●枯渇
不毛地帯、草木もほとんどあらずに廃墟となった建物で暮らす人々は、レイダーやゾンビ等のオブリビオンによる襲撃を生き残るだけでも大変だ。
それい以前に問題がある、そう――主に食糧の事だ。
備蓄していた缶詰、危険な外で盗賊紛いの事をして高額で売りつけるモノも少なくは無い。
いや、そうしないとこの世界では生き残れないのは知っている。
それでも、足りない。
「このままでは……」
全員死ぬか、仲間を売ってでも生き延びるしかない。
●グリモアベース
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。アポカリプスヘルの名前だけは周知かと思いますが、この世界では外敵に怯えながら暮らして外は危険な故に食糧が不足しております。ですので、予知によってこのベースから向こうの世界へ物資を送れる場所を見つかりました」
ロイド・テスタメント(全てを無に帰す暗殺者・f01586)は、目の前に集まった猟兵たちに説明すると誰も居ない朽ちたホームセンターであった廃墟を画面に映し出す。
「そのまま持っていけばよいと思いますよね? しかし、この世界もそうですが個人の猟兵では武装できる範囲の物しか持っていけません。そして、この世界は特殊で猟兵の通常の運搬量を越える『異世界の物資』を送ると、“オブリビオン・ストーム”というオブリビオンを呼び出す嵐が発生します」
ロイドは世界の仕組みを説明してゆく。
「では、何故予知が必要なのか? それは、オブリビオン・ストームが起きても人為的被害が出ない場所が見つかったからです。本来ならば不可能な異世界物資の支援が可能だという事になります。どうか、少しでも生きる人々の為にお願いします」
龍真 神
オープニングに目を通して頂きありがとうございます。
龍真 神(タツマ シン)と申します。
よろしくお願いします。
新世界です、巷で人気の配達員みたいな事をするイメージで大丈夫です。
※ロイドは日常パートのみ同行や交流が可能です。
最低限の文字数でも、ステータスシートを見ながら書かせていただきますので、『まだよく分からないけど、シナリオ参加したい!』という方でも遠慮せずにご自身の文で書いて送って下さい。
それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『崩壊しつつある廃墟』
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POW : 瓦礫を撤去して埋まった通路を掘り起こしたり、施錠された扉を破壊して進む
SPD : 注意深く周囲を観察して危険を発見したり、危険な場所を素早く通り抜けて進む
WIZ : 廃墟をマッピングしたり、知恵や知識を利用して危険を取り除き、進む
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アトシュ・スカーレット
【POW】
世紀末…!!なんて大変かつ心躍る言葉…!!
んー、なんかちょっと変わったような気がするけど、気にしない!!
オブリビオン・ストームだっけ?
それも危険だけど強奪しようとする人も危険ー
よし、瓦礫とかは雷の魔力で強化して手に入れた【怪力】で退かそう!
ドアも壊そう…と思ったけど外敵から逃げるのに必要だから壊すのは必要最小限にするー…
鍵が掛かってるなら【鍵開け】出来るからそっちで!
●新天地!
「世紀末……!! なんて大変かつ心躍る言葉
……!!」
きらきらと大きな瞳を輝かせながらアトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)は、両手の拳を握り締めながら新たな世界へと足を踏み入れた。
無法地帯、そこには何処かで見た事のある悪いヤツ等やゾンビ等……世紀末と文明が廃頽した世界という事を聞いて心を踊らせずにはいられない。
「んー、なんかちょっと変わったような気がするけど、気にしない!!」
そんなワクワクを胸に転移したアトシュは、想像したのより少し違う事に肩を落としながらも前向きに依頼をこなす為に廃墟へと向かった。
「ここに物資を送られてくる。そして、オブリビオン・ストームとやらが起きて、ヒャッハーな危険なオブリビオンが強奪しようと出てくるんだよな?」
新たな世界、その仕組みは簡単な様で複雑だからこそアトシュは、グリモア猟兵の説明を自分なりに解釈すると物資が送られて来た時に危険や場所の確保の為に瓦礫の山の前に立つ。
両腕に雷の魔力を纏わせると、バチバチと音を立てながら一時的にだが筋力を増強させるとホームセンターの出入り口を塞ぐように積まれた瓦礫に手を伸ばす。
ぐっ、と力を入れ、元から力はある方なので軽々と持ち上げると邪魔にならない場所へと移動させた。
「ドアは……壊したらなぁ。もしもの時の為にピッキングか、何かで開けておけば物資を一時的に運び入れておけば取られないだろうし、何よりも逃げ込んで防衛する事も出来だろうね」
考えた後にアトシュは、器用さを活かしてドアの鍵を解除してホームセンターへと足を踏み入れた。
何十年も人が入っていないのだろう、風が吹き込んだ瞬間にぶわっと視界を覆う程のほこりが舞い思わず口と鼻を手で覆うもののせき込んでしまう。
「ケホッ……ケホッ……とりあえず、扉を開けておいてほこりを外へ出すしかないね」
光が差し込めばほこりが舞っているのがよく見え、煙の様に店内を浮遊している中は危険がないか見回す。
(大丈夫、だよね?)
アトシュ一人では、中を調べようとしても何が潜んでいるかは分からない。
廃墟と化したホームセンターには入らずに、アトシュはまだある瓦礫を退ける為に再び作業を開始した。
成功
🔵🔵🔴
無限・虚数
まー、うちの世界のこっちゃでな。うちらで何とか出来るんが一番ええんやけど他所さんの力も借りんとにっちもさっちもいかんのは、しゃーないんかなぁ。ま、えぇわ。うちもこれからは猟兵さんや、上手いことやらせてもらいます。
危険なんてのはこの身には存在せぇへんのよな、安い命なもんで。せやから、ちぃとばかし派手にやらせてもらいます。
『墓嵐』で危険も障害も蹴散らして置きますね。あとは土を掘ったり摘んだりで陣地もつくっときましょか。
団体さんでお越しやからな、えらい歓迎したらなあかんわ
そんで、ほぉむせんたぁ、なぁ?なんぞや出てきそうなんよなぁ。手つかずとはちょっと思えんし…ちょっと中から外へは罠仕掛けとこかな
●助ける事の難しさ
ぼろぼろのつぎはぎだらけの上着、薄汚れて古くなった繊維が風で揺れる度に解けてゆく。
「うちの生まれた世界のこっちゃけど、頼らずにうちらで何とかするのが一番ええんやけど……限界ちゅーか、流石に無力な一般人にはなーんも出来へんのは確かやし。まぁ、うちも猟兵さんやから上手いことやらせてもらいます」
長い黒髪を砂を含んだ風で靡かせながら無限・虚数(無限残機の非人道性少女・f24500)は、グリモアベースでグリモア猟兵から話を聞いた彼女は再び故郷の地に足を付けた。
「危険なんてのはこの身には存在せぇへんのよな、安い命なもんで。せやから、ちぃとばかし派手にやらせてもらいます」
虚数は瓦礫の山の前に立つと“スコップ”を手に取った。
「ちぃと激しくするでな、ごめんなぁ」
そう呟くと虚数が手にしているスコップが巨大化し、半ば力づくではあるが瓦礫の山どころか少し抉る程に撤去した。
「団体さんでお越しやからな、えらい歓迎したらなあかんわ」
ぐるり、と周囲を見渡しながら虚数は呟くと、生き抜いた経験は数あるかもしれないが防御拠点を作るに関しては素人だ。
作ろうと思っても、生活していた拠点の記憶を何となく程度に思いだしながら地面を掘ったり、土や石で小さな防壁らしきモノを作る。
「ようわからんわ……記憶もあいまいやし、うちが出来る事はしたけど本職さんに頼まなあかんね」
出来た防壁や穴を見て虚数は、大きく息を吐きながら唸り声を漏らしながら言った。
出来る限りの事はしたが、素人目から見ても明らかに頼りなさそうな感じは否めない。
そういえば、とふと思い出したかの様にホームセンターと呼ばれていた廃墟に視線を向けると、先に来ていた猟兵が鍵を開けて直ぐに出てきた様子が見えた。
(そんで、ほぉむせんたぁ、なぁ? なんぞや出てきそうなんよなぁ。手つかずとはちょっと思えんし……ちょっと中から外へは罠仕掛けとこかな)
その廃墟が何だったのかは知らず、罠を仕掛ける技術は持ち合せてはいないが見よう見まねで出来る範囲の事はしておこうと思った虚数は廃墟の中へ足を踏み入れる。
知らない物、見た事もない缶詰、地面に固定された鉄の棚は錆びており虚数の力では動かす事は難しい。
ユーベルコードを使う事も考えたが、中でスコップが巨大化したら天井や出入り口は吹き飛ぶのが目に見えた。
「あーもー!! 誰か、出来るん人はおらんのかねー!!」
出来ない、なんて言葉は口にはしたくない虚数は、ただただ声をホームセンターであった廃墟内に響かせた。
猟兵になったばかりとはいえ、最初から全てが出来る者なんてそうそう居ない。
だから声に出すしかない、出来ない事が出来る誰かが来るのを信じて――
成功
🔵🔵🔴
千代川・七尾
荒涼としたこの世界、七尾は必ず復興させてみせるのです!さぁやるぞ!
元がホームセンターなら天井の高さも通路の広さも十分にあるでしょうから、ななお3号(マシンウォーカー)に乗って資材搬入口だった場所から侵入し、内部を探索します!
これなら多少の瓦礫程度ならそのまま気にせず進んでいけるし、もし敵に遭遇してもすぐに戦闘態勢に入れるのです!
物が散乱してる程度の場所は【掃除】をして綺麗に片付け、着実に道を確保していきます。
通行可能な場所や完全な行き止まりの場所を記録し、他の猟兵さんたちと情報を共有するのです!
ジェイ・ランス
UC起動。あー、あー、聞こえる?見える?SchwarzLowe(シュバルツローヴェ)、新世界編はっじまっるよー。
冒険といえばダンジョン探査だよな!、てことで、探検開始だ。いざとつにゅー(ぐわしゃ)痛い!?埃臭い!?んだよ、掃除くらいしろっての。ま、ぜんぶ電脳魔術でやっときますかね。とりあえず、空気清浄機能とレーダーマッピングってとこか。使える地形はありますかね?ありそうだね?音響探査はっと…… ふん、ほんとにホムセンだったのかねここ。痛そうなところはそのまま罠に使えそーだなー。あとは、狙撃位置でも把握してっと。こんなとこかね?地味?下拵えって言ってくれ。パーティはこれからこれから……
●助けるべく!
「荒涼としたこの世界、七尾は必ず復興させてみせるのです! さぁやるぞ!」
ぴーんと立った狐耳を揺らしながら千代川・七尾(好奇心旺盛な狐・f18443)は、ぐっと拳を頭上高く掲げながら声を上げると“ななお3号(マシンウォーカー)”に乗りこんだ。
廃墟とはいえホームセンターと呼ばれる店ならば大きな家具や木材を扱っている故に出入り口は広い、ならば七尾のマシンウォーカーななお3号も余裕で入れる。
機械の駆動音を廃墟内部に響かせながら、ななお3号の金属の足が柔らかい砂と埃まみれの床を踏み込むとぶわっと宙を舞う。
「あー、あー、聞こえる? 見える? SchwarzLowe(シュバルツローヴェ)、新世界編はっじまっるよー」
その後ろからジェイ・ランス(電脳(かなた)より来たりし黒獅子・f24255)が動画撮影ドローンを召喚すると、レンズの部分に顔を向けながらバーチャルキャラクターとしての“彼”は配信出来ているか確認をしていた。
「冒険といえばダンジョン探査だよな! て、ことで、探検開始だ。いざとつにゅー……って! 痛い!? 埃臭い!? んだよ、掃除くらいしろっての」
意気揚々と廃墟と化したホームセンターへ足を踏み入れると同時に七尾のマシンウォーカーが砂埃を上げると、ジェイの視界は灰色に覆われると目や口に砂が入ると思わず瞼を閉じながらせき込んだ。
掃除しろよ、と言われてもこの世界では不可能に近い。
「ま、ぜんぶ電脳魔術でやっときますかね。とりあえず、空気清浄機能とレーダーマッピングってとこか。使える地形はありますかね? 音響探査はっと……」
“電脳ゴーグル”を通して知ろうとしても、この世界では拠点以外は電力や回路さえ年月とともに廃れてしまっておるが故にハッキングさえ出来ない。
「あー無駄、無駄、こんなに人の手も入っていない様な場所はもう何も機能してないのです。七尾が先に行くので、安全を確認したら後から付いて来ると良いのです」
瓦礫や倒れた大きな棚をななお3号で除けながら七尾は言うと、薄っすらと陽射しが壊れた壁から入り込む薄暗い中を歩き進める。
(うーん、やはりライト点けないとダメですね)
砂埃が舞う中でライトを点けると逆に見えなくなるかもしれない、と思っていたが奥に何が潜んでいるか分からないので七尾はななお3号のライトを点けて先を照らした。
無事、と言える様なモノは全て回収された後なのだろう、実用的とは言い難く“使えない”と判断された物であろう残骸が散らばっていた。
「ほんとにホムセンだったのかね? ここ」
その後ろから付いて来るジェイが廃墟内を見回すと、周囲に浮いているドローンも彼の視線の動きに合わせる様にレンズに廃墟内部を映す。
「金庫らしきモノも壊されているし、なにより出入り口や搬送口がマシンウォーカーが通れるくらい大きいです」
倉庫へ続く両開きのドアを開きながら七尾が言いながら、日光が一切入らない倉庫の内部をライトで照らして居るかもしれないので注意しながら見回す。
「ならば、この辺の物で罠くらいは作れるよな?」
「それは七尾が出てからしてください。ワイヤーを張ったりする位なら出来るんじゃないでしょうか?」
ジェイの疑問に七尾が答えながらマシンウォーカーななお3号を後退させ、廃墟から出た後に他に来るであろう猟兵の為に情報をグリモアベースにいるグリモア猟兵へと送る。
「で、どうだったんだ?」
「中には誰もいないです。出入り口に罠はダメでしょうから、もし罠を仕掛けるなら足元とかにした方が良いでしょうね」
マシンウォーカーから降りると七尾は、ジェイを一瞥すると廃墟へ視線を向けながら言う。
「出来る範囲の事が出来ればいいさ」
そうワザとらしく肩を竦ませながらジェイが言うと、罠として使えるかは怪しいワイヤーを片手に地面に固定された棚と壁の間に張り出した。
(うーん、あのワイヤーで大丈夫なのでしょうか??)
罠に関しての知識がない七尾は、安易に口を出せるワケでもないので何とも言い難い表情でジェイの背中を見詰めた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
人間のスーパーヒーロー×剣豪、15歳の女です。
普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
亞東・霧亥
【WIZ】
廃墟は確かに危険だが、上手く利用すれば襲撃に備える事も可能だ。
【拠点防御】【地形の利用】【戦闘知識】【情報収集】
廃墟をマッピングしつつ、建物の構造から瓦礫の撤去を最小限に抑え、罠として再利用する。
廃墟のマップは他の猟兵にも配布し、安全なルートとトラップの情報を共有する。
【レプリカクラフト】
所々に極めて精巧な鍵のダミーを設置。
触ると大きな音が鳴る【警報器】の役割をする。
これが役立つかは判らないが、
『汝、平和を望むなら、戦闘に備えよ』だ。
●整える
やれやれ、と言わんばかりに苦笑しながら星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)は、やや心もとない瓦礫の防壁などのオブリビオンを迎え撃つ為に作られたソレらを見回した。
「仕方がないわね。でも、物資が転送されるまで迎え撃つ準備は完了出来そうね」
瓦礫だけは綺麗に除けられており、作業するのに障害は無く順調に進められそうだと杏梨は感謝しながら他の猟兵を手伝い始める。
「廃墟は確かに危険だが、上手く利用すれば襲撃に備える事も可能だ」
先に他の猟兵が廃墟を探査して送られている情報を元に亞東・霧亥(峻刻・f05789)は、トラップの確認と位置の印や廃墟内部の障害物やらを書き込んだ。
「よし、ならばオブリビオンの位置を確認する為に警報機でも設置するか」
レプリカクラフトで作られた鍵の形をした仕掛け罠を霧亥は、廃墟内部の情報に新たに自身が設置した警報機の位置を記入する。
「これが役立つかは判らないが、『汝、平和を望むなら、戦闘に備えよ』だ」
薄暗い廃墟内にかちゃり、と鍵を古びて砂と埃に覆われた床に置きながら呟く。
その頃、杏梨は外で黙々と準備を進めていた。
「……ふぅ。所々荒い部分があって手こずったけれども、マシンウォーカーに乗った者もいて助かったわ」
「いえいえ」
機械の駆動音をさせながら瓦礫で出来た防壁をしっかりと固めながら七尾は笑顔で手を振ると、杏梨も軽く手を振り返しながら廃墟であるホームセンターの方へ踵を返した。
中にはワイヤーで罠を張ったらしいが、虚数からのお願いもあり彼女が考えた罠もついでに設置する為に向かう。
(あら、これじゃ……)
情報はグリモア猟兵経由で共有済みなので分かっていたのだが、杏梨が思っていたよりも甘い部分があったのだ。
この場にいる猟兵たちの中で唯一、杏梨だけが罠使う事に知識があったが故に予定していた時間に準備がギリギリ完了できそうであろう。
(仕掛け罠の位置が……オブリビオンも馬鹿ではないでしょうに)
嘆息しつつも杏梨は、ワイヤーの確認と霧亥が設置した鍵の形をした警報機の位置を正に思いがけない場所へ設置し直す。
その場にいる猟兵たちに通信が入る、物資を転送させる準備が完了した事を。
「よし、あとはオブリビオンを倒すだけだな」
「いえ、それだけではないでしょうね」
意気揚々と声を上げる霧亥に対し、冷静に周囲を見回しながら杏梨は首を静かに横に振った。
嫌な予感と不安――そして、新たな世界で初めての試みが成功する事を祈りながら砂塵が舞う空を見上げた。
成功
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第2章 集団戦
『レイダー』
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POW : レイダーズウェポン
【手に持ったチェーンソーや銃火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レイダーバイク
自身の身長の2倍の【全長を持つ大型武装バイク】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : レイダーズデザイア
【危険薬物によって身体機能】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
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●略奪する者
物資がグリモアベースからこちらの世界へ転移された瞬間、オブリビオン・ストームが起こると同時に武装したオブリビオン“レイダー”達が姿を現した。
「ヒッヒッヒッヒッ……そこの物は全部ぅ俺たちがいただくぜぇ!!! ヒャッハー!!」
甲高い声で叫びながらレイダー達は、各々が手にしている武器を猟兵に向けた。
「この世界は弱肉強食!! 物資さえよこせば多分、手はださないぜぇ? 多分なぁ!!」
大量を物資もだが、猟兵を品定めするかの様に見詰めながらレイダー達は下品な笑い声を上げた。
守れ物資を、倒せ略奪するレイダー達を。
アトシュ・スカーレット
ここにある物資はこの世界の人らのもんだ!
過去の奴らにやる必要なんざねぇよ!!
Fragarachにオブリビオン・ストームを【捕食】させたいけど…やれるのか?
腐敗の【呪詛】を付与させたFragarachを大剣に変化させて、【怪力】に任せて振るうか
力任せに【鎧砕き】を狙いたいけど、できるかな…
数が多いなら、【捕食術・暴風式】で敵全体を攻撃するぜ!
出来れば敵だけを攻撃したいんだけど…!!
回数が必要なら限定しないぜ、味方のみんな、全力で避けてーーー!!
亞東・霧亥
廃墟の2Fから、襲撃してきたレイダー達を見下ろす。
瓦礫を利用して隠れ、つぶさに観察する。
『恐ろしく速い奴がいるが、動きは単純そのものか。それと、危険薬物の使用。』
レイダーの症状に心当りがあり、毒の知識と医術の心得から、薬物の種類を割り出す。
次に薬物と反応する事で、平衡感覚を失う毒を作成し、吹き矢の針に塗る。
真の姿を解放。
吹き矢で狙うのはハゲ・・・いや、髪は無くとも頭蓋骨は固い。
困難だが頸動脈を狙う。
外れても首に当たれば効果は期待出来る。
さらに、手振れを抑えるための抑制剤を服用。
集中して、隙を見逃さず。
『今だ
・・・。【黙殺】』
●防衛
砂塵舞う中で紺碧の空を思わせる着物を来た少年アトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)が、
「ここにある物資はこの世界の人らのもんだ! 過去の奴らにやる必要なんざねぇよ!!」
二刀一対の双剣型偽神兵器“Fragarach”をクロスさせた手で柄を握り締めながら引き抜く、そして“オブリビオン・ストーム”から次々と現れるレイダー達の背にあるソレに視線を向けた。
「(……やれるか?)」
自身に自問自答する。
物資とレイダー達の間、ザッと砂煙を上げながらアトシュは駈け出した。
タンッ、と地面を蹴って舞う様に攻撃を躱しながらFragarachの二振りの黒い刃が残像を残しながら振るわれ、物資に向かって駈け出すレイダー達を屠る。
その頃、屋上から身を隠しつつ亞東・霧亥(峻刻・f05789)は、黒曜石の様な黒い瞳で戦況をみつつもレイダー達の様子を観察していた。
「(恐ろしく速い奴がいるが、動きは単純そのものか。それと、危険薬物の使用)」
医療者として、毒を扱う者としての観察眼もあるのだが――なによりも、この世界では糸も容易く薬物を使うなんてありえる事を知っている。
使用しているであろう薬物の種類は分かるが、成分敵に毒性のある薬だけは知識がある故に“吹き矢”に使う針に作った毒を塗る。
そう、つまり“合わせ”の問題だ。
心臓が悪い人の薬に“グレープフルーツ”と合わされば効力は減り、一般的に言えば食べ合わせと言えば分かりやすいだろう。
薬にも呑み合わせで良くなれば、毒となる。
「すぅ……はっ……」
抑制剤を塗った針をプスリ、と腕に刺して霧亥は風が吹くと同時に静かに深呼吸をした。
「はぁぁぁ!! 過去を喰らう嵐よ、その罪をここで贖え!」
黒きリボンと髪がふわりと浮き、二振りで1本の剣である偽神兵器Fragarachがアトシュの手から離れると巨大化すると、ハリケーンの様に渦を巻いて吹き荒れるオブリビオン・ストームも巻き込む様に範囲内の動くモノが命を喰らうかの様に黒い斬撃が繰り出された。
「(今だ――【黙殺】)」
フッ、と吹き口に空気を送ると、細い針は勢いよく飛び出すとレイダー達の首と顎の間、つまり首の側面に流れる頸動脈に針はプスリ、と痛みを感じる事はなく刺さった。
「上手くいったかと思ったのに――」
苦虫を噛んだ様な表情でアトシュは、一瞬だけ威力が弱まったオブリビオン・ストームだった直ぐにヒューヒュー、と甲高い風の音を響かせながら渦巻く風の威力を上げた。
次々とそこから生まれるオブリビオン、物資を守り、この世界の人々を餓えから救う為にこの戦いはまだ始まったばかりだ。
大成功
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曽我部・律(サポート)
『この力を得たことは後悔していない……』
『私以外の人間が不幸になるところを見過ごすことはできないんでね』
『こういうのには疎いんだが……ふむ、こんな感じか?』
とある事件で妻子を失い、その復讐の為にUDC研究を続けているUDCエージェントです。ですが、UDCを強引に肉体に融合させた副作用として徐々に生来の人格は失われつつあり、妻子の記憶も彼らの写真によって辛うじて繋ぎ止めています。
多重人格者としての別人格『絶』は凶悪なオブリビオンの存在を察知すると、律に代わって表に出てきて戦います。その際、口調は『おい律……うまそうな匂いがするじゃねぇか。代われよ』みたいな凶悪な感じになります。
●守る為に
「私以外の人間が不幸になるところを見過ごすことはできないんでね」
抑揚がなく、レイダー達の叫び声にかき消されそうな大きさの声で言うと曽我部・律(UDC喰いの多重人格者・f11298)は、自身の中で獲物を感じ取って蠢く“別人格”が深層域から出てくるのを感じる。
「この力を得たことは後悔していない……」
ぐっ、と胸元を握りしめると律は、顔を上げると一つに纏めている髪とネクタイを揺らしながら迫りくるレイダーの方へ体を向けた。
レイダー達が律の目からしても危険だとわかる薬物を見たことのない器具で躊躇いなく投与すると、血管が浮き出て隆起する筋肉を震わせながら手にしているチェーンソーを振り下ろした。
「どうやらキミ達には、善意や仲間を思うなんて気持ちはないのか?」
こういう“わかりやすい”相手に律は疑問の言葉を放つと、スーツの下で艶めかしいソレこと“オーブ・オブ・ウーズ”が震えると触手の塊が召喚される。
ぬるり、と蠢く触手の塊を見てレイダー達は疑問で頭がいっぱいなのか、ただ単に何も考えていないのか下品な笑い声を上げた。
「そんなんじゃぁ、オレ達を止めることなんて出来ねぇぜ!!」
ポン、と軽快な音と共に散弾銃に弾を込めると銃口を律に向け、引き金を引こうとした瞬間――
素早い動きで触手が伸び、散弾銃やチェーンソーに絡みついてレイダー達の手から武器を奪ったり紙で出来ていたかのようにぐしゃり、と潰された。
「(おい律……うまそうな匂いがするじゃねぇか。代われよ)」
オブリビオンの存在が近く、そして彼……別人格の絶にとって捕食対象が大量にいるとなれば衝動が波のように押し寄せてくる。
食わせろ、と――
「(ほどほどに、な)」
律の記憶や理性を繋ぎ止めている“ロケットペンダント”が胸元で揺れながら、別人格である絶が主導権を奪うとレイダー達に向かって“対UDC神経毒参型”を放り投げた。
試験管が当たるとびしゃり、と中に入っていた液体がレイダー達に掛かって一瞬だけ動きを鈍らせると絶は召喚した触手で獲物を捕縛する。
「あの時は食いそびれたが」
触手で引き千切られたレイダーの腕を手にすると絶は、口を開けてソレに齧り付いて捕食する。
あっという間に食べ終えると口の端についた血をスーツの袖で拭い、まだ満足していない様子で黒曜石の様な黒い瞳にレイダー達を映す。
全て、喰らい尽くしてやろう、と――
成功
🔵🔵🔴
徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!
大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
多対一又は多対多の場合
多数を一度に相手にできるUCを選択
各個撃破の場合はUCの選択はマスターに任せます
戦闘のみの場合
所持している武器・アイテムを効果的に使い
戦局を有利にするよう行動(フラッシュバン・煙幕等で攪乱や敵の隙をつくる等)
救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密にする
常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
世界知識
地形の利用
咄嗟の一撃
ダッシュ
ジャンプ
学習力
情報収集
早業
敵を盾にする
護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳
C-BA使用時
運転
操縦
動物使い
動物と話す
運搬
騎乗
●そして、嵐は過ぎ去る
「火産霊丸よ、焔の底より出ませい!」
やや幼さ残る顔、赤毛の髪と首元に巻いている“白揃え”を靡かせながら徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は、雪の様に美しい白い毛並みをもつ馬に跨り荒野を走らせた。
嘶きながら前足を高く上げ、レイダーの武器を弾くと家光は腰に携えている三振りの一本“大天狗正宗”を抜刀すると白刃を煌めかせながら、眼前の敵を一刀両断する。
「次! 将軍なんだから、戦わなきゃね」
そう言いながら家光は火産霊丸の手綱を操り、腹を蹴るとレイダー達にむかって駆け出す。
その横を並走するように黒い影は駆け抜けると、キンッと金属の音が響いたかと思えば爆発音と共にカッと閃光が視界を覆った。
「力を貸してくれ」
黒き人狼である大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は、“妖刀「魂喰」”を引き抜くと鞘を防壁の内側に投げ入れた。
歴代の所有者である霊が妖刀「魂喰」を通して召喚されると、零児の体に宿ると地面を揺るがす程の咆哮が荒野に響き渡る。
「ウォォォォォォ――ン……」
「こ、こんないぬっころぉいっぴき……グギャー!!」
零児の力強い咆哮を聞いてレイダー達は一瞬たじろいでると、“鎚曇斬剣(ツチグモギリノツルギ)”が宙で一回転して狙いを定めて放つとドンッと地面に突き刺さり、砂塵が視界を覆うほどに舞う。
「この家光、悪は決して許せぬ!」
砂塵が入らぬように白揃えで口と鼻を覆いながら家光は、念動力で動かしている鎚曇斬剣を地面から引き抜いた。
「一瞬でも、感じたモノが命取りとなるん、だ」
野生の勘だけで砂塵によって視界が悪い中でも的確にレイダー達の間を駆け抜けた零児は、チンと鍔が美しい音色を奏でた瞬間に彼らは力なく倒れると同時に消えた。
「おや、オブリビオン・ストームが弱まってきましたね」
家光がオブリビオン・ストームを一瞥すると、徐々に数が減ってきたレイダー達を見据えながら呟いた。
体毛に纏わりつく砂塵をブルリ、と体を震わせて払う火産霊丸の首を優しい手つきで撫でる。
「さっさと終わらせて、人々に物資を持って行ってやらないとな」
レイダーが放った弾丸を零児は素早く避け、家光はオーラを大きく展開させて受け止めた。
「さぁ、残り少ないレイダー達を倒してしまいましょう!」
「あぁ!!」
火産霊丸の手綱を操り家光と零児は、レイダー達に向かって駆け出すと零児が手早く“マルチグレネードユニット”から“マルチグレネード”を射出するとシューとスプレーが噴射するような音とともに視界は白む。
「覚悟!」
煙幕で視界が悪くともレイダーの悪趣味な服装は嫌でも目立つ、それに向かって家光は火産霊丸を走らせながら手にしている大天狗正宗で一刀両断。
「お前で、最後だ――」
黒曜石の様に黒い瞳にレイダーを映した瞬間、零児は怪しく鈍い光を放つ妖刀「魂喰」は横一閃で獲物を屠った。
五月蠅い位に渦巻いていたオブリビオン・ストームはいつの間にか消え、静寂を取り戻した荒野には戦いの傷跡が刻まれていた。
成功
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第3章 日常
『やめるのやめて!』
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POW : 物理的な危機から守ってあげる
SPD : 放送を続ける為の機材や、インスピレーションを補給する
WIZ : 元気づけて、放送を続けられるように励ましたりする
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●失った大きさ
オブリビオン・ストームは過ぎ、猟兵たちは転送された物資を拠点へ配っている時に気が付いた。
古びたラジカセを手にしている人々、もしくは施設に備え付けられているスピーカーから何か聞こえてくるのを待っている様子を。
「今日は……ないのかな?」
寂しげに住民が呟いていたので、調べていると狭い範囲だがラジオを流している人物がいることを知った。
明るく話を聞かせ、ノイズ交じりだけれども音楽だって流してくれてそれは外に出られない人々にとっては、楽しみの一つであった。
しかし、そのラジオはここ数日は流れてこないので不安だという事が分かった。
放送をしている拠点を見つけ、どうするのか?
それとも、アナタがその場しのぎでどうにかするのか?
亞東・霧亥
ここで使わず何時使う。
UCに使うラジオは村に寄付して、テープと始末したレイダーの武器の動力源は放送拠点へ。
機材が古くてメンテが必要なら、愛用の七つ道具の出番だ。
【掃除】【鍵開け】【メカニック】【早業】
緻密な時計のメンテに比べたら容易いものだ。
武器の動力源から使えそうな部品や配線を外して、修理に充てる。
溜まった塵芥を綺麗に掃除。
【鼓舞激励】
テープが毎朝7時に流れるようセットする。
苛酷な毎日を生き抜く村人達の朝は特別。
この声が村人達の力になれますように。
ただ、声は厳選したが合成だから違和感が微レ存。
上様が直接吹き込んでくれたら嬉しいんだけどな?
もしくは他猟兵にウグイス嬢はいないかな?
絡み大歓迎。
●一時しのぎだけれども――
「(ここで使わず何時使う)」
物資を配送したとある拠点にて亞東・霧亥(峻刻・f05789)は、住民の様子を見て素早く立ち上がりボロボロのラジカセを集め始めた。
「大丈夫、修理するだけだ」
「ボロボロだから、とても助かります」
霧亥の言葉を聞いて住民の暗い表情は、少し明るくなったような気がした。
「緻密な時計のメンテに比べたら容易いものだ」
そう言って霧亥は、慣れた手つきでラジカセを解体して悪い部品を交換したり、壊れた部分を交換して拠点にある全てのラジカセを修理し終えた。
「(あー……電波受信する機器もボロボロだな)」
嘆息しつつ“年季の入った七つ道具”を取り出して霧亥は、固定されていたそれを外して誰も使っていない部屋に運び入れる。
自身が持ち込んだラジカセの一部を開け、受信機の線と繋げてからタイマー機能を付けるべく改造をした。
「(肉声が良かったんだけどな……)」
贅沢は言っていられない、と思いながら合成音声が機械掛かった『今日も1日よろしくお願いします!』と音声を試しに再生させた。
「こんなものだろう。これで少しでも元気になってくれれば良いのだが……」
毎朝7時に受信機を通して拠点内のラジオに飛ばされて音声が流れる、という学校とかで早朝に流れる放送はこの世界で通用するだろうか? と不安を抱きつつ霧亥はその拠点を後にした。
大成功
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アトシュ・スカーレット
【POW】
んー……放送してる人を探せないかな?
電波受信できるようにCronosを開いて探してみるね
それか【情報収集】かなー?
前からこの辺の拠点にいる人たちから話を聞いてありそうなところに目星つけたいな
UC使わずに守ってあげられるならいいけど、不可能そうなら【希望への軌跡】を使って回避しながら戦闘等を行うよ
一応、蹴り技中心だけど格闘術の心得はあるからね!
……訓練した記憶はないけど……
●希望
「(んー……放送してる人を探せないかな?)」
この荒んだ世界でも人々の娯楽として放送している事を知ったアトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)は、“Cronos”を装着してラジオに届いている電波を受信すると飛んできた方角と大体の距離は分かった。
この世界の地図を表示して、大雑把にだが発信している位置は分かったのだが少々範囲が広くて、そしてラジオを流している人々がいるであろう拠点までは分からない。
「あの、ラジオを放送している場所を教え欲しいんだ」
「あぁ、それなら……」
アトシュは拠点に住む人々を見回して、長く此処に居るか詳しそうな住民に声を掛けると青年はラジオを放送している拠点への距離と建物の目印を教えてくれた。
「ありがとう」
「いえいえ、あれだけが楽しみだから……気を付けてね」
アトシュが礼を言うと、青年はぽつりと呟いた後に笑顔で手を振って見送った。
「(問題は、敵との遭遇……いざとなれば、グリモアベースに援軍をお願いするしかないね)」
Cronosに地図を表示させたままアトシュは、ラジオを配信している拠点へと向かった。
悪い予想は当たってしまい、拠点の周りには世紀末な服装の奴らが群がっていたのだ。
「やめるんだ!」
アトシュが声を上げると奴らが振り向いた瞬間――更に視界は反転してドサッと地面とキスして砂まみれになっていた。
「あぁん? そんなヒョロヒョロなお前が一人でオレ達を倒せると思ってンのかァ?」
下品な笑い声を響かせながら奴らが一歩、前に進んだ瞬間に何かに足を引っ掛けて盛大にコケるとアトシュはリーダーに向かって駆け出す。
小柄で、機敏な動きで攻撃を回避しながら距離を縮める――
「とっとと消え失せろ」
跳躍し、体を捻りながらリーダーの頬にアトシュの回し蹴りが当たると、ゴムで出来た人形の様に地面を跳ねながら転がり、少し力を入れすぎたのだろう岩にめり込んでしまう。
「お、覚えてろよ!」
リーダーがやられてしまい、慌てて副リーダーはリーダーを抱えると捨てセリフを言い放って撤退した。
「助力、感謝だ」
「いえ、これくらい手伝うのは当たり前ですので」
アトシュはロイドを見上げながら礼を言うと、彼は微笑みながら恭しく一礼してからグリモアベースへ戻った。
ラジオを放送している人たちの安否を確認するとアトシュは、霧亥を呼び放送する為の機材や道具を修理をしてもらう。
「ありがとうござます! これで、ラジオが続けられます!」
「頑張ってね」
機材や道具の修理は無事に終わり、アトシュは礼の言葉を聞きながらグリモアベースへ帰還したのであった。
大成功
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