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迷宮災厄戦⑤〜災厄の幕、上がれり

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「さてさて、先月末に立て続けに起こった予兆もあって、みんなも予想はしてると思うけど。アリスラビリンスで緊急事態だよ!」
 猟兵達の前に立ちはだかるのは、オブリビオン・フォーミュラ『アリス・オリジン』、だけではない。猟書家と名乗る謎の集団が、このアリスラビリンスを足がかりにして、他世界への侵攻を目論んでいると言う。
「複雑な状況だけど、ボク達猟兵がやるべき事は一つ、世界をオブリビオンの手から守る事だ。キミ達の力で、この戦争――『迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)』を勝ち抜いて、アリスラビリンスを救って欲しい!」

 戦争の目的は、アリス・オリジンを打ち倒す事。そしてその過程で猟書家達の野望を妨害する事だ。だが当然、彼らの元へすぐに到達出来る訳ではない。
「まずはいつも通り、一つずつ戦場を勝ち抜いて、強大な敵の元にたどり着いてもらう必要がある。今回キミ達に向かってもらうのは、その中の一つである『遠き日の憧憬の花園』――世界中がセピアに色褪せた、不思議な花園の国だよ」
 今回倒すべきは、その国に存在するオウガ、『青い瞳の人形』。愛らしい人形の姿をしたオウガだ。
「とにかく『数』と『機動力』が厄介でね。倒しても倒しても次から次へと湧いてくるし、一網打尽にしようと思っても、大雑把な攻撃は避けられちゃう。徐々に消耗していく、厄介な相手だよ」
 迅速に、かつ確実に。相手が増えるより早いスピードで、相手に避けられないようにしっかりと撃破する事が求められる。
「さらに、この人形達には『魔導蒸気機関』……アルダワの技術が植え付けられている。猟書家の一人、レディ・ハンプティの手によるものだろう」
 蒸気機関の力で人形達はパワーアップしている。さらにそこから溢れる『瘴気の蒸気』は、周囲を汚染し、こちらの力を奪ってくる。
 ただでさえ数が多い所に、相手は強くなり、こちらは弱くなり――では、まともな戦いにならない。
「だからまず、何をおいても、この魔導蒸気機関の対策をしてほしい。動力そのものを止めるか、瘴気の方をなんとかするか――まあ方法はみんなに任せるよ」

「いろいろと考えるの多い戦争になるだろうけど……とにかく、確実に目の前の障害を排除していこう。それが世界を救う事につながる第一歩だからね」
 いつもどおりの、わざとらしいほど可愛い仕草の中に、僅かな緊張と期待を混じらせ、くるるは猟兵達を見渡す。
「だから、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」


一二三四五六
 今月の戦争は一味違う?

 ごきげんよう。怒涛の新情報にテンション高め。一二三四五六です。

 本シナリオは一章完結の戦争シナリオとなっております。詳細な全体ルールはトップページからご覧ください。シナリオとしてのルールはいつもどおりです。
 集団戦『青い瞳の人形』は、オルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)さんの宿敵です。ありがとうございます。

 補足。
 とにかく、魔導蒸気機関への対策が必須となります。それにプラスして、敵の数と速さへの対策も必要です。
 この2つをしっかりとこなしましょう。方法はなんでも構いません、各々の得意分野でいろいろやってみましょう。

 それでは、皆様のプレイングを、楽しみにお待ちしています。
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第1章 集団戦 『青い瞳の人形』

POW   :    フレンドシップ・ドール
自身が戦闘で瀕死になると【青い瞳の人形】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    フレンドシップ・ドールズ
レベル×1体の、【服に隠れて見えないが背中に】に1と刻印された戦闘用【青い瞳の人形】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    フレンドシップ・ドールズ
召喚したレベル×1体の【青い瞳の人形】に【堕天使の翼】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フレミア・レイブラッド
数と速さか蒸気機関(瘴気)かどちらかならなんとでもなるのだけど…面倒な相手ね!

【ブラッド・オブリビオン】で「荒野に飛来する氷鳥達」の「氷雪の鷲獅子」を召喚。
雪花と共に【騎乗】し、自身と鷲獅子、雪花に【念動力】の防御膜を纏わせて瘴気を防御。
鷲獅子には【極寒の風】や【凍てつく息吹】、雪花にも【とにかくふぶいてみる】等で広域を凍結させる事で内部の敵本体や内部の機関を凍結させる事で動きを停止させるわ。
自身はシュテルを使って風の魔術【属性攻撃、高速詠唱、全力魔法】で瘴気を無害レベルまで散らしたり、こちらに影響が出ない様にの気流操作や、鷲獅子や雪花達と共に凍結・吹雪の魔術で広範囲を一気に凍らせるわ


露木・鬼燈
魔導蒸気機関、数と速さ。
片方だけならそう難しくはないんだけどね。
さて、どうしたものだろうね。
どちらが厄介かといえば…魔導蒸気機関かな?
数と速さなら身体強化を行って斬りまくる。
なんて力業もあるしね。
とゆーことで、一度広範囲を浄化してしまおう。
<迦楼羅焔>
収束は甘めにしてなるべく広い範囲を焼き祓う。
瘴気を祓い、魔導蒸気機関を損傷させる。
出力が落ちれば戦闘自体も楽になる。
生成される瘴気も少なくなるからね。
多少の瘴気は耐性で耐えながら近接戦闘。
詠唱短めで近接戦闘に火焔を織り交ぜるといい感じ。
連結刃に纏わせて範囲攻撃にするとかね。
周囲の瘴気が濃くなってきたら再び焼き祓う。
こんな感じでやればイケルイケル!



「数と速さか、瘴気の蒸気機関か……ああ、もう、面倒な相手ね」
「わかる。片方だけならそう難しくはないんだけどね」
 フレミアの苛立ちを含んだ声に、深く頷き同意する鬼燈。
「さて、どうしたものだろうね」
「まあ、面倒だからってやるしかないのだけど……来なさい!」
 真祖の血で描いた契約の魔法陣から、鷲獅子を呼び出して跨るフレミア。念動力の壁で瘴気を阻みながら、高く飛翔する。
「さあ、いくわよ。……貴女も頼むわよ、雪花!」
「まかせて、おねぇさま!」
 鷲獅子の羽ばたきと、共に周囲に冷たい風が迸る。その冷気を増幅するように、鷲獅子の背の上でフレミアに抱かれた見習い雪女が、全力で吹雪を呼び起こす。
「んーーーー!!」
 拳をぎゅっと握り、懸命に吹雪を広げていく雪花。瘴気と言えど蒸気に変わりはなく、急速に冷やされれば気体ではいられない。凝縮し、凍結していく。
「おー、なかなかの力業。じゃあこっちもいくっぽい」
 雪と瘴気が混ざりあい、黒くなった空を見上げながら、のんびりと呟く鬼燈。その落ち着いた様子とは裏腹に、高めた力が彼の周囲を荒れ狂う。
「収束は甘めに、広い範囲を――厄介な魔導蒸気機関は、これで全部焼き、祓う!」
 その力が焔となって、空へと迸った。全ての不浄を浄化する、迦楼羅天の焔。戦場を舐めるように覆い尽くした、それが凍りついた雪と氷を溶かし、そこに含まれた瘴気の全てを浄化した。
「おねぇさま、あついのー!」
「大丈夫よ、ほら、こっちに来なさい?」
 聖なる焔を恐れる雪花を抱き寄せ、風の魔術を展開して熱から身を守るフレミア。そのまま焔が行き過ぎると、再び氷の魔術を解き放ち、周囲の空間を凍らせて。
「暑かったり寒かったり、大変でしょうけど……」
「これで蒸気機関を破損させていくっぽい!」
 フレミア達が冷気を放てば鬼燈がそれを灼き、鬼燈が焔を解き放てば、フレミア達がそれを凍てつかせていく。冷気と熱の競演、その合間で翻弄されるのは人形達。
『ァ、ァッ――!?』
 急速な温度の変化に、そしてそこに含まれる魔力と神気に耐えきれず、次々と機能を停止していく蒸気機関。人形達も同様に、その肉体が朽ち果てていく。
「うん、大分楽になったかな。じゃあ……」
 瘴気の絶対量が減れば、あとはどうにでもなる。地を蹴って人形に飛びかかり、魔剣を振り抜く鬼燈。
「そろそろ接近戦でも、イケルイケル!」
『ギッ!?』
 魔剣の刃が分かたれ、連結刃となって人形達を薙ぎ払う。火焔を纏ったその刃が渦巻けば、人形達にそれを阻む術はない。
「この調子で全部薙ぎ払って、焼き祓うっぽい!」
「もしくは凍りつかせる、かしら?」
 フレミアも、雪花や鷲獅子と共に吹雪を吹き荒れさせていく。瘴気の量が減れば、狙いは人形達そのもの。
『ッ……ァッ!』
 焼き裂かれるか、凍りつくか。あるいはその両方を受け、温度差に耐えきれず崩壊するか。瘴気を失い、次々と崩れ落ちていく人形達。それを見て2人とも、徐々にその力を振るう範囲を広げていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蝶ヶ崎・羊
同じ人形と言えど、敵であるのなら容赦はしません
ご容赦ください

UC発動して戦闘力を上げて風の【属性攻撃】で蒸気を【吹き飛ばし】て瘴気を飛ばします

そして相手の動きを縛る【呪詛】を混ぜた【歌唱】を響かせて敵の動きを封じて皆さんが攻撃しやすくします
余裕があるのなら鎌鼬で風の【全力魔法/スナイパー】でwizの敵を攻撃して確実に落とします

『さァ、貴方の為の歌…でスよ』

絡み歓迎


フィーナ・シェフィールド
戦乱によって傷つく人がいないように、少しでもお役に立てれば…
「(ぐっとマイクを握りしめて)がんばらなくっちゃ!」

戦場に入る際は、オーラ・モーントシャインをシュッツエンゲルに纏わせ、四方に展開。
清浄なるオーラのバリアの中に入って、瘴気の蒸気を防ぎます。

「かわいらしい人形さん、傷つけたくありませんから…」
【包み込む破魔の歌声】を発動、スピーカーポッドを大量召喚。
「プレリュード!」
まず最初にスピーカーから放つ音の衝撃波で蒸気を吹き飛ばします。

「其は天使の抱擁、聖なる浄化の歌声!」
続けて人形さんたちを包囲するように配置して、破魔の歌声でオウガの魂を浄化して消し去っていきます。
「その魂を浄化します!」



「戦乱によって傷つく人達が、いないように……」
 マルチドローンのシールドに月光のオーラを纏わせ、四方に展開するフィーナ。瘴気を阻む清浄な光の中、純白のマイクを握りしめる。
「少しでもお役に立てるように……がんばらなくっちゃ!」
 展開したシールドの隙間から、飛び立つのは無数のスピーカーポッド。複雑な軌道で広がるそれへと、瘴気の蒸気が纏わり付いてくる。
「プレリュード!」
 それを吹き飛ばすように放たれる、音の衝撃波。瘴気に傷つけられる事なく、戦場全体に配置されるスピーカー。
『キィィィィ――!』
「かわいらしい人形さん、傷つけたくありませんから……」
 今度は直接スピーカーを落とさんと、迫りくる人形達。可愛らしく、だがどこかオウガらしいおぞましさを持つ少女人形を、フィーナはじっと見上げる。
「其は天使の抱擁、聖なる浄化の歌声!」
 その喉から、高く美しい歌声が溢れ出した。マイクを通し、スピーカーを通して、戦場全体に響き渡る。
『ァ、ァアアアアア――!?』
「その魂を、浄化します!」
 その声に宿るは破魔の力。戦場であっても聞き惚れるほどに美しい天性の歌声が、オウガの魂を浄化する。オウガとしての邪気を失い、骸の海へと還っていく人形達。
『キィィィィィィ――!』
 だが人形達は対抗するように、さらなる蒸気を噴かせ始めた。天使のごとき歌声の安らぎを拒むほどに、オウガとしての邪気は強い。
「――――♪」
『ッ!?』
 だが、そこに新たな歌声が重なった。その直後、暴風が戦場を吹き荒び、瘴気を吹き飛ばす。
「同じ人形と言えど、敵であるのなら容赦はしません。ご容赦ください」
 黄衣を纏い、真っ直ぐに人形達を見上げるのは羊だ。戦場にあっても変わらず落ち着いた表情は、だがその歌声に合わせて昏さを帯びていく。
『ガ――ァ、ァ――?』
 朗々と紡ぎ上げるは、皇太子の降臨を願う禍々しき呪いの歌。歌い上げるほどに魔力が高まり、風が吹き荒れる。その風に包まれながら、空中で激しくのたうつ人形達。
「そのような翼は、必要ありません、ね?」
『ッ、ァ!』
 歌声に篭められた呪詛が、蒸気機関を狂わせる。それで人形が動きを止めれば、吹き荒ぶ風の中から迸る鎌鼬が堕天使の翼を斬り裂いた。地に落ち、そのまま骸の海へと消えていく人形達。
「「――――♪」」
 邪気を払うフィーナの美しい破魔の歌と、呪いを齎す羊の禍々しき歌。明らかに正反対の2つの歌声は、しかしこの戦場において、どちらも人形達を止めようとしている事に変わりはない。重なり合い、不思議な調和をもって戦場に広がっていく。
「さァ、貴方の為の歌……でスよ」
「お願い、届いて――あなた達の魂に!」
 羊の呪いが機関を狂わせて動きを封じ、その呪いごと、フィーナがオウガの魂を浄化する。歌声の届く範囲、その全ての人形が骸の海へと還るまで、光と闇の即席デュエットが続いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

フン…アリス・オリジンに猟書家共ね
まったく、どうせ来るならどちらか一つにしてもらいたいものだ

UCを発動
魔導蒸気機関も難物だが、瘴気が一番厄介だろう
だったらより強いガスで瘴気を中和・破壊すればいい
全身を一時的に猛毒の腐蝕ガスに変えて一帯の瘴気を破壊、無害な水と酸素に変える
そして毒ガスのまま敵の魔導蒸気機関に侵入、駆動部を一気に腐蝕劣化させて破壊して動きを止める

さて…それではお人形遊びを始めようか
最も、こちらの人形はお前達ほどお上品ではないがな

敵集団を毒ガスで一斉に包み破壊しつつ
哄笑をあげるデゼス・ポアを集団に突撃させ、蹂躙して切り裂いていく
瀕死になる暇もなく骸の海に沈めてやろう


ヴィクティム・ウィンターミュート
三つ巴の面倒な状況、何するにしてもまずは足掛かりからだ
悪ィけど、先兵程度に足を止めてる暇はない
最短効率で、一かけらの容赦もなく──鏖殺だ

とにもかくにも、蒸気機関の破壊が急務か
内部に在るのか外付けなのかは分らんが…関係ないな
『Acid Disaster』──人災の極みってやつだ
空気中に解き放ち、敵を誘導したりして着弾させる
一つでも当たれば、そこから爆発的に増殖し、何もかも溶解させる
無論、蒸気機関もだ。その後、残りの部位を強酸で崩すだけでいい
生えた翼や足を重点的に消してしまえば、地を這うだけのゴミでしかない

お前らはもうどこにもいけやしない
徐々に終わっていくオブリビオンとしての生命を感じると良いさ



「フン……アリス・オリジンに猟書家共ね。まったく、どうせ来るならどちらか一つにしてもらいたいものだ」
 眉を寄せ、不愉快そうに吐き捨てるキリカ。その身体が輪郭を失い、空気に滲むように溶けていく。
「全く、三つ巴の面倒な状況だな。まあ、何するにしてもまずは足掛かりからだ」
 その完全に姿が見えなくなるのとほぼ同時に、同意しながら歩み出るヴィクティム。サイバーデッキにアクセスし、プログラムを選択する。
「悪ィけど、先兵程度に足を止めてる暇はない。最短効率で、一欠片の容赦もなく――」
 ナノマシンが空気中に散布され、人形達に迫りゆく。それが、人形の皮膚に触れた、その瞬間。
『ァァァァァァア――!?』
「──鏖殺だ」
 ナノマシンが反応し、爆発的に増殖しながら強酸に変化する。悲鳴と共に、ドロドロと崩れ落ちていく人形達の身体。
「こいつは人災の極みってやつだ。蒸気機関ごと溶かしちまえば、関係ないだろう?」
『ァ、ガ……ァァ……』
 翼を溶かされ、地に落ち呻く人形達。皮膚の溶けたその顔で、ヴィクティムを睨みつける。
『ギィィィィィィ……!!』
「睨まれた所で、もうお前らは地を這うだけのゴミでしかない。何も感じやしないな」
 脚が溶け、立つ事すら出来ない人形達を冷たく見下ろすヴィクティム。非道とも言えるプログラムを使用した事にも、何の感慨もない。
 難を逃れた他の人形達は警戒して距離を取り、瘴気を噴き上げてナノマシンを打ち消そうとする、が。 
「その瘴気は厄介だ。無力化させてもらう」
 そんな声が響くと共に、周囲に立ち込める猛毒の腐食ガス。瘴気すらも破壊するそれと反応し、瘴気が無害な水と酸素に変じていく。
『ナニ、ヲ――ガ、ギ……!?』
「その魔導蒸気機関とやらは……中に入ってしまえば関係ないだろう?」
 その腐食ガスはそのまま、蒸気機関を内部から腐食劣化させていく。得た力を失い、動きを止める人形達。
「さて……それではお人形遊びを始めようか」
 そして、その腐食ガスは、元の形を――キリカの姿を取り戻す。苦痛と憎しみを向けられても、動じる事なく薄く笑みを浮かべて。
「もっとも、こちらの人形はお前達ほどお上品ではないがな」
『キィィィィャハハハハハッ!!』
 甲高い、耳障りな哄笑を上げる、仮面の人形デゼス・ポア。それは全身を飾る錆びた刃で、人形をズタズタに引き裂いていく。
『ヒヒャハハッ!!』
『ギッ――ガッ――!』
 蹂躙され、斬り裂かれ、骸の海へと送り還される人形達。逃げようにも、再び毒ガスに戻ったキリカがその周囲を取り囲む。
「どこへ行く気だ? 遠慮せず遊んでいくと良い」
『ヒハッ、ヒハハッ!』
 逃げ場を失った人形達の背へ、今度は嗄れた笑いと共に刃を突き立てるデゼス・ボア。深く抉り、一撃でその命脈を断てば、仲間を呼び増やす暇すら与えない。
 もっとも――仮に仲間を呼んだ所で、仮に毒ガスの包囲から逃げ出した所で、待っているのはナノマシンの強酸だが。
「お前らはもうどこにもいけやしない」
 次々と地に落ちる人形達を見下ろし、ヴィクティムは冷たく言い放った。
「徐々に終わっていくオブリビオンとしての生命を感じると良いさ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩瑠・理恵
ハァ?人形相手では殺る気が出ないですか……
分かりました、リエ。今回は私がやりますね

瘴気の蒸気、ですか。敵の数も多いとなると……これ一択ですね
上空に指鉄砲を向けて【模倣再現・殲術再生弾(キリングリヴァイヴァー・コピー)】です!
かつての本物は強制闇落ち結界も無効化したといいます。場によるバッドステータスならこれで打ち消せるはずです。そうでなくても弱くなる以上に強くなれるはずです
敵が私達から力を奪うなら、私はそれ以上の力を皆様に与えます!
スレイヤーカードで武蔵坂制服とバベルブレイカーを装備して、私も攻撃も参加します
肉を切らせて骨を断つで確実に潰していきます!受けたダメージはリヴァイヴァーで治りますし


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

別の世界からアリスを引っ張ってくるだけあって、いろんな技術とかごちゃ混ぜにしてるのかしらぁ…?
まあ、あたしたちが言えることじゃないけれど。

まずはゴールドシーンにお願いしてラグ(浄化)・エオロー(結界)・ソーン(退魔)で〇毒耐性のオーラ防御を展開、ミッドナイトレースに○騎乗して●黙殺を発動させつつ走り回るわぁ。片っ端から〇範囲攻撃で薙ぎ払いましょ。
ゴールドシーンで描くのは烏枢沙摩明王印、その権能は汚穢焼滅。当たればもちろん問題ないし――外れても、撒き散らされた瘴気程度なら〇焼却できるわぁ。
一帯纏めて○浄化しちゃえば、他の人への〇援護射撃にもなるでしょ。



「ハァ? 人形相手では殺る気が出ないですか……」
 自分の中に潜む闇の別人格の言葉に、ため息を漏らす理恵。
「分かりました、リエ。今回は私がやりますね」
 立ち込めてくる瘴気を恐れる事なく、指鉄砲の形にして上空に向ける。その指先に収束するは、膨大なるエナジー。
「広範囲を覆う蒸気に、敵の数も多いとなると……これ一択ですね」
 かつて見た強大な力の発露を模倣した、再生の弾丸。理恵のような存在に力を与えるその力が、戦場に満たされる。
「本物はもっと強大な力も無効化したと言います。この程度の瘴気なら、十分に打ち消せます!」
 カードを翳すと、そこに封印された学生服をその身に纏う。これが彼女の戦闘衣装だ。
「敵が私達から力を奪うなら、それ以上の力を得るまでのこと!」
「あら、それじゃあ私もその真似をしましょうか」
 黄水晶の付いたペンを懐から取り出したのはティオレンシア。そのペンは己の意志を持つ、鉱物生命体だ。
「それじゃあ、お願いね、ゴールドシーン」
 頷くようにペン先を上下させたそれは、魔術の才なき彼女に代わって空中にルーンを描き出した。ラグ(浄化)とソーン(退魔)のルーンを重ね、増幅した聖なる力をエオロー(結界)でその力を広げていく。
「さぁて、これでいけるでしょ」
 かつてヒーローズアースで異星人から奪ったバイク型UFOに跨ると、もはや力を失った瘴気の中を一気に駆け抜ける。その手に握られるのは、先程のペン。
「ゴールドシーン! お願いね!」
 次に描き出すのは烏枢沙摩明王印――汚穢を焼滅させる密教の印だ。そこから迸るのは大量の魔力の矢、そして刃。
『キィィィィ――!』
 幾何学模様を描きながら放たれるそれが、周囲へとばらまかれ、人形達を薙ぎ払う。瘴気に犯された大地も浄化しながら、戦場をひたすら駆け回り、その全域に雨の如くに力を降らせていく。
「さあ、全部焼却してあげましょうか」
「私も、潰していきます!」
 カードから取り出した巨大な杭打ち機を手に、人形達へと突貫する理恵。その身が傷つく事も顧みず、人形を貫いていく。
『ギィッ……』
「まだまだ……肉を斬らせて、骨を断ちます!」
 数にまかせて突っ込んでくる人形達に幾度となく激突されるが、それで動きを止める事はない。浮かんだ痣はすぐに、周囲を満たすエナジーによって癒やされ消滅していく。
「この弾丸の力の中では、この程度の傷など、無駄です!」
 返す刀でまた、人形の土手っ腹を真っ直ぐに貫く理恵。そうして崩れ落ち、骸の海へと還っていく人形達を見ながら、ティオレンシアはふと首を傾げる。
「それにしても、別の世界からアリスを引っ張ってくるだけあって、いろんな技術とかごちゃ混ぜにしてるのかしらぁ……?」
 この世界のオウガと、アルダワの蒸気機関を兼ね備えた、全く異質な存在。今までの敵とは明らかに異なる、その声質。
「まあ、あたしたちが言えることじゃないけど」
 西洋のルーンと東洋の印を組み合わせて戦う自分を顧みて、そう肩を竦めるティオレンシア。だがそれは逆に言えば、猟兵達と同じ強みを、敵が持とうとしていると言う事でもある――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒川・闇慈
「さて、お人形遊びは趣味ではありませんのでね。手早く片付けさせていただきしょうか。クックック」

【行動】
瘴気の蒸気はホワイトカーテンの防御魔術を全周囲に球状展開し、毒耐性の技能で防毒の術式を重ねて対処しましょう。
高速詠唱、呪詛、呪詛耐性の技能を活用しUCを使用。
どれだけ数が多く素早くとも、戦場全域が侵食呪詛で満たされてしまえば関係ありません。呼び出した人形諸共飲み込んで差し上げましょう。
呪詛耐性を持つ私ならば有利に行動できるでしょうが、さて、あの人形達はどうでしょう?

「ただのお人形では呪詛の海を渡ることまかりなりませんよ。クックック」

【アドリブ歓迎】


アンナ・フランツウェイ
数が多くて、しかもさらに強くなるなんてホントめんどくさい…。まぁ一応対策は何とか思いついた、というか思いついちゃったからそれを利用する方向で動いてみよう。…上手くいくといいなぁ。

思いついたのは逆に蒸気機関を利用する方法。蒸気機関は水分の熱して動かすもの。ならそこに【ブラッドアロー・アンカーズ】で私の血液(呪詛混じり)を打ち込めば、呪詛を拡散させ人形達の力を逆に奪えると考えられる。

ならやる事は一つ。全力で生命機能を蝕む【呪詛】を込め、ユーべルコードを蒸気機関の水分に当たる物を循環させる場所目がけ発射!瘴気に呪詛が負けるなら、何発でも撃つ。

あ、もし呪詛が出始めたら周囲の猟兵に注意を促しておこう…。



「数が多くて、しかもさらに強くなるなんて、ホントめんどくさい……」
 人形達を見ながら、嫌そうに顔を顰めるアンナ。
「まぁ、一応対策は思いついた……いや、思いついちゃったからなぁ」
 その表情の曇りは、敵に対してだけではない。今から引き出すのは、彼女の血に混じる呪詛の力。世界を憎む、忌むべき呪いを、一本の矢に変える。
「上手くいくと良いんだけどっ!」
 身を焦がす苦痛を凝縮し、人形めがけて射放つ一撃。それは狙い違わず、蒸気機関を撃ち抜いた。
「どうだっ!?」
『ガッ……グッ、アアアッ!?』
 そのまま、呪詛は蒸気機関を破壊せず、内部へと浸透する。途端、苦痛の悲鳴を上げてのたうつ人形。
「よし、やった!」
 彼女が狙ったのは、蒸気機関の逆用だ。それが瘴気を撒き散らすなら、同様に、呪詛を撒き散らさせる事もできる筈。
 その目論見通り、血が瘴気を塗り潰し、呪詛の蒸気を吹き上げる。変質させられた己の力によって蝕まれ、苦痛に激しくのたうつ人形達。
「……まあ、そんなに苦しまれると、その呪いを宿している若干複雑だけど!」
「クックック、いえいえ、良いですねぇ。お人形遊びよりよほど趣味が良い」
 その光景に微妙な表情を浮かべるアンナとは対照的に、昏く楽しげに笑うのは闇慈。
「あ、その辺りは呪詛が……」
「まあ、問題ありませんよ」
 白いカードから放つ魔力を、球状に展開してその身を守る。防毒の術式を重ねて呪詛の蒸気を阻むと、彼は天を見上げた。
「折角ですから真似させて頂いて、手早く片付けさせていただきしょうか。クックック」
 その身から溢れる魔力が天へと放たれれば、すぐにどす黒い雲を生み出した。降り注ぐ雨は、人形達へ、その蒸気機関へ浸透していく。
「どれだけ数が多く素早くとも……戦場全域を呪詛で満たされれば関係ありませんね?」
『ギ、ィィイッ――!?』
 雨に打たれた人形達も、同様に自らの機関から呪詛の蒸気を噴き上げていく。己の蒸気に傷つけられ、苦痛に呻きながら増殖を繰り返す数多の人形、
「数が増えようとも、諸共に飲み込んでしまえば問題ありませんね」
 むしろ、増えていく蒸気機関に合わせて加速度的に呪詛が撒き散らされていく。ドロドロに呪いで穢れていく戦場……己も雨に打たれながら、昏く、深く笑う闇慈。
「ただのお人形では呪詛の海を渡ることまかりなりませんよ。クックック」
「……渡れるのはそれはそれで……」
 こうして呪いを浴びて無事だと言う事を突きつけられると、いろいろと思う所があるアンナ。己がバケモノであると、そう受け入れたといっても――。
「……まあ、良いけど。どうせやるなら徹底的にやらないと、ね」
「ええ。溺れるまで呪詛で満たして差し上げましょう」
 開き直るように首を振り、呪血の矢を次々と生み出しては人形達の蒸気機関を撃ち抜いていくアンナ。闇慈も雨足をさらに激しくして――二種の呪いの前では、人形の放つ瘴気など何の問題にもならない。
 他の猟兵すら踏み込めぬ空間の中で、人形達が朽ち果て、ただ猟兵2人だけが立つ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
瘴気の蒸気が厄介だね
敵の人形には影響がなさそうだし
邪神の繰り糸で自分を球体関節人形に変えて操ろう
手や足が陶器に変わってるのを見た後
胸を叩いてみて硬くなってるのを確認して戦うよ

草から創った使い魔にツタの拘束で足止めさせつつ
ガトリングガンの制圧射撃で簡単に近寄れないようにし
範囲攻撃で数を減らしてこう

攻撃されたら神気で時間を停めて防ぐよ
これは僕なりのオーラ防御だよ

突破してきた人形は邪神の繰り糸で操って敵陣に突撃させよう
人形ならそのまま人形繰りの魔法で操れるから楽だね

人形になってるから疲れる事もないし
淡々と処理していこう
人形の残骸が少し怖いけど

他の猟兵と連携した方がうまくいきそうなら
協力して敵を倒そう


四季乃・瑠璃
緋瑪「数が多い相手なら、わたし達にお任せだね♪」
翡翠「広域殲滅ならお手の物だしね」
瑠璃「可愛らしい人形でも容赦はしないよ」

【破壊の姫君】で分身

3人で飛翔翼で飛行。
瑠璃と緋瑪が【範囲攻撃、蹂躙、爆撃、早業】時限式ボムや接触式ボム、感知式ボム等を大量にばら撒き、各種ボムを駆使して逃げ場を失くす程に広域爆破。
敵本体を爆散させると共に瘴気も爆風で吹き飛ばして攻撃。
翡翠は風の魔術で気流操作【属性攻撃】し、敵の飛行の妨害と拡散した瘴気がこちらに影響を与えない様に細工しつつ、片手間にK100の銃撃やボムによる爆破で瑠璃と緋瑪のサポート。

3人で連携して殲滅し、広域殲滅型の真価を見せるよ



「数が多い相手なら、わたし達にお任せだね♪」
 飛翔翼で人形達よりさらに高く舞い上がり、戦場を見下ろす緋瑪達3人の殺人姫。雨霰の如く、ひたすら爆弾を投げ込んでいく。
「広域殲滅ならお手の物だしね」
「可愛らしい人形でも容赦はしないよ」
 爆風によって撒き散らされる瘴気がこちらに届かないように、翡翠が風の魔法で気流を操作する。瑠璃は緋瑪と共に爆弾を投下し、ただただ吹き荒れる破壊の嵐。
『キィ、ァァァ――!』
「広域殲滅型の真価、見せてあげるよ」
 いくら増えようが、全部爆殺してしまえば良い。瘴気が溢れ出すなら、全部爆風で吹き飛ばせば良い。大雑把とも言えるが、ここまで徹底すれば逃げ場もない――まさに大量殺人姫に相応しい、豪快な戦い方、いや、壊し方だ。
「大分派手だなぁ」
 そんな爆発を見上げながら、呑気に呟く晶。己の胸を叩くと、コツコツと硬い陶器の感触。
「よし、大丈夫。じゃあ行こうか」
 歩き出す動きは、どこかぎこちない――四肢を糸に釣られているかのように。それもその筈、今の彼は邪神の操り糸に繰られる人形に変わっている。故に、爆風で撒き散らされ吹き荒れる瘴気も、何ら影響を及ぼさない。
『キヤァァァァ!』
「こっちにも来たね。……そんなに一度に来られると困るなぁ」
 上空の爆撃地帯から逃れ、迫る人形達。それを見上げて緊張感のない声で呟く晶。彼と人形達との間に、突然大量の蔦が壁としてそびえ立った。
『ッ――!?』
「うん、その調子で足止めしててよ」
 そう呼びかけた相手は、草で作った使い魔だ。その身から蔦を伸ばして人形達を足止めさせると、それを抜けて来た人形に目を向けて。
「人形に変えなくて良い分、楽だね」
『ッ!?』
 見えない操り糸が、その人形に巻き付いた。操り方向転換させると、同士討ちを強いていく。
「人形の身体だから疲れる事もないし……ゆっくり処理していこうか」
 淡々と糸を放っては、同士討ちをさせ続ける晶。淡々と、まるで作業のように人形達を処理していく――が。
「……しかし、これ、少し怖いな」
 壊れた人形の破片を見回し――特に顔の部分にこちらを見られているようで、眉を寄せる。同士討ちさせた分はもちろんとして、上空では今も大量の人形が爆破されていて。
「さあ、どんどん壊すよ♪」
「私達、殺人も得意だけど、破壊も得意だからね」
 尽きる事なくひたすら、爆弾を撒き散らす緋瑪と瑠璃。その度に蒸気機関ごと砕けて吹き飛んでいく人形。破壊の圏内から逃れようとするものも、翡翠の銃によって撃ち落とされていく。
「数が多いから、殲滅のし甲斐があるね」
「……やっぱり怖いなぁ」
 そうして落ちてくる人形の破片の一部が、時折晶に当たりかけ、それを神気によって阻む。時間の止まったその人形の顔――顔だけに見られて呻く晶だが、彼もまた表情一つ変えない人形、傍目に見れば少々怖い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オルヒディ・アーデルハイド
どこかで見たことがあるようなお人形さんなのです
懐かしいような悲しいような涙が出てきます

瘴気の蒸気って何だろう
[毒耐性][環境耐性][呪詛耐性][オーラ防御][狂気耐性]で耐えられるかな
蒸気なら上のほうに上がっていくだろうから身を低くしてたら大丈夫かな

距離をとってソーシャル‐ディスタンシングすれば大丈夫かな
密を避け自分からは接近せずに『槍騎兵ムシャリン』を召喚して飛翔能力で闘劇して戦ってもらう
槍騎兵ムシャリンなら人形の数と機動力には対応できるはず
一匹当たり一体の割合で倒していけば数は減らせるよね



「……何故でしょう、懐かしいような、悲しいような――」
 人形達を見ていると、涙が出てくるオルヒディ。どこかで見た事のあるような、そんな既視感。
『キィ、ァァ――!』
 だが人形達の方は、そんな彼に構わず襲いかかってくる。夢の欠片を宿しただけの、大量に造られたレプリカ人形では、記憶も人格も摩耗しきっているのか。
「っ……ええと、ソーシャル・ディスタンシングしないとっ……」
 慌てて涙を拭い、素早く横跳びに回避する。通り過ぎる人形達の集団、そして通り過ぎた後を満たす大量の蒸気。
「これが瘴気……何だろう、でも、吸っちゃダメだよね」
 明らかに禍々しい気配を感じて警戒を強めると、立ち昇る蒸気を吸わないように姿勢を低くする。大きく距離を取り愛らしい獣の軍勢を呼び出して、それに武者の如き角を生やすオルヒディ。
「さあ、行って……!」
 飛翔し、その角を槍の如く突き出しての密集隊形で、勇ましく人形達へと立ち向かう獣たち。激しくぶつかりあい、
『アァァァア――!』
 瘴気を撒き散らしながら崩れ落ちていく人形。瘴気に巻き込まれ、獣たちも地へと落ちていく。
「お願い……頑張って……!」
 その光景に表情を曇らせながらも、祈るように願う。その祈りが届いたのか、加えてこれまでに他の猟兵達が数を減らしていたためか……先に全てが地に落ちたのは人形達の方だった。
「ふぅ……お疲れ様、頑張ったね……」
 死闘を労い、少ないながらも戻ってきた獣達を労うオルヒディ。そして、地面に落ち、骸の海へと消えていく人形達を見下ろす。
 その消えていく姿に、鈍い心の痛みを感じ、また彼は涙を流した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月05日


挿絵イラスト