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生き抜く為に必要なこと

#アポカリプスヘル


 大きなビルのような建物からもくもくと煙が上がっている。建物の天井や壁には大きな穴が空き、瓦礫の転がる建物の壁には蜂の巣のような弾痕が残り、まだ乾いたばかりの血の跡が、この場で戦闘が行われたことを物語っていた。
 壁がぶち抜かれた倉庫からはごっそりと物資が持ち去られ、あちこちが火をかけられたように黒焦げ、落ちている食料品の残骸には侵入した野生の獣が群がっている。
「うぅ……痛ぇ……鎮痛剤をくれ…………」
「畜生、あと少しで食糧が手に入ったのに……」
 近くの廃墟の中では、傷を負った奪還者(ブリンガー)達が止血しようと応急手当を施していた。
「まさかここでオブリビオンと鉢合わせするとは。何とか生きて帰って情報を伝えねばならん」
 仲間の誰かがここにくれば、犠牲者が増えるばかりになってしまう。
「だがどうするんだ? あいつらは数が多い。こっちは散り散りになっちまった。それにさっきの建物にだって逃げ遅れた奴らがまだ――」
「しっ」
 口に指を立て、息を殺して身を潜める。すると廃墟の近くを足音が通り過ぎていった。
「行ったか。敵はここを拠点にするつもりか?」
「……これじゃ動けねえぞ」
 こちらは負傷者ばかり、戦っても勝てず逃げることすら困難だ。
 絶望的な状況。己の不運を呪うしかないが、生きる為には行動しなくてはならない。
「このままでは状況は悪くなるばかりだ。すぐに逃げよう」
 覚悟を決め、負傷し碌に動けぬ者も、肩を貸して仲間と共に逃げ出す。何とか見つからずに進もうとする。だが負傷者を連れていては歩みは遅くならざるを得ない。その姿は容易に敵に見つかってしまう。
 敵が集まってくると一斉に弾丸を雨のように浴びせられ、奪還者は次々と倒れていく。血の海に穴だらけの屍が転がり、臭いに集まった獣の餌となる。

 無慈悲な風景。だがこれこそが荒廃した世界アポカリプスヘルでの日常だった。


「新しい世界が見つかった。その名はアポカリプスヘル。オブリビオン・ストームと呼ばれる嵐によって文明が崩壊した世界のようだ」
 荒野に巻き起こる嵐を映すグリモアベースで、バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が猟兵達に新たな世界での事件を告げる。
「食糧を探しに廃墟の町を訪れた奪還者達が、同じように廃墟を占拠しにきたオブリビオンに襲撃された。そして全滅してしまう予知を見た」
 戦闘力で劣っているのに、さらに不意を突かれて奪還者達は逃げる間もなく大打撃を受けてしまった。
「そこで諸君等に廃墟で生存者を発見し、救助してもらいたい。それが出来るのは猟兵だけだ」
 飢えた野生の獣が徘徊し、崩れそうな危険な廃墟でも、敵に見つからずに迅速に人命救助を行うことが出来るのは猟兵しかいない。

「救助が無事に終わったのなら、奪還者を襲ったオブリビオンを襲撃し、物資を奪い取って奪還者の拠点(ベース)に援助してやってほしい。彼らの拠点は食糧が全く足りていないようだ。このままでは冬を越せないだろう」
 オブリビオン達は比較的綺麗で大きなビルを占拠し、そこに物資を集めている。倒せばその物資を手に入れられるだろう。
「そして彼らの拠点に行ったなら、そこでオブリビオンとの戦い方や、厳しい世界を生き抜くための知識を伝えてやってもらいたい」
 さまざまな世界で得た猟兵の知識は人々の生きる抜く力となる。

「アポカリプスヘルは大変な状況にあるようだ。だがそこに住まう人々は諦めずに今も足掻き生きている。まずは一歩だ。そうして前に進み続ければ、やがては文明を再建できるかもしれない。そして諸君等の活躍がそれを助ける大きな力となるだろう」
 バルモアが荒廃した世界へとゲートを繋ぐ。猟兵達は新たな世界の人々を救おうと足を踏み出した。


天木一
 こんにちは天木一です。新しい世界アポカリプスヘルでの任務となります。ヒャッハーな感じの荒廃した世界で人々を助けましょう!

 第一章ではオブリビオンとの遭遇戦で負傷して動けなくなっていたり、逃げ遅れて隠れている奪還者達を助けることになります。場所はビルのような建物が並ぶ廃墟の町です。

 第二章ではオブリビオンの集団を倒し、集めた物資を奪う戦闘となります。

 第三章では物資と負傷した奪還者を拠点に送り届け、そこで人々に生き残る為のさまざまな術を教えて、少しでも人々が逞しく生きていけるようにします。

 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページにて。
 では新たな世界での冒険をお楽しみください!
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第1章 冒険 『命の灯を絶やさぬために』

POW   :    崩壊した建物の瓦礫や野生生物を力ずくで排除し道を切り開く。

SPD   :    敵に見つからないように抜け道を探し出し、危険を避けて進路を確保。

WIZ   :    拠点跡に残された僅かな生命反応を探り、生存者の居場所を推測、救助。

👑11
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播州・クロリア
(舞い上がる埃にせき込みながら顔をわずかにしかめる)
酷い有様です...オブリビオンストームが襲来する前にこの世界を見つけてさえいれば...
いえ、今は未来だけを見ることにしましょう...
(廃墟をとぼとぼと歩きながら)
乾いた黄土色、欲と暴力に満ち溢れた荒々しいリズム...
これはオブリビオンですね
今は後回しです
(『第六感』で救助者が居そうな方へ歩きながら)
橙色と赤色...わずかに燃える不屈のリズム...
これですね
この炎を絶やすわけにはいきません
今しばらくお待ちください
(『衝撃波』の爆発力でダッシュし救助に向かう)


パティ・チャン
■WIZ

■心証
これはなんという、荒野というか無秩序というか
今は「酷い目にあわれてる方を支援」する位しか出来ないのが、歯がゆいところ。

■行動
体躯がこれですから、【世界知識・情報収集】を併用して瓦礫の下に埋まった方も探せます

とはいえ単独行動して、自分が遭難するのも良くないですし、そもそも救出は出来ませんし。ここは仲間との行動を心がけます。

そして怪我人を治癒すべく、【誘惑・勇気・楽器演奏・歌唱】のせで
Lamellaphone Performanceを発動!

「この場は少しでも負傷を癒やせればいいのですが…」

※アドリブ歓迎。仲間との連携は(身体が大きくないので)大歓迎!



●新世界を駆ける
「これはなんという、荒野というか無秩序というか」
 妖精の翅で飛ぶパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)は荒れ果てた大地を見渡し、崩壊してボロボロに朽ちた廃墟の町へと視線を向けた。
「今は『酷い目にあわれてる方を支援』する位しか出来ないのが、歯がゆいところです」
 世界を一手に救うことなど出来ない。ならば今は一人でも多くの人を救おうと、パティは負傷した奪還者達がどこで動けなくなっているだろうかと上空から探す。

「騎兵の仕事は突撃だけじゃなくて味方の撤退支援もあるんですよね」
 今回の任務はまさにその能力を活かす時だと、グロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)は廃墟に降り立つ。
「逃げ遅れた勇敢な奪還者を助けるべく尽力するとしましょう」
 勇敢な戦士を死なせるわけにはいかないと、電脳魔術を行使して周囲をサーチする。
「負傷しているのなら行動範囲は限られます。破壊痕のある建物を中心に辺りの建物を探るとしましょう」
 銃撃で破壊された建物の周辺にある崩れかけの廃ビル。そこでサーチに引っ掛かった生命反応を見つけた。
「発見しました。急いで救助に向かいます」
 二足歩行型戦車『エンジェル』に騎乗したグロリアは、瓦礫の転がる悪路も気にせず機敏に道を進む。
「あちらに居るみたいですね、私も向かいましょう!」
 パティはグロリアの後を追い、上空からショートカットして追いつき共に廃ビルに到着する。

「この中から生命反応があります」
 元は商業ビルだったのだろうか、大きな入り口をエンジェルに乗ったままグロリアは中に入る。
「これは酷いです……」
「いつ崩れ落ちてもおかしくない状態ですね」
 パティとグロリアがビル内を確認すると、あちこちが壊れ、ガラガラと足を踏み入れただけでまた瓦礫が転がり落ちるありさまだった。
「うう……誰か……助けてくれ……」
 すると弱々しい声が聞こえてきた。そちらに向かってパティが飛び出す。そこには瓦礫に腕を挟まれた男を見つけた。
「遥か遠く星の海より騎兵隊の到着です。皆さんを救助に来ました!」
 グロリアが颯爽と騎兵らしく近づき、その瓦礫をエンジェルで持ち上げた。
「助かった、ありがとう! だが他にも瓦礫に埋まった仲間がいるんだ! 助けてやってくれ!」
 男が部屋の奥、天井が崩れた場所を指さした。そこは瓦礫の山で、どこに人が居るのか見ただけでは分からない。

「探すのは私に任せてください。この体躯ですから、瓦礫の中まで探しに行けます!」
 パティは小さな体を活かして瓦礫の隙間に入り込み、その下で意識を朦朧とさせている男を発見した。
「見つけました! この下に居ます! 潰さないように瓦礫を退けてください!」
 瓦礫からパティが飛び出し、仲間に要救助者の場所を伝える。
「了解です。すぐに撤去作業に移ります」
 グロリアは間違って人を潰さぬように、慎重にエンジェルを動かして瓦礫を退かしていく。するとそこに人影が現れた。
「大丈夫です。すぐに瓦礫はどかされますから、気をしっかり保ってください!」
 パティは小さな自分では力仕事では邪魔になるだけだと、要救助者に呼びかけながら瓦礫が退かされるのを見守る。
「よし、これで最後です」
 大きな瓦礫を退けると、人の体が姿を現し、グロリアはゆっくりと丁寧に引き上げてまだ安全そうな部屋へ移動した。

「寒い……」
「おい、大丈夫か!? 死ぬなよ! 嫁さんが待ってるんだろ!」
 倒れたまま顔が青くなっている男に、懸命に仲間が声を掛ける。
「怪我が酷いです……少しでも負傷を癒やせればいいのですが……」
 埋まっていた男は全身打撲に骨も折れ、発熱しているようだった。それを治療しようとパティはカリンバに似た楽器を親指で弾く。するとオルゴールのような優しい音色が響く。それに合わせて優しい歌も紡ぎ、音色が怪我人の心に染み入り、荒かった呼吸が落ち着き傷が癒されていく。
「音楽は世界を越えても有効ですね」
 その様子にパティは安堵し、怪我の具合を確認した。危ない状態は乗り越えたようで、容体は落ち着いているようだった。
「もう大丈夫です。これで命の危険はないでしょう」
 パティが心配そうに仲間を見ていた男に振り返った。
「本当にありがとうっ!」
「これは気付け薬です。飲んで一息ついてください」
 そう言ってグロリアはエナジードリンクを男達に飲ませ、これから退避する為のエネルギーを補給させた。
「ではこの場所を移動しましょう」
 グロリアはエンジェルで2人の男を持ち上げ、安全なエリアまで移動させることにした。
「大丈夫です。敵はいないようです」
 空からパティが索敵を行い、障害が無いことを確認して手を振った。
「一緒にこの嵐を乗り越えましょうね!」
 勇気づけるようにグロリアは男達に声を掛け、エンジェルを発進させた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スターリィ・ゲイジー
どこもオブリビオンに悩まされてるが、ここは一段と酷いのう
早い所まともに暮らせるようにしたいものじゃ

まずは奪還者を見つけなければ始まらぬか
彼らも慣れているじゃろう、恐らく手近の頑丈な物でバリケードなりカモフラなりしてる筈じゃ
つまり…物が動かされた跡があれば近くにいる可能性が高い
埃が不自然に取れてる、細かい物が散乱してるなど気にしてみようかの。あと積まれた物や窓の隙間の暗がりから誰か見てないかも
眼は良い方じゃからの

見つけたら無手をアピールしながら接近
もし奴らの仲間ならこっちが優勢なのだから、こそこそ探す道理など無いのじゃ。と説得し信用してもらう
ひとまず応急手当と、魔法で瓦礫を組んで壁を作るとしよう


グロリア・グルッグ
騎兵の仕事は突撃だけじゃなくて味方の撤退支援もあるんですよね
逃げ遅れた勇敢な奪還者を助けるべく尽力するとしましょう

WIZ行動

得意とする電脳魔術で周辺エリアをサーチ
戦闘知識を元に計算し、負傷者がどこに移動したかの痕跡を探ります
生命反応を発見次第、二足歩行型戦車のエンジェルに騎乗し駆け付けましょう
だいたいの地形は踏破できる自信があるので威厳を保って活動しましょうね
ピンチに駆け付ける騎兵はクールに決めるのがお約束ってやつですし
負傷者と接触できればエナドリを与えて気付け薬とし、エンジェルで安全なエリアまで運搬するとしましょう
「遥か遠く星の海より騎兵隊の到着です。一緒にこの嵐を乗り越えましょうね!」


霧島・絶奈
◆心情
ダークセイヴァーとはまた違った『絶望の世界』という印象を受けますね
…ただ、此方の世界は無法であるが故に、生存への貪欲さがあります
其処が管理された絶望であるダークセイヴァーとの違いでしょうか?

◆行動
遮蔽物になる物陰に紛れ【目立たない】様に行動
生存者の生命反応等の痕跡を辿りつつ【聞き耳】を立てて周囲を観察
生存者の救助を行います
無事生存者と合流出来たら水とチョコレートを渡し介抱
「取り合えずこれをどうぞ。些少でも気持ちに余裕が生まれる事で生存の可能性が高まります。」

負傷者が居た場合は『涅槃寂静』にて「癒」属性の「風」を行使し治療

会敵した場合は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】



●荒れた果てた大地
 3人の猟兵がゲートを潜り、乾いた空気の大地に足を踏み入れた。
「どこもオブリビオンに悩まされてるが、ここは一段と酷いのう」
 荒野と廃墟しかない風景に、スターリィ・ゲイジー(ほしをみあげるスターリィ・f06804)は眉間にしわを作る。
「早い所まともに暮らせるようにしたいものじゃ」
 その為にも人々を救わなくてはならないと廃墟の町に入る。
「ごほっ――」
 廃墟に足を踏み入れると人の手が入らず積もった埃が舞い上がり、播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)は咳込み僅かに顔をしかめた。
「酷い有様です……オブリビオンストームが襲来する前にこの世界を見つけてさえいれば……」
 建物の窓という窓は割れ、天井に穴が空き崩れているものも幾つもある。ここがかつては繁栄していた町であった名残として立派なビルの朽ちた姿だけがあった。
「いえ、今は未来だけを見ることにしましょう……」
 もう取り戻せない過去よりも、今を懸命に生きる人々の為に行動しようとクロリアはとぼとぼと廃墟を歩き出す。
「ダークセイヴァーとはまた違った『絶望の世界』という印象を受けますね…… 新たな世界に立った霧島・絶奈(暗き獣・f20096)はダークセイヴァーと似た空気を感じ取る。
「ただ、此方の世界は無法であるが故に、生存への貪欲さがあります。其処が管理された絶望であるダークセイヴァーとの違いでしょうか?」
 あちらは管理された冷たい絶望だが、こちらは無秩序な熱いエネルギーを感じる。
「何方にせよ、迫害されている者を助けねばなりません」
 オブリビオンが人々を害するなら、その魔の手から守るのが自分たちの使命だと絶奈は行動に移る事にする。
「襲撃を受けた奪還者は散り散りに逃げたようです。此方も手分けして探すのが効率的でしょう」
 絶奈は振り返り近くの仲間に呼びかける。
「そうじゃのう、この廃墟の町は広そうじゃからな。別れて動くとしようかのう」
「わかりました。私は向こうを探してみます」
 スターリィとクロリアも同意し、3人はそれぞれ違う場所を探すことにした。

●生のリズム
「こちらの方から何かリズムが……」
 歩いているクロリアの元に派手な音が聞こえ、建物の陰に隠れてその音を感じ取る。その存在は銃撃で建物に穴を空けて中を物色しているようだった。
「乾いた黄土色、欲と暴力に満ち溢れた荒々しいリズム……これはオブリビオンですね」
 色とリズムで存在を認識し、この廃墟を荒らしているオブリビオンだと確認した。
「今は後回しです。先に要救助者を探さなくては……」
 敵を無視してクロリアは第六感を働かせて人が隠れて居そうな方へと足を向ける。するとピクリと触覚が震え、何かを感じ取った。
「橙色と赤色……わずかに燃える不屈のリズム……これですね」
 それは生き永らえようとする人間の放つ、炎のような命のリズムだった。
「この炎を絶やすわけにはいきません。今しばらくお待ちください……」
 後方へ衝撃波を放ち、その爆発力を利用して加速して飛ぶようにクロリアが駆ける。
「この中から聴こえます……」
 速度を落とし、そのリズムを感じた廃ビルの中へとクロリアは足を踏み入れた。そしてリズムが大きく感じられる方へと進んでいく。

「止まれ!」
 警告の声と共に銃口が向けられた。その守るような背後には瓦礫に下半身を挟まれ苦しむ男の姿があった。
「奴らと違う……? あんた野盗(レイダー)じゃないのか?」
 油断なく銃を構えたまま男がクロリアに尋ねる。
「私はあなた方を救助しに来ました。この場所は危険です。すぐに避難しましょう」
 武器も持たずに身を晒し、自分は味方だとクロリアは安心させる。
「助けに来てくれたのか! だがこいつが瓦礫に挟まれて動けないんだ」
 安堵した男は銃を下ろし、そして後ろで瓦礫の下敷きになって苦しむ仲間を気遣う。
「お任せください。この程度なら……」
 クロリアは左手を錆色の金属製の腕に変化させ、瓦礫の中に突っ込み持ち上げる。
「おおっ!? はっ、すぐ引っ張り出すからな」
「ああ、助かった……ありがとうございます」
 瓦礫の中から助け出された男がクロリアに頭を下げる。
「まだ歩けないでしょう。私が運びますから、すぐに建物を出ましょう」
 クロリアが足を怪我している男を担ぎ上げ、外へと向かう。
「おう! レイダーどもの居るこんな場所に長居は無用だ!」
 それに男も続いて周囲を警戒しながら、敵のテリトリーから逃げ出すことに成功した。

●生きる活力
「これは血の跡……この先に逃げた可能性が高いですね」
 絶奈はまだ乾ききっていない血の垂れた跡を見つけ、気配を消しながらも足早に痕跡を辿る。だが異音を聞き取ってピタリと足を止め物陰に身を潜めた。すると体に銃器を背負ったオブリビオンが歩いてそのまま通り過ぎていった。
「オブリビオンの見回りですか、あれに見つかっては奪還者の方々に被害が出てしまいますね。慎重に行きましょう」
 敵に発見されぬように、血の跡を消しながら絶奈は道を辿る。すると廃墟の建物の中へと続いているようだった。
「此の中ですね」
 辺りにオブリビオンの姿が無いのを確認して絶奈は中に入り込む。
「俺達どうなるんだ……」
「周りにゃ奴らがいるんだろ、見つかったらぶっ殺されちまう!」
 そこには2人の傷ついた男が居て、命からがらここまで逃げてきたのだと見て取ることができた。
「ご相談中のところ失礼します」
 そこへ出来るだけ驚かせないように絶奈が声をかける。
「なっ!?」
「いつの間に!」
 慌てて男達が銃を構えるが、絶奈は動かずに変わらぬ冷静さで話しかける。
「お困りのようですね。私で良ければ逃げる為の手助けをしましょう」
「あんたは奴らの仲間じゃないのか?」
「そういや確かに全然姿が違うな……」
 男達が銃口を下げる。すると安心したのか男の腹が鳴った。

「取り合えずこれをどうぞ。些少でも気持ちに余裕が生まれる事で生存の可能性が高まります」
 絶奈は水とチョコレートを取り出して渡す。するとすぐさま男達は口の中を潤し、甘いチョコでエネルギー補給を行った。
「うめぇ!」
「チョコなんていつぶりだ?」
 ガツガツと平らげると、その顔に貼り付いていた険が和らいで活力が戻る。
「では怪我の治療も済ませてしまいましょう」
 絶奈は癒属性の風を起こし、穏やかな風が2人を包んで体の傷を癒した。
「なんだ? 傷が治ってる?」
「あんたがやってくれたのか、本当に何から何までありがてえ!」
 2人は深々と絶奈に向かって頭を下げる。
「感謝は無事に皆さんの拠点に戻れた時にしてもらいましょう。今は急いでこの場を離れます」
 絶奈の言葉に頷き、奪還者は銃を構えて警戒しながら建物の外に出て、敵に見つからぬように移動を始めた。

●防壁
「まずは奪還者を見つけなければ始まらぬか。彼らも慣れているじゃろう、恐らく手近の頑丈な物でバリケードなりカモフラなりしてる筈じゃ」
 そう推測して物が動かされた跡がある場所を探す。すると少し離れた場所に、崩れたように入り口が塞がっている建物を見つけた。
「ここが怪しいのう……」
 スターリィが観察してみると、他の場所には埃が積もっているが、この建物の出入り口付近の埃は散っていて、バリケードのような瓦礫にも埃は積もっていなかった。
「瓦礫の上に埃が無い。つまり最近になって入り口が塞がったということじゃ」
 スターリィが廃ビルを見上げる。すると窓からこちらを窺う者が一瞬いたような気がした。
「誰か居るようじゃ。眼は良い方じゃからの、確かめる価値はありそうじゃ」
 瓦礫を退けて少しスペースを開けるとスターリィは中に入り込む。

「なっ、野盗か!」
 鋭い声と共に、ガチャリと銃口がスターリィに向けられた。そこには何人もの奪還者達が負傷した仲間を守っていた。
「いいや、あのような無法者どもと同じにされるのは遠慮するのじゃ」
 無手をアピールしながらスターリィはゆっくりと近づく。
「動くな!」
「もし奴らの仲間ならこっちが優勢なのだから、こそこそ探す道理など無いのじゃ」
 警戒する相手に、落ち着いた態度でスターリィが道理を語る。
「確かに、奴らはこっちを見つけた瞬間撃って来やがった……じゃあいったい何者だ!」
「我々は救助者じゃ。奴らの被害を受けたお主らを助けにきたのじゃ」
 安心させるように、スターリィは微笑んでみせる。
「救助……本当に助けにきてくれたのか!」
 尋ねる男に向けてスターリィは大きく頷いてみせた。
「怪我人はおるのかのう、まずは手当てをするのじゃ」
「ああ、こっちに倒れてる奴が居るんだ。見てやってくれ」
 スターリィは奥の部屋に案内され、そこで血を流している者を観察する。
「ひとまず止血をするとしようかのう」
 手早く傷の手当てをし、命も別状がない状態にまで治療する。
「ここから退避するには少々人が多いかのう、ならばもっと立派なバリケードを作るとするのじゃ」
 この人数を逃がすより、安全になるまでこの場で身を守れるようにしようと、スターリィは魔導書を開き、太陽の力を用いた魔法で瓦礫をくっ付け立派な壁を築き上げた。
「これで少々の流れ弾では崩れんじゃろう」
 満足気にスターリィは頷き、驚いて目を丸くして壁を見上げる奪還者達に笑みを向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ロスト・レイダース』

POW   :    バリアブルランチャー・バーストモード
自身の【虚ろな瞳】が輝く間、【背負った四連バリアブルランチャー】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    バリアブルランチャー・イージスモード
【四連バリアブルランチャーの自動迎撃モード】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    レイダース・カムヒア
自身の【略奪物】を代償に、【レベル分の人数のロスト・レイダース】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【四連バリアブルランチャー】で戦う。
👑11
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●略奪者
『獲物……』
『もっと……略奪を……』
 廃墟の町で一番大きな建物には、オブリビオンのロスト・レイダース達が集まり、廃墟で集めた物資を山積みにしていた。
 自分達で消費するには明らかに多過ぎる量。まるで集める事が目的のように、略奪依存症の如くもっともっとと物資を求める。
『集める……』
『全てを……』
 このような略奪者集団を放置すれば、全てを奪われ人々は苦しめられるばかりだ。
 奪還者の安全を確保した猟兵達は、これ以上の無法は許さないと、力には力で対抗せんと戦いを仕掛けることにする。
 敵を倒し物資を手に入れる事ができれば、奪還者達の拠点も飢えから救われる。その為にも必ず勝たねばならないと、敵が拠点としているショッピングモールの廃墟へと向かった。
播州・クロリア
(『第六感』でバリアブルランチャーからの射撃のリズムを『見切り』ながら攻撃を回避する)
表面は黄土色で中身は透明...
永遠に満たされない欲と暴力を満たそうとする存在ですか
実にオブリビオンらしいダラキュな存在ですね
荒野に吹く風に乗せて貴方たちを消し飛ばします
(回避しながら{烈風の旋律}のリズムに合わせて『ダンス』する)
その物資は「未来」に必要な物
空っぽの貴方たちには不要でしょう
(『衝撃波』で一気に敵に近づくとUC【蠱の腕】で{錆色の腕}を鎚に変えて『怪力』で敵めがけて振り下ろし『念動力』でバリアブルランチチャーの向きを操作して同士討ちを誘う)


グロリア・グルッグ
負傷者の避難も終えたことだし、ここからはペイバックタイムと参りましょうか!
闇雲に集めたその物資、我々が有難く頂戴しますね。

二足歩行戦車エンジェルに騎乗して戦います。
ショッピングモールの地形にうまく対応しながら操縦し、接敵すれば上空に位置取り敵の頭を押さえましょう。
制空権の取り合いは戦争の常識ですからね。

ミサイルランチャーに搭載したミサイルを一斉発射することで攻撃し、電脳魔術のハッキングで誘導弾として意のままに操ります。
敵を上回る火力で蹂躙しながら、天使の抱擁を発動してミサイルの補充と増強を行い、さらなる超火力を叩き込んでやりましょう!
「天使と踊りましょう、盛大に!」


スターリィ・ゲイジー
拠点に集まってるなら奪還者の心配が要らぬから話が早いのう
あとは一網打尽に…って、多い多いどんだけいるんじゃこやつら

ひとまずは物資が傷つかぬよう、獲り尽くしてもう物が残ってないような区画に誘導しよう
気は進まぬが、適当な物資一つを潰せばその気になるじゃろ

で、この数に対抗するにはこれかの…日輪の魔導書を使う
UCで範囲攻撃をしながら、この一帯を暗黒に染め上げるのじゃ
ここは室内。壁や障害物もあるから簡単には出られぬし、あてずっぽうで乱射すればフレンドリーファイアも狙える
私も地属性の魔弾で目立たぬように戦うが、
スターライト・スプライト(別UCの発光体)に存在を主張させて、敵の攻撃を誘発してやるのもいいのう


霧島・絶奈
◆心情
…生きる為に収奪するのではなく、収奪の為に生きる
本末転倒である様な気もしますが…其れもまた、一つの生き方でしょう
ですが、其れを赦す必要もまたありません
無法には無法で対応するまでの事です

◆行動
『二つの三日月』を召喚し戦闘
敵の多段攻撃に対抗させる為、小さな二つの三日月の軍勢を盾や陽動として活用させます

私自身は巨人を囮にしつつ【目立たない】様に物陰を利用し強襲

【罠使い】の技能を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を複数設置
効果範囲の狭さ故に、物資を痛める心配が無いのは良い事です

設置を進めつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


愛久山・清綱
加勢に来た。此処からは俺も戦うぞ。
人々に仇なす略奪者に、裁きを下さん……覚悟。
(あれ宇宙服ではないよな?)
■決
相手の攻撃は9倍。それも集団で来る。
つまり、弾幕が来るということになる……避けるのは難しいな。
いつ当たってもいいように、身体に【オーラ防御】の力を纏おう。

■闘
大なぎなたを片手に、敵の集団まで【ダッシュ】で突進。
飛んでくる弾は全身から【衝撃波】を放つ事で可能な限り弾を
減速させ、なぎなたを回転させる【武器受け】で弾く。

接近出来たら【怪力】を込めた大ぶりな【剣刃一閃】を放ち、
敵の集団に【範囲攻撃】を仕掛け一斉撃破を狙うのだ。

相手が兵器使いでも、俺は『これ』で戦う。

※アドリブ・連携歓迎



●同士討ち
「表面は黄土色で中身は透明……永遠に満たされない欲と暴力を満たそうとする存在ですか」
 ショッピングモールの廃墟に近づくクロリアは相手の色からその根底にある性を感じ取る。
「実にオブリビオンらしいダラキュな存在ですね」
 そんな存在を許容できないと、クロリアは吹き抜ける風のリズムを感じる。
『獲物……奪う……』
 廃墟に入ったクロリアを見つけたロスト・レイダースは、背負った四連バリアブルランチャーを発射し一斉攻撃を行う。
「荒野に吹く風に乗せて貴方たちを消し飛ばします」
 その攻撃リズムを第六感を働かせて見切って回避しながら、クロリアは烈風の旋律のリズムに合わせてダンスを始める。
「その物資は『未来』に必要な物。空っぽの貴方たちには不要でしょう」
 衝撃波を後方に放って加速し、クロリアは一気に間合いを詰めると、錆色の左腕を鎚に変化させて振り下ろす。頭から叩き潰されてロスト・レイダースは倒れた。だがすぐに周囲のロスト・レイダース達がクロリアに銃口を向ける。
「そのリズムを乱します」
 クロリアは念動力で銃口を動かし、放つ光線が仲間同士に当たって同士討ちを誘発した。
 だが倒れても拠点の中から次々と新たなロスト・レイダースが姿を現した。

「拠点に集まってるなら奪還者の心配が要らぬから話が早いのう。あとは一網打尽に……って、多い多いどんだけいるんじゃこやつら」
 わらわらビルから現れる敵の群れを目にして、スターリィは虫が這い出るようなイメージを思い浮かべた。
「ふむ、ならば害虫駆除じゃな。ひとまず物資が傷ついては困るからのう、獲り尽くしてもう物が残ってないような区画に誘導するとしようかの」
 スターリィは敵を挑発する為に、置かれているケースの一つに炎の魔法を飛ばす。火球がケースを直撃し、中身ごと燃やし尽くした。
「気は進まぬが、適当な物資一つを潰せばその気になるじゃろ」
 その予想は正しく、ケースが破壊されるとロスト・レイダース達の注意がクロリアから逸れる。
『物資……全損……』
『敵……物資を守る………』
 ぶつぶつと呟くと、ロスト・レイダース達の敵意が一斉にスターリィに向けられた。
「釣れたのう。では誘導するのじゃ」
 スターリィは敵を物資の山から引き離し、空っぽの区画まで招き寄せる。
「ここなら良しじゃ。この数に対抗するにはこれかの……」
 足を止めたスターリィは振り返り、日輪の魔導書を開く。
「走れ焔よ。そして顕現せよ光呑み込む刹那の日輪!」
 炎が走り、敵の中心に撃ち込まれる。すると炎が円状に広がって敵の群れを呑み込んでいく。

『熱……退避………』
 直撃を免れたロスト・レイダース達は距離を開けて、スターリィに遠距離攻撃を行おうと銃口を向ける。
「これは攻撃のリズム……そのリズムも色もこの風で吹き飛ばします」
 そこへ衝撃波を伴ったクロリアが突っ込み、敵の銃口を乱れさせて射撃を外させる。そして錆色の腕を変化させた鎚を正面の敵の腹に叩き込んで壁に叩きつける。
「ダラキュは回りにも悪い影響を与えます。ここで全て排除します」
 クロリアは次の敵に向けて鎚を振るって薙ぎ倒す。
『奪われる……奪われる前に……奪え……』
 ロスト・レイダース達が四連バリアブルランチャーを連射してクロリアを襲う。だがそのリズムを感じたクロリアは、足元に衝撃波を放って高い天井へと飛び上がっていた。
『逃がさない……』
 それを追うように銃口が上に向けられ、壁や天井に穴が空いていく。
「余所見をしておるとは余裕じゃのう。それ、足元まで炎が迫っておるぞ」
 敵の足元にスターリィの放っていた炎が辿り着き、足から燃やしていく。ロスト・レイダースは慌てて離れながら、炎を消そうと地面に銃弾を叩き込む。
「消してしまっても良いのか? 後悔しても知らんがのう」
 スターリィが忠告するが、ロスト・レイダースは無視して炎が消し飛ばす。すると真っ黒な暗闇の空間が広がって視界を塗り潰した。
『見えない……獲物は……何処だ………』
 周りを見渡しても猟兵の姿が見えず、ロスト・レイダース達は攻撃の手を止めた。
「暗黒に染め上げた空間ではフレンドリーファイアを恐れて撃てんじゃろう」
 そして自分は目立たぬように地属性の魔弾を放ち。石の礫が敵を撃ち抜いた。
『反撃……』
 ロスト・レイダースが飛んで来た方向に銃撃を浴びせると、そちらから同種の銃撃が飛んできて体のあちこちを負傷する。近づいてみればそこには体を穴だらけにした仲間が倒れていた。
『同士討ち……一時撤退……』
 ロスト・レイダース達はこの暗闇の空間では戦えぬと部屋から出ようとする。
「リズムが大きく乱れ混乱しています。ならばここが攻め崩す好機でしょう」
 その機を逃さず、クロリアは暗闇の中をリズムを頼りに敵を探し当て、腕を振るい鎚で一体また一体と確実に仕留めていく。
『撤退……撤退……』
 部屋から出ようとしたロスト・レイダースの視界に光るものが映る。それが猟兵に違いないと銃口を向けてありったけの弾丸を撃ち込む。どさりと倒れた音がして、近づいてみると、仰向けに穴だらけになって倒れている仲間の姿があった。
「残念じゃったのう。光の正体はこれじゃ」
 スターリィが発光体を操り、敵の同士討ちを誘発していた。
『撃つ……撃って奪う……』
 ロスト・レイダースがスターリィに銃口を向ける。
「もう何も奪わせません。今まで奪い集めた物も返して貰います」
 そこへ頭上から落下したクロリアが鎚を振り下ろし、頭を陥没させて叩き潰した。
 暗闇の空間が解除されると、そこには大量のロスト・レイダースの死体が転がっていた。

●ショッピングモールの攻防
「負傷者の避難も終えたことだし、ここからはペイバックタイムと参りましょうか!」
 グロリアは二足歩行戦車『エンジェル』に騎乗して建物に近づき、物資を守る為に残っているロスト・レイダースの前に堂々と姿を現す。
『獲物……機械を奪う……』
『分解して……パーツにする……』
 そのエンジェルを獲物と見て取ったロスト・レイダース達が、一斉に動き出しバリアブルランチャーによる連続攻撃を始めた。
「射撃なら直線的な攻撃ですね。遮蔽物を利用しましょう」
 ショッピングモールの廃墟を利用し、グロリアは敵の射線を遮って身を隠すように移動する。段差や障害物も二足歩行戦車ならではの機動力で易々と踏破していく。
『獲物……逃げた……』
『追う………』
 それを追いかけてロスト・レイダース達が散開し、グロリアの居る方向に向かって撃ちまくって廃墟の壁に穴を空けていく。
『居ない……』
『何処だ……獲物……』
 辺りを探すが、グロリアの姿を見つけられない。そこへ上からミサイルが飛び込み、分裂して小型ミサイルが雨のように降り注いだ。
「上ですよ。多数を相手にするなら頭を押さえる。制空権の取り合いは戦争の常識ですからね」
 2階に上がっていたグロリアがエンジェルに搭載された多弾頭ミサイルを発射して、見下ろす敵を撃破していく。
『上……撃ち殺す……』
 下から放たれる銃撃を、グロリアは撃ち終わる度に移動して的を絞らせずに回避する。

『上に行く……』
『奪い……集める………』
 ロスト・レイダース達も階段を上って2階にまで展開しようとする。
「加勢に来た。此処からは俺も戦うぞ。人々に仇なす略奪者に、裁きを下さん……覚悟」
 その行く手に現れた愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)が立ち塞がり、腰に差した刀の柄に手を置く。
『奪う……武器を奪う……』
 すぐにロスト・レイダースは清綱の腰の得物に目をつけて、奪わんと銃口を向けた。
(「あれ宇宙服ではないよな?」)
 敵の宇宙人のような姿を見てそんな呑気な事を考えながらも、清綱の身体は反射的に動いて放たれる銃撃を躱しながら壁に隠れる。だがその壁はすぐに穴だらけになって粉砕された。しかし清綱の姿はなく、既に移動していた。
「相手の攻撃は9倍。それも集団で来る。つまり、弾幕が来るということになる……避けるのは難しいな」
 弾幕を避け続けていてはこちらの攻め手の番が来ないと考え、その身にオーラを鎧のように纏う。
「刀よりもこちらがいいか」
 そして重々しい大なぎなたを軽々と片手で持ち、物陰から一気に飛び出して敵に向かう。
『殺す……全て奪う……』
 そこへ一斉に銃弾が浴びせられる。対して清綱は全身から衝撃波を放ち、弾速を弱めたところで大なぎなたを扇風機のように回転させ弾を弾き飛ばした。そして身を低くして駆けると一気に接近し、間合いに入るなり大なぎなたを横に大きく薙ぎ払い、一纏めに敵の体を腰から両断した。そしてさらに踏み込むと、大なぎなたの刃を返し、往復にもう一閃して下半身だけが立った敵を増やした。

『危険……』
『遠距離攻撃……持っている物を奪え……』
「……生きる為に収奪するのではなく、収奪の為に生きる。本末転倒である様な気もしますが……其れもまた、一つの生き方でしょう」
 その病的なまでの収集への欲求を見て、絶奈はそれもまた一つの生であると認める。
「ですが、其れを赦す必要もまたありません。無法には無法で対応するまでの事です」
 その生き方が他の生き方と共存できないならば、互いの命を懸けて争うしかないと二つの三日月の如き光の巨人を召喚した。
「何方の無法が押し通るか、勝負と行きましょう」
 光の巨人が足を踏み出し、ロスト・レイダースを踏み潰す。
『大きな資源……奪い獲る……』
 その巨人すらも物として見て、ロスト・レイダース達は一斉に攻撃する。銃弾を叩き込み砲撃を行って光の巨人を削る。だが多少のダメージなど蚊の刺したようなもの。巨人はまた歩を進めて新たな敵を踏み抜いた。すると敵は囲むように散って全周囲から巨人を崩そうと飽和攻撃を仕掛けた。
「数で押し切るつもりですか、では此方も数で対抗させてもらいましょう」
 光の巨人から無数の小さな二つの三日月が放たれ、周囲の敵を切り裂き倒していく。その三日月を銃撃で破壊しても次々と増えて手が付けられない。
『上を取る……頭を潰す……』
 ならばとロスト・レイダース達は階段を駆け上がり、上の階へと上って高い位置から巨人を倒そうとする。

「上を押さえるつもりのようですが、ここは既に私が掌握しています」
 そこでエンジェルを天井に張り付けたグロリアがミサイルを一斉発射する。敵は迎撃しながら逃げるが、電脳魔術によってミサイルの軌道を操作し、誘導弾のように敵に向かって飛ばし直撃させた。爆発と共に敵の上半身が吹き飛ぶ。
『獲物……撃ち落とす……』
 グロリアを見上げてロスト・レイダースが銃口を向ける。だが背後で爆発が起こり、炎に巻かれて崩れ落ちる。
「ご注意を、其の辺りは私が仕掛けた罠の範囲内です」
 絶奈が仕掛けた焼夷弾が次々と爆発し、注意が上に向いていた敵を薙ぎ倒していく。
「効果範囲の狭さ故に、物資を痛める心配が無いのは良い事です」
 敵のみを打ち倒す規模の爆発が連鎖し、あっという間に数を減らしていく。
『攻撃できない……開けた場所に向かう……』
 頭上と罠による連続攻撃に、ロスト・レイダース達は優位な場所まで下がろとする。
「一気に敵を切り崩す好機だな」
 そこへ清綱が大きく踏み込んで追いかけ、大なぎなたを一閃して敵を斬り飛ばす。
『撃つ……物資を回収する……』
「多少の被弾は想定済みだ。こちらはその命を貰う」
 身体に反撃の弾が掠めてもオーラで防ぎ軽傷で済ます。そして次の敵に近づいた清綱がまた一閃すると、大なぎなたは数体の敵の首を一度に刎ねた。
『もっと……もっと物資を……』
 傷つきながらもロスト・レイダースは弾を撃ち続ける。
「闇雲に集めたその物資、我々が有難く頂戴しますね」
 さらに追い打ちを仕掛けるようにグロリアがミサイルを撃ち込んで、ロスト・レイダース達の体が宙に舞い、地面に激突する。
『物資を……奪う……』
 次々と仲間を倒され残り僅かになっても、その執着を弱らせることはなく、ロスト・レイダース達は攻撃を繰り返す。
「諦めない戦いぶりは見事なものです。では天使と踊りましょう、盛大に!」
 グロリアはユーベルコードを発動し、エンジェルのミサイルランチャーのミサイルの補充と増強を行い、一斉発射による上からの爆撃を開始した。蹂躙するような爆発に、耳をつんざく爆音が轟き地獄のような光景が広がる。
「さあ存分に踊ってください!」
 ロスト・レイダース達はまともに反撃できずに逃げ惑う。
「此れは派手な戦いですね。物資を巻き込まないように注意して、私も参加しましょう」
 巨人を物資のあるエリアの方向へ移動させて壁にして、絶奈は小さな三日月を爆撃の中に投入して、耐え忍ぶ敵の体を両断していった。絶奈自身も剣を振るい、斬撃を飛ばして敵を斬り捨てる。
「銃弾飛び交う戦場か、だが俺は『これ』で戦う」
 そんな中を怖れ知らずに清綱は駆け回り、近接戦で大なぎなたを振るって鬼神の如く敵を斬り倒していった。
 そうして爆発と煙が治まると、そこにはバラバラに砕け、ズダズダに切り裂かれた敵の死体が積まれていた。

●物資輸送
「少々派手にやり過ぎましたかね?」
「元々廃墟です。物資に影響がなければ問題ないでしょう」
 粉砕された周囲の建物を見たグロリアは調子に乗り過ぎたかと思ったが、絶奈の言葉に敵が根城にする廃墟なら壊しても問題はないかと思い直す。
「相手は全てを奪い去る侵略者だ。手加減など無用だろう」
 そう言いながら清綱が埃と血で汚れた姿で戻って来ると、大なぎなたを振るって血糊を払った。
「物資の方は無事じゃ」
 そこへ先に物資を確保に向かっていたスターリィが顔を見せる。共に物資のある部屋に向かうと、そこにはクロリアと先程助けた奪還者達が居た。
「戦いは終わったので呼び集めておきました」
 クロリアがそう言って、奪還者達の方へ視線を向ける。
「ありがとう! あんた方のお蔭で俺達の命は助かったし、物資も手に入った!」
「これで拠点の奴らも飢えずに済むよ!」
 頭を下げて感謝の気持ちを伝えた奪還者達が笑顔で喜び合った。
「よければ拠点まできてくれないか。簡単な食事くらいしか出せないが礼がしたいし、あんた達にお願いしたいこともあるんだ」
「お願いとは何じゃ?」
 真剣な顔をしたリーダーらしい奪還者にスターリィが尋ねる。
「拠点の連中を鍛えてやってくれねえか? 俺たち奪還者はまだしも拠点に居る奴は戦えない奴ばかりだ。今回のことで俺たちに何かあったら拠点の奴らだけじゃ死ぬしか未来がねえことが分かった。だから俺たちより遥かに強いあんた達に頼みてえ。少しでも生き残る為の知識でもなんでも教えてやってほしいんだ!」
 深々と頭を下げる。そこから仲間を大切に想う気持ちがひしひしと伝わってきた。どうしたものかとチラリとスターリィが仲間に振り向く。
「仲間を助けたいと真剣に願うリアですね。私は構いません」
「そうですね。少しでも自己防衛できるようになれば生存率も上がるでしょう。此の荒野を生き抜くには知識や技能が必要です」
 すぐにクロリアと絶奈が頷き賛同する。
「では行きましょう。物資を運ぶにも人手がいるでしょう」
「そうだな、しかし随分と溜め込んだものだ」
 既に手伝う気だったグロリアはエンジェルに物資を載せ、清綱も敵が溜めに溜めた山のような物資を見上げてそれを手伝う。
「という訳じゃ。この様な場所に長居は無用。早速荷物を運ぶ準備をするのじゃ」
「はい! ありがとうございます!」
 スターリィや猟兵達に向かって何度も頭を下げ、駆け出すように奪還者達は敵に奪われていたトラックを奪い返し、そこにも物資を積み込み始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『荒野を生き抜くサバイバル講座』

POW   :    バリケードの設営方法など、力を使う技術を伝授する

SPD   :    集落周辺の警戒の仕方や、破損した物品の修理のコツを伝授する

WIZ   :    この世界を生き延びる為の知識を頭に叩き込んだり、意識改革を行う

👑5
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●拠点
 トラックが荒れ道を物ともせずに進むと、その先にはまた廃墟があり。その中でもひときわ大きなビルの入り口には銃を携えた見張りがいた。
「おーーーい!」
「あれは……エリック達が帰ってきたぞ!」
 トラックの窓から奪還者が大きく手を振ると、見張りをしていた男がすぐに中に伝える。すると歓迎するように多くの人々がビルから出て来た。大半は女子供で、成人以上の男性は少ない。多くの者が戦いに命を落として数を減らしているのだ。
「今日は大漁だ! 食糧も医療キットもある!」
 その言葉に人々が大喜びした。そして続けて現れた見慣れぬ猟兵達へと訝し気な視線を向ける。
「この人たちは恩人だ。俺たちはレイダーに襲われて負傷しちまったんだが、この人たちが颯爽と現れて奴らをぶっ倒しちまったんだ!」
 人々が驚きと喜びの声を上げ、次々と奪還者達の身内が猟兵に感謝の言葉を述べる。
「うちの旦那を助けてくれてありがとう!」
「ああ、うちの子も。ずっと心配してたんだよっ」
 そんな感謝の言葉をある程度で奪還者が途切れさせる。
「それでこの人たちにお願いして、みんなに生き残る術を教えてもらうことになった! よく学んでこれからに活かすんだ!」
 そう告げると皆が真剣な顔になり、よろしくお願いしますと猟兵に頭を下げた。それはまだ生きる事を諦めない未来を信じる人間の顔だった。
グロリア・グルッグ
ハートフルな交流とか後でいいので携帯出してください携帯
ガラケーでも電池切れでも何なら携帯用のゲーム機でもいいですよ
何をするかって? ハックして超改造するんですよ!
文明レベルを遥かに超えた魔法のAIを搭載してみせましょう!

金色魔女でもう一人の私を召喚
凄腕の電脳魔術士が二人がかりで皆さんの携帯端末を超改造です
電池不要は当然として画像認識からの情報索引など、ネットが繋がらない環境でもまるでネット検索をしているかのような便利機能をお届けしますよ
イメージ的には私が持っている超改造ハイパーガラケーですかね
極小の電子の海を皆さんの携帯に搭載し日々の生活のお役に立たせて頂ければハッカー冥利に尽きるってもんです


播州・クロリア
荒野で生き抜く術ですか...サバイバルの技術は詳しいほうではないので別の方法でサポートするとしましょう
(何人か人を集める)
皆さん、まずは深呼吸を繰り返して心を無にしてください
(優しく語りかけながら『催眠術』をかける)
この世はリズムでできています
人も空気も水も。
リズムを読み取り行動することで
人は倍以上の力を発揮することができます。
さらに大地と水のリズムを読み取ることで地下水脈の場所を探り当てることができ、空気のリズムを読み取ることで天候を先読みすることができます。
さぁ、私の呼吸に合わせて、リズムをきっと感じ取れるはずです



●超改造
「ハートフルな交流とか後でいいので携帯出してください携帯。ガラケーでも電池切れでも何なら携帯用のゲーム機でもいいですよ」
「携帯ですか? えっと、ちょっと待っててください」
 女性達が倉庫の使われていないパーツ置き場から埃を被った携帯端末を幾つか持ってきた。
「これですか?」
「そう! それです!」
 差し出された色々な携帯端末を見て、大きく頷いたグロリアは受け取って故障を確認する。
「バッテリーが切れてるだけみたいですね」
 充電されていないだけで、破損は見当たらなかった。
「昔はこれで遠くの人と会話ができてたらしいですが、今じゃ電波も届かなくって発掘してもハズレ扱いなんですけど……これで何をするんですか?」
「何をするかって? ハックして超改造するんですよ!」
 尋ねる人々にグロリアは得意気な笑みを見せた。
「文明レベルを遥かに超えた魔法のAIを搭載してみせましょう!」
 そう宣言すると、グロリアの隣にもう一人の自分が現れる。そして凄腕の電脳魔術士二人がかりで並べられた携帯端末を分解すると超改造を始めた。
「電池不要は当然として画像認識からの情報索引など、ネットが繋がらない環境でもまるでネット検索をしているかのような便利機能をお届けしますよ」
 あれこれとまるで魔法のように魔改造が行われ、インフラが死んでいる世界でも繋がる事の出来る端末へと変貌を遂げた。

「これで完成です! さあ、使ってみてください」
「これを……こうですか?」
 グロリアが手本に愛用の超改造ハイパーガラケーのボタンを押してみると、それを見よう見真似で人々も端末を恐る恐る弄り出す。
「あっ何か映った!」
「えーっと、無人島で食料を確保する方法?」
 まるでネットに繋がったように情報索引が可能となり、多くの情報を得る事が可能となる。
「ねえ聞こえる?」
「聞こえたよ!!」
 若い子達は吸収も速く、早速電話機能を使い始めていた。
「どうですか? 極小の電子の海ですが、今までに比べれば情報量が雲泥の差だと思いますが」
「ありがとうございます! この連絡手段と情報があれば生き残れる確率が格段に上がります!」
 端末を手にした人々が深々と頭を下げて感謝の気持ちを伝える。
「日々の生活のお役に立たせて頂ければハッカー冥利に尽きるってもんです」
 真っ直ぐな感謝の気持ちに、少し照れくさそうにグロリアは笑顔を見せた。

●リズム
「荒野で生き抜く術ですか……サバイバルの技術は詳しいほうではないので別の方法でサポートするとしましょう」
 クロリアは自分なりのやり方を伝えようと人を集める。
「なになに? なにがあるの?」
 まだ子供と言える少年少女が集まり、珍しい外からの客人のクロリアを興味津々に見上げていた。
「これから皆さんに荒野で生き抜く術を伝授します」
「おぉーー?」
「マジで! おれらにもできるの?!」
 クロリアの説明に子供達が興奮してクロリアの周りをクルクル回る。
「では始めます。まずは深呼吸を繰り返して心を無にしてください」
「すーーーぷはーーっ」
「ムってなに?」
「心を落ち着かせて、何も考えないことです」
 騒がしい子供達に優しく語りかけながら、クロリアは催眠術をかけてゆく。
「この世はリズムでできています。人も空気も水も」
 トントンとクロリアは指先で机を叩いてリズムを作る。
「リズムを読み取り行動することで、人は倍以上の力を発揮することができます」
 次に指で子供達の背中を叩いて、その身体の芯にリズムを響かせる。
「あっ、なんか感じる……」
「とんとんって鳴ってるよ」
 そうして呼び水を与えると子供達はリズムを感じ始めた。

「さらに大地と水のリズムを読み取ることで地下水脈の場所を探り当てることができ、空気のリズムを読み取ることで天候を先読みすることができます」
 そうして順番にステップを進め自然のリズムを感じさせようと、クロリアは一緒に深呼吸をして呼吸を合わせる。
「さぁ、私の呼吸に合わせて、リズムをきっと感じ取れるはずです」
 自分のリズムを感じ取れた子供達は、コツを掴んだのかシンクロするように深呼吸を繰り返し深く集中する。
「とーんとーんって、すっごく響く音があるよ」
「これが水のリズムなのかな?」
 何かを感じ取ったように、子供達は視線を地面へと向ける。
「そうです、よく感じ取りました。今の呼吸を忘れずに毎日練習してください。そうすれば自然とリズムを感じ取れるようになるはずです。それはきっとこれからを生き抜くための力となるでしょう」
 クロリアは思ったよりもずっと覚えの早い子供達の頭を撫でて褒めてやる。
「うん! わかった!」
「すーはーすーーはーー」
 新しい体験を楽しむように、子供達は自然のリズムをその身に感じていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

二條・心春(サポート)
『皆さんのお役に立てるよう、頑張ります!』
『助けに来ました。もう大丈夫ですよ』
UDCアースで学生をしながら猟兵の活動もしている、自分にちょっと自信がない、心優しい普通の少女です。落ち着いて礼儀正しい感じですが、可愛いもの、特に動物を見るとテンションが上がります。基本的に誰にでも敬語で話します。
戦う時は、心を通わせたUDCの霊を召喚しながら、槍や拳銃で一緒に戦います。また、一般人は優先して助けます。
戦闘以外では、タブレット端末を使って情報収集や、聞き込みを行います。
武器は「UDC管理用タブレット端末」「対UDC用量産型直槍」「対UDC用特殊拳銃(試作型)」をよく使います。



●衛生
「なるほど、サバイバルについて教えるんですね、頑張ります!」
 手伝いにやってきた二條・心春(弱さを強さに・f11004)は、タブレット端末を使ってどんな方法があるのかを調べる。
「かなり原始的な生活をしているようですね」
 拠点を見て歩くと、文明的な利器は全て発掘したもので、後は自分達で何とか作ったりしているものばかりだった。
「少し臭います。衛生面に問題がありそうです……」
 偶に湯で体を拭くようなことはあっても、まともな浴場などは存在していなかった。
「これでは病気になってしまいます。清潔にする方法を教えるのが良さそうです」
 タブレットで方法を検索していると、石鹸の作り方が見つかった。その材料がないかを建物の倉庫で調べる。
「材料はありそうですね。では人を呼びましょう」
 心春は手の空いている女性を呼び集める。
「皆さん。これから石鹸作りをしようと思います。手の空いてる人は手伝って覚えてくださいね」
「石鹸?」
「石鹸って作れるの?」
 そう言って心春が見本を示すと、その通りに女性達も同じようにやってみる。
「こうしてアルカリと油を混ぜて、後は一日置いておけば完成です」
「これだけでいいの? 材料さえ手に入ったら簡単に作れるわ!」
「石鹸なんて使うの久しぶりね!」
 簡単に出来る石鹸に女性達がはしゃしで喜ぶ。
「手が汚れた時だけではなく、料理の前や食事の前にみんなで手を洗うように指導してください。手の汚れが口に入って病気の原因になってしまいますから」
 清潔にして汚れを口に入れない事が重要だと心春は衛生について教える。
「そうなんだ」
「今まであんまり気にしてなかったわ」
 ふんふんと女性達が頷いて衛生の大事さを覚えていく。
「後は湿気などもよくありませんから、しっかりと換気をするようにしてください」
 心春はここに居る間に一つでもサバイバル生活で役に立つ情報を伝えようと、端末で調べながら説明を続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

スターリィ・ゲイジー
ふーむ…備蓄を見たところ、食糧の減り方に多少の偏りがあるように見える
確かに素だと味がイマイチなのもあるじゃろう。季節のせいで食べる気が起きない物も。しかしそれを避けて似た味を食べてたら飽きが来る
私じゃ鍛えるとかはできぬが、しっかり栄養がとれるように調理の研究じゃな
良い食事は生きる活力じゃ

サバイバルや他世界での料理知識を動員して、同じ食材から美味しく食せるバリエーションを増やしてくのじゃ
例えばいろいろ干してみるとか、ライスをライスケーキにするとか、温かいスープを冷製スープとして飲めるよう味付けを変えるとか
特に『先入観を捨ててみたら意外にいける』組み合わせを狙って、教えたり一緒に考えたりしよう


霧島・絶奈
◆心情
生き抜く為に必要なこと…
それは心技体総てを以て抗う事だと考えています
諦めが人を殺すのですから…

◆行動
座学…と言うよりは心構えでしょうか?
其を少し話したいと思います

心技体は、其のどれが欠けても十全に機能しません
とは言え、体と技は集団である事を活かせばどうとでもなります
ただ、心は個々人が持ち得る必要がありますね

どれ程絶望的な状況下でも冷静さを失わず、恐怖に呑まれない
そして何よりも諦めない事が肝要です
拙ければ撤退も選択肢です
逃げる事は恥ではありません

…生き汚いと罵られようと、生きてさえいれば活路を見出せます
故に言葉を贈りましょう
「生きる事から逃げるな」
其は生きる者の特権であり義務なのですから…


愛久山・清綱
うむ、皆無事だったか……むむ?サバイバルを教えてほしいと。
とにかく鍛えて強靭な肉体を得る!……は、いきなりすぎるか。
では何だろうな。廃材を……
■行
【POW】
ん?廃材……(ピキーン💡)
あっ、分かった。ではバリケードを造ろうか。
辺りの廃材を使わせてもらうぞ。(廃材は【牛鬼】で運ぶ)

バリケードは、やはり「高さ」と「強度」が重要だな。
廃材をうまく絡めてぶ厚く、高く仕上げるのだ。
崩されないように杭などで固定し、板も取り付け……

あ、少々お待ちを。ちと、一工夫入れさせてもらおう。
先ずは手に傷を入れて……(血で壁に禍々しい模様を描く)
これで少しは敵を威嚇することもできるかもしれん。

※アドリブ歓迎・不採用可能



●食事
「備蓄を見せてもらっても構わぬかのう」
「ええ、もちろんです。どうぞこちらへ」
 スターリィが料理を担当している女性達に案内されて地下の貯蔵室へと向かい、そこに残っている備蓄の種類や数を調べる。
「ふーむ……食糧の減り方に多少の偏りがあるように見える」
 それを調べていると、小麦系はよく使われているようだが、米やといったものが多く残っているようだった。
「はい、うちではパンを食べる人が多くて、他は具を適当に入れたスープを作る程度なんです。米は人気が無くて……」
 尋ねられると、女性達が顔を合わせ米は味気なくて好まれず、食べ物に困った時ようだと説明する。
「確かに素だと味がイマイチなのもあるじゃろう。季節のせいで食べる気が起きない物も。しかしそれを避けて似た味を食べてたら飽きが来る。栄養も偏るしのう」
 食べ慣れぬものや、食べ難いものもあるだろうが、それを続けると健康面でも問題が生まれる。
「私じゃ鍛えるとかはできぬが、しっかり栄養がとれるように調理の研究じゃな。良い食事は生きる活力じゃ」
 スターリィが食事の大事さを女性達に説いて、これから皆で調理の研究を始めることにした。

「さて、材料が同じならば他の世界での料理も有効じゃな。他にも食糧が足りぬならサバイバルの食事知識も役に立つじゃろう。同じ食材から美味しく食せるバリエーションを増やしてくのじゃ」
 場を調理場に変え、調理に関する知識を出してスターリィが女性達に新たな調理法を伝授していく。
「足が早い腐り易そうなものは干してみるのも良いじゃろう。干すと味が凝縮して美味くなるものもあるしのう」
「あっ、確かに干したものをスープに入れるとスープが美味しくなるかも!」
 スターリィの言葉にそういえばと女性が大きく頷き、干せそうな食材を備蓄の山から探す。
「ライスが食べ難いなら、ライスケーキにしてみるのはどうじゃ。これなら食感も変わるし、上に好きな物を乗せて好みの味で食べられるしのう」
「ライスケーキ、そんな食べ方があるんですね。試してみます!」
 早速スターリィの提示した通りに調理していくと、元の炊いた米とは全く違う食感の料理が出来上がる。
「あっ、これならうちの旦那も食べられるかも!」
「そうね、さくっとしてて食べやすいわ」
 味見をするとこれなら誰でも食べられそうだと女性達の高評価を得られた。
「温かいスープを冷製スープとして飲めるよう味付けを変えてみるとか、先入観を捨てて、さまざまな調理を試してみるのじゃ」
 他にもいろいろなレシピを試し、今までにない美味しいと思える料理が作られていった。
「今まではお腹が膨れたらそれでいいと思ってたけど、美味しい物って元気がでるのね」
「これからはみんなに美味しい料理を食べさせてあげられるわ! ありがとうございます!」
「うむ、少ない食材でも作る者の努力次第でどうにかなるものじゃ。美味しい料理で皆を元気づけてやるのじゃ」
「「はい!」」
 スターリィの言葉に皆が返事をし、これからは無駄なく全ての食材を美味しく調理しようと心に誓った。

●バリケード
「うむ、皆無事だったか……むむ? サバイバルを教えてほしいと」
「はい! ここが襲われても撃退できるような方法はありませんか!」
 清綱が頭を下げて頼み込む少年達を前に難しい顔をして思案する。
「とにかく鍛えて強靭な肉体を得る! ……は、いきなりすぎるか。では何だろうな。廃材を……」
 肉体は一朝一夕に鍛えられるものでもない。ならばと清綱は周りを見渡し、野外に転がる廃材を視界に収める。
「ん? 廃材……」
 ピキーン💡と清綱の頭上に閃きの明りが灯る。
「あっ、分かった。ではバリケードを造ろうか」
「バリケードですか?」
 問いかける少年達に清綱が頷き返す。
「辺りの廃材を使わせてもらうぞ」
 清綱は廃材に近づくと、まるで木の枝でも拾うように軽々と持ち上げた。
「すげー……」
「あんなの普通何人も人手がいるぞ」
 その怪力に少年達は驚きに目を丸くしてその様子をただ眺める。
「バリケードは、やはり『高さ』と『強度』が重要だな」
 拠点の周りに廃材を絡めて分厚く、そして高く積み上げていく。
「あっという間にバリケードができてきたぞ……」
 みるみるうちに廃材がバリケードの基礎として組まれていった。

「これを崩れぬように杭で固定して、次は板の取り付けだな……」
「あの! 俺達も手伝います!」
「板の取り付けならオレらでもやれます!」
 呆気に取られていた少年達が我に返り、自分達もバリケード作りを手伝い始める。
「では骨組みはこちらでやるから、固定や板の取り付けを手つだって貰えるかな」
「わかりました! 任せてください!」
 こういった作業はここでは年齢性別関係なく皆で行っており、少年達も手際よく大工仕事を熟す。
「これでいいですか?」
 バリケードをそれらしい形にした少年が手を振って見てもらう。
「あ、少々お待ちを。ちと、一工夫入れさせてもらおう」
 近づいた清綱は自らの手に傷を入れて血を流す。その血を使ってバリケードの壁に禍々しい模様を描いた。
「これで少しは敵を威嚇することもできるかもしれん」
 僅かでも効果があればと、清綱は手の血を止めて描いた模様を見上げる。
「すごい模様だなー」
「なあ、オレらもやってみようぜ!」
 そう言って子供達が倉庫から持ってきた赤いペンキを使い、同じような模様をあちこちに描き出した。
「これがこの拠点のシンボルマークになってしまいそうだな」
 何とも禍々しいが、それくらいが強く生きる人々には合っているかもしれないと、清綱は逞しい少年達の描くシンボルを眺めた。

●心構え
「生き抜く為に必要なこと……それは心技体総てを以て抗う事だと考えています。諦めが人を殺すのですから……」
 人々に必要な術は何かを考え、絶奈はその中でも今すぐに強くできそうな心を鍛えようと、人々を集めて話を始める。
「集まったようですね。今からするのは座学……と言うよりは心構えでしょうか? 其を少し話したいと思います」
「はい」
「お願いします」
 神妙な顔で人々は絶奈の前でじっと話を聞く。
「厳しい世界で生き抜くには心技体が揃わなくてはなりません。そして心技体は、其のどれが欠けても十全に機能しません。とは言え、体と技は集団である事を活かせばどうとでもなります。ただ、心は個々人が持ち得る必要がありますね」
 人々の真剣に聞き入る顔を見渡し、絶奈は丁寧に言葉を伝える。
「どれ程絶望的な状況下でも冷静さを失わず、恐怖に呑まれない。そして何よりも諦めない事が肝要です」
「絶望的……」
 だがそう言われても非戦闘員の女性や年若い者にはその状況が肌では感じられず、ぴんと来ないようだった。
「そうですね……例えば負傷して動けなくなった時。敵に襲撃を受けてしまった時。戦いの場で武器を失った時を想像してください」
「…………」
 一つ一つ具体例を挙げて人々に窮地をイメージさせると、人々の顔に緊張が浮かんでくる。
「拙ければ撤退も選択肢です。逃げる事は恥ではありません」
 状況が悪ければ一時的に逃げるのも選択の一つだと教える。
「……生き汚いと罵られようと、生きてさえいれば活路を見出せます。故に言葉を贈りましょう『生きる事から逃げるな』。其は生きる者の特権であり義務なのですから……」
「生きる事から逃げるな……」
「死んだらダメってことですね」
 その言葉を噛み締めるように各々が意味を考える。

「でも仲間を守るために命を懸けたりするものじゃないの?」
「安易に死ぬのは逃避と同じです。生きるのが難しいから逃げ道として使ってしまう。ですが其では何も得る事ができません。仲間を救いたいなら自らも生きて戦い続ける道を選ぶべきです」
 少年の質問に、絶奈は本当に助けたければ難しくとも誰の命も諦めず努力をするべきだと答える。
「どれ程困難で、どれ程苦難の道であろうとも、生きて前に進む者にだけ未来は訪れるのです」
「未来……私達にも未来はあるの?」
「その為に心を強く以て生きなくてはなりません。諦めない者には必ず未来は訪れます」
 不安そうな人々に絶奈が揺るぎない自信を持って想いを伝える。経験からくる重みのある言葉を信じ、人々の心に諦めぬ芯が通った。

●生きる
「今日はありがとうございました!」
「これで生きていく自信が少しはついたよ!」
 広間では猟兵達に感謝した人々が、集められた食糧を使った料理をテーブルに並べていた。
「大したもてなしはできないが、せめてメシくらいは食っていってくれ」
 これだけ余裕のある食事が用意できたのも猟兵達が物資を手に入れてくれたお蔭だとリーダーが頭を下げ、立食パーティが始まった。
「お役に立てたようで何よりです。これからは今までよりも生活が楽になると思いますよ!」
 グロリアが食事の場でも端末を弄る人々を見て、この調子ならすぐに使いこなせるだろうと成果を確認する。
「あっこのリズムって何かな?」
「んー……人が多いとむずかしー」
「大丈夫です。慣れればどこでも使えるようになります。それに今は食事を楽しむ時です。さあ、食べましょう」
 まだ練習する子供たちにクロリアが優しくアドバイスを送り、食事へと注意を向けさせる。
「石鹸はまだ完成してませんけど、ちゃんと手はよく洗うように指導しましたよ」
「はい、簡単なことですから、習慣化するまで続けてくださいね」
 食事の前の手洗いが特に大事だと、心春は何度も指導するように念を押した。
「これ美味しい!」
「米なのか? 全然違うな!」
「やはり食事は腹を満たすだけではなく、心も満たさねばのう」
 先程教えた食事を喜ぶ人々に、スターリィは満足そうに笑みを浮かべた。
「バリケード作りありがとうございました」
「後は俺達で補強したり、他にも作ったりしてみます」
「ああ、自分達のやりやすいように工夫して作ってみるといい」
 清綱は熱心な少年達とあれこれ工夫する方法について話し合った。
「どの顔も活力に満ちています。生き抜く為に必要なことは見つかったようですね」
 そんな様子を少し離れた位置で絶奈は眺め、荒廃した世界を生きる強さが人々に芽生えているのを感じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月05日


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#アポカリプスヘル


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト