5
そこに陰影ありき

#アックス&ウィザーズ #戦後

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ
🔒
#戦後


0




●手にした平穏に落ちる陰
「『アックス&ウィザーズ』にある、各地の酒場で悲鳴が上がっている」
 第一声、それが目にした予知夢を元に猟兵たちに招集を掛けて、グリモア猟兵レスティア・ヴァーユ(約束に瞑目する歌声・f16853)の、口を開いた最初の言葉だった。
 戦争も終わり、世界の滅びを免れた世界で一体何が起こったのか。一同が耳を傾ける中、話は続けられていく。
「現在、酒場の掲示板において、冒険者――猟兵が減った為に『紙に貼りきれないほどの依頼』で溢れ返っている」
 そう聞けば、思いの外深刻な内容ではなさそうだという空気が漂う中、今回の事態は決して軽くは見られないと、語り手も自分に言い聞かすように、己の話を続け始めた。
「熾烈な戦争で勝利し、世界の存続が確約されたのは喜ばしい。
 だが、その『アックス&ウィザーズ』には、今もオブリビオン残党の影が消えた訳ではない。
 ――気になったのは、依頼の中に『請け負ったが、オブリビオンの残党を倒せなかった』という理由で、猟兵以外には片をつけられない危険な討伐依頼が、少しずつ増えているということだ」
 話によれば、戦争後に普通の冒険者が『通常の原生モンスター討伐の依頼を引き受けたが、その先に潜んでいたのがオブリビオンで、歯も立たずに返り討ちに遭った』という例が、最近いくつか報告されているらしいとのことだった。
「戦争前に比べて、猟兵――冒険者の数が減少傾向のために、原生するモンスターの討伐もままならない地域もある。
 当然、モンスターはその世界の人々が立ち向かうべき問題だが、今回皆方には、冒険者として『モンスターと共謀して悪行を働く、オブリビオンの残党』を討伐してほしい」
 曰く、既にもう現状大きな街の主要街道がゴブリンに占拠されており、住民に被害が出ているのだという。
 そして、そこから武器を入手しているオブリビオンの残党が、最近活性化して力をつけてきているのだと。
「これを永く放置していると。
 ――地図に載っているほどの、賑やかで活発な街が、モンスターとオブリビオンに占拠され、廃墟化する。
 そこまでを、予知夢に見た。
 オブリビオンは残党と言えども、やはり放置出来る存在ではないのだと思い知った次第だ。
 ……自分で動けないのが申し訳ないが、この討伐を頼みたい」
 話を一旦そこで区切り一息置いてから、語り手は軽い補足として言葉を置いた。
「これはまだ張り出されている街の依頼の一部であるから、成功した際には報酬が出る。
 大きな依頼であるから、無事にこなせば『アックス&ウィザーズ』の酒場で一晩自由に羽目を外せるくらいには出るだろう。グリモアベース帰還前であれば、その点は自由にしてもらって構わない。
 それでは、どうかよろしく頼む」
 そこまで告げて、レスティアは静かに願いを託すように猟兵たちに頭を下げた。


春待ち猫
 こんにちは。春待ち猫と申します。
 この度はシナリオのご閲覧いただきまして誠にありがとうございます。
 今回のシナリオで、無事4本目として出させていただきましたが、まだまだ不手際も多いながらも、せめて精一杯頑張らせていただけたらと思われます。どうか宜しくお願い致します。

 今回は、第1章が冒険。第2章が集団戦。第3章が日常となっております。
 章内の概略は以下となります。

 ○第1章:大きな街のライフラインにあたる主要街道の一つが、どこからともなく現れるゴブリンたちに占拠されています。
 追い剥ぎなどによる被害も多く、商人が護衛として冒険者を雇っています。
 ※雇い主の商人がNPCとして登場しますが、自分の身は自分で守れます。
 ゴブリンたちは武器を所持していますが、対話により脅したり、命の危機等を感じさせれば簡単に逃げ出します。

 ○第2章:ゴブリンたちの上客であった敵オブリビオンたちとの集団戦闘です。

 ○第3章:第1章、第2章で稼いだお金が報酬としてもらえます。酒場で手持ちの許す限り飲み食いするなど『アックス&ウィザーズ』の世界で酒を交えたどんちゃん騒ぎが行えます。
 こちらは、自由な時間をお過ごしいただけます。
(第3章のプレイングによる【POW】【SPD】【WIZ】はゆるやかにて問題ありません)
 ※未成年PC様の飲み物はノンアルコールになります。

 それでは、どうかよろしくお願い致します。
49




第1章 冒険 『小鬼強奪街道』

POW   :    通行者たちの護衛として同行する

SPD   :    ゴブリンの襲撃地点を予想し、逆に待ち伏せる

WIZ   :    囮として行動し、ゴブリンを誘き寄せる

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キャロル・キャロライン
この街を私の国のようにする訳にはいきません
悪の芽は小さい内に刈り取りましょう

単に護衛を求める方ではなく、ゴブリン退治に協力いただける方を探します
商人の皆様にとってはゴブリンなど出てこない方が良いのでしょうが、今回の目的はゴブリンからオブリビオンに辿り着くこと
わざと隙があるように見せ、ゴブリンを呼び寄せる必要があるからです

もっとも商人の方も不安でしょうから、剣の召喚など冒険者としての力は見せておきます

ゴブリンが現れたなら、武具を召喚して装着
さらに、UCで召喚した幾多の鎖で捕え、オブリビオンの情報を聞き出しましょう

「でも、ゴブリンって言葉は通じるのかな?」
その時は……オルキヌス、通訳は任せます


地籠・凌牙
【アドリブ連携諸々歓迎】☆POW
自分の身は自分で護るって案外難しいんだよな。
それができるのは流石商人魂持ってるってことかな、そういうの嫌いじゃないぜ。
だからこそ全力で依頼は果たすよ。
あんたらの品物で救われる人はたくさんいるワケだしな。

で、肝心のゴブリンだが……
【指定UC】で穢れを固めて竜を作る。竜の割にはちっさいって?ほっとけ!
こいつは俺の動きをトレースする。穢れの温床で自然と奴らは【おびき寄せ】られるだろうから、近づいてきたところでこいつが【鎧砕き】の要領でドン!と殴り付けて一匹ぐらい再起不能にしてやりゃあ早々近寄らねえだろ。
当たらなくても地面を抉るぐらいのインパクトは出せるだろうからな。


カイリ・タチバナ
アドリブ連携歓迎。

おーお、厄介なことになってんだなA&W。
ま、必要ってなら力を貸す。俺様、故郷では漁師兼ね 守神だからな!(銛が本体)
廃墟になるって聞いてると、放っておけないのもあるがな!
あと酒。(酒が理由なのは一割)

まずは護衛か。なんか新鮮だなー、街道で護衛すんの。
故郷は海に囲まれてっから、まず移動手段が違うんだよな。
ゴブリンへの脅しなあ。【錬成カミヤドリ】で、銛を増やしてっと。
おら、この銛全部使って、串刺しにしてやろうか!?(一本だけゴブリンの前に刺して、凄むヤンキー)
これで逃げてくれるといいんだがな。逃げなかったら、言った通りになるだけなんだが。



 猟兵たちが降り立った『アックス&ウィザーズ』の一都市。
 それはとても賑やかなものだった。道に笑顔は絶えず、花売りの姿まである。
 だが、グリモアベースで聞いていた事情について話題に触れれば、街の人々はその表情を一斉に曇らせた。
 どうやらこの明るさは、日々生活する人々にとってはいつ街道という生命線を断たれるか分からない、最後の晩餐に近しいものがあるらしい。
 モンスターの背後にいるオブリビオンが攻め入ってきた時、籠城を検討してもどれだけの意味があるのか。明るくは見えるが、街の住人達の思考はかなり末期の様相を見せていた。
「おーお、厄介なことになってんだなA&W」
 カイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)が、他の猟兵と共に話を聞いて、酒場にある掲示板でグリモア猟兵から指定されていた依頼を受け取った。
「ま、俺様、故郷では漁師兼ね。守神だからな!
 必要ってなら力を貸す。こんな賑やかな街が廃墟になるって聞いてると、放っておけないと言うのもあるが!
 後は『酒』。成功報酬で出る、酒。飲み放題なら呑まねぇと」
 ――カイリの言葉の比重としては『報酬:酒』の比重はあくまで全体の一割程度。純然な街の安全や解放の方が高いのだが、しかしこうしてはっきり言葉として聞いてしまうと、一同についつい『酒』という印象を大きくさせてしまう。だが、それが場を明るくさせた。

「この街を、私の国のようにする訳にはいきません。
 悪の芽は小さい内に刈り取りましょう」
 傍らではキャロル・キャロライン(アリスナイト・f27877)が、この街に世界の輝きを見るような眼差しで、哀愁を交えて周囲を見渡していた。
 文字通り、今はなき亡国の、己の命まで亡くした姫君――今は『光の心』という、魂から激しく揺さぶる尋常ではない衝動のみでその肉体を突き動かしている。
 自分の生きていた国と類する所を感じたのであろう、キャロルは辺りを見渡しながら告げた。
「単に護衛を求める方ではなく、ゴブリン退治に協力いただける方を探します。
 当然、今回のご依頼人お一人は最低必要でしょうが……
 商人の皆様にとってはゴブリンなど出てこない方が良いのでしょうが、今回の目的はゴブリンからオブリビオンに辿り着くこと。
わざと隙があるように見せ、ゴブリンを呼び寄せる必要があるからです」
 カイリは、キャロルの言葉にしばし考えてから頷いた。
「なるほど。オブリビオンの情報を持っているのはここを牛耳っているいるゴブリン達だけだ。情報を持っているなら、簡単に討伐とはいかないか……」
 軽く思案に入るカイリの傍らで、通常の護衛とは若干異なる気配を感じ取った商人がキャロルに話し掛けた。
「ゴブリンならば、私でも冒険者と共に何度か退けてきたことがあるが……今回は何か違うのかね? も、もしや、皆がゴブリン退治を経験していない初心者とか!」
「いえ、その懸念は不要です。商人の方にはいつも通りに。
 ですが、現状におけるご不安も承知しています」
 そう告げるとキャロルは、アリスナイトの特性として生み出された想像の産物、光り輝く白銀の剣『アリスソード《グラディオス》』を商人の前で生みだした。
「おお……これは、素晴らしい業物ですな……! これの使い手でしたら安心できる! 私もいつかこう言ったものを持てるようになりたいものだ!」
 商人の感激を目にしながら、その様子を見ていた地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)も感嘆を伴い口を開いた。
「いや、お前も今までゴブリンをなんとか倒してきたんだろ?
 自分の身は自分で護るって案外難しいんだよな」
「いやぁ、ヒィヒィ言いながらとても戦闘なんてものじゃありませんでしたけどね。これを届けなければ死人が出るんです、やらないわけには行かないじゃないですか」
「それができるのは流石商人魂持ってるってことかな、そういうの嫌いじゃないぜ。
 だからこそ全力で依頼は果たすよ。
 あんたらの品物で救われる人はたくさんいるワケだしな」
「……ああ、生きている間は頑張りたいんです。どうかよろしくお願いしますよ」
 商人は、猟兵たち冒険者に深くお辞儀をした。

「なんか新鮮だなー、街道で護衛すんの。
 故郷は海に囲まれてっから、まず移動手段が違うんだよな」
 己の存在世界がグリードオーシャンの船上にあったと言っても過言ではないカイリは、このどこまでも地続きの道はあまりにも不慣れであった。確かに大地はしっかりとしているが、それ故に感じられる不安もある。
 それからしばらく周囲を大岩が点在している街道を歩く。岩の側を差し掛かろうとした瞬間、不穏な空気が一気に辺りを覆い取り巻いた。
「来たな……」
 凌牙が警戒を露わにすると、先の岩陰から無数のゴブリンが飛び出してきた。手にはボロボロの斧や棍棒など、思い思いの武器で武装しているのが目に入った。
「ギィッ! ギギッ!!」
「く、来るなら相手に……!」
「ハイハイ、商人さんは下がってな! ここは護衛のお仕事だ」
 カイリが目を走らせ、囲まれているわけではない事を確認すると、商人を自分たちの後方へ下げる。
「――《グラディオス》、《アルマトゥーラ》」
 傍らでは、キャロルが純白を基調にした、想像力から派生する美しい武具を、その名と共に具現化させて身に纏う。

「それじゃあ、始めるか!」
 先陣を切った凌牙が、大きく息を吸い上げた。
 近しいものであれば覇気に類似される、生まれながらに、その存在や周囲を取り巻く不運や呪いの原因『穢れ』を喰う力――今、この場の空気からそれを喰らい集めた凌牙は、己のユーベルコード『【喰穢】黒淀顕現・穢竜招来(ファウルネシヴォア・フォーアラードティアマット)』を発動させた。
「我が喰らいし万物の淀み、竜を象りて顕現せよ!」
 威に溢れる宣告と共に、自分とゴブリン達との合間に、自分の二倍程度の大きさに穢れを固め練り込まれた黒竜が現れる。
「りゅ、竜……! だが、それにしては心なし小さいような――」
「オッサン、ほっとけ!」
 怯えながらも、話に聞いてものと異なる竜へツッコミを入れた商人の言葉を投げ捨てながら、凌牙は集まりつつあるゴブリンの群れを視界に入れた。
『穢れ』とは本来不可視の不幸を誘発するものでもある。人間にとっては、不幸を弄ぶものでもあるモンスターはそれに群がるように集まってきた。わららわと動きを寄せるゴブリンの一匹に向けて、凌牙は空に向けた己の拳を振り下ろす。
 凌牙と敵とはまだ距離がある。だが、合間に存在する黒竜は、凌牙の両拳を一部とした『黒竜の爪牙』の動きを破壊力そのままにトレースした。轟音と共に振り下ろされた一撃はゴブリンの一匹を巻き込み、地面にクレーターとなる規模の穴を開けた。
「ギィッッ、ギィッ!」
 ゴブリンの群れが、一気にざわめき始める。先の一撃で、人間を日常の略奪対象としてしか見ていなかったゴブリンたちの目に怯えが走った。
 しかし、一部腰を抜かしているゴブリンもいるが、武器は構えたままその意欲を消す様子はない。
「ゴブリンへの脅しなあ……」
 カイリが、片手を何事もなさげに上にあげる。すると、ユーベルコード【錬成カミヤドリ】として現れた、先端に小さな雷光にも似た光を走らせる数十本もの大きな銛が、上空から斜めに降り注がんと滞空し、ゴブリン達に狙いを定めた。
「おら、この銛全部使って、串刺しにしてやろうか!?」
 カイリは手元に残した銛の一本をゴブリンに突きつけると、力強くその足元に突き立てた。しかし、内心考えている事が影響して、どうにもチンピラじみた気迫しか出せない。
(脅しだからこれで逃げてくれればいいんだがな。
 ――逃げなかったら、言った通りになるだけなんだが)

 カイリが向き合っていた方向より三時方面にも、ちらほらとだが、ゴブリンが集まって来ているのが目に入った。
 その光景にキャロルは一瞬の違和感を感じたものの、すぐに情報の搾取をすべくそちらの方へと向き直る。
「グィッ、ギィィ!!」
 キャロルが数歩足を向けると、敵が捕捉したとばかりに一斉にこちらへ集まってくる。
 しかし、捕捉されたのはゴブリン側だった。キャロルは構えていた剣を中空で斜めに斬り下ろすと、それを合図に己のユーベルコード【近侍召喚(アリスナイツ・フルバースト)】を発動させた。
 金属が激しく擦れ競り合う音が響き、ユーベルコードの効果によって召喚された銀の鎖が無数に敵陣を駆け抜け、弾き飛ばしてはゴブリン達を一斉に絡み取り持ち上げた。
「さて、ではオブリビオンの場所を教えてもらいましょうか」
「ギィッ、ギ、ギィッ……」
 しかし、世には人語を理解する存在もいる中で、このゴブリン達は人語を喋る気配がない。
「……オルキヌス」
 呼び声に応じて、先ほどよりふわふわとキャロルの周囲を飛び交っていたものが、白銀の鯱の姿をした『守護霊獣オルキヌス』としてはっきりと人前に姿を現した。
「呼んだかな?」
「ゴブリンとの通訳を任せます。できるでしょう」
「出来るけれどもね」
 そう言葉を交わすと、オルキヌスは銀の鎖で縛り付けられたゴブリン達と会話を始めた。
「……ここから、北西の砦でオブリビオンとのやり取りを――なるほど」
 次の瞬間、キャロルがそちらの方を見た――瞬間、空気がざわりと揺れた気がした。
 一同が振り返る。すると、背後方向からゴブリンが追い掛けるように現れた。
 明らかな増援なのか、数が多い。それを見た正面のゴブリン達はカイリの銛を無視して、そちらに合流しようと一斉に走り始める。
「チッ!」
 逃げるどころか、増兵して更に攻勢を仕掛けようとする気配に、カイリは【錬成カミヤドリ】で宙に置いていた銛を容赦なくゴブリン達に降らせた。
 巨大な銛に多数が屠られ、それでも残った少数が一目散にカイリ達の脇を駆け抜けていく。
「ひぃぃっ、こんなにたくさんいるなんて見たことないぞ!」
「安心しろって! こんな数ヘでもねぇよ!」
 悲鳴を上げた商人のガードに、とっさに凌牙がつく。
 そして戦闘は、互いにこの場を切り抜ける為の総力戦となった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

トゥーリ・レイヴォネン
連○/ア○
【面白そうな展開であればプレイング無視OK】

「……あー、えっと。うん……わかんないや、前にでる、ね……」

目標
・多くのゴブリンを集めて、囮としての役割を遵守。ついでに殺す

行動指針
・連携先の作戦があれば従う
・作戦がない、もしくはソロである場合、いつも通り囮役として一人で前へ
・襲いかかってきた順に殴り殺して行きたいところを我慢。数匹、できれば十数匹の意識を自身に向けさせ、攻撃を受ける事で足止め
・そもそも機敏では無く、普通に戦ってもゴブリンの攻撃を躱す事もできない
・反撃の準備、または十分な数を引き付けた所で、一体ずつ殴打で潰していく

心情
・沢山、居るけど。まあ……こっちは僕一人じゃ、無いし……


セリオス・アリス
アドリブ◎
何つーか、戦争続きでこういう依頼は久々な気がするな
成功報酬も出るってんなら
ここは張り切ってやってやろうじゃねえか
先ずは肩慣らしだ

護衛としてついてって
第六感で気配を感じたら
歌で身体強化して先制攻撃
斬りつけて挑発、興味を引いて依頼主から距離をとる
悪いな防戦は得意じゃねえんだ
その代わりそっちにはいかせねえ様にするからよ
【鳥籠の反響】を響かせて
さぁ、他の事なんか忘れさせてやるよ

ゴブリンの動きが止まってんならその隙に
トンと跳びあがり連中のド真ん中に跳び降りる
着地から跳ね上がる勢いを利用してまず一閃
星の瞬きに炎の属性を纏わせて敵を斬る
そのまま勢いを殺さず踊るように連続で
さあ、次はどいつが相手だ?



 今までは無事だった背後に、ゴブリン達による増援が現れた。
 ゴブリン達の制圧に不手際はなく、大した時間が掛かった訳でもない。そう考えれば、この街道に限らず、地域一帯のどこかに、状況が把握できるゴブリンの住処があると考えるのが妥当であろう。
 しかし、そのような事は後だ。
 先制を取っていた猟兵たちは、先ほどまで前方にいたゴブリンの動きを見極めながら商人の護衛に回った。
「せっかく情報得ても、ここでノされちゃ意味がねぇよな!
 ――出番!!」
 その僅かな雰囲気の揺れから、その襲撃の気配を真っ先に確信したセリオス・アリス(青宵の剣・f09573)が、真っ先にその身を戦陣へと投げ出した。
「星に願い、鳥は囀ずる。いと輝ける星よ、その煌めきを我が元に――さあ歌声に応えろ、力を貸せ!」
 セリオスの激しくも高らかに、唇が歌を紡ぐよう【青星の盟約(オース・オブ・ディーヴァ)】を発動させ、その中から己の瞬発力を跳ね上げることで、攻撃回数を強化する。
 そして、その姿は心地良い風を得た鳥のように。まだ属性を乗せていないが故に、無垢な純白を放つ刀身『星の瞬き』で、近づきつつあった敵を誰よりも先に斬り捨てた。
 戦闘の開始最中において、深く吐き出す息が心地良く感じられた。純粋に安らげる時間も愛しいが、この合間における油断と取られかねない呼吸が、セリオスには戦闘こそが自分の居場所とばかりに、とても愛おしく感じられた。
「ずっと戦争続きだったからな、まずは肩慣らしだ!」
「ひぃっ、あまり離れないでくれ……! こんな人数のゴブリンは対処した事も――!」
 商人に背中を向け、肩越しにちらりと相手を見て。セリオスは例えるならば、とても場違いに無邪気な笑顔を見せた。
「悪いな、防戦は得意じゃねえんだ。
 その代わりそっちにはいかせねえ様にするからよ」
 一瞬、その無鉄砲振りは心の中で親友に咎められそうな気配がしたが、今回は別行動だ。二人揃うから全力が紡ぎ出せる。戦場ではいつもそうだ。だが――たまには、一人で羽を広げるのも悪くはない。

「敵、増えるの……? なら、いつも通り……出るね」
 大幅に変わっていく戦況。その様子をじっと見つめていたトゥーリ・レイヴォネン(タナトスのオートマトン・f26117)は、今自分たちの背後となっている六時方向から少しずれた先、八時の方向にも人影がある事を確認した。
 否、人影ではない――それはこの状況を数で襲い、のし潰そうとしているゴブリン達の姿。
『白く濁った金の瞳』では、ぼやけた視界以上のものは得られなかったが、与えられた情報以上に、過去から現在に到るまで、トゥーリの身体に刃物を食い込ませて来た存在達の『殺す』という敵意と殺意は、おそらくこれからも忘れることはないだろう。
 確かに、今までの戦闘の中で、その体内に骨格として埋め込まれた『高硬度の鋼』を骨と同等に断ち切った者はいない。だが、これは――これからも生き続ける限り、背負い続ける枷となる。11歳のトゥーリには、それはあまりに現実にも心にも重たいものだった。
 しかし、既にその感性の麻痺したトゥーリは、躊躇わずその身をゆっくりと大地に沈み込むのではないかという、重量に満ちた足取りで敵の群れの中に踏み込ませていく。
 避けるという選択肢はなく、逃げ惑うという選択も許されない。それを選ぶには己の骨子はあまりにも重すぎて、そして鈍く頑丈すぎるものだった。
 襲い掛かって来たゴブリン達の、トゲのついた棍棒、錆び付いた剣。どれも致命傷ではないが容赦なくトゥーリの肉を抉っていく。
 痛い。痛い。痛い。肉の痛覚が悲鳴を上げる。
 だが――それこそが、デッドマンのトゥーリが生きている実感を確信させてくれる感覚。
 そして、トゥーリがそれをひとしきり味わい、現状の問題解決に意識を向け始める。
『……そろそろ、時間……』愛しさすら感じる、己の存在を確かめる時間の終わり。トゥーリがそこから離れようと決めたその瞬間、
「大丈夫か!?」
 そこに、羽を雨に濡らした烏のような存在が飛び込んで来た。先ほどから背面にいた敵を一手に引き受けていたセリオスだ。
「血塗れだけど、大丈夫か? まあ、この程度で簡単におっ死んでたら猟兵じゃねぇけど」
「そっちは……? 敵、たくさん来てるけど……」
「こっちは――」
 トゥーリとセリオスの側にいたゴブリンが、合わさっては一塊の群れになろうとしているのが目に入る。しかし、そのタイミングを見計らって、セリオスは胸に左手を当てた。歌い始めたその声は、ゴブリンの一群の心にしみ入るように。思考を浸蝕するように響き渡る。
 セリオスのユーベルコード【鳥籠の反響(エンクローズ・エコー)】――空気を震わせる歌声は、それは味方に彼が敵ではないことへの安堵を与え、対象となったゴブリン達は、既に虚ろにも近い眼差しでセリオスを見ていた。
『さあ、歌声に応えろ。お前の意識は、どこにある?』
 ――セリオスの魔性とも呼べる声が届く範囲の全て。ユーベルコードは、一時的にゴブリン達の思考からセリオス以外の全ての存在の記憶を削除していた。ゴブリン達は記憶の浸蝕を受けてた右往左往し始める。
「これなら、殴られっぱなしじゃなくても戦えるだろ?」
「……殴られてても……あんまり、変わらないけど……これだけ、引きつけられたら」
 トゥーリが小さく一度、あまり実感の湧かない肺に呼吸を置く。
 そして、次の瞬間――トゥーリは目の前に先ほど腕にナタを突き立てたゴブリンの頭を掴み上げると【『叩き壊す』という決意を込めた視線】を伴い、顔面に向けほぼ至近距離にて『手入れの足りない肉切り包丁』の背を容赦なく何度も打ち付けた。
 トゥーリのユーベルコート【殴打】――逃げられない敵への【至近距離からの断続的且つ継続的な殴打】は、ほぼ敵に対する死への餞であろう。
 そして、トゥーリは一匹を屠ると、隣の一匹へ目を向ける。
 数に対して、一匹ずつの捕殺は時間が掛かりそうだと思いもする。しかし、
(沢山、居るけど。まあ……こっちは僕一人じゃ、無いし……)
 その視線の先には、先ほどまで側にいたセリオスの姿が遠くに見えた。

 軽やかに地面に爪先をつけ、踏み降りる音が響く。
 ゴブリン達の視線が集中するが、先のユーベルコードの影響で、向けられる感情は敵意にはまだ遠い。
 しかしセリオスは、その爪先を跳ね上げると、手短にいたゴブリンの数匹を一度に横薙ぎに一閃して斬り捨てた。
 その騒ぎで、ようやくユーベルコードの影響が解け始める――が、遅い。
 その合間にも、セリオスは先から所持していた『星の瞬き』の純白の刀身を、瞬時に火属性により灼熱色へと宿し、燃えさかる炎の帯と敵を袈裟懸けに切り裂いた。くるりと、セリオスと共に燐火が周囲を、器用に散り舞い踊っては消えてく。そして増えるのは、汚い服と肉の焦げる臭いのみ。
「さあ、次はどいつが相手だ?」

 ――もう増援も何も無かった。
 我に返ったゴブリン達は、生々しい肉の臭いと、彼らにしては見慣れない同胞の死体を目にして、その場から散り散りに一目散に逃げ出していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『サヴェージ・ギャルズ』

POW   :    アマゾネス・スマッシュ
単純で重い【武器または素手、素足】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    バーサーカー・ドライブ
【トランス状態になる】事で【狂戦士モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    フィアー・ビースト
【口】から【野獣のような咆哮】を放ち、【恐怖を与えて萎縮させること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(ご参加、誠に有難うございました!
次回のプレイング受付は『7/5(日) 08:35~』より行わせていただきます。上記時刻までに、なるべく早期に断章を置かせていただきますので、合わせてご閲覧をいただけましたら幸いでございます。
 少し間を置いてしまいますが、ご縁がございましたら、どうか何卒宜しくお願い致します)
「なに? ゴブリンどもが、ここの場所を吐いたって?」
 街道から遠く、北西の砦にて。
 露出の高い蛮族の姿をした、凜々しい女戦士の一人が、戻って来た偵察からの情報に秀眉を跳ね上げた。
「ま、いいじゃん。怒るのは分かっけど、あいつらとは今はそれなり大事な共有関係にあるんだし? この程度なら大したことないない」
 あっけらかんとした同じ蛮族の女戦士が手をヒラヒラと振って怒りの主を宥める。
「そうだなぁ、あいつらの持ってくる武器はどれも一等いいもんばかりだぁ。怒り程度に切り捨てちゃなんねぇ」
 間延びした言葉で、手元のショートアックスの手入れをしている女戦士が口にした。
 他にも複数の女戦士が、古めかしいが建て付けのしっかりした砦の中央に置いた薪に火をくべ女達が話し合っている。
 手元には、ゴブリンを経由して奪い取った酒と肉。

「まあ、確かにそうだな。
 来たところで――全て、骨と皮にしてやるだけだ」
カイリ・タチバナ
アドリブ連携歓迎。

さて、と。ここかー、オブリビオンの根城。
受けた仕事はきっちりこなさねぇとな!俺様の信義に反する。

目のやりどころに困る相手だな!?(健全ヤンキーヤドリガミ)
いや、落ち着け俺様。相手はオブリビオン。俺様は猟兵。よし!!(何とか相手をまっすぐ見る)

戦闘じゃ、【錬成カミヤドリ】で銛増やして、どこからきてもいいように展開。
ま、抜けられたとしても肉体的損傷は気にしねぇ。俺様はヤドリガミ、この銛が無事な限り、時間かかるがどうとでもなる!
ははは、この銛だって良いものだ。あいつら、破損はさせねぇだろ!
まあ銛で突き刺したり、なぎ払ったりもするがな。
ただでやられると思うなよ。



「さて、と。ここかー、オブリビオンの根城」
 猟兵一同が、ゴブリン達の情報から割り出した先。既に一般人に放棄された砦を、根城としているオブリビオンがいるという。
 商人の護衛は無事終えた。だが戦闘時に逃げていったゴブリン達もいる。こちらが向かっている事は、既に敵にも伝わっているだろう。
 砦からは人の気配がする。場所を知れて、尚この地に留まっているという事は、こちらを待ち構えている事に他ならない。
「だが――受けた仕事はきっちりこなさねぇとな! 俺様の信義に反する」
 その意気込みに反対する者はいなかった。
 カイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)達を始めとした一同は、内部の階段を上っていく。手下が待ち構えている様子はない。
 しかし、砦の最上階まで上がった時。建物内でありながら、視界が開けた広い空間において――オブリビオン達は、思い思いの仕草をとりながら、見事に統制の取れた敵意と共にこちらを見ていた。
「先兵も出さずに、見事に出迎えとはおそれ入る――いや! 目のやりどころに困る相手だな!?」
 カイリ・タチバナ22歳――ヤンキー的なやんちゃを嗜む外見年齢22歳と言えど、しかしそのヤドリガミ生においても、無差別に女性の裸を見続けてきたわけではない。
 それが突然目の前に、豊満な胸が『ボンッ!』と溢れ、メリハリのきいたくびれが『キュッ!』と流れ、躍動的なお尻と脚が『バンッ!!』と弾けに弾けた肉体が、スタイリッシュとはいえかなり布面積が少ない衣類に包まれているのならば、思わず目のやり場に困るのもやむを得ないものというものだろう。
「おー、照れてる~。可っ愛いーっ」
 オブリビオンの集団『サヴェージ・ギャルズ』がキャッキャとからかうように笑い始める。
「そんなにぃ、甘く見てると、殺っちゃうよぉ~」
 しかし、その言葉と共に気付いた。
 ケラケラセラセラ、楽しそうに笑う彼女達の笑顔には、間違いなくオブリビオンとしての狂気の色が見えていた。
「いや、落ち着け俺様。相手はオブリビオン。俺様は猟兵。よし!!」
 それを即肌で察したカイリは、自分に言い聞かせ、すぐに意識を切り替えて敵を正面から目に据えた。
「オブリビオン相手なら、やることは一つ!」
 武器を手にしている相手達を一瞥し、カイリは呼吸を一つ置くと同時に、自身の手にある『銛』を堅く構え、己のユーベルコード【錬成カミヤドリ】を発動させた。
 巨大クジラに海竜すらも屠る銛。ヤドリガミとしての己自身でもある、数にして六十もの複製品を、自分の周囲に湧き上がるように展開させた。
 死角を思わせない空間に配置させつつも、矛先は全てのオブリビオンへと対応出来るように向けられている。
 通常であればとても無鉄砲に突撃できるものではない。
 だが――
「うるらぁああああ!!」
 複数の敵が雄叫びと共に、瞳を血の赤に染め上げた。
 敵のユーベルコード『バーサーカー・ドライブ』――トランス化することで、狂戦士化してスピードと反射神経が爆発的に上がったオブリビオン達は、死角のない矛先を自分の身など気にしないとばかりに、一直線にカイリの元へと躍らせた。
 槍のように降る銛。敵の血肉を花開かせながら、それでもオブリビオンは躊躇いなくカイリに向けて片手斧や鉈を振り下ろした。
「うおっ!!」
 金属が激しくぶつかり合う音がして、カイリが所持装備する本体の銛と、相手の武器が激しくぶつかり合う。
「その銛は良モノだ! 壊すんじゃねぇぞ!」
 遠くから、敵オブリビオンの警告がカイリの元へと届く。だが、今鍔迫り合っている狂戦士化した相手は容赦なくカイリの本体をへし折ろうと力を込めた。
「おいコラ! 他のヤツの話も聞け、つーか折れたら危――! ……オラァッ!!」
 カイリは敵を自分の本体から引き剥がすべく、貼り付いた一体の胴体に、至近距離からの激しい蹴りを入れた。もう一体は銛を傾けることで力を削ぎ、バランスを崩した敵を本体の銛による鋭い矛先でなぎ払うと、流れるような仕草で相手を地面に串刺しにした。
 オブリビオンが黒い塵となり消えていく。思わずヤドリガミとしての命そのものである我が身の武器を確認すれば、先は乱暴に扱ったものの傷一つついていない。
「お、流石俺様!!
 しかし、狂戦士化も伊達じゃねぇな。容赦なく特攻してくるとなると……少し複製だけで数を減らすか」
 自分のヤドリガミ存在そのものである銛を、博打じみた行動で壊させるわけには行かない。
 カイリは中空に浮かぶ複製された銛の残数を確認した。次の攻撃は、よりもっとも敵の数が減らせる場所へと確実に狙えるように。

成功 🔵​🔵​🔴​

地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
どんな野蛮な野郎共かと思いきや女とはな……
やめとけ。女にゃこんな薄汚え場所や行為は似合わねえよ、とっとと帰んな。
まあホントならこんな話がダメなのはわかってんだが相手はオブリビオンだからな……
この手の奴はそういう話をすると怒るパターンが多い、【挑発】と受け取って一人か二人は俺を狙ってくるハズ。
攻撃を敢えて受け止めて【指定UC】発動、敵のUCをコピーして反撃に出るぜ。

「教えてやるよ、ホントの暴力って奴をな」

相手のUCを使ってっから俺も今はただの狂戦士。
今までこいつらがしてきたのと同じ暴力で返すぜ、"報讐者"らしくな。
【怪力】【鎧砕き】【重量攻撃】【グラップル】全部乗せて攻撃だ!



「ゴブリン達と手を組んで街を襲撃だとか、どんな野蛮な野郎共かと思いきや、女とはな……」
 地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)の目の先には『サヴェージ・ギャルズ』が、先程からこちらを目にしながら高低問わない声できゃっきゃと話し合っている。
「ちっちゃい子が何か言ってる~っ。かっわいー」
「ちっちゃくねぇよ!!」
 凌牙は思わず怒りを振りかざしそうになりながら、我に返ってため息をついた。
「つーか――やめとけ。女にゃこんな薄汚え場所や行為は似合わねえよ、とっとと帰んな」
 本当はこのような話が適切ではないのは分かっていたが、相手はオブリビオンだと心に言い聞かせる。
 敢えて、挑発として放った言葉だ。実際に、効果はあった。
 その言葉を聞いた瞬間、こちらをからかっていた敵は潮が引いたかのように、静かな、否、冷酷にも近い瞳でこちらを見ていた。
「……帰るのはチビちゃん達の方かな~。ただ、生きて返す気はないけどねっ――殺す」
 片手斧と大斧を持った、敵オブリビオン二体がゆらりと殺気を纏わせて立ち上がった。
 場に響き渡る激しい雄叫び。敵のユーベルコード、トランス状態に陥り狂戦士化に到る【バーサーカー・ドライブ】が発動する。
 しかし、それが発動することで人にまき散らすであろう『穢れ』が、凌牙にだけは見えていた。
 敵が瞬息で距離を詰め、凌牙のその身に刃を食い込ませようとする。
 それを『黒竜の爪牙』と名を宿す一部、凌牙の腕で柄の部分を受け止める。
「穢れを食うついでにその力、使わせてもらおうか?」
 噴き上がる、人には見えない黒煙状の『穢れ』を喰らう特殊能力。そこに凌牙は己のユーベルコードを乗せた。
【【喰穢】魔力復誦(ファウルネシヴォア・レペティレンズコード)】――敵のユーベルコード【バーサーカー・ドライブ】までをも喰らうように、その力をコピーした。
「オ、オオォォ――!」
 トランス状態へと到るエネルギーが凌牙の中を駆け抜けた。
「……教えてやるよ、ホントの暴力って奴をな」
 心は想像以上に、凪いだように静かだった。だが、奥底にははち切れんばかりの力に溢れている。
 それが、戦闘中において衝動を抑える理性を切り捨てた凌牙の最後の言葉となった。
 腕で防いでいた大斧の柄を、凌牙は手を組み替え、刃に近い部分を掴み直した。
 そのまま、凌牙は腕を真上に振り上げる。ただでさえ尋常ではない威力の『黒竜の爪牙』を狂戦士化した力で跳ね上げたが故に、それは柄に、斧の主である敵オブリビオンをぶら下げたまま持ち上げられ――そのまま石で出来た床に無慈悲に叩き付けられた。
 柄の先と共に、オブリビオンも床に激しく打ち据えられる。石畳に激しい罅割れが走った。じわりとうつ伏せの体に血を滲ませ、それ以降動く事はない。
 そちらが黒い塵に還るのを確認することも無く、凌牙はもう一体の方へと目を向ける。
「ガァア!!」
 敵の雄叫びと共に、片手斧が凌牙の眼前に迫る。凌牙はそれを左半身を大きくも無駄なく後ろに引くだけで躱す。そして、側面ががら空きになった敵の肩を掴むと、鋭い足払いと共に地面へ押さえ込むように打ち据えた。
 敵がバランスを崩して地面へと倒れ込み、肩の骨が折れる音を聞いた。それでも凌牙の攻勢は止まらない。
 凌牙は先の激痛に地面を転がるオブリビオンの胴体を上から、その四肢の一つ『黒竜の爪牙』の脚で、躊躇いなく蹴り込んだ。そして、狂戦士の有り様として躊躇いなく、冒涜的な肉体を砕く音を響かせて、その胴体を貫くように踏み抜いた。
 ――それは、的確な鏡写しのように。今まで敵が行ってきた数多における悪行の"報讐者"として、相応しい在り方であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キャロル・キャロライン
帝竜討伐後にこのように目立つことをするのはどのような者達かと思っていたのですが、あまり深い考えはお持ちではないようですね
とは言え、レスティア様の予知によれば、街を廃墟にするだけの力を持つとのこと
侮ることはできません

敵は砦の中。攻城戦となると厄介です
少数の私達に対し、数を頼りに出てきてくれると良いのですが……と、敵は接近戦が主のようですね

まずは弓を代償に弓兵隊を召喚し、遠方から敵の数を減らしましょう
続けて槍を代償に騎兵隊を召喚。突撃による掃討を行います
私自身は敵の攻撃を見切り、盾で受け流しつつ、光剣へと進化させた剣で薙ぎ払ってゆきましょう

街の皆様が味わった恐怖、そのままお返しいたします!


トゥーリ・レイヴォネン
連○/ア○
【面白そうな展開であればプレイング無視OK】

「いいよ、いいね。どっちか、死ぬまで……文句、とか……だめだよ」

目標
・他猟兵への援護として、意識をこちらに向けさせ実力を発揮させないよう動く

行動指針
・連携先の作戦があれば従う(その場合、以下の行動もほぼ参考程度に)
・作戦がない、もしくはソロである場合、選択UCを使用するために一撃を加えるべく足を前へ
・敵UCを躱せる能力も無い。覚悟、捨て身の一撃を持ってして、歩みだけを進めるよう足に力を込める
・基本的にサポート行動

心情
・殴り合って、勝てるとは……思ってない、よ。だから、さ……? やれること、やるね



「帝竜討伐後にこのように目立つことをするのはどのような者達かと思っていたのですが……」
 キャロル・キャロライン(アリスナイト・f27877)は最初、敵オブリビオンに砦を占拠されていると聞いた時には、最初の想定以上に難を感じていた。
 この地域にワープさせたグリモア猟兵の話によれば、街を廃墟にするだけの力を持っていると耳にしていた。それであれば、人数も少数ではないであろう。攻城戦ともなれば、数が少ないこちらには、まず正面突破という手は使えない。そして、砦の利を知り尽くしている敵の方が圧倒的有利でもある。どこを取っても侮ることなど出来ようはずもない。
 勝つ為に、どれだけの知能を尽くす事になるだろう――キャロルはそれを覚悟していたのだが。
「あまり深い考えはお持ちではないようですね」
「ぁんだと、こらぁ!!」
 敵の罵声がキャロルへと飛ぶ。
 砦にある、恐らく建物上階の構造上においても一番の広さを誇る場所で。今まで、敵の侵入を認識しておきながら対応もせずに、実際に対面するまで、焚き火を囲んで酒と肉を堪能していた――自分の国を滅ぼしたオブリビオンがここまで『ど阿呆』であれば、今自分はここにはいなかったであろうかと、敵の頭の悪さ加減にやり場のない憤りが心をよぎる。
 敵の装備を見れば、遠距離という戦況を左右する武器も手にしている様子はない。今回は、あくまで『数』と『力』によるパワープレイというところだろう。
「さて――」
 しかし、その数と力を今から正面に受け止めることになる。それはどうしたものか。一体ずつ仕留めるには若干効率が悪い。キャロルは真っ先に、燐光を放つ『アリスソード《グラディオス》』を顕現させて敵の襲撃に構えるが、対策として思いついた己のユーベルコードは若干の時間的猶予が欲しい――
 敵の様子は、こちらへも既に臨戦態勢を向けている。
 その瞬間、傍らに立っていたトゥーリ・レイヴォネン(タナトスのオートマトン・f26117)が、その思案の様子を察したのか、一歩キャロルより重たげに足を前へと差し出した。
「時間を稼ぐ……なら、出来る、よ。いる……?」
「良いのですか!? ですが――」
 心配を滲ませたキャロルの躊躇いを、トゥーリは不要と言うように、更に重量感を感じさせる足取りで一歩踏み出した。
 ――この鉛のように重い身体は、このような為にあるのだ。このような敵の群れと殴り合っても、勝てるだけの能力が己にあるとはトゥーリには思えない。この重たい身体では、無数の敵の攻撃を華麗に躱すなど夢の中の夢でしかない。
 ならば、出来る事はその手段を持つ猟兵の援護だ。それが一番自分という存在に合っているのであろうと思える。
「なぁに? そんなボロボロの身体と武器で、あたしたちに勝とうとか笑っちゃう。そんなに死にたいの~っ?」
 オブリビオンがせらせらと嘲笑う。
「いいよ、いいね。どっちか、死ぬまで……
 文句、とか……だめだよ」
「それなら、望み通りに――!」
 既に数多の黒くなった血で染まった背中に向けて、挑発した敵の群れの中から、三体程が一斉にトゥーリへと襲い掛かった。
「なっ!」
 最初から狙っていた一体に、トゥーリの『手入れの足りない肉切り包丁』による一撃が食らい込む。
 残り二体のオブリビオンがトゥーリの胴と脚を斬り捨てようとして、その肉を切り裂いた先、鋼で出来た『超強化金属の骨格』に激しい衝撃を受けて武器を弾き返された。
 何が起こったのか分からなかった二体は、執拗にトゥーリに攻撃を繰り返す。その間に、トゥーリの手にある肉切り包丁にかすり傷をつけられていた事なども、些事として――どうでも良いと思っていたのだ。
 次の瞬間、三体のオブリビオンは、トゥーリへの攻撃の手を止めた。突然、蒼白となった顔を隠すことなく、己の視界すらも碌に動かせないまま、挙動不審に共に辺りを見渡し始める。
 それが、トゥーリのユーベルコード【拭えぬ恐怖(ヌグエヌキョウフ)】が発動した瞬間であった。
 トゥーリの攻撃した相手が、こちらの存在を無視することが出来なくなり、常に死角からの襲撃に怯えることになる――強力な精神浸蝕のユーベルコード。
 敵側もユーベルコードによる反撃を試みようとした。だが、敵がその前提となる【口から野獣のような咆哮を放つ】など行動を取れば、その瞬間にも意識の漏れた方角から、突如襲われるかも知れない――そのような恐怖が、完全に敵の行動を封じ切っていた。
 その様子を見ていた敵の仲間が、更にトゥーリを仕留めようと集まってくる。
 背後に立つ、敵の敵視の目から外れることに成功したキャロルの存在を忘れたまま――

 心にあるアリスナイトとしての精神の輝きが、キャロルの手に『アリスボウ《アルクス》』を生み出す。
 しかし、一度形取られたそれは、キャロルのユーベルコードの発現に伴い、再び光の珠となって空間に溶け込むように消え入った。
 次の瞬間、その空間から光を割るように現れたのは、武器を犠牲にして発動したユーベルコード【近侍召喚(アリスナイツ・ゴースト)】の具現化だった。弓を代価にした結果として現れたのは【想像力に応じて無限に進化する】弓兵隊だった。
「今です!」
 キャロルの掛け声に合わせて。弓兵隊がトゥーリのいる向こう側、敵オブリビオンの群れに、一斉に空間を制圧するかのように矢の雨を降らせた。悠長に構えて高みの見物をしていた場があっという間に悲鳴じみた地獄に変わる。
 遠目にも、何体かのオブリビオンが黒い靄となって消えていくのをキャロルは見た。
 しかし、攻撃の手は緩めない。手にしていたのはその姿を想像力の範囲で可変する『アリスランス《ハスタス》』――騎乗クラスの大きさを保つそれを捧げ、キャロルは再びユーベルコードでランスを装備した騎馬隊を召喚した。
 この砦が非常に強固に出来ている事は、それを観察していたキャロルは良く理解していた。現れた騎兵隊は、中央にいるトゥーリを避けるように展開されると、そのまま、先に屋を振らせた空間にダメ押しとばかりにランスを構えて突撃した。
 ごそり、と騎馬隊の駆け抜けた先のオブリビオンが消えていく。そこから零れたモノ、倒れないトゥーリをターゲットから外した敵が、キャロルへと襲い掛かってきた。
 振り上げられた敵の斧から、ユーベルコード【アマゾネス・スマッシュ】が叩き付けられた。直撃すればただではすまない、石畳に大きくひび割れを残している。
「街の皆様が味わった恐怖、そのままお返しいたします!」
 だが、それを華麗に躱したキャロルは、体勢を立て直そうとした敵オブリビオンを、最大級の輝く想像で強化された煌めきを放つ『アリスソード《グラディオス》』で、渾身の力と共に斬り伏せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
アドリブ◎

はぁん、コイツらが親玉か
弱くはねえんだろうが…ドラゴンに比べりゃたいしたことねえな
こいよ、叩き潰してやる

歌で身体強化して
靴に風の魔力を送り足元に旋風を生成
追い風はなけりゃつくればいいんだよ
先ずは様子見に、勢いをつけて2回攻撃
単純な攻撃なら見切るのも容易いな!
…っておいおい
腕力ゴリラかよ

アイツなら平気で止めるんだろうが
俺じゃ当たれば確実に一撃だろうなぁ
…なら、近づかなけりゃいい話だ!
バックステップで距離をとり
グッと腰を低く落とし力を溜める
避けれるギリギリまで引き付けて…【蒼ノ星鳥】
全力の魔力を乗っけてまっすぐに
全部全部燃やし尽くしてやる

全員倒しゃ
あの酒くらいはお礼に貰えるんじゃねえか?



「はぁん、コイツらが親玉か」
 値踏みするように、セリオス・アリス(青宵の剣・f09573)がオブリビオンを見やる。
「弱くはねえんだろうが……ドラゴンに比べりゃたいしたことねえな」
 戦争が起きたばかりの世界、敵であった巨大竜種との戦闘に身を曝してきたセリオスには、今の敵から伝わる覇気も力量も、油断こそしていないが心のどこかに些か物足りなさがあるのも否めない。
 だが――今は、一人だ。
 無意識に『赤星の護り』へ、欠けている緊張感を補うように手を触れさせた。すっと『ここにはいない、誰かの言葉を聞いたかのように』心のどこかで沸き起こっていた慢心が消えた気がした。
「――こいよ、叩き潰してやる」
 それを戦闘開始の合図として、セリオスは敵に向けて挑発するように美しく整った口端を大きく持ち上げた。
 噴き上がるような相手の放つ殺意に対し、セリオスの唇からは場違いを思わせる、流れるような歌が零れ流れた。
『鳥の囀り』――だが、果たして実際の鳥にどこまでこの音色が再現できるであろう。
 繊細さと共に紡がれた深淵から溢れる歌声が漣のように、セリオスの身体に心に、魔力と共に力を注ぎ覚醒へと到らせる。
 敵の不意を突く形となった歌に、セリオスは己の戦闘装備の要の一つである靴『エールスーリエ』の踵を、一つ床に打ち鳴らした。
 弾けるように響く踵の鳴る音。それは風の魔力をはらみ、高速での移動を可能とする旋風を巻き起こす。
 それを見た敵が、先の歌から既に戦闘が始まっていたのだという事を理解し、セリオスに向かい、手にそれぞれの武器を構えて一斉に襲い掛かった。
「遅ぇんだよ!」
 自分の為の追い風が無いならば、その場に作れば良いだけのこと。靴からの暴風を完全に制御し切り、セリオスはそれを追い風に、挨拶代わりに相手よりも遙かに早く大斧を持つ敵の懐に飛び込んだ。
 身に着けている『刹那の空』が燦めき『青星』が空気よりも軽い早さで敵の先制を取って、相手に防ぐ間も与えず一体の胴体に十字の赤を斬り刻む。衝撃で吹き飛ぶ敵の空間を利用し、そこに飛び込んで迫り来る他の敵の攻撃を躱した。大きく距離を取り、安全を確認するように振り返れば、今その瞬間、まさに敵のポールアクスが先までセリオスがいた位置に振り下ろされる瞬間だった。
「ハッ、単純な攻撃なら見切るのも容易いな!」
 セリオスが余裕を浮かべ、勢いに乗り反撃をしようとした時、その敵のユーベルコード【アマゾネス・スマッシュ】は、刃が床に直撃した瞬間、攻撃を起点に石畳の一部を砂利と石に変えて木端微塵に破壊した。
「……っておいおい。腕力ゴリラかよ」
 思わずごくりと息を呑む。戦闘の有り様として普通に身のこなしで躱していたが、これを正面から受け止めれば武器ごと叩き切られていたことだろう。
「……」
 しかし――セリオスはこれを正面から受け止められる存在を知っている。ここまでの攻撃を正面から受け止め、それで尚無傷であろう、誇らしいまでに赤暁に輝く盾の――
「……。なら、近づかなけりゃいい話だ!」
 そこには、どれだけの安堵があったことだろう。だが、今はその愛惜の想いに浸っている場合ではない。
 靴に烈風を纏わせ、弾けるようにバックステップで距離を取る。背後を壁近くにまで距離を取り、腰を深く重く落とせば丹田から日常とは違う力が湧き上がるような気がしてくる。
 視線を正面に、射抜くように『青星』を腰元に添える。視界には敵オブリビオンがわらわらと、こちらを仕留めようと距離を詰めてくる。
 そして――セリオスの感覚が、こちらに寄る敵の全てが射程に入った事を理解した。
『青星』が先程まで放っていた小さく弾けるような光から一変、劫火の如く燃える炎を湧き立たせる。
 敵のみを焼き尽くす蒼き炎を掲げ、セリオスは心から噴き上がる威と共に、ありったけの力を込め咆哮にも近しい叫びを上げた。
『これで終わりだ! ――焼き焦がせ、蒼焔の星!』
 斬撃の軌跡に乗るように、剣から噴き上がる蒼い炎が巨大な綺羅星の尾を引く鳥へと姿を変え――セリオスのユーベルコード【蒼ノ星鳥(アステル・テイル)】が、その場を文字通り流星の如く駆け抜けた。
 ――後の視界に残ったものは、完全に焼き尽くされた敵の残滓が、闇色の塵となって消えていくところのみ。
「この調子で全員倒せば、あの酒くらいはお礼に貰えるんじゃねえか?」
 全力で攻撃を放った疲労感が後を引くが、もう敵は片手で余る程も残っていない。その殲滅も猟兵たちの活躍により時間の問題となるであろう。

 敵オブリビオンの討伐は、完全に成功した。後は、宿屋で祝杯が待っている。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『騒いで盛り上げて』

POW   :    食べ物をがつがつ食べる

SPD   :    得意の話術で盛り上げる

WIZ   :    忙しい厨房のお手伝い

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(第二章のご参加、誠に有難うございました!
次回、第三章のプレイング受付は『7/12(日) 08:35~』より行わせていただきます。上記時刻までに、なるべく早期に断章を置かせていただきますので、合わせてご閲覧をいただけましたら幸いでございます。
それでは、ご縁がございましたら、どうか何卒宜しくお願い致します)
 宿屋で引き受けた依頼から、既に噂が立っていたらしい。猟兵達が街に戻ると、人々からは喝采と共に迎えられた。
 人々は、生活の必需品が届けられる街道を占拠していたゴブリン達には本当に困り果てていたこと、その背後に怖ろしい存在を感じていても、勝てる冒険者が現れず辛苦に喘いでいたことなどを語りながら、それを打破した猟兵――冒険者たちに感謝を述べた。
 宿屋に行けば、主人が輝くような満面の笑みで出迎えてくれた。
 今日は、報酬とは別にありったけの食事と酒を振る舞ってくれるという。
 猟兵としての戦いは続く。ならば、今くらいは勝利の美酒を味わい、この平和な一時を存分に堪能するのも悪くはないであろう。
カイリ・タチバナ
アドリブ歓迎。

あー、ヒヤッとした。俺様の本体折れるかと思った。でも、無事に終わったなら、楽しまなきゃな!

ふふー、上げ膳据え膳は性に合わねぇが、一仕事後のなら別だ別!よっしゃ、酒と飯!!食うぞーっ!
酒は悪酔い・羽目をはずさないように気をつけてっと。
ん?そりゃあ、店に迷惑かけないようにするのは当たり前だろ。これから賑わい戻ってきて、忙しくなるんだろうし。
護衛や退治請け負った俺様が荒れさせて、どうすんだっての。
(育ちのよさが出るヤンキー)

あー、肉がうめぇ。ほんっとにうめぇ。酒もうめぇ、絶対いい水使ってる。
なんつーか、守れてよかったっ!



「ったく……ゴブリンと物のやり取りしてたってなら、もー少し全体的に審美眼的なのがあったっていいだろうがよ」
 酒場の盛り上がりに加わる前に――カイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)は宿の片隅を一時借りて、ヤドリガミとしての自分の器物である、豪快さを雰囲気に纏わせた銛を七つ道具で丹念にチェックしていた。
 先の戦いで、外見上は無傷であるが、正直『自分の存在』を正面からここまで危険に晒してしまう事になるとは思わなかった。心境としては隅々までを確認しなくては気が済まない。
「……よしっ、これで大丈夫だろっと。
 あー、ヒヤッとした」
「よぉう、兄ちゃん! 良い得物だね! それでゴブリン達と、ヤバい奴らを一掃してきたってのは本当かいっ?」
 問題なし――カイリが深く胸から安堵のため息をついた時、既に盛り上がっている中央から、エールのジョッキを片手に街の男が興味津々にやって来た。
「おうよ! ま、当然、他の奴等の手柄もあるけどな」
 話ながら見れば、向けられた目には尊敬、視線の先には時折小さな火花のように粋な燐光を放つ銛。少し視線を中央に向ければ、盛り上がる人々の目もこちらを向いていた。
 カイリ達――猟兵は、今回の街の英雄だ。尊敬の視線はヤドリガミとして自由に動ける今となっては坐りが悪いが、今回の功労者としての感情であれば悪い気はしない。
「あんたのこと皆待ってんだ! 早くこっちに来てくれよ!!」
「確かに――無事に終わったなら楽しまなきゃな! よっしゃ、混ぜろ混ぜろー!」
 そうして、街の男に誘われるように、カイリは勢い良く立ち上がった。
 顔に浮かぶ笑みを隠さない。それはそうだ、仕事の後の飯と酒は何より美味いのだから。

「あんちゃん、カッコイイ話聞かせてくれよ! 今日は全部俺達の奢りだからよ!!」
「ふふー、待ってる間にも腹が減るなー! 上げ膳据え膳は性に合わねぇが、一仕事の依頼の後なら別だ別!」
 昔は、毎日毎日、人々から恭しく差し出されてきた食事は余りに身も心も窮屈なものだったが、こういう時は逆に受けなければ場が白ける。そちらの方が圧倒的に心が苦しいというものであるから――
「よっしゃ、酒と飯!! 食うぞーっ!
 酒は悪酔い・羽目をはずさないように気をつけてっと」
 自分に確認するように言葉を据えたカイリに、囲んでいた街の女が大きく笑って、カイリの肩を大きく叩いた。
「今回の英雄様が何を言ってるんだい! こんな時くらいハメを外したって、誰も怒りゃしないよ?! 一体、何に気を遣ってるんだい」
「ん? そりゃあ、店に迷惑かけないようにするのは当たり前だろ。
 これから賑わい戻ってきて、忙しくなるんだろうし。護衛や退治請け負った俺様が荒れさせて、どうすんだっての」
 きょとんと、当然の事を言ったつもりのカイリに女が大きく瞬きをしてその姿を見た。
「あらやだ……あらくれてそうなのにイイ男じゃないかい! ――旦那なんか今すぐ川に投げ捨てて惚れちまいそうだよ……っ!」
「いや! いや! 海賊の強奪でもあるまいに、旦那いるのにダメだろ!?」
 うっとりと両手を頬に添えて赤くなる女に、ヤドリガミとして過ごした育ちと環境の良さから、カイリが慌ててツッコミを入れる。周囲はその愉快な光景に笑顔で沸いた。

「うぉっ、これ絶対うまい肉だって!」
 様々なメニュー料理がカイリの目の前に届く。頼んだ記憶のないものが殆どだが、自分で注文した肉と酒が目の前に来た時には、もう垂涎ものだった。
 ジュウジュウとまだ肉の焼ける残滓から香ばしさにも程がある匂いが漂ってくる。
 早速一口運べば、口の中でジュワーっと容赦なく肉の旨味が肉汁と共に溢れ出てきた。
「あー、肉がうめぇ。ほんっとにうめぇ!」
 カイリがその美味さに目を見開いて、この地特産の酒として出してもらった物をゴクリと飲めば、それは先の肉汁と相まって、ぶわりと旨味が噴き上がる。
「酒もうめぇ、絶対いい水使ってる。俺の神酒もうめぇけど、あれとはまた違う感じの旨さがしやがって――くぅぅっ……! あー、うまい!!」
 出された料理に手が止まらなくなるのではないかと思うほど、カイリはそれらを思う存分堪能した。

「あー……なんつーか、守れてよかったっ!」
 今、カイリの口に味わっている料理からは、確かに『アックス&ウィザーズ』の世界の土地柄を大きく感じさせる、自由と豪胆の味がした――

大成功 🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【双星】
ア◎
※すぐ酔う

一人で飲むより二人の方がずっとうまいし
アレスを呼び出し酒を奢ろう
おう!好きなだけ飲め
きっと喜ぶだろうと期待に満ちた眼差しを向け

…ああ、安心する
依頼中に想像した安堵より
ずっとずっと温かい
伸ばされた手に目を細めてすり寄った


やっぱここはいい酒を飲まねえとな
そんじゃ火酒を!
…むぅ、まあ…アレスが気分じゃねぇならまずはやめとくか…
そんじゃ俺は甘めの酒を
少し拗ねつつも杯を煽ればご機嫌に
アレスがいてうれしくて
酒が美味しくて楽しいから
にこにこと酒を消費する

けどアレスはあんま飲んでない…?
もっと楽しんでほしくて
今度こそと強い酒を頼んだら
ほら、アレス♡
ぐいっとグラスを口元に

なぁ、おいしいか?


アレクシス・ミラ
【双星】
ア◎
酒への強さはやや強

セリオスに呼び出されて行けば…奢り?
君の報酬だろう?僕がご馳走になってもいいのかい?
あまりにキラキラと僕を見ていたので
…じゃあ、お言葉に甘えて
でも、その前に
彼に【生まれながらの光】を
これ位は僕にも労わらせてくれ
お疲れ様、と軽く撫でる

さて、何から頂こうか…って、セリオス!
慌てて彼の注文を阻止
まずは軽いお酒からにしよう?(君、すぐ酔うから…)
考え直した彼にホッとした…のも束の間
楽しそうなのは何よりだが
酔った彼を連れて帰る為にも
僕は程々に

…僕は今のままで十分楽しいけど
苦笑しつつグラスを受け取る
一杯だけだよ
笑う彼が何処か可愛らしくて…温かな気持ちが込み上がる

うん、美味しい



 セリオス・アリス(青宵の剣・f09573)の要請を受けて、アレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)が降り立ち歩く『アックス&ウィザーズ』の街は、既に敵オブリビオンが退治された盛り上がりに満ちていた。
 先発した猟兵――セリオス達の成果であろう。それが、アレクシスにはとても眩しく思えた。これは猟兵全体の戦果であり、そして自分の友の戦果でもある。共に在れなかったのが残念だが、彼が勝ち取ったものがこの光景なのだと思えば、それは胸に微かな誇らしさを滲ませた。
 しばし歩いて、どうやら到着したようだ。指定された酒場の前でセリオスがこちらを見つけて大きく手を振っているのが見えた。

「……奢り?」
 そして、テーブルについた矢先、セリオスがアレクシスへと弾けるように宣言した。
「ああ、一人で飲むより、二人の方がずっとうまいだろ?」
 興奮気味に告げるその表情は、戦闘時の激高が後を引いているのかも知れない。それは、いつも以上により純粋なものとしてアレクシスの目に映った。
「君の報酬だろう? 僕がご馳走になってもいいのかい?」
「おう! 好きなだけ飲め!
 ――オッチャン! 一人くらい増えてもいいよな!? 金なら貰った分あるし、俺が払うか――」
「何言ってんだ! 今回の英雄サマの関係者なら、皆功労者サマだろうが! 金なんて気にすんな、全員飲め飲め!!」
 セリオスの声を受けた酒場の主人が、爆音に近い声で返事をする。
「な? なっ?」
 セリオスの瞳が、戦闘時に折々見せる流星の光とは異なる、きらきらとした可愛らしい『期待』という名の星を宿して、ぐいぐいとアレクシスを見つめてくる。
 それは、あまりにも疑いのない『きっとアレスは喜んでくれるだろう』と思う、曇りのない眼差し――
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
 先程から申し訳なさが先立っていたが、こんな瞳の輝きを目の当たりにすれば、それはきっと、どのような力であっても無力であろう。
「でも、その前に」
 ふと、アレクシスがセリオスの頬に添えるように手を翳した。
 発動したのは、ユーベルコード【生まれながらの光】――何事かと、きょとんと目を見開くセリオスの傍らで、アレクシスの添えた手から、ふわりと傷と疲れを癒やす陽光のように柔らかな光が広がり、包み込むように相手を照らしあげた。
「これ位は僕にも労らせてくれ……お疲れさま」
 そっと、アレクシスがセリオスの頬を労るように撫で触れた。
「……ああ」
 セリオスは得心したように言葉を零した。
 戦闘中、謳うように心に湧き立ち思い描いた、敵を焼き味方を守護する払暁の朱。
 この光は、あの時思い浮かべていた暁色ではないけれども。それでも今確かに、ここに存在する彼の輝き。
 ――……安心する。一人よりもずっとずっと。
 それは、想像していた安堵も比ではない程の温かさ。
 セリオスは自分の身をうっすらと照らす光に目を寄せて。ゆっくり闇色の瞳を細めると、彼の人の手に感じ入るように、くしと愛しさを添えて自分の頬をすり寄せた。

「さて、何から頂こうか……」
「やっぱここはいい酒を飲まねえとな。
 そんじゃ火酒を――!」
「って、セリオス!」
 早速頼もうと大きく手を上げたセリオスを、アレクシスが慌てて止めた。
「まずは軽いお酒からにしよう? いきなり強いお酒からというのも――」
「……むぅ、まあ……アレスが気分じゃねぇならまずはやめとくか……
 そんじゃ俺は甘めの酒を」
 セリオスが『物足りない』と、言外にはっきりとした理不尽に顔を染めながら注文を変更する様子を見て、アレクシスはほっと安堵のため息をついた。
(君、すぐ酔うから……)
 酒に弱いセリオスが最初からそのような酒を飲もうものなら、開始十五分で大変なことになりかねない。飲み始めて一杯と少しで酒場撤退など、目の前の存在も望んでいないだろうから――段々と、秒ごとの時間経過に合わせて不満を膨らませていくセリオスを見ながら、少し申し訳なさそうにアレクシスは蒼珠の瞳を閉じた。

「あ、この酒もうまいな!
 アレス、アレス! これ林檎ベースの酒だって。すげぇうまい!
 注文! もう一杯同じの!」
 しかしセリオスの『理不尽』という感覚は、ニ杯目の酒を飲んでいる辺りから、既にもうどこ吹く風となっていた。
 弱い酒が悪い訳ではないが、強い方が良いに決まっている――そう思っていたセリオスは、今笑顔で三杯目の酒を頼んでいる。
 どれも火酒には及ばないが、とにかくフルーティーで口に合う。聞けば倒したゴブリン達から取り返したものらしい。
 それは倒した当事者が誇っても良いだろう。その様子をセリオスが嬉々としてアレクシスに語れば、それらはまるで場を流れる音楽のように、とても心地良い会話として成立していく。
 ――目の前にアレクシスがいる。語れば、返してくれる相手がいる。
 この酒場の賑わいならば一人酒でも楽しかっただろうが、これは『掛けがえのないもの』なのだ。セリオスはそれをひしと確信した。
 そして、親友に語りついては饒舌になり、更に美味しく酒が進んでいく。
 しかし、自分がどの程度酔っているかは考えるまでもない。何故なら目の前には、やはりアレクシスがいるのだから――
 そこまで考え、ふとセリオスは違和感を覚えた。
 自分は飲んで気分も軽く、こんなにも楽しいのに。アレクシスはあまり飲んでいない。
「……なぁ? アレス、あんま飲んでない……?」
 そっと、尋ね掛けてみる。口に出すと、セリオスの胸にふわりと一抹の寂しさが込み上げた。
 酒を飲むと楽しい。だが、それで自分だけが沢山話しているのではないか、自分だけが楽しいのではないか、そう思った心がしくりと痛んだ。

「いや、僕は」
 セリオスの寂しそうな眼差しから、アレクシスは言葉に迷った。この後、セリオスはほぼ間違いなくこのまま酔い潰れてしまうだろう。それは経験則上からも明らかだ。故に彼を安全に連れて帰る為にも、間違っても自分が泥酔する訳にはいかず、弱くはない酒量も心得ているつもりでいる。
 だが、それを正直に言えばセリオスは怒るだろう――そう次の言葉を選び考えている間に、
「そうだ、飲んでないから楽しんでないんだろ!
 もっと飲もーぜ! もっと!」
 名案、とばかりにセリオスの言葉が輝いた。
 酔っているな、と改めて思った。だが、アレクシスにとって、そんな憂いなく今を楽しんでいるセリオスを見るのはこの上ない喜びだった。
 それは、過去――『望んでも、もう二度と届かない存在なのではないか』と、何度も問い掛けたものであったから。
「……僕は今のままで十分楽しいけど」
 それは思うままの事実であったが。しかし、アレクシスが言葉をそのままに伝えたところ、セリオスは頬をそれこそ林檎のように大きく膨らませ、今度こそとばかりに、かなり度数の強い蒸留酒を注文してきた。
「ほら、アレスっ」
 これを飲んだら、きっとアレクシスももっと楽しくなれるから――隠さない笑顔に、隠さない想い。セリオスは届いたショットグラスの酒を、アレクシスの口元に勢い良く運んで押し付けた。
「……一杯だけだよ」
 アレクシスはその無邪気さに、そして感じ取った少し事実と異なる想いに、ほんの少しだけ苦笑いしてグラスを受け取った。
 飲んでほしい、と目で訴えていたセリオスの表情に花が開くように笑顔に咲く。
 それを目にしたアレクシスの心も、温かな――幸福とも愛しさにも近しいものが、自分の胸に満ちていくのをひしと感じ取った。

 火を付ければ燃える程の蒸留酒を、事もなさげに一口に煽り飲み干す。
「なぁ、おいしいか?」
 嬉々とした表情の後ろに、少しの不安。
 そのようなセリオスの心配を振り払うように。万感の思いを込めて、アレクシスは微笑んだ。
「――うん、美味しい」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】★WIZ
うん、美味い!
やっぱ一仕事終えた後の飯は格別だな。
っつってもこんな美味い飯ただでもらうのは申し訳ねえから……(自分に溜まってる"穢れ"の量を確認し)うん。今回は大丈夫だ。

(自分の分の食器を持っていって)
ごちそうさん、めちゃくちゃ美味かったよ。
え、何でって?
こんな美味い飯ただでごちそうしてもらえて何もしねえワケにはいかねえよ。最低限自分の使った分を洗うぐらいはさせてくれ。
料理運びだろうが下ごしらえだろうが何でもやるぜ。

(そう言った後せっせと料理を運んでいる子供を見かけて半分持ってあげる)
これ、あそこに運んでったらいいか?
ああ気にしなくていいぜ、俺がしたいだけだからさ。



「うん、美味い!」
 地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)は、ナイフとフォークを置くと満足げに頷いた。
 目の前のテーブルの上には、実質、猟兵達にはただで振る舞われている料理を、それでもがっつくことなく食べ切って、空となった食器が残っているのみ。
「ボウヤ! もう食わねぇのか?! その程度じゃいつまで経っても大きくなれねぇぞ!」
「ボウヤじゃねぇよ!!」
 遠くから届いた酒場の主人の声に、凌牙が大きな声を張り上げて切り返すと、ただでさえ騒がしい場に笑いが響いた。
「しかし、やっぱ一仕事終えた後の飯は格別だな」
 独りごちて、肺に溜まっていた息をリラックスするように静かに吐き出す。酒場で出てきた料理の味は、多少大味ではあるが、依頼の肉体労働を差し引いたとしても、とても美味なものだった。今日は冒険者――猟兵は食べ放題だという。見渡せば猟兵ではない冒険者もそれにあやかっている様が見受けられたが、それは酒場側も知る愛嬌というやつであろう。その為、酒場の中は常に忙しそうだった。
「さて、食いたい分は食ったし、後は帰るだけ――っつっても、こんな美味い飯ただでもらうのは申し訳ねえから……」
 空になった食器を見やる。思い出すだけでも悪くない、むしろきちんと思い出せるほどの美味しい料理の味を振り返れば、本当にこのまま帰っては『ただ飯喰らい』という自責に近い後ろめたさを感じてしまう。凌牙はしばらく考えた後に、自分の腕をじっと見やった。
 凌牙は生まれつき、不幸や事故の祖となり得る『穢れ』を喰らう特性を持つ。他人には見えない喰らった穢れは身体に容赦なく停滞し、過量ともなれば凌牙が望まなくとも、その場にいるだけで周囲に悪影響を及ぼしてしまう。他人に見えない穢れの可視化『喰穢の黒き淀み(ファウルネシヴォア・スティグネイション)』によって自分を見れば、黒い穢れば僅かにたゆたうのみ。
 過去の依頼では、建設中の木材が崩れてあわやという事もあったが、
「うん。今回は大丈夫だ」
 これ程度ならば、人と交流しても何ら問題はなさそうだと判断する。その小さな胸の嬉しさに、凌牙は表情をほんのりと結び目から解ける糸のように柔らかくした。

 そして、凌牙はさっそく食べた食器を纏めて運び、厨房まで運んでいった。
「ごちそうさん、めちゃくちゃ美味かったよ」
 厨房と水場がある洗い場を往復していた少女が、その凌牙を見て驚いたように顔を上げる。
「え? 持ってきてくれたの!?
 何で、冒険者さんにそんなことさせちゃ悪いよ!」
「え、何でって?
 こんな美味い飯ただでごちそうしてもらえて何もしねえワケにはいかねえよ。最低限自分の使った分を洗うぐらいはさせてくれ」
「ど、どうしよう! 親方ぁ! 冒険者さんが手伝ってくれるって――どうしようー!」
 確かに、酒場で自分から手伝いを申し出る冒険者というのは稀な存在だ。少女の動揺を隠しきれない声に、酒場の主人が厨房へと顔を出した。
「バカヤロウ! 客を手伝わせてどうすんだ!
 ……って、さっきのボウヤじゃないかよ。大人しくおかわりでもしてけって言うんだ」
「いや、でも今店忙しいだろ? 料理美味かったからさ。
 言ってくれりゃ、料理運びだろうが下ごしらえだろうが何でもやるぜ」
「――そうだな。よし、じゃあ手伝ってもらうか!
 実は、今人手が全く足りてねぇんだ。酒場近くの住人総出で子供まで手伝わせている有り様よ。ちょっくらそっちの手伝い行っちゃもらえねぇか」

「あれか」
 そして、凌牙が自分の食器を洗い場に置いて酒場に戻ってくると、そこには年端も行かない子供が確かに必死になって料理を運んでいる姿があった。
「よいしょっと、よいしょっと……あ」
 一所懸命だが、小さな手では持てる料理にも限界がある。今にも崩れそうな料理が、本当にこぼれ掛けた瞬間。
「これ、あそこに運んでったらいいか?」
 ひょいと、凌牙がその皿を受け止めて持ち上げた。子供は何とかバランスを取り戻して、ほっとした様子で凌牙を見上げた。
「お兄ちゃん、ありがとう!!」
 屈託のない子供の笑顔――そこにふと浮かんだのは、孤児院での記憶だった。凌牙は最初に兄と共に孤児院で拾われて以降、後から来た弟妹となる孤児たちと共に、こうして慎ましやかに過ごして来た。
 それは、今は亡き彼方の『ただただ、優しかった』記憶――
「……」
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「あ、……ああ、いや。何でもない。
 ――料理、あと一つ持ってやるよ」
「え、いいの!? 重たくない、大丈夫?」
「ああ。気にしなくていいぜ、俺がしたいだけだからさ」
 凌牙は心に浮かんでいた遠い思い出を、己の胸にしまい直して。
 自分の両手が料理を受け取って塞がる前に、そっと子供の頭を優しく撫でて笑って見せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月15日


挿絵イラスト