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不完全なこの世界

#UDCアース


●声
 ねぇ、教えてと声が聞こえた。
 気付けば、目の前には一冊の黒い本。
 引き寄せられるように手を伸ばして。
 それから、
        ―――それから?

●晦
 コンクリートの塊から、ゆらゆらとたくさんの影が這い出てくる。
 頼りない光を放つ街灯に照らされて浮かび上がるのは、淀んだ色をした瞳だ。
 アァ……アァ……と呻き声を漏らしながら。
 木々の隙間を、石畳の上を、影が踊る。

 刹那。
 かさり、と音がする。

 なにを捉えるでもなく、ただ虚空を見つめている瞳が一斉に振り向いた。
 誰が発したかも知れぬ悲鳴が、虚な空間に響いた。

●グリモアベース
「UDCアースの予知です」
 聞いて頂けますか? いつもと変わらぬ穏やかな口調に、僅かな憔悴の色を滲ませて太宰・寿(パステルペインター・f18704)は首を傾げた。
「私が見たのは、文化施設とその一帯で起こる邪神復活の光景です」
 寿が手にするスケッチブックを開く。
 描き出されるのは公園、そして同じ敷地に建つ施設。
 美術館は使われなくなって久しいが、公園は嘗てと変わらず近隣住民の散歩などに使われており、日夜人通りのある場所だという。
 公園の遊歩道は、ぐるりと美術館を囲うように舗装されていた。
 一角には小さな人工池や、ブランコや滑り台といった遊具。
 よく分からない大小様々なオブジェがいくつも点在しているのは、美術館が併設されているからだろうか。

「時間帯は日没後。美術館の建物から、洗脳された人達が現れます。
 彼らは公園の近隣に住む住人です。
 邪神の影響で呼び寄せられたのだと、私は推測しています」

 寿が美術館を指す。
「彼らが公園へ出た後、皆さんにはまず美術館を目指して頂きます。
 見つからないよう公園を抜け、美術館に潜入してください。
 私が見た予知では、公園を徘徊し邪神復活の後に街の人々を襲いましたから……」
 彼らは邪神が復活するまで公園から出ることはありません、と寿は話す。

 人払いはUDC組織で請け負うが、騒ぎになればそれも限界がでてくるだろう。
 呼び寄せられる邪神を倒せれば、彼らも自分を取り戻すから。
 ひとつひとつ、懸念を消していくように寿は告げる。

「美術館で彼らは洗脳されたようです。
 ……そしてそれは、猟兵である皆さんにも影響を及ぼすはずです」

 それは心を折ってくるものかもしれないし、気を狂わせるものかもしれない。

「それから……黒い本が見えました。だけど、すみません」
 分からない、と言うように寿はゆるゆると首を振った。
 僅かに表情に陰りを見せて、それでも真っ直ぐに寿は猟兵たちを見つめた。
「公園を抜けた後の案内は現地で。皆さんなら大丈夫だって信じてます」
 いつものように微笑んで。
 スケッチブックが光を紡いだ。


105
 久しぶりにリリースさせて頂きます。105です。

●簡単な流れ
 一章:ゾンビのように徘徊する人々から、見つからないように公園を突破。
 二章:狂気渦巻く美術館を突破。
 三章:邪神討伐。

 詳細は章ごとに断章でご案内します。

 各章の舞台となる場所にありそうなものは、オープニングや断章になくとも利用して頂いて構いません。
 こんな風に動くよ! とキャラクターさまらしいプレイングを書いて頂ければ、がんがんプレイングボーナスが発生するシナリオとなります。
 技能やレベルを気にせず、お気軽に参加頂ければ幸いです。

●プレイング受付について
 各章、断章公開後から受付いたします。
 締切はマスターページでお知らせいたします。

 よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『抜き足、差し足、忍び足』

POW   :    隠れる

SPD   :    扮する

WIZ   :    揉み消す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

●公園
 昼間の暑さは鳴りを潜め、初夏の風は爽やかだ。
 ―――と、この公園に踏み込むまでは思えたかもしれない。

 既に邪神の影響下にあるのだろう。
 猟兵たちの耳に聞こえるのは、風が木々を揺らす音ではない。

 この世のものとは思えぬ低いうめき声と、じとりとした不快な空気。
 徐々に冷静さを奪うように、それは猟兵たちに纏わりつく。
 呻き声を漏らしながら徘徊する人影はそこかしこにある。
 彼らに見つからないように、視線の先にある美術館へと足を踏み入れなければならない。
ベルンハルト・マッケンゼン
アドリブ連携大歓迎

夜の市街地、徘徊する群衆を避けて建物に突入か。
あぁ……これはモガディシュの記憶だ。
鳴り響く銃声、閃光に浮かぶ黒い人影、暑い夜だった。戦術的に…フッ。

POW
夜間「迷彩」服と「暗視」装置、タクティカルブーツを装備。フェイスペイントで暗闇に溶け込む。
「戦闘知識」から開けた場所を避け、迂回ルートへ。
オブジェの等の陰に隠れ、敵をやり過ごして静かに進む。
異変を感じればステルスを放棄、ダイナミックエントリーへ。
UCを使用、セントリーガンの陽動射撃で敵の注意を反らし美術館へ急行。
ロープ「クライミング」で外壁を乗り越え、「破壊工作」で窓を壊し、
中にスタングレネードを投げ入れ「目潰し」後に突入。




 記憶に甦るのは血と土埃の匂い、纏わりつく硝煙。重火器が人々を殺す音。悲鳴。未だ争いの絶えない……そうだ、これはあの時の記憶。

 この戦場の空気は彼の地とはまた違うけれど。
「夜の市街地、徘徊する群衆を避けて建物に突入か」
 どこか重なる記憶に、目を閉じる。
「(鳴り響く銃声、閃光に浮かぶ黒い人影、暑い夜だった。戦術的に……)」
 ――ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)の口角が、ふ、と上がる。
 頭上にあげていた暗視装置を下げる。編み上げたタクティカルブーツが、音を殺して地面を踏みしめる。
 纏う迷彩服は徘徊する人々から姿を隠して、ベルンハルトは夜の闇と同化していた。

 点在する気配や動きを具に観察するベルンハルトの近くで、地面を鳴らす音がする。
 ザッ……ズリッ……引きずるように足を進める青年は、足にギブスを巻いていた。痛みを感じている様子なく、ただ進んでいくその様は不気味だった。
 悟られぬよう息を殺すベルンハルトに気づかずに、青年はゆるゆると通り過ぎていく。

「(まるでゾンビだな)」
 鼻で笑い、その姿を視線で追った。
 この公園の空気自体が常ならざる気配を孕んでいた。空気は意図も容易く民衆を飲み込む。戦場傭兵であるベルンハルトはそれをよく知っている。

 ベルンハルトは意識を戻すように呼吸を整えた。
「(潜入など慣れたミッションだろう)」
 終わればうまい酒が待っている。そう自分に語りかけて、セオリー通り開けた場所は避けながら進んでいく。

 オブジェに身を潜め、次の遮蔽物へ渡り。
 後は外壁を乗り越えてしまえばいい。僅かに手を伸ばせば、美術館の窓はベルンハルトを招き入れようとそこにある。
「なんとも容易いもんだな。まぁ、どうとでもなるんだが」
 楽観的な言葉を吐くが、それでも油断はない。敵襲を警戒してスタングレネードを投げ込んで。
「――さて、次は何が出てくる?」
 シニカルに笑って捨てて、ベルンハルトは狂気の入口へ足を踏み入れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紬雁・紅葉(サポート)
『業邪…御鎮めします』
基本戦闘場面に参加

破魔、属性攻撃、衝撃波、薙ぎ払い等とUCを適宜組み合わせて攻撃

見切り、残像、オーラ防御、武器受け等とUCで防御や回避

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

範囲攻撃と2回攻撃での雑魚払いが得意だが
ボスとの戦闘も遜色なく行えるし行う


羅刹紋を顕わに戦笑み
傷負っても笑みを崩さず
何処までも羅刹の血と"剣神"の導きに従い
災魔業邪を打ち倒す

敵の最期に
去り罷りませい!
の言葉を

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「折角なら今もやっている美術館だと良かったのですけど」
 残念ね、そう囁く嫋やかな声は夜気へと溶けた。

 周囲に気を配りながらも、もしこの美術館が閉鎖されていなければどんな絵画があっただろう。
「(そこにあるのは、鮮やかな色彩かしら?
 それとも、自然を象る優しい色彩?)」

 そんな風に考えながらも、紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)の視線は淑やかな色を乗せたまま油断なく周囲を窺っていた。
 身を潜める木々の向こうに美術館だった建物が見える。そして、その間にはゆらゆらとどこを目指すでもなく彷徨う人の形がいくつも見て取れた。
 足音を殺し、木々を辿りながら紅葉は美術館へと近づいていく。

「(ここからは、彼らの間を抜けねばなりませんね)」
 一気に薙ぎ払って意識を奪ってしまえば早いけれど、と心の中で零しながらも。
「(見つかってはならないと言われていますものね)」

 すい、と視線動かす。適当な木に視線を移して気を飛ばす。
 かさり、と音がして。

 淀んだ瞳が獲物を探して動く。
 音のする方をじぃとみつめて、ゆらりとソコへ近づいていく。

 その様子を確認するや、艶やかな漆黒の髪が闇に踊る。
 僅かに生まれた風が、最後に小さく小さく音を立てた。

 一番近くの瞳が、ぎょろりと動いた。
 だけど、そこにはもう何もない。
 地を蹴る紅葉の残した残像は混沌が捉える刹那に消え失せて、清浄な空気だけをそこに残して涼やかに葉を揺らすばかり。

成功 🔵​🔵​🔴​

落浜・語
あんまり隠密行動は得意じゃないが、やるだけやってみるか。

カラスに先行してもらって、ある程度人の少ない方向を把握する。カラスなら、闇夜に紛れるから見つかりにくいだろうと信じて。
その情報を基に、【存在感】をできる限り消したうえで【第六感】にも頼りつつ【聞き耳】を立てて、多少遠回りでも音のしない人気のないほうから美術館に近づく。
もし気付かれそうならば、手近な石などを投げるなど【フェイント】をかけて移動。【失せ物探し】の要領で入り込めそうな場所を探して中に入る。




 公園と住宅地を隔てる木々に影が差す。ばさりと羽音を立てて、首回りに白い模様の入った“カラス”が、主の元へと降りてくる。

「おかえり。どうだった?」
 腕に乗せたカラスに、落浜・語(ヤドリガミの天狗連・f03558)は語りかける。カシカシと首の後ろを掻いた後、カラスは美しい黒の瞳を公園の奥へと向ける。まるであちらに行け、とでも言うように。
 語はその視線を追い、美術館を見つめる。ここは公園の隅、徘徊する人々から最も離れた場所だ。故に、美術館までの距離もそれなりにある。
 しばし考えるように視線を落として、足元からいくつか小石を拾った。落ちないようズボンのポケットへと入れる。これは保険だ。

「……あんまり隠密行動は得意じゃないが、やるだけやってみるか」

 黒革の手袋の端を引き、嵌まり心地を確かめるよう掌を開閉して。

「カラス。案内、頼む」

 再び羽音を立てて、カラスは空へと舞い上がる。月のない空を飛ぶカラスに、徘徊する人々が注意を払う様子はない。その様子を確認してから、語は静かに木々の隙間から移動を始めた。

 慎重に彼らの音を辿る。緩慢な動作を思わせる不規則な足音が徐々に近づいてくる。
 物陰に身を潜める語のすぐ側を、呪詛めいた呼気が掠めていく。
 足音が遠ざかって、尚も語は足音を追う。追わねばならない気がした。
 それはある種脅迫のようで――。

 頭上の微かな羽音が、語の意識を繋ぎとめる。
 呼吸を忘れている事に気づいて、は、と息を吐いた。

「(異様な空気は、決して初めてじゃないんだが)」
 確実に美術館へ近づきながらも、どこかざわりとした感覚が消えない。それとも、それは美術館へ近づいているからだろか。
 建物の側に立つ一本の木にカラスが留まる。視線だけで探れば、ギリギリ抜けられそうな窓が一枚。

 再度周囲の気配を窺って、語は一気に駆け抜けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
まるでホラー映画だな。化物相手ならぶっ潰して進めば済む話なんだが…洗脳された一般人が相手じゃ下手な事は出来ねぇな。

UCを発動。【忍び足】を使って影や木に紛れて美術館に接近。
加えて、極力足音を殺し、迅速に動くぜ。視界は虚ろのようだが、聴力はハッキリしてやがんのか?予知を聞く限りじゃ、音さえ出さなきゃバレる事はないと思うが。
余裕がありゃ、徘徊してる人間の様子を観察。身体的な変化とか、歩き方、恐らく情報以上のモンは出ないだろうが…厄介事を請け負う『便利屋』としてのクセみたいなもんさ。
適当に観察したら【鍵開け】で美術室の扉を開け、そのまま潜入だ。
ま、此処までは簡単な話だ。さて、この美術館には何がある?




「まるでホラー映画だな」
 どこか愉快気ですらあるのは、余裕の表れだ。カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は、馴染むトレンチコートのポケットから手を出すと軽く手首を回す。
「化物相手ならぶっ潰して進めば済む話なんだが……洗脳された一般人が相手じゃ下手な事は出来ねぇな」
 まぁ、それもたいした問題じゃねぇけどな。
 呟き浮かべる笑みには、絶対の自信が込められていて。

 今は便利屋、元盗賊。足音を消すなんてことは、呼吸する事と大差ない。木やオブジェ、更には僅かな街灯から生み出される影。全てを利用し紛れて駆ける足は、川の流れに沿って泳ぐ葉のように淀みなく進んでいく。

「(視界は虚ろのようだが、聴力はハッキリしてやがんのか? 予知を聞く限りじゃ、音さえ出さなきゃバレる事はないと思うが)」
 静止と移動を繰り返しながら、カイムは徘徊する人々の様子を窺った。どの程度の気配を察知できるのか定かではないが、少なくともカイムの動きを捉えている様子はない。

「(やっぱり、視界が定まってねぇな。身体的な変化はないように見えるが……能動的な動きっつーより、こう)」
 虚脱している身体を無理やり動かされているように、カイムの瞳には映った。
 事前に聞いていた以上の情報がそうそう出て来るとは思わない。が、これは『便利屋』として染みついた謂わばクセのようなものだった。
 そんな自分に一度だけ、おどけるように肩を竦めて。
「ま、此処までは簡単な話だ」
「(それよりも、気になるのは)」
 ちら、と視線を美術館へと向ける。

 一息に駆け抜け、建物の壁に身を預ける。周囲を警戒しながら、『関係者専用』と書かれた扉へ手を伸ばす。一呼吸の合間に、鍵は造作もなく開いた。

 扉を開くと、得体の知れない空気が一層強くなる。
「さて、この美術館には何がある?」
 ずっと己に纏わりつく気配は感じていた。だが、未だ見えぬ敵の姿に臆する気持ちはない。いつものように口の端を上げるカイムは、迷うことなく狂気の入口へと踏み込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
可能なら事前にUDC組織に要請し、公園の地図を入手する。

先ずは状況を観【視力+第六感+情報収集】る。
目付は広く、周囲の人影の総数と配置、美術館までの距離、周囲の地形、遮蔽物を把握。

基本的には高所を静かに移動【ジャンプ+クライミング+地形の利用】。
跳躍で届きそうにない場合はタクティカルペンとクライミングロープを組み合わせ即席の鉤縄を作り用いる【投擲+ロープワーク】

美術館に侵入する際も高所から侵入。

UCは防御重視。

ゾンビのようであっても彼らは操られているに過ぎない。
極力傷付けないように行動。
止むを得ない場合は柔術【グラップル+戦闘知識】で往なし、拘束・昏倒するに留める。




 画面の上を親指が滑る。
 映し出されるのは、無機質な線で描き出された地図。この公園のものだ。
 遊具や池、オブジェの位置が記されただけの簡素なものだが、美術館との距離感を把握するには十分だった。
 脳に刻み込むように少しだけ時間をかけてそれを確認して、上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)はスマホの画面を落とした。

 穏やかな色をした瞳は、次に公園内を捉える。どこに、どれだけの人影があるか。
 己から美術館までの距離、地面の状況はどうだ?
「(効率よく進むには身を隠す場所も重要だ)」
 人影の動きを追っていると、その動きが見えてくる。動きそのものは不規則で、緩慢に彷徨っているようにしか見えない。だが、視線は常に正面だけを見つめている。
 地図を脳内で展開する。障害物との距離、高さ。実物と地図を一致させながら、その位置を把握していく。

 修介が木を渡れば、かさりと葉擦れの音がする。人影は大きく反応を見せる。
 だが――。

「(なるほどな)」
 人影は確かに音に反応する。だが視線の高さは水平のまま。仰ぎ見るものもいない。
 その様子を確認して、修介は次々に障害物を渡る。身長が低い人影の傍を狙い、時にオブジェや木々にぶら下がる様にしながら着実に美術館へ迫る。

 そして最後に塀を蹴り上げた。伸ばしたロープを使いよじ登ったのは美術館の屋上だ。

「……」
 ふっ、と一息つく。ゾンビのようであるとしても、あくまで彼らは操られているだけにすぎないのだから。傷つけず辿り着けたことに、修介は一先ず安堵する。

 そして、視界に捕えた扉に向かいかけた修介の視界が、世界が一瞬ブレる。今は跡でしかない左頬の傷がズクリと傷んだ気がして、思わず手を伸ばした。
 触れれば僅かに他と感覚が違うのは、傷跡だからだ。いつもと、同じ。何もない。
 一度目を閉じて深く息を吸った。

 ――そう、何もない。

 修介は再び足を進める。握ったノブは少しだけ錆びた音を立ててから、扉を開いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
…ふうん?わざわざ公園内をうろつかせるのには意味があるの無いのか…まあ、どうでもいいですけどね。知った所で何とかする方法は元凶をどうにかするだけなんでしょうし

取り敢えず、化け透かしなっと。透明になって進みましょう…だからといって気を付けないわけではないのです。単純に疲れるしねこれ
第六感、視力、暗視で人々の動きを見切りましょう。そして地形の利用、闇にまぎれるで隠密に透明化状態で人々の間を早業で通り抜け、見つかり難い場所でUCによる疲労の回復までの時間稼ぎもしつつ確実に目的地までいきましょうか。物音だけは自分で注意を払う感じで

さてさて何が出ますかねー?

(アドリブ絡み歓迎)




「……ふうん?」
 手の中で黒い多面体を転がしながら、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は観察する。
「わざわざ公園内をうろつかせるのには意味があるの無いのか……」
 視線の先には、当て所なく彷徨ういくつもの人の姿。スーツ姿の男、制服姿の少女……年齢性別、規則性のない集団。
「まあ、どうでもいいですけどね。知った所で何とかする方法は元凶をどうにかするだけなんでしょうし」
 ぽん、と黒い多面体――ミミックを空中に放る。

「取り敢えず、化け透かしなっと」
 ぱしっと手に収めると、拓哉は偽正・非実恐怖(ドレッド・シナスタジア)を発動する。
 拓哉の姿が掻き消え――否、消えたわけではない。確かに拓哉はそこにいる。見えなくなったのだ。
 とはいえ、油断はない。物音や体温を消すことは出来ないからだ。そしてなにより。
「単純に疲れるしね、これ」
 やれやれ、と零して拓哉は徘徊する人の中へと進んで行く。
「(こういうのは、なんやかんや勘ですよね)」
 暗闇に慣れてきた瞳は、しっかりと人の動きを捉えていた。徘徊する人の足音に合わせて歩を進めることで、自分の足音を相殺する。拓哉はすいすいと人々の背面を取っては通り過ぎて行く。
 時々、遊具や木々を利用して姿を表して。
「(やれやれ、しんどい……)」
 心で零して、一息つきながら。確実な手段で、拓哉は美術館へと接近していく。

「さてさて何が出ますかねー?」
 見上げる美術館は、見た目通り。なんの変哲もない、美術館だと言われればそうなんだ、と思えるような建物だ。得体が知れない、と拓哉の直感に囁きかける以外には。

 だけど、まぁ――もとより正気は残ってないってね。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒柳・朔良
アドリブ連携歓迎

美術館に潜む邪神、か
見つからないように忍び込むのは『影』である私の得意分野といったところか
夜の【闇に紛れて】行動すれば【目立たない】だろう
見つからないようにUCで周囲に紛れるような変装もしている
『徘徊』しているという彼らの動きを真似るようにしてなるべく【目立たない】ように美術館に近づくぞ

注意深く行動しているとはいえ、私の存在に周りが気付くこともあるかもしれない
【第六感】で気づかれたと感じたら、【逃げ足】で一気に美術館まで走り抜けよう
美術館に入れば連中は追ってこないのかはわからないが、中に入れば少なくともやり過ごせる場所はあるはずだからな




「美術館に潜む邪神、か」
 ぽつりと零す声に、感情の色は読み取れない。
 黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)の漆黒の瞳が、うっすらと闇に瞬く。
 こういう仕事は得意だ。朔良は『影』だから。己と言う存在を消してしまうなど容易いことで。
 普段のモノトーンの服装でもうまく立ち回れる自信はあったが、念には念を入れて変装もした。近隣住民が徘徊するという話だったから、服装はごく一般的な女子大生が好みそうな服を選んだ。モスグリーンをベースにしているので、周囲の木々に溶け込みやすいだろう。
 観察した彼らの動きを模倣して、それでも万が一に備えて遮蔽物を利用しながら朔良は美術館を目指す。

「(あぁ、やはり異様だ……動きが、だけではない)」
 気配も感情も、仕事に不要なものは一切消しながら、朔良はじっと徘徊する人々へと目を向ける。何なのだろうか、この感じは。
 徘徊する人々は確かに目の前にいるというのに。その存在はどこか稀薄だ。
「(だけど、不用意に近づいてはいけない)」
 近づくと自分が飲み込まれてしまいそうな、そんな予感が朔良の脳裏を掠める。

「誰でもない……」
 朔良から無意識に零れた言葉。己の声に、思わず目を見張る。
 そして知らず知らず、自分を重ねようとした事に気づいて首を振る。
 どうしてそんな事を考えようとしたのだろう。

 私は『影』。私は『道具』。

「影(私)は――私だ」

 己を律するようにそう呟いて、朔良は一息に美術館まで駆け抜けた。
 一瞬だけ纏わりついた視線は、結局朔良を絡め取ることは叶わなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西条・霧華
「例えこの世界が不完全なのだとしても…。それでも私は、この世界を護りたいと思います。」

それが私の、守護者の【覚悟】です

【視力】を用いて巡回している方々のルートを【見切り】、見つかり難いルートを探りつつ移動します

物陰に隠れ潜みつつ進むのは当たり前ですけれど…
洗脳されてしまった方の数や巡回ルート次第ではどうしても接触が避けられない場面も出てくると思います
そう言った場合は小石などを離れた場所に投擲
音の方へ【おびき寄せ】、その隙に【ダッシュ】で走り抜けます

ただ、砂礫や舗装された道の上を走ると、どうしても音が出てしまいます
ですから靴の裏に布を貼っておき、【ダッシュ】しても音が響き難い様に工夫しておきます




 履き慣れた革靴の靴紐を固く結び直す。
「(これなら、万が一舗装された道を抜けなければならない場面でも最小限の足音で済むはずです)」
 靴裏に貼った布の感触を確かめるように、一度二度、地面を踏んで西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)は刀の柄に手を伸ばす。己の守護者としての覚悟を反芻するのは、儀式のようなものだ。
「(例えこの世界が不完全なのだとしても……。それでも私は、この世界を護りたいと思います)」

 気配を殺して、徘徊する人々の動きを窺う。規則性のない動きだが、彼らは一定間隔を開けて動いているようだった。

「(一定の距離を保ちながら、こちらも移動していきましょう)」

 木々や点在するオブジェを利用して、身を隠しながら確実に美術館へと霧華は近づいていく。呼吸を乱さないように、慎重に足音を封じて。
 そうして、目の前の事に集中しているはずなのに。

 この世界が不完全なものならば、完全な世界は一体どんな世界だろうか。そんな疑問が、霧華の頭を擡げた。虐げる者のいない世界? 誰もが平等で、安らかで。

 ――その世界に、『守護者』の居場所はある?

 じわりと胸に広がる、言い知れぬ不安感。足元から暗いものが這い寄る感覚。

「(……いけませんね、今は美術館に辿り着くことだけに集中しなければ)」

 しみのように広がっていくその感覚を誤魔化すように、霧華は足元の小石を離れた低木へと投げ入れた。
 徘徊する人々の注意が、音へと集中して引きずるような足音が集束して行く。その隙と音を利用して、霧華は一気に地面を蹴った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

旭・まどか
この時間は嫌だね
“あの日”を思い出してしまうから

見つからない様と言っても姿形を隠せるわけでも
空を飛んで直接屋上に降り立つ事も出来ないから
弱ったね
どうしようか?

見つめ合う八重の彩は確と目的の建物を捕捉していて
付いてこいと言わんばかりに先導する四つ足を追う

洗脳されていたら感覚が鋭敏になっていたりしない?
――逆に霞んでしまっていたりするんだろうか

浮かぶ疑問は其等の視界から隠れる様
息を潜めたオブジェの影から伺う事で、解ける

在れ等と来たら互いの区別すら付いていない様だから
嗚呼此れならば
視認さえされなければ容易いだろうと

規則性が無い様に見えて決められているルートの穴を縫い
一歩一歩、確実に慎重に
歩を進めよう




「弱ったね、どうしようか?」
 目の前の八重の彩と見つめ合い、旭・まどか(MementoMori・f18469)は緩やかに首を傾げた。
 グリモア猟兵は見つからない様に、と言っていたけれど。
 まどか自身は地上を進むより他ない。空を飛んで直接屋上に降り立つ事は出来ないし、姿形を隠せるわけでもなかった。
 そんなまどかの様子に、灰色をした狼はじぃっと美術館を見つめる。するりとまどかの腕を潜って地面に降り立つと、先に空色を宿した耳をひこりと動かした。
 付いてこい、そう言うように自分を見上げる姿にまどかは小さく頷いて、先導する四足を追った。

「洗脳されていたら感覚が鋭敏になっていたりしない? ――逆に霞んでしまっていたりするんだろうか」
 徘徊する人々を避けるように身を隠したオブジェの影から、まどかはその様子を見遣る。

「……なるほどね」
 吐息が如き呟き。
「(嗚呼此れならば、視認さえされなければ容易いだろう)」
 だって、互いの区別すらついていない様なのだ。相手方の動きを追って、穴を縫うように進んで行けば美術館に辿り着けるのは時間の問題だ。

「それにしても……」
 ゆるゆると息を吐き、まどかは目を伏せた。
「この時間は嫌だね」

 ――“あの日”を思い出してしまうから。

 そう考えた瞬間、ぞわりとした気配を感じてまどかは視線を上げた。心配そうに見上げてくる彩とぶつかって、なんでもないと首を振る。
「行こう」

 この感覚が邪神の影響ならば。

「――嗚呼嫌だ」

 なんて不躾なことだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

勘解由小路・津雲
猟兵にまで干渉してくるとは、なかなかやっかいだな。だが、まずは潜入か。

【行動】
【オーラ防御】【迷彩】【地形の利用】で周辺の地形に溶け込む「隠形の術」を使っていこうか。おれには【暗視】もあるので、闇に紛れて進むとしよう。

さすがにUCほどの隠密性は期待できないだろうが、相手はどう見ても正気を失っている、これでも十分通じるだろう。

ただ、音に反応しているようにも見えるのが気にかかる。気づかれそうになったら【念動力】を使い、遠くで音をたてて注意を引くとしよう。倒すのにちょうどよさそうなオブジェもあるし。

さて、美術館の中には、何が待ち受けているのやら。気を引き締めていこう。




 邪神の影響は、既に小さくないようだ。
「猟兵にまで干渉してくるとは、なかなかやっかいだな」
 漂う気配は、清浄からはかけ離れていた。それでも、勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)の凪いだ表情は変わらない。

「だが、まずは潜入か」
 狩衣から覗くすらりとした指には符が挟まれていた。しなやかな動きが印を結ぶと、津雲の纏う気が変化する。瞬きをひとつ、視界を確認する。
「ふむ、問題ないな」
 徘徊するものたちの姿を問題なく捉えられている。
「(相手はどう見ても正気を失っている、これでも十分通じるだろう)」
 ユーベルコード程の隠密性は期待できないにしても、ならばそれも加味して動けばよい。音に反応している節があることは、津雲も気づいていた。

「(おっと)」
 ほんの僅かな音でもその弛緩した動きがピタリと止まり、音のした方に視線を向ける。だが津雲は焦らずに彼らの気を散らすべく、新たな音を生み出す。
 徘徊する者の背後にあるオブジェへと、念動力を送る。派手な音を立てて、オブジェは倒れた。
「……おや、やりすぎてしまったか」
 一人気を逸らせればよかったが、何人もの人影がオブジェへと集まっていく。その動きは先ほどの緩慢さが嘘のように機敏だった。
 その様子を見遣ってから、津雲も足早に美術館へと駆けた。

「さて、美術館の中には、何が待ち受けているのやら」
 己にかけた術は姿を隠すものであり、守るものでもあった。だから津雲は感じ取る。
 美術館を取り巻く濃厚な気の影響。それが、己にも強く干渉した可能性を。

 津雲は、一度美術館を見上げる。そして袖に手を納め、新たな符を取り出した。
「――気を引き締めていこう」

大成功 🔵​🔵​🔵​

一郷・亞衿
洗脳、ねえ……まあ、恒久的かつ不可逆な影響与える系の呪詛とかじゃ無いだけマシか。
邪神倒さないと治せないっぽいけど、どのみちオブリビオンは討滅対象だしね。

日は沈み、辺りは夕闇──あるいは、それ以上に暗い(街灯とかはあるかもだけど)。なら、『創作怪談:煙々羅』で闇に紛れるとするかな。
全身を煙に変えて、木々やオブジェの陰に隠れたりしつつ美術館の方へ向かおう。もし辺りに手頃な遮蔽が無かったとしても、煙の体になっていれば物音を立てずに移動することは出来るしそう簡単には見つからないはず。

風向きが丁度いい感じならそれに乗ってさくっと飛んでいってもいいけど、その時は風に流され過ぎないよう注意しとかないとね。




 黄昏は過ぎ去り、夜の帳に包まれている。静かな夜は、一匹の虫の鳴き声さえしない。
 聞こえるのは、ささやかに風に乗って届く薄気味悪い呻き声と引きずるような足音ばかりだ。

「洗脳、ねえ……」
 そう呟いて、マスク越しの口元に一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は手をやった。
「まあ、恒久的かつ不可逆な影響与える系の呪詛とかじゃ無いだけマシか」
 邪神を倒さなければ治せないようだが、いずれにしろそれは討伐対象だ。目的を達して解放出来るなら、話は早い。

「“しづが家のいぶせき蚊遣の煙むすぼゝれて、あやしきかたちをなせり──”」
 足元から、指先から、亞衿の身体は煙へと変化していく。
 不定形な白煙は、するすると木々へと纏わりついて。
 そのまま上空を悠々と泳いでいく。
 今の亞衿に仇となるものがあるとしたら風であるが――それすらも今は彼女の味方であった。春一番は過ぎ去り、初夏の爽やかな風が亞衿を美術館へと送る。

「簡単すぎて拍子抜けしちゃうね」
 美術館の壁を伝い裏口に降り立とうとした時、この白煙の身体が千千に散る映像が頭に流れる。咄嗟に身体を戻そうとして、既に人の身を取っていたことに亞衿は気づく。

「……猟兵に及ぼす影響、ね」
 洗脳、とまではいかないまでも、確かにこの美術館には猟兵にすら干渉する何かがあるようだ。
「ま、こういうのは得意だし」
 マスク越しの声は、僅かな好奇心を滲ませて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『狂気の廃美術館』

POW   :    気合で耐える/美術品を破壊する

SPD   :    感覚を活かし、危険を避ける

WIZ   :    対抗策や安全なルートがないか調べる

👑11
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●一時間くらい前/ある一般人の物語
 美術館の中に、光は殆ど差さない。ホールだけは硝子張りで、辛うじて外の光を取り込む。幸い電気は通ったままで、所々に緑色の非常灯が避難経路を示していた。

 ・
 ・
 ・

 どうしてここにやって来たのか、分からない。
 さっきまで、何をしていたのだっけ?

 なんだか、空気が重い感じがする。化け物が出てきそうなそんな感じ。
 ホラー映画は笑って見る方だ。
 だというのに、怖い。ここは、とても怖い。
 どうして、自分はここにいるのだろう?

 何もないのに、恐怖で正気を失ってしまいそうだった。
 使われなくなった展示ホールに、美術品の姿はない。
 ケースだけが、名残惜しげにそこにあった。
 誰もいない空間だ。気づけば、一人。
 早く、早く外に出たい!

 叫び出しそうになるのを必死に堪えて。
 灯りを求めて駆けだそうとした時、それは目の前に忽然と現れた。
 展示ケースに収められた一冊の黒い本だ。
 こんなものあっただろうか? そう考えた時。

『ねぇ、教えて』

 声がした。咄嗟に周囲を見回すが、何の気配もない。

『ねぇ、教えて』

 声がする。

「何を……」

 つい返事をしてしまった。だって、足は竦んでもう動かない。

『貴方の事を。貴方を作る、物語を――』

 ぞわりと脳に無数の手が侵入する。そんなはずない。そんなはずない。
 頭を掻き毟った。そこには髪の毛しかない。

「やだ、やめ……アアァ……!!」

『貴方の物語は、本当にそんなお話?』

「わた、ワタシ、ちがう、僕……俺? ハ」

『――あぁ、壊れてしまったのですね。ならば、書き換えましょう』

 ――不完全なものは、いらないの。


 二章では概ね二つのケースを想定しています。
 希望がございましたら、冒頭に番号をお書き下さい。
 ※必ずしも、下記を前提としたプレイングである必要はありません。どのような選択をしても、邪神には辿り着けます。やりたいことや気になる事、ご自由にプレイングにお書きください。

 ①一目散に邪神がいる場所を目指す。
 美術館は猟兵の精神に干渉してきます。気が狂いそうになるとか、幻覚が見えるとか人それぞれです。それに対する対策があると良いでしょう。
 何か気になる事があれば調べる事も出来ます。
 猟兵の皆さんは邪神の気配が分かります。それを追えば自ずと辿り着くことが出来るはずです。

 ②黒い本と遭遇する。
 断章のような声が聞こえます。本は貴方の物語を引きずりだそうとします。それは封じていた記憶であったり、幸せだった思い出、こうありたいという未来の姿。声に抗うのか、物語を引きずり出されるのかは貴方次第です。
 ※フレバーです。判定には一切影響しません。心情寄りにしたい方はこちらを。抗わなかった場合は、三章で思いに決着をつける形になろうかと思います。
ベルンハルト・マッケンゼン
アドリブ連携大歓迎

選択:2
POW

グレネードの爆発後に突入。
素早くライフルを構え部屋を見渡す。
「OK, Clear! ……では無い、な。敵の精神干渉か。フッ…」

不適な笑みを浮かべ、豊かなヘルデンテノールで朗々と言い放つ。
「……では我が物語、我が戦勲をお教えしよう!」
古代ギリシアから現代の中東まで、古今東西、様々な戦場の記憶を誇り高く歌い上げる。

「……黒き本よ、まだページは余っているか? ならば、巻末には斯く記すが良い」
最後にUCを火力重視で発動、高らかに哄笑する。
「我が名はベルンハルト・フォン・マッケンゼン=ド・モンストルレ。
……我こそは、永遠の戦士ベルンハルトなり! と。戦術的に…フッ」




 暗闇に白煙が躍る。
 窓を潜った勢いをその身を回転させることで相殺し、ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)は、素早く身を起こしてライフルを構えた。戦場傭兵の瞳が、闇に包まれた展示室を見渡す。

「OK, Clear! ――……では無い、な。敵の精神干渉か」
 フッと笑うベルンハルトの目の前には、展示ケースに収められた黒い本。じわりじわりと染み込んでくるのは、恐怖だ。

『ねぇ、教えて』
 ひとりでに捲られたページは、白紙だ。

「……では我が物語、我が戦勲をお教えしよう!」
 確かに感じる恐怖の中、豊かなヘルデンテノールは朗々と響く。
 肌が粟立つのを感じながらも、ベルンハルトは不敵な笑みを浮かべた。
 高らかに歌い上げられるのは、古代ギリシアから現代の中東まで、古今東西、様々な戦場の記憶。誇り高き戦士の歌。数え切れぬ程の戦場の光景は、歌い上げるベルンハルトの脳裏にフラッシュバックする。

『それは、本当に貴方の記憶かしら?』

 クク、とベルンハルトは嗤い声を漏らす。

「無駄な問いかけだな。そんなことはどうでもいい」

 この世界は不条理なものだとベルンハルトは知っている。
 戦って戦って――諦めも何もかも全てを受け入れた。

「本物だろうが偽物だろうが、俺が俺であることに変わりない」
 呵呵! そうして、何もかも吹き飛ばす。それがベルンハルトという戦士である。

「……黒き本よ、まだページは余っているか? ならば、巻末には斯く記すが良い」

 構えたグレネードランチャーが、黒い本に向かい放たれる。

「我が名はベルンハルト・フォン・マッケンゼン=ド・モンストルレ。……我こそは、永遠の戦士ベルンハルトなり! と。戦術的に……フッ」

 けたたましい爆音の中、大きく両腕を広げてベルンハルトは哄笑した。
 声はもう、聞こえなくなっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉

…んー?美術館の中には人はあんまりいないのかな。というか邪神の気配強くて…何かこう…凄いな?

取り敢えずは適当に。早くしないと洗脳されるかもだけど、おにーさん他の人よりはもちそうですし。呪詛・狂気耐性もありますし、なにより元より正気も残ってませんし(ケラケラ)

足跡、何かを動かした後等の痕跡を見逃さず、地形の利用状況から邪神までの迅速な道行きを見つけ出して進みましょう

…でなんか本がありますね。まあスルー安定ですが。どう考えても面倒そうですし…多分おにーさんじゃ開いても無意味ですね。物語…過去、未来その辺りに期待はないのです。今この瞬間以外に価値を見いだせてませんからね
(アドリブ絡み歓迎)




 踏み入れた美術館のホール内に、自分以外の姿はない。
「…んー?美術館の中には人はあんまりいないのかな」
 自身の足音だけを耳に捕え、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)はのんびりとした動作で首を傾げた。
「というか邪神の気配強くて……何かこう……凄いな?」
 息を吸ったらむせ返りそう、そんな錯覚に陥りながら拓哉はホールを通り抜け展示室へと進んでいく。

「ま、取り敢えずは適当に行きますか。早くしないと洗脳されるかもだけど、おにーさん他の人よりはもちそうですし」
 冗談交じりに笑いながら。その言葉通り、顔色を変えるでもなく拓哉は進んでいく。呪詛にも狂気にも対抗出来るだけの素養があった。
「――なにより元より正気も残ってませんし?」
 ケラケラ笑って、だがその眼差しは油断なく周囲を観察している。邪神への最短距離への道行きを探す最中、暗闇より現れたのは一冊の本。分厚い作りの本は、禍々しい存在感を放っている。

「……でなんか本がありますね」
 闇に溶け込む黒い表紙が、拓哉の目の前にある。

『貴方の物語を、教えて』

「いや、スルー安定ですけど?」
 あっさりと言い放たれた声に、沈黙が訪れる。

「どう考えても面倒そうですし……多分おにーさんじゃ開いても無意味ですね。物語……過去、未来その辺りに期待はないのです」

 じっと見つめられている、そんな気配を感じながらも拓哉の言葉は淀みない。

「今この瞬間以外に価値を見いだせてませんからね」
 だから、他を当たってください。
 ひらりと手を振り、黒い本の脇を通り過ぎる。拓哉は本を振り返ることなく、本もまた再び闇の中へと消えて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒柳・朔良

美術館内部に潜入出来たのはいいが、あの感覚は何だったんだ
まるで自分が自分でなくなるような
私は私のはずなのにな

ふと気付くと『黒い本』があった
それに気付くと同時に『声』が響く
何を教えろと言うんだ
私は『影』で『道具』、それ以上でも以下でもない
幼い頃から言われ続けてきた、それが『私』という『存在』だ
解ったらとっとと黙ってくれ、私に構うな、何も言うな、黙れ黙れ黙れ!
叫びながらUCで作ったナイフを自らの腿に刺して痛みで『声』に抗おう(【狂気耐性】【呪詛耐性】)
荒い作りだからこそ通常よりも痛みがあるはずだ

ある程度落ち着いたら先へと進もう
『声』はまだ聞こえるが、この現象を止めるためにも、元凶を叩かないとな




 影を生む光は僅か。
 美術館に潜入を果たし、黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)は思わず小さく息を吐き出した。自分を失いそうになるような感覚を思い出し、無意識に目を伏せる。
「まるで自分が自分でなくなるような……私は私のはずなのにな」
 それはどこか自分に言い聞かせるような語気でもあった。
「とにかく、先に進まなければ――」
 気持ちを切り替えるように呟いて、朔良は思わず目を見張った。
 辺りは暗い。だというのに、目の前の黒い本は確かな輪郭を以て朔良の目の前にある。

『ねぇ、教えて』

 息を飲んだ。
 どこから聞こえた? 探る様に視線を僅かに周囲へ向けるが、広がるのは闇ばかり。辛うじて遠くに見える非常灯が頼りなさ気に光り、ジジという音を静寂の中に落とした。

「……何を、教えろと言うんだ」
 ひとつ大きく息を吸い、朔良は僅かに眼光を強めて黒い本を見た。

『貴方の過去。貴方を形作る、物語を』

「私は『影』で『道具』、それ以上でも以下でもない」
 語気が鋭くなる。

『それは、本当に貴方?』

「幼い頃から言われ続けてきた、それが『私』という『存在』だ。解ったらとっとと黙ってくれ」

『本当にそうかしら?』

 それでもなお問いかけてくる声。
 これは恐怖?
 苛立ち?
  それとも――ああ駄目だ、これ以上は。

「ッ……私に構うな、何も言うな、黙れ黙れ黙れ――!」
 声を拒絶したいと心が叫ぶ。
 朔良は頭を激しく振り、手にしたナイフを何の躊躇いもなく腿に突き刺した。
 荒い作りのそれは、常より強い痛みを朔良へと与える。

 腿から流れる血の熱さで、己を取り戻したような気がした。
 肩が揺れる程に、息が荒い。
 再び視線を上げた先に、既に黒い本の姿はない。
 呼吸を整え、取り出したハンカチできつく傷口を縛った。

「この現象を止めるためにも、元凶を叩かないとな」

 朔良は前を見据えると迷うことなく進んでいく。

 だけど――動くたび、まっさらなハンカチにじわりと広がる赤黒いシミのように、

「……私は『影』で『道具』、それ以上でも以下でもない」
 言い聞かせるように繰り返す。

 ――朔良へと問いかける声は未だ止まない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

勘解由小路・津雲

さて、無事侵入できたが、あまり……長居をしたい場所ではないな。いつもなら手がかりのひとつでも探すところだが、今回はさっさと通り抜けた方がよさそうだ。

【行動】
 邪神の気配がわかるなら、それを【追跡】するとしよう。一息にそこまで……おや、かすかに何かが聞こえたような?
あれは助けを呼ぶ声か。誰か囚われているのか?

いやまて、捕われた人間は外でみた。洗脳された人間はああなるはず。助けを求めるような状態ではない。これが幻覚か。

だが、まだまともな人間が残っているとしたら?

…………いや、仮に本物だとしても、邪神を倒さぬ限り救出は難しいはずだ。
狂気に陥らぬため、この建物に来る前に立てた目標を貫くとしよう。




「さて、無事侵入できたが、あまり……長居をしたい場所ではないな」
 UDCアース、邪神絡みの現場は何度も経験しているが、今回の淀みは一層濃い。勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)は、柔和なその表情を僅かに鋭くする。
「いつもなら手がかりのひとつでも探すところだが、今回はさっさと通り抜けた方がよさそうだ」
 声音は落ち着いたまま、心に焦りもない。あくまで理性的に判断して、最適の方法を選んでいる。

「一息にそこまで……」
 言いかけて、津雲は言葉を飲み込んだ。シンと静まり返った空間に、首を傾げる。微かな声は確かに聞えたのだ、『誰か……』と。
「あれは助けを呼ぶ声か。誰か囚われているのか?」
 声がした方を見やる。姿を捉えるために、一歩二歩――進んだところで、津雲はぴたりと足を止めた。
「いや待て、捕われた人間は外で見た。洗脳された人間はああなるはず。助けを求めるような状態ではない」
 先程の光景を思い出して、津雲は静かに目を閉じる。曇る感覚を取り戻すように、ゆっくりと深く息を吐く。
「――これが幻覚か」
 閉じた時と同じように、津雲は静かに瞼を上げた。
 声は聞こえない。だが、脳裏に浮かぶ懸念は消えない。

「だが、まだまともな人間が残っているとしたら?」
 口元に手を当て、逡巡する。絶対にいないとは言い切れないはずだ。
 突如襲いくる不安、焦燥。綯い交ぜになった感情が、思考をループさせる。
 それでも津雲は答えを出さねばならない。

「…………いや、仮に本物だとしても、邪神を倒さぬ限り救出は難しいはずだ」
 邪神を倒せば、人々は自分を取り戻す。此処に来る前に、聞いた言葉が甦る。
 津雲が袖の中に手を忍ばせると、符に指が触れた。

「(問題ない、いつも通りやればいい)」
 狂気に陥らぬため、この建物に来る前に立てた目標を貫くべく津雲は邪神の気配を辿って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西条・霧華


「幸せだった記憶と、記憶から続く幸福な未来…。」

両親が居て、親友が居て、皆で平穏に暮らす『当たり前の日常』
私の大切な居場所
それが当たり前でなくなるまで、その幸福に気付けませんでした
…もしも、全てが灰燼と化した『あの日』が来なければ、私は今も皆と笑えていたのでしょうか?
誕生日の前日に起きた悲劇が無ければ、私は…

…ですが、そんな『完全な物語』に溺れては駄目なんです
この[ボロボロの黒いロングコート]と[刻まない時計]が、「同じ悲劇を繰り返させない」という『あの日』の誓いを思い出せます
『守護者』という役割が必要なくなるまで、歩みを止めるわけにはいきません

それが私の誓いであり、守護者の【覚悟】ですから




 真っ暗な世界に浮かび上がる黒い本は、禍々しい気を放っている――はずなのに。
 西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)の目には、それがまるで幸福の象徴のように眩しく輝いて見えた。

「幸せだった記憶と、記憶から続く幸福な未来……」
 問いかけられた言葉に、霧華はどこか遠くを見る眼差しで答えた。
 それは霧華に笑いかける両親が居て、親友が居て。
 あぁもうすぐ夏が来る、露店を巡ったあの日。とても楽しかった。
「私の大切な居場所」
 皆で平穏に暮らす『当たり前の日常』。

「それが当たり前でなくなるまで、私はその幸福に気付けませんでした」
 当然のようにあったものは、突然壊れて消えた。
「……もしも、全てが灰燼と化した『あの日』が来なければ、私は今も皆と笑えていたのでしょうか? 誕生日の前日に起きた悲劇が無ければ、私は……」
 縋るような声が霧華の口から零れ落ちる。
 吐露できなかった思いは溢れだして、霧華を甘い水へと誘う。

『ならばそう書き換えましょう。貴方がずっとずっと幸せに浸れる世界に』

 芝居がかった声だというのに、ふらりと足元が揺らいで。落ちた手を伸ばしかけた時、指先がロングコートを掠めた。長く着て草臥れた生地の感触が、霧華の瞳に彩を取り戻させる。
「……ですが、そんな『完全な物語』に溺れては駄目なんです」
 掠めた指先が、今度は力強くコートを掴む。対の手で触れた時計は、既に時を刻んでいない。それが『同じ悲劇を繰り返させない』という『あの日』の誓いを、霧華に思い出させた。
「『守護者』という役割が必要なくなるまで、歩みを止めるわけにはいきません」

 闇を退ける力強い声だった。

「それが私の誓いであり、『守護者』の覚悟ですから」

 はっきりと言い放つ霧華の声が、僅かに周囲の空気を変えて。
 見据えた先の黒い本は、再び闇に飲まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※【①】

「あまり時間は掛けられないか」

しかし、焦って下手打てばそれこそ取り返しが付かない。
敵のテリトリーに飛び込む以上、精神を蝕まれるの元より【覚悟】の上。

調息、脱力、やるべき事を心に定める。

UCは防御重視
特に自身の状態把握を常より強く意識、対精神汚染防御を高める【狂気耐性】。

先ずは周囲の状況を把握【情報収集】。
侵入時の場所と館内の案内板(可能なら事前に美術館の見取り図を取得)から探索経路を確認。

視覚には頼らず、自身の直感を信じ【第六感+勇気】、邪神の気配をたどり突き進む。

障害は拳【グラップル+戦闘知識】で対処。
ただし操られているだけの一般人は昏倒、或いは拘束するに留め、極力傷付けない。




 じわじわと己を侵食いていく得体の知れない気配。
「あまり時間は掛けられないか」
 されど焦りは禁物だ。下手を打てば、取り返しがつかない。公園の人々は邪神の傀儡のまま、望まぬ殺戮を始めてしまう。それは最悪の結末だ。
 上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は、首を左右に振ることで頭の中を巡るビジョンを振り払う。集中するように一度拳を握った。
「……敵のテリトリーに飛び込む以上、精神を蝕まれるの元より覚悟の上」
 纏わりつく嫌な思考を追いやる様に、息を整え力の入った拳を解く。
 今必要なのは己を保つこと。
 己の状態を把握しろ。狂気を退けろ。迅速に邪神に到達し、骸の海へ還す。
 己がやるべきことを反芻し、心に定める。

 美術館内、今修介が居るホールを包む闇は既に深い。光源がないせいだけではないのかもしれない。そう考えながらも、修介は目を凝らした。
 『Information』――吊り下げられたプレートを微かに捉えて近づく。形だけが残るカウンターの隣。広めの壁に設置されているのは、撤去されず終いの案内図だ。
 第一展示室、第二展示室、常設展示室……いくつかの部屋が記されていた。

 端的に記憶して、再びホールへと視線を戻す。
 うすぼんやりと光る非常灯以外の灯りがない。
 じんわりと迫る寄る辺なさを振り払うように、修介は奥へと進む。
 信じるのは己の直感。これまで培ってきた感覚は、嘘を吐かないはずだ。
 漂う煙のように、それは筋となって修介を邪神へと導いていく。迷いはない。

 指先の感覚を確かめるように握り開けば、意思に応じて反応する。大丈夫だ、飲まれていない。

 何かの気配を感じて繰り出した拳は、空を切る。
「……」
 気のせいだ。拳を見つめる。万が一現れたとしても、彼らは一般人。そのことを己に言い聞かせながら、修介は邪神の喉元へと足を速めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

一郷・亞衿

【POW】
黒い本が綴る物語──なるほど、まさに黒歴史って奴?
……冗談言ってる場合でも無いか。

昔、動画配信者やってたことがあってさ。
いわゆる廃墟探索動画みたいなのを主に撮ってて。曰く付きのトンネルとか廃鉱山とか行ったりね。色々あったけど、あの頃は楽しかったな……
……あの廃村に行かなければ。今でも由梨と二人で、一緒にこうやって──

──ああ、いや、違うな。
これはただの過去の光景。懐かしむべきものではあるかも知れないけれど、ただそれだけの存在でしか無い。あの時ああすれば良かった、なんて、ただの結果論。解ってる、解ってるよ。
いくら過去を悔やんでも、“あたしたち”が犯したかつての過ちは無くならないんだ。




 目の前に現れた一冊の本に、一番に抱いた感情は好奇心。
「黒い本が綴る物語──なるほど、まさに黒歴史って奴? ……冗談言ってる場合でも無いか」
 問いかけ乞うてくる声が聞こえる。それは、脳に皮膚に纏わりついて離れない。

 そして、一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)のマスクに隠れた口角が僅かに上がる。

「昔、動画配信者やってたことがあってさ」
 ぽつりぽつりと、亞衿がはじめるのは昔語り。動く唇は己の意思によるものか定かではない。

「いわゆる廃墟探索動画みたいなのを主に撮ってて。曰く付きのトンネルとか廃鉱山とか行ったりね」
 こんな廃墟にも入ったことがあったかな。
 あの頃は、いわくつきってだけで怪異に巻き込まれるわけでもなかったかもしれないけど……――あぁ、いやどうだったかな。

「色々あったけど、あの頃は楽しかったな……」
 懐かしむようにゆるゆると細くなる目は、目の前の本ではなくうんとずっと遠くを見ていた。そうだ最後に行ったのは、確か――。
「……あの廃村に行かなければ。今でも由梨と二人で、一緒にこうやって――」
 由梨。
 亞衿の親友だった少女。
 かつてあの廃村で『奴』から亞衿を庇い、この世界から消えてしまった少女。
 脳裏に甦る彼女の笑みを思い出して、亞衿の瞳は黒い本を捉えなおす。

「――ああ、いや、違うな」
 そうだ、違う。これはただの過去の光景だ。
「懐かしむべきものではあるかも知れないけれど、ただそれだけの存在でしか無い。あの時ああすれば良かった、なんて、ただの結果論。解ってる、解ってるよ」
 その言葉は、親友に告げるようでもあって。

 そうだろう?
 心の中で問いかけて、パーカーのポケットを弄る。現れたのは、禍々しい瘴気を放つカッターナイフ。あの日に終止符を打ったそれを、亞衿は躊躇なく横薙ぎに振るった。

「いくら過去を悔やんでも、“あたしたち”が犯したかつての過ちは無くならないんだ」
 空を掻くような感覚だった。頁を散らしながら、消えゆく黒い本は幻のようにやがて霞んで消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

旭・まどか


拍子抜けな程あっさり侵入を許されたから
さぞ難攻不落な罠でも用意されているのかと思いきや
其処に在るのは一冊の本だけと来た

どうみても罠としか思えない其
横を素通りしよう
と、思っている、のに
どうして

誘われるよう触れてしまった指先
其処から溢れ出る“ナニか”が蠢き渦巻き
この身を覆う

足は縫い付けられた様に動かせず
頭を打ち付ける痛みは、警鐘か、慟哭か
走馬灯の様に流れ征く彼の日と是迄とを覗き観、弄ばれる

――止めろ
是は、お前なんかが嬲って良いものじゃあ、無い

怒りに任せて振り下ろした手は虚空を裂くけれど
晴れた視界に広がるのは足元に落ちた一冊の本

憎らしい其を見下ろし、見上げてくる隸へ一瞥をくべ
――平気。先へ、行こう




 正直、拍子抜けだった。
 入口の扉は固く閉ざされるでもなく、まるで招き入れるかのような気軽さで旭・まどか(MementoMori・f18469)を美術館内へと誘った。
 ホールを抜けて、いくつかのフロアを過ぎる。
 気配の濃い方へ濃い方へ。そうして辿り着いたのは、小さな展示室だった。

「さぞ難攻不落な罠でも用意されているのかと思いきや、其処に在るのは一冊の本だけと来た」
 光のない中で部屋の中央に輪郭を現すのは、小さなショーケース。
 中に収められたのは、一冊の黒い本だ。
 何も美術品が残らないこの場所に、随分とお誂え向きだった。
 どう見ても罠としか思えないのだから。

 コツコツと靴音だけを響かせて。
 何食わぬ表情で本の横を通り過ぎようと、

   そう、

     思っているのに……――。

「どうして……」
 足はぴたりとショーケースの前で止まる。
 硝子張りのケースなのに、物質を無視してその本は――。

 微かに震える指先は、まどかの意思に関係なく誘われるままに黒い本の表紙をなぞる。

 触れた指先から、ずるりずるりと這い上がってくるのは黒い本から溢れ出る“ナニか”だ。少しずつまどかを侵食するように、蠢いて、渦巻いて。
 もう足は動かない、足元からも這い出しているかのようにまどかを縫い付けて離さない。真っ暗な部屋、見えない黒がまどかを覆っていた。

 鼓動と同じリズムで、痛みがまどかの頭を打ち付ける。
 これは、警鐘だろうか。それとも慟哭か。
 震える唇から零れるのは、息だけだった。

『さぁ、教えて』
 声が聞こえた。誰の声。知らない。聞いたことない。
 言いなりになる筋合いなんてない。
 それなのに、走馬灯の様に流れ征くのは、彼の日と是迄と……――。

 黒い本が、どこか愉快気に頁を捲る。
 白紙の頁に綴られるのは、まどかの記憶だ。
 かけがえのない思いを覗き観られ、弄ばれる。

 その時、腕の中で灰狼が低く唸った。

「――止めろ。是は、お前なんかが嬲って良いものじゃあ、無い」
 絞り出すような声に滲むのは怒りだ。
 確かな己の感情に任せて振り下ろした手は、虚空を裂くけれど。
 そうして晴れた視界に広がるのは、音もなく足元に落ちた一冊の本。
 力なく広げられた頁。浮かんでいた文字は消えていた。

 静かなかんばせに乗る瞳が、憎らしげにそれを見下ろした。
 心配そうに見上げる瞳を感じて、ちらと隸に視線を向ける。

「――平気。先へ、行こう」
 震えの治まった指先でひと撫でして、まどかの足音は再び静寂を破った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

落浜・語

あー……なんかヤダ。多少は慣れたと思ったんだが、この手の、本当苦手だ。
あまり寄り道せずにさっさと邪神倒しに行くのがいいんだろうが…。

あまり深追いするつもりはないが少し美術館の中を探索。この手の精神干渉とかに耐性があまりないから、危なそうなら普段は自分を傷つけることのない深相円環で、指先傷つけて意識を保つようにする。
何を展示していたのか、どういう美術館なのかを調べてみたいかな。ここにあった何かが邪神を召喚するきっかけになったのか、それともただ単に偶然なのか。それがわかったら、邪神に対しての有効打がわかったりしないだろうか。
むしろ、精神干渉に抵抗しないほうが、情報取れたりする、のかな……?




 ぽつりと暗闇に雫が落ちた。
「あー……なんかヤダ。多少は慣れたと思ったんだが、この手の、本当苦手だ」
 常ならば主を傷つけることのないチャクラムは、その指先に一筋の紅を描いていた。
 後から襲ってくるじわりとした痛みで正気を繋ぎとめながら、共に零れる声は弱気な言葉を紡ぐのは落浜・語(ヤドリガミの天狗連・f03558)だ。微かに眉を顰めるのは、痛みのせいでもあるし、己に干渉してくる邪のせいでもあった。

「あまり寄り道せずにさっさと邪神倒しに行くのがいいんだろうが……」
 深追いをするつもりはないけれど、何か得られるものがあるなら少しだけ。そう言い聞かせながら、指先に二筋目の傷をつける。

「ここ、何を展示してたんだろうな。部屋のひとつひとつが、そんなに広くない」
 足を踏み入れた部屋――『常設展示室』と廊下にあった――は、小ぢんまりとしていた。頼りない視界で壁を伝って行くと、埃の被ったショーケースがあった。そのまま打ち捨てられたものだろうか。

 『寄贈:―― ―』

 据えられたままのプレートにある文字は、判然としない。だが、同じ文字が書かれているように語には見えた。

「ここにあったのは、同じ人物の所有物だったのか?」
 だけど、それ以上にこれと言ったものは見当たらない。
 そして、誰かが意図的に何かを施したとかそういう感じもしない。

「まぁ……勘だけど」
 だが、その勘は経験に裏打ちされたものでもある。あながちハズレではないだろうと語も感じていた。

 改めて部屋を見渡す。
 当時の人々は、どんな風にこの部屋で時間を過ごしたのだろうか。
 語の目の前に、当時の光景が浮かんでは消える。自分が想像しているのか、勝手に入り込んできているのか分からない。

 物語の解釈を議論する人。
 なんとなくで眺める人。
 解説の内容よりも、展示物の装丁に目を向ける人。
 色々な人の姿が見えては消える。

 気付けば語の足は動くことを止めて、
「むしろ、精神干渉に抵抗しないほうが、情報取れたりする、のかな……?」
 過った考えは、じわじわと語を蝕むよう。

 ――このまま淀みに身を委ねようか?

 ふらりと揺れた体がショーケースに凭れかかった瞬間、かつりと音がした。
 音を探して落とした視線。三色の煌めきが確かに語の瞳に映り込んで、その音が指輪とガラスケースが触れた音だと分かった。
「……行こう」
 誰にでもなく呟いて、語は今度こそ邪神の気だけを見つめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー


タダで美術品鑑賞が出来るって期待してたんだが。…そーいや、使われなくなって久しいんだっけな。何だって潰れたんだ?人気なかったのかね。

散歩の気軽さで歩き、邪神の気配を追いつつ。道中は【狂気耐性】。幻覚ぐらいは多分察知できるハズだ。
幻覚を鼻で笑い、邪神の元に向かって。俺の精神に干渉ね…悪いが、心理療法やカウンセリングは求めちゃいない。おっかない美術館に踏み込んだみてぇだが、精神は至ってマトモさ。
道中で今回の事件の首謀者や邪神の情報、攫われた人間の情報など、手に入るならば仕入れておく。
【鍵開け】で片端から扉を開き、【盗み】で資料を拝借。UDCへの提出資料を探しつつ、程々で噂の邪神サマに会いに行くか




 鳴らす足音は軽やかで、此処が廃美術館であることを忘れられてしまいそうな気軽さだっだ。
「タダで美術品鑑賞が出来るって期待してたんだが。
 ……そーいや、使われなくなって久しいんだっけな。何だって潰れたんだ?」
 人気なかったのかね、そう零れる声はどこか残念そうだ。
 邪神の気配を追いながらもカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)の纏う空気は散歩中のそれ。
「幻覚ぐらいは多分察知できるハズだ」

 平時と変わらぬ飄々とした面差しのまま、風を切る様にカイムは進んで行く。
 その道中、フロアとフロアの間、脇に見える扉の向こうに人の姿を見た。
「俺の精神に干渉ね……」
 ハッ、と鼻で笑う。
「悪いが、心理療法やカウンセリングは求めちゃいない。おっかない美術館に踏み込んだみてぇだが、精神は至ってマトモさ」
 この中に猟兵以外のまともな人間が存在できるはずなんてないのだから。
 見えたものを一笑に付して。

 次の瞬間には、ほら消えた。そんなものどこにもいやしないのだ。

 壁伝いに進んで見つけた扉の向こう、スタッフ専用通路の先の一室にカイムは足を踏み入れた。
「さて、と。なんかありゃ儲けもんだが」
 首謀者や邪神の情報が分かれば、それに越したことはない。殆ど何も残されていないがらんどうの空間に、一冊のリーフレットを見つけた。この美術館の案内向けのもののようだった。
 企画展示が多かったようだ。僅かばかりの常設展示は、本だったという。

『―――の世界』 印刷された文字は肝心な部分がかすれていて、よく読めない。
 異界と化した美術館に現れたものなのか、実際に美術館が運営されていた頃からあったものなのか分からないけれど。
「一応、UCD組織へ渡しておいた方がいいかもしれないな。持って行くか」
 カイムは、ポケットにリーフレットを押し込む。

「これ以上はなさそうだな。まぁ、仕方ないか」
 いくつかの部屋を探り、
「それじゃ、そろそろ噂の邪神サマに会いに行くか」
 ――いよいよ邪神の気配は濃くなっていた。

 肌を刺す狂気にニィと笑って、カイムは最後の扉を押し開く。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『司書』

POW   :    私達は誰かの思考から生まれた存在なのでしょうか?
対象への質問と共に、【この世界を構成する神以上の存在】から【御手】を召喚する。満足な答えを得るまで、御手は対象を【含む、世界を追記、編集、削除する事】で攻撃する。
SPD   :    私達の行動は物語に綴られた文字にすぎないのでは?
対象への質問と共に、【この世界を構成する神以上の存在】から【御手】を召喚する。満足な答えを得るまで、御手は対象を【含む、世界を追記、編集、削除する事】で攻撃する。
WIZ   :    この世界は、私達は、本当に存在しているのですか?
対象への質問と共に、【この世界を構成する神以上の存在】から【御手】を召喚する。満足な答えを得るまで、御手は対象を【含む、世界を追記、編集、削除する事】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●異界
 猟兵たちがそれぞれに辿り着いた部屋に、その女はいた。
 沢山の書籍が棚に収められた部屋だった。果たして、こんな部屋がこの建物に存在したのか、それは辿り着いた猟兵たちにも定かではなかった。

 さらりと髪を揺らして、『司書』と名乗る女は猟兵たちを見つめた。
 猟兵の中には見覚えのある者もいるだろう、黒い装丁の本。
 それは物語の数だけ色を纏って、今は彼女の手にあった。

「ようこそ、この世界の一端を担う方々」

 眼鏡の奥の瞳が、品定めをするように細められた。
 喜色を孕んで、女は言葉を紡ぐ。

「疑わず折れず、私の下に辿り着いた貴方達はとても興味深い。
 さぁもう一度、貴方達の物語、存在を証明してみせてください。
 今度こそ――書き換えてみませましょう」
ベルンハルト・マッケンゼン
アドリブ連携大歓迎

(禍々しい雰囲気とは不釣り合いな司書にウィンクを飛ばす)
……嬉しい驚きだ、最後に美人のお出迎えとは。
これが本物の書庫で貴女が本当の司書なら、お茶でもお誘いしたいところだが。
残念ながら今回は、お茶の代わりに鉛の銃弾を振る舞わさせて頂こう。戦術的に…フッ。

SPD
(大袈裟に両手を広げ、天を仰ぐ)……私の行動が物語だって? そんな馬鹿な!
私は間違いなく、古今東西の戦いの記憶、戦史を魂に受け継ぐ永遠の戦士だぞ!
……物語の登場人物としては、使い辛いタイプだな。まぁ、そういうものだ。

ライフルを連射、マガジンを撃ちきったらUCを火力重視で発動。
“Hasta la vista, Baby.”


カイム・クローバー
本ばっかりだな。そんなに本が好きなら美術館じゃなく、図書館にでも現れるべきだったんじゃないか?ついでに言えば、そのまま引き籠ってくれてれば、被害が出る事もねぇんだが。

先制は譲るぜ。女性相手にいきなり銃弾ぶっ放したりしねぇさ。『ようこそ』なんて言うから珈琲の一つでも期待したんだが…可笑しな御手が現れやがったな。
俺達は物語に綴られた文字か。…そうかもな。否定する材料もねぇよ。けどよ――例え、俺は今、此処に居る。依頼を受けて。この依頼は俺の意志で選んだんだ。文字だろうと何だろうと此処(胸を掴んで)には俺の魂があるのさ。
御手を二丁銃で銃撃。【二回攻撃】に【クイックドロウ】で黒い本ごとUCで撃ち抜くぜ




 本棚に囲まれたこの異界で、司書は微笑んでいる。眼鏡越しの瞳が猟兵たちを品定めするように細められた。そんな司書を見ながら、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は呆れた声で首の後ろに手をやる。
「本ばっかりだな。そんなに本が好きなら美術館じゃなく、図書館にでも現れるべきだったんじゃないか?」
「ここに呼ばれたのが、誰かの思考或いは意思だと考えたことはありませんか? あぁ、それとも世界の物語の一端でしょうか?」
 返る答えは聊かもまともには感じられない。
「ついでに言えば、そのまま引き籠ってくれてれば被害が出る事もねぇんだが」
 はぁ、と深いため息を漏らしてカイムは『双魔銃 オルトロス』を手にする。美術品も見れず、仕事だけで終わってしまいそうな落胆もないではなかった。

 一方で、声に喜色を滲ませるのはベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)だ。場にそぐわない華やかさを纏って、軽やかなウインクをひとつ。
「……嬉しい驚きだ、最後に美人のお出迎えとは。これが本物の書庫で貴女が本当の司書なら、お茶でもお誘いしたいところだが」
 演技じみた仰々しい動作で一礼して見せて、
「残念ながら今回は、お茶の代わりに鉛の銃弾を振る舞わさせて頂こう。戦術的に……フッ」
 一変、ニヒルな笑みを浮かべてベルンハルトはライフルに指をかけた。

「先制は譲るぜ。女性相手にいきなり銃弾ぶっ放したりしねぇさ」
「同意しよう!」
 くるりと手の中でオルトロスを遊ばせるカイムに、ベルンハルトは頷いた。二人の様子を観察するように見つめ、司書は手元の本の頁を捲る。
「では、問いましょう。――私達の行動は物語に綴られた文字にすぎないのでは?」
 その問いと共に現れるのは、御手。畏怖を感じさせるそれを、カイムは恐れるでもなく見つめた。
「『ようこそ』なんて言うから珈琲の一つでも期待したんだが……」
 可笑しなもんが現れたな、と内心零して。
「俺達は物語に綴られた文字か。……そうかもな」
 否定する材料もねぇよ、と笑う。
「けどよ――例えそうだとしても。俺は今、此処に居る。依頼を受けて。この依頼は俺の意志で選んだんだ。文字だろうと何だろうと此処には俺の魂があるのさ」
 己の胸を掴み、はっきりとカイムは告げた。

 一方のベルンハルトは、大袈裟に両手を広げて天を仰いだ。
「……私の行動が物語だって? そんな馬鹿な! 私は間違いなく、古今東西の戦いの記憶、戦史を魂に受け継ぐ永遠の戦士だぞ!」
 嘆かわしい! 憐憫を乗せた表情で、司書を見遣る。
「だがまぁ……物語の登場人物としては、使い辛いタイプだな。まぁ、そういうものだ」
 唇を釣り上げて、ベルンハルトは鼻で笑う。

「そんじゃま、ド派手に行こうぜ!」

 カイムの手が引鉄を引いた。視覚で追えない程のスピードで弾丸を発射する。それを合図にベルンハルトのライフルもまた火を噴いた。
 激しい銃弾の嵐が黒い本を撃ち抜かんと襲う。硝煙が立ち込める中で、尚も本は頁を綴ろうと存在を誇示する。

   サヨナラだ
「“Hasta la vista, Baby.”」
 マシンガンを投げ捨てる音がして、ベルンハルトが放つグレネードランシャーが黒い本を飲み込もうと放たれる。
 ――嵐はまだ已まない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
嫌ですけど?物語というならまだ完成しきってませんし…どうせ過去がこうだからこうとか、未来がこうだからこう!みたいな思考は面白くないですし

取り敢えずミミック、化け撃ちな。余り大き過ぎても問題だからドローンくらいで。御手から逃げつつ司書撃っといて

自分は衝撃波込めた弾で適当に撃ちつつ質問に答える
綴られた文字…そうですね。それで何か問題が?どうせやってみないと分からないんですよ。物語に綴られてようがそれを知らない俺達にはどうしようもないのですし…何より過去を盛ろうが、未来を飾ろうが、今で正気削れて、ミミックに繋ぎ止められたならこうなるんです。二人同時に消えなきゃ我々は変わらんのです

(アドリブ絡み歓迎)




「さぁもう一度、貴方達の物語、存在を証明してみせてください」
 そう発した司書の言葉へ、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)の返答はやはりあっさりしたものだった。
「嫌ですけど?」
 思わず司書も黙り、じっと拓哉を見つめていた。どこか探るような視線を気にも留めず、拓哉は肩を竦めた。
「物語というならまだ完成しきってませんし……どうせ過去がこうだからこうとか、未来がこうだからこう! みたいな思考は面白くないですし」
 そう思いません? 口にしながらも、拓哉は同意を求めているわけではない。やることはもう定めているのだから。

「取り敢えずミミック、化け撃ちな。余り大き過ぎても問題だからドローンくらいで」
 ミミックの姿が宇宙戦艦に変わる。この異界に適したサイズを取り、御手の動きを躱しながら放たれる光線が司書を狙い撃つ。
 僅かに眉を顰めながらも光線を避け、司書は拓哉へ質問を投げかける。

「綴られた文字……そうですね。それで何か問題が?」
 拓哉は答えながら、カラフルな二丁のモデルガンから衝撃波を込めた弾を撃つ。その弾丸の狙いは適当だが、
「どうせやってみないと分からないんですよ。物語に綴られてようがそれを知らない俺達にはどうしようもないのですし……何より過去を盛ろうが、未来を飾ろうが、今で正気削れて、ミミックに繋ぎ止められたならこうなるんです。二人同時に消えなきゃ我々は変わらんのです」
「なるほど。ならば、狙いを変えましょう」
 御手の狙いがミミックに絞られる。
 ――狙いを絞ったことで、動きが読みやすくなった司書の手元を弾丸が襲う。
「そう簡単にやられる我々ではありませんよ」
 拓哉の凪いだ声に、司書の忌々しげな舌打ちが重なった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

勘解由小路・津雲
落浜・語(f03558)と。
おっと語も来ていたのか。……幻覚じゃないよな?
まあそんなことよりも。

【行動】
この世界には「シミュレーション仮説」というものがあるらしい。この世界は誰かが作り出したもので、おれたちはその中のプログラムに過ぎない、というものだ。

だがそれがどうしたというのだろう。夢を見たとしよう。その中で親しい人が死んだ。目が覚めればその出来事は消える。

ところで、夢を見たときに感じた悲しみは、偽物だろうか?

出来事が本物であろうがなかろうが、感情そのものに本物も偽物もない。今ここにある感情、それが全てだ。

【鏡術・反射鏡】を使用。ところで、あんた自身はどんな答えを出すんだい?


落浜・語
津雲さん(f07917)と。
あぁ……指先痛い…。とりあえずは、流されずには最後までやれそうか。
…っと、津雲さんも来てたのか。少なくとも、俺は指先痛いままだから、幻覚とかではないと思うよ。
じゃ、こっからは協力しましょかね。

色々厄介だが、さてどうするか。
少なくとも、俺や津雲さんはここにいる。存在している。
だから、この世界が作られたものだろうとなんだろうと、ここにいる以上は存在しているのだと、俺は思う。
アンタはそうは思わないのか?
反応したのならこちらの物。UC『白雪姫の贈り物』
問いかけて答えを得ることが攻撃につながるのは、俺も同じでさ。
焼けた靴で踊ってくださいな?




 じんじんとした痛みが未だ奔る指先を対の手で包んで、落浜・語(ヤドリガミの天狗連・f03558)は息を零した。
「あぁ……指先痛い……。とりあえずは、流されずには最後までやれそうか」
 痛い思いをした分、意識は保てている感覚があった。そんな語の耳に、聞き慣れた声が届く。どこかほっとする声だった。
「おっと語も来ていたのか」
 声の主である勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)の姿を、語が捉える。
「……っと、津雲さんも来てたのか」
 包んでいた手を開き、軽く挙げて見せる語。
「……幻覚じゃないよな?」
「少なくとも、俺は指先痛いままだから、幻覚とかではないと思うよ」
 冗談が本気か、そんな津雲の問いに語は小さく笑った。
「じゃ、こっからは協力しましょかね」
「よろしく頼む」
 津雲もまた笑い、語の肩を軽く叩いた。

「この世界は、私達は、本当に存在しているのですか? ……貴方たちはヒトではないようですが」
 それは二人にかけられた問い。

「(色々厄介だが、さてどうするか)」
 今はまだ答えず司書を見つめる語の隣、津雲がゆっくりと口を開いた。
「この世界には『シミュレーション仮説』というものがあるらしい。この世界は誰かが作り出したもので、おれたちはその中のプログラムに過ぎない、というものだ」
 司書は津雲を見つめ、次の言葉を待っている。
「だがそれがどうしたというのだろう」
 津雲は司書に視線を返して、粛々と語り続ける。
「夢を見たとしよう。その中で親しい人が死んだ。目が覚めればその出来事は消える。
 ――ところで、夢を見たときに感じた悲しみは、偽物だろうか?」
 司書は考えるように、一度視線を逸らす。
「出来事が本物であろうがなかろうが、感情そのものに本物も偽物もない。今ここにある感情、それが全てだ」
 津雲の指先が、中空に円を描く。
「ところで、あんた自身はどんな答えを出すんだい?」
「真偽、どちらでもあると言えるかもしれませんね」
 津雲の目の前で輪郭を得た鏡は、映し出される暗闇の中に司書の姿を捉えた。
 鏡の中から御手が奔り、司書を捉えようと蠢く最中。

「少なくとも、俺や津雲さんはここにいる。存在している。だから、この世界が作られたものだろうとなんだろうと、ここにいる以上は存在しているのだと、俺は思う」
 アンタはそうは思わないのか? 鏡から出る御手を振り払う司書に、語は問いかけた。司書の視線が、津雲から語へと移る。語の口元が笑みを象った。
「……問いかけて答えを得ることが攻撃につながるのは、俺も同じでさ。焼けた靴で踊ってくださいな?」
 司書のヒールが、焼けた鉄へと変貌する。驚きに見張る司書の足元から踊る炎が、黒い本をも飲み込もうと迸った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒柳・朔良
さすがに正気に戻るためとはいえ自傷するのはやり過ぎたか
声はまだ聞こえる気がするが、これは幻聴か、それとも……
耳鳴りのようになり続ける声を無視して、目の前の敵に集中しよう

常の如く、UCを発動して【目立たない】ように【闇に紛れ】、【捨て身の一撃】
煩わしい『声』ごと屠るつもりで【暗殺】する
腿の鈍い痛みはまだ残っているが、そのおかげか狂気に呑まれないでいられる(【狂気耐性】)
大丈夫だ、私は『影』で『道具』
ほんの少し『壊れて』も支障はない
言い聞かせるように【逃げ足】も使いつつヒット&アウェイを繰り返す

もし本家に生まれていたならばなんて、そんな幻想は必要ない
私が『影』である所以を今証明しているのだから




 声が、聞こえる。己に問いかけてくる声だ。
 それが幻聴であるか、現に聞こえているものか、今の黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)には判断がつかなかった。
 歩くたびに腿を奔る痛みのように、声は断続的に朔良の耳に届く。

「さすがに正気に戻るためとはいえ自傷するのはやり過ぎたか」
 巻いたハンカチは既に黒くなっていた。
 それでも朔良は、真っ直ぐに目の前の司書の姿を捉え見据えた。
「いつも通り、やればいい」
 その呟きと共に、朔良の存在が稀薄になる。

 手の中に握られたワイヤーフックが、代償に呼応した。
「『影』(わたし)に殺されたいのは、誰だ?」
 そう発する朔良の手には、寸鉄が握られていた。煩わしい『声』をも屠らんと刻印の力をも得て、血を吸わせろと逸るようだった。

「……大丈夫だ、私は『影』で『道具』。ほんの少し『壊れて』も支障はない」
 小さく小さく呟く朔良の視界で、黒い本が御手を伴い踊る。

「もし本家に生まれていたならばなんて、そんな幻想は必要ない。私が『影』である所以を今証明しているのだから」
「面白いです。ならば私も問いましょう」
 朔良は迫る御手を左右にステップして躱しながら、黒い本に迫る。
 問いを拒絶するように振り抜いた腕が、黒い本の頁を大きく切り裂いた。
 『影』は確かに、此処にあるのだ――と存在を証明するように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西条・霧華
「例え書き換えられた世界がどれ程幸福であろうとも…。」

その幻想に囚われはしません
…確かにその『世界』は私にとっての幸福です

ですが、私が『この道』を選んだからこそ、防げた悲劇もある筈です
その『幸福な世界』を肯定する事は、『あの日』から続く歩みを、今に連なる全ての人々を否定する行為です
そしてそれを否定する事は、大切な人達を…その最後すら侮辱する裏切りです
だから私は、『あの日』を悔いながらでも、この道を、この生き方を誇れます
それこそが私のリナリア…『断ち切れぬ想い』ですから…

【残像】を纏って眩惑し、【破魔】の力を籠めた[籠釣瓶妙法村正]にて『幻想華』

私は守護者の【覚悟】を以て、貴女の世界を否定します


上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
「さあな。だが俺のやるべきことは分かっている」

例えこの身が誰かの思考によって生まれたモノだろうと、此処に在ることに誰かの意志が介在しようと知ったことではない。

――目の前の敵をこの拳で打ち砕く。

「やるべきことをやるだけだ」

視覚に頼らず、六感を研ぎ澄まし、館内に入った時から感じていた邪神の気配を捉える。

敵の攻撃は事象その物に干渉し操作する類か。
即応しても完全な防御も回避は不可能だろう。

防御も回避も捨て、持てる最速にて間合いを詰める。
元よりダメージは覚悟の上。

UCは攻撃重視
――呼吸を整え、力を抜き、専心する
心身から余分なモノを削ぎ落し、敵の懐に飛び込み、ただ渾身を叩き込む。




 傷ついた本はなおも、司書の手の中で物語を書き換えようと猟兵たちと対峙している。
 同じように傷つき血を滲ませる司書の手が頁を捲るのを、西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)は静かに見つめていた。
「例え書き換えられた世界がどれ程幸福であろうとも……その幻想に囚われはしません」
 凛とした声で語られる言葉は決意を宿している。もう、迷いはない。

 その様子を認めてもなお、問いかけてくる司書の言葉に上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)の落ち着いた声が返る。
「さあな。だが俺のやるべきことは分かっている」
 修介もまた、迷いのない瞳を司書と黒い本へと向けていた。

「例えこの身が誰かの思考によって生まれたモノだろうと、此処に在ることに誰かの意志が介在しようと知ったことではない。――目の前の敵をこの拳で打ち砕く」
 揺るぎのない声に、司書は満足気に頷いた。そして、改めて霧華を見た。

「貴方はどうですか?」
「……確かにその『世界』は私にとっての幸福です。ですが、私が『この道』を選んだからこそ、防げた悲劇もある筈です」
 だからこそ、書き換えた先にある『幸福な世界』を肯定する事は、『あの日』から続く歩みを、今に連なる全ての人々を否定する行為となる。
「そしてそれを否定する事は、大切な人達を……その最後すら侮辱する裏切りです。
 だから私は、『あの日』を悔いながらでも、この道を、この生き方を誇れます。
 それこそが私のリナリア……『断ち切れぬ想い』ですから……」

 指が籠釣瓶妙法村正に触れた。

「私は守護者の覚悟を以て、貴女の世界を否定します」

「やるべきことをやるだけだ」
 霧華が地を蹴ると同時に、修介もまた己の持てる最速で司書との間合いを詰める。研ぎ澄ますのは、第六感。美術館に入った時から感じ取っていた司書の気配を、見えぬ手で捉え手繰り寄せる。

「(敵の攻撃は事象その物に干渉し操作する類か。即応しても完全な防御も回避は不可能だろう)」
 故に受け身は取らない。回避も不要だ。迫る御手に触れた皮膚から、精神が犯されていくのを感じながらも修介の足は止まらない。その程度で、止まるつもりもなかった。
 ――呼吸を整え、力を抜き、専心する。いつもの大切なルーチン。
 自然、心身からは余分なものが削ぎ落とされていく。

 剣閃が一筋、走った。清浄な気を持つ一閃だった。
 バラバラと頁が闇空に舞う傍ら、修介の心は静寂に満ちていた。
 御手を来る司書の懐に、迷いなく飛び込んだ。
 純然たる拳による渾身の一撃は、司書を強かに打ち据えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

一郷・亞衿
どうやって生まれたかとか何で生きてるのかとか、クソくだらない問答をぐだぐだと──テメエの疑問なんざ知るか!お前みたいなバケモンをブッ潰すためだけにあたしたちは存在してるんだよ!今!ここに!

<破魔>の力が籠もったバットを持って、“由梨”(他の人が居ればその人とも)と連携攻撃。
敵の能力で周辺環境やら何やらが改変されようとも、武器防具その他使える物は何でも使って即時対応していく。
臨機応変に<咄嗟の一撃>繰り出せなきゃ探索者なんかやってらんないんでね……幸い、昔からそういうのは得意な方。

あたしたちの人生を綴るのはあたしたち自身。
例え人生が書き換え可能なものだったとしても、お前なんかに手出しさせるかよ!




「どうやって生まれたかとか何で生きてるのかとか、クソくだらない問答をぐだぐだと」
 一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は、静かな声に含む苛立ちを隠そうともせず言葉を吐き出した。前髪から覗く瞳が、司書を冷たく見下ろしている。
「貴方は疑問に思わないのですか?」
「――テメエの疑問なんざ知るか! お前みたいなバケモンをブッ潰すためだけにあたしたちは存在してるんだよ! 今! ここに!」
 一転、亞衿は怒鳴るように一息に言い切って、その手にバットを握りしめた。先端に灰色をした狐の尻尾とおぼしきものが、亞衿の感情のままに大きく揺れる。

「行こう、“由梨”!」
 セーラー服の裾を翻して、長い黒髪の少女が亞衿のそばに姿を見せた。その表情は、前髪に隠れてうかがい知ることはできないけれど。亞衿の力を分け与えられた少女は、強い霊力を纏って司書へと躍りかかった。
 その姿に司書の唇が笑みを作った。
 頁が文字を綴ろうと翻ると、闇に閉ざされた本だらけの世界に、いつかの廃村が現れる。それはノイズの入った画面のように、ちらついて鬱陶しい。
「邪魔、すんなよ!」
 亞衿が乱暴にバットを振るう。破魔を宿した一薙ぎが、世界を上書こうとする力に干渉する。

「臨機応変に動けなきゃ、探索者なんてやってらんないんでね……幸い、昔からそういうのは得意な方」
 マスクの下の口元が弧を描く。
「あたしたちの人生を綴るのはあたしたち自身。例え人生が書き換え可能なものだったとしても、お前なんかに手出しさせるかよ!」
 少女が御手の動きを封じて。過去のすべてを受け入れて振り下ろされる亞衿の大ぶりの一撃が、分厚い本もろとも司書を打ち据えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

旭・まどか
彼女の手の中に戻ったのか、元々ただの模倣品だったのか
忌々しい黒の装丁を睨め持ち手へ注ぐ

僕が持つ記録も、記憶も、軌跡も、全ては僕のもの
お前が好き勝手捏ね繰り回す事は愚か
覗き見だって、させない

お前がその八重の彩に映してきたものも、そうでしょう?

低く唸る喉に同意の意を感じ
なれば、お前が成すべき事はひとつだと

投げられた賽は此方へ向き
お前の道行きを邪魔するものはひとつだって、無い

御手がどれほど世界の理を書き換えようとも
其を上回る程の事象を起こせば良いだけの事

もっと、駆けて
速く、疾く

――世界の在り方を歪め、書き換える筆運びが追いつかない程に




 先程己を覗き見た黒い装丁は、再び目の前に現れた。
 彼女の手の中に戻ったのか、それとも元々ただの模倣品だったのか。
 ダメージを負ってもなお司書の手の中で蠢くそれを、旭・まどか(MementoMori・f18469)は忌々しげに睨めつけた。不快感を露わにするまどかに、司書は傷つき汚れた髪をかき上げて、なおも笑んで見せた。

「何を笑っている」
「いいえ。ただ、貴方“達”の物語、書き換えるならばどうなるかな、と」
「黙れ。僕が持つ記録も、記憶も、軌跡も、全ては僕のもの」
 冷え切った声に乗せた怒りが、司書の言葉を斬り伏せた。
「お前が好き勝手捏ね繰り回す事は愚か、覗き見だって、させない」
 揺さぶろうとする司書の言葉を、まどかの揺るぎない意思が退けた。

「――お前がその八重の彩に映してきたものも、そうでしょう?」
 視線を落とす。
 腕から飛び降りた灰の狼があげる低い唸り声にまどかは確り頷いて、
「お前が成すべき事はひとつだよ。お前の道行きを邪魔するものはひとつだって、無い」
 まどかの声に地を蹴る軽やかな音が重なって。暗闇に彩を落とした。

「御手がどれほど世界の理を書き換えようとも、其を上回る程の事象を起こせば良いだけの事」
 もっと、駆けて。
 まどかの思いに応えるように、狼は駆ける。

 速く、疾く。
 ――世界の在り方を歪め、書き換える筆運びが追いつかない程に。

 やわやわと月の光が闇に浮かぶ。
 手にあるCITRINEが煌めきを孕んで彼の往く道を照らすと、鋭い牙は風を纏って闇を払う。
 バラバラと頁が踊って――。

●終幕
 黒い本は、ついに崩れ落ちる。
 地面に這い出すように文字が本から溢れだし、宿した色は空に放たれた。
 歪められ囚われた物語は解き放たれて、あるべき場所へと還っていく。
 眼鏡の向こうの瞳は、尚も楽しげに細められて唇は弧を描き。
 得た答えに満足するように、司書はその身を骸の海へと還していった。

 猟兵達は、抱えた思いをそれぞれの胸の内に秘めて美術館を後にする。
 夜空の縁が、僅かに白く彩られ始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月07日


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#UDCアース


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト