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山盛りの楽にて海より深き絶望を越えて

#アックス&ウィザーズ #群竜大陸 #魂喰らいの森


●竜の住まう大陸へ
「まずはこれを見てくれ。大変に浪漫のある場所だと思わないかね?」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、グリモアを輝かせ、とある大陸を映し出した。
 天空に浮かぶ巨大な島の、自然そのものすら牙を剥く、千の竜が住まう場所――即ち『群竜大陸』と呼ばれる秘境中の秘境であった。
「流石は帝竜と呼ばれる者が住まうだけのことはある。だがこうも思わないかね。だからこそ血沸き肉躍る冒険が待ち受ける、と……」
 羽根ペンを思わせるグリモアが飛ぶと、それは映像の中のとある森を指していた。

「さぁ語ろうか。舞台は幻想と竜のロマンスに満ちた、アックス&ウィザーズ。君達には群竜大陸の足掛かりとなって貰いたい」

 猟兵達の活躍によって、アックス&ウィザーズのオブリビオン・フォーミュラと思われる、帝竜ヴァルギリオスの所在……即ち群竜大陸を発見した。
 侵攻の第一歩として、まずは『魂喰らいの森』と呼ばれる場所を攻略して欲しいと語りつつ。
 スフィーエは広大な森と、その入り口にある静かな広場を示しながら猟兵達に向けてこう言った。
「そこで君達には、入口で沢山食べ、沢山飲み、沢山遊んでいって欲しい……ま、宴という奴だが」
 魂喰らいの森は、そこに住まう動植物全てが侵入してきた者の魂を喰らうのだという。
 魂を喰らう……つまり意志を奪い、残った肉体を森の番人にしてしまうそうだ。
 だが纏わりつく魂喰らいの力は、強い幸福感などポジティブな感情を以て遠ざけることができるのだという。
「だから大事なことだ。目一杯楽しんで色々な英気を養って欲しい……羽目は外し過ぎないように釘は刺しておくがね」
 そう言ってスフィーエは一通りの料理器具や食材や調味料、酒などの飲み物や楽器などを用意し、それで飲食なり歌や踊りなどをし、楽しく過ごして欲しいと語った。

「然る後、森を作る核を切除して貰いたいのだが……森の番人、つまりオブリビオンが守っている」
 森の核とは、この魂喰らいの森を作る文字通りの核であり、それを切除すれば、この区画は消滅し新たな拠点が作れる。
 それを守る森の番人は複数の紅い目を持った大蜥蜴と、それを優に上回る――全長20メートルもある山らしき何かを背負った三つ首竜だ。
「注意して貰いたいのは彼らは森の番人……つまり、技の全てに君達の魂を喰らう力が宿っている」
 いずれも知性は無いが攻撃性は確か、しかも攻撃の全てに魂を喰らう力が在る為、それに抗うには、楽しい思い出を強く念じ奮起して欲しいと語る。

「大蜥蜴の方が最初に群れで襲い掛かってくるが……君達なら、そう苦戦はしないだろう。問題はこいつだ」
 スフィーエは鞘に納めたサーベルを指示棒代わりに、三つ首竜を示した。
 カルパディアと呼ばれる巨大なその竜が、体内に森の核を封印している――倒さなければ取り出すことも叶わないだろう。
 知性はないが、その巨体から繰り出される攻撃はいずれも強力無比――十分に気を付けて当たるようにと語った。

 一通りを語り終えたスフィーエは、思い出したようにそうそう、と猟兵達に声をかけた。
「あの核は、実はかなりの高級食材らしい。一般的な大きさで、金貨五百枚相当だ」
 グリモアが映し出す、不気味に脈打った球体は実は最高級の肉の味と、サボテン――オクラに近い――食感を持つという。
 悪戯っぽく笑いながら、余裕があったら回収してみると良いとも語りつつ。
「という訳だ、まあ、あまり難しく考えず……ちょっとした宴会がてらに行くと良い。では、送るから準備ができた者から声を掛けてくれたまえ」
 グリモアの輝きは、入口の広場へと通じる道を開いていくのだった。


裏山薬草
 どうも裏山薬草です。
 皆様は思い出すだけで楽しくなれる記憶とかありますか?

 今回は、群竜大陸に一歩踏み出し、森の一区画を潰して貰います。

 第一章は日常パート。
 森の入り口の広場で、思いのままに食べたり飲んだり、歌を歌ったり踊ったりするなど、兎に角楽しんでください。
 フラグメントで提示された行動に固執することなく、(公序良俗に反しない程度で)目一杯楽しんでください。
 この章では敵は出てこないので、警戒の必要はありません。

 第二章は集団戦。
 森の中に入り、森の番人であるオブリビオンと戦ってもらいます。
 この第二章、第三章共に、楽しい思い出(第一章で過ごしたこと以外でもOKです)を強く念じればプレイングボーナスです。

 第三章はボス戦。
 森の核を体内で守るオブリビオンとの戦いです。
 核はオブリビオンを倒さなければ絶対に摘出できないので、そうしたプレイングはトドメでない限り採用いたしかねます。悪しからず。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 日常 『魂の祝祭』

POW   :    大いに食べて飲んで、力の限り騒ぎ楽しむ

SPD   :    記憶に残る華麗な芸や踊り、話術などを披露する

WIZ   :    魂が力強くあれるよう、歌や祈りを捧げる

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フレミア・レイブラッド
【虜の軍勢】で雪花やエビルウィッチ等の眷属達、「メイド・オン・ザ・ウェーブ」と「メイド・ライク・ウェーブ」で眷属にした「万能派遣ヴィラン隊」(総勢多数)を召喚。
【魔城スカーレット】から食材やワイン(樽/年代物)も取り寄せ、ヴィラン隊のメイド達に【あらゆるニーズにお答えします】で料理をお願い。
雪花やエビルウィッチ等、他の眷属や可愛い子(絡みOKな他の猟兵の子)を可愛がったり絡んだりしながらお酒を傾けたり、料理を堪能したりと宴会を楽しもうかしら♪

後は…興が乗れば歌や踊り【歌唱、誘惑、ダンス、礼儀作法、威厳】を披露するのも悪くないかしら。
普段はあまり披露する事はないのだけど…特別にね♪



●On Stage
「わたしの可愛い僕達……さぁ、いらっしゃい♪」
 フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は、盟約を交わした眷属達と、己が住まいから食材やワインを取り出した。
 剣士や魔術師、果ては東方の妖も混じった百鬼夜行の如き中にいる、従順なメイドのような姿の眷属を手を叩き呼びつけると。
「――お呼びでしょうかお嬢様」
「そうね。料理をお願いするわ。わたしと、他の子達の分もね」
「かしこまりました」
 恭しく頭を下げるメイドは、その物量も生かしながらてきぱきと、熟達した手際を以て料理を作り上げ。
 とりわけ、このアックス&ウィザーズの野性的な風景に良く似合う、シンプルな肉料理を良く取り揃えていき――それを振る舞いながら、この地で宴会が始まる。
「……ふふっ」
 フレミアは眷属の一人の顎を戯れに擽り、愛撫するように目を細めながら、時にグラスに注がれたワインを飲み。
 心地よき宴の一時を火に照らされ、酒精の熱に浸っていると。
「お嬢様」
 眷属であるメイドの一人がふと声を掛けて、それに振り向くと。
「宴もたけなわ、一つ芸のようなものをされては如何かと」
「そうね……」
 殊更に可愛がる着物姿の少女からも、やってと強請る声が響けば、顎に手を宛て粛々と頭を下げるメイドに微笑みかけて。
「特別よ?」
 ――普段はあまり披露することはないんだけれど、今夜は特別。
 優雅な貴婦人のように、ドレスの裾を摘み、軽く広げながら一礼をすると。
 その可愛らしい唇がどこの国とも知れない、されど耳に心地よく、甘く響き渡る歌を紡ぎ、大気というものに甘い揺さぶりをかけて。
 戦の中で見せる捌きとはまた違った、軽快な足使いと、静かに伸びて、ゆらり、ゆらりと舞う動きは。
 野性的なこの宴の中に於いて尚、尊き婦人のように優雅で、美しく――脚を止め最後に頭を下げたフレミアに。
 彼女の眷属達は、心よりの拍手を送り、宴の賑わいを彩った主人を称えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
※ゼロ目線

(セツナは何をするでもなくにこにことゼロを見ている)
あのさあ…何してんの?
ん?オレを見てるだけで幸せ…?

ははははは
オマエのそーゆーところ

マジで訳わかんねぇし
幸せの定義低すぎ

素っ気なくふいっと顔を逸らして
セツナから遠ざかる

救世主ってのはかくも欲がないモンなのか
もー少し自分のこと考えてもいいじゃんよ
ぶつぶつ言いながら宴会場で振る舞われている生姜入り紅茶を飲み

お、これ美味しいな
美味しいしあったまる
アイツに持ってっちゃろ
ふひひ、アイツ、辛いの苦手だしビックリするかもなー

…んー、でもアイツにはちょっと辛すぎかな
蜂蜜を入れて味を整えて
…よし

セツナと同じ顔で
セツナと同じように幸せそうに笑って



●鏡の中の何とやら
 夜の帳も下り、灯と獣避けも兼ねた大きな火に照らされて。
 黒衣を纏いながら焼かれた肉を美味しそうに喰らう……噛み千切った肉より爆ぜる、欲を満たす味わいに顔を綻ばせ。
 それを見つめる鏡映しの姿に、僅かに眉間に皺を寄せながら彼は――ゼロは答えた。
「あのさあ……何してんの?」
「別に。君を見ているだけで幸せなのさ」
 セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は、半身のゼロに微笑み答えれば、当のゼロは肩を竦めた。
「……はは。オマエのそーゆーところ、マジで訳わかんねぇし。幸せの定義低すぎ」
「手軽で良いだろう?」
 どこまでも表情を――静かな微笑みを崩さない主人格に背を向けながら、ゼロは木のカップに注がれた紅茶を一口し考える。
 救世主って奴は、どうしてこうも欲がないのか――今こそ魂に肉体を与えられているが、元は同じ身体に宿る者。
 それでも違う魂、考えることも分からぬものだが……。
「もー少し自分のこと考えてもいいじゃんよ……おっ、これ美味いな」
 啜った紅茶の中の、生姜の香りと華やかな刺激に眉を動かし。
 飲み下せば、紅茶自身の温もりと生姜の薬効が血流を促し、この季節には有難い暖かみを齎す。
(そうだ、アイツ辛いの苦手だし……あーでも、ちょっと辛すぎか)
 少しだけ驚かしてやるぐらい、バチも当たるまい――しかし。
 新たなカップに注ぎ入れた紅茶の、生姜の刺激的な匂いに聊かなやり過ぎを感じたか、ゼロはその中に蜂蜜を流し込み。
 軽く匙で一つ掻き回すと、空を見上げていたセツナにそれを持っていき。
「なあ、これ飲まね?」
「くれるのかい? わざわざすまないね。ありがとうゼロ」
 木のカップに注がれたそれを――蜂蜜によって僅かに緩和した、生姜の刺激を伴った紅茶に、主人格は目を細め。
 別人格もまた、偶には揃いの蜂蜜を入れたお代わりを一口し――鏡合わせのように、同じ作りの同じような表情が、緩やかな時を過ごしていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「戦闘前に宴会っていうのも変わった依頼だね~」
瑠璃「話に聞いた性質上、仕方ないけどね。美味しいモノとか食べれるなら良いんじゃないかな」
緋瑪「甘い物とかあると良いな~」

甘い物好きな緋瑪がパンケーキ、辛い物好きな瑠璃が激辛メニュー(カレー、串焼き等。一見普通な超激辛罠メニュー。ただし、瑠璃自身は超激辛好きなので、自身では特に変なモノを作ってる自覚は無し)を作成。
他の猟兵の人達に振舞ったり、用意された料理や他の猟兵の人達が用意した料理を頂いたりしながら楽しむよ(瑠璃はマイデスソース掛けたり)

後はボムを花火仕様にして打ち上げたりとかちょっと余興に参加したりもしようかな



●空腹を宿した食欲の花火
 四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と、その半身の緋瑪は身体を二つに分けながら、上機嫌で料理を用意していた。
「戦闘前に宴会っていうのも変わった依頼だね~」
 ボウルに溶かれた薄黄色の生地を、熱せられたフライパンの上に広げながら、緋瑪は隣で調理をしている瑠璃に話しかけた。
「話に聞いた性質上、仕方ないけどね。美味しいモノとか食べれるなら良いんじゃないかな」
 鍋の中に赤赤と……熱と刺激に満ちた液体を、大層に良い笑顔で掻き回しながら瑠璃が答えた。
 緋瑪もそうだね、と静かに答えつつ。
「甘い物とかあると良いな~」
 フライ返しでひっくり返した円形の、丁度上を向いた美しい狐色とバニラ香に顔を綻ばせた緋瑪に、赤いスープの味見をしながら瑠璃が続けた。
「他の人たちも作ってるよ緋瑪」
「ところで瑠璃、それ、本当に食べるの……?」
「食べれるでしょ?」
 炭火の上、串に刺された肉をひっくり返す瑠璃に、緋瑪が僅かに顔を引きつらせる――見た目こそ普通に美味しそうであるが、超辛党の瑠璃のそれは、中身はとんでもなく辛い。
 他の猟兵が見た目に釣られ、交換で差し出してきた食物を受け取りながら、緋瑪はその猟兵を心の内で心配したりもし。
 当の瑠璃が上機嫌で、そこへ更に激辛のソースをふりかけ食べる姿を、緋瑪は諦めの入った目で、生クリームを大量に乗せたパンケーキを食し顔を綻ばせた。
 そこから宴の賑わい、誰か余興でもやらないかと、猟兵の誰かが問いかければ彼女達は爆弾を上空へ放り投げ。
「それじゃ、いくよ~♪ たーまやー!」
「かーぎやー……だったっけ」
 打ち上げた爆弾が、夜空を七色に彩り爆音の余韻は、どこか爆ぜた音の盛り上がりを、切なくも後に後に残すような静けさを残し。
 風が一つ硝煙の匂いを吹き飛ばせば、立ち込める匂いは料理の香しくも空腹を煽って行き――彼女達の食欲は、花火よりも尚強く弾けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【POW】(共闘/アドリブ可)
「群竜大陸で新年会だね」
フィオ姉ちゃんと一緒に「お節」を広げてパーティだよ
【行動】()内は技能
「やったー、フィオ姉ちゃん。大好き」
広げられた色とりどりのお節料理に目を輝かせて、ハンバーグやポテトを
美味しく食べちゃうね。
「玉子焼き発見。あ、フィオ姉ちゃんスイーツばっかり」
外でお節広げるなんて、ピクニックみたいで楽しいよね。
美味しいお節を食べ終わったら、銀月琴を取り出して(楽器演奏)だよ。
お腹いっぱい満足した気持ちを歌にするんだ(歌唱)
「今年もよろしくね、フィオ姉ちゃん♪」


フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【POW】(連携アドリブ可)
「この辺でいいかしら」
森の入り口で赤い絨毯を広げて、その上に持参した豪華絢爛な重箱を広げる
「今回はスペシャルお節三段重を持ってきたわ」
純和風ではなくフォルセティが好きなハンバーグやウインナーが
入った和洋中のグルメお節。さらにスイーツ三段重まで用意
「ちゃんと野菜も食べるのよ」
お肉ばかり食べるフォルセティに釘を刺しながら、スイーツお節のティラミスやモンブランに舌鼓をうつ
食後はフォルセティの歌をじっくり鑑賞して、楽しい時間を過ごす。
「こちらこそ、よろしくね。フォルセティ」



●新しき年の祝い
「この辺でいいかしら」
 赤く長い髪の――恐らくは姉だろうか。フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)は、目にも鮮やかな赤い絨毯を広げると、それを手で軽く伸ばしていき。
 口元に静かな笑みを浮かべながら、自賛した宴用の、見るからに期待というものを煽る大きな直方体を置く。
「群竜大陸で新年会だね。……ねぇ、それって」
 中央に置かれたそれを見て、緑色の髪の、一見女性にも見えるが弟の方であろう、フォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)が橙色の眼を輝かせた。
「今日のお弁当よ。今回はスペシャルお節三段重を持ってきたわ」
「わあ!」
 段々重ねにされた朱塗りを、一段、また一段と絨毯の上へと下ろしていけば。
 その段々の中にあるのは、典型的な……昆布巻きや酢蓮などを始めとする、純和風のお節料理のみに非ず。
 フォルセティが好む洋風な、ハンバーグやウィンナーなどが並べられた段もあれば、炒飯やエビチリなどを始めとする中華風の段もあり。
 ともすれば純和風だけでは息が詰まりそうな中、洋風と中華風の揃えは分かりやすい華やぎを与えてくれる。
「やったー、フィオ姉ちゃん。大好き」
 どれから食べるか迷う程に美味しそうに見えるがまずは。
 大きなハンバーグに一つ、フォークを突き立て、それを一気に口に頬張れば――ああ、何と美味しいんだろう。
 口いっぱいに、幸せな肉の濃厚な合挽のエキスが幸せとなって広がる様な……肉の旨味に顔を綻ばせていると。
「ちゃんと野菜も食べるのよ」
「食べてるよ?」
 やや尖ったような――それでいて、言葉の裏の穏やかさを隠しきれぬフィオリナの指摘に、陽気に笑いながら細いフライドポテトを掲げ。
「ブロッコリーとか、ミニトマトとかも」
 それを野菜と言い張るフォルセティに、しょうがない、とでも言うような、やや困ったような笑みと共に洋風の段に添えられた緑と赤を指し。
 渋々、と言った風に目の前の赤へどこかあてつけるように、ミニトマトを口に運ぶとそれを噛み潰す。
 思いの外、嫌な青臭みもなくトマトの爽やかな香と甘みが広がり、口の油気を切りつつ……姉が口に運ぶものを見やれば。
「フィオ姉ちゃんはスイーツばっかり」
「……良いでしょ、別に」
「あ、玉子焼き発見!」
 ティラミスやモンブラン、ゴマ団子や栗きんとんなど、甘い物ばかりを口に運ぶ姉にからかうように言って見せて。
 やや突き放すように、ティラミスをスプーンで削るフィオリナもそこそこに、フォルセティは元気に玉子焼きを運んでいき。
 姉と弟の食事は、時に他の猟兵とおかずを交換しながらも過ぎていき――やがて空っぽになった重箱の前で。
「あ~、美味しかった!」
「ちゃんと野菜も食べたわね」
「へへー」
 自慢げに笑うフォルセティの手には、何処か不思議な形状のハープが握られていて。
 これから始まるのは、食後の演奏会のようであった。
「それじゃ、行くよ。今日のお歌は……『美味しかったおせち』」
 弦が一つ弾かれ大気を入れ替えるような心地よき振動が場を満たす。
 月下の輝きの中、不思議な存在感を放つ琴の音色に乗せてフォルセティが紡ぐ歌詞は。
 ハンバーグの食べ応えが最高だった。炒飯が冷めてもパラパラで美味しかった。
「……♪」
 聞けば何それ、と笑ってしまいそうな――それでも。
 この穏やかな演奏と楽しい歌の声色は、食後に嗜む紅茶やコーヒー……成人すれば食後酒にも例えられるのだろうか。
 聞く者を穏やかにさせ、くつろいだ気分にさせてくれる――だが過ぎ去る時間は余りにも早く、妙なるハープの演奏は停まり、紡がれた歌もまた終わる。
「今年もよろしくね、フィオ姉ちゃん♪」
 ――名残惜しさの悲しみは、満面の笑顔で挨拶をする弟の笑みの、その愛おしさに消えて。
「こちらこそ、よろしくね。フォルセティ」
 姉は込み上げる何かを理性を以て抑えながら、穏やかな微笑みで返すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『棘蜥蜴』

POW   :    集団遊猟
技能名「【追跡】【地形の利用】【トンネル掘り】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    探知器官
技能名「【暗視】【見切り】【失せ物探し】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    鱗色変化
技能名「【目立たない】【忍び足】【迷彩】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。

イラスト:ヤマトイヌル

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●いざ竜を探しに
 そして夜が明ける――夕べは御愉しみとは何とやら。
 過ごし方に細かな違いはあれど、皆、思い思いに宴の一時を過ごした猟兵達は、魂喰らいの森へと一歩を踏み入れた。
 見た目は本当に、人の手が入っていないただの森に過ぎない――木々と現地の植物が生い茂るだけの、自然な森。
 陽の光と空気を適度に通す為に、木々はそう邪魔にはならないのが良いが――猟兵達は感じる。
 木々はおろか、周囲に生える種類も何も分からない草花ですら、猟兵達に耐え難い寒気のような、嫌な圧迫感を与える。
 それこそが魂喰らいの空気なのだろう――気を引き締める猟兵達の前に、赤々とした輝きが見える。
 木々の合間や、地面から湧き上がるように現れ出でたのは、体に棘を生やした大蜥蜴だった。
 鱗の色を変え周囲の光景に溶け込み、優れた感覚器を以て獲物を見つけ、見た目以上に俊敏にして地面を軽々と掘り進む爪を持つ彼らは、この森の中で地の利を確実に持っているだろう。
 しかし、ここで退いては群竜大陸の足掛かりは得られない。
 魂を持っていかれそうな寒気と圧迫感に、心奮い立たす記憶を胸に、猟兵達は大蜥蜴へ立ち向かっていくのだった。
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(アドリブ・共闘可)
「ぎゃー、見るからに痛そうな敵だよ」
森の雰囲気も嫌な感じだよね。フィオ姉ちゃんと一緒に棘蜥蜴を撃退するよ
【行動】()内は技能
「アレだよね。ボクに任せてよー」
(先制攻撃)でラビリント・ネプトゥノだね。氷の迷宮で覆うことで
壁や天井に張り付こうなら一瞬で凍ってしまうし、出口で待ち伏せすれば
不意打ちを軽減できると思うよ
「氷の槍で串刺しにしちゃうよ」
フィオ姉ちゃんのUCを援護するため(全力魔法)でロンギヌスの槍を放つよ。
(槍投げ×スナイパー)で狙いは外さないからね
動ける範囲が狭いので、棘蜥蜴の攻撃は(見切り)と後ろに(ジャンプ)で躱していくんだ


フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/連携可)
■作戦
氷の迷宮で周囲を覆って棘蜥蜴の技能を制限つつ範囲攻撃で一網打尽にする
■行動
「隠密技能を強化されて襲われると厄介ね」
魂喰らいの森自体が迷彩になっている状況は不利。だったらこちらで環境を変えた方がいいわね
「フォルセティ、アレをお願い」
弟のUCで出来た氷の迷宮の出口で待ち構え、[第六感]や[野生の感][暗視]など総動員で
棘蜥蜴の気配を察することに集中
「見つけたわよ。そこね」
気配を感じたら[範囲攻撃×全力魔法]で【フィンブルの冬】を発動
通路全体を巻き込むことで棘蜥蜴が隠れていても問答無用で氷雪の竜巻に
巻き込んでダメージを与える



●ラビュリントス
 体高は人の腰程度だろうか、だが身体の全長でいえば2メートルにもなるだろう。
 何よりも太く頑強なこの腕に、何より印象的な首周りに敷き詰められた棘。
「ぎゃー! 見るからに痛そうな敵だよ……」
 フォルセティが迫りくる大蜥蜴を見て洩らした感想は、決して間違いではないだろう。
 一体でも威圧感に満ちた大蜥蜴が、群れを成して襲ってくるとあらば猶更に。
「……周りに溶け込まれて襲われると厄介ね」
 肉弾戦で直接戦っても相応の相手であろうが、彼らの厄介なところはそれだけではない。
 大きく裂けて牙の立ち並ぶ口より幾度となく、火を噴くように舌を出し入れしながら、その緑色の鱗が僅かにくすんだかと思えば、次第に森の光景へその身を溶け込ませていく。
 フィオリナはハッと何かに気付いたように、隣のフォルセティに声を掛けた。
「フォルセティ、アレをお願い」
「アレだよね。ボクに任せてよー」
 ただでさえ、森の環境自体が迷彩となり得るならば、少しでも使わせない。
 頷く弟の声は何と頼もしきことか――強大な魔力が秘められた箒を掲げ、件の弟は示された“ソレ”を作り上げる。
「凍結を抱きし冷雪の英霊よ。彼の者に封縛の柩を捧げよ」
 地面より隆起する青白い壁によって構成されるのは、戦場を覆い尽す迷宮。
 否、それだけではない――入り組んだ迷宮の中の、視界という迷宮の中で頼れるモノすら覆い隠す、薄靄という名の絶望。
 突如として入り組んだ壁に満たされ、視界をも封じられた大蜥蜴達も、そのまま諦める訳ではなく。
 生来蜥蜴というものが備える体温の高い感知能力なり、その大蜥蜴が得意とする穴掘りの力を以て強引に破ろうとしても。
 戦場に敷き詰められた迷路を構成する壁は、絶対零度の氷壁――熱を探る爬虫類の器官は一切の役を為さず。
 触れる者全てを凍てつかせる氷の迷宮の壁は、爪が触れた瞬間に哀れな大蜥蜴の身体を一瞬で白く染め、氷塵と変えていく。
「どう?」
「上等よ。出口は?」
「あっちだよ」
 フォルセティの為した仕事に、勝気な笑みを口元に浮かべながらフィオリナが称え。
 彼らは迷宮の出口に足を進め、其処で待ち構える――あの調子を見て、壁を突破しようと考える蜥蜴はいないだろう。
 ならば地道に出口で待ち構えれば必ず来る――溶け込まれようと、居場所が確実に分かれば無きも同じ。
「見つけたわよ。そこね……氷の檻に閉じ込めてあげる」
 ――その狙いはどこまでも正しくて。
 必死にて迷宮の出口を求めて彷徨ってきた大蜥蜴の気配、その僅かな空気の揺らぎなり足音なりを、フィオリナは一切見逃さず。
 家に代々伝わるという、守護天使の力が秘められた杖を一つ輝かせれば、フィオリナはその身体に白銀のドレスを纏う。
「氷結へ導け、黄昏の吹雪よ!」
 魔力の余波が吹雪を生み出し、白銀の裾を瞬かせる姿は杖に秘められた力の天使の如く。
 掲げた杖より吹雪く凄まじい風の勢いは、大蜥蜴達をその勢いだけで吹き飛ばし絶対零度の壁に叩きつけ。
 その風に乗せた冬の終焉を齎す氷雪は、一瞬の内に大蜥蜴を動かす生命の熱を奪い去り。
 青白い迷宮に溶け込んでいた筈の大蜥蜴を、より冷たい白銀へ染め上げていく。
「氷の槍で串刺しにしちゃうよ」
 通路を通り越え、最早その勢いは迷宮の全てを埋め尽くさんほどに荒ぶ風に、更に乗せるように。
 フォルセティが放つのは神をも滅する光の槍。
 神々の黄昏をも齎す、激しい猛吹雪に乗り、姉との連携にて効力を発揮する光の槍は、何処までも。
 何処までも正確に――白銀に染め上げられた大蜥蜴を貫き、その身を完全に砕き散らしていき。
「一気に片付けるわ!」
 その様子に負けてられないと、フィオリナは命を削ることも厭わずに、秘められた魔力を容赦なく解き放ち。
 天使の翼の如くドレスを靡かせ、荒ぶる氷雪の嵐は、砕け散った大蜥蜴をも飲み、嵐の中の糧としながら、迷宮に潜む蜥蜴を蹂躙していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
面倒な蜥蜴ね…その優位性、剥ぎ取ってあげる

【ブラッド・オブリビオン】で「荒野に飛来する氷鳥達」の「氷雪の鷲獅子」を召喚して【騎乗】し、空中へ。
鷲獅子に周囲一帯を【極寒の風】や【凍てつく息吹】で凍結させ、更に自身の【サイコキネシス】と【念動力】を周囲の空間に展開し、敵が空間内に入った瞬間に念で察知し、そのまま【サイコキネシス】と【念動力】で拘束。
鷲獅子による追撃の【凍てつく息吹】や氷と雷撃の魔力弾【属性攻撃、高速詠唱、誘導弾】で凍結・感電させて仕留めて行くわ


地面を掘れたり、奇襲が得意といっても凍りついた地面で同じ事ができるかしら?しかも蜥蜴は体温調節機能を持たない…貴方達に既に地の利は無いわ



●チノリ
 森という戦場そのものが、元来の大蜥蜴自体に有利な環境であるにも関わらず。
 変色竜(カメレオン)さながらに鱗の色を変え、歩みの音を消し去るこの特質は、実に厄介というものだった。
「面倒な蜥蜴ね……でも、その優位……剥ぎ取ってあげる」
 唇を吊り上げ、吸血姫フレミアは姿を見せぬ狩猟者の気配に動ずることもなく、己が戦いの記憶を――いつしか捕らえた血の記憶を辿り。
「血の隷属を用いて命ずる……フレミア・レイブラッドの名の下に、嘗ての力を以て骸の海より戻り、わたしに力を貸しなさい」
 ――傍に顕現させるは、過去に打ち倒した亡霊。
 この幻想と竜の世界に存在する、竜にも比肩する幻獣……氷の力を操る、鷲頭と翼を持った獅子の霊を傍に呼び。
「この辺りを凍らせて頂戴」
 その背に跨り、空へ……寸での所で、大蜥蜴の爪を躱しつつ上空へ飛び。
 主の命に頷いた幻獣は、その翼をはためかせ周囲の熱量を強制的に吹き飛ばし、周囲の地面を凍結せしめるほどの風を齎した。
 同時に、鷲頭の嘴を開けば、氷竜の吐息に勝るとも劣らぬ極寒の風が荒び、大蜥蜴の踏みしめる地を白に染め上げていく。
「穴掘りや奇襲が得意なようだけど……こうなって同じことが出来るかしら? ましてあなた達は変温動物……地の利は既に無いわ」
 フレミアの指摘通り、この凍てついた地面と樹木の前では……増して、念力の網が隙間なく巡らされている。
 体温を一定に保てない蜥蜴がただでさえ体温を奪われる中、動けば念力の網がその存在をフレミアに伝え。
 蜘蛛の糸のように、巡らせた念力は大蜥蜴達の巨躯をあっという間に絡め取り動きを封じ込め。
「どっちが狩る側か……教えてあげる」
 口角を吊り上げ、フレミアの周囲に浮かぶ高圧電流の光球が流星雨の如く、捕らわれた大蜥蜴に降り注ぎ。
 それに伴い従者の幻獣が激しい冷気を撃ち放てば、極低温の齎す超電導が大蜥蜴の身体を完膚なきまでに砕き散らすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
…ふむ
ゼロのおかげで心も体も温まったというのに…
無粋なことをするね
少しだけ不機嫌そうに鼻を鳴らすと
自身の周囲に灯火を這わせ

私の目は誤魔化せても炎の揺らめきを誤魔化すことはできないよ
不自然な動きを見せる炎の方角から敵が来るだろうことを推測
後退りながら其方の方向に灯火を放ち迎撃をしようか

一度見つけた敵は見逃さないよ
小さな灯火を纏わせ続けそれを目印としよう

攻撃を受け、魂を喰われてしまいそうになった場合も
苦しげな様子は見せず不適に笑い

先程のひととき
「強い」幸福感とは言い難いかもしれないが
私にとってはかけがえのない尊い時間だったのだよ
この程度の攻撃で私が絶望するなんて楽観は許されないよ


四季乃・瑠璃
緋瑪「大蜥蜴って美味しいのかな?」
瑠璃「爬虫類は雑菌持ってるのも多いって聞くし、どちらにせよ食べない方が良いんじゃないかな」

【破壊の姫君】で分身
二人で飛行し、緋瑪が【範囲攻撃、鎧砕き、鎧無視、早業】接触式ボムで地面や障害物に隠れてる敵を諸共吹き飛ばす様に空爆して爆破。
同じく飛行した瑠璃が【範囲攻撃、属性攻撃】焼夷式ボムで周辺一帯を焼き尽くす様に投下して森ごと蜥蜴達の群れを劫火で包むよ。
後は迎撃等で姿を現した敵から順に爆破して始末していくよ。

緋瑪「どうせここの動植物全てが敵みたいなモノだし、派手にやっても良いよね♪」
瑠璃「見つからないなら炙り出せば良い。どうせ人里まで影響及ばないしね」



●違う体に宿った一つの魂
 木々の騒めきの音、枝葉を通る風の擦れる音――その全てが、何処か不快に聞く者の魂を冷めさせる。
 嘲笑うかのように大きく裂けた口端を吊り上げて、猟兵を取り囲む大蜥蜴達は、その鱗を変えて、唯でさえ保護色となるこの森の中に溶け込む。
「……ふむ」
 姿は全く見えなくなったというのに、威圧感は容赦なく襲い来る。
 見えない空気の壁が心臓を絶え間なく押してくるかのような、微妙な不快感に顔を顰めながらセツナは溜息を一つ。
「ゼロのおかげで心も体も温まったというのに……無粋なことをするね」
 一つ、二つ……黒衣を照らすように灯すは、原初の生誕を祝う炎。
 彼を中心とし、太陽の如く広がる灯火は示す――目を誤魔化したとて、炎の揺らぎは決して欺けぬ。故に。
「そこにいるよ、やってくれ」
「行くよ、緋瑪」
「行こう、瑠璃!」
 己と同じように、体に複数の魂を宿していた少女が、改めてもう一つの魂を受肉させ。
 魔導の力を持った、機械めいた翼を広げながら空中で待機していた瑠璃と緋瑪に合図をすれば。
 緋瑪が空中から、正に空爆と言わんばかりにばら撒かれた爆弾が、次々と指し示された場所に襲い掛かる。
 纏めて薙ぎ払うつもりであっても、無駄は避けたい――セツナの指示もあり、爆破の威力をより集中できた結果、大蜥蜴は見事に爆炎の中に命を終わらせていく。
「大蜥蜴って美味しいのかな?」
「ふむ。美味しいとは聞いてるけれど」
「爬虫類は雑菌持ってるのも多いって聞くし、どちらにせよ食べない方が良いんじゃないかな」
 大蜥蜴の肉が焼ける匂いに、ふと緋瑪が疑問を呈すればセツナが答える。
 あの見た目に反して柔らかく美味な肉質とは噂されているが、瑠璃はやや警戒した様子で。
 しかしそんな談笑も許さぬ程に、森と未だ残る蜥蜴の気配は彼らの魂に嫌な寒気めいたものを刻む。
「……私が絶望するなんて楽観は許されないよ。『強く』は無かったかもしれないが、あの時間は」
 蜥蜴達は一旦に距離を取ったか、セツナの灯した炎の揺らぎも、蜥蜴達は巧みに避けている。
 その間も、森の騒めきや草の匂いなどすらも、容赦なく場に立つ多重人格者達の魂を蝕み始める、が。
 セツナは思い返す――半身のゼロと過ごした時間と、匙一つの蜂蜜の優しさを。
「私にとっては、かけがえのない、尊い時間だったのだよ」
「……分かるよ」
「そうだね、でも」
 身体に宿る魂――自分自身にして、自分でないけど、それでも大切な者との一時。
 多重人格なる身なる少女達にも、それは分かるのか、思い返す一時はどこまでも温かく、森の騒めきが導く魂を奪う声を遮断する。
 瑠璃のセツナへの同意の声に、更に緋瑪が言葉を続けて。
「どうせここの動植物全てが敵みたいなモノだし、派手にやっても良いよね♪」
「見つからないなら炙り出せば良い。どうせ人里まで影響及ばないしね」
 二つに分かれた二つの魂といえど、その意志が向かう先は同じ――!
 “二人”で一斉にその手に、爆弾を構える殺人姫達の姿に聖者は一つ笑みを浮かべると。
「その通り。さぁ、私達で明かりを灯そう――!」
 殺しの姫の、主人格が投げ放った爆弾――焼夷弾と分類されるそれが、魂を喰らう悪しき草木を薙ぎ払うように、その炎を盛らせて。
 激しい熱とその勢いに煽られ、炎に照らされ迷彩を無とされた大蜥蜴達が存在を露わにされれば。
 別人格の方が、その手に持った炸裂弾を大盤振る舞い、と言わんばかりに次々と投げつけていき。
 その爆弾が内に秘められた熱を解放するのと同時――セツナが広げていた、生誕を祝う灯火が踊り。
 鬱蒼とした魂喰らいを焼き尽し、あの楽しみの一時の再来を齎すような業火を登らせながら、祝福の花火のごと炸裂弾が爆ぜて。
 草木に溶け込み、魂を狙っていた大蜥蜴達は、綺麗に焼き尽くされてゆくのだった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『山龍』カルパディア』

POW   :    踏み込み
単純で重い【体重を活かした強烈な踏み込み】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    咆哮
【三つの口】から【広範囲に大音量の咆哮】を放ち、【その衝撃波】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    火炎放射
【三つの首から、広範囲に超高温の炎を吐く事】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
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●偉大なる山の龍
 魂喰らいの森の尖兵を、難なく打倒した猟兵達の前で、一つの“山”が動いた。
 いや、正確にいえば山ではない――山の如き何かを背負った、三つ首の巨大な竜であった。
 亀の甲羅の如く背負った山は、数多の森の木々が生い茂り、その動きの一つ一つが、まるで森そのものが竜と化したが如き存在。
 それこそは、アックス&ウィザーズのこの世界に於ける幻想種、竜の中でも上位に属する存在――或る者は山龍とも称する、カルパディアなる竜であった。
 魂喰らいの森の主であるこの竜は、今でこそ知性は無きものの、その巨体を活かした攻撃は強力無比。しかも三つの首より吐かれる炎は、万物をも焼き尽くし、その雄叫びは超金属すら打ち砕くだろう。
 それほどの強力な攻撃に加え、森の力――魂を喰らい人の喜びを奪う森の悪しき加護をも宿しているとあらば、正に強敵。
 しかし猟兵達に、この圧倒的な強敵を前に屈する心は持ち合わせていないだろう――
 今こそ群竜大陸の拠点を一つ得る為に、魂喰らいの森の化身が如き竜を、打ち倒す時が来た!!
フレミア・レイブラッド
大きさはそれだけで強力な武器になるわ。でも、大きいだけが強さじゃない。
それを教えてあげる

【ブラッディ・フォール】で「ドラゴン迎撃戦」の「『黒輪竜』メランシオン」の力を使用(メランシオンの角や肩翼、装飾や尻尾等が付いた姿に変化)。
空中に飛び出し、敢えて敵目前で瞑想したりお茶する等しつつ【緩やかに死に逝け、定命の者たちよ】を発動。
敵を呪詛で侵食して弱らせたのを見て取ったら【我が黒輪に刃向かう愚か者が!】で敵の攻撃力とUCを封じて更に弱体。
【消え失せろ、愚物共!】で背中の山ごと殲滅するわ

巨体が時に弱点になる事もあるって事ね。その大きさでは攻撃を回避する事も難しいし、広範囲攻撃の影響も大きいでしょう?



●竜の戦
 踏み出す一歩一歩が、戦場の全てを強く揺さぶる――それだけの巨躯が、直接当たればどうなるか。
 竜の踏み込みを、警戒にバックステップで躱しながらフレミアは呟いた。
「大きさは確かに強力な武器だけど」
 続いて放たれる三つ首からの強烈な火炎放射――竜種の基本的な攻撃なれど、巨体と三つ首は強大な武器にそれを変える。
 それすらも森の中に吹き抜ける薫風のように、しなやかに躱しながら。
「でも、大きいだけが強さじゃない。それを教えてあげる!」
 フレミアは、その槍を地面に強く打ち付けながら跳躍すると、胸の間より黒い靄のようなものを噴き出させた。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 黒き靄は過去の戦いの記憶、その身に降ろすは記憶の力。
 竜を倒すには竜の力を以て――鎧めいた装甲を纏い、周囲に黒き輪を浮かべた幻想の竜の力を身に宿し。
「ふぅぅ……少しは落ち着いたらどうかしら?」
 黒輪を翼のように周囲に広げながら、三つ首の前に優雅に飛来せしフレミアは、どこからか取り出した紅茶を嗜み始める。
 険しい戦場にはそぐわぬ様相に、竜はどこか怒りを覚えたように吠えると三つ首より全てを焼き尽くす業火を放つ。
 一切の回避のための行動に移らぬフレミアは、その炎に呑まれ灰と化す――と思われたが。
 浮かべた黒輪はその炎を遮り、逆に呪いに依って身体を蝕む雨を降らせ、竜の巨躯を苛めて。
 呪詛に蝕まれ弱った竜へ、更にフレミアは優雅に吹き付けるように黒い霧のような吐息を浴びせ。
 吐息の呪詛と嗾けた黒輪が磁力のように、黒砂を呼び寄せ竜の身体を埋もれさせていく。
「最大の武器は最大の弱点でもあるわ。その巨体……避けることも難しければ、影響も大きいでしょう?」
 尤も避けさせるつもりは最初からないけれど――天空に堕天使の輪が如く浮かべた黒き輪より。
 破壊を齎す豪雨の如き魔力の矢が、山龍の身体を穿ち崩していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「こういう巨大な敵はわたし達の得意分野だね、瑠璃!」
瑠璃「油断はできないけど…倒し甲斐はありそうだね、緋瑪」

「「さぁ、私達の破壊を始めよう」」

【破壊の姫君】で分身

敵の踏み込みを受けない様二人で飛行。
更に瑠璃が風の魔術【属性攻撃、高速詠唱】で二人の周囲に風の防御壁を展開。
咆哮と火炎の対策を打ちつつ、敵の周囲を高速飛行し、攻撃避けつつ接触式ボム【範囲攻撃、鎧砕き、鎧無視、蹂躙、早業】で首や腕、足の関節部、顔面、口内等の防御力が比較的低そう・効果の高そうな部位を狙い次々と爆破。
更に隙を見て二人の魔力を集束させた【力溜め、限界突破、蹂躙、範囲攻撃】ジェノサイド・ノヴァでその首、吹き飛ばしてあげるよ



●殺しの技術
 身体を幾つも穿たれた竜が怒りのままに地面を踏みしめた。
 地響きが森の地面をそのまま裂け目とし、木々を薙ぎ倒す衝撃を二つ身に分かれた瑠璃と緋瑪は、飛翔しながら躱した。
「こういう巨大な敵はわたし達の得意分野だね、瑠璃!」
「油断はできないけど……倒し甲斐はありそうだね、緋瑪」
「「さぁ、私達の破壊を始めよう」」
 二つ身に分かれた彼女達がその背に背負っているのは、魔導と機械の混成方式(ハイブリッド)の翼。
 機械の翼を以て重力を制し、空に流れるように飛びながら竜の地響きを躱し。
 三つ首の竜が、森の全域を振るわすほどの咆哮を挙げながら、森の全てを焼き払う勢いの火炎の流れが解き放たれても。
「確かに当たれば強そうだけど」
「当てさせないから、全然問題ないね!」
 張り巡らせた瑠璃からの風の障壁が、咆哮の揺さぶりと火炎の流れを優雅に受け流しつつ。
 緋瑪のばら撒く爆弾はその巨体を――そう、それは綿密に計算された大建造物の発破作業の如く。
 首や腕、その関節……炎を吐かんと開かれた口や、その顔面……普通の生物であっても紛れもない急所なれば。
 それだけの巨体は、寧ろ弱点が分かりやすく当てやすいから狙ってくださいと言われているようなものだ。
 反撃として巨体が振るわれ、彼女達を薙ぎ払おうとしても、蝶の如く舞う彼女らを捕えることは敵わず。
 ばら撒かれた爆弾は、的確に巨体であっても弱点となり得る脆い場所に爆ぜ、確かな衝撃を叩き込んでいく。
「知性が無いって言ってたけど、あったらどうなってたかな?」
「だとしても弱点は変わらないと思うよ」
 補う手立ては使ってきたかもしれないが、弱点そのものが変わるわけではない。
 緋瑪の疑問に瑠璃が答えながら、変わらずに戦うよ、と言外に答えて二人は体に流れる全ての魔力を爆弾に籠めて。
 よろめく竜が首の一つを振り上げたその時に、投げ放たれた殲滅の輝きが、三つ首の一つを落すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
実を言うとね?
私はあなたにそこまでの嫌悪感は抱いていないのだよ
生きる為に喰うのは当然だもの
あなた方も――我々も、ね?

おいでゼロ、共に歩もう
ゼロと死角を補い合い、攻撃を見切りつつ反撃の機を待つ

属性魔法で炎を生み出し渦を発生
気流を作り竜付近の空気を薄くする
敵の動きが鈍くなってきたら
風(酸素)を竜の元に届けよう
空気が薄くなっていたところに新鮮な空気が補給されたら
きっと大きく吸い込むだろうからねえ

それが神経毒をたっぷり含ませた空気であろうとも

きみのコアはとても美味だとフィエさんから聞いたよ
ふふふ、傷をつけないように取り出さないとねえ

…食が絡むとオマエ怖いよな
と別人格の声が聞こえたとか聞こえなかったとか



●原始の欲求
 首の一つを失い、激情に駆られた竜は新たに現れた黒衣を見て、威嚇するように吠えるとその牙を向けた。
 影を一つ残すようにそれを横へと躱したセツナは、竜の踏みつけを紙一重で摺り抜けながら語る。
「実を言うとね? 私はあなたにそこまでの嫌悪感は抱いていないのだよ。生きる為に喰うのは当然だもの」
 彼が語るように、竜の咆哮には傷をつけられた怒りや、森を守り弱者を喰らう獣じみた攻撃性はあっても――オブリビオンとしての憎悪を除けば、そうした感情も見られない。
「あなた方も――我々も、ね? おいでゼロ、共に歩もう」
「自然なんて食って喰われてだしな」
 ――内に眠るもう一つの魂たるゼロは、また一つの真理を語りながら受肉して。
 竜の踏みつけを分かれるように跳び、躱しつつ。
 二つの首がそれぞれに向かおうと、セツナとゼロは交錯するように跳び、誘導された二つの首がぶつかり合い、竜の眼に火花を散らす。
 その間にセツナは黒衣を翻しながら風を紡ぎ、重ね合わせるようにゼロから炎が放たれれば。
 渦巻く炎が竜を取り囲む酸素を次々と焼き払う――竜の体躯を保つには不足と言える量にまで。
 森の木々の供給も追いつかず、酸素を取り込もうと息を荒げた竜にセツナは救いを与えるように酸素を与えるも。
 竜の吸い込んだ酸素の中には、その巨体を縛るに十分な神経毒が含まれ、竜の巨体は轟音を立てながら伏していく。
「えげつねぇ……」
 そんなゼロの呟きとは裏腹に、セツナは大鎌を取り出し、文字通り山の如き体躯の竜に近寄る。
 その顔は非常に良いものに満ち溢れた笑顔であるが、語るその言葉といえば。
「きみのコアはとても美味だと聞いたよ。ふふふ、傷をつけないように取り出さないとねえ」
 煌めく鎌の刃は動けぬ竜に、声なき雄叫びを挙げさせて。
 竜の身体が採掘場ならば、振るう大鎌は突き進む鶴嘴の如く。
 主人格の様相を見ながら、ゼロは一つ呟いた。
「……食が絡むとオマエ怖いよな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
出遅れてしまったが……まだ、仕事が残っていたようで何よりだ。
とは言え、大分、痛めつけられたようだね。
魂なき存在とは言え弄る趣味はない。消えたまえ。

空中(空中浮遊×念動力)より最大出力(範囲攻撃×全力魔法)の『アララトの流星』を放ちます。

※楽しい思い出
この男は基本的に楽しい事しかしてないし、今現在も楽しんで生きているのでまあ

※核について
流石に最後に出てきて持って行くつもりはないようです。



●泰然自若
 山龍の雄叫びがまた一つ響いたかと思えば、その残響を後から盛大に掻き消すように、竜はその巨大なる足を地面に打ち付けた。
 圧倒的、という言葉すら陳腐にも聞こえる文字通りの山の如き巨躯からなる踏みつけは、容易く木々を舞い上げる。
「出遅れてしまったが……まだ、仕事が残っていたようで何よりだ」
 舞い上がる木々と地面の礫の間を、浮石を駆け巡るが如く、全身に赤い光の奔流を纏いながら現れたシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は、知性を無くしても激情は喪わない竜の怒りを平然と受け流していた。
 地響きの持つ足場を崩す力と、魂喰らいの番人が持ち合わせる魂を削る圧迫感も、この男の前には意味を為さない。
 何故ならば、この男シーザーの……その行動の全ては“楽しむ為”に集約されているのだから。
 この凄まじい地響きも、当たれば紙切れとならん巨躯の踏みつけを、念力で自らの身体を操り空を舞いながら優雅に躱す様も。
 全て楽しいと思えるから行える――魂を喰らう瘴気の、微かな圧迫感すらもスパイスに他ならぬ。
「とは言え、大分、痛めつけられたようだね」
 三つ首の一つは落とされ、身体にも無数の裂傷や熱傷が刻まれている。
 それでも油断ならぬ攻撃性と、一撃喰らえば重傷は免れない竜の巨体からの一撃を余裕を持って躱しながら、シーザーは竜の体内に隠し持つであろう何かをふと思う。
「興味がない訳ではないが……」
 森の核とやらは、至上の美味で希少価値も高い品とは聞いたが。
 この物語のクライマックスにのみ現れた以上、それは他の猟兵に譲ろう――二首となった竜の噛み付きを躱しつつ。
「ただ、別の美味しい部分は頂くがね」
 空中で後方に自らの身を回転させて下がりつつ、シーザーは掌を向けた。
「魂なき存在とは言え弄る趣味はない。消えたまえ」
 悠然と掌より放たれたシーザーの、膨大な破壊力を持った光の弾は二首となった竜を終には一つ首へ変えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(アドリブ・共闘可)
「えー、何あれ。山がドラゴンになったの?」
びっくりしたけどフィオ姉ちゃんと一緒に『山龍』カルパディアを討滅するよ
【行動】()内は技能
「厄介な三つ首の動きを制限するよ」
カルパディアの首あたりを狙って(先制攻撃)でバーラ・スーペルノーバだね
その後すぐに後方に(ダッシュ)してカルパディアと距離をとるよ
フィオ姉ちゃんが戦っている間に聖箒を構えてじっくり詠唱。
力をためて(全力魔法)からのカラミダド・メテオーロだよ
「ドッカーンといくよ」
巨大な隕石でカルパディアの頭をつぶしちゃうんだ(スナイパー)

そういえば「森の核」を持って帰ると良いのかな?


フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/連携可)
「さすがにこの森の主ね。気を引き締めて戦わないと」
■作戦
フォルセティと連携。距離をとって戦いながら『山龍』カルパディアの
頭部を集中的に狙う
■行動
「フォルセティ、よくやったわ」
弟の攻撃に追随し[全力魔法]で【フィンブルの冬】を展開。
カルパディアの首から頭付近をターゲットに氷雪の竜巻で攻撃しつつ
相手の火炎放射の威力軽減を狙う
「その動きは読んでいたわ」
火炎放射に対して[高速詠唱]から【アイギスの盾】を放ち相殺を狙う
防ぎきれない熱さは[火炎耐性&オーラ防御]で耐える
「なんとかなったかしら?」



●大山鳴動
 ――命の限界まで追い詰められた巨躯は、ただ歩くだけでも森の木々を分かりやすいほどに烈しく揺さぶり。
 大山鳴動という言葉が相応しき、背負う甲羅が木々を容赦なく薙ぎ倒していく。
「えー、何あれ。山がドラゴンになったの?」
 山が竜となったのか、竜が山を背負ったのか――フォルセティの疑問に正確な答えを示せる者は誰も居ないが。
 彼の疑問はお構いなしに、竜は一つとなってしまった首で、全身から血を噴き上げながら強く吠えた。
「うわぁっ!?」
「きゃぁっ!?」
 フォルセティとフィオリナが咄嗟に音の響きを、魔力を纏い逸らすも、薙ぎ倒された木々が無数の……正に文字通りの木っ端微塵となった姿に、フィオリナが額に浮かんだ汗を拭った。
「さすがにこの森の主ね。気を引き締めて戦わないと」
 手負いの状態、しかしだからこそだろうか――残された命の全てを攻撃能力に費やしてくる勢いだ。
 僅かな被弾すらも許されないが、逆を言えばこちらも攻撃を着実に叩き込んで倒してやればいい――フィオリナのアイ・コンタクトにフォルセティが答えるように前へ一歩出て。
「厄介なこの首の動きを制限するよ」
 一つだけとなった首の、その顎門に盛る炎を目掛け、フォルセティは銀河の輝きを思わせる魔帽に手を添えて。
「常闇の淵に彷徨う黄昏よ。其に捧げるは原初の神韻」
 放たれる数多の黒き闇の弾丸が、暗黒物質の流星群のように竜の一つ首に突き刺されば。
 光すらも捻じ曲げ喰らう闇の魔穴の如く、放たれた超重力の磁場が、首だけに留まらず山そのものの巨体をその場に縫い付ける。
 さしもの竜も、その剛力を以てしても首は動かせず逆に身体は悲鳴を上げ、全身の血が噴き上がる。
「フォルセティ、よくやったわ。このまま氷の檻に閉じ込めてあげる!」
 後方へ勢いよく下がるフォルセティにすれ違い様に労う言葉を与えながら、入れ替わるようにフィオリナが前へ歩を進める。
 その身体に雪の女王の如く白く美しき衣を纏い、花開くように舞いながら、彼女は掌を勢いよく突き出した。
「氷結へ導け、黄昏の吹雪よ!」
 紡がれるのは、絶対零度という言葉すらも温情に感じる限りない極低温を孕んだ大嵐。
 生物の魂を喰らい意志無き傀儡と変える森に住まう者ですら、白く凍てつかせ生命を奪い去る竜巻は、山の竜を呆気なく飲み込んでいく。
 背負う山が雪山と化していくように、氷の中に封じ込められていく竜が、最後の悪あがきで一つ首の顎門から業火を放っても。
「その動きは読んでいたわ」
 放たれる猛火を、白銀の裾を揺らめかせながら光り輝く防壁を放ち、その炎を防ぎ切り。
 ――そしてその頃には、後方に下がると同時に詠唱を終えていたフォルセティが、箒を掲げていて。
「ドッカーンといくよ」
 超重力の磁場と全てを凍てつかせる竜巻に捕らわれた竜に、降り注ぐ灼熱の巨岩を躱す術は存在せず。
 掲げられた箒が打ち下ろされたと同時、落とされた隕石は竜の最後の首を叩き潰すのであった。

「なんとかなったかしら?」
「多分ね。……そういえば、森の核を切り取らないといけないって聞いたけど」
 竜の頭部を跡形もなく叩き潰し、命を絶ったといえど、森は消えず魂を奪う瘴気は消える気配はない。
 どうやらまだ森の核が、竜の遺体にあるようだ……さりとてこの巨体、二人で探すには骨が折れる訳で。
「他のみんなにも、手伝って貰いましょう」
「そうだね」
 ――それから倒れ伏した山の龍の遺体を前に、フォルセティとフィオリナは他の猟兵を集めると。
 腕捲りをする勢いで踏み出したフォルセティを筆頭に、猟兵達は一斉に山龍の身体を切り分けていく。
 金貨五百枚という金剛石に等しき森の核を求めて、始り、そして――。
 森の核を誇らしげに持ち上げるフィオリナの姿が、木々の間を縫って差し込んだ陽光に鮮やかに照らされるのだった。

●魂喰らう森の最後
 ――森の核を奪われた魂喰らいの森は、それが纏うおどろおどろしい気配を消失させた。
 それに伴い、森を構成する木々や足元の他愛のない雑草ですらも、霧となって静かに消えていく。
 まるで最初からなかったかのように。
 魂喰らいの森自体はまだまだ続くようだが、ここに新たな拠点となり得る広場が作られたのは、事実だろう。
 そしてそれは、新たな森を攻略する者達の助けとなることも、また事実であり。
 森自体についてはそれで良いとして。

 猟兵の手に抱えられる森の核は、どこか不気味な脈動を続けてはいるが、一先ず害があるようには見られない。
 噂によると最高級の肉の味と、官能的な滑りを持った食感を併せ持つ、伝説の食材らしい。
 売れば金貨五百枚は下らぬというその食材を、猟兵達はどうするか……売るか、或いは食べるか。
 今さっきまで、幸福の記憶を喰らう森であった、今は何もない広場の中で、猟兵達は核の今後について幸福な話し合いの山を積もらせていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月21日


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#アックス&ウィザーズ
🔒
#群竜大陸
🔒
#魂喰らいの森


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト