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帝竜戦役㉑〜劫火たる者を問う竜の戦唄

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #ガイオウガ #群竜大陸


 その身は幾重にも重ねられた炎だった。
 群にして個。たったひとつの核たる魂に導かれ、束ねられた炎獣たちが蠢き、ひとつの巨大な竜の姿を取っている。
 戴く王冠はなくとも。
 何かを成そうと牙を剥かずとも。
 その身に宿す古き炎に近づくだけで、生命は藁のように燃えていく。
 燃え盛る炎の竜。太古の獣と炎に編まれた存在。

――これが帝竜ガイオウガ。
 
 煮え滾る溶岩は破滅の熱を周囲に放っている。
 何を思い、何を考え、何を成そうとしているのかは判らない。
 炎の猛威そのものたるガイオウガの意を汲み取ることなど、たかがひとつの生命では出来ないのだろう。
「破壊する牙といったか」
 だから、この言葉にこそ誠がある。
 灼熱の風を巻き起こす吐息と共に、吐き出された言葉に。
「何度ねじ伏せられようと、幾たびも立ち上がる気概というか」
 周囲は溶岩と、そしてガイオウガ自身の持つ熱で赤熱する火山。
 岩肌を焼き、踏み砕いた岩盤を溶かし、動き始めるそれは、侵略していく溶岩の波涛のようだ。
 止められないし止まらない。
 破滅の炎は、周囲にある世界の全てを赤々と燃えながら突き進む。
「何でも喰らう喰らう魂の持ち主と……いうのか」
 覚えていない。だが、魂が微かに、何かを感じている。
 判らない。判らない。
 だが、そうやって判らないことを良しとできぬ。

「だが、全てを砕く牙、幾たび倒れても立ち上がる気概、そして全てを喰らうモノ――それは我だ」

 それが炎の猛威というもの。
 蹂躙し、暴食するように見境無く。
 群体でもあるガイオウガは、核たる魂を砕かれぬ限り、不滅でさえあるのたから。
「我と、お前達。どちらが真に劫火たるものか。相見えて決しよう」
 正面からぶつからなければその応えは手に入らない。
 身を削り合い、喰らい合い、焼き尽くしあった後にしか、応えたる炎の残滓は残らないのだ。
 そう思い、信じるからこそ、溶岩を伴って突き進むガイオウガの進軍は止まらない。
 応えを手に入れるまでは、決して、決して。
 不滅たる炎はどちらか。
 破滅たる牙はどちらか。
 問いかけるように咆哮。主の声に従い、周囲の赤炎たちが、踊り狂う。
 敗北するかもしれないと進言された。
 ならばこそ、確かめなければならない。
 どちらが真たる劫火であるかを。


 さあ、これより戦に参ろう。
 そこにて真実を――『再孵化』で失われた記憶の変わり。
 雌雄を決して、事実を手に入れるのだ。


 呼吸さえ出来ない熱波の中で。
 炎の獣たちが、ガイオウガの裡で戦意に猛る。
 正面から全力で――叶うならば。
 叶うならばと。






 帝竜ガイオウガの出陣。
 それは破壊の炎が突き進むに等しいことだ。
 自らの領域である火山を突き進む速度が決して早いとは言わないものの。
「周囲を焼き尽くして進むそれが驚異であることに他ならないのです」
 そう語るのは秋穂・紗織(木花吐息・f18825)だ。
 山肌、岩盤。
 至る所に炎が溢れ、また、燃え上がらせながら進むのは炎という群体の進軍であるかのよう。
「もっとも、溶岩の中に潜り、待ち受けるという作戦をとられるよりは幾分かマシでしょうけれど」
 つぅ、と指先がなぞる地図で示されるのはガイオウガと決戦の地となる場所。
 見晴らしはよい、平坦な荒野だ。
 無数の大岩が転がり、身を隠すのは使えるだろう。が、見晴らしの良さは地を駆けるガイオウガがその巨体を隠し、或いは、守ることができなくなる代わりに、気づかれやすくもなるというもの。
 数をもって包囲するにも十分。纏う炎と熱波にさえ気をつければ、可能だろう。
 が、何より真っ正面から戦い合うことに向いている戦場だ。
「ガイオウガの狙い……というより、願いと衝動としては、正面から衝突すること、なのでしょうね」
 それがどうしてなのか。
 自分自身も判っていないだろう。
 完全なる雌雄を決したい。そんな思いが何処から湧き上がり、炎となっているのか。
 判らないから、赴くのだろう。
 不純なるものは、その身たる炎を濁らせるのみ故に。
「空を飛ばぬ変わり、炎たる身。全身から炎の獣と溶岩を放つ相手。近づこうとも、距離を取ろうとも、容易な相手ではありませんが」
 だからこそ、此処で討ち取らねばならないのだと。
 紗織はひとつ、お辞儀をするのだ。

「それに……応えを求めて迷う魂に、戦での終わりをと思うのは、少し、間違いでしょうか」

 烈火の如き存在。
 真実を求めて、真っ向より戦に赴く。
 それは身を滅ぼしてなお、求める何かがあるような。
 苛烈で凄烈で、度し難い程の熱意があるような気がして。

「どうか、皆さん、如何なる炎でも燃え尽きることなき、その心にて――宜しくお願いいたしますね」

 


遙月
 マスターの遙月です。
 初めまして、或いは、この度もどうぞ宜しくお願い致します。

 今回は帝竜ガイオウガとの決戦となります。
 敗北するかもしれないと備えろと進言され、なお、突き進む姿は、如何なる思いでしょうか。少なくとも、このガイオウガは真っ向から挑み、戦うことに意味があるのだと思っているのでしょう。
 或いは、届けられなかった過去の思いが、火のように燻っているでしょうか。
 炎の獣の主たる、ガイウオガ。
 もはや応えも、真実も、過去となって流れてしまったものと。
 かつてはなかった、全力での正面からの激突になります。

 どちらかといえば、ボス戦といっても心情より。
 全力で、炎さえ越える思いを向けて頂ければと。

 この度の命でしかないガイオウガに記憶はなく、応えは明確には出ませんが。
 ひとつの戦いの中で、キャラクターの思いを、炎の竜へとぶつけてやってくださいませ。
 火焔よりなお激しく、輝しく、舞い踊るその思いを。
 ……過去の因縁に意味はなしと、燃やし尽くして、悔いの灰も残さないように。


 今回も出来るだけ全員採用での執筆となります。
 その為、キャパシーオーバーしそうな時は早めに切り上げることもあるでしょうが。
 重ねまして、どうぞ、宜しくお願いいたしますね。



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プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
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第1章 ボス戦 『帝竜ガイオウガ』

POW   :    垓王牙炎弾
【全身の火口から吹き出す火山弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【『炎の獣』に変身する】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    垓王牙溶岩流
自身の身体部位ひとつを【大地を消滅させる程の超高熱溶岩流】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    垓王牙炎操
レベル×1個の【ガイオウガに似た竜の姿】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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天道・あや
正面からのファイト……うん!いいね!それ、凄く、火山とyouはホットだけど、でも、COOL!

だから!その返事にはYES!と答えさせて貰う!というわけで、……右よし!左よし!あたしよし!それじゃ、あたしの夢と未来へと駆ける、熱い思いとyouの炎、どっちが熱く!COOL!か、勝負!!

おお!youによく似た炎!そしてそれがー合体した!?うわ、you並みにデカいじゃん!

しかし!あたしの情熱だって、負けてない!その炎、正面から受け止める!【激痛耐性、火炎耐性、限界突破】

それじゃ、今度はこっちの番!行きますよ!皆さん!UC発動!そして船に乗って、突撃!!これが、あたしの炎のような、情熱!夢と未来への想い!



 それが帝竜としての矜持であるかのように。
 もしくは、己こそが火焔の真髄であると示すが如く。 
 ただ真っ正面より、迫るは帝竜ガイオウガ。
 火山の噴火のような勢いと熱を伴い、踏みしめる大地を揺らし、周囲を焼きながら。
 果たすべものがあるというかのように、突き進むその姿。
「正面からのファイト……うん! いいね! それ、凄く」
戦いに赴く竜そのものだからこそ、天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)は喝采の歌のように声をあげる。
 僅かに揺らぐことなく自らの在り方を貫く姿は、確かに賞賛していいだろう。
 ならば、天道も自分の夢を声色に乗せていく。
「火山とyouはホットだけど、でも、COOL!」
 夢へ、明日へ、理想へ。
 突き進むは互いに真っ直ぐ。
 ブレたりしない。迷ったりしない。躊躇うぐらいなら、突き進むのみ。
「だから!その返事にはYES! と答えさせて貰う!」
 左右を確認し、己が胸に手をあて、帝竜ガイオウガへと視線を向ける。
 左右も上下も、天地も己も敵も全てよし。
 ならば、いざ尋常に。
 雌雄を決する勝負は一度きりだから。
「それじゃ、あたしの夢と未来へと駆ける、熱い思いとyouの炎……どっちが熱く! COOLか、勝負!!」
 不完全燃焼なんてありえない。
 自分の進み方を変えるなんて、絶対にない。
 求める夢と理想。情熱と決意の炎は、天道とガイオウガの瞳で揺らめき、煌めき。
「我に、お前の傾くような台詞は判らぬ。が、全てよし。心意気、熱意、我を越える炎抱くか、確かめてみよ!!」
 戦意に吼えるガイオウガ。
 応じるが如く、身体から滲みだした炎が無数の竜の姿を形取り、周囲を駆け回る。
「おお! youによく似た炎!」
 そしてそれが合体し、巨大なひとつの竜へと変貌する。
 巨大な顎の先には、小さな、小さな天道がひとり。
 小細工は不要と突き進む烈火怒濤。大地を揺るがし、空を焦がす猛威を前に、けれど天道は怯まない。
「そして大きく、真っ正面からも――youと同じ!! その炎、youの熱そのものなら」
 正面から受け止めて当然なのだと。
 情熱同士の勝負ならば、退く訳にはいかないと限界を突破する程の気を纏い、火炎の奔流となった竜の衝突に耐える。
 激痛。肌どころ、肉が焼けて血が蒸発する。
 呼吸すれば肺をも焼き尽くすだろうそれに、堪える天道。
 いいや、出来るのだと確信している。
 だってそうだ。

 これががガイオウガというyouの情熱なら。
 私の情熱の炎が、それに焼き尽くされ、飲まれる筈なんてないのだから。

――だって、あの日の絶望でも消えなかった想いと輝きは、鼓動の中にあり続けて、信じて射る。


 決して傲慢などではない。
 ただ自分を信じ、貫き通すその姿。
 これこそ情熱と夢だと。
 太陽に焼かれたイカロスの翼ほど、天道の抱く思いは脆くはない。
 炎の竜が過ぎゆき、揺らぐ灼熱の世界の中で、天道は立つ。
 堪えた一撃。凌いだ攻勢。ガイオウガも感嘆の吐息を付くほど、それは愚直で、美しい、夢の在り方だから。
「それじゃ、今度はこっちの番! 行きますよ! 皆さん!」
未だ炎に焼かれ続ける腕を振るい、天道が発動するユーベルコード。
痛みなど知ったことではないと笑い続けて。
 無数の楽器、そして演出を詰め込んだ幽霊船が荒れ地の上に出現する。
 華やかなるその姿と、奏で散らされる音楽。
「これが、あたしの炎のような、情熱! 夢と未来への想い!」
 激しく打ち鳴らされる火炎のような音楽と共に、ガイオウガへと、真っ正面から激突する天道の幽霊船。
 明日へ、未来へ。
 進む為に、激しく明るい音を鳴らして。
 巨躯を誇るガイオウガを僅かに後退させて、その身を軋ませて。
「まだまだ、一曲目っ! 続けるよ!!」
 身体中にある火口から放たれる熱波に焼かれても。
 また天道は、その前へと突き進む夢と希望の音楽船は止まらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビスマス・テルマール
貴方達がガイオウガ

わたしのご当地の力と
何か根源的に似てる気が

気になる事があるのは
お互い様でしょうか?

●POW:対策
『激痛耐性』と『属性攻撃(味噌)』込めた『オーラ防御』と『火炎耐性』で備え

敵のUCと炎の獣の攻撃をコレらの技能を込めた実体『残像』を障害物として置きつつ『第六感』で『見切り』回避し

『地形の利用』もし『空中戦』で撹乱

『属性攻撃(味噌)』を込めた『一斉発射』の『砲撃』し

炎の獣やUCの勢いを削ぎ

隙を見てUCで炎の獣や炎弾を備えた耐性技能で『鎧無視攻撃』の『大喰い』し

その力の鎧装を纏い強化

『鎧無視攻撃』と
『属性攻撃(味噌の獣)』込めた『一斉発射』の『砲撃』を敵に


※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



 蒼鉛の鎧は熱波を浴びて、鈍い輝きを放つ。
 根源的に似ている気がするのは、どうしてなのか。
ご当地もまた、大地。そして溶岩という炎も、大地に宿るもの。
 単純にいえば巡る星の命としては同じなのだが。
 ただそれだけではない気がして、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は一瞬だけ動きを止める。
「貴方が、貴方達が、ガイオウガ」
「如何にも」
 誰何は一瞬。
 個である以前に、群れでもあるということを本質として察知したビスマス。
 対するガイオウガは帝竜として突き進むばかり。
「気になる事があるのは……」
 激震する大地。粉塵と炎撒き散らされる戦場。
 青い瞳で、赤々と染まるその様を見て、見つめて、ビスマスは砲の銃身をガイオウガへと向ける。
「……お互い様でしょうか?」
「故に、激突するのみ。近しいならば、等しいならば、その差は触れなければ判らぬ」
 まるで覇王のガイオウガの如き声。
 弾ける寸前の炎のように、静かに、そして、激烈に。
「そして、我が触れるとは、焼き尽くすということに他ならぬ」
 膨らむ喉。いいや、全身。
 身体中から突出したあらゆる火口から吹き出すのは火炎弾。
 溶岩そのものを噴き出させるようなそれは、熱量だけはなく質量ともしても驚異。ましてや降り注ぐ途中に、それらが炎の獣へと変じるならば。
 弾雨、弾幕どころではない。
 掠めるだけで被害は甚大。それが獣となって追尾してくる悪夢の様だ。
「これら全ては、防げず、耐えられませんね」
 火を消すと信じるからこそ効果を持つ味噌の属性と、火炎への耐性を持たせたオーラを全身に纏ったビスマスだが、即座に回避へ。
 地上では自在に動けぬと空中へと飛翔。
 速度に緩急をつけて幾つもの残像を産み出して囮とし、迫る火炎弾と歩炎の獣たちを第六感で避けていく。
 全ての回避は無理だ。鎧に、肌に、火炎が着弾し、爪が切り裂いていく。血が出る前から傷口が焼かれ、更に燃え広がっていく。
「この……っ……!」
 隙を伺うようでは、このまま膨大なまでの数に押しつぶされると判断したビスマス。空中にて味噌の属性を込めた砲撃を四方へと一斉発射し、数には数をと、ガイオウガの猛攻を相殺して勢いを削ごうとする。
「あえて、水や氷に頼らぬのは何故か?」
 問うのはガイオウガ。
 単純かつ効果がある。少なくとも、確実なのはそちらだ。
 命を賭けた場で味噌を使うのは博打に過ぎる。故に、見慣れぬそれに、問いかける、炎の帝竜。
「このような場でこそ、自分の信じるものを使うものでしょう。ガイオウガ、あなたが、あくまで火であるように」
「汝は、かくたると」
 そして再び迫る火炎弾と炎の獣たち。
 問われ、そして応えてる間だからこそ出来た間隙。それを逃せば、後はない。
 そういう意味では、ガイオウガの誘いでもあったのだろうが、ビスマスは乗る。正面よりというのならば、応じさせて貰うまで。
 瞬間に展開されるのは捕食と展開の技だ。
 火炎弾を、炎の獣を、無数に迫るそれらの悉くを喰らい、自らの武装へと作り替えていく。
 とはいう、ガイオウガの攻撃の全てを喰らい、無力化するなど無理なことだ。
 直撃した火炎弾で鎧がひび割れ、爪が深々と脇腹へと突き刺さるが、ビスマスの青い瞳はガイオウガの眼を見据えた儘だ。
 痛みならば耐えられる。
 火炎だてそうだ。
 自分がそうだし信じる限り、思いは何時だって力となって応えてくれる。
「貴方達という炎の群れの全てを喰らい、表現するのは無理でしょうが」
 ビスマスの鎧の各所には、火炎と竜と、火山の意匠をもった武装。攻撃してきた相手のユーベルコードによって鎧装を変化させ、己を強化させるものなのだから。
「これが、帝竜の火でも燃やしきれぬ、フードファイトの極みですっ!」
 己は火に非ず。
 だが、如何なる炎に屈するものでもないのだと。
 鎧装から喰らった炎と獣を乗せ、ビスマスはガイオウガへと砲火を浴びせる。
「そして、私は喰らい、創造し、表現するものであると、お教えしましょう」
「我を喰らうというのならば、示してみせよ。壊せる牙あるならば、突き立ててみよ」
「いいえ、貴方を用い、貴方を倒すモノを見せるのみ。破壊になど興味はありません!」
 迫る火炎弾と炎獣。それらを喰らい、或いは、攻撃を受けつつ。
 怯むことなく、鎧装に顕れた火炎の技と、味噌の砲撃の乱射を以て応じるビスマス。
 真っ向から守りを捨てた砲火が交わされ、互いの存在を削り合う。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋翠・華乃音
……帝竜は一体一体が非常に驚異だな。
だが所詮それは個としての強さだ。
優れた個体一つで何もかもを打開出来るほど戦場は甘くない。


先制攻撃は回避に専念。
生半可な防御では恐らく意味が無いだろうから。

用いるべきは研ぎ澄まされた合理性。
加えて最善を瞬時に選択する判断力。

足場と位置と火山弾の速度を刹那の内に計算。
回避という最適解を得る為に。
搦め手を仕掛けないなら幾らか読みやすいものだ。


さて、的としては外しようがないな。
近付く必要が無いのは幸いと言うべきか。

優れた五感と直感で見切った弱点や脆弱箇所をユーベルコードで精密に狙撃。



 迫る火は何処までも苛烈に。
 音を立てて流れ、崩れ、焼いて、壊していく。
 火の帝竜たるガイオウガが戦えば、それだけでひとつの地域が破滅に向かうのだ。燃え盛る火は、荒れ地だからこそこの程度で済んでいる。
 蹂躙する火炎の群れ。それこそ、帝竜ガイオウガ。
「……帝竜は一体一体が非常に驚異だな」
 静謐さを湛えるは瑠璃の双眸。
 緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)の瞳は、まるで苛烈なる炎とは正反対だ。
 星空のように静かで。
 赦しを与えるように、穏やか。
 火炎渦巻く場において、激情とは正反対の性質を見せながら、帝竜ガイオウガを見据える。
 踏み出す歩みは、ひらりと軽やかに翻る蝶のそれに似て。
「だが所詮それは個としての強さだ」
 帝竜ガイオウガを冷徹に、そして、しっかりと分析する。
「優れた個体一つで何もかもを打開出来るほど戦場は甘くない」
 その脅威に囚われ、束縛されることはないのだと、瑠璃の蝶たる緋翠は炎の中を駆け出す。
 ただ暴れるだけでは、焦がすこと、焼くこと、決して叶わぬのだと。
「――そうか。が群れにして子であるのが我だ」
 先制で放たれるのは火炎弾と、それより変ずる炎の獣たち。
 豪雨の如く降り注ぎ、波涛のように迫る赤熱。
 波状攻撃として繰り出されるそれに、見出して突きいれる隙などありはしない。ならばと、回避のみに専念する緋翠の動き。
 青い色彩を奪う赤の中で、けれど、緋翠は合理と冷静さを失わない。
 用いるべきは研ぎ澄まされた合理性。
 歩みは早く、早く、周囲に迫る火炎弾と獣の攻勢を避けるが為に。
 加えて最善を瞬時に選択する判断力。
 周囲の地形、大岩や足場となる荒れ地の穴などを計算し、跳躍していく。
 止まれば火炎弾に追いつかれて直撃を受ける。が、単調な動きでは、獣に補足されて爪で引き裂かれる。
 ならばと、ひらり、するりと翻弄するよう左右へと駆け抜ける姿は、やはり蝶が踊るように美しく。
 合理的にして、冷徹な決断は、瑠璃の翅で火獄の狭間を舞うかのよう。
 焦がせず、焼けず。
 避けるに徹する緋翠には届かない。
「搦め手を仕掛けないなら幾らか読みやすいものだ」
 が、それは紙一重。
 僅かでも気を緩めれば、天より降る火炎弾に撃ち抜かれ、迫る獣の爪牙が襲いかかる。
 その中でも飛翔するからこそ、瑠璃の蝶。
 緋翠の在り方。
 如何なる猛火の中でも、それが変わる事はない。
 僅かにガイオウガの攻撃の緩んだ瞬間。見逃さず、振り返ってガイオウガの姿を捉える緋翠。
 五感と直感で見切り、弱点を探り当てる瞳は暗殺者のそれに似て。
 手にした銃の引き金を絞るのだ。
「――翔べ、駆けろ」
 放たれるは流星に似た銀と瑠璃の銃弾。
 火炎の群れを突き破り、突き抜けて、至るは竜の急所たる逆鱗。
 数理と条理と方程式、導かれるた必中の最適解は弾丸となって、逆鱗のある喉へと突き刺さる。
「これだけ大きければ外しようはない」
 二発、三発と続ける前に再び跳躍。火炎弾と炎獣が迫るのをくるりと身を翻して避け、一拍の隙を見つけて、再び構える。
「近づく必要はないのは幸いだ」
「それが汝の道というのならば、付き合おう。それが壊す牙であるか、確かめさせて貰おう」
 噴き出す溶岩と、炎の獣を群れと成して、ガイオウガが緋翠へと牙を剥く。何処までいってもこの帝竜は炎。苛烈にして直情と激情。
 だからこそ。
「全てがお前のように、とはならないさ。群にして個になったからこそ、違いがわからないか。火は火で、水は水。そして」
 蝶は蝶、銀星は銀星。
 終わりを迎えるように。
 数理と条理が道を紡ぎ、流星の弾丸がガイオウガへと突き刺さる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
冷え固まる前の『原初の星』とは或いはあのような存在なのか
いえ、圧倒される訳にはいきませんね

騎士を志し、御伽を理想とするならば
如何な存在であろうとを打ち倒さなくてはならないのですから

機械飛竜に●騎乗
●空中戦技能を用いた回避軌道で火山弾を避け、
口部単装砲や格納銃器での●スナイパー射撃で獣を迎撃

センサーでの●情報収集で表面温度分析
恐らく最も高温な場所が『核』
位置を●見切って損傷か露出目的でUC起動

この瞬間に全てを掛けましょう!

突撃、串刺し

バリアの●武器受け●盾受けでも温度に耐えられるのはごく僅か
物資収納スペースの爆薬をありたけ置き土産に(●破壊工作)槍放棄
飛竜を●ハッキングし出力●限界突破、離脱



