●誰だこんなの流行らせた奴
「今年のバレンタインデーはこれで決まり! 愛しの彼に投げつけろ!」
最近動画で流行っているのはこんな文句から始まる。画面の中ではとあるキマイラの女性がチョコレート入りの箱を手にして意中の男性の前に立っている。
「好きです! 受け取って下さい!」
風を斬る鈍い音と共に驚異の速度で投げつけられる箱、だが男性は涼しい顔で片手でキャッチした後、投げた女性へ近づいて行く。
「君の気持ち受け取った! 付き合おう!」
「うれしい!」
そんなやり取りをした後二人はくるりとカメラの方を向く。
「さあ今年のトレンドはショコラスロー!」
「あなたもこうやって目当ての彼をゲットしちゃおう!」
●
「ちなみに中には重り入りだそうだ。おもいを込める、だそうだ」
やかましいわ、とアルミィ・キングフィッシャー(「ネフライト」・f02059)は突っ込んだ。
「このままほっておくとバレンタインデーに病院に担ぎ込まれる男が出かねないんで、『この渡し方をしても良いのは猟兵だけ』みたいな動画とやらを作ってくれ」
猟兵でも痛いのは痛いんじゃね? とは思うが、キマイラフューチャーの住人には人気者なんでそういうCMを打てばまあ言うことは聞いてくれるだろう。
「ああ、あと言っておくが投げる時は全力でやってくれ。迫力が違うから」
ある程度は色んな場面を撮影することになるので、投げる側と受け取る側の両方を想定しておいても良いかも知れない。もしくは知り合いと一緒にワンシーンを作るのに集中してもいいだろう。
「あと男とか女とか気にするな。友チョコとかなんとか色々あるんだろ?」
深くは突っ込むべきでは無いのかも知れない。そこまで言うとアルミィはその後にやってもらいたいことがあると言う。
「で、普通の男連中にとってはこれは結構危ない感じだろ? そこにつけ込んで『バレンタインデー中止のお知らせ』つって変な組織に引き込もうとしてる奴がいるみたいなんだ」
それが目的とか迂遠にも程がある。だが実際影響は出始めているようだ。
「動画を撮り終えた後、アンタ達にはこのキマイラ達の説得に行って欲しい。作った動画を見せても良いし、バレンタインに何もないのを寂しがるのを指摘しても良い。なんなら鍛えるっていうのも一つの手かもな」
とにかく猟兵である以上話は聞いてもらえるはずだ。
「あと邪魔するやつとは一回口先で戦う必要があるかもしれないね」
アルミィはハート型の頭を持った怪人の姿を軽く描いた。
「こんなのだ。こいつの勧誘からキマイラを退避させた後は単純に倒すだけでいい。ただ妙にバランスの取れた戦闘能力があるからそこは気をつけてくれ」
アルミィはそこまで言って猟兵達を送り出す。
「まあ何だ、妙に気疲れする仕事になるかも知れないが頑張ってきてくれ。それじゃ頼んだよ」
西灰三
何時もお世話になっています。
西灰三です。
今回はキマイラフューチャーの依頼をお送りします。
詳細はオープニングの通り。
それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
第1章 冒険
『食べ物は大事にしよう!』
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POW : 力いっぱいぶん投げる!
SPD : 狙いを定めてぶん投げる!
WIZ : 頭を使ってぶん投げる!
👑11
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レイチェル・ケイトリン
力いっぱいぶん投げる!
まあ、わたしの力ってサイコキネシスなんだけどね。
念動力と吹き飛ばしの技能でサイコキネシスを発動して
なげてみるよ。
だれか猟兵の男の人にうけとめてもらえばいいのかな。
って「フラグメントにうけとめるがないからとりあえず壁へ」?
フラグメントってなんだろうね?
まあ、いいけど。それじゃ、おもいっきり力をこめて、えいっ!
これでいい動画、撮れるのかな。
キマイラさんたちがけがしないですむようにしたい、
そうおもうんだけど……
北条・冬香
【アドリブ・共闘歓迎】
動画撮影ですね?やったことはありませんが、ええ、頑張ります!
バレンタインデー……恋人たちの幸せに満ちる喜ばしい日を病院で過ごすなんて、悲しいですから。
とにかく、思いきり投げて、思い切り受けとればいいのですね?わかりました!
「よろしく、お願いします!」
(【グラウンドクラッシャー】で投げ放たれる殺人ショコラスロー)
「さあ、どこからでも構いません。かかってきてください!」
(なぜかファイティングポーズをとって待ち構える)
メイガス・オブメイズ
【WIZ】頭を使ってぶん投げる!
想いを込める事は大事である。
しかし、方法を誤っては元も子もなく。
…重く受け止めるべき事態だ。
注意喚起について聖者としても助勢は惜しまぬ。
■受け手
当たった瞬間に不定形の身体を爆ぜるが如く大きく歪ませて。
…ショコラスローの危険性をより強調できる筈だ。
◆投げ手
「チョコレートは、お好きだろうか?」と一声掛けて
「貰える」や「食べれる」と
チョコへの期待に感情が揺れ動いた相手へと
ユーベルコード「Valentine-D」を振る舞う。
時に甘く、時に苦い……
「だまし討ち」のようで申し訳なくもあるが
是非喰らって欲しい。
高柳・零
「頭を使って投げる。成る程頭で投げれば…という事は絶対誰かがやりそうなので、少し考えましょう」
物を比較的簡単に遠くへ投げるには…TRPGにスリングという飛び道具がありましたね。実は昔、タオルで練習した事があるんです(背後の実話)
「では、ショコラスローを実演します」
他の猟兵が協力してくれるならその人に、そうでなければ植木鉢に投げます。もちろん全力で。
人なら相当痛いでしょうし、植木鉢なら割れます。
他の猟兵のショコラスローは無敵城塞で受けます。どんどん投げてください。
「皆さん。このように猟兵でなければショコラスローは大変危険です。ですからやらないように」
アドリブ、絡み大歓迎です。
蛇神・咲優
【POW】≪投げる側≫
ぶんっぶんっ投げる前に素振りし練習する
どこに向かって飛んでいくか本人にもわからない
きっと身長的に顔面へは行かないだろう
今受け取る側のアナタが思っている位置で間違いないと思います
そうゆうことです、ごめんね相手の人
『えっと…チカラいっぱいなげるんだよね?
こうかな?(ぶんっぶんっ)……よし、いくよーっ!!!
さゆのスキうけとってー!!!』
≪受け取る側≫
思いっきり自身へと向かってくるチョコに危機感を覚え
受け取れるなら、切ってしまおう―――チョコレート
愛刀の名前を叫びならズババッ一刀両断
『えっ、うっわ…こ、こわぃいいいいいいいっ
あつ、あつ篤光ぅうううううううっ
!!!!!』
材木座・楢重
「リトルグレイ侵攻」を使い、リトルグレイの皆様60人をお呼びします。
2人組になって頂き、30組でお互いにそれぞれチョコレートを投げ合って頂きます。
リトルグレイの皆様はこの世界の物体をお持ちになるのは初めてと思われますが、きっとお喜びになるはずです。
でもあの華奢な腕では投げる事などきっとままならないはず……!!
ぎこちない手付きで、それはそれは穏やかに交換なさるでしょう。
力づくでは為し得ない、宇宙規模の愛の形がそこに……ああ、もうこれ以上想像出来ません!!(涙を流しながら激しく感動する)
怪人が途中で邪魔して来ようものなら全力で阻止します。
「静かにして下さい!! 今それどころではないのです!!」
涼風・穹
……つまり、気になる相手に重いチョコを投げつける事で相手の能力を試すという風習だとでも…?
猟兵でもそんな試練は…劇物だったり蠢いていたりするようなチョコと称する"何か"を渡そうとするような方もいるんだし、それに比べれば可愛いもんか…?
【投げる】
重りだけでは生温い!
更に熱く派手にいくように重りと一緒に爆発物も仕込んで「熱い」「おもい」を込めるんだ
そしてモテる憎いあいつの顔面に全力で投げつけるんだ!
掛け声は勿論「リア充爆発しろ!」
【受け取る】
女性からチョコを渡されたなら全て受け取るのも男の甲斐性
重さも威力も関係なく全身で受け止める
良い子も悪い子も、猟兵以外はまねしちゃ駄目だぞ☆
お兄さんとの約束だ☆
●チョコレート・リレー
集まった猟兵達の前にカメラがある、彼らはこれからいかにショコラスローが危険なものであるかの実演を記録するために集まった有志である。
「じゃあ、わたしからいきます」
最初の投手はレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)。細腕の少女から始まるというのは良い見本になるだろう。それに彼女はキマイラに怪我をさせたくないの一心で真っ先に来た猟兵である。その意志を実行するために彼女は手にしたチョコレートの箱を両手で持つ。
「まずはうかべて……」
いやちょっと待て。いきなり普通のキマイラには出来ない事なんですが、それは。
「おもいっきり力をこめて、えいっ!」
チョコレートの箱に思い切り力(念動力185、吹き飛ばし5)を込めてぶん投げるレイチェル。チョコレートはありえない機動と速度で飛んでいく。確かにこれならキマイラには真似できないだろう。二重の意味で。……出来たらその人多分猟兵かオブリビオンです。
「さあ、どこからでも構いません。かかってきてください!」
その飛んでくるチョコレートを待ち構えるのは北条・冬香(鉄拳シスター・f13098)である。……称号に並んではいけない単語がある気がするが気にしてはいけない。ましてやファイティングポーズを取っているのは見間違いだろう、多分。
「ふん!」
冬香は気合を入れて投擲されたそれを受け止める。レイチェルの放ったそれは並の猟兵の攻撃の威力を遥かに超えており……ああっ! 北条くんふっとばされたー!?
「くっ、やはりグラップル1では捕まえる事はできませんか……!」
起き上がりながら彼女は取り落とした箱を拾う。次のピッチャーは彼女である。
「この通りにとにかく、思いきり投げて、思い切り受けとればいいのですね? わかりました!」
ここで投手の試合前インタビューをどうぞ。
『動画撮影ですね? やったことはありませんが、ええ、頑張ります! バレンタインデー……恋人たちの幸せに満ちる喜ばしい日を病院で過ごすなんて、悲しいですから』
そうコメントした彼女の目は今闘志に燃えている。
「よろしく、お願いします!」
彼女のボー……、ショコラスローを次に受け取るメイガス・オブメイズ(泥濘の聖者・f05836)が考えを巡らせながら応える。
(「想いを込める事は大事である。しかし、方法を誤っては元も子もなく……」)
そこまで考えた所で聞き捨てならない冬香の叫びが届く。
「グラウンドクラッシャー!」
「!?」
その時メイガスは思った。……重く受け止める事態だ、とは確かに考えた。だがこういう意味ではないと。そこから覚悟するまでわずか0.5秒。
「メイガァァァス!?」
誰かの悲鳴が上がる。彼女のいた場所ごと打ち砕く冬香の一撃。無論それを受けたメイガスは大きな風船のように大きく膨らみ、何とか衝撃波とチョコレートをキャッチした。ゆっくりと彼女の体は元に戻っていく。
「……これで、ショコラスローの危険性を強調できただろうか」
なんとなく疲れた声でメイガスは呟いた。この場合危険なのは一体なんなのかは語るまい。
「そ、そうですね。皆さん。このように猟兵でなければショコラスローは大変危険です。ですからやらないように」
次の受け手である高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)は頭の画面に写った表情を引きつらせながら同意する。この調子だと自分は大丈夫なんだろうかと。
「ところでチョコレートは、お好きだろうか?」
「え、まあ普通に……?」
「そうか、良かった」
彼女の言葉と同時に現れるのはメイガスのホーリーチョコレート、メイガスはそこからチョコレートを発射し零に放つ。もちろんユーベルコード『Valentine-D』ですが何か?
「時に甘く、時に苦い……「だまし討ち」のようで申し訳なくもあるが、是非喰らって欲しい」
妖艶に語る彼女のショコラスロー(なお先程から飛んでいるチョコレートも混じってます)は、高い精度で零に迫る。
「見切りました! 無敵城塞!」
こっちもユーベルコードで防御し、チョコレートを完全に防ぐ。一体この収録では何が起きているのか。
「ふう……。さて次は自分の番ですね」
ちらりと零は次の蛇神・咲優(迷子奇譚・f05029)を見る。既に一連の流れを見て愛刀の柄に手をかけて震えている。無理もない。
「大丈夫ですよ。自分は頭を使って投げるだけですので」
そう言って彼が取り出したのは一枚のタオル。その中心に彼はチョコレートの箱を起きその両端をひとまとめにして握る。
「では、ショコラスローを実演します……スリングって知ってますか?」
「すりんぐ……?」
彼女はすぐそれがどういうものかを悟る。だって零がぐるぐると高速でタオルを振り回し始めたから。ぶっちゃけ遠心力で石を勢いよく投げる武器です。ちなみに投石は普通に人が死ぬので真似しちゃいけないぞ。で、そんな勢いで飛んでくるチョコレートが幼女に向かっていくわけだが。
「えっ、うっわ……こ、こわぃいいいいいいいっ! あつ、あつ篤光ぅうううううううっ
!!!!!」
叫びながら咲優は愛刀で飛んでくるチョコレートを反射的にはたき落とす。床に叩き落とされたチョコレートはクレーターを作る(本シナリオ二回目)。すごいな篤光。主の方は超泣きそうだけど。
「だ、大丈夫か?」
「……うん……」
全然大丈夫じゃなさそうな咲優に涼風・穹(人間の探索者・f02404)が聞く。正直な所、彼はこの動画撮影がこんな修羅場になるなんて考えていなかったのだ。
(「……つまり、気になる相手に重いチョコを投げつける事で相手の能力を試すという風習だとでも
……?」)
自らの予想の甘さに絶望する。
(「猟兵でもそんな試練は……劇物だったり蠢いていたりするようなチョコと称する『何か』を渡そうとするような方もいるんだし、それに比べれば可愛いもん……でもないか……」)
改めてこれまでの状況を振り返る。ふっ飛ばされたり、辺り一面がぶっ壊れたり、とてもじゃないが可愛いと呼ぶには暴力的すぎる。そんな風に考えていると立ち直った咲優がぶんぶんと投げる練習をしている。……どうやら準備は整ったらしい。穹は覚悟を決めると彼女の方へと向く。
「えっと……チカラいっぱいなげるんだよね? こうかな?」
そう言えば彼女の手にしているチョコレートの箱は、前から回ってきたものだが何故か壊れていない。あれは本当に何なのか、あ、これ特に伏線とかじゃないです。多分。
「……よし、いくよーっ!!! さゆのスキうけとってー!!!」
彼女の投げたチョコレートは確かに飛んだ。恐らく普通のキマイラ女性が投げるよりは勢いがあったであろう。……だが、彼女はノーコンであった。
「俺に任せろ!」
穹は全身のバネを使い、明後日の方向に飛んだチョコレートをしっかりと捕まえる。
「ご、ごめんね」
「何、女性からチョコを渡されたなら全て受け取るのも男の甲斐性だ」
突然始まる穹の男前発言。だが相手は幼女だ。
「さて、次は俺か」
穹はきりりと顔つきを引き締めると、カメラの前に立つ。そしてマイクを通して語りかける。
「……重りだけでは生温い!」
いきなり何言い出すんだこいつ。
「更に熱く派手にいくように重りと一緒に爆発物も仕込んで「熱い」「おもい」を込めるんだ! そしてモテる憎いあいつの顔面に全力で投げつけるんだ!」
テロ行為を猟兵が推奨してどうする。
「そして掛け声は勿論「リア充爆発しろ!」」
「そうだ! リア充爆発しろ!!」
誰だ今の。あ、怪人だ。
「「リア充爆発しろ! リア充爆発しろ!」」
「静かにして下さい!! 今それどころではないのです!!」
肩を組んで騒ぐ穹と怪人を黙らせたのは材木座・楢重(材木座組代表取締役・f01840)である。彼はリトルグレイを呼んで見本を示す算段らしい。
「リトルグレイの皆様はこの世界の物体をお持ちになるのは初めてと思われますが、きっとお喜びになるはずです」
彼の前では30組のリトルグレイのカップルが並んでいる。そのうちの一組が箱を受け取りそこね落としてしまう。
「………!」
「………」
人間では理解出来ない会話をしているが、行動を見れは理解するのは容易い。彼らは華奢な腕で一つの箱を互いに持ち上げてゆっくりと渡す。
「見て下さい! この力づくでは為し得ない、宇宙規模の愛の形がそこに……ああ、もうこれ以上想像出来ません!!」
楢重はその様子を泣きながら解説する。チョコレートの受け渡し方の例としてはこちらの方が遥かに正しいだろう。……猟兵達のはそもそも真似できないレベルだし。
「……あ、自分次のシーンの為に移動しますね」
ハート頭の怪人は割合丁寧な口調で去っていた。……かくして、チョコレート投げの危険を伝える動画は完成し、ウェブ上でたくさんの『いいね!』をもらうのであった。
大成功
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第2章 冒険
『あなたもキマイラフレンズなんだね!』
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POW : 怪人やフレンズを一喝
SPD : 怪人のコミュ障を指摘
WIZ : 怪人を正論で諭す
👑11
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●ロンリー勧誘
「どうだ! 世の中の女子の中では、バレンタインに全力投球してくるんだぞ!」
「な、なんだってー!?」
「そう、お前の彼女も愛の名の下にお前を傷つけようとしているのだ! 目を覚ませ!」
頭がハートブレイクしたチョコレートの怪人はそんな風に一般キマイラ男性に声をかけている。そもそも割ところっと行きやすいキマイラである。こんな言葉でもあっさり懐柔されてしまうのである。
「で、でも僕を好きでいてくれるのなら少しぐらいは……」
「馬鹿者!」
気丈にもそう返してくる相手に怪人は怒鳴る。
「好きだからって相手を傷つけていい理由にはならん! そんな女は捨ててしまえ!」
一見まともなこと言っているように見せてるが、マッチポンプである。このまま行くとキマイラフューチャーからカップルがいなくなってしまうかも知れない。なんとしてでもこの怪人を論破し、彼らの懸念を拭い去るのだ!
涼風・穹
【RB団はどこにでもいる、そう、君の中にも…】
だから生温いと言っているだろうが
せこい理論でクソアベック共を別れさせようなどと中途半端にも程がある
真にその意思を貫くのならくだらない偽情報の流布ではなく、己の拳で戦いを挑むべきだ
イチャコラしているクソアベック共を見ていてどう思った?
そうだ…感じるだろう…胸に滾る熱い何かを…!
ならばそれを己の拳に充填しろ!
そしてクソアベック共の、主に男性側の顔面に全力で叩き込め!
【RB・宣戦布告】
世のクソアベック共よ!
諸君らの恋人は傷付ける為にチョコを送るのではない
感謝や想い、愛や心をチョコという形にして贈っているのだ
だが忘れるな!
光ある所必ず影もあるという事を…!
高柳・零
前言撤回します。ショコラスローは猟兵でも大変危険です。
…というか、ユーベルコードで投げないでください!
ふれんずには、先程の動画を利用して冷静になってもらいましょう
「皆さん、先程の動画を思い出してください。あのハート頭は『リア充爆発しろ!』と言って爆弾を投げた猟兵と同調してましたよね。リア充とはカップルの事…つまり、あのハート頭の本心はカップルを爆破する事にあるんです!」
「ハート怪人、あなたは涼風さんの誘導尋問に引っかかったんです。観念しなさい!動画を見てる皆さんもこんな怪人の言う事を聞いてはいけません」
涼風さんが余計な事を言いそうになったら美乳美女の写真を画面外に投げます
アドリブ、絡み歓迎です
レイチェル・ケイトリン
「女の子のなかには全力投球してくる子がいる」
で、それでなんで「彼女さんもそうする」ってことになるのかな?
かっこよく受け止められてハッピーエンドの動画がながれてて、
参考にしても、ほかの動画やおはなしで「やっぱりあぶないよね」
っておもうひともいるんだよね。
あぶないひとがいるからって、かんけいない彼女さんもそうだってきめつける理由にはならないよ!
そんな怪人のたわごとなんてすてて、ちゃんと彼女さんとむきあって!
って説明しとくかな。
そもそも彼女さん、怪人がつくった動画をみてるかどうかもわかんないしね。
蛇神・咲優
【POW】
おにいさんは、スキな人のコトしんじられないの?
カイジンさんの言うことばかりきいて、こうしたいとか…イシはないの?
カイジンさんは、きっとおにいさんのコトがうらやましいからイジワル言ってるんだよ?
それに‟もしも‟のコトで相手を言葉でキズつけていいって理由もないよね?
シンパイなら、スキな人にぎゃくにチョコわたして告白しよ?
本当は男の子からスキな子にチョコわたすんだってママからきいたもん
さゆ、なにかまちがったコト言ってるかな?―――ねえ、おにいさん
純粋な眼差しで見上げる姿には何処か威圧感があり
【殺気】がにじみ出ている、どうやらおこのようだ
怖い思いをしたのに意志の弱さにおこ
怪人には激おこである
●ハートブレイカーズを止めろ!
「……前言撤回します。ショコラスローは猟兵でも大変危険です。……というか、ユーベルコードで投げないでください!」
高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)が叫んだ。蛇神・咲優(迷子奇譚・f05029)から受ける視線はなんか威圧感がある。……まだ殺気が漂ってきていないのは救いか。そんな彼の悲痛な叫びをスルーしてレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)がトコトコと歩いて怪人に絡まれているキマイラフレンズの所へと歩いて行く。
「お前も彼女を捨てて身の安全を確保するのだ!」
「そ、それくらいしないとダメか……」
怪人の言葉に転びそうなキマイラの肩をレイチェルは叩く。それに気づいた彼は彼女の方に振り向いた。
「な、なに?」
「その怪人は『女の子のなかには全力投球してくる子がいる』って言ってるんだよね?」
「あ、ああ」
話の途中で割り込まれた怪人は怒りの声を上げようとした所で咲優に睨まれて押し黙る。明らかにその視線には怒りがこもってる。よほどさっきのがおこだったらしい。
「で、それでなんで『彼女さんもそうする』ってことになるのかな?」
「……あっ」
「かっこよく受け止められてハッピーエンドの動画がながれてて、参考にしても、ほかの動画やおはなしで『やっぱりあぶないよね』っておもうひともいるんだよね」
彼女の言葉を聞いて先程まで難しい顔をしていた別のキマイラが首を縦に振っている。
「あぶないひとがいるからって、かんけいない彼女さんもそうだってきめつける理由にはならないよ! そんな怪人のたわごとなんてすてて、ちゃんと彼女さんとむきあって!」
びしっとレイチェルは指を立てる。確かにこの怪人の言っていることは一部を切り取って大きく言っているだけの詭弁に過ぎないのだ。怪人が何か言おうとするが、それよりも早く咲優が彼に問う。
「おにいさんは、スキな人のコトしんじられないの?」
彼女はキマイラの青年を見上げる。猟兵としてではなく一人の女性として不甲斐ないキマイラに怒っているようだ。
「カイジンさんの言うことばかりきいて、こうしたいとか……イシはないの?」
「……いいや、そんな事は」
「カイジンさんは、きっとおにいさんのコトがうらやましいからイジワル言ってるんだよ?」
彼女の言葉を聞いて怪人は胸を抑えてうずくまる。何故か涼風・穹(人間の探索者・f02404)が『この程度でダメージを受けるとは』みたいな視線を向けているが。
「それに『もしも』のコトで相手を言葉でキズつけていいって理由もないよね?」
「……うん、自分が怖いからって話もせずに別れを切り出すのってやっぱり傷ついちゃうよね」
「シンパイなら、スキな人にぎゃくにチョコわたして告白しよ? 本当は男の子からスキな子にチョコわたすんだってママからきいたもん」
彼女の母親の教育方針が気になるところである。それはともかく、自分からチョコレートを手渡しすれば、相手も投げつけると言う暴挙をすることはないだろう。というか普通のチョコレートは投げたら砕けるし。
「さゆ、なにかまちがったコト言ってるかな?―――ねえ、おにいさん」
「……正しい、と思う」
彼の心の天秤が傾いた所で零が先程まで怪人に勧誘を受けていたキマイラ達に向かって大声で説明する。
「皆さん、先程の動画を思い出してください。あのハート頭は『リア充爆発しろ!』と言って爆弾を投げた猟兵と同調してましたよね」
零は頭のテレビ部分で先程撮った動画を再生する。
「リア充とはカップルの事……つまり、あのハート頭の本心はカップルを爆破する事にあるんです!」
「「「「な、なんだってー
!?」」」」
キマイラ達は一斉に叫び怪人を見る。怪人は腕を振りながら必死に弁明する。
「ち、違うぞ! こんな動画はきっと合成に違いない! 絶対そうだ!」
「ハート怪人、あなたは涼風さんの誘導尋問に引っかかったんです。観念しなさい! 動画を見てる皆さんもこんな怪人の言う事を聞いてはいけません」
そろそろと距離を取り始めるキマイラ達をしきりに見回す怪人の背後で、穹が怪人にしか聞こえない声で呟く。
「だから生温いと言っているだろうが。せこい理論でクソアベック共を別れさせようなどと中途半端にも程がある」
「なっ
……!?」
「真にその意思を貫くのなら下らない偽情報の流布ではなく、己の拳で戦いを挑むべきだ」
あれこいつ怪人側じゃね? とりあえず様子のおかしい彼らを見て、零は動きを封じるためのセクシーなブロマイドを懐からいつでも取り出せるようにする。
「イチャコラしているクソアベック共を見ていてどう思った?」
「……羨ましい、憎い、苦しい……」
「そうだ……感じるだろう……胸に滾る熱い何かを……!」
「これが……本当の……」
「そうだ! それを己の拳に充填しろ! そしてクソアベック共の、主に男性側の顔面に全力で叩き込め!」
剣呑な気配を感じた零はブロマイドを投げる。男のサガというべきか二人の意識が一瞬そちらに逸れた隙にレイチェルは二人を念動力で地面に押さえつける。
「く、くそっ……この作戦は失敗か……!」
「これで勝ったと思うなよ! 世のクソアベック共よ! 諸君らの恋人は傷付ける為にチョコを送るのではない! 感謝や想い、愛や心をチョコという形にして贈っているのだ! だが忘れるな! 光ある所必ず影もあるという事を……!」
咲優は二人の敵に向かって刺すような殺意を向ける。ここでやらなければ、と。彼女は自らに恐怖を味あわせた元凶を断つべく篤光の柄に手をかけた。
大成功
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第3章 ボス戦
『ハートブレイク・チョコレート怪人』
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POW : ジェラシックフレイム
【チョコレートの頭部から噴き出す嫉妬の炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【嫉妬の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : センチメンタル・ギリチョコワールド
戦闘中に食べた【義理チョコ 】の量と質に応じて【過去の悲しみを糧として】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : ジェラシック・ラブイーター
【嫉妬 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【とろけるチョコの塊】から、高命中力の【愛を食らう触手】を飛ばす。
👑11
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●嫉妬で立ち上がる怪人!
猟兵達の呼びかけによってキマイラ達は怪人の呪縛から解き放たれ三々五々に散っていく。今はバレンタインに渡すものを考えているところだろう。既に怪人の計画は破綻した。だが。
「このままでは終われるか!」
無理矢理に怪人は立ち上がり猟兵達に向かって叫ぶ。
「ここでお前達を倒して、今度はアベック達に直接この力をぶつけてやる! そのために邪魔になるお前達をぶっ倒す!」
怪人は次の作戦を実行すべく猟兵達に戦いを挑む。これを撃破しなければキマイラフューチャーの市民に被害が出かねない。猟兵達は武器を取り戦いに挑む。
レイチェル・ケイトリン
え? じゃま?
穹さんはじゃまになってなかったとおもうんだけど……
というか、この怪人、もうすっかり穹さんの配下になってるような……
え、えとえと、念動力技能でつかうパイロキネシスに
吹き飛ばし技能をつけくわえて、爆発する炎にして
敵を攻撃してふっとばすね。
敵の炎もふっとばすし、敵のもってるチョコレートも
ドロドロにとかしちゃうよ。
もちろん、敵がほかの猟兵さんをおそったときも
ふっとばしてまもってあげるね。
わたし、かばう技能もつかえるから。
で、穹さん、どうしようね……
高柳・零
えーと、敵が「2人」に増えてるんですが…怪人だけ倒せばいいんですよね?そこのおっぱいダイバーは放置していいんですよね?
盾役として前に出ます。
盾受け、武器受けにオーラ防御を組み合わせて敵の攻撃を受け止めます。
他に前に出てる味方がいるなら「かばう」で庇います。
「テレビウムに生殖能力は無いので(個人の思い込みです)」
嫉妬には共感しません。恋愛には全く興味がないので。
攻撃は鎧砕きを当てて防御力を下げてから、2回攻撃で削ります。
「ウヰスキーのつまみにチョコレートって合うんですよね」
頭のチョコをなるべく削り取ります。
最後はジャッジメントクルセイドで止めを刺しにかかります。
「仕入れ終了です」
アドリブ歓迎です
涼風・穹
【RB・その魂は砕けない】
「このままでは終われるか!」
咲優に袋叩きにされた挙句念動力で押さえ込まれて既にぼろぼろですが無理矢理に立ち上がり叫ぶ
「RB団の、俺達の戦いはこれからだ!邪魔をするなら押し通るまで!」
クソアベック共を爆破すべく戦いを挑む
【RB・その意地と覚悟】
たとえどれ程の劣勢であろうともRB団に撤退は無い
何故なら、始めから勝ち目が無いと分かっていて、それでもなお己の中に滾る何かに突き動かされて戦う事を選んだからだ
だからこそ、絶望的な戦力差もどれ程打ちのめされようとも関係ない
大事なのはたった一つ、そう、やるかやらないか、ただそれだけだ
『贋作者』で無数の武器を作り出し最後まで戦い抜きます
ルセリア・ニベルーチェ
リアナへのプレゼントの材料を買いに
キマイラフューチャーへと来ていたルセリア
大事な友達に送る手作りチョコ……。
リアナはどんな反応を見せてくれるだろう
買い物袋を手に、浮かれていたルセリアに
嫉妬の炎(ジュラシックフレイム)が迫る!?
次回、チョコレート死す。デュエルスタンバイ!
怒りに身を任せ、敵に黒剣を投擲
ユーベルコード【破壊の暴君】を発動し吹き飛ばす
ルセリアさんの、チョコレートがぁぁぁああああ!!!
全てが終われば、またチョコレートを買いに。
アドリブ歓迎で宜しくお願いします。
蛇神・咲優
ヒビわれてるところに篤光させないかなって【傷口をえぐる】、その後にようす見て【2回攻撃】もしたいけどムリはしないよ!
攻撃の算段を考えていたら、ふと疑問に思った事を素直に述べる
『カイジンさんさ、ギリチョコもらえるほどすかれてたんだね…ギリチョコももらえない人いるのに、ね…へえ、それでシットとかしちゃうのってもらえない人からしたらしょす?しょす?もんだいじゃないかな?』
精神的に少し隙が出来るなら【カウンター】か【2回攻撃】を仕掛けよう
コウゲキを受けても【激痛耐性】でたえるよ!
『幸せな人たちにイジワルするより、自分をみがこうとしない人にさゆと篤光はまけないよっ!』
篤光をぎゅっとにぎり【UC】発動
●焼くもの燃えるもの
「……え? じゃま?」
怪人の言葉を聞いてレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)は首を傾げた。
「穹さんはじゃまになってなかったとおもうんだけど……」
彼女の言葉の言う通り涼風・穹(人間の探索者・f02404)が怪人と共に立ち上がっている。
「……このままでは終われるか!」
「えーと、敵が「2人」に増えてるんですが……怪人だけ倒せばいいんですよね? そこのおっぱいダイバーは放置していいんですよね?」
「というか、この怪人、もうすっかり穹さんの配下になってるような……」
高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)が困った表情の画像を出して周りに問う。レイチェルは既に念動に集中し始めている。たぶん既にやる気。げきおこ状態の蛇神・咲優(迷子奇譚・f05029)はもっとやる気。長い猟兵の活動の中ではこういう事もあるだろう、受け入れよう。戸惑いを隠しきれない彼の前で二体の敵の戦意は燃え上がっている。
「RB団の、俺達の戦いはこれからだ! 邪魔をするなら押し通るまで!」
「おうよ! 我らの嫉妬魂を見せてやる! 喰らえジェラシック・フレイム!」
だがそれは対峙していた猟兵には届かない。なぜならばたまたまここにいた一般通過猟兵のルセリア・ニベルーチェ(吸血鬼嬢は眠らない・f00532)が持っていた買い物袋を焼いてしまったからだ。
やめて! ハートブレイクチョコレート怪人のユーベルコードで、リアナに渡すチョコレートの材料を焼き払われたらバレンタインの予定まで燃え尽きちゃう!
お願い、がっかりしないでルセリア! あなたが今ここで諦めたら、リアナの見せる反応が分からなくなっちゃう! お金はまだ残ってる。ここで敵を倒せばもう一度買い物に行けるんだから!
「次回、チョコレート死す。デュエルスタンバイ!」
いや今回です。ともかく怒りに満ちた彼女は黒剣を念動で二人に投げつけた。破壊の暴君と名付けられたそのユーベルコードは単純な威力が半端ないものであった。具体的には『消滅』する。
「ルセリアさんの、チョコレートがぁぁぁああああ!!!」
「ちょっ!?」
「おまっ!?」
二体の敵はそんな威力のユーベルコードの一撃を受けて空中に吹っ飛んだ。吹っ飛ぶだけで済むのがこの手のシナリオの良いところである。流石に買い物に来ているからか周辺の破壊も最小限だし。
「……あれ? 今回壁役必要ない?」
情け容赦のないルセリアに追随してレイチェルが更に二人を爆破する。そんな圧倒的優勢の様子を見て零が呟いた。シナリオとは高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に進んでいくものなのである。レイチェルの爆発で溶けかけた頭を持ち上げた怪人がしぶとく立ち上がる。
「くっ、ここまで強いとは……」
「だが、たとえどれ程の劣勢であろうともRB団に撤退は無い!」
「そうだ! 我らの先に道はなく、後にも道はない!」
それダメじゃねーか。怪人は諦めが悪くユーベルコードを発動させる。
「ジェラシック・ラブイーター!」
嫉妬の感情を与えた相手をターゲットに向かってチョコレート製の触手が向かう!
「テレビウムに生殖能力は無いので。……というかその技って」
ここで一番嫉妬の感情を持っているのは明らかに穹である。
「う、うおおおお! 俺の愛が!」
「す、すまん同志! ごふっ!?」
発生させた触手をしまおうと背を向けた怪人の頭を零がメイスでぶっ叩く。
「ウヰスキーのつまみにチョコレートって合うんですよね」
未成年は飲酒禁止の方向でお願いします。第六猟兵は全年齢向けゲームなので。
「だが、これしきで倒れるわけには……!」
怪人は塩味の付いた義理チョコをかじり態勢を立て直そうとする。どうやって食べてるんだこいつ。だがそんな悠長な時間を咲優は与えず、その頭のひび割れに篤光を突き刺す。
「ぐがっ!?」
篤光をぐいっとねじり、そのひび割れにより広げる咲優。傷口をえぐるようじょこわい。
「今助ける!」
「ごめん、ふっとばすね」
助けに入ろうとした穹の体がレイチェルの念動力で空中に打ち上げられた。落ちた時何か折れたような音がしたが死んではいないろう。その間にも咲優の急所をえぐる攻撃は続いている。しかも最初よりも効率が上がっている。散らばるチョコレートのかけらも多い。いよいよダメそうな怪人に対して咲優はふと疑問を述べる。
「カイジンさんさ、ギリチョコもらえるほどすかれてたんだね……ギリチョコももらえない人いるのに、ね……」
「なっ
……!?」
突然の彼女の指摘に怪人は痛みを忘れ動きを止める。確かに本当に孤独ならば義理チョコですら怪しいのだ。
「……貴様。この裏切り者が!」
「ち、違う! そういうわけでは!」
遠くで倒れている穹が怪人に向かって叫ぶ。そもそも脆いつながりである、色んな意味で。
「それでシットとかしちゃうのってもらえない人からしたらしょす? しょす? もんだいじゃないかな?」
「ぐ、ぐぐっ……」
ぐうの音も出ないのか痛みに耐えているのか、怪人は唸るだけだ。
「幸せな人たちにイジワルするより、自分をみがこうとしない人にさゆと篤光はまけないよっ!」
彼女は篤光の力を引き出す。その力の名は蛇断氷華。頭部を中心として開かれた力は怪人を内部から破壊し、粉々に砕いた。ここに騒動の中心である怪人は潰えた。だが。
「これで、終わったと、思うなよ……!」
猟兵達が声の方に振り向く。そこには贋作者と呼ばれる力で作った剣を、杖のように使い体を支える穹の姿があった。どうやら恋人たちを邪魔する事を諦めてはいないようだ。諦めろよ。
(「何故なら、始めから勝ち目が無いと分かっていて、それでもなお己の中に滾る何かに突き動かされて戦う事を選んだからだ」)
ここでモノローグ入ります。
(「だからこそ、絶望的な戦力差もどれ程打ちのめされようとも関係ない大事なのはたった一つ、そう――」)
「やるかやらないか、ただそれだけだ」
なおこの後気絶するまでボコられた模様。
「……こんなことしたのは、あいがたべられたから、かな?」
咲優は気絶した穹を見る。彼女のチョコレート投げを受け取った時までは割と好青年だったはずなのだが、事件が進むに従っておかしくなっていった印象だ。嫉妬とはここまで人を狂わせるものかと幼心に彼女は思う。
「仕入れ終了です」
零が怪人から回収したチョコレートを集めて呟く。もっともこれは食べて良いものかどうか。
「ルセリアさんはもう一度買いに行くけど、あなたも来る?」
「……そうですね。ちゃんとしたものの方が安全でしょうし」
ルセリアに誘われて零はその場を離れていく。残された戦場にはレイチェルが穹を見下ろしていた。
「で、穹さん、どうしようね……。あっ」
レイチェルの姿が消える。グリモア猟兵が呼び戻したのであろう。咲優の姿もない。かくして残ったのは気絶した穹一人。冬の寒風だけが彼を撫でるのであった。
大成功
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