鉄壁の楽園でバカンスを!
●鉄壁の楽園
グリードオーシャン『ウォールトピア』。
かつて猟兵達の手によって平和を取り戻した島の一つだ。
スペースシップワールドより落ちてきた宇宙船が島となり、朽ち果てて今は沖に壁だけが残る。だが、宇宙船やコアマシンの一部が未だに起動しているのか、この島は常夏の気候を維持しており、バカンスにはうってつけの環境である。
「そんなウォールトピアに再び行ってみませんこと?」
エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)がそう猟兵達に告げた。
「常夏のウォールトピアといえど、今の夏という季節が一番のかき入れ時! 他の島へ遠征に出ている海賊達もこの時期はウォールトピアに集まって、宴会をしたり、屋台を開いて料理を振る舞ったり、露店を出してお宝の交換会などをしているみたいですわ」
エリルが言う。島が平和になった分、今年は人の出入りも多い。例年以上の賑わいをみせているようだ。ただ通りを歩くだけでも楽しいに違いない。
「そうやって賑やかな島を堪能したら、ビーチで遊びましょう! 島民たちがわたくし達専用のビーチを準備していただけるようなんですのよ!」
うきうきとエリルが言った。ちなみに準備をしたのは、かつて猟兵達がこの島で救った『ジョニー海賊団』の面々だ。ジョニー達は猟兵達に大きな恩義を感じていて、きっと猟兵達が訪れれば、色々と手を焼いてくれるはずだ。
「海はとても澄んでいて、壁の影響で波も穏やかですわ。遠浅な海だから、沖にある壁まで泳いでいくのも苦じゃないみたいですわね」
そうなれば、水遊び、砂遊び、遠泳、好きなことをして遊ぶことが出来そうである。
「それと! お腹がすいたらバーベキューなんかも良いですわよね? ウォールトピアでは何故か、今年は海老料理が流行しているようなんですの!」
かつて戦ったコンキスタドールの影響なのか、それともたまたま豊漁だったのか、それはわからない。だが、ただ塩で焼いただけのもの以外にも、フライやボイル、煮物、炒め物など、様々な料理が次々と誕生しているのだという。
「これを味わわない手はありませんわ! さ、皆様で一緒に行きましょう?」
なお、平和な島ということもあって今回はエリルもついてくるという。それぞれの遊びの邪魔はしないようだが、呼びかければ喜んで参加する用だ。
そうして、エリルのグリモアが輝いた。
2020年、猟兵達の夏休みが今始まる――!
G.Y.
こんにちは、G.Y.です。
今回は猟兵達の夏休み、ということで下記の特殊なルールがあります。
このシナリオは既に猟兵達によってオブリビオンから解放された島となります。
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
上記をご確認の上、ご参加ください。
シナリオの舞台は『鉄の壁と楽園の鯨(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=22620)』というタイトルで登場した島、ウォールトピアとなります。
シナリオで登場したジョニー海賊団等も再登場しますが、彼らとの交流を要望しない場合は存在感が消えますので、特に以前のシナリオを読んでおく必要はありません。
オープニングの通り、スペースシップワールドの宇宙船が落ちて出来た島ですが、ほとんど朽ちて、今は沖に巨大な壁がそびえるだけとなっています。しかしながら、環境維持装置等が働いているのか、気候は常夏、バカンスにはうってつけの環境です。なお、海賊たちはその壁の隙間からウォールトピアに入港しています。
海は穏やかで遠浅なので好きなように水遊びすることが出来ます。
また、海賊たちは様々な海老料理を振る舞ってくれるようです。
リクエストがあればそれに応じて作ってくれるようですので、舌鼓を打ってはいかがでしょうか。
それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りを楽しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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ユスミ・アルカネン
【砥塚家】アドリブ歓迎
一人称:ボク、エミーリアさん→ママ、英明さん→パパ
コンテストの水着を着て
「おっきい……。これ、宇宙船…?」
そびえ立つ壁を見上げてぽかーん
あ、そうだ、浮き輪…膨らまさないと
萎んだフロートに息を吹き込む。その速度、5%/分
「ふう、ふう…、膨らまない…。パパ……」
数分後、酸欠気味になりつつ、おずおずと懇願する瞳を向ける
実は泳いだ事がない
遠浅の水面にフロートを浮かべる、突いたりひっくり返したり
「乗って遊ぶの…?うん、乗る…」ぐらぐら
落っこちる、初めての海はしょっぱい、難しいもう一度
「ひゃ…、あ…」さっきよりも高い視線
遠く続く水平線とそびえ立つ壁、それを見る瞳に初めて光が宿った
エミーリア・ソイニンヴァーラ
【砥塚家】メンバーで参加
愛する夫の英明さん(f02679)、愛娘のユスミちゃん(f19249)と一緒に参加します
コンテストの時の水着を着用…したいのですが、透けててとっても恥ずかしいので、シースルーの上からパーカーか何かを羽織ります
今日は、普段はお仕事が忙しい英明さんが、ようやく娘と遊べる日
わたしは二人の邪魔をしないよう、一歩引いて、ビーチパラソルの下で二人を見守ります
そういえばユスミちゃん、泳げるのかしら?
もしもの時はすぐに助けに行けるよう、準備しておいた方が、良さそうですね…
初めての、家族三人での家族旅行
思い出が残るように、写真を撮っていけたらいいな☆ わふ~っ♪
砥塚・英明
【砥塚家】でエミーリア(f06592):妻 とユスミちゃん(f19249):娘と参加
聞いた通り休暇にはうってつけの場所だね
二人共水着がよく似合っていて、それだけ来た甲斐がある…と思っている所に
大きなフロート(萎)を抱えた娘の視線
「貸してごらん」
請け負うと張り切って膨らませる
浜辺で見ていると言う妻にありがとうと感謝して、二人海へ
何故かフロートを突いて遊ぶ姿に苦笑して
「それは乗って遊ぶものだよ」
促すものの、随分苦戦しているので
少し迷った後、抱え上げて乗せてあげる
僅かな反応を観察するに気に入っている様子
妻に手を振り笑顔を向ける
これから沢山思い出を作ろうね、家族三人で
明るい太陽の光はビーチにさんさんと降り注ぎ、ウォールトピア中を明るく照らす。
鉄の壁に阻まれた楽園の海は青く、緩やかな波を作りながら、来る者達を迎え入れる。
「おっきい……。これ、宇宙船……?」
ユスミ・アルカネン(Trollkvinna av Suomi・f19249)は、沖にそびえる鉄の壁を見上げて、ぽかーんと口を開けた。
「昔落ちてきた宇宙船の壁らしいよ」
砥塚・英明(六天の白日・f02679)はユスミを見守るように後ろを歩きながら、この島の歴史について語る。
「英明さん、楽しそうですね」
その隣を歩くエミーリア・ソイニンヴァーラ(おひさま笑顔♪・f06592)は、英明の顔を見て言った。英明は「そうかな」と照れくさそうに頭をかきながら、この光景に目を細める。
つい先日、英明はエミーリアと結婚したばかり。更にユスミを養子に迎え、幸せな家庭が誕生した。しかし、普段探偵見習として、猟兵として忙しく働く英明はなかなか娘と遊ぶ時間を作ることが出来ず、ようやく今、念願の家族旅行が実現したのだ。
(聞いた通り、休暇にはうってつけの場所だね)
英明はそう思いながら立ち止まり、前を行く妻と娘の姿を眺めた。
パラソルをビーチに刺しているエミーリアは純白のビキニに身を包み、シースルーのワンピースを重ねている。今は恥ずかしい、とパーカーを羽織っているが、きっとビーチの太陽を浴びれば、眩しく輝くに違いない。
ユスミはフリルスカートのワンピース水着だ。濃いエメラルドのフリルといくつも縫い付けられたリボンがユスミの可愛らしさをよく引き出している。普段は長い髪を纏めた姿も新鮮に感じられた。
二人とも良く似合っている。この姿が見られただけでもここに来た甲斐があったと英明に思わせるものであった。
「英明さん、どうしたんですか?」
「あぁ、ごめん。今行くよ」
エミーリアに促され、英明は二人の元へと歩き出した。
「あ、そうだ……」
ユスミが鞄から畳まれてしわくちゃになった黒いビニールを取り出した。
「浮き輪……膨らまさないと」
黒いビニールを広げると、それはユスミの身長の2倍はあろうかというぺたんこのサメのフロートになった。早速ユスミは空気穴に口を付けると、ふーっ……と息を吹き込んだ。
ふー……、ふー……。ユスミの小さな体で吹き込まれる空気では、なかなかサメは膨らんでくれない。ほんのわずかに皺が伸びたくらいだろうか。
「ふぅ、ふぅ……、膨らまない……」
あまりの進捗率に、ユスミは口を離して息を大きく吸った。そして、目線を向けるのは。
「パパ……」
酸欠気味なせいか、照れがあるせいか、ユスミの頬が赤い。
見上げられ、懇願する瞳を向けられた英明は、微笑み、言葉を返す。
「貸してごらん」
英明はユスミに目線を合わせるようにしゃがみ込むと、ふぅー……っとサメに息を送り込んだ。
「わぁ……」
ユスミが感嘆した。流石大人の肺活量。しわしわだったサメのフロートが徐々に立体になっていく。
そんな微笑ましい二人の様子を、パラソルの下に座るエミーリアが眺める。
今日は大切な、初めての家族旅行だ。けれど、英明にとってはようやくユスミと遊べる日でもある。だからエミーリアは一歩引いて、二人の様子を見守ることを選んでいた。
目の前で二人が楽しそうにしていることもまた、エミーリアにとっての幸せだった。
「ふぅ、完成!」
英明がパンパンに膨らんだサメのフロートを持ち上げて、歓喜の声を上げた。
それをユスミに手渡すと、ユスミはフロートを抱きしめて、ぽつりと言う。
「パパ、ありがとう……」
その言葉に英明は笑顔で返す。
「さ、海へ行こう」
「ママは?」
ユスミがエミーリアへと向く。
「わたしはここで見ていますね。二人の遊んでる写真撮っちゃいますよ☆」
エミーリアはそうユスミに答えた。手にはスマホが握られて、カメラを向けた。
二人だけで遊べるようにというエミーリアの計らいでもあるが、それとは別に、エミーリアには沢山の思い出を残したいという想いがあった。
「ありがとう」
そんなエミーリアの思いに英明は感謝の言葉を述べて、ユスミと手をつなぐ。
「……行ってくるね」
ユスミは英明の手をぎゅっと握って、海へと歩いていくのであった。
膝に浸かったあたりで、サメのフロートを浮かべたユスミは、波にゆれるそれを不思議そうに眺めていた。
つんつん。と突っついてみたり、ひっくり返してみたり。泳いだ経験のないユスミは、勿論、フロートに乗って遊んだこともない。
そんな様子に英明はついつい苦笑しながら口を挟む。
「それは乗って遊ぶものだよ」
「乗って遊ぶの……?」
きょとんとしているユスミに、英明は言葉を続けた。
「うん。もう少しだけ沖に行こうか」
英明がフロートを泳がせながら、ユスミの腰が浸かる程度まで彼女を案内する。
その様子を写真で撮影するエミーリアは、英明に手を振りながら、ふと思い出す。
「そういえばユスミちゃん、泳げるのかしら?」
沖に向かっていく様子に若干の不安を覚えつつ、二人を見送るのであった。
「さ、やってみよう」
「うん、乗る……」
ユスミがフロートに足をかけて跨ろうとする。しかし、不安定なフロートは、ユスミの体重がかかってグルンとひっくり返ってしまう。
浜辺のエミーリアが驚いて立ち上がる。英明はその様子に大丈夫だ、という様子で手を上げる。
じゃぱんと大きな水しぶきが上がり、水中からユスミが顔を出した。
「わぷっ……しょっぱい」
口に入ってしまったようで、初めての海の洗礼を受けてしまったユスミだったが、それでもめげずに再びフロートに乗ろうと何度も試みる。
しかし、どうしてもなかなか乗れない様子に、英明がユスミの身体を抱え上げた。
そして、ユスミをフロートの上に乗せる。
「ひゃ……、あ……」
ぷかぷかと揺れるフロートの上で、ユスミの瞳に、遠い水平線とそびえる壁が飛び込んできた。
海の中にいた時よりも高い視線、白い雲、真っ青な海、太陽に反射してキラキラと光る波。その光景を見たユスミの瞳に、光が宿る。
英明はその様子をただ眺める。ユスミの瞳、表情、その僅かな反応に、気に入っているということを感じ取れたからであった。
「ねぇ、みなさん、記念写真撮りましょう!」
海から上がってきた二人に、エミーリアが声をかけた。
二人は同意すると、海を背景に3人並んで、エミーリアのスマホを覗き込む。
「はい、わふ~っ♪」
シャッター音と共に、1枚の写真が保存される。しかし、それはただの1枚では無く、思い出の詰まった1枚だ。
「これから沢山思い出を作ろうね、家族三人で」
英明が言う。これからも続いてゆく人生を共に歩むこと。共に紡いでゆく誓い。
夏の海で、家族はまた絆を固く結ぶのであった。
大成功
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アンナ・フランツウェイ
オリガ(f12132)と共に
どうも、暑いから家の部屋でゴロゴロしようとしていたら、オリガに引っ張り出されて来たアンナだよ。いつも思うけど、その場のノリと勢いで凄いよね…。
着いたはいいけど、オリガは買い物するから少し待っててとの事。オリガが帰って来るまでの間そこら辺で、何か食べて待ってよう。うぅ…人がいっぱいいる…。
やがて戻ってきたオリガの手には小物が。そっか心配かけてごめんね。お詫びという訳じゃないけど、今日は思い切り楽しもうか。じゃあこれからどうしようってオリガ、手を引っ張らないで!行くから、一緒に行くからっ!
こうして半ば引きずられながら、たまにはこういうのも良いかと私は思うのだった。
オリガ・ホーリエル
アンナ(f03717)と一緒に!
最近アンナの精神状態が心配だから遊びに誘いましょう。ほら家の中に籠っていると精神的にまいっちゃうわよ?…いいから早く来る!
アンナは様々な理由(主に腹部にある手術痕)で海に入れない。なら出店がある通りを巡ってショッピングするわよ!屋台もあるみたいだし、食べる事が大好きなアンナも満足…して欲しいわ。
とりあえずあたしは、アンナに似合いそうな小物を探しに行き、見つかったらアンナに渡すわ。確かに辛い事が多かったと聞くけど、今日一日で少しは元気を取り戻してくれると嬉しいわ。
さて、渡したら遊びに行くわよ!アンナと手を繋いで、島の観光へレッツ・ゴー!
「ほら、いいから早く来る!」
「えぇ~、待ってよぉ」
アンナ・フランツウェイ(怪物である事を受け入れた天使・f03717)の手を引いて、オリガ・ホーリエル(黒き天使を支える者・f12132)が島の通りを歩いていた。
島は島民や海賊達が出す露店でたいへんな賑わいを見せており、その様子にアンナは少し人酔い気味になっていた。
どうしてこんなことになったのだろうか。アンナは当初、暑いから家の部屋でゴロゴロしよう、ということでウォールトピアにまで来るつもりなど、一切無かったはずだった。
しかし。
「ほら、家の中に籠ってると精神的にまいっちゃうわよ?」
そう、オリガが突然アンナを家から引っ張り出し、あれよあれよという間にグリードオーシャンにまで来てしまったのだ。
(その場のノリと勢いで凄いよね……)
これまでの経緯を振り返り、アンナは軽く溜息をついた。
さて、現在。そんなアンナを連れ出したはずのオリガはいつの間にやらアンナの元から離れていた。聞くところによると、周囲の出店を見て回ってくるのだという。
「うぅ……人がいっぱいいる……」
一人取り残されたアンナは、人々の往来に少し気分を悪くしながらも、屋台で出ていたエビの串焼きをぱくつく。アンナは食べることが好きだ。だからこうして屋台を見ることは決して悪いことではないが、やはり一人というのは少し寂しい。
「どこまで行っちゃったのかなぁ」
もぐもぐとエビを咀嚼しながら、アンナはオリガの行方を案じるのであった。
そんなオリガは今、アクセサリーの露店を見て回っていた。
品物を物色する目は真剣で、一つ一つ手に取って、彼女の眼鏡にかなうものを探し歩く。
「あ、これなんか良さそうですわね」
それは小さな貝殻のネックレスであった。会計を済ませると、急いでアンナの元へと踵を返す。
空からはさんさんと太陽の光が降り注ぎ、日傘をさしていなければもっともっと汗が噴き出ていただろう。こんな島ならば、海に入ればきっと気持ちがいいんだろう。だが、それは出来ない。アンナは海に入れないからだ。
この島をオリガが外出先に選んだのは、海以外でも楽しめそうな施設が存在したからで、それらは全て、アンナの為。
「はい、これ」
「えぇっ?」
オリガがアンナにネックレスを手渡した。オリガの言う買い物は、アンナへのプレゼントを選ぶことだった。
驚いた顔のアンナに、オリガが言う。
「確かに辛いことは多かったって聞くけど……少しは元気を出しなさい」
その言葉に、アンナは気が付いた。
これはすべて、自分の為にオリガがしてくれたことなのだ、と。
「そっか……心配かけてごめんね」
アンナがオリガに微笑んだ。
「お詫びというわけじゃないけど、今日は思い切り楽しもうか」
アンナの言葉に、オリガの表情も輝き出した。アンナはその表情に嬉しくなると、続けて問いかける。
「じゃあこれからどうしよう……ってオリガ!?」
ぐぅっとアンナの手を引いて、オリガが駆け出す。聞いているのかいないのか、オリガが元気に叫んだ。
「それじゃ、島の観光へレッツ・ゴー!」
「ちょ、手を引っ張らないで! 行くから、一緒に行くから!」
手を繋ぎながら転ばないように慌ててオリガの後を追う。互いの手はぎゅっと結ばれて、簡単には離れそうにない。
オリガのぬくもりを感じながら、アンナは思った。
(たまにはこういうのも良いかも……)
大成功
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無累・是空
【POW】ナイア(f04959)と水遊び
ナイアとバナナボート2人乗りじゃ!
通常モーターボートに牽引させるが『神の見えざる手』で自力で引っ張るぞ
「しっかりと掴まっとれよナイア」
と言うたものの、水着姿のナイアの柔肌がぴったりくっついとると、ドキドキするのう。
バナナボートはちょいロデオするくらい揺らしてしまう。揺れを堪えればそのぶん密着するからの!いやいや、あくまでボート遊びのスリルをな?
と、煩悩に意識を取られとると大きめの波に乗ってしまいボートから振り落とされてしまう。
落ちた水の中でナイアと目が合って、思わず笑う。
童心に帰ったからか、ナイアが可愛かったからか。たまさか目にした水中の美しさか。
ナイア・アルハズラット
是空(f16461)と水着デート
今回のデートは私からのお礼のデート。
だから、ちょっとサービス多めでお相手するわ?
でも、彼とのデートは純粋に楽しみでもあるんだけどね。
二人でバナナボート的な奴に乗るわ。
「落ちる時は一連托生だから宜しくネ?」
何て言って、ボートのハンドルでは無くて彼に胸を押し付けるつもりで後ろからピッタリ抱き着くわ。
折角のデートですもの、これくらいはさーびすさーびす♪
ボートの中々の暴れっぷりにちょっと、体制を崩して海に落ちちゃうのだけれど……海中でふと目が合って、お互いにキョトンとしてるのがなんだかおもしろくって、そのまま声のないままクスクスっと笑ってしまうわ。
ウォールトピアの波はあまり荒くはない。沖にある壁が高波をシャットアウトするからだ。 穏やかな波と真っ青な海が、このビーチの大きな特徴なのだ。
しかし、今この海は史上稀に見るレベルでうねり狂っている。
「しっかりと捕まっとれよナイア」
「落ちる時は一蓮托生だから宜しくネ?」
その中心にいるのは、バナナボートと、それに乗る無累・是空(アカシャ・f16461)と、ナイア・アルハズラット(いずれ深淵に至る魔導書・f04959)の2人であった。
時は少し遡る。
ナイアからの提案で、二人はウォールトピアを訪れていた。
是空はトランクスタイプの水着を穿き、ナイアは黒いビキニ。二人とも水着コンテストに合わせて新調した水着でビーチを歩いていると、どちらからの提案だったのか、バナナボートに乗ることになったのだ。
二人はバナナボートに跨ると、是空が前方に念を籠め始める。
「通常モーターボートに牽引させるが……ゆくぞ神パワー!!」
二人の前方で穏やかな波が渦巻き、バナナボートが引き寄せられ、それは徐々に勢いを増してゆく。
「ゴッドハーーンドッ!!」
ごうごうと激しい音を立てながら、是空の念動力によってバナナボートが発進したのであった。
そして現在。バナナボートは海上で激しく暴れまわり、その余波を受けて海もまた大きな波と渦を作り上げるに至っていた。
「きゃあっ!!」
バナナボートが跳ね上がり、ナイアが是空の背にぎゅっとしがみついた。
備え付けのハンドルはもとより使っていない。是空の大きな背中に手を回して密着度を高めながら遊びに興じていたが、大きな波が来れば自然と抱き着く力も強まり、その分柔らかな胸もぎゅぅ、と背中に押し当たる。
(折角のデートなんだから、これくらいさーびすさーびすぅ♪)
是空の背中の体温を感じながら、ナイアはそんなことを考えていた。
もともととあるお礼を口実にして誘ったデート。ちょっとスキンシップのサービスを多めに、という意図もあるようで。内心作戦通りという心持ではあったが、それはそれとして純粋にデートが楽しいとあっては、密着度もどんどん高まってゆく。
それで気が気ではないのは是空だ。ぴったりとくっついた柔らかな感触、腰に回された細い腕、背中に感じる息遣い。どれもに思わず胸が高鳴ってしまう。
下心を出して念動力を激しくしてみると、それで生まれた揺れに堪えようとより一層密着するものだから、自然と勢いも増していってしまう。
(いやいや、あくまでボート遊びのスリルをな!)
そう心の中で言い訳をするも、背中にぽよんと柔らかいものを感じて、意識が一瞬、完全にそっちへ逸れてしまった。 その時だった。
「ぬおっ!?」
高波がバナナボートを攫ったのだ。バナナボートはあれよあれよという間に転覆、二人は海に投げ出されてしまった。
世界が静寂に包まれた。
ごぼごぼと泡の音だけの世界で、二人は目を開く。そして思わず、目と目が繋がった。
ごぼっ……。
二人の口から泡が漏れる。キョトンとしたなんだかおかしくなって、笑いがこみ上げてしまったのだ。
それには他にもいくつもの理由があったろう。
子供に還ったように遊んで、楽しかった気持ちが抑えられなくなったのか、はたまた海の中で映り込んだ一瞬の姿が、とても魅力的だったか。
「ぷはぁっ……あははははっ!」
「ぶはっ……はははっ!!」
海面から顔を出して、二人は大声で笑い合う。
特別な日の、なんでもない特別な笑顔。今日の出来事は、きっといつか素敵な思い出となるだろう。
次第に波は穏やかになり、バナナボートはゆらゆらと二人の傍で揺れ続けていた。
そして、猟兵達の夏休みは続いてゆく。
いつかまた戦いに身を投じる日の為に、今はゆっくりと身体と心を休める。
ウォールトピアの夏は、そんな彼らを情熱的に見守るのであった。
大成功
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