帝竜戦役⑧〜策良し味良しお金良し、おばけ鮟鱇と蟹おばけ
●たはーっ、食べ過ぎちった!
静かに揺らぐは風の音。優しく香る磯の香り。
見渡せば白い砂浜と煌めく太陽、広々と続く海。振り向けば彫刻のように立派な巨大蟹。
そう、ここは不死蟹海岸──、ではない。
赤い砂浜の上での毒々しい色の超巨大蟹がぼんやりと日向ぼっこをする中で、切り株からけずりだした木の皮に自らの体液を使って見事に描き表した理想の海岸である。
誰がって? オブリビオン・七色鈴蘭のふくれアンコくんだ。
実際の海岸とは全く違う理想の海岸の絵を並べる彼らは、所々からその歯で木の皮を削り、お絵かき大会に集中している。
立てられた横断幕には『お前らの熱い魂を刻み付けろ!』や、立て看板には『場内ではお静かに』というものすら立てられている。
彼らはここ、不死蟹海岸の恐ろしさを知っている。多くの旅人が不死を求め、蟹に蹴散らされ、アンコくんの胃袋に収まった。
だが彼らもまた、不死蟹海岸には手、もといヒレを煩わされて来たのだ。
旅人の衣服や道具などを集めるのが彼らのマイブームになった頃、複数の旅日記を見つけた彼らは文字という文化に触れ、そして文字という文化を吸収するに到ったのだ。
スーパー・七色鈴蘭のふくれアンコくんの爆誕である。
これにより声を必要としなくなった彼らは不死蟹海岸で平和に暮らし、日々のびのびとしている。
「あれ~? なんだここ」
『!』
『声だ! お絵かき中止ー!』
『ひゃっはー、罠にかかったずぇい!』
響く人の声にプラカードにせっせと文字を書いて獲物へ忍び寄る。
そして、彼らの立てた看板により迷いこんで来た者たちは、こうしてアンコくんに襲われるのである。
『そう言えばさー、隣のアン次郎が食い過ぎに効くものがあるって話をしてなかったっけ?』
『あの辺に落ちてるカニさんの殻だよ。食い過ぎに効くのか知らないけど、めちゃンコ美味しいんだって』
『へー、じゃあ、丸のみしたらそこ行ってみようかな』
がちゃがちゃ、がちゃがちゃ。
プラカードで会話しながら赤い砂浜を泳ぐアンコくん。その体は赤く、彼らの名の由縁となる七色に変ずる擬態効果だ。
でもプラカードまでは色変わんないんだよね。
「な、なんだ? プラカードが……人食いの相談しながら歩いてくる……!
逃げなきゃ!」
なんて分かりやすい状況説明だ。
慌てて踵を返した旅人。だが重装備でそんな大声を出しながら走ろうものならば。
「ほげぇーっ!!」
側面から唐突に現れた、石柱の如き蟹の足。
哀れ、その巨大さに蟹とすら認識出来ていなかった男の命が星となる。
こうして狩りがド下手なアンコくんたちは上手く餌をせしめるのであった。
そんな餌に飛び付く彼らから離れ。
のんびり日向ぼっこをする膨れたアンコくんもちらほら。不死蟹の近くで休んでいるようで、隣には『お腹いっぱい』『満足』『鮟鱇鍋にはお酒があうらしい』など様々なプラカードが落ちている。
こんなところに早々と彼らを満足させる餌が現れるはずもない。
もしかして?
●おいおいおいおい、稼ぎ時じゃねえか!
瞳を金の色に変えて、すっかり興奮した様子のブライアン・ボーンハート(熱き血潮のサイクロン、ブロンズハート!・f22409)を前に、猟兵たちは白けた顔をする。
今は戦争中、金欲に目を眩ませるなどもっての他。一体、何を考えているんだと。
その視線に気づいたのか、取り繕うように咳払い。
「こほん、諸君。良く来てくれた。君たちには不死蟹海岸に行ってもらう」
不死蟹海岸。
体高数百メートル、アホみたいな硬度、おバカみたいな重量、クソ、もとい神のような再生力を誇る無敵の蟹が無数存在する海岸だ。
いくら猟兵が集まっても、彼らを駆逐するのは難しい。とは言え今回、その必要は全くない。
彼らに普段、動きはないのだ。しかし大きな音、振動、臭いに反応するとその元を排除しに動くため注意が必要となる。
彼らの性質に合わせてこのアンコくんらも特別な進化を遂げたようだ。
そもそも鮟鱇って喋るの?
「いや知らんけど。文字が必要なら喋るか鳴くかしてたんじゃないか? どう思う?」
ふとした疑問に、何を言ってるんだとばかりの対応をするブライアン。質問に質問を返すな。喧嘩売ってんのか。
ぴりりとした空気を感じて、にやりと軽薄な笑みを浮かべる。
「どうやらストレスがお溜まりのご様子。そんな諸君に朗報だ!」
君のせいで溜まってるんだよ。
「この不死蟹、普通の蟹と同じく脱皮をしながら成長する訳だが。
なんと子蟹の殻は金貨七百五十枚、日本円にして七百五十万もの価値を叩き出すお宝だ」
さすがの猟兵も思わず感嘆の声を漏らす破格の値段だ。
理由までは分からないが、これらは『生命の書片』と呼ばれ煮ると芳醇な出汁がいつまでもとれるというもの。料理人からすればこの値段も納得だろうし、不死にあやかる者がいてもおかしくない。
ただ、そう旨い話などあるまい。疑る猟兵にこれまたにやりと嫌な笑みを浮かべるブライアン。こいつ、顔で損してるな?
「そう、そもそも殻の場所なんて分からないし、下手すりゃ不死蟹に成層圏まで蹴り上げられちまう。
ただ、見つけるだけなら簡単ってのが分かったんだよ」
それは彼の見た予知。アンコくんたちが蟹の殻の場所を知っているということだ。
「この殻ってのは重いし硬い。並の猟兵でも二個、下手すりゃ一個しか持てない代物だ。
それらを運ぶ手段を用意しつつ、アンコくんにでも食われてその場所に辿り着いたら外に出るってのも有りなのさ」
アンコくんはユーベルコードの力でどんなものも丸飲み出来るが、所詮は体内。暴れれば簡単に出られるとのことだ。
問題は出た後。不死蟹に囲まれているものと考え、彼らを刺激しない策を考えねばならない。
「危険度はぐっと下がるが、一個でも手にいれるなら、殻を食って日向ぼっこしてる鮟鱇を蹴り転がすのもいい。
明らかに満ち足りたオーラで不死蟹の近くでのんびりしてるから、捕まえるのも簡単さ」
どちらにせよ、不死蟹対策は必要であるが。
またこのアンコくん、大変美味なことでも知られている。金に興味なければ彼らを持ち帰るのもまた良し、帝竜と戦う前にお腹を膨らませるには打ってつけだ。
「後はまあ、アンコくんに殻を食わせまくって倒して持って帰る、なんてのは無理だぞ?」
彼らが死亡した時点でユーベルコードは失われる。無理して大食いするようなオブリビオンでもないので、日向ぼっこを楽しむ者も一個程度しか食べていないだろう。
また、多くが散り散りとなっている為、不死蟹に気付かれないよう海岸中のぼんやりアンコくんだけを何匹も倒すというのも現実的ではない。
「まあ、背丈にあった金儲け、腹ごなしを考えればいいのさ。
…………、不死蟹の対策を忘れるなよ? どれだけ集めても、蹴られちまったら殻を持って帰ることなんて出来ないぞ」
ブライアンの言葉を最後に、猟兵たちは不死蟹海岸へ向かった。
頭ちきん
頭ちきんです。
アックス&ウィザーズの帝竜戦役、不死蟹海岸での戦いとなります。
投稿後、断章追加予定ですが雰囲気の描写なので気にせずプレイングを送って頂いて構いません。
それでは、本シナリオの説明を行います。
一章構成、集団戦の戦争シナリオとなります。
このシナリオには以下のプレイングボーナスが発生します。こちらに沿ったプレイングを行うことで成功度にボーナスが発生しますが、目的となるアンコくん退治において不利になることはありません。
が、財宝の取得に響く可能性があるのでお持ち帰りしたい方は積極的に狙っていきましょう。
プレイングボーナス:大きな音や振動、匂いを発さずに戦う。
注意事項。
アドリブアレンジを多用、ストーリーを統合しようとするため共闘扱いとなる場合があります。
その場合、プレイング期間の差により、別の方のプレイングにて活躍する場合があったりと変則的になってしまいます。
ネタ的なシナリオの場合はキャラクターのアレンジが顕著になる場合があります。
これらが嫌な場合は明記をお願いします。
グリモア猟兵や参加猟兵の間で絡みが発生した場合、シナリオに反映させていきたいと思います。
第1章 集団戦
『七色鈴蘭のふくれアンコくん』
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POW : かみつきっ!
【潜行からの飛び出し噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : もぐるっ!
【体から30cm以内の地形を対象に砂泥状化】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ : まるのみっ!
小さな【鈴蘭灯から催眠光を放つ。強烈な眠気と光】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【胃袋で出口に返しの歯が並ぶ。暴れること】で、いつでも外に出られる。
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●海岸へと辿る道。
あるいは森であり、あるいは平地であり、あるいは街であり。
不死蟹海岸へと続く道は複数あるものの、隣接区域に立てられた看板は全て、不死蟹の危険性を説いた警告が為されている。
しかし、一度道を行けば、木の皮で作られた余りにもお粗末な看板が並び始めるのだ。
乾燥により丸まった看板には、『カニさんもお待ちしてます』『いいものあります』『実際安全!』などなど非常に怪しい字面ばかり。
ともすれば別の道には、『帝竜います!』『りょうへいこないで』『実際危険!』など胡散臭いことこの上ない。
こういった看板に誘われて道を行く者たちが見る景色とは、壮大なる建造物の如き不死の蟹と赤き砂浜。
そして、そこに対応したオブリビオンたちだ。
これ以上、哀れな人々を彼らの歯牙にかける訳にはいかない。世界を過去の時へ沈めるオブリビオンは、討伐しなくてはならないのだ。
…………。
あからさまな罠にかかった自己責任とか言わずに、お願いなので助けてあげてください!
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK
(あんこう鍋、美味しそうだねえ。)
(別にお金はあんまり必要ないし、一匹捕まえて鍋にしようか。)
さて、まずは忍び足で日向ぼっこしているアンコウを探そう。
見つけたら【埋根伏蔦】で手から静かに蔦を伸ばして、
尾びれに絡みつかせて持ち上げて宙吊りにしようか。
えーと、鮮度を保つためには活け締めをするといいんだっけ。
もう一本手から根っこを伸ばして脊椎を刺して締めたら、
根っこから血を吸い上げて血抜きをしよう。
これなら血の臭いで蟹を刺激することもないかな。
終わったらさっさと蟹たちから離れて鍋にしよう。
生命の書片で出汁を取ったあんこう鍋、美味しく出来るかなー。
月凪・ハルマ
◆WIZ
まず周囲の砂を身体や衣服に擦り付けて匂いを誤魔化す
それから【迷彩】で姿を消し、【忍び足】で
【目立たない】様に戦場を移動しながらアンコ君を探そう
(【失せ物探し】)
わざと食われるのはなんか嫌だから、日向ぼっこしてるヤツを
発見したら【武器改造】で魔導蒸気式旋棍を刀剣状に変形させて
気付かれない内に【早業】で【暗殺】を仕掛ける
蟹の事もあるし、一撃で確実に仕留めたいな
そういやコイツ美味いんだっけ……知り合いへのお土産にしても
良さそうだし、持って帰るか。血抜きだけは済ませとこ
『生命の書片』の持ち帰りにも挑戦してみるか
ただしそのせいで蟹がヤバいくらい反応する様なら、
指定UCで眠らせてさっさと退散しとく
●獣の餌探し。
(あんこう鍋、美味しそうだねえ)
赤い砂浜を前にのんびりと構えたペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)。長い尾をくねらせて、不揃いな金と青の瞳が見つめるのはお絵かき大会を開くアンコくんたち。
(別にお金はあんまり必要ないし、一匹捕まえて鍋にしようか)
報酬に燃え立つグリモア猟兵と違い、特にそんなものを望んでいない彼女は捕まえ易そうなアンコくんを見定める。
お絵描きに集中している連中は倒し易いが、その分、他のアンコくんに気づかれ易い。騒がれてしまっては面倒だ。
(さて。……まずは……)
狙うべきは予知にあった日向ぼっこ中のアンコくんだ。
周囲を見渡せば、彼らから離れた所でのんびりまったりもっちりしているアンコくん。しかし、その身は不死蟹の足に預けており、近くを行くには気を付けねばなるまい。
忍び足で進むペトニアロトゥシカは、尻尾を持ち上げて引きずらないよう両手に持ち上げつつ、お絵描き大会のアンコくんの群れを通過する。
『俺の遠近法を食らえっ!』
『なんの、デッサンカウンター!』
たまに出てくるプラカードのやり取りに、どのような絵を描いているのか興味を持ちつつも音無く彼らの背後を抜けることに成功する。
少し先には『潮風を受けた鮟鱇はそのまま煮ても旨い』『煮立てれば骨まで食える』『カニさんの出汁が決め手』など自殺願望でもあるのかというプラカードがばら撒かれている。
(カニさんの出汁、ねえ)
自慢の鈴蘭灯を光らせず、鼻提灯と体を焼けたお餅のように膨らませるアンコくん。平和だなぁ。
彼の中には、おそらく生命の書片があるのだろう。
ペトニアロトゥシカはユーベルコード、【埋根伏蔦(クリーピング・プラント)】を始動。右手から伸ばした蔦を静かに進め、アンコくんへ向ける。
普段は地面や壁を掘り進むのだが、下手な振動は地を潜行するアンコくんには気づかれ易い怖れもある。相手も寝ているのだし、とそのまま空を行く蔦。
しかし、腐っても、もとい膨らんでも彼らはオブリビオンだ。空を行く蔦の動きに何かしらの脅威を察したのだろう、鼻提灯が弾けてアンコくんの目が開く。
「!」
ぴくりと反応し、止まる蔦。アンコくんは側に落ちていたプラカードを抱き寄せると、一筆したためる。
『ヒレはカリカリに焼くのも美味しいです』
ほほう、なるほど。
満足気にプラカードを置いて、再び鼻提灯を膨らませるアンコくん。
「…………、平和だなぁ」
そうだねぇ。
思わず小声で呟く彼女の言葉も潮風に流れて、肩の力を抜く。再び進めた蔦をアンコくんの尾ヒレに絡めて、そのまま宙吊りにする。
発声できないのなら、空中てあれば多少の動きも問題ないとした彼女の案であるが。まだ寝てるぞこいつ。
(えーと、鮮度を保つためには、活け締めをするといいんだっけ)
左手から今度は根っこを伸ばし、無様な寝顔を晒すアンコくんの背ビレをなぞると狙いを定め、一息に脊椎を刺す。
びくん、と震えた体にヒレがぴくつき、ぱっかりと開いた口から生命の書片が抜け落ちた。
(おっと)
すかさずそれを拘束する蔦から分岐させたもので受け止め方つつ、根っこから血を吸い上げて始める。
(これなら、血の臭いで蟹を刺激することもないかなぁ)
ごくごく。
根っこに味覚はないので、味などわかるはずもないけれど。
その身に染み渡る栄養に、ペトニアロトゥシカは瞳を輝かせた。充足していく気力に冴え渡る意識。すっきりとした感覚に陥る中、彼女はアンコくんの豊富な栄養に驚いたようだ。
それもそのはずアンコくん、ただでさえ栄養と旨味の詰まったオブリビオンでありながら、出汁である生命の書片をちゅっぱちゅっぱしていたのだから、その体内の隅々にまで旨味が行き渡っていたのだ。
「……ううん……しょうがないかぁ……」
すっかり血の抜かれたアンコくん。これ以上の体液を啜るのはせっかくの旨味成分の喪失となる。
名残惜しげに根っこを引き抜いたペトニアロトゥシカは、蟹から離れるべく踵を返し。
「ふむっ?」
同じく猟兵であろう人影がアンコくんの処遇に迷う姿を見つけて笑みを浮かべた。
●獣の如く。
ペトニアロトゥシカが不死蟹海岸へ足を踏み入れたのとほぼ同時刻。
月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)はお絵描き大会に盛り上がるアンコくんを尻目に赤い砂を素肌や衣服へとまぶしていた。
懐にも砂の塊を忍ばせつつ、砂に汚れた頬を掻く。
(まずは誤魔化しだけど。現地の物ならこれで臭いは消せるはず)
技術では消せない隠密術を知識でカバーする。同時に汚れた赤は不死蟹海岸の赤と同じであるだけに、迷彩効果も高く敵の目を逃れるには打ってつけだろう。
忍び足で騒がず目立たず、戦場を移動しながらアンコ君を探す。狙うはやはり、群れから離れて日向ぼっこしている個体だ。
(わざと食われるのはなんか嫌だから、日向ぼっこしてるヤツを狙おう)
ぬぼーっ、とした表情の彼らに飲まれて涎まみれの姿を思わず想像する。確かにそれは嫌だな。
グリモア猟兵の言葉もあり、不死蟹の足下を探せば確かに、日向ぼっこするアンコくんが見つけられた。まるで犬のようにひっくり返って腹を見せている様子は、欠片の警戒心も見せてはいない。
(よしよし、良く寝ているな)
散らばったプラカードを踏まないよう気をつけつつ、並ぶ字面を拝読する。『あんきも絶品』『野菜もあるとなお良し』『つべこべ言ってんじゃねえ、食え』。
(こいつら被食願望でもあるのかな?)
自分のセールスポイントをしっかり弁えてやがる様子のアンコくんの落書きに、思わず苦笑する。
広き帝竜戦役。どこぞでは食べられる、消費されることに喜びを見出だす人型の野菜もいるのだからあり得ない話ではない。
ひとまずは様々な機能を内蔵するトンファー型ガジェット、【魔導蒸気式旋棍】を刀剣状に変形させる。音に気をつけつつ身を屈め、強い眼で睨み付けるのはアンコくんの腹。
くい、と帽子のつばを上げて、呼吸に合わせて膨れる腹とは別の、鼓動に合わせて揺れるパターンを見切る。
直後の跳躍は獲物に飛び掛かる肉食獣の如く。
『!』
空に打ち上がるエクスクラメーションマーク。お前プラカード持つ余裕あるのかよ、とハルマは頬をひきつらせつつ。
腹部の心臓と同時に顎から直接、アンコくんの脳を破壊、一瞬にして見事、アンコくんを仕留めたハルマ。とてもそうは見えない動きを一瞬だけ見せたが、相手にもはや、動きはない。
「ふ~。オーケイだ
。…………、そういやコイツ、美味いんだっけ」
テコのように刀を扱い、ぱっかりと開いた口をまさぐって生命の書片を引きずり出す。アンコくんの中で温められていたそれは、ふわりと芳醇な香りを放った。
かなりの重量だ。同時に辺りを漂う香りに不死蟹へ視線を向けるが動きはない。この程度では反応しないようだ。
ほっ、と一息吐きつつ、敵を食い破った刃を引き抜こうとして、動きを止める。
「……待てよ……」
アンコくんを知り合いへのお土産にしても持って帰ろうかと考えていたハルマであったが、このまま刃を引き抜けば血の臭いが広がるのは確実だ。
生命の書片よりは臭いも強いであろうし、それに不死蟹が反応するとも限らないが危険を犯したくはない。
「もうしばらく待ってからが良いだろうけど、持ち帰るなら血抜きを済ませなきゃ味も落ちるし……参ったな……」
「お困りかい?」
腕を組むハルマの前に、アンコくんを肩に担ぎ、生命の書片を抱えたペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードが姿を見せた。
●早速いただこう、鮟鱇鍋!
「助かりましたよ、血抜きに困ってて」
「いぃえぇ」
アンコくんにぶっすりと刺した根っこから血を吸い上げつつ、ペトニアロトゥシカは頬を綻ばせる。
「俺、月凪・ハルマって言います。貴方は?」
「ペトだよ、よろしくねぇ」
アンコくんの血抜きを済ませ、ペトニアロトゥシカはのんびりした笑みを見せてハルマへアンコくんを渡す。
アンコくんを彼女と同じく肩に担ぎ、生命の書片を抱いた彼は不死蟹の群れへと目を向けた。
(さすがにこの状態で探しに行くのもな)
運ぶ手段もそうはない。ひとつは手に入れたのだとハルマはペトニアロトゥシカた共に不死蟹海岸から離脱する。
海岸から離れたペトニアロトゥシカは、茂みに隠していた大きな土鍋をよいしょと取り出した。
「もう料理するんですか?」
「うん、そうだよー」
尻尾をふりふり、上機嫌なペトニアロトゥシカは鼻歌などやりつつ、鋭い爪ですらりとアンコくんを切り分ける。
アンコくん自体が中々の大きさだ。大きな鍋とはいえ、全てとはいかずに分けた魚肉を入れる。
「ふーむ」
このまま魚肉だけというのも味気ない。ハルマはペトニアロトゥシカから離れ、木の影に生えた茸や野草を探す。香りを確認したり、この世界の人々との交流で得た知識から食べられる物と判断した物だけ持ち帰る。
「ペトさん、これもどうぞ」
「えっ、こんなに? いいねぇいいねぇ、ありがと~」
受け取ったそれらも鍋に入れ、生命の書片も共に煮立て、ふんわりとした香りが辺りに漂う。
煮る順番などは特に考えられていなかったが、熱い湯にその身をとろりととろかせたアンコくん、そこから溶け出した脂身は、生命の書片の出汁をしっかりと染み込ませた野草や茸を包み込む。
おたまで器にすくえば湯気立つ中、待ちきれず頬張ればしんなりとした野草の青臭さも煮汁に消え、旨味と香りが口の中に広がっていく。
ぷるぷると震えるアンコくんの身も柔らかく、蟹の出汁に加え絶妙な塩加減が絶品だ。
(……美味しそうだなあ……)
鳴きそうな腹の虫を抑えて、早く帰って皆で食べようとするハルマを、ペトニアロトゥシカが呼び止めた。
「ハルマも少し食べて行きなよぉ」
「え、いいんですか?」
「いいよぉ、キミのお陰でもっと美味しくなったんだもん」
それでは遠慮無く。
元の世界へと還る前に、ハルマはペトニアロトゥシカの隣に座りあんこう鍋を分けて貰った。
しっかりとした味に乗る優しい香りは、ペトニアロトゥシカの人柄から来ているようでもあった。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード:アンコくん、生命の書片×1を持ち帰り完了。
月凪・ハルマ:アンコくん、生命の書片×1を持ち帰り完了。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●御伽噺よりの使者。
赤き砂浜でのんびり絵描きをし、日向ぼっこに興じるアンコくんたち。平和な光景に和む者もいるだろう。
しかしこの者、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にはそんな上部だけ取り繕ったものは通じない。
(人喰いの怪物が、絵を描き文字を手に入れた)
兜より覗く緑の光が強さを増す。
そう、敵はオブリビオンだ。無邪気な性格に見えども世界を停滞させる恐るべき時の破壊者の一端であることは間違いないのだ。
そんな彼らが文化を、文明を取り入れることは即ち、文明人への理解と悪用へと繋がる一大事件なのだ。
事実、彼らの設置した看板により、この海岸へ訪れ死亡する者がいる。今はまだその数も少なく、餌の確保程度の知識しかない。
だが時を経て、更なる知恵を彼らが身に付けた時。この不死蟹を利用して難攻不落の棲みかを構え、また彼らを町へと進撃させるようになるかも知れない。
「戦役の勝利の為の探索も必要ですが、騎士としてこの現状は放置できませんね」
何としてでも全滅させなければなるまい。
固く胸に刻む機械仕掛けの白き騎士。とは言え、敵はアンコくんだが脅威は彼らだけではなく、不死蟹に対してもあるのだ。
トリテレイアは彼の動きによって活性化した不死蟹が自分や、不死蟹の殻を狙う他の猟兵らの迷惑にならないよう、関節や道具に新たな油剤を追加して潤滑を良くし、駆動音を軽減する処置を行う。
平行して足音を軽減する為に足裏にクッション素材の装着と準備に抜かり無く、戦場となる海岸へ向かう。
『次のお題はこちら! じゃかじゃん!』
『どんどん!』
『ぱーふーぱーふー!』
お絵描きも一区切りしたのか、プラカードを掲げて盛り上がるアンコくんたち。
だがそれもここまでだ。その背後に忍び寄ったトリテレイアは前腕部に内蔵された伸縮機構を使用した貫手をその無防備な背に放つ。
備えられた爪と射出された前腕に背後から脊椎ごと心臓を撃ち抜かれ、即死するアンコくん。
『! て、敵だぁ~!』
『猟兵だ!』
『アン助がやられたよう!』
七色に変化する体液を浴びて、腕をアンコくんからずるりと抜くトリテレイア。敵の存在に気付いた一団は警戒体制に入り、それぞれが地面へ潜行する。
アンコくんらは擬態と地中を潜行し強襲するのを得意とする。しかし、トリテレイアに搭載された【全環境対応型マルチセンサー】の感度はそこらでぼけっと突っ立っている不死蟹以上だ。
「敵影、捕捉」
正面から迫る者、右側面から迫る者、左側面から後方へと回る者。きちんと作戦立てた行動、迅速な反応。狩猟という点では壊滅的な下手さではあるが、こと戦闘においての評価は上々だ。
しかし、トリテレイアのマルチセンサーは地の微弱な振動すら読み取る。
『そぉい!』
『てぇい!』
『でゅわ!』
それぞれの掛け声、もといプラカードと共に砂浜から躍り出たアンコくんらによる、時間差噛み付き。
彼らが跳躍する前にはトリテレイアはすでに軌道を見切っており、半歩身をそらすだけでそれらをかわし、同時に両腰部稼働装甲格納型【ワイヤー制御隠し腕(ワイヤード・サブ・アーム)】を起動する。
「騎士の戦法ではありませんが」
腰に視認されないよう偽装されていた隠し腕が射出され、再び地中に潜行しようとするアンコくん二体の提灯を掴む。
ワイヤーで巻き取り、眼前に掲げられた彼らは慌てふためく様子が見えるが、そのヒレにもはやプラカードなく、人に意思を伝えることも叶わない。
「討たせていただきます」
抜くは【義護剣ブリッジェシー】。薄紫の装飾で壮麗に彩られた白銀の剣には、『汝、心の儘に振る舞え』と刻まれ陽の光を照り返す。
逆光に彼を見上げるアンコくんらには、黒く処断の刃を振り上げた死神とも映ったであろうか。
その両腕に怪力を込めて放つ横薙ぎの一撃が、纏めてその腹をかっ捌く。
内蔵を腹から吐き出して絶命したアンコくんを離し、すかさず飛び込んで来た新手をかわし、正面からの次撃には剣を打ち込み、またその隙を狙う個体には残る手の前腕を打ち出して貫手で迎撃する。
逃れ距離を取るアンコくんをも放つ隠し腕で拘束、地中から引きずり出して剣の一撃により伐する。
返り血を浴び、開いた面甲から放熱し煙を息吹く様は黙示録に示された騎士を思い起こさせた。
グリモア猟兵垂涎のアンコくんの魚肉も、生命の書片も無視したオブリビオンの殲滅。それを第一として動くトリテレイア。
だが、不死蟹海岸に立ち込めたアンコくんの死臭は、不死蟹が気付くには十分だった。
揺れる砂浜に轟く足音。巨大な鋏を振り上げた毒々しい色の超大な不死蟹の接近に、ここまでかと逃げ惑うアンコくんを前に撤退を余儀なくされる。
(しかし、戦果としては十分でしょうか)
不死蟹が邪魔立てするまでに積み重ねたアンコくんの死体は十を超える。
持ち帰る物は無くとも、世界の歪みを正すことは出来たろうか。トリテレイアはそう結論付けて不死蟹海岸を後にした。
トリテレイア・ゼロナイン:持ち帰りなし。アンコくん十九体撃破。
トリテレイア・ゼロナイン
人喰いの怪物が、絵を描き文字を手に入れた…
戦役の勝利の為の探索も必要ですが、騎士としてこの現状は放置できませんね
何としてでも全滅させなければいけません
不死蟹の殻を狙う方の迷惑にならぬように、関節とUCの駆動音を軽減する処置、足裏にクッション素材を装着し足音軽減する処置を施し戦場へ侵入
(●防具改造)
相手は地中からの強襲を得意とするようですが…
私のマルチセンサーの感度(●情報収集)は不死蟹以上
地の微弱な振動すら読み取り、攻撃を●見切ってみせましょう
飛び出したタイミングに合わせ、こちらもUCでの●だまし討ち
提灯を掴んで眼前にぶら下げ、すかさず●怪力での剣で止め
鮟鱇の身も蟹の殻も放置
敵を殲滅しましょう
●御伽噺よりの使者。
赤き砂浜でのんびり絵描きをし、日向ぼっこに興じるアンコくんたち。平和な光景に和む者もいるだろう。
しかしこの者、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にはそんな上部だけ取り繕ったものは通じない。
(人喰いの怪物が、絵を描き文字を手に入れた)
兜より覗く緑の光が強さを増す。
そう、敵はオブリビオンだ。無邪気な性格に見えども世界を停滞させる恐るべき時の破壊者の一端であることは間違いないのだ。
そんな彼らが文化を、文明を取り入れることは即ち、文明人への理解と悪用へと繋がる一大事件なのだ。
事実、彼らの設置した看板により、この海岸へ訪れ死亡する者がいる。今はまだその数も少なく、餌の確保程度の知識しかない。
だが時を経て、更なる知恵を彼らが身に付けた時。この不死蟹を利用して難攻不落の棲みかを構え、また彼らを町へと進撃させるようになるかも知れない。
「戦役の勝利の為の探索も必要ですが、騎士としてこの現状は放置できませんね」
何としてでも全滅させなければなるまい。
固く胸に刻む機械仕掛けの白き騎士。とは言え、敵はアンコくんだが脅威は彼らだけではなく、不死蟹に対してもあるのだ。
トリテレイアは彼の動きによって活性化した不死蟹が自分や、不死蟹の殻を狙う他の猟兵らの迷惑にならないよう、関節や道具に新たな油剤を追加して潤滑を良くし、駆動音を軽減する処置を行う。
平行して足音を軽減する為に足裏にクッション素材の装着と準備に抜かり無く、戦場となる海岸へ向かう。
『次のお題はこちら! じゃかじゃん!』
『どんどん!』
『ぱーふーぱーふー!』
お絵描きも一区切りしたのか、プラカードを掲げて盛り上がるアンコくんたち。
だがそれもここまでだ。その背後に忍び寄ったトリテレイアは前腕部に内蔵された伸縮機構を使用した貫手をその無防備な背に放つ。
備えられた爪と射出された前腕に背後から脊椎ごと心臓を撃ち抜かれ、即死するアンコくん。
『! て、敵だぁ~!』
『猟兵だ!』
『アン助がやられたよう!』
七色に変化する体液を浴びて、腕をアンコくんからずるりと抜くトリテレイア。敵の存在に気付いた一団は警戒体制に入り、それぞれが地面へ潜行する。
アンコくんらは擬態と地中を潜行し強襲するのを得意とする。しかし、トリテレイアに搭載された【全環境対応型マルチセンサー】の感度はそこらでぼけっと突っ立っている不死蟹以上だ。
「敵影、捕捉」
正面から迫る者、右側面から迫る者、左側面から後方へと回る者。きちんと作戦立てた行動、迅速な反応。狩猟という点では壊滅的な下手さではあるが、こと戦闘においての評価は上々だ。
しかし、トリテレイアのマルチセンサーは地の微弱な振動すら読み取る。
『そぉい!』
『てぇい!』
『でゅわ!』
それぞれの掛け声、もといプラカードと共に砂浜から躍り出たアンコくんらによる、時間差噛み付き。
彼らが跳躍する前にはトリテレイアはすでに軌道を見切っており、半歩身をそらすだけでそれらをかわし、同時に両腰部稼働装甲格納型【ワイヤー制御隠し腕(ワイヤード・サブ・アーム)】を起動する。
「騎士の戦法ではありませんが」
腰に視認されないよう偽装されていた隠し腕が射出され、再び地中に潜行しようとするアンコくん二体の提灯を掴む。
ワイヤーで巻き取り、眼前に掲げられた彼らは慌てふためく様子が見えるが、そのヒレにもはやプラカードなく、人に意思を伝えることも叶わない。
「討たせていただきます」
抜くは【義護剣ブリッジェシー】。薄紫の装飾で壮麗に彩られた白銀の剣には、『汝、心の儘に振る舞え』と刻まれ陽の光を照り返す。
逆光に彼を見上げるアンコくんらには、黒く処断の刃を振り上げた死神とも映ったであろうか。
その両腕に怪力を込めて放つ横薙ぎの一撃が、纏めてその腹をかっ捌く。
内蔵を腹から吐き出して絶命したアンコくんを離し、すかさず飛び込んで来た新手をかわし、正面からの次撃には剣を打ち込み、またその隙を狙う個体には残る手の前腕を打ち出して貫手で迎撃する。
逃れ距離を取るアンコくんをも放つ隠し腕で拘束、地中から引きずり出して剣の一撃により伐する。
返り血を浴び、開いた面甲から放熱し煙を息吹く様は黙示録に示された騎士を思い起こさせた。
グリモア猟兵垂涎のアンコくんの魚肉も、生命の書片も無視したオブリビオンの殲滅。それを第一として動くトリテレイア。
だが、不死蟹海岸に立ち込めたアンコくんの死臭は、不死蟹が気付くには十分だった。
揺れる砂浜に轟く足音。巨大な鋏を振り上げた毒々しい色の超大な不死蟹の接近に、ここまでかと逃げ惑うアンコくんを前に撤退を余儀なくされる。
(しかし、戦果としては十分でしょうか)
不死蟹が邪魔立てするまでに積み重ねたアンコくんの死体は十を超える。
持ち帰る物は無くとも、世界の歪みを正すことは出来たろうか。トリテレイアはそう結論付けて不死蟹海岸を後にした。
トリテレイア・ゼロナイン:持ち帰りなし。アンコくん十九体撃破。
大成功
🔵🔵🔵
アノルルイ・ブラエニオン
仕方がない!
そんなお宝を群竜大陸に眠らせるわけにはいかん!
私がひと肌脱ごう
私の『音楽の奇跡』は器物の心さえ動かし願いを聞き届けさせる
例えば、その辺の土塊でさえ、音楽に感動させて「動いてくれ」と頼んだら、動き出す
私はまず周囲の大気に、あまり大きな音の出ない鉄笛で【楽器演奏】を聞かせ、
『私の出す音や匂いを遠くまで飛ばさぬよう遮断してくれ』と乞い願う
音も匂いも空気に伝わって広がるものだからな
そして、殻にも音楽を聞かせるぞ
聞かせたら、「私に歩いついてきてくれ」と頼むのだ
在り処まではアンコくんに食われて運ばれよう
外に出たら狩って、持って帰る
この方法で殻を沢山持って帰る!
どうだブライアン!(皮算用)
●歌う一級フラグ建築士の戦術。
「仕方がない! そんなお宝を群竜大陸に眠らせるわけにはいかん!
この私がひと肌脱ごう」
長い金の毛髪を潮風に流し、アノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)は自信に満ち溢れた笑みを見せる。
この赤い不死蟹海岸に映える美しい容姿であるが、その言動に不安を覚えた者もいるだろう。
遠くで不死蟹がアンコくんの死体を蹴り飛ばして自分達の領域から排除するのを眺めつつ、笛のように吹けるバールのような物、【鉄笛】を取り出す。
それは【凶器】じゃないの?
「私のユーベルコード【音楽の奇跡(コンジュレーション・ミュージック)】は器物の心さえ動かし願いを聞き届けさせることが可能とな?。
例えば、その辺の土塊でさえ、音楽に感動させて『動いてくれ』と頼んだら、動き出すのだ!」
ぐ、と拳を握り瞳を輝かせる。
アノルルイは鉄笛、笛? により周囲の大気に凶器演奏を聞かせた。物が物であるからか音もさほど大きくなく、不死蟹もアンコくんも気付くことはないだろう。
「空気よ、風よ、大気よ。私の出す音や匂いを遠くまで飛ばさぬよう遮断しておくれ」
と乞い願うアノルルイ。その言葉に応えるようにそよ風が、彼を取り巻くように弧を描く。
音も匂いも振動も。全ては空気に伝わって広がるもの。だからこそ運び手たる空気そのものに協力を願うのは正しい行為だろう。
「さて」
鉄笛をしまい、両手を腰に当てて周囲を見渡すアノルルイ。この自信に満ち満ちた所作が画になるから美形って狡いわ。
嫉妬の視線はいざ知らず、アノルルイは木の皮を一生懸命に歯で削ぎ剥がすアンコくんを発見、速やかに接近する。
「そこなアンコくん! 私を食べてはくれまいか?」
『えっ、猟兵!? 食べ、へ?』
アンコくんは混乱している!
気持ちは分かる。しかしこれも生命の書片へ近づく為の策略。グリモア猟兵のアドバイスを受けて、案内してもらおうという魂胆だ。
だが、食べてと言われて素直に食べるほど彼らもお馬鹿ではあるまい。どうやって食べさせるかが問題だ。
(ふふふ。アンコくんたちは絵画を愛でる文化を持つ。ならば私の歌と音楽、同じ芸術を足掛かりに信用を得て、なんのかんの食べられる!
我ながら完璧な導入だ)
眼を閉じて、小さく笑うアノルルイ。会話での共通点の模索、信頼関係の構築は彼らの懐に潜り込むには十分だろう。
目を開き、我が話術を見よとばかりに口を開いたアノルルイの眼前には、さらに巨大な口があった。
『わーい、いただきまーす!』
アンコくんお馬鹿だったわ。
アノルルイを補食したアンコくん。作戦通り、お腹がいっぱいだと不死蟹の犇めく場へと向かう。
とろりとした粘膜に包まれて待つことしばし。ぱっかりと開かれた口に投げ込まれる子蟹の殻、というにはあまりに大きく重い物体。
「おお。間違いない、これこそ生命の書片!」
目的の場所に到着だ。これ以上移動されてはまずいと取り出した鉄笛のような物でアンコくんの口蓋をつんつんする。
震えを体内で感じつつ、狙いを定めて一息に貫く。
「同じ芸術を愛する者として、せめてもの情けだ。安らかに眠るといい」
よっこいしょ、とばかりにずるりと涎まみれの体でアンコくんから這い出るアノルルイ。体の内側から凶器のような物で脳を破壊されたアンコくんは中々に悲惨な末路であるが、オブリビオンである以上は仕方のないことだ。
哀れみを込めて祈りを捧げて、振り返った先に山積みとなった生命の書片、あるいは散らばった生命の書片を見定める。これだけの物をどうやって持ち帰るのか。
アノルルイはもはや目的を達したとばかりにバールを構えると、易しげなバールの音が響く。
「『生命の書片』よ、私に歩いついてきてくれ」
踵を返すアノルルイへ、ずりずりとヒナの如くついて回る不死子蟹の殻の群れ。目から鱗の解決策だ。
これならば運ぶ為の道具も必要なければ体格もまた必要としなくなる。倒れたアンコくんを持ち上げて、意気揚々と引き上げるアノルルイ。
ついてくる殻の群れにも風を取り巻き、匂いが辺りにばらまかれるのも防止する抜け目の無さ。
(ふふふ、完璧な作戦だったな)
ずりずり、ずりずり。
(これで際限なくもって帰ることが可能)
ずりずりずり、ずりずりずり。
(勝った! どうだブライアン!)
勝ち誇るアノルルイの横っ面に不死蟹さんの足、つまりキックが直撃する。
「何故だぁぁぁっ!」
そもそもの狙いが動く生命の書片であったこと、空気の断層が障壁となってその威力を落としたものの、余りの質量差に天高く打ち上げられる。
彼の作戦は唯一、完璧でない部分があった。それは、大地を行く生命の書片の足音、足音でいいのか? 足音のせいである!
ひとつふたつはいざ知らず、大量のそれらが動くことで生じた地鳴りは大気ではなく、砂浜を振動させるものだ。その揺れを関知した不死蟹が生命の書片を排除するべく動き、その先頭に立つアノルルイをも蹴り飛ばしたのだ。
哀れアノルルイ。欲をかかなければ、もしくはハーメルンの笛吹の如く、砂浜にも干渉するよう笛を吹きながら行けば恐るべき富が手に入ったかも知れない。
彼が蹴り飛ばされてしまったことで生命の書片はすこすごと帰って行ったが、彼の持つアンコくんは無事だ。
痛めた体には酒とアンコくんの鍋で暖まるのもいいだろう。それだけでもお金に換えられない価値のある絶品料理。
放浪生活をするアノルルイには元々、金銭欲はないだろうが。これらを外の世界に持ち帰られなかったものの、同じ芸術を愛したアンコくんの味で心と体の傷をしっかり癒して欲しいものだ。
アノルルイ・ブラエニオン:アンコくんを持ち帰り完了。
大成功
🔵🔵🔵
●お客さん、忘れ物だぜ!
不死蟹海岸の外へと落着したアノルルイ。
アンコくんのふわふわもっちりボディがクッションになってくれたようだ。
「……いたたたた……。酷い目に合わされてしまったぞ!」
痛む腰をさすり、苦痛に顔を歪めて立ち上がる。
骨折り損のくたびれ儲け、とまではいかないが、せっかくオブリビオンにまで食われた意味が無かったか。
溜め息を吐くアノルルイはせっかくのアンコくんを持ち上げる。
と。
「む?」
ぱっかりと開かれたその口から、生命の書片がひとつ、転がり落ちてきたのだった。
【訂正】アノルルイ・ブラエニオン:アンコくん、生命の書片×1を持ち帰り完了。
寧宮・澪
おいしいカニにあんこう……狙いたい、ですねー……さてさて、どうしましょか……。
移動は、飛んで……音や匂いが伝わらないくらいの離れた距離を触れないように気をつければ、いけますよねー……。
ゆっくり移動して、カニから離れたアンコくんを見つけたらー……そばに行って……。
音や振動、匂いが伝わらないように風、真空の層、風の三重で周りをかこいましょー……地面も、揺れないでくださいなー……。
静かに……囁くように歌って、世界に干渉しましてー……。
あとはその中で、できるだけ静かに……氷結、狙いでアンコくん倒して。
お肉やカニの殻はCradleに格納しましょねー……。
うまくいくといいですね……楽しみ、ですねー……。
ネフラ・ノーヴァ
ヨシュカ殿(f10678)と共に。
やあ、まるで岩山のような大蟹だな。
甲羅に独自の生態系があったりするのではないかな。興味深いものだ。
ではまず目の良いヨシュカ殿の先導に従おう。
気づかれない距離でUCクリスタライズを発動、ヨシュカ殿に腕を回して共に透明になる。
アンコウのプラカードの文字で迂闊に笑ったりしないよう気をつけないとな。
さて、うまく近づければ後は刺剣で静かに血抜きの暗殺だ。アンコウも旨いかな?
蟹の殻が重いとはいえ猟兵の身、持ち運ぶに難はないが、ヨシュカ殿にお任せしよう。
フフ、がんばる男の子は可愛いものだ。
ヨシュカ・グナイゼナウ
ネフラさまと(f04313)
甲殻類は理論上、脱皮が可能な限り無限に成長出来るそうです
それにしても、遠目から見てもわかるこの大きさ!ワクワクです
甲羅に独自の生態系が…!?(ワクワクワード)
海岸で不自然に浮いているプラカードを【視力】で遠方から発見
あそこにいるみたいです、ネフラさま
ネフラさまのUCでお互い透明になってこっそりアンコウに【忍び足】で【目立たない】様に接近
体勢的に二人羽織状態ですが、そこはタイミングを【見切り】上手いこと進みます
そっと手袋を外し【惑雨】で夢の中に誘いましょう
後は音もなく【早業】【串刺し】解体です
蟹の殻は重たいですが、そこは男の子ですので。持ち運びはお任せ下さい。気合です
●歌唱魔術師の狩猟法。
死臭の漂う海岸沿い。
寧宮・澪(澪標・f04690)は蹂躙されたようなアンコくんたちの亡骸に眉を潜めた。とは言え、苦しめる為の攻撃はひとつもなく、どれも一撃で以て絶命していることから、手練れたる猟兵の狩りであろうと想像に易い。
投げ捨てられたような死体も、近くで臭いを嫌う不死蟹がぽいぽいと海岸の外に蹴り出しているのを見れば、彼の接近にその場を離れた故であろうと理解できる。死者への冒涜は赦せるものではないが、これが不死蟹海岸における自然の摂理なのだ。
実際、特殊な能力が無くともあの巨体は驚異だ。不死蟹を警戒する一方で、グリモア猟兵の話にあった美味なる食材も脳裏を過る。
(……おいしいカニにあんこう……狙いたい、ですねー……)
絶品とされるアンコくん。芳醇な出汁が永遠と取れる生命の書片。どちらも捨て置く訳にはいかない。
不死蟹がぽいぽいしているアンコくんはさすがに味が落ちているであろうし、放置していれば獣の餌になるであろうからそのままだ。
(……さてさて、どうしましょか……)
ひとまず不死蟹の活性化している近辺は遠慮すべきだろう。狙い目を探すならば空から行くのが適切か。
(……音や匂いが、伝わらないくらいの……離れた距離を触れないように……気をつければ、いけますよねー……)
「そよぎ踊るシルフィード、私の歌に耳を貸せ。共に踊ってはくれまいか、そよぎ風の担い手よ」
その唇から漏れる小さな呟きは歌となり、加勢となって澪の夜から溶け落ちたような黒髪を巻き上げた。
風を纏って地を離れた女の体は、そのまま空へと舞い上がる。
歌を媒介として世界の理に手を触れ、あるいは書き換える。それがシンフォニックウィザードたる澪の能力だ。
空から見下ろせば、忙しく働く不死蟹の背に苔、否、木が生えているのに気がつく。永きを生きる上で寄生されたのか、飛び立つ鳥も見られ、小さな森のようだ。
思いがけず自然そのものとなった彼らの姿に微笑みながら、不死蟹から離れたアンコくんを探してゆっくりと旋回する。
ある程度を見て回るも、残念ながら不死蟹から離れた場所にいるアンコくんは群れで固まっており、お絵描き大会を開いている者たちやお題に対する大喜利大会と大忙しだ。
逆に不死蟹の近くでならば、個体となって休む姿が見受けられる。
匂い、音、振動。それさえ伝わらなければ不死蟹が活性化することはない。群れを相手にするよりはこちらが当たりかと澪は高度を下げる。
膨らんだ体を見る限り、元気な群れのアンコくんと違い生命の書片を食べているのだろうと結論する。
「揺れて泣くなノーミード、貴方が悲しむと全てが悲しい。笑ってただ佇んで、足を持つ全ての者が笑えるように」
陽の光にまったりしているアンコくんの周囲、その地面が揺れて振動を発さないよう固定する。
同時に身に纏う風の力も拡大し、匂いなどを伝えないように風の壁を作り出し、中層に真空を作り上げた三重の構えで周囲を包み込む。
これで準備は整った訳だ。
そんなことは露とも知らず、『旨味成分はストレスによって失われる』『イジメ、ダメ、ゼッタイ』『ヤるなら一撃を所望つかまつる』などのプラカードを書き書きしているアンコくん。
君たちの間では辞世の句とか死に際の台詞とかでも流行ってるの?
『ふぃ~っ』
満足気な声すらプラカードに書いて空を見上げるアンコくんであるが。その周囲が急速に冷却されていく。
空気の断層を利用した瞬間冷凍。瞬時に行われた排熱により熱を奪われ、暖かな陽射しの中で一瞬にして氷結するアンコくん。
『ひえっ』
…………。
その僅かな間にプラカードを書くアンコくんの根性は認められるべきかも知れない。
兎角、これでまるっと新鮮な魚肉の入手に成功した澪。空間から熱を奪うことで偏りなく氷結し、解凍時に味が落ちることもないだろう。すぐ近くの不死蟹にも特に動きは見られない。
「……うまくいきましたね……カニにあんこう……楽しみ、ですねー……」
頬を綻ばせつつ、ユーベルコードを始動する。【Cradle(クレイドル)】は彼女の持つ小さな端末に触れた存在を電子空間の海、その中に沈む揺り籠へと誘うものだ。
「……揺り籠に、ご案内ー……」
凍った体で抵抗できるはずもなく、難なく電子情報化されて取り込まれたアンコくん。
美味なる食材の確保に成功した澪はほくほく顔で再び空を行く。
「……あ、猟兵……」
そのまま帰る予定であった澪は、視線の先に同業者を確認、寄り道するようにそちらへと方向を変えた。
●見るだけが自然じゃない。
「やあ、まるで岩山のような大蟹だな」
赤い砂浜に佇み並ぶ壮大な光景に、ネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)は右手で影を造りながら言葉を溢す。
「甲殻類は理論上、脱皮が可能な限り無限に成長出来るそうです」
風に揺れる豊かな緑色の髪、その後ろからひょっこりと身を乗り出したのはヨシュカ・グナイゼナウ(明星・f10678)だ。陽射しと砂浜によくにあう焦茶の肌だが、砂浜が白ければどれだけ良かったか。
「それにしても、遠目から見てもわかるこの大きさ! ワクワクです」
感動を惜し気もなく晒すヨシュカには、尻尾があれば子犬のように振っているだろうとネフラは思わず笑う。
「これだけ巨大だと、甲羅に独自の生態系があったりするのではないかな。興味深いものだ」
「……甲羅に独自の生態系が
……!?」
ワクワクワードに目を輝かせてこちらを見上げるミレナリィ・ドール。さすがにヨシュカも苦笑して頭を撫でつつ、まずは仕事だと敵ことアンコくんを指す。
とは言え広い海岸、先の猟兵が群れのひとつふたつを壊滅させた為、陸上からでは探し難い。
「お任せ下さい、ネフラさま」
大きく開いたヨシュカの金の瞳が輝くと、瞳孔が拡縮し、まるで望遠鏡のように距離ごとの焦点を合わせていく。
その先に海岸では普通は見ないプラカードを発見、ネフラへ顔を向ける。
「あそこにいるみたいです、ネフラさま」
「そうか。では目の良いヨシュカ殿の先導に従おう」
アンコくんに気づかれない距離でネフラはユーベルコード、【クリスタライズ】を発動させる。
そのままヨシュカに背中から腕を回して互いに透明な姿となり、アンコくんへと接近。
ユーベルコードは姿を完全に消し去るものの、視覚への影響だけで気配を消す訳ではない。忍び足で気配を殺すも二人羽織のような姿勢で無理もありそうなものだが。
そこは先導であるヨシュカが後方のネフラの歩行を見切り、タイミングを合わせるという地味ながらも離れ業を披露してみせた。
アンコくんの姿がネフラにも確認できるほど接近すると、その頬がぴくりと動く。
『俺の肉は安かねぇずぇい!』『アンコくん界最強の味!』『今なら税込価格150円!』と書かれたプラカード。
これ味に自信のない奴やんけ。
如何にも俺を食えとばかりの内容に、アンコくん界とやらではこういった冗談が流行っているのだろうと、迂闊に笑わないよう頬を引き締める。
そのまま満腹感にころころと転がるアンコくんの背後を取ることに成功した二人は、その可愛さに思わず顔を見合わせる。
しかし、それはオブリビオン。倒すべき相手に違いはない。
ヨシュカほそっと手袋を取ると、その手に刻まれた十字の亀裂から黄金色の液体を放つ。
それは他に触れる前に揮発し、吸引したアンコくんを夢の世界へと誘う。ユーベルコード【惑雨(マドイアメ)】、殺しの業だ。
「上手くいきましたね。後は」
「まあ、そう急くな」
「ネフラさま?」
早速と【鋼糸】を取り出すヨシュカを押し止めるネフラ。
解体して中の生命の書片の取り出しを行うつもりであったろうが、まずは血抜きだ。
ここまで自らの味自慢をしているのだからと、アンコくんが旨いか気になったようだ。
「血抜きは生きてる間に済ますのがベストだ。心臓が動いている内に排出できる」
「ネフラさまは何でもご存知なんですね」
「…………、趣味の延長だな」
狙った獲物が彼女の【血棘の刺剣】に貫かれ、赤い花を咲かせる様を思い描いて目をそらす。大変よろしくてよ、お姉様。
しかし、血抜きはすると言ったものの。
傍らに佇む不死蟹を見上げた。全高数百メートルに僅かな血の量を嗅ぎ付けるとは限らないが、警戒すべきだろう。
とは言え蟹から離している間に目覚めて暴れられてしまっては元も子もない。
──と。
逡巡する彼女らの周囲を風の結界が取り囲む。即座に反応してネフラを守るよう鋼糸を構えたが、必要ないと彼女はヨシュカの肩を揉む。
上空から黒髪を棚引かせて降りてきたのは、澪であった。彼らと同じ猟兵の登場に目を丸くするヨシュカ。
「……これで、臭い……外……漏れません、よー……」
「すまないな、助かる。私はネフラ・ノーヴァ、こちらはヨシュカ・グナイゼナウ殿だ」
「よ、よろしくお願いします」
「……寧宮・澪……こちらこそ、よろしく……お願いします、よー……」
挨拶を終えて、さてとアンコくんに振り返る。幸せ夢心地の彼には申し訳ないところであるが、ネフラはすらりと刺剣を抜くと、素早くアンコくんのエラに致命の一突きを刺し込んだ。
動脈を破壊されたアンコくんの体から、鼓動に合わせて命が赤い砂浜に溶けて行く。
しっかりとその血を出し終えれば、今度はヨシュカの鋼糸が手早くアンコくんを解体する。手慣れた動きで切り分けた中から、不死蟹の幼体の殻、生命の書片を取り出した。
「……運搬なら……私のユーベルコードが、あります、よ……?」
小首を傾げる澪の言葉。しかしヨシュカは空に浮かぶ陽よりも明るい笑みを浮かべて袖を捲る。
「蟹の殻は重たいですが、そこは男の子ですので。持ち運びはお任せ下さい」
気合です、と力瘤を見せて生命の書片を担ぐヨシュカに思わずほっこり笑う澪とネフラ。
確かに蟹の殻は重いが女性と言えども猟兵、ひとつ程度なら運べただろうが、ヨシュカの進言に従い運搬を任せるようだ。
「アンコウは私が持っていこう。フフ、がんばる男の子は可愛いものだ」
「……です、ねー……」
「? どうかされたんですか、お二人とも?」
互いに顔を見合せて笑う姿に疑問符を頭に浮かべつつ、帰路へと向かう。
途中、うっかり澪が溢した不死蟹の甲羅に広がる自然について、ヨシュカが生命の書片を持ったまま話に熱中してしまい疲れ切るトラブルもあったが。
猟兵たちは棄権な目に遭うこともなく、それぞれの獲物を手に自らの居場所へと帰って行った。
アンコくんは未だに不死蟹海岸に存在しているが、生命の書片を食らえば無限の満腹感に狩りをすることも無くなるだろう。元より、他猟兵の活躍で個体数が減った以上、それ以外に生き延びる道はないかも知れないが。
寧宮・澪:アンコくん、生命の書片×1を持ち帰り完了。
ネフラ・ノーヴァ及びヨシュカ・グナイゼナウ:アンコくん、生命の書片×1を持ち帰り完了。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