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ツァイガルニクの悼星(作者 冬伽くーた
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●きらきら光る星の様に、君を想った
 ある街に一人の少年とカミサマがおりました。

 少年は天涯孤独の身の上、終わりを探している最中でカミサマと出会い、むつみ合い、その伴侶と成りました。
 眩しい日は共に海に潜り、雨降る日は肩を寄せて笑い合う…2人で生きる時間はとても幸福で穏やかなものでした。
 けれどカミサマはある日気付いてしまいました。幸福に眩んだ眼を見開けば、自分は何一つ変わらない儘であるのに、少年が青年へと成長している事に。そう、異なる種族の2人は生と死の歩幅が違っていました。

 その事に気付いたカミサマは悩んで、悩み抜いて……最後は青年をヒトの世に還す決意をしました。

 青年は哭いて、縋りました。例え短い間でも寂しがり屋のカミサマの傍に居たいと。けれど、カミサマも同じ位泣きながらも決して首を縦には振りませんでした。

 そうしてヒトの世に還された青年は、瞬く間に儚い生を終えました。近くにいなかったカミサマにはその理由すら分からない儘でした。
 幸福を祈った番の死を知ったカミサマは三日三晩泣き狂いました。そうして明けた朝、村人がカミサマの浜辺をおそるおそる覗くと、ソコには星の様にきらきらと輝く無数の珠が散らばっていました。カミサマの姿は何処にも、何年経っても見つかる事はありませんでした。

 ……とある都市に伝わるお伽噺

●この胸に眠るは生か死か
「さて、皆にとって愛とは何であるかな?…等と言う無粋な事は言わないよ」

 グリモア猟兵…ヴォルフガングはお伽噺を語り終えると、そう煙に巻く様な微笑みを浮かべる。翳した掌の上、渦巻く波濤を宙に放れば巻物が広がる様にその版図を広げていく。
 水板に映し出されたのは珊瑚や貝で彩られた海中都市だ。今もヒトが住んでいる事を証明するかのように、不可思議な空気の泡が立ち昇っているの猟兵達に見て取れた。

「今度、皆に対処をお願いしたい世界はグリードオーシャンだ。先程のお伽噺が伝わる幻想都市…「ツァイガルニク」に迫るオブリビオン達を滅ぼして欲しい」

 海底に「沈んで」幾星霜か。最早どの世界から来たのかすら定かではない程に独自の発展を遂げたツァイガルニクは、今は深海人の住居として機能しているのだと言う。

「無論、深海まで素潜りしろだなんて無茶はお願いしないさ。先程見えた泡を吸いながら潜れば水中呼吸が出来る寸法さ。…水圧は、うん、気合で耐えるしかないね」

 流石に無責任な自覚はあるのか、最後は心持ち早口でグリモア猟兵は締めくくる。敵の情報も伝えておこう、と切り替えた画像に映るのは海中を悠然と泳ぐ巨躯の骸騎士達だ。

「識別名、神聖巨人騎士団『ホーリーハイランド』だ。その正体は不明だが…巨人の国の騎士といったところかな。巨体に似合わない水中での機敏な動きだけでなく、守護結界の類も使いこなす難敵だ。用心して対処してね」

 彼等を撃破しても襲撃は終わらない。仔細は不明であるものの海底都市の中、憩いの浜辺に降り立つ第二陣の影が視えたとグリモア猟兵は続ける。

「とはいえ、第一陣を退ければ深海人達も猟兵の皆が味方だと分かってくれるだろう。都市の中に招き入れてもくれる筈、英気を養いつつ襲撃に備えてくれ」

 襲撃の備えは色々あるだろうが、例えば件の浜辺に散らばっている魔法珠を投げつければ閃光を放つ為、目くらましにもなるだろう。無論、その他のトラップも有効だ。

「丁度君達が訪れた時には、その宝珠を用いた祭りも開かれている頃だ。ただ投げつける分には眩いだけの光だそうだが…今生きている人を想い空に放れば、その人を顕した様な光の華が咲くそうだ。ロマンチックだね。他にも魔力を宿した貝殻も拾えるそうだ、加工する時間はなさそうだがお土産になるかもね」

「…なら、亡くなった人を想って投げれば?」

「…光が消えるまでのほんの僅か、話す事は出来なくても、触れる事の叶う死者の幻がその人に寄り添うそうだ」

 記憶の顔が、声が朧げでも――自分が思い描いた其の儘で、死者がその姿を顕すのだと言う。

「とても甘美で、とても恐ろしいとオレなんかは思ってしまうけれどね。選ぶのはキミ達だ。…頼んだよ」

 そうぽつりと呟いたグリモア猟兵は、言葉の余韻が消える前に再度手を翳す。その手に浮かぶ虚像の花が舞い散り、象られた異界への門が開く。扉の先からは生者の発する陽気と、悲しみに沈む陰気のどちらもが存在している様に思えた。





第3章 ボス戦 『海賊に復讐する『結束されし』3匹の兄弟』

POW ●『勇猛な次兄』ホグ
【恵まれた体格と鋭利な爪、頑丈な牙 】【敵の攻撃を捌き、確実に倒す為に磨いた武術】【恐怖を忘れ、痛みを感じなくなる強烈な意思】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD ●『俊敏たる長兄』ボア
自身に【風の魔力と兄弟で共有した怒りのオーラ 】をまとい、高速移動と【瞬間的に距離を詰める魔術、鋭利な風の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ ●『反撃する末弟』ウリ
敵を【どんな攻撃からも護る盾で防御、燃える武器】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサジー・パルザンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●苛烈なる三志
 猟兵達の打ち上げる死者を想う追想灯が、愛想う華火が沈黙に包まれた世界を優しく照らしていく。
 愛は幸福の証左であっただろうか。追慕は幸福の夢を見られただろうか――答えは猟兵それぞれの胸の中にだけ息衝いている。

 其の儘で終われば優しい物語の体裁を整えられただろう、されど、砂浜の静寂を踏み潰すけたたましさは直ぐそこにまで忍び寄ってきていたのだ――!
 
 ――バァァァン!!

 硝子を蹴破る様な破砕音と共に猟兵達にとっての天井――即ち深海からの侵略者は一見は武装した獣人といった風情であった。UDCアースに所縁ある者であればこう表現したかも知れない……即ち、狼を己が手で血祭りに上げた三匹の豚、と。

「よう兄弟、調子はどうだい!」

 逆巻く風と共に不敵に長兄――ボアは嘲笑う。

「サイッコーにイイ気分だぜ、今なら貝殻に籠った臆病者共をバラバラに出来そうだ!」

 禍々しい爪を重ね磨ぎながら最も体格の良い次兄――ホグは喉を鳴らす。

「そうしてこの都市は私達は略奪する、海賊らしくな」

 吹き荒れる風を赤熱の斧で引き裂きながら、堅牢なる盾を構えた末弟――ウリは首肯する。

 恐らく彼等がグリモア猟兵の告げた再襲撃者か。言葉は正に野卑なる簒奪者の風情であったが、浜辺に散らばる宝珠を忌々し気に睥睨する姿はそれ以外の理由が隠されている様にも思えた。
 そう、まるで懐古を憎むような――けれど答えは刃でしか返ってこないだろう。苛烈なる3つ顔に乗るのは純然たる殺意、猟兵達を油断ならぬ敵と見なした眼差し。
 雄叫びと共に獣人達は猟兵達へと殺到する――!


■□■
【受け付け期間】6/27(土) 8:31~
【プレイングボーナス】罠の活用

※事前にお伝えさせて頂いた通り、本章は再送をお願いする可能性が高いと思われます。再送の際はリプレイ完成後、弊猟兵より再送頂きたい旨をお手紙でお伝えいたします。宜しくお願い致します。
葵・弥代

来たか。
轟音の先を見遣り先ほどまでの追慕は胸の裡に刀を構え見据える先へ

悪いが此処より先へ行かせる訳にいかない。
――纏え、轟雷。
刀に霊力を宿し雷電を纏わせる

理由があろうと簒奪を行う非道な海賊の末路は幸せになれないらしいぞ。
兄弟助け合い、全うに生きれば良いものを。

俺は使えるものは何でも使う主義でな。
……ほら、そこの足元危ないぞ。

砂で見え辛くしていた爆竹に刀の切先から弱い電撃を放ち気を逸らさせる
その隙を易々と見逃すわけにはいかない
一気に踏み込み刀を滑らせ鋭く一閃を振るう
どんな強靭な体格であろうと『鎧無視攻撃』で狙った箇所を『串刺し』にし同じ場所へ『二回攻撃』。容赦なく叩き斬る



(来たか)
 舞い上がる砂に、静寂の息の根を止める下卑た笑い声。
 獣達の出現で塗り替えられた世界に追憶の緩り火は瞬く間に遠くなってしまったけれども……紫雲をひたりと構える葵・弥代(朧扇・f27704)の横顔は凪いだ儘だ。
 幸福に満ち足りた2人の顔はこの胸の裡で今も灯となって揺らめき続ける、それだけの価値があったのだから。

「悪いが此処より先へ行かせる訳にいかない」
 ――纏え、轟雷。
 囁く声に応え、刃は紫電を纏う。ばじり!空気を灼く音に獣人の長兄――ボアは獰猛に牙を剥く。
「しゃらくせぇ、なら俺の風でぶった斬ってやるよぉ!」
 唸り声と共に風がボアの身に絡む。獣人はそのまま跳躍、身を低くして韋駄天の如き速さで突っ込んでくる。

「兄弟助け合い、全うに生きれば良いものを……理由があろうと簒奪を行う非道な海賊の末路は幸せになれないらしいぞ」
「は!なら幸福すら奪い尽くしてやる!もう何も奪わせねぇんだよ!」
 弥代の嗜みへの応えは下方からの掬い上げる様な蹴撃。風の魔力を纏う一撃は鋭く、まともに受ければ青年の身を易々と斬り裂いただろう…ならば、受け止めなければ良い。
 過ぎる面影は本来の主、彼の娘の優美なる舞い。泥濘に咲いた華は美しく儚い佇まいであれども、か弱いだけではそもそも舞う事は叶わぬ。
 主が血の滲むような努力で身に着けた舞、その一差し一差しを思い浮かべて。青年の身で模倣すればその動きはたちまちに凛々しき戦舞の様相を呈する。一連の追憶は弥代に確かに根付いているのだ。

「俺は使えるものは何でも使う主義でな。……ほら、そこの足元危ないぞ」
「な…!?」
 蝶の如く身を躍らせながらも、弥代が構えた刃より放つ雷撃は過たずボアの足元を穿ち――刹那、耳を覆うような爆音と煙が辺りに立ち込める。
 原因は予め弥代が仕込んだ爆竹だ。一見、そうとは知れない様に注意深く地中に埋められていたが、異能の雷は正確に捉え弾けさせたのだ。衝撃にたたら踏む長兄は隙だらけだ。
 見逃さず、舞い上がる砂の中を一気呵成に踏み込む。天雷一閃――雷刃は神速に走り、ボアの身を断ち、そしてその熱量で灼き尽くす。絶叫が辺りに響き渡った。

「――兄者!」
 尋常ならざる兄弟の様子に、漸く追い付いた末弟――ウリが盾を構え、弥代と長兄の間に割り込むが無意味だ。
 振り抜いた刃は唯鞘に戻すに非ず。堅牢な盾を躱し、強靭な鎧と筋肉に包まれた肉の綻びにぞぶりと潜り込む。此度は末弟の絶叫が迸る。
 肉と鋼の焦げる異臭に眉一つ潜める事なく、弥代は獣人達を容赦なく叩き斬った。 
大成功 🔵🔵🔵

黒鵺・瑞樹
アドリブ、連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

真の姿になり、あらかじめ拾っておいた閃光珠をいつでも使えるように懐に。
まずはUCの炎と伽羅の雷撃を、敵を取り囲むように包囲からの攻撃を仕掛ける。
盾て防御っていうなら包囲からの一斉攻撃にはどうするのか確かめがてらだな。
通じても防がれても一気に距離を詰め直接攻撃を仕掛ける、と見せかけて直前で閃光を放つ。
その瞬間に存在感を消し目立たないようにし、死角に回り込んで暗殺攻撃を行う。

もしも。敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは黒鵺で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、火炎・激痛耐性で耐える。



 変化は密やかに、けれど決して無視出来ない引力を以て為されていた。
 砂浜であっても尚、まるで舗装された道を歩むかの如き気負いのなさで黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)は馬乗り袴を捌いて進む。
 足場の悪さを物ともせず、足元に視線を落とす事すらない瞳は常とは異なる鮮やかな緋色に染まるのだ。
 「っ、次から次へと…!一体何なんだ、お前らは!」
 「答える義理はないが…悪事は栄えないという事じゃないか?」
 飄然とした空気を纏いつつも、真の姿を解放した瑞樹の覇気は常よりも更に強く、ともすれば呼吸すら圧迫し兼ねないものだ。
 悪罵を吐くウリもまたそうした空気を感じ取ったのだろう、威勢の良い言葉とは裏腹に度重なる攻撃を受けた足運びは輪を掛けて鈍い。瑞樹の隙を伺う為にか、じりじりと盾を構える。
 それは単なる力の応酬であれば悪手ではあるまい、されど青年が刀術のみで戦う存在ではない事を獣は失念していたのだ。
 
 「頼んだ、伽羅」
 するりと伸ばされた主の手に任せよとばかりに頭を擦り付け、神なる龍はばじり、空気を灼く雷撃を解き放つ。
 たたら踏むウリの足元を更に瑞樹の呼び起こした炎が重なり、雷焔の檻にその身を捉える。獣人の苛立ちは舌打ちとなって零れた。足にぐっと力を籠める様子が見て取れる。
 略奪の中で相応に戦闘経験はあるのだろう、決して軽くはない傷と引き換えにしてでも強者の前で棒立ちになりたくはない。そう表情が物語っていた。
 けれど、瑞樹の罠は一重では済まない。
 胡と黒鵺を構え一太刀を浴びせんと砂地を蹴る。ウリが迎撃を優先しようと盾を構えるが——その動作こそが二重の罠。最小限の動きで投げ放たれた宝球は過たず獣の目前で弾け、苦悶の声が上がった。
 刹那、青年の気配は闇へと溶け込む。静かに寄せては返すさざ波、その音程にも存在を知らせぬ隠蔽の技を以て瑞樹はウリの懐へと飛び込む。

 未だ咲き誇る光の華に照らされる青年の横顔は端正な物で。主の面影を宿し——けれど、瑞樹が歩んだ道行きが、その手に掴んだ答えが青年を青年たらしめる。
 弛まぬ鍛錬の賜物、宙を薙ぐ双刃が鎧の間隙を縫い、その内臓を致命的なまでに切り刻んだ。
 末期に獣人が見た光景は、己の穢れ血と青年の鮮やかな曼珠沙華に彩られていたのだった。
 
大成功 🔵🔵🔵