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帝竜戦役②〜細氷の空

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸


●それは全てを檻へと閉じ込めるもの
 氷に覆われた大地と、無数につき立つ氷像。
 延々と続く白い大地の中で、それらは新たな来訪者を待っていた。
「マだカ……」
 内の一体がゆっくりと身を起こし、遠くの地平を見る。
 ここを拠点として、どのくらいたっただろう。ヒトの姿に近かったはずの体躯はいつの間にか変質し、とても歪なものになってしまった気がする。
 しかし、そんなことは気にならなかった。此処は住み心地が良いし、何よりここにいると力が漲る。吐く氷は依然より強くなったし、空も飛べるようになった。
 ここならきっと、存分に力を振るい、敵を蹂躙できるだろう。
 だからそれは待っていた。強きものを屈服させ、己の虜とする時を。
 自分の目に敵う、新たな強者を。

●グリモアベースにて
「やって来たぜ。戦争の時間だ」
 行儀悪くテーブルに腰を下ろし、猟兵達を待ち構えていた四辻・鏡(ウツセミ・f15406)は彼らの姿を見るなりにやりと不敵な笑みを見せた。
「今回の戦場はA&W、敵は帝竜ときたもんだ。大層な名前を名乗っている通り、敵の戦力は馬鹿にできねぇ」
 さらに、帝竜と名を持つものは一匹ではない。蘇ったそれらは群竜大陸の各所で控え、世界を亡ぼす機を待っているのだ。
「奴らを倒さねぇと、大元のボスには辿りつけねぇんだが……まずはそこまでの道の確保だな。早速だが、お前達には途中にある戦場へ向かって敵を撃破、その上で制圧をしてもらうぜ」
 今回の戦場は群竜大陸の入り口となる荒野。敵となるのはブリザードと呼ばれるリザードマンのオブリビオンの群れだ。氷を操り、自らが氷漬けにした領域に生活している。
「普段ならその姿は少女に近いんだが……今回は違う。荒野に吹く、オブリビオンをドラゴン化する風の影響で、その姿は限りなく竜に近くなっている」
 可憐だった筈の少女の額には一対の角が生え、背には巨大な翼を持ち、軽々と大空を飛ぶ。白かった肌は固い白銀の鱗に覆われ、今は見る影もない。
「敵の攻撃手段は、その名の通り氷にまつわるモノが多いな。近接なら周囲の気温を下げると共に超冷凍の爪で攻撃してくるし、遠距離ならば吹雪のブレスを吐いてくる。また、ヤツの領域にはいくつもの氷の彫像があるんだが……」
 その中身は生きたまま氷漬けにされたもの達。彼女達曰く、『コレクション』であるらしい。敵はそれらを守るために、テレポートを使う術も持っているようだ。
「まぁ、元の正確が戦いを好んでいるようだからな。戦いの中では移動手段の一種として使ってくるくらいだろうよ。それよりも厄介なのは、ヤツの翼と鱗だ」
 先に言った通り、彼女はドラゴンとしての力も獲得している。彼女の翼は上空から氷を降らせることを可能とするだろうし、その硬い鱗は並の攻撃では貫くことは叶わないだろう。
「いかに空中からの攻撃に対処し、鱗をブチ抜いて攻撃を通すかってのが重要だな。必ず、何かしらの対策をとって挑んで欲しい」
 そこまで言うと、伝えるべきことは済ませたとばかりに鏡はタブレットからグリモアを起動する。
「今回の戦争も、正直あまり猶予はない。ついでにいつも通り世界の危機ってやつもかかってる。……けれどお前達ならなんとかなるだろうよ」
 あ、そういえば最後に、と間際になって鏡は思い出したように敵の情報を一つ付け足した。
「ドラゴン化の影響か、ヤツを倒すと竜胆石(りんどうせき)っていうお宝も手に入るみたいだぜ。一匹につき一個とれて、売ればそれなりになるとか。興味があるなら回収してもいいんじゃないか?」
 それじゃ宜しく頼むぜ、と最後に残して、今度こそ。鏡は猟兵達を送り出すのであった。


天雨酒
 GWですね! つまり戦争ですね!
 その世界の初めてのシナリオが戦争、個人的にあるあるです、天雨酒です。

●シナリオについて
 今回は一章で完結する戦争シナリオです。
 今回、下記のプレイングボーナスが発生しています。

 プレイングボーナス……空中からの攻撃に対処し、硬いうろこに覆われた「急所」を攻撃する。

 これに基づく行動をすると判定に於いて有利になりますので、積極的に狙ってみてください。
 敵の情報はオープニングの通りです。
 補足しますと、彫像にされている人達は故意に攻撃したり衝撃を加えなければ壊れたりはしませんのでご安心ください。戦闘の後に然るべき処置を取るべく保護されます。

●プレイング受付について
 今回は断章を挟みません。公開次第受付開始いたします。締切については今回は早めを予定しています。詳細は追ってTwitter、MSページにて連絡の予定です。
 完結優先の為、大人数のプレイングを頂いた場合は全員の採用は難しいかと思います。ご了承いただけたらと思います。

 それでは、宜しくお願いします。
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第1章 集団戦 『ブリザード』

POW   :    ブリザードクロー
【周囲の気温】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ダイヤモンドダストを放つ超硬質の氷爪】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブリザードブレス
【レベル×5本の氷柱を伴う吹雪のブレス】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を氷漬けにして】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    人質策
【氷漬けにした被害者】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
花開院・月下
世界の危機ってならあたしも立ち上がろうじゃないかぁ!!
いくぞいくぞいくぞぉ! なんだアイツ随分と可愛い顔してんじゃないの……(ギリィ!

その綺麗なお顔歪ませてやんよぉ!
息を吸ってぇ……【大声】で叫ぶ!
隣の客はよく柿食うきゃぶ!?!?(舌を噛む
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!いだぁぁぁい!!!

舌が痛いまま白閂雷花を発動、苦無をダイヤモンドクローにぶつけながら本命はその後に放たれる雷、当てて地に降れば急所を狙う

くそ!可愛い顔しやがって!!往復ビンタ!!!……コイツかってぇ……


テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可
SPD

これは寒い!色々と応えます…
それに…氷漬けになった犠牲者が…人質に取られると厄介なので【癒しの鳴き声】で治療して逃がしてあげたいところです
普通に治療しても相手に気づかれてしまうので自ら囮になって騒ぎを起こしながらも治療して逃がしましょう!
ついでに【石化ポーション】を投げて急所部分のうろこを石化させて耐久力を減らしましょう!仮にわたしが凍らされてしまっても他の方が石化した急所を突けば…!
(テフラが凍らされるかはお任せします)



●月は吠えて、兎は眠る
 その足音に、ブリザード達は静かに目を開けた。
 帝竜へと至る道。それを切り開くべく、白銀に彩られた荒野に踏み入れた姿がまずは、二人。
「これは寒いっ! 色々と応えます……」
 内の一人、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は、踏み入れると同時に急激に下降した周囲の気温にふるりと身を震わせる。まるでこの地域一帯だけ、別の世界を切り取ってきたかの様だ。
「世界の危機ってならあたしも立ち上がろうじゃないかぁ‼」
 一方、共に転送されてきた花開院・月下(陰陽師は忍べない・f23321)は極寒の世界など何のその。正義の心を熱く滾らせ、胸の前で拳を握りながら眼前の敵を睨みつけている。
 全力で張った月下の声を聞きつけ、翼を広げ臨戦態勢を整える少女の名残を残した氷竜達。新たな獲物を喜ぶように飛来してきた数は、二体。
「エモの、えモノダ!」
「たおシて、凍ラせてやロウ!」
 騒ぐ彼女達の下、雪原にあるいくつもの氷像を見て、テフラは微かに眉を曇らせた。
 案内してくれた猟兵の話曰く、あれらの中には氷漬けにされ、仮死状態になった犠牲者がいるという。戦闘の巻き添えになってしまう可能性がなくはないし、万が一人質に取られてしまうと厄介だ。
「そんな訳ですので、わたしは支援しつつそちらの救助に入りたいのですが」
「よし! じゃあ頼んだ!」
 少しの間、敵の注意を惹きつけて貰ってもよいか、そう提案しようとしたテフラに、月下は食い気味で了承しながら地を蹴った。
「いくぞいくぞいくぞぉ!」
 気合の雄叫びと共にブリザード達へ突進し、苦無を振りかぶる。
 戦争はまだ始まったばかりだし、こんなところでいつまでも時間を費やしている暇はない。ついでに言えば、ドラゴンに成りかけている筈の彼女達が随分と可愛い顔をしているのがちょっと腹立たしかったりする。
 なのでここは、一気にカタをつけるーー!
「その綺麗なお顔歪ませてやんよぉ!」
 月下は大きく息を吸う。まずは相手の意を突いて隙を作り、その間に術を叩き込む算段だ。
 その為に――月下は全力で叫ぶ! 喉と肺と腹筋を総動員させて!
「隣の客はよく柿食うきゃぶ!?!?」
 がちん。
 思いっっ切り舌を噛んだ。総動員の中に舌力は入って無かった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!いだぁぁぁい!!!」
 結果、絶叫した。そりゃもう、許されるのなら氷の地面をもんどりうつかの勢いで。
 それは月下の本日最大の叫びとなり、目の前の氷竜達は『何こいつ?』の目で彼女を見て、思わず空中で停止してしまう。
「隙ありぃ!」
 しかし、それこそが月下の狙い。多分。
 月下は文字通り舌の痛みをかみ殺して、握りしめていた苦無を投げつける。宙を飛んだ苦無は竜の氷の爪にぶつかると、音を立てて跳ね返り――。
「轟けええぇぇぇぇぇッ‼」
「ガァアッ!?」
 刹那。破魔宿す白き雷が二匹の竜を穿ち、地面へと引き摺り堕とした。
「今のうちです!」
 月下の雷が視界を奪うと同時に、回り込んでいたテフラは氷像の前へと滑り込む。
 慎重に氷を砕き、癒しの猫の鳴き真似を行い、応急処置を済ませていく。数人は意識を取り戻し、自力でその場を脱出できたが、中には直ぐには動くことがままならない者も居た。
 このままでは相手に気付かれてしまう。最悪、自分が囮になって気を引いてでも逃がそうかと考えた時に、敵とぶつかり合っていた月下の方から大声が聞こえた。
「コイツかってぇえっ! くそ、可愛い顔の癖に!」
 みれば、墜落した氷竜へと飛び掛かっている月下が手を抑え、盛大に顔を顰めている。どうやら素手で殴りかかったところ、予想以上の鱗の硬さに苦戦をしているようだった。
 そうこうしている内に、敵側も月下を跳ね飛ばし、氷の爪を繰り出し反撃を開始していく。
(このままではいけない……!)
 仲間の危機を見たテフラは、咄嗟に手持ちの小さな瓶を竜に向けて投げつけた。
 しかし、背後からの攻撃に気付いた竜が尻尾で難なくそれを打ち払う。硝子の器が割れ、中に入った薬品が氷竜の身体へと降りかかった。
「なンダ……?」
「かかりましたね!」
 変化はすぐに起こった。薬品がかかった部位から、氷竜の身体が音を立てて石化し始めたのだ。
 テフラが投げつけたのは、付着と同時相手の身体を浸食し、石へと変えてしまう石化のポーションだったのである。
 いかに強靭な鱗と言えど、その影響は免れない。乾いた音を立て、石化した箇所が罅割れていく。
「よぉぉおしっ!」
 月下が苦無を構え直し、石化した部分へ向けて斬りつけた。先程まではあんなに硬かった鱗はあっけなく斬り裂かれ、氷竜の一匹が血を撒き散らしながら斃れていった。
「これで残りも勝ったも同然! 寒さで氷漬けは回避ですね!」
「ちょっとそれ」
「えっ?」
 そのタイミングで言うということは、つまりそういうである。
「オノレ……」
 ふと気配を感じ、テフラが背後を振り返ればそこには氷竜の姿。動けないなどなんのその、テフラの背後にいた犠牲者を介して、テレポートしてきたのだ。
「こ、これはわたしのユーべルコードではなく、アイテムの効力……万が一わたしが凍らされてしまったとしても、その効力はすぐには消えませんので……!」
 至近距離から吹雪のブレスを吹きかけられ、氷像コレクションの一部と成りながらテフラは最後にそう言い残したのだった。
 
 その後、追い付いた月下がもう一匹の氷竜も仕留め、テフラだった氷の像は無事回収の上、転送されたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御桜・八重

【SPD】

やって来ました群竜大陸!
緒戦はあの子たちなんだね。
わたしも飛ぶことは出来るけど、硬い鱗は厄介だなあ…
でも、急所を狙っていけばなんとかなるよね。
えーと急所急所…… って、どこーっ!?

よーし。
「護りの花よ、咲きほこれ!」
【花筏】を発動。
数ヶの桜色のオーラを広げた髪飾りで自分を護りながら、
残りをブリザードに殺到させる。
四方八方から攻められた時、つい庇っちゃううところが
急所に違いないよ。
あとは気合いと第六感で見切る!

「そこ!」
急所を見つけたら相手のところまで
髪飾りを帯の様に並べて、それを足場にダッシュ。
桜の流れを駆け上がって急所を貫く!
「冬はもう終わり。桜の巫女が春をお知らせするよ!」



●桜隠し
 先の猟兵達と入れ替わる様に降り立ったのは、御桜・八重(桜巫女・f23090)だった。
「やってきました群竜大陸!」
 踏みしめた大地を確認するように軽く蹴りながら、八重は周囲を見渡す。
 一面氷に覆われた荒野、遮蔽物はなく、見えるのは点在する氷の像ばかりで、動くものは――。
「仲間ヲ、よクも……!」
 予期せぬ反撃を喰らい、怒りの声を上げる氷竜達の姿だった。
「緒戦の相手はあの子たちなんだね」
 冷静に相手を観察する八重の前で、竜達は両翼を広げ、空へと舞い上がる。強風を伴いながら一気に距離を詰めた竜の口から、吹雪のブレスが繰り出された。
「っとと……!」
 慌てて横に跳ぶことでブレスの直撃を避けながら、厄介だなぁと八重は漏らした。
 空中からのブレスが、ではない。それは強力ではあるが、空を飛ぶことは八重にだって出来る。このまま空中戦に持ち込めば相手の空からの優位性は相殺される。
 けれど問題なのは氷竜の少女を覆う硬い白銀の鱗の方。せっかく攻撃が届いたとしても、弾かれてしまっては意味が無い。
 それなら急所を狙っていけばどうだろうか。いくら丈夫な鱗に守られているといっても、必ず綻びはある筈……。
「えーと急所急所……って、どこーっ⁉」
 上空を見上げた八重は思わず声を上げた。自分の弱点を分かりやすく知らせる程、敵も甘くはない。
「よーし……」
 それなら、こちらから攻撃を仕掛けて探りだすまでのこと。
「護りの花よ、咲きほこれ!」
 詠唱に従い、八重の周囲に六十以上の桜の髪飾りが召喚される。桜色のオーラを広げたそれは、彼女の盾であると共に攻撃の手段ともなる。
「いっけー!」
 盾として最低限の数を周囲に残しつつ、一斉に氷竜へ向けて殺到させた。
 右から左へ、前方から背後へ。四方八方へ散らばして、桜色の盾が竜を撃ち落とそうと絶え間なく襲い掛かる。
「ちょこマかト鬱陶シイ……!」
 氷竜達も吹雪を吹き付けて応戦を試みるも、圧倒的な八重の桜の数には対応しきれない。二度、三度と桜が白銀の身体を掠める内に、ある氷竜が不自然な動きを見せた。
(今のは……!)
 その動作を見た八重が叫び、桜を呼び戻す。
 八重の前方で、桜色のオーラが帯を作り出す。水面を泳ぐ花筏は此度のみ、澄み渡った大空で八重と敵との道を繋いだ。
 たん、と勢いよく花道を駆けあがる。狙うのは、先程不自然な動きを見せた個体。桜がそのわき腹を掠めかけた時、それは嫌がる様に腕で庇い、大きく距離を取ったのだ。
 確証がある訳ではないけれど、きっとそこが、彼女の急所。
 赤い花弁の紋を描く妖刀を構え、一気に竜のわき腹へ突進する。前方から凍てつくようなブレスが吹きつけられるが、桜の盾を翳しながら強引に進んでいった。
「そこっ!」
 敵まで、あと少し。足に力を籠め、八重が大きく跳躍する。盾としていた桜を敵にぶつけ、体勢を崩したところで急所へ向けて刀を走らせる。
「冬はもう終わり。桜の巫女が春をお知らせするよ!」
 鱗が脆い箇所を斬りつけられ、墜落する氷竜へ向けて八重はそう宣言し、次の敵へと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍・雨豪
この土地は戦いに溢れてるのね。
戦いで生計を立てれるなら私には好都合かしら。
それに帝竜とやらを殴れれば少しは気が晴れる気がするわ!
本当はアイツ(※1)をぶん殴ってやりたいのだけどね。
まぁ、いいわ。そのリザードマンたちを退治してくればいいんでしょ?
ふふっ、戦闘好きな種族なら存分にやり合えそうね。

相手が飛んでいるならこちらも飛ぶだけよ。
多少氷を貰ってでも最短距離で突っ込んで鱗の上から強引に殴りつけるわ!
ご自慢の鱗も爪も片っ端から一撃で粉砕してやるわ。
受けたダメージが蓄積してきたら後退しましょ。
氷漬けにされたら笑えないものね。

あ、お宝はぜひ欲しいから回収するわ!


※1:こちらの世界に来る原因になった相手



●破砕竜
 聞けば、この土地は常に戦いが溢れているという。
 剣があり、魔法があり、竜がいる世界。ましてや今は大きな戦いの真っ最中で、この先戦いは激しくなるばかりだろう。
「戦いで生計を立てれるなら、私には好都合かしら」
 一騎打ちや決闘など、シンプルな戦いを好む龍・雨豪(虚像の龍人・f26969)は、自身が置かれている場をその様に評した。
 それに、と思う。
 噂の帝竜とやらを殴れば、不慣れな世界に飛ばされ、苦労した気も少しは晴れるかもしれない。
(本当は、アイツを殴ってやりたいんだけれどね……)
 今は姿を見ることもできない自身の宿敵への想いをそっと胸に秘めながら、雨豪は空を見上げる。
 そこには、新たな獲物を認め、様子を伺う氷竜達が浮かんでいた。
「まぁ、いいわ。まずはあのリザードマンを退治してくればいいんでしょ?」
 雨豪は笑みを浮かべて、自身のドラゴニアンとしての翼を広げる。
 相手が飛んでくるのであれば、こちらとて飛べばいいだけだ。
「ふふっ、戦闘好きな種族なら存分にやり合えそうね」
 悠長に相手の出方を待つ必要などない。拳を握りしめた雨豪は一番近くにいた氷竜の上手を取り、急降下と共に殴りかかった。
「グウッ……!」
 直前で接敵に気付いた竜は、封印を解いた氷爪から氷の結晶を孕む突風を吹き付けてくる。しかし、雨豪は止まらない。此方が貰うダメージよりも、このまま突っ込んでいくダメージの方が大きいと判断したからだ。
「これくらい!」
 薄く氷を張った拳を、渾身の力を込めて氷竜へと振り下ろした。硬い手応え。衝撃で氷竜が墜落し、凍てついた地面が大きく陥没し、氷混じりの土煙が上がる。
 雨豪もすかさず地面へと下降し、追撃を試みる。
 拳に伝わった手応えから分かっていた。相手が直前で雨豪の拳をガードしたことを。故に、まだあれを斃しきれていないということ。
 土煙が収まらない中を躊躇う事なく突っ込むと、白銀の光が走った。直前で停止し、なんとかこれを避けると、怒りに染まった氷竜の双眸が視界に飛び込んでくる。
「来なさい。ご自慢の鱗も爪も片っ端から粉砕してやるわ」
 地面へと着地し、挑発するように雨豪は片手で氷竜を手招いた。
 見れば、竜の片腕はおかしな方向へ曲がり力なく降ろされている。ガードしたとはいえ、雨豪の拳はダメージなく受けきれるものではないのだ。
 ――ならば、片腕だけの不完全な状態の今なら。より致命的に、破壊的に拳を入れられる。
 氷竜が吠え、残る片腕の爪を振り上げる。それを冷静に見切り、受け流す。同時に足払いを仕掛け、体勢を崩した。一瞬、宙に浮く氷竜の躰。その隙に、今度こそ。
「はッ――!」
 その胴体に、一撃必殺の拳を叩き込んだ。
 彼女の拳は今度こそ、硬い鱗を粉砕し、深々とその身体を貫き、絶命させる。
 相手が動かなくなったことを確認して、雨豪は深く息を吐いた。
「こんなものかしら……」
 少々時間をかけすぎた。氷竜の群れは完全に、こちらの存在に気付いてしまったようだった。このまま真正面から飛び込んだとしても、一斉砲火を受けてしまうだろう。
「名残惜しいけど……氷漬けにされたら笑えないものね」
 竜の亡骸から竜胆石を回収し、体勢を立て直すべく一度撤退を選ぶのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

榎本・英


生きたまま氷にだなんて、趣味が良いね
嗚呼。コレクションにしたくなるのも分かるよ
しかし、賛同して協力するわけにはいかないからね

ふわもこたち、相手は氷みたいだ
君たちは得意だろう?
針と糸を手渡して彼らに頼もう
私は身を守る術を持っていない
寒さを凌ぐためにふわもこ達を服に入れておこう。

渡した糸を敵に絡ませ
硬い鱗の隙間に針を突き刺す。
嗚呼。生きたままの者がいるからね、気を付け給え。

私は彼らの援護を行おう
彼らから戦っている間、目立たないで近付く
ふわもこが張り巡らせた糸を伝い
そこから腕の部位破壊を狙おう

空を飛べる君たちに抗うためには協力をしなければならない
さて、もう少しだ
この地を凍えさせないために



●冬の手仕事
「これはまた、随分と寒い所だね」
 踏み入れると同時に急激に加工した気温に、榎本・英(人である・f22898)は白く染まった息を吐き出した。
 そんな彼の言葉を聞いてか、それとも彼女達の気の向くままにか。氷竜達は自身の陣地を固めるように、吹雪を吐き出し、氷の爪を以って周囲の気温を奪っていく。
 対する英自身は、生憎寒さから身を護る術を持ってはいない。
 ――だからここは、彼に従う冬の愉快な仲間たちに力を貸してもらうことにした。
「ふわもこたち、相手は氷みたいだ」
 君たちは得意だろう?
 そう呼ぶと、彼の外套からころりと。毛糸玉じみた愉快な仲間たちが転がり落ちてくる。
 ころころ、ふわふわ。まるくて愛らしい冬の仲間たちのほんの少しを、寒さを凌ぐために服の中へと招き入れて。
 のこりはすぐさま彼の身体を駆け上り、その手に用意された針と糸を受け取り、空へ跳ねあがる。
「いっておいで」
 針を引き、糸を泳がせてふわもこ達が風に乗る。ゆらりと揺られて氷竜に近づくと、先頭にいた一匹が針を持ったまま突進をしかけた。
 その柔らかい身体では大した衝撃にはならないけれど、その手の中にある針はまた、別の話。その鋭い牙は正確に、鱗と鱗の間を通し、竜の肉を縫いつける。
 はじめの一匹に倣う様に、ふわもこがまた一匹、二匹。勇敢なる一匹が残した糸を小さな手で握り、ぶつかった氷竜の身体へと絡ませ、痛みに暴れる彼女を戒めた。
 でもまだ、それだけでは足りないから。抵抗する竜の爪に、毛糸の身体に霜降りてしまうその前に。
「空を飛べる君たちに抗うためには、私も協力しなければならないね」
 冬の朋たるふわもこ達の援護を行うべく、英は手元に残っている糸玉を引く。ぴんと張られた糸の先は、針で縫われた竜達の身体。細く小さな路を伝い、英もまた空へと身を躍らせた。
 途中でちらりと視界の端に映る氷の像達。あの中にはまだ、命を留めたまま眠る人々がいるという。
(生きたまま氷にだなんて、趣味が良い)
 彼らは如何様にして、そうなってしまったのか。氷の中で生きている、その中の物語とは。その一つ一つは英にとっても興味がない訳ではなく……嗚呼、コレクションにしたくなるのも解ってしまう。
「しかし、賛同して協力するわけにはいかないからね」
 氷の爪が我武者羅に振り回され、絡みつく糸が悲鳴を上げる。冷たい結晶が頬を打つ。
 強引に振り解かれ、眼前に突き出された爪を身をひねって躱せば、彼を守る様にふわもこがその腕に針と糸を通していって。
「解いてあげようか」
 印のようにつけられた点線をなぞる様に、英の筆が走った。
 かしゃんと、糸と共に断ち切られた竜の腕が一足先に地面へ落ちる。その感触を確かめながら、次の点線へ。ばらばらになってしまっても大丈夫。針と糸は幾らでもあるのだから、幾らでも練習できる。
「さて、もう少しだ」
 一度地面に降り立った英はすぐに、肩に乗っていたふわもこを空へと飛ばす。次の手習いの、竜達へと向けて。
 もう少し、あと少し。冬の手仕事をするとしよう。
 この地を凍えさせないために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(凍結防止の為●環境耐性を整え●防具改造で脚部の接地面拡大。スラスターでの●スライディング移動でスケーターの様に氷原を滑走、センサーでの●情報収集で探知した四方からの降下攻撃を回避)

局地的勝利を着実に重ねたいところですが…
それとは別に一刻も早く人々を解放しなくてはなりませんね

回避運動の中で敵の機動性は●見切りました
氷爪に合わせ●盾受け●怪力盾殴打
体勢を崩した敵に格納銃器の●スナイパーUC射撃
鱗を炭化させ強度を落とし剣を●投擲、急所を●串刺し
柄尻に付けたワイヤアンカーを鞭の様に●操縦
●ロープワークで回収や攻撃続行

人サイズの敵には騎士として使いたくはありませんが、素早い解放の為致し方ありません



●草薙
 氷の大地を斬る音が響く。
 業を煮やした氷竜が咆哮を上げ、矢継ぎ早に吹雪と氷柱が地上を穿つ。
 その隙間を滑るように駆け抜けながら、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は自身に内蔵されたセンサーで精密にその動きを観測していた。
 いや、実際、トリテレイアは氷が張られた大地の上を滑走していた。寒冷地への環境耐性と適応改造が施された脚部は、底面に鋼鉄のブレードが増設されている。それを巧みに操り、まるでスケーターのように氷の上を疾走しているのだ。
「大規模な戦争の序盤です。極地的勝利を着実に重ねたいところですが……」
 他の猟兵達の尽力により、開始時よりも数は減ったとはいえ点在する氷の像の位置を把握、空間把握機能に書き加えながら、トリテレイアは敵との距離を計る。
 一対多数の戦いだ。堅実に勝利を獲得するのなら、焦らず時間をかけて分断し、各個撃破が望ましいだろう。
 けれど、そういった定石とは別に一刻も早く人々を解放しなくては、という想いもまた、トリテレイアには捨てきることもできなかった。
 例え気にするなと言われても、意識の外に放っておくことはできない。それが、彼という騎士の在り方なのだ。
 ならば、狙うは一網打尽の必殺の一撃。
 その機を作り出す為、トリテレイアは演算機能をフル活動させながら氷の大地を滑っていく。
  相手との一定の距離を保ちつつ、降ってくる吹雪を避け、時折下降して襲い掛かってくる爪は受けずに、紙一重で全て躱す。
 しかし集団の猛攻にその距離は少しずつ詰められ――。
「む……」
 ついには、岩と氷竜のブレスが造り出した氷山の間に追い詰められてしまった。
「追い詰メタ、ゾ!」
「コレで、逃げラレなイダろウ!」
 勝利を確信した氷竜達が一斉に急降下し、冷気を纏う氷爪を振り下ろす。
「いいえ、追い詰めたのはこちらの方です」
 対するトリテレイアは至って平静だった。
 先陣を切って出た一匹の爪が躰に触れる瞬間、大盾を滑り込ませて受け止める。さらに一歩踏み込み、空中で止まったその体躯を盾で殴り飛ばした。
 彼は回避行動の間に、敵の速さ、機動性、攻撃のパターンの全て把握していた。故にその攻撃を見切るのは容易い。対して徹底的に回避に専念していたトリテレイアが見せるカウンターは、彼女達にとっては予想外の出来事。
 弾かれた氷竜の身体が大きく後方へと吹き飛ぶ。必然、後ろから続く形で攻撃を狙っていた数体を巻き添えにする形で。
 敵の陣形が乱れ、団子状になったところで腕部の格納銃器を展開。可燃性の化学物質が籠められた燃焼弾を射出する。
「――ッ⁉」
 命中した傍から上がる火の手に、竜達の悲鳴のような咆哮が上がった。水の中でも消えることなく、あらゆるものを即座に炭化させる炎は、極低温を好む彼女達にとってはまさに天敵。白銀の鱗は瞬く間に黒く染まり、炭となって脆く崩れ去っていってしまう。
 炎が止まない内に、トリテレイアからワイヤー付きの剣が投擲される。装甲が剥がれた彼女達にはもう、彼の攻撃を防ぐ術は残されてはいなかった。
 塊になっていたことが仇となり、剣は氷竜達を纏めて貫いていく。さらにワイヤーを手繰り、振り回すことによりより多くの巻き添えを生み、地面へと叩きつける。
 対象の沈黙を確認。
 竜と共に墜落した剣を抜き、トリテレイアはふっと息を吐き出す。
「人サイズの敵には騎士として使いたくありませんが……、素早い解放の為には致し方ありませんね」
 騎士が火攻めなど、笑い話にもならない。そう自嘲をしながら、トリテレイアはその場に残された氷像達の救出へ向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
コレクションねぇ、いや良い趣味してるぜ全く。奪うつもりはないが、コレクションにされるつもりも、邪魔される気もない。
生憎、もっと成長してる女の方が好みだし……もっと強いヤツのほうが好きなんでね。
さっさと終わらせて、進ませてもらう

UCで機動力を上げて、上からの攻撃を避けながら、炎の竜巻で攻撃していく。
その翼、生えてどれくらいになるんだい?そう長くない期間なら、強い風……それも氷を溶かす熱波を混じったそれにどれだけ耐えられる?

相手がダメージを負ったり姿勢を崩したところで跳びあがり、高速移動の速度を加えた魔裂で急所を突き刺す。
そのついでに、他のブリザードがいたらそいつらに対して炎の竜巻で攻撃してする。



●蝋の翼
 極寒の大地を歩きながら、ゼイル・パックルード(囚焔・f02162)は視界に映る氷の像をみて小さく肩を竦めた。
「コレクション、ねぇ。いいやいい趣味してるぜ全く」
 戦いを求める、という性質自体は解る。しかし、屈服させた相手を逃がすことも殺すこともせず、生きたまま占有するというその習性は、いささか理解が難しいように感じた。
 だからといって、別に奪うつもりはないけれど。望んでコレクションになってやるつもりも毛頭ない。ましてや、より強者との戦いを挑みにいく道中を邪魔されるなどもっての外だ。
 だからと、彼の姿を見つけ、氷の像の上に降り立った氷竜をゼイルは見上げ、敢えて軽薄に笑ってみせた。
「生憎、もっと成長している女の方が好みだし……もっと強いヤツの方が好きなんでね」
 つまり、彼女達では話にならない、と言外にそう告げて。
 彼の言葉を認識してか、翼を広げ挑んでくる竜を斃すべく、ゼイルは持っていた大太刀を抜いた。
「さっさと終わらせて、進ませてもらおうか」
 竜の少女達が彼に与えるものなど、何一つ在りはしないのだから。


 吹き荒れる吹雪の中、ゼイルは降ってくる氷柱を避けながら敵への距離を詰めていった。
 自身の内から生じる業火により、寒さが彼の行動を阻害することはない。逆にこの炎は、寿命という代償と引き換えに彼の能力を限界まで高めてくれる。
 目の前に降ってきた氷柱を刀を持つ手とは反対の手で掴み取る。業火を纏う拳は、竜が生み出した氷を瞬く間に溶かし、水蒸気へと変えていった。
「さて、ここらへんでいいかね」
 とはいえ、このままでは防戦一方だ。ゼイルは竜達の丁度真下に当たる位置まで辿り着くと、空を舞う竜達を見上げる。
 荒野の風の力でドラゴンになったという彼女達。たしかにその翼と白銀の鱗は強力だろう。
「だが……その翼、生えてどれくらいになるんだい?」
 掌に炎を集め、紅蓮の竜巻へと変えて上空に打ち上げる。熱風に激しい吹雪が一瞬にして払われ、ゼイルを中心に、白銀の大地はみるみる内に本来の色彩を取り戻していった。
「アツい……アツイッ!」
 巻き上がる突風に煽られながら、氷竜達は苦しみ藻掻く。生来、氷の領地を棲家とする生物だ。灼熱の風への耐性など皆無に等しいだろう。
 そして――いかに強靭なものであっても、出来て間もない部位は脆いことが多い。付け焼刃のような翼と鱗が、この竜巻にいつまで耐えられるか。それが、ゼイルの狙いだった。
「アアアッ!」
 耐えかねたように、一匹の氷竜が絶叫を上げた。この場を脱出しようと、翼を羽搏かせ、大空を目指し飛び上がろうとする。
 ――その瞬間、鱗と同色の翼膜が音を立てて泡立った。限界以上の熱で炙られ続けた竜の翼が、熱傷によりその役目を果たす力を既に失ったのだ。
 真っ逆さまに墜落する氷竜を迎える様に、ゼイルが跳び上がる。空中でのすれ違い様に、一閃。
 翼同様、熱で傷んだ鱗は呆気なく彼の鋼を遠し、竜の身体は真っ二つに分断された。
「さて、次はどいつだ?」
 着地し、刃についた血を振り落としながらゼイルは次の墜落者を待つ。
 紅蓮の竜巻が、竜達の全てを燃やし尽くしてしまうその時まで。地獄の炎に喰われるか、彼の刃で斬り裂かれるかを選ばせながら。
 
 
 そうして氷竜が集う大地の冬は、終わりを告げる。
 けれど、芽吹きの時は今ではない。命を育むには、まだこの世界は脅威に道過ぎている。
 待ち構えるさらなる強敵を討つために、一つの布石を打ち終えた猟兵達は先を急ぐのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月05日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト