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発条仕掛けの忘却

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 ごうん、ごうん、と。
 低く響く音を立てながら蠢く罠。魔法学園の地下に存在する迷宮の一つ、発条と歯車で構成された我楽多は今は罠としてその真価を発揮していた。
 堆く積まれた我楽多達は、アンティークと言っても差し支えはない。
 音を奏でなくなった自鳴琴に、割れたレコード、発条でしか生きられなかった少女人形。
 どれもが誰かの思い出に触れ、そして忘れ去られた品の数々。
 我楽多達の中には絵本や恋物語などの書物も交り込む。
 堆く積まれた我楽多の向こう――くねる迷路は高い壁に阻まれている。
 じわりと滲むインクが如く、幾重にも姿を変え続ける大迷路の奥からはぺらり、と頁をめくる音。

 ――そうして、忘れ去られました。おしまい。

 少女の、楽し気な声音が響く。

 ――そうして、王子様が来たのでした。おしまい。

 低く獣の鳴き声に交じり少女のくすくすと笑う声が響く。
 頁を捲る音。それと共に抱えた書物の残量が少なくなったと山羊と少女は顔を見合わせた。
「『補充』しなくちゃ?」
 ごうん、ごうん。
 くねる迷路を進む少女に『壁』は「やあ、シャル」と優し気に声をかける。
「お元気? 壁さん」
「嗚呼、元気さ。そういえば、お客様がいらっしゃっていたよ」
「あら、丁度良かった!」
 低く蠢く音たてた歯車と発条。忘れられた思い出の中を掻い潜る様に進む学生たちの前へと姿を現して、少女は笑う。
「素敵な本を持ってないかしら?」
 とびきりの思い出の詰まった楽しい一冊。
 発条仕掛けの世界は忘れ物だらけ。
 本をくれないの? ああ、じゃあ、忘れていったのはあなたのいのちね?


 ルーチェ・パディントン(花括・f05334)は絵本や楽し気な物語が好きなのだとぎゅ、っとその手に抱き締める。
「素敵で、最後はハッピーエンドになるんですの! ルーチェもいつか、しあわせな御伽噺の主人公になってみたいですの」
 きらきらと瞳を輝かせていたルーチェがはっとした様に「迷宮に言って欲しいんですの」と告げた。
「アダルワ魔法学園の地下の迷宮のひとつなんですの。
 歯車と発条、あとは我楽多が堆く積まれていて……ダストシュートと連結されたかのような――塵芥と言ってしまうととっても寂しい場所なんですの」
 思い出の詰まったアンティークや、幼い頃に遊んだ気がする人形など。
 この迷宮では『幼い頃に見た思い出の品』が何故だかそこにある錯覚を覚えるのだという。
 それ故に、この場所を抜けるのは難しい――尤も、抜けたところで、その先にあるのは蔦絡んだ喋る壁たちの存在する迷路なのだが。
「おしゃべりな壁さんに惑わされないで迷路を抜けていってほしいですの。
 その先に、ルーチェがお願いしたい迷宮のボス――『ライブラリーマスター・シャルロット』が本を読んで待ってますの」
 普段であれば書物を読むだけなのだが、彼女の手元から書物がなくなれば迷宮を探索する学生へと被害が及ぶ。
 その前に『そうならないように』対処をお願いしたいのだとルーチェはそう言った。
「大事なものってありますの?
 ルーチェは、例えば、花飾りとか、小さな頃に読んでもらった絵本とか……」
 指折り数えるルーチェはそういうものが、この迷宮ではありますの、と告げる。
 埃被った思い出の扉。鈍い音たて開いてみれば、きっと、そこに存在するはずだ。
 物への想いを告げるもよし、只、その迷宮の我楽多を飛び越えていくだけでもいい。
 ふと、立ち止まった時に『忘れ物』はそこに存在している筈なのだから。


日下部あやめ
 日下部あやめです。
 魔法学園の地下にある迷宮でボスを撃破してください。

 1章:想い出だらけの我楽多エリアを抜けて。
  思い出の品を思い返してふと立ち止まるもあり。
  ただ、その思い出の品と別れを告げるもあり。
  歯車仕掛けで発条で動く罠を登り、迷路の入口を目指すのもアリです。
 2章:喋る壁の大迷路を抜けて。
  おしゃべりな壁の居る大迷路です。
  シンプルに錆びた壁や蔦の絡んだ迷路であり、工夫や探索が物を言います。
  時々誘惑(美味しい物やお宝)があり足止めされる可能性も――?
 3章:書物を愛するライブラリーマスターとの戦闘。
  愛らしい外見の少女と山羊のタッグ。彼女たちは本を集めに学生を襲うようです。
  だって、素敵な物語を読みたいのだもの。
  だって、だって――発条仕掛けのこの場所で思い出の詰まった本は格別なのよ。

 という構成となっております。
 どの章からの参加もお待ちしておりますのでお目に留まりましたら是非。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『ガラクタの山』

POW   :    体力まかせに突っ切る。

SPD   :    バランス感覚で乗り切る。

WIZ   :    慎重に足場を選んで渡る。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ごうん、ごうん。
 音立てたのは我楽多の山。
 思い出が積み重なった誰かの残滓。

 ごうん、ごうん。
 顔を上げればそこにあるのは『あなた』の思い出――
 さあ、どう進みましょう歯車が積み重なり、発条がきりきりと音立てるその場所を。
=========
ここは、歯車と発条、あとは我楽多が堆く積まれている一つの迷路。
ふと、顔を上げれば貴方の思い出の品が其処にはあります。
どうしてだろう、記憶にはないに。
どうしてだろう、何時か手放したのに。
様々な思いを巡らせながら貴方はその思い出の品をその目に映し込むでしょう。
見てみぬふりをしますか。手に取りますか。只、それと別れを告げますか。
どうしたって、この迷宮では立ち止まる訳にはいかないのだから。
=========
鼠ヶ山・イル
魔法学園の地下、遂に来られて嬉しいなア
やっぱ迷宮って浪漫溢れてんじゃん?

まあオレは慎重派なんでね、足元はよく確認しながら踏破目指す
歯車と発条、インテリアとしちゃ大好物なんだが
罠にされちゃあそうじっくり眺めてもらんねーな

で、センチメンタルにも人様の思い出を掘り起こしてくれるって?
いい女はたぁっくさん秘密があるからな、何が出るやら

──?嗚呼これは、そうか
(あの時読ませてもらった、いくつもある『本』のうちの一つだ)
(粗末な大学ノートに書き殴られたあの子の本、最初の物語)
(ああそうそう、このコーヒーの染みもそのまんま)
(そうそう、最初の書き出しはなんだっけ──)

はは。中身真っ白じゃん
やれやれ、先行くか



「魔法学園の地下、遂に来られて嬉しいなア。やっぱ迷宮って浪漫溢れてんじゃん?」
 きょろりと周囲を見回して、鼠ヶ山・イル(アヴァリティアの淵・f00273)は温度の感じられない瞳を僅かに細める。三つ編み揺らして歩み出すイルは絡繰りの如く螺子巻く人形や歯車と発条を見遣りうん、と瞬く。
「インテリアとしては好きなんだが罠にされちゃあそうじっくり眺めてもらんねーな」
 脳裏に過ったのは自身の営むシェアハウス。インテリアに活かせるならと小さく笑ったイルが見下ろしたのは大学ノートだ。
「センチメンタルにも人様の思い出を掘り起こしてくれるって?
 はは、いい女はたぁっくさん秘密があるからな、何が出るやら」
 見下ろせば、そのノートは余りにも普通で。粗末な大学ノートに書き殴られたのは確かにあの子の物語。
(ああそうそう、このコーヒーの染みもそのまんま)
 ぺらり、と。捲る。指先はどこかセンチメンタルにも震えていて。
(そうそう、最初の書き出しはなんだっけ──)
 懐かしいと腰を据えて読み出そうとしたノートの頁。
 頁を捲り、イルは小さく笑った。
「ははっなんだ――」
 其処に並ぶ文字はない。規則正しい罫線たちが並んでいる、ただ、それだけだ。
「中身真っ白じゃん……やれやれ、先行くか」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナズヴィ・ピャー
ふむ、我楽多エリアですか
当機にも懐かしいと思える何かがあるのでしょうか?

●崩れそうな所・罠を避けてひょいひょい進む
フック付きロープを使って上り下り
崩れてきそうな大物や罠を縛って固定も出来る万能感
…やはり単純なものは応用できれば強いですね

●入り口はどこ
普通に突き当たりが通路になっているか、我楽多の山に埋もれているか…
手がかりもありませんので、手当たり次第探しましょう(我楽多の隙間に潜る

迷わないように進んだ方向などを目印として床などにカキカキ

●なつかしいもの
ふむ、これは…
△□社の廃番になった◎/↑仕様の何ぞやではありませんか…
確かにこれは懐かしいですね
…分解して使えそうなパーツをお土産にしましょう



 ニョホホランドからやってきた。ナズヴィ・ピャー(不忠犬ナズ公・f03881)は生気のない瞳をきょろりと動かした。
「ふむ、我楽多エリアですか。当機にも懐かしいと思える何かがあるのでしょうか?」
 崩れそうなところをぴょこんぴょこんと跳ねあがりながら進むナズヴィはフック付きロープで我楽多を縛り付け、うんうんと頷く。
「……やはり単純なものは応用できれば強いですね」
 床に目印を置いて進む。ナズヴィは『私立探偵ダニー”ザ・バリトン”』を思わせる口調で呟きながらふと、足を止めた。
 マギ&スチームテック社より支給された衣服に包まれた褐色の肌が僅かに色付く。
「ふむ、これは……
『△□社』の廃番になった『◎/↑』仕様の何ぞやではありませんか……。
 確かにこれは懐かしいですね……分解して使えそうなパーツをお土産にしましょう」
 それを郷愁と呼ぶのかは定かではない――しかし、いつぞや見かけた△□社の製品は確かに彼女を思いである『ひと』足らしめたのであろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

エスチーカ・アムグラド
このお山、チーカには頂上も見えないかもしれません……!
でもでも!千里の道もと言いますし!
崩れないか気を付けて、時には休んで慎重に飛んで進みます!

あやっ……
これ、家に居た時に遊んでた剣……?
握った感触も、風を切る音も、そのままみたい
でも、えへへ、今のチーカにはちょっとだけ小さいや
……背だけじゃなくて、剣士としても成長できてるかな
……また遊びたいけど、もうそれだけじゃダメだから
今は……ごめんね
また、いつかね

小さな剣士がもっと小さかった頃
日が暮れるまで遊んだ、時には稽古の真似事もした木の剣
共にした時間の分だけ擦れて、欠けて、色褪せて
それでも子供ながらに手入れをした、使い込まれた剣

【アドリブ連携歓迎】


マハティ・キースリング
ドローンと機械の目で情報収集に共有
バネで跳ねて移動出来れば楽だが難しそうだな

扉を前に一歩踏みあぐねていた
足が拒絶している
一体何を脅えると言うのだ?
私は幾多の死地を駆け抜けた帝国軍人、マハティ・キースリング

物心付いたシーンは初めから戦場だった
遺児として、生死を別つ戦いは其の侭生きる事と同義だった
その私にどんな想い出があると言うのだろう

…そうきたか
思い出の品は
血塗れた1小隊分の銃器と一本の釘撃ち機

感傷は既に捨てた
戦友も、義理父殿も、私が撃った
この身に人機を宿した瞬間から

全ての異物を砲撃で粉砕し、道を抉じ開け
軍帽を目深に被る
……二度と立ち止まる事は無いだろう
だがもう一度噛み締めておく、あの日の弱さを



「このお山、チーカには頂上も見えないかもしれません……!
 でもでも! 千里の道もと言いますし!
 崩れないか気を付けて、時には休んで慎重に飛んで進みます!」
 鮮やかに色付く新緑色の翅をぱたりと揺らしてエスチーカ・アムグラド(Espada lilia・f00890)は進む。
 その背を見遣りながら『歩む事を拒絶する両足』を見下ろしたマハティ・キースリング(はぐれ砲兵・f00682)は緑の瞳で自身の脚をじつと見つめた。
(一体何を脅えると言うのだ?
 私は幾多の死地を駆け抜けた帝国軍人、マハティ・キースリング)
 己に言い聞かせるように。気丈であれと願った自身の在り方を確かめるように『私』を確かめる。
 擦り切れた精神はエスチーカのように軽やかには飛べないだろうか。
 天真爛漫な妖精の背を見遣りながら、物心ついた頃から血濡れに立っていたマハティは遺児として、生死を別つ戦いは其の侭生きる事と同義だったのだと感傷に浸ることはないと一歩進み「そう来たか」と毒吐いた。
 血濡れた1小隊分の銃器と一本の釘撃ち機。柔らかに笑い空を舞うエスチーカとは対照的なあかいいろ。
 マハティはゆっくりと釘撃ち機を手に取った。

 ――感傷は既に捨てた。戦友も、義理父殿も、私が撃った。
 この身に人機を宿した瞬間から。

 道を抉じ開けるように砲撃を打つ。軍帽を目深に被ったマハティは奥歯をぎりと噛み締めた。
 あの日の弱さを、喉元を過ぎる事なき熱を飲み干す様に苦い顔をして。
 マハティが抉じ開けた道を進み、ふと見下ろしたエスチーカがぱちり、と瞬く。
「あやっ……これ、家に居た時に遊んでた剣……?」
 エスチーカが手にしたのは幼い頃に手にした覚えのある木の剣。
「握った感触も、風を切る音も、そのままみたい。
 でも、えへへ、今のチーカにはちょっとだけ小さいや」
 日が暮れるまでそれであそんだ。時には稽古の真似事もした使い込まれた手入れした小さな剣。エスチーカを『剣士』たらしめた確かな証左。
「……背だけじゃなくて、剣士としても成長できてるかな。
 ……また遊びたいけど、もうそれだけじゃダメだから――今は……ごめんね」
 ふっくりと、剣を置いた。
「また、いつかね」
 子供の頃の思い出をは褪せぬままに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セロ・アルコイリス
あー、なんだろうなァ
なぁんか懐かしいですねぇ、この空気
〝捨てられた方〟のおれに、なにが視えるか楽しみではありますが

『野生の勘』であっちこっちにふらふら
発条無くした女の子見つけりゃおやすみと労って、
鳴らない自鳴琴見つけりゃそれでも螺子を巻いてみて、
あー
おれもいつか此処に来んのかなぁ

視えるとするなら一緒に捨てられた〝出来損ない〟達でしょうか
……お互いヒトにゃ成り切れなかったですが、おれはまあまだ動いてますよ
楽しいモンです、結構なんでも
だからま、いつか止まったときにゃまた仲間に入れてくださいよ

……あー
なんでしょうねぇ、このココロ
やっぱりおれにゃまだ判んねーですねぇ

※アドリブ歓迎



 東雲の色をした瞳をぱちり、と瞬かせてセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は左頬に描いたココロを指先でなぞる。
「あー、なんだろうなァ。なぁんか懐かしいですねぇ、この空気。
 ……〝捨てられた方〟のおれに、なにが視えるか楽しみではありますが」
 喜怒哀楽の『楽』しか持たぬ識りたがり。あちらこちらとふらふらと歩き回るセロは発条無くして動きを留めたレディの頬の汚れを拭いおやすみと声かける。
 鳴らない自鳴琴はキリキリと音立て螺子の動きを懸命に動かした。
「あー……おれもいつか此処に来んのかなぁ」
 一緒に捨てられた出来損ない。感情(こころ)を得るにはどうすべきだったのか。
 ヒトに為り切ることも出来ずに動き続ける人形として。
「楽しいモンです、結構なんでも。
 ……だからま、いつか止まったときにゃまた仲間に入れてくださいよ」
 肩竦め『同僚(おなじもの)』にそう告げたセロはざわめく胸に――頬に――手を当てた。
「……あー。なんでしょうねぇ、このココロ……。
 やっぱりおれにゃまだ判んねーですねぇ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャハル・アルムリフ
珍しいものが見つかるのではと思ったが
成る程、我楽多だらけだな

山歩きと思えば慣れたもの
大きな塊は足場に
越えるのが難しければ退かし進む

誰の、何であったのだろうな
錆びかけた発条を拾い上げ
我楽多の壁に手をつけば見覚えのある色
両掌に乗る大きさの、柔らかな羊の人形
青い石の瞳がふたつ鮮やかに

……面妖な話だ

幼い日に失くし忘れ、経た年月すら解らぬはずが
与える白い手
引き千切れる糸の感触までもが思い出され

あの日探せど探せど見つからなかった此れは
其処を新しい住処としたのやも知れず
ひと撫でしたら置いてゆく

追う星は疾うに定めた
――…止まれば追いつけぬ故、達者でな



 星屑の空を宿したその瞳が周囲を見回した。ジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)は足を止め、ゆっくりと発条を拾い上げる。
「珍しいものが見つかるのではと思ったが……成る程、我楽多だらけだな」
 ほう、と小さく息を付く。掌に収まった発条は錆び付いていて我楽多と呼ぶに相応しいのだろうが確かに誰かのいのちの片だったのだろう。
「……誰の、何であったのだろうな」
 我楽多積まれた壁に触れてジャハルはぱちりと瞬いた。両掌に乗る大きさの柔らかな羊の人形。青い石の瞳がふたつ鮮やかに光を放つ。
「……面妖な話だ」
 幼き日に失くし忘れ、経た年月すらうつろに輪郭をぼやかせていると云うのに。
 くさびの如くこうして記憶にある与える白い手。千切れる糸の感触までもが思い出される。
 あの日、探せど探せど見つからなかった其れは新しい棲家として此処を選んだのかもしれないとジャハルは目を伏せる。
 ひと撫でし、その指先から離れたそれは只、彼を見上げるだけ。
「追う星は疾うに定めた。
 ――…止まれば追いつけぬ故、達者でな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーゴ・アッシュフィールド
■リリヤ(f10892)と一緒に

何が出てくるかと思ったら……木剣か。
懐かしいな、小さい頃によく振り回していたよ。
「ボクはこの国を守る騎士になるんだ!」言いながらな。

木剣なぞ無視して先に進むぞ。
そんなモンあるはずが無いんだよ。
人も国も全部、灰に還ったんだから。

もう俺の心の中で決着がついてるんだ。
今更、こんな我楽多に惑わされるか。

これはそうだな、今とおりすぎるんじゃない。
もうとっくの昔に通り過ぎたんだ。
だから袖を引っ張るな。
前に、進めなくなるだろう。

ほら、いくぞリリヤ。
呆けてると……まだおねしょしてる事、みんなに言いふらすぞ。

足元、気を付けろよ。

※改変・アドリブご自由に、だ


リリヤ・ベル
■ユーゴさま(f10891)と一緒に

ユーゴさまの見ているものがみたくて、隣でぴょこぴょこ。
このおおきなひとに、ちいさなときがあったというのは、中々想像するのがむずかしい。
昔を知っているわけではありません、けれど。

でも、こころにあるから、見つかったのではないのですか。
……とおりすぎて、だいじょうぶですか?
躊躇いがちに袖を引いて、そうっとおうかがい。

おねしょなんてしていません。していませんもの。レディに何をおっしゃるのです。
ユーゴさまのばか。ばかばかばかばかばか。しりません!

お望みなら、さっさと先に行ってしまいましょう。
呼ばれたって振り返りませんもの。
躓いた足元で鐘が鳴ったのだって、きのせいです。



 ふんわりとミルクティ色の髪を揺らしてリリヤ・ベル(祝福の鐘・f10892)はユーゴ・アッシュフィールド(灰の腕・f10891)を追い掛ける。
「ユーゴさま?」
 ひょこり、と跳ねる。ユーゴさま、と繰り返して何を見て居らっしゃるのとその手元を覗き込む。
「剣?」
 きょとりとしたリリヤ。碧と翠が克ち合えばユーゴは「木剣だよ」と柔らかに返した。
「懐かしいな、小さい頃によく振り回していたよ。
『ボクはこの国を守る騎士になるんだ!』言いながらな」
「ちいさなころ――?」
 草臥れたアッシュブロンド。穏やかな『おおきな彼』の小さな姿は『ちいさなレディ』には想像がつかないもので。
「木剣なぞ無視して先に進むぞ。そんなモンあるはずが無いんだよ。
 ――人も国も全部、灰に還ったんだから」
「ユーゴさま」
「行くぞ」
「ユーゴさま、でも、でも」
 遠慮がちに、花瞼を震わせたリリヤがユーゴを見上げる。言葉は、たどたどしく、まだ幼いレディは『気遣うよう』に言った。
「でも、こころにあるから、見つかったのではないのですか。
 ……とおりすぎて、だいじょうぶですか?」
「もう俺の心の中で決着がついてるんだ。今更、こんな我楽多に惑わされるか。
 いや……これはそうだな、今とおりすぎるんじゃない。もうとっくの昔に通り過ぎたんだ」
 だから、袖を引くなとリリヤにユーゴは告げる。
 前に進めなくなるだろうと告げたユーゴの袖をぎゅ、と握った儘不安げなリリヤは
彼の名を、小さく呼んだ。
「……ほら、いくぞリリヤ。
 呆けてると……まだおねしょしてる事、みんなに言いふらすぞ」
「ッ、おねしょなんてしていません。していませんもの。
 レディに何をおっしゃるのです。
 ユーゴさまのばか。ばかばかばかばかばか。しりません!」
 ぷんすこと頬を膨らませて拗ねたリリヤがぐんぐんと進んでいく。
 リリヤ、なんてその声で呼んだって振り向いてあげない。
 足元に気を付けろ、なんてレディは云われなくとも――ゴォンと音鳴らしたのは気のせい、気のせい。
 躓くなんてレディはしないのです。ユーゴさまのばかばか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オルト・クロフォード
【wiz】

【思い出の品:様々な種類の図鑑】

思い出……カ。
私には「あの部屋」以前の記憶は無いかラ、もしここに有るとするならバ……やはりあったナ。

図鑑以外にも「あの部屋」には色々な本があったガ……堅苦しいものばかりで面白いものでは無かったナ。だから数少ない図鑑に夢中になったものダ……外への憧れが募ったのもそれがきっかけだったナ。

……結局未だに何故外に出れたのかは思い出せないガ……想像していた以上だったなァ。外ハ。世界まで超えることになるとハ。

……だから、ここで立ち止まって読み耽る訳にはいかんナ。
この先にあるものも、ここではない場所も気になるものばかりなのだかラ。また籠ることになるのはごめんダ。



 出口のない書庫。知らぬ世界に、知らぬ場所。
 オルト・クロフォード(クロックワーク・オートマトン・f01477)にとって『迷宮』もその例には漏れなかった。
 もし、彼に想い出として現れるものがあったならば『あの部屋』――出口のない場所――の事だろうか。あの部屋以前の記憶はオルトには存在していなかった。
「やはりナ……」
 ぱちり、と瞬く。
 図鑑以外にもあの部屋には様々な本があった。堅苦しい物ばかり、面白いとは決して言えなかった本の数々。だから数少ない『図鑑』に彼は興味を持った。
 まるで牢獄のように出ることのできない書庫の中、外の世界を識る事が出来た唯一が面妖なる世界を描いた図鑑であったから。
「……結局未だに何故外に出れたのかは思い出せないガ……。
 想像していた以上だったなァ。外ハ。世界まで超えることになるとハ」
 くすくすと笑みが毀れた。戸惑いにも似たそれは、後ろ髪を引くようで。
 本をゆっくりと我楽多の中に投げ捨てる。きっと、ここから面白いことが溢れているのだ――図鑑なんかじゃとても描けないような。
「……だから、ここで立ち止まって読み耽る訳にはいかんナ。
 この先にあるものも、ここではない場所も気になるものばかりなのだかラ。
 また籠ることになるのはごめんダ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鎹・たから
SPD

灰雪で瓦礫を飛び跳ねながら山を突破します
【空中戦、ダッシュ】活用
バランス感覚を大事にしっかりと足場を確認

たからの思い出にそんな品はありません
だって、たからの生まれた場所は
こどもが愛されて育つ場所ではありませんでした

ガラクタの海の隅に
猫のぬいぐるみがあります

破けて
ボタンが取れて
綿がはみ出て
くたりとした、あなた

雪降る夜に見かけたような
ずっとそばに居たような
いいえ、そんなことは

あなたは、だれですか
あなたは、たからなのですか

少しだけぬいぐるみを見つめてから
たからはまた瓦礫の山を飛び跳ねます

迷宮の入口を探しましょう
たからには【勇気】があります
【覚悟】があります



 くすんだ色の髪を揺らし、鎹・たから(雪氣硝・f01148)は雪の如く舞い跳ねる。
 たからにとってこの場所には『気を引くもの』が存在していなかった。雪の日と色硝子の瞳がきょろりと周囲を見回した。
「たからの思い出にそんな品はありません。
 ……だって、たからの生まれた場所はこどもが愛されて育つ場所ではありませんでした」
 弱きを救い、隣人を愛するのがヒーローのつとめとたからは知っている。
 だから立ち止まれないと進むたからの前に我楽多の海に沈んだ猫のぬいぐるみが寂し気に彼女を見詰めていた。
 我楽多の海に居るに似合いの姿。破けてボタンが取れて、綿がはみ出て、くたりとしている。
 けれど――雪降る夜に見かけたような。
 いいえ――ずっとそばに居たような。
 そんな――そんなことは。
 たからの唇が僅かに震える。
「あなたは、だれですか。あなたは、たからなのですか」
 きっと応えることのない、発条で動く訳もないねこのぬいぐるみがくたりとたからを見上げている。
 虚ろに、少し糸のはみ出した瞳と見つめ合えど答えは出ず。
 ゆっくりと海に戻してたからは跳ね上がる。誰なのだろう、その答えは出ないままで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ
思い出の品:湯飲み

どうしてここにこんなものが…
まだ自分が人形だった頃、主は屋敷の縁側に座りそばに自分はそのそばに居ました
主の妻がお茶を持ってくる時は、いつも微笑みながら自分の分も用意してくれましたね
一人では動けない人形なのに、家族の一人と受け入れてくれている証のようなものでした

すみません…あんなに優しくしてくれたのに、あなたを…あなた達を守れなくて。

あなたも主を心配してますよね
あの屋敷に必ず主を連れて帰ります。
それが私にできるせめてもの恩返しです
思い出の品に誓います



 どうして、と小さく声が漏れた。
 人形じみた桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)の表情に浮かび上がったのは困惑。
 自身が人形であった頃、主が屋敷の縁側に据わっているのを傍らで見詰めていた。
 カイにとってその平穏はかけがえもなく。縁側にまるで人の子の様に座り主が「茶でも飲もうか」と笑いかけてくれるのだ。
 おおい、と呼べば主の妻は湯呑を二つ。一つは主の、もう一つはカイの為に。
 動けない人形なのに、家族の一人のように当たり前に用意されていた湯呑。
 我楽多の中でもその存在感は際立って見える。カイはゆっくりと湯呑を手に取り、撫でた。
「すみません……あんなに優しくしてくれたのに。
 ――あなたを……あなた達を守れなくて」
 声を震わせ、目を伏せる。
 こんな場所に『彼』――彼女であるかもしれない――を置いておくなど出来るものか。
 家族として自身をそうであると認めてくれたかのような証左。
 湯呑を抱えカイは柔らかに笑う。
「あなたも主を心配してますよね。
 あの屋敷に必ず主を連れて帰ります。それが私にできるせめてもの恩返しです」

成功 🔵​🔵​🔴​

フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓櫻宵(f02768)と一緒
アドリブ等歓迎

おもちゃが沢山だよ櫻宵!
ボクの昔の思い出もあるのかな
きらきら瞳を輝かせ
櫻宵の喚んだミコトに乗り迷宮を行く
野生の勘を働かせて探すよ

櫻宵の様子が変で心配
何に怯えてるの?

ボクが見つけたのは
パパが作った兎のぬいぐるみに
ママの作ったなんか丸いヤツ
それと歌姫だったママのCD
朧気な過去だけど
嬉しくて懐かしくて恋しくて兎を抱きしめて

櫻宵に撫でてもらい
ボクは今を思い出す
見れば櫻宵が泣いて何かに謝っていて
こんな彼は初めてで

櫻宵を苦しめる人形に腹がたち卵男で押し潰す

大丈夫だよ櫻宵
撫でて抱きしめて頬擦り

キミにはボクがいる
キミを傷つけるものはボクが壊してあげる

一緒に進も?今を


誘名・櫻宵
🌸フレズローゼ(f01174)と
アドリブ等歓迎

足場が悪いわ
フレズが転んだら大変
「妖猫招来」でミコトに乗っていくわ
よく掴まってるのよ

過去の残骸
フレズの過去も見つかるかしら

(お願いだから
あたしの前には現れないで)

あら
うさぎさんに餅?のぬいぐるみにCD?
パパとママの思い出なのね
嬉しげなフレズを微笑ましく見つめ
よかったわねと撫でる

(見たくない
あたしの過去なんて)

崩れる前に進みまーー

目前に飛び込んできた
血濡れの人形
赤いアネモネに添えた白いゼラニウム

心が震え涙が零れる

違う
違うのよ
サクヤ
あたしは、

気がつけばフレズがあたしを撫でて抱きしめてくれて
小さな温もりを抱き締め
先へ

ごめんなさい
あたしは独りはもう嫌なの



 柔らかな髪をゆらしてフレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)は呼び慣れた誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)の名を呼んだ。
「おもちゃが沢山だよ櫻宵! ボクの昔の思い出もあるのかな」
 有翼の虎猫のミコトをまるで『バス』のようにしてフレズローゼはぐんぐんと進む。
「過去の残骸……フレズの過去も見つかるかしら?」
 柔らかに――何時もの櫻宵とは何ら変わりないように――そう言った。フレズローゼの目にはそれは『普段の櫻宵』ではなく『怯えた櫻宵』のように見えて。
「櫻宵?」
 確かめるように、彼の名を呼んだ。
「ううん、フレズは何か見つけた?」
「ボクが見つけたのはパパが作った兎のぬいぐるみにママの作ったなんか丸いヤツ……それと歌姫だったママのCD!」
 朧気な輪郭の記憶。嬉しくて懐かしくて恋しくて兎をぎゅうと抱き締めて。
 フレズローゼの幸福そうな笑みに「あら、うさぎさんに餅? のぬいぐるみにCD?
 パパとママの思い出なのね」と櫻宵は微笑みかけた。
 さあ、もうこの場所を抜けましょうねとフレズローゼを連れて我楽多を越えようとしたその両眼に過去(おもいで)が圧し掛かる様に映り込む。
「櫻宵……?」
 よかったわね、と撫でる指先が震えている。
 見上げた瞳が涙に濡れている。知らない顔の、おとながいる。
「……どうしたの?」
 血濡れの人形と紅いアネモネに添えられた白いゼラニウム。
「違う、違うのよ、サクヤ、あたしは、」
 繰り返されるその言葉。フレズローゼは己が櫻宵の『意識』の外にある事を幼いながらも悟る。
 手を伸ばす。櫻宵、と名を呼びながら、ゆっくりと。
「大丈夫だよ櫻宵。
 キミにはボクがいる。キミを傷つけるものはボクが壊してあげる」
 傷つけるなら、と卵男が人形を潰していく。
 小さな少女に抱き締められていることに気付き「ひとりは、いやね」と櫻宵はその温もりに寄り添うように目を閉じた。
 うん、と大人びた顔をして。フレズローゼが櫻宵の頬を撫でる。
「――一緒に進も? 今を」
 だから、泣かないで。きっと櫻宵ならこういう時『こう云う』のだ。
 ――涙は似合わない、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
【ローちゃん(f06133)と】

【WIZ】おやまあナンとも興味深い迷宮だコト
一応怪我のないよう、慎重に進むわね

我楽多と言っても色々、思い出も色々、かぁ
興味は惹かれど琴線に触れるモノは無く
……あら、オレだって美味いモノ食えりゃ満足な口よ
こう見えて脳筋の自覚もあるしネ?

大皿が思い出?ローちゃんてば大家族ねぇ!
ふふ、奪い合ってでも賑やかな食事って素敵じゃナイ
(ふと浮かぶ、ひもじさに命を奪い合う世界は心内に押し込め)
そんな風に囲む料理、きっと最高よね
それに、今日もローちゃんの優しいトコ知れて得した気分♪

オレはねぇ、思い出は全部失くしちゃったの
ふふ、アリガト
今回の冒険も良い思い出になるヨ、きっと


ロード・ブラッドリー
コノハさん(f03130)と
【WIZ】

物語を好むなんて、ココのボスは知的なんだなー
オレなんて腹が膨れて強いヤツと戦えたら満足なのにさ
コノハさんも知性派な感じだけど謎めいてるよなあ
(なんか顔めちゃめちゃ綺麗だし…と見つめ)

コノハさんに合わせて進むな

オレの思い出の品はデッカイ皿
ウチって兄弟多くて
オレは13人中7番目なんスよ
だから毎日食いモンの奪い合いで
兄ちゃんも姉ちゃんもホント容赦なかったよなー
下の兄弟には分けてやりてえし
毎回めちゃめちゃバトルだったぜ

だから、さ!
今コノハさんに美味いモンいっぱい作ってもらえて
すげー嬉しい!尊敬してるっ!
これから作ろうぜ、色んな思い出
いつもありがとな、店長!(ニッ)



「おや、なンとも興味深い迷宮だこと」
 紫雲の髪を揺らしコノハ・ライゼ(空々・f03130)は足元を確かめるように進む。
「我楽多と言っても色々、思い出も色々、かぁ」
 興味を引かれても琴線に触れるものはないといった調子のコノハの横顔を見遣りながらロード・ブラッドリー(累々血路・f06133)は興味ないんだ、と言わんばかりに首を捻る。
「オレなんて腹が膨れて強いヤツと戦えたら満足なのにさ。
 知的なこの迷宮の主と同じく……コノハさんも知性派な感じだけど謎めいてるよなあ」
「……あら、オレだって美味いモノ食えりゃ満足な口よ。
 こう見えて脳筋の自覚もあるしネ?」
 くすくすと笑ったコノハにロードはそんなもんかなと肩を竦めた。
 そうして目の前に現れたのは大きな皿。料理がたんまりと乗りそうなそれを「これ、俺のだ」とロードが楽し気な声音で言う。
「大皿が思い出?」
「そう。ウチって兄弟多くてオレは13人中7番目なんスよ。
 だから毎日食いモンの奪い合いで兄ちゃんも姉ちゃんもホント容赦なかったよなー。
 下の兄弟には分けてやりてえし、毎回めちゃめちゃバトルだったぜ」
「ふふ、ローちゃんってば大家族ねぇ! 奪い合ってでも賑やかな食事って素敵じゃナイ」
 くすくすと笑うコノハの横顔はやはり綺麗で。脳筋タイプには思えないけどなとロードが僅かに唇を尖らせる。
 ふと、コノハの表情に浮かんだのはひもじさに命を奪い合う世界。押し込めるように笑みを貼り付けて「そんな風に囲む料理、きっと最高よね。それに、今日もローちゃんの優しいトコ知れて得した気分♪」とコノハは声を躍らせた。
「あ、だから、さ!
 今コノハさんに美味いモンいっぱい作ってもらえてすげー嬉しい! 尊敬してるっ!
 これから作ろうぜ、色んな思い出。いつもありがとな、店長!」
「ええ、オレはねぇ、思い出は全部失くしちゃったケド。
 ふふ、アリガト――今回の冒険も良い思い出になるヨ、きっと」
 楽しいことばっかりだぜ、とロードがコノハを手招いた。
 我楽多山は今にも崩れそうで。いやいや、それも楽しい冒険だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヒンメル・トレーネ
ガラクタの山……。
ポンコツたちの集まり。

一緒だ。
君たちはもう動けなくなってしまったんだね。
ネジを探しているんだ。
ポンコツヒンメルがポンコツじゃなくなるネジ。

「思い出」のネジはこの中にはあるのかな。
思い出が多すぎてこの中にはいないみたいだよ。
うん……見つけられないね。
進まなければ。また、会おう。

慎重に慎重に進んでガラクタたちにお別れ。
バイバイ。懐かしい思い出たち。
またいつか、話を聞かせて。



 どうでもいい。どうでもいい。
 繰り返した言葉にヒンメル・トレーネ(ヒューマノイド・f02260)はポンコツのお山でポンコツの言葉を飲み込んだ。
「一緒だ。君たちはもう動けなくなってしまったんだね。
 ……ネジを探しているんだ。ポンコツヒンメルがポンコツじゃなくなるネジ」
 我楽多の山を掻く様に。がらがらと崩れる其れを気にすることなくヒンメルは繰り返す。
 どうでもいい。ポンコツだから。
 どうでもいい。ポンコツだから。
 注意。注意。危険。危険。ネジガタリマセン。
 なら、そのネジはここにはないだろうか?
「『思い出』のネジはこの中にはあるのかな。
 思い出が多すぎてこの中にはいないみたいだよ。
 うん……見つけられないね。進まなければ。また、会おう」
 ポンコツが多すぎて。山を探す手を留める。
 思い出が多すぎるから、きっと螺子もどこかに消えてしまった。発条仕掛けの感情のように、前に進もうと顔を上げてヒンメルは立ち上がる。
 慎重に、慎重に、確かめるように。右足、左足、右足、一歩一歩。
「バイバイ。懐かしい思い出たち。またいつか、話を聞かせて」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『迷宮大迷路』

POW   :    力ずくで全てを踏破。進み方は好きにしろ!

SPD   :    技術を駆使して出口の場所を推測だ!

WIZ   :    魔法や知識で出口を探し出すぞ!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 がらがらと音を立てた我楽多の山を越えればぐんにゃりと曲がりくねった迷路があった。
 此処は何処だろうと問い掛けれど答えは出ない。
「答えは出ないさ」
 ――応えるのは『壁』達だ。
 迷路の壁には顔が描かれ、楽し気に話しかけてくる。
 問答しては日が暮れてしまう。高い壁は何処までもその先を見せてはくれないから。
「進めばいいさ」
 出口は?
「右さ」
 本当に?
「左だったかも」
 どっち?
「さあ、さあ、分からないさ。
 とりあえずお茶にしないか? 喉が渇いただろう」
 ――思い出山の向こう側、さあ、どちらに進もうかな。
リリヤ・ベル
■ユーゴさま(f10891)と一緒に

わたくしは怒っています。怒っているのです。
ユーゴさまが謝ってくださるまで、ゆるしませんもの。
ほっぺたをぷくぷくさせながら進みましょう。
もーっ! もーっ! そういう問題ではないのです!!

壁のおはなしは興味深い。
つい気を惹かれて、言われた方についていきそうになります。
だって迷宮なのです。
どの方向も物珍しくて、誘惑を断ち切るのはむずかしい。
お茶をいただきたいきもちを抑えて、
だれかの通った跡などを探り探り進みましょう。

ユーゴさま、迷子にならないでくださいましね。
左手をくっつけてゆけば、いつかたどりつくのです。
……どこかと言われますと。その。
だいじょうぶです。きっと。


ユーゴ・アッシュフィールド
■リリヤ(f10892)と一緒に

俺が悪かったのか?
いや、冗談だったんだが……(図星だったのか?)
その、あれだ。すまん。
……寝てる時は無意識だもんな。

壁の言う事は聞き流し、ぷりぷり怒っているリリヤの後ろを歩く。
なんだかあっちこっち彷徨ってる気がするが、大丈夫なのか?
ああそうだ、迷った時は左にいくといいらしいぞ。
それにしても、うるさい壁だな。

はいはい、ちゃんと付いて行っているぞ。
ところでリリヤ、ここどこだ?



 ぷう、と頬を膨らませ、ずんずんと進んでいくリリヤ・ベル(祝福の鐘・f10892)。
「わたくしは怒っています。怒っているのです。
 ユーゴさまが謝ってくださるまで、ゆるしませんもの」
 ミルクティ色の髪を揺らし、ぐんぐんと歩むレディの小さな背中を追い掛けてユーゴ・アッシュフィールド(灰の腕・f10891)は「リリヤ」と呼んだ。
「俺が悪かったのか? いや、冗談だったんだが……」
「冗談?」
 ぴくり、と耳を動かしてリリヤは振り仰ぐ。小さな少女の翠の瞳に乗せられるのは可愛らしい拗ねではないか。
「いや……その、あれだ。すまん。……寝てる時は無意識だもんな」
「もーっ! もーっ! そういう問題ではないのです!!」
 小さなレディの前では放浪の紳士とて型落ちだ。壁が「怒ってるのォ?」と何とも愉快そうに声をかけてくるものだから――「そう、怒ってるのです!」
 ほら、レディも立派な『お返事』を返してしまうではないか。
「リリヤ」
「壁さんがこっちって言ってます」
 ぷい、と『ユーゴ様の云う事なんて聞かないったら』という雰囲気で顔を背けたリリヤ。
「なんだかあっちこっち彷徨ってる気がするが、大丈夫なのか?
 ああそうだ、迷った時は左にいくといいらしいぞ」
「え~、ほんとぉ?」
 壁が相槌を返してくる。ユーゴは「お前に言ってない」と壁を一蹴するが、その様子にリリヤがぱちりと瞬き首を傾げる。
「左だよ」
「左ですね?」
 壁が言うのだから、ついつい、足が進んでいく。
「お茶はどう?」
「う……ううん……」
 本当はお茶にしたいけど――でも、でも。
 リリヤが見上げればユーゴが首を振っている。きっと惑わせるために話しかけてきているなんて百も承知だ。
 は、としたように顔を上げて「怒っているのでした」とリリヤは確かめるようにつぶやきぐんぐん進む。
「ユーゴ様!」
「はいはい、ちゃんと付いて行っているぞ。ところでリリヤ、ここどこだ?」
 ユーゴの問い掛けに、振り返ったリリヤは怒りではなく、何所かお茶目な顔で「迷ってなんてないです。まずは、左手を付けましょう」と可笑しそうに提案した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メリー・メメリ
壁だー!壁が喋る!!楽しい!
むつかしい事はわからない!
かべかべ、どっちの道が正解?
かべかべ、こっちは本当に正解?
うーん、わかんない!

そうた!友達に聞いてみよう!
ライオンライドで友達のライオンを召喚!
らいおんらいおん、進めー!
一回通った道には目印をつけるといいってきいたことある!
らいおんらいおん、この蔦をねガリッてやっちゃえー!

あ、お宝!おいしいものが入っているかな?
でもでも先に進まなきゃ……!
かべかべ、ここのお宝は守っててね!
後で取りにくるから絶対だよ!
進めー!
もし迷ったら近くの誰かに聞いてみる!
まよった!一緒に進もう!



「壁だー! 壁が喋る!! 楽しい! むつかしい事はわからない!」
 がうがうと、楽し気に進むメリー・メメリ(らいおん・f00061)。
 大迷宮の路は曲がりくねり、『壁』が邪魔して前を行くことも出来ない――「かべかべ、どっちの道が正解?」なんて、『お邪魔虫』の壁に問い掛ければ壁は「あっちあっち」と楽し気な声を発し続ける。
「かべかべ、こっちは本当に正解? うーん、わかんない!」
 だって、壁は嘘吐きだもの。ううん、と悩んだメリー。
 首を傾げたメリーはそうだ、と大きく頷きライオンライドで『お友達』を召喚する。ぴょいん、とその背に跨って――さあ、進め進め!
 ぐんぐんと進むメリーははっと顔を上げる。迷路の攻略法と言えば、一度通った道に標を付けるべし。
「らいおんらいおん、この蔦をねガリッてやっちゃえー!」
 蔦を傷つけた部分を見れば同じ道を通ったとしても何とかなるはずだ。
 らいおんに跨ってメリーは周囲を見回して、通路の端にぽつりと置かれた箱にきらりと眸を輝かせた。箱は明らかに『お宝』と言った風貌だ。お宝と言えば、とメリーが考えついたのは『おいしいもの』だ。
「あ、お宝! おいしいものが入っているかな?
 でもでも先に進まなきゃ……! かべかべ、ここのお宝は守っててね!
 後で取りにくるから絶対、ぜーったいッだよ!」
 わかったーと間延びする声を上げて、『かべかべ』はお約束を守ってくれるのだろうか……?

成功 🔵​🔵​🔴​

エスチーカ・アムグラド
意地悪な壁さんですねー……、答えも出口の場所も教えてくれそうにありません。
こうなったらチーカは自分の翅を信じるだけです!

出口があるならきっと空気の流れがあるはず!
チーカ、空を飛ぶのが好きですし【空中戦】も少しは得意な方だと思うので迷路の中で風を感じられないか気を付けながら進んでみます!
感じられないうちは……とにかく総当たりですね!

風が感じられなくたって出口が見つからなくたって、チーカは簡単には諦めません!ここを通り抜けないと学生さんに被害が出てしまいますから!
それにチーカ、この剣を握ると【勇気】が湧いてくる気がしますので!
壁さんが何か惑わせるような事を言ってきてもきっと、大丈夫!


セロ・アルコイリス
へェ、喋る壁かぁ
楽しくティタイム、惹かれるお誘いではありますがねぇ
でも此処を抜けなきゃ、誰かの大切なモンがまた『過去』になっちまうんですよ
それだけは、させたくねーんです、おれは

『野生の勘』と『学習力』を使って、
壁の声は聴きつつ適当にいなしながらスルー
それでも話すのはそれが楽しいだろうと思うから
誰かと話したいんだろ、おれならそうだ

他の猟兵サンの残した目印がありゃそれを見逃さないように
近くに猟兵サンがいりゃ手を貸せたら重畳
でもなにがあるか判んねーですからおれが先に行きますよ
危険がねーならそれがいい
危険がありゃ【存在意義】で相殺できりゃいいですね

※アドリブ歓迎



 壁の語る言葉にエスチーカ・アムグラド(Espada lilia・f00890)がむ、と唇を尖らせた。
「あっちだよ」「こっちだよ」と繰り返される言葉の数々。従えば同じ場所に戻ってきてけらけらと笑う壁の声が周囲に響くだけだ。
「意地悪な壁さんですねー……、答えも出口の場所も教えてくれそうにありません。
 こうなったらチーカは自分の翅を信じるだけです!」
 鮮やかな新緑の色を揺らし、跳ねたエスチーカの爪先がとんとんと鳴る。
 翅に感じた微かな『風』の気配。入口と出口があれば、風の流れがある筈だと踏んでいた彼女の予想はぴったりだ。
「飛んでいっちゃうなんて狡い狡い」
「跳んでみて正解でした。飛んでいきましょう!」
 意地悪な壁さんにぺろ、と舌を見せエスチーカがひらりと踊る。
 もしも、もしも――出口が見つからなかったならば。迷宮とは、出口を見つけることが困難だからこそ『迷いの宮(ばしょ)』と書くのだろう。
 エスチーカの脳裏に過ったその気配を振り払うように彼女はふるふると首を振る。
「ここを通り抜けないと学生さんに被害が出てしまいますから!」
「その通り」
 東雲色の瞳を細めセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は腰より下げたクレチマスに振れる。ちゃり、と音鳴らした鍵がこの迷宮の出口を『開けて』くれれば幸いだが、そうもいかないらしい。
「へェ、喋る壁かぁ……」
「いいでしょー。お話とかしませんかー」
 間延びして、何所か穏やかな調子の壁にセロがくすくすと笑みを溢す。
「楽しくティタイム、惹かれるお誘いではありますがねぇ
 でも此処を抜けなきゃ、誰かの大切なモンがまた『過去』になっちまうんですよ」
「あらま」と壁が『新事実の発覚』と言わんばかりの反応を見せた。
 空飛ぶエスチーカの『風』という情報を耳にしながらセロはゆるゆると歩を進めていく。軽やかな足取りは旅人を気取って見せ、『ココロ』を持った壁たちに「少しは話し相手になってやってもいいですよ」と冗談めかす。
 饒舌な壁たち。きっと、誰かと話したいと願ったかたちなのだとすれば――欠落がある? それなら猶更、話すというのは――『話し相手が欲しい』という事そのものだ。
「風の流れが変わった」
 エスチーカのぽつりと呟かれた一言にセロが目を細める。ココロのペイントは彼の貌に浮かんだ笑みを愉快に魅せ、堂々たる立ち回りを感じさせる。
「でもなにがあるか判んねーですからおれが先に行きますよ」
 任せてくださいよ、と一歩踏み出したその先に、鉄の扉が確かにあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
【ローちゃん(f06133)と】
【POW】時々【WIZ】?

『うわぁ喋ってるぅ』って顔しつつ
壁の言葉に相槌うちながら聞き流す
「ハイハイごきげんよう、して出口は右?左?そう、」
一点集中【彩雨】を正面の壁へ撃ち込んで穴のひとつでも開けてみましょうか
だって道は作るモノでしょう?

行き当たりばったりの道中
ふと隣見れば目を輝かせるローちゃん……アラ?
美味しそう、でも駄目よ
食べるなら煮るなり焼くなりしないと……!(引っ掛かってる)

何料理がイイ……待って、冗談ヨ(たぶん)
こんな事もあろうかと壁には通った方向に矢印をつけてきたから!
同じ場所避けて壊しつつ進めばいつか出口……の辺りに出られるって!


ロード・ブラッドリー
【コノハさん(f03130)と】
【POW】

「珍妙な壁だなー!」とか口に出しつつ
悪りぃ、悪口になっちまったな…喋るなんてスゲーじゃん!こんちはー!(壁に)

ハハッ、そんな簡単に引っかかるかっての!
なあ、コノハさ…ん??

あれ……あそこにあるのは肉…??
しかも霜降り…A5クラス!!
ヤベエ、肉が喰われるのを待っている…(ゴクリ)
コノハさん、オレ、肉じゃが喰いたい…
しかも生きてる牛まで現れて来やがった…待っててくれ、喰うには狩らないと…

(ハッ)幻!?
嘘だろ、勿体ねー…

おっ!コノハさんすげー!矢印付けて来たんだな!
んじゃ、オレもいっちょやるか!
「龍焔」か「ドラゴニック・エンド」、相応しいUCで壁を壊すな



『うわぁ喋ってるぅ』と云うのが饒舌な壁を最初に目にした時のコノハ・ライゼ(空々・f03130)の表情であった。
 へらりと浮かべた気侭な笑顔。薄氷の瞳に浮かんだ戸惑いは珍しくもロード・ブラッドリー(累々血路・f06133)にも察知される程のもので。
「珍妙な壁だなー!」
「まっ!」
 壁の反応にロードが「わ」と声を漏らす。思わず『悪口』になってしまったかと慌てるロードに視線を小さく溢し長乍らコノハは『壁があれやこれや云う様子を後目』に「ハイハイごきげんよう、して出口は右? 左? そう、」と淡々と反応返す。
 どうにも、あべこべな様子だ。楽し気に挨拶をし、壁と会話をするロードと壁の反応をそれこそ適当に流しているコノハ。
「あれ……あそこにあるのは肉…?? しかも霜降り…A5クラス!!
 ヤベエ、肉が喰われるのを待っている……コ、コノハさん……」
 じりじりと進むロード。ろーちゃん、と首を傾いだコノハはロードが『期待の眼差しを向けた』国産A5クラスの和牛に夢中であることに気付き「駄目よ」とぴしゃりと言う。
「煮るなり焼くなりなさい!」
「おお……! ―――って、幻!? 嘘だろ、勿体ねー……」
 震える声でそう云って。気づけば消えてしまった『最高のお宝』にロードががっくりと肩を落とす。
 その幻がもしかすると『まやかし』ではなく、この先にある迷宮の何らかのヒントであるかもしれないと未だ心を逸らせるロードにコノハは調理はどうしましょうね、と小さく笑みを溢した。
「で!」
「ん?」
「迷った!」
 どうしよう、と慌てた貌で振り返ったロード。そんな事もあろうかと、とコノハは『お決まりのセリフ』を口にして柔らかに笑みを溢した。
「通った場所に目印を付けて来たの。これを元に出口を探しましょう?」
「おっ! コノハさんすげー! 矢印付けて来たんだな! んじゃ、オレもいっちょやるか!」
 コノハがかっこいい所を見せたのならば自分だって。龍焔を吐き出して、墨色の焔は壁へと当たり、蔦をばちばちと燃やしていく。
 燃え盛る炎で破った壁。嗚呼、どこかで壁による悲痛なる叫び声が聞こえた気もした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓櫻宵(f02768)と
アドリブ等歓迎

櫻宵、櫻宵?もう大丈夫?泣かない?
ボクの胸ならいつでもかすからね?
櫻宵の手をぎゅうと握って
彼の様子を伺いながら道を行く

ボクの知らない過去があって
ボクの知らない傷があって
時間があって
大人だから当たり前だけど
それがもどかしくて悔しくて
けれどいつもの櫻宵の笑顔に一先ず、笑って返す

壁さん!出口はどこ?
あまり期待はしていない
第六感や野生の勘を駆使し進むよ
お腹が空いたらショコラをぱくり
櫻宵と飛ぶのもいいね!
……櫻宵を困らせるなら、全力魔法を乗せて破壊工作してもいい
出口、を描くんだ
ないなら作ればいいんだから!

どこへ行けばいいかわからないなら
ボクらは何処へでも行けるんだ


誘名・櫻宵
🌸フレズローゼ(f01174)と
アドリブ等歓迎

フレズの手を握り迷宮を行く
小さな手が何より心強くて…ダメねあたし
もっとしっかりしなきゃ
フレズにみっともない所を見せちゃったわ
もう大丈夫、レディはいつだって素敵な笑顔でいなきゃね!
それにあたしは……この子を守らなきゃ
絶対に、今度こそ
――奪わせないわ

『妖猫招来』でミコトを召喚して疲れたら上に乗っていきましょ
フレズの描いた地図に第六感を活かして……にしてもこの壁は道を教える気もないのに五月蝿いわね
壊してやろうかしら
それとも空中戦で飛んで、超えるのもいいかもしれないわ
空中散歩、よ!
右も左もわからないならば
あたし達はあたし達の信じる道をいくわ!
ね、フレズ!



 フレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)の小さな小さな掌は只、暖かで。
 誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)はその掌の温もりを感じながらゆるりと歩み続ける。
「櫻宵、櫻宵? もう大丈夫? 泣かない?」
 伺う様にそう言って。幼さを感じさせた彼女の気丈な様子に櫻宵は口元にゆったりと笑みを浮かべた。
「もう大丈夫、レディはいつだって素敵な笑顔でいなきゃね!」
 それに、とそこからは声に出さない。この子を守らなくちゃ、と決意と共に邂逅した過去に近い、安堵したフレズローゼの柔らかな色を帯びた瞳にとびきりの『レディの微笑み』を返した。
 きっと――きっと、知らない過去で知らない傷で、知らない時間で、知らない場所で。たくさんの知らないが『おとな』となったその人の心を攻め立てているのだろうとフレズローゼは感じる。『知らない事』は仕方がない事だけど、酷く、もどかしくて。
「えへへ、櫻宵と飛ぶのもいいね! ねえねえ、壁さん、出口はどこ?」
 笑みを返し、猫に跨り楽し気に。それだけで、いつもの二人となれるのだから。
 フレズローゼの描いた地図に、飛び切りのインクで二人の『路』を示して進む。
 只、それだけで楽しいと思えるのだから『ふたり』はどこまでも行ける気がする。
「お空の旅だね、櫻宵」
 強行突破もお手の物だと壁の上を走り抜ければ、ずずんと『大きな壁』がこんにちは。
 ぱちりと瞬いたフレズローゼが可笑しそうに小さく笑う。
「壁さん」
「壁さんね?」
 顔を見合わせて、くすくすと笑い合う。壁が通さないというならば『力(あい)』で何とかして見せましょうとフレズローゼがやる気を見せる。
「出口、を描くんだ――ないなら作ればいいんだから!」
「空中散歩、よ!
 右も左もわからないならば、あたし達はあたし達の信じる道をいくわ! ね、フレズ!」
 そう言われたら、足取りだって軽くなるでしょ。
 ほら、描いた出口を目指してみましょう?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鎹・たから
【POW】
喉が渇いたので
休憩としましょうか
お菓子を頂けるなら遠慮なく

ところでお喋りな壁さん達
右か左、どちらか教えてくれますか?

困りましたね
あなた達はおしゃべりですが
本当のことは話してくれなさそうです

で、あれば
こういうのは如何でしょう

荒雪で顔のない壁や床を多少破壊
【恫喝、念動力、範囲攻撃、グラップル、鎧砕き、衝撃波】活用

正直に場所を話してくれたら
こうなることはありません
ええ、たからは嘘をつきませんよ
ヒーローですから

多少強引な手を使いますが
器用ではないたからは、地道な探索しかないのです
荒雪を駆使しつつ、壁に聞いて歩きましょう



 くすんだ髪を揺らして鎹・たから(雪氣硝・f01148)は壁の行う奇妙なティータイムに『穏やかな調子』で参戦していた。
「ところでお喋りな壁さん達。右か左、どちらか教えてくれますか?」
 饒舌で、それでいて嘘吐きで。右だよ左だよ、あっちだよと繰り返されたそれにたからの表情が僅かに歪む。
「困りましたね。あなた達はおしゃべりですが、本当のことは話してくれなさそうです……で、あれば、こういうのは如何でしょう」
 ゆっくりと立ち上がる。スノーフレークオブシディアンの角の上、ごうごうと渦巻く何かが壁へと向かう。
「ひい」と壁が声漏らせば、それは見えない雪風の渦であるとなんてことない調子でたからはひらりと手を返した。
「正直に場所を話してくれたら。こうなることはありません」
「本当に?」
「ええ、たからは嘘をつきませんよ――ヒーローですから」
 嘘吐きな壁とは違って、とそう言ったたからの瞳がすう、と細められる。
 あっちですあっちですと慌てて告げられた言葉にたからは柔らかに笑み浮かべる。
 答えを聴いたら後は地道に進むのみ。その先の重たい扉はまだ、閉じられている様だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オルハ・オランシュ
おしゃべりな壁達だね
ずっとここにいたら耳がくたびれちゃいそう
それに、壁達はライブラリーマスターの味方のはず
言われたことは真に受けないようにしなきゃ

間違って来た道を戻らなければきっとなんとかなるよね
別れ道を通る時は目印を残した方がいいかも
蔦をちょっと拝借して、ちぎったこれを落としておこうか
行き止まりだったら蔦を落とした場所に戻って
他の道に進んでみるよ

でも片っ端から進むのは大変そう
……この分岐は、きっと左
野生の勘を頼りに進んでいくんだ

今度の分岐は……もう、気が散っちゃう!
そこの壁、黙っててくれる?
勘と壁の示す道が同じだと不安になってくるけど
自分を信じて進んでみるよ



 何でも屋のお仕事に『壁の話し相手』があっただろうかとオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)はぴょこりと跳ねた耳が草臥れてしまうと肩を竦める。
(それに、壁達はライブラリーマスターの味方のはず……言われたことは真に受けないようにしなきゃ)
 きっと錯乱してくるのは『彼ら』の手なのだとオルハは認識していた。
 ちぎった蔦で標の代わりを作りながら楽し気に話す壁の言葉を聞き流す。
「あっちだよ」嘘。「こっちだよ」嘘。「そっちかな?」嘘、嘘。
 沢山の嘘に翻弄されぬように進んだオルハは野生の勘を頼りに進む。
 そうしていれば、大仰な扉の前へと辿り着く。おしゃべりな壁たちが『出口じゃないよ』と慌てて口にするものだから――きっとこれが出口なのだろう。
 幾人もの猟兵たちが扉の前で『壁』の言葉を聞いている。ふと、野性の勘だろうかピンッと浮かんだままに蔦の中を漁ったオルハは「これは?」と壁へ聞く。
「なにもないよ!」
「嘘」
 ならば、ぽちりと押せば只、音たてて扉が開く。
 その先に――桃色の髪の少女がきょりとした貌で座っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ライブラリーマスター・シャルロット』

POW   :    おしおきディクショナリー
単純で重い【鋼で強化された分厚い辞典の角】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ふたりの夢の王子様
自身が戦闘で瀕死になると【白馬に乗った王子様】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    やぎさんゆうびん
【大量の子ヤギ】の霊を召喚する。これは【噛みつき】や【タックル】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はミモザ・クルセイルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 鮮やかな晴天の色の瞳に桃色の髪。
 傍らの山羊と共に楽しいお話に耽っていた『ライブラリーマスター・シャルロット』は首を傾ぐ。
「あれ……?」
 我楽多を抜け、迷路を抜け、書庫に辿り着いたは一介の冒険者ではない。
「トレジャーハンターさん? それとも、おはなしをとどけてくれたの?」
 ぱちりと瞬く小さな乙女。その愛らしさに惑わされてはいけぬのだと直感は告げていた。
「おはなし……話してくれるなら聞くけれど」
 ゆっくりと立ち上がり埃を払ったシャルロットはぱちぱちと何度も瞬く。
「話してくれないなら」
 ゆっくりと、伸ばされた指先は――ただ、無常な響きを孕んでいた。

「しんでね?」
ユーゴ・アッシュフィールド
■リリヤ(f10892)と一緒に
ここに来れたのは、他の猟兵の手柄だと思うがなぁ……
まっ、今は褒めておくか
かしこいかしこい

剣を向けるのは気が引ける姿だと思ったが
「しんでね?」と来たか
生憎とお前に聞かせるようなお話もなけりゃ
死んでやる義理も無い

ヤギの群れか……
そうだな、俺は【絶風】で対応しよう
片っ端から斬っていくぞ、恐らく手が足りないが
そこはリリヤがカバーするだろう。頼んだぞ。

「おはなし」と「おしまい」か
あのオブリビオン自身はどういう「おはなし」を持っていたんだろうな
少しばかり興味が湧いた、余裕があれば聞いてみるか


リリヤ・ベル
■ユーゴさま(f10891)と一緒に
ほら、ちゃんと辿り着けたのですよ。
わたくしはかしこいのです。
ふふん。

ただしずかにご本を読むだけでしたら、止めませんでした、けれど。
でも、ひとのいのちを読んでしまうのは、いただけないのです。

やぎさんの数がおおい。
わたくしは、ユーゴさまを援護いたしましょう。
【ジャッジメント・クルセイド】で攻撃を。
ユーゴさまが死角から攻撃されないように、確実にたおしてゆきます。
おまかせください。
崩されてしまった地面にも、お気を付けて。

わたくしも、みなさまも、まだいきているのです。
「おしまい」では閉じられておりません、から。
王子様が迎えに来たって、このおはなしは、あげられません。



「ほら、ちゃんと辿り着けたのですよ。
 わたくしはかしこいのです。ふふん」
 小さな胸を張って。リリヤ・ベル(祝福の鐘・f10892)はそう言った。
 翠の双眸は期待に輝き、のんびりと旅路を往くユーゴ・アッシュフィールド(灰の腕・f10891)の瞳を覗く様に見上げている。
「……ここに来れたのは、他の猟兵の手柄だと思うがなぁ……。
 まっ、今は褒めておくか。かしこいかしこい」
「言い方が気になるのですが……ふふん」
 まあ、それは兎も角しても嬉しい物は嬉しいのだろう。ちら、と後方を見遣るリリヤ。
 其処に或る桃色の髪の少女は何処からどう見ても一般人的な風貌だが――彼女が『敵』であるのはその言葉をを受ければ明らかだ。
「『しんでね?』と来たか……。
 生憎とお前に聞かせるようなお話もなけりゃ、死んでやる義理も無い」
「ええ、死なれては困るのです」
 ぷりぷりとお怒りのリリヤにユーゴは頬を掻く。鈴の如き声響かせるカンパニュラを手にした淑女はゆっくりと少女を見遣る。
「ただしずかにご本を読むだけでしたら、止めませんでした、けれど。
 でも、ひとのいのちを読んでしまうのは、いただけないのです」
「どうして?」
「どうしてって……」
 ちら、とリリヤはユーゴを見遣った。当たり前の倫理観を狂わせるように山羊が伸び上がる声を響かせる。
 灰殻を躊躇うことなく向けたユーゴは「どうもこうもないな」と静かに言った。
 大量の山羊を目にし、その数に負けぬようにと援護を行うリリヤに合わせユーゴは少女と距離を詰めた。
「『おはなし』と『おしまい』か。
 彼女自身はどういう『おはなし』を持っていたんだろうな。少しばかり興味が湧いた、余裕があれば聞いてみるか」
「あら」
 ちら、とリリヤがユーゴを見上げる。また『淑女』より戯れの一言が来るのだろうかと見遣るユーゴにリリヤは「気になります」と頷く。
「わたくしも、みなさまも、まだいきているのです。
『おしまい』では閉じられておりません、から。王子様が迎えに来たって、このおはなしは、あげられません」

 ――そうして、王子様はお姫様に刃を突き立てたのでした。おしまい。

 告げる声音は只、楽し気に。小さな淑女をちらと見遣った桃色の少女の口元には笑みが浮かんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メリー・メメリ
おはなし!なに話す?かべかべの事聞きたい?

さっきねー、かべかべがいてねー
お宝もあってねー
話ながらととさまとかかさまお手製のお肉弁当を食べるよ!
このお肉はえらい人もおいしいって言ってくれたお肉だから
とっても、とーーーっても強くなれるんだよ!

つよくなったら力一杯攻撃をするよ!
本の角は卑怯だよ…!
すごく痛いってこと知らないのかな?危ないんだからね、だめだよ!

もっと楽しいおはなしの方がよかったかなあ……
うーん……でもでもおいしいご飯を食べた話しか出来ないや…。
本攻撃はしっかり見てしっかりよける!痛いのは嫌だ……!


鎹・たから
とても愛らしいのですね
ですが、お話を届けにきたのではありません
たから達は死ぬつもりもありません
人々を傷つけるあなたを、ほろぼします

召喚された子ヤギは手裏剣とフォースセイバーで切り裂きます
【2回攻撃、先制攻撃、範囲攻撃】で素早く対応

味方の攻撃の合間を縫って終雪を発動
【念動力、範囲攻撃】で敵の行動範囲を狭めながら彼女を攻撃
【気絶攻撃、鎧砕き、衝撃波】で味方が攻撃できる隙を作ります

気絶したのを確認したら【ダッシュ】
連珠とオーラを纏う拳で一発
【グラップル】で大ダメージを狙います

読書は良いことです
あなたはとても賢いのでしょう
ですがそれだけでは、得られないものもあるのですよ



 ううん、と悩んだメリー・メメリ(らいおん・f00061)。
 お話を求めるライブラリーマスター・シャルロット。傍らの山羊の群れは『らいおん』であるメリーにとっては『ご馳走』だが――それどころでない程に彼女はうんうんと悩んでいた。
「おはなし! なに話す? かべかべの事聞きたい?
 さっきねー、かべかべがいてねーお宝もあってねー」
 のんびりと腰掛けて『ととさま』『かかさま』のお手製の肉弁当を食べるメリー。羊たちの攻撃が来ぬうちに徒『えらい人もおいしいというお肉』を食べてメリーは「うん」と大きく頷いた。
「とっても、とーーーっても強くなれるんだよ!」
 愛らしいメリーの様子に鎹・たから(雪氣硝・f01148)がくすりと小さく笑みを溢す。
「山羊さんもたくさん……とても愛らしいのですね。ですが、お話を届けにきたのではありません」
「えっ」
 きょとんとしたメリーにたからはお話の対価は命だとしたら、と唇に指宛て首を傾げる。
「たから達は死ぬつもりもありません。人々を傷つけるあなたを、ほろぼします」
「どうして……?」
 本を振り上げ、メリーを殴りつけるシャルロット。それに「びっ」と声を漏らしたメリーが「本の角は卑怯だぞ」と頬を膨らませる。
「ね。お話が尽きてしまっては殺されてしまいます。それは、いけないことでしょう?」
 たからの柔らかな言葉にメリーはこくり、と頷いた。
「読書は良いことです。あなたはとても賢いのでしょう。
ですがそれだけでは、得られないものもあるのですよ」
「たとえば、本の角が痛いとか!」
 じんじんとする頭を押さえてメリーにたからはこくりと小さく頷いた。
 透明無垢なる剣を手にし、たからは天より降り注ぐ雪で『おしまい』を語る様に降らせ続ける。
 ひやりと肌を撫でたその気配に山羊たちが怯える様に声を震わせる。
 赤髪を揺らしたメリーが跳ねるように動く。お肉で元気は100倍だという小さなこどもを追い掛けてたからはびぃどろをしゃらりと揺らした。
「おはなしの、つづきといきましょうか」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓櫻宵(f02768)と
アドリブ等歓迎

人の紡いだ物語、記した本。思い出の物。
ボクも大好きだけれど
キミ
ボクの櫻宵を泣かせたのがいけなかったね

パパならきっとこういうだろう
キミの生命で贖ってもらう、って

ボクのが可愛いだなんてまたまたー
櫻宵に褒められれば笑顔ではねて
櫻宵の背中はボクが守るんだ
第六感と野生の勘、見切りを働かせて躱し
櫻宵を鼓舞しながら全力魔法にマヒ攻撃を乗せ絵を描いて攻撃するよ
まとめて『女王陛下は赤が好き』で爆破しちゃう
ボクが隙をつくるから
櫻宵が綺麗に斬る番
キミの話はもう飽きてしまったの
さぁ首をおはね!

大丈夫、櫻宵
どんな時でもそばにいる
悲しい過去を塗り替えて
ボクらの未来を描こうじゃないか


誘名・櫻宵
🌸フレズローゼ(f01174)と
アドリブ等歓迎

あら、この子が元凶なのね
随分可愛らしいけれど―勿論フレズの方が可愛いわよ?―お話が好きならしてあげる

大丈夫よ
フレズに手出しはさせないわ
庇いながら前へでる
支援
頼りにしてるわよ!

数が多い攻撃に破魔を刀に宿らせ広範囲攻撃に衝撃波をのせて斬り裂いて
勘と残像で回避、隙をつき2回攻撃
何度だって傷を抉るわ
王子様もお馬さんも斬ってしまいましょ
懐に踏み込んだならば『絶華』を

―しぬのはあなた
おやすみなさい

記憶の隅に埋めて封じた過去を思い出させてくれてありがとう
ええ
あれはあたしの罪よ
フレズ……愛しいもの全て
今度こそは守るわ
白いゼラニウムを赤く染めて

君ありて、幸福なのよ



「あら、この子が元凶なのね。
 随分可愛らしいけれど――勿論フレズの方が可愛いわよ?」
 柔らかに小さく笑って誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)は傍らのフレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)の白い指先を包み込んだ。
 小さなフレズローゼは櫻宵の一言を喜ぶように目を細め、シャルロッテを見遣る。
「人の紡いだ物語、記した本。思い出の物。ボクも大好きだけれど……。
 ――キミ、ボクの櫻宵を泣かせたのがいけなかったね」
 その声音は常よりも冷たく。七彩に変わる少女の甘い声に乗せられた響きは、只、氷を思わせた。
「櫻宵」と呼ぶ声は、彼を心配してのものだが『心配される』だけではないと櫻宵はフレズローゼの髪を撫でる。
「大丈夫よ。フレズに手出しはさせないわ」
「櫻宵の背中は僕が守るよ。
 ねえ、櫻宵。『こういう時』に僕のパパがなんていうか想像つく?」
 何時も通りのフレズローゼの貌をして、Erdbeereを揺らした小さな少女に櫻宵は「何かしら」と冗談めかす。

「――『キミの生命で贖ってもらう』ってね」

 赤の女王もびっくりするほどに冷たい言葉を言い捨ててフレズローゼは前往く櫻宵の背中を追い掛ける。
 山羊の群れなんかすべて『白い薔薇を赤く染める』ようにしてしまえとフレズローゼはキャンパスに赤を塗りたくる。
「記憶の隅に埋めて封じた過去を思い出させてくれてありがとう。ええ――あれはあたしの罪よ」
 涙など、忘れた様に櫻宵は笑う。フレズ、と小さく呼ぶ。彼女にも聞こえぬ様にそぅと、宝物を抱きしめる様な声音で。
「……愛しいもの全て、今度こそは守るわ」
 白いゼラニウムを赤く、赤く染める様に。「君ありて、幸福なのよ」とその唇が笑みを浮かべる。
「ずるい」
 シャルロッテは云った。お姫様はいつだって白馬の王子様が迎えに来るものだったのに――まだ、まだ、こないではないか。
「キミの話はもう飽きてしまったの――さぁ首をおはね!」
 櫻宵の一撃を山羊が受け止める。桃色の髪を揺らしたライブラリーマスターの拗ねた表情をその両眼に映し込み、少女は只、笑った。
「過去(おはなし)は『おしまい』の言葉で締められる。
 どんな時でもそばにいるよ、櫻宵。悲しい過去を塗り替えて――ボクらの未来を描こうじゃないか」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セロ・アルコイリス
そうして、忘れられた迷宮の女の子は再び、過去の海へと漕ぎ出したのでした。おしまい。
……ってね

やあ、シャル
壁の真似して声掛けて
おはなしはいいモンですよねぇ、おれも好きですよ
だけどま、みんながみんな、巧く話せるわけじゃねーんですよ
話せねー代償がイノチってのはちょいと望み過ぎじゃねーですか

ダガーは封印、なるべく書物傷付けねーように
【存在意義】や『カウンター』、『激痛耐性』で耐えて

そんじゃ、おれからは〝嵐に愛された男〟の話をひとつ
これはソイツから盗み取った嵐の一部ですよ
なんて戯れつつ【暴風雨】を

シャル、どんな話が好きでした?
どんな話が、あんたを満たしてくれました?
奪らせてください、あんたのココロ


オルハ・オランシュ
いいよ
私が知ってる物語、聞かせてあげようか?

あるところに、可愛らしい女の子がいました
彼女は可愛いだけではありません
強い力を秘めた彼女は、自分の大切な聖域にやってきた悪者を退治していました
けれど、ついに負けてしまいます
自分自身が真の悪だと最期まで気付けなかった女の子の名前は、シャルロット
――おしまい

これで挑発
ムキになってくれたらいいんだけどね
その分、きっと隙が生じると思うから

攻撃は【見切り】狙い
回避に失敗したらせめて【武器受け】
【早業】で一気に間合いを詰めてからフィロ・ガスタで反撃に出るよ

白馬の王子様か……
見た目通りの可愛い好みだね
ちょっとだけ、やりづらいな



 王子様は何処かしらと探す様にシャルロッテが拗ねる。書庫の思い出の本たちは何時だって『ハッピーエンド』が其処に会ったのだから。
 オルハ・オランシュ(アトリア・f00497)は「私が知ってる物語、聞かせてあげようか?」と柔らかに笑みを浮かべ、そう言った。
「おはなしをくれるの?」

 ――あるところに、可愛らしい女の子がいました。彼女は可愛いだけではありません。
 強い力を秘めた彼女は、自分の大切な聖域にやってきた悪者を退治していました。
 けれど、ついに負けてしまいます。
 自分自身が真の悪だと最期まで気付けなかった女の子の名前は、シャルロット――おしまい――

「ッ――」
 桃色の髪の少女の瞳がか、と燃え上がる。その気配にセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)はココロの動きを感じ取りくすりと笑みを浮かべた。
「そうして、忘れられた迷宮の女の子は再び、過去の海へと漕ぎ出したのでした。おしまい。……ってね」
 おしまいの言葉で締めくくれば次に来るのは淋しさと、ちょっとした退屈だ。
「やあ、シャル。おはなしはいいモンですよねぇ、おれも好きですよ。
 だけどま、みんながみんな、巧く話せるわけじゃねーんですよ。
 話せねー代償がイノチってのはちょいと望み過ぎじゃねーですか」
 まるで彼女に語り掛ける壁の様に饒舌に告げるセロ。オルハはその言葉を耳にしながらゆっくりと、ルーンソードを握り締める。
「白馬の王子様か……。見た目通りの可愛い好みだね。ちょっとだけ、やりづらいな」
「やり辛いもんですね。白馬の王子にヘルプされちゃ、此方もおっかなびっくりです」
 カラリと笑い、シャルロットの意識を引くオルハの傍らに歩み出てセロはにいと笑った。
「そんじゃ、おれからは〝嵐に愛された男〟の話をひとつ。
 これはソイツから盗み取った嵐の一部ですよ」
 吹く風の強さ。冗談めかした彼の風邪を纏う様にオルハは飛び出し刃を振るう。
「シャル、どんな話が好きでした?
 どんな話が、あんたを満たしてくれました? 奪らせてください、あんたのココロ」
 ぶつかった一撃に、本の角がオルハの刃を押し返す様子を眺めながらセロは笑う。
 おはなしはもうおしまいが近いのよ、という様にシャルロッテは王子様に願いを込めて。
「王子様にしかココロはあげない、あげないわ」と繰り返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
【ローちゃん(f06133)と】

こんなメルヘンなお相手だと優しいコの心が痛まないか心配ネ
せめて障害減らす為、道を開きましょ

【WIZ】
【月焔】の焔操り敵の攻撃阻んだり、目くらましに
ウチのカワイイ店員は傷付けさせマセン
……ってローちゃんソコ!?しかもランク指定!ドレだけ腹ペコサンなのよ
笑いつ、山羊は食うな、とは言えないンよねぇ
だってオレも美味しく頂いちゃうもの
召喚された敵が迫れば
「柘榴」で『傷口をえぐる』様にして斬り込み『生命力吸収』ってね

焔に紛れ近付きここぞでローちゃんと合わせた焔をお見舞い
お話するのも吝かじゃあないンよ?
ケドそう、墨色と月白の渦巻く焔は
夢見がちなお嬢サンにはちょいと辛口かしら


ロード・ブラッドリー
【コノハさん(f03130)と】

よォ、お出ましか
悪りぃな、オマエの住処を土足で踏み込んじまってよ

だがこれだけは言わせてくれ
宝って肉じゃねーのかよ!
山羊肉よりA5和牛を期待してたっ!
「紙喰っても栄養にならねー!」

コノハさんの心配を見事に裏切る肉食龍

オレは今回の戦いで腹が減ってばかりだ
まずはそこにいる山羊のお友達を頂くぜ!

地獄の炎で焼き尽くす
【龍焔】
コノハさんの月焔と呼吸を合わせて
今晩はラムで焼肉だァッッ!

王子様は喰えねー!
物理で殴る!

オマエは物語がないから戦う!
オレは肉がないから戦う!

強い敵に殺されるのは吝かでもねえけどよ
こんな黴くさい場所が最期なのはお断りだぜ
せめて肉をたっぷり喰ってからだ…!



「王子様、ね」
 コノハ・ライゼ(空々・f03130)の呟きを耳にしながらロード・ブラッドリー(累々血路・f06133)は拳を震わせてシャルロッテを見詰めた。
「よォ、お出ましか……悪りぃな、オマエの住処を土足で踏み込んじまってよ。
 ――だがこれだけは言わせてくれ」
 じっくりと、確かめるようにそういうロードを庇う様にコノハは前に出る。
 嗚呼、確かに愛らしい少女だ。ライブラリーマスターと名乗っているがその外見は何ら一般的な少女とは変わりない。
「こんなメルヘンなお相手だと優しいコの心が痛まないか心配ネ。せめて障害減らす為、道を開きましょ……ウチのカワイイ店員は傷付けさせマセン」
 磨かれた柘榴を手にし、その刃に狡猾な色を乗せたコノハの右目に刻まれたシルシが光を帯びる。
 震える声音で「どうして」と呟くロードに、幼さを感じる少女の相手は辛いかと目を伏せたコノハ。
「宝って肉じゃねーのかよ! 山羊肉よりA5和牛を期待してたっ! 紙喰っても栄養にならねー!」
「ローちゃん!?」
「オレは今回の戦いで腹が減ってばかりだ。まずはそこにいる山羊のお友達を頂くぜ!」
 ハラペコさんは一番強い。コノハはそれを体感するように山羊の群れを蹴散らすロードの背中を見遣る。ドラゴニアン用魔法学園服を身に纏うロードが拗ねる様に前線に飛び出せばシャルロットはその制服を懐かしそうに眺めた。
「わたしと同じ所から来たんだ」
「同じところ?」
 きょとんとしたロード。そんな事より腹が減っては戦は出来ぬと暴れる彼に合わせて周囲の猟兵達の攻撃も重なっていく。
「コノハさん! 帰ったら」
「ええ、たっぷり『美味しい物』食べましょうネ。ローちゃん」
 くすくすと笑ったコノハにロードは大仰に頷いた。
 シャルロット。桃色の髪の少女の王子様はお迎えに何て来ない。
「お話するのも吝かじゃあないンよ?
 ケドそう、墨色と月白の渦巻く焔は、夢見がちなお嬢サンにはちょいと辛口かしら」
 美味しく飲み込んで――そうして、『おしまい』をひとつ。

 ある所に、一人の少女がおりました。
 彼女はとってもわがままで、いろんなものを探し求めて歩き回りました。
 思い出だらけの我楽多のお山を越えて、
 おしゃべりな壁たちと楽しいお話をして、
 そうして辿り着いた書庫には手紙を食べる山羊が一匹。
 彼と彼女の物語の始まり始まり。
 彼女が『普通の少女』ではなくなったその瞬間――その心が狂気に蝕まれながら彼女は言うのです。
「わたしはライブラリーマスターだから。おはなしをあつめなきゃ」
 そうして彷徨う一人の少女におしまいを渡すのは狩人たち。
 おはなしにはいつもおわりがあるのです。
 だから、こういわせて頂戴? ――おやすみなさい。

 おしまい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月28日


挿絵イラスト