孤立した村でのサスペンス編
●殺人が!?
「き、きゃー!!」
夕暮れに染まる村に悲鳴が響き渡る。
村の人々が集まるとそこには死体! の様に見えるカカシが小さな池に浮かんでいただけであった。
「……」
そんな騒ぎの中でそっと消えゆく影が一つ。
(あんなの練習にならへん……)
憧れた舞台、そうスタァが演じる舞台でもサスペンス物に憧れて実際に悲劇を起こしてしまい、村を血で染め上げてしまった事があった夢見る少女。
しかし、その結果――その熱い想いを拗らせてしまい影朧になってまで、少女はリアリティを求めて練習をする。
そう、殺人鬼となり誰かを殺す為に。
(そうや、こっちから舞台を作ってうちが……主役になればいいんや)
紙を捨てる日を選んで新聞紙を漁り、切り取った文字を紙に張り付けて招待状を作ると少女は大量の招待状をばら撒いた。
親愛なる皆様へ、と書かれた封筒が――
「怪しい過ぎる、というか……内容がモロに殺人予告の手紙だ。皆の者よ、単独行動は控えて家に篭っておれ決して行くな。これは猟兵に任せばよかろう」
謎の招待状を受け取った村の人々を村長が集めると、中身を読み終えるとそう言った。
●猟兵は探偵?
「さて、皆の者は殺人事件やミステリーはお好きだろうか? いや、愚問であったか。サクラミラージュにて、とある村で影朧による連続殺人が起こる事が予知された。危険だから行かなくても良いが、モノ好きにはたまらないのであろう?」
喉でクククッと笑いながらヒッツェシュライア・テスタメント(死を恐れぬ魔術師・f16146)は、集まった猟兵達を止める様子も見せずに言った。
「どうやら、村に影朧が招待状をご丁寧に送ったそうだ……そう、連続殺人を起こす予告状としてな? 場所も丁寧に指定済みとなれば――後は、好きな様にすれば良い。奇抜、探偵、一級フラグ建築士……だが、向こうは本気で殺しに来るから注意するが良い」
口元を吊り上げて楽しそうに話すヒッツェシュライアは、猟兵達に影朧からの招待状を差し出しながら釘を刺す。
「言ってくれればオレも役者を演じよう。さぁ、影朧の作った連続殺人事件という舞台で楽しもうではないか!」
龍真 神
オープニングに目を通して頂きありがとうございます。
龍真 神(タツマ シン)と申します。
よろしくお願いします。
全編なんとか事件簿みたいな、そんなノリのシナリオとなっております!
ややネタテイストな内容にしても大丈夫。
※ヒッツェシュライアは日常パートのみお手伝い可能です。
最低限の文字数でも、ステータスシートを見ながら書かせていただきますので、『まだよく分からないけど、シナリオ参加したい!』という方でも遠慮せずにご自身の文で書いて送って下さい。
それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『旅館で枕投げ』
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POW : 大胆に大振りで投げる
SPD : 素早く連続で投げる
WIZ : 狡猾に立ち回って投げる
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木常野・都月
旅館では枕を投げる…?
そういう伝統があるのか。
いや、折角のふかふか布団なんだ。
ゆっくり寝た方が…枕を抱えて脇で寝たい…
でも仮に投げられたら、1回くらいは…
怪我のない程度に…
風の精霊様にこっそりお願いして、空気抵抗を減らした枕を…
投げてきたヒトにお返ししたい。
ヒトは時に野生の狐より理性が無くなるからな…
布団の中に避難しながら、今回の件について考える。
殺人予告?
なんで予告をするんだ?
こんな事言うと怒られるけれど、殺したいならさっさと咬み殺すのが自然なのに。
ここで、枕を投げ合ってる理性皆無の猟兵先輩達みたいに…
…ん?
理性があるのに殺したい…のか?
…ヒトは難しいな。
頭使うのはやっぱり苦手だ。
●寝たい!
事件が起こるまで、旅館で待機する事になった猟兵たちは修学旅行している学生の様に元気であった。
しかし、その部屋の隅で大きな黒い尻尾をゆらりと揺らしながら木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は、両腕で枕を抱き締めながら眠たそうに目を擦りながらその枕を投げ合う光景を眺めていた。
(旅館では枕を投げる……? そういう伝統があるのか)
ふぁぁ、と柔らかい枕を抱き締めたまま座っている布団もこれまたふかふかであった。
うつらうつら、瞼は重たくなり夢の中へ旅立とうとする都月の顔面に、これもまた柔らかい枕が剛速球で投げられたのがクリーンヒット。
「ぶっ!?」
突然の出来事に耳と尻尾がピーンと立ち上がり、ずるりと落ちた枕ではなく投げた当人に視線を向けると赤くなった鼻を尻尾の先で撫でる。
「お返しっ」
精霊の姿のままの“エレメンタルロッド”が都月のポケットからだ顔を出すと、枕を片手で投げる用意をしながら精霊にこっそりと指示を出す。
都月が投げた枕は空気抵抗を減らし、投げたであろう当人の顔にぼふっと当たるとやや強すぎたのであろうそのまま後ろに倒れると気絶してしまったのだ。
それを見て満足した彼は、そそくさと柔らかい布団の中へ入り母親の中で寝る胎児の様なポーズになると、ふと疑問が浮かんだ。
(殺人予告? なんで予告をするんだ?)
大量殺人が起こる予知をグリモア猟兵から受け、変哲もない招待状は“人を殺したいから送ったモノ”と聞いて首を傾げた。
(こんな事言うと怒られるけれど、殺したいならさっさと咬み殺すのが自然なのに。ここで、枕を投げ合ってる理性皆無の猟兵先輩達みたいに……)
未だにわーわーと声を響かせながらまくら投げをする猟兵たちの声を聞きながら都月は、呆れた様子で嘆息した。
「……ん? 理性があるのに殺したい……のか? ……ヒトは難しいな。頭使うのはやっぱり苦手だ」
これ以上、考えても分からないのなら眠気に身体を委ねるしかない。
柔らかい布団に包まれ、柔らかい枕をぎゅっと抱きしめると都月は目を閉じて眠った。
大成功
🔵🔵🔵
リディア・ディセル
なんで俺は、こんなとこに……
そうだ。殺人予告の村に行くなんて、ミステリー小説の登場人物になる、みたいで楽しそうだと思ったら、身体が勝手に……
とりあえず、えーっと……?最初は呑気に過してれば、いいと。それで枕投げ
……楽しそう、だけど、浮かれたら女の子しちゃいそうだし
ここは『おかしの国の仲間たち』に任せる。多分、枕を蒸気で飛ばしたりできる、装備を持ってくるはず……
俺は浮かれないように、殺人予告をする意図、とかの予測をして……大丈夫、枕が当たったりしない限り、落ち着いて考えられるはず
……………そうよ!折角の枕投げなのに考え事だけしてるなんてつまらないわ!
ふふっ、めいいっぱい楽しみましょ!
●桜の世界へ、迷いこんだアリス
(なんで俺は、こんなとこに……)
金色のウェイブ掛った髪がさらり、と頬を撫でると赤みの強い紫の瞳を開きながらリディア・ディセル(逆しまアリス・f21770)は、夢か現なのかそんな境に居る様なぼんやりと記憶に白いモヤで隠されたかの様な……そんな状態であった。
(そうだ。大量殺人予告があった村に行くなんて、ミステリー小説の登場人物になる、みたいで楽しそうだと思ったら、身体が勝手に……)
少し覚めてきた瞳を震わせながらリディアは、白いモヤが晴れて行く脳内からやっと今の場所にいる“理由”を思いだした。
とりあえず、現状を把握しようと周囲を見回すが旅館の広めの部屋に布団が敷き詰められ、その上で“同じ”猟兵である人たちが枕を投げてたり隅で既に寝息を立てている者もいる。
(……楽しそう、だけど、浮かれたら女の子しちゃいそうだし――)
作られた身体“ミレナリィドール”は若き女性であるが、なんの間違い……否、運命なのだろうか魂自体は男であるが故に身体の意思と魂の意思の間で静かに葛藤していた。
「どこから来るのか、知らないけど……力、貸して」
そうリディアが呟くと、自身の意思に従いまくら投げに適した“蒸気機関で動く装備を纏った動物達”が召喚される。
ルールは知らずとも、他の猟兵がしている行動を見て“力加減をして”枕を投げて、“当てられたら当て返す”そんな一つの遊びだと理解出来た。
動物たちに指示を出すと、リディアはグリモア猟兵から貰った予告状紛いの招待状をポケットから取り出すと、じっと見詰める。
(どうして、こんな大量殺人をする為に招待状を出したのだろう? あぁ、でも案内した男の猟兵は言ってた……相手は人ならざるモノだから、想い残した何かか? ただ殺したいとい欲求を満たす為の――)
まぁ、ボーッとしていると飛び交う白く大きな物体“マクラ”と呼ばれる投擲物は、上手く制御出来ずにリディアの顔面にヒットする。
「……っ! ぶっ!?」
当たる面積の少ない鼻先が少し痛い、と思いながらリディアは枕を顔から剥ぎ取った。
(……………そうよ! 折角の枕投げなのに考え事だけしてるなんてつまらないわ!)
ふと、眼前の枕を見詰めると両手でぎゅっと握りしめ、楽しむ笑い声、何て楽しそうな夜の遊びなのだろうか?
考える事なんて、明日でも出来るのだからと思いながら枕を手にして立ち上がったリディアは、可愛いネグリジェの裾を揺らしながら枕を放り投げた。
「ふふっ、めいいっぱい楽しみましょ!」
身体が少女の人形を模していようが、魂が男性であろうが、この場に居ればただの子供として楽しむだけであった。
大成功
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水心子・静柄(サポート)
本差の姉に劣等感を持っていてい、表面上は邪険にしているが姉妹仲は良い方、所謂ツンデレ。考え方は知的、でも面倒になってくると脳筋的な解決法に傾く。感が鋭いが如何にも知的に導いたように振舞う。知的にユーベルコードを使いこなす。脳筋ぽいけど実は知的。武器は鞘に入ったままの脇差(本体)。高圧的、威圧的な話し方だが、本人は至って普通に話しているつもり。
ソウ・ワンクレン(サポート)
『コレガ私ノ耐水装備ダ。ナンノ問題モアリマセンネ?』
ウォーマシンのUDCメカニック×ブラスターガンナー、16歳の女です。
普段の口調は「寡黙な機械兵士(私、アナタ、デス、マス、デスネ、デショウカ?)」、時々「一般的な口調に(ワタシ、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●騒がしい夜
ふぅ、と扇で口元を隠したまま水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は、呆れた視線をまくら投げして遊んだり、それを拒んで布団の中で眠る仲間を一瞥した。
「コレハ、何ノ意味ガルノデショウカ?」
二足歩行のロボットで頭から二本のアームがツインテールの様に装着しているソウ・ワンクレン(直し屋・f01755)は、投げられた枕をアームで掴むと力加減に注意しながら投げ返した。
「知らないわ。旅館といえばまくら投げ、と誰かが言ってただけだからしているのよ」
「枕ヲ投ゲテ、楽シイノデショウカ?」
静柄が顔を横に向けながら答えると、ソウは機械的な声で目の部分にあたるライトを点滅させながら小さく首を傾げた。
不可解、これからこの村で大量殺人が行われるというのに呑気な雰囲気に少し不服そうに息を吐く、不満を言っても事は進まない。
そう、招待状の時刻と場所で行われる村の館で行われる“舞台”という名の――殺人。
「考えていても意味がないわね。他者を殺す快楽、趣味なんてモノは持ち合せていないわ」
静柄がゆっくりと立ち上がると、月日が経ったタタミの懐かしい香りと共に飛んできた枕を掴むと投げ返した。
「ソウ、デスネ。壊ス事ガ得意デアッテモ、直スノガ役目デアルノガ……ワタシ。壊スノガ楽シイカラト言ッテ、無差別ニ壊シハシマセン」
本来ならば解体するウォーマシンであるソウだが、過去の記憶もなく修理に邁進する日々を送っている。
確かに、仕事であれば解体の話もあるだろうがこれはこれ、それはそれ、と思う所がある。
「もう、ここは息苦しくて熱いわ。縁側にでも出て少しクールダウンするわ」
枕を投げ合う戦いの熱で暖房要らずの部屋で動いた静柄は、余計に暑く感じたのであろう襖を音も立てずに開いて廊下に出ようとすると後ろからソウも付いて来た。
「あら、機械なのに暑いから出るの?」
「イエ、騒ガシクテ……静カナ場所デ修理ヲシタイノデス」
静柄がそれに気が付くと視線を向けると、ソウは両手に抱えたスクラップに視線を向けながら答えた。
「ねぇ、そういうの楽しいの?」
「イエ、使命? ミタイナ、モノデス」
虫の音も無く、澄んだ空にキラキラと星たちが夜空で瞬いているのを見上げながら静柄は言うと、ソウは黙々とスクラップを修理しながら答える。
カチャカチャ、と慣れた手つきでスクラップを修理している様子を静柄は見るが、回路やら基板を見てもさっぱり分からないので視線を庭を向けて見回す。
(とても、手入れされていて村のボロボロな旅館とはいえ、経営者はしっかりとした人そうね。それに――)
静柄は空を見上げ、空に瞬く星たちを見て目を細めた。
(こんな場所じゃないと、こんなに綺麗な星空は見れないわね)
まくら投げで騒ぐ声は五月蠅い、というよりもあるからこそ良いと静柄は感じる。
「見エルデショウカ?」
ソウは望遠鏡だったスクラップを修理し終えると、筒の先を空に向けると覗きこんだ。
「ソウは元から目は良いわよね? 私が試しに見るわ」
その様子を見ていた静柄は、肩を竦めながら手を差し出すとソウは修理した望遠鏡を手渡した。
望遠鏡を覗くと、ただの光であった星はうっすらと形が分かる程でサクラミラージュでの星の名前なんて分からないが、どれも平等に美しく瞬いている。
ソウでさえも、それは美しいと感じる程だ。
余計に、この村で起きるであろう殺人事件を解決せねば――と決意をした。
成功
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斉賀・悠
折角だし、旅館の浴衣を着て枕投げに参加しちゃおうかな…!
動くと見えちゃいそうだし…一応短パンだけは履いとこ…
【SPD】
「うわっ!」
誰だか分かんないけど当てたなー!
「お返しだー!」
【ダッシュ・ジャンプ・スライディング】を駆使して、飛び交う枕を避けながら、枕を当てるよ!
「ふっふーん!現役小学生なめないでよね!へぶっ」
折角決めたのにー!言った直後に枕当てるなー!
「………流石に疲れちゃった…」
流石に無限に体力があるわけじゃないから、疲れたら【逃げ足・目立たない・気合・覚悟】で枕飛び交う部屋から脱出して、お茶でも飲もう…
ついでだから、何かしらの【情報収集】でもしようかな?
●好奇心が生んだフラグ
「折角だし、旅館の浴衣を着て枕投げに参加しちゃおうかな……!」
楽しそうにまくら投げをいている光景を見ていた斉賀・悠(魔法少年 エクレール・f17889)は、旅館が用意してくれていた浴衣に身を包んだ姿で立ちあがった。
慣れぬ服装故に、動けば帯が緩み、暴れれば浴衣は着崩れてしまい露出してしまうのは目の前で投げ合っている猟兵たちを見て学習済み。
(短パン穿いたし……大丈夫だよね?)
羽毛なのか年中咲き乱れている桜の花びらが入っているのか、枕はふかっととても柔らかくて多少強く投げても怪我はしないだろう。
「うわっ!」
ぽふっ、と幼く小さな顔面に柔らかい枕が命中すると同時に悠は驚きの声を上げ、ぎゅっとマクラを両手で握り締める。
「お返しだー!」
口元が自然と緩み、笑い声を響く旅館の大人数用の部屋で悠は、年相応の笑みを浮かべながら大きくて柔らかい枕を投げ返した。
だが、相手も同じ猟兵だからこそであろう、やや本気が入ったお返しは技能を駆使した投げ方であった。
「ふっふーん! 現役小学生なめないでよね! へぶっ!!!」
悠が小さな身体をひょいっと、宙に飛び上がって避けたり、小さな身体を活かして布団が敷かれた上を滑る様にスライディングし、他の猟兵たちの股下や脇をすり抜ける。
そんな悠の行動を先読みしていた仲間もいたようで、楽しそうにスライディングで避けた瞬間、視界を覆う様に顔に枕を押しつけられたのだ。
「折角決めたのにー! 言った直後に枕当てるなー!」
地団駄しながら悔しそうに言うが、楽しければ良い。
「……流石に疲れちゃった……」
そう呟くと悠は、そっと部屋から抜け出すとゆったりとくつろげそうなロービへと避難して、近くを通った旅館の従業員や同じ旅館に泊まっている人たちを見掛けると声を掛けて情報収集をし始めた。
大成功
🔵🔵🔵
ベアータ・ベルトット(サポート)
ベアータ・ベルトットよ
早速だけど、手短に自己紹介するわね
改造手術を受けて、手足とか体のあちこちを機械化してるわ
腕に仕込んだ機銃と機爪、機脚の加速機能、血霧の噴射に、眼帯の下のとっておきの一撃…それらを駆使して、戦場を駆けずり回って戦うのが性に合ってるわね
…厄介なのは。力の核となる「餓獣機関」の動力が、生物の新鮮な血肉だって事
生きる為、戦う為には
機関が呼び起こす喰欲に従って、敵を生きたまま…口で食べるか、手足の分解吸収機能を使うかして捕食しなくちゃならないの。正しく、獣の如くね
生来血の気の多い性質でね。たいてい何かしらにイライラしてるんだけど…ま、仕事はなるべく冷静にこなすよう努めるわ
よろしくね
ルーヴェニア・サンテチエンヌ(サポート)
(※アドリブやアレンジ、協力大歓迎!)
ダークセイヴァー出身の人狼ですけれど、普段はUDCアースに滞在しておりますの。
どんな歌でも心惹かれ、聞いた歌は歌いたくなりますわ。
エレキギターからは軽やかに澄んだ音からぐちゃぐちゃに歪んだ音まで。思いのままに、奏でてみせますの。
~さま呼び、ですの、ですわ口調ですけれど、歌う時は自由なのですわ。
実は戦いは得意でなく……少し離れてエレキギターで衝撃波攻撃、オーラ防御したり(狼耳は伏せる)、歌や演奏で魔法を掛けるような戦い方ですの。
回復系は、歌を媒介として神の御技(みわざ)を分けてもらう(唐突なクレリック要素)のですわ。
新たな設定・戦い方の提案、歓迎しますわ!
●明日に向けて
「なんなの? この騒ぎは」
眼帯していない左目でギロリとまくら投げする仲間を睨むのはベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)だ。
大量殺人事件の招待状が来たので、そんな事をするヤツをただぶっ飛ばしに来ただけなのに……と思いながら嘆息する。
「(さっさと明日に備えて寝てしまいたいのに……五月蠅い)」
元々血の気の多い性格故に内心はイライラしているが、ベアータはこれも仕事の為だと思って部屋の隅で明日に備えて寝る構えではあった。
「う、う~ん……むにゃ」
ふと、隣に視線を向けるとまるでおまんじゅうの様に丸くなっている布団の中から、寝息と寝言が漏れていた。
「(危うく踏みつぶす所だったわ。布団に丸まっていたら分からないわ)」
やれやれと言わんばかりに息を吐くと、ベアータは布団を身体に巻いて壁に背を預けると静かに瞼を下ろす。
騒がしい部屋の中で澄んだ音色が奏でられ、優しく夢に誘う為に紡がれるのは少女の声色と聞いた事もない歌――
チラッ、と歌声と音がする方へ一瞬だけ視線を向けた先には、灰色の毛並みを持つ人狼ルーヴェニア・サンテチエンヌ(人と狼の狭間が産むのは・f13108)の姿であった。
愛用のエレキギター“『59』Mélodie de Rosy(バラ色のメロディ)”を弾き、“un Cahier de Musique(アァカンイェデミュズィーキ)”の五線譜に書き込まれた音を奏でる為の記号を見ながら曲は進む。
「(五月蠅いよりは、マシね)」
再び目を閉じると、ベアータは自然とルーヴェニアの方に頭を傾ける。
「今だけ、わたくしがあなたの心の友に……『これは心の友の歌』」
キーピックで弦を軽く弾き、左手で弦を押さえて五線譜に書かれた曲に合わせてルーヴェニアは優しくて、温かな夢を見られる様に奏でながら歌う。
ベアータの隣で丸まっていた子も布団の隙間から耳を出して、曲を聴きながら更に夢の中へと入って行く。
「~~♪」
弾く音色は海のさざ波に似て、森の木々のせせらぎにも近い、胸の中で押さえていたイライラは落ち着いてしまう程の不思議な曲だ。
「桜~冷たくとも、その柔らかさは~まるで、母の手の様な懐かしさを……」
まくら投げで五月蠅いハズの部屋、しかしルーヴェニアが演奏しながら歌うだけで、彼女の周囲はまるでそんな声も届かない位に静かで――彼女の声しか聞こえない。
「(心地、良い……)」
スッ、とベアータの意識は夢の中に入りながらも思う、彼女は何時まで歌うのだろうか? と――
疑問は直ぐに泡の様にはじけて消えてしまい、温かな夢の中へと意識は沈んで行った。
成功
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第2章 冒険
『血塗られた村の謎』
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POW : 村を歩き回ってしらみつぶしに調査する
SPD : 村人や容疑者に聞き込みをする
WIZ : 理論や推測をたてて推理する
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●フラグ乱立?
朝を無事に迎え、猟兵たちはこの村で大量殺人が行われるので探偵になりきって、村の人々から情報収集を開始した。
早朝だと老人や学校へ向かう子供たち、昼間だと主婦たちが集まり井戸端会議でもしているであろう。
だが、ここから注意だ。
猟兵たちは“目立たなければ”ならない。
そして、相手は本気で殺しに来るので、猟兵とバレないように死ななければならない。
簡単だ、真面目に行動するモノよりも、興味本位で招待に答える様な人物を演じて目立った者は狙ってくれる。
そして、おのずと犯人は分かるであろう。
いや、皆が被害者なのだから犯人の顔は分かるのではないか?
さぁ、さぁ、影朧の作った舞台の上で演じてあげよう――
それがアナタの“役”だ。
木常野・都月
ついに殺しにくるのか。
せめて殺し方が分かれば対策が立てられるんだけど…
考えても仕方ないか。
ここは狐の十八番で勝負だ。
UC【俺分身】を使用、俺の代わりに分身に殺されて貰おう。
猟兵だ分身だとバレるとまずいからな、簡単に消えないように注意するんだぞ?
俺は…どこか見つかりにくい所に隠れて…
風の精霊様に頼んで、犯人の[情報収集]をしたい。
あとは、野生の中で培った狐の聴力があれば、声は多分拾えるはず。
万が一…万が一はあったら嫌だけど、俺も見つかって殺されそうになったら[激痛耐性、呪詛耐性]あたりで耐えるけど…
そこは分身の演技力次第だな。
頑張って…
…いや何でそんな顔してるんだ。
これは仕事。
……仕方ないだろ?
リディア・ディセル
<SPD:村人や容疑者に聞き込みを行う>
枕投げ……やっちゃったなぁ
気持ち切り替えて、情報を集めつつ、目立つ方法、考えないと
あ……浮かれた女の子のフリ、しながら村人たち、に聞き込みとか目立つかも
あくまでフリ、だから、枕投げの時みたいには、ならないためにも気を抜いたりは、せずに
「ごきげんよう!お時間ある、かしら?」
「私ね。例の予告状を送った犯人、探し当てて、みたいのっ。だから、知ってることあったら、なんでもいいから、教えてくださいな!」
こんな感じで、適当な人に声を、かければいっか
……大丈夫。これは目立つのが、目的。本当に犯人を探し当てたい、なんて、思ってない。……思ってないはず
●第一被害者
「(ついに翌日になった……そして、この村で大量殺人が起きるのか)」
襖が開けられる音と共に日光が静かな部屋に差すと、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は眩しそうに目を細めながら両手を頭上に上げて軽く背伸びをした。
疲れて眠った者、元から参加せずに傍観しつつ眠った者、既に姿が見えない者もいた。
「(う~ん、あれはやり過ぎたか……)」
昨晩の事を思い出しながらゆらり、と尻尾を揺らしながら都月は申し訳なさそうに思いながらも準備を始める。
来る時にもグリモアベースで写真は見せてもらったが、何処にでもありそうなごく平凡な村。
違うとすれば、年中桜が咲き乱れて四季の感覚がマヒしそうな位に宙を舞うのは桃色の花びらであった。
「よ、っと……」
旅館の出入り口から出ては目立つだろうと思い都月は、庭を囲んでいる竹製の塀の隅にあるドアから出て竹藪の中へ足を踏み入れた。
本来の役割は目立って村人が犠牲になるのを防ぐのと、本来の目的であるこの事件を起こそうとしている影朧を見付ける為だ。
「この辺で良いか、でてこい――俺」
太陽が完全に顔を出し、竹の葉の間から光が差してゆらゆら揺れる竹藪の中で呟くと都月の前にもう一人の“都月”が現れる。
「猟兵だ分身だとバレるとまずいからな、簡単に消えないように注意するんだぞ?」
本物の都月が言うと、分身の都月はこくりと頷くと森で住んでた故に慣れた足取りで民家がある方へと駈け出した。
ピン、と立てた大きな耳を向けると、聞いたことのある声と姿の猟兵が視界に入った。
「枕投げ……やっちゃったなぁ」
ふんわりと柔らかそうなウェーブ髪を朝日に照らしながらリディア・ディセル(逆しまアリス・f21770)は、昨晩の自身の言行動を思いだしながら呟いた。
「(さて、ここからが本番)」
質素な村の早朝とはいえ、既に畑仕事をしている老人たちや会社や学校へ向かおうとしている若者が視界に入る。
リディアは中身、魂の人格は“男”ではあるが見た目は少女の姿をしているミレナリィドールだ、つまり女学生に声を掛けても怪しまれないという事は彼女の強みであろう。
「ごきげんよう! お時間ある、かしら?」
忙しそうな人ではなく、ゆるゆると歩みを進めている人に近寄るとリディアは、女学生に笑みを向けながら言った。
「え、ええ……確か、旅行客のお方でしたわね」
「はい、私ね。例の予告状を送った犯人、探し当てて、みたいのっ。だから、知ってることあったら、なんでもいいから、教えてくださいな!」
物珍しそうに女学生はジッとリディアに視線を向けながら答えると、彼女は胸元で両手をぐっと握り締めると一気に距離を詰めながら言った。
きらきら、と大きく宝石の様な瞳と高価な人形の様なその容姿が目と鼻の先にあるからだろう、女学生は目を見開くと頬を紅潮させた。
ふわり、と風が吹き髪が頬を撫でられると同時に――
「あ、あのっ!! 怖いから、村の皆は夕方になる前には村から避難するのですが!! お客様も早く逃げて下さい!!」
「はい……でも、やはり興味の方が勝っているので
……!?」
リディアは女学生の話に返事をしようとした瞬間、ぎゅっと抱きしめられると同時に女学生の顔が近付いて来る。
「(掛った……でも、行動はまだ)」
竹藪の中から風の精霊に力を借りて様子を見ている都月は、獲物を狙う狐の様に目を細めると精霊がフッと息を吹く。
民家をうろついていた分身の都月の耳に言葉が届くと、ぴくりと大きな耳を左右に動かして日向ぼっこする猫たちの輪に入って丸くなった。
リディアの腹部に冷たい感覚を感じたかと思えば、熱を帯びると同時にじわりと“痛み”は魂の感覚に届いた。
「……っ!! (か、顔を……)」
しかし、ぎゅっと抱きしめられているリディアは、女学生の顔を見ようと視線を向けるが胸に埋もれていて確認が出来なかった。
痛みを堪えながら目を閉じ、身体から力を抜いて“殺された客人”を装う。
「……げほっ……がっ……」
口から血を吐き、腹部を押さえながら“何故?”と言わんばかりに弱々しく手を伸ばす。
逆行で顔は見えなかったが――同時に分身の方の都月の声が響いた。
「……何をしている?」
女学生が振り向いた瞬間、横顔はハッキリと薄く開けた視界に入った。
地面に落とした鞄を手にすると女学生は、都月の声を聞いて集まってきた村人たちに紛れて消えた。
「追いかけて」
樹の枝に腰かけながら見ていた都月は、風の精霊に言うとこくりと頷いて飛び立った。
犯人からしたらリディアは死人だ、生きてはいるであろうが追い詰めるまでは村をうろつく事は出来ないだろう。
さぁ、殺人事件の幕開けだ――
大成功
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レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
人間のサイキッカー×ダークヒーロー、15歳の女です。
普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●優雅な朝食は壊れ
ゆっくりと起きて、静かな食堂で朝食を食べ終えて桜の香りがとても華やかな紅茶を口に含んだ瞬間――
「お人形の様なお嬢さんが殺された!」
旅館の受付から村人の言葉を聞いたレイン・ファリエル(クールビューティー・f17014)は、サファイアの様に青い瞳を声がする方に視線を向ける。
カチャリ、とティーカップをソーサーに置いてから立ち上がり、食堂から受付のある玄関へ足を運ぶと焦った表情の村人はレインに気付くと胸を撫で下ろした。
「どういう事でしょうか?」
「兎に角、殺人が起きたから遺体は一旦村の診療所へ運んだからな。他のお客さんも気を付けなされ」
村人は起きた事の大雑把に話すと、注意する言葉だけ残して足早で旅館から出て行った。
「つまり、先程。リディアさんが犯人に殺されて、死んだふりのまま診療所に運び込まれた」
「なるほど、理解しました。そちらは見ている様なので、やはり……」
都月の風の精霊を通して説明をすると、レインは一瞬だけ考えるそぶりを見せた後に優雅な足取りで旅館から出た。
白い日傘を差して、ゆらゆらと宙を舞う桜の花びらの影が過ると古びたバス停にカバンを抱きしめたまま座っている女学生が視界に入った。
「おはようございます」
「……ご、ざいます」
レインが挨拶をすると、女学生は消え入りそうなか細い声で返事をする。
何事もなく前を通り過ぎた瞬間――
冷たい、感触が、背中に触れたかと思うと……血液で服が濡れて冷たく、やや粘着質な感触が気持ち悪い
それと同時にじんじんと背中が痛み、急激に熱を帯びていくのを感じた。
「ふ、ふふっ……」
高揚感につつまれた喜びを含んだ笑い声を聞いたレインは、倒れながら振り向くと血に濡れた女学生の口元は吊り上あげて不気味な笑みを浮かべている。
「(……簡単に死ぬわけ、ない、ですが……その顔は覚えました)」
殺される側を演じながら女学生の顔を脳裏に刻むと、ゆっくりと瞼を閉じた。
成功
🔵🔵🔴
ベアータ・ベルトット
ん。ぐっすり眠れて体も軽い
…さて、ここからが正念場ね
村人に情報収集がてら、犯人を挑発
「どうせただの悪戯でしょう。口だけで何もできない臆病者に決まってるわ」
「ま。本当に殺ろうってんなら、こっちが逆に返り討ちにしてやるわよ」
推理小説でもこういう大口叩く輩は大概殺される
…さぁ、かかって来なさい
野生の勘を研ぎ澄まし敵を待つわ
敵の攻撃を受けたふりして、懐に忍ばせたパックの血液を盛大にぶちまけながら倒れて死を偽装
相手にも返り血を思いきり浴びせてやる
顔を確認できなくとも…臭いは追える
洗い落とそうったって無駄よ。愛飲してる特別な血の臭い…餓獣の嗅覚がきっと嗅ぎつけるわ
待ってなさい、殺人者
断罪の時間はもうすぐよ
●舞台の開始する音は鳴り響く前の――
「(ん。ぐっすり眠れて体も軽い……さて、ここからが正念場ね)」
ゆっくりと目を開け、体に巻いていた布団をベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)が片手で剥ぐと音を立てぬように立ち上がる。
部屋を見渡しても殆どの布団はものぬけのからである事は“ケモノ”としての“勘”で察した。
体を伸ばし、軽くストレッチをし終えるとベアータは旅館から出てあまり舗装されていない道を歩いていると、ふと玄関が騒がしかった事を思い出す。
「招待状? 殺人? どうせただの悪戯でしょう。口だけで何もできない臆病者に決まってるわ」
すれ違う村人に聞こえるように大きな声でベアータは、鼻で笑いながら詰まらなさそうに言った。
「で、でも、実際に客人の何人か殺されているのは……ねぇ」
「ま。本当に殺ろうってんなら、こっちが逆に返り討ちにしてやるわよ」
井田端会議していた主婦たちは互いに顔を見合わせながら不安そうに言うが、ベアータは機械で出来た黒い義手に視線を向けるとゆっくりと握りしめて拳にしながら言った。
「(……さぁ、かかって来なさい)」
静かに草むらで息を潜めるネコ型猛獣の様に待つベアータは、殺人鬼――否、影朧が作ったくだらない“舞台”に立って“恐れぬ人物”として役割をこなす。
「待って、待ってぇ!!!」
バス停に止まったバスへ大声で言いながら女学生が走っているかと思えば、すれ違いざまに服の袖からナイフを取り出し微かな殺意を察知したベアータは紙一重のところで常備している血液パックがある部位に刺さる。
ビシャリ、勢いよく鮮血が宙を舞い地面と女学生を赤黒く濡らした。
「……ぐっ……」
ナイフが刺さったのが輸血パックだと悟られぬようにベアータは、両手でナイフを押さえるながら力なく地面に倒れた。
愛飲してる特別な血のがベットリと塗られていれば顔は分からなくとも、簡単に言い逃れが出来ない証拠となるであろう。
そして、その匂いはベアータの体に植え付けられた機関“餓獣”の嗅覚で分かると確信している。
待ってなさい、殺人者
断罪の時間はもうすぐよ――
遠のく足音、悲鳴と驚きの声が響く中でベアータは密かに口元を吊り上げた。
大成功
🔵🔵🔵
レア・ジェラルディーン(サポート)
羅刹の死霊術士×王子様、15歳の女です。
普段の口調は「印象を良くする為に優しく(私、キミ、~さん、です、ですよ、でしょう、でしょうか?)」、気を許すと、「くだけた口調(わたし、あんた、呼び捨て、だ、だな、~だよ、~か?)」です。
結構面倒くさがり屋です。
よく羅刹旋風を先に使ってから、リザレクト・オブリビオンを使ってます。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
クリュウ・リヴィエ(サポート)
記憶喪失のダンピールだよ。
名前も年齢も本当かどうか、僕にも判らない。
ま、気にしてないけどね。
自分の過去は判らなくても、色々考えるのは好きだよ。
他人の行動とか状況とかに違和感があると、それに何か意味がないのか考えちゃうよね。
まあ、それで僕が有利になるかどうかは別問題だけど。
あとは食べることも好き。
食わず嫌いはしないし、残さないよ。
戦うときは、突っ込んで力任せに殴り掛かることが多いかな。
一応、剣も魔法も使えるんだけど、結局シンプルなのが性に合うね。
●フラグ建築し過ぎて?
「(あーあ、面倒仕事ですね。こう、パーっと殺人してくれて、ドーンと名乗り出てくれれば楽ですね)」
中性的で雪の様に銀色の髪を風に靡かせながらレア・ジェラルディーン(神風主義な参謀様・f25080)は、一番最後に起きた猟兵でありまだ眠そうに欠伸をしていた。
しかし、どうも村の様子がおかしい事はレアから見ても明らかだった。
「何? 何々?」
騒ぎを聞いて集まった村人たちの元へ見目麗しい青年のクリュウ・リヴィエ(よろず呑み・f03518)が、後ろで興味津々に起こっている事を問う。
「おや、貴方と同じ客人がまた殺されたのよ」
青ざめた表情の主婦が答えると、あまり見ないようにしながらクリュウに見えるように退きながら死体に一瞬だけ視線を向けた。
そこには先程、殺人犯に刺されて殺されてしまったベアータの遺体があり、畑仕事をしているであろう体格の良い男性が白いシーツで巻くと肩に担いだ。
「あの、何処に持っていくのですか?」
グリモアベースで見た事のある猟兵、簡単に殺されるハズではないのに、と思ったレアは遺体を担いだ男性に声を掛けた。
「ほら、あそこにある診療所だよ。医者に見せて、診療所に預かってもらうんだ」
「そう、ですか……」
レアの様子を見て男性は申し訳なさそうな表情で見つめると、知り合いが殺されてショックなんだろうと思い静かに診療所へと向かった。
「(なるほど、今頃は血塗れで目立つのにおかしいね……)」
地面には既に酸化して黒くなった血を凝視しながらクリュウは、点々と道に残っている血が何処まで続いているのだろうか? と、思いながら視線で追った。
「(死ぬなんてありない)」
人目に付かない場所に移動するとレアは、光り輝く白馬を呼び出すと遺体が運ばれた診療所へとテレポートする。
突然、白馬と共に現れたレアに診療所の医師や看護師は目を丸くして、驚きの声を上げそうになったが――
「大丈夫、その人は猟兵だから」
風の精霊が言うと、診療所の人々は胸を撫で下ろすと地下に続く階段を指した。
レアは階段を降りると、目の前にあるドアを開けた瞬間――べっとりと血で汚れてはいるが殺されたハズの猟兵たちがいた。
「さて、村人も避難を終えるようだし、影朧は――」
風の精霊と共に都月が現れると、影朧が舞台として逃げ込んだ場所を告げた。
「まさか、こんな場所を――」
クリュウが呟くと、血で濡れた女学生は静かに振り向くと口元を吊り上げると狂った様な笑い声をあげると、パッと彼女はスポットライトで照らし出された。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『蝶子』
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POW : 蝶が群れ成し満員御礼
【真紅の蝶の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 悲劇舞台の始まり始まり
戦闘用の、自身と同じ強さの【主演男優】と【主演女優】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ : あゝ悲哀芝居
【悲哀に満ちた歌と踊り】を披露した指定の全対象に【過去手に入らなかった者等に対する悲しみの】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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●開演のブザー音が鳴り響き、拍手は割れんばかりに
此処は稲荷神社、村を守る氏神が祭られておりその裏は崖、だ。
崖と言っても渓谷と呼ばれているモノで、覘き込めば大きな川が流れているが落ちる場所を間違えれば死ぬであろう。
「紳士淑女の皆様、さぁ舞台の開演でございます」
招待状の送り主である影朧の“蝶子”は、笑顔で両手を広げながら声高らかに言った後に恭しく礼をした。
ビーと音が響きスポットライトが消えた瞬間、割れんばかりの拍手が何処からか響く。
「さぁ、うちの念願の舞台で演じてくれへんやろうか?」
にこっ、と年相応の愛らしい笑顔で蝶子は言った。
崖に落とそうとしても彼女は落ちない、だって彼女の為の舞台だから――
このまま倒してしまうのも一興、シナリオを変えて転生させる舞台を描くもの手だ。
さぁ、最終章の開演だ。
木常野・都月
会話が可能なら転生を促したい所だけど…俺、話したり説得は苦手なんだ。
まだ、ヒトの感情や機微が難しいんだ。
出来る事と言ったら、せいぜい時間稼ぎ程度。
まずは時間稼ぎをして、出来るだけ説得を、ダメなら倒す方向でいきたい。
UC【雷の足止め】を使用、話をしたいから、動かないで欲しい。
敵の攻撃は[範囲攻撃、属性攻撃]の[カウンター]で対処したい。
転生して、その時代のヒトとして、役者になればいいと思うんだ。
影朧は、過去の存在だから、今のままでは、骸の海に戻るしかないけど…
転生すれば、こんなヒトを殺すような事しなくても、役者になれるんだ。
転生に応じず、誰かを攻撃するようなら[属性攻撃]で倒したい。
●惑い
「(……話、説得をすれば影朧は転生出来るけど――)」
ぴくり、と大きな耳を動かし木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は、戸惑いの色を宿した瞳でスポットライトに照らされている蝶子を見据えた。
「(まだ、ヒトの感情や機微が難しいんだ)」
ぐっと“エレメンタルロッド”を握る手に力を籠めると都月は、空いている方の手を差し伸べると一瞬だけ閃光が走る。
「雷の精霊様、足止めを!」
轟音と共に雷の精霊が姿を現すと都月の小さな掌にバチバチ、と音を立てる光球を作り出すとソレを蝶子の方へ向けた瞬間――発破音に近い音を響かせながら高圧電流は彼女の体を包み込んだ。
ブゥン、と何か機械が落ちるような音がすると、スポットライトや舞台装置の電源が消えると暗闇に包まれるが感電している蝶子だけは、うっすらを光を帯びている。
「きゃぁぁぁ!!」
悲鳴を上げると同時に悲哀に満ちた歌の歌詞を口ずさもうとしても上手く歌声を発する事が出来ず、踊ろうと足を動かしたいのに動かせない状態の蝶子に都月が歩み寄った。
「転生して、その時代のヒトとして、役者になればいいと思うんだ」
都月は上手く伝えられるか不安いっぱいの胸を隠すために、自身の大きくて柔らかな尻尾を抱きしめながら言う。
「影朧は、過去の存在だから、今のままでは、骸の海に戻るしかないけど……転生すれば、こんなヒトを殺すような事しなくても、役者になれるんだ」
「本当?」
都月の言葉に蝶子は、首を小さく傾げながら問う。
「うん、桜の精の癒やしを受ければ……いつかは」
「そんな先の事なら……今、舞台で演じたい」
そう、蝶子は今でないと想いを残したまま転生しても繰り返してしまうかもしれない。
ならば、想いを叶えさせてあげれば良いのだ――
大成功
🔵🔵🔵
ベアータ・ベルトット
悪いけど。二度も黙って殺されてやる気は無いの
殺したいんならかかって来なさいよ。…今度は、本気で迎え討つ
…ふふ。その方が愉しいでしょ?
手始めにHAを発動。襲い来る蝶群を獣爪で切り裂きながら、激痛に耐え、ブーストダッシュで突き進む
手足に触れた蝶たちはHAの効果で分解吸収して機関の動力に変換
蝶子の姿を捉えたら、機腕からVampwireを射出。体を鉤で突き刺し、生き血を吸い取ってやる
そのまま勢いをつけて中空に放り投げる
そんなに血を浴びたいんなら…たっぷりと味わいなさいな
喰らった蝶と吸い取った血液から生成した機腕銃の弾丸を、蝶子目掛けて乱れ撃ち
どう?偶には被害者を演じてみるのも、役者の勉強にはなるでしょ
●鮮血の舞台
スポットライトに照らされ、眩しさのあまり目を光から守るように手をかざすと蝶子の姿をハッキリと捉えた。
「悪いけど。二度も黙って殺されてやる気は無いの」
彼女の舞台に再び立たされるのはイヤだが仕方がないと嘆息したベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)は、飢餓感・喰殺衝動の激化を代償にして餓獣の唸り声の様な音を発しながらサイボーグ化した四肢の機能を解放する。
「カケラも残さず喰らってあげる!」
口元を釣り上げ、獲物に喰らいつかんとする獣の様に歯を見せながら声を上げたベアータは、ガシャンと指の爪であろう部分から細長く伸びた。
「舞台は、舞台は、こうでなくては!!」
殺人鬼という役で舞台に立つ蝶子は、両手を広げて声高らかに言うと彼女の足元から真紅の蝶の群れがスポットライトで照らされた舞台から飛翔する。
封印、所謂リミッターの様なモノを解除したベアータは、飛んでくる真紅の蝶を物ともせずに逆に全てを爪で切り刻む勢いで振り下ろす。
「……今度は、本気で迎え討つ……ふふ。その方が愉しいでしょ?」
体が引き裂かれようともベアータの表情は苦悶ではなく――楽しそうに笑みを浮かべるとグシャッと握り潰した蝶を吸収した。
「アレは前座、所謂“前菜”とも言うの……っ!?」
笑みは直ぐに驚きの表情に変わり、蝶子がふらり、と後退するその腕にはベアータの機腕から射出された“Vampwire”のフックの先が食い込んでいた。
「そんなに血を浴びたいんなら……ッ!」
スポットライトに当たり過ぎたのだろうか?
体が熱い、と思いながらもベアータがステージの上で足に力を入れると駆動音を響かせながら腕を振り上げ、蝶子の小さく軽い体を闇色に染まった空へと放り投げる。
「たっぷりと味わいなさいな」
振り上げた腕から銃口を剥き出しにして、蝶子から奪ったモノを弾丸として装填するとアサルトライフのオート射撃の様に射出させ、乱れ撃つと蝶子の体は闇色の空で操り人形の様に踊る。
ぼとり、と小さな体が舞台に落ち、彼女の体から溢れる鮮血で濡れる。
それは、絵の具をぶちまけたかの様に
それは、真っ赤な夕日で赤く染まった空の様に
「全力の攻撃を受けたのに、アンタは強い気持ちだけで――」
ずるり、血に濡れても、散々撃たれても、蝶子は立ち上がると血を無造作に拭っている姿を見たベアータは低く呟いた。
「だって、たらへんやん?」
女優としての“笑み”ではなく、狂う殺人鬼の様な歪んだ“笑み”を浮かべながら蝶子は赤黒く変色していく血を唇に塗った。
大成功
🔵🔵🔵
田中・香織
そんなに今ここで舞台に立ちたいなら、あたしが共演者になるわ。
あなたの一世一代の晴れ舞台、あたしが見届けてあげる。
あえて彼女の攻撃をまともに受けて瀕死の状態になるわ。
あたしなら、戦場の亡霊の効果でたとえ瀕死になっても死にはしないはずだから。
(攻撃するためではなく、あたしが本当に死なないためにユーベルコードを使うわ)
彼女の未練を解決するにはこれしかなさそうだし、こうやって体を張ることは猟兵のあたしにしかできないから。
●願いを聞いたのは、また願いを求める人形
「そんなに今ここで舞台に立ちたいなら、あたしが共演者になるわ」
ベアータと蝶子の間へ勢いよく着地した影は明るく力強い声が上がり、二人は声がした方へ顔を向けるとそこには――
スポットライトでキラキラと輝かせながらピンクの大きな縦ロールを夜風に靡かせながら田中・香織(ヒーローに憧れた人形・f14804)は、堅そうな胸部を張りながら笑みを浮かべていた。
「あなたの一世一代の晴れ舞台、あたしが見届けてあげる」
蝶子の言葉、傷付けられてもなお彼女が舞台で演じるのを辞めない姿を見ていた香織は、自身も内容は違うけれども“ヒーロー”への憧れた気持ちと“似ている”と感じた。
でも、一番の本心は――
願いを叶えてあげたい! あたしは、ヒーローだからね!
「ありがとう」
ぐっ、と顔に付いた血を拭いながら蝶子は小さく微笑むと、彼女は声高らかに笑うと同時に真紅の蝶の群れが背中から飛翔した。
「(大丈夫、あたしは猟兵。今のあたしにしか出来ない事だわ)」
人形の体に魂が宿った“ヤドリガミ”だけれども痛みは本物、それでも香織はヒーローだから耐えれると自分自身を信じて飛んでくる蝶の群れを受け止める。
痛みで意識を失ったかと思ったらユーベルコードで“戦場の亡霊”として再び姿を現す。
そう、ヒーロー倒す無限に出てくる下っ端の様に。
「あーなんてこと!」
両手で頬を挟みながら香織は、オーバーリアクションで動かない自分自身を見ながら声を上げた。
「……見られてしまった」
「ちょ、ちょっとあなた……ひぇーナイフが血塗れー!!」
香織が頑張って慣れてない演技をしながら台詞を言うと、舞台全体を照らしていたスポットライトは消えて道端を照らす程度の電灯の様な照明が二人だけを照らした。
「お前が……最後!」
「……ぐふっ!」
蝶子がナイフを両手で握り締めてタックルをして、香織は腹部を両手で押さえるとそのまま後ろに倒れた。
「(少し、ううん。完全に未練がこれで解決できるのよね?)」
ライトが消え、視界に広がるのは夜のとばりが下りた空で無数に星が輝く光を遮るかのように桜の花びらが降るのを香織は、ボーッと見つめながら思っていると新たな足音が彼女の耳に届く。
自然と、いや――蝶子の台詞『最後』と言っていたのを思い出す。
次で舞台は終わるのだわ、と。
大成功
🔵🔵🔵
クレア・フォースフェンサー
おぬしは一度、その若さでこの世を去ったのであろう
病気か、事故か。それとも、殺人を犯したことへの裁きか、私刑か
それが甦り、殺人鬼を演じ……いや、殺人鬼となっておるのじゃから、なんとも傍迷惑なことよな
この状況を演劇と見立てておるようじゃが、殺人鬼が皆を殺して終劇を迎えるなどという話は聞いたことがない
おぬしはこの物語にどのような結末を用意しておるのじゃ?
いくら演技が素晴らしかろうと、台本が面白くなければ見向きもされぬぞ
演技と言えば、おぬし、リアリティを追求しておるそうじゃな
ならば、本当の業を少し見せてやろうかの
自然に光剣で蝶子を斬る。
まったく、過去の者が今を生きる者に迷惑を掛けるでないわ
●終幕
「おぬしは一度、その若さでこの世を去ったのであろう」
静まりかえった舞台に凛とした声が響く。
プラチナブロンドの髪が夜風に揺らし夜空を照らす月の様な金の瞳に蝶子を映すと、クレア・フォースフェンサー(UDC執行者・f09175)はゆっくりと一歩前へ進む。
「病気か、事故か。それとも、殺人を犯したことへの裁きか、私刑か?」
蝶子が息を飲むのを感じ取りながらクレアは、彼女が“舞台”で“殺人鬼”を演じているのではなく本当の“殺人鬼”にしか見えないからだ。
しかし、蝶子の行動を見ていた都月が『違う、影朧自身が今、叶えれば』と、真っ直ぐな瞳でクレアを見つめながら言った。
「おぬしはこの物語にどのような結末を用意しておるのじゃ? くら演技が素晴らしかろうと、台本が面白くなければ見向きもされぬぞ」
この手の話に出る犯人は殆どが野放しにされず、捕まって日の目を見れない等の結末を迎える内容しかクレアは知らない――否、ピカレスクロマンという部類では無くはないが“正義”らしい部分は見えない。、
「うちは村から女優の夢を馬鹿にされて蔑まれても、それでも頑張ってきたのに……」
蝶子は涙で顔を濡らし、嗚咽を漏らしながら喉から声を絞り出す。
「演技と言えば、おぬし、リアリティを追求しておるそうじゃな? ならば、本当の業を少し見せてやろうかの。その魂に焼き付けるがいい」
「そうさせてもらうわ。さぁさぁ! 殺人鬼は追い詰められてしまいました。後ろは崖、目の前は名高い探偵である! 結末を見届けよ!」
クレアが“光剣”の柄を握りしめて光で出来た剣先を蝶子へと向け、蝶子は両手を広げて笑みを浮かべながら言った。
「アンチ・コード――」
蝶子の周囲にヒラヒラと舞う蝶の群れを難なく見切って避けながら、クレアはユーベルコード“能力無効(アンチ・コード)”させると回避不能な蝶に対しては広がる空間へ入り込んだ瞬間に、蝋燭を吹き消したかの様に消える。
夜中からだろう、クレアが振るう“光剣”は白い斬撃を残しながら蝶子の体を貫いた。
「まったく、過去の者が今を生きる者に迷惑を掛けるでないわ」
そう呟いたクレアが踵を返し、地面にゆっくりと倒れてゆく蝶子の“最期”を見つめた。
すると――
蝶子の体は、桜の花びらへと変わって行くのを、その場にいる猟兵たちは転生出来ることを祈った。
「来世では夢を叶えられるといいな」
「絶対に叶えているわ」
ぽつりと都月が呟くと、香織は満面の笑みで力強く頷いた。
「そうね。さぁ、帰るぞ」
ベアータが他の猟兵に声を掛けてから、月明かりで照らさた道を歩き出す。
温かい風が頬を撫で、春の訪れを感じながらも次の依頼へと向かった。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年05月01日
宿敵
『蝶子』
を撃破!
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