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帝竜戦役㉑〜煉獄に吼える

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #ガイオウガ #群竜大陸



「新たな帝竜が現れた」
 紫色の猫目が猟兵を迎え、折れた羅刹角を補完するよう紫のグリモアが頭上で輝く。
「名は、ガイオウガ」
 燃え盛る炎を体現し、全てを灼き尽くし、あらゆる生命の存在を許さない、圧倒的、火炎の権化。巨怪。焔竜。
 全身に持つ火口から炎獣が生まれ出て。
 大地を溶かし尽くすほどの溶岩流を自在に操り。
 火竜の大軍を従える。
 ガイオウガを取り巻く炎獣がすでに猟兵の気配を察知して、騒いでいる。
「絶対にこちらの先手はとれない。まずガイオウガの火炎に耐えないといけない」
 こちらのユーベルコード発動より、ガイオウガの一手の方が格段に速く、実に強力だ。圧倒的な火力を打ち消すことはできない。凌ぐほかない。どう凌ぐかが、鍵となり明暗を分ける。
 それだけは忘れてはいけないと、羅刹は言う。
「とても危険な敵で、とても危険な場所だけど。アンタらなら、きっとなんとかしてくるんでしょう?」
 薄い唇は勝気な弧を描く。
 敵の攻撃のすべてが炎に起因するもので、戦地もまた燃えている――対処しておくに越したことはない。
 そのすべてを託すよう、角の紫の欠片も、すべて輝き出した。
 志崎・輝(紫怨の拳・f17340)は、強く一度頷いて、猟兵たちの顔を見る。
「アンタらを信じてる――武運を」
 繋がった先は、灼熱と死が蔓延る龍脈火山帯。
 すでに地獄のように、燃え盛っていた。

●帝竜『ガイオウガ』
 炎が吹き荒れる。炎熱が間欠泉が如く噴き上がる。巨大な背にはいくつもの火口があり、劫火を吐く。赤熱はその身にとどめておくことはできず、触れるものを灼き殺す。
 その巨躯の下にて、炎獣が喚き散らしていた。
 炎狼が、炎虎が、火竜が口々に言上する。
「垓王牙ヨ、猟兵ガコノ地ニヤッテキマス!」
「奴ラハ未ダ群体! 全ニシテ壱デアル垓王牙ヨリ劣ル存在」
「……シカシ、我等ハ知ッテイマス!」
 跳ねる炎狼、その口の端から炎を吐く。
「例エ『再孵化』ニヨリ記憶ガ失ワレヨウト、ソノ魂ガ覚エテイマス」
「間違イアリマセン。アノ者達ハ全テヲ破壊スル『牙』!」
 燃える爪は大地へと突き刺さり、地を焼き焦がした。
 捻じ伏せようとも、何度でも牙を剥き爪を突き立る、不撓不屈の魂を持つ者どもが、すぐそこまで来ている。
「アナタ様ガ敗北スル可能性モ十二分ニアリマス!」
 蒼惶たる火竜の羽ばたきは熱波を捏ね、熱風を呼ぶ。
 そうして、炎獣どもは焦りを滲ませ、懇願する。
 今すぐに死闘の備えを――寄り集まって一等声大きく叫ぶ。
 備え召されよ。
 直ちに万全に。
 隙なくもれなくすべからく。
「偉大ナル垓王牙ヨ!」


藤野キワミ
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「帝竜戦役」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
====================
プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
====================
純戦闘です。さあ力比べです。
当シナリオは難易度相当の判定になります。その覚悟でいてください。
藤野キワミです。

プレイングは【OP公開直後】より受け付けを開始いたします。
技能の使い方は明確にプレイングに記載してください。
プレイングの採用は、先着順ではありません。不採用を出す可能性があります。
受付終了は、当マスターページおよびツイッター(@kFujino_tw6)にてお知らせいたします。

それではみなさまのカッコいい燃えるプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『帝竜ガイオウガ』

POW   :    垓王牙炎弾
【全身の火口から吹き出す火山弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【『炎の獣』に変身する】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    垓王牙溶岩流
自身の身体部位ひとつを【大地を消滅させる程の超高熱溶岩流】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    垓王牙炎操
レベル×1個の【ガイオウガに似た竜の姿】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
護堂・結城
こんな奴に勝てって、結構無茶言ってくれるが…信じてくれてんだろ?
…なら命懸けでやってやる

対先制
地上じゃ炎獣に囲まれじり貧、なら
【念動力】で武器を浮かせ【足場習熟】で複数の武器の上を翔ける【空中戦】
【戦闘知識・野生の勘】で火山弾の少ない箇所を【見切り】、【誘導弾・一斉発射】で道を開く
弾の熱は周囲に氷を張って【オーラ防御・属性攻撃・火炎耐性・環境耐性】で押しとおるぞ

・攻撃
相手の頭上まで【ジャンプ】頭から背中を狙ってUC発動

「雪見九尾の意地、見せてやらぁ」

地形破壊の幻影巨象の脚部と共に蹴る【怪力・範囲攻撃・重量攻撃】
更に反対の脚を時間差でぶち込む【限界突破】した【二回攻撃】だ

「幻潰獣奏…二連!!」


香神乃・饗
幾らもふもふわんこでも燃えてる獣は勘弁っす
かかってくるっす!

香神写しで武器を増やし
苦無を両手と足に括り炎に直接触れない様にして突撃
剛糸を岩場に巡らせ罠を
獣を糸に追い込み本体から引き剥がした隙に肉薄

自分の体を囮に使いフェイント
顔は避けるっすけど
半数の苦無を伴い身を護り腕や胴ごと溶けても構わないくらいの覚悟で斬りかかる

どこかを溶岩化させたら
地形を利用し隠していた残りの苦無を溶岩化してない部位に暗殺を狙って打ち込み砕く

俺の鼓動は止まらないっす
俺の体はここにはないっす
例えこの体が溶けても、痛くも痒くもないっす
この牙で刃で噛み殺すっす!

へへへ、また怒られちゃうっす
怪我したらチラと相棒の顔を思い浮かべ苦笑


彼岸花・司狼
終った過去が今を生きてはならない。
そんな嘘は、虚構に沈んでしまえば良い。

【目立たない】ようにUCを使うまでは相手の攻撃に紛れて移動する。
直撃コースの溶岩弾だけは【見切り+野生の勘】で事前に察知し
余裕があれば【残像】で避け、それが無理なら召喚した騎士の盾で受け流しつつ
『此処に敵など存在しない』と言う虚構で相手の認識を塗り替える【精神攻撃】を行う。
連弾で騎士の防御が間に合わないなら威力が減るように軌道を【見切り】つつ
多少のダメージは【激痛耐性+継戦能力】を便りに無視し、
本体目がけて【鎧砕き+怪力+2回攻撃】で槍と刀による【捨て身の一撃】を仕掛ける。

過去が生きるのは、思い出の中だけでたくさんだ。


リフィクル・ナータス
噎せ返る死の熱気……まぁ知らない以上、懐かしさは感じないな。
なぁ『お前』は生まれ変われないのかい?

※POW対策
UCと【串刺し】にて『炎の獣の動きを封じる』
獣が封じられない場合も考慮し【残像】を用いての回避も心掛け、同時に【見切り】も併用
獣の数が多い時は【敵を盾にする】ように攻撃の陰に隠れる事も考慮
被弾時は【激痛耐性】で受けるが【二回攻撃】と【生命力吸収】を合わせた【呪殺弾】やUCでの回復も意識
遠距離戦を軸に、攻撃のミスを誘発する為に【挑発】も行ない、攻撃の軌跡を見切れていたら【カウンター】のUCも放つ

直接的な恨みは無いが、これだけは言おうか。
死ね、二度と生まれてくるな。

※アドリブ絡み掛け合い◎




 猛炎噴く火山――あらゆる生を許さない惨憺たる酷炎が、赤く赤く、すべてを灼き滅ぼさんと、そこに聳える。
「こんな奴に勝てって、結構無茶言ってくれるが……」
 先刻別れた紫瞳を思い返す。あの笑みは勝利を確信しているものだった。護堂・結城(雪見九尾・f00944)の声は届かずとも、応えてやるほかない。
「信じてくれてんだろ?……なら命懸けでやってやる」
 獰猛に笑む。彼の左右で違う色の瞳は、眼前の滅すべき外道どもを映し煌々と燃え盛った。
「なぁ、『お前』は生まれ変われないのかい?」
 噎せ返るほどの死の熱気にあてられ、喉すら焼けてしまいそうになりながらも、リフィクル・ナータス(昏き異界より出でしモノ・f22103)は懐古を覚えない。
 懐かしむもなにも、知らないのだから。今、このとき、この瞬間を生きる彼にとって、過去は些末なことだ。
 リフィクルの問いに答える者はいない。かわりにガイオウガを取り巻く炎獣どもが喚き散らす。
「垓王牙ニ触レル事ハ、我等ガ許サナイ!」
「貴様等ハ、今ココデ、燃ヤシテクレル!」
「なにを言っても――」
 嘆息交じりに彼岸花・司狼(無音と残響・f02815)の碧眼に、一瞬瞼が落ちる。
「終った過去が今を生きてはならない。そんな嘘は、虚構に沈んでしまえば良い」
 一瞬後に光るその瞳は、静かに燃え盛っていた。
 巨躯から飛び出す火山弾のひとつひとつが、獣を形取り結城へ司狼へ、そうしてリフィクルへと走り込んでくる。
 それと同時に湧いて出てくるのは、ガイオウガにも似た炎の竜だ。大きく開かれた顎は火煙を上げて迫る。
「はっ、ひとつもかわいくねえ!」
 結城の尾――そのいくつかを刀へと変じさせ、炎獣の猛攻から少しでも遠ざかるために、刀身を踏む。
 結城の念を纏った刀は、しっかと空に突き刺さり、あるじの体を支えて揺らがない。それでも飛んでくる火山弾は、結城を捕捉。
 地上にいれば炎獣に囲まれじり貧かと思い空中に逃れはしたが、それでも火山弾は結城の肩へと命中――走る衝撃――歪む意識、否、すでに覚悟はできていた。
 激痛も熱波も、魔力を練り上げて造り上げたオーラが氷結して、結城の盾となって展開する。痛い。無視できない。熱い。焼ける。それでも思考は、反してクリアだ。
 今まで積んできた知識は結城を裏切らない――研ぎ澄まされた直感と、凄まじい集中力で迫りくる火山弾を見切り躱す。
 彼の大立ち回りを隠れ蓑にし、炎獣の影を踏むよう目立たないように走る。碧眼がきらりと光った。司狼だ。
 容赦なく火山弾が降り注ぐ。その熱だけで肌が焼けるようだ。見切って駆け抜ける。予測しただけでは躱すこともかなわない。避けることができそうな火山弾だけでも確実に躱さねば身が持たない。その矢先、司狼を焼き尽くすほどの圧倒的な火球が飛来、鋭く呼気、残像が生まれ出るほどのスピードでそれの軌道から外れる。果たして司狼は、別方向から飛来した火球に足を穿たれた――否。
「俺に当たったと思ったか」
 濛々と立ち昇る煙の奥にいたのは司狼と、もう一人。虚構と現実の狭間で揺れる槍盾を携える騎士がいる。その大きな盾によって司狼は、辛くも守られた。
「司狼! 来い!」
 結城の声がして。司狼はガイオウガへ向けて駆ける。
 自身よりも大きな騎士は、存在を確固たるものへ――炎獣どもへ、今牙を剥く相手が敵ではない、敵なぞ存在しないという虚構を植え付ける精神攻撃を放つ。その槍で穿たれた獣の炎の勢いは、やや衰えた。
 それを確認し、司狼は結城の元へと走る。
「好キ勝手ハ、サ――ッ!?」
 司狼へ迫る炎狼が大きく転倒する。いつの間にか張り巡らされていた、強靱な糸に足を取られたのだ。狼の眉間に苦無が突き刺さる。
「いくらもふもふわんこでも燃えてる獣は勘弁っす」
 仲間のかたきと言わんばかりに炎狼の一匹が勢いよく跳躍、それを寸でのところで躱したのは、香神乃・饗(東風・f00169)だった。
「かかってくるっす!」
 躱した獣の向こうから流れ来る溶岩の波に触れまいと、増やした苦無を盾とする。
 いたるところにある岩に張り巡らせる剛糸は突撃してくる炎獣を、次々に引っ掛け転倒させ、脚を鈍らせた。その獣を踏みつぶして迫るは、ガイオウガ――否、それに似た炎竜だった。
 轟ッ――と咆哮。銀色の瞳を見開いてリフィクルは、息をつめる。
 神経を研ぎ澄ます。《ヴォイドブリンガー》が虚空より喚び出されリフィクルの手に馴染む。棘が蔓延る大剣を構え、炎竜の猛火を、炎獣の突撃を刺突し穿たんと奮闘――それでも数の多さに、リフィクルは舌を打った。
 残像を生み出すほどに素早く躱し、バランスを崩した炎虎を刺突、その躯を盾に炎狼の爪を防ぐ――リフィクルの目の端に迫りくる炎竜が見えた。
 体が反応するよりも早く《ヴォイドブリンガー》は弾き飛ばされ、がら空きになった肩に衝撃。噛まれた。体の中で骨の軋む音が鳴って、意識をもっていかれそうになるほどの激痛が衝撃を追いかけて、燃える熱に一層苦しみは増す。
「コノママ焼ケテ死シテ朽チヨ!」
 転瞬、その衝撃は収まる――どさりと崩れ落ちた炎竜を見れば、眉間に刺さるのは赤く燃える苦無。そして、銀色の刀が二振り――
「大事ないっすか!?」
「まだ倒れるには早いだろ?」
 饗と結城の鼓舞に、リフィクルは脂汗を拭い、手を上げ、それを礼にした。この激痛に耐えて、リフィクルはそろりと息を吐く。
「直接的な恨みはないが……これだけは言おうか」
 消え失せてしまった大剣を再びその手に現して――否、今度のそれは、柄がない。鋭く長い荊棘を纏った刃が虚空より湧き出して、一斉に解き放たれた。
 炎竜へ巻き付き、ガイオウガへと突き刺さり、その棘の一本一本は、命を吸い上げる呪詛が織り込まれているいくばくかの傷は、棘から流れ込んでくる力によって癒されていく。未だふらつく頭を軽く振って、
「死ね、二度と生まれてくるな」
 リフィクルは、ガイオウガの神経を逆撫でするよう挑発――これで冷静さを欠けばいい、少しでも攻撃の手が一辺倒になればいい。そうして叶うなら、一手でも多くの攻撃を、一足でも速くガイオウガの攻撃を躱し、戦況を有利に進めることができるのならば。
「小賢シイ!」
 耳を劈く轟音がごとき咆哮が迸る。炎竜の突進、猛炎に包まれた――地獄の炎熱にいよいよ耐え切れずに、リフィクルは膝をついた。
 が、この手は動く、掠れていく意識の中、カウンター気味に放出された刃は――それをものともしなかった炎のガイオウガに捻り潰された。
「貴様ガソコデ朽チ、燃エ、我ガ垓王牙ニ平伏セ!」

「させるかあ!!」

 大音声――鋼鉄にも似たグリーブへと姿を変えた氷牙を纏った結城の吶喊だ。目の端で、蒼いグリモアの光に包まれていくリフィクルを見、司狼も《封狼刀》を振るう。【虚構殺しの騎士】と刀が呼応し合い、真価を発揮せんと切れ味が高まる。
 騎士と共に火山を駆け上る――膂力に任せた痛烈な一撃はガイオウガの外殻を抉り砕く!
 その傷めがけて落とされるのは、巨大にして凶悪な幻影――
「雪見九尾の意地、見せてやらぁ」
 彼の声が届いたかは定かではないが、確実に踏み抜かれたガイオウガの背の傷。悶え苦しむように低く激しい咆哮が上がる。
 転瞬、ガイオウガの体は激しく傾いだ。饗が張ってあった剛糸に足を取られたのだ。
 どろり――灼熱の溶岩が背の火口から噴き上がる。だらだらと、とどまることを知らず、猛烈な勢いで流れでてくる溶岩は、饗を飲み込み焼き尽くす――触れれば火傷では済まない。
 だが、その覚悟はできている。
「俺の鼓動は止まらないっす、俺の体はここにはないっす」
 言って饗の苦無は身を護る半数を残して、結城と司狼のあけた傷へと打ち込まれていく。
 その激烈で的確な斬撃は、ガイオウガに悲鳴を上げさせる。手足に括り付け盾として使っていた苦無がいよいよ熱に耐えきれず溶け出す。
 四肢を焼く痛みは溶岩の波。張ってあった剛糸も焼き尽くされている――否だ。
「例えこの体が溶けても痛くも痒くもないっす!」
 この身で世界を、そこにいる人を傷つけずに済むのであれば、この一手が無駄でないと誇れるだろう。
 自責の念に苛まれるかもしれないが、それでも――と饗の黒瞳は鋭く強く、ガイオウガを睨めあげる。
 だんっと跳躍。
「この牙で! 刃で! 噛み殺すっす!」
 梅花咲く苦無の斬撃が閃く。溶岩が散弾となって饗へと放たれる。頬を裂き肩を穿ち、腹を掠めて脚に刺さる。熱波は体を焼いて今にも燃えてしまいそうなほどに熱い。
「(また怒られちゃうっす……怒るっすか、――)」
 失血でふらつく饗は小さく苦笑し、独り言ちた。その言葉は、彼の相棒に届く前に、ガイオウガの咆哮に掻き消される。
 それでも、苦無の雨は、狙いを外すことはない。広がるガイオウガの傷に、時間差で叩き込まれる司狼の斬撃。
「過去が生きるのは! 思い出の中だけで、たくさんだ!」
 巨躯を一瞬濡らしたのは、水を纏う《戦刀》が振るわれたからだ。清廉な水を纏い切れ味がいや増す。騎士により刺突、同時に突き立てる刀。司狼の一手から、間髪入れずに結城が吼える。
「幻潰獣奏……二連!!」
 先刻とは逆の足で放たれる二連撃目――リミットを外した鈍重な一撃が突き刺さった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

千家・菊里
【花守】二人
竜の焼肉って美味しいですかねぇ?
――なんて、流石の俺も今は食気より戦意が上ですよ

火除加護を二人へ
武器に護符、身にオーラ施し火炎耐性
さて後は余計なお世話を焼く迄も無い、ですよね?

激痛・環境耐性も総動員
此方とて炎と耐久が取柄の身
易々屈さぬ覚悟と共に継戦能力高め迎撃

竜炎動作を見切りと第六感で読み
手薄な所へ水属性範囲攻撃重ね火勢相殺
道抉じ開け大元に食らい付きに
偶には鎮火も面白い
――然し俺の好みはやはり炎

UCの炎は延焼分も含め消せるならば――敵の炎にぶつけ、混ざった瞬間に即消し相殺
其が無理でも炎に生命力奪う呪詛も込めておき、敵の火勢を頂き糧に

合わせて早業の2回攻撃
鎧無視し麻痺齎す霊符を一点へ


呉羽・伊織
【花守】
いや硬いだろアレ…じゃなくて!
コッチが焼けるどころか消炭とか御免だからな!

逆境にゃ慣れっこ
火線死線も覚悟済
受けた力と激痛・地形・環境耐性併せて備え、後は急所と意識だけはくれてやらぬよう互いにに隙をカバー
おう、そんなのまで焼かれてたまるか
後はまぁ、相応にやってやるさ

俺は防御よか速度が命
同じく見切りや第六感で竜炎動作観察しつつ、残像やフェイントで撹乱し深手だけは回避
同時に火勢弱い所を探り一気に道を開きにかかる

※UCを水に特化させ放ち炎軽減
早業と2回攻撃で菊里と間髪入れず重ね、此方の勢いを維持

親玉捉えりゃ菊里の炎が消えた所に※重ね相殺加勢

更に早業で目か急所の一点へ合わせUC
目潰しか部位破壊を




「竜の焼肉って美味しいですかねぇ?」
「いや硬いだろアレ……」
「じっくり下処理をすれば、こっくりやわらかな肉になりませんかね」
「いや知らねえ……じゃなくて! アレを肉にする前に! コッチが焼けるどころか消炭とか御免だからな!」
 味見をするにしても相応の覚悟で挑まねばなるまい。そもここにいる意味よ――ツッコミをいれかけて、軽やかな笑い声に肩透かしをくらう。
「――流石の俺も今は食気より戦意が上ですよ」
 二人の軽口はどこか飄然として、熱波の中で軽快に交わされる。
 千家・菊里(隠逸花・f02716)はいつもの食い気を、少しばかり抑え込んで、霊符へと力を漲らせた。
 己と、呉羽・伊織(翳・f03578)へガイオウガの炎を少しでも軽減すべく、火除の符を施す。菊里自身はさらに防御を高める。
「さて、後は余計なお世話を焼く迄も無い、ですよね?」
「おう、そんなのまで焼かれてたまるか」
 くつりと菊里は笑う。彼の霊符の力を身に宿し、しっかと炎竜の動きを見つめる伊織は、彼にひとつ頷く。
「後はまぁ、相応にやってやるさ」
「では、頼みますね、伊織」
 護り固める菊里に背を任せ、伊織は戦場を引っ掻き回す。
 迫る炎を躱し、ガイオウガそっくりの炎は、ふたりに牙をむく。魔水の力を帯びた霊符が竜の動きを鈍らせるが、それにしても数が多く、菊里の身に降り注ぐ炎の弾丸は、じりじりと彼を追い詰める。
 この灼熱の戦場も体力を奪う原因だが――それでも、これに耐えねばならない。
「菊里!」
「なんです、いきなり」
「あっちいなァ!」
「ええ、熱いですね」
 炎の軌跡を予測し見切り、勘に任せて伊織は戦場を駆ける。
「我ガ垓王牙ヘ近ヅクナ!」
 炎虎は大きく咆哮し、伊織を威嚇――それが攻撃してくるかと身構えた次の瞬間、伊織は背に強く衝撃を受ける。一瞬息が詰まる。
「伊織っ」
 突き立てられた炎竜の牙に、舌打ちをひとつ。ぶわりと立ち昇る伊織の殺気は、水気を帯びた。
「だいじょぶだって!」
 逆境には慣れている。こうして傷つくことも覚悟の上で戦地に赴いた。二撃目は躱す。意識が飛びそうになるほどの激痛に喘ぎそうになるが、腹に力を入れて耐える。
 これ以上ダメージを受けてなるものかと、その場に残像を生み出しフェイントを仕掛け、炎獣どもを攪乱させる。
 伊織の赤瞳がぎらりと光る。その混乱に乗じて、抜いた黒刃が炎を斬り捨てた。
「消えてしまいなさい」
 伊織同様、菊里とて、覚悟をしてきた。常に狐火を操り、日頃より炎には慣れている――炎を繰る菊里の取柄だ。
 こんなもので易々と屈してなるものかと、炎竜を迎撃。霊符が魔水の力を喚び込む。迫りくる炎へ符を擲ち、爆発的に力を注ぎこめば、蒸気が噴き上がった。
「偶には鎮火も面白いですね――然し俺の好みはやはり炎」
 ガイオウガの圧倒的な火力を前にすれば、菊里の呼び出した狐火はささやかなものなれど、ガイオウガの噴く炎に絡みつかせ、混じり合わせる。
「ッ!」
 菊里の思うままに狐火は操られる――それは、消すも残すも菊里の自由だということ――試してみる価値はある。
 ガイオウガの炎と綯い交ぜになった瞬間、狐火を消滅させる。果たして、ふわりと立ち消えた。
 火の息を吹くガイオウガへの道ができる――抉じ開け、斬り込む伊織を後押しすれば。
 【変眩】自在に水の暗器が飛び交う。ひたりひたりと滴る水滴は、またたく間に蒸発していくが、それはガイオウガどもの熱を確実に奪う。
 水が形作る杭にも似た暗器――それがガイオウガの目へと深々と突き刺さった。
 腹の奥底に響く咆哮に呼応、火焔が轟然と噴き上がる。魔水の加護に守られた霊符が苦しむガイオウガを穿つ。
 巨躯の隅々まで痺れを齎すことはできずとも、その一瞬で構わない。今一度、伊織の一投が届くならば。
 霊符が外殻を破壊し、その隙間へ水を滴らせた暗器が続々と突き刺さる。
「ちょっと、大人しくしろよ――じゃじゃ馬は可愛い女の子だけで十分だ」
 火炎を映す二対の赤眼が、ガイオウガを油断なく見つめた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

黒城・魅夜
牙の王と呼ばれるものよ
あなたは既に過去の遺物
新たな時代を切り開くのは――この私の魔性の牙です

「環境耐性」で熱に耐えながら「早業」と「範囲攻撃」で鎖を舞わせ
大地を穿って溶岩の流れを一時的に阻害します
無論稼げる時間は一瞬でしょうが
その隙に我が身を斬り裂いて鮮血を噴出させ
溶岩に振り撒いて濛々たる水蒸気を生み出します
「残像」を使い、血の霧に幻影を映し出して相手を惑わせながら
「闇に紛れる」技能で接近し間合いに入りましょう

そしてこの血の霧は既に我が反撃の一手です
この霧によりあなたの五感は既に鈍り攻撃も鈍重
あとは我が鎖が体内に転移し内側からあなたを引き裂くのみ

やはりあなたの牙は既に輝きを失っていたようですね


ジュジュ・ブランロジエ
アドリブ共闘歓迎
メボンゴ=絡繰り人形

はぁ、熱いのちょっと苦手
でも頑張らなくちゃ!
ね、メボンゴ!
『ふぁいと~!』(裏声)
いっぱーい!

対峙前から氷属性付与したオーラ防御を展開し少し体を冷やしておく
熱でバテないように

ガイオウガのUC対策
氷属性オーラ防御+二回攻撃でオーラを二重に重ねる
仲間が近くにいれば範囲攻撃で仲間も守る
もちろんこれだけで防げるとは思ってないよ
オーラを破られたら早業で
氷属性付与した衝撃波(メボンゴから出る)+二回攻撃+全力魔法で対抗

なんとか凌いだね。危なかったぁ……!
それじゃお返し!
氷属性付与した白薔薇舞刃を二回攻撃
自分の周りにも氷の白薔薇を舞わせておく
熱すぎると動きが鈍っちゃうから


コノハ・ライゼ
まったくか弱いイキモノ相手にナンて歓迎の仕方カシラ
ココはひとつ、おもてなしってのを見せてあげないとネ?

*オーラ防御纏い*激痛耐性併せ熱とダメージ凌いでくわ
*第六感働かせ火山弾の軌道読み*見切り直撃避けながら
無事な岩場や飛んでくる火山弾、使えるモノ何でも足場にし*空中戦の要領で跳躍
時折*残像置きつつ目立つ動きで*誘惑するよう攻撃誘い、懐へ飛び込むわネ

駆ける傍ら【震呈】でフライパン召喚
誘った炎の獣を受け止め火力と素材として利用しマショ
受けた勢いのまま殴打したらすぐさま*2回攻撃
自分の熱に*料理される気分はドウ?
*傷口を抉ってフライパン捩じ込み*捕食、丁寧に*生命力吸収し
受けた傷を補わせてもらうねぇ




「垓王牙ヨ、偉大ナル垓王牙ヨ!」
「モウ一度、今一度!」
 炎獣どもが炎を上げてガイオウガを鼓舞する。よろめく巨躯は、今にも斃れそうでも、その強靱なる脚はなおも健在に立つ。
 灼熱の山にひやりと涼やかな風が流れ込んだ。
「はぁ、熱いのちょっと苦手……でも頑張らなくちゃ!」
 ジュジュ・ブランロジエ(白薔薇の人形遣い・f01079)は、喉の奥も焼けてしまいそうな熱にそろりと息を吐いて、纏うオーラを凍てつかせる。
 熱気にあてられて動けなくなっては、ここまで来た意味がない。周囲にいる仲間をも護るように範囲を広げて、さらに強固になるように二重に展開する。
 それでもまだ暑い。熱い。否、先刻よりもいくぶんもましになった。
「できるよね、ね、メボンゴ!」
 白いドレスのうさぎの人形は、ジュジュの相棒だ。
『できるよ! ふぁいと~!』
「いっぱーつ!」
 ジュジュは裏声と地声を駆使して、己を鼓舞する。己を限界突破させるときのキメ台詞だ。そのいつもの様子に、思わず笑ってしまった――のは、暮れゆく紫の空を溶かし込んだ髪色の美丈夫。
「そうそ、乗り切っていかないとネ、ジュジュちゃん」
「わっ、コノさん! 奇遇だね」
 ジュジュは翠の瞳をきらりと丸め、よく知った彼を見上げた。ガイオウガを取り巻く炎獣の喚く声はなおやかましく、コノハ・ライゼ(空々・f03130)を辟易させる。
「まったく、か弱いイキモノ相手にナンて歓迎の仕方カシラ」
 見上げる火山のごとき帝竜から、ちらとジュジュへと視線を投げる。彼女のひやりと冷えるオーラの盾は、実に心地よく灼熱を和らげる。
 その氷の壁の加護を受けたのは、ふたりだけではなく。
 この灼熱に対応すべく順応性を高めていた黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、ひやりとしたオーラを張った少女へ、小さく礼を口にし、すぐさま漆黒の瞳をガイオウガへと向ける。
「牙の王と呼ばれるものよ」
 凛とした声音が響く。返答はないが、それでも伝えておかねばならない気がして。
「あなたは既に過去の遺物。新たな時代を切り開くのは――この私の魔性の牙です」
「戯レ言ヲ! 我等ノ垓王牙ニ触レサセルト思ッテイルノカ!」
「当たり前デショ。ココはひとつ、おもてなしってのを見せてあげないとネ?」
 不敵に、獰猛に――飄然としたコノハは身を潜めて、口角を引き上げる。
 ジュジュの齎す氷結のオーラを従えたまま、彼も新たな防護壁を築き、いずれきたる激痛に備え、覚悟を固めた。
 迫るは炎弾――形どるは炎狼――凶悪な牙は炎でまみれ、口からは轟然と火焔を噴き、跳躍するたびに大地を燃やす。
 ガイオウガの背から放たれる火山弾、解き放たれ炎の竜は数多のガイオウガとなってうねり突進してくる、そして、背の火口がだらりと変容した。
 赤々と破滅的に大地を焼き焦がす溶岩が、流れ来る。炎の獣はそれをものともせず、炎のガイオウガどもも溶岩とともに雪崩れ込んでくる。
 ジュジュは魔力を注ぎ込み、一層堅牢に、より一層氷結させて護りを固めるが、炎の牙は無数に壁へと突き立てられた。破られるのは、時間の問題。
 しかし、こんなもので凌ぎ切れるとは思っていない。
 オーラが砕け消える――瞬間、メボンゴの可憐な両腕が、くりくり回って――氷結の衝撃波が放たれる。
 触れる炎は熱を下げ、動きは鈍く弱くなれど。それを掻い潜る炎は、ジュジュへと迫る。果たして、それは再び放たれたメボンゴの衝撃波によって遮られる。
 氷結に煽られて凍結した火山弾を足場に、軽やかに跳躍したのは、コノハ。
 彼を狙う砲撃はやまず、吼える炎獣の牙を踏みつけ、それを更なる足場として、跳ねる。すべてを躱しきることは、あまりに難しく急所を守り、大した火山弾はそのまま向かい来るに任せ、衝撃に耐える。
 時折コノハの残像が空中に残る――それに集まる火山弾の爆発に乗じて、コノハはガイオウガの喉元へと迫った。
「使えるモノはなんだって使うワ……覚悟しろよ」
「ええ、是非ともお覚悟を決めていただきたいですね――」
 魅夜の周囲に鎖が展開された。
 使い慣れた大蛇の如き鎖は、ガイオウガより流れ出てくる溶岩の勢いを阻害せんと大地を穿つ。
 その鎖の壁で溶岩を延々と堰き止めておけるとは思っていない――たとえ一瞬であっても、魅夜が己の身を斬り裂く一手を稼ぐだけで十分なのだ。
 鮮血を。魅夜の命を。無常にも噴き上げる。
 赤熱する溶岩へと注げば、じゅわりと灼けて蒸発し、血の霧を齎す。濛々と、辺りが霞むほどの濃霧は魅夜を隠して、ジュジュを、コノハをも隠しゆく。
 血の霧に映し出される幻影へと、炎獣どもが殺到。溶岩は幻へと流れ込み、飲み込んでいく。
「それは、あたなの炎ですよ」
 霧に紛れ肉薄。魅夜の反撃はすでに始まって、成されていた。
 血の霧に支配されたガイオウガの肢体は、鈍り重く緩慢になっている――
「我が鎖が体内に転移し内側からあなたを引き裂くのみです」
 魅夜の言下、ガイオウガの体内から四方に鎖が突き出した。大地を揺るがす大音声の咆哮が迸って、思わずコノハは眉間に皺を刻む。
『うるさーい! そんなに叫ばないでよー!』
「危なかったぁ……! それじゃ、お返し!」
 ガイオウガの猛攻を辛くも凌いだジュジュは、メボンゴを繰って、ふわりと深呼吸。吐息は徐々に冷えていく。
 ジュジュの力は冷気を帯びて、白薔薇の花弁を巻き起こす。焼け死んだ大地に突然噎せ返るような薔薇の香りが広がる。
 味方は決して傷つけることのない無数の花弁は、ジュジュの冷気を纏って舞い踊る。白い濁流はガイオウガを翻弄し、炎熱を冷やし引き裂いていった。
 凍る白薔薇の花弁はジュジュの周りにも展開し、先よりもなお温度を下げた。暑くて体の動きが鈍る前に、喉の奥が灼けそうなくらいに熱せられていた空気が冷やされて、ジュジュは一息つく。
 ガイオウガをのみこんだ濁流が一瞬引いて、次の瞬間には【白薔薇舞刃】の返す刃がその巨躯を斬り刻んでいく。
「やはり……あなたの牙は既に輝きを失っていたようですね」
 精彩を欠くガイオウガの動きに、魅夜は少しだけ、ほんの少しだけ残念そうに吐息した。
 しかし、それをおくびにも出さず漆黒の瞳は、次の事態に備えて油断なく光る。彼女の瞳が捉えたのは、白い花弁の向こう――駆けるコノハの手には【震呈】にて召喚したフライパンが、徐々に赤熱し威力をいや増していく。
 コノハめがけて飛び込んでくる炎獣の炎をフライパンで受け止め、絶大な火力とし、その身は素材として利用。
「とくと味わわせてアゲル!」
 十分に準備の出来たフライパンを振りかぶり、コノハは強く笑う。振り下ろす。フライパンを通して肩へと突き抜ける衝撃は、コノハの笑みをさらに深くさせた。
「自分の熱に料理される気分はドウ?」
 魅夜の鎖が消えたあとの傷口を狙い、容赦なく抉ってフライパン捩じ込み、フライパンの熱で丁寧に焼き締め、じっくりとガイオウガのエネルギーを吸い取り捕食していく。
 焼かれ奪われたコノハの力、受けた傷は、しっかりと補完してもらわねば割に合わない。
「アラぁ、なかなか、美味いじゃナイ――ごちそうさま」
 口の端を舐め、崩れ落ちていくガイオウガを蹴りつけ、着地した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
「考えろ」
迫りくる炎の竜達
相手は炎だ
ならば元を絶てば良い

範囲内の大気中から酸素と窒素を奪いナイフに変える
これで範囲内の炎達は勢いが消えるはず
【学習力】で過去に使用した経験から大気の減圧流れ込む風圧を利用する
【ダッシュ】で速度を上乗せし攻撃をかわしながら一気に近づく
一時真空になるのは【覚悟】しよう
「風…か」
何故か笑みがこぼれた

【投擲】の範囲内に入ったら酸素のナイフを片方の足に投げつける
純粋な酸素だ
急激な熱を生み出すだろう
少しでも傷つけばいい
そこに窒素のナイフを投げつけ能力を解除し気化させる
個体から気体への膨張力で傷口を広げる
転倒させたら頭が狙えるからね

全力の【鎧無視攻撃】!




 巨躯はゆらりと立ち上がる。
 相手は竜とはいえ、炎だ。考えろ、思考を止めるな。打開しろ――仁科・恭介(観察する人・f14065)は答えを求める。
 炎の元を断てばいい――どうする――考えろ。
 巡る思考の中で一つの解が導かれた。
 迫る火竜は大きく咆哮する。焔はいっそう勢いを増して恭介を飲み込む――瞬間。
 ひゅごっ。
 奇妙な音が鳴って、炎が立ち消える。
「何ヲシタ!」
「簡単なことだよ」
 種明かしはしないで、迫る炎竜はまたたく間に消えていく――そろりと息を吐く。恭介の手には強靱なナイフが握られている。
 長大なものではない。恭介の手に馴染み、一番扱いやす大きさのものだ。
 ひとつは、酸素を集め固めたもの。
 ひとつは、窒素を集め固めたもの。
 炎竜――火が存在できぬよう、大気を操作し、火勢を弱めたのだ。
 そうしてバランスの崩れたその一帯が真空になって莫大な力を内包することは覚悟済みだ。それでも、恭介には、過去のデータがある。
 幾度もこうしてナイフを生み出した――そのときの減圧による空気の流入が、猛烈な風となって吹くことも知っている。
 その風圧は、恭介の体を力強く押す。その力に身を委ね、さらに力を込めれば、恭介の体は風となる。
 炎竜を激しく翻弄する颶風の勢いに任せて恭介は疾駆――ふいに笑みがこぼれた。
(「風……か」)
 しかし、炎竜どもはそれでも恭介へと襲来する。気圧の変化に体が軋むが、それを今気にして足を止めるわけにはいかない。
 疾って、奔って――恭介自身が風になる感覚に襲われる。が、視界はクリアに開けている。 
 炎竜の猛攻は、頬を焼いて腕を焼いて、恭介の意識を奪おうとするが、踏みとどまる。
 そうして、白い頬にはっきりした笑みを刻む。
 一切の躊躇も容赦もなく擲たれたのは、酸素を収斂したナイフだ。
 きわめて純度の高い酸素の刃はガイオウガの脚に突き刺さる。
「それ、危ないよ」
 言うやいなや、爆熱。
 純粋な酸素を送り込まれた炎は、いとも簡単に燃え上がり、ガイオウガを包みこむ。炎の帝竜に、爆炎がどれほど有効であるかは定かではないが、その衝撃はガイオウガの体を傾げさせるには、十分だった。
 わずかな傷で構わない。
 いままで帝竜と相対してきた猟兵たちの積み重ねた傷は、着実に巨躯を蝕んでいる。
 口喧しい炎獣もその爆発に飲まれ今は姿がない。
 恭介は攻撃の手を緩めない。まだナイフは一本残っている――先刻の傷へと投げつけ、力を解く。
 個体から気体へと昇華する膨張力は凄絶な力を内包して、ガイオウガの傷をさらに大きく広げた。
 傷口から流れ出ていくのは、溶岩のようなエネルギー。凄まじい力が滂沱と溢れ続け、いよいよガイオウガは地に落つ。
「手加減はしない――それは、失礼だろう?」
 転倒し、もはや動けないでいるガイオウガへ、恭介の《サムライブレイド》が振るわれた。
 全力で振り抜かれた一閃は、ガイオウガの硬い外殻を断ち斬り、砕き割る。
 恭介の緊張が、ほどけた。


 大地を揺るがす咆哮が轟いた。
 輪廻を焼き尽くす炎は、赤く白く閃光し明滅し、帝竜の身を包みこみ、消し炭さえ残さずに燃え上がる。
 だらりと溶けて朽ちて、火山が如き巨躯は、やがて消え失せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月19日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト