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アースクライシス2019⑪~wait alone

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #ダストブロンクス


 大丈夫だ。ダストブロンクスを取り戻すなら今しかない。
 俺達が道を開く。爆弾を守ってるアイツを倒したら呼ぶから、そこで待っててくれ――。
 そう言って頼もしい笑みを浮かべた男は死に。それに追従した三人のヒーローもまた命を落とした。
 チームの中で、私一人が生き残ってしまった。誇れることは電子技術くらいで、いつも四人をサポートしていただけの私が。
 ……仇を。討たなくてはならない。
「そうだ……私が、皆の分まで……!」
 私はハンドガンと爆弾解体用のツールを手に、爆弾の前に佇む巨人に特攻した。そして。
「何だァ? まだいやがったのかァ、ゴミが!」
 首に走る生温い衝撃に意識を奪われた。

 グリモアベース。戦争の焦燥に照らされた世界の片隅で、軍服姿の少女、式島・コガラスが猟兵たちを集めた。
「皆さん、お疲れ様です。そう余裕もない戦況ですが、こんな時こそ休憩は欠かさぬようにしましょう。……さて、今回の依頼です」
 そう言ってコガラスは直方体の機械を取り出し、そこから3Dマップを投影する。
 ダストブロンクス。地下下水道に走る迷路をマッピングしたものだ。
 そのマップの、水の本流からやや離れた通路の端に大きな水槽が置かれていた。
「これは敵幹部、スカムキングが設置した『巨大汚水槽』です。彼は、逆らえばこれを爆破するとダストブロンクスの住人たちを脅迫していました……事実、ここには爆弾が設置されています」
 これが爆発すれば、ダストブロンクスは数百年は人が住む土地ではなくなるだろう。なんとしても阻止しなくてはならない。
「また、現地にはヒーローチーム『ウォールカマーズ』のメンバーの少女が一人隠れています。彼女はこの汚水槽の爆弾を解除することができる人物ですので、保護をお願いいたします」
 コガラスが付け加えるには、彼女の所属するヒーローチームは彼女を残して全滅したらしい。
 自暴自棄になりかけている彼女は、放置すればオブリビオンに特攻し死んでしまうだろう。
 爆弾解除のためにも、少女の保護とオブリビオンとの戦闘を両立させることがベストである。
「作戦概要は以上となります。それでは、今回もよろしくお願いします」
 コガラスは一瞬胸に手をやり、グリモアによる猟兵の転送を開始した。


玄野久三郎
 玄野久三郎です。オープニングをご覧いただきありがとうございます。
 今シナリオでは以下のプレイングボーナスがございますので、ご参考いただければ幸いです。

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 プレイングボーナス……ヒーローを守り共に戦う。
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 少女はヒーローネーム『ツーラー』と呼ばれており、ウォールカマーズの頭脳担当でした。
 そのため直接的な戦闘能力はなく、オブリビオンに狙われればまず死んでしまいます。

 プレイングの受付はオープニング公開直後から完結まで受け付けておりますので、お気軽にどうぞ。
 ただし、採用人数自体は少なめになる予定です。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『壊人ヴァルニール』

POW   :    塵拳
【瘴気を纏った拳】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    壊世
【破滅願望】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ   :    冥連
自身が【壊したい感情】を感じると、レベル×1体の【瘴気で作られた小型の分体】が召喚される。瘴気で作られた小型の分体は壊したい感情を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
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レイ・アイオライト
一人だけ生き残った辛さは分かる。分かるけど、アンタの仲間たちは最期の最期までヒーロー然としていたんでしょ?それなら、アンタが成すべきことは死じゃない、死んでいった仲間に顔向けできるような『ヒーロー』であり続けることよ。

戦闘能力はないってなると、オブリビオンに視認されないようにしましょうか。

【暗器隠蔽】で『周辺の地形と同化する無敵のマント』を創り出してツーラーに渡すわ。

敵の攻撃は『見切り・早業・第六感』で回避、大振りな技の隙、相手の懐に入り込んで魔刀で『暗殺』を実行する。

シャキッとしなさい。アンタの力でこの状況を打開するのよ。あたしたちも協力は惜しまないわ。


トリテレイア・ゼロナイン
脚部スラスターでの●スライディングで敵とツーラー様の間に割り込み攻撃から彼女を●かばいつつ戦闘
敵の拳を●盾受けし、直撃の瞬間を●見切りUCを発動し完全防御
受け止めた瞬間に解除し、すかさず●怪力での●シールドバッシュで相手を弾き飛ばします

ツーラー様、助太刀が遅れたこと、誠に申し訳ございません
貴女の仲間の死を私は悼むことしか出来ません
ですが、敢えて言わせて頂きます

思い出してください、彼等が何のためにあの強大な敵に立ち向かったのか
人々の安寧の為、彼らは立ち上がり爆弾解除の使命を貴女に託したのです

生きている限り彼らの意志は貴女と共にあります

道は私達が切り拓きます
彼等と共に為すべきことを為してください!


釈迦牟尼仏・万々斎
※共闘アドリブ改変全て歓迎

なるほど見るからに反省も詫びも期待できん相手だ、
実につまらん。
…つまらんが、貴殿の仲間が行った先で、
馬代わり程度ならば務まると思わんかね。

絶望していようが彼女もヒーロー、
増援を知れば自分の役割も思い出すことだろう。
彼女にしかできない仕事をしてもらう。

餅は餅屋だ、任せたまえ。

あまり大きくちぎれては修復が手間だ。
【UC:バウンドモード】で適宜鞠化して体に弾力をつけ、
攻撃は回避しつつ近距離を維持。
塵拳がくると悟ったら背後に回り込み、
インパクト直後を狙って【断頭】発動。
腕なり首なり、隙あらば断ち切る。

死んで出直せとは貴様には言わん、
あの世でウォールカマーズに仕えるがいい!


鳴宮・匡
【六識の針】で耳を変異
可聴域と感度を極限まで強化

反響定位で素早く構造を把握
心音・呼吸音等の生体情報を拾い
護衛対象の位置・敵の所在・周囲の猟兵の位置を確認
最短経路を選んで進行

よう、ヒーロー
心配するな、お前のことは守ってやるよ

射撃でうまく、ヒーローと引き離すように追い込むよ
位置取りを調整していることを悟られないよう
本命の狙撃と牽制射撃を織り交ぜながら
相手に違和感を与えないように戦闘を運ぶ

動き出しや攻撃の走りを叩き、思うように動かさない
焦れて隙を見せたら、致命打を撃ち込む

何を喪っても、ひとはまた立ち上がるんだ
……その強さに、憧れた
だから、その営みは汚させない
それを守る影であると、決めたのだから


ヘンリエッタ・モリアーティ
――むごい。ヒーローたちがここまで
……同業を殺されて黙っていられるほど温厚じゃないわよ
【苦界包せよ円環竜】でまず、対象のツーラーを探しましょう
眼鏡型解析AIの応龍に一旦この場をスキャンさせます 私は常に走って、出来る限りヴァルニールの注意から逸れたいわ

今日は、ツーラー。ダークヒーロー・ウロボロスです
癪でしょうけど、貴女に生きてもらわないと困るので
とりあえず、大人しく一緒に走ってはもらえませんか!

解析と演算結果から安全な道筋で誘導後は
――戦闘力のない彼女をひとまず爆弾にまで近づけ解除をお願いするわ
私は、ようやくここから本領発揮ね
来なさい、壊竜――しつけの時間だ
此処で汚泥と共に絶えて死ねッッ!!



 大きな眼鏡をかけた薄汚れた少女は、ハンドガンを強く握った。角を曲がり、走り込めばそこにオブリビオンの姿がある。
「うわああああっ!」
 少女は恐怖の底で、己を奮い立たせるための叫び声を上げた。ハンドガンが二発火を噴く。
「何だァ? まだいやがったのかァ、ゴミが!」
 そのいずれも、オブリビオン『壊人ヴァルニール』に命中することはなく。今更少女の足は止まらない。
 その首を奪うには十二分な破壊力を持つ壊人の腕が迫り――
「ツーラー様!」
 音もなく地を滑るトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が、ヴァルニールの拳を重質量大型シールドで受け止める。
 予知の光景がなぞられる事はなく。トリテレイアのシールドがオブリビオンを弾き飛ばすと、ツーラーの傍らにもう一人の猟兵が寄り添う。
「今日は、ツーラー。ダークヒーロー・ウロボロスです……ごめんなさいね、ヒーローではなくて」
 呆気に取られる少女にそう微笑みかけたのはヘンリエッタ・モリアーティ(Uroboros・f07026)である。
「復讐の邪魔をしてごめんなさい。でも、癪でしょうけど、貴女に生きてもらわないと困るの」
「……!」
 それはつまり、戦うことになれば死ぬというメッセージに他ならない。
 ツーラーが理解していながら目を逸らしていた現実。オブリビオンは強く、少女が太刀打ちできるものではない、と。
「でも……皆が……チームの皆が殺されて……」
「何をグダグダとやってやがんだァァ!?」
 ヴァルニールが吼え、盾を構えたトリテレイアを強烈に殴りつける。
 されど、騎士の身体が揺らぐことはない。例え紛い物であろうとも、盾を構え、敵に向かい、守るべきものの前に立つならばそれは騎士なのだ。
 騎士は敵を通さない。彼は首だけ振り向き、少女に語りかける。
「ツーラー様、助太刀が遅れたこと、誠に申し訳ございません。貴女の仲間の死を私は悼むことしか出来ません」
 トリテレイアは既に視認していた。酷く損壊されているが、人間が通路に散らばっている。あれが、少女の仲間だったものなのだろう。
「ですが、敢えて言わせて頂きます。思い出してください、彼等が何のためにあの強大な敵に立ち向かったのか」
「……!」
「人々の安寧の為、彼らは立ち上がり爆弾解除の使命を貴女に託したのです」
 ツーラーは目を見開く。その瞳が涙に歪むことはなく、ただ『気付かされた』。やるべきこと。為すべきこと。彼女が託されたものの大きさを。
 ゆらり、と。影から合流したレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)はツーラーの背にそっと触れた。慈しむように。己を知る者が全て消えた、あの夜を思い出すように。
「一人だけ生き残った辛さは分かる。分かるけど、アンタの仲間たちは最期の最期までヒーロー然としていたんでしょ?」
「彼らは……ヒーローだった」
「それなら、もうわかるはず。アンタが成すべきことは死じゃない」
 そう言って、レイは漆黒のマントを取り出し少女の頭上から被せた。暫くして黒が薄れ、歪みが消え、その布切れが元はどこにあったのか、誰にも見えなくなる。
 レイは見えなくなった少女の背中を叩くように押し出した。バン、と力強い音が鳴る。
「アンタのするべきことは、死んでいった仲間に顔向けできるような『ヒーロー』であり続けることよ。いきなさい!」
「道は私達が切り拓きます!」
「……はい!」
 虚空より返事を振り絞り、少女は走り出す。視認不可能なスペードの3に、ヴァルニールは舌打ちし辺りを見回す。
「行かせるかよクソッタレ! どこだ! 逃がすかゴラァァ!」
 壊人は怒りを吐き出しながら、その身体を徐々に膨れ上がらせていく。巨大化して振り回した腕は、いつかは少女に命中するかもしれない。
「クズが……」
 ヘンリエッタは苛立たしげに、ヴァルニールの両の腕を掻い潜り走った。
 彼女が身につける眼鏡型解析AI『応龍』ならば、少女の走る速度や音からおおよその現在地を把握することもできる。ヘンリエッタはそれに駆け寄ると、少女の頭を屈ませた。
「きゃっ!?」
「危ないですよ。ここからは一緒に向かいましょう。貴女をエスコートさせてもらいます!」
 ヴァルニールの攻撃の軌道。少女の現在位置。その速度。それがぶつかる場所。
 彼女の視界にはそれらが複合的にフレーム化され映し出された。
(最も安全なルート……だとしても、命中率は五分)
 ヘンリエッタは少女と共に爆弾めがけて走り出した。危険はある。だがそれを拾わなくては勝利が訪れることはない。
「クソがァ! ぜってぇ行かせやしねェぞォ!」
 出鱈目に腕を振り回すヴァルニール。その巨大化の速度はますます早まっていた。
 その瞬間、鞭のごとく振るわれた腕が少女の頭上に振りかかる!

「――そうはさせない」
 一発の銃声が轟き、その腕の軌道が弾かれる。
 鳴宮・匡(凪の海・f01612)。彼もまた、卓越した知覚能力によって少女の居場所を『聴いていた』猟兵である。
「心配するな、お前のことは守ってやるよ、ヒーロー」
 さらに二射。ヴァルニールの姿勢が崩れた瞬間に、黒く弾むものが激突し、今度こそオブリビオンはその場に倒れこんだ。
「ガァァッ……! 何だゴラァ、次から次に……!」
 釈迦牟尼仏・万々斎(ババンババンバンバン・f22971)は更にもう一度地面で跳ねたのち、スタリと靴音を立て着地した。腕を組み、フンと鼻を鳴らす。
「見るからに反省も詫びも期待できん相手だ。だが……急ぎ逝けば、ヒーロー達の馬か絨毯くらいにはなろう」
「何が……反省だァ!? ゴミ共が、分不相応に俺様に逆らった! だからぶち殺した! それだけの事だろうがァ!」
 跳ね起きたヴァルニールはその爪を万々斎に突き出した。すると、そこに直立していたはずの彼の肉体は突然柔らかく歪み、敵の攻撃射程外に跳ね飛ぶ。
「汚水を後生大層に抱える貴様がどの口で言う……貴様にヒーローを穢す資格などない!」
 肉体の弾性を用いて再び前進した彼は、バネを使い壊人の身体を弾き飛ばす。
「グァッ……!? クソ! 意味分かんねぇ体しやがって……!」
 ヴァルニールが漸く起き上がる頃、少女は密かに爆弾の前まで到達していた。
 爆弾の解体が始まる。それを隠すように、ヘンリエッタがオブリビオンに立ちはだかる。
「さて――ようやくね。ここからは一歩も近付けさせはしない。
 来なさい、壊竜――しつけの時間だ。此処で汚泥と共に絶えて死ねッッ!!」
「チッ……死ぬのは貴様らだァ、クソゴミ共ァ!」
 吠え猛るヴァルニールが彼女に襲いかかる。直線的なその攻撃を応龍が解析し、主を容易く回避させた。
 ヘンリエッタは避けた先にあった破損した鉄パイプを壁から引っこ抜くと、力任せに眼前のオブリビオンの頭を殴りつける!
「グァッ!?」
「従順になるまで躾けてあげるわ。あの世で彼らに頭を下げられるように!」
 彼女は尖った破損部を、槍のようにヴァルニールの腹部に突き刺す。空洞を通って壊人の血液が流れ出た。
 彼女――『ウロボロス』はダークヒーローであると自認している。
 救えるものだけを救う。その在り方は一部のヒーローからすれば相容れないものであり、彼女にとってもまた伸ばせぬ場所まで手を伸ばすヒーローの行いは肯定し難いものもある。
 だが、相容れないものだとしても、どちらもヒーローなのだ。
 正義のため立ち上がった同胞を無残に殺され、どうして冷静なままでいられようか?
 彼女の怒りは雷となり、敵の体に突き刺さったままの鉄パイプを打ち据える!
「ウギァァァァァ……!」
 大きく体勢を崩し、ヴァルニールはヘンリエッタから離れフラフラと崩れる。
 揺らぐ視界の先に飛び込んだのはトリテレイアの姿。こいつだ。こいつさえ邪魔をしなければ今頃はあのガキも死んでいたのに。
「このクソ野郎がァ! 邪魔しやがってェェ!」
「フンッ……!」
 だが此度の突貫もまた、彼の持つ巨大な盾で防がれる。それは騎士というよりは一つの要塞。防御と攻撃を併せ持つ城は、儀礼用の剣を壊人に浴びせかける。
「グゥッ……!」
 刃を落としてあるとはいえ、十分な質量を持つ鉄の棒。悪漢を打ち据えるには十分な威力であり、ヴァルニールもまた大いに怯んだ。
「何度でも邪魔しましょう。私はあなたのような者から人々を守るために在るのだから」
「クッ、鉄屑が偉そうによォ……!」
 しかし口でいかに罵詈雑言を吐こうとも、目の前の騎士は怯む気配を見せない。
 ならばどうする。下衆なオブリビオンが思考した先に至ったのは、やはり少女を再優先で殺害することであった。
(こいつらは爆弾解体なんてそうそうできねぇ……! あの爆弾まで走って、解体してるガキを殺す……今だ!)
 ヴァルニールは突如後ろを振り向き、汚水槽に向かう。その足を、二発の弾丸が穿つ。
「ナァッ……グアァ!?」
「させないって言っただろ」
 匡は油断なく手にしたハンドガンのマガジンを入れ替え、再び敵の足を撃つ。
 同じハンドガンといえど、ツーラーが手にしていたものとは威力の桁が違う。弾丸は敵の肉にめり込み、その機動力を奪っていく。
「〜〜〜〜ッ!」
 匡はヴァルニールを見ながら、その意識の半分を爆弾の前の少女に向けていた。
(俺達が来るまで絶望して、ヤケを起こしていた奴が……)
 仲間を喪い、希望を失い……それでもまだ立ち上がり、人々のために戦っている。
 彼はその少女の強さを認めていた。ただ殺すだけの自分よりも余程強いと、憧れのような感情すら抱いていた。
 これこそが、ひとが持つ強さ。その強いひとの為に、自分ができることは何だ?
(決まっている)
 目の前の敵を排除すること。ひとの営みを穢す者を殺すこと。
 例え自分がひとでない事が解っていたとしても、その光を守ることくらいはできるはずなのだから。
「ウ、グゥゥ……こんな筈がねェ……! こんな、こんな所で俺様が……!」
 ヴァルニールはよろよろと起き上がるが、もはやその進退は窮まっている。怒りが、破壊衝動が、破滅願望が。行き場をなくして暴発する。
「クソォォォォォォ!」
 叫ぶ。怒りが壊人の周りに黒い影を生み出す。影はやがて整形され、小型の分身を生み出していく。
「ハハハハ……! 何もかもブチ壊れろ! 壊せ壊せ!」
 ヴァルニールは気付かなかった。生み出されゆく分身のうち一つ――その影に、レイが紛れていることを!
「隙だらけね」
 レイは影から飛び出すと、堂々と真正面からオブリビオンの懐に入り、黒き刀身の魔刀で袈裟懸けに斬りつけた。
「ア……ア……?」
 ヴァルニールは目を瞬かせ、自らの肉体から流れ出る血液と巨大な傷を見る。
「何だとォォ……!」
 遅れて来た痛みに声を上げ、その思考は乱れる。結果彼は、その延髄の後ろに現れたギロチンの刃に気付かなかった。
「さぁ。拍手の準備はよろしいか!」
 断頭。万々斎の刃が壊人の脊髄を砕く。肉を裂き、血管を破り、皮を絶つ。
 怒りに顔を歪めた頭がゴロリと落ちる。ヒーローを蹂躙した怒りの巨人は、かくして処刑された。

「……終わった」
 少女が呟いた。彼女の前にある爆弾は沈黙し、もう無害な機械の残骸と化している。
「私、皆の……仇を討てたんだよね?」
「間違いあるまい。彼らが為しきれなかったことを君は為したのだ。これを仇と言わず何と言う」
「うん……。……うん」
 万々斎の言葉に、少女は仲間の死から大分遅れて涙を流し始めた。彼女の戦いは終わった。仲間の死を悼む時間がようやく訪れたのだ。
「シャキッとしなさい。アンタはダストブロンクスを救ったヒーローなんだからね」
 レイが少女を乱暴に撫でると、少女は服の袖で涙を拭い、眼鏡をかけ直した。
「猟兵の皆も、頑張って。世界を救ってね」
 一人生き残ったヒーローは、そう言って猟兵たちを見送った。
 ダストブロンクス爆弾解除任務、完了。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月22日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト