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迷宮災厄戦⑦〜激突、正義VS筋肉!?

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●正義と悪の大図書館
「アリスラビリンスで、いよいよ決戦が始まったみたいね。なんか、今までの戦いとは、ちょっと雰囲気違う感じだけど」
 まあ、それでも自分達の仕事に変わりはないと、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)はグリモアベースに集まった猟兵達に告げた。そんな彼女より向かって欲しいと言われたのは、世界征服大図書館。
 なにやら、随分と物騒な名前の場所である。パトリシアの話では、この図書館には世界征服に関するあらゆる歴史書、図鑑、ノウハウ本、自己啓発本などがが収められた、巨大な図書館の国なのだという。
「この図書館の中にいるオウガは、図書館の本の力でパワーアップしているわ。ぶっちゃけ、まともに戦ったんじゃ、私達が束になっても適わないかもね」
 ただし、この図書館の中には世界征服のための書物だけでなく、『正義の書』と呼ばれる本も眠っている。それを見つけ出して読み、正義の味方っぽい行動や言動をすれば、こちらもオウガに負けないパワーアップが可能となる。
「要するに、ヒーローっぽい行動とか台詞が、そのままこっちのパワーアップになるって感じね。あ、でも、敵も悪役っぽい行動をすると、その分だけパワーアップしちゃうから、油断は禁物よ」
 もっとも、敵のパワーアップを阻害するため、こちらが卑怯な手を使うのはお勧めしない。卑怯な手段や姑息な方法は正義の味方っぽくない行動なので、失敗すれば超絶にパワーアップした敵に、一方的にボコボコにされるだけだからだ。
 戦いの行く末を決めるのは、あくまで『らしさ』であることに注意せねばならない。高所から現れて前口上を述べるとか、背後にカラフルな爆発を起こすとか、あるいは不利になると分かっていても弱者や女子どもには手を出さないとか……そういったパフォーマンスで、敵の『悪役っぽさ』を上回る『正義の味方っぽさ』を演出できれば、パワーアップしたオウガも倒せるだろう。
「あ、念のため言っておくけど、あくまで一般的なヒーローっぽい『正義の味方らしさ』が有効だからね。正義って人それぞれだけど……正義のためなら残虐ファイトも辞さないとかやっちゃうと、あんまりパワーアップできないかもしれないわよ?」
 大切なのは公明正大、正々堂々、卑怯もらっきょうもノーサンキューという姿勢である。なお、今回の相手は『純粋食人鬼筋のブレイキア』という筋肉モリモリなアリスの姿をしたオウガ。元は貧弱なアリス適合者だったが、身を護る為に自身の筋肉を異常発達させ……今では他の適合者を誘い洗脳してムキムキにし、素質のない適合者をプロテインドリンクにして飲み干すようになってしまったのだとか。
「異常な肉体改造、洗脳、役立たずを溶かして飲む……なんかもう、悪役怪人の所業のオンパレードって感じ? ステレオタイプな悪だけど、今回の戦いではそういうやつの方が強いから、パフォーマンスで負けないように頑張ってね」
 本当なら自分が行きたい気持ちもあるのだが、自分の目標はあくまでヒーローの相棒。ここはひとつ、真のヒーローにお任せしたい。そう言って、パトリシアは猟兵達を、筋肉アリスの待つ世界征服大図書館へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 このシナリオは戦争シナリオです。
 1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。
『正義の味方っぽい行動・言動をする』ための工夫があると、プレイングボーナスが得られます。

●純粋食人鬼筋のブレイキア
 元は貧弱なアリス適合者でしたが、己の身を護る為に自身の筋肉を異常発達させた結果、いつしかオウガと化してしまった存在です。
 その行動はステレオタイプな悪役怪人のそれに近いため、普通に行動するだけでも、かなりのパワーアップを果たしてしまいます(それを上回る『正義っぽい行動』を猟兵が行えれば、彼女のパワーアップを上回ることができます)。

●その他
 猟兵達は『正義の書』により『正義の味方っぽい行動・言動をする』ことでパワーアップできます。
 しかし、正義を建前にヒーローらしくない行動(例:悪人は問答無用で皆殺し、勝つためには卑怯な手段も辞さない、等)を取ってしまうと、パワーアップはできません。
 反対に、『正義の味方っぽい行動・言動』であれば、それが一見して不利にしかならない行動であっても、今回に限ってはむしろ有利に作用します。
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第1章 ボス戦 『純粋食人鬼筋のブレイキア』

POW   :    ふふ、貴方でトレーニングしましょう♪
レベル×1tまでの対象の【姿を1本のバーベルに変換し、そのバーベル】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    さあ素敵なプロテインお茶会を始めましょう?
自身の【貯蔵していた大量の元適合者プロテイン】を代償に、【同世界から召喚したアリス適合者Lv×1人】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【プロテインで異常発達した筋肉と洗脳状態】で戦う。
WIZ   :    戦闘などやめてその素晴らしい筋肉で共に鍛錬を♪
無敵の【戦闘を禁じ鍛錬のみ許す対象の超隆起筋肉】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は九十九・静香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シャーロット・キャロル
なるほど筋肉自慢のようですね。ですが私もことパワーに関しては負けられません!

まずはヒーローらしく高台から名乗りです
「正義の心胸に秘め、マイティガール只今参上!」
相手をびしっと指差してヒーローらしく先制の決めポーズ!

「どうやらご自身の筋肉が大層ご自慢のようですがこの私の正義の怪力とどっちが強いか勝負といきませんか?その筋肉が見せかけでないのなら正々堂々正面から受けられますよね?」

こちらの誘いの乗ってきたならしめたもの、宣言道理の正面からの力比べです!
私の【怪力】はそんじゃそこらのとは文字通り桁違いですからね、掴んだら放しませんよ!
そしてそのまま【マイティバスター】で投げてやります!

※アドリブ歓迎


ユースティ・アストライアー
アドリブ・絡みOK

皆の幸せ護ります希望の星スーパーウィッシュガール只今参上です!
ほう、その見事な筋肉、力自慢さんでしたか。なるほどです。
では、正義と悪。どちらの力が強いか私と力比べしませんか?(見た目細い腕で力こぶらしきものを作る)
力比べは技能【怪力】使用
肉弾戦も全部【怪力】使用
敵の攻撃も【怪力】を用い本棚を倒して防御したり、それを盾にする。
さらにUC【スーパー・ジャスティス】で、スーパーヒーローという意識、世界の皆を守らねばという意思で戦闘力強化

たとえバーベルにされてもピンチになってもボロボロにされても決して正義は屈しません!
バーベル解除されたのと同時に怪力正義パンチです!


マスクド・サンドリヨン
よ、よく分からないけどなんかすごい敵ね。
「姫華、気を抜かないで。見た目は愉快ですが、間違いなく強敵です」

正面から名乗りを上げて、敵に立ち向かっていくわ。
けど、敵は洗脳された適合者を盾に……図書館の事がなくたって、攻撃出来る訳ないっ。

私が手を出せないのを良いことに、適合者は一方的に攻撃と言うか、トレーニングを強要してくるわ。桁外れに重いバーベルを持たされてのスクワット。正義の力を持ってしても、潰されないようにするので精一杯。
少しでも揺らげばその度に怪力でお尻をひっぱたかれて、真っ赤に腫れ上がっても耐えるしかない。

でも私がこうして適合者を引き付けていれば、他の仲間がブレイキアを倒してくれる筈……!



●参上、スーパーヒーロー!?
 不思議の国に現れた、謎の筋肉少女アリス。図書館である周囲の光景と相俟って、なんというか凄まじくミスマッチな存在だ。
「よ、よく分からないけどなんかすごい敵ね」
 マスクド・サンドリヨン(仮面武闘会のシンデレラ・f19368)こと灰崎・姫華は、早くも敵の姿にドン引きしていた。顔までゴリラみたいな容姿の筋肉少女ならまだ分かるが、しかし敵の顔は美少女のままだったので、却って不気味さが増していた。
「姫華、気を抜かないで。見た目は愉快ですが、間違いなく強敵です」
 そんな姫華に、ヒーローマスクのピジョンが耳打ちする。姿形こそふざけているが、あの筋肉は本物だ。下手にパワー勝負になったら、こちらに勝ち目はないに等しいと。
「ほう、その見事な筋肉、力自慢さんでしたか。なるほどです」
「なるほど筋肉自慢のようですね。ですが、私もことパワーに関しては負けられません!」
 その一方で、ユースティ・アストライアー(スーパーウィッシュガール・f16665)とシャーロット・キャロル(マイティガール・f16392)の二人は、最初から敵とパワー勝負を挑むつもりのようだ。
 彼女達は、ヒーローズアース出身のスーパーヒーロー。しかも、片やアンドロイド、こなたサイボーグという存在であり、それ故にパワーも普通の人間とは桁違い。
 とりあえず、これから先の戦いを有利に進めるためにも、まずはヒーローらしく登場せねば。3人は無言で頷くと、まずは近くにあった図書館の本棚の上に軽々と跳び乗ってポーズを決め。
「そこまでよ! これ以上、あなたに世界征服なんてさせないわ!」
 敵の背後から、姫華が堂々と指差し叫ぶ。思わず「何者です!?」と叫んで相手が振り返ったところで、シャーロットとユースティが決めポーズ!
「正義の心胸に秘め、マイティガール只今参上!」
「皆の幸せ護ります、希望の星スーパーウィッシュガール只今参上です!」
 登場は完全に決まった。何の効果かは分からないが、何故か彼女達の背後からは眩い光が溢れており、甲高い効果音が鳴り響かんばかりの情景だった。
「あなた達は……そうですか。あなた達が、猟兵ですね」
 己の筋肉を誇示するように、敵であるブレイキアもまたマッスルポーズを決めて身構える。正に一触即発。正義と悪が出会った以上、この戦いは避けられない。
 無音の世界で、激突する火花。ヒーローの正義が勝つか、悪の世界征服が勝つか、勝負は彼女達の想いの強さに掛かっている。

●正義と力
 大図書館の一角で、互いに激突する正義と悪。均衡を破り最初に仕掛けたのは、他でもないシャーロットだった。
「どうやらご自身の筋肉が大層ご自慢のようですが、この私の正義の怪力とどっちが強いか勝負といきませんか? その筋肉が見せかけでないのなら正々堂々正面から受けられますよね?」
 ここは正義の味方らしく、敢えて相手の得意なフィールドで挑む。同じく、ユースティもまた細腕に力を込めるような仕草と共に、ブレイキアにへと力比べを挑み。
「どちらの力が強いか、私と力比べしませんか?」
 見た目で侮ると怪我をする。それだけ言って、ブレイキアへと挑む二人。だが、ブレイキアもまた筋肉を膨らませて拳に力を入れると、二人の攻撃を真正面から受け止めた。
「くっ……!」
「やりますね……さすがは、自慢するだけのパワーです……」
 ヒーローズアース屈指の怪力を誇るスーパーヒロインの拳を、正面から受け止める圧倒的パワー。しかも、ブレイキアの武器はそれだけでなく、彼女は岩をも砕く突撃槍も持っているのだ。
「うふふ……その程度ですか? まあ、少しは楽しませてもらえそうですね」
 槍で二人を薙ぎ払い、ブレイキアは更なる追撃を仕掛けてきた。本棚を盾に、それを防がんとするユースティだったが……敵の攻撃はその程度で止まるものではなく、本棚を軽々とブチ破ってユースティに迫る!
「さあ、捕まえましたよ。……ふふ、まずは貴方でトレーニングしましょう♪」
「……なっ!?」
 そう言うや嫌な、ブレイキアがユースティの身体を掴むと、なんとその姿を巨大なバーベルへと変えてしまった。そのまま、バーベルと化したユースティを掴み、ブレイキアはそれを武器に今度はシャーロットへと襲い掛かる。
「ほらほら、どうしたのです? さっきの勢いは、どこへ行きました?」
 巨大なバーベルを振り回しながら迫り来る筋肉女。さすがに、あんなものを食らっては、シャーロットとて無事では済まない。しかも、仲間が姿を変えられた存在である以上、下手にバーベルを破壊すれば、それはユースティを傷つけることに繋がってしまう。
「くっ……卑怯な! 正々堂々、勝負しなさい!」
 だんだんと、部屋の隅に追い詰められて行くユースティ。もう、これ以上は見ていられないと、とうとう姫華が覚悟を決めてブレイキアに飛び掛かるが……果たして、彼女の攻撃がブレイキアに届くよりも前に、立ちはだかったのは無数のアリス達。
「さあ、素敵なプロテインお茶会を始めましょう?」
 ブレイキアの言葉と共に、アリス達はプロテインを飲むと、筋肉を以上発達させた姿になって姫華へと襲い掛かって来た。
「人質だけじゃなくて、今度は戦闘員まで!? なんてお約束な悪党なんですか!?」
 あまりのテンプレ展開に、シャーロットは開いた口が塞がらない。だが、ここでアリス達を殴ってしまうのは、正義の味方としてはなんとも躊躇われるわけでして。
「来ます! 姫華、攻撃を!」
「そ、そんなの無理よ! だって……あの人達は、操られているだけで……」
 案の定、文字通り手も足も出ないまま、姫華は洗脳された筋肉アリス達に捕まってしまった。

●最後に正義は勝つ!
 人質、改造、そして洗脳。悪のテンプレを尽くすブレイキアは、その行動を繰り返す度に、書物の力で強化されて行く。その一方で、手出しのできないシャーロットや姫華は、もはや敵にされるがままだ。
「うふふ……これで終わりですか? 随分と大したことないですね」
「……ぐぅっ!!」
 ユースティの変じたバーベルをシャーロットの上に放り投げ、ブレイキアはその上から彼女を踏みつけた。その、あまりの重さに耐えられず、シャーロットは苦悶の表情を浮かべて呻くだけだった。
「ほらほら、尻がしまってないわよ!」
「足も腰も、たるんでるわ! トレーニングが足りないのよ!!」
 姫華に至っては、召喚された洗脳アリス達によって、無謀なトレーニングを強要されている始末。このままでは身体が壊れてしまうが、しかし止めれば尻に強烈な蹴りが飛んでくる。こちらが手出しできないのを良いことに、相手はやりたい放題である。
(「うぅ……キツイ……。で、でも、ここで耐えれば、後は皆が……」)
 それでも、懸命に耐えながらトレーニングを続ける姫華。彼女とて、別に何の考えもなしに鍛えているわけではない。どれだけ尻を叩かれようと、その尊厳を代償に、奇跡を起こすための機会を窺っているのだ。
 このアリス達は自分が引き受ける。だから、その間に敵を倒して欲しい。そんな姫華の願いが通じたのだろうか。
「うぅ……お願い……です……」
 バーベルに変えられていたはずのユースティが声を出した。これには、ユースティや姫華だけでなく、ブレイキアもびっくりだった。
「ば、馬鹿な!? 今のあなたは、物言わぬバーベルでしかないはずなのに……」
 驚愕するブレイキア。しかし、彼女を他所に、ユースティは更に告げた。
「お願い……です……。私ごと……敵を……吹き飛ばしてください……」
 自分には構わず、攻撃しろ。それは、正義の味方であるからこそできる自己犠牲。人々のため、仲間のためなら、命さえ捨てられるというヒーローの覚悟。
 そんなものを見せられては、ここで負けるわけにはいかない。身体に再び力が戻って来るのを感じ、シャーロットはバーベルの柄をしっかりと掴み。
「……はぁぁぁぁっ!!」
 そのまま怪力で、強引にブレイキア諸共押し返す。そして、態勢の崩れたブレイキアに掴みかかると、一気に投げの姿勢に入った。
「なっ……! は、放しなさい!!」
「打撃だけじゃないですよ! こういうのはどうです!!」
 炸裂する強烈な投げ。必殺のマイティバスターが炸裂し、顔面から床に突き刺さるブレイキア。その衝撃でユーベルコードが解除されたのか、姫華を取り囲んでいたアリス達が次々と消滅し、ユースティの姿もまた元に戻り。
「たとえ、どんな姿にされても、決して正義は屈しません!」
 最後は黄金のオーラを纏った正義パンチで、ユースティがブレイキアを図書館の彼方まで吹き飛ばす。
「きゃぁぁぁっ!! 覚えてらっしゃい!!」
 本棚をブチ破りながら、捨て台詞を吐いて吹っ飛んで行くブレイキア。なんというか、最後まで悪のテンプレ、そのままの相手だ。
「と、とりあえず……なんとかなった……の?」
 腫れた尻を押さえながら、姫華がその場にへたり込んだ。苦戦を強いられると思われたが、しかし蓋を開けてみれば、ヒーロー物としてはお約束の展開。彼女達の持つ強い正義の心が、それをもたらしたのは言うまでもないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神羅・アマミ
筋肉の闇に囚われた哀しき獣がここに一匹!
いくら肉体を鋼に鍛えようとも、心まで強くすることはできぬ!

どう?前口上だけで結構ヒーローポイント稼げてない?

敵がアリスを無数に召喚するなら、「正々堂々と戦わんか!この卑怯者めー!」とか言いながら不殺を貫けば更に稼げんかのー。
数には数で対抗、発動せしUCは『特機』!
そして洗脳アリスの狙うべき部位はただ一つ…膝じゃ!
そこはあらゆるアスリートにとって最も脆い生命線、突然の筋力と体重の異常増加によって生じる過負荷は想像を絶するに違いない。
安心せい!脛打ちじゃ!脛打ちじゃー!

ボスも当然膝狙い。
水分は摂ったか?休息もまた鍛錬じゃぞ?
優しさと余裕のアッピルも忘れずに!



●ヒーローって難しい
 猟兵達から強烈な反撃を食らい、図書館の端まで吹っ飛ばされたブレイキア。辛うじて生きてはいたものの、その肉体に残るダメージは馬鹿にできるものではなく。
「うぅ……な、なんて馬鹿力……。この私が、パワー負けするなんて……」
 脇腹を押さえながら、ブレイキアは立ち上がる。筋肉の鎧を纏っていたことで致命傷こそ避けられたが、それでも肋骨の一本や二本は折れているかもしれない。
 あの猟兵ども、今度会ったらただでは済まさない。お約束の悪役台詞を吐きながら腹を押さえるブレイキア。しかし、そんな彼女の下へ、新たな猟兵が現れた。
「筋肉の闇に囚われた哀しき獣がここに一匹! いくら肉体を鋼に鍛えようとも、心まで強くすることはできぬ!」
 崩れた本棚の上に立ち、逆光を浴びながら叫ぶ者。悪のアリスを倒すべく、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)が馳せ参じたのだ。
(「どう? 前口上だけで結構ヒーローポイント稼げてない?」)
 もっとも、そんなアマミの脳内は、ヒーローらしさの点数稼ぎでいっぱいだったが。果たして、彼女の行動は、どこまで正義の書に認めてもらえるだろうか。
「あなたも猟兵ですね! こうなったら、まずはあなたを倒して、この憂さを晴らさせてもらいます!」
 周囲に散らばる本を蹴り飛ばし、ブレイキアはアマミに迫る……と、思いきや、彼女は周囲に無数の筋肉アリス達を呼び出し、一斉にアマミへと襲い掛からせた。
「なっ……! 正々堂々と戦わんか! この卑怯者めー!」
 開幕から惜しげもなく戦闘員召喚。お約束と言えばお約束なのだが、実際にやられると堪ったものではない。しかも、相手は洗脳されたアリス達。下手に殴って殺すわけにも行かず、これでは本物のヒーローでも大ピンチだ。
「えぇい、こうなったら、もうヤケじゃ! とくと見やれ、ガラクタより組み上げし妾の華麗なる剣舞! せめて一思いに骸の海の藻屑へと還してやろうぞ! 死ねーッッ!!」
 追い込まれたことで完全に吹っ切れたのか、早くもアマミが本性を露呈させる。なんか、思い切り殺す気満々で大量の剣を呼び出しているのだが、果たして本当に大丈夫なのだろうか。
「あら、その剣で彼女達を攻撃するつもりかしら? まさか、正義の味方が人殺しなんてしないわよね?」
 ここで洗脳アリス達を殺してもらった方が有利になるので、ブレイキアはこれ見よがしにアマミを煽った。が、アマミも敵の策は分かっているのか、洗脳アリス達を殺すことはなく。
「ふん! いかに肉体を鍛えようと、鍛えられぬ場所があると教えてくれるわ!」
 殺到する無数の洗脳アリス達へ、アマミはソードビットを差し向けた。彼女が狙うのは、相手の膝。ただでさえ筋力が増加して体重も増えている肉体が、その身体を支えている部位を攻撃されれば、どうなるか。
「……きゃぁっ!!」
「いったぁぁぁぁい!!」
 誰も彼も、膝を押さえて転げ回り動けない。確かに、この状況を打破するには効果的な策だったが……相手の急所を徹底的に狙って潰すというのは、正義の味方としてはいかがなものか。
「安心せい! 脛打ちじゃ! 脛打ちじゃー!」
 いや、それを言うならせめて峰打ちにしてやれよ。脛なんぞ打っても痛いだけで、むしろ苦痛は倍増だ。こんなことなら、せめて一思いに気絶でもさせてやった方が、せめてもの情けに思えるのだが。
「な、なんてこと! ちょっと、あなた! それでも正義の味方なの!?」
 ああ、ほら見ろ、言わんこっちゃない。悶絶する洗脳アリス達を前に、ブレイキアまでドン引きしているよ。
「ふん! 他人を洗脳して戦わせるような卑怯者に言われたくないわ! 覚悟!!」
 だが、ブレイキアの言葉になど耳も貸さず、アマミは残るビットを全てブレイキアの膝に叩き込んだ。いかに人知を超えた筋肉を持っているブレイキアとて、これは痛い!!
「ぎゃぁぁぁぁっ! わ、わたしの足がぁぁぁぁっ!!」
 やはりというか急所だったようで、堪らず悶絶して転げ回っている。そんなブレイキアを見降ろしながら、アマミは最後に余裕の表情でアドバイス。
「水分は摂ったか? 休息もまた鍛錬じゃぞ?」
 本人は親切心からの助言なのだろうが、この状況ではどう考えても、火に油を注ぐ煽りにしか見えない。
 筋肉女の弱点を的確に突くことで、アマミは苦も無くブレイキアを下した。しかし、彼女の行動に正義の書がどれだけ力を貸してくれたのかは分からない。戦いを制することはできたが、正義の味方になるというのは、なんとも面倒で難しいことのようである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティエル・ティエリエル
まずは『正義の書』を探してお勉強だね!
ふむふむ、ヒーローは高いところから登場する、ヒーローは悪を憎んで人を憎まずなんだね!

お勉強が終わったらさっそく実践だ☆
ブレイキアを見つけたら本棚とか高いところに着地して名乗りをあげるよ!
秘密のフェアリープリンセス、ティエル参上だよ♪ボクが来たからにはもうこれ以上暴れさせないよ!

召喚されたアリス適合者に襲われても決して反撃したりしないよ!むぅ、きっと無理やり操られてるんだよね!
「見切り」での回避に徹して徐々にピンチになるけど、逆にどんどん力が湧き上がってくるよ☆
襲い掛かってくるアリス適合者を振り切ってブレイキアに【妖精の一刺し】をお見舞してやるよ!



●小さな英雄
 猟兵達の活躍で、ブレイキアは自慢の筋肉を披露する暇もなくボコボコにされていた。
 そんな中、少しばかり遅れて登場したティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)。なぜ、彼女が出遅れてしまったのかといえば、今まで正義の書で正義の味方について勉強していたからだ。
「ふむふむ、ヒーローは高いところから登場する、ヒーローは悪を憎んで人を憎まずなんだね!」
 だいたいのお約束パターンを飲み込んで、ティエルは本を置き立ち上がった。なお、彼女は気付いていなかったが、この時点で必然的に『真打は遅れて登場する』というヒーローの条件を満たしてもいた。
 とりあえず、高いところから名乗りを上げる必要があるようだ。幸い、ティエルは小柄な妖精なので、彼女からすれば全ての場所が等しく高い。
「秘密のフェアリープリンセス、ティエル参上だよ♪ボクが来たからにはもうこれ以上暴れさせないよ!」
「だ、誰ですか! 姿を見せなさい!!」
 唐突に名乗りを上げたティエルの姿を探し、右往左往するブレイキア。それもそのはず、ティエルはなんと、ブレイキアの頭上に乗って名乗りを上げていたのだから。
 まあ、フェアリーの彼女にとっては、敵の頭上も高い場所に含まれる。完全に意表を突かれた形となり、ブレイキアは思わずブチ切れてティエルを叩き落とそうとするものの。
「むきぃぃぃっ! さっさと降りなさい、このクソガキ!!」
「おっと、危ない危ない。そんな攻撃、当たらないよ♪」
 軽々と身を翻し、ブレイキアの攻撃を避ける。業を煮やしたブレイキアは、ついに呼び出せるだけの洗脳アリスを呼び出して、一斉にティエルへと差し向けた。
「むぅ、きっと無理やり操られてるんだよね!」
 さすがに、彼女達を攻撃することはできないのか、今度はティエルが徐々に追い詰められて行く。が、小柄で素早い彼女に、筋肉のパワーに任せた攻撃など当たらない。
 敵の攻撃を避ければ避ける程、ティエルの身体に力が湧いてきた。女子供は傷付けないという正義の味方のお約束が、彼女にどんどんパワーを与えてくれるのだ。
 もう、これ以上は力を溜める必要もないだろう。敵の集団に隙間を見つけ、ティエルはそこを目掛けて一気に飛翔して間合いを詰め。
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
「え……? きゃぁぁぁぁっ!!」
 最後はブレイキアの眉間をブチ抜いて、見事に止めを刺したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月06日


挿絵イラスト