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VSデビルズナンバー~夕焼けの約束~

#UDCアース

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#UDCアース


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●夕焼け空の下で
 ―――大人なんかいらない。
 ぼくのことを信じてくれない先生なんていらない。
 ぼくのことを怒ってくるお父さんなんていらない。
 ぼくのことを構ってくれないお母さんなんていらない。
 いらない、いらない。どこかにいっちゃえ!

 ―――本当に、いいだべな。

●事件!事件ですよ!!皆さん!!!
「Hello、ハロー!ようこそ皆さん!今回皆さんの冒険のサポートを行います、ガラテアでございます!」
 騒がしい声で、ガラテア・オートマトン(アスタリスク・f12062)があなた達を歓迎する。
「それでは早速説明、それと訂正を。今回は冒険ではなく事件、と称させて頂きます。」
 どういう事だ?と首を傾げるあなた達の前に、ディスプレイが投影される。

「場所はUDCアース、山中の田舎町になります。町というよりかは村と言った方が正しいかと思います。田畑があちこちにあり住民の皆さんは農作業で日々を暮らしている、まさしく田舎というべき秘境ですね。今回の事件はこちらで起こっています」
 なんでも、農作業に出ていった人が帰ってこない、隣町まで買い物に出かけた人が車だけ残して居なくなった、等。簡単に言えば失踪事件だと、ガラテアは言う。
「居なくなった人達は今も見つかっていません。現在、村に残っている住民は少なく、その全てが中学生以下の年齢の子供達です」
 大半が子供?誰かがそこに疑問を感じ、ガラテアに尋ねる。
「そうなんです。失踪しているのは大人のみ、今言った子供達には一切の被害が出ていません…誰がどう考えてもおかしいです。そこで皆さんにはまず最初に村の子供達から話を聞いてきて欲しいのです」
 子供だけが失踪していないのは怪しい。何か事件の鍵を握っているのではないか?
「村にいます子供達は4名です。以下に名前を表示します」

 1、今の村のまとめ役である、しっかり者のコウタロウ。中学3年の男子。
 2,年少の子供達の面倒を見ている、優しい子、ユウカ。中学1年の女子。
 3、村で一番元気だと言われている、暴れん坊のカズマ。小学2年の男子。
 4、静かで大人しく、気の弱い子、リン。小学2年の女子。

「以上が今の時点で話が聞けそうな子供達になります。彼等から話を聞き、この失踪事件の真相を暴いて貰いますのが今回猟兵の皆さんにお願いする内容となります。奇妙な事件だと思いますが頼れるのは皆さんだけです。どうか、頑張って下さい」
 神妙な面持ちで、ガラテアはあなた達を現場へと送る。


赤黒い
 赤黒いです。今回はUDCアースでの事件となります。

 第一章では子供達から情報を聞き出し、第二章では事件の全容を暴いてもらいます。最後に待つものが何なのか、気になるー!とドキドキワクワクしながらお待ち下さい。
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第1章 冒険 『子どもたちの秘密』

POW   :    力強い言葉で子供たちを説得

SPD   :    子どもたちの尾行や周辺の調査

WIZ   :    子どもたちと仲良くなって情報収集

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイリ・ガングール
 とりあえず山中の村なんじゃろ?だったらきっとあれじゃろう。狐くらい居るだろうよ。
 という訳で狐になって子供たちの周囲を探ってみるぞ。そうじゃな。コウタロウ周りを探ろう。子供達だけで生活しているのならばそれぞれが生活に必要な行動をとっていよう。そのうえで何か、日常生活に必要な行動以外の行動や場所に行くようなら狐のまま尾行してついていこう。
 まずは状況確認じゃ。それで何か有益な情報が手に入ったら、仲間たちに知らせて他の者の行動に役に立てるようにするぞい


ボゴ・ソート

帽子を目深に被り直し、仲間へ行動方針を告げる。
「隠れて行動したいな。子供達への接触は他の人に任せるよ」
俺は目下の重要参考人である子供たちから物理的、精神的に距離をおいて調査を進めることにした。
万が一、陰惨な真相に辿り着いた際に余計な心の傷を負わないように、調査対象への深入りは極力避ける。
UDCアースで仕事をするうちに身に着けた精神的防御策である。
聞き取り調査や子供が苦手なわけではない。本当だ。


【SPD】
[目立たない]ように子供を[追跡]したり周辺を調べて[情報収集]しますが、もし子供が危ないことをしていたら姿を見られても構わないので制止します。




 遠くに見える山は、白く染まっていた。こちらには雪は積もってはいないが、真冬の山間部、厚着していなければ厳しい寒さであるのは違いない。
 村のまとめ役の家に生まれた一人息子であるコウタロウは、白い息を吐きながら自らが生まれたこの村を見回っていた。
 そんな彼を追う、2つの影があった。
 一つは狐、もう一つは人の二倍の身長を持つ機人。あまりに自然と、あまりに不自然な追跡者達であった。

 狐の正体は妖狐であるアイリ・ガングール(死(かこ)を以て生(いま)を拓く・f05028)。山中であれば獣の一匹もいてもおかしくないだろう、との事で変化している。
 機人はボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ・探索者・f11583)。巨体ではあるが、探索機であり盗賊でもある彼はコウタロウの気配を感知し、先の動きを予測する事で絶妙に隠れ、隠密行動が出来ていた。
 今の子供達を纏め上げるリーダーであるコウタロウ、そんな彼が何かを探すように村の家々を巡っている姿は、二人が追跡対象として選ぶには十分な理由であった。

「はぁ…はぁ…ここも、駄目だ。誰もいない」
 最後の一軒だろうか、そこから出てきたコウタロウはそう呟く。
「父さんや母さんだけじゃない…本当に誰も居なくなってるなんて…」
 吐き出す息は魂まで出ていきそうな程悲壮なもので、それでもグッと飲み込み、コウタロウは前を向く。
「僕しか居ないんだ…僕が一番の年長者。だからしっかりしないと」
 そう言って戻ろうとした時、ふと横目に何かが見えた。
「…まただ。また案山子が立ってる…あんな所に、何で…」
 ここまで来る道中、何度も見た。変な位置に立つ覚えのない案山子。それらは追跡し同じく村中を巡っていたアイリやボゴにも見えていた。奇妙な感覚に陥りながら、それでもコウタロウは来た道を辿り、子供達の現在の居場所、自分の実家である屋敷へと戻っていった。

「のう、あの様子、どう思うかえ?」
 いつの間にか元に姿に戻っていたアイリがそうボゴへと尋ねる。
「至って正常…目立った異変も無かったし。少し焦ってるようだったけど」
「それは年長者としてのプレッシャーであろう。情報じゃと、15歳くらいじゃったか?忙しい時期でもあろうに、全く」
 アイリは目を細め、再び狐の姿に。コウタロウの追跡を再開した。
「…だね。早く解決してあげないと」
 帽子を目深に被り直し、ボゴもコウタロウの後を追う。

 日が昇りきっても、村は未だ寒いままである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

篁・綾
ん、不思議な事件ね。
…でも。彼らは悔いていないのかしら。恐れていないのかしら。
一応、服装はこの世界風の服装になっておくわね。

【コミュ力】【動物と話す】【情報収集】で、まずは付近にいる小動物達に話を聞くところから始めましょう。
急に人間たちが減った頃の事を聞いてみればいいかしら。
動物たちと話したら、得た情報を元に、【聞き耳】を駆使しつつ【忍び足】でその方角に行く子供をこっそり追いかけてみましょうか。

見つかってしまったら、大人が居ないことについて【優しく】聞いてみるわ。
【誘惑】や【礼儀作法】も使えば、その場合の心証もよくなるかしら?

もし可能なら、話をした小動物と一緒に動いていてもいいかも。


波狼・拓哉
分かり難く詰んでる状況に持ってきてるなこれ…いや結構洒落になってないんじゃね?
さてと俺も調査といくか。んー隠れながらとか性にあってないしなぁ…普通に話しかけに行って仲良くなってみようかな。話に聞いた中からならカズマくんが外に居そうな気がするし見つけやすそうかなっと。
出会ったらこの村には居ない苗字の人から調査依頼があったから住宅を探してると聞こう。返答してくれたなら、居ない苗字だし親父が適当に聞いてたからと嘯いてみよう。
どうやら犯人は大人に対して何かしらの負の感情を抱いているみたいだしね。喰いついて来れば話を合わせつつ情報収集の続き。後、本当に悪い所ばっかりなのか?みたいなことも聞いてみるかな。




「ん、不思議な事件ね」
 二人とは別行動を取っていた篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)は山中の林で一人そう呟く。
 大人だけが居なくなり、村には子供だけ。一体何のために。
 それを解決する為に、我ら猟兵はここへ来たのだ。
 篁は自らの獣奏器、神代桜を構え、横笛の音を鳴らす。奏でる音色は彼女が待つ者をすぐに呼び寄せた。小鳥が数羽、彼女の肩や近くに木々の枝に止まる。
 その内の一匹を自らの指に止まらせ、彼女は小さく幾つかの言葉を交わす。
 暫くした後、小鳥達は飛び去っていき、彼女もまた、目的の場所へ向かう為に静かに歩き出していた。

 たどり着いた場所は大木の虚穴におもちゃや雑誌が置かれた、秘密基地と呼べるような場所であった。実際拙い字で「ひみつきち」という看板が置いてある。であれば、そうなのだろう。
 そして虚穴の中に誰かが居たのも分かった。
「…ねーちゃん、誰だよ…」
 警戒心高く虚穴から出てきたのは、小柄な短髪の少年だ。
「あら、見つかっちゃった。私は篁・綾よ。あなたは…カズマくん?」
「…なんでオレの名前知ってんだよ…なにものだよねーちゃん…」
「名前は言ったでしょ。そんなに警戒しないで。ただ、あなたと話がしたいだけなの」
 優しい口調で、丁寧な所作で、カズマの警戒心を解こうとする。妖狐として無意識に少し誘惑もしたかもしれない。だが、
「うるさいッ!大人と話すことなんかねぇ!」
 カズマは篁を押しのけ、その場から走り去ってしまった。
「…嘘、逃げちゃうの」
 押しのけられた衝撃で尻もちをついた篁は、すぐさまに立ち上がりカズマを追う。

「結構洒落になってない状況だな…だいぶ詰み掛けてるぞコレ」
 そんな事を言いながら、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は村を歩く。
 自分は隠れながら調査など性にあわない。であれば出来る事はただ一つ。
「何も隠さず、正直に。堂々としていれば怪しまれもせず、すぐ仲良く…っと?」
 そんな風にのらりくらりと歩いていれば、山の林から小柄な子供が飛び出してくるのが見えた。
「元気だねぇ、あの子かな?」
 自分が目星を付けておいた子でありますよ―に。そう簡単に祈りながら子供へと近づいていった。

「…ッ!また…誰だよ、お前ら!」
「やぁ、カズマくん。俺は波狼・拓哉。ただの私立探偵だ。ちょっと聞きたい事があってね」
「…言わねぇぞ…」
「そんな事言わずに、協力してくれない?家を探していてさ」
「……家って」
「はい捕まえた」
 突然の言葉に波狼は驚く。だがカズマはそれ以上に驚いていた。後ろから声を掛けられたと思ったら、既に両肩を掴まれている。
 忍び足で篁はカズマに追いついたのだ。篁はカズマの耳元で優しく囁く。
「驚かすつもりも、脅かすつもりも無いの。ただ確かめたいだけ」
 冷や汗が出る、カズマの頬をつう、と落ちる。

「あの日、リンちゃんと何を話していたの?」
 人が居なくなった次の日、秘密基地で二人の子供が話し合っていた。片方は泣いて、片方は真剣に。それが篁が小鳥から聞いた情報であった。
「…何もッ…何も言わないッ…リンとの約束だから…!」
「そう…なら、もういいわ。ごめんなさいね」
 そう言うと篁は、カズマの肩からそっと手を離す。
「えー…っと…何がなんだか」
「あなたも猟兵なのでしょう?ならついて来て、聞くべき相手は分かったわ」
 そう言うと篁は歩き出す。その歩みは確かなものだ。

 拳を強く握っても、思い切り歯を食いしばっても、涙が溢れそうだった。約束を、守れなかった。ただただ悔しさで、カズマは動けないでいた。
「大丈夫だ。悪い方向には行かない、行かせない」
 そんなカズマに波狼の声が掛けられる。
「その為に俺達猟兵が来たんだ。何があるのかは知らない、けど必ず助けてやるから」
 カズマは動かない。うつむいたまま反応がない。
「…だからこそ、現状を把握しないとな」
 そう言うと波狼も、その場を後にし篁を追っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サク・トノシキ
子どもというのは往々にして大人を嫌う時期があるものだ。そして往々にして、失ってから後悔するものでもある。

仲間達の情報を元に、コウタロウの屋敷を訪ねよう。
子どもは大人の機微に敏感だ。失踪事件を調べに来た、と屈んで目線を合わせながら正直に話そう。
中学生は年少の者を励ます為に気丈に振舞っているだろうが、心が育っている分不安でない筈がない。
俺達は力になりにきたのだ、その為に情報が欲しいと協力を求めよう。
責めるつもりは毛頭ない。対等に話がしたいのだ。

…俺は子どもウケする顔ではないから、逆に怖がらせてしまうだろうか。




「はい、どちら様で…」
 屋敷の戸を開けて対応するは中学生くらいの女の子。情報通りであれば彼女がユウカか、とサク・トノシキ(キマイラの戦場傭兵・f11267)は思う。
「急な訪問、申し訳ない。俺は…警察みたいなものだ。ここで起こっている失踪事件について調べている」
「警察……!良かった。ずっと電話も使えなくて、このままどうにもならないのかと…!」
 サクの言葉に、ユウカは安堵の表情を見せる。
 思っていた通りだ。子供達はこの状況に不安を感じていたようだ。サクの白虎のような風貌にも、猟兵としての能力があったとしても気にしない程に、助けを求めている。
「俺達は力になりに来たのだ。この状況を解決する力に。その為に、君達の話が聞きたいんだ。何がどうしてこうなったのか。詳しく聞けないだろうか?」
「わかりました。どうぞ、お上がりください」
 ユウカはサクを屋敷へと上げる。

「…と言っても、私の話は役に立てるとは思えません…知っているのは、一週間前に最初に帰ってこない人が出てきて、そこから次々に居なくなって…昨日には私とコウタロウお兄さん、小学生のカズマくんとリンちゃんの4人だけになっていました。…本当に、これくらいしか分からないです。ごめんなさい」
「いや、十分だよ。よく話してくれた、ありがとう。…他の子供は?」
「コウタロウお兄さんは誰か戻ってきていないかと言って村の家の見回りに、カズマは外で遊ぶと言って出ていってます。二人共遅くならないようにとは言ったんですけど…家には今、私とリンちゃんだけです」
「そうか…リンちゃんにも話が聞きたいんだが、大丈夫だろうか?」
「人見知りな子ですけど、私が一緒にいれば大丈夫じゃないかと…少し待って下さい」
 そう言ってユウカは席を立ち、屋敷の奥へ向かい、
「リンちゃん!?」
 驚愕の声。突然のことにも冷静に反応し、サクは声の場所へ向かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

六六六・たかし
大人だけの失踪事件か…
匂うな…デビルズナンバーの匂いがする。
この事件恐らくデビルズナンバーの仕業だ。
なぜわかるか?なぜなら俺はたかしだからだ。

【WIZ】
この状況で一番失踪事件と関わりがあるのは子供たちだけだ。
ならば子供たちに話を聞くのが一番早いだろう。
だが、ぽっと出の俺が話したところで教えてもらえるとは思っていない。
しかし、俺にはこのデビルズナンバーざしきわらしがいる。
俺がこいつに物陰で指示を出す。
こいつのサイズなら子供たちも親近感を持ってポロっとなにか話すかもしれん。任せたぞざしきわらし。

「DNざしきわらし:身長120cm程度の意思を持った人形。和ロリツンデレ系。」




 六六六・たかし(悪魔の数字・f04492)は直感で確信していた。
 この事件の裏には、デビルズナンバーの匂いがする。であれば俺が行くしかあるまい。
 何故なら俺はたかしだから。

 屋敷の一部屋。そこには小学生低学年程の女の子。リンが一人でいた。特に何をしているわけでない。膝を抱え、部屋の隅でジッと縮こまっている。
「あら、アナタ。こんな所に一人でいて、どうしちゃったのかしら?」
 誰かに声を掛けられ、ハッと顔を上げるリン。
 眼の前にはリンと同じ程の背丈の、おかっぱ頭の和服の少女がいた。まるで日本人形の様に可愛らしい。それもそのはず、声を掛けた少女は本当に人形だからだ。
 たかしが所持する、同じデビルズナンバーを持つ人形。それが彼女、六零零・ざしきわらし。
 たかし本人が直接子供達と接触するよりも、ざしきわらしの方が子供達の心を開けるのではないかと考え、接触をざしきわらしに任せたのだ。
「こんにちは、リン。私ざしきわらし。リンとお話をしてきてって頼まれて、ここに来たの」
「…なんで、ぼくの名前をしってるの…?」
「何でかしら?ざしきわらしだから?こう見えて何でも出来ちゃうのよ、私」
「何でも…?かかしさんみたいに?」
 その言葉に、外でざしきわらしに指示を与えていたたかしは反応する。
「!…ええ、そうよ。かかしさんみたいに何でも出来ちゃう」
 ざしきわらしは適当に話を合わせる。より情報を引き出しやすくする為に。
「なら…なら!お願い!お願いがあるの!お父さんとお母さんと、先生もみんなを、元に戻して!」
「お、落ち着いてリン。落ち着いて話しなさい!」
「ぼくの、ぼくのせいで…かかしさんにお願いしたせいで…あ、うあああ!」
 ざしきわらしの服をつかみ、リンは大声で泣き崩れる。

 リンに話を聞きに来たユウカが、様子に気づいて声を上げるのはその直後であった。

「かかし…デビルズナンバー…間違いない」
 たかしの確信はより確実なものになっていた。何故なら彼はたかしであれば。
 この村にいる…奴が!

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『異常現象【初】』

POW   :    異常現象そのものに触れ、実際に体験する。

SPD   :    異常現象の現場を調査し、痕跡を探す。

WIZ   :    目撃者から話を聞き、原因を予想する。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ガラテアでございます。状況が更新されました為、これより説明を行います」

「子供達の皆さんから情報は聞けましたね。ではそこから、今回の失踪事件のタネを皆さんにはこれから解明して貰います。ひいてはそれが、事件の元凶となった対象の居場所の特定に繋がると思います。それでは、連絡は以上となります。引き続き事件の調査、よろしくお願いします!」
波狼・拓哉
子供の小さな願いを叶えてやったってやつかな。…こういう奴だとお前が願ったんだろとか言ってくるんだよなー。まあ言わせんのだけど。
さてと現状をより知らないとね。思い出すのもしんどいかもしれないけどリンちゃんにどこでカカシ(仮)にあったかどうかを聞いてみよう。少しでも落ち着いて貰えるように探偵であること、色んな事件を解決してることも交えつつゆっくりと聞こう。
場所が分かり次第他の猟兵に伝えて自分も現場に。
何かあれば追跡者だして追跡かな。
…予想としてはまだ殺されてないのもいるだろう。何を目的としてるかは分からんけど餌としてじゃ無いだろうし。後はまあ、助けてやるって言っちゃったしなー。最善を目指しますか。




「…という訳で、俺達はこの村に来たんだ。解るかい?」
 時は少し進み、屋敷には村の子供達全員が戻ってきていた。その彼らに、波狼・拓哉は自分達猟兵が来た理由を伝えていた。
 子供達も理解を示し、波狼の言葉に頷いている。
 ただ一人、リンだけは自分の服の裾をつかみ、俯いて反応をしない。
「…君が悪い子だから捕まえに来たんじゃあ無いんだよ。ただ、リンちゃんだけが知っている事を聞きたいだけなんだ」
 出来る限り優しい言葉で、波狼は語りかける。思い出すだけでも辛い事かもしれない。それでも、と波狼は頼み込む。その日に何があったのか、何処でかかしさんとあったのか、一体何を話したのか。
「…わかった…」
 その一言に、波狼は安堵の表情を浮かべる。

 その日は嫌な1日であったらしい。先生には宿題を忘れたのを、してきてない言い訳だと思われ信じて貰えなかった事。それだけで泣きそうだったが、それがお父さんにすぐに伝わり、酷く怒られた事。お母さんはそんな自分を特に慰めたりしなかった事。
 今にして思えば取るに足らない些細な出来事でしか無かったと思う。ただ、その時は本当に辛くて辛くて仕方がなかった。
 いつもカズマと遊んでいる秘密基地で一人泣いていると、何処かから声が掛かってきた。それが”かかしさん”だ。
 かかしさんは言ってきた、どうして泣いているのかと。自分は答えた、お父さん達がいじめてくると。
「…それで大人なんていらないって言ったの。そしたらかかしさんが『オラがなんとかしてやる』って言ってきて。最初は言ってる事がわからなくって、でも、大人の人達が皆いなくなっていって、ぼくがお願いしたせいで、いなくなったんだって気がついて…」
「わかった。わかったよリンちゃん。もう大丈夫だよ」
 ボロボロと涙を流すリンを波狼は宥める。これ以上話を聞くのは難しい、そう判断した。
「最初にも言っただろう?俺は探偵だ。色んな事件を解決してきたベテランだって。それに」
 リンの近くにいるカズマを横目に見て、
「助けてあげるとも言ったからね。だから安心して。この事件も必ず、解決してあげるさ」
 リンは泣きながらも、波狼の言葉に何度も頷いた。

 外で調査を行っている猟兵達と合流し、今聞きだした情報を伝える為、波狼は屋敷を出てきた。
「…さて。言ったからには、最善を目指しますか」

 昇っていた日は、傾き始めている。

成功 🔵​🔵​🔴​

ボゴ・ソート

「リンくんが"かかしさん"にお願いを……で、"かかしさん"て誰だい?」
事件の真犯人に何かしらの因縁があるらしい猟兵の登場に、ついつい疑問を口にしてしまった。
「おっと! それより仕事が先だよね」
"かかしさん"と"たかしさん"に対する興味は尽きないが、そんなことより子供達を含む村人を救う方が先だ。
そして肝心の調査方法だが、現象を間近で観察してこそ得られるデータもある。
俺は諸々の装備を身に着けて、探索者としての勘、猟兵としての義務感の赴くままに走り出した。


【POW】
異常現象に直接対峙して[視力]や[聞き耳]、[第六感]でじっくり観察した後に[逃げ足]で脱出して情報を持ち帰ります。


六六六・たかし
ふん、解明も何も原因は全てわかっている。なぜなら俺はたかしだからな。
しかし、何の準備もせずに突撃するほど俺も馬鹿ではない。
然るべき準備のあと、原因であるデビルズナンバーに突撃する…!

【POW】
子供からの証言で有力な情報を手に入れた…。かかし…
デビルズナンバーかかしに違いない。
そうなると原因にそのまま突撃するのはあまりにも無謀だな…
よし、ざしきわらし変身するぞ。
(そういってたかしはポーズを決める。たかしのUC『悪魔の変身(デビルチェンジ)』である)
「変…身…!!」(キラーンと光りざしきわらしと融合、3mほどのロボになる)

さて…待ってろよデビルズナンバー…今この俺たかしがぶっ潰してみせる!


篁・綾
SPD分野で挑戦。
現場の状況に目を凝らしながら、【情報収集】【聞き耳】【第六感】も駆使して調査を行う。
まずは人の遺留物を。次いで、人でない何かの遺留物を探す。
自分の知る呪い等に関係があるかも考慮する。
理論立てるより、直感的・感覚的な調査になると思われる。

また、周囲に味方、ないし、【動物と話す】対象がいるなら意見を求める。

「かかし、ね。この世界にもあるのね。…どこの世界にもあるのかしら?」
「神隠し…のようにも感じるけれど。」
「ねえ、あなたは、どう思う?」




「かかし、ね。この世界にもあるのね。…どこの世界にもあるのかしら?」
「さぁ…?俺はそういうのは詳しく知らないし…」
「そう…そもそもかかしがどうやって消失事件と関わってくるのかしら?」
 場所は村で一番大きな田畑。篁・綾とボゴ・ソートはそんな会話をしている。
「確かに。そういや”かかしさん”って誰だろ。君は知ってるかい?」
「神隠し…のようにも感じるけど。ねぇ、あなたは、どう思う?」
 二人の疑問は一人に投げかけられ、
「ああ、知ってもいるし、その方法も解っている。何故なら俺はたかしだからな」
 六六六・たかしはそう答える。隣でざしきわらしは呆れている。
「敵はデビルズナンバーかかし…だがこのまま無策で向かえば苦戦は必須…まずは準備が必要だ」
「準備も何も、奴の居場所自体分かっていないじゃない。馬鹿じゃないの」
 ざしきわらしは辛辣な言葉をたかしに掛ける。たかしは意に介した様子はない。
 その様子にボゴは苦笑いし、篁は冷えた視線を向ける。
「あはは…まぁ、ざしきわらしくんの言う通りだとは思うね。それじゃ、仕事に取り掛かろうか」
「”くん”じゃなくて”さん”を付けなさい、白入道!」
「えっ…ご、ごめん」
 そんなやり取りをしながら、三人と一体は配置へとついた。

 田畑の中心にはたかしとざしきわらし。そして田畑の外に身を隠すよう、ボゴと篁がたかし達の様子を観察していた。
 作戦としては、たかしがデビルズナンバーが反応するであろう何かしらのアクションを起こし、その様子をボゴは探査機として科学的に、篁は自らの呪術知識を用い、観測して情報を得る、という作戦である。立案者はたかし…ではなく、ざしきわらしだ。
「それじゃ始めるわ。準備はいいわね、たかし」
「ああ…では行くぞ、ざしきわらし。変身だ」
「…よりにもよってそれを今やるの?必要性ある?」
「ある。何故なら敵はデビルズナンバーで、俺はたかしだからだ!」
「駄目だわ。コレは『何を言っても話を聞かない時のたかし』だわ。…仕方がないわね」
 そう言って、ざしきわらしとたかしは同じポーズを決める。たかしのUC【悪魔の変身(デビルチェンジ)】である。
「変…身…!!」
 その瞬間、たかしとざしきわらしは強烈な光に包まれる。
 光が収まるとそこには、青い鎧武者という表現が似合う姿に変身した、たかしが佇んでいた。
「さぁ…!何処からでもかかってくるが良い、デビルズナンバー!」

「あれ、効果あると思う?」
「…さぁ…でも、とても強い力はこの距離でも感じられるよ」
「ええ、それは私にも感じ取れる。問題は本当にアレでいいのかしら…?」
「……!ちょっと待った。何かが近づいてきてる…下だ!たかしさん!」
 ボゴの声にも、下からの襲撃者にも、たかしは気づいていた。
 地面が盛り上がり、飛び出してくるは案山子だ。へし折れた木製の腕でたかしを掴みかかろうとするが、
「ふんっ!」
 既に変身を完了していた、たかしの相手では無かった。突き出された巨大な拳で案山子はバラバラになる。
 それと同時に、篁の聞き耳と第六感は別の物事を逃さず感じ取っていた。
 田畑に立っていた何の変哲も無いと思われていた案山子が、猛スピードで動き出し林の中へ!
「っ…!かかしが逃げた!ずっと私達を監視していたの?!」
「兎に角追うよ!たかしさんも急いで!」
「やはりか…了解した。俺も向かう!」
 (その前に変身を解除しなさい、息苦しいのよ!)たかしの中で声が語りかける。

 ボゴは諸々の装備を身に着け、篁は最低限の武器を手に、たかしは変身を解除して走り出した。
 案山子の逃げた先には何があるのか。答えを合わせる為、猟兵達は林の中へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『四六七『デビルズナンバーかかし』』

POW   :    悪魔の変身(デビルバリエーション)
【巨大デビルかかし】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    悪魔の竜巻(デビルトルネード)
【鋤】による素早い一撃を放つ。また、【高速回転により宙に浮く】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    悪魔の案山子(デビルスケアクロウ)
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【かかし】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は六六六・たかしです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 林に入り、山を越え、抜け出したその先には、村で見たものよりも広い田園地帯であった。
 稲刈りを終えたままの状態で放置されているその田んぼには、異様な光景が広がっていた。
 田んぼ中に無造作に立てられている、十数体の案山子。その中心には一際大きな、異質な案山子が存在していた。
 手袋に刻まれた467の文字。それこそがデビルズナンバーの証。
 デビルズナンバーかかしが、そこにはいた。
「おーっと、一旦待つだべ。オメェら。ここにある案山子が何だか分かるかぁ?」
「コイツラはオラが攫ってきた村人達だぁ!皆オラが案山子に変えた!しかも、まだ生きているっつたら、オメェらどう思う?」
「下手に攻撃なんぞしてみなぁ、簡単に死んじまうぞコイツラ。どーする、オメェら!」
 へのへのもへじの顔をしたかかしの言葉は、猟兵達の足を一度止めさせるには十分だった。

 空は、夕日で赤く染まっていた。
波狼・拓哉
ちっ面倒な事を…!まずは下半身が貧弱なデカい奴以外の案山子をどうにかするのが先決かよ!…ああ糞、見捨てられないとかいう性格してんな本当!
取り敢えず箱型生命体のミミックさんを召喚し、デビルズナンバーの抑えに。かかしを抑えつつ化けて叫べ!素早く動いて相手の意識を頂け!周りにだけは気を付けてね!
俺は被害者案山子に被害が及ばないように…回収行けるか?引っこ抜けるか?第六感でやばそうならやめて、いけそうなら目立たたないよう引っこ抜いて一か所に集めよう。
かかしが案山子を狙ったら鋤を衝撃波込めた弾で迎撃する等で案山子の防御に徹する。
どちらにせよ被害者案山子に来るのは俺が何とかする!皆はかかしに集中してくれ!


ボゴ・ソート

デビルズナンバーかかしの脅しめいた言葉は、俺の足を止めると同時に希望をもたらした。
村人はまだ生きている!
つまり最悪の結末を避けれるか否かは、猟兵の活躍次第という訳だ。
「なら上手に攻撃してみせるさ。この白入道は見た目より器用なんだ」


味方が思う存分暴れられるようにサポートに徹します。
[ダッシュ]で村人に接近した後、数体を[フック付きワイヤー]による[ロープワーク]で束ねて[盗み]出し、味方主力の邪魔にならない位置まで運びます。
村人が抵抗するようなら[レプリカクラフト]でワイヤートラップを作り、1本しかない足を文字通り引っ張ります。




「ちっ、面倒な事を…!卑怯とは思わないのかよ、お前!」
「卑怯もラッキョウも大好きだべ!オメェらのその顔が見たかったんだべよぉ!」
 波狼・拓哉の言葉に、デビルズナンバーかかしは高々に笑う。表情こそ変わらないが、大げさな動作は猟兵達の神経を逆なでする。
「面倒でも関係ない。上手い具合にやるだけさ」
 かかしの動きがピタリと止まる。言葉の主はボゴ・ソート。帽子を目深に被り直し、彼は既に案山子の集団へと向けて駆け出していた!
 村人は生きていると奴は言った。であれば最悪の展開を避ける事は出来る、まだ間に合わせられる!
「オメ…!言ったはずだぁ!コイツラに攻撃すりゃただじゃ済まねぇ!」
「なら傷つけず確保するまで。この白入道は、こう見えて器用なんでね!」
 そう言うとボゴはフック付きワイヤーを巧みに操り、複数の案山子を纏め上げ自らへと引き寄せた。270を超える巨体は木製となった住民達を軽く抱え持つ。
「…!オメェ!」
 その様子をかかしも黙って見ていない。案山子を奪ったボグ目掛けて、手にしている鍬を振り上げて迫る!
 ボグもダメージ覚悟で案山子を庇い、背を向ける。鋭い鍬が引き裂きボゴに激痛が走る。追撃とばかり、かかしは再び鍬を振り上げるが、
「させねぇ!」
 波狼の放つ衝撃波が、かかしの振り下ろした鍬を弾く。だがそれでもかかしは攻撃の手を止めようとしない。
「行けっ、ミミックさん!」
 硬く鈍い音が響く。かかしの振るった鍬は、波狼の触媒道具である黒水晶のブレスレットより呼び出された、謎の箱型生命体に防がれていた。
「そのまま素早く動いて抑えてて!周りにも気をつけて!」
「なんだぁオメェ、邪魔だぁ!」
 かかしは鍬を何度も箱型生命体に叩きつける。だが幾ら叩こうと、先ほどと同じ鈍い音が鳴り続けるだけ。
「今の内に…案山子を安全な場所まで!」
「拓哉さん、助かるよ!」
「ああ!…糞、見捨てられないとかいい性格してんな本当、俺!」
「はは、本当にいい性格だよ。それにしても意外に皆大人しいな…これなら」
 その時、バキィン!と大きな音が。
 それは鍬の砕けた音ではない。箱型生命体がひび割れ、壊された音であった。
「ミミックさん!?」
「やっとこさ壊れただ…次こそはオメェらだぁ!」
 今度こそと鍬を振り上げ、かかしが波狼達二人へと迫る。
「足元注意、だよ!」
「?!」
 瞬間、かかしは前のめりに盛大に転ぶ。ボゴの【レプリカクラフト】で仕掛けていたワイヤートラップが、かかしの一本足に見事引っかかったのだ。
「本当は住民が暴れた時用の保険だったけど…上手く引っかかってくれたね」
 コイツ…!かかしが反撃の為に起き上がろうとする、が、背後の異様な気配に気づき、かかしは振り向く。
 そこには、全身がひび割れ崩れ去りながらも威風を放つ龍が、変化した箱型生命体がそこにいた。
「オメェ、壊したはずじゃあ…!」
 龍が咆える。最後の力を振り絞り。爆発を伴う衝撃波は、かかしに確かな一撃を与えた。
「何だぁ…?!何だぁ、コレはぁ!?」
 かかしは頭を押さえつけ、自分の中に流れ込む狂気に混乱を見せる。それと同時に、役目を果たしたと言わんばかりにミミックさんは消滅する。
「…お疲れ様、ミミックさん…さぁ次だ、まだまだ住民は残っている。…最善には、まだ遠い」
「それでも、確実に近づいてはいる。もうひと踏ん張りだよ」

 戦いは始まったばかり。猟兵達の覚悟は、始まりの脅迫に屈せず、より強いものへと変化していっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

篁・綾
…卑劣な真似をッ!…許さないわ!
【早着替え】でいつもの着物姿になり、
【残像】【誘惑】【空中戦】【おびき寄せ】【フェイント】を駆使して、村人かかし達を巻き込みにくい位置まで引っ張るわ。
「…鬼さんこちら、手の鳴る方へ。」
問題ない位置まで引っ張ったら、【覚悟】を決めて、【見切り】【目潰し】【属性攻撃】【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【呪詛】を駆使してユーベルコード【涅槃迷桜】を発動。ヤツを叩くわ。
攻撃には【第六感】【残像】【見切り】【オーラ防御】【武器受け】【激痛耐性】で対応しつつ、間合い内なら【カウンター】【なぎ払い】で反撃も加えるわ。
あと、もし流れ弾等が村人かかしに行きそうな場合は彼らを【かばう】わ。




「…卑劣な真似をッ!…許さないわ!」
 デビルズナンバーかかしの人質行為に、篁・綾は感情を高ぶらせ怒りを顕にする。
 潜入の為に着ていた現代衣服を脱ぎ捨てれば、桜が描かれた長羽織に黒い着物。篁が最も動きやすい、着慣れた戦闘服へと一瞬で変化する。
「ぐおぉぉぉ…そんな、そんな手品見せた所で、何が変わるぅ!」
 先の攻撃で狂気に苛まれていたかかしは、またも鍬を振り上げ鋭い斬撃を篁へと繰り出す!
 かかしの振るう鉄の鍬は無惨にも篁を引き裂き、
「何処を、見てるの…私はここよ」
 かかしの背後より篁の声がかかる。
 かかしは何も引き裂いてはいなかった。篁の作り出した幻影にも等しい残像に、かかしは攻撃を行ったのだ。
「オメェ…!また手品みてぇな事を!」
 そう言うとかかしは、その場で回転を始めた。次第に加速していく回転は、かかしの巨体を宙に浮かせる。
「これがオラの【悪魔の竜巻(デビルトルネード)】の全力だぁーー!!」
 高速で回り空を飛ぶかかしが、再び篁へ襲いかかる。
「…!」
 篁はまたも残像を用い、かかしの攻撃を躱していく。獣としての第六感にも頼り、見切り、時には刀で受け流し、だがそれにも限界が来た。
 かかしの鍬が、篁の腕を掠る。痛みは些細なものではあったが、攻撃が当たったという事実が、かかしをより勢いづけさせる。
「はは!当たったべ!このまま攻めれば―――」
「…所で、お前。今何処にいるのか、わかってる?」
「あ?―――あ」
 ビタァッ、と高速回転を止めるかかし。自分が篁を追い掛けてきた後方を見る。遠くに小さく見える案山子達。
「オメェ…オラを誘ったな…村人達から遠ざける為に…攻撃も受けて…わざと…!」
「…鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
 篁のさらなる挑発が、かかしから冷静さを失わせた。
「オメェェーーー!!」
 激昂するかかしへ、狐火が、桜吹雪が、月光が、篁より放たれる。
 篁の【涅槃迷桜(ネハンメイオウ)】が、かかしの木製の身体を確実に蝕んでいく。
「お前の望み通りにはさせないわ。絶対に!」

成功 🔵​🔵​🔴​

柊・明日真
黙ってろ外道。
要はてめえだけぶった斬りゃ良いだけの話だ。
安い脅しでビビる程ヤワじゃねえんだよ、こっちは。

【ダッシュ】で肉薄、至近距離から一気に攻撃を仕掛ける。余計な真似はさせねえ、俺に付き合ってもらうぜ。

【見切り】で村人を巻き込まないよう位置取り、致命傷に繋がりそうな攻撃だけは回避、多少の傷は【激痛耐性】で誤魔化しつつ畳み掛けていく。

デビルズナンバーかかしが村人へ攻撃をするようなら【ライオットシュート】で全て叩き落とす。

村人を避難だとか対策もあるんだろうが…
その辺はやりたい奴に任せて、俺は奴の意識がこっちに向くように動く。

【アドリブ歓迎】




「黙ってろ、外道」
 突如として掛けられる声。冷静さを失っていたかかしには、すぐさま反応できる余裕は既に無かった。
 現れたのは柊・明日真(刻印の剣・f01361)。最後の戦い、事件の元凶との決着。遅れてやっては来たけれども、己の役目を果たす為、彼はこの戦場へと馳せ参じた。
 即ち、オブリビオンの撃破。無辜の人々を救い出す、猟兵としての使命を貫き通す為に。
「う、うおぉぉぉ!!」
 かかしの必死の抵抗も虚しく、柊の緋炎の剛剣がかかしの極太い腕に食い込む。今まで積み重ねられた猟兵達の攻撃により弱体化しきっていた身体は、柊の剛剣により深い傷を残す事となる。
「なぁぁめんじゃぁぁねぇええ!!!」
 それでも、かかしの闘志に一切の衰えは無かった。カウンターとばかりに鍬を柊目掛けて振り上げる。
「見飽きてんだよ、それは」
 鍬の動きを完全に見切り、放たれるは上段回し蹴り。本来は飛び蹴りである【ライオットシュート】を変則的に扱い、かかしの手からついに唯一の武器である鍬を弾き飛ばした。
 後から来たが故に。誘導を他者に任せ、かかしの撃破を目的としていた為に。今の今までの攻撃を見てきていた柊には、かかしの攻撃は既に取るに足らないものであった。
「結局、安っぽい三下でしか無かったな、案山子野郎。あんな脅しでビビる程、俺達はヤワじゃねぇんだよ」
 今度は此方の番だと、柊の連続した斬撃が再びかかしの身体を切り刻む。
 血は流れない、代わりに木片が飛び散る。剛剣が振るわれる度、かかしの身体は壊れていく。柊も、誰もが、猟兵の勝利を感じ取っていた。
「終いだ、喰らいなぁ!」
 最後の一振り。渾身の力を込めた一撃は、
 かかしの右腕を切断する。それだけに終わった。

「あぁん?どういうこった…?!」
 叩き込まれる豪腕。大きく吹き飛ばされる柊。
 決して油断していた訳ではない。単純に避けられない速さで、振り上げられた左腕の一撃を受けたのだ。
「グウゥゥ…ァァァアアアアア!!!」
 グム、グム、とかかしの身体が巨大化していく。【悪魔の変身(デビルバリエーション)】。最期を悟ったかかしは、己の理性と引き換えに強大な力を得る。
 上空に打ち上げられ、地面へと叩きつけられる柊。追撃が来る―――激痛耐性により意識は失っていなかったのは幸いだったか。すぐさま防御の姿勢を取るが、
「ガァアアアアア!!!」
 咆哮と共にかかしが向かったのは、遥か後方。案山子達を確保している猟兵達の元へ、一本の左腕のみを使い走り出していた。
「…ッ…あの野郎…やっぱり三下じゃねぇか…!」
 体勢こそ直したものの、柊の体には深いダメージが残っていた。これでは奴に追いつけない。
 柊はただ、かかしの後ろ姿を見ているだけであった。
 自分が止めをさせなかった悔しさはある。だが、敗北したという感覚は不思議と無い。
 諦めの傍観ではない。勝利を確信しているが為の、静観であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

六六六・たかし
【アドリブ歓迎】
ちっ…、人質とは薄汚いかかし野郎だ…。
流石にあの数相手に変身状態で戦ったらかかしに当たらない保証がない…。
仕方ない…ざしきわらし、一旦変身解除だ。

【WIZ】
そもそも、人質ごと攻撃されたらまずい…。
あいつの方は人質を気にする必要などないのだからな
なら、ひとまずあいつの動きを止めるところからだ。
「お前…動くな」(そういってたかしはUC『悪魔の楔子(デビルウェッジ)』を使用する)
動きさえ止めてしまえば人質も関係ない。
やれ、ざしきわらし。お前の必殺技「デビルフルコンボパンチ」を見せるときが来たぞ。


篁・綾
【残像】【見切り】【おびき寄せ】【フェイント】を駆使して、奴の視界内をかかしのいない方向へ高速で移動、目を引くわ。
…そういう特性のようだから。

あとは【覚悟】をきめて、相手の動きに合わせて【カウンター】【見切り】【なぎ払い】【目潰し】【鎧無視攻撃】で、花びらを散らしながら正面から斬り込むわ。
「儚く消えよ!悪意の虚!!」
…多少の無茶は【オーラ防御】【激痛耐性】で押し切るわ。

…決着がついたあとで、必要であるならば、かかしに【呪詛耐性】と【封印を解く】を試すわ。

必要がなければ、子供たちを連れてきてあげましょう。




「ゴオォォァァアアアア!!!」
 片腕を失い、それでも残った左腕でボロボロと崩れる地面を無理やりに掴みながら、デビルズナンバーかかしは我武者羅に這いずっていた。
 己の本能、「人間を殺戮せよ」というプログラムが、ズタズタになった彼の身体を動かし、案山子の住民達の元へと向かわせている。
 そんな彼に追いつく影が一つあった。
 篁だ。軽微な傷で済んでいた彼女は、いち早くかかしの動きに対応し、ここまで追いついていた。
「ここまで来て、村人達を傷つけさせはしない!」
 強い意思の籠もった叫び。今のかかしの意識を向けさせるには、最早大掛かりな行動は必要無かった。
 攻撃の手が、篁へ。
「そう、それでいい。こっちよ!」
 先の攻撃は見ていた。動きを見切り、避けたその場に残像を残し、攻撃を誘発させて時間を稼ぐ。
 土が抉れ、大地は振るえる。一撃でも受ければ一溜まりもない。
 素早い動きで回避しながら、攻撃の瞬間を待ち続ける篁。

 その時である。
「そこを…動くな」
 かかしの動きが止まる。まるでいきなり鎖で縛り付けられたかのように。
「俺の前で動くことは許されない」
 ―――なぜなら俺はたかしだからだ。
 【悪魔の楔子(デビルウェッジ)】。たかしの強力、いや強烈な存在力により、運命の楔がかかしに放たれ、それ故にかかしの動きは制限されているのだ!
 加えて理性の失う程の瀕死の身体。かかしは抵抗も出来ず、動きを完全に止める。
「あら、やるじゃないの」
「当たり前だ、何故なら俺は」
「たかしだから、でしょ」
「……ああ、そうだ…」
 決め台詞を取られ少ししょげたたかしに、篁はくすりと笑い、しかしすぐに真剣な表情へと戻り、刀を構える。
「…よし、止めだ。やれ、ざしきわらし。お前の『デビルフルコンボパンチ』を見せるときが来たぞ」
「初めて聞いたわよ、そんな技。…ええでも、やってあげようじゃないの!」
 ざしきわらしが躍り出る。小さな駆体が宙を翔ける。
「儚く消えよ!悪意の虚!!」
 篁もまた躍り出る。刀より舞い散るは桜吹雪。それは終幕を意味する一撃。
 【桜花閃刃(オウカセンジン)】、【悪魔の全殴打(仮)】
 砕き壊し、断ち割り、猟兵達の戦いは、ついに決着がついた。

 案山子となった住民達は、デビルズナンバーの消滅と共に元の姿へと戻った。案山子となっていた間の記憶は無く、また誰一人と欠ける事は無かった。
 当然その中には子供達の親がいる。リンの両親もいた。
 リンは泣きながら親の元へ駆けつけ、抱きつきながら謝り続けた。両親は何が起こっているのか理解しきれて無かったが、リンを抱き寄せ、優しく慰めていた。
「…一件落着、ね」
 子供達を呼んできた篁はその様子に安堵し、静かに微笑んだ。
 事件は終結した。猟兵達の完全勝利である!



 たかしは見下ろしていた。へのへのもへじの顔しか残っていない、デビルズナンバーかかしを。
「何故だ。何故お前は、あの時案山子となった住民を操らなかった…いや、それ以前に、何故住民を殺さなかった」
 たかしは、己が感じていた疑問をぶつける。
「……わっかんねぇ…わっかんねぇんだよ…」
 かかしは、今にも消えてしまいそうな声で答える。
「オラ達は…人を、殺す為だけに作られた…殺戮人形だ…」
「そうだ…それが、お前達デビルズナンバーだ!」
「そうとも…オラも…殺す為に、この村へ来た…だけども…あん時…わかんなくなったんだ…」
 女の子が泣いてるのを見て、自分が何なのかが分からなくなった。
「……」
「オラはとっさに…嘘をついた…何でも願いを叶えてやるって…そしたら、あの子は願いをすぐに言ってきた…しめた、とも思ったし…間違ってるとも、思っちまった…」
 自分の中でも分からないままに、身体は勝手に動いていた。どう仕様もない本能(プログラム)が、彼女の歪んだ願い通りに動いていた。
「……それでも、わかんねぇままに、オラの中で答えも出ないままに…アイツラを殺すのは違うと思って…悩んでいたら、オメェらが来て…」
「…もう、いい。お前の事は、もう十分だ」
「…そうかぁ…はは、それがいい…オラはオブリビオン…過去の染み…オメェらの、敵…それだけで良かったってのに…」
 ―――オメェが、羨ましいよ。
 たかしは拳を振り下ろし、かかしの頭を完全に砕いた。
 デビルズナンバーかかしは、これにより完全に消滅した。

 日は落ちて、辺りは既に夜。ただ月明かりの僅かな光が、彼らを照らしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月23日
宿敵 『四六七『デビルズナンバーかかし』』 を撃破!


挿絵イラスト