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雨夜を照らす花蝶の灯

#サムライエンパイア #戦後

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#戦後


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●秋祭りと不思議な提灯
「皆さんお疲れ様です。 今日は皆さんに縁日のご案内をできればと思いまして」
 こうやって集まってもらった次第です、とグリモア猟兵の薄荷・千夜子(陽花・f17474)は微笑んだ。
「サムライエンパイアでちょっと変わった提灯を出している縁日が行われているのです」
 そう言って、彼女は自身が持っている花の形をした提灯を掲げてみせる。
 どうやらこの提灯がその縁日の目玉のようだ。
「これは花灯とその縁日で出されている提灯の一つです。 蝶が上に乗ってるのも可愛いですよね」
 お気に入りなんですよ、と嬉しそうに話しながら縁日についての話を続ける。
 この縁日には二つの提灯があるそうだ。
 花灯と蝶灯。
 様々な花をモチーフにした提灯と、蝶の姿を模した提灯。
 千夜子の持つ提灯は一人用だそうだが、花に寄り添う蝶のように――花灯と蝶灯二つで一つになる提灯が恋人同士や友人同士に評判が良いようだ。
「それぞれ持っているものが対になっているというのも可愛らしいですよね。 もちろん、お揃いの花灯や蝶灯を選んだり、色違いを選んだりというのもありですよ」
 この縁日では様々な花の種類だけでなく色のバリエーションも豊からしい。
「自分や大事な人のイメージに合わせた提灯を選ぶのも楽しみの一つですしね」
 ぜひ楽しい縁日の時間を過ごしてください、と続けた後少しだけ申し訳なさそうな表情を見せる。
「縁日だけを楽しめれば一番ではあるのですが……皆さんにはその後、縁日に忍び寄る怪異の退治までお願いしたいのです」
 千夜子が言うには、縁日の終了予定時刻の一時間ほど前になると辺り一体が大雨に襲われてしまうようだがどうやらそれは怪異――オブリビオンの影響らしい。
 楽しげな雰囲気に誘われて、いつかあったはずの温もりを求めて――。
 雨の怪異と絡繰人形が現れるのだ。
「ですので、縁日を最後まで楽しんでもらうわけにはいかないのですが怪異が縁日の行われる場所に近付く前に倒して欲しいのです」
 とはいえ、猟兵たちを送り出す時間はちょうど縁日の始まった頃合い。
 縁日を楽しむだけの時間はしっかりあるだろう。
 怪異の存在も猟兵たちの力の前には脅威に感じるほどではないだろう。
「少しだけ、お仕事もお願いしてしまう形になりますが――せっかくの縁日、楽しんできてくださいね」
 そう告げると、彼女の持つもう一つの導きの灯が猟兵たちを送り出すのであった。


天藤
 浴衣公開に合わせてと思いつつちょっと遅くなりましたが、浴衣着てお出かけしましょうシナリオをお届けいたします、天藤です。
 提灯と蝶灯をかけつつお花を添えて、ないつもの天藤の出すネタっぽい感じになっております。
 ペアで対になる花灯と蝶灯を手に入れたり、お友達同士で同じものや色違いで揃えてみたりを考えておりますがソロでも問題なく楽しめます。
 提灯をメインで考えておりますが、よくある縁日にある飲食物や遊戯系で遊んでいただくのも大丈夫です。
 皆さんのお好きなようにお過ごし頂ければと思います。
 1章はできる限り採用しつつ(団体様は3〜4名様までだと助かります)でお届けできればなと思っております。縁日だけの参加も歓迎しております。
 2章、3章の敵については章開始時にお知らせいたします。
 戦闘章はちょっとしんみり系になるかもしれませんが、今回はメインが縁日になりますので判定甘めにサクサク進行予定です。

●プレイング受付期間について
 1章は9/18(金)8:31〜受付開始です。
 締め切りは別途お知らせしますが連休期間中に書けるだけ書きたいなと思っております。
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第1章 日常 『祭りを楽しもう』

POW   :    屋台を巡って色々食べよう

SPD   :    屋台を巡って色々遊ぼう

WIZ   :    花火を楽しもう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

木常野・都月


縁日だ!
チィは初めてだよな、縁日っていうんだ。
浴衣着て、美味しい物を食べるんだ。

俺は、去年浴衣が無かったけど、今年は仕立てて貰ったんだ。

少し着慣れないけど、雰囲気があってて、ちょっと嬉しいな!


丸くない提灯だ!
花とか蝶とか…良いな!
花の提灯下さい!

綺麗だな。
灯りが無くても、俺やチィは暗視で見えるけど、そうじゃなくて……。
これが、凄く綺麗で好きなんだ。

後は食べ物だな。
色々あるけど、どうせなら、去年食べてないものにしようか。

甘い蜜の匂い。何だこれ?
りんごをまるっと飴にしてるのか。
このりんごの飴1つ下さい!

うん甘い!美味しい!
チィも少し舐めてみるか?
な?美味しいだろ?
……あ。勿論半分こな?



●狐と縁日
「縁日だ!」
 山の草木を思わせるような緑の浴衣に身を包み、その肩に相棒の月の精霊チィを乗せ目の前に広がる多数の屋台にそれを彩る花灯と蝶灯に木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は目を輝かせた。
『チィ!』
 そんな都月の喜びや楽しいの気持ちに呼応するかのようにチィも嬉しそうに一鳴き。
「チィは初めてだよな、縁日っていうんだ」
 都月の言葉にチィも興味深げに周りを見渡す。
 浴衣姿で連れ立った人たち、辺りの屋台から漂う美味しそうな香りが都月とチィの鼻をくすぐる。
「あんな感じで浴衣着て、美味しいものを食べるんだ」
 屋台もいっぱいで目移りしてしまうな、と楽しげに呟く。
 去年は浴衣がなかったけれども、今年は浴衣の準備もバッチリ。
 縁日という空間に溶け込んだようで嬉しさに合わせて心も躍る。
 浴衣にはまだ着慣れないところもあるけれど、それがまた『いつもと違う』空間を楽しんでいる雰囲気を楽しませてくれる。
「屋台も色々あるけれど……まずはどこから――」
 回ろうか、そう呟こうとした都月の目に飛び込んだのは提灯のお店。
 辺りを彩る花々と蝶の提灯が屋台でも売られているのだ。
「すごい! 丸くない提灯だ!」
「すごいだろう、これはうちの村に代々伝わっている特殊な技術で作っている提灯なんだ」
 瞳を輝かせる都月を前に、お店のおっちゃんもご機嫌である。
 自慢の提灯の数々、褒められて嬉しくならぬ職人はいないのだ。
 牡丹や蓮など大振りの花だけでなく、鈴蘭など釣鐘状の花提灯は小さな花形の提灯が連なっており可愛らしい。
 蝶灯は羽を閉じている姿から開いているものまで、こちらも小さな蝶灯が連なっているものもあったりと色に種類もいくつかあるようだ。
「どれも綺麗で迷うな……」
「そうだなぁ、狐の兄ちゃんにはこいつがいいんじゃないか?」
 そう言って店のおっちゃんが出してくれたのは白い彼岸花の花灯。
 よく見ててくれよ、おっちゃんがそう言いながら花の下にある灯を灯す上皿に火を灯せば。
 細い彼岸花の花弁に月明かりのような柔らかく温かい光が灯る。
「すごい! 光がどんどん花弁に灯っていく様子も綺麗だ!」
「ははは、そうだろう! 中央の灯から外側に光が灯るようになってるんだ。 それに、彼岸花は『狐花』とも言うし、連れの狐っ子も白いからこれがいいんじゃねぇか?」
「!! この花の提灯下さい!」
 おっちゃんの粋な提案に、都月が嬉しそうに頷き白い彼岸花の花灯をお買い上げ。
 チィの輝きとよく似た灯りに都月は買ったばかりの提灯を眺めながら優しく微笑む。
「綺麗だな……」
 都月もチィも、夜目が効くから夜でも灯りを必須としない。
 でも、見えるからいらないのではなく。
 ただただ、美しく優しく心を暖かくしてくれるような気持ちにさせてくれるこの小さな灯りが――。
「これが、凄く綺麗で好きなんだ」
 都月の呟きにチィも同意をするかのように頰をすり寄せた。

 そんな灯りを掲げながら、縁日を楽しむためのもう一つの目玉――そう、食べ物である。
 情緒も大事、しかし食欲も大事。
 それはそれ、これはこれというやつである。
 そして、不思議なことに同じものを食べても縁日という場で食べるというそれだけでなんだかいつもより美味しい気がしてしまうのだ。
「色々あって迷うけど……どうせなら去年食べていないものに……」
 と、屋台を見て回っていると、鼻に届く甘い蜜の香り。
 リンゴのような匂いがするけれど――と匂いの元を辿ってみると見つけた屋台は『りんご飴』の店。
 小振りのリンゴがまるっと飴で包まれて、初めてみる食べ物に好奇心と食欲が刺激される。
「このリンゴの飴を一つ下さい!」
「毎度!」
 一つリンゴ飴をお買い上げ。
 興味深げに眺めてから、よしと一口舐めてみれば。
「うん甘い!」
 甘く美味しい味が口の中に広がっていく。
 そんな都月の様子にチィもリンゴ飴が気になるのか、食べたいなぁオーラを出しているのを察しチィの前にリンゴ飴を差し出す。
『チィ!!』
「な?美味しいだろ?」
 チィもリンゴ飴が気に入ったようで嬉しそうにリンゴ飴に舌を伸ばす。
「チィ、待て! 気に入ったのは分かった! 半分こ、半分こだぞ! 俺の分もあるんだからな!?」
 余程気に入ったのか、勢いよくリンゴ飴に飛びつくチィに都月が慌てて静止に入るが気にせずもぐもぐと食べ進める。
 右手に花灯、左手にリンゴ飴。
 チィを止める手が足りずリンゴ飴を上空へ逃がそうとするがそれをチィが追いかける。
 都月とチィの賑やかな縁日がこうやって幕を開けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小林・夏輝
【夏光】

浴衣は浴衣コン画像参照で

そ、そんなに急がなくても縁日は逃げねぇって
一人になったら迷子になるぞ?

しゃーねぇなー
ほら、離すなよ?

小さな手をしっかり握って
なんか妹が出来たみたいだと考えつつ
今日はどんな我儘も聞くって決めてるからな
…この大食いは些か想定外だけど

一緒にヨーヨー掬いやったり飯買ったりラムネ買ったり飯買ったり飯買ったり
ほら、持っててやるからゆっくり食えよ
俺のも食う?
好きなだけいいぜ

提灯ねぇ…慧華は蝶のイメージかな
好奇心旺盛に飛び回る、無邪気で綺麗な蝶
あ、今はまだ可愛いの方が強いけどな

慧華のオススメにはキョトンとした後軽く吹き出し
ふっは、そうだな…象徴ならリビングにでも飾らねぇとだな?


朱雀・慧華
【夏光】

わーいお祭り!
行ってみたいところいっぱいで目移りしちゃうね!

空色記事に黄色い花絵の描かれた浴衣を着て
長い金髪を簪でまとめながら振り返った先には
可愛い犬のお兄さん

大丈夫だよ、夏輝がいれば
手、繋いでてくれるでしょ?

迷わないようにしっかりと握ってもらっていざ出発!
なにあれ美味しそうなにおいする!
あっ、あれも楽しそー!
夏輝、私あれ欲しい!

我儘だっていっぱい言っちゃう
後押しのお礼だって夏輝が言ったんだもんね

折角だから提灯も欲しい!
花灯も蝶灯も可愛いなぁ…
ねぇお揃いもとーよ
どっちがいい?

返ってきた言葉が嬉しくて少しはにかみ
じゃあ、夏輝の花はオレンジがいいね
あの子の色。皆の象徴
守ってあげてね



●輝きの華
「わーいお祭り! 行ってみたいところいっぱいで目移りしちゃうね!」
「そ、そんなに急がなくても縁日は逃げねぇって……!」
 楽しそうに、夏の青空のような空色生地に彼女の笑顔のように明るい黄色い花が散りばめられた浴衣を着て人混みの中を器用に駆け回るのは朱雀・慧華(純真天使・f17361)。
 そんな彼女とはぐれないようになんとかついて回っている方が小林・夏輝(お調子者の珍獣男子・f12219)だ。
 落ち着いた濃紺の浴衣を纏い、慧華を追う。
「逃げないけど、楽しい時間はいっぱい欲しいしね……はい! これで犬のお兄さん!」
 クスクス笑いながら慧華が差し出したのは可愛い犬のお面。
 夏輝らしいと思ってついつい買ってしまった逸品だ。
「えー、犬のお兄さん!?」
「似合うよー? それに目印になるし!」
 まぁ、でもはぐれないのが一番だよねと――慧華がそっと自身の手を差し出す。
「夏輝はちゃんと見つけてくれそうだけど――手、繋いでくれるでしょ?」
「しゃーねぇなー……ほら、放すなよ?」
 差し出された手を取り、二人並んで縁日を巡る。
 握られた手はとても小さく、まるで妹ができたみたいだなと慧華に気付かれぬようにくすりと笑う。
 この小さな少女に後押しされた冬の日。
 今日はそのお礼も兼ねてのお誘いだ。
「今日はどんな我儘も聞くって決めてるからな」
「ふふふ、後押しのお礼だって夏輝が言ったんだからね!」
 我儘いっぱいいっちゃうよ、と悪戯っ子のような笑みを浮かべる。

「ほら、夏輝! あっちから美味しそうなにおいがするよ!」
「ヨーヨー釣りだ! 勝負しよ!!」
「甘いものも食べたいなぁ……あ、綿あめ!!」
 縁日を縦横無尽に目についた物から片っ端に突撃していく慧華の姿に夏輝は思わずリンゴ飴を買っている最中に自身のお財布を確認した。
 よし、念のためと思っていっぱい入れておいたよかった。
 今日はどんな我儘も聞くと決めているのだ。
 お財布事情で我儘を聞けないなどとなってしまっては格好悪いことこの上ない。
 まぁ、その小さい体のどこに吸い込まれていくのだと言わんばかりの大食いは些かどころではない想定外っぷりではあったのだが。
「ほら、綿あめとかヨーヨーは持っててやるからゆっくり食えよ」
「ひゃーい!」
 ありがとね、と手もちの物を夏輝に預け美味しそうにもぐもぐとリンゴ飴を食べる。
 気持ちの良い食べっぷりは見ている方も気持ちがいいものだ。
「俺のも食う?」
 だからこそ、自然に自分の持っていたリンゴ飴も差し出してしまう。
「え、いいの!?」
「そんな美味そうに食べてるの見るとな、これも食えって気分になってくるんだよ」
 わーい!と嬉しそうにリンゴ飴を慧華は受け取り両手にリンゴ飴である。
 食べる前からこれだから、食わせ甲斐もあるというものである。
 そんな感じで遊びに食べることにと目一杯楽しみ――食後のラムネを二人で飲みながら歩いていると目についたのはこの縁日の目玉でもある花と蝶の提灯の数々。
「夏輝! せっかくだから提灯も欲しい!」
「提灯か……構わないけどどっちにするんだ?」
 うーん、花灯も蝶灯も可愛いんだよなぁ……と並べられている提灯を眺めてむむむ……と唸る。
 決めきらないなぁと悩みながら、慧華はふと首を傾げた。
 先ほど夏輝は『どっちにするのか』と問いかけた。
 それは慧華が買うことだけを想定した言葉。
「ねぇ、お揃いもとーよ」
「え?」
 まさかそう来るとは思わず、一瞬目を丸くする。
「今日の記念! いいでしょ?」
「慧華にそう言われたらしょうがねぇな。 それじゃ、どっちがどっちを買う?」
 しかし、そう言われたら断るわけにはいかないなとくすりと笑い――今度のどっちは二人で選ぶもの。
「どれもよくて悩むんだよねぇ……夏輝はどっちがいいとかある?」
 問いかけに問いかけで返されるものの、それならばと今度は夏輝が悩む番。
 自身がどちらが欲しいというよりは――。
「それなら、慧華は蝶のイメージがあるからそっちがいいんじゃないか?」
 先ほどの楽しそうにあちこち駆け回る姿が空を飛び回る蝶を連想されるのだ。
 好奇心旺盛に飛び回る無邪気で綺麗な蝶。
「綺麗な蝶というには今はまだ可愛いの方が強いけどな」
「そんなこと言ってられるのも今のうちですからねー! すっごい美人になるんだからね!」
 軽口には軽口で。
 それでも、きっと彼女の言う通り綺麗に成長するのだと思う。
 見た目だけでなく、心根だって負けないぐらい綺麗な少女なのだから。
「それじゃ、夏輝の提灯は私が選んであげる!」
 私が蝶だから、夏輝が花ね!
 そう言って慧華がこれ!と選んだのは鮮やかなオレンジ色が灯った花灯。
「へぇー、明るくていい色じゃん!」
「でしょ? あの子の色」
 皆の象徴、夏輝の――皆の大事な人の色。
 想いの形は変わったけれども、守りたいと言う気持ちの本質は変わることはない。
 予想外のおすすめに、一瞬キョトンとした顔を見せた後に夏輝が吹き出した。
「ふっは、そうだな……象徴ならリビングにでも飾らねぇとだな?」
「うん、守ってあげてね」
 皆を明るく照らしてくれるように、皆で過ごす場所に飾れたならきっと綺麗だと思う。
 しかし、せっかくお揃いにしようかとなったのだから自分が好きなように選べばいいのに。気を利かせたのだろうか――そう思いもしたけれど、きっとこれが彼女の優しさで好意なのだろう。
「ありがとな」
「えー、今お礼言うところかな?」
 彼女としては、奢ってもらっていることで慧華の方がお礼を言うところなのでは?と言ったところか。
 それならば、今日の楽しい時間でいっぱい返そう。
 お礼がまた一つ増えてしまったな、なんて思いながら。
「よし! それじゃ、提灯も持ってもう一息回ろうぜ!」
「おー! まだまだ食べちゃうぞ!」
 まだ食べるのかよ、なんてツッコミながら片手には互いの手を、片手には揃いの提灯を持ちまだまだ縁日の夜を楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK
WIZ
浴衣で

提灯きれいだよなぁ。ただ自分で持つには花も蝶も違う気がして、手にするには少し抵抗が。
想い人という蝶を待つ可憐な花にも、移ろい飛ぶ綺麗な蝶にも俺はなれない気がしてな。
…いやまて。花灯の方は持ち帰って軒先に飾るのもありか。
花という変わった形だし、彼岸花の庭と似合うものにすれば親和性があるかもしれん。

花灯を手に入れたら、縁日がよく見えるか見渡せる場所でビールでも飲むか。一杯だけならたいして酔わんし。
流れる人波は、花筏と蝶の群れといったところか。
……。
やっぱり蝶になって思うままに花を追いかけるのも、もしくは花になって一途に待ち続けるのも俺の性には合わんな。
花なら咲かぬ花だ。



●灯り眺めて、想耽る
 涼やかな白藍の浴衣に浅葱の羽織り、銀の髪を揺らしながら黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は縁日を巡る。
 その目が捉えるのは各々の出店に飾られている色も種類も様々な花と蝶の提灯たち。
「……提灯、綺麗だよなぁ」
 祭りの時などに見かける提灯も、非日常感を出し雰囲気が良いものだがこの縁日では光咲く花、夜闇を照らす蝶の灯りは幻想的な空間を作り出していた。
 縁日の賑やかな騒めきと活気ある雰囲気、それを照らす花灯と蝶灯――その不思議な光景に足取りも軽くなるものの。
「花灯と蝶灯も手に入れられるらしいが……ただ、自分で持つには花も蝶も違う気がするんだよな」
 浴衣を纏った瑞樹がそれぞれの提灯を手に歩く姿は映えるものだろう。
 しかし、本人としてはしっくりくるものではなく。
 楽しそうに揃いの色の花灯と蝶灯を持ちながら歩く人たちの姿。
 待ち合わせの人がいるのだろうか、花灯を片手にソワソワと辺りを見回す人の姿。
「(想い人という蝶を待つ可憐な花にも、移ろい飛ぶ綺麗な蝶にも俺はなれない気がするな……)」
 だから、今回は見る専門でいいか――そう思っていた時に、ふと目の前に飛び込んできたのは白い彼岸花を模した花灯。
 庭に咲き誇る彼岸花を思い出し、あれならと目的の花灯を見つけて店を探す。
「あれなら持ち帰って軒先に飾るのもありだな。 庭に咲く彼岸花と、灯りの灯る彼岸花――うん、悪くないかもしれないな」
 ふらりと提灯を売る店を見て回れば、程なく目的の店を見つけることはできた。
 彼岸花の花灯も、定番の赤から青や紫、緑と言った本来では咲くことのないであろう色合いの提灯もあるようだ。
「へぇ、この彼岸花の花提灯でも色がたくさんあるんだな」
「おう。 提灯だからこそ、だな! どの色もオススメだよ」
 どれにするか、と花灯を見やり悩む。
 せっかくなのだから提灯だからこその色合いも悩むところだが――。
「ここは赤を貰おう。 せっかくだから庭の花と並べて違いを楽しむのも悪くはない。」
「おう、一緒に楽しんでくれよ」
 一つ、花灯を手に取り赤き灯と共に縁日を歩く。
 道中にビールを一杯購入すると目指すは少しばかり縁日の会場から離れた場所。
「この辺りでいいか」
 よっと、手頃な石垣に腰掛け縁日の方角を見やる。
 少しばかり小高い場所だからか、縁日の様子がよく見える。
「せっかくの縁日だ。 一杯だけならたいして酔わんし」
 この後にオブリビオンの相手があるものの、一杯程度であれば行動に影響は出ないだろう。
 少しの楽しみと景気付けということにさせてもらおう。
「縁日もだいぶ盛況のようだな。 流れる人波は、花筏と蝶の群れといったところか」
 提灯を手に持つ人も多いことから屋台の明かりだけでなく、人波に紛れて様々な色の灯りがあちらこちらと揺らめき動く。
 手元の彼岸花の灯りと縁日との灯りを眺めてポツリと呟く。
「やっぱり蝶になって思うままに花を追いかけるのも、もしくは花になって一途に待ち続けるのも俺の性には合わんな」
 ――花なら咲かぬ花だ。
 小さく呟かれた瑞樹の言葉を聞くものはこの場にはおらず。
 夜の闇と、祭りの喧騒に掻き消されたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネーヴェ・ノアイユ
これがお祭り……。ですか……。とても華やかで……。行きかう皆様の楽しそうな雰囲気がまた気分を盛り上げてくださいますね。今は歩きなれていない浴衣姿ですし……。浮かれすぎて転んでしまわないようには気をつけて参りましょう。

こう……。美味しそうな匂いや楽しそうな催し物なども気にはなるのですけれど……。今は目当ての蝶灯を目指して進みます。
お店つに着くまでの間も迷いましたが……。お店に辿り着いても綺麗な物ばかりで迷ってしまいますね……。と、思いながら一人用の蝶灯に見惚れてしまい……。中々決められそうではありませんので……。ここはお店の方に私に似合いそうな物をオススメしていただき……。それを購入しようかと。



●揃いの蝶
「これがお祭り……ですか……とても華やかで……」
 素敵ですね――行き交う人々は皆楽しそうで。
 その様子を見ているだけでもネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)も心が躍るようであった。
 それに、どうやら縁日というものは浴衣で訪れる者が多いということでネーヴェも郷に入っては郷に従えの精神で涼やかな青の浴衣に白の花が彩られた浴衣を用意してもらったのだ。
「ふふ……これがお祭りの……正装、ですね……」
 周りの人たちもそれぞれ色とりどりの浴衣を着て、花や蝶の提灯を持ち縁日を巡っている。
 彼らに混ざりながら、ネーヴェも屋台を見て回る。
 目の前には楽しそうな遊戯から、美味しそうな香りを漂わせた飲食の屋台まで。
 全部回ろうとすると時間が足りなくなってしまうような、楽しさで満ち溢れていた。
「どれも……素敵ですね……っと、屋台に見惚れて……足元がお留守になってはいけませんね……」
 ただでさえ着慣れぬ浴衣に下駄と呼ばれる履物を履いているのだ。
 気を付けるに越したことはないと、気を引き締める。
「気になるお店も多いのですが……まずは……」
 そう、この縁日の目玉である花灯と蝶灯だ。
 浴衣の準備はできた、この縁日を最大限楽しむにはきっと必要なアイテムで想い出にもなりそうな一品だ。
 せっかくならば、あの提灯と共に縁日を楽しみたい――のだが。
「お嬢ちゃん、リンゴ飴はいかが?」
「射的も面白いよ、やっていかない?」
「イカ焼き美味しいよー!」
「お祭りといえばヨーヨー! ヨーヨー釣りやってるよー!」
「あ、後で……後で参ります……っ!」
 右から左から、楽しげな誘惑が。
 ごめんなさい、提灯を手に入れたら必ずと断りを入れながら提灯の店を目指してネーヴェは進む。
 誘惑を乗り越え、人波に負けず――ようやく辿り着いた提灯の店には多種多様な輝きが待っていた。
「……わぁ……どれも……とても、美しい……ですね……」
 提灯の灯りに負けないほど目を輝かせたネーヴェに店主も嬉しそうに頷いた。
「そうだろう、そうだろう。 花灯も蝶灯もどれも自慢の一品だよ!」
「えぇ……これは、どれも素敵で……」
 花灯も百花爛漫の如く、夏の花である朝顔であったり月夜に咲き誇る月下美人であったり。
 蝶灯も大小問わず優しい灯りを灯している。
「この……一人用の蝶灯を頂きたいのですが……」
 ネーヴェの心を揺さぶったのは蝶灯。
 ここまでは良かった――しかし、どの蝶灯にするかが決められない。
 赤や橙の蝶の暖かさは雪を扱う自身に縁遠いからこそ持ってみたいし、白の輝きは安心感と優しさを与えてくれる。
 空を思わせる青色も素敵だし、草原の緑も捨てがたい。
「……これは、決めきれませんね……あの……もしよろしければ……店主様がこれは、と思うものを……選んでは頂けないでしょうか?」
「そうだねぇ……お嬢ちゃんの色を見ていると白が合いそうだが……あぁ、そうだ!」
 ネーヴェを見ていた店主がこれがいい、と持ってきたのは大振りの青い蝶灯。
 そして、ネーヴェの頭上を指してにこりと笑った。
「お揃い感があるだろう?」
「……あっ!……お揃い……」
 店長が指したのはネーヴェのトレードマークである青いリボン。
 リボンと同じか少し大きいぐらいの青き蝶灯。
 まさか一人用の提灯でもお揃いが手に入れられるとは。
 嬉しそうに小さく微笑んだ。
「ありがとうございます……この子と、縁日楽しんで参りますね」
 店主に見送られ、ネーヴェは来た道を引き返す。
 律儀に『約束』を果たすため――先ほど声をかけてくれた店へと青の蝶灯と共に駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【高岩・凛(f17279)と参加】

夏祭りって聞いてきて見たけど、
こりゃ凄い人だかりだねぇ。
凛さん、酔っぱらってはぐれるんじゃないよ?
ま、これから仕事もあるんだし大丈夫か。
それにしてもすごい数の提灯だねぇ、
いいじゃないか赤い蝶もさ。
実際にある、無しは別として。
こうして提灯になってるなら皆が受け入れてるって事だろ?
だから安心して良いんじゃねぇの?
それより一緒に探しとくれよ、アタシの目当ての提灯をさ。
どうも昼間を思わせるからか、向日葵柄が無いんだよ。
向日葵だって、お天道さんを目指して咲いてるだけだってのに、
買いかぶり過ぎだってーの、皆も凛さんも。
だから手伝ってくれて心強いよ。
今までも、これからもさ。


高岩・凛
【数宮・多喜(f03004)と参加】
そんじゃたまには仕事前の息抜きと洒落こみますかね?祭りなんてそういや来たこともなかったし遊べるだけ遊んでかなきゃ損だしな!
提灯かー……いろいろあるけどそうだな……この赤い蝶のやつがなんだか気になるかな?
ほら浴衣とも同じ色だしさ、あんまり赤い翅の蝶っていないじゃん?普通とかけ離れた、マトモじゃない変なやつってまあ言ってみりゃ俺と似てるなって思ってさ?
んで多喜のは向日葵?みんなのこと照らしてくれるお日様の象徴で、明るくて人気者でさ、多喜にぴったりだな?いや……何言ってんだろな……あはは……そんな拗ねんなよ、すぐ見つかるって。夜に咲く向日葵っていうのも面白いしさ!



●憧憬の花、寄り添う蝶
「夏祭りって聞いてきたけれど……こりゃ想像以上に凄い人だかりだねぇ……」
 爽やかな青のストライプに鮮やかな向日葵を散りばめた浴衣に身を包み、驚いた声を上げる数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)の隣に立ち、対照的に黒を基調とした浴衣に赤の花をあしらった大胆な浴衣を纏った高岩・凛(傷だらけの鎧・f17279)はけらけらと笑い声をあげた。
「そりゃあな! 祭りが嫌いな連中の方が少ないだろ――せっかくの祭りだ! 仕事前の息抜きと洒落込みますかね?」
 祭りとは楽しいものである。
 例えば、ヨーヨー釣りや型抜きと言った遊戯系の店からイカ焼き、焼きそば、リンゴ飴――色々な出店がずらりと並んでいるものである、らしい。
 知識としては知っている、しかしこういったものには縁がなかった凛にはこれが初めての祭りであった。
「祭りなんてそういや来たこともなかったし遊べるだけ遊んでかなきゃ損だしな!」
「そうだったのかい? それじゃ、目一杯楽しまなきゃだね!」
 それならば、共に楽しい時間を過ごそうじゃないかと多喜が微笑む――ただし、しっかりと忠告は忘れない。
「楽しむのはいいけれど……凛さん、酔っぱらってはぐれるんじゃないよ?」
「ははは! 俺をなんだと思ってんだ?」
 流石にこの後にオブリビオンとの一戦が控えているのだ。
 それは、凛だってしっかり分かっている。
「だが、こういう祭りで飲む一杯ってのが美味しいんだろ?」
「そこは否定できないね! さ、縁日を楽しもうじゃないか!」
 二人で軽口を叩き合い、縁日へと繰り出す。
 最初の一杯を二人で乾杯――一足早い祝勝の杯か、景気付けの一杯か。
 気になるものはあれこれ食べながら感想を言い合い、道中見かけた射的で二人で勝負を始めたら景品を総取りしてしまったり。
 どこにでもいる、縁日を楽しむ女性たちの姿がそこにはあった。
 景品総取りまでやってしまう子たちはそうそういないかもしれないが。
「あはは! やりすぎちまったなぁ!」
「熱くなりすぎちまったね、悪いことしちまったかな」
 両手いっぱいの景品を抱え、凛と多喜は笑い合った。
「それにしてもすごい数の提灯だねぇ……アタシは花灯で気になってるのがあるんだが、凛さんはどうだい?」
 どうやら多喜には目当ての物があるらしくそれを探しているようだ。
 せっかくならと凛に声をかければ彼女も頷き――視線の先には赤く輝く蝶灯。
「そうだな……どれかと言われれば、この赤い蝶のやつがなんだか気になるかな? ほら、浴衣も同じ色だしさ」
 そう言ってくるりと回ってみせる。
 黒の中に映える赤の花。
「ほら……なんかさ、赤い翅の蝶ってあまりいないじゃん? 普通とかけ離れた、マトモじゃない変なやつってまあ言ってみりゃ俺と似てるなって思って……って、イッテェ!?」
 最後まで凛が言い切るより先に、多喜が何言ってんだい!とその背を叩く。
「いいじゃないか、赤い蝶もさ! 実際にある、無しは別として」
 それに――そう続けながら多喜が辺りを見回しながら微笑んだ。
「ほら、ここの店にも赤い蝶灯はたくさんあるだろ。 そこを歩いている人も赤い蝶灯を持ってる――こうして提灯になってるなら皆が受け入れてるって事だろ?」
「多喜……」
 多喜の微笑みに釣られるように凛も笑みを零す。
 彼女が肯定してくれるのならば、この赤き蝶灯がもっと素敵なものに見えるような気がするのだ。
「それに、綺麗な赤色で暖かい色じゃないか。 凛さんによく似合ってるよ」
「ちょっと、多喜! 流石に褒めすぎだ! そっちこそ、何を探してるんだよ」
 これ以上は誉め殺しだと、多喜の探している提灯へと話を移せば返ってきたのはため息だ。
「さっきから屋台を回りながら色々見てみてるんだけどねぇ……凛さんも一緒に探しとくれよ。 アタシの目当て――向日葵柄の提灯をさ」
 どうも昼間を思わせるからか、向日葵柄が無いんだよ。
「向日葵だって、お天道さんを目指して咲いてるだけだってのに!」
 誰に向かうともない愚痴に今度は凛が笑う番だ。
「あはは、そんなに拗ねんなよ! 向日葵は一生懸命なだけだもんな! まぁ、そういうとこが多喜に似てるから向日葵の花灯は多喜に似合うと思うぜ」
 ――みんなのこと照らしてくれるお日様の象徴で、明るくて人気者でさ、多喜にぴったりだな。
 と、言ったところで目の前で目を丸くしている多喜の姿に罰が悪そうに凛が頬を掻いた。
 どうやら、思っていた事が口から出てしまっていたようだ。
「いやいや! 買いかぶり過ぎだってーの、皆も凛さんも」
 アタシができることなんてたかが知れてるさ。
 そう言って凛に向き合い拳を突き出す。
「だから手伝ってくれて心強いよ。 今までも、これからもさ」
「頼りにしてるのはこっちもだけどな。 こっちこそ、これからもよろしく頼むよ」
 応えるように拳を突き出しコツンと当てる。
「さて、頼りにされたからにはまずはお目当ての向日葵の花灯探しだな!」
「凛さんが浴衣と揃いの赤い蝶灯を手に入れたんだ。 アタシも浴衣と合わせて向日葵の花灯を手に入れないとね」
 よし、と二人揃って気合を入れる。
 二人でならすぐに見つけられる――赤い蝶の導きが、きっと夜闇をも照らす輝く夜の向日葵を見つけてくれるから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

清川・シャル
f08018カイムと

今年仕立てた浴衣に着替えて楽しみましょうか
どうですか?似合ってる?
くるんって、一回転。
お姫様は持ち上げすぎですよ〜〜ふふ
私は花の提灯ですね!桜が好きなんですよ。
折角だから提灯は持っていたいし、屋台で色々食べたい…
念動力で提灯持てばいいのでは?(思いついた顔)
不審に思われないようにたまに持つから大丈夫だよ!

唐揚げ食べたいですね〜あと牛串!箸巻きとかあれば嬉しい…焼き鳥ずるい……(催促をする)
の、飲み物も欲しい!アイスコーヒーあればいいのに…エンパイアだからお茶かな…冷たくて美味しいやつ
これから依頼なのにのんびりですよね〜。ふふ、楽しまなきゃね!食べたら頑張る!


カイム・クローバー
シャル(f01440)と共に俺は一年前の浴衣で。

ああ、似合ってる。何処のお姫様が飛び出て来たのかと思ったぜ。
一回転するシャルを見ながら、転ぶなよ?お姫様?何て言いつつ。転びそうになったら咄嗟のお姫様抱っこを。
シャルの桜に合わせるように白い蝶の提灯を片手に。中で揺れる炎は暖かな明かり。この場に居るのが嬉しくなる。
念動力は提灯『持ってる』って言わねぇだろ!?それ、『浮いてる』って言わねぇ!?

袋に入れた焼鳥片手に楽しみながら、お茶で喉を潤して。ホントなら酒だが、この後に仕事があるから我慢。
行き交う人の笑顔を見ながら、隣の彼女の頭に手を置いて。
ま、俺が居るからよ?気負わなくても良いさ。今を楽しめ。な?



●花蝶寄り添い
 せっかく縁日に来たのだから――仕立てたばかりの浴衣に着替えて楽しみましょうか。
「どうですか? 似合ってる?」
 連れに向かい、そう声をかけた清川・シャル(夢探し鬼・f01440)は感想を求めるべく、くるりと一回転。
 黒地にモダン柄が鮮やかなピンクで彩られた可憐な浴衣。
 黒とピンクの組み合わせはいつものシャルらしい彩りだが、結い上げた髪に落ち着いたモダン柄の印象もあってか少しばかり大人っぽくも思える装いだ。
「ああ、似合ってる。 何処のお姫様が飛び出て来たのかと思ったぜ」
 対するカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は、濃藍のシンプルな浴衣――しかし、その帯にはベルトが巻かれており彼らしいアレンジとなっている。
 去年に続いて袖を通した浴衣は着慣れたものだ。
 そんな彼から飛び出す褒め言葉は、まるで軽口のようにも聞こえるが嘘偽りなき本心。
 柔らかに微笑みながら告げれば、シャルもくすくすと笑う。
「お姫様は持ち上げすぎですよ〜〜、ふふ」
「そんなことないぜ、去年のも可愛くて良かったが今年は綺麗なもんだな」
 感想は嬉しいものだけれど、褒められすぎもこそばゆいものである。
 話を逸らすかのように、くいくいっとカイムの裾を引きシャルがとある店を指差す。
「あ! ほら、話に聞いていた花灯と蝶灯がありますよ!」
 今回の縁日の目玉だという花の提灯と蝶の提灯。
 せっかくこれから縁日を回るのだからこの提灯と共に回りたい。
「シャルはどれにするんだ?」
「私は花の提灯ですね!」
 桜が好きなんですよ、そう続けたシャルの目に留まったのは枝垂れ桜を模した花灯。
 提灯の持ち手を枝に見立て、小さな桜色の花灯が複数連なり辺りを明るく照らしている。
「シャルが花灯なら俺が蝶だな……それなら」
 彼女の桜に合う物がいい。
 カイムが選んだのは優しい月光のような灯りを灯す白き蝶灯。
「どうだ?」
「わぁ……綺麗ですねぇ……」
 少しばかりの風に揺られて揺らめく桜灯りに寄り添うように蝶が翅を揺らすかの如く。
 暖かな炎の灯りは桜色と白色へと変わり二人を照らす。
 ただそれだけのことなのに、こうやって二人でこの場に居られるのが愛おしくなる。
「さぁ、カイム! 素敵な灯りと一緒にこれからが本番……あっ!!」
「シャル、どうした?」
 提灯を片手に、シャルが愕然とした顔を見せる。
 これから屋台を、というところでどうかしたのか――。
「折角だから提灯は持っていたいし、屋台で色々食べたい……」
 屋台で食べたいものはたくさんあるのだ。
 両手でも足りないというのに提灯を持っていてはさらに持てる物が限られてしまう。
「提灯を握ったままでは、食べ物をたくさん持つことができな……念動力で提灯持てばいいのでは?」
「念動力は提灯『持ってる』って言わねぇだろ!? それ、『浮いてる』って言わねぇ!?」
 先ほどまでのどことなくしんみりしていた雰囲気はどこへやらシャルの天才的な閃きにカイムの怒涛のツッコミが飛び交った。
 不審に思われないようにたまに(手が空いた時とかに)持つから大丈夫だよ、とにこりと笑う。
 どうしても手が足りなくなったら俺が持つから、とのカイムの言葉にまたシャルは嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
「それじゃ、早速行きましょう! まずは唐揚げを食べたいですね〜、それから牛串も外せません。 箸巻きはあるかな? あれば嬉しい……」
「あ、焼き鳥五本入り一つ!」
「むっ……焼き鳥ずるい」
 屋台をどこから巡ろうかと思いを馳せるシャルの横でしれっと見かけた焼き鳥を注文しているカイムの裾を引く。
 はいはい、と元々二人で分けるつもりだったそれを先にシャルへと渡す。
「へへー、ありがとうございます! あ、飲み物も欲しいです!」
「お姫様のご希望通り」
 それじゃ、次は飲み物を探しに行こうかと歩みを進めたところで――少しだけ、シャルの足が縺れた。
「「うわっ」」
 二人の驚きの声が合わさったと同時に、シャルは前へ倒れることなくカイムの腕に抱き抱えられる。
 カイムも片手には提灯を持っていたものの器用に抱え直しその体勢をお姫様抱っこへと。
「カイム器用!」
「まぁ、これくらいはな」
 焼き鳥を渡しててよかった、とは口には出さず。
 せっかくだし、このまま行くか?と提案すれば、すでに縁日の往来――皆が微笑ましく見守っている視線に耐えられないと即座に却下された。
「アイスコーヒーあればいいのに……エンパイアだからお茶かなぁ」
「そうだなぁ……俺もせっかくの祭りだ、で酒と行きたいところだが今日はしょうがないよな」
 そう、一仕事終えた後の祭りなら気にせず一杯といったところだが残念ながら仕事はこの後に控えているのである。
 カイムの言葉に思わずシャルも笑ってしまう。
 この後に依頼が控えているというのにのんびり楽しみすぎてるな、なんて。
「ま、俺が居るからよ? 気負わなくても良いさ。 今を楽しめ、な?」
「ふふ、楽しまなきゃね! 食べたら頑張る!」
 ぽん、と自身の頭に乗せられた大きな優しい手に応えるようにシャルも頷いた。
 今は楽しい一時を、そしてこの時間のお返しに二人でこの場を守ろうと、そっと胸に誓うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

影杜・梢
あゆみ(f17667)と

……蝶、か
死者の魂は、蝶になって親しい人に会いに来るんだってさ
……本当かどうかは知らないけどね
良い機会だし、お揃いの灯でも買っていこうか
時にあゆみ。
……その両手に持ってるものは何かな?
花より団子か……ま、それも良いんだろうけどさ
折角だし、提灯も見てみないかい?

蝶灯や花灯が並ぶ光景は、美しくて圧巻だよね
あゆみには……何が似合うだろう
春生まれだし、桜かな?
それとも蒲公英だろうか
……本当に聞いてる?
食べ物に夢中で、絶対に聞き流していただろう?

ま、偶にはお揃いも悪くないか
それで……ボクに持てと?
いつになったら、食べ終わる予定なのかな


花染・あゆみ
先輩(f13905)と一緒です

蝶…死者、ですか…
先輩の場合…もう既に来てる、気もしますが…
それよりも、まずは縁日です
美味しい物が沢山…!
何って、杏飴に綿飴に……
美味しいですよ?

ちょうちん…焼き鳥…?
はい。この縁日のメインみたいですし
その割には、焼き鳥屋さんが少ないような…?
桜餅、美味しいですよね
タンポポコーヒー、一度飲んでみたいです

食べながらですけど、ちゃんと聞いてますよ
提灯…?あ、そっちの…

蝶に花に…色々とあって、目移りしてしまいますね
折角ですし、わたしたちに似合いそうなものを…
色違いで持てば、きっと素敵です
…あ。でも、両手が食べ物で塞がっていました…
生憎、次の屋台を決めてますので…暫くは…



●花灯より団子
「……蝶、か」
 縁日にあちらこちらと掲げられている花灯と蝶灯を見て、影杜・梢(月下故蝶・f13905)は後ろをついて歩く少女に視線を合わせるようにくるりと振り返った。
「死者の魂は、蝶になって親しい人に会いに来るんだってさ
……本当かどうかは知らないけどね」
「蝶……死者、ですか……」
 先輩――梢の言葉に花染・あゆみ(夜明けの光・f17667)は思わず言葉を飲み込む。
 怖くなったわけではない。
「(先輩の場合……もう既に来てる、気もしますが……)」
 あゆみは知っている。
 彼女に寄り添う二匹の蝶がいることを。
 彼女が得意としているのは死霊術であることを。
 しかし、この場はお祭り――縁日である!
 明るく提灯の灯りで照らされ、様々な出店が並び、祭囃子の響く今必要なのはしんみりした空気ではなく――。
「それよりも、まずは縁日です!」
「ふふ……そうだね、良い機会だし、お揃いの灯でも買っていこうか」
 あゆみの提案に梢は優しい笑顔で頷いたが。
「時にあゆみ」
「ふぁい?」
 あゆみに呼び掛ければ、すでに何やら口に含んでいるような気の抜けた返事が返ってくる。
「……その両手に持ってるものは何かな?」
「何って、杏飴に綿飴に……牛串に……」
 このやりとりをしていたわずか数分の間に、あゆみの両手には様々な食べ物が握られている。
 これ、完全に出店ローラーしてるぞ。
 話しながら歩いていた通りに並ぶ出店でしっかり一つずつ購入しているちゃっかりっぷりである。
「花より団子か……ま、それも良いんだろうけどさ」
「これは団子でなく牛串で……あ、でもお団子も美味しそうですね! みたらし団子とかありますかね?」
 だめだ、あゆみの脳内は完全にもぐもぐモードになってしまっている。
 何を話しても食べ物に変換してしまう――これはいけない、と話を変えるべく梢が提灯を指差しながら。
「この縁日では提灯が目玉だと言っていた……折角だし、提灯も見てみないかい?」
「ちょうちん……あ!確かにこちらに来る前に話してましたね!」
 よし、ようやく話の路線が戻ってきたと梢がほっと胸を撫で下ろす。
「その割には、焼き鳥屋さんが少ないような……?」
「あゆみ……違う、違うんだ……そのちょうちんじゃない」
 ダメだった。
 しかし、この程度で負ける梢ではない。
 このままでは本当に出店ローラーをしそうなあゆみの手を引き、提灯の屋台まで連れ出す。
「こっちだ、こっちの提灯だ。 ほら、蝶灯や花灯が並ぶ光景は、美しくて圧巻だよね」
 提灯だからこそ、季節に関係なく様々な花灯が並ぶ様は梢のいう通り圧巻だ。
 提灯屋には百花繚乱の花灯が咲き乱れる。
「あゆみには……何が似合うだろう……春生まれだし、桜かな?」
「わぁ、桜餅ですか。 桜餅、美味しいですよね(もぐもぐ)」
「それとも蒲公英だろうか……明るい色で可愛らしくて似合いそうだ」
「飲み物もいいですよね。 タンポポコーヒー、一度飲んでみたいです……流石にコーヒーはサムライエンパイアにはないですよね?(もぐもぐ)」
 ――敵(食欲)は強かった。
 はぁ、とため息一つ。
「……本当に聞いてる?」
「もちろんですよ。 食べながらですけど、ちゃんと聞いてますよ」
 聞いてはいるが、脳内でしっかり食べ物に変換されているだけで。
 あゆみにとっては無意識なのかもしれないが。
「食べ物に夢中で、絶対に聞き流していただろう? 目の前の提灯は見えているかい?」
「提灯……?あ、そっちの……」
 ようやく二人の話が通じたようだ。
 梢の頑張りが実ったようである。
「蝶に花に……色々とあって、目移りしてしまいますね。 折角ですし、わたしたちに似合いそうなものを……色違いで持てば、きっと素敵です」
「あぁ、そうだね……偶にはお揃いも悪くないか」
 それならば、蝶にするか花にするか。
 二人で並んでどの提灯にするかとあれやこれやと選び始める。
「そうだね……鈴蘭とかどうだい。 春の訪れを告げる花だ」
「たくさん小さな灯が連なっていて可愛いですね!」
 梢が白の鈴蘭の花灯、あゆみがピンクの鈴蘭の花灯を選び――。
「……あ。 でも、両手が食べ物で塞がっていました……」
 いつの間にやら増えていた両手の食べ物。
 まだ提灯、持てませんと両手を上げて見せる。
「それで……ボクに持てと? いつになったら、食べ終わる予定なのかな?」
「生憎、次の屋台を決めてますので……暫くは……」
 キミには遠慮と言う言葉はないようだね、苦笑を浮かべながらもしょうがないと二つの花灯を梢が持つ。
 本当に屋台を制覇してしまうのではないか、そんな気持ちと共に嬉しそうに両手の食べ物を食べていくあゆみを梢は優しく見守るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルルチェリア・グレイブキーパー
≪白銀≫

服装は白牡丹の浴衣姿
親友のシホと一緒にお祭りを楽しむのよ

急に呼び出してごめんなさい
折角新しい浴衣用意したんだし
一緒にお祭りに行きたいなって

そうよ私と一緒ならシホも楽しんで大丈夫なのよ

私は蝶の形の提灯が良いわ!可愛いのよ!
シホの花灯は綺麗なのよ!

屋台の射的に挑戦よ
ぐぬぬ……的に全然当たらないのよ
シホー、お願い助けてー!

シホの力が流れ込んでくる
脇を絞めて、しっかり支えて、右上!
やった!当たったのよ!
有難うシホ!

食べ歩きもしたいわ
あんず飴に、綿菓子、焼きそばも食べたいのよ
花火でも見ながら一緒に食べるのよ!

私は前もお祭りで食べた事有るけど
一人で食べるよりずっと美味しく感じるのよ


シホ・エーデルワイス
≪白銀≫

服装はルルに合わせて昨年の花柄浴衣


ううん
私…前世の罪が原因で
独りでお祭りとかを主体的に楽しめず苦手になってしまったけど
誰かを楽しませる名目が立てば
序でに私が楽しんでも大丈夫でしょう
だから
ルルが誘ってくれて
とても嬉しいです


提灯はルルとセットになる花灯を所望します

ありがとう
ルルの蝶灯と並べると…ステキです


射的はルルに【献装】で射撃技術を付与し補助
真の姿にはならない
コルクはオーラ防御で包み形を整える

台に肘をついて
脇を絞めて頬を柄に密着してしっかり支えて
右上を狙って下さい

お見事♪


食べ物は知っていても殆ど初めて食べる物ばかり
食べ歩きつつ
花火の美しさに見とれる

ええ
喜びを分かち合えてより美味しいです



●貴女のためなら
「急に呼び出してごめんなさい」
「ううん、大丈夫」
 二人とも浴衣に身を包み、縁日への道を歩く道中。
 ルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)は、突然の誘いであったことをシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)に詫びる。
 ルルチェリアが纏うは白牡丹があしらわれた黒の浴衣。
 せっかく浴衣を仕立てたのだから、この浴衣でお出かけをしたかったのだ。
 お出かけをするのならば、隣にいるのは大好きな親友がいい。
「シホと一緒にお祭りに行きたいなって……シホはお祭り大丈夫だった?」
 ルルチェリアの問いかけに、シホは即答することができなかった。
 シホが抱えた過去の――前世の罪。
 それは、今でもシホを縛っている。
「私……前世の罪が原因で、独りでお祭りとかを主体的に楽しめず苦手になってしまったけど」
 そう告げて、不安そうに見上げるルルチェリアに優しく微笑む。
 『私』が楽しむのはまだ苦手だけれど――。
「誰かを――ルルを楽しませる名目が立てば……序でに私が楽しんでも大丈夫でしょう」
 あくまで、ルルに楽しんでもらうことが前提だからと話す。
 この涼やかな青の浴衣も、彼女と共に歩くのならと新しく仕立てていたドレス仕立ての浴衣でなくこちらを選んできたのだ。
「だから……ルルが誘ってくれてとても嬉しいです」
 二人だから、貴女といるから楽しめるのだと伝えれば、ルルチェリアに満面の笑みが戻る。
「そうよ、私と一緒ならシホも楽しんで大丈夫なのよ!」
 だから、一緒に楽しむのよとシホの手を取り縁日へと駆け出す。
 この縁日の目玉である提灯も欲しいし、屋台の遊戯も遊びたい、食べたいものもいっぱいあるのだと。
 嬉しそうに話すルルの手を握り返し二人で縁日へ。

 まず、二人が向かったのは提灯屋。
「私は蝶の形の提灯が良いわ! 可愛いのよ!」
「ルルは蝶でいいの?」
 迷うことなくルルチェリアは白い蝶灯は選んだのだ。
 どちらもとても素敵だけれど、とシホが首を傾げれば。
「だって、花はシホのイメージだもの! だから、シホが花灯を持って。 私が一緒にいる蝶になるのよ」
 ふふん、と当然よとばかりに胸を反らすルルチェリアにシホも笑みを浮かべる。
「そうですね……では、ルルと揃いになるように」
 貴女が私を花だと言ってくれるのなら。
 花薄雪草――シホを現す白き花を。
 星明かりをも思わせる花灯を手に取り、そっとルルチェリアの蝶灯のそばへと寄せる。
「やっぱり、シホには花が似合うわ! シホの花灯は綺麗なのよ!」
「ありがとう。 ルルの蝶灯と並べると……ステキです」
 花と蝶を寄せ合い、次の店へと。
 ルルチェリアが目指すは射的の店。
「射的、ですか」
「えぇ! 私もシホみたいにかっこよく決めてみたいのよ」
 一回分お願いするわ、と蝶灯をシホへ預けルルは意気揚々と射的台へと向かうが――。
 狙った可愛らしいぬいぐるみに当たることはなく。
 上の方へ飛んで行ったり、それならばと狙いを下げれば今度は地面に直撃だ。
「ぐぬぬ……的に全然当たらないのよ! シホー、お願い助けてー!」
「えぇ……私の力をルルに」
 ルルチェリアへと捧げる主の加護。
 そして、伝えるシホの技術。
「台に肘をついて……脇を絞めて頬を柄に密着してしっかり支えて右上を狙って下さい」
「わ、わかったわ!」
 シホの力を感じ、言われた通りにしっかりと構え指示されたように的を狙えば――。
 トスン!
「やった! 当たったのよ! 有難うシホ!」
「お見事♪」
 見事撃ち当てたぬいぐるみを抱き抱えぴょんぴょんと飛び跳ねるルルチェリアにシホも笑みを返す。
「でも、やっぱりシホはすごいのね。 射的、とても難しかったの」
「私は経験もあるから……」
 真っ直ぐな褒め言葉にシホも少し照れ臭そうで。
 それを誤魔化すように、杏飴の屋台を指差す。
「ルルは色々食べたいって言っていたでしょう? 杏飴はどう?」
「食べたい!! 杏飴だけじゃなくて、綿菓子に焼きそばも食べたいのよ!」
 そんなに持てる?と聞けば、うぐっと言葉に詰まる。
 すでにその腕の中にはぬいぐるみが抱えられているのだ。
「ちょっとずつね」
「そうね! まずは杏飴にしましょ!」
 それぞれ一つずつ杏飴を食べながら歩いていく。
 シホは『杏飴』と言う食べ物があることは知っている。
 でもそれは、知識でしかなくて。
「美味しい……」
「でしょう! でもね、私は前にもお祭りで食べた事はあるけれど……」
 その時は隣にシホはいなかった。
 一人で食べた杏飴、美味しかったけれども――。
「一人で食べるよりずっと美味しく感じるのよ」
「ええ……きっと、こうやって同じものを食べて、喜びを分かち合えて……だから、より美味しいです」
 そうやって微笑み合えば、大きな音と共に夜空に広がる大輪の花。
「花火……」
「わぁ! 綺麗ね!! ねぇ、シホ!花火を見ながら一緒に食べるのよ」
 杏飴だけじゃなくて、もっといっぱい楽しい時間を、喜びを分かち合えるように。
 もちろん、とこくりと頷き二人は夜空の花火を見上げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

六道銭・千里
【銭魚】◎
縁日か…海は遊びに行ったけど祭りは今年はまだやったな…
オブリビオンはアレやけど、まぁ元よりその時間で終わりやと思えばな
そんじゃあ、退治前にいっちょ楽しむとしようか

待てぃ!?流石に俺も全部おごらんぞ!?
って、ことで今日はこの残念なお嬢様の付き添いや


ヘスティアに連れ回されて…あちこちの店へ…
こいつなんて無駄に高度な技術を無駄にケチ臭く無駄に使っとるんや……

提灯か、死を司る蝶も、華もどっちもええけど…さてどっちにするかって、
こいつこの縁日で一番高そうなん選びよった…


さて、久しぶりの縁日も楽しんだわ…今度は地元の縁日でも久々に…
おい!待てい!(ヘスティアの頭を掴み)


ヘスティア・イクテュス
【銭魚】◎
縁日良いわよね…
千里、わたし、焼きそばにフランクフルトに焼き鳥に…後、玉せんとか牛串とか…あっ唐揚げも外せないわね、フライドポテトに…(ry

おぶりびおん?(話を聞いてない)
まぁ、いいわ!それより縁日よ!


アベルを使って『情報収集』。複数の店の値段、大きさ、質を比べ最もお得な店を選んで食べ漁る【技術の無駄使い】

あっ、金魚すくいね…これもやりたいわね

提灯は蝶灯が良いわね。うちのお守りが蝶だし
千里おごり分これにするわ

さて、食べて、遊んで提灯も買って満足ね!
じゃあ帰りま(ry



●とある二人の縁日珍道中
「縁日良いわよね……」
「縁日か……海は遊びに行ったけど祭りは今年はまだやったな……」
 眼前に並ぶ様々な出店にヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)が心を躍らせれば、隣に立つ六道銭・千里(冥府への水先案内人・f05038)も一つ頷いた。
「オブリビオンはアレやけど、まぁ元よりその時間で終わりやと思えばな……そんじゃあ、退治前にいっちょ楽しむとしよ……」
 と、ヘスティアへと視線を移せば――。
「焼きそば、フランクフルト、焼き鳥、玉せん、牛串、豚串、唐揚げ、フライドポテト、お好み焼き、チョコバナナ、りんご飴、焼きもろこし、かき氷、イカ焼き、たこ焼き……」
「それは呪文か!?」
「え、おぶりびおん?」
「聞いてへんのかい!!」
 完全に屋台(主に飲食物)ローラーに意識が持っていかれるヘスティアにため息を吐きつつ付き従う。
 正確には従うではないのだが――千里の直感が告げている、目を離すなと。
「まぁ、いいわ! それより縁日よ! いくわよ、千里(おさいふ)!」
「おい、今最後変なルビが振られとったやろ!? 流石に俺も全部おごらんぞ!?」
 全部は奢らないけれど、奢ってはくれる。
 優しい方ですね……ほっこり。

 縁日の屋台――それは、戦場と言っても過言ではない。
 同じものを取り扱っていても値段や、入っている個数であったり、大きさや質が変わってくる。
 胃袋は無限ではないのだ。
 で、あるならば――総合的に判断しつつ美味しいものを的確に食べ尽くしていくべき!!
「そう、戦いはまず情報収集から!! アベル、この縁日の屋台情報を全て集めて分析するのよ!!」
「こいつなんて無駄に高度な技術を無駄にケチ臭く無駄に使っとるんや……」
 しかし、千里のなんとも言えない視線も一切気にすることなく、ヘスティアは出店情報をかき集め独自の縁日マップを作り上げていく。
 この間わずか五分である。
「ふふ、これで完璧よ。 屋台の場所、値段――そして最適なルート情報。 この順番で回ればいいわね……っと、あとせっかく浴衣も金魚の柄にしたのだから金魚掬いの店と……それから目玉と言っていた提灯の情報も屋台を回っている間に集めて頂戴ね」
「効率は上がっとるが……なんや縁日の醍醐味なくなってへんやろか?」
「美味しいもの食べて、素敵な想い出で終わるのが一番よ」
 さぁ、レッツゴー!とアベルの食べ歩きマップに従いヘスティアがガンガン進む。
 そう言われれば、それが最善な気もしてくる。
 しかし、言いくるめられている気もしなくはない。
「千里!」
「はいはい、お嬢様の仰せのままに!」
 だがまぁ、この残念なお嬢様はとても楽しそうなので今日はこれで良いことにしよう。
 自身を納得させながら、千里もヘスティアの後に続く。
 食べたいと宣言していたものを順次回れば、あれを食べてこれを食べて。
 合間にお茶やラムネなどしっかり飲み物も補給しながら食べ歩き。
 食後の運動にはならないだろうが、金魚掬いも楽しみその手には一匹の金魚が入った水袋が揺れている。
「……いや、よう入るなぁ……見とるこっちが満腹になってきたわ……」
「あら、私はまだいけるわよ……あ、ここね! 提灯のお店は」
 そして、食べ歩きも終え最後にやってきたのはこの縁日の目玉である提灯の店だ。
 割と縁日に来た人たちは、まず提灯をという人が大半ではあったが食べ歩き優先となると片手が塞がってしまうとの判断かヘスティアたちは最後にやってきたというわけだ。
 とてもごうりてきなはんだんだね!
「提灯か、死を司る蝶も、華もどっちもええけど……さてどっちにするか……」
「私は蝶灯にするわ。 うちのお守りが蝶だし」
 そう言ってなんの迷いも無くヘスティアが選ぶのは他の提灯より一回り大きく、装飾も施された煌びやかな蝶灯。
「千里、おごり分これにするわ」
「あぁ、そういや屋台では自分で払ろうてたな。 最初からここ目当てか……って、桁ァ!!!!」
 縁日用の提灯は大半はリーズナブルなお値段だが、装飾やらどこからどう見ても高級感溢れる作りになっている綺麗な蝶灯。
 他の提灯と桁が一桁程違っている。
「こ、こいつ……この縁日で一番高そうなん選びよった……」
「高そうな、じゃないわ。 一番高いやつよ!」
 だってアベルに調べてもらっていたもの。
 悪びれることなくけろり、とヘスティアが答える。
 どう軽く計算しても先ほどまで食べていたものたちの合計金額を上回っている。
「提灯だけで済ませたのよ、安いものじゃない」
「だけじゃないわ! 鬼か、悪魔か!」
「宇宙海賊よ!」
 千里の抗議の声もバチンとウィンク一つで受け流し、しっかりとお支払いはお任せ。
 満足そうに豪華な蝶灯を持ちニコニコ顔のヘスティアの横で、千里は小さな花灯を持つのであった。
「最後の最後で財布に大打撃やったけども、まぁ久しぶりの縁日も楽しんだわ……今度は地元の縁日でも久々に……」
「そうね! 食べて、遊んで提灯も買って満足ね!じゃあ帰りま……」
「おい! 待てい!」
 満足しては、はい終わり――とはいかないもので。
 忘れないで頂きたい。
 この後に怪異退治の仕事が残っていると言うことを。
 くるりと、縁日に背を向け帰ろうとするヘスティアの頭をガシッと千里が掴んで離さない。
「この後の仕事、忘れてるわけないやろなぁ?」
「おほほほ、そのようなことございませんことよ?」
 じぃーっと訝しんだ目線で見られれば、ヘスティアの視線もすすーっとどこぞへと泳いでいく。
「えぇか、怪異退治終わるまでが縁日や」
「お家に帰るまでが遠足のノリで言わないでちょうだい」
 軽口叩き合い――本来の目的となる時間までもう少しだけ縁日を楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蔵座・国臣
オリヴィア(f04296)と

提灯、か。あの子は花だそうだから。蝶を選ぼうか。
ふむ………黄金。いや、そうだな、黄色など、あればそれを。

いや。オリヴィア。似合って、似合っているんだが。少し、目に毒だと、お兄さん思います。

気を取り直して食べ歩き。提灯があるので両手に食料とはいかんが…
ああ、遊んでる間くらいは、私が持ってよう。

射的もダーツも遊びだからなぁ。定められた威力と精度で、出来たり出来なかったりを楽しむものだ。
射的よりダーツの方がやりやすいみたいだな。どうかね、輪投げもあったぞ。

祭りの雰囲気が無ければ格段と評価は落ちるだろうなぁ。屋台の料理。
次は、流石に来年だろうか。…また、どこか行こうか。


オリヴィア・ローゼンタール
国臣さん(f07153)と

着物をアレンジした浴衣とギンランの花提灯
髪や浴衣に合わせて白系のお花です
どうですか、似合いますか?

国臣さんは落ち着いた色合いが大人っぽくてとても良いです!

露店食べ歩きです!
次々とくるくると、匠の技ですね……
タコ焼きが作られるのをしげしげと眺め

焼きとうもろこしやフランクフルトを食べつつ
腹ごなしというわけでもないですが遊び系も

射的……当たりませんね
ダーツ……槍投げとは使う技術が違いますが、なかなかのものです

露店の食べ物は大雑把な味ですが、これもお祭りの醍醐味というものなのでしょうね
何より国臣さんとご一緒というのが楽しいです!

えぇ、また次も……あ、冬に温泉なんていかがです?



●約束の灯火
「どうですか、国臣さん!」
「あー……そうだな、うん……いや、オリヴィア……似合って、似合っているんだが」
 渾身の今年の浴衣を披露するかのように、くるりと一回転。
 自信満々といったように、どやっ!とオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は笑みを浮かべた。
 それに相対する蔵座・国臣(装甲医療騎兵・f07153)の言葉は歯切れが悪く、視線も彷徨い気味である。
 そう、オリヴィアの浴衣はとても似合ってはいるのである……が。
 オリヴィアの銀の髪と合わさった白の生地に雪の結晶があしらわれた浴衣はとても涼しげ――そう、全体的に涼しげ仕様が過ぎているのである。
 肩もはだけた着崩しに、たわわなあれも見える谷間のセクシー感……浴衣の丈も膝上ミニで綺麗な御御足すらりである。
「その……とても涼しげだな、と言うか……少し、目に毒だと、お兄さん思います」
「そうですかねぇ? 私は結構気に入っているのですが」
 こう、なんとかマイルドにしながら伝えようとするものの、当のオリヴィアはこれはこれで気に入っている様子。
 万が一、と言うかこの格好で縁日に出向くのであればちょっとばかり邪な視線と遭遇することになるのは目に見えている。
 まぁ、オリヴィア相手に一般の人がどうこうできるとも思わないのだけれど。
「縁日……気合を入れねばならないな」
「そうですね! あ、国臣さんは落ち着いた色合いが大人っぽくてとても良いです!」
 縁日への気合の入れ方が二人にズレはありそうだが。
 そして、オリヴィアからも国臣への感想を。
 シンプルながらも緑のグラデーションにストライプ柄の落ち着いた雰囲気は国臣らしい一品だ。
「せっかくの縁日だからな。 それでは、どこから……」
「まずは提灯から行きましょう! 浴衣に合わせて白の花灯をと」
 オリヴィアの言葉に頷き、まずは二人揃って提灯の店に。
 そして、オリヴィアが選んだのは自身の白の浴衣に合わせたギンランの花灯。
 小さな白の灯が連なった可愛らしい花灯だ。
「オリヴィアが花なら私は蝶を選ぼうか。 ふむ……黄金……いや、そうだな……黄色の蝶があればそれを」
 せっかくならばと、国臣が選ぶのは黄色の蝶灯。
 オリヴィアの小さな花灯が連なるのと同じように小さな黄色の蝶が連なる提灯を。
「並べると可愛らしいですね!」
「そうだな……さて、それじゃ気を取り直して提灯と一緒に食べ歩きと行こうか」
 国臣の言葉に元気よく、はいっ!と頷き二人は並んで食べ歩きへ。
 提灯で片手が塞がっているので、両手いっぱいにとはいかないけれど――焼きとうもろこし、フランクフルトなど片手でも食べやすいものを中心に回っていく。
「はー……次々とテンポよくくるくると……これは匠の技ですね……たこ焼きも気になりますが器が必須なので食べにくいでしょうか」
「それならば交互に食べればいいのでは? 片方が食べている間は片方が持っていればいけるだろう」
「はい! では、国臣さんも一緒に!」
 せっかくなのだから、食べたいものを食べなさいと応じる様はまるで保護者の様。
 嬉しそうにお買い上げしたたこ焼きを一緒に頬張り、さて次は……と二人はどんどん出店を回っていく。
 そんな二人の目に止まったのは――。
「射的か」
「ダーツもありますね。 遊戯系もいくつかあるようですね」
 射的、そしてダーツはサムライエンパイア式か弓道の的を思わせるものになっている。
 こちらでは矢投げとなっているようだ。
「やってみるか?」
「そうですね……腹ごなしではないですが面白そうです、けど……」
 国臣の問いかけに、ふと視線が提灯へと。
 それに気付き、そっとオリヴィアの提灯を国臣が預かる。
「遊んでる間くらいは、私が持ってよう」
 それでは、一度遊んでみます!と射的と矢投げにそれぞれチャレンジしてみるものの――。
 射的の方は狙いはそこまで悪くはないが、的に当てるまでには至らず。
 矢投げに関しては、普段扱う槍での投擲技術もあるからか勝手は違うものの中央寄りに当てることができ中々の高得点を叩き出せていた。
「むむむ……射的の方はちょっと悔しい結果でしたねぇ」
「まぁ、どちらも遊びだからな。 定められた威力と精度で、出来たり出来なかったりを楽しむものだ」
 遊びと言えども少しばかり射的の結果は本人的には納得のいく結果ではなかったようで。
 少しばかり不服そうな顔を見せるオリヴィアに、国臣は気にするなと声をかけつつ一つ先の遊戯を指し示す。
「射的よりダーツの方がやりやすいみたいだな。 どうかね、輪投げもあったぞ」
「せっかくですから、こちらもチャレンジしてみましょう!」
 そうやって遊び、食べ歩きと楽しんでいるうちに空には大輪の花。
 花火を二人で眺めながら片手に提灯、片手に箸巻きを持ちしばしの一時を楽しむ。
「花火を見ながらこうやって露店のものを食べる……露店の食べ物は大雑把な味ですが、これもお祭りの醍醐味というものなのでしょうね」
 何より国臣さんとご一緒というのが楽しいです!そう告げて、オリヴィアが微笑む。
 素敵な景色、それを一緒に楽しめる相手がいてこそだと思うのだ。
「祭りの雰囲気が無ければ格段と評価は落ちるだろうなぁ……屋台の料理。 そうか、そう言ってもらえるのは嬉しいね」
 そう応えて、次は来年だろうかと思いを馳せる。
「……また、どこか行こうか」
「えぇ、また次も……あ、冬に温泉なんていかがです?」
 それも良さそうだな、なんて応えながら夏の終わりの一時を。
 次の約束を、花蝶の灯りと夜空の花灯りと共に――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
【竜鬼】

浴衣を着てリューさんとデートです!
リューさんは、この世界の縁日は初めてですか?
……実はわたしも初めてです。
(宿敵に命を狙われていた都合上長居できなかった)
というわけで、まずは目一杯楽しみましょう!

あれが、花灯と蝶灯……
どちらも綺麗ですねぇ。
折角ですし、組み合わせて一つになるのを買ってみませんか?
(その後リューさんの選んでくれた提灯にご満悦で縁日を回る)

二人でお団子食べたり、見晴らしの良い所へ行って花火を見たりして満喫
このまま帰りたく……もとい、お仕事行きたくないです。
(ぎゅっと抱きついてわがまま言ってみたり)
……なーんて、冗談です。
お仕事終わったら、改めて何処か行きませんか?


リューイン・ランサード
【竜鬼】

この世界でのお祭りは初めてです。依頼以外で来れて嬉しいです。
と、ひかるさんと縁日デートを楽しみます♪
(依頼内容を千夜子さんから聞いた気もしますが、ひかるさんの、桜花の精霊の様な愛らしい浴衣姿を見て忘れました。後で思い出します、多分。)

二つで一つになる提灯ですか、面白いですね。
ひかるさんは花が相応しいから、僕が蝶になるのが自然かな。
と、桜のイメージの花灯はひかるさん、青っぽい蝶(オオムラサキ)のイメージの蝶灯をリューインで購入し、二人腕を組んで縁日を練り歩きます。

ひとしきり見て回って、屋台でお団子買って(食べさし合いっこして)、二人花火を眺めて任務の時間が来るまで、お祭りを満喫します♪



●青蝶は桜と共に
「ほわぁ……」
 開幕一番に緩い感嘆の声をあげたのはリューイン・ランサード(竜の雛・f13950)――その視線の先には一人の少女。
「どうでしょう、リューさん……似合ってますか?」
 ちょこんと小首を傾げ、リューインを見上げるのは桜花の精霊さん(リューイン談)を思わせる桜色の浴衣ドレスに身を包んだ荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)だ。
 普段は下ろしている髪もお団子に、桜とフリルのあしらわれた浴衣に若草色の葉を思わせる帯で浴衣デートのためにおめかしした形だ。
「とても……とても、可愛いです……ッ!!」
 僕の彼女がとても可愛い。すごい。いつも可愛いけど滅茶苦茶可愛い。すごい。
 万感の想いが込められた褒め言葉にひかるも嬉しそうにはにかむ。
「リューさんは、この世界の縁日は初めてですか?」
「…………はっ! 見惚れてました。 えぇ、この世界でのお祭りは初めてです。 依頼以外で来れて嬉しいです」
 リューインの言葉に、ひかるも自身も同じだと伝える。
 生まれ故郷ではあるのだが、様々な事情で育ちは別世界なのだ。
 今回ようやくゆっくり過ごせる故郷の縁日――そして、隣には大好きな人。
「というわけで、まずは目一杯楽しみましょう!」
「(まずは……? まぁ、いいか!)そうですね! 行きましょう!」
 ひかるの言葉に頷き、リューインは笑顔で応えて手を差し出す。
 この少年――恋人の愛らしい姿の前に、この後に控えている怪異退治のことはすっかり忘れているのである。
 しかし、そのようなことはおくびにも出さず縁日を楽しむためにひかるをエスコートして歩き出したのであった。

「あ! リューさん、あれが花灯と蝶灯みたいですよ」
「へぇ……二つで一つになる提灯ですか、面白いですね」
 最初にやってきたのは目玉の花灯と蝶灯のお店だ。
 店には色々な種類の花灯と蝶灯が並んで優しい光で辺りを包んでいる。
「どちらも綺麗ですねぇ……折角ですし、組み合わせて一つになるのを買ってみませんか?」
「もちろんです! それならひかるさんが花灯がいいですね……だって、もう桜の精霊さんにしか見えませんから」
 照れ照れしながら伝えるリューインに、もうリューさんったら!とひかるもまんざらでもなさそうだ。
 まだ何も食べてないはずなのにお腹がいっぱいになってきた気がするのは気のせいか。ご馳走様です!!
 店のおじちゃんもなんだか幸せオーラに当てられているのかニコニコと優しく二人を見守っている。
「ですから、ひかるさんが花で僕が蝶になるのが自然かな……浴衣もですけれど、ひかるさんは桜色のイメージが強いから桜の花灯にしましょう」
 そう言って、まずはひかる用の花灯を一つ。
 浴衣に合わせて、葉桜を思わせる桜の花を集めて円形にし、その中に葉の緑も添えられた一品を。
「僕のは……青い蝶がいいな、オオムラサキのような蝶灯はあるかな……」
「あ、それならこれがいいんじゃないでしょうか」
 リューインのイメージする青の蝶灯を見つけ、ひかるが指を指す。
「うん、良さそうです! これをお願いします」
 それぞれの提灯を購入し、そっと二人の提灯を寄せてみる。
 桜の上にそっと留まる青き蝶。
 それは、桜に誘われたように。安らぎの場を見つけたかのようにそっと寄り添い互いに優しい灯りで照らし合う。
「綺麗ですね」
「はい、とっても……!」
 とても美しい光景、そしてそれを選んでくれたのは大好きな人――ひかるの満面の笑みをも蝶灯が優しく照らす。
 その嬉しさを隠すことなく、ギュッとその大好きな人の腕に自身の腕を絡ませて。
「では、デートの続きといきましょう?」
「えぇ、縁日の本番はこれからですから」

 二人並んで縁日を満喫。
 一緒に射的を楽しんだり、美味しそうな屋台へと。
 色々と見て回りつつ、小休憩も兼ねてお団子と共に見晴らしの良い場所へ。
 お団子を買った店で教えてもらったのだ――そろそろ花火が打ち上がる頃だと。
 そして、花火が上がるまでは――。
「はい、リューさん。 あーん」
「あーん」
 ご馳走様です。
 間違えました。まだ食べる前です、二人で食べさせ合いながら過ごすお団子より甘い一時。
 見る人が見たら爆発してしまうかもしれない。
「はい、次はひかるさんですよ。 あーん」
「あーん……ふふ、いつもより美味しく感じますね」
 そんなことをしているうちに空に打ち上げられる大輪の花。
 空に鮮やかに咲き誇る煌く花と、地上で優しく灯る花に包まれて――。
「このまま帰りたく……もとい、お仕事行きたくないです」
 ぎゅっと、リューインに抱きついて可愛い我儘。
 もう少し、この楽しい時間が続けばいいのに。
「え、お仕事……? あっ!!」
「……リューさん……ふふっ、本当にもう……しょうがないですねぇ」
 そんな我儘と甘い空間をうっかりブレイク。
 一瞬、ぱちくりと目を見開くものの堪え切れずクスクスとひかるが笑う。
 なんだかそれも、彼らしいなと思ってしまったのだ。
 だから――。
「お仕事終わったら、改めて何処か行きませんか?」
「もちろん! ひかるさんとならいつでも、何処にでも!」
 リューインの即答にまたひかるの笑みが深まる。
 こてん、とその肩に頭を乗せもう少しだけ――甘い時間を。
 新しい楽しみの約束を胸に秘めながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・◎

■行動
縁日、ですかぁ。
楽しそうですねぇ。

折角ですから『提灯』を探しに参りましょう。

『虹の七色』をそれぞれ『火袋』の色に使用した、お揃いの『花灯』が有りますねぇ。
花は『木槿』、花の色は共通で『白』ですかぁ。
色々としっくりきますし、此方を購入させていただきましょう。
私は『紫』に火を灯して持参し、残りの『六色』の品は【豊艶界】の『倉庫』に入れてお土産にしますねぇ。

後は『イカ焼き』等の片手でいただける品を中心に、ゆっくりと食べ歩きしましょうかぁ。
途中、6~7名程が『お揃い』で使えそうな品が有りましたら、其方もお土産に購入して【豊艶界】へ。

時間まで、楽しませていただきますねぇ。



●皆へと送る虹灯
「縁日、ですかぁ……楽しそうですねぇ」
 人波は途切れることなく、活気付いた出店の数々、響き渡る楽しげな声――縁日の様子を眺めながら、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はにこやかに眺めていた。
「こうやって皆さんが楽しんでいるのですから、邪魔をさせるわけにはいきませんね」
 この場に現れるという怪異の存在。
 彼らが気付くことなく、楽しい時間を過ごせるようにるこるたちがこの場にいるのだ。
 しかし、その時間まではまだもう少し――。
「折角ですから私も楽しませていただきましょう。 まずは、提灯探しに参りましょう」
 そう小さく呟き、るこるも人の集まる場所へと。
 皆縁日を回る前に提灯屋に寄るようで、皆どれにしようかと花灯に蝶灯を吟味している。
「わぁ……本当に種類が豊富ですねぇ……」
 花灯と蝶灯のセットもあるようだが、るこるが欲しいのはここにはいない人たちと一緒に持ちたいもの。
 だから、できれば同じ花で色違いのものがいい。
「あ、こちらは火袋の色が虹色なんですねぇ」
「そうだよ。 全体に色がついているのもあるけれど、これは火袋がそれぞれ違っているやつだね」
 るこるの目に止まったのは木槿の花灯。
 花の色はどれも白、違いは火袋の色で全部で七色――虹を思わせる色合いだ。
「えぇ、これが良さそうです。 それぞれの色を一つずつ頂けますか?」
「はいよ、全部で七つだね……って、大丈夫!? 持てる!?」
 大量にお買い上げありがとうございます!とご機嫌だった店主もるこるが一人だということに気付くと心配そうに声をかける。
 そこまで大きくないとはいえ、もともとそれぞれが一人で持つようの提灯だ。
 流石にそれを合計六つ持つのは難しいのでは、店主が心配するのも無理はないことである。
「そこはご心配なく〜。 あ、その紫のものを持って縁日を回ろうと思いますので他の物から順番に頂いていいですかぁ?」
 そんな店主の心配をよそに、提灯を順番に『胸』の中に仕舞っていく。
 何が起こっているんだと周りがざわめくものの、るこるは気にしない。
 これはユーベルコードの力、もとい豊乳女神の加護の一つである。
「はい、これで最後ですね〜……ありがとうございました〜」
「お、おう……嬢ちゃんも楽しんでおいで……」
 呆気に取られる人々を背に、紫の木槿の花灯を片手にるこるは縁日を巡る。
 提灯を持っていることから片手で食べやすいものを選びながらるこるが探すのは――。
「あらぁ……蝶のお守りですかぁ」
 目についたのは小さな花と蝶のお守り。
 花灯と蝶灯にあやかってか、花や蝶のデザインのものが多く並べられているようだった。
「提灯も花と蝶でセットだったようですし……こちらは蝶をいただくことにしましょう」
 選ぶのは花灯とお揃いの虹色で。
 自分が楽しむだけでなく、この後皆で共有できるように。
 るこるの中にはいつも誰かへの想いがある。
「これでお土産もバッチリですね……それでは、時間までもう少し楽しませていただきますねぇ」
 お土産もしっかりと胸へと仕舞い込み、空を彩る大輪の花を眺めながら時間まで楽しい一時を過ごすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリザベート・ブラウ
シオさん(f15252)とリュリュさん(f19571)と

肌を刺す日差しも落ち着いて、久しぶりのおでかけ
3人でおでかけは初めてね
ふふ、とても嬉しい
紺地に青と薔薇色の蝶が舞う浴衣で馳せ参じれば、身も心も華やいで

さあ、何をしようか?
わたしはね…あの水の中を悠々と泳ぐ金魚が欲しいわ
わたしたちのいる温室の蝶たちとも、仲良くしてくれそうでしょ?

真っ赤な尾ひれをひらひらさせるあの子に決めた
狙うは貴方だけ
密やかに近づいて
…あら、意外とむつかしいのね
けれど諦めないわ
貴方がほしい
おふたりの手つきも真似ながら
今度はうまくいくかしら?

灯は青い蝶の朧に耀うものを
おふたりが選んだものもとても素敵
蝶もひらりと寄り添うほどに


リュシエンヌ・ラブラシュリ
シオさま(f15252)、リズさま(f20305)とご一緒に

浴衣は桜色に花が舞う華やかなもので
ええ、三人でのお出かけは初めてで嬉しいですわ
頬を撫でる風は秋風
このようなお祭りは初めてですので、浮足立ちます

提灯は花灯をいただけますかしら
できれば百合を逆さにしたようなデザインのもの
きっと綺麗だと思いますのよ
三人の灯りを合わせてしばらく見惚れましょうか

まあ、金魚も初めて見ました
美しい魚なのですね
ふふ、まるで着物を着て舞っているみたいですわ
これをすくえる?のでしょうか?
ええ、温室に是非連れて帰りたい子たち
赤の子も黒の子も、仲良く連れて帰りましょう

…難しいですのね(むむむ)


プラシオライト・エターナルバド
リズ様(f20305)、リュリュ様(f19571)と

クリスタの生地に紫の花蝶が舞う浴衣を着用

お二人共お美しいです
庭園から飛び出した蝶と花に目を細め
普段と異なるお二人の浴衣姿をクロスでも記録

ご一緒出来て大変嬉しく
表情は変わらずとも、胸に灯るあたたかさを大切に抱いて

蝶灯と花灯、よくお似合いですね
自分は迷った末、花灯を手に
色と花の種類はおまかせ

本日は念動力を封印
自分の足で歩き、金魚すくいも自分の手で

確かポイの角度は斜めが鉄則とのことですよ
知識はあれど、実戦は難しく
誰かが赤の子をすくえたら
お見事ですと祝福して、再チャレンジ
一匹だけ連れて帰られるのは寂しいでしょう
どうかお仲間の黒の子もすくえますように



●花蝶と金魚
「あら……これって、意外とむつかしいのね」
「本当ですね……」
「確かポイの角度は斜めが鉄則とのことですよ」
 金魚掬いの出店の前で、綺麗な顔立ちを曇らせる少女が二人とそれを見守る女性が一人。
 ゆらゆらと赤と黒の尾を揺らし泳ぎ回る金魚たちとの戦いの火蓋が切って落とされていた。

 時間は少しだけ遡る――。
「肌を指す日差しも落ち着いて……良い頃合いとなりましたね」
 紺地に青と薔薇色の蝶が舞う落ち着いた雰囲気の浴衣を纏う少女はエリザベート・ブラウ(青の蝶・f20305)。
 彼女の言葉に頷き、隣に立つはリュシエンヌ・ラブラシュリ(空駆け・f19571)。
 リュシエンヌは愛らしい桜色に花が舞う華やかな浴衣姿。
「ええ、三人でのお出かけは初めてで嬉しいですわ」
「お二人共お美しいです……庭園から飛び出した蝶と花のようで」
 そんな二人を微笑ましく見守る女性がプラシオライト・エターナルバド(かわらないもの・f15252)。
 自身の水晶ドレスの生地に紫の花蝶をあしらった浴衣を纏い、その全てを記録するアメジストの聖痕で二人の姿を書き留めて。
 素敵な姿だけでなく、きっと素敵な想い出も記すことができるだろうと少しばかり心を踊らせる。
「お二人とご一緒出来て大変嬉しく……」
 もちろん、それはエリザベートとリュシエンヌも同じ気持ちである。
「ふふ、わたしもとても嬉しい」
「私もです。 それに、このようなお祭りは初めてですので」
 だからこそ、この三人で来れたことが嬉しいのだとリュシエンヌは微笑む。
 涼やかな秋風と共に揃い縁日へ向かった三人の目に止まったのは――。
「ねぇ、わたし……あれがしてみたいわ」
 エリザベートが指を指した先にあったのは金魚掬い。
「あの水の中を悠々と泳ぐ金魚が欲しいわ。 わたしたちのいる温室の蝶たちとも、仲良くしてくれそうでしょ?」
 いつも皆で過ごす場所、森の中にひっそり佇む硝子の温室。
 様々な花々の中を舞う蝶たち。
 あの子たちと一緒に、ひらりひらりと水槽の中を泳ぐ金魚を見てみたいと思ったのだ。
「まぁ、これが金魚……初めてみました。 美しい魚なのですね」
 とエリザベートの提案に頷きながらそっと水面を覗き込む。
 赤と黒の着物を翻して舞うかのように優雅に水面を泳ぐ金魚たちにリュシエンヌの瞳も奪われる。
「これをすくえる?のでしょうか?」
「そうですね、そちらのポイと呼ばれる物で掬えた子を持ち帰れるそうですよ」
 店主からポイを受け取りながらプラシオライトが答える。
 普段は念動力を使っているが、今宵は自分の足と自分の手で。
「私も知識としては知っていますが、実際にやってみるのは初めてで」
「では、一度試してみましょう! 私も温室に是非連れて帰りたいと思いますわ」
「そうね……わたしはあの子に決めた」
 真っ赤な大きな尾ひれをひらひら揺らめかせて泳ぐ可愛い子。
 それはまるで一目惚れのようで――狙うは、貴方だけ。
 そーっと、そーっと静かに密やかに赤き金魚にポイを近づけるものの――するりと金魚はすり抜け、へにゃりとポイが柔らかくなるのみ。

 そして、冒頭へと戻る。
 プラシオライトが自身の知識からアドバイスをしてみるものの、金魚掬いの経験はなく。
「こうすれば良いと……分かってはいても実践はかくも難しいものですね」
「むむむ……思いの外、難しいのですね」
「えぇ、ですが……」
 諦めません、とエリザベートも再び金魚へと向かい合う。
 それぞれチャレンジするリュシエンヌとプラシオライトの手つきも真似て、店主からのアドバイスも受けながらポイとお碗を寄せて――。
「(貴方が、ほしい)」
 どうしても、一緒に帰るのならばこの子がいい。
 その願いが通じたようで。
「掬えたわ!」
「リズ様、お見事です」
「おめでとうございます。 ですが、折角ですから赤の子も黒の子も、仲良く連れて帰りましょう」
 嬉しそうに微笑むエリザベートに二人からも祝福を。
 でも折角ならば、お友達も一緒にとリュシエンヌとプラシオライトももう一度金魚たちと向かい合う。
「一匹だけ連れて帰られるのは寂しいでしょう」
 どうかお仲間の黒の子もすくえますように――そう願いを込めて。
「そうだわ。 シオさま、二人で協力しましょう」
「協力、ですか?」
 リュシエンヌの申し出に、どのように?とプラシオライトが首を傾げた。
「私のポイであの黒い子を追い込んでみようと思いますの。 二人で挟み撃ちですわ!」
「わかりました。 頑張ってみましょう」
 あの子にお友達をと、二人でそっと息を合わせてポイで黒の金魚を囲うようにそっと、そっと――。
「うまくいきましたわ!」
「リュリュ様の提案のおかげですね」
 三人の元へ二匹の赤と黒の金魚がやってきた。
 温室での一時がまた素敵なものになる予感と共に。
 そして、後もう一つ皆で持ち帰りたい物――。
「この子たちと一緒に、最後は提灯ですね」
「えぇ! 花灯と蝶灯ですね、楽しみにしていましたの!」
「お二人はどのようなものにするか決まっておいでですか?」
 最後にやってくるは提灯屋。
 様々な種類の花灯と蝶灯が辺りを優しく照らす。
「私はもちろん――」
 ふふ、と笑いエリザベートが選ぶは青い蝶の朧に耀う蝶灯。
 やはり、蒼と蝶が彼女に似合うと二人も微笑む。
「リズさまらしい素敵な提灯ね。 私は花灯をいただけますかしら?」
 リュシエンヌが探すは百合を模したデザイン。
 それは、リュシエンヌの髪に咲く花と同じもの。
「百合でしたら……こちらですね」
「シオさま、ありがとうございます! きっと綺麗だと思っていたのです」
 プラシオライトが指し示した百合の花灯は百合を逆さにしたような形状で白の柔らかな光を灯す。
「シオさんは蝶灯と花灯はどちらに?」
「そう、ですね……お二人の蝶灯と花灯がよくお似合いだからこそ、どちらも素敵だなと迷うのですが……」
 エリザベートの問いに、少し考え込みながらもプラシオライトがそれぞれの花灯と蝶灯を見て回る。
 どれも綺麗だと思うからこそ、迷うのだけれども――。
「あぁ……この子にしましょうか」
 自身と同じ輝きを持った紫陽花の花灯。
 小さな花弁の灯りが集まり、穏やかな薄緑の光を放つ提灯は皆を見守るかのように。
「あぁ、おふたりが選んだものもとても素敵……ほら、蝶もひらりと寄り添うほどに」
 リュシエンヌとプラシオライトの花灯に寄り添うように、エリザベートの蝶灯が留まる。
 これからも三人で仲良くあれるように。
 暖かな灯りの下、微笑み合うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【双星】◎
マジで提灯がいっぱいで…
星空を散歩してるみたいだ

あ!あの花、アレスの花じゃねぇか?
ネモフィラみたいな花灯
優しい青がアレスみたいで
キラッキラの笑顔で指し示す
ふふん、ここは俺が買ってやろう
これ以上ないくらいアレスにぴったりな灯りを見つけたのが嬉しくて
それをあげられるのが嬉しくて
ご機嫌でアレスに差し出して

俺のはいいのに何て言えるわけもない
だってアレスと二人、灯りをもって歩く姿は想像するだけで楽しいから
だから――一番いいのを選んでくれよ
歌うようにそう告げる

貰った灯りを嬉しそうに掲げて
なぁアレス、蝶が迷わないように
お前の花にとめてくれる?
悪戯っぽく手を差し出す

また、増えたな
これから、の思い出が


アレクシス・ミラ
【双星】

温かな光が沢山…幻想的だね

僕の花?…ああ、本当だ
…こんなにも僕の花だと嬉しそうで
キラキラの笑顔で差し出されたら、受け取らない理由なんてない
君から“花”を貰うのは二度目だな
ありがとう、セリオス

…よければ、僕も君の提灯を選んでもいいかな
君と一緒に灯りを持って歩きたい
うん、任せて

一緒に歩く姿を想像しながら選ぶのは、何だか楽しくて
選んだのは、色んな表情を見せるように瞬く星空色の蝶灯
君には君みたいな色の羽かなって
僕にとっては一番で…とっておきの灯りだ

―勿論
差し出された手に
手を重ね、繋ぐ
…君の蝶が迷わぬように
此処にいるよ

きっとこれからも、…この先も
思い出が増えていく
そう思える事が…愛おしく感じる



●キミの灯火
「あ! あの花、アレスの花じゃねぇか?」
「僕の花?……あぁ、ネモフィラの花灯だね」
 優しい青の灯りで辺りを照らす瑠璃唐草――ネモフィラの花灯を指差し星の輝きにも負けぬキラキラの笑顔を見せるはセリオス・アリス(青宵の剣・f09573)。
 君は花の名前でなく、僕の花として覚えているのかとその笑みにつられるようにアレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)も微笑んだ。
 あの二人で見たネモフィラ畑の想い出と自身が結びついて、彼の中でネモフィラの花が特別なものになっているということが何よりアレクシスには嬉しい。
「ふふん、ここは俺が買ってやろう」
 アレクシスが何か言うより先に、ネモフィラの花灯を購入してニコニコの笑顔で花灯を手渡す。
 以前にアレクシスへ花を渡した時は彼らしいものを選ぶことはできなかった――ただただ、自身の感謝の気持ちや色々な想いを花束の形に乗せたもの。
 気持ちは十分に乗っているが、今回はこれ以上なく彼にぴったりな花灯を見つけることができたのだ。
「感謝して受け取れよな!」
 言葉は上からなものの、ご機嫌な様子に満面の笑み。
 それに応えるようにアレクシスも微笑み、その青き花灯を受け取る。
「もちろん、君からの贈り物――受け取らないわけないだろう?」
 そんなキラキラの笑顔で、嬉しそうに差し出されて受け取らない理由なんてないのだ。
「君から“花”を貰うのは二度目だな――ありがとう、セリオス」
「お、おう……」
 まぁ、アレクシスが忘れるわけなどないのだが。
 しっかりと二度目とカウントされてしまうと、セリオスとしても少しばかり照れ臭い。
 自分もあの時の花を思い出していたわけだが、こういう時まで以心伝心しなくてもいいのにな、とぽそりと。
「……よければ、僕も君の提灯を選んでもいいかな」
「はぁ!? 俺のは別に――」
 アレクシスの提案に思わず被りを振るが、その言葉は最後まで出ることはなく。
 だってアレスと二人、灯りをもって歩く姿は想像するだけで楽しいから。
 折角二人で来たのだ、この幻想的な灯りと共に一緒に歩きたい――それは紛れもなくセリオスの願い。
「僕が、君と一緒に灯りを持って歩きたいんだ」
 ネモフィラの花灯と同じように優しい笑顔でアレクシスが告げる。
 違うんだ、アレス。お前が『僕が』、と言ってくれているけれど――お前が願うように、俺だって。
「俺も、お前と一緒に灯りを持って歩きたい」
 だから――一番いいのを選んでくれよ。
 歌うように、その言葉は自分の願いも同じだと伝えるために告げる。
「うん、任せて」
 君が僕に一番似合うものがわかるように、君の一番がわかるのは僕でありたい。
 少しの欲と、これからの楽しみを思いながらアレクシスがセリオスにと選ぶのはくるくると色々な表情を見せる彼のように瞬く星空色の蝶灯。
「君には、君みたいな色の花かなって」
 僕にとっては一番で……とっておきの灯りだ。
 そう告げて、煌めきを灯す蝶灯を手渡す。
「……アレスのとっておきか、悪くねぇな!」
「ふふ、そうだろう?」
 悪くないに込められた『すごく嬉しい』の感情は、その表情を見れば明らかで。
 ほら、似合うだろ?と嬉しそうに蝶灯を掲げながらセリオスは笑う――アレクシスがその星空色を選んだようにキラキラの笑顔を見せながら。
「なぁ、アレス」
「なんだい、セリオス」
 片手に蝶灯を、そしてもう一つの手を差し出した。
「蝶が迷わないように、お前の花にとめてくれる?」
「――勿論」
 片手に花灯を、そしてもう一つの手で差し出された手を取って。
「……君の蝶が迷わぬように、此処にいるよ」
 いつでも、いつまでも。
 蝶がどこにいこうとも、必ず傍に。
 自由な蝶を繋ぎ止めるのでなく、帰るべき場所であるように。
「さぁ、行こうか」
「あぁ、他にも色々な提灯があるんだろ? 見に行こうぜ」
 ――そして、互いが互いに導き合う灯になるように。
 重ねた手をそっと握り、二人並んで歩いていく。
 いつもは、駆けるセリオスをアレクシスが追うことが多いけれども。
 同じ速度でゆっくりと――二人でこの時間を楽しみたいから。
 二人が向かうは縁日の屋台通りから少し離れたところにあるは提灯通り。
 縁日を楽しむ人たちの喧騒も聞こえるが、そこは名の通り様々な花灯と蝶灯が並べられた石畳の道。
 月明かりと、優しい灯りを灯す花と蝶が並びそこは幻想的な空間となっていた。
「マジで提灯がいっぱいで……星空を散歩してるみたいだ」
「温かな光が沢山……幻想的だね」
 左右どちらを見ても様々な百花繚乱の花灯に寄り添うように輝く蝶灯。
 そして、空を見上げれば――。
「お、花火だ!!」
「すごいな……どこを見ても綺麗だ」
 星空と一緒に輝く大輪の花。
 きっと、この光景もまた二人の大切な想い出となるのだろう。
「また、増えたな。 これから、の思い出が」
「そうだね……そして、きっとこれから……この先も」
 ――想い出が増えていく。
 そっと握られていた手をもう一度、ぎゅっと握って。
 きっとそれは約束というほどでもなく、当たり前の日常のように増えていくものなのだろう。
 それがとても、愛おしく感じる――そんな想いと共に視線が交わり二人は嬉しそうに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『雨告が羽』

POW   :    嵐軋みの夜戸
【広げた翼を嵐風を起こす巨大な翼】に変形し、自身の【雨雫の矢への耐性】を代償に、自身の【周囲に降る雨雫の矢】を強化する。
SPD   :    忌み雨の樋縁
【光を周囲から奪い、胸に抱いて動かぬ姿】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【雨雫の矢を降らせる『暗雲』】を放ち続ける。
WIZ   :    遠鳴りの呼鈴
【降る雨雫の矢】から【反響する雨音】を放ち、【空間の知覚能力にズレを生じさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●忍び寄る雨雲は
「あら? 折角星空が見えていたのに曇ってきたわねぇ」
「本当だ。 一雨くるのかしら」
 折角のお祭りなのにねぇ、と人々が残念そうに呟く。
 しかし、その雨雲は本来であればこの場にいないはずのもの。
 辺りを包むかのような黒い影。
 それは忍び寄る怪異の力。

 雨が降れば、皆が傍に来てくれるんだろう?
 こちらにおいで。一緒に雨宿りをしよう。
 そんな灯りの傍じゃなくて、ボクと一緒に過ごそう。
 だって――。


 一人は寂しいじゃないか。


 雨を呼び、人を攫う怪異――雨告が羽がそこまで迫っていた。

 =========================

 プレイング受付期間:9/26(土)8:31〜9/28(月)21:00頃まで予定。
木常野・都月


貴方は、人と同じなのか。
1人は寂しい、群れる種族なのか。

俺は最初、寂しいが分からなかった。
野生の狐は、子育て以外は群れない。
1匹で生きて行く種族だったから。

でも、今の俺は、寂しいを知っている。
狐だった俺に、寂しいを教えてくれたのは、死んだじいさんだった。

骸の海に帰るんだ。
きっと、貴方の仲間はそこにいる。
俺のじいさんも、多分そこにいる。

闇の精霊様の[属性攻撃、催眠術]で、雨を降らせる怪異を包みたい。

闇は骸の海に繋がっている。
道は暗いけど、そのまま進んでいって欲しい。

いつか全ての命が辿り着く骸の海で、ゆっくり眠って欲しい。
おやすみなさい。



●寄り添う想い
 しとしとと、冷たい雨が降り頻る。
 暗闇にぼんやり見える不思議な光と、傍によるものを包み込もうとする黒き翼。
『オイデ、オイデ』
 雨は冷たいでしょう、寒いでしょう。
 さぁ、こちらへいらっしゃい。
 発する言葉は拙いけれど、心に語りかけるように――身体に当たる雨からその気持ちが流れ込む。
 その『寂しい心』に向き合うように雨に打たれることも気にせず都月は雨告が羽に対峙する。
「貴方は、人と同じなのか」
『ヒト、オナジ? ヒト、スキ ヒトリ、イヤ』
 都月の問いを正しく理解できているのかは分からない。
 怪異が告げる『好き』はすでに歪んでしまっているものかもしれない。
 それでも――。
「一人は寂しいよな……」
 都月は狐として生きてきた期間がある。
 野生の狐は、子育て以外では群れることはない。基本的には一匹で生きていく獣だ。
 それでも、今の都月は『寂しい』という感情を知っている。
 自身を優しく包んでくれた人がいた、誰かと一緒に過ごす時間が温かいものだと教えてくれた人がいた。
 今はもう傍にいない、大好きな人(じいさん)――。
「寂しいは分かるよ。 でもな、貴方の居場所はここじゃない……貴方の仲間のところへお還り」
『イヤ イッショ クル』
 貴方の還る場所は、ここではない――骸の海だと告げる。
 それに被りを振るかのように雨告が羽は拒絶する。
 一人は嫌だ、一緒に来るのだとさらに雨を降らせていく。
 響く雨音は、誘いの音。
 ここではないどこかへ、雨告が羽の元へと――怪異と一つになるように。
 おいで、おいでと雨が降る。
「俺は一緒にいけない。 俺のじいさんもそこにいるかもしれないけど」
 もう一度、会いたいとも思うけれど――。
 その気持ちを、導きの灯りにして雨告が羽を送り出す。
「闇の精霊様、そしてチィ――力を貸して欲しい」
 都月の願いに応えるように闇の精霊と月の精霊の子供がその力で怪異を優しく包んでいく。
 夜の闇は穏やかな黒、優しい眠りに導く黒き送り路へ。
 月の光は暖かな白、仲間の元へと続く白の彼岸花へ。
「闇は骸の海に繋がっている。 道は暗いけど、月の花が一緒に仲間のところまで案内してくれる――そのまま進んでいって欲しい」
 スッと、昏き闇のその先へ指を指し示す。
 貴方の居場所はあちらにあると。
『ハナ イッショ サビシ、クナイ?』
「あぁ、貴方と一緒に仲間の元へと連れて行ってくれる」
 ふわりと、闇と一つになりながら寂しがりの怪異は小さく呟いた。
 都月の言葉に応えるように、白の彼岸花も優しく光を放つ。
「闇の先で、仲間と俺のじいさんが待っててくれる。 じいさんは子守唄が上手だったんだ。 貴方にもきっと優しく歌ってくれる」
 だから――いつか全ての命が辿り着く骸の海で、ゆっくり眠って欲しい。
 おやすみなさい。
 貴方が穏やかに眠れるよう、寂しさを教えてくれたじいさんが自分にそう声をかけてくれた時のように優しく語りかけながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
オブリビオンが出る前にいつもの服に着替えておく。

なんか普段の戦い方ができなさそうでやりにくい相手だな。
ただの雨なら逆に気配を隠してくれるんだが。

基本存在感を消し目立たない様に立ち回る。そして可能な限りマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC剣刃一閃で攻撃。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛耐性で耐える。
雨雫の矢は避けにくいだろうが、その分威力が小さめとみるがどうだろう?

確かに一人は寂しい。
でも俺の感じる寂しさとは違うから、きっと真には理解できない。



●静やかな送り人
「浴衣から着替えてて正解だったな……」
 大雨とはいかないが、ぱらぱらと止むことなく降る雨の中、瑞樹が小さく呟いた。
 普段の動きやすい軽装に身を包み、その手には愛刀の『胡』と『黒鵺』が握られる。
「なんか普段の戦い方ができなさそうでやりにくい相手だな……」
 雨と共に降ってくるは雨告が羽の感情か。
 寂しい。
 悲しい。
 誰か傍にいて。
「ただの雨なら逆に気配を隠してくれるんだが」
 まるで感情の矢のように、瑞樹の思考にノイズを走らせる。
 先へ進めば進むほど、その威力は増し感情の矢だったものが研ぎ澄まされた雨雫の矢となり瑞樹を貫かんと降り注ぐ。
 傍にいて――その願いに反した拒絶の暴風雨を巻き起こす存在を瑞樹の瞳が捉えた。
「まるで感情のままに暴れているようだな」
 駄々っ子か何かか、それが瑞樹が雨告が羽に抱いた印象だ。
 まだ瑞樹の存在には気付いてはいなさそうだが、瑞樹をはじめ複数の猟兵たちの――自分に仇なす存在の気配を察しているのだろう。
 一緒にいてくれない人はいらない。
 癇癪をあげて泣き叫ぶかのように、近付く者を傷つけるかのようにその大きな翼をはためかせて雨雫の矢を放ち続ける。
「全く、厄介な相手だな……」
 駆ける音は暴風に掻き消されるように、降り注ぐ雨雫の矢も流れる水の如く二刀の刃で受け流しながら自身の気配は極力消して雨告が羽へと接近する。
 それでも、休むことなく降り注ぐ雨を全て躱すことは至難の技。
「(くっ……無傷とはいかないか……それでも、この程度なら……!!)」
 雨雫の矢は、雨告が羽自身をも傷つける諸刃の矢。
 自身への耐性を捨て、全てを拒絶する矢の雨嵐。
 確かに、高威力の雨雫の矢ではあるが大量にその雨矢を降らせているからか一矢で致命傷を負うものではない。
 うまく避け、斬り払いつつ進めばなんとかなる。
「近付けさえすれば――こちらのものッ!!」
 背後に回り込み、剣刃一閃――胡と黒鵺により雨告が羽の両翼を斬り落とす。
『ア……アァ……イヤ……ヒトリ……イヤ』
 その刃に付随する痺れに震えながら、雨告が羽が声を上げる。
「あぁ、確かに一人は寂しい……誰かに傍にいて欲しい、そういう気持ちは分かるさ」
 ――あぁ、それならば。
 地に落ちた雨告が羽が瑞樹を見上げるかのようにその頭を上げた。
「でも――俺の感じる寂しさとは違うから」
 お前のように、そうやってまで誰かを求めてしまうような身を滅ぼすような感情とは。
「――きっと真には理解できない」
 それは情けか、それとも――。
 最後の一太刀を浴びせ雨告が羽を骸の海へと帰した瑞樹の表情を窺い知るものはこの場にはいなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール

さて、お仕事の時間ですね

舞うように(氷嵐神楽・ダンス)軽やかに駆け抜ける(ダッシュ)
掌から極寒の嵐を放ち(全力魔法)、降り注ぐ雨雫の矢と暗雲を弾き飛ばす(吹き飛ばし)
宙を舞うならば風圧の影響は大きい筈
嵐で【体勢を崩し】たところへ、追い風(天候操作)で強化した【ジャンプ】で迫り、冷気を纏った拳で殴りつけ蹴り落とす(空中戦・属性攻撃・踏みつけ)
冷気によって生成したツララを【怪力】で【投擲】して【串刺し】【貫通攻撃】

一人が寂しいのは理解できます
しかし、雨を降らせ温もりを奪い、それで一緒にいようなどと……そういうのはマッチポンプというのです!


蔵座・国臣


縁日の主催側には話が通っているんだろうか。雨が怪異由来であること、怪異がいる方向。参加者の帰路を反対方向になるよう誘導出来ないか話しておこう。天下自在符もあるしな。
会場に辿り着く前に倒すつもりではあるが、迷い込んだ一般人の犠牲者など出したくない。

話を終えれば。オリヴィアの座標に転移して戦線に参加する。
敵の基本攻撃手段が範囲攻撃な上に飛ぶからなぁ…
全体を見つつ転移からの一時的な壁役とナノマシンによる回復を主体に活動する。特にWIZ動作で動きを封じられた猟兵優先で庇えるようにしよう。
攻撃は接近された時、くらいだな。大技前の溜めの間に壁やる方が役に立てるだろう。


ネーヴェ・ノアイユ
約束を果たすためにお店周りをしていましたので……。頭には猫面。右手に青い蝶灯。左手にはヨーヨーとリンゴ飴を持った状態で駆けつけます。

楽しそうな笑顔溢れるお祭りが中止になってしまなわいように微力ながら私もお力添えをさせていただきますね……!
此度のお相手様の扱う雨……。氷壁による盾受けにて直接的なダメージはある程度防ぐことが出来ても反響する雨音による知覚のズレが厄介ですね……。精密な攻撃を行うには少々厳しい状況ですので……。ここは私も氷の鋏の雨による広範囲への攻撃にて対処をさせていただきます。

一人は寂しいですよね……。ですが……。このような方法ではきっとあなた様達も救われないと思うのです……。




「さて……お仕事の時間ですね」
「そうだな、雨雲の方向は……あちらか」
 縁日の会場から少しばかり離れた方角からこちらに向かってくる雨雲をその視界に捉え、オリヴィアと国臣は目を見合わせた。
「さて、オリヴィア。 私は念のためこちらの状況を確認してから向かおうと思う」
 自身やオリヴィア、他の猟兵たちの存在もあれば怪異が会場に辿り着く前に倒せる見込みではあるがどのようなアクシンデントがあるか分からない。
 極力被害を出さぬよう、打てる手は打っておくべきだとの考えを国臣が伝える。
「オリヴィアが先行してくれていれば私には鉄彦があるからな。 座標さえ抑えれば合流はすぐにでも可能だ」
「わかりました、先陣はお任せ下さい!」
 国臣の言葉に頷き、オリヴィアは即座に雨雲の方角へ向かい駆け出した。

 一人、縁日の会場に残った国臣はまず縁日の主催の元へと向かう。
 縁日の会場全体にアナウンスをして変に怖らがらせる必要はないがあの方角に人が向かわないようにだけはしておきたい。
「すまない、今回の縁日の主催はどなたかな?」
「私ですよ。 何かお困りごとがありましたかな?」
 祭りの主催は近くの寺の住職だったようで、国臣の呼びかけに応えて柔和な笑みを浮かべて姿を見せた。
「えぇ、少しばかり協力して頂きたいことが――」
 天下自在符を見せ、自身の身分も示しながら国臣が簡単に状況を説明していく。
 自分たちは縁日に迫る怪異を退治しにきたこと。
 縁日の皆が楽しい想い出のまま終われるようこちらに被害を出さぬよう動きたいため怪異が現れる方角には人を近付けさせないで欲しいこと。
 怖がらせぬよう注意を払いながら対策を依頼する。
「なるほど。 把握致しました……こちらの対応は我々の方で手を打っておきましょう」
 どうぞ、この縁日を皆の想い出をよろしくお願い致しますと住職が深々と頭を下げる。
「えぇ、もちろんです。 そのためにここに来たのですから」
 これで後方の憂いはなくなった。
 あとは大元の対処をするのみ――。
 宇宙バイク『鉄彦』に跨り国臣はオリヴィアの後を追う。

 一方、先陣を切っていたオリヴィアは自身の視界の先に白き小さな影を捉える。
「おや?」
 その白き影はオリヴィアと同じように白の浴衣を纏い――頭には猫のお面、右手には提灯屋で手に入れた青い蝶灯、左手にはヨーヨーとリンゴ飴とお祭り満喫スタイルで駆ける少女の姿。
「お祭り、楽しまれたのですね」
「あ……えっと、その……いっぱいお店を回ると、約束……したものですから……」
 目指す方角は同じ、ということであれば互いに猟兵なのであろうとオリヴィアが優しく声をかければ、白き少女ネーヴェも少し照れた様子で応じた。
「せっかくのお祭りですからね、楽しんでこそですよ! ですから、ここでしっかり止めてみせましょう!」
「……はいっ!! 楽しそうな笑顔溢れるお祭りが中止になってしまなわいように微力ながら私もお力添えをさせていただきますね……!」
 互いに想いは同じ。
 二人頷き、道を駆ければ次第にその雨足が強くなっていく。
「……相手は雨を操る怪異とのこと、少しでも雨を防げるよう……」
 ネーヴェがその力を込め、氷壁を自身とオリヴィアの頭上に展開。
 大きな氷の傘のように広げ二人をその雨雫の矢から守る。
「なんと! 貴女も氷の力をお使いでしたか!」
「貴女も……と、いう事は……」
 ネージュの言葉にその白き浴衣をひらめかせ、オリヴィアが微笑んだ。
「えぇ、私も氷雪の力を扱えるのです。 この浴衣も雪女のようでしょう?」
「なるほど……!」
 雪女の仮装をしたのは昨年のハロウィンであったけれども、そこから着想を得ての今年の浴衣だ。
 同じ力の使い手がいるとは心強いとネーヴェも嬉しそうに微笑む。
「ちなみに、この氷の傘……複数作り出す事は可能ですか?」
「は、はい……問題なくできるかと……っ!!」
 ネーヴェの力強い返答にオリヴィアが頷く。
 軽く耳打ちをし――。
「では、お願いします!」
「……お任せください……!!」
 二人を待ち構えていた雨告が羽――星空の輝き、ネーヴェの持っていた青蝶灯の光をも吸収しそれを大事そうに抱えながら空へと舞う。
「させませんよ! ネーヴェさん!!」
「はい! 足場は……私が……!!」
 オリヴィアの掛け声に合わせて、ネーヴェが氷壁を多数展開しオリヴィアが空を駆けるための氷の階段を作り上げる。
 そこを軽やかにオリヴィアが駆け上がる。
 くるりくるりと舞い踊り、神に祈りを捧げるように。
「まずは一発――喰らってください!! 氷の嵐よ、吹き荒れろ。 我が意に従いて、万象凍結の霊威を示せ――!」
 立ち込める雨雲も、放たれる雨雫の矢ごとなぎ払うかのように初撃から全力の雪嵐を。
 夏の終わり、秋の訪れを感じる時期であったはずが一瞬で極寒の地と思わせるような吹雪が吹き荒れる。
 雨告が羽も雨雲を呼び寄せて雨雫の矢で押し返そうとするものの圧倒的な力でねじ伏せるかの如く氷雪が舞う。
「オリヴィア様……すごい……私も負けてはいられない、のですが……!」
 オリヴィアの足場を形成しながらも、攻撃の一手をとその手には氷鋏が握られるが、オリヴィアの吹雪と相対する雨雫の矢による反響音で的確に狙いを絞り込めない。
 下手に撃てばオリヴィアも巻き込んでしまうかもしれない――その想いからネーヴェは援護に回らざるを得ない。
「それでは、選手交代――彼女の援護は私が変わろう」
「国臣さん!!」
 宇宙バイクに跨り、一瞬にしてオリヴィアの隣へと現れた国臣の姿にオリヴィアも嬉しそうに笑みを浮かべた。
 氷壁の足場から、宇宙バイク――鉄彦のサイドカーへと飛び乗り再度空を駆ける。
「あの怪異の攻撃は俺が引き受けよう。 その隙に!」
「えぇ、次で仕留めます! ネージュさん!」
「……はいっ! オリヴィア様に、合わせます……!!」
 鉄彦で雨告が羽の周りを旋回し、国臣が敵の注意を逸らしながらオリヴィアを上空へと連れ立つ。
「頼むぞ、オリヴィア」
「お任せください!」
 サイドカーから飛び出しながら、自身に風を纏わせさらに上へ。
 また国臣が雨告が羽の気を引いている内にその風を追い風とし一気に雨告が羽へと詰め寄る。
 そして、ネージュもまた地上から多数の氷鋏を生成しオリヴィアのタイミングに合わせるべく準備を整えていた。
「一人が寂しいのは理解できます。 しかし、雨を降らせ温もりを奪い、それで一緒にいようなどと……そういうのはマッチポンプというのです!」
 自身の加速と共に、冷気で生成した巨大氷柱を全力で雨告が羽へと投げつける。
「一人は寂しいですよね……ですが……このような方法ではきっとあなた様達も救われないと思うのです……」
 だから、貴方様がこれ以上間違いを犯さぬように。
 ここで終わらせます、数多の氷鋏をネーヴェが一斉に地上から放つ。
 上空からは氷柱、地上からは避けきれぬほどの氷鋏。
 国臣も空間転移を使用し雨告が羽の傍からオリヴィアの元へと。
 圧倒的な氷の力で貫かれ、雨告が羽はその姿を保つ事はできずに影となり消えて行く。
 空には星空が、ネーヴェの青蝶灯にも光が灯り――雨告が羽が骸の海へと還ったことを教えてくれるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

朱雀・慧華
【夏光】

な、なんか可哀そうな敵だけど…
折角綺麗な浴衣着たのに、濡れちゃったら大変じゃん
めっ、だよ?

【指定UC】発動と同時に翼で飛行
★ローラーシューズで虹を描きながら
★七色空絵筆で頭上に【オーラ防御】を張った実態のある大傘を描くよ
色は快晴の青空!
私の絵の具は天上の景色をそのまま映し出す
爽やかな青に流れる白い雲
雨はいつか止むんだよ!

雨雫の矢は厄介だけど貫通して来れる?

さぁ、反撃だよ!!
そこら中の空間に空飛ぶ動物達を描き
夏輝自身にも浮遊力を与えつつサポートをお願い

勿論私も★ティアマトの杖から放つ雷の【属性攻撃】で
あわよくば麻痺による動作停止を狙って援護
だって貴方濡れてるもんね!


小林・夏輝
【夏光】

随分湿っぽい奴だなぁ…
そんなんだから友達できねーんだぞ
まずは自分から笑顔で話しかける!
積極性は大事だぜ?

なんて【コミュ力】を見せつけつつ
ロケランモードに変形させた★カラクリバットからの【援護射撃】で
周囲に被害を出さない程度に敵付近で爆発狙い
目的は当然気を引くこと
慧華のお絵かき待ちもあるけど
★改造腕時計のワイヤーを敵に巻き付け動きを封じる作戦

リード握られてりゃ
どんな飛翔能力も関係無ェだろ
思いっきりワイヤーを引き寄せながら
慧華が召喚した動物の背を借り雨告が羽に急接近
【指定UC】で思いっきりフルスイング

一人が寂しいのはわからんでもないけど
根本的にやり方間違ってるのに手加減は出来ねぇかな




『サビシイ サビシイ』
『ココニイテ』
『イッショニイテ』
 怪異の悲しい、寂しいその想いは暴走して辺りを巻き込んでいく。
 輝く星空の光を暗闇で覆い隠し、夏輝や慧華の持っていた提灯の灯りをも奪い去り大事に大事に抱え込む。
『モット モット』
『イッパイ イル サビシクナイ』
「な、何か可哀想な敵だけど……人のものを取ったり、せっかく綺麗な浴衣は着たんだから濡れたら大変じゃん」
「随分湿っぽい奴だなぁ……そんなんだから友達できねーんだぞ」
 まずは自分から笑顔で話しかける、積極性が友達を増やすコツだぜ!なんて告げて見れば。
『カオ?』
『カオ ドコ?』
「あー!! ほら、そうやって顔が見えないのがダメなんだってー!!」
 影が鳥を思わせるような形で具現化した雨告が羽、ぼんやりとしたその姿に顔らしきものは見当たらない。
 夏輝の指摘に若干戸惑いのような感情を紛れ込ませる。
 その感情を、雨雫の矢に乗せて――ザァザァと降らせていく。
「もう! そうやって人を困らせる雨なんて降らせちゃ……めっ、だよ?」
 雨から守るように、まず取り出した七色空絵筆で描くは青空の大傘。
 空舞う傘は、慧華と夏輝の上をくるくる回りながら雨雫の矢からその身を守る。
「夏輝!」
「おう、任せとけ! せっかくだから、俺と遊んでみようぜ!」
 そう言って構えるは、カラクリバット。
 それでフルスイングでも見せるのかと思いきや――カシャン、カシャンと変形していきバットであったはずのそれはロケットランチャーへと。
「ほらほら、こっちこっち!」
 縁日を楽しむ人たちを驚かせないように、あまり音が煩くない弾丸を放ちながら気を引いていく。
『イタイ イタイ』
『イタイ キライ』
 自身へ攻撃を行う夏輝を標的に定め、雨告が羽は光を抱えながら夏輝の元へと飛翔を始める。
 その隙にと、虹色の軌跡で空を彩りながら空中を滑走するのは慧華だ。
 全てを覆い隠してしまう雨雲を塗り替えるように。
 空を輝く青空へと染め上げていく。
『ソラ アオ ダメ』
『ハレ ミナ キテ クレナイ』
「自分たちのダメばっかり! 痛いの嫌いだけど、そうやって痛いのを降らせるんでしょう?」
 小さな子供が駄々をこねるかのように自分のイヤを発散する。
 もしかしたら、怪異に成り果てる前は小さな子供だったのかもしれないと、そう思うほど行動は幼稚で自己中心的――だからこそ、このままにしておけばこの縁日に来ている人たちだけでなく、もっと被害が広がっていく。
 それを見過ごすわけにはいかない。
「貴方たちの好き放題させるわけにはいかないの!」
 夜空を覆う雨雲を快晴の空色で塗り替え、爽やかな青空に真っ白な雲を添えていく。
 爽やかな夏の青空から、澄み渡る秋の青空へと――慧華は絵筆を走らせる。
「悲しい雨はさよなら――雨はいつか止むんだよ!」
 雨雫の矢を放っていた雨雲を全て塗り替え、高らかに慧華が告げる。
 立ち止まり、進むことなく停滞するものはその先にある光景を見にいくことはできないと。
「そういうこと! そんなに辛気臭いままじゃ誰も寄ってこないぜ!」
 準備は整った。
 改造腕時計の狙いを飛翔する雨告が羽へ向け、ワイヤーを射出。
 勢いよく飛び出たワイヤーは、雨告が羽を絡め取りその動きを阻害する。
「反撃開始だよ!」
「もう好きにはさせないぜ! こうやってリード握られてりゃ満足に空も飛べないだろ」
 ワイヤーから逃れようともがけばもがくほどワイヤーは絡みつき、その身体を拘束する。
 その隙に、青空を描き終えた慧華が次に描いていくのは可愛らしい動物たち。
「皆、夏輝を怪異のところまで連れて行ってあげて!」
 休むことなく動物たちが描かれれば、ぽこんぽこんと実体化し空浮く雨告が羽への道を作る。
「サンキュー、慧華! ちょっと背中を失礼するぜ!」
 動物たちの背を空中階段のように夏輝が駆け上がる。
 そして、こちらが近付くのと合わせて思い切りワイヤーを引っ張り雨告が羽を自身の元へと引き寄せ――。
「一人が寂しいのはわからんでもないけど……根本的にやり方間違ってるのに手加減は出来ねぇ、かなっと!!」
 気持ちは理解できても、そのやり方を許容するわけにはいかない。
 夏輝の言葉に頷き、慧華も自身の杖を空へと掲げた。
「貴方のやり方じゃまた悲しむ人が出ちゃうから!」
 杖から放たれる雷は雨告が羽自身が降らした雨の滴を伝い、雨告が羽を貫く。
 そのタイミングに合わせて、ワイヤーを解除し夏輝も雨告が羽に向けてカラクリバットをフルスイング。
 思い切り地面に向けて叩き落とす。
『ソラ アオイ……』
『アァ……アメガ……フラ、ナイ……』
 雨告が羽の身体から滴が伝う。
 それは、先ほどまでの雨の名残かそれとも――。
 その一滴の滴と共に怪異は夜の闇に溶け込むかのように消えて行った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・◎

■行動
どうやら、お時間の様ですねぇ。
対処させていただきますぅ。

【銀翼袍】を使用、飛行すると共に『弱い認識阻害』を伴う『崩壊の波動』を放射しますねぇ。
『認識阻害』で私への狙いは甘くなるでしょうし、『彼らの味方』の認識を阻害して更なる『寂しさ』に突き落とし、動きを阻害出来るなら利用させていただきますぅ。
『FSS』を頭上に配置して『傘』のように使い『雨雫の矢』に対処、『嵐風』は此方の速度を生かし『範囲外』から回り込めば対応可能ですぅ。
『FRS』の弾頭は『FCS』で『ビーム』に設定して風の影響を最小限に、[砲撃]のによる[範囲攻撃]で一気に落としましょう。

情に流されず、確実に仕留めますねぇ。




「あぁ……どうやら、時間のようですねぇ」
 空を覆う雨雲を見遣り、るこるはその身に女神の衣を纏う。
 女神の加護である銀翼袍はるこるを優しく包み、ふわりと空へと送り出す。
 雨雲の濃い場所へと向かっていけば、その雨足は強まり雨の滴から怪異の放つ感情が流れ込む。
 悲しい。
 寂しい。
 傍にいて。
 一人にしないで。
「えぇ、えぇ……とても悲しく、寂しいのでしょう……それでも、貴方の存在を許すわけにはいきません」
 悲しいから、寂しいからと無作為に人を捕らえるような悪行を見過ごすわけにはいかない。
 巻き込まれる人を出すわけにはいかない。
「我が大いなる豊饒の女神よ、貴女の使徒へとその加護をお与え下さい」
 女神の衣はるこるに力を与え、その身を守るもの。
 物理的なものだけでなく、その身を隠し害から遠ざけるもの。
 そして、雨風から自身を守るようにFSSをも起動してるこるの防御は万全だ。
『オイデ オイデ』
『ココ ダヨ』
『ソバニ オイデ』
 怪異――雨告が羽は、そんなるこるの存在に気が付かない。
 それでも、ただひたすらに誰かが来てくれることを願い雨を降らし続ける。
 自身の身を削ってでも、応えてくれる誰かを探して。
「いいえ、貴方のそばには誰もおりませんよ」
 さらにその加護の力を強め、雨音を強くしていく。
 ただただ、雨の音と雨告が羽の誰かを呼ぶ声だけが木霊する。
『ドコ イル?』
『ヒトリ イヤ』
『コッチ コッチ』
『ドウシテ?』
『ダレモ イナイ?』
『イナイ……イナイ……』
 寂しい、寂しい、寂しい、寂しい――。
 いくら声を響かせ、雨を降らせようとも近寄るものは誰も居ない。
『オネガイ サビシイ』
『ダレカ ダレカ』
 嘆きの声は、まるで大粒の涙のように降り頻る。
 暴風と雨雫の矢に自身も晒されながら呼びかける。
「私ができる事は、貴方を送り還すことだけ――どうか、骸の海で安らかに」
 これ以上悲しさが溢れる前に、一気に仕留めてしまうことぐらい。
 両腕に装着したFRSの固定砲台と空中浮遊する十六の砲台を一斉に雨告が羽へと向ける。
「私からは、光の雨でお返しさせていただきますねぇ」
 全門開放――流星の如く降り注ぐ光の雨で雨雲を切り裂き、雨雫の矢をも撃ち払いその中央で嘆きの声を上げていた雨告が羽を清らかな光で包んでいく。
 それは骸の海への光の道。
 どうかどうか、静やかに――骸の海で眠りにつきますように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

清川・シャル
f08018カイムと第六感連携

シャルは割と1人平気なんですよね
それはそれで時間を過ごせますし
学校行けば友達居るし
帰ったらカイム居るし
けど1人になる時間も必要だと思うんですよね
そんな感じです
自立心はいかに孤独と向き合えるかだと思います
骸の海でゆっくり休んだらいいんじゃないでしょうか
というか何より雨嫌いなんですよね…さっさと終わらせましょう

たすき掛けをして、修羅櫻を抜刀しての攻撃です
切り込みでの2回攻撃、串刺しにしながら恐怖を与える攻撃
破魔も追加しておきます
浴衣だからあまり派手に動けないけど蹴りはする、櫻鬼の仕込み刃での傷口をえぐる
敵攻撃には激痛耐性で備えて、見切りで避けてカウンターで反撃します


カイム・クローバー
シャル(f01440)と【第六感】連携

――ああ、お前ら、寂しいのか。
寂しくて寂しくて…人に惹かれてこの場所に迷い込んだんだな。
仲間になりたくてってトコか。

……言葉は分かるかい?アンタらが居るべき場所は此処じゃない。
魔剣を顕現。攻撃は仕掛けず、反応を待つ。
周囲に降る雨雫の矢のみをUCを使用した【範囲攻撃】で焼き払う。
自身の耐性すら失い、それでも痛みに耐えながらUCを使う姿には何とも…な。
もう傷付く必要はねぇさ。俺の黒銀の炎は見送るのに適した『灯り』って訳じゃない。
それでも、せめて痛みを感じさせずに送ってやりたい。
アンタが人間に生まれ変わったら、その時は雨宿りでもなんでもしてやる。楽しみにしてるぜ




 降り頻る雨は、雨告が羽の涙の代わりか。
『コッチ コッチ』
『オイデ オイデ』
『ヒトリ シナイデ』
『イッショ イテ』
 先行して雨告が羽に対峙するのはカイムだ。
 打ち付ける雨に触れれば、流れてくるのは雨告が羽の『寂しさ』だろうか。
 ――あぁ、お前ら……寂しいのか。
「寂しくて寂しくて……人に惹かれてこの場所に迷い込んだんだな」
 縁日の楽しそうな喧騒、灯りで彩られた温かな空間。
 そこに一緒にいたくて、一人は嫌で。
 だからここまで来てしまったのだろう。
「仲間になりたくてってトコか。 アンタも、あの空間に痛かったんだな」
 小さく呟き、雨告が羽に向けてカイムが優しく言葉をかける。
「……言葉は分かるかい?」
『ヒト キタ』
『イッショ イル?』
『オイデ オイデ』
 辿々しい言葉。彼らから発する言葉からは、言葉がきちんと通じているかの判断は難しかった。
 ただ、何かカイムが話していることは伝わっているのだろう。
「アンタたちが寂しいと思う気持ちは分かる……でもな、この先に行かせるわけにはいかない、アンタらが居るべき場所は此処じゃない」
 分かるか?そう問いかけながらその手に魔剣を顕現させる。
 ただしそれを振るうことはしない。
 じっと、雨告が羽の反応を待っていた。

 カイムから少し遅れて、シャルはその後を追っていた。
 カイムの切り開いた道のり、迷うことなく雨告が羽とカイムのいる場所へと歩みを進める。
 その道中、シャルは怪異の存在について想いを巡らせる。
 雨告が羽が降らす雨から流れてくる『寂しさ』の感情。
「(サビシイ、サビシイと聞こえてくるけれど……)」
 シャル自身は一人で過ごす事に関しては平気なタイプだ。
 学校へ行けば友人もいる、家に帰ればカイムがいる。
 とはいえ、常に誰かが傍にいてくれなければとの想いはない。
 一人になる時間だって時には必要だし、一人で過ごす時間の使い方だって心得ている。
 自身の忌み子という境遇から思うことがないわけではないけれど――ただただ、待つだけで人を巻き込み孤独を解消しようとするのはどうかと思うわけで。
「(自立心は如何に孤独と向き合えるか……)」
 きっと、あの怪異はそれができていなかったのだろう。
 自身の少しばかり先で、カイムが怪異と向き合っている様子をその青眼で捉えた。
「……ほんと、なんだかんだ甘いんだから」
 そんな真っ正面から向き合わなくても、と思いながら紐を口で咥え腕から肩へ背中へと回し、新調したばかりの浴衣の裾をたすき掛けに結び――修羅櫻に手を添える。
 いつでも動けるように備え、成り行きを見守った。

『ココ チガウ?』
『ココ ヒト イル』
『イッショ イル』
「……そうか、それなら送ってやらないといけないな」
 言葉はどうやら通じたのかもしれない――しかし、雨告が羽から返ってきた言葉は拒絶。
 その言葉通り、その影の如き身体を震わせ大きな翼で風を起こし自身をも傷付けながら辺りに雨滴の矢を降り注ぐ。
 魔剣から黒銀の炎を纏わせ放つ斬撃は、雨告が羽ではなく怪異の放つ雨雫の矢のみを打ち払う。
「カイム、甘すぎじゃない?」
「まぁ、な……あの姿見てられなくてな……」
 カイムと雨告が羽の間に割り込み、一閃――桜吹雪とともにシャルが舞い降りる。
 それでも休む事なく降り頻る雨雫の矢をカイムが振り払い、シャルは清らかな気と桜の雨を舞わせながら雨告が羽に斬り込んでいく。
 浴衣だからと動きはいつもより控えめではあるものの、刀を振るい突き立て、引き抜く際に蹴り飛ばすとその手を緩める事はない。
『アメ フル ヒト クル』
『ジャマ シナイ』
「カイム、ここで泣かせているより骸の海でゆっくり休ませた方がいいんじゃない?」
 情けをかけるでなく、そうする事が怪異にとっても最善なのだとシャルが告げる。
 まぁ、雨が嫌いだから早く終わらせたいというのもあるけれど。
「そうだな……もうこれ以上傷付く必要はねぇさ」
 送り火というには、清らかなものではないかもしれないが。
 黄泉路を共に往く灯りぐらいにはなればいい。
「カイムがその気なら、手伝ってあげる」
「おう、ありがとな……シャル」
 二人揃って刃を振るえば、巻き起こる風圧と共に黒銀の炎が蝶のように、破魔の力を纏った桜の花弁が花嵐となり雨告が羽を骸の海へと送り還す。
『アメ? サクラ?』
『キレイ アタタカイ』
「アンタが人間に生まれ変わったら、その時は雨宿りでもなんでもしてやる……楽しみにしてるぜ」
 炎と桜舞う中、怪異の影が掻き消えて往く――いつかの約束と共に見送るカイムの横にシャルもそっと寄り添って。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

六道銭・千里
【銭魚】◎
ありゃぁ…なんやろうなぁ?
光をってのは火取り魔みたいやし、雨の妖怪…っていうたら姑獲鳥か?
無理くり妖怪に当てはめんのもやけど…(ry
どの道、人に害があるならか…んじゃあ六道銭家としてお仕事といこうか

得意不得意はまぁ、しゃあない
てことで、俺が前衛やな


冥銭に『破魔』の力を籠めて投擲し、『弾幕』で飛び回る範囲を狭めながらの接近
雨は自身の『結界術』【+盾受け】で防がせてもらうわ

ヘスティアの盾を足場に空へ駆け
動きの止まった怪異に霊符による一撃を


この六文銭は俺の奢りや
安らかな死出の旅路を哀れな怪異に…ってな


おう、ヘスティア、お疲れさん
ナイス援護ってな


ヘスティア・イクテュス
【銭魚】◎

ねぇ
ちょっと
千里
話、長い

怪異?系って苦手なのよね…呪詛とかそういうの…まぁ、あれは雨なら防げるしいいけど…
ってことでわたしが援護ね


タロスを頭上に雨を防いで【盾受け・オーラ防御】
アベルで敵の飛行経路を『情報収集』しつつミスティルテインで『援護射撃』
プチヘス達とフェアリーを使った『弾幕』で敵の移動範囲を狭めながらの千里の援護ね

自分の頭上を守ってる以外のタロスを千里の足場にし
武装の『一斉発射』で一時的に敵の動きを完全に止める


まぁ、流石に提灯分は働かないとね?
借りはしっかり返すがお父様の教えよ




「ありゃぁ……なんやろなぁ?」
「さぁ? 専門分野じゃな……」
 千里とヘスティアの視線の先には、星明かりであったり提灯飾りであったりの『灯り』を集め大事そうに抱えながら雨雲を呼び寄せる怪異の存在。
 代々、人を仇なす存在――それは妖怪であったり、UDCであったり、オブリビオンであったり――を祓ってきた一族である千里。
 自身の知識にある妖怪に当てはまるところがあるのか怪異の分析が始まった。
「光をってのは火取り魔みたいやし、雨の妖怪……っていうたら姑獲鳥か?」
「ねぇ」
「確かに影の形は鳥っぽくも見えるけどなぁ……」
「ちょっと」
「いや、相手はオブリビオンやから無理くり妖怪に当てはめんのもやけど……」
「千里!!」
「ん、なんや?」
「話が長いっ!!」
 ヘスティアのツッコミにようやく意識がこちらに戻ったか、すまんすまんと頭を掻く。
 何かしら特徴が掴めれば対策の取りやすさになるかと思ってなぁ、と呟く。
「まぁ、どの道あれは人と取り込むタイプみたいやからなぁ……人に害があるなら――六道銭家としてお仕事といこうか」
「怪異?系って苦手なのよね……呪詛とかそういうの……まぁ、あれは雨なら防げるからいいけど……」
 さて、と気合を入れる千里の横でヘスティアは眉を潜める。
 オブリビオンであるなら討ち取れる相手ではあるのだが、所謂呪詛だとか呪いの類は対処がしにくい。
「それに今回は得意な奴がいるしね。 私が援護担当でいくわ」
「得意不得意はまぁ、しゃあない……てことで、俺が前衛やな」
 任せたわよ、とヘスティアに背を叩かれて千里が一歩前へと出る。
 そして、千里を援護すべく防御衛星ガーディアンのタロスを展開し二人の頭上を覆い傘のようにバリアを展開する。
『ヒト キタ』
『イッショ イル』
 二人の存在を知覚した雨告が羽は誘いをかけるように言葉を紡ぎ、一層雨を降らせる。
 こっちにおいで。
 この羽の下で一緒に雨宿りをしよう。
「悪いが、俺らはそっちには行けんわ」
 ジャラッと冥銭を構え、それに破魔の力を込めて雨告が羽へと投げつける。
 うまく距離を取りながら相手を囲い込むかのように一つ、また一つと結界術を応用した陣を冥銭で練り上げていく。
「千里、次は右斜め前!!」
「あいよ!!」
 援護をすると宣言した通り、ヘスティアはアベルを使い雨告が羽の飛行経路を予測しながら千里が動きやすいように指示を出しながら自身もミスリルティンで冥銭と合わせて敵の行動を阻害していく。
「本当、お金を投げるなんてもったいない戦い方するわね」
「これが一番相性がえぇんや!! 拾うなや!? それが術式になってんねんから!!」
 うっかり援護に駆り出しているプチヘス部隊に回収させに行きたくなる衝動と戦いながらも二人の連携で少しずつ雨告が羽を追い込んでいく。
『ジャマ ダメ』
『イッショ イル』
 二人の攻撃を受けながらも、未だその動きを止める事なくしとしとと雨滴の矢を降らす。
 悲しい、寂しい。
 この雨が降っている間は傍にいてくれるのでしょう?
 雨の滴を通して流れ込んでくる怪異の感情。
「テレパシーか何かでもあるのかしら、やりにくい相手ね」
「こういうんは、何かしらの強い想いに囚われてるん事が多いんや」
 はよ、楽にしてやらんとなぁ……呟いた千里にヘスティアも頷いた。
 一人が寂しいのは理解できる。
 しかし、他の人たちを巻き込むような怪異と成り果ててしまったものを見逃すわけにはいかない。
「ヘスティア、頼む!」
「任せて、って言ったでしょ!」
 ミスリルティンを構えなおし、一斉に放たれる光の矢。
「辺りの光を吸収するっていうなら、これは無視できないんじゃないかしら?」
 雨告が羽の気を逸らすかのように続け様に光線を放つ。
 その隙に千里はヘスティアによって多数展開されたタロスを足場にして空へと駆け上がる。
「この六文銭は俺の奢りや……釣りはいらへん! 全部あの世に持って逝け!!」
 一緒に行くわけにはいかない。
 せめてもの手向けはこれぐらいしかできないけれど――。
 一斉に放たれた大量の冥銭と共に完成した術式は黄泉への送り路。
 シャラン、シャランとなる銭の音と光の雨に包まれて雨告の羽はその影を消していく。
「安らかな死出の旅路を哀れな怪異に……ってな」
 怪異の旅立ちを見送り、その気配が消えたことを確認して後ろに控えるヘスティアへと振り返る。
「おう、ヘスティア、お疲れさん。 ナイス援護ってな」
「まぁ、流石に提灯分は働かないとね? 借りはしっかり返すがお父様の教えよ」
 パチンと、手を合わせて互いを労るものの――。
「提灯分が高すぎてまだ足りてへんのちゃうか」
「あら、そうかしら?」
 もう十分じゃないかしら、なんて軽口を叩き合いながらまずは一つの怪異の対処が終わったことに安堵するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・ひかる
【竜鬼】

ごめんなさい。
わたしは、あなたに寄り添う事はできません。
そして、リューさんを渡すわけにもいきません。
(彼の腕にぎゅっとしがみ付いて)
だって、わたしはリューさんのもので、リューさんはわたしのものなんですから。

雨を降らせるのであれば、その前提条件を覆しましょう
初手はリューさんに庇ってもらいつつ【光と風の精霊日和】発動
いつもは日中の再現ですが、今回は風で雨雲を吹き飛ばしつつ「花火の光」を降らせて、夜のままお祭りに向いた環境へ
こうしてリューさんが自由に動けるよう環境を整えたら、彼を「鼓舞」しながら精霊銃で援護射撃
主に光属性のレーザー弾を使用し、闇を撃ち払います


リューイン・ランサード
【竜鬼】

一人は寂しい、その通りです。
なので貴方の気持ちは判るのですが、人を攫うのは良くないです。
犠牲者が出ない様にここで帰ってもらいます。

ひかるさんを【かばう】ように前に立ち、UC:竜神人化を使用。
強化したフローティングビームシールドを頭上に放ってビーム最大展開。
雨雫の矢がリューインとひかるさんに振らない様に防ぎます。
また【結界術】でリューインとひかるさんの周囲に攻撃と音を防ぐ結界を形成し、『反響する雨音』の効果を打ち消します。

ひかるさんと連携し、【光の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・スナイパー】による光の奔流で雨告が羽を撃ち、剣に籠めた【光の属性攻撃・破魔】による斬撃で雨告が羽を斬ります。




 ザァザァと雨が降る。
 おいで、おいでの呼び声と、寂しく悲しい気持ちが暗き雲からしとしとと。
「本当に……泣いているみたいですね」
「寂しくて、涙が止まらないのかもしれません」
 二人寄り添い、空を眺めて小さく呟く。
 ひかるとリューインのように、寄り添えるものがいれば怪異になる事はなかったのだろうか。
 そう思わなくもないのだけれど――この先に待つ怪異は、すでに堕ちてしまったもの。
 今の怪異に寄り添う事は怪異に喰われてしまうということ。
 そして、放置しておけば今縁日を楽しく過ごしている人たちの誰かが犠牲になってしまうのだ。
「止めなきゃいけませんね」
「えぇ、それが僕たちにできる事ですから」
 二人で視線を交わし、頷き合い――怪異の元へと歩みを進めるのであった。

『コッチ コッチ』
『オイデ オイデ』
『イッショ イヨウ』
 強くなる雨音と反響しながら雨告が羽の声が響く。
 惑いの音を響かせて、見える景色は現か幻か。
「一人は寂しい、その通りです。 なので貴方の気持ちは判るのですが、人を攫うのは良くないです」
 それは、きっと貴方が本当に望むものではないと思うから。
「誘き寄せて、惑わせて――それで一緒にいても、きっともっと寂しくなるだけです」
「あなたの寂しいという気持ちは分かります。 その想い、願いに寄り添えればよかったのかもしれません――でも、私はもう誰よりも大事な人を見つけてしまったから」
 リューインとひかるの真っ直ぐな視線と言葉が雨告が羽を射抜く。
 その二人の絆こそが、真に雨告が羽が求めていたものだったのだろう。
 どんな時も、隣にいてくれる温かな光。
「わたしは、あなたに寄り添う事はできません。 そして、リューさんを渡すわけにもいきません」
 ひかるはすでに自覚している、幼くとも恋をして芽生えてしまった一つの欲。
「だって、わたしはリューさんのもので、リューさんはわたしのものなんですから」
 小さな小さな独占欲。
 大事で大好きで誰にも渡したくない大切な人――リューインの腕にぎゅっとしがみついてひかるはそう宣言する。
 その言葉に応えるように、リューインが一歩前に出る。
 自身を離さないと言ってくれる可愛い少女を守るために。
「ですから、僕もひかるさんも貴方と一緒にはいられません。 そして、他の人たちも巻き込むわけにはいきません――犠牲者が出ない様にここで帰ってもらいます」
 大切な人を、そして何も知らず楽しい時間を過ごしている人たちを守るために。
 その決意が内に眠る力を呼び起こす。
 リューインの姿は暗闇をも照らす黄金の輝きを持つ三対の竜翼と二股の竜尾を持つ真の姿へと。
「もうこれ以上雨は降らせません」
 降り頻る雨滴の矢から二人を守るように頭上にビームシールドを展開し、そこを基軸にさらに結界術で音すらも防いでいく。
「えぇ、悲しい雨を吹き飛ばしましょう――精霊さん、あの子に綺麗な送り火を」
 風の精霊たちは雨雲を吹き飛ばす優しい風を。
 光と炎の精霊たちに、夜空を彩る花火の再現を。
 貴方の隣でその涙を拭う事はできないけれど、今この一時が貴方に灯る光となりますように。
「リューさん!」
「はい! 見せてあげましょう、僕たちから送る煌めきを」
 ひかるの放つ精霊花火に合わせるようにリューインも光の矢を放つ。
 それは花火から溢れ落ちる光の滴のように、キラキラと瞬き辺りに降り注ぐ。
『アメ チガウ』
『キラキラ キラキラ』
『アタタカイ ホシイ?』
 光の雨に包まれて、雨告が羽は空を見上げるかのようにその翼を空に広げる。
 欲しかった、温かな光。
 羨ましかった、その光に包まれて楽しそうに過ごす人たちが。
 そこに自分も入れたならよかったのに。
 でも、その願いを叶えるわけにはいかないとひかるとリューインが立ち塞がる。
「ごめんなさい、せめてこの光を導きが――」
「――貴方の道先を照らせるよう」
 ひかるは精霊銃を、リューインはエーテルソードを構えて。
 貴方の求める灯りにはなれないけれど。
 この輝きが送り火となりますよう。
 煌めきを纏った一弾と、一閃が交わり温かさを求めていた怪異の影は光に包まれ消え去った。
「精霊さん、リューさん……もう少しだけ力を貸してくれますか」
「えぇ、もちろんです」
 怪異は消え去ったけれども、後もう少しだけ。
 温かさを求めた怪異を見送れるように――空に少しの彩りを。
 二人で空を明るく鮮やかに染め上げていく。
 夜空を彩る大輪の花が手向の花となりますようにと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルルチェリア・グレイブキーパー
≪白銀≫


濡れても平気な普段着に着替え
浴衣やぬいぐるみ等もシホに仕舞って貰うのよ
とっても大切だもの!

ハレの日に雨を降らせるなんて無粋な怪異ね

以前の私達?
……そうね、寂しいからってシホを縛ってしまったあの時の私みたい
ホント不器用ね……あの怪異も、私も
もちろん!今はそんな事しないのよ!

UC【お子様幽霊たちの海賊団】で空飛ぶ海賊船を召喚
子供の幽霊達に銃撃と砲撃で怪異に攻撃させるわ

反響する雨音でこちらの動きを封じてくるなら
銃撃砲撃音で雨音を聞こえなくすれば良いのよ!

シホ、お願い!(手で合図を送り)
銃撃と砲撃の旋律を喰らいなさい!

……あなたとも一緒にお祭りに行けたら良かったのにね
おやすみなさい


シホ・エーデルワイス
≪白銀≫


第六感で敵襲を察知
普段の服へ早業で早着替えし
ルルの浴衣や買った物も【救園】へ仕舞う
ルルとの大切な思い出の品だから


ええ
楽しい一時に水を差さないで欲しいものです

けど

寂しいですか…
まるで以前の私達みたいね


私も…自分の寂しさと
どう向き合えば良いのか分からない時期がありました
もっとも
今は違うでしょ?


優しさを込め
船の銃撃と砲撃音すら旋律の一部に組み込み【弾奏】結界を奏でる

ただ掻き消すだけでなく
雨音よりも魅力的な旋律を響かせる

光り輝く誘導弾は花火の様に幾何学模様を描きながら敵を包み込む

ルルの意図は読心術とコミュ力で読み取り
念動力で念話


私達の旋律で少しでも寂しさを慰める事ができ
どうか安らかな眠りを…




「……空が……ルル、そろそろだわ」
「わかったわ! 浴衣に、提灯にぬいぐるみ――今日の大事な想い出預かっててくれる?」
 空に覆うようにやってくる雨雲、嫌な気配。
 例の怪異が近付いてきている予兆を感じたシホの言葉にルルチェリアも一つ頷き動きやすい服装へと。
 そして、大事な想い出をシホに託す。
「えぇ、もちろん。 ルルが大事と言ってくれているように私にとってもルルとの大切な思い出の品なのだから」
 そして、預かった浴衣や提灯を十字架のペンダントに近づければそれはスゥッと中へと吸い込まれていく。
「ふふ、これで安心ね! それじゃ、お仕事に行きましょう! ハレの日に雨を降らせるなんて無粋な怪異なんだから」
「ええ。 楽しい一時に水を差さないで欲しいものです……けれど」
 二人並んで、怪異の元へと駆ける最中――しとしとと雨が降り始める。
 それは本来の天候からくるものではなく、怪異――雨告が羽が降らせたもの。
 ぽつり、ぽつりと溢れる涙のように。
 雨と共に伝わってくるのは怪異の感情か。
 寂しい、寂しい。
 誰かそばにいて欲しい。
 雨が降ったなら、その足を止めてそばにいてくれるのでしょう?
 ただただ、人恋しいと滴が伝う。
「寂しいですか……まるで以前の私達みたいね」
 雨音に掻き消えるかどうかの小さな声で、シホがポツリと呟いた。
「以前の私達?」
 しかし、その言葉はしっかりとルルチェリアの耳にも届いていた。
 『以前の私達』
 その言葉はルルチェリアにも少しばかり刺さるものがある。
「……そうね、寂しいからってシホを縛ってしまったあの時の私みたい」
 やり方を間違えていた以前の私。
 そんなやり方では、本当に欲しいものは手に入らないのだと言うことも気付かずに。
「ホント不器用ね……あの怪異も、私も――」
「でも……ルルだけじゃない。 私も……自分の寂しさと
どう向き合えば良いのか分からない時期がありました」
 ルルも、シホもそれぞれが寂しさを抱えていた。
 でも今は――。
 どちらから言い出すこともなく、二人はそっと手を伸ばす。
「もっとも――今は違うでしょ?」
「もちろん! 今はそんな事しないのよ!」
 手を取り、並んで駆け出す。
 互いを掛け替えのない存在だと分かっているから。
 大切にしたい存在だと想っているから。
 もう間違える事はしない。
「だから、私達は私達にできるやり方で」
「あの怪異を送り還してあげましょう」
 その寂しさを理解できるからこそ、否定しなければいけない。
 そのやり方は間違っているのだと。

「さぁ、皆!! 思いっきり騒いでやるのよ!!」
 ルルチェリアの号令に従い、虚空から現れるは可愛いお子様幽霊たちの搭乗した空飛ぶ海賊船。
 祭囃子に負けないように、花火の音にも負けないように。
 あの楽しい空間の音を再現するかのようにカルバリン砲とラッパ銃を響かせる。
「貴方に寄り添う事はできないけれど、少しでも貴方の寂しさが紛れるように」
 ――あなたの魂に救いあれ。
 悲しい雨の音でなく、貴方を導く楽しく賑やかな葬送曲となれ。
 まるで楽器が奏でられているかのように、響き渡っているのは銃声だと思わぬような不思議な音色が辺りに響く。
「まるで泣いてるみたいなの。 それじゃ、そばにいる人も悲しくなっちゃうわ――シホ! お願い!」
「貴方もお祭りを一緒に楽しみたかったのでしょう? ほら、空を見上げて!!」
 砲弾と銃声で互いの声は聞こえずとも。
 その視線で、表情で伝えたい想いは読み取れる。
 楽しげな音色と共に、空を彩るは誘導弾を用いた即席花火。
 シホの放った弾丸は、幾何学模様を描いてまるで花火を思わせるかのように色鮮やかな光を走らせルルチェリアのカルバリン砲は打ち上げの音をも思わせる。
『キラキラ』
『ヒカリ キレイ』
『オト スゴイ』
『タノ、シイ?』
 二人の音と光に心を奪われたのか、いつの間にかザァザァと降り続いてた雨は止んでいた。
 色鮮やかな世界に包まれて雨告が羽が立ち尽くす。
 きっと、真っ暗な闇の中じゃなくて誰かとこうやって綺麗な景色を見たかったり、ただただ隣に寄り添ってくれる人が欲しかったのだろう。
「……あなたとも一緒にお祭りに行けたら良かったのにね」
「えぇ、けれども私達にできる事は――」

 ――どうか安らかに。
 ――おやすみなさい。

 そっと見守るように、最後の一撃を二人で放つのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エリザベート・ブラウ
シオさん(f15252)と

あら、雨
ただならぬ気配と真黒い闇
シオさんの広げる淡い翠の傘下へ、蝶灯と共に身を寄せて
ありがとうと貴女のお顔を見上げれば

──シオさんに、こんなお顔をさせるのはだぁれ

きりきりと眦引き上げて闇へと目を向ければ
真黒い翼のあなたかしら
覚悟はできていて?
わたしはわたしの「ともだち」を害するものをゆるさない
【蝶のはばたき】で降る雨を凍らせるほどの冷気を伴う氷の嵐を

あなたのその寂しさを
わたしは知らない
けれど、嗚呼
とても物悲しく響く雨音
心は千々に乱れかけ──

瞬間
彩る翠のいろ

…わたしはそちらへ行かない
わたしの居場所は「ともだち」のいるこちらだから

空を彩る虹の七色
美しい夢が見られそうだわ


プラシオライト・エターナルバド
リズ様(f20305)と

『一人は寂しい』
宝石の肌を叩く涙雨から伝わってくるのは
胸を冷たくする切ない気持ち

念動力を解放
アメグリーンの小瓶を逆さにして
自分と仲間の頭上に薬の塊を広げて浮かべて傘代わりに
雨雫からリズ様と灯を守ります

こんな顔、という声には不思議そうに
どんな顔なのか、自分では分からないので

【カラーチェンジ】で呼鈴の音も封じます
どうか連れて行かないで下さい
彼女達がいなくなったら…私も、きっと…
宝石人形はもうヒトのその感情を覚えてしまったから

激しい嵐のお仕置き、蝶の夢の後には
私も『ともだち』も、貴方も
誰も寂しくならない、そんな夢を描きましょう
スパークルで浄化の光属性を込めた虹を空へ贈ります




「あら、雨……これがお話されていた怪異の力かしら」
「えぇ……空覆う雨雲も自然のものとは思えません」
 ぽつり、ぽつりと降り出された雨にエリザベートとプラシオライトは揃って空を見上げた。
 リズ様、こちらへ。
 そっとエリザベートの手を引き寄せて、プラシオライトは己の持つアメグリーンの小瓶を逆さにする。
 零れ落ちた液体は、プラシオライトの念動力で塊となりふわりと広がる。
 そして、それはまるで大きな傘のように展開され雨雫から二人を守る。
「これなら少しは濡れずに済むでしょう」
「ありがとう、シオさん」
 二人で雨の雫からその身を守るものの、全てを防げるわけではなく僅かに嘆きの雫が肌を濡らす。
 降り頻る雨は怪異が放つ涙雨。

 寂しい。
 一人は嫌。
 傍にいて。
 一人にしないで。

 流れ込んでくる怪異の『寂しい』の感情に、プラシオライトの瞳が曇る。
 どうしたの?と覗き込んでくる優しい瞳。
 もしこの瞳が私を捉えることがなくなったら?
 あの温かな温室にいる大事な大事な友人たちが私の傍からいなくなってしまったら……?
 思わず隣にいるエリザベートの手に自身の手を重ねてしまう。
 冷たい宝石の肌の自分にもしっかり伝わる温かさ。
「大丈夫よ、シオさん。 私はここにいるわ」
「リズ様……」
 プラシオライトを安心させるかのように、優しくその手を取り微笑んだ。
 しかし、エリザベートの優しい微笑みはその瞬間まで。
 後ろに感じるその禍々しい気配に向かい――。

 ──シオさんに、こんなお顔をさせるのはだぁれ?

 穏やかな笑みは残したまま、それでも敵意は隠すことなくエリザベートは怪異に向き合う。
 その横で、プラシオライトは不思議そうに小首を傾げた。
 今、私は――どのような顔を、していたの?
 己の顔を見ることはできず、プラシオライトは未だ困惑の中にいたが目の前に現れた怪異を前にその思考を一度頭から追い出す。
「この雨を降らせて、そしてわたしの大事なともだちのお顔を曇らせてしまったのは真黒い翼の貴方かしら?」
 覚悟はできていて?
 覚悟などできていなくとも、もう関係はないのだけれど。
「わたしはわたしの『ともだち』を害するものをゆるさない」
 エリザベートの想いに応えるように辺り一帯を蝶が舞い踊り冷気が覆う。
 雨粒がその冷気に当てられ雪の結晶となりはらりはらりと舞い落ちる。
『オイデ オイデ』
『ヒトリ サビシイ』
『イッショ イヨウ』
 けれども、それだけでは雨告が羽の雨は降り止む事はない。
 雪の花に混じりながら降る雨の雫――それは、はらりはらりと舞い降りてじわりじわりと怪異と気持ちをシンクロさせていく。
「(これは……わたしの感情ではない、けれども……)」
 知らないはずの誰かの寂しさが流れ込む。
 思わずその寂しさに寄り添わなければ、と足が動いた瞬間――。
「リズ様!!」
 大事なともだちの声、目の前に広がるあの子のような綺麗な翠。
 振り返れば、また先ほどと同じような不安げなプラシオライトの表情。
 あぁ、そうだ――わたしが傍にいるべきは。
「えぇ、そうよ……わたしはそちらへ行かない。 わたしの居場所は『ともだち』のいるこちらだから」
 雪の花も、雨の雫もアメグリーンへと塗り替えて。
 プラシオライトはエリザベートを見つめて頷いた。
 彼女が自分の居場所を『こちら』と言ってくれた。
 それはプラシオライトも同じこと――愛すべき友人たちと過ごす時間の温かさを、楽しさを色々な感情を覚えてしまったから。
 もう冷たい宝石人形ではいられない。
「(彼女達がいなくなったら……私も、きっと……貴方のようになってしまうのでしょう)」
 だからこそ、彼女を連れて行かせるわけには行かない。
 そして、その悲しみが分かるから――せめて。
「蝶の夢が見せた雪嵐の後には……私も『ともだち』も、貴方も――誰も寂しくならない、そんな夢を描きましょう」
 雨が止めば空に虹の橋がかかるように。
 貴方の行く先が鮮やかな色彩で彩られますように。
「リズ様、力をお貸し下さいませ」
「えぇ、シオさん。 見送ってあげましょう」
 もう一度、エリザベートの祈りとともに蝶が羽ばたき白き風花で雨告が羽を包み込む。
 プラシオライトがガラスペンを走らせればそれは光の螺旋となり、雨の雫に反射するかのきらりきらりと虹を描く。
 貴方が最後にみる景色がせめて綺麗なものであるように。
 二人の祈りと願いが輝き合い、雨告が羽を骸の海へと送り還すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

高岩・凛

【赤羽蝶と向日葵】
こっちが帰ってきて欲しい人は誰一人帰って来ねえんだ……悪いけど俺は知りもしねえお前と一緒に雨宿りなんかしてやれるほど人間ができてねえんだ、寂しかろうがなんだろうが独りでそのまま雨に沈んでくれ。

【超大型兵装展開】で義手を『武器改造』し創りだした巨大な腕で雨雫の矢を防ぎ、強引に身を『かば』って走る。
多喜がお膳立てしてくれた所に合わせて腕を振るいオブリビオンを『怪力』で叩き落とし、地面に打ち付ける。
……少しくらい雨に濡れてやるのは構わねえけどさ。


数宮・多喜

【赤羽蝶と向日葵】

そうだよな……
ひとりっきりは、寂しいもんな。
きっとアイツもだからこそ、
こっちに帰ってきたかったんだもんな。
……ああ、すまないね。
こっちの話だよ、凛さん、それに雨告が羽よ。

だから少しは頼みがある。
お前さん、早く骸の海へ行っとくれ。
そこでアイツに寄り添ってほしいんだ。
アタシはまだ、アイツへ会いに行けないからね。
大丈夫、道行はしっかりやってやるよ。

通り雨にゃ、雷が付きもんだろ?
暗雲と雨を電撃の『属性攻撃』と『衝撃波』で吹き散らし。
稲光の吸われる先から奴の場所を割り出して。
宗派が違うのは勘弁な、聖句を唱えて【黄泉送る檻】に捕らえる。
これで準備は整った、
あとは凛さん、任せたよ。




「ったく……嫌な雨だな」
「泣いて、いるんだろうねぇ……」
 しとしとと、二人を濡らす雨雫。
 雨に打たれながら二人は先に控える怪異――雨告が羽の元へと駆ける。
「(こっちが帰ってきて欲しい人は誰一人帰って来ねえんだ……)」
 寂しいという感情は凛はよく知っている。
 一人残された寂しさと、孤独と、恐怖と――しかし、もう一度会いたいと願ってももうそれは叶うことはない。
 この雨はあの時の想いをまた呼び起こさせる。
「(気分の良いもんじゃねぇな)」
 義手に流れ込む冷たい雫を振り払い、凛は隣を走る多喜を見やる。
「(そうだよな……ひとりっきりは、寂しいもんな)」
 雨を伝って流れ込む、雨告が羽の『寂しい』気持ちに多喜は表情を曇らせる。
 その感情から思い起こされたのは――。
「……きっとアイツもだからこそ、こっちに帰ってきたかったんだもんな」
 雨音に紛れてしまうかもしれないほど、小さく呟いた声。
 だが、その表情をその声は凛にも届いていた。
「多喜?」
「……ああ、すまないね。 こっちの話だよ、凛さん」
 小さく被りを振って多喜は視線を先に向ける。
 今、相対すべきは目の前の怪異であると。
『オイデ オイデ』
『アメ ツメタイ』
『コチラ ヘ ドウゾ』
 大事そうに胸に光を抱え込み、貴方もどうぞと呼びかける。
 一人は寂しいから、ここで一緒にいようよと暗雲を呼び雨を降らせながら二人へと片言の言葉を紡ぐ。
「悪いけど俺は知りもしねえお前と一緒に雨宿りなんかしてやれるほど人間ができてねえんだ」
「……そうだね、アタシもお前さんと一緒にはいられないんだ。 だからね、頼みがあるんだ」
 雨告が羽の言葉を一蹴する凛に、頷きながらも多喜は続けて怪異に向けて願いを告げる。
「お前さん、早く骸の海へ行っとくれ。 そこでアイツに寄り添ってほしいんだ」
『アイツ?』
『ヒトリ?』
 多喜の言葉に、表情は見えないものの雨告が羽はまるで首を傾げるかのような動作をしてみせる。
 自身と同じように一人っきりのものがいるのだろうか。
 その人も一人で寂しいのだろうか。
「そうだね……一人で寂しいかもしれないねぇ。 アタシはまだ、アイツへ会いに行けないからね。 ここで、まだやらなきゃいけないことがたくさんある……だから、アタシの代わりに会いに行ってやってくれないかい?」
 ――そうして伝えて欲しいんだ。 アタシはちゃんとやってるよと。
「……ったく、多喜もまぁ面倒見がいいこった」
「面倒見がいいのか、アタシのエゴかは何とも言えないけどね」
 呆れた顔をしてみせるが、そう告げる凛の声色は優しい。
 それに応えるように多喜もまた笑ってみせた。
「大丈夫、道行はしっかりやってやるよ……通り雨にゃ、雷が付きもん――ド派手に送り出してあげるよ!」
「それじゃ、その間は俺がしっかり多喜を守ってやるよ!」
 多喜の前に立ち、右手の義手を大型兵装で覆い降り頻る雨雫の矢から庇うようにその手を掲げる。
 彼女の詠唱の邪魔は一切させぬと力を振るう。
 その姿を頼もしく見つめながら多喜は聖句を唱える。
「ashes to ashes,dust to dust,past to past……宗派が違うのは勘弁な!」
 ――さぁ、雨雲をも貫く雷の矢……収束せよ、黄泉送る檻≪サイキネティック・プリズン≫!
 手向の花の代わりに雷花を。
 雷鳴とともに数多の雷の矢が雨告が羽へと向かって飛んでいく。
 その雷を光として、雨告が羽が吸収しようとするがそこを中心点とし雨告が羽を取り囲むように雷の檻が形成される。
「これで準備は整った……あとは凛さん、任せたよ!!」
「悪いけど、俺は多喜ほど優しくねぇからな……!!」
 雷の檻に囚われた雨告が羽へ向けてその巨大な腕とともに駆け出す。
 自身は優しくない――実際、他を巻き込むなら、寂しかろうがなんだろうが独りでそのまま雨に沈んでくれと思っている――けれども。
 多喜が、そいつに寄り添うならば。
 自分も、一人が寂しいという気持ちは分かるから。
「……少しくらい雨に濡れてやるのは構わねえからさ。 しっかり、多喜の伝言伝えてこいよな――!!」
 今、少しだけその寂しさも受け止めて。
 寂しいと泣いた怪異の涙を避けることなく駆け抜け、その大きな腕で骸の海へと還すべく思い切りその黒き影に拳を叩き付けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セリオス・アリス
【双星】

うわっ降ってきた…
これが敵の仕業ってやつか
アレスに呼ばれるまま傍らへ
傘とはちげぇけど、寄った方が濡れねぇだろ

寂しいから、側にいて欲しくて
その気持ちは全然わかんねぇとは言わねぇが
それを許すわけにはいかねぇんでな
歌い上げるは【望みを叶える呪い歌】
ただ祭りを楽しんでるやつらがここに来ねぇように
風属性の魔力を剣にこめ
雲を散らすような斬撃を放つ

つーか、雨だから
何て理由で側にいるだけなんざ余計寂しいだろ
そこに伴う心がねぇと
埋まる穴も埋まらねぇよ

あー…俺のも、やるから
持ってけよ、お前の還る場所まで
きっと側にいてくれるだろ
アレスに倣ってねこのぬいぐるみを相手へと
そのまま二人で
光属性の力で送ってやろう


アレクシス・ミラ
【双星】


…セリオス、此方へ
傘は無いから、マントを広げて傘代わりに
濡れるといけないから…もっと傍においで

…寂しい雨音がする
一人が寂しくて、誰かに傍に来て欲しいという気持ちは否定しないし
君はこの方法しか思いつかなかったのかもしれない
けど…だからって、お祭りを楽しんでいた皆を残念がらせてはいけないよ
反響する雨音を防ぐように【聖護の盾】を放とう

…君が還るべき場所へ帰っても…雨が止んでも寂しく無いように
この子をお供に連れて行ってくれるかい?
花火の後、もう一つのお土産にとお祭りの屋台で買った犬のぬいぐるみを差し出す
受け取ってくれたら…セリオスと一緒に
帰り道を照らす灯りのような、浄化を込めた光属性で送るよ




「うわっ、降ってきた……これが敵の仕業ってやつか」
 ポツリポツリと自然のものとは思えぬ黒き雨雲からこぼれ落ちてくる雨の雫にセリオスは険しい顔で空を見上げた。
「そうみたいだね。 これ以上降らせる前に止めないと……ほら、セリオス此方へ」
 せめて少しでも濡れぬようにと自身のマントを広げてアレクシスはセリオスを呼び寄せる。
 サンキュ、と軽く礼を伝えてマントを広げるアレクシスの腕の中に収まる。
「濡れるといけないから……もっと傍においで」
「……ん、その方がアレスも濡れねぇもんな」
 優しい呼びかけに応えるように互いの身体を寄せる。
 多分、雨を降らせている怪異はこの温かさが欲しかったのだろう。
 おいで、と呼んで広げてくれる優しい腕。
 おいで、と呼べば寄り添ってくる愛しい存在。
 互いが互いを思い合っているからこその温かさであることをあの怪異は分かっていないのだ。
「寂しいから、側にいて欲しくて……その気持ちは全然わかんねぇとは言わねぇが」
「だからと言って誰かを困らせたりするようなことを許すわけには行かないからね――行こう、セリオス」
 互いに頷き、怪異の元へと二人で駆け出す。
 速度を合わせ、濡れぬように走るけれども全ての雨を防ぐことはできず。
 冷たい雫が頬を伝えば、流れ込んでくる『寂しさ』の感情。

 一人は嫌だ。
 一人は寂しい。
 誰か傍にいて欲しい。
 誰か、誰か――。

 寂しくて寂しくて、溢れた感情が雨雫の矢となり二人に降り注ぐ。
 二人の前に立ちはだかるのは大事に大事に、灯りを抱えた黒き怪異――雨告が羽の姿。
「一人が寂しくて、誰かに傍に来て欲しいという気持ちは否定しないし、君はこの方法しか思いつかなかったのかもしれない」
 暗闇を照らすは夜明けの聖光。
 雨雫の矢から二人を守るように、響く雨音さえも包み込むようにアレクシスは光の盾を展開する。
「けど……だからって、お祭りを楽しんでいた皆を残念がらせてはいけないよ」
 君が寂しいからと言って、誰かを困らせたり悲しませたり――もしかしたら、誰かの大切な人を君が奪って自身と同じ想いを抱く人を作ってしまうかもしれない。
 それはとても悲しいことだから、とアレクシスは優しく語りかける。
「そういうこと。 その気持ちは理解はできるけど、それを許せるかは別の話だからな――それに、『雨だから』なんて理由だけで傍にいるなんざ余計寂しいだろ」
 お前もさ、本当は誰でもいいっていうのが違うって分かっているんだろ?
 アレクシスに続けて、セリオスも言葉を紡ぐ。
「そこに伴う心がねぇと埋まる穴も埋まらねぇよ」
『ココロ?』
『ヒトリ チガウ サビシイ チガウ』
『ココロ チガウ サビシイ?』
 雨告が羽が、胸の灯りを抱え込む。
 大事にすべきは何なのか。
 本当に欲しいものは何なのか。
 ぐるぐる、ぐるぐると、揺さぶられ――また怪異は雨雲から涙を流す。
「お前もさ、ここじゃゆっくりできねぇだろ――お前のあるべき場所に還ってそこでゆっくり待っててくれよ」
 怪異へ送る手向けの歌。
 それは、雨告が羽だけでなく縁日を楽しむ人たちをも守る歌。
 優しい旋律は風となり、赤き星と青き星へ。
 心重ねて、セリオスとアレクシスが剣とともに踊る。
 剣を歌に合わせて振るえばその風は悲しい雲を吹き飛ばし、涙の雨をも払うかのように。

 いつかお前が――俺にとってのアレスに出会えるように。
 いつか君が――僕にとってのセリオスに出会えるように。

 互いが互いを想いやれるようなそんな存在に出会えればいい――その時まで君が寂しくないように。
「……君が還るべき場所へ帰っても……雨が止んでも寂しく無いように――この子をお供に連れて行ってくれるかい?」
 そう言って、アレクシスが差し出したのは可愛らしい犬のぬいぐるみ。
 二人で見た花火の後、お土産のつもりで買っていたものであった。
「あー……俺のも、やるから持ってけよ。 お前の還る場所まで……きっと側にいてくれるだろ」
 アレクシスに倣い、セリオスも持っていた猫のぬいぐるみを渡す。
 一緒にいくことはできないけれど、代わりに見守ることはできるだろう。
『イッショ イイノ?』
「おう、二匹もいるんだ! 寂しくないだろ?」
「うん。 君の友達にして欲しい……仲良くできるかい?」
 奪った光ではなく、差し出された二匹のぬいぐるみを雨告が羽は大事そうに抱える。
『トモダチ ナカヨシ』
『イッショ イル』
 そんな雨告が羽の姿を見て今度はアレクシスの光が、赤星と青星に光を与える。
「そして、この光が君の道を照らす灯りとなるように」
「迷わずに帰るんだぜ!」
 黄泉路へ向かう送り火の代わりに二人が送る光の流星。
 キラキラ、キラキラ輝いて。
 願いを叶える流れ星のように雨告が羽へと降り注いだ。
 たくさんの流星が輝いて、光が収まった時には空を覆う雨雲は消え――夜空には輝く月と星が戻っていたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『憑坐絡繰『白花』』

POW   :    鳥獣偽牙
戦闘用の、自身と同じ強さの【怨霊獣】と【怨霊鳥】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    禍鳥降霊
【取り憑かれた獣の力を解放】事で【巨大な禍鳥】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    禍神虚戯
自身の装備武器を無数の【瘴気を纏ったウツギ】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠薄荷・千夜子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暗き夜に舞う白の花
 その人形はよく覚えていた。
 人からかけられる『ありがとう』の言葉が嬉しかったことを。
 呪詛を代わりに受ければ、皆喜び感謝してくれていた。
 誰かの役に立てることが嬉しかった。

「だから、困っている人を探さなきゃ」

 そして、骸の海から蘇った『誰かのために』作られていたはずの憑坐絡繰人形は『誰かを助ける』ために動き出す。

「でも、困っている人が見つからないな」

 ――それなら、困っている人を作ればいいんだ。
 逆転してしまった因果。
 浄化をもたらすはずであった白き花は、今や呪詛を纏いし白き花。
 ふわりふわりと花が舞い、人形は人の姿を求めて夜闇を歩く。
 あの明るい灯りの下には、たくさんの人がいるはずだから。

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 プレイング受付期間:10/3(土)8:31〜10/5(月)21:00頃まで予定。
 うまく送信日をばらけて送っていただけますと余裕を持って再送なしで作業を進められそうです。
 MS雑記にもお預かり状況等随時更新していきますので、よろしければプレイング送信前にMS雑記にて状況ご確認頂けますと幸いです。
 ※プレイング受付期間修正。
 プレイング受付期間:10/3(土)8:31〜10/6(火)21:00頃までです。
朱雀・慧華
【夏光】

可哀想だとは思うし
あの子ならもっとこうするんだろうなとか思うけど
でも、やっぱり全部には納得できないって思っちゃうのは
私がまだ子供だからかな

さっきの怪異も泣いてるように見えた
皆を救う神様にならなきゃなのに
私の戦い方は、間違ってるのかな

でも夏輝の言葉に少しだけ救われて
うん…探す
自分の戦い方
皆を笑顔にできる戦い方!

敵の瘴気は夏輝も庇い【破魔】を宿した【オーラ防御】
誰かを喜ばせたいんでしょ?
笑顔が見たいんでしょ!?
思い出してよ、苦しめちゃダメだよ!

【指定UC】で動く生きたアート
感謝する人々を
今までありがとう
ありがとう

もういいんだよ

【属性攻撃】は迷ったけど…光魔法で
きっとあの子ならそれを選ぶから


小林・夏輝
【夏光】

俺には別に他人の心を読むような力は無いけど
慧華がさっきから僅かに迷いを見せてるのは気付いてるし
なにより今回の敵、なんとなく…慧華に似てる気がしたから

あのさ慧華
俺は元々ポジティブだけが取り柄で
他人を救えるような力なんて持ってねぇから
悪戯に寄り添って裏切るくらいなら、初めから本気でいくようにしてる

でも…そんなん人それぞれだし
今の形に迷うならこれから改めて探せばいい
まだ11歳だろ?難しい事考えるのは早いって
大丈夫。慧華は充分、素敵な天使だよ

やりたい事見つけたなら好きにやんな
サポートする

瘴気対策は慧華に任せつつ
【ダッシュ】+ロケランの【援護射撃】で気を引き

慧華の足止め後【指定UC】
悪いな




「おや? もうこんなところに人が。 君たちも困っているのかな?」
 白花と名付けられた憑坐絡繰は、立ち塞がる二人の存在を前に首を傾げて問いかける。
「…………」
「(……慧華)」
 白花の言葉に慧華は言葉を返さない――返せない。
 その様子を夏輝は心配そうに見つめていた。
 夏輝には人の心を読むような特別な力はないけれど、友人の表情や雰囲気から何か迷っていることがあるのは気付いていた。
 そして、視線は慧華から目の前でにこにこと優しい表情を浮かべている人形へ。
「(あの人形……なんとなくだけど、慧華に似ている気がする)」
 誰かのためにあろうとした人形。
 誰かのためにあろうとしている小さな神様。
 しかし、今その小さな神様の少女は以前夏輝の背を押した時のような輝く笑みではなく表情を曇らせ対峙する人形を見つめている。
「(さっきの怪異も、このお人形さんも――可哀想だとは思うけれど)」
 だからと言って彼らの今の行動に寄り添うことは納得できないのだ。
 皆を救う神様にならなければ、そう思うけれど自分の納得のできない想いに蓋をしなければいけないのか。
 それが優しさなのか、自分の考えが――戦い方が間違っているのか。
 慧華にはそれが分からない。
「(さっきの怪異も、泣いているように見えた)」
 もしかしたら、もっと何かできたんじゃないか。
 あの子ならもっと――。
「あのさ、慧華」
 囚われた思考に降り注ぐ優しい声。
 その声の主に慧華が目を瞬かせ視線を向けた。
「俺は元々ポジティブだけが取り柄で他人を救えるような力なんて持ってねぇから、悪戯に寄り添って裏切るくらいなら初めから本気でいくようにしてる」
 優しく、夏の太陽のような笑顔を見せながら夏輝は言葉を続ける。
「でもさ、これはあくまで俺の考え方。 慧華もこうするべきなんて思ってないし、俺のやり方をそれは違うんじゃない?って思う人もいると思う」
 だって、考え方は人それぞれなんだから。
 正解なんて誰にも分からない。
 だから、自分がこうありたいと思うようにやるしかないのだ夏輝は思う。
「今の形に迷うならこれから改めて探せばいい。 まだ11歳だろ? 難しい事考えるのは早いって」
 俺の11歳の頃なんてこんな難しいこと考えてなかったって!と夏輝は笑う。
 だから、いろんなことを体験して考えて慧華が慧華らしい答えを見つけられればと思うのだ。
「大丈夫。 慧華は充分、素敵な天使だよ」
「夏輝ぃ……」
 その言葉が慧華の心を温かくする。
 夏輝の言葉が、今慧華の救いになったように――その優しさを循環できるように、これからなっていけばいいのだから。
 少しだけ、じんわりと涙が出そうになったけれど今見せるべきは。
「うん……探す……自分の戦い方、皆を笑顔にできる戦い方!」
 皆を笑顔にできるよう、まずは自分から。
 しっかりと笑ってみせれば、夏輝も頷いた。
「そうそう、その意気! やりたい事見つけたなら好きにやんな」
 サポートは任せろと応じれば、二人の様子を見守っていた白花は眉を潜める。
「んー……澱んだ気を感じていたのだけど。 私がその気を祓ってあげようと思ったのに。 ねぇ、助けてあげるからまたその顔を曇らせてよ」
 そう微笑んで、自身の周りに瘴気を纏ったウツギの花を舞わせる。
 人形はにこにこと穏やかな表情を見せながら矛盾した言葉を紡ぎ続ける。
「私は、もう迷わないッ!! 貴方も自分の願いを見失わないで!!」
 瘴気を纏った花弁からその瘴気を祓うように清らかなオーラで自身と夏輝を守る。
 きっと、この人形も本来はこのような気を纏っていたはずなのだ。
「誰かを喜ばせたいんでしょ? 笑顔が見たいんでしょ!?
 思い出してよ、苦しめちゃダメだよ!」
「そうだよ、喜んで欲しいんだ。 だから、まず助けを求める人が必要で……必、要で……」
 あれ?と人形は首を傾げる。
 それでも、被りを振りさらに自身の力を高めるべく人の姿から獣の姿へ――巨大な黒き禍鳥へと変貌する。
「考えること、思い出すことをやめちゃダメ! 夏輝!」
「任せろ、って言っただろ!」
 空舞う禍鳥へとロケットランチャーを放ち自由に空を飛ばせないように援護を行う。
 その隙に、慧華は七色空描筆を走らせる。
 あの子に助けられた人は、きっといっぱいいるはずだから。

 夢見る少女の不思議な世界(ドリーミングファンタジア)

 慧華が描くは、感謝する人々。
 あの子へ届けたい、たくさんのありがとうの言葉。
 ――ありがとう。 君がいてくれてよかった。
 ――ありがとう。 君がいたから助かった。
 ――ありがとう。 ありがとう。
 その姿、その言葉に禍鳥は動きを止める。
 それは、今までの絡繰人形を形作ったものたち。
 その光景を見て、慧華はティアマトの杖を握りしめ光の力を込める。
「(きっと、あの子なら――)」
 選ぶなら、光の力だろう。
 そう考えてから凛々しく禍鳥となった人形を見上げる。
 今はまだ、あの子ならと思ってしまったけれども。
 いつか、きっと――自分の思うように。
「今までありがとう。 もういいんだよ」
「悪いな、後はゆっくり休んでな」
 優しく語りかけ慧華は光の閃光を、夏輝はもう一度ロケットランチャーを構え直して二人で光の砲撃を放つ。
 人を救いたいと願った人形が人に悪事を施す前にと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

誰かの為に、か。
胸が痛む。そりゃそうだ、俺も同じだから。
違うのは俺は、俺と主は武器を振るえぬ人達の代わりの刃だったという所だ。
…あの姿はもしかしたら別の道を選んだ俺だったかもしれないな。
目的と理由が入れ替わってしまったのなら止めないと。

真の姿に。存在感を消し目立たない様に立ち回る。そして可能な限りマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC菊花で攻撃。代償は寿命。
幾らスピードが上がったとて合わせて攻撃すれば当たるはず。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らうものはオーラ防御、激痛耐性で耐える。


ネーヴェ・ノアイユ
この先には多くの方々が楽しい時間を過ごしておられます。
ですので……。あなた様をこれ以上先へとお通しするわけにはまいりません。

此度のお相手様であられる白花様が何故お祭り会場へと向かいたがるのか気になりますのでUCにてウツギの花びらを盾受けを行い……。進行を食い止めたり……。味方の猟兵様が近くにおられた際はかばうなどしつつ……。白花がどうしてこの先へと進みたがるのかお聞きしたいと思います。

語られた理由がとても悲しい矛盾を抱えたものでしたら……。お祭り会場の皆様。そして白花様自身も……。誰も幸せになれそうにない事態を避けるために……。私は侵攻を食い止める壁として白花様の前に立ち塞がり続けますね。


夢ヶ枝・るこる
■方針
・◎

■行動
歪んでしまったことは憐れと思いますが、それでも。
その様な行いをされるなら、容赦は致しません。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FRS』による[砲撃]を白花さん本人に向けましょう。
これで『獣』か『鳥』の何れかは彼女を庇うしかなくなるでしょうから、『FSS』でもう片方の攻撃を防ぎますねぇ。
そして【乳焔海】を使用、広範囲へ『電磁波』の様に『浸透する波長』に調整した『乳白色の波動』を放射しますぅ。
たとえ『全身』を配下が包んでガードしても、それを『浸透』してしまえば防ぐことは出来ず、ダメージが入れば配下の召喚は解除されるでしょう。

後はそのまま『FRS』『FSS』の[砲撃]と集中させますねぇ。




「そう、私は……誰かを、助けなきゃ……」
 その願いに霞がかかるのはなぜだろう。
 ちゃんと思い出さなければ。
 私の存在意義を。
 そのために――『困っている人』を見つけなくては。

