迷宮災厄戦④〜スーパー着ぐるみ大戦(作者 雅瑠璃
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●グリモアベースにて
「いよいよぼくの故郷でもあるアリスラビリンスでの戦争が始まってしまいました」
 自身も愉快な仲間の1人である茅乃・燈(“キムンカムイ”は愉快な仲間で力持ち・f19464)は、まずはそういって猟兵達を出迎えた。
 ……ところでなんで水着姿?
「今回の戦いでは、色々な戦場があるのですけれど、まずぼくが皆さんに案内するのはここ、『大きな愉快な仲間のいるところ』です」
 ここはどんな場所かというと、文字通り大きな愉快な仲間のいるところだ。
 この地の愉快の仲間は、通常の2倍の大きさになってしまい、更に背中にチャックのついた着ぐるみのようになってしまうという。
「ぼくもこの地に行けば、背中にチャックが付くんじゃないかな、と思って、それでわかりやすいように水着を着てみました。……実際にはぼくは行くことはないんですけどね」
 言いながらくるっと背中を向ける燈。
 そこには絆創膏を使ってチャックが張り付けてあった。
「こうして着ぐるみとなった愉快な仲間の中に、皆さんも入ることができます。
 というか敵も着ぐるみとなった愉快な仲間に入り込んでいるんですよね。
 もちろん、ただ着ぐるみを着ているというだけでなく、こうして着ぐるみを着ることで、着た人の戦闘力が数倍にパワーアップするんです」
 言い換えれば、敵のオウガもただでさえ強い所にさらに数倍パワーアップしているという事だ。
「ならばどうするか。ぼくたちも現地の愉快な仲間の力を借りて、着ぐるみを着てパワーアップするしかありません。
 幸いなことに、どんな着ぐるみを着てもパワーアップの比率は一緒なので、着さえすればいつも通りのオウガ戦となります」
 現地には大きくなった着ぐるみの愉快な仲間が大勢いるので、自身と気の合う人に頼み込んで中にいれさせてもらえばいいだろう。
「あるいは、ぼくのように猟兵になった愉快な仲間も、現地に行けば同じように大きくなってチャックが付きます。そうすれば、どんな猟兵と協力して戦うのもできますね」
 猟兵の愉快な仲間の着ぐるみだろうが、現地の愉快な仲間の着ぐるみだろうが、効果は同じなので、それはどちらでも構わない。
「着ぐるみを着た者同士の戦いでは、戦うのはあくまでも中の人の能力でという事になります。また、受けるダメージも中の人に素通りしますので、着ぐるみ化した愉快な仲間の人に気を使う必要はありません」
 そして燈は今回の敵について説明する。
 今回の敵は、『牛頭の屠殺者』という牛の頭を持つ巨漢のオウガなのだが……。
「ゆるキャラの牛のような着ぐるみを着ているので、見た目は可愛いマスコットキャラの牛くんって感じですね。
 でも、能力はさらに強力になってますので、油断しないようにです」
 そしてもう1つ、現地にいる愉快な仲間たちだが……。
「現地にいる愉快な仲間も、ほとんどが、2等身のゆるキャラのような動物のぬいぐるみのような人たちですね。そうでないのもいるかもしれませんが……基本的には、ゆるキャラ同士での戦いみたいな見た目になるかと思います。
 見た目で気が抜けるかもしれませんが、これはアリスラビリンスを、ひいては他の世界を守るための戦いの第一歩です。
 どうかよろしくお願いしますね」
 そういって燈は猟兵達を送り出すのだった。


雅瑠璃
 このシナリオは戦争シナリオです。
 ボス戦1章のみで完結します。

 というわけでこんにちは。またはこんばんは。
 雅です。

 今回の戦争の開幕は着ぐるみから。
 というわけでこんなシナリオになりました。

 現地の愉快な仲間は、プレイングで指定すればそういう人がいたことになります。
 基本的には燈も語ったように、ゆるキャラみたいな動物の着ぐるみになるでしょうけれども……そうでないのもプレイングで指定すればいるかもしれません。
 あるいは愉快な仲間の猟兵さんは、知り合いと合わせて自らが着ぐるみになって合体するのもありです。

 今回のプレイングボーナスは、もちろん。
 「きぐるみ愉快な仲間」の許可を得て、乗り込んで戦う。
 ですので、着ぐるみは必須になります。

 それではプレイングお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『牛頭の屠殺者』

POW ●心を喰らう
【アリスが抱えた恐怖や苦痛】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD ●喰い意地の張った剣
【高速回転する異形の刃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【身体をぐちゃぐちゃの挽肉にする事に愉悦】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ ●屠殺迷宮
戦場全体に、【暗く死角が多い内部構造と悪意に満ちた罠】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はメアリー・ベスレムです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


火土金水・明
「ついにアリスラビリンスでの戦争ですか。」「長靴をはいた黒猫のきぐるみ愉快な仲間さんは居ますか。お願いです、力を貸してください。」
長靴をはいた黒猫の着ぐるみに乗り込んで戦います。
【SPD】で攻撃です。
攻撃方法は、【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【銀の流れ星】で『牛頭の屠殺者』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】でダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


鍋島・小百合子
POW重視

敵味方共に愛らしい生き物で溢れておる
なんとも面妖な光景じゃのう

「のう、そこな馬や。お主に入らせてたもれ?」
現地にいる馬の姿をした愉快な仲間に協力を呼びかけその中に入れてもらええるよう交渉
無事入れたら視界の悪さはわらわの視力で補えばよかろう
敵の牛頭が現れればUC「精錬降魔刀」発動
火の属性を持つ魔刀(薙刀型)を創造
その性能に絶対たる信頼を持ちつつ牛頭相手にわらわの薙刀術で相手になる(なぎ払い、鎧砕き、乱れ撃ち、串刺し、切り込み併用)
敵の足元に火の属性攻撃を込めた咄嗟の一撃にて焼却してやろう
わらわが恐怖と苦痛の二文字で怯むとは思うでないわ!

…こう啖呵を切ってみるが緊張感がないのはなぜじゃ?


フレミア・レイブラッド
牛が屠殺だなんてシャレが効いてるわね。さっさと片づけて精肉場に送り返してあげるわ。

「きぐるみ愉快な仲間達」の協力を得て戦闘。
何故かハローキ○ィとかふ○っしーとかどっかで見た様なのが…。

【創造支配の紅い霧】を発動。
敵が作り出した迷宮に紅い霧を満たして迷宮の内部構造を把握。
逆に迷宮を『支配』して乗っ取り、本来想定していない罠を『創造』したり改変して敵を罠に嵌めたり、霧の魔力で無数の自身の分身体を生み出して改変した迷宮の死角から攻撃する等、敵の力を逆に利用して追い込んで行くわ。
あの牛の直接攻撃は迷宮を生み出す事以外は武器による物理攻撃しかなさそうだしね。
この類の搦め手を使う敵は苦手でしょう?


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
何と申しますか、平和になったら遊びに来てみたい場所ですねぇ。
その為にも、頑張ってみましょうかぁ。

相手は牛さんとのことですし、何となくかえるさんを探してご協力いただきましょう。
牛さんを食べたい方が居そうな気がしますし『鞄』に入れて持ってきた『ステーキ肉』で交渉に応じていただけましたら?

そして『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FRS』『FSS』を『光の結界』へのエネルギー供給に回し【耀衣舞】を使用、『光速の突撃』を行いますねぇ。
幾ら支障が少ないとはいえ、着ぐるみを纏った状態であれば「転倒からの回復」は遅くなるでしょう。
そのまま体勢を立て直す前に、上から[砲撃]で追撃しますねぇ。


神代・凶津
今回は現地にいる『愉快な仲間』の力が必須みたいだな。
「・・・協力してくれる方を見つけないと。」
お、アイツなんて良さそうじゃないか?
(オウガの暴虐に義憤に駆られてる熊のきぐるみ愉快な仲間を見つけながら)
あんた、奴らが許せないなら俺達と一緒に戦わねえか?

協力を得られたら相棒がきぐるみ愉快な仲間を着て、その着ぐるみの顔に俺が被さるぜ。
更に、相棒ッ!
「・・・転身ッ!」
これが俺と相棒と愉快な仲間、三人の力が合わさった『雷神霊装・三位一体(スパークフォーム・トリニティ)』だぜッ!

高速移動で駆け巡りながら敵の攻撃を見切りつつ、破魔の雷の斬撃の放射を叩き込んでやるぜッ!


【技能・見切り、破魔】
【アドリブ歓迎】


オルヒディ・アーデルハイド


全身がフワフワもこもこした白い毛におおわれた可愛らしいきぐるみ愉快な仲間の許可を得て協力して戦う

ボクはグレート グレートモーラット
キミと一緒に悪をうとう

オルヒディー・オン
身体を丸めて頭部の星のマークの部分から合体

合体した時に頭部の星のマークがV字に燃え上がり
全身にバチバチと静電気を帯びて金色に輝き毛が逆立つ

今からボクらはスーパーグレートモーラットZ

正義の心と燃える友情でむらがる敵をぶっとばす

UCの『バチバチ花火』で攻撃
「いまだ 出すんだ 必殺パワー モラスパーク」


小雉子・吉備


成る程、じゃあキビは雉の妖怪の雉鶏精だし

それに合わせて雉の着ぐるみな愉快な仲間達を探して強力をお願いを

出来れば九頭雉鶏精な着ぐるみが好ましいけど

〖WIZ〗
迷宮攻略には何時もキビが使ってるUCの弱点を穴埋めするやり方【高速詠唱】と【多重詠唱】と【早業】の併用で長時間の詠唱時間を短時間で圧縮

【属性攻撃(光)】を込めUCを迷宮の壁と言うか壁に【範囲攻撃】で【弾幕】を灯りと罠排除を兼ねばら蒔き

〖ひいろ〗ちゃんと〖なまり〗ちゃんに【第六感】と動物的勘に頼り【動物使い】で迷宮突破を

迷宮突破後【第六感】で【見切り】【怪力・二回攻撃・属性攻撃(冷気)】で〖黒蜜かけキビダンゴアイスバー〗で霊力全開で敵を殴るよ


●大きな愉快な仲間のいるところ
 猟兵達がやってきたここは、通常の倍の大きさの愉快な仲間で溢れていた。
 その愉快な仲間たち……二頭身の動物のような姿をした者たちが、やはり大きなゆるキャラのような牛を相手に、ぽふんぽふんとぬいぐるみ同士がぶつかり合うような音を立てて戦っている。
「敵味方共に愛らしい生き物で溢れておる。なんとも面妖な光景じゃのう」
 そんな光景を見て、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は呆気に取られていた。
「何と申しますか、平和になったら遊びに来てみたい場所ですねぇ……」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も、見ただけで和んでしまうような光景に、思わずそんなことを呟いてしまう。もちろん、そのためにも頑張ってみましょうかと、やる気も出してはいるが。
「……協力してくれる方を見つけないと」
 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)の相棒の少女、桜は、そういって辺りをきょろきょろと眺めはじめた。
 今回の戦場、見た目の和やかさはともかく、牛の着ぐるみを着ているオウガの強さは、通常のオウガよりもはるかに高い。対抗するにはこちらも着ぐるみとなった愉快な仲間の協力を得る必要があるのだ。
「さて、協力してくれそうなのは……っと、何故かどっかで見た様なのが……」
 フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)の視線の先には、仕事を選ばなさそうな雰囲気のある白い猫のような女の子とか、やたら甲高い声で素早く走りそうな非公式っぽい梨の妖精とか、具体的な名称を上げてはいけなさそうな愉快な仲間たちの姿があった。
「色々いるんですね……なら、少し探してみましょうか……?」
「成る程、じゃあキビは雉の妖怪の雉鶏精だし、それに合わせて雉の着ぐるみな愉快な仲間を……」
「白いふわもこ……きっといるはず」
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)と小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)とオルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)はそれぞれ、自分の好みの者がいるかどうか探している様子。
 この地にいるゆるきゃら……もとい、愉快な仲間も、様々な形の者がいるので、きっと好みに合う着ぐるみも存在するだろう。
 7人の猟兵達は、まずは協力してくれる着ぐるみ……愉快な仲間を求めて、行動を開始するのだった。

●仲間たちとの出会い
「誰に声をかけましょうか……」
「お、アイツなんて良さそうじゃないか?」
 凶津と桜のコンビが目にかけたのは、熊のぬいぐるみだった。
 見た目は可愛らしいゆるキャラっぽい熊なのだが、牛の着ぐるみに挑んで力及ばなかったのか、悔しそうに地面を叩いている。牛の着ぐるみ……オウガの暴虐に対して義憤に駆られているのだろう。
『くそっ……オレの力が及ばなくてすまん。同じ牛だからって、お前にそんな真似をさせちまうとは……』
 言葉からすると、オウガが着こんでいる牛の着ぐるみの知り合いだったのだろうか。とても悔しそうだ。
「あんた、奴らが許せないなら俺達と一緒に戦わねえか?」
『誰だ……いや、誰でもいい、オレに力を貸してくれるのか!』
「ええ。あなたの中に入らせてもらえれば」
『わかった。オレの身体でよければ、使ってくれ、奴を止めるために!』
 桜は、凶津……般若の面を熊に預けると、背中のチャックを降ろして熊の中へもぐりこんだ。

「ふむ……いろいろな姿の者がおるの」
 小百合子はさて誰に声をかけようかと、辺りを見回していた。
 着ぐるみの中に入るというのは経験はないが、愉快な仲間である動物を乗りこなすという事を考えると、やはり自分と相性よさそうなのは……。
「のう、そこな馬や。お主に入らせてたもれ?」
 小百合子が声をかけたのは、直立歩行している馬といった風情の愉快な仲間だ。
『ヒヒン? お嬢様が僕の中に入るのですか?』
 妙に礼儀正しくイケボな馬だった。
「うむ。見たところお主、あの牛が暴れるのを見て、戦えないのが悔しそうな顔をしておったじゃろ? 奴が許せぬのなら、わらわと共に戦わぬか?」
『僕の力だけでは及ばない……そう思っていたところです。お嬢様の力を借りることができるのなら、この僕も、奴に一矢報いることができましょう。僕の方からお願いします!』
「うむ、任せよ」
 小百合子は、まるで愛馬に跨る時のように丁寧に馬の中へと入っていく。
「……視界はよくないが、まぁ何とかなるじゃろ」
『そこは僕も補いますゆえ、ご安心を』

「相手は牛さんとのことですし……」
 牛さんを食べたいと思う方がいるかもしれませんねぇ……などと考えたるこるは、大口を開けてぱくりと丸呑みしそうなぬいぐるみ……大きな口の蛙を見かけて声をかけることにする。
『ケロ? 私ですケロ?』
 声をかけた蛙は、どうやら女の子だったらしい。自分に声をかけられたことに驚いて、辺りをきょろきょろと見まわしていた。
「はい、あなたに声をかけましたぁ。あの牛さんを見て、なんだか美味しそう……みたいな顔をしていましたので」
 ついでにるこるが取り出したステーキ肉を差し出してみると、いいの?くれるの?という表情から、あっさりとぱくついてしまう蛙娘。
『美味しいものももらったし、私も頑張るケロ!』
 ステーキ肉の味を覚えた蛙娘が、牛を食べようとしないかだけが心配であった。

「お願いです、力を貸してください」
『ボクですか?』
 明が声をかけたのは、80日間で世界を1周しそうな長靴を履いて帽子を被った二足歩行の猫の着ぐるみだった。
「ええ、あなたの持つその武器が、私の戦い方にも合うと思うんです。それなら、私達が力を合わせれば、きっとあの牛にも負けない力になります」
 長靴猫が手に持っているのは、レイピアだ。もちろんゆるキャラの等身の着ぐるみがもつレイピアなので、伝説の件でもなければ、切れ味鋭いわけでもない。そもそも着ぐるみの手にくっついているので扱い方も難しい。
 だけど、明はそれを自分なら有効に使えると長靴猫を説得する。
『分かりました。それじゃ、ボクの中に入ってください!』
 明の説得に応じ、長靴猫は背中を開くのだった。

「うーん……どうせなら可愛い女の子の愉快な仲間がいればいいんだけどねぇ」
 相変わらずな事を考えつつ、フレミアは愉快な仲間たちを品定めするように見つめている。
 その視線の先にいるのは相変わらずどこかで見たようなゆるキャラたちばかりで。
「さすがに股間膨らませたマリモとか、凶悪な顔したメロン頭の熊とか、腹巻まいた塔とかそういうのは着る気にならないわよね……?」
 これならさっき見かけた梨の妖精の方がいいかしら……と頭を悩ませるフレミアである。でもそれくらいなら、と声をかけたのは、オーバーオールを着て頭に赤いリボンを付けた白い仔猫の女の子。
「ん、それじゃあなた、協力してくれない?」
『あたしですか? はい、どんなお仕事でもやりますよ! 今度は猟兵さんとのコラボですねっ』
 仕事を選ばない仔猫は、あっさりと了承するのだった。

「出来れば九頭雉鶏精な着ぐるみが好ましいけど……」
 さすがにそこまでピンポイントな子はいないかなぁ……と吉備は辺りの愉快な仲間たちを見回る。ちなみに九頭雉鶏精とは、封神演義にも登場した雉の精のこと。吉備もまたその同種ゆえ、伝説の存在に憧れがあるのだろう。
「うん、まぁそこまでうまいことはないかな……?」
『ん? キミはボクを呼びっ?』
 さすがに頭が九つあったりはしないが、吉備が声をかけたのは、ディフォルメされた雉のような鳥っぽい着ぐるみだった。言葉遣いからするとロリっ子っぽい。
『ボクと一緒に戦いっ?』
「うん、いっしょにいこう!」
 同じ記事同士という事もあって一瞬で意気投合した2人は、さっそく背中のチャックを開けて着こむのだった。

「全身ふわふわもこもこ」
『もきゅ?』
 オルヒディが見かけたのは、二頭身ですらない白くまるい毛玉だった。
「白い毛におおわれた可愛らしいきぐるみ……キミに決めた」
『もっきゅ~~!』
 白い毛玉はことばをしゃべらない。
 だけどわかるぜ正義の心とでもいうかのように、オルヒディにしっかりと頷いている。
「よし。ボクはグレート、グレートモーラット。キミと一緒に悪をうとう」
『もきゅきゅっ!!』
 白い毛玉のチャックは、頭にある星型の模様のあたりに存在していた。
 そのチャックを開け、頭に合体するように、オルヒディは飛び込んでいく。
「オルヒディー・オン」
 中に入り、チャックが締まると同時に、星型の模様は炎ともえ、V字のスパークとなって燃え上がる。同時に白い毛玉が、全身にバチバチと静電気を帯びて金色に輝き毛が逆立っていく。
「今からボクらはスーパーグレートモーラットZ!」
『もきゅもっきゅぅぅ!!』
 ヒーローとなった白い毛玉……スーパーグレートモーラットZは、ビシッとポーズを決めると、ズサッと牛の着ぐるみ……牛頭の屠殺者の眼前に着地するのだった。
「正義の心と燃える友情でむらがる敵をぶっとばす!」
 ちゅどーん。
 ポーズを決めたモーラットZの背後で、謎の爆発エフェクトが迸った。
 もちろん牛の着ぐるみの前に現れたのはモーラットZだけではない。
「……転身ッ!」
 声と共に現れたのは、着ぐるみの熊。上空からずさっと着地してきたその熊の額には、赤い般若面が装備されていた。言うまでもない、凶津と桜と熊のトリオだ。
「見たか! これが3人の力が合わさった『スパークフォーム・トリニティ』だぜッ!」
 熊の額に張り付いた般若面から、堂々とした名乗り声が響く。
 これは凶津の【雷神霊装】を纏う事でさらに強化された三位一体の熊なのだ!
 さらに、次々と仲間が現れる。
「牛が屠殺だなんてシャレが効いてるわね。さっさと片づけて精肉場に送り返してあげるわ」
 牛を煽る声と共に、仔猫を着こんだフレミアが。
「この世界、壊させるわけにはいきません」
「キビたちが必ず守ってみせるよ!」
「頑張っていきましょうかぁ」
 世界を守る意思とともに、長靴猫の明と雉鶏精の吉備と蛙のるこるが。
 次々と現れて、まるで戦隊のように次々とポーズを決め、その背後で爆発のエフェクトが起きる。
「さぁ、年貢の納め時じゃな?」
 そして最後に馬の小百合子がビシッと蹄を突き付けて、宣戦布告するのだった。
「……しかしこう啖呵を切ってみるが、緊張感がないのはなぜじゃ?」
 それは言わない約束ですよ、小百合子さん。

●迷宮決戦
「ぶもおおおおおおおおおおお!!!!!」
 目の前に集まった7体の着ぐるみが、今まで蹂躙してきた中の人のいない着ぐるみ達とは異なることを感じ取ったのか、牛の着ぐるみの屠殺者は吠えた。
 そしてその吠え声と同時に辺りの風景が迷宮へと変化する。
 屠殺迷宮。
 暗く、そして悪意に満ちた罠が跋扈する迷宮の中に、7組は放り込まれてしまった。
 だが、そんな状況でも慌てることなく前に出るものが2人。
 白い仔猫と雉鶏精だ。
「……いきなりね。けれどまぁ、こういう搦め手ならこちらの方が得意よ」
『ここからはリアル脱出ゲームとのコラボですね。がんばりますっ』
「ふふ、脱出するよりも、ね?」
 白い仔猫のフレミアは、【創造支配の紅い霧】を発動させ、迷宮の中に少しずつ己の霧を浸透させていく。
 一方で雉鶏精の吉備の方も動き出していた。
「ひいろちゃん、なまりちゃん、迷宮の中を探索して!」
『あの牛頭も、この中に入りっ』
 吉備が呼び出した赤い猿『ひいろ』と青い狛犬『なまり』は、吉備の指示に従い迷宮の道を探索しに行く。
 フレミアが迷宮を支配するにもまだ少し時間がかかるため、7人は吉備を先頭にして慎重に迷宮の中を進んでいく。まるでギリシア神話のミノタウロスのように迷宮の中のどこかにいる牛の着ぐるみの屠殺者を探して。
『吉備ちゃん、そこに罠がありっ』
「任せてっ!」
 迷宮に仕掛けられた罠は、吉備が【雉鶏精の怒り「タイムループリトルチェイサー」】の光弾を放って破壊していく。この光弾、罠を破壊すると同時にその破壊された瞬間の時間まで常に時間逆行させるため、迷宮が修復して罠が復活するような事もなく事実上完全に無効化してしまうのだ。
「牛頭を見つけたよ!」
 そして内部探索していたひいろとなまりからの情報で、屠殺者のいる場所も判明。
 一行はそのまま迷宮の奥に待ちかまえるボスのもとへと向かっていく

「見つけましたぁ。まずは先制行きますよぉ!」
『いつでもいいケロッ!』
 通路の先の広間に牛の着ぐるみを確認したるこるは、普段から威容しているフローティングシステムを蛙の着ぐるみの四肢に装着させると、【豊乳女神の加護・耀衣舞】による光の結界を纏い、システムのエネルギー供給を受けての高速の体当たりを敢行する。
「ぶもおおおおおおおっっっ!?」
 ぼよぉぉぉん!
 牛と蛙の着ぐるみ同士の正面衝突。
 着ぐるみの柔らかな衝撃音とともに、ディフォルメ体型の牛は転んで手足をジタバタとさせる。
「着ぐるみを纏った状態であれば、転倒からの回復は遅くなるはずですぅ!」
 自身はフローティングシステムを四肢に括り付けて宙に浮いているから転びはしないるこるだ。そのまま空中姿勢から、フローティングレイシステムの砲撃を続けて、牛の着ぐるみが体勢を立て直そうとするのを阻害する。
 そしてその間に、明、小百合子、凶津&桜、オルヒディの4人が、それぞれの武器を構えて牛の着ぐるみを取り囲んだ。
 さらに。
「掌握したわ。吉備さん、もう罠を壊さなくてもいいわよ」
「おっけー。わかったよ!」
 フレミアの赤い霧がついにこの迷宮の支配権を奪い取っていた。
 迷宮に仕掛けられた罠は、むしろこれから先フレミアの武器となる。
 罠に気を遣わなくてよくなった分、吉備も『黒蜜かけキビダンゴアイスバー』を手に牛の着ぐるみを囲う仲間たちに加わっていく。

「ぶもおおおおおお!!!!」
 るこるの砲撃を受けながらもなんとか立ち上がった牛の着ぐるみは、先程よりも一回りサイズが大きくなっていた。これまで喰らってきたアリスの心を糧に己を強化したのだろう。
 そしてディフォルメされた牛が手に持つにはあまりにも不釣り合いな回転する刃の剣を、周りを囲む5体の着ぐるみに向けて振り回す。
 その高速回転する異形の刃は、レイピアを合わせて受け流そうとした長靴猫に襲い掛かり、レイピアを一瞬でかき消すと同時に、猫の胴体を引き裂いてかき消した……。
「……残念、それは残像です」
 だが、かき消された長靴猫とは別の位置から、明の声がする。
『ボクがこんなに速く動けるなんて……』
「あなたと一緒だからですよ」
 長靴猫の中の明が、残像を残しフェイントを織り交ぜながら放った【銀の流れ星】の剣技は、牛の着ぐるみを素通りして中の牛頭の屠殺者へとダメージを通す。
 着ぐるみの長靴猫自身が驚くほどの明の剣戟は、まさに流星のように速く、卯木の着ぐるみを翻弄していく。
 さらにそこに般若面をつけた熊が加わってくる。凶津&桜の雷の斬撃だ。
「ぶもぉぉっ!?」
『力では敵わなかったが、これならお前を止められる!』
「どんなにそっちの力が強かろうと、俺たちのスパークフォームの前じゃ、遅すぎるんだぜッ!」
 振り回される禍々しい刃を完全に見切って凶津達は、破魔の力を込めた雷の斬撃の放射を叩き込んでいく。
 2人の動きに翻弄されながらも、それでも牛頭の屠殺者の持つ禍々しい刃を振りまわす。この刃は、一撃でもかすめれば致命傷になりかねない。
 だが。
「おおっと。そこには自分で罠を仕掛けたんじゃなくって?」
 牛の着ぐるみの足元の仕掛けが突然作動して、牛は足を取られて大きくバランスをくずした。
 もちろん、赤い霧で迷宮を支配し返したフレミアの仕業だ。
 更にバランスを崩した牛の背後に、白い毛玉が突っ込んでいく。
『もっきゅうううう!』
「いまだ、出すんだ、必殺パワー! モラスパーク!」
 牛の着ぐるみの背中にぶつかると同時に、白い毛玉の静電気から火花が迸る。オルヒディの【バチバチ花火】が牛の着ぐるみの中の人を感電させ、その動きを硬直させた。そのまま転びこそしなかったものの、片膝をついた格好になってしまう。
 もりとん猟兵の波状攻撃はまだ終わらない。
「如何にアリスの心を喰ろうて大きくなろうが、わらわたちが恐怖と苦痛の二文字で怯むとは思うでないわ!」
『貴方の暴虐も、これにてお終いです』
 感電し硬直した牛頭の屠殺者の前に立ったのは、【精錬降魔刀】にて火の薙刀を具現化させた馬。小百合子の纏う馬の着ぐるみは、器用に蹄で薙刀を構え、その刃に炎を纏わせていく。
『お嬢様、決めてください!』
「任せよ!」
 そして小百合子は薙刀を一閃。
 炎を纏った刃は、ガワの牛の着ぐるみを傷つけることなく、中の牛頭の屠殺者を焼き斬っていった。
「ぐもおおおおおおおおおおおおおお!?!?」
 牛頭の悲鳴が鳴り響き、屠殺迷宮が力を失って消えていく。

 元の場所に戻った猟兵達は再び波状攻撃を仕掛けていった。
 白い仔猫のフレミアが、死角から分身で撹乱すれば、蛙のるこるは再び上空から支援砲撃をする。長靴猫の明と般若面の熊の凶津が高速で切り付けていけば、白い毛玉のオルヒディの静電気が火花を散らす。そして雉鶏精の吉備の黒蜜かけキビダンゴアイスバーが殴りつけ、馬の小百合子の炎の薙刀が薙ぎ払っていく。
 かくして、牛頭の屠殺者が力尽き、着られていた牛の着ぐるみの愉快な仲間が解放されるまで、それほど時間はかからなかったのである。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月04日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