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アースクライシス2019㉑〜フローライト・ライト

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #鋼神ウルカヌス #センターオブジアース


●グリモアベースにて
「鋼神ウルカヌス発見! なんだよ!」
 佐伯・キリカ(陽気な吸血魔法使い・f00963)が、拳を掲げる。
「詳しく説明するね。ヒーローたちが、センターオブジアースの世界樹を支える鉱脈がある事を発見したんだよ。で、この鉱脈こそが鋼神ウルカヌスの神域だったみたいなんだよ!」
 鋼神ウルカヌスの神域は、世界に存在するありとあらゆる鉱物、その鉱脈が複雑に絡み合っているものらしい。鋼神ウルカヌスは、この鉱脈の中でも最も純度が高い場所で猟兵を迎え撃とうとしているらしいのだ。
「わたしが転送するのは、蛍石の鉱脈だよ。青、黄色、紫といった蛍石が壁や地面、天井に埋まっててとっても綺麗なんだよ。……それと、どういう仕組みなのかはわからないけど、わたしが転送する先にある鉱脈の蛍石は仄かに発光してるみたいだね」
 とはいえ、それらが戦闘に何かしらの影響を及ぼすことはないと断言してキリカは続ける。
「鋼神ウルカヌスは、絶対に先制攻撃を仕掛けて来るんだよ。だから先制攻撃をどう防いでから反撃に繋げるかの作戦が重要になるんだよ!」
 そうでなくても、鋼神ウルカヌスの戦闘力はジェネシスエイト最強ともいわれる。生半可な防御では攻撃を凌ぎきるのは難しいだろう。
「クライング・ジェネシスを倒すことには成功したけど、少しでもジェネシス・エイトを倒しておきたいよね。今回もよろしく頼むんだよ!」
 そう言って、キリカは猟兵たちを蛍石の鉱脈へと送り出した。


雨音瑛
 鋼神ウルカヌスとの戦闘シナリオです。
 判定はやや厳しめなのでお気をつけください。

●プレイングボーナス発生条件
 敵のユーベルコードへの対処法を編みだすこと。
 鋼神ウルカヌスは必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります。

●戦場について
 蛍石の鉱脈での戦闘となります。周囲すべてが仄かに発光する蛍石でできた地下空洞のような場所です。※正否判定には影響しません。
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第1章 ボス戦 『鋼神ウルカヌス』

POW   :    超鋼神装
無敵の【金色に輝く『神の鎧』】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    鋼と炎の神
自身の身体部位ひとつを【自在に液体化も可能な超高熱の金属】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    原初の神炎
自身からレベルm半径内の無機物を【使用者以外の全てを焼き尽くす原初の炎】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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火土金水・明
「相手は『ジェネシス・エイト』の一人、こちらも本気を出して戦わないと危ないですね。」
相手の先制攻撃に対しては、【見切り】【野生の勘】【第六感】【フェイント】の技能を駆使して回避を試みます。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】した【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『鋼神ウルカヌス』が何処に移動しても巻き込めるようにして【2回攻撃】をします。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「さあ、オブリビオンは『骸の海』へ帰りなさい。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



「よもや私の居場所を探り当てるとはな。こうなってしまっては対処する他あるまい――来たれ、原初の神炎!」
 ウルカヌスの周囲にある蛍石が、炎の色を灯し始める。それは一つ二つと数えることすら億劫になるほどの炎に変じ、ウルカヌスの意思で自在に飛び回り始めた。
 火土金水・明(人間のウィザード・f01561)は炎たちを見切り、あらゆる勘を働かせて回避を試みる。
 しかし、炎の数が多すぎる。残像を用いても捌ききれなかった炎が肩へと当たった。念のためにと纏っていたオーラがダメージ低減こそするが、痛みと温度は凄まじい。
「対処していなければ、危うく気を失うところでしたね。さすが、鋼神ウルカヌス――『ジェネシス・エイト』の一人だけあります。こちらも本気を出して戦わないと危ないですね」
 熱と痛みに一瞬だけ顔をしかめた明は、むしろ今こそが好機だと微笑んだ。
 先ほどまで炎だったものが地面に落ち、蛍石へと姿を変えたのだ。
「さあ、こちらの番ですね。――我、求めるは、冷たき力!」
 高速詠唱により放たれる、300を超える魔法の矢。氷の力を纏ったそれらを、ウルカヌスは片腕で薙ぎ払った。
「これしきの矢、捌ききれぬと思ったか!」
「甘いですね、矢がそれだけだと思いましたか」
 そう、第一陣に続いて第二陣の矢が放たれていたのだ。ウルカヌスが気付いた頃には、薙ぎ払うにも回避するにも間に合わぬ距離となっている。確定した未来を見据え、明はそっと呟く。
「さあ、オブリビオンは『骸の海』へ帰りなさい」
 300もの氷の矢は、見事、ウルカヌスへと突き立ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

篝・倫太郎
無敵の神の鎧、なぁ……

先制攻撃は見切りと残像で回避
回避行動にもフェイントを入れてく
回避し切れない場合はオーラ防御で防いでダメージ軽減

神の鎧?無敵?笑わせんなよ?
無敵だってンならなんで負けた?
てめぇは負けたからオブリビオンとしてここに居る
負けて滅んで過去になった以上、無敵じゃねぇよ
無敵であるなら無敗だろ?
無敗じゃねぇ以上、無敵じゃねぇんだよ

攻撃力強化に篝火使用
華焔刀でなぎ払いからフェイントを混ぜつつ2回攻撃
攻撃には常に衝撃波と鎧無視攻撃を乗せてく
必要に応じて鎧砕きも使ってく

出来るだけ鎧の継ぎ目やその付近
装甲の薄そうな場所を重点的に狙う

少しでもダメージが入れば
疑念を感じさせて弱体を誘いやすいってな



 ウルカヌスの身体に黄金色の鎧を重ねられてゆくのを見て、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は光る蛍石の地面を蹴った。無敵を誇る鎧は疑念を抱かせれば消えるようだが、果たして――。
 まずは真正面から襲い来るウルカヌスの脚。倫太郎は、華焔刀を軸にしたフェイントを仕掛けながら回避を試みる。
「フェイントか……二度は通じんぞ!」
 空を切ったウルカヌスの脚が蛍石の地面に落ちたかと思うと、今度は拳が飛んで来る。倫太郎のフェイントを無視した拳は羅刹の青年、その首筋を掠めた。
「っと、危ねぇ」
 防御のために纏っていたオーラが威力を削いでくれるが、まるで熱線が通過したかのような熱を感じる。
「ちょっと摩擦が起きただけでこれかよ……やるじゃねえか、でもな!」
 作り出した残像は、ウルカヌスが連続で繰り出した拳によって残らず消えた。それを微塵も気にせず、倫太郎は華焔刀の歩先をウルカヌスへと向ける。
「神の鎧? 無敵? 笑わせんなよ?」
「ほざけ、小僧。笑うのならば、私に勝ってからにするんだな」
「話は最後まで聞けよ。そもそも――無敵だってンなら、なんでてめぇは負けた? てめぇは負けたからオブリビオンとしてここに居る、つまり負けて滅んで過去になった以上、無敵じゃねぇよ。何より、無敵であるなら無敗のはずだろ? つまり、無敗じゃねぇ以上――」
 口角を上げる倫太郎は、華焔刀の先端で黄金色の鎧を小突いた。
「無敵じゃねぇんだよ」
 とたん、黄金の鎧が消え去る。矛盾を指摘する倫太郎の言葉は、疑念を抱かせるには十分だったようだ。
「こんどは俺の番だな?」
 焔、水、風の神力を自身に載せ、華焔刀を薙ぎ払う。衝撃波を起こしながら狙うのは、ただ一点。最も装甲が薄くダメージの通りやすそうな場所、すなわち鎧の継ぎ目だ。上段の構えから、切断せんばかりの勢いで振り下ろすと、ウルカヌスの口から呻き声が漏れた。
 迷いのない振り下ろしは鎧を貫通し、亀裂を走らせたのだ。無論、ウルカヌス本体にも刃が到達している。
「っ……、想定以上にやるようだな、猟兵!」
「よく言うぜ。疑念を一笑に付すぐらいの精神がなきゃ、無敵も無敗も不可能なンじゃねぇの?」
「は、――違いない」
 よろめきながら数歩退がるウルカヌスは笑みを浮かべていた。まるで、この状況を楽しむかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
鋼と炎…一筋縄では行きませんか。ならば妨害を主軸に攻めてみましょう。

魔銃を風属性に設定しゆっくり近づきます。
「中々の武人とお見受けしますが何故彼らの手伝いを?」
神炎が来たら後ろに飛びながら魔銃を撃ち、反動で加速。範囲外へ着地し指定UC発動。100本は雷を纏い地上から攻撃しますがこれは陽動(騙し討ち)。残り200本を土と重力属性にし、地中から進ませます。ウルカヌスの真下まで伸ばしたら足首に巻き付け、重力による属性攻撃。鎧を重くして機動力を削ぎ、鎧の隙間を狙って雷触手で攻撃します。残りの触手は風属性にして自分の手足に巻き付け、高速移動で敵の攻撃を回避します。



 水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は、光る蛍石を踏みしめながらゆっくりとウルカヌスに歩み寄った。
「鋼神ウルカヌス――ですよね? 中々の武人とお見受けしますが、何故クライング・ジェネシスやジェネシス・エイトの手伝いを?」
「ふむ――貴様に言う理由はあるまい? 何か有益な情報でも提供してくれるのか?」
「まあ、ですよね。元より答えてもらえるなんて期待してません。ふむ、有益な情報ですか……あなたにとって有益な情報がそもそもどういった種類か不明ですしね」
「そうか……ならばここで滅びるがいい」
 周囲で光る蛍石が、一斉に熱を帯び始める。蛍石は無数ともいえるほどの炎となり、怜悧へと狙いを定めた。
「そう簡単に滅びませんよ。レイリとアノンの許可もなく勝手に死ぬわけにもいきませんしね」
 すかさず怜悧は後方に飛び退くが、炎は想定以上に早い動きで迫って来る。魔銃を壁面に撃って斜め後方へと加速して移動し急ぎ炎の範囲外を目指す、のだが。
(「まだ範囲外じゃないんですね……これは、なかなか厄介です」)
 怜悧の移動速度よりも、炎の到達する範囲、そして炎の移動速度はなかなかのものだ。
 数十の炎を身体に受けたところで、範囲外に出る。直後、怜悧は風の属性を持つ触手を手足へと巻き付け、ウルカヌスの攻撃範囲に身を投じた。
 高速移動が可能になった今なら、向かって来る炎を回避できる。
「炎のお礼に、雷ははどうですか?」
 さらには100の触手に雷を纏わせ、ウルカヌスの周囲で相手をさせて。
「ふん! この程度、躱せぬとでも思ったか?」
「――いえ、そちらではありません。こちら、ですよ」
 そう、雷の触手は陽動。ウルカヌスの足元から伸び始めた触手こそが本命だ。
 密かに地中を進ませていた200本の触手は、一斉にウルカヌスを絡め取る。
「なにっ!? 身体が――重い……!?」
 触手が伴うは重力、ウルカヌスの機動力を削ぐには十分だ。雷を纏った触手は鎧の隙間を狙い、電撃を流し込む。
「ぐ、ぐあっ!? は、離せ――! ぐあああああ!!」
「そう簡単に離しませんよ。さあ、しばらく痺れててくださいね」
 神域に悲鳴を響かせるウルカヌスの鎧からは、黒煙が上がり始めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジロー・フォルスター
隙がねえなあ…
「じゃ、せいぜい悪知恵でも働かせてみるとするか」
実力不足は承知の上
いざとなれば囮にでもなれりゃいいさ

・対UC
【防具改造】で有機物―燃えにくい革を装備に重ねて出撃するぜ
あとは【激痛耐性・火炎耐性・オーラ防御】頼みで炎の中を強行突破だ
無機物の壁からは離れてえから、重力のブーツで【見切り】ながら宙を行こうか
聖痕で火傷を癒せば多少はもつかね
「痛みには慣れ切っちまってるからな」

・攻撃
敵方と同名UCカタストロフを使うぜ
金属を腐食させる『火山性強酸性泉』の自然現象で攻撃するぜ
そこに銀の魔導杭を【鎧砕き・串刺し】
【医術】で心臓や関節の致命的な位置を狙おうか
「くく、どんな知恵も使い方次第だからな」



 サングラス越しに緋色の瞳を細め、ジロー・フォルスター(現実主義者の聖者・f02140)はウルカヌスを眺める。
 屈強な身体に重厚な鎧といった佇まいは、いかにもな強者であることを示していた。
 ウルカヌスは拳を握りしめ、周囲の蛍石に熱を与えてゆく。
「覚悟は良いか?」
「良いとも悪いとも言えないが、俺が先手を取れる状況でもない。好きにするといいさ」
 返しつつ、ウルカヌスには一切の隙がないことをジローは見抜いていた。
「……じゃ、せいぜい悪知恵でも働かせてみるとするか」
 呟き、状態を変えてゆく蛍石たちを一瞥する。
 仄かに光るに留まっていた蛍石は、周囲を溶かしながら炎の姿を取り始める。
 陽光には及ばなくも眩い炎の中へ、ジローは躊躇無く身体を投じた。
 自身の実力なら、本人が最も承知しているもの。つまり、ジローが取る手段は『強行突破』だ。
 無論、破れかぶれの作戦ではない。着用した防具は燃えにくい革を重ねているから、そう簡単に身体まで到達することはなかった。だが、肌が露出している場所は――もちろん、防具の準備をしたジローが生身への手段を講じないわけがない。激痛と火炎への耐性に加え、オーラによる防御は痛みと熱の到達を遅延させてくれる。
 そうして、極力炎の少ない場所を見切りながら、重力のブーツを用いて宙を行く。炎の切れ目に聖痕で火傷を癒すのも忘れずに。
 そうして、ジローはウルカヌスの眼前に到達した。
「正面突破とはな。良い度胸だ、そのような行為は嫌いではないぞ」
「そりゃどうも、幸か不幸か痛みには慣れ切っちまってるからな。さあ、これでも喰らいな……!」
 ジローの周囲から放たれる、泉水。ただの水と思って受けたウルカヌスは、すぐさま目を見開いた。
「これは……!」
 鎧が腐食して、ウルカヌスの生身が露わになったのだ。ジローはそこへ容赦なく銀の魔導杭を撃ち込む。
「火山性強酸性泉はお気に召したみたいだな?」
「ぐっ……こんな……ことが……」
 胸部を貫いた杭を無理矢理杭を引き抜き、投げ捨てるウルカヌス。ジローはサングラスを押し上げ、ほくそ笑む。
「くく、どんな知恵も使い方次第だからな」
「この……猟兵どもめが――!」
 そう呻くウルカヌスの口元からは、多量の血が滴っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビードット・ワイワイ
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
ふんぞり返りて何もせず。強者の地位におさまりて
他の面子は暗躍しておるが汝は一体何をせり?
最強ゆえの傲慢か。なさず籠もりて待ち構え
傲慢こそが敗北の始まり。ここが汝の破滅なり

防具改造にて守りを強固にを更に分厚く
更に硬く、堅牢に。オーラを纏いて防御に用い
重厚なりし体を盾にし盾受けせり
あな離れておりし力量か
その力差こそが我が技を強める

この身覆うは聖人貫きし槍の化身
無敵の鎧を持ちし者よ、その硬さを見せる時なり
この身捧げて行う技をここに
これ放ちし後に我が強靭の身体は砕け落ちるであろうが
それ行う理由あり。さあ、滅ぶ準備はできけりか

さて誰ぞ我の頭部を持ち帰ってくれぬものか


ナギ・ヌドゥー
戦争は間もなく終わる
ここでウルカヌスを消す事は難しいが……爪痕だけでも残してやろう

液状化された攻撃を全て躱しきるのは困難
ならば敵UCに合わせ【呪殺弾・制圧射撃】の光線弾幕による面攻撃で相殺ガード
オレのサイコパームは精神力をビーム化させる武器、液状金属ならある程度退けられる
相殺しきれない攻撃は【オーラ防御】でダメージ軽減

そろそろこちらも反撃していいかい?
【ドーピング】大量投与により一時的にダメージ解消
そしてUC発動
超スピードにより【殺気】を纏った【残像】を大量発生させながら斬りかかる
一瞬でどれが本物か見分け事は出来まい
毒を塗った刃で鎧の間隙を斬り抉る【部位破壊・傷口をえぐる・毒使い・2回攻撃】



 クライング・ジェネシスを撃破したことで、戦争はもう間もなく終わる。
 そういった状況の中でようやく所在を掴めたジェネシス・エイトがひとり『鋼神ウルカヌス』であるのだが、今から彼を倒し切ることは難しい。
 そう思案するナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)がこの地を訪れたのには、訳がある。
「……アンタには爪痕だけでも残してやろう」
「爪痕か。出来るものならしてみるが良い」
 とたん、ウルカヌスの腕が熱を帯び始めた。赤から白へと色を変えた腕は液体へと変じ、鞭のようにしなりながらナギを付け狙う。
「さあ、この状態で私に近づけるものなら近付いてみよ!」
「やってみるさ。やりようならいくらでもあるからな」
 掌から呪殺弾を放ち、光線弾幕を発生させるナギ。灼熱の金属を、相殺するようにして受け止めたのだ。
 それでも、稀に液体化した金属が光線弾幕を貫通する。体に到達した分は、すかさずオーラで受ける。
 蓄積するダメージをおくびにも出さず、ナギは可能な限り相殺し続けていた。
「埒が明かんな」
 嘆息ともつかぬ言葉を吐いたウルカヌスの矛先は、ビードット・ワイワイ(UFO TAKER・f02622)へと移った。
 ウルカヌスの纏う鎧が金色に変じる。
「これより私は無敵。いかなる攻撃すら通じぬ!」
 ビードットを掴み、鉱石へと叩きつけるウルカヌス。そこでビードットが感じたのは、確たる力量差だ。それも、多少の鍛錬を積んだところでどうにもならないくらいの。
「――なかなかに頑丈な機械のようだな。しかし無傷とはいくまい?」
「問われたのなら答えよう。見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり」
「なに?」
「ふんぞり返りて何もせず。強者の地位におさまりて。他の面子は暗躍しておるが汝は一体何をせり? 最強ゆえの傲慢か。なさず籠もりて待ち構え。傲慢こそが敗北の始まり。ここが汝の破滅なり」
 一気に告げられた言葉、それへの反応すら許さず、ビードットは詠唱の言葉へと繋げる。
「ロードルーイン、聖人は救う数多の人を。只人は恐るる一人の聖人を。聖人貫き事態の鎮圧。されど威光は残りけり。かくして彼らは滅んだ」
 淡々と、されど一字一句違わず告げられた言葉は、彼の体を槍状のオーラで覆うためのものだ。
「無敵の鎧を持ちし者よ、その硬さを見せる時なり。さあ、滅ぶ準備はできけりか」
「そこまで言うからには何か秘策があるのだろうな? よかろう、私の鎧が受け止めてみせようではないか!」
 言われたからには、遠慮無く。ビードットは容赦なく、オーラの槍でウルカヌスを貫いた。
 それは無敵であるはずの鎧を貫通して腹部を貫いたものだから、ウルカヌスはただただ目を見開いた。
「馬鹿、な……!?」
 同時にビードットの身体が砕け散り、頭部パーツが転がった。無敵をも穿つユーベルコードは力量差に比例して戦闘力を増強させてくれるが、自壊をもたらすものなのだ。
 ウルカヌスが無敵の鎧に対して疑念を抱くには、十分な攻撃であったらしい。
 黄金の鎧は、一瞬にして消え去った。
 驚くウルカヌスを前に、ナギは大量の薬物を自身へと投与した。消えてゆく痛みは心地よいとも悪いとも言えないが、幾度も繰り返したことだ。
「……そろそろこちらも反撃していいかい? ああ、返答は不要だ。どうせ聞こえないし、聞くつもりもない」
 そうして、ナギは加速する。強化人間の限界すら超えた速度で生み出されるのは、殺気を纏った大量の残像だ。
 ウルカヌスの前に、群衆とも思えるほどの残像が出現している。その中から一瞬で本物を判別することは、たとえウルカヌスといえど不可能だろう。
 鉈は、ウルカヌスの首元に突き立てられた。
 斬るだけでなく、抉る。それも二度。
 猟兵たちによる攻撃に加え、ナギの刃から染み出す毒が致命となって、ウルカヌスは動きを止める。
「私が――負ける、だ、と――」
 ウルカヌスが膝を突き、その体を消滅させてゆく。
「……どうやら、無事爪痕を残せたようですね」
 ナギが刃を下ろすと、背後で何やら機械じみた音声が聞こえた。振り返って見えたそれは、ビービットの頭部だ。
「……さて。誰ぞ我の頭部を持ち帰ってくれぬものか」
「ぼくで良ければ持ち帰りましょう。……ええと、ひとまずグリモアベースまでで大丈夫でしょうか?」
「無論構わぬ。恩に着る」
 ビードットの頭部を拾い上げたナギは、グリモアベースへと帰還してゆく。
 ひとまずの戦いを終えた神域のひとつでは、緩やかに明滅する蛍石だけが彼らを見送っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月01日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト