7
弱き者には死を~地下闘技場の女帝~

#アポカリプスヘル




 ――薄暗い空間に、歓声が湧き上がる。

「なんだいなんだい! 最近の若いのはだらしながないね!」

 歓声の中心、闘技場を見下ろしてその女は吐き捨てた。マンマ・ブリガンダ――この地下闘技場を支配する、まさに女帝である。ただ、豪勢な食事の並ぶテーブルで食い荒らすその姿は、女帝と呼ぶのにふさわしい横柄さはあっても優雅さはない。

 食料を求めて集められた男達は、獣人『ウォーク』の改造生命体――廃棄指定『第二十三模倣体』六体を前に次々と叩き潰されていく。この第二十三模倣体を倒せば、望むままに食料を与える……アポカリプスヘルでは、命に変える価値のある条件だった。

「しっかし、馬鹿だね! 勝たせるはずがないじゃないか!」

 ガハハ、と腹を抱えてマンマ・ブリガンダは呵々大笑する。当然のごとく、第二十三模倣体は大量にいるのだ。少しずつ、少しずつ、条件を引き上げていく――倒されれば、次々とつぎ込んでいくのだ。

 そんな悪い噂は、ここから決して漏れる事はない。観客達もマンマ・ブリガンダの息がかかった者達だ。自分達から娯楽を潰す程、馬鹿はいないからだ。

 こうして、マンマ・ブリガンダのための地下闘技場が完成した。弱き者には死を――地下闘技場の女帝は、今日も暗き喜びに浸るのであった……。


「……悪趣味、極まるな」
 忌々しげにガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、吐き捨てる。
「アポカリプスヘルのとある地下施設を支配するアウトロー組織があっての、マンマ・ブリガンダという女首領が率いるそれは、食料をちらつかせて多くの人間を地下闘技場に立たせ……多くの命を奪っておる」
 この悪行がオブリビオンによるものとなれば、猟兵として見過ごす訳にはいかない。

「まずはマンマ・ブリガンダが地下闘技場のどこにいるか、それを突き止める必要があるじゃろう。闘技場に参加してもよし、情報を集めるもよし。やり方は任せる、よろしく頼むぞ」


波多野志郎
地下闘技場、よい響きですね。どうも、波多野志郎です。
今回はアポカリプスヘルのとある地下施設を支配するアウトロー組織、オブリビオン達を退治していただきます。

まず、第一章では地下闘技場で観戦しているだろうマンマ・ブリガンダの居場所を捜していただきます。その手段は皆様次第、どんなプレイングが来るか楽しみにしております。


それでは弱肉強食の闘技場で、お待ちいたしております。
258




第1章 冒険 『アンダーグラウンド・アリーナ』

POW   :    自らアリーナの主役として舞台に立ち、積極的に注目を集める

SPD   :    轟く歓声に隠れ、この催し物やアリーナの調査を進める

WIZ   :    催し物の関係者や観客に接近し、交渉などで目標の情報を得る

イラスト:桐ノ瀬

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
伊敷・一馬
不採用含め全て歓迎だ!
(なんかあの女王さん、昔のマンガで見たような格好だべ…)

地下闘技場の女王…!ふふふ、いい響きじゃないか!
しかし己が欲望の為に命を食い潰さんとするその態度、許すまじ!
まずはアリーナに参加し注目を集めよう。相手は女王、その美を褒め称えれば必ず答えてくれるはずッ。

その王冠の如き逆立った眉、女王に相応しき貫禄ある腹、そして全てを見通すようなギョロ目玉!
私の勝利はあなたに捧げよう、それこそが私のジャスティイーッ!
UCでポーズを取りつつ力強く主張する。
(おめぇ正気け?)

ボディ君はなにか言っているが、こういうのはいわゆる熟専とやらの分野。
私は違うから正しい褒め方かは知らんのだ!


クラウシス・ゴドリベント
【SPD】
「弱肉強食。その摂理を否定する気はないが、それを建前に弱者をもてあそぶ理由にはならないね。うん、はっきり言って気にくわない」

さて、興奮状態の彼らに紛れてマンマ・ブリガンダの居場所を割り出そうか。
【迷彩】で隠れながら行動し、【戦闘知識】でこのアリーナで最も観戦のしやすい場所、つまりマンマ・ブリガンダのいるだろう部屋を探してみよう。見つからなければ、【追跡】で改造生命体の痕跡を探してみよう。そこにマンマ・ブリガンダや重要な施設があるかもしれないしね。
他の猟兵が情報を得ているのなら、接触し【追跡】【失せ物探し】でさらに探索の精度を上げよう。

他のPCとの絡み、アドリブ歓迎


アリア・ティアラリード
こんな酷い話、姫騎士お姉ちゃんとして許せるものではありません!
聞けば女首領さんは強者に並々ならぬ興味を示しているとか
…ならもうやる事は一つ!お姉ちゃん地下闘技場の王者になっちゃいますよ!
ついでに首領さんもやっつけて万事解決です♡

…うう、予選からなんて面倒、全員まとめて相手してもいいのに
でもルールなので我慢我慢…

ボロ布を纏って舞台に登場、苦戦するフリして攻撃をくらい
その下から颯爽と現れる美少女!煌めくフォースセイバー!爆乳とビキニアーマー!
えへへ…こういう闘技大会盛り上げる方法、お父様に教わっていたんです♡
さぁ!お姉ちゃん久しぶりに全力!出しちゃいますっ!
【怪力・早着替え・誘惑 アドリブ歓迎】


ヴェロニカ・ナシーリエ
アドリブ歓迎です!

POWを選択します!

分からない…
ここに居る観客達には人の心や良心が無いのだろうか…
まぁ… 考えていても仕方ないかな。
今は目の前の事に集中しないと!

行動
わたしはマンマ・ブリガンダを誘き寄せる囮として試合に参加かな?
ヤツが見飽きて移動してしまわない様に、そして他の猟兵達が動きやすくする為にも、なるべく長く派手に戦わないとね!

マンマ・ブリガンダがわたしに食い付かなかったとしたら、せめて観客の注意を引き付けれる様に努力しないと…


ジフテリア・クレステッド
※アドリブ・連携歓迎
●POW
私自身は食料がなくても生きていけるけど、この世界で食料がどれだけ大事かってことはよく知ってる。ちょっと許せないよ。
闘技場に参加する。弾は沢山準備して来たから【継戦能力】はばっちり。敵が補充されても戦い続けるよ。生態そのものが【毒使い】の私が作った汚染毒弾の銃撃なら殆どの敵は一撃のはず。【蹂躙】は意外と得意なんだ。
そして、私が倒した敵は大体の場合ぐちゃぐちゃに溶けるから、そこでいちゃもんをつけられるかもしれない。何使ってるんだ、って。その時に女首領が出てきてくれれば、そのまま戦うんだけど…。
出てこないなら仕方ない。汚染死体を増やし続けるよ。皆が身の危険を感じるまで…。


シェラフィール・ディー
「成程、危機に勝る悪趣味っぷりです……」
弱みを握り勝てる見込みのない戦いに追い込む
一切合切下劣外道の極みで御座います
…とはいえ、憤慨して乗り込んだ所で見世物にされるがオチ
「そういった事は、そういった事が得意な者に任せましょう」
ええ、どこぞの姫騎士が意気揚々と乗り込むはずです
ここはまずは会場の昂奮――もとい、混乱を中で情報収集
相手の腹の中で暴れるのならば、それなりの準備を致しましょう

幸い、給仕としての礼儀は理解しているつもりです
どこぞの成金の奴隷メイド、という体にて近づき…
良い席の悪趣味な観客あたりが狙いめでしょうか…?

…まったく、不本意ですが…

【WIZ・礼儀作法・誘惑】
【アドリブ歓迎】


迅雷・電子
まったく、新世界に来たけど…悪趣味なおばさんがいるみたいだねぇ。なんとか探し出して倒さないとね!

【作戦】アリーナに立って目立とうかねぇ。最初は制服姿だけど制服を脱ぎ捨てイェカの姿になって四股を踏んで「かかってきな!」と【挑発】。挑んでくる敵は人間だろうから【怪力】と【気絶攻撃】を利用して張り手や鯖折りなどで殺さずにダウンさせるよ!それで目立ちつつ挑んでくる相手に「マンマ・ブリガンダとかいうおばさんはどこにいるか知ってるかい?」とさりげなく聞いてみるよ(絡み・アドリブOK)


フローラ・ソイレント
POW判定

・行動
アリーナ選手として登録
舞台に立ち派手に暴れて注目を集める

・演出
(闘技場へ乱入、犠牲になりそうな挑戦者を投げ飛ばしながら)
「あくびが出るほど退屈だな、観客も退屈してるだろう?
今日のメインイベントを見せてやるからとっととオレを戦わせな!」

UC使用して相手の武器や鎧を掴み振り回す
または舞台上の設備や施設の骨組みの鉄骨などを武器にする
数体を軽くなぎ倒した後に

「もっとと歯ごたえのあるやつと戦わせろ!
オレが一番強い奴を倒してここのトップに成り代わってやらあ!」
と挑発する


銀山・昭平
飯で人を釣って殺して楽しむなんて、あまりにも醜悪な闘技場だべ。
本気で希望を持ってここで稼ごうとしてた人には悪いかもしれねぇが、こんな悪趣味な場所は確実にぶっ潰してやる以外ねえべ。

とはいってもどうしたもんか、裏からアリーナの仕掛けや収容されているウォークの数、或いは何かあった時の観客や主催者の避難経路も調べつつ、選手やウォークの控室、あるいはマンマ・ブリガンダの隠れ場所を探すべな。

そうかんたんには見つからないだろうが、もし見つかったら、マンマ・ブリガンダが逃走するであろう経路を【銀山流即席絡繰術・弐式】で溶接器を使って塞いでやるべな。


緋神・美麗
絡み・アドリブ歓迎

わざわざこんな大掛かりな物まで作ってなかなか悪趣味なことしてるみたいじゃない。この報いは必ず受けてもらうわよ。
犠牲者を減らせるし、女帝を探すのにも客席から探すよりは見つけやすそうだからアリーナに選手として参加するわね。

アリーナに立ったら観客席を見渡して女帝を探す
アリーナを見渡せて装飾華美だったり一般客席とは違う場所を重点的に探す
女帝の気を引けるかもしれないので出力可変式極光砲を攻撃回数重視、火力を限界まで絞って天井付近にばら撒き注目を集めてみる
「皆、応援よろしくね~」


ベイメリア・ミハイロフ
事前に、この世界の通貨を調べ、多めに用意しておきます
食料の方が効果的ならば食料を用意

アリーナにて聞き耳・暗視・失せ物探しで
道に迷ったフリをしてさりげなく
隠し通路やお部屋などがないか調査を
やはり、高い所から高見の見物、をしているのでございましょうか

それで手がかりが見つからないようであれば
観客や、関係者とおぼしき人物に情報収集にて聞き込みを
こちらはいつ頃から始まった催し物なのでしょうか
主催はどちらに?
女帝、と呼ばれる方の噂を耳にしたのですが
どうやらお話によるとさぞかしお強いようで
わたくしとても興味がございます
どうしたらお会いできるのでしょうか
チップ又は食料を握らせて喋るようであれば使用いたします


ガルディエ・ワールレイド
名誉ある決闘ならば望むところ。あるいは、真っ当な試合を行っての興行でも理解はするが……此処で行われているのは醜悪な処刑興行か。
そんなものを見逃すわけには行かねぇな。

【POW】
食料を求める参加者として闘技場へ行くぜ

勝ち続ければ際限なく敵が追加されてくシステムのようだし、闘技場スタッフが注意を払っている方向に敵の親玉がいないか確認だ
あとは、闘技場の立った視点から見て、特等席らしき場所がないかも探すぜ

闘技場で一緒に戦う事になった一般人がいれば、優先して《かばう》し、闇雲に倒して、敵の追加がハイペースにならないようにもする

武装は魔剣レギアと魔槍斧ジレイザの二刀流
【存在証明】は防御重視で使用


雲母坂・絢瀬
力が全て、か。
シンプルでわかりやすいんは、うち好みやね。
そうはいうても、趣味がええとはお世辞にも言えへんわ。

ややおっとりめ、マイペース系関西弁女子ね。
臨機応変な柔軟さがモットーなん。

闘技場に参加して女帝はんの居場所、掴んでみよか。

【見切り】で相手の攻撃を全てかわし、体勢を崩した所で【なぎ払い】での、一撃必殺っちゅう戦法で注目を集めるで。

ご自慢の子飼いが空振りを繰り返す姿見たら、さしもの女帝もイライラしはるんちゃうやろか。

基本お任せのアドリブ大歓迎でよろしゅうお願いします。



●アンダーグラウンド・アリーナ
 歓声が、地下闘技場には満ちていた。その声を上げるのは、安全な場所にいる者ばかりだ。余裕があり、娯楽に飢え、そして刺激を求める者達――ヴェロニカ・ナシーリエ(腕力で勝利を齎す者・f24515)はその光景を覗き見て、理解できなかった。

(「分からない……ここに居る観客達には人の心や良心が無いのだろうか……」)

 ヴェロニカは、視線を巡らせる。観客席にいるのは人と呼べない、獣にしか見えなかった。いや、獣でさえここまで醜い姿を晒すだろうか?

「こんな酷い話、姫騎士お姉ちゃんとして許せるものではありません! 聞けば女首領さんは強者に並々ならぬ興味を示しているとか……ならもうやる事は一つ! お姉ちゃん地下闘技場の王者になっちゃいますよ! ついでに首領さんもやっつけて万事解決です♡」

 同じく通路にいたアリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)はシンプルに考える。どんな事でも、元凶を叩けば終わる――それもまた、一つの真理だ。

「おい! お前らの出番だぞ!」

 呼び出され、猟兵達は闘技場の舞台へと出る。再び盛り上がる観客に、迅雷・電子(女雷電・f23120)は拾遺を見回した。

(「まったく、新世界に来たけど…悪趣味なおばさんがいるみたいだねぇ。なんとか探し出して倒さないとね!」)

 少なくとも、目に見える場所にはいなさそうだ。だとすれば、引きずり出すまでの事だ。

「わざわざこんな大掛かりな物まで作ってなかなか悪趣味なことしてるみたいじゃない。この報いは必ず受けてもらうわよ」

 ぼそり、と呟き、緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は周囲の観客席を確認する。アリーナを見渡せて装飾華美だったり一般客席とは違う場所を――そう辺りをつけるために。

「殺せ!」

 一人が、声を上げる。それはやがて、大合唱となる。

「殺せ!」殺せ!」「殺せ!」殺せ!」「殺せ!」殺せ!」「殺せ!」殺せ!」「殺せ!」殺せ!」「殺せ!」殺せ!」「殺せ!」殺せ!」「殺せ!」殺せ!」「殺せ!」殺せ!」

 その熱狂に押されるように、第二十三模倣体達が闘技場へと降り立った。ダン、ダン、ダン! と踏み鳴らす足跡が、終わらない雷鳴のように地下を震わせる。

 ここに悪趣味極まる、殺戮ショーの幕が上がった。

●闘技場の裏で――

(「成程、危機に勝る悪趣味っぷりです……」)

 運営が運営なら、客も客だ。シェラフィール・ディー(オニキスロード・f03454)はそっと熱狂に踊る観客席から離れると、通路へと歩き出した。
 弱みを握り勝てる見込みのない戦いに追い込む……一切合切下劣外道の極みだ。だが、憤慨して乗り込んだ所で見世物にされるがオチだとシェラフィールは理解していた。

「そういった事は、そういった事が得意な者に任せましょう」

 ええ、どこぞの姫騎士が意気揚々と乗り込むはずです――とアリアの背中に視線を送り、シェラフィールは自分の役目を果たそうとする。

(「……まったく、不本意ですが……」)

 シェラフィールは、一人の男に目を付けた。見るからに服が人を着て歩いているような、絵に描いたような成金男へと歩み寄ると笑みを見せる。

「申し訳ございません、旦那様。一つ、お聞きしたいことが……」
「ん? 何だ? ワシに聞きたい事とは」

 それとない仕草の一つ一つに礼儀作法のみではなく、誘惑を織り交ぜる。男の視線がどこに向いたかは――武士の情けだ。

「話が主より、マンマ・ブリガンダ様へ贈りものをと命じられまして……旦那様なら、どこにおいでかわかるかと……」
「はは! ワシでもあの女帝の居場所はなぁ……そうだな。会場には、武器の携帯を許された、選ばれた護衛がおる。連中なら、知っておるかもしれんぞ?」
「まぁ、ありがとうございます」

 それから二、三言葉を交わし、シェラフィールは成金男の手からするりと逃れるようにその場を後にした。その情報を仲間へ伝えるために、会場の奥へと淀みなく歩き出した。

●全ての悪意の集う場所

「やはり、高い所から高見の見物、をしているのでございましょうか」

 シェラフィールから情報を受け取って、ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は自分が用意した食料の入った鞄に視線を落とす。
 皮肉な事にこの世界は、どんな通貨よりも食料という物資が物を言う世界だった。それほどまでに荒廃し、だからこそこんな闘技場が生まれたのだ……その事を、ベイメリアは少ないこの場でのやり取りで思い知った。

(「……あれは?」)

 道に迷ったフリをしてさりげなく探っていたベイメリアは、ふと気付く。それは一部の銃器で武装した者達が、階段の前に立って警護している姿だった。

(「外の見張りは素手や鈍器ばかりでしたが……」)

 一部の者しか信用していない、そういう事だろう。だとすれば、銃器を持つ事を許された者達はマンマ・ブリガンダから信頼の厚い者達という事になる。

「おい、何をやってる!」
「ああ、ごめんなさい。道に迷ってしまって……」

 警護の者に声をかけられ、ベイメリアは笑みを浮かべるとその場を足早に後にする。下手にここで怪しまれれば、侵入しようとする仲間に迷惑がかかりかねない……ベイメリアは観客として、闘技場へと踵を返す。

(「ええ、こっちに注目していただけると助かります」)

 一人自分に監視がついた事に気付き、ベイメリアは堂々と席に戻った。

●悪意の詰まった地の底から――

 歓声が遠い。地下闘技場へと至る通路の奥に、二つの人影があった。その前をサブマシンガンを装備した警護が歩くが、気づかずに去っていく――それだけ完璧な迷彩が、二人の姿を隠していたからだ。

「弱肉強食。その摂理を否定する気はないが、それを建前に弱者をもてあそぶ理由にはならないね。うん、はっきり言って気にくわない」
「飯で人を釣って殺して楽しむなんて、あまりにも醜悪な闘技場だべ。本気で希望を持ってここで稼ごうとしてた人には悪いかもしれねぇが、こんな悪趣味な場所は確実にぶっ潰してやる以外ねえべ」

 この場所を放置出来ない――クラウシス・ゴドリベント(流浪のプリンスナイト・f03839)と銀山・昭平(田舎っぺからくり親父・f01103)は意見が合致した。そして、着眼点も同じだった。

「どんだけいるかわかんねぇけど、ウォークの控室はあるはずだべ?」
「ああ、改造生命体の痕跡を探してみよう」

 ベイメリアが発見した階段、そこが怪しいとクラウシスと昭平は睨んだ。だからこそ、昭平は建物の構造を大体把握する。
 さらり、と紙の上に昭平は筆を走らせる。素早くそこに描き出されたのは、例えるなら『寸胴鍋』のような構造だ。鍋の底が闘技場であり、蓋部分が地上部分――ただ、普通の鍋と違うのは蓋部分の方が遥かに厚い事だ。

「さっき、舞台の上からウォーク達は出てきたべ? ってことは……」

 だとすれば、このあたりだべか? と昭平は即席で引いた図面に丸をつける。それを見て、クラウシスはうなずいた。

「やはり、ここの辺りにマンマ・ブリガンダや重要な施設があるかもしれないね」
「ここ、地下だべ? だから『上』の方が逃げやすいし、やりやすいはずだかんなぁ」
「……そう考えると、よく考えられた施設だ」

 昭平の意見に、闘技場で戦う事を選んだ猟兵達が地下の控室に誘導されたのもわかる。地下は潜れば潜るほど、逃げ場がなくなるからだ。

「砦とは違う概念か。こうなると厄介だね」
「ああ、万が一逃亡するルートは『上』にあるはずだべ……潰しておくべか?」
「そうしよう」

 元より昭平は、そのために銀山流即席絡繰術・弐式で溶接器を用意してある。クラウシスの迷彩によって姿を隠した二人は、一度地上へと戻っていった。

 ――余談で終わる可能性もあるが、この昭平とクラウシスの判断は正しいものだった。マンマ・ブリガンダが地上へと逃げ出す脱出ルート、その一つが完全に塞がれたのだから……。

●地の底の戦場にて

 歓声が、密閉空間を揺るがす。申し訳程度の安っぽい照明が照らす闘技場を、不意に眩い輝きが照らした――美麗の出力可変式極光砲(ヴァリアブル・ハイメガキャノン)による無数の電球によるものだ。

「グルルル!?」

 ヒュガガガガガガガガガガ! と第二十三模倣体へ、電球が降り注ぐ! それでもなお、ウォ―クは止まらなかった。振り下ろす鈍器、それを美麗は華麗なステップでかわし――頭上から、再び複数の電球を降らせ強引に押し潰した。

「皆、応援よろしくね~」

 美麗は観客に手を振るように見せかけて、観客席に視線を巡らせた。マンマ・ブリガンダがどこにいるのか、見つけようというのだ。

(「観客席に、怪しい場所はなさそうね……」)

 だとすれば、どこなのか? 美麗は別の襲いかかってくる敵に身構えながら思考を巡らせた。

「かかってきな!」

 電子は制服を脱ぎ捨て、さらしにレギンスの上からまわしをつけた姿となって四股を踏む。高く上げた足が、力強く闘技場を踏みしめる。その音は歓声に飲まれながらも、ズン……! と腹に響く衝撃が観客達に伝わった。

 第二十三模倣体が、踏み込む。それを電子はぶちかましで受けて立った。

「――ッ!?」

 肉と肉がぶつかる音が、闘技場に響き渡る。いや、目にしていなければそれが肉の激突音とは思わなかっただろう。金属の激突としか聞こえなかった音と共に、電子は電車道でウォークを追いやると、そのまま壁へと叩きつけ悶絶させた。

「マンマ・ブリガンダとかいうおばさんはどこにいるか知ってるかい?」

 聞いても、答えは返って来ない。泡を吹いて倒れたウォークに一瞥だけして、電子は次の相手を求めて振り返った。

「名誉ある決闘ならば望むところ。あるいは、真っ当な試合を行っての興行でも理解はするが……此処で行われているのは醜悪な処刑興行か。そんなものを見逃すわけには行かねぇな」

 ガシャン、と魔剣レギアと魔槍斧ジレイザを構えてガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は第二十三模倣体と向き合う。振り下ろされる鈍器、放たれる触手、それらをガルディエは魔剣レギアで切り払い、魔槍斧ジレイザで薙いだ。

(「特等席らしき場所はないが――」)

 闘技場だからこそ、見える光景がある。警護の者は『上』へと至る階段を重点的に守っている。特に武器を持っている者は、その傾向が顕著だった。

(「上なのは間違いないが――」)

 ガルディエが上に視線を向けた瞬間だ、背後からもう一体の第二十三模倣体がガルディエに鈍器を振り上げて襲ってきた。それにガルディエは振り返らない。そのまま逆手に持ち替えた魔剣レギアで刺し貫いた。

「隙だとでも思ったか?」

 ガルディエが横回転、上半身を断ち切られた第二十三模倣体が闘技場へと転がった。その光景に、観客達が盛り上がる――死ぬのが見れれば、誰でもいいのだというのがよくわかる光景だった。

「醜悪だな」

 再確認した、そうガルディエは吐き捨てた。

「おお、そこだ。潰しちまえ!」

 観客から、喝采が飛ぶ。ボロ布をまとったアリアが、闘技場の隅やられたのだ。逃げ場はない――第二十三模倣体が鈍器を薙ぎ払った瞬間、ガギン! と鈍い打撃音が地下に轟いた。

 ボロ布が、宙を舞う。そこにいたのは壁に鈍器をめりこませたウォークと、その頭の上に着地した爆乳とビキニアーマーの美少女、アリアだった。

「えへへ……こういう闘技大会盛り上げる方法、お父様に教わっていたんです♡ さぁ! お姉ちゃん久しぶりに全力! 出しちゃいますっ!」

 観客席からシェラフィールの視線を感じながら、全力妹愛大根斬(オネーチャンスラッシュ)の一撃をアリアは繰り出す! 煌めくイルミネイト:ザ・フォースセイバーのピンク色の軌跡が闇に刻まれ、ウォ―クの巨体を縦に両断した。

(「マンマ・ブリガンダがわたしに食い付かなかったとしたら、せめて観客の注意を引き付けれる様に努力しないと……」)

 5.54mm弾を使用する自動小銃――AK-74改で、ヴェロニカは第二十三模倣体を蜂の巣にしていく。銃弾を受ける度におかしく跳ねるウォークの改造体は、まるで調子外れの踊りのように後退、崩れ落ちた。

「次」

 第二十三模倣体の触手をAK-74改でわざと真っ向から弾き、ヴェロニカは後退する。一方的にではなく、接戦を演じ派手な立ち回る事で観客達のボルテージは上がっていった。

「力が全て、か。シンプルでわかりやすいんは、うち好みやね。そうはいうても、趣味がええとはお世辞にも言えへんわ」

 雲母坂・絢瀬(無塵流剣士・f23235)は、散歩にでも出るような足取りで第二十三模倣体と対峙する。振り回される鈍器、伸ばされる触手、そのいずれも紙一重でかわしていく。最初は5センチ、次は4センチ、3センチ――段々と間隔を小さくしていった。

(「ご自慢の子飼いが空振りを繰り返す姿見たら、さしもの女帝もイライラしはるんちゃうやろか?」)

 それはまさに、大人と子供の鬼ごっこだ。やがてミリ単位で見切り始めた絢瀬に、不意に雷鳴のような怒鳴り声が届いた。

「なぁにやってんだい!? この馬鹿どもがぁ!!」

 その声は、まさに闘技場の『真上』からした。天井、安っぽい照明の間――そこは、まさに女帝の特等席だったのだ。

「あれが……」

 ジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)が、真上を見上げてその巨大な肉塊を見た。照明の光で計算されよくは見えないが、ずっとそこにいたのだろう。どっかと座り、肉を掴んで食らう姿にジフテリアは目を細める。

(「私自身は食料がなくても生きていけるけど、この世界で食料がどれだけ大事かってことはよく知ってる。ちょっと許せないよ」)
「こらぁ! もっと追加してやんなぁ!!」

 元凶、諸悪の権化がそこにいる――そう思ったジフテリアに、不意を打とうと上から追加された第二十三模倣体が迫る。

「弾は沢山準備して来たよ」

 子供用にサイズ調整されたスナイパーライフルで、ジフテリアは第二十三模倣体を撃った。肩口に受けようと、ウォークは止まらない。鈍器をジフテリアへ振り下ろそうとして、その振りかぶった腕が吹き飛んだ。

「そいつぁ、毒だね!? 飯がマズくなるもん使いやがって!」
「毒が禁止とは、聞いてないよ」

 汚染毒弾ペイシェント・ゼロ――ジフテリアが自分の毒を込めた銃弾だ。ぐずぐずに溶けて肉塊となった第二十三模倣体の上へ、また別の個体が着地する。

 次々と投入される第二十三模倣体、その一体が不意に持ち上げられた――フローラ・ソイレント(デッドマンズナース・f24473)だ。バチン、とフロータは第二十三模倣体の鈍器に磁力を流し、そのまま真上の照明まで第二十三模倣体を投げつけた。

「あくびが出るほど退屈だな、観客も退屈してるだろう? 今日のメインイベントを見せてやるからとっととオレを戦わせな!」

 フローラのよく通る声と、歓声が重なった。ナース服の彼女が見せた、見かけからは想像も出来ない怪力に、観客が沸いたのだ。

「もっとと歯ごたえのあるやつと戦わせろ! オレが一番強い奴を倒してここのトップに成り代わってやらあ!」
「ああ!? わかってないガキだねぇ、順番ってもんがあらああ!! おい、第二十三模倣体を全部落としな!」

 マンマ・ブリガンダが、照明の上に着地する。その女帝の姿に、観客達が悲鳴に似た歓声をがなり立てた。こんな大盤振る舞いは、この闘技場でも久しく見ないからだ。

 そして、見れるかもしれない――地下闘技場の女帝マンマ・ブリガンダの戦いが。

 そう思えば、観客達が盛り上がらないはずがなかった。

 ――そして、何故か闘技場の一部でも熱狂が上がった。

「その王冠の如き逆立った眉、女王に相応しき貫禄ある腹、そして全てを見通すようなギョロ目玉! 私の勝利はあなたに捧げよう、それこそが私のジャスティイーッ!」

 私こそがジャスティス☆(アイ・アム・ア・ジャスティス)の決めポーズを取って、伊敷・一馬(燃える正義のひょっとこライダー・f15453)が叫ぶ。しかし、冷静な声は内側からした。

(「おめぇ正気け?」)
「ボディ君はなにか言っているが、こういうのはいわゆる熟専とやらの分野。私は違うから正しい褒め方かは知らんのだ!」

 体である一馬がドン引く中、ひょっとこのヒーローマスクの方は悪ぶれない。その言いぐさが逆にマンマ・ブリガンダのツボにハマったらしい。腹の脂肪を震わせながら、マンマ・ブリガンダは大笑いした。

「こぉの正直もんがぁ! いいぜぇ、そいつらを倒しきったら相手してやらぁ!! そん時は祝福のキスのひとつもくれてんよぉ!」
(「……いや、マジけ?」)

 女帝からの宣言に、闘技場が揺れる。巻き込まれた形となった一馬の絶望の声は、誰にも届かなかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『廃棄指定『第二十三模倣体』』

POW   :    第四種戦闘行動(集団蹂躙)
【押し倒し】を狙った【全力、全体重】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【標的】を同じくする【個体】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    第二種捕食行動(侵蝕形態)
自身の肉体を【高靭性】の【触手侵蝕形態】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    指定外特殊行動(昂奮分泌)
全身を【非常に潤滑性の高い体液】で覆い、自身が敵から受けた【喜悦への期待、昂り】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●廃棄指定『第二十三模倣体』

「さぁ、大盤振る舞いだぁ! 腹一杯受け取りなあ!」

 照明の上から見下ろすマンマ・ブリガンダの声に、大量の第二十三模倣体が闘技場へと降ってくる。それは寸胴鍋に投入される、食材のような光景だった。

 だが、そこにいるオブリビオン達は煮ても焼いても食えないモノばかりだ。食べれば間違いなく食中毒、あの世行き間違いなしである。

 ガガガガガガガガガがガガガ! と降り立つ第二十三模倣体達は、猟兵達へと襲いかかる。問答無用、地下闘技場の第二幕が幕を開けた……。
ジフテリア・クレステッド
※アドリブ・連携歓迎
うん、よく考えたら狙撃手である私のUCの特性上、隠密に徹して女首魁が出てきたタイミングで暗殺した方が良かったよね…怒りで判断を間違えちゃった。
ただ、まあ、敵は巨体で大量に居る。そしてこれだけの乱戦…【目立たない】ように【忍び足】で足音も気配も消せば、小柄な私を見失う個体も多いはず。そして私を見失った個体から【暗殺】していく。高靭性の形態になっても【毒使い】の私が作った汚染毒弾なら当てた端から耐久力に関係なく【部位破壊】してみせる。当たってダメージを与えさえすれば【マヒ攻撃】や【目潰し】の効果も発生するし、味方の援護にもなると思う。私、【救助活動】もそこそこはできるんだよ。


ヴェロニカ・ナシーリエ
アドリブ・協力歓迎です!

まだまだ出て来るね…
良いよ… 相手になってあげる!

行動
敵はさっき戦った個体より強くなっている気がする…
これじゃAK-74改が効かないかも知れないし、柄付きグレネードを〈投擲〉するかRPG-7.5の〈鎧無視攻撃/吹き飛ばし〉で攻撃かな!
これで倒せないのは〈第六感/早業〉で攻撃を回避しつつ〈怪力/グラップル〉を合わせた《撲死群》でどうにかしよう!

あまり集団戦に向いた戦法じゃ無いけど、私が出来るのはこれくらいだし…
それに… 今は一人じゃ無いからね!


迅雷・電子
ちっ…人間かと思ったら最初からオブリビオンとはね…そしてまた多く出てきたね…さっきはちょっと手加減してる部分もあったけど親玉が出てきた以上もう容赦はしないよ!ふふふ…相撲の取りがいのある体格のある奴ばっかりで燃えるよ…!思う存分やらせてもらうさ!

【作戦】突進と触手は【第六感】で察知しつつ【ダッシュ】、【見切り】による回避や【怪力】による受け止めで対処し、そのまま【2回攻撃】の雷電張り手で敵を攻撃するよ!(絡み・アドリブOK)


クラウシス・ゴドリベント
『意思なき獣とはいえ罪は清算されるべきだ。その命、あるべき場所へ帰るがいい!』

基本的に敵の出した技に対し【見切り】【第六感】で対応し、【カウンター】【早業】【二回攻撃】で反撃。味方への攻撃を【かばう】ことができる範囲で【盾受け】【オーラ防御】で守ろう
・対POW
心光剣・連斬弾を使い自身、味方に突撃する敵を指定して迎撃
協力する個体諸共、全て撃ち落とす
・対SPD
確実にガードし【念動力】で触手を押さえ、動きを止めるか鈍らせよう
複数の職種の場合は【薙ぎ払い】で対応する
・対WIZ
【衝撃波】で体液を吹き飛ばし、能力の低下を狙う
ダメであれば基本戦術通り、徹底して隙を見せない

その他PCとの絡み、アドリブ歓迎です


ベイメリア・ミハイロフ
腹一杯、と言われましても
食料には見えないのでございますが…
しかしもう、こそこそしなくとも良いのでございますね
では、わたくしも、戦いに身を投じましょう

敵の攻撃は第六感も用いつつ見切り―可能であれば絶望の福音にて先見し
回避又は武器受け、オーラ防御にて防ぎたく
POW攻撃は特に、2体以上に標的にされぬよう
敵の視線を見ながら動き、回避を試みたく存じます

複数の敵が攻撃範囲内に入った時にはRed typhoonにて攻撃を
早業・高速詠唱からの2回攻撃も狙って参ります

瀕死の味方がいらっしゃいますれば
生まれながらの光にて、この身を削ってでも
お助けしとうございます


※お仲間さまと共闘できます場合は連携を意識いたします


銀山・昭平
さて、悪趣味な鍋料理の始まりだべな。
豚肉ならじっくりと煮込んで焼いてしっかり火を通さねぇといけねぇべ

というわけで【即席絡繰強化術】で、火のついた油を打ち出す火炎放射器を作り出して敵さんを火炙りにしてやるべ。【属性攻撃】で火属性を載せて思いっきり焼き殺してやるべな。
こっちを数で圧倒しようと集団で固まって行動してくれるんなら、この炎はよく効くと思うべ!

触手は捕まったら引きずり込まれそうだべ。だから捕まりそうになったら【マヒ攻撃】の乗った手裏剣を触手にぶっさしてやるべ。

しかし、これだけ豚野郎が用意されてるって事は、本当に食いもんは釣り餌で、ただ人間を見世物として処刑するためだけのものなんだべな……



●魔女の鍋底には、悪意が溜まる

「さぁ、大盤振る舞いだぁ! 腹一杯受け取りなあ!」
「腹一杯、と言われましても、食料には見えないのでございますが……」

 次々と降り注ぐ廃棄指定『第二十三模倣体』に、ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は届かない指摘を口にする。† curtana †を手に取ったベイメリアが、そのまま闘技場へと駆け込んだ。

「しかしもう、こそこそしなくとも良いのでございますね。では、わたくしも、戦いに身を投じましょう」
「さて、悪趣味な鍋料理の始まりだべな。豚肉ならじっくりと煮込んで焼いてしっかり火を通さねぇといけねぇべ」

 銀山・昭平(田舎っぺからくり親父・f01103)もまた、第二十三模倣体達がひしめく魔女の鍋の底へと身を投じた。それを見たマンマ・ブリガンダが、腹の肉を揺らして呵々大笑した。

「はーっはっはっは!! いいね、いいね! 飛び入りは歓迎だよ!」
「意思なき獣とはいえ罪は清算されるべきだ。その命、あるべき場所へ帰るがいい!」

 昭平と共に舞台へ降り立ち、クラウシス・ゴドリベント(流浪のプリンスナイト・f03839)は心光剣【フォーティチュード】を抜く。胸元に構え、ヴォン! とクラウシスの不屈の精神に呼応したフォースセイバーの刃が展開された。

 戦場は決して手狭ではない、しかし、それを数で押し潰す勢いで第二十三模倣体達はマンマ・ブリガンダの命じるままに暴れまわった。

●焼いて、断って、砕いて、貫いて

 ジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)はジュニアスナイパーライフルを手に、低い体勢で駆け出した。

(「うん、よく考えたら狙撃手である私のUCの特性上、隠密に徹して女首魁が出てきたタイミングで暗殺した方が良かったよね……怒りで判断を間違えちゃった」)

 ジフテリアは、頭上を一瞥する。マンマ・ブリガンダの不敵な笑み、その狂気に満ちた愉悦の笑いを見ながら、ジフテリアはそれを一目で演技だと見破った。
 その瞳だけが、笑っていなかった。ただ、第二十三模倣体達をけしかけたのではない――こちらの手の内を暴こうという意図がそこには見え隠れしていた。

 今、スナイプしようと意味はない……対処されるのは確実だ。だが、ジフテリアは逃した好機に拘らない――次の好機を伺うだけだ。そのまま、第二十三模倣体達の『隙間』へと滑り込んでいく。

「まだまだ出て来るね……良いよ……相手になってあげる!」

 次々と落ちてくる第二十三模倣体達へ、ヴェロニカ・ナシーリエ(腕力で勝利を齎す者・f24515)はAK-74改の銃弾を叩き込んだ。肉が抉れ、動きが鈍る――しかし、銃弾は皮膚を穿つものの肉で止まる。踏み込んだ第二十三模倣体の鈍器による豪快な一撃を、ヴェロニカの頭上へと振り下ろした。

「敵はさっき戦った個体より強くなっている気がする……」

 紙一重で後退し、ヴェロニカはすかさず柄付きグレネードのピンを抜き投擲する。砕けた闘技場の床をガラン、と柄付きグレネードが転がり――わずかにタイミングをずらして、爆発した。

「ブル――!?」

 第二十三模倣体達が爆風に煽られ、体勢を崩す。その時には既に、ヴェロニカは後退していた。

「炙りにしてやるべな!」

 そこに即席絡繰強化術によって作成した火のついた油を打ち出す火炎放射器で、昭平が薙ぎ払う。体表の油も手伝って、第二十三模倣体達は炎に包まれた。

「我が心に眠る不屈の光、顕現せよ! 心光の導きであらゆる邪悪よ、穿ち消え去れ!」

 そこへ疾走したのは、クラウシスだ。周囲に無数の心光のエネルギーで出来た剣を展開、炎の中心へ降り立った。

「――心光剣・連斬弾!!」

 ズザザザザザザザザザザザザザザン! とクラウシスの心光剣・連斬弾(シャイニングフォースソードバレット)が、炎に飲まれた第二十三模倣体達を刺し貫く!

「ブルルル!」

 その炎に興奮した第二十三模倣体に、迅雷・電子(女雷電・f23120)が立ち塞がった。
「ちっ……人間かと思ったら最初からオブリビオンとはね……そしてまた多く出てきたね……さっきはちょっと手加減してる部分もあったけど、親玉が出てきた以上もう容赦はしないよ!」

 電子が立ち会いの姿勢を取る。自分よりも遥かに小さく貧弱な――少なくとも第二十三模倣体からはそう見えた――電子に、興奮した巨体が襲いかかった。

 押し倒しを狙った全力による、全体重を被せた突進。並の人間であれば、それこそ触れただけで肉が飛び散り、骨が砕かれ、内蔵が爆ぜる――しかし、電子の立ち会いに迷いはなかった。

 ガゴン! と鈍い激突音が響いた。互いの足元で床が削れ、ひびが入る――立ち会いは互角……ではない。

「ブ、ル……!?」

 第二十三模倣体は気付く。自分の上半身がのけぞり、突進の威力が逃されたのだと。相撲において立ち会いとは、ただの力技ではない。確かな技術があってこそ成立する、まさに力と技の融合した鎬合いなのだ。

 力と技、その内の技が欠ければ、文字通り同じ土俵にも立てない――相手の上半身を浮かせた電子は、自身は腰に力の入った体勢で前へ出た。

「どすこぉぉぉい!!」

 雷電張り手、電撃をまとう一撃目が喉元へ。返すもう一撃がのけぞった顔面を痛打する! その電子の一撃に、血を吐きながら第二十三模倣体の巨体が宙を舞った。

「さぁ、次!」

 電子の声に、第二十三模倣体達が四方八方から迫ろうとする――それを防いだのは、電子を中心に旋風を巻き起こした深紅の薔薇の花びらだ。

「あまり無理はなさらぬように」

 花びらから† curtana †へと再びその手に戻し、ベイメリアは告げる。余計なお世話になりかねない、それをわかっていても仲間を危険に晒せないのがベイメリアだった。

「ああ!」

 それが伝わったから、電子も笑みを見せる。敵は無尽蔵と呼べる程湧いてくる――いくらでも、倒す相手には困らなかった。

●一画を崩して――

「紅の聖花の洗礼を受けなさい……!」

 深紅の薔薇の花びらを左右の腕で操り、ベイメリアのRed typhoon(レッドタイフーン)が周囲を薙ぎ払っていく――その中を仲間の亡骸を盾に突っ切った一体の第二十三模倣体が、触手侵蝕形態となり触手を伸ばした。

「させるか」

 それを紙一重で受け止めたのは、クラウシスだ。王紋の大盾によって触手を受け止めると、返す心光剣【フォーティチュード】の刃で第二十三模倣体を斬り飛ばした。

「ブルルルル!!」

 その間に、ヴェロニカへと第二十三模倣体が襲いかかった。それはもはや、肉の壁と言っても過言ではない。圧殺しようと迫る第二十三模倣体へ、ヴェロニカは左のジャブを放った。

「ブル――」

 第二十三模倣体の巨体に対してあまりにも弱い一撃、そう思えた。しかし、左ジャブはただのトリガーに過ぎなかった。

「原型……留めていると良いね」

 ゴォ! とヴェロニカの覇気をまとった右ストレートが、太い腹にめり込む。重く速い一撃に第二十三模倣体がくの字になると、こめかみを狙ったヴェロニカの左フックから即座の右アッパーが、第二十三模倣体の巨体を大きくのけぞらせた。

「ブ、ル、ル、ル、ル、ル、ル、ル、ル、ル、ル!?」

 リズムカルに肉を叩く音と第二十三模倣体の叫びが重なる。撲死群(ボクシング)――覇気を宿した拳による連打が、文字通り第二十三模倣体を肉塊へと変えていった。

「あまり集団戦に向いた戦法じゃ無いけど、私が出来るのはこれくらいだし――」

 その瞬間、背後からもう一体第二十三模倣体が迫る。連打の後、拳の豪雨が止んだ瞬間を狙った突進――それが、不意にガクンと膝を揺らしてあらぬ方向へとずれていった。

「それに……今は一人じゃ無いからね!」

 ヴェロニカの振り返った先には、肉と肉の死角に紛れたジフテリアの姿があった。ジフテリアの身体を蝕み続ける毒を、ただ第二十三模倣体の目潰しへと利用しただけだ。しかし、その巨体はビクンビクンと倒れたまま何度も跳ねると、まるで糸の切れた操り人形のように動かなくなった。

 ジフテリアの十倍では効かない重量を持つ相手でもコレだ、どれほどの毒であるか――しかし、今はそれを語る時ではない。そのままジフテリアは、第二十三模倣体達の中へと紛れて消えていった。

「――どすこぉぉぉい!!」

 ゴン! と衝突音と共に第二十三模倣体が壁に叩きつけられ、文字通り壁の染みとなる。次々と張り手で叩き潰していく電子の背後を、昭平は火炎放射器による炎の壁で敵の行く手を塞いだ。

「しかし、これだけ豚野郎が用意されてるって事は、本当に食いもんは釣り餌で、ただ人間を見世物として処刑するためだけのものなんだべな……」

 出来レースという言葉では許されない、背信行為だ。飢えた人を食べ物で釣って、それを見世物として処刑する――昭平からしても、許せるものではなかった。

 だからこそ、この悪趣味な闘技場は完全に潰す――その決意を持って、昭平は手裏剣を迫る触手へと突き立てた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フローラ・ソイレント
POW判定

・行動
集団での突進に合わせて投擲した電磁針でUC使用
つながった磁力の鎖を引き寄せて
同士討ちになるように方向を変える

更に体勢を崩したところを限界突破した怪力で引きずりまわし
相手自身を武器にして集団を叩き伏せる

・セリフ
戦いってのは力だけじゃ出来ないんだよ
本能だけで暴れる輩には
こうして勢いを逸らしてやるのが一番だぜ!

誰かに指揮されたわけでもない雑魚が
幾ら集まろうと無駄なんだよ
さっさと出てきやがれクソババア!


雲母坂・絢瀬
ようさん降りてきたんやねえ。
ばとるろいやる、いうやつやろか。

体捌きとスキル【残像】で敵を翻弄、混乱させつつ、同士討ち狙ってくで。
残像の先には別の敵がおるっちゅう寸法や。

ついでに近くにおる【敵を盾にする】でも同士討ち狙ってみよか。
敵はん余計に頭に血がのぼって、こちらの思う壺にどんどんハマってくれはるかも。

とにかく混戦の中でも、すまあとに立ち回るんよ。

その中でも女帝はんへの意識は忘れんようにしたい所やね。

機があったら、敵はんの武器をUC【火光】で斬り裂いて、斬った武器の先を女帝目掛けて弾き飛ばすで。

挑発っちゅうやつやな。
視線と刀の切っ先向けとこか。わかりやすいやろ。

アドリブ大歓迎でよろしゅうに。


ガルディエ・ワールレイド
こんな不味そうなものを大盤振る舞いされても困るんだよ。
責任者に文句を言う必要が有るから、さっさと片付けさせて貰うぜ。

◆戦闘
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流

敵の突進に対しては、その体重や勢いを利用する形で、真正面から《串刺し》狙いの刺突で迎撃

「電流デスマッチって奴だ。まぁ普通のとは全然違うがな」
程々の所で【竜威】を使用して、自分の全身を雷と《念動力》の複合体という超常現象へ変換。
突進で倒される全身鎧から抜け出して、鎧に纏わりつく敵へ雷の《属性攻撃》と《範囲攻撃》による雷撃を放つぜ。

また脱いだ鎧や武器も念動力でコントロールして、囮を兼ねた補助攻撃として使うぜ。


伊敷・一馬
不採用含め全て歓迎だ!

廃棄指定『第二十三模倣体』…なるほど、この世界ではチャーシューに成り損ねた合成生物をこのように廃棄してしまうのか。無情なりアポカリプスヘル!
しかし諸君、安心したまえ。我ら猟兵は正にスーパースターなヒーローだ。君達を救って見せる!
きちんとしたチャーシューにしてみせよう!
(絶対食べないでくんろ)

まずは熱血ヒーロー・ガジェットアーツ!で射撃、仲間がいる場合は援護を最優先だ。
敵が寄ってきた場合は剣に変えてチャーシューにしてやる。が、ボディ君は貧弱だから接近戦は出来るだけ避け、UCで弱った敵を振り回し、周囲を薙ぎ払うとしよう。

安心しろ。食べ物は粗末にしない。レッツ☆イート!
(!?)


アリア・ティアラリード
【姉妹組】
依然としてビキニアーマーのまま、偵察から戻ったシェラフィールと合流
思わずぎゅ〜っ!て抱きついてしまいます!可愛い♥可愛い♥
ほっぺたとか全身とか擦り付けて妹充してると闘技場に模倣体が!
妹分摂取の邪魔されて少し、かなりイラっとしました
危うく何しにここ来たのか忘れてしまいそう…!

気を取り直して戦闘開始!ここはシェフィちゃんとの共同作業!
…共同作業って響き、素敵です…♥
二人のUCユニゾン発動で、『模倣体』の群れを包む嵐が闘技場を包み込み
フォースで形成された無数の花びらが切り刻んで!
「さぁ、そろそろ首領さんの出番…じゃないですか?♥」
不適に笑ってこの場を見てるであろう首領にカモン、カモンです!


シェラフィール・ディー
【姉妹組】
結果的には探す手間が省けましたね。高みの見物にしてもいい御身分です。
「お疲れ様で御座いました。お嬢様――む、ぎゅゥ――!?」
やれやれ、抱きついて……まぁ、今回は暴れて貰った事が功を奏したので…
…ヤバいです怪力が過ぎますいけない抜け出せません――…危うく潰される所で御座いました
まぁ、とはいえ、アレに礼をいう気は起こりませんが。尖兵にしても悪趣味です

「数で来るのであれば面で制圧致しましょう。お嬢様」
未熟極まりなく、私だけでは制御しきれぬフォースですがお嬢様のエスコートがあれば…
ユニゾン、見た目の美麗さと裏腹に敵のみを切り裂く精緻なフォース捌きをお見舞いです


緋神・美麗
絡み・アドリブ歓迎

親玉の居場所もわかったことだし雑魚はさっさと始末して女帝を引きずり降ろさないとねぇ。
「すぐに片付けるから首を洗って待ってなさいよ」

出力可変式極光砲を攻撃回数優先で使用、誘導弾・衝撃波・鎧無視攻撃・範囲攻撃・気合・力溜め・先制攻撃も組合わせて弾幕を張り、敵に近づかれる前に殲滅する構え
「その汚らしい手で私に触れられると思わない事ね」
敵の攻撃は見切り・第六感・野生の勘を駆使して回避する
「だから簡単に触らせないって言うのよ」

全部片づけたら天井に向かって
「全部片づけたわよ。さぁ覚悟なさい!」
tp女帝に向かって啖呵を切るわ



●狂乱の闘技場へ

 時間はしばし、巻き戻る。

「さぁ、大盤振る舞いだぁ! 腹一杯受け取りなあ!」
「すぐに片付けるから首を洗って待ってなさいよ」

 改めて始める宴に楽しみながら笑うマンマ・ブリガンダを見上げ、緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)が呟く。親玉の居場所もわかった、雑魚はさっさと始末して女帝を引きずり降ろさないといけない――美麗はそう決意する。

 地下でありながら、闘技場は広く設定されている。だからこそ、戦闘は散発的に行なわれる事となった。

「お疲れ様で御座いました。お嬢様――む、ぎゅゥ――!?」

 闘技場へ降り立ったシェラフィール・ディー(オニキスロード・f03454)を出迎えたのは、アリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)の包容だった。ビキニアーマーのままぎゅ~と抱きつき、アリアはほっぺや全身をすりつけて妹充を――。

「……ヤバいです怪力が過ぎますいけない抜け出せませ――!?」
「ブル!」

 そんな姉妹の時間を邪魔したのは、上から落ちてきた廃棄指定『第二十三模倣体』だ。シェラフィールが気付いて後ろへ飛んだ瞬間、ズガン! と床を壊して第二十三模倣体が着地した。

「く、せっかくの妹充の最中に……!」
「……危うく潰される所で御座いました」

 邪魔をされて、何故ここに来たのか忘れそうになったアリアの腕から、シェラフィールがすり抜ける。確かに、アリアの怪力に潰されるのを助けられた形ではあるのだが。

「まぁ、とはいえ、アレに礼をいう気は起こりませんが。尖兵にしても悪趣味です」

 次々に落ちてくる第二十三模倣体達。その光景は、悪夢そのものだった。

「ようさん降りてきたんやねえ。ばとるろいやる、いうやつやろか」

 しみじみと雲母坂・絢瀬(花散る刃・f23235)が呟き、蘇芳一文字を改めて構える。この一体一体が、先程戦っていた同型よりも強い――その事を、絢瀬は鋭く察した。

「こんな不味そうなものを大盤振る舞いされても困るんだよ。責任者に文句を言う必要が有るから、さっさと片付けさせて貰うぜ」

 ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)が魔槍斧ジレイザと魔剣レギアをヒュオン、と振りかぶった刹那。第二十三模倣体達が、一斉に猟兵達へ襲いかかった。

●怒涛のごとく

 地響きを立てて、第二十三模倣体達が突進してくる。その前へフローラ・ソイレント(デッドマンズナース・f24473)が、大型電磁針を投擲した。

「陰陽両極の気を以て互いを繋ぐ鎖と成す。磁極流、陰陽縛鎖(パーシャ)!」

 ツボに点穴するための大型の鍼が第二十三模倣体達へ突き刺さり、バチン! と突き刺さった部分を破裂させる。フローラの磁極流:陰陽縛鎖(パーシャ)は、それだけで終わらない――第二十三模倣体達の巨体が磁力によって繋げられた。

「戦いってのは力だけじゃ出来ないんだよ。本能だけで暴れる輩には、こうして勢いを逸らしてやるのが一番だぜ!」

 フローラが磁力の鎖を引いた瞬間、突進した第二十三模倣体達が体勢を崩す。そのまま激突し合うと、互いの突進で肉と骨をひしゃげさせた。

「ブルウウウウウウウウウ!!」

 だが、倒れた仲間を第二十三模倣体達は顧みない。転がった仲間を踏み砕き、自分達で止めを刺して怒涛の勢いを加速させた。

「邪魔だ!」

 突進してくる第二十三模倣体へ、ガルディエが魔槍斧ジレイザを突き出す! 巨体の勢いを利用した刺突に貫かれ、第二十三模倣体の体が宙に浮く――そのまま横回転すると、ガルディエは第二十三模倣体を投げ飛ばした。

「ブルウ!!」

 そこに狙いを定めようとした敵の前へ、絢瀬が滑り込む。薙ぎ払って絢瀬の頭部を破壊しようとした第二十三模倣体の鈍器は、手応えなく空を切った。

「鬼はん、こちら――」

 狙ったのは、絢瀬の残像だ。空を切った鈍器は振り払われ、横へ追いついた仲間の胴に大穴を開けた。次の瞬間、ザン! と鈍器を握る第二十三模倣体の両腕が斬り飛ばされる!

「――手のなる方へ」

 高く跳ね上がる鈍器、それが落下するより速く。跳ね上げた絢瀬の蘇芳一文字が刃を返し、第二十三模倣体を縦に両断した。

「数で来るのであれば面で制圧致しましょう。お嬢様」
「ここはシェフィちゃんとの共同作業! ……共同作業って響き、素敵です……♥」

 シェラフィールの言葉に、アリアは空想の世界に羽ばたいて夢心地の笑みを浮かべる。四方八方から迫る第二十三模倣体達の触手――それらに対して、仄かな藤色と艶やかなピンク色が抜き放たれた。

「舞い散りなさい、紅薔薇たちっ!」
「舞い散れ、白百合」

 アリアの風華剣(ブロッサム・ブレード・ローズ)とシェラフィールの風華剣(ブロッサム・ブレード・リリィ)が、同時に闘技場に吹き荒れた。鮮やかに舞う紅薔薇の花びらに、その隙間を埋めるように踊る白百合の花びら――紅白の花吹雪が、第二十三模倣体達を吹き飛ばした。

「その汚らしい手で私に触れられると思わない事ね」

 そして、宙を舞った第二十三模倣体達がなおも触手を放とうとする――それを吹き飛ばしたのは、美麗の出力可変式極光砲(ヴァリアブル・ハイメガキャノン)だ。文字通り薙ぎ払い、焼き切り、広範囲を衝撃波で吹き飛ばす!

「廃棄指定『第二十三模倣体』……なるほど、この世界ではチャーシューに成り損ねた合成生物をこのように廃棄してしまうのか。無情なりアポカリプスヘル!」

 伊敷・一馬(燃える正義のひょっとこライダー・f15453)がポーズを決めながら、間合いを測る第二十三模倣体達へと告げる。言葉が通じるかどうかは問題ではない、問題は――心(ハート)だ。

「しかし諸君、安心したまえ。我ら猟兵は正にスーパースターなヒーローだ。君達を救って見せる! きちんとしたチャーシューにしてみせよう!」
(「絶対食べないでくんろ」)

 ボディからのツッコミに構わず、一馬は熱血ヒーロー・ガジェットアーツ! を銃へと変形。横っ跳びの体勢から、隠し味と言わんばかりに第二十三模倣体達へと射撃していった。

●前座にかけている時間はないんだよ

 ――もはや、闘技場は狂乱のるつぼと化していた。観客達からも野次と喝采が飛ぶ。観客からすれば、この戦いは前座に過ぎないからだ。

(「信頼、だとでも?」)

 フローラは、観客達が楽しめているのは後ろにマンマ・ブリガンダが控えているからこそだと気付いた。例えこの数を倒しきったとしても、まだマンマ・ブリガンダがいる――だからこそ、この状況さえイベントの一つとして楽しめてしまうのだろう。

「――気にいらねぇぜ、そいつはよ!!」

 フローラは磁極流:陰陽縛鎖(パーシャ)によって集結させた第二十三模倣体達を肉の球へと変えて、そのまま振り回した。ミシミシ……! と筋肉が軋みを上げる――だが、フローラの怪力が一トンは軽々と超える肉塊を振り回し、逃げ惑う第二十三模倣体達へ叩きつけさせた。

「ブル――!!」

 状況が悪い、そう第二十三模倣体達が間合いを開こうとした刹那――ズガン! と電光が、第二十三模倣体達を分断した。

「電流デスマッチって奴だ。まぁ普通のとは全然違うがな」

 上へ跳躍したガルディエが、魔鎧シャルディスを空中で分解。雷と念動力を持って落下と同時に、雷撃を放つ! そして、鎧の部品が宙を駆け、第二十三模倣体達を穿っていった。

「お嬢様」
「はーい♥」

 そこへアリアの風華剣(ブロッサム・ブレード・ローズ)とシェラフィールの風華剣(ブロッサム・ブレード・リリィ)が、闘技場に花吹雪の旋風を生み出した。幻想的で美しくさえあるその光景だが、その中にいる敵はたまったものではない。紅白の花びらは、情け容赦なく標的を切り刻んでいった。

「だから簡単に触らせないって言うのよ」

 触手を伸ばし狙ってくる第二十三模倣体達へ、美麗が告げる。左右に刻むステップで触手をかいくぐると、美麗はサイキックエナジーで出力調整した電球を解き放った。

「これが私の全力だーっ!」

 ズガン! と美麗の出力可変式極光砲(ヴァリアブル・ハイメガキャノン)が、周囲を豪快に吹き飛ばしていく。手数重視だが、その一撃一撃に第二十三模倣体達は耐えきれずに穿たれていった。

「ブル!!」

 最後に残った一体が、絢瀬へと襲いかかる。振り下ろされる鈍器――それに絢瀬は余裕を持って刃を合わせた。

「轟々と震え」

 絢瀬の火光(カギロイ)の一閃が、鈍器を斬り飛ばした。ゴォ! と絢瀬に斬られたそれは、マンマ・ブリガンダの横を通り過ぎ天井へめり込んだ。

「へぇ――!」

 マンマ・ブリガンダが歯を剥いて笑う。明確な絢瀬からの挑発だ、マンマ・ブリガンダの体が一回り膨れ上がったように闘気が増した。

「さぁ、そろそろ首領さんの出番……じゃないですか?♥」
「全部片づけたわよ。さぁ覚悟なさい!」

 アリアが手招きし、見上げた美麗が凛と言い放つ。そして、フローラが吼えた。

「誰かに指揮されたわけでもない雑魚が、幾ら集まろうと無駄なんだよ。さっさと出てきやがれクソババア!」
「いい、いいねェ。いいよぉ、あんた達……」

 まるで豚が上げた撫で声のように、マンマ・ブリガンダは照明から飛び降りた。

●あくまでオマケ

 ――仲間達が、そんなやり取りをしていた間の事だ。

「安心しろ。食べ物は粗末にしない。レッツ☆イート!」
(「!?」)

 一馬が最後に倒した第二十三模倣体の体をスライスしていたのだが……ソレがどうなったかは、神のみぞ知る事であった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『🌗マンマ・ブリガンダ』

POW   :    マンマ・ザ・フルパワー
【解体用チェーンソー】【爆殺グレネードランチャー】【刃物を通さぬ分厚い皮下脂肪】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    グレート・マンモス・アーマー
自身が装備する【大型のマンモスダンプトラック】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    サクリファイス・カノンボール
自身の【負傷、又は猟兵から逃げ出した子分の命 】を代償に、【人間大砲から放たれる爆弾を巻き付けた子分】を籠めた一撃を放つ。自分にとって負傷、又は猟兵から逃げ出した子分の命 を失う代償が大きい程、威力は上昇する。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●闘技場の女帝

 ――地響きを立てて、マンマ・ブリガンダが闘技場に降り立った。

「マンマ、マンマだ……!」
「おお、女帝の戦いが見れるのか! 今日は運がいいぜ!」

 地下を揺るがす喝采が、その場を支配する。それを当然のように眺め、マンマ・ブリガンダは目を輝かせながら言った。

「どうだい? 人は衣食住を満たすと最後の飢えるものがあるのさ――刺激って、人生のスパイスにねぇ」

 この食糧難のアポカリプスヘルにおいて、もっとも贅沢な飢えさね。そうマンマ・ブリガンダは、喉を鳴らして笑った。

「あんたらも、この女帝の人生のスパイスになんなア!!」
銀山・昭平
衣食住を満たすと、とか言ってるが、この世界ってそれらを満たせねぇ人の方が多いべ。現に食いもんを賞品に釣ってたてめぇがわかってる筈だべ。

というわけで【即席絡繰強化術】でおらの手裏剣の推進力と貫通力を高めていくべ。
どんな鎧だろうが、全力で貫く手裏剣をたっぷりと味わうべ。
たっぷりとマヒ毒を塗った【マヒ攻撃】もスパイスに、てめぇの最期を彩ってやるべ。
おかわりの手裏剣も、何発も用意してあるべ。遠慮はいらねぇから好きなだけ食うべな!!

逃げ出すタマじゃねぇのはわかってるが、それでも決してここから逃がす事はしないべ!


クラウシス・ゴドリベント
「ではあなたには何も与えずに圧倒的な力をもって殺しましょう。飢えたまま何も得ずに死ぬといい」

マンマの技はどれも自己強化か大きな一撃。つまり威力も大きいだろう。
ならば【見切り】【第六感】【軽業】で回避に専念し、余裕があれば【カウンター】を狙おう。
味方が回避しきれない時は【かばう】【オーラ防御】【盾受け】で攻撃を防いでいこう。

マンモスダンプトラックに乗った時が勝機だ。
心光剣・大両断で一気に叩き切る。マンマを倒せなくとも、トラックを破壊できれば戦意をかなり削れるはずだ。

子分の命を使うことに怒りはあれど動揺はない。
【念動力】で軌道をそらし、回避しよう。

他のPCとの連携、アドリブ歓迎です


ヴェロニカ・ナシーリエ
アドリブ歓迎です!

私のヴォルテックエンジンもようやく調子が出て来たよ。
これなら… 戦える!
少しだけなら… 戦いを楽しんでも良いよね!

行動
AK-74改や柄付きグレネードを使って攻撃したとしても、分厚い皮下脂肪で防がれてしまうかも知れない…
私は《デッドマンズ・スパーク》でチェーンソーの燃料や銃火器の火薬を爆発させてみようかな。
戦闘力の低下と多少のダメージを与える事は出来るはず!
この一撃でダメだったとしても、私にはもう片方の腕がある!
これを代償にもう一撃を叩き込んであげるよ!

腕を失うのはかなり痛いし、戦闘でも不利になる…
嫌だけど、勝つ為には代償を払わないといけないよね…


迅雷・電子
【心情】ついに出てきたねおばさん!しっかし…その体型…ちょっと羨ましいね…あたしもちょっとは体重が増えてほしいのに…まあいいや来なよおばさん!(相撲の開始のように両手を握り地面に置き)待ったなしだ!

【作戦】敵の攻撃は基本【見切り】だよ!子分の人間爆弾は【見切り】で避けるか【怪力】の張り手で方向転換させて回避するよ!「酷いことするね…でもあたしらも負けられないんだよ!」トラックは受け止められれば【怪力】だ!
そして【ダッシュ】で一気にマンマの懐に飛び込んでそのまままわし代わりに腰部分の下着を掴んで相撲投げで投げ飛ばしてやるよ!「へへっ!やっぱあんた、相撲取りの素質あるよ!」



●マンマ・ブリガンダ

 地下を揺るがす喝采、それを当然のように浴びながらマンマ・ブリガンダは笑う。そして、銀山・昭平(田舎っぺからくり親父・f01103)へと向き直った。

「何か言いたそうな顔じゃないか、ええ?」
「……衣食住を満たすと、とか言ってるが、この世界ってそれらを満たせねぇ人の方が多いべ。現に食いもんを賞品に釣ってたてめぇがわかってる筈だべ」

 昭平の言葉に、一瞬マンマ・ブリガンダは考え込む。ただ、すぐに自分と昭平の間にある認識の違いに気付き、腹を抱えて笑った。

「く、はははははははははははは! ああ、そうかいそうかい! 自分の力で生きられない、弱いだけの雑魚どももニンゲン扱いだったのか! そりゃあ悪いね、認識の違いってもんさ」

 そこにあるのは嘲りでもなければ、挑発でもない――心の底からの言葉だ。

「ありゃあね、ニンゲンじゃない。寄生虫って――」

 言うのさ、とマンマ・ブリガンダが言い切る前に、クラウシス・ゴドリベント(流浪のプリンスナイト・f03839)が前に出た。聞くに堪えない、そう言いたげに心光剣【フォーティチュード】の刃を展開する。

「ではあなたには何も与えずに圧倒的な力をもって殺しましょう。飢えたまま何も得ずに死ぬといい」
「言うねぇ!!」

 マンマ・ブリガンダは歯を剥いて、獣のように笑う。刃物を通さぬ分厚い皮下脂肪を文字通り一回り大きく膨れ上がらせ、マンマ・ブリガンダは猟兵達へと挑みかかった。

●熱狂――

 膨れ上がったマンマ・ブリガンダを迅雷・電子(女雷電・f23120)は見上げる。

「ついに出てきたねおばさん! しっかし……その体型……ちょっと羨ましいね……あたしもちょっとは体重が増えてほしいのに……」

 電子からすれば、あんこ型とも言うべきマンマ・ブリガンダの体格は一つの理想であった。しかし、今はないものねだりをしている場合でもない。

「まあいいや来なよおばさん! 待ったなしだ!」
「何だい、力自慢かい!」

 相撲の仕切りの体勢を見せた電子に、マンマ・ブリガンダも同じ体勢を取る――敢えて同じ土俵で向き合った。

 ダン! と両方が同時に動いた。マンマ・ブリガンダが両手で突き出すように踏み出すと、電子は大きくのけぞった。そのまま後方へ押しやられ――紙一重で、耐えきった。

「掴んだよ!」

 まわし代わりに腰部分のマンマ・ブリガンダの下着に、電子は小指一本だけ残していた。たかが小指一本、しかし相撲ではこの小指こそが重要だ。大きく下着を引っ張り、腰を掴むとマンマ・ブリガンダの巨体が宙を舞った。

 おお! と観客が驚きの声を上げる。真っ向からマンマ・ブリガンダの巨体が浮かされるなど、闘技場始まって以来の出来事だったからだ。

 しかし、マンマ・ブリガンダは投げ飛ばされても転がりながら即座に立ち上がる。相撲で負けても、この場は殺し合いだ。何も終わってはいない。

「やってくれるね、小娘! いい技だ!」
「へへっ! やっぱあんた、相撲取りの素質あるよ!」

 力ではなく、技と言った――その意図を正確に受け取り、電子も笑う。

「私のヴォルテックエンジンもようやく調子が出て来たよ。これなら…・・・戦える! 少しだけなら……戦いを楽しんでも良いよね!」

 立ち上がったマンマ・ブリガンダの背後へ、ヴェロニカ・ナシーリエ(腕力で勝利を齎す者・f24515)が回り込む。ギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン! と火花を散らしながら、マンマ・ブリガンダのチェーンソーが振り返りざまに放たれた。

「――ッ!?」

 マンマ・ブリガンダが息を飲む。ヴェロニカの片腕が膨大な電流をまとっている事に気付いたからだ。その考えを理解していても、対応が間に合わない。ヴェロニカのデッドマンズ・スパークの一撃に、マンマ・ブリガンダのチェーンソーが内側から破裂した。

「この、デッドマンが!!」
「この一撃でダメだったとしても、私にはもう片方の腕がある! これを代償にもう一撃を叩き込んであげるよ!」

 零距離、ヴェロニカの一撃にマンマ・ブリガンダが後方へ飛ぼうとしたその瞬間。昭平の投擲した手裏剣が、分厚い脂肪に突き刺さった。

「どんな鎧だろうが、全力で貫く手裏剣をたっぷりと味わうべ」
「ぐ、お!?」

 動きが止まったマンマ・ブリガンダが、ヴェロニカの二発目のデッドマンズ・スパークに吹き飛ばされる! 壁に激突したマンマに、両腕を失ったヴェロニカが吐き捨てた。

「腕を失うのはかなり痛いし、戦闘でも不利になる……嫌だけど、勝つ為には代償を払わないといけないよね……」
「割りに合わないって、教えてやるよぉ!」

 上から落ちてきた大型のマンモスダンプトラックに、マンマ・ブリガンダは登場する。ダンプトラックはマンモスの頭を持つ人型ロボットに変形すると、その足でヴェロニカを踏み潰そうと襲い掛かった。

「させないよ!」

 その足を、電子が受け止める。バキン、と亀裂が走る闘技場――その刹那、クラウシスが跳んでいた。

「我が心に宿る不屈の光、顕現せよ! 心光の導きであるべき場所へ帰るがいい! ――心光剣・大両断!!」

 五十メートルを超える光の刃が、マンモス人間型のロボットを頭頂部から真っ二つに両断する。クラウシスの渾身の心光剣・大両断(シャイニングフォースキャリバー)の一撃に、マンマ・ブリガンダは爆発する直前に脱出した。

(「トラックを破壊できれば戦意をかなり削れるはずだ……が」)

 しかし、クラウシスは聞く。逆境に追い込まれたはずの、マンマ・ブリガンダの大笑いを。

「くくく、ははははははははははははははは! いいね、苦いね、たまらないね! こういう味があってこその人生さ!」
「そう来るか」

 マンマ・ブリガンダの爆殺グレネードランチャーの砲撃を、クラウシスはオーラで強化した王紋の大盾で受け止める。盾越しに伝わる爆発は、ひたすら重い――自己強化に長けたマンマ・ブリガンダの一撃一撃は、並の威力ではなかった。

「さぁ、お次だよ!」

 マンマ・ブリガンダの周囲に、大量の大砲が召喚される。マンマはニィと口の端を持ち上げ、吐き捨てた。

「人の懐に、だいぶダメージを与えてくれたねぇ。くれてやんよ、その分の対価ぁ!!」
「おかわりの手裏剣も、何発も用意してあるべ。遠慮はいらねぇから好きなだけ食うべな!!」

 第二十三模倣体の死体を砲弾とするマンマ・ブリガンダの一斉掃射と、即席絡繰強化術によって強化された大量の手裏剣が、空中で激突した……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雲母坂・絢瀬
うちらは香辛料やなく、脳天貫く劇薬かもしらへんよ?
味わってから後悔してもしらへんで?


まずは相手を揺さぶってこか。【残像】で撹乱しつつ、間合いを【見切り】、ひたすら攻撃をかわすことに注力するんよ。

なかなか当たらへんな?あんたが使い捨てしとった廃棄なんとかと、そない変わらへんな?

とか言葉でも色々挑発を入れて、とにかく女帝はんをイライラを誘うで。

頭に血がのぼって、大振りの一撃が来たら、ぎりぎりで【見切り】かわして、相手の体勢を崩すんよ。

大きな隙は見逃さず、間合いを一気に詰めて、
無塵流の秘伝――いくで?

UC【天狼】で、急所目掛けて神速の三段突きを放つんよ。
防御も防具も意味あらへん。

アドリブ大歓迎やで。


伊敷・一馬
不採用含め全て歓迎だ!

人生のスパイス、なるほど。つまりは今の人生に少し飽きがきたので刺激が欲しい、というわけだな?
(…まんま同じことを言ってねぇべか?)
マンマだけにな!
(くそったれっ!)

ボディー君とのお遊びはここまでだ。軽装に見えてあのアザラシともゾウとも言えない腹を抜くのは困難。
ここは私のゴーゴー☆ジャスティライザー!で撹乱しつつ、隙を見て闘技場の壁を根性で駆け登り、ユーベルコードを使用する。

マンマ・ブリガンダ…敵味方に別れてしまった不幸に私は涙を禁じえない!出ないけど。
だからここに誓おう、我が愛でもってあなたをここに処刑すると!
それが私のジャァアスティイーッ!
(さすがのおらもドン引きだべ)


ベイメリア・ミハイロフ
貴女がマンマ・ブリガンダ、ですか
子分の命を犠牲にするなど、リーダーたる資格が疑われます
貴女の天下、終わらせる他にございません…!

マンマの攻撃は第六感も活用しつつ、
マンマの動きをよく見て見切り、回避を
回避した結果他のお仲間さまに当たるようでしたら
オーラ防御にて防御、又は武器受けにて捌けないか試みます
防御するにも捌くにも、少し、重みがございましょうか
なんとか倒れぬよう頑張ってみたいと思います

こちらからの攻撃はジャッジメント・クルセイドにて
早業・高速詠唱からの2回攻撃も狙いつつ
…そうでございますね、狙えますようでしたら
脂肪のない頭部を狙ってみましょうか
お仲間さまと共闘できます際には常に連携を意識して


ガルディエ・ワールレイド
テメェの価値観には賛同出来ねぇが、そもそも賛否以前の問題なんだよ
オブリビオン、テメェの人生はもう終わってんだ
今更、スパイスを求めるような立場じゃねぇと知れ

◆戦闘
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流
あの皮下脂肪は面倒だな。とは言え、やりようは在るか
【竜神気・禍】を使って、敵の内部をかき乱すぜ

【マンマ・ザ・フルパワー】対策
グレネードランチャーは念動力で、銃口を逸らして直撃を防ぎ、爆発の余波は《オーラ防御》で防ぐぜ。
皮下脂肪を無視する【竜神気・禍】主体に攻める
敵のチェーンソーは《武器受け》から弾いて、体勢を崩し【竜神気・禍】をより致命的な部位に命中させる為の布石とする。


緋神・美麗
アドリブ・絡み歓迎

ようやく女帝のお出ましね。それじゃさっさと退場してもらうわよ。
「猟兵を舐めない事ね。ショック死させるわよ」

【雷閃天翔】を使用し機動力とライトニングセイバーの火力を底上げし、立体機動にフェイントを組み合わせて女帝を翻弄しつつ鎧無視の2回攻撃を繰り出す
冷静に女帝の動きを見極め、見切り・第六感・野生の勘も駆使して女帝の攻撃にカウンターを合わせる
女帝がひるんだら解体用チェーンソーを弾き飛ばし、【超巨大電磁砲】の弾として女帝に撃ち込む
「なかなかいいもの持ってるじゃない。これならスパイス十分でしょ。存分に味わいなさいな」



●命の実感

「あ、ははははははははははははははははは! いいね、いいねぇ! こうでないと楽しくないよッ!」

 マンマ・ブリガンダが笑う姿に、ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)が強く言い捨てた。

「テメェの価値観には賛同出来ねぇが、そもそも賛否以前の問題なんだよ。オブリビオン、テメェの人生はもう終わってんだ、今更、スパイスを求めるような立場じゃねぇと知れ」
「はん、何言ってんだい! 自分のいる場所が自分の生きる場所、それがこの世界ってもんさ」

 ガルディエの気迫を真っ向から受け止め、マンマ・ブリガンダは笑みを濃いものにする。喜色満面、まさに醜い笑みはそう呼ぶしかなかった。

「生きてるってえのはねぇ! 死が間近にあるから思えるもんさ。あんたら、いいよぉ。この生きてる感覚が、たまらない! 最高のスパイスさ!」
「猟兵を舐めない事ね。ショック死させるわよ」
「だからぁ、させてみろって」

 緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)の挑発に、マンマ・ブリガンダも挑発で返す。そのやり取りに、伊敷・一馬(燃える正義のひょっとこライダー・f15453)が「ふむ」と考え込んだ。

「人生のスパイス、なるほど。つまりは今の人生に少し飽きがきたので刺激が欲しい、というわけだな?」
(「……まんま同じことを言ってねぇべか?)」
「マンマだけにな!」
(「くそったれっ!」)
「ちったああ、捻りなぁ!!」

 期せずボディの意見とマンマ・ブリガンダの意見が一致する。再び出現した大砲の群れは、第二十三模倣体の死体を猟兵達へと叩き込んだ。

●戦いの味

「子分の命を犠牲にするなど、リーダーたる資格が疑われます。貴女の天下、終わらせる他にございません……!」

 第二十三模倣体の死体を利用した砲撃をオーラを宿した† curtana †で受け流し、ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)が凛と言い放つ。修道女として、神に仕える者として、命への侮辱は見過ごせる事ではなかった。

「そうかい? 部下の命を駒として扱う、それも大事なリーダーの資質じゃないかい?」
「戯言を!」

 ベイメリアのジャッジメント・クルセイドによる天からの光を、マンマ・ブリガンダは受けながら前へ進む。神などいない、そう主張するような突進を止めたのはガルディエだ。

「その皮下脂肪は面倒だな。とは言え、やりようは在るか」

 竜神気・禍(ドラゴニック・ダークフォース)――切り裂いた魔剣レギアの傷口が内側から爆ぜる。だが、マンマ・ブリガンダの笑みは揺るがなかった。

「そうかい!」

 爆殺グレネードランチャーの零距離射撃で、爆音が轟く。ガルディエの念動力が爆発の衝撃を受け止める中、跳躍した雲母坂・絢瀬(花散る刃・f23235)が上を取った。

「うちらは香辛料やなく、脳天貫く劇薬かもしらへんよ? 味わってから後悔してもしらへんで?」

 ザン! と絢瀬の放った斬撃を、マンマ・ブリガンダは壊れたチェーンソーで受け止める。そのままマンマ・ブリガンダが振り払うと、勢いに逆らわず絢瀬が頭上を飛び越えた。

「劇薬? ハエの間違いだろう?」
「そうやろか? 試してみたらええよ」

 着地した絢瀬へ、マンマ・ブリガンダが裏拳を放つ。それを残像を残す速度で、絢瀬は掻い潜った。

「完全開放、雷閃天翔!」

 全身を物質化した雷でまとい、美麗が迫る。雷を宿すライトニングセイバーの切っ先が、分厚いマンマ・ブリガンダの脂肪を切り裂いていった。絢瀬の技術と、美麗の機動力――二人を相手に、マンマ・ブリガンダは大暴れする。

「うっさいハエどもだね!」

 その動きを一馬は観察する。ううむ、と唸ると、ひょっとこの仮面は呟いた。

「軽装に見えてあのアザラシともゾウとも言えない腹を抜くのは困難。対策が必要だ」
(「……何をやるつもりだべ?」)

 ボディである一馬からの問いかけに、ひょっとこの視線は壁を見る。その視線の動きに嫌な予感がしたボディは……ほどなくして、自分の勘が当っていた事を知るはめとなった。

●ただただ、一撃を――!

「なかなか当たらへんな? あんたが使い捨てしとった廃棄なんとかと、そない変わらへんな?」

 手を出さずかわし続ける絢瀬の挑発に、マンマ・ブリガンダの表情が変わった。ただし、怒りではない――より、笑みを濃くしたのだ。

「その挑発、乗ってやろうじゃないか!」

 拳を握り、マンマ・ブリガンダが振り下ろす! まるで岩の落下だ、凄まじい圧力を感じながら絢瀬は敢えて踏み込んだ。

「無塵流の秘伝――いくで?」

 天狼――如何なる防御をも穿ち貫く神速の三段突きが、マンマ・ブリガンダの急所へと突き刺さっていく! 拳を放つ瞬間、その体勢を崩すための回避行動からの即応――深々と突き刺さった絢瀬の天狼に、マンマ・ブリガンダがのけぞった。

「ぐ、お!?」
「ここです!」

 解体用チェーンソーを弾き飛ばし、美麗が雷光の軌跡を刻み後方へ。指輪――超小型極光砲増幅器を嵌めた手をかざし、言い放った。

「なかなかいいもの持ってるじゃない。これならスパイス十分でしょ。存分に味わいなさいな」

 ズドン! と超巨大電磁砲の弾として、美麗はチェーンソーを撃ち込む。それを振り返らずに撃ち込んだグレネードで、マンマ・ブリガンダは相殺した。

「あは、はははははははははははははははははははははははは!」

 爆発の衝撃で、マンマ・ブリガンダの巨体が転がる。それさえも楽しいと言いたげなマンマ・ブリガンダへ、ベイメリアは狙いをつける。

「――ここはいかがでございましょう?」

 ジャッジメント・クルセイド、その指先が向くのは脂肪の少ない頭部だ。放たれたジャッジメント・クルセイドを頭部に受けて、マンマ・ブリガンダは片膝をついた。

「マンマが、膝を……!?」
「初めて見るぞ!?」

 観客の間に、どよめきが走る。闘技場の女帝が見せた、初めての窮地に興奮が高まる――それは、マンマ・ブリガンダも同じだった。

「くう~~~! 効くねぇ!!」

 スリップダウンだ、と言いたげに勢いよくマンマ・ブリガンダが立ち上がる。しかし、その一瞬の動きさえ止められれば、ベイメリアには十分だった。

「わたくしには、お仲間さまがおりますので――」

 立ち上がったマンマ・ブリガンダの懐へ、ガルディエが踏み込んでいた。魔槍斧ジレイザと魔剣レギアをマンマの豊満な腹に突き立て、ガルディエは告げる。

「内側からグチャグチャにしてやるよ」

 ガルディエの竜神気・禍(ドラゴニック・ダークフォース)が、炸裂する。爆音と流血、一歩、ニ歩と下がったマンマ・ブリガンダへ、その声が降り注いだ。

「マンマ・ブリガンダ……敵味方に別れてしまった不幸に私は涙を禁じえない! 出ないけど。だからここに誓おう、我が愛でもってあなたをここに処刑すると!」

 闘技場の壁を根性で駆け登り、とう! と一馬が舞う。それをマンマ・ブリガンダは見上げ、呆れたように呟いた。

「その設定、まだ生きてたのかい」
(「おい、正論吐かれたべ……」)

 マンマ・ブリガンダの呟きに、ボディが賛同する、してしまう――だが、ヒーローは知っている。時に、ヒーローとは理解されない孤独な存在だ、と。

「それが私のジャァアスティイーッ!」
(「さすがのおらもドン引きだべ」)

 急降下、放たれる飛び蹴りがマンマ・ブリガンダを捉えた。

「事前に即座に真心と愛をお報せ! 快速円滑ストレスフリーなキックのお届けを約束しよう! さあ、届けこの熱き想いっ!!」

 一息で言い切って、一馬は燃える正義の一番星! 超・速達便キック!!(スーパーソクタツビンキック)を繰り出した。しかし、マンマ・ブリガンダは倒れない。
 意地? それもある。ここまで来れば、ネタの完成に付き合ってやろうというのだ。

「そっちの設定が生きてたんだ……こっちの設定も生かそうかねぇ!!」

 ぎゅうう、とさば折りの勢いで一馬を抱きしめたマンマ・ブリガンダの顔が、一馬へと近づく。ボディ君は伏線を思い出していた、より正確にはマンマ・ブリガンダが言ったセリフを。

 ――こぉの正直もんがぁ! いいぜぇ、そいつらを倒しきったら相手してやらぁ!! そん時は祝福のキスのひとつもくれてんよぉ!

(「マジだべか!? いや、待っ――ぎゃああああああああああああああああああああ!!?」)

 ボディの悲鳴は、どこにも届かない。しばしの悪夢、マンマ・ブリガンダは一馬を放り捨てた。

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! さぁ、まだだ! まだやろうぜぇ!」

 こんなに楽しい時間を、終わらせてやるものか――死に瀕しながら、マンマ・ブリガンダの笑い声が闘技場を揺るがした……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジフテリア・クレステッド
※アドリブ・連携歓迎
UCを発動して6倍になった能力で【先制攻撃】する。ライフルを偽神兵器に変型させて【鎧無視攻撃】の毒弾を【零距離射撃】で【一斉発射】。そのエネルギーは偽神兵器を零距離で押し付けてるこの敵を【捕食】することで補って同じ攻撃をする。【2回攻撃】だね。
振り払われたって問題ない。敵UCは子分の命を代償にしてくれるなら後処理が楽になる。どうせ皆殺しにしようと思ってたんだし。負傷を代償にされても、【毒使い】である私の毒は残り続けて【部位破壊】しつ続ける。
1分かけずに殺しきれればいいんだけど……まあ、今回は味方が多いし大丈夫、かな?
私の毒(スパイス)、あなたには刺激が強すぎたかもね。


フローラ・ソイレント
※アドリブ歓迎、共闘可

・行動
呼気を整えながらヴォルテックエンジンに反抗の衝動を注ぎ
電磁覇気を超過励起させる(UC発動)

身に纏う紫電が高まるにつれ
肌の紫色の部分が濃く広くなっていく(代償)

敵が防御力で攻撃を跳ねのけ、避けるそぶりを見せない所を狙い
一気に加速し距離を詰め、胸に手を置き反対の手で上から叩く

電磁気を置いた手を導線にして衝撃と共に体内へ叩き込み
一気に炸裂させる(鎧通しの打法=鎧無視攻撃+部位破壊)

・セリフ
パンとサーカスの理屈ってわけかい
だが、刺激を求めるあまり
危機感ってやつをどこかに置いてきたらしいね
今からアタシがとびっきりの刺激をご馳走してやるよ!

(UC詠唱後)応用の拾壱、金剛鈴・振打


アリア・ティアラリード
【姉妹組・連携OK】
華麗に!カッコよく!素敵に模造体さん達を撃退!
シェフィちゃんとの共同作業、何度やってもお姉ちゃん達してしまいそうです…♥
さあ今度は首領さん!

作戦はシンプル、私が突進!UC発動!【武器受け】【盾受け】【存在感】で攻撃を引き付け
その隙にシェフィちゃんが私を踏み台にして必殺の一撃!貴女なんか脂肪の塊に過ぎませんっ!
もちろん他の猟兵さんが続いてもOK
…あ、でもお姉ちゃんのはじめてはシェフィちゃんのですから!ですからっ!

それじゃ行きますよ〜っ
アリア!可愛い可愛いシェフィちゃん!ジェットなんとか、を仕掛けますっ!
…早くっ、早く踏んでって…♥ お姉ちゃんを踏み台にして……♥(どきどき)


シェラフィール・ディー
【姉妹組】

スパイスとやらに一味添えるは癪で御座いますが、精々苦々しい思いをして頂きます
「…容易に近づける相手では御座いません。ここはシェフィめが隙をつく…話、終わっておりませんがお嬢様…?」
目の前で特攻気味に突っ切るお嬢様…その視線はなんですか?
『お姉ちゃんの気持ち、伝わってるよね…♥』と云わんばかりの――
「…ええいっ、本当に…わかっておりますっ!」
…役割が逆になっただけと考えましょう
刃を収め、最速無手の抜き打ち姿勢
【クイックドロウ】【捨て身の一撃】【封印を解く】
制御不能のフォースが揺らめかせ、背に隠れ一気に接敵準備
「癪ですが御身の大事を取ってくださいませね…云っても無駄なのでしょうけど…!」



●不屈の女帝

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! さぁ、まだだ! まだやろうぜぇ!」

 そこには確かに、狂気があった。それは狂喜であり、世界に仇をなす凶器でもあった。マンマ・ブリガンダの血を流しなおも笑うその姿に、フローラ・ソイレント(デッドマンズナース・f24473)が呼気を整えながら吐き捨てる。

「パンとサーカスの理屈ってわけかい。だが、刺激を求めるあまり危機感ってやつをどこかに置いてきたらしいね。今からアタシがとびっきりの刺激をご馳走してやるよ!」

 ヴォルテックエンジン――「魂の衝動」を莫大な電流に変換する、体内埋め込み式の動力装置に注ぐのは反抗の衝動。

「ははん、ロックだねぇ!!」

 マンマ・ブリガンダの体が、一回り大きくなる――脂肪の鎧に身を硬めたマンマ・ブリガンダの姿に、シェラフィール・ディー(オニキスロード・f03454)が傍らに告げる。

「……容易に近づける相手では御座いません。ここはシェフィめが隙をつく……話、終わっておりませんがお嬢様……?」

 呼びかけてくるシェラフィールに、アリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)は視線で振り返り、艶やかに笑みを返した。

「ふふっ……♥」

 アリアはそのまま真っすぐに、マンマ・ブリガンダへと突撃した。

●女帝の生き様

(「シェフィちゃんとの共同作業、何度やってもお姉ちゃん達してしまいそうです……♥
 さあ今度は首領さん!」)

 目を輝かせて、アリアはマンマ・ブリガンダへと突撃する。それにカウンターするように、マンマ・ブリガンダが爆殺グレネードランチャーを撃ち込んだ。

 ドン! と着弾と同時に、爆発が巻き起こる。直撃すれば、ただではすまない――ここまでの戦いで、そこまで研ぎ澄ませたグレネードだった。

「この護り、そう簡単に突破できるものではありません!」

 しかし、爆炎の中から無傷のアリアが姿を現した。全身を何層もの光反発装甲が覆う絶対防御モード光反発装甲展開(フォースホロニカル・シールド)だ。その硬さに、マンマ・ブリガンダが歯を剥いた。

「だったら、どこまで耐えられるかやってみなァ!!」

 そこへ撃ち込まれるのは、サクリファイス・カノンボールの連続砲撃が叩き込まれる! 第二十三模倣体の死体が血肉をぶちまける中、揺るがないアリアはいい笑顔で耐えていった。

「させないよ」

 そこへ、ジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)が汚染毒弾ペイシェント・ゼロを撃ち込んでいく。その銃弾の効果に、マンマ・ブリガンダは舌打ちした。

「死体を……!!」

 どうせ皆殺しした後の死体だ、とジフテリアの偽神兵器に変型させたライフルの銃弾、その猛毒でぐずぐずに溶かしていったのだ。これでは、撃ち出す事ができない――そこへ、手足の先から紫色となったフローラが迫った。

「金剛の雷は一切を貫く。磁極流、帝釈天(ヴァジュラ)!」

 膨大な電磁気を込めたフローラの一打を、マンマ・ブリガンダはかわさない。その脂肪の鎧に絶大の自信を持つからこそ、喰らう覚悟で返しの拳を放とうとした。
 しかし、そこまでフローラは読んだ上で動いている――フローラは一気に加速。左手をマンマ・ブリガンダの胸部へ当てた。

「――応用の拾壱、金剛鈴・振打」

 そして、その左手に向けて右手重ねるように打撃――電磁気を置いた手を導線に。内側から衝撃によって一気に炸裂させる!

 古流武術、あるいは戦場で活用された甲冑術に『徹し』と呼ばれる技法がある。硬い鎧に包まれた相手へ、衝撃を浸透させて中身に直撃させるのだ。肉体の大部分が水分である人類にとって、その衝撃を水分が余すことなく受け止めてしまう――たっぷりと水の入った水筒を振り回してみるといい、水は中身で暴れその異常な重みを実感できるはずだ。

 その水筒と同じ事が、脂肪の鎧を貫いてマンマ・ブリガンダの体内で起きたのだ。

「が、は……!?」

 マンマ・ブリガンダが、吐血する。なおも動く女帝の拳打と前蹴りを、フローラは止まる事なく受け流し、かわし、防御した。

「見えるよ」

 アルジャーノンエフェクトによって強化された感覚が、ジフテリアにマンマ・ブリガンダの怒濤の動きを見切らせる。マンマ・ブリガンダが繰り出した拳が伸び切ったその刹那、偽神兵器を零距離から射撃――その腕を、内側から溶解した。

「ぐ、が……!」
「私の毒(スパイス)、あなたには刺激が強すぎたかもね」

 ジフテッドとフローラが、同時に左右に散る。それと同時に、アリアがそれはいい笑顔で振り返った。

(「……その視線はなんですか? 『お姉ちゃんの気持ち、伝わってるよね…♥』と云わんばかりの――」)

 実際、伝わった。伝わってしまった事に頭を抱えそうになりながら、シェラフィールが駆け出した。

「……ええいっ、本当に……わかっておりますっ!」

 ……役割が逆になっただけと考えましょう、と切り替えてシェラフィールは幻魔刃を鞘に納め、無手の最速で走る。走り。走って――。

「それじゃ行きますよ〜っ。アリア! 可愛い可愛いシェフィちゃん! ジェットなんとか、を仕掛けますっ!」
「癪ですが御身の大事を取ってくださいませね……云っても無駄なのでしょうけど……!」

 アリアを盾に、シェラフィールは飛ぶ。アリアはその気配だけで確認、「……早くっ、早く踏んでって…♥ お姉ちゃんを踏み台にして……♥」と胸を高鳴らせ今か今かと待っていた。

「あん♥」

 アリアを踏み台に、シェラフィールが更に高く跳躍。幻魔刃の柄へ手を伸ばし――!

「光刃接続可能時間0.78(ゼロコンマナナハチ)秒。一撃限りの切り札(エクセレント)――」

 シェラフィールの居合による滅却剣(フレーム・ブレード)の一閃が、マンマ・ブリガンダを両断した。ずるり、と崩れ落ちる闘技場の女帝の姿に、観客達の悲鳴と怒号、歓声が鳴り響く。

 こうして、地下闘技場はその歴史に幕を閉じる。三々五々逃げ出した観客達も、もうこのような刺激を求めようとはしない……のだろうか?

 マンマ・ブリガンダの言う通り、人間が刺激を求める生き物ならば再び別の場所で同じ事が起きるかもしれない。その時、闘技場に立つのが何者となるのか――それはまた、別の物語である……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月15日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は仇死原・アンナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト