アルダワ魔王戦争1-B〜三つの心に一つの大魔王?
●地下迷宮アルダワ・ファーストダンジョン
「テキガクルヨ! テキガクルヨ!」
迷宮内の研究室のような空間で甲高い声で警告する声がする。
「おお『上の頭』殿、ご教授ありがとう。なかなかの進軍速度ですな」
そう答えた超えたの主は自身の頭に居るもう一つの頭に礼を述べる。
「おではらへった おではらへった」
「これはこれは『腹の口』殿。相変わらず旺盛な食欲ですな。良きかな良きかな」
そして、微笑ましいものを見るように腹部に付いている口に声をかける。その声の主は大魔王。竜と機械と人が融合したようなその姿の時の名は『アウルム・アンティーカ』と言う。
そして、『上の頭』以外の二人にも侵入者の気配が感じられるようになった頃、『上の頭』がまた口を開く。
「ガンバッテ! マンナカノヒト!」
「ははは、これこれ、吾輩の角を両手代わりにして拍手なさいますな。そして、おふたりにも頑張って貰わねばなりませんぞ。吾輩達は三位一体で『アウルム・アンティーカ』なのですからな」
「おではらへった おではらへった」
「わっはっは、戦場こそが『大魔王』の本懐、気分が高揚しますな! では意気揚々と、いざ出陣!」
●グリモアベース
「……『アウルム・アンティーカ』へ……侵攻が可能になったわ」
そう告げるのはグリモア猟兵の中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)
「……オブリビオン・フォーミュラである大魔王は……いくつかの形態で……ダンジョン内の拠点を守っているわ」
そしてそれらを一定数倒すことで最終目的地にいる『最終形態』への道が拓けるという。
「……比較的浅い層を守っているとはいえ……相手は大魔王。……それぞれの頭や口の繰り出す攻撃は強力。……その上で……『真ん中の人』の戦術判断力も侮れない。……どう防ぐかが……ポイントになってくると思うわ」
どうやら猟兵よりも先んじてユーベルコードで攻撃してくるらしい。猟兵達が使うユーベルコードでも攻撃の種類が変わるようなので、どんなユーベルコードを主軸にして戦うかでも、戦い方は変わってくるかもしれない。
「……くれぐれも油断しないようにね……アルダワの未来は……貴方達にかかっているのだから」
そう言うと裕美は猟兵達を戦場へと送り出すのだった。
麦門冬
こんにちは、マスターの麦門冬(むぎとふゆ)です。ダンジョン攻略の最初の山場がやってまいりました。そんな訳で大魔王(第一形態)とバトルをしていただきます。なんかこの大魔王、めっちゃ楽しそうですね。
今回のシナリオにおいては以下の行動をしますとプレイイングボーナスが入りますので、狙ってみるのも良いでしょう。
プレイングボーナス……敵のユーベルコードへの対処法を編みだす。
(アウルム・アンティーカは必ずこちらよりも先にユーベルコードを使ってくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
以下、補足説明です。
●大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』
大魔王がとる形態の一つで三つの人格に分かれているようで話し相手には困らなそうです。『腹の口』が近接戦闘、『真ん中の人』が戦術判断と機械兵器、『上の頭』が魔導楽器群の演奏をそれぞれ担当します。
●戦場
用途不明の蒸気科学の実験施設のある迷宮区域です。大魔王の巨体を動かす上で特に不自由はありませんが、魔王の遠距離攻撃は戦場全てに届くくらいの広さと思っておいてください。
それでは皆さんのアツいプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』』
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POW : 真紅崩天閃光撃
【突撃し、『腹の口』が放つ真紅の光線】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 黄金殲滅魔導重砲
【『真ん中の人』の背部に装着された魔導砲】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 絶対奪命皇狂曲
【『上の頭』が角を指揮棒のように振るう状態】に変身し、武器「【聞く者の正気を奪う全身の魔導楽器群の音色】」の威力増強と、【黄金の竜翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
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ルク・フッシー
【心情】ひ、ひぃっ…!こここ、これが大魔王…
しかも、第一形態なんですかぁ…!?ううう、でも、倒さなきゃ……
…うぎゃあああっ!頭が…おかしく…いやだ、こんなの、いやぁ…!
こんな、こんな音、いやあ…逃げなきゃ…!
…でも、にげたら、おとうさんが、おかあさんが、まおうに、ころされる…
…そんなの…いやだあああ!!
うああああああ!!!
【行動】音色によりほとんど発狂、それにより死の恐怖に満たされるが、その恐怖はやがて『大切な人が殺される事』への恐怖に発展する。家族の危機を感じて真の姿に変身、翼で飛翔。
楽器に塗料弾をぶちまけて演奏を阻害、そのまま『上の頭』に特攻します
大神・零児
本来なら戦闘で耳を塞ぐべきじゃねぇんだが
魔導楽器群の音色はマルチギアイヤフォンの集音機能をオフに、ノイズキャンセラーオン
両耳に付けて外部の音をシャットアウトする事と狂気耐性で対処
マルチギアとC-BAの機能をリンクさせフル活用、第六感、野性の勘も使い、戦闘知識、世界知識からも情報を引き出し敵の動きのパターンや思惑等の情報収集をし攻撃タイミングをはかる
飛翔するなら体当たりも警戒し敵を常に視覚かマルチギアやC-BAの各種センサーで捕捉し続け、見切りで繰り出される攻撃を回避
なるべくおびき寄せ、早業のフェイントで敵が体制を少しでも崩すように見切りで回避
体制を崩したらUCで多対一にしてボコる
アドリブ共闘可
ナターシャ・フォーサイス
三位一体、それぞれがそれぞれの得意なことを成す…ですか。
流石は魔王、でしょうか。
とはいえ、彼らもまた我らが導くべき哀れな魂。
使徒として、責を果たしましょう。
先制攻撃をするようですが、それは正気であるならばの話。
【催眠術】を自身にかけ、奪われるべき正気がそもそもなければよいだけのこと。
結界を張って天使達を呼び、皆様へ加護を授けましょう。
天使達もまた、この世ならざる存在。
蝕まれるべきものなど、はじめから存在しえないでしょう。
そして、天使たちと共に【高速詠唱】【全力魔法】【2回攻撃】【精神攻撃】で光と共に我らが教えを説き、楽園への道行きへ導くのです。
どうか、貴方がたへもご加護のあらんことを。
●正気を失いて
「ひ、ひぃっ…! こここ、これが大魔王…」
大魔王『アウルム・アンティーカ』の姿を目の当たりにしたルク・フッシー(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)は恐怖で体を震わせていた。
「ふむ、戦場に無理に駆り出された少年兵のような。吾輩としては戦う意志なき者と戦うのはいささか不本意ですな」
「デモ、リョウヘイダヨ! タオサナイト!」
「おで なんでも たべたい」
「おお、もちろん戦いはしますぞ」
震えるルクの様子を見て興ざめの様子だが、逃してくれる様子はないらしい。
「三位一体、それぞれがそれぞれの得意なことを成す…ですか。流石は魔王、でしょうか」
会話をしている魔王の様子を見て、ナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)はそう呟き、
「とはいえ、彼らもまた我らが導くべき哀れな魂。使徒として、責を果たしましょう」
聖祓鎌『シャングリラ』を手に大魔王と退治する。
「我輩達を導くですとな? ならば吾輩達も導いてしんぜよう。上の頭殿」
「ジュンビハデキテルヨ!」
大魔王の角がシュルンと蠢き、指揮棒のように振るわれる。大魔王を構成する人格の一つ、『上の頭』が【絶対奪命皇狂曲】を奏でる。
「本来なら戦闘で耳を塞ぐべきじゃねぇんだが……あいつら大丈夫か?」
同じく戦場に来ていた大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は耳に取り付けた『マルチギアイヤフォン』で音を遮断して耐えてはいるが、ルクとナターシャはもろに大魔王の旋律を訊いてしまっている。
「…うぎゃあああっ! 頭が…おかしく…いやだ、こんなの、いやぁ…! こんな、こんな音、いやあ…逃げなきゃ…!」
ルクはその音色に頭を抑えて苦しみ悶える。一方のナターシャは、
「正気を奪う音色ですか。ですが、それは正気であるならばの話」
すっと目を閉じると自己暗示をかける。
「奪われるべき正気がそもそもなければよいだけのこと。まだ見ぬ楽園、その一端。我らが同胞を導くため、闇と罪を祓い、救い誘いましょう」
そう言うと、【限定解放:楽園の結界】を展開し、天使達を召喚する。
「さあ、あなた方に加護を」
見開いた瞳は機械人形のように感情を映さない。
「うう……逃げないと」
結界の力により、頭痛は治まりつつあるが、余裕ができたことで別の思考も頭をよぎる。
「…でも、にげたら、おとうさんが、おかあさんが、まおうに、ころされる…」
そして心が再び蝕まれる。
「…そんなの…いやだあああ!!」
その叫びと共に背中に塗料と、ルクの血液で構成された翼が生える。【ドラゴニアン・ブラッド】により、追い詰められたルクは真の姿となるのだった。
「正気を保つでもなく、狂気を飼いならすでもなく、呑まれることを選ぶのですな」
「おでも のみこみたい」
「デモキヲツケテ」
上の頭の警告と共に飛来するは竜と天使。
「うああああああ!!!」
ルクが塗料で構成された翼から弾丸をぶちまける。
「ぬぅっ」
「むずむずする」
「ガッキガネラワレテルヨ!」
塗料弾が大魔王の肉体を構成する楽器群に打撃を与える。
「さあ、楽園へ導いてあげましょう」
更にナターシャが天使とともに光の魔法を撃ち込む。
「これはなかなか!」
「フンバッテ! マンナカノヒト!」
大魔王がなんとか踏みとどまり、反撃に転じようとするが、
「この隙を見逃すわけがねぇだろうが! 生きては帰さん」
唯一正気を保ち、攻撃のタイミングを図っていた零児が【悪夢顕現「結界崩壊」】を放つ。銀の雨が降り注ぎ、注がれた床から抗体ゴースト達が無数の武装をもって大魔王へと一斉攻撃を行う。
「ははっ! これが異世界の、猟兵達の業! なかなか面白いものを見せてもらいましたぞ!」
「ちくちくするど」
「コノママダトオサレチャウ!」
大魔王も空を飛び、竜の手足や尾を振り回して応戦するも、徐々に圧されている様子。
「よし、思ったよりも順調だな。このままボコっておけば……」
そこまで言って零児に一抹の不安がよぎる。本当に順調なのか。『真ん中の人』の戦術か何かに嵌ったりしているのではないか。そう思った刹那、交代ゴースト達に光弾が撃ち込まれ、吹き飛ぶ。
「っ!?」
大魔王とは別の方向。そちらを向くと、そこにはナターシャの天使達がいた。
「貴方がたへもご加護のあらんことを。楽園へ連れて行ってあげましょう」
正気を持ち合わせていないナターシャには敵味方の判別は付いておらず、等しく『楽園へ導くべき存在』となっている。
「らくえん? それっててんごくってことじゃあ……」
ナターシャの言葉にルクが反応する。
「ぼくたちを、ころすってこと?」
「いいえ、ただ肉体を脱ぎ捨てるだけです。楽園へ至るには、肉体など不要なのですから」
ルクの問いにナターシャは楽園の使徒として、ニコリと微笑み、答える。その笑顔はどこか人間味の排された恐ろしさを感じさせるものだった。
「い、いやだああああああああああああああ!!!」
ルクの中で恐怖の対象が新たに生まれる。
「つれてっちゃいやだあ! おとうさんも、おかあさんも、つれていかれちゃう!」
「大丈夫、その時は貴方も連れて行ってあげますから」
「うああああああ!!!」
ルクが叫びながら天使達へと塗料弾を撃ち込む。それに天使達が『楽園に導こう』と光弾を撃ち返す。そして流れ弾が抗体ゴースト達へ降り注ぐ。
「これを狙っていやがったか!」
零児が心の中で舌打ちをするも、その頃には大魔王は猟兵達の攻撃に圧されるふりをして戦闘の中心から外れた位置取りを取っていた。
「ムリニタタカウヒツヨウハイナラネ!」
「興が乗るところもあったが、これは戦故、利用できるものは利用させてもらうのである!」
「ぎょふのりを たべても いいんだな?」
どうやら高みの見物を決め込んだようだ。
「厄介な……!」
だが、大魔王にダメージを与えたのは確実である。後のことは他に猟兵に任せるべきか。零児はそう判断すると、正気をなくした二人を落ち着かせるためにも抗体ゴースト達に指示を出すのだった。
成功
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メイスン・ドットハック
【WIZ】
どうやら音が厄介なようじゃのー
なら、それが聞こえないようにすればどうかのー
先制攻撃対策
二足歩行戦車に搭乗し参戦し、コクピットで外部音声遮断モードをして音を全カット
正気を奪う魔導楽器対策とし、飛翔攻撃してくる相手に対しては電脳魔術による機体のホログラム【残像・迷彩】を複数展開し攪乱
AI補助による【操縦・第六感】を駆使して回避
先制後はUC「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」で巨大化
周囲の被害を考えない巨大兵器(誘導弾ミサイル、レーザー砲、プラズマレーザー)による3連続攻撃で一気に勝負をかける
なるべく敵が逃げにくいポイントで叩き込むようにする
やるなら一気呵成じゃのー!
アドリブ絡みOK
ナイ・デス
戦術判断、覆してみせましょう!
真ん中の人判断で撃たれた先制の攻撃
放たれてから、着弾までの間に0.05秒と少しが、欲しい
だから
受け止めて、みせます!
【念動力】を盾にし抗って、時間稼ぎし
『イグニッション』
『』は防具初期技能
受け止めると言ってほんの一瞬抵抗し、けれど消し飛ばされた猟兵
そう見せて
手足鎧と『オーラ防御でかばい』受け【覚悟、激痛耐性、継戦能力】耐え
『迷彩』纏って姿消しながら、突破
『空中戦ダッシュ』で、不意打ち『暗殺』
【鎧無視攻撃】黒剣鎧の刃、拳と一緒に『怪力』で打ち込んで
ダークゾーンの、闇の次
光に飲まれる時、です!
【零距離射撃】『誘導弾』
【生命力吸収】する光が、大魔王を飲みこみ、喰らう!
●耐えろ! 黄金殲滅魔導重砲!!
「どうやら音が厄介なようじゃのー。なら、それが聞こえないようにすればどうかのー」
メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は敵の音波攻撃への備えを万全にしていた。登場しているO-Ⅶ型機動強襲用二足歩行戦車『KIYOMORI』のコクピットで外部音声遮断モードをして音を全カットし、相手の正気を奪う音色に対策してきたのだ。
「ふむ、蒸気機械とは違う機械。これはこれでなかなかに興味がありますな」
「ソンナコトイッテナイデタタカオウヨ!」
「いっぱいくえそう」
歩行戦車を興味深げに見ていた大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』だったが、
「それがどれほどのものか試してみましょうぞ!」
大魔王の司令的存在『真ん中の人』の背部にある魔導砲から【黄金殲滅魔導重砲】が全方位に向けて放たれる。
「へあっ!?」
予想を裏切る攻撃にメイスンは一瞬フリーズする。相手の使ってくるであろうユーベルコードを見誤ったのだ。
(どうする? ホログラムや光学迷彩は、そもそも無差別攻撃の前には役に立たん。ここは勘に頼って避けるしかないかのー)
メイスンがそう腹をくくった時、
「戦術判断、覆してみせましょう!」
歩行戦車の前にふわりと現れたのはナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)だ。
「受け止めて、みせます!」
念動力でメイスンにめがけて飛んできていたレーザーを捻じ曲げ、攻撃を防いでゆく。
「イグニッショ……」
そして何かのユーベルコードを使おうとしたようだが、そこで念動力が切れたのか、吹き飛ばされて消えてしまう。そして降り注ぐレーザー。
「むぅ……被弾箇所は多いが、思ったより軽微で済んだようじゃのー。後であの猟兵に何かお供え物を……」
機体の損傷チェックを行いつつセンサーで周囲の状況を確認するメイスン。そしてとあるエネルギー反応に気づく。
「ほう、なかなか頑丈であるのですな。であれば、今度は直接叩きに行ったほうが良さそうではありますかな」
「キヲツケテマンナカノヒト。ナニカイヤナヨカンガスル」
「はごたえ じゅうぶん」
メイスンが健在と見て、次の砲撃を行う前に接近戦を仕掛けるようだ。
「ほーか。やるなら一気呵成じゃのー! 見境なく攻撃するから周囲70m程は焼け野原じゃけー、覚悟せーよ!」
やる気があるのか分からない気の抜けた大声とともに、メイスンはユーベルコード【祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり】を発動させる。
「巨大二足歩行戦車がさらに巨大に、つまり兵器も巨大化じゃのー。ということで全部吹き飛ばせ!」
大魔王にも負けないサイズに巨大化した歩行戦車でスラスターを吹かせ、誘導弾ミサイル、レーザー砲、プラズマレーザーなどの兵器類で周囲を蹂躙してゆく。敵味方を気にする必要がないせいか、かなり攻撃が苛烈だ。
「防御だけでなく攻撃も申し分ない! なかなかやるようですな!」
「ダンマク、タリナイヨ!」
「ちくちくする」
メイスンの攻撃に対し、魔導砲で迎撃をするものの、手数に圧され、大魔王の所々に被弾する。
「ほいで、これで終いじゃけーの」
攻撃を撃ち尽くしたメイスンがそう言うと、ズムンッ!と大魔王の体が揺れる。
「ぬ?」
「サッキノヤツ! ケシトンデナカッタ!」
大魔王の胸元に防具型の黒剣『黒剣鎧』を纏ったナイの姿があった。彼の刃と化した拳が深々と大魔王の胸に刺さっていた。
「協力、感謝します!」
「気にせんでえーから」
魔導砲に耐えかねて消し飛んでいたように見えたナイだったが、実はそう見せかけて姿を消しただけだった。そのことにいち早く気づいたメイスンは、自分の攻撃にナイを巻き込まないように警告した上で、彼の不意打ちがうまくいくように派手な攻撃を撃ち込んでみせたのだ。
「ほう、大魔王である吾輩を謀るとは、なかなかの気骨。気に入りましたぞ!」
「ソンナコトイッテルバアイジャナイ!」
ナイから何か察知したのか、上の頭が角を伸ばしてナイを追い払おうとするが、一歩遅い。
「ダークゾーンの、闇の次! 光に飲まれる時、です!」
ナイから至近距離で放たれた光、相手の生命力を食らう光が大魔王に直撃する。
「すごいはらへった!」
「ぬううっ!」
「アッチイケ!」
上の頭の角攻撃でナイは離れざるを得なくなったが、それでもだいぶ生命力を削った感覚はある。
「ははは、これが猟兵というものであるのですな。手を変え品を変え、なかなかに飽きませんぞ!」
しかし大魔王は猟兵達に感服した様子でカラカラと笑うのであった。
成功
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ハロ・シエラ
何と禍々しい。
しかし三つの人格の仲は良さそうですし、均整の取れた体をしています。
隙を突くのは難しそうですね。
とにかく、まずは真紅の光線を【見切り】回避しなければなりません。
発射を見てからかわす事は出来ないでしょうから【第六感】がモノを言いますね。
アクロバティックな【ダンス】を応用し、どんな状況でも体勢を崩さないように注意しましょう。
攻撃さえ回避できれば、体格差を生かして突撃と交差するように【スライディング】して敵の下に潜りこみます。
機械の体のどこが弱点かは分かりかねますので、スライディングしながらとにかく斬れそうな所をユーベルコードで切断しましょう。
パイプを纏めて斬ってしまうのもいいですね。
ナミル・タグイール
金ぴかにゃ!ダンジョンのお宝デスにゃー!
ナミルが頂くにゃ!!
先制攻撃の突撃にはこっちから突っ込むにゃ!
怖いのは腹ビームにゃ。突撃に我慢して体にしがみついちゃえば撃てないはずにゃー!【捨て身】
無理そうなら【野生の勘】で直撃は回避にゃ
レア金ぴか貰えるなら手足1本くらいはしょうがないにゃ!
しがみつけたら早速UC開放して金欲に身を任せるにゃ!金ぴかにゃー!!
ぶっ壊すように【呪詛】斧でどっかーんにゃー!
金ぴかパーツ寄越せにゃー!持って帰るにゃ!
分断できたらラッキー、壊せなくても呪詛でおかしくはなるはずにゃ
喧嘩とかおかしい指示とかしてくれたらラッキーにゃー!
その隙に欲望のままの一撃を食らわせてやるにゃ!
トリテレイア・ゼロナイン
あれが第一形態の魔王…凄まじき威容ですが迷宮探索も序盤、足止めを食らうわけには参りませんね
アルダワに暮らす人々の為、押し通らせて頂きます
周辺地形を素早く●情報収集し壁面の蒸気科学設備や歯車を把握
突進を避ける為、機械馬に●騎乗して移動
床や設備を●踏みつけ飛び移り上に退避(●地形の利用)
登る此方を狙っての光線発射前に砲口の向きを●見切り●怪力での●投擲で剣と盾を口の開口部の関節に噛ませ発射を遅らせたり衝撃で狙いを逸らせます
その隙に背中に背負ったUCを装備し起動
光線とすれ違うように突撃、余波は槍のバリアでの●武器受けで防ぎつつ機械馬のスラスターも合わせた勢いで大魔王を●串刺しにします
ソラスティベル・グラスラン
朗らかにお喋りしていますが、感じる悪意は底知れません…!
ですがこれはまだ第一形態、倒せないようでは勇者など夢のまた夢です!
大魔王の突撃に、こちらも【勇気】を胸に突撃あるのみッ!
【盾受け・オーラ防御】で守りを固め、【怪力】で受け止める!
光線は命中箇所を破壊する、ならば確りと「狙う」必要があるはず
体勢が崩れても即座に竜の翼で、発射の瞬間を【見切り】真上へ飛翔【空中戦】
翼で空気を叩き急降下!発射後の隙を狙います!【ダッシュ】
恐れを捨て前へ、前へ
至近こそがこの大斧の間合い
その禍々しき黄金を砕く為に!【鎧砕き】
―――遠き蒼空の果てより、竜は目覚める
竜よ、雷の大斧よ
今こそ応えて、わたしの【勇気】にッ!!!
●魔を砕き、貫き、断ち切れ!
「何と禍々しい」
ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』を見て抱いた印象はそれであった。さりとて、恐れている様子はない。
「あれが第一形態の魔王…凄まじき威容ですが迷宮探索も序盤、足止めを食らうわけには参りませんね」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)もその意見に賛同しているようだ。
「ええ。朗らかにお喋りしていますが、感じる悪意は底知れません…!」
ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)も大魔王の異様に息を呑む。
「金ぴかにゃ! ダンジョンのお宝デスにゃー! ナミルが頂くにゃ!!」
そんな中、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は他と抱いている感想が違うようだった。
「ははは、褒めていただき恐悦至極。そのように言っていただけるとは魔王冥利に尽きますぞ」
「ダカラッテユダンシチャダメダヨ? マンナカノヒト」
「おではらへった」
朗らかに笑う『真ん中の人』に注意を促す『上の頭』。そしてマイペースな『腹の口』。
「三つの人格の仲は良さそうですし、均整の取れた体をしています。隙を突くのは難しそうですね」
「ですがこれはまだ第一形態、倒せないようでは勇者など夢のまた夢です!」
「アルダワに暮らす人々の為、押し通らせて頂きます」
大魔王の楽しげな様子とは裏腹に、油断なく相手の様子を窺うハロ。そして、たじろぐわけにもいかないと、ソラスティベルは勇気を胸に大魔王を見据え、トリテレイアもまたがっている機械白馬『ロシナンテⅡ』の手綱を握り直す。
「さて、それでは大魔王らしく蹂躙するといたしますか、な!」
「はらへったあああああ!!」
大魔王がその巨体に似合わぬ猛スピードで【真紅崩天閃光撃】による突撃を繰り出す。
「はいやっ!」
トリテレイアは手綱を引き、機会白馬を跳躍させると、あらかじめ把握しておいた巨大な実験装置の上に避難する。
「こちらも勇気を胸に突撃あるのみッ!」
「突撃にはこっちから突っ込むにゃ!」
「まずは回避ですね」
ソラスティベルとナミル、そしてハロは突撃に対し自ら向かってゆく。
「っせい!」
スチームシールドを構え、突撃を真正面から受け止めるソラスティベル。
「ほう! 身一つで止めるとはなかなかやりますな!」
「くいでが ありそう」
衝撃を殺しきれず後方に押し込まれながらもなんとか踏みとどまるソラスティベルに称賛の声をかける大魔王。
「怖いのは腹ビームにゃ。突撃に我慢して体にしがみついちゃえば撃てないはずにゃー!」
「ここさえ切り抜ければ!」
そしてナミルは腹の口の丈夫に飛びついてしがみつき、ハロはスライディングで大魔王の腹の下へと潜り込む。
「機械の体のどこが弱点かは分かりかねますが、とりあえず斬る!」
とりあえずは目についた楽器と接続されているであろうパイプ部分を【剣刃一閃】で切り落とすハロ。
「ぐえっ!」
「キラレタヨ! コイツモ、オチロ、オチロ!」
思わず斬撃に腹の口が悲鳴を上げ、上の頭が角を鞭のように伸ばしナミルを払い落とそうとしているが、
「レア金ぴか貰えるなら手足1本くらいはしょうがないにゃ!」
ナミルは死んでも動かないとばがりにひっつくのをやめない。
「腹の口殿、まずは目の前の相手を倒すのに集中ですぞ」
「おでめがないけど わかった」
意識が散らされている所を真ん中の人が指示を出して立て直し、その指示に応え、腹の口があんぐりと口を開ける。腹の口の中にある赤い宝石はすでに発射準備が整っていると言わんばかりに真紅の光を放っている。
「くっ!」
体勢が崩れている相手に狙いは不要とばかりに光線を放とうとする大魔王に対し、ソラスティベルは歯噛みする。超重量の攻撃を受け止めたばかりで回避にすぐ移れない。翼をはためかせるだけでは初速が足りない。今まさに腹の口から真紅の光線が放たれようとしたその時、
「させませんよ!」
トリテレイアが重質量大型シールドを腹の口へと投げつける。
「!!?」
全くの不意打ちになったそれは、腹の口の開口部に直撃し、光線が放たれる方向が少しズレるとともに、口から光線が飛び出すのをわずかながら遅らせる。だが、そのほんの少しのズレ、僅かな遅れがあればソラスティベルを天井へ逃がすには十分だった。
「姫を救う……いえ、勇者を手助けする騎士というのは、いかにも物語の騎士らしいですよね」
「ええ、感謝します。機械の白騎士」
騎士冥利に尽きると誇るトリテレイアにソラスティベルは礼を言う。
「そして、発射後こそが好機! 恐れを捨て前へ、前へ! 至近こそがこの大斧の間合い。その禍々しき黄金を砕く為に!」
天井を蹴り、翼で空気を叩き急降下するソラスティベル。
「暴れ馬ならぬ暴れ槍ですが……御してみせましょう」
トリテレイアも背中から機械槍【艦船強襲用超大型突撃機械槍】を抜き、構える。
「ビームが放たれたなら怖いものはないにゃ! 金ぴかにゃー!!」
ナミルが巨大斧『カタストロフ』を肩に担ぐ。
「ここは一気呵成に叩き斬りましょう」
スライディングで大魔王の背後に回っていたハロが霊刀『リトルフォックス』を構える。
「そのパイプのまとまっているあたりを狙わせてもらいます!」
ハロが【剣刃一閃】で楽器類を繋ぐパイプ類を叩き斬り、
「金ぴかパーツ寄越せにゃー!持って帰るにゃ!」
ナミルが【狂乱の呪猫】により、呪詛を纏わせた斧の一撃を足元にいる腹の口に叩きつける。
「貫け!」
トリテレイアが槍と機械馬のスラスターを全開にした突撃で大魔王の肩口を貫き、
「―――遠き蒼空の果てより、竜は目覚める。竜よ、雷の大斧よ! 今こそ応えて、わたしの勇気にッ!!!」
ソラスティベルのユーベルコード【我が名は神鳴るが如く】、蒼空色の巨大斧『サンダラー』に蒼雷を纏わせた一撃が腹の口へと叩きつけられる。
「いだい いだいいいいいいいいい!!!」
「腹の口殿!」
「コッチモヒガイジンダイダヨ!」
かなりのダメージを負った大魔王。特に腹の口は強烈な斧の攻撃を2発設けており、半分ほど砕けた状態になっている。
「金ピカ! 金ピカにゃー!!」
そして砕けた破片を拾い集めるナミル。集めた破片が大魔王が倒れた際に残っているかどうかは現時点では不明であるが。
「なるほど。面白い。面白いですな! 封印するでもなく我輩達をここまで追い詰めるとは。もっと吾輩達に見せてくだされ!」
虚栄か、渇望か。大魔王の司令塔である『真ん中の人』は自身の危機に瀕していながらも、笑みを絶やさぬのであった。
大成功
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ウルフシャ・オーゲツ
「話をしよう!」
「あれは今から……って待つのじゃ、話せばわかる話せば!」
「うちも腹が減ったでな、どうじゃ、高級肉盛り合わせでも食わぬか」
いったいこのヤドリガミは何をしに来たのだろう。
いや、これは深淵な作戦の元の行動。
食事をすれば腹の口は動けぬはず……?
「な、何、上の口は指揮棒を振るだけで攻撃できるじゃと!?」
等と会話でなんとかその場を切り抜けようとする途中に唐突に奴等は現れる。
「は、話の途中じゃが、ワイバーンじゃああああ!?」
相手に翼に対抗するためにふしゃは彼らを召喚したのだろうか。
いや、違う。この技はコントロールができないのだ。
現に今、魔王の攻撃より先に翼竜にふしゃは誘拐されていた……。
●永遠のお昼休み
「ハラノクチ! キヲシッカリ!」
「おで もうだめかも」
「ぬう、腹の口殿はもう無理かもしれませんな」
猟兵との戦いがヒートアップして気を吐いてみたものの、大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』のダメージは計り知れないくらいに蓄積していた。特に『腹の口』は斧によって砕かれ、虫の息である。もうこれでは彼は戦えないかもしれない。
「話をしよう!」
そんな時にひょっこりぽんと現れたのがウルフシャ・オーゲツ(しょしんしゃ・f00046)である。
「ヨシ、シネ!!」
「あれは今から……って待つのじゃ、話せばわかる話せば! と言うか、他の猟兵とはもうちょっと戦闘前会話あったよね! うちだけ会話パターン用意されてないとかないわー、マジでないわー」
突然の『上の頭』が大魔王の角を操り伸ばして突き刺そうとし、慌てて避けるウルフシャ。
「ほら、うちも腹が減ったでな、どうじゃ、高級肉盛り合わせでも食わぬか」
そう言って出してきたのは大量の肉の塊。あらゆる世界を股にかけるお食事処を経営しているウルフ者にとって、これくらいの食材を調達するのは朝飯前である。
「一体お主は何をしに来たのかな?」
当然の疑問を口にする『真ん中の人』。
「そもそも吾輩、バトルを通じての語らいが好きなタイプであるから、戦闘を介さないでの会話とか……その……困ってしまいますぞ」
「ソウダ、マンナカノヒトヲコマラセルナ!」
「にく うまい」
「その見た目でコミュニケーション苦手たとか萌えキャラか! くくく、それはそうと肉を口にしおったな! これぞうちの深淵なる作戦!」
ウルフシャとの会話をよそに用意された肉をもちゃもちゃと食べ始めた腹の口を目ざとく見つけ、ウルフシャは勝ち誇った顔をする。
「食事をすれば腹の口は動けぬはず……?」
「ソウカ、シネ!」
ウルフシャの目論見とは別に上の頭が角を指揮棒のように操り、【絶対奪命皇狂曲】を奏でる。今までの戦闘で楽器類は大分破壊され、威力は減じているようだが、まだ音は出る様子。
「な、何、上の口は指揮棒を振るだけで攻撃できるじゃと!? てか、そういえば、さっきも角で攻撃してきたしぃぎぎぎぎ」
正気を奪う音色に頭を押さえるウルフシャ。そう、彼女は今まで正気であったのだ。
「待って待ってちょっとタンマ! うち、肉体的な攻撃なら後で生き返るけど、精神が破壊されたらリスポーンしても壊れたままとかだったらどうなっちゃうの!? やめてとめてやめて」
などと言っているとバサバサと翼の音が聞こえる。それしてその音の主をウルフシャは知っている。
「は、話の途中じゃが、ワイバーンじゃああああ!?」
今現れた【話の腰を折る翼竜】は大魔王を倒すためにウルフシャが召喚したのだろうか?否、この技はコントロールができないのである。
「ふしゃああああああああ!!! ちょ、ま、まだ途中じゃやめーい!?」
現に今、大魔王が撃退に動く前に、ウルフシャはワイバーンに誘拐されてどこかに連れて行かれたのだった。
「結局なんだったのですかなアレは」
「カンガエルダケムダダヨ」
ウルフシャが消え去った後、取り残された大魔王。勝手に現れ、勝手に対話を求め、勝手に肉を置いてゆき、勝手に消えていった。
「でも おいしかった はらいっぱいじゃないけど おでまんぞく」
「腹の口殿?」
満足げな言葉を口にする腹の口に、驚きと焦りを覚える二人。
「さいごに おいしいものたべれて よかった」
「マッテ! ハラノクチ!」
「あとは まかせた」
そう言い残すと、腹の口は動かなくなった。
「ハラノクチ……」
「腹の口殿……」
もしかしてこのためにあの猟兵は……とも思ったが、おそらくそこまでの意図はないだろう。
「上の頭殿。我輩達二人、腹の口殿の分まで戦い抜きましょうぞ」
「……ウン」
そう言葉を交わすと、二人なった大魔王は最後の戦いに臨むのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
シズホ・トヒソズマ
第一形態とはいえ魔王、油断せずにいきますよ!
敵の砲撃をかわそうと見せて、部屋の蒸気機械に接近します
砲撃は、事前に耐魔法術式を刻んだデザイアキメラの◆オーラ防御バリアで◆盾受け
とはいえ敵は魔王、一度で防ぎ切れるとは思えない
なので二段仕込みで!
キメラの防御中にマジェスの熱放射で背後の蒸気機械を溶かしマジェスの喰剣で吸収&強化変形、剣をできるだけ巨大化させます
キメラのバリアが突破されたら巨大剣を盾のように目の前に付き立て◆武器受け
防ぐか弱まった砲撃を◆ダッシュ回避
UCでDrアトランティスの力を発動
◆重力属性光線320本を敵に発射
敵の身体を重くし動きを止め
ヴァジラ姫の◆電撃属性人形攻撃を敵に◆一斉発射
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
はぁ!?
もう魔王が出てきたのかよ!?
ちょっと展開が早すぎや……って第一形態かぁ。
どんだけ変身を残してるかが怖いけど、
堅実に潰してくしかないよな……!
それなりに広いなら、カブに『騎乗』して挑んだ方が良さそうだね。
実験の機械がそこかしこにあるなら、『地形の利用』をするように
魔導砲から遮蔽を取るようにして『操縦』し、逃げ回る。
……特定の座標に『おびき寄せ』ながらね。
相乗りしてくれる奴も大歓迎さ。
さすがに発射する時にゃ、ちょっとは脚を止めてくれるだろ。
目標の座標近くで砲撃が始まったらそれこそチャンス!
『カウンター』のように【宙穿つ穴】を発動させる!
砲撃ごと亜空間に呑まれな!
●重力の果てに
「はぁ!? もう大魔王が出てきたのかよ!?」
戦争三日目にしてオブリビオン・フォーミュラと戦うことになった数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)の感想がそれだった。
「ちょっと展開が早すぎや……って第一形態かぁ」
「第一形態とはいえ大魔王、油断せずにいきますよ!」
そんな多喜に声をかけたのは(因果応報マスクドM・f04564)。幾度となく同じ戦場で戦ったことのある間柄である。
「ああ、それは分かってるさ。どんだけ変身を残してるかが怖いけど、堅実に潰してくしかないよな……! 足回りは任せな!」
「それでは、お言葉に甘えまして」
多喜の宇宙カブ『JD-1725』の後部座席に乗り込むシズホ。戦闘準備は万端だ!
「ふむ、二人ですか。今の我輩達には丁度いいかもしれませんな」
「キヲツケテネ、マンナカノヒト」
大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』は度重なる猟兵達の戦闘でボロボロになっており、大きな口を見せている『腹の口』は沈黙している。
「さあ、かかってくるといい猟兵達。そちらは吾輩達にどんな技を見せてくれるのかな?」
大魔王は背部の魔導砲にエネルギーを収束し、【黄金殲滅魔導重砲】を放つ。
「まずは……」
「緊急避難だ!」
多喜達は、フロア内にある実験機械のもとへと宇宙カブを走らせる。
「果たして、逃げ切れますかな?」
「コッチノホウガスコシハヤイ!」
「デザイアキメラ!」
シズホはからくり人形『デザイアキメラ』を放つと、バリアを発生させ、魔導砲のレーザーを防ぐ。
「これは、防ぎきれそうには!」
「だが、十分時間は稼げた!」
バリアも限界と思われた時、間一髪実験機械の陰へと逃げ込むことへ成功する。
「さて、無理は承知で頼みたいんだが、敵さんを特定の位置に釘付けにしたい。誘導と足止め、いけるか?」
「そのくらいでしたらお安いご用です。マジェス」
五英雄再現戦闘人形『マジェス』を呼び出すと、手に持っている剣を今遮蔽にしている実験機械に突き立てるのだった。
「さて、隠れてばかりでは勝負になりませんぞ」
「ナニカノサクセンカモシレナイカラ、チュウイシテ」
実験機械の陰から出てこない二人に、大魔王はゆっくり近づいてゆく。
「さて、飛び出してくるとするならば、右ですかな? 左ですかな?」
「ウエカモシレナイヨ!」
だが、正解はそのどれでもなかった。
「行って、マジェス!」
実験機械を突き破り、現れたのは、今突き破った実験機械の大部分を喰らい、巨大化した剣を持ったマジェス。そのまま魔王の肩口めがけ、大上段に巨大剣を振り下ろす。
「意表を突いてきたのは良し。ですが、攻撃が単調でしたな」
サイドステップで回避すると、手近な足でマジェスを蹴り飛ばす大魔王。
「ですが、役目としては十分!」
シズホの背後にあるはDrアトランティスの幻影。重力制御/重力攻撃人形『シュヴェラ』に込められた彼の能力を【幻影装身】でシズホ自身に纏わせる。代償として毒や呪縛に蝕まれるが、攻撃発射まで耐えきれればそれで十分。
「水没光線!」
超重力属性の光線を撃ち込む。マジェスに気を取られていた大魔王に当てるのは造作もなく、
「ぬうう!」
命中とともに増加した重量に身体を床に沈ませる大魔王。
「これどうですか?」
「ああ、上出来だ。座標ロック完了済み! 亜空間に呑まれな!」
そして多喜のサイキックにより【宙穿つ穴】が発動する。亜空間の連続崩壊が発動し、同座標にいた大魔王が崩壊に巻き込まれる。身体が少しずつ砕けてゆく。
「なるほど。これはひとたまりもない」
超重力に釘付けにされ、逃げることままならない。
「ですが、まだ諦めませんぞ。上の頭殿」
「マンナカノヒト?」
大魔王の司令部分である『真ん中の人』が『上の頭』に声をかけると、竜のような尾を振り、自身の首を切断する。
「これだけ軽くなれば脱出も可能でありますな」
「ナニヲ
……!?」
そして器用に竜の前足で落ちた頭を掴む。
「我輩達は三位一体の大魔王。我輩達の誰かが生き残っていれば、勝利ですぞ。それに、あそこの娘を倒せば、肉体の崩壊阻止できるかもしれませんしな」
「マンナカノヒト!」
思い切り多喜のいる方へぶん投げる。
「あとは……頼みましたぞ」
そう言うと、真ん中の人の頭部は沈黙する。
「ウワアアアアアアアアアア!!!」
その託された遺志を継ぎ、上の頭が大魔王頭部の角を鋭利な刃に変形させ、多喜を切り裂こうと飛びかかる。
「捨て身の特攻かよ!」
「そちらの覚悟、しかと見届けました。ヴァジュラ姫!」
攻撃中で動けない多喜の前にシズホが姫型小型端末指揮人形『ヴァジラ姫』繰り出す。呪縛でまだうまく操れないが、多喜の盾にするには十分。大魔王の角が突き立てられるが、逆にそれにより、敵の動きを固定する。
「電撃属性人形展開!」
ヴァジラ姫から小型の兵士人形が飛び、大魔王めがけて電撃を放つ。
「アアアアアアアアアアアアア!!! ソンナ! ゴメン……ハラノクチ……マンナカノヒト……」
電撃に灼かれ、今度こそ大魔王はすべて倒され、その身体が骸の海へと還ってゆく。
「とんでもない執念だったな」
「ええ。ですが私達も負けるわけにいきませんから」
大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』、ここに敗れる。だが、まだファーストダンジョンの大部分は闇に覆われ、大魔王最終形態の姿も依然としてわからないままだ。
猟兵達は次の戦場へ向かうべく、この場を去るのだった。
大成功
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