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蠱惑の香りは死の匂い

#UDCアース

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#UDCアース


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●巷で噂の素敵な香水
 ねえ知ってる?使うと、どんな人でも虜にしちゃう、スゴい香水があるんだって!売ってるところは怪しい廃墟だけど、ヤバい薬ならともかく、香水なんだから安心だよね。

 ほら、貴女も。好きな人を振り向かせたいなら、貰いに行こうよ!ああ、男の子が使ってもいいんだって!悩んでる男子が居たら教えてあげなよ!

 え?香水の出所が怪しい?その廃墟ら辺で、ホームレスとかの変死体がよく見つかるから危ない?ヘーキヘーキ!

 どうしてもオトしたい人がいるんでしょ!?一緒に貰いにいこ!

●怪しい香りの謎を追え
「事件……予知、した。UDCアース……」
 グウェンドリン・グレンジャー(NEVERMORE・f00712)が、ただでさえ血色のよろしくない顔を、更に真っ青にして猟兵たちに向き直る。

 グウェンドリンが、震える手で水を飲み、ぽつぽつと事件内容を説明し始める。
 場所はUDCアースの日本の地方都市。そこで、若者を中心に摩訶不思議な香水が流行っているそうだ。
 つけるとたちどころに、異性を魅了してしまうという。それだけなら週刊誌の通販レベルだが、それは実際にその効果が出ているらしい。
 あまりに効果が出過ぎて、その香水を付けたキャバクラ嬢を巡って客同士が決闘して警察に逮捕されただとか、一人の男子生徒を巡って複数の女子生徒が校内で殴り合いの喧嘩をするだとか、既に異常な事件まで起こっているという。
 まだニュースにはなっていないが噂によると昨日、殺人事件まで起こってしまったとか。

 さらに、香水の出所というのがとにかく怪しい。
 何しろ廃墟、かつては大手企業の倉庫だった建物だという。
 その廃墟の周辺では、香水の流通と前後して、その近くで寝泊まりしていたホームレスや屯していた不良、さらには近隣区域から家出をしたと思しき少年少女の変死体が相次いで発見されているのだ。
 周辺地域では警察が注意を呼びかけたり、規制線を張っているものの、廃墟そのものは彼らも何故かノータッチ。
 おそらくは警察も、香水そのものは少女たちの噂話、学校の七不思議程度にしか思っていないのだろうか。
 それとも、何かの超自然的な手段で誤魔化しているか。

「その、問題、の香水。ざい、り……ざ……材料……が……。」
 何度も詰まりながら、言い淀むグウェンドリン。
「近く、で、消えてる……ホームレス、とか、死んだ人たち……多分、材料。そう……じゃ、なくても、材料に、近い……何か、にされた。」

「……その、廃墟、で、香水、作られ、てる……並んだ、香水瓶、見えた。どこかに、入り口、あるはず。」
 邪神の配下の教団員やそれに近い組織の物が、魔術的に人避けをし、購買意欲のあるもの以外は弾いているのではないかとグウェンドリンが推測する。
 力ある猟兵なら廃墟への侵入も容易いだろう。しかし、香水の製造部屋へは何らかの仕掛けにより隠匿されていると考えるのが妥当だ。
 まずは廃墟の探索から始まるだろう。
 香水の製造場所が突き止められればそこの制圧や調査だが……それで終わるとは思えない。

 不安げな顔で、グウェンドリンは猟兵達を送り出す。
 負けてしまったら、捕まってしまったら、もしかしたら。
「気を……つけ、て。色んなこと、危ない。万全にして、行って、ね。」


烏丸くろえ
 皆様、いつもお世話になっております。烏丸くろえです。
 さて今回はUDCアースでの任務となります。

 第一章と第二章で探索、第三章でボス戦です。

 これまでの烏丸よりもちょっとダークめ、闇のカラスでお送りします。
 それでは、ご興味おありの方はお気軽にご参加くださいませ。
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第1章 冒険 『廃墟の探索』

POW   :    障害物を撤去・破壊しつつ、手掛かりを探す

SPD   :    聴覚・嗅覚など感覚を働かせ、手掛かりを探す

WIZ   :    洞察力を活かし、隠された場所や手掛かりを探す

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

胡・翠蘭
「好みの香りの香水を使うのは好きだけれど……流石に、原材料が怪しすぎるものなんて、勘弁して頂きたいものよね」
というか、恋愛沙汰になると人って狂気に陥りやすいわよねぇ……

【SPD】
さて、第六感と野生の勘を頼りに、噂を詳しく知っていそうな女子高生辺りにお話を聞いて情報収集しましょうか
コミュ力もあるし……誘惑もしつつ、お友達になれるよう女子トークしつつ、件の香水、その販売元や場所あたりの情報が欲しいわね
「私も欲しいのだけれど……ねぇ、もし何か知っていたら教えて下さらない?」

わかった情報があれば、仲間に連絡して情報共有しましょう
何か、有力な情報があれば良いのだけれど


シーラ・フリュー
怪しいものには、手を出さないのが一番…ですけれど…
それでも…手を出してしまう気持ちは、分からなくは…ないです…
私も、もし好きな人が居たら…手を出してしまう可能性も、ありますし…
ですが…これは早くどうにかしないと…とても、危険ですね…

【SPD】判定
基本的には【第六感】を頼りにするしかないですね…
何か面倒事に巻き込まれたら困るので【目立たない】ように、気を付けて…時々立ち止まって、音や匂いも気にしながら…慎重に、行動します…

もし見つかってしまったら…香水の噂を聞いて、買いに来ました…と、あくまで客です、という体で話して…なんとか誤魔化せれば…いいのですが…
ダメそうでしたら…逃げるしかないですね…!



●麗人二人
「……流石に、原材料が怪しすぎるものなんて、勘弁して頂きたいものよね。」
 ぽつりと呟くのは胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)。
 年に似合わぬ婉然さを備えた彼女が、170㎝を越える長身で地方都市を歩けば誰もが振り返る。
 
 翠蘭は第六感と野生の勘……言うなれば女の勘を駆使し、繁華街の駅前で話し込んでいる女子高生に目星をつける。

「ねえ、ちょっとよろしいかしら?」
「うっわ、見つかっ……え?」
 丁寧な言葉で話しかけられ、もしや女性教諭かと思い振り向いた女子高生たち。しかし、目の前に立つのはモデルか芸能人かという美女。
「私も欲しいのだけれど……ねぇ、もし何か知っていたら教えて下さらない?」
 にっこりと傾城の笑みを浮かべる翠蘭。一瞬、どうしたらいいか分からず戸惑った女子高生達だが、少し話が進めば同年代の気安さで会話も弾む。

 それとなく香水の話を振れば、二人はポンポンと街の噂を口に出す。
「そう!香水!今みんな噂してるよー、ボロボロのビルで買える香水が、スゴいモテるようになるって!しかも2000円くらいで凄い安いんだって!」
「フツーな感じのおばさんが売ってるんだって。全然派手じゃないし、ホントにフツーのおばさんらしいよ。」
 伝え聞いた風で話すのをみると、どうやら彼女らは噂を知っているだけで実物は持っていないらしい。翠蘭は内心、胸をなでおろす。
 
 話を良い所で切り上げて、踵を返す翠蘭。廃墟が売買の現場である裏付けは取れた。そして、売人は女性らしい。
 価格が安いのは、金銭的な利益ではなく、それを流通させることや製造することそのものにメリットがあるのだろうか?
 己の掴んだ情報を、共に任務に参加する猟兵達へスマートフォンで送信する。

 翠蘭からの連絡を確認したシーラ・フリュー(天然ポーカーフェイス・f00863)は、鞄にスマホをしまいつつ思案する。
「怪しいものには、手を出さないのが一番……ですけれど……」
 こちらも長身の、それも色素薄めのヨーロッパ系とみえる美女。

「……これは早くどうにかしないと。とても、危険ですね……」
 危険な香水だが、手を出してしまう気持ちは分からなくもない。シーラ自身、想い人が居たならば手を出してしまう可能性は否定できない。
 使う人の目線で判断できるから分かるのだ。これはとても良くないものだと。

 その、問題の廃墟に到着したシーラは第六感――女の勘というよりも、戦場傭兵の勘を働かせてそっと歩を進める。
 目立たず、焦らず、落ち着いて。
 狙撃手として培った経験を元にゆっくりと進む。立ち止まって、大きな柱に身を隠すように移動して……広間のようなところを覗き込んだ瞬間、落ち着いた身なりの中年女性と目が合った。

 つかつかと歩み寄ってくる年嵩の女。挙動不審になるシーラ。
「アナタ、見ない顔ね。留学生?ディスパフューム、ツーサウザントイェン、オーケー?」
「あ、あいきゃんと、すぴーくじゃぱにーず……こ、香水の噂を聞いて、買いに来ました……!」
 喋りが苦手ながら香水を求める客だと必死に説明する。
 売人の女性は、手に持った箱から香水瓶を取り出して彼女に話しかける。本当に留学生か何かだと信じているのかもしれない。

 しどろもどろになりながらも、狙撃手の鷹の瞳は香水瓶の中身を見逃さない。
 瓶の中の液体は、どす黒い紅と、重い黄色のマーブル。何となく、生理的に嫌な感じがする色だ。

 そして、シーラがあわあわと問答している後ろで、他の猟兵が廃墟への潜入に成功していることに、中年女は全く気付いていないのだった……

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

三千院・操
【WIZ】
ふーん。死体が材料かもしれない香水、かぁ
ちょっともらってみたいかも。研究材料としてね!
そのためにも製造場所を見つけなきゃ!

まずは工場の地図がほしいな! 地図と見比べて、空間のスペースに違和感がないかなーとか、壁を叩いて奇妙な反響がないかなーとかやってみるよ!
超常的な方法で隠匿してるってことなら、床とか天井とかに魔法陣があったりしないかな? とにかく手掛かりがほしいから色々探すよ!

おれの身に宿るのは魔導書のUDC! おおよその術式だったら理解できちゃうもんねー!

※アドリブ・絡み歓迎です


レヴィア・ストレイカー
「金目当てにしては騒ぎが多すぎる・・・敵の狙いは金以外の何か」

地上階付近は人目を避ける偽装で手がかり無しと考えて。プラズマジェットを使い上層から廃墟へ突入する。
その際に建物外部に不自然な物が無いか確認も行う。
「目標が地下だったら徒労ね」

内部の探索は通電してる配線や稼動してる設備が無いか人が入った痕跡があるかを中心に調べる。ロックされた扉は罠に注意しつつ銃撃や『踏みつけ』『ガンヘッドバラージ』で壊す。
「海兵隊の特殊爆薬があれば扉を焼き切るのが簡単なのだがな」

内部が暗闇の場合はUHEDデバイスの「暗視」で視界を確保し探索を行う。
「敵が暗闇に無造作に手がかりを残してくれる間抜けなら助かるのだけど」


仁上・獅郎
恋は盲目とは言いますし、若い子ほど視野狭窄になりがちなのは仕方ない事ではありますけれどもね。
しかし、そのような香水を売る理由とは……?
怪しい物品であることは間違いありませんが、さて、どういう狙いなのやら。

【WIZ】
他の方が隙を作ってくださっているなら、廃墟への侵入は容易。
件の香水の製造部屋の方、手早く探してみましょうか。

廃墟なら埃が積もって当然。
その当然ではない場所……埃の積もっていない場所は、すなわち人がよく踏み入る場所です。
他には重い物を引きずった跡だとか、床や壁についた傷だとか。
そういう人がいた痕跡、違和感のある場所を探してみれば、きっと隠された部屋を暴くのはさして難しくはないでしょう。



●暴かれるのは……
 金髪の、未だ少女と言ってよい年の女性……レヴィア・ストレイカー(植民地海兵隊強襲歩兵・f03587)を始めとした3人は、屋上からの探索を試みていた。
 ひとまず、目視できた範囲では建物外部に不審な点は見られない。

「死体が材料かもしれない香水かぁ。ちょっと貰ってみたいかも。あ、あくまで研究材料としてね!」
 そのためにも、製造場所を見つけなくちゃと、張り切って任務に当たる三千院・操(ネクロフォーミュラ・f12510)。
 彼は、色々なルートを当たって入手した工場の地図を広げる。それを覗き込む3人。
「目標が地下だったら徒労ね。」
「そこはさ、見つけ出せればいいんだよ!」
 レヴィアがぽつりと、ちょっと後ろ向きに一言。しかし、操はあくまで前向きだ。

 この中では年長の、仁上・獅郎(片青眼の小夜啼鳥・f03866)が首を傾げる。さて、どういう狙いなのか。恋は盲目。若者なら尚更。
 しかし、そこにつけこむ商売にしては、単価が安い。
「それにしても、そのような香水を売る理由とは?怪しい物品であることは間違いありませんが。」
「金目当てにしては騒ぎが多すぎる……敵の狙いは金以外の何か。」
 この世界は、魔術的な犯罪や異形の神性に由来する事件が多い。おそらくは、この件も。

 ゆっくりと、なるべく物音を立てないように階段を降りてゆく。
 5階建ての大規模な倉庫。5階、4階と歩を進め、地図を踏まえて捜索する。そして3階に。
 一区画ごとが広かったこれまでのフロアと比べて、ここは真ん中に大きな空間があるとのことで周囲の区画は狭い。

 配線に目をやるレヴィア。彼女は通電してる配線や、稼動が考えられる設備が無いかを確認している。
 獅郎は床を注視する。廃墟はとかく、埃が積もるもの。
 そうではない箇所、すなわち埃の積もっていない所はきっと、人がよく踏み入る場所。
 重い物を引き摺る跡、床や壁の不審な疵。
 予知が外れていなければ、この建物の中で香水の製造は行われているはずなのだ。

「……この壁、近くに埃が少ないですね。あちらの壁は積もっているのですが。」
「確かにおかしいね。」
 獅郎が、ある壁を注視する。地図の上では、扉などがある壁ではない。
 しかし、フロアの中心にある空間に面する壁だ。もしかすると。

 操がコツコツと壁を叩く。返ってくるのは、軽い音。
 例えば、身の詰まってないスイカのような。
「よし、おれに任せて。おおよその術式だったら理解できちゃうもんね!」
 魔導書のUDCをその身に宿した操は、魔術的な事柄に強い。
「あ、ここ。偽装の術がかかってる。でも、初歩的だね。」
 ネクロオーブを翳せば、たちどころに現れる一枚の扉。
 これは地図にはない。つまり、後から設置されたもの。

 扉を開けようとする。が、開かない。ドアノブがガチャガチャという音を立てるので、鍵がかかっているだけのようだ。
「海兵隊の特殊爆薬があれば扉を焼き切るのが簡単なのだがな……。」
 金属さえ融かすアレが、今あったなら。少し悔やむが、今はこの扉の突破に集中しよう。
 操の魔術的な走査で罠は無いと判断できた。
 壁を魔術的に隠したことで安心して、ここは物理的なロックしかかけなかったのか?
 レヴィアが、持ち前の膂力で踏みつけるように蹴り抜き、扉を蝶番や鍵ごと破壊する。

 そして、進んだ先には――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

マヤ・ウェストウッド
「『匂い』ってのは寡黙にして多くの事を語ってくれる。そのヒトトナリ、備わる力量、感情のゆらぎ……何でもさ」
・犬並みの嗅覚(野生の勘)で廃墟周辺のニオイを解析し、香水と思しき芳香とは異なる臭気の有無を嗅ぎ分け、その元を辿るように捜索を試みる
・廃墟なので道を遮る瓦礫がある場合は[怪力]を使用
・荒事になる場合に備え義眼に仕込んだ重力子加速装置をスタンバイ。戦闘時は[先制攻撃]として[ダッシュ]で肉薄して[零距離射撃]を試行。[恫喝]スキルも準備
「『匂う』ねエ……甘くて蠱惑的なトップノートの後ろに控えているは明らかな殺意。そしてラストには虚無が広がる香調さ。まあ、アタシ香水はよく分からンけど」


シャルロット・ルイゾン
フィラメント様(f09645)と同行。

【SPD】
アドリブ歓迎。

どんな人をも虜にする香水、ですか。
フィラメント様、恋とはそれほどまでに人間を狂わせるものですの?
……そう、恋とは哀しいものなのですね。

共に廃墟への侵入を試みます。
売人の女性の行動の痕跡を視力や暗視、第六感を活用して情報収集しながら探してみます。
見つけられたら学習して覚え、追跡を試みますわ。
見つからないならさらに聞き耳も活用して周囲との差異のある場所を探しましょう。

ええ、任されましたわ。
ですから、警戒や罠などの調査はフィラメント様、あなたにお願い致しますわね。


フィラメント・レイヴァス
【シャルロット(f02543)と共に行動】

どんな異性でもころっとオトせる香水ねえ
随分と愉しそうな話だけれど
そうだね、シャルロット…
恋というのは…時に酷く醜悪なものになるんだよ
手段を選ばず、禁忌を犯す程だ
その様、見ている方は愉しいけど
犯す方は、命懸けだからね
恋に狂った人の末路は悲惨なものだよ

潜入は慎重に【忍び足】で【目立たない】ように気をつけよう
施錠された怪しい扉があれば【鍵開け】を試みようかな
情報収集は君の方が得意そうだから
シャルロットにお任せして
わたしは潜入や隠密行動に専念しよう
目指すは製造場所だね
鋼糸やワイヤーを駆使しながら、罠にも警戒
危ない場所があるなら、わたしの【絡新婦】を先行させるよ


斬断・彩萌
香水のわざとらしい香り☠️☠️☠️ってむっちゃ臭くない?ファンデとかその辺と混ざるとケバさ🗿💋がまじヤバおだし、ちゃげば消臭剤かけたくなるわー。あ、効能の方は興味ありまくりなので調査✒️🔍は真面目にやらせて頂き候う~✨✨

【POW】
とりま姉ギャとか嬢で知ってそうな人いたら『コミュ力』で積極的に情報探ってくわ。場所は分かってるし積極的にGOよ!
廃墟って段階で怪しさ大爆発丸なんですけど~胡散臭すぎワラ
他の猟兵が交渉してる隙に潜り込んだら、箱詰めになってる物とか調べつつ行動範囲広げてく感じで。
最悪退かせなかったら壊せば良いっしょ。音は出さないように気を付けて、サククッっと進んでこ!

※アドリブ歓迎



●廃墟に花
 殺風景な廃墟に花が咲く。ただしそれは、美しく手折られるだけの存在ではない。
 刃備えた剣呑な花である。

 彼女らは、売人の中年女性が先発の猟兵に気を取られている間に、するりと潜入を果たしていた。
 下の階から徐々に上へ歩を進める探索となる。
 女の目をすり抜けて2階へ。

「『匂う』ねエ……甘くて蠱惑的なトップノートの後ろに控えているは明らかな殺意。そしてラストには虚無が広がる香調さ。」
 アタシ香水はよく分からンけどね、と軽口を叩くマヤ・ウェストウッド(宇宙一のお節介焼き・f03710)は、その獣相に起因する鋭い嗅覚で周囲の違和感を探る。
 蘇芳色の芍薬のようなマヤはこの中で最も年長だ。
 戦いの中に身を置いて生きてきた彼女は、姉のように、教師のように少女らに語る。
「『匂い』ってのは寡黙にして多くの事を語ってくれる。そのヒトトナリ、備わる力量、感情のゆらぎ……何でもさ。」

 マヤのすぐ後ろを行くのは鋭利な菖蒲。
「ってゆーか、廃墟って段階で怪しさ大爆発丸なんですけど~。胡散臭すぎ~。」
 不敵な笑みを浮かべた斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は、廃墟での合流前に繁華街へも足を伸ばしていた。
 持ち前の社交力を発揮して、流行に敏感な女性達や夜の蝶に聞き込み。情報は合致するものが多ければ多い程良い。
 先に聞き込みをしていた猟兵の情報と合わせて、確実な裏を取る。絶対にここはクロだ。

「香水のわざとらしい香りってむっちゃ臭くない?ファンデとかその辺と混ざるとケバさまじヤバおだし、ちゃげば消臭剤かけたくなるわー。」
 ちょっと難解な、年頃乙女の言葉を巧みに操る彩萌。
 白粉と香水が混ざった匂いは、悪い意味でよく香る、といった趣旨だろうか。

 ともすれば蓮っ葉な印象になりかねない口調だが、その目を見れば彼女が真剣に任務に当たっていることは一目瞭然。
 10代の少女として、そんな素敵な香水があれば興味が湧くではないか。材料が何かはともかくとして。
 何かあれば私が動こう。荒事なら、きっと自分が一番速い。

「どんな異性でもころっとオトせる香水ねえ……随分と愉しそうな話だけれど」
 そしてしんがりは二輪の薔薇。清廉な白と馥郁たる紅。
 シャルロット・ルイゾン(断頭台の白き薔薇・f02543)とフィラメント・レイヴァス(シュピネンゲヴェーベ・f09645)の二人が、廃墟に似つかわしくなくにこやかに微笑む。

 人形めいて整った顔に、ふんわりと疑問符を浮かべてシャルロットは友に問う。
「恋とはそれほどまでに人間を狂わせるものですの?フィラメント様。」
「そうだね、シャルロット……恋というのは……時に酷く醜悪なものになるんだよ。」
 髪を揺らし、廃墟に響かぬよう囁くフィラメント。
 手段を選ばず、禁忌を犯す者すらいる。観客は愉悦を感じれど、演者は命懸け。恋に狂えば末路は惨憺。
 友の語る言葉に、白薔薇はそっと睫毛を伏せる。
「……恋とは哀しいものなのですね。」

 天が彼女らに味方したのか。
 誰にも見つかることなく、2階を探索し終えて階段を昇る。

 彩萌は普通に歩いているように見えて、足音を全く立てていない。
 廃墟に放置されている戸棚や段ボールを開けて調べるが、怪しい物は無く。
 しかし、怪しい物が見つからない、ということは要するに【香水に関する物は全部、隠匿された中にある】ということだ。

 同じく、足音を立てぬフィラメントは人形の懸糸――鋼糸を己の指先であるかのように操る。
 侵入者を阻む罠があれば一大事。幸運なことに、今のところはそういった物に出くわしてはいないが、念には念を。
 その横で、シャルロットは琥珀色のドールアイで周囲を見回す。その眼は、暗がりさえも見逃さない。
 勘の鋭い彼女は、一つの壁に目を付ける。

「この壁……ほんの少しだけ色が明るい気がしますわ。それに、一部が少し擦れているような。」
 シャルロットの見立ては、本当に微細な差。僅かな擦れやへこみ。普通に見ただけではよく分からない。
 他の裏付けをと、壁を検分する4人だったが、聞こえてきた足音で一時中断する。

(シッ!皆、ちょっと隠れるよ!)
(何ナニ、アクシデント発生系~!?)
 口元に指を当てたマヤが、少女達を制止して物陰に隠れるよう小声で促す。
 すると、先刻4人が通ってきた階段を昇って、中年女がやってくるのが見えた。単独のようだ。

(あのマダムは……。)
(下に居た、売人だね。)
 女は迷うことなく、先程までシャルロットが怪しんでいた壁の前に立つ。
 壁紙の継ぎ目に爪でも差し込んだのか、それとも指に力を入れているのかは分からないが……壁が、動いた。
 下の石膏ボードごと動かしたと見える。
 
 現れたのは、一つのドア。見たところ、それそのものは普通だが。
 女は懐から取り出した鍵でカチャリと開けると、その向こうへ消えた。
 ガチャンと閉まる音が響く。

 女は去った。戻ってくる予定があるのか、壁紙の板はズレたまま。
 ドアノブを回してみるが、自動で鍵がかかるのか固く拒絶される。
「ワクワクじゃん?」
 彩萌が目を細めて笑う。扉の奥は、宝箱かびっくり箱か。

「では、ここは私が受け持とう。」
 フィラメントは器用な指先で針金やヘアピンの類を操り、いともたやすく鍵を解いてしまう。
 戦場や荒事慣れしているマヤが先頭になりドアを開けた。

 先は通路か何かになっているのか、空間を区切る柵が見える。その先は低く作られているのか、ここからではよく見えない。 

 扉を開けた瞬間に感じた微かな匂いに、マヤは顔を顰めた。
 ほんの僅か空気に混じるこの匂いは、嫌という程かつて嗅いだ。平和な街であるならば、病院や葬儀場以外にはあってはならないもの。

 そして足を進め、その眼下にあったものは……

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『オブビリオンの秘密工場』

POW   :    兵器を直接破壊する。

SPD   :    兵器に関する資料を探し出す。

WIZ   :    関係者に兵器の詳細を聞き出す。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「な、何なのこれ……。」
 誰かが、思わず言葉を溢す。

 二手に別れた猟兵達は、それぞれ別のルートから扉を開けた。
 奇しくもどちらも3階。おそらくは対角線上。
 片方は魔術的に隠されていて、もう片方は普通の偽装。
 その扉を使う者の、地位や能力で違うのだろうか?

 眼下は香水の製造場所。グウェンドリンの予知では、そう聞いていた空間。
 視線を向こうにやれば、同じような高さにある通路に別のグループが居るのが見える。
 広さはおおよそ、学校の体育館くらいだろうか。2階と3階を貫く、吹き抜け状の構造になっている。
 青年魔術師の持つ地図によれば、元は冷凍品を置いておく倉庫。

 何人かの作業員と思しき人物や、売人の中年女らしき人影以外、立っている者はいない。
 距離があるせいか、まだこちらには気付いていないようだ。
 ピッキングをして侵入したチームはともかく、もう一方は扉をぶち抜いてきたのだが、それにも気が付かないのか?

 2階部分の奥、上から降りてきたグループに近い辺りには、大きな両開き扉のようなものがある。
 下から昇ってきた4人のグループは、あの扉に相当するものを、2階で目にしていないはずだが。

 目の前に広がるのは、病院のようにベッドが並ぶ大部屋。
 そのベッドの上に横たわる人々は皆、頭部を覆うようなヘルメットか、ヘッドセットのようなものを装着していた。
 そこから伸びる管には、赤い液体と黄色い液体で満たされている。
 微動だにしない彼ら彼女らは、唯一露出している口元に、一様に笑みを浮かべているのだった……。
マヤ・ウェストウッド
「この赤と黄色は……ケチャップとマスタード? 犬耳のアタシへの当てつけってンなら、ピクルスは抜きで頼むよ。ニガテなんだ」
・まず速やかにベッドに横たわる人達に近づき、[医術]で安否を確認
・装置を無闇に無力化するとベッドの人が危なそう([野生の勘])
・熱線銃や宇宙二輪を扱うマヤからすれば、現代地球の機械技術など玩具に等しい。装置の仕組みについて観察し、仲間達に情報を共有する
・いざとなればベッドの下でやり過ごす
・隠密行動が有効でない場合、義眼に仕込んだ重力子加速装置でセキュリティをリノリウム床にキスでもさせておき、装置の仕組みや施設の用途、香水ディーラーの女の事についてインタビュー[恫喝]する


仁上・獅郎
あのチューブ内の液体は一体……?
赤は血だとしても、不可解です。
人体で黄色といえば脂肪や胆汁、尿……少なくともアレはそれらではない、ハズですが。
……いえ、考えるのは後です。今は彼らの救出を。

まずは身を隠しながら、作業員に接近しその作業を観察。
資料でもあれば拝借しましょう。
どういった工程で何が行われているかわからなければ救助のしようがありません。

それでわからなければ、好ましくない手を取ります。
他の関係者の視界から外れた人に接近、拳銃を突きつけます。
わかりやすく[恐怖を与える]事で、従順になってもらいましょう。
「……此処で何を行っているか、お聞きしても?」
あくまで冷静を装い、敬語は崩さないまま。


胡・翠蘭
「ああ、嫌な臭いですこと。この世ならぬ腐臭。……"この世ならぬ芳しさ"……でしたら、よかったのに」
はぁ…。夜目が利くというか…『暗視』できちゃうから、見たくないものまで見えちゃうのよねぇ

【SPD】
『明鏡止水』を発動させて、忍び足で部屋の中を調査
冷凍庫…なるほど、材料を補完するに申し分ない設備があったわけね
さて、ベッドに横たわる人たちの事も調べなきゃ
……助かりそうなら助けたいけれど、どういう立場の人か、カルテとかないかしら
服装や年齢を観察しつつ、付けられたヘッドセットや赤い液体、黄色い液体の成分とか、調べられるなら分析したいけど……
とりあえず、わかったことがあったら仲間と情報を共有しましょう



●忍ぶ人々
(この赤と黄色は……ケチャップとマスタード?ピクルスは抜きで頼むよ。ニガテなんだ。)
 犬耳生やしたホットなベイブ、マヤ・ウェストウッド(宇宙一のお節介焼き・f03710)が、唇を引き結んだままジョークを囁く。

 ベッドの上でピクリともせず、笑みを張り付けたままの人々。その一人に、マヤは近づく。
 見つからないよう、ベッドの下に隠れつつだ。
 呼吸は、ある。小さく浅いものだが胸は上下している。
 しかしながら、この装置を下手に外そうものならこの人はどうなるか分からない。
 見たところ、管を通って装置に送り込まれている液体は……人々に装着させられた頭の装置から送り込まれている。
 それとなく、ジェスチャーでこの装置は危ないと伝える。

 部屋の中を自在に動き回る、見えない影が一つ。
 曇りなき明鏡止水の心境を得た胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)である。
 一点の曇りなき文字通りの氷肌玉骨となった彼女は、全く疑われることなく作業員の横を通り過ぎる。

("この世ならぬ芳しさ"……でしたら、よかったのに。まさか、こんな光景から香水が作られているだなんて。)
 暗視により見えるものもある。 
 それだけでない。解語の花として生きてきたからこその、人間の暗い部分も識る翠蘭の心には、重いものがこみあげてくる。

 目の前の微動だにしない人々。
 助けられるものならなら助けたい。この頭の装置をそのまま外すのは危ないと、向こうでハンドサインしていたマヤが言っていた。
 翠蘭はカルテを探す。年齢や名前、どういった人だったのかを読み取る。 
 カルテの走り書きからは、今目の前にいる人はホームレスの男性で、健康体だったことが見て取れる。

(あのチューブ内の液体は一体……?赤は血だとしても、不可解です。黄色を呈するといえば脂肪や胆汁、尿……少なくともアレはそれらではない、ハズですが。)
 考えるのは後にし、人々の救出を先に思案する仁上・獅郎(片青眼の小夜啼鳥・f03866)は、気配を殺して作業員を観察する。
まずは身を隠しながら、作業員に接近しその作業を観察。
 彼らの目を盗んで、カルテや資料をサイドテーブルから失敬する。カルテによると、こちらは家出をした少女らしい。

 獅郎が目を通した資料には、いささか信じがたい……むしろ、信じたくない内容が書かれていた。

●命の香り
 あのヘッドセットらしきものから内側へ伸びた微細な針は、耳の奥を貫いて、着けさせられている人々の脳に到達しているのだ。
 その針は脳において愛情や快を司る部分……A10神経を刺激して、脳内麻薬を過剰に分泌させている。
 更に、このUDCアース世界の魔術を使って調合された薬が針を伝って注入され……薬によって徐々に溶けゆく脳と、血管にも満ちた脳内麻薬を湛えた血液が、別の針を伝って管から抽出されているらしい。
 生物は、死に直面した時が最も【昂る】とも言われている。
 薬品により過剰に分泌させられた脳内麻薬と、脳が溶けゆくことで認識した死と。
 それらが合わさって、香水の成分になっている、というのだ。

 つまり、無理矢理ヘッドセットを外した場合、人々は……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レヴィア・ストレイカー
「映画で人々を魅了した香水の正体が多数の死体が浸かった液体だったと言うのが有ったけど・・・似た様な状況に自分が遭遇するとは」

調査や尋問の妨げにならない様にセキュリティーシステムや迎撃機構を迅速に無力化を狙う。
その際に液体の危険度が不明な為に施設への被害が最小限になる様にし、被害者に危害が及ばぬ様に注意する。
「調査は任せました、物理的障害は自分が排除します」
「助けられる限りは助けたいが・・・これは甘い考えなのでしょうね」

兵器に対しては液体が絡む攻撃を警戒し近接攻撃はせずにM56スマートガンで距離をとって狙撃、UA571セントリーガンは味方に向かう敵を攻撃させる
「派手に撃つだけが海兵隊ではない」


シーラ・フリュー
何とか、上手く…?切り抜けられました…。他の方も潜入できたようですし、まずは一安心です。
引き続きお役に立てるように、頑張らないと、です…。

しかし…何でしょうか、ここは…。
ベッドがたくさん…それにヘルメットに、笑顔…。何だか不気味ですね…。

【SPD】判定
先ほどの中年女性を尾行して…できるなら、誰かと合流したいですが…。

今回も【目立たない】ように…今度は見つからないように、気を付けます…。
もし棚や引き出しがあれば、良さげな資料がないか見てみます。
個人的には、ここで何をしているかが気になります…。
何をしているか、とかそういうのが書かれた、計画書みたいなものとか…無いでしょうか…?



●血と命
 命が刻一刻と奪われているのにも関わらず、悲鳴も声も聞こえない。異様な空間
 その中で、先の3人と時を同じくして動く猟兵の姿があった。

 なんとか切り抜けて潜入を果たしたシーラ・フリュー(天然ポーカーフェイス・f00863)は、目立たないよう、物陰に隠れながらそれとなく周囲を窺う。

(頑張らないと、です……。)
 心の中で気合をいれるシーラ。
 しかし一体ここは何なのだろう。整然と並んだ大量の寝台。
 人々の、ヘルメットのようなヘッドセットに、笑顔。異様というか、不気味だ。

 こっそりと、見つからないように。
 作業員と思しき白衣の人々の視線や、さっき話した中年の女の視線を掻い潜る。
 息を殺して、隅の机に置かれていたファイルをくすねて懐へ。
 そのまま、目立たず、目立たず、死角になる棚の陰へ。

(一体、ここで何をしているのでしょう……気になります……。)
 くすねたファイルを開けば、踊る文字列。
 それは、シーラには俄かに理解しがたい物ばかりだった。

【我ら教団の崇める邪神は、人間の感情をお召し上がりになる。】

【この街そのものが魔法陣。】

【失踪してもリスクのない人間を有効利用。】

【魔法薬と溶解した脳の混合液を、我らの主神へ葡萄酒として捧げよ。】

【お飲み残しになったものを香水として流通させ、人間の激しい感情を喚起させよ。】

【街に溢れる激情と狂気をお召し上がりになり、ご満足いただけた時。主神は十全の力を持って降臨される。】

(なんですか……なんなんですか、これは……。)
 シーラは、途中まで読みかけたファイルを思わず閉じる。
 信じ難い。こんなことを考える人が、この世にいるだなんて。

(人々を魅了した香水の映画が有ったけど……似た様な状況に自分が遭遇するとは。)
 レヴィア・ストレイカー(植民地海兵隊強襲歩兵・f03587)は、かつて観た映画を思い出す。
 あれも、ヒトから作られた香水の話だった。最期、主人公の男はどうなったか。
 視界に飛び込むのは、笑顔以外に生命活動の気配が感じられない人々。
(助けられる限りは助けたいが・・・これは甘い考えなのでしょうね。)

「調査は任せました、物理的障害は自分が排除します」
 ずっと隠密に徹してきた猟兵達だが、ついにレヴィアがついに派手な音を立てて行動を開始する。

「派手に撃つだけが海兵隊ではない」
 素早く、部屋のセキュリティシステムへ一発。
 たちまちのうちに無効化される。おそらく、魔術的に隠されていないドアのオートロックはもうかからないだろう。

 突然の銃声に驚いた白衣の人物達や中年の女は、先程までの静けさはどこへやら。
 慌てふためき、文字通りの右往左往。
 丸腰で、攻撃してくる様子はないようだ。
 銃口を向けたまま、レヴィアは彼らに問う。
「ここで、何をしているの?」

 白衣の人物たちは、互いに顔を見合わせて。うわ言のように喋りだす。
「バレるはずがないのに……。」
「やっぱり、抽出中に逃げた奴のせいかなぁ。」
「ぼ、ぼくは悪くない!薬の効きづらい個体が悪いんだ!」
 そのうちの一人が、同じように銃口に脅える中年女に言葉を投げかける。
「ヒシノキさん、貴女がつけられてたんじゃないんですか!」
「わ、私は悪くないわよ!逃がしたシオハラが悪いんでしょ!」
 つけられていたのは事実だ。しかし、彼ら彼女らの行いが原因である。
 逃げた奴、というのは恐らく変死体として見つかった人の事だろう。永く、生きられなかったのか。
 レヴィアは呆れながら、彼らの責任のなすり付け合いを眺めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィラメント・レイヴァス
【シャルロット(f02543)と共に行動】
【SPD】

成程、これが香水を作る為の装置と原料って、ところなのかな。
科学知識と医療知識的に仕組みは気になるところだけれど…
こういうのは趣味じゃないんだよね

人に取り付けられてる装置はシャルロットに任せるよ
君の方が得意そうだしね
安心して、じっくり調べてくれていいよ
調査中の警戒はわたしがしておくから
張り巡らさた鋼糸、わたしと【絡新婦】の巣に引っかかったら直ぐに対処しよう

余裕があれば
わたしは大元の機械や周囲に手掛かりになりそうな物が周囲にないか調べてみようかな
それにしても…良い夢でも見ているかのようだね
このままなら二度と覚めない夢
夢を夢と認識せぬままなら幸せ?


シャルロット・ルイゾン
フィラメント様(f09645)と同行。
アドリブ歓迎。
【SPD】

不可思議な空間ですわね。
フィラメント様、わたくしたちはここを詳しく調べてみましょうか。

わたくしは並ぶベッドに近づいて装置を調べてみますわ。
視力、聞き耳、暗視、学習力、第六感を駆使して情報収集を行います。
加えて、わたくしの医術の知識と学習力で得た情報の分析も致しましょう。
装置がどのように装着されていて、管はそれぞれどことどこを繋いでいるかをまず調べてみますわね。
加えて、彼らの状態も診てみますわ。

装置や装着されている人々についての資料なども見つかると良いのですけれど……。
フィラメント様、そちらはなにか見つかりまして?



●血と薔薇
「成程、これが香水を作る為の装置と原料って、ところなのかな。」
 戦乙女に銃を突き付けられ、研究員らしき人々や売人の女が動けぬ間に、猟兵達の調査は進む。
 フィラメント・レイヴァス(シュピネンゲヴェーベ・f09645)とシャルロット・ルイゾン(断頭台の白き薔薇・f02543)の、愛らしい少女二人も。
 この無機質で、異様な空間には可憐さだが……その眼は、油断なく鋭い。

「フィラメント様、そちらはなにか見つかりまして?」
 不可思議な空間。生きているはずなのに、生きているように見えない人々。
「ああ。これは……何てことだろう。」
 シャルロットと一瞬目線を交わし、手に持ったファイルへ視線を落とすフィラメント。
 ファイルは、同時に突入した他の猟兵が手にしているのと同じもの。
 記述されていることは、俄かには信じがたい。
 科学や医学に明るいフィラメントだが、その仕組みに顔を背ける。
 ーー典雅でない。

「装置についてはシャルロット、君に任せるよ。得意そうだしね。」
 フィラメントはそう言いながら、己の懸糸傀儡【絡新婦】を呼び出し、指と彼女を繋ぐ鋼糸を空間内に張り巡らせる。

「承りましたわ。」
 シャルロットはまず、横たわる人の様子を見る。そして、ほんの僅か上下する胸元に耳を近づけて心音を聞く。
 目の前の人は自発的に呼吸をしていて、心臓も動いてはいる。鼓動も弱く、脈拍は遅いものの。
 ヘッドセット状の装置と、その本体である抽出の機械へ調査は移る。

 シャルロットは、ヒトの体の仕組みに詳しい。その知識と、持ち前の明晰さで装置を調べる。
 しかし、知識と理解が追い付くが故に感じてしまう、厳しい事実もある。

 先程、もう一人の少女が目を通していた資料の記述は本当だ。
 この器具の内側に取り付けられた微細な針は、装着させられた人の耳の内部を突き破って脳に達している。針は脳のA10神経をピンポイントで刺激しており、脳は絶え間ない快感に浸かりきっているらしい。
 そして、注ぎ込まれた薬がその脳を溶かす。すぐに死んでしまわぬように、じわじわと。
 血液共々、管を通して装置へ流し込まれ、あらゆる意味での【上澄み】は彼らの神への供物に。
 そして、残りは香水の材料に。
 死に瀕した脳から産み出された物質と、魔術薬の化合物は、嗅いだ人間に強烈な情動をもたらす。

 既に薬を流し込まれた人々を、健康体として救うことは難しそうだ。
 悲しみを表に出さぬまま、顔を上げて辺りを見渡す。
 暗がりに仕掛けなどないだろうか。先程の、発砲前と何か違うものは?自分の勘に引っかかる、怪しい箇所は?
 今のところ、何かおかしいものはないけれど……研究員や売人の女が、何かを呟いているのが見える。
 先程の口論の続きだろうか?いや、それにしては静かだ。
 
 フィラメントは、二度と目を覚まさないであろう人々を見て、呟く。
「良い夢でも見ているかのようだね……このままなら二度と覚めない夢。夢を夢と認識せぬままなら幸せかな?」

 ――そして、絡新婦と繋がる懸糸が、不意に動く。
 あの子が居る方向は確か、どことも繋がらない大きな扉に近い。

 その、両開き扉が突如としてゆっくりと開きだした。奥から出てきたのは……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『牙で喰らうもの』

POW   :    飽き止まぬ無限の暴食
戦闘中に食べた【生物の肉】の量と質に応じて【全身に更なる口が発生し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    貪欲なる顎の新生
自身の身体部位ひとつを【ほぼ巨大な口だけ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    喰らい呑む悪食
対象のユーベルコードを防御すると、それを【咀嚼して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

胡・翠蘭
「人間の感情が好物の邪神ねぇ…ま、邪神らしい悪趣味さではあるけれど」
被害者が出るような事件を起こしたのが運の尽きと思ってくださるかしら、…ねぇ?

【SPD】
嫌な予感しかしない相手ねぇ、邪神って。
とりあえずは第六感と野生の感に頼りつつ、邪神の攻撃は見切って回避に専念ね
隙が生まれたら、袖から甘露を取り出して舐めるか…邪神の攻撃が私を掠めたり、回避し損ねて喰らってしまったなら…
それをスイッチに、ユーベルコードを発動させましょう
痛みも、激痛耐性と序でに呪詛耐性もあれば…なんとでも、脳内麻薬も合わさって、快楽に転じるかもしれないものね?

「最期が強い快楽の感情の中で眠れるなんて、幸福だと思わないかしら?」


レヴィア・ストレイカー
「神と言うからどんな姿かと思えばB級ホラー映画以下の姿ね」

他の部位より口腔内の方がダメージを与えやすいと考え、『一斉発射』『範囲攻撃』を使いM56スマートガンとUA571セントリーガンで口腔内を狙い撃っていく
「そんなに腹が減ってるなら自分が海兵隊式の大盤振る舞いをしてやる!存分に食らいやがれ!」

口で他者を捕食しようとするならプラズマジェットを使用した『踏みつけ』で妨害する
「これ以上、人の命を食い荒らさせない!」

ガンヘッドバラージを使用し口腔を潰す事を狙う。また借用された場合はプラズマジェットでその地点を離脱する
「コレでお前の口を封じてやる」
「防が・・・くそ、利用された!厄介な攻性防壁だな」



●邪神きたりて
 いつの間に、開いていたのか。
 両開きの大扉が観音開きになったかと思うと、その奥から異形の黒い存在がゆっくりと進み出てくる。

「おお……神よ!我らの主神……!」
「どうか!どうかあの不届き者に神罰をお与えください!」
 研究員や売人の女――施設の関係者達が、指を組んで異形を拝む。……ついさっき、何か喋っているように見えたのは、祈りの文句を唱えていたのかもしれない。

「神と言うからどんな姿かと思えばB級ホラー映画以下の姿ね。」
 祈る者どもを一瞥し、黒き異形に目線を向けるレヴィア・ストレイカー(植民地海兵隊強襲歩兵・f03587)。
 何だか、昔遊んだゲームを思い出させる。思い出したくないが。
 あれは確か、異形の手により火星に駐屯する海兵隊員が、いたましい姿になっていなかっただろうか。

 嗚呼嫌だと言いたげに、優雅に袖で口許を隠す胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)は、薄く笑みを浮かべて黒い異形を観察する。
 湧いてくるのは嫌な予感ばかり。
(人間の感情が好物の邪神ねぇ…ま、邪神らしい悪趣味さではあるけれど)
 足がつくようなことをしでかしたのが運の尽き。
 もしくは、薬にすら抗って逃げ出した被験者の勇気を称えるべきだろうか?

 レヴィアは語気に力が入る程激昂していたが、戦闘に関しては冷静だ。
「そんなに腹が減ってるなら自分が海兵隊式の大盤振る舞いをしてやる!存分に食らいやがれ!」
 おそらく、あの体そのものは頑丈だ。しかし、粘膜が剥き出しの口の辺りならどうだろう?
 口の中を目掛けて銃弾の雨を降らせるように、愛用の銃火器を向ける。
「AIFCS起動、各目標をロック、敵を撃滅するっ!」
 全武装を展開した一斉掃射――ガンヘッドバラージが、邪神の口の中を狙う。
「コレで!お前の口を、封じてやる!!」

「……………………。」
 邪神は呻きもせず、泣きもしない。
 しかしレヴィアは見逃さなかった。奴は今、仰け反った。

「……っ!」
 持ち前の「女の勘」で、邪神の大顎から逃げようとするも、肘から先を袖ごと持って行かれる翠蘭。
 だが、これこそが反撃への好機。
 黒き異形の口へ、腕と袖が消える寸前に、対の手中へ忍ばせたのは甘い甘い露。
 それを口に運び、頭の中でスイッチを切り替える。

 痛みは感じない、耐えられる。
 邪神に体を喰われる等呪いに等しい。しかし、平気だ。
 頭の中を、エンドルフィンが駆け抜ける音がする。嗚呼、この痛みは……快感だ。

 香水よりも甘く蠱惑的な微笑みを、邪神に向ける。
「ふふ、……甘くて深い泥濘の沼に堕ちてしまいましょう?」
 まるで誘うように呟いたかと思えば、邪神に触手が絡み付く。その触手も、女が腕や脚を絡めているかの如く艶かしい。
 ギチギチと触手が異形を締め上げれば、邪神は悲鳴をあげないまでも、やはり身じろぎ。
 
「強い快楽の感情の中で眠れるなんて、幸福だと思わないかしら?」
 呟くのはある種の意趣返し。
 犠牲者たちのように快感と微睡みのうちに死んで行くなら……それはきっと、幸せだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィラメント・レイヴァス
【シャルロット(f02543)と共に行動】

これは思っていた以上に醜悪だなあ…
同じ“化け物”であっても、わたしの傀儡みたいに芸術性が感じられないとね
「フェイント」や「騙し討ち」で翻弄しつつ、攻撃を叩き込む機会を伺う

終幕へと辿ろうじゃないか
【ブラッド・ガイスト】で操る糸を伝い、絡新婦とSireneにわたしの血液を与え
とっておきの姿で戦ってね
絡新婦は体内に仕込んだ「毒」と「マヒ」で動きを止め
Sireneは敵の動きが鈍ったところで
「傷口を抉り」「生命力吸収」を
美味しくなさそうなご飯だけれど、致し方ない
腹ぺこになったこの子達の獰猛さを
どうぞ、ご堪能あれ

散々罰として拷問された後は
さあ、いよいよ判決の刻だよ


シャルロット・ルイゾン
フィラメント様(f09645)とタッグ

ええ、本当ですわね。
フィラメント様の傀儡とは比べようもないくらいですもの。

わたくしも、フィラメント様と並んで人形たちを操ります。
フェイントを駆使して翻弄しながら
相手の攻撃パターンを学習致しますわね。
消耗は控えるべく、見切りやミレナリオリフレクションでの相殺を試み
隙があればカウンターで傷口を抉り攻勢に転じますわ。

こちらから攻撃する際にはVierge de Ferで串刺しと吸血による2回攻撃と生命力吸収。
そして、Chambre à Gazからの毒もフィラメント様の傀儡の毒に重ねましょう。



●断罪の花
「これは……思っていたよりも醜悪だなぁ……」
「ええ、本当ですわね。」
 フィラメント・レイヴァス(シュピネンゲヴェーベ・f09645)とシャルロット・ルイゾン(断頭台の白き薔薇・f02543)は、顎の魔物の存在を認識すれば、そのかんばせに翳りを浮かべる。
 フィラメントは思う。この化け物には、己の操る可愛い傀儡達のような芸術性がない。ただ醜悪なだけだ。造形した者がいるとしたら、きっとそいつは自分と話が合わないだろう。

 美少女二人が、それぞれの十指に糸の結ばれた指輪を纏う。
 フィラメントの操る《絡新婦》と《Sirene》、シャルロットの操る《Vierge de Fer》と《Chambre à Gaz》、四体の懸糸傀儡が滑るように二人の前に現れる。

 邪神は無機物と有機物の区別が付いているのか、人形を操る少女そのものを狙おうとする。
 しかし、二人は糸を引いて人形を巧みに操る。それはまるで生きているかのような。
 異形の大顎がフィラメントに迫るかと思えば、間髪入れずに絡新婦が間に入り、邪神に蜘蛛の麻痺毒を注ぎ込む。
 シャルロットも、巧妙にフェイントを入れて惹き付けながら、この無言の邪神の攻撃パターンを探る。
 フィラメントが麻痺毒を注ぎ込んだ傷を、シャルロットのChambre à Gazが狙い、抉って毒を重ねる。

「ここまでですわ。悪いことをしたお方は……お分かりになりますわね?」
 邪神の太い腕が大顎に変じ、シャルロットに襲いかかる……が、その牙は彼女の傀儡、Vierge de Ferが食い止めた!
 主と同じように美しい人形は、その造形を崩さぬ範囲で口を開けて牙を剥く。ミレナリオ・リフレクションの相殺反撃だ。
 シャルロットは手を緩めず、懸糸を素早く繰る。
 淑やかさを取り戻した人形は、取り付けられた武装で邪神を貫く。
 流れるどす黒い異形の血。

「さあ、判決の時だよ。」
 ブラッド・ガイストによるフィラメントの血を受けて、力を得る二体の人形。
 蜘蛛人形は毒を注ぐ。歌姫人形は、シャルロットの操る人形が付けた噛み傷を正確に抉る。

 溜まってゆくダメージに、音も立てずよろめく黒い異形。
「美味しくなさそうだけど……好き嫌いは良くないね。空腹は最高の調味料と言うじゃないか。」
 可愛い傀儡たちには、出来れば見目よい食事を摂らせたい。だが、任務のためだ。仕方がない。
 フィラメントが懸糸で二体を操る。
 獰猛な傀儡達は、邪神の腕をズタズタに食い荒らした……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

仁上・獅郎
あの姿……大罪で言えば『暴食』でしょうか。
食う程に強くなるならば、厄介ですね。

戦いながら人のいない方へ[おびき寄せ]ましょう。
既に十全に救えぬとしても、それでも食わせるわけには……!
戦闘は鋼糸によって、手足・舌・顎の切断や拘束を。
食われかければ、[敵を盾にする]要領で机などを盾にします。

狙うは一番大きな口を広げた時。
鋼糸を歯間に絡め、顎を上下に引っ張って固定します。
口の中に魔導書ごと左手を突っ込み、[高速詠唱]。
口内で炎神の断片を召喚し、内部から焼き尽くす[捨て身の一撃]。

味の感想は結構です。
僕はそちらの方々の処置をせねばなりませんので。


シーラ・フリュー
何ですか、あの化け物は…。あれがさっきの資料で見た、主神…でしょうか…?
と言うことは、丁度降臨してしまった所…という事…?
いえ、考える時間はないですね。何とかして倒すのみです…!

【SPD】判定
【目立たない】ようになるべく遠くの物陰等に隠れて、【スナイパー】で【援護射撃】を。
動き回られると、中々に厄介そうですね…。なので主に足を狙って、撃ってみます…。
少しでも足止めできれば、良いのですが…。

もし敵がこちらに来たら、距離を取る事を最優先に考えますね…。
…逃げる余裕があるのなら【零距離射撃】を狙ってみてもいいかもしれません…。



●神殺し
(何ですか、あの化け物は……。)
 あれこそが、ついさっに資料で見た、主神だろうかと首を首を傾げるシーラ・フリュー(天然ポーカーフェイス・f00863)。
 まさか、丁度降臨してしまった所という事か、と考えるものの、今は深く考える時間ではない。何としても倒さなければ。
 一瞬だけ視界におさめた信徒たちは、本当に降臨した神に呆気に取られて妨害する様子はない。
 ……それか、魂を汚されたか。

 この任務において、シーラはとにかく隠密を第一にしていた。狙撃において大事なのは、自分が狙われないこと。
 他の猟兵が己の身体を張って攻勢を仕掛けたり、傀儡を巧みに操って翻弄する中、物陰に隠れる。

 狙うは黒い異形の足元ただ一つ。
 姿勢を低くし、ベッドの柵に当たらぬ位置へ邪神の足が来るのを待つ。

(ターゲット・ロックオン、です……!)
 好機と見るや愛用のスナイパーライフルから撃ち出されるのは、星明かりのような弾丸が一条。
 流れ星が、邪神の足を貫く。

 仁上・獅郎(片青眼の小夜啼鳥・f03866)は冷静に邪神を観察する。
 彼が想起したのは、七つの大罪の『暴食』……食べれば食べるほど強くなるなら厄介極まりない。
 獅郎は鋼糸を操りながら、人の居ない方へ邪神をおびき寄せる。
 利用された人々だけではない、信徒たちも巻き込みたくはない。

 もっとも大きな、異形の口を開けた時を狙う。
 鋼糸は上顎と下顎の歯に絡まり、ギチリと音を立てる。
「生ける炎の旧支配者よ。我が呼び掛けに応え、その断片を此処に……!」
 左腕を、閉じなくなった異形の大顎に突っ込む獅郎。己の奉る神を讃える句を唱え、なんと邪神の口の中へ炎の神を召喚したのだ!

「…………!…………!」
 言葉無き邪神は、身体の内に叩き込まれた更に上位の神格に「喰われて」ゆく。
 内側から、業火に焼かれる黒い異形。
 ジリジリと、腹の辺りから炭化し……ついに、灰になって消えてしまった。

 邪神が雲散霧消した後の空間。
 呆気に取られていた信徒はその場に崩れ落ちて気を失う。

 獅郎や、医術に心得がある猟兵達はヘッドセットを付けられた人々の手当に忙しく動き回る。
 取り返しがつかないとはいえ、少しでも救えればと。

 彼にヘッドセットを外されたその中の一人は、自発的にニッコリ笑った気がした。もう、意識を取り戻せないはずなのに。
 まるで、ありがとうと言っているかのように……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月03日


挿絵イラスト