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「集まってくれて助かる。今回はアポカリプスヘルの仕事だぜ」
グリモア猟兵の茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)は集まった猟兵達の顔を確認し、言葉を紡ぎだす。
「皆のおかげであの世界も少しずつ復興が進んでる。拠点の外に大きな農場を作ってる所なんかも出てきて……皆に向かってもらいたいのはそのうちの一つだ」
アポカリプスヘルでは少しずつ人々が生きる力を取り戻してきている。彼らの努力はオブリビオン・ストームで簡単に消しとんでしまうが――それ以外の危機ならば、猟兵達の力で乗り越える事が出来るだろう。今回はそのような案件のようだ。
「大きなジャガイモ畑のある拠点が、オブリビオンの集団に襲われる事が分かったんだ。皆にはそいつらの討伐をお願いしたい」
そう言いつつ、ひびきは資料を配っていく。そこには凶暴そうなオブリビオンに関する情報が記載されていた。
「最初に襲いかかってくるのは『機餓獣兵』っていう人間喰らいの機械兵士だ。こいつらは見た目の通りに大きな口で喰らい付いてくる。あとは喰らった血肉の弾丸による銃撃なんかもしてくるそうだ。こいつらが拠点の中まで攻めこんでしまったら……後は分かるよな。そんなことさせないためにも、絶対に拠点まで辿り着かせないでくれ」
『機餓獣兵』は他者を喰らったり、喰らおうとする意思により凶暴化してくる。それを上手く防ぎつつ戦うといいだろう。
「こいつらを倒しきったら、次はこいつらのボスを倒してくれ。ボスの名前は『ティラノシャーク・レックス』だ」
ひびきは次の資料をぺらりと開いた。そこには名前の通りのキメラ生物が写っている。
「B級映画みたいなオブリビオンだが、こいつも他のオブリビオンを率いてるだけあって凶暴だ。噛み殺されないように戦ってくれよ」
『ティラノシャーク・レックス』も捕食衝動のままに暴れるオブリビオンだ。彼に拠点を蹂躙されないためにも、必ず拠点の外で倒しきらなくてはいけない。
「オブリビオンを倒しきったら、農場の方も見てきて欲しい。畑仕事を手伝ったり、良さそうなジャガイモ料理を教えてあげれば皆喜ぶだろうな」
ジャガイモ畑は大きいけれど、まだまだ発展途上。これからの人々のためにより良い状態にしていけるなら、それはとても喜ばしいことだろう。
「あの世界の人達がせっかく頑張ってるんだ。それをオブリビオンに滅茶苦茶にされるのは悲しいから……皆にはその希望を守ってきて欲しい。それじゃあ今回もよろしく頼むぜ」
ささかまかまだ
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こんにちは、ささかまかまだです。
今回はアポカリプスヘルでシンプルなシナリオです。
広いジャガイモ畑がある拠点にオブリビオンが襲いかかる事が分かったので、やつらを迎撃しましょう。
戦闘は拠点の近くの開けた場所で行います。オブリビオン達はまず猟兵を喰らおうとするので、敵の逃走などは心配しなくても大丈夫です。
一章は『機餓獣兵』との集団戦、二章は『ティラノシャーク・レックス』とのボス戦です。
どちらも凶悪な捕食者です。しっかり倒しましょう。
三章は『ジャガイモ農場の手伝いをする日常パート』です。畑仕事を手伝ったり、ジャガイモを使った簡単な料理を広めたりしましょう。
この章では呼ばれたらひびきも出てきます。力仕事など雑に任せて大丈夫です。
どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
それでは今回もよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『機餓獣兵』
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POW : Carnivore Machine
戦闘中に食べた【生者の血肉】の量と質に応じて【餓獣機関の作用が活性化。機動性向上により】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : Code of Lykaia
【捕食と破壊を求める餓狼の如き様態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ : Bestial Analyzer
【命を舐め取る獣舌と、獣牙による噛みつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【習性と味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑11
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畑のある拠点から少し離れた地点にて。
ガチャガチャと金属が噛み合う音と共に、捕食者達が姿を現す。
機餓獣兵は大きな口をニタリと歪ませ、餌の存在を確認していく。
ここから進めば人間がいっぱいいるぞ。
みんなみんな食べて砕いてしまえ。
彼らは言葉を発しないが、浮かべた笑みからはこのような意思が伝わってくるようだ。
彼らの蹂躙を阻止しなければならない。
それが出来るのは猟兵達だけだ。
武器を手に取り、この凶悪な捕食者達を倒さなければ。
才堂・紅葉
性質の悪い連中ね
会話のできない相手は苦手だわ
開いた手の指を軽く曲げ、静かに構える
方針は近接戦だ
速度を感じさせない動きで距離を【盗み】、緩やかな動きでリボルバーを差し出し、電気属性の詠唱弾の引き金を引く【暗殺、忍び足、属性攻撃】
全身を脱力しつつ速い動きを混ぜて攻撃を誘導、ゆるやかな体捌きで舌や牙、爪をいなしつつ【見切り、カウンター】を狙いたい
相手の勢いを利用し、【グラップル、捕縛】による間接取りから【部位破壊】でへし折る、あるいは死に体に崩してからリボルバーの属性弾、もしくは【怪力、重量攻撃】によるストンピングで追撃を加えたい
大事なのは明鏡止水の心得と、それに付随する速度管理による相手の誘導だ
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猟兵達は迫りくるオブリビオンの姿を確認し、各々戦いの準備を進めている。
才堂・紅葉(お嬢・f08859)も準備を進める猟兵の一人だ。彼女はオブリビオンの姿を忌々しげに見つめつつ、身体を軽く柔軟していた。
「性質の悪い連中ね」
向かってくるオブリビオン達は機械の身でありながら獰猛な獣のようだ。
勿論言葉も通じない。そんな相手は苦手だわ、と思いつつ紅葉は静かに構えを取る。
相手は接近戦も遠距離攻撃も行ってくるようだ。それなら方針は近接戦がいいだろう。
指を軽く曲げ、静かに所定の場所へを構えて。敵が一気に距離を詰めてくるのと同時に、紅葉も前へと駆け出した。
次の瞬間、機餓獣兵達は戸惑う事になった。
彼らから見た紅葉は決して俊敏な訳ではない。
けれど気がつけば距離は詰められ、視覚センサーは紅葉が構えるリボルバーの銃口に釘付けになっている。
「まずは一体」
銃口から炸裂したのは雷の魔術を纏った詠唱弾だ。
眩く輝く弾丸はすぐ側にいた獣兵の脳天を撃ち抜き、すぐにスクラップへと変えていく。
危機を悟った機餓獣兵達は己の身体をより凶暴な餓狼の如き様態へと変化させ、すぐに敵対者の姿を追う。
「形態変化ね。それならこうしましょう」
敵は速く動く存在を追いかけてくる。その事を意識しつつ、紅葉は獣兵達を誘導しはじめた。
時に素早く敵を翻弄し、時に敢えてゆるりとした速度で敵前を横切る。
それに合わせて獣達の爪や牙が迫りくるが、紅葉はそれらをひらりと躱して舞い踊った。
紅葉の内に宿るのは明鏡止水の心得。師より教わったその心得が紅葉をしっかりと支えてくれている。
「時見月在晴天影在波……だったわね」
手元に握りしめたリボルバーも師の存在を強く認識させた。あの人が教えてくれた事を今こそ活かす時だ。
獣兵達は唸り声をあげながら紅葉へと殺到してくる。
その勢いはかなりのものだが、それこそが彼らの仇になるだろう。
「……見えたわ」
敵の攻撃を見切りつつ紅葉が囁く。
目の前に突き出された怪物の顎をがっしりと掴み、自身の方へと引き寄せて。
次に掴んだのは怪物の関節だ。紅葉は思い切り力を籠めて、そのまま相手の身体をへし折った
けれどこれで終わりではない。
自立する力を失った怪物の足を払い、地面へと倒したのならすかさずリボルバーを相手の頭部へと突き出して。
「それじゃあ、さようなら」
優雅さすら感じさせる所作で引き金を引けば、再び雷の弾丸が怪物の頭を抉った。
しかし敵の数はまだまだ多い。次々に怪物はこちらへと迫り、獰猛な牙をこちらへと向けてくるだろう。
けれど彼らもきっと紅葉を傷つけられはしないだろう。
彼女に宿った師の教えは、そして彼女自身の卓越した技術は獣よりもずっとずっと強いのだから。
成功
🔵🔵🔴
ニコリネ・ユーリカ
農場を……素敵ね!
私もお金が貯まったら欲しいなって思ってるの
皆の夢が詰まった、大切な財産を守らせて貰いましょ
営業車『Floral Fallal』で現着
気味の悪い敵が近付いてくるけど、平気
装甲を強化した車輛(防具改造)が盾になってくれるわ
乗車したまま敵の爪牙を凌いで戦闘力の増強を禦ぎ
3.8L、V8ツインターボエンジン全開!
華麗なドリフトで轢いちゃう!!(範囲攻撃)
貴方達ったらお腹が空いているのね
私のとっておき、存分に召し上がって頂戴
戦闘中は車高を活かして広い視野を確保し
周辺環境や敵味方の位置を把握しつつ、高速不断に動き回る
足(タイヤ)がやられちゃいけないものね
ノンストップで地均ししていくわよー!
●
アポカリプスヘルは荒廃しているけれど、少しずつ人の営みも戻ってきている。
今回の保護対象である農場もその一環。
ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)にとって、農場とは憧れの場所の一つだ。
いつかは自分も花屋として経験を積み、お金を貯めて農場を手に入れる。
そんな夢を持つ彼女にとって今回の仕事はとても気持ちの入るものだった。
「皆の夢が詰まった、大切な財産を守らせて貰いましょ」
愛車である『Floral Fallal』のハンドルを握りつつ、ニコリネは静かに敵の襲来を待ち構える。
機餓獣兵達はすぐにニコリネの方へと接近してきた。
大きな顎をガチガチと鳴らし、涎のような液体をダラダラと流しながら迫りくる姿は恐ろしい。
けれど、大丈夫。
愛車の装甲は激しい戦いにも対応出来るくらい強化してある。あんな化物の牙になんて負けるものですか。
「私の方も出発しましょうか!」
勢いよくアクセルを踏みつけて、そのまま車両を前へと走らせて。
獣兵達が鋭い爪で車体を傷つけようとしてくるが、やはり装甲の方が強力なようだ。
鋭く火花をあげながら、獣の爪はあっさりと弾き飛ばされていく。
「まだまだいくわよ!」
ハンドルを匠に切りつつ、ニコリネは素早く両足を動かす。
敵の位置、味方の位置、周囲の障害物。それらをすべて確認しつつ、踏み込む角度をまずは決定。
そのままアクセルとブレーキを器用に踏み分け、風を受け止めながら車体を流す。
「3.8L、V8ツインターボエンジン全開! このままの勢いで突っ切るわ!」
怪物達もニコリネの動作を見て、待ち構える姿勢を取ったようだ。
顎を全力で開きつつ、自分達の方へと迫りくる車体を噛みちぎろうとしている様子。
相手がそのつもりなら、こちらもそれに応えてやるまで。
やるべき事はドリフトの基本動作。それらをきちんと踏まえた上で、ぶちかますのは全力の回転攻撃!
「貴方達ったらお腹が空いているのね。私のとっておき、存分に召し上がって頂戴」
タイヤだけは傷つけないように注意しつつ、ニコリネの車は勢いよく回転していく。
怪物の顎よりも強く。より勢いよく動く鉄の塊は――彼らの顎を見事に打ち砕いた!
倒れた怪物達には追い打ちの地均しも忘れない。
相手は獰猛な化物だ。きっと最後の最後までこちらへと食らいついてくるはず。
「貴方達にあげられるご飯はないの。ごめんなさいね」
残った怪物がこちらを追いかけてくるけれど、それも恐れる必要はない。
運転席から彼らの姿をしっかりと見下ろしつつ、ニコリネはひたすらにハンドルを切る。
縦横無尽に動く彼女のテクニックは、次々に怪物を轢き倒していくだろう。
成功
🔵🔵🔴
善哉・鼓虎
敵が恐竜の姿とか洒落にならんなぁ。
あれも獣って言うかすばしっこい恐竜に見えんくもないし…せやけど怖気付いてる場合やない。
ジャガイモ畑の為やしっかりやらせてもらうで!
【演奏】と【歌唱】に載せてUC【サウンド・オブ・パワー】や!
どや?ちょっとはうまなったやろ?
他の猟兵さんも上手いことパワーアップしてくれたらええんやけど…。
パワーアップしたところでうちはサブマシンガンで【乱れ撃ち】やー!!!
ジャガイモ畑のためならえんやこら!や!
●
グリモアベースで聞いた情報を確認しつつ、善哉・鼓虎(ハッピータイガー・f24813)は忙しなく手元を動かす。
愛用のエレキギターを握りしめ、思い返すは敵の姿。
「大将は恐竜の姿をしとるんだっけ。洒落にならんなぁ。あっちにおるのも妙な姿をしとるし……」
農場へ迫りくる敵の姿は悍ましい。
機械の身でありながら恐ろしい獣のようで、すばしっこい恐竜のようにも見える敵達。
彼らが農場まで辿り着いてしまったら――恐ろしい想像が頭に過るが、怖がっていても仕方がない。
「ジャガイモ畑の為や、しっかりやらせてもらうで!」
エレキギターのチューニングを終え、鼓虎は勢いよく立ち上がる。
今日も荒廃した世界へとハッピーを届けるために。小さな虎は怖じけずに敵と向かい合った。
「まずはこれや! みんな聞いてな!」
ギターをかき鳴らし、大きく息を吸い込んで。
鼓虎が勇ましく歌い上げるのは『サウンド・オブ・パワー』だ。
彼女の歌は戦場だけでなく、農場やソーシャルネットの向こう側へも響き渡った。
次々に流れるコメントや皆の反応が鼓虎の心を支え、それが仲間を励ます力にも変わっていく。
「(ふふん、ちょっとはうまなったやろ?)」
嘗て守り抜いた拠点の人達にもこの音楽はきっと届いているはず。
ソーシャル・レーザーに灯った輝きが、それを確かに知らせてくれていた。
しかし化物達に勇気の歌は届かない。
彼らは舌のような器官を尖らせ、牙を剥きながら鼓虎へと迫る。
接近されてはただでは済まないだろう。けれど鼓虎なら大丈夫。
彼女が奏でた歌は他の猟兵だけでなく、彼女自身にも大きな勇気をくれているのだから。
「そっちの好きにはさせへんよ! さあ、いっくでー!」
ギターを一度下ろし、鼓虎が構えるのは黒く輝くサブマシンガンだ。
研ぎ澄まされた感覚が狙いを的確に定め、怪物達が迫るよりも速く弾丸の雨が戦場に降り注ぐ!
サブマシンガンは強力だが、ただ撃っていては効果的な攻撃は出来ないだろう。
狙うべくは相手の頭や足といった部位。動きを着実に鈍らせ、邪悪な牙を穿っていけば必ず相手を倒せるはずだ。
「ジャガイモ畑のためならえんやこら! や!」
先程まで歌っていた歌に負けないくらいの声量で、自分自身を鼓舞しながらの戦いだ。
だってこの世界に幸せを届けたいから。それを打ち壊すような相手は許せないから。
ソーシャルディーヴァとして、猟兵として、何よりこの世界で生きる人間として。
輝く勇気と共に、鼓虎は着実に獣達を撃ち抜いていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
アルトリウス・セレスタイト
殲滅で良いのだな
受ける攻撃は『絶理』『刻真』で自身を異なる時間へ置き影響を回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる
破界で掃討
目標は戦域のオブリビオン
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無
高速詠唱を『刻真』で無限加速
多重詠唱を『再帰』で無限循環
「瞬く間もなく」生み出す天を覆う数の魔弾に『天冥』で因果改変。「目標に着弾した」状態で射出
更に魔弾射出の瞬間を『再帰』で無限循環
一切の間断なく斉射を継続し早期殲滅を図る
終わったものは起き上がるべきではない
速やかに退場しろ
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「殲滅で良いのだな」
与えられたオーダーを再確認しつつ、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は静かに呼吸を整える。
意識を少しだけ遠く、この世界とは別の場所へと向けつつ待つのは敵襲。
すぐに獰猛な化物の唸り声が耳を掠めたが、ただそれだけだ。
淡い青色の輝きを纏うアルトリウスの元へ、次々と機餓獣兵達が殺到していく。
化物達は舌のような器官を伸ばし、目の前で待ち構える青年を捉えようとするが――何かがおかしい。
舌は確かに青年のいる位置まで届いている。なのにそこには『何も触れない』。
「……『絶理』『刻真』。お前達の影響は受けない」
アルトリウスが発動していたのは断絶と時の原理。
自らの存在を一時的に異なる時空へと移す事で、元の世界での影響を避ける力だ。
更に彼は別の原理も動かし続けている。この世界の外、アルトリウスしか触れられない場所へ向けるのは創世の原理だ。
輝きは無限に魔力を組み上げ、アルトリウスが世界に触れる力をくれる。
そして放つのは――より鋭い輝きを放つ蒼光の魔弾。
「破界、掃討開始だ。お前達は既に行き止まりに在る」
魔弾は次々にアポカリプスヘルを照らし出すが、この光自体に危険な能力はない。
この魔弾はアルトリウスが権能を行使するためのサインだ。
選択するのは獰猛な怪物達だけ。彼らの存在を根底から否定し、世界から消し去る。それがアルトリウスの狙いだった。
勿論怪物達には知るよしもない。ただ光が自分達を撃ち抜いたかと思えば、次の瞬間には何事もなかったかのように消え去るだけなのだから。
慌てて逃げ出そうとする個体も出てきたが、光は既に満ちている。
アルトリウスが操る時の原理は光をより速く加速して、循環の原理がとめどなくその力を促していく。
いや、それだけではない。
アルトリウスは更に因果にすら干渉し、光が「着弾した状態」を作り上げているのだ。
結果として――『無限に溢れ出る選定の光が周囲を埋め尽くし、そのすべてが敵対者だけを選択した状態で姿を現す』という現象が発生している。
そのスピードはどんどん加速して、それに合わせて怪物達も凄まじい勢いでこの世界から消えていった。
彼らは過去だ。この世界に存在しているべきではない。
アルトリウス自身がそう思うからこそ、彼の触れる原理はしっかりと世界を変える。
「終わったものは起き上がるべきではない。速やかに退場しろ」
世界の始まりのような光が消え去れば、残るのは忘却者の青年と人の営みだけだった。
成功
🔵🔵🔴
ガロウ・サンチェス
【三匹】で参加
ベースへ物資を届ける、いつものブリンガーの仕事の途中。
すると、ジャガイモ畑の近くに奇妙な影を見かける
ありゃあ、バイオ兵器だな。
どこぞの国のアホに造られたんだろ。
まずはあいつらをサクッと片付けるぜ。
敵の数が多いので、一撃のダメージを重視して迅速に
仕留められるように心がける。兎に角攻撃優先だ。
ゼロが敵を攪乱し、アモンが牽制をかけたところで
敵の懐に飛び込み、<グラップル>で格闘戦を仕掛ける。
レーザー攻撃で弱ったところに、【灰燼拳】を叩き込む!
テメエらには、さしずめ餓鬼道がお似合いだぜ。
ゼロ・クロニクル
【三匹】
ほう、アレが兵器か。しかし随分アンバランスな格好をしているな。
口がでかすぎではないか?
アモン、ガロウと連携をかけて攻撃。
まずは敵軍の中を走り回って攪乱し、忍者手裏剣を放ってダメージを。
相手は速く動くものを無差別に攻撃するはずだから、まずは拙者に
狙いをつけるだろう。
そこで【智慧ある獣の牙】を使い、身体に食らいついて肉片を<捕食>し、
敵の習性と味を記憶する。行動パターンを把握したら
<暗殺>技術で敵の急所を狙い、太刀型の偽神兵器で斬りつけ
<傷口をえぐる>。この捕食行為は後々必要になってくるので、
戦闘中できるだけ多くの血肉を摂取することを心がけるぞ。
トドメはガロウに任せる。あとは頼むぞ
アモン・スメラギ
【三匹】で参加。
ガロウの仕事に同行。
車の中から外を窺うと、何やら紫色の気色悪いのが歩いてるの。
あれぇ?何か変なのがいるよ。何アレ
バイオ兵器?まあ取り合えず放置しておく理由はないよね
【プロジェクト・ディーヴァ】。
自身が所有するSNS「聖王国」の利用者に呼びかけ、
ソーシャルレーザーの威力を増強する。
俺は聖王国のキングだからさ、ちょっと厨二っぽい<演技>も出来るんだぜ。
アバターで威厳ある王を演じ、全世界に向けてメッセージを発信。
『聖戦の時は近い…実りの大地を脅かす侵略者を討つため、我が下に
力を集結させるのだ』
エネルギーをチャージして<光属性>のレーザーを<乱れ撃ち>
ガロウとゼロを後方から援護するぜ。
●
アポカリプスヘルの荒野をクラシックセダンが駆け抜ける。
そこに乗っていたのは三人の男達。
彼らはブリンガーを生業とし、様々なベースを旅する猟兵だ。
「……ん? あれぇ? 何か変なのがいるよ。何アレ」
最初に声をあげたのはアモン・スメラギ(フラスコチャイルドのソーシャルディーヴァ・f24679)だ。
退屈だった景色に存在する異物。紫色をした化物達の姿を視認し、仲間へと告げて。
それに応えるように運転席のガロウ・サンチェス(人間のゴッドハンド・f24634)も窓の向こうを見る。
「ありゃあ、バイオ兵器だな。どこぞの国のアホに造られたんだろ。狙いは……あっちの畑か」
怪物達の向かう先にはそこそこの大きさをした拠点と、広大なジャガイモ畑。
人の集まる所に襲撃が来るのは自然な事だ。けれど放ってもおけないだろう。
「ほう、アレが兵器か。しかし随分アンバランスな格好をしているな。口がでかすぎではないか?」
アモンの隣で寝そべっていた忍犬・ゼロ・クロニクル(賢い動物のストームブレイド・f24669)も敵の姿を確認し目を細める。
見た目はどこか不格好かもしれないが、兵器達の大口は明らかに危険だ。
彼らの牙はすべてを喰らい、蹂躙していく。それを止められるのは猟兵達だけ。
「まあ、取り合えず放置しておく理由はないよね」
「ああ。まずはあいつらをサクッと片付けるぜ」
「あれだけの群れで行動するのは何かの作戦だろう。阻止してやらねばな」
三人の意見が合致したのなら、あとは目的を果たすだけ。
セダンは勢いよく方向を変えて、ジャガイモ畑の方へと向かっていく。
敵の数は多い。ここは三人で協力して数を減らしていくべきだ。
そう判断した一行はそれぞれの手段で敵の方へと介入する事にした。
「まずは拙者が行こう」
最初に飛び出したのはゼロだ。
彼は獣としての脚力を活かし、勢いよく敵陣の中へと突っ込んでいく。
機餓獣兵達も獣の性質を持っているのならば、素早く動く存在を追いかけるはず。そう考えたゼロの推測は当たっていた。
獣兵達は顎を開いて牙を剥き、ゼロを噛み砕かんと襲いかかる。
「そう簡単には捉えさせん!」
相手の動きも素早いけれど、的自体は大きい。
ゼロは俊敏に敵陣を突き進みつつ、忍者手裏剣を投げつける。
鋭い刃は敵の口内を傷つけて、上手く敵を怯ませる事が出来た。
更にゼロは勢いをつけて飛び上がり、敵の身体の柔らかな部分――だらりと垂れる舌へと牙を立てる。
不気味な味だが、これで必要な情報は手に入った。
「機械とも獣とも取れない味だが……これで十分だ。アモン!」
「分かってるよ。すぐに起動する」
戦いが有利に進められそうならば次の段階へ。
後方で控えていたアモンがソーシャル・レーザーを構え、周囲に飛び交う瑠璃色の蝶へと声をかける。
「……『聖王国』の賛同者よ。我の声が聞こえるか?」
SNSへ向けてアモンが発する声は、仲間に対するものとは打って変わっていた。
先程までのアモンが年頃の少年ならば、今の彼は厳格な王者のそれだ。
何故なら彼は『聖王国』の王だから。自分自身に賛同してくれる者の前では、それに相応しい姿を演じるのが役割だから。
「聖戦の時は近い……実りの大地を脅かす侵略者を討つため、我が下に力を集結させるのだ」
彼の呼びかけに応えるように蝶が煌めき、レーザーに力が集まっていく。
『聖王国』の皆もこの世界を良くしたいという気持ちはきっと同じ。それに応えるのだって、ソーシャルディーヴァである自分の役割のはずだ。
「収束……発射」
レーザーから流星のような光が迸る。
願いの力で生まれた輝きは悪を焦がす力と変わり、次々に機餓獣兵達を撃ち抜いていく。
敵がどれだけ悍ましく口を開いても、アモン自身まで到達出来ないのなら意味はない。
「よっし、二人ともいい調子だ。おかげで俺も動きやすいぜ!」
ゼロの撹乱とアモンによる牽制が順調な事を確認し、ガロウもまた敵陣の中へと突っ込んでいく。
ゼロが俊敏さ、アモンが手数で優れているなら、ガロウは何よりもパワーに優れている。
それぞれの特技を活かし連携していくのが彼らのスタイルだ。
他の二人が作ってくれた隙やダメージを利用しつつ、ガロウは獣達へと次々に拳を振り下ろした。
「砕けちまいなッ!」
化物達が大きく口を開いたなら、その口を塞ぐように上から拳を叩きつけ。
他の化物が死した仲間を食らって自分の能力をあげようとするのなら、そんな事はさせないと胴を打ち据えて。
ガロウは殺生を好んでいない。けれど、目の前に存在する化物はこの世界を汚していくだけだ。
「テメエらには、さしずめ餓鬼道がお似合いだぜ」
大連珠を握った拳をひたすらに叩きつけ、その度に怪物達は物言わぬスクラップへと姿を変えていく。
「ガロウ、アモン。次の戦いにも備えたい。協力してくれるか?」
戦いの最中、ゼロが仲間へと声をかける。
恐らく機餓獣兵を倒しきってもこの戦いは終わらないだろう。この世界の険しさを知る三人ならば、それに対する備えも万全に狙っていける。
「分かった。レーザーにはまだまだ余裕があるよ。任せて」
「トドメは俺がしっかり刺してやる。好きなだけ暴れちまえ!」
詳しく作戦を口にしなくとも、それぞれがやるべき事は分かっていた。
まずはアモンがしっかりとレーザーを発動し、次々に敵の装甲を打ち砕く。
装甲の下からは血が滴り、肉のようなパーツが蠢いていてとても不気味だ。
「うわ、装甲の下は肉肉しいんだ……っとと、こんな反応は『聖王国』の皆には見せられないね」
少しだけ苦笑いをしつつも、アモンは手元を緩めない。
そして彼が作り出した隙とダメージを活かすべく、ゼロが再び敵陣の中を駆けていく。
「さあ、行くぞ」
気がつくとゼロは太刀型の偽神兵器を装備していた。
煌めく刃で敵を切り裂けば、機餓獣兵は不気味な唸り声をあげていく。
そしてそのまま相手の懐へと飛び込んで、ゼロは獣兵の肉へと牙を立てた。
再び奇妙な味が口の中を駆け巡るが、これも必要な行為だ。
出来るだけ多くの血肉を、力を。これが皆を推し進める力になってくれるはず。
けれど相手も獰猛な獣である事に変わりはない。追い詰められた獣の凶悪さは三人ともよく知っている。
失った血肉を取り戻すためか、もしくは最後まで敵に食らいつくためか。機餓獣兵は今までで最も俊敏に動き、ゼロへと牙を向けた。
そこにすかさず割り込んだのはガロウだ。
「おっと、好きにはさせんぞ」
姿勢を低くし、まずは相手の懐へと潜り込む。
そしてそのまま飛び上がるように拳を突き上げ――ぶちかますのは全力のアッパーカット!
ガロウの拳は怪物の顎を下から打ち砕き、見事に粉砕していく!
「なかなか派手に動いたね。でも……敵はまだ残ってるか」
レーザーの狙いを定めたまま、アモンが呟く。怪物達はまだまだ畑を狙っており、不気味に顎を鳴らしている。
けれどその光景を見つめるアモンの表情に恐れの色はない。
それはゼロも、そしてガロウも同じ事だ。
「ならばその全てを食らってやるだけだ」
「俺達の力、たっぷり味合わせてやらねぇとな!」
敵の数が多くとも、敵がどれだけ強力だとしても。
荒廃した世界で逞しく生きる彼らにとっては――何の支障にもなりはしない。
その意気を現すように、三匹の猟兵達は更に勇ましく戦いへと没頭していくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
バレッタ・カノン
ベアータと
食いながら戦闘とは賢い獣だ
お前の兄弟、なかなかやるじゃないか
だがここまでだ。飯代の報酬くらいにはなってもらうぞ
ベアータと背を合わせ、敵との距離を保ちつつ『重機関銃』で【制圧射撃】
これだけ敵がいるんだ当たるだろう
接近を許しても【怪力】で捉えて、その馬鹿でかい顎を引き裂いてやる
滅茶苦茶に暴れているが、側面から距離を詰められているぞベアータ
死角から飛び込んでくる敵の攻撃からベアータを【かばう】
私の首元を差し出してベアータに食うように促す【激痛耐性】
私を食え、お前はもっと強い。気にするな私も強い
UC鉄拳制裁で引き裂いた敵の顎を装着
【怪力】ですべて叩き潰す
ここからが第2ラウンドだ
アドリブ大歓迎
ベアータ・ベルトット
バレッタと
餓獣機関―存在してはならない罪業
この世で最も醜い奴等。久々に会えたトコ悪いけど―纏めて消えてもらうわ
…って誰が兄弟よ!
私達の、血肉を備えた「人間」の体。喰らおうってんならかかって来なさい
餓獣機関活性。バレッタに背を預け、血と生肉を摂取し生成した弾丸を乱れ撃ち
UCを発動―人間性などかなぐり捨てろ。コイツらと同じ「獣」に身を窶す。それが『Lykaia』の本質。―罪業
爪を振るえ。銃で穿て。目の前の敵を。悍ましき機関を―砕け、砕け、砕けッッ!!
…不意に鼻を突く血の臭い。一等新鮮な「餌」。口一杯に広がる、心から安心できる味―ありがとう、バレッタ
力を漲らせ、最後の一匹まで破壊し尽くしてやるッ!!
●
戦場に広がる血肉の匂いを嗅ぎ取って、バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)はぽつりと呟く。
「食いながら戦闘とは賢い獣だ」
「ええ、餓獣機関――存在してはならない罪業。獣であり機械であり、この世で最も醜い奴等。あいつらには纏めて消えてもらわないと」
バレッタと背中合わせに戦いの準備を進めるのはベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)。
ベアータと機餓獣兵達の間には並々ならない因縁が存在している。そんな相手が凶行を働くというのなら、止めにいかない訳にはいかない。
「お前の兄弟、なかなかやるじゃないか」
「……って誰が兄弟よ! いいから潰しにいくわよ!」
「ああ。飯代の報酬くらいにはなってもらわないとな」
二人の猟兵は互いに背中を預けつつ武器を構える。
バレッタの手には無骨な重機関銃が。ベアータは己の機腕を構えて敵を待つ。
獰猛な機餓獣兵達は、すぐに二人の元へと駆けてきた。
「射撃はあまり得意ではないが……これだけの数がいるのなら、当たるだろう」
バレッタはなるべく敵の接近を許さないように、ひたすら重機関銃を撃ち続けた。
彼女の言うように狙い自体は大雑把だが、嵐のように放たれる弾丸は着実に獣兵達の装甲を剥がしていく。
だが、弾丸の雨を抜けてバレッタの元へと辿り着いた個体もいるようだ。
けれどそれこそが彼の不幸だろう。何故なら、至近距離こそがバレッタの最も得意とする位置取りなのだから。
「甘い」
褐色の腕を前へと伸ばし、開きかけられた怪物の顎を鷲掴みにして。
次の瞬間、獣兵の頭は胴体から引き剥がされていた。
バレッタが一瞬の内に相手の顎をつかみ取り、引き裂いたのだ。
「これは後で有効活用させてもらう」
淡々と戦利品を回収しつつ、バレッタは再び重機関銃の引き金へと指をかけた。
その後ろではベアータが獣の如き唸り声をあげ、彼女の戦いに備えていく。
「……私達の、血肉を備えた『人間』の体。喰らおうってんならかかって来なさい」
次の瞬間、ベアータの身体が大きく弾けた。
サイボーグの少女は内に宿る餓獣機関を活性化させ、獣兵達と同じく禍々しい装甲を纏っていく。
腕に宿すのは彼らと同じく血肉を弾丸と変える機腕だ。
背中を預けた友だけは決して傷つけぬよう、ベアータは敵の元へと身体を投げ出す。
人間性なんて投げ捨ててしまえ。『Lykaia』の本質を、罪業を身に宿せ。今のベアータは強靭な『獣』だ。
本能の赴くままに暴れる彼女を、怪物達は捉えられない。
装甲は容易く爪で切り裂かれ、零れ落ちた肉は別の獣を穿つ弾丸へと変わる。
咆哮をあげながら、ただひたすら獣の少女は戦場を馳せる。
砕け、砕け、全部全部砕いてしまえ!
――しかし、やはり敵の数は多い。
如何に猟兵達が強力と言えど、少しずつ敵の牙が、爪が二人の事を傷つけていく。
特に傷が深刻なのはベアータの方だ。彼女は周囲の敵には対応しきれているが、不意打ちをしかけようとした敵にまでは注意を払えていない。
「……側面から距離を詰められているぞ、ベアータ」
咄嗟に飛び込んだのはバレッタの方だ。
ベアータがその事に気付いた時には、既に友人の肩に化物の牙が突き立てられていた。
急いで敵を引き剥がしたが、傷はなかなか深そうだ。鮮血がとめどなく溢れ、芳しい血の香りが二人の鼻孔を擽る。
「……ぁ」
「ベアータ、分かっているな」
友人の目に理性の光が灯るより早く、バレッタは己の首元を指差した。
一度ついた傷は消えない。けれどそれを活かして戦う事は出来る。
「私を食え、お前はもっと強い」
同じ血肉を喰らう獣でも、ベアータと獣兵では根本的な強さが違う。
それならより魅せつけてやればいい。叩きつけてやればいい。
「気にするな、私も強い。この程度の傷で負けやしない」
「――ありがとう、バレッタ」
促されるまま、ベアータはバレッタの傷口へと歯を立てる。
口内に広がる一等新鮮な『餌』の味。心から安心出来る味を咀嚼し、ベアータに宿る宿業はより強まる。
けれど何より――そこに巡るのは二人の間にある信頼の力だ。
「おかげでもっと派手に暴れられそうよ」
「ああ、ここからが第2ラウンドだ。行こう、ベアータ」
互いの身体は血で汚れているけれど、それでも構いやしなかった。
ベアータは友人の力を借りて、自らに宿る力をより強く滾らせていく。
バレッタも傷口を軽く止血して、先程手に入れた怪物の顎を握りしめた。
「叩いて潰す、潰して砕く。いつも通りに行こう」
「ええ! 最後の一匹まで破壊し尽くしてやるッ!!」
互いの存在を背中に感じつつ、二人の少女は再び戦場を駆けていく。
ベアータはひたすらに敵を叩き潰し、バレッタはひたすらに敵の血肉を引きちぎる。
二人の少女による蹂躙は、残った全ての獣を片付けるのに十分だった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『ティラノシャーク・レックス』
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POW : 底無き暴食の王
【サメと恐竜の捕食衝動】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : 群れを統べる王
召喚したレベル×1体の【ティラノシャーク】に【もう一つの頭部】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ : サメと恐竜の王
【空飛ぶ殺神ザメや暴食恐竜の群れ】を降らせる事で、戦場全体が【捕食者を頂点とする大怪獣世界】と同じ環境に変化する。[捕食者を頂点とする大怪獣世界]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
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●
猟兵達の活躍により、全ての機餓獣兵は片付けられた。
けれど戦いは終わらない。彼らを率いていたオブリビオンが残っているのだから。
重たい地響きと共に現れたのは奇妙な化物。
海の捕食者と陸の捕食者、双方の特徴を兼ね備えた姿はどこか冗談のようにも感じられた。
けれど、分かる。
その化物の身に宿っているのは紛れもない殺戮の衝動だ。
群れのリーダーは『ティラノシャーク・レックス』。
彼は機餓獣兵達の肉片すら喰らいつつ猟兵へと迫りくる。
このような危険な獣を拠点まで入れてしまったのなら――起きるのはどうしようもない惨劇だろう。
それを防ぐためにも、この獰猛な捕食者を倒さなくては。
ガロウ・サンチェス
引き続き【三匹】で
ああん?何だアリャ…恐竜みてえな鮫みてえな、訳わからん化けモンだな。
あいつが、さっきの連中を統率してたのか。
あの体格と殺気からして、相当な強者なのは間違いねえ
ここは俺も本気モードでいくか。
【チャクラドライブ】を使用し、防御力を向上させる。
これで、攻撃を食らっても何発か耐えられる筈だ。
ゼロ・アモンと合わせて攻撃
注意すべきは勿論でけえアゴでの噛みつき。それからデカ足の踏みつけ、
それから長え尻尾の振り回しってトコだな。もちろんあのガタイでの
タックルにも警戒だ。ヤツの攻撃に合わせ、中華なべで
<盾受け>してガード。んで腹に正拳叩きこんだる!
…ところでよぉ、アイツの肉どんな味だと思う?
ゼロ・クロニクル
【三匹】で行動
ぬう、サメとも恐竜ともつかぬ奇怪な奴よ。
あやつを倒さねば、この地域の安定はない。
わが化身忍術の真髄を見よ!【骸合体「狗神」】!
骸魂と化したカクリヨファンタズムの妖物『狗神』の魂を体に宿し、
短時間ながら完全なるオブリビオンの力を手に入れる!
先ほど敵の肉を捕食していたのは、この力を操る時間を
少しでも延ばすためだったのだ。妖怪へと変化すれば、
少なくとも恐竜どもと体格では互角。
アモンの魔法に合わせて体当たりによる<重量攻撃>、
噛みつきによる<捕食>、鉤爪のついた前足で
殴りつけて<傷口をえぐる>攻撃。雑兵を蹴散らし、
レックスへの道を切り拓くぞ。
…ガロウよ、こやつら食材にするつもりか?
アモン・スメラギ
【三匹】
アハハ、何こいつ!マジ最高なんだけど!(けらけら笑いながら)
いーよ、こういうおバカなの嫌いじゃないし。
俺にいい考えがあるんだ、まあ見ててよ
瑠璃色の蝶を飛ばし、敵集団を幻惑するようにフワフワ飛行させる。
サメ恐竜が食いついてきたらこちらのもの。
「引っかかったwww」
【クライシスゾーン】を発動させて、瑠璃色の蝶を超次元の竜巻に
変えてやるぜ。サメには竜巻だって、
昔そういう映像作品があったらしいぜ?
それに凶暴な恐竜だって、天変地異には勝てなかっただろ?
ザコを竜巻で吹っ飛ばしたら、杖から氷属性の<全力魔法>を放って
レックスを攻撃。爬虫類と魚類なら、寒さに弱いかな。
ガロウ、ゼロ、準備はいい?
●
「ああん? 何だアリャ……」
姿を現した群れのボスを視認して、ガロウ・サンチェスは目を細める。
サメのような恐竜のような略奪者。その姿は『訳わからん』と一蹴してしまえそうだ。
「ぬう、サメとも恐竜ともつかぬ奇怪な奴よ。だが、あやつを倒さねば、この地域の安定はない」
ゼロ・クロニクルも敵の姿を訝しみつつ、けれど確かな殺気を纏っていく。
一方、アモン・スメラギは……。
「……何こいつ! マジ最高なんだけど!」
レックスの造形がどこかのツボに入ったのか。けらけらと笑い転げていた。
「おいおい、敵はあんなナリしてるけどよ。身体はでけぇし殺気も相当だ。強者なのは間違いねえぞ」
「拙者も化身忍術の真髄を以て対峙するつもりだ。アモン、大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫、こういうおバカなの嫌いじゃないし。それにいい考えがあるんだ、まあ見ててよ」
既に戦いの準備を進めているガロウとゼロの横で、アモンがふわりと手元に何かを浮かび上がらせた。
それはきらきらと煌めく瑠璃色の蝶達だ。
「俺が隙を作るから、その間に二人は準備を完了させておいて」
ガロウとゼロは自分を強化してから敵に接近戦を仕掛けにいくだろう。
それを見越して、アモンが先に動く事になった。
ひらひらと、殺風景な景色の中に蝶が舞う。
それも一匹や二匹ではない。蝶の群れが飛び上がっているのだ。
その光景にはティラノシャーク・レックスも思わず目を丸くするが、その瞳にはすぐに殺気が戻ってきた。
あんな小さな生物を食らっても腹は満たされないだろう。けれどあのようなものが自分の世界に存在するのも気に食わない。
周囲を自らが頂点とする大怪獣世界へと塗り替えつつ、レックスは蝶を潰しにかかるが――。
「あっはは、引っかかった!」
レックスの聴覚に少年の嘲笑が聞こえてきた時にはもう遅い。
蝶の群れは巨大な瑠璃色の竜巻へと姿を変えて、レックスの方へと襲い来る!
「昔はこういう映像作品もあったんだろ? サメには台風だって」
たとえここが大怪獣世界だろうと構わない。何故なら怪獣にだって竜巻は効くのだから。
「凶暴な恐竜だって、天変地異には勝てなかっただろ? さあ、すっ転びな」
レックスが受け身の体勢を取るより早く、その巨体は宙を舞う。
その瞳に映るのは――戦いの準備を整えた猟兵達だ。
アモンが敵を引きつけている間に、ガロウとゼロはそれぞれのユーベルコードを発動しようとしていた。
「ここは俺も本気モードでいくか。さあ、行くぜ」
ガロウは静かに呼吸を整えつつ、自らの内に働きかける。
意識するのは体の正中線。的確に気を巡らせ、体中のチャクラを活性化していけば――ガロウの肉体は鋼のように強靭なものと化す。
これなら獰猛な怪獣の牙や爪にも耐えられそうだ。大きな中華なべを背負いつつ、ガロウは一気に前へと駆ける。
「拙者も行こう。彷徨える狗神の魂よ……我に力を」
仲間の姿を見守りつつ、ゼロも準備を整える。
彼が呼び出したのは狗神の骸魂。異世界と繋がった事で得た力を早速利用する時だ。
オブリビオンと化したゼロの身体はより大きく、逞しいものへと転じていく。これならあの怪獣とも体格面では互角だろう。
先程食らった獣兵の血肉が狗神の力を強化してくれている。けれどあまり時間もかけていられない。
早期に決着をつけるべく、ゼロも仲間の後を追う。
レックスが竜巻によって打ち上げられ、荒野の上へと落下する直前。
三人の猟兵はそれぞれの力を一斉に発動し、敵へと追撃を加えていく。
「爬虫類と魚類なら、寒さに弱いかな。それじゃあ、これで。ガロウ、ゼロ、準備はいい?」
叡智の杖を握りしめ、アモンが放ったのは氷の魔術。
鋭い冷気と礫がレックスへと殺到し、その身体を見事に切り刻んでいく。
しかしレックスもただやられる訳ではない。
冷気に身体を切り裂かれつつも、自らの周囲にティラノシャーク達を召喚して猟兵へとけしかけてきたのだ。
「雑兵に用はない! どいてもらうぞ!」
そこに割り込んだのはオブリビオンに変じたゼロだ。
「こちらの準備は万全だ。後は任せろ!」
「ありがと、助かるぜ」
ゼロはその巨体を活かしてアモンの盾となり、鉤爪のついた前足を振るってティラノシャーク達を蹴散らしていく。
切り刻まれたシャーク達を噛みちぎる事も忘れない。彼らの血肉も狗神の力を動かす熱量に変わるのだ。
強化された力を使い、ゼロはまだまだ暴れまわる。
今の彼は捕食者側にいると言っても過言ではない。これなら大怪獣世界にだって適応出来ているだろう。
「この地域を、この世界を救うのが拙者の使命。人類の自由のために戦ってこそ奪還者よ!」
生じた勢いのままゼロはひたすらに暴れまわる。けれど心の内には冷静さもしっかり秘めて。
「アモン、ゼロ、ありがとよ! 俺も好きに暴れられそうだ!」
二人が作った隙を更に活かすべく、ガロウが敵の落下地点へと駆け抜けた。
「空を飛んでても殺気は変わらねぇようだ。それなら警戒すべき点は沢山あるな!」
果たして敵はどのような手段で反撃に出るだろうか。
あの巨大な顎での噛み付きか。それとも大きな足による踏みつけか。
尻尾や身体そのものの体積もとんでもない。ただ直撃するだけでも大怪我は免れないだろう。
けれど、ガロウはそれにも備えて準備をしてきている。
「コォォォォ……」
再びチャクラの呼吸を整え、ガロウは上空へと向かって鍋を構える。
敵の姿を視認したレックスも、捕食衝動を爆発させつつ口を開いた。その身体はより大きく、牙はより鋭くなっていく。
けれど大丈夫。相手が如何に恐ろしい化物だとしても。俺達三匹なら勝てない相手ではない。
ガロウが呼吸を整えた瞬間、レックスの顎が勢いよく鍋に食らいついた。
その衝撃はかなりのもの。油断したら鍋は一瞬で吹き飛ばされ、ガロウの身体もレックスの体内へと滑り込んでしまうだろう。
だが、今こそが好機!
「喰らい、やがれェーッ!!」
鍋から手を離し、レックスが再び動くよりも早く。ガロウが叩き込んだのは全力の正拳だ!
その拳はレックスの胴を貫き、その身体を再び空へと打ち上げる!
流石にこの攻撃は堪えたのだろう。レックスは抵抗もせず、そのまま地へとどさりと落ちた。
殺気立っていた目は白目を剥いてぴくぴくと動いているようだ。
その様子を見て、ガロウがぽつりと呟く。
「こうして見ると結構生き物っぽいな……アイツの肉、どんな味だと思う?」
その言葉にゼロは呆れ、アモンは再びけらけらと笑う。
「……ガロウよ、こやつら食材にするつもりか?」
「フカヒレってやつみたいな味がするんじゃない? 結構イケるかもよ」
例え相手が何物だろうと食らえるものは食らう。使えるものは使う。
彼らの発想はアポカリプスヘルの住人らしく、とても逞しいものだ。
その逞しさ、生きる強さはオブリビオンよりずっと強い。
その未来を切り拓く力は、確かに悪しき略奪者へと叩き込まれたのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
善哉・鼓虎
こう、強いもんと強いもんをかけたらもっと強いもんになる!みたいな気持ちはわからんでもないんやけど。
ティラノシャーク・レックスて…!
いや狙い通り?極悪な感じにはなっとるけどな!
(ちらりと先ほどからの配信の様子を見て)
さて…そろそろいかしてもろてもええやろか?
UC【ハッピーエンドコール】
【パフォーマンス】をしながら自分のSNSの利用者にアピール。
絶対、絶対、ハッピーエンドで終わらせるから!
みんな力を貸してや!
あの巨大にこの小さな体でできる攻撃のチャンスは少ない。
それを決して逃さんように確実にきめる!
ニコリネ・ユーリカ
やだこわい(ぷるぷる
B級映画の雄が骸の海で混ざっちゃったのかしら
こういうのは遊園地のアトラクションで十分……あっ
タダで楽しめると思えば不思議、怖くない!
よーし、頑張る!
巨大化した敵に踏み潰されないよう逃げ回りつつ商魂を燃やす
そう、それは儲かりたいというピュアな感情
いつか農場を買って温室でお花を育てて
多店展開するお金持ちになるの(ぐふふ
安アパートともおさらばよ
走っているうちにむくむく大きくなっちゃう
敵に負けないくらい巨大化したら勝負!
特撮みたいでワクワクしちゃう
大口を開けて突進してきた所に振り返って
シャッター棒をつっかえ棒みたいに衝き入れる
そんな腹ぺこなら、お仲間さんの攻撃を沢山喰らいなさーい!
●
ティラノシャーク・レックスは再び身を起こし、鋭い殺気を纏っていく。
その様子を見つつ善哉・鼓虎はどこか呆れた表情をしていた。
「いや、迫力はすごい……それに強いもんと強いもんをかけたらもっと強いもんになる! みたいな気持ちはわからんでもないんやけど……」
ティラノシャーク・レックスて。一体何を目的としてるんや。
「いや狙い通り? 極悪、凶暴! って感じやけどな!」
レックスの見た目はどうあれ、性質は悍ましい捕食者そのものだろう。
あれを放っておけば沢山の人が不幸になる。そんなの絶対に見過ごす訳にはいかないのだ。
決意と共に、鼓虎はソーシャル・レーザーを握りしめた。
一方、ニコリネ・ユーリカは……敵の姿を見て、ちょっとだけぷるぷるしていた。
「やだこわい……」
骸の海にもB級映画という概念が流れ込んだのだろうか。
それが何かよくないものと混ざり合って、そのまま飛び出してきてしまったのだろうか。
目の前の化物はまるでフィクションのような存在で、それこそ遊園地のアトラクションのような。
「……あっ。それなら怖くないかもしれないわ」
アトラクションをタダで楽しめると考えれば愉快痛快おもしろい。不思議とテンションも上がってくる。
それなら自分も好きに暴れてしまおう。
「よーし、頑張る!」
気合十分といった笑顔と共にシャッター棒を掲げ、ニコリネは全力で敵の方へと駆け出していく。
鼓虎もニコリネも、凶悪な敵を前にして己の力を高めようとする作戦は同じだった。
二人はそれぞれの心の支えについて思う。
鼓虎が見ていたのは自身のSNSだ。
SNSの皆も敵の姿にはおっかなびっくりしているようで、それがなんだか可笑しくて。
けれどそれ以上に、皆の声援が聞こえてきている。鼓虎ちゃんなら大丈夫、負けないでって。
「みんなありがとな。……そろそろいかしてもろてもええやろか?」
皆の気持ちを一つに束ね、その力で未来を切り拓く。それが自分の能力だ。
みんなのために戦うのがうちの役割。それを選び取ったのもうち自身。それなら徹底的にやってやるで!
自らの使命を果たすべく、鼓虎はSNSの向こうへと語りかける。
「うちがこの戦いを、この世界をハッピーエンドに推し進めるで! せやから……うちに力を貸して!」
絶対、絶対、うちがどうにかする!
自作のロックミュージックをBGMに、鼓虎の声が響き渡った。
皆も一緒にノッてくれてる。それなら絶対にイケる!
鼓虎と彼女の賛同者の声は、ソーシャル・レーザーの光をより強めていく。
ニコリネはシャッター棒を活用しつつ、敵の周囲を駆け回っていた。
あの巨体にだけは潰されないよう気をつけて、内に燃やすのは商魂だ。
「どうしてあんなに素敵な農場を狙うのかしら。いえ、きっとオブリビオンにとっても魅力的なんでしょうね」
レックスの踏みつけをひらりと躱し、同時に後方の農場をちらりと見遣って。
やっぱり広い農場って素敵よね。私もあんな農場が早く欲しい。
そして高性能な温室を用意して、沢山のお花を育てるの。
そのお花と一緒に多店展開だってしちゃうんだから。色んな世界に色んなお店を。
想像すればするほど笑顔が溢れてくる。
最終的にはお金持ちにだってなるんだから。そうすれば今の安アパートともおさらば出来る。
どうせ住むなら高層マンションなんてどうかしら。そこもお花でいっぱいにして……。
膨らむ夢はニコリネに力を与え、彼女の身体を物理的にも大きくしていく。
それこそ、レックスと相対出来る程に。
「あなたの食欲と私のピュアな感情、どちらが強いか勝負ね!」
一緒に巨大化したシャッター棒をびしっと構え、ニコリネは勇ましく立ち塞がった。
目の前には巨大な人間。その後ろには小さな人間。
猟兵達の姿を改めて視認し、レックスの口が歪んだ笑みのような形へと変わる。
そして二人を捕食しようと、レックスも自らの衝動を高めだしたようだ。
それに合わせて巨大な顎が開かれて――まずはニコリネに迫る!
「特撮みたいでワクワクしちゃうわ。さあ、かかってきなさい!」
ニコリネもバットのようにシャッター棒を構えて敵を待つ。
レックスの凶悪な牙が彼女の身体を噛み砕こうと迫ってくるが、焦りは禁物だ。
「随分腹ぺこみたいね。それなら……まずはこれを召し上がれ!」
敵の口が最も開かれる瞬間を狙い、ニコリネは身体の向きを大きく変えた。
同時にシャッター棒を縦に突き出しレックスの口の中へ。つっかえ棒のように嵌ったそれはレックスの口の開閉を阻む。
「これだけじゃ足りないでしょう? それなら……お仲間さんの攻撃を沢山喰らいなさーい!」
「ありがとう、助かったで! それだけでっかく口が開いてるなら、好きなだけ叩き込めそうや!」
鼓虎はソーシャル・レーザーの出力を最大まで上げて、レックスの口へ狙いを定める。
ニコリネが作ってくれた隙は大きい。自分のように小さな者があの巨体へと攻撃出来るチャンスはさほど大きくはないだろう。
だからこそ、ここで絶対に決める!
「あんたみたいに誰かを不幸にする存在は、この世界にいらん! だから……みんなであいつをやっつけよ!」
鼓虎の声に応えるようにSNSから声援が溢れ出した。
ハッピーエンドは皆で作り上げるもの。略奪者なんかに邪魔はさせない。
皆の意思が、願いが電力へと変わり――放たれるのは流星のような砲撃だ!
「いっけぇぇぇ!!」
放たれたレーザー砲はレックスの口内へと直進し、その身体を内側から焼き尽くす。
邪悪な捕食者はその食欲故に身を焼かれた。
そしてその邪悪な欲望よりも……猟兵達の夢の方がよっぽど強いのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
節操のない姿をしたものだ
戦域に他の猟兵の姿がないことを確認し行動
巻き込むのは本意ではない
自身への攻撃は『刻真』で自身を異なる時間へ置き影響を阻止
必要魔力は『超克』で世界の“外”から汲み上げる
目標が生み出した大怪獣世界を境界で更に上書き
真に全であるが故に一切の揺らぎのない、完全に凪いだ全なる空虚を呼び込み取り込む
全てを内包する空虚の内で「まとも」でいられるのは「それじたいであるもの」のみ
己を認識することすら全存在を傾けねば叶わぬ話だろう
つまりこれが自分なので俺は困りもしないが
取り込めば放置しても消えるかもしれんが待つまでもない
『討滅』の破壊の原理を乗せた打撃で排除にかかる
※アドリブ歓迎
●
「節操のない姿をしたものだ」
身体の内から黒煙を吹き出すレックスの姿を見て、アルトリウス・セレスタイトはぽつりと呟く。
巻き込むような範囲内に仲間や民間人の姿はない。それなら十分、誰かを巻き込んでしまうのは彼の本意ではなかった。
だがレックスは何も気にしないだろう。
全てを飲み込み、自らの腹へと収めるべくレックスは暴れまわる。怪獣の咆哮に応えるように、空から奇妙なものが降り注いだ。
それは空飛ぶ殺神ザメや暴食恐竜の群れ。
どこか奇妙だが悍ましい捕食者達はこの世界を覆い尽くそうとしていく。
けれど――世界を覆い尽くす事、世界を塗り替える事に関してはアルトリウスの方がよっぽど得意とする事だ。
「拝せ」
五月蝿い咆哮の波をかき分けるように、アルトリウスの声が響いた。
同時に怪獣達の頭上から更に降り注ぐものがある。淡青色の光の雪がふわりと地上に降り立って、辺り一帯を包み込み始めたのだ。
光を中心に広がるのは「全なる空虚」の空間。この世界は真に全、だから決して揺るがない。
怪獣達が生み出した混沌を塗りつぶすように、凪の世界が広がっていく。
怪獣達は困惑した。何故なら次第に自分の身体が溶けて消え去っていくのだから。
この空虚はすべてを飲み込む。その中で十分に自己を認識し、まともでいられる存在は限られている。
自分が「すべて」になった時に、自己の境界を認識できるのは――その「すべて」と同等の存在だけだ。
「この空間では己の存在を認識することすらままならないだろう。お前達のような者では、全存在を傾けても叶うかどうか」
凪の空間において無事でいられるのはアルトリウスだけだ。
何故ならこの空間は彼の起源。自分自身と同じ空間にいるのだから、その中で自己を掴み取る事も難しくはない。
このまま放っておけば怪獣達も完全に消え去るだろう。
けれど、わざわざ時間をかける必要もない。
「お前達に終わりを告げてやる」
降り注ぐ光とは別の、鋭い光を両手に纏わせつつアルトリウスは怪獣達の方へと進む。
そしてそのまま拳を握りしめ、淡々と怪獣の胴へと突き出して。
そこから生じる破壊の原理は怪獣の身体を砕き、全てを無に帰していく。
雪のような光が消え去れば、大怪獣世界も完全に消え去っていた。
悪しき存在が作り出す不完全な空間よりも――全なる空虚の方がより強く世界に刻まれ、その在り方を変えていくのだ。
大成功
🔵🔵🔵
バレッタ・カノン
ベアータと
食い尽くすばかりで戦い方を知らんようだな
ベアータ、奴に戦争のやり方を見せてやろう
UC戦術爆撃で降ってくる鮫や恐竜ごと一帯を焼き尽くす
地獄を駆けてみろ
爆撃で生き残った【戦闘知識】が役に立つとはな
できるだけ姿勢を低く、【地形の利用】をして爆煙に身を隠しながら速やかに敵へ接近。足を止めてはいけない【ダッシュ】
混入した不発弾が遅延して爆発する可能性があるから気をつけたい
回避不能な被弾は『術式ユニット』の【オーラ防御】で防ぐ
息を合わせ、ジグザグ移動しつつ『重機関銃』で牽制
ベアータの背中に飛び乗り、タイミングを見計らって【ジャンプ】
上空から奴の顔面に【榴弾】を【投擲】
これが戦場だ
アドリブ大歓迎
ベアータ・ベルトット
バレッタと
爆撃地帯…はは。いつもながら無茶苦茶やってくれるわねアンタ
トッププレデター気取ったソコのデカブツよりよっぽどおっかないっての
蝙翼機光を展開。機脚のブーストを活用し敵の元までダッシュ
暗視デバイスで煙による視界悪化を防ぐ
降ってくる奴らの迎撃用にWGを発動。ビームの群れを放ち、視認した敵を次々に撃ち砕く。敵に当たらず落ちてきた榴弾も光の翼で弾いてぶつけてやるわ。散らばった肉片でも捕食できたら最良ね
近くまで接近したら、バレッタを背中におぶり、敵の喉元目掛けてワイヤーを射出
吸血しながらワイヤー巻上げの勢いで滑空し、輪餓爪による脚撃で首筋を切り裂いてやる
当てたらすぐに離脱。バレッタ、決めなさい!
●
傷つきながらもティラノシャーク・レックスは立ち上がり、巨大な顎をガチガチと鳴らす。
恐らく傷を癒すために血肉を喰らいたいのだろう。口からはぼたぼたと涎が垂れ流されている。
見ている者が恐れを抱き、立ちすくんでしまいそうなレックスの姿。
けれど猟兵からすれば決して恐ろしいだけの存在ではない。バレッタ・カノンとベアータ・ベルトットにとってもそうだ。
「食い尽くすばかりで戦い方を知らんようだな。ベアータ、奴に戦争のやり方を見せてやろう」
「ええ。どちらがより強い存在か……見せてやりましょう」
二人の宣言に応えるようにレックスが大きく吼えた。
同時に空から殺神ザメや暴食恐竜が降り注げば――辺り一体は荒野ではなく、大怪獣世界へと姿を変える。
「ベアータ、奴の作り出した世界を塗り替える。お前なら駆け抜けられるな?」
「当然よ。アンタの滅茶苦茶な作戦にだって着いていってやるわ」
同意が取れればあとは動くだけ。
バレッタは懐から大量の対戦車徹甲弾を取り出すと、それを一気に上空へと投げ飛ばした。
砲弾の雨は降り注ぐ怪獣達も、レックスも、そして猟兵達をも巻き込むように大きく弾ける。
空から落下してくるのも怪獣ではなく不発弾へと変わり、地に落ちた砲弾も次々に荒野を更に焦がしていく。
ベアータが生み出したのは怪獣の世界よりも恐ろしい爆撃地帯だ。
だが疎らな攻撃ではレックスを殺し切る事は不可能。この爆撃を潜り抜け、敵へ接近する必要がありそうだ。
ベアータとバレッタは呼吸を合わせ、砲弾の雨や生き残った怪獣達の合間を駆け抜ける。
「爆撃で生き残った知識が役に立つとはな」
ベアータの方は幼少期からの知識や経験を活かし、己の身体能力を全力で使って進んでいた。
姿勢は低く。使えるものはなんでも使う。必要に応じて障壁術式ユニットも起動するが、走行の妨げにならないように気をつけて。
爆煙の中を突っ切ると昔の事を思い出す。
自分がここまで生き残れたのは傭兵団に拾われたから。けれどそこでの扱いは決して幸福とはいえなかった。
虫けら同然の囮として、ひたすら命を削らされた。その怒りと悲しみはまだまだ消える気配はない。
けれど、今の自分には仲間がいる。共に駆け抜ける戦友がいる。
「バレッタ、そっちは大丈夫?」
「ああ。そっちこそ不発弾に気をつけろ。いつ爆発するか分からないからな」
聞こえてくる友の声に安心感も覚えつつ、バレットガールはひた走る。
迫りくる頂点捕食者の顔面に自分達のやり方を叩きつけてやれ。
重機関銃を構えつつ、バレッタは一気に敵へと接近していく!
「それにしても……トッププレデター気取ったデカブツよりアイツの方がよっぽどおっかないわね」
ベアータは自身に搭載されたユニットをフル活用しつつ突き進んでいた。
背には蝙翼機光、暗視デバイスで視界を確保し、更に機脚のブーストも途切れさせずに。
怪獣達は蝙翼機光から放つレーザービーム『Weasel Gale』により迎撃しつつの行進だ。
空中で爆ぜた怪獣の肉片が落下してくれば、それを獣爪で突き刺しそのまま喰らう。おかげでユニットを動かす燃料も常に補充出来ている状態だ。
「っとと、バレッタの言う通り榴弾も厄介ね……やっぱりアイツの方がおっかないわ」
落下してくる榴弾も蝙翼機光で払い除けつつ、バレッタは微かに笑っていた。
とんでもなく過酷な作戦。力技で道をこじ開けるようなやり方なのに不快感はなかったから。
きっとこれはバレッタと一緒に考えた作戦で、これが私達のやり方だから。
「それじゃあ……そろそろ決めるわよ!」
戦友が一気に前に出たのを確認し、ベアータも一気に機脚のブーストを加速させた。
爆煙の中からレックスの姿が浮かび上がる。ゴールはもうすぐだ。
「バレッタ、乗って!」
「ああ」
ベアータが蝙翼機光を停止すると同時に、バレッタが彼女の背に飛び乗る。
背中に友の重みを感じたのなら、今度はベアータがワイヤー『Vampwire』を敵へと射出、鋭い鉤部がレックスの喉に突き刺さった。
「飛ぶわよ!」
「こちらも準備は出来ている」
吹き出るレックスの鮮血をエネルギーに変えて一気にVampwireを巻き上げれれば、二人の身体は宙を舞う。
その勢いを利用しつつ、バレッタは更に空へと高く飛び上がった。
思わずそちらを見上げたレックスだが、奴の眼前にはベアータが迫ってきている。
「余所見するんじゃないわよ!」
叫びと共に機脚を突き出せば、中から飛び出た輪餓爪が凄まじい勢いでレックスの首を切り裂いた!
その勢いでレックスは再び空を見上げ――そこから迫る死の存在を認識する。
「バレッタ、決めなさい!」
「了解だ。そこの捕食者気取り――これが戦場だ」
ベアータがレックスの側を離脱して、すぐに凄まじい爆撃が巻き上がる。
空へと飛んだバレッタが地上へ向けて榴弾を叩き込み、レックスごと焼き払ったのだ。
爆発地点から少し離れた位置にバレッタが着地し、ベアータは少し安心したように息を吐く。
「……ほんと、滅茶苦茶ね」
「これに着いて来るベアータも滅茶苦茶だと思うがな」
軽い憎まれ口も信頼の裏返し。
猟兵達の連携は、そして生き様は、見事に悪しき捕食者へと叩き込まれたのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リカルド・マスケラス
「ジャガイモは何にでも使える食材なんすから、潰させるわけにはいかないっすよ!」
そんな感じで登場するのはバイクに乗った狐のお面
「そら、こっちっすよ!」
相手の足元でバイクを【操縦】してちょこまか動き、攪乱。巨大化するなら、更に足元は見づらくなると思う。そこで更に相手の足に鎖分銅を射出してひっかけ、【怪力】で引っ張って転倒させようとする。パワー勝負で分が悪ければ、鎖を伸ばしたりの【ロープワーク】で引っ張る力の緩急付けて店頭を試みる。
「その巨体が仇となったっすね!」
そしてビーム砲あたりから重力属性の【属性攻撃】を乗っけた【虚空弾】を射出する。
「さあ、押し潰れるといいっすよ!」
●
黒煙の中から命からがらレックスが飛び出してくる。
それと同時に荒野に響き渡るのは、軽快なバイクの走行音だ。
「ジャガイモは何にでも使える食材なんすから、潰させるわけにはいかないっすよ! あのデカブツ、さっさと退治してやるっす!」
声はバイクから聞こえてくるように思われたが、実際は違う。
声を発していたのは備え付けられた狐の面。彼の名前はリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)。ヒーローマスクの猟兵である。
「そら、こっちっすよ!」
リカルドはレックスの足元まで一気に駆け寄り、大声で敵の注意を引きつける。
無機物であるリカルドはレックスの捕食対象にはならないだろう。けれど相手の気を引ければそれで十分。
レックスもリカルドが自身の敵対者であると認識し、怒りと衝動を滾らせその身を大きくさせていく。
「自分相手にでっかくなって大丈夫っすか? ほら、足元見えにくいっすよね?」
巨大な怪獣の足に踏み潰されないように気をつけつつ、リカルドはひたすらタイヤを走らせる。
そして相手が完全に自分を見失った瞬間を狙い――方向を変えようとした足に向け、放ったのは鎖分銅だ。
鎖分銅は見事にレックスの足に引っかかるが、そう簡単に転ぶような相手ではない。
異物感に暴れまわるレックスに対抗するように、リカルドは更にバイクのエンジンを吹かせた。
「そっちがパワーなら、自分は知識と経験で立ち向かってやるっすよ」
鎖分銅の鎖を伸ばし、引っ張る力に緩急をつけて。
力比べに勝ったのはリカルドの方だ。
「その巨体が仇となったっすね!」
倒れるレックスの身体に潰されないよう注意しつつ、リカルドはレックスと少しだけ距離を取った。
相手が動けない今こそが好機。バイクに搭載されたビーム砲『ミルキーウェイ』に弾丸を装填し、レックスの胴へと狙いを定めて。
「さあ、押し潰れるといいっすよ!」
撃ち出されたのは「虚空弾」と呼ばれる属性弾だ。
凄まじい重力を生み出す弾丸は見事にレックスの胴へと着弾し、その身を荒野の中へと沈めていく。
同時にレックスの咆哮が聴覚に叩きつけられるが構うものか。
「さっきから散々何かを喰らいたがってたじゃないっすか。重たい弾丸を喰らう気分はどうっすか!」
楽しそうに声をあげるリカルドだが、その内には強い正義感が宿っている。
このデカブツは誰もが笑って過ごせる世界を壊す悪党だ。それをヒーローマスクである彼が許せはしない。
その怒りと想いは、重力弾としてしっかりレックスへと叩き込まれていった。
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
流石にこいつを中に入れる訳にはいかないわね
ツインヘッドティラノシャーク共を見やり、「機構召喚符」から「金剛石式鎖鋸」を召喚し装備する
古来より、サメにはこれが効く
「ガジェットブーツ」の跳躍機構の【メカニック】と【怪力】で支えられた体幹で、サメ供を足場に縦横に戦場を飛び回って奴等を解体して回ろう
問題はレックスだが、そこで切り札を切りたい
返り血を指で横引いて血化粧を行い
「コード・ハイペリア」
紋章の【封印を解く】事で、ダイヤモンド刃に超重力をかける事で、黄金色じみたロンズデーライト刃に錬成
3倍(当社比)に増した切れ味に、重力【属性攻撃】を加え、機構靴による縦横無人の機動力でレックスの解体に移りたい
●
ボロボロの身体になってもレックスは諦めていないようだ。
異常なまでの身体能力と捕食衝動。それを目の当たりにし、才堂・紅葉は瞳に決意を宿す。
「流石にこいつを中に入れる訳にはいかないわね」
同時に懐から取り出したのは『機構召喚符』だ。
紅葉の想いに応えるように召喚符が煌めき、呼び出されるのは――金剛石式鎖鋸。
「古来より、サメにはこれが効く。バラバラにしてやるわ」
鎖鋸とガジェットブーツの動力を同時に起動し、紅葉は一気に空を駆け抜ける。
レックスも迫る獲物に反応し、一際大きな咆哮をあげた。
その声によって呼び出されたのは無数のティラノシャーク達。見た目がどうあれ相手は獰猛な怪獣。油断は禁物だろう。
「邪魔よ、どきなさい!」
空を飛ぶ怪獣達を踏み荒らしつつ、紅葉は縦横無尽に荒野を飛ぶ。
ブーツによって踏みつけられた怪獣は黒煙をあげつつ爆ぜ、紅葉に迫った怪獣は鎖鋸によって切り裂かれた。
こいつらは然程問題にはならない。簡単に解体する事が出来る。
そうなると、問題は大将であるレックスだ。
「簡単には切り刻ませてくれないわね。けど、こちらにも奥の手があるわよ」
返り血で汚れた指を顔に擦りつけ、紅葉の白い肌に真っ赤な線が走る。
血化粧に彩られた彼女の顔は怪獣達に負けないくらいに獰猛だ。
覚悟が決まればそれに応えるものもある。
紅葉の手の甲が眩く輝けば、そこに浮かび上がるのはハイペリアの紋章だ。
「――コード・ハイペリア」
紋章の光は鎖鋸も包み込み、その刃に凄まじい負荷をかけていく。
輝きが消え去る頃には金剛石式鎖鋸の刃は黄金色じみたものに変わっていた。
その刃を構築するのはロンズデーライト。金剛石よりも硬いと言われている物体だ。
「さあ、解体してあげる」
紋章の力で重力を巧みに操りつつ、紅葉はレックスの周囲を駆け回る。
相手がこちらを捉えるより速く、相手よりも獰猛に。
紅葉が突き出した輝く刃は少しずつレックスを切り刻み、その血肉を削っていく。
けれど追い詰められた獣は最も危険だ。せめて一矢報いようとしたレックスが、大口を開けて紅葉を飲み込もうと迫りくる!
「舐め、ないでよね!!」
負けじと紅葉も刃を突き出し、レックスの口内へと突っ込ませ――相手が牙を突き刺すより速く、その喉を貫いた!
そのまま紅葉は後方へと離脱し、レックスが倒れ伏すのを確認する。相手の身体はゆっくりと溶け出し、骸の海へと還っていくようだ。
身体についた血を拭い取りつつ、紅葉は呼吸を整える。
「これで……この農場も安心ね」
後方に控える人の営みが無事なのを確認し、ようやく安堵の息を吐いて。
猟兵達は見事に悪しき捕食者を打倒し、農場の平和を守ったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『アポカリプスで農業を』
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POW : 力仕事を担当する
SPD : 丁寧な仕事を心掛ける
WIZ : 技術指導などを行う
|
●
激しい戦いが終わり、拠点や農場の人達も外へと出てきていた。
彼らは次々に猟兵達へと感謝の言葉を述べ、戦いの後処理も行っている。
「本当に助かりました。ありがとうございます……!」
「あの、よければ農場も見ていきませんか。ちょうどジャガイモも実りはじめているんです」
彼らの言うようにジャガイモ畑では少しずつ成果もあがりはじめているようだ。
けれど、この農場はまだまだ発展途上。育つジャガイモも小ぶりなものが多いようだ。
もし猟兵の気が向いたのなら、彼らの手伝いをしていってもいいかもしれない。
単純に作業を手伝ったり、あるいは何かアドバイスをしてみたり。
もしくはジャガイモの活用方法を伝えてみるのも良いかもしれない。
この畑も拠点にも、これからがあるのだから。
●
3章のプレイングは【7月2日(木)8:31~】募集開始させていただきます。
よろしくお願いします。
善哉・鼓虎
ふぅ、なんとかじゃがいも畑も守りきることができたなぁ。
あとなんかうちにできそうな事があったらどんどん言ってや!
かと言ってうちも農業に詳しいわけやないからなぁおかしなことしてもたらあかんからとりあえず教えてもろたことをしとこ。
見た感じ小ぶりなじゃがいもが多いけど…そうゆう品種なんかも知れんし…まぁ、素人意見やとやっぱり肥料かなぁ。人が生活してて手に入りやすいゆーたらやっぱり堆肥やけど…。
その辺詳しい人もおるかもやし活用法とかも含めてちょっとうちのSNSのほうでなんか聞いてみる?【コミュ力】
●
拠点の周囲からは少しずつ戦いの痕跡が掃除されていく。
残るのは広々とした畑だけ。その光景を見ながら善哉・鼓虎はニコニコと笑みを浮かべていた。
「ふぅ、なんとかじゃがいも畑も守りきることができたなぁ」
戦いは大変だったけれど、これで一安心。
だけどこの世界にはまだまだやるべき事がある。鼓虎は畑で作業をしていた大人達の元へと駆けより、明るく声をかけた。
「なんかうちにできそうな事があったらどんどん言ってや!」
「おお、怪物を倒すだけじゃなくこっちの手伝いまで。ありがとう、お嬢さん」
鼓虎は拠点の人達に仕事を教えてもらいつつ、少しずつ畑の手入れを手伝っていく。
万が一間違ったことをしてしまってはいけない。せっかく育ててきた畑だ、やり方は拠点の人達に倣った方がいいだろう。
土をざくざくと耕したり、収穫されたジャガイモを運ぶのを手伝ったり。
そのような作業を進めつつ、鼓虎はジャガイモを一つ手にとった。
「見た感じ、結構小ぶりやなぁ。こういう品種なんかなぁ……?」
ジャガイモ達は鼓虎の手のひらにすっぽりと収まる程の大きさのものばかり。もう少し大きく育つのが一般的ではないだろうか。
ジャガイモが大きく育たないのが品種以外の理由なら。鼓虎はジャガイモを眺めつつその理由を考える。
「素人意見やけど……やっぱり栄養不足なんかな」
だとすると土に十分な肥料を使ってみるのはどうだろう。ぱっと思いつくのは堆肥だが、他にも何か使えるものがあるかもしれない。
「うち一人で考えとっても……あ、そうや!」
ぱっと笑顔を咲かせつつ、鼓虎は自身のSNSを起動していく。
こういう時は人海戦術だ。誰か農作業に詳しい利用者がいるかもしれない。
『ジャガイモの育て方のコツとかあったら教えてな!』
テーマを書き込めば、合わせて情報もぽつぽつと集まってくる。
例えばジャガイモの元になる種イモの扱い方から、病気への注意の仕方。
それから堆肥は効果的なようだ。牛のものを使ったりもするらしいけれど、すぐに手に入れる事は難しいだろう。
「一緒に牛なんかも育てられたら良さそうやけど、それはきっと未来の話やろなぁ」
ふと、鼓虎は気づく。そういえば――当たり前のように未来の事について考えられていると。
「……それってとっても良い事やな! この畑も世界も、もっと発展させていけるんや!」
今すぐやれる事には限度があるけれど、それでも着実に前へと進める。
そしてそれはこれからも。
その実感を感じつつ、鼓虎は再び畑の方へと駆けていく。
拠点の人と知識を分け合い、未来を思い。きっと世界は、また一歩ハッピーエンドへと近づいていくのだ。
大成功
🔵🔵🔵
リカルド・マスケラス
まずは【料理】でお手伝い。【念動力】で調理道具を動かす
「ジャガイモは料理法次第で様々な食感が出せるから、レパートリーが増えれば飽きないっすよ」
じゃがバターから、ポテトサラダ、煮物、贅沢に油を使って揚げ物系もいいっすね。足りない道具や食材は『簡易キッチンセット』から持ってく
あとは
「特別な豊穣祈願のおまじないを教えるっす。さあ、自分をかぶって」
と、体を貸してもらって畑に魔法陣を描きUC使用、畑に豊穣の力を与える。複数人借りるなら【仮面憑きの舞闘会】併用。神職の人がいればそれっぽいかも
UCにまで昇華されなくても、魔力の使い方を体感して誰かが覚えてくれれば、身一つでも畑を元気にできるのではと、期待っす
●
調理場の中を一枚の狐面が飛んでいく。その狐面の周囲には同じく調理器具がふわふわと浮かび、周囲の人々を手伝っている様子。
狐面の正体はリカルド・マスケラスだ。料理が好きな彼は拠点の人々に様々なジャガイモ料理を教えていた。
「ジャガイモは料理法次第で様々な食感が出せるから、レパートリーが増えれば飽きないっすよ。味付けも辛いのから甘いのまで、なんでも対応できるっす」
「確かに……ふかしたり焼いたりしてばかりじゃ飽きるわね。色々教えていただけるかしら?」
リカルドの指示は的確で、更に実演までしてくれている。
おかげで拠点の人達は次々に新しいジャガイモ料理を学べているようだ。
足りない道具は手持ちのキッチンセットで代用できる。他の道具も少しずつ入手していったり、代用出来る道具を探していけばいいだろう。
「王道のじゃがバターにポテトサラダに……和風の煮物なんかも美味しいっす。それに油に余裕があるなら揚げ物だって美味いっす」
「煮物っていうのは初めて聞いたわ。こういう料理もあるのね」
様々な国や世界の知識を活かした料理は好評なようだ。
調理場の方はこれで大丈夫だろう。畑の方も手伝うべく、リカルドは拠点の人々へ声をかけていく。
「次は特別な豊穣祈願のおまじないを教えるっす。さあ、自分をかぶって」
まずはユーベルコードで狐面の分霊を呼び出し、畑で作業していた人達へと身体を貸して。
準備が整えばいよいよ呪いの実践だ。
「今度は地面にこういう陣を書いて欲しいっす」
「ふむふむ……不思議な術もあるんだね」
狐面を被った人達が畑に魔法陣を記していけば準備は完了。
皆で意識を一つに集中し、リカルドが中心になって描かれた魔法陣――『森羅穣霊陣』がその力を発揮する!
「ここに悪しきを払い、恵みをもたらせ!」
陣が大きく輝けば、それに合わせてジャガイモも元気になっていく。
葉はより瑞々しく、土にもしっかりと水分が巡っていき……いざ土を掘り返してみれば、中には立派なジャガイモが埋まっていた。
「おお、本当に凄いぞ! ありがとう!」
「このおまじないを自分と同じレベルまで扱うのは難しいかもしれないっすけど……コツをつかめばまた畑を元気に出来るんじゃないかって思うっす」
今すぐにユーベルコード使いに覚醒しなくとも、いつかはこのような術を扱える人が出てくるかもしれない。
その時に向けて希望を繋いでおくのも大切だろう。
こうして、リカルドは無事に拠点の人々へと知識を伝える事が出来た。
そしてその知恵と力は、確かな実りとしてこの地に刻まれていった。
大成功
🔵🔵🔵
ガロウ・サンチェス
【三匹】
ん、あの鮫恐竜は溶けていったか?
肉が料理に使えるか楽しみだったんだがなー。
というわけで、ここからはアフターサービスだ。
なに、畑仕事ならお手の物だぜ。
鍬や鎌などの農機具を借りて、ジャガイモ畑を
耕し、手入れしていく。
「肥料も使わずに、これだけ獲れりゃ上出来だ」
おいオメーラ(ゼロ、アモン)、遊んでないで手伝えって。
うまいジャガイモ料理?
料理プロ級の俺によくぞ聞いてくれたな。
自身の<料理>知識を活かし、お勧めレシピを伝授するぜ。
ま、もっぱらエスニック系だけどな。
適当な具材や調味料があれば、炒め物ぐらいはここで
作れるんだが…探してみるか?(中華なべを取り出し)
ゼロ・クロニクル
【三匹】で
む。オブリビオンは骸の海に還ったか。
これで、この地域はひとまず安全か。
仕事を終えて一息
日陰で丸くなって休んでいたのだが、
ぱたぱた駆けてきた子供たちの格好の標的に…。
「…拙者は疲れておるのだ。…こら、モフるでない!
…アッ、そこ、そこは…わふん。」
ガロウの奴、戦った直後だというのにまだ仕事か。
相変わらずタフな奴よ…。え、お前も働け?
くっ、農村(忍びの里)出身だというのを覚えていたか。
で、何を手伝えばいい?手を使わなくていい仕事なら手伝うが。
む、そこの童たちも仕事がしたいのか?それは感心。
<野生の勘>を働かせ、地下水や大きい作物が植わっている箇所を
探り当てるぞ。
アモン・スメラギ
【三匹】
あー面白かった。たまにはあんなヘンテコなのを
相手するのもいいね。
さて、暇になったしSNS更新でもしよっかな。
>ジャガイモ畑なう
…っと。
えっ、何だよガロウ。働かざる者食うべからず?
はいはい、わかったよ…。
でも俺は肉体労働が苦手だからさ、ネットで
効率のいいジャガイモの栽培方法を調べて、
拠点の皆にアドバイスするぜ。
新世界の王たる者、作物の作り方ぐらいは
知っておかないといけないからな。
あれ、ガロウ、何作ってるん?エスニック炒め?
なんかSNS映えしそうだから撮らせてもらうわ。
料理ができたら、全世界に発信だ!
いつか世界中の皆が、美味い料理を好きなだけ
食べられるようになるといいな。
●
戦いは終わり、拠点には平和な空気が流れている。
そんな中、ガロウ・サンチェスは忙しなく畑の方で動き回っていた。
「ここからはアフターサービスだ、こういう仕事も大切だからな」
鮫恐竜のオブリビオンが消え去ってしまったのは残念だったけれど、ここにはジャガイモがある。
せっかく立ち寄った拠点だ。畑の手入れを手伝うのも悪くないだろう。
借りた鍬を巧みに操り、ガロウは畑を耕していく。
「これでこの地域はひとまず安全か。拙者も一息していこう……」
畑から少し離れた日陰ではゼロ・クロニクルが休憩中。
先程の戦いではかなり激しく動いたからか疲れも相当なものだ。ガロウのタフさにはびっくりだが、自分は再出発までのんびりしたい。
そう考えていたゼロだったが――。
「ねえ、わんちゃんがいる!」
「ふわふわだー! あそぼー!」
気がつくと拠点の子供達がゼロを発見し、目を輝かせている。
彼らはぱたぱたとゼロに駆け寄り、その身体をもっふもっふと撫でていく。
「こら、拙者は疲れておるのだ。休ませてくれ」
「えー! いいじゃん! 撫でるだけだよー!」
「……こら、モフるでない! ちょ、アッ、そこ、そこは……」
「お腹撫でてあげるね!」
「……わふん」
気がつくとゼロはすっかり子供達のおもちゃにされていた。
その様子を見ながらアモン・スメラギはけらけらと笑っている。
「あはは、さっきのヘンテコな怪獣も面白かったけどさ。今のゼロもウケる」
瑠璃色の蝶をふわりと浮かべ、まずはなんともいえない顔をしたゼロの写真を一枚。
次にガロウが働く畑の写真を撮って、『聖王国』へとアップして。
「ジャガイモ畑なう……と。お、反応良さげだなー」
のんびりとSNSの様子を眺めていたアモンだが、ふと顔をあげたなら……そこにはガロウが立っていた。
「あれ、どうしたの?」
「どうしたの、じゃねぇ。オメーラも遊んでないで手伝えよ。働かざる者食うべからずって言うだろ」
「えー……でも、しょうがないか」
アモンがしぶしぶ準備を整え始めたのを確認し、ガロウはゼロの方にも近づいていく。
「オメーも手伝え」
「拙者もか?」
「ゼロの故郷って農村だったろ。農作業くらい出来るんじゃないか?」
「くっ……その事を覚えていたか……」
ガロウが自分の事を把握している以上、サボる言い訳を作る事も難しいだろう。
子供達とはしばし別れを告げ、ゼロもゆっくりと立ち上がった。
「しかし、拙者は何を手伝えばいい?」
「そうだな、土の質が良さそうなところとか……あとは地下水なんかを探してくれ。掘る作業は俺も手伝うぜ」
ガロウが再び土を耕す横で、ゼロも自分の作業へと没頭していく。
鼻を利かせ、忍びとしての勘も働かせつつ周囲の探索を進めるゼロ。そんな彼の姿を、先程の子供達がじーっと見つめている。
「……そこの童達、どうした?」
「わんちゃんお仕事してて偉いから、僕達も手伝いに来たんだよ」
「それは感心。では共に働こう」
ゼロは子供達とも協力しつつ作業を進めていく。
現地に住んでいる人達からの話というものはありがたいものだ。子供達からの話を聞けばより必要な情報も集まっていく。
その情報を元にガロウと分担して土を掘れば――。
「おわ、すげえ! 新しい水脈だ!」
無事に新しい地下水が発見できた。一行は喜びを分かち合い、笑顔を向け合う。
「水が増えれば農作業もより捗るだろうな。でかしたぞ」
「わんちゃんもありがと! もっかいお腹撫でさせて!」
「いや、それは……だが……そのくらいならいいだろう。存分にモフってくれ」
なんだかんだで交流も深めつつ、農作業は続いていく。
子供達に全力で撫でられながら、ゼロはとある事に気がついた。
アモンの姿が見当たらないのだ。
「そういえばアモンは?」
「あいつは情報収集担当だぜ」
ガロウが指差した方ではアモンがSNSを駆使しているのが見える。
フラスコチャイルドである彼には農作業というのはなかなか酷だ。ここは適材適所に行動していくのが重要だろう。
「良さそうなジャガイモ栽培の方法を教えてくれっと……お、かなりたくさんヒットしてるな」
種イモの扱い方に肥料の種類。植え方に土の耕し方。
『聖王国』の利用者にも農作業に関わる者はたくさんいるようだ。情報も次々に集まってきている。
「あとはこれをいい感じに纏めて……よし」
情報は自分だけが持っていても仕方ない。
アモンは拠点の人々の元を訪れ、集めてきた情報を分かりやすく報告していく。
「兄ちゃん、若いのに凄いねぇ」
「俺は新世界の王たる者。このくらいの知識を蓄えるのは当然だよ」
人々が自分に注目しているのならチャンスだろう。
アモンは『聖王国』の布教もしつつ拠点の人々との親睦を深めていく。
三人はそれぞれ作業を進め、気がつけば農作業も一段落する時がやってきた。
けれどこの拠点で出来る事はまだ残っている。
「そうだな……うまいジャガイモ料理でも伝えていくか」
「ガロウの料理か。それならここの人達も喜ぶだろう」
次に一行が向かったのは調理場だ。そこで作業を進める人々の元へガロウが近づいていく。
「ジャガイモを使ったオススメのレシピがあるんだ。良かったら一度作らせてくれ」
「本当? ありがとう、助かるわ」
拠点にはあまり調味料や具材はなかったけれど、工夫する事は出来る。
足りないものは別の調味料で補ったり、似た食感のもので補ったり。
ガロウ達の車にもいくらかの食糧は積んであった。それらも利用して調理が進み――出来上がったのはジャガイモのエスニック風炒めだ。
「俺の鍋で炒めたから、火はかなりしっかり通ってると思うぜ」
拠点の人へと料理を振る舞えば、彼らの反応はとても好印象だ。
調理場からは喜びの声があがっていた。
「レシピも記録していくぜ。俺が得意なのはエスニック料理が多めなんだが……こういうのも新鮮だろ?」
「ええ、ありがたいわ。色々試してみたくなっちゃう」
試食と雑談に興じるガロウの元へ、ゼロも興味津々に近づいていく。
「あれ、ガロウ、何作ってるん? なんかSNS映えしそうだから撮らせてもらうわ」
「おう! どんどん広めてくれや!」
『聖王国』を通じ、拠点の楽しげな様子はどんどん伝わっていく。
SNS利用者達からの反応も上々だ。その反応を眺めつつ、アモンは思う。
「……今日みたいに、いつか世界中の皆が美味い料理を好きなだけ食べられるようになるといいな」
「その時を迎えるために俺達がいるんだろ?」
アモンの言葉にガロウはにっこりと微笑んだ。その笑みはとても頼もしく、希望に溢れている。
二人の話を聞いていたゼロも歩み寄り、共に言葉を交わす。
「ああ。オブリビオンの驚異は未だに消えない……だが、この世界は着実に前に進んでいる。そのために拙者達も戦っているのだ」
「……そうだな。今日の戦いもそのための一歩なんだよな」
三人の奪還者達はこの世界で生まれ育ち、そして救うために戦い続けている。
それは過酷な旅路であり、いつ成果が出るかも分からない。
けれど、今目の前に広がっている光景は確かな足取りなのだろう。
拠点の人々は楽しげに今日という日を過ごし、猟兵達が残したものを大切にしていく。
料理や地下水、そして新しい知識。彼らはそれを糧にして更に未来へ進んでいくのだ。
「こんな風に働くのも悪くないね」
「拙者も楽しかったぞ。童の相手は少々苦労したが……」
「はは、なんだかんだでオメーラも楽しんでたんだな!」
三人も笑い合いつつ今日の成果を確かめていく。
その表情はとても晴れやかで――この世界の未来を照らし出していくようだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベアータ・ベルトット
バレッタと
…小粒な芋だけど、この中には人々の希望が詰まってるわ
簡単に作れるハッセルバックポテトの作り方を教えましょ
バレッタが芋を運ぶ間に、調理場をセッティング
とりあえずフライパンがあれば大丈夫
あと干し肉・チーズなんかの保存食があるか確認しておく
おー、流石の馬力ね。うん。十分十分
バレッタも料理してみる?
丁寧にイモを洗って、包丁で花弁みたいに細かく切れ目を入れていく。あ、切り落とさないように注意ね
肉やチーズを間に挟めば、もっと美味しく仕上がるわ
調味料かけて、フライパンでしっかり焼き上げれば…完成よ!
希望が未来へ華開くように―見た目も味わってこそ「『人間』の料理」よね
ふふ、楽しんで貰えたら何よりだわ
バレッタ・カノン
ベア―タと
生きていると腹が減る。腹が減るから食べる。
せっかくの実りだ大事に食べるぞ。
ベア―タが皆に料理を教えるのにイモが要るらしい
私には【怪力】と『荷車』があるからな
イモの【運搬】は任せろ。
ベア―タ、これぐらいあれば足りるか?
それが済んだらイモと手を洗わないとな。水は貴重だ。無駄のないように手際よくやるぞ。
さて、なにか私にも手伝えるだろうか。
正直料理はほとんどしたことがないから自信はないぞ。
ベア―タが作るのはハッスル…?初めて聞く料理だ。
戻した干し肉をイモに挟んでいけばいいのか。わかったやってみよう。
出来上がるのが楽しみだな。
んまい!大地の恵みに感謝だ。
アドリブ等大歓迎
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戦いが終わり一段落もついた頃。
ベアータ・ベルトットとバレッタ・カノンは拠点の様子も見守るべく、まずは畑の方へと顔を出していた。
ちょうど収穫のタイミングだったようで、畑の側にはいくつかのジャガイモも置かれている。
一つ手にとってみれば、やはり一般的なものに比べると小ぶりな様子。
けれど、そこには確かな重みも存在している。
「……小粒な芋だけど、この中には人々の希望が詰まってるわ」
「ああ。生きていると腹が減る。腹が減るから食べる。これも大切な実りだ、大事に食べないとな」
大切な実りなら、より美味しく食べていきたい。
それなら料理を教えていくのはどうだろう。それなら皆喜んでくれるはずだ。
「そうね……簡単に作れるものを教えましょ。必要な材料も保存食の中にあるでしょうし」
「それならイモが必要だな。私は運搬の方を手伝ってくる。下準備は任せたぞ」
ベアータは調理場へ、バレッタは畑へ。
それぞれの役割を担うべく、二人は一時解散する事にした。
拠点の調理場にあったのは最低限の設備だけ。けれどそれでも十分だ。
「フライパン……はあるわね。それから干し肉にチーズ……よかった、全部揃ったわ」
住民から許可を貰い、ベアータは必要なものを手際よく広げていく。
後は戦友が戻ってくるのを待つだけだ。
窓から畑へと目を向ければ、バレッタが大きな荷車で芋を運んでいるのが見える。
「このくらい……で十分だろうか」
彼女の荷車は持参したもの。金属製で装甲は分厚く、更には大量のものを運搬できる。
大の大人でも押すのが難しいものだが、バレッタの怪力にかかれば軽々と扱う事が可能だ。
大量の芋と共に、バレッタも調理場の方を目指していく。
「ベア―タ、これぐらいあれば足りるか?」
「おー、流石の馬力ね。……うん、十分十分」
芋を運び終わったのならば次は土を落とさなければ。
新しく地下水も掘られたようだが、水はまだまだ貴重だ。二人は手際よく芋を洗い、下準備を進めていく。
そしていよいよ本格的な調理の時だ。
「バレッタも料理してみる?」
「私も? 正直料理はほとんどしたことがないから自信がないぞ」
「大丈夫よ、すっごい簡単だから。ハッセルバックポテトって言うの」
「ハッスル……? 初めて聞く料理だが……せっかくだから手伝っていこうか」
二人は共に調理場に並び、少しずつ料理を進めていく。
包丁を扱うのはベアータの仕事だ。
芋を切り落とさないよう注意しつつ、丁寧に切れ目を入れて。花のような切れ目を入れればなんだか芋も可愛らしくなっていくようだ。
その横ではバレッタが干し肉を水に浸けて戻しつつ、芋の中へと挟み込んでいた。チーズも一緒に挟み込み、出来上がる味に思いを馳せて。
「出来上がるのが楽しみだな」
「簡単なのに美味しそうでしょ? 後は調味料をかけて、フライパンで焼いて……」
準備が整った芋をベアータが器用に焼いていく。
その表情は年頃の少女らしく、そして何より人間らしい。無意識の内に発動するベアータの力が調理場の中に広がっていく。
そんな戦友の様子を見つつ、バレッタも少し表情を緩めている。
「こういうのも良いものだ」
ぽつりと呟いた言葉は火と油の音にかき消されたけれど、きっと気持ちは伝わっているはずだ。
そして暫く調理が進み――。
「よしっ! 出来た!」
「せっかくだから拠点の人達も集めよう。皆で試食会だな」
無事にハッセルバックポテトは完成し、合わせて拠点の人々も調理場へ集まってくる。
ここからは楽しい試食会だ。
「わぁ、可愛らしい芋料理だな」
「ふふ、そうでしょう。せっかくだから見た目も味わえるようにしてみたわ」
ベアータの目論見通り、出来上がったポテトは花弁にように広がっていた。
希望が未来へ華開くように。そんな願いが籠められた料理は見た目からして華やかだ。
横ではバレッタが住民と共に料理を味わっている。
「……んまい! 大地の恵みに感謝だな」
採れたてのジャガイモは新鮮で、チーズと肉の旨味も際立つ。
甘党のバレッタからしてもハッセルバックポテトは香ばしくてとても美味しい。
そう思うのは自分が調理に携わったから、というのも大きいだろう。
美味しそうに料理を頬張る戦友を見て、ベアータも緩く笑みを浮かべた。
「こんな風に皆でワイワイ楽しんで……これこそ『人間』の料理、よね」
「ああ。確かにこれは人の営みだ。皆で作物を育て、皆で調理をし、皆で食べる。かけがえのない物事だ」
ベアータもバレッタも苛烈な戦いに身を置く猟兵達。
だけど、こんな時くらいは。しっかりと自分達が人間である事を思い、そして楽しむ。
そしてこの営みはいずれ世界に広がって、確かな成果を残していくはずだ。
「楽しんでくれて何よりよ。今日はありがとう」
「こちらこそ。今日はお疲れ様だ」
こうやって互いを労い合うのも人間らしい営みだ。
暖かな気持ちを胸に、二人の少女はゆるりと時間を過ごしていった。
大成功
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才堂・紅葉
まぁ、折角ですしお仕事をして帰りましょうか
今後の商売でのお付き合いもあるかもしれませんしね
農園から少し離れた場所に【蒸気王】を召喚し、農園の方達と【礼儀作法、コミュ力】で何かしらの大きな作業を請け負いましょう
「見ての通りの力持ちですから。何かしら協力をさせていただきますね」
・農園拡大の為の耕作作業
・農道作成の為の整地作業
・水源が有るなら感慨作業
・倉庫等の建築作業
農作業の【情報収集】とアースやアルダワ学園で学んだ【メカニック】でざっくり出来る事を提示し、後は現地の方々の判断に任せましょう
長い滞在は出来ないので、蒸気王の力業による大雑把な作業しか出来ませんが、上手く活用して頂きたいですね
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拠点から少し離れていた場所にて、才堂・紅葉は少し休憩していた。
畑の方へと目をやれば働く人影が見えている。折角だから彼らを手伝っていくのもいいかもしれない。
「今後の商売でのお付き合いもあるかもしれませんしね」
戦場傭兵としてもコネクションが多くて損をする事はないだろう。あと少しだけ働いていこう。
そう決心した紅葉はゆっくりと立ち上がり、ユーベルコードの力を高めていく。
「蒸気王、出番ですよ」
呼び出されたのは巨大な蒸気ゴーレム『蒸気王』だ。
ゴッドにもデモンにもなれる凄まじい兵器だけれど、今日は平和に働いてもらわなければ。
紅葉は蒸気王と共に拠点に歩み寄り、そこで働く人々へと声をかけていく。
「いやぁ、凄い機械だねぇ」
「見ての通りの力持ちですから。何かしら協力をさせていただきますね」
紅葉の物腰柔らかな態度と蒸気王の存在感により、仕事はすぐに請け負う事が出来た。
今やるべき作業を一通り確認し、あとはひたすら働くのみ。
「一番大切なのは現地の方々の指示を仰ぐことですが……知識や経験も役に立ちますね」
猟兵として世界を巡れば自然に新しい事も学んでいける。
紅葉は今まで訪れた世界での知識を元に、少しずつ作業を進めていた。
蒸気王が出来る事は大雑把かつ時間も限られている。けれど人力では不可能な事が出来るというのは大きいだろう。
周囲の荒野から瓦礫や何かしらの残骸を片付け、更には土を耕したり。
拠点そのものの補強や建築も可能だろう。重たい物資を運ぶだけでも拠点の人々は大いに喜んでくれていた。
発掘されたばかりの地下水を上手く使い、畑の方へと灌漑させる事だって出来る。
「本当に凄いねぇ」
「本来は農作用のゴーレムではないのですが……こういう風に役立てるのもアリでしょう」
蒸気王を作ったのはアルダワのマッドな生徒たちだ。
彼らが今日の成果を聞けば喜ぶだろうか。いや、あのマッド達が喜ぶのはちょっと癪かもしれない。
そんな事を思いつつも、出来上がっていく成果は嬉しいものだった。
「一度に出来る作業は限度がありますが、それでも何が用があればまた呼んで下さい。相応に働くのが私の仕事ですから」
「奪還者さんのようだね。頼もしいよ」
もらった仕事は最大限にこなす。それが紅葉のやり方だ。
拠点の人々からの評価が上々な事を受け、紅葉は嬉しそうな笑みを浮かべる。
「これからもこの拠点が発展していくのを祈っていますよ」
最後まで礼儀正しく丁寧に。
紅葉はしっかりと仕事をこなし、今回の仕事も終えていくのであった。
大成功
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ニコリネ・ユーリカ
はー機獣も鮫恐竜も怖かった!
街の状態を確認して、後片付けしましょう
あとはやっぱり、農場を見せて下さぁい!!
皆さんを農場を持つ先輩と仰ぐと同時、花屋として持つ知識を提供します
きっと今の資材じゃ耕すのも大変よね
閑耕地か拡充予定地を乗用耕耘機で耕してお手伝いしましょ
肥料も撒けるし空気を含んだ良い土になるのよ
お料理タイムはひびきくんもご一緒に!(エプロンささっ)
小ぶりなジャガイモは皮ごと煮っころがしちゃおっと
焼き目が付くまで炒めたら、味醂と麺つゆで煮詰めまーす
麺つゆって万能すぎて何でも作れるの凄いと思う
竹串を刺して柔かさを確めたら、そのまま食べちゃって!
うん、おいし
この農場が皆を支えてくれるといいな!
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「はー、機獣も鮫恐竜も怖かった!」
激しい戦いが終わったのを実感しつつ、ニコリネ・ユーリカは息を吐く。
けれどここからは楽しい時間。せっかく広い農場があるのだから存分に見学していこう。
「さあ、早速……農場を見せて下さぁい!!」
足取り軽く、ニコリネも畑の方へと向かっていく。
「お嬢さんは花屋なのか。いいなぁ、ジャガイモの花以外は長いこと見ていなくて」
「この世界もいずれ花でいっぱいになると思うわ。今日はそのための新しい一歩ね」
拠点の人々との交流はスムーズに進める事が出来た。
同じ何かを育てる者として、互いに尊重しあって知識を分け合う。それは拠点の人達からしても望ましい事だろう。
それに出来る事だってたくさんある。
「それじゃあ……今日も一日、ご安全に! どんどん働きましょう!」
ニコリネの明るい声に合わせて呼び出されたのは乗用耕耘機だ。
耕耘機は今の畑から少し離れた位置につき、少しずつ土を耕していく。
「いい調子ね。空気もたっぷり含んでいるし……肥料も撒ける良い土になったわ」
「ありがとう、ここでジャガイモがどんな風に育つか楽しみだ」
高らかなエンジンと共に人々の希望は広がっていく。
ニコリネの手伝いはこれで終わりではない。
移動販売車からエプロンを取り出して、今度は料理の時間。
調理場ではひびきも物資の運搬を手伝っていた様子。ニコリネはひびきにもエプロンを手渡し、共に調理場に立った。
「さ、ひびきくんもご一緒に!」
「ん、分かったぜ。何作るんだ?」
「きっとひびきくんにも馴染みのあるものよ」
現在収穫されているジャガイモは小ぶりなものばかりだが、それなら皮ごと料理しやすい。
ジャガイモを水で洗ったのなら、次は焼き目がつくまでさっと炒めて。
次に用意するのは味醂に麺つゆ。これらを鍋へと投入し温めていけば、ほっこりする香りが調理場を包んでいく。
「麺つゆって万能すぎると思うの。何でも作れるもの、凄い」
「あー、分かる。何やっても美味くなるよな」
ちょっとした麺つゆトークも繰り広げつつ、鍋の中でジャガイモも煮詰めていく。
最後に竹串で柔らかさを確かめたのなら――。
「……うん、おいし。家庭の味って感じよね」
無事にジャガイモの煮っころがしの完成だ。
気がつくとひびきも拠点の人達を呼び寄せて、共に試食会を始めようとしていた。
拠点の人々からすると和風の味付けは珍しいらしく、皆喜んでくれているようだ。
わいわいと食事を楽しむ人々を見て、ニコリネも柔らかな表情を浮かべていた。
「この農場が皆を支えてくれるといいな! これだけ幸せな気分になれるんだもの!」
今は小ぶりなジャガイモしか育っていないが、それでも美味しい料理は作る事が出来る。
更にはこの農場は発展していけるのだ。未来はきっと明るいだろう。
確かな実感を得ながら、ニコリネも再び人の輪の中に入っていくのだった。
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こうしてオブリビオンは退治され、拠点と畑の平和は守られた。
猟兵達もその成果を感じつつ、楽しい時を過ごしていく。
そこに在ったのは確かな人の営みと暖かさ。きっとそれは、まだまだこの世界に広がっていくだろう。
大成功
🔵🔵🔵