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帝竜戦役⑯〜プラスを重ねた自由の翼

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #プラチナ #群竜大陸 #帝竜プラチナ


●レアメタルバトルフィールド
「……いい、実にいい…………!」
 希少金属で覆われた大地の上で、帝竜プラチナは自己陶酔している。
「(多少思い描いた理想とは違いますが)このどこまでも自由でいられそうな開放感!自由って素晴らしい!」
 鉱石の体を盛大に揺らし、大きく翼を広げた。
 きら、きらと輝く鉱石が鱗のように輝く。
「『再孵化』より以前の事は……記憶が抜け落ちているのですから、何も悔やむことはないのでしょう」
 余程の隷従が過去の記憶に色濃いのか。
 例え今が誰であろうとも、プラチナは何者にも妨げられる事のない領主(ロード)として、帝竜として。此の地を統べるに相応しく存在できることが喜ばしい。
「……まあ?此の地をこうするのも(結構、いやものすごく…………いやいや無茶苦茶?)大変でしたので!私の自由を最高に謳歌の時間は渡しませんよ!」
 苦労と共に頑張った分だけ、胸を張って大きく息を吐きだした。
「やれば出来る、そう証明してみせますからねっ!!」

●プラチナフリーダムロード解放中
「貴方、鉱物に詳しい人かしら?私は駄目よ、全然ね!」
 豪快に笑い、自身の炎を過剰に燃やす空裂・迦楼羅(焔鳳フライヤー・f00684)。
「予知を一つキャッチしたわ?レアメタルで地表を覆い尽くした、レアメタルに縁を持つ竜の、ね。竜の名は『プラチナ』……そうね、想像通りの帝竜の情報よ。なんだかノリが少々、"厳か"って感じからだいぶかけ離れて……軽いみたいだけど」
 窮屈な場所から開放された感じ、と迦楼羅は説明する。性格は不思議と晴れ晴れとしていて、殺し殺されというような殺意ばかりがプラチナの意志にあるわけではないという。
 しつこくされれば、流石に殺そうとしてくるようではあるが。
「"自由"で在ることをとても喜んでいるようだから、現状が破棄または殺される事を嫌がるわ。まるで子供みたいね、他の竜とはなにか違いそう」
 駄々っ子相手なら可愛いものだが、竜はレアメタルで広いバトルフィールドを覆いつくしたという。自分の望む自由の死守の為、自身の命令電波が届く手足たる尖兵、悪魔兵(デモノイド)の準備も最小ながら済ませてある。
「プラチナの体は最も力を籠められた魔鉱物(レアメタル)で満遍なく固められているの。それと、この魔鉱物に悪魔兵が混ざっているようなのだけれど……」
 構成される殆どが魔鉱物(レアメタル)。
 点々と鉱物に悪魔兵たるジルコニアやバナジウム、テルルやニオブが混入している。
 プラチナは、力を己の力へとプラス武装して君臨する帝竜だ。
 鉱石の鱗を、悪魔兵事の色合いを強く自身の身体として輝かせる。
「帝竜はたったひとりだけど、伝令電波の呼び掛けに応じた力をそれぞれ発揮するみたいだわ?……みんなのちからはひとりのために、とかそういうのね」
 重要なのはここから、と迦楼羅が準備した紙を叩く。
「竜はそうね……あくまで"内側の『本体』を守るモノ"なの。ハリボテとは違って偽装とは違うわ?重量感バッチリよ。例えるならええと、うーん……竜を分厚く着込んだ……武装?鎧?甲冑?みたいなものかしら」
 鉱石の内側のどこかに、『少女の姿をした"本体"』があるらしい。
 容易く見極める事は出来ないだろう。
 竜の内部に宝物を格納するように、隠蔽されているのだから。
「子供っぽいというのもあながち間違いでもないんでしょうねぇ。思春期特有の親に部屋に踏み入ってほしくない系の子なのかしら……さて、大体予想が付いていると思うけれど先に行動を仕掛けてくるハズよ。駄々ね、駄々」
 本体の守護、そして自分の自由のためなら手段は選ばない。
 必要な事なら、本体さえ複製して猟兵の排除を目指すだろう。
「先手で排除を目指してくるプラチナの攻撃をなんとかして、そこにプラスして鎧を剥がして"本体"を見つけなきゃいけないわけよ」
 迦楼羅はやることいっぱいね、なんてウインク。
「まるで宝探しじゃない!……ワクワクするでしょ?」
 如何に可愛いものが出てきたとして、それが帝竜の本体だというのだから躊躇は無用だ。竜は竜。役割を持って、立ち塞がっているのだ。
「……あら、折角竜のノリが軽いようなのだもの。どうせなら、からかい半分で仕掛けてみてはどうかしら」
 例えば"自由に関わること"であるならば、竜は興味を示して隙を生み出してしまうかも知れない。勿論やるかやらないかは、向かう猟兵次第だ。
「……戦いには必ずしも"真面目"である必要はないはず。そうでしょう?」
 帝竜にとっての自由を、根こそぎ奪いに行く者になる。
「ダークヒーローもたまにはいいものよ。後は実践、衝突!あるのみね!」


タテガミ
 こんにちは、タテガミです。
 この依頼は【一章で完結する】戦争系のシナリオです。
 戦隊モノのロボットが合体して出来た鉱石合体系帝竜なイメージ。

 帝竜プラチナ。
 強そうで、硬そうで。
 まるで領主みたいな佇まいをぶち壊す軽めなお喋りが展開することでしょう。

 大体はOP通り。竜の内側の『本体』を討て。
 戦場は、水晶の柱等が突き立つ綺麗な場所。
 全部レアメタル加工されていて、妙にピカピカ眩しいです。
 上記を踏まえた上で、グリモア猟兵がプレイングボーナス以外に"プラス"になりそうな事を告げていると思いますので、よおく読んで、お考え頂けると幸いです。

 場合により全採用は出来ないかも知れません。
 ご留意頂けますと、幸いです。
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第1章 ボス戦 『帝竜プラチナ』

POW   :    ジルコニア、プラス、バナジウム『絶対超硬剣』
自身の【本体(少女)を守る超硬装甲】を代償に、【剥離した装甲を飛翔剣化し、膨大なエナジー】を籠めた一撃を放つ。自分にとって本体(少女)を守る超硬装甲を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    テルル、プラス、ニオブ『悪臭毒ガス粘液塊』
自身に【本体(少女)を守る粘液状の毒煙】をまとい、高速移動と【悪臭の毒ガスを放つ粘液弾丸】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    プラチナ、プラス、バナジウム『命令電波プラチナ』
自身が装備する【本体(少女)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
👑11
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エルザ・メレディウス
アドリブや連携歓迎いたします

■POW
【集団戦術】で仲間の連携の質を向上させながら、たとえ不利な状況でも、自分や仲間を【鼓舞】して戦います

【地形の利用】を活かして、レアメタルの山を盾にして【絶対超硬剣】を上手く防ぎながら敵へ近づきます

【残像】なども作り出して相手の攻撃が少しでもそちらへ向かうように【誘惑】しながら敵の攻撃へ対処します

★相手の本体を特定するための【誘惑】:まだ自由には程遠いですね。そのレアメタルの壁の外はもっと自由よ

敵の本体を見つけたら【捨て身の攻撃】と共に白王煉獄を繰り出します。無邪気な子供の姿をしていてもためらわずに斬る覚悟を。震える手で剣を...

せめて浄化の炎で安らかな最期を


安河内・誓吾
自由を謳う割には随分重そうな布団を被ってるな
飯を食うにも寝るにも苦労しそうで
居姿はどうも自由からはかけ離れているように見える
お可愛い事だ

剣に纏めた所で元は鉱石の装甲
つまり鎧
敵の剣に合わせて俺の武器を振るい
鉱石の鎧を束ね剣とするエナジーの結節点か芯を断てば武器としての用など為さんだろう
成功したらこれぞ鎧を無視して鎧を砕く尋常の刃――とでも嘯き煽るか
攻撃を攻略出来たら後のガキは、一閃入れて済ますとしよう
曲芸で楽しませてくれた礼に……思いっきりキツイやつをな

まあ一歩違えれば俺が返り討ちに遭うだろう
とはいえそんなの戦場の妙だからな
それはそれで嬉しくて笑っちまいそうだ



 ●少女はただ夢を見る

「今日の予定はやっぱり、何度考え直しても気になる悪魔兵の再創造時間にあてたいんですけど……」
 これは帝竜プラチナの独り言。
 コツコツとこの地で暮らしていた生物を死滅させ、生命が謳歌していた痕跡をレアメタルで塗り潰してからまだそう日は経っていない。
 プラチナにとってはこれからが自由を叫び楽しみ、未来に夢を見る時間であった。
 そんな玩具箱への夢を馳せる中。
 プラチナは領地内でレアメタルを踏み、誰かが訪れた事を悟る。
「無理そうでしょうか……ええ、でも…………(おろおろ)」
 本日予定に手を出せない事を露骨に悲しむ。強面の鉱石で出来た竜顔では、悲しげな気配もおおよそ半減しているが、気にしていないらしい。
「無理ねきっと……。まずは来訪した皆さんを丁重にお帰いただかないと」
 エルザ・メレディウス(復讐者・f19492)は帝竜へ、計画の破綻を宣言する。
「あ!ならお話はそんなに難しくなかったですね。善は急げ!待っていて下さい私のフリーダムタイム!」
「……それにしちゃあ、自由を謳う割には随分重そうな布団を被ってるな」
 安河内・誓吾(渇鬼・f05967)は鉱石の体躯を見上げて喉を鳴らして笑った。
「えっ、えっ?私のどこかにおかしなところがありますか!?教えて下さい!」
「なあに、飯を食うにも寝るにも苦労しそうで――どの辺が自由なのか、ってな」
 少女のような探究心は感心するが、指摘箇所はあまりに多い。
 竜の思考と軽口はどこかに放り投げても、目の前にするその風貌は口に出して喜ぶそれとはかけ離れて映った。
「居姿はどうも自由からはかけ離れているように見える――なんとまぁ、お可愛い事だ」
「可愛い……えっ、私今褒められました!?ありがとうございます!」
 咆哮を上げながら、今度は激しく喜んだ。
 この竜はなんとも喜怒哀楽が激しい。
「……ではでは、急ですけど私にもこの後の予定がありますので早々に始めていきましょう!ジルコニア、プラス、バナジウム!」
 光を集めるように、過剰なほどキラキラと輝く竜の鱗(鉱石)。
 竜は両腕でレアメタルの大地を力強く踏みつけて、体制を一度固定した。
 見方によってはその体制は、砲台のようにも見えただろう。
 どごぉ、と大地の煌めく鉱石が重要級の一撃に跳ね上げられて、"体表"からも衝撃で幾つもの超硬装甲が割れて剥がれて宙に浮かぶ。
「ヴァルギリオス様の敵なら私にとっても敵です」
 数にしてみれば準備された"剣"は多い数ではない。剥離した装甲鉱石が研ぎ澄まされた形状に膨大なエナジーによって加工され、研磨され、鋭利な鏃と化していく。
 巻き上げただけのレアメタルには一切ない明確な殺意として、鏃の弾丸は周囲に留め置かれた。
「絶対超硬剣、これくらい準備してみました。では、行きます……!」
 レアメタルが地面に還っていくその刹那の間に、射出される飛翔剣技。

「剣に纏めた所で元は鉱石の装甲、そいつはつまり――鎧だろ?」
 誓吾の元に飛んでくる剣に合わせて、無骨にして無名の岩砕鉄破で叩き落とそうと試みる。受けてみれば籠められているのだろう質量は、見た目に全く反り合わない。
 重い。否、重すぎる。
 ――礫にしちゃあ重すぎだ。
 羅刹の腕をしてそう思うのだから、あの鉱石の巨体は一体どんな質量を内包するというのか。躱すではなく威力を殺し、剣で切断して打ち捨てた。
 ――身を守る為に必要なものをこんなに早く使っちまって大丈夫か?
「鎧を武器にするならば、"使い捨て"ではないということですよね」
 エルザは地形を活用し、水晶質の柱の間を走り抜けて。
 器用に身を隠しながら、怒涛の剣戟の機動を躱す。
「このレアメタルの山も後で何かに活用する気なのですよね、……きっと」
 時間を掛けて作り出したフィールドを、容易く壊すのは少女心には耐えられまい。
「使い捨てるだなんてとんでもないです、後々に回収します。結果は常に現状打破を最善に行うべきですからね」
 エルザを追いかけ続けた剣が、ついに背中を捕らえ刺し貫いて飛翔する速度を失いガラガラと音を立てて墜落した。刺し貫いたはずの存在はすぅ、と血を流すこと無く消えていく。ああ、致命傷を負わせたと思ったエルザは残像だった。
 標的をいつの間にか見誤っていたプラチナの剣。
「そこからではまだ自由には程遠いですね。そのレアメタルの壁の外はもっと自由よ」
 軽やかにフィールドを疾走るエルザに誘惑されて。
 鎧の外の自由を夢見る"少女"は激しく叫ぶ。
「私よりもあなたは自由を謳歌しているというのですね!?酷いです、自慢ですか!?」
 最後の方は若干涙声のようにも聞こえた。悔しいらしい。
「一度で駄目なら次の剣を。次なる追跡をしましょう!ええ、私の自由のために!」
 自由の足を縫い止めて、動けなくすれば不自由だ。
 プラチナの意図はそちらに大幅に傾いて、剣を大幅にエルザに差し向ける――。

「……ははあ、無駄のないことは良いことで」
 使い捨てではないという、剣に込められたエナジーは放られただけでは途切れていない、と誓吾は読んだ。現に、制御を捨てた剣はもう動く様子がなくただの鉱石に戻っているように伺えた。
 ――目を凝らせば自ずと、剥離した後の絡繰りが見えてくるんじゃ……?
 うっすらと、か細く支えられた力の糸のような流れがが見えてくる。
 完全にプラチナの制御化から離れていない。
 そう確信して、力の集合部。
 結節点とも言える打開の打点を、誓吾は走りながら探す。
 ――ああ、……成程、そこか。
 帝竜から放たれたものなのだから、どこにあるかという点は鎮座する存在へ帰結する。場所は想像しなくても、なんとなく感で理解した。
「わざわざ動かないんだものな、当然か」
 片刃大剣の大剣が通りすがりざまに、無防備な竜の片腕を鎧すら破壊する一撃で斬りつけた。数秒しない内にがくん、と竜の砲撃体制が崩れる。
「きゃっ!?」
「これぞ鎧を無視して鎧を砕く尋常の刃だ」
 囁き煽って、誓吾はニヤリと笑みを浮かべながらバランスを崩したプラチナへと迫って、果敢にも竜の体に乗り上がる。
 超硬装甲を派手に消費して失った分、声がはっきり聞こえた気がしたのだ。
「どうだい?」
「え、と……お見事です?」
 バッチリ少女と目が遭った。
「曲芸で楽しませてくれた礼にならするが。――まぁまぁキツイやつをな」
 構えたままの片刃の大剣は、少女の視界に入っていないが、脅すには丁度いい。
「……お礼ですか?(おどおど)それよりも、私の踏んでいるのはどういう了見なのでしょう。ちょっと怒っちゃいますよ!」
「怒りを貰う前に、片付けられる可能性はないのかしら」
 ――こんなにも、無邪気な子供の姿なのに。敵……。
 ――ためらいは、やめましょう。覚悟は、……ありますから。
 炎を纏った剣をエルザは携えていた、わずかにも震える手で振るい下ろして――。
「そうですね今の所は、――ないです」
 本体たる少女はコォオオと音を立てて回転する円盤の嵌め込まれた左腕で受けていた。衝撃で炎を貰い、バランスを崩していた事で再利用は恐らく、叶わない。
 粉々にされるのを見つつ、それについては何も言わない。
 阻害した二人を、右腕のプラチナ仕掛けの機械で奇怪な腕の怪力で、全力で薙ぎ払って"竜"は吼える。

 ――しまった……そこから返り討ちか!
 派手に弾き飛ばされて、柱に頭をぶつけながらもそんな事を考えいた誓吾に悔しそうな様子はない。
「戦場の妙だからな。一本見事に取られただけだが……ははっ」
 あれはただ夢見るだけの少女ではなかった。
 それを妙に嬉しく思い、誓吾は笑って称賛した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●プラスコネクトプラス
「なんて強気な戦術を選ぶんですか!酷いですよっ!(ぷんぷん)」
 竜の顔面が大地のレアメタルに傅いた状態であったが、ゆらり、とプラチナは身を起こす。装甲鉱石を盛大に消費して、腕を半壊させられた今。竜の背の鱗は所々だいぶみすぼらしくなった。肝心の『少女』の場所は竜が身を起こした今では、鉱石に埋もれてよく見て取れない。
「危ないですよ死んじゃいます。私の自由はまだまだこれからですので、邪魔しないで下さい!」
 猟兵の誰もが竜が大いに焦っていると見破る。
「でも"私"を見破られるなんて……いいえ、ではこうしましょう。テルル、プラス、ニオブ!」
 体中の隙間から"少女"を守るように充満させていく粘液状の液毒。
 失った鉱石の箇所をすっぽりと覆う形で毒は展開されている。
 全身から放たれるそれは、ただひとつ。ただ自由で居るために。
「テルルガス装填・充填共に完了。さぁどこからでも来て下さい。私は誰よりも早く……さようならを言いますから」
 カパ、と竜の口を開けた帝竜プラチナ。
 同時に、斬り崩された片腕の奥に爆発的なエネルギーが集中してく。
 手として利用できなくとも、利用方法は"砲台"とすればいい――。
リインルイン・ミュール
高速移動からの死角狙いを避ける為、先ず地形を利用。突き出た金属柱等の物陰をダッシュで逃げ回り、弾丸の飛来方向を障害物以外の方向に限定

それでも完全に見切るのは難しそうなので……
宇宙出身のワタシから見れば、この地の自由のなんと狭いこと
それに、程度は兎も角オブリビオンの本能を持つ以上、キミの意志は完全な自由とは程遠いのですヨ
なんて揶揄えば攻撃も単調になりませんかね
躱しきれなければ武器受け出来るよう防御姿勢は取り。粘液が付着した武器を捨ててガスから逃れます

エナジーにはエナジーを。広げた力場からUC発動、逃げても追うように操作し、幾本もの雷で撃ちマス
衝撃で破壊、熱量で溶かし、本体まで電流を届かせましょう



●揶揄い上手のケモノの声に

「はてさて、少々お怒りでしょうか」
 準備を完了させた帝竜プラチナを遠目に見据えて、リインルイン・ミュール(紡黒のケモノ・f03536)は特大の剣のような形状にしていた尾で大地を叩く。
 カキン――。
 硬く、欠ける事も嫌だという頑なな金属だ、とリインルインは"感触で"そう思った。獣姿の手では分からない情報だ。
 ――手触り自体はそれほど悪くはないのですが……。
「こんにちは、えぇと初めまして!」
 何を思ったかプラチナは、リインルインの視界の先から高速で移動し、片腕のエネルギーを問答無用に撃ってくる。
「初めましてデスネ。その歓迎は訪れたばかりの見知らぬヒトにするのが此処のルールなのでしょうか」
 たた、と突き出た金属柱の後ろに身を隠し、弾丸からひらりと身を躱す。
 何者にも阻まれず、誰の迷惑にならない場所をリインルインはダッシュしながら意図的に遠くに定めて、避けることで狙わせた。
 どご、と打ち込まれた弾丸はその場より遥か遠く。
 しかし――べたりと重い音を立てて、じわじわとレアメタルに"染み付い"た。それが、見えたのだ。
 尋常ではない臭いを周囲に放ち始めるのは、毒々しい緑色に周辺が染まりだしたことで察する。
 今は遠いものだが汚染された空気の流れはそのうちリインルインの元へやってくることの想像は容易い。
 ――打った直後はベタつくだけな姿。
 ――被弾後から臭いが、とはなかなか酷い事をされるものデス。
「ルール!?ええ、そうですね、私が此処の帝竜なのですから……そうです!(きっと)」
 歓迎の挨拶だ、と言い切るプラチナは撃ち続ける。
 リインルインは完全な見切りは難しい、と判断し半ば友好的な会話を試みる。
 目の前に居る竜は会話が通じないものではない、と信じて。
「宇宙出身のワタシから見れば、この地のアナタが望む自由のなんと狭いこと」
 ケモノが被った面の鼻面で示して見せるレアメタルの大地で固められた、フィールド。
 レアメタルの領域を統べる領主(ロード)だというのなら、この固めただけの箱庭だけが、主張する自由なのだ。せまい。狭すぎる。自由への野望を持つなら、群竜大陸全てをレアメタルで覆うほどの力量を見せればいい。
 ……だが、この帝竜は小さな箱庭で満足しているようにリインルインには感じる。
「それに、程度は兎も角デスよ?オブリビオンの本能を持つ以上、キミの意志は完全な自由とは程遠いのですヨ」
 プラチナが、躯の海より"孵って"きた過去である現実は拭えない。
 戻りたかったという自分の意志が此処にないのなら、それは"自由ではない"と言うだろう。帝竜には、"過去の記憶がない"のだから、孵ってこようという意志は無かったはずだ。
 リインルインが重めに揶揄えば。
 竜は、地団駄を踏むように、弾丸の被弾を狙ってくる。
「だから夢を見るんですぅ!なにがいけないんですかっ!みんなが避ける臭いを付けてさっさとおかえり下さぁい!!」
 悲鳴のような主張で。
 ケモノの身体に当たるように打ち込んでくる弾丸を、ひとつ躱しきれないと判断し、防御姿勢を取り被弾箇所以外に被害が出ないように身を低くする。
 どしゃ、と重い音がしたと同時に、武器を破棄。即座にリインルインはその場を離脱し、ガスの充満から身を逃した。
「結構デス。ちょっと香水にしては濃度が高すぎです」
 ――エナジーには、エナジーを。
 走り回り密かに広げ続けた力場の上に、帝竜が今着陸した。
「あとその場所に、避雷針でも立てた方がいいでしょう。とてもオススメしマス」
 ずどんと落ちる雷槌。顕れ舞う、赤雷が竜の身体を直撃で撃つ。
「きゃあああ!?逃げなきゃっ!?」
「逃げても残念、追うようにも出来るんですよね。凄いデショウ!」
 二度目、三度目と破壊の衝撃が鱗たる鉱石を剥がし、熱量でどろりと溶かす。
 とろけたチーズのような溶け方をする中で少女の甲高い悲鳴が響く――。

成功 🔵​🔵​🔴​

フロッシュ・フェローチェス
アタシにとっては同じこと、オブリビオンは潰すだけ――だから……プラチナ。アンタを倒す。
 
先手を取られるのは必定。今までの経験から、そこらへんは良く分かってる。――だから出会うと同時に突撃を……かけるフェイント。
その間に励起させた加速式を用い早業ダッシュでさっさと軌道逸らして逃げ回る。
ある程度残像で惑わせつつ毒弾をばら撒かせ、こちらはカウンターの要領で【狙撃モード】の撃銃から本体目がけ弾丸を放つ。
 
ガスが立ち込めて来たら大地を踏み付けジャンプし蹴撃――もフェイントだ、衝撃波を放ち錯覚させ易くするよ。
背を向けUC発動……刹那に渾身の一撃を入れればいい。瞬間移動の如き早業で圏外へ逃走させて貰うから。



●予測不能(自由)なフェイント
「アタシにとっては同じこと、オブリビオンは潰すだけ――だから……プラチナ。アンタを倒す」
 フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)は竜のあり方がどうであれ、此処にあるべきではないと否定する。
「どうせ先手を取って仕掛けてくるんだろ?」
 ――今までの経験から、その辺は良く分かってる。
 フロッシュは竜がなにかしたのと同時に持ち前の速さで、速攻を狙った。
 速さを生かした奇襲。プラチナにもそう映る。
 無鉄砲な猟兵が、速さだけで勝負を挑んできたのだと。
「私たちの絆が誇るこの攻撃に、真っ向から立ち向かうというんですね?」
 竜は口と腕、二種で構える射撃の構えから攻撃を行った。
 同時ではなくバランスをずらした粘液弾の追従射撃だ。
 少しでも避け損なえば、コンマ何秒遅く放たれた方が当たる。
 完璧なまでの先制計画でフロッシュの突撃を阻む……が、フロッシュはフェイントを掛けて急ブレーキ。その場から後方へ飛び退き、攻撃姿勢を切り替える。
 着弾する大地から立ち上る毒ガスの異臭に苛つく表情で、プラチナを一瞥した。
「……ええと?」
 ――敵の動きは、止まったな。バッチリだ。
「なに、アタシなりに考えを纏めて、改めただけさ」
 励起させた加速式を用い、今度はプラチナへ先程よりも明確に意図された速さで大地を荒らし、迫りくる。
 大事に作られたらしいレアメタルを無造作に破壊し、走り回るフロッシュ。
 竜はガガガガガガ、と激しい音が在る方へ、口を開けて弾丸を照射するがそれは速さに置き去りにされていく。
 粘液弾は当たらずフロッシュの後ろに流れて炸裂、を繰り返してしまう……。
「早すぎるんですよ。止まってくださぁい!」
「どこ狙ってんだ?こっちだよ」
 ある程度スピードをわざとらしく落とし、挑発的態度を見せて毒弾を派手にばら撒かせる。その弾丸の着弾も、フロッシュは身体に匂いが絡みついてくる前に身を捩って逃げ回るのだ。
 プラチナも此れには、腹を立てる。
 "逃げ回るだけで何もしてこない"、と。
 舞い上がる粘液の着弾痕と溢れるほどの異臭で周囲の眩しいほどの光景は見るも無残に台無しになっていく。
「あーあ、折角のご自慢の庭も台無しだ?」
 ガスが徐々に充満していく中で、打ち込まれた分と同等の速度で狙撃モードの撃銃から、淡々と竜の身体に弾丸を打ち込んでいく。
「そしてアタシの姿も、だんだん見えなくなる、……っと」
 ふわああとガスが立ち込めて、周囲環境事汚染する。
 フロッシュはこの機会を待っていた。
 助走をつけ衝撃波を味方につけて、大地を派手に飛び上がる。
 竜が場所を見失っただろうことを良いことに身体へダイレクトな蹴りを見舞う。
「見えてますよ!そこでしょう!」
 顔面狙いの粘液弾で迎え撃とうとして、手応えや悲鳴は……無し。
「残念。アタシは此処だ」
 二度目のフェイント。フロッシュにプラチナは完全に遊ばれていた。
 遊び飽きたとでもいうようにフロッシュは突然、竜に背を向けた。
「……どういう、つもりです?」
 言葉を背に受けながら息を軽く吐き、竜の姿を上から下まで無心で想像まるで瞑想するかのように佇む。没頭するその行動に反応し、身体に刻まれた加速術式が目にも留まらぬ速度付与する。
 その力は必要より更に先、過剰なほどのだ。
「どうするも何も、間抜けな頭に渾身のコレを叩き込みに来たのさ」
 フロッシュの声は、竜の背後から届いた。
 竜が認識したより早く、ドゴォ、と衝撃の強い蹴り込みが刺さる。
 ぐらりと揺れる竜の体。
 フロッシュからの反撃に更に追撃と竜の手を振り上げたが、そこに影はない。
「そのまま毒沼の孤独な帝王にでもなんでもなれば?それじゃあね」
 最高スピードを叩き出し、フロッシュは毒の届く範囲から脱出していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【SPD】

レアメタルは、ぼくも技術者だから、とっても気になるね!


【先制対策】
耐毒決戦仕様[メカニック]改造!
悪臭や毒に対応できるように紅路夢や銃に、[属性攻撃][衝撃波]迎撃用で粘液や煙を吹き飛ばし、装備品に[毒耐性][オーラ防御]加工でぼく自身の防御も高めておこう。

【戦闘】
自由の提案かぁ、自由を謳歌するなら、折角なら甘いものはどうかな?
美味しいお菓子を食べる、今まで満足に美味しいお菓子を食べたコトがないんじゃない?
紅路夢で本体に接近して、ぼくのUCで毒や粘液、装甲を美味しいお菓子に改変して、甘い雰囲気のお菓子に囲まれて、本体を満足な気持ちにしちゃおう。
その隙に本体にも改変を仕掛けて倒すよ!



●お菓子なユメに自由を添えて

 毒ガスの充満したその場所に、次に訪れたのは明るい鼻歌だった。
 未だ届いていない大地に触り、こんこん、と軽くノック。
 未だ嘗て聞いたことのない不思議な音が跳ね返ってきた。
「ところでこれがレアメタル?ぼくも技術者だからとっても気になるね」
 国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)は広がる領域に目を輝かせる。触っても謎の希少金属。
 それがこの一体全て、しかもそれを成した竜もレアメタルだという。
「……興味がある?私の自由を壊そうという方ではないのですか?」
「うーん、壊す方もぼくの仕事に入るけど、そちらに興味もあるのさ!」
 竜は目に見えてがくん、と屈強な肩を落とす。
 ――耐毒決戦仕様に、改造調整は万全!
 鈴鹿が発明したフロヲトバイの赤銅ボディーを軽く叩き、紅路夢に技術者としての夢を託す。同時に、多目的機関銃のニ挺にも同様の処理を施してある。
 容易く壊れるような半端な改造ではなく、調整は細かく行われていた。
 故に、そのどれもが気軽に侵食腐敗に溶け消えるものでもない。事前に悪臭や毒が発生するだろうと聞いていた部分を補い、迎撃用武装も処理まで施されている。
「そうですか(とてもざんねんですが)……私はお帰り願うことにします」
「ええ?簡単に決めちゃっていいのかな?」
 砲台とした竜の片腕が鈴鹿へと狙いを定め、射撃を開始した。
 徐々に竜の手前から、飛距離を伸ばす不思議な撃ち込み方。
 これの意図を鈴鹿はすぐさま察する事となる。
 着弾と同時にツンと鼻に刺さる根菜類の匂いが漂っている、と。
 先進的テクノロジヰが生み出す衝撃波で、それらを慌てて相殺を試みると同時。
 毒ガスの周囲拡散を防ぎながら、多目的機関銃のニ挺で果敢に一箇所を撃ち込み続け、フィールド全体に充満した毒ガスの中で唯一の、大穴を開ける事に成功した。
 これは丁度、竜へ至る道の分"だけ"を、器用に消し飛ばしてみせたことになる。
 これが、――先進的な技術力である。
「……どういうことでしょう?」
「だってほら、ぼくが有益な時間をあなたに提案しちゃったりするかもだし」
 紅路夢で竜へ、正しくは本体へと近づく鈴鹿は至って前向きだ。
 交渉を前提に、近づく。
「自由を謳歌するなら、折角なら甘いものはどうかな?」
「たべ、もの」
 プラチナが言葉に対して動揺を顕にした。
 ざわり、と鉱石がサワめくような不思議な気配。
 鉱物の身体の中ではそのようなものに触れる機会は到底来ないだろう。
 しかし惑わされてはならないと、粘液の弾丸を再充填し、即座に放ち続ける。付け入る隙を見せたなら、自由がプラチナの元より羽ばたいていってしまうと欠片でも思ってしまったから――。
「ほらほら見てみて?――ようこそ!これがぼくの理想郷、あなたの未来に見られるかもな可能性の世界さ!」
 粘液の弾丸と強烈な匂いが鈴鹿の背後に広がる陽光に照らし出されて、姿形色匂い、全ての形を失った。
「……えっ!?」
「ご覧よ。美味しそうなドーナツに、色とりどりのキャンディー!」
 竜の体、鉱石の鱗が徐々に鈴鹿の言うとおりのお菓子に姿を変えていく。
 粘液の弾丸も、ふんわり飛び散る色とりどりのマシュマロに。
 優しく甘く、はちみつのようなふわふわな匂いは毒ガスだったと誰が気がつくものだろう。
「ね?匂いなら"あなた"にも届くよね!」
「わ、わ!すごい!これも自由なんですね……いいなぁ」
 ――本体周辺の毒煙も、皆纏めて幸せ空間にしちゃおう!
「甘い雰囲気のお菓子に囲まれて!これが自由だって知ったら何をしたい?」
「お喋りしながら、わくわくタイムに溺れたいですね」
 なんて、ふわふわ女子トーク(?)が膨らんでいく――。
 此処に戦いなんて存在していなかったように、ふわふわと浮かぶケーキに談笑できる乙女な空間が此処に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・レヴェリー
どこもピカピカ……とっても手間を掛けたんでしょうね
じゃあ申し訳ないけど、今からおうちを穴ぼこだらけ、でこぼこだらけにしていくから……

先じて放たれる弾丸は毒の充満や粘性の分直接の破壊力は幾らか減りそうだし、『刻命の懐中時計』の結界を駆使して弾丸や毒の混ざった空気を防御
【選択UC】を発動してダイナを召喚、騎乗するわ
ダイナのダメージはわたしが引き受けられるし、毒も人形な分人間よりも耐性があるしね

彼女の纏う金属や鉱石は厳しいけど、ダイナも大地を御する力を持つ幻獣
壁や床をわちゃわちゃにするくらいわけないわ
生じた窪みや岩石柱で竜体の視界を妨げつつ、追ってくる動きで本体の位置に辺りをつけて全力の炎で攻撃よ!



●お友達との絆

 どこかしこも、手入れ十分。
 ピカピカしていて、輝いていた。
 猟兵と竜帝が暴れた事で多少抉れたりした箇所がアリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)にも見て取れる。
「あの……とっても手間を掛けたんでしょうね?」
 お世辞ではなく、戦場としてのフィールドを広げながら自由を謳歌しようとしていたならば。やはり自由は二の次になり、原生生物の虐殺に明け暮れていた優先順位があったのだろう。お片付けの後に遊ぶ事を心に決めた優等生な子供な気配を想うと、少々アリスは心苦しい。
「……分かりますかっ、特に此処のレアメタルは私の自信作なんですよっ」
「そうなのね、やっぱり。じゃあ――申し訳ないけど」
 消え入りそうな声で、ぽつりと。
「……今からおうちを穴ぼこだらけ、でこぼこだらけにしていくから…………」
 ひとつふたつと穴が増えるだけなら、現状と何も変わらない。
 恐る恐るとアリスが手にしている物は、刻命の懐中時計。
 堅牢な護りの可能性を内包しながらも刻々と刻まれ続ける時計だ。
「じゃあ仲良くはなれないですね……うわぁあん!お友達ができませんっ!」
 プラチナの悲しみの声色と共に、悪臭の毒ガスを放つ粘液弾を照射する。大きく翼を広げて、拘束に移動しながら満遍なく弾丸をアリスに打ち込んでいくのだ。
「お友達にはなれないですけど、お喋りなら……少しだけ?」
 命の懐中時計の世界の雫を多少使って、弾丸の直撃を、気分が悪くなるような毒ガスを遮る結界を張る。
 どちらの攻撃も、遮り防いでしまえばアリスにも余裕ができた。
「でもその前にわたしのお友達を紹介するわね」
 結界の内側に、猛る金獅子がのしのしと現れて寄り添う。
「気高き王、勇みて謳う、……わたしの友よ」
 がおうと吼えるアリスより大きいその体躯。
 勇ましき獅子、ダイナの召喚。優しく鬣を撫でて、その背にアリスは騎乗した。
「お友達自慢!良いですね、自由な発想です!」
 疾走る獅子の背に乗って迫るアリスに、プラチナは首を傾げながらも敵対の弾丸を放ち続ける。
 ――ほんとうに、そうだろうか――――?
 悪魔兵は、"ともだち"か……?
「私には……テルルとニオブとの絆が…………」
 疑念は自由を阻害した。ある、と心から言えるだろうか。
「あると信じたらあるんじゃないかしら。お友達を――信じられないの?」
 ダイナの蓄積していくダメージを、特に毒をある程度受け流すアリス。
 ――人形な分人間よりも耐性があるし。
 疾走る獅子の力強さを、共有した生命力で支える。
「あなたの纏う金属や鉱石は厳しいけど、ダイナも大地を御する力を持つ幻獣!」
 軽く獅子の肩口を叩き、駆ける道をダイナに伝えながら。
「床や、床をわちゃわちゃにするくらいわけないわ!」
 獅子の足が大地の力で走った場所を陥没させる。レアメタルという素体でも、砕いて潰して突き進む。
 友が慕う王が通る道であるからこそ、――王道という言葉がふさわしい。
「帝竜は"王"ではないのよね?」
 生じさせた窪みや、突き進む道の障害物たるプラチナに放たれた岩石柱で、一瞬視界を奪った。
「王かどうかよりも!私はずっと自由が良いです!」
 壁として作られた柱を殴って壊したプラチナは眼前に、獅子とアリスの姿を見る。
「そう……そこまで自由というのが、愛おしいのね」
 ガンマンに全力で炎を吹き付けて鉱石の色を焦げた色に染めあげて。
 竜の身体を大きく揺らした。
「……そうですよっ!私の"今"は…………これからなんですから……っ!」
 大きく咆哮を上げて大気を揺さぶる。
 負け惜しみではなく、"負けないんだから"と自分を鼓舞するような一声。
『――!!』
 アリスの金獅子が、身をわきまえない幼子を叱るように。
 怒号のような吠え声で、竜の咆哮をかき消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
マリア(f03102)と

先制攻撃に対し、自由に関する対話を行い時間を稼ぐ。無論その間に攻撃して来るならレアメタルの頑丈そうな柱やら壁やらを盾にしながら縫うように逃げる
「自由が素晴らしい、かぁ。俺も気の向くまま盗んで回るから自由の良さには同意しかないねぇ。どうかな、世界の素敵な鉱物好きなように盗んで周る旅というのは?」
UC使用可になれば、狂気の対話で「では、君の求める自由は?」「どうやってここらをレアメタルにしたのか詳しく」等質問を次々して、刺突で装甲を脆くして貫く

プラチナの一部も周囲のレアメタルもついでに盗むかなぁ
でもどうやら一番価値のある素敵な宝石はすぐ傍のようだ(冗談めかしつつマリア見る)


マリアドール・シュシュ
永一◆f01542
アドリブ◎

周囲の水晶や魔鉱物の美竜に親近感
蜜色の華水晶が煌く

とても良い名前ね

終焉の世界へ誘う詩(うた)を披露し、
拡声器を変え高速詠唱で【茉莉花の雨】使用
少女の複製を浄化の如く一掃
敵の攻撃は美しき旋律で制圧射撃し相討ち

此方へ来て頂戴
近くでお話しましょう
”遊び相手”ならマリア達が
自由で幸せな夢を見れるお手伝いをするわ

音の誘導弾で鎧を剥がす
麻痺の糸絡めた魅惑の音色で竪琴演奏(マヒ攻撃
真綿を締める様に優しく

(苦しい、悲しいのは嫌い
最期は子守歌を歌って眠らせてあげたいのよ)

永一ったらすぐ…
!むぅ、怪盗さんはずるいのだわ
これからもっと耀いていくわ、見守っていて(くす、と永一の唇に指当て



●プラスコネクトプラスプラス

 周囲の水晶、魔鉱物を身に着けて部分的にキラキラと異なる色合いになる竜を前にして。見る箇所によって異なる鉱石の色を不思議に思いながらマリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)は感嘆するような吐息を溢した。
「あなたはプラチナというの?とても、良い名前ね」
 ふわりと微笑みの上で、蜜色の華水晶を煌めかせる。
 プラチナという鉱石でもある竜の体は、輝くことをやめたりしない。
 見上げる角度が変われば、先程までとまた別の姿にも見えた。
「ええ私は、プラチナです。由来を尋ねられても困りますが、恐らく見た通りなのでしょう」
 過去の記憶がない事は構わなかった。
 しかし、鉱石の名も、本体の"少女"もその輝きを持つ事で疑うことも特にしない。
「だからこそ、私は輝き自由を望み続けましょう。現在に重ねて……プラチナ、プラス、バナジウム!全ての悪魔兵よ、私の命令電波を聞きなさい!私は"私"を容易く狙わせません!」
 プラチナの周辺に、複製された本体がひとつふたつと数多く現れる。
 どれもが装備品たる機械仕掛けの少女より一回り以上大きな腕を、片腕のみ再現していた。
 今現在あるそのままの姿の複製。
 プラチナの王冠を頭に頂いたプラチナ色の衣服を纏った少女、――そのままだ。
 片腕さえあれば、戦場からの排除に支障はないという考えか。
 いいや、自由を望む"少女"が今出来る可能性を、全力で再現しているだけだ。

 少女の複製は、悪臭の毒ガスを放つ粘液にすっぽり覆われる形で顕れていた。
 竜に埋まる"本体"とは異なる毒煙ではなく、着弾後に盛大な異臭を発生させる毒ガスだ。本体の複製であり本体ではないと、はじめから隠す気など無く言い切っている。"弾丸として"複製体を操作する計画へと切り替えた様子。
 弾丸なら直線だけ、しかし複製体なら操作できる――どうあっても猟兵の排除を諦めていないようだ。

「折角綺麗なのに、勿体ないよ」
 小さな箱庭というにはあまりに広く、輝く宝石箱だが、マリアドールも気がついている。
 ずっとこの場所で遊ぶ"自由"を与えてあげられないのだと。
「だから、だから。此方へ来て頂戴。マリアに見せて欲しいの」
 ――聞かせて、よく見せて。
 ――マリアたちにも分かるように、あなたが望んでいる"自由"の調べを。
 終焉の世界へ誘う詩を披露しながら、早き文言で唱え終えると白きジャスミンの花の形をしたイヤリングはヒラヒラと形を溶かす。
 再構成される姿もまた、きら、きらとジャスミン形を選び水晶となって輝く。
「来てと言われて私がそこへ突進しては困るでしょう?だから挨拶の手段は、此方で失礼しましょう」
 少女の複製体を操作し、差し向ける。相当な勢い、速度を持って少女は飛び込んでくる。
 銀の腕を構え、殴ろうとするモーションを複製体全てがとっていた。
 その複製体のどれもが困ったような表情を浮かべているのがマリアには少々気になるところ。
「"遊び相手"ならマリア達が……自由で幸せな夢を見れるお手伝いをするわ」
 美しき旋律を奏でながら、マリアは少女の夢を与えられることを願って少女たちの勢いを相殺し、制圧に動いた。
 茉莉花の雨は、――少女に殺到する。
「プラチナの如き輝きと、身につけた力が合っていないのよ」
 浄化の如く大雨が通り過ぎれ、残り香はふわりと心が和む夢のようなそれだけ。
 悪臭はどこにも痕跡を残せず砕け散っていく……存在した名残が、粒子となって欠片がキラキラと。フィールドに落ちた。
「――自由が素晴らしい、かぁ。そうだな、その発想もまた素晴らしいと思うよ?」
 短く複製体の充填を繰り返し、弾丸として発射される"少女"の機械じかけの豪腕から、時を同じくしてひらりと身を躱す男がいる。
 霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)は軽く喋りだして、指を一つ鳴らす。
 誰もがそれを、彼の手癖だと思っただろう。特に何の意味もない、一つの音だ。
 ――下準備は、こちらも完了。
「何の音かな。俺も気のむくまま盗んで回るから自由の良さには同意しかないねぇ?」
 ゆらり、と帝竜プラチノの死角にずるりと現れる無数のダガーが音もなく滞空している。
 まだその時を待ち、滞空したままだ。
 なにかの気配の感じたのか、後ろへと竜は頭を向けるが、
 音の誘導弾で鉱石の鎧を叩くマリアドールの姿こそ、あって、その他におかしなものはない。麻痺の糸を絡めた誘惑の音色を竪琴で演奏し、じわじわとマヒで竜の体の自由を奪う。
 それでも、攻撃は真綿で締める様に、優しく。
 ――苦しい、悲しいのは嫌い。
 ――最期は子守歌を歌って眠らせてあげたいのよ。
 夢を見たままのように、幻想的な空間のままを保ちながら。
「どうした?マリアが歌っているだけじゃないか」
「あなたは……自由愛好家さんですか!?ああどうしましょう、お友達になりましょう!」
 自由な在り方を口に出す永一に、プラチナは軽く釣られた。
 口角を上げてニヤリ。永一が何かをきっかけに怒涛の質問を繰り出し始める。
「友達かぁ。ああいや、どうかな。世界の素敵な鉱物好きなように盗んで周る旅というのは?」
 "この場から勇ましく飛び立ち、自由な翼で飛び立とう。"
 どこまでも果てしない自由の提案が、帝竜の胸、"本体"の心に響く。
「……良いですね。夢があります、素晴らしく自由の予感がします!」
「では改めて問おう。君の求める自由は?」
「え?」
 カカカ、と連続で突き立つように鱗の鉱石を叩いて穿つ。
 永一のダガーが問いかけに対する答えを求め、掠め取り、ひそりと奪い始める。
 始めに永一は言っていたはずだ。
 "気のむくまに盗んで回る"と。
 今も気のむくままに満足するまで、じわじわと叩きながらプラチナの生命力の残量を掌握し、竜の誇るのだろう鎧の耐久力をも錯覚、曖昧にさせる。
 ダガーに当たれば当たるほど、――プラチナは不利になる。
 分かっていて、尚、質問を畳み掛ける狂人の片鱗が露呈した。
「どうやってここらをレアメタルにしたのか詳しく」
「それは殺し尽くして」
「いいやちがうそういうことじゃあない。方法だ、殺し尽くした後の」
 今度は尾の辺りの鉱石がダガーによって叩かれる。竜の身体を操作する"少女"の視界が軽く霞む。
 一瞬のことだ、瞬きすれば何も変わったような気はしない。
 挨拶代わりの粘着弾が、異様な臭いを立ち上らせているのにも関わらず。
「プラスコネクト。呼び掛け繋がり、私達は一つになって強くなるのです!」
「あーそれも違う。強さこそ自由……とも思ってないだろ」
 質問を投げかける永一が、マリアドールの手を捕まえて、恐ろしい弾丸の着弾を共に踊るように避けていた。
 からかうように、遊ぶように。
 狂人の質問が途絶えず、落とされず付ける耐久力に気付かれないように。
「それは、そうですけど……。制圧して、やっと今肩の荷が下りて…………」
 ガガ、とまたダガーが突き立つ。
 何者が投擲したものかはプラチナにもわからないが、自由の話の方が今とても大事に思っている。
 所謂"そんなことより"、話を聞いていたいと自由な心に願ったのだ。


「……あ。なんかいつの間にか、プラチナの一部ちょっと握ってたっぽいんだけど」
「永一ったらすぐ……」
 これは、マリアドールと永一の、全てが終わった後の会話だ。
 握り込んだものはレアメタル。
 竜がそう言っていた。
「でも色々霞んでいるな。どうやら、一番価値のある素敵な宝石はすぐ傍のようだ」
「!むぅ、怪盗さんはずるいのだわ」
 永一が冗談めかしてそういえば、くす、と笑う声が弾む。
「これからもっと耀いていくわ、見守っていて」
 悪戯されたお返しと、ちょっぴりお返し気分を乗せて。
 マリアドールは永一の唇に指当てた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナハト・ダァト
さテ、こノ分身
実ニ都合ガ良いネ

対処法
分身に対し、無限光による強烈な発光で目潰しを行う
金属の身体も利用した乱反射で更に効果を増幅する事が狙い

目眩ましを受けている間、速度に
分身体を武器改造
「へその緒」でテレパシー操作が行える様にし、
プラチナへと消しかける

分身体には残像、迷彩機能を加え
撹乱性能を高めておく

プラチナが分身に手こずっている間に
味方を透明化させ
接近しやすい様手助け

また、可能であれば
操作する分身体の中に味方を潜ませ
不意討ちの成功率を上げておく

後方支援ガ、私ノ役割
君達ノ活躍
間近デ見物させテ貰うヨ


勘解由小路・津雲
むしろ弱点の本体が増えるとはどういうことだと思ったが、探して叩かねばならぬ状況なら、こいつはなかなかやっかいだ。本物探しを棒立ちで見守ってくれるわけでもないだろうしな。

【作戦】
先手を打って増殖済み、となれば鎧をはがして出てきたのが本物かはわからない。ならばここは騙してみるか。適度に戦い、退却するふりをしよう。
「わかった、降参だよ。おれはこの、自由に瞬間移動できる魔法の鏡で帰らせてもらうよ」
もちろんこの鏡にそんな能力はない。仮初の体を消してそう見せかけるだけだ。
鏡に興味を持って近づくのが本当の本体だと祈るとしよう。UCの迷宮に閉じ込め、【霊符】で攻撃を。倒せずとも貼り付けて目印に出来れば。


エルザ・メレディウス
不自由な過去が私にもあります
・・・でも、その過去が今の私を支えてくれています
あなたを見てそう思いました
過去と向き合いながら、アナタに挑みます

■WIZ
...召喚兵、力を貸して

■召喚した兵士は、ローマ式のレギオンで陣を組みます

【地形の活用】を活かして、敵に対して有利な地点を移動しながら敵のもとへ
【集団戦術】で召喚兵の連携の質↑
:前衛が守り、後衛が【やり投げ】をしながら、敵の複製へ対処。その後、【鼓舞】しながら残った仲間で敵の本体へ

★敵本体の発見:これは残像ではない私の本体です。お互いに名乗りをあげ、未来を賭けて戦いましょう

と相手を【誘惑】

召喚兵の支援を受けながら、私はそのまま敵へ【捨て身の一撃】を



●自由とは(哲学)

「むしろ弱点の本体が増えるというのは、こういう……?」
 勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)は乱舞する少女の弾丸を見て、怪訝に思った。恐らく始まりはこうではなかったのだろうが、手段を選んでいられなくなったのだろう。
「こうも増えては、どれが"本体"か探さねばならないな」
 竜に掛かる毒の煙。
 津雲からも見える、鉱石竜の上の自己主張。
 あそこ近辺である事はまず間違いないだろうが、手を出すにはあまりに"多数の"視線が邪魔をする。
 ――自分の姿を提示してくれてるんだ。そう手間も掛からんだろう。
「……まぁ、やっかいな事に変わりない」
「そうかイ?……さテ、こノ分身だ。私には実ニ都合が良いネ」
 ナハト・ダァト(聖泥・f01760)は無現光による強烈な発光を、問答無用に繰り出す。生まれながらの光を最大限に用いた、輝きのなかにナハトは両手を広げた。
 ――何シろ、レアメタル……つまりは金属ダロウ。
 ――輝ける色を反射シテ、更に眩シクなる。
 プラチナの体、フィールドのキラキラ加減を利用し、光は際限なく領域を広げる。鉱石の面と面に当たった乱反射で更に、光量を増してフィールドを楽園へと変える。
 誰の目も平等に焼くその光で、特に、竜の目を潰そうとしたのだ。
「きゃっ!?」
「おっト失礼」
 目くらましによる悲鳴をふわりと聞き流し、光の中で標的を見失った複製体に武器改造を試みる。
 他者へと分割共有を可能とする、"へその緒"でテレパシー操作を行える様に。
「敵は此方ではナイ。キミガ向かうベキは向こう……サァ行ってオイデ」
 医療の心得があるものが、患者に伝えることであるようにそういいながらもナハトは複製体の操作の主導権を奪いとり、弾丸を"弾丸として"プラチナに消しかける。
 追加要素で、分身体には残像と迷彩機能……つまり、もっと行動に残忍な速さがナハトから付与された。
 加速して疾走って飛び、唐突に消え、即座に捕らえられなくなる。
「ひゃあっ!?」
 がごん、とナハトに操作された複製体が竜の顔に被弾した。
 プラチナが施していたテルルと称される異様な臭いが竜の体表に拡散していく。
「仲間割れとは違ウだろう?何しろ複製体。キミの操作を離れ、自由を得た子の攻撃さ」
「……私の操作から離れることが、自由?」
 自由の示し方は人それぞれ。
 戦う中に見つかるものも在る。
 銀の腕で耐久力を落とされ続けた鱗を殴りつけられて、脆く崩れる。
「……本当に?」
 プラチナが操られた複製体の対処に手こずっている間にナハトは周囲の味方を透明化させる。
「サア?私にはキミの考えまでは断定できないデスネ」

「……今、私の姿は見えていないのですね?」
 ナハトの直ぐ側で倒れていたエルザ・メレディウスが、仲間の作り出した隙のなかで瓦礫の中から起き上がる。
 少々先程の衝撃を思い出し頭が揺れるが、構わなかった。
 完全に打ち破られた後ではなく、今気がついたのには……意味があるはずだ。
「後方支援が私ノ役割。君達ノ活躍、間近デ見物させテ貰うヨ」
 ナハトの肯定を、エルザは胸に留める。
 息遣いや体温自体は消せていないのだ、きっと伝わるだろう、と支援に感謝して。
「……不自由な過去が私にもあります。でも、……その過去が今の私を支えてくれています」
 エルザはプラチナの在り方を見て、そう思った。
「過去と向き合いながら、もう一度――アナタに、挑みます」
 ――召喚兵、力を貸して。
 ずらりと呼ばれた軍勢は透明化に含まれていないが、ローマ式レギオンで陣を組む。先導するエルザの姿は消えたままだが、竜を囲うように少数の軍として分ける声が消え去っていることはない。
「右手、左手側に分かれ、攻守を構え、突き進むのです!」
 集団戦術に理解の在るエルザが集団に声をかければ兵団は応じる雄叫びで返す。
「武装した人が一杯です!?超満員ですね!?」
 急増した人口密度に驚いて、複製体を向かわせる。
 首謀者がどこに居るかはわかないが、問答無用に蹴散らせば同じこと。
「でも"先住民"の方々も、そういう(強そうな)顔でした……なら、殺せば同じです」
「殺し殺され、そのような戦いをやはり"竜"として望むものなのですね……」
 前衛の兵が全力で守りを固め、少女の猛攻を止めて。
 後衛の兵が槍で貫き、鎮める。攻撃の手段を、ひとつ、またひとつと削いでいく。
「でも、自由のための戦いだというのなら……戦争も止むなし、なのでしょう」
 少女にかき消された兵も数多い。エルザは周辺兵士に鼓舞を送る。
 戦いは最終局面だ。今こそ、攻め入る礎とならん――。

「武装していたら敵なのか?」
 津雲はナハトの支援により人知れず、竜の身体のうえに上がっている。
 "どこに居る"と確実に気づかれなければ、まだ対処できると踏んだのだ。
「どこですか!?武装して無くても酷いことするなら敵ですよ!?」
「成程。じゃあおれは敵になるわけだな」
 呪言を込めた御札を瓦礫となっていく鱗の隙間に落としながら、津雲は息を殺す。
 ――未だ"本体"はこの中か?
 足元の鉱石の中に空洞をひとつ、感じる。内部構造をより詳しくは察せないが、空間があるとかすかに、分かる。
 ――いいや、逆か。
 ――本体が竜の体から、毒煙の護りを破って出てきた様子はない。
 ――はじめから、"此処に居るんだろう"。
 竜を操作しているから、出てこれないのか、とも津雲は分析する。鎧のように着込むこの姿があるからこそ、戦えているというわけでもないのだろうに。
 ――しかし、話がわからないということもなさそうだな。
「わかった、……降参だよ」
「え?帰ってくれるんですか……?」
「正直ここまで熱く語ってくれるとは思ってなかった。あんたは自由だ。おれはこの、自由に瞬間移動できる魔法の鏡で帰らせてもらうよ」
 プラチナは声の主が背中の上に居るんだろうことに気がついた。
 正確な場所まで把握できていないようで、首を振る。
 少女の弾丸も姿を探すように寄ってきていたが、津雲の姿を正確に把握できたものはない。
「でもどこでしょう?」
「此処だ。……では」
 言葉と共に鉱石の上に鏡が"残された"。
 それを見つけ、少女たちが群がる。
「……上に、何が在るんでしょう」
 ドラゴンではなく、群れる少女たちでもなく。
 "本体"がひょっこりと、鏡の傍に顔を覗かせた。複製体が見つけたものを、ちゃんと"見て"確認したい好奇心に負けたのだ。
「……金属製の…………」
「鏡だ」
 仮初の身体を一旦消して、退去したと見せかけた津雲が自身を拾う。
「この鏡にそんな能力はない。おれが一番知っているよ」
 エルザ怒涛の戦士たちの奇襲が竜の鱗を抉り、穿つ。
 同時に刺される竜は磔刑を待つだけの罪人と同じく、刺されるがまま。
「私はエルザ・メレディウス!"竜"よ、未来を賭けて戦いましょう。ただし、……再び自由の翼を広げられたらですが」
 誘惑の声を上げながら、兵士たちに支持を出し、翼に槍は投げられて鉱石が崩されていく。岩の翼はこれまでの猛攻を防いできたが、兵士たちの徐々に零れて砕け、ひび割れて。
 反撃に腕を振り回すが間に合わない。亀裂は深刻なほどに規模を増して――。

 がしゃん。

 ガラスが投石で割られるように、竜の体がひび割れを起点に単純に破砕した。
 脆い夢であるとでも体現するような、簡素で耳に響く、唯一の音だった。
「ひゃああっ!?やめてくださぁーい!?」
 鏡を見に来た"本体"以外が、瓦礫と共に消失したのを確認して。手早く津雲は印を結ぶ。
『休・生・傷・杜・景・死・驚・開。今や三吉門は閉ざされ、汝に開かれたるは死門のみ』
 スゥウウウ、"本体"と津雲以外の背景が霞む。
 竜の背の各所に落とした札は、霊符。
 閉ざしたものは、プラチナの夢見る掴みたい――自由だ。
「自由を楽しむこと。それを夢見るのは自由だが、なに。複製した自身の助けの手も。急造とはいえ、自分と繋がる仲間も全て無くしてしまえば」
 少女は攻撃の腕を、自由の翼をもがれた墜落竜だ。
 機械の腕を片腕だけで、"たったひとりで"迷宮を攻略しなければならない。
「それはそれで、自由の身なのではないか」
 何物にも捕らわれず、誰の助けも借りない。
「これも、自由……?」
「……おッと。忘れ物ダ」
 ナハトの操る複製体の一体が、津雲の結界の中に混在していた。
 "本体"を羽交い締めに、縫い止める。対する複製は何も言わない。
 徐々に鼻を摘みたくなる悪臭が二人をつづんでいくだけだ。
「自由を謳歌する、と一括にするのは……お門違いだ」
 霊符を放り、力を込める。
 張り付くと同時に、闇に覆われ結界内部に欠落の闇が深く手をのばす。
「……私、頑張ったと思うんですけどねぇ」
 プラチナの明るい色合いを覆い隠す闇に閉ざされて、津雲の合図とともに闇は手中に収まる程凝縮する。
「アンタはきっと褒められたかっただけだろう。"よく頑張ったな"」
 ぐっ、と握りつぶし"宝石"は粉々に砕かれた。

 結界から逃れたものは無し。
 外のレアメタルバトルフィールドから、失われたものはただひとつ。
 鉱石の主と、"プラチナ"の冠位を頂いた不自由な少女。
 ――ただ、それだけだ。
 玩具箱の中には魔鉱石だけが、残された。
 遊びを夢見た少女はもう、どこにもいない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月16日


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#帝竜プラチナ


30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト