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燕を攫う狐に天誅を

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「オイオイ、ちょっとコイツァ面白い予知を見ちまったゼ。ちょいと話聞いてくれネェか、ご同輩達よォ?」
 そんな事を言ったのは、太い金属質な四肢と体躯を持つ機械。ウォーマシンのブラニ・アカバ(自称人間の壊れた兵器・f12349)だった。
「話をまとめると短けェんだけどな……。とりあえず、簡潔に言えば、子供を浚ったオブリビオンを仕留めろ、ってだけなんだかナ?」
 ケラケラと笑い声を出すウォーマシン。どのような技術なのか。そもそも、本当にウォーマシンなのか。着ぐるみか何か、あるいはコスプレか何かなのか。そんなことをその場に来ている猟兵達の中に考えた者もいるかもしれないが――まあ、少なくともブラニの身体は間違いなくウォーマシンである。
「あァ、これだけだと情報としちゃア少ねェか。……仕方ない、もう少し話すとしよう」
 唐突に口調をガラっと変えるブラニに対し、困惑する者もいるかもしれないが、ブラニはそんな事を気にせずに状況について話す。

「場所はサムライエンパイア、ある城下町だ。そこそこ栄えているようだが、近ごろは今回のオブリビオンのせいで少し緊張状態にある。そして、今回のオブリビオンというのが妖狐だ。なんでも、興味対象が10代前半の幼い、あるいは若い男性――いや、少年か? とりあえず、少年とするか。その少年を誘拐して、愉しんでいるようだ」
 そこまで説明すると、ブラニは一度間を置いてから、
「いやァ、愉快だよナ? 態々少年を拉致ってお盛んとかどれだけ欲求不満なんだヨ? ホント、コメディ作品なら笑いながら見るゼ? こういうのオレァ好きだゼ?」
 再びケラケラと最初のテンションに戻って話し始める。ついでに眼――モノアイ、単眼が紅く点滅している。先ほどまでの真面目そうな説明はなんだったのか、とその落差に猟兵達もどういう気分で聞けば良いのかと困惑する者も出始める。だが、

「――けどさ。恋愛ってのは、今を生きる者同士でやるものだ。過去の亡霊風情が、今を生きるヤツに手を出すのはご法度ってモンだ。そうだろ? あと、コイツの場合、このタイミングの介入なら誘拐はまだ一人なんだが、放置すると妖狐は欲に負けて最初の少年を使い潰し、街中の少年に手を出す。――果たしてそれは、恋愛と言えるか? 仮に恋愛だったとしてもだ。オブリビオンを倒す――それが、猟兵ってもんだって聞いたからな。すまないが、宜しく頼む。ご同輩」

 真面目に締めるかと思われたその直後だった。
「アァそうだ。この拉致られた少年ってのは、街でも有数の実力者の息子らしい。いやはや、まあ、そうでもなきゃ緊張状態にはならんわナ? とりあえず、そんなだから、探していると言えば住人はあっさりと持ってる情報は言うだろうな。なんか、その土地特有の伝承が関係あるらしいが……。まア、有力な情報があるかは、天のみぞ知る、ダナ!」
 再び笑いながら、転移の術を準備をする。果たしてこのテンションのまま形成された転移の術で、本当に予知の場所へと転移されるのだろうか。勿論、そこは問題ない筈なのだが、そのような事を思ってしまう位、このブラニというウォーマシンは胡散臭かったが、ブラニとてグリモア猟兵なのだ。そこは信用しなければ話は始まらない、と準備と覚悟のできた猟兵から転移していった。


暁文空
 どうも、4作目のシナリオとなります。初めましての方は初めまして。そうでない方は今度も宜しくお願い致します。暁 文空(アカツキ フミアキ)です。3作目との並行作業ではありますが、きっと何とかなるでしょう。(楽観)
 ……あれ、スペースシップワールドで次のシナリオをやる、って宣言してたような……いや、気のせいだったか。(記憶改竄)

 とりあえず、今回は3作目までとは違うグリモア猟兵でやらせて頂きました。今後も色々と試してみるかもしれませんが、その時もどうか宜しくお願い致します。

 さて。今回のシナリオは、1章:冒険(情報収集) , 第2章:雑魚戦(妖狐忍) , 第3章:ボス戦(『妖狐』小町) という構成となっております。
 まずは誘拐(拉致?)された少年についての情報を集め、あるいは妖狐がいそうな場所を直接捜索するパートとなり、第2章からは妖狐のテリトリーでの戦闘となります。人質になり得る少年はいますが――巻き添えとかそのあたりは気にしなくても大丈夫です。少なくとも、妖狐も少年を(自分の手で)殺したくはないでしょう。

 一応、プレイングについてですが、特定の他者との連携の場合は、その方のキャラ名とID、旅団単位であれば旅団名を最初に明記して頂きますようお願い致します。
 また、明確に技能を使用する場合は、本文中に明記して頂けると、助かります。

 それでは、今回もどうか、お付き合いの程、宜しくお願い致します。
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第1章 冒険 『無気味な伝承』

POW   :    怪しそうなところや人物を力づくで調査

SPD   :    走り回り、ヒントがないか探す

WIZ   :    聞き込みや資料を調査する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

一条・閃
【からくり旅館 忍典堂】の仲間と行動するでござるよ。
鼎・詩奈(人間の薙刀名人・f07687)殿からお誘いを受けたので、そのサポートでござるな、今回は。
さてさて、また難儀な事件でござるが……幸いにも村人は協力的とのこと。
土地特有の伝承を中心に走り回ってヒントが無いか調べるでござるよ。
有力な情報、あるいは人物、資料に関する事。コミュ力も発揮してバリバリに探していくでござる。
上手く情報が見つかれば適宜詩奈殿とも共有。
相乗効果による良い結果を狙っていくでござるよ!


鼎・詩奈
一条・閃(f00594)と協力するのじゃ。
【コミュ力】、【第六感】を用いて 【WIZ】で聞き込みするとしようかの。
特有の伝承が気になるので「民族・風俗に興味がある」ことと「自分とそう変わらぬ年齢の子」が「神隠し」に遭ったとしたら「自分も怖い」というのを強調するとしようかのぅ。

場所としては 色々な事を見聞きした情報が集まりやすい「小料理屋」とか昼夜なにかしら出ているであろう町の中心の「出店」(でみせ)を聞いて回るとしよう。



 鼎・詩奈(人間の薙刀名人・f07687)の姿は、城下町中央にある出店の集まったところにあった。情報源として人間の口を選んだ彼女は、とりあえず目についた近くの出店に近づいて立ち話を軽く聞いてみる事にした。
「そんにしても、●●様の跡取りが姿をくらませたてなあ、本当なんかねえ?」
「いんや、それは確実。普段姿を見せる時間に姿を現さなかった。あのお方はそのような事はしない」
「ひぇ……こわいもんだな……」
「すみません、少し、宜しいでしょうか?」
 詩奈は一旦、この男二人からしっかりと話を聞くことにした。現状としては、グリモア猟兵からの説明だけでは情報が不足している。故に、とりあえず、関係のありそうな話題は逃さず聞く事にした。
「ん? なんだい?」
「私は鼎詩奈と申します。今の話、もう少し詳しく聞けないでしょうか?」
 詩奈が出店の近くで話している男二人に話しかけると、二人は詩奈を見る。まだ10代半ばの少女が、丁寧に名乗った上で質問している。特に拒む理由もない彼らは、素直に知っている事を話した。
「ああ、ちょっと今ここじゃ噂になってる話でさぁ……それがさ、●●様の跡取りが行方不明になったってんだよ。今更神隠しもねえだろって思うんだけどさあ……」
「けど、どう考えても事実さ。あのお方は勤勉で、真面目なんだ。勉学も真面目に取り組むし、何より跡取りだってのにそれを鼻にかけないんだ。それでいて美形ってんだ。ここじゃあのお方を嫌う人はいないし、だからこそこの噂も大分広まってるし、恐らく事実だろうさ。……それに、この街の伝承に少し、似ているんだ」
「伝承?」
 男の『伝承』という単語に引っ掛かりを覚えて、詩奈は聞き返す。
「ああ! そう、この街は旧くから妖に脅かされてきたんだ。その中に、狐に化かされて攫われたって話もある。そう、例えば――善意で狐を助けたら、狐が勘違いしてそのまま助けた人間を攫っちまう、とかさ」

 聞けば、今回の救助対象である少年も善人であり、また勉学に励み知的好奇心も溢れる人間だったという。そして、その行動力が切欠で、妖狐と出会い、何らかの形でその助けをしたのであれば、そう、その伝承通りに攫われたとしても不思議ではない。だが、どこでどうやって、どこに攫われたか、という情報に欠ける。
「少し……怖いですね……。そういう伝承とかには興味はあるのですが……」
「……まあ、嬢ちゃんなら大丈夫かもしんねえな。伝承通りなら異性を攫うって言うし」
「まぁなあ……だとしても、夜に娘を出歩かせるとかさせねえよ」
「おい、てめえ、まだ子供いねえだろ」
 少しずつ脱線していく会話。しかし、少なくとも間違いなく少年が攫われた、という情報は得たため、二人に礼を言うと、詩奈は自身の親しい仲間である一条・閃(刀魔忍者・f00594)にここまでの情報を共有する。

 閃はその情報から、まず伝承に絞って情報を捜す事とした。
「伝承、伝承でござるか……」
 とはいえ絞った所でピンポイントでその情報がある場所を特定するのは至難。足を使って虱潰しの捜索になるのは明らかであった。しかし、
「若様! 若様ー!」
 街の外れ、あと少しも歩けば外に出てしまうかもしれない程外を、来ている服も身体も泥だらけにしながら叫び、歩いている高齢の女性がいるのを見つけた。
「どうかしたでござるか!?」
「……放っておいてください、若様を捜しているのです!」
 声をかけると、女性はひどく取り乱している様子だった。少し深呼吸をしてから宥めるように閃は女性に改めて声をかける。
「もしかしたら拙者もその若様を捜していると思うでござる。ちょっと話を聞かせて欲しいでござるよ」
 閃に悪意がない事、そして自身が取り乱していた事に気づいた女性は「すみません、若様が見つからなかったもので、焦っていたのでしょう……」といって謝る。
「それで、どうしたのでありますか」
「ええ、私は若様の乳母でございます。●●様の奥様は既に亡くなられ、まあ、多分私が母代わりと言えるのでしょう。後に上に立つお方だというのに、どなたにも礼儀正しく、本当に善いお方なのです。ですが――他の方と比べて、何かを知る事に対しては、大層飢えていたようにも思えます。昨日も、街外れにある人が寄り着かない森に、『ちょっと調べてくる』と書置きを残しておひとりで行かれてしまったのです。立場を考えよ、とは●●様も、私も口を酸っぱくして言い聞かせていたのですが……」
 そう言って、泣き出す乳母。どうやら、救助対象である少年は大層村では気に入られている様子である。
「そう、ちょうどこの先にその森はあるのですよ。ただ、何分長年人が寄り着いていないのです。一説には、その森によくない物が棲んでいるから、人が近づかないような工夫がされている、とかなんとか。あるいは、二度とそこに妖がよりつかないための工夫とも聞きますが……」
 どうやら、この妖狐は街の外に拠点を設けているらしい。とはいえ、この女性一人の話だけでは真実かはわからない。だが、他の人間からの情報も含め、多角的に考える事で、情報の裏をとり、真実かを判断できるかもしれない。
「話難い事だろうに、ありがとうでござるよ。ただ、その話が本当ならその危ない所にあなたは近づくべきではないでござるよ。ここは、拙者に任せるでござるよ」
 まだ二十歳にもなっていない、若い男性からそう言われた乳母だったが、しかしながら閃の話ぶりに彼は信頼できそうだ、と思えた乳母は「どうか若様をお願い致しまする」と言って、頭を下げた。
 とりあえずはここまでの情報を詩奈と他の猟兵にも共有しよう、と閃はこの城下町を再び駆けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白皇・尊
あはは…なんか耳が痛いというか居た堪れないですねぇ、僕も無責任に子供とか作っちゃう性質でして…その妖狐の気持ちも分かっちゃいますし。
まぁ自分の事は棚上げして仕事しましょう、仕事。

「聞きたい事があるのですが…」
『誘惑』で無差別に色気を振りまきながら件の少年について聞き込みましょう。
僕の色香に惑わされて口が軽くなりそうな人がいれば、人気のない場所で吸精しながらたっぷりお話ししても良いですし。
もしかすると僕を妖狐が攫いに来てくれるかも知れませんしね?
「恋愛は今を生きる者同士?クスクス…刹那の快楽だって立派な愛ですよ、多分ね?」



 一方、その頃。
「なんか耳が痛いというか居た堪れないですねぇ」
 その一人である白皇・尊(魔性の仙狐・f12369)は、そう自嘲した。尊も妖狐であり、人間の精を喰らう事で若さが得られる種族という事もあり、今回の事件には思う所があった。
「まぁ自分の事は棚上げして仕事しましょう、仕事」
 だが、今は自身の事よりもオブリビオンを討伐する事が重要である。幾らその妖狐の感情を理解できたところで、見逃す訳にはいかないのだから。
 兎にも角にも攫われた、というのであればまずは人気のない場所。そう言った場所での人攫いなどよくある話であり、そういった場所であれば何か近い情報が得られるのではないか、という考えであったが――
「む。どうやら警戒しているようですねぇ」
 まあ、街の有力者の跡取りが攫われたとあっては、街の警戒度も高いというもの。態々人気のない場所に一般人が来るわけもなく、いたのは有力者に雇われている用心棒のようだった。
「どうした。こういう人気のない場所は危ないぞ」
 そこそこ経験を積んだであろう三十歳半ば程の男性で、体つきはがっちりとしている。
「いえ、私も人を捜しておりまして……どうも、人が攫われたとかで」
「ったく、緘口令も意味ないなあ、こりゃあ。ああ、こっちも人捜しさ。ったく、アレも人騒がせだよなあ……」
「アレ?」
「あ。聞かなかった事にしてくれよ? 若様はともかく●●様からは怒られちまう」
 バツの悪そうに、頬をかく用心棒。それを聞いた尊は、「じゃあ、黙っておく代わりに、その若様って人がいなくなるまでってどうしてたかってわかります?」と尋ねる。
「そんな事で黙っててもらえるなら安いもんだ。若様を探す手は一つでも多い方がいい。でも、危険なとこは探すなよ? 探すならこっちみたいな身体の丈夫なやつに行ってもらえな」
 恐らく、猟兵である尊の方が丈夫のような気もするが、尊は黙って用心棒の話を聞く。
「若様は結構伝承とか調べるのが好きでな、街の外にもよく出歩かれるんだ。辞めろとは言うが、毎回撒かれちまう。でも、毎回無事に帰ってきてたからよかったんだが――」
「帰ってこなかった、と」
「ああ。でも、そういや、いつもと違う事があったな」
「それは?」
「撒かれちまう直前、若様は綺麗な女と一緒にいたんだよな。見た目は同年代に見えたから、もしかしたら二人とも攫われたのか……?」
 どうやら、この用心棒は救助対象である少年――若様が攫われる直前まではその姿を見ていたようだった。しかし、これ以上はどうも情報が出てきそうにない。
「すみません、ありがとうございます」
「いいって事よ。あ。何度も言うけど、危ないとこには行くなよ!」
 実年齢でいえば年下の彼にそう言われながら、尊は人気のない路地裏を後にする。
「うーん、情報は得られましたが、ちょっと面白くないですねぇ……」
 話に出てきた女。もしかするとそれが今回の妖狐かもしれない。まだ確定情報ではないが、大事な情報の一つ。他にも情報を得るべく、尊は城下町を再び歩いて回る事とした。

成功 🔵​🔵​🔴​

天宮院・雪斗
攫われたお兄ちゃん(少年)を探すために、伝承にくわしそうなお年寄りに、伝承のお話や資料のことを聞きに行く。……ところで、お盛んってなに?



 他でも、猟兵達は情報を集めていた。
 天宮院・雪斗(妖狐の陰陽師・f00482)は『伝承』に着目。とりあえず、街の言い伝えなどをお年寄りに聞いてみよう、と街を歩き回ると、茶屋の外の簡易的な椅子にお年寄りが数名腰かけていた。
「ほんとどこに行ってしまわれたのじゃ……」
「し、そういう話はやめておくれよ」
「でも、口にしてないと怖いんじゃ……」
「それは、わからなくも……」
 老人たちもどうやら、少年が攫われたという噂を耳にし、またそれが信憑性があるものと認識しているようだった。怯えているようでもあったが、とりあえずは言い伝えの事を聞こうと雪斗は声をかける。
「あの、ちょっといい?」
 話しかけてきた子供に「おやおや、かわいいねえ」と返すお年寄り。どうやら、子供の前では不安な顔を見せまいと、先ほどまでの空気を一瞬で霧散させたようだった。
「なんだい?」
「この街に、狐についての言い伝えってあるかな?」
「ん? 外から来たのかい?」
「うん、まあ。だから、ちょっと気になって」
 ふーむ、と少しだけ唸ってから、お年寄りの一人が口を開いた。
「まあ、あると言えばあるかの。うんと前の話じゃけど、この城下町のすぐ外にある森に、狐がいたんだと。で、まあ、狐だから罠にかかったりだとかってあるわけじゃ。農民からすれば畑を荒らされたりするからの。――ただ、それを逆に助けた少年っていうのが、いたんじゃ。そしたら、狐が少年に恩返しをしましたとさ、めでたしめでたし」
「へえ、そうなんだ」
 だが、猟兵である雪斗は、そのお年寄りがそこから先を意図的に伏せているだろうというところまでは勘づいた。だが、そこには怖がらせたくない、という感情があるようにも思えた。
「……ところで、お盛んってなに?」
 お年寄りは飲んでた茶を汚く吹いた。
「まだ覚えなくていいんだよ! そんな言葉!!!!」
 雪斗は首を傾げた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

四王天・燦
性癖はとやかく言えねえ…
誘拐して喰らい尽くすのはいけねーってだけだ

SPD勝負で町を探り回って根城を探す。
取り壊し予定の建造物や人が住んでない寺社・お堂など、町の人にも聞いて調べまわる。
中に忍び込んで人の痕跡を確認。
掃除技能で埃の積もり具合を確認したり、時に第六感や暗視にも頼って探索だ

ついでに史跡や古墳があれば見ておく。
伝承…何がヒントになるか分からねーし。
あとはガキの溜まり場や寺子屋も不審な輩がイケメン少年を物色してないか見ておこう

豆腐屋で油揚げを大人買いしてる奴…は流石にいねーよなぁ(大人買い&買い食いしながら)

敵影発見したら尾行開始。符術『力場の生成』で屋根に登ってこそこそ追いかけるぜ


鬼灯・胡蝶
同行者:雪兎(f02304)

WIZ
…子供の情報網を甘く見ない方がいい
意外と役に立つ情報…知ってること…ある、から

交渉…任せて。これでも商人の子供だから…
子供達を見つけたら、緩く尻尾を振ってご挨拶
「胡蝶達…商人の子供。大人の話…つまらなくて…抜け出してきたの。一緒に遊んでくれる…?」
お菓子を沢山見せて[誘惑]
「これは、お近づきの印…ね?」

例の息子さんに繋がる情報の他にも、土地特有の伝承っていうのも気になる、よね…?
胡蝶達の話に乗ってこないようなら…お菓子をすすめて[誘惑]

「旅してると、こういう話…よく聞くの。土地事に色々あって…面白い、でしょ…?」
なんて、言ったら…信じて話してくれない、かな…?


天花・雪兎
胡蝶(f12549)と一緒に

WIZ
商人の子供だけあって、胡蝶は頼りになるね!
ぼくは彼女の話に合わせながら、情報を集めるよ

胡蝶と一緒に城下町の子供達から情報を集めるんだ
子供の遊び場になりそうな、空き地とか探してみよう
子供達を見つけたら、話を切り出すのは胡蝶に任せるね

子供達の警戒が解けたところで、被害者の息子さんの事を聞いてみよう
「そういえば、大人達が話してるのを聞いたんだけど…」って話を切り出す
息子さんの事、攫われた状況、怪しい奴の情報とか色々聞くんだ

ある程度話を聞けたら、そろそろ帰らないと親に怒られるとか言って切り上げよう
その後は他の猟兵達と合流、情報を共有
早く息子さんを助けてあげないとね!



 四王天・燦(月夜の翼・f04448)は、城下町を駆けまわっていた。ここまでの猟兵達の情報から、大分この街の外である可能性が濃くなっているのは承知の上で、街の中に件の妖狐が隠れ潜む事ができそうな場所がないかを確認していた。
「……これは、いねーか……?」
 呟きながらも、その捜索する手と足は止めない。
 燦が今回の件について思うところとしては、一点のみ。
「性癖はとやかく言わねえが……誘拐して喰らい尽くすのはいけねーんだよ」
 そう呟きながら、ふと思い立って豆腐屋へと立ち寄る。妖狐と言えば、油揚げ……そうだ、油揚げを大量購入とかしている者とか怪しいのではないだろうか。……という安直すぎる発想かはともかくとして、燦は豆腐屋に立ち入る。
 入るや否や、燦自身も油揚げを大人買い、大量購入してその場で一つは食べる。うまい、と思いながら買うだけじゃなくて店主に話を聞く事にする。
「なあ、風の噂で聞いたんだけど」
「あー……あれか……」
「多分それだ」
 思い当たる節があったのか、少し顔を曇らせながら店主は口を開く。
「そう言えば、若様を見た最後の日、女の子を連れてたんだよな……。送り届けるとかなんとか言ってた気がする。多分、両想いなんだろうなあ、若様にも春が来たんだろうなあ、とか思ってたんだけど……あの女の子、大丈夫かな……」
 いや、その女の子、重要参考人なんです、とは口に出さずに「そうか……」とだけ返す。寧ろ、油揚げやっぱり好きなのか、等と思いながら店を後にする。やはり、他の猟兵の情報にもあった女、怪しいじゃないかと考えながら。

 また、鬼灯・胡蝶(旅する玄蝶・f12549)と天花・雪兎(雪の子供・f02304)は二人揃って城下町を歩いていた。小さなかわいらしい子供が街を歩く姿に、道行く人々はにこやかにそれを眺めたり、挨拶をしたり、様々である。
 そうしながら向かった先は、街の子供達があつまっている場所。城下町を歩き回り、探していたのは子供たちが集まっている場所だった。少年の行方を知る事こそが最終目標だが、二人は街の子供たちの情報を求めたのだ。
「胡蝶達……商人の子供。大人の話……つまらなくて……抜け出してきたの。一緒に遊んでくれる……?」
 雪兎はそれに合わせて頷くと、新たな遊び相手が増える事に異論はなかったのか、そこにいた子供たちは二人を受け入れた。あるいは、胡蝶が手に持っていたお菓子に釣られたのかもしれないが。
 暫く、二人は現地の子供たちと交流し、溶け込んできただろうという頃合で、雪兎が口を開いた。
「そういえば、大人達が話してるのを聞いたんだけど……」
 城下町を歩いている間に、これまでの猟兵達の情報も共有されており、少年――通称「若様」が、攫われた件について、この場で子供たちに尋ねる事ができた。
「あ、わかさま?」
「うん。みたよ。このあいだ、みなれないおんなのひとといっしょにいたよ?」
「うんうん、きれーなひとだったなあ」
「何処に行ったか、わかる?」
 とりあえず、子供達は少年と推定妖狐とが一緒にいたらしいところを見ていたようだった。
「そうだ。きのう、夕方くらいに外に出るところを見たよ! 多分、森のある方だったかも」

 そう、少年「若様」は街から外に出た。
 そして、「若様」を知る子供達が「見慣れない」女の人と一緒に「若様」が外に出るところを見た、と言ったのだ。少なくとも、それが現状の少年が行方不明となる最後の目撃情報である以上、推定妖狐への疑いは持つべきだろう。
 キリの良いところで二人は子供たちに礼を言って、別れると二人は他の猟兵達にこの情報を共有する。少なくとも、これで街ではなく、森にこそ妖狐の拠点があるのだという事が推測できるのだから。まだ断定こそできないが、疑わしきは街の外の森なのだ。
 猟兵達は合流して、森へと足を踏み入れる。緑が生い茂り、視界は悪いがその程度で動きが止まる猟兵達ではない。然程苦労せずに、進んでいくとそこには――

 ――古ぼけた、廃墟にも近い神社の建物がそこにあった。
 そして、その周りには幾体もの妖狐の忍び達が集まっていた。その奥には、壊れた建物の隙間から、銀髪の妖狐が少年の上に乗ったまま、外からやってきた猟兵達を睨みつけていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『妖狐忍』

POW   :    魅了の術
【全身】から【魅了の術】を放ち、【幻惑】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    小刀一閃
【小刀】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    狐火
レベル×1個の【狐火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「どうして……邪魔をするのよ……」
 少年の上に乗っている銀髪の『妖狐』小町はそう呟いた。視線は相変わらず猟兵達に向けられている。壊れた神社の周りにいる妖狐忍は動かない。ただ、命令を待っている。忍は主の命令を、待っているのだ。
「邪魔をするヤツは、殺して。私は、この人と一緒に楽しむから」
「――」
 少年は何も話さない。話せないのか。それは今この場にいる猟兵達には判断できない。だが、確かな事と言えば、今は少年ではなく忍に意識を向けなければならない、という事だった――
白皇・尊
「おや、お食事中でしたか。
あはは…これは申し訳ない、しかしそんなに配下を並べながら食べるなんて…もしかして見られながらが燃えちゃうタイプです?」
忍を片付けるまでの間、この挑発で少年から搾るのを止めてくれれば御の字ですが、果てさて。

「とはいえ、若様がまだ快楽漬けの廃人になっていないと良いですが」
軽口を叩きながら霊符を放ち、自分と仲間の前に守護の結界(オーラ防御)を展開、守りを固めたら全力魔法で百鬼夜行を呼び出して忍達へ殺到させます。
「同胞とは言え容赦はしませんよ、誇り高き妖狐の身でオブリビオンに堕した罪…死んで償いなさい」
妖怪達が女忍を切り裂き、食い散らかし、引き裂いて蹂躙する…良い光景でしょ?


鬼灯・胡蝶
同行者:雪兎(f02304)

例の妖狐…小町と若様の姿を見せられてむっとする
雪兎に何てもの…見せるかな…目の、毒…

「雪兎の後ろ…胡蝶が守る…ね?」
初手雪兎とタイミングを合わせてUC使用

その後、胡蝶は敵に突っ込んでいった雪兎の援護…する、ね
狐火と殺気を放って雪兎が討ち漏らした敵にぶつける
特に魅了の術を使おうとする敵を優先して攻撃
「雑魚のくせに…邪魔…しないで…」
殺気に怯んで隙になればいい

雪兎の攻撃を潜り抜けて来た敵がいたら妖刀で斬りつける
胡蝶が…狐火しか使えないと思った…?
だとしたら…見る目がなくて…無能なの、ね…?

胡蝶…この妖狐達…嫌い…だから、早く終わらせよう…ね?


天花・雪兎
胡蝶(f12549)と一緒に戦うぞ!

地形の利用で有利に立ち回れるかもしれない
何故か不機嫌そうな胡蝶の手を引いて、素早く戦場の端、敵に囲まれる心配のない場所まで駆け抜けよう

その間に敵の数と位置を把握
ぼくが狙うのは複数固まって連携を取る敵達だ
視界の悪さを利用して、こちらを把握される前にUCで強襲

敵の連携が乱れた所を忍び足で近づき背後から先制攻撃!
そのまま流れるようになぎ払い、体勢が崩れ敵を優先して2回攻撃
敵の攻撃は見切り、フェイントを交えて油断させた後、だまし討ち

後ろは胡蝶に任せてるから、安心して戦えるぞ!
一緒に頑張ろうね!頼りにしてるよ!


西園寺・翡翠
WIZ

シュリマリママリ マリシュシュリ ソワカ。
匂いがする。嗅ぎ慣れた匂いだ。むせ返るほどの『同類』の糞みたいな匂い。
ドブネズミよりも腐った匂いのする盛りのついた雌犬の分際で。
愛染にその身を差し出して懺悔を乞いて、烏枢沙摩の火生にてその穢れた身を清めるがいい。この阿婆擦れ共め。


行動
ユーベルコード:三毒解穢折伏権化を発動。
明王を二人、周囲に配置召喚する。
明王の戦いは明王の憤怒性を押し出したもの。
愛染明王は妖狐忍の髪を切り払い、烏枢沙摩明王は火をつけて踏み潰す。
残虐にも思える戦い方で敵に恐怖を植え付ける。


四王天・燦
「神聖な場所で情事はやめろ」
実家が神社なだけに嫌だな

「盗賊対忍者。浄瑠璃のお題目かよ」
境内を駆け回ったり、屋根に飛び乗ったり派手な立ち回りを意識。
狐火はフォックスファイアで応戦。
魅了からの小刀一閃に警戒…見切れそうにない初見の内は残像残して避けられる間合いを取る。
残像を斬らせた刹那、小刀に盗み攻撃

アークウィンドと小刀で二刀流…と見せかけ(失敗時はダガーのみ)接近するや懐の符を貼り付け符術『魔封じの儀』!
「狐の世界は虚虚実実…アタシの勝ちだ。苦痛なく逝きな」
永久の眠りか石の呪縛か。刀は返すぜ

さて拐かしは駄目だが。
「妖狐の性を抑え切れねーことには同情する。愛しているのか?」
只の外道か否か見定めるぜ



「神聖な場所で情事はやめろ」
 そう怒りを露わにしたのは四王天・燦(月夜の翼・f04448)だった。また、他にも怒りを隠せない猟兵達がいた。その中でも、燦に至っては実家が神社という事もあり、幾ら廃屋同然となっている神社であろうと、神聖な場での情事を許せる訳がなかった。
 また、西園寺・翡翠(A Stranger I Remain・f01806)もまた、この敵に対しては明確な敵意があった。
「むせ返るほどの『同類』の糞みたいな匂い……愛染にその身を差し出して懺悔を乞いて、烏枢沙摩の火生にてその穢れた身を清めるがいい」
 敵意というよりも、嫌悪の類なのは誰の眼にも明らかだった。理由は何であれ、少なくとも猟兵達の目の前にいる妖狐は倒すべき敵、オブリビオンであり、その動機は何でも良いのだ。
 そして、鬼灯・胡蝶(旅する玄蝶・f12549)はと言うと――
「雪兎に何てもの……見せるかな……目の、毒……」
 目の前の出来事に対し、自らの幼馴染である天花・雪兎(雪の子供・f02304)の眼にそれが映ってしまった事が許せない事だった。怒髪天を衝くとはまさにこの事。まるで怒りによって炎が――という訳でもなんでもなく、胡蝶自身の技量、ユーベルコードによって幾つもの狐火が放たれる。本来ならば直接、問題の妖狐、小町を狙いたいところではあったが、救助対象である若様がまだ其処にいる事や、周囲にいた妖狐忍達が猟兵達に迫ってきた事から、標的は寸での所で其方へと変更した。こうして、猟兵達と妖狐忍との交戦が始まったのである。

「おや、お食事中でしたか。あはは……これは申し訳ない、しかしそんなに配下を並べながら食べるなんて……もしかして見られながらが燃えちゃうタイプです?」
 しかし、救助対象をそのままにしておくわけにもいかない。飛び火、流れ弾――幾らでも救助対象が危うくなる危険性があるのだ。勿論、この時点で既に助からない、というのであれば話は別だろうが、それすら判断できない状態であるなら、救助を前提とした動きが優先される。そのため、白皇・尊(魔性の仙狐・f12369)はこうして小町との交渉に入った。なのだが――
「見られながら? そんな変なものじゃないよ。――アレは私とこの人を守るしもべ、駒に過ぎない。あなたは周りにモノを置いて燃えるの?」
 そう言いながら、敵はまだ救助対象の上に跨ったまま。交渉は決裂。敵はオブリビオン。到底、猟兵達と価値観を共有できる存在ではない。勿論、例外はあるだろうが――今回に限れば、間違いなく共有できるようなものではないだろう。
「ほんと、なんで私の邪魔をするの……? この人は私を助けてくれた。だから私はこの人を愛する。ただそれだけなのに」
 愛する、とは言うもののそこに少年の同意があったかはわからない。同意した上で、それ以上の行為をしたのか、それとも同意を得る事なく自分勝手に貪ったのか。今の状況からそれを判断する事は難しい。だが、少なくとも猟兵達から見える少年の様子は、正常なものではない。少なくとも、これ以上現状が続けば危ういのは確かだった。

「こうなれば、同胞とは言え容赦はしませんよ、誇り高き妖狐の身でオブリビオンに堕した罪……死んで償いなさい」
 交渉ではどうしようもないと判断し、尊は霊符を放ち、自身と仲間の前に守護の結界を展開、守りを固めると同時に、百鬼夜行を呼び出して忍達へ殺到させた。
「僕の式神、堪能しちゃってください」
 文字通り、百鬼――とはいかないまでもおよそ百体もの鎧を装備した夜叉、鵺、牛鬼などの式神が突如現れ、妖狐忍の動きが鈍る。狐火を放って、それらを全て迎撃しようとするが、胡蝶も先ほど狐火を放っており、迎撃の炎の数は明らかに足りていなかった。また、そこに対して雪兎もまた狐火を放ちながら、薙刀で忍達を攻め立てる。すると、忍達が迎撃に用いる筈だった狐火は数が足りず、忍はその炎や攻撃を身に受け、倒れてゆく。幾体もの忍がいたというのに、その数が見ていれそれがあっという間に減っていくのがよく見える。
「欲に等しき焔は無し。その欲界の毒、懺悔偈の呻きで彩られた火生の焔にて浄められていけ!」
 それに追い打ちをかけるように、翡翠は愛染明王と烏枢沙摩明王を召喚する。愛染明王は妖狐忍の髪を切り払い、烏枢沙摩明王は火をつけて踏み潰す。残虐にも思える戦い方だが、それに敵が怯む様子はない。そして、その様子に対して本命の妖狐は興味を欠片も示さない。妖狐忍に命じてからは、猟兵達から視線を外し、ただ少年と一緒にいるのみ。戦況を見ようともしない。隙だらけではあったが、忍には忠誠心があるのか、不意打ちをしようとすれば、しっかりと忍がそれをガード、無駄に終わるというのが現状であった。
 とはいえ、だからこそ妖狐忍の数を減らすのは容易であるとも言えた。仮に、戦況をちゃんと把握し、戦力をどこに集中させるべきなのか、どの戦力を優先して倒すべきなのか。それを判断して動く事の出来る多は強い。しかし、漠然とした猟兵達を倒す、という命令しか受け取っていない妖狐忍に、そこまでの戦況分析、細かな動きは厳しかった。
 そんな忍達を、燦は忍達の十八番である筈の機動戦で逆に翻弄する。屋根を活かした三次元移動で視界から消えれば、死角から一閃。時には、忍達の持つ武器を奪い、自前の短刀アークウィンドとの二刀流で手数を増やし、更に敵を翻弄していく。
 そんな燦を忍達がやっと捉えた、かと思えた忍達の狐火だったが、そこにあったのは残像。本体である燦自身はそれよりも先を行っていた。間髪入れずもう一つ忍が放つが、これは燦もフォックスファイアで迎撃して無傷。そして、燦は忍達の懐へと肉迫し、両手に持つ刀が忍を斬り裂かんと素早く動き、忍は辛うじてそれに反応する。だが――
 忍を襲ったのは刃ではなく、符。寸での所で、懐から燦は符を取り出し、忍に貼り付けたのだった。そして、それは既に燦に隣接していた忍達全員に気づけば張り付けられており――つまり、今まで忍達を翻弄していた事すらも布石に過ぎなかったのだ。
「――御狐・燦が命ず。符よ、我が敵を夢へと落とさん。符よ、我が敵を石とせよ。符よ、我が敵の呪力を断ち切らん。これをもって魔封じを為せ!」
 燦の紡ぐ言の葉により、数体の忍達は完全に動きを封じられたも同然だった。これこそが、燦のユーベルコード『魔封じの儀』。条件は厳しいが、しかしながら敵を翻弄し、仕込みを終えた状態であれば、何の問題もなかった。そうして、動けなくなった忍達を燦は容赦なく仕留めていく。
「狐の世界は虚虚実実…アタシの勝ちだ。苦痛なく逝きな」
 しかし、本命は未だ猟兵達には興味を示さず少年から離れようとしない。忍達の数はあと僅か。全滅させできれば、本命の妖狐も猟兵達を無視できなくなるだろう――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

鼎・詩奈
忍者狩りの得意なナイ・ノイナイ殿(f02501)の支援に回るとしようかの。

【なぎ払い】【2回攻撃】【範囲攻撃】【第六感】
真の姿解放じゃ
【POW】【SPD】と薙刀の長さにあかせて【狐火】じゃろうが【小刀】じゃろうが 片っ端からまとめて切り払ってくれるわ!

ぐぬ なんじゃこれは! 魅了じゃと?! いかん ぼーっとしてしまう・・・・
(二回攻撃・範囲攻撃の時間差で被害が少ないといえども 引き付けるのがやっとなのであった)


ナイ・ノイナイ
旅団【からくり旅館「忍典堂」】の鼎・詩奈(人間の薙刀名人・f07687)サンが手堅く防衛してくれるそうだが、
もし魅了の術が彼女に及ぶならUC【贄の義務】を使い
術の前に無防備無我の状態で己の身を差し出して守りたい。

彼女との連携が間に合うならば、小刀一閃と狐火は彼女に対応を頼む。
俺はサムライサーベルの剣技のみで攻撃し、
残像を駆使して相手の気を逸らし背後に回り、フェイントを交えて斬りかかる。



「うるさいなあ……まだ終わらな……?」
 物音に、ふと周りを見渡す妖狐の小町。そこには、猟兵達を仕留めるために動いていた妖狐忍はいたのだが、その数は大分減っていた。それが一体どういう事なのか、どうしてこうなってしまったのかを、小町はまだ理解できていない。
 小町がしっかりと理解し、行動に移していしまう前に、この残った妖狐忍を倒し、直接小町を叩いてしまいたい――猟兵達はそう考えた。

 鼎・詩奈(人間の薙刀名人・f07687)は、忍の懐へとすっと入っていった。そして、身の丈以上もある薙刀、巴形大薙刀を振り回し、忍を追い立てる。長く、取り回しには向かないものであったが、それを感じさせない素早い動きで、忍の放つ狐火も手に持つ小刀も捌き切る。そうして、詩奈が引きつけている間に、忍へと迫る人影が一つ。ナイ・ノイナイ(幸いの鳥・f02501)だ。
 死角へと回り込み、サムライサーベルで斬りつける。大技を使う事なく、残り僅かである忍達の数を更に減らしていく。
 順調そうに見えたが、しかしそういう時こそ罠や落とし穴、不運があったりするものである。

「――なぬ、魅了、じゃと!? いかん、ぼーっとしてしまう」
 そう、それこそが妖狐忍の特性。対象を自身に夢中にさせ、その行動を大きく制限させるというもの。単独ではともかく、他に仲間がいるのであればその間に動きの鈍った相手を倒す、という行動自体は非常に効果的だ。
 そして、その餌食に詩奈はなってしまったのだ。妖狐忍はトドメを狙うとするが、その程度であっという間に終わってしまうようなら、猟兵ではない。
「いや、俺の役目だ。覚悟はできている」
 そう言ってノイは無防備となっている詩奈の前に出て、忍を斬り裂く。無防備な詩奈を守るように間に入り、その攻撃を防ぎきる。
「すまぬ、忝い」
「いや、いいさ」
 ノイは詩奈の言葉にそう返し、妖狐忍達へと視線を向ける。残りは僅か数体。然程苦労する事なく、忍達を全て仕留める事に猟兵達は成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『妖狐』小町』

POW   :    妖狐の蒼炎
【青白い狐火】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    クイックフォックスファイア
レベル分の1秒で【狐火】を発射できる。
WIZ   :    コード転写
対象のユーベルコードを防御すると、それを【巻物に転写し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠暁・碧です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「もう……許せない……ほんとに、許せない……!」
 自身を守る者はもういない。自らが出るしかない。妖狐の小町は、少年の上から退いて、猟兵達を睨みつける。
「この人は、私を助けてくれた。この人は、私にやさしくしてくれた。だから、私はこの人を愛している。――それの何が悪いのよ」
 いつの間にか、鮮やかな衣服を着て、手には巻物。周囲には青白い火が漂っている。
「許さない。絶対に許さないよ――猟兵」
 そうして、この事件最後の闘いが、始まった。
藤野・いろは
・心情
何とか間に合ったようですね、遅ればせながら助力致します
なにやら恋慕を拗らせた妖のようですね
あなたの未練も執念も断ち切らせて頂きます
・攻撃
動きをよく観察し【見切り】を狙っていきます
相手の大技に合わせてユーベルコード【先の先】、【カウンター】を叩き込みましょう
【破魔】の力を込めた刀で【なぎ払い】です
好機と見れば【2回攻撃】で攻めの手を緩めずいきましょう
・防御
相手の攻撃には【勇気】をもってギリギリまで見定め【残像】を残すような速さで最小限な回避を試みます
回避が困難な攻撃には狙いに合わせて【オーラ防御】で対応し、ダメージを可能な限り軽減
・その他
アドリブ、猟兵の絡み歓迎



「何とか間に合ったようですね、遅ればせながら助力致します」
 そう言って、先ほどまで忍達と戦い、消耗していた猟兵達に加わった者がいた。その一人こそが、藤野・いろは(天舞万紅・f01372)だった。
 遅れての参戦ではあったが、この戦場に現れて即、件の妖狐『小町』へと向けて、一気に駆けて迫る。その速度には、先ほど猟兵に対する怒りを露わにしていた小町ですら、その顔が驚愕に一瞬でわかる程。
 だが、その驚きも一時的なもの。落ち着きを取り戻した小町は、腕を振るうと青白い狐火が宙に現れると、それは一気に猟兵達へと迫る。一度受けてしまえば無事ではいられないだろうその一撃を、いろはは寸での所まで引き付けてから、最小限度の動きだけでそれをひらりと躱す。
「――なっ!?」
 今度こそ、小町の顔は驚愕に染まる。そして、狐火を出してまだその余韻なのか、後遺症なのか――原因はともかくとして、小町はまだ次の行動に移せる状態ではなかった。
「あなたの未練も執念も断ち切らせて頂きます!」
 結果的に、カウンターという形でいろはのユーベルコード、先の先(ヒトツノタチ)が小町を襲う。完璧に決まれば小町も無事では済まないが、寸でのところでなんとか回避運動をとり、負傷に留める。
 胸元を斬られ、鮮やかな着物も紅く染まる。そして、小町の顔は再び憤怒一色に染まり、今度は小さな動きで狐火が飛んでくる。カウンターからの連続攻撃を試みようとしていたいろはだったが、やむを得ず、攻撃を中断してこの狐火を回避、ないし防御の体勢をとらざるを得なかった。傷こそ負っていて、十全ではないにせよ、小町はまだ、倒れるような状態ではないようだった。
「肝は冷えて、堪忍袋の緒は切れるどころか粉々だけど――もう終わりかな、猟兵? 倒される準備でもできているのかな?」
 小町は猟兵達を挑発しているが、息は乱れている。そう、倒れる状態ではないが、いろはの攻撃は間違いなく、小町を消耗させる事には成功しているのだった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

白皇・尊
「愛?その一方的な搾精が?
アハハ…笑わせますね」

符を放ち強固な守護結界(オーラ防御)で自身を守りながら『誘惑』しながら挑発して攻撃させましょう。
「じゃあ僕も貴女を愛しちゃったので、上に乗って腰を前後しますね。
可愛い貴女の外見は僕の好みです、子供とか…産んで欲しいなって思いました♡」
まぁ本心ではありますがまずブチ切れて来るでしょうね。
そうして強力な攻撃を誘発して守護方陣で防ぎUC【因果応報】を発動、その力を奪います。
「相手の都合など考えない一方的な愛、それは愛ではなく…執着です」
奪った狐火を全力魔法で更に強化して放ちましょう。
「もちろん、僕ならそんな貴女も可愛がってあげますけど♪」

※アドリブ歓迎


四王天・燦
妖狐の性に抗えねーんだろうな…似た所あるから気持ちは分かる、でも!
「許すけど止める。その子死ぬぜ…嫌だろ?」

全力だ、真の姿解放!
「行くぜ妖狐の大先輩!」
神鳴とアークウィンドで二刀流…二回攻撃メインで戦闘。
クイックフォックスファイアが速くとも何発か見てモーションを盗み、第六感と見切りで回避

アークウィンドでギャンビットと見せかけるフェイント入れて神鳴でマヒ攻撃。
復帰までの僅かな隙…他の猟兵の邪魔にならないよう逃げ足・ダッシュを活かして距離を取り直す。
ここぞという隙で神鳴を落とし身軽になって渾身のシーブズ・ギャンビットだ

心中を謀られたら身体を盾にする。
「妖狐の性はともかくオブリビオンの性に従うなよ」


メルフローレ・カノン
遅れての推参ですいません。

目前の妖狐が敵ですね。
助けてくれた人に恩義を感じるのは構いませんが、
無理矢理に攫って拐かすのはいけませんね。
いずれにせよ、オブリビオンは撃破です。

私の得物はメインがメイス、予備が剣で、
状況で使い分けます。
[力溜め]の上、[2回攻撃]で叩いていきます。
[気絶攻撃]で敵の動きを鈍らせ、他の人の支援としましょう。
「本気で行きますよ!」

敵の攻撃に対しては、[見切り]でかわしたり、
[武器受け]や[なぎ払い]で払いのけたりします。
耐えきらなければならない状況なら
[オーラ防御]【無敵城塞】を使用します。
「ここは堪えてみせます!」



「愛? その一方的な搾精が? アハハ……笑わせますね」
 小町が少年の上に跨っていたという事実に対し、白皇・尊(魔性の仙狐・f12369)はそう言って笑った。すると「何て言った……?」と小町は返す。
「ん? 今なんと?」
「今、何て言った、って言ったのよ……!!」
 激情に駆られ、青白い狐火を再び周囲に向けて放つ。綺麗に少年のいる所は焼いたりしないような配慮が見られるあたり、少年の事は確かに大事にしているようだが、だとしてもこのままであれば少年も無事ではない。
 同時に、猟兵にとっても宜しくない状況であったが、符を放ち強固な守護結界で身を守った尊には通じない。更に言えば、彼のユーベルコード【因果応報】は、防御した攻撃を精気として吸収し、効果を増して霊符に納めるというもの。相性としては抜群――小町にとっては最悪の相手と言ってもよかった。
 その顔には驚き。それを見て取った尊は、ニヤリと口元を歪めて言い放った。
「じゃあ僕も貴女を愛しちゃったので、上に乗って腰を前後しますね。可愛い貴女の外見は僕の好みです、子供とか……産んで欲しいなって思いました」
 その言葉には、小町は言葉を失う。一瞬の硬直。
「……え? 何言ってるの……?」
「はい?」
 その硬直の後に、小町が言ったのは予想もしていなかった言葉だった。
「子供ってコウノトリが運ぶんじゃないの?」
「えっ?」
「えっ?」
 更なる沈黙。
「だって、私が読んだ書物には……」
「あー……」

 妖狐『小町』。知る事に執着した妖狐だが、今回の個体に関しては行為こそすれど、その行為の意味は理解していないようだった。そのため、単に楽しむという意味でしかその行為を知らなかった。少し読んだ書物が偏っていたのか、あるいはまだ学習途中だったのか。それは定かではないし、それは今回の主題ではない。
「――でも、今の言葉が私を侮辱している事は確かね。燃やすわよ、猟兵」
 そう言って、小町は再び掌の上に狐火を集める。青白い炎が収束していく様は、生物としての本能――火は危険なものである、というものを強く意識させる。炎、火の制御は文明の証拠だが、この狐火はそんなものではない――猟兵達にそう感じさせる程の、力強い炎だった。
 だが、そんな力を収束している隙を、見逃す筈もない。
「許すけど止める。その子死ぬぜ……嫌だろ?」
 四王天・燦(月夜の翼・f04448)が、一気に距離を詰めて、その手に持つ妖刀、神鳴で小町を一閃すべく迫る。ユーベルコード【シーブズ・ギャンビット】は素早い動きからの一撃。それを見極め、回避するのは至難である。
 だが、小町とて無防備ではない。知識は偏っており、残念な部分は否めないが、腐ってもオブリビオン。収束途中だった炎で燦の前に炎の壁を作る。それは、防御効果があるような物理的な防御ではないが、目隠しには十分。視界を奪い、素早い攻撃を防ぐ効果が見込める有効な一手だった。
 しかし、それを潜り抜けてこその猟兵。燦の狙いは始めから【シーブズ・ギャンビット】ではない。素早い動きからの一閃を予想させておいてからの、手に持っている神鳴の雷撃こそが本命。炎に臆する事なく燦は神鳴を一閃。刀身から放たれた雷撃が炎の壁を貫き、小町へと迫る。
「――くっ……!」
 雷撃が、小町の身体を焼く。電流や雷撃、雷等の一撃でマヒをする、という話はあるが、それ以上に雷撃というのはモノを焼くものである。マヒによる硬直もそうだが、小町の肌は焼かれ、一部が煤で黒くなっている。――だが、何を原動力にしてかはともかく、小町は体に鞭打ちクイックフォックスファイアで燦の再度の接近を許さない。
 だが、小町が警戒すべきは燦だけではない。

「相手の都合など考えない一方的な愛、それは愛ではなく……執着です」
 それは、炎だった。青白い炎だった。
 先ほど、小町が放った、青白い炎――いや、それを更に凶悪にしたナニカがそこにあって、それを操るのは尊だった。そう、尊のユーベルコード【因果応報】によって吸収された小町の炎が強化されたモノ。それが、この炎の正体だった。
「もちろん、僕ならそんな貴女も可愛がってあげますけど」
 そう言って、ニコリと笑って炎を放つ。それを見て燦は飛び退く。猟兵とてフレンドリーファイアで死にたくはない。というか、これは正しく文字通りにフレンドリーファイアである。満を持しての大技。しかし、それを小町は巻物を広げて待ち構える。当然避けるものかと思えば、防御体勢という事に首を傾げるが、まさか――と尊は声を漏らす。
「そのまさかよ。育ててくれてありがと、猟兵」
 巻物の中に、凶悪な炎が吸収されてゆく。そして、その巻物を手早く閉じて、再度広げると、其処には更に強化され、最早「炎」としか表現できない恐ろしいモノが出来上がり、それが猟兵達へと迫る。

「ここは堪えてみせます!」
 だが、その攻撃は尊や燦には届かない。ユーベルコード【無敵城塞】を展開したメルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)が、炎を完全に受け止める事に成功していた。それを見た小町は今度は自前の狐火をメルフローレに対し放つが、先ほどのマヒの影響や、巻物に収め切れなかった炎のダメージで最初よりも威力は落ちている。更に――
「行くぜ妖狐の大先輩!」
 ――燦は再び、小町へと接敵を果たす。今度はそのまま一閃するのか、あるいは雷撃なのか。一度フェイントがあっただけに、小町は即決即断で反応をする事ができなくなっていた。そう、奇策というのは一度行っただけでも効果はあるのだ。故に、燦の【シーブズ・ギャンビット】は迷いによって防御が遅れた小町の顔を斬る。両断、とはいかなくとも、その傷、出血は常人であれば無事では済まない。
「まだです。本気で行きますよ!」
 加えて、先ほど炎を受け止め切ってメルフローレが攻撃へと加わる。流石に無傷ではないが、小町と比べれば正常そのもの。その力を溜めて放たれた連撃により、小町の身体にも大きな傷が出来上がる。服も既にボロボロであり、紅の液体が足元にポタリ、ポタリと垂れてゆく。
「――よくも……」
 だが、よく見れば、書物が一つ、ドサリと落ちる。所謂防刃チョッキ的な役割を果たしたようだったが、小町にとってはそんな事はどうでもよかった。
「あの人が……あの人がくれた書物を……あなたは……!!!」
 大事に、大事に胸元に入れていたのだろう。そうやって大事にしていたのだろう。そんな書物が斬り裂かれたという事実に、小町は怒りの度合いを更に高めていく。
「元から許すつもりはなかったけど――燃やし尽くすわよ、猟兵。私とあの人との未來の為にも」
 小町は考えていない。想い人と、とある行為を続けるようであればその想い人の命も危険である事を。小町は、知らない。想い人――人間は脆いという事を。
 だからこそ、この場で彼女を仕留めなければならない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天花・雪兎
同行者:胡蝶(f12549)

ぼくには皆が言うような愛なんてわかんないよ
でも、小町にとってあの書物が本当に大切な物だった事はわかる
胡蝶がいてくれてよかった
ぼくだけだったら、きっと迷ってた

まずはUCで[フェイント]や[だまし討ち]を仕掛けて、小町の攻撃を[見切り][武器受け]で捌く
この時、胡蝶と連携して交代で小町の相手をしながら、ミスを誘おう
胡蝶のUCで動きを止めた隙に[力溜め]の[2回攻撃]を小町より先に[先制攻撃]
小町の一番傷が深い所を[傷口をえぐる]ように討つんだ

若様をよく見て。小町の大切な人は今、どんな顔をしてる?
このままだときっと”誰か”が不幸になる
大切な人が傷つく愛に、未来はないよ


鬼灯・胡蝶
同行者:雪兎(f02304)

雪兎の手を握って、こくんと頷く
まずは若様が…胡蝶達が…生き残る事を考える、の…

雪兎のフェイントに釣られた小町の攻撃は[見切り]やすい、はず…
[見切り]からの[殺気]をのせた[カウンター]で攻撃、する…
その後…雪兎と連携・交代しながら…同じ事を繰り返し

小町に隙が出来たら…胡蝶のUCで…動きを止める…
雪兎の火力に、期待…小町の止め…もしくは致命傷になるダメージ…よろしく…ね
「…ばいばい。次、は…皆が笑顔になれる…愛を、見つけて…ね?」

小町撃破後、雪兎と一緒に若様の安否確認と保護
あと…気になること1つ
「小町の事、愛してた…?」
純粋な疑問…大丈夫なら…胡蝶に、教えて…?


四王天・燦
「悪意がない以前に悪でない。たまにあるけどさ」
思う節が多くて表情が苦々しくなる

神鳴を拾わずアークウィンド構えて突撃。
シーブズ・ギャンビットではなく今度は早業で取り出した鋼糸・デストラップを足に巻きつけ、斬!
「切札は残しておくものだぜ」

最後は神鳴を拾い突撃。もう炎は見切れている頃合だろ。
何れかの刃物で来ると思わせておいて、符を飛ばして符術『魔封じの儀』
「手下の奮闘を見ていたら読めた切札だな」
眠りや石化の符が効いて苦痛なく逝ってくれると楽だけど、駄目なら胸を一突き

事切れる前に書物は抱かせる。
「伝言くらいは承るぜ」
「あと生まれ変われたら。今度は誘拐したり神社で情事はやめろ」
誘拐なのか疑わしく思うけど



「ぼくには皆が言うような愛なんてわかんないよ」
 天花・雪兎(雪の子供・f02304)は小町の憎悪混じった声にそう返した。隣にいる幼馴染の鬼灯・胡蝶(旅する玄蝶・f12549)がぎゅっと手を握り、雪兎の言葉にこくりと頷く。
 今の小町の様子から見て、小町が少年の事を好いているのは、雪兎にもわかった。そして、たった今壊れてしまった書物を大事にしていた事も。ただ、愛については雪兎にはわからない。まだ、そういう経験は雪兎にはない。だが、確かな事はあった。
 隣にいる胡蝶は、戦闘開始直後には目の前の存在に怒りという明確な敵意を示していた。それが、雪兎の迷いを払拭していた。眼前の存在は倒すべきオブリビオンなのだという事実を心の内にしっかりと持つ事ができたのだ。
 握った手をばっと離して二人は駆ける。それと同時に、雪兎はフォックスファイアにより、大量の狐火を小町に向けて放つ。先ほどまでの大きな炎等と比べると、威力としては落ちる。しかし、受ければ無傷では済まない上、複数ある事によって捌くのも容易ではない。小町はその全てを巻物で受け止め、それをそのまま返そうとする。
 だが、小町に迫っていたのは雪兎だけれはなく、胡蝶もだ。巻物から狐火が放たれている瞬間をめがけて、自身のユーベルコード【七星七縛符】――手にする護符を小町に向けて放つ。すると、護符が効力を発揮し、巻物を広げていた小町から力を奪っていく。
「な、に……!?」
 途端に巻物が力を失ったのか、炎を吐き出し、広がっていた巻物がひとりでに巻かれて閉じてゆく。これで一旦、巻物は広げなければ使えない、という状態になる。もう一度広げれば良い、それだけの話なのだが護符がまだ効力を発揮している以上、小町にできる事はない。
「しまっ――」
 そこへ、火を再び小町へと放ちながらも器用に薙刀を振るう雪兔が既に懐へと潜り込んでいた。鋭く振るわれた薙刀は、既に受けた傷の上に奇麗にすいこまれ、傷口を更に抉っていく。
「う、ぐ……っ!」
「若様をよく見て。小町の大切な人は今、どんな顔をしてる?」
 薙刀の刃を押し込みながら、雪兔は小町へ問いかける。愛はわからなくとも、大事な存在についてはわかる。
「な、に」
「小町の大切な人は、どんな顔してるの、今」
「……」
 応えはない。返事はない。だが、雪兔は重ねる。
「このままだときっと”誰か”が不幸になる。大切な人が傷つく愛に、未来はないよ」
 少なくとも、大事な人が傷つくという事だけは、間違いの筈だ。その想いが、雪兔を突き動かしていた。だが、その言葉を受けてなお小町は止まらない。
「でも、それでも――! 私にできる事なんて、これくらいしか――!!」
 力づくて、どこにそんな力があったのか疑問に思うほどの力で雪兔を振り払い、距離をとる。だが、此処にいるのは雪兔と胡蝶だけではないのだ。

 距離を更にとろうとしたところで、小町は何かに足をとられたのを感じる。
「切札は残しておくものだぜ」
 早業で鋼糸・デストラップを取り出し、それを手早く小町の足元へと放った四王天・燦(月夜の翼・f04448)は、にやり、と口元を歪ませてそう言った。
「――この、離して……!」
 既に胡蝶によって、大分力を失っている小町に対して、燦は一気に接敵する。その際に、妖刀・神鳴を拾い直し、再度素早い動きからそれを振るわんとする。小町は動きが制限されているなりに、屈んで回避を試みるが、刃は来ない。代わりに、札がばさりと小町を背中や後頭部へと降り注ぐ。

「手下の奮闘を見ていたら読めた切札だな」
 それは、取り巻きの忍達を仕留めたユーベルコード【魔封じの儀】だった。元々弱っていた小町にとって、これは致命的な一撃となった。急速に力を失い、ばたりと崩れ落ちた。意識こそあるが、最早長くは保たない。
 辛うじて意識を保っていた小町は残る力を振り絞って上半身を起こしながら、少年へと向けられた小町の手は、だが力なくだらりと落ちてゆき、小町の意識は最早、今にも落ちそうな様子だった。
「伝言くらいは承るぜ」
 燦がそう言うと、小町は最後の力を振り絞り、こう言った。

 ――ありがとう。若様。

 そうして、小町は事切れて、霧散していく。元より本来今を生きているものではない。敗れ去れば、どこかに消えるのみだ。
「あと生まれ変われたら。今度は誘拐したり神社で情事はやめろ」
 消えていった小町に、燦はそう言葉を残す。その言葉が聞こえているかはともかくとして、聞こえている事をただ、祈るだけだ。

 暫くして。少年――若様が、眼を覚ました。一部の猟兵が既に村へ発見の報を伝え、もうしばらくすれば少年は念のため医術の心得のあるものに診てもらえる手筈となっていた。猟兵と少年との別れまではあと少し。
 そこで、胡蝶は少年に思い切って質問をしてみる事にした。
「ねえ、若様」
「何でしょう、猟兵の方」
 自身よりも幼い――しかし、自身よりも明らかに強い存在にどのような言葉遣いをすればよいのか、と困惑しつつ少年は胡蝶の言葉を待つ。
「小町の事、愛してた…?」
「――」
 少年は、既に猟兵達から今の今まで何があったのかを聞かされ、また自身がどのようにして小町とともに神社に来たのかという事は猟兵には話していた。
 だが、そこに少年が小町に対してどのような感情を抱いていたのか、という点は抜け落ちていた。だからこそ、胡蝶は聞いたのだ。そして、胡蝶の言葉に、少年は言葉を選ぼうとして、辞めた。

「死んでもいいと思った」

 それ以上は、少年は語らない。それは、少年の立場からすれば本来、あってはならない言葉だ。順当に後に町の実力者となり、町の生活を支える。そのような未来を期待される人物だけに、自身の感情で自身の生死を決めてはならないのだ。
 ――そう、それが全てを語っていた。

「あー、そんな若様に小町の遺言だ。――ありがとう、だってさ」
 燦がそう伝えると、少年は一回上を見上げてから、大きく深呼吸を一度、二度。そして少年は口を開く。
「此方こそありがとうございます、と伝える機会があるのなら」
 涙をぬぐいながら、少年は言う。そこには笑みがあった。それに満足しつつも、燦は「あ、けど」と言葉を継ぎ足す。
「とりあえず、神社で情事はやめろ?」
「覚えときます」

 燕は食われる事を知っていた。それでも狐についていった。攫われたのではなく、攫われに行った、のだ。
 その結果が、自身が犠牲になるだけでなく、本来自身が守らねばならない存在が食われる事になろうとも、お構いなしについていったのだ。
 ――そう、これはそれだけの話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト