アルダワ魔王戦争9-A〜希望の歌
●大魔王『ウームー・ダブルートゥ』
好きに、望むがよい。
好きに、願うがよい。
願い、望み、祈り……すなわち『希望』は、
汝らが知的生命体である事の証左なのだ。
我は、汝らの肉の他に、希望そのものも喰らう。
汝らが武力を願えば、我も強き形態を得る。
汝らが勝利を望めば、我も勝利の術を得る。
汝らが幸せを祈れば、我に幸運が齎される。
知的生命体よ、願いを持て。望みを持て。祈りを持て。
我はすべての希望を聞き届け、我が糧としよう。
我はウームー・ダブルートゥ。
汝らが『大魔王』と呼ぶ、この世の全てを喰らうもの……!
――猟兵達が辿り着いた場所、そこは大魔王が待つ玉座。
地下迷宮アルダワの最終フロア、『はじまりの玄室』。
大魔王は此の地で、希望をうたえと唆す。
けれども、それを叶えてやる気など毛頭ない。
そう……それはまさに、絶望のはじまり。
大魔王は喰らい、糧にするのだ。『希望』を――そして、この世の全てを。
●はじまりの果て
「皆も聞いてると思うけど、地下迷宮の最終フロア『はじまりの玄室』に、ウームー・ダブルートゥって名乗る、大魔王がいる」
姫城・京杜(紅い焔神・f17071)は、そう集まった皆を見回して。
遂にやって来た決戦の刻とその詳細を告げる。
「この大魔王なんだけど、『希望』を糧とするようなんだ」
――汝らが武力を願えば、我も強き形態を得る。
皆の願い、望み、祈りという『希望』を喰らえば、大魔王の能力は強化される。
――汝らが勝利を望めば、我も勝利の術を得る。
勝利という『希望』を壊すべく、これまで相対してきた大魔王形態が現れる。
もしも恐れぬのならば、全ての大魔王をもって、希望を壊しにくるという。
――汝らが幸せを祈れば、我に幸運が齎される。
幸せを祈れば『希望』を奪う者と成り、急速にこれまで過ごしてきた時を奪う。
戦場全体に、『産み直しの繭』の迷路を作り出して。
「大魔王は半端ない強敵、必ず先制される。大魔王って言うくらいだからな、無策で臨めば何もできないでやられちまう。けどな、予知でどんな攻撃を仕掛けてくるかは予め把握できてるから、対策を立てて臨めば勝機はあるぞ。だから『希望』を、大魔王の糧じゃなくて、俺達の勝利のために持って。この世の全部を喰われないよう、皆の力を貸して欲しいんだ」
相手は、対策を立てずして挑めば、一瞬で倒されてしまうほどの強敵。
そして戦略は勿論であるが。
大切なのは『希望』を持ち、大魔王に挑む、その心だろう。
京杜は、気をつけて行ってきてなと、その掌に焔と紅葉のグリモアを灯しながら。
信頼する猟兵達を、はじまりの場所のおわりの地へと導く。
勝利という希望の歌を、アルダワ魔法世界に響かせるために。
志稲愛海
志稲愛海です。
よろしくお願いいたします!
こちらは、1フラグメントで完結する「アルダワ魔王戦争」のシナリオです。
※ご連絡※ プレイング受付期間は、以下となります。
【2/21(金)朝8:31~22日(土)朝8:30】迄です。
期間外に送信されたものは今回は全て返金いたします。
受付期間的に再送は受付できませんので、ご注意ください。
●プレイングボーナス
敵のユーベルコードへの対処法を編みだす。
●シナリオ概要等
敵は必ず先制攻撃してきます。
いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります。
大魔王が使用してくる攻撃は、皆様のUCと同じ能力のものになります。
そして今回は、心情中心のものを積極的に採用させていただきます。
それぞれ、大魔王が向けてくる攻撃に対しての策もですが。
糧にされても負けぬ皆様の『希望』を、思いをみせて、立ち向かってください。
勿論、立派なものや強い意志に限らずとも構いません。
大魔王を前にし、相対する皆様の心を綴っていただければと。
攻撃手段は指定UCから汲み取りますので。
思いの丈を中心に、今回は行動を掛けていただければと思っております。
POWは、願うも望むも祈るもどれもせずも、臨む心を聞かせてください。
SPDは、どれも恐れず全形態が出現した場合は勝ち目はありません。
WIZは、必ず幼子や元の姿へと変わってしまいます。
それに抗い、負けない『希望』をもって、強い心をみせていただければ。
迷路から出ることができます。
各能力共にその攻撃を乗り越えれば、大魔王へ反撃の機会が生まれるかと。
●お願い
同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入お願いします。
ご記入ない場合、相手と離れてしまうかもしれませんのでお忘れなく。
●プレイング採用関して
期間内送信分で、内容に問題のないものは可能な範囲で採用とは思っていますが。
万が一集中し人数多くなった場合は、心情重視の内容のものから採用します。
今回は特に心情を重視する為、心情の少ないもの、技能をただ並べただけの内容のものの採用は難しいかと思います。
なので、問題なくとも返金の可能性も十分ある事ご理解の上、ご参加ください。
それでは、ご参加お待ちしております!
第1章 ボス戦
『『ウームー・ダブルートゥ』』
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POW : ホープイーター
【敵対者の願い】【敵対者の望み】【敵対者の祈り】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : ホープブレイカー
【敵が恐れる大魔王形態(恐れなければ全て)】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : ホープテイカー
戦場全体に、【触れると急速に若返る『産み直しの繭』】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニコ・ベルクシュタイン
俺の想いは本来誰のものでもない俺だけのものだが
隠し立てする程の事でもない、全てを詳らかにしてやろう
俺は、誰よりも愛する伴侶の幸いを願う
俺は、其の為ならば如何なる努力も厭わぬと望む
俺は、此の願いと望みが叶うように祈る
さあ大魔王よ、お前は如何程強くなる?
俺の希望はささやかに見えて、実は非常に困難なものだ
理解出来るか?他者を想い己をも差し置いて其の幸福を願うなど
【時計の針は無慈悲に穿つ】は、己が手で未来を切り拓く意志
百年愛され得たひとの身体と心、そして伴侶から与えられた
たくさんの思い出と輝かしい日々、其の全てを守る為の拳
うさみよ、お前の幸せの為には俺が必要と自惚れる
故に、必ず勝って帰ると約束しよう
願い、望み、祈り……すなわち『希望』、それは一体誰が為のものなのか。
大魔王は紡ぐ。好きに、望むがよい。好きに、願うがよい、と。
けれどそれは、願い望み祈る者の為に紡いでなどいない。
希望を聞き届け、そしてそれを喰らい、糧とする為だ。
では、ニコ・ベルクシュタイン(時計卿・f00324)にとっての願いや望みは、誰の為のものか。
「俺の想いは本来誰のものでもない俺だけのものだが、隠し立てする程の事でもない、全てを詳らかにしてやろう」
この胸に抱く想いは、本来は己だけのもの。
けれど同時に、ニコの想い描く願いや望みの行く先は、他の誰よりも明確で揺るぎのない。
だからニコは隠し立てなどしない。誓う様に、真っ直ぐな想いを口にする。
――俺は、誰よりも愛する伴侶の幸いを願う
――俺は、其の為ならば如何なる努力も厭わぬと望む
――俺は、此の願いと望みが叶うように祈る
「さあ大魔王よ、お前は如何程強くなる?」
大魔王は願いを喰らう。
願う者が武力を願えば力が漲り、望む者が勝利を望めば勝利を手にし、祈る者が幸せを祈れば幸福を得る。
そして、ニコが願い望んだもの。
「俺の希望はささやかに見えて、実は非常に困難なものだ」
――理解出来るか?
向けられた赤の瞳は大魔王に問う。
己の為でもあるのだけれど、でもそれ以上に、希望を降らせたい愛する存在。
きっと、希望を喰らう存在には理解などできないだろう。
「他者を想い己をも差し置いて其の幸福を願うなど」
『汝の『希望』は聞き入れた』
刹那、響く大魔王の声。
愛する者の『幸せを願う』。その願いに呼応し喰らい、幸福を己にも齎す大魔王。
そして願いを聞き喰らえば、次は、その肉を喰らわんと衝撃を繰り出してくる。
「……!」
ウームー・ダブルートゥの放った鋭利な爪先が鍛えられた肉体をいとも容易く引き裂く。
時を経て得た肉体に赤が滴り、視界が回る。
――けれど。
ニコは、拳をぐっと握りしめる。
それは、たくさんの思い出と輝かしい日々、其の全てを守る為の拳であるから。
そして長い時を刻んできたからこそ、分かるのだ。
それは百年愛され得たひとの身体と心、そして伴侶から与えられたものであると。
「うさみよ、お前の幸せの為には俺が必要と自惚れる」
――故に、必ず勝って帰ると約束しよう。
刹那、肉を喰らわんと放たれた大魔王の強烈な一撃が、ニコの身を容赦なく抉って意識を刈り取る。
けれど――握り締め放ったその拳は、己が手で未来を切り拓く意志。
その意思刻む拳を捻じ込まれた大魔王は、やはり理解できず、全ては喰らえなかったのだ。
己にではなく、他のものに……大切な愛しい者に届けたいという、無償の『希望』を。
成功
🔵🔵🔴
風見・ケイ
真の姿によく似た、普通の右腕の、セーラー服の『わたし』
そこから変わらない
15歳のわたしはUDCーー『星』と一つになり、終わらぬ夜に迷い込んだ
いつもの『私』は[明暗境界線]を越えてお日様の下を歩く為に[星屑]で創り出した殻
一生を終え宇宙へ飛び散りまた星になる、永い時を巡り廻る『生』の力だ
星が若返りきるまで時間はあるさ
どうすれば死ねるか
死ねばもういない人に逢えるのに
なんてずっと思っていた
今は、好きな人たちがいる
皆に会えなくなるのは、ちょっとつらい
想い出を忘れない為に
想い出を作る為に
こんな繭、[星屑]を[属性攻撃]で炎に変えてーーその前に[星屑]の[オーラ防御]で繭に触れて
大魔王。今度はきみの番だ
『好きに、望むがよい。好きに、願うがよい』
大魔王・ウームー・ダブルートゥから紡がれる言の葉。
そして『希望』を奪うために、成した繭の迷路は侵入者の時を巻き戻す。
風見・ケイ(消えゆく昨日・f14457)が纏うのはセーラー服。
普通の右腕の、15歳の『わたし』。
その頃の己のことを、ふと思い返してみる。
(「15歳のわたしはUDC――『星』と一つになり、終わらぬ夜に迷い込んだ」)
けれど、いつもの『私』は、隙間から紫の光零れる明暗境界線を超えて。お日様の下を歩く為に、あらゆる元素を内包する星のかけら――星屑で創り出した殻。
一生を終え宇宙へ飛び散りまた星になる、永い時を巡り廻る『生』の力。
――星が若返りきるまで時間はあるさ。
そうケイは、終わり無き夜の迷い子であった頃のことを思う。
……どうすれば死ねるか。死ねばもういない人に逢えるのに。
なんて、ずっと思っていた。
けれど――今は、好きな人たちがいる。
だから、死ねばもういない人に逢えるけれど。
でも、好きな皆に会えなくなるのは……ちょっとつらい。
好きな人たちと過ごしてきた時間は、思った以上に楽しくて。
それは心の空にキラキラと煌めく『思い出』となる。
――そんな想い出を忘れない為に。想い出をこれからも作る為に。
「こんな繭――」
刹那、輝きを纏う星屑が燃ゆる炎にその姿を変えて――その前に、星屑に宿す守りの気で『産み直しの繭』に触れて。
燃え盛る炎のいろに戦場を染めながら、ケイは眼前のホープテイカーへと紡ぐ。
――大魔王。今度はきみの番だ、って。
成功
🔵🔵🔴
篝・倫太郎
願い、望み、祈り……
最後はともかくとして
願いと望みは今んとこ、叶ってる
人間は欲深いから叶ったら次が芽生えるって?
まぁ、そうかもな
でも、今は『叶うはずのなかった』願いと望み
それを実感するのに忙しくて暫くは腹一杯って感じなんだよな
祈りにしたって
他力本願は趣味じゃねぇし……
祈る暇があるんなら、自分で出来る限りをやる
そういう性分だ、悪ぃな?大魔王
先制攻撃への対処
フェイントを交えた残像と見切りで回避
回避不能時はオーラ防御と激痛耐性で耐える
この一撃さえ凌げりゃ多少は勝ち目もあるってもんだ
篝火を防御力強化に使用
倒れないこと、諦めないこと、その先に勝ちがある
勝った先に何があるのかも……
俺はもう『知って』るから
眼前の大魔王は人々へと紡ぐ。
『願いを持て。望みを持て。祈りを持て。我はすべての希望を聞き届け、我が糧としよう』
その『希望』を喰らい、己の糧にするために。
だが篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、それにはっきりと断りを入れる。
「願い、望み、祈り……最後はともかくとして。願いと望みは今んとこ、叶ってる」
そして『希望』は知的生命体である事の証左だと、大魔王は口にする。
それは生きている限り、人は『希望』を再び抱いてしまうと。
けれど倫太郎はそれを否定しない。
「人間は欲深いから叶ったら次が芽生えるって? まぁ、そうかもな」
しかし倫太郎は暫くは腹一杯という感じなのだ。
――『叶うはずのなかった』願いと望み、それを実感するのに忙しくて。
祈りにしたって、そうだ。
「他力本願は趣味じゃねぇし……祈る暇があるんなら、自分で出来る限りをやる」
守るものも、大切なものも、かけがえのないものも、沢山できたけれど。
願ったり望んだり祈ったりする時間があるのならば。
もっとやることや一緒にやりたいことは、いっぱいあるから。
――そういう性分だ、悪ぃな? 大魔王。
だから、大魔王に喰われるようなものはない。
「!」
ウームー・ダブルートゥの放つ強烈な衝撃が倫太郎目掛け唸りを上げれば。
フェイントを交えた残像と見切りを駆使し回避せんと立ち回るのも。
「……ッ!」
相手はかなりの格上、大魔王と呼ばれる存在。
全ては避けきれず、膝を下りそうに何度もなるけれど。
「この一撃さえ凌げりゃ多少は勝ち目もあるってもんだ」
――祓い、喰らい、砕く、カミの力。
災魔を祓い、喰らい、砕く……焔と水と風の神力が、倫太郎へと守りを齎して猛攻に耐える。
……倒れないこと、諦めないこと、その先に勝ちがある。
それでもやはり傷を負い、膝が笑いそうになるも。
ぐっと力を込め踏みしめて、握る華焔刀の衝撃を放つ。
倫太郎はもう『知って』るから。勝った先に、何があるのかも。
成功
🔵🔵🔴
セラフィール・キュベルト
繭に捕われ、幼い姿に戻され。
思い出すのは、昔この姿であった頃。
私を拾い、育てて下さった修道院の姉様(先輩シスター)達。
強く、気高く、何より全てを救わんとする慈愛に満ちた方々。
…その為に命を捧げ、今は亡く。
…ですが、その愛、その志は今も私と共に。
(身に纏う聖骸布に手を添え)
私も、姉様達が為したように。この手の届く限りの全てを救うと。
その誓いを改めて確かめ、大魔王に立ち向かう意志を新たとします。
かの大魔王もまた、私が救うべきものなのですから。
【空中浮遊】にて迷宮形作る繭への接触を可能な限り回避、飛翔し脱出を目指します。
脱出次第、大魔王と相対し告げる言葉は。
「其の妄念、私が祓って差し上げます…!」
大魔王は祈りを奪う。その者の時間を戻して。
「……!」
セラフィール・キュベルト(癒し願う聖女・f00816)が捕らわれたのは、『産み直しの繭』の迷路。
触れると急速に若返る迷路の中、幼い姿へと戻されて。
思い出すのは――昔、この姿であった頃のこと。
柔らかな慈愛溢れる微笑みに、優しく紡がれる言の葉。あたたかな抱擁感。
それをくれていたのは、セラフィールを拾い育ててくれた修道院の姉様達。
(「強く、気高く、何より全てを救わんとする慈愛に満ちた方々」)
けれども…その為に命を捧げ、今は亡く。
ふるり、金の髪を揺らし、思わず一瞬だけ青い瞳を閉じてしまうセラフィールだけれど。
「……ですが、その愛、その志は今も私と共に」
すぐに顔を上げ、そっとその手を添えるのは……身に纏う、遠い過去の聖女に由来する聖骸布。
セラフィールは誓ったのだから。
「私も、姉様達が為したように。この手の届く限りの全てを救うと」
そしてその誓いを改めて確かめ、新たにする。
大魔王に立ち向かうという、意志を。敵にさえも向ける、その慈愛を。
――かの大魔王もまた、私が救うべきものなのですから。
そう、大魔王の作り出した迷路に抗えば。
再び元の姿を取り戻したセラフィールは、再度時間を戻されぬようにと、繭に触れぬよう飛翔し脱出を目指して。
――貴き天光束ねし者よ、彼の悪しき意を撃ち浄め給え!
「其の妄念、私が祓って差し上げます……!」
抜け出すことに成功した刹那、神聖なる加護宿る魔力光線が大魔王を撃つ。
成功
🔵🔵🔴
草野・千秋
好きに望み好きに願う
それが願った主の思い通りに叶う
それ善なる願いならともかく
邪悪なものでしたらこの世界は滅茶苦茶になってしまいます
ヒーローとして挑発で名乗りを上げることにより
敵の注目を一身に受けカウンターすることも忘れない
捨て身の攻撃をしつつ怪力でのパンチキック、2回攻撃、グラップルで
魔王に必死に攻撃を浴びせつける
先制攻撃に一撃必殺のUCを繰り出すことにより先制攻撃に対応
イチかバチか?ならお互い様だッ!
この世界は英雄を夢見て生きて戦う、未来の希望の学生さん達がいっぱいいる
その希望を捨てさせるだなんてヒーローとして恥!
だからお前のような魔王には征服させやなんかしない!
勇気で敵に立ち向かう
地下迷宮アルダワの最終フロア『はじまりの玄室』に座すもの。
『知的生命体よ、願いを持て。望みを持て。祈りを持て』
大魔王・ウームー・ダブルートゥは、人々へと告げる。
願い望み祈り……そして、『希望』を抱けと。
けれどそれは、己がそれを喰らい、糧にする為。
――好きに望み好きに願う。
――それが願った主の思い通りに叶う。
「それ善なる願いならともかく、邪悪なものでしたらこの世界は滅茶苦茶になってしまいます」
けれど、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)はそれを決して許さない。
「弱きを助け、悪を挫く。断罪戦士ダムナーティオー見参!」
千秋は悪を駆逐するヒーローであるのだから。
ヒーローとして敵を挑発するべく、名乗りを上げて。
「イチかバチか? ならお互い様だッ!」
――この一撃にかける!
大魔王の先制攻撃に、一撃必殺の正義の鉄拳を振るう。
「……ッ!」
けれど、相手は戦争を引き起こした元凶の大魔王。
強敵である格上の敵を前に、膝が今にも崩れ落ちそうになるけれど。
敵の注目を一身に受け、皆のことを守る。それがヒーロー。
笑う膝に力を込め、怪力を駆使した捨て身の攻撃を繰り出し、必死に大魔王へと拳を向け続ける千秋。
倒れるわけには、いかないのだ。
「この世界は英雄を夢見て生きて戦う、未来の希望の学生さん達がいっぱいいる」
――その希望を捨てさせるだなんてヒーローとして恥!
千秋を今奮い立たせているのは、ヒーローとしての矜持と勇気。
人々に希望を与える存在のヒーローが、守るべき皆に希望を捨てさせるなんてできないから。
攻撃すら届けるのが困難な、強大な敵だと分かっていても、千秋は立ち向かう。
――お前のような魔王には征服させやなんかしない! と。
成功
🔵🔵🔴
ノエル・マレット
幼い頃のわたしに戻る。
ひとりぼっちだった。寂しいって事さえわからなかった。
死んでいなかっただけ。生きていなかった。
でも、今は違う。わたしには帰る場所がある。
……待っていてくれるひとがいる。
だから。ここを抜けて、大魔王を倒して。必ずあなたの元に帰る。
それこそがわたしの希望――!
繭に触れないよう足元にアルケー展開。上に乗って魔力の放出で滑るように第六感を併用しつつ迷宮を脱出。
呪詛耐性と破魔で元の姿に。
大魔王と相対するのは私じゃなくてわたし。
希望の守り手としてじゃなくて普通の女の子の願いで。
おかしいかな?でもそっちのほうがいいと思ったんだ。
わたしとして戦うならこれしかないよね。
行こっか、ルケイオス。
大魔王は人々の『希望』を奪わんと言の葉を紡ぐ。
『願いを持て。望みを持て。祈りを持て』
そして大魔王が希望を奪う手段。それは、人々の時を巻き戻す。
触れると急速に若返る『産み直しの繭』で出来た迷路を作り出すのだ。
その繭に触れれば――ノエル・マレット(誰かの騎士・f20094)も、幼い頃の『わたし』に戻る。
巻き戻った、今くらいの姿の頃の『わたし』。
――ひとりぼっちだった。寂しいって事さえわからなかった。
――死んでいなかっただけ。生きていなかった。
けれどそれは、あの頃の『わたし』のこと。
金色の髪をそっと揺らし、ノエルははっきりと首を横に振る。
「でも、今は違う。わたしには帰る場所がある」
……待っていてくれるひとがいる。
帰らなきゃ、そう零れ落ちる言の葉。
私には、帰る場所があるから。
「だから。ここを抜けて、大魔王を倒して。必ずあなたの元に帰る」
そしてぐっと顔を上げ、青い瞳を真っ直ぐに大魔王へと向けて。
ノエルは、はっきりと口にする。
「それこそがわたしの希望――!」
もうこれ以上時が巻き戻らぬ様に。
ノエルはその手に、魔力で成した蒼き盾――魔盾アルケーを手にする。
そんなアルケーの上に乗り、放出させた魔力で滑る様に迷路を駆け、突破し脱出して。
外へと出れば、元の姿に。
けれど、眼前の大魔王と相対するのは、私ではなくて――『わたし』。
「希望の守り手としてじゃなくて普通の女の子の願いで」
それはとてもささやかで、小さなものかもしれないけれど。
でも、金の髪を揺らし首を傾けながらもノエルは思うのだ。
「おかしいかな? でもそっちのほうがいいと思ったんだ」
そして誰かの騎士ではなく、普通の女の子として、大魔王へと青を湛える瞳を向ければ。
「わたしとして戦うならこれしかないよね」
そして『わたし』として、ノエルは地を蹴る。
――行こっか、ルケイオス。
共に大魔王へと立ち向かう、魔力を刃へと変える愛剣を手にして。
成功
🔵🔵🔴
斬断・彩萌
どんな絶望が訪れても、希望だけは捨ててはいけないの
私の胸に耀く希望は、アンタに食べられた程度でなくなりゃしない
無尽蔵の希望にお腹パンクしちゃえば?
【翠炎】にありったけの破魔を乗せて、範囲攻撃で網を広げて受け止める!第六感も駆使して咄嗟の動きにも対応
負けるとか、そんな弱気な事は考えない
私が傷だらけになったとしても、此処には猟兵仲間がいる
ひとりぼっちじゃない
数が全てじゃないけれど。ひとりぼっちのあんたより、皆で戦える私たちのほうが有利に決まってる
それだけ希望が、夢が、未来が、私たちの胸には溢れているから
さぁ、反撃よ!
スナイパーとクイックドロウで素早く射撃
胸の核を狙って撃ち抜くわ
眼前の大魔王は全てを喰らうという。
『好きに、望むがよい。好きに、願うがよい。我は、汝らの肉の他に、希望そのものも喰らう』
人々の肉も、希望も――この世の全てさえも。
けれど、斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)がその胸に抱く『希望』の炎は燃え盛るばかり。
「どんな絶望が訪れても、希望だけは捨ててはいけないの。私の胸に耀く希望は、アンタに食べられた程度でなくなりゃしない」
――無尽蔵の希望にお腹パンクしちゃえば?
例えひとつの希望が叶わず挫けてしまっても。人は『希望』を抱き続けるものだから。
キラキラ輝いて希望に満ち溢れている明るい自分も、私。
心に渦巻くどうしようもない感情に締め付けられ涙する自分も、私。
でも、それでもいつか必ず前を向けるのは。
この胸には、夜空に煌めく星のように、太陽の如く燃え盛る炎の火種が決して消えないように。
無限に、『希望』が耀いているから。
けれど大魔王はその『希望』を喰らい、己の糧とせんとする。
「……!」
彩萌へと向けられるのは、眩いほどの強烈な衝撃。
でも先手を取られることは分かっていたから。
ありったけの破魔を乗せ張り巡らされるは、不可視の蜘蛛の巣状の網。
それに触れた大魔王の衝撃が透き通る翠緑の炎とぶつかり、戦場に燃え上がる。
しかし敵は格上の大魔王。
「ッ!」
放たれる全ての攻撃を防ぐことはできず、彩萌の身を貫いていく。
けれど――大魔王を見据える瞳に、その胸に。『希望』の耀きは、まだ灯ったまま。
(「負けるとか、そんな弱気な事は考えない。私が傷だらけになったとしても、此処には猟兵仲間がいる」)
――ひとりぼっちじゃない。
「数が全てじゃないけれど。ひとりぼっちのあんたより、皆で戦える私たちのほうが有利に決まってる」
ひとりで倒そうなんて、そんなこと思ってはいない。
周囲には一緒に立ち向かう仲間たちが居て。
――それだけ希望が、夢が、未来が、私たちの胸には溢れているから。
彩萌はぐっと大魔王へと視線を上げて。
「さぁ、反撃よ!」
大魔王の胸の核を狙い、破壊者の名を冠するアサルトライフルを構え、引き金を引く。
まるで、その心を射抜くかのように。
大成功
🔵🔵🔵
出水宮・カガリ
【星門】ステラと
はじまりの玄室、魔王の最終形態
こちらが抱いた希望を、あちらの力として貪り、利用する、と
1体でさえ難儀なのが、わんさかと押し寄せてはなぁ
というか、そちらとて物理的に狭いのではないか?
怖いかどうかは…んー
城門としては、殺人鬼の鉄槌が一番怖くはあったが
正直、カガリにとっては相手が何であれ変わらんのだ
全て、拒絶すべき脅威でしかない
召喚された魔王達を前に、【錬成カミヤドリ】で複製した【鉄門扉の盾】で作った『殻』の中へ閉じ籠もる
【不落の傷跡】【隔絶の錠前】【拒絶の隔壁】で強化した『殻』を、更にオーラ防御、拠点防御、全力魔法で補強する
絶望と共に最期を待つためでなく
――希望の綺羅星を待つために
ステラ・アルゲン
【星門】カガリと
希望を抱けばそれを喰らうか
人々が願う希望は彼らのもの
貴様が喰い潰し、踏み躙るなど絶対に許せるものではない
カガリの内側に囲って貰ったら流星剣に【祈り】を集める
我が剣は祈りを守護し、希望を導くもの
貴様が願いで強くなるように、私もまたそうだ
唯一つの願いでも、私はその願いに応えてみせよう!
流星剣に集めた祈りの力を【高速詠唱】で【力溜め】
この願いを取られぬように【オーラ防御・呪詛耐性】で祈りを守る
よく耐えてくれたカガリ、さぁ反撃といこう
この願いの力、喰えるものなら喰らってみろ!
【全力魔法】で門の外にいる大魔王に向けて【属性攻撃】の光線を放とうか!
数多の迷宮を攻略し辿り着いたのは、はじまりのおわりの場所。
『我は、汝らの肉の他に、希望そのものも喰らう』
――知的生命体よ、願いを持て。望みを持て。祈りを持て。
そう口を開く大魔王・ウームー・ダブルートゥの言葉に、出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は聞いた予知を思い返す。
「はじまりの玄室、魔王の最終形態。こちらが抱いた希望を、あちらの力として貪り、利用する、と」
大魔王が喰らい糧にするのは、願い、望み、祈る――『希望』。
「希望を抱けばそれを喰らうか」
ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)もその青き瞳で大魔王を見遣りながらも紡ぐ。
嘗ての主を英雄へ導いた願いの剣はよく知っている。
人々が願う希望は、彼らのものだということを。
だから大魔王の言の葉など、聞くにも足らない。
「貴様が喰い潰し、踏み躙るなど絶対に許せるものではない」
しかし、大魔王は格上の存在。
「1体でさえ難儀なのが、わんさかと押し寄せてはなぁ」
……というか、そちらとて物理的に狭いのではないか?
カガリはそう大魔王の最終形態、ウームー・ダブルートゥを見遣りながらも。
これまでの魔王のことを思ってみる。
大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』。
大魔王第二形態『レオ・レガリス』。
大魔王第三形態『セレブラム・オルクス』。
大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』。
大魔王第五形態『モルトゥス・ドミヌス』。
「怖いかどうかは……んー」
希望を壊すべく、その者が恐れる形態の魔王が召喚されるというが。
「城門としては、殺人鬼の鉄槌が一番怖くはあったが。正直、カガリにとっては相手が何であれ変わらんのだ」
――全て、拒絶すべき脅威でしかない。
そしてどの大魔王も恐れぬのならば。
『我を恐れぬか。ならば、全ての大魔王が『希望』を壊す』
ウームー・ダブルートゥの言うように、全ての形態の大魔王が現れるというのだ。
刹那、そんなカガリの恐れぬ心を読み取って。
「……!」
召喚されしは――全ての形態の魔王達。
けれどやはりカガリは恐れず、召喚された魔王達を前に。
複製した鉄門扉の盾で作った『殻』の中へと、ステラと共に閉じ籠もる。
そしてカガリの内側に囲って貰ったステラは、握る流星剣に祈りを集める。
――我が剣は祈りを守護し、希望を導くもの。
「貴様が願いで強くなるように、私もまたそうだ。唯一つの願いでも、私はその願いに応えてみせよう!」
これまで人々の願いに応えてきたからこそ、ステラは強くなってきた。
そしてそれが唯一つの願いでも応えよう……そう祈りを込めし刃で敵を討たんと、青き瞳に『希望』を宿す。
城門であるカガリは鉄壁の防御を誇る。
陥落した城門の無念は脅威を通さず、草花の彫刻がある錠前は疑似的な別世界として隔絶する。
盾を操る念力を更に強固で精密にするのは「いかなる脅威も遮断する」という強い意志。
それを守りの気を纏い、拠点防御や全力魔法を駆使し補強すれば、並大抵の敵であれば何も手出しは出来ない。
そして内側に閉じ籠もるのは、絶望と共に最期を待つためでなく――希望の綺羅星を待つために。
けれど――それは、並大抵の敵は、という話。
「! カガリ……ッ」
ステラはハッと顔を上げ、流星から生まれし魔剣を構える。
相手は恐れるような対象ではないけれど……1体でもかなりの格上。
しかも、この戦争の元凶であるほどの存在だ。
それが5体も現れれば、いくら鉄壁の防御を誇っていても――極論無敵でなければ、計6体の大魔王の攻撃全てを防ぎきることはできない。
「……ッ!」
鉄壁の守りにひずみが生じ、大きく歪む。そして――守りが、破られる。
けれど、それでも。
「この願いの力、喰えるものなら喰らってみろ!」
守りが破られた瞬間、ステラはウームー・ダブルートゥへと属性を乗せた光線を放つ。
そして。
「……くっ!」
「!!」
大魔王達の圧倒的な力の前に、共に崩れ落ちるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ジャスパー・ドゥルジー
【邪蛸】WIZ
ようちえん時よりちょっと大きい姿(真の姿参照)
中身は今のまま
【ゲヘナの紅】で繭を燃やしながら路を切り拓く
パウルが来てくれたらGlanzの後部座席に乗っけて貰うぜ
子供のフリして甘えてやろうかな
「パウルお兄ちゃん♪」
…なァんてね
「このまま」二人きりでも悪くねェかなって心のどっかで思ってる
若返るって事は一緒に居られる時間が増えるって事
精々五年くらいだろうけど俺にゃ大問題なんだよ
でも
大人にゃ大人の楽しみがある
それをみすみす棄てるのは勿体ねェよな
元の姿に戻ってさ
気に喰わねえ術使いの気に喰わねえツラを殴り飛ばしてやろうぜ
乗り越えるのもその先も「二人」でだ
炎の昂りは最高潮
ぜェんぶ燃やしてやる!
パウル・ブラフマン
【邪蛸】
●WIZ
ジャスパーを繭が飲み込んだ瞬間
大魔王に向けるの熱のない絶対零度の眸。
愛しい天使の前じゃ言わねーけど
オレには願いもなけりゃ祈るって感情もない。
総てオレ達の手で叶える、『目標』が常に在るだけだ。
今からソイツを証明してやるよ。
敵の先制後、即座にUC発動。
鎖を伸ばしながら、愛機Glanzを【運転】して迷路内へ。
迎えに来たよ、ジャスパー!
抱き上げるようにして後部座席へ。
じゃれてくる彼に優しく笑んだら
鎖を逆引き迷路の突破口に。
ジャスパー、出た瞬間すぐに
ヤツのドタマに派手にブチ込むよ!
イマのオレ達はこの炎よりアツいぜ。
繭が炎上してる隙に死角へ回り込み
展開したKrakeの全砲門【一斉発射】ァ!
『好きに、望むがよい。好きに、願うがよい』
大魔王が吐き捨てる反吐が出るような甘言に、心揺れることは一切ない。
それは、甘やかしたい愛しい天使の前では言わないけれど。
「オレには願いもなけりゃ祈るって感情もない」
そんなパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が、普段の愛嬌溢れる柔い表情から一変。
大魔王に向けるのは――熱のない、絶対零度の眸。
そして彼が表情を変えた理由。それは、大魔王が戦場に生み出した繭の迷路にジャスパーが攫われてしまったから。
願いも望みも祈りもしないし、そんな感情なんて持ち合わせていない。
けれど、はっきりとこれだけは在るとパウルが言えるもの、それは。
「総てオレ達の手で叶える、『目標』が常に在るだけだ」
――今からソイツを証明してやるよ。
刹那、飛ぶように跨った艶やかな蒼き光線走る白銀宇宙バイクが、迷路の中を駆ける。
パウルと、彼の『目標』を乗せて。一緒にそれを叶える天使を迎えに行くために。
大魔王は希望を奪う者。それは触れた者の時を戻す『産み直しの繭』の迷路。
そしてその繭に飲み込まれたジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)も今は、どこか生意気そうな子供の姿へと時が巻き戻されているけれど。
全身を超高熱で覆い、ゲヘナの紅で繭を燃やしながら路を切り拓いて。
きょろり、紫とピンクが混じり合う不思議ないろを帯びる視線を巡らせながら、出口を目指す。
そしてふと耳に聞こえたのは――じゃらりと鳴る、鎖の音と。
「迎えに来たよ、ジャスパー!」
自分を見つけてくれた、パウルの声。
パウルがひょいっとその身体を抱き上げるようにして、Glanzの後部座席にちょこんと乗っければ。
「パウルお兄ちゃん♪」
二つのいろ宿す瞳を悪戯っぽく細め、子供のフリして甘えてくるちびジャスパー。
そして、……なァんてね、なんて。
笑ってじゃれてくる彼にパウルは優しく笑んでから。
「しっかりオレに掴まってて、ジャスパー!」
しゃらりと鎖を慣らし逆引き、迷路の突破口に。
ジャスパーは黒の髪を風に靡かせ、言われた通りぎゅっとパウルにしがみつきながらも。
心のどこかで思ってしまう――「このまま」二人きりでも悪くねェかなって。
(「若返るって事は一緒に居られる時間が増えるって事。精々五年くらいだろうけど俺にゃ大問題なんだよ」)
元々生きたがりではあったけれど、もっと生きたいと……そう思わずにいられないのだ。
こうやって一緒に、少しでも長くいたいから。
けれど、すぐに首を傾けてジャスパーは思い直す。
(「でも、大人にゃ大人の楽しみがある。それをみすみす棄てるのは勿体ねェよな」)
とにかく、一緒に居られれば。それだけで楽しいし嬉しいのだ。
――だから。
「元の姿に戻ってさ。気に喰わねえ術使いの気に喰わねえツラを殴り飛ばしてやろうぜ」
……乗り越えるのもその先も「二人」でだ。
そうニカッと笑って言えば。
「ジャスパー、出た瞬間すぐにヤツのドタマに派手にブチ込むよ!」
最高に優しくてイカした笑顔が返ってくる。
そして迷路の出口から出た瞬間。
「ぜェんぶ燃やしてやる!」
――炎の昂りは最高潮!
心の底から湧き上がる感情そのままに、ジャスパーの滾る紅が繭を燃やし尽くして。
繭の迷路が炎上し、愛しい紅のいろに戦場が染まる中。
――イマのオレ達はこの炎よりアツいぜ。
『……クッ!』
「Krakeの全砲門、一斉発射ァ!」
死角へ回り込んだパウルは、大魔王のドタマに派手にブチ込むべく、Krakeの4方向一斉掃射を。
胸に抱く思いは、願いでも望みでも祈りでもない、『目標』。
そしてそれは、気に喰わない術使いなんかに叶えて貰わなくていい。
総て自分達の――『二人』の手で、叶えるものだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セシル・エアハート
【WIZ】
何だか、身体が不思議な感覚みたい…。
…ああ、この身体。この姿かたち。
思い出す。
かけがえのない幸せを奪われたあの日。
自らも心を傷つけられたあの日。
また、あの時と同じ事を繰り返してしまう…?
…違う!
あの時誓った。
もう誰かが死ぬのは嫌だ。
もう誰かが涙を流すのは嫌だ。
もう、誰かが虐げられるのは嫌だ。
たくさんの人達の、笑顔を護る。
そう心に誓ったんだ!
だから大魔王。
全てがお前の喰らうだけの存在だけだと思うな。
お前の好きになんか絶対にさせはしない。
お前を倒してこの世界の平穏を、皆に笑顔を取り戻す!
…骸の海で、安らかに眠れ。
●アドリブOK●
辿り着いた『はじまりの玄室』の玉座に在るのは、大魔王・ウームー・ダブルートゥ。
『知的生命体よ、願いを持て。望みを持て。祈りを持て』
そして戦場と化したはじまりの場所に生み出されしは、出口がひとつしかない硬質の迷路。
それは、触れると急速に若返る『産み直しの繭』で作られたもの。
(「何だか、身体が不思議な感覚みたい……」)
その繭の迷路に囚われたセシル・エアハート(深海に輝く青の鉱石・f03236)は身体に違和感を覚えて。
予知で聞いていた、己に起こったことを把握する。
大魔王は希望を奪う。人々の時間を巻き戻して。
そしてセシルは思い出す。
「……ああ、この身体。この姿かたち」
――かけがえのない幸せを奪われたあの日。
――自らも心を傷つけられたあの日。
刹那、セシルは無意識に、心に生じた感情を零す。
「また、あの時と同じ事を繰り返してしまう……?」
けれど、セシルは青の髪を揺らし首を大きく横に振って。
「……違う! あの時誓った」
ブルーサファイアの瞳に、あの日の光景を映す。
それは奪われた、傷付けられた、辛い記憶だけれど。
――もう誰かが死ぬのは嫌だ。
――もう誰かが涙を流すのは嫌だ。
――もう、誰かが虐げられるのは嫌だ。
――たくさんの人達の、笑顔を護る。そう心に誓ったんだ!
今でも思い出せば、また同じことを繰り返してしまうかもしれない。
また奪われ、傷ついてしまうかもしれない……そう心に思ってしまうけれど。
でも、セシルは誓ったのだ。たくさんの人達の笑顔を護る、と。
その強い心を抱けば……解き放たれるは、あの日の呪縛。
心に生じる感情に打ち勝ち、元の姿に戻ったセシルは迷路を突破して。
『希望』を……この世の全てを喰らわんとする存在へと、はっきりと紡ぐ。
「だから大魔王。全てがお前の喰らうだけの存在だけだと思うな。お前の好きになんか絶対にさせはしない」
――お前を倒してこの世界の平穏を、皆に笑顔を取り戻す!
瞬間、セシルの掲げた両掌から放たれるは、痺れるほどの青き超高圧電撃。
『……!!』
「……骸の海で、安らかに眠れ」
そう紡がれた言の葉に宿るのは――あの日誓った、『希望』のいろ。
成功
🔵🔵🔴
文月・統哉
俺の願いは着ぐるみを世界に…なんて言ったら
大魔王も着ぐるみを着てくれるのかい?
でもそれだけじゃ俺の夢は喰いきれないぜ
だって俺が願うのは
着ぐるみの良さを広める事で
世界中の人々を癒し笑顔にさせる事
それを目指し行動したいという
俺自身の在り方そのものだから
お前は大魔王、災厄招く存在だ
願いを全て喰らえば自己の在り方を自ら否定する事になる
それは強化というより寧ろ弱体化
試してみろよ
喰えるものなら喰ってみろ!
クロネコ・レッドたる矜持を胸に
着ぐるみの空で自己強化
着ぐるみを愛し行動する意思の力で
負ける気など毛頭ない
大魔王の状態変化に注意し情報収集
飛翔の機動力も活かしつつ
攻撃を見切り武器受けし
カウンターに大鎌で斬る
『好きに、望むがよい。好きに、願うがよい』
辿り着いたそこは、大魔王が待つ玉座。
地下迷宮アルダワの最終フロアである、『はじまりの玄室』だ。
大魔王は人々を唆す。人々の『希望』を喰らうために。
そして文月・統哉(着ぐるみ探偵・f08510)は、望み願うことを口にする。
「俺の願いは着ぐるみを世界に……なんて言ったら、大魔王も着ぐるみを着てくれるのかい?」
『それが汝の願いならば、叶え聞き届けよう』
大魔王は統哉の願いを聞き入れ、願い主である統哉と同じ、もふもふな黒猫さん着ぐるみ姿に!?
けれども、統哉は漆黒の髪を揺らし、ふるりと首を横に振り言い放つ。
「でもそれだけじゃ俺の夢は喰いきれないぜ」
――だって俺が願うのは、着ぐるみの良さを広める事で。世界中の人々を癒し笑顔にさせる事。
ただ着ぐるみを着るだけでは、ただのもわもこでしかない。
着ぐるみを愛し、着ぐるみで皆を笑顔にしたいのだ。
それを目指し行動したいということは、統哉自身の在り方そのものだから。
そして統哉は赤の瞳で敵を見遣り、口にする。
「お前は大魔王、災厄招く存在だ。願いを全て喰らえば自己の在り方を自ら否定する事になる。それは強化というより寧ろ弱体化」
――試してみろよ。
「喰えるものなら喰ってみろ!」
その胸に抱くのはそう、クロネコ・レッドたる矜持。
――今こそ、着ぐるみの力をここに。着ぐるみ召喚・着ぐるみの空!
大魔王が希望を糧にするのならば。統哉は抱く意志を力にするのだ。
しかし、大魔王が放ってくる衝撃は強烈で。
このままではいずれ、あっという間に倒されてしまうだろう。
けれどいくら傷を負っても。統哉は恐れない、倒れない。
「着ぐるみを愛し行動する意思の力で、負ける気など毛頭ない」
歯を食いしばり、確りと大魔王の様子に注意しながらも。
空を舞い、容赦なく着ぐるみの身を貫く衝撃を何とか堪えて。
振るう大鎌の漆黒の刃が、淡く輝いて。
宵闇に、クロネコ・レッドたる矜持を乗せた、美しい軌跡を残す。
成功
🔵🔵🔴
呉羽・伊織
【花守】
困った悪食大魔王だ
さて道明
俺に希望を持たせた責任はちゃんと取ってくれよ
―お前と臨むなら果たせるだろうなんて希望
―その代わり、俺も失望はさせねーとも
一瞥も呉れずとも、その一言を呉れるのみで十分
乗り越えた先で会おう
真白に戻る
この身は忌まわしきモノですらない、唯の物に
されどこの心迄は――戻させやしない
此処までに重ねた時は、縁は、心は、何にも変えられぬ、何よりも強い、俺の糧――飲まれて尚尽きぬ希望
人の形を取り戻せば、呪も鬼も戻る――其でも、俺はもう一度あの“俺”として仲間と共に歩みたい
――迷わずあの目映い希望の元へ、戻ってみせる
有りっ丈を、喰らえ
刃と共に
仲間と共に
喰いきれぬ程のモノを叩き込みに
吉城・道明
【花守】
全く、とんだ卑しん坊だ
――其方こそ、人を酔狂に巻き込んだ落とし前はつけて貰うぞ
その希望に、応えねばなるまいと
その希望を、成さぬ訳には行かぬと
――そう思わせてくれた礼は必ず
(後はもう一瞥もくれず――)
知っている
信じている
(その裡に懐く魂の、心の、その強さを)
次会う時は、彼の魔王を穿つ瞬間としよう
その覚悟と信頼と希望を胸に、刃に
今一時は抗い、耐え抜いてみせる
願い望むは、唯守る為の力
人の平穏を、仲間と交わした言葉を
守り抜き、果たす為だけに全てを尽くす
喰らわれたとて、この貫き通す
この希望は決して譲れぬ
腕一つ動けば重畳――
耐え抜き切り込めば、そこに希望を切り開く一閃が続くと信じている
大魔王・ウームー・ダブルートゥは猟兵達を唆す。
願い、望み、祈り……すなわち『希望』を持てと。
けれどもそれは、その『希望』を叶えてやるためなどでは決してない。
『我は、汝らの肉の他に、希望そのものも喰らう。我はすべての希望を聞き届け、我が糧としよう』
大魔王は喰らうのだ。人々の肉も、希望そのものも、この世の全てさえも。
「困った悪食大魔王だ」
呉羽・伊織(翳・f03578)は、何もかも喰らい尽くさんとする大魔王にそう視線を向けた後。
己の声に同意するように――全く、とんだ卑しん坊だ、と。
紡いだ吉城・道明(堅狼・f02883)へと赤の視線を移し、言の葉を投げれば。
「さて道明。俺に希望を持たせた責任はちゃんと取ってくれよ」
「――其方こそ、人を酔狂に巻き込んだ落とし前はつけて貰うぞ」
返るその声に、伊織は笑み宿す。
大魔王は希望を喰らい、糧にする。だがその心に宿るのは、まさに希望。
――お前と臨むなら果たせるだろうなんて希望。
――その代わり、俺も失望はさせねーとも。
けれどそれは大魔王に喰わせるためのものでは決してない。
(「その希望に、応えねばなるまいと。その希望を、成さぬ訳には行かぬと」)
道明は只一言、伊織へと呉れてやる。
「――そう思わせてくれた礼は必ず」
でも、それで十分。
後はもう一瞥もくれず。刀握るその姿を映す瞳を伊織は細める。
――乗り越えた先で会おう、と。
視線を向けぬのは、そうせずともいいのだと。
道明は知っているし、信じているから――その裡に懐く魂の、心の、その強さを。
そして向けられた思いに、心内で応える。
――次会う時は、彼の魔王を穿つ瞬間としよう、と。
「……!」
刹那、大魔法が戦場に施したのは『産み直しの繭』。
それが硬度のある迷路を成し、伊織の身体を飲み込めば。
人のものであったその身は……真白に戻る。
そう、忌まわしきモノですらない、唯の物に。
大魔王は希望を奪う。繭に触れたその者の、時間を巻き戻して。
けれど、唯の物に戻ったとしても
(「されどこの心迄は――戻させやしない」)
大魔王が人々の希望を糧とするのならば。
何にも変えられぬ、何よりも強い、伊織の糧は――此処までに重ねた時、縁、そして心。
それは、飲まれて尚尽きぬ『希望』だ。
忌まわしきモノではない己。そう在りたいと心に抱いたこともあったかもしれない。
けれど、人の形を取り戻せば、呪も鬼も戻る――それでも。
(「俺はもう一度あの“俺”として仲間と共に歩みたい」)
伊織のその心に、躊躇いなどない。
――迷わずあの目映い希望の元へ、戻ってみせる、と。
『知的生命体よ、願いを持て。望みを持て。祈りを持て』
きっと戻ってくると、そう分かっているから。
(「その覚悟と信頼と希望を胸に、刃に。今一時は抗い、耐え抜いてみせる」)
道明は眼前の大魔王を藍色の瞳で見遣りながら、その心を紡ぐ。
「願い望むは、唯守る為の力。人の平穏を、仲間と交わした言葉を。守り抜き、果たす為だけに全てを尽くす」
当に覚悟は決めているのだ。盾として在らんと。
刹那、大魔王の強烈な爪撃が振り下ろされ、引き裂かれ赤が飛沫く。
けれど、穿たれ抉られても、決して折れたりはしない。
「喰らわれたとて、貫き通す」
――この希望は決して譲れぬ。
乗り越えた先で会おうと、そう交わし合ったから。
しかし、大魔王は遥か格上。いつまで持ち堪えられるかわからない。
いや……ひとりその身に引き受ける傷をみれば、倒れていてもおかしくはないほど。
だが道明はふと青の瞳を細め、微かに笑む。
「腕一つ動けば重畳――」
「有りっ丈を、喰らえ」
『……な、ッ!!』
約束通り、人の形を取り戻した伊織と共に。道明が持てる力全てをもって刃を振るえば。
刃と共に、仲間と共に――喰いきれぬ程のモノを叩き込みにと。
大魔王へと放たれる、自由気儘な性分の伊織の如き変幻自在な属性の暗器。
そして刹那、大魔王へと叩き込まれるのは――希望を切り開く一閃と変眩。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
英比良・與儀
あんまり無茶して怪我すると、あとで騒ぐしな
ほどほどに、怪我しないように立ち回ろう
希望を喰らうか
希望はいつだって生まれるもの
喰らいつくすなんて無理だろうが――挫いてやるからやればいい
そもそも神の俺は、希望の果てみたいなもんだしな
触れれば若返るというのなら、きっと俺は逆だろう
時を遡るのは、俺にとって失った時を巡らせるということ
視界が高くなれば楽しくなってくる
ああ、こういうものだったな
手も大きい、歩幅も違う
髪を結う紐をほどいて、竜巻に変えて向けようか
大魔王に辿り着く為に過日の己に嫉妬もして、いけすかねェ奴とも一緒に戦ったが
僅かの間でもこの姿に戻れた事には感謝している
が、きっちり倒してやるよ
此処に赴く前でさえも、そうであったくらいだから。
(「あんまり無茶して怪我すると、あとで騒ぐしな。ほどほどに、怪我しないように立ち回ろう」)
英比良・與儀(ラディカロジカ・f16671)は、自分を此処へと導いた従者の表情を思い返しながらも。
花浅葱色を帯びた視線を、ぐんと上げる。
『好きに、望むがよい。好きに、願うがよい』
大魔王・ウームー・ダブルートゥは紡ぎ、告げる。
――我は、汝らの肉の他に、希望そのものも喰らう、と。
「希望を喰らうか」
けれど、與儀は知っている。希望はいつだって生まれるものだと。
人はいつでも願い、望み、祈るのだ。ひとつ潰えて折れたとしても、何度でも。
それに、大魔王が希望を喰らい糧にする存在だというのならば。
「喰らいつくすなんて無理だろうが――挫いてやるからやればいい」
神である與儀は、願い望むその希望を叶える存在。
無論、それを糧にすることなどもなく。叶えるといっても、気が向いたら手助けをするというだけだ。
「そもそも神の俺は、希望の果てみたいなもんだしな」
けれど大魔王は、希望を喰らうだけではない。
「!」
希望を奪う者にもなるのだ。
希望を叶えることができぬよう、その者の時を巻き戻して。
刹那、戦場に成され與儀を飲み込んだのは――『産み直しの繭』の迷路。
唯一の出口を探す間に、閉じ込められたものは希望を奪われる。
無力な過去の己の姿へと還されて。
けれど――それは、普通に成長を遂げてきた者の場合。
與儀はふと、小さき少年の掌を翳す。
(「触れれば若返るというのなら、きっと俺は逆だろう」)
――時を遡るのは、俺にとって失った時を巡らせるということ。
そして少年の手が繭に触れた瞬間……急速に巻き戻る與儀の時間。
普通の少年であるならば、あっという間に赤子にまで戻ってしまっていただろう。
けれど、與儀に生じるのはその逆――ぐぐっと背丈が伸びる感覚。
神の時は今、巻き戻ったのだ。全盛期の、本来在るべき與儀の姿に。
「ああ、こういうものだったな」
高くなった視界に、紡ぐその声はどことなく楽しさを纏って。
繭に触れていた手を取り返し見れば、長くしなやかながらも関節の出た指に、包み込む様に大きな掌。
歩めばその幅は、慣れたはずの少年のものとは明らかに違う、けれど懐かしい一歩。
與儀はきゅっと大きな掌を覆う白手袋を下げてから。
髪を結う紐をするりと解けば、刹那それは竜巻へと変わって。煌めく金糸が美しくふわり、宙に踊った。
それから難なく迷路を突破して。自信に満ち溢れた、堂々たる真の姿を取り戻した神は、ウームー・ダブルートゥへと再びその花浅葱を向ける。先程よりもぐんと高くなった視点から。
そして與儀は、大魔王へと紡ぐ。
「此処に辿り着く為に過日の己に嫉妬もして、いけすかねェ奴とも一緒に戦ったが。僅かの間でもこの姿に戻れた事には感謝している」
けれど人々の希望を叶える神として、希望を喰らう存在とは相容れないから。
――きっちり倒してやるよ。
振るわれた強烈な大魔王の衝撃を真っ向から迎え撃つべく、與儀は再び創造する。
金の煌めきを揺らし、戦場に唸りうねる、激しい神の竜巻を。
大成功
🔵🔵🔵
ソラスティベル・グラスラン
幼い頃、物語を読み耽り憧れた英雄たち
ですが、わたしが愛したのは彼らだけではなく
姫を、民を、危機を
何よりも愛しかったのは
強く偉大な『大魔王』―――
オーラ防御・盾受けで守り、攻撃を見切り怪力で受け流す
第六感で最善の生存手段を察知し継戦を
只管に耐え延びて前進!己の大斧を叩き込む為に
願いも、望みも、祈りも不要
それら『希望』は弱き民のもの
『勇者』とは勝利を願われ、望まれ、祈られる者
逆は無く、その全てに応え立ち向かう者
わたしは臨みます、大好きな貴方に
わたしを勇者に引き上げてくれる、理想の好敵手
夢を夢のままで終わらせず、貴方がいたからわたしは戦える
一つ、望みができてしまいました
貴方に感謝を伝えたい……!!!
幼い頃、夢中で物語辿るその青の瞳を、キラキラと輝かせたもの。
それは、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)が憧れて止まない英雄たちの姿。
けれど彼女が愛したのは、彼らだけではない。
姫を、民を、危機を――心躍る冒険の世界を彩る、ひとりひとりの物語を彼女は愛して。
その中でも一等、燃える心を揺さぶる存在。
(「何よりも愛しかったのは、強く偉大な『大魔王』――」)
そして英雄譚に憧れ、夢見て。勇気を胸に困難に立ち向かい、ここまで歩んできたソラスティベルの前には今、その愛しき存在の姿がある。
『願いを持て。望みを持て。祈りを持て。我はすべての希望を聞き届け、我が糧としよう』
けれど大魔王が紡ぐものは、ソラスティベルには不要。
願いも、望みも、祈りも……それら『希望』は、弱き民のもの。
だからこそ、『勇者』には不要なのだ。
勝利を願われ、望まれ、祈られる者――逆は無く、その全てに応え立ち向かう者。
それこそが『勇者』であるのだから。
大魔王を前にしたソラスティベルの心に灯るのは、熱く燃える勇気の炎。
「わたしは臨みます、大好きな貴方に」
相手は強敵で当たり前。何ていったって、大魔王なのだから。
けれど、だからこそ……その大きな眼前の障害に、今こそ立ち向かうのだ。
『我は、汝らの肉の他に、希望そのものも喰らう。好きに、望むがよい。好きに、願うがよい』
刹那、大魔王・ウームー・ダブルートゥが放つは、人々の希望を挫くほどの強烈な衝撃。
「……ッ!」
それを、ソラスティベルは真っ向から受け止める……勇気、気合、根性、そして諦めない心で。
けれど相手は大魔王。確りとその衝撃の軌道を見切り、華奢な体に見合わず怪力で必死に受け流して。
――勇気で攻め! 気合で守り! 根性で進む! 一部の隙も無い、完璧な作戦ではないですか!
そんなシンプルでいて完璧だという、勇者たる作戦をもってしても。強大な大魔王の攻撃は、今にも膝が折れそうなくらい無慈悲だけれど。
……それでも何故だろうか、心がこんなに燃え上がり踊っているのは。
ソラスティベルは只管に耐え延び、決して後ろに下がらず前進しながらも、容易にその答えを見つける。
「わたしを勇者に引き上げてくれる、理想の好敵手。夢を夢のままで終わらせず、貴方がいたからわたしは戦える」
この戦場で大魔王と戦ってきたのは、勿論自分ひとりではない。
皆が諦めず大魔王に立ち向かい、歯を食いしばって耐え、そして勇気をもって握る刃を振るってきたから。
纏うこの草原のいろに込められた思いだって、いつだって勇気を齎してくれる。
だからこそ、今――大魔王を倒す機会が生まれるのだ。
ソラスティベルは己から流れる赤をも誇りに変えて。握る蒼空色の巨大斧の一撃を、雷の如く轟かせる。
そのためにソラスティベルは前進してきたのだから。
『! なっ、我は……この世の全てを、喰ら……!』
皆で立ち向かってきた大魔王を、在るべき場所へと還すべく。この一撃を叩き込む為に。
そして地に落ち沈む大魔王の姿をその青の瞳に映し、ソラスティベルは紡ぐ。
「一つ、望みができてしまいました」
――貴方に感謝を伝えたい……!!!
崩れ消えゆく理想の好敵手に、勇者からそう、敬意と愛を込めて。
大成功
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