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襲来、サイバーレイダーズ!

#アポカリプスヘル


●荒廃世界のタワーディフェンス!?
「アポカリプスヘル……これまた、とんでもない世界が発見されたわね」
 オブリビオンによって崩壊させられた世界と、そこで懸命に生き抜く人間達。なんとも過酷な世界が見つかったものだと零すパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)。
 オブリビオンを発生させる謎の嵐、オブリビオン・ストーム。それによって荒廃した世界には、法も秩序も存在しない。それこそ、火炎放射器を持ったモヒカンや、食欲だけで行動するゾンビの群などが跋扈し、それらを一子相伝の暗殺拳の使い手や、禁忌のテクノロジーで作られた女戦士が退治していそうな世界なのだ。
 だが、そんな場所でも、懸命に明日を信じて生き抜こうとしている人々がいる。彼らの住まう拠点はベースと呼ばれ、オブリビオンの襲撃にも耐えられるよう、しっかりと防御が固められている。
「で、ここからが本題よ。その、ベースのひとつ……かつてはホテルだったビルをバリケードで固めた場所を、オブリビオンが襲撃しようとしているわ」
 拠点の防御は堅いので、仮に脱出するような事態が発生しても、逃げるまでの時間は稼げるはずだった。しかし、今回ばかりは状況が悪い。拠点内部には既に1体のオブリビオンが侵入し、しかも人間に擬態しているという。
「放っておくと、こいつは勝手に拠点のバリケードを崩壊させて、内部から防御を崩しちゃうの。その前に、あなた達でオブリビオンを発見して、撃破して欲しいってわけ」
 幸い、猟兵であれば、相手がオブリビオンか否かは一目で判る。侵入しているのはサイバーレイダーと呼ばれるオブリビオンで、全身を機械化した人間が、死後にオブリビオンとして復活したものらしい。
「こいつを倒したら、次は拠点を包囲しているオブリビオンの群れを殲滅してね。拠点にも腕の立つ人達が何人かいるから、支援攻撃をお願いできれば、戦いが楽になるかもしれないわよ」
 ただし、彼らは猟兵と比べて戦闘力の面で劣るため、敵の集団を率いる親玉のオブリビオンとの戦いには参加できない。最悪の場合、戦死してしまう可能性もあるので、最後に現れるであろう敵のボスとは、猟兵達だけで戦わねばならない。
「今は防戦一方でも、こんな事件を解決し続けていけば、もしかすると人類の文明を再建するのに役立つかもしれないわ」
 その日まで、人々が希望を失わないようにするためにも、彼らの拠点を守って欲しい。そう言って、パトリシアは猟兵達を、拠点となっているホテル跡の中へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、雷紋寺音弥です。

 なにやら世紀末な新世界が発見されたようですね。
 と、いうわけで、早速拠点の防衛に向かってください。

●第一章
 拠点に侵入したオブリビオンを撃破します。
 人間に擬態していますが、猟兵であれば直ぐに見破れるため、面倒なことにならない内に撃破してしまいましょう。

●第二章
 拠点の周辺を包囲しているオブリビオンの集団と戦います。
 拠点で暮らす人々の中には、それなりに腕の立つ者も存在するので、支援攻撃を行わせることも可能です。

●第三章
 拠点の襲撃を画策したボスと戦います。
 とても危険な相手なので、猟兵達だけで戦ってください。

●拠点(ベース)
 かつてはホテルだったビルを改造して作った拠点です。
 1F~4Fまでは強固なバリケードで固められ、人間が住んでいるのは5Fより上のみです。
 エレベーターは既に停止し、出入りには主に縄梯子などを利用しているようですが、バリケードを崩された場合は瞬く間に下の階からオブリビオンに侵入されてしまいます。
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第1章 ボス戦 『サイバーレイダー』

POW   :    パワーアシストアーマー
予め【パワーアシスト機能に充電しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    奪い尽くす者達
レベル×1体の、【タトゥーで額】に1と刻印された戦闘用【機械化レイダー軍団】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    レイダーズシャウト
【略奪を宣言する叫び声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
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スピレイル・ナトゥア
ひゃっはー!
というわけで、新鮮な新世界にやってきました!
一面が荒野です!

相手が人間に擬態しているということは、ベースのひとたちを動揺させないために相手の正体を暴きながら倒したほうがよさそうですね
炎の精霊を召喚して、サイバーレイダーさんの表皮を燃やしてもらいます
派手な戦闘をしたらベースが壊れてしまいそうですが、延焼ぶんも含めて任意に消せる炎の精霊さんなら大丈夫でしょう
相手は機械化レイダー部隊を召喚して強化できるみたいですが、私も炎の精霊でみんなを【援護射撃】して対抗します
だけど、相手はひとりって聞いてたのに、召喚できるんだったらひとりじゃないじゃないですかー!
ベースのみなさんも協力してください!


メイスン・ドットハック
この中にオブリビオンがおるのー?
ま、応えて貰えんでも狙うがのー、バレバレじゃから

電脳魔術で指向性地雷を生産し、電脳【ハッキング】で把握した空間座標に【罠使い・地形の利用・破壊工作】を駆使して配置しに対処
また【誘導弾】補正のある電脳ミサイルを創造し、【一斉発射】でレイダーズシャフトを発動した瞬間を狙う
アホ顔叫び声を上げておる時が一番狙いやすいのー

敵が追い詰められたら、UC「昨日の強敵は今日の親友」を発動して白騎士ディアブロの電脳シミュレート霊子体を召喚し、敵が逃走すると思われるルートに向かって足を狙った未来位置へのレーザーを発射
しかる後に脳天を吹き飛ばすレーザーを放つ

アドリブ絡みOK


エメラ・アーヴェスピア
防衛線…今回の新しい世界はオブリビオン側が優勢な世界なのね
…今は焦らず出来る事を確実に、よ

『出撃の時だ我が精兵達よ』
各機散開、兵士のカメラを私が確認して【情報収集】、敵を探しましょうか
もし私が発見したならその場から兵士を離脱、同僚さん達に連絡して兵士も集めて強襲しましょう
後は囲んで魔導蒸気ライフルで射撃ね
ここで怖いのは軍団を召喚されてホテル内で乱戦となる事、相手を逃がさない様に召喚された奴らは念入りに撃ち込むわよ
あとは同僚さん達への【援護射撃】、相手は遠距離攻撃を持っていない訳だからそこを突きましょう
ここで手間取る訳にはいかないわ、手早く行きましょう

※アドリブ・絡み歓迎


アテナ・カナメ
【心情】本当に世紀末って感じの世界ね…人間を守ってこの世界を再建させるためにも頑張らなきゃ!がんばるわよ宛那!(宛那:はい…がんばりましょう!)

【作戦】拠点を狙う敵の撃破。拠点にいる人間たちと交流しつつ見まわして擬態しているオブリビオンを発見したら即座に【2回攻撃】のバーニングパンチの一つ目よ!!機械レイダー軍団が周囲の人間に被害を出しそうなら【救助活動】と【怪力】で助けるわ!そして隙ができたら本体に二度目のバーニングパンチを食らわせるわ!



●潜入者は誰だ?
 グリモアベースから転送されると、そこに広がっていたのは、随分と古びたホテルの廊下だった。
 使われなくなって久しいのだろう。エレベーターは既に動きを止め、その扉には頑丈な板が何枚も重ねられる形で封印が施されている。客室はそのまま居住区として使われているようで、老朽化しているにも関わらず、思っていたよりは掃除が行き届いていた。
「ひゃっはー! というわけで、新鮮な新世界にやってきました!」
 興奮覚めやらぬ様子で実況するスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)だったが、実際に広がっている目の前の光景は古びたホテル。その外にあるのは、どこまでも続く無人の荒野だけである。
「防衛線……。今回の新しい世界は、オブリビオン側が優勢な世界なのね」
 周囲を見回しながら、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が呟いた。時折、拠点の住人と擦れ違うも、今のところオブリビオンの姿は見られない。
「本当に世紀末って感じの世界ね……。人間を守って、この世界を再建させるためにも頑張らなきゃ! がんばるわよ宛那!」
 アテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)もまた、自らに肉体を貸す少女、宛那に装着され、スーパーヒロイン「アテナマスク」として降臨し。
「この中にオブリビオンがおるのー? ま、応えて貰えんでも狙うがのー、バレバレじゃから」
 そんな中、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)が、行き交う人々の中から明らかに挙動のおかしな者を発見した。
 それは、一見して寡黙で無表情な青年を装いながら、しかしどこか機械的な不自然さを身に纏い、ともすれば死んでいるのではないかと錯覚させるほどだった。
 間違いない。あれが、話にあったオブリビオンだ。そうと分かれば、先手必勝。下手な場所に逃げ込まれる前に、ここで退治してしまった方が後腐れがない。
 善は急げだ。互いに無言のまま頷くと、4人の猟兵は油断なく青年を取り囲み、問答無用で攻撃を開始した。

●化けの皮
 その外見こそ人間だが、しかし正体は武骨なオブリビオン。それを知っているからこそ、アテナの行動は早かった。
「燃える拳を受けなさい! バーニングパァンチ!!」
 声をかけることさえもせず、いきなり正面から燃える拳で殴り掛かる。これには、さすがのオブリビオンも面食らったのか、顔面に拳の直撃を食らってしまった。
「Woooo!!」
 不気味な機械音を発しながら、オブリビオンを覆っていた人口被膜が燃え尽きて行く。その中から現れたのは、グロテスクな姿をした機械の怪人。全身を機械化させた蘇りし者、サイバーレイダーだ。
「炎の精霊さん。助けてくれない?」
 追い打ちとばかりに、スピレイルが炎の精霊を呼び出して敵の皮を燃やしたところで、もはや擬態は完全に解かれた。だが、それはすなわちサイバーレイダーが、本気でこちらを殺しに掛かって来ることに外ならず。
「さぁ出番よ、私の勝利の為に出撃なさい」
 無差別攻撃でも開始されたら堪らないと、エメラは多数の蒸気兵を召喚し、その手に握らせたライフルで四方八方から撃たせまくる。だが、さすがに機械化された肉体は強靭で、そう簡単には撃ち抜けない。
「GA……Giii……」
 金属が軋むような音を立てながら、サイバーレイダーは自らの配下たる機械化レイダー軍団を召喚して来た。猟兵達の中には、それも想定している者がいたのだが、しかしスピレイルにとっては不足の事態だったのだろうか。
「相手はひとりって聞いてたのに、召喚できるんだったらひとりじゃないじゃないですかー! ベースのみなさんも協力してください!」
 それは、悪い意味での地雷宣言。確かに、言うだけならばタダなのだが、問題は拠点の人間が協力してくれるか否かだ。
「うわ! オ、オブリビオンだぁ!」
「どうしてここに!? あぁ、この拠点も、もうおしまいよぉ!!」
 案の定、まずは周りにいた非戦闘員がパニックに陥り、自警団もなかなか現れない。食料がなく、命さえも大事にされない世界。束の間の安息を拠点での暮らしによって得ている一般住民達には、オブリビオンの襲撃というだけでも絶望を意味するのだ。
「Booooo!!」
 奇声を発し、自分の呼び出した存在まで強化しようと企むサイバーレイダー。しかし、そうはさせまいと、今度はメイスンが電脳ミサイルをブッ放した。
「アホ顔叫び声を上げておる時が一番狙いやすいのー」
 立ち上る黒煙。もっとも、この程度で倒れるような相手ではないことくらい、メイスンも承知はしているところ。
「Woo……ハ、ハイジョ……。ショウガイ……ハイジョ……」
 爆炎の中から、完全に機械の身体を晒したサイバーレイダーが姿を現した。やはり、そう簡単には行かないか。ならば、今度こそ沈めてやろうと、代わりにアテナが前に出るも。
「いい加減に、倒れ……な、なんですって!?」
 彼女が繰り出した拳は、サイバーレイダーの繰り出したそれで相殺されてしまったのだ。
 サイバーレイダーは、自らの充電システムを利用して、自身の拳の威力を強化していた。激突する炎の拳と稲妻の拳。行き場をなくなったエネルギーの奔流が周囲に飛び散り、その勢いに押される形で、アテナは後方へ吹っ飛ばされた。そのまま逃げだすサイバーレイダーだったが、追いかけようとした猟兵達に、機械化されたレイダーズ達が邪魔をする。
「ここで手間取る訳にはいかないわ……でも……」
 未だ混乱の続く拠点の人々の様子に、エメラは強引に敵を追うのを躊躇った。ここで一般人を放置して進むのは、逃げるのと同義に思えたのだ。
「心配しなくとも、あいつに逃げ場はないのー」
 そんな中、レイダーズ達を防ぐ面々に代わり、メイスンがサイバーレイダーに狙いを定めた。どんな場所へ逃げようと関係ない。未来を見据えた一撃を叩き込むために。
「ではディアブロ君、やってくれのー」
 それは、今は亡き銀河皇帝の片腕である、白騎士ディアブロをシュミレートした霊子体。その名の通り、ディアブロ同様に未来を予測し、敵の逃げる座標を特定し。
「Gyoooo!!」
 サイバーレイダーの全身を、高出力レーザーで貫いて行く。だが、そこは腐ってもオブリビオン。並の動物なら間違いなく致死量に匹敵する量を浴びせられていながら、それでも死ぬようなことはなく、ホテルの奥へと逃げて行った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

エスタシュ・ロックドア
こんな世界があったとはな
良いじゃねぇか、実に馴染むぜ
この仕事も話が分かり易くて重畳重畳
そんじゃとっととブチのめしに行くか!

敵を見つけたら問答無用、速攻
鉄塊剣フリントを振るって【なぎ払い】【吹き飛ばし】
【怪力】に物を言わせて畳み掛け、
【鎧砕き】で装甲の破壊を狙おうか

敵がUCを使ったら、面白ぇ、こっちも真向から対抗してやらぁ
『羅刹旋風』発動
フリントぶん回しつつ大上段から叩っ斬る

多少の傷は【激痛耐性】
ブレキャリだし血の代わりに青い火が垂れるだけだ、気にしねぇ
もし拠点の住民が巻き込まれそうなら【かばう】

ああ、やっぱ楽しいなぁ
頭カラっぽにして戦りあうのはよ!

※アドリブ連携等歓迎


テリブル・カトラリー
内側で暴れられては困るな。レイダー。

クイックドロウ・二回攻撃。自動拳銃で相手の片足の駆動部に鎧無視攻撃。

機動力を削いだ所に接近、ハンマーの攻撃を見切り、回避。
ハンマーを振った瞬間に、【加速・戦争腕】発動。
至近距離へ駆け、吹き飛ばし加速のついた拳と怪力で、
レイダーの顔面を殴りつけ気絶攻撃。

特にバリケードを破壊されるのは本当に困る。

早業・スナイパー、手元に召喚した超高熱の機械刀を投擲
先に攻撃した片足の駆動部を串刺し完全な部位破壊を狙う。

やけになってバリケードに突撃されても面倒だ。



●バリケード防衛戦
 猟兵達に正体を見切られ、逃げ出して来たサイバーレイダー。今、彼は階下の世界から人々を隔離するための、強固なバリケードの前までやって来ていた。
「……ハイジョ……。リャクダツノ……ショウガイハ……」
 全身の傷口から火花を散らしながらも、バリケードを解体せんと手を掛ける。だが、次の瞬間、飛来した超高熱の機械刀が、凄まじい勢いでサイバーレイダーの肩に食い込んだ。
「Gaaaa!!」
 片腕を両断される程の衝撃を受け、サイバーレイダーが吠えた。機械化された身体でも、痛みは感じるらしい。。
 刀を放り捨て、サイバーレイダーは攻撃が飛んで来た方向へと目をやった。だが、その先にテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)の姿を捉えたところで、今度は横薙ぎの衝撃に吹き飛ばされ、装甲がおおきくひしゃげて陥没した。
「ガ……ガガ……」
 火花の散る身体のまま立ち上がれば、そこにたのはエスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)。もはや、サイバーレイダーに逃げ場はない。
「内側で暴れられては困るな。レイダー」
「だが、話が分かり易くて重畳重畳! そんじゃ、とっととブチのめしに行くか!」
 冷静に警告するテリブルと、勢いにままに戦いを挑むエスタシュ。互いに対照的な二人ではあるが、それでも拠点を守るという目的は共通している。
「オラ、どうした! それで全力なのか?」
 最初に動いたのは、エスタシュの方だ。彼は躊躇いもなくサイバーレイダーに向かうと、武器を振り回しながら嬉々とした表情で挑んで行く。対するサイバーレイダーも、その身に電気を蓄えながら必殺の一撃を狙うが、牽制程度の動きでは、エスタシュを止めるには至らない。
「ああ、やっぱ楽しいなぁ、頭カラっぽにして戦りあうのはよ!」
 頃合いを見て、今まで溜めていた力を解放するエシュタス。それに合わせ、サイバーレイダーも同様に力を解放して殴り掛かって来るが、その拳が炸裂しようとした瞬間、サイバーレイダーは大きく体勢を崩してしまい、攻撃は空振りに終わってしまった。
「……これ以上、長引かせるつもりはない。それに、バリケードを壊されても面倒だ」
 自動拳銃を構えたテリブルが、未だ銃口から煙を上げたままの銃を手に呟いた。彼女の狙いは、敵関節部の破壊。どれだけ強固な装甲を身に纏おうと、関節部分が脆いというのは機械を相手にする際のセオリーだ。
「もらったぁぁぁぁっ!!」
 大上段から振り下ろされたエスタシュ一撃が、サイバーレイダーを正面から斬り捨てる。その勢いは凄まじく、彼の手に握られた鉄塊剣が、勢い余って床に深々と刺さる程であり。
「逃がすと思ったのか? ……甘いな」
 瞬歩の如き速さで間合いを詰め、テリブルが敵の頭部に超重金属製の大拳を叩き込む。その衝撃で、敵の身体は大きく吹き飛び、ホテルの窓ガラスをブチ破って、そのまま外へと落下して行った。
「なんだ、もう終わりか? 意外と呆気なかったな」
「……いや、戦いはむしろ、これからだ。この敵は、ほんの前座に過ぎないはず……」
 サイバーレイダーの爆発四散する音を横目に、テリブルがエスタシュに告げる。当面の危機は脱したが、しかし拠点を守るための戦いは、ここからが真の本番なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『マシンビースト』

POW   :    ワイルドビースト
【野生化モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    同型機との経験共有
【頭部に内蔵した高熱の刃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【行動パターン】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    光学迷彩
自身と自身の装備、【自身と同型の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
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●機械の獣達
 高々とバリケードの積まれたホテルの周りに、唸り声を上げて集まって来る獣達。一見して野犬の群れかとも思われたそれらは、しかし当然のことながら、単なる野犬などではなく。
「#◆$○%&?」
「◆◆&%○※!?」
 人間の口では発音することさえ不可能な電子音を鳴き声とし、彼らは人々が拠点として使っているホテル跡へと集結を始めていた。
「おい、なんだあれは?」
「マシンビーストの群れか……。厄介な連中だな」
 ホテルの窓から銃を構え、獣を狙う住民達。だが、彼らの腕を以てしても、ここに集まった全てのマシンビーストを倒すことは難しい。
 圧倒的な数の差を武器に、マシンビースト達はホテル跡へと押し寄せて来る。このままでは、いずれ壁を這い上がられ、窓からホテルの中へと侵入されてしまう。
 この状況を打破する方法は、ただ一つ。敵がホテルの壁をよじ登り始める前に、全て殲滅するしかない。
 幸い、ホテルの窓からは、人々が銃による援護射撃を行ってくれる。牽制や足止め程度の効果しか期待できないが、それでもないよりはマシだろう。
 この拠点に住まう人々を、機械の獣の餌にするわけにはいかない。迫り来るマシンビーストの群れを前に、拠点に住まう人々の未来は、猟兵達の手に委ねられた。
スピレイル・ナトゥア
うう……またやらかしちゃいました
と、部屋の隅で体育座りしていたい気分ですが、アポカリプスヘルのみんなを守るためには休んでいるわけにはいきません!

広大な戦場と膨大な数の敵を前に、姿を消せる相手に有効そうな攻撃手段は私にはありません
ですが、私は私にできることを頑張ります!
土の精霊を宿したゴーレムさんを大量に召喚して、姿を隠した敵を知覚できないぶんの不利を物量でカバーします
ゴーレムさんが見えないなにかにぶつかったり襲われたりしたら、そこがマシンビーストさんのいる場所です!
ゴーレムさんたち全員で袋叩きにしてください!
ゴーレムさんたちに前衛は任せて、私は精霊印の突撃銃で後衛からみんなを【援護射撃】します


エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎

おお、鉄の獣共が沢山来ておるのう
この数は中々壮観じゃが、こやつ等の鳴き声はちと耳障りじゃな
ちと不快じゃし手早く狩るとするか。
住民も協力してくれておるようじゃ。
【疾風の凱歌】で皆を【鼓舞】しつつ、皆の知覚力を強化し視力と反射神経を高め、攻撃に【風属性】を付与して弾速と貫通力を増幅するのじゃ。
わしも【誘導】する矢で【援護射撃】に参加するかの。
『光学迷彩』に対しては、【聞き耳】を立て【野生の勘】で敵の位置を把握し皆に指示を出して撃破して貰うのがよいじゃろう。
近接戦闘は【巨狼マニトゥ】に任せ、壁を這い上がってくる敵を叩き落してやるわ。
皆、頑張るのじゃ。自らの力でお主らの住処を守れ!


メイスン・ドットハック
【WIZ】
今度は機械犬の群れかのー
こういう奴らの相手は宇宙でもお手の物じゃけーのー

空間【ハッキング】でマシンビーストの一体の制御を奪い、同士討ちを開始させる
また制御パターンを【情報収集】で把握したら、【ハッキング・暗号作成】で自動制御プログラムを作り、自動制御させて混乱を拡大
さらにUC「月夜に跳梁跋扈せし銀狼」を発動させ、銀狼部隊に潜入しやすいルートに【罠使い・地形の利用・破壊工作】を駆使した電脳地雷・ワイヤートラップを仕掛けさせておき、光学迷彩対策とする
正面の敵には電脳ジャミングを仕掛けて光学迷彩を乱し、守備兵達や他の仲間へのサポートとする

使えぬ迷彩などいい的じゃのー

アドリブ絡みOK


エメラ・アーヴェスピア
外部の障害は排除した、次は外から襲い掛かる大軍の相手ね
地の利はこちらにあると考えるわ、油断せずに排除しましょう

…想定していた敵とは違って堅そうね…
本来は兵に狙撃をさせようと考えていたのだけど…攻撃力が足りないかしら
なら…ドローンを打ち上げて相手の場所を確認しつつ窓等から撃てるように『この場は既に我が陣地』
ドローンは熱源センサー等の各種センサーで隠れている奴も補足
ああ、それと幾つか制御は渡すから、拠点の人達も自由に使ってちょうだい
建物内に侵入した奴らは同僚さんにお任せして、私は指揮を執りつつ侵入前の奴らを撃ち砕くとしましょう
相手からの遠距離攻撃は無いわ、存分に撃ちなさい!

※アドリブ・絡み歓迎


アテナ・カナメ
【心情】(宛那:なんて禍々しいロボット犬…しかもたくさん…マスクさん、大丈夫ですか?)平気よ。何よりここには懸命に生きようとしてる人達がいる。どんな敵でも負けるわけには行かないわ!(真の姿となり周囲が燃え上がる)
【作戦】【2回攻撃】のファイアボールを使い、沢山のマシンビーストを蹴散らすわ!最初は火の玉をそのままぶつけ、2回目はすべての火の玉を集合させそのままぶつけるわ!(経験共有対策)。敵の炎の刃は【見切り】と【火炎対策】、透明は【見切り】と【第六感】で対処よ!
ホテルの人々がやられそう、もしくはやられたら【救助活動】で助けるわ!(絡み・アドリブOK)



●マシンナリー・バタリオン
 拠点であるホテル跡は、いつしか多数の獣によって、完全に包囲されてしまっていた。
「#◆$○%&?」
「◆○※◆&%!」
 奇怪な電子音を発する獣達は、その肉体のほぼ全てが機械化されたもの。これもまた、禁断の技術によって生み出された存在が、人類の敵と化したものなのだろうか。
(「なんて禍々しいロボット犬……しかもたくさん……。マスクさん、大丈夫ですか?」)
「平気よ。何よりここには懸命に生きようとしてる人達がいる。どんな敵でも負けるわけには行かないわ!」
 自らに肉体を貸している要・宛那の声に答えつつ、アテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)は真の姿を解放する。燃え盛る火炎が周囲に広がり、その全てが彼女の武器となる。
「おお、鉄の獣共が沢山来ておるのう」
「今度は機械犬の群れかのー。こういう奴らの相手は宇宙でもお手の物じゃけーのー」
 エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)やメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)もまた、マシンビースト達の群を見て臨戦態勢。だが、そんな彼女達とは反対に、スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)は独り、戦場の片隅で凹んでいた。
「うう……またやらかしちゃいました……」
 不慮の事故とはいえ、自分から民間人を危険に晒したことを気にしているのだろう。もっとも、ここで戦いを放棄してしまっては、より悲惨な結果が待っていることは彼女も知っているだけに、いつまでも凹んでいるわけにもいかない。
「地の利はこちらにあると考えるわ、油断せずに排除しましょう」
 ドローンを散開させ、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が仲間達へと告げた。先の戦いとは異なり、今度は拠点に住まう人々も、窓から射撃で援護してくれる。籠城戦を突破するには、敵は相手の3倍の戦力を用意せねばならないという通説を信じるのであれば、こちらの戦力でも十分に敵を蹴散らせるはずだ。
「#◆$○※◆%&!」
「◆○※◆&%#◆$○!!」
 猟兵達の姿を捉えたマシンビーストの一団が、早くも襲い掛かって来た。拠点の者達も懸命に牽制を行うも、それだけで倒れるような敵でもない。
 迫る電子の略奪者。人々の砦である拠点を守るため、猟兵達の絶対に負けられない戦いが始まった。

●バニシング・ビースト
 機械に改造されたとはいえ、マシンビーストの武器は基本的に爪や牙。この辺りは、改造前の獣と変わらないのが幸いだ。下手にミサイルだのビームだのと使われては、それだけで拠点が被害を受けかねない。
「相手からの遠距離攻撃は無いわ、存分に撃ちなさい!」
 エメラの号令の下、拠点の者達が一斉にマシンビースト達へ援護射撃を仕掛けて行く。そうして、足並みが乱れたところに、アテナが特大の火炎弾を叩き込む。
「炎の玉達よ! 敵を焼き討て!」
 こういう大群相手には質よりも手数。次々と殺到する火炎弾がマシンビーストの装甲を焼き焦がし、そのまま飴細工の如く融解させて行った。
「ふむ……この数は中々壮観じゃが、こやつ等の鳴き声はちと耳障りじゃな。ちと不快じゃし、手早く狩るとするか」
 だが、それでも一向に減らない敵の数に辟易したのか、エウトティアは早々に短期決戦を心に決めた。
「風よ、勝利の歌を!」
 追い風となる勝利の凱歌で味方を鼓舞し、自らもまた弓に矢を番える。大切なのは、とにかく手数だ。現状の数的不利を覆すには、とにかく攻撃するしかない。
「それじゃ、トラップや陣地作成は任せたけーのー」
 仲間達が戦いを続ける中、メイスンはトラップ戦術を得意とする人狼の群れを、姿を消させた上で戦場に解き放った。それを見たスピレイルもまた、地脈に眠りし大地の精霊と交信を始め。
「土の精霊さん。お願いしたいことがあるんだけど……」
 深く祈りを捧げれば、現れたのは武骨な外観をしたゴーレム達。それらは一斉にマシンビーストへと襲い掛かり、敵の隊列が徐々にだが確実に崩れだした。
「よし、このまま一気に……って、なんだか敵の数が思ったより減ってます?」
 だが、敵の勢いが唐突に弱まったことで、スピレイルは訝し気に首を傾げた。
 おかしい。いくらこちらが優勢とはいえ、あそこまで急激に数が減るはずが……。
「#◆$○#◆$&」
「◆○※? ◆$#◆$○!」
 戦場に響く電子音。マシンビースト達の鳴き声が先程とは異なるパターンになっているのを、エウトティアは敏感に感じ取って仲間達に叫んだ。
「いかん! やつら、姿を消してこちらを突破するつもりじゃ!」
 敵の数が減っているのではない。光学迷彩を用いて、敵が姿を消しているのだ。気配からして、既に何匹かはこちらの防衛網を抜けてしまった。このままでは、敵が壁をよじ登り、拠点へ侵入するのも時間の問題だ。
「冗談じゃないわ! 抜かれる前に、焼き尽くしてやるんだから!」
 これ以上はやらせない。集合させた火の玉を巨大な炎弾に変え、アテナが敵の群れがいると思しき場所に叩き込む。が、姿の見えない敵を相手に、闇雲に攻撃を仕掛けたところで、効果的な戦い方とは言い難く。
「迂闊に炎で攻撃しないでちょうだい。こっちのドローンの熱センサーが誤作動するわ」
 ドローンで敵の位置を探知しながら、エメラが叫んだ。ホテルの壁をよじ登っている敵は何匹か叩き落したが、とてもではないが、自分一人では守り切れないからだ。
「連中は、姿は消せても臭いや音、熱までは消せぬようじゃ。拠点の壁はこちらで守る故、残りは任せるぞ」
 相棒の白狼に最後の守りを任せつつ、エウトティアは敵の弱点を仲間達へと告げる。その間にも、マシンビースト達はどんどん姿を消しては防衛網を突破せんと迫るが、弱点が分かったのであれば、対処のしようがないわけではなく。
「ゴーレムさん達、広がってください。そのまま隊列を崩さないで、進撃開始!」
 大地の精霊を横一列に整列させ、スピレイルはファランクスの如く進撃させる。こうすれば、敵の姿が見えずとも、どこかでゴーレムに引っ掛かるはず。そこを逃さず袋叩きにして行けば、少なくとも闇雲に攻撃するよりかは遥かに効率がいい。
「とりあえず、これで簡単に抜かれることはなさそうね。だけど……」
 ドローンのデータから慎重に敵の位置を割り出しつつも、エメラの表情は未だ険しいままだ。敵の数が多いのもそうだが、やはり見えない敵を相手に戦うというのは、どうにもやり難いものがある。
 せめて、あの光学迷彩の一部だけでも、崩すことができれば良いのだが。誰ともなしに、そんなことを考えた時……今まで静観していたメイスンがついに動いた。
「そろそろ、頃合いじゃのー。こういう奴らの相手は宇宙でもお手の物じゃけー」
 敵が電子の獣であるならば、こちらも電子戦を仕掛ければいい。姿を消したとて、敵は未だ目の前にいるはずなのだ。それならば、視覚に頼った攻撃はできずとも、電子的な攻撃は通じるはず。
「●#◆$○$◇&!?」
「◆☆○! ※+%#$!?」
 彼女が軽く手をかさせば、それだけで敵の一団が瞬く間に混乱に陥り、訳も分からぬまま同士討ちを始めた。それだけでなく、中には光学迷彩を自分から解除し、全身をショートさせながら関節から煙を上げるものまで現れ始める始末だ。
 先程、メイスンが放った人狼達。彼らは自ら戦う力こそないが、しかし電子戦のサポートや罠の設置などはお手の物。それらの支援を受けつつ、敵の中枢コンピュータに直接ハッキングを仕掛けることで、マシンビースト達を文字通り電子的に破壊したのである。
「よし、これなら行けるわ! 今度こそ……!」
 感電して動けなくんじゃっているマシンビースト達へ、アテナが再び特大の炎弾を叩き込んだ。爆炎が大地を包み込み、多数の敵が吹き飛んで行く中、逃げ惑う者達へエメラが追い打ちをかけ。
「ここまで来て、討ち漏らすわけには行かないわね」
 背後から確実に、ドローンで弱った個体を狙い破壊して行く。
「もう少しで勝てる……皆、頑張るのじゃ。自らの力でお主らの住処を守れ!」
 白狼と共に壁をよじ登る敵を叩き落しながら、メイスンは拠点から援護射撃を続ける者達へ向かって叫ぶ。彼らもまた、同じ目的を持った仲間達だ。そして、彼ら自身の力で拠点を守ることが、これから先の未来を紡ぐことに繋がって行くはず。
「残りは任せてください! ゴーレムさん達、一斉攻撃です!」
 最後は、スピレイルが残ったマシンビースト達をゴーレムに包囲させ、一斉攻撃で破壊して行く。
「●☆○$◇◆&!?」
「×*●◎◆$#!!」
 荒野に響く奇怪な電子音。火花を散らしながら肉体を破壊され、マシンビースト達の群は、これにて無事に一掃された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

テリブル・カトラリー
【支援狙撃】発動。敵数、位置、味方の支援射撃、状況の情報収集開始。
遠方の敵にはAMRアームドフォートの砲撃、
スナイパーライフルで鎧無視攻撃。中距離なら機関銃をで制圧射撃

ホテル壁に近付かれたらブースト(吹き飛ばし)ダッシュ、
ホテル外周を回り続ける。
理性を失ったモノはこれで引き付け…

アームド、フルアクセル。
壁に取りついた敵を自動拳銃でクイックドロウ。
戦闘知識から、状況情報を適切に処理(見切り)、
襲ってくる敵はカウンター、超高熱機械刀の属性攻撃で串刺し、
足を掴み怪力で他の敵へ叩きつける(敵を盾にする・シールドバッシュ)等、
早業で遠距離武器と近接武器を切り替えながら戦闘続行。
……戦闘…敵……殲滅する


エスタシュ・ロックドア
今度は機械の獣か
OK、蹂躙してやる

シンディーちゃんに【騎乗】【運転】
『群青業火』発動、ブルーフレアドレスに点火
群青色の火炎弾になって敵の群れに突っ込むぜ
追うまでもなく敵UCの効果で向こうからも突っ込んで来るだろ
援護が届かなくなるかもしれねぇが、拠点から離れるように引き付ける
したら【カウンター】
【範囲攻撃】で敵を焼きながら、
【怪力】でフリントを振るって【なぎ払い】【吹き飛ばし】【鎧砕き】
焼いて砕いて轢き潰して、徹底的にやらねぇとな
一匹でも拠点の方に抜けようとしたらシンディーちゃんのアクセル全開、
【ダッシュ】で追い縋って後ろから叩っ斬る

さあ、どんどん来いよ
俺ぁこの程度じゃ満足できねぇぞ



●裏の守り手
 ホテルの正面に現れた敵を、他の猟兵達が迎え撃っている最中。
 エスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)とテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は、ホテルの裏手に現れたマシンビースト達の群と、たった二人で対峙していた。
「やはり、こちら側からも敵が攻めて来ていたか……」
「上等だぜ。……OK、蹂躙してやる」
 油断なく重火器を構えるテリブルの横で、エスタシュが不敵な笑みを浮かべて言った。数の差は圧倒的だが、しかし負ける気はしない。愛機に跨るや否や、エスタシュは青白い炎の軌跡を残し、敵の群へと突っ込んで行く。
「さぁ、こっちだ! かかって来な!」
 まずは敵を拠点から引き離さなければ、万が一の時に対応できない。それだけ危険も増す行為だが、それでもエスタシュは迷うことなく、敵を引きつけながら疾走する。
「#$●%◆&+*!!」
「☆&●$#+!!」
 奇怪な電子音を発しながら、マシンビースト達が一斉にエスタシュへと襲い掛かって来た。それを華麗に避けるエスタシュではあるが、しかし敵の数が多過ぎて反撃の機会が掴めない。もっとも、彼自身が攻撃しなくとも、その後ろには頼もしい狙撃手がいるわけで。
「……戦闘……敵……殲滅する」
 ステルスドローンの放った超音波による支援を受けて、テリブルは的確な狙撃で敵の頭を吹き飛ばして行く。ならば、今度は狙撃手から始末しようと、一部のマシンビースト達がテリブルの方へと殺到するが。
「……少数を叩くために、包囲して攻撃する、か……。確かに、戦術としては正しいが……」
 その手に握られた機械の刃が、瞬く間に赤熱して行く。獲物を襲うことしか考えられなくなったマシンビースト達をを、一匹、また一匹と、テリブルは次々に切り払って行く。
「個々の戦力差を把握する前に、迂闊な行動に出るべきではなかったな……」
 最後の一匹は、真正面から串刺しにして破壊した。重火器を用いるが故に遠距離戦闘しかできないと思われがちな彼女だが、実際は機械の身体故の怪力を生かした、接近戦もできるのだ。
「ちっ……! こっちも、そろそろ決めねぇと面倒だな」
 その一方で、支援を失い敵に囲まれてしまうエスタシュだったが、それもまた彼の計算の内だった。
「此処に示すは我が血潮、罪過を焙る地獄の炉、以て振るうは臓腑の火……」
「☆●$☆%#◆*!!」
 詠唱の隙を狙い、迫り来るマシンビースト達。冷たい機械の身体に圧し掛かられてしまうも、足を止められたところで彼の内なる炎までは消すことなどできない。
「――焼き払うぜ、灰も残さねぇよ。」
 襲い掛かって来た敵の群を纏めて蒼炎で吹き飛ばし、エスタシュは再び走り出す。残る敵は、もう僅か。数という武器を失ってしまえば、個々のマシンビーストなど恐れるに足らず。
「さあ、どんどん来いよ! 俺ぁこの程度じゃ満足できねぇぞ!」
 擦れ違い様に、次々とマシンビースト達の頭を斬り跳ばす。数分後、拠点の裏手に築かれたのは、無残なジャンクにされた機獣達の残骸の山だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『暴走戦車』

POW   :    オーバーキャノン
自身の【戦車砲のうち1本】を代償に、【ビルを消し飛ばす程の爆発力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって戦車砲のうち1本を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    全門発射
【何本もの戦車砲から砲弾の連射】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    セメント弾
【主砲】から【速乾性セメントを詰めた特殊砲弾】を放ち、【空中で炸裂した砲弾から降り注ぐセメント】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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●機動要塞、現る!
 マシンビースト達の群れを片付け、束の間の平穏が訪れた拠点のホテル。
 だが、平穏は数分と持たずに破られる。地鳴りを上げて、地平線の向こう側から姿を現したのは、多数の巨砲を備え付けた、巨大な戦車に他ならなかった。
「……生命反応、確認。人類、生存者多数ト、判断……。略奪ヲ、実行スル……」
 無機質な機械音で喋りながら、戦車は轟音と共に拠点へと迫って来た。自立型のコンピュータを搭載されているのか、それともオブリビオンと化したことで、何らかの自我に目覚めてしまったのか。
 どちらにせよ、あの戦車を倒さねば、拠点は砲撃で瞬く間に破壊されてしまうだろう。装甲、パワー、火力、その全てが人知を凌駕する恐るべき存在だ。荒野の中で何ら問題なく稼働していることから、耐久性や整備性、防塵性能に電子戦への防御措置まで、あらゆる面で一般的な兵器の常識を凌駕している可能性が高い。
 こんな化け物、まともな人間で相手にできるものではない。しかし、数多の戦いを潜り抜けて来た猟兵達であれば、きっと上手い手段を考えてくれるはず。
 人々の希望を未来へ紡ぐための拠点。その命運は、全て猟兵達の手に委ねられた。
テリブル・カトラリー
戦車砲、あんなモノでホテルを狙われたら被害が大き過ぎるな…

装甲車の上で機関銃で乱れ撃ちしつつ、装甲車を遠隔操縦。
戦闘知識から砲撃の当たり難いルートを見切り、
暴走戦車の側面から接近。

ある程度近付けれれば十分だ。
AI操作に切り替え、大砲で援護射撃とおびき寄せ。
私は装甲車から飛び(ジャンプ)、ブースターで自身を吹き飛ばし
暴走戦車に接近【オーバーコート】発動。

全身を機械兵器で纏い、飛翔・肉薄。
早業、自身に向けられた砲塔を片手の怪力でなぎ払い

簡単に破壊させるつもりはない。
敵が自傷覚悟で砲塔を爆発しようと、
構わず(継戦能力)もう片方の手で貫手(串刺し)で装甲を突き破る(鎧無視攻撃)を叩き込む。


アテナ・カナメ
【心情】な、なにあれ…!?あんなでっかい戦車が相手なの!?…でもここが正念場よね…あれさえ倒せば勝ちも同然!がんばるわ!(宛那「無茶はしないでくださいね、マスクさん。」)

【作戦】基本攻撃は【見切り】で対処するわ。私はまたファイアボールで戦車砲を壊していく戦法でいくわ!!【火炎耐性】でなんとか防ぎつつもしオーバーキャノンが来そうなら【第六感】で察知して警戒するように叫ぶわね!負傷者が出たら【救助活動】よ!(絡み・アドリブOK)


エメラ・アーヴェスピア
…確かにあれは拠点に残ったまま戦うのは拙いわね
仕方ない、打って出ましょう。問題はその方法なのだけど…

相手は一応戦車な訳だから…空爆が有効かしら?
『蒼穹翔るは我が箒』、魔導蒸気狙撃砲に【騎乗】、【操縦】して空から攻めるとしましょう
相手の構造上、上から攻めればそう簡単には攻撃されないでしょうし、高度を取って機動力を生かせば回避しやすいと思うわ
【空中戦】でミサイルを相手に叩き込みつつ【メカニック】の知識で相手を【情報収集】、弱点になりそうな部分に狙撃砲から徹甲弾を叩き込みましょう
私が前に出て囮のようになるのは珍しい事だけど…猟兵として、何とかしましょう

※アドリブ・絡み歓迎



●蹂躙する者
 地鳴りを響かせ、荒野の奥より進撃する巨大な戦車。UDCアースやヒーローズアースの軍隊で使われているものを軽く凌駕する巨体を前に、アテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)は、しばし唖然としたまま立ち尽くしてしまった。
「な、なにあれ……!? あんなでっかい戦車が相手なの!?」
 SF映画でしか見たことのないような超弩級サイズの戦車が、多数の砲塔を備え、凄まじい砂煙を上げながら突っ込んで来る。あんなもの、いったいどうやって倒せばいいのだ。見た目こそ戦車だが、全自動制御の無人走行が可能なあれは、もはやロボット怪獣と呼んだ方が相応しいのではなかろうか。
「戦車砲……。あんなモノでホテルを狙われたら、被害が大き過ぎるな……」
 それこそ、場合によっては一撃でホテルが倒壊させられ兼ねないと、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は敵の砲塔の巨大さから、瞬時に射程と威力を見抜いて言った。
「……確かに、あれは拠点に残ったまま戦うのは拙いわね」
 頷くエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)。敵の射程は、恐らく最大で10kmは下らない。さすがにそこまで離れれば命中精度に難が出るだろうが、それではこちらも攻撃できない。
「仕方ない、打って出ましょう。問題は、その方法なのだけど……」
 迂闊に仕掛けても狙い撃ちされるだけだと知っているだけに、エメラは安易な突撃を提案できなかった。だが、その間にも、どんどん敵は距離を詰めて来る。ここで決断のタイミングを誤れば、流れ弾がホテルに着弾する距離まで攻め込まれてしまう。
「私が装甲車で出よう。回避に専念しつつ近づけば、被弾の可能性も減らせるはずだ」
 まずは、自分が正面から仕掛けるとテリブルが名乗り。
「確かに、ここが正念場よね……。あれさえ倒せば勝ちも同然! がんばるわ!」
 後方からの支援攻撃は任せろとアテナが他の二人に告げたところで、彼女に身体を貸している、要・宛那が心の中で呟いた。
(「無茶はしないでくださいね、マスクさん」)
 悪人相手ならまだしも、戦車相手となれば、まともに正面からぶつかっても勝ち目はない。宛那が心配するのも尤もなのだが、そんな中で、エメラもまた自分の役割が見えて来たようだ。
「わかったわ。私は空爆で攻めるから、爆風に紛れて敵に接近してちょうだい」
 あまり経験は多くないが、今回は囮になって敵を引き付ける。そう言って、エメラが浮遊型の魔導蒸気砲を展開したところで、拠点を守るための最後の戦いが幕を開けた。

●爆走、怪獣戦車!
 荒野を暴走し、目に付く拠点を手当たり次第に襲う戦車の怪物。心持たぬ兵器でさえも略奪者に変える、オブリビオン・ストームの恐ろしさを体現したような相手だ。
「さて……まずは、どう出て来るかしら?」
 敵の砲撃が対空に特化していないことを幸いに、エメラは空中から距離を取ってのミサイル攻撃を開始した。
 着弾した地点を爆風が抉り、凄まじい砂煙が立ち昇る。だが、それらの爆発を物ともせず、暴走戦車は拠点を目指して突き進んで行く。
「思っていた以上に素早いわね。走破性に優れているからかしら?」
 時に爆風の中に突っ込みながらも、しかし直撃だけは華麗に避ける暴走戦車の姿を前に、エメラは上空から見下ろしつつも歯噛みした。
 その外観から鈍重な相手だと思っていたが、障害物の少ない荒野において、戦車のパワーはそのまま悪路を突破して走り回る機動力の源となる。装甲の厚さも相俟って、これでは直撃弾を急所に当てる以外に、止める方法が見当たらない。
「……やはり、装甲車の砲撃程度では貫けぬか」
 その一方で、テリブルもまた装甲車を遠隔操作しつつ牽制弾を放ってゆくが、それが暴走戦車に致命傷を与えることはない。対戦車戦も考慮されているのか、敵の装甲は凹みこそすれど、貫通を許す程にまで脆弱なものではないようだ。
「こうなったら、先に砲台から焼き払ってあげるわ! 炎の玉達よ! 敵を焼き討て!」
 どうにも攻めきれない状況に業を煮やしてか、アテナが敵の砲塔を狙い、多数の火炎弾をお見舞いした。50発は下らない数の炎弾を受け、さしもの戦車も瞬く間に業火に包まれてしまったが。
「や、やった……?」
「いえ、まだよ。気を抜かないで!」
 上空から様子を窺っていたエメラが、アテナに向かって叫んだ。しかし、その声が届くよりも早く、現れたのは砲塔を焦がされつつも、何ら行動に支障を来していない怪物戦車。
「……敵、確認。排除、開始……」
 燃える身体を物ともせず、戦車はアテナを狙って砲弾を発射する。弾頭の勢いからして、必殺の巨砲ではない。炎の弾なら、多少は受けても平気だと……そう、考えていたアテナだが。
「きゃぁっ! ちょっと、なによこれ!?」
 降り注いできたのは、速乾コンクリートを炸裂させる特殊砲弾。準備をしていなかったことも災いし、アテナは真上から諸に速乾コンクリートの雨を浴びてしまった。
「うぅ……。か、身体が固まって動けない……」
 力任せに脱出しようにも、完全に固まってしまったコンクリートを中から破るのは容易ではない。敵のオブリビオンは、こちらの戦い方に合わせ、それに応じた性質の技を使って来る。それを失念して攻撃しようとすれば、手痛い反撃を食らうだけだ。
「待ってなさい。今、助けに向かわせ……!?」
 見兼ねたエメラが自動砲台の一部を救援に向かわせるも、それを見越していたと言わんばかりに、戦車は弾幕を張って砲台を撃ち落とした。今のところ、砲台の消耗率はそこまで高くないものの、迂闊に地上へ降ろしたが最後、敵の攻撃の餌食になってしまう。
 このまま、何の有効打も与えることができず、敵の進軍を許してしまうのか。なんとも嫌な予感が脳裏を掠めたが……それでも、先程からの火炎や爆撃による攻撃は、テリブルが戦車へ近づくまでの時間を稼ぐのには十分だった。
「……ここまで来れば、こちらの間合いだ」
 敵の砲撃に合わせて装甲車から飛び出せば、テリブルの全身を瞬く間に機械兵器が覆って行く。その身長は、50mは下らない。敵が戦車の怪物なら、こちらは巨大ロボで応戦だ。
「敵、戦闘レベル上昇……。大砲弾、装填……」
「……させるか!」
 敵が最大火力での砲撃を仕掛けようとした瞬間、機械兵器の手刀が砲塔を叩き落す。アテナの炎によって焙られた砲塔は思いの他に脆くなっており、内部に装填された必殺の砲弾に誘爆する形で、凄まじい爆発と共に吹き飛んだ。
「……くっ! 機械兵器の損傷率、60%オーバーか……」
 もっとも、そんなことをすれば、いかに機械兵器を纏ったテリブルとて無事では済まない。爆発に巻き込まれ、機械兵器を中破させられてしまうが、敵は未だ健在だ。
「赤熱している敵の砲台を狙いなさい! そこなら、装甲が脆くなっているはずよ!」
 今までの戦いから得たデータを元に、エメラが叫ぶ。その声を耳にした瞬間、テリブルは最後の力を振り絞り、辛うじて動く右手を敵の砲塔に突っ込んだ。
「……ッ!?」
 再び巻き起こる大爆発。暴発した砲弾はテリブルの機械兵器諸共に、再び暴走戦車を吹き飛ばす。荒野の大地が激しく抉れ、周囲に巻き起こるのは凄まじい砂煙。
「……やった……か……?」
 粉々に吹き飛んだ機械兵器の残骸を押し退け、テリブルが顔を出した。見れば、戦車は未だ健在なものの、しかし主砲の二つを失って、その戦闘力を大幅に低下させていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎

【獣人同盟】で参加

ふむ、大きいのう。まるで鉄の城が動いて迫ってきているようじゃな。
あれを止めるのは骨が折れそうじゃ。

まずは足を止めるのがよいのじゃろうか?まあ、やってみるか。
【精霊の唄】を歌い、【大地】の【液状化】で『暴走戦車』を地中に引き込んで履帯を埋めてやるのじゃ。
地を掻けなければ進めまい。それに履帯の高さ以上の段差は乗り越える事ができぬじゃろう。
精霊よ、車体全てを埋めようとせずともよいぞ。履帯の下部をどろどろにしてやるのじゃ。

更に『セメント弾』に対しては、【風術】を込めた【誘導】する矢で迎撃してやるわい。
風術を暴走させた爆風でセメントを押し戻してやるのじゃ。


スピレイル・ナトゥア
【獣人同盟】で参加します

凄い大きさの戦車です……!
だけど、あれだけ大きいと私たちの攻撃も当てやすそうです
だけど、外してしまうとカッコわるいので、お姉様、あの戦車の動きを止めたりできませんか?
水の精霊の力であの戦車の足元を泥に変えてしまうというのはどうでしょうか?

あの分厚い装甲を貫くには、精霊の力を結集させた超高速連続攻撃が有効そうです
暴走させた炎と土と雷の精霊の力をレーザー光線っぽい感じで超高速連射して、あの戦車の装甲を絶対に貫いてみせます!
精霊さんの放つこの赤色と茶色と黄色の光が、アポカリプスヘルを照らす私からの希望の光です!
オブリビオンさんなんかにホテルのひとたちは絶対に傷つけさせません!



●起死回生
 砲塔の二つを失っているにも関わらず、進撃する速度を衰えさせない暴走戦車。禁断の技術の一部が用いられているのか、その装甲は既存の兵器の常識を打ち破る程に、凄まじい堅牢さを誇っている。
「ふむ、大きいのう。まるで鉄の城が動いて迫ってきているようじゃな。あれを止めるのは骨が折れそうじゃ」
 想像以上の巨体を誇る戦車を前に、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は油断なく攻めるタイミングを探っている。パワー、装甲、火力の全てが上の相手だ。まともに正面から突っ込めば、万に一つも勝ち目などない。
「凄い大きさの戦車です……! だけど、あれだけ大きいと私たちの攻撃も当てやすそうです」
 一方、巨体であれば攻撃を外すことはないだろうと、スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)は一気に攻めることを考えていた。が、しかし、そんな彼女に対して警告するようにん、エウトティアが苦言を呈した。
「油断するでないぞ。あれだけの走破性……見た目に反して、馬よりも速く動き回れるかもしれんからの」
 実際、戦車の機動力というのは、その外見に反してなかなか高い。怪獣映画のやられ役のイメージから鈍重な鉄の箱といった印象を抱く者も多いが、大型エンジンのもたらす強力なパワーは、悪路を走破しながらも高い機動性を維持することを可能としているのだ。
「わかりました。では、外してしまうとカッコわるいので……お姉様、あの戦車の動きを止めたりできませんか?」
「ふむ、よいじゃろう。して、どのようにして動きを止めるつもりじゃ?」
 スピレイルの提案に、エウトティアが尋ねる。まさか、腕力で戦車に対抗しようというわけでもあるまい。魔術を用いるにしても、並の魔法では戦車のパワーの前に屈し、そのまま蹂躙されてしまうのがオチだろう。
「……水の精霊の力で、あの戦車の足元を泥に変えてしまうというのはどうでしょうか?」
 ならば、力で真っ向勝負するのではなく、相手の足を奪うことに専念してはどうかと、スピレイルは言った。その考えには、何か思うところがあるようで、エウトティアも静かに頷き賛同した。
「足を止める……とな。まあ、やってみるか」
 幸いにして、自分にはそれを可能にするための術がある。様々な精霊の力を借りることで、複数の属性を併せた自然現象を巻き起こすという技が。
「精霊よ! 幻想のおもむくままに歌え!」
 力を借りるべき先は、大地の精霊と水の精霊。土と水の属性を合わせ、戦車の足元の大地を液状化させれば、相手は瞬く間に巨体を泥の海に沈めて行く。
「地を掻けなければ進めまい。それに、履帯の高さ以上の段差は乗り越える事ができぬじゃろう」
 いかに走破性の高い戦車といえど、沼地に嵌ってしまえば脱出するのも難しいはず。巨体故の重量は、いかに動力部の出力を上げ、スピードを強化したところで減らすことはできないのだから。
「よし、今じゃ。あの状態なら、外すこともあるまい」
 後は仕上げだ。このままハチの巣にしてしまえと言われ、スピレイルもまた頷いて。
「荒れ狂う力を野に放て!」
 炎、土、そして稲妻。それら全ての精霊の力を一つに束ね、スピレイルは目にも止まらぬスピードで連射した。
「精霊さんの放つ、この赤色と茶色と黄色の光が、アポカリプスヘルを照らす私からの希望の光です!」
 虹の如き極彩色の光線が、次々と暴走戦車に降り注いで行く。さすがに、これは装甲で全てを弾き返せなかったのか、明らかに貫通された箇所が目立って来たが、それでも未だ砲塔を旋回させて、最後まで抵抗を止めようとしない。
「とんでもないダメージコントロール能力じゃな。これは、動力部を射抜かねば止められぬか……」
 敵の底無しな耐久性に、改めて驚愕するエウトティア。スピレイルの攻撃は決して悪いものではなかったが、それ以上に、あの戦車のタフさが上回っていたのだ。
「……誤差修正、完了。脱出、開始……」
 そんな中、暴走戦車は何故か砲塔をスピレイル達ではなく自分の真横に向けると、そのまま地面を目掛けて強烈な一発を発射した。
「む……暴発か?」
 誰もいないところに弾を撃ったことで、エウトティアが訝し気な表情を浮かべた。しかし、次の瞬間、戦車の巨体が大きく斜めに傾いたことで、敵が何をしようとしているかを瞬時に察して声を荒げた。
「いかん! 反動を利用して、脱出するつもりじゃ!!」
「えぇっ!? そ、そんなのありですか!?」
 大地を撃った反動を生かし、履帯の左半分を斜めに浮き上がらせる。その上で、車体が傾いている間に再び砲弾を反対方向に発射し、その反動で今度は車体を大きく泥沼の外へと吹き飛ばさせる。
「う、嘘……ですよね?」
 車体を滑らせ、履帯の左半分を泥沼から離脱させたのを見て、スピレイルは唖然とした表情のまま固まってしまった。未だ車体の半分は泥の中だったが、履帯が片方だけでも外に出てしまえば、後は持ち前のパワーで強引に脱出されてしまう。
 あんな方法で泥沼を脱出するなど、いったい誰が考えられるだろうか。ただの機械と侮ってはならない。オブリビオン・ストームによって怪物にされた近未来戦車は、まるで玄人の戦車乗りの戦い方を再現するかの如く、奇抜な方法で罠を回避して来たのだ。
「敵、確認。砲撃、開始……」
「くっ……! させぬわ!!」
 頭上に速乾コンクリートを含んだ弾を撃ち出されたことで、エウトティアが慌てて迎撃に向かった。こんなところで、こちらの方がセメント漬けにされて固められてしまうなど、冗談でもあってはならない。
「このセメントは、そちらに返す。悪く思うでないぞ」
 風の矢で弾を迎撃し、その勢いに任せて速乾コンクリートを押し返すエウトティア。放たれたセメント弾は、しかしその中身を暴走戦車の上にブチ撒けて、瞬く間に硬化し動きを止めた。
「ふぅ……な、なんとか、動きは止まりましたけど……」
 額の汗を拭い、スピレイルは安堵の溜息を吐いた。もっとも、これで全てが終わったわけではないことは、彼女も十分に理解していた。
「ふむ……再び動き出すのも、時間の問題じゃろうな。それまでに、あの戦車を完全に破壊する策を考えねばならぬか……」
 敵はやがて、あの速乾コンクリートの拘束をも振り切って、再び進撃を開始するだろう。そうなる前に破壊しなければ、今度こそホテルが危ない。
 自分達ができるのは、ここまでだ。後は後続の仲間を信じようと二人は頷き、人々の待つ拠点へと退いて行った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

東・理恵
「戦車の相手は、やっぱり戦車でないと。」「少しでもダメージを与えて、相手の動きを鈍らせないといけませんね。」
戦闘中は、戦車に【騎乗】して戦います。
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【制圧射撃】で【鎧無視攻撃】の【精密射撃】を【範囲攻撃】にして、『暴走戦車』が何処に移動しても巻き込めるようにして【2回攻撃】をします。相手の攻撃に関しては【見切り】【オーラ防御】【地形の利用】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)戦車でも回避行動はできるのです。」「さあ、オブリビオンは『骸の海』へ帰りなさい。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。


メイスン・ドットハック
【SPD】
最後にとんでもない弩級戦車が来たのー
じゃけど、でかいだけで勝てると思ったら大間違いじゃけーのー

機動強襲用二足歩行戦車「KIYOMORI」に搭乗し、出陣
操縦はソフトウェアAIに任せ、自身は二足歩行戦車のホログラムアバターを複製【ハッキング・情報収集・残像】を作成し、砲弾連射の目くらましとする
迫る砲弾には電脳榴弾や【誘導弾】ミサイルで対抗する

敵要塞戦車の車体を飛び乗るように跳躍し、戦場の反対側まで駆け抜け、拠点や味方が攻撃範囲内にいないところまで来て、UC「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」を発動
巨大化した電脳兵器を持ってフルバースト【一斉射撃】

塵も残さんけーのー!

アドリブ絡みOK



●激突、戦車ガールズ!
 度重なる猟兵達との戦闘で、暴走戦車は明らかに戦闘力を低下させていた。
 主砲の内の二つを失い、更には速乾コンクリートによる拘束から、未だ完全に立ち直ってもいない。力任せに粉砕したものの、微細なコンクリート片は装甲の亀裂から侵入し、予期せぬ誤作動の元となる。
 だが、それでも進撃する速度を衰えさせないのは、さすがといったところだろうか。そして、あんな化け物を相手にする以上、こちらも並の火力では太刀打ちできないのは自明の理。
「最後にとんでもない弩級戦車が来たのー。じゃけど、でかいだけで勝てると思ったら大間違いじゃけーのー」
 そう言うメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)自身、巨大な二足歩行型の戦車に乗っている。そして、同じく東・理恵(神の戦車乗り・f24407)もまた、愛機である戦車に乗っていた。
「戦車の相手は、やっぱり戦車でないと。少しでもダメージを与えて、相手の動きを鈍らせないといけませんね」
 目には目を、歯には歯を、そして戦車には戦車をといったところか。相手の火力と比べれば、こちらの火力は心許ないかもしれないが、しかし火力だけが戦車戦の勝敗を決める全てではない。
「行きますよー! 機動力なら、こっちの方が上です!」
 同じ戦車でも、理恵の乗る戦車の方が小回りは効く。が、ここは何もない開けた荒野。地形を利用して敵の砲弾を回避する手段は、ほぼ無意味だと言っても差し支えないわけで。
「ん~、少し前に出過ぎな気がするけーのー」
「え? そんなことは……きゃぁっ!」
 メイスンの不安は正しく、障壁になりそうなものが何もない荒野では、どうしても砲撃に晒されてしまう。それでも、辛うじて直撃だけは避け、理恵は自らの乗る戦車の態勢を立て直した。
「戦車でも回避行動はできるのです!」
 お返しとばかりに、今度は自分の方から砲弾を一斉に発射する。敵の装甲に関係なくダメージを与える質量弾。それを広範囲に撒き散らせば、確かに足は止められそうだが。
「……損傷、警備。任務追行ニ、影響ナシ……」
 弾を食らっても平然とした様子で、暴走戦車は走り回っていた。確かに、面制圧は敵の動きを止めるのに効果的な手段だが、その代わりに火力がどうしても犠牲になる。加えて、必要なのは射撃制度の高さではなく、一面を飽和する程の圧倒的弾数。それ故に、広範囲攻撃と精密射撃の併用は、本来の目的と懸け離れたどっちつかずになってしまうのだ。
 火力を重視するのであれば、一撃必殺で敵の弱点を狙い撃てば良い。多くの敵を相手にし、一度に足を止めるのであれば、必要なのは火力ではなく装弾数。
 全ての条件を同時に満たせる、スーパー戦車など存在しない。それ故に、戦車戦は乗り手の技量が最も顕著に現れる。機体のスペックだけでなく、その機体を使ってできることを全て把握し、臨機応変に使いこなせた方に、勝利の女神は微笑むのである。
「図体でかいだけじゃなく、戦いの基本は抑えているようじゃのー」
 二足歩行戦車を軽々と跳躍させ、メイスンが理恵と敵の間に割って入った。単純な量産型のAIではない、戦車乗りの魂とも呼べる何かを、この暴走戦車は持っていると感じたからだ。
 あらゆる電子機器を自在に使いこなす彼女にとって、それは別におかしなことでも何でもなかった。やろうと思えば、人の考えた戦術くらい、全てAIで再現できる。後は、それをどこまで使いこなせるかということだが……それさえも学習型コンピュータに記憶させれば、それはもはや、生前にこの戦車を駆っていた、腕利きの戦車乗りの魂を再現したも同じこと。
 乗員無しで、しかしベテランの乗員が乗っているのと同じ戦法を繰り出してくる戦車。これほど恐ろしい敵は、そういない。ならば、真っ向から勝負するのではなく、こちらも彼らの知らない技術を使い、攪乱しながら戦うべきだ。
「この世界では最強レベルの戦車乗りでも、所詮は地上戦の経験だけじゃけーのー。宇宙を駆ける者の戦い方、とくと見せてやろうかのー」
 再び二足歩行戦車で大地を蹴ると共に、空中から電脳榴弾を散布する。敵を攻撃するためではない。チャフの如く撒き散らし、その効果で自機のホログラフを作成して敵の目を欺くためだ。
「敵、複数体ヲ確認。一斉排除、開始!」
 狙い通り、敵の戦車はメイスンの生み出したホログラフ映像を、一斉砲撃で排除しようと動き出した。その爆風に紛れ、メイスンは戦場から少し離れた場所まで離脱する。そして、仲間もホテルも巻き込まないよう、十分に距離を取ったことを確認し。
「巨大二足歩行戦車がさらに巨大に、つまり兵器も巨大化じゃのー。ということで全部吹き飛ばせ!」
 二足歩行戦車を巨大化させ、情け容赦のない一斉砲撃!
 先程、面制圧では火力が落ちると言ったが、唯一、低下させない方法も存在する。それこそが、このメイスンが見せた戦い方。最初から圧倒的な火力を以て、相対する相手を完膚なきまでに殲滅するという方法だ。
 普通の状態の戦車では、まず不可能な芸当だった。しかし、ユーベルコードで巨大化した戦車であれば、それもできる。戦車でありながら戦艦に匹敵する火力を持った機体を使えば、点制圧に匹敵する火力で広範囲を攻撃することも不可能ではない。
「よし、今ね! ターゲットロックオン!」
 爆炎に包まれ、もはや進退窮まった暴走戦車の姿を前に、理恵もまた静かに狙いを定めた。
 この状況では、自分が普通に砲撃した程度では支援攻撃にもならないだろう。ならば、やるべきことは、ただ一つ。今までの戦闘から得たデータを元に戦車の動きと弱点部位を探り出し、そこを一点突破で貫くことだ。
「さあ、オブリビオンは『骸の海』へ帰りなさい」
 天を貫くような轟音一発。狙い済ましたように放たれた砲弾が、暴走戦車の動力部を貫き、その動きを停止させる。そして次の瞬間、燃料タンクに炎が引火した暴走戦車は、そのまま盛大な爆発と共に、荒野を転がるジャンクと化した。
「ふぅ……最後は、ちゃんと見極めを間違えなかったわよ」
 額の汗を拭いつつ、理恵が言った。暴走戦車VS戦車少女の戦いは、少女達の方に軍配が上がったようだ。
「どうやら、片付いたようじゃけーのー。しっかし、こんな化け物が、普通に荒野をうろついているのを考えると、穏やかではおれんのー」
 次にオブリビオンが拠点を襲いに来るのは、果たして明日か、それとも明後日か。この戦いが、ほんの序章に過ぎないことに、メイスンは大きく溜息を一つ。
 明日をも知れぬ日々を生きる者達の世界、アポカリプスヘル。今は絶望の未来しか見えずとも、必ず明日は訪れる。こうして拠点を守って行くことが、いずれは人類の未来を守り抜くことに繋がると信じ、最後まで諦めずに戦い抜くこと。荒廃した世界の人々に希望を与えるには、それが何よりも大切なことなのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年12月31日


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#アポカリプスヘル


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
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 大失敗[評価なし]

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト