●グリモアベースにて
「集まってくれてありがとう。
……ところで、えーと……皆はロボットって詳しい?」
一応グリモア猟兵であるイサナ・ノーマンズランド(ウェイストランド・ワンダラー・f01589)はそう呟きながら、集まった猟兵たちを見回すように隻眼を一巡りさせる。
「わたしは正直あんまり詳しくないんだけれどね」
言いながら、イサナは手にしていた携帯情報端末のパネルを数度叩くと、液晶画面に画像データを呼び出した。そのまま手首を返して猟兵たちに画面を見せつける。其処に映し出されているのは、それぞれ動物を象った3体のロボットである。
「今回は皆に、こいつらをやっつけて欲しいんだ」
イサナがそう言ったのと同時に、それぞれの画像の下に固有名称が浮かび上がる。
黒いサイ『ドヤライノー』
赤いハヤブサ『ドヤファルコ』
青いライオン『ドヤレオン』
「これ、ドヤニマロイドって言うんだって。“きょてんぼーえいシステム”としてマッドサイエンティストが作ったのが、オブリビオンストームのせいでオブリビオンになっちゃったの。3匹で連携しながら戦うけど、戦闘行動のたびにいちいち決めポーズで格好つけるクセがあるから、そこを狙うと戦いやすいかもね」
そう告げるイサナが端末を弄ると、画面の中のサイが猛突進で走り出し、目の前のダミー人形の胴体を角で豪快にぶち抜きながら頭上へと勢い良くカチ上げるモーションが再生される。空高く跳ね上がるダミー人形が頭から落下し、大地へとゴシャアッ、と激突するのを背景に、黒い鋼のサイはカメラ目線でドヤァ、とばかりに角を誇張しながら見栄を切って大袈裟にポーズを決める。大層ロマンに溢れてはいるものの、実戦においては致命的な隙だと言えよう。
「今のちゃんと見えた? だいたいこんな感じなの」
「バンクシーン? カナダパース? サンライズダチ?
なんだかむずかしいこと言うね、わたしそういうのよくわかんない」
それはともかくね、とイサナは咳払いをひとつする。
「ドヤマニロイドたちが占拠しているエリアには資源も眠ってるみたいなんだけど、ときどき侵入者を気まぐれに襲撃してくるから、なかなか思い切って探索することができないんだ。偶然通りがかった旅人が被害に遭ったりもするし、皆には排除をお願いするね」
こういう地道な積み重ねがアポカリプスヘルの人類再興に繋がっていくんだよ、と続けたイサナであったが、ふと思い出した事を小さく付け加える。
「そういえば、ドヤマニロイドには隠された真の機能があるらしいんだ。
それが何かまではちょっとわからないけど……。
ともかく、みんな気を付けて無事で帰ってきて欲しいな」
毒島やすみ
はじめまして。或いはお久しぶりです毒島です。
今回のお話の舞台も前回に引き続きアポカリプスヘル。廃墟を根城にしているオブリビオンを退治しに向かうという大筋になっております。
第一章はかつて都市であった筈の地域に残った廃墟群の探索及び踏破です。
オブリビオンが潜んでいると思しきその最深部を目指して進んでいきます。辛うじて倒壊を免れた建築物も彼方此方が老朽化しており、崩落の危険性があるため危険な場所ですが、それぞれ猟兵らしいやり方でこれを突破していきましょう。
第二章は廃墟の奥で遭遇するオブリビオンたちとの集団戦です。彼らは高度な連携能力を備え、それを活かして戦う(予定ですが、どうなるかはわかりません)ので、万全の状態を整えて挑みましょう。尚、彼らの動作にはいちいちポージングが入る為、その隙を狙って戦うと効果的です。
第三章はボス戦です。簡潔に申し上げますと「固い、強い、おそい」!
そういうオブリビオンが出てきて大暴れしますので、撃破しましょう。
それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
どうぞ広い心でお付き合いください。
第1章 冒険
『夕暮れの廃墟』
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POW : 直線的かつ強引に廃墟を突破する
SPD : 速さに任せて駆け抜ける
WIZ : 所要時間を計算し最速のルートを見出して突破する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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才堂・紅葉
◎
地道な仕事は割と好きなのよねぇ
アーミールックで足音も立てない【忍び足】にて迅速移動
「ガジェットブーツ」の跳躍や接着機能を【メカニック】で駆使し、壁や天井も通路にしてのパルクールだ
だが己の身一つの踏破は工作員として及第点に過ぎない
探索も進めておこう
「おいでなさい、BADガイズ」
召喚符で出したバスケット。中には五体の蝙蝠型ドローンがある
アースの二つ前の元号の頃の学生服デザインにリーゼント、そしてサングラス装備のクソださい代物だ
「センス0ねあいつら」
性能には問題がない
音響定位で飛び回り【情報収集】でマッピングする優れ物だ。クソださいだけで
要所要所の一時安全箇所で解き放ち、お土産の探索情報を集めたい
●全日本蝙蝠連合 なめんなよ
「……何時見てもすごい有様だこと」
嘗ては無数の人々が行き交っていたであろう大通り。それも今となっては無惨に倒壊したビルの残骸や、ボディが原型を保たぬ程に拉げて潰れたスクラップと化した自動車が散らばり、まるで途中で誰も弔う者が居なくなった廃村の墓地のような有様だ。それほどまでにオブリビオンストームとは強烈なものだったのか。嘗てこの地で生きていた人々の名残をその光景に見出す事は難しい。
倒壊しかけの廃ビル屋上。黄昏時の斜陽に照らされる街の躯を見下ろしながら、その情景とは見合わぬ不敵さで口元に笑みを浮かべる一人の少女。
「ま、地道な仕事は割と好きなのよねぇ」
夕陽のオレンジ色に染まった瓦礫の山を駆け降りて、ガラスは飛び散り枠しか残らぬ窓から比較的損壊の少ないビルへと飛び込むのは才堂・紅葉(お嬢・f08859)だ。暗視ゴーグルにミリタリージャケットを身に付け、非常電源もとうの昔に死んだ暗闇の廊下を足音も立てずに駆けていくその姿は、彼女の稼業たる工作員らしく実に堂に入った様である。今も身に付けている特殊装備「ガジェットブーツ」の機能をフルに活かし、時には壁や天井へと飛び移ってこれを足場に、まるで糸を張り巡らせた巣の上を敏捷に動き回る蜘蛛のような動きで着実に最深部へと目指す進行ルートを確保していく。
しかし、ただ単純に目的地を目指して進むだけでは及第点が貰えるだけに過ぎない。一流の工作員ならば、どのようなルートを辿って進んだかの記録も残しておくものだ。マッピング、これは障害たるオブリビオンを撃破した後の探索時において活用されるべきものであろう事は間違いない。紅葉には迅速確実にして安全な進行経路を確立しておく必要があった。無論、これまで彼女が進んできた道程も、持ち歩いていたPDAに記録されているのだ。
「さて、念には念を入れるかな……。おいでなさい、BADガイズ」
探索の供として彼女が懐より取り出すのは一枚の召喚符だ。アルダワ学園の学生がせっせと試作したそれを起動させれば、中心の刻印から走る火花が符に穴を空けるように燃え広がり、瞬く間に符を全て焼き尽くし、白い灰となって散り消える。入れ替わりに紅葉の手元へと現れたのは布をかぶせたバスケット。病院にお見舞いに持っていくアレだ。布を取り払ってそこから飛び出すものは、決してフルーツ詰め合わせなどではないのだが。闇の中に舞い上がる小さな影は全部で五つ。それぞれが古式ゆかしい改造学生服に、リーゼント、そしてサングラスというヤンキー仕様の時代錯誤の出で立ちのコウモリだ。一体どんな人間がこれを作ったのやら。正直言えば、紅葉的には度し難いセンスだ。
「……クソださっ」
彼女が思わずこうして口に出してしまうのも已む無し。UDCアースにおいては年号ふたつ前のセンスであろうそれは、最早ほぼ誰からも忘れられかけた時代の徒花。
「センス0ね、あいつら」
これを用意した人間へのものか。紅葉はそう小さく毒づきながらも、闇の中を流暢に泳ぎ回るコウモリたちの動きを暗視ゴーグルで追い、その後に追従して慎重に歩みを進める。性能的には申し分はないのだ。本物のコウモリ同様、口から発する超音波が障害物にぶつかり跳ね返る動きを捉え、それによって周囲の地形や距離を計測し、更には周囲の仲間たちとそれをリアルタイムに共有し合うことで、視覚に頼れぬ場所であろうと高精度に地形情報を把握する。紅葉の手にしたPDAには彼らから送信された情報が蓄積し、マッピングデータが瞬く間に更新されていくのだ。
「ホント、このクソださいのだけは頂けないけども……」
便利な事には代わりはないが、この姿を誰かに見られるのだけは避けたいものだ。悩ましい表情を浮かべながらも、紅葉は着実に探索を進めていく。これならば奪還者たちからの追加の報酬も期待できる程の土産話は十分に用意できる事だろう。
大成功
🔵🔵🔵
黒鋼・ひらり
【POW】
隠された真の機能って合t
…いや、まあいいわ…私の勝手な憶測で皆を混乱させる訳にいかない
それよりまずは目の前の状況…廃墟踏破が先決よね…うん
なんちゃらロイドに関しては棚上げよ棚上げ
ギミックシューズを起動させながら廃墟を踏破…地面が遮られてるなら壁面を磁力で駆け上がり、或いは磁力反発での跳躍で瓦礫を飛越え…鎖を使ったロープワークで踏破してくわよ
一応【ダウジング】…磁気感知能力で周囲警戒しつつ、不意の崩落や瓦礫の飛来等に対しては磁力で弾いたり、『武器庫』から武器を転送し受けたり磁力射出して迎撃、若しくは同じく転送した鉄壁で遮りましょっか
こんな前哨戦でぐずぐずしてらんない…最短で突っ切るわよ
●鉄の悪魔が叩いて砕く ひらりがやらねど誰かやる
「隠された真の機能って合」
おいやめろおまえそれ以上言うな。
「……いや、まあいいわ。……私の勝手な憶測で皆を混乱させる訳にいかない。
それよりまずは目の前の状況…廃墟踏破が先決よね。……うん。
なんちゃらロイドに関しては棚上げよ棚上げ」
それでよろしい。お楽しみは最後までとっておくものだ!
さて、先行した紅葉のビルの地下から連絡通路を抜けて最深部を目指すルートとは別に、地上を往くのは黒鋼・ひらり(鐵の彗星・f18062)だ。まだ見ぬ敵の姿をイメージするのも程々に、通路を塞ぐ邪魔な残骸をギミックシューズによって強化した脚力によって強引に踏み越え踏破、視界を埋め尽くすほどの巨大な残骸は、彼女の異能たる磁力の操作で壁面に靴裏を吸い付ける事でまるで忍者の如く重力を無視して駆け上がり、或いは磁力操作の逆転……強烈な反発による力強い跳躍と、自在に操る鎖鉄球からなるロープワークによって飛び越えていく。
「こんな前哨戦でぐずぐずしてらんない。……最短で突っ切るわよ」
地形の制約に縛られる事無く、強引に突き進む彼女は、必然的に目的地までの最短ルートを往く事になるのだが、かと言って気を逸らせる余りに守りへの備えを怠っている訳ではない。不意にその眼前でビルの壁面に亀裂が走り、其処から大きく崩れ出す破片がひらりの視界を埋め尽くさんと迫る。だが、それも予測済み。ひらりの磁気感知能力はある程度事前に不測の事態を予期することができるのだ。
「予想通りよ!」
気構えはとうに済ませていたひらりの翳した右の掌から、その全身を球状に包むかの如く生み出される磁力による不可視の障壁が、押し寄せる大量の破片を逸らし、往なし、流す。流し切れないものは、機構仕込みの右の鉄腕が叩いて砕く。弾き散らした瓦礫たちが雨霰の如く地上へと降り注いでいくのを振り返りもせず、ひらりは靴裏からの磁力反発によって次のビルへと飛び移り、落下の衝撃で脆くも崩落を始める其処から更に続けて跳躍。
「……っと!」
其処から遥か下方、ひび割れたアスファルトの名残に覆われた路上へと路面をブーツの底で踏み砕くように豪快に着地すれば、その行く手を塞ぐように横転し積み重なった廃車たちの織り成す山を仏頂面で睨み据え――――。
「ああもう、邪魔ね。いいわ、一気に片付けて突き進むわ」
ひらりの掲げる片腕に応じるが如く、虚空より次々と現れる斧槍や鉄球などの武装の数々。彼女の『武器庫』より転送されてきたそれらが、その切っ先を一斉に障害物目掛けてぴたりと揃える。
『諸共纏めて……ブッ飛ばしてやるわよ!!!』
彼女の咆哮を一斉射撃の号令代わりに、無数の兵装類は磁力による加速を帯びて一斉に射出され、スクラップの山へと突き刺さっては豪快に爆ぜて飛ぶ。文字通りの木っ端微塵に粉砕されて飛び散る破片を磁力障壁によって往なし、受け流して行きながら、ひらりは開けた視界のその先を目指して駆け出した。磁力によって再び虚空へと浮かび上がる無数の斧槍たちの隊列を引き連れながら。
「さあ、次。どんどん行こうじゃない」
大成功
🔵🔵🔵
メイスン・ドットハック
【WIZ】
廃墟群とは随分放棄された区域が多いところじゃのー
ま、崩落の危険といっても僕には無縁のことじゃけどのー
二足歩行戦車「KIYOMORI」に搭乗して廃墟群を進む
崩落があってもレーザー砲ユニットやタンクのミサイル攻撃で破壊する
悪路もどんな道があっても踏破する二足歩行戦車ならば問題なく進めるだろう
さらにUC「月夜に跳梁跋扈せし銀狼」の人狼部隊を方々に放ち斥候として情報収集させる
さらにAI制御の揚陸艦ロストリンクから空からのマッピングを実行させて踏破しやすいようにする
情報は味方に送信したりして、連携していく
こういう開けた場所の探索は楽でいいのー
危険なら即時に対応が基本じゃけーのー
アドリブ絡みOK
●好きなトッピングは餅チーズです
「廃墟群とは随分放棄された区域が多いところじゃのー」
崩落、倒壊した建築物が折り重なる其処を、特殊な能力を持たぬ生身の人間が徒歩で踏破するのは困難を極める事だろう。
しかし、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)はO-Ⅶ型機動強襲用二足歩行戦車「KIYOMORI」に搭乗することで、強引に突き進む。水陸両用の滑らかな曲面を帯びた金属のボディは、夕陽に照らされてオレンジ色に染め上げられている。人間のそれを遥かにサイズアップさせた巨大な二脚は、どんな地形であろうとお構いなしに踏破することだろう。錆付き拉げた廃車を踏み付け、蹴散らし、瓦礫を砕き、歩みを進めていく。
「ま、崩落の危険といっても僕には無縁のことじゃけどのー」
その大地を揺るがすような重量級の力強い歩みに触発されたのか、老朽化したビルが不意に地響きと共に倒壊を始めていくが、崩落しては次々と降り注ぐ破片はKIYOMORIに搭載されたレーザー砲ユニットから照射される光の一条で薙ぎ払い、或いは肩部の装甲を展開させて発射する電脳ミサイルによって爆破粉砕し、危うげなくすり抜けて行く。KIYOMORIのコクピットの中で欠伸を漏らすメイスンの眼前、コンソールパネルに映し出されるのは、上空にて待機するワダツミ級強襲揚陸艦・亜種「ロストリンク」より送信されているエリア内の地形情報だ。AIによって制御される艦は、無人であろうとも問題なく機能し、此方の要請には忠実に、精度の高い情報を送ってくれる。より障害物の少ない進行経路を示すように表示されるビーコンの点滅を目で追いながら、メイスンはKIYOMORIの歩みを一度止める。彼女のかけている一見何の変哲もない眼鏡、実のところは電脳AI搭載済みのそれが、レンズに更に分析を加えた詳細な予測データを投影してメイスンに次のプランを提案していく。
「ふむん。問題はなさそうじゃけど、一応念を入れとくかのー……」
コンソールを叩けばその要請に応じる形で、光学迷彩による不可視化ステルスで風景に紛れる事を可能とした人狼72人からなる電脳工兵部隊『月夜に跳梁跋扈せし銀狼(ヤング・ジージー)』がメイスンの前に一糸乱れぬ隊列を整えた姿で召集される。
「――――指揮官殿、どうぞ我らに御命令を」
「マップのデータはあるけど、僕は更に精度を高めたいんじゃけー。
先行して、斥候として情報収集してくるんじゃのー」
部隊長らしい人狼へと命令を下せば、御意と短く答える彼はステルスを起動し、それに倣う形で以下71人の工兵たちも続いて一斉に姿を消した。誰の目にも留まらぬよう透明化した上で、音もなく高速移動で地を飛び跳ね駆けていく様子はまさしく疾風。その姿を目で追うことは最早難しいが、彼らはそれぞれ小隊~中隊を組んで先行し、連携し合う事で多角的に情報を集め、更に詳細なルート情報を割り出していく事だろう。メイスンはそれを受け取り、好みの道を進めばいい。
「んー」
満足気に頷き、メイスンは再び『KIYOMORI』を進ませる。コンソール上のMAPデータには先行していく斥候部隊から送られる詳細な地形情報がリアルタイムで反映され、より安全だと確証の持てる進行経路が開拓されつつあった。
「こういう開けた場所の探索は楽でいいのー。
危険なら即時に対応が基本じゃけーのー。安全第一じゃー」
歩行戦車は火力、装甲、速度、どれをとっても生身の行軍とは比にならぬ万能兵装なれども、その巨体が災いし、小回りの利かない難点も備えている。そう言った意味では、何か不測の事態に直面しても戦車の機動と火力を存分に活かす事の出来る地上から進行ルートを開拓するというメイスンの選択は、極めて妥当と言えるだろう。地下からではロストリンクからのバックアップも万全には機能し難い。
「……っと、収集した情報は他の猟兵たちにもちゃんと送ってあげるんじゃのー」
メイスンの指令に上空を往く艦に搭載されたAIが「了解しました」と無機的に返答する。KIYOMORIたちの歩みは、確実に廃墟群の最深部に近づきつつあった。
「ちゃちゃっと終わらせて、早く帰りたいのー」
そうしたらお好み焼きでも食べに行きたいところだ。引きこもりには頑張った自分へのご褒美というやつがモチベーションの維持に何より重要なのだ。鉄板の熱気と、おかめ顔のロゴが刻印されたあのソースの濃厚な匂いを思い出したメイスンの口元が微かに緩んだ。
大成功
🔵🔵🔵
フェーズ・ワン
サイ、ハヤブサ……?(自身の作ったメカを見て)
やっべ被ってる
こうなったらある種のお約束通り、同型同士の戦いといくか
まぁ、単純に興味もあるしな
ちょっとくらい解析できねぇかなぁ
廃墟では早速UCを使い改造バンの「F.O.V.」を強化
サイ型の「スピナー」、隼型の「ウィンズ」、ドローンの「Look」の各種メカを並走させ、荷台には人型の「タップ」を立たせて周囲を警戒
何かあれば破壊命令等を出しつつ、ドライブと洒落込もう
もし足がない仲間がいれば乗ってくか?と誘い、もし何か機械や骨董品でも落ちていれば、車は走らせつつもウィンズやドローンに拾わせてくる
しかし…アレ作ったやつはロマンがわかってんな
俺も組み込むか…?
レイ・オブライト
ロボットとか言ってたな
硬そうな奴らだったが
動いてる限り、殴りゃあいつか止まるだろう
【POW】
奥か……
基本的には歩ける道探すっていうよか作ってく
扉、瓦礫、飛来物、その他諸々道を塞ぐもの
【一撃必殺】や拳による衝撃波でぶち壊し、崩れて足場のない場所は柱やらを足場として蹴倒しながら奥へ
建物内じゃ一応、更に崩れられると手間なんで既に欠けてたり転がってるやつを怪力で優先的に使うがな
落ちんじゃねえかって場面は『枷』撃ち出し(『覇気』制御)アンカー代わり。壁面蹴って登るか窓があるなら飛び込んで建物内突っ切ってこう
問題のメカさえいなくなりゃ案外
アスレチックスポットとして流行るかもな
●That is a good sound.
「サイ、ハヤブサ……?」
出発前に端末へと送られたドヤニマロイドのデータと、今こうして目の前に並んでいる自分のメカたちを見比べてフェーズ・ワン(快音響・f06673)は何とも言えない表情を浮かべた。
「やっべ被ってる」
大丈夫、この界隈じゃそういうのは日常茶飯事だ。
どっちがキャラ立ってるか勝負しようぜ。
「こうなったらある種のお約束通り、同型同士の戦いと行くか」
そうこなくっちゃ。まだ見ぬ強敵との決戦の予感に胸の奥を熱く滾らせながら、フェーズは思う。見た目が似ているなら、後は心にどう響かせるかの勝負だ。単純に興味もある。データの収集も技術者としては望む所だ。あわよくば、ちょっとくらいは解析して自分のメカにも導入してみたいという下心も勿論ある。
(まあ、俺のメカの方がイイ音響かせるに決まってらァ。ぜってェ負けねえからな)
そうと決まれば、後は目的地を目指して突っ走るのみ。先行組が開拓したルート情報も徐々に出揃いつつある。端末上に表示されるマップに少しずつ書き加えられていく矢印や注意書きの類と睨めっこしながら、フェーズは自身の愛車たる荷台付きの改造バン「F.O.V.」を早速強化改造していく。現地の路面の状態や障害物の材質などのデータを瞬時に加味して、極めて短時間に最適化された現地改修仕様を施していくその技巧は、フェイズのユーベルコード【T-Carry(ティーキャリー)】によって為されたものだった。ついでにエンジン音も三割増しで良い音になる。
「よしよし、イイぞォ。最高にゴキゲンだッ!!」
同行させていた人型半自律型兵器【タップ】の手により猛々しく唸り響き渡るエンジンサウンド。その出来栄えに満足気に胸を張るフェイズの傍らをのそのそと横切る大柄な影――彼もどうやら、フェイズと同じくしてこの場所へと転送された猟兵であるらしい。
「よう、そこのお前。どうだい、一緒に乗ってくか?」
「……あ? オレか。いいのか」
「勿論だとも。……安心しな、どんな場所にでも届けてやるぜ。
どうせ行く先は一緒だろうがな」
立ち止まったその鋼のような長身の青年を同乗させて、F.O.V.が走り出す。路面の状態のデータを元に最適化されたタイヤとエンジンが実現させる力強い走りと、雄壮に響き轟くエンジンサウンドを伴いながら。
「……成程。周囲の警戒はこいつらに任せておけばいいか……」
廃墟の荒野を疾走する改造バンの荷台、フェイズが見張り代わりに立たせたタップの隣にはその逞しい肉体を押し込める形でレイ・オブライト(steel・f25854)が収まっている。フェイズの工具や発明品の類を満載した車内に座るには、助手席では些かスペース不足だったのだ。周囲をぼんやりと見回すレイの視界には、走行するバンの周囲には空中を数機のサーチドローンとハヤブサを象った大型の飛行メカが舞い、そして傍らから護衛の如く寄り添い、地響きと共に疾走するドリルを備えたサイ型メカの姿。いずれもフェイズの手による発明品だ。それぞれイイ音にこだわった自慢のマシンである。
「ライオンはいねえんだな……」
「言うな、二匹被ったのは偶然なんだ」
サイ型【スピナー】とハヤブサ型【ウィンズ】の間で視線を彷徨わせるレイの何気ない呟きを耳聡く聞き付けたフェイズが小さく呻きつつも、着々と相対の時が迫るドヤニマロイドたちへの闘志を募らせる。
「確かロボットとか言ってたな。
こいつらも、これからブン殴る連中も、どっちもなかなか硬そうだ」
「俺のメカも殴りゃイイ音がするだろうし、簡単に壊れるほどヤワじゃないが。
……お前のその腕で殴られるのは堪らねぇな」
「流石にアンタのは殴らねえよ。
まあ、どれだけ硬かろうと殴り続けりゃあいつかは止まるよな」
「俺が解析するまでは原型保ってるといいなァ。
それはともかくアレを作ったやつはロマンってモンをわかってるやつだぜ」
そんな遣り取りの合間、不意に先行して周囲を警戒していたサーチドローン「Look」がアラートを響かせる。フェイズの元に送られてくるのは進路上を横断するように走る大きな地割れに対しての警戒を促す情報だった。
「地割れだとさ。面倒だが、迂回するか?」
「……たぶん大丈夫だ」
クルマなど容易く飲み込むであろう大きな亀裂の存在に小さく舌打ちするフェイズとは対象的に、レイが何処か不敵さを湛えた笑みを口元に浮かべて立ち上がる。腕に幾重も巻きつけた鎖を解いて垂らせば、それを頭上で大きく振り回し―― 迫る地割れの遙か先、朽ち掛けの街路灯目掛けて勢い良く投げつける。レイの込めた覇気を乗せて空を疾走る鎖は、唸りと共に正確無比に金属の柱へと絡み付いた。
「……なあアンタ。このクルマは跳べるのか?」
レイの問いに一瞬振り返り目を見開くフェイズであったが。
「……応ともさ。イイ音立ててかっ跳ぶぜ!」
その答えと共に、地割れの縁より加速を乗せたF.O.V.が向こう岸目掛けて翔び立った。十分に加速された車体は、放物線を描くように虚空を舞い、奈落のように広がる大穴を飛び越えていく。
「そうだ、イイぞ! いけいけいけェ!!」
空を舞う改造バンは向こう岸と自身とを繋ぐレイの鎖に誘導される形で、どん――――と地響き一つを立てて無事に着地を果たした。
それに続いてスピナーも大地を蹴って虚空を跳び、危なげなく向こう岸へと着地する。じゃらりと小さく鈴の如く擦れ合う鎖を解き、手元へと引き寄せ巻きつけながら、レイは傍らのタップとそれぞれの拳の甲を軽く打ち合わせた。
「なかなかスリリングなロケーションだったな。
問題のメカさえいなくなりゃ……案外アスレチックスポットとして流行るかもな」
「そいつは妙案かもしれねェ」
レイに軽口を返し、フェイズはアクセルペダルをフルスロットルに踏み込んだ。
「もうすぐだ。しっかり捕まってろよ!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ヴァシリッサ・フロレスク
アドリブ歓迎!
盛者必衰、この光景もだいぶ見慣れてきたもンだねェ。
さて、先発隊に負けないよう食らいついて行くよ。
今回も愛車ハティでツーリングだ。
まずは高台から全体を見渡してざっと情報収集。
先行した友軍からの情報もスマホ端末carX A5で共有して、確り有効活用させてもらうよ。
大凡の目星を付けたら、後は野生の勘と第六感でコース取り。最短ルートを行かせて貰うよ。
障害物?寧ろ地形の利用でジャンプ台にしてショートカットだ。
っても、多いねェ?
まァ邪魔くせェのはUC(爆砕鎗)で片付けるか。
……いやいや、後続のルートを確保する為の健全な破壊工作だよ?フフッ。
やっぱ、お楽しみ前のウォーミングアップは大事だろ?
●Daybreakはまだ遠い
「ンー! 盛者必衰、この光景もだいぶ見慣れてきたもンだねェ」
高台より、愛車であるギュルヴィ・モータース「XR17G/S HATI」に跨り、夕陽に染まる廃墟群の全容を見下ろすのはヴァシリッサ・フロレスク(浄火の血胤(自称)・f09894)である。荒れ果てた嘗ての文明の名残に何も思わぬ訳でもないが、割り切るだけのシニカルさはとっくに身に付けている。立ち止まりこれを悼むセンチメンタリズムよりも、重要なのは歩き続ける現実主義だ。
「さて、先発隊に負けないよう食らいついて行くよ!」
歩き続けて結果を出したその先に、きっとこの世界の復興は成り立つのだろう。誰かが歩き出せないので居るのなら、他の歩ける誰かがその分代わりに歩き続ければ良い。直に見下ろす街並と、先行した猟兵たちの収集したデータを照らし合わせながら、凡その目星を付けていく。余り地道なのは性には合わない。故にヴァシリッサは派手にかっとんで往くのだ、ぶっちぎりの最短ルートを。ハティの咆哮を響かせながら、高台より駆け下りる。大雑把にアタリをつけた中から、勘を頼りに選び取ったコースを切り開く。その視界を塞ぐようにして立ち塞がる障害物も物とはしない。進行経路のの傍ら、倒壊し掛けたバラック小屋の崩れて傾斜した屋根をジャンプ台代わりに、邪魔な瓦礫を飛び越える。
「あらよっ、とォ
……!!」
まるでアクション映画のワンシーンのような鮮やかさで、障害を踏破していくが、これだけでは後続組の為のルート開拓とは言い難いのも確かだ。重量級の車体を重々しくバウンドさせながら着地するヴァシリッサの眼前には再びの行き止まり。細い路地を塞ぐように、横転事故を起こした大型トレーラーの車体に後続車両が次々と激突して堆く積み重なった廃車の山が聳えている。
「フフン。ちょうどお誂え向きだねぇ。
後の連中の為にも、とりあえずコイツを片しといてやるか」
流石に立ち塞がる全ての障害物を排除していくつもりはない。あくまで最短ルートを突っ切る為に必要だから行うまでのこと。いちいち爆破粉砕していくのでは、弾薬が幾らあってもキリがない。ストレスの解消にはうってつけの破壊行為ではあるのだが。
「ま、こいつも健全な破壊工作ってヤツだよ? フフッ」
呟きながらバイクを路上に停め、スタンドを降ろしながらシートより地面へと降り立つヴァシリッサ。ハティの後方に積み込んでいた巨大な積荷を固定ベルトから解いて下ろせば、それを包んでいたシートを引っ剥がす。取り払われた白布の下から現れたのはまるで大盾とも見紛うような、巨大な杭打器「スヴァローグ」。常人では到底扱うことの出来ぬであろう重量のそれを、ダンピール特有の人外の怪力で軽々と振るえば、装填された通常のバンカーを掩蔽壕破壊用の特殊な射突杭に入れ替えて、しっかりとその左腕で持ち上げ、両脚を肩幅に開いて身構えた。
がしゅん、と装填された射突杭が引き絞られたのと同時に、スヴァローグを抱えたヴァシリッサが走り出す。初速だけならばバイクにも負けぬ程の疾走から、大きく全身ごと突き出したスヴァローグの杭先を障害物の山に目掛けて突き立て――
『――――消し飛べッ!!』
咆哮と共にトリガーを引き絞る。轟音と共に射出された弐八式掩蔽壕爆砕鎗(ランス・オブ・チェルノボグ)の一撃は、大気の壁ごと残骸を深々と射抜くと同時に爆音響かせ炸裂する。オレンジと赤の爆炎が視界を埋め尽くしたのは一瞬。入れ替わりに濛々と立ち込める濃密な灰色の噴煙が吹き抜けていく乾いた風に流されては散っていく。まるで隕石が落下した跡のような、クレーター状に丸く抉れ、陥没した大地には黒焦げて微かに焼け残った金属片が幾つか飛び散るばかり。薄く漂っては次第に消えていく噴煙の名残を眼鏡のレンズ越しに光るサディスティックな視線で見送りながら、杭を打ち切ったスヴァローグを無造作に肩で担いだヴァシリッサが喉を転がすような声をクツクツと低く響かせ小さく笑う。
「……やっぱ、お楽しみ前のウォーミングアップは大事だろォ?」
わかるんだよ、近付いている。もうすぐだ。開けた視界の先、不吉な気配が滲み出す夕闇の向こうを見据えてヴァシリッサはもう一度笑う。愛車ハティへと向けて歩き出し、それに跨りながらこれより相対する敵へとトリガーを引き絞るその瞬間を熱く夢想する。
「そうだとも。お楽しみの時間は、もうすぐだ。待ちきれないねぇ
……!!」
ハティの低い咆哮が、同意するように夕暮れの光の中に響き渡った。
成功
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第2章 集団戦
『超無敵気分合金製ドヤニマロイド』
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POW : 一家の大黒柱、黒き大波ドヤライノー!
【サイ型メカの突進・かち上げ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【内蔵兵器で追撃と仲間との連携、ドヤポーズ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : アタークシが赤き旋風ドヤファルコざま~す!
【ハヤブサ型メカの炎を纏った急降下飛び蹴り】が命中した対象に対し、高威力高命中の【拘束と仲間との連携、ドヤポーズ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : は、初めまして、青き稲妻ドヤレオンです。
【シシ型メカの青いバリアに身を包んだ突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【内蔵兵器で追撃と仲間との連携、ドヤポーズ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
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●我ら超無敵気分合金製ッ!! ドヤニマロイドただいま見参ッ!!
無惨に荒廃した廃墟群を駆け抜けて、その最深部へと辿り着いた猟兵達。彼らを待っていたのは、遮蔽物の類の綺麗に取り除かれた、まるで広場のように開けた場所だった。周囲を見回す者は、まるで其処だけがコロッセオの如く円形の平地として整えられている事に気付くだろう。
そして、猟兵達を待ち構えていた者はそれだけではない。
『よく来たな、侵入者どもッ!!』
頭上から降りかかる大音声。黒い影が地に浮かび、見上げた其処には暮れなずむ夕陽に照らされる冷たくも逞しき鋼のボディ。其処に流れるオイルの血潮を滾らせながら、地響きと共に大地へと降り立つのは機械仕掛けの黒き犀。
『長男ッ! 一家の大黒柱、黒き大波ドヤライノー!』
くろがねで鎧われた己の巨躯を誇示するように、『ドヤァ!』と上体を強調し突き出すようなポージングを決める彼の鋭い角が、そしてその両肩に鎮座する一対二門のキャノン砲が夕陽を照り返し、燃えるように輝いた。
『しかしそれも此処までの話……! アタークシたちと相対して無事で帰れるとは思わないことざま~す!!』
次いで響く甲高い声。掠めただけで相手を切り裂くであろう鋭利な刃を幾つも備えた巨大な鋼の翼。力強く羽ばたきを唸らせ、屑鉄の闘技場外壁へと優雅に舞い降りる紅きボディの巨鳥。留まるところを知らない圧倒的な知的さを表す黒縁の眼鏡を輝かせながら、太い首を捻って『ドヤァ?』と見栄を切る。
『その妹ッ!! アタークシが赤き旋風ドヤファルコざま~す!』
更に続くようにして、青い影が虚空を疾走り、音一つ立てず靭やかに大地へとその巨躯を着地させた。
『そのう、皆様のお命ちょうだい致します……』
不安げに続く声には不似合いな敏捷さと破壊力を両立させたフォルム。鋭く禍々しい爪と、そのアギトより突き出す砲口を鈍く輝かせ、長く伸びた尾を揺らめかせながら、三体目、青き獅子が自信もなさげに『ドヤァ……?』と小さく鳴いた。
『そして末弟。……は、初めまして、青き稲妻ドヤレオンです』
スムーズに臨戦態勢へと移行しながらも、何処かインスタ映えやらアングルをいちいち気にするような細かいポージングでそわそわとした三匹の鋼の猛獣が、夕陽に染まる闘技場に居並ぶ猟兵達へとその獰猛な6つの眼差しと殺意を向ける。
『創造主たるハカセの命により、この地は我らが絶対死守して見せるッ!!』
『アナータたちの命、此処に置いていってもらうざま~す!』
『すいません、命令なんです……。すいません……』
『三人揃ってェ…… 我ら、超無敵気分合金製ドヤニマロイドッ
!!!!!!』
準備はいいか?
覚悟は済んだか?
よろしい。
ならば、さあ…… 戦いだッ!!
フェーズ・ワン
はっ、なるほどな
確かにロマンはあったが…生憎、俺の趣味じゃなかったな
そっちがコメディ風なら、こっちはクール系だ
無言であっても、所作と動作音から醸し出される格好良さで、相手になってやんぜ
戦闘時は宇宙バイク「F.O.B.」に乗り換え
まずは同型には同型をぶつけ、獅子にはタップを当てる
防御回避優先で戦わせ、その隙にLookと自分で敵の動きを観測、回避の指示を出す
敵の攻撃が外れる、又は各機が離れた瞬間にUC発動
狙いは鈍重そうなサイだ
メカがサイを攻撃中、自分がバイクを駆って他の2体へ牽制射撃を行い、助けに行けない様にする
お前らは3体だが、こっちは俺とLook、それに仲間の猟兵もいるんでな
負ける筈がねぇのさ
メイスン・ドットハック
【SPD】
ハカセとやら誰かは知らんけどのー。
とりあえずかっこつけのドヤポーズは何とかならんのかのー。
とりあえずハヤブサ型の急降下に対抗する為に、空にいる間にAIで予測観測をしたLPL砲の狙撃、近距離でのレーザー砲ユニットの射撃で対応
回避しても食らっても、UC「祇園精舎の鐘の声、諸業務業の響きあり」を発動させて戦車を巨大化、さらに巨大アウルム・アンティーカを呼び出して一斉砲撃を行う
戦車の巨大全武装を持って、長男を、空中に放つ魔導重砲で次男を、真紅の破壊光線と魔導楽器群の演奏で三男を3回連続攻撃する
さて、どこまで連続攻撃を耐えられるかのー?
アドリブ絡みOK
レイ・オブライト
ほおー
中々いいんじゃあねえか。仲も良くてよ
他の奴がいりゃ連携は積極的に。とりあえず手近な青いのから狙うか
『覇気』纏った格闘で何度か打ち合うとして
獅子のバリア突撃+内臓兵器は、同じく属性攻撃(電流)+衝撃波の電磁装甲かち合わせ衝撃緩和狙いつつも喰らっとく
連携攻撃とやらで三匹お集りいただく必要があるんでな
次の拳は反撃するつもりと見せ外し、地面へ【Blast】
地形破壊で地上の敵、逆さ雷で空中の敵それぞれの連携崩しを狙う
お互いサシで戦ってるわけでもなし
他の奴の次手にでも繋がりゃ僥倖だろう
あ? ポーズ?
悪ぃな見損ねた、もっぺんやってくれ
●その輝きは絆を越えて
「ハカセとやらが誰かは知らんけどのー。
とりあえずかっこつけのドヤポーズは何とかならんかのー」
「いいんじゃねえか、仲も良くてよ」
ハヤブサ型、ドヤファルコが力強く羽ばたけば、その超合金の重厚なボディは風を裂いて空高くに舞い上がる。
その姿を遠く離れた空域より戦況を観測する強襲揚陸艦「ロストリンク」からの支援で捕捉しつつボヤくメイスンに対し、レイが軽口を返した。メイスン操る二足歩行戦車「KIYOMORI」の携行するロングレンジプラズマレーザー砲の先端に収束する光が上空目掛けて迸り、水平に空を薙ぎ払う。
「なんの、ざま~す!!」
青白い電光の輝きが剣のように振り抜かれるその一文字を掻い潜って、急降下からの突撃を狙うドヤファルコ。しかしKIYOMORIの備えも盤石である。AIによる制御での自律飛行を可能としたO-Ⅵ型電脳レーザー砲ユニット「MIYOSHI」が代わる代わるにレーザーを照射する迎撃に炙られて、堪らず失速するドヤファルコ。
「はっ、なるほどな。確かにロマンはあったが…生憎、俺の趣味じゃなかったな」
その声に黒縁眼鏡のレンズ越しに誰何の視線を向けたドヤファルコを、宇宙バイク「F.O.B.」に跨ったフェーズが不敵に見据える。ファルコに向けて人差し指を突き付ければ、その背後に控えていた隼型半自律兵器「ウィンズ」が風斬りの音も高らかに、頭上より勢い良く強襲する。
「そっちがコメディ風なら、こっちはクール系だ。
お喋りはしねェが、イイ音なら負けないぜ。ロマンに則り同型対決と行こうや」
「パクリ! アテークシのパクリざま~す! 訴訟するざま~す!」
「バッカおめえ! こっちのほうがオリジナルだっつーの!
上等だ、とことん相手になってやんぜ」
両脚の鉤爪にてドヤファルコを引き裂かんとするウィンズの猛攻に、堪らず飛び退るドヤファルコを背負った二門のビームキャノンで追い立てるウィンズ。照射される目映い光条に真紅のボディの彼方此方が無惨に焼け焦げ、融解し始めていく。
「ギェェェェェェ!! 美しく逞しいアテークシ自慢のメタルボディがァァァァ!!」
「くっ、姉さん今助け―――」
ドヤニマロイドを生物的に自律させ、そして彼らの連携を高度に高めているのが、それぞれに搭載された『家族の絆AI』である。現に今も、姉と定義されているファルコの窮地を救おうと、末弟ドヤレオンが猟兵たちの包囲網を突破するべく突貫しようと試みるのだが――
「悪いけど、それはさせないんじゃけえ」
メイスンの宣告と共に発動されるはユーベルコード、【祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり(キヨモリ・デストラクション・アンティーク)】! 元々人間を搭乗させる程の巨体を誇るKIYOMORIが見る見るウチに更にその全身を巨大に膨れ上がらせ、突っ込んでくるドヤレオンの身体を無造作に弾き飛ばし、二体のドヤニマロイドの合流を阻む。そして――――
「おまえはこっちだ。
悪いな、ちょうどいい具合におまえがオレの一番そばにいたのさ」
弾き飛ばされたドヤレオンのボディに響く衝撃と轟音。振り返れば、その横腹に拳を打ち込んだレイの姿がそこにある。
「……っ、僕のボディを凹ませるとは、やりますね人間さん」
「気に入ったなら付き合えよ」
飛び退るなりにばちばちと迸らせるスパークで大気を震わせ、そのタテガミからは青白いバリアフィールドを形成するドヤレオンを見据え、レイは手招くような仕草で指を小さく動かした。一寸前まで気弱であろうと、その姿は百獣の王。それに相応しい咆哮で怒気を漲らせたドヤレオンが地を蹴り走り出す!
「……来なッ」
「グオオオオオッ
!!!!」
バリアを纏う全力疾走にて、その身を弾丸と変えたドヤレオンの突進と、大きく振りかぶったレイの繰り出す渾身の鉄拳が真っ向より衝突し合う。互いが踏ん張る大地が大きく抉れ、深く陥没するほどの激突の衝撃。巻き起こる電撃が大気を白く灼いて、巻き起こる突風が割れ砕けた岩盤の破片を勢い良く飛び散らせ、衝突し合う両者は、まるで磁石が反発し合うかの如くに吹き飛んだ。
一方、メイスンのUCは単純にKIYOMORIを巨大化させただけではない。地響きと共にコロッセオの地面を大きく割り、目映い輝きと共に出現するモノがあった。
「おではらへった おではらへった」
「ははは。『腹の口』殿は何時も通りでいらっしゃいますな、宜しい事です」
有機体と機械、そしてパイプオルガンが異形に絡み合って構成されたような黄金にきらめくその巨体。悪魔宜しく捻じくれた角持つ頭部に、更に額に鎮座するもう一つの仮面めいた無機質の表情。そして何よりも目を引く、禍々しい牙の生え揃った巨大なあぎと。かつてアルダワで猛威を奮った、大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』。その姿を電脳的に再現された疑似魔王が遠く離れたこの地、アポカリプスヘルに今顕現した。二対四枚の巨大な竜種の翼をはためかせ、その巨体が音もなく舞い上がる。
「ヤッチマエ ヤッチマエ」
「おで こいつら たべたくない かたくてまずそう」
大きく開かれた『腹の口』の奥に収束する燃え上がるような鮮やかな真紅の輝き。その背に負われた管楽器を思わせる無数の砲口から奏でられる魔導砲からの連続射撃。その巨体に備わるオルガンの鍵盤が手を触れることもなく独りでに踊り、奏でる魔性の調べが、更にその演奏に重なり連なり、その破壊力を幾重にも増幅する。
「さて、どこまで連続攻撃を耐えられるかのー?」
三兄弟には三つの特性備えたる大魔王のコンビネーションをぶつけるメイスンの荒業だ。それらが大気震わす咆哮と共に三兄弟を一斉に猛襲するッ!!
「オレがグワーッ!!」
「あてくしもグワーッ!!」
「ぼくもグワーッ!!」
「咄嗟にブチ込める分、ありったけじゃけえのー。ただでは済まないじゃろー」
戦車から撃ち出されたミサイルとレーザー、搭載火器のありったけを惜しげもなく放り込んだ一斉射撃に飲まれるドヤライノー。濃い土煙が灰色に立ち込める其処に、フェーズの操るサイ型半自律兵器「スピナー」が猛烈な勢いで突進する。土煙の中でも、正確に敵の位置を捕捉できるのは、同時にフェーズが操るサーチドローン「Look」が複数張り付き、リアルタイムにその情報を送り続けているからだ。ちなみに飛行に伴い発生する音さえも、自ら自然音を流して巧妙に偽装する、フェーズの技術力の粋を尽くしたこだわりの一品だ。
「見えてなくても音はする!俺のメカはイイ音させるだけじゃないぜ。
当然耳もいいからオマエの位置は丸わかりだ!」
「やるな……! 正直なところ、これに耐えられたのは俺が長男だからだッ!
次男だったら危なかった!」
「えっ、兄さん! 僕は次男だけど頑張って耐えてるよ!」
辛うじて立ち上がろうとする弟の抗議めいた声を無視しつつ、背負った二門のキャノン砲を乱射するドヤライノー。その砲撃を掻い潜りながら肉薄したスピナーが、その角に仕込んだ回転ドリルを唸らせ、その胴目掛けて頭から突っ込む。
「グワー! 長男再びグワー!!」
「に、にいさーん!!」
高速回転するスピナーの衝角が火花と耳障りな金属音を伴い、ライノーの正面装甲を容赦なく抉った。超合金のボディに刻まれる無惨な穴!土煙が晴れた後に残るのは、あちこちの装甲を無惨に破壊された満身創痍のドヤライノーだ。立ち上がって助けに向かおうとする末弟ドヤレオンを牽制するかのように、空を駆けるフェーズのバイクから、ビームサブマシンガンの斉射が快音響かせ、鮮やかに煌めく無数のビーム弾を雨霰のように降り注がせる。
「……相手の連携は崩すのが当然だろう。お約束に付き合えなくって悪いなァ!」
「く、くそうっ……! 僕たちよりも連携して戦っているのか、こいつらは!」
「お前らは3体だが、こっちは俺とLook、それに仲間の猟兵もいるんでな」
だからな。
「負ける筈がねぇのさ」
確かな強い自信を込めてそう呟くフェーズの視界の端で、ドヤファルコとウィンズが空を飛び交い、幾度もぶつかり合っている。交錯する度に互いの金属片を羽根のように散らせつつ、空の覇者たる自負を賭けて激突するその姿。自分の自慢のメカと張り合うように、諦めずに立ち向かうその姿は、泥臭いが何も感じぬ事もない。
「……なかなかイイ音させるじゃねえか。オレのウィンズほどじゃあねえがな」
フェーズのその呟きと、ウィンズの上空からの突進を頭上からマトモに受けたドヤファルコが、隕石のように大地へと墜落するのはほぼ同時の事だ。地面を大きく吹き飛ばしながら、丸く抉れた陥没痕に沈む姉を守るように駆け出すドヤレオンを、先の激突で吹き飛び、そのまま大魔王の一斉攻撃に巻き込まれる形で瓦礫の山に沈んでいたレイの身体を引っ張り出していた人型半自律型兵器「タップ」が追いすがり、その長く伸びた尾を掴んで制する。
「っ、離せ……! このぉ……!」
「お互いサシで戦ってるわけでもなし……。
見てくれが悪いのはお互い言いっこなしだ」
振りほどいて駆け出そうとするドヤレオンに、瓦礫山から立ち上がったレイがゆっくりと拳を引き絞りながら歩みを寄せる。弧を描いて頭上より断頭台の刃が如く落ちるレイの鉄拳を、本能から飛び退って俊敏に回避するドヤレオンであるが。
「ところで、おまえらいちいちポージングするんだってな」
咄嗟に躱した視線の先、一寸前まで自分の立っていた場所に突き立つレイの拳が、大地を深く破砕し、其処から轟音と共に幾本も立ち上がる青白い雷光が、まるで地と天を繋ぐ柱のように勢い良く弾けて燃える。夕闇を吹き飛ばすような眩さで、周囲を青白く照らし出す稲光に包まれながら、弊衣破帽を纏う逞しいデッドマンの肉体が一層の力強さを宿らせその歩みを進ませる。電撃のエネルギーを帯びて、体内のヴォルテックエンジンが轟音を上げてフル稼働しているのだ。底なしに湧き上がる膂力を、その腕が壊れてしまう程の勢いで躊躇なく乗せたレイの拳が、ドヤレオンの顔面を歪ませるほどの衝撃で突き刺さった。
「がぁぁぁぁぁぁっ
!!!!!」
大地に減り込む姉の元へと、殴り飛ばされ吹き飛び転がるドヤレオン。妹と弟の身を案じ、傷ついた身体を引きずりながら其処に寄り添うドヤライノー。その姿を不敵に見据えながら、雷光を背負うレイが告げる。
「悪ぃな。さっきから慌ただしくて全然見てられねえんだ。
良けりゃあもっぺんやってくれ」
大成功
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才堂・紅葉
◎
「マッド共と同じ匂いがするわね、その博士……」
だが来るならば受けて立つ
「出なさい、蒸気王ッ!!」
指を鳴らして召喚
・方針
真面目な話、あいつらは強い
スペックなら三体相手でも負ける気は無いが、兄弟連携で強さが乗算されている
ドヤポーズを狙いで、あのコンボの直撃を受けるのも危険すぎる
そしてあの隙を狙うのは、所属するプロレス会社的にNGだろう
ハワーッと蹴ればさぞや痛快なのだが、辛い所だ
プランB
頑丈な装甲で味方を庇い守勢に回る
反撃のローで大黒柱の前足を地味に【部位破壊】
狙い目はかち上げ。【怪力と気合】で受け止め、【カウンターのグラップル】で垂直落下式ブレンバスターを狙おう
妨害のカットは頼れる仲間に任せたい
ヴァシリッサ・フロレスク
アドリブ・連携歓迎!
Bravo,Bravo.
あァ、大見得切ンのは大事だねェ……
――“最期”ぐらいは、サ?
サイを狙うよ。
ノインテーターで軽く援護射撃。
挑発しておびき寄せる。
一家のデクノボーだかトーヘンボクだか知らネェけど、タイクツ過ぎて欠伸が出るねェ?
ヤツの突進に合わせ、此方も突貫。
すんでで見切り、カウンターで捨て身の一撃、ヴァルキュリア・キッスで串刺しにして、角なり主砲なり、部位破壊を狙う。
そのまま張り付いて、追撃を躊躇わせるか、敵を盾にして同士討ちを誘発。
さァ?お次は?
一頻り遊んだら、スコルの零距離射撃で傷口をえぐる様に駄目押し、杭を爆破して離脱。
ま、なかなか愉しめたよ、ハカセにヨロシクね♪
黒鋼・ひらり
はっ…上等じゃない、受けて立ったげる
ドヤポーズなんか放つ暇も与えたげない…ぶっ潰すわよ
サイの突進に対して真っ向から迎撃体勢
磁力による反発で突撃の勢いを殺しつつ、『武器庫』から斧槍と投剣の連続一斉射出による弾幕…更に進路上を真正面から遮る形で鋼鉄板を転送させる事で受止めるわよ
そこから更に、鋼鉄板越しに磁力をたっぷり乗せたギミックシューズでの蹴り(※ヤクザキック)…鋼鉄板ごとサイをブッ飛ばし、すかさず追撃で鎖を飛ばしがんじがらめに捕縛…
機械の体に磁力は効くでしょ…? 其の儘鎖をぶん回してUC発動…ついでに連携やフォローに入ろうとする他の二体も磁力で巻き込みながら、纏めて地面に叩きつけてやるわよ…!
●幾ら3本束ねようと馬鹿力があれば矢なんてへし折れるに決まってる
「あんちゃん、あいつら超強いざ~ます!
このままじゃアテクシたちやられちゃうざ~ます!」
「うぐぐ、兄さん僕の顔凹んでない?」
「案ずるな妹よ。我々もまたコンビネーションを活かして戦うのだ。
我らの絆の力は盤石よ!そして大丈夫だ弟よ。
この兄の腹にもドリルをぶちこまれて風穴が空いているのだ」
傷付いた妹と弟に寄り添い、これを労り勇気づける姿。なんたる長男力であろうか。その様は、見るべき者が見たならば感動的ですらあったのかも知れない。しかし。
「連中を作ったの、うちのマッド共と同類かも知れないわね……」
どうやら感性の不一致のようだ。遠くからその様を見遣る紅葉の視線は、どうしようもなく胡乱げで冷めていた。
「だが来るならば受けて立つ。……出なさい、蒸気王ッ!!」
紅葉が叫ぶと同時、掲げた右腕のフィンガースナップが高らかに響き渡る。地響きと共に、轟く咆哮。大地を割り、出現する鋼鉄の巨体。その背が大きく開くと、何時の間にやら跨っていた蒸気バイクにて紅葉は全力疾走し、開かれた機体の内部へと飛び込んだ。開かれていた背の装甲が閉ざされると同時に、巨人の双眸がグポォン――――と怪しく唸り、点灯する。取り込んだそれをコアとする形で、鋼の巨体は紅葉の動きをトレースし、自由自在に操作できるのだ。
『これがゴッドにもデモンにもなれる魔導蒸気文明の申し子……!
その名もスチームジャイアント……蒸気王ッ!!』
その名乗りと、大見得を切るポージングに合わせ、蒸気王の機体各所から一斉に噴き出す白い蒸気の白煙。高ぶる闘志を宿したような熱気が辺りを包む。実際熱い。
「相手にとって不足なし! 往くぞ家族の絆を見せてくれるわッ!!」
大地を前足で数度蹴る準備動作から、咆哮と共に駆け出す長男ドヤライノー。鋼の四肢が力強く大地を踏み締め、地響きを轟かせながらその巨体そのものを一つの弾丸と変えて、真正面より蒸気王目掛けて突進する―― 待ち受ける蒸気王は、その太く逞しい鋼の両腕を大きく広げて、厳かに身構えた。
「ウオオオオオオッ
!!!!」
「なんのォォォォッ
!!!!」
大地を、大気を震わす鋼と鋼の激突。突っ込むくろがねの犀を両腕で頭部を掴んだ蒸気の巨人が抑え込み、白煙を勢い良く吹き上げる中で圧し合う両者。激しく火花が散り、噛み合えば互いに一歩も退かぬ拮抗状態だ。その拮抗状態は長くは続かない。
「ウリャアアアアアッ!!」
紅葉の動きを忠実にトレースし、蒸気王の丸太のような太い脚からのローキックが踏ん張るドヤライノーの前脚を横合いから痛烈に打ち付ける。想定外のタイミングで襲う強烈な衝撃と負荷が、みしみしとその関節部を苛み、耐え切れぬ前脚が悲鳴を上げてスパークを飛び散らした。
「ぐ、グワーッ! 長男三度目のグワーッ!」
「あんちゃーん!!」
妹の悲鳴を聞きながらも、ただ藻掻くだけではない長男。背負った二門のキャノン砲の砲口がじりじりと蠢き、蒸気王目掛けてぴたりと据えられる。鈍く輝く砲口が、標的を捉えて砲弾を撃ち込まんとするその刹那――
「Bravo,Bravo.あァ、大見得切ンのは大事だねェ……」
不意に聞こえたその呟きに、ドヤライノーの意識がそれに引き寄せられ。
「――“最期”ぐらいは、サ?」
「ぐわぁぁぁぁぁぁッ!!?」
ほぼ同時にドヤライノーの顔面で炸裂する対不死者9mm純銀徹甲焼夷弾の連弾。爆ぜる衝撃に堪らずバランスを崩す彼のすぐ間近には、蒸気王の巨体を壁にする形で死角より音もなく滑り込んだヴァシリッサが9mm口径フルオート自動拳銃「Neuntöte(ノインテーター)」をぴたりと突きつけていた。
「浪花節ってやつかい? ……一家のデクノボーだかトーヘンボクだか知らネェけど、タイクツ過ぎて欠伸が出るねェ?」
「に、兄さんをバカにするなーッ!!」
「あんちゃん今助けるざま~す!!」
兄のフォローにヴァシリッサの左右より飛びかかるドヤファルコとドヤレオン。しかし、彼らの麗しき兄弟愛もこれまで数多の世界を渡る中、ほぼぶっつけ本番で即席のコンビネーションを繰り返して戦い続けてきた歴戦の猟兵たちのそれにはまだ及ばない。
「……私を忘れてるなんていい度胸よね、あんたたち」
ドヤレオンの顔面に叩き込まれる鋼の右拳が、歪んだ頭部装甲に減り込み更に凹みを深く刳り付け。頭上よりヴァシリッサを引き裂かんと迫るドヤファルコの首には幾重にも絡み付いた鎖。その先端にぶら下がる鉄球の重みに屈服するようにドヤファルコの巨体が大地に叩き付けられ、巻き起こる土煙と轟く轟音。ドヤレオンを殴り飛ばした勢いを殺しながらに、着地するひらりが手にした鎖を握りしめ、ぎちぎちと巨大ハヤブサの首に絡むそれを締め上げていく。
「ハッ!……上等じゃない、受けて立ったげる。
ドヤって見得切ってる暇なんか与えたげない。……ぶっ潰すわよ」
「ギェェェェェ!!
このアテークシを地に引きずり落とすとは、なんたる屈辱!
たかがちんまい小娘の分際でぇっ!!」
雁字搦めとなりながら地べたの上をのたうち藻掻くドヤファルコ。その身体が不意にふわりと浮き上がる。ゆっくりと、ひらりの周囲を回転し始める。……否。鎖の端を握るひらり自身がゆっくりと回転し始め、繋がれたドヤファルコをまるでハンマー投げでもするかのような要領で振り回しているのだッ!!
「ギェェェェェェェッ!! 目が回る! やめれ! やめれざま~す!」
「ねえさーん!!」
次第に耐え難い豪速を帯びていく猛回転に堪らず悲鳴を上げる姉の姿に、駆け寄る弟――しかし鎖鉄球の容赦ない回転が、接近する彼を容赦なく殴り付け、更にはその回転に巻き込み、鋼の獣を二匹纏めて竜巻の如く振り回しッ!!
「ごぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「機械の体に磁力は効くでしょ? 二人仲良く遊んでやるわよ!!」
ひらりの能力により強力な磁力を付与されていた鎖鉄球に絡め取られたドヤファルコに巻き込まれる形で吸い寄せられたドヤファルコ。如何に巨体を藻掻かせようと、その全身そのものを磁石と変えられては思うようには動けない。為す術もなく振り回され続けた末に、不意に大きく浮き上がる身体――
『どぉっ……せぇぇぇえぇぇいっ!』
奇妙な浮遊感に不吉さを感じるよりも先に、振り上げられた姉弟は仲良く揃って大地へと叩き付けられていた。
「「ぐわああああああああッ(ざま~す
)!?」」
大地を巨人が巨大な鉄槌で思い切り殴り付けたかのような凄まじい衝撃と共に、砕けた大地に減り込む両者。しかしひらりの攻撃はまだ終わっては居ない。絡んだ鎖を解き手元へと手繰り引き寄せながら、掲げる左拳に応じるが如く、『武器庫』より次々と転送される、無数の斧槍と投剣。彼らの頭上周囲を取り巻き、一斉にその切っ先を揃えて突きつける。
「こいつはおまけよッ!!」
ぎゅどむッ―― 電磁加速によって射出された刀槍の砲弾たちが一斉に標的目掛けて降り注ぎ、大地を爆ぜさせん勢いでそれぞれ突き刺さる。巻き起こる土煙の中、吹き飛ばされた鋼の隼と獅子は、地面の上を幾度も撥ねた後、轍の痕を深く刻んで数十メートルもスライドした後、漸く沈黙した。
「……おまえたちぃぃぃ!!」
地面に倒れたまま動かぬ最愛の家族を救うべく、あらぬ方向に曲がった前脚をそれでも支えとして立ち上がる長兄ドヤライノー。その傷付いた身体には、ヴァシリッサがこれでもかと撃ち込んだノインテーターによる洗礼の痕跡が深々と刻みつけられている。今にも倒れ込みそうな巨体を、それでも支えるのは創造主に与えられた使命、或いは長男としての意地だろうか。
「このぉぉぉぉッ!!」
「……おっと!」
轟音を伴い、大気を引き裂く首振りからの角で相手を穿たんとする一撃を、軽やかに飛び退き躱すヴァシリッサ。返礼だとばかりに突き出すパイルバンカー「スヴァローグ」より撃ち出されるのは特別製の杭からなる【戦乙女式吶喊鎗(ヴァルキュリヤ・キッス)】。赤熱化した射突杭が深々とドヤライノーの肩へと突き立ち、内蔵された爆薬が派手に爆裂しては、ドヤライノーの肩の装甲ごとその主砲を無惨に爆ぜ散らせる。地響きと共に、無惨に拉げてラッパのオモチャめいたスクラップと化した砲身が千切れた装甲部位と共に地面へと滑り落ちる。
「……ぐおうゥゥゥッ!?」
「どうだい気に入ったかい、お兄ちゃん。アタシからのプレゼントさぁ!!」
ヴァシリッサの身の丈に匹敵するほどの巨大な質量を誇るスヴァローグ。それは今も赤熱化し続ける杭によって爆破融解したドヤライノーの肩に深々と突き立ち、容易には引き抜けぬ有様だ。今この時も尚継続してその傷口を引き裂き焼き続ける戒めの重みに苦悶する彼を、サディスティックに見守りながら、ヴァシリッサはその眼を炯々と輝かせる。
「さァ?……お次は?」
「くッ…… 来るな、来るんじゃないッ!!」
何をして遊ぼうか。ピン留めされた標本の蝶を見詰める子供のように、嬉々と詰め寄るヴァシリッサを、追い払うようにその巨体を振り回して打ちのめそうとするドヤライノー。けれども余裕のない大振りのテレフォンパンチはそうそう当たるものではない。迎撃をすり抜け、密着するように肉薄する彼女の手が掴むのは、12番の散弾を詰めたリボルバー弾倉を備えるソウドオフショットガン「Sköll(スコル)」。彼女の愛車と対を為す名を与えられたもう一匹の狼だ。その鼻面を、既に穴の空いたドヤライノーの胴へと押し付ければ、ズドムッ―― 響き渡るスコルの咆哮。其処から立て続けに吐き出される散弾の嵐が容赦なくドヤライノーの機械仕掛けの臓腑を刳り、引き裂いていく。身を翻しながらダメ押しのもう一射が、その肩口に突き刺さったままのスヴァローグの杭を撃ち抜き、炸裂。飛び散る破片と爆炎の尾を引きながら、ヴァシリッサは愛用の得物をそれぞれ左右の手に、倒れ込もうとするドヤライノーに背を向けた。
「……ま、なかなか愉しめたよ、ハカセにヨロシクね♪」
「……っ、まだだァ……! 俺は長男、ドヤライノー……!
可愛い妹と弟を置いたまま、むざむざと死ねるものかァッ!!」
崩れ落ちそうになるのを堪え、辛うじて立ち上がるドヤライノー。
振り返りながら、眼鏡のレンズ越しに冷えた視線を送るヴァシリッサは呆れたように肩を竦めた。
「ワァオ、やっぱり浪花節ってやつかい。暑苦しいねェ」
けども、それももう終わりだ。
ヴァシリッサの視界の端で、黒いスーツを纏う小柄な少女がドヤライノー目掛けて飛びかかる姿が映る。ああ、お気の毒さま。声に出さず、唇だけを微かに動かしてヴァシリッサは彼を哀れんだ。
「いいから、さっさと終わっときなさい、よ!!」
死角より繰り出したひらりのギミックシューズによるたっぷりと磁力の籠もった強烈なヤクザキック。足裏に膂力と重み、そして磁力を一点集中させた破壊力は、見た目以上に強烈なものだ。無惨に抉れた胴のその下、腹めがけて突き刺さった衝撃に、堪らず吹き飛ぶドヤライノー。そして、その巨体が虚空を泳いで辿り着いた先には――――
「……待っていたわ、この瞬間(とき)を!」
その両腕を広げて、待ち受ける蒸気王。ふらつきながらに間合いに飛び込むドヤライノーの巨体をむんずと掴み上げれば、そのまま流れるように掬い、抱えて持ち上げ―― 組み合う両者の姿は一瞬、重なる「1」の形をしっかりと結んだ。其処から重力と自重、そして蒸気王自身の怪力を乗せて、倒れ込むようにして大地というキャンバスマットに脳天より叩きつけるッ!!!!
「ガッ
……!?」
自慢の角がへし折れるほどの勢いで、大地へと叩き付けられたドヤライノーはその首を大地に埋めて突き立つ、まるで犬神家のスケキヨめいた姿を晒す。数秒の沈黙の後に、その巨体ががくんと揺れて、地響きと共に大地に沈んだ。ゆっくりと立ち上がる蒸気王は、その中に乗り込んだ紅葉の動きをトレースし、額に滲む汗を拭うような仕草を見せながら、地に沈む強敵の姿を見下ろした―――――が。
「……ッ! まだ、こいつ…… 生きている!」
不穏な気配に、思わず飛び退きファイティングポーズを取る紅葉をカバーするように、猟兵たちがそれぞれ駆け寄り身構える。ドヤライノーだけではない。既に力尽きたと思われていたドヤファルコン、ドヤレオンからも立ち上る不吉の気配。
『恐るべき猟兵……見誤っていたざ~ます、その力……!』
『我ら五体は傷付き、最早立ち上がる力などとうにない……が』
『僕たちにはその先の領域に辿り着く家族の絆がある!』
輝く黄金色の粒子を幾つも迸らせ、その傷付いた鋼のボディを目映いオーラで包みながら、三つの獣がそれぞれ立ち上がる。
『あんちゃん、あれをやるざ~ます!』
『……むゥッ、成功確率は僅かだが…… 今やらずして何時やるべきか』
『確率だなんて道理、僕らの絆が蹴って抉じ開けるさ!』
そう、彼らとの戦いはまだ終わっては居なかった……!
『ああ! 奇跡だって起こしてみせよう。
……ファルコ、レオン…… ふたりの生命、俺に預けてくれッ!!』
大成功
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第3章 ボス戦
『キングドヤガオー』
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POW : 必殺のキング・ドヤ・クラッシュ!
単純で重い【格闘、可変翼キングドヤソードや内蔵兵器】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 灼熱のクラッシュエン・ドヤァア!!
【キング・ドヤ・クラッシュの各種近接攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【炎の塊と化し加速、謎爆発と共にドヤポーズ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 私は決して悪には屈しないっ!
【誰にも負けない】という願いを【自分のドヤポーズを見た者たち】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
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●その名は!! キングドヤガオー!!
金色のオーラに包まれた3つの獣が、それぞれ最後の力を振り絞る。
「呼ぶぜ奇跡!」「起こすぜ奇跡!」「今こそ合体! 合体だ!!」
傷付いた前脚を強引に大地に突き立て、逆立ちの姿勢を取る長兄ドヤライノーに飛びかかったドヤレオンが、覆いかぶさるようにして跨がれば、彼らの傷付いた肉体は、それぞれの傷を補い合うようにして重なり、ガシィン――と強固に接合された。溶接よりも強烈な彼らの絆、もう二度と離れる事はあるまい。更に舞い降りたドヤファルコがレオンの肩に止まり、その翼を大きくはためかせる。再び響く、ガキィィンという高らかな接合音。三匹の心は、肉体は今この時一つに重なった。揺るがぬ家族愛の絆、それは最早この世の誰にも崩すことは叶うまい。高らかに咆哮する三者の意志に応じるが如く、その鋼のボディが更なる力を呼び起こすべく、一層に戦闘に最適化されたフォルムへと変貌していく。犀の強固な脚部と下半身。獅子の破壊力を宿した豪腕備えし胴体。そして、大空の覇者たる隼の翼と、溢れんばかりの知性備える頭部。隼の口が大きく開かれ、其処から新たに迫り出す破壊神としての貌。その両眼に灯るは禍々しき怒りの火。超絶合体を果たしたその巨体が、着地した大地を踏み砕く。その五体に満ちた闘気は、最早先程までの彼らとは比べるまでもない程の強大さを誇っている。
「許すまじ人類ッ!!最早絶滅不可避ッ!!
貴様たちを撃ち倒した暁には、全人類の拠点を滅ぼし世界を浄化するッ!」
★レッツファイト ドヤガオー(作詞作曲:Y.BUSUJIMA)
(前奏:約30秒)
ドドドドドド ドヤニマロイド
ドドドドドド ドヤニマロイド
空を駆けるぜ ドヤファルコン 赤い知性がさえわたる
地を駆けるぜ ドヤレオン 青い稲妻ほとばしる
地響き立てて疾走るぜ 疾走るドヤライノー 黒い長男今日もゆく
正義のおたけび とどろかせ
そうだ 今こそ 合体だ! 悪い人類やっつけろ
ハカセの指令が 我らの使命
今日も 奇跡の 合体だ! 兄弟パワーをみせつけろ
みっつのパワーを今かさね みっつの心を今かさね
オー ドヤガオ― ドヤガオー
超無敵気分合体 キングドヤガオー(※繰り返し)
『我ら超無敵気分合体ッ!! キングドヤガオー!! 予定調和に只今見参ッ!!
才堂・紅葉
これはやばい!?
【野性の勘】で悟り即突貫
「蒸気王行きます!」
一番頑丈な自分が最初に当って、皆への【情報収集】だ
実際クソ強い
味方を【庇い】灼熱の何やらを貰って大破する
「癪だけど、あれしかないか」
ドヤ顔でマッド共に説明された機能の【封印を解く】
継戦能力を犠牲にし安定性も皆無でゴミと断じていたが是非もない
奴等に起動キーと設定された祝詞を上げる
「我が左手は火足手、即ち火気なり」
左の甲に紋章が赤く輝き
「我が右手は水極手、即ち水気なり」
右の甲に紋章が青く輝く
「火と水の合わさる所、則ち火水(かみ)なり」
両手を胸の前で組み、全身を金色に輝かせる
「則ち蒸気こそ神なる力……超蒸気王!!」
「さぁ、第二ラウンドよ!」
●忘れるものかこの一分一秒を
「……これが、ドヤニマロイドに隠されていた真の機能
……!?」
三体の機械獣が、ひとつに合体した。これまで誰も予想だにしていなかったであろう、驚愕の光景を前にして、それでも紅葉は歴戦の傭兵としての勘に突き動かされていた。自身が乗り込む蒸気仕掛けの機械巨人、蒸気王の巨体を盾にする形で、先鋒としてキングドヤガオーに突貫する。未だ得体の知れぬ敵の戦力を詳らかとせんが為、その身を以て情報を得ようと言うのだ。そしてその勘は決して間違っていなかった。彼女が前に出るとほぼ同時に、キングドヤガオーもまた動き出していたのだ。出遅れていたならば、その剛力は後方の猟兵たち目掛けて容赦なく振るわれていた筈だ。その身で攻撃を受けるにしても、頑丈な蒸気王の巨体は申し分のない盾であった事だろう。
『邪悪な人類よ! 今こそ正義の鉄槌を食らわせてやるッ!!』
その鈍重そうな巨躯には不釣り合いな程の速度―― 広いその背中から伸びる、一対の巨大な翼に内蔵されたスラスターを全開に、彗星の尾を引くようなブースト光の煌めく残滓を散らすキングドヤガオーが低空を滑るように疾走する。
「……こいつ、速いッ!」
『ッ!!』
瞬時に眼前へと肉薄するキングドヤガオーのどこかドヤ顔めいた顔面がコクピットのモニターにデカデカと表示される様に、戦慄する紅葉。しかし、そんな間隙を見逃す事もない、キングドヤガオーの冷徹な攻撃が唸りを上げて襲い掛かった。今だキングドヤガオー、その正義の鉄槌を邪悪な人類どもに叩き込んでやれ!
『必殺!! キング・ドヤ・クラッシュ
!!!!』
「ぐぅぅぅッ!?」
突進からの、流れるような左右からのコンビネーションを叩き付けられ、蹈鞴を踏む蒸気王。その頑強な筈の巨体を揺るがす衝撃は、当然ながら内部でこれを操縦する紅葉の身体も容赦なく揺さぶり、内臓や筋骨を軋ませるように蝕んでいく。その正面装甲を抉るように無惨に刻み付けられる獅子の爪痕。そして、その左右の連打から息を呑む暇さえ与えずに、背中の可変翼が一斉に反転すると、その翼の先端に仕込まれた砲口が一斉に蒸気王を至近から捕捉する。其処から次々と噴き上がる、エネルギーの奔流。強烈なその噴射を無数の剣に見立て、至近の標的を容赦なく切り裂く必殺兵器、これぞキングドヤソード!更に続けて胸部の獅子の顎が開いて、其処から迫り出す内蔵兵器ドヤキャノンと、ハヤブサの両眼から放射されるドヤレーザーの連射によって、瞬く間に蒸気王はズタズタに裂かれ、痛々しい姿へと変えられていく。
『…………かーらーのぉー!!』
しかもまだ終わっていなかった。怒涛の連続攻撃の余波によって、無惨に破壊され崩落しかけた大地に沈みかける蒸気王目掛けて、突進するキングドヤガオー。その身を包む怒りの炎が赤々と激しく燃え盛り、巨大な炎の塊と化したその巨体が轟音と共に蒸気王を弾き飛ばすと同時、叩き込まれたドヤエネルギーが炸裂し、蒸気王を爆炎が包み込む。
『灼熱のォ!! クラッシュエンッッッ!!』
巨大な火球と化して爆ぜる蒸気王を背に。何故か虚空に向いて、存在するはずもないカメラを意識する目線を取りながら、その絶妙なバリ具合を生かして身体を捻り、突き出す腕を強調した得意げなポーズを決めるキングドヤガオー。
『……ドヤァア!!』
ギュピーン、と炎に炙られる逆光を切り裂き鮮烈に輝くデュアルアイ。その演出は手間暇と破壊力を一切惜しまぬ全部載せっぷりであった。
『……貴様もまた、強敵(とも)だった。
出会い方さえ間違わなければ、心強い味方となっていたかも知れない。
せめて来世では共にたたか』
「……勝手に殺さないでくれるかしら?」
ナルシズムとロマンの悦に浸るキングドヤガオーの独白に水を差すように響く声。弾かれたように振り返るキングドヤガオー。未だ赤々と燃える爆炎と土煙のカーテンの向こうから浮かび上がる黒い影。炎を裂いて、地響きと共に進む蒸気王の傷付いた巨体が露となる。燃える炎に焼け焦げながらも、その輝きを照らして鋼のボディが赤く染まる。
『まだ生きていたか。……大した装甲だ。
だが、その損傷具合では最早動くのもやっとという有様!
そんな貴様にいったい何が出来ると言うのだッ!』
「まだ終わっちゃいないわ……。
癪だけども、こっちも切り札を使わせてもらいましょう」
機体の損傷具合を示す無数のアラートサインが止まることなく鳴り響き、彼方此方では火花が弾けて散っていく。おまけにまるでサウナルームのような地獄の熱気が襲う操縦席内で、割れた額から流れ落ちる鮮血を拭いつつ、紅葉は禍々しく嘲笑った。忌々しいマッドな技術者どもの用意した機能に頼らねばならぬ自分を嘲るように。蒸気王の継戦能力を犠牲に、機体のリミッターを開放する。あまりに不安定で不確実なそれは、普段ならばゴミとしか断じることの出来ないクソ機能だ。しかし、今はそれを気にする余裕もない。一か八かの賭けに頼らねばならぬ程に、目の前のキングドヤガオーは強敵だったのだ。
「我が左手は火足手、即ち火気なり」
紅葉の動作に、そして紡ぎ上げる祝詞に反応するかの如く、低く唸り出す内燃機関。蒸気王の巨大な左腕装甲には炎を意匠化し、紋章の光が赤く激しく燃え上がる。大地を震わすほどのプレッシャーに、キングドヤガオーが一歩後退りしかけるも――すぐにそれを恥じるようにその場に踏み止まる。
「我が右手は水極手、即ち水気なり」
続いて右腕の装甲には水を意匠化した紋章の光が青白く輝きを灯した。同時に蒸気王の背部よりは白い蒸気の煙が勢い良く噴き上がる。燃える炎の残滓を跡形もなく吹き散らすほどの激しさだ。
「火と水の合わさる所、則ち火水(かみ)なり」
『抜かしおるッ!!』
蒸気王の左右の拳が胸の前でひとつに重なり、足元から噴き上がるオーラに包まれたその巨体は、瞬く間にその全身を目映い黄金に染め上げて輝かせる。躍りかかるキングドヤガオーを前に泰然と佇んでいた黄金の巨人は、優雅ささえ感じさせるような自然に流れる動きでそれに応じ、両者はその力強く両の腕で、正面よりがっぷりと四つに組み合った。底なしのキングドヤエナジーからなる無限大とも思える出力に任せ、相手を押し切らんとするキングドヤガオーのそれに、然し黄金の蒸気王は一歩も圧される事はなく、力強く聳えた大樹の如く立ち続け。
『この力……! そしてこのプレッシャー……! 貴様、いったい何者だァ!!』
「則ち蒸気こそ神(ゴッド)なる力…… これぞ超蒸気王(スチームジャイアント・オーヴァーロード)!!」
その名乗りと共にキングドヤガオーの胴体に突き刺さる衝撃。獅子の横面を殴りつける膝蹴りの衝撃に思わず組んだ腕を解いて後退するキングドヤガオーに追い打ちを入れるが如く、叩き込まれる黄金色に燃え上がる巨人の鉄拳。左右間髪入れずに連ねて繰り出す鮮やかなコンビネーションに撃たれ、地響きと共に更に後退しては地に跪くようにして崩れた身体を辛うじて支えるキングドヤガオー。
『……恐るべきパワーだ! スチームジャイアント・オーヴァーロード!!』
「悪いわね、コイツは出力が不安定なのよ。さっさと終わらせましょう」
そんな紅葉の言葉と共に鮮やかに虚空を舞う黄金巨人。軽やかにドヤガオーの膝上に乗り上がると同時、閃光のごとく鋭く速い頭部目掛けての膝蹴りが、まるで魔術のごとく鮮やかに叩き込まれた。
『グワーッ!!』
頭部を正面より大きく揺さぶり尽くす衝撃に堪らず後方へと吹き飛ぶキングドヤガオーの巨体を見やりながら、紅葉は不敵に告げる。
「さあ、第二ラウンドよ!」
残り三分……上等、このまま反撃開始だ。
大成功
🔵🔵🔵
フェーズ・ワン
前奏がなげぇ
それ以外は、結構……いいじゃねぇか!
予想通りの展開とはいえ、期待以上の合体だったぜ
家族愛の絆ってのがいいよな、うん
それに敬意を払って、こっちは俺の誇りでもって行う合体だ
邪魔なんて野暮なマネしねぇよな?
UC発動
タップをベースに半自律兵器の3機で変形合体
待たせたな
さぁ、絆と誇りをかけて、ひと勝負行こうじゃねぇか!
自身はF.O.B.に跨り指示に専念
敵は接近戦メインのようなので、まずは引き撃ちを徹底させる
近づかれたら空を飛んで逃げさせる
メカ飛行後、自身が敵に銃で攻撃して気を引き、その隙に腕に換装させたドリルで空から強襲させる
物資を漁れば、こいつらのデータとか残ってっかね
歌のがありゃ最高だが
メイスン・ドットハック
【WIZ】
おー、テーマソングまで流れるとは凝っておるのー(パチパチ)
でもそれで心躍るのは男子の心情なんじゃのー
引き続き二足歩行戦車KIYOMORIに搭乗した状態で参戦
悪に屈しないドヤポーズを見せる姿に、容赦なくレーザー砲・ミサイル・榴弾の一斉発射を喰らわせる
ダメージが少ないことを確認したら、UC「巨人の穿つ叡智の煌めき」を発動させて増幅器を各武装に配備
残念じゃけど、巨大で機械とか僕にとって格好の獲物なんじゃのー
巨大生物+機械のW特攻能力を込めた攻撃で再びの一斉発射
ドヤポーズで受けてくれるであろう敵のドヤ顔に遠慮なく叩き込む
不意打ちみたいじゃけど、これも戦争というやつじゃのー
アドリブ絡みOK
●〆の曲にラブファントム? それは絶対キレられる。
「前奏がなげぇ……」
あんまり長いと、カラオケとかで友達に文句を言われちゃうヤツである。
「でもそれ以外は、結構……いいじゃねえか!」
しかし思わずガッツリと聞き入ってしまったフェーズであった。
ありがとう。頑張って作詞した甲斐があるってもんだ。
「合体な、予想通りの展開とはいえ、期待以上の合体だったぜ。
家族愛の絆ってのがいいよな、うん」
立ち上がるキングドヤガオーの巨体を前に、愛車F.O.B.に跨るフェーズは屈託なく笑ってみせる。純粋にメカを、そして良い音を愛するこの男だからこその、目の前の技術を素直に称賛する表情だった。しかし、それでもオブリビオンは人類の敵。相対したからには、戦って倒さねばならぬ存在だ。無論、それに躊躇をするようなフェーズでもない。赤い宇宙バイクのエンジンの快音を響かせながら、虚空を駆け上がっていくフェーズをカバーするかのように、彼の作り上げたメカたちが入れ替わりに前に並ぶ。
『……何をするつもりだ?』
「おまえらにに敬意を払って、こっちは俺の誇りでもって行う合体だ。
邪魔なんて野暮なマネしねぇよな?」
『良かろう! 合体の妨害、そんな邪悪な振る舞いをこの私がするものか!』
「いいね、信じるぜ! さあ、こいつらの真の姿を見せてやる!
キメるぜ、V-Formation(ブイフォーメーション)ッ!!」
フェーズのその言葉に弾かれるようにして地を蹴り空へと跳躍する人型半自律型兵器「タップ」。共に虚空へと飛び上がったサイ型「スピナー」
、そしてハヤブサ型の「ウィンズ」がそれぞれ全身を幾つかのパーツに分割し、タップのボディをコアとするようにその全身に重なり、一層に力強く雄壮なフォルムを織り成していく。三つのボディがひとつに重なり合体形態へと変化する上に、ハヤブサとサイという要素の一致。否が応でもフェーズの意気込みは更に盛り上がっていく事だろう。
「そうだ、負けじとこっちも歌っちゃうぜ!」
『よしきたさあこい』
宇宙バイク搭載のステレオで爆音を鳴り響かせて轟くイントロ――
「こういうノリで心躍るのは男子の心情なんじゃのー」
テーマソングまで流れるのは確かに凝っておるがのー、と呟くのは二足歩行戦車KIYOMORIに乗り込むメイスンだ。キングドヤガオーの主題歌には拍手まで贈ってはいたが、これ以上付き合う義理もないとばかりにキングドヤガオー目掛けてメイスンは容赦なくレーザー砲、ミサイル、榴弾とKIYOMORIに搭載した兵器類を惜しまず叩き込んでいく。
『グワー!貴様グワー!!』
「そっちのテーマソングが終わるまでの間、
僕が付き合ってやるって言ってるんじゃー」
不意打ちめいたいきなりの爆炎に飲まれ、非難めいた声を上げるキングドヤガオー。しかし流石にその装甲は頑強だ。ありったけの兵器をぶち込んで尚、その損傷は軽微。先の激闘で装甲の彼方此方は凹み傷付いているが、現状のKIYOMORIの搭載武器では余り有効打は望めそうもない。炎を引き裂き唸りを上げるキングドヤガオーの豪腕を飛び退って回避しつつも、コクピットのメイスンの表情に焦りらしき色はない。其処から一拍遅れて主題歌をひとしきり歌い終えて満足したフェーズの指示に従い前に出る三身合体「グレートスピンズタップ(仮称、以下GST)」が、KIYOMORIの車体と並び立つ格好となる。
「待たせたな! さあ、絆と誇りをかけて一勝負行こうじゃねえか!」
『上等だ、二体纏めてスクラップにしてやるぞ!!』
ブースト噴射の目映い閃光を迸らせ、猛然と低空を滑り疾駆するキングドヤガオー。その猛烈なパワーを前に、GSTとKIYOMORIは後退して距離を保ちながら、固定武装のキャノン砲、或いは携行のレーザー砲の連射を浴びせていく。恐るべきキングドヤガオーの破壊力。然し、彼らの得意レンジは専ら超至近距離に限定されているのだ。距離を保つ限りは互いに決定打を撃ち込めぬ膠着状態に持ち込める。それも長くは持つまいが。
『ええい、豆鉄砲などしゃらくさい……ッ! 一気に叩き潰してやるッ!!
痺れを切らしたキングドヤガオーが更に加速し、肉薄する。同時に振るうその両腕が、可変翼に仕込まれた破壊の光剣が唸り、その身を切り裂かんと迫る。然し、その危険な接近をみすみすと見過ごすフェーズではない。
「翔べェ!!」
創造主の命令に、大地を蹴って弾丸の如く風を引き裂き空に舞うGSTの巨体。空を切る必殺の一撃を持て余して蹈鞴を踏むキングドヤガオーに、宇宙バイクを駆り、上空を疾走るフェーズが雨霰の如く、ビームサブマシンガンの弾幕を浴びせて牽制する。無論、その巨体を分厚く覆う重厚な装甲にはさしたる威力も発揮は出来まいが、時間を稼げればそれで上等。
「残念じゃけど、巨大で機械とか僕にとって格好の獲物なんじゃのー」
そしてその僅かな一寸の隙さえあれば、状況を整えられるのはメイスンも同様だ。
『デカブツであればあるほど餌食じゃけーのー』
KIYOMORIの携行武装の周囲を取り巻く光の粒子が帯を引き、更にそのフォルムを一回り肥大化させるようにして形成するのは、対巨大生物・対機械の電脳魔術特攻増幅器だ。メイスンのユーベルコード【巨人を穿つ叡智の煌めき(ジャイアント・キリング)】により、KIYOMORIの搭載兵器は今、文字通りにその車体を大きく超えるキングドヤガオーの巨体を抉る特効兵装へと生まれ変わっていたのだ。
「二重の特効能力……その装甲で防ぎ切れるもんかのー。試してみるんじゃー」
気のない呟きに反してのありったけの殺意を存分に載せた容赦ない一斉射撃。展開された肩装甲より次々と噴煙の糸を引いて射出される電脳ミサイルと、多目的榴弾の連鎖的な爆裂が立て続けにキングドヤガオーを圧し包むように迫り、その脚を強引に止める。
『グオオオ……! なんだ、この攻撃は……私の装甲が、保たないだと
……!?』
「これも戦争というやつじゃのー。遠慮も容赦もしないんじゃー」
続けての連射で撃ち込む長距離プラズマレーザー砲の雨霰と撃ち込む弾幕に貫かれ、その装甲は無惨に焼け焦げ、融解し、風穴を幾つも穿たれて、堪らず後退していくキングドヤガオー。けれども後退さえ許しはしない。脚部を撃ち抜くレーザーの一撃に堪らず地に膝を搗きバランスを崩したキングドヤガオーの視界に飛び込むのは、上空より腕部に搭載された巨大なドリルを超速回転させつつ降下し肉薄するGSTの雄姿だった。
「……おまえらの存在、無駄にはしないぜ……!
倒した後に、データも貰って人類の……いや、俺の役に立ってもらう!」
『なんたる、屈辱…… グヌウウウウアアアアア
!!!!!!』
胴体の獅子の顔面に減り込むドリルの切っ先が、火花と共にその装甲を無惨に刳り掻き毟る。文字通りに内臓を刳り穿たれる激痛に呻きながら、崩れ落ちそうな身体を、追撃のキックと更なる追い打ちの電脳ミサイルの連鎖爆発に吹き飛ばされ、装甲の破片を幾つも散らしつつ轍を引いて後退りするキングドヤガオー。その胸中に飛来するものは、ダメージに対しての懸念よりも、悪に屈さぬという自身の誇りを傷つけられ、後退してしまった事への怒りだった。
『おのれ、貴様ら……! 私の正義は、絶対に揺るぎはしないのだ!!』
「……歌のデータは後でじっくり拾わせてもらうぜ」
「ほんとう、男の子はそういうの好きじゃのー」
僕にはようわからんのじゃ。そう言いながら、ドリルアームを構えたGSTと並ぶようにして携行するLPLの砲口をぴたりと標的に突きつけるKIYOMORI。最も戦場で警戒するべきは、手負いの獣。余裕がないもの程、何をしでかすかわかったものじゃあないのだ。モニターパネルに映し出される鋼鉄の惡魔の姿をレンズ越しに見守るメイスンの、その冷めた瞳に油断や慢心の色はない。その後方で、戦場の熱気と互いの技術力のぶつかり合う興奮に燃えて輝くフェーズの瞳にもまた。
『……人類め! 貴様たちの存在、この私が絶対に許しはしない!!』
そして、それを見据えるキングドヤガオーのデュアルアイに宿るのは底なしに燃え上がる人類への憎悪ばかりであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
レイ・オブライト
は、
いや……イケてると思うぜ
【Storm】
場違いじゃねえかって?
そうは言うがな、サイズ感なんざ潰れちまえば同じことだ
他と連携できる状況ならする
おかげさまで巻き添えだろうと多少は死なねえ身体だ
覇気+格闘。衝撃波と鎖の併用で移動に緩急つけ、小回り効く人型のメリットを活かし間合いへ
足元、背、翼など敵が注意を対面の猟兵以外にも分散させる必要があるパーツを削り引きつけを兼ねる
UCリミット直前は足か翼かなんでもいい、削れた箇所を怪力で引っ掴んどく。で、時間切れはつまり、振り切れたヴォルテックエンジンの火花放電とくりゃ
オレとこいつ
「誰にも負けない」にしてもよ
火花は派手な方が茶の間も沸くってもんだろ。手伝うぜ
●震えるほど心 燃え尽きるほど熱く
「テーマソングか。いや……イケてると思うぜ」
目の前には、満身創痍の装甲を沸き上がる憤怒で支えるようにして聳え立つキングドヤガオーの巨体。ひび割れ、砕け、焼け焦げた大地に太い鋼の脚を引きずり、深く轍を刻みつけながら地響きと共にゆっくりと前へと進む。緩やかな進撃を続ける巨体を前に、悠然と立つレイ。まるで鋼の如く丹念に研ぎ澄まされ、鍛え抜かれたその肉体を以てしても、眼前に聳え立つ鋼鉄の巨躯と比べれば人の子供とアフリカ象ほどに圧倒的なサイズの差がある。
『……先の連中と違い、脆弱な身を鎧う装甲さえ備えぬその小さな肉体。
その有様で、貴様は一体何をするつもりだ?』
「そうは言うがな、サイズ感なんざ潰れちまえば同じことだ。
……あんたを金箔みてェに薄く延ばしたら、一体どれだけ広がるんだろうな」
『小癪な奴めッ!』
鋭い怒号ひとつを残して弾丸のように飛び出すキングドヤガオー。その肉薄する鋼鉄の巨体に対するレイはどこまでも泰然としながら同じく前に踏み込んだ。彼我の距離が零と縮まり、頭上より振り下ろされる巨大な豪腕。総金属製の余りにも重々しい鉄槌を、その巨体に肉薄しているからこその、小回りを活かすように擦り抜ける様は鮮やかだ。その身体に絡みつけた鎖を手繰り、慣性の動きに引きずられて振り子のように虚空を踊る身体が、キングドヤガオーの巨体に密着し。
「脆弱とは言うがな、これでも多少は死なねえ頑丈な身体だ。
……いっぺん死んでるからな。当分次に死ぬ予定もねえんだ」
『がは、ぁ……ッ!!』
その言葉と共に衝撃が一挙に爆ぜた。大地を無残に抉るキングドヤガオーの、その巨大な腕が引き戻されるよりも先に胴部に叩き込まれる鉄槌の如き衝撃。既に大穴が開き、装甲が凹み歪んで痛々しい獅子の顔を、更に大きく歪め凹ませる鉄拳に込められたその威力たるや、殴りつける自身の腕部さえも躊躇なく砕き肉裂くほど。鮮血を散らし赤く染まった拳を引き戻し。
「まだまだ行くぞ。痛ぇ間は全然平気だ。そのうちそれさえ気にならなくなる」
強烈な覇気を宿したその拳を更に損傷し砕けていくのもお構いなしに叩き付け、超無敵気分で固められた装甲を歪ませながら、自身の血液で赤く塗り上げていく。レイの体内に埋め込まれたヴォルテックエンジンが超速回転の唸りを上げて、その全身からは勢い良く青白い火花と雷光を散らす。“Storm”、文字通り嵐の如き限界駆動によって突き動かされるデッドマンの肉体は、既に死したその身と、それが繰り出す無数の拳によって嬲られるキングドヤガオーの巨体を大嵐の中へと引き摺り込んだ。
『尋常ではない動き…… 貴様、死を恐れぬとでも言うのか!?』
「言ってるだろうが、とっくに死んでるんだってよ」
ありったけの覇気を載せ、レイ自身の保身を一切考えぬ挙動から傷付き怯む暇すら省いて怒涛の勢いで叩き込まれる鉄拳の嵐。歪み潰れ千切れた装甲と機械部品、爆ぜて砕けて散っていく肉片に鮮血、砕け飛ぶ鎖の破片、それらが綯交ぜになった銀と赤の飛沫をまるで吹雪のように散らしながら、両者は互いに一歩も退かずに激突し合う。可変翼から閃く破壊の光刃に左腕を斬り飛ばされながらも、入れ違いに叩き込むレイの右拳が噴射口を歪ませ潰し、爆ぜ散らす。キングドヤソードの無敵の刀身にヒビが走り、刃が毀れる瞬間だ。
『なんと……! 絶対無敵の私の剣、キングドヤソードが……ッ!』
「悪いな、壊しちまった。……絶対無敵じゃなかったんだって……よ
……!!」
そんな言葉と共に、不敵に口元を歪め笑うレイであるが、続けて不意に咳き込む口元から夥しい量の血液が飛び散った。同時に、胸の奥で回転し続けていたヴォルテックエンジンの出力が不安定に乱れ、身体から力が抜けていくのを感じる。
(タイムリミットか……!)
まだだ、あと一息行こうぜ。根性出せよ、それでも俺の肉体(いれもの)か。
自分の肉体を叱咤するように、最後の力を振り絞るレイが倒れ込むその不安定な姿勢から、キングドヤガオーの逞しく太い鋼の脚へと抱き着くようにしっかりと残った片腕で渾身の力を込めて組付き――
『貴様、一体何を
……!?』
「誰にも負けないって意地は分かったよ。なら、一緒にかっこつけようぜ。
火花は派手なほうが、茶の間も沸くってもんだろ」
手伝うぜ。
そう言い切るよりも一寸先に、レイの体内奥深くに埋め込まれたヴォルテックエンジンが白い噴煙を激しく吐き出し、続けて発生するスパークが眩く弾け、宵闇の迫る紫色の空を白く染める。巻き起こる放電のエネルギーが大気を白く灼き、爆ぜる衝撃に噴煙の白い尾を引き吹き飛んでいくレイの爆ぜ千切れた上半身。放物線を描いて地べたへと墜ちて行くその身体は、然し明滅してぼやけていく視界の中で確かに見た。
『おのれ……! なんという、恐ろしい男だ……!
死すら恐れずに、この私に煮え湯を飲ませるとは……!』
装甲が抉れ、内部の機械部品さえもが無残に爆ぜ散ったキングドヤガオーのその脚を。最早、力強く踏ん張り格闘戦を展開することは困難を極めよう。巨鳥の翼の片方を引き千切ってやったに等しいその出来栄えに満足げな笑みを浮かべつつ、レイは転がり落ちた地の上を数度バウンドした末に地面をベッド代わりにしてその意識を手放した。
どうせ死にはしない。何せもう死んでいる。
一仕事終えた後は眠るに限る。
夢さえ見ないほどの暗くて深い眠りに、溺れ沈んでいくようにして意識を委ねる。
そうだ。
アンデッドは 夢など見ない。
成功
🔵🔵🔴
黒鋼・ひらり
…うん、知ってた>合体
さて置き聞捨てならない台詞が出たわね
絶滅不可避? 世界浄化?
…ふん、馬脚現したわね…いや犀だけど脚部
そんな台詞が出た以上アンタらを作ったハカセとやらの本性も知れたわ
只の番人ならいざ知らず…『悪(あんたら)』に容赦する気なんて一切ない……ぶっ潰したげる
磁力展開…なんちゃらソードだろうが内蔵兵器だろうが本体でさえ全部金属…磁力操作の制御下範囲よ
反発で弾くなり、磁性体を盾にして防ぐなりで問題ない筈
そしてアンタ等は機械、しかも外観はごつくても内部は複雑な合体機構なんて有した精密機械
磁力跳躍&ダッシュで肉薄して零距離でUC発動
高磁力流されて奇跡の合体とやらがどうなるか…見ものよね!
ヴァシリッサ・フロレスク
◎
なンだい、マトが自分でマトまってくれるなんざ、随分気が利くじゃないか?
フフッ、オノゾミ通り、サクッとミンナ仲良く骸の海(ハカセんトコ)に帰っちまいな♪
血統覚醒。
スヴァローグにツェペシュMkⅧを装填。
ま、イイもん見せて貰ったからねェ?
アタシからココロばかりのオヒネリだよ♪
捨て身の一撃を喰らわせてやる。
スコルで牽制しつつ懐に飛び込む。ヤツの反撃は見切り、軸をズラして激痛耐性と怪力を以て武器受け。
あァ、シビレるねェ♪
――ケド、踏み込みが甘いよ?
脚の傷口をえぐる様に狙ってスコルを零距離射撃。体勢を崩させ、カウンターでスヴァローグをブチ込む。
――フフッ、野暮なコト云っちまうけどさァ?
覚悟が違ェんだよ。
●The Cyber Slayer
「……うん、合体するのは知ってた」
何という深い叡智であろう。誰も予想だにしていなかったであろうドヤニマロイドに秘められていた恐るべき秘密機能を見抜いていたというのだ。彼らの不幸と言えば、そんなひらりと相対してしまった事であろう。夕風の中を歩み出ながら、ひらりは眼前に聳えるキングドヤガオーの巨体へと向けて人差し指を突きつける。
「さて置き、聞捨てならない台詞が出たわね。
絶滅不可避? 世界浄化? ……ふん、馬脚を現したわね」
『この脚は馬ではないッ!! 間違えるなッ!!』
「いや犀だけどねその脚部……。
まあともかく、そんな台詞が出た以上アンタらを作ったハカセとやらの本性も知れたわ。只の番人ならいざ知らず……『悪(あんたら)』に容赦する気なんて一切ない。……ぶっ潰したげる」
突きつけた指を引き戻すひらり。入れ替わりのようにその力強き鉄の義手にて大きく振り被られた鉄球が、撃ち出された砲弾の如き勢いで投げ放たれる。唸る鉄球はそれに連なる鎖の尾を長く引き、紫とオレンジに燃える夕映えの中を突っ走る。ひらりの操る磁力を付与された鉄球に対し、片脚を損傷している今のキングドヤガオーは格好の標的と言えただろう。
『……ごぉあッ!? 小癪で邪悪な人類め!
我らを悪呼ばわりするとはいい度胸だ!』
生半な回避動作は通用せず、その重厚な金属製の巨体へと吸い寄せられるように誘導される鉄球が、いっそ面白いくらいに突き刺さる。鋼の装甲をぶっ叩く鉄球の猛打に、堪らず体勢を崩してしまうキングドヤガオー。その隙を見逃さぬように、ヴァシリッサ操るフルオート自動拳銃「ノインテータ―」が吼え猛り、其処に込められた対不死者9mm純銀徹甲焼夷弾による連射が融解し罅割れた装甲の隙間から、次々とキングドヤガオーの内部へと突き刺さり、その鋼のボディを炎の赤に染め上げる。
『ぐおォォォッ……! 出力30%低下だと……!!
おのれ、ダメージを貰い過ぎたかッ!!』
「なンだい。マトが自分でマトまってくれるなんざ、随分気が利くじゃないか?
……そりゃあ助かるヨ。狙う手間が省けてこっちも楽ってモンさ」
ダメージに悶えるキングドヤガオーに構う事なく、マイペースに歩みを寄せるヴァシリッサ。ホルスターへと仕舞われるノインテ―ターと入れ替わりに彼女が担ぎ上げるのは巨大な杭打器「スヴァローグ」。いま其処に装填されているものは通常の杭ではない。対装甲目標用のHEATパイル「ツェペシュMkⅧ」。串刺し公に肖るその物騒な名に違わず、あらゆるものをぶち抜き破壊する文字通りの取っておきだ。
「フフッ♪ オノゾミ通り、サクッとミンナ仲良く骸の海に帰っちまいな♪」
サディスティックに口元を吊り上げて笑う、ヴァシリッサ。鋭利な犬歯が其処から微かに溢れて輝く。レンズ越しに敵を見据える瞳は今やまるで鮮血のように赤く燃え輝いている。一歩一歩を踏み出す毎に、彼女の身より滲み出す禍々しい気配は強まっていくばかり。ダンピールでもある彼女の特性を、一時的に限りなくヴァンパイアそのものへと近付ける事で、その肉体は通常の限界をあっさりと超越した。ステップを踏むように軽やかに一歩踏み出せば、ただそれだけでヴァシリッサは突風の如く地を駆け出した。
『……こいつッ!!』
「アハハ! 遅い遅いッ!!」
キングドヤガオーに搭載された対人迎撃武装「ドヤバルカン」が唸りを上げて火を噴いた。夕闇を激しく切り裂く火線の中を、踊り突っ切る吸血鬼。弾丸が頬を掠めるスリルを楽しみながら、禍々しくヴァシリッサは嗤う。可変翼「キングドヤソード」から閃く光の刃の連撃を擦り抜けて、足元を薙ぐ視線同期型デュアルレーザー砲「ドヤレーザー」の照射を飛び上がってやり過ごし―― 空へと退いた彼女を待ち受けるかの如く、振るわれるキングドヤガオーの豪腕。鋭く光る獅子の爪が唸りを上げて迫ろうとしていた瞬間だ。黒い影がヴァシリッサとキングドヤガオーの間に滑るようにして割り込んだ。
「……ねえ。アンタって、武器も身体も何もかも全部が金属でしょう?
なら運が悪かったわね。……どれもこれも、私の磁力操作の制御下よ」
『な、にィィィッ!!』
がぎぃんッ――― 強引に付与された強力な磁力の反発によって、ほぼ不発に終わったキングドヤガオーの一撃が、その腕ごと弾き飛ばされる。入れ替わりに投げ放たれた鉄球によって頭部を打ち据えられたドヤガオーは堪らずにぐらつき倒れそうになるその巨体を、傷付いたその脚で懸命に支えて踏み止まる。同時に着地するヴァシリッサの引き抜いたリボルバーショットガン「Sköll(スコル)」がその回転弾倉から次々と散弾を吐き出し雄叫びを上げる。
「そォらそらそらァーッ!!」
『おのれェ!! 人類どもがァーッ!!』
矢継ぎ早に装甲へと突き刺さり爆ぜる衝撃に追い立てられながらも、キングドヤガオーを支えるのは正義に燃える熱き魂と敬愛すべきハカセより与えられた任務遂行への使命感。邪悪な人類の激しい攻撃にも耐え忍びながら、必殺逆転の一撃を食らわせるその瞬間を待ち構え―― 接近する両者目掛けて、今一度傷付いた翼を広げて見舞うは正義の剣。
『……我らの使命の邪魔はさせんぞッ!! 喰らうが良いッ!!』
その翼の先端ひとつひとつに仕込まれた砲口に収束するエネルギーを刃と変えて標的をずたずたに切り刻む必殺武装、可変翼キングドヤソード。砲口ひとつを潰されて、最早剣は欠けてしまった。それでもその甚大なる殺傷力に不足はなし。死を呼ぶ羽ばたきが唸りを上げ―――
「……悪いわね。さっきも言ったけれど、私はアンタの天敵なのよ」
『……へ?』
その翼が羽ばたく事はなかった。ひらりの磁力操作は、キングドヤガオーの翼の可動域までをも妨げていたのだ。自在に可変し可動する事を許されぬその翼は、最早何をも切り裂く事はない。炸裂するタイミングを見失い、砲口に収束されていた光の刃が粒子と解けて散っていく。そして狼狽える暇さえ許されぬドヤガオーのすぐ眼前には大きく腰を落として低く身構えるひらりの姿。
「そしてアンタらは機械。
しかも外観はゴツくても内部は複雑な合体機構まで有した精密機械……!
コレ喰らったらどうなっちゃうのかしらね……! 奇跡の合体だったっけ?」
『よせ、やめろぉ!!』
「やめないわよ。体ン中…ぐっちゃぐちゃになんなさいな!!」
金属と金属が正面から衝突し合う重たい金属音。しかしキングドヤガオーの胴体に撃ち込まれるのは砲弾ではない、ひらりの右の掌だ。
『グワアアアアッ
!!!!!』
鋼鉄製の義手による掌底が鋼鉄の巨体を撃ち抜き、一拍遅れて迸る青白いスパークがキングドヤガオーの全身彼方此方を駆け巡った。耐久力を遥かに上回る強烈な磁力を叩き込まれ、体内各所からけたたましく鳴り響く無数のアラートにとうとう無様に後退し、ふらつきながら、それでもドヤガオーは倒れない。今すぐ合体解除すべきという警告を、根性で必死に堪えながら、絆というその楔でハンダよりも強烈に溶接した互いの身体を一層強く繋げては支え合う。然し、戦場とは無情なもの。ふらつくその巨体を辛うじて支えていた犀の脚部のその傷口を、スコルの咆哮が噛み破る。
『があッ!?』
内部機械を露出させた傷口で爆ぜた散弾にとうとう大きく傾ぎ、崩れ落ちるその巨体。キングドヤガオーが重力の理に引かれて倒れ込もうとするその先には、禍々しく口元を大きく吊り上げて嗤うヴァシリッサが待ち構えている。
「ま、イイもん見せて貰ったからねェ?
アタシからココロばかりのオヒネリだよ♪」
大きく引き絞ったその腕が、倒れ込む彼へとまるで贈り物でもするかのように突き出される。但しその腕が携えるものは、えその先端を鈍く光らせる杭打機のHEATパイルだ。
「ツリは結構、とっときなぁ!」
傷口に深々と突き立つ切っ先が、更に更にと押し込まれ、作動する信管によって叩かれた杭底の炸薬が爆ぜ―― 巻き起こり炸裂する衝撃の余波が周囲を舐めるように広がるよりも一寸早く、ひらりの身体を片腕で抱えるようにしてヴァシリッサが腕を回す。大きく飛び退いたヴァシリッサは、十数メートルほどの距離を保って着地する。スヴァローグの巨大な本体とひらりの身体、それぞれを片腕に抱えたままでも敏捷に動き回れるのは、さすが限界を越えたダンピールの身体能力と言うべきか。
「……って、ちょっと!?」
「まあまあ♪」
成形炸薬弾の炸裂によって発生するメタルジェットの圧力で強制的に塑性流動を引き起こされた装甲は、最早装甲としての役割を果たすことを許されぬ。ブチ開けられた風穴から流れ込むエネルギーが、弾薬庫か燃料タンクの類までをも纏めて射抜いたのだろう。その傷跡から噴き上がる炎。キングドヤガオーの巨体を包み込むように火柱が上がる。抱えたひらりに文句を言われるよりも早くその腕を解いて、火柱に包まれる巨体を眺めながらヴァシリッサは小さく口笛を吹き。
「――フフッ、野暮なコト云っちまうけどさァ?
機械仕掛けのオタクとこちとらじゃあ……」
「……覚悟が違う、でしょ?」
傍らで燃え盛る火柱を共に眺めながら呟くひらりの姿に、おっとセリフを取られちまったよ。そう告げながらヴァシリッサは犬歯の縮んだ口元に微かな苦笑を浮かべて見せた。
「……まだまだシビレ足りないねェ」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レイチェル・ルクスリア
shit! 応援に駆けつけてみれば何だって言うのよこの妙に暑苦しい機械達は……。
いいわよ、私が相手をしてやろうじゃないの?
合体したとは言え所詮は機械でしょ?接合部や関節部分なら流石に装甲よりは柔らかい筈だわ。
手にしたアサルトライフルのチャージングハンドルを引いて対物用のFMJをリロード 。
光学機器のレティクルに相手を捉えれば後は引き金を引くだけ…。
Fire!!FireFire!!
才堂・紅葉
「……ッ…ここまでか……」
激戦の果てに3分を経て強制終了する蒸気王
ここまで闘い抜けた事が驚異だ
機体状況はもう赤表示でない所を探す方が困難だ
良く頑張った…
後は頼れる味方が何とかしてくれる…
「で、終る訳にはいかないわよね……私もあんたも…」
静かに告げ
「ハイペリアの紋章」の【封印を解く】
私の蒸気王が負けるのは我慢ならない
全身の超重力場を拡大展開し、強引に機体を制御
反動で全身がミシミシと言うが【激痛耐性】で無視
「【気合い】よ。一発だけ付き合いなさい、蒸気王」
【メカニック】で動力部に紋章の力を叩き込み、超過駆動を強引に3秒だけ再展開
奴に横殴りの一発を入れるには十二分だ
「打ち砕きなさい、蒸気王!!」
オックスマン・ポジクラーシャ
遅れてすまない。状況は理解した。俺の立ち位置は破壊者だ。
なるほど、三つの力を一つに……
だが足りんな。俺の破壊力に立ち向かうにはそんなものでは足りん。
まず俺の力は通常の破壊者の二倍……
そこに遅れてきた三章分のエネルギーに比例して高まる戦闘力。
これで終わりではないぞ。
そこにOX-MENのメンバー数で十五倍。
つまり計算上、俺は無限のパワーを持つということだ。
無敵気分などで止められはせん。
どれだけのパワーであろうと当たらなければどうということもない。
地形を破壊するというのならば空間くらいは破壊してみせろ。
飛べ!オックスマンホール!
唸れ、漆黒剣エタルゾ!
破壊の風を纏い、オブリビオンを破壊する!
●鉄の勇者は荒野に抱かれて静かに眠る
「Shit! 何だって言うのよ、この妙に暑苦しいデカブツは……!」
その巨躯を巻き込み燃え盛っていた巨大な火柱を引き千切って再動を始めたキングドヤガオー。周囲を出鱈目に薙ぎ払うレーザー光とキャノン砲の嵐のような猛攻の中を掻い潜るようにして、レイチェル・ルクスリア(畜生なガンスリンガー・f26493)はひたすら走っていた。巨大な自律兵器の討伐と聞き、既に開拓されたルートを大急ぎで踏破し、援軍に駆けつけた彼女を待ち構えていたのは、小型の移動要塞とも呼べるほどの重火力の塊による圧倒的暴力だった。手にしたアサルトライフル一挺を頼りに、その巨大兵器へと立ち向かうのは少々心許ないが、延々と逃げ回っていても何れ疲労し息が切れ動けなくなった所をレーザー光に焼かれる運命が待つばかり。
「……上等ッ! いいわよ、私が相手をしてやろうじゃないの?」
不敵な笑みを浮かべながら、覚悟を決めるレイチェル。足を止めて振り返り様にライフルを腰溜めに構えて鋼の魔神に相対せんとしたその時。
「――――……遅れてすまない。状況は理解した」
「What!?」
厳かに響く男の声と共に、漆黒の影がレイチェルのすぐ脇を駆け抜けていった。一拍遅れて赤く輝く眼光の刻んだ一筋の光条を残し、黒い影の繰り出す漆黒の剣の横一閃に走る一撃がキングドヤガオーの隼の口からまろび出ている人面を容赦なく打ち据える。響く轟音、傾ぐ巨体。機体各部より火花を散らしながら、鋼の巨人が一歩退く。
『ぐぬうッ…… 何奴か!?』
「俺の立ち位置は破壊者だ」
漆黒の鎧に身を包んだオックスマン・ポジクラーシャ(遅れてきた破壊者・f12872)の続けざまに繰り出す流れるような剣撃が、最早ほぼ全損状態の装甲を執拗に叩き、無残に拉げさせては崩落させていくが、彼方此方の内部機械も痛々しく露出するキングドヤガオーの巨躯は、それでも力強く聳えて立ち塞がる。強固に結びつく家族の絆AIによる意地と根性、そしてフレームの剛性が、甚大なダメージを受けたボディを今も支え続けているのだ。
「なるほど、三つの力を一つに……だが足りんな。
俺の破壊力に立ち向かうにはそんなものでは足りん」
『戯言を抜かしおるッ!! 』
「……戯言かどうかは俺が決める事だ」
オックスマンの表情を覆い隠す鉄仮面のその奥で、不吉に燃えるその赤い眼光が一層にその輝きを強めた。
「……ッ…。ここまでか……」
激闘の果てにタイムリミットを迎え、蒸気王は大地に跪くような格好で機能を停止していた。リミッターを解除する前から、機体に受けていたダメージは甚大だった。
非常灯の明かりが灯るコクピット内、眼前のパネル上に表示される機体のコンディションは全てが危険域を示す赤に染め抜かれている。よく此処まで戦い抜いたものだ。だが、後は頼れる味方が何とかしてくれる筈――
「いや、そうじゃないでしょう」
体重を預けていたシートから傾ぐ身体を引き起こして紅葉が呻く。
「それで終わる訳には行かないわよね、私も……」
既に満身創痍の上に、オーバーヒートを迎えた鋼の巨人。
虎の子のリミッター解放を使ってそれでも尚。
「……そしてあんたも」
譲れないものがある。相手が奇跡を起こしたならば、此方だって起こしてみせよう。AI仕掛けの機械に出来た事が、血と魂の通う人間に出来ぬ訳がない。
「私の蒸気王(あんた)が負けるのは我慢ならないのよ……ッ!!」
血の滲むように絞り出したその声と共に握りしめる紅葉の拳の甲に浮かび上がるハイペリアの紋章。その輝きは明滅を繰り返して次第にその輝きを激しい程に迸らせる。コクピット内の薄闇を吹き飛ばすほどに燃え上がる目映いその輝きを宿した拳で、コンソールを叩く。低い唸りと共に、内燃機関に再び火が入るのを全身で感じながら、紅葉は笑う。
「……いい子ね。もうちょっとだけ付き合いなさい、蒸気王」
主人のその声に応えるかのように、巨人の複眼が燃え上がるように輝きを灯し、地響きと共にゆっくりと立ち上がる巨人。その背からは白い熱い蒸気の噴煙をまるでこれが反撃の狼煙なのだとでも言わんばかりに勢い良く噴き上げた。
「いいか、まず俺の力は通常の破壊者の二倍……」
「……そもそも通常の破壊者って何なのさ?」
キングドヤガオーの大振りのテレフォンパンチを上体を反らして紙一重にやり過ごしつつ、オックスマンが宣う。それをカバーするように前に出るレイチェルがアサルトライフルの連射を見舞い、キングドヤガオーの剥離した装甲の隙間から内部に突き刺さっては、彼方此方で小爆発を引き起こす。けれども、そのフレーム剛性により強引に支えた巨体の勢いをソグにはまだ少し物足りぬ。舌打ちと共に新たなマガジンをライフルに叩き込むレイチェルの様子を知ってか知らずか、マイペースにオックスマンが続ける。
「そこに遅れてきた三章分のエネルギーに比例して高まる戦闘力。
これで終わりではないぞ。そこにOX-MENのメンバー数で十五倍」
つい最近またひとり増えたね、十六倍。
「そうだった、十六倍だ。つまり計算上、俺は無限のパワーを持つということだ。
最早これはヤツの無敵気分などでは到底止められはせん」
「どういう計算なんだか気になるけど……!
そろそろ弾がやべーのよこっちは。ファッキン!」
遣り取りの合間も、油断なく撃ち込まれる牽制の射撃。効き目はあるが、決定打にはまだ至らない。ならば虎の子を使うか? それもまだ早い。慌てずギリギリまで温存せねば――
『ええい、ふざけた連中だ……! 纏めて薙ぎ払ってくれるッ!!』
「ガッデム! 一緒くたにされた!」
苛立ち紛れに振るわれる可変翼から伸びた破壊の光刃が唸りを上げ、大気を、大地を切り刻みながら両者目掛けて襲い掛かる。それをバックステップでやり過ごすレイチェルの視界に映るのは、斬撃を掻い潜るようにして自ら前へと踏み込むオックスマンの背中だ。
「どれだけのパワーであろうと当たらなければどうということもない。
地形を破壊するというのならば空間くらいは破壊してみせろ。
飛べ、オックスマンホール!! 唸れ、漆黒剣エタルゾ!」
その叫びに応えるが如く、何処からともなく飛来する何処にでもごくごくありふれたマンホールの蓋が唸りを上げてキングドヤガオーの鳩尾へと減り込み突き刺さり、弾丸の如く加速し前へと踏み込み敵目掛けて真っ直ぐに翔ぶオックスマン。その大きく振り被られた漆黒の剣へと収束する黒く禍々しい破壊の瘴気。剣どころか、その身そのものをも取り巻くように発生した黒く猛る破壊の風を唸らせて、破壊者オックスマンがキングドヤガオーへと突貫する。
「オブリビオンを、お前を破壊するッ!!」
『何の、小癪なァ!!』
全てを無残に破壊する漆黒剣エタルゾが、羽ばたこうとするキングドヤガオーの片翼を袈裟懸けに叩き切る。羽根を散らすかの如く飛び散る破片が舞う中、オックスマンを捉えようとするその腕を――
「やらせないっての!」
射抜くは、レイチェルの放つアサルトライフル。虎の子で用意していたワンマガジン分の対物用フルメタル・ジャケット弾が此処が出番だとばかりに騒々しく銃口より轟き吼え猛る。光学スコープのレティクルが捉え結んだ視線のその先、巨体を持て余すデカブツ目掛けて容赦なく引き金を絞る。
「合体したとは言え、所詮は機械でしょ?
接合部や関節部ならコイツで簡単に撃ち抜けるッ!!」
『クソッ……! この人間風情が……! 我らを追い詰めたつもりかァ!!』
狙い通りにFMJの連弾は、肘や膝などの可動域を容赦なく貫き、フレームに支えられたキングドヤガオーの巨体を揺さぶり崩す。獅子の口から迫り出すドヤキャノンを徹甲弾が撃ち抜き生まれた爆炎の勢いに一層傾ぐ巨体を、漆黒の風に包まれたオックスマンホールが更に激しく打ち据えていく。
「Fire! Fire! Fire!!」
『ぐぅぅ……! いかん、このままではッ』
引き絞る指先にありったけの殺意を込めて叫ぶレイチェルの放つ弾丸と、圧倒的なポジションクラッシャーぶりを見せつけるオックスマンの猛攻は確実にキングドヤガオーを追い詰めていく。そして―――もうひとりの鋼の巨人が咆哮を上げた。
「……一発よ」
既に陽は落ちている。月明かりを背に、空を翔ぶ巨体。白煙と共に大きく振り上げた拳は、これより振り下ろされる鉄槌に他ならない。超重力による力場を纏い、強引に姿勢制御された機体を虚空へと飛ばした紅葉の目指すその先に、目標キングドヤガオー。ミシミシと悲鳴を上げる肉体の事をこの一瞬だけは忘れよう。不可視の力場を蹴りつけ、蒸気王の巨体が弾丸と化す。地上目掛けて降り落ちながら、大きく引き絞られた拳が
「打ち砕きなさい、蒸気王ッ
!!!!!!」
主の命を果たすべく、目標目掛けて叩き付けられッ――
『ごあぁあああああああッ
!!!!』
叩き付けた大地すら真二つに叩き割る衝撃の余波、降下の衝撃によるクレーターに沈む蒸気王は最早一歩も動けまい。
「……破壊、するッ!!」
その身体を肩口から二つに引き裂かれたキングドヤガオーの巨体を更に肉薄するオックスマンの振り払う漆黒剣エタルゾが襲う。鋭く横薙ぎの一撃が疾走り、ドヤガオーの巨体に重なる十字の軌跡がその巨体をバターでも切り分けるかの如く容易に切り裂いていく。
「……いい加減しぶといわね。でもこれで終わり…… アディオス!!」
続けて飛来するオックスマンホールに陣取るレイチェルの構えるアサルトライフル。その銃身下部に据えられたグレネードランチャーがきゅぼ、と短い発射音と共に射出される。冷徹に狙いを研ぎ澄まされたその擲弾はキングドヤガオーの胴体に空いた風穴へと引き寄せられるかのように吸い込まれ、そして爆ぜた。
『…………ハカセ…… お役目、果たせず…… 申し訳……あり、ま……せん……』
身体の彼方此方から、火花を散らし、用をなさない屑鉄となった部品類をぼたぼたと溢しながら、キングドヤガオーが空へと伸ばすその腕が、肘より千切れ落ち、地響きを立てて大地に突き刺さる。その顔面、双眸より流れ落ちるのは廃油の涙。熱く滾った回路から、熱と活力が抜けていくのを感じながら、それでも機械の巨人は倒れなかった。ただ、崩れ落ちそうな身体を支えるようにして跪き―― それ以上は動く事も出来なかった。ぱちぱちと弾けるスパークが、漏れた燃料に引火して炎が全身を包んでいく。熱に包まれている筈なのに寒い。……その喪失感の正体を、消え入る意識の中で彼は悟った。
(――……わかったぞ。人間たちが、どうして必死に足掻くのか……)
これは、喪失感だ。大事な家族。自分の命。全てひっくるめた諸々が、失われてしまう。不可逆の取り戻せない痛みを最後に得て、彼は一切の機能を停止する。
やがて炎が消えて、焼け焦げ朽ちた巨大な合体兵器の残骸を眺めながら、誰ともなく安堵のため息を漏らす。 ここに人類は勝利した。恐るべき障害を乗り越え、開放されたこの地に眠る資源は人類復興のための礎のひとつとなる事だろう。しかし恐るべきドヤニマロイド、その全てが此処に破壊されたわけではない。だが、それでも今はこの確かな勝利の喜びを噛み締めるべきだ。邪悪なオブリビオンたちが次々と手を変え品を変え繰り出していく凶悪な災禍を打ち砕く糧とするために。彼らの戦いはまだ終わらず続いていくのだ。
獅子の腕は爪折れ、犀の脚は砕けて折れて
拉げ千切れた隼の翼はもう二度と羽撃く事もない。
崩れ落ちた鋼の勇者を奮い立たせる絆も此処に潰えた。
犀は死に 隼も死に ついでに獅子も死んだ。
雄々しき鋼の兄弟たちは、全てこの荒野で永久の眠りに就いたのだ……。
大成功
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