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悪夢の国の少年アリス

#アリスラビリンス #少年アリス・リン


●夢に彷徨いて
 ――ねむれアリスよ ねむれ ねむれ。

「はぁっ……はぁっ……」
 薄暗い森の中を、息を切らして駆ける、一人のアリス。何かから逃げるように、必死に走る。
「はぁっ……はぁっ……」
『なんで……逃げるの……?』
 背後から声が聞こえる。それが何であるかを確かめるよりも先に、言い知れぬ恐怖に突き動かされアリスは逃げる。
「はぁ、はぁ……ぁっ!!」
 恐怖に足がもつれ、地面に転倒する。膝が擦り切れ、痛みに声を漏らす。

 ――ねむれアリスよ ねむれ ねむれ。

『逃げないで……』
「っ……ひ、ぃっ……!!」
 声が近づいてくる。引きつった声を漏らすと、アリスは這うように立ち上がり、再び逃走を再開する。
 そんなアリスを、それはずっと追いかける。
『ねぇ、逃げないで……あなたが逃げるから、私は――』

 ――ねむれアリスよ ねむれ ねむれ。

 ――えいえんに。

●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「今回はアリスラビリンスに飛んで、アリスの一人を夢の中から救出してもらうよ!」
 アリスの名はリン。水色のエプロンドレスに身を包んだ、少女……のような男の娘だ。毎回危険に陥っては、猟兵達に助けられ……そして今回もまたである。
「相変わらずだねぇ……まあ、リンを知ってようと知ってまいと、今回も助けてあげてほしいな!」
 今回リンが囚われているのは、夢の国と呼ばれる不思議な国。その国はふかふかの雲が敷き詰められており、訪問者達は皆すぐに眠りについてしまう。そしてこの雲の上で眠った者は皆、とても幸せな夢を見ることが出来る……筈だった。
「ところが、この夢の国を支配して、作り変えちゃったオウガがいるんだ」
 夢の力は捻じ曲げられ、オウガの望む悪夢を見せられるようになってしまった。リンは今、この悪夢の中に囚われている。
「このまま悪夢を見せられ続けたら、リンは衰弱死しちゃうんだ。そうなる前に、夢の中から救い出してほしい」

 グリモアベースから転移した猟兵は全員、すぐさま眠りについて夢の中に入る事になる。
「夢の中は、陽の光がうっすらとしか差し込まない、薄暗い森になっていてね。そのどこかに、リンがいる筈なんだ」
 しかし森の中は広く、しかも目印になるような物が存在しない。夢であるせいか探知能力も捻じ曲げられるため、近距離ならともかくある程度距離が開くとあまり当てにならない。
「手がかりも少ないし、探し出すのは大変だと思うけど……なんとか工夫して、この森の中からリンを探し出してほしい」

 リンは邪悪な影に取り憑かれている。発見しても、この影を排除しなければリンを救う事はできない。
「この影は、迷路を作り出してリンを閉じ込めたり、リンと一緒にワープしたりして逃げ回る。そして、リンの力を使ってこちらを攻撃してくるんだ」
 厄介な敵だが、影はリンの恐怖を糧としているので、励ます、勇気づけるなどしてその恐怖を払ってやれば、その力を弱める事ができる。
「影を全部駆逐する事が出来れば、リンを悪夢から救い出す事ができる。そうすれば、キミ達も全員目覚める事になる訳だけど……」
 目を覚ませば、夢の国を悪夢の国に変えた元凶。ベリアドールと名乗るオウガが襲ってくる。
「ベリアドールは、悪夢に迷い込んだアリスの苦しむ姿や絶望を糧として生きるオウガだからね。寝ている間は手を出してこないけど、目を覚ましたら、再び眠らせようとしてくるよ」
 水晶の花弁や鎖、絶望を誘う歌などで攻撃してくる強力なオウガだ。目覚めたリンはおそらく衰弱しているため、彼を守りながら戦う必要があるだろう。

「眠るってのは本来、心安らかであるべきだよね。悪夢を見せるオウガなんて許せないよっ!」
 説明を終えたくるるは猟兵達を見渡し、ビシッとポーズを決める。
「それじゃあ、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ」


一二三四五六
 彷徨いバッドドリーム。

 ごきげんよう。夢の中からこんばんは。一二三四五六です。

 第一章の冒険『迷いの大森林』はリーデ・クインタール(鋼鐵の狂機・f14086)さん、第二章の集団戦『恐怖心に宿る影』は幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)さん、第三章のボス戦『無邪気な冥水晶・ベリアドール』はマリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)さんの投稿です。ありがとうございます。

 この依頼に登場するアリスの男の娘『リン』は、一ヶ月~一ヶ月半に一本ぐらいのペースで登場しているゆるーい感じの連作シナリオ、『○○の国の少年アリス』に登場しているアリスです(今回は4回目+クリスマスシナリオに登場)。
 アリスの例に漏れず記憶喪失で、今回の依頼でその記憶が戻る事はありません、が、今回は話が動くかも……?
 とはいえ、救出対象が共通するだけの独立した依頼群なので、この依頼だけでもお気軽にどうぞ。

 補足。
 第二章は、特にリンに呼びかけず普通に戦闘しても構いません。一種のプレイングボーナス的な物と思ってください。そして、ボーナスなくても特に問題はないです。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
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第1章 冒険 『迷いの大森林』

POW   :    気合で突っ込む

SPD   :    機械技術等を駆使して突っ込む

WIZ   :    魔術等を駆使して突っ込む

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ヘイヤ・ウェントワース
※アドリブ歓迎、共闘可

SPD判定

・行動
UC使用して照明車(トンネル内部を照らしたりする工事車両)を召喚
圧倒的な光量で辺りを照らし闇を退けて探索をする

・スキル
世界知識、追跡、失せモノ探し、メカニック

・セリフ
おーいリン君
ボクのハニーはどこにいるのかな

迎えに来たから一緒に帰ろう
恥ずかしがらずに出てきておくれ

たとえ嫌がっても見つけ出して
必ず連れて行くよ
何せボクはキミの白馬の王子様であることを自負しているからね!

・UC演出
ふむ、機関車のトムだとこの森はいささか狭いね
そんなときは「おいでブライトくん!君の明かりが役に立つのさ♪」
(ウサギ時計の数値を一定の値にすると、空間にウサギ穴が開いて召喚)


黒玻璃・ミコ
※スライム形態

◆心情
またもやリンくんさんのピンチですねー
クリスマスの時に言った通り
今年こそご自分の扉を見付けられるようにお助けしますよ

◆行動
先ず発見しないとですが
幸な事に【暗視】が効く上に【視力】の良い
つぶらな瞳の私なら薄暗い森でも影響は少ないですよねー

とは言え物理的にも魔術的にも見通しは効き難いですから
こんな時は人手を増やすのが吉
(変な口笛を吹いて【黒竜の眷属】のシモベ達を呼ぶ)

皆さーん、水色のエプロンドレスを着た
可愛らしい男の娘を探してくださいねー
良い匂いがする上に彼は銃を持ってたりするので
鉄とか火薬の香りがするかもしれないので頑張るのですよー

◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK


フレミア・レイブラッド
あの子も本当に受難体質よね…。
しかし、どう探そうかしら?
邪魔な森を焼き払う…リンも燃えそうね、却下。
竜による人海戦術…有効な手段だけどリンに隠れられると困るのよね、保留。
…あ、あの子にお願いしてみようかしら。

【ブラッド・オブリビオン】で「荒野に飛来する氷鳥達」の「氷雪の鷲獅子」と「弾丸列車大追跡!」の「劇場型犯罪者」を召喚。
自身は鷲獅子に【騎乗】して【念動力、情報収集】による周辺を探る探知結界を展開しながら空中から捜索。
劇場型犯罪者には【絢爛分身】による人海戦術でリンを捜索して貰うわ。
最後に血を味見しておいて良かったわ♪…ちょっとポンコツなのが心配ではあるけど…


アリス・セカンドカラー
ふーむ、地道に探すしかないわねぇ。まっててねリンきゅん。
さーて、夢のジャックならこちらも得意とするところ。盗み攻撃/ハッキングでデモニックワンダーラビリンスで上書きしながら探索を進めましょう。支配圏が増えれば探知能力の阻害も緩くなってくるだろうし、緩くなればクレヤボヤンス(第六感/視力/暗視/聞き耳/情報収集)で遠隔透視できるでしょ。
ま、透視できなくても支配圏を広げれば広げるほど、リンきゅんが私の支配圏に逃げ込める可能性は高くなるし、そうなれば保護もしやすくなるわよね。出口は一つだけだけど入り口は全方位オープンでも問題ないしね。合流はフロア移動トラップ(罠使い)を利用すれば簡単でしょ。


ネフラ・ノーヴァ
アドリブ、共闘OK

おやおや、リン殿は夢の中でも休まるところを知らぬか。
さて、鬱蒼とした森などいっそ燃やしてしまいたいが、音を発するのが有効かな。所持しているメガホンの大音量で、助けに来たと呼びかけてみよう。
ああ、影とやらに聞かれると逃げられそうだから、念のため他の猟兵の方へ追い込む形で動いてみようか。
ところで眠れるものを起こすのは、だいたいキスが定番だが、毎度というのも如何なもの、かな。


露木・鬼燈
リンくん…知ってた。
うん、ピンチになると思ってたですよ?
こーなると救出側としても慣れてくるものでして。
焦らず、冷静に救出に入るです。
ではさっそく…ねむねむ~。
んー、これが夢の中ですか。
かなりリアルとゆーか、ホントに夢の中っぽい?
あー、確かに探知術式が妨害されるみたいだね。
こーゆー時は目視で確認するしかない。
秘伝忍法<結>で人海戦術いくっぽい!
情報共有が途絶えない範囲で分散するのです。
一度に捜索できる範囲は限られるけど…
まぁ、持ち合わせている手段の中ではこれが一番。
だから多少効率が悪くても仕方ないね!
発見できたら気配を世界に同化させ、音を消して追跡。
十分な猟兵が集まるまでは我慢だね。


佐伯・晶
とりあえず元気みたいで良かったけど
相変わらず難儀してるみたいだね
一人知らないところを旅するのは心細いだろうし
まずはリン君を探すとしようか
他の猟兵と協力した方が良さそうな状況なら協力するよ

式神創造で草木に命を吹き込んで手伝って貰おう
探知能力が当てにできないなら頭数を増やそうか
使い魔と付かず離れずの距離を保って
捜索しながら進んでいくよ

多機能ゴーグルのサーモグラフィや
イヤホンの集音機能も使ってみようか

リン君の痕跡に注意して印を付けながら進むけど
夢の中だから現実と同じようになっているかは怪しいかもね
逆に強くイメージする事で近づけたりしないかな
この辺りは実際に森を歩いてみて
どうするのが有効そうか考えるよ


四季乃・瑠璃
緋瑪「リンごと吹き飛ばす勢いで森を爆破しちゃおうか。夢の中だし、大丈夫だよね!取り憑いてる影も纏めて吹き飛ばせれば一石二鳥!」
翡翠「リン、可哀想に…」
瑠璃「まぁ、探知術式がアテにならないなら、私達は障害の排除に集中するのもアリかもしれないね。…多分、リンは他の猟兵が守ってくれると思うし」

【破壊の姫君】で分身&シスターズ

3人で飛行しつつ、緋瑪と翡翠が空中からボムを使って障害(森)を絨毯爆撃。
瑠璃が一応、【情報収集、高速詠唱、ハッキング】による探知術式でリンを探しつつ、拡声器を使ってリンに空中から呼び掛け

瑠璃「りーん、いるなら銃で空中に発砲するとか合図してねー。巻き込まれる前に」
翡翠「不憫だね…」


フランチェスカ・ヴァレンタイン
また今回も厄介な状況のようですねー…

森ともなると俯瞰からの捜索はあまり有効とは言えません、か
木々を縫っての低空飛行で痕跡を追跡、情報収集など
視界の通らない場所へはUCのアンカービットなども飛ばしつつ、ビット経由で範囲を広げた鎧装のセンサーに引っ掛かる動体を片っ端から当たっていくと致しましょう
大方で動くモノと言えば、こちら側の方かリンくんしかいないでしょうし、ね

あとはまあ… どうせ夢の中ですし
場合によっては進路を伐採して進むぐらいは、ええ



「またもやリンくんさんのピンチですねー」
「うん、知ってた。ピンチになると思ってたですよ?」
 ミコや鬼燈のそんな言葉に、誰もが深く同意する。まあ、またである。
「まあ、こーなると救出側としても慣れてくるものでして」
 気を緩める事はないが、今更動じる事もない。適度にリラックスした様子で周囲を見渡す鬼燈。
「にしても、んー、これが夢の中ですか」
 転移直後に眠りについたような記憶はある。だが、地面をぎゅっと踏みしめてみても、その感触は確かすぎるほどに確かだ。
「かなりリアルとゆーか、ホントに夢の中っぽい?」
「まあ、魔術的に見通しが効きにくいのは確かなようですよー」
 試しに周囲に魔力を広げ、ミコがぷるぷると黒い身体を震わせる。
「あー、確かに妨害されるみたいだね。何にも……森の木々も引っかからないっぽい」
「見る者がいなければ夢も成立しない、と言う所ですかねぇ」
 と言って目視するにしても、不規則に生い茂る木々は遠くへの視界を遮る。加えて薄暗さも、猟兵達を遮る。
 幸いミコのつぶらな瞳は暗がりも問題ないが、全員がその闇を見通せる訳でもない。そんな森を前に、ヘイヤは顎に手を当てて思案する。
「ふむ、トムだとこの森はいささか狭いね」
 世界の壁すら穿孔する機関車も、乱立する木々やボコボコと畝る根っこを前にしては、あまり進むのには適さない。そう判断し、ウサギ時計の数値を操作する。
「ここは、そうだね……おいでブライトくん! 君の明かりが役に立つのさ♪」
 ニキシー管が一定の数値を示すと、開かれるウサギ穴。現れたのは照明車。そのもたらす光が森を眩く照らし出す。
「真っ暗なトンネルを照らし出すブライトくんなら、この程度の森は暗いうちには入らないさ」
「ああ、大分明るくなったな。これなら気分も少しは晴れると言うものだ」
 羊脂玉の身体を光に照らされながら、満足気に頷くのはネフラ。
「鬱蒼とした森と言うのは、やはりどうにも気が滅入る」
「とはいえ、まだまだ見通しは悪いわよねぇ。どう探そうかしら」
 探索方法を思案するフレミア……の横で、嬉々として爆弾を用意するのは緋瑪。
「リンごと吹き飛ばす勢いで森を爆破しちゃおうか。」
 そんな様子に、ネフラとフレミアは顔を見合わせて。
「いや、ダメだろう」
「ダメでしょ、リンも燃えるわよ」
 同時に突っ込みを入れた。
 が、緋瑪はすっかりやる気だ。
「え、ダメかな。夢の中だし、大丈夫だよきっと、取り憑いてる影も纏めて吹き飛ばせれば一石二鳥!」
「リン、可哀想に……」
 哀れむような表情を浮かべる翡翠だが、『お前の別人格だろうなんとかしろ』と言う視線を感じて、他人事ではないなと瑠璃に視線をパスする。
「で、実際どうしよう」
「んー、まあ、慎重に障害の排除に徹すれば、大丈夫、じゃないかな……私も、一応探知術式を広げておくし」
 緋瑪だけ放っておくと本気で全部ふっ飛ばしかねないが、それなら大分安全な筈、と提案し――。
「……万が一の時は、リンは他の猟兵に守ってもらうって事で!」
 機械の飛翔翼を羽ばたかせ、ごまかすように飛んでいく瑠璃達。
 それを見上げ、テフラとフレミアは顔を見合わせた。
「リン殿は夢の中でも休まるところを知らぬな……」
「あの子も本当に受難体質よね……いや、これはちょっと違う気もするけど」
 まあ、これも不運の一環とは言えない事もない。気がする。
「とりあえず元気みたいで良かったけど、相変わらず難儀してるみたいだね……」
 晶の方も、そんな様子を見ながらしみじみと頷く。 
「一人知らないところを旅するのは心細いだろうから、早く探してあげないと」
 木に近づくと、そこに手を押し当て神力を流し込む。周囲の草にも同様に力を与えていくと、それは地面から一人でに根を抜き、立ち上がった。
「探知能力が当てにできないなら頭数を増やすのが良いだろうね」
 ざわざわと葉を揺らしながら、晶に従う式神となった草木達。神に従う下僕が如く、彼の周囲を取り囲む。
「そうそう、こーゆー時は、人海戦術いくっぽい!」
 鬼燈も印を組み、分身を生み出していく。可愛らしい小さな鬼燈達が、一斉に姿を現した。
「そんなに効率はよくないかもしれないけど、仕方ないね。さあ、全員、リンくんを探しにいくっぽい!」
 命令に従い、散開する分身達。知覚の共有が効く限界まで、探知の範囲を広げていく。
「それでは私も人手を増やしますよー」
 ミコも黒いボディを揺らしながら前に出ると、その口を窄ませた。そこから漏れる妙な音は……多分、口笛?
 その不思議な音色が鳴り響いても、一見何も変わる事はない。だが、何も見えない空間に、確かに感じられる気配。
「皆さーん、水色のエプロンドレスを着た、可愛らしい男の娘を探してくださいねー」
 そうして周囲に広がっていくのは、無数の影だ。黒竜の形をしたその影が、音もなく気配を広げていく。
「人海戦術……良い手だと思うんだけど」
 人手を増やして探索を行う彼らを見ながら、考え込むフレミア。自らの記憶を探り、有効な手段を模索する。
「竜に探させるのは……リンを怯えさせるわよね、絶対。あとは……あ、この子なら」
 探り当て呼び起こすのはサクラミラージュの女怪人。吸い上げた血の記憶を元に再現された黒き令嬢の霊は、優雅にマントを翻す。
『わたくしをお呼びかしら?』
「ええ。リンを探すのを手伝って頂戴な」
 命に従い、無数の分身が生み出された。絢爛なる偽の怪人達が、森へと駆けていく。
『わたくしの華麗なる分身達が、すぐに探し出してみせますわ!』
 自信満々、胸を張る彼女にフレミアは微笑み……小さな声で呟いた。
「少しポンコツなのが不安だけど……」
『何か言いまして!?』
 まあ、何はともあれ、大量に増やされた人手によって、探索の範囲は大幅に広がっていく。あまり離しすぎると連絡がつかなくなってしまうが、その限界まで広げ、子猫一匹見逃すまいと言う勢いだ。
 地上をそれらで満たす一方、空中からは緋瑪達が爆撃と探知を続け……それよりも少し下、低空を飛び回って探すのはフランチェスカ。
「また今回も厄介な状況のようですねー……」
 他の猟兵同様、相変わらずだと肩をすくめながら、生い茂る木の間を巧みに潜り抜けていく。被害を出さぬように気遣われた爆撃など、特に気にもならない。
「どうせ夢の中ですし、伐採するくらいは……とは思っていましたがー」
 どっかんどっかんと上から爆弾が落ちてくる以上、気遣う理由も特にない。斧槍の刃に光焔を纏わせ、邪魔な木は斬り捨てて進んでいく。
 ちなみに、その爆弾がフランチェスカの飛行を妨げる事はない。戦場ですら自由に飛翔する空戦淑女にとって、探索のための爆撃など小雨のようなものだ。
「まあ少々派手すぎる気もしますが、それはそれとして……」
 センサービットを展開し、探知の範囲をさらに広げる。分身や式神、仲間の姿を除外して、動体を探知するようにセットして。
「……本当に、夢の中、と言う感じですわねー」
 本物同然のリアル感を肌で感じつつもそう思うのは、センサーに何も引っかからないせいだ。
 仲間の他を除いては、動物はもちろん、虫の一匹すら気配を感じない。必要の無いものは何一つない、作られた夢。
 そんな殺風景な夢に、可愛らしく不満を露わにするのはアリス。
「わたしなら、もっと賑やかに作るわね♪」
 賑やかと言うか、危険と言うか。無邪気で悪辣、不可思議な光景こそが、彼女にとっての夢と言うもの。
 ……もしリンの取り込まれた悪夢が彼女の悪夢だったとしたら、それはそれで大惨事が予想出来る。
「と言う訳だからー……わたしのものにしちゃいましょ♪」
 ここが夢であるならば、夢で上書き出来ぬ道理はない……いや、むしろ、それこそがサイキックヴァンパイアの本領。他者の夢に寄生し、己が夢へと作り変え、世界を支配していく。
 光に照らされなお不気味な森は、アリスに書き換えられると空気が変わっていき……いや、不気味である事に変わりはないのだが、不気味さのベクトルが違うと言うか、恐怖よりも狂気を感じると言うか。
「こうやって世界を広げていけば、探すのもやりやすくなる筈……待っててね、リンきゅん♪」
 まあ質はどうあれ、敵の夢は見通せずとも、彼女の夢なら見通すのは容易い。支配領域を広げる事で、探知の網も広げていく。
 とはいえ、リンの姿は中々見つからない。猟兵達の探した範囲は広いが、この森もまた恐ろしく広い。
「まるで果てがないみたいだよね……」
 木々に印を付けて迷わないようにしながら、晶は森を強く見据えてしっかりとその姿を認識する。そうしなければ、実態を見失って迷ってしまいそうだ。
「でも、必ずどこかにいる筈……」
「おーいリン君。ボクのハニーはどこにいるのかなー!」
 見つからないならば、あちらからも探して貰えればと、ヘイヤは大声を張り上げ、呼びかけていく。
「迎えに来たから一緒に帰ろう。恥ずかしがらずに出てきておくれー!」
 声を張り上げても、反応は帰って来ない。それでも構わず声を上げ、光で森を照らし出す。
「リン君ー、出ておいでー! ここだよー!」
「りーん、いるなら銃で空中に発砲するとか合図してねー。巻き込まれる前に」
 緋瑪も呼びかけはするのだが、その言動はあまりに物騒で、翡翠は思わず、その目頭を抑える。
「不憫だね……」
「……っ、待って……!」
 だがその時、フランチェスカのビットが動く何かを探知した。そちらに探知の網を向ければ――。
「ひ、ひぃっ……!!」
 そこにいたのは、まさに探し求めていたリンの姿。だが、声をかけるより早く、彼は身を翻して逃走する。
「っ……追いかけて!」
『ええ、分かっていますわ!』
 鷲獅子の上からフレミアが指示を飛ばし、黒令嬢の分身達がすぐさまそれを追いかけていく。
『わたくしの華麗な追跡で、必ずや――』
「ひぃぃぃっ!?」
 ……その大仰な仕草や派手な追跡で、むしろ余計に怯えて逃げていくリン。
「ああ、もうだからポンコツで不安だったのよ……」
「大丈夫、すでにしっかり追わせていますよー」
 目立つ追跡が怯えられるなら、目立たぬように。ミコの放った影の竜は、リンの五感を刺激する事なく、静かにその姿を追いかける。
「リンくんは良い匂いがしますからねー、その匂いを追いかけるんですよー。銃を持っているので、鉄とか火薬の匂いもしますがー」
「逃しはしないっぽい!」
 影竜が匂いを元に追いかけるなら、鬼燈の分身は忍である彼の技術を正確に模倣して追跡を続ける。世界と同化したその気配は、常人に捕らえる事は難しい。
「これなら怯えさせる心配はないよね。イケルイケル!」
「……とは言うものの、うーん……随分走るのが早い……って訳じゃなさそうだね」
 式神に指示を送りながら追いかける晶だが、リンとの距離は一向に縮まらない。森と言う入り組んだ地形であるとしても、猟兵達が本気で追いかければ、少年一人の足に追いつかない筈はなく。
「……うん、やっぱり、いる」
「いますわねー、怪しいのが」
 彼のゴーグルや、フランチェスカのセンサー越しに森を見つめれば、確かに感じられる別の気配。その影が、リンの逃亡を助けている。
「こ、来ないで……くださいっ、うわぁっ!」
 リンも、恐怖に錯乱しきった様子だ。こちらの顔が分からない……と言うより、知った顔知らぬ顔を区別せず、ただ、全てに怯えた様子で、ひたすらに逃げ回る。
「ふふふ、でも、逃さないわよ♪」
 そんなリンを自らの支配圏に捕らえ、アリスは出口を閉ざしていく。逃走範囲を制限すると、トラップを生み出して自ら飛び込み、一気に接近していく。
「わぁっ……いや、来ないで、もうっ……ボクっ……!!」
「大丈夫、私達はリン殿を助けに来たんだ。怯えないでほしい!」
 必死に逃げ続けるリンに、メガホンで声を張り上げるネフラ。だがその声もリンには届かない。
「やれやれ、リン殿に逃げられるのは少々傷つくが……これも影とやらのせいと思えば、むしろ怒りが湧くと言うものか」
 ただただ恐怖に怯え、逃げ惑う無力なその姿。未だその実態ははっきりと見えないが、気配のする方を強く睨みつける。
「だが、大丈夫だ。必ずキミを助けるからな!」
「っ……いや……助けなんてっ……あっ!?」
 そんなネフラから必死に逃げ続けたリンだが……その目の前に現れるのは、猟兵達。
 いや、むしろ逆。ネフラがそちらにリンを追い込んだのだ。
「こちらから逃げると分かっていれば、ね。わざと目立てば反対に逃げていくと思っていたさ」
「こ、来ないで……」
「たとえ嫌がっても、必ずキミを助け出して連れて行くよ」
 プルプルと震え続けるリンへと、ヘイヤがゆっくりと近づいていく。
「何せボクはキミの白馬の王子様であることを自負しているからね!」
「うぅぅ……?」
 そんな言葉に、ぴくり、と反応し、何かを思い出すように顔を上げるリン。
「私も、今年こそご自分の扉を見付けられるようにと、約束しましたからねー」
 ミコもプルプルと身体を震わせ、頷き同意する。顔を上げたリンは、猟兵達をゆっくりと見回して――。
「……いや……怖い……助けて……」
 だがまたすぐに怯えて、頭を抱えてしまう。
「やはり、悪夢に囚われているようだ」
 そんな姿を見て、改めて考え込むネフラ。
「眠れるものを起こすのは、だいたいキスが定番だが……毎度というのも如何なもの、かな」
「っと……危ない!」
 真っ先に気づいた晶が声を張り上げ……リンと猟兵との間に突然湧き上がる黒い影。これまで気配だけは感じられたそれが、ついに姿を現していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『恐怖心に宿る影』

POW   :    オウガ様、食事の準備が整いました
【恐怖に支配されたアリス】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
SPD   :    あなたも人を殺してみる?
自身の【存在】を代償に、【自身が憑依するアリス】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【感触を増大させた影の刃】で戦う。
WIZ   :    ねえ、アリス。その先はどんな恐怖が待っているの?
戦場全体に、【アリスの恐怖心が具現化する影】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。

イラスト:華月拓

👑11
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『ダメ……来ないで……?』
 リンと猟兵との間を遮るように、姿を現したのは黒い少女達。
 その黒は影の色。影が生命を得て、実態を為して立ちはだかる。
『この子は怖がっているわ……怖くて、怖くて、仕方がないの……』
「ひ、ぃっ……」
 少女の一人が、そっとリンの頬を撫でる。それだけで、リンの恐怖が膨れ上がる。
『ほら……逃げて良いのよ。逃げちゃダメなんて事はないのだから……ねぇ?』
「逃げ……あ……でも、ボクが、逃げたら……」
 何かに怯えるように、頭を抱えて身を震わせるリン。まるで、逃げる事を厭い怯えるように。
『そうね、逃げるのは、とっても怖い事だわ。逃げたら、あなたのせいで大変な事になるかもしれない……』
「う、ぅぁ……あああああっ!」
 反対側から、別の少女が囁きかけ、その恐怖に青褪めるリン。阻止しようとする猟兵達を拒むように、その身から影の刃が溢れ出し、周囲を切り裂いていく。
『逃げてしまいなさい……何もかも捨てて……恐怖からは目を背けてしまえば良い……だって、立ち向かうのは怖いでしょう?』
『逃げてはダメよ……逃げる事はとても怖い事だから……逃げたら何もかも失ってしまうから……』
 刃の内側で、影はリンに両側から囁き続ける。逃げる事への恐怖と、逃げない事への恐怖。真っ青な顔で頭を抱えたリンの身体から、さらに恐怖の影が膨れ上がり――。
「ああああああっ……い、いやあああ……!」
 広がる黒い影は、迷宮を作り出し。その中にリンの姿を隠していく。
露木・鬼燈
まさかリン君と戦い日が来るとはね。
こいつはなかなか厄介な。
って、なるんだろうね普通は。
まぁ、リン君に影響を与えずに戦えばいいだけの話。
憑いているものだけを<斬祓>える僕にはどーってことない。
リン君の戦闘能力が増大されている?
それでも脅威度は低いのです。
うん、彼は銃使いですよ?
なのに影の刃で戦うのは持ち味を殺すようなもの。
むしろ使い慣れてないのでマイナス補正掛かってない?
近接戦闘が専門の僕にはカモっぽい。
たぶん銃を使ってた方が戦いづらかった気がするのです。
冷静に影の刃を捌きながら動きを解析。
完全に見切ったら反撃開始。
破魔の刃ならリン君ごと斬ってもへーきへーき。
斬り殺せるものは怖くないのですよ?


フレミア・レイブラッド
リンを惑わし、悪夢の中で恐怖を煽る貴女達は邪魔な異物なのよ。この世界から疾く失せなさい

【念動力】でリンを包み込み、敵の力の影響から遮断し、リンを防御。
更に【サイコキネシス】のオーラで包み込み影達を拘束し、リンから引き離すわ。
そして、リンに【魅了の魔眼】と言葉に魔力を込めた【催眠術】で恐怖心を抑える様に「落ち着く様に」伝えるわ。

「安心なさい」貴方は必ず助けてあげる。
怖い事なんて何もないわ。例え怖い事があっても大丈夫。貴方には、貴方を心配し、助けてくれる数多くの人達がいるんですもの。見なさい、リン。みんな、貴方を助ける為に集まったのよ

後は拘束した影達を【サイコキネシス】で圧縮圧殺して消滅させるわ


四季乃・瑠璃
緋瑪「逃げるのが怖ければみんなに頼れば良いよ!リンには多くの仲間がいるんだから!」
瑠璃「逃げたって良い。また立ち上がれれば逃げたって良いんだから。一人で立ち上がれなくても、みんなが立ち上がらせてくれる」
翡翠「だから、絶望する必要なんてないよ…みんないるから」

【チェイン】で分身

瞬時に二人でそれぞれリンの両側でリンに語り掛ける影(の脳天)へ向かってK100を射撃【ドロウ、早業】。
そのまま二射、三射と叩き込み、大鎌で叩き斬ったり、【範囲攻撃、蹂躙、早業】ボムで爆破する等で容赦なく粉砕。
次々と現れる影達を殺しなたり、憑依されたリンを取り押さえたりしながらリンに話しかけ、影とリンの分離を試みるよ


ヘイヤ・ウェントワース
※アドリブ歓迎、単独希望

SPD判定

・行動
UC使用して操られているリン君の攻撃をかわし続ける
そのまま語り掛けて敵が代償で消滅するのを待つ

・セリフ
キミはそんなに何を怖がっているんだい?

キミが行動することで何か間違いを犯すこと?

キミが行動しなかったせいで何かが失われてしまうこと?

一体何が怖いのか見据えて、それを口にしてくれないか

そうすればボクは一緒にそれを悩める
そうすればボクは一緒にそれを解決できる

(代償で口元から血が流れるがそれをぬぐい、微笑みかける)
だからキミをボクに助けさせてくれないか?


佐伯・晶
リン君を人質にされたみたいで厄介だね
まずは迷路を抜けてリン君の元へ向かおうとするよ

リン君の恐怖が具現化しているなら
記憶に繋がるものもあるのかな
それらしいのがあったら
ドローンを使い撮影しておくよ

迷路自体は使い魔達にも手伝って貰って出口を探すよ

リン君を見つけたらオブビリオンをどうにかしないとね
リン君を操られたり傷つけられたりしたら大変だから
邪神の施しでリン君を治療しつつ護ろう
直接的な攻撃力は低そうだから
一時的に硬い素材の彫像になって貰えば
戦闘中の安全は確保できないかな

オブビリオンはガトリングガンの射撃で牽制しつつ
石から創った使い魔の石化で無力化を狙おう
攻撃されたら神気で攻撃の時間を停めて防御するよ


フランチェスカ・ヴァレンタイン
一時的にでも恐怖を祓うしかなさそうですけれど… さて、どうしたものですかねえ

立ち塞がる影を片っ端から斧槍で斬り払いつつ、リンくんと一瞬でも接触できる機会を窺うと致しましょう

んー… 取り憑いた影が恐怖心を生んでいるのであれば、あの影がリンくんの恐怖心が具現化したモノと見立てられなくもありませんか、ね?
少なくとも、恐怖心に紐付いてはいるでしょう。と、いうわけで――

UCの光刃を展開、影を斬り祓う際に”無用・過剰な恐怖心”を対象に揮ってみるとしましょうか
声を掛けるだけで鼓舞できれば一番良いのですが…
リンくんを勇気付けるように優しく抱き締めてみれば、胸の谷間にリンくんの顔が埋まったりするやもしれません?


アリス・セカンドカラー
アリスの恐怖心が具現化する影をハッキングし、真なる『夜』で上書き。
ペルソナによる柏手(破魔)一つ、音二重。『夜』に反響する破魔の音色で恐怖を祓う。
『夜』はあまねく生物が眠りに落ちる安らぎの時間。優しき闇の色。恐怖心に宿る影などは塗り潰し喰らい尽くしてあげるわ。『夜』に覆い『夜』に融かし『夜』に堕としてあげる(盗み攻撃/捕食/蹂躙)。
リンの手を繋ぎアリスの恐怖心が具現化する影から引き摺り出すわ(救助活動)。今は『夜』に抱かれてゆっくりとおやすみなさい。(催眠術)


……まぁ、ちょっと少年誌のお色気回並にはお色気分多めな夢なのはご愛嬌ということで。だって意識されたいじゃない?


黒玻璃・ミコ
※スライム形態

◆心情
オブリビオンの能力だけにしては些か過剰反応
察するに彼の失われた過去が影響してるのですかね

◆行動
彼が恐怖に囚われてる限り状況は好転しないのでしょう

先ずはふにょんと近くに飛び寄り
【催眠術】と【毒使い】による催眠毒をむはーっと
【黒竜の遊戯】でオブリビオンへ纏り付かせて眠らせましょう
その上で

銃がその手に馴染んでる様に
かつての貴方は何かと戦っていたのでしょう
もしかすると逃げ出した事で辛い目にも遭ったのかもです

でも逃げたり
回り道をしたって良いじゃないですか
そのお陰で少なくとも今は一人ではないのです
此処にいる方々がその証拠では駄目ですか?

そうリンくんさんに呼び掛けますね

連携、アドリブ歓迎


ネフラ・ノーヴァ
リン殿に悦楽ではなく恐怖を与えるとは、許せんな。
UC聖晶血界を、影達とリン殿を対象に発動。夢の中で見る夢という事だ。リン殿が眠って一時的にでも恐怖から解放されれば迷宮も消えようが、まあ賭けだな。もっと上手く解決する猟兵は称賛しよう。
影達もいくらか眠気で鈍っていれば幸い。得意の刺剣を見舞うが、さて影の血は何色かな?



 パァンッ、銃声が2発、重なり合って響く。
『ッ……!』
 そのまま広がっていく迷宮、その隙間から僅かに聞こえる、か細い女の断末魔。咄嗟に銃を構えた瑠璃と緋瑪が、少し不満そうにそれを下ろす。
「うーん、止まらないか」
「でもあの2匹は仕留めたよ……他にもいるみたいだけど」
 猟兵達の前に広がるのは、影の迷宮。感じられるのは、深い恐怖の感情。
「リン君を人質にされたみたいで厄介だね……」
 迷宮の壁をコツコツと叩いて、眉を寄せるのは晶。
「結構硬いね。突き破るのは難しそう」
「それだけ強い恐怖を抱いている事でしょうか?」
 黒い身体をふにょんと傾けて考察するのはミコ。
「オブリビオンの能力だけにしては些か過剰反応……察するに彼の失われた過去が影響してるのですかね」
「リン殿に悦楽ではなく恐怖を与えるとは、許せんな」
 ネフラも、強い怒りを露わにする。
「必ず、助け出さねばな……」
「そのためにも、まずは迷宮を攻略しないとね」
 使い魔を方々に放ち、道を確かめていく晶。集まっていく情報を見ながら眉を寄せる。
「頑丈さもそうだけど、大分複雑だなぁ……攻略するのに手間がかかりそう」
「一時的にでも恐怖を祓えばどうにかなりそうですけど……」
 考え込むフランチェスカの言葉。それに頷き、ネフラが歩み出る。
「ふむ、ならば、破壊するのは難しいようだが……これならどうだ?」
 その手に持つ赤黒き結晶から、聖なる欠片が零れ落ちる。その欠片から広がる、聖浄なる結界。
「これが夢の中だと言うのなら……人は正しく眠りにつくべきだ。心安らかにな」
 リンの姿を思いながら、結界を迷宮の向こう側にも広げていこうとするネフラ。その結界は、全てを甘き夢の中に閉じ込める。このような、悪夢ではなく。
「……おお? 迷宮の形が変わって……これなら、リンの所に辿り着けるかも」
「うむ、賭けだったが……悪い結果ではなかったようだな」
 晶の使い魔の先導を受け、迷宮内を駆ける猟兵達。出口へと駆けより――。
「こっちだ……うわっと!?」
『ダメよ……近づいちゃ』
 その瞬間、迫る刃。慌てて、神気の壁でそれを防ぎながら飛び退く晶。
 ――そしてその刃の向こう。
「う、ぅ……」
「リン殿!」
 黒い影の少女達に囲まれ、リンが頭を抑えている。ネフラのもたらそうとする安らかな眠りと、オウガのもたらそうとする黒き悪夢。その間を行き来するように、何度も首を振り、ふらついた様子で虚空を見つめる。
『ほら、来たわ……怖い物が来たわ。逃げられないのなら……分かっているでしょう?』
「あ、ああ……逃げられないなら……」
 猟兵達が目に見えぬうちは、その安らかな眠りが勝っていたが。目の前に現れた猟兵達を恐怖の根源と唆されれば、再び恐怖が勝り始める。
『逃げられないなら……消してしまえばいいの』
「消して……しまう……ああああ!」
 その身から溢れる、大量の黒い影の刃……それはリンの恐怖。他者を拒絶する刃。リンの姿は、その刃の中に再び隠れていく。
「おっと……!」
 それを咄嗟に、斧槍で弾き飛ばすフランチェスカ。だが、斬り払った端から次々と刃が迫り――その身を捕らえる寸前、白翼を広げ空中へと脱する。
「ふぅ……随分とたくさんの。これでは近づくのも骨が折れそうですわねぇ」
『ふふふ、そう、ほら、もっと恐怖して? 恐れ、拒まなければ、怖い物は貴女に追いついてくるわ』
 響く影の声。刃はなお無数に迫り……その前に、飄々と歩み出るのは鬼燈。
「うーん、まさかリン君と戦う日が来るとはねぇ」
 その手にするは退魔の光。鋭く繰り出される白刃が、まるで壁のように、迫る黒刃を阻む。
「でも、うん、彼は銃使いですよ? だったらこれは持ち味を殺すようなものなのです」
 確かにその刃は雨の如く、全てを防ぎ切るのは難しい。だが一本一本に目を向ければ、それは拙さを感じさせる。ならば、自らの身体を捕らえかねないものだけ防ぐのは、決して難しい事ではない。
『もっと……もっと拒んで――』
「これじゃあ……はっきり言って、カモっぽい!」
 そのまま、影の少女の一体を、一刀の元に斬り捨てる。霧散し、消えていく黒い影。
「怖い怖いと言うけれど。斬り殺せるものは怖くないのですよ?」
『ああ……怖い、怖い。あんなに残酷で恐ろしい剣……怖いわね……!』
 一体を斬り捨てても、まだまだ多くの影がリンを取り囲み、恐怖を唆す。だが、僅かにでも、刃の密度が下がったのが感じられ。
「なるほど、やはり――取り憑いた影が恐怖心を生んでいるのですか、ね? そしてこの刃は恐怖心の象徴、ならば……」
 斧槍を構えたフランチェスカは、その穂先と斧刃に白き光を纏わせる。空中から、リンのいる方をまっすぐに見据えて。
「この刃で、その恐怖心、斬り捨てましょうか……!」
 万象を断ち切るその光刃が、リンの恐怖心だけを斬り裂かんと振るわれる。振り下ろされた光が、恐怖心を……即ち影の刃を、深々と断ち切った。
 刃の森が拓かれれば、再び姿を現す、怯えた様子のリン。
『どうして怖がっている子を、引きずり出そうとするの? 恐ろしい人達――』
「黙りなさい」
 なおもリンに囁く影達へと、底冷えするような声が投げかけられる。赤き瞳を怒りに輝かせるのは、フレミア。
『……!』
「リンを惑わし、悪夢の中で恐怖を煽る貴女達は、邪魔な異物なのよ」
 影とリンとの間に見えない壁を作り上げ、影達をその力で縛り上げる。その身に流れる真祖の血の魔力を、怒りのままに振るう。
「この世界から疾く失せなさい」
『いいえ、この世界は悪夢……恐怖こそが有るべき姿。絶望こそが有るべき姿』
 縛り上げられなお、影達は恐怖を囁きかける。そうして、再びリンを恐怖に貶めようとして――その悪辣な言葉を紡ぐ喉が、ざくりと裂けた。
『ッ……!?』
「その口を閉じると良い。……いや、閉じずとももう話せないだろうがな」
 刺剣を喉に突き刺し、冷たく見下ろすネフラ。リンに手を出した怒りを篭めて、深くその棘を突き立てる。
「そんなに夢を見せたいなら、私が眠らせてやろう。骸の海では夢も見れないだろうが」
『ぁ……ぁ……ぁ……!!』
 黒い影の煙を喉元から噴き出し、消滅していく影の少女。その煙を返り血の如く浴びるも、動じる事なく払いのける。
「血ではないのは興醒めだが……まあ良い。手を緩めるつもりはないぞ?」
『恐怖を……もっと恐怖を……!』
 叫び、リンから恐怖をなおも引き出そうとする影達。フレミアの壁に阻まれながらも、その身を伸ばし――。
 パンッ、と一つ、両手が打ち合わされる。広がるは二重の音。
「『夜』はあまねく生物が眠りに落ちる安らぎの時間。優しき闇の色よ」
 その音を広げるはアリス。魔少女は、夜を、夢の時間を支配する。
「恐怖心の宿る影? そんなものは塗り潰して、喰らいつくしてあげるわ」
『ッ……ッ……!?』
 黒い恐怖の影を塗りつぶす、さらなる深き夜の黒。黒は黒に覆われ、黒に溶けていく。
「リンが見るべきはもっと素敵な夢よ。あなた達のような悪夢はお呼びじゃないの」
『いいえ……いいえ、いいえ……見るべきは悪夢。この子が望む悪夢――!』
 なおも叫ぶ影、だが、その影響力は徐々に衰えつつある。
 俯き、何も聞こえないと首を振っていたリンが、僅かに顔を持ち上げた。
「ぁ、ぅ……あ……ああ……」
「リン君!」
 その瞳を真っ直ぐに見据え、ヘイヤは力強く声を張り上げた。耳を閉ざそうとするリンに、届くように。
「キミはそんなに何を怖がっているんだい!?」
「ボク……ボクは……あああ……」
 首を振り、いやいやと、耳を閉ざそうとするリン。だがヘイヤは言葉を緩めない。
「キミが行動することで何か間違いを犯すこと? キミが行動しなかったせいで何かが失われてしまうこと?」
「ボク……ボクは……ボクが怖いのは……ああ、分からない……分からないけど……!」
 アリスとして失われた、過去の世界の記憶。覚えてはいない。
 覚えてはいないが。リンの中には、確かにその記憶が刻みつけられている。それが、ヘイヤの言葉によって引きずり出される。
「怖い……怖い、怖い、怖い……!」
「っ……!」
 再び、その身から大量の刃が溢れ出す。咄嗟にウサギ時計を調節し、身体を加速させてそれを回避するヘイヤ。
 自分の言葉が、リンを恐怖させている――それでも、ここで止める訳にはいかない。恐怖を克服するには、恐怖を見つめるしかない。
 分かっているからこそ、彼女だけではない。緋瑪も瑠璃も、言葉を重ねる。
「逃げるのが怖ければみんなに頼れば良いよ! リンには多くの仲間がいるんだから!」
「逃げたって良い。また立ち上がれれば逃げたって良いんだから」
 再び顔を持ち上げたリンの、虚ろな瞳。その瞳を、フレミアは真紅の瞳で覗き込む。
「なか……ま……」
「安心なさい」
 言葉は、リンの中に直接響き渡る。安堵を誘う優しい声。
「あなたは、貴方は必ず助けてあげるから」
 その声に、リンは、ゆっくりと顔を上げ……。
『ダメよ、逃げては。逃げたから――あなたのせいで――』
「あ、あああああっ……」
 リンの中から響く、黒い、声。
「ああ、もうっ、しつこいっ……!」
『恐怖は消えないわ。どんなに目を反らしても、どんなに誤魔化しても、決して消えないの……』
 再び溢れ出す刃を大鎌で斬り裂きながら、にらみつける緋瑪。だが、リンは――リンの中の影は、薄暗く笑う。
『私がこの子の中にいる限り。この子は怖れ続ける――』
「うーん、こいつはなかなか厄介な」
 そんなリンへと。鬼燈は光の刃を向けた。
「って、なるんだろうね普通は。でも……ボクには関係ないのです」
 その手に握られているのは、斬るための刃ではない。斬り、祓う為の刃。
『っ……なに、を……』
「と言う訳で……リンの中から、出ていって貰うのですよ!」
 躊躇う事なき、一閃。それはリンの身体を袈裟懸けに通過し――されど、その身体に傷一つなく。
「っ……!?」
『ああああああっ!?』
 代わりに。その中から、少女の悲鳴を迸らせる。堪らずリンの身体から半身を飛び出させる影。
『ダメよ……まだ……まだ恐怖をっ……この子の恐怖を糧に……』
「ちょっと黙っててくださいな~?」
 そんな影に近づくと、ミコは黒竜の魔力を吐き出し、浴びせかけた。催眠の毒が、その薄黒い身体に染み込む。
『っ……ぁ……』
「さて……」
 強烈な眠気に朦朧とし、ふらつく影。そちらは一旦捨て置き、妨害がなくなると、ミコはリンの右手に触れた――銃を握る、右手に。
「銃がその手に馴染んでいる様に、かつての貴方は何かと戦っていたのでしょう」
「あ……」
 何かを思い出そうとするように、リンは幾度となく首を振る。忘れたかった事。忘れてはいけなかった事。
「もしかすると逃げ出した事で辛い目にも遭ったのかもですね?」
「ボク……ボクは……逃げて……あの時……何から……?」
 頭を抑えて動けなくなるリンへ、ヘイヤは優しく手を差し伸べる。
「一体何が怖いのか見据えて、それを口にしてくれないか」
「ボクの……怖い……何が……あっ……!」
 顔を上げたリンが驚いたように目をやるのは、ヘイヤの口元。刃をかわし続ける反動で流れた血を、彼女はしかし、気にせず拭って微笑みかけた。
「そうすればボクは一緒にそれを悩める。そうすればボクは一緒にそれを解決できる」
「で、でも……また、ボクのせいで……」
 巻き込む事への忌避感からか、顔を下げようとするリン、だが、その頬をぎゅっ、と抑えたフレミアが、上を向かせ、微笑みかける。
「大丈夫。貴方には、貴方を心配し、助けてくれる数多くの人達がいるの」
「え……」
 そうして、見回したリンの瞳に映る、猟兵達。
「見なさい、リン。みんな、貴方を助ける為に集まったのよ」
「そう、だから一人で立ち上がれなくても、みんなが立ち上がらせてくれる」
 瑠璃も微笑みかけてそう言い、翡翠は励ますように頷きかける。
「だから、絶望する必要なんてないよ……みんないるから」
「みん、な……ボクを……助け……」
 光を取り戻していくリンの瞳。ミコはつぶらな瞳で、それを覗き込んで微笑む。
「これも、あなたが逃げたり、回り道をしたお陰、ですよ。アリスとしてずっと逃げて来た……そのお陰です」
「逃げた……から……」
 アリスとして、いろんな。本当にいろんな目にあって来たけれど。
 でも、その過程で、猟兵達に会って来た。
「少なくとも今は一人ではないのです。此処にいる方々がその証拠では、駄目ですか?」
 問いかけられ、小さく首を横に振るリン。その瞳にもはや恐怖の色はなく――。
『――許さないッ!』
「ぁっ……!?」
 リンから完全に切り離された影が、怒りと共に鎌を振るう。目を見開くリンだが、その鎌は首筋へと――。
『――ッ!?』
「ふぅ、間に合った。後で元に戻すから、ちょっと我慢しててね」
 だが。硬質の彫像へと変わったリンの首に、その刃は通らない。咄嗟にリンに神気を当てて庇った晶は、ふぅ、と額の汗を拭うと、ガトリングを構える。
「さて、と。それじゃあ、後は全部駆逐していくだけだね」
「そうね、潰れてしまいなさい」
 フレミアの魔力によって、圧縮され、圧潰し潰れていく影達。フランチェスカや緋瑪達も、己の獲物を構えて。
「ええ、後は片っ端から、斬り捨てるとしましょうか?」
「うん、全部爆発させちゃおう♪」
 リンの恐怖を糧と出来なくなった影達に、それに抗う力は残っていない。その全てが猟兵に倒され消えていくのに、そう長い時間はかからなかった。

「……う、ぅぅん……」
「……目が覚めたかな?」
 うっすらと目を開くリンの顔を覗き込み、微笑みかけるネフラ。
「残念だな、眠ったままなら、目覚めのキスをプレゼントしようと思ったんだが」
「ふえぇっ!? ……あ、お、おはようございます」
 眠り続けてしょぼしょぼした目を瞬かせながら、今度こそしっかりと目を開く……ここは悪夢の中ではない。
 一面に広がるふかふかの雲の上。そう、夢の国……現実の不思議の国だ。
「大丈夫です? まだ怖かったりしますか?」
「いいえ、ええと、大丈夫で……ふぇぁっ!?」
 そして、自分が頭を預けていた枕がフランチェスカの豊かな膨らみだと気付き、二度目の奇声を響かせて跳ね起きるリン。
「……? どうしました?」
「い、いえ……うぅ、なんか、変な、夢を見ていた、ような……悪夢とは別に……」
 ドギマギとして胸に手を当て、深呼吸するリン。真っ赤な顔をした彼の姿を見て、フランチェスカに視線が集まり……だが自覚のない彼女は不思議そうに首を傾げる。
(……まあ私のせいなんだけど)
 そんな中、涼しい顔をして明後日の方を見つめるアリス。夢の中に夜の支配を広げていたアリスは、リンが清々しく目覚められるように、夢にちょっとだけ干渉していた。
(だって、意識されたいじゃない?)
 真っ赤になったリンがアリスの方を見て、自分でもよく分からずに直視出来ずにいるのを見て、くすくすと楽しげに笑うのだった。
 そして。
「んー……」
 ドローンに夢のなかの光景を撮影させていた晶は、その写真を確認して首を傾げる。
 リンの恐怖心によって作られていた影の迷路。そこに映し出されていた人影。おそらくリンが聖夜に見た人物と同じ。彼に聞いても、それが誰であるかは思い出せないであろうが。
 ――リンと同じ服を着た、彼に少しだけ面影の似た、年上の少女の姿。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『無邪気な冥水晶・ベリアドール』

POW   :    頽唐の茉莉花
【灯籠に封じていた心の闇で出来た水晶の花弁】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    星芒眸の想緋
【瞳】を向けた対象に、【呪いの紅石が先端についている鎖】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    破滅の言ノ葉
【悲惨な記憶や絶望、苦しみを誘う歌】が命中した対象を切断する。

イラスト:高山

👑11
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 夢の中から脱出したリンと猟兵達。だが、いつまでもそれを喜んではいられない。
「……せっかくベリアが味付けた極上の悪夢だったのに。どうしてくれるのかしら!」
 現れたのは、真紅のドレスを纏った美少女。無邪気さをたたえたその愛らしい顔は、しかし今は怒りに歪んでいる。
「悪夢で苦しみ、あがき、最後には絶望と共に心折れてしまう――そんなアリスこそ、最高の美味だと言うのに!」
 その怒りに、邪気はない。何一つ、自分が悪い事をしているとは思っていない――だからこそ余計に、その悪しき色が目立つ。
 オウガ・ベリアドール。悪意なき悪を振りかざし、彼女は己の欲望だけを語る。
「ベリアの調理と食事を邪魔した罪は重いわ、猟兵達。お前達を永遠に眠らせて……改めて、そのアリスの夢をゆっくりと味わわせてもらうのだわ!」
黒玻璃・ミコ
※美少女形態

◆心情
あぁ、反りが合わない
善人とは言えず悪党寄りの私だからこそ感じます
心折れた魂に何が宿ると言うのでしょう
キラリと輝いてるからこそ尊く愛でたくなると言うのに

◆行動
とは言え中々の制圧能力なので厄介ですねー
此処はリンくんさんに声を掛けて宙を飛び
お姫様抱っこで一旦敵から距離を取りましょう

私の目は特別
少し離れても【視力】が良いので差し支え無いですしね
そうしたら【念動力】と言う名前の【黒竜の遊戯】で敵の足下を不意に崩し攻撃の妨害です
無差別に広域を攻撃は出来ても飛べない身でまともに戦えますか?
【地形の利用】し他の方が存分に戦える様に支援しましょう

◆補足
アレンジ、他の猟兵の方々との連携歓迎


ネフラ・ノーヴァ
自らを正しいと信じて疑わぬとは、厄介なものだ。だがそれが身を滅ぼすというもの。

ストレリチア・プラチナを纏って上空へ。持ってきていたメガホンで、貴様の歌など聴く耳持たぬと罵倒、リン殿を救う喜びを謳って打ち勝とう。
そして刺剣でその赤いドレスをより赤い色に染めてやろう。

さて、悪夢で疲労したリン殿を刺激すべきではないからな、後は頭を撫でるくらいにしておこう。


露木・鬼燈
リン君いつも変なのに狙われるよね。
しかも嗜虐趣味もってそうなのが多め。
大丈夫?お祓い、しておく?
あー、この状態では落ち着いて話もできない。
まずは敵を倒さないとね。
さて、どう戦ったものかな?
普段通りに近接戦闘ってのでもいいけど…
敵は遠距離攻撃が得意そうなんだよね。
となると、リン君にも被害がね。
魔剣は斬り払うのに使用して、攻撃は魔弾投擲法でいこう!
これならリン君から離れないで戦えるのです。
防ぎきれない攻撃は<禍祓>で防御。
リン君も結界の中に保護するので安心っぽい!
攻撃を凌ぎきったら一旦解除。
再び投擲による攻撃に移行するのです。
そして危ない時は<禍祓>で防御。
このパターンで戦えば安全っぽい!



「リン君いつも変なのに狙われるよね……しかも嗜虐趣味もってそうなのが多め」
「……う、そうでしょうか?」
 鬼燈の指摘に、落ち込んだ様子を見せるリン。まあ、オウガなんて大抵そんなのばっかと言う説もあるが。
「大丈夫? お祓い、しておく?」
「しても、効くんでしょうか……ひゃんっ!」
 そんな会話の最中、リンの降り注ぐ水晶の花弁。闇色の茉莉花が、鬼燈の蛇腹剣で振り払われる。
「ちょっと、ベリアの邪魔をしないでって言ってるのだわ!」
「あー、この状態では落ち着いて話もできない」
 不満を露わにするベリアを見据え、やれやれと溜息を漏らす鬼燈。迎撃の構えを取ってリンの前に立ちはだかる。
「ちょっと失礼しますよ、リンくんさん? っと」
「ひゃっ!」
 突然の攻撃に身を竦めたリンを、ミコがお姫様抱っこで抱き上げる。
「防御はお任せして大丈夫ですかねー?」
「それじゃあ、任せるのです。これで安心っぽい!」
 そのまま大きく後ろに飛び下がれば、鬼燈もそれを追い。迫り来るベリアの鎖を魔剣で弾きながら、大きく間合いを取る。
「もうっ、逃さないのだわ!」
「こっちこそ、通さないっぽい!」
 さらなる無数の花びらを撒き散らし、降り注がせんとするベリア。視界を埋め尽くさんばかりの闇の花吹雪を前に、鬼燈は祓魔の結界を展開する。
 禍を寄せ付けぬ清浄なる力は、花びらの一枚たりとも届かせない。
「くぅぅぅ、もう、ベリアの邪魔ばっかりして、許さないのだわ!」
「自らを正しいと信じて疑わぬとは、厄介なものだ」
 キッとこちらを睨むベリアの怒りの表情を、肩を竦めて見やるネフラ。まだ少し疲労を感じさせるリンの頭を、そっと撫でる。
「だがそれが身を滅ぼすというもの、だがな。少々待っていてくれ、リン殿」
「ん……はい、お願い、します」
 優しく頭を撫でられると、ほんのりと頬を染めながらも頷くリン。それを見て満足げな笑みを浮かべたネフラは、改めてベリアに向き直る。
「何をイチャイチャして。気に入らないのだわ!」
 実体のある攻撃が弾かれるならばと、ベリアはその胸に手を当て、高らかに声を張り上げる。
「~~~~~~~♪」
 甲高い地声とは裏腹に、鬱々と低く響くアルトボイス。それは、聞いているだけで、感情が昏く揺さぶられる。記憶が引きずり出され、絶望が、苦しみが、その胸より沸き起こり……。
「――貴様の歌など聴く耳持たぬ!!」
 そこでメガホンを取り出し、ネフラは高らかに叫び上げた。
 水晶で増幅された大声は、キィィィィィン、とハウリングが響くほどで、思わず耳を抑えるベリア。
「っ、う、うるさっ……!?」
「どうせ謳うなら、喜びを謳い上げたいものだ。リン殿を救う喜びをな!」
 歌をかき消し、プラチナドレスを翻して一気に間合いを詰めるネフラ。その手に握られた刺剣が閃き、ベリアを狙う。
「そんな物聞かされても迷惑なだけなのだわ、この……っ!?」
 当然、そんなネフラを迎撃しようと、水晶を封じた灯籠をかざすベリア。だが、新たな花びらが溢れ出すより早く、その足元が崩れ、がくんと片膝をつく。
「な、なんなの!?」
「あぁ、あなたとは本当に反りが合わない。善人とは言えず悪党寄りの私だからこそ感じます」
 指をピンと立てて念じ、黒竜の魔力を送り込みながら、ミコが深く嘆きの声を漏らす。ベリアを見据え、その瞳に宿る色は侮蔑。
「心折れた魂に何が宿ると言うのでしょう? キラリと輝いてるからこそ尊く愛でたくなると言うのに」
「だからこそだわ。その輝きを手折り潰して穢して、絶望で味付ける。それでこそアリスは美味となるのだわ!」
 足元を掬う魔女の力に手を焼きながら、自身の正しさを疑いもせず反論するベリア。その思考は、ミコとの間に確かな隔絶を感じさせる。
「だから、そのアリスもベリアが美味しく調理して……っ!?」
 膝をつきながらもなんとかもう1度灯籠を掲げるベリアだが、その腕に深々と何かがめり込む。痛みに耐えてそれを見れば……突き刺さっていたのは、小さな石ころ。だがそれが、銃弾の如く深々と。
「命中したっぽい!」
 満足げに快哉を上げるのは鬼燈。その手から放たれた投擲は、全てが魔弾となって敵を撃つ。ただの石ころですら。
「リンを守るためにも、あんまり離れられないからね。ここから安全に遠距離攻撃なのです」
「もう、そんな事させな……はぐっ!?」
 苛立ちを露わにするベリアだが……その灯籠から花弁が放たれるよりも早く、その身から花の如く、赤い血が吹き上がった。
「やはり、血が出る相手は良いな。」
 その血を羊脂玉の身体に浴び、嫣然と笑みを浮かべるネフラ。鋭き刺剣が幾度となく閃き、その度に血の花が咲き誇る。
「ついでだ。そのドレスも、より赤い色に染めてやろう」
「お、お断りっ、うぐっ……するのだわっ、んんっ!?」
 ネフラから必死に逃げようとするベリア。だが、足元が安定せず、魔弾から狙われ続けでは、逃げられずに数多の大輪を咲かせ、自らのドレスを濡らしていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレイング☆
ベーリアちゃん、遊びましょ☆
くすくすくす、ざーんねん。アリスが非戦闘行動に没頭してる間は私への攻撃は遮断されるのよ♪いえ、範囲攻撃で効果を広げるから私達への攻撃は遮断されるわ。
と、言うわけでリン君協力してね♪なに、ただ私とイチャイチャしてくれるだけでいいのよ♡そうすれば、ベリアちゃんからの攻撃は全部遮断されて、ベリアちゃんからエナジーを吸収できるの☆このエナジー吸収は捕食行為だから非戦闘行動よ♪
だから、ねぇ、リンくんの思うままにアリスで遊んで(耳元で囁き)。
ふふ、断られてもこのやり取り事態が非戦闘行動だからそのまま交渉を楽しむわ☆
もし、受け入れて貰えたら遠慮なくイチャイチャ♡



「ベーリアちゃん、遊びましょ☆」
「そんなに遊びたいなら、遊んであげるのだわ!」
 アリスの楽しげな声に応じ、無数の花弁を放つベリア。闇がその頭上へと降り注ぐ。
「くすくすくす……ざーんねん」
「ひゃんっ!?」
 だが、アリスがリンに抱きついた瞬間、彼女の身体から『世界』が広がる。
 彼女の都合の良い妄想世界に、ベリアの攻撃は立ち入る事を許されない。
「ふふ、私が好きな事に没頭してる間は、あなたの攻撃は届かないの♪ むしろ……」
「ちょ、ちょっと、何これっ!?」
 妄想世界は、そのままベリアを取り込まんとさらに広がっていく。取り込んだ者のエナジーを、快楽と精力を貪る危険な世界。
「でもリン君は平気よ、最初から私の世界に入ってるから。だから……」
 にっこりと微笑み……アリスはさらにリンに身体を押し付ける。
「この世界のために協力してね。私とイチャイチャしてくれるだけでいいのよ」
「いっ……イッ!?」
 恥じらい、真っ赤になって硬直するリン。先程見た夢のせいか、余計に緊張して身を強張らせる。
「そう、だから、ねぇ……リンくんの思うままにアリスで遊んで」
「やっ……ちょ、いや、そのっ……!?」
 そちらの方面の知識はあまり無いリンだが、アリスの表情を見れば、それが如何わしいものだとわかる。頭が真っ白になって、完全に固まるリン。
「リンくーん……えいっ♪」
「わ、わわわわっ!?」
 動かなくなったリンの身体にさらにタッチしようとした所、慌てて再起動して逃げようとするリン。
 だが、ユーベルコードを維持する事は忘れず、恥じらいながらも律儀に抱きつきは続けており……そんな様が可愛くて、ついつい彼をからかってしまうアリスである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロNG
SPD

悪である自覚が無い悪……まるで人間ね。
オウガを愛する私から見ても、貴女は危険だわ。
私がたっぷりと愛を教えてあげる

守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
呪いの鎖による攻撃を【見切り】
『無情なる刻』で13.4秒の時間停止。
【呪詛耐性】で呪いの鎖を掴み
私の【呪詛】も上乗せして ベリアドールの体に巻きつけ
【ロープワーク・早業】で拘束するわ

縛られるのってゾクゾクするでしょ?
もっと気持ちよくしてあげる。
悪夢なんかよりも、ずっと甘美で素敵な夢を見せてあげる

鎖による捕縛の上から【怪力】で抱きしめ
【誘惑・催眠術】で魅了。
彼女のスカートの中に手を入れ【慰め】ながら
濃厚なキスで【生命力吸収】



「悪である自覚が無い悪……まるで人間ね」
「ベリアを人間なんかと一緒にしないでほしいわ!」
 ルルの言葉に、不満を露わにするベリア。
「人間なんて、ベリアにとっては調味料なのだわ。アリスを美味しく味付けするための」
「……オウガを愛する私から見ても、貴女は危険だわ」
 険しい表情を浮かべ、その身に守護霊の力を宿すルル。そんな彼女へと、ベリアは呪縛の鎖を解き放つ。
「知った事ではないのだわ!」
 呪いの紅石が輝き、ルルの身体を縛り上げようとする。その瞬間、身にまとうドレスから放出される魔力。
「……だわっ!?」
 気づけば、ベリアの方が代わりに、その身体を縛り付けられる。時を止められたと気づかぬまま、縛り上げられ、身を捩るベリア。
「縛られるのってゾクゾクするでしょ?」
「す、する訳ないのだわ!?」
 ルルの艶めかしい言葉に動揺し、顔を赤くするが、縛り付けるのは手慣れた物だ。巧みな拘束で容易に逃さない。
 逃げられぬベリアの身体を強く抱きしめ、その瞳を覗き込むルル。
「悪夢なんかよりも、ずっと甘美で素敵な夢を見せてあげる」
「へ、へんたいなのだわー……んむーー!?」
 激しくもがき抵抗するルルの身に手を這わせ、唇を重ねて生命力を収奪する。顔を真っ赤に染め、目を見開くベリア。
「んー、ん、んんーー!」
「可愛い……んんっ……♪ もっと気持ちよくしてあげる」
 その手はさらにエスカレートして奥までの侵入を図る。鎖を力強く引き付け食い込ませていき、拒む事を決して許さない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「猟兵の中にもリンを食べちゃいそう(非物理)な子が何人かいるのに、リンを狙ったのが間違いだったね。でも食事の事は気にしないで良いと思うよ」
瑠璃「どうせこれから狩られるから、食事の心配なんてするだけ無駄だしね」

【チェイン】で分身

緋瑪が不意打ち気味に大鎌の機巧を使っての先制高速斬撃【早業、残像、ダッシュ】を仕掛け、瑠璃がそれに合わせてK100による早撃ち銃撃【ドロウ、早業】で緋瑪をカバー。
緋瑪を瑠璃がカバーする形で大鎌と銃撃の波状攻撃で敵に攻撃の隙を与えない様に仕掛け、離脱時は【範囲攻撃、早業、蹂躙】接触式ボムで爆破しながら後退等、徹底的に敵にペースを作らせない立ち回りで仕掛けていくよ。


フランチェスカ・ヴァレンタイン
あいにくとオウガの独り善がりな食文化には興味も理解も持っておりませんもので?

リンくんを適宜にカバーしつつ、砲撃と重雷装ユニットの乱れ撃ちでの面制圧を
空中戦機動からの広範囲の空襲を連続で浴びせ、飛び散る水晶の花弁もろとも撃ち砕いていくと致しましょう

行動が鈍りましたら急降下強襲で【城塞穿ち 爆ぜ砕くもの】を土手っ腹に叩き込み、吹き飛んだところを噴射加速で追い抜いてその先へと回り込み
迎え撃つ形に持ち込んで選択UCでの浴びせ蹴りを2回攻撃で叩き込んで差し上げると致しましょう

貴女のお好きな苦しみのたうち回るという”悪夢”
どうせでしたら、ええ。存分に御馳走致しますので、ご自分のモノを召しあがってはいかが?



「もう、アリスは大人しくベリアに美味しく調理されるべきなのだわ!」
「あいにくとオウガの独り善がりな食文化には興味も理解も持っておりませんもので?」
 砲撃と雷撃を空から乱れ撃つ事で、リンを狙う花弁を打ち砕くフランチェスカ。
 花弁を突き抜けて地上にまで降り注ぐ空爆が、ベリアの足を止める。
「お前達に理解される必要はないのだわ。ベリアのために食べられなさい!」
「うーん、だったら、リンを狙ったのが間違いだったね」
 空を見上げて文句を口にするベリア……その背後から、爆風に紛れて迫る影。
「っ!?」
「猟兵の中にも、リンを食べちゃいそうな子が何人もいるんだから、さっ!」
 振り下ろされた大鎌。機巧によって加速した高速の斬撃が、ベリアの背中を深々と切り裂いた。
「く、ぁっ……よくもベリアにっ!」
「おっと……!!」
 痛みに顔を歪め、反撃で鎖を放ってくるベリア。その薙ぎ払いに対し、緋瑪は素早い動きで飛び退き回避する。
「でも、食事の事は気にしないで良いと思うよ」
「何を……んぐっ!」
 さらに追撃を仕掛けようとするベリアの腕に、撃ち込まれる弾丸。無論それは、緋瑪のカバーに入る瑠璃のものだ。
「どうせこれから狩られるから、食事の心配なんてするだけ無駄だしね」
「ベリアが、狩られるですって……有り得ないわ!」
 怒りを露わにするベリアに対し、瑠璃はなお容赦なく銃弾を撃ち込む。鎖を使いそれを弾いていくベリアだが、当然緋瑪も黙って見ているはずがない。大鎌で斬りかかり、反撃の暇を与えぬ2人がかりの連携で畳み掛ける。
「有り得ないなんて事はないよ、私達に殺せないものはない」
「ぐぅぅっ……ならベリアがお前達を殺してやるわ……!」
 苛立ちと怒りをもって叫び、ベリアは思い切り闇色の花弁を撒き散らした。だが苦し紛れの反撃など当然喰らう事はなく、置き土産の爆弾を投げつけて後退する緋瑪。
「っ……ぐっ、このっ、ベリアを、散々、馬鹿にしてっ!」
 逃がすものかと再び鎖を振るおうとするベリア……その瞬間、空より降り注ぐ一条の旋風。
「随分と、悪夢がお好きのようですから――」
「っ……ごぶっ!!」
 落下の勢いを乗せ、フランチェスカの蹴りが土手っ腹に突き刺さる。血混じりの唾液を吐き出して、綺麗に吹き飛んでいくベリア。
「ぐ、こ、の……ぉ……」
「――でしたら、ええ。存分に御馳走致しますの、で!」
 さらに、その吹き飛ぶ速度より速く飛び、回り込む。勢いをつけた浴びせ蹴りが、ベリアの身体を地面へと叩きつけた。
「がっ……はぐっ……ふぐぅっ……!!」
 バウンドしながら転がっていき、腹を抑えて内臓の痛みにのたうつベリア。優雅に着地したフランチェスカは、その苦しみ喘ぐ姿を、満面の笑みと共に見下ろした。
「ご自分のモノを召し上がった感想はいかがでしょう? 代金は不要ですので、どうぞ、遠慮なく?」
「ご……ご、のぉぉぉ……げふっ……!!」
 涙目になり、血を吐きながら呻くベリア。憎々しげにこちらを見上げ、視線で射殺さんばかりに猟兵達を睨みつける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘイヤ・ウェントワース
※アドリブ歓迎

SPD判定

・行動
螺旋剣をフェンシングの様に片手で前に構え
敵の攻撃を打ち払いながら気力を高め
それが極まったところで正面から飛び込み敵を貫く

・セリフ
僕たち時計ウサギはアリスの案内をするのが役目だ
ゆかいな仲間たちと共に訪れたアリスを歓迎する
それだけでいいと思っていた……

でも、彼女(宿敵イラスト参照)はオウガたちに弄ばれ
夢を無くして諦めてしまった!

僕はもう二度とあの悲劇を繰り返さない!
その為に悲劇を受け入れず打破する意思を、運命を変える力を!

僕がキミ(アリス)を救う王子様になると誓ったんだ!
見せてやる、運命を変革する力を
これが僕の魂の一撃だーッ!!


フレミア・レイブラッド
可愛い子なのに残念ね…。あの子とも結構長い付き合いなのよね。悪いけど、食べさせるわけにはいかないわ。
そもそも、邪気があろうとなかろうと、他者を悪夢で苦しませ、絶望させる様な輩を放っておくわけにはいかないものね。

【ブラッディ・フォール】で「甘美なる堕落」の「プランターメーカー」の服装へ変化。
【足元がお留守よ♪】と【素敵なプランターにしてあげる♪】の黒い茎で動きを拘束。鎧を壊す魔法と【あなたは養分なのだから、そんな余計な物は外してね】の催眠効果のある花粉の舞で催眠に掛け武装解除し、トドメの石化魔法でプランターにしてあげるわ。

代わりに貴女が花々に食べられると良いわ…微睡みの中で眠りなさい。


佐伯・晶
えらく悪趣味なオウガだね
まあ趣味のいいオウガってあまりいないんだけど
リン君の扉を見つける為にも
さっさとご退場願おうか

頽唐の茉莉花は飛んでくる水晶の花弁の
時間を停めて防御
これは僕なりのオーラ防御だよ
必要ならリン君も庇うよ

こちらからはガトリングガンの牽制射撃や
使い魔の石化攻撃、もしくは他の猟兵の攻撃で
出来た隙を狙って魔法陣を当て
べリアの時を停める事を狙うよ

生きた彫像のようにして動きを停めて隙を作ろう
喋らなければ可憐で可愛いいんだけどね

その隙に他の猟兵に攻撃して貰ったり
凍結魔法で凍らせたりしようか

ここで何かわかってもわからなくても
旅立つリン君を励まそう
次の扉で記憶を取り戻す手掛りがあればいいんだけど



「えらく悪趣味なオウガだね。まあ趣味のいいオウガってあまりいないんだけど」
「可愛い子なのに残念ね……」
 ベリアを見つめ、溜息を漏らす晶とフレミア。
「失礼ね。ベリアは、アリスを頭から丸齧りするような野蛮なオウガと違って、美食家なのだわ?」
「その食の趣味は、理解出来ないわね。それに……」
 ベリアの怒ったような反論に、フレミアはその瞳を細め、鋭く睨みつける。
「あの子とも結構長い付き合いなのよね。悪いけど、食べさせるわけにはいかないわ」
「別にお前達の許可なんていらないのだわ!」
 灯籠をかざし、花弁を撒き散らすベリア。溢れる闇色が、津波となって押し寄せ……その前に立ちはだかった晶が、手を翳す。
「リン君の扉を見つける為にも、さっさとご退場願おうか」
 時間を凍結させ、見えない壁で阻むかの如く、花弁を押し留める。降り積もった無数の花弁……そしてそれを真っ向から打ち払うのはヘイヤの螺旋剣。
「リン君を……アリスを傷つけさせる訳にはいかない!」
 無骨なネジ回しの如きそれを片手に構え、鋭い突きで花弁を撃ち抜き吹き散らす。その突きに劣らぬ鋭い視線が、真っ直ぐにベリアを射抜く。
「僕たち時計ウサギはアリスの案内をするのが役目だ。ゆかいな仲間たちと共に訪れたアリスを歓迎する、それだけでいいと思っていた……」
 その顔に浮かぶのは、深い悔恨。
「でも、彼女は……オウガたちに弄ばれ、夢を無くして諦めてしまった!」
「そんな事ベリアに言われても知らないわ。でも、アリスの夢なんて、ベリア達オウガの食事に過ぎないのだわ!」
 そしてその悔恨を嘲笑うように、ベリアは花弁を溢れさせた。散らされるならば、散らしきれぬ程に。追い詰められた彼女は、全ての力を猟兵達に差し向ける。
「そのアリスの夢もっ! ベリアが味付けして、喰らいつくしてあげる!」
 もはや止めきれぬほどの量の、闇色の花津波。それが、猟兵達へ殺到し、リンごと全てを呑み込もうと――。
「おっと、それは困るなぁ」
「っ……!?」
 それを阻止するのは、晶のはなったガトリング。弾丸にその身を撃たれ、ベリアが花弁を放つ動きに乱れが生じた。
「僕はもう二度とあの悲劇を繰り返さない!」
 そしてその乱れに向けて、ヘイヤは真っ直ぐに突き進む。手にした螺旋に、輝きを、意志を。
「その為に悲劇を受け入れず打破する意思を、運命を変える力を!」
 力を宿す。押し寄せる心の闇を、真っ直ぐに貫く力を。
「僕がキミを救う王子様になると誓ったんだ……!」
 その言葉は、その決意は、リンに対して、いや、全てのアリスに対しての誓い。溢れる輝きは世界を照らし出す。
「そんな事、ベリアには関係ないのだわっ……勝手に誓ってれば良いのだわ!」
 全力を賭した花弁の壁を打ち破られて焦るベリアは、身を翻して逃げようとする。だがその動きがピタリと停止する。
「っ……!」
「そうそう、そっちの方が良いよ。喋らなければ可憐で可愛いんだしね」
 晶の神力によって時を止められたベリア。その静止は一瞬、だがそれで十分な――。
「見せてやる、運命を変革する力を! これが……僕の魂の一撃だーッ!!」
「っ……あああああああああああっ!?」
 渦を巻き、螺旋を描き、歪んだ未来を撃ち抜く希望の光。それはベリアの身体を真っ直ぐに撃ち抜いた――。

「っ……はっ……がっ……ぁっ……」
 光に呑まれ、吹き飛ばされたベリア。その身に大穴を穿たれながら、しかし彼女は這ってでも逃走を図る。
「許さないのだわ……猟兵……!」
 力を失い、怒りと屈辱を露わにしながらも、必死に逃げ続ける。
「猟兵達はベリアがさっきので死んだと思っているはず……いつか、やり返して、あのアリスを――」
「それは困るわね?」
 その、行く手を阻む黒い蔦。ベリアの身体に巻き付き、逃走を封じる。
「っ……や、何……!?」
「邪気があろうとなかろうと……他者を悪夢で苦しませ、絶望させる様な輩を放っておくわけにはいかないの」
 青いドレスに着替え、そこから力を引き出したフレミアが、這い蹲ったベリアの前に立つ。にこやかな微笑みは、しかし、酷薄に。
「う、うるさいのだわ、アリスも、お前達も、みんな、ベリアの食事……」
「そう、だったら」
 主の指示を受けた蔦は、ベリアへと根を張り始めた。養分を吸い上げられ、力を失っていくベリア。
「ひっ……!?」
「代わりに貴女が花々に食べられると良いわ……」
 アリスに恐怖を齎して来たその無邪気なオウガは――自らの身体を恐怖に歪めたまま、その身を石と化した。その石肌を、フレミアはそっと撫でて微笑む。
「微睡みの中で眠りなさい」
 二度と、覚める事のない、夢も見ない眠りへと。

「あ、ありがとうございました……」
 やはり、まだ悪夢の疲労が残っているのか、それとも何か思う事があるのか。いつもより曇り顔で猟兵達に礼を言うリン。
「大丈夫? 無理せずしばらく休んでも……」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
 晶の気遣いに、首を振る。確かに疲労は濃いし、休んだ方が良いのだろうが――あるいは、オウガが去ったとしてもこの世界にいたくはないのかもしれない。
「そっか。次の扉で記憶を取り戻す手掛りがあればいいんだけど」
「……そうですね」
 未だ、彼の記憶は戻っていない。だが……おそらくは戻りつつある。
 浮かんでは消える断片に翻弄されるように、何度も頭を振りながら、自らの足取りで次の国への扉へ向かうリン。

 ……おそらく、彼が『自分の扉』に辿り着く日は近い。扉の向こうに消えていくリンの姿を見ながら、猟兵達はそれを確信した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月05日
宿敵 『無邪気な冥水晶・ベリアドール』 を撃破!


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
#少年アリス・リン


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠マリアドール・シュシュです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト