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夜を取り戻せ!

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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●其処は地の獄
 夜は嫌いだ。
 静かで、一人で……つまらない。
「だから、夜なんて失くなっちゃえばいいんだ」
 少女は笑った。ニタリ、歪んだ笑みだった。肉の体をもって笑うのは久しぶりだから仕方がない。
 キョンシーという妖怪が、夜の祠にやって来たのはどういう因果だったやら。……まったく妖怪とはいえ女の子の一人歩きは褒められたものじゃあない。こうしてもっと怖いものに憑かれてしまうこともあることだし。
「だから、夜なんて亡くそうぜ」
「いいぃじゃぁああねえかぁあ!」
「さっすが一反木綿様ぁ!話が分かる!」
 手下の輪入道どもが騒ぐもので「よせやい」と照れ臭そうに少女、キョンシー木綿は手を振った。
「さあ野郎共、夜の闇はぜぇんぶアタシのもんだ!闇のない世界で!永遠に遊び呆けよう!」

 うぃおおおおおお!!
 其処は地の獄。怪しのクニ。夜を無くして広がる極彩色の世界が、静かに急速に広がろうとしていた。

●夜を取り戻せ !
「やぁやぁ諸君!やっとるかね!」
 どやどやとグリモアスペースで猟兵に声をかけたのは別府・トモエ。テニスプレイヤーだ。そしてグリモア猟兵だ。
「今回、みんなに行ってもらいたいのは他でもにい。カクリヨファンタズム!キョンシー少女の体を乗っ取った一反木綿がなぁ、この世界から夜を盗んじゃったんだなあ」
 軽く言ったものだがこれは大変なことだ。
 一日二十四時間、一切の夜を闇を失った閃光の世界が滅び去ってしまうのは正に秒読み段階。便乗して盛り上がるオブリビオン。それ以前に環境とかそうなってしまうことやらだ。
「下手人はな、カクリヨファンタズムの隅っこの辺りに居るから送るよ。……どうやら其処にある祠に祭られて封じられてたみたい」
 辺境の忘れ去られた祠に永く在る魂。……それがキョンシー少女の力と肉体を得てしまった顛末がこの大異変というわけだ。元々が大妖怪だからこそ封じられてたらしいのが始末に負えない。
「手下の輪入道どもをぶっ飛ばし!キョンシー木綿もその勢いではっ倒して!……ついでに、祠の御参りでもしてくれば、いいんじゃないかしら」
 あ、お土産はいいからね、と。手を振って猟兵を送り出すトモエ。

 君達が世界を救ってみせることを、疑う余地などないかのように。


影帽子
 はじめましてお久しぶりこんにちはー。
 影帽子です。いいですね。カクリヨファンタズムということでスラッシュアンドスラッシュアンド御参りです。
 楽しいバトルの時間です。あなたの思うバトルを叩きつけてあげましょう。それが連中の望みでもあります。バトルはコミュニケーションってそれ一。
 御参りで何が喜ばれるか知りたければ直接聞けばいいと思いますが、思い切り楽しんだら満足するかもです。頑張って。

 ここまで読んで頂きましてありがとうございました。
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第1章 集団戦 『輪入道』

POW   :    燎原火炎陣
【激しく回転しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他の輪入道】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    紅蓮疾走
自身に【燃え盛る炎】をまとい、高速移動と【回転する炎の輪】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ファイアホイールスピニング
【回転速度】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

青垣・燈里
共闘アドリブ大歓迎だよ。

お日様は悪くはないけど、流石にそればかりだとちょいと飽きるねぇ。
というわけで、邪魔させてもらおうかねぇ。

数で来るなら、こちらも相応の手数を用意させてもらおうかね。

服になってる護符装束の札を何枚か取って破魔の力を込めてふわりと投げ、この竹ぼうき(ウィザードブルーム)でちょいと撫でる。
あら不思議、数多の剣(【ミゼリコルディア・スパーダ】)になりました、というわけだね。

後はこれを飛ばして輪入道を薙ぎ払っていこうかね。
私自身も神器であいつらを切り裂いていくとするよ。

他世界の猟兵と共闘してるなら観察したり何なら話しかけたりするよ。
勿論、戦闘には支障が出ないようにするけどね。


ルパート・ブラックスミス
元より闇夜の世界の出身だ。夜、それも静謐な夜は嫌いではない。

正面突破だ。UC【錬成カミヤドリ】展開。
百鬼夜行、には少し足りんが70超の複製鎧の軍勢で
敵を四方八方から【グラップル】で捕獲にかかる。
捕獲できたならそのまま、
逃げられたとしても本体である自分の間合いに【おびき寄せ】大剣で【なぎ払い】だ。

如何に速かろうと数で囲んで逃げ道塞げば挙動を【見切り】捕らえるなど容易。
加えて、普段から燃える鉛を詰めた、第六天魔王の炎すら凌ぐ呪いの鎧の複製だ。
一山幾らの妖怪の炎程度に貫かれる【火炎耐性】ではない。

覚悟せよ。亡霊騎士が暗闇を奪い返しに来たぞ。
【アドリブ歓迎】


メガ・ホーン
・へー、ここが新世界、カクリヨファンタズム、か。
毎日がエブリデイでカタストロフってぇことだけど……ここで阻止のために頑張ってた奴らもそろそろ厳しくなって来たってところか。
よーし、メガちゃんも人肌脱ぐぜー、服着てないけど。

・敵は輪入道。放っておいても向こうから突撃してくるから待ってればいいか。俺がやることはただ一つ! 輪入道に向けて【レクイエムアタック】を乗せた音楽(衝撃波)やサメキャノン、タクトフェンサーをぶつけまくるのみ!

・俺自身の防御はオーラ防御で耐えたり、吹き飛ばしで軌道を逸らすことになるけど、どんなダメージを負っても輪入道に憑りついた骸魂を全部浄化してやるぜ!


シャムロック・ダンタリオン
「夜は寂しいから嫌い」とは、そんなくだらない理由で夜を奪うとはな。
それにしても、これではまぶしすぎて本もろくに読めぬ。

では、不躾ながら、猟兵としての初仕事といこうか。

(で、現れた輪入道を見るなり)
ふん、腐れ車輪風情が、僕の通る道を阻むでない。
食らうがいい、「氷」の「大津波」!

(で、あらかた片付いたところで)
さて、夜のすばらしさを理解できぬ阿呆にお仕置きをいこうか。

※アドリブ・連携歓迎


多々良場・茉莉
◇心情
「今日この時より始まるワタクシのシンデレラストーリー!それには夜の帳が必要不可欠ですわ。だって、シンデレラは夜の物語ですもの!」

猟兵の力を得て実家を飛び出したその足で依頼に参加
自身の力を試そうと気合十分だが、熱くなりすぎて視野が狭くなっている…単眼妖怪だから元から狭いんだった

◇戦闘
輪入道が迫ってきたらUCで時間いっぱい飛び回る
もし敵も空に跳ね上がってきたらプリンセスハート(地獄化した右脚から蹴り出すハート形人魂)で撃ち落としてさしあげますわ
「ああ、夢にまで見たお姫様のドレス……猟兵の力は偉大ですわ。素敵ですわ。負ける気がぁ……しませんわ!」
時間切れで眠った輪入道は【鎧砕き】で蹴り飛ばす


ルルチェリア・グレイブキーパー
※アドリブ歓迎

夜を無くすなんて、
この世界の妖怪は大それたことをするのね。
そんなことしたら綺麗な星や月が見られなくなるじゃない。
そんなの駄目よ。
ちょっとそのキョンシー木綿?に文句言わなきゃ気が済まないわ。

私はUC【お子様幽霊たちの海賊船】で空飛ぶ海賊船を召喚して、
空から砲撃で一方的に攻撃するわ。
幾ら回転速度を上げようと、車輪じゃ宙に浮かぶことは出来ないでしょう?

もし、船に乗り込んで来ても幽霊の子供たちがラッパ銃で応戦するのよ。
ギャー!は、早くやっつけるのよー!



●白くなった世界にて
「静謐な夜は……嫌いではない」
 ルパート・ブラックスミスが闇亡き夜を往く。
 青白い焔を吹きながら舞う、漆黒に染まったその姿。黒鋼の塊たる猟兵は陽光と異なる極彩にも染まる事はない。
「っひゃぁ!なんか来やがったぜぇ!」
「金物くせぇえや!敵襲だぜ!」
 眼前から、無数の怪し。
 菓子を前にした童子もかくや。
 野太くも、はしゃいだ声を上げた輪入道どもは、どこからこんな湧いたのやら無数の群勢。
「……ふん」
 ルパート、尚も速度を緩めることなく。――ぐぅぅっ……と、静かに大きい動作で大剣を翳すように、振り下ろししか有り得ぬ構えをとる。
 ――その姿が、滲むように増えた。
「なんだぁ!?」
「どんな妖怪だよあの金物野郎はよぅ!」
「鉛だ!熱く煮えた鉛の臭いがしやがらぁ!」
 錬成ヤドリガミ、七十七と一つの黒鋼の軍勢に、しかし臆さぬ輪入道群。
「……っ!!」
「ひゃああぁあああ!?」
 ――激突。
 滴る鉛が拡げる刀身が、迫る前衛をまとめて吹き飛ばす。
「意気はいい……が」
 吹き飛んだ輪入道どもに組み付いて拘束していく黒騎士の鎧達。
 悲鳴、笑い声、巫山戯た矯正。
「戦士とは呼べない輩だ」
 どれほど輪入道どもが火勢を強めようともルパートの鎧に些かの曇りもつけられない。……あまりに隔絶した力量差に、徐々に、悲鳴の方が増していく。
「覚悟せよ……亡霊騎士が暗闇を奪い返しに来たぞ」
 微かな苛立ちを燃料に、高揚を解放するようにして、ルパートは独り、戦争を続けるのだった。


●らぶあんどぴーす
 風を切る音。
 今は夜すら奪われたカクリヨファンタズムに、変わらぬものの一つは音だ。
 ……それは奇妙な足音……脚音だった。大男が鉄下駄ならぬ鉄靴でも履いてきた?それにしたって騒々しい。
「へー、ここが新世界、カクリヨファンタズム、か」
 メガ・ホーン。……UDCアースと繋がりあるこの世界の住人ならば或いはこう称すかもしれない。……ロボ。もしくはブリキの玩具。
 この猟兵がインラインスケートめいた装備で辺境の荒れ地と木立を駆けていく。明るい闇に照らされて鉢巻の『必勝』二文字が輝いた。
「毎日がエブリデイでカタストロフってぇところか……ここで阻止のために頑張ってた奴らもそろそろ厳しくなって来たってところか。よーし……メガちゃんも人肌脱ぐぜー、服着てないけど」
 その身に反して軽やかに、メガ・ホーンは隠れることもせずに闊歩する。……当然だ。
「なんか来たと思ったらよぉ兄弟!……なんだ?ホントなんだ~?」
「わっかんねえよ。なんだぁコレ?」
 輪入道達に用があってメガ・ホーンは此処までやって来たのだから。
「おいおい俺が何者かって?」
 メガ・ホーンはボディスピーカーとトラメガを展開する。……一種の鎧めいた装いだが、さにあらず。
「俺も知らねえーなあ!だが!俺の音を聴けぇ!!」
 ギター一閃。
 カクリヨファンタズムにて未だ変わらぬ音が、大気を劈く刃となって、メガ・ホーンを取り巻く輪入道へと突き刺さる。
「ギャー~ーー!?」
「う、うるせえ!?」
「止めろやめろぶっ壊すぞあぁあああ!!」
 炎撒き散らし、突進を繰り返し、輪入道どもは必死の抵抗を見せるも。
「やめねえさ兄弟……」
 音は、彼の音楽は止まず、変わらず世界に響く。
「お前らが目ぇ醒ますまで!」


●ニューヒロイン爆誕
 もしもこの世界が物語であったなら――主人公はこの私!
「今日この時より始まるワタクシのシンデレラストーリー!それには夜の帳が必要不可欠ですわ。だって、シンデレラは夜の物語ですもの!」
 見晒せ世界、多々良場・茉莉の登場よ!
 一本だたら。異形の咎を負う一族。硝子の靴の足音は、そんな世界を壊す音。
「おんやぁ!こりゃまあぁケッタイな女郎が来なすったぜぇ!」
「綺麗なおべべ焦がして遊ぼうぜぇ!」
 ニヤニヤと寄ってくる輪入道……苛めっ子の街人子等を思い出させる言動に、茉莉の脚の炎は勢いを増す。
 駆ける炎。回って追う焔。
「オーーーーッホッホッホ!」
 茉莉は彼女の思うお姫様らしい高笑いを響かせながら、毒々しく輝く空を舞う。
 万能感に酔って笑う様は彼女の理想とは程遠いけれど……飾らず輝き美しい。
 熱くなる、敵と己を。物語がごとき、しちゅえーしょんを。意識するほど歓喜の力が満ちてきて、燃料を得て彼女は加速した。
「速ぇええ!?」
「なんでだ追いつけね……しまっ」
「ね、ねむ……」
 振り替え得れば眼下にあるのは愚かな敵達。
「ああ、夢にまで見たお姫様のドレス……猟兵の力は偉大ですわ。素敵ですわ。負ける気がぁ……しませんわ!」
 炎の軌跡を残して、茉莉は自ずから墜ちる――見据えるは、ただ無防備な敵の隙。
「燃えろ!プリンセス――ハァーーート!」
 踏み砕き、燃え盛る、猟兵としての一歩を……茉莉は見事に刻んでみせたのだった。


●知ってる事は知っている
 シャムロック・ダンタリオンは嘆息する。
「夜は寂しいから嫌い……とは」
 赤い瞳。白皙の美貌。少年はそれを不快げに歪めてみせる。
「そんなくだらない理由で夜を奪うとはな」
 シャムロック。未だこの世に馴染み得ぬ少年は然るに孤独の恐怖とは無縁の身。……しかして夜の魅力を識るが故。
「それにしても……」
 戦わない、訳にはいかない。かててくわえて。
「これではまぶしすぎて本もろくに読めぬ」
 ――不躾ながら、猟兵としての初仕事といこう。


 ぐぅるぐぅる、回って。
 ぼぉうぼぉう、火を散らし。
「なんだぁ坊主、さては迷子かぁ?」
「やぁい迷子、泣いて帰っておっ母の乳でも呑んでなぁ!」
 輪入道達にとっての一流ジョークを言い合ってゲラゲラ笑っている。……そんな事態に会ったらシャムロックという猟兵はどうするか?
「ふん、腐れ車輪風情が……」
 本を開くのだ。彼と同じ名を持つ一冊の本を。
「僕の通る道を阻むでない!」
 そこには全てが載っている。……例えば、今の彼に行使可能な術の範囲で、特に有効なものだとか。
「ギャーぁ~ーー!?」
「つ、つめてえ!?」
 氷の、大津波。
 無慈悲に空間を埋め尽くす魔力の暴威に、輪入道達は次々と飲まれていく。チェスで熟達者が初心者にそうするように、シャムロックは程なく輪入道どもをあしらってみせたのだった。
「さて、夜のすばらしさを理解できぬ阿呆にお仕置きをしにいこうか……っ」


●『』は墓場で運動会……やはり夜は必要だ
「夜を無くすなんて、この世界の妖怪は大それたことをするのね」
 やはり世界が違えば色々と事情も異なるようだ、と。ルルチェリア・グレイブキーパーは空を仰いだ。
 太陽が落ちているのに明るい空を。ネズミ耳の少女は眺めて鼻を鳴らすのだ。
「そんなことしたら綺麗な星や月が見られなくなるじゃない……そんなの駄目よ」
 実際、訳の分からない事態に混乱しら空は、よく分からない色彩を纏って賑々しい……目に痛い。
「ちょっとそのキョンシー木綿?に文句言わなきゃ気が済まないわ」
 決意を漲らせるルルチェリアが居るのはカクリヨファンタズム高空、ロイヤル・ルルチェリア号甲板だった。

「なんだなんだぁ!玩具舟が浮いてらぁ!」
「今日の祭りは楽しいなおい!」
 回転し、炎を散らして、輪入道どもがやってくる。
「……ちょっと想定外ね」
 遠距離からの砲撃で一方的に倒す目論みが外れたルルチェリアはちょっとだけ冷や汗をかいて、それでも落ち着き払った態度をつくろうとし……ぐぅるぐぅる迫る輪入道達に慌てて、失敗した。
「ギャー!は、早くやっつけるのよー!」
『あいあい、さー!』
 輪入道達は本当に、楽しそうに鬱憤を晴らすようにはしゃぎながら襲い来るが、栄えあるロイヤル・ルルチェリアのクルー達も負けてはいない。
「ギャー!ギャー!」
 キャプテンの悲鳴が響く中、両陣営はきゃーきゃーわーわー言いながら叫びながら、火と物量を叩きつけ、銃口を押し付けるようにしたラッパ銃をぶっぱなす。
 互いに死を恐れぬ軍勢同士。
 さても此の世は踊らにゃソンソン。
 遠くで雷鳴が鳴り響き、氷が炎が、見えた気がした。
 ルルチェリアが開きなおってしまう頃、輪入道達空も骸魂はすっかり抜けてしまっていたのだった。さあ、宴もたけなわだ。


●無為自然、然れども猟兵
「お日様は悪くはない……けど。流石にそればかりだとちょいと飽きるねぇ」
 青垣・燈里は空を見上げてみる。
 あちらで炎が上がったと思えばこちらでは氷の津波。
 向こうで音楽が響いたと思えばそこでは灰被り姫ときたもの。……全く猟兵という輩ときたらノンビリしてたら置いてかれること請け合いだ。
「というわけで、邪魔させてもらおうかねぇ」
「ギャーッハッッハッッハアハアアアハハハ!!」
 輪入道達がやって来た。
 ぐぅるぐぅると炎を吹かし、祭りの空気を思い切り吸い込んで火力を増して……誰が最初に、あの青っ白い小娘に辿り着くか競争といった具合。
「あーあ、せっかちな連中だよまったく」
 燈里はそんな燃え盛る竈のような状況に、熟練の女将がごとき落ち着きようでもって対応する。
 世にも奇妙な護符で出来た装束より、どぅれとばかりに数枚剥がして、よいしょとばかりに箒を持ち上げて。
「ひゃああぁああ!俺が一番乗りぃ!」
「えぃ」
 あとほんの少しで肌を焦がすところまで迫った輪入道にも慌てず騒がず、ちょいと撫でればあら不思議。
「……!?……ぎゃああぁああ~ーー!?いってぇーーーー!?」
 護符は無数の刃となって、輪入道達は其処に自ら突っ込んだ形になった。
「ほいよ」
「あぁあああ!?」
 うっすら笑みを浮かべる余裕をみせながら、燈里は負傷の薄い輪入道へと追い討ちをかける。……怪しを事も無げに切り裂く、異様な力を感じさせる宝剣。――何処かで、雷鳴が轟いた。
 それを震う彼女の手は白く、一切震えず、ブレがない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『キョンシー木綿』

POW   :    キョンシーカンフー
【中国拳法の一撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    百反木綿槍
自身が装備する【一反木綿が変形した布槍】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    キョンシーパレード
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【キョンシー】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 来たか
 来たか来たか来たか来たか
 俺を倒しに、俺と遊びに――俺に逢いに、来たか猟兵!

 キョンシー 少女が構えをとった
 一反木綿は風もないのに靡いてる

 さあ、夜を奪ってみせろ
青垣・燈里
共闘アドリブ大歓迎だよ。

お前さんがこの騒動の首謀者かい。
真昼間に百物語など、雰囲気が台無しにもほどがある。
夜を返してもらうよ。

空中浮遊で制空権を取り、光弾符《百本の灯心》を使い無数の光弾による弾幕を張って相手の行動を制限する制圧射撃をするよ。
その間に【骸合体「ヤマタノオロチ」】を使用、漆黒の護符を心の臓の位置に張り付けるよ。

その後は力を増した光弾符による弾幕、天叢雲剣を用いた天候操作による落雷で攻撃をしていくよ。
勿論、共闘をしている猟兵がいるなら、当たらないように配慮はするがね。
勝負を決め切る前に酒が切れそうなら、眠っちまう前に後方に退くとするよ。


シャムロック・ダンタリオン
さて、この者が夜を奪った輩か。

この少女は全身に巻き付いている布もどきに操られているとみて――
おい、そこのぼろきれ、何故貴様は夜を奪おうなどと考えたのだ?――まぁ、聞いたところで愚昧なる回答しか聞けぬか。

では、布もどきを始末して少女を開放するとしよう。
ウィルオーウィスプをけしかけて攻撃させてやろう――あぁ、あくまで焼き払うのは布もどきと、出てくるであろう分身体だけだ。
で、余裕ができたら小娘にも話しかけてやろう――何故にこ奴らと関わるようになったのか、その経緯についてな。

※アドリブ・連携歓迎


ルパート・ブラックスミス
【言いくるめ】の要領で敵の言葉に応える。

応。
騎士鎧のヤドリガミが来たぞ。
名乗らば名乗れ、募る鬱憤・恩讐あらば吼えるがいい、元大妖怪。
すぐに終わる乱痴気騒ぎだ、早くしなければ何も遺らず闇夜に帰すのみぞ。

要は敵の【情報収集】、それ以上に【挑発】。
合わせて大剣を掲げ突撃するが【フェイント】だ。
大剣の間合いを掻い潜るべく敵が踏み込むタイミングを【見切り】、
大剣を離しUC【炎抱きて白熱せし鋼肢】起動。
【カウンター】で拳打による爆撃を叩き込む。
話を聞くに靡く一反木綿がオブリビオンとしての本体のようだな。
隙あらば【グラップル】で掴み【焼却】にかかろう。

夜が来る。今一度眠るがいい。
【共闘・アドリブ歓迎】


多々良場・茉莉
「まだまだ私の舞台は終わりませんわって、危ないじゃない! 痛いのは嫌いですわ」
力を振るう事は出来ても戦いはまだ素人
回避専念しつつ躍り狂うように逃げ回り、避けられない攻撃は鉄塊剣で受け止める
「蹈鞴場で鍛えた平衡感覚と足運びを舐めないでくださいまし!」
【ダンス、武器受け】

◇攻撃
「ところでアナタ、ひらひら舞う布がお留守じゃなくて?」
逃げ回りながらも地獄化した脚から少しずつ放っていたブレイズフレイムで木綿部分に火をつける
「今度はアナタが踊る番ですわ。さあ、夢の舞踏会を目指して一緒に練習しましょうそうしましょう」
地獄の炎を木綿部分全体に燃え広がらせ、更に蹴りと炎による追撃で攻め立てる

アドリブ連携可


ルルチェリア・グレイブキーパー
※アドリブ歓迎

あなたがキョンシー木綿ね!
どうやって奪ったか知らないけど、今すぐ夜を返しなさい!
夜がなくなったら満天の星が見られなくなるし、
満月を見ながらお団子を食べたり出来なくなるのよ!

UC【サモニング・ガイスト】で古代の戦士を召喚!
キョンシー達は自慢の槍術で蹴散らしてやりなさい!
なんかこう、棒の部分でぶわーっとやって、槍の部分でグサーってやるやつよ!
(召喚された戦士は主人の頓珍漢な命令に肩を竦め、槍を構えた)
邪魔な木綿は炎で焼き焦がすのよ!

妖怪達にとっても夜は大事な時間でしょうに……
人が怖がる時間、活動しやすい時間を無くしちゃってどうするのよ
一人でつまらないなら私が一緒に居てあげるわよ


メガ・ホーン
・ヘッ、お前さんが夜を奪った張本人かい。夜は一人で静かでつまんない? 俺から見りゃその考えそのものがつまんねぇな! 夜だって皆で集まって楽しく話ができるし、一人でいたって歌だって歌える! 夜だからこそ、光を使った遊びもできる! さあ、楽しい夜を返してもらうぜ!

・中国拳法による一撃は確かに強烈。が、俺も歌と演奏を止める気はさらさらないぜ。「衝撃波」で押し返し、「マヒ攻撃」で痺れさせて【レクイエムアタック】を乗せた音楽を聞かせてやる。どうだい、音楽は夜も昼もなく楽しめるだろ!

・最後は奴の一撃を誘い、「早業」で「カウンター」を取り、タクトフェンサーで胸を貫く! キョンシー娘も一反木綿も正気に戻れ!



 多々良場・茉莉
「たららったら~ん♪まだまだ!ワタシの舞台は終わりませんわっ!」
 燃える片足自慢げに鳴らして歩む、蹈鞴場育ちの灰かぶり姫。

 メガ・ホーン
「ヘッ、お前さんが夜を奪った張本人かい」
 硬く大きい、その姿。この場の誰より人間離れした……熱い心を持つ男。

 シャムロック・ダンタリオン
「さて、この者が夜を奪った輩か」
 白皙の美貌を持つ西洋妖怪は、興味深いものを見るようにして対峙する。

 青垣・燈里
「お前さんがこの騒動の首謀者かい」
 一見、普通の少女のような東洋妖怪は静かに、この異変の首謀者を見据えた。

 ルルチェリア・グレイブキーパー
「あなたがキョンシー木綿ね!どうやって奪ったか知らないけど、今すぐ夜を返しなさい!」
 ネズミめいた少女が、夜への愛から怒りを叫ぶ。

 
 一様に己を見遣る敵どもに、笑って。
「キョンシー木綿……いいなそれ」
 一反木綿……キョンシー木綿が指を鳴らす……猟兵たちは気づくだろう。
 そこじ、むこうに、あちらこちら……おそらく先ほど相手をしてきた輪入道たちの骸魂、これらが今一度参集し、キョンシー軍団として彼女……キョンシー木綿を取り巻いた。
「我を恐れよ、我を恐れよ……恐れぬならば、かかってこい!」
「応」

 ルパート・ブラックスミス
「騎士鎧のヤドリガミが来たぞ。猟兵がやって来たぞ募る鬱憤・恩讐あらば吼えるがいい、元大妖怪。我ら、それを悉く越えてみせよう」
 黒鉄の鎧は大剣を構え……死の軍勢に挑みかかった。


●踏破せよ、キョンシー軍団
「来たれ炎精霊よ……」
 シャムロックは慌てず騒がずエレメンタルロッドを翳す。
 既にキョンシーへの対処など予習済み。
「おい、そこのぼろきれ、何故貴様は夜を奪おうなどと考えたのだ?」
「誰がぼろきれじゃい!そんなもん!夜に一人は寂しいしつまんないからに決まってる!」
「――予想違わぬ愚昧な回答だ」
「いえいえ、結構な動機だけど……」
 まじめに取り合うのはルルチェリア。墓守が本職たる彼女にとって夜は大事なもの。
「夜がなくなったら満天の星が見られなくなるし、満月を見ながらお団子を食べたり出来なくなるのよ!……サモニング・ガイストぉ!」
 若干の欲望を織り混ぜながら彼女が喚ぶのは古代の戦士。……死者は親しい友達だ。
「キョンシー達は!自慢の槍術で蹴散らしてやりなさい!なんかこう、棒の部分でぶわーっとやって、槍の部分でグサーってやるやつよ!」
 大きな身振り手振り指揮を執るルルチェリアに、召喚された戦士は肩を竦めた……若干頓珍漢ではあるが明確で、何より護り甲斐のある主人の命に従って槍を繰り出し、居並ぶキョンシーどもを穿っていく
「邪魔な木綿は炎で焼き焦がすのよ!」

(なかなかどうして……分かっている先輩だな。従者も優秀と見える……力が抜けるが)
「――常世の闇を照らし、迷える者を導け」
 知識はともかく、シャムロックは集団戦に不慣れである。その僅かな隙を古代の戦士がカバーし、炎の精霊達と連携しながらキョンシー木綿を取り巻く軍勢を排除していく。
(これが、猟兵)


●撃破せよ、キョンシー木綿
 シャムロックとルルチェリアが抉じ開けてみせた活路に、三名の猟兵が突っ込んだ。
「うぅおおぉおお!」
 先陣切るは雄叫ぶルパート。荒々しさに反して技巧は冷徹。
「いきますわよいきますわよいきますわよ!!」
「夜は一人で静かでつまんない? 俺から見りゃその考えそのものがつまんねぇな!」
 即席の連携で、両脇から隙を狙うが茉莉とメガ・ホーン。

「いいぞお前ら!よくぞ来た!」
 そんな彼等キョンシー木綿は待っていたかのように迎え。
「……キョンシー崩拳!」
「……!?」
 反射的に防御姿勢をとったルパートを、防御の上から、拳の一撃で吹き飛ばす。
「ひ!?」
「ウァ!?」
 その異様な威力に、茉莉メガ・ホーン二名は一旦、距離をとる。
「この手にあるのはなーんだ?」
 そう言って、子供が宝物を見せびらかすようにしてキョンシー木綿は【夜】を見せた。
 刃の一撃で一つの世界の夜を砕けるだろうか?その重みをぶつけられて踏みとどまれるものがいるか?
(こんな……こんなことって……)
 茉莉は……己を包んでいた高揚感や全能感といったものが萎んでいくのを確かに感じた。
 知らず、生身の方の足が竦み……どうしていいかわからなくなる。
「夜がノッてる……それを中国拳法打つ一撃は確かに強烈」
 だが、そうだ。
「俺も歌と演奏を止める気はさらさらないぜ!」
 猟兵とは、理不尽な敵滅ぼす理不尽でなければならない。場数を踏んできたメガ・ホーンはその事は先刻御承知なのだ。……星を割った自由過ぎる女もいたっけか。
 鳴り響く重低音。メガ・ホーンは金属製の満身をアンプ、かつスピーカーとして用いて音楽を響かせる。
「ぐぅう!?うっせええなあ!?」
「夜だって皆で集まって楽しく話ができるし、一人でいたって歌だって歌える! 夜だからこそ、光を使った遊びもできる! さあ、楽しい夜を返してもらうぜ!」
 それは心に指向する音……音楽。邪心を砕く熱いビートは、仲間の耳を塞ぎはしない。
「どうだい、音楽は夜も昼もなく楽しめるだろ!」
「……ああ、そうかもなぁ!」
 拳を、叩きつける。
 キョンシー木綿が選んだ行動は単純で――
「……見切った」
「なにぃ!!」
 もう一つの黒鉄、ルパートが割り込んでカウンター。手甲の一撃は闇を宿す拳をすれ違うようにキョンシー木綿の頬を打ち、追撃の吹き出す劫火で吹き飛ばす。
(……すごい)
「ワタシだって」
 その舞台に、立ってみせる。
「痛いのは嫌いですわ!……でも!」
 激烈な威力が振り回される戦場に、シンデレラのエントリーだ。
 無様な挙動、鉄塊剣でどうにか凌ぐ付け焼き刃……だが、決して逃げることはない。
「……ところでアナタ、ひらひら舞う布がお留守じゃなくて?」
 知っているのだ。逃げ出した先に、幸福などありはしないことを。……その足が炎を生み出した。
「今度はアナタが踊る番ですわ。さあ、夢の舞踏会を目指して一緒に練習しましょうそうしましょう」
「……厄介な!だが面白いぞ!綺麗だなお前!」
「え、そ、そう?」
 ハードな音楽響く戦場で戦士達が踊る度に、炎が跳ねて、それを彩る。
 削り合いに、永遠とも一瞬ともいえる時間が費やされ。
「いい、夜だ、が……終わらせるぞ!」
 遊びを捨てたキョンシー木綿が本気を出す。
「キョンシー……木綿地獄!」
 妖怪としての本体である一反木綿の権能たる布による捕縛……それを凄まじい規模で行使しようと――

「――はい」
「なっ……お前は?」
 凄まじい量の光弾に妨げられた。
「悪いけど……真昼間に百物語など、雰囲気が台無しにもほどがある。夜を返してもらうよ」
 飄々と、このタイミングで初めて戦闘に介入した燈里がそう言った。
 一時的に自身をオブリビオンと化して力を倍加させる邪法を用いてヤマタノオロチ力を用いるのならば、この期しかあり得ない。
 ……燈里という新米猟兵は、侮りや怖れ、動揺とは無縁の精神性をもって、ここまで待つことを選択したのだ。……見事な奇襲。
「天叢雲よ……」
「くっ」
【昼】を引き裂いて雷が降る。布を凌がれたキョンシー木綿はこれを不覚にもマトモに浴びて動きを鈍らせる。
「蹈鞴場で鍛えた平衡感覚と足運びを……」
 すかさず駆け込む茉莉。
「……舐めないでくださいまし!」
 激しい戦闘で変わった地形のなか、渾身の襲撃キョンシー木綿を蹴りあげて。
「キョンシー娘も一反木綿も……正気に戻れ!」
 その先に、待ち構えていたメガ・ホーンが光輝く指揮棒を振るう……突き刺さる。
「ぐぅあああぁあああ!!」
「今一度、眠るがいい」
 のたうつ木綿を掴み取り、引き寄せるルパート……そして、とどめの一撃を見舞うのだ。
「はは、はははは!」
「――夜がくる」
 吹き飛ばされ、泥に塗れ、ピクリとも動けず、最後の力を振り絞ってキョンシー木綿に出来るのは最早、また黒く染まりゆく空を眺めることだけだった。
「……ああ、楽しかったなぁ」
 だが、その顔は、いい笑顔だった。
 戦闘中、ずっとそうだったように、既に馴染んだ表情だった。

 消えゆく大妖怪。酒を飲んでいる新米猟兵。……そこに近寄るもう一人。
「……ん」
「……ふん!」
 新米二人がハイタッチ。歴戦猟兵は面白そうに眺めていた。


●夜空の下で
「何故にこ奴らと関わるようになったのか、その経緯については?」
「ご、ごめんなさい、覚えてないんですぅ……」
 特に優れた知識の持ち主であるシャムロックが、正気を取り戻して木綿の抜けたキョンシー少女を診察する。
 気弱な彼女は死相の浮いた顔をさらに青くして……。
「ただ……」
「ただ?」
「最初、寂しくって、スッゴク楽しかったことを覚えてるんです」
「……ふん」
「なので、ありがとうございます」
 また愚昧なことをと鼻白むシャムロックへと、不思議と親しげにキョンシー少女は笑いかける。


「妖怪達にとっても夜は大事な時間でしょうに……」
 それを聴いていたルルチェリアは少し切なくなった。
 祠を見上げる。苔むして、古びて……元が立派だったろうだけに侘しさばかりを感じさせる祠を。
 人が怖がる時間、活動しやすい時間を無くしてしまったら妖怪はたちゆかないのではないか……それを押しても、一反木綿は夜が憎かったのか怖かったのか。
「一人でつまらないなら私が一緒に居てあげるのに……」
 そう呟いて、ルルチェリアは空を見上げた。
 見事な月が主役を張る、いい星空がそこにはあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『祠参り』

POW   :    周囲を掃除し、祠もピカピカに磨き上げる

SPD   :    美味しいお酒や料理を用意し、お供えする

WIZ   :    心を研ぎ澄まし、静かに祈りを捧げる

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シャムロック・ダンタリオン
【SPD】

さて、これが元凶の祠とやらか。
あれだけの輩が封印されていたのだ。何があるかわからぬゆえ、一応調べておくか。【世界知識】

あとはまぁ、こちらも供え物を用意してみるか。
(と、持参しているワインを差し出し)
さて、「悪魔も酔わせる」と評判の最高級のワインだ。口に合うといいのだがな。
(どこからか取り出したグラスに注ぎ供えてる)

あとは、見様見真似の祈りでも捧げてやろうか。

※アドリブ・連携歓迎


ルルチェリア・グレイブキーパー
※アドリブ歓迎

そうだ、今から大勢で一反木綿の祠にお参りしましょう!
ずっと祠で静かにしているからつまらないし、寂しいのよ!

UC【お子様幽霊たちの海賊団】で海賊船召喚!
船員は全員……は多いから、10人くらい祠に集合なのよ!
残りはお留守番!
ダメ元で輪入道達にも声をかけてみましょう
少しの間でも一反木綿とつるんだ仲でしょう?
挨拶ぐらいしても良いじゃない

本当は徹底的にお掃除したいけど、今回は軽く掃くだけ
祠に買って来たお団子をお供えするわ
皆の分も有るからお祈りを済ませてから頂きましょう

祠で集まってお食事なんて、本来なら有り得ない
だけどこの方がずっと賑やかで、寂しく無いでしょう?
ほら見なさい、月がとても綺麗よ


多々良場・茉莉
◇WIZ
祠にお参りしながら心を落ち着かせる

勢いのまま家を出て、飛び込んだ猟兵の世界
自分の力と至らなさの両方を痛感し、早くもホームシックになりかけている

だがまだ帰るつもりはない
オブリビオンに怯む事なく立ち向かっていった先達の姿を思い返し、夢に見たキラキラした世界の住人と重ね合わせる

(自身もその先へ、いつかはあの人達のように……)

「さあ反省会終了ですわ!ワタシはもっーと強く美しくなるのですもの。こんな所で立ち止まっちゃあいられねーですわ!」

そうと決まれば向かうは次なる世界
話に聞いたありすらびりんすなんて正にピッタリではないかしら?

そんな事を考えながらグリモアベースに向けて走っていく

アドリブ連携可


青垣・燈里
アドリブ歓迎だよ。
WIZで判定するかね。

許可なく入ってくる骸魂を防ぐために護符でも書くとするよ。
破魔の力と結界術を合わせた護符を周囲に配置しておくとするかねぇ。
オブリビオンが本気で来られたら持たないかもしれないけど、まぁ、やらないよりはいいだろうしね。
配置し終わったら、まぁ今まで真昼間だったんだし、天候操作で余計な雲を払って星空が見えるようにしてみるよ。

ああ、いい夜だ。
月が明るすぎて、怪談を語るには向かないが。
それはそれとして、この月は悪くないねぇ。


ルパート・ブラックスミス
【POW】
祠には、祈り捧げる…といきたいところだがそれはあの大妖怪はお気に召さんか。
とはいえ騒ぐ性質でもなし、せめてかつての姿に近づけるよう丹念に【掃除】するとしよう。

『楽しかった』か。妖怪は感情を糧にする存在だというが。
ならば孤独に耐えられず化けて出るのは、道理だったやもな。

作業が終わったら去り際に団子…は無いので携帯用小型冷蔵庫から棒アイス数本供えよう。
こちらにもあるかは知らんがもうすぐ夏だ。夜空仰ぎながら涼め。

…覚えていたらまた供えに来るさ。
【アドリブ歓迎】


メガ・ホーン
・方針:WIZ

・ふー、やっと騒ぎはおさまったかー。それにしても、やっぱり寂しい場所、ではあるんだよな……一人と独りは違う。手段は間違ってたけど、一反木綿の気持ちは分からなくもないぜ。

・さすがに今すぐここを賑やかに! は無理だが……キョンシーの子に祠の管理やお参りを妖怪達でやってもらえないか、持ち帰って検討してもらおう。

・さて、今は「癒し」の時間。【ミュージック・キュア】で骸魂を鎮め、静かな夜の良さを知ってもらおう。
それでは聞いて下さい。新曲「カクリヨのバラード」(柔らかなバラードを弾き語り、鎮魂をしてみる)



 青垣・燈里は静かに、ぐるりと祠の周りを巡ることにした。今は遊び疲れて眠っている此処の主の許可なく、入り込もうとする骸魂がいないとも限らない。
 破魔の力と、結界術を合わせた護符を周囲に配置しておくこととする。
 竹ボウキで払い清めるようなその動作は、中々に堂の入ったもの。
(それこそ、あの一反木綿くらいの相手だったら気休めだけど、まあ、やらないよりはいいだろうしね)
 方位、星の位置、地形と地脈を流れる力を護符で整える結界術。畏れに親しむ東方妖怪の感覚を駆使して、天然自然の力を借りて、結界を織るその所作はこの国の神事にもよく似ている。
「……さて」
 今の燈里に出来る限りのことをやり終えて、彼女はふと、空を見上げた。……緩やかな夜風に流されて、淡い雲がゆっくり、月を隠そうとしているようだ。
「……無粋かもだけど、ね」
 彼女にしては珍しく落ち着かない、どうにも、もう一仕事したい気分であった。
 佩いた刀の柄に手をやって、少しばかりの力を借り受ける。……宙を掃くように手を振れば、たちどころに雲は晴れ、満点の夜空が現れた。

「ああ、いい夜だ」
 いい夜だった。はしゃぎ、笑い、騒いで……怪談を語るには向かない夜であったが。それでも取り戻した夜空。
「この月は、悪くないねぇ」



「ふー、やっと騒ぎはおさまったかー
 それにしても、やっぱり寂しい場所、ではある。
 不可思議な力で形を保っている祠が浮いて見えるほどに、人の手が永く入っていない野山。
(一人と独りは違う。手段は間違ってたけど、一反木綿の気持ちは分からなくもないぜ)
 メガ・ホーン。異端のウォーマシン。己の来歴を知らない存在。……拠り所の無い、その孤独を知っている。
「なあ……」
「は、はい!なんでしょうか!」
「さすがに今すぐここを賑やかに! は無理だろうが……」
 あまりにも、此処がこのままなのは忍びない。メガ・ホーンとしてはどうにかしてやりたかったが、まさか自分が神主か何かの真似事をするわけにもいかない……祠の管理やお参りを妖怪達でやってもらえないか、持ち帰って検討くらいはしてくれないかと、キョンシー少女に持ちかけたのだった。
「はい」
 その提案を受けて、キョンシー少女は笑う。
「オブリビオン、猟兵……この世界は大きな変化を迎えるんですよね。……妖怪達は、皆さんにも、あの一反木綿みたいなのにも興味津々ですよきっと」
 此処にも、多くの者達がこれから訪れるでしょう、と、そう告げた。
「……そっか」
 メガ・ホーンは、なんだか、たまらない気分になった。
「そっかぁ……っ」
 だからギターを取り出した。
 此処の主はド派手な曲が好みらしかったが、サイケデリックにいったほうがウケがいい気はするが……今夜は、静かな夜の良さを知ってもらおう。
「それでは聞いて下さい。……新曲『カクリヨのバラード』」
 音量は絞ってある。
 静かに、優しく、夜風に混ざるように響く甘いサウンド。
 メガ・ホーンの心情を現す新たな音は柔らかなバラードとして昇華され、此処に在る全ての魂を鎮めるように、優しく染み入る名曲となったのだった。



 雲一つない満天の空の下、何処からか甘いバラードが響いてくる。
 シャムロック・ダンタリオンは不思議と落ち着いた心持ちであることに奇妙さを感じながら。
「さて、これが元凶の祠とやらか」
 此度の異変の発端を見上げるのだった。
 古い、旧い建築物だ。もしも本当に、UDCアース文明と繋がっているとするならばだが、およそ千年ほどは昔のものであると、シャムロックの知識は結論づける。
 悠久の時を生きるという事は、それそのものが孤独であるということと隣合わせ。その事は、シャムロックもよく知っている。
 だが、もしもその永い永い時を、誰からも忘れ去られ、自分からはなんの行動も起こすことも出来ない封印された身として過ごすとして……昼の間に蠢く鳥や獣がせめてもの慰めであったとするならば……。
「……供え物くらいは用意してみるか」
 古今東西、酒の嫌いな神や魔物はほぼいないといっていい。シャムロックは持参しているワインのボトルを取り出した。
『Demon's Blood』という銘柄のその葡萄酒は、血よりも怪しい魅力を放っている。
「口に合えばいいのだがな……」
 グラスに注がれたその赤い雫。甘く、苦い薫香は、空間そのものを酔わすようである。
 古来、酒というものは精神を高揚、酩酊させて、神や悪魔、より高位にあるモノ達との交信には必須の物であったという。
 その力を借り受けるように、シャムロックは手を組んで、祈りを捧げる。
 今日此処で出会い、そして別れたモノへ。特に何を思うでなく、願うでなく、ただ祈った。
 暫し月の光の中で、彼はそこに、ただ在った。



 ルパート・ブラックスミスは首なき頸を傾げて思案する。
「祠には、祈り捧げる……といきたいところだが」
 殴り、蹴り、大いに笑った……あの強敵の姿を思う。
「それだけではあの大妖怪はお気に召さんかな」
 とはいえルパートというヤドリガミ……好んで騒ぐ性質でもない。
 ならばと、せめて祠をかつての姿に近づけるよう丹念に掃除すると決め、早速取りかかった。……さまざまな掃除道具を兼ねる万能性が、彼にはあるのだ。
「……立派なものだな」
 不可思議な力で劣化遠ざけている祠。……元の原型がそもそも大したものだ。相当に大昔の物であろうし当時としては建築は大事業であったに違いない。
(そんな大妖怪が、永く、孤独に苛まれていたということ)
「『楽しかった』か……」
 最後に、彼女は、彼はそう言った。ルパートの記憶にあるのはその言葉通り……異変の最初から最後までを楽しみ抜いた姿。
「妖怪は感情を糧にする存在だというが……」
 ならば孤独に耐えられず化けて出るのは、道理だったやも知れぬ、と。黒鉄の騎士は手を動かしながら考える。
「……これしかないか。団子の方がいいかもしれないが、これが当世風だ」
 携帯用小型冷蔵庫から取り出されたるは棒アイス。何時頃にカクリヨファンタズムが分かたれたのか詳細は不明であるが、そもそも此処の主には馴染みがないはず代物。
「こちらにもあるかは知らんがもうすぐ夏だ。夜空仰ぎながら涼め」
 夏の夜の暖気に氷菓子が溶け落ちる様は、まるで誰かが貪るようで。
「……覚えていたらまた供えに来るさ」
 応えるように、風で草木が揺れていた。



 ずっと祠で静かにしているからつまらないし、寂しいのよね。
「そうだ、今から大勢で一反木綿の祠にお参りしましょう!」
『なんだー』
『おまいりー』
『だんごはあるかー』
 ルルチェリア・グレイブキーパーが高らかに呼び出せば、ロイヤル・ルルチェリア号が速やかに現れる。
「全員……は多いから、10人くらい祠に集合なのよ!」
『おおー』
『残りはお留守番!」
『ええー』
 ルルチェリアには一つ、考えがあった。
「ねえ、あなた達も一緒にお参りしない?」
「……あ?」
「うぅ……」
 語りかけられてゴロゴロ転がって来るのは骸魂が抜けて、火力も落ちた輪入道達。
 キョンシー少女の例もある。……全てを忘れてしまった訳でもないだろうが……。
「少しの間でも一反木綿とつるんだ仲でしょう?挨拶ぐらいしても良いじゃない?」
「……あ」
 すっかりショボくれた輪入道達は声を発することなく仲間内で暫し、視線を交わし、こっくりと、頷いたのだった。

「誰かがもう、掃除してくれてるみたいね」
 立派な祠だった。……何時からあって、どんな事があって祀られて、どうして忘れられてしまったのか、ルルチェリアは遥かな時に思いを馳せながら、勉強してきた作法に則って、用意しておいたお団子を供える。抜かりはない。
「皆の分も有るからお祈りを済ませてから頂きましょう」
 猟兵も、幽霊も、妖怪も、各々目を閉じて、祈りを捧げる。……その心は、きっと近しいものだった。

 ――さて。
 この世に騒がしいものを三つ挙げるとするならば子供と海賊と妖怪だ。
 団子を食べて火力充填した輪入道どもはさながら小銭で動く遊具の役か。
 きゃーきゃーいいながら笑顔を見せる船員達を相手取って、なかなかの面倒見のよさを発揮していたりする。
「祠で集まってお食事して燥ぐなんて、本来なら有り得ないけど……だけどこの方がずっと賑やかで、寂しく無いでしょう?」
 雲一つない夜空、星の中心に月が座し、怪しが眠る地を照らす……明るい夜。
「……ほら見なさい、月がとても綺麗よ」



「……はぁ」
 そこはもう、多々良場・茉莉にとって見慣れた夜だった。……如何に立派な祠でも、同じような古びた建物はこの世界には沢山あるのだし、教養深いと言えない彼女にとって、近所の寺で休んでいるような感覚さえある。
(ああ、なんて……)
 作法を思い出しながら祠にお参り。……どうにか、心を落ち着かせていく。
 茉莉は……思えば勢いのまま家を出て、飛び込んだのは猟兵の世界。死と隣り合わせの冒険の毎日。……決して、楽しく綺羅びやかな……そればかりではないのだ。
 圧倒的な力を持ったキョンシー木綿……畏れず立ち向かう先達……なんて、遠い道のりだろう。
「……帰りたい」
 ポツリ、誰もいないお堂で、自分でもビックリするほどに、弱々しい本音を溢す。
「……ふふっ」
 全く笑ってしまう多々良場・茉莉である。
「夢も希望も、有ったんですもの。本当だったのですから……それなら」
 まだ、帰るつもりはない。時計の針は、十二時を指してはいない。
 夢に見たキラキラした世界の住人……主人公……猟兵は、確かにそこへ至る道なのだから。
(自身もその先へ、いつかはあの人達のように……)
 藍色の瞳に力が戻る。燃えんばかりの活力が炎となって、撃ち放たれた矢のように、祠を飛び出していく……猟兵。
「さあ反省会終了ですわ!ワタシはもっーと強く美しくなるのですもの。こんな所で立ち止まっちゃあいられねーですわ!」
 向かうは次なる世界。次なる冒険。
(聞いた話では……ありすらびりんすとかいう世界はまるで童話のように鮮やかに恐ろしいだとか)
 勇気あるものは恐れないのではなく、恐れを見せない。
 茉莉は内心を尾首にも出すことなく、笑って駆ける。
 祠を、カクリヨファンタズムを、今はまだ、振り返らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月02日


挿絵イラスト