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アタシを馬鹿にしやがって

#グリードオーシャン #S05E02 #UDCアース島


●グリードオーシャン リトメン島
 グリードオーシャンにある島々のうちの一つ『リトメン島』。異世界の技術は失われたものの、先住民達の使っていた港があり、多くの海賊団がここを拠点にしたり、フメのメンテンナンスに訪れている島だ。
 そんな島の船着き場、到着して間もない船のそばで少女の荒げる声が響く。
「ハァ!? メガリスを売る!? 正気なの船長!?」
「売るかもしれないって話だ。最近の『メガリスの試練』はどこかおかしい。他の海賊団と協力して事に当たらないとヤバいことになる。で、そいつらの都合がつかなかった場合はメガリスを売っぱらって船の装備と人員の充実を優先させる。そうすれば、次にメガリスが手に入った時には、うちだけでも対処できるだろう」
 船長と呼ばれた初老にも入るであろう男は、食ってかかる少女にそう諭す。どうやら冒険で手に入れたメガリスをどうするかで揉めているようだ。
「次のメガリスは見つけた奴が儀式を受けるって話だったでしょ!? だから必死になって見つけたのに!」
「情勢が変わったんだコーディ。お前も旅をして聞いているだろう。儀式失敗のケリがつけられずに壊滅した海賊団の話は」
「アタシはそんなことない! 絶対に成功してやるから!」
「こういう良くない流れの時にやったところでうまくいかんさ。長年の勘だ。うまくいく時は協力してくれるツテがすぐ見つかるもんさ」
「でも……」
「そこまでにしておけ、コーディ。船の上じゃあ船長の決定は絶対だ」
 船長に食い下がる少女、コーディの様子に他の船員が止めに入る。
「文句があるなら船を降りたっていいんだ。故郷へ変える船賃ぐらいなら出してやる」
 話は終わったとばかりにその場から去ってゆく船長。
「船長の勘には従っておけ。情勢を見抜いて、今まで生き残ってこれたんだ。今回のメガリス探索だって、お前を連れて行って大丈夫って判断したから連れて行ってもらえたんだぞ。その事も踏まえて……おい、聞いてるのか?」
 先輩の船員の声を上の空で、コーディは去ってゆく船長の後ろ姿を恨みがましく見送っていた。

 その夜、コーディは船倉へと忍び込んでいた。
「結局なんだかんだ言って、アタシがメガリスを手にするのが気に入らないんだ。アタシが女で、新入りだから。新入りって言っても、もう1年はこの船にいるし」
 そう言って手にしたのは、今回彼女が探索で見つけたメガリスだ。
「アタシのことを女だからってバカにしやがって。メガリスの適合者になったら、誰にも文句は言わせないんだから!」

●グリモアベース
「そう言ってコーディは勝手に儀式を始めて失敗し、グリードオーシャンのオブリビオン、コンキスタドールになってしまったわけっす。予知とはいえ、すでに起きてしまったことなんで、止めることはできないっす」
 そう話すのはグリモア猟兵のリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)だ。ヒーローマスクゆえ、その表情はよく分からないが、声色から申し訳無さが伝わっている。
「こうなると、もう彼女を元に戻すことできないっす。このまま放っておけば、オブリビオンとして心を歪ませた彼女は、自分の仲間達に復讐をしようとするっすよ」
 しかも自分の思い込みによる見当外れな……である。
「だから、そうなる前に彼女を倒して欲しいんすよ」
 到着時点で、彼女は配下のコンキスタドールを召喚し、船員達を捕らえて甲板に人まとまりに集められているらしく、そこで復讐をしようとするところらしい。
「コーディの見つけたメガリスは深海人の魔術師が使っていた杖っす。鮫魔術だけでなく死霊術や様々な魔術が使えるようになるシロモノみたいっすね。それでオブリビオンを召喚したらしいっす」
 コーディを倒す前に、まずは配下のオブリビオンを倒し、捕らえられている海賊を助けて欲しいということだ。
 コーディの攻撃は場合によっては広範囲に及ぶものもあるので、彼らが身動きできない状態だと巻き添えになる可能性があるのと、場合によっては微力ながら彼らも戦闘や説得などで支援してくれるかもしれないということだ。
「これ以上の悲劇が起きないよう、みんな、頼んだっす」
 そう言うとリカルドは猟兵達を送り出すのだった。


麦門冬
 どうも、マスターの麦門冬(むぎとふゆ)です。グリードオーシャンのメガリスを巡るシナリオです。先走った結果、コンキスタドールとなってしまった海賊の少女。彼女に引導を渡してください。
 第1章ではコーディが配下として召喚したオブリビオンと戦ってもらいます。海賊達が逃げないように囲んで立っているようですが、戦闘が始まれば、そちらへ集中します。海賊達の生存はシナリオの成否に影響はありません。
 第2章ではメガリスに乗っ取られ、コンキスタドールとかしたコーディと戦ってもらいます。海賊達が生きていれば、支援してくれるかもしれません。
 第3章は日常章です。『海賊の掟』を果たせたことを祝う祝勝会が行われる反面、船の修理をしながら仲間を悼む海賊達もいます。どちらの描写が多めになるかはプレイング次第です。祝勝会は島に停泊している他の海賊団なども顔を出してくるようです。

 以下、補足情報です。

●海賊団『鯱頭海賊団』
 略奪者というよりは海の冒険家といった面が強いです。思慮深く慎重派な船長を筆頭にメガリス使いは何人かいますが、今回のコンキスタドールには太刀打ちできません。古株のメンバーが独立する前は今よりも規模が大きかったようです。

●コーディ
 鯱頭海賊団に入って一年ほどの船員です。メガリスを持って立派な海賊として海を冒険することを夢見ていましたが、新入りとして下働きの日々に自分が正当に評価される機会がほとんどないと不満に思っていたところで今回の事件が起きました。

●リトメン島
 鯱頭海賊団が拠点にしている島ですが、他にも拠点にしている海賊団はいるようです。UDCアースあたりから落ちてきた島のようで、当時の技術は殆どありませんが、港の形が割と残っていたため、多くの海賊団がここを拠点にしたり、船のメンテナンスに立ち寄ったりしています。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『メカニカルパイレーツ』

POW   :    目標確認、銃殺で処理
【ビームマスケット】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    目標確認、近接を敢行
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【耐久力及びエネルギーと他の仲間】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ   :    耐久力低下、至近距離自爆を遂行
自身に【エネルギーシールドと高熱】をまとい、高速移動と【自爆による爆発エネルギー】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
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「ハッ! いいザマだ! アタシを下に見てた奴が何をできずに這いつくばっているんだからな!」
 鯱頭海賊団の保有する船、その甲板に船員達は集められていた。抵抗した者もいたが、コーディの召喚した『メカニカルパイレーツ』によって取り押さえられてしまっている。
「コーディ、お前一体何を……」
「お前は黙っていろよ!」
 コーディが怒鳴ると、メカニカルパイレーツが彼女へ呼びかけようとした船員を蹴り飛ばす。
「アタシが話をしたいのはお前じゃないんだよ! なあ、船長?」
 そう言うとコーディは船長の元へと歩み寄る。
「アタシの部下にならないか? そうすれば、このあたりの海はアタシらのもんだ。いや、ここ一体だけじゃない。すべての海だって手に入れられる。悪くないだろう」
 そう語りかけるコーディに船長は返す。
「断る。海は誰のものでもない。お前のような傲りが元で身を滅ぼしていった奴らを俺は何人も見てきた。……それに俺は海を自分のものにしたいなんて思っちゃいない。お前もそうだったろう?『新入り』」
「黙れぇっ!!」
 激昂したコーディが手にした杖で船長を殴打する。顔から血を流しつつも、そんなコーディを見据える船長。
「この期に及んでアタシをまだ新入り扱いか! だったらもういい! お前はぶっ殺した後、その死体を擦り切れるまでこき使ってやる! お前ら、やれ!」
 コーディがメカニカルパイレーツにそう命令を下した時だった。
火土金水・明
「この世界でメカ風のオブリビオンですか。珍しいと言っている場合ではないですね。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【先制攻撃】で【高速詠唱】し【破魔】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『メカニカルパイレーツ』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●開戦の鏑矢
「この世界でメカ風のオブリビオンですか。他の世界の技術を流用しているのでしょうか? などと言っている場合ではないですね」
 そう言って船上に現れたのは火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)だ。
「いいところを邪魔しやがって! まずはそこの女を始末しろ!」
 コーディがメカニカルパイレーツ達に命令を下すが、
「もうこちらの準備はできていますよ。我、求めるは、冷たき力」
 詠唱とともに明が放つのは【コキュートス・ブリザード】、何百本もの氷の矢である。矢がメカニカルパイレーツに降り注ぐ。
「それがどうした!」
 しかし、メカニカルパイレーツ達は黙々と4本の腕を駆使し、氷の矢をビームカトラスで切り払い、ビームマスケットで撃ち落としてゆく。
「その程度の攻撃、アタシの部下には通用……」
「ですが、逃げる時間は稼げましたから」
「ッ!?」
 明の指摘した通り、氷の矢をメカニカルパイレーツが対処にしている間に海賊達はメカニカルパイレーツ達から離れようとしている。
「それに、ここからが本番です」
 同じように氷の矢を何百本も飛ばす明。先程と違うのは彼女の全魔力が注ぎ込まれているということ。打ち払おうとカトラスを振るった先から凍りつき、マスケットでも撃ち落とせず、体へと突き刺さってゆく。
「【耐久力低下、至近距離自爆を遂行】」
 自身の生命維持が困難と判断したメカニカルパイレーツ達は自爆に巻き込もうと明へと高速移動をする。
「残念、それは残像です」
 その動きを見切った明は突撃するメカニカルパイレーツをギリギリのところで残像を残し回避し、自爆を避ける。自爆の余波を受けまいと魔力の障壁を張るが、先程の攻撃でかなり消耗していたため、熱が肌へと届く。
「少しでも、ダメージを与えて次の方にと思いましたが、ここまでですかね」
 海賊達を巻き込まないようにしていたため、メカニカルパイレーツ全員には攻撃は及ばなかったが、成果は上々だろう。
 魔力を使い果たした明は戦場から一旦離れ、続く猟兵に後を任せるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベム・クラーク
アドリブ連携歓迎です!

(コーディーに)
「暴力に浮かれているように見えますが、あなたは海賊になって支配や殺戮がしたかったのですか?」
麦門さんに聞いたとおりなら、冒険に出そうなものですが、人間の行動はわかりません。

「『メカニカルパイレーツ』は脅威ではありませんが。」
船長以下、捕らえられている海賊の位置を確認します。

【戦闘知識】【スナイパー】【援護射撃】【鎧無視攻撃】【かばう】で捕らえられている海賊を守りながら戦います。
離れてる敵は砲撃とミサイルで、吹き飛ばします。
【誘導弾】【吹き飛ばし】【一斉発射】【フルバースト・マキシマム】


安里・真優
【心境】
「いや、商人的にいわせてもらうと…見習い一年ってどんだけ根性無い人だったんですか…」
せめて5年は頑張らないと…。
私実家だと5歳から15歳までずっと見習い(という名のタダ働き)でしたよ。
【行動】
判定:WIZ

まずはダコタン。触腕で捕まった海賊を『捕獲』して保護してください。
カメゴンは『念動力』でオブビリオンを押し出して海賊に近づかないように牽制を
マンボンはカメゴンの手伝いを『焼却』で燃やしてください。

では、私はシャーク・トルネード。
鮫の物量で喰い破ります。
しかし、タコとカメとマンボウとサメを操る巨人…駄目ですねとても売れ無さそうな絵面です。

【その他】
アドリブや他猟兵との共闘はOKです


フォルク・リア
「それが仲間と自分自身を失って得た力か。
俺には随分と割に合わない取引に見えるけどね。」
若気の至りの言葉では済まない結果に
やり切れないものを感じつつも
コーディを倒す決意を固め。

海賊の安全を優先しながら敵の配置を確認し
拘束する闇の黒鎖を発動。
広範囲に影の鎖を放ち【範囲攻撃】で敵を拘束。
その様子を確認、自爆の瞬間を【見切り】
自分は爆発に巻き込まれない様に離れつつ
影の鎖に力を込めて敵同士を衝突させて
他の敵も自爆に巻き込み破壊。
爆発で仕留めきれなくても影の鎖で敵を引き摺り
密集状態にさせて自身が纏った高熱でダメージを与える。
「その力は自分や仲間も構わず傷つける。
海賊達ならそんな愚は侵さなかった筈、だな。」



●初心忘るべからず
「逃がすな! 追え!」
「暴力に浮かれているように見えますが、あなたは海賊になって支配や殺戮がしたかったのですか?」
 戦場から離れる猟兵に追撃の命令を出そうとするコーディにそう声をかけたのは四脚型ウォーマシンのベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)だ。
「新手か! 一体何を……」
「リカルドさんに聞いたとおりなら、冒険に出そうなものですが、人間の行動はわかりませんね」
 グリモア猟兵から聞いた話であれば、コーディは海での冒険に憧れて海賊になった少女だ。その情報が正しいのであれば、今のような行動に出るとは判断しづらいところではあるが……、
「メガリス、それが仲間と自分自身を失って得た力か。俺には随分と割に合わない取引に見えるけどね」
 コーディに語りかけてなのか、ベムの疑問に答えているのか、そう口にするのはフォルク・リア(黄泉への導・f05375)だ。フードで顔はすべて見ることは出来ないが、それでもどこかやりきれない、苦々しい表情が伺える。
「『若気の至り』……という言葉では済まない結果ではあるな」
「いや、商人的にいわせてもらうと……見習い一年ってどんだけ根性無い人だったんですか……」
 そんなフォルクの呟きにピシャリと厳しい意見を言うのは安里・真優(巨人の冒険商人・f26177)だ。だが、彼女がそう言うのも無理はない。
「せめて5年は頑張らないと……私実家だと5歳から15歳までずっと見習いでしたよ」
 正確には見習いという名のタダ働きであるらしいが。そんな彼女にとって1年でこのような暴挙に出たコーディなど辛抱強さのかけらもない甘ったれにしか見えない。
「アタシが根性なしだ? 好き勝手言ってくれるじゃないか!」
 だが、言われたコーディ本人は真優の言葉に怒り心頭である。
「今からそんな口をきけないようにしてやるよ! お前達、やれ!」
 そう言うとコーディは生き残っていたメカニカルパイレーツ達に号令を下す。メカニカルパイレーツは無機質な目を光らせ、猟兵たちへと襲いかかるのだった。

「『メカニカルパイレーツ』は脅威ではありませんが……」
 ベムはスッと海賊達の位置を把握すると、その前へと踏み出す。
「ここは私達が何とかします。みなさんは一旦安全なところへ」
「す、すまない」
 そう言うと海賊達はベム達の邪魔にならないよう、その場を離れてゆく。
「『ダコタン』、船長さんを保護してください」
 真優も自身の使役する蛍光ピンクのジャイアントオクトパスに命令し、船長をその長い触腕で捕獲すると、コーディのそばから引き離す。
「人の獲物を横取りするな!」
「【目標確認、銃殺で処理】」
 コーディそう叫ぶと、メカニカルパイレーツが船長を保護したダコタンへビームマスケットの狙いをつける。
「『カメゴン』は念動力でオブビリオンを押し出して牽制を。『マンボン』はカメゴンの手伝いを。焼却で燃やしてください」
 そこへ更に真優が命令を出す。そして更に現れるのは背中に気を生やした巨大なリクガメと炎を纏って飛行するマンボウ。リクガメのカメゴンが念動力を放ち、メカニカルパイレーツ達の大勢を崩す。そこへすかさずマンボウのマンボンが火を吹いて追い撃ちをかける。メカニカルパイレーツ達はたまらず攻撃を中断、無理やり撃ってきた者もいたが、狙いはダコタンから大きくそれる。
「これで海賊達を巻き込まずに済みますね。マルチロックオン完了、いきます!」
 その隙を逃さず、ベムが【フルバースト・マキシマム】で砲撃とミサイルの一斉攻撃を行う。相手に機械パーツがあったからか、ロックオンが容易だったようで、ユーベル高度の相性は抜群のようだ。
「では、私は【シャーク・トルネード】」
 そんなベムに続き、真優は鮫魔術で回転ノコギリを生やしたサメを召喚し、メカニカルパイレーツ達へとけしかける。
「しかし、タコとカメとマンボウとサメを操る巨人……駄目ですねとても売れ無さそうな絵面です」
 などと真優が冷静に自分のことを見ている間にも、砲撃とサメの容赦ない二重奏がメカニカルパイレーツ達に襲いかかっている。そして、攻撃が止んだ後にはボロボロになったメカニカルパイレーツ達の姿があった。
「【耐久力低下、至近距離自爆を遂行】」
 大部分が崩れ落ちる中、このまま倒される前にせめて一太刀でも、言わんばかりに自身にエネルギーシールドと高熱をまとい、自爆の準備をするメカニカルパイレーツ。
「こうなることは予測していた。影より現れし漆黒の鎖よ。その魂を闇へと堕とせ」
 だが、フォルクが待っていたと言わんばかりに指先から【拘束する闇の黒鎖】を放ち、メカニカルパイレーツ達を拘束する。
「……出力上昇」
 メカニカルパイレーツ達はエネルギーシールドを強め、影の鎖を振り払おうとする。実際、エネルギーを放つメカニカルパイレーツに対して影で出来ている鎖はいささか相性は良くない。だが、
「このまま鎖が引きちぎられるのを見ているだけだと思ったか」
 フォルクは鎖に力を送り込み、素早く振るい操作する。
「ッ!?」
 力の伝わった鎖はメカニカルパイレーツ達を上空へと引っ張り上げる。そして、空中で衝突する。

 ドガァァァァァァァァン!!!

 閃光と轟音とともに大爆発を起こし、メカニカルパイレーツ達は全滅する。
「その力は自分や仲間も構わず傷つける。海賊達ならそんな愚は侵さなかった筈、だな」
 骸の海へと還ってゆくメカニカルパイレーツ達を見送りながら、フォルクはコーディにそう語りかけるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『魔の海域』コーディリア』

POW   :    鮫魔術×死霊術:不朽の次元潜航メガロドン大隊
【相手のレベル×5体の全環境対応メガロドン】の霊を召喚する。これは【背ビレを残して潜航する限りは無敵で、膂力】や【巨躯を活かし、再生し続け、相手が死ぬま】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    ウィザード魔法×妖剣術:フラガラッハ&アイギス
レベル×5本の【神器級性能を持つ水刃を生み出して操り、全】属性の【能力を遮断する水盾を張り、嘲弄するセリフ】を放つ。
WIZ   :    シャーマニズム×精霊術:邪神ティアマトーの海
【ティアマトーを召喚し、大洪水で薙ぎ払って】から【聖域を創り、既存生命を否定する混沌の波動】を放ち、【産み堕とされた多数の水神たちの神威と権能】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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●取り込む魔域
「アタシがみんなを傷つけて……あれ? アタシの本当にやりたかったのは」
 行ったこともないような島、聞いたこともないような生き物、見たこともないようなお宝、自分の住んでいた島から出て、そういったものを自分の身で体験してみたい。そう思ってこの鯱頭海賊団に入ったのだ。
 なんで私はこんなことを……そうだ、このメガリスを島で見つけて持って帰った時に、アタシを呼びかける声がして、アタシがこのメガリスの持ち主にならないとって……
「ひっ」
 そう気づいた時、コーディの胸の奥からじわりと冷たいものが這い出てくる。海の冷たさとはまた違う、暗くおぞましい何か。
「あ……ああ……」
 自分が自分でなくなってゆく感覚……いや、すでに別の存在に大部分を取り込まれてしまったことにコーディは気づかされ、恐怖に満ちた顔になる。そして縋るような目をジャイアントオクトパスに保護されている船長へと向ける。
「船長……ごめんなさ……」
 そう言いかけたところで、彼女の表情がスッと変わる。
「我が完全に定着するまで、しばらくお山の大将気分を味わせてやろうと思ったが、お主らが余計なことを言うから。あーあ」
 口では残念そうに言っているが、表情はどこか楽しげだ。
「まあいい、小娘の心ももうすぐ我と完全に同化して消えてなくなる。早いか遅いかの話だ」
「……何者なんだお前は」
 船長はコーディ『だったもの』に問いかける。
「我か? 我が名はコーディリア。魔の海域そのもの。いずれすべての海が我となる。全ての者が等しくな。だからお主達も我の中にいる娘ともども、我が海域に取り込んでくれようぞ!」
 自らを名乗った『魔の海域・コーディリア』は高らかに海賊と猟兵達に、そう宣言する。このまま彼女を野放しにすることはできないだろう。
 猟兵達よ、魔の海域を倒し、海の脅威を排除せよ。
「そうか……あいつはまだ中にいるのか」

(※メカニカルパイレーツ達との戦闘の結果、海賊の大部分は無事です。要請があれば、武器やメガリスを使った支援攻撃や、説得などの援護も行ってくれます)
比良坂・逢瀬(サポート)
基本的には誰に対しても丁寧で礼儀正しい所作と言葉遣いで接します。

日頃から理性的で、常に穏やかな微笑を絶やさずに、平常心を持って一切の事を為します。

冷静に状況を見極めてから行動し、僅かでも勝機が存在するのであれば自身が傷つくことを厭いません。

新陰流を修めた剣士であり、二尺三寸の太刀、三池典太を愛刀にしています。
敵の攻撃を<見切り>、そして<ダッシュ>と<ジャンプ>を駆使した高い機動力で相手を翻弄する戦法を好みます。
得意技は影を斬る事で相手の実体を斬る異能の剣術です。

アレンジやアドリブ等は歓迎致します。


北条・優希斗(サポート)
『敵か』
『アンタの言う事は理う解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ』
『遅いな』
左手に『蒼月』、右手に『月下美人』と言う二刀流を好んで戦う剣士です。
自らの過去を夢に見ることがあり、それを自身の罪の証と考えているため、過去に拘りと敬意を持っております。その為オブリビオンに思想や理想があればそれを聞き、自分なりの回答をしてから斬ります。
又、『夕顔』と呼ばれる糸で敵の同士討ちを誘ったり『月桂樹』による騙し討ちを行なったりと絡め手も使います。
一人称は『俺』、口調は年上には『敬語』、それ以外は『男性口調』です。
見切り、残像、ダッシュ等の機動性重視の回避型の戦い方をします。



●二人の剣士
「なるほど。丁寧な自己紹介ありがとうございます。私は比良坂・逢瀬、猟兵です。よろしくお願いいたしますね」
 コーディリアの口上に対し、優雅に返しつつ名乗りを上げるのは(影斬の剣豪・f18129)、
「北条・優希斗だ。なるほど、アンタの言う事は理解した」
 北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)も逢瀬につられつつも名乗りを上げる。
「理解? 若造の身で我の何を理解したと?」
 優希斗の言葉に引っかかりを感じたのか、コーディリアはそう尋ねる。
「依代になったコーディと言う子の為に、そしてアンタ自身のためにも、殺してでも、アンタを止めるってことさ」
 何気ないような口調ながらも優希斗から強い意志を感じ取れる。
(この手のタイプはオブリビオンとなった後も新しく他のものをどんどん取り込んでいくタイプだ。そして、最後には自分を見失う)
 己の境遇故に過去というものに拘りを持つ優希斗はオブリビオンが抱く過去に対しても敬意を抱き、向き合うことを望む。そんな彼にとって、魔の海域の化身とも言えるコーディリアがいずれ迎えるであろう結末を看過することはできない。
「我を止めるとは大きく出たな。ならば、止められるものなら止めてみるがいい。邪神ティアマトーよ、既存生命を打ち払い、聖域をここに!」
 コーディリアは杖を振るい、【邪神ティアマトーの海】により大波を起こし、船上へと降り注がせる。先程の戦闘で海賊達は身軽になったため、波に流されることはなかったようだが、波で船が洗われた後には深海生物を思わせる人型の生き物達がそこにいた。
「行け、水神達。奴らをサメの餌にでもしてやれ」
 コーディリアは水神と呼ばれた生き物を似命令を下すとともに、【不朽の次元潜航メガロドン大隊】を召喚し、異次元に潜航させつつけしかける。
「これは……」
「少しまずいですね」
 既存生命を拒否する聖域の力に、自身の体の動きが鈍ることを感じる優希斗と逢瀬。しかし、
「少しだけ、ですけどね」
 逢瀬はそう口にすると、いつの間にか抜いていた太刀『三池典太』を朱塗りの鞘へ納める。目にも留まらぬ早業で逢瀬に襲いかかろうと異次元から身を躍らせた巨大鮫はバラバラになる。
「攻撃に瞬間さえ見切れれば、後はどうとでもなります」
「なるほど。では、今度はこちらの番だ。罪に溺れし亡霊達よ。汝等の想いと罪を、我が下に」
 優希斗の詠唱とともに現れたのは、【闇技・罪業蒼贖舞】によって呼び出された蒼穹の精霊船。その上には魔剣や妖刀で武装した幽霊達。
「既存生命を否定する力があるなら、それ以外から力を貸してもらうだけさ」
 幽霊達を水神達に向かわせ、魔刀『蒼月』、妖刀『月下美人』を手にコーディリアへと駆けてゆく優希斗。
「その程度の動きを我を討てるとでも?」
 優希斗の攻撃を杖で打ち払う。
「遅いな」
 優希斗がボソリと呟く。
「どうした? 思ったより動けなくなった自分に失望したか?」
「いや、アンタが気づくのが遅いなって話さ」
「何を……ッ!?」
 コーディリアが訝しんだ瞬間、脇腹に切り傷が走り、血飛沫が飛ぶ。
「影を斬るのは身体を斬るのも同じことです」
 いつの間にかコーディリアのそばにいたのは逢瀬。逢瀬が斬ったのはコーディリア自身ではなく、彼女の影。逢瀬のユーベルコード【影ヲ斬ル】は相手の影を斬ることで本人に斬りつけるユーベルコード。そのため反応が遅れたのだ。
「とはいえ、この一撃で刈り取れるほど甘くはないようですね」
 逢瀬は敵を見やるが、不意打ちから立ち直ったようで、杖を構え、水神達を逢瀬と優希斗へけしかける。
「面白い技を持っている。だが、その技をも、術も、全て取り込み我が物としよう」
 魔の海域たる彼女を倒すには、まだまだ攻撃が必要なようだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ベム・クラーク
アドリブ連携歓迎です!

「あなたはただの殺戮者です。海賊ですらない。」
マシンガンでコーディリアを攻撃
「あなたが強くなったのではなく、その杖が強かっただけです。」

【メガロドン大隊】に対し
「厄介ですが、背びれだけでは攻撃ができないのですね。」
襲い掛かってきたところを全方位ミサイルで迎撃
「ウォーマシン相手にそのタイムラグは致命的です。」
【ベルセルクトリガー】発動

「夢に、いえ欲に駆られて仲間を害する。その未熟さで力ある杖を手にしたのが間違いです。一つもあなたの力ではありません。」


フォルク・リア
「これがメガリスの力なのか。
先ほどの機械兵とは比べ物にならない力を感じる。
此処からが本番と言ったところか。」

敵の攻撃を見極めて
海賊たちに船を操作し洪水に対応する様に頼み。
自分は水の流れをスカイロッドの空圧で制御しつつ
ティアマトーを呪装銃「カオスエンペラー」で死霊を放ち
その呪詛で攻撃。洪水の威力を弱める。
洪水が収まったら不浄なる不死王の軍勢を使用。
魔物や死霊に自分たちを守らせると同時に
生命を否定する波動に対抗し水神を攻撃させる。
「その神の如き力。この悪魔の力を以って、打ち払って見せよう。」
その乱戦に紛れてその場から離れて
【オーラ防御】等で防御に専念しつつ
不死王をコーディリアに差し向けて戦わせる。


安里・真優
【心境】
「ヤレヤレの状況ですねー。うーん。このパターンの場合助けれるんでしたっけ?」
どーします船長さん。

【行動】
判定:WIZ

まーそれでも一応メガリスの杖を集中攻撃してみますか。
腕の一本は覚悟してくださいね。
ダコタン、深淵からの呼び墨をお願いします。
『深海耐性』で私は問題ないので、この環境なら少しは成功率上がるかな?
胸元から取り出したコールドコインに雷の『属性攻撃』を付与。指弾で『投擲』して『スナイパー』の如く、杖を弾き飛ばします。

どーも不可能の様ならせめて人として眠らせましょう。
『全力魔法』による『砲撃』です。
せめて祈ろう。汝の願いに救いアレ。

●その他
アドリブ他猟兵との協力OK



●海賊の掟
「これが彼女のメガリスの力なのか。先ほどの機械兵とは比べ物にならない力を感じる。此処からが本番と言ったところか」
 様々な魔術を駆使する『魔の海域・コーディリア』の姿にフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は気を引き締める。
「ヤレヤレの状況ですねー。うーん。このパターンの場合助けれるんでしたっけ?」
 コーディがコンキスタドールに操られていたと分かった今、安里・真優(巨人の冒険商人・f26177)は何とか元に戻せないか考えを巡らすが、
「無理だろうな。儀式に失敗した以上、肉体そのものがオブリビオンのものへ変質している。たとえ今助けたとしても、いつかは世界を滅ぼすものとして心が歪む」
 魔術師としての知識か猟兵としての経験か、フォルクは真優の疑問に答える。
「だそーですが、どーします船長さん?」
 真優は自身のジャイアントオクトパスに保護されている船長にそう尋ねる。
「……いずれにせよ、儀式に失敗したのであればカタをつけなきゃならねえのは変わりはない。自分達の手でなく、まるっきり部外者に頼らざるを得ないといけねえのが申し訳ねえが、手段を選んで要らる場合じゃねえ。……頼む、あいつを楽にしてやってくれ」
 絞り出すようにだが、船長はそう答える。
「今の彼女はただの殺戮者です。海賊ですらない。船長の覚悟を無駄にしないためも、止めましょう」
 船長の言葉を受け、ベム・クラーク(ウォーマシンの鎧装騎兵・f27033)はコーディリアに向け、マシンガンをぶっ放す。
「我を止めるだと? 既存生命の枠にあるお主らに我を止めることはできぬよ」
 マシンガンの銃弾を召喚した【不朽の次元潜航メガロドン大隊】で受け止めさせ、コーディリアは鼻で笑う。
「まーそれでも一応やってみますか。ダコタン、【深淵からの呼び墨】をお願いします」
 真優がジャイアントオクトパスの『ダコタン』にそう命令すると、ダコタンは口から墨を吹き出し、船上全体へと降り注がせる。戦場全体を真優の特異な環境へと変えるユーベルコードだ。コーディリアのユーベルコードと相性がいいのか、彼女の【邪神ティアマトーの海】で作り上げた聖域の力が塗り替えられ弱められてゆく。
「我が聖域を穢すか不届き者! ならば今一度、ティアマトーによって洗い流してくれよう!」
 そう言うとコーディリアは邪神ティアマトーを呼び出し、洪水を起こさせようとするが、
「この洪水は俺が鎮める。だから波にやられないよう、操船を頼む」
 敵の動きにフォルクは海賊達へそう指示を出すと、呪装銃『カオスエンペラー』で己の使役する死霊を弾丸とし、ティアマトーへと撃ち込む。更には風の杖『スカイロッド』を呼び出して風で波を吹き散らすことで洪水の威力を弱める。
「その神の如き力。この悪魔の力を以って、打ち払って見せよう。偉大なる王の降臨である。抗う事なかれ、仇なす事なかれ。生あるものに等しく齎される死と滅びを粛々と享受せよ」
 続いて詠唱とともに【不浄なる不死王の軍勢】を召喚し、コーディリアが呼び出した水神達に攻撃を仕掛ける。
「なかなかやる! その軍勢も我が傘下に収めてみせようぞ! メガロドン、貪り喰らえ!」
 コーディリアがそう司令を出すと、異次元に身を潜めさせたメガロドンの霊が背ビレだけを見せてフォルクの呼び出した死霊や魔物へと襲いかかってゆく。が、
「厄介ですが、背ビレだけでは攻撃ができないのですね」
 メガロドンにターゲットをロックオンしていたベムが全方位ミサイルを発射する。ちょうど先行していた異次元から全身を出して躍りかかるメガロドンへと降り注ぎ、吹き飛ばす。
「ウォーマシン相手にそのタイムラグは致命的です」
 メガロドンを片付けたベムは、コーディアへと向き直り、
「さて、コーディ」
 彼女の中にいる『コーディ』へと語りかける。
「夢に、いえ欲に駆られて仲間を害する。メガリスからの誘惑があったからとはいえ、その未熟さで力ある杖を手にしたのが間違いです」
 その言葉は無機質な彼の外見とは裏腹に情感がこもっている。今の彼女に、キラキラした宝石の川に心を奪われて本来の任務を忘れてしまった己を重ねたのだろうか。
「ですが、まだ海賊としての矜持が残っているのであれば、抗いなさい。そして、海賊の掟を全うしなさい」
「ハッ! 何を言うかと思えば。今のこの娘にお主らの声など届くわけが……」
 ベムの語りかけにコーディリアが哄笑で返そうとしたその時、
「アタシを……バカにするな」
 コーディリアの口から小さく、言葉が紡がれる。
「アタシだって、『鯱頭海賊団』の一員だ。覚悟は……出来た」
「ええい! たかが小娘の分際で我に抗うな!」
 予想していなかった抵抗にコーディリアが激昂し、コーディを抑え込もうとする。
「よそ見とは随分余裕ですね」
 真優の声とともに紫電を纏った何かが空を切り裂くように飛び、コーディリアの手にしている杖を直撃して吹き飛ばす。
「よくも……」
 飛来したものの正体は真優が指弾で飛ばした愚者の金貨『コールドコイン』。隙を突かれたコーディリアが怒りの目を真優に向ける。
「杖を奪えばもしかして、とも思いましたが、やはりダメでしたか」
「杖は我を呼び起こすための鍵。この娘の体が得られた今、そんなことで我をどうにかできるとでも思うな!」
 そう言いながら、杖の代わりに水で剣と盾を創り上げ武装するコーディリアだが、動きがどこかぎこちない。
「ならせめて人として眠らせましょう」
 魔法の短杖『魔法の短杖』を手にした真優がコーディリアに狙いをつける。
「できるものならやってみるがいい!」
「今だ、不死者の王!」
 真優を斬り捨てようと盾を構え、突撃しようとするコーディリアに、骸骨姿の不死王、フォルクが呼び出した死霊の中でも最強の存在が立ちはだかり、闇で出来た無数の黒弾を放ち攻撃を仕掛ける。
「まだこのようなものを隠し持っていたか!」
 水の刃を作り出しながら不死者の王の攻撃を迎撃するコーディリア。だが、それによって足が止まり、その場に釘付けにされる。
「あなたの矜持、見せていただきました。ならば今度はこちらが誠意を見せましょう」
「これで、終わりです」
 ベムが【ベルセルクトリガー】で最終武装モードに変形し、砲台,銃器、、ミサイルによる飽和攻撃を行い、真優が全魔力を込めた砲撃を短杖から撃ち出す。コーディリアは盾に護りの力を込めて身を守ろうとするが、一瞬動きが止まり、反応が止まる。
「おのれ! このようなところで我が! 我が既存生命に敗れるなど……」
 降り注ぐ攻撃に打ちのめされ、コーディリアの肉体が崩れてゆく。そして、事切れる直前、泣きそうな、それでいてどこかホッとしたような表情を見せる。
「……ありがとう」
 最後にそう言い残し、コンキスタドールは倒れる。
「せめて祈ろう。汝の願いに救いアレ」
 その様子を見届けた真優は、最後にそう呟くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『鉄甲船を修理しよう』

POW   :    傷んだ装甲などの大きな部品を修理したり、取り換えたりする

SPD   :    消耗した備品を補充したり、傷んだ部品を交換しよう

WIZ   :    船の構造を考えつつ、より高性能になるような改修計画を発動するよ

👑5
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●祝宴と……

『鯱頭海賊団が見事海賊の掟を果たした』

 その情報はリトメン島の海賊達にすぐに伝わった。強力な助っ人達……つまり猟兵の活躍があったということも。
 海賊の掟を果たした場合は生き残ったものの無事を祝い、勝利の宴会を行うのが習わしだ。ここで飲み食いを楽しむのもいいし、他の海賊団に今回のことについて色々語ってもよい。また、ここに来る海賊団は『鯱の尾』『鯱牙』など、元々は『鯱頭海賊団』に所属していた海賊が独立したものもいるようだ。

 華やかに祝宴を上げる一方、船に残り、一人しんみりと飲んでいた男がいた。船長だ。一人、船の損傷具合を確認しておくと言って、他の団員を追い出してここで飲んでいるのだ。
「これならコイツはまだやり直せるな」
 コンキスタドールとの戦闘で損傷した箇所はいくつかあるが、船として大事な部分にダメージは出ていない。そして船員も戦闘の余波に巻き込まれて怪我をしたものはいるが、犠牲者はいない。……コンキスタドールとなって討ち取られたたった一人を除いて。
「……すまなかったな、コーディ」
 コーディの様子がおかしいことに気づいていれば、もう少し違った対応をとって今回みたいな防げたかもしれない。冒険を続けながらも危ない橋は避けて、今の歳になるまで海賊を続けてこられた。だが、そうした危機を感じ取る勘が鈍ってしまっているなら、また仲間を聞きに晒すかもしれない。
「……ここいらが潮時かもしれねえな」

(※今回のシーンは2箇所で行われていますが、どちらに顔を出してもOKです。また、フラグメントの行動指針などに関しては基本的に無視していただいて問題ありません)
北条・優希斗(サポート)
『敵か』
『アンタの言う事は理う解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ』
『遅いな』
左手に『蒼月』、右手に『月下美人』と言う二刀流を好んで戦う剣士です。
自らの過去を夢に見ることがあり、それを自身の罪の証と考えているため、過去に拘りと敬意を持っております。その為オブリビオンに思想や理想があればそれを聞き、自分なりの回答をしてから斬ります。
又、『夕顔』と呼ばれる糸で敵の同士討ちを誘ったり『月桂樹』による騙し討ちを行なったりと絡め手も使います。
一人称は『俺』、口調は年上には『敬語』、それ以外は『男性口調』です。
見切り、残像、ダッシュ等の機動性重視の回避型の戦い方をします。



●過去を訪ねて
「なるほど、今回現れたコンキスタドールはとんでもない奴だったみたいだな」
「ええ。そうなんですよ」
 リトメン島の港町にある酒場。そこでコンキスタドール討伐の祝勝会が行われていた。そこで、北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)は顔を出しに来た『鯱頭海賊団』以外の海賊相手に今回の顛末を語っていた。
「『魔の海域』か。おとぎ話で聞いたことがある。その強さが本当なら、俺達が加勢していても叶わなかったかもしれねえな」
「ほう、おとぎ話ですか。聞かせてもらっても?」
 優希斗は世界を知るために旅をしている。また、自身の過去故に『過去』というものに敬意を抱いている。『魔の海域』と呼ばれたオブリビオンが、過去にどんな存在だったのかを知りたいという気持ちはあった。
「そんな大した話でもないさ。あらゆる物を手に入れようとした魔女が、空から落ちてきたあらゆる魔術や権能を手に入れてどんどん大きくなる。だが、しまいには大きくなりすぎて海そのものになってしまい、自分の元いた島に上がることができなくなったって話さ」
「ああ。確か『何でも欲張りすぎると、この魔女みたいに島に帰ってこれなくなるよ』見たいこと言われたっけか。懐かしいな」
 そこから海賊達は話が脱線し始め、子供の頃の話などをし始める。
(子供への教訓のために脚色されているところはあるだろうが、そうした題材に使われるほど、名の知れた存在だったか)
 ここ最近、メガリスの儀式に失敗してコンキスタドール化した海賊の始末を失敗する海賊団が増えてきているという。今回の『魔の海域』のような強大なオブリビオンが現れやすくなっているのかもしれない。
(ますますこれは猟兵の力が必要になってくるかもしれないな)
「兄ちゃんも、こっちで飲もうや。色々と他の海の話も聞かせてくれよ」
 優希斗が気を引き締めようとした矢先に海賊達から声がかかる。
「未成年ですので、お酒でなくてもよろしいのでしたら」
 だが今は今の無事を祝うことにしよう。そう思い、優希斗は海賊達との輪に混ざるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

安里・真優
【心境】
「色々考えさせられる事件でしたねー。」
やっぱり地道に見習いは頑張って目上はしっかりリスペクトしないといけませんね。
勝手ダメ。慢心アウト(うんうん)
【行動】
判定:POW

巨人の私が細かい作業は苦手ですからねー。
装甲や甲板の張替えや改修のお手伝いしましょうか。
ダコタンは船を抑えていてくださいね。
カメゴンは『念動力』であそこのパーツを持ってきてください。
マンボンは縫い直した帆を上げてきてください。
う~ん。船員から話して壊れた状況を『情報収取』。
私の『航海術』の経験からくる知識から、ずばりなパーツを選びます。
これでしょうね。とんかんとんかんっと。

【その他】
アドリブ他猟兵との協力OKです。


ココマル・イチバーニャ
酒盛りで賑わう皆サマと、船とを、交互に見遣りマス。ナゼ、船長が離れているノカ、ウォーマシンには想像できマセン。
ワタシはただワタシの疑問を解決するためニ、ガションガションと機械特有の歩行音を鳴らしテ、船長の元へ向かいマス。

「船長サマ」
「コーディサマも、直りマスカ?」
不謹慎とも取られかねナイ質問を、シカシ当然のように尋ねマス。
ワタシはウォーマシン、破損したラ、パーツを取り替えレバ良いのデス。この見上げるホド大きな船モ、キットそうデス。
アア、だからモシヤ、居なくなっタ、討ち取っタ、コーディサマも。新品のパーツを持ってくれバ、また元通りになりマスカ?
ガガッ、ガッ、ピー……。

ーーー
POW/アドリブ◎


フォルク・リア
船長が一人で思う事もあるだろうと考え。
少し時間をおいてから船へ。
「邪魔をするよ。」
と船長の横に
「一杯なり付き合えれば良かったんだが
生憎酒は飲めないんでね。」
と宴の席から貰ってきたジュースの瓶を持ち。
「今回の事は俺にも思う処はある。
彼女の最後に立ち会った一人として。
ただ、俺なんかより彼女と遥かに長く時を過ごした
人の思いが分る訳じゃない。」
「だから、これから貴方が決断をしても
何か言う権利はないと思ってる。
それでも、あの子が見たかった景色を代りに見られる
人間がいるんじゃないか。
そんな事を思ってね。」
「まあ、これも子供の戯言の一つだよ。
まだまだ走れる船と無事な海賊達がいる
その姿を見て思った。戯言さ。」



●直るもの、戻らないもの
(ナゼ、船長は離れているノデショウカ?)
 ウォーマシンのココマル・イチバーニャ(主人の帰りを待つ・f27277)はなぜこのような状況になっているのか理解できなかった。片方を見れば、喧騒のある酒場。もう片方は静寂に包まれた船。いや、よくよく聞いてみれば、修繕をしているような音がする。
 ココマルは、自分の疑問を解決するため、船長がいる船へと歩を進めるのだった。

「まったく、命の恩人相手に値切ってくるとは思いませんでしたよ」
「それとこれとは話は別だ。本当にお前さんの選んだパーツが正しいのかどうか、実際取り付けて確かめさせろ」
 船にいたのは船長と巨人の少女、安里・真優(巨人の冒険商人・f26177)だ。
「そう言って取り付けの工費とかも浮かそうっていうんでしょ? とんかんとんかんっと。あ、ダコタンは船を抑えていてくださいね。カメゴンは『念動力』であそこのパーツを持ってきてください。マンボンは縫い直した帆を上げてきてください」
 自身の使役する巨大生物に手伝ってもらいながら、真優は船の修繕を続ける。
「それにしても、色々考えさせられる事件でしたねー」
 真優の口から、そう言葉が漏れる。
(やっぱり地道に見習いは頑張って目上はしっかりリスペクトしないといけませんね)
 メガリスに呼ばれたとはいえ、その誘惑に屈して勝手に手を出していいものではないのだ。
「勝手ダメ。慢心アウト」
「ああ。俺の慢心だったのかもしれねえな」
 うんうんと頷きながら呟いた真優の言葉に、船長がそう返す。
「いや、そう言う意味でなく……」
「機を見て慎重に事を運べば大丈夫。そうやってうまくいってきたから大丈夫。どこかでそう慢心していたのかもしれねえ。メガリスの方ばかり見ていて、新入りの、コーディの方を見ていなかった」
 酒を呷る船長。
「今更気付いたってあいつはもう戻ってこないがな」
 そう喋る船長に

「船長サマ」
 そう声をかけてきたのはココマルだ。
「コーディサマも、直りマスカ?」
「俺達を助けてくれたウォーマシンのあんちゃんとは、違うみたいだな。何でこんなところに来た……って言ってもどうでもいいか」
 そう言って酒をまた呷る船長。
「ワタシはウォーマシン、破損したラ、パーツを取り替えレバ良いのデス。この見上げるホド大きな船モ、キットそうデス」
 ココマルは真優が修繕している船を見上げる。
「アア、だからモシヤ、居なくなっタ、討ち取っタ、コーディサマも。新品のパーツを持ってくれバ、また元通りになりマスカ?」
「無理だな」
 ココマルの問いに船長はにべもなく答える
「無理トハ?」
「たとえ身体が無事の状態になったとしても、魂は帰ってこない。アンタら風に言えばなんだろうな。生まれてから蓄積されたデータやメモリか?」
 長い航海でウォーマシンという種族を知っているからだろうか、ウォーマシンに分かりそうな言葉に置き換えて語る船長。
「データ……メモリ……」
「無くなる前にコンキスタドールっていう悪質なバグにも侵食されていたがな。最期、あいつはアレから開放されただろうかな……まあ、とにかく魂は、命は無くなっちまったら戻ってこない……これでいいか?」
(メモリー……ワタシモ、旦那サマとの記憶が無くなってしまえバ、復元不能になってしまったラ、ワタシも死んでしまうのでしょうカ)
「ガガッ、ガッ、ピー……」
 船長の問いかけには思考を巡らす電子音しか返すことができないココマル。
「まあ、今すぐ理解できなくたっていい。メモリの片隅にでも置いておけ」
(メモリ……記憶な)
 船長がそこまで言ったところで、新たな来客が現れた。

「邪魔をするよ」
 そう言って現れたのはフォルク・リア(黄泉への導・f05375)だ。手には何やら飲み物の入った瓶。
「一杯なり付き合えれば良かったんだが、生憎酒は飲めないんでね」
 そう言って自分の杯にジュースを注ぐ。
「今回の事は俺にも思う処はある。彼女の最期に立ち会った一人として。ただ、俺なんかより彼女と遥かに長く時を過ごした人の想いが分かる訳じゃない」
「……」
 フォルクの言葉に船長はじっと耳を傾ける。
「だから、これから貴方がどのような決断をしても何か言う権利はないと思ってる。それでも、あの子が見たかった景色を代わりに見られる人間がいるんじゃないか。そんな事を思ってね」
「それが、俺だとでも言いたいのか?」
 酒の入った杯を手に、じっとフォルクを見据える。
「そこまでは言っていないさ。まあ、これも子供の戯言の一つだよ。まだまだ走れる船と無事な海賊達がいるその姿を見て思った……戯言さ」
 フォルクの話を聞き終えたところで、船長は船を見渡す。海賊団に入ってきて1年と本当に短い間だったが、コーディはここにいた。生意気なところもあったが、新しい場所に行く時はいつも瞳を輝かせていた。
 そして彼は、ココマルに話したこと、そしてフォルクからの言葉を反芻する。
(船にコイツとの記憶がある限り、コイツの魂も……それだけじゃねえ、アイツ等の魂もここにあるのだろうか)
 そこから、コーディのこの件よりもずっと前の冒険で命を落とした仲間達のことに想いを馳せる。そして、いきなりすっと立ち上がると、修繕作業をしていた真優に声をかける。
「この船の冒険はこんなところで終わりじゃねえんだ。修繕はしっかりしろよ」
「何なんですか急に」
 いきなり話を振られて真優は何事か、と言う顔をするが、
「ええ、勿論しっかりしますとも。この先、どんな航海があろうと大丈夫なように直してみせますから」

 それからしばらくの日が経った後、鯱頭海賊団は再び冒険の航海に出る。かつての仲間たちの思い出も積んでいるこの船は、今度はどのような冒険を体験するのか。その先の話は、まだ誰も知らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月21日


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🔒
#グリードオーシャン
#S05E02
#UDCアース島


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシャーロット・クリームアイスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト