アルダワ魔王戦争1-D~昏き洞を進め
●アルダワが大変なのだわ
「戦争だ、先輩たち」
イミ・ラーティカイネン(夢知らせのユーモレスク・f20847)は開口一番、いつも以上に眉間に皺を寄せて猟兵たちにそう告げた。
アルダワ魔法学園の地下に広がる迷宮、その最下層。
「ファーストダンジョン」と呼ばれるそこに封じられた魔王が、災魔の大軍勢と共に地上への侵攻を開始した。
学園生徒を守るために。この世界を守るために。何としてでも、魔王の侵攻を阻まなくてはならない。
その為に猟兵たちに課せられたのは、やはり迷宮の攻略だった。
「旧校舎から繋がるファーストダンジョンは、魔王のユーベルコードによって闇に閉ざされている。この闇を祓うには、既に開いている迷宮の攻略が必要不可欠だ。
だから、まずは先輩たちには、地道に迷宮を進んでもらうことになる」
そう話したイミが、手元のガジェットを回転させる。投影された映像に映されるのは、暗く入り組んだ洞窟のような、坑道のような場所だ。
「迷宮坑道。旧校舎から繋がるダンジョンの一部分は廃坑になっていて、そこに災魔が巣くっている。迷宮を攻略しつつ、その災魔を撃破してくれ」
坑道の中は暗く、入り組んで、複雑な構造をしている。迷わないようマッピングしたり、壁や床に印をつけるなどして、迷宮の中で迷わないようにする工夫があるといいだろう。
そして、迷宮を攻略せんと進む猟兵たちの邪魔をしようと、災魔は襲いかかってくる。
「今回見えたのは、こいつらだ。暗くてよく見えないだろうから、輝度を上げるぞ」
イミがほぼ真っ暗闇の映像を映して、ガジェットを操作する。と、映像が徐々に明るくなり、そこに映る災魔の姿が明らかになってきた。
ふよふよと宙に浮かぶ、人間の頭程度の大きさをした、シャチだ。見た目が随分柔らかそうで、ぷよぷよとしている。スライムオルカと呼ばれる災魔だ。
「スライムオルカ、この中で遭ったことのある奴はいるか?地上、水中、空中どこでも活動でき、こんな見た目に反して素早い動きの、シャチに似たスライムだ。
猛スピードで突進してきたり、猛毒の粘液を放ってきたり、口から大量の水をブレスとして吐き出してきたりする。一体一体は弱く、小突けば倒せる程度だが、数が多いのが厄介だ」
そう話してため息をついたイミが、映像の投影を終了する。これ以上時間を無為にするのは惜しい。何しろ時間との戦いなのだ。
「さあ、準備が出来たらすぐに行くんだ、先輩たち。俺をがっかりさせないでくれよ」
屋守保英
こんにちは、屋守保英です。
アルダワで戦争がはじまりましたね。
やもりさんも全力で頑張ります。勝ちに行きましょう。
●目標
・スライムオルカ×12体以上の撃破。
●特記事項
このシナリオは「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結する、特殊なシナリオとなります。
マッピングをする、壁に印をつけるなど迷わないような工夫をすれば、プレイングボーナスが入ります。
●戦場・場面
(第1章)
旧校舎から繋がる迷宮と化した坑道です。
既に廃坑となった坑道の中に、スライムオルカがわんさかといます。
ある程度の数を倒せれば、スライムオルカたちは撤退していきます。
それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『スライムオルカ』
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POW : スラオルカアタック
【見た目からは想像もつかない勢いで放たれた】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【群の仲間達】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : オルキヌスミューカス
自身に【相手の動きを封じる猛毒の粘液】をまとい、高速移動と【その粘液】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : ハイドロブレス
【口】から【膨大な量の水】を放ち、【水圧や】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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木常野・都月
入り口や進む場所の壁あたりに…
印を残したい。
いわゆる迷子対策だな。
地の精霊様や岩の精霊様にお願いして、進路近くの壁に、矢印やマルバツの記号、座標や簡単なメッセージを刻んでおきたい。
これで、俺も迷わないだろうし、一度来た所なら分かるはず。
そして敵は…スライムオルカ…初めて見るけど可愛いな。
敵じゃなければ仲良くしたいところだ。
でも俺は猟兵で、今は戦時。
容赦なく倒させてもらいたい。
UC【狐火】を使用、火力は最大で。
敵の攻撃は[カウンター、属性攻撃]で水を[吹き飛ばし]つつ[オーラ防御]で対処したい。
水圧といっても水。水の精霊様に頼んで水圧を弱めて貰いたい。
●迷子対策なのだわ
ファーストダンジョン、迷宮坑道の入口にて。
まず最初に踏み込んだ木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は、壊れかけたランタンの埋め込まれた壁を撫でながら、その壁に傷を付けていた。
「入り口や進む場所の壁あたりに……こう、印を残して、と。いわゆる迷子対策だな」
目印を刻み込むのは、彼の傍に付き従う地の精霊や岩の精霊。都月の指示に従って、矢印にマルバツ三角、簡単なメッセージを刻んでいく。
こうして印を付けて行けば、迷うことは無いし、一度着た場所だとすぐに分かる。
「中は随分暗いな……火の精霊様、よろしくお願いします」
都月が火の精霊にお願いして、坑道内を照らしてもらうと。
ちょうど視界の先の曲がり角、そこからスライムオルカが二体顔を出していた。
「ピキーッ!」
「ピッキーッ!」
「来た……!初めて見るけど可愛いな」
都月の姿を認めるや、まっすぐこちらに向かってきては口を開くスライムオルカ。
その姿はぷにぷにして丸っこくて、随分と愛らしい。もっと平和な状況で出くわしたら、仲良くなれていたかもしれない。
「でも俺は猟兵で、今は戦時。容赦なく倒させてもらいたい」
そう言いながら、都月は杖を翳した。杖の先端から燃え盛る狐火が、スライムオルカを燃やさんと火力を上げていく。
「火力最大、燃えてしまえ!」
そうして放たれた巨大な狐火。通路いっぱいに広がるそれをスライムオルカは避けることが出来ない。
「ギャピー!」
「ギギー!」
炎に全身を燃やされ、断末魔を上げて消えていくスライムオルカ。炎が消えた時には、後に残るものは何もなかった。
「よし……とりあえず、もう少し先に進んでみよう」
敵の姿が無くなったことに安堵した都月が、再び足を踏み出す。その場には、精霊が刻み込んだ三角印だけが残された。
大成功
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ルード・シリウス
魔王を討伐すべく迷宮踏破か。地道じゃあるが、悪くねぇ
考えたら迷宮に乗り込む機会が中々なかったからな。んじゃまぁ、魔王を喰らう為に迷宮を踏破しにいこうか
一定の間隔で、壁を斬りつけ×印を入れ、血晶飴を印の真ん中あたりに埋め込みながら突き進む。
スライムオルカと遭遇したら、神喰と無愧を携え敵陣の群れへ向けて突撃。
とはいえ、向こうから突っ込んでくるのなら寧ろ好都合。攻撃の射程圏内に群れが入ってきたら、【黒獣爪牙】で喰らい尽くす様に攻撃。その後は二刀の連撃で残党狩りと洒落込もうか
数で蹂躙しようと思ったか?確かに悪くねぇ。だが…相手を選ぶべきだったな。喰らうのは俺の方だ
●敵を蹂躙するのだわ
一方、坑道の別の場所で。
ルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)がその中に踏み入っては、愛用の暴食剣「神喰」を振るっていた。
「魔王を討伐すべく迷宮踏破か。地道じゃあるが、悪くねぇ」
無造作に歩いては、時折壁を十字に斬りつけて印を作り。再び歩いては剣を振るう。
地道な作業の繰り返しではあるが、迷宮の攻略にはこういった地道な作業は欠かせないものだ。
「んじゃまぁ、魔王を喰らう為に迷宮を踏破しにいこうか」
そう言いながらずんずんと坑道を進んでいくルード。
一見何も考えていないように見えるが、彼には秘策があった。これまで斬りつけて作って来た十字の印、その中心に赤く光る物体が埋め込まれている。
それは、ルードの持ち歩く血晶飴だ。血で出来た飴を持ち歩くのは彼くらい。だからこの印のある所は、彼が通った場所だと判別できる。
「こうすれば、俺がこの道を進んだってのが分かるからな」
そう言いながらルードが前方に視線を投げると、そこには数体のスライムオルカが。
「ピギッ!」
「ピギャーッ!」
「いたな、退け!」
剣を両手に持って振りかぶりながら、スライムオルカに突進していくルード。
その剣を左右に散開して避けたスライムオルカがルードを取り囲むようにするや否や、声を上げながら一斉に彼へと突っ込んでいった。
「ピギーッ!」
その速度は予想以上に早い、すぐにルードの身体に殺到するか、と思われたが。
地面に剣を突き立てたルードがニヤリと笑う。
「お前、運が悪いな……そこは俺の領域だ」
「「ギャピーッ!?」」
刹那、縦横無尽に迸る剣閃。食らい尽くすように斬撃が走り、同時に突っ込んできた四体が切り刻まれて地に落ちた。
「数で蹂躙しようと思ったか?確かに悪くねぇ。だが……相手を選ぶべきだったな。喰らうのは俺の方だ」
剣を引き抜いて、肩に担ぎながら。そう言い残してルードはまた坑道の中を進み始めた。
大成功
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
成程、如何にもなダンジョン探索ですねぇ。
気を付けて参りましょう。
曲がり角ごとに【剣刃一閃】を使用して壁の岩を斬り、目印にしましょうかぁ。
来た方角/進んだ方角などが解る様「矢印状」にして、刻むマークで「何度目の角か」を判別出来る様にしておきますねぇ。
オルカさんには、此方も手数でお相手しましょう。
『F●S』3種を展開、『FRS』は射撃による[範囲攻撃]、『FSS』は背中側に当てて不意打ち対策に使い『FBS』と『刀』で近寄って来た個体への[カウンター]を狙いますぅ。
『刀』で対応する場合は【剣刃一閃】を乗せ「斬っても倒れない」可能性を踏まえて『F●S』の「熱」で追撃しますねぇ。
●フローティングシステムは万能なのだわ
また、坑道内の別の場所では。
坑道を幾らか進んだ夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が、刀を片手に静々と足を進めていた。
「成程、如何にもなダンジョン探索ですねぇ。気を付けて参りましょう」
そう零しながら、何度目かの角を曲がる。曲がる際に刀を振るって角に刀傷をつけては、その先、自分の進む方向に二度短い傷をつけて、矢印へと変えていく。
矢印状にして自分の進んだ方向を、その矢印にマークを付けることで回数を。実に明確でわかりやすい印がそこには刻まれた。
「矢印状にすれば来た方角や進んだ方角が分かりますし、刻むマークを変えれば何度目に曲がった角かが、分かりやすく出来ますよねぇ」
そう言いながら角を曲がると、彼女はすん、と鼻を鳴らした。
「んん……この感じ、傍にいますかねぇ……」
そう、独り言ちながら足を進めると、確かにいた。
視界の先、スライムオルカが四匹、いや、もう少しいるか。
「ピギャ!」
「ピーッ!」
るこるの姿をあちらも見つけたようで、口々に鳴き声を上げながら突進してきた。
「いましたねぇ。それでは、此方も手数でお相手しましょう。フローティングシステム、展開します」
その名前を口にした瞬間、るこるの周囲に大量のシステムユニットが展開された。
FRSは絨毯爆撃のように光線を放って突っ込んでくるオルカを攻撃し、それを掻い潜ってるこるまで接近したオルカはFSSによって迎撃される。
シールドで阻まれた敵は、即座にFBSによって切り刻まれた。
「ピャギャ!?」
「ピギャーッ!」
「うふふ、背後から来ても無駄ですよぉ。そぉれ」
るこるの背後に回り込んで襲おうとしたオルカもいたが、背中側に展開していたシールドによって阻まれて。
振り向いたるこるの一閃させた刀によって一刀両断、バラバラと崩れながら消えていった。
「ピ……」
「ピギャ……!」
これは敵わないと見たか、四匹倒したところで生き残りのオルカたちが踵を返して逃げていく。
「はぁ、斬ったら倒れてくれる敵で安心しましたぁ」
刀を下ろし、システムを戻したるこるはそう微笑むと、再び歩き出した。
大成功
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ジファー・グリムローズ
ふむぅ、実に迷宮らしいエリアだなあ。
これは迷子にならないように気を付けていかないと、ね。
さっそくイマジン三体を召喚しておいて、彼らには私の護衛をお願いしよう。
三体バラけて探索……も考えたけど、道中のスライムに倒されてはいけないからね。
その代わり私はマッピングに集中させてもらうよ、地図を描くのは得意なんだ。
こんなところで絵本描きの技術が役立つなんてなぁ……(地図を詳細に書き込んでいきつつ、壁に印を刻み込む。)
……あ、スライムが現れたらみんなで一斉に退治しちゃってね。
最初は回避に徹していれば、寿命が削れてバテるはずだから、その隙に一斉攻撃だよ。
……一応、敵と遭遇した地点もマーキングしておこうかな。
●仲間と一緒は心強いのだわ
迷宮の全容が少しずつ明らかになっていく中で。
ジファー・グリムローズ(人狼の文豪・f13501)はこれまで他の猟兵が記したマークを頼りに進みつつ、その通路を紙に書き起こしていた。
「ふむぅ、実に迷宮らしいエリアだなあ。これは迷子にならないように気を付けていかないと、ね」
そう言いながら、ジファーは傍らに呼び出した三体のイマジンをちらりと見やる。赤、青、緑の瞳と羽を持つ精霊が、ひらりと宙を舞った。
「ホープ、フェイス、ラック、三体バラけて……はやめておこうか、道中のスライムに倒されてはいけないからね。その代わり、私をちゃんと守ってくれよ」
ジファーの言葉に、三体ともびっと手を上げて。彼の肩の上付近を飛行しては、すぐに飛び出せる位置についていた。
戦闘はイマジンに任せて、ジファーはマッピングに専念する、と言うのが今回の彼のスタイルだ。索敵と戦闘に集中する必要がないから、地形の把握に専念できる。
「こんなところで絵本描きの技術が役立つなんてなぁ……」
そう言いながら綺麗に整ったマップを書いていると、ホープがふっと自分の前に立ちはだかるのが見えた。
「ん……?あっ」
「ピギャー!」
「ギャー!」
ジファーが顔を上げると、視線の先にはスライムオルカが二匹。出くわしたか。
「来たかー。それじゃ、みんなで一斉に退治しちゃってね。打合せ通り、最初は回避に徹して」
そう指示を飛ばすと、フェイスとラックも前に出た。ジファーが後ろに下がると同時に、三体のイマジンがオルカとの戦闘を開始する。
飛び交う粘液を避けて避けて、避け続けることでオルカの寿命を極限まで削るのがジファーの作戦だった。時間はかかるが、粘れない相手ではない。
その実、二分ほど回避し続けていたところで、オルカ二匹がぐったりしながら動きを止めた。
「ピ、ギャピ……」
「ピー、ピー……」
「よーし、予想通り寿命が削れたね。みんな、一斉攻撃だ」
寿命が削れて動けなくなったらしい。そこでジファーがまっすぐ指をさした。
一斉に放たれる、火炎魔法、氷結魔法、稲妻魔法。三種類の魔法に打たれて、無抵抗なスライムオルカはすぐに限界に達した。
「ピ、ギャ……」
「ギャー……」
小さな断末魔の悲鳴と共に、オルカの肉体が消えていく。
「……一応、敵と遭遇した地点もマーキングしておこうかな」
そう言いつつ地図に印をつけ、壁にも同じ印をつけたジファーは、また歩き出す。
迷宮の踏破、その第一歩は、確実に踏み出されたはずだ。
大成功
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