帝竜戦役①〜崩れよ身躯、啜られよ魂
●崩竜
『魂喰らいの森』の中に、一頭の竜がたたずんでいた。
ふと、その竜は、傍らの岩に視線をやる。
まるで溜め息をつくかのように、竜は吐息を岩へかけた。
すると、岩は、竜の息がかかった部分から塵と化し、風に流されてゆく。
竜にとって、その目に映るあらゆるものは、己の力を少し発揮するだけで崩れ去る、儚いものであった。
●グリモアベースにて
「アックス&ウィザーズのオブリビオン・フォーミュラ、『帝竜ヴァルギリオス』が動き出したぜ。世界滅亡を止めるために、帝竜ヴァルギリオスを倒さなければならない。それには、群竜大陸を踏破することが必要だ」
宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)は語る。『帝竜戦役』が始まったのだ、ということを。
「皆には、まず、『魂喰らいの森』に向かってもらうぜ。『生物の魂』を喰らう動植物が生息してる森だ。ここには、『森の番人』って呼ばれてるオブリビオンがいる。『崩竜・ヴァッフェントレーガー』っていう名前のドラゴンだ。この竜と戦って、倒してくれ」
一拍置いて、彼は続ける。
「ヴァッフェントレーガーは、あらゆるものを崩壊させる能力を持ってるぜ。それに加えて、そのユーベルコードには『魂を啜る効果』のおまけつきだ。けど、打開策はある」
人差し指を一本立て、拓未は言った。
「楽しい思い出を、強く心に念じるんだ。そうすりゃ、敵のユーベルコードに付随する『魂を啜る効果』に対抗できるぜ」
猟兵たちそれぞれの胸の中の、楽しい思い出。それが、『魂喰らいの森』における戦いを有利に運んでくれるのだ。
「ああ、それと……ヴァッフェントレーガーを倒せば、森から、『魂喰らいの森の核』を入手できるぜ。半径25センチぐらいの球なんだが、食べ物だな。最高級の牛肉の味と、サボテンの果肉みたいな食感を持つ食材だ。価値は金貨500枚分……つってもピンと来ない人も多いと思うけど。UDCアースの貨幣に置き換えると……」
拓未は軽くウインクして告げた。
「500万円だってさ」
猟兵たちそれぞれの反応を眺めてから、拓未は手のひらの上のグリモアを輝かせた。
「――行くぜ! 転送開始だ!」
猟兵たちは、アックス&ウィザーズの、魂喰らいの森へとテレポートするのであった。
地斬理々亜
地斬です。
よろしくお願いします。
このシナリオは、アックス&ウィザーズの戦争シナリオです。
1章で完結します。
●プレイングボーナス
『楽しい思い出を強く心に念じ、魂すすりに対抗する』です。
これに基づく行動をすると、有利になります。
●プレイング受付
オープニング公開直後から受付開始です。
システム上送れる間は、いつでもお送り下さい。
全採用はお約束できませんが、できる限り採用したいと考えています。
●省略記号
アドリブ歓迎の方は、プレイング冒頭に『◎』と書いてくだされば対応します。
文字数節約に、よろしければご利用ください。
●ユーベルコード
ユーベルコードを複数使用するプレイングは、採用優先度を落とさせていただきます。どうかご了承ください。
それでは、ご健闘をお祈り致します。
第1章 ボス戦
『崩竜・ヴァッフェントレーガー』
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POW : ネーベルヴェルファー
【自身の周囲に生じた魔法陣】から【何もかもを“崩壊させる”火球】を放ち、【超遠距離からの面制圧爆撃】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : ヴィルベルヴィント
【顎】を向けた対象に、【消失や崩壊を与える速射のブレス】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : ホルニッセ
【自身の“崩壊”すらも省みない状態】に変形し、自身の【射程距離】を代償に、自身の【巨体による攻撃力や機動力】を強化する。
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠フォルティナ・シエロ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
箒星・仄々
◎
心情
強すぎる力故に
己一人だけで在らざるを得ないとは
お可哀想に
骸の海へと還して差し上げましょう
手段
防御力強化
渦巻く水を盾として突撃
:見切り&火炎耐性
火球として具現化するなら
水に弱いのが理でしょう
水壁を崩壊されても
すぐに魔法で再生
水煙をあげつつ面制圧の範囲から抜け出したら
水鏡の分身で攪乱し更に接敵しKナーゲルを一閃
魔法陣ごと切り裂く
:迷彩&残像&早業&先制攻撃&フェイント&見切り&属性攻撃&串刺し&破魔
この世界を
命を
砕けさせやしません!
魂啜り
A&W始め
これまで出会った
そしてこれから出会う大勢の方々の笑顔を思い浮かべます
沢山の笑顔をこれからも増やし続けますよ~♪
;優しさ&勇気&恩返し
●笑顔の思い出
「強すぎる力故に、己一人だけで在らざるを得ないとは。……お可哀想に」
森の中に転送された、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、たたずむ崩竜を見上げ、それから帽子を被り直した。
「骸の海へと還して差し上げましょう」
言った仄々は、ユーベルコード『トリニティ・エンハンス』を発動する。水が現れて渦巻き、仄々の体を守る盾となった。
水の盾を携えて突撃してくる仄々から、翼を羽ばたかせて距離をとった崩竜は、自身の周囲に魔法陣を発生させる。そこから次々に放たれた火球が、仄々へと迫った。
水の盾は、一瞬で崩壊し、蒸発する。だが、これは仄々の想定内だ。仄々は即座に、魔法の力によって水の盾を再生した。
連続で放たれる火球に対し、水の盾の再生を繰り返すことで耐える仄々。その時、彼は背筋に寒気を感じた。……魂啜りだ。
仄々は思い浮かべる。アックス&ウィザーズを始めとして、これまで出会ってきた、沢山の人々の笑顔を。
『恩返し』として、誰かの力になることが生き甲斐である仄々にとって、誰かが笑顔を浮かべている光景というのは、仄々にとって快い思い出であった。
これからも仄々は、様々な人々と出会い、沢山の笑顔を増やし続けていくだろう。
「この世界を、命を……砕けさせやしません!」
火球をしのぎ、魂啜りに対抗した彼は、全身から水蒸気を立ち上らせながら駆けた。
水鏡による分身で崩竜を撹乱しつつ、さらに彼我の距離を詰める。
仄々は魔法剣を構えた。『ねこのつめ』、カッツェンナーゲルの名を持つその細身の剣を、一閃する。
周囲に展開した魔法陣と、崩竜の体が切り裂かれ、決して浅くない傷がその身に刻まれた。
「グルオオォォ……!!」
崩竜は痛みに声を上げ、猟兵を見下ろす。仄々はその視線を、真っ向から受け止めた。
成功
🔵🔵🔴
トリテレイア・ゼロナイン
(UC装着)
戦機に『魂』があるかはさておき
どうも不可解な演算速度低下の形で『魂喰らい』が表出するようです
この装備に関してメーカーの方々との思い出があります
全環境に適応する為、猟兵としての戦闘データを提供したこと
スペック重視と実際の使用時の安定性の狭間で激論を交わしたこと
起動テストで目標値を達成した際の管制室の歓声はプロジェクトに関わった者として喜ばしいものでした
慣性制御による運動性で火球を回避、時に対艦砲の●スナイパー●武器落としで迎撃し飛んで接近
そのように飛ばれては御伽の騎士のように戦うのは難しいので…
砲をハッキングし●限界突破
ビームの●なぎ払いで翼を切断
SSWの英知で地に墜ちて頂きましょう
●装備にまつわる思い出
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、転移が終わるやいなや、スペースシップワールド産の試作兵装を身に纏った。
『戦機猟兵用全環境機動型大型標的攻撃試作装備』。
各種追加装備を装着したトリテレイアは、全身のセンサーを用いて、遠距離で飛ぶ崩竜の情報を探知しようと試みた。
「……不可解な演算速度の低下が私自身に見られますね。これが『魂啜り』ですか」
ウォーマシンに『魂』があるのかはさておき、己にはこのような形で『魂啜り』が表出したのだと、トリテレイアは理解した。
彼は、自身の過去の情報を検索し、それを引き出す……生命体で言うなら、『思い出に浸る』。
今現在トリテレイアが纏っている兵装の、メーカーの人々との思い出だ。
全環境に適応する能力を開発するために、トリテレイアが、猟兵としての戦闘データを提供したこともあった。
スペックを重視することと、実際に兵装を使用した際の安定性。その狭間で、メーカーの人々とトリテレイアが激論を交わしたこともあった。
ついに迎えた、起動テストの日。目標値を達成したその時、管制室から上がった歓声。その時トリテレイアが感じた、喜び。これらは、消去したくない記憶情報……つまり、忘れられない思い出だ。
「演算速度は安定したようですね」
トリテレイアは飛行し、崩竜の眼前を目指す。迫る火球は、慣性制御を用いて回避。時には、対艦砲で火球を撃ち落とした。
「そのように飛ばれては御伽の騎士のように戦うのは難しいので……」
自らのビーム砲をハッキングし、リミッターを外す。どこまでも伸びるビームで、薙ぐ。これにより、崩竜の翼は切り落とされた。
「スペースシップワールドの英知で、地に墜ちていただきましょう」
その言葉どおり、片方の翼を失った崩竜は、轟音と共に地面に落下したのであった。
大成功
🔵🔵🔵
御狐・稲見之守
盃を傾ける度に、ワシの治める土地の者達のことを思い出す。祭りだなんだと宴が始まり真なる姿を見せれば、御神酒だやれ呑めと男共は酒を次々と注いで来て。ふふ、呑み競うなら相手になるぞ…なんてナ。時を経て顔ぶれが変わろうとも、そんな酒呑みの光景は変わらんものよ。
さて、しばらくすれば豊作祈願の祭りじゃ。竜退治の土産話でも持って帰らんとナ。
[UC眩惑の術][催眠術][呪詛][精神攻撃]……彼奴め、己の崩壊をも厭わないか。しかしそれも限界のようじゃァないか? 彼奴に自身の体が崩壊する幻覚を見せ、その動きを封じてやろう。飛ばれては厄介じゃ。
動きを封じたら[生命力吸収]じゃ。さあ、お前の精気を、魂を啜ってやる。
●土地の人々の思い出
(「やれ、思い出すナ。ワシの治める土地の者たちのことを」)
御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)は、敵のユーベルコードに伴う魂啜りに対抗するために、己が胸に抱く思い出を噛み締める。
(「祭りだなんだと、宴が始まり。ワシが真なる姿を見せれば、『御神酒だ、やれ呑め』と、男共は酒を次々注いできて。『ふふ、呑み競うなら相手になるぞ』……なんてナ」)
美しい大人の女性の姿を、稲見之守は真の姿の一つとして持つ。その姿で、人々と酒を酌み交わしたのであろう。
長く生きる妖狐である稲見之守にとっても、酒呑みの光景はいつでも変わらないものであった。
たとえ、時を経て顔ぶれが変わろうとも。
「……さて、しばらくすれば豊作祈願の祭りじゃ。竜退治の土産話でも持って帰らんとナ」
敵による魂啜りへ抗いきった稲見之守は、崩竜の巨体を見上げる。
崩竜は、自身のユーベルコードによって、己の崩壊すら厭わぬ状態へとその身を変えていた。
「グルルアァ!!」
崩竜は後ろ脚で地を蹴る。そのまま稲見之守の小さな体を爪で引き裂こうと、崩竜が前脚を振り上げた。
「……彼奴め」
左右で色の異なる瞳を、稲見之守は崩竜へ向けた。
「しかしそれも限界のようじゃァないか?」
稲見之守がその言葉を放った途端、崩竜はがくりとバランスを崩し、横倒しになった。
これは、稲見之守のユーベルコード、『眩惑の術』の効果である。崩竜は今、自分の四本の脚が崩れ去る幻覚を見ているのだ。飛ぶことはおろか、立つこともままならない。
動きを一時的に封じられた崩竜へ、稲見之守は悠々と手のひらを向けた。
「さあ、お前の精気を、魂を、啜ってやる」
崩竜の生命力を、稲見之守が吸い取ってゆく。
自分が魂を啜られる側に回るなど、果たして崩竜が想像したことがあっただろうか。
大成功
🔵🔵🔵
ビスマス・テルマール
◎
以前その核を心臓にしてた敵を皆で倒しなめろうにしましたが
※依頼『勇者の伝説と氷雪の森』参照
●思い出
例の依頼の後
分けて貰った核で作って食べたアレも
牛ハツっぽい旨味と味噌が合い
それに食感がサボテンの果肉みたいに独特で良いアクセントに
……またなめろうに出来ると考えると
●POW
『早業』でUC発動
『オーラ防御』と『激痛耐性』で備え即座に『属性攻撃(味噌)』と『誘導弾』を込め『鎧無視攻撃』で貫通性を付与した『砲撃』の『制圧射撃』で『範囲攻撃』で相手のUCの火球の面制圧に対抗
とあるお寺の火事を味噌で消化した逸話もあるので
同程度かそれ以上の弾幕で対抗すれば押し通せる筈
巨大化した分
弾も大きくなってる筈ですし。
●超高級なめろうの思い出
(「『魂喰らいの森の核』……以前、それを心臓にしてた敵を皆で倒したことがありましたね」)
ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は思い起こす。
その時、核の一部を仲間に分けてもらったビスマスは、それをなめろうにして食べたのであった。
噛み締めるたびに溢れ出したのは、牛ハツを思わせる、とろけるような旨味。
その旨味が、味付けの味噌とコンビネーションを決めていたことには感動すら覚えた。
それに、サボテンの果肉のような独特の食感は、アクセントとして最高だった。
「……またなめろうにできると考えると」
ビスマスは崩竜を見据える。
それから彼女は、素早く、大地の結晶を、腰に巻いたベルトにセットした。
『Hyper Bismuth!』
起動音と同時に、ビスマスはオーラ鎧装に覆われる。マグロ、バナナ、アボカドを模した鎧装だ。
巨大な『ハイパービスマス』への変身を遂げた彼女は、即座に、固定砲台の砲口を崩竜に向けた。
「――グルゥ!」
崩竜は片翼を羽ばたかせ、火球による面制圧爆撃を開始した。砲弾ごとビスマスを崩壊させきるつもりだ。
「火除け味噌、という物があります」
毅然と言い切ったビスマスの砲台から無数に放たれたのは、味噌属性の弾であった。
とあるお寺が火事になった際、その延焼を、味噌で防いだ……という逸話を、ビスマスは知っていた。
すなわち――。
「味噌は火に勝てるんです」
その宣言を証明するかのように、火球は全て巨大な味噌弾で打ち消されていたのだった。
魂啜りも、楽しい思い出を持つビスマスには通じない。
「終わりです」
崩竜の胸へ、誘導弾が吸い込まれる。それは鱗を貫通し、急所を破壊した。
「グアアァ……!!」
断末魔を上げ、崩竜は倒れ伏す。
「これでまた、あのなめろうを楽しめますね」
足元に転がってきた核を拾い上げたビスマスは、満足げに一つ頷いたのであった。
大成功
🔵🔵🔵