くりぃむ・くりぃむ・どりぃむ
●クリームソーダの空
青く広がる空に、もこもこ膨らむ入道雲。
青と白の共演に一度は『おいしそうだな』と思った事はないだろうか。
空に広がる、青い青いクリームソーダ。太陽が果実めいて輝けば、早く涼しい場所で冷たいそれを口にしたいと足を早めて帰路を急ぐ。そうして思うのだ。
――ああ、夏だなぁ。
●クリームベアとクリームソーダの海
白い砂浜に、蒼い海。
ぷかぷか浮かぶ流氷の上には、白いクマたち。
寄せては返す波に揺られながら、クマたちがのんびりと過ごす姿。
流氷の上から、とぷん。
じゃれ合ったシロクマたちが氷から転げ落ちれば、蒼いクリームソーダのような海が優しく受け止めてくれる。
ぷかぷかと水泡が浮かぶ海を、シロクマは極彩色の魚たちと器用に泳ぐ。
海中から海面を見上げる世界の美しさ。
水泡に顔を入れて空気を吸い、美しい海を泳いで氷の上へと戻っていった。
その島と海と彼等を見た人々に『クリームソーダのようだ』と思われていることを、彼等は知らない。
●頭も夏にした陽気な猫の語り
「クリームソーダって好き? 僕は大好き。ソーダとアイスの境界線だったり、プカプカ浮かぶ氷だったり、中の泡もいいし、グラスに浮かぶ水滴とか……あっ、あとあと、中に浮かんでるチェリーだって好きさ。ミカンもあると嬉しいなぁ。ウエハースもあると嬉しいけど、無くったって文句は言わないよ。夏が来る度に僕はクリームソーダの上で生活したいなって思っちゃうよ」
他の追随を許さぬ勢いでペラペラと語るのは、猫人の郵便屋――グィー・フォーサイス(風のあしおと・f00789)だ。
「――でね、クリームソーダって感じの島を見つけたんだ」
良かったら君たちをそこへ案内しようと思ってね。
僕ももう行くところなんだけれどと語るグィーの姿をよく見れば――いや、よく見なくとも夏エンジョイ勢の格好をしている。耳を出せる麦わら帽子に、顔面に輝く大きな星型のサングラス。そして水着姿。大きな浮き輪なんて既に胴に装着され、海に飛び込む準備も万端だ。
「その島の周りの海はクリームソーダのソーダ水みたいな色をしていてね、そしてなんと! 流氷がぷかぷか浮かんでいるんだ!」
正確には純粋な氷ではなく、シュガーアイスと呼ばれるものだ。氷のように触れるとかじかんでしまいそうになる事もなくひんやりとする程度で、そのシュガーアイスの上に住んでいる動物だっているくらい安全だ。
シュガーアイスの上にはクリームベアと呼ばれる小さな熊が生息している。彼等の大きさは柴犬程の大きさで、白いふわふわな毛に覆われた身体でころんころんと転がったりダンスをしている。その海に彼等の敵となる存在が居ないためかとても人懐っこく、一緒にダンスをしたり遊んであげれば彼等はとても喜ぶことだろう。
時折カランコロンと響く音は、シュガーアイスがぶつかる音だ。シュガーアイス同士がぶつかると、シュガーアイスの中に冷気が生まれる。氷の上にいるとそれはひんやりとしか感じないが、それを取ってきて削れば――。
「ふわっふわのかき氷になるよ!」
真雪のようなふわふわなかき氷は冷たく、そしてシロップを掛けなくとも甘い。舌触りは優しく、ふんわりと柔らかく溶けて喉へと滑り落ちていくのだ。
「もう一味ほしいなぁって時は、クマくんたちと仲良くなるといいかもしれないね」
クマたちは花冠や花を頭に飾っている子がいる。その花は島に生息する花で、名は『果花』。色によって違った果物の香りがし、かき氷に刺すことによってじんわりと果物味の花の蜜が白い氷へと移り、味と色とを染め上げる。
白い砂浜は、砂糖氷の削られたり欠けた外側なので、さらさらひんやり。砂浜に座って、青い海を眺めながら食べるかき氷は格別だ。
「あ。かき氷機は現地の人が貸してくれるからね」
砂浜から見る海は、空を映して表情を変える。時間帯によって真っ赤な苺ソーダ、爽やかなコバルトブルー。明け方の、レモンシロップを一匙落としたようなブルーアワー。
海の中へと泳ぎゆけば、ふわふわと漂う水泡が見えるだろう。水泡へと顔を入れれば呼吸は可能だし、呼吸のために海中で口を開けてもしょっぱさはではなく甘さを感じる。その甘さは嫌な甘さではなく後味を引かずにすっきりと爽やかで、甘いけれど身体がベタベタとすることもない。
極彩色な小魚たちに誘われて深く深くへと潜れば、底へ行く度に濃くなるグラデーション。水泡と漂い過ごすひとときは、穏やかに。
「――どうかな?」
一緒に行かないかい、とグィーは明るく笑みを浮かべるのだった。
壱花
パーラー壱花へようこそ。ご注文は何にいたしましょう?
当店はクリームソーダとかき氷専門店となります。
ご注文がお決まりの際はお手を挙げてお声掛けくださいませ。
人数が多い際はお席のご用意が難しく、再送が発生する事もございます。
その際はご注文内容の変更をなさらずに再びお声掛け頂けますと幸いです。
◆◇◆ M e n u ◆◇◆
このシナリオは既に猟兵達によってオブリビオンから解放された島となります。
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
●できること
シロクマさんとクリームソーダの一部になったり、かき氷を食べたり出来ます。
プカプカしても良いですし、シュガーアイスの上でクマと遊んでも良いですし、氷を削ってかき氷を楽しんでも良いですね。PSWに捕らわれずご自由お過ごしください。
海中では水泡で呼吸が可能ですが、会話を可能とするものではありません。
基本的には『昼間』を描写しますが、こだわりがあれば他の時間帯も大丈夫です。その際、分かりやすいように指定して頂ければと思います。
グリモア猟兵のグィーがどこかでエンジョイしております。
お声掛けがあれば反応いたします。
●クリームベア
ふわふわころころまるまるなシロいクマさん。
北極熊の赤ちゃんみたいな見た目だけれど、立派な大人のクマです。がおー。
ふわふわな見た目ですが、触るとすこぉしひんやり。
ダンスとお昼寝が得意なのんびり屋さん。
たまに氷から落ちますが、基本的に氷の上で暮らし、落ちても氷の上に戻ってきます氷の上が気持ちよくて好きです。
(プレイング中の表記は『熊』でも通じます。文字数の節約に)
●おまじない
同行者が居る場合はプレイングの最初に、魔法の言葉【団体名】or【名前(ID)】の記載を。一方通行の指定にはお気をつけ下さい。
確実にお一人での描写を希望される場合は【同行NG】を。
また、文字数軽減用のマークをMSページに用意してありますので、そちらを参照ください。
プレイングは【7/21(火)8:31~】受付いたします。
それでは、皆様の楽しい夏の思い出となるプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りを楽しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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クレア・フォースフェンサー
これはまた、見事な青空じゃ
わしのところは、ここ3週間ばかし曇りや雨ばかりでのう
予報では、あと10日は続くとのことで気が滅入っていたところじゃ
時にはかような地で羽を伸ばしたとて罰は当たるまい
皆に水着コンテストへの参加を促しておいて何じゃが、わしのものは資金不足とかで開発官殿が用意してくれなくての
まぁ、上着は脱ぎ、服の生地を薄手に変換すれば、砂浜を楽しむには十分じゃろう
現地の店でかき氷を所望
キーンという頭痛を噛み締めつつ、砂浜を歩く
うむ、やはり海に来て砂浜だけというのは片手落ちじゃな
海の流れに身を任せつつ空と海中とを眺め、心と体を休めよう
グィー殿、この美しき場所に案内いただいたこと、感謝じゃ
●夏の思い出
思わず笑顔になってしまいそうな程のスカイブルー。
美しい青は、誰も彼をも魅了する。
それは、人造人間たるクレア・フォースフェンサー(UDC執行人・f09175)であろうとも。
「これはまた、見事な青空じゃ」
思わず目を細める空は、ここ最近のクレアがとんと見れてはいない色。クレアが普段暮らしているUDCアースではこの三週間ばかりは曇りや雨が続き、空はいつ見上げても灰色のどんよりと暗い空。
いつお天道様が見えるのかと天気予報を追い掛けてみても、お天気キャスターの女性が告げるには、今日も明日も明後日も雨雨雨。月間天気予報であと十日は雨マークが続く知った時は、思わずげんなりと気が滅入ってしまったものだ。
普段は開発官の元で任務にあたっている身。
けれども稀には羽を伸ばしても良かろうと訪れた地。
広がる青に、心までもが広がるようだった。
「そうじゃのう、まずは――」
此処まで来たのだからたっぷり堪能せねばと足を向けたのは、かき氷の店だ。自分で流氷を取ってきてガリガリと削ってもいいが、現地の人が店も出してくれている。
ひとまずは労せずこの身を労ろうと歩みだしたクレアの足元で、ひらりと白いレース編みのパレオが揺れる。それに気付いて見下ろせば、美しい唇が弧を描いた。
開発官の資金不足により、クレアは水着を入手出来ておらず――けれどまあ服の生地を薄手にすれば良いかとゲートを潜ろうとしたところ、待ったが掛かったのだ。「その姿でいくのかい?」と告げてきたケットシーに素直に事情を伝えれば、「現地の人に用意してもらっておくよ」と気の良い笑みを向けられた。
申し訳無さもあったが、夏休みを楽しんでおいでとの声に背を押され、好意に甘えることにして夏の装いに腕を通したのだった。
白い地に赤いラインの入ったビキニに、透けるような繊細なレースのパレオ。
そしてかき氷も手に入れれば、また描く弧が深くなる。
氷を大きくすくってしまったことにも気付かず口に運んでしまうくらいには、その慣れない格好がとても気分が良くて。
「~~~~!」
キーンと響く頭痛もまた、夏の醍醐味だろう。
「どう、楽しんでる?」
「グィー殿」
この美しき場所に案内いただいたこと、感謝じゃ。
真面目な顔でそう告げれば、猫人がニカッと笑って。
「折角水着になったのだし、泳いでおいでよ」
お散歩も楽しいけどさと背を押して、猫人は白浜を駆けていく。
「……そうじゃのう」
小さな背中が更に小さくなるのを見送って、ぽつりと零されたのはどこか柔らかな声。
稀には海の流れに身を任せ、空と海中とを眺めるのも悪くない。
せっかくなのだから存分に。休める時はそれはもうたっぷりと。
クレアはめいっぱいクリームソーダの海を楽しむのだった。
大成功
🔵🔵🔵
壥・灰色
いと(f00433)と
真夏になんとも、あつらえたような島があるものだね
了解。……確かに熊が踊るのは、少し見てみたい気はする
いとに続いて流氷に飛び移り、熊といとを何度か見比べる
そんなにモフモフなの。……(起きている個体を撫でる)(あまりの手触りの良さにわしゃわしゃする)
……これ、延々触っちゃうな、普通に
甘いものを食べたくなってきたなら、かき氷を食べるのもいいんじゃないか
今日くらいはちょっと甘いのをさ。そこの熊から、赤い花を借りて
シロクマの一体に歩み寄り、屈んで目線を合わせ
もし良かったらその花、貸してくれるかな、シロクマくん
苺のかき氷が、この娘にはよく似合うと思わないか?
微か笑って、そう訊いた
赫・絲
かいちゃん(f00067)と!
いとは流氷に乗ってみたいなー
クマさんのダンス、絶対絶対かわいいよー!
手近な流氷に飛び乗ってパーフェクトな着地!
先客のクマさん達にはがおーとご挨拶
見て見てかいちゃん!みんなもっふもふだよー!
お昼寝してる子を起こさないように、でも起きてる子とは遊びたいな
もふもふしたりハイタッチしたり、ダンスには手拍子!
もふもふなのに撫でたらひんやりなんて不思議ー
海に浮かんでるとこは本物のアイスクリームみたいで
あまーいの食べたくなっちゃう!
かいちゃんの交渉に瞬きひとつ、くしゃっと笑って
さっすがかいちゃん、よくわかってるー
きっと、今までで一番美味しいかき氷になるね
ね、わけっこして食べよ!
●その味わいは
サラサラの白い砂浜に降り立てば、まず視界に入るのは何処までも広がる空と海、そしてもこもこのアイスクリームのような入道雲だ。
気持ちの良いスカイブルーと美しいエメラルドグリーンの堺には流氷がぷかりぷかりと浮かび、何とも華やかで、それでいて涼しげで、真夏に訪れるにはぴったりな島があるものだと壥・灰色(ゴーストノート・f00067)は柔らかく目を細めた。
「あ、クマさんいたー!」
灰色の紺の上着をくいっと引いた赫・絲(赤い糸・f00433)が指差す先は、ぷかりと浮かぶ氷山の上。そこにある何だか白いふわふわっとしたモノ。それこそがこの島の流氷に住まうクリームベアである。
きっと話を聞いてこなかったら砂浜からは丸いもこもこにしか見えなかっただろうそれが、ころんと横に転がって――ころん、ころん、むくり。白の中に白い丸がぴょこりとふたつ生えたと思ったら、黒い点もみっつ現れた。
見た目だけでも可愛いのにダンスもするのだと聞いている絲は「ダンスも絶対絶対かわいいよー!」と口にして、砂浜を蹴った。オフショルダービキニの白が空の色に線を描いて、とんと軽く降りるのは流氷の上。クリームベアたちが驚いてしまわないように極力勢いを殺した完璧な着地。
おれも見たいと笑みを浮かべた灰色も絲に続いた。
「がおー」
指を折ってがおーっとご挨拶をすれば、起き上がったクリームベアも両前足を挙げて挨拶――と言うよりも、単純に絲の真似をする。
がおーっとし合うベアと絲とを、灰色は何度か見比べる。水着姿のせいでスマートフォンを持っていなかったのがとても惜しく思えた。
そんな灰色を置いて、絲は好奇心の向くままに行動をする。
ご挨拶してくれたベアに手を差し出して握手をすれば、ふんわりとしたさわり心地に思わず「おお」と声が溢れる。
「みんなもっふもふだよー!」
仲良しこよしと繋いだ手を軽く揺らしながら、絲は満面の笑み。
転がっている子の背へと手を伸ばせば、ふかりと柔らかくその手が沈む。
「そんなにモフモフなの」
「すっごいよー、もふもふなのに撫でたらひんやりで不思議ー」
「……」
生唾を飲み込んだ男の目が、スッと細くなる。
歴戦の戦士のような表情を伴いながら音もなく屈み、お昼寝をせずにころころと転がっているベアへとそろりと伸ばされる手。
――ふかぁ。
例えるならば、何だろうか。おろしたてのタオル? それとも毛足が素敵な高級カーペット? いや、そのどれもが当てはまらないのではないか?
一度撫でだしたらその手は止まることを忘れてしまったかのように撫で続ける。嫌がれる前に止めようと心の中で強く誓ってはいるものの、人懐っこいベアたちはただ気持ちよさげに身を委ねていて――灰色は止め時を完全に見失った。
「見て見てかいちゃん!」
ダンスを始めたベアたちに合わせて絲が手拍子を送れば、踊り始めるベアたちが増えていく。上手に身体を左右に振って、踊って、そして手を差し出せばハイタッチ。
「すごいすごい、上手ー!」
惜しみない拍手に気を好くしたのか、更にベアたちは踊って――。
「あっ」
ころんと流氷の上から落ちた。
灰色が手を伸ばして掬い上げようとするが、ベアは特に気にした様子も見せず、仰向けにスイーっと泳いでいってしまう。ダンスで火照った身体に水が心地よいのだろう。
海に浮かぶその姿が本当に、クリームソーダの上のアイスクリームみたいで、冷たくて甘いものを身体が求めてしまう。甘いの食べたくなっちゃうと声に出せば、灰色もいいんじゃないかと同意を返す。
「もし良かったらその花、貸してくれるかな、シロクマくん」
赤い色の花を頭に飾ったクリームベアに近寄って屈んで、真っ直ぐに視線を合わせてお願いを。
「苺のかき氷が、この娘にはよく似合うと思わないか?」
「さっすがかいちゃん、よくわかってるー」
ベアは解っているのかいないのか小さく首を傾げたが、ココっと灰色が自身の頭を指差すのを見て、真似して自身の頭に手を伸ばして花に触れた。それでやっと気付いた! みたいな顔をして、そして――。
「あはは!」
絲が思わず声を上げて笑った。
クリームベアが手にした赤い花は、灰色の髪へと差し込まれたのだ。
よく似合っているよ、なんて笑いながらも裾を引き、食べに行こうと絲が誘う。
ふたりでかき氷を作って、花を挿して、そうしてわけっこをして食べるのだ。
赤く染まったかき氷は、甘くて冷たくて。
きっと、今までで一番美味しいかき氷になるに違いない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
パルフェミア・トレーフル
そと(f03279)ちゃんと
せっかくだからブルーハワイモード(水着)にカラー(衣装)チェンジしてお出かけするよ
にゃふー!カワイイにオイシイにいっぱいみたいで楽しみだね!
目をキラキラさせてニアを抱いてシュガーアイスにごーごー!
ねぇねぇ、クマ君も一緒に遊ぼ!くるくる【ダンス】と【歌唱】のリズムに乗ってクマ君とそとちゃんといっぱい遊ぶよ
離れられない魔法!すごーい!
ミアもやるー!!ひゃあ、冷たいけどこれは素敵!
果花もくれるの!?これは何味になるのかな?(色味お任せ)
一口食べれば美味しいー!!
カキ氷はとても美味しいのだけど、こうやって誰かとニコニコしながら食べるからもっと美味しいんだねぇ、大発見!
深鳥・そと
【ミアちゃん(f20297)】
今年のめっちゃイケてる水着でお出かけ!
今日はたっくさん楽しんじゃおうーー!
ソーダ色の海とかわいいクマさんにわくわくとシュガーアイスに向かってごー!
ミアちゃんの歌に合わせて魔法でキラキラ飛ばしてわたしもくるくる~~!
踊って歌ってクマさんぎゅっぎゅ
えへへーーふわふわひんやりきもち~~
ミアちゃんミアちゃん、これは一度触るともう離れられない魔法だよ
クマさんから貰った果花をカキ氷に刺して
変わる色に目を輝かせ、ぱくっ(色・味お任せ)
おいし~~!
すっごくかわいいところでかわいいクマさんとかわいいミアちゃんと遊べて
おいしいカキ氷食べて……うん、今日って最高~~!
●最高の一日
ピカッ!
明るい太陽の光を、シーグリーンの髪の上に乗ったハート型サングラスが反射する。可愛く染め上げたネイルを輝かせ、深鳥・そと(わたし界の王様・f03279)は元気な笑みをパルフェミア・トレーフル(ハッピーエール・f20297)へと向けた。
「今日はたっくさん楽しんじゃおうーー!」
「にゃふー!」
おー! と腕を振り上げた二人は、早速シュガーアイスへ向かって駆けていく。
さらさらの白い砂が舞い上がっても気にしない。
何故って今日は浜辺で、海で、クリームソーダの島で。二人はそれに見合った格好――健康的に足を覗かせた水着姿なのだから。
「ごーごー!」
「ごー!」
猫型ガジェットの『ニア』も今日は海辺仕様。いつもは赤い身体をパルフェミアと一緒にブルーハワイモードにチェンジして、パルフェミアの腕の中で『おー』と短い腕を振り上げていた。
流氷へ向かってぴょんっと跳んで、パルフェミアはアイスブルーのスカートを揺らして着地。続くそともシースルージャンパーをふかりと膨らませながら、とんと軽く着地をする。
流氷の上にころころころんと転がっていたクリームベアたちは二人の姿を見ても動じる事はなく、それぞれがそれぞれのしたいことをし続けている。ころころと転がってはまたころころと転がって戻ってくるベア、身体を起こして足を伸ばして座りふわぁ~と大あくびをしているベア。そして、のっそりてちてち歩いて二人に近寄ってくるベアもいた。
「ねぇねぇ、クマ君も一緒に遊ぼ!」
ダンスが好きって聞いたけれど、お歌は好き?
即興で作ったクリームソーダの歌を歌いながら身体を揺らせば、クリームベアたちも真似て踊りだす。楽しく歌って踊るパルフェミアに合わせて、そとがキラキラの魔法の光を放って彩れば、シュガーアイスは二人とクリームベアたちのステージのよう。
ふりふり、くるくる、ゆらゆら、はいポーズ!
「にゃふー! 上手上手!」
「もっといっしょに踊ろっ」
手を繋いで踊っても嫌がらなかったから、ぎゅっと抱きしめてくるっとターン。
「えへへーーふわふわひんやりきもち~~」
ふかふかふわふわなのに、ひんやり。
「ミアちゃんミアちゃん、これは一度触るともう離れられない魔法だよ」
「離れられない魔法! すごーい! ミアもやるー!!」
ぎゅうっと抱きつけば、ふわっとしてひんやり。
思っていたよりも冷たくて、パルフェミアは「ひゃあ」と声を上げてしまうけれど、驚いた顔も一瞬だけ。すぐににこにこ笑みが浮かんで、ふかふかの毛に顔を寄せた。
これは本当に、離れられない魔法だ。夏の間はずっとくっついていたいくらいに魅力的な。
たくさん踊ったベアたちがまたころころ転がって休憩しだしたのを見て、二人も踊るのをやめる。
「次は何して遊ぼっか?」
「泳ぐ? それとも――あっ、ミアちゃんミアちゃん」
「ん、なぁに? わっ、果花もくれるの!?」
「えへへー、クマさんありがと~」
パルフェミアには赤い花。そとには黄色い花を渡して前足をフリフリするベアに手を振り返して、二人はかき氷を食べに行く。
「あっ、赤いのはイチゴの匂いがするよ」
「こっちはなんだろ……レモン?」
「食べてみよっか」
「えへへ、楽しみだね」
花を挿したかき氷がじんわりと染まるのを眺める二人の目は、キラッキラ。
いただきまーすと声を合わせて口にして、しゃくりと口へと運べば――。
「おいし~~!」
「美味しいー!!」
思わず同時に顔を見合ってしまったことに、また声を立てて笑顔を咲かせて。
「ね、半分交換しない?」
「わぁいいね、しよ~!」
友達と笑顔も甘味も分け合うひとときは、掛け替えのない思い出の1ページ。
うん、今日ってばとっても最高!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
灰神楽・綾
【不死蝶】♢
わぁ、すっごく綺麗な青緑色の海
本当にソーダ水みたいだね
海が緑色に見えるのって何でだっけ?
クリームベアと遊んでみたいな
仲良くなればかき氷が更に美味しく食べられるだなんて
いい事尽くしじゃないか
熊が二匹居るエリアに近付き
撫でてみるとふわふわ良い触り心地
抱っこしても怒らないかな?
優しく抱き上げてみるとひんやり感が伝わってくる
抱き枕にして眠ると気持ち良さそうだなぁ
そのうち昼寝を始めちゃった熊を膝に乗せつつ
もう一匹の熊と梓達が楽しそうに遊ぶ様子を眺める
そうしていると熊が俺には赤、梓には黄緑の花をくれた
白い氷がじわじわとピンクに染まっていく様が面白い
こっちは苺っぽい味がするよ
梓のも一口ちょうだい
乱獅子・梓
【不死蝶】♢
確か海水に含まれるプランクトンが少ないほど
綺麗にエメラルドグリーン色に見えるらしいぞ
などと物知りのように語ってみるが
さっきスマホで軽く調べて得た知識だ
かき氷機を借りて綾と一緒に熊の元へ
これで大人なのか
子熊はどんなサイズなのか気になるな
遊ぶならこいつらの出番だな、と
焔と零を呼んで熊とご対面
すぐに意気投合して一緒に踊ったり
熊の背中に乗って歩いたりしている
こんなショット滅多に無いな
大量に写真撮っておかねば(親ばか
ふむ、こっちの花の蜜は青林檎味だな
蜜と氷のバランスが良く、爽やかな甘みが広がる
はいはい、お前らも食べたいんだろう
綾と、焔と零にもかき氷を差し出す
がっつき過ぎると頭がキーンとなるぞ
●これもまた夏の味わい
まるで夏場に喫茶店に貼られるポスターのような視界に、思わずわぁと口が開く。
「本当にソーダ水みたいだね」
海の色は、とても綺麗な青緑。綺麗に晴れている空からの天使の梯子の元、キラキラと輝いて見えた。
真夏の島に相応しく普段よりも薄手の服装に身を包んだ灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)と乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の二人は、さらさらの白い砂浜に――梓は早速借りたかき氷機を抱えて――立っていた。
「海が緑色に見えるのって何でだっけ?」
「確か海水に含まれるプランクトンが少ないほど綺麗にエメラルドグリーン色に見えるらしいぞ」
なんてさらりと物知り顔で語ってみせるが、ついさっきスマートフォンでちょちょいと調べて得た付け焼き刃の知識である。だがそれを知らない綾は、へぇ~っと感心したような声を零す。
「梓って意外な事知っているよね」
「そうか? ――っと、あの辺りはどうだ?」
ボロを出してしまう前に話を切り上げ、顎をしゃくって流氷へと視線を誘導すれば、赤いサングラスの下で瞳が輝く。その横顔に、梓が胸の内でホッと息をついたことに気付かずに。
二人が乗っても大丈夫そうな大きなシュガーアイスの流氷の上に、ころんころんと転がる白くてふわふわなクマ――クリームベアたち。
「いいね、あの子たちと遊ぼう」
かき氷機を抱えたままシュガーアイスの上をぴょんぴょんと渡れば、梓が示した流氷の上へとたどり着く。やあこんにちはと挨拶をしながら近付いて、しゃがんで手を伸ばしても逃げない様子に、覚えたのは期待だろうか。どんな触り心地なのだろうかと、自然と浮かぶ笑みとともにベアの頭へと手を置いた。
ふかり。
柔らかで、そして少しだけひんやり。
先日触れた羽毛とはまた違う感触に、ゆるゆると口が開いてしまいそうになる。
「抱っこしても怒らないかな?」
ベアを撫でながら梓へと意見を求めてみると、『焔』と『零』を喚び出しながら「嫌がらないのならいいんじゃないか?」と軽く頭を傾けられたため、一応「抱っこしてもいい?」と本人(クマ)たちに尋ねならがそろりと両手を伸ばして――ぎゅっ。撫でたときよりも、ひんやり感がとても近い。ぬいぐるみみたいに抱っこされても嫌がらず――と言うよりも毛が生えていない人間の皮膚が不思議なのか興味津々にぺちぺちと触ってくる。
「ふふ、くすぐったいって」
楽しげな様子な綾を見て、梓は二匹の仔竜とベアを視界に入れる。
柴犬サイズ程の小さなクリームベアたちだけれど、これでも成獣なのだという。子熊だったらもしかして焔と零と同じぐらいなのかと想像しながら、ベアを怖がらせないようにそっといくんだぞと二匹の竜に注意を促して梓は一歩距離を置く。所謂『うちの子たちを見守るお父さんポジション』というやつだ。
焔と零は梓の言いつけを守り、そろりと近寄って――そしてすぐに打ち解け仲良くなった。くるくると焔と零が飛び回れば、ベアもくるっと回って踊りだす。そんなベアと仔竜たちを梓は優しく見守り、綾も眠ってしまったベアをあやしながら見つめていた。抱っこが気持ちよかったのだろう幸せそうに眠るベアの腹が、緩やかに上下する。
穏やかなひとときが何だかとても愛おしく、ただ優しく過ぎていく。
「梓、そろそろかき氷食べようよ」
背に仔竜たちを載せたベアが歩くのを滅多に無い機会だと連写モードで撮影していた梓がハッと顔を上げる。一秒たりとも逃せるカットは無く、連射激選は当たり前。ついつい親ばかモードになってしまっていた梓は「そうだな」と口にして、かき氷の準備を始めるのだった。
「わ、くれるの? いいの?」
程よいお昼寝から目覚めたベアが綾に赤い花を、仔竜と遊んだベアが梓に黄緑の花を差し出した。しゃりしゃりと氷を削っている梓の代りに受け取った零が焔と一緒に匂いを嗅いでいる姿に、梓の口角がまた上がる。
削り終えたかき氷に、それぞれの花を挿せばじんわりと色が広がって――。
「ふむ、こっちの花の蜜は青林檎味だな」
「こっちは苺っぽい味がするよ」
甘ったるくない、蜜と氷のマリアージュ。
「梓のも一口ちょうだい」
「はいはい、お前らも食べたいんだろう」
「ガウ!」「キュー!」
勿論、早く! と元気に仔竜たちが急かす。
がっつき過ぎるなよと忠告はしたけれど、焔と零、それから綾は「はーい」「ガウ」「キュー」と良い子の返事だけをして――。
「……いっっった!」
一斉に頭を抑える姿に、それ見たことかと微笑うのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セト・ボールドウィン
きよ(f21482)と
すごい。ほんとにクリームソーダだ!
軽く準備運動したら、走って海にざぶん
わぁ、気持ちいい。きよも早く
あの流氷まで行ってみよう
どっちが早く着くか競争。やる?
へへ、負けないよ。真剣勝負だ!
ね、俺たちもかき氷作ろうよ
さっきクマから花をもらったんだ
俺のは、きれーなおひさま色。どんな味がするのかな
…?…!オレンジだっ
へへ、俺これすげー好きだな
きよのは?(ひとくち、と目で訴え)
わ、しゅわしゅわだ。これもすげー好きかも
俺の気になる?へへ。じゃ、交換こだね
きよの屋台ではさ、クリームソーダやらないの?
何か、めちゃめちゃ可愛い屋台になりそう
えっ。俺も手伝っていいの?
やったぁ、もちろん!任せてよ
砂羽風・きよ
セト(f16751)と
うお、マジでクリームソーダだな
飲んだら甘いんかね
なんて半分本気で言いつつ
今行くぜ!と勢いよく海へ飛び込み
冷たくて気持ちいいな!
お、楽しそうじゃん
どっちが先に着くか競争しようぜ!
よーい、どん!と同時に泳ごうとしたら
小さな砂糖氷を頭にぶつけて
いってー、マジかよ!
つーかセト泳ぐのはえー!待ってろ追い付いてやる!
(負けます)
――ん、いいな
俺もクマから貰った緑の花を差してひとくち
お、メロンソーダの味がする
セトの目線に気付けば口の端を上げて
はは、ほら。食っていいぞ
…俺にもひとくち
クリームソーダの屋台か…
確かに少し可愛くなっちまうが
珍しいし結構いいかもな
セト。そん時手伝ってくれるか?
●不運と幸運
屋台を引く砂羽風・きよ(札付きのきよし・f21482)の夏は忙しい。ラムネにたこ焼き、かき氷に冷やし飴。屋台を出せば客は来るし、縁日の場所をゲットできた日なんて一日中が書き入れ時だ。
視界に広がるクリームソーダの世界に、ふわふわと浮かんできた考えを、頭を振って振り払う。今日はめいっぱい羽を伸ばして遊ぶ日だ。商売のことは考えないぞ!
なんてきよが考える横で、彼の考えを知らないセト・ボールドウィン(木洩れ陽の下で・f16751)はイッチニッサンシーと元気に準備運動。これから思いっきり泳ぐのだ。足が攣ったりしないように、しっかりと筋を伸ばしておくことは大切だ。
「きよ、置いてくよ」
タッと葉の描かれた水着姿が駆けていく。
さらさらの砂浜を蹴って、海に向かって真っ直ぐ走れば――ざぶん。
優しくセトを受け止めた海が水泡とともに押し上げてくれる。
「わぁ、気持ちいい。きよも早く!」
「今行くぜ!」
――どぼーん!
勢いよく飛び込めば、盛大に水柱が上がって。
海面へとザバッと飛び出してくる顔もまた元気の良いものだ。
「冷たくて気持ちいいな!」
「うん、それにさ」
「「しょっぱくない!」」
合わさった声に何方からともなく笑って、えーいっと水を掛け合ってははしゃいだ。
「きよ、あの流氷まで競争しよう。やる?」
「お、楽しそうじゃん」
答えなんて決まっていると言わんばかりに明るくニカッと笑えば、よーいどん! でどぼんと海へと逆戻り。エメラルドグリーンの水を掻いて、二人はセトが指差したシュガーアイスへと泳ぎだす。
双方とも、勿論負ける気は1ミリだってない。
だってこれは、男と男の真剣勝負だ。
だというのに――。
「いってー!」
ぷかぷかと流れてきたシュガーアイスにきよはごつんと頭をぶつけたのだ!
頭を押さえて顔を上げれば、セトはぐんぐん泳いでいっていて、マジかよと己の不運っぷりに思わず口をつく。
けれどきよは、スタートダッシュに出遅れても膝を折るような男ではない!
「待ってろ追い付いてやる!」
闘志を燃やし、クロールで追いかけるきよだったが――。
「おつかれー」
「くそー、あそこで頭を打たなければ……」
シュガーアイスの上に腰掛けて足を浸していたセトは、手を伸ばしてきよが上がる手伝いをしてくれる。そこへ小さくサンキュと告げながら流氷に上がれば、セトの側には小さな花がふたつ。
「どうしたんだ、それ」
「さっきクマからもらったんだ。俺のは、きれーなおひさま色。きよにはこっちね」
「お、緑の花って珍しいな」
せっかく花をもらったのだしかき氷を食べようよ。
流氷の上をぴょんぴょんと跳んで渡って砂浜に戻り、かき氷機で二人分のかき氷を拵える。ふわふわの降ったばかりの雪のようなかき氷にそっと花を挿せば、それぞれの色にじんわり染まっていく。
「何味だろう。いただきまーす」
ぱくっ。
綺麗なおひさま色に染まった氷の甘さが口に広がって。
「……? ……! オレンジだっ!」
この味、なんだっけ。そう迷ったのは一瞬。
正解を導き出した表情が、パッと華やいだ。
「へへ、俺これすげー好きだな。きよのは?」
「俺のは――お、メロンの味がする」
果花は果物の味がするって聞いてはいたけれど、不思議だなー。なんてもう一口口に運べば、キラキラと輝く瞳をぶつかる。目は口ほどに訴えるとは、この事を云うのだろうか。真っ直ぐに『ひとくちちょーだい』と訴える視線に、プハッと笑みが溢れて、手の甲を口に寄せた。
「ほら。食っていいぞ」
「やった。……わ、これもすげー好きかも」
これもおいしいねとセトが笑えば、今度はきよがジッとセトを見る。
「……俺にもひとくち」
「俺の気になる? へへ。じゃ、交換こだね」
違う味は、二人なら二倍楽しめる。交換しない手はないでしょうと森の木漏れ日みたいな笑みとともに、手の内の氷菓を分け合って。
しゃくしゃくと、崩しては口に運び、そうして半分ほど腹に収めたころだろうか。砂浜に並んで座ってクリームソーダめいた空と海と流氷withクリームベアを眺めていたセトが、「そういえばさ」と口にした。
「きよの屋台ではさ、クリームソーダやらないの?」
「クリームソーダの屋台か……」
来てすぐにふんわりと浮かんだ想い。
飾り付けは可愛い目の方が客足は良いだろう。
それから容器もこだわって、ストローもバリエーションがあるとSNS映えもいいだろうし、ソーダやアイスの種類も揃えて……。
ハッ! いけない。金勘定へと思考が駆け足で向かってしまう。
「……セト。そん時手伝ってくれるか?」
「えっ。俺も手伝っていいの?」
もちろん任せてよと心地よく声が響く中、きよは緑の氷を口に運ぶ。
冷たさが喉を滑り落ちていく感覚を友と共有できるこの瞬間が、堪らなく好きだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セリオス・アリス
【双星】
♢
おおー!お前すっげぇひんやりしてるな
青い花の熊をもふもふと
色合いがアレスみたいで
ちょっと喜ばせてやりたくなる
気に入るところを撫でるけど
…なんか、こう…物足りない
アレス、ん
アレスに頭を差し出して
よくわかったなぁ
ふふ、さっきまでもふもふしてたからな
アレスの手も…きもちいい
熊を堪能したらかき氷だ
アレスが削るのを目をキラキラさせて見て
熊が花をくれるならそれもさす
ブルーハワイって言うんだったか?
綺麗だな、これ
アレスの色
連れられるまま木陰へと
こんだけ涼しいと水着じゃ寒いくらいだとくっついて
仲良く食べる
なぁ、アレスの
口を開けておねだりしたら
お礼にアレスの口元へ
アレス色もおいしいぞ
な、優しい味がする
アレクシス・ミラ
♢
【双星】
アイスのような流氷の上へ行ってみようか
…ん?お出迎えかな?
しゃがんで藍色の花の熊くんへおいで、と手を差し出す
はは、人懐こいね
撫でて欲しそうな所を撫でたり一緒に遊んでいると
何かを待つセリオスに気付き…くすりと笑む
これが御所望かな
優しく髪を撫で
頬に軽く触れてみれば
君も少しひんやりしてるね
ふふ、気持ちいいな
遊んだら機械を借りてかき氷を作ろう
熊くんから花を貰えたら氷に刺して…おや
ブルーベリー…かな?
何だかセリオスみたいな色だ
出来たら木陰まで連れて行って一緒に食べよう
おねだりさんには一口差し出し
はい、君の色。美味しいよ
彼からの一口も貰おう
ここも僕らも涼しくなってるけど
…何だかあったかい気持ちだ
●熱
自然界の植物――花や果実に、完璧な『青』と言う色は存在しない。人の手が加わり、人工的に作られてやっと出せる色――そのため青い薔薇の花言葉は『奇跡』なのだ。
アレスの色が無いのなら近い色を、とセリオス・アリス(青宵の剣・f09573)は自然と彼に近い色を探してしまう。そうして見つけた花は、青に近い紫の花。
「……ん? お出迎えかな?」
流氷の上に辿り着いてすぐ、ひょっこりと顔を出したクリームベアを見て目元をほころばせるアレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)の傍らをセリオスはすり抜け見つけた花を頭に飾るクリームベアの元へ。近付いても逃げない様子のベアの前にしゃがみ込むと、迷わず真直ぐに手を伸ばした。
「おおー! お前すっげぇひんやりしてるな」
しゃがんで手を伸ばし、もふっと抱いて、もふもふ。ふかふかな毛へ顔を埋めれば、ふわふわひんやりと大変心地良い。
楽しげな声を挙げてはしゃぐセリオスをアレクシスは穏やかな目で見守る。そうしてふと視線を横にずらした処、そこで自身をジッと見上げるクリームベアに気付いた。
水着であっても騎士然とした優美さでしゃがみ込み、おいでと手を差し出せば、キョロキョロと周りを見渡してから藍色の花をつけたベアが近寄ってくる。手の届く位置で止まったベアへと手を伸ばせば――ふかり。やわらかな毛の感触とひんやりとした心地よさが伝わってきた。
「はは、人懐こいね」
「ここか? ここが好きか?」
何処を撫でられるのが好きなんだ? 問いながら撫でれば、ベアたちもうっとり。シュガーアイスに身をこすりつけるのとは違う、人の手。暖かくて、そして届かないところを撫でたり掻いてくれたりしてくれる人の手が、彼等は大好きだった。
喜んでくれるのが楽しくて、セリオスはここかと尋ねながら撫でてやる。
――けれど、ふと何故だか物足りない。そんな気持ちになってしまった。何が足りてないかなんて、解らない。しかし、アレクシスを見れば、何が足りていないのか解ってしまった。
柔く優しく、人懐っこいベアを撫でていたアレクシスはふと視線を感じた。
はた、と青い色同士が重なる。
けれどその瞳は逸らされない。
何かを待つような、求めるようなセリオスの瞳に気付いたアレクシスに浮かぶのは、笑み。彼が求めてくれること、そしてそれを察することが出来る自分が誇らしい。
「これが御所望かな」
「アレス、ん――よくわかったなぁ」
優しく美しい黒を愛で、頬も撫でてやれば嬉しげに細められる青が愛おしい。
「君も少しひんやりしてるね」
「ふふ、さっきまでもふもふしてたからな」
頬を擦り寄せても怒らなかったぞと報告をして、くすりと微笑う。
「ふふ、気持ちいいな」
「アレスの手も…きもちいい」
人の肌は、暖かく。
少し冷えた頬と手は、触れる内に同じ温度へと変わっていった。
「そろそろかき氷を食べようか」
「だな」
ベアとの触れ合いに満足したふたりは、花を受け取って流氷を後にする。シュガーアイスの上を跳んで砂浜へと戻り、かき氷機を借り受けたアレクシスはさっそくガリガリと氷を削っていく。
削られた氷のかけらがキラキラと宙に舞えば、かき氷を削るアレクシスを見つめるセリオスの瞳もまた、期待を孕んでキラキラと輝いて。
「なー、アレス、まだ?」
「もう少しで完成だよ――ほら、出来た」
ふたつのかき氷に、藍と青紫の花を挿す。
とろりと蜜が染め上げていくのをワクワクとした目が見守って。
――セリオスみたいな色だ。
――アレスに近い色だ。
染まる色に笑みを咲かせたふたりは、かき氷を手に木陰へと移動する。
涼しい木陰で冷たいかき氷を楽しんでは、上着が在るとは云え薄い水着では寒いくらいだとセリオスはアレクシスに身を寄せる。そうして生まれる熱に、心も暖かくなったようだとアレクシスが微笑んで。
そうしていっしょにいただきますと口にした氷のお味は――。
「これは、ブルーベリー……かな?」
「こっちはブドウだ」
果物の味がする果花の蜜の味にふたりは目を瞬いた。
「なぁ、アレス」
「はい、君の色。美味しいよ」
口を開けてのおねだりに、断る理由なんて無い。
望まれるまま、望むとおりに差し出せば、お礼に一匙差し出される。
「アレス色もおいしいぞ」
分け合う違う色の違う味は、ふたりの有様にも似て、とても優しく愛おしい。
氷で身体は冷えていく筈なのに、触れ合った肩と心はいつまでも暖かく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロキ・バロックヒート
リルくん(f10762)と
すごい島がクリームソーダだ
袖引かれながらのんびりと
かき氷食べたいね
歌に合わせて鼻歌歌いながら
ヨルくんもリルくんも削るの頑張れするけど
難しそうなら影の刃でこっそり削る
熊小さくてカワイー
ほらリルくん抱っこもできそう
ペンギンとシロクマの素敵な出会い?
俺様もちょっとぐらいなら熊と話せるかな
なにしたい?って聞いてみて遊びでもダンスでも楽しむよ
もしお花をもらえたらどんな果物かなぁ
リルくんのと花が違うなら
かき氷食べ比べしてみようよ
最後はお昼寝
リルくんはほんとにクリーソーダみたい
俺様はコーヒークリーム?ふふ
この島だとコーヒーでも甘そうだね
甘い香りに包まれて
ふわふわ昼寝の夢もきっと甘い
リル・ルリ
ロキ/f25190
◇
ロキ!
みてみて、なんて君の袖をひく
くりむそだ、しがあいすだって!
ふふ!一緒にかき氷つくろ!
歌うのは「ヨルの歌」
たくさんのヨルと一緒に氷をけずって
大っきいかき氷をつくるんだ
僕もすぷん、で削るよ
ロキすごいね
もうそんなに削ったの?
山盛りのかき氷ができたら
しろくまにお花を分けてもらいにいぬ
ふわふわだ
抱っこできるかな?
ロキ、僕はね
手触りが良いふわふわが好き
歌う?踊る?いいよ!遊ぼ!
それからかき氷を食べるんだ
君も食べるかい?なんてお裾分け
ロキのは何味だったかな
食べ終えころりと横たわり
ロキは、こひくりむみたい!
くりむそだ、の人魚になって
甘い夢に揺蕩いながら、ゆるりお昼寝
ふふ、いい気分だ!
●コーヒー猫とソーダ人魚
「ロキ! みてみて、くりむそだ!」
「すごい、島がクリームソーダだ」
「あっちのはしがあいす!」
ロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)の縞々猫パーカーの袖を引く人魚――リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)が興奮に頬を染めて指をさす。
リルが指さすしがあいす――シュガーアイスは波に揺られながら、ぷかぷか。
そして、ぷかぷかと浮かぶ氷を眺めていると、何だかとても、
「かき氷食べたいね」
「ふふ! そうだね、一緒にかき氷つくろ!」
「でもどうやって作ろうか」
「僕に考えがあるよ」
そう口にしながら、二人で仲良くシュガーアイスへぴょんと飛び乗る。
「ロキ、もっと大きいしがあいすがいいかも。これじゃあ乗れないよ」
「? うん、じゃあ、あっちのはどう?」
「いいね」
そうしてぴょんぴょんと流氷の上を跳んで、飛んで。
大きな大きなアイスシュガーへとたどり着くと、リルはうんと大きく頷くと胸の前で手を組み歌い出す。
明るく元気な歌に合わせてロキも鼻歌を歌えば、リルの相棒仔ペンギンの『ヨル』が増えていく。その数84体。大きなシュガーアイスを選んだのはこのためだったのかとロキは得心しながらも、足元にぎっしりと詰まるヨルを踏んだり蹴ったりしないようにそっと距離を取った。
「さあヨル、氷をけずって。大っきいかき氷をつくるんだ」
僕はこれで削るよと、ジャーンっと取り出したるは銀のスプーン。
意気込みはバッチリ。シュガーアイスの上にぺたんと座って、スプーンでカツカツ、小さな嘴でコツコツ。本体を含めて85体ものペンギンが嘴を当てるのだ、ちょっとした工事現場のような音になっている――が。
(……あまり削れていないのかな)
仔ペンギンの嘴では鋭さも硬度も足りないのだろう。頑張れーと応援を送っていたロキは影の刃でこっそり削り、そっと助けたのだった。
「ふう、こんなものかな」
「リルくんヨルくん、おつかれさま」
ふうっと汗を拭う仕草をするリルとヨルたちの前には、削った氷がこんもりと山盛りになっている。受け皿は自然の受け皿、シュガーアイス。
「見てリルくん、クマが来てる」
「ほんとだ、ふわふわだ」
音が気になって見に来たのだろうふわふわのクリームベアたちが、なんだろうと言いたげにヨルたちを見つめていた。
目をキラキラと輝かせ両手をギュッと握っているリルを見て、ロキはベアたちの前に出てしゃがみ込む。まずはこんにちはと声を掛けてみて、反応が返ってきたら触ってもいいかと尋ねてみる。
ベアたちが嫌がらない事が解ったらリルを手招き、
「ほらリルくん」
抱っこしても大丈夫そうだよ。
にっこりと告げられた言葉に、リルは迷わず手を伸ばす。
ぎゅっ。
幸せそうに微笑む顔を表す言葉なんて、きっと無くても伝わっているけれど、僕はねとリルは言葉を紡ぐ。大切な人たちには、好きは好きと直接伝えたいから。手触りが良いふわふわが好きだよ、と。
「なにしたい?」
そっかと笑ったロキがもっと遊ぼうよとクリームベアを誘えば、リルが歌って。
それに合わせてみんなで踊って、騒いで、楽しいひと時。
「楽しかったって」
お礼に貰ったよとロキがベアから貰った花をかき氷にふたつ、味が半分になるように離して挿せば、大きなかき氷はちょうど半分でピンクと紫に染る。
「何味かな?」
大きなかき氷から直接フォークですくってぱくん。
「あっ、桜色は桃の味!」
「紫は……ブドウだね」
一緒に踊ったクリームベアとヨルたちで分け合ったら、あんなに大きかったかき氷もあっという間に無くなって。
ころん。
お腹いっぱいと転がれば、同じようにお昼寝姿勢になっているベアたちの姿が視界に入る。白い毛の口周りが紫だったりピンクに染まっているのを見つけて、どちらかともなくくすりと笑みが溢れた。
「リルくんはほんとにクリーソーダみたい」
「ロキは、こひくりむみたい!」
「俺様はコーヒークリーム? ふふ」
甘い微睡みが、目蓋をゆるゆると下ろしていく。
流氷の上に転がる二人は、クリームソーダにコーヒーフロート。苦い珈琲だって、クリームソーダの甘い海に落ちたら、きっときっととっても甘やかだ。
甘い飲み物になる夢へと、二人は優しく落ちていく。
――とぷん。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
境・花世
綾(f01786)と
ひやり流氷の上は心地よく
綾の柔らかな声は耳に快く
くまと一緒に目を輝かせて聞き入る
笑顔弾けるソーダの夏の片隅、
けれど一人だけむくれた仔
淋しそうなふわふわクリームの背中が、
どうしてか気になって――
! 待ってて、今行くよ
水飛沫散らして転げた仔を抱き上げたなら、
迎えに来てくれるひとがいる
甘い滴にぺしょんと濡れたまま、
やさしい眼差しの前で照れ笑いして
真白い毛並みをそうっと撫ぜる
くまくん、きみと一緒にお話を聞きたいな
心のままに笑ったりどきどきしたり
そんな風に、クリームソーダの夏を
やがてきらきらと夢中になる顔はきっと
一人と一匹、よく似ているに違いない
――綾、ねえねえ、もっと聞かせて?
都槻・綾
f11024/花世
くまさん達と
円座になってお話し会
ひとつ終わっては
また次の話のおねだりや
「どうなるの、それでそれで」と輝く円らな瞳、
もこもこの前足を慣れっこく膝に乗せて来たり、
実に愛らしい
まるで幼稚園の先生になった心地で
ふくふく肩揺らす
視界の端
ほんとうは混ざりたいのに
素直になれないひねくれこぐま
ちらちらぶつかる視線に
ほんのり笑めば
慌てたようにそっぽを向いて――途端、
勢い余って、どぼん!
転がり落ちるくま君を
即座に追ったのは薄紅の影
花世とこぐま君へ
手を差し伸べ
氷の島へ救出
さぁ
お話の続きですよ
いつの間にか花世の膝の上で
興味津々にお話しを聞くひねくれくま君……と、花世も
まるで姉弟みたいね、と笑み零れる
●くまくまおはなし会
シュガーアイスの流氷の上に座れば、ひんやりと心地よく。
寄せては返す花緑青の音も何処か遠くに感じられるのは、きっと傍らから聞こえる心地の良い声のせい。いつまでも聞いていたくなるような、美しい人の美しい声。柔らかで、優しくて――彼の声を表す言葉はいくら重ねたって足りないなと境・花世(はなひとや・f11024)は瞳を伏せて聞き惚れる。
「――そうして平和が訪れたのです。めでたし、めでたし」
ひとつの話を語り終え、お決まりの結び文句で締めくくる。
さあ一息つきましょうか? なんて笑みを浮かべても、都槻・綾(糸遊・f01786)を取り囲むクリームベアたちはダメダメと許してはくれない。『次のお話はなぁに?』『さっきのお話、続きがあるのではないの?』クリームベアと会話ができる綾の、彼等にとって知らない世界の話は、好奇心旺盛なクリームベアの興味を引いた。
次はとねだるベアは綾の膝にもこもこの前足を置いてテシテシと催促をし、お話を聞いて眠たくなってしまったベアは綾にもたれかかって既に安らかな寝息を立て――けれど、大人しくお話を聞きたい気分ではないベアたちだって当然居る。元よりダンスが大好きな彼等は、のんびりお昼寝をするのも好きだが、それは身体を程よく動かすからでもある。お話会に興味を示さないベアたちは離れた場所で踊って、踊るのに飽きたらお話を聞きに来て、眠る――綾が話を重ねるごとに、そんなスタイルを取っているベアたちも多かった。
「さあ、次のお話は何にしましょうか?」
綾が問えば、綾の周りのベアたちが次を期待して瞳を輝かせる。
瞳を輝かせるのは、小さくてふわふわなベアたちだけではない。白に混ざった大きな紅――花世も「綾、綾、次はあのお話がいいな」なんてねだってくるのだ。幼稚園の先生になった心地で、綾はふくふくと微笑って肩を揺らした。
その、視界の端。笑顔弾けるソーダの夏の片隅、白く輝く流氷の端に、ぽつんと離れたひとつの背中。ふわふわな背中がこちらに向けられて、けれどその背中から時折ちらりと視線が向けられる事に、綾も花世も気がついていた。
小さくとも成獣。ちゃんと大人なクリームベアたちは、お友達たちの意思を尊重する。いつもダンスを一緒にするお友達が一緒にダンスをしてくれなくてお話会に夢中でも、大きな声で抗議はしない。彼等は猟兵たちが思うよりも大人で、伸びやかに穏やかに暮らして来た素直なのんびり屋で、そしてとっても仲間思いなのだから。
ちらりと向けた視線が、翠の瞳とかち合う。
――見つかった!
細められるそれに、パッとベアは身体を前に戻すが――姿勢が崩れ、身体がが傾き、ころん。ころん、ころん、どぽん。
「――! 待ってて、今行くよ」
寂しそうな背中が気になって気を配っていた花世がパッと駆けて、目の前で揺らた薄紅を綾の視線が追いかける。頼りになる彼女が追ったのだ、すぐに掬い上げて戻ってくることだろう。
視界に広がるエメラルドグリーン。クリームベアはすぐに泳いで別の流氷へと向かおうとするが、そっと抱けば不思議そうに視線を向けてくる。きみもおいでと優しく笑んで、抱えて顔を水面に上げれば、迎えに来てくれるひとがいる。
差し出される手に、優しい眼差し。青空を背負ったその姿に照れ笑いを浮かべながらも、花世は頼りになるその手を取ってシュガーアイスの上へと戻った。
「綾、ありが――わっ」
ぶるぶるぶるん! ふわふわな毛がぺったりと濡れてしまったベアが、花世の腕の中で大きく身震いして水を飛ばす。
大きく口を開けて驚く花世の耳が、くすっと小さな笑みを拾う。そちらへと瞳を向ければ、軽く握った手を口元に当ててくすくす笑う美しい人。瞬時にたくさんの言葉が浮かんで、口を開いて。そうして溢れたのは似た笑みだった。
「さぁ、お話の続きですよ」
花世の腕の中が気に入ったのか大人しく収まっているベアの背を撫でて、また物語の続きを始めよう。『物』が語るから、物語。これほど彼に似合いの事はないかもしれない。
待っていたベアたちとまた、円座を組んでお話会。
新たに仲間を加えたお話会は――。
「おや」
新たにひとつ増えた寝息に綾は翠の瞳を瞬かせる。
ついさっきまで花世の腕の中で大人しく話を聞いていたベアが、眠っている。
「あれ、さっきまで綾みたいな顔をしていたのに」
「私みたいなって……どういう顔ですか?」
「ふふっ、内緒」
起こしてしまわないように、小さく微笑って。
そうして、ねえ、綾、ときみの名を呼ぶ。
「綾、ねえねえ、もっと聞かせて?」
「――それでは次のお話は」
穏やかで楽しいお話会は、クリームソーダのようにしゅわしゅわと弾けて。
そうして心に蕩けて、輝く夏の思い出となるだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
陽向・理玖
【月風】
マジで…クリームソーダの色…
瑠碧姉さんはクリームソーダ知ってる?
可愛い…そういう認識?
少し面白そうに
うわぁ…
でもひんやりしてて気持ちいいぜ
思い切って入って頭を突っ込み
マジで甘い
不思議だなぁ…
瑠碧姉さんも来いよ
大丈夫なんだろ?
ぶんぶん手を振って潜ろうと
マジで綺麗だなぁ
深く潜れば色合いに目を細め
水泡と小魚追いかけ
瑠碧姉さんに光綺麗だなと口動かし
水面に上がり空見て浮き
氷のぶつかる音聞いて
暑いけど涼しく感じるな…
ってうわっ!?
沈みかけ
いきなり驚かすなよ
上がってかき氷食べて休憩しようぜ
っとその前にクマと遊ぶか
花も欲しいぜ
氷の上のクマに手伸ばし握手しようと
ふわふわなのにひんやりだ
ああ勿論
花ひらひら
泉宮・瑠碧
【月風】
クリームソーダは、ソーダに氷に…
可愛いアイスです、ね
微笑ましく理玖の様子を見て、追って海中へ
水と風の精霊へ浮力を頼み、サマードレスで泳ぎます
ソーダの海が、宝石みたい…綺麗
深くへ潜る途中、水泡の甘さが不思議で目をぱちくり
海面を見上げれば光のカーテンが揺れて…
見入れば理玖に頷き
…少しだけ
海の底に沈んでいられたらと、思いますが
水面の理玖を追いますね
急に傍にざばっと顔を出して、驚かせてみます
…吃驚した?
かき氷…と聞けば目が輝き
熊には更に瞳きらきら
氷から落ちる子を抱き留めれば、嬉しそうによしよし
お昼寝の子にはそっと子守唄を届けて
花を持つ子に一輪良いですかとお願いを
後で、お互いに味見しましょう、ね
●後からのお楽しみ
押しては返す、花緑青。
さらさらの砂浜は二人の足元をひんやりと白く彩り、ぷかりと浮かぶ氷に居るふわふわの白いクマたちと目が合った泉宮・瑠碧(月白・f04280)はぱちくりと目を瞬かせ、傍らから聞こえてきた「マジでクリームソーダの色……」という陽向・理玖(夏疾風・f22773)の呆然としたような声を何処か遠くで聞いている心地となった。
二人の目の前に広がる光景は、同じもの。
これこそがクリームソーダで、そして――。
「可愛い……」
ぽつりと溢れた声に、理玖は瑠碧を見る。
「瑠碧姉さんにとって、クリームソーダってそういう認識?」
同じものを見ても、違うことを思う。同じことを思うこともあるけれど、その認識の違いが面白くて、理玖は少しだけ笑む。同じも好きだけど、違うのも好きだ。自分以外の誰かと一緒にいるんだって強く思えるから。
入っても平気だろうか。なんて迷うのはほんの一瞬。
ひたりと裸足の足を浸せば気持ちよさを感じて。
気持ちいいなと口角が少しだけ上がれば、あとは――黒のサーフパンツ姿で思いっきり駆けて。足が浮かぶところまで来たら、海水の中に頭ごと、ざぶん。
海面へプハッと顔を上げれば、息を吸うために開いた口に海水が忍び込む。けれどグリモア猟兵から聞いていた通り、その味は、甘くて。海水と聞いて思い浮かべる味とは違うことがとても不思議に思えた。
「瑠碧姉さーん」
聞こえた声に、海風に広がる髪を押さえながら瑠碧が視線を向ける。
クリームソーダの海から頭を出した理玖が、瑠碧姉さんも来いよと大きく手を振って呼んでいる。その姿が年相応に見えて微笑ましく、理玖にも見えるように両手で丸を作って返すと、理玖が待つ花緑青の海へと足を向けた。
足がつかなくなる場所まで向かってもサマードレスが邪魔だと思わずに済むのは、水と風の精霊のおかげだ。進むのに邪魔にならぬよう、そして瑠碧の泳ぎも浮力で助けてくれる。
花緑青の世界は、美しくて。
(マジで綺麗だなぁ)
シュガーアイスが生む影に、湧き上がる水泡に、小さな小魚たちに、それら全てが一体となって感じる海の広大さに、理玖は目を細める。
そこに、白が広がる。
サマードレスで泳ぐ瑠碧のサマードレスの色だ。
宝石のような海を泳ぎ、水泡の甘さに目をぱちくりと瞬かせる瑠碧の瞳もまた、宝石のように煌めく。手を振る理玖へと近付けば、上、上と指をさされて――。
花緑青の中に広がる、光のカーテン。
風に揺れるように波で揺らめき光を揺らすさまはとても美しく、瑠碧の心を捕らえた。
――光、綺麗だな。
――ええ、とても。
口だけを動かす会話に、こくりと頷きを添えて。
(……少しだけ海の底に沈んでいられたら)
光景を心に焼き映すようにそっと瞳を伏せた傍らで、理玖が上へと泳ぎ行く。そんな理玖を視界に収め、瑠碧は小さな悪戯を思いついた。
理玖はそのまま、光のカーテンに手を伸ばすように上へと泳ぐ。海面に顔を出せば仰向けにぷかりと浮き、真っ青な空を瞳に映す。ひんやりと冷たい水に浮かび、ただ空だけを見つめるひと時。浜辺から聞こえる波の音が遠く、シュガーアイス同士がぶつかり合う音が近い。涼やかで綺麗で、そして――。
「ってうわっ!?」
「……吃驚した?」
突然真横にザバッと顔が出てくれば、誰でも吃驚するに違いない。水平にしていた身体は沈みかけたせいで垂直になり、バクバクと跳ねる心臓を片手で押さえつけながら理玖は口を尖らせた。いきなり驚かすなよ、と。
「そろそろかき氷休憩にするか? ……っと、その前にクマと遊ぶか」
かき氷のためにも花をもらわないとな。と告げる声に、瑠碧の瞳はキラキラ。いそいそと近くのシュガーアイスの上へと上がり、遊んでくれそうな子は~と視線を彷徨わせば――。
「……あ」
あぶない。
ころんと転がって氷から落ちそうになったベアへと手を伸ばし、抱きとめて大丈夫だよと撫でてやれば、腕に伝わるふわふわと柔らかな心地。
「ひんやり、です」
「ほんとだな。ふわふわなのにひんやりだ」
クリームベアと握手した手を小さく上下に振りながら瑠碧へと視線を向ければ、瑠碧に抱きとめられたベアは既に眠りへと誘われていて。
「かき氷、食べるのもう少し後になりそうだな」
「ですね」
でもその時は、きっと瑠碧の腕で眠ったこの子が花を分けてくれるだろう。
後で味見しあいましょうねと口にする瑠碧の声は、ベアを起こさぬようにと配慮して、とても優しい。
応じる理玖の声もまた、とても穏やかなものだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蘭・七結
アルモニカさん/f22504
三色リボンを結いだ水着を纏わう
水面にそうと指さきを浸し、ひと掬い
しゅわりとあまい香りがするよう
まるでくりーむそーだ、ね
芸術のひと品のような花緑の海
あなたと共に眺めてみたかったの
まあ、真夏のお着替えね
あなたのお姿に心が弾むよう
やわくてあまいかき氷
ふわふわとやさしい心地を味わえるそう
真白い氷菓を掬いとって口許へ
じゅわりとほどけて心地よいわ
嗚呼、とてもステキね
熊さんもご一緒に如何かしら
おすすめのいただき方を教えてくださる?
果花をいただけるのなら
あかいお花を選んでしまいそう
アルモニカさんは、なにいろがお好き?
氷上に座して、時の流れを楽しむ
あなたにとってよき夏となりますように
アルモニカ・エテルニタ
七結様(f00421)
初めての海遊びが好物とおんなじ色の海で、だなんて!
子供のようにはしゃぎたい気持ちは隠しませんわ
きっと貴女は分かって下さるもの
水着の涼やかな白が鮮やかな海に映えて
貴女もクリームソーダになってしまったよう
あたくしも見様見真似で“着替えて”みようかしら
名残惜しいくらい、すぅっと溶けてしまうのね
ふふ、ほんとうに素敵
ソーダに載せたアイスクリームとどちらが好きかと問われたら
真剣に悩んでしまうくらいには
この子たちはおめかしが好きなのかしら
愛らしいお姿をもっとよく見せてくださいな
あたくしは、桜……いいえ、青い海の色が良いわ
楽しい時というのは不思議ね
ゆるやかなのに、こんなにも速く過ぎてゆく
●はじめての
白い砂浜に花緑青の水が押し寄せる。白い砂浜に押しては返すその様さえ、クリームソーダとアイスクリームの境目にも似て。
そうと浸した指の隙間を波が撫で、柔らかな曲線を描いて白い浜辺を浚っていく。そうして両手を浸して掬えば香る、甘さ。
(まるでくりーむそーだ、ね)
しゅわりと弾けそうなのに、手に触れる水の感触はただただ優しい。
透けるサマードレスを三色リボンで結んだ水着の乙女が戯れるのを、彼女もクリームソーダになってしまったようだと黒の淑女はそっと眺める。鮮やかな海に、乙女の白は目を引いて、そっと仮面の下の瞳が細まった。
目元を隠した口元に刷く笑みは、『普段』の彼女を知る者からしたらきっと驚きに目を奪われるに違いない。演技ではない、心の奥底から溢れた少女めいた笑みで唇を彩るアルモニカ・エテルニタ(Colchicum・f22504)を、蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)は振り返る。紫の瞳に伺うような色を、柔らかに乗せて。
「あたくしも“着替えて”みようかしら」
「まあ、真夏のお着替えね」
黒い淑女のタールのドレスは形を変え、見様見真似の水着姿へと変じる。
「……この海に、似合うかしら」
密やかに帯びた興奮に、震える声。それをアルモニカは隠さない。
海に焦がれるあまりに星海から遠い星へ堕ち、いつでも海へと訪える身となった。然れど胸に抱いた怖れによって見に行く事は一度たりとも無く、ただ焦がれる日々がすぎるばかりだった。それなのに――幾つになろうとも、ヒトは変わることが出来る。
(初めての海遊びが好物とおんなじ色の海で、だなんて!)
心の震えを、弾みを、抑えられようか。
普段の、『女優』としてのアルモニカだったならば、それでも女優の仮面をかぶったことだろう。けれど此処に居るのはきっと理解してくれる愛らしい乙女と、シュガーアイスの上でのんびりとしているクリームベアたちだけだ。
「ええ、とっても素敵」
声を弾ませ問う黒い淑女の姿に、七結の心も弾むよう。
ふたりで浜辺を歩き、足元を濡らす波と景色をと楽しんで。
少女めいた言葉を交わし合って手にしたのは、かき氷。
ふわふわの真雪のような氷を匙で掬えば、優しい甘さを残して、ふたりの熱にじゅわりと解けて消えてしまう。いつまでも味わいたくとも舌と触れ合うのはほんの一時。この儚さも、愛しいとすら思える夏の涼。
「嗚呼、とてもステキね」
「ふふ、ほんとうに素敵」
大好きなクリームソーダに載ったアイスクリームとどちらが好きかと問われたら、真剣に悩んでしまいそうですわとアルモニカは頬に手を添えた。
「まあ、アルモニカさん。それでどちらを――」
選ぶのかしら?
そう言葉を紡ぐ心算だった七結は、足元にクリームベアが来ていた事に気がついて。
「熊さんもご一緒に如何かしら。よければおすすめのいただき方を教えてくださる?」
そっとしゃがみこんで尋ねてみるが、クリームベアは不思議そうに首を傾げ、七結も同じ方向に首を傾げる。言葉が通じている様子はないが、首を傾げた拍子にポロリと落ちかけた果花を手で受けて。止め付けなおそうとすれば、そのままきゅっと前足で手を掴まれた。どうやらくれるようだ。
「この子たちはおめかしが好きなのかしら」
「アルモニカさんは、なにいろがお好き?」
そう口にするアルモニカの手の内にも、ひとつの花。
愛らしいお姿をもっとよく見せてくださいなと覗き込んだベアが付けていた、桜色の花だ。
「あたくしは、桜……いいえ、青い海の色が良いわ」
けれど、青に近い紫や藍はあっても真っ青の花は見掛けない。それもそのはず、真っ青の花や果実は自然界に存在しないからだ。果花もまた、その色の果物が無ければ、その花の色はない。
かき氷に挿してその蜜を楽しんだ後、ふたりは耳の上に花を挿して。
海に足を浸しながら流氷の上に座り、ゆるやかに流れる時間を重ね合う。
海を見て、語り合い、お互に佳き夏であることを願いあい、そして――。
「また来ましょうね、アルモニカさん」
「七結様――よろしいの?」
思わず見つめた紫の瞳が柔らかく細められれば、溢れる吐息。
――嗚呼。
吐息とともに、しゅわり、心が弾ける。
あたくしの心も、クリームソーダになってしまったよう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天音・亮
とっきー(f23050)
釘付けです
何にって?
はぁ〜かわいいい〜!
ころころふわふわひやひや〜
ぎゅってしても逃げないし
見て見てとっきー!
…浮き輪(もしやとっきー泳げない?)
いっそ連れて帰りたい…
お?なになに、あ、ダンス?
ふふ、上手!
かわいすぎる動きを真似して一緒に踊りながら
眺めてるだけのとっきーに悪戯心がむくり
一緒に踊ってくれない人には…
こうだー!
ベアと揃ってとっきーに体当たり
ちゃんと浮き輪が役割果たすように海にどぼんしちゃおう
怒られるかな?
でも楽しくってついつい笑顔
漂うきみの手を取り先を泳ぐベアの背を追って
こっちだよっていってくれてるみたい
ねえ、とっきー
楽しいね!
ソーダみたいに笑顔も弾けちゃう
宵雛花・十雉
あっきー(f26138)と
おお、ほんとにクリームソーダみてぇ!
テンション上がんなぁ
けどカナヅチなオレは流氷から足滑らせちまったら大事だ
さりげない浮き輪装備で行こ
どうも、こんにちは
噂の熊たちに挨拶して
見て見てするあっきーを微笑ましく見る
オレも抱っこしていいかい?
ほんとだ人懐っこい
いやぁ可愛いな
連れて帰りたくなんのも分かるかも
あっきーと熊のダンスを見守って満足してたら
不意打ちでドボンと落とされた
あ、あぶなっ
浮き輪でぷかぷか浮かんで気分はソーダフロート
やりやがったなと楽しげに笑いながら彼女の手を取り、そのまま引かれていく
おう、オレもすげぇ楽しいよ
あっきーの笑った顔見てっとこっちまで笑顔になっちまうわ
●ソーダ気分
花緑青の海に浮かぶシュガーアイス。
ふわふわのまぁるいクマは、クリームソーダの上のアイスクリームにも似て。
「おお、ほんとにクリームソーダみてぇ!」
サクラミラージュではちょっと見掛けない、ハイカラなお陽様色のサングラスをちょいと頭の上にずらした宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)は快活に口を開いた。明るい表情から、彼のテンションも知れることだろう。
「……浮き輪」
「……なんだ?」
「ううん、なぁんにも」
傍らからの天音・亮(手をのばそう・f26138)の声に、素知らぬ顔をする。
そう、190cmの高身長な成人男性である十雉の現在の姿は、サーフパンツにアロハシャツ。伸びる足には程々に筋肉も付き、どのビーチに出たって恥ずかしくはない格好だ。……が! さり気なく腕を通した浮き輪が、しっかりと肩に担がれていた。
――もしやとっきー泳げない?
などと言いたげな視線をバシバシ感じるが、十雉は全力で無視を決め込んだのだった。
追求する視線から逃れるように、シュガーアイスの上を渡る。軽々と跳躍していっているように見えるが――勿論、物凄く慎重に氷を選んでいる。浮き輪を持ってきたとは言え、カナヅチである十雉は海に落ちることは避けたい。つるんと滑って落ちて、浮き輪が外れてしまったら、それこそ一大事だ。
しかし、それ以上の追求は来なかった。なぜなら――。
「はぁ~かわいいい~!」
シュガーアイスの上を渡ってクリームベアが居る場所まで行けば、亮の興味も視線もそちらに釘付けになるからである。
「触ってもいいの?」
そろりと近寄っておっかなびっくり手を伸ばしたのは最初だけ。近寄られても撫でられても気にする様子を見せないベアに、ぎゅっと抱きついた。
ふかふかで柔らかな毛が肌に伝える、ひんやりとした感覚。その心地よさに、自然と口角が上がった。
「見て見てとっきー!」
こんにちはと挨拶をしながらクリームベアに近寄っていた十雉へ、満面の笑みを向ける。ぬいぐるみのように抱えられても大人しいクリームベアの白と、亮の笑顔がとても眩しく、十雉は微笑ましげに目を細めた。
「オレも抱っこしていいかい?」
挨拶をしていたベアに尋ねてみれば、言葉が通じていないベアは不思議そうに首を傾げる。けれど嫌がってはいない様子に、十雉もふかふかを堪能すべく手を伸ばした。
ふかふか、ふわふわ、ひんやーり。
「いやぁ可愛いな」
「いっそ連れて帰りたい……」
何だか割と、ガチめな声がした。けれど、分かると思ってしまうのは仕方がない。
連れて帰ったらダメかな。でも此処にしか居ないって事は、此処でしか暮らせないってことかも。だとすると交渉して連れて帰っても可哀想だし……うーん。
真剣な顔をして悩む亮の腕の中で、ベアがもぞもぞと身をよじり出す。
「お? なになに、あ、ダンス?」
腕を緩めればぴょんっと飛び出して、短い足で足踏み――ステップ。
「まぜてまぜて」
動きを合わせて一緒に踊って、くるりと周った拍子にジッと見ていた男とふと目が合った。
――あっきーも踊らない?
――遠慮しとく。
お互いの意思が読み取れて、けれどダンスを続ければ、むくむくと湧き上がる気持ちもある。そう、悪戯心だ。
ダンスの邪魔にならないようにシュガーアイスの縁に立ち、「君も踊ってくるかい?」と腕の中のベアへと話しかけている男に、影が掛かる。もうダンスは終えたのかと問おうとした時――。
「一緒に踊ってくれない人には……こうだー!」
十雉の視界が、ぐらりと揺らぐ。
亮とベアの体当たりを受け、ア、と驚きに開かれた口をそのままに、どぼーん!
「あ、あぶなっ」
沈んだ顔を慌てて海面に上げた十雉は、慌てて浮き輪にしがみつく。十雉が抱いていたベアも、浮き輪に興味があったのか泳ぎ去らずにくっついて、いっしょにぷかぷか。気分はソーダフロートだ。
大丈夫かな? 怒られるかな?
そろりとシュガーアイスから覗き込めば、大事無さそうな十雉が見えて。
「やりやがったな」
「えーい」
「うわ、揺れる、揺れるっ」
笑顔でどぼーんっと亮が隣へと飛び込めば、必死になって浮き輪にしがみつく十雉が面白い。勿論、危なければ助けるつもりだし、全力でなんとかする。楽しさに身を任せ、そうして声を立てて笑うのは、きみが居るから。
十雉の浮き輪から離れたベアが、泳ぎだす。きっと上がりやすい氷を知っているのだろう。
「とっきー」
ぷかぷかと漂う十雉の手を取って、亮もベアの背を追い、泳ぎだす。
エメラルドグリーンのメロンソーダを白いアイスが泳いでいく。その背を追いかける二人は、なんだろう? ミカン? サクランボ? それとも――?
「ねえ、とっきー。楽しいね!」
「おう、オレもすげぇ楽しいよ」
ソーダみたいに、ふたりの笑顔が弾けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイグレー・ブルー
【三夏】◇
サギリ殿、カデル殿、それからアーシェ殿。ご一緒できて嬉しいであります…!
ひらひらした海月のようなパレオもお星様のような傘もとっても素敵であります(にこにこ)
ふわふわしたくま殿に頭に飾った花を少し分けていただきたい所存
全身をでろりととろけさせ……一風変わった水溜りのように見せかけてそっと近付き気を引くであります…!
あっ触られるとくすぐったいのでー…くすぐったいのでーーお花を…!ふふふっ
わたくしかき氷を作る道具を借りてまいりますね
この緑の花は…どのような味がするのでしょう?とても楽しみであります
(じーっ)お二人ともお互いの舌の色をご覧になってください…!
素敵な色に染まってるであります
瀬名・カデル
【三夏】♢
ボクとアイグレーとサギリの3人で遊びに行くよ!
あ、アーシェもいるから4人だね!
アイグレーとサギリ、とっても可愛い水着なんだよ~!二人は初めましてなのかな?
仲良く遊ぼうね!
すっごく美味しそうな島でちっちゃなクマさんを発見!
か、可愛いね…!
サギリの呼び越えに反応するかな?
なんだかダンスをしてるならボクもおいで~とアーシェに踊って興味を引こう!クマさんーおいでおいで!
ふわふわもふもふ堪能しよー!
クマさんのお花を一つ、もらおっか。
ボクのは赤いお花だよ、かき氷と一緒にするとピンクになったね!
サギリから一口貰って、ボクも二人に。
わ、アイグレーの舌が綺麗な緑になってる…!
ボクのも真っ赤なのかな…?
サギリ・スズノネ
【三夏】
夏なのです!海なのです!
カデルお姉さんも、アーシェさんも、アイグレーさんも、水着姿とってもかわいいのです!
あっ見て下さいなのです!
あのクマさん、花冠とっても似合ってらっしゃるのですよー
こう、両手でもふっとしてみたいのです
きっと楽園なのです、素敵なのです
まずはクマさんに「こんにちはーなのです」と挨拶して近づきます(※動物と話す)
大丈夫そうだったら抱き着いてみるのです
こ、この抱き心地、素晴らしいのですよ!
皆で一緒に遊んで花果をわけて貰えたら、カキ氷を作りにいくのですよーえへへ
サギリ黄色の花果なのです!
舌です?あっ本当なのですよ!すげーのです!
お二人とも、サギリのカキ氷、一口どうぞなのです!
●三人の夏
きらりと輝く眩しい太陽。
爽やかな青空に、白い入道雲。
そして、流氷をかろんと鳴らしながら揺れる、エメラルドグリーン。
「夏なのです! 海なのです!」
ざざんと波の音が聞こえる白い砂浜で、サギリ・スズノネ(鈴を鳴らして願いましょう・f14676)は瞳をキラキラと輝かせる。夏! そして海! これこそがと思える風景がサギリの眼前に悠々と広がっているのだから、はしゃいでしまっても当然だ。
「サギリ殿のお星さまのような傘も海辺に映えますし、カデル殿のひらひらした海月のようなパレオもとっても素敵であります」
「アイグレーとサギリ、とっても可愛い水着なんだよ~!」
背中に聞こえた声にくるりと振り返れば、白い水着姿の人形『アーシェ』を抱いた瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)と、先程初めましての挨拶を交わしたばかりのアイグレー・ブルー(星の煌めきを身に宿す・f20814)の姿。
「カデルお姉さんも、アーシェさんも、アイグレーさんも、水着姿とってもかわいいのです!」
それぞれの個性に合わせた水着は、それぞれらしくとても似合っている。
青い空の下、浜辺に立てば、示し合わせて選んだわけではない白がとても映えていた。
くうるり傘を回して、サギリは再度海へと視線を向ける。美味しそうとカデルが口にするのはその光景故だろう。エメラルドグリーンの海に浮かぶシュガーアイスや、そうしてその上にある白いアイスのような丸いもの。瞳に映る世界は、まるでクリームソーダだった。
「あっ見て下さいなのです!」
白いアイス、に見える其れを、サギリはハッとした表情で指をさす。
まぁるくなっていたそれは、ころんころんと転がって――ぴょこん。丸がふたつ覗いたと思ったら、黒豆みたいな点がみっつ現れた。
「クマさんなのです!」
「か、可愛いね……!」
「くま殿……!」
という事は、流氷の上にちょこちょこ見える白い丸は話に聞いたクリームベアということだろうか……? 視線を巡らしてよくよく見てみれば、疑問は確信へと変わる。
「お花を付けているくま殿もいらっしゃるのであります……!」
「えっ、おしゃれかな。可愛い……」
「あのクマさんは、花冠とっても似合ってらっしゃるのですよー」
遠くから見ても毛はふわふわなクリームベアたち。
三人は顔を見合わせ、こくり。
――触らせてもらいたい!
今、三人の気持ちがひとつとなった。
サギリは傘を畳み、三人で流氷の上をピョピョンと渡る。大きなシュガーアイスの上までくると再度三人で顔を合わせ――こくり。ミッション・クリームベアの始まりだ。
「こんにちはーなのです」
動物とお話が出来るサギリは、ベアを脅えさせないように笑顔を浮かべながらご挨拶。柔らかな声で声を掛けながら近付いていく。
「触ってもいいです? 出来ればその、両手でもふっとしてみたいのです」
興味深そうに視線を向けるだけで逃げないベアの目の前まで行くとしゃがみこみ、問いながら手を伸ばしてみる。それでも逃げないベアに、いいのかな? いいよねっとそっと触れてみれば、サギリの手に伝わる毛の柔らかさとひんやりとした感触。
「はわ」
意を決して、えいっと抱きつけば――。
「こ、この抱き心地、素晴らしいのですよ……!」
ふわふわな毛がふんわりとサギリの身体を受け止め、そしてひんやりと冷やしてくれる。寄せた頬に感じる柔らかさに思わずうっとりとしているサギリを見たカデルは、うらやましさとともにやる気が漲る。
「よぉし。クマさんーおいでおいで!」
アーシェの手をとって、くるり、くるり。踊りを踊りながら、ベアへと声を掛け――おいでと呼び寄せるよりも自分が近寄った方が早いかも、と踊りながら近付いていく。
「素敵なダンスにボクもいーれて」
自然にダンス混じって、ベアとも手をとってカデルは踊る。その度にひらりひらりと揺れるパレオは優美で、ベアたちにもとても評判が良かった。
(――お二人とも、流石です……! わたくしもくま殿に受け入れてもらえますでしょうか……)
頭の花を分けてもらいたいし、出来れば二人みたいにクリームベアと仲良くなりたい。
(がんばるであります……!)
大きく頷いてぎゅっと拳を握って気合を入れたアイグレーは、次の瞬間――とろん。ブラックタールの全身をとろとろにとろけさせた。
一風変わった黒い水たまりに、白い水着がぷかりと浮いている。その状態ですすすーっと近寄り、少しだけ待機。時折ふるりと揺れるのは、「くま殿は興味を持ってくれますでしょうか……っ」とソワソワとしてしまうせいだろう。
ひょいとベアが覗き込む。じいっと見て、なんだろうと前足を伸ばしてくる。
ツン。ツンツン。
「あっ」
しゃべった。ビクリとしたベアだったが、アイグレーがそのままなのを見て、更にツンツンとつついてくる。
「あっ触られるとくすぐったいのでー…くすぐったいのでーーお花を…! ふふふっ」
「あっ、アイグレー、何しているの?」
「アイグレーさん、クマさんたちすっごいですよー」
くすくす笑って身を捩っているアイグレーのもとに、クリームベアを連れた二人も近寄って――顔を見合わせてにんまりと笑ったら――ツン。
「あっ、お二人とも……! ふふ、ふふふっ くすぐったいのであります……!」
沢山笑って身を捩ったアイグレーがかき氷機を借りに行き、三人は氷をがりがりと削ってかき氷を作成する。ふんわりこんもり、積もりたての真雪のような氷の山に思わず笑みを零し、そうしてまた三人で顔を合わせて同時に花を挿した。
アイグレーは緑、カデルは赤、サギリは黄色の果花だ。
果花の蜜がとろりと溢れ、じんわりと白が染まっていく。
「どのような味がするのでしょう?」
小さく喉を鳴らし、匙ですくった氷を暖かな口内へと招き入れる。
舌に触れた優しい味がふわりと溶け、三人の顔に笑顔が溢れた。
美味しいね、一口ちょうだい。
三人でそれぞれの味を堪能し、笑い合う。そうして開いた口に、「あ、」とアイグレーの瞳がまぁるくなって。
「お二人ともお互いの舌の色をご覧になってください……!」
「舌です? あっ本当なのですよ! すげーのです!」
「わ、アイグレーの舌が綺麗な緑になってる……!」
「カデル殿は真っ赤でありますよ……!」
かき氷を食べて舌を染めるのもまた、夏らしい姿だろう。
赤に緑に黄色。
夏らしい素敵な色に舌を染め上げた三人は、いつまでも楽しげに笑いあうのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐々・夕辺
千晴【f01295】と
千晴、千晴っ
海よ!綺麗、ジュースみたいね!
でもまさかこれ全部… ………。嘘でしょ。
海ってこんなに広いの!? やだ、怖い!
思わず相手の背中に隠れ、そっと海と氷を見る
…千晴
私、かき氷食べたいわ
でも氷とお花を取らないといけないのよね…って、まままま、待って!
置いていかないで!
あのね、熊って怖いのよ。ぱんちで死ぬことも…ひゃあ!
お、押し出さな……(ダンスする熊さんにつられて尻尾が揺れる)
無事に氷と花を取ってきて、かき氷にチャレンジ
これを回して…
ん、…んん!? これ固いわ!? 千晴ー! 手伝ってー!
結局何もかも頼りっぱなし
だけど食べるかき氷は美味しくて
…アッ、頭がきーんとするわ!
霧島・千晴
友達の夕辺(f00514)と
怖がる夕辺を尻目に熊をもふもふすべく近寄っていく。
怖かねーよ、こんなに大人しいんだからパンチなんかされないって。見てみろよ、あっちの子はダンス?してるぞ。
遊ぼ、と熊に向かってもふもふ尻尾を猫じゃらしのように差し出して。
ほらほら、夕辺も花が欲しいなら熊と仲良くならねーと。
夕辺の背を押し熊の前へ。
夕辺の方がよっぽどでかい図体してるのに、怖がりだよなー、なんて熊ともおしゃべり。
かき氷きに苦戦する夕辺に苦笑い。
うっそだろ、非力にも程があるぞ。
熊がくれた花を眺めながら、これはどんな味だろうと楽しみに氷を削る。
ああ夕辺、そんなに一気に掻き込むと頭が……って遅かったか。
●夏の試練の一日
蜂蜜色の髪が、青い空の下で元気に揺れる。
太陽の煌めきを反射してキラキラと輝かせ、佐々・夕辺(凍梅・f00514)は両手を広げて砂浜を駆けた。
「千晴、千晴っ」
薄紅の、梅のパレオを風が揺らす。興奮した声で呼ぶのは、ゆっくりと歩いて後を追う男の名。
「海よ! 綺麗、ジュースみたいね!」
ほら見てと振り返る笑顔に、霧島・千晴(ブラッディ・レイヴ・f01295)は眩しげに目を細めた。
空の果てを映した瞳はすぐにまたエメラルドグリーンの瞳に向けられ――そうして、夕辺はハッと気付いたような顔となり、手で口元を覆う。何か、気付いてはいけないものに気付いてしまったような、そんな顔。
夕辺に追いついた千晴が彼女の隣に立つと、「嘘でしょ……」と小さな呟きが漏れ、千晴はどうしたんだと言いたげに視線を送る。
「海ってこんなに広いの!? やだ、怖い!」
もしかしてこれ全部水!?
パッと千晴の背中に隠れ、恐る恐る海と氷とを見ようとする。そんな夕辺を、千晴は不思議なものを見るような目で観察した。案外怖がりなのか、と。
いつもの道化めいた服装ではなく、千晴もパーカーにサーフパンツとラフな格好。暑くはないが――このままジッとしていても仕方がない。そろそろ何か声を掛けようか。そう思った時、小さな声が耳朶に響いた。
「……千晴。私、かき氷食べたいわ」
「じゃあ氷と花を調達するか」
おっ、ちょうど彼処に居るな。手で庇を作って眺めた流氷の上に白くてころころしている姿を見つけると、千晴はひょいっと近くの流氷へと飛び乗ってしまう。
「って、まままま、待って! 置いていかないで!」
ぴょんぴょんと流氷を飛び渡っていこうとする千晴に慌てた夕辺は、海と氷に怖気づきながらも千晴を追いかける。
「あのね、熊って怖いのよ。ぱんちで死ぬことも……」
「怖かねーよ、こんなに大人しいんだからパンチなんかされないって」
クリームベアたちが居る流氷の上に辿り着いても夕辺は千晴の後ろに隠れ、早まらないでと言わんばかりに千晴のパーカーの裾を引く。
「見てみろよ、あっちの子はダンス? ダンスだよな? してるぞ」
可愛いもんだろなんて口にして、フリフリと身体を揺らすベアへと同じ動きで揺らした尻尾を差し出す千晴。そんな千晴を見て、夕辺の口からはヒエ……と思わず魂が抜けたような声が溢れる。
一緒に遊ぼうと寄ってきたらどうしよう。
だってぱんちされたらしんじゃう。
可愛い姿で騙して、突然ギラついた牙を見せてパクっとなんて――。
「ほら夕辺、花が欲しいなら熊と仲良くならねーと」
「ひゃあ! お、押し出さな……」
腰が引けている夕辺の背を、千晴がグイと押しだす。
――なんて非道い男なのだろうか。
夕辺の瞳に溜まりだした涙で視界までもが海の沈んだようになりだしたその時、ころんと転がってでんぐり返し(多分転がるダンスなのだが二人にはでんぐり返しにしか見えない)をしたクリームベアがつぶらな瞳で夕辺を見上げてきた。
ふりふり、身体を揺らして。
ぱたぱた、短い前足を動かして。
その動きに合わせて、夕辺の尾も揺れ始める。
「夕辺の方がよっぽどでかい図体してるのに、怖がりだよなー」
少しずつ同じようにステップを踏み出す夕辺を、千晴は仲良くなったベアを抱っこしながら眺める。夕辺には聞かれないように、話しかける相手は腕の中のベアだ。
「こんなに小さくて怖くなんてないのになー?」
『……?』
言葉の解らないベアは、千晴と同じ方向へ首を傾げるのだった。
クリームベアと遊んで果花を貰ったふたりは、氷を削ってかき氷を作る。
手強い熊だったわ、なんて一息ついたような顔をする夕辺だが――。
「ん、…んん!? これ固いわ!? 千晴ー! 手伝ってー!」
「うっそだろ、非力にも程があるぞ」
夕辺の試練はまだ終わらない。
結局千晴が削って、夕辺は器を抑える係に落ち着いた。
最後に千晴が、どんな味がするんだろうなと花を飾れば完成だ。
初めての海に、初めての熊とのダンス。そしてかき氷削り。たくさんの試練を乗り越えた夕辺は、果花によって染まったかき氷に目を輝かせる。そうして、うまそうだなと匙をゆっくりと運び出した千晴の傍らでサッサッとご褒美のようなかき氷を口に運んだ。
「んー、おいしいわ」
「ああ夕辺、そんなに一気に掻き込むと頭が……」
「……アッ」
――夕辺の試練は、まだ終わっていなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ワン・シャウレン
♢
【墨花】で参加
このような良い島があるとはグリードオーシャン侮れぬ
宇佐のテンションも既に高い…のう(保護者席に堂々陣取り見守り)
鞍馬、お主も来たか
ちゃっかり抱いているのがお主らしいといえばらしい
能か…真似する熊と並ぶのを見るのは楽しそうじゃが
そういえば今年はしっかり水着なのじゃな(成長にこちらも保護者の目で)
良い良い、似合ってるおるぞおるとも
(ダンスが終われば)
うむ。お疲れ様じゃ
仲良く出来たの…それでは早速カキ氷を作りに行こう
そちらの熊も一緒にどうじゃ?
鞍馬と氷を取り、かき氷機を借りて皆の分まで
花の味は青が興味あるの
のんびり海と宇佐達を眺めながら舌鼓を打たせて貰おうの
鞍馬・景正
♢
◆同行
【墨花】の3人にて。
◆行動
思えばあれから一年……。
当時は異世界式の水着を知らず、褌で間に合わせましたが、今年はしっかりと用意致しましたぞ。
さておき、ここの海のなんと澄明な青か。
熊もいたく愛らしい。
近くの仔を撫でつつ、嫌がられないようなら抱き上げてワン嬢、宇佐殿の元へ。
私も保護者席にお邪魔しつつ、宇佐殿と熊殿の舞踊を拝見いたしましょう。
能楽しか覚えの無い身としては、実に見事で新しく思える舞いと感じ入ります。
ちゃっかりなど滅相もありませんが、こちらの熊殿をワン嬢も抱いてみますか?
花のお裾分けを頂ければ、氷も集めて、かき氷を作り浜辺で暫し休憩するとしましょうか。
宇佐・兎織
♢
【墨花】の3人で参加。
ふぉぉ…!
クリームベアさんかわいいなぁん。
ころころ踊ってゆ。
ボクも一緒に踊るなぁん♪(浜辺できらきらしてる貝殻さんを手に、カスタネットのように唄わせお遊戯ダンス。保護者の人も見ています)
はふー。いい勝負だったなん。(クリームベアさんにぐっと親指立て。勝負…?)
ワンワンとクッラも見てくれてありがとナス!
じょうずにできました!(えっへん。無駄に自信満々兎)
あ、頭のお花をくれるみたい。
お疲れ様ってことなのかなぁん?
わーい、さっそくカキ氷に飾ってみるなぁん♪
ボクはこの赤いお花にしよーっと。
どんな味かなぁん?
やっぱり苺さんなのかなー。(わくわく)
●いっしょに同じ季節を重ねる幸せ
クリームソーダのような海に太陽が煌めき、時折カロンと音を立てる流氷の上では白いもこもこのクリームベアたちがのんびりと過ごしている。すやすやお昼寝をしたり、ころんころんと転がったり、そして楽しそうにゆらゆらとダンス。何気なく過ごしている彼等だが、人間から見れば可愛いもので。
「ふぉぉ…! クリームベアさんかわいいなぁん」
浜辺からクリームベアたちを見つめる宇佐・兎織(うさぎのアトリエ・f04091)の瞳が、キラキラと光る。可愛いものを見た時の感動と、そして好奇心で。
「ボクも一緒に踊るなぁん♪」
キラキラつやつや綺麗で、それでいてカスタネットになりそうな頑丈な貝殻を拾うと、兎織をシュガーアイスへとウサギのようにぴょーん。ぴょんぴょんぴょんっと跳んで渡ってクリームベアに逢いに行く兎織を、ひらりと振られた手が見送った。
「宇佐のテンションも既に高い……のう」
あまりはしゃぎすぎて熊に迷惑を掛けるのではないぞと一応声を掛ける保護者――ワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)は、白い大きなパラソルの下。持ち込んだビーチチェアに寝そべりながら、のんびりと海を眺める。
広い空は青々として白い入道雲が映え、エメラルドグリーンの海には流氷が浮かび、その上に住まうベアたちと兎織がお遊戯会のようなダンスをしている。
「斯様な佳き島もあるとは、侮りがたし……じゃな」
貝のカスタネットを打ち鳴らし、ベアの尻尾と似たまぁるい尾をフリフリし、見てる~? と振られる手に、ワンはのんびりと手を振り返す。
「宇佐殿は元気ですね」
「鞍馬、お主も来たか」
側方から掛かった声に視線を向ければ、浜辺を歩いてきた一人の男が視界に入る。ワンと兎織、共通の知人たる鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)だ。昨年は異世界の知識を知らずに褌で間に合わせた今年の景正は少し違う。袴を改造したような水着を纏い、肩に羽織を掛けて海辺の風を斬る――そう、景正は昨年の一年を経て成長したのだ。
ワンの視線が景正の顔から少し下がる。
「――鞍馬、その腕に抱えられているのは」
「うむ、先程知り合った熊殿なのですが、いたく愛らしく――抱いても気にされぬ様子でしたゆえ」
男の腕には、既に白いもこもこが抱えられている。言わずと知れた、兎織と踊っているもこもこと同じもこもこだ。
「ちゃっかり抱いているのがお主らしいといえばらしい」
「ちゃっかりなど滅相もありませんが、こちらの熊殿をワン嬢も抱いてみますか?」
ふわふわでもこもこでひんやりで実に良い手触りですよ。
差し出されたクリームベアを軽く撫でるに止め、そういえばとワンは口を開く。
「今年はしっかり水着なのじゃな」
「ええ、今年は防御力を高めてまいりました」
昨年のように兎織にツンツンされたとて心配はない。どこか誇らしげに見える顔にワンは小さく笑う。
「……似合わぬでしょうか」
「良い良い、似合ってるおるぞおるとも」
柔らかに瞳を和らげれば、海から兎織の声が聞こえて。
「宇佐殿は素晴らしいですね」
「ほう?」
「能楽しか覚えの無い身としては、実に見事で新しく思える舞いと感じ入ります」
「能か…真似する熊と並ぶのを見るのは楽しそうじゃが……」
今日はこのまま、保護者席で熊と兎のお遊戯会を見ることとしよう。
海から手が振られる度に手を振り返し、二人はパラソルの下、可愛らしいダンスを優しい瞳で見つめる。
柔らかな夏の風が、かろんとシュガーアイスのぶつかる音を届け、穏やかな時が過ぎていった。
「はふー。いい勝負だったなん」
クリームベアにグッと親指を立ててお互いの健闘を称え合った様子の兎織が、「ワンワンー! ラックー!」と二人のあだ名を呼びながら、行きと同じく兎のようにぴょんぴょん跳ねて戻ってくる。
「宇佐殿、見事な舞いでした」
「うむ。お疲れ様じゃ」
「じょうずにできました!」
お疲れ様のお花ももらったなぁんとにこにこ笑いながら花を見せ、えっへんと胸を張る兎織を暖かく迎え入れたワンと景正の二人は、かき氷の手配に掛かる。ボクもいくなぁんと付いてこようとした兎織だったが、沢山踊って疲れているであろうと保護者席のお守りと景正が抱いていたクリームベアを託され、ひんやりふわふわのクリームベアを抱っこしてビーチチェアにちょこんと座った。
ワンと景正は手分けして削りやすそうな氷を集める。
そのついでにワンは青い花を所持しているベアを探すが、完全な青の花は人の手によって作られるもの。また青い果実という物は自然界に存在しないため、青い果花を見つける事はできない。けれど青に近い紫の花を気の良いクリームベアから分けてもらった。
氷集めを終えれば景正が少し走ってかき氷機を借り受けてきて、一同は再度パラソルの下に集うこととなる。
がりがり、ごりごり。
氷が削られ、ふわふわな雪のような氷が器の上に白い山を作る。
がりがり、ごりごり。
「早くたべたいなぁん♪」
「もう少し待つのじゃ」
「すぐに出来ますからよ、宇佐殿」
なんて言葉を交わしている間に、みっつの山が出来上がる。
「ワンワン、ラック、ありがとナス♪」
最初にどうぞと渡された兎織は早速果花を挿してにっこり。
ワンも果花を挿すと、景正のかき氷には横からふわふわな足がひょいと出て赤い花を挿した。
「忝ない、熊殿」
「そちらの熊も一緒にどうじゃ?」
「どんな味かなぁん? やっぱり苺さんなのかなー」
「宇佐殿と同じ色なので同じでしょうか」
なんだろうねと首を傾げ、全員いっしょにパクっ。
「うむ。わしのは葡萄味じゃ」
「ボクのは苺さーん」
「……これは、西瓜、でしょうか?」
自信があるような無いような。首をかしげる景正へ、「ひとくちほしいなん」と兎織が口を開けてねだって。
クリームソーダの海を眺めながら、色違いのかき氷で舌鼓。
三人と一匹、鮮やかな空とパラソルの下。
大成功
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朧・蒼夜
【藤桜】
クリームソーダの海
聞いた時は半信半疑だったけど本当に美味しそうな海だね
熊?咲夜、小さな熊がいるよ。
ふわりと触るとふわふわ可愛い
咲夜も触るかい?
そっと彼女の両手に触りやすいように
幸せそうに触れる彼女に微笑んで
かき氷美味しそうだね
熊達と仲良くなれたかな?
何味が出来るだろう
きっと美味しいのか出来るよ
海が違う色へと染まり
もう遅い時間だけどせっかくだから海へ入るかい?
君の手を取りそっと中へと入る
彼女の手を離さず言葉を交わせないながらも
君の表情と行動でわかる
愉しげな彼女に微笑み返す
楽しいこの時間を君と過ごせる幸せ
東雲・咲夜
【藤桜】
宝石色の海原というだけで心躍るうえ
クリームソーダの…嗚呼、甘美なる夢の島…!
お菓子の家に遭遇しはった兄妹は
きっとこないにときめいたんやろな
そうくんの優しい指先に倣い
うちもそう…っと
動物さんへいつもそうしとるように声掛けて
なでなでさせてもろてええですやろか?
ふわふわ堪能した後は
あまぁい氷菓を舌鼓
仲良うなった熊さんがおったら
花蜜を分けとくれやす…と、お願いしてみまひょ
傾く陽が溶合うたオレンジソーダの波間に揺られ
ひんやり心地良い浮遊感
嗚呼、彼の微笑みに導かれる
ぷくぷく水沫の狭間に游ぐ水界の命たち
神秘なる光景をそうくんと見られる事が嬉しくて
ふふ…咲う唇から滲んだ甘さに
益々笑みが深くなってまうの
●オレンジソーダの海
彼女の心を捕らえるものは、様々だ。
愛しい者、美しいもの、可愛いもの――愛おしいと想う、全て。
其々に向ける彼女の表情や想いは違うけれど、輝いている――そう、朧・蒼夜(藤鬼の騎士・f01798)は東雲・咲夜(桜妃*水守姫・f00865)の横顔を見つめて思う。
「クリームソーダの……嗚呼、甘美なる夢の島……!」
胸の前で両手を組んで、声を震わせて宝石色の海原を見る咲夜の瞳はキラキラと輝いて見え、嬉しそうな様子に蒼夜はそっと柔らかく笑む。きっと彼女は、本に出てくるお菓子の家に遭遇した兄妹と同じ気持ちでいるのだろう。心をトキめかす何かを前にした、そんな表情だ。
それだけで、蒼夜は今日この場に彼女と来られて良かったと思える。クリームソーダの海の話を聞いた時は半信半疑だったけれど。
「あれは――熊?」
流氷に乗ってみようと誘って咲夜の手を引きシュガーアイスの上を跳び渡れば、ふわふわの生き物が見えてくる。小さくてふわふわな生き物が、ころころ転がったり仲間と遊んだりと、気ままに過ごす姿が見えた。
「咲夜、小さな熊がいるよ」
見てご覧と声を掛けながら近寄り、二人でそっと屈んでみる。
「近う寄っても逃げへんのやね」
「人に慣れているのかな」
蒼夜が手を伸ばしてみても逃げず、そのままふわりと触られても嫌がる素振りも見せない。柔らかな毛をふわふわと撫でれば、ひんやりと気持ちの良い感触を覚えた。
「咲夜も触るかい?」
蒼夜に頭を撫でられ、気持ち良さそうに目を細めるクリームベアをかわええなあと眺めていた咲夜は蒼夜を見上げ、そうしてそろりと手を伸ばす。
「なでなでさせてもろてええですやろか?」
動物と話せる訳ではないから、優しく声は掛けるけれどまずはそっと頬に触れる。嫌がらない事がわかれば「おおきに」と微笑んで告げ、その柔らかな毛を堪能した。
ひんやりと伝わる感覚が、不思議だ。動物本来のぬくもりが、ではなく、蒼夜が触れていたと言うのに、彼の熱を残していないことが、とても。
たくさん撫でて、満足したクリームベアが眠りに落ちてしまう前、ひとつの果花を受け取った。淡い薄紅の花の色は、咲夜に似合いの桜色。
折角だから桜色のかき氷を食べようと蒼夜に手を引かれ、ふたりはひとつのかき氷を分け合う。ひとつずつ食べたらきっと身体が冷えてしまうから、ふたりでひとつでちょうどいい。
「何味だろう?」
「可愛いお色やわぁ。桜色やから――」
匙で運べばすぐに口内でとろける氷菓は、咲夜が想像した通りの桃の味。
美味しいねと同じ味を味わって分け合う氷は、ふたりの中にとろけて消える。
「見て、そうくん」
かき氷を食べ、浜辺を散歩して、そしてゆっくりと休憩をした頃。咲夜が空と海へと指を向ける。その細い指の先には、傾く陽。緩やかに海へと溶け込んでいこうとする太陽が、クリームソーダの色をオレンジ味へと変えていく。
「綺麗だね、咲夜」
「ええ、ほんに」
「もう遅い時間だけどせっかくだから海へ入るかい?」
素敵な誘いに咲夜が微笑めば、蒼夜はその手を引いて海へと導く。
海水に顔をつけ、とぷんと水中に入っても、その手が離されることはない。よりしっかりと繋がれて、たくましい腕と身体が先導してくれる。
極彩色の小魚の横を泳ぎ、水泡に口付け呼吸して。
そうして彩る世界をめいっぱい楽しんで――。
瞳が、交わる。
お互いの眸に、お互いが映り、同じ感情を表す顔をみつけた。
愛しくて、楽しい時間。そして、幸せ。
ふたりの笑みが濃くなり、唇の隙間から空気が溢れて――そして同時に滲む、甘さ。
蒼夜の優しさにも似て、咲夜の感じるひと時にも似て。
ずっとこの時が続けばいい。そう、思うのに。
けれども嗚呼、無情にも陽は傾き続けて。
ふたりの海も、夜に、溶けていく。
大成功
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