「誰かの為に、か。 胸が痛む……そりゃそうだ、俺も同じだから」
 右手に胡、左手に黒鵺――彼の本体である黒き刃のナイフをじっと見つめ瑞樹は呟く。
 瑞樹も、目の前の人形も『人によって』作られた存在だ。
 黒鵺は武器を振るえぬ人たちの代わりに主とともに守れるように。
 白花は呪詛や祟り、悪霊をその身に引き寄せか弱きものを守れるように。
 力無き者たちを守れるように作られたものだ。
「……あの姿はもしかしたら別の道を選んだ俺だったかもしれないな――目的と理由が入れ替わってしまったのなら止めないと」
 だからこそ、自分が止めてやりたいと思う。
 そう願う瑞樹の言葉にるこるとネーヴェも頷く。
「歪んでしまったことは憐れと思いますが、それでも。 その様な行いをされるなら、容赦は致しません」
「えぇ……それに、この先には縁日を楽しまれている皆様がいらっしゃいます……あのお方をお通しするわけにはいきません……」
 守りたい想いが、人たちがいる。
 だからこそ猟兵たちは肩を並べて白花を迎え撃つ。
「君たちも私の邪魔をするの? お願いだから、先へ行かせてよ。 困っている人たちがいるんだ」
 立ち塞がる三人を前に白花はそう告げる。
 だが、人形の言い分にはいそうですかと言うわけにはいかない。
「……いいえ、この先には困っている方などいらっしゃりません……皆、楽しい時間を過ごされています……」
「違うよ、私が『ここにいる』のだから助けを求めている人がいるはずなんだよ」
 ネーヴェの言葉を白花は否定する。
 だって、白花は誰かのための人形なのだから――誰かのためでないと存在する意義がない。
「そう、私が私であるために――助けを求めている人が『いなければならない』 だから、この力があるんだよ?」
 そう言って白花は呪詛を纏わせたウツギの花弁を辺りに舞わせる。
 今までは、祓ってきたはずの呪詛を今度は白花自身が他者へと向ける。
「……させません!」
 呪詛を纏った白き花弁を打ち消すは白き雪の花。
 キラキラと輝き降り頻る雪は盾鏡となり呪詛を反射する。
「……貴方様のお力も、このように魔を祓う力だったのではないのですか……?」
「そうだよ。 でもその力を使うためには呪いを受けてる人が必要だよね? だから私はまず『呪詛』を与えに行くんだ。 この先にはたくさん人がいるから、たくさん私を頼ってくれるはずなんだから」
 ネーヴェの言葉が届いても、その心は未だに白花には届かない。
 自身が人を助けるために、悪意をばら撒きに行くことをおかしいと感じていない。
 自分の言葉が、自分のために目的を作り出そうとしていることに気付いていない。
「悲しいな……その力は、一番お前が使ってはいけないもののはずなのに」
 悲しげに瞳を伏せ、瑞樹はその姿を白き雪化粧を纏った着物の姿――真の姿を解放して迎え撃つ。
 白花と風花の嵐に紛れて、瑞樹はその姿を白き世界に溶け込ませる。
 これ以上その力を振るわせる前に止めなければ――両手に握られた刀をそっと構え直す。
「その考えがおかしいことに気付かないのですねぇ。 貴方の今使っている力は誰かのためのものではなくなっていると思うのですが」
「おかしい? そんなことないよ、これは誰かのための力だよ」
 るこるの言葉にも疑うこともなくそう返す。
 だから、るこるは被りを振る。
「いいえ、今の力は『貴方のため』の力ですよね?」
「違う! おいで、私の邪魔をする彼らを討ち払って!!」
 自身で気付いて欲しいその願いも込めてあるがままに真実を告げる。
 しかし、白花は事実を認識しない。できない。
 そしてまた、自分のために力を振るう。
 共に戦うようにと怨霊となった獣と鳥を従える。
「それも、本来はお前が祓ったはずのものだったんじゃないのか? それは、お前が忌むべき力じゃないのか?」
 現れた新たな怪異に瑞樹が二刀を振るう。
 邪を払うべく、二刀による連撃で獣鳥へと一気に攻めへ転じる。
「黒鵺様、夢ヶ枝様……お二人の守りは私が……このままでは、白花様自身も誰も幸せになれません」
 共に戦う者たちも、かの人形の本当の願いも――全てを守り切ってみせると、ネーヴェはさらに氷の盾鏡を展開し万華鏡のように辺りを煌めきで覆う。
 本来の、貴方様の願いはもっと輝くものだったはずでしょう?と。
「これは、私の……わた、しの……」
 煌く氷の万華鏡に映る自身の姿はなんだか黒く淀んでいるように見えて。
 白花はそこから視線を逸らすかのようにさらに悪霊獣鳥を嗾ける。
「貴方の、力じゃないですよね? きっと、もっと優しく清いものだったのではありませんか?」
 瑞樹の援護をするかのように、空舞う戦輪を放つ。
 それは悪霊も、悪霊を使役する白花自身をも巻き込むように空中を自由自在に飛び回りながら切り付ける。
 そして、るこるは女神に祈りを捧げる――女神の清き力、邪悪な力を燃やす乳白色の炎で辺りを包みながら。
「思い出せ! 本来のお前の願いを!!」
 瑞樹も攻撃の手も、呼びかけの言葉も休めない。
 青から朱に変わった瞳を輝かせながら、二刀を振るう。
 それは絶対にここで止めるという強い意志。
「邪魔を……するなッ!!」
 悪霊も止められ、自身の身体も傷付きながらなおも白花は止まらない。
 しかし、本来流れるはずのない人形から流れた涙のようにその瞳から黒き雫が零れ落ち――人形はその姿を禍鳥へと変えていく。
「もうこれ以上その力を使うな!」
「……どうか、貴方が真に望む皆様の幸せのためにも……」
「貴方自身のためにも」
 空舞う禍鳥の侵攻を阻むべく、ネーヴェはありったけの魔力を込めて氷盾鏡を空へと放てば、その盾を使い瑞樹が上へ上へと駆け上がる。
「これで終わりにしましょう」
 かちゃりと装着したFRSからるこるが放つ光線は、氷盾鏡を反射しながら光の檻を作り出す。
 その隙間を掻い潜り、瑞樹が禍鳥と化した白花に肉薄する。
「すまないな、俺にできることはこれぐらいだ」
 逃げ場をなくした白花に瑞樹は黒鵺を突き立てる。
 送るならこの刃でとその一撃と共に地面へと落としていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
……ああ、そうか。
この人は、動物でも、人でもないのか。
例えるなら、魂が宿っていないヤドリガミみたいな、ただの人形なんだ。

助けるために作られたのに、助ける事がないと、ダメなんだな。
平和を笑顔を守りたいって気持ちがない、のか。

なんだろう、胸の中がモヤモヤってする。
でも、ごめんなさい、俺は貴女を壊さないといけない。
俺は猟兵だから。

UC【狐火】を火力最大で焼いてしまいたい。
上手く言えない。早く躯の海で眠って欲しい。

敵の攻撃は[野生の勘、第六感]と[高速詠唱]を乗せた火の精霊様の[属性攻撃]の[カウンター]で対処したい。

人のために生まれたのに、人のために助けてきたのに、なんでこんな事になるんだろう。


蔵座・国臣

治療すると喜ばれるから、怪我させる医者…うん。ないな。ないない。

ヤドリガミもどきのようだが…。人を学んでなさすぎる。ええと、呪詛?ああ、そういう人形の類か。ヒトガタ、流し雛の類か。なるほど、触れ合う時間は僅か。大事にされども、身近ではない、と。ヤドリガミになるには足らず、憑き物は呼び易いわけだ。

仕方ない、素人仕事だが焚き上げと行こう。

範囲攻撃は他猟兵のカバーリングに回って、変身されれば、防御専念。耐久性と自己修復で壁役兼任しつつ基本はヒーラーとして働こう。魔法役投げたりナノマシン飛ばしたりな。
攻撃に以降するのは召喚攻撃時。距離があれば頭への狙撃。タイミング次第では轢き飛ばすのも有りだな。




「治療すると喜ばれるから、怪我させる医者……うん。 ないな。 ないない」
 一切の迷いなく、国臣は言い切った。
 医者の仕事がないのならばそれが一番いいことだ。
 猟兵として動く時も可能であるならば皆が怪我など負わぬよう立ち回れる方が最善だ。
「ヤドリガミもどきのようだが……人を学んでなさすぎる」
「……ああ、そうか。 この人は、動物でも、人でもないのか」
 『ヤドリガミもどき』
 国臣のその言葉に都月も頷いた。
 魂の宿っていない、虚ろな存在。
「それに……あの人形からは呪いの類の力を感じる」
「なるほど……ええと、呪詛? ああ、そういう人形の類か。 確か、ヒトガタ、流し雛の類か」
 人のために作られたものでも触れ合う時間は僅か。
 大事にされども身近な存在ではない、と国臣は分析する。
 だからこそヤドリガミになるまでにはならず、呪詛を取り込むための人形という存在だからこそ憑き物は呼び易い。
「その存在とその力の組み合わせが悪かったのかもしれんな」
「助けるために作られたのに、助ける事がないと、ダメなんだな……」
 耳もへちょんと垂れ、都月も悲しそうに呟く。
 あの人形は平和を、笑顔を守りたいと思う気持ちは持っていないのか――それとも無くしてしまったのか。
「そうだな、その目的のために作られた存在だから……いや、だったからこそなのかも知れん」
 そういう気持ちを知る前に呪詛に耐え切れなかったのか、壊れてしまったのか。
 もう人形の過去を知ることはできないけれど――今の状態となってしまったものを見過ごすわけにはいかない。
「なんで? どうして、私の邪魔をするの? 私は人のためにあるのに!!」
 すでに何人かの猟兵と対峙したのだろう、身体に傷をつけながらも立ち止まることなく白花が国臣と都月の前に現れる。
 悲痛な叫びを上げる人形。
 その言葉だけなら問題のないものだったのだろう。
「しかし、君はその目的のために人を害するのだろう?」
「それは……見過ごすわけにはいかない。 ごめんなさい、俺は貴方を壊さないといけない」
 本来であれば、同じ『誰かを助けるため』の存在だったはずのもの。
 だが、それも過去のもの。
 この胸に渦巻くモヤモヤとしたものを都月は言語化できなかった。
 悲しいなのか、苦しいなのか。
 それとも、これはまだ自分が知らなかった感情なのか。
 それでも自分は止まるわけにはいかない――俺は猟兵だから。
「仕方ない、素人仕事だが焚き上げと行こう」
「それなら……俺に任せて欲しい。 できるだけ早く骸の海で眠って欲しい」
 これが正しい送り方なのかは分からないが、と呟く国臣の言葉に続いて都月が自身の周りに炎を揺らめかせる。
 その姿を見て国臣が都月の一歩前へと。
「では、君はその炎を操ることに専念しなさい。 あの人形からの攻撃は気にしなくて構わない――全て私が引き受けよう」
「わかった。 よろしく頼む」
 国臣の言葉に頷き、都月は白花を見据えて一つ、二つとさらに狐火を増やしていく。
 どうか、火の精霊様も俺に力を貸して欲しい。
 もうあの人形を助けるには、骸の海へと還すしかないのだと。
「そう、貴方たちも邪魔をするのか……きっと貴方たちも悪いものに憑かれているんだ。 大丈夫、私が祓ってあげる」
「残念ながら、悪いものに憑かれているのは君の方だ」
 清らかであったはずの白き花は瘴気に包まれて。
 禍々しい花弁で国臣と都月を包み込もうとするが、宣言した通りに国臣が動く。
「呪詛祓いは専門外ではあるが、これで多少の打ち消しはできるだろう」
 国臣が放つは白く輝く光の結晶――医療用のナノマシン。
 輝く光は空舞う瘴気の花弁に触れればそれをただの花弁へと戻していく。
「本来君はこのような力を使うものだったのではないのか?」
「……わ、わたしの……力は……」
 あれ?
 そうだ、もっと優しく温かなものだった、ような……?
 国臣の放つ光を見つめ、白花の動きが止まる。
 それは何かを思い出すかのように。
 自身の名の元になったであろう、白の花弁を眺めてポツリと呟く。
「きっと、今の貴方は悪夢を見ているんだ――だから……ゆっくり休むといい」
 そうさせることしかできないのが少し歯痒い。
 白き花も、人形も全て燃やすように都月が狐火を放つ。
 人のために生まれたのに、人のために助けてきたのに、なんでこんな事になるんだろう。
 助けた呪詛の反動か、誰かを助けるためにひたすらその身に悪き力を溜め込んだからなのか。
 それでも、誰かのためにあったのなら――誰かを傷付ける存在になって欲しくない。
「効果はあるのか分からないけれど、炎と一緒にあの光もかけてやってくれないか」
「あぁ、そうだな……」
 その身に宿した悪いものが少しでも軽くなればいい。
 直してあげることができない代わりに、狐の送り火と解毒の光を――骸の海でもう一度自分の願いを思い出せるようにと二人の祈りと共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘスティア・イクテュス
【銭魚】◎
千里にアベル(を投影する腕輪型端末)を投擲【重量攻撃】
いや、ほら…また話長くなりそうだしね?


とりあえず、あれを人形供養?
すればいいのよね?それなら丁度良いのがあるからお任せ!
千里はあれの攻撃を防いでもらっていいかしら?


千里が二匹の足止めしてる間に戦えない本体を狙いましょうか
一応千里の方にプチヘス【援護射撃】を付いて行かせて+ホログラムによる攻撃の分散させ【残像】て支援もするけど

人形供養、つまりお焚き上げね!
レッドキャップによる『爆撃』でその呪詛まとめて燃やし尽くして!【範囲攻撃】


よし!足りない分の灯籠代はこれで返し…あ痛ったぁ!?


六道銭・千里
【銭魚】◎
人形っちゅうんはヒトガタとも言って、昔から厄を変わりに受ける物で
魂も宿りやすく流し雛とか人形供養が…(ry
あ痛ったぁ!?

あいたた…こぶできてるわ…
困ってる人助けんねんやったら俺の痛みを浄化してくれんやろか…
んで、ヘスティアの案か…なんか嫌な予感【第六感】がするけど…
まぁ、じゃあ任せたわ

獣に鳥か
一反木綿【式神使い】を伸ばして鳥を『捕縛』し、銭貫文棒をもって獣に近接戦
2匹がヘスティアの方へ行かんよう足止めやな
んでこの距離からの大判屠舞【破魔】
よし、そっちの方はいけそうか………(ヘスティアを見)

って…おいおいおい!?まてまてまて!?
ミサイルの範囲から全力で離脱
終わったら一発げんこつやな…




「確かあの怪異だけじゃなくてまだもう一体いるのよね」
「せやな。 絡繰人形の怪異言うとったが……どうやら憑座として使われていた人形みたいやな」
 雨雲は晴れた、しかしまだ禍々しい気配は残っている。
 その悪き気配がどんどん強くなってきている、きっとその怪異の存在が近付いているんだろうと千里が呟く。
「また千里の専門かしらね」
「呪詛を纏った人形――」
 人形っちゅうんはヒトガタとも言って、昔から厄を変わりに受ける物で魂も宿りやすく流し雛とか人形供養やら有名やな。
 憑座言われるもんになるわけやけど、今回の人形の情報やらこの呪詛の気配だとかから感じるに悪い気を受けすぎてキャパオーバーになってしもうたんやないか……とここまでの考察を先ほどと同じように話し始めた千里は気付いていない。
 あ、これ話が長くなるやつだわと思ったヘスティアが話を遮るために構えていたのは腕輪型の投影端末。
 口で割り込もうとしても一度止まらなかったことをヘスティアは学習している。
 一発で止めるには――。
「そいッ!!」
「せやから、供養も兼ねて浄化してやるためには……あ痛ったぁ!?」
 物理イズジャスティス。
 投影機を他の用途に使って申し訳ないという気もしなくはないが何事も有効活用することが一番である。
 気にしてはいけない(結論)
「いや、ほら……また話長くなりそうだしね? それに――来てるわよ」
 気持ちだけの弁明とともに、ヘスティアが視線を千里から別のものに向ける。
 それは、にこやかに微笑んでいた。
 笑顔だけなら愛らしい物であったかもしれないがその身体に纏う瘴気は大量の呪詛をその身にため込んでいることは本職ではないヘスティアの目にも一目瞭然であった。
「わぁ、あの人がいっぱいいるところだったら困っている人がいるかなって思ったけどもしかしてすでに困ってるのかな?」
「……せやな、こぶできてしもうてるしな。 先に行く前に困ってる人助けんねんやったら俺の痛みを浄化してくれんやろか……」
 それは暗にこの先へは行かせないという牽制でもあるのだが、憑座絡繰・白花にとっては目の前に現れた自身を必要とする人間だったのだ。
 願ってもないと言わんばかりに白花は頷いた。
「あぁ、任せて。 その痛み――私が『喰らって』あげるよ」
 にこりと笑って白花が呼び出すは怨霊獣と怨霊鳥。
 瘴気を纏った巨大な鳥獣が狙いを千里に定める。
「ははは、痛みを喰らうというかそれ本体を喰らうやつやんけ!!」
「あら、狙われてるなんてちょうどいいわ……千里、貴方が囮になってくれる? あれを人形供養?すればいいのよね? それなら丁度良いのがあるから任せてちょうだい」
 ちょうどいいの言葉に思わずツッコミを入れそうになるものの、何やら策のある様子のヘスティアにしゃーないと頷き怨霊鳥獣への対抗策として千里が呼び出すは一反木綿。
「何や嫌ぁな予感もするが……人形の相手は任せるわ! それじゃ、空のやつはお前に任せたで! 下は俺がやる!!」
 千里の号令に従い一反木綿は怨霊鳥を追い空へ飛び、千里自身は銭貫文棒を構えて怨霊獣へと向かう。
 怨霊鳥の行動を阻害をするかのように一反木綿はその身体(?)を使い締め上げて、千里は飛びかかる爪を払い、喰らい付こうとする獣の喉元目掛けて棍棒を突き出す。
「痛みを取ってくれって言ってるのにどうして邪魔するの?」
「今のアンタの行動は痛みを取るやなくて、痛みを感じなくさせる身体にするっちゅーか命を喰らいとるやり方やんけ!!」
 おかしいな?と首を傾げる白花に至極まともな指摘も投げつつ千里は銭貫文棒を鞭の形状に変化させその冥銭に纏わせた破魔の力で怨霊獣を縛り上げる。
「使役している間は動けんみたいやな……こっちは止めた! ヘスティア今や……って、おいおいおい!?」
 この隙に、と振り返った千里の視界に入ったのは大量の犬の頭を模ったドローンの群れ。
 それは対艦ミサイルを発射するドローン――対艦攻撃弾道弾運搬機レッドキャップ。
「人形供養、つまりお焚き上げね! その呪詛まとめて燃やし尽くしてやるわ!」
「まてまてまて!? お焚き上げと爆撃を一緒にすんなや!?」
 ヘスティアの一斉放射の気配を察知し、慌てて銭貫文棒で捕縛していた怨霊獣と一反木綿で捕縛していた怨霊鳥を白花に向けて放り投げる。
 そして、そのエリア以外に被害が出ないようしっかりと冥銭による結界術も張りながら全力でミサイルの射程範囲から離脱し――。

 チュドォォォォォォォォン!!!!!!

 辺りに爆風が吹き荒れた。
「よし! 足りない分の提灯代はこれで返し……あ痛ったぁ!?」
「限度ってもんを考えぇや!?」
 ドローンによる爆撃後、今度はヘスティアの頭部へ拳骨が落とされるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール

今回の事件、どうにも「問題を解決するために問題を起こす」手合いが集まったようですね

あなたのそれは、「誰かのため」と言いながら、本質は「誰かに礼を言われるため」、つまり「自分のため」の行動です
あなたの目に、もはや「誰か」は映っていない!

雪女の力を解放、速度よりも出力重視(丈の長い着物)に変身
拳に魔力を籠めながら、氷の壁(オーラ防御)を作ったり、蹴り飛ばしたりして獣と鳥を迎撃

【属性攻撃】【全力魔法】で凍結波動を放つ
呪詛も瘴気も鳥獣も、万物を凍てつかせて迸る波動
氷像と化した敵へ、【怪力】を以って拳を叩き込む
諸共に打ち砕く!




「今回の事件、どうにも『問題を解決するために問題を起こす』手合いが集まったようですね」
 寂しいから、雨を降らせ誰かを引き寄せる。
 自身の存在意義のため、困っている人がいなければいけない――それなら困っている人を用意すればいい。
 自身の目の前に現れた憑坐絡繰・白花を見据えてオリヴィアは自身の冷気を高めていく。
 高まる力は真の姿へと――。
 お出かけ用であった浴衣から、真なる雪女としての力を振るうべくその出で立ちも変化していく。
「あなたのそれは、『誰かのため』と言いながら、本質は『誰かに礼を言われるため』、つまり『自分のため』の行動です――あなたの目に、もはや『誰か』は映っていない!」
「何を言っているの? だって、私は『誰かのため』にしか存在できないのだから……おかしくないよ?」
 オリヴィアの言うとおり、人形にはもう守るべき人たちの姿は見えていない。
 誰かのためにあれと作られたはずの人形は自身の存在意義のためだけに人を求める。
 自身の都合の良いようにものを見て、解釈して己のために動くヒトガタ。
「私の邪魔はさせないよ……おいで、一緒に行こう」
 そう囁いて白花が呼び出すは禍々しい気配を纏った怨霊獣と怨霊鳥。
 人形が溜め込んだ呪詛が鳥獣の形を取りオリヴィアに襲いかかる。
「貴方の目を覚まさせたいところですが……骸の海へ還りゆっくり休みなさい、そして貴方のあるべき姿を思い出しなさい」
 送り還すには寒いかもしれないけれど。
 両の手に冷気を込め、まずは地上にいる一体からと怨霊獣に一気に距離を詰めこちらを喰らおうと大口を開けるところに手を突っ込み――。
「凍てつけ!!」
 冷気を解放し、口が閉まらぬように強固な氷を生成、そのまま思いっきり身体を捻り背負い投げの如く怨霊獣を地面に叩きつける。
「次は……ッ!! 貴方も地に伏せなさい!!」
 空中に小さな氷の足場を作り空へと駆ける。
 勢いよく駆け抜ければその背を飛び越え、空中で一回転。
 怨霊獣の上に落とすかのようにその背にかかと落としを喰らわせる。
「貴方たち、早く立ち上がりなさい!」
「いえ――それより早く終わらせて見せますとも!」
 二匹の鳥獣を使役している間は白花は自身が動くこともできず、さらに呪いの力を獣たちに与えるが空から落ちてくるオリヴィアはそのまま詠唱に入る。

 ――顕現せよ、氷の絶対牢獄。時すらも凍てつかせる永劫の縛鎖となれ!

 白花も、二匹の鳥獣をも――それだけでなく辺り一帯も巻き込むように凍結波動を放つ。
 ピシピシと足元から凍り付いていけばもう誰も動くことはできない。
「この一撃で終わりとしましょう!」
 物言わぬ氷像と化した人形たちにオリヴィアは全力の拳による一撃を叩き込むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
【竜鬼】

目的と手段の逆転……オブリビオン化による歪みですね。
でしたらその歪み、正してあげないといけません。
あなたはきっと、人の幸せを奪うような子ではなかったはずですから。

【本気の炎の精霊さん】発動
炎の精霊さんにお願いし、瘴気を放つ花弁を炎の槍で焼き尽くしつつ、リューさんと連携して敵本体を集中攻撃

同時に精霊銃で特製のお清め塩を籠めた弾を撃ち、浄化と併せて供養の儀式とする
余裕があれば精霊たちと共に祈りながら見送る

あなたはもう、十分にお勤めを果たしたんです。
その身に溜め込んだ穢れ、今この場でわたしたちが清めましょう。
ゆっくり、おやすみなさい。


リューイン・ランサード
【竜鬼】

(呪詛絡みであっても)困っている人は、どの世界いつの時代にもいる筈です。
困っている人を見つけられないのはオブリビオン化した影響なのかな?
ともあれ、彼女が罪を犯す前、彼女が成し遂げた偉業を自ら汚す前に、終わらせないといけません。

ひかるさんと協力して、瘴気を纏ったウツギの花びらは、UC:罪砕乃炎に【破魔】を上乗せして昇華します。

その上で、「あなたはやるべき事をやって、人々から感謝されて終焉を迎えました。どうか、そのまま骸の海で眠って下さい。あなたに向けられた『ありがとう』の言葉は決して色褪せる事は有りません。」と、流水剣の【浄化属性攻撃・破魔・貫通攻撃】で人形の核を貫き、安らかな眠りを。




「困っている人は、どの世界いつの時代にもいる筈です。 それでも困っている人を見つけられないのはオブリビオン化した影響なのかな?」
「そうですね、目的と手段の逆転……オブリビオン化による歪みの影響でそこも認識できないのかも……でしたらその歪み、正してあげないといけません」
 こちらに向かっていると思われる悪き気配を感じながらリューインとひかるはこれから現れるであろうオブリビオンの存在に想いを馳せる。
 もうあるべき姿とはかけ離れた存在になってしまったもの。
 きっと、正しく憑坐絡繰であった頃には数多の人たちを救ってきたのだろう。
 その身に取り込んだ呪詛の数々が溢れてしまったのか、そこが骸の海から零れ落ちた時に悪き方へと傾いてしまったのか。
 二人に人形の過去を推し量ることはできないけれど――。
「えぇ、ひかるさんの言う通りです。 彼女が罪を犯す前、彼女が成し遂げた偉業を自ら汚す前に、終わらせないといけません」
「行きましょう、リューさん。 あの子が正しくあれるように」
 人を助けるために作られた人形が、人に仇なす前に止めることはできるはずだから。
「……こんなにたくさん人に会えても、誰も私を必要とする人に会えないの不思議」
 すでに何戦か猟兵とやりあったのだろう。
 ボロボロになりながらも、歩みを止めることなく憑坐絡繰・白花は二人の前に姿を現した。
「貴方たちも困っていないんだ……それじゃ、私の力をあげるね。 そして、すぐに治してあげるから」
 にこりと微笑んで、かつては綺麗な白い花だったのであろうウツギの花を辺りに舞わせる。
 しかし、今はその花弁には黒い瘴気が覆い禍々しい気配となり二人を包むように放たれた。
「思い出してください、この花は――あなたの力は、このようなものでしたか!?」
「誰かのためにとあったあなたはきっと……人の幸せを奪うような子ではなかったはずです」
 もう一度、本当の自分自身を思い出して欲しいと祈りと願いを込めてリューインとひかるは揃って炎を放つ。
 精霊による炎の槍と冥府の罪人を焼霞する紅蓮の炎が合わさり、白き花に纏う瘴気だけを燃やしていく。
 その花の瘴気だけでなく、白花自身が纏う呪詛の力も清廉なる炎で焼き尽くす。
「あぁ……私の、花が……いや、これが……私の……」
 炎に包まれながら白花が空舞うウツギの花を見やる。
 瘴気に包まれた花弁に手を伸ばそうとするが、ふとその手が止まった――そうだ、私の花は黒い花でなく……もっと白い花でなかったか?
「そうです。 そのような瘴気に包まれた花でなく綺麗な白の花――あなたのお名前と同じ白花だったのではありませんか?」
 これが正しい手順かは分からないけれどと、人形を送るための儀式として精霊銃に特製のお清め塩を込めた弾丸を放つ。
 少しでもその身に宿した穢れを浄化できるようにと。
「あなたはもう、十分にお勤めを果たしたんです。 その身に溜め込んだ穢れ、今この場でわたしたちが清めましょう」
 そして、浄化された白き花を辺りいっぱいに包むように風の精霊にも、草木の精霊にも声をかけ白花を優しく抱くように。
 たくさんの人たちとあなたを見送ることはできないけれど、せめて精霊とあなたの名前となった白の花と一緒に送りましょう。
「リューさん、お願いします」
 流水剣を構えたリューインの手にそっとひかるは自身の手を重ねる。
 光の精霊の力がその手から清冽な清水の如き蒼い光を放つ剣にさらなる煌めきを添える。
「あなたはやるべき事をやって、人々から感謝されて終焉を迎えました。 どうか、そのまま骸の海で眠って下さい。 あなたに向けられた『ありがとう』の言葉は決して色褪せる事は有りません」
 二人の祈りを剣先に乗せて、リューインが白花の胸を貫く。
 どうか、届いて欲しい。
 あなたはきっと優しい人形だったのだと。
 たくさんの人から『ありがとう』と言ってもらえるような人形だったのだと。
 だからこそ、そのことを誇りに誰かを傷つけるような人形になって欲しくないのだと。
「あぁ……私は、誰も……傷つけた、く……な……」
「それでいいんです。 あなたはきっとそういう優しい人だったと思うんです。 だから、どうか安らかな眠りを」
「ゆっくり、おやすみなさい」
 胸から剣が抜かれると同時に白花は崩れ落ちる。
 最後にこぼれた人形の本当の心とともに。
 その言葉が守られますように、数多の精霊たちとリューいんとひかるが見守り祈りながらまた清めの炎で人形を送り還すのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

プラシオライト・エターナルバド
リズ様(f20305)と

心有る宝石人形として語り掛けます
人形が心を持つことは決して悪いことではないのでしょう
けれど、因果を取り違えたその道は誤りです
その身で学び、還り、
いつか再びヒトに愛し愛されるヒトガタになれますように

蝶で守って下さるリズ様には感謝を
もしもどちらかが瘴気を受けたら解毒薬を投与
パストペインの鍵を操る【ツミトバツ】(念動力・浄化)
それは貴女が身勝手に困らせた人々が感じた痛みです
エレノアの光属性の浄化弾で撃ち抜きます

庭園の穏やかな思い出を抱いて、自分の気持ちを告げましょう
私は……リズ様のお役に立てているのか、自信はありません
それでも、私はお隣にいて、おともだちでいて宜しいでしょうか


エリザベート・ブラウ
シオさん(f15252)と

ヒトが愛したヒトガタ
ヒトを愛したヒトガタ
最初の在り方が
時を経て変わってしまうこと
哀しいかな
人間も同じね

けれど逆さまになってはダメよ
ヒトの為にあるのが使命ならば
ヒトが困っていようといなかろうと
ただ傍にいて
貴女の在り方は
存在することに意味があるのではなくて?

真白い花の嵐には氷の蝶の嵐で対抗
花から溢れる瘴気からシオさんを守れるよう
蝶に触れた瞬間氷結させてみせる
あとはシオさんの浄化弾を補佐するように氷の蝶を舞わせて

貴女の花びらもとても綺麗だったわ
…ありがとう、おやすみなさい

役に立つとか立たないとか、そういうものではないわ
シオさんはわたしに必要なひと
大切な「おともだち」ですもの




 何度倒れ、何度甦ったか。
 数度に渡り猟兵たちと交戦し、それでもまだ完全に骸の海へ還し切るまでにはいかず、修復の仕切れない身体のまま人形は歩みを止めない。
 人形は、誰かのために在らねばならない。
 その存在意義のためなのか、在り方が変質してしまっても人を求める人形は数多の人の集まる縁日を目指す。
「ヒトが愛したヒトガタ、ヒトを愛したヒトガタ」
 こちらへと向かってくる白き人形をその瞳に捉え、エリザベートは小さく呟いた。
 ――最初の在り方が時を経て変わってしまうこと……哀しいかな、人間も同じね。
「人形も心を持てば人のそれと変わりません。 そして、人形が心を持つことは決して悪いことではないのでしょう」
 エリザベートの言葉に続き、心を得た宝石人形は捻れてしまった憑坐絡繰・白花を見据える。
 きっと本来であれば人を助け、人を愛しヤドリガミになれたかもしれない人形。
 だが取り込んだ呪詛が多すぎたのか、悪霊が強すぎたのか、何がこの人形を変えてしまったのか二人は知る由もないのだけれど。
「けれど、因果を取り違えたその道は誤りです」
「けれど逆さまになってはダメよ」
 本来の在り方から変わってしまったのならば、それは否定せねばならない。
 人を学び、心を知る前に堕ちてしまったのならば――。
「もう一度――骸の海へと還り、いつか再びヒトに愛し愛されるヒトガタになれますように」
 正しき道へと導けるように。
 宝石人形は切に願う。
「私、私は……」
 思い出そうとしてもノイズが走る。
 黒きものが過って前が見えない。
 私は『憑坐絡繰・白花』――人のためにある人形。
「そう、この力は……人のために……」
 そう呟き、辺りに白き花を空へと放つ。
 しかしその花は瘴気に覆われ禍々しく黒き霞がかる。
「えぇ、貴方の力は人のためのもの――でも、今の力は淀んでしまっているわ」
 そのままではだめよ、とエリザベートは美しく輝く氷の蝶の群れを放つ。
 蝶は花弁に引き寄せられるようにひらりひらりと空を舞い花弁に触れれば瘴気ごと冷気で凍らせる。
 大事なおともだちを守るように。
 これが人を守るための戦いだと示すように。
「ありがとうございます、リズ様。 貴方も本来の力を思い出してください」
 凍った花弁にプラシオライトが光の精霊銃を向けて放てばそれは春の雪解けのように――溶けゆく氷と共に瘴気をも祓っていく。
 瘴気をなくした白の花はまるで風花のように氷の蝶と夜空を舞う。
「穢れなき白の花、不浄をその身で包んで浄化した白き花――それが、貴方なのではなくて?」
 瘴気に包まれた黒の花でなく、本来の白の花を見つめて人形は立ち尽くす。
 そっと、その花に手を伸ばせば清らかな光が人形を照らしてくれる。
「……私の花、そうだ……あんな、穢れた黒じゃなくて……」
 大切な何かを思い出そうと人形は掴んだ花弁をギュッと握りしめる。
 それでもまだ――霞がかって大切な何かが見えてこない。
「ヒトの為にあるのが使命ならば、ヒトが困っていようといなかろうと……ただ傍にいること。 貴女の在り方は、存在することに意味があるのではなくて?」
「人に寄り添うもの――そうであった自分をどうか大事になさってください」
 これ以上貴方が罪を重ねぬように。
 人を助けるための人形が、人を傷つけてしまわぬように。
 白き花と氷蝶舞う中に立ち尽くす人形へ、弔いの光をプラシオライトが放つ。
 本来助けるべきであった人たちの痛みをその身に受けて、人形はその瞳から黒き涙を流す。
「あぁ……ごめんね……私は、守れなかったのか……」
「けれど、本当の貴方の花びらもとても綺麗だったわ……ありがとう、おやすみなさい」
「次はきっと……もう一度、貴方の力が人々の助けになることを」
 光と蝶に見送られ、人形はその場に崩れ落ちた。
 しばらくその光景を見つめながら、プラシオライトはポツリと呟く。
「私は……リズ様のお役に立てているのか、自信はありません。 それでも、私はお隣にいて、おともだちでいて宜しいでしょうか」
 宝石人形は胸に宿る不安を口に出した。
 人のためにある人形を見て思うことがあったのだろう。
 庭園での穏やかな想い出、私はいつももらってばかりではないのだろうか。
 きちんと彼女にもらっただけのものを返せているのだろうか。
「シオさんったら」
 不安げな彼女の表情を見てエリザベートはくすりと笑う。
「役に立つとか立たないとか、そういうものではないわ。 シオさんはわたしに必要なひと……大切な『おともだち』ですもの」
 おともだちこそ、役に立つとか立たないではなくただ傍にいて同じ時間を過ごしていたい――そう思う相手ではないのかしら?
 そう言ってエリザベートがプラシオライトの手を取れば、一瞬驚いたような表情を見せた後、嬉しそうに微笑んだ。
「そう、ですね……私もリズ様は大事なおともだちです」
 互いの手を取り、二人は並んで帰路へと着く。
 またあの温かな庭園で穏やかな時を一緒に過ごすために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

清川・シャル
f08018カイムと第六感で連携

うーん…ヒトガタですか…途端に不得手ですね…やりにくい。
いつもの武器でぶっ飛ばすっていうのはあんまりなので、先程に引き続き修羅櫻で行きましょう
今御自身が1番困ってるんじゃありません?解決法は1つ、こちらにお任せ頂きましょう
骸の海へ還るのです

破魔属性で攻撃しましょうか
2回攻撃に切り込み
間合いに入れば、袖の下からSoulVANISHを撃ちます
精神攻撃で悪い部分だけ撃ち抜いて
清き心になれば間違いにも気付けるんじゃないですか?自分で気付くの大事だし
出来れば顔は傷つけない方向で攻撃したい
私も甘いかもしれませんね
浄化が上手く行けばいいですね
ゆっくりおやすみなさいね


カイム・クローバー
シャル(f01440)と【第六感】連携

困っているヤツをアンタが作ってそれをアンタが助けるのか?
堂々巡りだ。それじゃあ、誰も救われねぇさ。
覚えていないか?アンタに『ありがとう』って言葉を放った連中は皆、嬉しそうな顔をしていなかったかい?

二丁銃を引き抜き、紫雷の【属性攻撃】と【二回攻撃】。UCを活用し、怨霊獣と怨霊鳥も纏めて【範囲攻撃】にて銃撃を叩き込む。
白花が傷付けば二体の召喚は維持出来ねぇハズだ。
あの灯りの元には多くの人間が集まってる。
だからこそ、アンタを…不幸を振り撒く存在にしちまう訳にはいかねぇのさ。

事情は分からねぇが、呪詛を引き受けてたらしい。
だから――ありがとよ。今まで引き受けてくれて




 二人の目の前に立つボロボロの人形。
 シャルとカイムの前に現れるまでに猟兵たちと一戦どころでなく交えたのだろう。
 焼け焦げた後、切り傷、修復を試みようとしたのか腕や足にも瘴気が纏わりついている。
 もちろん、瘴気などで自己回復は行えないのだけれども。
「うーん……ヒトガタというだけでやりにくいというのに、すでにボロボロ……」
 だからと言って見逃すなんてことはしないのだけれど、やはり人の姿をしている相手はやりにくい。
 むむっと険しい顔をしながらもシャルはその手を修羅櫻へとかける。
「困っているヤツをアンタが作ってそれをアンタが助けるのか? 堂々巡りだ。それじゃあ、誰も救われねぇさ」
 ――アンタも気付いているんじゃないのかい?
 じっとこちらを見つめる絡繰人形にカイムは優しく問いかける。
「誰も救われない……けれど、それが私の役目。 困っている人がいなければ私は存在する意味がない」
 ポツリポツリと呟きながらも、いや、そうじゃないと被りを振る。
「違う……そうじゃない、私は……私は……見えない、ずっと黒い靄がかかったみたいに……」
 猟兵たちと相対したことで、かけられた言葉や、その瘴気や呪詛を祓おうと尽力した力が人形の呪縛を紐解こうとしていた。
 それでも、未だその身に纏う禍々しい瘴気は人形を捉えて離さない。
「本当にやりにくい……けれど、私ができることは貴方を――その悪き気を斬り祓うこと。 カイム、行くよ!」
 元々は人のためにあった人形。
 そして今、目の前で踠いているのが分かるからこそただただ倒せばいいと思える相手でないことがやりにくさにも繋がるのだけれども。
 斬るべき対象は分かっている。
 そしてあの人形を救うには骸の海へ還してやることだけなのだから。
「あぁ、しっかり思い出させてやろう。 そんな黒い靄じゃなくてさ、アンタに助けられた連中は皆嬉しそうな顔をして『ありがとう』って言ってたはずさ」
 シャルの言葉に頷き、瞬時に二丁の拳銃を構え紫雷の銃弾の雨を降らせればその隙間を縫ってシャルが白花の懐へと詰め寄り修羅櫻に破魔の力を纏わせその身に纏う瘴気を桜吹雪とともに切り払う。
 浄化の力が込められた桜の花弁に包まれるように瘴気は一瞬消え失せるものの、白花を守るかのように大量の瘴気が溢れ出し、それは巨大な獣と鳥の姿を形取る。
「カイム、こっちは任せて!」
「あぁ、デカブツは俺が引き受ける!」
 地上から、空からと迫り来る怨霊鳥獣に向けて休むことなくカイムは紫雷の銃弾を放つ。
 カイムが怨霊たちの相手をしている間は白花は動けない。
「(頼んだぜ、シャル)」
 白花に言葉を届けることはできてもカイムはシャルのように放つ弾丸に破魔の力を乗せることはできない。
 だからこそ彼女が動きやすいようにカイムは敵を引きつける。
「さぁ、こっちだ! 二匹纏めてかかってこいよ!」
 挑発するかのように、天へ地へと縦横無尽に紫雷を纏った銀の銃弾を撃つ。
「もう貴方は自分で気付きかけているんでしょう? だから、その手助けをしてあげましょう」
 修羅櫻を納刀し、浴衣の裾へ手を伸ばして取り出すは小型のパイルバンカー。
 それは肉体を傷付けるものでなく、精神を貫くもの。
 人形の背に刻まれた紋様目掛けて魔弾を放つ。
「(顔や身体もできるだけ傷付けたくない……一番瘴気を感じる場所はここだから……!)」
 ――さっきはカイムに甘いなんて言ったけど、私も人のこと言えないかな。
 できるだけ傷付けず、最善の一弾を。
 シャルの放った魔弾に印を貫かれ、大きく身体を揺らして白花が膝をつく。
 本体が弱ったことでカイムが相手をしていた怨霊たちも姿が保てず消えていく。
「あぁ……そうだ、あの力は……私が捕らえていなきゃ行けなかったのに……」
 消えゆく怨霊を見つめながら白花が小さく呟いた。
「あれがアンタが引き受けていた呪詛だったのか。 一人でよく抱え込んでいたな……ありがとよ。 今まで引き受けてくれて」
 地面に伏していた白花がカイムを見つめてにこりと笑ったような気がした。
「……そう、それが……私の役割だから……」
「思い出したんですね。 それならもう大丈夫、後はゆっくり休んでください」
「アンタを不幸を振り撒く存在にしちまう訳にはいかなかった。 アンタならもう大丈夫だ――おやすみ」
 あるべき姿を思い出し人形は小さく『ありがとう』と呟き瞳を閉じる。
 またいつか、あの時のように誰かのために寄り添える日を夢見ながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高岩・凛

【赤羽蝶と向日葵】
随分と忙しそうだな、人の為にやってんのか自分の為にやってんのか知んねえけどよ
……なーんかやたらと頭にくると思ったらそりゃそうだ、テメエでやってたしょうもねえ事と同じようなもん見せられてるんだから頭にも来るわ…

そうなんのもわかんだけどさ……いや他人にどうこう言われてすんなりやめられるようなら最初っからやんねえか、せめて止めるくらいはしてやるよ。

多喜がオブリビオンの動きを止めた瞬間から「万撃殴殺」で殴り続け、息が上がろうと腕が動かなくなってこようと【限界を突破】して【怪力】で拳を叩きこむ。
最後の一発……を入れるところでオブリビオンを抱きしめ、送る。せめて向こうでは楽しくやれよ


数宮・多喜

【赤羽蝶と向日葵】

せっかくの祭りの日に、無粋だねぇ。
ま、アンタもこういう日にお目見えしてさ、
皆から感謝を貰ってたんだろうねぇ。

けれど、それを歪んで覚えちゃいけねぇよ。
今のアンタは、道理が違う。
呪詛を受けるが喜びならば、
呪詛を与えりゃ悲しまなきゃな。
滔々と『コミュ力』で語り掛けながら、
思念は白花の奥底へ。
そこにある『想い出』を揺さぶり起して、
ちょっとは目覚めて貰おうじゃないさ。

そうさ、受け続けた呪詛に振り回されるんじゃないよ。
アンタは人形(ヒトガタ)、鳥じゃあない。
骸の海へ還った後に、塚の一つでも建ててやらぁ。
荒事は凛さん、任せたよ。

……さて、と。
弔いに白い花の提灯も探すかねぇ?




「ったく……自分で呪詛ばら撒いて、それを助けようなんて。 随分と忙しそうだな、人の為にやってんのか自分の為にやってんのか知んねえけどよ」
 そう呟きながら凛は自身の目の前に現れた人形を見やる。
 どうしても――その考えが、行動が凛の癪に触る。
 そんな感情を呼び起こさせるその人形は未だ悪夢から覚められず――しかし、度重なる猟兵たちとの戦いや浄化により倒れては蘇りながらもその瘴気は徐々に薄まりつつあった。
 それでも、その身に黒き瘴気を纏い身体のあちらこちらに傷をつけながらも人形は止まることはない。
「そう……私が、私で……あるために……呪詛を与え、ちが……祓い……? 与えに、行かなきゃ……」
 そうぽつりぽつりと呟きながら自身の身に瘴気を纏わせその姿をヒトガタから巨大な禍鳥へと変えていく。
「あー……くそっ!! なーんかやたらと頭にくると思ったら……」
 ――そりゃそうだ、テメエでやってたしょうもねえ事と同じようなもん見せられてるんだから頭にも来るわ……。
 ガシガシっと髪を掻き毟り、小さなため息とともに多喜にも聞こえぬぐらいの小さな声をポツリと洩らした。
「凛さん?」
「いや、なんでもねぇよ……分かりたくねぇけど、分かっちまっただけさ」
 大丈夫かい、と問いかける多喜に被りを振って応えながら凛は空を見上げる。
 空には黒き瘴気を辺りに舞わせながら苦しそうな鳴き声とともに空を翔ける禍鳥がいた。
 どうしても重なってしまった部分もあってか、凛は思う――そうなってしまった気持ちも。そして、他人に何か言われたぐらいで止まるようならこうはなっていないと。
「止めてやるくらいは、してやるよ」
「そうだね。 まったく……せっかくの祭りの日だってのに、無粋だねぇ」
 ――アンタもこういう日にお目見えしてさ、皆から感謝を貰ってたんだろうねぇ。
 そう多喜も人形に想いを馳せる。
 人のためにと作られた人形は、きっと過去は正しくあったのであろう。
「けれど、それを歪んで覚えちゃいけねぇよ。 しっかりあるべき自分を思い出してもらおうじゃないか!」
 声を張り上げ、その声に思念を乗せて白花に揺さぶりをかける。
 困っている人、呪詛や悪霊によって病に伏せるものの傍に寄り添い肩代わりをしていたはずだ。
 元気になったものたちにたくさんの『ありがとう』をもらっていたはずだ。
 アンタの喜びはそういう人たちを見守ることだったはずだ。
 白花の想いを、願いを、過去の体験を――思念波で受け取りもう一度思い出せるようにと切に言葉を尽くす。
「今のアンタは、道理が違う。 呪詛を受けるが喜びならば、呪詛を与えりゃ悲しまなきゃな」

 ――アァァァァァァァァァァァ!!!!!!!

 鳴き声とも、泣き声とも思えるような悲痛な声をあげ禍鳥となった白花が少しずつヒトガタへと戻って空から落ちてくる。
「そうさ、受け続けた呪詛に振り回されるんじゃないよ。 アンタは人形(ヒトガタ)、鳥じゃあない……空でなく人の傍にいるべきもんさ――最後は、凛さん任せたよ」
「わた、しは……ヒトの……トナリに……」
「そうだよ!! 自分の在り方――しっかり思い出すんだな!!」
 虚ろな眼差しを向ける白花に喝を入れるかの如く凛がその拳を打ち付ける。
 何度も、何度も、何度も。
 自身の息が上がろうとも、腕が上がらなくなろうとも。
 それでもひたすらに打ち付ける。
 それは在りし日の姿への戒めでもあり、その道を辿って欲しくないという願いをも込められた拳。
「テメェがバカやって!! 今までの自分をも!! テメェに感謝していただろう人たちにも!! 泥を塗るんじゃねぇ!!」
 肩で息をしながら、打ち付ける拳の痛みを自分でも感じていてもそれでも止めることはなく。
 また、白花も抵抗はしなかった。
 そして、また大きく腕を振りかぶって――。
「いいか――自分自身の在り方だけは、間違っちゃいけねぇ」
 拳でなく、白花のその身体を優しく抱き締める。
 ――せめて、向こうでは楽しくやれよ。
 その言葉に頷いたのか、最後にこくりと首を動かし凛に倒れかかるように白花は瘴気とともにその姿を消して行く。
 それを見守ってから、凛も力尽きるかのように膝をついた。
「しっかり骸の海に還った後に――塚の一つでも建ててやらぁ」
 なぁ、凛さん。
 そう呼びかけ多喜は凛の背中に手を回す。
 全力を出し切った友と肩を並べて寄り添いながら。
「……あぁ、そうだな。 それぐらいはしてやるか」
「ついでにさ、弔いに白い花の提灯も探してやろうじゃないか」
 これぐらいはしてやってもいいだろう?
 二人でゆっくりゆっくり帰路に着きながら、今度はきっと人のために在れるようにと白き花の名を持つ人形に想いを馳せて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シホ・エーデルワイス
≪白銀≫


白花さんに親近感

ええ
人を害するのも戦いも彼女は望まないはず
彼女の本当の願いを叶えましょう


事前に【樹浄】で樹を生やし
瘴気を祓う呪詛耐性の結界を作る

ルル達と一緒に白花さんの緑の玉で遊びながら
コミュ力と礼儀作法で彼女が助けてきた人達の事を聞く


私も人々を救う旅をしていて
命の危険に晒された人の身代りになって傷つく事もありますが
感謝の言葉をもらえると役に立てた実感が湧き
辛さなんて嬉しさで吹き飛びます

だから
貴女の助けたいという想いにはとても共感しています
けれど…

白花さんを捨て身の一撃で優しく抱きしめ破魔属性攻撃の光で包む

今まで人々を助けてくれて有難う
貴女の志
私達が引き継ぎます
どうか安らかな眠りを…


ルルチェリア・グレイブキーパー
≪白銀≫


あのお人形さん、本当は優しい子なんじゃないかしら
そんな子が人に危害を加える所なんか見たくないわ
シホ、あの子を止めましょう!

とても困ったわ
そこのお人形さん、この子達と遊んでくれないかしら?
ボール遊びがしたいって駄々こねちゃって
良ければその緑の玉、お借りしても良い?

UC【お子様幽霊たちのお遊戯】で
幽霊の子供達と遊んでもらうわ

ぼーる!ぼーる! あそんであそんでー あそべー

幽霊の子達が白花さんの緑の玉で遊んだり、
頭の上に乗ったり、訳も無く引っ付いたりするわ
この子達の相手をしている間は力も封じられる筈
私達もボール遊びに混ぜて貰いましょう

遊んでくれて有難う
とても助かったわ




「ねぇ、シホ……あのお人形さん、本当は優しい子なんじゃないかしら」
「そうですね……あれは、あの子が人を助けすぎたから――誰かを助けるために呪詛を引き受けすぎたから、逆に取り込まれてしまったんじゃないかしら」
 黒き瘴気を纏った人形。
 しかし、本来の人を助けるためにあった人形ということ――瘴気や呪詛、その力が人形を狂わせているのならば。
「そんな子が人に危害を加える所なんか見たくないわ。 シホ、あの子を止めましょう!」
「えぇ、ルル。 人を害するのも戦いもあの子は望まないはず……私たちで本当の願いを叶えましょう」
 ルルチェリアとシホは頷き合って憑坐絡繰・白花へと向き合う。
 優しい人形に戻って欲しい。
 きっとたくさんの人々と過ごした過去があるはずだから、その気持ちを思い出して欲しい。
 そんな気持ちで白花が動き出すより先にルルが動いた。
「とても困ったわ」
 その言葉にピクリと白花が反応した。
 だって、白花は困っている人を――自分の助けが必要な人を探しているのだから。
「困っているの?」
「えぇ、そうなの! ボール遊びがしたいって駄々こねちゃって……そこのお人形さん、この子達と遊んでくれないかしら?」
 ルルチェリアの背後にはお子様幽霊の三人組がキラキラとした瞳で白花を見上げる。
 気になっているのは白花が媒介としている緑の玉。
「あそ、ぶ?」
 瘴気に包まれているから、ではなく白花は少し戸惑ったような表情を見せた。
 憑坐絡繰として、多くの人に寄り添ってはきたものの白花の役割は人を蝕む呪詛や悪霊を肩代わりすることが役割であった。
 小さな子供と遊ぶ経験自体はなかったのだ。
 それでも――薄らと庭を駆け回る子供の姿や鞠で遊ぶ姿が過るのはきっと白花がその光景を見守っていたから。
 それは白花が守り、大切に思っていた存在たち。
『ぼーる!ぼーる!』
『あそんであそんでー』
『あそべー』
「わぁっ!?」
「皆、あなたに遊んでもらいたがっているのよ。 私もだけど!」
 もう待っていられない、とばかりにお子様幽霊のボール遊びが好きなメイ、人の頭に乗りたがるマイ、超絶マイペースなタクロウが一斉に白花へと飛びかかる。
 マイが緑玉に戯れつけば、その隙にマイは白花の頭へとよじ登り、タクロウも続くように白花へとくっついていく。
 そして、緑玉をお手玉のようにして遊んでみたり互いに向けて投げ合ったりとルルチェリアとお子様幽霊たちは代わる代わる白花に寄り添い、声かけ、楽しさを共有する。
「(穏やかな過去の時を思い出し――その身に宿る瘴気を浄化できますよう)」
 ルルチェリアとお子様幽霊たちが楽しげに遊んでいるのを見守りながら、シホは聖弾を辺りに放ち呪詛耐性の結界を張り巡らせる。
 そして、その中心に現れるのは呪詛や悪き気を浄化する聖霊樹。
 シホは人形に自身を重ねる。
 誰かのためにと自身の身を顧みず身代わりとなる姿は、人々救うための旅を続けていたシホにも通じるものがあったのだ。
 自身が傷付いてでも動いてしまうのは彼らを守りたいと心から思っているから。
「貴方も、たくさんの人たちを助けてきたのでしょう?」
 子供たちを相手に四苦八苦している白花に、シホが優しく問いかける。
 聖霊樹での呪詛の浄化とともに、少しでもその記憶を取り戻せるよう。
「そう大人も子供も……そ、の……はず、で……確かに、私は……」
 聖霊樹でも未だ浄化しきれぬ呪詛が白花に纏わり付き記憶に霞をかける。
 思い出させぬよう、元に戻らせぬよう。
 ヒトガタから理性を失う獣になるかのようにその身を禍鳥へと変貌させようとするが――それをシホは許さない。
 自身の身も呪詛に蝕まれようとも。
 シホは駆け出し、優しく白花を抱きしめる。
「私も貴方と同じように人々を救うために旅をするものです。 誰かの代わりとなり傷つくこともあります――それでも、それ以上に『ありがとう』と誰かの役に立てたことが実感できたその時、辛さ以上の嬉しさがあったのではないですか?」
 貴方の誰かを助けたいと願う想い、その想いに共感しているのだとぎゅっと抱きしめ語りかける。
 だからこそ、白花を今の状態のままにしておくことなどできないのだ。
「きっといっぱい助けてきたのでしょう? そしてまた、この子たちも貴方に遊んでもらえてとても嬉しかったのよ」
『ありがとー!』
『楽しかったよー!』
『もっといっぱい遊ぼうね!』
 シホだけでなく、ルルチェリアもお子様幽霊たちも一緒に白花を抱きしめる。
 骸の海に還る前にもう一度人の温かさに触れて欲しいから。
「遊んでくれて有難う。 とても助かったわ」
「今まで人々を助けてくれて有難う……貴女の志、私達が引き継ぎます」
 ――どうか安らかな眠りを……。
 感謝の気持ちと誓いを込めて破魔の光とともに白花を送る。
 はらりひらりとウツギの花が舞い落ちる。
 それは瘴気が纏ったものではなく、きっとかの人形の名の元となった清らかな白き花となって。
 シホとルルチェリアたちへの感謝の気持ちを伝えるかのように辺り一体に真白の花が降り注いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【双星】◎

いっそ憐れだな
とっとと骸の海に帰してやった方がいいんじゃねぇかと思うんだが…
アレスをチラリと横目でみる
まぁ…そうもいかねぇか
誰かの為に
誰かを助ける為に
そうやって動く人形に親近感でもわくのかね
まあ…本末転倒なとことか似てもにつかねぇけど

おいアレス
こいつも…助けたいんだろ
ちゃぁんと手伝ってやるから
好きにしろよ
アレスの思うように
そういって歌いあげるは【赤星の盟約】
アレスの貫きたい気持ちを貫けるように

まぁ支援に回りはするけどよ
だからってなにもしねーわけじゃねぇぞ
攻撃してくるなら剣に風属性の魔力を注ぎ全力魔法
花弁を風で吹き飛ばす
これがなくてもアレスは自分を守れるんだろうが
支えるくらいいいだろう


アレクシス・ミラ
【双星】


誰かの為に
誰かを助ける為に
その想いはとても大切なものだ
だけど、あの子がやろうとしてる事は…

…うん
悲しいことが起こってしまう前に止めたい
先程の雨の子のように送りたいんだ
彼の言葉に目を閉じる
…ありがとう、セリオス

【天誓の守護者】で花弁を切り開き
周囲を…僕を支えてくれるセリオスを瘴気から護る暁の光で満たすように放とう
そして真っ直ぐあの子の元へ

初めはこうではなかったはずだ
どうか、本来の君と…今まで君が人々から貰った「ありがとう」の言葉と笑顔を思い出して欲しい
纏う呪詛を浄化するように光属性を放とう
…もし、この声が届いたなら
光で送らせて欲しい
誰かの為にというその想いが、正しき道にへと
祈りを込めて




「わた、しは……ひとを、た、す……だれかの……わたしの……」
 セリオスとアレクシスの前に現れた人形は、身体のあちらこちらの傷から血を流すかのように瘴気を垂れ流しボロボロになりながら自身の想いを願いを確認するかのようにぽつりぽつりと言葉を零す。
「わたしが……わたしで、あるため……たすけな、きゃ……」
 二人の前に何度か猟兵たちと交戦した結果だろう。
 その身の傷だけでなく、人形は何かを思い出そうと踠き苦しむが未だ身体を覆う瘴気がそれを許さない。
「行かなきゃ……この力を与え、に……」
 ぶわっと人形の放つ瘴気が辺りに広がった。
 その瘴気とともに白い花が夜空に舞う。
「ったく、見てられねぇというか……いっそ憐れだな」
 とっとと骸の海に帰してやった方がいいんじゃねぇか?と、セリオスが呟き横目でアレクシスを見やればその目は悲しみに揺れている。
「誰かの為に、誰かを助ける為に……その想いはとても大切なものだ。 だけど、あの子がやろうとしてる事は……」
 あの人形が本来の働きで誰かを助けるというのであれば何も問題はないことだが、今人形ができることはその瘴気を肩代わりするのでなく与えてしまうこと。
 それは救いを与えるものでなく、害を与えてしまうもの。
「誰かのために、ってとこまではいいんだけどな」
 いつも誰かのためにと戦場を駆ける幼馴染みの姿を軽く見上げ、セリオスは激励するかのようにその背を叩く。
 その誓い故にあの人形に想いを馳せるところがあるのだろう。
 きっと人形の願いを守ってやりたいと思っているのだろう。
 ――全く、その願いが本末転倒なとこはアレスとは似てもにつかねぇけど。
「おいアレス。 こいつも……助けたいんだろ?」
 返事なんて聞かずとも分かるけれどその言葉は鼓舞するかの如く。
「……うん。 悲しいことが起こってしまう前に止めたい――先程の雨の子のように送りたいんだ」
 想像通りのアレクシスの答えにセリオスも笑みで返す。
 先ほどの悲しげな瞳はもうそこにはいない、あの人形の願いをも『守る』と決めた凛とした瞳だ。
 それがお前の願いだというのなら、それは俺の願いでもある――なんて、口には出さないけれど。
「ちゃぁんと手伝ってやるから。 好きにしろよ、アレスの思うように」
 その代わりに気持ちに応える行動を。
 いつもはセリオスが先を走り、アレクシスがそれを支えることが多いけれども――俺だってあいつの想いを支えてやる事はできるんだぜ。
 その想いを煌く星々の下、セリオスが歌に乗せて紡ぎ上げる。
 二人が育った故郷での想い出の歌。
 故郷は失われてしまったけれども、その想い出は絆となり力となる。
 鳥は囀る、赤き星がその願いの光をどこまでも届けられるようにと。
「……ありがとう、セリオス」
 瞳を閉じ、自身のために歌われる調べをその身に受け暁光に閃く白銀の騎士剣――双星暁光『赤星』を振り抜く。
 瘴気舞う白花を切り裂くように、剣戟から放たれる暁の光と共に人形へ向き合う。
 瘴気に囚われ、呪詛に蝕まれ在るべき姿が見えなくなった人形へ届ける夜明けの光で辺りを満たす。
「……くっ……!!」
 しかし、白花もその身から溢れる瘴気を操りその光を覆うように花弁を重ねていく。
「君に、誰も傷付けさせやしないよ。 僕も、セリオスも――そして、縁日を楽しむ人たちも。 君は人を傷付けることを望む子じゃないだろう?」
 アレクシスの仲間を、誰かを守るというその誓いが暁の光をさらに強化する。
 それは仲間だけでなく白花の本当の願いをも。
 誰かを助けるために作られた人形が、間違ってでも誰かを傷付けてしまわぬように。
「俺たちが二人揃ってるんだ、そんな真似させるわけないだろ!」
 旋律を風に乗せ、アレクシスの放つ光だけでなくセリオスの想いも乗せて穢れた花弁を浄化するかのように吹き飛ばす。
 アレクシスならこの援護などなくとも守り抜いてしまうのだろうが――支えると言ったのだ、これぐらいの仕事はさせてもらってもいいだろう。
 彼の進む道を切り開くように。
「行ってこい、アレス! 全部ぶつけて、送り出してこい!」
「あぁ、任せてくれ!」
 セリオスの激励とともにアレクシスが言葉と、光を放つ。
「初めはこうではなかったはずだ。 どうか、本来の君と……今まで君が人々から貰った『ありがとう』の言葉と笑顔を思い出して欲しい」
 願いを守るように、穢れを浄化するように。
 明けない夜はないのだと、アレクシスは優しい光で白花を包む。
「君の力は人に害を与えるものじゃない、守るものだ」
「……わ、たしは……そう……皆を守るために作られて……」
 その光が、言葉が白花に届いたのか光の中小さく呟く。
 そして、ゆるゆるとアレクシスに向けて手を差し出す――もうその手から瘴気は溢れていない。
「私は……誰も、傷付けて……なかったかな……?」
「大丈夫だよ、君は誰も傷付けていない。 そのために僕たちがここに来たのだから」
 アレクシスはその手を取り、優しく告げる。
 その言葉に安心したように白花が瞳を閉じた。
「……あぁ、よか……った……」
「だからどうか安心して眠って欲しい――誰かの為にというその想いが、正しき道にへと戻れるように」
 アレクシスが光と言葉で送るその背を見つめ、セリオスも人形へと歌を届ける。
 どうかゆっくり眠れるよう、たくさんの感謝と共にあったことを思い出して骸の海で眠れるように。
 温かな光と旋律に包まれて人形は骸の海へと還っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月09日


挿絵イラスト