暗領解放ダークセイヴァー
「フフフ……やはりこの椅子の座り心地は良いものだな」
暗黒に包まれた世界、その領地のひとつ。
領主の館の一室で椅子に座り、満足気に笑みを浮かべる者が居た。
勿論唯の存在ではない。闇を纏い恐怖を齎す存在。
ヴァンパイア――即ちオブリビオンだ。
「だが、この村の者どもにもそろそろ飽いた。皆殺しも良いが、それでは供物が得られぬ」
ふむ、と思案げに手を組むが、それはただのポーズであり、彼の中で既に考えは決まっていた。
指を鳴らし、護衛の騎士を呼び出し伝える。
「他方の村々へと出向き、襲撃せよ。虐殺し、略奪し、恐怖を刻み込むのだ!」
我らヴァンパイアの恐怖を決して忘れられぬようにな、と。
高笑いを上げ、配下の騎士を送り出し。
恐怖の象徴たるヴァンパイアは、窓から己が支配する領地を見下ろすのだった。
「集まってくれ、猟兵たちよ。知っての通り、任務の始まりだ」
グリモアベースにて、和装に身を包んだ一人の男性が声を張る。傍らに浮かぶ特徴的な発光体が、彼がグリモア猟兵である事を示している。
「まずは自己紹介しておこう。刀のヤドリガミで、姓を風切、名を櫻と言う」
女のような名だと笑ってくれるなよ、と苦笑を浮かべながら付け加える。
名乗りを終えた風切・櫻(f01441)は、では、と任務の説明を始めた。
「向かう世界はダークセイヴァーと呼ばれる。夜闇に包まれ、人々はヴァンパイア……そう、オブリビオンに敗北し、その支配を受けている世界だ」
村々ではヴァンパイアによる圧政が敷かれ、辺境は魔獣の跋扈する地と化し、生き残った人々も絶望している……そういう、暗黒の世界である、と。
「しかし。それに反抗し得る存在が此処には居るだろう」
君たち猟兵だ、と、集まった面々の顔を見渡し頷く櫻。
「領主館は本来厳重に警備されている筈だが、ある領地の館の守りが薄くなる機が訪れると判った」
その事情とは別の村への襲撃なのだが、それはまた別の猟兵が対応してくれる、と補足して。この機を逃す手は無いと続ける。
「君たちにはこの領主館へ襲撃をかけて貰いたい」
突入方法については、表は警備が強いと判断される為、裏口から侵入するのが良いようだ。
館の構造はこちらで把握している、と、見取り図を猟兵達へ差し出す。
「館内ではまずヴァンパイアの眷属との戦いになるだろう。見た目は黒い狼といった風情だが、獣と侮るな。闇の力を得た紛う事無きオブリビオンだ」
それが生まれる経緯は……知りたければ教えるが、と僅かに言い淀む。
曰く、まず狼や熊と言った自然の獣に、贄となる人間を喰らわせる。その後にヴァンパイアが血を与える事で闇の獣と変ずるのだ、と。
「惨いものだ。館に残るこれらを討ち倒しながら、ヴァンパイアの居所を目指して欲しい」
館中に獣は放たれているが、ヴァンパイアが居ると思われる部屋までに戦う獣の数はそこまで多くない。恐らく十程度だろうと予想される。
それらと戦い、倒した先に領主を騙るヴァンパイアが待ち受けている。
「ヴァンパイアは単独で居るようだが、手強い相手だ。臨む者は一丸となって挑んで貰いたい」
獣や騎士を従わせ、村々を支配するヴァンパイアは強い。だが勝てぬ相手でもない、と櫻は続ける。
力を合わせて掛かれば倒せる筈だ。
「……この領地の村は、ヴァンパイアに手酷く扱われていたようだ。作物や家畜は搾取され、村人は泥水を啜り雑草を食む生活まで強いられている。……若い娘を捧げさせられた家族も居るようだ」
故に、悪の領主たるヴァンパイアを討つまでは彼らはとても希望など持てず、我々の言葉にも耳を貸してはくれないだろう。
だが。魔を討ち解放した後ならば、希望を彼らに齎す事も可能なはずだ。
「この村の復興の手伝いも頼みたい。全てを行う必要は無いが、彼らが気力を取り戻す手助けくらいはな」
力自慢の者が居れば食糧の運搬や建物の修繕。身軽な者は村を駆け回、困っている者を探し助けて欲しい。或いは明るい歌や踊りで元気付けてあげるのも効果的だろう。
「彼らに笑顔を取り戻させてやってくれ」
「……この闇と絶望に満たされた世界で、唯一希望の光となれるのが我々猟兵だ」
これはその第一歩となるだろう。改めて集った猟兵達の顔を見て、櫻は頷き掛ける。
「お主たちの武運を祈る。此処で帰りを、そして吉報を待っているぞ」
長月流星
初めまして。マスターの長月流星と申します。
シナリオ運営は第六猟兵が初めてとなります。お手柔らかにお願いします。
今回のシナリオはダークセイヴァー世界を舞台としたものになります。
悪の領主となったヴァンパイアを討伐して下さい。
シーンは大まかに分けて3つ。
眷属たちとの闘い、ヴァンパイアとの決戦、そして村の復興作業となっております。
OPで語られた別の村への襲撃や、ヴァンパイア討伐前の村へのアプローチは特に影響を及ぼせません。
先ずはヴァンパイアの討伐、後に村の復興作業、という流れになります。
また、OPで説明を担当した風切・櫻はグリモア猟兵であり、転送の維持等の理由で戦いには向かえません。
グリモアベースにて皆さんの帰りを待っています。
それでは、皆さまのプレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『暗闇の獣』
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POW : 魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
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マヤ・ウェストウッド
「あらヤだねぇ、裏口から忍び込むだなんて、まるでアタシたちドロ……」
・軽口を叩きながら館の裏口から潜入を試みる。宇宙バイクのエマニュエルは館の外の茂みに隠して待機
・潜入中は迅速さを重視して行動
・接敵した場合は獣人特有の俊敏さと感覚の鋭さを活かし、熱線銃を乱射して敵を翻弄する
・また透明化対策として野生の勘を信じて回避体制をとる。共闘している味方がいれば警戒を促す
紬原・ルカ
鋭い感覚で以て、辺りを警戒しながら忍び込みます。
同時に出撃した猟兵と連携を取りつつ、大きな狐耳で周囲の気配に気を配り物音も聞き逃さないようにしています。
WIZを用いて周囲の警戒を続けながら、進行
眷属による技の攻撃を受けた場合、狐火で受け止めてからからくり人形に移して解き放ち、カウンターを狙います
「あらヤだねぇ、裏口から忍び込むだなんて、まるでアタシたちドロ……」
と軽口を叩きつつ潜入を始めるマヤ・ウェストウッド。
キマイラ――獣の混ざった人種の、その俊敏さ、感覚の鋭さは潜入という作戦には効果的に働く。
同様に獣の因子を持つ、妖狐の紬原・ルカもまた、その鋭い感覚で辺りの警戒を怠らない。
共に気配を探り、猟兵たちは迅速に歩を進めて行く。
「……待って」
ほどなくして、マヤがルカへ警戒を促す。
シ、と人差し指を立て、犬の耳をひくひくと動かし、ルカも同様に気配や物音に意識を集中させる。
次の瞬間――二人が同時に飛びずさり、直後にそれぞれが居た場所を『見えざる狩猟者』の爪痕が引き裂き、空を切った。
「姿隠して襲って来るだなんて、狡い獣――ね!」
すぐさまその場所を。例え目に見えずとも、攻撃の直後であれば確かに存在する獣の体躯を、コンマ1秒に満たない早業で放たれた熱戦が幾度も貫く。
その手業はさながらガンマンの早撃ち(クイックドロウ)だ。
透明のまま息を吸い、咆哮を上げようとした獣はギャッ、と呻き、そのまま力なく床に倒れ伏す。ほどなくして透明化を解かれた獣の亡骸が現れた。
マヤの手には一丁の熱線銃『M3G 熱線騎銃』通称メグ。ふ、とその銃口の煙を吹く仕草をする。
かつてより闘争に明け暮れていた彼女の技量は並大抵のものではない。
相方の死を感じ取ったもう一匹の獣が透明化を解き、反撃に転じるべく駆け出す。
ルカへと飛び掛かり、その喉笛を食い千切ろうとする――が、『見えない何か』に殴り付けられたかのように吹き飛ぶ。
「ほら見て、これわかるー?そ、アンタのワ、ザ♪」
ルカのユーベルコード、【狐火依代の術】。己の狐火で受けた技をからくりに憑依させ、そっくりそのまま返す術である。
彼女はそれで己のからくり人形を透明化させ、カウンターに用いたという訳だ。
勢いよく壁に叩き付けられた獣は、ゆらりと狐火と共に姿を現したからくり人形を力なく見上げてから、そのままぐったりと動かなくなった。
緒戦を危なげなく遂行した猟兵たちは、速やかに上階へと上がっていく……。
成功
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雫石・凛香
わたしの村もこうだった。あの時救いは来なかったけれど…今は、わたしが救いになれる
【SPD】
戦闘領域周辺の気配・物音などに注意を払い、透明化している敵を可能な限り探知し、奇襲を避ける。投げられそうな調度品などあれば何もない空間へ投げつけて反応を見るなどして安全確保
その他常に移動を繰り返し、一ヵ所に留まらないことで相手に狙いを定めさせない
妖剣開放による衝撃破で敵を別の敵の方角へと押し戻し密集させることにより、咆哮での攻撃に他の敵を巻き込みませながら数を減らしていく
「姉さんが眠れるようになるために――お前たちは、邪魔だ
「【鞘】、あいつを砕く力を!
『わたしの村もこうだった。あの時救いは来なかったけれど…今は、わたしが救いになれる』
ヴァンパイアの気まぐれで生を受け、魔剣に選ばれた事で興を買われた事で姉と共に生き延びた少女、雫石・凛香。
逃走を続け、しかしその日々に摩耗し眠る事の出来なくなった双子の姉の為、彼奴等を全て滅ぼそうと決意を固めた彼女もまた、この館でその身を躍らせる。
彼女もまた、気配や物音に注意を払い透明化を警戒していた。
それが功を奏し、飛び掛かってきた獣を鞘に納められたままの剣で受け、押し留める。
膂力はおろか、身体の大きさですら劣りかねない少女がぐ、と歯を食いしばり、声を張り上げ呼び掛ける。
己を選んだ魔剣へと。
「【鞘】、あいつを砕く力を!」
魔剣【鞘】からその刃を抜けば溢れる怨念。それをその身に纏い、衝撃波で獣たちを逆に押し込もうとする。
妖剣解放による衝撃波を受けた獣は仰け反り、しかし同時に血に餓えた叫びを上げた。
物理的な破壊力を伴うその咆哮は凛香の身体を打ちのめし、軋ませる。
それでも、少女は退かない。
「姉さんが眠れるようになるために――お前たちは、邪魔だ」
その小さな身体に、幼い心に、復讐と言う炎を滾らせたまま。
苦戦
🔵🔴🔴
ルージュ・フェリスティ
ヒーローは遅れてやって来るって知らねぇか?どうやら苦戦しているようだな...。ふむ、このへんてこりんな化け物共を倒すことが今はベターな選択か...?あー、今回は面倒臭いとか言ってられないな。んじゃ、…自分の手首をき
....(痛いから)切りたくないけど....切り、新しく手に入れたユーベルコード「業火の監獄」を発動。ママが迎えに来るまで良い子でおねんねしてな
...!...こんな奴らと似た血が俺にも流れてるのか
....、っへ、笑える話だな…。
「どうやら苦戦してるようだな……」
ヒーローは遅れてやって来るって知らねえか? とばかりに剣を手に現れたのはルージュ・フェリスティだ。
「このへんてこりんな化け物共を倒すことが今はベターな選択か? あー、今回は面倒臭いとか言ってられないな」
ルージュはその刃を自らの手首に当てる。『痛いから切りたくないけど』という内心は、幸いにも表面には出ていないようだ。
「俺の平穏な怠惰に手前等はいらねぇ……もがけ、【業火の監獄(プリゾン・フレイム)】」
手首の傷からは血液ではなく燃え盛る地獄の炎が噴き上がり、剣を包み込む。
それを獣に向けて振るえば、爆発と炎が襲い掛かり『業火の監獄』となって獣を閉じ込め焼き尽くさんとする。
「ママが迎えに来るまで良い子で……ぐっ!?」
獣が焼き尽くされるのを見届けようとしたルージュだが、その横っ腹を衝撃が襲う。
姿を消し、目に見えぬまま体当たりを繰り出したまた別の獣の仕業だ。
ダメージを受けたたらを踏むルージュ。しかし、その赤い瞳は戦意を保ったまま敵を見据える。
「こんな奴らと似た血が俺にも流れてるのか……、っへ、笑える話だな」
人を喰らい化け物となった獣たち。それを生み出したヴァンパイアとの間に生まれたダンピール。
彼もまたその一人であり、その出生には複雑な感情を抱いているようだった。
苦戦
🔵🔴🔴
ミスティ・ティヌーヴィエル
吸血鬼と言うのはやはりいつの世も悪役が多いもんだな。
小説の中の奴なら、一人くらい良い奴が居ても良いもんだろうが、現実はそうはいかねぇか。
「ああ、そこから動かないでくれや」
獣に、そこから一歩も動くな、と。デュエリスト・ロウを使用する。
「っつっても、俺のユーベルコードいまいち使い勝手が良くねぇから、俺全然使いこなせてねぇわ」
相棒である人間等身大のからくりである、檮杌を構え、檮杌で攻撃をしかける。
「行くぞ、相棒」
ちまちまとやるしかないか、とため息交じりに。
「しかし、吸血鬼は美形かどうか、それが唯一の興味だな」
「ああ、そこから動かないでくれや」
獣へと投げつけられる手袋。同時に発された言葉はミスティのもの。
美女と見紛う美貌だが、口調は粗暴。彼は男である。
使われたユーベルコードはデュエリスト・ロウ。法を守らねば傷を負う力。
課せられた『一歩も動くな』というルールは守ろうとすれば簡単だ。しかし獣にそれが通じる訳もなく、飛び掛かろうとした獣はユーベルコードにより切り裂かれたかのような傷を負う。
しかし、獣は傷を負いながらもミスティへその爪を叩きつけんとする。
直撃すれば地形ごと粉砕する威力のそれだが、間一髪で彼の操るからくり人形が受け止めた。
「っつっても、俺のユーベルコードいまいち使い勝手が良くねぇから、俺全然使いこなせてねぇわ」
ちまちまとやるしかないか、という溜息と共に手を持ち上げ、同時に【檮杌】と呼ばれたからくり人形が獣に掴み掛る。
「行くぞ、相棒」
十指を動かしからくりを操りながら、彼は小さく呟く。
「しかし、吸血鬼は美形かどうか、それが唯一の興味だな」
苦戦
🔵🔴🔴
ガーネット・グレイローズ
「立派な館だな。さぞかし、領民から税をこってり搾り上げて建てたんだろう」
見取り図を参考に、注意深く気配を殺して探索。物音や獣の臭いに気を配り、奇襲に警戒する。接敵したら素早く武器を構え、フットワークを生かして的を絞らせないようにする。ユーベルコードは妖剣解放を使用。 ヒットアンドアウェイの戦法で攻め立て、高速の斬撃で敵の死角から急所を狙って攻撃。
「喉を切り裂けば、自慢の声も出せんだろう!」
念のため、肺にも突きを入れておく。
「安心しろ、お前らの命、すべて私とこのアカツキの糧となる。食べ残しはせんぞ」
目の前の敵を片付けたら、他の連中の加勢に回ってやるか。
最初の激突、そしてその戦闘音に呼び寄せられた獣たちとの戦いは一段落し、猟兵たちは改めて館内を進む。
「立派な館だな。さぞかし、領民から税をこってり搾り上げて建てたんだろう」
見取り図を参考にしながら探索するガーネット・グレイローズ。
「恐らく次の階段を上れば領主の部屋はすぐ……むっ」
気配に気付き足を止める。
ほどなくして、階段の上から獣が飛び降り、ガーネットへと食らいつかんとする。
それを身を逸らして躱したガーネットは、妖刀・アカツキ――【朱月】を抜刀し構える。
現れた獣がく、と体を曲げ、咆哮を上げようとするが、それよりも早くガーネットが妖刀の怨念を解放した。
怨念を纏い高速で接近した彼女が振るった赤く輝く刃が、獣の喉を深々と切り裂き黒の鮮血を噴き出させる。
「喉を切り裂けば、自慢の声も出せんだろう!」
ガーネットは油断無く、獣の背から刀を突き立て肺を破壊する。
ごぼっ、と血を吐き溺れながら、獣はその身を崩れさせた。
「安心しろ、お前らの命、すべて私とこのアカツキの糧となる。食べ残しはせんぞ」
刀を振り血を払ったガーネットは、残る獣へと視線を向けた。まだまだ敵は残っている。
成功
🔵🔵🔴
アイシア・オブリオン
悪の領主たるヴァンパイア……ね。
ちょっと遅れちゃったけど、私とロジャーが来たからにはもう安心だよ!
まずはコール・スペシャルパーツ!あいつ等専用の装備をロジャーに合体だ!
さあ、準備完了!
ロジャー、連中に突っ込むよ!まとめて蹴散らして、暴虐の時代は終わりだって事を教えてやるんだ!
「悪の領主たるヴァンパイア……ね」
重厚な駆動音と共に戦場に現れたのは、巨躯を誇る人型機械。
その円筒形の胴体の上には、パイロットアーマーに身を包んだ少女がいる。
ガジェッティア、アイシア・オブリオンである。
「ちょっと遅れちゃったけど、私とロジャーが来たからにはもう安心だよ!【コール・スペシャルパーツ】!」
威勢の良い掛け声と共にガジェット【ロジャー】が光に包まれる。
光が収まった後、その両腕は巨大なトゲ付き鉄球に換装されていた。
「さあ、準備完了! ロジャー、連中に突っ込むよ!」
重い音を響かせ、しかしその巨体とは裏腹に機敏な動きで獣たちへと突撃するガジェット・ロジャー。
振り回される鉄球は一撃で獣のひとつを叩き潰す。
離れた位置で咆哮を上げようとした個体へとその腕を振るえば、轟音と共に鉄球が発射されその頭蓋を粉砕した。
そうして幾ばくもしない内に、見える範囲の獣は掃討される。
猟兵たちの前には一際目立つ扉がある。ヴァンパイアが居ると目されている領主の部屋だ。
「もう暴虐の時代は終わりだって事を教えてやるんだ!」
ロジャーの上でビシッ、と指を突きつけるアイシア。
決戦の時は文字通り、目前に迫っていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ヴァンパイア』
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POW : クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
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「騒々しいと思えば……小虫どもが、我が城を荒らすとは」
猟兵たちが飛び込んだ部屋の中。その椅子に腰掛けていたのは一人の男性だ。
『それ』がただの人間でないことは、背に生えた紅い翼、深紅の瞳、そして立ち上る 闇のオーラが物語っている。
彼奴こそが村を支配するヴァンパイアである、と。
「貴様らのような小虫が我を滅ぼすと? ハッ、やってみるが良い!」
猟兵たちを嘲笑いながら、その手に豪奢な剣を生み出す。
「無様に散り、我が糧となるが良い!」
アイシア・オブリオン
こういうのは最初が肝心。まずはロジャーと共に突入!もしもしこんばんは、引導渡しに来たよ!
まずはスペシャルパーツをコイツに合わせたものに換装、戦闘準備を整えるよ。
見切りで相手の攻撃を回避する準備をしつつ、プロテクトシールドのオーラ防御や盾受けも活用。
あとは攻撃系の技能をフル活用。
ロジャーで大暴れして、他の仲間が付け入る隙を作っていくよ!
さあ、いこうロジャー!
あいつを空の彼方までブッ飛ばせ!
「もしもしこんばんは、引導渡しに来たよ!」
ジョリー・ロジャーに搭乗したまま元気に挨拶をするアイシア。
当然それは言葉だけでなく、ヴァンパイア用に換装されたスペシャルパーツを向けながら、だ。
右腕に搭載されたそれは『杭打機』。勿論ただのそれでは無い。
魔を祓うと言われる銀製の杭を、しかも炸薬により発射できるようにした特別製だ。
「そのような無粋な鉄塊で我が城を踏み荒らした罪は重いぞ、人間!」
「鉄塊じゃない! 私の相棒、ジョリー・ロジャーだ!」
ヴァンパイアは剣を幾重にも複製し、それらを全てばらばらの動きで操りアイシアとロジャーへ襲わせる。
それらをロジャーは光の盾で防ぎ、或いは躱し、叩き落していく。
幾らかはそのボディを捉えるが、さしたる傷にはならない。何よりも、搭乗者であるアイシアへの攻撃は完璧に防いでいる。
「さあ、いこうロジャー! あいつを空の彼方までブッ飛ばせ!」
マサクゥルブレイドによる猛攻を凌ぎ切ったアイシアとロジャーは武装をヴァンパイアへと向けた。
轟音と共に銀の閃光が迸る。撃ち出された銀の杭はヴァンパイアを貫き、その勢いのままに吹き飛ばす。
流石に空の彼方まで、とはいかないものの、そのダメージは大きい。
成功
🔵🔵🔴
紬原・ルカ
「あら、なかなかの美形さん。《一緒に》色々楽しめたら良いんだけど」
現れた男性に向けて、猟兵ながら楽しそうにそんな風に告げるのは……仮面をつけたポニーテールの女性。
これは本人ではなく、人に似せた肌の質感を持たせたからくり人形。
それを囮にして自分は吹き抜けの上に隠れた状態で気配を消しています。
人形に挑発をさせて、それに攻撃を仕掛けたなら上から【フォックスファイア】の狐火で攻撃をしかけます。
もし、自分の存在に気付かれた場合は距離を取って半分の狐火を自分の周囲の迎撃用に。もう半分は炎をひとつに纏めて仲間の攻撃と連携を取って打ち込みます
雫石・凛香
小虫にたかられる無様を見せた時点でヴァンパイアとしての高が知れていると思った方が良いと思うけれどもね
何にせ、お前はここでお終い。姉さんのために、今ここで私に殺されろ
妖剣解放による機動力によって常に動き回り、相手に狙いを定めさせないよう立ち回る
相手が己へ攻撃の意識を向けた時こそが最大の攻撃の機会。操作された刃や無尽のコウモリ、飛んでくる誓約書。振るう魔剣から放たれる衝撃は合切を呑み込む
「無様に散るのはお前だ。お前が囁くから姉さんは眠れない。口を閉じて私に殺されろ
「【鞘】、応えて! あいつを打ち滅ぼす力を私に!
「なかなかの美形さん。《一緒に》色々楽しめたら良いんだけど」
仮面を付けたポニーテールの女性が、蠱惑的な声音でヴァンパイアへと話しかける。
「我と楽しみたいなら、その身を、その血潮を我に捧げるが良い!」
ヴァンパイアが指を鳴らすと、その影から無数の蝙蝠が湧き出し、女性へと殺到した。
その血を吸い尽くし傷を癒さんとする為に。
蝙蝠は瞬く間に女性を覆い尽くし、喰らい尽くさんとする……が。
「……何?」
異変を感じたヴァンパイアは蝙蝠を引かせる。
そこには血も肉も無い。女性の正体は、人に似せたからくり人形だったのだから。
「囮か……小癪な真似を!」
それを操る主は誰か、と視線を巡らせたヴァンパイアの頭上から炎が襲い掛かった。
「ね、こういうのも楽しいかしら?」
人形を囮にし、身を隠していたルカの狐火だ。
十を超える数を束ねて叩き付けたその威力は、ヴァンパイアの身にも少なからぬダメージを与えている。
「我を……謀るか、小虫風情が!」
「小虫にたかられる無様を見せた時点で、ヴァンパイアとしての高が知れていると思った方が良いと思うけれどもね」
激昂し感情を露わにするヴァンパイアへ挑発するように声を掛けたのは幼きダンピールの少女、凛香だ。
「何にせよお前はここでお終い。姉さんのために、今ここで私に殺されろ」
妖剣解放を発動した彼女は、高速移動によりヴァンパイアを翻弄しにかかる。
「舐めるな、小娘が!」
ヴァンパイアは再び無数の刀剣を創り出し、縦横無尽に暴れさせ少女を捉えんとする。
しかしそれこそが凛香の狙い。攻撃に意識を割いたその瞬間を狙い、全力で魔剣の力を解放する。
「【鞘】、応えて! あいつを打ち滅ぼす力を私に!」
魔剣と、そして己の真の力から生み出された衝撃波は一切合切を呑み込みながらヴァンパイアへと押し寄せる。
「無様に散るのはお前だ。お前が囁くから姉さんは眠れない。口を閉じて私に殺されろ」
このヴァンパイアは自分達を苛むヴァンパイアではないかも知れない。
それでも凛香はヴァンパイアの全てを赦さない。姉の平穏の為に。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
マヤ・ウェストウッド
「アンタ、随分と顔色が悪いね。戦いどころじゃないよ。日の光はちゃんと浴びてるのかい?」
・星の海からやってきたマヤは、吸血鬼の素性を知らぬ。しかしながらその邪悪さを、獣人特有の鋭敏な嗅覚で感じ取る
・エマ! と叫ぶと館の外で駐車していたバイク、エマニュエルが窓を割ってマヤの元に自動走行して迎えに来る。
・疾走するバイクに立ち、余勢に乗って野生を解き放つ
・超獣技法・飢餓咬は、自身の野生を部分的に解放し獲物を捕食する禁じ手の技。マヤの健啖家ぶりは、相手が何者であろうとも、スナック感覚で喰らいつく勢いである
「アタシを糧とかどうとか抜かしてッけど、勘違いするなよ。アンタ"が"アタシのおやつだろーが!」
「アンタ、随分と顔色が悪いね。戦いどころじゃないよ。日の光はちゃんと浴びてるのかい?」
……星の海、スペースシップワールド出身のマヤは吸血鬼とはどういうものなのか、という知識を正確には持っていない。
しかしその邪悪さは目と、そして鋭敏な嗅覚からはっきりと感じ取れる。澱み切った血の臭いだ。
「――エマ!」
マヤが叫ぶと同時、館の外に留めてあった彼女の愛車……否、相棒であるバイク、エマニュエルが窓を割ってマヤの元へと駆けてくる。
その上へ飛び乗ったマヤは、己の野生を解き放つ。唸り声と共に、その腕が巨大なイヌの顎へと変化を遂げた。
「アタシを糧とかどうとか抜かしてッけど、勘違いするなよ。アンタ"が"アタシのおやつだろーが!」
轟、と吼えて疾走するマヤとエマニュエル。
ヴァンパイアが焦り複製剣で応戦するものの、それらごと噛み砕き食い千切り貪って、邪悪の片腕を喰らい呑み込んだ。
【超獣技法・飢餓咬】。野生を解放し獲物を喰らう禁じ手。
マヤは健啖家であり、その食欲は相手が何者であろうともスナック感覚で喰らい尽くすという。
成功
🔵🔵🔴
ルージュ・フェリスティ
耳障りな声だ...、さっきの汚名挽回といくぜ。今度こそははカッコよくキメてやるっ!(黒髪が白くなり、髪も腰下まで伸びる。)見せてやるよ、俺の本気っ...。
他の奴らの援護もしつつ、スキを見計らいボスに一気に接近する。ユーベルコード「業火の剣(エペ・フレイム)」発動!!さっきの借り、倍にして返してやんよっ...!
ガーネット・グレイローズ
【Wiz】で戦う。
「お前がここの主か。ならば、猟兵の務めを果たすのみ。ここで貴様を討つ!」
超感覚を使って影蝙蝠の動きを予測し、回避を試みる。体にまとわりついてきたら、〈なぎ払い〉を用いて刀で攻撃。ヴァンパイアに対しては、剣で斬りつけられないように距離をとって、アウトレンジからサイキックブラストで攻撃。〈殺気〉を叩きつけながら、電流で動きを封じてやる。同行している仲間と連携を組んで攻撃。うまく攻撃がヒットしたら、追撃できるように呼びかける。
「今がチャンスだ! やれ!」
「猟兵の務めを果たすのみ。ここで貴様を討つ!」
距離を取ったまま超感覚を発揮するガーネット。
剣での攻撃を避け、同時に発見しにくい影の蝙蝠を察知する為だ。
その目論見通り、まとわりつかんとする蝙蝠たちを鋭敏に察知し、刀でなぎ払い叩き落して行く。
「小賢しい! ならばこの手で串刺しにしてくれる!」
業を煮やしたヴァンパイアが剣を手に突撃する。
ガーネットはそれに殺気を叩き付けるが、怒りに燃えるヴァンパイアは意に介さない。
掌から放たれるサイキックブラストの電流がその身を灼くが、それでも止まらない。
「死ね――!」
ガーネットの身体を剣が貫く――と思われた、その時だ。
激しい金属音が部屋中に響き渡る。
横合いからルージュが飛び込み、ヴァンパイアの剣を己の武器で防いだ音だ。
「耳障りな声だ……、さっきの汚名挽回といくぜ」
それを言うなら汚名返上である。が、彼が言いたい事、為したい事は皆に伝わるだろう。
「今度こそはカッコよくキメてやるっ!」
能力で大きく勝るヴァンパイアを単身で食い止める、その理由。
黒い髪は白く染まり、腰下まで伸びて行く。真の姿を解放したルージュの本気が、瞬間的にヴァンパイアをも圧倒する。
「業火の剣(エペ・フレイム)発動!!」
ルージュの剣が、その名の如く真紅の炎を纏う。その熱量はヴァンパイアの剣をも溶かす程。
危険を感じたヴァンパイアが咄嗟に飛び退こうとするが、その体を高圧電流が包み込んだ。
ガーネットが再度放ったサイキックブラストが、意識を逸らしたヴァンパイアを貫いたのだ。
痺れ、硬直したヴァンパイアの目に、ルージュが構える真紅の刃が映る。それは全てを焼き尽くす業火の剣。
「さっきの借り、倍にして返してやんよっ……!」
感電し逃れられぬヴァンパイアをその刃が捉え、深く斬り裂き燃え上がらせる。
真の力によって上乗せされたその威力は計り知れない。炎に包まれたヴァンパイアが悲鳴を上げる――。
大成功
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「おのれ――おのれおのれおのれ猟兵ども! 虫ケラども! 糧となるだけの存在がァァァ!!」
咆哮と共に炎が吹き散らされる。
猟兵たちの猛攻を受けたヴァンパイアは、最初の余裕を欠片も残していない。
穿たれ、焼かれ、喰われ、斬り裂かれたその姿は満身創痍と呼べるだろう。されど殺意は未だ失われていない。
「殺してくれる! 全て、全てだ! 貴様らを葬り、村々を滅ぼし、ヴァンパイアの恐怖を今一度……!」
怒りに呑まれたその様子は最早狂気と呼べるほど。
あと一歩。しかし油断はならない。
手負いの獣ほど、恐ろしいものはないのだから。
アイシア・オブリオン
全て殺す、かあ。残念だけど、それは無理だよ。だって君、私達に倒されるんだもの。
それに……言ったでしょ、私とロジャーが空の彼方までブッ飛ばすって。
さあ、あと一息だよロジャー!
ここでやらなきゃいつやるってね!
皆の連携でここまで追い詰めたんだ、ぜったいぜーったいやっつける!
いくよロジャー、オーバードライブだ!
私も持てる技能をフル活用、全力で攻撃を叩き込むよ!
ユーザリア・シン
【WIZ】にて戦う。
恐ろしい恐ろしい、まっことヴァンパイアは恐ろしい。しかしそんなことは百も承知じゃ。
殺す?させぬ。葬る?させぬ。滅ぼす?させぬ。貴様にはこれより、もはやなにひとつとして自由にはさせぬ。
させてはならぬ。
聞いておるか、猟兵共よ。近くて遠き我が友がらよ。そういう訳じゃ。あやつに終焉をくれてやるがよい。
ユーベルコードを用いて周囲の猟兵を鼓舞。相手がどのような悪あがきをしても対処できるように能力を引き上げさせ、無事におわるよう【祈り】ます。
ルージュ・フェリスティ
っち、此奴まだ倒れねぇのかよっ!背脂コテコテの豚骨ラーメンより執拗いぜ!?仲間の援護を中心に行動するぜ。ユーベルコードで相手の行動を止めるってのもアリだな...。まぁ油断は禁物だ...、気を引き締めてかかるぜ!!
「っち、此奴まだ倒れねぇのかよっ!」
炎によってヴァンパイアへと痛撃を与えたルージュは、しかしそれでも倒れぬ敵に僅かに怯む。
油断なく剣を構え直し、ヴァンパイアへと向き直る。他の猟兵たちも同様だ。
猟兵たちがトドメを刺すか、ヴァンパイアが逆襲するか――。
最後の攻防になる。その場の全てが確信した、その瞬間だった。
「恐ろしい恐ろしい。まっことヴァンパイアは恐ろしい」
そこへ響く、妙齢の女性の声。
それを投げかけたのはダンピールの美女。最後の援軍、ユーザリア・シンだ。
ユーザリアには、ヴァンパイアの威圧にも気圧された様子は無い。
淡々と、しかし不思議と通る声で戦場に言葉を響かせる。
「しかしそんなことは百も承知じゃ。貴様にはこれより、もはやなにひとつとして自由にはさせぬ。させてはならぬ」
殺す? させぬ。
葬る? させぬ。
滅ぼす? それもさせぬ。
剣を抜きヴァンパイアに突き付け、麗しき伽藍の女王は声を張る。
それは友への鼓舞。【聖女王の号令】と称されるそれは、友たる猟兵たちに力を与える。
「聞いておるか、猟兵共よ。近くて遠き我がともがらよ。そういう訳じゃ。あやつに終焉をくれてやるがよい」
恐れるな、友よ。我らは『決して折れぬ矢(アンブロークン・アロー)』であると。
「その通り! 全て殺すなんて、残念だけどそれは無理だよ。だって君、私達に倒されるんだもの!」
号令を受け真っ先に飛び出したのはアイシアだ。
蒸気を噴射し矢の如く飛び出したジョリー・ロジャーがヴァンパイアへ突撃し体当たりを仕掛ける。
剣を複製する暇も無く――そもそも複製するべき大元の剣は先程の熱で溶けてひしゃげてしまっている――押さえ込まれるヴァンパイア。
「いくよロジャー、オーバードライブだ!」
甲高い音を響かせ、ロジャーの各所から蒸気が勢い良く噴き出す。
リミッター解除。限界を超えた駆動。ガジェットの本領たる無数の武装が展開され、その全てがヴァンパイアに襲い掛かる。
殴る。電撃。キック。チョップ。光の盾も叩き付ける。
「が、ぐ、きさっ……! ぐ、お、おおおおおお!!」
堪らず飛び退き距離を置こうとするヴァンパイア。
だが、その隙をルージュは見逃さない。
「もがけ、【業火の監獄】!」
ルージュが放つ地獄の炎がヴァンパイアへと襲い掛かる。炎がヴァンパイアを囲み、縛り、檻となって閉じ込める。
邪悪を焼き、封じ込める業火の監獄。それを抜け出す余力は、ヴァンパイアにはもはや残されていない。
檻の中でヴァンパイアが見たのは、自身へ向けられる武骨な砲口。
アイシアのロジャーが、連撃のフィニッシュに据えたバズーカだ。
「祈るまでも無いか。終わりだ、ヴァンパイアよ」
「俺の安眠を妨害する奴は捻り潰す」
「言ったでしょ、私とロジャーが空の彼方までブッ飛ばすって」
「……おのれえええええええええ!!」
最期の叫びが木霊する。
轟音、爆発、衝撃。
こうしてヴァンパイアは滅ぼされた。
闇に支配された世界、そのほんの片隅、小さな領土ではあるけれど。
確かに、その支配は終焉を迎えたのだ。
大成功
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第3章 日常
『人々の笑顔の為に』
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POW : 食料の運搬、建物の修理など力仕事をする
SPD : 村々を巡って困っている人を探す
WIZ : 明るい歌や踊りで元気づける
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戦いを終えた猟兵たちが領主館から出て来る。
館を徘徊していた闇の獣たちは主の死と共にその肉体を崩壊させた。
恐らく、村を襲撃しに向かっていた配下の騎士たちも同様だろう。
項垂れ、絶望していた村民たちが猟兵たちの姿を見止める。
誰かが小さく声を漏らす。「まさか」と。
「あいつを……倒したんですか?」
誰ともなく猟兵へ尋ねる。自分達を支配し、甚振り、君臨していたヴァンパイアは滅ぼされたのか、と。
示される肯定の言葉。
その声と事実がじわじわと村の中を広がっていく。
未だ力無いものではあったものの。
確かな希望と歓喜の声が、村中から上がり始めた。
――猟兵たちの仕事はこれで終わりではない。
彼らは長い支配と搾取によって身も心も消耗しきっている。
例え支配が終わったとて、彼らだけで持ち直すのは難しいだろう。
手助けが必要だ。
誰ともなく、猟兵が村へと駆けだす。連絡を受け新たに手伝いに来る猟兵も居るかもしれない。
希望の光を確かなものとする為に、もう少しだけ力を振るおうと。
アイシア・オブリオン
ようやく最初の一歩……ってね。
まずは村中をロジャーと一緒にダッシュで駆け回って、助けが必要な事をリストアップ、分類するよ。
それを仲間と共有したら、私はロジャーの大きさを利用して食料と資材運搬。
そして建物修理だね。
トンテンカン、と。
今後何かあっても多少は大丈夫なように、高い柵も作っておこうね。
屋根は雨漏りとかは大丈夫かな?
すきま風は?
床の修理は流石にロジャーには無理だから、私が直接トンテンカン。
お腹すいてる人がいたら、料理もすぐには出来ないだろうし、私の固形栄養食品を渡しとくかな。
チーズ味。美味しいよ?
さてさて、このトンテンカンの響きが希望の音……ってね!
ルージュ・フェリスティ
ふぁあ~俺は寝てるだけで村人を勇気づけるぜ...なんてんたって、俺の美貌は世界一....嘘だよ、ちゃんとやるって
....。【SPD】取り敢えず困ってる村人の悩みを万事解決するぜ。なんでもいいな~俺に出来ねぇ事はまぁ...ほとんど無い。あとは...、周りを見て【POW】や【WIZ】に移動するかーな
....?
紬原・ルカ
「ここからがワタシの本領かな、なーんて」
自称フォクシーアイドル。猟兵である以上、本当にアイドル活動で稼いでいるなんていうことは出来ないけれど、サウンドソルジャーであるというのはただの自称以上ではあるはず。
【WIZ】と【サウンド・オブ・パワー】で応援!
からくり人形を使ってバックダンサーとして踊らせて、自分もとにかく楽しそうにしてみせます。
他に同じような力を持つ仲間が参加するならば
「セッションしましょ♪」
なんて誘って、新しい風を吹かせてみるのもいいかも。
だってワタシのモットーは、「一人で楽しくてもつまんない。みんなで一緒に楽しく」なのだから。
ユーザリア・シン
さあてこれからが本番よな。
【WIZ】で人々の心の傷を癒やす手助けを致そうかの。
ユーベルコードで身を癒やしながら、これまでの話を聞き、慰め、そしてそのものが前に進めるよう、言葉を授けて回ろう。
迂遠よな。
しかし結局の所、妾たちの強き不壊の光は流星の如きもの。導くことしかできぬ。
この者たち一人ひとりが自らの輝きの主とならねば、この世を覆う暗黒は決して払えぬからの。
マヤ・ウェストウッド
「改めて見ると、やっぱりこの有り様はちょっとアレだね。とてもじゃないけど目も当てられないよ」
・と言うが早いか、身体が真っ先に動き村の復興作業に入る
・力仕事は他の猟兵に任せ、農具や日用品など細かな道具の修理を行う。出身地の世界に比べれば文明レベルは低く、元より銃やバイクを日常的に扱っているマヤからすれば容易い作業といえよう
・実の所、スペースシップワールドの機械を村にもたらそうと考えていたが、村人が自力で復興することを鑑みて修理にそれを使うだけに留める
「これでよし……と。悪い奴等は懲らしめたけど、この世界を立て直すのはそこの住人であってほしい。自分を闇から救い出すのは、自分自身だけなのさ」
ガーネット・グレイローズ
【Wiz】
「終わりだ。奴なら滅んだぞ」
館を出て、村人たちを安堵させるように語りかける。
「どれ、久々に一曲披露するか。楽しんでもらえたら幸いだ」
鞄から取り出したのはバイオリン。彼らが知らない、異世界の曲を演奏して聞かせる。
「お前たちも、今日ぐらいは歌い踊るがいい」
子どもたちが集まってきたら、〈念道力〉を使って子供の体を浮かび上がらせたり、〈迷彩〉でモノを隠したりして、手品の真似事をする。
「どうだ、すごいだろう? お姉さんは手品も使えるんだぞ」
子どもたちには、希望を持って生きてもらいたいな。彼らこそが、この世界の未来を担い、支えていくのだから。
「終わりだ。奴なら滅んだぞ」
館から出て来たガーネットは、村人たちを安心させるようにそう声を掛ける。
おお。本当か。やってくれたのか。やっと解放される。
村人たちは口々に喜びの声を上げる。
それは確かに希望の声ではあったが、余りに力無く、吹けば飛んでしまいそうな儚さがあった。
「さぁて、これからが本番よな」
ユーザリアがその様子を眺め、息を吐く。
災害は過ぎ去ってもその被害がすぐ直る訳ではない。
人の手で、或いは時の流れによる癒しが。修復が必要だ。
「改めて見ると、やっぱりこの有り様はちょっとアレだね。とてもじゃないけど目も当てられないよ」
かぶりを振ってマヤは真っ先に駆け出す。村人に尋ね、向かったのは農具などが保管されている倉庫だ。
機械技術に秀でたマヤはそれらの道具を修理しようと考えたのだ。
やろうと思えば己の出身世界――スペースシップワールドの技術や機械を村に齎す事も可能だろう。
しかし彼女はそれを良しとしなかった。
手助けこそするが、自分たちはいつまでも此処に居られる訳ではない。
最終的には村人たちが自力で立てるように戻らなければならないからだ。
『悪い奴らは懲らしめたけど、この世界を立て直すのはそこの住人であって欲しい』
真に自分を闇から救い出せるのは自分自身だけ。それが彼女の考えだった。
「はいはーい、壊れた建物とか無い? あと資材が残ってる場所とかとか――」
アイシアは愛機ロジャーを駆り村中を周り、村人たちの話を聞いて必要な作業をリストアップしていく。
手入れや修理の届かない家屋がいくつか。食糧の状況も村内だけでは芳しくないようだ。
「それじゃまずは建物修理からだね。ロジャー、【コール・スペシャルパーツ】!」
パッと光りロジャーの腕に様々な工具が接続される。金槌やノコギリなどなど。修理に必要そうな道具はなんでも。
それらを用いて家屋の壁や屋根の修復に取り掛かる。
「それ、トンテンカン、と」
今後何かあっても大丈夫なように。丈夫な家にしてあげよう。
「ふぁあ~、俺は寝てるだけで村人を勇気づけるぜ……嘘だよ、ちゃんとやるって」
欠伸をしながらそんな事を宣うルージュへ冷ややかな視線を向けたのはユーザリア。
彼女の美貌と瞳で睨まれると軽く威圧されたような気持ちになるだろう。
冷や汗をかいたルージュは、慌てて村へと駆けて行く。
悩みがあれば万事解決。なんでもいいぞ、と言う彼に、村人たちがたちまち集まり口々に要望を伝え始める。
怠惰な彼ではあるけれど、頼られれば応えるしかない。
それが見栄から始まった行いだったとしても、実践すれば本物であり、頼れる存在に他ならない。
それを見届けたユーザリアは、心に傷を負った村人の下へ向かう。
その心に宿す【生まれながらの光】をもって身体を、心を癒しながら、話を聞き、慰め、言葉を授けていく。
その最中、迂遠よな、と心中で呟く。
結局の所、自分達の力は強き不壊の光ではあれど、流星の如き一時のものでもある。
導く事しか出来ぬと判っている。
故に、彼ら自身がいつか輝けるようにと願う。
それこそがこの世を覆う暗黒を払う術だから。
「ここからがワタシの本領かな、なーんて」
フォクシーアイドルを自称するルカ。
猟兵である以上、アイドル活動のみで稼ぐ事は難しいだろう。
けれど彼女はサウンドソルジャー。歌と音楽で敵と戦う存在。
『敵』とはオブリビオンのみではなく、きっとこういう、絶望そのものも指すのだ。
【サウンド・オブ・パワー】。音楽の力で村人たちを元気付けるべく、村の広場へ繰り出す。
「どれ、私も久々に一曲披露するか」
「あら、じゃあセッションしましょ♪ 選曲はお任せするわ」
歌い手たるルカに倣ったのはバイオリンを手にしたガーネットだ。
即興(アドリブ)で合わせるのもまた、アイドルの技量だと告げるルカ。
「では頼む。――村人たちも、楽しんでもらえたら幸いだ」
広場を中心に、ガーネットが奏でるバイオリンの音色が村へと響き渡る。
それを受け、どこか甘く、よく通る声音で歌うルカ。
その背後では仮面を付けたポニーテールのからくり人形――ルカのバックダンサーが舞い踊り、村人たちの目を惹き付ける。
ガーネットの奏でる旋律。ルカの楽しげな歌声。
それらが紡ぐは光と希望の歌。
心の奥底に響き、揺るがし、抑圧され埋もれていた人々の希望をいま一度蘇らせる。
はっきりと、村人たちの表情が明るくなっていくのが、彼女たちの目に映る。
演奏と歌声を聞きつけ広場に集まって来た子供たちに、ガーネットは目を向け声を掛ける。
「お前たちも、今日ぐらいは歌い踊るが良い」
バイオリンの弓をす、と子供に向けると子供達が念動力で浮かび上がる。
ふわふわと、ゆらゆらと、空を泳ぐかのような心地を味わう子供たちは最初こそ驚くものの、次第に歓声を上げ始める。
「どうだ、すごいだろう? お姉さんは手品も使えるんだぞ」
笑顔を見せる子供たちへ、ガーネットもまた笑みを浮かべてウインクしてみせる。
子供たちにこそ、希望を持って生きて貰いたい。彼らこそがこの世界の未来を担い、支えて行くのだから。
そんな想いが彼女の中にはあった。
「これでよしと。次はどれを直そうか?」
「トンテンカン、トンテンカン。この響きが希望の音……ってね!」
マヤ・ウェストウッドが。
アイシア・オブリオンとロジャーが。
住処を、道具を直す。村を立て直し、生きるための土台を形作る。
「おぬしたち一人ひとりが輝きの主となるのだ」
「次はどこだ。俺に出来ねえことはほとんど無いぜ」
ユーザリア・シンが。
ルージュ・フェリスティが。
村を巡り、人と向き合う。身を癒し、手を差し伸べる。
「一人で楽しくてもつまんない。みんなで一緒に楽しくやろう」
「希望を持て。未来を信じよ」
紬原・ルカが。
ガーネット・グレイローズが。
希望を歌い、奏で、村人たちの生きる活力を蘇らせる。
彼らを含め、幾人もの猟兵が、この村を助けるために闇と戦った。
闇に満ちた世界の中で、光となるべく戦った彼らの事を、この村の人々は未来永劫忘れる事は無いだろう。
暗雲立ち込める世界に垣間覗いた夜の空に。
一条の輝く流星が、芽生え始めた希望を示すかのように翔けていった。
大成功
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