希望へと続く道~危険地帯踏破行
● この生命を繋ぐために
その日。
アポカリプスヘルの片隅で、小さな命が生まれ落ちた。
地獄の世に生を受けた赤ん坊は、弱々しい産声を上げる。この世界に生を受けた命は、この世の地獄をまだ知らず、ただ愛を求めて泣いていた。
赤ん坊を抱いてあやす母親ーーアニーの目は、慈愛と不安に覆われていた。
赤ん坊が生まれた。食い扶持が一人増えた。住人達の目は、優しさだけではない。
未来を担う子供が生まれたことは、歓迎すべきこと。みんなで分け合って何とか命を繋ごうとしているが、先行きは決して明るくない。
アニーがいるのは、アポカリプスヘルの中でも貧しい町だった。
今いる人間を養うだけでもギリギリの綱渡り。特に今年は天候不順が重なり、畑の収穫が思わしくない。この子が成長するのに多くの物資が必要だ。
産声を上げる赤ん坊を見つめた子供の父親は、意を決すると立ち上がった。
「ジェニー。俺は危険地帯の奥を探索してくるから、その間、ホープを頼むよ」
「危険地帯の奥を探索……? 駄目よラリー! あそこに行って帰ってきた人はいないわ!」
「だが、もうあそこ以外に物資のアテがない。ジェニーだってもう何日もろくに食べていない。この子を育てるには、危険地帯の奥にある物流倉庫に行くしかないんだ」
「駄目よ! 行かないで! この子の食事なら私のを分けるから!」
首を横に振るジェニーに、ラリーは微笑みを向けた。
「俺が不在の間の物資は、ジェニーとホープに渡すように言ってある。母さん達にも良くしてくれるように言ってあるから。……頼んだよ」
取りすがるレイチェルの手を優しく握ったラリーは、ホープにキスすると産屋を後にする。
ラリーが去った部屋に、レイチェルとホープの泣き声が響いた。
● グリモアベースにて
「仕事だよアンタ達」
いつになく厳しい表情で猟兵達に向かい合ったパラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)は、集まった猟兵達の視線を受けて地図を広げた。
オブリビオン・ストーム危険地帯と呼ばれる一帯があった。
そこはわずかなきっかけでオブリビオン・ストームが発生してしまうため、不毛の荒野として恐れられている地帯だった。
この多発地帯の縁に、予知のあったビレンドタウンがある。前方に多発地帯、後方に広大な荒野を抱えたオアシスの町は今、滅びの危機に瀕している。
この町を救うために、探索者の一隊が危険地帯の奥へと足を踏み入れたのだ。
旧時代の地図によると、この多発地帯の奥には一大物流拠点があるという。そこまで行き着くことができれば、当座をしのげるだけの物資は手に入る。
だが、彼らが帰ってくることはない。
「アンタ達は探索者よりも先にこの拠点に行って、物資を持ち帰るのが仕事だ。だが、ここは危険地帯。地形はアンタ達も無縁じゃいられないね」
転送された猟兵達は、最低限の荷物しか持ち込むことはできない。水や食料を必要以上に持ち込もうとすれば、そこにオブリビオン・ストームが発生してしまう。
また物流拠点の近くに転送すると、そこにオブリビオン・ストームが発生してしまい、何が起きるか分からない。
物流拠点まで徒歩で7日間。持ち込める食料は2日分。足りない物資は現地で調達しながらサバイバルで荒野を切り抜けるしかない。
複数人で同時に空を飛んだり高速移動したりすると、オブリビオン・ストームが発生してしまうので注意が必要だ。
猟兵達が踏破した道のりは、ビレンドタウンの人々が行き来するための道にもなる。マッピングしながら進むのも良いだろう。
「戦闘よりも、むしろ踏破することが大変な依頼になる。色々な意味で厳しい戦いになるが、頼んだよ」
頷く猟兵達を見渡したパラスは、グリモアを発動させた。
三ノ木咲紀
オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
三ノ木咲紀です。
今回は初アポカリプスヘルです。三部作でお送りできればと思っておりますが、どのシナリオから入っていただいても大丈夫なようにいたします。
シリアスです。大変後味の悪い結末となる可能性もございます。
心して掛かっていただければ幸いです。
第一章は冒険です。
物流倉庫までの7日間をサバイバルしていただきます。
持ち込める物資は2日分です。現地は荒野で、現地調達が必須となります。
荒野の踏破行をどのように乗り越えるのか。枯渇した遺跡からどのように必要な物資を手に入れるのかが鍵となります。
地形は平坦な荒野を想定しています。
猟兵が辿った道は比較的安全なので、マッピングしながら進むのも良いかと思われます。
また、一人で空を飛んだり乗り物で移動しようとしたりするのは構いませんが、大勢の猟兵をピストン輸送しようとするとオブリビオン・ストームが発生します。
大量の物資を持ち込もうとするのもNGです。
予知のない戦闘となる危険性がありますのでご注意ください。
第二章は戦闘です。
欠乏状態でのオブリビオンとの戦闘を想定しておりますが、第一章の状況で変わってきます。
第三章は日常です。
お声掛けをいただいた時のみパラスが登場致します。
詳しくは断章をご参照ください。
締め切りについてはマスターページの冒頭及びツイッターにてご連絡させていただきます。
第一章はオープニング公開直後から受付致します。締切日はプレイングの状況を見て都度ご連絡させていただきます。
それでは。荒野と危険地帯に彩られた黙示録の世界を旅して参りましょう。
第1章 冒険
『長距離行軍、よーい!』
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POW : 険しい地形を装備や身体能力で踏破し進もう。
SPD : 周囲の警戒を密にしつつ迅速に進もう。
WIZ : 急がば回れ、適宜休息を挟みつつ進もう。
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● 猟兵征くは不毛の荒野
ーーオブリビオン・ストーム危険地帯。そう呼ばれる地帯があった。
いつ巻き起こるか分からないオブリビオン・ストームだが、その地帯は特に頻発。少しのきっかけで巻き起こるオブリビオン・ストームはその地帯を孤立させ、外部との接触も最小限とさせていた。
危険地帯の縁にある寒村・ビレンドタウンの困窮は特に激しかった。元々砂漠のオアシスとして栄えた小さな町だったのが、オブリビオン・ストームによって孤立したのだ。
オブリビオン・ストームとそれが齎すオブリビオンの脅威に怯えながら、わずかばかりの農地が上げる収穫と奪還者(ブリンガー)が持って帰ってくる物資だけが頼り。
もともと田舎町だったこともあり、周囲の遺跡の物資も徐々に枯渇していく。遠くの町から調達しようにも、ろくな足も金もない。このところは天候不順も続き、農地の収穫もままならない。
滅びに瀕した村にも、新しい命は生まれ落ちた。
彼らは戦う。一縷の希望を守るためーー。
ユウキ・スズキ
了解した
まぁ、動くにあたって装甲車で30人程度は運べる余力はあるが、あまり得策ではないと見える
それに、道を作ることも仕事の内ならゆっくりとした速度で轍を作っていくとしよう
長距離行軍における焦りは敵だ
警戒を怠らず、適度な休憩も視野に動くとしよう
途中、存在する遺跡からは食料とガソリン
食料は出来うる限り缶詰がいい
多少消費期限が切れてても熱せば食えるからな
だが、缶詰の類は塩分が多い
水分の消費が問題だが⋯⋯
雨水や下水道
ろ過と煮沸さえすれば水の確保は問題ないか
火種は持ってるしな
⋯⋯貧困は食い扶持を嫌い、やがて働き手が減り滅び去る
何度も見てきた終焉だ
だからこそ赤子には無償の愛を
そのための苦労は嫌いじゃないぜ
● 荒野を征くは兵員輸送車
ビレンドタウン郊外。
町外れと呼ぶにはあまりにも広大な荒野がどこまでも広がっていた。
乾き、割れた大地に生える草も少なく、生き物の影も少ない。過ぎゆく風は乾燥して、砂埃は容赦なく猟兵達を叩いて過ぎていく。
朽ちかけた町に似合いの景色に現れた不釣り合いな装甲車から上半身を乗り出したユウキ・スズキ((元米国陸軍)少尉 不審者さん・f07020)は、手にした望遠鏡から見える景色をじっと監視した。
視界の端に、オブリビオン・ストームが巻き起こるのが見える。気まぐれに起きては消えていくストームは、法則性の欠片もない。
「了解した」
ユウキは一つ頷くと、車内へ戻り身体を操縦席へと沈めた。
装甲車の外にいる猟兵達と連絡を取り、エンジンを掛ける。起動させたのはAPC07C兵員輸送車。優に30人程度は運べる余力のある自慢の兵員輸送車だが、今回はこの輸送車に猟兵を乗せて一息に走破する……というのは得策ではないと見て取れた。
「道を作ることも仕事の内。ならゆっくりとした速度で轍を作っていくとしようか」
ひとりごちたユウキは、猟兵と同じ速度でゆっくりと走らせる。車両重量だけで相当なものがある兵員輸送車は、荒涼とした荒れ地にも確かな轍をつけていく。
長距離行軍における焦りは敵だ。本来の性能を発揮できないでいるもどかしさを飼いならしたユウキは、車体を他の猟兵達の風よけにしながら進んでいった。
休憩時間に再び双眼鏡を覗き込んだユウキは、近くに遺跡を見つけた。元は農家の納屋だったのだろう。柱とわずかな壁を残すばかりだったが、こういう建物には得てして竜巻対策のーー自然に起きる竜巻対策の設備が地下にあるものだ。
ひと声かけて地下へ潜り込んだユウキは、食料とガソリンを求めて懐中電灯に灯を灯した。
荒れ果てた地下は品物がほとんど全て持ち出されていた。ビレンドタウンにほど近いこの近辺の遺跡の物資は、かの町の探索者がほぼ持ち出してしまっているようだった。
現地の探索者が見落としていそうな場所を探せば何かが見つかったかも知れないが、ここは探す間でもなくがらんどうに見えた。
「缶詰くらい残っていても良さそうなものだが……」
こればかりは仕方がない。井戸の奥を覗き込んだユウキは、底に溜まっていたわずかばかりの水を汲み上げて、手提げ水タンクに入れて持ち帰った。
雨水か地下水が染み出した、管理されていない水は既に薄茶色に染まっている。だがこのくらいならばろ過と煮沸さえすれば問題はない。
ベースに戻ったユウキは、ろ過した水を熾した火で煮沸する。持ち込んだ缶詰を開き、茶色い水をインスタントコーヒーでごまかして口にする。
熱いだけの薄苦い液体を飲むと、ふとジェニー達のことが脳裏に浮かんだ。
「……貧困は食い扶持を嫌い、やがて働き手が減り滅び去る、か」
戦場傭兵として様々な戦場と、戦場にされた町の住人達を見つめてきたユウキには馴染みの……あまりにも馴染みの、何度も見てきた終焉だ。
だからこそ赤子には無償の愛を。この世界の人々に未来と希望を。
「……そのための苦労は嫌いじゃないぜ」
ぽつり呟いたユウキは、塩辛い肉の欠片を喉の奥へと流し込んだ。
成功
🔵🔵🔴
西堂・空蝉
生まれ故郷じゃあ、長いこと流れもんをやってましたからね。サバイバルってぇやつはぼちぼち得意ですよ。任せといてくださいな。
とはいえさすがにこの荒れ野は舐めてかかれませんね。2日分の食料と水ですが、段階的に消費量を減らして、歩きながら体をこの不毛の地に慣らしていきます。物資を使い切ったら、あとはほんの小さなトカゲや虫でも、何ならオブリビオンでも、有機物を見つけ次第”捕食”しつつ進みます。毒があるかもしれませんが……そのときは猟兵の体力を信じます。飢えて行き倒れるよかマシです。
目立つ遺跡の間を結ぶように移動していきます。遺跡で見つけた使えそうなものはなんでも使いましょう。経路のマッピングも行います。
館野・敬輔
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
生まれたばかりの命、失わせるわけにはいかないだろ
過酷な依頼になるが…一肌脱ごう
踏破行は「視力、暗視、世界知識、第六感、地形の利用」で
目と耳を頼りに周囲の安全を確りと把握しながら前進
通った道は必ず紙の地図に記録し、今後に生かせるように
同時に食べられそうな草や動物を意識して探し確保(サバイバル)
動物の肉はその場で捌いて加工
この情報も街の人々のためになると思うけど…
夜は無理に移動せず、サバイバルキットに含まれるテントを張って休む
可能なら、奇襲に備えて交代で見張りを立てよう
物流倉庫に到着したら物陰に隠れて指定UC発動
四方八方に魂たちを放ち、食糧中心に探してもらう
● 荒野の狩人たち
再び行動を開始した猟兵達は、荒野を粛々と進んでいく。
吹きすさぶ風に首を竦めた西堂・空蝉(血錆お空・f03740)は、周囲の地形に目をこらした。
遠くで巻き起こった小さなオブリビオン・ストームが、ふいに消える。幸いこの近くでは起きていないが、状況は予断を許さない。
当座の安全を確認した空蝉は、少し先の茂みでうごめく影に後方を振り返った。
「こっち。敬輔さん手伝って!」
瓦礫の陰に身を隠す空蝉の声に、地図を作っていた館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)が息を顰めながら素早く駆けつける。
空蝉の視線の先には、細い蛇がいた。下草の陰からネズミを狙っているのだろう。長い舌をチロチロと出しながら、距離と呼吸を図っている。
目を見交わした空蝉と敬輔は、頷き合うと息を殺して近づいた。蛇がネズミに襲いかかる瞬間、二人の狩人が同時に動く。
ギザギザな刃先の高枝鋸ーー土瓶落としが蛇の胴体に食い込む。突然の攻撃にこちらを威嚇する蛇が毒の牙を剥き猟兵に襲いかかろうとするが、食い込ませた刃先と長い柄がそれを許さない。
攻撃の気配に気づいたネズミが、その場から逃げようと素早い身のこなしで草の影へと駆け込む。その動きを読んでいたかのように敬輔の投擲用ナイフが閃き、ネズミの胴をその場に縫い止める。
蛇の頭を落とし、落ち着くのを待って平気な顔で拾い上げる空蝉は、敬輔の感心した声に顔を上げた。
「空蝉さんは嫌じゃないんですか? 蛇を怖がったりする人も多いけど……」
「あたし? 生まれ故郷じゃあ、長いこと流れもんをやってましたからね。サバイバルってぇやつはぼちぼち得意ですよ。任せといてくださいな」
「そうか。頼もしいな」
敬輔の声に自慢気に胸を張る空蝉は、現代UDCアース生まれと言っても差し支えない容姿をしている。どちらかといえばサバイバルなど無縁の生活をしていそうな雰囲気を持っているが、彼女の人生もなかなかどうして平坦ではない。
投擲用ナイフを器用に使いながら、手慣れた手付きでネズミを処理していく敬輔の手付きに、隣で蛇を捌いていた空蝉は首を傾げた。
「敬輔さんこそ、ずいぶん手慣れてるじゃないですか。普通そんなに綺麗にネズミを捌けないですよ」
「僕はダークセイヴァーの出身だからね。このくらいは」
ダークセイヴァー、の一言に、空蝉は全てを悟る。ダークセイヴァーは、この世界に負けず劣らず危機に瀕した世界だ。そこで生きてきた敬輔にも、それなりのサバイバル技術が身についていても不思議はない。
ヘビの処理を終えて顔を上げた時、敬輔が視線を遠くにやっていた。黒剣の柄に手を掛け、何か話をしている。どうやら獲物の存在を敬輔へと告げているらしい。
「あっちにもいるらしい。今のうちに狩りを済ませておこう」
「了解。手伝うよ」
串刺しのヘビを置いた空蝉は、敬輔に続いて立ち上がる。二人の狩人が向かった先にいる獲物は、蛋白質となるより他になかった。
● 狩人たちの休息
荒野の日が暮れ、夜がやってくる。
今日手に入れた野草とネズミの肉を煮込んだシチューをかき混ぜた敬輔は、蛇の蒲焼きを焚き火で焼く空蝉の皿に半分に割ったレーションを置いた。
『こういう不慣れな土地でのサバイバルは、いきなり食事を変えないほうがいいっすよ』
初日の夜に野草と野生動物のみの食事をしようとしていた敬輔に掛けてくれた、空蝉の声が思い出される。
2日分の食料と水は段階的に消費量を減らして、歩きながら体をこの不毛の地に慣らしていく方がいい。携行糧食だって普段食べ慣れないのだ。そこにいきなり野生動物の肉ばかりになると体調を崩しかねない。
空蝉のアドバイスには、経験に裏打ちされた確かな説得力がある。彼女のアドバイスに従い食料の量を調整して三日。敬輔の身体は不調を訴える様子はなかった。
「焼けましたよ、敬輔さん。……どうしたんですか?」
「いや。空蝉さんには助けられたなと思って」
「褒めたって何も出ませんよぅ。昔とった杵柄って奴で」
照れたように頭をかく空蝉に首を横に振った敬輔は、野草とネズミのスープを一口飲んだ。味はお世辞にも美味しいとは言えないが、食べられないほど酷い味ではない。
敬輔の思考を悟ったように、空蝉の意外そうな声が響いた。
「意外と悪くない味ですね」
「ありがとう。昔とった杵柄、って奴だよ。……この情報も、街の人々のためになると思うけど……」
ぽつりとこぼす敬輔の言葉に、空蝉も深く頷く。
出発前に立ち寄ったビレンドタウンで出された、せめてものもてなし。シチューとも呼べない薄いスープに、申し訳程度に浮かんだくず野菜と干し肉の欠片。あのスープに比べれば、贔屓目に見ても敬輔のスープの方が美味しく感じられた。
ささやかな食事を終え、明日の行程を確認する。
事前に学んだ世界の知識と、実際の地形を照らし合わせて作られた地図。
ビレンドタウンの人達の生命線になるであろう情報は、少しずつ埋まっている。
だんだん出来上がる地図を元に、次の遺跡の目星をつける。昼間コツコツと書き溜めた情報は、徐々に目的地に近づいていることを示していた。
目立った遺跡を辿りながらの行程は、今の所順調だ。火を落とした空蝉は、敬輔に寝床を示した。
「今夜は先に休んでください。後で交代しますから」
「ありがとう。そうさせてもらうよ」
頷いた敬輔は、サバイバルキットのテントを張ると寝袋に潜り込む。ゴツゴツとした岩場の寝床は決して寝やすいとは言えないが、あの町で生まれたホープも似たような寝床で寝ているのだろう。
(「生まれたばかりの命、失わせるわけにはいかないだろ」)
これからも過酷な旅が続くだろうが、一肌脱ごう。
そう決意した敬輔の意識は、ほどなくまどろみの中に落ちていった。
大成功
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リゲルグ・ストランダー
危険を犯さず得られる富はそうそう無い
つまりは、俺の仕事だ
〈環境・地形耐性〉を持つアーマーを頼りに道を進む。
左目から、サイコメトリー…大地の、風の、物質の思念を読み取り地形の情報収集
土の状態、風の向き、うろつく生物…遠くを把握すれば進軍はいくらか容易だ
戦闘はstratumを〈スナイパー、クイックドロウ〉で使用
いざとなれば【念眼】も使う
獲物は食えるやつなら食料。暴漢の類いなら道具漁り
銃は…その辺の石でも込めれば弾になる。心配はいらない
…好き嫌いがなくて羨ましいね…
7日分(自分基準)の煙草は完備だ
この旅に有利な効果は何ら一切ない
故に嵐は起きない
…煙草があぶれ者であるのを感謝する日が来るとはね
九十九・白斗
食料は現地調達か
不毛の土地で厳しい話だな
とりあえず、サバイバルの必需品、カレー粉などの調味料はしっかり持っていこう
とりあえずカレー味にさえしてしまえば何でも食えるもんだ
後はなるべく高カロリーな携帯食だな
水筒の水をなるべく使わなくて済むように調理用のレモン汁の瓶も持っていこう
あと砂漠で日差しがきついようなら、進軍は夜だな
昼の間はテントを張って休み、夜に歩く
コンパスを見ながら、それなりに体力のある奴なら踏破できる道を選んでマッピングもしておこう
山の中を50キロの装備をつけて三日三晩飲まず食わずで突き進むレンジャー部隊の訓練のようなことを現地の人間ができるといいんだが…
まあ、なるようになるだろう
● 生命を繋ぐ弾丸
吹きすさぶ風は強さを増し、照りつける太陽の向こう側に蜃気楼のような影を生み出す。
風よけのマントを羽織ったリゲルグ・ストランダー(ガンスリンガーDEAD_PSI_EYE・f24555)は、左目に宿した高度のサイキックエナジーを通して行く先を見据えた。
彼の魔眼は、サイコメトリーの能力を持つ。
吹きすさぶ風の向きや大地の状況、これまでに蓄積した地形データから推測される今後の状況等を分析し、情報を収集していく。
現況を偵察し、獲物の存在を感知するリゲルグに、九十九・白斗(傭兵・f02173)は声を掛けた。
「よう。状況はどうだ?」
「あんたか。良くはねぇな。野生動物の影も薄ぃ」
「そうか。……周囲の遺跡も見てきたが、どこも枯渇してやがる。ビレンドタウンの連中が、山の中を50キロの装備をつけて三日三晩飲まず食わずで突き進むレンジャー部隊の訓練のようなことをしてここまで来た……」
「それはねぇんじゃねぇか?」
「そうだな」
リゲルグの答えに、白斗もまた頷く。自分で言っていて説得力はないと思っていたのだ。
ただの行軍ならばできるだろう。だが、ここはオブリビオン・ストーム危険地帯。ストーム発生と、それに伴うオブリビオンの襲撃のリスクはただの探索者には危険過ぎる。
砂嵐に霞む先にある、物流倉庫。物資が満載されているであろう倉庫まではあと一息の距離まで来ていたが、その距離が果てしなく遠い。
だが。この道行きには価値がある。猟兵達の成果を待つ、困窮した人々の笑顔という成果が。
「危険を犯さず得られる富はそうそう無い。つまりは、俺の仕事だ」
ひとりごちたリゲルグは、魔眼に映し出された動く気配に鋭い視線を投げた。
視線の先にいるのは、小型の野犬。荒れ地の枯れ草に身を潜めるようにうろつく犬が、辺りの匂いを嗅ぎながら獲物を探していた。
大物だ。
だが、ベースからは相当な距離がある。よほど注意して接近しなければ逃げられてしまう。それでもここで仕留めなければ、こちらの体力が危うい。
接近しようと身を屈める白斗を押し留めたリゲルグは、拳銃型アーティファクト『Stratum』を構えると息を殺した。
魔眼で距離と方角を測る。射程はギリギリ。一発で急所を狙えなければそのまま逃げられてしまう。
「いい子だ。そのままじっとしてくれよ」
【念眼(ヒュプノス・アイ)】を発動させ、野犬に言うことを聞かせようと魔眼に念力を込める。だが距離がありすぎるのか、野犬はその場をうろつき嗅ぎ回り、言うことを聞く気配はない。
軽く舌打ちしたリゲルグは、慎重に狙いを定める。引金を引く瞬間、野犬が顔を上げた。
野生の勘で、こちらに気づいたのか。逃げ出そうとする野犬に、リゲルグは素早く銃弾を撃ち込む。
瞬時の判断が功を奏した。胴に深々と穿たれた銃弾に、野犬が大きくのけぞる。急いで駆け寄り仕留めた大物を拾い上げたリゲルグは、得意げに親指を立てた。
● 生きるために必要なこと
リゲルグが仕留めた野犬を前にした白斗は、夕刻調理へと取り掛かった。
手早く野犬を捌き、肉の塊へと解体。部位ごとに仕分けし、塩胡椒と共に調理用のレモン汁に漬け込む。
筋張るばかりの硬い肉が、レモン汁の効果で柔らかくなる。出汁用の骨や野草と一緒に煮込み、カレー粉で味をつけて更に煮込むと、食欲をそそるスパイスのいい匂いが広がった。
「うまそうじゃねぇか!」
「とりあえずカレー味にさえしてしまえば何でも食えるもんだ。……皿」
鍋を覗き込むリゲルグにぶっきらぼうに応えた白斗は、差し出された鉢にカレースープを注いで手渡す。
久々のカレーに、猟兵達も喜びの声を上げる。長距離行軍を余儀なくされる猟兵達にとって、食は唯一の娯楽と言っていい。
それもままならなかったのだが、温かいカレーとわずかに残した高カロリーなビスケットが、猟兵の心と身体の疲れを癒やしていく。
久々のカレーに一息ついた白斗は、焚き火の火を前に今後の行程を検討していた。コンパスを見て、地形の起伏を書き込む。それなりに体力のある奴なら踏破できる道を選んで歩いてきた道のりは、きちんとマッピングされている。これならば今後、町の探索者の役にも立つだろう。
一段落を終えた白斗は、見張りを交代すると銃を手に当たりを見渡した。遠くで竜巻が巻き起こり、ふいに消えていく。今まで何度も見てきた光景だ。
ふと鼻についた煙草の匂いに顔を上げた白斗は、一本差し出すリゲルグの顔を見上げた。
「吸うか?」
「貰おう。……だがいいのか? まだ行程は続くぞ」
一本手に取る白斗に、リゲルグはポーチを開いて見せる。そこに詰められた煙草の箱を自慢気に示す。
「7日分(自分基準)の煙草は完備だ。この旅に有利な効果は何ら一切ない。故に嵐は起きない」
「強気だな」
「あんたのカレー粉や調味料も大概だ。……煙草があぶれ者であるのを感謝する日が来るとはね」
リゲルグが差し出す火種で、咥えた煙草に火をつける。久々の煙が肺と鼻孔を燻して抜ける。旨そうに煙を吐いた白斗は、煙草が入っていた場所の本来の用途を思い出して灰を地面に落とした。
「そこは本来、弾を入れるんじゃないのか?」
「弾? その辺の石でも込めれば弾になる。心配はいらない」
「悪食な銃だな」
「好き嫌いがなくて羨ましいね」
おどけたように肩を竦めるリゲルグに、白斗も苦笑いをこぼす。
食料や弾丸といった「生きるために」必要な品だけでは、人間「生きて」はいけない。嗜好品は時に、武器弾薬よりも生きるのに必要な物のなのだ。
「まあ、なるようになるだろう」
「違いない」
二筋の白い煙が、風に乗って荒野へ消える。
油断なく周囲を警戒する二人の猟兵の間に、雄弁な沈黙が流れていった。
成功
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第2章 集団戦
『マシンビースト』
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POW : ワイルドビースト
【野生化モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 同型機との経験共有
【頭部に内蔵した高熱の刃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【行動パターン】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 光学迷彩
自身と自身の装備、【自身と同型の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
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● 荒野の踏破行、そして
長い道のりを踏破した猟兵たちは、ついに物流倉庫の近くまでたどり着いた。
岩砂漠の中に突然現れた物流倉庫は、要塞のような佇まいで猟兵達を威圧する。高い塀に囲まれた物流倉庫が視認できるようになるにつれ、猟兵たちは一つのことに気が付いた。
「倉庫の傍に、ストームが起きにくい?」
猟兵の指摘に、皆注意して目をこらす。
遠くで巻き起こっては消えるストームが、確かに物流倉庫の傍では起きにくく見える。
しかも、近くにある遺跡はほぼ破壊し尽されているのに、物流倉庫は堅牢な塀を保っている。どういうことかと考えを巡らせたとき、先遣として偵察に出ていた猟兵が駆け戻ってくるのが見えた。
「物流倉庫にオブリビオンが向かっている!」
報告を受けた猟兵は、急いで現場へ駆けつける。
マシンビーストと呼ばれるオブリビオンが、牙を剥きながら物流倉庫へ向けて駆けていた。銃を撃ち込み注意を引いた猟兵の威嚇に、マシンビーストの脚が止まった。
猟兵たちを排除すべき敵と見なしたのか。マシンビーストは激しく吠え立てると、猟兵たちへ襲い掛かってきた。
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
…確かにストームが起きにくい理由は謎だな
でも今はこの状況を打開するのが先か
オブリビオンにここを好き勝手に荒らさせてたまるか
【魂魄解放】発動
…この世界で皆が生きるための道を切り開く
手伝いを頼めるか?
「地形の利用、ダッシュ」+高速移動で物流倉庫の周囲を走り回り
群れから漏れたマシンビーストを発見したら投擲用ナイフを「投擲」、誘き寄せる
ある程度まとまったら「早業、2回攻撃、怪力、範囲攻撃」でまとめて斬り飛ばして移動を封じよう
高熱の刃を撃ち出された場合は攻撃中断
「第六感、見切り、残像」で五感をフル活用し回避に集中
回避が間に合わなければ「咄嗟の一撃、衝撃波」で叩き落とす
ステラ・クロセ(サポート)
真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!
正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!
スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、それがステラです。
一人称は「アタシ」ですが殆どの猟兵は先輩に相当するので話すときは「わたし、あなた」といった礼儀正しい振舞いとなります。
探索系はストレートな解決法を選び、
戦闘では正々堂々と敵の正面に立って攻撃を引き受け味方にチャンスを作る方が好みです。なお、近接戦闘派です。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
正義を大事にするので、他の猟兵の意図を阻害したり公序良俗に反する行動はしません。
櫟・陽里
食材の知識が潰滅的だからどれが食える草かわからない
動物の生態を知らないから獲物がどこにいるかわからない
自然の摂理も知らないから水を見つける事もできない
スペースノイドって生活力無いよな!助けてコアマシン!
7日は無理とサバイバルはハナから諦め戦闘で合流
遅れた分はちゃんと働くぜ
相棒バイクで意気揚々と登場
大音量で走り回り敵の注意をひきつける
味方のための隙を作ったり
敵集団の動きをある程度コントロールする目的で走行ルート選択
敵が速く走る俺に攻撃してきたらSide by side発動!
敵ボディとバイクのカウルが擦れ合い火花が散ったらこっちのモン
ボディがいくら硬くても配線周りの素材ってだいたい燃えやすいだろ?
● 荒野を駆ける黒と赤
物流倉庫を視認できる範囲まであと一息というポイントまで迫り、水を片手に一息ついた館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は遠く霞む物流倉庫の壁に目を細めた。
休憩のポイントを離れ、偵察に出る。目的地まであと少しという状況が最も油断しやすいものであると、敬輔は経験的に知っていた。
そびえ立つ壁は堅牢そのものに見える。まるで要塞のようにも見える建物は沈黙を守り、何の動きも見受けられない。
目的地をじっと見つめる敬輔に、共に偵察に出たステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)は声を掛けた。
「敬輔さん! どうしたんですか?」
「ステラさん。いや、思ったよりも堅牢な建物だなって」
「そうですね。今までの遺跡と比べると全然違いますよね」
望遠鏡を片手に物流倉庫を覗き込むステラに、敬輔は深く頷く。オブリビオン・ストーム多発地帯と呼ばれるだけあって、ここまでの踏破行でも幾度も悩まされてきた。
あれだけオブリビオンが出てきては、建物があっても破壊されつくされるだろう。実際、ここに来るまでに見た建物は遺跡というよりは瓦礫と呼ぶのがふさわしく、跡形もないものがほとんどだ。
それが何故か、あの物流倉庫は何事もなかったかのように静かに佇んでいる。その理由は、現在のところ謎に包まれていた。
「でも今はこの状況を打開するのが先か。オブリビオンにここを好き勝手に荒らさせてたまるか」
「そのとおりです! 正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん! 我こそは義侠のスーパーセル! ステラ・クロセが許しません!」
「頼りにしてるよ」
太陽にむけてびしぃっ! っと指を突きつけるステラに、敬輔は頼もしそうに頷く。苦境にも負けず微笑むステラに視線を移した敬輔は、その先に巻き起こったオブリビオン・ストームに立ち上がった。
前方で巻き起こった小さなストームの足元で、野犬の吠える声が響く。先日捕まえた野犬が元いた群れなのだろう。オブリビオン・ストームが収まったのを確認した敬輔は、双眼鏡を覗き込んだ。
ゆらりと身体を起こした野犬の身体はメタリックに輝き、生き物にはない規則的な動きで周囲を警戒している。不運にもオブリビオン・ストームに巻き込まれて死んだ野犬の群れは、オブリビオンとして復活を遂げてしまったのだ。
その姿は、予知にあったオブリビオンの姿によく似ていた。
「マシンビースト……! まずい! 物流倉庫へ向かっている!」
「行きましょう、敬輔さん!」
拳を握り締めるステラに頷き返した敬輔は、黒剣を抜き放つと駆け出した。ダッシュで駆けつけようとするが、行軍の疲労からか思うように足が進まない。
舌打ちした敬輔は、愛剣に眠る魂に語りかけた。
「……この世界で皆が生きるための道を切り開く。手伝いを頼めるか?」
敬輔の問いかけに応えるように、魂たちが現実世界へと現れる。淡い光と共に敬輔の身の周りに降りた魂が与えてくれる力に、身体が羽のように軽くなるのを感じた。
「行こう、ステラさん! 物流倉庫へ行かせちゃいけない!」
「もちろん! 悪は必ず討つのです!」
拳を握り締めたステラもまた、ユーベルコードを詠唱する。【紅蓮の灼翼(グレンノシャクヨク)】を纏ったステラは、業火のサイキックエナジーに包まれた姿に変身すると地面を蹴った。
「もっと遠く! もっと高く! アタシの限界をこの翼で乗り越えてみせる!!」
最大時速300km/hの飛翔能力を得たステラは、マシンビーストの行く手を阻むように回り込むと【新焔・関勝大刀】を大きく振るった。
「いっけえ!」
炎と共に放たれる斬撃が、先陣を切って走っていたマシンビーストを切り裂く。突然現れた敵の姿に立ち止まったマシンビーストは、威嚇の電子音も顕にステラに襲いかかった。
光学迷彩を纏ったマシンビーストが、風景に溶け込む。次々に姿を消したマシンビーストは、驚くステラに次々に噛み付いてくる。
獰猛なマシンビーストの牙が、ステラを襲う。地面に引きずり降ろそうとするマシンビーストの気配が、大きくのけぞった。
「ステラさん!」
駆けつけた敬輔が声と共に放った斬撃による衝撃波が、マシンビーストを切り裂く。拘束から逃れたステラは、高度を上げるとマシンビーストの攻撃範囲から逃れた。
「ありがとうございます! ……敬輔さん!」
ステラの声に、敬輔は首を巡らせる。猟兵に攻撃を仕掛けていたマシンビーストが二手に分かれる。半分ほどのマシンビーストは、こちらには構わず物流倉庫へと駆け出そうとしている。その姿に、敬輔はステラを振り返った。
「ステラさんは、そのまま引きつけてベースへ! 味方へ連絡して合流してくれ! 俺ははぐれたマシンビーストを倒してから行く!」
「……了解! 気をつけて! 鬼さんこちらってね!」
絶妙な硬度を保ったステラが、マシンビーストを引きつけベースへと戻る。その姿を見送った敬輔は、物流倉庫へと向かうマシンビーストを追いかけた。
【魂魄解放】は高速移動を可能にしているが、なにせ位置が悪い。同じく高速移動をするマシンビーストに追いつくには、更なる解放が必要だ。
覚悟を決めた敬輔が再びユーベルコードを詠唱する直前、マシンビーストの前の空間が歪んだ。
● 荒野を駆ける雷鳴
空間が歪み、バイクと共に地面に着地した櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)は、瞬時に状況を確認すると相棒の宇宙バイク・ライのエンジンを吹かした。
「鬼退治ならぬ犬退治、ってね! 物流倉庫に行かせる訳にはいかないんだよ!」
意気揚々とマシンビーストの前に回り込んだ陽里は、大音量でエンジンを唸らせるとマシンビーストの気を引いた。新たな敵の出現に振り向いたマシンビーストが、陽里に向けて襲いかかった。
「火花散るレース、楽しもうぜ!」
動く陽里に反応して猛然と突進してくるマシンビーストのボディが、バイクのカウルと接触。激しく散る火花が引火し、巻き起こる炎の内に沈む。
「ボディがいくら硬くても、配線周りの素材ってだいたい燃えやすいだろ?」
陽里の言葉を理解したのか、足を止めたマシンビーストに陽里はライを走らせた。
そのまま加速。タイヤの軌跡と同じラインを描く炎の壁が、マシンビーストの足を止めさせる。ひとまず進軍を食い止めた陽里は、高速移動する敬輔の姿にライを走らせた。
あのユーベルコードはは寿命を削る。敵は高速移動する。一瞬にして判断した陽里は、駆けつける敬輔に手を伸ばした。
「けいちゃん、乗れ!」
「陽里さん!」
陽里が差し出す手を反射的に取った敬輔は、ライの後部座席に飛び乗る。
直後、加速。敬輔を乗せているとは思えないほど軽やかに乾いた大地を駆けるライは、炎の壁を迂回しようとするマシンビーストの行く手を塞ぐ。敬輔が放つ投擲用ナイフでおびき寄せては一箇所に追い込んでいく。
マシンビーストを撹乱しながら行く手を阻む陽里のドライブテクに圧倒されながらも、敬輔は陽里に問いかけた。
「どうしたんですか陽里さん。確か行軍にはいなかった筈じゃ……」
「俺にサバイバルなんて無理無理!」
あっけらかんと語った陽里は、襲い来るマシンビーストをタイヤで轢きながら軽く告げた。
「食材の知識が潰滅的だからどれが食える草かわからない。動物の生態を知らないから獲物がどこにいるかわからない。自然の摂理も知らないから水を見つける事もできない。……スペースノイドって生活力無いよな! 助けてコアマシン!」
万能ロボットに助けを求めるように、どこか楽しそうに陽里は語る。生まれ育ち慣れ親しんだ世界とは、あまりにもかけ離れた世界での強行軍は生粋のスペースノイドである陽里には分が悪すぎる。
足手まといになるくらいなら、と最初から参加せず、戦闘から参戦するという陽里の判断は、おそらく正しかったのだろう。
「けど、遅れた分はちゃんと働くぜ!」
宣言通り、ライは駆ける。
最高のコンディションを保ったライは、マシンビーストを巧みに誘導し破壊していく。
隙あらば回り込み、物流倉庫へと向かうマシンビーストの先を読み行動を封鎖し、唸るタイヤの下敷きにする。
黒剣を振るう敬輔と呼吸を合わせてスピードに緩急をつけ、機械の頭を跳ね飛ばす。
炎の円に全てのマシンビーストを追い込んだ陽里は、迫る高熱の刃に身構えた。
放たれる高熱の刃にダメージを覚悟したが、その全てが撃ち落とされる。咄嗟の一撃で衝撃波を放った敬輔は、バイクから飛び降りると黒剣を構えた。
「物流倉庫へは、行かせない!」
着地と同時に早業で繰り出された2回攻撃が、追い込まれたマシンビーストをまとめて破壊する。圧倒的な攻撃に、最後に残ったマシンビーストが敬輔に向けて牙を剥いた。ジャンプし敬輔に襲いかかったマシンビーストは、狙いすましたライの前輪に跳ね飛ばされると地に落ち沈黙する。
「バイクは急に止まれないってね!」
着地した陽里は、敬輔を後ろに乗せると味方ベースへとライを走らせた。
成功
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九十九・白斗
まだか?
そう呟く白斗の顔に疲労の色が見えた
背に当たる日差しすら重い
が、物流倉庫が見えると
ようやくついたか
と、声に張りが戻る
先の見えない状況は肉体だけでなく精神も削っていたが、目標が見えれば力もわいてくる
目的地を観察しながら、一服
リゲルグに分けてもらったタバコをユウキにも分ける
禁煙禁煙と五月蠅い世の中、自然とタバコを吸う人間でグループができていた
それにしても、なぜ、物流倉庫はストームの影響を受けないんだろうな少尉
理由がわかれば、物資の運搬も楽になる
が、そんなことを語っている場合ではなさそうだ
俺はここから狙撃で足止めする
少尉は、その間に進んでくれ
タバコをピンとはじき、静かに狙撃姿勢についた
ユウキ・スズキ
【白斗と行動】
「まぁ、考察は我々の仕事ではない……少なくとも今回はな」
しかし、彼との共闘は初か。
「期待してるぜ、若造に熟練の腕をご教授願う」
さて、遊んでやるとしよう。
「……可愛げはなさそうだがな」
ケツの守りは保証されてるんだ、大暴れといこう。
走ってくる奴等を前に自前の煙草に火を付ける。
「……やっぱりこっちだな」
【指定UC】起動。
「こういう時は、焦った方が敗けなのさ」
精製したEMPグレネードを蹴り上げて自身の頭上で炸裂させる。
「……おすわりだ」
最新鋭の電磁パルス兵器。
簡単には動けまい。
「恨むならてめえらの半端な体を恨みな」
銃撃による殲滅開始。
近くの奴は頭を踏みつけ破壊する。
リゲルグ・ストランダー
※アドリブ歓迎!
オーガニックの次は、金属の犬ころに出くわすとはな…
機械仕掛けの体躯で動こうが関係ない。stratumを使い【クイックドロウ】・〈スナイパー〉技能で数体の急所を撃ち抜く
攻撃のために接近してくる瞬間に撃つのが望ましい
素早かろうが、俺が撃つ速さの方が上だ
…だが上回っているのは速さだけじゃないぞ?
ここまで節約しておいた正規の弾をリボルバーに込める
飛び出てくるのは〈鎧砕き〉の徹甲弾だ。
いいもの食わせれば最高の仕事をしてくれるのさ、コイツは。
……ストームが起きにくい倉庫。なるほど大分きな臭くなってきたな。
だがまずは―犬駆除からだ
● ひとときのオアシス
時は少し遡る。
雲ひとつ無い青空から照りつける陽射しは容赦なく背中を焼き、その圧力は岩砂漠に生きる全てのモノから水分を奪うように重くのしかかる。
霞む地平線を睨みつけた九十九・白斗(傭兵・f02173)は、幾度目かに見えた物流倉庫の蜃気楼を踏みつけると誰にともなく声を上げた。
「まだか?」
叫びにも似た声に応える者はなく、振り返った視線の先にいる猟兵達はただ視線を送って寄越すだけ。
軽く舌打ちした白斗は、昼行軍せざるを得ない現状を誰にともなく呪った。
ーー昼間は夜間よりもオブリビオン・ストームの発生率が高いんだ。全員が即応できる態勢を整えておかなけりゃ、一度のストームで全滅しかねないんでね。
夜間行軍を提案した白斗の言葉を、にべもなく却下したグリモア猟兵の無情な言葉が思い出される。行軍を始めて7日。その言葉通り日中は突然間近でストームが巻き起こることも多く、奇襲を許さざるを得なかったことも一度や二度ではない。
水筒に未練がましく視線を落とした白斗は、前を歩くユウキ・スズキ((元米国陸軍)少尉 不審者さん・f07020)の声に弾かれたように顔を上げた。
「見えたぞ! 物流倉庫だ」
「蜃気楼じゃないだろうな」
「幻覚を見るほどボケちゃいないさ」
軽口を叩くユウキから双眼鏡を奪い取り、行く先を覗き込む。そこに見える堅牢な壁に、白斗は安堵の息を吐いた。
「ようやくついたか」
「ここで休憩しよう。目的地まであと少しだ」
ユウキの言葉に、全員が頷く。今までの休憩とは違い、目的地が見えたポイントでの休憩だ。先の見えない不安との戦いから解放された猟兵達は、皆一様に安堵の息を吐いた。
布をかぶりささやかな日陰を作り見張りに立つ白斗に、リゲルグ・ストランダー(ガンスリンガーDEAD_PSI_EYE・f24555)はシガレットケースを差し出した。
「吸いな。最後の煙草だ」
「助かった。死ぬかと思ったぜ」
一本だけ残った煙草を受け取った白斗は、遠慮なく咥えると火種から火を移した。数日ぶりの煙草は乾いた肺に染み渡り、ニコチンの刺激が鼻孔を抜けて口から吐き出される。
水筒を開けて最後の水を飲み干すと、疲弊した顔に力が戻っていくのがわかる。そんな白斗を見やったリゲルグは、自分の煙草に火をつけて白煙を吐き出した。
自前の煙草に火をつけたユウキも、見張りに加わる。煙草に惹かれるように集まった猟兵達は、しばしの休息を味わっていた。
「禁煙禁煙と五月蠅い世の中、堂々と吸えるのはいいものだな」
「このクソッタレな砂漠で、それだけは褒めてやろうじゃねえか」
「俺は世界がどうだろうと、煙草を手放す気はねぇよ」
旨そうに煙を吐き出すユウキに、白斗は軽く応じる。二人の応酬に煙を吐き出したリゲルグは、その向こうに見える景色に眉を顰めた。
煙の向こうに見えるのは、堅牢な壁。何者も寄せ付けないかのようにそびえ立つ壁は砂煙に歪み、不気味な沈黙を保っている。
リゲルグの視線の先を何とはなしに追っていた白斗は、要塞のような物流倉庫に眉を顰めた。
「それにしても、なぜ、物流倉庫はストームの影響を受けないんだろうな少尉」
「あ?」
「理由がわかれば、物資の運搬も楽になる」
「知るか」
にべもなく言い放ったユウキは、肺の底から煙を吐き出すと落とした煙草を砂に還す。
「考察は我々の仕事ではない……少なくとも今回はな」
「……ストームが起きにくい倉庫。なるほど大分きな臭くなってきたな。だがまずはーー」
ちびた煙草を投げ捨てたリゲルグは、義眼で捉えた猟兵の様子に警戒を強める。先行し、偵察していた猟兵が、撤退戦を仕掛けながら駆け戻ってくるのが見える。光で合図する猟兵の差し示す先にいるのは、機械の身体を持つ獣のオブリビオン……マシンビーストだ。
「だがまずはーー犬駆除からだ」
「やれやれ。せっかちなお客さんだ」
まだ残る煙草をピンと弾いた白斗は、駆け戻る猟兵達を援護するべくスコープを覗き込んだ。視認できる範囲に忽然と現れたオブリビオンーーマシンビーストの姿にアンチマテリアルライフルを構える。
「俺はここから狙撃で足止めする。少尉とリゲルグは、その間に進んでくれ」
「期待してるぜ、若造に熟練の腕をご教授願う」
「ケツは任せた!」
ユウキとリゲルグの軽口に口の端を上げて応えた白斗は、静かに狙撃態勢に入る。岩場と一体化する白斗の姿に、二人は駆け出した。
● 足止め、援護、そして殲滅
敵意を剥き出しに砂埃を上げるマシンビーストの群れの前に駆け出したリゲルグは、敵を引きつけ撤退戦を繰り広げていた猟兵から引き継ぐように銃を抜き放った。
「素早かろうが、俺が撃つ速さの方が上だ」
そう告げた時には、最前列を走るマシンビーストは撃ち抜かれ、後続を巻き込みながら群れから離れる。ガラクタと化した仲間には目もくれずに走るマシンビーストは、甲高い機械音を発すると青白い刃を抜き放った。
頭部に内蔵した高熱の刃が、リゲルグに迫る。威嚇の機械音を発しながら砂埃を上げるマシンビーストの姿に臆した様子もなく、拳銃型アーティファクト『Stratum』から絶え間なく銃弾を撃ち放つ。
石を銃弾としたStratumは二発で一匹を倒し、後続二匹の足を止める。効率的に敵の接近を食い止めてはいるが、威力に欠けていることは否めない。
それを好機と捉えたのか。群れの真ん中にいた一際大きなマシンビーストが、意思疎通の電子音を発するとスピードを早めた。
群れの最前列に躍り出たボスの頭から、青白く輝く高熱の刃がギラリと伸びる。まるで剣を抜き放ったかのように危険な光を帯びたブレードを振動させたボスは、電子音を発すると大きくジャンプした。
射程に捉えたと判断したのか。ボスの頭が高速回転を始め、リゲルグを切り裂かんと凶悪なブレードを唸らせる。
この間合は避けられない。絶体絶命の危機に、リゲルグは口の端を上げた。
「お前を上回っているのは速さだけじゃないんだぜ?」
リゲルグの声を、ボスは認識できたのか。それは誰にも分からなかった。
十分に引きつけ声と同時に放たれた銃弾が、ボスの頭部を砕く。ここまで節約しておいた正規の弾がボスの頭部の鎧を砕き、機械音を残して爆発する。
「いいもの食わせれば最高の仕事をしてくれるのさ、コイツは」
自慢げに愛銃にキスしたリゲルグは、次の攻撃に備え弾を込める。
その隙を好機と捉えたのか。爆炎の向こう側に、二つの影が迫った。倒されたボスを囮として攻撃態勢に入った同型機が、頭部を高速回転させながらリゲルグに迫る。
2方向から同時に迫ったマシンビーストが、もんどり打って地に落ちた。後方から放たれた白斗の銃弾が、不意打ちを仕掛けた2体を岩砂漠の一部に還す。
次々に倒される最前列など無かったかのように、マシンビーストがリゲルグに迫る。物量で押しつぶそうと頭部を回転させるマシンビースト達の動きが、ふいに止まった。
「……おすわりだ」
ユウキの声が響くが早いか。蹴り上げられたEMPグレネードが目前まで迫ったマシンビーストの頭上で炸裂する。
最新鋭の電磁パルス兵器を生成してみせたユウキは、その威力をマシンビーストに対し遺憾なく発揮させる。あらゆる電子ガジェットに干渉し、狂わせ破壊する強力な電磁波に晒されたマシンビーストは、駆動系の連携を絶たれその場にひれ伏しのたうち回る。
電子ガジェットを回復させようと電子音を立てるマシンビーストを前に、ユウキは懐から煙草を取り出した。火をつけ一服。煙を吐き出し煙草を咥えたユウキは、嗜虐的な笑みを浮かべるとコートを翻した。
裾に隠し持っていたMaschinen pistole 9 Rechts【レヒツ】とMaschinen pistole 9 Links【リンクス】を構え、照準を合わせた。
「恨むなら、てめえらの半端な体を恨みな」
引かれる引金。響く爆音は情け容赦なく動けないマシンビーストの身体を撃ち抜き、断末魔の電子音でさえ銃声の奥にかき消していく。
殲滅戦だった。
今までの憂さを晴らすかのように、猟兵達が一斉に放つ銃弾にマシンビーストは次々に四散していく。もうもうと上がる土煙が収まった時、戦場には破片と化した金属しか残ってはいない。
静かになった戦場に、小さな電子音が響く。虫の息でも頭部のブレードを震わせるマシンビーストを見下ろしたユウキは、大きく足を上げる。
「……後学の為に教えてやろう。こういう時は、焦った方が敗けなのさ」
上げた靴の踵を容赦なくマシンビーストに叩き込み、最後の一匹を沈黙させる。
「まあもう、聞こえちゃいないだろうがな」
小さな部品が風にのって丘を超えるのを見送ったユウキは、ちびた煙草を指に挟むと大きく煙を吐き出した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 日常
『物資を運び出せ!』
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POW : 力こそ最強! あふれるパワーとフィジカルで物資を運ぶ
SPD : 速さこそすべて! テクニック&スピードを用いて物資を運ぶ
WIZ : 知恵こそ最良! 頭脳や技術、超常の力を用いて物資を運ぶ
👑5
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● 意外な出会い
マシンビーストを全滅させた猟兵達は、物流倉庫から響くエンジン音に顔を上げた。
こちらに向けて疾走してくるジープの影に、オブリビオンを警戒する。だが、近づくにつれそうではないことに気づいた。
猟兵の本能として、オブリビオンと一般車両を見間違えるはずがない。
警戒を解き待ち受ける猟兵達の前に、3台のジープが止まった。
「お前たち、無事か!? マシンビーストは……」
完全武装した男達がジープから飛び降り、猟兵達を守るように展開する。マシンビーストは既に倒したことを伝えると、守備隊長と名乗った男が驚いたように両手を広げた。
「あの数のマシンビーストを倒しただって!? まさかそんな……。それに、お前たちは危険地帯を抜けてきたのか?」
これにも是と応える猟兵に、守備隊長は天を仰いだ。
「なんてことだ! まさか危険地帯を抜けてくる猛者がいるとはね。とにかく、礼がしたい。物流倉庫に……ロージスシティまで来てくれないか?」
この申し出に、猟兵達は頷いた。
● 市長室にて
ロージスシティへと入った猟兵達は、物流倉庫の事務所であっただろう建物へと通された。
猟兵達を出迎えたのは、初老の男だった。報告を受けて待っていた市長と一通りの挨拶を交わした猟兵達は、早速ビレンドタウンへの物資流通を申し出た。
話を聞いた市長は、難しい表情をすると首を横に振る。
「話は分かった。ビレンドタウンの窮状も、理解したつもりだ。だが、この物流倉庫の物資も無尽蔵じゃない。このロージスシティに取り残された人間たちも養わなければならないのだよ。残念だが、そう簡単に物資を提供はできないんだ」
ため息をついた市長は、やるせないと言わんばかりに首を横に振る。市長という立場上、簡単に物資を出す訳にはいかない。しかも、ビレンドタウンに物資を運ぶにはあの危険地帯を抜けなければならないのだ。
市長は重苦しいため息をつくと、顔を上げて猟兵達と向き合った。
「ビレンドタウンの話は、また後でしよう。それよりも、マシンビーストを倒してくれた礼がしたい。あなた達への物資は補給しよう。ーーああそれと」
言葉を切った市長は、窓の外を覗き込む。ロージスシティの大通りは飾り付けられ、音楽が鳴り響いている。
街の中心にある協会へ続く通りには長い行列ができていて、人々が祈りを捧げる様子が見て取れた。
「この街はちょうど、一年に一度の祭りをしていてね。良ければ参加していくといい。主が遣わしてくださった天使の像に礼拝すれば、ストーム禍から守ってくださる。あぁ。あと大倉庫では荷物運び出し競争をやっていてね。一位になったら倉庫から好きな品を1つプレゼントされるんだ。飛び入り参加もできるはずだから、挑戦してみるといい」
窓から目を離した市長は、猟兵達に向かい合うと微笑みを浮かべた。
※ 長くなりましたのでまとめます。
この街でできることは以下のとおりです。
1 市長と掛け合って物資をビレンドタウンへと供出してもらう。
2 協会で礼拝に参加して、情報収集する。
3 荷物運び出し競争に参加して目当ての物資を分けてもらう。
常識的に考えてありそうなものなら、大抵あります。
複数の方がご参加くださった場合、最もプレイングが優れていたと判定した方に物資のプレゼントがあります。アイテム発行は致しませんので、よろしくお願いいたします。
4 その他
なお、このリプレイは3部作の第1部です。
ここでの情報は第2部のオープニングに反映されます。
プレイングは断章公開後すぐに受け付けさせていただきます。よろしくお願いいたします。
あとフラグメントが物資運び出し競争に偏っていますが、こちらは一例です。
自由にプレイングをかけてくださって大丈夫です。
睦沢・文音(サポート)
『聴こえますか?私の歌が!』
年齢 14歳 女
外見 147.1cm 黒い瞳 黒髪 色白の肌
特徴 いつも笑顔 柔和な表情 胸が大きい お尻が大きい ネットが好き
口調 清楚(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
他の猟兵のサポートに回り、事件の解決にあたります
日常パートならば飲食や歌をうたうことをメインに行動します
他の参加者様との連携リプレイ歓迎です
最大の目的は、事件を解決に導くことです
その為なら、ある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします
館野・敬輔
アドリブ、他者との絡み大歓迎
パラスさんもよければご一緒に
正直、人がいるとは思ってなかった…
うーん、そうなると…どうしよう?(困惑)
…なんて戸惑ってる場合じゃない
今できることを考えないと
掛け合うとか礼拝とか僕の柄じゃないから
運び出し競争に参加して物資を分けてもらおう
もちろん勝負は正々堂々と
物資だけど、狙うのは粉ミルクかな?
(※なければ離乳食になりそうな食材で)
僕自身に必要なものより、生まれたばかりの子供に必要なもの優先
希望の芽は摘みたくないからな
「視力、地形の利用、世界知識」で目当ての物資の在処を見極め
「早業、ダッシュ」で真っ先に飛び出して確保
箱が重ければ「怪力」発揮で軽々と抱えて持ち出そう
● 祭りはこころの潤いだから
賑やかな音楽が広場から鳴り響き、通りには苦しいながらも精一杯のお洒落した人々が行き交っている。
四方を壁に囲まれたロージスシティの人々は、この祭りを心待ちにしていたのだろう。あちこちで湧き上がる賑やかな笑い声や楽しげな音楽が、閉鎖社会の息苦しさを忘れるかのように響いていた。
その賑やかな様子に、館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は困惑を隠せないでいた。
「正直、人がいるとは思ってなかった……」
「無人なら、どうとでもなったんですけどねぇ」
隣を歩く睦沢・文音(フォーチュンシュネルギア・f16631)もまた、周囲を見渡しながら名物のフライドスイートポテトを口にする。
ロージスシティの周囲で栽培されたさつまいもは、UDCアースのそれと比べると繊維も多くあまり甘くない。それを補うように甘い蜜が絡められていて、表面にまぶされたザラメがザリっとしたアクセントを出していて意外と美味しい。
「敬輔さんもいかがですか?」
「僕はいいよ。ありがとう」
やんわりと断った啓輔は、露店で買ったカフェラテを口にする。コーヒーなどの嗜好品は、この物流拠点にある分しかないのだろう。祭りの日だからこそのご馳走といった位置づけで売られていてミルク分が多いが、飲み水にすら苦労したここ数日を思えば天からの恵みのように美味しい。
カフェラテでごまかしてみた思考が、また戻ってくる。これからのことを決めねばならないのだ。
文音の言う通り、ここが無人で遺棄された遺跡だったら何の問題もない。物資を回収して帰ればいいだけだ。多発地帯の危険はつきまとうが、それこそ何とかするしかない。
だが、人がいるというのであれば話は別だ。ビレンドタウンを救うためにはここの物資が不可欠。だがそのためにこの街の人々にリスクを冒せとは言いづらい。
「うーん、そうなると……どうしよう?」
「まずは地元にお金を落としてみました」
考え込む啓輔と目が合った文音が、目をキランとさせて親指を立てる。片端から美味しそうなものを食べる文音の姿に苦笑いをこぼした啓輔は、立ち止まったパラスを振り返った。交差点の手前で立ち止まり周囲を見渡すパラスに、文音は首を傾げた。
「どうしたんですか?」
「何か買い忘れでも?」
「……この交差点を真っ直ぐ行けば、祭りのメイン会場。露店も多いね。右へ曲がれば物流倉庫街。荷物運び出し競争とやらがやってる。左へ曲がれば教会だ」
言外にどうする? と問いかけるパラスの視線に、啓輔はカフェラテを一口飲む。そうだ。戸惑っている場合ではない。今できることを考えなければ、先へは進めないのだ。
口の中にミルクの風味が残る。今できるのは、ビレンドタウンで待つあの家族に物資を届けることだった。
「掛け合うとか礼拝とか僕の柄じゃないから、運び出し競争に参加して物資を分けてもらおう。もちろん勝負は正々堂々と! 文音さんもパラスさんも手伝ってください!」」
「もちろんお手伝いしますよー! パラスさんもお願いしますネ!」
「アタシもかい?」
面食らったようなパラスの手を引っ張って、文音は倉庫街へと歩き出した。
● 倉庫探索
物流倉庫前には、たくさんの人達が集まっていた。
普段窮屈な生活を強いられる市民たちにとっても、自由に何でも持って帰れるこの祭りは娯楽でもあり貴重な収入源でもあった。
だが、啓輔も負ける訳にはいかない。粉ミルクや離乳食になりそうな食材を持って帰らなければならないのだ。
希望の芽は摘みたくない。そう言う啓輔に、二人も賛同する。
予選を勝ち抜いた地元の探索者に混じって三人で登録したチーム猟兵は、鳴らされる空砲の音に駆け出した。
視力と地形の利用を生かした啓輔が、目当ての物資の在り処を見極める。迷宮のような物流倉庫を探索し、目当ての品の直ぐ側まで来たチーム猟兵を、ごろつきのような探索者たちが取り囲んだ。
「おおっと! ここから先へは進ませられねぇな!」
「余所者にやる物資は無いんでね!」
ナイフや銃を手に脅しにかかる探索者に、啓輔は唇を噛む。銃の使用は禁止されているにも関わらず抜いてきた探索者に、パラスは薄く笑みを刷く。
「撃ってもいいのは撃たれる覚悟がある奴だけさ。アンタ達、覚悟はあるんだろうね!」
「ここは任せて、先に行ってください啓輔さん!」
「……お願いします!」
探索者を押し留めようとする二人に頷いた啓輔は、踵を返すと駆け出す。背後で響く空砲を背中で聞いた啓輔は、目当ての物資に手を掛けた。
● 歌は全てを救う
一位を獲得した啓輔に、無事に物資が手渡された。パラパラとした拍手は、住人たちの複雑な気持ちを物語っているようで少し居心地が悪い。
気持ちを切り替えようとした啓輔の隣で、文音がぺこりと頭を下げた。
「余所者が一位を獲得しちゃって、ごめんなさい! でも、この物資は必要なものなんです!」
丁寧な言葉でビレンドタウンの窮状を訴える文音に、観客たちが顔を見合わせる。そういう事情なら、と同情の空気が上がった時、文音は更に言葉を紡いだ。
「今日はお祭りです。せめて皆さんに楽しんで貰えるようにーー歌わせてください!」
一礼した文音は、シンフォニックデバイスをオンにするとサウンドウェポンをかき鳴らした。
美しい音色が流れ、歌が響く。人の心を癒やす歌声が会場を包み込み、ささくれだった人々の心を癒やしていく。
人の心を癒やし、浄化していく歌声もやがて終わり、ぺこりと頭を下げる文音に雷のような拍手が巻き起こる。人々は口々にアンコールを叫び、授賞式の後で演奏が決まっていたバンドが舞台上に乱入しては文音に音でセッションを申し込んでくる。
「受けて立ちます! 歌でも演奏でも負けませんよー!」
マイクを振り上げる文音に、音楽が応える。
物資運び出し競争の会場は、割れんばかりの歓声と熱狂に包まれていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
櫟・陽里
まあ、そりゃわかるよ
上に立つ人は全体を見てペース配分をしてて
それは易々と変えて良いもんじゃない
ここの全体像も知らずに、突然他の町まで助けてくれなんて勝手もいいとこ
公平な交渉をしたきゃお互いを知るべきだ
仲間達はどんな情報を手に入れるかな?
足りない所を埋めたい
拠点の規模は歩き回ればわかる
物資の貯蔵量とか質は人々の生活を観察したら推測できるかも
あとは仲良くなって話術頼みかな
んじゃ、礼拝に参加してみよっか
俺は神様が何かはわかってあげられないけど
そのかわり否定しないで話を聞けるよ
誰がどうオブリビオンと戦ってるのか
ホントに1回もストームが襲ってきた事はないのか
ストームの頻度は観測してる?
周囲に他の拠点は?
ユウキ・スズキ
「物資は出せないという事だが、もちろん状況は理解する。だが、我々とて交渉の余地が無ければここにもう用はない。別の拠点を探すまでだ」
ま、少し脅してみるくらいはしてみよう。
「だが、市長。貴公らが物資を出せないというのならば、我々も何も出来ない。意味は分かるだろう?」
少なくとも、あのマシンビーストのような化け物はまだいるはずだ。
彼等が協力を拒むなら、我々もそれに手を出す理由がない。
「市長、ビジネスの話だ。貴公がこちらに協力するならば、我々とて"必要の無い戦闘"もやぶさかではない……我々の実力は、もう分かっているだろう? どうするかね?」
リゲルグ・ストランダー
目的地に到着、仕事もようやく半周か。……とはいえ気になることもある。
礼拝に参加して、祈るフリも程々に参加者から情報収集する
…別に信仰の類いが嫌いってワケじゃない。自分の方から借りを作らせる…なんて、思考の範疇に無いだけだ
祭の成り立ち、天使についての情報、像の出所…敬虔な奴ならそのあたりのことは熱心に教えてくれそうだしな。
……ストームが起きにくい原因がこの像にあるのかどうかは別だが……
聞き込みが終われば最後に、俺流の〈地形の利用、情報収集〉として、天使の像にサイコメトリーをかける。
人々に祈りを込められたモノ…祈りの念以外に何か込められているのか?
試してみるか――
九十九・白斗
交渉するユウキの後ろにいる
腕を組んで村長の目をじっと見ておこう
軍人が二人
アポヘルの村長いえど断りづらい空気だろう
ユウキが圧力をかけて辛いところに、優しく声をかけたやろうじゃないか
わかるぜ村長、この世界のどこにも余裕なんてないことは。だが、その天使像を残した主というのは、この町を救ったんだろ。その主の教えに従うなら、この町がビレッジタウンを救ってやってもいいんじゃないか
この町とビレッジタウンの違いは、主の置いた天使像があるかないかだ
この町の人間は天使像を置いた「主」をネタにすれば多少は柔軟に話を聞いてくれるだろう
どうだ、主の教えをビレッジタウンにまで広げようと思わないか村長
● 昼下がりの情報収集
ようやく物資欠乏状態から解放された、リゲルグ・ストランダー(ガンスリンガーDEAD_PSI_EYE・f24555)は、昼下がりの光を浴びながら思わず伸びをした。
七日間の強行軍からの戦闘は、やはり消耗が大きい。市長との会見を終えた後あてがわれた宿で、ようやくゆっくりと眠ることができた。今日は自由行動日だ。
目的地に到着、仕事もようやく半周。とはいえ、リゲルグには気になることもあった。
『主が遣わしてくださった天使の像に礼拝すれば、ストーム禍から守ってくださる』
市長はそう言っていた。それは単なる気休めなのか、あるいは本当に何らかの力を与えてくれるものなのか。与えるのだとしたらそれは具体的にどういうことなのか、調べてみるのも悪くなかった。
教会へ向かう道すがら、掛けられる声にリゲルグは振り返った。
「あれー? リゲルグじゃん」
「陽里か」
振り返った視線の先にいる陽里が、軽い調子で手を挙げている。それに挨拶を返したリゲルグは、同じ方向に向けて歩き出す陽里に首を傾げた。
「……教会へ行くのか?」
「そ! 散歩代わりに街の情報収集してきてさ。教会にも行ってみようかと思ってたとこ」
明るい調子で応えた陽里が語る情報に、リゲルグは大きく頷いた。
拠点は大きく、小さな地方都市ほどの規模はありそうだった。最初から大きな物流倉庫だったのが、近隣の避難民達を受け入れていくうちに大きくなっていったというのが実情らしい。
倉庫の外にあった街が次々に破壊され、帰る場所を失った避難民達はここに根を下ろし街を作り上げたのだ。
元々物資は豊富にあるのだが、何の収穫もなく長年人口を支えきれる程のものもない。ストームの起きにくい範囲に畑を作り、物資を消化しながら生活している。人々は皆節約生活を強いられているが、現在のところビレンドタウンほどの窮状でもない。
「……自警団的な警備隊が、ゴロツキやオブリビオンから街を守ってるんだと。散発的な襲撃は今までもあったけど、明らかにこっちを狙ってた昨日の襲撃はおかしいって、みんな言ってる」
「そうか……」
「昔からストームは多かったけど、天使像が来てからはこの近隣じゃ起こらなくなったって。ただし、その他の地域で多発してあの有様。今の所、ここは孤立状態」
「よく情報が集まったな」
軽く語る陽里を、リゲルグは感心したように見やった。強行軍には参加していない陽里は体力があるからと、昨夜から情報収集をしていたという。
「情報収集は得意。【バトルインテリジェンス】も応用できるし。ーーあとは仲良くなって話術頼みかな。礼拝に参加してみようかと思ったけど、リゲルグがいるなら任せた。俺は神様が何かはわかってあげられないけど、そのかわり否定しないで話を聞ける。でも裏を返せば親身にはなれないから」
「まあ……別に信仰の類いが嫌いってワケじゃないからな。自分の方から借りを作らせる……なんて、思考の範疇に無いだけだ。ま、こっちは任せろ。陽里は情報を交渉班に回してくれ」
「おっけ! じゃあな!」
明るく手を挙げて去っていく陽里の背中に手を挙げたリゲルグは、その手を顎に当てて考えた。
「仲良くなって話術頼み、か」
礼拝に来る人々にユーベルコードを併用して情報収集するつもりだったが、仲良くなって話術頼み、というのを併用しても悪くないかも知れない。
「ま、話術ってほど口が上手いわけでもないが」
肩を竦めたリゲルグは、近づく教会を見上げた。教会というと荘厳な白い建物でステンドグラスや鐘があって……というものを想像していたが、ここの教会はどうやら違うらしい。倉庫群の一角にあった建物をそのまま利用しているという風で、宗教色は強くない。
リゲルグは通りかかったシスターらしい女性に話しかけた。
「なあ、ここか? オブリビオン・ストーム避けの天使様とやらがいるのは」
「はい、そうです。あなた、見ない顔だわ。新しい探索者?」
「ま、そんなところだ。仕事柄拝んどこうと思ってね。ついでに色々教えてくれよ」
リゲルグの声に、女性は素直に頷いた。
この近隣は元々オブリビオン・ストームが多く発生していた地域で、滅びは時間の問題だと思われていた。
そんなある日、一際大きなオブリビオン・ストームが街を襲った。あれに巻き込まれたら街は全滅する。どうすることもできずに避難所に集まり祈っていたら、一人の男がふらりと現れた。
大きな天使像を担いだ陰気な目をした中年男性で、避難民の前に天使像を立てると儀式を執り行った。少女の姿をした天使像は石膏でできているかのように白く、男の儀式に大いなる力を発動させたのだという。
「……その時。天使様の御身体から大いなる聖光がこの街を包み込み、かの憎きオブリビオン・ストームを吸収し、消し去ってくださったのです。眩いばかりの光に包まれた我らは、その後幾度も天使様の御光にご守護いただき、今ここに在ることができるのです」
「へぇ。そいつぁ、興味深いな」
リゲルグの話術に、シスターは恍惚とした表情で語った。装飾が多く分かりにくいが、予想以上の収穫に思わず唸った。
「……ストームが起きにくい原因がこの像にあるのかどうかは別だと思っていたが……」
どうやら、ストームが起きにくい原因は天使像とやらにあるらしい。普段は非公開なのだが、一年の内三日間だけ公開され、人々に礼拝が許されるという。
シスターと分かれ、列に並ぶ。順番が回ってきたリゲルグは、仰々しい祭壇前に置かれた天使像にサイコメトリーを掛けた。
「人々に祈りを込められたモノ……。祈りの念以外に何か込められているのか? 試してみるか――」
魔眼を発動させたリゲルグは、流れ込む光景に思わず目を見開く。
ーー天使像の内側にストームブレイドとソーシャルディーヴァの力を持つフラスコチャイルドがいる。しかも、生体反応がある。
おそらくこのために生まれたフラスコチャイルドの力を外側の石膏に似た何かと、その背後の祭壇が増幅させてストーム避けの力を発揮しているのだ。
静かに佇む天使像に、リゲルグは息を呑んだ。
● 市長室の攻防
時は少し遡る。
市長との面談を再度申し出たユウキ・スズキ((元米国陸軍)少尉 不審者さん・f07020)は、昨日と同じ応接室で市長の目の前に座った。
隣には、情報収集を終えた陽里がいて、後ろからは九十九・白斗(傭兵・f02173)が睨みを効かせている。
【一服呼吸(シガレットタイム)】を発動させ煙草を嗜むユウキの姿に、市長は静かに話を切り出した。
「話、というのは昨日話していたビレンドタウンへの物資援助のことかね?」
「さすがは市長。話が早い」
白煙を吐き出したユウキは、姿勢を正すと市長と向き合った。
「物資は出せないという事だが、もちろん状況は理解する。だが、我々とて交渉の余地が無ければここにもう用はない。別の拠点を探すまでだ」
「そうか。あなた方ほどの探索者は惜しいが、仕方ない」
心底残念そうに深く頷く市長に、ユウキは眉を顰めた。猟兵達の実力は、マシンビーストを駆逐したことではっきりと分かっているはずだ。その力を認められないような市長とも思えないが、どういうことなのか。ユウキが口を開く前に、市長は続けた。
「元々、あなた方はビレンドタウンのために物資の探索に来た流れの探索者だ。あなた方の戦力は、最初からこの街の防衛計画の中には入っていない。我々は我々の力でこの街を守らなければ……」
「まあ、そりゃわかるよ」
交渉を打ち切ろうとする市長の言葉を遮った陽里は、意外そうに見てくる市長を見返した。
「上に立つ人は全体を見てペース配分をしてて。それは易々と変えて良いもんじゃない。ここの全体像も知らずに、突然他の町まで助けてくれなんて勝手もいいとこ。公平な交渉をしたきゃお互いを知るべきだ」
肩を竦めておどけてみせる陽里は、昨夜から今朝に掛けて得た情報を並べてみせた。この街は現在安定しているが、それはあくまでもストーム避けが働き、破壊が起こりにくく多少なりとも富を蓄積できているから。
その平和は現在、守備隊によって保たれているが、大規模な襲撃には耐えられない公算が高い。
「……俺の情報、何か間違ってる?」
「……」
陽里の言葉に、市長は沈黙で応える。肯定を含んだ沈黙に、ユウキは身を乗り出した。
「我々は我々の力でこの街を守らなければ。そう言ったな市長。だが、俺たちの戦力も欲しいはず。違うか?」
「……」
「この街を脅威から守るための戦力。それが手に入るとしたら?」
「この街の常駐部隊として、働いてくれると?」
「常駐は無理だ。だが、市長。貴公らが物資を出せないというのならば、我々も何も出来ない。意味は分かるだろう?」
「……分かっている」
苦虫を噛み潰したような顔の市長は、眉間の皺を伸ばすように指をやる。
ユウキの提案に、渋い顔をしながらも市長は目の奥を輝かせた。昨日のマシンビーストの襲撃は、明らかにこの街を狙っていた。こんな襲撃は初めてのことで、守備隊の間でも何かの予兆ではないのかという観測が広がっていたのだ。
少なくとも、あのマシンビーストのような化け物はまだいるはずだ。市長等が協力を拒むなら、猟兵もそれに手を出す理由がない。
言外に言ってのけるユウキは、最後のひと押しと言わんばかりに身を乗り出した。
「市長、ビジネスの話だ。貴公がこちらに協力するならば、我々とて"必要の無い戦闘"もやぶさかではない。……我々の実力は、もう分かっているだろう? どうするかね?」
「だが……」
なおも言い渋る市長に、白斗はユウキの後ろから市長をじっと見た。
腕を組んで立つ白斗は、先ほどから歴戦の傭兵としての圧を放ち続けている。その二人共が理路整然と市長に迫っているならば、白斗は別の方向から圧を掛けてやるのも悪くなかった。
腕組をほどいた白斗は、優しい言葉で市長に声を掛けた。
「わかるぜ市長、この世界のどこにも余裕なんてないことは」
「分かってくれるかね……」
「だが、その天使像を残した主というのは、この町を救ったんだろ。その主の教えに従うなら、この町がビレッジタウンを救ってやってもいいんじゃないか」
「主の、教え?」
目を丸くする市長には構わず、白斗は続けた。
「この町とビレンドタウンの違いは、主の置いた天使像があるかないかだ。どうだ、主の教えをビレンドタウンにまで広げようと思わないか市長?」
この町の人間は天使像を置いた「主」をネタにすれば多少は柔軟に話を聞いてくれるだろう。そう思った白斗だったが、市長は口元に笑みを浮かべると首を横に振った。
「……いいや。残念ながら、主はこの教えを広めよとは言わなかったのだよ。それに何より、この街を守る天使像はこの街にあってこそ。何を供出しても、あの像だけは守り抜かなければならない。もしあの像をビレンドタウンに出せ、ということならこの話はご破算だ」
「そうか……」
軟化を見せていた市長の態度が、急に固くなる。これ以上この話をすれば本気でご破算にするだろう。また別方向から話をするには、情報が足りなすぎた。
応接室に沈黙が降りる。この街の信仰についての詳しい情報はリゲルグが得ていたが、それについての情報共有については誰も打ち合わせてはいない。
沈黙の中、ユウキが新しい煙草に火をつける。やがて口を開いたのは市長だった。市長はユウキをまっすぐ見ると、右手を差し出す。
「……天使像の供出。これ以外のことは、できる限りのことをするよう市議会にも掛け合おう。その代わり、滞在中に襲撃があった場合は警備隊と共に戦ってもらう。多発地帯をどう抜けるかは、今後の課題。今言えるのは、それだけだ」
「十分だ」
市長が差し出す手を握ったユウキは、改めて煙草を咥えると白煙を吐き出した。
大成功
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