Sには水着だ!/90分のお祭り騒ぎ
●グリモアベース
「映画を撮りたいという話が出ていてな」
うだるような夏(Summer)のある日のこと、ムルヘルベル・アーキロギアは言った。
「ヒーローズアースでの戦争ももはや一年前。我らにとっては懐かしい記憶だ。
とはいえ、あの世界の人々にとってはそうではない。需要はまだまだ沢山あるらしい。
……というわけで、その戦争を題材にしたメモリアル映画を撮るらしい……の、だが」
この時点で、一部の猟兵は「あー」とか言って天を仰いでいた。
ムルヘルベルも頷く。実はこの映画撮影、割と……というかなんでもありなのだ。
そもそも「マルチバース構想」とかいうインチ……もとい便利な概念が生まれたので、
史実とか気にしないでいいよね! 並行世界ってことにすればいいし!
的なテキトーな考えが蔓延しており、よく言えば自由。悪く言えば節操がない。
「でな。此度は、なんでも海(Sea)で水着モノの映画を撮りたいそうなのである」
ほらきた!
「しかも豪華客船(Ship)で、食事とかはロハだそうである」
一部の猟兵の目つきが変わった。ムルヘルベルはため息をついた。
この映画を撮影するにあたって、猟兵に求められる条件は三つ。
ひとつは、安全に配慮した上でユーベルコードを使うこと。
戦う相手は着ぐるみだったりCGだったりロボットだったりスタントマンだったりだが、
主役である猟兵は自前でユーベルコードを使い、かつ安全に注意せねばならないのだ。
「ふたつ目は……強制ではないが、「できるだけ水着で参加してほしい」そうである。
ちょうど例のコンテストもあったばかりだし、タイミングはよいのではないか?」
しれっとした顔でムルヘルベルは言った。ちなみに彼は件のコンテスト不参加である。
あくまで任意なので、「これが俺の水着!」と言い張ってもいいし、
普段どおりのスタイルで周りと差をつけて目立とうとしても全然問題ないだろう。
「そして最後の条件なのだが……此度の監督はすさまじく気分屋だそうでな。
撮影中に思いつきで色々変えたり、アドリブをバンバン拾うらしいのである。
つまり、台本はあってないようなものなのだ。そこを覚悟しておいてほしい、と」
言いつつムルヘルベルは、現時点で届いている脚本の草稿を見せた。
『太平洋(別に別の海でもいい)に浮かぶ超豪華客船(名称未定)号!
そこでくつろぐ猟兵たち……だが突如としてヴィラン軍団が襲撃を仕掛けてきた!
猟兵たちは乗客を守るため、水着姿で切った張ったの大立ち回りを繰り広げる!
と、そこへ恐竜(Saurus)人の襲撃! 奴らは地上侵略の機会を伺っていたのだ!
猟兵たちは乗客を守るため、水着姿で切った張ったの大立ち回りを繰り広げる!!
と、そこへ巨大サメ(Shark)の襲撃! 奴は地上侵略の機会を伺っていたのだ!
猟兵たちは乗客を守るため、水着姿で切った張ったの大立ち回りを繰り広げる!!!
あとなんかいい感じのEDで〆。上映時間は90分で』
「まあ待て、オヌシらの言いたいことは分かる」
ムルヘルベルは手をバッと広げて猟兵たちを制した。
「だが食事は豪華で、ロハである。撮影の時以外は割と自由にしていいそうなのだ。
夏だし、海であるし、まあよかろう? よいな? うむ、よし。グッドアクトである」
自分は行かないからって完全に他人事の顔で、賢者は言った。
そしてさっさと本を閉じると転移を始めたのである。
「よい映画が出来るといいな!」
最後まで他人事の顔であった。
唐揚げ
ビキニです。水着の季節なので、それっぽいシナリオを出しました。
ようはハチャメチャな映画撮影をしようぜ! というお話ですね。
監督(多分アラン・スミシーとかそんな名前)は気分屋なので、
皆さんのアドリブは全力で拾いますし映画の台本はどんどん歪んでいきます。
水着姿で騒ぎたい方にはお勧めだと思います。水着でなくともいい。
だいたいそんな感じですね。プレイングの受付期間とかは断章でお知らせします。
ではご参加、お待ちしております!
第1章 冒険
『手を伸ばし、掴みとれ。君求める物。』
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POW : 海に落ちた者を探す
SPD : いち早く乗客の所を目指す
WIZ : 脱出までの経路を導き出す
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ヒーローズアース:太平洋沖合・超豪華客船上
「皆サーン、お集まりイタダキアリガトゴザイマース!」
グラサンにもっさもさヒゲ、そして帽子といういかにも監督らしい監督であった。
手にはメガホンまで持っている。もちろん肩掛けセーターだ。えっ夏なのに?
「今回の映画は私本気! 水着、海、サメ、恐竜、そして猟兵! 完璧デスネ!!
売れないワケないデスネ。そんなワケで皆サン、頑張って演技オネガイシマス!」
誰がどう見ても撮影中に暗礁に乗り上げるタイプのクソ現場なのだが、
不思議とスタッフたちはやる気が高い。狂気とは伝搬するものである。
そもそもどうやってこの撮影費を調達したというのか。洗脳でもしたのかな?
「マズは前半! 皆サンがヴィランやっつけるところを撮影していきマース!
あ、でも日常シーンも大事なので、存分にくつろいでくださっていいデース。
なんだったら、敵だったことにして暴れてもらってもかまいまセーン!」
とんでもないことを言い出した。なお、この現場にブレーキという言葉はない。
ヴィランは主に人型の予定だが、中にはバイオモンスターとかもいる。
もちろん全部着ぐるみだったりロボットだったりであり、つまり非戦闘員だ。
主に海の中から出てくるそうだが、空から落ちてくるのもいたり、
あとは「実はもう船に潜り込んでいた」的な連中もいるらしい。雑多。
「デモ健全大事! エッチよくないデスヨ。ソッチで制限かかると売れないデスカラネ」
どこまでも俗世にまみれた男であった。
●第一章プレイング上の注意
そんなわけで、ヴィラン相手に戦ってよし、他の乗客を救出してよし、
あるいは日常シーンの撮影ということで大いにくつろいでもよし、です。
(豪華客船なので飯は旨いし映画館とか運動場とかプールとかカジノとかあります)
監督に「こういうシーンやろうぜ!」とか言えば大抵は拾われると思います。
なんだったら「実は俺様はヴィランだったのだ!」とか言って暴れても通ります。
(でもそういう猟兵VS猟兵系のは合同プレイングでやるのを推奨します)
あと、監督は健全志向なので、なんでもありとはいえエロはちょっとアレです。
水着の時点で大概? そういう話もありますね。でもそれはそれ、これはこれ!
頂いた数やスケジュールによっては多少採用数を絞るかもしれません。
●プレイング受付期間
2020/07/22 13:59前後まで。
須藤・莉亜
「はい、僕は日常シーンやります。キラッキラな水着で優雅にお酒飲むシーンという事で、僕お酒飲みます。」
ちょうど去年の水着がそんな水着だしね。ただ酒…、ごほん。
あ、一人で飲むのもあれだし、天使達も出そうか。天使達にお酒注いで貰ったり、おっきな団扇で扇いでもらったりしとけば富豪感とか出ないかな?
お酒飲んでる僕の前で、戦いをおっ始めて貰っても面白いかも?気にせずにお酒飲んでれば大物感もプラスでしょ。
…なんか、だんだん訳わかんなくなってきたなぁ…。
秋山・軍犬
自分の名は軍犬(コックコート着用)
(元猟兵の)豪華客船の雇われコックっす
今日も仕事に勤しんでたら
突然のヴィランの襲撃…今日は厄日らしい
少女『私はヴィランのスク水エプロン!
今回の襲撃とは関係ないけど、この騒ぎに乗じて
普段食べられない料理をいっぱい食べたり
あまつさえタッパーにも思う様詰め込んで
やるぜー…と厨房に来たら何かこっち見てる人がいるコワイ!』
少女『くっ…バレてしまっては仕方がない!
私は水中戦は得意だけど他はクソ雑魚なので
料理勝負で決着を付けよう! 私が勝ったら見逃してね!
お前が勝ったらヒーローに転職して真面目に生きてくんで
関係各所に口利きお願いします!』
軍犬『え…あ、うん?』
※アドリブ歓迎
銀山・昭平
◆行動とか水着とか
おらはこの褌とバンダナで行くべな!このおらの肉体美を見るべ!(2020年水着コンテストドワーフ男性部門1位 なおドワーフ男性の参加者は1人)
それにしても豪華客船の食事ってとても美味いべ。特に気に入ったカリフォルニアロールって奴を船のプールサイドでゆったり食べながら過ごしてるべな。
……だがそこに現れるヴィランたち!ここはこの【銀山流即席絡繰術・二式】で用意したジンベエザメのフロート型のマシンガンで応戦するべ。(勿論マシンガンはゴム弾のエアガンなので実際の演者にはほぼノーダメージ)
一般の人たちは急いで他の猟兵たちの所に逃げる、ここはおらが食い止め……あ!!(弾切れ)
●第一シーン:酒とガチムチとスク水
「ふう……今日はいい天気だねぇ。いやダンピール的には陽射しアレなんだけど」
「ふん……ぬうんッッ!!(瑞々しい汗を流しながら隆起する上腕二頭筋)」
「けどまあ、こんな優雅な一時も悪くないかな。美味しいお酒もあるしね」
「むん……ぬうおッッ!!(雄々しくピクピクする大胸筋)」
「これこそまさに至高の時……いや待った何もかもおかしいと思うんだよねこれ」
ブルジョアジーな気分に浸ってワインを楽しんでいた須藤・莉亜、
何故か真顔に帰ってカメラを止めさせた。はて? 一体何があったと?
「どうしたべか! おらの!! ことは!!! 気にしないでほしいべ!!!」
「うん、気にするなっていうほうが無理だよね。その熱苦しさ」
なぜかいちいちポーズを取りながら発言する銀山・昭平。莉亜はぐったりしていた。
ガチムチのヒゲドワーフ(38歳養子持ち)がふんどし姿で肉体美を誇る、
というだけでも濃すぎて困るのだが、問題はその絵面と……熱苦しさ……!!
莉亜の周囲にはユーベルコード"天国招来【第九天・九つの火輪】"で召喚された
九人の天使たちがはべっているのだが、その姿もなんかついたり消えたりである。
なにぶん制御の難しい術式だ、集中が切れると彼らも消えてしまうらしい。
そしていま、莉亜は集中を乱されていた。おもに、ガチムチの暑苦しさで。
そんな莉亜の水着は、まるで傾奇者めいた和風かつ派手派手しいものだ。
涼しい風が吹くたびに羽根飾りが揺れ、煙管の紫煙が水平線へと流れていく。
実に、風情である。隣りにいるのがふんどしのドワーフでなければなおよかった。
でも昭平くんだってコンテストで部門一位を獲ったすごい人なんですよ!
え? ドワーフ男性部門の出場者は一人だけ? それはそれ! これはこれ!!
「おっと、つまみが足りないっすか? なら、自分におまかせしてほしいっす!」
ささっ、と割り込んできたのは、秋山・軍犬だった。
コックコートを着用し、なぜか中華鍋を片手にまさに調理中である。
「あれ? 猟兵なのにどうして台所作業なんてしてるの?」
「豪華客船の雇われコック、っていう設定なんすよ。アクション映画ではおなじみっす」
「映画のタイトルが「沈黙の豪華客船」とかになりそうな気がするべな!」
「うん、よくわかんないけど手首とか外しそうな気がするね。まあそれはいいや。
おつまみ作ってくれるなら、さっそくお願いしようかな。せっかくのタダ酒だし」
さりげなく莉亜の本音が漏れた。しかし、彼はこれっぽっちも悪びれていない。
だってこれも立派な日常シーンのひとつだし。監督も快諾してくれたし。
別にタダ酒を楽しみたいがためだけにわざわざここに来たわけじゃないし。
なんかこう……役者としての、なんか、そういうあれが……とにかくあれなんだから!
「あ、じゃあおらはカリフォルニアロールもらえるべか? あれ気に入ったべ」
残念! 昭平のほうも完全にくつろぐつもり満々であった!
一部のスタッフは、これでいいのか? 的な目線と監督に送るのだが、
「うーん、あの猟兵たちの日常的な姿……これは実にビューティフル!
賞を総ナメ間違いなしデース! 皆さん、ジャンジャン酒持ってきてくだサーイ!」
こっちもこっちでノリノリだった。この監督、本当に大丈夫なのか?
「注文了解っす。それじゃあさっそく作ってくるっすよ!」
そして軍犬も、喜び勇んで調理場へと戻った、のだが……。
「『えっ!?』」
調理場に戻った軍犬が見たのは、謎の怪人……もとい美少女であった。
その格好は、スク水の上からエプロンを着けるというわけのわからんもので、
しかもせっせと冷蔵庫の中身をタッパーに詰め込んでいる。なんだこいつ。
「何してるっすか! それはお昼に振る舞う予定の下ごしらえした料理!」
『ふっ……バレては仕方ないわね。私は……ヴィランの"スク水エプロン"!!』
用意してあった台詞をすらすら朗読する女優さん。いやなんだそのネーム。
『今回の襲撃とは関係ないけど、この騒ぎに乗じて普段食べられない料理をいっぱい食べたりあまつさえタッパーにも思うさま詰め込んでいたところよ!
それを嗅ぎ取るだなんて……さすがね、猟兵! おみそれしたわ……!』
「実に模範的な説明台詞感謝っす。ヴィランと聞いては見逃せないっすね!
主に下ごしらえした料理を盗もうとしているあたりが見逃せないっす!」
軍犬はおたまと中華鍋を構えやる気の姿勢だ。しかしヴィランは、
『くっ、バレてしまっては仕方がないわね。けど、待ったをかけさせてもらうわ。
なぜなら私は水中戦は得意だけど他はクソザコ、普通にやれば秒で終わりだから!!』
「なるほどこれ完全アドリブ中っすね!?」
『だから……猟兵! あなたとは……料理勝負で決着をつけましょう!!!』
デデェン!!(後付されるなんかそれっぽい効果音とエフェクト)
「料理勝負……? ヴィランに有利になる条件を自分が飲むとでも?
もちろん飲むっす! そうしないとこの状況収まらなそうですしね!!」
軍犬もそれとなく女優さんの焦りを感じていた。あるよね、そういうトラブル。
しかしトラブルに対処してこそのプロである。彼も(料理の)プロなのだ。
『それでこそよ! あ、お前が勝ったら私はヒーローに転職して真面目に生きてくんで、その時はこう関係各所に口利きとかお願いできます!?』
「意外と堅実なヴィランだったっす! さあ、いざ――勝負っすよ!!」
カーン! どこかで鳴り響くゴング! なぜか都合よく準備された食材!
軍犬とヴィラン・スク水エプロンは、さっそく料理対決に突入した。
「これは見逃せない一戦です、解説の先生はどう見ますか?」
「これは見逃せない一戦ですねえ」
「解説ありがとうございます! さあ勝利の栄冠を手にするのはどちらなのか!?」
なぜか実況と解説も居た。完全に趣旨が変わってないかこれ?
「……はて、自分、大事な何かを忘れているような……?」
野菜を包丁で切りながら、こてんと首をかしげる軍犬であった。
……一方、甲板上!
「うーん、遅いなー。おつまみまだかなー」
忘れていたものはここにあった。莉亜はグラスを手に途方に暮れている。
おつまみあってこそのお酒である。ワインにはこうチーズとか欲しい。
「まあいいや。別に僕、お酒だけでも満足できるしね」
しかし莉亜は真性の飲兵衛であった! こ、こいつ、"本物"だ……!!
九人の天使たちはお酒を注いだり莉亜をうちわで扇いであげたり、
なんかこういかにも金持ちの周りにいる美女的な感じではべっていた。
たしかに画になる。監督の判断は間違ってなかったらしい……いや待て待て!
「ウオオオオーッ!! カリフォルニアロールはまだだべかーッ!?」
莉亜の周りは阿鼻叫喚! 昭平がサメフロート型マシンガンをぶっ放し、
海の中から現れる大量のヴィランを蹴散らしている地獄絵図だ! なんだこれ!
「ふー、お酒美味しいなあ。これ、まさに極楽ってやつだよねえ」
「あっこれ戦うつもりなのおらだけだべな!? ええいこうなったらやるべ!
さあヴィランども! このジンベエザメマシンガンを食らうがいいべさー!!」
BRATATATATATATATAT!! ジンベエザメ型フロートの口から放たれる弾丸!
もちろん弾丸はエアガン用ゴム弾なので、ヴィランの皆さんの安全にも配慮だ!
熟練のやられ役であるヴィランの皆さんは、いい感じに吹っ飛んでいる!
そして打ち合わせ通り、水着姿の一般客の皆さんは悲鳴を上げて逃げ惑う。
「一般の人たち! 落ち着いて慌てず静かにご避難くださいだべ!」
「お酒美味しいなあー」
「具体的に言うと他の猟兵のところに! 他の……」
「おつまみがないお酒っていうのも、それはそれで格別だよね
「うん、もっと遠くの猟兵のとこに逃げてほしいべ!! それまではおらが……あっ」
カチッカチッ(弾切れの音)
「「「かかれーっ!!」」」
「グワーッ弾切れグワーッ!? おのれヴィランめだべぇええええ!!」
「ワインもいいけど日本酒も悪くないね、うん。まずはお冷でいただこうかな」
優雅に呑みふける莉亜。その周りでボッコボコにされる昭平。逃げ惑う乗客。
そして調理場からは、「WINNER!! 軍犬ー!!」という実況のアナウンス。
なんだこれ。ダイスか何かで適当に決めたシーンの末路かな?
「グーッド! カット! これはアカデミー賞間違いなしデース!」
喜んでいるのはボンクラ監督のみであったという(あとタダ酒楽しんだ莉亜)
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ウーナ・グノーメ
連携・アドリブ◎
「完全にB級映画なのですが……まぁ、やるからには本気でやるのです。ここは死亡フラグを積み立てるエキストラが必要なのです」
B級映画の定義は『低予算』なので、厳密には潤沢な予算を注ぎ込んだこれはB急映画ではないが、とにかく妖精は下級精霊をざっと70体以上召喚し、エキストラを演じさせることにした。
どう見ても人ではないが、何でも有りだし、良いんじゃないかな。
『ちょっと具合が悪いけど、少し休めば良くなるわ』
『そうか、だから奴はあの時あんなことを……全部わかったぞ!』
『おっ、こいつは大物だ!(夜中に釣りをしている)』
なお、彼らは戦闘力は皆無なので、ヴィラン役の方々は手加減してあげて欲しい。
シャルロッテ・ヴェイロン
(実はヒーローズアースに来たのは戦争以来だという)
まぁね、「映画に出演できる」って聞いたから、こうしてやってきたわけですが――
何 こ の や っ つ け 感 。
――で、戦闘シーンの【撮影】ですか?とりあえず最近話題の放置ゲームのキャラを呼んでおきますか(携帯タイプのゲームデバイスを起動してUC発動)。
(で、本人がプールサイドでのんびりくつろいでる間に、召喚されたキャラが勝手に戦ってくれている(一応エフェクトは出るがダメージは実際ないに等しい。そういう設定にしておいた))
あ、でも一応、エロくない程度のサービスショットはやってもおkですよね?(ぇ)
※アドリブ・連携歓迎
レパル・リオン
言うまでもないけど今年の水着を着てくわ
海よ!船よ!とりあえずプールで泳ぐわ!
元気いっぱいに楽しみましょ!その上でいい感じにカメラ目線を織り交ぜていく〜!
カメラの前でバタフライ披露!からのシームレスなヴィラン出現シーン!
パッション重点で泳ぎながら、ドルフィンキックでヴィランを撃退よ!
トドメっ!【瞬打】パンチのラッシュ!
でもあたしがホントに使ってるUCは【只今放送中!】演技に集中してダメージ無効だからヴィラン役の人は本気で殴ってきていいわよ!なんならそっちもUC使っちゃってもいいわよ!
暗黒虚無神・パラミトログル
我が名はニヒルダーク・パラミトログル
悪を司り悪を戒める者
敵が斯様に盛り沢山ならば、主役サイドも個性豊かにせねばなるまい
すなわち、神の降臨……
悪しき神が降臨すると見せかけ
悪を戒める為に顕れた悪神が
現れる悪しき者共に邂逅せし時
かれらを『道ならぬ悪』と定め
悪を撃滅する
其れこそが我が望む運命(デスティニー)……
信じる者が正義(ジャスティス)……
水着……なるほど
変身は確かに良き要素(ファクター)
我が纏うは漆黒の法衣
されど見せ場になれば着脱し、逞しき肉体を披露しよう
そう、我が真の姿(クライシスフォーム)……悪を戒める、荒ぶる神としての姿を
(残念ながら上半身裸になるだけだ)
●死亡フラグとアクションとサービスと中二病
この映画はわずか90分しか使えない、つまりそれだけNGカットも出る。
しかし映画というのは、膨大な量の素材を切り貼りして作るものだ。
てなわけで、同じヴィラン突入シーンでもメンバーを変えて台本を変えて、
とにかくいろんな形で撮影し、一番いいのを編集することになるのである。
さっそく2グループ目の撮影が始まろうというそのときのこと。
「運命(デスティニー)……」
「「「……は???」」」
打ち合わせ中、いきなり素っ頓狂なことを言い出した少年を見て、
ウーナ・グノーメ、
シャルロッテ・ヴェイロン、
レパル・リオンの三人は顔を見合わせた。
いや運命て。しかも運命と書いて"デスティニー"て。
いま話してたの、ヴィランの皆さんとの殺陣の打ち合わせなんですが……?
「すなわち、神の降臨……悪しき髪が降臨すると思わせ、顕れたるは悪を戒める者。
そう、悪神でありながら悪を討つ神は、現れたる者らを『道ならぬ悪』と定め、
悪を以て悪を撃滅する……其れこそが、我が望む運命(デスティニー)……」
「あっ、つまりそういうふうに登場したいってことかしら?」
「信じる者が正義(ジャスティス)……」
「多分「はいそうです」って意味なんですかねこれ」
レパルとシャルロッテは、暗黒虚無神・パラミトログルの言語の解読に苦労した。
なおパラミトログルはというと、なんかいい感じのポーズで雰囲気に浸っている。
誰がどう見ても、アレだ・中学二年生が罹患する……アレだ!!
「猟兵の中に神登場とかいよいよB級映画なのです。監督はいいのですか?」
「もちろんデース! スペクタクルは名作の絶対条件ですカラネー!」
「すさまじく間違った方向にやる気を発揮しているのは、よくわかったのです」
ウーナは色々ツッコミを諦めた。音頭取りがこれじゃまともなことにゃならねえ!
しかしB級ならばB級で、やるからには本気を出すのがウーナという少女である。
「なら、わたしのユーベルコードで砂の下級精霊たちを呼び出すのです。
そして下級精霊たちをエキストラにして、一般客の数を増やそうと思うのです」
「……ウーナちゃんの精霊って、どう見ても人じゃない気がするんだけど……」
「どうせB級だし、なんでもありだからいいと思うのです」
「まあ、そうね……」
レパルは遠い目をした。さっさと常識を捨て去るのがこの仕事のキモらしい。
「それなら、こっちも"バトルキャラクターズ"でゲームキャラを召喚しましょうか。
版権とか大丈夫ですよね。それにゲームキャラだからエフェクトも派手ですし」
「勇猛なる戦士たちによる饗宴(カーニバル)……主役の個性は大事である」
シャルロッテの提案に、パラミトログルもご満悦の様子であった。
他に誰がいようと、最後には自分が目立つので構いやしねえって顔である。
それでいいのか暗黒虚無神(ニヒロダークと読む)。精神年齢14歳……。
「そして、エキストラ役の精霊たちには死亡フラグを立てさせるのです」
「「死亡フラグ……?」」
シャルロッテとレパルは、ウーナのセリフに途端に不安になった。
「そうなのです。この手の映画といえば、そういう犠牲者は必要不可欠。
ヴィランの中に、ホッケーマスクとか着けたのがいればなおよしなのです」
「どう考えても映画のジャンル変わってないかしらそれ!?」
レパルは思わずツッコミを入れた。彼女の胃が心配である。
「この時点でやっつけもいいとこなんですがこれ整合性取れるんです?」
さすがに色々恐ろしくなってきたシャルロッテは監督にそう聞くのだが、
「ザッツオールライ! 多様性はポリティカルな感じでモアグッドデース!」
このボンクラは相変わらずであった。
「我も同意である……人種、性別、映画の方向性、そんなものはナンセンス……」
「前者ふたつはともかく最後のは見失ったらいけないと思うんだけど……」
パラミトログルも色々話にならない。レパルは頭痛がしてきたのでこめかみを抑えた。
おかしい。自分はどちらかというともっとはしゃぐタイプのはず!
なんで打ち合わせの時点で調整に走ってるんだ? 助けてウーナ!(旅団仲間)
「いまからどんな台詞を言わせるか、楽しみなのです」
うんダメだこれ! レパルは頭を抱えたのであった。
……そんな打ち合わせ(?)を経て、出来たシーンがこちらである。
「海よ! 船よ! でも泳ぐならプールのほうがいいわよね!」
レパルは青いリボンデザインの水着を身にまとい、軽やかに水上を舞う。
さすがはキマイラ、身のこなしはまるで優雅に泳ぐ魚のように見事なものだ。
カメラの皆さんも張り切って撮影している。1カメよし! 2カメよし!
「夏は泳ぐのが一番ね! ウーナちゃんも一緒に泳がない?」
「……いえ、わたしはここから見ているのです」
プールサイドにちょこんと座るフェアリー……ウーナが控えめに言った。
そんな彼女は金色の髪をお団子頭に結い上げ、オフショルダービキニ姿だ。
パレオから覗く細いおみ足は、まるで砂浜のように白くそして瑞々しい。
「それにしても平和ですね、まあトラブルが起きても困るのですが」
一方で、ビーチチェアでくつろぐシャルロッテはスク水を身に着けていた。
テーブルの上に置かれた冷たいジェラートをつまみつつ、のんびりゲームを遊ぶ。
こんなときまでゲームを? だなんて思う人もいるかもしれないが、
こんなときだからこそあえて遊ぶゲームというのも、また格別なものだ。
首にしっかり防水ゴーグルを掛けているあたり、泳ぐつもりも満々らしい。
「まったくもう、ふたりともせっかくのプールなのにもったいないわね!
まあいいわ。そのぶん、あたしがたっぷり泳がせてもらうとしようかしら!」
ざっぱーん! と、レパルの華麗なバタフライで水しぶきがあがる。
カメラワークもいい感じだ。ちなみにこの華やかなショットだが、
それぞれ11・15・10歳と、平均年齢はかなり低い。えっ大丈夫なんですかこれ?
「ふう……なんだか妙に暑いですね……」
おい待てシャルロッテがなんか肩紐ずらし始めたぞ! 監督! 監督ー!!
「うーん、おませなお嬢さんのちょっとしたアピール! 無問題デース!」
駄目だこいつ!! 健全とかほざいてたのはどこ行ったんだよおい!
……と、騒ぎ立てるスタッフがいたかどうかはさておき。
「実に平和なのです。こんなときこそ、何かトラブルが起きるものなのですね。
B級映画だと、レパルが水の中に引きずり込まれたりするのが定番なのです」
「いやさりげなく段取りと違う怖いこと言わないでウーナちゃーん!?」
レパルのツッコミをスルーしつつ、それとなく水着をアピールするウーナ。
華やかに咲いたヒマワリとのサイズ差が、実にフェアリーらしい。
水色のオフショルダービキニとオレンジ色のパレオの対比も……と、その時!
「イヒヒヒヒヒーッ!」
「キョキョキョキョーッ!」
「バゴラバゴラ!(※笑い声)」
悪辣な笑い声をあげ、プールサイドに乗り込んでくるヴィランども!
のどかな時間を過ごしていた一般客らは、悲鳴をあげて逃げ惑う!
「くっ!? こんなタイミングでヴィランが現れるだなんて、なんて奴らなの!」
「悪役アピールが笑い声から入るあたり、実に安直ですね」
「ここで演技のツッコミは野暮だと思うんだけど!? と、とにかく戦わなきゃ!」
「わたしはここでのんびりしてますので。放置ゲームの皆さん、よろしくです」
意気込むレパルをよそに、シャルロッテはサボるつもり満々であった。
だらーっとした姿勢でかなり投げやりにユーベルコードを使用すると、
召喚されたいかにもSSR☆5って感じの美少女キャラたちが果敢に戦う!
「ワオ! ファンタスティック! これは実に画面映えしますネー!」
監督もご満悦である。こいつもう猟兵のやることならなんでもいいんじゃないか?
「ゲギョゲギョ~!! まずはお前から血祭りにあげてやるぜ~!」
エフェクト満載の戦闘を駆け抜け、レパルに襲いかかるヴィラン!
だがレパルは華麗な泳ぎをキメ、ドルフィンキックで返り討ちにする!
「甘いわね! 水の中であたしに勝てるつもりだったのかしら!」
「グワーッ!?」
「さあ、どんどん来なさい! 一般客の皆さんをやらせはしないわよ!
そして一般客のみんな! あたしたちが戦っているうちに、早く逃げて!」
ヴィランを瞬速ラッシュで片付けたレパルは、キリッとカメラ目線で言った。
キ、キマッた! これは間違いなく視聴率急上昇……!(?)
『ありがとう猟兵さん! ちょっと怪我をしたけど、少し休めばよくなるわ』
「えっ?」
『そうか……だから奴はあのときあんなことを……全部わかったぞ!』
「???」
『おい、誰か来てくれ! 大物が釣れそうなんだ、手を貸してくれー!』
「なんであそこで釣りしてるんです……?(困惑した様子のシャルロッテ)」
『こんなところへ居られるか! 俺は部屋に戻らせてもらう!』
台本通りに逃げ出す一般客……と、それに紛れた下級精霊たち。
誰がどう見ても精霊たちのほうが目立っていた。エキストラとは一体……?
「ウーナちゃん! 死亡フラグが雑すぎない!?」
「でもB級はこういうものなのです」
「その偏った知識どこから手に入れたのー!?」
やべえ! 途中までいい感じだったけどもう映画の方向性が迷子だよ!
ヴィランの皆さんも、これ襲っていいの? って感じでちょっと困惑していた。
しかし……その時! カカッ! と、なぜかスポットライトが点灯する!
「「「!?」」」
ヴィランの皆さんはもとより、美少女たちも思わず視線を持っていかれた。
そしてライトに照らされたお立ち台(!?)からプシュー!とスモークが溢れ、
グングングン……とせり出す足場。その下から現れたのは……!
「――運命(デスティニー)のとき、来たれり」
お忘れてはありませんでしたね? そう、パラミトログルである!
どうやらわざわざ、この場違いなセットも用意してもらっていたらしい。
それっぽいポージングをしながら現れた、彼の栄光たるその姿は……!!
「さあ見よ! 漆黒の法衣の下に隠されし、我が真の姿(クライシスフォーム)!」
ばさぁっ!! 普段身につけている法衣を勢いよく脱ぎ捨てたパラミトログル!
「「「あ、あれはーッ!?」」」
ヴィランどもは、悪を討つ荒ぶる神の大いなる姿に畏怖を憶えた!
おお、その神々しさたるや、まさしく……まさしく、なんかこう、なんかだ!
「上半身裸になっただけなのです」
「てっきりかっこいい姿に変身するのかと」
「これCGエフェクトでなんとかならないのかしら……」
女性陣は、その拍子抜けな変身……? に、非難轟々であった。
しかしパラミトログルは負けない。中二病患者は細かいことを気にしない。
「道ならぬ悪に堕ちた者らよ……支配したがる魔術師(マジシャン)たちよ……。
いまこそ我が荒ぶる力で、その悪を撃滅せん。すなわち……戦い(ファイト)である!!」
カーン! どこかでゴングが鳴り響く! かっこよく跳躍するパラミトログル!
ぽかんとしていたヴィランの皆さんに容赦ないフライングアタック!!
そして戦いの火蓋は再び切って落とされた。おお、これこそまさに善と悪の決戦!
「これ、本当に大丈夫? ねえこれ本当に大丈夫なのかしら!?」
「オールオッケーでーす! これならアカデミー賞間違いなしデース!」
「B級どころかZ級になりそうな予感がひしひしですね、これは」
呆れ返りつつも、のんびりアイスを食ってるシャルロッテであった。
要素が膨れに膨れ上がった結果、このカットの分数はものすごいことになったという。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
カタリナ・エスペランサ
むむむ、映画撮影と聞いて飛んできたはいいけど水着か……
いや、素敵な水着だから凄く気に入ってるんだよ? ただ人前でこういうカッコしたり記録に残ったりっていうのはまだ少し恥ずかしいっていうか……。
…………。
……ええい、やってやるさ! 映画にも出たかったしこの水着で泳ぎたかったし何の問題も無いね!!
にしても90分に随分と内容詰め込んだね?
ノルマはしっかり果たしておこう
【衛生兵特級資格】を使用、本物の《救助活動》技術で魅せてあげる!
一挙手一投足に見る人を魅了する《誘惑+存在感+パフォーマンス》を兼ねながら翼で海中を飛ぶように泳いで乗客(役の人)たちを救出。
殺陣シーンも興味はあるけど後のお楽しみとしよう
御園・桜花
「水着で撮影…それは面白そうです」
緊急時の着衣水泳はあっても遊んで泳ぐためにわざわざ水着になって水泳、は殆ど経験なく高揚
モブ猟兵として泳いだらプールサイドでニコニコジュースを飲みまた泳ぐ、繰り返す
戦闘演出開始したら
UC「召喚・精霊乱舞」
雷の精霊喚び雷属性の魔法球操る
敵にぶつけたように見せかけ視野外から別の魔法球を衝突させ相殺
派手なエフェクトで戦闘シーンを盛り上げる
但し水中に突っ込ませると感電者多数と思われるので船上及び空中で使用
自分への攻撃は第六感や見切りで躱すが、派手に見せた方がいいと思う時は盾受けやカウンターからのシールドバッシュも行う
「背景にモブ猟兵が居た方が派手に見える気がしません?」
マルコ・トリガー
フーン、映画を撮ってるんだ
ボクも最近映画ってやつに興味があってね
まあ、観る側なんだけど
折角の機会だから挑戦してみようか
演技なんてした事無いけど、ヴィラン相手に戦えばいいのなら、いつもどおりにやればいいね
ああ、銃はペイント弾にしておくよ
血が出てもいいのなら、血糊も用意しておこうか
アクションは派手な方がいいのかな
ヴィランを爽快に倒していくのは観てる方も気持ちいいんじゃない?
壁を蹴って宙返りをしたり、スライディングしたり、水着での戦いを思う存分楽しもうかな
【窮猿投林】で修羅場って言うやつを演出するのもいいかもね
まあ修羅場ってボクよく知らないけど、映画だとこういうシーンよくあるんでしょ?
●羞恥心とモブと修羅場
「…………むむむ」
なにやら演者用のコートを羽織ったまま、カタリナ・エスペランサは悶々としている。
すでに撮影の準備は進みつつあり、打ち合わせも済んでいる状態だ。
まあ打ち合わせといっても、アドリブで全部捻じ曲げられるのだが。
「水着、水着か……気がついたら撮影寸前だし、どうしたものかな……」
「どうしたんですか? 何か体調でも悪いんです?」
そんなカタリナが気になったのか、御園・桜花がはい、とジュースを差し出す。
パーラーメイドとしての癖でついつい給仕をしてしまったらしい。
ちなみにそんな桜花の姿は、華やかなオフショルダービキニだ。
桃色のウェーブヘアとのコントラストが実に鮮やかだ。健康的な美しさがある。
そんな彼女がくりっとした大きな瞳で首を傾げてみせると、
カタリナはなんとなく目をそらしてしまった。妙に居心地が悪いのである。
「い、いや……映画撮影だと聞いて、喜び勇んで飛んできたのはいいんだけどね。
こう、なんていうか……人前で水着を見せたり記録に残るのは恥ずかしくて」
「そんなに派手な水着着てるの? それ、別の意味で危なくない?」
会話を聞いていたマルコ・トリガーが、なんとなく茶々を入れた。
カタリナは顔を赤くし、クールな面持ちの少年に食って掛かる。
「ち、違うよっ! 間違ってもそんないかがわしいのじゃないよ!?
むしろ気に入ってるしだから今日もそれで来たんだけど、ううん……」
「いいじゃないですか、水着で撮影なんて面白そうで。めったに無いですし。
そもそも私、遊んで泳ぐために水着になるっていう経験が滅多に無いんですよね」
「ボクも、そこまで好んで泳いだりはしないかな。むしろ最近は映画観てばかりだ。
……ていうか、そういう趣旨なんだし、いい加減腹をくくったらどうなの?」
黒のサーフパンツに可愛らしい猫のパーカーを羽織ったマルコは、やる気だ。
水着がどうというよりも、彼は「映画」を撮ることに興味があるらしい。
いましがた本人が言っていた通り、映画鑑賞が趣味になっているからだろう。
桜花もマルコも、フィルムに水着姿を残すことに抵抗はあまりないようだ。
そんなふたりを見ていると、カタリナは途端に自分が情けなく思えてきた。
「……ええい、やってやるさ! やってやるとも!!」
カタリナは意気込み、勢いよくコートを脱ぎ捨てた。
その下から現れたのは、エメラルドブルーを基調としたバンドゥビキニ。
対して腰に巻かれた海色のパレオは、寄せては返す波間を思わせる模様入り。
カタリナは胸を張り、かと思えば丸まってぺたんと耳を伏せてしまうが、
恥じらっては逆効果だと考え、もう一度胸を張ってその水着を見せつけた!
「おお~、可愛らしいですね!」
「ふふ、ありがとう……! なんだかんだこの水着で泳ぎたかったからね!
そうとも、映画にも出たかったんだ。だから問題ない。何も問題はないさ!」
「そろそろ撮影始まるよ。撮影中に丸まったりしないようにね」
「だ、大丈夫だよ! アタシは覚悟を決めたからね……!」
腹をくくったカタリナの勢いに肩をすくめつつ、マルコは銃を構える。
そして……撮影開始のカチンコが、カン! と小気味よく撮影現場に響いた。
まずカメラは、日常シーンとして猟兵たちがくつろぐ姿を映し出した。
桜花は特にカメラワークや映えを気にした様子もなく、
トロピカルジュースを飲んではのびのびとプールで泳ぎ、その繰り返しだ。
「えっ!? いきなり戦闘から始まるんじゃないの……?」
「日常シーンも大事なメリハリデース、自由にくつろいでくだサーイ」
「う、ううっ……い、いまさら臆したりするもんか……!」
気恥ずかしさが勝ってきたカタリナだが、意を決してプールに飛び込んだ。
泳ぎに関してはさすがは歴戦の猟兵、プロ顔負けの見事なものである。
そして自慢の翼をはためかせ、ばしゃあ! と水しぶきを飛ばして水面から上昇。
きらきらと舞い散る水のしずくが、美しい乙女の姿を映し出した。
「なんだかんだノリノリですね~、私も楽しいです」
そんなカタリナの主役らしい水泳シーンの背景でのんびりジュースを飲む桜花。
ちなみにマルコの周りには、なぜか女性の一般客がたくさん集まっていた。
「まあかわいい男の子、ひとりで来たの?」
「そうだよ。もしかしてナンパか何か? ボクは興味ないけど」
「クールだわ……でもそこがいいわね!」
……台本には「マルコが女性客から黄色い声援を受ける」という監督のアドリブがあったのだが、どことなく女性陣の趣味が入っている気がしないでもない。
マルコの主な出番は殺陣シーンのため、彼は特に気にしていなかった。
なのに猫パーカーなんですよね。うーんあざといなあこの15歳!!
……と、その時!
「きゃーっ!! ヴィランよー!!」
台本通り、女性客役の悲鳴が響き渡った。
そして海中から現れるヴィランども! カタリナは濡れた髪を拭い着地した!
「始まったね……! アタシは海に落ちた人たちを救助してくるよ!」
カタリナはそう言って、ばさりと翼をはためかせ船上から飛び降りた。
そして飛ぶように海中を泳ぎ、ヴィランに引きずり込まれた乗客を助け出す。
水しぶきを散らして舞い泳ぐさまは、まさしく水の乙女の如しだ!
「おのれ猟兵め! 我らの邪魔をするなァーッ!」
「それはこっちの台詞だよ。ボクらのバカンスを邪魔しないでほしいな」
カタリナに襲いかかろうとしたヴィランを、マルコが華麗にスナイプ!
なお銃と言っても、装填されているのは撮影用のペイント弾である。
海中から飛び出した筋肉質のヴィランは、見事な狙撃で一撃KOされた!
「グワーッ! お、おのれ……! あの子供を、やれーッ!」
「「「ヒヒヒヒヒーッ!」」」
新手が戦場に出現! マルコは雑魚ヴィランの攻撃を三角飛びで軽やかに回避!
そして返す刀で銃弾をばらまくと、派手な雷が爆ぜ飛びヴィランを吹き飛ばす!
(あれ? そんな術式は、いまは込めてないんだけどな)
思った以上の派手なエフェクトに、マルコは訝しんだ。
しかしよく見れば、視界の端で華麗に戦う桜花の姿がある。
彼女は襲いかかるヴィランの皆さんの攻撃をシールドバッシュでいなし、
それとなーくマルコに手を振った。なるほど、あの雷は彼女のお膳立てか。
(背景にモブ猟兵がいたほうが派手に見えますよね、きっと)
桜花はあくまで引き立て役として立ち回るつもりらしい。
カメラマンもその意図を汲み、カタリナとマルコを中心に撮影していく。
飛びかかるヴィランの攻撃をスライディングで避け、振り返りざまにショット!
屈強なヴィランも、若くしなやかな少年猟兵にはたじたじのようだ!
「キャー! マルコくんかっこいー!! こっちに目線ちょうだーい!」
「ちょっとアンタ! マルコくんのこと気安く呼ばないでよ!!」
「何よあんたこそ!!」
「アンタこそ!!」
「「キーッ!!」」
……かと思ったら、なんか背景でモブ女優らによるキャットファイトが始まっていた。
「えっ? い、いやあの、避難を早く……」
「「「マルコくんは私のものよーっ!!」」」
「完全に展開が台本と違うよ!? なんなんだこの修羅場は!」
救助活動をしていたカタリナは、女優たちの修羅場に目を白黒させた。
「え? 修羅場って、映画だとよくあるシーンなんでしょ?」
どうやらマルコのユーベルコードによるものらしい。
「あるにはあるけど今には絶対そぐわないんじゃないかな!?」
「問題ありまセーン! どんどん修羅場っちゃってクダサーイ!」
「雷のエフェクト、いりますー?」
ノリノリの監督、ノリノリでエフェクトを生じさせる桜花。
おかげで、シーンはどんどんしっちゃかめっちゃかになっていくのであった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アコニィ・リード
※アドリブ連携大歓迎
ヴィラン役が足りないのかしら?
確かに猟兵と戦うのって大変だものね、多分
わたしなら沢山出せるから使って頂戴!
屈強なイルカ海兵隊の面々をヴィラン役として沢山召喚
何やかんやレディ某だのアトランティスだののアレとしてやってやるわ!
ええと、サーフィンすれば……出来るのかだって?
だったら漕げばいいでしょ!
さあやっちまうのですよん♪ こうですか? 分かりません!
大集合モノの背後で暴れる再生怪人役ですって!? 失礼な!
で、日常シーンはモブとしてひたすら食事をとればいいのね
違うの? 違わないわ船上パーティーシーンを撮るのよ!
後はプールでひと泳ぎするわ
他に必要な役どころがあったら何でもやるわ!
ヒルデガルト・アオスライセン
目立ちたくはない
けれど新たな装いは使いたい
白衣をスバっと脱ぎ捨てると下から水着が飛び出します
装甲を翼に換装し飛行
うん、恐ろしく機能的
これならドレスのまま水中に飛び込んで
空気で膨らんだスカートで態勢を崩し
顔面を打ち付け鼻血を流す事もありません
露出がやや多い気がするのは
あれ…?皆こんなもん…ですよね…?
もやつきながら光の技法でカメラの反射光を察知
スカイステッパーで撮影を華麗に躱し海の怪物を叩きます
あれがしたいんです、絶滅危惧のオカルト
光だプラズマだと大の大人が得意げになったり
子供がUFOだったらいいねーなんて語り合う
万が一映るなら、そんな画がいい
避け切れないならば懐から銀貨を取り出し
UCで逃げます
狭筵・桜人
カメラマンとして参加します。
役者で呼ばれた?まあまあ。私にはやるべきことがあるので。
猟兵の恥ずかしいNG集を撮ります。
どんな手を使ってでも恥ずかしいNGを出させてやりますとも。
こっそりヘビのおもちゃを仕込むとか……ハブのおもちゃを仕込むとか……。
映画は興行収入だけではないんですよ。
円盤が売れてこそヒット作。今はネット配信が主流?
まあ細かいことはいいんですって。
円盤でしか見られないメイキング映像はファンには嬉しい特典ですよね。
その中でも特にファンを喜ばせるのが人気役者のNG集です。
あんなに格好いい役の赤っ恥シーンとかね。
いい感じに撮れたら監督とビジネスの話をします。マージンは20%でいいですよ。
夜霞・刃櫻
【アドリブ・連係歓迎】WIZ
サメとゾンビとドイツは定番っすね
何がとは言わないでやんすが
ヒャッハー!
UC【夜霞の爆窃】で爆窃団の幽霊を召喚!
重火器!爆発!火薬!
ヴィランを爆破しまくるぜ!
クソ映画でも爆発が多けりゃだいたい人気が出るんだ間違いない(根拠なし
「武器改造」で弾頭を【威力を抑えて爆発だけ派手に】しておけば良し!
後はどうにでもなれ!!
それが三下魂のパンク・ロックだ!
迷惑掛けたら土下座しますハイ
神元・眞白
【SPD/自由】
魅医ったらいつの間にこんな旅行の受付を。息抜き?
とはいえせっかくの機会ですからちゃんと休暇にしましょう。
久しぶりのヒーローズアースですからお土産はちゃんと選ばないと。
……カメラ?ここにもあそこにも。……なるほど?なるほど。
これは私もカメラを用意しないといけませんか。船の中で探さないと。
これだけ大きな船ですから探せば1つか2つぐらいはきっとあるでしょう。
見つける事が出来たら私も流れに乗りましょう。周りを参考に。
……水着?なんだか不思議な船ですね。前のコンテストの分はありますが……
魅医の分もありますからここは魅医にお願いしておきましょう。お願いね。
●イルカとUFOと自業自得と三下とカメラ
「……おかしい」
なにやら白衣を着込んだ美少女、ヒルデガルト・アオスライセンは呟いた。
彼女の目線は、撮影準備中の猟兵たちのほうにちらちら向けられている。
具体的に言うと、水着姿になったアコニィ・リードや神元・眞白に、だ
といっても眞白の場合、自身ではなく人形の魅医に水着を着せているのだが。
「……? なんだか視線を感じるような……?」
健康的な黒いビキニに水色のショートパレオを結んだアコニィは首をかしげる。
どこかから覗かれているのかと思ったが、周りはスタッフばかり。
いまさら猟兵が自分を珍しがるはずもなし、アコニィは気にしないことにした。
……そしてそんな彼女や眞白の人形・魅医を、ヒルデガルトはチラ見している。
なぜ? まさか、ヒルデガルトにはその手の趣味が?
いや、そういうわけではない。問題は、彼女の水着にあったのだ。
(割とみんな露出は多いほうだと思っていましたが、いやでもこれはしかし)
ヒルデガルトは、白衣の下に着てきた水着を見てぐぬぬと呻いた。
こう言ってはなんだが、面積が小さい。いわゆる白の三角ビキニである。
ヒルデガルトが恵体なせいか、はたまた彼女が寸法をミスってしまったのか、
あらためて見るとだいぶ小さい。途端に色々恥ずかしくなってきたのだ。
(……いや、みんなこんなもんです。恥ずかしがるほうがむしろ恥ずかしい!!)
ヒルデガルトはかなり強引な論法で自分を納得させた。まあもやついているが。
撮影開始の時間が近づく。彼女はギリギリまで白衣を羽織っていることにした。
それというのも、カメラマンのほうからやけに邪悪な気配を感じるからだ。
「ふっふっふ……さあ準備は完璧です。仕掛けた罠も作動してくれるはず」
その邪悪な気配の出元は、なぜか撮影スタッフに混じった狭筵・桜人である。
この人妻フェチの18歳(既リプレイで判明済み)、まさかその手の趣味が?
いや、そういうわけではない。桜人の今日の目的は、水着ではなく……。
「必ず撮ってやりますよ、猟兵の恥ずかしいNG集をね……!!!」
とまあこのとおり、他の参加者の恥ずかしい失敗をカメラに収めることだった。
このひねくれ小僧ときたら、他人の恥かいた姿を見るのが大好きなのである。
それで小金を稼げればなおよし。NGシーン集とか、ありがちだよね!
なお、出演者であるはずの桜人がカメラマンってそれいいのか?
とお思いの方もいるかもしれない。直談判を受けた監督いわく、
『グーッド! BD特典はいい文明デース! ハプニングも大歓迎ネー!』
とのことだった。誰だ、こいつを現場のトップにあつらえたのは。
なにはともあれ、桜人は邪念120%でカメラを構えていたのである。
もちろん撮影現場のあちこちには、NGを誘発するための様々な罠が設置済み。
もはや仕掛けは完璧。あとはイレギュラーさえなければ……! みたいな感じだ。
「……カメラマン。面白そうね」
そしてそんな桜人と同じぐらい、トンチキな状況がお好きな眞白は、
彼の邪念を感じ取り、この卑劣な……もとい、大事な仕事に目をつけた。
「ねえねえ眞白お姉ちゃん、水着に着替えてきてよー」
「いえ、私はいいの。代わりにお願いね、魅医」
おつきの人形である魅医のだだっこをかるーくスルーして、カメラを構える眞白。
ヒルデガルトは思った。……何がなんでも、奴らのレンズには映りたくねえと。
「それでは撮影開始デース。3、2……アークショッ!!」
カチン! と、カチンコの音が鳴り響く。
場面としては、ヴィランが海の中から襲撃してくるシーンのようだ。
アコニィとヒルデガルト、そして魅医は、水上パーティの参加客という設定である。
ドンツクドンツクドゥン! ドゥン! ドゥン!!
腹に響くタイプの重低音EDMが鳴り響く。騒ぎ散らすエキストラのパリピたち。
「イエー! ウィーピピー!」
「パーティサイコー! フーッ!」
「わーい! よくわかんないけどたのしー!」
そんなエキストラのパリピに混ざり、はしゃぐ魅医。
一方、アコニィはひたすら飯を食っている。
ヒルデガルトに至っては、白衣を羽織ったまま微動だにしない。
「ちょっとちょっと、もっと盛り上がってくださいよ! パーティのシーンですよ!」
「監督ではないのだから指図しないで。私の出番は殺陣なの」
「くっ……! こっちはもっとNGシーンを撮影しないと来月の懐がヤバいんですよ……!」
つーん、とお高く止まったヒルデガルトに睨みをきかせる桜人。
アコニィはひたすら飯を食っている。あれがパーティの楽しみ方らしい。
「もっぐもっぐもっぐ……さすが豪華客船ね、食事のグレードも高いわ……!!」
なんか目的が変わってないか? という指摘は野暮である。
彼女の中での水上パーティというと、これなのだ。ひらすた喰うことなのだ。
ああ悲しきかなフラスコチャイルド。人生経験の差がこんなところで出ようとは。
(まあいいでしょう……そろそろヴィランが出てくるタイミングですからね)
期待はずれの(映画的には正解)撮影を続けながら、桜人はほくそ笑んだ。
(海から現れるヴィラン。その時あちこちから飛び出す大量の蛇!……のおもちゃ! ふふふ、これでびっくりどっきりなNGは頂きですよ……!)
何もかもが間違っているのだが、この映画自体が間違いと言えなくもない。
そしてついに、桜人の待ち望むヴィラン乱入パートがやってきた……!
――ざっぱーん!!
「来たわね、ヴィラ――ん?」
颯爽と立ち上がり白衣をはだけようとしたヒルデガルトは、目を点にした。
たしかに海の中から飛び出してきたのはヴィラン役の皆さんである。
あれ? でもなんか、打ち合わせのときよりはるかに多くないかな?
しかもなんでそのメンバーが、人型どころか屈強なイルカの群れなんだ!?
「「「キュッキューン!!(めちゃくちゃ低音のイルカボイス)」」」
「えっなんですかあれ!? まさかマジのヴィラン!?」
台本とはまったく違うイルカどもの襲来に、カメラマンの桜人もビビった。
彼は気付いていない。そんな彼の醜態を横から眞白が撮っていることなど!
「フッフッフ……ハーッハッハッハ!」
「「「!?」」」
ヒルデガルト、桜人、そして魅医は、突如高笑いをあげるアコニィに驚いた。
そして見よ。彼女は持っていたお皿をテーブルの上にきちんと置くと、
軽やかなムーンサルトを披露しつつ、ヴィラン側に……着地!?
「気付いていなかったのね猟兵! このわたしがヴィランだったことに!!
見なさい! これこそわたしの部下たち、屈強なるイルカ海兵隊たちよ!」
「アドリブで敵対ってそんなのアリなのかしら……!?」
さすがにヒルデガルトも面食らい、思わず監督の方を見た。
で、その監督はメガホンを頭の上で振り回してノリノリである。
誰だこいつを現場のトップに置いたのは。
「……まあいいでしょう。そういうことならば、成敗してさしあげるのみ。
イルカ、何するものぞ。この私の、新たな装いの力を見せてあげます」
ばさり! と、ヒルデガルトは勢いよく白衣を脱ぎ捨てた。
ややきわどい白ビキニがカメラに映える――と思ったら映ってねえ!?
「げえっ!? もう移動してるじゃないですか! なんですかこのブレブレの映像!」
慌ててカメラを向けた桜人は、映像を確認して舌を巻いた。
白衣を脱ぎ捨てた瞬間、ヒルデガルトは床を蹴って飛行ユニットで加速。
カメラの反射光と柱といった障害物を的確に利用することで、撮影を回避していたのだ!
桜人は慌ててヴィランに挑みかかるヒルデガルトのシルエットを追うが、
スカイステッパーまで使った徹底的なブレブレっぷりで、ろくに姿を捉えられない!
「どう見てもNGじゃないですかこれ! そういうNG映像はいらないんですよ!
……ん? そういえば、私が仕掛けたトラップが発動していませグワーッ!?」
その瞬間! スパパパパパン! KA-BOOOOOM!!
桜人の真横で大爆発! 桜人はおもいっきりふっとばされた!
一体何が起きた? その正体は、夜霞・刃櫻の召喚した幽霊たちであった!
「ヒャッハー! ヴィランの奴らを爆破しまくってやるぜー!!」
「わ、私はただのカメラマン……」
「このちょうどいいところにあった蛇のおもちゃにダイナマイトをセット!
安全に配慮した火薬量なので色々安心でやんす! ヒャッハー爆破だー!!」
KA-BOOOOM!!
「グワーッ!?」
哀れ、桜人は策に溺れた。いやまあこんなこと予測できるはずもない。
自分が仕掛けた蛇のおもちゃ(爆弾入りに改造済み)で吹っ飛ばされた彼は、
見事にヴィランと猟兵の戦いのど真ん中に叩き込まれ、もみくちゃになる。
「クソ映画でも爆発が多けりゃだいたい人気が出るんだ! みんな、行けーっ!!」
「さあイルカ海兵隊たち、やっちまうのですよん♪ うん、完璧な悪役ぶりね!
できればレディ・オーシャン風のコスチュームを着たかったところだけど、
監督に話したらこっちのほうが面白そうってことでこのアイデアになったわ!」
「わー、すごいすごーい! 花火みたいにどっかんどっかんしてるー!」
さながら戦隊モノの女怪人よろしく、イルカ部隊を煽りに煽るアコニィ。
爆発! (姿が見えない)ヒルデガルトの大立ち回り! そしてまた爆発!
巻き込まれて吹っ飛ぶ桜人! 阿鼻叫喚! きゃっきゃと笑う魅医!
「……これは、なんてスペクタクル映像。これが、映画の楽しさなのね」
「イエース! これはもう、アカデミー賞間違いなしデース!」
監督と眞白だけがノリノリであった。誰か止めてくんねえかなこれ!
(ああ……いま私、完璧です。完璧なオカルト存在になりきっている……!)
そして高速移動するヒルデガルトは、妙な達成感に酔いしれていた。
しっちゃかめっちゃかのうちに終わった撮影映像に残されていた彼女の姿は、
さながらUFOよろしく、不思議な光に遮られたブレブレの影だったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
刑部・理寿乃
真の姿で
監督にサメの脅威を示す為、最初の犠牲者を出すことを提案する
勿論、それに立候補
流れはレストランでSUSHIがなく、店員に詰め寄る迷惑客
しょうがないから甲板で釣りをしてネタ集め(豪華客船で釣りできるのか?)
釣れたのは魚人のヴィラン、
この時、イキッた台詞をヴィランに言わせると、すぐに海に投げ返して泳がせ釣りの生き餌にされる時にシュールな笑いが生まれると思う
次の引きが強力で海へ竿ごと引き込まれる
困惑して辺りを見回す俺様に何が近づき、海中に引きずり込まれその場が赤く染まる、といった感じ
モンスターパニック感出るし、ヴィランを一蹴した奴がやられるというサメの強敵感も出ると思う
どうだろうか?
●そんなことよりサメの話しようぜ!
「サメの脅威を示すためには、犠牲者が必要だ」
「フーム……?」
監督は、刑部・理寿乃の申し出に対して微妙な反応を見せた。
この割となんでもありな監督でも、こだわりがあったりするのだろうか。
「もちろんその役目は俺様がやるぜ。ヴィランを倒した上で引き込まれるんだ。
ヴィランを一蹴した猟兵が一瞬でサメにやられる……これ、どうだろうか?」
「…………ファンタスティック!!」
「だろう?」
「グッド! さっそく台本を変更デース!!」
提案が採用され、暴竜姿の理寿乃はご満悦であった。
そう、この監督の映画では、このようにして台本が歪んでいくのだ……!
そしてしばし準備ののち、さっそく始まった撮影はというと。
「まったく、レストランにスシがねえとはどうなってやがる……!」
ぶつくさ言いながら、暴竜姿の理寿乃が釣り糸を垂らしていた。
え? 豪華客船で釣りできんのかって? いんだよこまけえことは!
「どうしても作ってほしけりゃネタを自分で釣ってこいとは、ナメやがって。
まあいい、ここは俺様の華麗なフィッシングテクで……っと、おおっ?」
するとそのとき、きりきりとフィッシングロッドが強くしなった。
理寿乃はにやりと笑い、おもいきり釣り竿を……引き上げる!
「ギョギョギョギョーッ!!」
ALAS! 海中から飛び出してきたのは恐るべき魚人ヴィランだ!
「ギョギョギョーッ! 愚かな猟兵め! クルーズ船で魚が釣れると思ったか!
こんなこともあろうかと、私は海中に潜んで貴様のような愚か者を待っ」
「よし、泳がせ釣りの生き餌にするか(ポイーッ)」
「ギョギョギョーッ!?」
かなりイキっていたヴィランだが、まったく相手にされなかった!
簡単に海に投げ込まれた魚人ヴィラン、じたばたしていたがそれも見えなくなる。
理寿乃は何事もなかったように腰を落とし、しばし待つ、のだが……。
「お? 次の当たりが……うおおおおっ!?」
暴竜姿の彼女をして抗いきれぬ強烈な引きが、彼女を海面へと引きずり込んだ!
釣り竿ごと海に落下する理寿乃。彼女は困惑して周りを見渡す。
「俺様を引きずりこむとは、なんて力……ん?」
見よ! そんな理寿乃の周りをぐるぐると回遊するのは……サメのヒレ?!
「これは……ヤバいぞ、すぐに船に戻、ウワーッ!?」
慌てて泳ぎだそうとした理寿乃は、哀れ海中へと引きずり込まれてしまう。
一般客が見守るなか、もはやその姿は浮かび上がることなく……。
「……キャーッ!!」
じわりと血に染まる海面を見下ろし、水着姿の女性が悲鳴をあげるのだった……。
「……カーット! オッケーデース! パーフェクッ!」
「うむ、一発撮りでOKが出るとはな。俺様も映像を見せてもらおうか」
「やはりアドリブは素晴らしいデース! この調子でガンガンいきまショー!」
撮影後、監督も理寿乃もご満悦の様子であった。
大成功
🔵🔵🔵
御狐・稲見之守
ん、ステージシーンのバンド役の女が怪我したから代打をやれと? 我はギターなんぞ、いや当て振りでいいと云ってもだな……
ではギターよこせ。エフェクターなし直結で。皆はB♭で合わせて入っておくれ。
(なんかどっかで聴いたことあるギターリフのイントロ)
ミズーリ州の東端 セントルイスのど真ん中
音楽賑わうステージにチャッキーおじさんがやって来る
彼はロックンロールの神様で 今日もご機嫌なギターサウンドを鳴らすのさ
Go Go, Go Chucky Go...Chucky B. Goode!
(ダックウォークしながらなんかノリノリの稲見之守さん)
●多分20年後に流行る
「さて、なにやらトンチキな気配がしたから来たはよいが……」
御狐・稲見之守は、がやがやと騒がしい撮影現場で周りを見渡した。
豪華な食事だの酒だの、そんなものでは稲見之守の心は動かない。
面白。これである。酒よりなにより、稲見之守は面白が好きな女であった。
しかしあいにく今のところ、撮影は順調に進んで……いた、ようだが?
「ううん、困ったなあ……あ! 猟兵さん、いいところに!」
「ん? なんだ、我に用か」
なにやら困り果てた様子のスタッフが、稲見之守に声をかけてきた。
「いえ、実はこれからステージシーンを撮る予定だったんですがね。
バンド役の女優さんがちょっと怪我をしちゃいまして……どうしたものかと」
「ほ。それは災難だな。では我はこれd」
「そこでですね!!!!(がしぃ)」
「お、おう」
やけに食いついてくるスタッフの"圧"に気圧される稲見之守。
「猟兵さんに代打をお願いできないかと」
「えっ」
「当て振りでいいので!」
「いや待て、我は楽器など、ましてやギターなどだな」
「まあまあ! そこをなんとか!!」
「我は無茶振りをする側であってされる側ではないのだがー!!」
稲見之守、彼女は面白を愛する女だ。
そのためならば、割とどんな無茶でもやらかすタイプの女でもある。
はたして因果応報というべきか、今日は彼女が無茶振りをされる側だったのだ……!!
が、まあそこはそれ、さすがのネタ気質。
実際に撮影が始まると、稲見之守はもはやノリノリであった。
「あー……では、懐かしいオールディーズを一曲」
えっ? みたいな顔で振り返るスタッフたち。
「我のいたところではオールディーズである」
「いや当て振りで」
「みんなはB♭で合わせて入っておくれ。ミュージックスタッ!!」
無茶振りしてきたスタッフを完全無視してギターリフを効かせる稲見之守。
……ん? このリズム、明らかに聞いたことがないか?
「ミズーリ州の東端 セントルイスのど真ん中~」
(どこからどう聞いても耳に覚えのあるギターリフ)
「音楽賑わうステージに チャッキーおじさんがやって来る~」
(明らかにタイムスリップとかしそうな感じのギターリフ)
「彼はロックンロールの神様で 今日もご機嫌なギターサウンドを鳴らすのさ~」
当て振りでいいっつってんのにボーカルまで入れるノリノリぶりであった。
これいいのか? と顔を見合わせるスタッフたちだが……。
(これぞ映画の本懐デース! カメラ、猟兵に寄ってクダサーイ!)
監督はノリノリであった。ステージ上の稲見之守もノリノリである。
具体的に言うと、ダックウォークしたり寝っ転がってギター弾くぐらい。
「Go Go, Go Chucky Go...Chucky B. Goode!」
「……あの、ここもう少し落ち着いたBGMの予定でしたよね?」
「問題アリマセーン! こっちのほうが面白いデース! アカデミー賞間違いナシ!
多分映画も三部作ぐらいになって、パロディされたりもするはずデース!」
ノリノリの監督の言葉は、やけに予言めいていたという。
成功
🔵🔵🔴
ロク・ザイオン
★レグルス
(鎧は水着ではないので)
水着。
(竜の三角紋入りだぞ)
男の。な。
(人間は海に入るときはぱんつ穿かなきゃだめなんだぞ)
(森番、海の秩序の下で仕事ができる森番でもある
主に鉄砲玉…警備員として)
ぱんつ脱ぐやつは身ぐるみ剥いで沈めろって
ルクスも言ってた。
…確か。
(※歓待船リュウグウは海賊ではありません)
おれが乗ってる船も、こういうとこ。
(水着もほぼ仕事着
即ち森番通常営業
ジャックも興が乗っているようで大変よろしい
やはり水着を着せてよかった)
(普通に怪しい奴をとっ捕まえては)
…何故皆、サメの話してる…
(――まさかそれがあんな恐ろしい事件の幕開けだったとは……)
誰だ今の。
水着、女のがよかった?
ジャガーノート・ジャック
★レグルス/アドリブ歓迎
…………。
(森番が今の住処としてる船より調達してきた海パンを捌かされた豹鎧が此方になります。)
(ザザッ)
いや
あの
水着をつけろとは言っていたが。
多分そう言う事ではなくてな……
君の船は海賊船か何かか??大丈夫なのか其処??
警邏の役回りは確かに君らしい役所だが――。
――――まぁ、此処暫くは根を詰めすぎていた気もする。偶にはこういう余興も良いだろう。
("ROLE PLAY"。折角なら全力で、お得意の役被りも駆使して 映画で見たヒーローのそれらしい立ち回りを。)
(然し更なる困難が待ち受ける事を未だ彼らは知らない――)
なんだ今の??
――いや、そういう問題じゃないから。(ザザッ)
●そんなことよりサメの話(ry)
「……」
《――…………》
「……おしゃれな模様入り、だぞ。ダメだったか、ジャック」
《――いや、あの》
「?????」
物言いたげなジャガーノート・ジャックの様子に、ロク・ザイオンは首を傾げる。
相棒は困り果てた。その股間には……ワオ! ピッチピチの海パンが!
そりゃそうだよなんでパワードスーツの上に水着着せてんだよ色々おかしいだろ。
雄々しい竜の三角紋も、伸びに伸びきってマイッチングな感じであった。
《――たしかに水着をつけろとは言っていたが、多分こういうことではなく》
「でも、ルクスが言ってた」
ジャガーノートの言葉を遮り、ロクはキリッとドヤ顔で言った。
「"ぱんつ脱ぐやつは、身ぐるみ剥いで沈めろ"って」
《――キミの船は海賊船か何かか??? 大丈夫なのかそこ???》
相棒の勤め先について、大いに疑念を抱いたジャガーノートである。
まあ猟兵というものは、異世界の住民に見た目で不信感を与えない。
どう見てもピチピチパッツンなジャガーノートの海パンもスルーされていた。
彼らの目にはどう見えているのだろうか? ムキムキマッチョマンかな?
それはそれで問題ありそうだが、あの監督は割と喜びそうではある。
《――まあ、ここしばらくは根を詰めすぎていた。たまにはこういう余興もいいな》
「うん、そうだ。真面目は大事だが、な。疲れるから、な」
興が乗っている(?)様子のジャガーノートに、ロクもご満悦である。
やはり水着を着せてよかった。水着姿のロクは心からうんうんとうなずいた。
……そんな相棒が間違った方向に喜んでいるのは彼にも丸わかりだったが、
ジャガーノートはあえて何も言わないでおいた。ほら、色々大変だったしね!
「3、2、……アークショッ!!」
と、そこでカチン! とカチンコの音が響く。
そして回るカメラ。海中から飛び出してくるヴィランの皆さん!
「きゃーっ! ヴィランよー!! 助けてーっ!!」
「ヒヒヒヒヒーッ! この船は今日付けで我らのものだーっ!!
我らは海底帝国ネオ・ハイパー・ウルトラ・ゲル・アトランティス!!」
ノリノリで台本通りに台詞を演じるヴィランの皆さん。
敵役の設定が色々ガバガバな気もするが、平行世界だからいいんだよこれで!
「来たな、ヴィラン」
《――では、ひとつアクションタイムといこうか。ロク》
ロクとジャガーノートは頷きあい、ヴィランどもを迎撃する!
一般客に襲いかかろうとしたヴィランを、割り込んだロクの蹴りが文字通り一蹴!
その隣では、ジャガーノートのパワフルなアッパーカットが敵を海にリターンだ!
「グワーッ!?」
「くそっ、猟兵だと! なんて強さだ!」
熟練のスタントマンであるヴィランの皆さんのやられっぷりは実に華麗だ。
もちろんふたりも、万が一に怪我人が出ないよう大変な配慮した殺陣を繰り広げる。
筋書きありきの立ち回りとはいえ、朝日の下で体を動かすのは気持ちがいい!
……ああ、しかし! 敵のボスへ挑みかかろうとしたロクだったが……!
「……おまえ」
ロクは顔を顰めた。ヴィランボスは、いたいけな少女を人質に取っている!
「へっへっへ、動くなよ。動くとこの女の子の頭が大変なことになるぜえ!」
「…………」
「そうだ、わかりゃあいいのさ。やられるのはお前らってわけだ、OK!?」
《――OK!!》
「グワーッ!?」
その時! 死角に回り込んだジャガーノートの鉄拳がヴィランを吹き飛ばす!
「わあ! 助けてくれてありがとう猟兵さん!」
少女ははにかみ、ジャガーノートに抱きつく。いい感じに照らす太陽!
歓声をあげる一般客! たわわな水着美女のカット! ピチピチの海パン!
「やったぜ、やっぱり俺たちの猟兵には敵なんていないんだ!」
「そうよね、巨大サメでも来ない限りきっとだいじょうぶだわ!」
「こんなところに巨大サメなんているわけないもんな!」
(なぜみんなサメの話をしている……?)
(いくらなんでも伏線の張り方が雑すぎないだろうか)
まあちょっとなんかブレもあったが、それはさておき。
ヒーローたちの勝利を、夏の太陽が祝するように照らし出すのだ……!
(ここでナレーション)
――まさかそれがあんな恐ろしい事件の幕開けだったとは……。
さらなる困難が待ち受けることを、いまだ彼らは知らない――。
「なんだいまの」
《――一体誰だ》
困惑するふたりに、ナレーション兼任の監督がグッとサムズアップした。
死亡フラグまで雑だって? でもそういう映画だから、仕方ないよね!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
納・正純
【SZ】
イ~~ヒッヒッヒッヒ!
何も知らね~能天気の元気チャンどもめ、この船がいずれサメゾンビウイルスの温床となるとも知らず吞気こいていやがるぜ!
とくと見さらせ! このウイルス入り水鉄砲に当たった奴は、サメだのゾンビだのが出るようなB級映画を求めずにはいられなくなる身体になってしまうってスンポーよ!
この夏、最後には自らB級映画のクッセえ演技っぽい言動しか出来なくなるという恐ろしいウイルスに君も涙する――――
・方針
友人たちを狙って持参のウイルス入り水(V.Water)を撃ちこみ、日頃の戦いに疲れているだろう皆をアホにすることで英気を養ってもらおうという天才作戦を独断で敢行する
強く当たって後は流れで
矢来・夕立
【SZ】
オレだけがあの男、納・正純(夏のバカヤロ~~~! 好きだぜ・f01867)の真の目的を知っている。
この感染阻止がオレの今回の使命、という設定を墓地へ送ります(台本を捨てる)
皆さんの頭がバカになるのは構いません…オレはイヤです。
この状況を逆手に取って奴をアホにしてやるって寸法ですよ。
ていうかもうあの様子だと飲んでるまでありますよね。パイントで。
・方針
・皆がアホになってると思い込んでる納・正純(夏のバカヤロ~~~! 好きだぜ・f01867)を背後から撃ってもっとアホにする
・限りある資源・ウイルス水を大事に使いましょう
・必要ならばアホの子の演技も厭わない
・こいつの称号文字数食いすぎだろ
式島・コガラス
【SZ】
映画の撮影ですか……こういう任務もあるのですね。
ご安心ください。アプスーの弾は全部ゴム弾に変えてきましたので、撃っても怪我はしませんよ。
まぁ呪われてはいるので、撃たれた人は後日風邪とか引くかもしれませんけど……。
あと六発目を撃つと相変わらず私に跳ね返ってはきますけど……。
ん? どうかしましたか鳴宮さん。
ウッ(ウイルス水鉄砲被弾)
…………。
……そこまでだ 残念だったな!
・方針
・途中からはウイルスを浴びてアホになり棒読みになる
・さっきまで普通に動けていたのにヘロヘロのパンチとかキックしかしなくなる
・B級映画の住人なので撃った弾は全部外れる
・六発目に撃った弾は自分に跳ね返るので戦闘不能になる
鳴宮・匡
【SZ】
俺なんでここにいるんだろう
ネームバリュー? そういえば不本意な称号もらってたな……49ersとかいう……
とりあえずは与えられた役柄をこなす
ヴィランを倒せばいいんだろ?
って、穂結なんだいきなり奇怪な悲鳴上げて
(振り返る)
(正純を見る)
(クソデカ溜息)
まずはあいつをやるぞ、コガラス
大丈夫だ、お前と俺の方があのアホよりよほど撃つの速いし
夕立? あいつはほっといても大丈夫だろ
方針
・正純に狙われた場合味方を盾にしてでも直撃を避ける
・アホになるわけにはいかない
・なぜなら……この場で唯一のツッコミ役だから……!!!
・どうしようもなくなったら爆発オチで船ごと闇に葬ることも吝かではない(そのためのUC)
穂結・神楽耶
【SZ】
夏!
海!
豪華客船!
絵に描いたようなサマーバケイション!
あ、プールだけは勘弁してください。水ダメなので!
それ以外だったらどこでも遊べ……
はっ!あそこでヴィランが一般人を襲ってます!
助けに行きましょう!
こらーっ!
そこのヴィラン共止まりなさい!
我々猟兵が駆け付けたからには好き勝手はさせません!
てやーっ!
(註:本体は濡れない素材の袋に入っているので攻撃力は低め)
え?
引っかかったって…納様?
どうしてこちらに銃口、を……
サメーッ!?(悲鳴)
・方針
・監督の無茶振りにめちゃめちゃ答えるスタイル
・むしろこちらからも振っていく
・なので味方の秘めた目的に気付かない
・最終的にアホになる犠牲者枠
●ザ・ファイナル・デッド・オブ・サメゾンビ3~奴らは群れでやってくる~
――サメゾンビ。
それは、ごくごく一部のクソ映……もといサブカル映画愛好家の間で知られる、
だいぶ、いやとても、いやかなり、いや完全にアレなZ級映画である。
もう名前(※1の原題は「cápa zombi」)からしてだいぶアレなのだが、
ご想像の通り内容もアレ。ひたすら場当たり展開が続くクソ……マニア向け映画だ。
「イ~ヒッヒッヒッヒ! 何も知らね~能天気の元気チャンどもめ~!!」
そのサメゾンビを立て続けに浴びたせいで、頭がアレになった猟兵がいる。
それがこいつだ。納・正純。去年の水着をちゃんと引っ張り出した物持ちのいい男。
サングラスに水鉄砲とマイク、実に謎めいた格好であった。
だが恐れよ。その水鉄砲の中身は、恐るべしウィルス入りの水なのだ……!
「この船がいずれサメゾンビウィルスの温床になるとも知らずによォ~!
イッヒッヒッヒッヒ、味わわせてやるぜぇ、サメゾンビの恐ろしさをなぁ……!!」
あまりにもクソな映画は脳を破壊する。事実上の電子ドラッグである。
VRサメゾンビでハイヤーグラウンドに覚醒(めざ)めてしまった正純は、
昏い地下室でポップコーン片手にサメゾンビをひたすら見続けた結果、
ついにはこの恐るべきサメゾンビウィルスを開発してしまったのである!!
もちろん仲間たちは、彼が狂ってしまったことを知る由もない――!
「よし。あれは放っておきましょう」
まあ知ってる人いるんですけどね! 具体的に言うと矢来・夕立がね!
しかし彼は、感染阻止の使命(忍者だけに)を秒で放り捨てた。
なぜか? だって別に、誰が頭サメゾンビになろうと知ったこっちゃないから!
「もう必要なさそうですが、あのウィルスは本人に打ち込んでやりましょう。
見せてやりますよ、忍者が本気になったアホの子の演技ってやつを……」
完全に間違った方向にやる気十分の夕立。その姿はもちろん水着姿だ。
監視員になりきって、背景に紛れ込む準備も完璧である!
「あ、すいません猟兵さん。アクションお願いしたいんでホイッスルは没収で」
「えっ」
その策も秒でぶっ潰れたが。
そんな陰謀(?)が張り巡らされていることは露知らぬ収録現場。
「それでは撮影開始デース。アークショッ!!」
カチン! と鳴り響くカチンコ。そして海の中から飛び出すヴィランの皆さん!
「ギョギョギョーッ!」
「ハワ~ッ!!(※ヴィランの笑い声)」
「アキャキャキャーッ!!」
熟練の悪役俳優の皆さんなので、笑い声も実に個性豊かで、悪そうだ。
「……俺、なんでこんなところに居るんだろうな」
「鳴宮さん、撮影始まってますよ。遠い目になるのはそこまでです」
色々物言いたげな鳴宮・匡に、式島・コガラスが釘を刺す。
彼らは台本通り、猟兵としてヴィランを迎撃する役どころなのだ。
「いや、お前はなんでそんなにノリノリなんだよコガラス」
「任務ですから。鳴宮さんこそ、どうしてこんなところに?」
「俺は……いやなんか、向こうから特別にオファーが来たとかでさ……」
匡は思い出す。あのアースクライシス2019で自らが受けた称号を。
別に欲しくてもらったわけではないが、フォーティナイナーズのひとりである。
聞いた話によると、匡のグッズは主に女性層にバカ売れしているらしく、
最近は単独テレビドラマシリーズも始まったらしい。えっなにそれ?
「別に俺が迷惑を被らないなら、フィギュアでもなんでも勝手にすればいいんだけどな」
「なるほど。つまりスターというわけですね。気合を入れないとですね」
「うん、いまの俺の話聞いてた? 聞いてないか、そっか」
匡は色々諦めた。任務ということなら、そう考えて集中しよう。
そのほうが色々楽そうだ。仕事と割り切れば、まあ出来なくはないし。
「そうですよ匡さん。撮影とはいえヴィランの悪行は見逃せませんからね!
白のワンピース水着に身を包んだ穂結・神楽耶も大いにやる気であった。
「ちゃんと撮影すれば遊び放題ですし、わたくしも気合が入っております!
なんだったらもう、監督にどんどん意見提起していこうかと!!」
「それで妙なシーン増えたら俺が困るからやめてくれ」
「すでにだいぶしっちゃかめっちゃかなシーンが増えてますけどね」
呆れた様子の匡と、無表情なコガラス。無駄にやる気を燃やす神楽耶。
ともあれヴィランの狼藉シーンの撮影が終わり、彼らが活躍するカットへ。
「では皆サーン、かっこよくヴィランをやっつけてしまってくだサーイ!」
「はい、おまかせください監督様! 不肖・穂結、やらせていただきます!」
「さっさと終わらせたいな、この仕事……」
遠い目をする匡。そしてカチンコの音が鳴り響く。
「こらーっ! そこのヴィランども、止まりなさーい!」
「狼藉はそこまでです。私たちが来たからには、もう終わりですよ」
「…………(無言で銃を構える匡)」
(鳴宮さん! 台詞です台詞! あなたの番ですよ!)
(えっ、俺もなんか言わないとダメなの? ……わかったよ)
神楽耶に肘打ちされ、匡はため息をつくと切り替える。
「あー……おとなしく投降するなら命は取らないぜ」
これでいいのか? みたいな目線に、ニコニコ笑顔でOKサインを出す神楽耶。
ノリノリであった。その隣に立つコガラスも、心なしかキリッとしている。
「ギョギョギョ~!!(※笑い声)そんな脅しが我らに通用するか~!!」
「交渉決裂、ということですね。では、痛い目を見てもらいましょう」
「そうです! 我々猟兵が駆けつけたからには好き勝手はさせまサメーッ!?」
「「!?」」
勢いよく殺陣の先陣を切ろうとした神楽耶、だが顔からつんのめった!
一体何が起きた? 匡とコガラスは、弾かれたように背後を振り返る。
ALAS……そこには、水鉄砲を構えた正純が不敵な笑みを浮かべて立っている!
「イ~ヒッヒッヒッヒ! 引っかかったなァ! 次はお前らだーッ!!」
「コガラス、前頼んだ」
「えっなんですか鳴宮さウッ」
なにげに撮影にノガラス、見事に水鉄砲着弾!
なお、匡はスムーズに飛び込み前転することで射撃を避けていた。
意識の切り替えが速かったからだ。経験差はこういうところに出るらしい。
「あいつ、わざわざユーベルコードまで使うとかアホすぎるだろ……」
呆れる匡であったという。だが、目論見が成功した正純は高笑いを挙げた!
「ヒヒッヒヒヒー!! さあ目覚めよ、サメゾンビウィルスの力にーッ!!」
「「……!!」」
斃れていた神楽耶とコガラスが立ち上がる。はて、傍目には問題ないように見えるが……?
「サメッ! サメサメ! サーメサメサメ!!(訳:くっ、なんだこのウィルスは!)」
「ヴィランの奴らめ! ママのミルクでも飲んでいればいいのによ~!(※コガラスです)」
なんたることか! 神楽耶もコガラスも一気にアホになってしまった!
そのまま場当たり的に殺陣になだれ込むが、パンチもキックもへろへろだ!
そもそも神楽耶は人間の言葉を喋れていない! なんだよサメ語って!
「……なんだあれ」
「ご存知? ないので? サメゾンビウィルスを?」
「え? 夕立??」
「こりゃコトですね、せにゃ!」
颯爽と現れた夕立も、なんか女性翻訳家の間違った翻訳っぽいセリフ回しになっていた。
正純はケタケタ笑いながらウィルス水鉄砲をばらまく。広がる被害!
「こんなところにいられるか! 俺は部屋に帰らせてもらうギョ!」
「俺、帰ったら幼馴染と結婚……グワーッ!?」
(突然盆踊りを踊り始める水着美女)
「イエーッ! 地獄で会おうぜ、ベイビー!!」
エキストラの皆さんも、ヴィランの皆さんもしっちゃかめっちゃかになっていた。
おお、恐るべしサメゾンビウィルス……撮影はもうめちゃくちゃだ!
「ワオ! ファンタスティック! カメラ回し続けてくだサーイ!」
監督はノリノリであった。もともとこいつはこんなんである。
いやもしかして、サメゾンビ撮影したのこいつなんじゃねえの?
「そのケツに新しい穴を増やしてやるぜーッ!(※コガラスの台詞です)」
かなり棒読みでやけにアメリカナイズされた台詞を叫びつつ、
盲撃ちするコガラス。だがその六発目の弾丸が、心臓に命中!
「ウッ! 最期に、あの子の淹れた珈琲が、飲みたい……(※コガラスの台詞です)」
「サ、サメーッ!! サメメメ、サメッ、シャーク!?(訳:し、式島様ーッ!?)」
「イ~ヒヒヒヒ! これで全人類をサメ脳にしてやるぜーッ!」
「あなたの称号長すぎなんですよ(プスッ)」
「グワーッ!?」
調子こいていた正純! だがそこで夕立によるバックスタブだ!
注射器型サメゾンビウィルスを打たれ、正純はがくりと膝を突く!
「お、俺を騙してたのか、俺様はお前の右腕だったはず……!!」
「右腕? それなら最初からありますよ。ここにね」
さっそくウィルスの効力で、いかにも悪のボスに斬り捨てられた右腕的存在っぽい台詞を吐く正純に対し、夕立は冷ややかに言った。
そして正純は倒れる。起きた時はもう完全にアホになっているだろう。
ゆらり、と振り返る夕立……その視線が匡と噛み合った!
「あとはあなただけですね」
「いやなんでウィルスばらまく役が入れ替わってるんだよ」
「限りある資源は有効に使わないとですよ。さあアホになりましょう。サメゾンビ最高と言いなさい!!」
「絶対に御免こうむるので悪いがやらせてもらうぜ(チャキッ)」
匡の目はマジであった。そしてふたりの影が交錯する!
これが……これがサメゾンビの恐怖! はたしてふたりの戦いの行方やいかに!?
だが戦いは、恐るべきサメゾンビ博士の乱入により予測もつかない方向へ……!
サメゾンビィ スリィー(映画PVの最後によく流れる謎の外人の音声が入ってシーンが終わる)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ラニィ・ユン
【アドリブ・連携等歓迎】
日常シーンの撮影
水着姿でプールサイド近くのレストランで食事するシーン
うっわー……流石豪華客船
ちらっとメニュー見たけど、見た事無い値段ばっかり
……ま、これも撮影だしね
こんな機会じゃないと無理だし、
折角だから存分にご馳走をいただいちゃおう!!
って、え? なんでヴィランの人らが乱入? 打ち合わせと違うくない?
何か監督もOKしてるし……って、あー!! 私のご飯が!!
……よし、このままやっちゃっていいわけね?
じゃあ(台無しにされたご飯の恨みも少しこめて)思いっきりやっちゃうからね!!
エスターテ・アレグレット
!?
え、あ、なんだ。どこだここ
(いつのまにか巻き込まれたらしい、…そもそもグリモアベースをぶらぶらと歩いているのが悪い)
映画ねぇ…僕はあんまりそういうの見たことないし、何していいかわからないんだけど。
くつろいでいいって言ってるし、それなら存分にくつろいじゃいましょうか
どうせ後から色々襲ってくるんでしょ?
だったら、前半は思う存分平和アピールでしょ。後半とのギャップ?っての大事にしましょう
とりあえず……飯かな
船の飯が旨いかどうかは正直僕にはわかんないけど、素材がいいものだってことはわかる
これならいくらでも食べれるな
なんならフードファイトとかしてもいいかも。僕、結構食べますんで負けないっすよ
リア・ファル
ある時は黒髪ポニテにバニー服の謎のディーラー!
またある時は金銀の髪に水着で微笑み、意味深なセリフを残す謎の少女!
然してその正体は――?
猟兵にしてCEO、リア・ファルさ!
※UC【変幻自在】でアレコレ動く
他猟兵のピンチに『イルダーナ』で颯爽と現れて、
(ハイスピードアクション!)
敵の重要機密だか、解読だか解毒だかその辺りのマイクロチップを
胸の谷間から取り出して託し去って行く
(ここまで脚本)
……って何かな、この役!?
スパイなのかな? ヒロインなのかな? 謎の美女ムーブなの???
ああもう!
…やるけど、これもっと相応しい女性猟兵がいるのでは??
くっ、ツッコミすら追いつかない……!!
露木・鬼燈
素直に売り上げを狙っていくスタイル。
正直言って嫌いじゃないね!
こーゆー方向性なら適度に気を抜いてもいいからね。
素直に楽しんじゃうのです。
んー、超豪華客を楽しむのは待機時間で。
撮影はアクションシーンでがんばるっぽい!
水着姿なのがすこーし気になるけど忍者っぽくね。
忍としての身体能力と体術を用いた縦横無尽のアクション。
バッチリと見せてあげるですよ。
基本の壁や天井を走るやつとかね。
他にもプールの水面や宙を賭け回るなんかもやるっぽい。
で、柔の技で態勢を崩した所に暗器を急所に撃ち込むスタイル。
まぁ、ガチの忍者スタイルならもっと目立たず静かに動くけどね。
これは映画だから素直に取れ高を狙っていくですよ。
夏目・晴夜
開始三分で戦闘、くらいの早さでいきましょうか
展開はB級でもクオリティはガチでお送り致します
私は肉を食っていたいので、戦闘はニッキーくんにお任せします
海の中から出てきたヴィランの背後に、同じように海の中から現れる感じで
顔面に張り付きまくっている蛸を一匹ずつ剥がして攻撃に用いましょう
そうやって一匹ずつ剥がしていく事でじわじわと顔出ししていき、
そして最後は素顔が完全に公開されるという激熱展開に繋がるのです
覆面系ヒーローの素顔が明かされる瞬間は皆大好きでしょう?わかっていますよ
しかし蛸もヴィランも私のほうに飛んでこないようにしてください
肉食ってるところに飛んできたら怒りのままに【蹂躙】しますよ、マジで
●そして台本は歪んでいく
超豪華客船……それは海を征くひとつの街と言っていい。
巨大な船の中には、ショッピングモールすら入っているのだ。
もちろん、贅を凝らしたレストランなんてものも完備されている。
「うっわー……さすが豪華客船。値段も豪華ね……」
見たことのない値段が並ぶメニューを見て、ラニィ・ユンは驚嘆した。
こんな撮影のときでもなければ、とてもではないが手が出ないレベルの代物だ。
プロのシェフやウェイターが万全の体勢で料理を供してくれるという。
一体この映画、どのぐらいの制作費が動いているのだろうか?
あのメガホン振り回して喜んでる監督にそこまでのネームバリューが……?
「しばらくは日常シーンの撮影だっていうし、遠慮なく食べちゃおっかなあ。
いや、でもさすがに悪い気が、っていうかもはや別の番組のような……」
元々ごくごく平凡な女子大生(今でもある意味ではそうだが)だったせいか、
こういう慣れない環境に放り込まれると、小市民根性を発揮してしまうラニィ。
そんな彼女をよそに、遠慮なくもりもり飯を食べている連中もいた。
「ふむ、これはいい肉を使っていますね……そう、とてもいい肉だとわかります。
ええ、私ほどにもなると食レポも出来るんですよ。これは……いい肉です」
あまりにもガバガバでふんわりな食レポを、得意満面な顔でお届けする美少年。
夏目・晴夜の姿は傍から見るとまさに貴族の御曹司ってぐらい堂に入ってるが、
肉の評価は「いい肉、あと柔らかい」ぐらいしかなかった。ご、語彙力!!
「……うーん、そっすね! 素材がいい。うん、素材がいいってことがわかるなあ」
で、エスターテ・アレグレットのほうもだいぶふんわりした食レポだった。
といってもエスターテの場合、味覚がほぼ死んでいるという事情があったりする。
しっかり味わった上で、「すげえ柔らかい」的なことしか言わん晴夜とは違う。
あと、自信満々な晴夜に対し、エスターテはなぜかキョドっていた。
実はそもそも、彼がほとんど巻き込まれるようにしてここに来たことを、
猟兵はもちろんスタッフも、監督すら知らない。まるでワンダリング猟兵だ。
「すみませーん! こっち日本酒の追加ほしいっぽい! 熱燗で!」
「はいはーい、かしこまりましたーっ! 今お持ちしまーす!」
そしてレストランの片隅で、悠々と晩酌を楽しむ露木・鬼燈の姿もある。
お盆を片手に店内を忙しなく駆け回る、黒髪ポニテになぜかバニーのウェイトレス。
本当はディーラー役だったのだが、監督の気分でウェイトレスに変わったらしい。
(おかしいよね! なんでバニー姿のままじゃなきゃいけないのかな!?)
多方面に活躍するECサイトCEOらしく、笑顔を保つリア・ファルではあったが、
その心中は未だにこのガバガバな台本に対するツッコミで溢れていた。
そもそも初期案だと、撮影シーン1に対して変装3ぐらいの頻度でコスチュームを変える指示が書いてあったぐらいなのである。
早着替えどころの話ではない。もちろんそこを監督に直訴したのだが、
『わかりマシター、ではバニーガールのディーラーというコトデー!』
『何が「では」なのか全然わかんないよ!?』
という感じのやり取りを経て、今のウェイトレス役に落ち着いたのである。
人類とのコミュニケーションって難しい。バーチャルキャラクターは思った。
「……このシーン、本当に予定通りにまとまるのかな……? ま、いっか!」
ラニィは周りを見て色々湧き上がった疑問をすべてうっちゃうことにした。
だって、真面目に考えてると頭おかしくなりそうだし。この現場。
そして何よりもいまは、この高級料理を好きなだけ楽しめる時間なのだ……!
「すいませんウェイトレスさん! メニューのこれと、あとこれください!」
「ボクも出演者なんだけどなあ! まあいいや、すぐに持っていくよー!」
ラニィの注文を受け、リアはものすごい速さで厨房とフロアを行ったり来たり。
ほどなくして、できたてほやほやの高級料理がラニィの前に届いた……その時!
――ガッシャアアアアアン!!
「えっ」
突如として天井のガラスが割れ砕け、ラニィのテーブルに降り注いだ。
そう、トゲトゲのガラス片が、これから食べようとした料理に降り注いだのだ。
ぽかんとするラニィ。エスターテもリアも完全にぽかんとしていた。
そして高級料理を踏みつけて着地したのは、待機していたヴィランの皆さん!
「フハハハハハ! 今日この瞬間、この船は我らが乗っ取らせてもらう!」
「えっいやおかしくないっすか!? 台本だとヴィランは海の中から」
「バカめ! わざわざ貴様らに分かる方法で出てきてやると思うのか!!」
エスターテの言葉に、ビシィ! と高圧的に言ってのけるヴィラン。
そしてさりげなくかがみ込むと、小声で演者さんがぽそぽそと言った。
「監督の気まぐれで上から出てこようっていうことになりまして……(ヒソヒソ)」
「あ、はい。つまり今この瞬間台本が書き換わったんすね……」
「問題しかないよ!! 役者も知らないまま書き換わる台本なんて意味ある!?」
「…………」
思わずツッコミを入れるリア。黙ったままプルプル震えているラニィ。
なお他のあちこちでヴィランの皆さんがダイレクトエントリーしてきたので、
鬼燈が楽しんでいた晩酌のおつまみや、晴夜がつついていたステーキも台無しだ。
「なるほど」
晴夜は極めて落ち着いた様子で口元を拭うと、パンパンと手を叩いた。
「なんだ? シェフでも呼ぶつもりか! フハハハハ愚かな猟兵め!」
勝ち誇るヴィラン(inプロ意識の高い本格派俳優の演者さん)。
しかしそんなヴィランの肩を、背後からポンポンと誰かが叩いた。
「ん? 誰だ、私の肩を叩くのは! これから殺戮の嵐を起こすというのに!
いやまあアドリブが過ぎるのが気になるのはわかるがいまは撮影中だぞ!
あの監督の現場だと、こういうことは割とよくあるので慣れアイエエエエ!?」
ちょっと小言を織り交ぜつつ振り返ったヴィランは悲鳴を上げた!
そこにいたのは、全身に無数のタコを張り付かせた、なんかでけえやつ!
ヌメヌメのタコがうじゅるうじゅるうごめいてるだけでだいぶSAN値直葬だが、
隙間から見えるムッキムキのボディがあまりにも威圧的でコワイ! コワイすぎる!
「お前どなたですかアバーッ!?」
SMAAAAASH!! タコ怪人(?)がタコを引っ剥がしムチめいて叩きつけた!
なおこのタコも、あくまで特殊撮影技術によるプロップでしかないので問題なし!
生物虐待はいけません! 台無しになったお料理もスタッフが美味しく頂きました!
「ああもうなし崩し的にアクションシーン始まってるじゃないっすかー!?」
「おつまみは残念だけど、まあ殺陣は殺陣で楽しませてもらうっぽい!」
途端に暴れ始めた謎のタコ怪人! それに乗って大立ち回りの鬼燈!
くつろぐつもり満々だったエスターテは、まだ無事な料理を持って緊急退避。
逃げ惑う一般客に紛れるモブっぷりだ。猟兵としてのオーラがねえ!
「…………食べ物の」
一方、握り拳を震わせてうつむいていたラニィが、ぐおんと顔を上げた。
両目に燃えるのは怒り。せっかくの高級料理を台無しにされた、怒り……!!
「食べ物の恨みは、怖いわよ! 思いっきりやっちゃうからねーっ!!」
溢れる怒り! 具体的に言うとユーベルコードで生み出された神の炎!
鳳凰の如き神炎が乱舞する! うんこれほんとに手加減してあるかな!?
いや、ラニィは正義の猟兵。さすがに怒りで我を忘れることはあるまい。
火だるまになったヴィランさんがやけに悲痛な叫びでのたうち回っているが、
あれもきっと迫真の演技なのだ! ……そうだよね? そのはず! 大丈夫!!
「ふふふ、すべて計画通り……これでボクの仕事もスムーズに進むよ」
で、そんなてんやわんやのレストラン会場で、妖しくほくそ笑む金銀の髪の美少女。
その水着は実に可愛らしい白のビキニだ。はたして彼女は一体!?
「ああーっ!! せっかくの料理が!!」
「おっと、大丈夫かい? 危ないところだったね」
かと思ったら、その金髪美少女は急にテレポートしてエスターテを支え、
「この僕に追いつけると思ったっぽい? 撮れ高を見せてあげるのですよ!」
「ふうん、彼はなかなかやるね……ふふっ、計画に利用できそうだ」
と思ったらまた妖しいスパイモードで鬼燈の戦いをそれっぽく眺めて解説し、
「ところであなたがた、私の肉を邪魔しましたね? なので全員ブッ殺します」
「待って! 気軽に殺戮宣言しちゃダメだよ!? その妖刀しまってしまって!」
そんでまた黒髪ウェイトレス姿に戻り、慌てて晴夜を止めたり、
その隣でタコ振りまわりながら暴れ狂うシリアルキラー……もとい、
晴夜が使役する人形『優しく可愛いニッキーくん』の残虐ファイトにドン引きしていた。
そう、全部リアである。秒ごとに入れ替わる役どころ。なんだこれ。
「いややっぱりスパイと謎の美少女と敏腕ウェイトレスを並行撮影は無理がない!?
もうすでに同じカットの中で破綻してるよボク!? せめて合成にしてよ!」
「イエース! そのガバガバっぷり逆にウケるものなんデース!」
「ガバガバって認めてるし!!!!!」
「監督の気まぐれで台無しにされた、私のご飯の恨みーっ!!」
背景を縦横無尽に飛び回る鬼燈、てんてこ舞いで逃げ回るエスターテ。
怯えるヴィランの皆さんをタコでぶちのめす恐ろしいシリアルキラーと暴君。
そして鳳凰の炎をそこら中に飛ばしまくるラニィ。なんだこの地獄絵図。
「そ、そうだ! 台本に従えばきっと整合性の取れるシーンが……!
台本? 台本、台……(シナリオの統合性が)し、死んでる……!!」
リアは愕然と膝を突いた。
開いた台本には、「強くあたってあとは流れで」とだけ書いてあったからだ。
監督はメガホンを振り回し大喜びである。誰かこいつ、止めろ!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ザウルスマン』
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POW : ザウルスアタック
単純で重い【拳や尻尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : ザウルススライディング
【怒りの感情】を向けた対象に、【スライディングキック】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : ザウルスアーマー
全身を【爬虫類の鱗】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
撮影はグダグダであった。
監督とスタッフ一同だけはやけに気合が入っているのがなおさら不気味だ。
なんかこう、二徹すると「徹夜するのが楽しい」モードに入るじゃないですか。
スタッフはだいたいみんな、あんな感じだった。おそらく病んでいた。
「オーケーファンタスティック! 次は恐竜人類が船を襲ってきマース!
襲ってきた理由はあとでいくらでもこじつけマース! 大事なのはダイナソー!!
恐竜が出るとアカデミーを獲れマスカラネー、はりきってアクションしてクダサーイ!」
「「「ザウルース!!(戦闘員の皆さんの気合の入ったスクラム)」」」
ベテランスタントマンの皆さんもやる気十分だった。なんで?
まあともあれ、しっちゃかめっちゃかの船を舞台に次の撮影が始まるようだ。
ちなみに希望があれば、合成用のグリーンバックで撮影も出来るらしい。
いきなり戦場で宇宙になったり、地底になったり、飛行機の中になったり。
え? それいいの? 豪華客船ものじゃないの?
「売れる要素は全部ブチ込みマース! 目指せ全世界興行収入一位デース!!」
監督の目がドルマークになっていた。世が世ならマッドサイエンティストだったかもしれない。
●プレイング受付期間
2020/07/27 23:59前後まで。
レパル・リオン
◆目立ちたい◆
こ、こいつらは!?巷でウワサの恐竜怪人!
今こそ、勇気の炎を燃やす時!
見せつけろ、レインボーソウル!
大参上!魔法猟兵☆イェーガー・レパル!
楽しいパーティーをメチャクチャにするなんて、そういうのは何よりも許せないわ!いくわよーっ!
【聖炎抱翼】による虹色の炎を手足と尻尾に纏い、思い切りヴィラン役を殴って火だるまにするわ!
回復力に物を言わせて、直感的に跳ね回り暴れ回るわ!!
この炎は回復技だから、ソクシさえしなければ思い切り殴っても回復できるわ!
戦えば戦うほど虹色の炎がスタジオに広がって、スタジオは壊れて燃えて、あたし達役者は回復し、無限にド派手になっていくって寸法よ〜!
◆目立ちたい◆
ウーナ・グノーメ
連携・アドリブ◎
「つまり、これは……アレなのです。次に必要なのは『爆発』なのです」
妖精も現場の異様な気に当てられたのか、導いた結論がぶっ飛んでいた。
確かにアクションものに火薬を使った演出は付き物ではあるが。
「わたしは先程の以外にも、爆発する凶暴な精霊も召喚できるのです。これを上手く配置して、効果的に爆発の演出を起こすのです」
爆発する精霊って何だよ、というツッコミ所は今となっては些末なものか。
見た目だけは先程の精霊とそっくりな精霊?をあちこちに仕掛けていく。
「あ、スーツアクターさんは指定された位置から動かないようにお願いするのです。下手すると死ぬのです」
どれだけ爆発させるつもりなんだこの妖精は。
●これただ火点けて回ってるだけじゃねえか?
「「「ザーウルース!!」」」
なぜか無駄にバク転をしながら登場する恐竜人類ザウルスマンの皆さん。
もちろん本物のオブリビオンではなく、熟練のアクターが扮装した姿である。
「くっ、ヴィランの次は恐竜人類ですって? さては最初からこのために……!」
「ザーウルッスッスッス!(※笑い声)そう! すべては貴様ら猟兵を倒すため!
ここが貴様らの墓場だザウルス! 覚悟するザウルス! ザーウルスッスッス!」
大量のザウルスマンに取り囲まれ、レパル・リオンは苦渋の表情を浮かべた。
人々を守りながら、この数のオブリビオンを倒すことが出来るのか?
……いいや、出来るかどうかではない。やらなければならないのだ!
「そうよ……あたしは決して諦めない。たとえ相手がどれだけ強大だとしても!
今こそ勇気の炎を燃やすとき! 見せつけろ……レインボー、ソーウルッ!!」
「「「ザウルスーッ!?」」」
カッ! と、視界を白く灼くほどの輝きがその場を照らし出した!
ザウルスマンは顔を覆い、強烈な光に耐える。これは一体……!?
「あっ! あれを見るザウルス!」
「「「あ、あれは!!」」」
見よ! なんかこう船の高くていい感じのところに立つその姿を!
可愛らしい水着姿がから一点、その姿はマントをはためかせるコスチュームへ。
あれこそ! 悪の怪人を討ち倒し、人々の平和とやすらぎを守る勇気の戦士!
「大参上! 魔法猟兵☆イェーガー・レパル!!」
ビシィ! かっこよくレパルがポーズを取ると光がいい感じにカットイン!
「ま、魔法猟兵☆イェーガー・レパル……貴様が、あのスーパーヒーローかーッ!」
「そのとおりよ。楽しいパーティをメチャクチャにする、邪悪な恐竜怪人よ!
あたしは、そんなアンタたちの狼藉を許せないわ! 覚悟しなさいッ!!」
レパルが勇ましく名乗りを上げて指差すと、怪人たちは声をあげてうろたえた。
カメラがその勇姿を余すところなく映し出す。レパルは実に上機嫌だった。
(ああ……! 目立ってる! あたしいま、すんごく目立ってるわ!!)
ヒーローとしてはちょっとどうなのかなーって感じの心理状態であった。
でもまあいいよね、これ撮影だし。楽しく撮影するのが一番大事だからね!
そんな彼女の勇姿を燃え上がらせるように、あちこちで盛大な爆発だ!
DOOOM!! DOOOOOM!! ……ん? 船の上なのにちょっと火薬多すぎないか?
「ホワーッツ!? あんな量の火薬は用意してないはずデース!」
「わたしです」
ザッ。驚く監督の前に颯爽と現れたのは、ウーナ・グノーメであった!
「わたしは考えたのです。ヴィラン、陽キャ、パーティ、美味しい食事、水着。
そして恐竜人類と来たら、次に必要なものはなんなのか……それは!!」
くわわっ。無表情のまま目をかっ開くのでだいぶ怖い。
「……爆発なのです」
「「「BAKUHATSU!?」」」
おっかねえワードに監督もスタッフの皆さんもビビリ散らした。
「というわけで、わたしのほうでちょっと色々火薬とか仕掛けておいたのです。
あとこう、わたしは爆発する凶暴な精霊も召喚できるのでそれを使ったのです」
「か、監督、いいんですかこれ!? アクターさんマジビビリしてますよ!?」
「……フ……」
うつむいていた監督が顔を上げた。満面の笑顔である。
「ファンタスティーック!! たしかに爆発はアカデミーの必須条件デース!
この調子でドンドンやっちゃってくださーい! 爆発だけにドンドンデース!」
「さっすが監督、話がわかる! なのです! というわけで、ポチッとな」
なんかドクロマークが書かれたボタンを押すウーナ。そしてさらに爆発!
「えっこれやばくないザウルス!? 引火しそうザウルス!!」
「さあ行くわよ悪の怪人たち! とうっ!!」
ビビるザウルスマン(に扮したスーツアクターさん)!
一切気にせずジャンプするレパル(その背後でさらに爆発)!
かっこよく着地したレパルの手足を尻尾を纏う、カラフルなレインボーフレイム!
「あたしの心は、みんなのために! フェニックスブレーッス!!」
「「「ザウルース!?」」」
そして炎を纏った強烈な回し蹴り! 吹き飛ぶ怪人! 盛大な爆発!!
「グワーッ火だるま! 火だるまグワーッ!?」
マジの炎なので当然引火する! のたうち回るアクターさん! 爆発!!
「レパルの炎は寿命すらも回復させる奇跡の炎なので安心なのです。
つまり、バンバン爆発させるのです。でも巻き込まれると死ぬのですよ」
KA-BOOOOM!! KRA-TOOOM!!
レパルの激しいアクションに合わせて爆発! 爆発!! また爆発!!!
「目立ってる! あたし今最高に目立ってるわ! ありがとうウーナちゃん!!」
(爆発スイッチを押しながら無表情でサムズ・アップするウーナ)
「グワーッ火だるま! 火だるまグワーッ!?」
BOOOOM! KRA-TOOOM!! KA-BOOOOOOOOOOM!!
そこらじゅうで爆発が起こり、火だるまになったアクターが転げ回り、
虹色の炎はそこら中に引火して、スタッフは避難しウーナはさらに爆発させる。
完全に調子こいたレパルは、回復するからといってさらに延焼させていた。
爆発! 断末魔! 悲鳴! 監督の歓声! 爆発! 悲鳴! 歓声! 爆発!
「だんだん楽しくなってきたのです。レパルー、がんばえーなのです」
「任せておいてウーナちゃん! 世界の平和は、あたしが守るっ!!」
この場で災厄をばらまいている張本人は、キリッとした顔で言った。
結局撮影が終わるまで、監督は一切ストップをかけなかったという。あ、悪魔!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
銀山・昭平
ここまで来ると逆に楽しくなって来るべな。闇鍋みたいな映画になりそうだべ。
◆戦闘
このまま、甲板に来る恐竜人類たちを掴んでは投げて海に投げ返していくべな。多分海に落ちても救命ボートか何かもあるだろうし、【アースジャイアント】も活用して大地の巨人にも手伝ってもらうべ。
おらっ、巴投げに背負い投げ、投げっぱなしジャーマンを食らうべ!
しかし、何故かおらのところに来る戦闘員たちは息が荒いし目がギラギラしてる気がするべ。多分エキストラたちだろうし、後で差し入れにでも行くべな。
シャルロッテ・ヴェイロン
(「猟兵さんたちのお任せでお願いしマース!」とだけ書かれた台本に愕然としつつ)
――なんか大爆死な未来しか見えませんがまぁいいでしょう。
――さて、この天才ゲーマーAliceCVの本気を見せt(と、ここで唐突に流れてきた、能天気な16bitの電子音楽。しかもなぜか背景もドット絵風に)
――(咳払い)よし、考えるのやめた、なのですよ。とりあえず全員【蹂躙】されちゃってください(もちろん手加減はする)。【先制攻撃・2回攻撃・一斉発射・乱れ撃ち・制圧射撃】
※CERO「D」判定でアドリブ・連携歓迎
暗黒虚無神・パラミトログル
汝、監督(ディレクター)である者よ……
我が名はニヒルダーク・パラミトログル
我汝に天啓を齎さん(提案がある)
即ち……立場を越えた恋愛(ロマンス)だ
我と敵が恋に堕ち苦悩する
恋の始まりは適当でいい
成就に越える必要のあるものは多いほどいいだろう……立場、種族、性別……
相手が如何なる者かは問題ではない
『恋に堕ちるのに理由は要らない』……それが真理(トゥルース)
人はそれで納得する
必然的にザウルスマンが相手となるだろう
人の形をしている分、乗り越えるモノは少ないかも知れないが
それでも在るのだから良しとしよう
我と我の相手となる者が、努力して障壁を乗り越え、愛情を深めていく様……
汝知るべし、「売れる」と!
秋山・軍犬
前回の激闘(料理勝負)から息をつく暇もない
恐竜人の襲撃!
そして現れる恐竜人の少女!(水着)
彼女の目的は、お肉大好き恐竜人の英知の結晶
ザウルスバーガーによってヒーローズアースの象徴たる
ハンバーガーにマウントを取り、え~となんかこう
ヒーローズアースを支配する感じらしい…よ?
…彼女の野望を止める為には料理勝負しかない!(断言)
ちなみに
作中で出たザウルスな味とボリュームなザウルスバーガーは
映画館近くのハンバーガショップで販売予定!
おまけで映画に出たキャラクターのフィギア付いてくる!
恐竜少女『よろしくザウルス!』
軍犬「よろしくね!」
ザウルスマン『栄養のバランスを考えて
良い子はちゃんと、野菜も食べようね』
夏目・晴夜
立て続けに撮影を続けるんですか
あれ、私の肉は?
肉の替えはあるのですか?
おいカメラ止めなくていいから、とりあえず背景変えろ
このハレルヤに相応しい背景でないとぶっ飛ばしますよ
さっき邪魔されて殆ど食べてないに等しいんですけど、肉は?
さっきの肉、本当に柔らかくて美味しかったんですよねえ
で、私の肉は?
ありますよね、肉
あ、り、ま、す、よ、ね?
……あー、はいはいはい
そういう事ですか。完全に理解しました
そういえば私、恐竜の肉って今まで一度も食べた事なかったです!
食べていた肉を全部ダメにされた時にはハラワタがマグマ状態でしたが
全てはこのハレルヤの初めて記念日の為の小粋な計らいだったのですね!
よしきた、頂きます!
五百崎・零
死にたくない、死にたくない。……いや、自分既に一度死んでるんですけど
でも、誰だって死にたくないものでしょう?
恐竜と戦うなんて自分には無理…!
でも、これは…映画の撮影だから大丈夫なのかな?
死なない…? むしろ思いっきりヤっても…平気?
(戦闘中はとってもハイテンション)
あっはぁ!!
だったら遠慮なくヤっちゃっていいんだよなぁ?
さっきから戦いたくてしょうがなかったんだ
悪魔対恐竜とかどーよ。こういうB級っぽいの、映画マニアにはたまんねぇんじゃねぇの?
それに、オレはゾンビみてーなもんだし
ゾンビ対悪魔対恐竜。どーよ。楽しいだろう?楽しいよなぁ!?
さて誰が一番強いんだろうねぇ。
楽しく殺しあおうじゃないか!!
●売れそうなもん全部ぶち込んだ結果がこちらになります
「な、なんですかこの空白の多すぎる台本は……!!」
まるで500円とか1000円とかで売ってる薄くて高い本みたいな、
ぺらっぺらの台本を見ながら、シャルロッテ・ヴェイロンは愕然とした。
そこにはやけにデカいフォントで、
『猟兵さんたちのおまかせでお願いしマース!!』
……とだけ、書かれていたのである。
「脚本ってレベルじゃねーですよこれは! 監督出てこいですよ!!」
「イエース! 私が監督デース」
「悪びれるつもりゼロですね!? こんなんじゃ大爆死な未来確定ですよ!」
さすがのシャルロッテも、映画の売れ行きとかが真剣に心配になったらしい。
が、まったく話を聞いてねえ監督は、なぜかドヤ顔でチッチッと指を振った。
なんだこいつムカつくな。シャルロッテはイラッとした。
「ご心配ありまセーン……すでに売れる要素はリストアップ済みデース……」
「あの、それよりさっきの撮影で台無しになった私の肉の替えはどこに?」
「ロマンス! ゾンビ!! そしてACTION(やけに滑らかな発音)ッ!!
これらをすべてブチ込めば、どうあがいたって売れるシーンになりマース!」
「そんなことより私の肉は? ないとか言いませんよね? ねえ?」
「なので心配無用デース! アカデミー賞待ったなしデース!」
「ねえ聞いてます? おいカメラ止めろこのハレルヤを無視するな」
ところでさっきから肉肉やかましいのは、夏目・晴夜であった。
さっきのヴィラン襲撃シーンで悠々自適にステーキを楽しんでいたのだが、
撮影のアオリを食らって肉が台無しになってしまったのである。
この超絶唯我独尊美少年は、自分の食事を邪魔されるのが特に大嫌いであった。
そんなわけでもう真の姿になるレベルでブチギレていたのだが、監督は無視。
というか気にしていなかった。晴夜の目が赤黒く燃え上がる!
「ヒエッ」
さすがのシャルロッテも、その"圧"には若干ヒいた。
「私の肉がないんならもう恐竜の肉食べていいですよね? え? アクター?
知りませんよ、あれザウルスマンなんでしょ? じゃあもう全部頂いてしまって」
「そこもご安心くだサーイ!! 肉なら用意してありマース!!」
カニバルカーニバルを開催しそうな勢いの晴夜、だがそこで監督が指を鳴らした!
「そういうわけで撮影開始シマース、アァクショッ(Action)!!」
「これで嘘だったらもうまず監督のあなたから食べますよ私」
「っていうかここから撮影ってマジです!? 打ち合わせもクソもないのですが!?」
シャルロットのツッコミは むなしく こだました……。
「――はーっはっはっはっは!!」
そしてカチンコの音が響いた瞬間、突如として何者かの哄笑が聞こえてきた。
なんか高いところから颯爽と着地したのは、最近売出し中のグラビアアイドル!
水着姿に申し訳程度の恐竜っぽい尻尾とカチューシャを付けた雑コスプレである。
「ワタシの名はザウルスガール! 恐竜人類最高の知能を持つ美少女よ!」
「自分で美少女とか言っちゃうんですね……」
シャルロッテは軽くヒいていた。なんだこのアクの強い女優は。
「私の目的はただひとつ! お肉大好き恐竜人の叡智の結晶……すなわち!
私たちが長きにわたる研究の末に作り出した、ザウルスバーガーを売り出すこと!
そしてこのザウルスバーガーで、ハンバーガーを駆逐し世界を支配するのよ!!」
「いつから料理漫画になったんですかねこの映画!!」
「なるほど、ではそのザウルスバーガーとやらは私が食べてさしあげましょう」
「肉食べたいからって全力でノッてますね!?」
紙ナプキンをつけて当然のようにテーブルに着席する晴夜。
シャルロッテは思った。これ自分も頭空っぽにしないとおかしくなるのでは、と。
「なんてこったっす! このままじゃヒーローズアースが支配されちまうっす!
この陰謀を止めるには……自分が料理勝負で勝つしかないっすよ!!」
ドーン! そこでスポットライトが当たり、秋山・軍犬を照らし出す。
「あ、あなたの持ち込んだ企画なんですねこれ」
「いや自分は流れの料理人なんで、企画とか持ち込みとかよくわかんないっす。
たしかに自分は偶然にもフードファイターの料理人っすけどそれとは無関係っす」
軍犬はあくまで役柄でゴリ押しした。シャルロッテは色々諦めた。
「そういうわけでザウルスガール! 自分と料理勝負をするっすよ!!」
「ふっ、望むところよ猟兵……!」
「では私が審査員ということで。種目は肉料理でお願いしますね」
(とことん肉食べたいだけじゃないですかこの人……!?)
マイフォークとマイカトラリーを用意しうきうきの晴夜にシャルロッテは呆れた。
「あれ? でもこの流れに、どうやってゾンビとロマンスとアクションが……」
ふと疑問に思った彼女がつぶやいた、その時!
がしゃーん!!
レストランのガラスをぶち破って現れたのは大量のザウルスマンである!
「ザーウルース!! 猟兵がまともに料理勝負を出来ると思ったザウルスかー!?
お前の料理なんてすべて台無しにしてやるティラノ! 食らうザウルス!!」
「ご、語尾が雑すぎるのです……!」
「げえっ!? 妨害だなんて卑怯っす! このままじゃ自分の調理場が……!」
せっせと料理の準備をしていた軍犬では、ザウルスマンの妨害を防げない!
しかしその時! また別の方角のガラスをぶち破って乱入してきた猟兵たち!
「あっはぁ!! 待ってたぜぇこの時をよォ!!」
「「「グワーッ!?」」」
トップバッターは五百崎・零。その目は完全に据わっていた。
もともとデッドマンである彼は、わざわざゾンビの特殊メイクを施されている。
そんな零は、普段と大違いのハイテンションで戦闘員を殴る蹴る投げ飛ばす!
「死にたくないから普通なら恐竜と戦うなんてオレには無理だけどよぉ!!
これは映画の撮影だろ? だったら好き放題ヤッちまってもいいんだよなぁ!!」
「いやあの自分たち一応アクターなんてそれなりの手加減を」
「うるせえ喰らえゾンビパーーーーンチ!!」
「「「グワーッ!?」」」
SMAAAAAAASH!! 手加減なし(手加減していないとは言っていない)のデッドマンパンチが戦闘員の皆さんを吹き飛ばした! 大丈夫かなこれ!?
「来い、悪魔アスモデウス! こうなったら悪魔対ゾンビ対恐竜の時間だぁ!!」
さらに獄炎の悪魔アスモデウスが召喚され、あたりは炎に満ちた。
どっちが悪役なのかわかんねえけたたましい笑い声をあげながら暴れまわる零!
「ウオオオオーッ! やっちまうザウルース!」
「「「トリケラー!!(恐竜人類特有の鬨の声)」」」
騒ぎを聞きつけ、さらに大量のザウルスマンが流れ込んできた!
しかし! そんな雑魚どもをちぎっては投げる巨大な大地の巨人!
さらに巨人の隣では、褌一丁のドワーフがなぜかSUMOUで恐竜人を投げ飛ばす!
「おっと、そうはさせねえべ! 土俵にあがったら一対一の勝負だべよ!」
「いつからレストランは土俵になったのですか……!?」
「細かいことは気にすんなだべ、悪党には好き勝手させねえべよーッ!!」
シャルロッテのツッコミもそこそこに、銀山・昭平は大いに筋肉を躍動させた。
隣り合う大地の巨人(なぜかビキニパンツのハゲマッチョだ)と汗を散らし、
敵を投げ飛ばし、ポージングし、そしてまた汗を散らす。あ、暑苦しすぎる!!
「イエース! 筋肉なくしてアカデミーは獲れマセーン!」
「なんか別のところの需要刺激してる気がするのですが……はあ、もういいのです。
考えるのはやめた、なのですよ。こうなったらわたしも暴れてやるのです!!」
もはやツッコミを諦めたシャルロッテ、勢いよく立ち上がる。
そして天才ゲーマーAliceCVとして、スタイリッシュにキメようとした。
が、なぜか流れてきたのは、いやに脳天気なビットチューン電子音楽である。
こころなしか、ザウルスマンの皆さんもドット絵っぽくなっているような……。
「……これじゃあわたしの美肌も台無しじゃねーですかー!!」
「「「ザウルース!?」」」
KRA-TOOOOM!! 約1680万のカラフルゲーミング弾幕が敵を吹っ飛ばす!
「おお、派手になってきたべ! これでこそ映画って感じだべな!!」
「(物理的に)燃えてきたぜぇ! 誰が一番強いか殺し合いだぁ!!」
筋肉を躍動させるドワーフ! 悪役みてえな顔で暴れまわる零!
「だから! サービスっていうのはもっとこう、清らかでちょっとお色気で……!
具体的に言うとさっきのグラビアアイドルさんの水着とか、
わたしみたいな美少女がカメラに映ってこそだと思うのですよーっ!!」
さりげなく美少女を自称しているが、まあシャルロッテは実際可愛い。
彼女なりに頑張ってセクシーカットを模索するが、筋肉と悪魔と爆発が台無しにする。
ところでそんな阿鼻叫喚の地獄の背景では、粛々と料理勝負が進んでいた。
「出来たっす……! ヒーローズアースバーガー軍犬スペシャルっすよ!!」
「ふむ……ふむ、なるほど。肉がいいですね肉が。柔らかくてジューシーです」
「食レポの語彙力ゼロっすね!? で、勝敗は……!」
晴夜はきゅっきゅと口元を拭くと、満足した顔で席を立った。
「えっあれ? あの、自分とあいつのどっちが上か判定を」
「もう肉ないんですよね? じゃあハレルヤは別のところで食べてきますね」
「えっあの料理対決の判定は!? ちょっとー!?」
「な、なんてこと、まさかの引き分けだなんて……っ!!」
そそくさとその場をあとにした晴夜、取り残された軍犬とザウルスガール。
しかしそこで、失意に沈むザウルスガールに優しく手を差し伸べる男がいた。
「あ、あなたは……!?」
「我が名は暗黒虚無神(ニヒルダーク)・パラミトログル……神である。
悩み迷える少女よ、我は汝と恋に落ちた。そういう筋書きなので確定である」
「もうちょっと自然にロマンスしないんっすか!?」
「恋に堕ちるのに理由は要らない……それが真理(トゥルース)なのだ……」
軍犬のツッコミにも、リアル中二病患者の神はうろたえないッ!
なぜかポージングをしてニヒルに微笑む。だってニヒルダークだしね!
「ニヒルダーク様……!!」
(ざ、ザウルスガールも色々諦めてゴリ押ししてるっす……!!)
愕然とする軍犬。だが見つめ合うふたりの障害は多い!
「おのれザウルスガールめ! 人類につくつもりかーッ!?」
「我々が悪魔とかゾンビとかマッチョドワーフとかめちゃこえー弾幕とか、
とにかくそういうのにビビってる間になんてのんきなやつ! 裏切り者め!!」
「貴様は生かしておけんザウルス!!」
三人を取り囲むザウルスマン……颯爽と前に出るニヒルダーク。
「我が恋路を邪魔せんとする愚かな恐竜人類よ、憶えておくがいい」
「「「何……っ!?」」」
「さきほど登場したザウルスバーガーは、映画館近くの楽園(ショップ)で販売中。
おまけに映画に出た勇士(キャラクター)の立像(フィギュア)もついてくると」
「「「は、販促、だと……!?」」」
「神たるもの、いついかなるときでも天啓(チャンス)を忘れぬものなのだ……!」
「みんな、よろしくザウルス!」
カメラ目線で笑顔を見せるザウルスガール。すべてはこのためのロマンス!!
「ちなみに、自分が作った軍犬スペシャルも期間限定で販売予定っす!
しかも前売り券を持ってきてくれた人には、なんと……!? お楽しみにっす!」
ちゃっかり軍犬も宣伝をキメていた。立て板に水の如しであった。
「おらたちのフィギュアも発売予定だべさ! どっせーい!!」
「えっマジ!? オレも!? オレもフィギュアになれんの!?」
「この際なのでこの映画まるごとゲーム化とかすればいいと思うのですよ」
「「「みんな、よろしくね!!(急にカメラ目線になる猟兵と戦闘員たち)」」」
「カーット!! パーフェクッ! これはアカデミー賞間違いなしデース!!」
メガホンを振り回して喜ぶ監督。何もかもが狂っている状況であった。
「こんなので売れたら苦労しないですよねえ。常識的に考えたほうがいいですよ」
そしてちゃっかり高級ステーキを食べつつ常識人みてえな顔をする晴夜であった。
誰よりも常識という言葉からかけ離れた人間が言うと、説得力がないね!
なお、このシーンはほとんどカットされてご提供されたという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジャガーノート・ジャック
★レグルス
(なんだ恐竜人類って 恐竜なのか人類なのか。ちょっとよくわからない。というか乱痴気騒ぎ(兄貴分を中心とした顔見知り達に因る)が酷い。酷すぎて相棒の耳がぺたんってしてる。)
(ザザッ)
大丈夫かロク。
――何かを作るという事には並々ならぬ情熱がいるという事だ。
きっと。恐らく。(監督の目が$なのには1度目を背けつつ)
――流しのギター。それが君の選択か。尊重しよう。
ならば本機も派手に行こうか――。
"Craft: Bomb".
ありったけの演出火薬を製造しギターの音色に合わせてタガ諸共ブッ飛ばす。
映画なら派手なくらいが丁度良い、そうだろう――!(※良い子は真似しちゃだめだぞ。)(ザザッ)
ロク・ザイオン
★レグルス
(あちこちギャーキャーうたわれると
森番の耳がムズついて)
…て、てかげん
…てかげん…
(ちょっと目が妖しくなってきている
相手は病じゃないのに
ほんとに?集団敵って書いてあったよ?
思いっきり土に還しても大丈夫じゃない?)
…。
(イマイチアクションにキレがない)
(スタントさんも烙獣の殺気にお困りだ)
ジャック。
…映画、とは(哲学)
彼らは何故、こんなにがんばる…
(熱い炎からものを生み出してくれるのは、人間だけだ)
わかった。
これが、キミたちの、戦いなら。
(抜き放つおんぼろギター
「彗告」
爆音に後押しされ尚盛り上がる弦の声)
……かかって、こいやぁー!!!
(誰も彼ものタガをブッ飛ばせ
此処がおれたちの戦場だ)
●フリースタイル猟兵
「ザウルース!!」
「プテラー!」
「サメー!!」
「トリケラー!!」
「ゾンビー!!」
「ティラノー!!」
なんか撮影現場はもうしっちゃかめっちゃかになっていた。
こんな誰がどう見てもマジクソ2000%な映画撮影現場で、なんだこの熱気は。
いや多分、アクターさんやスタッフさんも最初は正気だったのだろう。
でもきっと監督の狂気に当てられてこんなことになってんだと思う。
全部監督が悪い。……ん? 本当に?
あそこでサメサメゾンビゾンビ騒いでる奴らはどうなのだ?
具体的に言うと次のリプレイで描写されるであろう阿呆どもは猟兵なのでは???
《――そもそも、恐竜なのか人類なのか、どっちなんだ……》
ジャガーノート・ジャックは、遠い目をして妙なところで考え込んでいた。
兄貴分を中心とした顔見知りたちの暴走は、見なかったことにしておく。
幸い彼と彼の相棒であるロク・ザイオンは、あのウィルスには罹患していない。
だってリプレイが違うからね。でも次の章はどうなるかわかんねえぞオイ!
「……て、てかげん……てか、げん……」
ロクは耳をぺたんとさせ、胡乱な眼差しで戦闘員の皆さんを睨んでいた。
あっちゃこっちゃでプテラだのトリケラだのティラノだのプトティラだの、
あとザウルスだのサメだのゾンビだの売上だのアカデミーだの、
人間の欲望と狂気が渦を巻いたこの惨状(こう言うとシリアスっぽいな)に当てられ、ちょっとグロッキーになってしまっていたらしい。
ロクは天真爛漫な女性だ。だからこう、人間の悪性には少々どころかかなり弱い。
……こう書くと本当にシリアスっぽいですね? まあネタシナリオなんだがな!!
「…………ジャック」
《――どうした、ロク。やはりキミも恐竜人類がどっちなのか気になるのか》
「いや、それはどうでもいい」
《――どうでもいいことはないぞ。爬虫類と哺乳類とでは大違いなのだから》
「それは、どうでもいい。な」
ぴっちり海パン状態のジャガーノートを見上げ、ロクは言った。
「映画とは、なんだ」
《――??? 哲学的な比喩?》
「てつがく、よくわからん。そうじゃなくて、映画とは、なんなんだ」
ロクは人間文化に疎い。そもそも映画ってのがまだよくわかっていなかった。
いやまあ、よくわかってたとしてもこの状況ではよくわかんなくなると思う。
熱に浮かされた人間たち。次々追加されるアドリブ。狂喜乱舞している監督。
湯水の如く吹っ飛んでいく予算。なぜか次々名乗りを上げる協賛企業。なんで?
「彼らはなぜ、こんなにがんばる……」
《――売り上げに目が眩……いや》
アカデミーがどうだの興行収入がどうだの言ってる監督からは目を背けた。
でも目を背けたら背けたで、完全に頭がパプリカしてしまっているスタッフたち。
はたまた、やけになって爆発に突っ込み海に落ちていくアクターの皆さん。
おお、狂気だ。狂気がここにある。クリエイターとはかくあるべしなのか?
いや多分そんなことねえな。なんかやべえハッパ決めてんじゃねえかこいつら。
《――何かを作るということには、並々ならぬ情熱がいるのだろう、きっと》
「なみなみならぬ、じょうねつ」
《――おそらく、多分、推測するに。メイビー》
「どんどん語気が弱くなってるぞ、ジャック」
《――本機もまだ、答えを探している途中だからな》
ジャガーノートは思った。今の台詞、かなり"いい感じ"なんじゃね? と。
なんかそれっぽく聴こえるが、実際何も言っていない。会心のごまかしである。 頼む相棒、ごまかされてくれ。まともに考えるとこっちも頭おかしなるで!
「…………わかった」
《――わかってくれたか。……わかってしまったのか? 大丈夫か?》
誤魔化されたようなので一瞬ほっとしたジャガーノートだが、
もしかして相棒もこの狂気に飲まれたんじゃねえかとちょっと心配になった。
だがそんなジャガーノートを見返すロクの瞳は、だいぶ胡乱げであった。
正直まだ喉に骨つっかかった感じで飲み込みきれてねえけど、
まあ相棒がそこまで言うならしょうがねえや……みたいな感じの妥協があった。
ジャガーノートは頷いた。ロクよ、それでいい。大人ってそういうもんだぜと。
いやまあ彼子供なんですけどね。誰しもそうやって成長していくのさ!
――ギュワィイイイイイイインッッ!!
「「「!?」」」
アクターさんたちも、スタッフらも、突然のディストーションサウンドに驚いた。
そして視線が集まる。古ぼけたギターを抱えたロクは、顔をあげた。
――ギュワィイイイイイイインッッ!!
「……かかって、こいやぁー!!!!!!!」
叫ぶ! 心のままに! 衝動とリビドーを弦に叩きつけ、叫ぶ!
その叫びはまさしく、心赴くままにロクが奏でる魂の音楽だった。
そう、それこそがロック! なんかこう言っとけばそれっぽく聴こえるね!
ロックとは魂のサウンド! ソウルがこう……ソウルフルで、ソウルなんだ!
「ここが、おれたちの、戦場だぁあああああああっ!!」
ギャリギャリギャリギュワィイイイイイイン!!
ギター! シャウト! 爆発! ……爆発!?
《――ならば本機も派手にいこう。何も考えないほうが楽なので》
KRA-TOOOOM!!
ディストーションサウンドに合わせてあちこちで火柱! ジャガーノート謹製だ!
彼もだいぶニューロンが疲弊していた。色々考えるのをやめたかった。
《――映画なら派手なくらいがちょうどいい、そうだろう……!!》
「おれたちは、ひとつだぁあああああ!!」
ギャリギャリガガガガギュワィイイイイン!!
「ワオ! ロックンロール!! これもまた売れる題材のひとつデース!
これはアカデミー賞間違いなし、売れマース! カモンミュージッ!!」
監督の一声で突然現れるドラムにベースにキーボードに演奏の皆さん。
そして始まる即興のJAM! 世界よ、これが猟兵だ……!!
「きょうりゅうじんるいって、なんなんだぁー!!(ギャリギャリガガガガ)」
《――恐竜なのか人類なのか、どっちなのだ……!!(ドドドドチュドーン)》
「えいがって、なんなんだぁー!!(ギュワギュワギュワィイイン)」
《――卵生なのか胎生なのか、気になって仕方がない!!(ドガガガドカーン)》
大惨事であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
穂結・神楽耶
【SZ】
あっ!
あれはサメゾンビザウルスマンですザメ!
陸・海・空、全方位全天候対応を目指して作られたにもかかわらず、
結局全能力が上手く発現しなかった失敗作ザメ……。
博士、いったい何を考えているザメか…(俯き30度の美少女角度)
ザメザメっ(ですがっ)、
彼らを倒さなければ不完全なサメゾンビザウルスウィルスがばらまかれてしまいサメ!
サメ苦しくはありさめが、心をサメにして、サメらしく、
不意打ち御免で倒させていただきサメ!
行きましょうシャドウザメ、オリガミファイターサメ!
式島ランチャーサメ、おサメシールド、支援は任サメますよ!
・方針
・陣営:サメゾンビ
・永遠にサメの味方
・バーカーサー(非誤字)
式島・コガラス
【SZ】
クッソ〜! さっきはとんだドジをやっちまったが、今度こそいいとこ見せてやるぜ!(棒読み)
なにが恐竜だ〜、とっくに絶滅してるくせによ〜!(棒読み)
あと、えーと……恐竜なんざ怖かねぇ、もう絶滅してるんだからよ〜!(棒読み)(ボキャ貧)
式島ランチャー(主に軍隊格闘術による関節技のこと)を見せてやる!(棒読み)
あ、ちなみにこの式島ランチャーは対個人用の攻撃なので、フォローとかお願いしますね。
方針
・式島ランチャーとリロードしたゴム弾による銃撃でヴィランとかヴィランっぽい正純とかを攻撃する。
・相変わらず六発目の弾は跳ね返るので最終的に戦闘不能になる(胸を抑えて90度、傷病人の角度)
・棒読み
矢来・夕立
【SZ】
チッ避けてんじゃねえよ…
一番狂ってほしいゼロミリオン野郎が水を避けるので、ここでエキストラの皆さんにはサメゾンビザウルスマンになっていただきます。
サメゾンビ博士の陰謀です。そういうヒキでしたから。
さて傭兵さん。
ここは一時休戦、共同戦線を張りましょう。
これも労働環境の改善の為。なんだっけこの映画
ですがゆめゆめ忘れないことですね。あなたをサメゾンビにするのはこのオレだと。(振り向き斜め45°、美少年角度)
空蝉でもしとけば絵面のことは問題ないですね。
あと狂った人のことは伝説の武器として扱います。
方針
・マッチポンプ
・傭兵さんのことは撃たない 今はまだな
・納シールド
・式島ランチャー
・穂結ソード
納・正純
【SZ】
先の敗因は匡と夕立を予め作戦に組み込んでおかなんだことだ、二度は負けん!
ちょっと二人ともこっち見てくれ! よし
戦闘員の皆さん、合体の時間ですよ!
海の底から目覚めよ! 太古の恐竜細胞と匡の視線と夕立の舌打ち音、戦闘員たちの眠たさの合成恐竜、絶対王政マサズミザウルス!
恐竜の凶暴さ、匡の冷静さ、夕立の性格の悪さ、戦闘員さんたちのひたむきさを併せ持つコイツは無敵だ!
手始めに週休二日制を完全週休二日制に、サビ残は定時上りに、職場を有給が取れる環境にしてしまえ! 監督! そろそろ今日は上がりでどうすか
方針
サメゾンビ博士になる
不用意に射線に入る
納シールドは空を行け
納シールドなので銃弾はあまり効かない
鳴宮・匡
【SZ】
いやそういう個人攻撃よくないと思うんだけど
俺をサメゾンビにするのは出来ればもう諦めてくれない??
まあいいや、一時休戦は望むところだよ
じゃあ、まあ、……うまく避けてくれ
【涯の腥嵐】で全員(ゴム弾で)無差別に落とす
基本的には射線に入ってこない限りはザウルスマン以外のやつは撃たない
不用意に入るやつはいな…… いや いそうだけど
まあいいか、どうせ全員サメゾンビ側だし……俺の味方じゃないだろ……
方針
・もうなんかノリについていけないので粛々と仕事をこなす
・(ただしツッコミだけはせざるを得ない)
・できるだけ夕立を死角に入れない
・なんか嫌な予感がするんでサメゾンビザウルスマンは一通り駆除したい
●劇場版サメゾンビ4~トンチキの力、お借りします!~
「クッソ~! さっきはとんだドジをやっちまったぜ~!(棒読み)」
式島・コガラスは、四流劇団候補生みたいな棒読みであった。
普段の彼女のクールでシリアスなノリからは信じられない棒読みである。
「サメ! サーメサメ、サメサメサメ~!(大丈夫ですか、式島様?)」
「このぐらいロスじゃ日常茶飯事だったぜ!(棒読み)
銃を向けられるたび5セントもらってたらいまごろ大金持ちだぜ~!(棒読み)」
「サメサメサメ、シャーク!(言葉の意味はわかりませんが物凄い自信です!)」
穂結・神楽耶も、相変わらずサメゾンビウィルスの影響が効いているようだ。
なぜかわからないが、彼女のサメ語はリアルタイム字幕翻訳されている。
多分なんかこう、サメ魔術のエキスパートでもスタッフにいたんじゃねえ?
「ほら、みんなサメゾンビでアホになってますよ。
傭兵さんも乗りましょう、このビッグウェーブに(水鉄砲ピュッ)」
「乗らねえよサーフィン魔術じゃないんだから(軽やかに避ける匡)」
「チッ避けてんじゃねえよこのゼロミリオン野郎が……」
「よくわかんないけどその呼び名すげえ不名誉な気がするんだけど???」
一方、正気を保っているはずなのにガチ険悪な矢来・夕立と鳴宮・匡。
というか、一方的に夕立が匡をサメゾンビ化させようとピリピリしていた。
どうやらサメゾンビウィルスでアホになった匡が見たくて仕方ないらしい。
映画撮影とかそういうことはどうでもいい、アホになった匡が見たいんだ。
顔から全身から、なんだったらプレイングからその"圧"が溢れていた。
汚いな忍者きたない。でもアホになった鳴宮さんは実際見てみたいですね!
まあ起きないから奇跡って言うんですけどね。彼が潰れたらもう終わりだ。
「あいつらは何を味方同士で敵対しあっているんだぜ~?(棒読み)」
「サメサメ! サーメサメ、サメサメイルカ、シャークシャークオットセイ!
(訳:いけませんよふたりとも、まだ撮影中なんですから真面目にやらないと!)」
「アホになってる人たちに呆れられるとめちゃめちゃ腹立ちますねこれ」
「そう思うんだったら事態を鎮圧しようと少しは努力しろよ……」
匡は呆れてため息をつきつつ、ふと何かに気付いた。
「……鎮圧といえば、そもそもこの状況を引き起こした奴はどこ行った?」
「そういえば姿が見えませんね。完璧に殺(ト)ったはずなんですが」
「それ一応同じ猟兵に対して使う台詞か???」
「……いや、待てよ」
夕立はなぜかシリアスな顔で顎に手をやり、考え込んだ。
「……わかりました。じっちゃんの名にかけて」
「それは推理を始める時に使う台詞な気がするぜ~!(棒読み)」
「サメッ!? サメ、サメサメ……コウテイペンギン!?
(そんな……一体何がわかったというんですか、夕立さん!?)」
「穂結のその言語、時々サメじゃないのが混ざるのはなんなんだ???」
という与太はさておき、夕立はわざわざ眼鏡を取り出すと掛け直した。
そしてできるだけカメラを意識した覚悟で、キリッとレンズを光らせる。
「――サメゾンビ博士は、すぐ近くに潜んでいますよ」
「サメ……(訳:サメ……)」
「ゾンビ……?」
「博士だってぇ~~~~!?(棒読み)」
驚愕する一同! まさか、サメゾンビ博士の脅威がすぐそこまで……!?
「…………いや普通に聞き流しかけたけどそれ正純のことだろ」
でも匡はすぐにツッコミを入れた。彼は演技が出来ないタイプである。
「いや、サメゾンビ博士ですよ。監督にも言って役名変えてもらいました」
「サメとゾンビは売れる二大ファクターデース!
サメとゾンビは言葉、感じられればアカデミーデース!」
監督は子供みたいにきゃっきゃと喜んでた。やっぱりこいつが主犯では?
「じきにサメゾンビ博士は恐ろしい陰謀を企て、我々を襲うことでしょう。
その混乱に乗じて、傭兵さんにウィルスを打ち込むことも考えてたんですが」
「朝食はパンにするつもりだったんですがみたいなノリでさらっと言うな」
「ですがこのゼロミリオン野郎はちょこまか避けやがるのでそうもいきません」
「なんで俺が悪いみたいな言い方になってるんだよ……」
匡はため息をついた。
「どうせあいつもろくなことをしないだろ。さっさと仕留めて――」
その時である。匡と夕立は何か禍々しい気配を感じ、シリアス顔で身構えた。
ざばぁああああ……! と海原をかき分け、巨大な何かが姿を現す!
「サ~~~メ~~~~ゾ~~~ン~~~ビ~~~ザ~~ウ~~~ル~~ス~~」
それは……サメであった。
サメのようでゾンビであり、しかしサメでもゾンビでもなかった(反語)。
たとえるならばそれは、そう、サメゾンビザウルス……!!
「クックック……先の敗因、それは正気のお前たちを計算に入れていなかったこと」
その頭の上に仁王立ちするのは、なぜか白衣を纏った納・正純!
「だがこの俺様に二度目の失敗はなぁい!! 見ろ、これこそ太古の怪物!
なんかこう環境破壊とかそんな感じのあれで目覚めたサメゾンビザウルスだ!!」
「サメサメ! サーメサメサメ、サメ~!!(伝説のサメゾンビザウルス……!)」
「なんてデカさだぜ~、ママンのケツより大きいじゃねえか~!(棒読み)」
その巨大さは、サメゾンビウィルスに侵されたふたりをすら恐怖させた!
「サーメサメ、サメサメサメ……サメッ! シャチウナギタコ!
(訳:サメゾンビザウルス……それは陸・海・空、全方位全天候対応を目指して作られたにも関わらず、結局全能力が上手く発現しなかった失敗作……!)」
「いまの短い言葉にそんな意味込められてんの???」
AR表示されたサメ語字幕を見てほんとかよとツッコミを入れる匡であった。
「そもそもそんな失敗作引っ張り出してどうするってんだ……」
「フハハハハ! これから完全体になるのだよ! ちょっとふたりともこっち見て!」
「え?」
「あ、はい」
「よし」
匡と夕立が思わず正純のほうを見た瞬間、正純は呵々大笑する!
「戦闘員の皆さん、おまたせしました。合体だよォ~!!」
「「「ザーウルース!!」」」
見よ! 突然ザウルスマンたちが光り輝き、サメゾンビザウルスに突撃!
次々とその巨体に飛びつき……なんと、融合していくではないか!?!?
ガッタイガッタイガッタイガッタイガッタイガッタイガッタイ(鳴り響く謎のBGM)
「いやなんだこのBGM」
「そもそもあの融合どうやってんですか特撮ってレベルじゃないですよ」
「サメ、サメサメサメッ! サメェエエ……!!(ああっ、あれは~~!!)」
「サメゾンビザウルスにザウルスマンが融合していくぜ~!!(棒読み)」
光が晴れて現れたのは、無数のザウルスマンと融合合体し巨大化した超獣!
「これぞ我が研究最大の成果にして、貴様らを滅ぼす最強の融合怪獣!
その名も絶対王政マサズミザウルスだよォ~!! ウェーハハハハハ!!」
「サメ、サメサメ……!!(絶対王政マサズミ、ザウルス……!?)」
「名前がノリ第一すぎてよく意味はわからないが凄さは伝わるぜ~!!(棒読み)」
『マ~サズ~ミ~~~~』
「鳴き声のレパートリーが少なすぎませんかね」
「そもそもあれCGなのか? 着ぐるみなのメカなのかどっちだ?
中に人がいると困るんだよな、まあ狙いを逸らすだけなんだけど(銃を構える)」
反応のテンションは両極端であった。匡はとことんセメントである。
彼はもうさっさと帰りたくて仕方がなかった。いやもう帰ってよくないかこれ?
しかし、身内が人様に迷惑をかけるのは少々申し訳ない……。
「イ~ヒッヒッヒ! こいつは恐竜の凶暴さに匡の冷静さと夕立の性格の悪さ、
そこに戦闘員さんたちの眠気とひたむきさを併せ持った最強の合成恐竜なのだ!」
「なんでもいいから早く帰りたいんでかかってきてくれないか(匡)」
「ブァ~カめ!!(夕立:「は?」)その程度では済まさんのがマサズミザウルス!
手始めに週休二日制を完全週休2日制にし、サビ残は定時上がりに!!
そして世界中の職場を有給が取れる環境にするまで止まらぬわぁ~!!」
「最近流行りの善玉魔王みたいな福利厚生だぜ~!(棒読み)」
「サメザメザメザメ~!!(博士、なんてことを……!)」
「……そんなことをさせるわけにはいきませんね。そうでしょう傭兵さん」
「いや、全然問題ない気がするんだけど……まああいつは止めないとだな」
「そういうことです。ここは一時休戦し、共同戦線を張りましょう」
夕立は振り向き、斜め45度の美少年角度で言った。
「ですが憶えておいてください――あなたをサメゾンビにするのはこのオレだ」
「それはいい加減諦めろよ」
辛辣なツッコミであった。
「おのれクールなシリアス野郎どもめぇ~!!
我がサメゾンビウィルスを受け入れし者たちよ! 奴らを倒せぇ~!!」
「サメェーッ!!(穂結ソード!)」
「グワーッ!?」
「式島ランチャーを喰らえ~!!(棒読み)」
「アバーッ!?」
サメゾンビ罹患者二名による不意打ち攻撃! 正純は吹っ飛ばされた!
「な、なぜだ……貴様らは俺様のサメゾンビウィルスに毒されたはず……!」
「サメサメサメ! サーメサメサメ!(あなたは間違っているのです博士!)
シャドウサメ! オリガミファイターサメ! サメサメサメサ」
「もう何言ってるかわかんねえからまるごと撃つよ。ごめんな穂結」
「サメエェェェェーーーッ!?」
BLAMBLAMBLAM!! 無慈悲なゴム弾連射! 穂結、撃沈!
「うおおおおー!! 喰らいやがれマサズミザウルス~~~!!(棒読み)」
「式島ランチャーの力、お借りします(降り注ぐ弾丸から盾にする)」
「そ、そんなバカな~~~~!?(棒読み)」
夕立に盾扱いされ、コガラスも撃沈! 死屍累々である!
だが夕立も匡も特に心は痛まなかった。だってそういうキャラじゃないし。
「サ……サメサメサ、サメ……!(こ、このわたくし、が……)」
「動きを止めたほうが良さそうですね。穂結ソードの力、お借りします」
「サメーッ!?(サメーッ!?)」
夕立、神楽耶の足首を掴むとものすごい無造作に振り回した!
こ、これが絆の力……!(?) 神楽耶は目を回し色々口から戻しそうだ!
「フハハハハハ! いくら弾丸を撃とうとマサズミザウルスの巨体の前には」
「オレが活路を開きます。オラッ!(コガラスと神楽耶をぶん投げる)」
「「グワーッ!?」」
『マ~~~~サ~~~ズ~~~~ミ~~~~!?』
人間ミサイル……もとい穂結ソード&式島ランチャー、炸裂!
マサズミザウルスは悶え苦しみ、そして正純は不用意にジャンプした!
「おのれ忍者めーッ! かくなる上は貴様からーッ!」
「もう全員倒れてくれ。でないと収拾がつかないんだよ(パンパンパン)」
「バカナーッ!?」
吹っ飛ばされたふたりもまとめて、匡の無慈悲な弾丸は(ゴムだけど)撃ち抜いていく。
悶え苦しむマサズミザウルスが光り輝き……そして、爆発四散!
これほんとに大丈夫? 多分こう最新鋭の技術を使ったから問題ないって!
「……これが、最後のサメゾンビザウルスだとは思えませんね……」
「まだお前がいるもんな」
「第二第三のサメゾンビは現れるはずです、必ず……」
「まだお前がウィルス持ってるもんな」
最後まで警戒を崩さない匡に、舌打ちする夕立。
なお爆発に巻き込まれた博士と罹患者たちは、海の藻屑と消えたのであった。
だが彼らはまだ知らなかった、これが恐るべき災厄の序章であることを……!
待て、次回!!(投げっぱなしエンドとも言う)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アコニィ・リード
(引き続き水着で登場する)
きょ、恐竜人よッ! 世界の危機だわ!
所で海だけどどうやって出てきたのアレ……まあいいわ、逃げるわよ!
でも捕まってしまいそうになるのよね。そこで秘められた力が……
そう、わたしも恐竜みたいな何というか古代魚じみた――
アァァーマァァー!!!!!!
そんな姿へと変貌し、恐竜人に立ち向かうわ!
所詮氷河期をまともに生き抜けなかった連中になんて負けないわよ!
伸ばしたヒレでバッタバッタと切り裂いてやるわ!
(※実際には切れません)
戦場はぶっちゃけどこでもいいわ
船の機関室なんか風情があっていいわね
どうしたの、掛かってきなさいよ、来いよって言ってんでしょ!
さあ……狩るわッ!
※アドリブ連携歓迎
カタリナ・エスペランサ
……なんだか色々と斜め上に凄い事になってるね?
顔触れ的には納得の展開ではあるけどさ……!
さて、いよいよ本格的なバトルシーンだ!
その……《恥ずかしさ耐性》は……無いんだけど……そこはUC【天下無敵の八方美人】、飛び切りの《演技》力でどうにか!
アクロバティックな《ダンス+空中戦》や雷・炎を活かした派手な《属性攻撃》(今回は見た目だけ!)の《パフォーマンス》はお手の物さ
水や風の渦を操って吹っ飛ばすのも涼しげでいいね
《弾幕》や《範囲攻撃》の圧倒から《見切り+早業+武器受け》での白熱した殺陣まで一通りこなすよ
皆のアピールにも負けてはいられないからね
《誘惑+存在感》を発揮して鮮やかな演技で魅せてあげる!
ラニィ・ユン
【アドリブ・連携等歓迎】
さっきはちょーっとやり過ぎちゃったかな(監督にはウケたけど)
よし、今度はちゃんとやろっと
小さい頃に見た何かの戦闘員っぽい見た目だけど、私はヒーロー系ってわけじゃないからねー
ここは母さんに教えてもらった(なんちゃって)拳法で戦おうかな
目指せ、アクションスター!
気を纏って、その辺の椅子を上手く使ったり、飛び蹴りしたり、寸勁(ワンインチパンチ)したりでド派手に立ち回り
ちょっとはピンチにならないと観ていて面白くないだろうし、苦戦するフリとかもしてみたり
折角水着を着てるんだし、プールとかに落とされちゃおうか
濡れてる美女も絵になるでしょ?
●水着美少女たちのアクションのはずなんだけど何かがおかしい
撮影はしっちゃかめっちゃかであった(n分ぶりn回目)
猟兵の一部は完全に監督の狂気が伝搬し、ラリっていた。
そんななか、比較的正気を保っていたのがカタリナ・エスペランサである。
「……なんだか色々と斜め上にすごいことになってるね……」
突然料理対決が始まったり、サメゾンビとかいうわけのわからない存在が出たり、
カットを進めるごとにカオスそのものの撮影現場を見て一言、である。
しかしある意味納得できてしまうのが、猟兵の人間力というかなんというか。
「えへへ、私もさっきレストランのシーンでやりすぎちゃったよ~」
「やりすぎ……? え、えっと、具体的には?」
「いやちょっと、食べ物の恨みがこもって気持ちガチめに攻撃を」
てへぺろ☆みたいなテンションで言うラニィ・ユン。洒落になってねえ!
幸いヴィラン役のスーツアクターは特に大事なく終わったようだが、
「食べ物の恨みってマジで怖い」と震えながら言っていたのは無関係ではあるまい。
「今度はちゃんとやらないとね! せっかくのアクションシーンだし!」
「あ、ああ、うん……そろそろアタシたちの出番みたいだね」
「ところで、どうして水着を隠してるの? 恥ずかしいの??」
「そ……そそそ、そんなわけないさ! ないとも!! ないよ!?」
コートを羽織って前かがみだったカタリナはわたわたと誤魔化した。
いや、実際恥ずかしい。自分のスタイルには自信があるし水着も可愛いが、
それはそれ、これはこれ! 撮影とか見られるのってやっぱり意識してしまう。
だったら映画撮影に来るなという説もあるが、まあそこはそれ。
19歳の乙女だって多感なのだ。カタリナは腹を決め、コートを放り捨てた。
「燃えてきたわね……全力で殺陣をキメるわよ!」
一方なにやらやる気に燃えていたのが、アコニィ・リードである。
スタッフらの狂気が伝搬したのか、それともなんかタガが外れたのか、
いかに派手派手しいアクションをやるかで燃え上がっているようだ。
「見てて監督! 劇場公開が不可能になるようなスプラッタシーンをやるから!」
「それは困りマース! でも多少のヴァイオレンスは必要デース!」
「ふふふ……水着に恐竜と来たらあとはスプラッタだものね!」
((何もかもが間違っている気がする……))
カタリナもラニィも、あまりのアコニィの"圧"にツッコミが入れられなかった。
むしろ自分たちは巻き込まれないでいられるか、そっちが不安だったらしい。
これは間違いなくこのカットもろくでもねえことになるぞ、という確信があった。
「……頑張ろう!!」
どちらともなく言い、気合を入れ直したという。
そして、問題のシーン撮影が始まる。
「くっ、ヴィランだけじゃなく恐竜人類まで現れるとは……!」
「さすがにあの数相手じゃ、戦っていたら息切れしてしまうね」
「一旦体勢を整えましょう。こっちよ、隠れるのに最適な場所を知ってるの!」
シーンとしては、ヴィランの襲撃から一時撤退した猟兵たちという場面のようだ。
一般客らを逃しきり、反撃のために船のなかを駆け回る三人。
しかしザウルスマン軍団の魔の手は、徐々に彼女らを追い詰める……!
水着姿の美少女たちが汗ばみながら逃げ惑う、実にハラハラドキドキのシーンだ。
え? そう書くとなんか妙な感じがする? 気のせい気のせい。
適度なピンチがあってこそアクションというのは映えるものだからね!
……ともあれ三人は、船内をあちこち駆け回った挙げ句に船の機関室へ到達。
ザウルスマンを倒すための作戦を練ることになる……だが、その時!
「ザーウルース!」
「プテラァー!!」
「トリケラァー!!」
「ティラノォー!!」
「「「!!!」」」
彼女らを追ってきたザウルスマン軍団が、ついに機関室を探り当てたのだ!
もはた退路はない。ドアを蹴り開け、機関室に飛び込んでくる戦闘員たち!
「ふふ……袋のネズミ、とでも思ったかい? それはこっちの台詞さ!」
「ザウルスッ!?」
しかし見よ。実はここに逃げ込んだことこそが、彼女らの作戦だったのだ!
カタリナは飛び込んできた戦闘員をふわりと羽ばたいて頭上に回避し、
アクロバティックな舞を披露するかのように、回転しながら雷炎を繰り出した!
もちろん本物の雷炎ではなく、演出に特化した安全なユーベルコードである。
バチバチバチッ! と閉所で雷が渦巻く。そう、逃げ場がないのは敵も同じ!
「「「ザウルスーッ!?」」」
「ここならば、数に任せてアタシたちを追い詰めることも出来ないだろう?」
「さあ、反撃開始と行くよ! 覚悟してねっ!」
足並み乱れた敵陣にラニィが飛び込み、ブレイクダンスじみた蹴りを繰り出す。
敵は放射状に吹き飛ばされ、そこへラニィが追い打ちの飛び蹴りを一撃!
しなやかな体躯を生かしたアクションは、実に健康的で美しい。
役に入り込むことで恥ずかしさを抑え込んだカタリナも負けずと天井を蹴り、
三次元的な殺陣で敵を吹き飛ばす。たちまち機関室は戦場と化した!
「ふたりともやるじゃない! こうなったらわたしも……きゃああっ!?」
アコニィも勇んで戦闘に参加しようとする……だが!
背後に回り込んでいた屈強なザウルスマンが、彼女に爪を振り下ろす!
「「大丈夫っ!?」」
ラニィとカタリナはアコニィのカバーに入ろうとするが、間に合わない!
哀れ、アコニィはその爪で肉を……いや、その前に水着を引き裂かれてしまうのか!?
イケナイ! この映画はギリギリでPG12ぐらいを想定の健全な映画なのだ!
アコニィはまだ13歳! そんな少女の水着が切り裂かれたら……ヤバイぜ!
そう、これはあくまで健全な範囲のピンチ。ここから三人は逆転するのだ!
「あいつを止めないと! さあふたりで一緒、に……?」
そして台本通り合体攻撃を繰り出そうとしたカタリナ、なのだが……。
「え? 何、どうしたの?」
「いや、あれ……」
カタリナが指差したのは、倒れ込んだアコニィであった。
ラニィはそちらを見下ろして、なんか様子が違うことに顔をひきつらせる。
立ち上がったアコニィの身体は……なんか古代魚じみた外骨格に覆われている!?
「アァアアーーーーーマァアアアアアアアーーーーッッ!!」
その顔はピラニアめいた異形へ。そしてなんか人を食いそうなシャウト!
アコニィの身体から謎の蒸気が噴き出し、ザウルスマンどもを吹き飛ばす!
「「ええ……??」」
可憐な水着少女から一転してガチめの化け物に。さすがのふたりも面食らった。
『氷河期をまともに生き残れなかった連中になんて、負けないわよ!!』
アコニィの腕に生えたヒレがぎゅわっとヴァイオレントに伸びた。
鋭利な刃物の如きそのヒレで、振り向きざまに巨体戦闘員を一閃!
「アバーッ!?」
巨体戦闘員無残! モザイクがかかりそうなやべえ感じの血を噴き出し爆散!
もちろん特殊メイクと撮影技術のなせる技である。アコニィは口から蒸気を吐き出す。
「「「アイエエエ!」」」
完全にスプラッタムービーめいた立ち回りに戦闘員さんたちもビビり散らす。
「あ、あの、大丈夫? 一応これ全年齢向けの映画……」
『……狩るわ』
「えっ」
声をかけようとしたカタリナ、アコニィの鬼気迫る声に固まる。
『すべてのザウルスマンはわたしが狩り尽くす……一匹遺らず……!!
そうしないと、わたしもゆっくり水着を楽しめないのよ……!!!!』
フシュウ、と蒸気めいた息を吐き散らかし、アコニィは暴れる。
ヒレカッターで戦闘員を切り裂き、アイアンクローから残虐ファイトし、
ヴァイオレントな飛び蹴りを叩き込んだり、もうやりたい放題であった。
「うん、これどう見ても映画のジャンル変わってるよね!?」
「か、監督……これ、大丈夫なの?」
撮影中にも関わらず思わず監督のほうを見るふたり。
監督はキャッキャと喜んでいだ。うん、ダメだこいつ!
「よしわかった、ここはアタシたちが頑張らないと」
「映画本当にお蔵入りになるねこれ! 仕方ないなあ!」
カタリナとラニィは気合を入れ直し、負けじと華やかな大立ち回りを繰り広げる。
飛び散る雷と炎、あと血となんかグロい感じのあれこれ。す、スプラッタ!!
え? もちろん全部特殊メイクですよ。問題ない問題ない。
さっきまで戦闘員だったものがあたり一面に散らばってるけど特撮ですから!
「オーイェーイ!! この調子でカメラどんどん回してくだサーイ!」
戦いは機関室からプールサイドに移る。そしてプールが血に染まる!(※血糊です)
「こ、これ、本当に大丈夫かなあ……?」
「負けないようにアピールしかないよ! きゃあっ!」
ラニィはわざと敵の攻撃を受け、プールに落ちることでピンチを演出。
そのプールも背景で残虐ファイトをしているアコニィのせいで真っ赤である。
「濡れてる美女も絵になるでしょ? なあんてね!」
「あそこで血まみれの彼女がいなければもっとマシだったと思うけどね……」
アコニィのほうは見ないようにしよう。カタリナはそう思った。
「EATしてKILLしてやるわ、ALLかかってこなさい!! 狩るわ!!!!」
なにかのスイッチが入ったアコニィは、完全に荒れ狂っているのであった。
お色気とアクションとヴァイオレンスが入り混じったこのシーン、
はたして無事に使えるのであろうか……? それは、監督のみぞ知る。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
刑部・理寿乃
今回のテーマはscream
秘密裏に運ばれていた変異誘発剤の奪取の任を受けた恐竜人類の特殊部隊がいた
豪華客船襲撃の混乱に乗じたおかげで楽に入手
後は脱出のみという所で三部隊の一つバリオ隊が音信不通となる
続いてアベリ隊が襲われ、白い影が、水着姿の女が、その言葉と悲痛な叫びを最後に通信は途絶える
残されたカウディプ隊は脱出を図るも、という感じ
パニックホラーを出してみたいです
後ろにいたはずの仲間が突然いなくなって天井に吊るされてたり
私が扉を叩き割ってその裂け目から顔出したり
恐怖を与える演出やってみたい
恐竜人類の部隊を襲う理由は変異誘発剤の容器が盗まれたスゴイ高い日焼け止めに似てたからです
●恐怖の猟兵
「クリア」
「「「クリア」」」
なぜか特殊部隊めいた装備のザウルスマンが、人気のない通路を進む。
奴らは恐竜人類の特殊部隊、ある秘密任務を請け負った精鋭たちなのだ。
……誰がどう見ても特撮番組の戦闘員みたいな連中なのだが、
それがガチめな特殊部隊の装備を着けているのはなんとも奇妙である。
「ターゲットを獲得しました。これより脱出する」
「ラジャー。バリオ隊、応答せよ……バリオ隊、どうした?」
しかし。先んじて脱出路を確保していたはずの部隊から応答がない。
聞こえてくるのはノイズまみれの雑音のみ。カウディプ隊の面々は顔を見合わせた。
「……何かが起きているようだ。しかたない、ルートBを使うぞ」
隊長の号令に従い、カウディプ隊は迂回路を使って脱出を急ぐことにした。
こちらはアベリ隊がルートを確保しているはず、なのだが……。
《こ、こちらアベリ隊! 聴こえるか!》
「こちらカウディプ隊。どうした、トラブルか?」
《異常事態だ。メンバーが姿を消した! し、白い影が突然見えて……!》
「白い影だと……?」
カウディプ隊は困惑する。だがその時、通信の向こうから悲鳴!
《ひ、ひいい!! み、水着の! 水着の女が!! アッ》
ブツッ。通信は悲鳴とともに途切れた。
「「「…………」」」
部隊に沈黙が訪れる。いやなんだよ水着の女って。まさか、襲撃者?
「まさか、我々の計画に気付いた猟兵が――アッ」
「デイブ? ……おい、デイブ。どこへ行った」
不安げに何かを言おうとした隊員が、突然姿を消した。
隊長は困惑し、あたりを探す。すると別の隊員が悲鳴をあげた!
「た、隊長! あ、あれを……!」
「何? ……な、あれは……!?」
マグライトが天井を照らす。すると、おお……!
恐怖にひきつるデイブ隊員が、無残な姿で吊るされているではないか……!
隊員たちが戦慄したそのとき、背後のドアから轟音!
「な、なんだ? 何が起きてるんだ! なんなんだ!?」
「落ち着け! ドアをロックしろ! 急いで脱出するんだ!!」
隊長の指示に従い、隊員たちが慌ててドアを完全ロックしようとする。
その時――バギャン!! と扉が割れて砕け、恐るべき怪物が顔を覗かせた……!
「見~つ~け~た~わ~よ~」
「「「アイエエエ!!」」」
コワイ! 裂け目から顔を覗かせて恐ろしい笑みを浮かべる刑部・理寿乃!
いや真の姿ならともかく普段の顔なので割と可愛らしいのだが!
そこはカメラ班がライティングでうまいことやってくれている!
「よくも私の大事な日焼け止めを盗んでくれましたねぇ……?」
「えっいやこれは我々の大事な作戦目標」
「高かったんですよそれ~~~~~!!」
バキバキバキメキメキ(いともたやすくひしゃげる扉)
「「「アイエエエ!!」」」
「然るべき代価を支払ってもらうとしましょうか……その、命で!!」
「た、助けてくれ! 助け……アアアアアアアーッ!!」
闇の中に、恐竜戦闘員の悲鳴がこだまする……!!
撮影後。
「あの、これどちらかっていうとウチらがやる演出じゃないですかね?」
「立場逆転してるような……」
「そもそもなんで急にホラーなんですかね」
撮影を終えたスーツアクターの皆さんは口々に言った。
が、監督と提案舎である理寿乃は満足げである。
「ホラーも売れる要素デース! このままいきマース!」
「パニックホラーっていいですよね!」
(((あらゆる意味で配役を間違えている気がする……)))
比較的常識人のアクターたちの意見は、誰の耳にも届かなかったという。
大成功
🔵🔵🔵
夜霞・刃櫻
【アドリブ・連係歓迎】SPD
この監督、頭おかしいっす!
闇鍋が売れる訳ないでやんすよ、これは鮫で目を覚まさせるしかない!?
(彼女は混乱していた)
UC【夜霞の溟海】で鮫型の霞に変身
海という名の「闇に紛れ」てトカゲモドキ(ザウルスマン)を「暗殺」!
攻撃時だけ霞から実体化するので暗殺力は高いハズ
霞なら海にあって当然なので「目立たない」こと請け合い
スライディングキックしてきたところを逆にパクっと食べちゃうのも良いかも、怖い
良いか?こういうのがサメ映画なんだよ
サメ映画なめんな!
ヘイズ・シャークとかタイトル付ければB級映画として人気になれるんじゃない?
え?んなわけない?違う?ごめんなさぁい!(土下座
狭筵・桜人
なんですかコレ!この映画そのものがNG集じゃないですか!!
こうなったら猟兵じゃなくても構いません。
本番中にザウルスマンの覆面を剥ぎ取ってNG出してやりますよ!
しかし今回の私は黒布ですから、表舞台に姿を現すことは出来ません。
派手な猟兵が派手なことしてる最中にコッソリ回りこんで
覆面を剥いだり背中のチャックを下げたりして
ザウルスマンの素顔を全世界に晒してやりましょう。
まあ中身はスタントマンさんですから
猟兵の私たちからすれば一般人も一般人のはず。
まさか本物のオブリビオン雇っちゃったとか
そんな馬鹿なことありませんよね~常識で考えてね~。
コレ日常章ですよね?ユーベルコードを使用しないで行きますからね??
露木・鬼燈
ふむ…ヤバい雰囲気を感じる!
あのテンションは絶対にやらかすのです。
主導権は握っとかないとダメっぽい。
合成とかは余計なことだよね。
うん、たぶん更にテンション上がって大変なことになる。
さっさと自分のシーンを撮り終えて避難した方がいいなこれは。
とゆーことで、レストランから出てそのまま撮影といこうか。
ショッピングモールならそれなりの広さもあるからね。
さっきのシーンとは別な感じで大立ち回りを、ね。
<隠忍の見えざる手>で安全を確保しながら派手に吹き飛ばす。
華麗な体術で多くの敵を次々と打倒す。
うん、いいと思います!
念動手を足場に使用すれば立体機動もより派手になる。
まぁ、そんな感じでいこうかな。
御園・桜花
「つい本気で倒すことを考えてしまいましたけれど…これ、お芝居でしたね」
戦闘直前に思い出し目を剃らす
ヒット&アウェイ戦法(飛行し桜鋼扇で殴打)の場合、殺陣とばれないよう殴るふりは難しく、しかもそれをやったらモブ猟兵の域を越える気がして悩んだが
「エフェクト係に徹するなら、桜吹雪で倒しきれず他の猟兵が止めを差す、で十分ですね」
UC「桜吹雪」使用
敵キャラを広範囲で斬り刻む(ふりをする)が、敵の回復能力で倒しきれず場が膠着、他の猟兵が現れ撃破する、というシーン演出に
「これならモブ猟兵らしいですし、他の役者さんも傷付けず、派手なエフェクトで撃破した猟兵さんの見せ場もバッチリです」
背景音楽代わりの歌も手伝う
神元・眞白
【自由】
取れ高を確保するための映像。其のために大事なのは編集と、アドリブ。
観客が本当に必要としているものは驚きと感動。それと、ちょっぴりな定番。
それが得られるなら少しばかりの犠牲はつきもの。……監督?
スタッフさんもなんだかやる気だから凄い撮影にできそう。
場所を飛ばしたり、恐竜を増やしたり……あ、種類も増えると。
こら、魅医。あまりはしゃいでスタッフさんを困らせたらダメ。
水着で動いているだけでなんとなく場が良くなるんだから。
やっぱり恐竜さんが退場となると大事なのは隕石。船が壊れるのは特殊効果。
……けれどもう少し面白くなりそうな。他の方のアイデアも聞いてみましょう。
●誰がなんと言おうが撮影は続いていく
「こんなの映画じゃないですよ!!!!!」
バァン!!
打ち合わせ中のこと、狭筵・桜人は机を叩いてそう叫んだ。
「ちょっといい感じにNG集とか撮って小遣い稼ぎしようとしたらなんですかこれ!
映画っていうかこの現場自体がNG集ですよ! ヒヤリハットの集合体ですよ!」
「そうでやんす! 何もかもおかしいでやんすよ!!」
そこで、夜霞・刃櫻が桜人に同調した。
「闇鍋が売れるわけないでやんすよ!」
「まったくそのとおりです! もう少し整合性とか脈絡を」
「なのでサメを投入して目を覚まさせるしかないっす!!!!!」
「えっ何言ってんですかこの人(えっ何言ってんですかこの人)」
完全に錯乱した三下猟兵を二度見する桜人。だが刃櫻は止まらない。
「監督の目を覚まさせるにはサメ、これしかないっす!!」
「意味がわからなさすぎる……そもそもサメってこのあと準備されてません?」
「うーん、あの監督なら別にサメとサメがかぶっても気にしない気がするのです」
露木・鬼燈は投げやりに言った。彼も彼で危険センサーがビンビン働いていたが、
もうだいぶうっちゃっていた。自分さえ無事ならばそれでヨシ! である。
「どうせこのままだとやらかすと思うし猟兵がやらかしても問題ないっぽい!」
「その結果がこのどう考えても使えないフィルムの山なんですけどぉ!?」
桜人の悲鳴。彼は裏方側に回っているのでモロにアオリを食らっているのだ!
「そういえばこれ、お芝居でしたね。さっきはつい本気になってしまいました」
「……演技であることを忘れるぐらいの迫真のアクション。これは、売れる」
のほほんとしつつ目をそらす御園・桜花を、神元・眞白がフォロー(?)した。
「いやもうあらゆる点でツッコミ要素しかないですよ……根本がダメなんですって」
「でもそれ、撮影前からわかりきってたことじゃないですか?」
「……まあそうとも言いますが!!」
桜花の指摘を苦し紛れにごまかす桜人。目が泳いでいる。
そう、この撮影現場に来た時点で一蓮托生、ある意味全員共犯者。
むしろ小銭稼ぎとか、他人に恥をかかせてやって指差して笑おうとか、
そういう邪なことを考えていた桜人が自業自得を食らっている面は大いにある。
「監督さんだけじゃなくてスタッフさんたちもなんだかやる気だし、
もしかしたらなんらかの化学反応が起きて、すごい作品になるかも」
「希望的観測は大事なのです。僕は美味しいお酒飲めたからもういいけど!」
眞白も鬼燈も他人事みてえな顔であった。実際他人事である。
そんな眞白の隣では、戦術人形の魅医がきょろきょろと周りを見渡している。
「眞白お姉ちゃん、遊んできていいー?」
「ダメよ魅医。いまはパニックホラーパートの撮影中だから」
「えっいまそんなことなってるんですか撮影現場。どうなるんですかこの映画」
眞白の言葉に耳を疑った桜人であった。
「とにかくサメっす! サメさえ出せばなんとかなるでやんす!!」
「私はモブ猟兵としてエフェクトとかがんばりますよ~」
「僕はアクション担当ってことで! アクションしてれば問題ないのです!」
桜花も鬼燈も、刃櫻にツッコミを入れるのは色々諦めていた。
頭を抱えたくなった桜人、そこへとどめのように眞白が提案する。
「わかりました。ではこうしましょう」
「……なんですか?」
「隕石を、落とします」
「いま私の話聞いてましたぁあああ!?!?!?」
結局、桜人以外のメンバーの案が(面白がった監督に)採用された。
そして出来上がった映像が、こちら!
「ウオオオーッ!! 逃げ惑えでやんす! 全員食ってやるでやんす~!!」
船上を拘束浮遊するサメ型の霞、コワイ!
言うまでもなく、これは刃櫻がユーベルコードで変貌したものである。
最初はもっとステルスキル的な感じでバクバク食べていく予定だったのだが、
「どうせならもっと派手に前に出まショーウ!」という監督の悪ノリにより、
逃げ惑うザウルスマンの皆さんをもりもり食べるスプラッタシーンが出来上がった。
「ザウルース!? サメが! サメが来るでザウルスー!!」
「おっと、逃さないのです! さあ観念するといいよ!」
「グワーッ!?」
逃げ惑うザウルスマン、それを容赦なく打ち倒す鬼燈の大立ち回り!
もはやどっちが悪役なのかさっぱりわからないが、
一応この映画は悪い奴らを猟兵がやっつける映画なので、必然こうなる。
殺陣というか一方的な殺戮である。この映画いつからモンスタームービーに?
そして鬼燈が跳んだり跳ねたりいい感じに敵をぶっ飛ばしたりすると、
さりげなーく背景に溶け込んでいる桜花がうまいことエフェクトを散らすのだ。
舞い散る桜吹雪。かっこいい斬撃エフェクトが乱れ飛んで敵が吹き飛ぶ!
「グワーッ!?」
「サメさん、食べちゃってください!」
「ウオオオーッ!! 教えてやるでやんすサメの恐ろしさをーッ!!」
「アババババーッ!?」
吹き飛んだザウルスマンは刃櫻がダイレクトキャッチしてイート!
その時も桜吹雪が乱れ飛ぶ。あの、これ血しぶきのオブラートなやつですよね?
「ふう、これならモブ猟兵らしく背景に溶け込めていますね……!」
(どう見ても大目立ちしてるというかこのシーン自体がおかしい……!!)
カメラを回しつつ、必死でツッコミを我慢している桜人であった。
彼は思った。ここで安易に突っ込んだら絶対に巻き添えを食らうと。
彼らは口々に「安全には配慮している」というが、それは相手がプロだからだ。
不用意に素人同然の自分が突っ込んだら、多分もうズタズタになる。
(おかしい、今頃私はうまいことNGを出させていい感じに嗤ってるはずなのに!!)
「――見て、魅医。隕石が落ちてくるわ」
「ええええーーーーー伏線雑ーーーー!?」
しかしそんな桜人も、眞白の雑すぎる台詞にはツッコミを我慢できなかった。
「わー、すごいね眞白お姉ちゃん! お星さま、きれい!」
「ええ。あの隕石が、何もかもを炎で消し去ってしまうのよ」
「えっ全滅エンドなんでやんす!? せっかくあっしが出したサメは!?」
「あ、じゃあ僕はかっこよく脱出する感じでひとつ」
「とりあえず歌も流しましょう、感動的な感じなやつ」
演技を忘れる刃櫻、勝手にスタイリッシュな脱出シーンを演出する鬼燈、
悲しげなBGMを歌でカバーしながら、エフェクトで誤魔化しにかかる桜花。
しっちゃかめっちゃかであった。なお、監督はノリノリである。
「ここで船が爆発シマース!」
「いまとんでもないこと言いましたねこのヒゲ!」
「特殊撮影なので大丈夫デース! ワーオ、スペクタクル!!」
「いっそ本物のオブリビオンが混ざってたほうがよかったんですけどこれぇ!!」
カメラを回しながら叫ぶ桜人、着弾する隕石(特撮)、爆発する船(特撮)!
「ヒャッホーウ!! 九死に一生っぽーい!!」
なんやかやノリノリの鬼燈。どがちゃかの一幕であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『不滅の炎』適合体・不滅のフランメハイ』
|
POW : オレサマ、ミズギビジョ、クイタイ、クイタイ。
自身の身体部位ひとつを【桃色の炎を纏った牙を持つ鮫】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD : カワキガ、ノゾミガ、イマ、ミタサレタ!
戦闘中に食べた【水着美女の血肉や水着】の量と質に応じて【水着美女捕食の渇望が満たされ超めっちゃ】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : フメツノホノオ、トイウ、ラシイ。
【激痛と灼熱を伴い自身を回復する桃色の炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【尾鰭に纏う水着美女を喰いたいという渇望の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ゲンジロウ・ヨハンソン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
いろんなカットがあった。
特殊部隊が全滅したり、
サメゾンビウィルス(?)がばらまかれたり、
船が爆発したり、
血みどろの惨劇が起きたり、
どう考えてもまとめきれないシーンばかりが積み上がっていく。
この映像を編集するの誰なんだろう。少なくとも監督ではないよね!
「さあそれではクライマックスデース、巨大サメが船に襲来シマース!
……え? 船爆発した? なんかそのへんはうまく編集シマース!!」
だってこの有様だもんよ!!
ともあれそんなわけで、制作費のn割をかけて作られた超巨大ロボサメが到着!
ロボなので、ユーベルコードを受けても安心だ。スペアもあるぞ!
「皆さんお疲れ様デース、ですが撮影はもう一息! 頑張りまショー!!
ちなみにロケ地として沿岸都市のハイウェイとかも確保してありマース!
今の時代はサメも地上に上がりマース、収録現場変えてもよさそうデース!」
で、またこういうことを言い出す。スタッフたちの目は据わっていた。
「興行収入一位目指して、アァークショッ!!」
無慈悲なカチンコの音が鳴り響く。映画会社の明日はどっちだ。
●プレイング受付期間
2020/08/01 08:30前後まで。
須藤・莉亜
「お酒に夢中になり過ぎて出番を逃したとかはないです」
えーっと、とりあえずあのデッカいサメ殴れば良いの?
動きやすい様に今年の水着に着替えてっと。
原初の血統のUCで吸血鬼化。んでもって、先ずは良い波を探す。だって、今年の僕はサーファーですもん。
波に乗って敵さんに接近。敵さんの攻撃はなんかこう、波乗り的なテクニックっで回避してみよう。今の僕なら出来る、はず。
近くまで寄れたら、全力で殴る。
「これが僕のサーファー魔法(物理)。吸血鬼パンチだー。」
あ、月のお守りで太陽に焼かれるのを防ぐのも忘れずに。
●どう考えてもニュースですっぱ抜かれるやつ
ざざーん……ざざーん……。
海はおだやか、日差しは高く今日も平和な気候だ。
え? ついさっきまで平和って言葉を最大限無視した事態だっただろって?
いや違うんですよ。須藤・莉亜さんの周りは、ひたすら平和だったんです。
「やばい。お酒呑み続けてたらめっちゃ撮影進んでたっぽいこれ」
はっと我に返った(が、言うほど見た目は慌ててない)莉亜は、
ビーチチェアから立ち上がるとくるくる回転、そしてしゅたっと着地。
すると、なぜか2020年水着コンテスト参加Verの衣装に早変わりしていた!
サーフパンツ一丁で髪を結い上げ、代わりに傍らにはお洒落なサーフボード。
細く、けれども男らしいたくましさのある生足が大変クールだ。
……はて? 莉亜さん、ダンピールだから日差しは大丈夫なんでしょうかね?
吸血鬼だからっつーかインドア的な意味で日差しきつそうな白肌ですが。
「えーっと……わーなんだー、あのでっかいサメはー(棒読み)」
お守りの力で日差しをカット(正確には紫外線。つまり美肌効果である)しつつ、
搬入中の巨大メカサメを見上げて、めちゃめちゃ棒読みでなんか言い出した。
よく見ればその瞳は金色に染まっており、なんか妖気が立ち上っている。
いや違うなこれ妖気のほうはエフェクトだな。吸血鬼化ってそうじゃない。
「この海の平和は、原初の吸血鬼である僕が護ってやるぜー(棒読み)」
普段なら絶対言わなさそうな台詞であった。脚本書いたの誰!?
ともあれ、莉亜は傍らに置いてあったかっこいいサーフボードを手に、
たったったっと駆け出す。向かう先はデッキ。そして来るは高波。これは!
「とーう。さあ、ビッグウェーブにライドする時間だぜー(棒読み)」
はたしてやる気があるのかないのかわからんテンションで、デッキからジャンプ!
――ざっぱーん!!
「ふう。なんだかんだ、波に乗ると気持ちいいなあ」
そして莉亜は、心地よい潮風に髪をなびかせサーファーとなった。
ざんざんと高まる大波。もちろんこれは、莉亜が待ち望んだビッグウェーブ。
いくら金をかけても、海の波を自力で起こすことは制作側には不可能だ。
千載一遇のチャンスに乗ってこそ、一流のサーファーということ!
「へいへーい。サメ、へいへーい」
莉亜は、サメの周りを颯爽とぐるぐる周り、手招きしてみせた。
「かかっておいでよ、今年の僕はサーファー。そう簡単には捕まらないよ?」
『シャアーーーーーーークッ!!』
吠えた。サメがいきなり吠えた。えっサメが吠えるって何?
ともあれ、ロボサメはぐわっと大口を開け、莉亜を飲み込もうとする!
「見せてあげるよ、僕のサーファー魔法――吸血鬼、パーンチ」
ま、魔法(物理)!!
莉亜は近づいてきたロボサメを、ドゴァ!! とアッパーカットした!
「シャアアアアーーークッ!!」
ざっぱーん!!
そして高く高く跳ね跳ぶ。水しぶきが舞い、日差しが逆光のシルエットを描く。
この夏。キミも、きっと誰かにとっての特別になれる。
今年はみんなで海に行こう! ○○海水浴場、今年もオープン!
従業員一同、お客様のご来訪をお待ち申し上げております!
(XXXXホーテル♪ という、なんかどっかのホテルのそれっぽいテーマ)
「……えーと。僕の撮影した場面、映画のクライマックスじゃないの?」
撮影後。
動画をチェックしていた莉亜は、監督のほうを見た。
「イエース。もちろん映画で流しマース」
「いやこれ明らかに宣伝」
「制作費のためには必要なことデース!」
「もうちょっとオブラートに包もうよ色々と」
で、結局マジで流されたとか、なんやかや現地の観光客は増えたとかなんとか。
大成功
🔵🔵🔵
秋山・軍犬
色々あったけどそれはそれとして
今は寿司の気分なので
軍犬は沿岸都市の回転寿司屋を訪れていた
竜巻鮫姫(水着)『サーメサメサメ!』
ようこそ、私の店へ!
…いや、戦う気はないでサメ
私の同僚に水着美女喰いたい言ってる危ねー鮫が居てね
もうやってらんないんで
陸で真面目にに生きてこうと回転寿司屋を
やってるんでサメが最近迷惑な客に困ってるサメ
助けて欲しいサメ…
巨大鮫『という訳で迷惑な客です』
じゃあ僕、水着の寿司で、美女の着ていたやつを
さび抜きで…え? いえ僕、まな板に興味ないんで
鮫姫のは…ダイナマイッて感じのやつをお願いします
竜巻鮫姫『殺ちゅ』
この変態鮫をまっとうな寿司で黙らせて健全な寿司の
未来を守れイエーガー!
●一方その頃、って便利すぎて乱用したくないですよね
――一方その頃……。
猟兵たちとサメの戦いがついに繰り広げられていた、その時。
沿岸都市にあるとある回転寿司屋を訪れた秋山・軍犬は、驚愕した!
『サーメサメサメサメ!!』
「えっ誰ですあんた」
『サメサメサメーッ! 私はこの店のオーナー、竜巻鮫姫サメーッ!
あ、ようこそいらっしゃいサメ。まずはこちらおしぼりどうぞサメ』
「どうもっす」
『サメサメサメーッ!(おしぼりを渡したら腰に手を当てて高笑いする)』
妙に律儀な娘であった。そして、この美女も何故か水着であった。
いやまあ、猟兵たちも水着ばかりなんだから水着でも違和感はない。
……ほんとにか? ここもう海離れてんのに?
『と言っても、猟兵。お前と戦うつもりはないサメ』
「いやまあ自分も普通に寿司食べに来ただけっす。とりあえずタマゴ」
『ヨロコンデー! で、だなサメ』
「アッハイ」
タマゴ・スシを握りつつ、竜巻鮫姫とやらは語りだした。
『私の同僚に水着美女喰いたいって言ってるあぶねーサメが居るサメサメ』
「はあ(もぐもぐ)」
『もうやってらんないんで、陸で真面目に生きてこうと店を開いたんですよサメ。
けどこれが、色々大変サメ。特に最近迷惑な客が来ててサメなぁ……』
「語尾いろいろと雑っすね……(もぐもぐ)」
『というわけで、猟兵! お前に助けてほしいサメーッ!』
「脈絡、無っ!?」
番犬は思わず監督のほうを見た。監督は白い歯を光らせてサムズアップしていた。
いやそうじゃねえよみたいな番犬の無言のアピールも届かない。無情。
『シャアアアーーーーーークッ!!』
そこにスライド移動してくる巨大ロボサメ! えっ客ってお前!?
まあこんなでけえのが暴れたら大変である。番犬は身構えた!
『あ、大将。今日は大将の着てる水着寿司が食べたいシャーク!』
な? ほらな? ほらな??? みたいな顔で番犬の方を見る竜巻鮫姫。
番犬は色々悟って頷いた。竜巻鮫姫も頷き、巨大鮫を指差し、頸元で親指をカッてした。
「変態鮫野郎! 自分の寿司でお前を黙らせてやるっすよー!!」
『なんだとてめえこの野郎! 水着寿司がゲテモノだっつーのかこの野郎! シャーク!』
「あんたのすべてがゲテモノっすよ!! さあ、調理開始っす!」
カメラ目線でキメっ! 背後で歓声! スタジオが真っ二つに割れる!
特設大型調理場と、戦いを見守る観客たちの熱い眼差し……!
はたして番犬はまともな寿司をおみまいできるのか? 刮目せよ!
(サメェ、ヴァーサス、スシイェイガァ、カミンスーン)
そんな感じで、かっこいいエンディング(?)の撮影は終わったのだった。
……これ、どう考えても続編出ないパターンの繋げ方では!?
大成功
🔵🔵🔵
ウーナ・グノーメ
連携・アドリブ◎
「……。そして案の定、最後はサメなのです」
ほとんど常に無表情な彼女が、現状のナンセンスさに珍しく眉をひそめる。
「ともあれ、本気で挑むという言葉に二言はないのです。多分」
妖精は真剣に立ち向かうのだ。
例えそれが、巨大サメロボットという頭が痛くなりそうな相手であっても。
「サメの牙と大地の牙、どちらが鋭いか試してやるのです……牙を剥け!」
空中に一斉に浮かべられた鋭利な砂岩が、妖精の指示一つで数百発の弾丸となって飛翔する。
まるで怪獣に向かって放たれるミサイルの如し。
「やったか!?……なのです」
そして妖精は、見せ場のために敵を復活させる魔法の呪文を唱え、残りを後の者へと託すのであった。
レパル・リオン
◆赤いものが飛び散る◆
遂にラストバトル!真の姿に変身!
虹色の炎を振りまき、青空を飛びながら戦うわ!
サメの噛みつきやヒレを超ギリギリで避け、逆にサメを掴む!
そして空を飛んで、急降下!強烈なアラバマオトシ!誰を?サメを!
でも倒したと思ったら…サメに食べられるあたし!飛び散る血!溢れる絶望!
…うおおおおおお!サメの中からあたしの声が響く!
うおおおおりゃああああ!!!サメを殴打し脱出!
そのまま空中にサメを蹴り飛ばす!
そしてトドメのマジカル波(爆裂魂砲)!
虹色ビーム!サメ大爆発!ヤッター!
◆逆転大勝利◆
●巨大ロボサメ大爆発! 希望の勝利へレディー・ゴー!!
「トアーッ!!」
『シャアアアーク!!』
「タアーッ!!」
『シャアアアーク!!』
「デャーッ!!」
『シャアアアーク!!』
レパル・リオンと巨大ロボサメは、さながらどこぞの光の巨人よろしく、
実にドラマチックなカメラワークでプロレス戦闘を繰り広げていた。
だが巨大ロボサメは、強い。レパルの胸元のカラータイマーが赤く鳴り響く!
……いやないなそんなの。とりあえず、がくりと膝を突いた(デッキに)
「くっ、やるわね巨大ロ……サメ! これまでとは一味違うわ……!」
「……やはりサメ。案の定、最後はサメなのですね」
その戦いを見守っていたウーナ・グノーメは、珍しく眉根を寄せた。
仮面めいた無表情で知られるウーナが、こんな渋面を浮かべるとは。
それだけ敵は強大なのだ。おお、恐るべし巨大サメ!
え? ただ単に雑なサメ推しに呆れてるだけじゃねえのかって?
そんなわけないじゃん! だってサメは全世界誰もが大好きデース!
「ナンセンスなのです。脈絡がまったくないのです。あと統一性も」
「(小声で)ウーナちゃん、撮影中! 撮影中だからいま!」
そんなことあったわ。バリバリ呆れてたわウーナさん!
「……ウーナちゃん! あたしひとりの力では、奴に勝てそうにないわ。
どうかあなたの力を貸してほしいの。あたしと一緒に、戦ってくれる?」
「あ、そういうアドリブなのですね」
「(小声で)ウーナちゃん、撮影中! 撮影中だからいま!!」
ウーナはやれやれとため息をつき、うん、と頷いた。
「本気で(撮影に)挑むという言葉に二言はないのですよ、レパル」
「……! そうこなくっちゃ! あなたの力があれば百人力よ!」
「わたしもレパルも人間ではなくフェアリーとキマイラなのです」
「言葉の綾だから!! 色々台無しだから!!」
めっ! ウーナちゃん、めっ! とカメラに見えない角度で叱るレパル。
ウーナは特に気にしたそぶりもなく、レパルと並んでサメを見上げた。
巨大サメである。巨大な、サメの、ロボットである。
……頭が痛くなってくる文字列だが、残念ながらこれが現実なのだ。
事実は小説よりも奇なり。うーん、昔の人はいいことを言いますね。
「頼れる仲間の力を借りて! いま! あたしのなかで虹色ソウルが燃え上がる!!」
両手を握りしめて腰だめに構え、レパルは力んだ。
「はあああああ……!! とうっ!!」
そしてジャンプ! カメラがいい感じのカメラワークでその姿を映し出す!
虹色の炎がその身を包み、着地したレパルの姿は一変していた!
「レインボー大変身!! 魔法猟兵イェーガー☆レパル……そして!」
「…………」
「……そ、そして!(カメラに決め顔したあともう一度ウーナを見る)」
「………………?」
「そ、そ! し!! て!!!(わかるでしょウーナちゃんみたいな目線)」
「……ああ。フェアリー猟兵ウーナ、相手をしてやるのです」
虚無感にぼんやり遠い目をしていたウーナは、いまさらポーズを取った。
ややシュールな間があったがとにかくヨシ! エフェクトもばっちりだ!
『シャアアアアーーークッ!!』
巨大ロボサメは、待っていましたとばかりに牙をむき出しにした!
「そうはさせないわ! とうっ!!」
レパルがジャンプ! 虹色の炎を纏ったキックを鼻っ面に叩き込む!
『シャアアアアーーークッ!?』
「サメはシャークとは鳴かないのです」
「ウーナちゃん! 追撃、追撃!!」
「それもそうだったのです」
ウーナの髪がふわりとたなびき、彼女を中心に魔力の波動がほとばしる。
そしてめきめきと音を立てて、海底深くから浮かび上がる無数の砂岩!
「たとえ海でもそこに大地はあるのです。ならば、ここはわたしの領域」
(かっこいいわ! その調子よウーナちゃん!)
「サメの牙と大地の牙、どちらが鋭いか試してやるのです――牙を! 剥け!!」 無数の砂岩は氷柱めいて鋭い円錐状に変形し、ミサイルのように殺到!
『シャアアアーーークッ!!』
「隙を見せたわね、巨大サメ! もらったわ!!」
レパルは巨大ロボサメの胴をベアバッグ(というか抱きついた)すると、
海面を蹴った! ミサイル攻撃で怯んだロボサメは脱出出来ない!
『シャアアアーーークッ!?』
「イイイイイイイ、ヤァーーーーーーッ!!」
ゴ、ゴウランガ! 見よ! あれこそは暗黒カラテ技、アラバマオトシ!!
バッシャーン!! と派手な水しぶきがあがる。これは勝負あったか!?
「やったか!? なのです」
「それフラグだからウーナちゃん! はっ!?」
水柱から出てきたレパルはウーナに突っ込んだ、そして振り返る!
倒したと思われた巨大ロボサメが、レパルの体を飲み込んだ!
「ウーナちゃーーーーーーん!!」
「レパルー(あんまり抑揚のない叫び)」
「もうちょっと迫真のシャウトが欲しいわウーナちゃーーーーん……」
伸ばした手も届かず、レパルは姿を消した。飛び散る大量の、血!
えっこれ少女キマイラの血としては多すぎねえ? って量の血であった。
でもほら、スプラッタ系の映画とかそういう派手なのよくあるよね。
「……よくも、よくもレパルを……」
ウーナは拳を握りしめ、わなわなと震わせた。
『シャークックック!(特別翻訳:きたねえ花火だぜ!)』
「レパルのことか……レパルのことかーっ!! なのですーっ!!」
ウーナはさらに大量の砂岩ミサイルを放つ! だが巨大ロボサメは弾く!
もはや万事休すか……その時!!
「……おおおお……」
「……はっ。こ、この声は」
ウーナは気付いた。サメの腹の中から聞き慣れた声がすることに。
「……うおおおおお……」
「レパル……レパルなのですね? レパルー(やっぱり抑揚のない叫び)」
「うおおおおりゃああああああああああ!!」
SMAAAAAAAAAAAAASH!!
『シャアアアアーグッ!?』
レパルはサメの顎を内側から殴り飛ばし、脱出したのだ!
そして颯爽と空中の飛び上がり、くるくると回転して太陽を背にした!
「いくわよ、巨大サメ! いま必殺の――マジカル爆裂魂砲キックパンチー!!」
テンションの上がったレパルは、なんかもう一気に攻撃を叩き込んだ。
キックしながらパッチってなんじゃい! と思うが、まあそこはそれ。
「ここが盛り上げどころなのです。その牙を叩き折ってやるですよ!」
ウーナもまた、超巨大砂岩ミサイルを……巨大ロボサメに! 叩きつけた!
『シャッ!? シャ、シャ……シャーーーーーーーークッ!!』
虹色の奔流に呑まれ……巨大ロボサメは、ついに爆発したのだ……!
スタッ。デッキに降り立つレパル。
「ふう……危なかったわ。でも、ウーナちゃんが名前を呼んでくれたおかげで」
「……やったか!? なのです!」
「えっちょっとウーナちゃん? いまこれ逆転勝利してかっこよくえっあっ」
締めに入っていたレパル。ウーナはなんか海面に魔法を送り込んでいた。
「えっそれなに!?」
「サメを復活させる魔法なのです」
「サメを復活させる魔法!?!?!?!?」
なんだその限定的な用途の呪文。英語の超マイナーな単語かなんかか?
「ほら、見せ場はまだ必要ですし。再利用は大事なのです」
「いやいやいや! あたしのかっこいいとどめ! ねえ!?
……ちょっと監督!? 何「その手があったか」みたいな顔してるの!?
えっいや今撮影したあたしの超かっこいいキメは!? ねえ!? ねえー!!」
「レパル」
「う、ウーナちゃん……」
ウーナはレパルの肩に手を置き、無表情で言った。
「ヒーローの戦いは、いつまでも続くのですよ。悪が絶えない限り」
「かっこいいこと言ってるけど、何もかも台無しよーーーーーっ!!」
夕焼けの海に、レパルの悲鳴が響き渡ったのであった。
ちゃんちゃん!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
銀山・昭平
巨大な怪物との戦いは映画のクライマックスとも言えるシーンだべ!ならかっこよく戦ってやるべな!
というわけでさっきのシーンから引き続き、【アースジャイアント】(ビキニパンツのハゲマッチョ)と共にアピールしながら戦う感じだべ。
少し前にキマイラフューチャーで参加したゲームショウのイベントでやらせてもらったエクエクのボス戦みたいに、【武器改造】と【メカニック】で改造した銛をサメにぶっ刺して引き寄せ、背中に乗ってボコボコにブン殴ってやるべ!
このままアースジャイアントと二人で突っ張りの連打でサメもひとたまりも……こいつ相当硬いベ!
ぐわぁーッ! あとは皆に任せたべ!(そのままいい具合にやられて退場)
カタリナ・エスペランサ
えーと、これ最後は取捨選択して90分の映画一本に纏めるんだよね?
…うん、正直それどころじゃなくなってるのは分かってた!
きし麺食べたいなぁ…(現実逃避
ともかく泣いても笑ってもクライマックスだね! 派手にやろう派手に!
使うUCは【鏡鳴召喚】、ペンダントに映したアタシ自身を複製して増やすよ
分身それぞれに雷、炎、水、風なんかの《属性攻撃》を纏わせ《早業+怪力》のスピードとパワーを全開にして見栄え重視でサメに突っ込ませる
この際動きの精度は度外視だ! 分身だから食べられても安心だね!
相手は食べた分だけ強くなるらしいけど、分身の数が減ればアタシも一体あたりの制御に集中できるようになるし何とかなるさ! 多分!
シャルロッテ・ヴェイロン
(【狂気耐性】がなければ多分死んでいた。ていうか何度死んでもおかしくないような狂気の沙汰だったけどね!)
――よし、殲滅しましょう。
(ここで【限界突破】!真の姿開放!(この時の彼女はほぼ全裸となるが、うまい具合に局部を覆う(【物を隠す】)エフェクト付きなので実際健全))
で、【指定UC】でサメを攻撃!【先制攻撃・誘導弾・2回攻撃・一斉発射・制圧射撃・鎧無視攻撃】
ついでに流れ弾を装ってクソ監督を攻撃!(ぉぃ)
さらにこの期に及んでバカやってる連中も攻撃!
勢いあまって撮影済みのフィルムも攻撃!(ぇ)
もう開き直って一切合切大破壊!!
――ところで公開できるかって?…ぁ。
※アドリブ・連携歓迎
夜霞・刃櫻
【アドリブ・連係歓迎】POW
いやぁ、カオスでやんすなー!
カオスは三下の好物っす、キバっていくっすよー!!
まずは水着美女に変身だ!なんかガスマスク付けてるけどそこはご愛敬
UC【夜霞の警笛】で霞の特性を得て物理無効しながら巨大サメの胃袋へ突撃!
ロボだから胃袋とかない?いやいやそこまで再現してるでしょ、金掛けてるんだから
そして必殺・一寸○師またはピノキ○作戦!お腹の中で大暴れ!
『エッジ』で刺突!『ランチャー』で爆破!
巨大エネミーは内側から攻めるのが定石!
大暴れしてやる!
え?それゲームの中だけ?
失敗したら……まぁ失敗してもウケは良いんじゃない?
知らんけど。
●多分4倍速ぐらいで再生して90分って言い張るんだと思う
……カタリナ・エスペランサは、思った。
何の脈絡もない突飛なシーンの数々、
誰がどう見てもガバガバな戦い、
アドリブっつーかそもそも真っ白な脚本、
船が爆発したい爆発してなかったり矛盾した構成、
……そしてなにより、監督がフィルム回しすぎ問題!
「これ、最後は取捨選択して90分の映画一本にまとめるんだよね……?」
「気にしたら負けです。まともに考えると狂気にやられますよ」
「いやこれ普通(?)の映画撮影……」
だがカタリナは、シャルロッテ・ヴェイロンの言葉を否定できなかった。
危なかった。一応狂気耐性1取ってなかったらヤバかったわこれマジで。
シャルロッテのほうは12ある。なので、彼女も大丈夫だった。
そもそも難易度:やや易のシナリオで技能が必要になるってなんだろうね!
多分世のクソ映画も、こういう地獄の底みたいな状況から生まれたんだと思う。
「というわけなので、殲滅しましょう」
「えっ」
あれっ? シャルロッテはやっぱり狂気でアレになっちゃったかな?
カタリナは思わず少女の顔を二度見した。シャルロッテはマジ顔であった。
「あ、あれかな? こう、サメを殲滅する、的な……?」
「いえ? 監督をですが?」
「えっ(二度目)」
唐突かつあまりにも"マジ"な殺害宣言にカタリナも喉がヒュッてなった。
シャルロッテはマジであった。割と他の猟兵も殺意ギンギンであった。
いやほんと監督攻撃したがる猟兵多すぎんよ! テロリストかお前ら!!
……まあ自業自得だと思うけどね!! 面白いから採用ね!!
そうやって監督がアドリブ積み上げてたんだから仕方ないよね!(逃げ)
「サメごと全員ふっとばしてやるのです……ブツブツ……」
「よ、よーし。泣いても笑ってもクライマックス、がんばるぞー」
カタリナはどんどんヤバい目つきになるシャルロッテから目をそらした。
そうだ、自分は撮影に来たんだ。なんかもう水着の恥じらいとかどうでもいい。
っつーか羞恥心がどうこうとか言ってらんねえ状況だわこれ。
「…………きしめん、食べたいなあ…………」
味噌煮込み風でね。ずるるっとね。
去年の暮れに食べた美味しいうどんを思い出し、遠い目をするカタリナだった。
まあそんなわけで、どう考えても破綻するシーンの撮影が始まった。
なんか、巨大ロボサメはサメを復活させる魔法(???)で蘇ったらしい。
せっかくなんで巨大ロボアンデッドサメになんだってさ。なにそれ?
「アァークショッ!!」
カチーン。監督の声が張り切ってんのがまたムカつきますねえ!
で、トップバッターとして名乗りを上げたのは、褌一丁の銀山・昭平である。
「おのれ巨大ロボアンデッドサメ、何度も蘇るとは厄介だべさ!!
水着美女は食わせたりしねえべ。この海はおらたちが守るッ!!(どんっ!!)」
なんかひとつなぎの財宝とか追いかけそうな感じのキメカットである。
しかしそこで昭平ははっと何かに気づき、急にささっと自分の体を隠した。
隣にそびえる、巨大なアースジャイアント(ビキニパンツ)も同じポーズだ。
えっ何? ムキムキドワーフがくねくねするの怖いんだけど?
「ま、まさか……!!」
『シャーク……?(※巨大ロボアンデッドサメの鳴き声)』
「まさか……水着美女ってことはつまり! おらのことも……!?」
ん? もしかして撮影が長引きすぎて頭がパーになったのかな?
だが昭平はマジ顔であった。猟兵のほうにもだいぶ狂気が蔓延っている。
「よく考えたらさっきのザウルスマンも一部目がギラギラしてたべさ!
きっとおらたちを乱暴するんだべ! 薄い本みたいに! 薄い本みたいに!!」
『シャーーーーーーーーーーーーーーーク!!(特別意訳:しねーーーよ!!)』
「「グワーッ!?」」
怒りの巨大ロボアンデッドサメの体当たり! 豪華客船ががくんと揺れた!
で、昭平とアースジャイアントはロケット砲みたいに吹っ飛ばされた。
「お、おら、いま飛んでるべ……!! 鳥か!? 鳥になったべか!?」
空中でしゃかしゃか平泳ぎする昭平。昭和から来た方かな?
昭平だけに昭和から、ってね。
……昭平だけに昭和から、ってね!!
話を続けよう。
「けど、そうはいかねえべさーっ!!」
昭平はやおら巨大な銛を取り出し、空中で身をひねり投擲した!
いつかのトンチキゲーム会場でやったあの時のように……!
ん? どこから銛取り出したんだ? まあ猟兵そういうことあるよね。
『シャーク!?』
「いくべ! うおおおおおっ!!」
銛は巨大ロボアンデッドサメの背中に突き刺さり、昭平はそこを伝って接近。
そしてアースジャイアントとともに、猛烈な突っ張りを連打した!
「うおーっ、相撲っす! 巨大サメVSドワーフの大相撲でやんす!
これは千秋楽でも見れない大一番でやんすよ! すごいでやんすね!?」
「えっ、あ、ああ、そう、だね……?」
スタンバイしていた夜霞・刃櫻の妙なはしゃぎっぷりに若干ヒくカタリナ。
なにより怪訝に感じたのは、刃櫻の珍妙な格好であった。
彼女はガスマスクを被ったまま、首から下だけ水着になっていたのだ。
うんまあ、水着、美女……? に、カテゴライズ出来る、の、か……?
美女の概念がようわからんなってきた。まあ猟兵そういうことあるよね。
「やっぱりカオス! カオスはすべてを解決するっす!!
そこにサメを足せばもう無敵っすよ! 属性は乗せてナンボでやんす!!」
「そういうことをやってるからこの狂気のありさまなのですよ(圧)」
「ヒェッ」
完全に瞳孔が開いたシャルロッテの殺気にビビり散らす刃櫻であった。
ところで、カメラをサメのほうに戻そう。
「フンフンフンフン!!」
男たちはひたすらつっぱりを連打していた……が!
「こ、こいつ相当硬いべ! まるで鋼みてえだ!」
「ロボなんだからそりゃ当たり前だよ!?(カタリナ)」
「しかもダメージが効いてねえべ! 一体死人か何かだべか!?」
「さっきアンデッド属性自分で言及してたでやんすよね!?(刃櫻)」
「グ、グワーッ!!」
あーっと昭平くん(38歳子持ち)、吹っ飛ばされたー!!
「お、おらたちはもうここまでだべ、あとは……任すべ……!!」
「……よし。戦おう。ダメージが全然ない感じがするのは忘れよう!」
カタリナは色々飲み込んだ。そして首にかけたペンダントを外す。
宝石がきらりと太陽を反射し、麗しいカタリナの顔を映し出した。
すると見よ。いくつも映ったカタリナ自身が、分身として現れたのだ!
「さあアタシの分身たちよ、サメを足止めしてくれ!」
様々な属性を付与された分身たちが、水着姿で巨大ロボアンデッドサメに挑む。
狂乱したサメは、分身を次々に食いちぎる! 食いちぎる! 食いちぎる!
「ギャース!?」
「ってキミ、なんでアタシの分身に混じってるのさー!?」
なぜか分身に紛れて突っ込んでいた刃櫻、思いっきり食われていた!
ダメージそのものは、肉体を霞に変えてしまうことで無効化しているのだが、
いやそもそもすり抜けてる気がするが、なんでか牙に引っかかってもがいていた。
「だ、だってあっし、三下でやんすから……!!」
「理由になってないよ!?」
「けどあっしには策があるでやんす! あっしに構わずやれーでやんすーッ!!」
「わかったです。では遠慮なく」
「「えっ」」
シャルロッテは顔を上げた。目がマジになっていた。
そんな彼女はなんかこうサイバーでそこはかとなくプリティな光を纏う。
光の中で少女は裸身に変わり(危ないところは隠されてるので青少年のなんかは守られた)、一瞬にして真の姿を開放した!
「ふざけたサメも」
『シャーク?』
「ふざけた監督も」
「ワッツ?」
「この期に及んでバカやってる連中も!!」
「「「えっ!?(スタッフの皆さん)」」」
「全員! ふっとばしてやるですよーーーーーーーーーっっ!!」
――ドドドドドドドドドドッ!!
なんかこうフルバースト! って感じで全方位に撒き散らされるカラフルビーム!
『シャーーーークッ!?』
サメに着弾!
「ホワーーーーッ!? アバーッ!!」
監督に着弾!(命に別状はないのでごあんしんください)
「「「アイエエエエ!?」」」
ついでにスタッフの皆さんにも着弾! 地獄絵図!!
「なんで? ねえなんで!? せっかく最後だったのに!!」
カタリナは慌てて残っている分身をあちこちに展開してビームを防御。
「クライマックスなんだよ!? 終わるんだってもうすこし頑張れば!
それで美味しいもの食べようよきしめんとかさ! アタシ作るよ!?」
「ヒャアもう我慢できねえ全部吹き飛ばすですよーっ!!」
「最後の最後に自分で狂気のトリガー引くのおかしいだろう!?!?!?」
「うおおおおあっしがサメをぶっ倒してやるでやんすー!!」
「この状況でそっちの撮影も続けるのー!?」
乱舞するビーム。頑張る分身たち。逃げ惑う監督とスタッフたち。
そして体内に潜り込まれ、内側から攻撃を喰らい悶絶する巨大ロボアンデッドサメ。
なお、かなり迫真でスペクタクルな映像が撮れるはず……なのだが、
なんかもう色々パーになっちゃったシャルロッテのビームで全部台無しだ。
「……もう、映画はこりごりだよ……」
カタリナは阿鼻叫喚のるつぼのなか、空を見上げて呟いた。
なぜか海なのにカーカー鴉の声がする。カタリナはくわっと目を見開いた。
「もう!! 映画なんて!!! こりごりだよーーーーーーっ!!!!」
そんな彼女にアイリスアウト(黒く画面が丸くなるアレだよ)して、映像は終わる。
ちゃんちゃん!(何もまとまってない気がするがごあんしんください)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
露木・鬼燈
サメ…だと…!?
シャチ推しの僕に対してこの仕打ち。
仲間のサメは許せても敵のサメは許せないっ!
全力で潰すっぽい!
だからみんな…シャチを崇めよ!
時代はサメよりシャチ。
海の真の王者はシャチだから。
僕のシャチがサメなんかに負けるわけがない!
秘伝忍法<忍鯱>
呼び出された85匹のシャチによる一斉射撃。
途切れることのない弾幕で行動させずに倒す。
特殊な力があろうが発揮させなければ脅威足りえないのです。
シャチのように優れた知性が導き出した必勝の型。
捕食されるはずだった水着美女さんたち。
褒めてくれてもいいんですよ?
そしてシャチを好きになるのです。
きゅーとで賢く頼りになるシャチを崇めるっぽい!
●魚類最強はシャチってよく言われますよね
「サメ……だ、と……!?」
ウィーンシャーク、ウィーンシャークって音させながら動く巨大ロボアンデッドサメ。
……巨大ロボアンデッドサメってなんだって? 誰もわかんないと思う。
まあともあれ、その巨体を見て露木・鬼燈は拳をわなわなと震わせた。
「シャチ推しの僕に対してこの仕打ち……赦せない!!」
なんか妙なところで導火線に火が点いていた。シャチ推し、とは……?
「時代はサメよりシャチ! 海の真の王者はサメなのですよ!?
許せないのです……こうなったら全力で潰すしか無いっぽい!!」
もちろんこれは撮影中なので、おそらく鬼燈のは演技なのだが、
あまりにも彼にしては声音に情感がこもっていた。たぶんガチなやつだこれ。
「そもそもどうしてサメがもてはやされてるのか僕にはわからないのですよ!
いやまあ、味方のサメは許すけど! 敵のサメは特にブサイクっぽい!」
ええっ!? と、巨大ロボサメを作ったスタッフさんが嘆いていた。
それはともかく、鬼燈的にはシャチのほうがかっこいいらしい。
「常に口半開きで泳いでるところとかだらしないし、色が地味なんだよね。
対してシャチは色が黒と白のツーパターンでかっこいいしなによりデカい!
あと骨格とか見ると普通に怪獣か何かと思うし、仲間同士で狩りをするとか」
「(小声のAD)あ、あの猟兵さん、それはいいので攻撃を……!」
「はっ! しまったしまった、ついシャチへの思いが溢れたのです」
早口でシャチ語りをしていた鬼燈は、ようやく我に返った。
そして一瞬で複雑な口寄せの印を組み、忍獣を召喚する!
「さあ来い、僕が訓練した――自慢の忍鯱たちよ!!」
ぼわん。
現れたのは、なんと八十五匹もの巨大シャチ軍団……!
シャチ多すぎないですか? カメラに映りきるんですかねこれ。
しかもそのシャチ軍団は、めちゃくちゃサイバーな強化外骨格装備だ!
「ぜんたーい、構え! 撃てーっ!!」
ドゥルルルルルルルル!!(銃身が回転する音)
電磁加速砲射出! 射出!! 射出!!!
『シャアーーーーーーーク!?』
軍隊もかくやの飽和攻撃を受け、巨大ロボアンデッドサメは悶え苦しんだ!
「これこそシャチのように優れた知性から導き出した必勝の型、なのです。
さあ、これをご覧のみなさんも! きゅーとで賢く頼りになるシャチを崇めるっぽい!」
カメラに食いつき、未来の視聴者に強くアピールしていく鬼燈。
結局これが縁で、水族館でPRイベントが行われたりしたとか。
大成功
🔵🔵🔵
狭筵・桜人
私は戦うことをやめました。
何故ならてんやわんやで未だ豪華客船のご馳走に
ありつけていないことに気付いたからです。冷静になったとも言います。
以前の私であれば利益を深追いしては百兎を追い一兎も得ずに
疲労だけを拾っていたことでしょう。疲労だけにね。
しかし私も成長しました。育ちざかりなので伸び代だらけだし。
まあもとより引き際をよ~く心得ていますからねえ。
美味しいご馳走を食べながら猟兵とサメのなんやかんやを見守ろうと思……
船爆発した?聞いてないです。
ご馳走は残ってますよね?何ならもうロケ弁とかでもいいので……。
サメ来た?ユーベルコード?準備してないので監督を食わせます。
オマエが餌になるんだよ。
エスターテ・アレグレット
あー、サメってなんだっけ…?
めっちゃメカだし、海じゃないとこ泳いで(?)るし
なんでもアリすぎないか?
つか、今更だけどどんなストーリーなんだこれ
いや、ストーリーあるのかこれ
……こうなんでもありなら、僕が急に料理とかしても大丈夫なんすかね
やってみよう
こんな状況だし、お手軽なものにしとくか
材料とかなんとかしてくれるだろ、たぶん、きっと
①トマトを切ります
②チーズを切ります
③トマトとチーズを交互に盛り付けます
④塩胡椒を混ぜたオリーブオイルをかけます
はい、カプレーゼの完成っす。
さあ、いかがっすかぁ~?
まあ別に食べてもらわなくても結構ですけど、その代わり遅くなってもらいよ(UC【愛情をもって】)
刑部・理寿乃
特殊部隊を倒した私ですが、サメの前になす術なく倒されそうになります
屈強な真の姿の私が呆気なくやられた伏線回収
しかし、ユーベルコードを発動させ、サメの開発者を召喚します
(ちゃんと話は通してあります)
『アレを創った責任を果たさねば』と視聴者にも開発者アピールして
後は開発者がどう戦うか……そうだ!
変わったバックルのベルトをつけて、変身させればよいのでは?
こーライダースーツにプロテクターつけて、顔を覆うマスクつけて
アクションの方はユーベルコードのおかげで私以上に動けるはずだから大丈夫でしょ
グッズ販売も出来ていいじゃないかな?
決め台詞『ショータイムだ』みたいな?
ところであのサメの美女への殺意は一体?
夏目・晴夜
魚の肉も美味いですよね
召喚した霊どもに捌かせましょうか
はい、各自両手に刺身包丁を持って、捌いて、盛り付けてください
ハレルヤはとても心が広くて寛大ですからね
一番綺麗に盛り付けられた霊は解放してあげるなんて事はしないですけど、その代わりに他の皆様にも刺身をわけてあげますよ
あれ、ロボット…ああ!そういや映画の撮影でしたね
ならば霊どもに刺身包丁で滅多刺しにしてもらいます
興行収入一位を目指すには過激なエンターテインメントは欠かせませんからね
このハレルヤの至高のビジュアルと相まって、まるで極楽浄土の光景のような神々しさでしょう
死後にしか見れないはずの天国の景色が見られる映画として大ヒット間違いなしですよ!
●料理要素があればなんか売れマース、と監督は言った
「うわー!(棒読み)」
だいーぶテンションゆるゆるな感じで吹っ飛ばされる、刑部・理寿乃。
対する相手は巨大ロボアンデッドサメ。巨大ロボアンデッドサメってなんだ?
それは、サメを復活させる呪文によって死の淵から蘇ったロボサメなのだ!
「くっ、ザウルスマン特殊部隊を倒した私すらここまで手こずるとは……!」
「いやそもそも、あれはサメって呼んでいいんすかね……?」
戦いを見守っていたエスターテ・アレグレットは、ついツッコミを入れた。
なにせこの巨大ロボアンデッドサメときたら、空中を当然のように泳ぐし、
『シャアアアーーーーーク!!』
と、鳴くのである。そもそもサメが鳴くってなんだよ。
「それは常識に囚われているというほかありませんね。なにせ相手はサメ。
昨今、サメと言えば台風になったり幽霊になったりタコと合体するのですよ」
「ありとあらゆるオブリビオンより理解し難い存在じゃないっすか!!」
「だからこそ、ここで倒さなければいけないんです……!」
「サメっていったいなんだっけ……?」
エスターテは遠い目をした。この映画、本当に大丈夫なのか?
しかし安心してほしい。そんな疑問はとっくにみんな抱えている!!
何も安心できねえなこれ。なんでこんな企画動いちゃったんでしょうね。
ここでさりげなく、過去の映像(具体的に言うと第一章の)が流れる。
とても屈強な姿をした猟兵が、為すすべもなくサメに飲み込まれていく映像だ。
実はこれは、いまは女性の姿をした理寿乃の真の姿だったりするのだが、
この巨大ロボアンデッドサメがいかに強いかを演出する伏線だったのである。
理寿乃はくっ、と歯噛みした。すでに犠牲者が出ていたとは……!
この映画とは思えぬほどちゃんとした伏線である。
「こうなったら、もはや手はひとつしかありませんね」
「えっ? 何かいいアイデアがあるんすか?」
「ええ、それは――」
「バラすんですよね!」
「「は?」」
いきなり口を挟んできた美少年……夏目・晴夜をきょとんと見るふたり。
「ですから、バラすんですよ。あれだけデカいサメならこのハレルヤも満足です。
動物肉もいいですが、海の幸も美味しいですからねえ……ほらあのフカヒレとか」
「……いや、あれロボサメっつーか、そもそもプロップであって生物じゃ」
「そういうわけなので、ここはハレルヤにお任せください」
エスターテのツッコミを当然のようにスルーしつつ、晴夜は言った。
そして彼が禍々しい妖刀をぶおん、と一振りすると、無数の亡霊が召喚される。
悪しき魂を持つ呪われた亡霊たち…………の、はずなんだが、
なんか顔つきはどちらかというとブラック企業で絞られるサラリーマンだし、
しかも怨念まみれの亡霊が持っているのは包丁であった。……なんで?
「さあ亡霊の皆さん。その刺身包丁で刺して捌いて、綺麗に盛り付けてください」
「だからあれロボっすよ!?(エスターテ)」
「一番綺麗に盛り付けられた霊は解放してあげ……るなんてことは特にないですけど」
「しないんですね……(理寿乃)」
「その代わり他の皆様にも刺身を分けてあげます」
「いまお刺身の話しました!?!?!?」
そこにキキーッ! と派手に駆け込んできたのは、狭筵・桜人であった。
なにやら胸元には紙エプロンをかけており、両手にはフォークとナイフ。
これでオーバーオールを着てたら食いしん坊のデブみたいな小物である。
いや、彼自身は(自称してるあたりが実に不遜だけど)美形の少年なのだが。
「もう聞いてくださいよ、なんか食堂が使えないとかで食事摂れないんですよ!」
「そりゃそうです、だってこのハレルヤもせっかくの肉を台無しにされましたから」
「えっそうなんですか……おかしいじゃないですか私が間違っていたと……?」
もう色々面倒なことはうっちゃって、のんびりご馳走を愉しもうと考えた桜人。
だが彼はあまりにもスロウリィだった。だって日常シーンは一章でやってるもの!
「……思い出したらむかっ腹が立ってきましたね。あのサメはとことん解体したい」
「えっなんですかこの人怖っ」
そして、思い出し怒りで目をギラギラさせる晴夜にドン引きした。
「と、とにかくですよ! 私は育ち盛りで伸び代だらけの若者なんです!
お刺身が食べたいので早くお願いします! あっフカヒレとキャビアも」
「だそうですよ。それじゃあ亡霊の各自、せいぜい働いてくださいね」
ぎゃーぎゃー喚く桜人を完全スルーしつつ、晴夜が号令をかけた。
亡霊たちは手に持った刺身包丁を、次々に巨大ロボアンデッドサメに突き刺す!
……あれ? 刺さんない。がちんがちんって弾かれる。
『シャアアアアーーック!! ロボシャーーーーーック!!』
「は? なんですかこれ。まさか……ロボだったんですかこいつ」
「だから、さっきからずっとそうやって指摘してたじゃないっすか!?」
いまさら気付いた晴夜に、エスターテの渾身のツッコミが炸裂した。
晴夜はチッと舌打ちした。桜人は飯を喰えないらしいことに愕然としている。
「わ、私のご馳走……!」
「わかったっす、もうこうなったら僕が用意するっすよ」
「えっほんとですか!? いやあ美形だと得しますねえ!」
「いや顔は関係ないっすけどね。もうなんでもありかなって」
桜人のナルシスト的な台詞を完全スルーしつつ、エスターテは調理場へ。
ワイプ画面でエスターテの調理風景が(なぜか)リアルタイム放映される。
「……まあいいでしょう。どのみちサメは殺すんでめった刺しにしてください」
晴夜はものすげえ顔で言った。亡霊たちは慌てて包丁を突き刺しまくる。
だがそう簡単にロボの装甲は通らない! そこで、理寿乃が言った!
「召喚成功です。この事態を解決できるであろう人材を連れてきました」
「いたんですかそんな人!? ……ってただのおじいさんじゃないですか!」
桜人は目を疑った。こ、ここにきて新キャストだと!?
それは白衣を着た、いかにも博士~って感じのおじいさんだったのである。
「ワシは……ワシはサメツクッター博士。あのロボサメはワシが作った!」
「つまり諸悪の根源じゃないですか(桜人)」
「バラします?(晴夜)」
「バラすな!! ワシは、アレを作った責任を果たさねばならぬのだ……!」
シリアスな顔でそう言った博士、なぜか腰に妙なベルトを装着した。
そして妙な形のバックルに手をかざすと、シャバダバヘンシ~ン!! というクソやかましい音声が流れ始める。なんだこれ?
「どこの子供向け特撮ですかこの装備! 雰囲気変わりすぎですよ!」
「これなら自然かなあと、私が用意してみました」
「あなたの仕業です!? 話どんどんこじれてるじゃないですか!!!」
てへぺろ、みたいな顔をする理寿乃にドン引きの桜人である。
なお、ワイプ画面のほうでは、エスターテが調理を終えていた。
「というわけで持ってきたっすよ~、カプレーゼ」
「ほんとに料理出てきましたね!? いや食べますけどありがとうございます!」
『シャーーーーーーーーック!!』
「さあサメツクール博士、そのスーツで悪を倒してください。かっこよく」
「ここからがワシのショータイムだ!(ポーズ)」
「どうしました霊ども。さっさとバラバラにしてくださいよほら早く。
この超美形のハレルヤと残虐ファイトを併撮することで興行収入アップですよ!」
吠えるサメ、
群がる亡霊、
どんどん出てくるエスターテの料理、
もりもり食べて食レポする桜人、
なぜかヒーローになる博士、
ライトを振って応援する理寿乃、
いちいちカメラの前でキメ顔をする晴夜、
吠えるサメ、
ご馳走、
スプラッタ、
食レポ……。
「……あの、監督。これ誰が編集するんですか?」
「あなたデース!!」
「えっ」
さすがに不安になってきたディレクターは、監督の台詞に固まった。
彼の徹夜は確定した。でもこれが、映画撮影なのよね……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
暗黒虚無神・パラミトログル
神は言った……(※神)
究極の戦い(クライマックスバトル)は大規模でなくてはならないと……。
されど相手は鮫……
今という時代では
神であれ、鮫には勝てぬ
故にこちらも鮫を生み出すのだ
生まれよ……生命よ……
至高なりし神々の戯れ(ゴッド・クリエイション)ッ!
髪の毛武器を切り離し、その1本1本を鮫に変える
それも欲望の海原(グリードオーシャン)に居る、空を飛べる鮫だ
その繁殖力を人間以上……短時間での分裂で増えるようにする
大量の鮫が空を埋め尽くす……!
どう……収集をつけるのか……?
人の子よ
汝らの叡智に託そう(他の猟兵に丸投げ)
我……悪神故に……
為すことは悪となる……
暗黒虚無神(ニヒルダーク)故に……
アコニィ・リード
今度は、ロボザメ……わけがわからないよ
でも、アレをやっつければ念願のクライマックスなのよね!
よーし……マジカル! ラジカル! ブッ○○ス!
(ロッドを振りかざし、正統派の魔法少女姿に変身する)
いくらサメでもロボはロボ!
水でもかぶって、沈没しちゃいなさい!
ロッドから迸る水流で鎮火しつつ、狙いはサメの口の中
水着美女を喰らいたいなら大きく広げているでしょッ!
もうビッチャビチャにしてやるわ!
イイ感じに固まらせる為、水温は零度近くのすっごい冷たい奴
浸した所に合わせて高速多重詠唱で零下の氷撃を喰らわせてあげるわ!
ガッチガチにしちゃうんだからね!
わたしはここまでね……あとはお願い!
イイ感じに膝をついて倒れるわ
リア・ファル
おめでとう!
こちらの映画が!
ゴールデンで!甘酸っぱいキイチゴのような!
(クソ映画に贈られる、例の!)映画賞を受賞しました!
(予知演算では確定的)
こちら副賞のラズベリーパイ(我が社特製で無駄に美味い。そしてデカイ)だよっ!
(監督の顔面にダイナミックエントリー!)
追撃で投げ込まれる(クソ映画賞)受賞トロフィー!
HAHAHA!(やけくそ)
せり上がる戦艦! その甲板にガイナ立ちのボク!
積み上がる制作費と!(傍目で確認して同情した)
制作経理達の悲しみを越えて!(もうこんな理不尽は中略と請われた)
ロボサメよ沈め! 忌まわしき記憶と共に!
放たれる主砲!(ビームッ!)
爆発オチってサイテー!
五百崎・零
(ハイテンション継続中)
恐竜の次はサメかぁ~? 死なずに戦えるならオレはなんでもいいけど
さあ、はやく戦おう。戦えるならオレは場所とかどこでもいい。
スリルのあるとこ希望。
戦闘になったら、サメの頭に銃弾ぶち込んでやる
右手の銃を握りしめ、サメの頭に狙い定めて……撃つ!
どこまでも追いかけてやる
ああ、死にたくない死にたくない。
だってこんなに楽しいのに、死んだら終わりなんてつまらなすぎる
サメゾンビでもサメゴーストでもなんでもいいから、ずっとずっと戦ってようぜ
●俺たちの戦いはこれからだ!
『シャアアアアアアク……』
あちこちに刺身包丁をぶっ刺された巨大ロボアンデッドサメが、吠える。
サメは吠えないとか、そういう惰弱な些末頃はいまさら気にしない。
「サメ……なのはまだいいとして、ロボサメって何? しかもアンデッドって!?
もうわけがわからないよ……で、でもアレを倒せばようやく撮影が終わる!」
アコニィ・リードは、この地獄から解放されることを心底喜んだ。
そうだ、撮影はいつかは終わるのだ。正直並の精神攻撃よりもいまが辛い。
だが、こいつが最後の敵のはず。監督が気まぐれを起こさない限り……!
「巨大ロボアンデッドサメだぁ~? ハハハハ、なんだそりゃ最高じゃねえか!
つまり殺しても死なないってこったろぉ。永遠に戦えるってことだぜ……!」
一方、ハイテンションモード継続中の五百崎・零は真逆のことをのたまった。
その台詞自体が盛大なフラグであり、アコニィは正直勘弁してくれと恐々とする。
そんなこと言ってたら、ホントに監督が永遠に撮影続けそうじゃん!
……というかそもそも、なんでこんなクソ映画に制作費が集まるのだろうか?
「とにかく戦いてえ、さあはやく戦おうぜ! 死ぬことなくどこまでもよぉ!」
「フーム……なるほど、あえて90分クライマックスという手も……?」
「いやいやいやいや! さすがにそれは勘弁だから! 考え直して監督!!」
案の定妙な方向に考えを巡らせ始めた監督に、アコニィは待ったをかけた。
「い、いまならまだ映画としての体裁はなんとか取り繕えてるから……ね?
こう、熱意とかそういうのでゴリ押しすれば本当に受賞できるかも……」
「安心してほしい!! 受賞は確実だよ!!!!」
「「えっ誰!?」」
どんっ!! と胸を張ってそう言い切ったのは、リア・ファルであった。
その手にはなぜかラズベリーパイ。リアはニッコニコの笑顔である。
「この映画は受賞確実さ、AIであるボクが言うんだから間違いない」
「……最初に言い出したわたしが言うのもなんだけど、そんなに自信あるの?
いやこう、なんていうか、正直これだいぶク……じゃなくて、アレでしょ……?」
「オレは戦えりゃなんでもいいんだけどなぁ、賞とか重要か? それ」
「目的全部変わってんのよあなたは!!」
はやく戦いたくてウズウズした様子の零にツッコミを入れるアコニィ。
リアは相変わらず自信に満ちた様子で、当然だとも、と頷いてみせた。
「受賞するさ――そう、ゴールデンでキイチゴのような賞を、ね!!」
「あっ……」
リアの手にはラズベリーパイ。そしてゴールデン……アコニィは察した。
うんまあそりゃたしかに受賞確実だわ! なんなら公開前からノミネートだわ!
「そういうわけで監督! これは副賞としてのボクからのプレゼントさ!
我が社で開発したとびきり美味いラズベリーパイ! 喰らえーっ!!」
「グワーッ!?」
そしてリアは突如、監督の顔面にラズベリーパイを叩きつけた!
ぶっ倒れる監督! 騒然とする撮影現場! しびれをきらせた零は叫ぶ!
「なんだ!? オレも戦わせろよ! っつーかもう戦うぞ! ウオオオオ!!」
勝手に雄叫びを上げて巨大ロボアンデッドサメに飛びつく。暴走同然だ!
混乱したカメラマンは、ラズベリーパイまみれの監督を映し出す。
「このクソ映画賞受賞トロフィーも喰らえーっ!!」
「攻撃する相手が違うわよーっ!?」
「いいやあってるね! 諸悪の根源なんだからさ!!!!!」
リアはやけくそであった。で、監督の顔面にトロフィーを投げ込む。
もうすでにバトルしているサメVS零! カメラはあっちこっちを行ったり来たり!
「ハッハッハッハ……ハッハッハッハッハ!!」
頭がパーになってしまったリアは、自らの本体である超弩級機動戦艦を召喚。
ドンデンドンデンドンデンドンデンという妙に勇壮なBGMが流れ出し、
異次元から現れた戦艦の甲板に、リアは仁王立ちして腕組する……!
「もう何もかも台無しじゃないの! ええい、こうなったらわたしも負けてないわ!
マジカル! ラジカル!! ……ブッ(ピー)ろーーーーーーーーーース!!」
ちょっと規制音が入りました。この映画、一応健全枠だからね。
ロッドを振りかざしたアコニィの体が、リリカルな感じの光に包まれる。
そして彼女は正統派魔法少女姿に変身すると、巨大ロボアンデッドサメと対峙!
『シャアアアアアーーークッ!!』
「もっとスリルが欲しいよなあ! なんか炎とか出ねえのか! なあ!!」
「爆発がご希望かい!? いいだろう、ならミサイルをお見舞いだぁー!!」
零の台詞に反応したリアが、機動戦艦ティル・ナ・ノーグの全兵装を解放!
大量のミサイルがなんかこうサーカスって感じの軌道で飛んでいき、
零もろとも巨大ロボアンデッドサメに命中! 爆炎! 零は呵々大笑する!
「ハハハハハッ! いいねえ、スリルがあって最高だぜ! オラ続きだサメェ!!」
『シャアアーーークッ!?』
BLAMN!! 零は口の中に銃をねじ込み連続射撃した!
本来用意されたロボサメならば、とっくにぶっ壊れていただろう。
だがサメを復活させる呪文(????)によって復活再生したロボサメは、
もはやユーベルコードにする対抗しうる存在になっているのだ。以前生存!
……もしかしなくてもこれ、ほぼオブリビオンになってねえ!?
「ってこれじゃ船まで燃えちゃうわよ! 消火してやるわ、沈没しなさい!」
アコニィはロッドから超低温の冷水を放出し、ロボサメをショートさせようとする。
浸水によるダメージこそないものの、水と炎のあわせ技は強烈だ。
KBAM!! KBAM!! と、水で引火したことで巨大ロボアンデッドサメは炎に包まれる!
『シャアアアーーーークッ!!』
「きゃあっ!?」
怒り狂った巨大ロボアンデッドサメによる、アコニィへのバイト攻撃!
突然の突進を回避しつつ、アコニィはとどめの氷結魔法を叩き込んだ!
「ガッチガチにしてやるわ! これで動きが止まるはず……!」
「やるなあ! ははは、死にたくねえ死にたくねえなあ楽しくてよお!
逃げんじゃねーよサメェ!! もう一発、オレの一撃食らっとけぇ!!」
全身を氷漬けにされた巨大ロボアンデッドサメはもがき苦しむ。
そこに飛びかかった零が、再び口蓋に銃をねじ込み連続でトリガを引いた!
BLAM! BLAM!! BLAMN!!!
『シャアアアアアーーーーーーークッ!?』
「いまよ! さっさととどめ刺しちゃって!」
アコニィの台詞を受け、リアはくわっと目を見開いた。
脳裏によぎる、今日までの戦いの記憶。
めちゃくちゃな配役を押し付けられ、ツッコミを余儀なくされ、
整合性のないシナリオに愕然とし、スタッフの皆さんに割と同情した。
猟兵? 猟兵はまあ、ノリノリの人が(零みたいに)いるからノーカンで。
「積み上がる制作費と!!」
半泣きのADの顔が蘇る!
「制作経理たちの哀しみを越えて!!!」
もうこんな理不尽は勘弁ですなんとかしてくださいと泣きつかれた思い出!
「巨大ロボアンデッドサメよ――沈め!! 忌まわしき記憶とともに!!!!」
機動戦艦ティル・ナ・ノーグの主砲が、極太のビームを吐き出した!
がんじがらめにされた巨大ロボアンデッドサメが、光に呑まれる……!
KA-BOOOOOOM!! そして爆発がすべてを……具体的にはシナリオを覆っていく。
おお、これですべて終わったのだ。映画は……完成したのだ……!
「やったわ……やったのね! わたしたち、ついにサメを倒したのよ!」
「爆発オチってサイテーだよね」
「それは言わない約束よ! とにかくこれ、で……?」
もう解放されたくて仕方ないアコニィは、しかし表情を引きつらせた。
爆炎が晴れていく。そこにもう、巨大ロボアンデッドサメは存在しない。
……しないはずだ。たしかに自分たちはあの地獄の物体を倒したのだ。
なのに……空に蔓延るあの、見慣れた忌まわしいフォルムは!?
「サ……」
「サメが……」
「「サメが、増えてるーーーーーーーーっっ!?」」
アコニィとリアは、声を揃えて驚愕した。
そう! なぜか空には、大量のサメがうようよと泳いでいたのだ!
『『『シャーーーーークッ!!』』』
「おお!? 新手か! へへっ、まだまだ戦い足りなくてうずうずしてたぜぇ!」
「いや普通に状況に乗っちゃダメだよ! これはどういうこと!?」
さしものリアも混乱する。零を抑えつけつつ監督のほうをみやった。
監督はぶっ倒れている。顔面にラズベリーパイとトロフィー喰らったので。
「……神は言った……」
「「「!!!!」」」
そして神々しいオーラを放ちながら降り立つ、サメのリーダー……!
いや違う。あれは同じ出演者側の猟兵、暗黒虚無神・パラミトログルだ。
別にサメの神ではないし、見た目は少年だ。でもなんか様子がおかしい。
「これらは欲望の海原……人の子がグリードオーシャンに住まう空飛ぶサメ……。
……を、我がゴッド・クリエイションで複製・誕生させたものである……」
「なんだって!? 一体なんのために!」
「……神は言った」
暗黒虚無神(ニヒルダーク)はキリッとキメ顔をした。
「究極の戦い……クライマックスバトルは大規模でなければならぬと。
すなわち……倒したと思った敵を超える、新たな大量の敵の出現……。
そして始まる第二の戦い……これこそ、特撮の王道なり……」
「……ま、まあそこは百歩譲ってよしとしましょう」
神は言ったってお前のことじゃねえかと思いつつ、アコニィは言った。
「……それで、この状況、どう収拾をつけるの?」
「…………」
「「…………(固唾を呑んで答えを待つリアとアコニィ)」」
「……………………」
しばし沈黙したのち、ニヒルダークはくわわっと目を見開いた。
「人の子らよ……汝らの叡智に託そう……!!」
「「投げっぱなしだー!?」」
「我、悪神ゆえに為すことは悪となる。暗黒虚無神(ニヒルダーク)ゆえに……」
キリッ。どうしようもねえ開き直りであった。
「つまりよぉ! 戦えんだろ!? だったらオレは文句ないぜぇ!!」
そして零は喜々としてサメ軍団に挑む! さあ戦いだ!
止めるべき監督は倒れている。いやそもそも奴は止めねえなこの状況!
「あーーーーーーもう!! どうにでもなれだよもう!!」
「いつになったらこの映画撮影は終わるのよーっ!?」
悲鳴をあげつつ、戦いに交じるふたりであった……とっぴんぱらりのぷう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジャガーノート・ジャック
★レグルス
一方的介入:【SZ】
(さぁ今回もやって参りました熱暴走でトンチキに走る豹鎧のお時間です。大体ネタシナリオ三章のうち一章はネジ飛んでるからね多少はね。)
(ザザッ)
…………。
アホになった匡―――(⚡️どっかから電波を受信した⚡️)
見
た
い。
(欲望に忠実になった豹鎧が如何に厄介かとくと見よ。
"Tempest"を散布し匡を困らせる凡ゆる事象を濫造しまくるぞ!!)
今日くらいはその涼しげなやれやれ顔に冷汗滲ませてやるぞ鳴宮匡ーーーーーッッ!!(ド三下の台詞)
【方針】
・奇跡(冷静な兄貴分が珍しく泡食ってる所)を見たい
・奇跡は起こらないから奇跡
・最後は撃たれてK.O.されるんじゃない?
・(ザザッ)
ロク・ザイオン
★レグルス(自由形メドレー)
(相棒のタガが吹っ飛びました)
(音楽の ちからって すげー)
…でもな。ジャック。
聞いてる?
匡はな。こころをがんばるやつだから。なあ、
ちゃんと戦ってるし、なあ、
聞いてる?
(ところでフグは大変縄張り意識が強い)
…ひゅどら?
(勝手に飛び出しパンパンに膨れ上がる幼い水の妖精(サメ))
ひゅどら
あれは魚じゃなくて、ろぼ、
(デケえツラしたサメに激怒する水の妖精(サメ))
聞いてる?
(【ジャンプ】そして降り注ぎ
半径80mの範囲を蹂躙する巨大フグKAIJU
がんばれサメロボ「幼き水精の暴虐」を止めてくれ)
…聞いてくれない…(ぽろろん)(しょんぼりギターを爪弾く)
穂結・神楽耶
【SZ】
サメッサメサメ……(笑い声)
どいつもこいつもクソ映画というものを分かっていないサメね。
そもそもどうしてオチを着けないといけないサメ?
全部投げっぱなしにして有耶無耶にしてしまえば、
観客が勝手に続きを期待するサメよ。
え、どうするかって?
ここにいい火種があるじゃあありませんか。
そう───わたくしを海から救い出してくださった鮫様が。
同胞(笑)の尊い犠牲をわたくしは忘れません。
さあ、爆発と共にサメゾンビザウルスをばらまいて地上を汚染するのです!
そして次回作を!
たーまやー!
方針
・陣営:バーカーサー
・鮫が爆発するとサメゾンビザウルスがばらまかれる
・という設定で鮫を狙う
・爆発オチなんてサイテー!
鳴宮・匡
【SZ】
いや正純お前操られるも何も元々じゃなかった??
夕立はいよいよ見境なしだし……いやなんとなくわかっちゃいたけどさ
(とりあえず水鉄砲は死ぬ気で避ける)
うん、コガラス、お前全然頭治ってないからな
もう1回くらい気絶してきてもいいぞ(話がややこしくなるから)
うわっ穂結お前いきなり正気に戻――……ってないなごめん
いやでもあのサメ一匹殺せば話が終わるならそれが一番穏便な気がしてきた
俺の頭もおかしくなったかもしれない
方針
・アホにもバカにもならないように立ち回る
・オチの付け方はもうどうにでもなればいいと思う
・ツッコミはするしバカにはならないが(確定ロール)そろそろトンチキ時空に疲れて若干言動が飲まれがち
納・正純
【SZ】
クソッ、よくも今までウイルスで俺を操ってくれやがったな――――、監督さんよ!
おい! カメラを止めるな!
【SZ】……つまり、【Savage Zelotypia Virus】!
アンタはこのウイルスを用いて、映画撮影に自分の熱狂を蔓延させ、休みなしの危険なフルアクセルを維持しやがった!
確かにアンタの映画への熱意はすげェ、だがな――――外法を用いた時点でお前は監督失格!
監督の座は降りてもらうぜ……悪あがきは止めて、CGのサメに食われやがれェ!
方針
・「監督が黒幕」の、「狂った撮影の様子を含めて一本の映画という入れ子構造にする」という低予算B級オチを提案
・とにかくオチを付ける
・困ったら記憶を消す
式島・コガラス
【SZ】
二回くらい気絶したら頭治りました。それはそうと。
正統派のサメゾンバー(サメゾンビファンのこと)から言わせてもらうと、この映画にはまだ足りないものがあります。
皆さんおわかりですね。……織田信長です。
サメゾンビは一作二作目ともに意味不明なタイミングで現れる織田信長が有名です。
すなわち織田信長を出さなければこの映画に終わりは来ない。オチをどうするかといがみ合う前にまず信長を画面に映さなければならないのです。
私の勘では……どこか近くにいるはずです、信長とかそれに準ずるものが!
方針
・信長を探す
・鮫の中とかにいるかもしれないですね
・ハイウェイにいるかもしれないですね
矢来・夕立
【SZ】
納・正純(Insight・f01867)のオチを却下します。
ダメですよ監督。このような素人の意見に耳を貸す必要はありません食らえサメゾンビウイルス零距離射撃
…今更正気に戻れると思うんですか?
オレはこの場にいる全員の頭を揃ってバカにしないと気が済まないんですよ。
サメゾンビウイルス水自体は本物。ならばいまオレが改めて全員を狂わせるまで。
この映画はハリウッドへは行けません…名作をパロったバカ映画になるんです。古いレンタルビデオ屋によくあるアレに。
方針
・寝返って全員(サメ含む)を水鉄砲で撃ちますが、多分途中からプラセボ効果です
・全員バカになれ
・オチは編集でどうにでもなる
●シン・サメゾンビ
「う、うーん……はっ」
がばり。式島・コガラスは起き上がり、周りを見渡した。
ここは船の上だ。そして自分を、呆れた顔の鳴宮・匡が見下ろしている。
「起きたかコガラス。……まさか、まだアレになってないよな?」
「アレ、とは……? ああ、もしかしてサメゾンビウィルスのことですか」
コガラスは二度、三度頭を振りつつも、大丈夫だとうなずく。
「さすがに二度も気絶したら治りました。すべて覚えているのが地獄ですね」
「そっか、ならよかったよ。もう夕立もアレになっちまったし……」
「ええ。それではさっそく、皆さんで織田信長を探しましょう」
「は???」
コガラスは極めて真面目なシリアス顔で立ち上がり、こう言った。
「わかりませんか? いいえ、鳴宮さんならきっと、必ずわかっているはずです。
これまでのサメゾンビでは、必ず意味不明なタイミングで織田信長が現れました。
つまり逆説的に言うと、織田信長を出さなければこの映画に終わりはありません」
「いやそもそもこの映画はサメゾンビじゃないんだけど」
「オチをどうするかいがみ合う前に! 信長を画面に映さないといけないんです!」
「さてはまだ全然頭治ってないなお前???」
「どこか近くにいるはずです、信長とかそれに準じるものが……!
はっ、もしかするとこの船自体が本能寺だったのでは?
いやあるいは、あの沿岸部が比叡山なのかもしれない……油断できませんよ!」
コガラスは真面目な顔だった。だがその目は完全にイッちゃっていた。
完全にこう、世の中のすべてに政府の陰謀とか感じちゃうタイプの、
そんな感じの方のアレであった。あと五分もすると秘密結社がどうこう言い出す。
「いや……わかりました。そうか、あなたが信長だったんですね……監督!!」
コガラスは匡のツッコミをスルーし、倒れている監督を抱き起こした。
監督は顔面にラズベリーパイと自作トロフィーを喰らいぶっ倒れていたのだ。
「ウウ……ホワッツ? 何が起きているのデスカー?」
(……これリアが作ったやつか? 何やってんだあいつ)
匡はパイを叩きつけた犯人に思い当たるふしがあったが、言わないことにした。
「しらばっくれないでください。あなたが織田信長であることは推理済みです!」
「ワッツ!?」
「コガラス、監督普通に怯えてるぞ。いやまあ自業自得だとは思うけどさ」
「いいや違う! そもそも織田信長なんてどこにもないんだよ!!」
「な……なんですってー!?」
どことなくミステリーをサークルしそうな驚き顔で振り返るコガラス。
そこに立っていたのは、海から這い上がってきたびしょ濡れの納・正純だった。
頭にはタコが張り付いており、ぐいーっと顔を引っ張られながら引っ剥がす。
「だがコガラス、お前の推理はいいとこを突いてるぜ。織田信長ではないが」
「いいとこも何も言ってねえよこの状況巻き起こしたのお前だろ」
「匡、騙されるな! いいか? 俺も……忌々しいが、操られていたのさ」
「いやお前は最初から最後まで自分の意志でやってただろ」
「違う!!!!!!!!!!!」
匡の至極まっとうな指摘を否定する正純。勢いでゴリ押しする気満々だ。
「いいか! 俺様を裏で操り、この騒動を巻き起こした張本人……つまり黒幕!
それは……まさしく灯台下暗しだ。そう、アンタだろう? 監督さんよ!!」
バァーン!! 一同の視線が、驚き顔の監督に集まった!
「「いやそれはないだろ(ないですね)」」
そしてコガラスと匡は、声を揃えて正純を見た。ドン引き&軽蔑の眼差しである。
「違う!! カメラを止めるな!!」
なぜかポンッ! と変な音をさせつつ、正純はなおも言ってのけた。
「そもそも"SZ"……何度も出てきたこのワード(出てきていない)とは、
"Savage Zelotypia Virus"の略。あのウィルス自体が監督の仕込みだったんだ」
「だからそれを持ってきたのもばらまいたのもお前だろ(匡)」
「もしかして彼が織田信長なのでは?(コガラス)」
「(完全スルー)監督……アンタはこのウィルスを用いて、撮影現場を操った。
自分の熱狂をまねんさせ、休みなしの危険なフルアクセルを維持させたんだ!」
「……まあスタッフの異様なテンションは説明がつかないよな」
「鳴宮さん! 呑まれかけてますよ気をつけてください! 黒幕は織田信長です!」
「いや気をたしかにするのはお前だよコガラス」
話がどんどん行ったり来たりしている。オチがつかないとはまさにこれか。
「サーメサメサメサメ……納様はオチをつけようと必死サメね~」
そこで相変わらず狂った笑い声を上げつつエントリーした穂結・神楽耶。
腕組姿勢でなんか知ったような顔をしつつ、神楽耶はこう言ったのだ。
「信長だのウィルスだの、どいつもクソ映画というものをわかってないサメね」
「俺が一番わかんないのはお前の語尾かな……(匡)」
「そもそも、オチをつけようという発想が惰弱! 前時代的なんでサメよ!」
「前時代……はっ、まさか穂詰さんこそが織田信長……!?」
「お前はいい加減信長から離れろよ信長ウィルスでも喰らったのかよコガラスは」
「私は織田信長ではないサメ!!!!!!!!!!」
くわわっ。神楽耶は目を見開いた。
「わかりきったオチなど不要! 黒幕も真のラスボスも必要ないサメ!
全部投げっぱなしにして有耶無耶にしてしまえば、あら不思議!
あとは観客が勝手に考察をしたり、続きを期待して次回作が作れるサメよ!」
「何を言い出すかと思えば割と商業的な理由かよ(匡)」
「神楽耶、言うじゃねえか! だったらお前はいったいどうするっていうんだ?
すべての黒幕はこの監督だ。この事実を、どう有耶無耶にするっていうんだ!」
「だから監督は黒幕じゃねえよお前だろ。あと俺の話聞けよもう少し」
言い争う正純と神楽耶を見つつ、匡はひたすらセメント顔で突っ込む。
だが彼のツッコミはスルーであった。ここは撮影現場、狂気なくして生きられぬ。
でもね思うんですよ、匡さんが呑まれたらもう終わりですよこの現場。
ツッコミのふりしてるコガラスもパーになってるし。あれそういえば夕立は?
「サーメサメサメサメ!(笑い声)そんなことはわかりきっているサメね!
わたくしを海から救い出してくださったサメ様を爆破すればいいサメ!
……あれっ? サメ様? なんでもうボロボロになってるサメか?」
「お前らがトンチキやってる間に普通に撮影進んでたみたいだけど?」
「…………」
がくり。神楽耶は膝を突いた。匡はひたすら醒めた目で見下ろしていた。
「バ……バカな!! サメゾンビザウルスウィルスを撒き散らす計画が!
わ、わたくしのこの、完璧な爆発オチがもうダメになっていたとはサメーッ!?」
「燃やす、つまり焼き討ち……あなたが織田信長ということで確定ですね」
「コガラスは早く夢から覚めろ」
むしろもうこの悪夢みたいな状況がなんとかなれ。匡は心からそう思った。
「ウェーッハハハハハ!! 策士策に溺れるってやつだなぁ神楽耶ァ!
さあ、どうする監督。もはやアンタには、切り札も逃げ場もないぜ……?」
「ノー! 私監督デース! 私は映画撮影に出てはいけマセーン!」
(割と監督としてはまとも(?)なこと言うんだなこの人)
「私が出てしまったら、演者に無茶やらせて楽しむことが出来マセーン!」
「いやあんたもそういうタイプの人間かよ」
匡は一瞬でもまともだと思ってしまった自分を深く恥じた。
「ついに馬脚を表しやがったな! さあお前には監督を降りてウッ」
ばたり。勢い込んでいた正純はいきなり前のめりにぶっ倒れた。
そして背後から現れたのは……例にもよって闇討ちを仕掛けた矢来・夕立!
なにせ忍者なので不可知はお得意のものだ。あれっ一章でもやってなかった?
「そのオチは却下です」
夕立は正純に打ち込んだアンプルを放り捨て、言った。
「オーウ、助かりマシター。でも真の黒幕がいたというアイデアは悪くなウッ」
安心して歩み寄った監督も倒れた。夕立の手には……もうひとつのアンプル!?
「ダメですよ監督、あなたともあろうものが素人の意見に耳を貸すとは……。
いまさら正気に戻れると思うんですか? まだオレは満足していないのに」
ズオオオオオ……と、夕立から真の黒幕オーラが漂う。
あれだ、RPGとかによくあるこう、ボスの右腕として働いていたけど実はボス以上にやべえ思想を持ったサイコパスで、なんやかや改心しかけたボスをぶっ殺して本当の破壊者として世界をメチャクチャにしようとする、あれだ!!
ぎらり。逆光で白く鈍く光るレンズが、匡たちを捉えた……!
「……まだ諦めてないのか、夕立」
「つまり矢来さんが織田信長だった……!?」
「サメッ、サメサメサメ……! サメを裏切るつもりサメか!?」
匡、コガラス、神楽耶は身構える。一触即発の気配。
彼らは察したのだ。夕立の狙いは、もはや猟兵のみにとどまらないと。
奴は、監督を……いや、この映画に関わった全ての人間を標的にするつもりだ。
サメゾンビウィルスをばらまき、すべてをSにするつもりなのだ!!
「アカデミー賞は敬虔で善良な映画以外立入禁止です。オレたちは入れない」
「いや勝手に一緒にするなよ狂ってるのは主にお前だろ」
匡は銃を構えつつ突っ込んだが、もはや届かぬ思いであった。
「このサメゾンビウィルス水自体は本物。だからオレがすべてを狂わせます。
傭兵さん、あなたもです。まだパーになってる奴らも上書きします」
「ソースの二度漬けは禁止サメよ!!」
「いやソースじゃねえだろ」
「織田信長め、まだカタストロフを諦めていなかったんですね!!」
「そっちの織田信長まで巻き込むのかよ」
かちゃり。漫才はさておき夕立は眼鏡の位置を直す。
その目はマジだった。多分ウィルスよりやべえのがこいつだ。
「この映画は、名作をパロったバカ映画になるんです。そう、サメゾンビパロ。
古いレンタルビデオ屋にある色の褪せたVHS作品のようになるんですよ」
「お、オチはどうするつもりサメ!?」
「編集でどうにでもなります」
神楽耶は戦慄した。いまの夕立は、ウソをなにひとつ言っていない。
マジなのだ。もしかしたら初めて見んじゃねえかってぐらいマジの目だ!
「そ、そうはさせねえ……とにかくオチを付けてや」
「セイッ(正純の首に追加のアンプルを突き刺す)」
「グワーッ!?」
がくり。正純はまた倒れた。そして、夕立は匡たちを睨みつける。
「この映画はシン・サメゾンビに……すべてのサメゾンビを過去にする作品です。
そしてオレも(クライマックスで有耶無耶にして)消えましょう……永遠に!」
かっこよくジャンプする夕立! ばらまかれるサメゾンビウィルス水!
なぜだ! もう巨大ロボアンデッドサメは破壊されたのに戦いは続く!
匡はスタッフに飛来するサメゾンビウィルス水入りアンプルを迎撃破壊!
「させるかよ。おい穂詰、コガラス。ここは共闘といこうぜ」
「サメーッ!!」
「ええ、織田信長を倒すために力を合わせましょう!」
「もうこの際ツッコミは入れないからせめて戦いはまともにやってくれ」
どこからともなく流れる、かっこいいラスボスっぽいギターサウンド!
そして、映画とはもう何の関係もない阿鼻叫喚の戦いが幕を開けた……!
●で、話が終わると思うじゃん?
一方、その頃。
《――……見たい》
その阿鼻叫喚の地獄を、虎視眈々と様子見する男がいた。
その者の名、ジャガーノート・ジャック。
合同プレイングに一方的介入をするという超禁じ手すら厭わぬ、
ただ単に兄貴分(つまり匡である)の泡食ったところを見たいだけの子供であった。
普段のジャックならば、こんな無茶は決してしなかったはずだ。
だがもう今の彼は止まらない。なぜなら圧倒的破壊(ジャガーノート)なのだから。
いや違う。あのいつもクールな兄貴分の泡食ったところが見たいのだ!!
「……なあジャック。見たいのはわかるけど、な」
そんな相棒の隣で、ロク・ザイオンはジャカジャカギターを鳴らしていた。
さっきのBGMただの演出だと思いました? そんなわけないでしょ映画じゃあるまいし。
あれは、ロクがテキトーに弾いていたギターサウンドだったのである。
「匡はな、こころをがんばるやつだし、こう、なあ。
みんな目が血走っててヤバそうだし、ちゃんとしてるし、なあ」
《――いや、見たい。本機はなんとしてでも見たい。絶対に見たい。見る》
「聞いてる? おれの話、聞いてる?」
《――もちろん聞いている。つまり、本機はやるということだ》
「聞いてないだろ」
《――聞いているとも。ウオオオオ鳴宮匡覚悟しろーーーーーーッ!!》
相棒はすっ飛んでいった。アンプルと苦無と銃弾と刀が飛び交う戦場に乱入!
「えっなんですかあれ」
「突然雷が飛んできたサメーッ!?」
「雷……つまり織田信長の来襲ですか、今度こそ!?」
「いや待てジャックお前何やって」
《――冷や汗をにじませろ鳴宮匡ーーッ!!》
「よしわかったお前も完全にダメになってるんだな」
匡は一瞬で状況判断し、ズバズバ飛び交うレーザービームを避けた。
もちろん攻撃は匡をなんとしてでもサメゾンビウィルスに感染させるためのもの。
しかしこの阿鼻叫喚の状況では、まさしくそれは災害めいていた!
「サ、サメーッ!!」
神楽耶がレーザーを避ける! そこに投げ込まれるサメゾンビウィルスアンプル!
「もう一度サメゾンビウィルスを食らってパーになってください。オラッなれ!」
「そうはさせませんよ織田信長! 喰らえ魔弾(ゴム製)!!」
「オレに当たると思ってるんですかそんなものが(正純を盾にする夕立)」
「アバーッ!?(ゴム弾が顔に当たってぶっ倒れる正純)」
「いいかジャック、そもそもこの状況を引き起こしたのは夕立でだな」
《――わかっている、わかっているとも! だが本機は冷や汗を見てみたい!》
「動機が最低すぎるだろ絶対喰らわないからなそんなの」
BLAMBLAMBLAM!! ZAPZAPZAP!!
猟兵同士のガチ戦闘というとんでもないトラブル!
カメラマンは必死に撮影する! これが映画のクライマックスになるのか!?
ぶっ倒れていた監督は、ぴくりと立ち上がり……言った。
「も、モンスター……モンスターが、足りマセーン……ハッ!」
相棒が完全にパーになってしょんぼりしていたロクに駆け寄ってくる監督!
「えっ」
「ヘイアナタ! あなた、モンスターをお持ちデスネ!?」
「えっいや、おれは」
そのとき、ロクの懐からもにゅっと出てきたのは、一匹のふぐだった。
"ひゅどら"と名付けられた、水の妖精……いやどう見てもふぐだが?
「ひゅどら? どうした。キミは」
「ワーオ! イッツ、シャークモンスター!!」
「いやひゅどらはサメじゃ」
プクーッ(間違えられたのでキレてどんどん膨れ上がるひゅどら)
「ひゅどら? 聞いてる? 監督も聞いてるか???」
プワワワワワワワ……ひゅどらはどんどん膨れ上がっていく!
あっという間にその身体は、巨大ロボアンデッドサメを超えるサイズに!
監督は狂喜乱舞する! もう完全にその頭はおかしくなっていたのだ!
「ビューーーーーティフル!! サメ復ッ活ッ、サメ復活ッッッ!!!」
「(むくり)おいおいおいおい! なんでサメが増えてんだよ!?」
「いやあれはどう見てもフグおいやめろジャック稲妻撃つな(BLAMN!!)」
《――アバーッ!?》
容赦なしの魔弾を喰らったジャガーノートは仰向けにぶっ倒れた!
「ここで死ぬさだめではありませんよ。サメゾンビウィルスの力で目覚めよ」
そこに夕立がサメゾンビウィルス水をぶっかける! ジャック復活!
まるで起き上がりこぼしであった。バイザーが赤黒く輝く!
《――本機はジャガーノート・ジャック……否、ジャガーノート・シャーク!!》
「うまいこと言ったつもりかよ。そもそもあれふぐだろだから」
《――見たい! アホになった匡が! サメで覆われた紅蓮の地球が!!》
「サメで覆われた紅蓮の地球ってなんだよ」
「紅蓮……つまり、織田信長の焼き討ちですね!?!?!?」
「サ、サメーッ!? ふぐがどんどん膨れ上がって……サメーッ!!(断末魔)」
暴走するひゅどら! 押しつぶされてプチッとなる神楽耶!
サメゾンビウィルスでアホになるジャック! 織田信長にこだわるコガラス!
「チッ、こうなったらあのモンスターを倒してオチをつけるしかねえ!
そのあと全員の記憶を消去して撤収だ! わかったな、匡!!!」
「正純はそもそも事態を引き起こした責任を取れよ」
「カメラを止めろ! いやカメラを止めるな!!!」
「傭兵さん、あなたが最後です。あなたにもアホになってもらいますよ」
「どこまでも俺を狙うんだよ夕立は!」
BLAMBLAMBLAMBLAM!! シュパパパパパパパ!(手裏剣代わりのアンプル)
もはやしっちゃかめっちゃかであった。ロクはひたすらギターを弾いていた。
「……だから、な、ひゅどらはサメじゃなくて……」
「うおおお喰らいやがれサメ野郎ーっ!!(記憶消去銃を撃ちまくる正純)」
「サメ、じゃ……」
《――本機はジャガーノート・シャーク! すべてをサメにするもの!!》
「…………」
ロクはしょんぼりした。
「誰も話をきいてくれない……」
可哀想に、ロク。もはや相棒すらもだいぶ遠くへいってしまった。
監督だけが狂喜乱舞している。これは最高のスペクタクル映像だ!
「アカデミー賞間違いなしデース! 映画は大成功デース!!」
船が物理的に座礁するまでの間、この地獄は続いたという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神元・眞白
【SPD/自由】
授賞式。ようやくこの時が来ました。……監督、お疲れ様でした。
この映画は売れに売れて世界中で公演されるのでしょう。
せっかくの晴れの舞台なんですから笑って受け取りましょう。
撮影も大変でした。爆発が起きたり、予想もできないことも起きたり。
サメが飛んだり地面から生えてきたり。感動の一幕もありましたね。
おかげで編集にかなりの時間を要しましたが……これも今を思えば楽しい作業でした。
監督、次の映画はどうしましょうか。今回のようにパニック?
それとも最近流行りのホラーものにしてみましょうか?
アイデアは尽きないですが……面白くさせてみましょう。
監督、惜しい人をなくしました……
●お祭り騒ぎのそのあとに
「最優秀アカデミー賞は――こちらの作品です!!」
ワアアアアア……!
観客たちはスタンディングオベーションで、その作品をたたえた。
そう、それこそはまさしく、今回の映画撮影で制作されたあの映画だ。
タイトルは猟兵たちのアピールもあって256種類ほどのものが生まれ、
最終的に「Sには水着だ!」で落ち着いたらしい。
「監督、お疲れさまでした……」
そんな授賞式を遠巻きに見つめて、神元・眞白は呟いた。
誰もが映画をたたえている。多分狂気に魅入られちゃったんじゃない?
なお、ゴールデンできいちごなクソ映画のあの賞も同時に受賞しており、
批評サイトでは点数が5点になっていた。10点と0点のどちらかばかりだからだ。
「撮影も大変でしたね、監督。爆発が起きたり、予想できないことが起きたり。
サメが飛んだり地面から生えてきたり、ロボになったりゾンビになったり。
ついには大量に増えたり、猟兵同士で戦いが起きたり……大変でした」
眞白はため息をついてかぶりを振った。だがそれもいい思い出だ。
「編集を頑張ってくれたディレクターさんには、頭が上がりませんね……。
でも、一番頑張ったのは監督だと思います。これは、あなたの賞ですよ」
……そう言って、眞白はかたわらの席をみやった。
そこは本来、受賞者……つまり監督とスタッフらに用意された席だった。
だがそこに乗っているのは、勇ましき彼らの遺影ばかり。
「監督、みんながあなたの作品を……あなたたちの作品をたたえていますよ。
だからどうか、笑顔でいてください。あなたの名は永遠に残りますから。
あなたが笑顔で喜んでくれていることを、私は信じていますよ……」
眞白は遠い目をする。そう、監督以下スタッフらは死んだのだ。
主に過労で。だがその結果、「Sには水着だ!」は大いに売れた。
眞白の言葉通り、スタッフらの名前は永遠に映画業界に残るであろう――。
「……というオチはどうでしょう?」
「ファンタスティーック!! 製作者が死ぬと評価は爆上がりデグワーッ!?」
眞白のアイデアをうきうき取り入れかけた監督がぶっ倒された。
「「「いいかげんにしろこのクソ監督がぁーっ!!」」」
「ウ、ウェイト! 私はただ軽い気持ちでアバーッ!?」
色々面倒を押し付けられたスタッフたちの逆襲だ! ナムアミダブツ!
なお、カメラマンはしっかり撮影している。ゆきゆきてなんとかかな?
「……大変ですね、映画撮影って」
遠い目をする眞白。その頬を、暑いひと夏の風が撫ぜた。
なおこの映画は、案の定カルト映画として一部で崇拝されたという――。
大成功
🔵🔵🔵