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靜月(作者 ふじもりみきや
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 月が瞬いている。
 手を伸ばせばもしかしたら、届くかもしれない。
 今日ぐらいは……、そう。「痛み」をなくした、こんな時ぐらいは。

「すてき、すてき、本当に素敵!」
 妖怪たちは歌い、踊り、そうして高らかに声を上げる。
「なんて素敵。痛くない! 痛くないわ!」
 何をしても、平気だった。
 どんなに傷をつけても、平気だった。
 なぜならこの世界は、「痛み」が消えた世界。
「痛くないなら、何をしても。どんなに無茶をしたって、平気だね!」
 妖怪たちが笑う。傷つけることを躊躇わなくとも。力加減を誤っても。ここなら大丈夫。だって何にも痛くない。痛くないなら……何をしたって、大丈夫だ。
 だったら、もしかしたら月の果てまで飛んでいくのだってできるかもしれない。
 きっと翼は痛みを訴えないだろう。身体は苦しみを訴えないだろう。……そう。大地に墜落する、その瞬間だって、きっと。
「行ってみましょう」
「ええ。行ってみましょう!」
 月は見ている。語ることなく、ただ、静かに。
 ただ、静かに。彼らが死んでいくのを。この世の、終わりを。


「痛みは、自分の体のために必要なものだよ」
 リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)はそう言って、ほんの少し、面白くなさそうに目を細めた。
「痛みを堪える術は必要だけど、痛みを消してしまったら人は体の異常に気付けない。……きっと、妖怪だって。程度の違いはあれども」
 痛みをなくす。それは危険なことなのだと、リュカは言った。それからしばし、考え込んで。話しを始める。
「……オブリビオンの企みにより、幽世から「痛み」が消えた……。痛みというのは、生きるために必要な概念なんだ。だから、消えてしまえば、大変なことになる。そして幽世には無数の骸魂があふれるようになって、妖怪たちが次々と飲み込まれて、オブリビオン化していってるんだ。……なるべく早く、その元凶のオブビリオンを倒して痛みを取り戻さなきゃいけない」
 とはいえ、やり方としてはそこまで難しくはないだろう。敵はそれほど強いというわけでもなく、さらに言うとカクリヨファンタズムのオブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」なので、オブビリオンを倒せば妖怪たちも無事に救出できる。
「……ただ、痛みがないのはお兄さんやお姉さんたちも一緒だから。気付かないうちに無理をしてしまうこともあるかもしれない」
 そこは、気を付けてほしいと、リュカは言う。それから少し、考え込んで、
「……無事に戦いが終わったら、忘れてた痛みが押し寄せてくるはずだから、少し休んで行くといいと思う。戦いが終わったら、腕のいい薬師の妖怪が薬を作る予定だから、それを塗って療養してるうちに傷も引いてくるんじゃないかな」
 とにかく、気を付けて行ってきてほしいと。
 そういって、リュカは話を締めくくった。


ふじもりみきや
いつもお世話になり、ありがとうございます。
ふじもりみきやです。
そういうわけで以下詳細。

第一章:集団戦
第二章:ボス戦
第三章:日常
です。
OPに述べたとおり、『痛み』がありません。
そして非常に、今回は怪我をしやすい状況になっております。

●一章・二章
純戦形になると思われます。
結構怪我はすると思います。みんな加減を忘れてます。
けど、痛みはありません
尚、治療系UC、ききにくいみたいです

●三章
忘れてた痛みがどっときます。そりゃもう、どくどくと。めっちゃ痛いです。
日常ですが、何がしたいかというと、
皆様、つまり、看病RPです。
「どうしてこんな無茶するんですか!」とか叱られながら包帯まかれたり、
「やり切ったぜ……」とか言いながら傷だらけで友人たちと地面に寝転がったり、
「今日も生き残ったな……」とか言いながら自分で自分の手当てをしたり、
「私には助けたい人がいるんです!」とか看病に走ったり、
その他諸々。
一応、薬師の妖怪さんがよく効く薬を配ってくれるので、それを貰って塗っておけば、明日になれば治ってるぐらいのノリです。優しい世界。
勿論、薬作る手伝いとかもしてもいいですし、
いつも通り、全く関係なくゆるっと休憩するとかでも構いません。
その辺は割と、お好きなように。
治療系UCも普通にききます

!だいじなこと!
種族的に血が出ないとか、紫の血が出るとか、その他もろもろ、こだわり部分はプレイングに必ず記載してください。
それも毎回。
ステータスシートも確認しますし、一回のプレイングで覚えていられればいいのですが、うっかりものなので忘れる可能性もあります。どうしても拘りがあるものは必ずプレイングの最初のほうに記載をお願いします。

●一人参加の方
誰かほかの一人参加の方と一緒になるかもしれませんし、
ならないかもしれません
プレイング内容と、プレイングを頂いた時期と、そのほか諸々のタイミングがあった場合に、誰かと一緒になると思われます。
それくらいに思っておいてください。

●複数参加の方
好きにしろい

●NPC
三章で、お声かけ頂いた場合のみ、リュカが同行します
これで魔法なんかは使えませんが、普通に治療はできたりします。
あんまりうるさいことは言いませんが、無理無茶無謀を行ったと知ると、無言で怒ります

以上になります。
それでは、良い一日を。
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第1章 集団戦 『迦陵頻伽』

POW ●極楽飛翔
【美しい翼を広げた姿】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【誘眠音波】を放ち続ける。
SPD ●クレイジーマスカレイド
【美しく舞いながらの格闘攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ ●迦陵頻伽の調べ
【破滅をもたらす美声】を披露した指定の全対象に【迦陵頻伽に従いたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 歌うような声がする。
 笑うような声がする。
 美しい月が見える、竜胆の花咲く丘はもはや血で染まっていた。
「本当だ」
「本当だ痛くない」
「ねえ、私も刺してみて」
「わあ、すごい血! けれども全然、痛くないわ!」
 まるで遊ぶように。新しい服を眺めるかのように。傷つけあう妖怪たちの間を縫うように、走る影があった。
「先生、こちらです」
「うむ、助かるよ、シロウサギくん」
「いいえ。けれども僕の薬も、もう尽きてしまいました」
 前を行くのは、真っ白な兎であった。兎といっても、柴犬ぐらいの大きさはある。そして背中に、何やら紐で大きな壺を括りつけて背負っていた。
「奇遇だね。私も似たようなものさ。早く月を目指さなければ」
 答えるのは、大きな熊だ。二足歩行で、白衣を着ている。黒ぶち眼鏡と、人間のようなひげが何とも知的さを醸し出していた。手には医療用のカバンを持っている。
「あの人たち、いくら僕の薬を使っても、すぐに怪我をしてしまうんです」
「まったく。痛みが見えないというのは困ったものだね。私の話も全く聞いてはくれなかったよ」
 治しても治しても、無駄なことだと熊は肩を竦め、兎はため息をついた。
「しかしそれもまた仕方がない。私たちには私たちのすべきことをするだけさ。……あの月を目指そう、シロウサギくん。あの月の雫を竜胆の筆で撫でて、また新しい薬を作らなくては」
「うう……。治しても治しても怪我されたら一緒だと思いますけど」
「何事も、あきらめてしまってはいけないよ。シロウサギくん。とにかく何があっても、前へ進もう」
「まあ、お客様だわ」
「あら、そうね」
 そんなことをしゃべりながら、忙しなく進む二人を、オブビリオンはもちろん見逃しはしない。
「大丈夫、痛くないわ」
「そうよそうよ。だからあなたたちも……」
 この世界を、血で染めましょうと。
 笑うとともに、美しい鳥たちは彼らに向き直った。


※マスターより
!ご注意!
今回の依頼は怪我率高くなっております。
ですので、そういうの嫌な人は参加をお勧めしません。
あ、プレイヤーさんは覚悟完了してるけどキャラクターはしてないっていうのは、大歓迎です。
だって怪我してないと看病できませんからね(ものすごい大事なこと言ってる顔)
大丈夫、骨が見えるような傷でも三章になったら治ります。大丈夫。

プレイング募集期間
9月13日8:30~15日20:00まで
また、無理ない範囲で書かせていただきますので、再送になる可能性があります。
その際は、プレイングが返ってきたその日の23時までにプレイングを再送いただければ幸いです。
(それ以降でも、あいていたら投げてくださってかまいませんが、すべてを書き終わっている場合は、その時間をめどに返却を始めますので間に合わない可能性があります。ご了承ください)

尚、メンテナンスや、重い(メール詰まり)等により、実際には時間内に提出はしたけれども、遅延して時間外に届いた、という場合は、容赦なく切って捨てます。
実際にそういうことがあったのですが、それを考慮しだすときりがないので(後、その時詰まってたかどうかとか、あとから確認できないので)。
お手数おかけして申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。