 眼前に立つは、お伽噺を通り越した、幻想の類い。
 赤く、赤く。周囲を染め上げ、熱を放って、全てを溶解していく。
 冷えて固まる前の、原初の星とは或いはあのような存在なのか。
 未だ定められた形がないからこそ、脈打ち流れるのだ。
 激しく、そして、全てを壊しながら動き回るのだ。
「いえ、だからと圧倒される訳にはいきませんね」
 例え鋼の身であろうと溶かす火炎纏う、帝竜ガイオウガ。
 それを前に、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は立ち塞がる。
 その瞳、その顔、身体の全ては機械じかけ。
 されど、真実の心を携えて。
「騎士を志し、御伽を理想とするならば」
 その身は戦機の騎士。
 傷つき、壊れ、砕かれようとも、決して我が騎士道は譲らぬと。
「如何な存在であろうとを打ち倒さなくてはならないのですから」
 帝竜ガイオウガを見上げ、跨がるはこれも機械の飛龍、「ロシナンテⅢ」。
 翼をはためかせ、空を翔る。
 そこに機械の技術か、それとも不思議な魔術かの差はあれど、確かに竜に騎乗せし騎士の姿。
 ガイオウガに迫れば迫る程、巨大になる姿と、その威圧。
「汝、炎ではなく鋼たるものか?」
 問いかけは、竜の謎かけというよりも、純粋に、今から戦うものの本質を問うものであり。
 正面より決し、それで応えを求める、炎竜の戦意だった。
「身体は鋼ですが、胸に秘めるは騎士のそれです」
「成る程。纏うのが肉か骨か、鉄かなど無意味か」
 笑ったのだろうか。
 ガイオウガの口から吹き抜ける熱波は機竜を揺るがす程。
 獰猛な獣のそれであり、破滅を呼ぶ竜のそれに他ならない。
「ならば、騎士の誉れとこの帝竜ガイオウガの命、心臓を穿ち、奪って掲げてみせよ」
 事実、続くのは全身より放たれる火炎弾の嵐だ。
 直撃すればタダではすまない暴威たる威力。かつ、それが獣へと変貌して、追尾してくるという苛烈にして隙のない攻勢。
「ロシナンテ、無理を通しますよ」
 が、迫らねば目的を果たせないのだと、螺旋軌道を描いて、更に高速で滑空する機械の飛龍。
 翼に、胴体に、そして騎乗するトリテレイアに炎が掠めるように当たり、鋼鉄すら燃やす竜の炎がその身を包む。
 前に進めば進むほど、着弾して燃え上がるその姿。だが、速度を緩めることなどない。
「まだです。まだ」
 直撃を避けながら、飛龍の口内の単装砲による狙撃で迫る獣を撃ち落とす。
 失速も停止もあってはならない。
 トリテレイアのそれは一瞬の激突にかける、騎兵突撃の如く。
 しかし、その瞳はやはり戦機の騎士なのだ。
 ただ見えるだけではない。ただ物を映すだけではない。
 熱センサーを用いてガイオウガ全身の表面温度を分析。最も高温を発している場所こそ、この帝竜ガイオウガの核であるのだと。
 見切り、見定め、火達磨となりながら突き進む。
「やはり、浅い位置にありませんか」
 そして外皮も硬い。飛龍の単装砲では貫けないそれに、トリテレイアも覚悟決める。
 定める穂先はガイオウガの核へ向けて。けれど、浅い攻撃では意味がないと、機械の飛龍へとハッキングし、限界を超えた駆動で加速。
 音を置き去りにして烈閃として迫るトリテレイア。
「この瞬間に全てを掛けましょう!」
 構えるのは巨大な機械槍。
 一瞬で間合いを踏破し、音速を遙かに超える勢いを乗せての突撃がガイオウガの核の真上へと叩き込まれる。
 巨体を誇るガイオウガでさえ後退するほどの衝撃。それが乗った穂先は、確かにその身を貫き、穿っている。
 竜の鱗とて、騎士の苛烈なる魂の一閃を防ぐことは出来ないのだ。
「真に、騎士か。我に迫るとは」
「くっ……!」
 巨大な機械槍は確かに、ガイオウガを串刺して、核の上を貫いている。が、あと一歩足りない。その魂を穿つには、まだ速度も威力も足りないのだ。
「汝、炎の勇気と、鋼の冷徹さを持つ騎士よ。……が、我を砕く牙にあらず」
 鮮血の代わりに溢れ出す溶岩。近づくことさえ困難な筈の高熱は、バリアと防壁を盾にして受けても長くは続かない。
 加え、一瞬にして炎の獣が殺到する。爪で引き裂かれ、牙で砕かれるのは数秒先か。それとも、ガイオウガから流れる溶岩という返り血で溶けるのが先か。
「ならば」
 置き土産と格納庫よりありったけの爆薬を残し、急降下して離脱するトリテレイア。
 轟く爆音。だが、炎たる身に、どれほどの負傷を与えられたか。
「何もないよりはマシ、ですか」
 確かに深手を負わせた。
 だが、突き刺した突撃槍は放棄するしかないほど。トリテレイアの身にも溶岩が降り注ぎ、その身を焼くどころか溶かしている。
 相打ちに近い。
 だが、帝竜相手にそれをやり遂げる身は。
 まさしく勇士であると、そう称えるしかない。
 その核の位置を示す跡は、後の勝利へと繋がると信じて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アネット・レインフォール
▼静
形容するなら歩く火山帯か。

戦力差は明白。
加えて、相手は群にして個だ。

この難敵にどう戦う?
考えろ――思考を止めるな。

自身が凡才という事など、ずっと前から知っている。
だからこそ、何千何万回と繰り返しきた。

後続の為にも――今はこの一撃を叩き込むだけだ。

▼動
先ずは刀剣を念動力で周囲に展開。
必要なら属性攻撃で氷結付与も行う。

火山弾の飛来と同時に間合いを詰め、
剣を投擲・受流し・盾・囮等に使い捨てながら接近。
この間に火口を狙っているフリを見せておく。

近接後、数回ほど火口に斬撃を集中。

敵の攻撃が来たら、身を晒した状態で更に前へ踏み込み、
霽刀を手に【無刀閃】で喉笛を噛み切る一撃を放つ。

連携、アドリブ歓迎



 河を絶ち、山を切り崩す剣など存在しない。
 それは深く判る。当然のことだ。
 アネット・レインフォール(剣の異邦人・f01254)は武人たからこそ、振るう剣の先に都合のいい夢や幻を求めたりしない。
 判っているからこそ、握り締める愛刀、霽刀【月祈滄溟】の柄を握り締める。
 漆黒の瞳が見つめる先で動くは帝竜ガイオウガ。
 形容するならば、それは動く火山帯。
 戦力差は明白。刃で断てる大きさではない。
 加え、的は群であり個ではない。一振りにて、核たる魂を斬り捨てることのなんたる難しいことか。
――この難敵にどう立ち向かう?
高速で回転する思考。自分が凡才であり、天才や鬼才は数多とみてきたからこそ、勝機ないなどアネットは諦めない。
 如何様にも戦い方はあるのだ。
 どんな敵にも立ち止まらず、切っ先を向けて来た。
 何百、何千、と振るい続けた剣技では届かないなど、認めはしない。
 ならばこそ、それを一閃と化して。
「後続の為にも――今はこの一撃を叩き込むだけだ」
 一振りの刃となり、アネットは戦場を駆ける。
その周囲に舞うのは氷結の属性を帯びた刀剣たち。念動力で動き、旋回するそれらは、振るう武器であると同時に、盾だ。
 うち一振りが迫る火炎弾と激突し、弾き飛ばされるが、残る十を超えるものたちが更に飛来する炎と獣を迎え撃つ。
 投擲によって迎撃し、旋回して盾となり、獣の爪を受け流していく刀剣たち。激突の度に氷結と火炎の欠片が飛び散る。
「まだ。まだだ!」
「我の元に剣士が駆けるか――よき勇。その胸の炎の熱、我に見せてみよ」
「言われずとも、斬り捨てさせて貰うだけだ」
 周囲に漂う刀剣は駆け抜ける際に、悉くが打ち払われ、使い捨てられるように後方へ。
 衣服に、肌に、火炎が衝突して燃え盛るが、もはや構う余裕などアネットにはない。


 ただ一刀。
 ただ一太刀。
 それさえ叶わぬのならば、意味はないのだと。


「劫火たる身はどちらか、決しようぞ」
 火口狙いなどする余裕はない。
 だが、それだけ気迫に満ちて果敢に攻める剣士を、ガイオウガは己が牙を以て砕かんとする。
 アネット達は、倒されても幾度となく立ち上がるモノだと知っているから。
 が、自らは全てを壊す牙は己であると、自負がある。
 己は劫火。消すことのできぬものだと、魂が叫んでいるのだ。
 故に直接、この手で。
 全てを喰らい、飲み込むものであると、吼えるガイオウガ。
 だが、それは。
「それは、俺も同じことだ!」
アネットとて同様。
 剣士として幾千、幾万の剣撃を振るってきたのは、強くなる為。
 相手が帝竜だとして、それを前に屈するなど、己が矜持が許さぬこと。
 故にその牙へと身を晒し、なお踏み込むアネット。身が斬り裂かれ、纏う炎に肉と血と、骨まで焼かれながら。
「剣士の思いを、刃に込めた魂を、舐めるな。竜と炎が至上と決めるな!」
 炎竜に劣らぬ咆哮と共に振るわれるは、交差法の極致。
 ガイオウガが襲いかかるその力を利用し、放たれるは剣気を纏う剛の一閃。鎧たる鱗を破壊するように斬り裂き、その逆鱗のある喉まで深い裂傷を刻む。
 鋼であれ、岩であれ。
 そして竜であれ、この身を刃と化せば、切れぬものなしと。
「どんな猛威、劫火があろうと」
 代わり、無防備な身体で受けた傷は深く、アネットの全身には酷い火傷。
「それを斬り払うのが、ヒトの剣だと知れ」
 苦鳴をあげる帝竜ガイオウガの前で。
 深い傷を負いながらも、なお立ち続けるアネット。
 構え直す愛刀に刻まれた、青の漣を帯びた滄溟晶が赤熱の戦場で煌めく。
 後続に繋ぐのだ。
 ただ、一太刀のみでは足りないと。
 アネットの剣気は衰えず、切っ先はガイオウガへと向けられる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大崎・玉恵
帝竜垓王牙。まさしく、山の怒りといった様相じゃのう。
もとより災厄の化身なのじゃろう。大地の営みとしてそこにあり、畏敬の念を以て人に祈られる祟り神。
じゃが今は恣意的に呼び起こされたもの、あってはならぬものじゃ。
わしとて災厄とも神とも崇められた身。止めさせてもらおうかのう。

【御社・出雲八重垣】による社の結界を進行方向に陣取り作成。まずは奴の生む竜の炎を止める。
この程度で止まれば安いものじゃが、恐らくすぐに破られる。そうなる前に【属性攻撃】の水の力を込めた【霊符】を投じ水を大量にかける。
多少なりとも弱めたところで扇を向け多重結界に閉じ込め、気を遮断する。
燃える気がなければそれまでのはずじゃ。



  すぅ、と九尾の房を持つ扇を傾ければ。
 我が掌で城と世界さえ傾かせんと、大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)は舞扇「白面」を向けた。
 金の髪に、赤き瞳は炎が舞い散る戦場に相応しく。
 けれど薫るは風雅と魔性。隠せぬ傾城の主たる品格を漂わせる。
「帝竜垓王。牙まさしく、山の怒りといった様相じゃのう」
 荒ぶる火の神か、と扇を閉じて瞼を閉じる玉恵。
 もとより災厄の化身なのだ。
 火と大地、山とは破滅と破壊を撒き散らすもの。少なくとも、玉恵の知る神霊とはそういうもの。
 よってそれを鎮めるように、扇をするりと横な流す。
「大地の営みとしてそこにあり、畏敬の念を以て人に祈られる祟り神」
 大祓の詔のように、清らかな水流を思わせる声色で。
「じゃが今、おぬしは恣意的に呼び起こされたもの、あってはならぬものじゃ」
 燃え上がる戦場で舞い、歌い、眼前にある帝竜ガイオウガを否定する。
 じっ、と見つめるだけで身が燃え上がるような熱量を感じれど、だから何だと。
 視線だけで殺せるから、神なのであろう。帝竜ガイオウガは、見るだけでは相手を焼き殺せぬのかと、流し目で訴えて。
 するりと。
 さらりと。
 流れるように舞いて、ガイオウガに再度、向き合う。
 ぱんっ、と扇を閉じるは――神を落とす意味持つ所業に他ならず。
「わしとて災厄とも神とも崇められた身。止めさせてもらおうかのう」
「神など我は知らぬ。知るは炎のみよ」
 或いは、星の命そのものか。
 ならばこそ、互いに違えて相容れぬと、眦を決する。
 瞬間、弾ける戦意と霊力。
 無数の火炎は荒れ狂い、竜の姿を取って玉恵へと殺到する。
 侵略する事、火の如し。先手を取り、狂い奔って止まらぬそれに、玉恵がばらまくように放つは、こちらも無数の霊符だ。
「この、せっかちめ」
 絶対の先制に間に合わないユーベルコード。
 ならばと咄嗟に張り巡らされた霊符たちが繰り出すのは、霊水による波涛だ。
 火気を打ち消すのは水気であると、五行の基本に乗っ取って繰り出される水流による縛鎖。
 玉恵の霊力によって導かれて動く様は、水面の竜たる蛟であるかのよう。
 だが。
「長くは持たぬか。強引はなものは嫌われると知らぬと見えるな」
「全てを燃やしていくが、災禍たる炎――そのような呼び名をしたのは汝だ」
 無数の火竜が集い、巨大な竜となれば、霊符の力では及ばない。
 五行の基礎ごと蛟の縛りを強引に焼き払い、蒸発させて突き進む烈火怒濤の流れ。狂った竜ほど手のつけられぬものはないからこそ。
 正面よりこの火の災竜を調伏しようなどと、玉恵も思っていない。
「縛れるとは思わぬよ。僅か、この一瞬でよいのじゃ」
 欲しかったのは一瞬の間。
 秘術を練り上げ、発動させるまでの、僅か一呼吸。
 半透明な結界は神社の本殿の形状。その奥に座る玉恵をご神体であるかのように奉り、そして、守るのだ。
 その加護ある地に住まう者に災い成すとなれば、扇が向けられ――。

『八重垣作る、その八重垣を』

その言霊にて紡がれるのは多重結界。
 放った火竜のみならず、ガイオウガ自身をも拘束し、縛り上げ、幾多にもよる結界同士の歪みでその身と心を削る技だ。
「が、お主に見せるはこれではないぞ」
 もっとも、彼我の実力差が大きすぎる。
 声に余裕を滲ませる玉恵の額には、膨大な汗。帝竜を縛り、動きを封じるだけで心身に極大の負荷がかかっているのだ。
 だからこそ、もうひとつ。
 もう一押し。
 
――災禍の前に倒れては、わしを信じる者に申し訳が立たぬであろう?


 或いは、信じてくれたものたちに。
 その祈りは、この身を支えるのだと、ガイオウガの周囲に張り巡らされた霊符の数々。
 地だけではなく天にも。
 全てが水気を湛え、今か今か命を待つ。
「火しか知らぬお主に告げ、教えよう」
 すっ、と下ろされる扇は、終幕の間。
 慰霊の舞はここまで。葬送の祓いをここに。

「水光接天――水面に映る星の輝きが、また、夜空へと変える。そんな巡る光と水がこの世界にあると知るがよい」
 
 呪令を元に放たれるは、空へと吹き上げる、圧縮された水流の刃たち。
 そして地へと放たれる、水霊の刃。
 天と地で流れる輝きが、水を伝って、行き来する。

「世界はかくも美しい。言葉もしかり。全て焼いて、喰ろうて、呑んで、何とする?」

 灼熱の世界にひとり立つか?
 それこそ寂しかろう。
 群を制する個である、核たるガイオウガに、玉恵は問いかけた。 
 だが、そこにはあるのは。
 全身全霊。魂の欠片のひとつに至るまで、火たる獣のみ。
「そういうものか。憐れとは言わぬ。哀しきとも言わぬ。届かぬのだろう、お主には。……その燃える気、魂の欠片が消えぬ限り、尽きはせぬか」
 故に、己が己である為と。
 己が、守りたい、何かが為と。
 火と水が、互いを喰らい合うように、絡み合い、消し去り合う。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルード・シリウス
残像をばら撒く様に置いて囮にしながら被弾の頻度を抑え、同時に回避不能な火山弾の被弾する瞬間を見切って、神喰と無愧の二刀を用いて火山弾を斬り落とし、返す刃で獣に変じた炎を薙ぐ様に斬って凌ぎ、少しずつ突き進む
上手く凌ぎ切れたら闇斬に持ち替え、同時に外套と靴の能力で気配と音を殺し接近。間合いへ踏み込みながら血結飴を噛み砕き、暴食の血核を発動。持てる己の力と魂を乗せ、核たる魂の有る箇所目掛け、刃に込めた捕食と呪詛の力で血肉と魂を喰らい尽くすが如く【絶刀】の一撃を叩き込む

なぁ…はっきりさせようぜ。お前の炎が俺を焼き尽くすのが先か、俺の闇がお前を喰らい尽くすのが先か
それと…総てを喰らい尽くすモノは俺だ



 問答に思考。
 それらの悉くが無駄だと、炎の嵐の中へと突撃するのはルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)だ。
 緩急をつけた疾走で残像を作り、それを囮に炎の獣の狙いを逸らす。
それでも避けられぬ火炎弾は「神喰」と「無愧」の二振りを用いて斬り落とし、なお迫る炎獣は斬り払って、前へ、前へと。
 だが、それで凌げるならばガイオウガは帝竜の名を関していない。
 身を掠める火炎弾に腕の肉を弾き飛ばされ、獣に牙を突き立てられた肩。瞬く間に燃焼し、燃え上がり続けるルードの肉体。
 が、それを意に介さず突き進むからの凶戦士なのだ。
 凌ぎきれれば勝機はあるし確信し、信じ、突き進む。
「汝、ただ突き進む牙か」
 けれど、広い荒野の中で、幾ら迷彩の術式のある外套と靴を使っても、ガイオウガの知覚からは逃れられない。
 何故ならば、これは群にして個。
 群がる炎の獣たちの一匹、一匹が、主であり王であるガイオウガに進言し続けているのだ。
 突き進むものあり。
 ならば、迎え撃とう。
 真っ向より、真っ正面より。
 己が劫火であると示す為、確信する為、ルードに向き合う帝竜ガイオウガ。
「はっ。不意打ちも出来ただろうに」
 もはやボロボロの身だ。
 焼けただれ、炭化した身体は重傷そのもの。
 それでも未だ瞳に闘志を燃やし、血結飴を口へと放り込む。
 噛み砕くことで得た力で、第二の心臓たる暴食の血核を駆動させ、飢餓という代償の代わりに、更なる暴威を身に満ちさせる。
 そこまでせねば、全力でぶつかることもできないから。
 身が震え、倒れる寸前だから。
 だというのに、ゆらりと踏み出す。止まらない。立ち止まることも、休むこともよしとしない。
「なぁ……はっきりさせようぜ」
 真っ正面から切り込むルードに応じるガイオウガ。爪撃で脇腹を抉られ、左腕が折れるが、更に踏み込む。
 そこはガイオウガの炎の領域。放たれた炎の獣が、ただいるだけでルードを焼き尽くす灼熱の世界。
 その中で、漆黒の大剣を掲げるのだ。
「お前の炎が俺を焼き尽くすのが先か、俺の闇がお前を喰らい尽くすのが先か」
 跳躍し、迫るは先陣として駆けた戦機が穿った核の真上。
 未だに血の代わり、膨大な溶岩を流し続ける、そこへ、捕食と呪詛の力を込めた刃を振るう。
 連続で繰り出される黒き斬閃は、まるで獣の顎。
 暴食の剣、その威を放ち、噛み千切るようにガイオウガの肉を斬り裂き、抉り、貫いていく。
 その結果、返り血として溶岩が溢れ出て、ルードを焼き尽くしても、捕食と呪詛で耐え抜いて。
「それと……総てを喰らい尽くすモノは俺だ」
 その核に届けと、大剣を振るい続ける。
 十、二十は遙か昔。五十、六十と続けば、核たる気配。七十で肉以外の何かに触れ――だが、それを傷つけるだけで、崩すことは出来ない。
 もうそれだけの力が、ルードには残されていないのだ。
「我に届かぬ。我を壊す牙でも、喰らうものでもないと知れ」
 純然たる実力差として、振るわれた爪撃で吹き飛ばされるルード。
 焼け爛れた瀕死の身に追撃はなく。
「が、面白い。劫火ではなく、喰らうのみの闇か。少なくとも、我が炎であることを示した」
 正面からの激突に意味はあったと、ガイオウガはうなずき。
 露出しかけた核を、ずるりと動かした別の炎獣で覆い、隠し、守る。
 あと一息、あと一手、足りなかったのだ。
「ならば立ち上がれ。立ち上がれ。幾度となく」
 喰らうものは。
 そうでなくてはならぬのだと。
 烈火の威を秘めたガイオウガの瞳が、ルードを見下ろす。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水衛・巽
ニルズヘッグさん(f01811)と
※モリアーティ氏と呼称

火山の獣性とでも呼ぶべきですか
火山大国に住む身として親しみすら覚えます
…修羅?温泉大国という事ですよ?
小細工を弄せず真っ向を挑む所も大変好ましい
いざ尋常に勝負です

共に青龍に騎乗し上空から接近
水神ならばその炎熱も無尽蔵の水で防げるというもの
無傷とは行かないでしょうが
それは帝竜、貴方も同じ事です

氷霜の元かつ防御壁として水壁を継続して展開
急速冷却でさしもの竜身も脆くなるはず

弱点が判明したあとはあわせて集中攻撃を行い
表層の岩盤も【鎧破壊】【鎧無視】を乗せ内部へのダメージを狙う
火山は深層のマグマが本体だそうですが
貴方の心臓を冷やすには十分でしょう


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
巽/f01428と

暑い……体温調節は苦手なんだよなァ
火山大国って、ニホンはそんな修羅の国だったのか……??
まァ、それは置いておくとして
こちらも気力は十全、敗けるわけには行かんな!

属性攻撃を転じた氷の障壁を呪詛で補強し時間を稼ぐ
青龍といったか
少しばかり背と力を借りるぞ

無尽蔵の水が蒸発すれば蒸気が満ちる
そしてそれこそ私の術式の糧というものさ
――天罰招来、【氷霜】
生み出され続ける水蒸気を使い氷塊として
その体に叩きつけて急速冷凍してくれる
充分に脆くなれば氷柱の出番だ
弱点一箇所に連続で突き刺してやる

さてまァ、その体がどこまで持つやら
氷が炎に弱いだなどと、不名誉なレッテルは貼り替えてやらねばなァ?



 燃え上がる狂炎。
 加速して向かうは終幕。
 終わりなどない。終わらないものはない。
 全てが焼け落ちるがのが先か。炎の魂が掻き消えるのが先か。
 幾たびと深手を負いながら、真っ正面へと進む帝竜ガイオウガ。
「火山の獣性とでも呼ぶべきですか」
 藍色の瞳で見つめるのは水衛・巽(鬼祓・f01428)だ。
 女性のような容姿は、冷静で物静かな口調とあいまってこの戦場に似合わない程に柔和に見えた。
 すぅ、とその双眸を細める。
 この火炎の乱れる様を美しい舞踊とも取れるが、いささか、幻想と狂乱に過ぎるだろう。
 ましてその奥で暴れ続ける帝竜ガイオウガの姿は、水衛の美観からはばれているものの。
「火山大国に住む身として親しみすら覚えます」
 四季の移ろいこそ美麗さ。
 ならば燃え散る様もまた、儚く、美しいともいえるのだから。
 少々どころか、度が過ぎている。が、調和をもたらすものこそ陰陽師たる水衛だ。
 その横、暑いと苦しげな息を吐く灰燼の色彩。
 金の瞳を揺らし、言葉を続けるのはニルズヘッグ・ニヴルヘイム(竜吼・f01811)。
「火山大国って、ニホンはそんな修羅の国だったのか……?」
「……修羅? 温泉大国という事ですよ?」
「体温調整は苦手なんだよなァ。どちらにしても、嬉しくはないことだ」
「いずれ、湯に漂いながら、四季で彩を変える様を眺める雅も、モリアーティ氏にはご覧にいれましょう。さて、ではと」
「ああ。まァ、それは置いておくとして」
 目の前に立ちはだる本題にと、水衛は眦を決す。
 するりと鞘から抜き放つは直刃調にて、優美な古太刀。銘を川面切典定。例え名工の作ではないとはいえ、受け継がれて来た刀には、霊の力が宿るものだ。
「小細工を弄せず真っ向を挑む所も大変好ましい」
 鋭利なその切っ先を向け、帝竜へと告げる。
「いざ尋常に勝負です」
 ならばと水衛の傍らに立ち、肩を並べて、呪詛より呼び出した赤い剣『preparação』を同じく掲げるニルズヘッグ。
 破壊の為に生まれたとしても、今は傍にあるものを守る為に。

――なあ、本当に壊す牙だとか、そんなのにしか興味ないってのか?

 心の底で呼びかけ、けれど届く筈はないとニルズヘッグは冷たく笑う。
 言葉にしていないから。
 そして、届かないというのは自分自身でそう思うから。
 見知らぬ他人に言われて、在り方が変わるほど、竜というものは、心というものは、容易くないのだ。
 だからこそ。
「こちらも気力は十全、敗けるわけには行かんな!」
 違うものだからこそ、決するべき。
 それこそガイオウガの唱える戦歌だと気づた瞬間、ガイオウガが吼え、その腕を大地へと突き刺す。
 瞬く間にその腕が溶岩の津波へと変貌し、大地を消滅させながら高速で二人へと迫る。。
 破滅の赤い色彩。
 岩も鋼も、呪も気も、全てを飲み込む狂奔の牙だ。
「時間稼ぎは任せろ。長くはなくとも、お前には十分だろう」
 よって赤い剣を地面へと突き刺し、氷壁を紡ぐニルズヘッグ。
加えて呪詛の編み上げて魔氷の障壁へと化し、ガイオウカの溶岩と衝突しても瞬間で崩されぬ防御を作り上げる。
 数秒か、数瞬か。
 けれど真っ向から帝竜ガイオウガの渾身の一撃を防ぎ、凌ぐ呪詛の氷壁。ニルズヘッグの氷竜の呪氷は、例えガイオウガの炎の牙さえも弾いてみせる。
 けれど長くは持たない。
 その言葉通り、溶け、ひび割れ、砕けるその寸前。
「疾く暴け、青龍」
 水衛の唱えた召喚の式に応じて顕れるは青龍。
 膨大な水と共に二人を乗せて飛翔し、溶岩を抜けて帝竜ガイオウガへと迫る。
 青龍、即ち、水神ならばその炎熱も無尽蔵の水で防げるというもの。いいや、更に水を呼び寄せ、津波の如くガイオウガへと浴びせるのだ。
「水の神と火の神たる御身の勝負」
 告げる水衛の言葉通り、莫大な水流を放ち、ガイオウガへと攻め掛かる青龍。ガイオウガも溶岩を噴出させ、共に竜の息吹を交差させる。
 双方、無傷などありえない。
 清廉たる水気と、暴虐の火気が鬩ぎ合う。
 膨大な水蒸気があがり、それが更に爆ぜ、なお続く水流と溶岩。
「逃がさんよ――天罰招来、氷霜」
 だからこそ、ニルズヘッグの呪式が此処に突き刺さる。
 産み出され続ける水蒸気を氷結させ、無数の氷槍を紡ぎ出す。
 利用でる水気ならばそこら中に。
 水衛の召喚した青龍が攻め、そして、傷つく度に溢れるのだから。
 数え切れない程の氷がガイオウガの身体へと突き立ち、その体表を冷やしていく。
 数十では無理。だが、数百、数千と続けば、水滴が岩を穿つが如く、火竜たるガイオウガさえも凍えさせるのだ。
「さてまァ、その体がどこまで持つやら」
「急速冷却でさしもの竜身も脆くなるはず……そして、群にして個であるならば」
「核たるもの、心臓というべきもの。それもあるよなァ?」
 先の攻防で二度狙われたそこ。一度塞いだとはいえ、その守りは不完全だ。
「氷が炎に弱いだなどと、不名誉なレッテルは貼り替えてやらねばなァ?」
 本来ならば光と共に生きていけた筈の氷竜の声。
 示すのだと水衛の命令を受けた青龍が核のある胴部へと水流を収束させ、凍てついて脆くなったその身を破壊し、内部を露出させる。
「火山は深層のマグマが本体だそうですが」
 露出したガイオウガの核。そこへとニルズヘッグが無数の氷柱を作り出したのを見て、川面切典定の優美な切っ先をそこへと向ける。
「貴方の心臓を冷やすには、私の青龍とモリアーティ氏の氷。ふたつ重ねれば十分でしょう」
 氷雨のように。炎竜鎮める神楽のように。
 五月雨の如く、絶え間なく降り注ぐ。
 その核へと、幾度となく。
 終わりのないものはないのだと、一点めがけて。
「炎が全て。炎が至上ってかァ? そんなのはお前の価値だろう」
 押しつけるのならば、こちらも押しつけるのみとニルズヘッグが、更に氷柱を産み出して。
 気合い、気迫、想いで負けるつもりはないのだと。
 水流の清廉なる水を、破魔の氷刃と化して、ガイオウガの核へと刻むのだ。
 忌み子と生まれた自分が振るうには、皮肉が過ぎると、冷笑を浮かべながら。
 帝竜の呻きは、その命に、火に、届いたという証拠。
世界は何で満ちているか。
 不滅たる祈りは何たるか。
 それを求めて、炎と水と氷が混じり合う。
 戦の終末まで、あと、少し。
 水と氷にてぴきりと罅刻まれた、帝竜の核。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウェンディ・ロックビル
おねーちゃん(f02704)と。

視界はりょーこー、敵はきょーだい。
僕ら姉妹が相手にとって不足なし、だね!
いーねいーね、燃えてるね!
でもまだまだ、不完全燃焼なんじゃなーい?僕らが来たからには、そんなの許さないぜ!
燃えて燃えて、燃え上がって……!

“天上天下唯我独尊”!おねーちゃんと一緒に戦うんだもん。……負けてらんないよね!敵にも、自分にも、おねーちゃんにも!
決意によって底上げされた戦闘力で、飛んでくる火山弾に跳び乗って、ガイオウガに肉薄するぜ!
頭上までたどり着いたなら……!

真上から跳び降りながら、跳び蹴り!
おねーちゃんと一緒に上下から挟み込むように蹴り付けるぜ!

燃え尽きたなら、ゆっくりおやすみ。


キッテン・ニコラウス
ウェンディ(f02706)と

ワーオ、まさに破壊そのものね
ふふ、久々に骨のある相手で良かった!
ええ、ガイオウガが一番燃え上がったその時に――
私達の炎の方が熱いって教えてあげる

【天上天下唯我独尊】!
無敵になった?いいえ、無敵であると魅せる準備が整っただけよ
揺らぐ余地のない絶対の自信、それに裏付けられた戦闘力で
飛来する火山弾その全てを蹴り返して肉薄するわ!
炎の獣も何もかも、私を燃やすには火力が足りないわね!

そうしてガイオウガの真下にたどり着いたなら、ウェンディと同時に上下に挟み込むように蹴り上げるわ!
タイミングをあわせる合図?いらないわ、だって姉妹なんだから

じゃあね。また戦れないのが残念だわ



 炎に包まれ、溶岩が流れ続けても、その姿が隠れることはない。
 疲弊するほどの負傷を負いながら、動きが鈍ることのないガイオウガ。
踏みしめて破砕し、炎と溶岩を噴き出して焼いて、溶かす。
 蹂躙と業火が尽きることはなく、最期の一瞬まで、それは止まらないのだろう。
「ワーオ、まさに破壊そのものね」
 キッテン・ニコラウス(天上天下唯我独尊・f02704)があげるのは歓喜の声だ。
 こうでなければならない。
 帝竜というのならば、その名に恥じぬ相手であって欲しい。
 何故ならば。
「ふふ、久々に骨のある相手で良かった!」
「視界はりょーこー、敵はきょーだい。僕ら姉妹が相手にとって不足なし、だね!」
 並ぶウェンディ・ロックビル(能ある馴鹿は脚を隠す・f02706)。この姉妹の戦う相手として、不足なしということなりだから。
 決闘として戦う相手として、望む所なのだ。
 ただ、ひとつだけ望むのならば、そう。
「でもまだまだ、不完全燃焼なんじゃなーい? 僕らが来たからには、そんなの許さないぜ!」
 ガイオウガがその瞳で見つめ、破滅の火を弾けさようとする、その寸前にウェンディは口にする。
「燃えて燃えて、燃え上がって……!」
 まだまだ。
 こんなものではない筈。
 ため込んだ星の命でもいうべき熱量は。
 秘めたる劫火。破壊の牙と名乗るものは。
 不十分な相手と戦い、勝利した所で、その名誉と輝きは霞む。
 敵もまた全力であるからこそ、意味があるのだ。
「ええ、ガイオウガが一番燃え上がったその時に――私達の炎の方が熱いって教えてあげる」
 そのキッテンの宣言に、ガイオウガは笑ってみせる。
「我もそれを求める。劫火と、火炎と。戦の熱と。いざ、ぶつかろう。どちらが熱く燃え盛り、相手を喰らうのかと」
 そして弾ける無数の火口。
 放たれる火炎弾は嵐の如く、そして、火から変じた獣は縦横無尽に駆け抜ける。
 ユーベルコードで身体強化をする暇などない。
「言葉では決せられぬそれを、我らが身で示そうぞ」
 吹き抜ける炎嵐の暴虐。
 が、ユーベルコードなしだからと何も出来ない訳ではないのだと。
 地力をこそ信じ、火炎弾を踏み台にして跳躍するウェンディ。瞬間で足が火炎に包まれるが、なお突き進む。
 決意こそ力になるのだ。それを揺らがせてはならないと、ガイオウガの攻撃を足場に、その頭上へと辿り着こうとする。
「そうね、ねっと燃えてと言ったのは私達だもの。私達も燃えてあげないとね」
 対して地を滑るように駆け抜けるキッテン。
 火炎が変じた獣を蹴り飛ばし、爪や牙が突き立てられ、燃やされたとしても一瞬たりとも止まらない。
 炎の獣も何もかも、姉妹を燃やし尽くすには足りないのだと。
 火達磨のようになりながらもなお、ガイオウガの頭上と足下に辿り着くウェンディとキッテンの姉妹。
 そして真上からウェンディが迫り、キッテンが駆け上がる。
 示し合わす合図など不要。
 何故ならば、この姉妹なのだから。
 それ以上の言葉も説明も不要。
 上下から挟むように、放たれる蹴撃にこそ、姉に恥じない自分自身と、完璧な自分自身の想像から得た力を込めて。
 帝竜ガイオウガを揺るがす程の一撃を放つのだ。
「燃え尽きたなら、ゆっくりおやすみ」
「もうちょっと戦いたいけれど、流石にね」
 ガイオウガへと痛打を放ち、怯ませた二人。
跳ね上がった戦闘力は確かでも、受けた負傷もまた言うまでもない。
 疑念、疑惑。能力を乱すものはなくとも、体力としてこれ以上は不可能だと、二人して引き下がる。
「――トドメは、誰かに、ね」
 けれど、その姿を。
 本当に燃え上がる姿を見ていてあげると、キッテンは右の瞳を向けるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
◆祓(f00582)と


さて、正真正銘のドラゴンハントだな
お前の腕は信用してるけど、無理はなしだぜ
それじゃ、行こう

相手が先制してくるなら、それを逆手に取ればいい
火山弾を飛び渡る祓を射撃で援護(【援護射撃】)
彼女が足場にする以外の火山弾を射撃で破壊して進路確保を行うよ
祓が足場にしたあとの火山弾も出来れば破壊しておく
炎が熾れば獣の姿を取るんだろ、そうなると対応が厄介だからな

近付けば近づくほど攻撃も苛烈さを増す
油断せずに援護するよ

祓が敵を射程に捉えたら
彼女の狙う箇所を【見切り】、先んじて【死神の咢】で狙撃
破壊できないまでも、脆くはなるだろう
そこに斬撃を重ねてもらう

目印は入れたぜ、祓
綺麗に断ってくれよ?


十葉辻・祓
◆匡(f01612)と。
匡との竜退治は二度目になるかね。

流石は帝竜ガイオウガ、
そこらの火竜とはモノが違うようだねぇ。
さあ、切った張ったの大活劇といこうじゃないか

放たれた火山弾をダッシュやジャンプで飛んだり跳ねたり、
楽しいアトラクションを満喫しよう。
なあに、危ないときは匡がフォローしてくれるさ

初撃を見極めたら、隙を見て火山弾に次々に飛び乗って一気に距離を詰めよう
体に巻いている呪布が燃えないかちょっとドキドキ。
でもそうそう、この身は鋼とかなので火にも強いはず……。うん

至れり尽くせりとは正にこのことだね
ふふ
頼もしいな、まったく

刀は劫火にて鍛造されるもの
研ぎ澄まされた【流転輪廻】の一撃をお見舞いしよう



 尽きせぬ炎が戦場を渦巻いている。
 帝竜ガイオウガの負傷は甚大。だが、真っ向よりという姿勢を崩すことはない。
 それは己が劫火であるという矜持から。
 喰らうものであり、牙である。
 ならば、隙を伺うなどいうことはないのだと。
 或いは、果たせなかった全力での衝突を望み、夢見るように。
 竜は戦唄にて、火炎を舞わせる。
 だが終わらぬものはない。
 滅せざるものなど、この世にあるべきか。
 勢いは落ちずとも、ガイオウガの身は確かに削られ、刻まれ、穿たれているのだから。
「さて、正真正銘のドラゴンハントだな」
「匡との竜退治は二度目になるかね」
 戦、そして帝竜を前にして凪いだ海の如く、冷静で物静かな声の鳴宮・匡(凪の海・f01612)。今は亡き師より贈られた愛銃を構え、ガイオウガへとその銃口を定める。
 その横で一振りの妖刀を携え、構えるのは十葉辻・祓(修祓・f00582)だ。赤い瞳でカイオウガを捉え、駆け抜けるべく姿勢を低く。
「流石は帝竜ガイオウガ、そこらの火竜とはモノが違うようだねぇ」
 距離をとってなお、届く熱波。
 ひりりと肌が焼ける感触は、ただの熱だけではないだろう。そこに含まれた激しい戦意が、五感を越えて祓の意識に届くのだ。
「お前の腕は信用してるけど、無理はなしだぜ」
 だからこそ注意する鳴宮。
 信用しているかこそ、目の前の竜に油断ならないと理解しているのだ。
「ああ、勿論。さあ、切った張ったの大活劇といこうじゃないか」
 狙うは帝竜殺し。
 妖しの刃が鳴く。
 祈りに合わせて、生への渇望が銃から溢れる。
 ならばそう。
 もはや、一瞬も止まらずに。
「それじゃ、行こう。敵が先んじてくれるなら、むしろ、幸いだ」
「迷わず突っ込ませて貰うよ」
 騙し手、絡め手。それらを考える必要がない真っ向勝負。
 それも敵の絶対先制というのなら、それへの対処をすればよいだけ。
言うは安く、しかし、苛烈なるその場へと。
「そうか。躊躇わず、止まらぬものが、お前達か。敗北させたのは」
 幾度となく立つからではない。
 全てを壊す牙だからではない。
 願いを遂げるまで、止まらぬものだから。
「ならばよし。我とお前達の違いはわかった。ならば、どちらが上かを決めるのみ」
 よって噴火するガイオウガという火山。
 火炎弾は周囲へとばらまかれ、業火の暴威を解き放つ。
 直撃すれば弾き飛ばされ、掠めただけで燃やされる。例え外れたとしても、炎は獣へと変じて追跡するという恐ろしさ。
 喰らうものの炎、そのものの中を、祓は駆ける。
 火炎弾を足場にした瞬間、燃え上がる足。触れただけでこれはとは、その熱量の異常さを知るが。
「無傷で迫れるなんて、思っていないし、なあに、危ないときは匡がフォローしてくれるさ」
 その言葉通り、直撃しそうになった火炎弾を打ち落とす鳴宮の援護射撃。一発で撃ち落とせないならば十発連続でだと、響き渡る銃声が途絶えることはない。
 だからこそ、祓は前へと駆けられる。
 足場とした火炎弾に焼かれ、掠めた肌に炎が移っても気にしない。
 天宮の的確なる援護を信じているからこそ、躊躇なく前へ、前へと跳躍していくのだ。
「さて、ここからが本番だ」
 獣へと変身し、祓の背後から襲うとした個体を打ち倒す鳴宮。
 近づけば近づく程、苛烈さを増す攻勢に、鳴宮の援護たけではおいつかない。
 ならば狙うは一瞬、刹那の勝機。
 既に、帝竜ガイオウガの核たる場所は暴かれ、刻まれ、そして凍てついているのならば。
「この身は鋼だから、そうそう火には負けないよ」
 そこへと至り、刃で終わりを告げるのだと、祓はガイオウガへと更に肉薄する。
 周囲の四方から迫った火炎弾と獣を鳴宮が打ち落とし、祓が至る道を作る。
 更に飛翔、長い黒神を靡かせ、ガイオウガの核へと切り込むとする、その刹那。
「我が、その刃の一振りで絶たれるとでも?」
 ガイオウガの身に迫り過ぎたが故に、溢れ出す火炎の波に呑まれる祓。それでも止まらず、動けるのは鳴宮の援護のお陰だ。
 負傷を最低限に。そして最短を。
 だからカウンターとして火炎波を受けてなお、その切っ先は鈍らない。
 ましてや。
『そこ、貰っていくぜ』
 生を渇望した鳴く銃声が放つ弾丸。
 それがガイオウガの纏う炎を、そして核の一部を破壊し、亀裂を刻むのだ。冷徹なるスナイパーから、徹底したアシストは、帝竜の攻勢からの被害を最小限に抑え、祓を核へと切っ先届く場所まで至らせる。
 祓が狙う場所は見切り、狙撃で一撃を入れた。
 破壊はしきれずとも、目印と罅を入れて脆くし、刃は通りやすくなっている。
「目印は入れたぜ、祓。綺麗に断ってくれよ?」
 火炎の渦に掻き消されぬ、静かな声色に。
 応えるべく、祓の妖刀が斬と唸る。
「至れり尽くせりとは正にこのことだね……ふふ」
 微笑みが浮かぶのは、どうしようもなく嬉しくて。
 斬気が滾り、刃鳴散らす声をあげるのだ。
「頼もしいな、まったく」
 ならばそれに応えなくては、刀の身に恥じるばかり。
 信を乗せた刃に、断てぬものはなしと。
 背に受けた思い、そして、正面から押し寄せる火炎を、振るった刀身が浮かべる残像へと移して。
『では、お返しだ』
 全ての返礼を、ただ、ただ一閃に。
 音速を超え、妖刀の鋭利さを一筋に。
刀は劫火にて鍛造されるものなれば、ガイオウガの炎のみならず、受けた信頼、そこから来る思いもまた、屠竜の刃を作り出す。
「有り難う」
 音は遅れて滑り、聞こえて。
 ガイオウガの核を捉え、両断した刃が、流れて閃く。
 長髪が火を孕んだ風に揺れ、じゅう、と身体に巻き付けた呪符が鳴くような音を立てて。
「どう、満足したかな」
 劫火はどちらだと問い続けた帝竜ガイオウガ。
 だが、劫火を以て打たれた刀身に、そして、己が前にして信にて研ぎ澄まされた刃に。
「ひとつたる劫火では、叶わぬか」
 崩されるは、まるで焼き尽された薪のように。
 ぼろぼろと、ばらばらと。
 核を失って、火竜はその身を崩し、消し、空へと灰をあげる。
 骸の海へと。
 ただ、戻る前に。
「ガイオウガ、お前は確かに劫火だっただろう」
 冷徹な声色で、鳴宮が告げる。
「が、それが全てではない。お前が全にして一となっても、世界は、たったそれだけじゃない」
 夥しい死を積み上げて歩んできたこそ思うのだ。
 そのひとつ、ひとつが違う。
 全てが違い、異なり、重なり。
 それでようやく、今と己がある。
「全てを喰らったものは、もう変わることができないのかもしれない。……もう、変われない身になったのかもしれないな」
 それは。
 過去の残滓たる身では、もう変われぬという事実のようで。
「だが、我は」
 残り火の熱を、ガイオウガは、口にする。
 戦唄を。
「我という劫火を斬り裂き、屠ったもの達は、誠に勝利したのだ」
 その敗北と勝利を、煤で汚さぬべく。
「ならば誇ってくれ。進んでくれ。不滅たる、何かを抱くのは己達だと。我に勝った、お前達の中にあるのだと」
 それならば納得できると。
 灰となって、火は、最期の唄を奏でた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月17日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト