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星の海に浪漫を載せて

#スペースシップワールド #【Q】 #クエーサービースト #惑星ロボ


「お主ら!浪漫じゃよ浪漫!!」
 コココと笑いながら、アイリ・ガング―ルが猟兵達に声をかけた。
「さて、未踏宙域の探索じゃが、進展があったぞ」
 そう言うと取り出すは金属片のようなもの。
「これじゃ。お主ら、『マインド』を覚えておるかの?」
 その単語でピンと来た者、来ない者、もろもろの反応を返す猟兵に向かって、アイリは言葉を続ける。
「ほら。何時ぞやの。銀河皇帝がその背に背負っていた金色の機械じゃの。クエーサービースト、『マインドミナBVA』を倒してゆくことで研究が進み、どうやら彼奴等がその思念兵器の材料となる事が分かったのじゃ」
 そしてそれが分かったとして、どう利用するのか。
「で、銀河皇帝はその『マインド』をワープ能力の強化の身に使っておったが、どうやらマインド本来の能力は、『パイロットの動きやユーベルコードをダイレクトに伝達する装置』というものじゃったらしい。そして今回これを利用して、巨大ロボを開発して、クエーサービーストとのサイズ差を埋めてみようという話が持ち上がったのじゃ」
 そして、猟兵にはマインドミナBVAから試作品の巨大ロボを作り出して、クエーサービースト相手に実戦で試してみて欲しいとの事だった。
「ロボットは、あくまで試作品じゃからガラクタで作り出されたように不格好なデザインになってしまうじゃろうが、思念を伝達する機能故に、お主らが巨大ロボに心を込めて手ずから作ればそれ相応に頑丈なものが出来るじゃろうてな。頑張ってくれ」
 そしてロボを作りだしたら、次は実戦だ。
「実際にデータ取りがてら、『クエーサービースト・マインドミナBVA』と戦ってみてくれ。ロボットもまた小惑星サイズになっておるし、それを操縦する猟兵のユーベルコードもサイズ相応に強化されるぞ。ただし……」
「一度の戦闘で猟兵一人につき使えるユーベルコードは一つじゃ。いかんせん強化されるとはいえ、小惑星サイズまで増幅するので、一度使うと体力がすっからかんになるからのぅ。気を付けよ。そしてこういった事情もあるので、基本的に今回は1体のロボットを皆で持ち回りで操縦する形になるからのぅ」
「で、マインドミナBVAを倒したら、帰還してくれ。今回はあくまで試作。一番大事なのはデータとロボ本体じゃ。くれぐれも気を付けるのじゃよ?」
 そういってアイリは笑った。宇宙で巨大ロボを操る。なんとも、浪漫の話であった。


みども
 という事でロボ作ってロボ出撃してロボで戦いましょう。注意点は上に在る如く。来たプレイングから書けそうなやつ随時という感じで。よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『試作型惑星ロボ開発計画』

POW   :    完成したパーツを組み立てて、小惑星サイズの巨大ロボを完成させる

SPD   :    試作型惑星ロボの完成に必要な装置を作成したり、分割したパーツごとに完成させていく

WIZ   :    試作型惑星ロボの設計を行なったり、必要な資材をもつスペースシップに出向いて交渉する

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シン・ドレッドノート
うん。いいですね、巨大ロボ。浪漫に満ち溢れてます。

思念を伝達するBVAの材質で基本フレームを作ることで、操縦席のパイロットの操縦性を効率よく隅々まで伝え、猟兵のポテンシャルを最大限に活かせるロボを作り上げましょう。
※このフレーム構造を『マインドフレーム』と命名。

パイロットのUCを存分に発揮させる工夫も必要ですね。
格闘系のUCに対しては、動作を阻害しないよう外装がスライドするようにして干渉防止。
射撃系のUCを発動させるための可変型砲台を装甲内部に配置。

「そして最大のこだわり、頭部にはエースの印、ブレードアンテナ!」

製作には【奇術師の協力者】で呼び出した技術者の皆さんに手伝っていただきましょう。


神酒坂・恭二郎
こいつは剛毅だねぇ
こう言う仕事も良いもんだ

さて、それじゃあ一つ仕事と行こう
設計図は貰ってるから後は組み立ての手伝いだね

「ちょいさっ!」
風桜子を纏って【衝撃波、グラップル】でパーツを蹴り飛ばし、「スペース手拭い」を【ロープワーク】で伸ばして捕まえブレーキ
後は【サイコキネシス】でじっくりと組み立てを合せ、仕上げに軽くパーツを押し込んで【早業】で次々と組み上げる

漫然と組み上げるのと、一念を通すのとでは仕上がりが違う。刀鍛冶の受け打ちだが、今回のマインド素材はその傾向が顕著だ
なので、一つ一つの作業に【覇気】を乗せ、このマシンに身を委ねる【覚悟】をこめて作業しよう

「まぁ、単純に巨大ロボは浪漫なんだがね」


宇宙空間対応型・普通乗用車
機械に求められるのは冗長性だ。一部が故障したとしても全体としての機能はある程度維持することができ、各部位を代替可能なユニットとすることで故障した箇所の修復を容易とし、安定して常時運用可能となるよう気を配る必要がある。さらに各部位を共通の規格で作成して単独でも行動を可能にすることで予備パーツを大量作成可能にして保守性を高め、各ユニットにある程度の個性を持たせて組みかえによる機能の拡張性を確保するのはどうだろうか。そして登場する猟兵とそのユーベルコードの特性に合わせて異なる形態に変形することで猟兵側の負担軽減と威力の向上が可能なように設計するのはどうだろう。

つまりだな。
合体変形巨大ロボ、やろうぜ?


木常野・都月
ロボット!!
UDCアースのTVで見たことある、あれか!
カッコいいよな、ロボット!

操縦のマインドとか、詳しい事は分からないけど、ロボット作りたい!

作り方、どうしよう。
機械はカッコいいけど、正直、中身はよく分からないんだよな。
内臓とかどうなってるんだろ。

取り敢えず、精霊様を召喚するみたいに、心を込めて作ってみるか。
案外、さっき言ってたマインド?とかで、イメージしたら、上手く作れるんじゃないかな。

ガッション!ガッション!
ジャジャーン!みたいな。


兎乃・零時
アドリブ絡み大歓迎

マインド…は知らなかったけど、銀河皇帝関連だったか!
俺様アイツと戦ってなかったから知らなかったぜ…

でも巨大ロボ!わくわくするじゃん!
手ずから創るってのも気に入った!

やってやろうじゃねぇか!
行くぞパル、この…マインドミナBVA?ってのを使えば良いのは分かってるし!

故郷の船「Glittering star ship」に赴いて
そこの設備を使って手伝ってもらいつつ
足りない素材があればそこで集めつつ
ロボをパーツごとに完成して仕上げていくのだ!

やっぱさ
ロボっていうならかっこいい拳だろ!

俺様はこーゆう時ぐらいしか使わないけど
ロボットアーム的な奴は便利だし
あとビーム砲とかもいる気がするんだ!



―――人は、何故。未知を目指すのだろう?
 へロイドスの戦い。オブリビオン・フォーミュラー、銀河帝国の皇帝との熱き戦いから1年余り、スペースシップワールドの人々は、母なる星を求め、新たなる旅路を征く。
 そして発見された未踏宙域。新たなる障害、クエーサービースト。小惑星にも匹敵するその巨体を、当初人々はどうする事も出来ないとあきらめかけていました。
 しかし、猟兵達の活躍によって、何とか撃退する事が出来るようになり、そしてついには、思念兵器、『マインド』を活用する事でクエーサービーストに対抗できるロボットを作り出すことが出来るようになったのです。
 これは、そのロボットが開発された最初期、試作品を作り上げ、未だ洗礼されていないそれでクエーサービーストに立ち向かい、後の礎となる貴重なデータを手に入れた、猟兵達の熱き物語なのです――――

~~~♪~~~♪(とても伸びがあって拳の効いた歌声の女性が壮大に地上にある星座の事を謳いあげる感じのテーマソングが始まって)

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「おお!!!すんげぇ―――――!!!!!」
 マインドミナBVAの残骸が大量に置かれた資材庫を前に、兎乃零時は喜びの声を上げた。 
 金色の金属片がそこかしこに鎮座する様は、なんともはやワクワクするものである。
 零時自体は銀河皇帝と交戦しなかったし、マインドミナBVAとも交戦しなかった。 だからこそだろう、隔意も何もなく、ただ純粋にここからロボットを作り上げるのだという喜びに満ちていた。
「なぁ都月!ロボットだぜロボット!!」
 童心に返ったように、というか年を考えれば童と言ってもいいのだが、零時は、隣に立つ長身の青年に声をかける。
「ああ!ロボットだな!UDCアースのテレビで見たことある!かっこいい!作りたい!」
 偶々同じタイミングで同じ依頼に参加し、たまたま二人して一緒にアイリに送り出された木常野・都月が同意した。
 常ならば猟兵に対しては『先輩』という意識を持っているために丁寧な言葉使いの彼も、今回の依頼の内容に興奮を抑えきれず、また精神年来がどこかに通っている零時に対しては気安く感じたのだろう。気安い口調だ。

「とりあえず、加工したりくみ上げたりする設備は、俺様の故郷の『Glittering star ship』にあるから、そこに持って行ってもらおう。都月は、どういうロボットにしたいんだ?俺様はやっぱり、かっこいい拳だろ!あとはビーム砲とか!!」
 そもそもが、物語の魔術師に憧れた少年である。こういった空想の事はお手の物である。かなり具体的に己の理想を語る少年に対して、都月もまた満面の笑みで、
「ええと、そうだな!こう……ガッション!ガッション!ジャジャーン!みたいな?」
「もっと具体的に言えよぉ!?!?!?」
 いかんせん最近人里に親しんだばかりの青年は、どうにも感覚的だった。
 とにも斯くにも、二人でやんやんや話していると、
「あんだとぉ!?そんなにマインドの都合がつけられないだとぉ!?!?!?」
 男の声が響いた。思わず二人で眼を見合わせて、声のした方へと向かう。するとそこには、

「――――は?」
 思わず零時が素っ頓狂な声を上げる。
「だぁーかぁーらぁー!!!機械に求められるのは冗長性だ!一部が故障したとしても全体としての機能はある程度維持することができ、各部位を代替可能なユニットとすることで故障した箇所の修復を容易とし、安定して常時運用可能となるよう気を配る必要がある!!」
「さらに各部位を共通の規格で作成して単独でも行動を可能にすることで予備パーツを大量作成可能にして保守性を高め、各ユニットにある程度の個性を持たせて組みかえによる機能の拡張性を確保する方がいいだろうが!!!!」
「そして搭乗する猟兵とそのユーベルコードの特性に合わせて異なる形態に変形することで猟兵側の負担軽減と威力の向上が可能なように設計する方が今後の為にもいいだろうが!!!」
「だからと言ってこれだけのマインドの量は……」
「そこをどうにかできねぇのかって話だよ!!!」

 マインドを配給する管理者に絡んでいる車がそこに居た。

「……おお、車で猟兵の先輩もいるんですね」
 ポンと手を叩き都月が合点した。そういう所、むしり固定観念が少ない都月の方が柔軟である。
「いや普通はいないからな!?」
 思わず叫べば、相手もこちらに気付いたらしい。一旦管理者へと絡むのをやめて、その場でエンジンを吹かせて華麗にターン。
「おう。同業者か。俺は宇宙空間対応型・普通乗用車だ。よろしくな?スペースシップワールド生まれのイケメン車両だ。どんな道でも快適な乗り心地を提供するぜ。」
 そう言ってスペースセダンがまるでウインクだとでも言うように、片側のヘッドライトだけ明滅させた。
「いや名前固有名詞じゃないのかよ!?」
「ああ!?宇宙空間対応型・普通乗用車は立派な固有名詞だろうがよ!!失礼なガキだな!!」
「ふ、二人とも落ち着いてください。とりあえず、宇宙空間対応型・普通乗用車さんは」
「普通乗用車でもセダンでもポンコツでもテツクズでも、好きなように呼びな」
「でしたらセダンさんは」
 他の人が慌てているのを見ればむしろ冷静になる。そういった理屈で都月が言葉を続け、
「なんで絡んでたんですか?」
「そりゃオレが必要だと思っている量のマインドが供給できないって言うからよ」
 その言葉に、子供故の正義感の強さから、零時が抗議の声をあげる。
「なんだよそりゃ!そもそも俺達にはロボットを作るのに必要量のマインドがもらえるって話だろ?それ以上強請るのは、相手に迷惑だ!」
「けどよぉ……」
 勿論セダンとて悪ではない。それでもなお譲れないものがあったのだ。
 一拍、たっぷりと置いてセダンは言葉を続ける。




「合体変形巨大ロボ、やりたくねぇ?」
 子供だった。



「「やりたい」」
 子供だった。




 こうなればもう二人もセダンの味方だ。再びセダンが管理者に向き直り、そこに二人も追従した。三対一、流石に管理者が絶望の表情を見せる。

「な?ほら。俺様達とセダンの分足せば、ロボット二体分工面できないか?な?」
 零時がそう言って管理者を見上げる。しかし、その『依頼』という言葉にむしろ管理者は光明を見出したらしい。
「あ、貴方たち、そもそもアイリ・ガング―ルさんの依頼で来ているでしょう!?一つの依頼に工面できるロボットの1体分です!それ以上は駄目!」
 そう言われて、三者共に眼を見合わせる。どうやら転送されたタイミングが違っただけで、同じ依頼に参加していたらしい。チラ、と管理者を見ればもう梃でも動かないといった様子。
 三人は、徐にスクラムを組んだ。

「どうします?」
「もう一体今から余分にマインドミナBVAを狩ってくるか?」
「おい馬鹿!無茶言うな!いくら何でも俺様達だけでどうにかできないぞ!!」
 ひそひそ、三人で状況の打開を模索していると、後ろから声がした。振り向いてみる。

「何やらお悩みのようですね」
「三人寄れば文殊のなんとやらってか?」
 シン・ドレッドノート、常ならぬツナギ姿の宇宙海賊の妖狐と、いつもながらのボディスーツにネビュラ着流しで身を包んだ剣客、神酒坂・恭二郎がそこに居た。

 どうやら二人とも三人と同じ依頼に参加したようで、今までの経緯を聞いて、
「ははははは!!!!そりゃ剛毅だねぇ!!!!」
 思わず恭二郎は大笑いして、
「なるほど、うん。いいですね、巨大ロボ。浪漫に満ち溢れてます」
 シンの方は大仰に頷いた。
「だろう?だから」
「ですが、それとこれとは話が別。私達の我儘で、同じ猟兵の皆を、ひいてはスペースシップワールドの方々に迷惑をかける訳にはいきません」
「むぅ……」
 この場の最年長者にそう正論で窘められてはさしものセダンも黙るしかなかった。
「とはいえ、です。変形という考え方は私もしていたところです」
「ほう……」
「ですから、作りましょう、巨大変形ロボットを……!」



(そうして再び流れる地上にある星座の事を謳いあげる感じのテーマソング)
 

―――巨大ロボット、それはすべての男子の夢。しかしそれが夢であるからこそ、その実現には多くの苦難がありました。


「まずは、零時君の母船を作業所として借りられたことが幸運でしたね」
 シン・ドレットノート氏は語ります。
「当然、試作機となると必要になるのは操縦性です。私達は猟兵としてそれぞれがプロフェッショナルでしたが、いかんせんロボットの操縦者という訳ではない。だからこそ、機体の基礎フレームはマインドで作られたものである必要がある。思念に感応する物質をフレームにすることで、猟兵のポテンシャルを最大級に活かせるロボットにする。これは、大前提です」
 
―――そしてそれを考案したドレットノート氏が名付けた『マインドフレーム』と呼ばれるその開発は、一筋縄ではいきませんでした。当然『マインド』自体が最近見出されたものである以上は、それを加工する事は、容易ではありません。

「勿論私にも夢宵桜がありますが、あれはあくまで戦艦。生産設備、という点においては零時君の貢献は語らずにいられるものではありません。マンパワーに関しては、《奇術師の協力者/アシスタント・オブ・ザ・マジシャン》によって以前より知り合いだった技術者の皆さんに助けてもらう事で補いました。それでも、本当にフレームの設計には、苦労させられましたよ」

―――そう言いながらも手ごたえのある笑みを浮かべるドレットノート氏。基礎フレームの設計。それには、大いにウォーマシンであるセダン氏の計算能力に助けられたという。

「いや、正直合体させたったけどよ……」
 どこか恨めし気に、セダン氏は話し始めました。
「そもそも、俺の考えていたそれぞれの猟兵がUCを発動しやすいように、という思想と、シンの思想は一致していたんだ。だから気合も入ったさ。けどまぁ、オレも今の時点で満足がいくものは出来たと思う」

―――そうしてドレットノート氏が基礎設計を行い、セダン氏によって細かく調整された設計図に従って、マインドを加工したのは、兎乃少年と木常野少年でした。

「こう、ガッション!ガッション!ジャジャーン!って感じで」
「だから擬音じゃわからないだろ!?」
 
―――ともあれ、思念兵器。精霊に語りかける術を知る少年と、魔術を扱う少年は、ドレットノート氏の派遣された技術者の願いに応じて、まるで飴細工のように滑らかに、かつ自由自在にマインドを加工してゆきます。
 そうして出来上がったパーツは、遂に組み立ての段階に入ります。しかし、まったく前例のないロボットの組み立て。そこにもまた数々の苦労がありました。
 その苦労を語る際に、外せない人物がいます。神酒坂・恭二郎です。

「いやぁ、設計図自体は貰っていたから、簡単に組み立てられるかと思ったが、これがそうでもなかったんだな!」

―――そうやって宇宙を股にかける剣豪は、豪快に笑います。
 当初、ロボットのくみ上げは、機械による組付けが予定されていました。しかし、あくまで試作機。細かい所の規格が、合ってない事も多発し、しかもマインドの量は限られている。そこで、恭二郎氏に白羽の矢が立ったのです。

「風桜子を纏って無重力空間で必要なパーツを蹴り上げてスペース手ぬぐいでキャッチ。そしてそのままパーツを持って行って、サイコキネシスでくみ上げる。これが中々繊細な作業でな。まさしく木の葉の一葉を断ち切るが如し、といったものさ」
「漫然と組み上げるのと、一念を通すのとでは仕上がりが違う。刀鍛冶の受け売りだが、今回のマインド素材はその傾向が顕著だ」

―――かつて、UDCアースの日本において、大戦時、それぞれ微妙に規格が違うパーツを職人技を以て技術者たちがくみ上げ、一つの戦闘機という”芸術品”を作り上げたという話があります。恭二郎氏は、その”芸術家”達の行いを、再現してみせたという事です。

「二度も三度もやりたくはないがね」
―――スペース剣豪らしい、闊達な笑みがその顔に広がります。
「まぁ、それでも。単純に巨大ロボは浪漫なんだがね。気合いも入るってもんさ」


―――そうして、男達の試行錯誤を経て、対クエーサービースト用の思念兵器、マインドを使用した試作ロボットは、完成したのです。




「さて、完成です!!」
「「「「おお――――!!!!」」」」
 シンの宣言と共に、仲間たちが歓声を上げる。和気あいあいとした空気。皆で試行錯誤しあった日々が、この集まりに確かな絆を生み出していた。
 格納庫に鎮座するは、ずんぐりむっくりとした巨体。全体的に丸みを帯びたそれはしかし、試作品だからこそ粗削りなれど、考え抜かれたプロポーション。
「フフフ、まず球形とすることで、ともかくも相手の攻撃を受け流せる装甲を持たせ、格闘系のUCに対しては、動作を阻害しないよう外装がスライドするようにして干渉防止。そして射撃系のUCを発動させるための可変型砲台は装甲内部に配置する事で格闘戦時の破損を最小限に抑えます」
 いつもよりもテンションの上がったシンが改めて皆に説明する。

「それって刀は使えるのか?」
「勿論!とはいえスペースの関係上、実体剣ではなく、ビームサーベルですが。しかし、マインドの効果でしょうか。展開したサーベルは実体剣のように鍔迫り合いも可能ですよ」

「けれどやっぱり合体はしないんだよなぁ」
「その通り……ですがセダンさん、どうですこの……」
「エースの印、ブレードアンテナ!」
 そう、四肢がついた球体という形状をした、ガラクタを寄せ集めたかのような巨体の頭部には、一つだけブレードアンテナがついていた。
「お前、それは……」
 車が、震えた声を出す。
「分かってるじゃねぇか……!」
「恐悦至極」
 なかなかの期間、缶詰だったからだろうか。皆、どこかしらテンションが変だった。

「魔術もしっかり使えるんだよな?」
「ええ、零時君がテストしてくれたように、万全です」
 頷き一つ。もはや、ロボットは完成した。あとは、これを実践で試すのみ。
 
 だからこそ、だろう。あるいは皆が考えないようにしていたからか。あまり人の世に慣れておらず、唯一その”危険性”に気付いてなかった木常野がぽろっと、『破滅の言葉』を口にした。

「ところで、この子の名前は、どうします?」

「「「「「」」」」」

 瞬間、和気あいあいとしていた子供野郎共に、緊張感が走り、それぞれ距離を取った。
 当然、苦労して作り上げた試作機なのだ。それぞれに付けたい名前というのは存在しただろう。けれどそれを開発中に話題に出そうものなら戦争だ。
 だからこそ今まで話題に出されなかったそれが今決壊した。

「俺としては……」
「ストップ!!!木常野さんストーップ!!!!」
 ほわほわと微笑みながら続けようとする言葉を、シンが常になく焦った声で留めた。ここで最初に宣言されては、なし崩し的にその名前になりかねない。

 僅かばかりの沈黙。口火を切ったのは、恭二郎だった。
「で、どうやって決める?」

「ここは私にお任せを。くじ引きを用意しましょう」
 とシンが提案すれば、
「却下。そのクジに細工されたらたまんねぇからな……!」
 恭二郎がすげなく切り捨てた。

「それだった?思念兵器な訳だからここは魔術の知識勝負で」
「それは零時君が一方的に有利ですよね?」
 今度はシンがやんわりと否定した。

「おう、シンの言うとおりだ。だからここは公平にじゃんけんで」
 恭二郎が己の剣豪としての反射神経を存分に活かせる提案をすれば
「俺は手なんてねぇぞ!」
 車が強硬に抗議する。
「だからここは是非ともレース勝負でだな。勿論UCもアイテムの使用も無し。男らしく裸一貫で」
「明らかお前が有利じゃないか!!!」
 今度はセダンに零時がツッコミを入れた。

 沈黙が支配する。
 ああ。一体、ロボットの名前はどうなってしまうのか―――!?

 ※次の章のプレイングでロボットの名前を書いてくれた人の中からランダムでロボットの名前が決まります。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『クエーサービースト・マインドミナBVA』

POW   :    BVAジェノビック
【無限に変化する外殻が超殺戮形態 】に変形し、自身の【防御力】を代償に、自身の【攻撃力と攻撃速度】を強化する。
SPD   :    BVAエクスタリ
いま戦っている対象に有効な【無限に変化する外殻が変形した殺戮兵器 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    BVAリモーフ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【無限に変化する外殻によって再現し 】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
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シン・ドレッドノート
ロボの名前ですか?
では、開発者の全員の名前から一部頂いて、フォートレクス(Foutreks)で。
(FutsujidOUsya・Tsuduki・REiji・Kyoujiro・Sinの大文字部分)
惑星級のサイズと言うことで、要塞(フォートレス)とも引っ掛けてます。

さて。
それでは、私は射撃性能を試させていただきましょう。
このサイズになると射程距離も半端ないはず。
【異次元の狙撃手】でどれほどの遠距離から狙撃できるか、挑戦です。

全砲門解放!ターゲット・リンク!
安全装置解除、対ショック、対閃光防御!

ターゲット・ロック、目標を狙い撃つ!

内蔵された砲台を解放、照準に捉えたBVWに向けて一斉発射します!



「さて、見えてきましたね……」
 遥か彼方宇宙の奥。いまだスペースシップワールドの住人達も満足に開拓で来てない未踏破宙域において鎮座する影が一つ。
 金色のそれは、『マインドミナBVA』。クエーサービーストという人類種の新たなる障害。
 深く、息をつく。シン・ドレットノートがクエーサービーストと戦うのは、これで4度目だ。依頼に参加するのは5度目だが、内一度、マインドミナBVAに関わる依頼に初めて参加した時は、直接の交戦ではなく、前哨戦と素材の剥ぎ取りに注力した。
 その際にも興味深いものだとは思っていたがまさか、ロボットになるとは、
「不思議なモノです」
 呟くと同時、ガラクタを組み合わせたかのような球状のずんぐりむっくりした機体が、シンの操縦によってスピードを上げる。
 そしてそのまま射程距離にマインドミナを捕えた

「さぁ、いきますよ、『ステラ』……!」
 機体の名前を呼びかけ、宇宙海賊は巨大な鎧を纏い、宙の海原を征く。

―――ステラ。それが、この機体の名前であった。
 5人の熱き男達による、戦い。
 それぞれがそれぞれ、『己にロボットに相応しい』として提案した名前の内、シンが提案したのは、フォールクスであった。
 カッコイイ。かっこいいのだ……!由来も申し分ない。だが、それでも。それは他の仲間たちも同じ。背負ったものがある。
 命名を掛けた血を流さぬ男達の熱き戦いは具体的にリプレイ1本分にも及び、而して、星の海原を征くロボはそのもの、『ステラ』という星の海の名前を冠された。

「今までなら、至近にまで接近して多重攻撃にして段階的に装甲を削り取る所ですが」
 操縦かんの脇、コンソールにコマンドを入力する。
『全砲門解放!ターゲット・リンク!』
 言葉と共に、〈ステラ〉の装甲が稼働し、球体だったそれの内側から各種砲台が展開する。
 ステラの変貌と共に、それぞれの手で扱えるように左右に展開していた操縦桿も変形。トリガーのように両手で握れる形になる。
 そのまま照準。
『安全装置解除、対ショック、対閃光防御!』
 照準が、眼前のモニターに現れてマインドミナをロックした。
 エネルギーが砲門に収束してゆく。
 そのエネルギーをやっと感知したのだろうか。マインドミナの外装もまた変形して、コチラへと超長距離砲撃の形態を取ろうとしている。
 しかし、
「遅い。あまりにも……!『ターゲット・ロック、目標を狙い撃つ!』」
 シンの鋭い声と共にトリガーが引かれ、《異次元の狙撃手/ディメンジョン・スナイパー》が発動する。
 
 全砲門からエネルギーが発射される。それが、己に確かなダメージを齎す事を感知したのだろう。エネルギーが溜まり切らないままマインドミナもエネルギーが射出された。
 シンの放ったそれと、マインドミナが放ったそれが交差して、軌道が変わる。
 しかし、それを予測しないシンではない。ブレードアンテナはエースの証なのだ。故に、
 
 宇宙だからだろう。轟音はしない。ただ、照準の先のマインドミナの装甲が、大きく破損した事は見て取れた。対してこちらには、マインドミナの砲撃は大きくそれて、当たっていない。
 ひとまずは、成功。
「成功とは言え、これは……流石に疲れますね」
 肩で息をしながら、シンは徐にシートに寄りかかった。増幅されたUCの反動である。なるほどこれは、一人で操縦するのは難しい。
 だからこその複座。そして仲間たちなのだ。
「頼みましたよ、皆さん……!」
 ひとまず、戦いの鏑矢は放たれたのだ。まずは猟兵達の先制である。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

宇宙空間対応型・普通乗用車
マインドフレーム接続!
当車AIと管制システムとのリンク確立完了!
各部ユニットの動作確認…全て問題なし!
有機物の体を持つ他種族と違って、
オレ達ウォーマシンはロボットと直接接続することで、
あたかも自分の手足のように滑らかに動かすことができる!
さぁ!ウォーマシンの優位性ってやつを見せてやるぜぇ!

…って、思ってたんだがなぁ。
人みたいに滑らかに動かすとか無理無理の無理だったわ。
オレ、そもそも手足動かす感覚知らねぇしなぁ。

よししょうがねぇ!【瞬速展開カタパルト】だ!
オレは遠距離組が満足した後で、近接組の突撃をサポートするぜ!
射出タイミングは移譲する!
一般人なら死ぬレベルで加速するからな!上手く接近しろよ!



<マインドフレーム接続!>
<当車AIと管制システムとのリンク確立完了!>
<各部ユニットの動作確認…全て問題なし!>
 この間僅か0.1秒。その0.1秒で、宇宙空間対応型・普通乗用車は『ステラ』と一体化した。
 シン・ドレッドノートによる砲撃の効果を確認してからの事だ。それだけの時間で、セダンはロボットと一体化する事が出来た。
「ハァッッハー!!!これこそがウォーマシンの優位性って奴だぜ!」
 そう、これこそが他の種族よりウォーマシンが優れている点。真なるロボットとの一体化。そうすれば操縦桿等という煩わしい絡繰りなど必要とせずに、ロボットを己の手足のように、操作できるのだ。
 そもそも、セダンに手は無いが。

 そうして機先を制するためにセダンが動こうとしたとこ、
「……おろ?」
 とぼけた声。ロボットは、一歩も、なんら、動き出すことはなかった。
「……ああ、そうじゃん。オレ、手足を動かす感覚とかしらねぇしなぁ」
 そう。そもそもセダンに、手足はないのだ。

 セダンは、あくまでも『陸海空、そして宇宙。あらゆる環境に対応し、どんな道でも快適な乗り心地を提供するイケメン車両』なのだ。ドリフト時の慣性を制御するプログラムや、加速時の制御プログラムなどはあったとしても、四肢を動かす際のモーメント制御に関するプログラムなど在りはしない。機能として存在しなかった。

「よししょうがねぇ!」
 そしてセダンに、それを嘆いて悩む機能も存在しない。
「出来ることするか!!!」
 なので『そのように』した。


《・・・・・・・》
 遥か彼方からの砲撃が直撃して、『それ』は危機感を抱いた。相手の砲撃は当り、コチラの砲撃は、当たらなかった。それだけの脅威が存在する。ならば、次の手を打たねばなるまい。
 いまだ健在な外装が、展開してゆく。長距離攻撃が出来るようにと。
 そうして展開し終えた外装で、『敵』を砲撃しようと意識を向ければ、
《!?》
 『それ』は、確かに驚愕したのだ。


『滑走路展開車体固定射角調整風力測定磁力充填重力演算その他諸々影響確認射角補正車体解放射出開始ここまで100ミリ秒未満だオラァ!』
 セダンの力の入った声を供に、ステラが宙の海を征く。四肢をプラプラさせながら。
 《瞬速展開カタパルト/シュンソクテンカイカタパルト》。己を『射出』するUCは、確かに今威力を発揮していた。
 搭乗者の事は一切考えず、ただ、『ステラという球体の背部に備わったブースターを全力稼働させてひたすら推進する』という行為その一点で、今たしかにセダンはクエーサービーストを上回っていた・
「一般人なら死ぬレベルで加速するからな!」
 ロボットの内部に備わった通信設備で、セダンが他の皆に声をかける。返答はない。当然だ。今この瞬間、とんでもないGが掛かっているのだから。
(まぁでも、死にはしねぇだろ)
 事実である。それくらいの加減はしているのだ。でなければイケメン車両は名乗れない。
 ともかくも、未だ長距離砲撃用に外装を変化させたマインドミナに、猟兵達は急接近した。
 いい加減セダンの演算機能にも負荷がかかり過ぎた所だ。
「後は、頼むぜ!」
 ならば攻略は、他の者に頼むべきだろう。一旦、ステラとのリンクをセダンは解き放った。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
あの後。ロボットの名前を考えたんだ。

最初はモツ煮込み1号にしようと思ったんだけど。

いェーガー(猟兵の)
なルワム(一角獣の)
りアル(本当に)
すプライム(至高の)
しステム(システム)
1号

一生懸命、すまーとふぉんのシシリーさんに聞きながら考えた。

略すると「いなり寿司1号」!
呼びやすさにも配慮しました!

まあ名前は何でもいいと思う!

遂に俺がロボットを動かす番か!
折角なら、カッコよくやりたい。

UC【精霊共鳴】でパワーをチャージ!
限界まで魔力を高めて……。

光の精霊様の[属性攻撃、全力魔法]で攻撃したい!
光のビームで、敵を焼き切りたい!

ロボットと言ったら、必殺ビームだろ!
キュオー…ズガーン!
みたいな!



「わ!わ!!凄い!!凄い!!!」
 高速で流れてゆく星々を見て、楽しそうに木常野・都月は声を上げた。
 丁度去年の夏を過ぎた辺りから猟兵として活動して、今までも多くの冒険を重ねて来た都月だったが、不思議と、スペースシップワールドの依頼をこなすことは驚くほど少なかった。
 もしかするとそれはきっと、狐の、生物としての本能が宇宙という大地なき世界を恐れたのかもしれないし、たまたまだったのかもしれない。
 とかくも、都月にとって、『宇宙』という空間は、どうにも珍しい空間だった。
 そしてその空間が、無限に流れゆく星々の瀑布を眼前に広げるとするならば、むしろ感慨も一押しというもので。
「わ!でかい!!」
 そこにクエーサービーストという異物が紛れてもなお、それに相対するにも恐怖というより喜びが勝った。

「遂に俺がロボットを動かす番か!」
 都月とてオトコノコである。力も、入ろうというもの。
「行くぞ!『ステラ』!!!」
 そう、ステラである。都月の考えた『いなりすし1号』ではない。

 いェーガー(猟兵の)
 なルワム(一角獣の)
 りアル(本当に)
 すプライム(至高の)
 しステム(システム)
 1号

 都月が一生懸命、すまーとふぉんのシシリーさんに聞きながら考えたそれはしかし、採用される事はなかった。
 皆が皆、その由来を聞いてその名前に納得はしてくれたがしかし、ただ唯一の事実として、互いに譲れぬものがあり、そして一人の少年が勝ったという事実それだけがある、という事だった。

「『力を貸して、チィ』」
 言葉共に、月の精霊の子の放つ燐光が、『ステラ』を覆い尽くす。《精霊共鳴》だ。
 燐光によって思念兵器で作られたフレームが共鳴し、『ステラ』が、都月の意のままになる。
 折角なら、かっこよくやりたい。セダンのおかげで、敵は未だその外郭を長距離砲撃形態から防御形態へと変更する事が出来ないままだ。
「だったら……!」
 知っている。UDCアースのアニメで見た。
「ロボットと言ったら、必殺ビームだろ!」
 燐光を放つ『ステラ』に内蔵されたマインドフレームが、共鳴する。燐光が強くなり、それはさながらアニメで見た、隕石を押し返さんとするロボットのように。
「光の精霊様よ!」
 手のような、ドリルのような部位が、襲い掛かる。チィの力によってふわりと移動してそれを避けて、
 その手のひらに増幅、集中された光の属性魔法が、
「いっけー!!!」

―――キュオー…ズガーン!

 広大なる宇宙に、音はない。だからこそ今此処に至って、そのような擬音が適しているかのような巨大な破壊が起こってもなお、轟音といったものは聞こえなかった。
「……あれ?」
 当然、そのような事を人里に降りて来たばかりの都月が知る筈もなく、マインドミナのさらなる破損という己の成した現象に、満足半分、不思議半分といった所だった。



 

大成功 🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時
アドリブ絡み歓迎!

名前…「ステラ」とかどうだ?!
星の海って感じだし合いそうじゃないか?


敵の攻撃が攻撃力と攻撃速度が上がるって…?

上等!!
こちとらこの世界出身の男だぜ!
やってやんよ!

パル、力貸せ!!
【空中戦】ならぬ宇宙戦だ!

【気合い】充分突撃だ!

パルには敵の動きや予兆などを【学習力】で学んで貰いつつ
自身も魔力砲で牽制する

殺戮形態で防御力が下がるってんなら

それを利用して此方もぶち込むまで

さぁ、全力全開で行くぜ!!
【魔力溜め】
敵がこちらに攻撃してくる瞬間に魔力を使って光【オーラ防御】全開!

上手い事敵を近場で捕らえたらUC!
光【属性攻撃×全力魔法×リミッター解除×零距離射撃】!!
《極大光線》!!!!!


神酒坂・恭二郎
さぁて、それじゃいっちょ頑張るか、星狼丸

ロボットの操縦と見たが、手足のように動かせる操作性に少し驚く
あの皇帝陛下のマインドと同じって考えると、中々にたいしたものだ
あのデカブツが手ごろな大きさに見えるのもいい

方針は、ビーム状の布を両手で引っ張って構える
風桜子の扱いと大きく変わることは無いと確信を得て、攻勢に打って出よう

「さぁて、それじゃあちょいと頑張るかね」

ビーム布を鞭に、槍に、あるいはドリルのように変化させて奴に対応
奴の変異を【見切り】、リーチで速度で、破壊力でそれぞれに【早業】で対応し戦闘を優位に進めたい

「なるほど。消耗が凄いな」
後は程良く切り上げ後に託すとしよう
試運転なので余力を残したい



「あ!!!クソ!先を越された……!」
 眼前で無音の内に引き起こされた破壊を見て、思わず兎乃・零時は声をあげた。
 そう、巨大ビーム。それは零時も、やろうと思ってた事なのだ。まさか先に使われるとは、少年らしい可愛く青い嫉妬が胸の裡に湧きおこる。
 けれど、それを味わっている暇など無いのだ。
 何せ敵は既に目の前にいる。
《―――!》
 事ここに至っては、相手も守りを捨てたのだろう。半壊した装甲がどんどん組変わって行き、
「――――!?パル!」
 言葉共に、式紙たるパルが反応する。マインドフレームに意志を伝え、徐に半歩、横にずれる。マインドミナのドリルが、一瞬前まで存在した空間を抉り取っていった。今までて比べて、明らかに機敏な動きであった。
「クソ!?敵の攻撃が攻撃力と攻撃速度が上がるって……事かよ!」
 《BVAジェノビック》。防御を捨てた殺戮形態は、確かに今、〈ステラ〉を捕えようとしていた。

「上等!こちとらこの世界出身の男だぜ!やってやんよ!」
 かつての少年であれば、もしかすると恐怖に足を竦めていたかもしれない。けれど少年だって、数々の戦いを経ているのだ。これくらいでへこたれる事はもはやない。
 何より、
「パル!任せた!!」
 この試作ロボットの名は、〈ステラ〉は、少年がつけたのだ。星の海という名前だった。
「うぉおおぉぉおおお!?」
 衝撃が、体を襲う。攻撃の回避を取り合えずはパルに任せるいつものスタイルで、零時は己の魔力をひたすら練り上げていた。
 時々けん制の魔力砲は放つが、そもそもがUCとして増幅されていない代物だ。大部分は、パルに任せている。
「ああ!クソ!」
 小惑星ほどの巨体が、機敏な動きでドリルを繰り出す。〈ステラ〉が避ける。当然直撃は回避するが、こちらが試作機であり、かつ巨体で在るがゆえに、高速で回避用とも、装甲に攻撃が掠りはする。
 つまり、どんどんダメージが蓄積しているという事だ。僅かばかりでも装甲が剥離してゆく。
(まだ……!まだだ……!けど、まだ!)
 魔力は、十分に収束した。後はぶつけるだけだ。そしてその隙を伺う事が難しい。強力な力は、その分叩き込むタイミングを見極める必要があった。

「……!そこ!」
 そして、そのタイミングがついにやって来た。焦れたのか、ドリルの塊が大ぶりに振られる。
 一気に懐に接近。振り下ろされるそれをオーラ防御で逸らして、
「さぁ、全力全開で行くぜ!!」
 言葉共に零距離から放たれるは、《最大出力魔力砲/イッパツカギリ・ギャクテンノイッテ》。
 本来その力と引き換えに、至近30cmまで接近しないと使えないそのUCは、今だけマインドフレームの増幅機能によってその制限を大幅に緩和されていた。
 マインドミナのどてっぱらを貫く。
「やった!」
 そしてそれが隙になった。
 
―――衝撃。

「な!?」
 まだ、死んでいないのだ。先ほどオーラ防御で逸らした筈のドリルが、マインドミナ自身への甚大なダメージと引き換えに、無理やり軌道修正されて襲い掛かっていた。
 装甲を捻り潰して〈ステラ〉を弾き飛ばす。あくまで距離を離すことに専念されたそれは、ダメージとしては小破程度だったが、何より、
(……あっ。クソッ!)
 再びマインドミナが〈ステラ〉をドリルの射程に捉える。
(意識が……)
 閉じる。ドリルが迫っていた。

「ま、子供の不始末をどうにかするのも、大人の役目って事でな」
 布が、翻る。ビーム生成装置から作り出された半透明な布が、闘牛士よろしく華麗にドリルの起動を逸らした。
「ほう……はやり風桜子と扱いはそうそう変わりはしないか」
 形成されたビーム布を〈ステラ〉の腕で振り、神酒坂・恭二郎は感慨深くつぶやいた。
 マインドフレーム。思念兵器マインドを利用したロボットの基礎フレームは、確かに恭二郎の意を受けて動く。その事実が、恭二郎にとっても感慨深い。
(……もう、1年以上も前か)
 かつて、銀河皇帝と死合った事を思い起こす。
 苦い記憶だ。己の右側を犠牲にして、それでなお倒す事叶わなかった。
 その強大な敵の力の一端を今ここで、扱う事が出来るとするならばそれは、
「さぁて、それじゃあちょいと頑張るかね」
 無様を見せる事は出来ない。
 恭二郎は、その意を受けた『ステラ』は、再び構えた。

「なるほど、消耗が凄い」
 《神酒坂式千変布操術/センペンフソウジュツ》。己の持ちうる手ぬぐいをまるで鞭のように、時には槍のようにはたまたドリルのように自在に扱うその術は、手ぬぐい自体がビーム状で可変とあっては常よりもより扱いやすく、また強力で
あった。
 マインドミナの繰り出す攻撃のリーチも、速度も、その威力も、創作剣術、神酒坂風桜子一刀流の始祖に及びもしない。
 何より、
「手ごろに見えるのがいい」
 本来であれば、恭二郎は、人であり、マインドミナに相対するさいも、そのスケール感は人と小惑星というものであり、必要とされるのは技術でなくてどちらかというと破壊力の方だ。
 己の体の数十倍にもなる拳が迫ってくるのを、どのようにいなせようか。いや、あるいは風桜子の神秘を以てすれば可能なのかもしれないが、そうであったとしても、《銀河一文字/スペースケンゴウ》によって一刀両断する方が話が早いのだ。

 で、あればこそ。今このスケール感が、非常にいい。今行われてるは怪獣と只人の戦いでなく、理無き狂獣と、理持ちし達人の死合いである。
 しからば、恭二郎に負ける理由もなく。
「これくらいか?」
 こちらに傷なし。既に大きな傷を負った相手は更にその傷の度合いを増やしていた。
 もう後押しといった所。
 ならば、ここで大技を出して消耗する必要もない。
「さて、後は頼んだ」
 仲間は、他にもいるのだから。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

テラ・ウィンディア
巨大ロボット!おれは女だけどそういうのもなんだかわくわくしちゃうぞ!

名前
なんかまるっこいし星みたいだ
ならばこの星々の世界の道を切り開くッテ事で銀の流星
シルバースターなんてどうだろうな?

よし乗り込むぞー!
【属性攻撃】
炎がロボット全身を包み込むぞ
【戦闘知識】で敵の動きを見据えつつ
【見切り・残像・第六感・空中戦】で宇宙って空を飛び回るぞ!

そして距離をとれば
うん…ずっとやりたかった
本当の意味でのこいつをな!

メテオブラスト!
今まさに!我が技は星の一撃へと昇華する!
【早業】で加速
炎を全身に纏い紅蓮を纏いし彗星へと至り
【踏みつけ】で破壊力増強

人は…意志は…星をも動かしうる
そいつを…証明してやるよ!!!!!



「巨大ロボット!そういうのもなんだかわくわくしちゃうぞ!」
 おれは女だけど、と元気よく備え付けられた操縦席にて付け加え、テラ・ウィンディアは敵を、マインドミナを強く見据える。
 強大だった。何よりもその大きさが凄い。
 テラ自体は、マインドミナBVA自体と交戦した経験はない。厳密にはクエーサービーストが出現した依頼に参加した事はあるが、あくまでそれも先鋒の銀河帝国の宇宙戦艦を模した外殻と戦闘の経験があるのみである。
 だから本体との交戦は、これが初めてだ。

「おっとぅ!」
 ドリルが襲い掛かる。破損した〈ステラ〉がそのような攻撃を喰らえば、甚大なるダメージは逃れられないだろう。
 己の力でステラの外装を炎に包み込みながら、【勘】で機械の巨体を翻し、回避。
(うん?)
 その瞬間、テラの感覚に不思議な感触が引っかかる。まるで喉の奥に小骨が引っかかったよな……
「また!」
 避ける。違和感。
(ああ、そういう事か)
 つまり、限界であった。先ほどのダメージ。試作機であるが故の造りの甘さとそのうえで行われた各種無茶な機動にUCの連続使用。それがここに来て、〈ステラ〉のマインドフレームに明確なダメージを与えていたのだ。
(これは、早く決めないとまずいな)
 もとよりそのつもりだったのだ。

「よし!丁度いい!本当のいみでやりたかったこいつを、今なら出来る!」
 距離は十分。

『星よ…世界よ…』
 龍詞(ことば)が響く。人ならざる者の音階で、空間に波長が作られ、作り出された波長が、人ならざる者の意味を紡ぎ出す。
 語り掛けるは星と宇宙。請い願う対象としてでなく、ただ気安く、永年離れていた共に語り掛けるようなそれ。
『流星の力を我が身に宿せ…!』
 語り掛けるのは、意図があるが故である。意図があるのは、意志があるがゆえに。
『今こそ我が身、一筋の流星とならん』
 それが少女の意志であった。速く。何よりも速く。雷鳴の如く駆け抜けよう。意志を受けて、炎に包まれた〈ステラ〉が加速体勢に入る。
『メテオ・ブラスト……!』
 
 ある程度距離を稼いだがゆえに加速へと道筋は出来ている。いくら殺戮の攻撃が早かろうと、もはやUCによって作り出した炎の前に、装甲に届く前に融解する。
 だから、
『受けろぉ!!!』
 加速。炎を纏い、一条の光となった彗星が、マインドミナBVAに激突する。
 衝撃が、宙へと伝わり、星辰を鳴動させる。
 それは即ち、増幅されたUCに宿る人の意志が星をも動かしうるちおう事で、その一撃を、マインドミナBVAが耐えられるはずもなかった。
「やった……!」
 増幅されたUCを放った事による体力の消耗と脱力感で、思わずテラは操縦席のシートに深く座り込む。
 UCの使用で、ガタが来たのだろう。〈ステラ〉自体も、装甲が割れて、マインドフレームも歪み、半壊の状態であった。
 それでもなお、クエーサービーストを撃破できたのだ。結果は上々といった所。 しかし、
「え!?」
 新たに現れたクエーサービーストの反応に、テラは思わず疲れた体を押して、モニターを注視した。
「そ……んな」
 マインドミナBVAだけでない。新たな、まったく新種のクエーサービーストの反応が、そこにはあった。
「これじゃあ……!」
 〈ステラ〉は破壊され、せっかく手に入れる事が出来る筈だったマインドミナBVAの素材も、貴重なマインドによってつくられた試作型ロボットのデータも失われてしまう。
「応戦しなきゃ……!」
 しかし、増幅されたUCの使用で、猟兵達は疲労困憊。〈ステラ〉自体も半壊。
 ああ、一体どうなってしまうのか―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『クエーサービースト・ヴァキアスEAT』

POW   :    EATグラトニウム
【周囲に蠢く存在を喰らいたいという暴食】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    EATマテリライズ
【外殻を物質を破壊する超振動モード】に変形し、自身の【喰らった栄養分の消化】を代償に、自身の【外殻の防御力・スピード・反射速度】を強化する。
WIZ   :    EATベルゼバブル
【あらゆる生物・物質を消化する分解液の霧】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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【ヴァキアスEATを倒せ!!】
 新たに現れたクエーサービーストを破壊してください。
 〈ステラ〉は半壊した状態です。このままでは破壊されて依頼失敗となってしまいます。
 疲労した体で無理やりUCを使って見たり、外から援軍で来たり、『こんなこともあろうかと』といって見たり、〈ステラ〉を修理してみたり。色々とお待ちしております。
 今回はいつもながらのプレイング連結悪魔合体プレイングになると思うヨ!よろしくね!

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【お知らせ】
申し訳ない。土日にちょっと私事でシャレにならない事が起こりまして、とてもリプレイ書ける感じなかったので、改めて再送願います。20日と21日で終わらせますので、なにとぞよろしくお願いします
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
シン・ドレッドノート
多少歪んでいようとも、各部に配したフレームさえ存在していれば、操縦者の意志を伝える機能に支障はありません。

今こそお見せしましょう。
私の基本設計したマインドフレームは伊達じゃない、って。

周囲に漂うBVAの外殻。
倒したばかりですが、さっそく使わせてもらいますよ!

「燃えあがれ、ロード・スカーレット!」

本来は貴紅を外部装甲として纏うUCですが、ステラのフレームを通して発動することで、BVAの外殻を破損した部位を補うように合体させます。
手足と推進装置、最低限の装甲だけでも機能させられれば…

「さて、あとは頼みましたよ…」
私はこの形態を維持するので精一杯でしょうし、残念ですが操縦は他の方にお任せしますね。


伊達・クラウディア
データ収集のための戦いで予想だにしない連戦とは、運が悪い。
しかし実践ではままあること、気持ちを切り替えて対応していかなくては。

初手からUCを発動、ナノマシンを散布して霧を押しとどめると同時に、【メカニック】としての勘で特に致命的な部分を固めたナノマシンで補強します。
不幸中の幸いにも遠距離攻撃の類は少なそうです。霧はナノマシンで対応して【見切り】で機体へ負担をかけぬよう避けに徹しましょう。

所詮は時間稼ぎにしからならぬでしょうが、構いません。
思念が、心が力になるのなら、いくらでも耐えられます。何故ならば!我が胸の刃は、決して折れぬ!
起死回生の一手へと繋がるであろう時間、稼いでみせましょう!


兎乃・零時
アドリブ絡み歓迎

ん?
パルどうした急に
え、外行けって…?
わ、分かった
…呼吸用の空気は頼むぞ!
(宇宙服無しでも五体満足な類の種族だった


え、パル!?

説明しよう!

紙兎パルは常に護るべき対象より強くなる類の式神だ

実はパル
ロボ作り時
故郷に赴いた際
自身と同じ素材の凄い耐久度が高い紙を滅茶苦茶大量に異次元ウエストポーチに入れていたのだ

そして出来たのが敵にも劣らぬ超巨大な真の姿紙兎
めっちゃ兎
パルはとても頑張ってた

※兎乃はこの機能知らない


事前に言えよぉ!

でもこれで時間は稼げる…!
パルに全魔力をぶち込み《魔力溜め×リミッター解除×オーラ防御×気合×覚悟×勇気×限界突破》強化!

ぶん殴れパル!

す、ステラは壊させねぇ…!


木常野・都月
ステラが!!
ダメだ、壊れたらダメだ!
折角皆で頑張って作ったロボットなんだ、絶対壊れて欲しくない…!
この任務の後、合体出来るようにするんだろ!?

俺は機械に詳しくないけど……曲がったマインドを戻して、修理位なら何とかなるかな。

UC【妖狐の通し道】で妖気は全乗せ。
出来るところまで修復をしたい。
マインド修復を最優先、次に本体を修復したい。

俺の妖気程度で、どこまで治せるかわからないけど……せめてマインドだけでも治れば活路があるはず。

あと、宇宙空間に漂ってるパーツや部品があるなら、電気の精霊様に電磁波で吸い寄せたい。
部品があれば、修復が早いはず。

皆、後は頼んだ!

※詠唱はそれっぽい感じで、アレンジ願います


神酒坂・恭二郎
「嫌なタイミングで来るね。参った参った」
半壊したロボでは無理も出来ないし、疲労もきつい
流石にこの連戦は中々に堪える

まぁやる事は一つだ
芸の無いスペース剣豪に出来るのは斬る事のみである

方針は、引き付けて避けて斬をいれる事だ
居合のように納刀の動作で光剣を収め、無防備に奴の前に浮く
ギリギリまで【覚悟】で引き付けて【見切り】、宇宙に満ちる暗黒物質と、奴によって乱されるその流れに沿って、その顎を流水の木の葉の如く回避したい
師の教えでは、宇宙とは決して虚無の真空ではなく、静かに満たされ流転する豊かな空間なのだ

すれ違いざまに【早業、覇気】で一閃

後は静かにこう告げるだけだ

「動くな」

それに従うか拒むかは相手次第だ


宇宙空間対応型・普通乗用車
増援とか聞いてねぇぞ!?
あの嬢ちゃん予知ミスりやがったな!?
こりゃ生還したらレースクイーンの恰好で接待の刑しかねぇなぁ…!

それはさておきステラが壊れてちゃ話にならねぇ!
オレは修復に全力注ぐぜ!
リンク確立後セーフティモードでシステムを再起動!
破損部位を確認してどうしようもない箇所は邪魔なんでリンクカット!
各部位の状況から修復に必要な部品と手順を計算しつつ、一旦後退して時間稼ぎだ!
んで【ガジェットショータイム】でメンテナンス用のガジェットを召喚!
修復不可能な箇所は予備パーツとして使用しつつ、とにかく修復すんぜ!

この間に回避コースとかの計算も必要だし超忙しいぜぇ!
ヤバイ!知恵熱出る!オレ泣きそう!


テラ・ウィンディア
…大ピンチって奴だな
だが…それで諦めるって選択肢は最初からねぇよなぁ!

なぁステラ…お前がおれ達の力を…想いを高める力を持つのなら…応えろ…!
お前もまた既に…「猟兵」だ…!

UC起動…全身と壊れかけた駆動系全てに重力フィールドを展開させる

【戦闘知識・第六感】で敵の動きと…ステラの力の状態を把握

【見切り・残像・空中戦】で飛び回り回避しながら

重力フィールドで敵の霧や猛攻を堪える!

このままここでやられるなんて冗談じゃねぇよなぁ?
何より…いかなるピンチも乗り越えてこそのスーパーロボットだろ?

【属性攻撃】で全身とレーザーブレードに炎を付与!

更に二刀流でブレードを構え

【早業】で猛攻
一撃一撃に重力を収束!!


バーン・マーディ
此処が星々の世界か
未知の脅威
余りにも巨大
余りにも絶望的だ
ならば…我が…我らが叛逆に相応しい

UC機動
ステラの前に出現する大戦艦

デュランダル騎士達のうち機械に詳しい者達はステラの修復作業を任せ

さて…我が戦艦の出陣だが…相手は絶望的に巨大で強大だ

【戦闘知識】でその動きと法則の把握

【オーラ防御】展開
デュランダル騎士達と戦艦自体を覆い

元より砲撃戦は然程得意ではないのでな!

衝角(ラム)を展開
そのままクエーサービーストに突撃!
【怪力・二回攻撃】で激突!

傷ついた装甲に更に打撃を与えようとデュランダル騎士達と共に猛攻
更に
【吸血・生命力吸収】で再生!敵の猛攻を耐える!
我が猛攻が新しき叛逆の一手とならん…!



「どうする!?」
 急速に接近してくる黒き新手に、宇宙空間対応型・普通乗用車が焦った声で『ステラ』内の仲間たちに全体通信を行った。
 『クエーサービースト・ヴァキアスEAT』。この戦いの後に名付けられるそれは、しかし今この戦いにおいては名もなき新たな脅威だ。
(あの嬢ちゃん予知ミスりやがったな!?こりゃ生還したらレースクイーンの恰好で接待の刑しかねぇなぁ…!)
 思考回路の僅か数パーセントがその光景を思い起こすのに使われ、その大部分が、この危機を回避するのに演算を回避する。
 その焦った声に応えるのは、シン・ドレッドノートだ。
「装甲、外装はどうにかできます!」
「分かった!!だったらオレは中をどうにかする!!」
 
 お互い先の戦いでUCを使用して、一方は疲労困憊、一方は回路が異常な熱を持っている。それぞれの役割を決めたとはいえ、敵は待ってくれない。
 暴食の感情を爆発させながら、『小惑星/デブリ』を超振動する装甲で砕き喰らいながら、より大きく、より強くなったそれが迫り来る。
「あっくそ……!早すぎるだろうがよ……!」 
 機械で在るがゆえに、己の演算機構が冷徹な結果を出力した。敵は、クエーサービーストは、『こちらがステラを修復するよりもとうに早く、敵はこちらに接近し、ステラを打ち壊す』。
 速さは己の専売特許のはず。その事実にセダンは無い歯を食いしばる。

 だから、
「駄目だ!それだけは、駄目だ!!!」
 少年の、木常野・都月の声がする。
 ステラが、皆で頑張ったそれが、壊されようとしている。それが何より、少年には許せない。楽しく、熱く作り上げたそれが、壊されようとするのは、幼き少年の心を燃やした。
「雷の精霊様よ!!!」
 既に疲労困憊の体でなおも、祈る。他の者と同じく。今、この危機に対処している者たちと同様に全力で。ただ、そのうえで都月のUCが一番早かったのは、ただ単に相性と特性の問題だった。
 『祝詞/ことば』が走る。

――ひとたびおににまみえたなれば
               
  しごはろくでもありゃしねぇ。
   
  なんにもまずは、おいのりじゃ 

  ちよにやちよにもうでるから

  おいなりさまのふしぎのみちで 

  くなくにがしてくだしゃんせ ――――

  《妖狐の通し道》が発動し、マインドフレームが感応する。

「あっ……!くっ……!」
 己の意図した事を成功させる代わりに、妖力を消費するという性質をもったUCが、容赦なく都月の妖力を削ってゆく。存在が根幹から解けてゆく感覚に恐怖を感じながら、
「それでも……!」
 己の存在可能性を削減する一歩手前まで妖力を使い切って、遂には己の意図するところを実現する。
 ステラが燐光を放ち、そしてクエーサービーストもまた。
『!?!?!?!?!?!?』
 ステラの近くには散らばった己の装甲が集まり、反対にクエーサービーストは今の瞬間まで、己を強化するために喰らっていたデブリによって増大させた外装が、どんどんどんどん、剥がれてゆく。
 雷の精霊の力が増幅され、味方には祝福となり、敵には呪いとして、顕現していた。


「おいおいおいおい!!!ガッツあるじゃねぇか!都月!!!」
 都月の力が、『ステラ』の全身に行きわたる。歪んでいたマインドフレームが一気に修復されてゆく。
「にしてもあんだけ歪んでても機能するんだな、マインドフレーム!」
 そう、勿論大本は都月の力だが、半壊して大きくゆがんでいたマインドフレーム自体がそのUCを増幅させているのだ。
「当然です。多少歪んでいようとも、各部に配したフレームさえ存在していれば、操縦者の意志を伝える機能に支障はありません」
 そしてそれを設計したシン・ドレットノートは眼鏡を光らせながら答える。
「それと、『信号』は送っておきましたから」
「そうか。なら、とりあえずは耐えりゃこっちの勝ちか」
「ええ。問題はその耐える時間ですが、そちらは?」
 疲れた体をおしてUCを使用する準備を整えながら、シンがセダンに問いかける。
「へ!システムは再起動済みだ。もうちょっとで自己診断プログラムを走らせるのも終わる。したら後は、ヤるだけだ」
「了解……だそうですよ二人とも。今の『ステラ』は半壊状態。性能自体は先ほどより6割減。私とセダンさんで8割、いや、9割にまで性能は戻しますから、あとはよろしくお願いしますよ」
 少女と男に向けて放たれた言葉にしかし、応えはない。それぞれがそれぞれの持ちうる必殺の一撃の為に、精神を研ぎ澄ませているのだ。
 ならば、それに応えねばなるまい。シンもまた己のUCの準備に専念し始めた。
 だから、それに気付いたのは、セダンだけだ。
「アイツ、何やってるんだ?」
 宇宙空間、そこで、兎乃零時が寝こけていた。


 ペシペシ。ペシペシ。自分の頬が叩かれる感覚に、零時は覚醒した。
「ん……んん。な、なんだよ?って……ええ!?!?!?!?」
 起きて、辺りを見回す。一面宇宙空間。どうやら自分は、宇宙空間にいるらしい。『そういう』種族でなければ、即死しているような状況だ。思わず辺りを見回す。
「あ!?えっと?俺様は確かクエーサービーストに一撃かまして……」
 と思った所で、眼前を見る。先ほど戦ったのとは全く別の巨大なクエーサービーストが、眼前から迫っていた。
「おわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?ひぃぃぃぃぃぃぃ!?!?!?!?!?」
 いくら、以前より度胸が増したとはいえ、いきなり眼前に一人ぼっちでクエーサービーストに相対すれば、当然恐怖の叫びは上がる。むしろ、チビらない事が進歩とすら言っても良い位だ。
「あで!?」
 そして気付けするようにもう一度、今度は強めに式紙、紙兎パルが零時の頬を張った。
「な……なんだよパル?」
 言葉は無い。ただ、主の魔力を喰らって、パルが術式を起動する。
「わ……わわわ!?」
 〈異次元ウエストポーチ〉からひとりでに大量の紙が舞い上がり、それが巨大な『紙兎パル』を形作ってゆく。そう、零時の故郷においてステラを作っていた際に、勝手にこのような事態のために、パルが用意していたそれだ。
 紙を消費して、どんどん、どんどん大きくなる。
「ってデカくなりすぎだろ!?」
 その大きさは零時の身長などとうに超えている。当たり前だ。パルは、『
紙兎パルは常に護るべき対象より強くなる類の式神』だ。ならば今、守るべき対象は『ステラ』であり、ここに、《自立型全自動防衛式神・真/カミウサギ・スーパーストロングアメージングモード》は起動する。
「じ、事前にいえよぉ・・・・・・」
 吐き気、息切れが止まらない。無茶は当然。
 けれど、紙兎がクエーサービーストに組み付く事で、この瞬間、僅かでも時間が稼げた。セダンの歓声も、シンの励ましの言葉を今は遠い。かすれる視界で、零時はただただ全力で魔力を供給する事に注力した。
「ぶん殴れパル……!ステラは、壊させねぇ!」
 
 その意志が通じたのだろうか。より強大になってゆくクエーサービーストはパルに押しとどめられた。殴り掛かる拳は紙であるためだろうか。ダメージは薄い。しかし
今一番大事なのはここでステラが破壊されぬよう押しとどめる事。ならばその役割を、パルは十全に果たしている。
 しばしの拮抗、先に焦れたのはクエーサービーストの方だ。煩わし気に口を一度閉じて、勢いよくその咥内に溜まった何かを、噴霧する。
「おわぁ!?パルゥ!?」
 勢いよく噴き出したそれは、巨大なパルにかかったその瞬間、降りかかったそこが一気にふやけ、散ってゆく。分解液だ。
「や……やべぇ……」
 もとよりパルは紙兎。強度自体がそこまででもないのに、分解液など振りかけられてはひとたまりもない。
 後ろの気配では、未だステラは応急処置が始まっている様子もない。あと少し耐えねばならぬのに、その時間を捻出できる余裕が、零時には欠片もありはしない。

「どうにか……どうにか……」
 ああ、今もまた。紙兎パルの外装が解けてゆく。ついにクエーサービーストを抑えていた一方の腕が、崩壊した。
 もう、どうにもならない。それでも、と少年が歯を食いしばろうとしたところ、
「心配無用!」
 少女の声が響き、一気に噴霧されていた分解液が、『凝固』した。

(データ収集のための戦いで予想だにしない連戦とは、運が悪い)
 『信号』を受けて急ぎ向かう『彼』の戦艦から先遣隊として一人、〈梵天丸〉を纏って急行してきた伊達・クラウディアは内心でため息をついく。
(しかし実践ではままあること、気持ちを切り替えて対応していかなくては)
 一度目をつぶり、そして再び開けば、科学の瞳が、〈独眼竜〉が敵の攻撃を観測、推察する。
(なるほど、分解液の噴霧攻撃ですか)
 ならば、やりようもある。

≪―独眼竜、戦闘システム限定解除≫
 超過駆動。得られたデータが〈梵天丸〉へと入力され、この場における最適解を、科学の力が創り出す。

―――ドシュ。鈍い音が響いた。
「グッ……!」
 鈍化されているがゆえに耐える事が出来る程度になっている痛みが、四肢を襲う。 〈梵天丸〉の四肢から伸びる杭が、そのままクラウディアの四肢を捕えていた。

≪【特殊兵装・錬血刃/コード・オクタウィア】の使用制限解除要請。承認コードを要請≫
 こちらの痛みなど気にせず、独眼竜から送られてくる音声はただただ、無機質だ。
「あ……『我が手足より流れる血。我が礎に刻まれし暴虐の傷跡』……クゥ……!」

≪承認コード確認。ナノマシンの機能変換、拡張を行います≫
 己の中身が、血が、ナノマシンが、弄られる。圧倒的な不快感に、クラウディアは、思わずうめいた。果たして、自分は何者なのだろうか。フラスコから生まれて、血潮と言えるのか怪しいナノマシンが流れる体。
 何者、なのだろう。

≪機能変換、拡張確認。起動コードを要請≫
 宙は青く、敵は黒く、もはや近い。
「ふ……ふふ」
 ナノマシンを最適化する不快感に、無我夢中となっていた自分が面白い。自分が何者なのか、わかり切った話である。自分は、伊達・クラウディアだ。
「『その悲劇の声を、我は赫怒と変えて貴様を斬る!』」
≪【特殊兵装・錬血刃/コード・オクタウィア】―――起動≫
 心に刃を携えるものだ。

(おや?)
 宙域に来て、さぁUCの真価を発揮しようとした瞬間、何やら己の体に纏わりつき、力を増す『何かがあった』
「これは……」
 そう、マインドフレーム欠片であった。半壊した時に外に漏れだした分なのだろう。それが、力を与えてくれる。思わず、笑みがこぼれた。何せ、心折れぬ限り力を貸してくれるのならば、これほど相ふさわしい事は無い。
 だから、
「心配無用!」
 叫びと共に、四肢から流れでる『ナノマシン』を分解液の霧へと振りかける。瞬時、それが一気に凝固した。

「大丈夫ですか?零時殿」
「いや!俺よりそれ!血!血!?」
 涼しい顔をしている少女に対して、零時は今なお搾り取られる魔力のせいで顔面蒼白だ。
「安心してください。ナノマシンです」
「出来る訳ないだろぉ!?」
 零時のツッコミをしかし、クラウディアは頷き一つでスルーした。そのような余裕がなかったからである。
「幸い、敵は遠距離攻撃の類は持ってない様子。もう少し耐えましょう。出来ますね?零時殿?」
「お、おう……それは」
 頷く少年に満足に応える余裕などない。その言葉を聞いて、クラウディアは一気に接近していった。
「あ!?お、おい!!!」
 
 実の所、戦いは一方的だった。噴霧液は、無限に放たれる。都月の力によって抑えられてはいるが、敵は暴食の感情で際限なく戦闘能力を増やしてゆく。本来であればより多くの猟兵が、スペースシップワールドの住人達の助力も得たうえで戦う相手。
 それを二人の力で押しとどめようというのがそもそも無謀なのだ。
 凝固した分解液を操って、クラウディアがクエーサービーストの外殻にわずかばかり傷をつけ気を逸らし、零時は只管先へと進ませないようにその場にとどまるパルへと魔力を与える。
 二人が奮戦したのは、僅か、1分ほどだった。

「お前ら!よくやった!!下がれ!!!」
 そしてその一分こそが値千金であったのだ。
 セダンが外部向けのスピーカーを最大音量で零時とクラウディアへ向かって声をかける。
「零時殿!」
 もはやほとんど原型をとどめて居ない巨大パルを維持するために魔力を注いでいたせいで意識がなくなりかけている零時を、少しでも分解液が掛かれば、その瞬間〈梵天丸〉が破損して終わる緊張感の中で戦っていたせいで汗だくになっているクラウディアが抱え、一気にステラの元へと離脱する。
(大丈夫なのか?)
 ステラの様相は、この宙域に来た時より変わっていない。だが、仲間の猟兵がそう言ったのだ。信じるより、他はない。
(頼みますよ……!)
  
「よし!よし!よしよしよし!!!来たぜ来たぜ来たぜ来たぜ!!!」
「ハハハ、元気ですねセダンさん」
 眼前、急速に視界を占めてくるクエーサービーストにしかし、セダンとシンは焦る様子もない。
「こちらは『把握』し終えました。そちらは?」
「おう、自己診断プログラムはオーケーだ。だからこっからは、『競争/レース』だな?」
「いいえ?『共同作業/デュエット』ですよ?」
「仕方ねぇなぁ!やってやらぁ!!!」


   『燃えあがれ、ロード・スカーレット!/ガジェット・ショータイム!』

         クエーサービーストの到達まで、あと30秒前。

 29秒前―――
 シンの把握しているマインドミナの残骸が光を帯びる。/セーフティモードでシステムが再起動される

 27秒前―――
 それは、UCのちょっとした応用。シン本人が貴紅を纏う代わりに、ほぼ完全に治ったマインドフレームで増幅されたそれによって、ステラがマインドミナの装甲を纏う/回路の破損部分で応急処置すら出来ようもない場所はリンクカット。後の不具合は考えない。とりあえず今しばし、動けばいい

 18秒前―――
 破損した部位へと、シンのUCの力によって大まかにマインドミナの装甲がはめ込まれてゆく。とりあえず四肢が動けばいい、バーニアが動けばいい。それだけの為の応急処置/そしてはめ込まれた装甲を実際に組み付けるのは、セダンの持ちうるメンテナンス用のガジェットだ。マインドミナは思念兵器。僅かに加工し、ボルトで留めるだけですむ。

 3秒前―――
 ガジェットが離れる。

 2秒前―――
 バーニアが吹かされ、機体が前に踏み込んだ。

 1秒前―――
「「行ってください/いっちまえ!」」

 0秒前―――

「「テラさん!/恭二郎ぉ!!!!」」


「…大ピンチって、奴だよなぁ!?」
 先鋒は、テラ・ウィンディアだった。今もなおステラに食らいつかんとする悪食の咢を、腕部から展開した二つのレーザーブレードで押しとどめている。
 どうにか応急処置を施して、UCによって性能をごまかしている機体で、まったく新手のクエーサービーストとの戦い。
 そんなの、
「…それで諦めるって選択肢は最初からねぇよなぁ!」
 気合いと共に、マインドフレームにテラの精神が感応する。
「さぁ!『グランディアよ…全ての存在がもつ原初の力よ。我が身に宿り力と成せ…!グラビティフィールド…展開!』」
 言葉と共に、 《モード・グランディア》が発動する。重力場が全身を包み込み、ステラそのものを『補強』する。
 今は、純粋な鍔迫り合いの時。必要なのは技量ではなく、気合いと根性。ならば、それはテラの最も得意とするところ。
 暴食の意志と、反骨の精神が真っ向から相対する。一歩も引かず、一歩も押せず。
「なぁステラ…お前がおれ達の力を…想いを高める力を持つのなら…応えろ…!」
 マインドフレームが赤熱する。テラの意志に従って、機体が炎を噴き上げた。レーザーブレードにもまた炎が宿り、獣の咢を溶断せんとする。けれどまだ、一歩足りない。
 ならば、
「このままここでやられるなんて冗談じゃねぇよなぁ?いかなるピンチも乗り越えてこそのスーパーロボットだろ?」
 何より、
「お前もまた既に…『猟兵』だ…!」
 だから、今此処で、全力を。
 そして思いが力となり、地を作った。

 共振した、マインドフレームが超次元的な『地面』を作り出す。
 本来ここは、宇宙空間だ。踏み込める、踏みとどまれる場所はありもしない筈なのに、その瞬間、ステラは確かに『不可視の地面』を踏みしめた。そうなれば、斬り裂く力も当然増して、
「ああああああ!!!!!いけえええええ!!!!!!」
 テラの気合い一閃、炎の二刀が、クエーサービーストの咢を溶断した。
 一気に駆け抜け、ビーストを背にする。
 瞬間、ステラの背に、その尻尾が迫り来た。
「まだ生きてんのかよ!?」
 たしかに、テラの一撃は甚大な被害を与えている。溶断された咢は、『かみしめる』なんてこと出来そうにない。それでも、恐るべきはその生命力か。
 目の前の『獲物を喰らう』ために、隙とみて迫り来る尻尾をしかし、テラは避ける事など出来はしない。

「参った参った」
 だから、神酒坂・恭二郎が避けた。
 今この時までの修復されたステラの動きが、まさに果断、一意専心、質実剛健な動きであるとするならば、そのふるまいはまさしく風に揺れる木の葉が如し。
 不可視の地面を蹴って、まさに脱力した、としかいいようのない気軽さで、ふわりとステラが宙に返る。
 下を通り過ぎる尻尾を見下ろし、斬。尻尾を断ち切った。
『■■■■■■―――!』
 溶断された咢が、不格好な苦悶の悲鳴を上げる。しかし、痛み自体は鈍いのだろうか。苦悶の悲鳴がそのまま怒りの嘶きとなり、今なお宙返りしている途中のステラへと、蛇のような体がひねられ、咢が迫る。
 例えかみ砕けずとも、その身に入れてしまえさえすればこちらのものといった振る舞いを、
「中々に堪える」
 という気安い言葉とは裏腹に、恭二郎は重く見据える。

―――師、曰く。
 宇宙とは決して虚無の真空ではなく、静かに満たされ流転する豊かな空間である。 
 ならば、眼前のクエーサービーストは、その中を泳ぐ蛟の類か。

 敵に、眼は無い。ならば視線は交錯することなく、しかし意は交錯した。


―――鈴の音が、鳴る。

            《神酒坂風桜子一刀流・虎落笛》

 ステラとクエーサービースト、再び両者の体が交錯して、立ち位置が変わる。
「動くな……と言いたいところだが」
 痛みすら感じさせない雲耀の一閃は、確かに放たれた。しかし、半壊の状態を無理して動かしたからだろう。限界もまた、確かに訪れたのだ。
 クエーサービーストが斬り裂かれ、ステラの両腕が、粉々に砕けた。
 痛み分けだ。しかし、勝負には勝って、試合には負けている。
 
 たしかに恭二郎の一撃はクエーサービーストに致命傷を叩き込んだ。遠からず敵は活動を止めるだろう。だが、『遠からず』なのだ。
 その『遠からず』の間に、クエーサービーストはステラへと体当たりを叩き込める。そうしたなら、もはやステラは跡形もなく壊れるであろう。
 そうしてならステラのデータを持ち帰る事は出来ない。
 そういう事であった。

 クエーサービーストが迫り来る。シンとテラが、衝撃に備えて己のUCを最大限展開する。それでもなお、こらえきる事は難しいだろう。
 
 だから、




       「お前達の叛逆に相応しい終わりを、我が手にて齎さん」
 
        『遠からず』を、大戦艦の『衝角/ラム』が粉砕した。






 巨大な戦艦である。かつて男の率いていた対神組織であるデュランダルの名を冠するその戦艦の衝角は、クエーサービーストを突き刺し、逃す事など在りはしない。
 そう、今ここに存在するその巨大戦艦デュランダルこそが、ステラの回収を任され、そしてシンが信号を送った相手であった。
「此処が星々の世界。此れが、未知の脅威」
 その戦艦の甲板にて、大剣を突き立て立つ男は、厳かな瞳でその巨体を見据える。
 傷付き、今もなおその命の灯が潰えてゆくというのにも関わらず、その巨体も持つ暴食という本能に忠実であるらしく、今もなお何かを喰わんと暴れている。
 絶望、であろう。その巨体。その威容。その生命力。斯様なものが襲い掛かられたら、並みの存在はひとたまりもない。そのような存在が未踏宙域にはごまんといるのだ。
 だからこそ、
「我が…我らが叛逆に相応しい」
 バーン・マーディーは感慨深げにつぶやいた。そして、振り返らず、背後の騎士たちに厳かに伝えた。
「さぁ、征くぞ。機械に詳しいものは、ステラの回収。それ以外の者は……」
 剣を引き抜く。
「我に、続けぇ!!!!」
 さぁ、叛逆の時間である。
 全てを喰らわんとする貪欲なる者よ、報いの時は来たれり。
 騎士たちの霊魂は、獣の食えるものではなく、ただその決意が傷付いた外殻により深く、痛みを与え、黒き騎士の魔剣は、僅かに残った命すら吸い尽くす。
 そしてそれでもなお、敵の尽きんとする生命力は旺盛で会った。そもそも相手のスケールは小惑星レベル。規模が違うのだ。死に至るまでの、その時間はどんどん減っていてもなお。
 ならば、と本当に最期、とどめの一撃は衝角を突き刺した大戦艦デュランダルからの零距離砲撃。
 それはまるで、これより未踏宙域へと踏み込んでいくにおいてまみえる様々な脅威との開戦の号砲のようで。
 ともかく、新たる敵の撃退、今後の為の試作ロボットのデータを手に入れ、猟兵達は大勝利に幕を閉じたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月20日


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30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メイスン・ドットハックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト