群竜征伐Ⅱ 皆殺しの荒野
●皆殺しの荒野
発見された帝竜が君臨する群竜大陸の攻略は進んでいる。
そんなある日、グリモアベースの一角でステラ・リデルが新たに判明した目標を彼女の前に立つ猟兵達に説明している。
「魂喰らいの森の攻略、お疲れ様です。皆さんの力により、魂喰らいの森の一角は消滅。群竜大陸に橋頭保を築く事に成功しています。今日はその先に広がる皆殺しの荒野と呼ばれる場所について説明させて貰います」
皆殺しの荒野、物騒な名に違わず危険な場所である。この荒野には呪われた風が吹き荒び、その風を受けた全てのオブリビオンは無差別な殺戮衝動を抱くという。
「それだけでも危険なのですが、真に恐るべきはもう一つの特性です」
それはドラゴン化能力。オブリビオンにドラゴンの戦闘能力を植え付けるというものだ。
これにより、この荒野に棲むオブリビオンは全て「殺戮のドラゴン」と化して、血みどろの殺し合いを演じているという。
幸いにしてこの呪われた風が猟兵に影響を及ぼす事はない。
だが、この場所に新たな橋頭保を築くのは極めて困難と言わざるを得ないだろう。
「ですが、成し遂げなければ群竜大陸の攻略は進みません」
残念ながら現状、これ以上進む為にはこの皆殺しの荒野を抜けるしか道はない。
続けてステラはドラゴン化能力の詳しい説明を始める。大別して三種類あるという事だ。
第一に「ドラゴンの翼」をオブリビオンに与えるというもの。これにより、通常は空を飛ぶ力を持たないオブリビオンも天空を舞い、空から襲ってくる力を得る。
第二に「ドラゴンの鱗と角」を得るというもの。鋼鉄よりも堅固な鱗と硬く鋭い角により、装甲と攻撃力が著しく上昇している。ただし、本物のドラゴンではない為に、何処か一ヵ所に必ず「急所」が存在するという事だ。
第三は第一と第二の力、どちらも得る、といものだ。これはほぼ完全にドラゴンの力を得ていると言って良いだろう。なお、全てにおいて元来持つオブリビオンとしての力も保持している為に、下手をすればドラゴンよりも厄介かもしれない。
ドラゴン化能力の厄介さに顔を顰める猟兵達に、「代わりという訳ではありませんが」とドラゴン化したオブリビオンが排出する宝石について言及する。
ドラゴン化したオブリビオンはその強さに比例した美しさの「竜胆石」を体内に精製するという。一匹分の竜胆石でも、その価値は金貨40枚(40万円)程度の値段はつくということだ。今回の戦場にはドラゴン化したオブリビオンが無数に待ち受ける。
上手くすればかなりの収入になるだろう。勿論、その美しさは格別なので自らを着飾る為に使うのも、誰かにプレゼントするのも良いだろう。
「今回の敵の数は多いです。厳しい戦いになるでしょう。ですが、皆さんの力なら乗り越えられると信じます」
ステラの説明が終わり、群竜大陸攻略を志す猟兵達の転移が始まる。
淵賀
13回目のシナリオ、今回も群竜大陸となります。
よろしくお付き合い頂ければ幸いです。
それでは、今回のシナリオを纏めます。
第一章について。
集団戦となります。皆さんは皆殺しの荒野に転移したところから始まります。すぐに殺戮衝動に囚われたオブリビオンの集団が襲い迫ります。
彼等は「ドラゴンの翼」を得た集団です。空を飛ぶ彼等に対して有効な対処方を考えた場合、プレイングボーナスとなります。
第二章について。
第一章に続いて集団戦です。この集団は「ドラゴンの鱗と角」を得ています。
どこか一ヵ所に急所が存在するので、そこを上手くつく行動にはプレイングボーナスがつきます。
第三章について。
第三章も集団戦です。乱戦乱戦、また乱戦ですね。この集団は「ドラゴンの翼」と「ドラゴンの鱗と角」、どちらも得ています。プレイングボーナスはこの両方に対抗できる方法を編み出した方のみに与えられることになっています。
※第二章、第三章は前章の終了後に幕間をいれます。プレイングはその後にして頂ければありがたいです。
※第一章から第三章、全てのオブリビオンの体内には竜胆石があります。ご興味をお持ちの方は集めてみて下さい。
それでは、よろしくお願い致します。
第1章 集団戦
『ブリザード』
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POW : ブリザードクロー
【周囲の気温】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ダイヤモンドダストを放つ超硬質の氷爪】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : ブリザードブレス
【レベル×5本の氷柱を伴う吹雪のブレス】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を氷漬けにして】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : 人質策
【氷漬けにした被害者】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
👑11
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サンディ・ノックス
ドラゴン化かぁ…ふふふ
困ったね、危険な状況と言われているのに気持ちが昂ってくる
俺も似た特性を持っているし、敵が多ければそれだけ喰らうことができる可能性が高いからだな
敵は空の利を簡単には手放さないだろう
でもダイヤモンドダストを出せるとはいえ氷爪そのものも使おうと接近してくる可能性も高い
飛行している敵にはUCの飛輪で執拗に翼を狙い逆上させたいな
冷気は魔力による【オーラ防御】と【氷結耐性】で軽減させる
接近しようとする敵の降下行動を【見切り】、回避して、そいつに【怪力】任せで黒剣を叩きつけるようにして斬る
一匹ずつ片付けよう
余裕があればその魂を啜りたい、最近喰ってなくて飢えてるんだよ
※アドリブ、連携歓迎
●
天空に浮かぶ巨大な大陸、群竜大陸。その一角、皆殺しの荒野と呼ばれる場所に転移して来た一人の青年がいる。黒い剣を腰に下げた青年の名前はサンディ・ノックス。いつもは柔和な表情を今は嬉し気な好戦的なものに変えている。
「ドラゴン化かぁ……ふふふ」
全てのオブリビオンに殺戮衝動とドラゴンの戦闘能力を付与する風が吹く荒野。
グリモア猟兵は危険な場所だと言っていたが、気持ちが昂ってくるのが抑えられない。――否、抑える気がない。多くの敵が待ち受けているとのことだが、それは喰らう対象が多いということ。サンディ自身がドラゴン化に似た特性を持っている事もあり、同類との戦いは楽しみであった。
唐突に周囲の気温が下がった事を感じる。
「あれが、原因か」
原因はすぐに分かる。こちらを目掛けて空を飛んでくる複数の影。
その集団が冷気を纏っている事はかなりの距離があるにも関わらず感じ取れる。
「冷気を纏った竜人――いや、リザードマンの一種か」
人型であるが、尻尾、鋭い爪、鱗を持っている。鱗は見た感じドラゴン化能力の賜物ではなく自前であろう。その背中には呪われた風に与えられた禍々しくも立派な翼が生えている。
ブリザードというのがこのリザードマンの名称だ。別名、氷トカゲと呼ばれる冷気を操る種族。サンディの頭上まで飛来したブリザード達はその殺戮衝動のままに空中から吹雪のブレスを吐いてくる。
空中からの一方的な攻撃。獲物はすぐに氷漬けになると考えた彼等だが、その考えは覆される。冷気を遮る魔力をその身に纏ったサンディは凍り付くことなく『伴星・傲慢な飛輪』により具現化した漆黒のチャクラムを投擲する。
「――!」
ブリザードの翼を狙って放たれた漆黒の飛輪は、強靭なドラゴンの翼を容易く切り裂く。バランスを崩して落ちてくるそれの落下地点を見切り、駆けるサンディ。
着陸とほぼ同時に黒剣を振るい、体勢を崩していたブリザードは上手く受ける事が出来ずに致命傷を負う。
「まずは一匹だ」
「――!! ――!!」
激昂したブリザード集団とサンディとの激闘の幕が上がる。
空の優位を活かそうとするブリザードに対してサンディは飛輪で執拗に翼を狙う。
上空からの冷気のブレスが決定打に遠く、また飛輪を受ければ落下が免れない事からブリザードは急降下による、近接攻撃に切り替える。
ダイヤモンドダストを放つ超硬質の氷爪による斬撃。まともに受ければ重傷を免れない攻撃であるが、サンディはむしろそれを待っていた。
敵は多数だが急降下による攻撃となれば同時に襲い掛かるという訳にはいかない。 その一瞬は一対一である。サンディはその動きを見切り、回避と同時に力任せの一撃を胴に入れる。両断され、絶命するブリザード。
「さあ、その魂をもっと啜らせてくれ、最近喰ってなくて飢えてるんだよ」
サンディの冷たい視線を受け、冷気には耐性のある筈のブリザード達に悪寒が走り、動きを止める。だが、すぐに殺戮衝動に突き動かされ戦闘を再開する。
サンディとブリザード集団との戦いは始まったばかりだ。
成功
🔵🔵🔴
セシリア・サヴェージ
魂喰らいの森の次は皆殺しの荒野ですか。群竜大陸は本当に過酷な土地ですね。
そしてドラゴン化とは厄介ですが……私は空を飛べないので少し羨ましい気もします。
さて、飛ばれてしまっては暗黒剣を当てることができないので降りてもらいましょう。
UC【闇の魔力】を使った【マヒ攻撃】で体の自由を奪い墜落させます。
そのまま身動きが取れないうちに剣でトドメを刺しましょう。
氷爪で攻撃するために降下してきたら【カウンター】【咄嗟の一撃】で反撃します。
わざわざ剣の間合いに入ってきてくれるのならば手間が省けて助かるというものです。
カイム・クローバー
敵の数が多い…だとっ?
それは言い換えれば、報酬取り放題の掴み取りキャンペーンって事じゃねぇか!流石A&W!気前が半端じゃねぇ。
今回は二丁銃を惜しみなく使うぜ。倒せば倒す程、金貨の山だ。
空を飛んでる相手だろうが、関係ねぇ。翼を撃ち抜いて、地に落下させるぜ。まぁ、それだけで潰れて貰っちゃ困る。
本番は此処からさ。銃弾に紫雷の【属性攻撃】を込めて【クイックドロウ】に【範囲攻撃】を含めてUC。【早業】でマガジンを交換し、【二回攻撃】で再度UC。
氷爪とやらは接近戦用か?爪から冷気ってのはUDCの夏場には重宝するだろうぜ。俺にも出し方を教えて欲しいモンだ。
さて、ボーナスタイム。お楽しみの報酬は金貨何枚分だ?
●
群竜大陸皆殺しの荒野。ドラゴン化により得た翼で天空を舞い、生来の能力として冷気を操るリザードマン、ブリザードの集団との戦い。
戦っている猟兵はセンディだけではない。彼と同時に転移して来た他の猟兵達もまた、激闘を繰り広げていた。
●
空から様子を伺うブリザードに視線を向ける黒き鎧を身に纏った銀髪銀瞳の美貌の女性、セシリア・サヴェージもその一人だ。
「ドラゴン化により飛行能力を得た集団ですか、厄介ですね」
セシリアは卓抜した剣の使い手。遠距離への攻撃手段がない訳ではないが、やはり得意とするところは近接戦である。
「私は空を飛べないので少し羨ましい気もしますが……さて、それでは降りてきてもらいましょうか」
剣が届かないのであれば届くところまで降ろせば良い、とばかりに片手をブリザードの集団に向ける。セシリアの掌から放たれる不可視の波動。『闇の魔力』と呼ばれる彼女のユーベルコードだ。
「――!?」
それはブリザードからすれば理不尽であっただろう。不可視ゆえに避ける事も出来ず暗黒の波動をその身に受けた二匹のブリザードは、突如として体の自由を奪われたことに驚愕する。当然、飛行状態を保つことは出来ずに錐揉みに落下、地面と衝突する事となる。強靭な身体能力故に死には至らなかった二匹だが。
「流石に頑丈ですね」
セシリアの手に握られた暗黒剣が煌めき、二匹の首をほぼ同時に刎ねる。
その様子を見ていた上空のブリザード達は激昂。
氷結のブレスを吐き、セシリアを凍らせんとするが、彼女が身に纏う黒きオーラは寒気を遮り、また冷気と共に降り注ぐ氷柱は暗黒剣に砕かれる。
「さあ、降りてきなさい」
再び放たれる『闇の魔力』。先程と違い、警戒していたブリザード達であったが、不可視の攻撃を見切るのは困難。
今度は三匹が暗黒の波動に捉えられ、先程と同じ末路を辿る。
ブレスによる攻撃では埒が明かないと急降下からの氷の爪による切り裂きでセシリアを倒さんとするブリザードもいたが。
「わざわざ降りてきてくれたのですか?」
爪の届く距離は当然、剣の届く距離である。その間合いでセシリアがブリザードに後れをとる事はない。回避と攻撃が一体となった無駄のない一撃で降下してきたブリザードを絶命させる。
「さて、他の者も降りてきてくれれば手間が省けて助かるというものですが」
「――!! ――!!」
警戒の声を上げるブリザード達。この場の戦いもまだまだ終わらない。
●
「おうおう、良いね。敵がわんさかいやがるぜ」
セシリアの戦場から少し離れた場所で多勢の敵を見上げて嬉し気な声を上げる青年の名はカイム・クローバー。
彼の眼にはブリザードの群れが竜胆石、金貨の山に見えている。
「報酬取り放題の掴み取りキャンペーンじゃねぇか! 流石A&W! 気前が半端じゃねぇ」
慢心ともとれる発言だが、彼の実力は本物。その証拠に陽気な口調とは裏腹にその立ち振る舞いには些かの油断も見られない。
「さあて、今回は二丁銃を惜しみなく使うぜ」
何せ、倒せば倒す程、報酬は増える。今回は弾薬の経費を心配する必要はない。
構えた二挺拳銃から連続して銃声が響く。放たれた銃弾は空を飛ぶブリザードの翼を貫き、地面に誘う。
一体、二体、三体と銃声が響く度に地上に落ちるブリザードが増える。
強靭な生命力を持つブリザードである。地上に落下したからと言って致命傷には程遠いが、流石に負傷は免れず、動きが鈍る。
「――本番は此処からさ」
ブリザードは落下しただけでは死なない。カイムにとって想定内のことだ。当然、次の一手を打つ。動きの鈍った地上のブリザード達に二丁拳銃が再び火を噴く。
同じ拳銃から放たれる銃弾。先程は翼という比較的に脆い部分を狙われた為に抵抗できずに落下する事となったが今は地上。
硬い鱗で耐え、反撃を――そう考えていたブリザードの目論見は容易く覆される。
確かに拳銃は同じだが、放たれた銃弾の威力は桁違いだったからだ。『紫電の銃弾』と名付けられたカイムのユーベルコードで強化された銃弾は紫電を纏い、強靭なはずの鱗を簡単に貫通する。
さながら紫電の嵐の如く拳銃から連続で放たれる銃弾はカイムの神業的なリロードで地上に墜ちたブリザード達が全滅するまで途切れる事はなかった。
「さて、まだまだボーナスタイムは続きそうだな」
味方への殺戮劇に怒り狂ったブリザード達がダイヤモンドダストを漂わせながら氷爪を創り出すのを見て笑うカイム。
「爪から冷気を出してるのか? UDCの夏場には重宝するだろうぜ。俺にも出し方を教えて欲しいモンだ」
敵のユーベルコードを見て、なお余裕を崩さないのは如何様にも対処できる自信があるからか。 それが証明されるのはすぐ後の事だ。
●
圧倒的な力量を持つセシリア、カイムの活躍で空を覆わんばかりに襲来していたブリザードの群れは次々に数を減らしていく。だが、まだ数は多い。
猟兵達の戦いは続く。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
皆殺しの荒野、物騒な名称ですね…
新しい橋頭保のために進みましょうか
ブリザード、氷ですか
なら火属性の魔法で攻撃しましょう
対空策ですが、沢山の魔力の球を空中に浮かべて
動きを取りづらくしようかと
配置によっては誘導も可能だと思いますので
そこを紅雪に頼みましょう
…火を纏わせてほしい?
それは問題ないのですが、熱さは平気なのですか?
ある程度減らせたら、UCを発動
浮かべた魔力の球もぶつけて一掃できればと
…荒野なので更に荒れても分からないでしょう
さて、進みましょうか紅雪
アドリブ歓迎
蓮・紅雪
同行者:アイビス(f06280)
皆殺しと言いつつ、全然殺せてないじゃない。
(敵を見据え)哀れね。すぐに片付けてあげる。
アイビスの魔球の誘導で敵の着地地点へ高速で先回りし、炎の居合斬り(早業、鎧砕き、属性攻撃)で斬り捨てるわ。
呪詛で更に動きを鈍らせた方が確実かしらね。
万一外してもオーラ防御かカウンターで対処しましょう。
敵のUCはアイビスの炎のおかげで凍らずに済むわね。
ええ、熱くないわ。熱く、ないわ(2回言う。熱かったらしい)
数が減ってき……アイビスがUCを撃つわね(慌てて後退)
魔球も一緒に爆発させたら、さすがに地形が変わらない?大丈夫かしら?
(眼前の光景を諦めた顔で静かに眺める)
アドリブ大歓迎
●
全体としては優勢に戦いを進めている猟兵達だが、未だに制空権はブリザード達にある。しかし、その空中に突如として魔力で造られた球体が現れる。それも一つや二つではない。十以上、数十に及ぶだろう。しかもそれの数は増えつつある。
何だこれは、邪魔だ、とばかりに魔力球に触れたブリザードは痛みを覚える。
怒りを覚えて冷気を纏った爪で破壊を試みれば、壊せない事はないものの、時間がかかり、一つ壊している内に新たに二つ現れるという具合で不毛だ。
これは発生源を叩かなければならない。そう地上に目をやれば、今も魔力球を生み出し続けている少女の姿が見えた。その少女を襲わんと降下を開始するブリザード達。魔力球が邪魔なのでそれを避けながらの移動だ。
標的となった少女、アイビス・ライブラリアンは傍らに立つ少女、蓮・紅雪に話しかける。
「空に浮かべた魔力球でブリザード達の動きを制限します。ある程度、誘導も可能だと思うので、誘導後の処理をお願いしても良いですか、紅雪?」
そう、ブリザード達は単に邪魔だから避けながら移動しているという認識しかないが、その状況を作り出したアイビスからすれば思惑通りに動いてくれているということになる。
「ええ、構わないわ。……敵は氷を扱うみたいね。炎が効きそう。アイビス、私に魔法で炎を纏わせて貰える?」
「……炎を纏わせてほしい? それは問題ないのですが、熱さは平気なのですか?」
「平気よ、今から怨念を纏うわ。その外縁に纏えば大丈夫でしょう。ほら、敵も近づいて来たわ。お願い」
「分かりました」
妖刀を抜き、怨念を纏った紅雪に炎の属性を付与するアイビス。炎を纏った紅雪が彼女をよく知るアイビスでなければ気づかないレベルで顔を顰めているのに気づく。
「……熱いのではないですか?」
「いいえ、熱くないわ。熱く、ないわ」
「……(2回言いましたね)」
熱いのですね、と思ったが口には出さない。だが、顔には出ていたのだろう。紅雪はアイビスから視線を逸らすと宣言する。
「では、行ってくるわ!」
迫りつつあるブリザード、実際はアイビスの無数の魔力球により誘導されている敵を迎え撃つべく高速で移動する紅雪。
冷気を纏うブリザードの近くに行くことで熱さを和らげたい訳では多分ない。
「皆殺しの荒野ね、皆殺しと言いつつ、全然殺せてないじゃない」
身に纏う怨念の力により、神速の移動を可能とする今の紅雪。瞬きするほどの時間で敵との間合いを詰める。そして、すれ違い様に抜刀。炎を纏った妖刀による居合斬りでブリザードを一刀両断する。
そのまま駆け抜け、次にアイビスが誘導したブリザードの元に迫り再び一閃。次々に地上に降りて来たブリザードを始末する。
上空に留まっていたブリザード達はその様子を見て吹雪のブレスを紅雪めがけて吹きかける。しかし、距離がある事と炎に包まれている為に紅雪に有効打を与えることは出来ない。
「ふふ、予想通り効かないわ」
作戦が図に当たった紅雪の顔が綻ぶ。熱さが中和されて良い感じだとは思ったとしても口には出さないが。
一方のブリザード達は吹雪のブレスが効かないと見て降下を再開する。
だが、魔力球は健在であり、それを避けながら移動する以上、紅雪に機先を制されるのは避けられない。
それ程長くない戦闘時間を経てブリザード達はみるみるその数を減らしていく。
「大分、数が減ってき……ッ!」
減って来たわね、と言おうとした瞬間、周囲の空気が変わったのを肌で感じる。この感覚には覚えがある。アイビスのユーベルコード発動の前兆だ。
慌てて後退しながらアイビスの方を見れば、彼女は魔導書を見開き、今まさにユーベルコードを発動しようとしているところだった。
「紅雪は後退しましたね」
紅雪の後退を確認してユーベルコード『エレメンタル・バースト』の構築を加速させるアイビス。アイビスには指示せずとも紅雪が気付き、反応する確信があった。
実際、その通りになっているのは積み重ねられた共闘経験の賜物であろう。
「地水火風――魔力球も添えて」
魔導書の見開きから地水火風、四属性の魔法が上空のブリザード達の中心に飛び出していく。周囲の空中に無数に浮かんでいた魔力球もそれに追随して、集束。
次の瞬間、轟音と共に大爆発が起こる。その威力は凄まじく、付近にいたブリザード達を跡形もなく消し飛ばすだけではなく、その直下の地形にクレーターすらできる威力だ。
「ちょっと、やり過ぎじゃない? 地形が変わってるわよ?」
「……荒野なので更に荒れても分からないでしょう」
いつの間にかアイビスの隣に戻ってきていた紅雪が声を掛ける。その顔は心なしか諦め顔だ。
対するアイビスは一見、無表情だが若干焦りがあるのが紅雪には分かる。
実際、魔力球を作り過ぎていた為、それを一度に爆発させた威力は彼女の予想を大きく上回っていたのだ。
とはいえ、荒野だから問題ないというアイビスの言葉も道理だ。
「……いいわ。さあ、あと少しね。頑張りましょう」
大爆発で全滅とはいかなかったものの残りのブリザードの数は少ない。
決着の時が迫っていた。
大成功
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ラティナ・ドラッケンリット
ここが次の領域か
皆殺しにすればいいというのはシンプルだな
空中から散発的に襲って来る分には動きを見切って避けよう
攻撃を避けて断山戦斧『しゅとれん』で叩き斬る
距離か数で対処できない時は手袋を投げてUC
ルールは白兵戦距離から離れないことだ
近付いた者を斬り殺すことで牽制するが
一斉に襲い掛かって来たら
豆の木の種を撒いて
空中軌道を制限することで
多対一の状況を避ける
あとは攻撃の為に接近して来た敵や
UCで弱って高度の落ちて来た敵を
各個撃破して確実に数を減らす
不意を討って穿竜槍『たると』や守護者『しょこら』を投擲もしよう
『たると』は小型竜に戻って手許まで帰って来させ繰り返し投擲する
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皆殺しの荒野の一角で、巨大な戦斧が振り下ろされた。それはブリザードの肉を切り、骨を砕く。戦斧を振るうのは軽装の女戦士、ラティナ・ドラッケンリントだ。
彼女は戦闘が始まってから今まで、持てる技術、装備を駆使してブリザードを狩り続けて来た。
「皆殺しにすればいいというのはシンプルだな」
そう言って戦闘を開始した彼女は大地に撒けば爆発的な速度で成長するマジックアイテム『豆の木の種』を惜しげなく使用する。
天空高くまで伸びた豆の木はブリザード達の空中での動きを制限。彼女はこれを上手く使う事で多対一になることを避け、一対一の状況を作り出すのだ。その手腕は熟練の冒険者の技と言えるだろう。
ドラゴン化の力を得たブリザードとは言え、一対一でラティナが後れをとる事はない。竜の鱗を撃ち砕く為に鍛造されたバトルアックス、断山戦斧『しゅとれん』を縦横無尽に振るってブリザードを一体ずつ確実に仕留める。
中には不利を悟って逃亡を試みる者もいたが、それに対してはユーベルコード『デュエリスト・ロウ』を発動。白兵戦距離から離れないというルールを強要され、成功する者はいなかった。
『竜殺し』と畏れられる一族の出身だけあり、彼女の戦闘での引き出しは多い。
戦斧を振るう傍らで不意を突いて竜化する槍や盾を投擲して攻撃する事で機先を制し続けていた。
「これで最後だ」
戦斧を振り下ろし、息絶えたのを確認して周りを見れば、言葉通り、もう生きているブリザードはいない。
皆殺しの荒野における初戦は猟兵達の圧勝で幕を下ろしたのであった。
成功
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第2章 集団戦
『レッサーデーモン』
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POW : 悪魔の三叉槍
【手にした三叉槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 金縛りの呪言
【手で複雑な印を結んで】から【呪いの言葉】を放ち、【相手を金縛り状態にさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 呪いの鎖
【投げつけた三叉槍】が命中した対象を爆破し、更に互いを【呪われた漆黒の鎖】で繋ぐ。
👑11
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●
群竜大陸、皆殺しの荒野。
ドラゴンの翼を得たブリザードの群れを一掃した猟兵達。
その亡骸は少し時間が経つと骸の海に還り、後には美しい竜胆石が残るのみだ。
「お、今回のは骸の海に還るタイプか。楽で良いな」
竜胆石を回収するのにその亡骸から探し出すのと、落ちたそれを拾うだけとでは労力が段違いである。回収を考えていた猟兵の顔が綻ぶ。
「それにしても、皆殺しの荒野という物騒な名の割にはそれ程の強さでもありませんでしたね」
ブリザードは数が多く、空を飛んでいる事が厄介であったものの、然程苦戦することなく勝負を制する事が出来た。
「しかし、ここは荒野の入口。皆殺しの戦いを演じているという事ですから、外周部にいた彼等はその戦いから弾かれた弱者の可能性もあります」
楽観視に注意を促す声も上がり、その可能性もあると気を引き締め直す。
●ドラゴンデーモンの襲来
ブリザードの竜胆石の回収を終え、荒野を進む猟兵達。
程なくして次の集団が姿を見せる。
逞しい成人男性の体に山羊の頭、黒い翼を持った悪魔。
レッサーデーモンと呼ばれる存在だが、今は山羊の角の他に強靭な角がもう一本生え、その体は鋼より硬い竜の鱗に覆われている。
「フム、同類以外ガイルトハナ。ダガ、同ジコト、コノ場所デハ闘争アルノミ」
「悪魔と竜の合体か。なかなか強そうだ」
「急所が存在するという話でしたね。それを上手く突ければ」
互いに戦意は十分。皆殺しの荒野の激闘、第二の戦いが始まる。
サンディ・ノックス
真の姿解放
鎧に身を包んだ金眼の竜人と化す
ふふふ、お揃いだね
翼がある分、俺が有利かな?
一体ずつ相手する
黒剣はショートソードサイズのまま攻撃回数を重視した解放・宵で猛攻
庇おうとする箇所があるならそこが急所かな、尾で足払いして体勢を崩させそこを狙う
読みが違ったり庇う場所がないなら攻撃回数を活かし全部攻撃するしかないか
数が多いからさっさと見つけて喰っていきたい
弱点は個体によって違うだろうしこの流れを繰り返す
敵をよく観察して攻撃は見切って回避、あるいは魔力によるオーラ防御で軽減
敵に囲まれ身動きし辛くなってきたら空に離脱したり
黒剣に魔力を流し込み鎖鎌に変形させて投擲、一体捕らえて振り回したりして仕切り直す
セシリア・サヴェージ
先ほどよりも手強そうですが、弱点さえ発見できればこちらのもの。
闘争を求めるのならば、その望みを叶えてさしあげましょう。
敵が呪詛の言葉を吐くよりも先にUC【闇の猟人】を使った【先制攻撃】を行います。
【二回攻撃】により一度目で弱点を看破し、二度目で弱点を突きます。
弱点の情報は仲間に共有して戦いを有利に進めていきましょう。
金縛りを受けてしまっても焦らずに。手足が動かせずとも敵を葬る手段はいくらでもあります。
【念動力】で暗黒剣を操ることで遠隔攻撃を行います。
見えない位置にいる敵も【第六感】で察知して屠りましょう。
術者を倒すことができれば金縛りも解けるでしょうから、そうなればまた思う存分剣が振れますね。
●
ドラゴンの鱗と角を得たレッサーデーモンの集団と対峙する猟兵達。
まさに戦端が開かれんとした時に、サンディ・ノックスの姿がどこか妖しい赤い光に包まれる。光が収束した後に立つサンディの姿は鎧に身を包み、赤い翼に尻尾、一対の角を持った真紅の竜人に変じていた。
黄金色に変わった瞳を細め、先程までより大人びた表情は笑みを浮かべている。
「ふふふ、お揃いだね」
明らかに威圧感の増したサンディにレッサーデーモンもまた笑みを浮かべる。
「ソノヨウダナ。デハ、見掛ケ倒シデナイカ確カメテクレル」
「存分に確かめると良いよ――その体でね」
言葉と共に爆発的な速度でサンディが駆ける。狙うは一番手前に居たレッサーデーモンだ。サンディの黒剣が煌めく。それに対して悪魔も三叉槍で応戦する。
ユーベルコード『解放・宵』を発動したサンディの動きは疾風怒濤の勢いだが、それに対してレッサーデーモンの発動したユーベルコード『悪魔の三叉槍』もまた術者に電光石火の動きを与える。似た性質のユーベルコードを発動した者同士のぶつかり合いだが、そうなれば地力がものを言う。
制したのはサンディ。三叉槍を掻い潜り、幾度も黒剣を悪魔の体に振るう。
これが通常のレッサーデーモンであればこの時点で勝負がついているが、この悪魔はドラゴンの鱗を持つ。強靭な鱗とて無傷ではないが、一撃で戦闘に支障が出る程でもない。悪魔は冷静に対処できない攻撃を鱗で受け止め、戦いを継続する。
だが、サンディは気にしない。強靭な鱗を持つ事は最初から分かっていることだ。 そして、その鱗の何処かに急所がある事も。
それを探して様々な角度から黒剣を振るう。
「――見つけた」
捌き切れない攻撃を冷静に鱗で受け止めていた悪魔が、不自然に守ろうとした箇所、右の脇腹。咄嗟に真紅の尾を振るって足払いをし、体勢を崩した隙にその場所に黒剣を向ける。他の箇所と同じ様に見えた鱗だが、手応えが違う。黒剣はあっさりと突き刺さり、悪魔に致命傷を与える。
「まずは一体。まだまだ喰わしてもらうぞ」
崩れ落ちる悪魔を後目にサンディは次の悪魔を目指す。
サンディが真の姿を変じてレッサーデーモンに襲い掛かった際、悪魔達の注意がサンディに向いた一瞬の機会を逃さず彼とは別の悪魔との間合いを詰める影があった。
セシリア・サヴェージだ。
「闘争を求めるのならば、その望みを叶えてさしあげましょう」
機先を制された悪魔は三叉槍でセシリアの暗黒剣の斬撃を流そうとして流せず、頑強な鱗で受ける事となる。
「グム、ダガ効カヌ!」
「そうですか。ですが、見えましたよ」
流れる様な動きで暗黒剣を引き戻したセシリアが狙うのは右の脇腹。
「ナニッ!?」
かろうじて受ける事に成功した悪魔が驚愕に顔を歪ませる。
「ナゼ、分カッタ?」
「何故でしょね。教える必要がありますか?」
山羊の様な顔でも表情が分かるものですね、と思いつつ答えるセシリア。
種は彼女のユーベルコード『闇の猟人』だ。これを発動した暗黒剣で傷を与えれば、その対象の習性と弱点を感覚的に理解する。
先程の一撃はまさにこの『闇の猟人』を発動しての一撃だったのだ。
「先ほどよりも手強そうですが、弱点さえ発見できればこちらのもの」
「舐メルナ!」
荒野で闘争を繰り返してきた悪魔である。弱点が判明しながらも奮戦するが、悪魔の習性を理解したセシリアの剣は時間を追う事に冴え渡る。
数合の打ち合いの後、急所を貫かれ絶命する悪魔。
「次は――ッ!?」
次の悪魔に向かおうとしたセシリアは体の自由が突如として奪われる。そこに後ろからかかる声。
「グハハ、ドウダ、『金縛りの呪言』ハ? 動ケマイ!」
後ろから忍び寄っていたレッサーデーモンの仕業だ。
勝利を確信した悪魔の言葉を受けるセシリアだが、その表情に焦りの色はない。
「死ネ――ガッ!?」
「手足が動かせずとも敵を葬る手段はいくらでもあります」
信じられない、という表情で己の脇腹に刺さった暗黒剣を見る悪魔。いつの間にかセシリアの手から離れていたそれは悪魔の死角から急所を的確に捉えていた。
セシリアが念動力で操作したのだ。急所に一撃を与えた事によりセシリアの金縛りが解ける。彼女は素早く背後から迫っていた悪魔と向き合うとその脇腹に生えた暗黒剣を手に取り、とどめを刺す。
「レッサーデーモンの急所は右の脇腹にあります!」
一息ついたセシリアは近くで戦う仲間に悪魔の弱点の共有の為、声を上げる。
その声は二体目の悪魔と戦っていたサンディに届く。
「あちらの弱点も右の脇腹か。個体ごとに違う可能性も考えたけど共通なのかな?」
最初の悪魔と同じくまず弱点を探ろうとしていたのを脇腹狙いに切り替える。
結果として二体目の悪魔も右の脇腹が急所であった。
「ふふ、急所は共通で間違いなさそうだね。これは思ったより喰いやすそうだ」
急所を把握したサンディとセシリアの悪魔達への猛攻は続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
蓮・紅雪
同行者:アイビス(f06280)
この場所では闘争あるのみ……そう。
元より手加減なんてするつもりもないけれど、本気でいかせて貰うわ。
まずはアイビスと弱点探しをするわ(UCで雪華と紅雨を召喚。敵中を駆け回らせ、ブレスや素早い攻撃で弱点を探らせる)
弱点が判明したらUC解除。
単身、或いは他の猟兵と弱点を狙って斬り込んでいくわ。
アイビスのUCは足場に丁度良いわね(本棚は踏みつけるが本には注意。後で叱られたくない)
数が多い……一気に片付けるわ(飛び退いて居合斬り:早業、殺気、衝撃波、範囲攻撃)
結局、弱点を探すよりも弱点諸共まとめて吹き飛ばした方が早かったかしら?
アドリブ大歓迎
アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
次はレッサーデーモンですか
鱗はともかく角が増えた姿は何とも言えませんね…
さてどうしていきましょうか
まず取り掛かるのは急所探しでしょうか
高速詠唱+属性攻撃+範囲攻撃で当たった時の反応を見ます
学習力で反応を覚えつつ、該当箇所に傷をつけていきます
敵UCにはこちらもUCを使い、本棚を盾にします
防御はもちろん足場にも使えますので、
あとは任せましたよ、紅雪
…結果的によかったのですが
このような敵に攻撃をする時は気をつけるのですよ、紅雪
思わぬ反撃をもらうかもしれませんからね
アドリブ歓迎
●
ドラゴンの鱗と角を得たレッサーデーモンを前に、蓮・紅雪とアイビス・ライブラリアンの二人が最初に考えた事は存在すると伝えられている急所を探すこと。
まずは一当てして様子を見る、と紅雪は『氷斬炎舞』のユーベルコードで二体の魔狼、氷狼雪華と炎狼紅雨を召喚。二体は紅雪の意を受けて行動を開始する。
雪華が正面から氷のブレスを吐けば、回り込んだ紅雨は鋭い爪で抉らんと攻める。
悪魔は機敏な二体の動きに翻弄されつつも、躱せない、あるいは槍で流せない攻撃を竜鱗に当たるに任せて反撃する。
「鱗はともかく角が増えた姿は何とも言えませんね……」
という感想を一対の山羊の角に加えて中心にもう一本、角を生やしたレッサーデーモンに対して抱いたアイビスもまた魔法攻撃を行い、それを受けた時の反応で急所の位置を探らんと詠唱を行う。物理法則を塗り替えて発現した事象は無数の風の刃。
悪魔達と交戦する魔狼達を巧みに避けてあらゆる角度から真空刃が悪魔を襲う。
レッサーデーモンも負けておらず、魔力を込めて三叉槍を投げつける。
この三叉槍は当たれば爆発し、かつ呪われた漆黒の鎖で悪魔と対象を繋ぐという強力なユーベルコードだ。
だが当たらない。
紅雪に、アイビスに、あるいは二体の魔狼目掛けて投げられた全ての三叉槍は、その射線上に突如として現れた壁に阻まれたのだ。
三叉槍は爆発して壁を大いに揺さぶるが破壊するには至らない。
「ナンダコノ壁……イヤ、本棚カ!?」
そう壁に見えたのは本棚である。数メートルに及ぶ巨大な本棚が三叉槍を防いだのだ。アイビスの『知識の迷宮』の力である。本棚を壁とした迷宮を作り出すユーベルコードであるが、この様な応用方法もある。
「紅雪、分かりましたか」
「ええ、見えたわ。奴等の弱点は」
「「右の脇腹」」
ここまでの戦いをよく観察していた紅雪とアイビスはほぼ同時にレッサーデーモンの弱点を見抜いていた。巧みに隠してはいたが、そこの守りは他と比べて明らかに固く、偶然入った真空刃の一撃が大きなダメージを与えているのを二人は見逃していなかった。
「雪華、紅雨、戻って」
紅雪の意思に反応して、役割を果たした魔狼達が実体化を解かれ守護霊に戻る。
これによりユーベルコードの制約により失っていた体の自由を紅雪は取り戻す。
「この場所では闘争あるのみ……そう言っていたわね。
元より手加減なんてするつもりもないけれど、ここからは本気でいかせて貰うわ」
制約上、仕方がないとはいえ自らは戦闘に参加できていなかった紅雪はフラストレーションが溜まっていたのだろう。表情にも声にも戦意が溢れている。紅雪の性格をよく知っているアイビスも止めない。
「あとは任せましたよ、紅雪」
「ええ、任せて」
言うが早いか紅雪は妖刀を抜き放ち、本棚を踏み台にレッサーデーモンに矢の様に突き進む。弱点は既に把握している。迷いのない紅雪の攻めにたちまち悪魔が一体、急所を斬られて崩れ落ちる。
「あと、五体……!」
残りの数を把握して、そして気づく。
いつの間にか本棚が周りを囲み、今まで交戦してきた悪魔以外の横槍が入らない環境が整えられている。アイビスの仕事だろう。
「これなら、行けるわね。 ……一気に片付けるわ」
アイビスは紅雪の戦い方をよく理解している。彼女が最大限、動きやすい戦場を整えていた。紅雪もその信頼に応える。妖刀を鞘に納めつつ大きく飛び退いて悪魔五体を同時に視野に入れる。
「消えなさい」
居合の構えから抜き放たれた刀身から、圧縮された妖気による衝撃波が右の脇腹の高さに放たれ――悪魔達を同時に切断する。
「結局、弱点を探すよりも弱点諸共まとめて吹き飛ばした方が早かったかしら?」
「……結果的にはよかったのですが」
紅雪の傍に駆け寄ったアイビスから紅雪に諫言がなされる。
今回は上手くいったが、思わぬ反撃を受ける可能性はある。ゆめゆめ注意を怠らない様に、と。
「ええ、分かってるわ。でも、何かあってもアイビスがいれば大丈夫でしょう?」
紅雪からの信頼の言葉に困った顔をしながらも「勿論です」と答えるアイビス。気をつけて貰いたいが信頼は嬉しい。
顔を見合わせて何となく笑いあった二人は、残り僅かとなった悪魔に向かう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カイム・クローバー
急所ね…鱗に覆われてない部分があったりするのか?素直に見せてくれりゃ、竜胆石もラクに集められそうなんだが。ま、そこまでサービスは期待出来ねぇし、自分で見付けるさ。
魔剣を顕現し、UCを纏う。見えねぇならそれはそれで。
身体は鱗で覆われてるみてーだが、頭ならどうだ?
【二回攻撃】、紫雷の【属性攻撃】を刀身に纏わせ、頭蓋を狙う。三叉槍は【残像】で躱しながら、近距離でデーモンの身体の急所を【見切る】。
闘争は結構な事だが、現状、お前らは狩られるだけの存在ってコトを認識した方が良いぜ。
見切った急所を【串刺し】。
なんなら、もう少し、数を揃えてくれても構わねぇぜ?こっちとしちゃ財布が潤うのは願ったり叶ったりだ
●
「急所があるんだろ? 鱗に覆われてない部分があったりするのか?
素直に見せてくれりゃ、竜胆石もラクに集められそうなんだが、教えてくれねーか?」
目前の悪魔に軽口を叩くのはカイム・クローバー。その表情は余裕の笑みを浮かべている。
「フザケルナ!」
言われた悪魔は当然の如く、激高して三叉槍を突き出すも、カイムは軽く躱して手に持つ剣による逆撃を入れる。
だが、その一撃は悪魔の全身を覆う竜鱗に僅かな傷をつけるにとどまる。
「へぇ、流石に硬いじゃねーか。ま、教えてはくれねーよな。良いぜ、そこまでサービスは期待してねぇ。自分で見つけるさ」
「ホザケ、貴様ノ攻撃ナド効カヌハ!」
更に怒りを増す悪魔に対して、カイムはその口調とは裏腹に冷静そのもの。連続で突いてくる三叉槍を捌きながら目を細める。
「それはどーかな」
言葉と共にカイムの全身が紫電に包まれる。ユーベルコード『紫電を纏う者』の発現だ。この姿になったカイムの動きはまさに電光石火。
レッサーデーモンも『悪魔の三叉槍』の力で手数を増やして抗するが、カイムの動きはそれを上回り、瞬く間に連撃を受ける。
「グヌヌ」
竜鱗により、致命傷こそ免れているが傷は浅くはない。このまま急所を突かずとも押し切れるだろう。だが――
「見つけたぜ」
一瞬の攻防の間にカイムは弱点の位置を見抜いていた。
紫電を纏った剣がするりと三叉槍をすり抜けて悪魔の体に突き立てられる。刺さった場所は右の脇腹。全身を覆う強靭な竜鱗の内、唯一脆いその場所を正確に貫かれ、悪魔は絶命する。
「闘争は結構な事だが、現状、お前らは狩られるだけの存在ってコトを認識した方が良いぜ」
倒れ伏す悪魔を冷たい目で見降ろすカイム。
「オノレ!」「囲メ!」
そんなカイムを新手の悪魔が囲むように動く。
「ハッ、良いぜ。なんなら、もう少し、数を揃えてくれても構わねぇぜ?
こっちとしちゃ財布が潤うのは願ったり叶ったりだ」
カイムにとって先程のブリザードも、このレッサーデーモン達も竜胆石の種だ。
猟兵の奮戦によりレッサーデーモンの群れが消滅するのはこのすぐ後の事だった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『荒ぶる山神』
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POW : 握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ : 叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●
ブリザードに続き、レッサーデーモンとの戦いをも制した猟兵達。
先程まで悪魔の亡骸があった場所に竜胆石が輝いている。
それはブリザードのものよりもいささか大きく、美しい。
「いいね。しかし、一財産だな」
これまで収集した竜胆石だけでも換金すればかなりの金額になるだろう。
数時間の働きとすれば破格の報酬である。
とは言え、猟兵程の戦闘能力を持たない者にとっては不可能な話でもある。
「さて、あと残るのは角と鱗、翼の全てを持ったタイプか?」
「そうですね。リザードマン、悪魔ときて次はどんなオブリビオンが出てくるのか」
「何、どんな奴が出てきても倒すだけさ」
楽観的に、だが油断もなく再び荒野を進み始める。
●
やがて、空を飛ぶ大きな影が向かってくるのが見え始める。
「まだ、距離があるはずだが……デカいな」
ハッキリと見えるようになった敵の姿は異様だ。
人型であるがその全長は十メートル近い。
巨体はびっしりと竜の鱗に覆われ、巨大な翼により宙を舞っている。
「……五体も」
数は五体。無言ではあるが戦意を発するオブリビオンと最後の戦いが始まる。
蓮・紅雪
同行者:アイビス(f06280)
巨大な木に、角と鱗と翼が付いてるわ。ねぇアイビス、あんな生き物見たことある?生物図鑑でも見たことがないわ。
竜の力に元の力……こういうのを『チート』って言うんでしょう?
(鋭い踏み込みから跳躍、敵の間近で妖刀を振るう)大き過ぎてダメージが入っているかよくわからないわね……。
(敵のUCや大技は自身のUCでアイビスの元にテレポートして回避)あいつ、私を見失って隙が出来たわね?(嬉しそうに攻撃→UCで回避を繰り返す)
凄いわアイビス、よく転倒させたわね(炎を纏わせた全力の斬撃で止めを刺す)
そういう頭脳戦はアイビスに任せるわ(恥しそうにぷいとそっぽを向く)
アドリブ大歓迎
アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
巨木にドラゴンの要素があるのは、不思議な感じですね
…このような生物は見たことがないですよ
チート、というかもしれませんが
オブリビオンにとっては私達も同じようなものです
火の魔力球を浮かべつつ、風や土の魔法で
膝のような部分を狙い、傷つけていきます
立ち止まるとまずそうなので常に移動はしましょう
敵UCはこちらもUCで対抗を。相殺を狙います
相殺したところで、傷ついた膝部分に向かって
火の魔力球を一斉発射
自重でバランスが崩れるので、止めを任せます
やはり巨大な敵は脚を狙うに限ります
力が全てではない、ということですね、紅雪
アドリブ歓迎
カイム・クローバー
へぇ、今までの連中よりは楽しめそうだ。図体だけのスカスカ野郎じゃねぇ事を期待してるぜ?
空を舞う巨体に銃弾を数発見舞ってやるか。ダメージには期待してねぇ。木偶の棒から見た俺が小さ過ぎて見失われるのも癪だろ?【挑発】変わりさ。
…顔がねぇな。おい、見えるか?木偶の棒?(手を振りつつ)
あの図体じゃ、空から攻撃する手段はねぇだろ。待ってりゃ、勝手に降りて来る。
木偶の棒の掌の掴みを【残像】で躱して、そのまま掌の上を伝って、腕、肩へと移動。跳躍からそのまま黒銀の炎の【属性攻撃】を纏った魔剣でUCを発動。そのまま両断するぜ。
見掛け倒し…って訳じゃないんだろうが、今回は相手が悪かったな。
財布が潤った俺は無敵さ。
セシリア・サヴェージ
空を飛ぶ巨体というだけで威圧感がありますね。
ですが怯んでばかりもいられません。弱点を見つけ出し必ず倒します。
UC【闇の戦士】で暗黒のオーラを纏います。
時間はかかりますが、この状態を維持していれば敵の弱点が見えてくるはず。
敵の攻撃を【見切り】で回避しながら挙動の分析、体表の観察を行い弱点部位を割り出します。
弱点が判明したらこちらの番です。
敵が攻撃してくるタイミングに合わせて【ジャンプ】してすれ違いざまに【カウンター】【部位破壊】を行い撃破します。
敵がいかに巨大であろうとも暗黒騎士に屠れぬ者などないと知れ。
サンディ・ノックス
真の姿解放継続
基本は飛行し【空中戦】を行う
でも地上の同業者が立ち回りしやすいような動きも心がける
弱点の位置にもよるけれど同業者も弱点を攻撃しやすいように
目前を飛び目立つことで囮になったり攻撃を仕掛ける方向を調整したりする
…本当は同業者のために身を削るって好きじゃないから
同業者が問題なく攻撃できるとか敵が落下した後とかは好きにさせてもらうよ
UC解放・夜陰で広範囲を攻撃
敵は巨大だし全身総当たりに攻撃して弱点を探すのは現実的ではなさそう
敵の動きを観察、庇う行動らしきものがあったら暗夜の剣で追撃、弱点かどうか見極める
弱点を見つけたら同業者に情報共有
以降は【怪力】任せに弱点を攻撃し続けて【傷口をえぐる】
●
荒ぶる山神、それが現在、迫りつつあるオビリビオンの名称だ。その巨体に相応しい力を以て暴れる山神は自然災害にも等しい。
それに加え、現在はドラゴンの角と鱗、翼をも備える。
あれだけの巨体を宙に浮かすのはいかな巨大な翼とて通常の物理法則では不可能であろうが、現実として浮いている。何らかの魔法的な力が働いているのだろう。
「空を飛ぶ巨体というだけで威圧感がありますね」
「本当に。あれは巨大な木に、角と鱗と翼が付いてるのね。
ねぇアイビス、あんな生き物見たことある?私は生物図鑑でも見たことがないわ」
「巨木にドラゴンの要素があるのは、不思議な感じですね。
……いえ、あのような生物は見たことがないですよ」
「あれも元々の力に加えて竜の力を持っているのよね。……こういうのを『チート』って言うんでしょう?」
「チート、というかもしれませんが、オブリビオンにとっては私達も同じようなものです」
「その通りです。強敵ではあるでしょうが、怯んでばかりもいられません。
それに先程と同じ様に急所があるはず。そこを見つけ出して必ず倒しましょう」
「ええ、勿論よ」
「はい、勿論です」
この場に集った猟兵の内、女性陣三人、セシリア・サヴェージ、蓮・紅雪、アイビス・ライブラリアンの会話である。
一方の男性陣二人、カイム・クローバーとサンディ・ノックスも近付きつつある敵を観察して意見を交わす。
「空を飛んでるのは厄介だが……あの図体じゃ、空から攻撃する手段はねぇだろ」
待ってりゃ、勝手に降りてくる。そこを叩けばいいとカイム。サンディはそれに同意しつつも。
「まあ、ご覧の通り俺は飛べるからね。先に叩かせて貰うよ」
先程の戦いの際に真の姿である真紅の竜人の姿を解放したサンディはそのままの状態で今を迎えている。この姿であれば空中戦もお手のものだ。
「へぇ、良いね。まあ、空中での数は向こうが上だ。大丈夫だとは思うが程々にな」
「勿論、無理をするつもりはないよ。まあ、一体は貰うけど、他はそちらに回そう」
「ハハ、宜しく頼むぜ」
カイム自身、紫雷を纏い空を翔ける事は出来る。だが、今回は他の戦術を採ろうと考えていたのだ。サンディが空中戦を挑むと聞き、自身も飛ぶべきかと考えたが、サンディの様子を見てその必要はないと結論づける。
そして、いよいよ山神達が近づく。
「じゃあ、行くよ」
そう言って飛び立ったサンディが開戦の合図となった。
●
山神達の間をサンディがすり抜ける。巨体を支える翼はやはり巨大故に五体の距離はかなり空いており、これはそう難しくない。
近くの山神がサンディを捉まえようと、あるいは潰そうと腕を伸ばすが素早く回避する。サンディの見たところ、山神はその巨体を活かした力任せの攻撃を好んでおり、それは空中戦ではあまり有効とは言えない。
とはいえ、掠りでもすれば吹き飛ばされる力はあり、油断をする訳にはいかないが。真紅の竜人と山神達の立ち回りを他の猟兵達も黙って見ていた訳ではない。
「今までの連中よりは楽しめそうだ。図体だけのスカスカ野郎じゃねぇ事を期待してるぜ?」
そう言って銃弾を連続して放つのはカイム。銃弾は全て命中しているものの有効打とはなっていない様だ。
だが、それはカイムも織り込み済み、注意をこちらに向けるのが目的の攻撃だ。
そして、その目的は果たされる。有効打ではないとはいえ着弾した衝撃は間違いなくあり、それは大変煩わしいものだ。
それを為した者を探して山神の一体が地上を注視する。その動きにカイムは口角を上げて手を振って見せる。
「……顔がねぇな。おい、見えるか? 木偶の棒?」
その挑発が通じたのか、山神の意識が完全にカイムに向けられたのをサンディは見逃さない。
「気になるなら、行きなよ――解放・夜陰――」
サンディの体から闇が滲み出る。
それは漆黒の水晶となってカイムに注意を向けた山神、その翼の付け根に向かって飛翔し――抉る。
ドラゴンの翼であるが、鱗程の強度はない。翼を傷つけられた山神はバランスを崩して地上に落下して行く。
「まずは一体」
あと、三体落としたら残る一体をゆっくり喰らわしてもらう。
本当は同業者のために身を削るって好きじゃないと思いつつも、サンディの冷静な戦士としての部分が効率的に敵を葬る方法を実践する。
サンディは残りの山神を落とすべく空を翔ける。
●
轟音と共に山神が一体墜落する。
だが、行動に支障が出る程の負傷をした様には見えず、すぐに周囲を見回して猟兵達を発見、これを襲おうと動き始めた。
「流石に頑丈ですね」
動き出した山神を暗黒のオーラを纏って凝視しているのはセシリアだ。彼女の纏うオーラはユーベルコード『闇の戦士』によるもの。
これは纏った時間に比例して集中力を極限以上に高める効果がある。セシリアは今、その力を山神の急所看破の為に使っている。
サンディの空中戦、カイムの牽制、つぶさに観察しているが、まだ足りない。
「急所は分かった?」
「いえ、まだです。ですが、もう少しで分かる。そんな確信があります」
「そう、なら私が仕掛けるわ。アイビスはフォローをお願いね」
「分かりました紅雪、任せて下さい」
「じゃあ、俺はもう少し、空の奴等を相手にするかね。サンディにさっさと残りを落としてもらおう」
●
地上に落ちた山神を目掛けて真っ直ぐに紅雪が駆ける。
見る見るうちに距離を詰め、迎え撃たんと伸ばされた山神の腕を避けると同時に跳躍。伸ばされた腕の上に乗り、さらに踏み込み妖刀の一撃を入れる。
「大き過ぎてダメージが入っているかよくわからないわね……」
確かに傷はついている。だが、山神の巨体から見るとかすり傷にも見える。
かすり傷だとしても何度も斬りつければ損傷は蓄積すると攻撃を続ける紅雪。
山神は大きく身震いをして紅雪を振るい落とすと、地団駄を踏む様な激しい動きを見せる。それは単純に自らの重量を武器とした攻撃で、足を踏み下ろすごとに小さなクレーターが出来る。
「雪華、紅雨!」
この攻撃は直撃を受けなくても危険であると紅雪はユーベルコード『蒼紅の軌跡』を発動。瞬時にアイビスの元までテレポートする。
そう、これは紅雪の守護霊となっている二体の魔狼の力を借りて味方の元に瞬間移動をする御業だ。紅雪を完全に見失った山神は戸惑いを見せる。
「あいつ、私を見失って隙が出来たわね?」
山神の戸惑い、その間隙を突いて紅雪は再び接近して妖刀を振るう。
紅雪が一撃離脱の戦法でダメージを確実に蓄積している間に、アイビスは魔法を唱え続けていた。その身の周りには無数の火球が浮かぶ。
「これくらい用意すれば十分でしょう。――さて」
火球を維持したまま、新たに魔法を唱えるアイビス。それにより激しい疾風や隆起した土槍を生み出して山神の脚部、膝に見える部分を襲う。
勿論、一度の攻撃で何とかなる程、甘い敵ではないが何度も繰り返し同じ部分に加わる攻撃は山神の動きを鈍らせる。
山神としてはアイビスを攻撃したいが、纏わりつくように攻める紅雪がそれを許さない。埒が明かないと考えたのか、山神は紅雪が攻撃するに任せたまま、大きく振りかぶる。これまでとは違う動き。
「紅雪!」
「分かってるわ!」
紅雪は瞬時に『蒼紅の軌跡』を発動。アイビスの元に戻る。山神はそれに構わず振り上げた拳を大地に叩きつける。
山神の怒りとも言える一撃。これは本来なら地震を起こし、その振動により、大地に立つ者の動きを封じ込める効果を持つ。だが、今回、そうはならなかった。
「――させません」
アイビスの放ったユーベルコードを相殺するユーベルコード『ミレナリオ・リフレクション』の力だ。地震を起こす程の一撃の相殺され、山神が完全に動きを止める。
「今です!」
この瞬間を狙っていたアイビスはすかさず、用意していた火球を全て山神の膝目掛けて発射する。これまでに蓄積していたダメージ、そして火球の連続爆発により、膝は大きく破損し、遂に自重に耐えられなくなりポキリと折れる。
「凄いわアイビス!」
その光景を見た紅雪は嬉し気な表情を浮かべ、アイビスに称賛を送ると倒れた山神にとどめを刺すべく駆ける。
●
「角の根元を狙って下さい!」
駆ける紅雪にセシリアの声が届く。
「分かったわ!」
声に応じて、炎を纏わせた渾身の一撃を山神の頭部、角の根元に刺し入れると、それは容易く鱗を突き破り眉間と思われる場所を抉る。
山神は一度、大きく震えるとそれきり動かなくなった。
「急所、角の根元だったのね」
眉間に刺し入れた妖刀を引き抜き、山神から飛び退った紅雪にアイビス、セシリアが駆け寄る。
「ええ、先程の山神が転倒した際、その倒れ方で確信しました」
「よく分かったわね?」
「それが、『闇の戦士』の力ですから――とは言え、あそこまで行けば急所を見つけずとも勝敗は決まっていましたね」
「そうよ、アイビス! よく転倒させたわね」
「巨大な敵は足を狙うに限ります。力が全てではない、ということですね、紅雪」
「そういう頭脳戦はアイビスに任せるわ」
頭を使って戦いましょう、と言わんばかりのアイビスに恥ずかしそうにそっぽを向きながら答える紅雪。
それを微笑ましそうに見るセシリアと非常にほんわかした空気が流れるが。
「おい、次行ったぞ!」
カイムの声で振り返ればサンディにより追加で落とされた山神二体が見える。
「一体は私が倒します」
「分かったわ。じゃあ、アイビス、私達はもう一体を」
「了解です、紅雪」
二方向に分かれるセシリアと紅雪、アイビス。
●
荒ぶる山神、巨体とそれに相応しい力を持ち、今は竜の鱗で防御力まで上がっている。強敵であるが、竜の力を得る代償に本来は存在しなかった急所を持つ事になった。そして、その場所は既に判明している。
「もはや、敵ではありません」
暗黒のオーラを纏い駆けるセシリアはさながら黒い疾風となり、ぐんぐんと山神に近づき――跳躍。
山神の腕を掻い潜ってのすれ違い様の一撃で正確に眉間に暗黒剣を突き立てる。
「敵がいかに巨大であろうとも暗黒騎士に屠れぬ者などないと知れ」
地響きを立てて倒れる山神。セシリアはそれを当然の結果として受け止める。
●
セシリアが山神を倒した頃、カイムもまた、地上に墜ちた四体目の山神を追い詰めていた。
「見掛け倒し……って訳じゃないんだろうが、今回は相手が悪かったな」
ゆっくりと山神に近づくカイムの片手には黒銀の炎を纏った魔剣が握られる。急所は既に割れているが……そこを突くつもりはなかった。
ブリザード、レッサーデーモンと言ったドラゴン化した敵の骸から排出された竜胆石を既に大量に入手しているカイム。心にも懐にも余裕がある。
「――いくぜ?」
言うや疾風となるカイム。自身を掴もうと伸ばされた山神の掌に乗り、それが閉じる前に腕そして肩へと移動すると頭部上方に跳躍。
大上段に剣を振り上げ、ユーベルコード『骸割り』を発動させる。
魔剣と奇跡、そしてカイムの技量が合わさった振り下ろしが山神の頭部に炸裂し、そのまま竹を割る様に両断する。
「ハッ、ドラゴン化なんて関係ないね。財布が潤った俺は無敵さ」
●
五体の内、四体を地上に叩き落としたサンディ。ようやく敵を喰らえると笑みを浮かべる。
「と言っても、弱点も知らされたし、今一、盛り上がらないよね」
既に勝敗は見えている。と言っても五体の空飛ぶ山神と大立ち回りを演じてその内、四体を叩き落とした事を考えれば十分以上に戦ったと言えるだろう。
「まあ、良いか――じゃあね」
長引かせる必要もないと一直線に山神に飛ぶサンディ。これまでの戦いで動きは見切っている。迎撃に伸ばされた腕を容易く避けて接近。暗夜の剣をその怪力で眉間に突き立て、抉る。
即死した山神が落下して行くのを見届け、同業者達の方を見れば先に地上に落とした四体、全ての山神が動かなくなっているのが見えた。
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こうして、群竜大陸、皆殺しの荒野の戦いは幕を閉じた。群竜大陸の攻略がまた一歩進んだのである。
激戦を制した猟兵達は一先ずの目的を達成して、それぞれの世界に帰る。勿論、竜胆石を戦果としてだ。
大成功
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