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アルダワ魔王戦争6-B〜女神さまとバレンタイン

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争


●大魔王が出たからってバレンタイン中止なんてナイナイ!
「ふふふーん♪」
 迷宮の中を一人の少女が歩いている。鼻歌と共にポニーテールにまとめられた灰色の髪を揺らす。その手に探索に必須の道具や武器を携え、背中には大きなリュックが重そうに揺れていた。
 ここはアルダワ魔法学園地下に広がる迷宮。その深奥たるファーストダンジョンの一画だった。学園の生徒である彼女であってもそう簡単に立ち入る事が出来なかったであろう場所。だが今は、もう半年にも及ぶ激戦の舞台となっている。、
 凄腕揃いの転校生達の快進撃により、大魔王が生み出した闇の帳の多くがはがされ露わになったファーストダンジョン。未だに大魔王が繰り出す無限の災魔が闊歩している為決して気を抜いていい場所ではないが、それでも多くのルートが確保維持されている。その結果彼女もここまでやってくる事が出来た。
「とうちゃーく、ここね!」
 彼女が目指していたのは『女神の祭壇』と名付けられたフロアだった。ここまでの道程と異なり、一歩足を踏み入れた瞬間に感じる神秘的な気配。洗練された空気が心を落ち着かせてくれる。
 大魔王を封印する為に建立された女神像は、その効果を失っても尚、災魔を寄せ付けぬ安全地帯を生み出していた。彼女がやってきたこのタイミングでも、多くの生徒や転校生の姿があった。ファーストダンジョン攻略の休憩地点として利用しているようだ。
「うんうん! 噂通りの場所だね! これならバレンタインデーが出来る!」
 彼女は女神像の傍まで来ると背負っていたリュックを降ろし開いた。その中には沢山の手作り一口チョコが収められた箱が入っていた。
「折角のバレンタインなのに大魔王のせいで中止になるなんてナイナイ! 一年に一度しかないんだもん、ハロウィンみたいに全力で楽しまなくっちゃ!」
 おー! と一人で腕を振り上げた彼女は女神像と目が合う。女神さまだってそう思うよね? そんな彼女の問いかけに賛同するかのように、女神像は静かな笑みをたたえているのだった。

●女神が見守るバレンタイン
「ファーストダンジョンへ向かわれる猟兵の皆さん、女神の祭壇までお送りしますよ」
 グリモアベースの一角で真月・真白(真っ白な頁・f10636)が声を上げる。地底深く続くファーストダンジョン。既に最終局面に近い所まで攻略が進んだ彼の地において、おおよそ中間あたりにあり6-Bと銘打たれたこのフロアは、災魔が現れない事もあって終盤攻略へ向かう猟兵の転送地点として役に立っていた。
「ご存知の通り、彼の女神像は本来の役目である大魔王封印の効果は既にありません。けれど未だに災魔を寄せ付けぬ神秘的な存在です。願掛けも兼ねて祈りを捧げればきっと僕達の力になってくれることでしょう」
 そう言って転送準備を始める真白は、あぁそうだ。と思い出したように付け加えた。
「何でも学園の生徒さんが女神の祭壇でチョコを配っているそうですよ」
 声をかければきっと大喜びでプレゼントしてくれることだろう、と話を締めくくるのだった。


えむむーん
 閲覧頂きありがとうございます。えむむーんと申します。
 バレンタインデーシナリオ(偽)です。

●シナリオの概要
 ファーストダンジョン内にある女神像へ祈りを捧げる日常シナリオとなります。
 青丸一個でシナリオクリアとなります。
 このシナリオでは名も無き学園の女子生徒が一口チョコも配っております。お祈りのついでに話しかければもらえます(アイテムとして発行はされません)
 その他にも、折角バレンタインなので知り合いにチョコを渡すとか、生徒と一緒にチョコ配りするとか色々やってみたい事があればお祈りと一緒にどうぞ。

●合わせ描写に関して
 示し合わせてプレイングを書かれる場合は、それぞれ【お相手のお名前とID】か【同じチーム名】を明記し、なるべく近いタイミングで送って頂けると助かります。文字数に余裕があったら合わせられる方々の関係性などもあると嬉しいです。
 それ以外の場合でも私の独断でシーン内で絡ませるかもしれません。お嫌な方はお手数ですがプレイングの中に【絡みNG】と明記していただけるとありがたいです。

 それでは皆さまのプレイングをおまちしております、よろしくお願いします!
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第1章 日常 『女神の祭壇に祈りを捧げよう』

POW   :    女神像に舞踊や歌を奉納して、祈りを捧げる

SPD   :    お供え物として、美味しいお菓子などを用意して祈りを捧げる

WIZ   :    願い事を書いた絵馬等を女神像に奉納して、祈りを捧げる

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🔵​🔵​🔵​
木常野・都月
チョコの祭りと聞いてやってきた!

かぼちゃの祭り、プレゼント貰える祭り、新年のお祭り、そしてチョコの祭り!
ヒトは祭りで溢れてる!

俺がよく、UDCアースで買うチョコ。
キノコのチョコと、たけのこのチョコだ。

このチョコは、片方食べると、互いに喧嘩するけれど、胃袋の中では喧嘩しないんだ。

平和の象徴!
きっと女神様も好きになるはず!

キノコのチョコと、たけのこのチョコを、そっと女神像の前に置いておこう。

あとはお願い事か…。
俺、特にお願い事ないんだよな。
野生の狐時代と比べたら、食べたい時に食べ物が食べられるし、天敵を恐れながら寝る必要もない。

だから、ここでお願い事した人の願いを叶えてくれるように、お願いしよう。



●ヒトの祭り
 祈る者、ここから発つ者、しばし身を休める者。清浄な空気が漂う女神の祭壇には各々の目的を持った猟兵の姿があった。
 そしてここにまた一人、この地への来訪を目的とした猟兵が降り立った。
「チョコの祭りと聞いてやってきた!」
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)だ。一見して無表情な都月だが、その代わりなのだろうか、ダークグリーンの服から覗く漆黒の毛並み艶やかな尻尾は千切れんばかりに振れている。
「(かぼちゃの祭り、プレゼント貰える祭り、新年のお祭り、そしてチョコの祭り!)」
 彼が獣からヒトと成り、そして人の社会へその二つの足でもって踏み入って既に幾ばくかの時が過ぎている。ただありのままに自然に抱かれて生きるのとは異なる在り方、そこには醜い物も勿論あるのだろう。それでも都月は自然の中では出会えなかったであろう美しき物にも幾つも出会えた。その一つが祭りだ。
 大いなる何かへの祈り、感謝。あるいはすぐ隣に生きる大事な人への想い。
「ヒトは祭りで溢れてる!」
 都月は女神像の前へとやってきた。神秘的な雰囲気を纏った美しい女性の像、見ていると自然と心が落ち着くのを感じる。その女神像の手前に、捧げ物を置けるように台が存在した。都月はそこへ二つの小箱をそっと置く。それは紙を原材料として、機械的な作業工程を経て作られている。表面にはデフォルメされた動物のキャラクターイラストとお菓子の写真がプリントアウトされている。
「俺がよく、UDCアースで買うチョコ」
 都月は女神像へ語り掛ける。黒曜石のような瞳が映すそれはUDCアースではごく一般的に販売されているチョコレート菓子だ。1つはキノコを模し、その傘に当たる部分を全てチョコレートで成形し棒状のクッキーへと個体させている。対するはたけのこを模したチョコこちらはクッキーを包むようにチョコのコーティングが成された一品だ。
「このチョコは、片方食べると、互いに喧嘩するけれど、胃袋の中では喧嘩しないんだ」
 異世界からもたらされたチョコを、初めてみるであろう女神に説明する都月。キノコチョコは固められたチョコの塊によってたっぷりとチョコ感を味わえる。対してたけのこチョコはクッキー部分との調和が素晴らしい。それぞれが違った魅力を持つがゆえに、『どちらが素晴らしいか』でしばしば口論を引き起こす事もあるこのチョコレート菓子達だが、都月曰く一緒に食べれば双方の魅力を存分に味わって胃袋に収められるのだとのこと。まさしく真理といえるだろう。
「だから平和の象徴! きっと女神様も好きになるはず!」
 第一の目的を果たし満足そうな都月。あとはお願い事か……と首をひねった。
「俺、特にお願い事ないんだよな」
 かつて暮らした自然の世界とは違う、複雑な事、わからない事、戸惑う事も多々ある。それでも、食べたい時に食べ物が食べられるし、天敵を恐れながら寝る必要もない。いずれより多くを知った未来においては新たな望みも生まれるかもしれないが、今この時点の彼にとっては人の社会は満たされる場所だった。
 故に、だからこそ、都月は瞳を閉じて女神に祈りを捧げた。願いを思い浮かべた。
 周囲には見知らぬ猟兵達が居た。それぞれが祈りを捧げていた。願いを女神像へと託していた。その願いの内容まではうかがい知る事は出来ない、けれど耳聡い彼には願う者達の息遣いは聞こえていた。誰もが、己にとっての大事な物の為に祈り願っているように都月には感じ取れた。それを尊いと思った。
 故に、だから……
「(女神様。ここでお願いした人の願いを叶えて欲しい)」
 祈りを捧げる黒眼黒毛の『ヒト』。女神像は彼の願いを聞き届けただろうか。一つだけ確かな事は、瞳を閉じたままの都月、彼の瞼の裏に浮かび上がる女神像は優しい笑みを浮かべていたということだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
【かんさつにっき】
迷宮の奥で学園を守り続けた女神さま
静かな功労賞の存在に
うずらの卵型チョコレートをお供え
戦争で頑張ってる皆を見守って?
祈りを込め手を合わせる

む、祭壇の傍に女の子?
(はっと気付き)ハロウィンの時のナイナイさん!
こんにちは、とごあいさつ
ふふ、また会えてうれしい
わたしは杏。あなたのお名前は?

皆でチョコレートの交換会
ポノの桜色のかえる!かわいい…(目を細め)
小太刀、にんじんチョコ…(興味津々)

真琴のチョコは、すごい(感嘆して眺め
でも真琴も男の子、皆のチョコもらってね?

まつりんに迫るはいよる大きなたまご型チョコ…、ミステリー(※うさみん☆がチョコを運んでいる)

ハッピーバレンタイン!


ポノ・エトランゼ
【かんさつにっき】

女神さまにお供えしましょう
カエル型の一口チョコ(個包装)
学園のお店って楽しい物がたくさんあるのね
チョコに刻まれたルーン文字に魔力を注げば、ぴょこぴょこ跳ねて面白い~

ナイナイさん(心の中でつけたあだ名)に、ハッピーバレンタイン!
私もチョコを配っているの
良かったら貰ってね♪
うんうん、友チョコってやつよ

よし、皆(カエル)GO!
色んな色のカエルがいるけど、どんな色の子が皆さんの元へ行くかしら?
楽しみね

皆さんのお菓子も楽しく頂く!
割とイケるんじゃないかしら、野菜チョコ(真顔で食べる)
真琴さんのマフィンは女子力レベルが凄すぎるわねー

ここからまた旅立つ私たちだけど、頑張ってくるわね
(祈り)


琶咲・真琴
【かんさつにっき】

バレンタインは年に1度のイベント!
大切な人達に色んな想いをチョコに込められる
素敵な行事ですよね!

というわけで
ボクもガナッシュ入りのマフィンを作ってきました!
マシュマロと色んな味のチョコペン、フルーツをトッピングしてあるので
可愛いでしょうっ!
伊達にお母さんやついでに親父に仕込まれた訳じゃないんですよ(ふふん

……うん
姉さんも仕込まれているはずだよね?(姉と自分のを思わず見比べる
トマトにチョコとか
何の拷問?

女神さまには渾身の作をお供え
ナイナイさんもどうぞー

ポノさんのカエルチョコ
可愛い!

貰ったチョコは大事に食べますね
まつりん兄さんは……うん
生きて?


アドリブ歓迎


鈍・小太刀
【かんさつにっき】

あの時のナイナイちゃんだ
うんうんバレンタインは外せないよね
お祈りしたら一緒に食べよ!

まあそう言う事だし
一応私も作ってみたんだけど…

ころころ卵さんにカエルさん、超可愛い!
真琴も何その女子力!?

披露する前から皆のセンスの良さに打ちのめされてたり(涙
むむむ、でも折角作ったんだし私のも食べて貰わねば

箱に不揃いに並ぶのは
チョコをかけた生野菜達
祭莉んのは丸ごと人参ね!
だってほら、体に良いかなって
攻撃力言うなー!

そりゃ料理は苦手だけどさ
勝手に這い寄ったりしないってば
まあでもアルダワのチョコは活きが良いから
ちょこっとぐらいは跳ねちゃうかもだけど、ね?

こんな日常が楽しくて
女神様も皆もありがとう


木元・祭莉
【かんさつにっき】でー♪

一般生徒たちが迷宮潜ってるんだって。
危ないなあ、様子見に行こ?

持ってきたチョコ置いて。
女神さまにお祈り。戦争、早く終わりますようにー。

わ、チョコくれるの?
アリガトゴザイマス♪(有難くいただく)

……なんかキミとボク、どこかで会ったコトないかな?
なんかさ、お菓子に埋もれたような場所で!

知らない? そっかー……(しゅん)

チョコ……
アンちゃん、そのチョコ、動いてない!?(ビビリ)

ポノちゃんのチョコ、いつもアートだよね!(ぴょこ)
真琴の女子力はカンペキ! 母ちゃん褒めてた♪

コダちゃん、おいらのは? おいらの!
うん、やっぱ素朴かつダイナミック! 攻撃力高そう!

えー、褒めたのにー?



●ナイナイとの再会
 女神の祭壇に少年少女の集団がやってきた。家族や幼馴染、友人といった繋がりの仲良し猟兵達だ。
「一般生徒たちが迷宮潜ってるんだって」
 危ないなあ、様子見に行こ? と心配そうにキョロキョロ見回しているのは木元・祭莉(まつりんこ・f16554)だ。此方へ転送される前にグリモア猟兵から聞いた事が気になっているのだ。
 そんな心優しい祭莉のふさふさした狼耳がひくひくと動く、その耳に聞き覚えのある声が飛び込んできたからだ。
「ハッピーバレンタイン! はい転校生さんお疲れさま♪ チョコどーぞっ」
 見れば灰色髪の少女が一人、手にした籠からチョコを猟兵へ手渡している所だった。
「あれ? アンちゃん、あの子」
 祭莉は自分の記憶を掘り返しながら傍らの木元・杏(たれあん・f16565)へと声をかける。祭莉の双子の妹である杏は兄の言葉に視線を向けて、む、祭壇の傍らに女の子? と訝しげに見つめるるが、直ぐにそれが誰か気付きはっとする。
「ハロウィンの時のナイナイさん!」
「あ、ほんと。あの時のナイナイちゃんだ」
 杏の言葉に鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)も首肯する。残り二人の同行者である琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)とポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)も懐かしそうな顔になる。
 五人はチョコを配っている少女に見覚えがあった。それは昨年の秋、装魔封災戦を祝うお祭りとしてこの世界に定着していたハロウィンの時の事だ。災魔にあやつられた彼女から学園を守りまた彼女を救い出すために戦った猟兵達がいた。奇しくもこの五人もその戦いに関わっていたのだ。
 一行は女神像へ祈りを捧げる前に彼女へ声をかけることにして近づいていった。
「こんにちは」
 声をかけた杏達を見ると少女はにっこりと笑い返す。
「こんにちは! あなたたちも転校生さんね! ハッピーバレンタイン!」
「ふふ、また会えてうれしい」
 五人に元気よくチョコを配る少女の様子に、杏は笑みを浮かべ返す。その言葉に、また? と首を傾げる少女。
「わ、チョコくれるの? アリガトゴザイマス♪」
 隣でチョコを受け取り大喜びの祭莉。ひとしきり喜んだ後で上目遣いにじーっと少女を見つめる。
「……なんかキミとボク、どこかで会ったコトないかな? なんかさ、お菓子に埋もれたような場所で!」
 前述したハロウィンでの戦いの折、災魔にトドメを与えて彼女を救出したのがここに居る五人だった。
「え? お菓子? うーん……?」
 反対の方向に首を傾げ直す少女の反応に祭莉はしゅんと耳と尻尾をたらす。
「知らない? そっかー……」
「……あ! もしかしてにわとりさん!?」
 祭莉をじーっとみていた少女は、不意に大きな声を上げた。とある理由で彼女を助け出した時彼らは仮装をしていたのだ。今とは違う恰好だったため少女は今この瞬間まで思い至る事ができなかった。
「わたしは杏。あなたのお名前は?」
「私はミュルナイ・ナイリンよ。お友達はなんでかナイナイって呼ぶのよねー」 ミュルナイ、もとい、ナイナイの言葉にポノはやっぱり! といった様子で目をキラキラとさせていた。
「ナイナイさん、ハッピーバレンタイン!」
 私もチョコを配っているの、とポノ。見れば他の幾名かもチョコを持ってきた様子。
「おおー! もしかして皆さんも?」
「うんうんバレンタインは外せないよね」
「そうそう友チョコってやつよ」
 期待して見つめるナイナイに笑顔で応える小太刀とポノ、そして首肯する一同。それでは女神像にお祈りとお供えをしてからチョコ交換をしようという話になった。

●お祈りと交換会
 女神像の前にある祭壇へ各々チョコレートを乗せる。
「(戦争で頑張ってる皆を見守って?)」
 迷宮の奥で学園を守り続けた女神、その静かな功労者へうずらの卵型チョコレートをお供えした杏は、祈りを込めて手を合わせる。
「女神さまにお祈り。戦争、早く終わりますようにー」
 隣で祭莉は持参したチョコレートを置いて大きな声で願いを口にする。その隣ではポノがカエルを模したチョコレートを並べた。
「ころころ卵さんにカエルさん、超可愛い!」
 祈っていた小太刀は仲間達が並べる可愛らしいチョコレートに嬉しそうに上ずった声を出す。
「バレンタインは年に1度のイベント! 大切な人達に色んな想いをチョコに込められる素敵な行事ですよね!」
 というわけで、と小太刀の隣にいた弟である真琴は笑顔で言いながら自分の持ってきた箱を祭壇に置く。そして蓋を開いた。
「ボクもガナッシュ入りのマフィンを作ってきました!」
「真琴も何その女子力!?」
 驚く小太刀、他の皆も息を飲んだ。ふっくらと柔らかそうに、カップから溢れるかのように丸く膨らんでいるきつね色のマフィンにはガナッシュチョコが粒上に埋まっている。そして色違いのチョコペンでデコレーションが加えられフルーツがトッピングされていた。

「ん、それじゃ皆でチョコレートの交換会」
 全員のお供え物とお祈りが済んだ後で杏はくるりと皆に振り替える、その勢いのままに顔の近くで両手を合わせてハートマークを作る。きらりん。本日の彼女はくーるびゅーてぃ、というよりはらぶりーきゅーと、と言った所だろうか。
 皆が持ち寄ったチョコレートを食べるために車座になる。チョコレート自体は女神像にお供えした物だ。祭壇に備え祈りを捧げた事で女神はお供え物を『食べ』たので、その後の残りは皆で分け合って処分するという事になっているらしい。
「というわけで皆さんもナイナイさんもどうぞー」
先ずは真琴が箱から一つずつマフィンを取り出して配り始める。
「うわぁ、すっごいカワイイ!」
「可愛いでしょうっ! 伊達にお母さんやついでに親父に仕込まれた訳じゃないんですよ」
 目をキラキラさせてマフィンを手に取るナイナイに真琴はふふんと得意そうに胸を張る。
「マコトくんこんなにカワイくてステキなお菓子作れちゃってしかもそんなにカワイイのに男の子なんてナイナイ」
 じーっと疑いの目を向けるナイナイだった。
「真琴の女子力はカンペキ! 母ちゃん褒めてた♪」
「まつりん兄さんほんとうですか? 嬉しいなぁ♪」
 祭莉から聞いた彼の母親の評価に、嬉しそうに照れ笑いをする真琴。
「真琴さんのマフィンは女子力レベルが凄すぎるわねー」
「真琴のチョコは、すごい」
 ポノと杏、女子二人もその出来栄えとそれを成した真琴の腕前に感嘆する。
「でも真琴も男の子、皆のチョコもらってね?」
 杏は貰ったマフィンをハンカチの上に置くと、自分のうずらタマゴ型チョコレートを空いた真琴の手に乗せる。
「杏姉さんありがとうございます。可愛くて美味しそうなチョコレートですね」
「アンちゃんアンちゃん、おいらにもー」
 真琴の様子を見て催促を始めた祭莉。杏はん、と首肯する。
「まつりんに迫るはいよる大きなたまご型チョコ…、…ミステリー」
 ぱんぱん、と杏が手を叩くと、何処からともなく大きなたまご型のチョコがずりずり、ずりずりと登場する。床に直接ではなくしっかりと台に乗せられているため衛生面もばっちりだ。
「チョコ……アンちゃん、そのチョコ、動いてない!?」
 突如現れ近づいて来る大きなたまご型チョコに
 祭莉は若干引き気味の様子で杏へと尋ねる。杏は無言で再びハートマークを作ってみせた。否、ただのハートマークではない。よく見ると指から糸が、チョコレートの後ろ側へ続いている。ひょこり、糸に繋がっていたのは杏の人形、うさみみメイドのうさみん☆だ。
「あー驚いたー」
「ふふふ、でも動いちゃうチョコもあるのよ?」
 ほっと胸を撫で下ろす祭莉に口をはさんだのはポノだ。自分の持ってきたカエル型一口チョコレート達一個ずつに、指で触れていく。すると触れた個所で何かの文様の形に青白い光が生まれる。
「ルーン文字、あ、そうかこのチョコって」
「えぇ、学園のお店って楽しい物がたくさんあるのね」
 気付いたナイナイに首肯しならがチョコレートへ魔力を注ぎ終えたポノ。カエル型チョコレートはまるで生きているようにぴょこぴょこ動き出した。
「よし、皆(カエル)GO!」
 赤、青、黄……様々な色をした包装紙に包まれたカエル達がそれぞれ皆の元へと飛んでいく。
「桜色のかえる!かわいい……」
「はい! ポノさんのカエルチョコ、可愛い!」
 愛おしそうに目を細めて掌に乗ったカエル型チョコレートを見つめる杏。真琴も撫でながら愛でていた。
「ポノちゃんのチョコ、いつもアートだよね!」
 祭莉は自分の手のひらの上で跳ねるチョコレートを楽しそうに見つめていた。そんな祭莉の視界の隅で、自分の所へとやってきたカエル型チョコレートを撫でながら、手にしていた箱を後ろに隠している小太刀の姿が入り込む。
 小太刀は、他の皆のセンスの良さに打ちのめされていたのだ。
「コダちゃん、おいらのは? おいらの!」
「一応私も作ってみたんだけど……」
 気後れしてしまっていた小太刀だったが。祭莉の言葉に勇気づけられ、折角作ったんだし食べて貰わねばと箱を前に出して蓋を開いた。
 不揃いに並ぶのは、チョコレートをかけた生野菜達。
 実は、小太刀は料理が得意ては無い。むしろ苦手と言っても良い方だった。それでも、友人や弟達には少し凝ったチョコレートをプレゼントしたいという気持ちがあった。彼女も乙女なのだ。乙女なりの矜持というものがある。
 そんな小太刀は偶然『チョコレートフォンデュ』なる料理を耳にする。なんでも溶かしたチョコレートに色々なスィーツや野菜を付けて食べるのだそうだ。
 なるほど、これはいい事を聞いたと喜ぶ小太刀。これならば、ただのチョコレートよりも凝っていて、かつ簡単ではないか、自分にも出来る出来る! と。
 悲劇は、小太刀がその会話を中途半端にしか耳にしていなかった事だ。確かにフルーツやパンを使う事が多いチョコレートフォンデュだが、相性の良い野菜を用いる事もある。けれどそれは一度熱を加えた温野菜だ。その前提で為されていた会話だったので小太刀はその大事な部分に気付けなかったのだ。結果、生野菜のチョコレートかけという品目が爆誕してしまった。
「……うん。姉さんも仕込まれているはずだよね?」
 生のままのトマトにチョコとか何の拷問? 蒸して甘みを引き立てなきゃ と自分のマフィンと見比べながら半眼でにらみつける真琴。
「だってほら、体に良いかなって」
 ちょっとおかしいかなーとは正直思っていたのだろうが、鈍・小太刀、これで結構大雑把な美少女である。それでいて負けず嫌いの努力家な為に、誰かに聞くのではなく自分の知識と経験で試行錯誤してしまったのだろう。
「小太刀、にんじんチョコ……」
「割とイケるんじゃないかしら、野菜チョコ」
「蒸してあったら食べやすいかも」
 興味津々の杏と真顔で検討しているポノと考え込むナイナイ。前述の通り、一般的なのはフルーツやパンだが野菜でも相性の良い物はあるようだ。
「祭莉んのは丸ごと人参ね!」
 照れを隠すためにぶっきらぼうにチョコ(人参)を突きつける小太刀。
「うん、やっぱ素朴かつダイナミック! 攻撃力高そう!」
「攻撃力言うなー!」
「えー、褒めたのにー?」
 小太刀と祭莉がじゃれ合っている間に、残りのメンバーは生野菜のチョコレートかけから丁寧にチョコをそぎ落とし、持ち込んでいた携帯用調理器具で温野菜にする準備を始めたのだった。

●ハッピーバレンタイン!
 かくして始まるチョコレートパーティ。一行は絶品マフィンに舌鼓を打ち、切り分けられたたまご型チョコレートや一口チョコレートを味わう。無事チョコレートフォンデュに転生成功したかつての生野菜ちょこれーとかけ達をほおばり、どの野菜がベストマッチかと語り合った。祭莉は母親に習った歌と踊りを披露し、カエル型チョコレートとナイナイも一緒に踊りだす。戦いの最中のひと時の安らぎがそこにあった。
 やがて宴は終わりを迎え、旅立ちの時が来る。チョコレート配りを続けるナイナイに別れを告げて、一行はファーストダンジョン深部へ続く通路へと向かう。
「(ここからまた旅立つ私たちだけど、頑張ってくるわね)」
「(こんな日常が楽しくて。女神様も皆もありがとう)」
 振り返るポノと小太刀。最初にした祈りを再び、遠ざかる女神像へとするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

深護・刹那
なるほど、バレンタインデー
ふっ、さすがのわたくしも戦争の最中でリア充爆破する余裕はありませんわ
まー、今日はのんびりと参りましょう♪
「ではでは、不肖、深護・刹那、参ります♪」

ここは得意の歌で
といっても何を歌って良いやらなので
この晴れやかに楽しい気分のままに
口ずさみましょう
「〜〜♪」
歌詞も大事なのですが、やはり歌は気持ちですわよね
というわけで、今心に浮かんだ言葉を!
「にゃーにゃーにゃー♪」
待って、なぜにわたくしは猫化してますの!?
きっと謎の電波が

学生さんからのチョコはありがたく頂戴して
あ、せっかくですし、真白さんの分もいただいていきましょうか
喜んでいただけたら嬉しいのですけれど



●女神に捧げる歌(にゃーにゃーにゃー)
「なるほど、バレンタインデー……ふっ、さすがのわたくしも戦争の最中でリア充爆破する余裕はありませんわ」
 深護・刹那(花誘う蝶・f03199)が優雅に笑いながら言うその言葉にほんとにぃ? と突っ込む者はここには居なかった。
 まー、今日はのんびりと参りましょう♪とにこやかに女神像へ向って行く刹那。
「ではでは、不肖、深護・刹那、参ります♪」
 静かに佇む女神像を前にして刹那は無手で立ってた。ここは得意の歌で祈りを捧げようと考えた彼女。とはいっても何を歌って良いやらと考えた末、その唇からは。
「〜〜♪」
 特に何の歌ということもない、ただ今刹那が感じるこの晴れやかに楽しい気分のままに、その衝動を、感情を口ずさむ。
 鈴の様な耳心地のよい、可愛らしい声がフロアに響く。その場にいた者達は思わず聞きほれ、刹那を見つめる。
「〜〜♪〜〜♪」
 歌っている当人である刹那もどんどんテンションが上がる。
「(歌詞も大事なのですが、やはり歌は気持ちですわよね)」
 やがてメロディの盛り上がりが最高潮にまで高まり、周囲の観客がごくりとつばを飲み込むその時、刹那はその心に今まさに浮かんだ言葉を解き放った!
「にゃーにゃーにゃー♪」
 猫じゃん!
 全員がずっこけた。
「待って、なぜにわたくしは猫化してますの!?」
 きっと謎の電波がーと刹那はポニーテールを振り回しながらパニックになるのだった。ポニーテールの受信感度は良好です。

 まさかのにゃーにゃーにゃー事件から少し時間を置いて、ようやく落ち着きを取り戻した刹那。改めて女神像へ祈りを捧げた彼女は、その傍でチョコを配っている学生を見つける。
「あ、さっきのにゃーにゃーにゃー、最初はナイナイって思ったけど結構可愛か」「もういいですからそれは!」
 半ば強引に学生の口をふさぎつつチョコレートを受け取る刹那。そこでふと思いついてもう一つ貰えるかと尋ねる。快諾する学生。刹那の手には二つの一口チョコレートがあった。
 チョコのお礼を言いながらその場を離れ帰る準備を始める刹那。自分が貰ったチョコを口にして、その甘さに目じりを下げながら、もう一つのチョコレートは包装の上からはハンカチで包みしまい込む。せっかくだからと転送したグリモア猟兵である知人の真白の分を貰ったのだ。
「喜んでいただけたら嬉しいのですけれど」
 チョコを出された真白がどんなリアクションをするか、色々と想像を膨らませながら刹那は帰路についたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月21日


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🔒
#アルダワ魔法学園
🔒
#戦争
🔒
#アルダワ魔王戦争


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト