりかけましょう
さぁ召し上がれ?
なおUCは解いてないわ
皿では動かないけどお腹の中で暴れるの
「お腹が空いるのね。ならば沢山美味しい料理を作らなくてわ……!」
何か噛んだ気がする、尾守・夜野(f05352)。しかし、噛んだとしても料理の手を止める訳には行かない。
「見た目が大事、という事だし……牛フィレ肉のポワレを作りましょう。」
どこからか取り出した、最高級であろう牛肉。その肉をサラダ油でじっくり焼き、火が通ったところで一度火から下ろして休ませる。
その間に、ソースを作る――ワインのアルコールを飛ばし、調味料を加える。そのソースに合う野菜を炒める。
そうして、焼き上がった肉を切り分け、野菜を飾り付け、ソースを飾る。
「できたのだわ、さぁ召し上がれ!」
尾守の言葉を待たずに――あるいは、宣言と同時に顔に放り込むオウガ・オリジン。
「肉の下準備を怠らず、火加減も丁重……。そして、付け合せは食感を残すための切り方……。残念なことに旨い料理だ!」
ボフン、と低い爆発音を周囲に響かせる――しかし、与えたダメージと逆に、尾守が怪訝な表情をする。
「……ねぇ、どうして中で暴れずに戻ってきたの?」
料理の後片付けをしつつ、ゴーレムを――ステーキに偽装したそれで、内側から攻撃するはずだった別人格に問いかける尾守。
「いや、暴れるも何も……皿から離れると同時に、何もできなくなったんだ……。」
そして気付けば、ステーキもといゴーレムの感覚はなく、尾守の主人格に「何もできなかった」と伝えた、らしい。
とはいえ、料理によるダメージは十分与えたはずなので、良しとするしかないだろう。
成功
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シホ・エーデルワイス
戦場で料理…
不思議な感じです
【供宴】でボルシチを料理
皮を剥いたじゃがいもと人参、キャベツ、玉ねぎ、ビーツも含めて食べ易い大きさに切り
ニンニクは潰す
鍋にバターとオリーブ油を入れ牛肉から炒め
色が変わったら切っておいた野菜も入れ
水、トマト、ビーツ、スープの素、ハーブ、塩を加えて煮る
敵の性格上
血の様な紅い色を好むと思いますので
ビーツを色褪せない様煮込む時間は最小限
最後に調味料で味を整え
アートのセンスで美しくお皿に盛り
パセリを散らしてサワークリームをたっぷりのせる
スープは優しい感じの味ですがサワークリームの酸味との相性は抜群
食べてもらえたらデザートに
クッキーの迷彩をかけた甘党属性攻撃の誘導弾を召し上がれ
「戦場で料理……不思議な感じです。」
あたりを見回しつつ、首をかしげるシホ・エーデルワイス(f03442)。
しかし、戦場と言うより不思議の国の1つが丸ごと、厨房あるいは食料庫になっているので……「戦場で料理」というより、「厨房でダメージを受ける」という表現が妥当なのかも知れない。それはさておき。
「私の慈愛をここに、私の献身をここに、私の祈りをここに、主に感謝し捧げます。」
ユーベルコードの発動により、技能をブーストし、元々の料理技能を底上げする。
「まずはジャガイモ、人参、キャベツ、玉ねぎ、ビーツを切って、にんにくを潰して……」
更に牛肉も切り、オリーブオイルとバターで炒める。牛肉の色が変わった頃に、玉ねぎと人参も炒める。火が通った頃を見計らって、トマトやビーツ、キャベツ、ハーブ、スープの素と材料を加えていく。
「……血のような、紅い色が良いですよね。」
ビーツの色合いが飛ばないように火加減を調整しつつ、しかし生煮えも回避して。
「できました、ボルシチです! お召し上がれ!」
シホの言葉を待たずに、顔の空洞に放り込むオウガ・オリジン……少なくとも「音を立てずに飲む」という観点ではマナーに従っているが、一気に飲んで熱くないのだろうか?
「うむ、血を思わせる真紅……見事だぞ! そして根菜も、煮崩れる手前だが芯が残らない程度に火が通されている……サワークリームで味変もできるわけか……」
恒例となっている、低い爆発音……だいぶ美味しかったらしい。しかし、シホの手は止まらない!
「デザートもどうぞ!」
漆黒の空洞に吸い込まれるクッキー――焼きたての甘くて香ばしい匂いを残して、オウガ・オリジンに狙い撃ちされる!
「これは……なんと芳醇な、バターの香り! しかし甘さは控えめ……紅茶を持ってこい、水銀を忘れるな!」
オウガ・オリジンが追加注文を出すが――命じた紅茶は、飲まれる事がなかった。
シホのクッキーがトドメとなり、オウガ・オリジンは物言わぬ躯となってしまったのだ……。
「えっと……美味しかった、のでしょうか?」
オウガ・オリジンがダメージを負っているので、かなり美味しいはずなのだが……その口からは感想をもらえず、少し不満そうなシホだけが残されていた。
大成功
🔵🔵🔵