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ユーレイ・ストラグル・イン・キリング

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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 黒ずんだ木材で組み上げられた商店街。その一角で、駄菓子屋が爆発四散した! 飛び散る火の粉と家屋から飛び出したのは炎の車輪を持つ巨大な猫の妖怪! 激しいドリフトを決めた猫は商店街を猛ダッシュで走り去る! その背で袋を背負った骸骨が笑い声を上げた。
「イヒヒヒヒヒヒ! 菓子だ菓子だ! ぜぇーんぶ俺のモンだァ!」
「ア?」
 骸骨を乗せた猫がドスの利いた声を上げ、骸骨を睨む。
「何言ってんだコラ! オレサマがいなけりゃ何もできなかったんだから、その菓子は全部オレサマに渡すべきだろうが!」
「ンだとォ!?」
 骸骨は袋を庇うようにし、睨み上げてくる猫にガンを飛ばす!
「お前の足じゃ菓子取れねえだろ! 俺のおかげで作戦成功したんだから、コイツは全部俺のモンだ!」
「ふざけんじゃねえぞオラァァァ!」
 火車輪猫が下半身を跳ね上げ骸骨をカタパルトめいて射出! 強盗した駄菓子が詰まった袋めがけて跳躍し、猫は口で袋を奪った!
「あーッ! 俺の菓子!」
「オレサマの菓子だァァァ!」
 火車輪猫は頭をスイングして骸骨を吹き飛ばし着地。そのまま商店街を過ぎ去っていく。
 走り去る猫の後方では、狼男が馬頭鬼を殴り倒して財布を奪い、髑髏の頭を持つ鳥が牛頭鬼の弁当箱をかっさらう。
 妖怪横丁のそこかしこで火の手が上がり、略奪と殺し合いに端を発する狂乱が幕を開けていた。


「……アポカリプスヘルみたいって思いません?」
 顔のBTRを消したシーカー・ワンダーは右手を口元に当てて首を傾げた。

 カクリヨファンタズムが、オブリビオンの企みにより滅亡の危機に陥っているとの予知が入った。
 オブリビオンはカクリヨファンタズムからとある概念を奪い取り、この世の終わりじみた光景を生み出している。その奪われた概念とは、『自制』。自らの欲望を制御し、抑制するという概念全てが失われ、住民たちは欲望のままに奪い合いをしているというのだ。

「このまま放っておいたら、妖怪たちは殺し合いの末に世界を滅ぼしてしまいます! 原因のオブリビオンをやっつけて、奪われた概念を取り戻してほしいんです!」

 この事態の元凶の名は『ダークプルティア『ダークデザイア』』。欲望の解放こそが正義だと主張する仮面で、現在はとある少女妖怪の身体を乗っ取り暗躍している。

 ダークデザイアの居場所はわかっているが、そこは彼女が配下にした『妖タヌギツネ』の盗賊団が拠点にしており、一歩踏み入れば問答無用で身ぐるみを剥がしにかかってくる。まずは盗賊団を倒し、道を斬り拓いてほしい。

「ダークデザイアをやっつけたら、世界は元通りになるはずです。終わったあとは本来の妖横丁をのんびり散策できるはずですよ! がんばってくださいね!」


鹿崎シーカー
 ドーモ、鹿崎シーカーです。
 初のカクリヨファンタズムシナリオ、純戦闘依頼となっております。

●舞台設定
 オブリビオンによって『自制』の概念が失われ、妖怪たちが欲望のままに殺し合う世界です。この事態を引き起こした元凶は、商店街から少し離れた館の地下に潜伏しています。ボスオブリビオンを撃破し、奪われた概念を取り戻してください。

●第一章・集団戦『妖タヌギツネ』
 妖孤に化け狸、あるいはその逆の形で骸魂へ呑み込まれてオブリビオン化した妖怪。妖術を自由自在に操り、その中でも変化の術に長けている。ぺったんこがコンプレックスだが本人はセクシーと主張する。
 ボスオブリビオンの潜伏場所に繋がる洞窟に潜んでおり、猟兵が来るなり問答無用で身ぐるみを剥がしにかかってきます。蹴散らしてください。

 アドリブ・連携を私の裁量に任せるという方は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると助かります。ただし、これは強制ではなく、これの有る無しで判定に補正かけるとかそういうことはありません。

(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
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第1章 集団戦 『妖タヌギツネ』

POW   :    狐狸妖術・妖姿媚態の術
戦闘力が増加する【わがままボディの雪女】、飛翔力が増加する【むちむちばいんばいんの仙女】、驚かせ力が増加する【ぼんきゅっぼんの淫魔】のいずれかに変身する。
SPD   :    狐妖術・酒池肉林の術
【美少女妖怪たちによる百鬼夜行】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【中毒性のある、好みの美少女に接待される幻】を放ち続ける。
WIZ   :    狸妖術・乱痴気騒の術
【対象の性癖に合致した好みの女性への変身】を披露した指定の全対象に【この女性のためなら何でもするという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

十津川・悠
自制心を奪った…ね
それ海賊の前で同じこと言える?略奪が日常すぎて自制なんて当の昔に振り切ってるよ

最も海賊の全盛期は海賊のがまだ節度と規律があったけどね…っと話がずれたがなんにせよ『奪った』以上は『奪われる』覚悟はあるんだよね?

さぁ、略奪開始と行こうか
相手が百鬼夜行で来るならこっちも百鬼夜行、いや亡霊の王の狩猟会とでもしゃれ込もう。まるでガールズハントっぽい気もするけど彼等は容赦ないからむしろ全部止めきれたならほめてあげよう

最も止め切れれるほどのことだけど。


咎大蛇・さつき
アドリブOK・連携歓迎
【口調 女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)】
この世界は欲望の海のように愛にあふれているのでしょうか?
素晴らしい物を見せてくださいね…ウフフ。

【戦闘】
私は如何なるものも受け入れます。
戦闘の際には敵の動きを呼んで攻撃を仕掛けたいところですが
私が幻を受けたとして単なる接待では楽しめないのです。
共に愛し合いましょう!私とともに愛の一撃を!
(幻を受けても戦うことに変わりないために、ユーベルコードを発動させて、幻もろとも的に攻撃を仕掛ける。)


黒木・摩那
一人称:私
二人称:あなた
三人称:~さん

カクリヨ世界ってもっとのんびりした世界と聞いてたんだけど。
何、この世紀末ワールドは。
世界を元に戻すため、頑張らせていただきます。

まずは洞窟に潜むという、、泥棒妖タヌギツネ達を蹴散らしましょう。

ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
UC【トリニティ・エンハンス】で【風の魔力】をヨーヨーに付与します【属性攻撃】。
回転で起こしたつむじ風で【なぎ払い】していきます。

妖タヌギツネ達の妖術には【気合】で対抗。
そんな見た目では騙されませんよ!

『まな板』はNGワード。
口にした奴は死あるのみ、です。


松苗・知子
■心情
……っべーわね。なんかこの相手、他人とは思えない何かがあるのよ。
胸がなくたっていいじゃないのさ!スレンダーにはスレンダーの魅力があるのよチックショウ!

けっしてあたしが貧乳というわけではないわ。ないわ。

■戦闘
とりあえず突っ込みながらユーベルコードを発動して突入するわ
「自分を偽る必要なんかない!胸を張って生きていいのよ!」
ないけど。

突入した後は、胸と尻がよりでかく変身してる相手を優先して特殊警棒で暴れまわるのだわ。
「そういうことするから、戻った後余計悲しくなるのよ!?」
人生諦めも……、もとい、自信を持つことも大事なのよ!

〆にもう一発ユーベルコードをかました後は「逃げ足」活かして全力で離れるわ


木常野・都月
一人称:俺
二人称:貴方
三人称:先輩や尊敬してるヒトはさん付け、それ以外は呼び捨て
名前:苗字さん


接待?よくわからない。
でも、セクシーというより可愛くて……いやそうじゃなくて!

俺は服はどうでもいいけど、人は人前で裸になると逮捕されるんだぞ!

悪質すぎる。
速やかに!倒したい!

UC【精霊の瞬き】を氷の精霊様の助力で使用したい!

敵の攻撃は…チィ!
チィをガッと掴んで敵に向けたい。
チィは、幻や狂気を司る月の精霊様。
チィに幻を中和して貰いたい。
頼むぞチィ、お前だけが頼りだ!

後は風の精霊様に敵の位置を[情報収集]して貰い、その情報を元に[範囲攻撃、属性攻撃]で敵を攻撃したい。


ベルナデット・デメジエール
一人称:わたくし
二人称:あなた
名前の呼び方:名前にさん付け(漢字名はカタカナに)
~ですわ、~ますの等、いかにもお嬢様のような話し方

まったく、どこもかしこも酷い有様!これではおちおち散歩もできませんわ。
幸い黒幕の居所は掴めているそうですので、早く懲らしめてしまいましょう。

あら。洞窟に入るなり、セクシーな盗賊団のお出ましですわね。情報通りですわ。
うふふ、確かに可愛らしいですこと(自分とスタイルを比べて勝ち誇る)
けれどいきなりレディの服を脱がせようとするのは無礼ですわよ!
躾のなっていないケダモノは、わたくしのUCでお仕置きして差し上げますわ!
剣よ、我が敵を貫きなさい!



 カクリヨファンタズムの地下、オブリビオンが潜む広大な坑道! 左右の壁にかかったカンテラの光に照らされ、床にはいくつもの影が踊る。しなり、揺らぎ、誘惑する少女たちの影。それらの頭部がまとめて吹き飛んだ!
 SPLAAAAAAASH! シャンパンじみて血を吹き上げる首無し死体を背後に、黒いノコギリ刀を手にした咎大蛇・さつき(愛を貪る鮫・f26218)は凄まじい速度で坑道を疾駆する! その先には頬を引きつらせて後ずさる妖タヌギツネの集団!
「馬鹿な! 彼奴め、酒池肉林の術を斬り飛ばしよった!」
「嘘でしょ!? 他の奴らならもれなく虜になってるのに!」
「自制は既に奪われた! 何故欲望のままにむしゃぶりつかぬのじゃ!」
 口々に動揺の言葉を放つ妖タヌギツネたち。さつきは尖った歯を剥き出して笑うと、低姿勢ダッシュしたままノコギリ刀を下段に振りかぶった。血濡れの刃が禍々しい赤黒の光を帯びる!
「ウフフ、ごめんなさい! 私、単なる接待では楽しめないのです。共に愛し合いましょう! 私とともに愛の一撃を!」
 さつきが振り上げたノコギリ刀が垂直に伸長! かなり高い行動の天井を突くが如き長さとなった刃が勢いよく振り下ろされた! 妖タヌギツネたちは左右に分かれてさつきを迎え撃つべく疾走! かわされた刃が地面を叩き割った!
「ええい、猟奇趣味の乳袋めが! 貴様の背脂まで奪い取ってくれる! 早い者勝ちじゃーっ!」
「一番高く売れそうなその刀は妾が頂く! 置いて行け―――ッ!」
 一気に距離を詰めてくる妖タヌギツネの盗賊団! さつきはノコギリ刀を引き絞って素早く収縮させるが、それよりも早くタヌギツネの先頭集団が迫りくる! 両手を高速で動かして印を刻む先頭タヌキツネたちの身体を冷気が包む!
「ウフフフフフフ! そう! そうこなくては! さあ、あなた方の愛を! どうか私にッ!」
「はーい、悪いけどそうもいかないよー」
 大きく両腕を広げるさつきの後方から声! 彼女を追い越したのは巨大な髑髏めいた青紫色のオーラをまとう十津川・悠(強化人間のゴーストキャプテン・f26187)! 振りかぶった舵輪にオーラを流し込み、踏み込むと同時に投げた!
「それッ!」
 GYAAAAAAARGH! 飛翔した舵輪が無数の絶叫じみたサウンドを上げオーラの大竜巻を作り出す! 怨霊渦巻く嵐が坑道を蹂躙! 息を呑んだタヌキツネたちは両踵を地面に食い込ませて制動をかけ、勢いよくバックジャンプ!
「なんじゃアレ! 骸魂……いやオブリビオンか!」
「大きく大勢! ええい、面倒な!」
 飛び下がりながら毒づく先頭集団と入れ替わった第二陣の妖タヌギツネたちが高速で印を結んで冷気をまとう! 吹き出した白く冷たい霧が坑道に吹き荒れる中、霧から縦一列に跳躍した雪女たちが吸息! そのバストは豊満であった。
「一息で凍らせるぞ!」
「骨などいらぬわ! そんなもの、犬の餌にもならぬというに!」
「退け亡霊ども!」
 雪女たちは一斉に吹雪の息を噴射した! PHOOOOOOOOOOOM! 縦一列に並んだ氷雪の突風が亡霊の嵐と正面衝突! 進軍を止め、吹雪と競り合い始める嵐の後方で、悠は両腰に下げた二本のノコギリを引き抜く!
「自制心を奪った……ね。それ海賊の前で同じこと言える? 略奪が日常すぎて自制なんて当の昔に振り切ってるよ。ましてこのワイルドハントなんかはね!」
 仁王立ちした悠の身体を包むオーラが一際大きく燃え上がり、超自然の狂笑を響かせる! 幾重にも重なって鳴り響く、欲に飢えた亡霊たちの歓声! 悠は右のノコギリを突き出した!
「さぁ、略奪開始と行こうか! ガールズハントっぽい気もするけど!」
「ウフフ、略奪愛! そのような趣向も良いものですわね!」
 ノコギリ刀を元のサイズに戻したさつきが刃をクルクル回しながら微笑む。その時、二人の背後に音もなく滑り込む複数の影! 別で動いていた妖タヌギツネたちだ!
(愚か者め! ここは妾たちの縄張り! お主らはいわば飛んで火に入る夏の虫よ!)
(せいぜい前だけ見ているが良いわ! その間に身ぐるみ全て引っぺがしてくれる!)
 凶暴な笑みを浮かべた妖タヌギツネたちが手を動かして印を結んだ直後、そのうち一人の胸から刃が突き出す! 胸を貫かれ大きくのけ反った妖タヌギツネが驚愕の表情で血濡れの剣を見下ろす中、天井から斜めに落下する人影あり!
「あら。洞窟に入るなり、セクシーな盗賊団のお出ましですわね。情報通りですわ」
「何……!」
「後ろじゃ! 伏兵がおるわ!」
 素早く振り返った妖タヌギツネたちは素早く跳躍! 彼女たちが居た場所を飛翔した剣が貫く! 軽やかに着地したベルナデット・デメジエール(孤高なる夜の女王(自称)・f28172)は、短剣を握った両手を優美に広げた。その目が自分の胸元にを見、ついで妖タヌギツネたちの胸元を見る。
「うふふ、確かに可愛らしいですこと」
 妖タヌギツネたちのこめかみに青筋が浮く。鬼めいた形相になった妖タヌギツネたちは着地するなり、怒りに燃える目をベルナデットに向けた。
「お主、今どこを見て言った?」
「乳を見たな? わしらの乳を見て笑いよったな!? おのれええええええっ!」
 妖タヌギツネたちが血走った瞳でベルナデットで飛びかかった! ベルナデットは両腕を交叉し、短剣の束を扇めいて開きその刀身を伸ばす! マントじみた長い腰布をひるがえしながら回転バックジャンプ! 一息に距離を取る!
「いきなりレディの服を脱がせようとするのは無礼ですわよ! 躾のなっていないケダモノは、わたくしのユーベルコードでお仕置きして差し上げますわ!」
「小うるさいわ! 貴様のように乳の大小で他者を嗤う無礼者は裸に剥いて跪かせて我らの奴隷に変えてくれる!」
 強襲をかわされた妖タヌギツネたちが一斉に印を結び、その身をどぎつい色彩の光で包む! 光の中で彼女たちの輪郭が歪みながら変成を開始!
「かしずけ! 狸妖術・乱痴気騒の術!」
「待った!」
 妖タヌキツネたちを包む不可思議な光を、月光じみた白銀色が照らして押し流していく! 変成の光を吹き飛ばされ、腕で目を庇う妖タヌキツネたちが姿をさらす。光源は慌てて走って来た木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)!
「聞き捨てならない! 俺はどうでもいいけど、人は人前で裸になると逮捕されるんだぞ! 頼むぞチィ、お前だけが頼りだ!」
「チィ―――っ!」
 都月に掲げられた子狐じみた生き物が白銀色の光を強める! 眩い光に視界を潰された妖タヌギツネたちから驚愕の声!
「術が引っぺがされた! なんじゃこの光!」
「これは! 幻の光か!?」
「馬鹿な、妾たちの術を中和したとでも!」
「チィ!」
 返事めいて一声鳴くチィ。子猫サイズの身体を高々と掲げた都月は力強く言い放った。
「チィは月の精霊様! 幻や狂気を司る! 毒を以って毒を制すというやつだ! デメジェールさん!」
「ええ、夜の王に月の光が味方する。負けるはずがないわね!」
 空中をくるくると回転していたベルナデットが魔法剣を放り上げる! 魔法剣は切っ先を下方の妖タヌギツネたちにセットし虚空で静止! ベルナデットは優美な仕草で右手親指を中指にくっつけた!
「剣よ、我が敵を貫きなさい!」
 CLAP! ベルナデットが指を打ち鳴らすと同時、虚空で止まっていた魔法剣が幾何学模様を描きながら飛翔! 複雑に絡み合いながら地上に達し、地面スレスレを飛行しながらタヌギツネたちに襲いかかった!
「ぬおおおおおおおおのれええええええええええええええっ!」
 SPRATTTTTTT! 月光の中に血飛沫が舞う! その合間を縫うように駆け抜けた白い大型スクーターの後部座席に立った黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が後ろ手にヨーヨーを握る!
「……カクリヨ世界って、もっとのんびりした世界と聞いてたんですけどね。なんですか、この世紀末ワールドは。地上は地上で大荒れだし、地下は地下でこの有様ですよ」
「マジでそれよ。世紀末かっての! でもそれより……」
 ハンドルを握る松苗・知子(硝煙纏うお狐・f07978)が首を縮めて前方を見つめる。そこでは黒いノコギリ刀を狂笑と共に振り回すさつきを複数人のヒットアンドアウェイで攻めたてる雪女! 上空では仙女の群れが悠を追い回している。
 妖タヌギツネが変化した女妖怪たちだ。そのバストは豊満であった。
「……っべーわね。なんかこの相手、他人とは思えない何かがあるのよ。これはっべーわ」
「…………ソウデスネ」
 半眼で明後日の方を見つめながら応えると、摩那はスクーターの後部座席からハイジャンプ! 腕を振り上げてヨーヨーを長く伸ばし、頭上で振り回して緋色の風で渦を生み出す! 狙いは前方斜め下、さつきと斬り結ぶ雪女たち!
「咎大蛇さん! 避けてください! 風よ!」
 摩那は叫ぶと、ヨーヨーのフルスイングで風の渦を投げ放つ! 轟とうなりながら急降下する竜巻を背に、さつきは一切ためらわず雪女の一人に突貫! ノコギリ刀を振りかぶる! 雪女は氷で出来た刀でこれをガードする構え!
「愛ッ!」
「ふぬっ!」
 CRAAAAASH! 衝突する刃と刃! さつきはそのまま狂ったような連続斬撃を氷の刀に叩きつけ、雪女を徐々に後退させていく! 欠けていく透き通った刃と迫りくる緋色の風を交互に見た雪女は切羽詰まった声を上げた!
「オヌシ、何をする! 仲間の攻撃に巻き込まれるぞ!」
「ええ! ええ! それでよいのです!」
 ノコギリ刀を氷刀にぶつけて鍔迫り合いに持ち込んださつきは、雪女の目と鼻の先で
「背中から焼けつくような愛を感じますわ! 共に受け入れ愛し合いましょう!」
「この……変態めがぁっ!」
 雪女は素早く下がっての前蹴りを繰り出す! さつきは鳩尾に突き刺さった蹴り足を抱え込んでホールドし、前後反転しながら投げ飛ばした! 雪女を飲み込んだ赤い風が爆発! 地上に吹き荒ぶ凄まじい突風が他の雪女たちを薙ぎ払う!
「ウフフフフフフ! 風の流れの一筋一筋に熱い愛を感じます! 素晴らしい愛ですよ、黒木さん!」
 暴風から微かに聞こえるさつきの声を聴いた摩那が真顔になった。刹那、彼女の背後に出現するグラマラスな影! ハッとして振り返った摩那の顔が巨大な乳房に飲み込まれた!
「むぎゅうっ!?」
「つかまえた! 背中がお留守よ、子猫ちゃん!」
 淫魔の姿に変身した妖タヌギツネだ! 摩那は激しく抵抗するも無理矢理抱きしめられ乳房に沈む。そこへ現れたもう一人の淫魔が摩那の羽織っていたジャケットを剥ぎ取った!
「フフフフ……なかなか良さそうなもの色々持ってるのぅ。どれ、ひとつずつ吟味にしながらもらってゆくとしよう。結局全てもらうのじゃがな……!」
 摩那のジャケットを持った淫魔が鼻息を荒くしながら手を伸ばす! その時である! スクーターからハイジャンプした知子が淫魔たちを追い越し天井スレスレまで飛翔! 折り曲げた右足を伸ばして流星めいた飛び蹴りを繰り出す!
「くぉらぁぁぁぁぁぁッ! 摩那に何してくれてんのよーッ!」
「ごはああああっ!?」
 淫魔が思い切りのけ反り摩那を解放! 蹴り足を引っ込めた知子は追撃の回し蹴りで摩那のジャケットを奪った淫魔の側頭部をSMAAAAASH! 真横に吹っ飛んだ淫魔は坑道の壁に直撃して激しい震動を生んだ!
「もいっぱつオマケぇっ!」
 知子は両足を引っ込め、摩那と落下していく淫魔めがけて急降下ドロップキック! 蹴り足は先ほど飛び蹴りを打ち込んだ場所に狙い違わず命中し淫魔の落下速度を加速させていく! 知子は両足を折り曲げ力を込める!
「うりゃああああああああっ!」
 SMAAAAAAASH! 淫魔の背から跳躍した勢いでバク宙! 知子は軌道上の摩那をキャッチして連続後方回転を繰り返して落下、走り込んで来たスクーターの座席に収まった。
「げほっ! 助かりました……!」
「いいのよ! それよりあいつ!」
 知子は小脇に摩那を小脇に抱え、片手でハンドルを操作! 乳房でバウンドし、空中で体勢を立て直した淫魔に向かって突撃していく! 淫魔はこめかみに血管を浮かび上がらせた。
「や、やってくれたわね! 胸が無かったら死んでたわ……!」
「元から無いくせに! あたしたちも無いけど!」
 摩那の眼鏡が真っ白に光った。それに気づかないまま知子はアクセルペダルを踏み込む!
「自分を偽る必要なんかない! 胸を張って生きていいのよ! そんな胸ないけど!」
「松前さん、後でお話があります」
「ヤッベ、味方の地雷踏んだ……」
 一瞬青ざめた知子は首を振り、スクーターを加速させる! 淫魔は両手で作ったハートマークからピンク色のビームを発射! 知子はこれを激しい蛇行運転で回避し、スクーターから再跳躍! 刹那、彼女は真後ろに吹き飛んだ!
「ぐえあっ!」
 くの字に折れた彼女の腹には豊満の太ももから伸びる膝! 仙女の飛び膝蹴りが知子の腹を打ったのだ! 仙女は怒りの表情で知子の頭を両手でつかむ!
「偽乳で……悪かったなぁぁぁっ!」
 仙女のヘッドバットが炸裂! 激しく脳をシェイクされた知子は呻くようにして呟いた!
「敵の地雷も……踏んでた……ッ!」
「思いっきり踏み抜いてたわァッ!」
 仙女が高速で頭突きを連打! 知子の頭蓋が岩盤掘削音じみた悲鳴を上げ、額から血が流れ出す!
「同じ! 貧乳狐のくせにっ! お前もッ! 美少女の中でッ! 無い胸を延々と揉みしだかれる刑に処してくれるわーッ!」
 その時、仙女に扮した妖タヌギツネは気づかなかった。彼女の真下を数本の魔法剣が飛行して潜り抜け直角に急上昇し、彼女の背後に回り込んでいることに! 知子ごと頭上を過ぎ去る仙女を余所にベルナデットが呟く。
「胸を意識し過ぎですわね。背中ががら空きですわ!」
 次の瞬間、凄まじい速度で知子に頭突きを繰り返していた仙女が背後から胸を魔法剣に刺し貫かれた! 魔法剣は切っ先をひっくり返して仙女を後方へ投げ飛ばす! 血の筋を引きながら飛んだ仙女の足に、摩那がヨーヨーを投げた!
「松苗さん、しっかりしてください。行きますよ」
「ちょっと待って……星が、なんか目の前に星と宇宙が……」
 頭をぐわんぐわんと回す知子を抱えた摩那はヨーヨーと繋がるワイヤーを握り、時計の振り子めいて大きく滑空! 狙うは空中で悠を取り囲む仙女たちだ!
「年貢の納め時じゃ! 死ねええええええっ!」
 仙女たちが全方位から悠を襲撃! 悠は二刀ノコギリを構えて右からの掌底を受け流して回転膝蹴りを脇腹に叩き込み反撃! さらに一回転の勢いで反対の仙女の首を断ち、脳天狙いの踵落としをノコギリのクロスガードで防ぐ!
「そこじゃ! まずは上着!」
 悠の後方から風めいて飛翔した仙女が悠の海賊コートを剥ぎ取った! 悠はかかと落としを弾き上げて高速回転! 全方位に怨霊を解き放って襲いかかる仙女たちを押し流し、左のノコギリを投げ上げ背負った舵輪をつかみ取る!
「全く、本当に手癖が悪いなぁ。戦闘中に盗みを働くとか、さっ!」
 THROW! 投げ放たれた舵輪が怨霊のオーラをまとい、高速回転しながら海賊コートを奪った仙女を追う! コートを奪った仙女は振り向きざまの蹴りでこれを打ち払うが、そのゼロ距離には既に悠が飛び込んでいた!
「おおおおおおおっ!」
「あんまり汚したくはないけど、仕方ないか!」
 悠は二刀ノコギリを手中で回して振り上げ、V字に斬り下ろす! だがその刃が仙女の首を斬り裂く寸前で横合いから別の仙女が飛び蹴りを放った! SMASH! 真横に弾かれた悠に仙女が交錯! 悠のシャツを奪い取った!
「あっ!」
「くくくくくく! 一張羅も頂きじゃな! しかしこれでははした金にもならぬ!」
 シャツを奪った仙女はUターンして再度悠へと襲いかかる!
「やはりそのノコギリ! 頂かねばなぁぁぁぁぁぁっ!」
「……海賊向きだよ、君たち」
 悠は片手で下ろした海賊帽の下で苦笑すると、鋭い眼光を迫りくる仙女へと突き刺した! 虚空を蹴り紫色のインパクトを残してロケットめいて突貫! 右のノコギリを逆手に持ち替えて高速回転! すれ違いざまに仙女を斬り刻む!
「ふぐあああああああっ!」
 SPLAAAAASH! 仙女のズタズタになった傷口から血が吹き出した! 悠は前方に飛来した舵輪の面に着地して呟く!
「今でこそ自制なんてないけど、海賊の全盛期は海賊のがまだ節度と規律があったんだ。船ごとのルールがあって、民主主義的な方針が取られたり……っと話がずれたが、なんにせよ『奪った』以上は『奪われる』覚悟はあるんだよね?」
「そんなんものあるわけなかろうて!」
「!」
 悠が顔を上げると、頭上から一人仙女が高速前方回転しながら落下してくる! 下方からもまた別の仙女! 左右と前後も仙女が塞ぎ一気に距離を詰めて来た!
「奪えるものは全て奪う! そして誰にも奪わせぬ! それがワシらの流儀よーッ!」
「それは、ちょっと筋が通らないんじゃないかな!」
 悠は着地した舵輪を足ごと下に向けて身構えた。瞬間、悠を中心に翡翠の暴風が吹き荒れ彼女をガード! 異変を察知した仙女たちが慌ててブレーキをかける一方、地上を走って来た都月が杖の先を下段に構えて振りかぶる!
「それ以上、十津川さんを脱がすなっ!」
 頬を赤らめながら振り上げられた杖から青白い光線が飛び出す! SKIIIIIIIIIM! 甲高い音を立てて空を裂いた光線は、仙女の一人を貫き一瞬で氷像へと変えた。悠を襲わんとしていた仙女たちの目が都月へと向く!
「チィ! あの変身も全部解除だ!」
「チィー!」
 都月のフードから頭を出したチィが、都月の頭を踏み台にしてジャンプ! 小さな身体から眩い白銀の閃光を放射する! 光に照らされた仙女たちの身体が影めいて黒済み、消し飛ぶ! 後に残されたのは狐耳の少女たち!
「のわっ! ほわわわわわわっ!」
「ぬわあああああああっ!」
「のぁーっ!」
 変身を強制解除され飛翔能力を失った妖タヌギツネたちが次々と重力に引かれて落下! 都月が杖の石突で地面を突くと、彼女たちの落下地点を翡翠色の風が覆い隠した!
「精霊様! 大いなる風を!」
 都月の杖先に埋め込まれた宝石が青から緑に変色し、地面を覆う風が吹き上がり天井を突く! 落下中だった妖タヌギツネたちは絡めとられて螺旋状に回転しながら打ち上げられた! あらかじめ暴風に守られた悠は無事だ!
「木常野さん! その風お借りします!」
 都月の真横をターザンじみて通過した摩那が仙女ごとヨーヨーを引き戻し、高速回転しながら振り上げる! 地面に叩きつけられて引きずられた仙女を都月の竜巻へ叩き込み、着地! 頭上でヨーヨーを振り回して風を巻き起こす!
「はぁっ!」
 ヨーヨーのスイングから放たれた緋色の風は地面を滑り、都月の竜巻に巻きつき螺旋を描きながら駆け上がる! そして天井に打ち据えられた妖タヌギツネたちをそのまま貼り付けて埋め込んだ!
「ぐわ―――っ!」
「う、動けぬ! ぬうーっ! 胸が! 胸の重量さえあればこんな風などーっ!」
 天井から抜け出そうと必死にもがく妖タヌギツネたち! そんな彼女たちの袖口に魔法剣が次々と突き立ち、昆虫標本じみてピン止めをする! ベルナデットは胸の下で緩く腕を組みながら鼻を鳴らした。
「ふふ。自分の力不足をスタイルのせいにしているようではまだまだですわ。あと数年してから出直していらっしゃいな」
 悠然とした微笑を浮かべるベルナデットを余所に、復帰した知子が風の塔を駆け上がる! 手にした特殊警棒を打ち振って伸ばし、妖タヌギツネたちへ迫っていく!
「なーんか強者の余裕感じたけど……ええいっ! そんなことはどうだっていいわ! 無い方が走りやすいしーっ!」
 やや涙目になりながら竜巻の内部に突入! 内側の上昇気流に乗って天井に磔られた妖タヌギツネの一匹へ警棒を振りかぶる!
「そこのあなた―――っ! 何気に一番でかくしてたでしょ! 何がとは! 言わないけどさぁ―――!」
 一閃された警棒が妖タヌギツネの脳天をカチ割る! さらに知子は風が自身を天井に固定するのを利用して天井を前転で移動! バウンドして別の一匹に殴りかかった!
「あなたも! 何気に周り見ながら変身してたでしょ! そういうことするから、戻った後余計悲しくなるのよ!? 人生諦めも……もとい、自信を持つことも大事なのよ!」
「ふぎゃばっ!?」
 鼻面に警棒を叩き込まれ悲鳴を上げる妖タヌギツネ。暴風球に守られた悠は頭上で上がる怒声や悲鳴を聞きながら、半ば呆れ顔で舵輪を構えた。
「なんの話してるのさ、戦ってる時に……。まぁいいや」
 舵輪を振り上げ、青紫色のオーラを凝集! 直上を睨み付け、悠は舵輪を投げ放つ!
「そらっ!」
 GYAAAAAAAAAAARGH! 暴風の球を突き破った舵輪は高速回転しながら垂直に飛翔! それに気づいた知子は天井を蹴って斜めに跳躍し、舵輪の攻撃範囲内から脱出! 妖タヌギツネの一人がヤケクソで叫ぶ!
「おのれ卑劣な! おぬしも空気抵抗無い系狐のくせにいいいいいいいいいいいいいっ!」
「うるさい! バイク乗る時は風になれるからいいのよッ!」
 叫び返す知子の背後で、KRA-TOOOOOOOOOM! 坑道の天井が爆砕され、竜巻が瓦礫を粉々にしながら四方八方へ飛び散らす! パラパラと降り注ぐ石の破片を見上げたさつきは、肩越しに背後を振り返った。
「まぁ、なんて激しい愛……! 私もあの中に居たかったものです……! ですが!」
 前方へ向き直ったさつきは高速でノコギリ刀を振るって飛来した氷苦無を叩き落とす! 彼女の前には、血みどろになりながら氷の刀を構える雪女!
「あなたと一対一で愛し合うのも良いものです! ねえっ!」
「ええいっ、やかましいっ!」
 互いに地を蹴った二人は急速に距離を詰め、激しい剣戟を展開! 甲高い金属衝突音が連続して響く中、双方の身体に切り傷がどんどん増えていく! 雪女はさつきの垂直斬撃に氷刀のスイングを当て、バストタックル!
「きゃっ……!」
「隙アリよ!」
 ノックバックしたさつきを袈裟掛けに切り裂く氷の刃! だがさつきは恍惚とした表情のまま雪女の肩口にノコギリ刀を振り下ろした! 着物ごとズタズタに引き裂かれる雪女! 激痛に顔をしかめた彼女は息を吸う!
「凍てつけ!」
 ゼロ距離から顔面狙いの吹雪を噴き出す! BREEEEEEEEEZE! さつきの頬や口元、目元がたちまち凍てつき始める!
「んっ……! 身を切り裂くような冷たさ! これも愛っ!」
 まつ毛が凍りくっつきかけた目を力尽くで見開いたさつきはノコギリ刀を真横に振るう! 雪女はギリギリのバックスウェーでかわすも、薄皮を破られた首が血の雫を撒き散らした!
「ぐぬうっ!」
「もっとです! もっと! まだまだ愛し合えます!」
 さつきはノコギリ刀の柄を両手で握り、次々と斬撃を繰り出していく! 雪女はギリギリでこれらをさばき、反撃の刺突でさつきの鎖骨を射抜いた! さつきは雪女の太ももに刃を叩きつけて引き絞る! SPRATTTTT!
「まだ倒れんとは! 化け物かお主!」
「ウフフフアハハハハハハハハ!」
 狂熱に燃える片目を一杯に開いたさつきは斬り上げで雪女の腕を斬り飛ばす! そのまま刃をひっくり返して斬り下ろし! 雪女を正中線から真っ二つに引き裂いた! だがその体がガラスめいて砕け散る! 氷の身代わり!
「なればこそ、確実に殺すのみ!」
 さつきの真後ろに回り込んだ雪女が、斬り飛ばされた腕を氷の義腕で補い腕先を槍に変えてさつきの心臓に刺突を放った! 首だけで振り返ったさつきの口元は歓喜に歪む! 急所を確実に狙う一撃は、しかし途中で砕けた!
「お遊びが過ぎますわよ、さつきさん」
 剣を投げ放ったベルナデットが苦言を呈した次の瞬間、雪女のワン・インチ距離に踏み込んだ都月と摩那がヨーヨーと杖を持った手を振りかぶる! 緑と赤の風が渦を巻く!
「愛……とかはよくわかんないけど! 流石に殺させるわけにはいかない!」
「咎大蛇さんには申し訳ありませんが、水を入れさせて頂きます!」
 そろって風をまとった得物を振り上げる二人! BLOWWWWWWWWWW! 雪女は斜めに吹き飛ばされ、宙を舞う! 虚空で手を振り回す雪女!
「ぬわあああああああああああっ! もう少しというところでーッ!」
 悔しげに吠える雪女の視界に飛び込む新たな人影! 放物線を描いた知子が雪女に向けて片足を突き出す!
「ここに来て胸でガードなんてギャグはやめてよ!? 潔く吹っ飛びなさい! 流星! お狐キ―――ック!」
 流れ星めいて急降下した知子の飛び蹴りを、雪女は片腕を突き出して雪の結晶型シールドを張って防御せんとす! しかしキックはシールドを粉砕して雪女の腹部に命中!
「ごはあっ!」
「どりゃああああああああッ!」
 雪女を斜め下に蹴り飛ばした知子は反動で飛び下がり着地! 踵を返してダッシュする彼女とすれ違ったさつきは、雪女の落下点へ一直線に駆けていく!
「皆さんの愛! しかとこの目に焼きつけましたわ! 残念ですが……残念ではありますが!」
 両手で握ったノコギリを振り上げて刃を伸ばし、大きく踏み込みながら振り下ろす! 地面に直撃しクレーターを作る雪女に、刃が襲いかかった!
「これで幕引きですッ!」
 SLAAAAAASH! さつきは坑道の地面とクレーターごと雪女を斬り捨てる! 間欠泉めいた血飛沫がクレーターの中央から吹き上がり、一拍遅れて冷気の爆発が引き起こされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ダークプルティア『ダークデザイア』』

POW   :    欲望を解放した強化形態だ!ダークリベレーション!
「【合体した妖怪の抱いた欲望を必ず叶える】」という誓いを立てる事で、真の姿に変身する。誓いが正義であるほど、真の姿は更に強化される。
SPD   :    私に君の力を貸してくれ!ダークデバフ!
妖怪【自身が合体している妖怪】の描かれたメダルを対象に貼り付けている間、対象に【妖怪に応じた状態異常・能力弱体・状態変化】効果を与え続ける。
WIZ   :    彼女の力がこの場を包む!ダークホームグラウンド!
【対象に有効な武器に変化した髪から髪の毛】を降らせる事で、戦場全体が【自身が合体した妖怪が得意とする場所】と同じ環境に変化する。[自身が合体した妖怪が得意とする場所]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシズホ・トヒソズマです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



・第二章に移行します。
・坑道をたどって今回の事件の元凶、『ダークプルティア『ダークデザイア』』の下へ辿り着きました。
・ダークデザイアは「妖怪は欲望を解放すべきである」という思想を正義として掲げる、仮面の骸魂です。少女に取りついて活動しています。
・彼女を倒せば奪われた自制心は解放されるでしょう。
・ここからの参加も大歓迎です。
木常野・都月
一人称:俺
二人称:貴方
三人称:先輩や尊敬してるヒトはさん付け、それ以外は呼び捨て
名前:苗字さん


プルティアって……UDCアースのテレビで見た正義の味方の女の子!

でも、正義の味方のプルティアが、なんで世界を壊そうとするんだ。
骸魂の影響って事なんだろうけど…

でもそれなら、この人……骸魂を倒せたら、元のプルティアに戻るのかな?

どっちにしても、やってる事は世界にとって駄目なやつだ。
相手がプルティアだろうと容赦しないぞ。

UC【精霊共鳴】でチィの力を借りたい。

周囲の地の精霊様の助力で[属性攻撃]をしたい。

敵の攻撃は、風の精霊様の[範囲攻撃]の[カウンター]、かまいたちで、物騒な髪の毛を切ってしまいたい。


黒木・摩那
欲望のまま行動すれば、それは獣です。
妖怪だって仁義やルールはあるはず。

欲望駄々洩れの世界にはさせません。ここであなたを倒します。

引き続き、ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
ヨーヨー外周の刃を出し入れして【なぎ払い】。
軌道を【念動力】で操作することで回避を困難にします。

隙を見て、ヨーヨーを相手に絡ませたら、UC【獅子剛力】を発動。
一気にオブリビオンを持ち上げて、地面に叩きつけます。

防御は【第六感】とスマートグラスのセンサーで対応します。

早くその妖怪の体から出ていきなさい!


咎大蛇・さつき
【アドリブOK】
素晴らしいですわ。欲望のままというのは。
でも愛のない欲望は認められませんね。

【戦闘】
ユーベルコードを利用して
素早く移動しつつ攻撃をしましょう。
鮫肌でメダルを削り取って攻撃を防ぎ
強化した顎でマスクに向けて攻撃を仕掛けましょう。
問題なのはマスクだけ、でしたわね?
残念ですが女の子に愛を説くのはまだ無理のようでございますし
この溢れる思いの全てはマスクに向けるといたしましょう。


ベルナデット・デメジエール
一人称:わたくし
二人称:あなた
名前の呼び方:名前にさん付け(漢字名はカタカナに)
~ですわ、~ますの等、いかにもお嬢様のような話し方

だーく……ぷるてぃあ?
聞いたことの無い名ですわね、新しい妖怪ですかしら?
ああ、そんな事は些事に過ぎませんわ
それよりわたくし、貴女のせいでとても迷惑しておりましてよ
欲望の解放が正義などと宣うのであれば……
わたくしの欲望を満たすために、皆から奪ったものを返していただきますわよ!

強化形態ですって?
でしたらこちらも強化魔術を使いますわよ
状態異常力を重視しての【生命力吸収】で、
強化されたその力ごとわたくしの物にしてさし上げますわ


十津川・悠
やれやれ…えらい目にあった(棒読み)

で、あれが元凶か。妖怪…というにはそれらしくもないがまぁさっきと同じように淡々と狩るのみだが、


さてどうやって狩るか。色々混ざってるっぽいから引きはがせればいいがあいにくとてそんな技はない。おまけに地の利は向こうにあり…となると

領域そのものを変えてしまうのが一番か。
さすがに水中・海上戦がやれそうな妖怪は混ざってそうではあるがそれに加えて異常気象にも対応できる奴はカクリヨファンタズムにはいないからいけそうだが…問題は味方だが

でかい船持ってくるべきだったな


松苗・知子
■心情
勢いのまま物理で殴っちゃったけど、そういえばアレね。さっきのタヌキツネもこの子も、乗っ取られてるだけだから、程々に痛めつける程度じゃないとマズいのよね?

■戦闘
まーそう簡単には死なないわよ!ダイジョブダッテ!
バイクのアクセル全開で、特殊警棒を伸ばして振り回しながらバイクのアクセル全開で、特殊警棒を伸ばして振り回しながら突っ込むわ。完全に轢きに行く軌道で躊躇いなく。

そのまま突っ込んで物理で殴り掛かる、という【フェイント】を掛けつつ、バイクだけ突っ込ませて思いっきり上空にジャンプ!ユーベルコードを発動して奇襲的一撃をお見舞いするのよ。
「ちょいやー!」

失敗したら足で走って逃げるわ。



「やれやれ、えらい目にあった」
 棒読みで呟きながら、悠は落ちていたシャツと海賊のマントを拾い上げた。二つまとめて羽織り、ボタンを上から順に留めていく。軽く裾をはたく彼女に、ベルナデットは上に向けた人差し指をくるくる回しながら言った。
「思わぬ憂き目に遭いましたわね。けれど、まぁ……うふふ。お可愛いので今日のところは許して差し上げましょう? 可愛らしい狐さんなので。どこがとは言いませんが」
 ベルナデットの周囲に、投擲された魔法剣が渦巻くように集まっていく。逆の腕で胸の下を押し上げる彼女を見ながら、倒れたバイクを引き起こした知子は半眼で奥歯を鳴らした。
「なんでかしら。なんでか知らないけどキレそう」
「わかります。……少しわかりたくないような気もしますが」
 白く光る眼鏡を指で直しながら摩那が同調。一方で、都月は目を回して伸びている妖タヌギツネの一匹を覗き込んだ。
 タヌギツネの口から濃紫色の瘴気が吐き出されると共に、周囲の妖タヌギツネたちが黒い煙となって消えていく。都月は口元に片手を添える。
「……なんか出て行った。今のが骸魂で、この子は元に戻ったってことでいいのかな。他のは消えちゃったみたいだけど」
 難しい顔で首をひねる都月。その反対側から、さつきが妖タヌギツネの顔を覗き込んだ。
「あら、この方は消えておりませんのね。私が愛して差し上げた方は姿を消してしまいましたけれど……」
「……愛?」
 都月は顔を上げ、怪訝そうな表情でさつきを見つめる。
「あの、ノコギリでズタズタにするのが?」
「ええ、愛ですわ」
 さつきが片頬に手を当て、うっとりした顔で呟いた。
「互いに傷つけ合い、一対一でしのぎを削る……なんと素晴らしい愛だったことでしょう。消えてしまうなんてもったいない……」
「……傷つけ合うのが愛? よくわからない……」
 都月の眉間に皺が寄った、その時。坑道が鈍い音を立てながら震えはじめた。ZGGGGGGGGGGGGGG……! 震動と共に天井からパラパラと降る石つぶてを見上げ、知子が慌てた表情で周囲を見回す。
「地震? まさかもう世界が終わるとかそういうアレじゃないでしょうね!?」
「いえ、違います。これは……」
 地鳴りが強まっていく中、摩那は眼鏡のツルに指先を当てる。彼女の視界、レンズに移った世界が手前から奥にかけて翡翠色の光でスキャンされ、自分も含めた仲間たちの足元に大きな赤い円を描き出した!
「皆さん下がって! 来ます!」
 六人が素早くバックジャンプした直後、CRAAASH! 坑道の床をぶち抜き巨大な金ドリルが飛び出した! 一瞬で見上げる程の高さに達したドリルは左右に分かれて巨大な金のギロチンに変化し猟兵たちに襲いかかる!
「やっば! ベルナデット、ガード行くわよっ!」
「承知致しました」
 知子がスイングして伸ばした特殊警棒を手に走り、ベルナデットは両手の中の回した二本の魔法剣を伸ばしてクロスガード! CRAAASH! 金色の大ギロチンが二人の得物とかち合い火花を散らす!
「ふん、やるな」
 ギロチンの根元、虚空に浮いた人影がバク宙して刃を引いた。連続空中後転しながら着地したのは、黒いボディスーツに重厚なベルトで黄色のスカートを装着した少女。豊かな金髪を後ろに払うと、彼女は両腰に手を当てた。
「今のを初見で見切られるとは思わなかったぞ。さすが、ぺったんまな板狐集団をやっつけただけのことはある。今は、その一匹しかいないようだが」
 少女は顎で都月が小脇に抱えた妖タヌギツネを示す。都月は気絶したままの妖タヌギツネを背後にそっと置くと、背中に背負っていた杖をつかんだ。同じく舵輪を手に下げた悠が問いかける。
「派手なご登場に長口上をご苦労様。それで、君が上で起きてる騒動の原因ってことでいいのかな?」
「ほう? 随分と悪しざまに言ってくれるな?」
 少女は言い放ち、腕組み仁王立ち姿勢で踵を強く打ち鳴らす。豊かな髪が左右に広がり、巨大な二本の刃に姿を変えた。
「私はダークプルティアが一人、ダークデザイア! 全ての欲望を肯定し、解放する者だ!」
 堂々たる名乗りと共に、ダークデザイアの背後で二本の髪剣がぶつかり金属音と火花を散らす。ベルナデットは小さく小首を傾げて呟いた。
「だーく……ぷるてぃあ? 聞いたことの無い名ですわね、新しい妖怪ですかしら?」
「いや、違う」
 待ったをかける都月。彼は険しい表情でダークデザイアをじっと見据える。
「プルティアって……UDCアースのテレビで見た正義の味方の女の子! れっきとしたヒーローだ!」
「はあ?」
 知子が警棒を両手で構え、視線を背後の都月に投げた。
「ヒーロー? やってることが完璧に魔王のソレなんだけど」
「それなんけど……正義の味方が、なんで世界を壊そうとするんだ。骸魂の影響って事なんだろうけど……」
「世界を壊す? なにを寝ぼけたことを」
 ダークデザイアは侮蔑的な笑みを浮かべると、ぐいっと顔を突き出す。頭を引いた彼女は大仰に両手を掲げ、ゆっくりと横に歩き始めた。
「私はただ、この世界をあるべき姿に戻しただけだ。全ての妖怪が欲望を解放し、かなえようとする世界。そう! 私は世直ししてるのだよ!」
「世界を破滅の危機に追いやっておきながら、言うこと欠いて世直しとのたまいますか」
 摩那がサーブする直前のテニス選手めいて、ヨーヨーを真下に投げては引き上げる。眼鏡越しに鋭い視線をダークデザイアに突きつけ、強気に言い放った。
「欲望のまま行動すれば、それは獣です。妖怪だって仁義やルールはあるはず。欲望駄々洩れの世界にはさせません。ここであなたを倒します」
「素晴らしいですわ。欲望のままというのは」
 ノコギリ刀の刃に指を這わせていたさつきは、柄を支点に刀を三回転させ大上段に持ち上げた。弧を描く唇からギザ歯が覗く。
「でも愛のない欲望は認められませんね」
「ふん! 仁義、ルール、愛! お高くとまったものだな猟兵!」
 ダークデザイアは練り歩くのを止め、足を肩幅に開き両手を腰だめに構えた姿勢で背を伸ばす。左右に広がった髪がザワザワと蠢きながらその体積を増やし始めた!
「いいだろう。お前たちも欲望を素直に解放できるようにしてくれる! 地上のパレードに混ざるがいい!」
 SLASH! 金髪が巨大な翼めいて三対六本の刃を形成! 戦闘態勢に入ったダークデザイアを前に、六人の猟兵たちも己の武器を構える! ダークデザイアは両膝を曲げて前傾姿勢!
「行くぞ!」
 ダークデザイアがロケットスタートを切ると同時に知子がバイクを走らせる! DOOOOOOOM! エンジン音を轟かせてダークデザイアを正面から引き潰す軌道! 警棒を振り回しながら急接近!
「ぶっ飛ばしてやるわ!」
「斬り刻んでくれる!」
 ダークデザイアは知子が間合いに入った瞬間六本刃をハサミじみて閉じた! SLASH! 刻まれるバイク! だがそこに知子の姿無し! バイクシートからハイジャンプした知子は両手を大量の札を広げる!
「なんてね! 本命はこっちよ! ちょいやーッ!」
 知子は両手の札を高速連投! 斜め上から降り注ぐ紙切れは、しかし素早く閃くダークデザイアの髪剣が片っ端から切り刻んでいく! BOMBOMBOMBOMBOMB! 小爆発する紙片たち!
「やっば……!」
「ささやかな花火だ」
 ダークデザイアは言い捨て、頭をサイが角を突き上げるように振り上げる! 斜め上に伸びた髪剣が一斉に虚空の知子へ跳ね上がり彼女の全身を貫きにかかった!
「やらせませんわよ!」
 伸びる髪剣六本へベルナデットは低姿勢で疾駆しながら魔法剣を数本投擲! 暗紫色の炎をまとった短剣はジェット噴射して加速し、知子を狙う髪剣を全て半ばから切断! ダークデザイアはベルナデットに視線を移す!
「ち、人数不利か」
 低く呟きながら髪剣のうち二本を後方へ振りかぶり、踏み込みからハサミの如き斬撃でベルナデットを急襲! ベルナデットはスライディングで潜り抜けて回避し胸の前で新たな魔法剣を交叉した。
「わたくし、貴女のせいでとても迷惑しておりましてよ。欲望の解放が正義などと宣うのであれば……わたくしの欲望を満たすために、皆から奪ったものを返していただきますわよ!」
「やってみるがいい。お前にそんな力があればだが!」
 ダークデザイアはベルナデットへ向かって飛び出し、右足を大きく振りかぶる! 彼女の膝から先に絡みついた大量の髪が巨大な足甲を形成! 大振りのキックを繰り出す! ベルナデットは回転ジャンプ回避!
「侮るな。私の剣に死角は無い」
 次の瞬間、ダークデザイアの頭上を飛び越えかけたベルナデットは凄まじい速度で振るわれた二対四本の髪剣を二刀流でさばく! ダークデザイアの背後に前転着地したベルナデットの身体が裂かれて血を噴き出した!
「っぐ……!」
「よく耐え凌いだで賞だ」
 ダークデザイアは左手を後ろに伸ばし、親指でコインを弾く。弾丸じみた速度でベルナデットの背に命中! 肺の空気を絞り出す彼女に構わず、ダークデザイアは高速で髪剣を振り回す! 中距離の摩那がステップ回避!
「見えました。そこですッ!」
 残像引くステップで斬撃をかわしていた摩那が右手を振ってヨーヨー射出! 外周部から仕込み刃を現すそれをダークデザイアは髪剣で防御にかかる! だが桜色に光るヨーヨーは反転Z字を描いて防御を越えた!
「サイキックか!」
「ご明察です」
「ちっ!」
 ダークデザイアは鮮やかな回し蹴りでヨーヨーを真横に蹴り飛ばした! しかしヨーヨーは鋭角軌道を描いてダークデザイアを再襲撃! 首を傾けて追撃を避けたダークデザイアの真後ろに回り込むさつき!
「問題なのはマスクだけ、でしたわね?」
「!」
 さつきの肌が一瞬で青白いサメ肌に変化し、牙が金属めいた光沢を放つ! ダークデザイアのバックキックがさつきの鳩尾に直撃するも彼女は構わず蹴り足をホールド! ダークデザイアは彼女の額にコインを突き出す!
「ダークデバフ!」
 SNAP! 撃ち出されたコインにさつきは素早く頭を振り下ろした! SCRATCH! 額のサメ肌に半分削られたコインが虚しく宙でくるくると回る!
「馬鹿な!」
「残念ですが女の子に愛を説くのはまだ無理のようでございますし。この溢れる思いの全てはマスクに向けるといたしましょう。この牙に乗せてッ!」
 さつきが剣山めいた歯を剥きダークデザイアの顔面へ噛みつきにかかる! ダークデザイアはつかまれたままの蹴り足を振り上げサマーソルト! すんででさつきを虚空へ放逐!
「まあ!」
「貫いてくれる!」
 髪剣の一本が巨大な槍へと変じ、さつきを一直線に貫きに行く! そこへバックステップで髪剣斬撃の範囲から出た摩那が横一回転からヨーヨーの薙ぎ払いを繰り出した! SLASH! 横一文字に裂かれた髪槍が解ける!
「チィ、力を貸してくれ!」
「チィっ!」
 ダークデザイアから離れた所で都月が掲げた杖を回転させる! 彼の右肩に乗った白銀の子狐が両前足に力を込めて月光を注ぎ込まれた都月は、杖の石突を勢いよく地面に突き下ろす! 木製の杖が床に食い込んだ!
「精霊様! 大地の力を!」
 都月が杖を両手でつかんだ次の瞬間、坑道の両壁から一部がクレバスめいて迫り出し、素早く伸びて左右からダークデザイアを潰しにかかる! ダークデザイアは己の左右に髪で出来た巨腕を生み出しこれをガード! 拮抗!
「止まった! 今だ!」
 都月が声を張り上げると同時、高度跳躍した悠が舵輪を手裏剣の如く投擲! 回転舵輪は分厚いクレバスの壁を力尽くでこじ開けるダークデザイアの顔面へと飛んでいく! だがダークデザイアは新たな髪剣で叩き落とす!
「この程度で私を足止めしたつもりか。甘く見るなッ!」
 ZGGGGGGGGGGGG! ダークデザイアの髪腕が石のクレバスを押し開く! 都月は両手で握った杖をさらに深く突き入れて抵抗! 一方でダークデザイアの後方上空でさつきが頭から落下する!
「甘くないとおっしゃいますが、ではあなたの愛はいかなる味がするのでしょう! ウフフフフフフフ!」
「あまり美味とは思えないけど、ねっ!」
 悠が帰って来た舵輪を放り上げた。高速回転した舵輪は放物線を描いてダークデザイアへ急降下! 前後上空と左右からの攻撃に顔を歪めたダークデザイアは、その場で跳躍前方回転! さつきの下顎をかかとで蹴飛ばす!
「んむぐっ!」
「仲間の舵輪でも食らっていろ!」
 SMAAASH! 悠の舵輪めがけて蹴り飛ばされるさつき! そのまま着地したダークデザイアの右足首周囲を桜色に光るヨーヨーがグルグルと旋回し、ワイヤーを巻きつける! 摩那は絡みついたワイヤーを引っ張った!
「接地、反転。アンカー作動……力場解放ッ!」
「ぬぁぁぁッ!」
 地面が砕ける程の踏み込みで摩那の牽引に抵抗するダークデザイア! 潰しにかかる岩盤に髪の巨腕が爪を食い込ませて主を引き留めた刹那、後ろから飛来したいくつもの剣が腕をズタズタに切り裂いた! ベルナデット!
「ぐっ……やはり弱くなっていますわね……忌々しい、ですわっ!」
 苦しげに呻くベルナデットの肌には、呪縛めいて細長い痣がのたうつ。背中に貼りついたメダルから放射状に延びたそれらに縛られながら、ベルナデットはブスブスと煤を吐く紫炎を両足に灯して地を蹴る!
「せい、はッ!」
 ベルナデットが髪の腕を斬られたダークデザイアの背を跳び膝蹴りで吹き飛ばした瞬間、摩那はヨーヨーのワイヤーを跳ね上げた! 自分を支点にダークデザイアを180度回転させ坑道の地面に、CRAAAAASH!
「ぐああああああッ!」
 砕けた岩盤から吹き上がる粉塵! 薄いブラウンの煙の内側から飛び出した二本の髪剣がジグザグ螺旋軌道を描きながら伸び、正面で慌てて急ブレーキをかけた知子を斬り刻みにかかる!
「のわわわわわっ!? なんであたしが逃げた方向にぶん投げてくるのよ―――ッ!?」
 悲鳴を上げながらも知子は警棒を振るって伸ばし、髪剣の斬撃を弾き飛ばす! そちらを振り返った都月が杖を振りかぶりながら声を張った。
「知子、頭を下げろッ!」
「ふわあっ!?」
 素っ頓狂な声を上げた知子が振り向くが早いか、都月は杖を横薙ぎ一閃! 翡翠色の風刃が横長のカマイタチとなって飛ぶ! とっさにブリッジした知子の真上を突き抜け、ダークデザイアの髪剣を引き裂きながら突き抜けた!
「ちょっと!」
「悪い! でも謝るのは後だ!」
 ブリッジ体勢から体を引っ込めて屈む知子の抗議を押しのけ、都月は頭上で杖を回転! 白銀の光を放つ杖を振り下ろし再度のカマイタチを放つ! BLOWWWWWWWWW! 宝玉めいて輝く風は知子の真横を突破!
「うひっ!」
 一拍遅れて手足を引っ込める知子の背後で、都月のカマイタチは合体して十字の斬撃になり加速! 粉塵に呑まれたダークデザイアへ突き進む! だが刹那、金色の高速斬撃が風刃を粉塵ごと吹き飛ばした!
「やってくれる……!」
 粉塵を晴らしたダークデザイアは起き上がり、両足を肩幅に開いて拳を腰だめに引き絞る! 波打った金髪が勢いよくボリュームを増し、ダークデザイアの両足を包み込んで持ち上げていく!
「私の本気を見せてやる……! 欲望を解放した強化形態だ! ダークリベレーションッ!」
 BOOOM! 放射状の衝撃波が坑道を吹き抜けた! ダークデザイアの髪はY字のかぎ爪を持つ四本脚と剣、鎌、拳、槍の形をとる四本腕のアギト状巨体を形成! 口内では両足を固定したダークデザイアが腕組みをする!
「もはや加減は無しだ! 満たされぬ欲望を抱えたままこの地で果てろ、猟兵共ッ!」
 GYAAAAAAAAAAAAAAAARGH! 四本脚の生えた大顎が咆哮し、全身をざわめかせる。瞬間、巨体のあらゆる箇所から金髪で編まれたマキビシが吹雪じみてまき散らされた! SPLAAAAAAASH!
「これが貴様らの墓場だ! ダークホームグラウンド!」
 銃弾じみて回転しながら飛来する無数のマキビシ! そこへいの一番に突っ込んでいくのは悠! 海賊のマントをはためかせ、上着の懐を探る。
「ホームグラウンドか。地の利は向こうにあり……となると」
 呟きながら取り出したのは、マンタ型の船が入ったボトルシップ! 彼女はその栓を開けると思い切り放り投げた! くるくると回転するボトルが青く光り輝いた直後、膨大な瀑布を地面へ吐き出す!
「私の欲を見せてやる。メイルシュトローム・オブ・グリードオーシャン!」
「何……!?」
 ZGGGGGGGGWOOOOOOOOOOSH! 坑道の地面に叩きつけられた膨大な水は津波となって前後に広がる! 一瞬にして生まれた高波が髪のマキビシを飲み込み、ダークデザイアの巨体に迫った!
「跳べッ!」
 ダークデザイアの命に従い、髪の巨体が四本脚をかがめて跳躍! 後ろ脚二本を天井へ伸ばしてつかませ、ぶら下がった巨体ににマンタの小型船が接近! 水嵩を増す大洪水を滑る船体に乗ったベルナデットが剣を構える!
「強化形態ですって? でしたらこちらも強化魔術を使いますわ。あなたに呪われた分、あなたから奪った力で精算させて頂きますわ!」
「やってみるがいい。仲間の海で溺れ死ぬ前になァッ!」
 ダークデザイアが片腕を振ると同時に髪の巨体が髪の槍と拳を発射! 小型船に同乗した都月が船頭に立ち、正面に突き出した杖を回転させる!
「精霊様! 悪しき力を弾く風の力を!」
「チィーッ!」
 都月の肩で子狐が鳴き、プロペラじみて高速回転した杖から白銀色の竜巻が吹き出した! BLOWWWWWWWWWWWW! 竜巻はダークデザイアの髪鉄拳を真っ向から受け止める! だが槍の方はノーマークだ!
「片方止めておく! そっちは頼んだ!」
「だぁーもぉーっ! 後でなんかおごりなさいよね!」
 ヤケクソ気味に叫んだ知子が都月の隣からジャンプし、突っ込んで来る髪槍めがけて連続後転! 特殊警棒を振り上げ下から打ち据える!
「でりゃあッ!」
 両手で警棒の柄を握り、背中を限界まで反らして―――SMAAAAAASH! 軌道を跳ね上げられた髪の槍が坑道の天井に突き刺さる! マンタ船から跳躍したさつきと摩那はバク宙を繰り返して髪槍の上に着地!
「咎大蛇さん、露払いは任せてください」
「少し勿体ないですが……前菜で満腹になってもいけませんからね。ここはお言葉に甘えましょう。あなたの愛、見せてくださいまし!」
 髪槍の上を猛然と疾駆し始める二人! ダークデザイアはかぎ爪状に指をこわばらせた左手を振りかぶり、真横にスイング! 髪の大鎌が左から二人に斬りかかる! 摩那は片手で振り回していたヨーヨーを投げた!
「はッ!」
 CRASH! 金属音を上げて弾かれ合う鎌とヨーヨー! 得物を真後ろに吹き飛ばされた摩那へダークデザイアは右拳を突き出した! 髪剣の刺突!
「寸断してくれる!」
 後方へ弾かれたヨーヨーに引きずられて後退した摩那は両足を踏ん張り、後ろへ伸ばされた手を握り込んだ! 両膝を曲げ、全力で腕を前へ引き戻す!
「ベルナデットさん!」
 摩那が拳を突き出して二秒後、彼女の真横をベルナデットがロケットめいて飛翔する! 腕に巻きついたヨーヨーに導かれた彼女は、交叉した両手に握る魔法剣の刃を伸ばして紫の炎をまとわせ迫りくる髪剣に振りかぶった!
「ご相伴に預かりますわ、マナさんッ!」
 ベルナデットは髪剣に魔法剣を振り下ろした! CRAAAAAASH! ぶつかり合う剣と剣! 飛び散る紫色の火花が鋼の如く編まれた金髪に燃え移って広がり、ベルナデットごと焼き尽くしにかかる!
「頂きますわ!」
 髪剣を燃やす炎の波がベルナデットへ向かってなびき始める! 髪剣の切っ先から金髪が白くなっていき、ダークデザイアの方へ逆流し始めた! ダークデザイアは思わず目を剥く!
「私の髪から……生命力を吸っているのか! ええいッ!」
 ダークデザイアが右手を振り抜くのに連動し、髪剣が真横に振るわれベルナデットを坑道の壁に叩きつける! だが紫色の炎は絶えず、白色化と共に燃え広がっていくのみ! ダークデザイアが舌打ちをした、直後!
「もう。皆さんずるいです」
 我に返ったダークデザイアのワン・インチ距離にさつき! 蒼白いサメ肌を備えた彼女は伸ばした両手でダークデザイアの顔をつかんだ!
「私より先に愛をあんなに食べてしまわれるなんて。ご馳走を前にお預けを食らった気分です」
「誰が御馳走だ、貴様ッ!」
 ダークデザイアの両足が髪から解放され、サマーソルトキックを繰り出す! 二人がバク宙して着地した直後、さつきはダークデザイアへ飛びかかった! ダークデザイアは髪を無数のトゲに変えて突き刺しにかかる!
「うふふふふふふふ! 横殴りの雨のように叩きつけられる、愛ッ!」
 隻眼に狂喜を燃やして加速するさつきの全身が髪のトゲに穿たれ、刺し貫かれて血飛沫を飛ばす! しかしさつきは一切構わずダークデザイアの懐へ突っ込んだ! ダークデザイアはさつきの顔面にボディブロウ!
「死ねッ!」
 SMASH! さつきの鼻面にクリーンヒットする一撃! しかしさつきは拳から顔面を逸らして無理矢理外す。ダークデザイアは両目を見開く。鼻を折られ、全身を刺し貫かれてなお崩れぬ凶悦の笑み!
「頂き、ますッ!」
 さつきは両足をバネに鋭く跳躍してダークデザイアの横面とすれ違う。トゲが並んだような鋭い歯に目元を覆う覆面をくわえた彼女は、それをピザ生地めいて食い破った!
「ARRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRGHッ!」
 断末魔の絶叫が轟き、髪で出来た巨体が激しくざわめいて爆散! 弾け飛び、ハラハラと散る髪の中を落下するダークデザイアとさつきを、真下に滑り込んだマンタ型小船が受け止めた。船頭に屈んだ都月が周囲を見回す。
「みんな、無事?」
「無事だけど無事じゃないわ」
 知子がげんなりした表情で応え、深い溜め息を吐いた。同乗したベルナデットがドレスをはたいて埃を落としながら言う。
「少々食らいましたが、全員五体満足ですわね。喜ぶべきことですわ」
「そうなんだけどさー……。あたしのスクーター……どっか流されちゃったよねコレ……」
 がっくりとうなだれる知子を余所に、摩那は仰向けになったダークデザイアと妖タヌギツネを見下ろした。ダークデザイアは素顔をさらし、死んだように眠っている。気絶した妖タヌギツネの口元に手をかざし、頷いた。
「二人とも、なんとか生きているようです。咎大蛇さんもお見事でした」
「ええ。残念ですが、女の子に愛を説くのはまだ無理のようでございしたので、この溢れる思いの全てはマスクに向けさせていただきました。煙のように消えてしまわれましたが」
「ま、元凶は狩ったわけだし、これで地上も元に戻る。一件落着だ。早いところ地上に戻ろう」
 マンタ船の船尾付近、舵を握る悠が声を投げかける。彼女は海賊帽を目深にかぶると、誰にともなく呟いた。
「……定員ギリギリオーバーだ。デカい船を持ってくるんだったな……」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『妖怪横丁へ寄っといで』

POW   :    妖怪横丁グルメを楽しむ

SPD   :    妖怪横丁ショッピングを楽しむ

WIZ   :    妖怪横丁催事を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●お知らせ
・第三章に移行します。
・地上に戻ると、カクリヨファンタズムの騒乱は収まっており、平和が戻ってきていました。正気に戻った妖怪たちは、それぞれ謝罪し合ったりしているようです。
・妖怪横丁を自由に見物……もとい、事後のパトロールをしましょう。
十津川・悠
さて、終わったことだし…帰る前に

何するか…考えてなかったな
買い物するにもそんな気分でもないし催事見てもなぁ…


とりあえず後始末だけしてそのあと考えようか
いくら元が自制奪われてたとはいえ元に戻った中で海賊がいたらそれはそれで騒ぎだからね


木常野・都月
一人称:俺
二人称:貴方
三人称:先輩や尊敬してるヒトはさん付け、それ以外は呼び捨て
名前:苗字さん


カクリヨファンタズムをゆっくり歩くのは初めてだ。

人間じゃない人しかいないんだよな?
チィも狐のフリしなくていいぞ。
あまり遠くに飛んでいくなよー?

ここの人達は、俺みたいな妖狐もいるけど、見たことない種族?もいる。
不思議な感じだな。

初めて見る街並みだけど、どこか懐かしい風景、懐かしい匂いだな。
変な感じだ。
似たような風景を、俺どこかで見たのかな。

任務のあとだし、お腹空いてるんだ。
何か食べ物あるなら食べたいな。

古い菓子屋?があったから、あそこで何か買いたい。

買ったものをもぐもぐしながら、のんびり散歩だ。


松苗・知子
■心情?
ドーモ。空気抵抗無い系の松苗です。
は?キレそう。

■行動?(POW)
はーあ……バイクは流れるし敵味方からナイ胸煽りはされる(された気がする)し、もうやってらんないわけよ。

ふむ
飲んだくれるか
ハシゴよハシゴ酒よ
カクリヨに来るのは初めてだけど、この雰囲気なら飲み屋の10や20はあるでしょ!
手始めにヤキトリ、オデン等和風っぽい所で勢いを付けたら、そのあとは、できるだけ他で見かけないそうな店にチャレンジよ!ゲテモノどんとこい!
「今日はいけるところまで行くわよーう!」
あと、顔見知りが通りがかったら絡み酒して連れ回すわけよ。タヌギツネとかも
……飲んで忘れましょう。今だけは
はーあ、バイクどうしようホント


ベルナデット・デメジエール
一人称:わたくし
二人称:あなた
名前の呼び方:名前にさん付け(漢字名はカタカナに)
~ですわ、~ますの等、いかにもお嬢様のような話し方

ふぅ、ようやく一件落着ですわね。
これでこの辺りも安心してお散歩できますわ
孤高なる夜の女王たるわたくしは群れる事を好まないですが、
どうしてもと言うお誘いがあれば?付き合って差し上げても…(チラッチラッ)
決してぼっちで寂しいという事はありませんのよ、決して!
…まあ、何もなければ今回の騒ぎで滅茶苦茶になったお店もあるでしょうから、
その片付けを手伝うことにいたしますわ

そういえば骸魂に取り込まれていた子の様子も気になりますわね
時間が許せば見に行くのも良いでしょう


咎大蛇・さつき
【アドリブOK・戦闘時以外は穏やか】
はー、とても楽しかったです。
散策するのも悪くありませんわね。

ここにある美味しそうな食べ物とか
綺麗な小物などを探してみたいです。

(戦闘時のやばい雰囲気はすっかりない。普通に穏やかな表情)
せっかくですから温泉に入るのもいいですね。
(まだ血まみれ)
とりあえずお風呂に先に入ってから色んな所に参りましょう。
もちろん私と「愛」を分かち合いたい方はぜひご一緒に…(一瞬武器を取り出しそうになる)


黒木・摩那
ダークプルティアは強敵でしたが倒せることができてよかったです。

あとはのんびりと妖怪横丁めぐりです。
いろいろ気になるものがありますね。

まず、試しておきたいのはご当地グルメ。
出店で買える、いわゆるB級グルメを色々と試してみたいです。

あと、ご当地香辛料も探してみたいです。
この世界ならではの唐辛子やわさびの類を見つけて、
是非ともコレクションに加えたいです。



 地上に戻ると、妖怪横丁の火の手は収まっていた。
 東西の種別を問わず、妖怪たちはバケツリレーをして火種に水をかけていったり、木材を運んで家屋を修理したり、あるいはお互いに平謝りを繰り返す。ともあれ狂乱は収まり、平穏が戻ってきていたのだった。
 力を合わせて修繕作業に入る妖怪横丁を歩きながら、街並みを興味深そうに見回す都月。彼の襟首から白銀の子狐がぴょこんと頭を出し、鼻を鳴らしながらあちこちを見やる。
「チィ?」
 スンスンと町の匂いを嗅ぐ子狐の顎下を人差し指の背で撫でる都月のすぐ傍を歩きながら、さつきは血みどろになった体をぐっと伸ばした。
「はー、とても楽しかったです。満足のいく戦いでした」
「そりゃよかったわねー……」
 さつきのやや後方、ゾンビじみた足取りと暗い表情の知子が、だらんと下げた両腕を揺らしながら歩く。さつきは首だけで知子に振り向いた。
「おや? 松苗さんは満足できませんでしたか」
「満足より損失の方が大きいわ……。あたしのバイク……はぁぁぁぁぁ……」
 深い溜め息と共に倒れ込みかかる知子の両腕を、左右の悠と摩那がそれぞれつかんで引っ張り上げる。
「松苗さん。気持ちはわかりますが、ここで倒れ込まないでください」
「戦っていれば船の一隻や二隻沈没することだってある。戦場に持ち込むというのはそういうことだ。ほら、しっかり立て」
「だぁーってぇー……」
 二人が半ば知子を引きずるようにして歩くのを余所に、都月はチィと一緒に妖怪横丁を興味深そうにきょろきょろと見回す。グールが瓦屋根を叩き、大ムカデが背中に大量のレンガを乗せて歩いている光景が物珍しい。
「チィー……」
「そういえば、カクリヨファンタズムをゆっくり歩くのは初めてだ。猟兵以外人間じゃない人しかいないんだよな? チィも狐のフリしなくていいぞ。あまり遠くに飛んでいくなよー?」
「チィー!」
 都月の襟からスポンと飛び出したチィが空中を駆け上がり始めた。一方で、悠は腕を引き上げて知子を立たせると、下顎に手を当てて呟く。
「さて、終わったことだし……帰る前に何するか……考えてなかったな。買い物するにもそんな気分でもないし催事見てもなぁ……」
「なーにつれないこと言ってんのよー」
 悠の背後から、知子がのしかかるように肩に腕を回す。ついでに摩那の肩にも腕を回し、げんなりした表情の彼女はがっくりとうなだれた。
「はーあ……バイクは流れるし敵味方からナイ胸煽りはされるし、もうやってらんないわけよ。……飲んだくれるか。ハシゴよハシゴ酒よ。全員も強制参加よ!」
 拳を突き上げる知子。摩那は知子を支えながら頷いた。
「いいですね。私ご当地グルメ食べたいです。出店で買える、いわゆるB級グルメを色々と試してみたいです」
「もちろん食うわよ! できるだけ他で見かけないそうな店にチャレンジするわ! ゲテモノどんとこい!」
「あと、ご当地香辛料も探してみたいです。この世界ならではの唐辛子やわさびの類を見つけて、是非ともコレクションに加えたいです」
「香辛料も酒のつまみには必須ね! ガンガン胡椒ぶっかけた奴とかタコわさならぬ触手わさとかキムチとか! 今日はいけるところまで行くわよーう!」
 知子は声高に宣言すると、摩那と悠の首をホールドして引き寄せた。彼女たちからやや離れた場所を歩いていたベルナデットは、右肘を横向けた左腕に乗せ、手の平で顔を軽く覆うようにしながら言った。
「ふっ……孤高なる夜の女王たるわたくしは群れる事を好まないですが……ま、まぁどうしてもと言うお誘いがあれば? 付き合って差し上げても……」
 ちらちらと視線を投げてくるベルナデット。しかし知子はベルナデットの表情ではなく胸の方を見つめ、半眼白目でギリギリと歯軋りをしたのち、そっぽを向いた。
「乳引っ込めてから出直してきなさい」
「な―――っ!?」
 ショックを受けた顔で絶句したベルナデットは知子に駆け寄り、腕を振り回しながらポコポコと殴り始めた。知子もベルナデットと一緒に涙目で腕をぐるぐる回してこれに対する。
「む、胸は別に関係ないでしょ!? いいから一緒に行こうって言いなさいよ! あんなの敵を挑発するための方便なのに!」
「何よ! 方便ならご立派なそれちょっとは寄越せばいいじゃない! ノブリス・オブリージュでしょ!? 持てる者なら持たざる者に分け与えてみなさいよ!」
 道端でポコポコと喧嘩を始める二人。屋台の狐面に目を奪われていた都月は彼女たちを振り返り、怪訝そうな顔で首を傾げた。
「あの二人は何をしてるんだ?」
「……ある意味女の戦いといいますか。女性としては根深い問題といいますか……。まあ。ええ」
 疑問符を浮かべる都月に、摩那は無言で眼鏡を押し上げる。知子から解放された悠は肩を回しながら言った。
「とりあえず、後始末だけしてそのあと考えようか。何をするにも、協力してからの方がよさそうだし」
 悠の呟きを聞いて我に返ったベルナデットはサッと身を引いた。つんのめる知子の両肩を押して元の位置に戻すと、軽く赤面しつつ咳払い。
「こほん。……仕方ありませんわね。今回の騒ぎで滅茶苦茶になったお店もあるでしょうから、まずはその片付けを手伝うことにいたしますわ。ボロボロのままでは買い物も何もないでしょうし」
 頬を膨らませ、ジト目で睨んでくる知子から目を逸らすベルナデット。さつきは笑顔を浮かべると、ぱんと拍手を打った。
「それでは、お風呂に先に入ってから色んな所に参りましょう。私たち全員血まみれですし。もちろん私と愛を分かち合いたい方はぜひご一緒に……」
「さつき。よくわからないけど、愛は駄目だ」
 背負ったノコギリ刀の柄に伸びかけるさつきの腕を都月がつかむ。摩那は血の付いた袖口に目を向けた。
「土木作業は汗かきますし、二回入るハメになりそうですが……確かに、返り血浴びたままじゃ手伝いも何もありませんね。食い倒れの旅はしばらくお預けです」
「仕方ないわねー……んじゃ、ひとっ風呂浴びたらぱっぱと直して観光に行くわよ! まずは温泉探しにゴー!」
 一足早く駆け出す知子に続いて、他の面々が小走りでついていく。幽世の空で無限字を描いて飛んでいたチィがそれに気づき、慌てて後を追いかけて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月12日


挿絵イラスト